○松永
説明員 政労協の賃金問題につきましては長い経過がございまして、先ほど来先生がおっしゃっておられます
ような基本の
方針というものを基本的に持ちまして対処をいたしておるのでございますが、当初におきましては、数年前でございますが、国家公務員の賃金が
国会で決議をされて決定をされた
あとでなければ政労協の賃金については回答をしない、こういう
ような
状態があったわけでございます。
私
どもとしては、そういうことは非常に不穏当であるということから、少なくとも国家公務員の賃金についての
政府の
方針がきまった場合には、
政府関係機関の公団、公庫、
事業団につきましても、その賃金のアップについての回答をできるだけすみやかにするということを私
ども強く主張をいたしまして、何代にわたりますか、労働
大臣二、三人の方にお願いをいたしまして、閣議でも
発言し、そうしてそういう
状態にあったわけでございます。
それを踏まえまして、その次には
問題点としては二つございますが、その
一つは、その回答のやり方につきまして大蔵省の承認というものがあるわけでございますが、それについてできるだけ公団なりあるいは公庫なりの
理事者の自主性を生かすということをすべきであるが、がんじがらめにこまかいところまで承認を受けなければならぬということでなしに、基本の大ワクがきまれば、その中で団交できめた給与につきまして承認をする
ようにすることが自主性を発揮するゆえんではなかろうかということで、たとえば昨年は初任給についての縛りを弾力的にした。従来は初任給平均アップ額、アップ率、それから最高という
ような押え方、それを基準をきめまして、そうでなければ大蔵
大臣が承認しない、こういうことであったのを、初任給については弾力的にするという
措置を講じたのでございます。私
どももできるだけそういう面におきまして弾力的な扱いを
政府はし、公団、
事業団が自主性が発揮できる
ようにしたい、これはかねてからの
方針どおり今後も努力をいたしたいと
考えております。
それから第二の点は時期でございます。時期につきましては、先ほど申し上げました
ように、従来よりはだんだん早まって、ベースアップについては、職員が非常に強く希望しておるのに対応する
ように、できるだけ早くということでやってまいったのでありますが、問題は、各公団、
事業団というものが
政府の補助金によってやっているものが大部分である、言うならば
政府の予算そのものであるということからいたしまして、どの
ような
方針でそのベースアップをするかということになりますと、そういう面からいきまして、人事院勧告、公務員給与というものに準拠するということの
理由は大いにあると思うのであります。それは申し上げるまでもなく民間賃金を
調査をいたしまして格差を出して勧告をするわけでございますが、政労協
関係の各団体におきましては、たとえば民間賃金の一五%アップということで出発をいたしておりまして、そもそも給与決定の最初の
考え方は公務員準拠ということでございますので、官民格差が出てくれば、その差額を人事院勧告に準じてやっていくという筋は
一つあると思うのでございます。
これはこれといたしまして、しかし政労協組合の皆さんが春に賃上げをしたい、労組法
適用の民間は春に賃上げをするからわれわれもしたいということを強く希望をしておられまして、そういう運動を展開しておる。しかし、一方におきまして、いままでの
ような弾力的な
措置を講じながらも、人事院勧告、公務員給与というものを一挙に離れて、春の時期においてやるべきかどうかという問題が一番大きな問題でございます。私
どもも政労協の組合の
方針というものについてどうこうということを言うべき
立場ではございませんけれ
ども、
労使関係というものが労使双方の話し合いによりまして、そうしてそのことが解決するということになりますと、この賃金のきめ方をどうするかということについての労使間の
意思の疎通といいますか、そういうものが率直に申しましてまだまだ熟していないというふうに私
どもは思います。そうして、たとえば三公社五現業等の賃金におきましても、今度自主交渉
段階におきまして回答をするということをことし初めていたしました。私
どもも自主性発揮ということは非常にけっこうなことなので、
政府・労働省の
立場におきまして、そういう体制をつくるのに応援をし努力をしたのでございますけれ
ども、これは相当の紆余曲折の歴史がありまして、そうしてこういうところに持ってまいったのでございます。政労協におきましても、もちろん組合員の希望あるいは組合員の運動
方針というものがあると思いますけれ
ども、そこら辺のところで、たとえば百九あります団体、その団体の
理事者と組合との間の交渉
——政労協に入ってないところもありますけれ
ども、そういう中で情勢が熟してこないとなかなかむずかしいというふうに私は率直に
考えるのであります。
その場合には、たとえば公団法、
事業団法におきまして認可なり許可なりということが厳然と
法律できまっておりますので、それとの
関係をどうするか。大蔵省が承認する場合に、各公団、
事業団がばらばらになるという
ようなことでいいのか、あるいは人事院勧告にかわった基準を持つとすれば、それは何であるかという点につきましての協議をし、そうして相談をなしていってこれを打開していくということが適当な行き方ではなかろうか、こう思うのであります。組合の皆さんのお
気持ちはわかるのでありますけれ
ども、いま具体的に、それではこれだけ多数の公団、
事業団につきまして、従来十数年やってまいりました労使の間の賃金のきめ方を変えるということになれば、それなりの準備と協議がありませんとなかなかスムーズにはいかない。ただ基本の
方針といたしまして、おっしゃる
ように労組法
適用でありますので、できるだけそういう自主性が発揮できる
ような
方向ということで努力はいたしておるのでございますけれ
ども、いまの春の時期に賃金を上げるという問題につきましては、申し上げました
ようないろいろな困難な点があるということが率直な私の意見でございます。