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1970-10-07 第63回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月七日(水曜日)     午前十時三十九分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 小山 省二君 理事 始関 伊平君    理事 渡辺 栄一君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君       伊東 正義君    林  義郎君       松本 十郎君    森田重次郎君       赤松  勇君    佐藤 観樹君       佐野 憲治君    藤田 高敏君       多田 時子君    西田 八郎君       寺前  巖君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 内田 常雄君         通商産業大臣  宮澤 喜一君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      植松 守雄君         経済企画庁審議         官       西川  喬君         経済企画庁総合         開発局長    岡部  保君         文部政務次官  西岡 武夫君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         水産庁長官   大和田啓気君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業省公害         保安局長    荘   清君         通商産業省公害         保安局公害部長 柴崎 芳三君         通商産業省鉱山         石炭局長    本田 早苗君         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君         運輸省港湾局技         術参事官    竹内 良夫君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 大塚 正名君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 鮫島 泰佑君         海上保安庁次長 上原  啓君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         建設省道路局長 高橋国一郎君     ————————————— 委員の異動 十月七日  辞任         補欠選任   佐野 憲治君     佐藤 観樹君   土井たか子君     赤松  勇君 同日  辞任         補欠選任   赤松  勇君     土井たか子君   佐藤 観樹君     佐野 憲治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(大気汚染及び水質汚  濁対策等)      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。始関伊平君。
  3. 始関伊平

    始関委員 私は主として宮澤通産大臣にお尋ねいたします。  公害経済関係でありますが、経済成長率を落としても公害対策を優先する、こういう考え方ないしは主張が最近では一般的になっていると思います。おそらく大臣も、それはそうだと言われると思うのでありますが、しかし、経済成長率を落としてもという具体的な内容必らずしも明らかでない。これは当該企業だけをとってみるとやや簡明かと思いますけれども、国民経済全般ないしはGNPというような立場から言いますと、問題が必ずしも明らかではないと思うのですが、経済成長率を落としてもということの具体的な内容をはっきりしておくことは必要なことだと思いますので、その点の御所見を最初にちょっと伺いたい。
  4. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 公害問題に対処するということになりますと、これは始関委員よく御承知のことでございますが、国としてもそれなりの費用を必要としますし、企業においてもさようでございます。また消費者立場からしましても、ある程度消費内容はよくなるわけでございますけれども、消費者にも一部の負担がかかるというふうに想像されます。したがって、国民経済全体として考えますと、財政も企業もまた消費者も、いわば物的には再生産的でない余分の支出をすることになるはずでございますので、理論的に申しますと、その範囲で次の段階におけるGNP影響を与えるであろうということは容易に想像されると思います。それがどの程度であるかについては、おそらくわが国でまだ試算をした経験がないと思いますので、ただいま申し上げることができませんが、そういうことは大づかみに考えた場合に言えるであろう。ただ、これも申し上げるまでもないことでございますけれども、所得の向上ということは、それも福祉一つの大切な条件であることには間違いございませんから、いわば生産か生活かという二者択一の形で問題を考えることは適当でないというふうに思っておるわけでございます。
  5. 始関伊平

    始関委員 いまの、公害経済成長との関連におきまして非常に重大な問題は、最近各地に枚挙にいとまないほど実例がたくさん起こっておりますが、たとえば発電所の建設それから公害を伴うおそれのある重化学工場立地に対する反対運動、あるいは知事とか市長などというものが半ば公然とこれを拒否しているという問題があります。その形は、住民反対運動という場合もございますし、また知事や何かがそういう立場ではっきりと拒絶するというような場合もあると思いますが、これは産業立地にも経済計画にも非常に影響のあることで、重要なことだと思います。いまお答えがございましたが、公害のためには経済成長率を落としてもという範疇には私は入らぬ問題だと思います。これは法律上の権限がどうということではなくて事実行為として行なわれる問題でありますけれども、極端な地方分権の形で、しかもだれが責任者だかわからないような形で、非常に重要な産業政策の根幹ともいうべき事柄が左右されるというような結果になっておると思うのであります。これはやはり公害防止のためにはやむを得ないというふうにお考えになるのか、あるいはこの現状についてどのように対処されるのかということをお尋ねしたいと思います。
  6. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 それはきわめて重大な問題になりつつある点であると考えております。公害というものについての国民の意識がこれだけ高まってまいりましたことは、きわめてけっこうなことであると思っておりますけれども、何ぶんにも従来放置されておりました問題でありましただけに、問題のとらえ方が多少情緒的になりやすい、ただいまそういう段階にあると思います。  そこで、基本的には、この問題はやはり理性的にとらえられなければならない問題でございますので、規制基準あるいは公害防止のためのいろいろな技術、投資等々が行なわれていかなければならないと思います。しかし、現在多少情緒的な一これも従来放置されてまいりましたからやむを得ない面もございますけれども、そういうとらえ方が地方などでなされております結果、ただいま御指摘のようなケースが間々あることは私も承知をいたし、また関心を持っております。そこで、基本的には、規制基準というものについて国民がそれを信頼するということ、そうして基準そのものが守られるという慣行が確立すること、この二つがやはり前提になりますが、その上でならば許容される範囲での立地は、住民にも地方団体にも認めてもらわなければならない。その前提が満たされましたら当然そうでなければならないと思うわけでございます。と申しますのは、たとえばエネルギーの問題は、わが国の将来にとりまして非常に大切なむずかしい問題でございますが、かりに電力現実に不足をしたというような事態になりますれば、このことが国民福祉に及ぼす影響はもう甚大なものでございますから、そういうことがあってはならない。したがって、先ほど申し上げましたような規制基準についての国民信頼、それが守られることについての国民信頼、この二つの上に立って理性的に、立地というものについては住民からも地方団体からも協力をしてもらわなければならないと考えております。  具体的な方法としましては、やはり地方協議会のようなものを設けますとか、あるいはまた規制関係公害防止関係についての必要があれば国自身による調査、これは住民信頼を確保する意味でございますけれども、そのようなことをやりながら、許容される範囲での立地地方住民にもぜひ協力をしてもらわなければなりません。ただいま現実行政といたしましては、地方通産局長が中心になりまして、自治体あるいは関係者に呼びかけをし、また説得をいたしたりするケースもございますし、また本省から担当の局長が出かけていきまして、事態打開をはかるといったようなこともいたしておるわけでございます。
  7. 始関伊平

    始関委員 ただいまま私の指摘いたしましたような情勢に対処する方策の一つは、国民から信頼をされる基準、主としては排出基準だと思いますが、これを確立することであるとおっしゃいました。その点が残念ながら現状はそうなっていないようでありますので、また後ほど伺いたいと思います。  こういったふうに各地産業立地をきらう、あるいは拒否するということの影響が最も端的に出るのは、いまお触れになりましたが、やはり電力事業の場合だろうと思います。それで、これは直接の責任者はもちろん各電力企業ですね。九つの電力企業であることはもちろんで、各会社とも相当一生懸命にやっておると思いますけれども、やはり電力需給というものは国家的な問題でありますから、政府当局、この場合で言えば通産大臣になると思いますが、政府当局がやはり積極的に打開に動くべきではないか、こういう感じがいたします。特に申し上げたいことは、電力会社はもちろん公益事業ではありますけれども、形は私企業、株式会社ですね。そういったようなことから、私企業だけの立場で一生懸命説得をいたしましても説得力が弱いというような面は否定できないと思います。もう一つ、ある県はその県の需要量以上に発電能力がある、それをさらに伸ばさなければならぬという立場に置かれておる、東京都とか、大阪府とか、ある特定の地域電力移入地域である、そういう関係でもあると、自分のところは公害ばかりだということになりまして、問題はめんどうなんですが、そういう際においては、特に政府責任者として通産大臣に積極的に動いていただく必要があると思うのであります。この点についての御所見と、あとは公益事業局長でもけっこうなんですが、電力需給はたいへん窮屈で、ちょっと機械でも故障するとたいへんであるという状況であることは、木川田電気事業連合会会長から詳細に聞きましたから、もうお答えの必要はありませんが、将来計画といたしまして、東電、関電などをはじめとして、新しい立地の余裕がかなり乏しいように思うのですが、この点の手当てといいますか、関西電力に聞きますと、土地手当てのできている場所は十カ所ぐらいある、つまり所有権を持っているところは十カ所ぐらいあるということだけれども、それらの場所について、いろいろな住民との間の了解なりが済まないというような問題などがありまして、将来計画も非常に心配ではなかろうかと思うのです。この点は事務当局でけっこうですが、この二点をお聞きしたい。
  8. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 これもよく御承知のとおり、電力につきましては、いわゆる広域運営というようなことが行なわれておりますので、自分地域自分地域に必要な電力だけあればいいというような考えをしてもらいますことは、私は考え方として適当ではない、やはり国全体のベースナショナルベース国民全部に考えてもらわなければならない問題だと思います。しかし、現実にはただいま言われましたような問題がございまして、これについては電力会社も可能な範囲地元にいろいろなサービスをするということは苦労しておられるようでございます。しかし、いずれにいたしましても、電力のこれからの需給の見通しは実は非常に不確かでございまして、私も問題を非常に心配いたしております。実は先日もそのような意味東京、関西、中部電力会社責任者にお越し願いまして、この問題についての意見交換をいたしました。また、昨今は公益事業局長自分地元に参りまして、いろいろ局面の打開をはかっておるというようなことでございまして、私ども大いに関心を持ち、また通産行政が当然責任を負わなければならない問題だというふうに考えております。  なお、自余のことは政府委員からお答え申し上げます。
  9. 馬場一也

    馬場説明員 御質問のございました各電力会社が新増設のためにどのくらい土地手当てをしておるかということでございますが、これは土地手当てと申しましても、各電力会社発電所をつくりますときに、土地を相当広く手当てをいたしまして、それから逐次そこに一号機、二号機というふうに増設をしてまいります。現在ございます発電所の中で、将来に備えてどのくらいのものを増設する用意ができておるだろうか、これは坪数じゃございませんで、手当てをしておる土地の中で将来どのくらい増設が可能であるか、キロワット数で申しますと、一応手元にございます資料によりますと、九電力合計で二千四百六十万キロワット、これは火力だけでございます。(始関委員「何年分ですか」と呼ぶ)二千四百六十万キロでございますから、大体最近のペースで申しますと、九電力合計で一千万キロの開発をやるといたしまして、大ざっぱに申しまして火力がその六、七割というふうに考えますと、六、七百万キロの火力を年々つくるといたしまして、平均いたしますと、計算上は三年分ということになるわけでございます。むろんこれは既設の発電所内増設予定地でございますから、新規に発電所をつくるときには、新たに土地手当てをいたす必要がございまして、それも先行的に土地の手配をいたしておるものはこのほかに若干あろうかと思います。ただ、最近の情勢で申しますと、自分土地があっても、その自分土地発電所をつくるということだけでは必ずしもそれがスムーズにまいりませんで、そういうところに発電所をつくる場合でも、公害対策が十分かどうかという点について、先生指摘のようないろいろな問題がございまして、納得が得られませんとなかなか発電所がつくれない、こういう実情にあるわけでございます。
  10. 始関伊平

    始関委員 次に、問題を変えますが、公害防止につきましては、地方自治体権限委譲をすべきである、また政府委譲をしようということをしばしば申されておるわけでございます。これはやはり住民に直結しておりますから、監視とかあるいは現場での取り締まりというようなことは、これはやはり自治体にまかすのが適当であると思うわけですが、この点につきまして、これは法律を見ればわかるわけですが、現在大気汚染ないしは水質汚濁防止工場排水規制、ああいったような法律上の権限で、どういうものがすでに自治体にまかされておるのか、近い将来における権限委譲のプログラムをこの機会に伺っておきたい。ただし、政府部内でまだ意見調整の済まない問題もあるようですから、その問題問題につきましてはしいて伺おうとは思いませんが、どなたかひとつお答えいただきたい。
  11. 荘清

    荘説明員 現状について御説明申し上げます。  大気汚染防止法関係では、電気、ガスは現在同法の適用除外になっております。そのほか、鉱山保安法が独立の法律としてございまして、鉱業法適用を受けております鉱山並びに付属の製錬所というものは、同法に基づいて規制を受けておる、こういう状況でございます。  次に、水質汚濁関係でございますけれども、これにつきましては、ただいま申し上げました鉱山保安法関係適用を受ける鉱山及び付属製錬所、これは大気の場合と同様に鉱山保安法公害取り締まりを行なっておりますけれども、他の凡百の業種につきましては、水質保全法及び工場排水規制法、この二法によって規制を行なっております。この二法に基づきます水質汚濁規制でございますけれども、法律上はすべての業種につきまして、各業種主務大臣法律上の監督権を持つことになっておりまして、政令でその権限地方出先機関もしくは県知事委任することができるということになっております。現在全体で十一の業種につきましてまだ県に権限委任が行なわれておりません。すべてそれぞれの省の出先機関でございます通産局長とか財務局長というふうなところへ委任されておりますけれども、その業種につきましても、先般政令改正案が閣議で決定せられておりまして、本年の十一月一日から十一業種とも県知事主務大臣から権限委譲する、こういう方針がすでにきまっております。
  12. 始関伊平

    始関委員 そうすると、監視現場取り締まりという問題については、水質関係大気汚染関係等も十一月一日までには地方委譲をする、こういうことですね。
  13. 荘清

    荘説明員 御説明が少しわかりにくかったかと思いますが、水の関係規制につきましては現在の取り締まり法のもとで十一月一日からすべて委任をされる、こういうことでございます。それから大気関係につきましては、現在の大気汚染防止法で、それぞれ別個の法律によって規制をすることになっておる面がございますから、この点は十一月一日でも同様変化がない、現行法のもとでは変わりがない、こういうことでございます。
  14. 始関伊平

    始関委員 先ほど大臣お触れになりました排出基準ですが、これが国民から見て信頼のできるといいますか、この程度なら現状で差しつかえない、あるいはがまんをすべきものだ、こういうふうに排出基準というものはなっていないとぐあいが悪いのですが、現状はどうも必ずしもそういうふうになっていないような気がいたしますのでお尋ねいたします。  第一に、これは事務当局にお尋ねしますが、排出基準というのはどういう形できまっているのかということですね。政令できまっているのか、あるいは各省の省令できまっているのか、その点をひとつ伺いたいと思います。  それから、政府がきめている排出基準というものの法律的な効果がどうもはっきりしないように思うのですが、その点もあわせて伺いたい。と申しますのは、これは強制的な意味を持つものであるのかどうか、そうではなしに、一つ指導基準ないしは参考基準という程度にとどまるのか、あるいは昔ありました公定価格のように、それ以下はいいが、それ以上と申しますか、もっとゆるいのはいかぬということなのか、その辺の法律上の解釈、したがいまして、地方で定める条例とか、あるいは話し合いできめるとか、そういう問題はどうなるのか、政府できめている基準との関係で、その点をひとつ御説明を伺いたいと思うのです。  時間の関係もございますので、いまの点に関連いたしまして、これは大臣にお伺いいたしますが、実は横浜などで製鉄公害関連をいたしまして、大気汚染関係が主ですが、政府のきめている排出基準に比べてはるかに——はるかにと言っていいかどうかわかりませんが、とにかくきつい、きびしい基準というものを自治体企業との合意できめた、こういう問題がございますね。これ自体をとやかくここで申す意思は毛頭ございません。相当の理由があるのだと思います。ただ、きのうこの委員会参考人を呼びまして、鉄鍋業界の代表で藤井新日鉄副社長が参りましたのですが、藤井参考人意見では、東京湾沿岸のような過密地帯について特にきびしい基準を決定する必要があるならあるでよろしいのだが、これはやはり政府基準としてきめてもらったらどうだろうか、いわゆる非常に過密地帯基準と、必ずしもそうではない地帯基準というものはそれぞれ別々にきめてもらってはどうだろうか、こういう主張を強くしてまいりました。  その理由は、こういうきびしい基準というものを実施するためには、特別に選んだ低硫黄の重油を確保する必要がございますけれども、これは必ずしも数量的には十分でないという理由一つ。それから過密でない地帯については必ずしもそれほどのきびしい基準は必要ないのじゃないかということがもう一つ。第三の理由としては、いまのような話し合いでやるという形でいきますと、ある一カ所できびしい基準がきめられれば、必ず他に移る、それほどの必要のないところにもそれが移っていく。社会情勢上やむを得ないことでありますが、これは油の需給関係その他から申しますと必ずしも賢明な策ではないのではないか。もし逆に今度は隣合わせの県で基準が違うということになりますと、これまた妙なことになります。  先ほど宮澤大臣は、排出基準あるいは環境基準も同様でありましょうが、これを権威のある、国民信頼できるものにするということが立地段階にからむ紛争をなくする根本的な要点だというふうにおっしゃったと思いますけれども、そういうことをすれば、地方自治体意見なんかも基準決定の過程におきまして十分取り入れるといいますか、聴取する機会をつくりまして、そのつどあまり紛議の余地のない、そういう権威のある、大臣のおことばで言えば信頼のできる基準というものをつくっていただくことが非常に望ましいのじゃないかと思いますが、その点は大臣に伺いたい。
  15. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 従来あまりに野方図でございましたので、問題が現在のようないわば燃え上がった取り上げられ方をしておりますことはやむを得ないことだ、これも一つの新しいものの考え方を定着させるいわば道行きであるというふうに私は思っているわけでございます。これが少し落ちつきましたら、基準というものを権威のあるものにし、そうしてその基準未満であれば、つまり許容される程度であれば、これはだれも心配をする必要がないのだ、それを越えれば心配であるというような観念がやがてもう少し定着をしてこなければならないと思います。いまそれを申しましても、問題がこういう形になっておりますから、それはなかなか無理かと思いますけれども、時間をかけてまいりまして、これは許容された限度であればそうそう心配する必要はないんだというところまで持っていきたい。そうなりますと、いまのような心配の点がもう少し理性的に解決されるようになるのではないかと思っております。ただいままでのところ、医学的な解明も実ははなはだ十分ではございませんので、きびしければきびしいほど無事であろう一それには違いございませんが、という力が非常に働いておりまして、それが将来のわが国の国としての成長、進展というものとの関連でもう少し合理的に議論されるという段階にまで至っておらないので、そういうふうにしていかなければならないと思っております。  なお、基準そのものは、御承知のように過疎地帯過密地帯では、国といたしましても幾つかの標準を設けておるわけでございます。
  16. 西川喬

    西川説明員 排水基準の御質問でございましたが、水質に関ましては、現在水質保全法によって基準を設定するようになっております。この手続といたしましては、審議会の議を経ること、それから関係都道府県知事意見を聞くことということが義務づけられております。その後きまりましたら、これを公示いたしまして、関係行政機関の長に通知する。法律的にきまっておりますのはこれだけの手続でございますが、その公示は経済企画庁長官の告示をもって行なっております。それによって水質基準が決定するわけでございます。  水質基準は、これは守らなければいけない基準でございまして、先ほど先生のおっしゃいましたような指導基準ではございません。規制基準でございます。  水質保全法基本法でございまして、それに基づきます取り締まりにつきましては、これの実体規制法というのが現在十一ございます。水質保全法と一番密接につながっておりますのが工場排水規制法でございます。それ以外の鉱山保安法等法律は、それぞれの事業法的な色彩を持っておるものでございますが、工場排水規制法におきましては、水質基準が定まりましたならば、指定水域内におきまして、特定施設を設置しておる工場につきましては、これの順守の義務が課せられるわけでございまして、これは規制基準でございますから、その基準が守られてないときには改善命令を出します。改善命令に従わないときには操業の  一時停止という措置もございますし、罰則の措置もあるわけでございます。それから、それ以外の実体規制法につきましては、それぞれ橋渡し規定を設けまして、水質基準が定められましたら、それらの法律に定まっているところにかかわらず、指定水域につきましては、その水質基準規制基準といたしまして、その以降の監督、取り締まりを行なう、このようになっておるわけでございます。
  17. 始関伊平

    始関委員 経済企画庁の国土開発局長お見えになっておりますね。この公害問題というのは、何といっても、人口と産業の過度集中の裏返しというか裏表になるのだと思います。それは、太平洋岸に産業と人口が非常に無秩序にかつ無計画に集まったのが、今日の日本の公害問題がこういう状態になった根本の原因だという認識があるわけです。  そこで、まず国内でこういう過密地帯をこれ以上ふやさない、また都市の再開発とかいろいろなことをやらなければいかぬのですが、全体として日本の国土全体を見まして、できるだけ産業地方分散、過疎地帯開発というようなことも考える、こういう仕事は、あなたのほうの御所管だと思うのですが、きのうこの委員会に木川田電気事業連合会長も参りまして、公害防止関連して進めなければならない基本的な諸施策の一つとして、国土の総合開発ということを言われたのです。この問題につきまして、陸奥湾とか志布志湾とか、その他三カ所か四カ所新しい比較的大きな工場地帯もあるように伺っていますが、こういう問題を考える場合に、もちろん公害対策にも資する、それだけの理由ではないでしょうが、ということを考えておられるのだと思います。そういうことになりますと、やはり相当急いでいろいろな計画を進める必要があると思いますが、伝えられておる陸奥湾その他の開発計画というものは、現在どの段階にあるのか、いつごろからそこに工場を持ってくるようになるのか、そういうふうな点を中心にちょっと御説明願いたい。
  18. 岡部保

    ○岡部説明員 お答え申し上げます。  ただいま、先生のおっしゃいましたとおりでございまして、私ども国土を総合開発するという、言うなればこれから先の、どういうふうにしていくかという問題が、確かにこれからの日本にとって非常に大切なことと考えております。そこで、私どもの考え方の中心といたしましては、昨年五月に閣議決定を見ました新しい全国総合開発計画という一つの筋を立てまして、それに基づいて、ただいま先生のおっしゃいましたように、いわゆる国土全体の開発の可能性というものを広げていく。したがって、いままで非常に一地域というか一部分に限定されておりました開発というものを、全国土に広げていくという考え方に立っておるわけでございます。特に、公害と非常に密接な関係のございますいわゆる二次産業、工業の開発の問題でございますが、これからの問題といたしましては、いわゆる交通、通信のネットワークを全国に広げていく。それによって、いわゆる時間距離と申しますか、そういうものを縮めまして、したがって、遠隔地にも重工業が立地できるという体制に整えていく。たとえば新幹線であるとか、あるいは高速自動車道網であるとか、そういう交通、通信のネットワークの開発をまず進めていく。それに合わせまして、ただいま御指摘のございました、たとえばの例でございますが、下北半島の地域開発するというような方向に進めていく。そこに工業も立地させるとともに、一つの豊かな環境を持った工業都市と申しますか、都市づくりをしていかなければならないのではないかという考え方でございます。  そこで、具体的にいまどういう段階であるかという点について申し上げますと、現在はまだ調査段階でございます。それから確かに急がなければならないという問題があるわけでございますが、何ぶんにもまずその地域調査というもの、それからその次の段階で、当然相当広大な地域、しかも環境をよくするためには、いままでのようにたとえば立地する意思のある工業というものがそこの地域に自由にぱっと出てくるというようなことをいたしますと、また過密地帯が——そのごく一部分ではございましょうが、過密地帯をつくるおそれがございます。したがって、まず調査をいたしまして、それからその地域全体のマスタープランと申しますか、配置計画というものを固めて、それでやっていく。この点、はなはだまだるっこしいというおしかりを受けるかもしれませんが、その点の計画的な配置というのをもう少し考えませんと、また残念な結果をもたらすおそれがございます。その点、まずそういうほうに力を入れまして、現実には、まずその地域に伴いますいろいろ社会資本の整備という問題もございますので、これは何年からというはっきりした段階ではまだございませんが、遠からずそういう社会資本の整備に着手いたしまして先行していくという考え方で、ただいまもっぱら調査並びに計画段階であるという認識を持っております。
  19. 始関伊平

    始関委員 時間がございませんので、そろそろ質問をおしまいにいたしますが、最後に、これは通産大臣にお尋ねをいたします。  いまお話しのように、新しい工業地帯、比較的大きい工業地帯開発するとしても、これは早晩一ぱいになってしまうだろうと思うのです。日本の経済がエネルギー産業、資源産業、それから重化学工業というものを中心に伸びるとすると、これは海外資源の確保の点もだんだん問題が大きくなるでしょうし、労働力の問題もある。最後に、何しろ四つの島は小さいから、どこを全部ふさげたって、あと二、三十年もたてば一ぱいになってしまうだろうと思うのです。そういう意味で、いままでのような形での経済成長というものは、GNPくたばれとかなんとか言わぬでも、そう遠くない将来にある限界に達するだろうと思います。のみならず、過密の害、公害列島になっても困るから、そろそろ日本経済は大体この辺までだという限界みたいなものを検討したらどうだという意見も財界の一部にあるようです。しかしながら、ただ問題としては、一億という人間がおって、非常にたくましいエネルギーを持っておるわけですから、将来ともそのエネルギーを発散する場所がなければ困るわけですね。少し先のことだけれども、急に転換もできないだろうから、私は、いまから心がけて、調査したり研究したり準備しておく必要があるだろうと思うが、こういう事態に対処して着眼すべき方向が二つあるだろうと思うのです。  一つは、日本の資源産業を海外に移していく。石油なり石油化学なり、現にシンガポールあたりへ持っていこうというお話があるようです。それからアルミなんかだいぶきらわれて、どこか移せれば移したい。それからきのうも藤井参考人が言っておりましたが、鉄鉱石の焼結工場をどこか離れ島に持っていきたいというのはそういう考え方のあらわれだと思いますが、これは外国に公害が起こってもかまわぬなんということを申し上げておるのではなく、かなり現地での立地を歓迎する動きもございますし、それから過疎地帯であれば、当然公害という問題はたいした問題ではないというのが真相だ。そういう意味から、私は、いまからぼつぼつと心がけて調査、検討を進めていく以外にないし、またある程度実験的にいってみる、こういうことが必要だと思いますが、この点が一点と、それからもう一つ、去る九月の二十一日に宇都宮の一日内閣で、佐藤総理が、公害関係のない頭脳集約産業というものをやったらどうか、こういうことを言いましたね。設備も要らぬ、原料も要らぬような、そういう産業で大いにもうかるものがあればたいへんいいわけですが、これは総理が言われたんですけれども、宮澤さん、頭脳集約産業というものはどういうものなのか、おわかり、というかお考えのところをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 前段の問題でございますが、確かに私どもも始関委員の言われますような問題意識をかなり強く持っております。そして発展途上国は幸いにしてわが国のそういう合弁等による企業の進出を非常に歓迎をしていてくれますので、公害の輸出と言われないような配慮をしながら、そういう方向を考えていかなければならないし、またいけるであろうと思っております。御承知のように、幾つかの話も具体化しそうになっておるわけでございます。しかし、現段階での問題は、たとえばコンビナートというような形でありませんと、一つ企業だけが出ていきましても十分な経済性を発揮し得ないとか、いろいろ問題があるようでございますが、しかし、行く行くはどうしてもそういう問題を考えざるを得ない。そのときに私ども注意すべきことは、それが心底現地から歓迎されて、その相手国の一部になって動くといったような心がまえの問題が大事であろうと思いますし、またアプローチとしましては、できるならば国際機関のようなもののあっせんと申しますか、そういう形で出ていきますこともまた現地との摩擦を生じさせない一つの方法ではないか、そういう方向でいろいろ考えておるところでございます。  先般、宇都宮のいわゆる一日内閣で総理の言われましたことは、おそらくもっと技術集約的な、あるいは資本集約的な、一般に情報産業と広い意味で言われておりますようなことについて言われたのであろうと思いますが、確かにわが国の教育水準、労働の質等々から考えますと、そのような新しい形の産業、いろいろあろうと思いますが、たとえばドラッカーが例の本の中で述べておりますようなことが、未来の産業かと思いますが、そのようなものが考えられるのではないかと思います。
  21. 始関伊平

    始関委員 これで終わります。ありがとうございました。
  22. 加藤清二

    加藤委員長 次は、林義郎君。  林君に最初に申し上げておきます。あなたの持ち時間はお約束は四十分でございまするけれども、大臣各位のここの席が非常に限られております。しかるに、大臣に対する質問者が大ぜいおられます。したがって、あなたの質問、一部残してあとに回す、同時に、その間に多くの質問者の希望を満たすという取りはからいをさせていただきまするから、さようお願いいたします。
  23. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、先般当産業公害特別委員会で大阪及び四国地区に視察に出ましたその一員に加わりましたのですが、そのときたいへん各地の方々からいろいろと御陳情も聞いたし、いろいろと御説明もいただいた、そういったことで特に、最初に堺鉄工団地を見せていただきまして、泉北のいろいろな新工業都市、さらには新居浜に行きまして住友金属、住友化学を見ました。さらに今治、川之江と参りまして、最後に番の州を見たわけでございますが、いろいろと各会社ともそれぞれの努力はしておられるようでございますけれども、まだ残っておる問題もたくさんあるということを拝見したわけであります。最後は、海上保安庁から派遣された船に乗りまして、瀬戸内海の汚染状況も視察するというようなことでございました。私は、この機会をかりまして、この調査協力されました各位に対し厚く御礼を申し上げたいと思うものでございます。  この調査関連いたしましていろいろたくさん問題が出てまいりましたけれども、中には行政当局だけで解決できるような問題もあるし、あるいは地方公共団体でやっていただければそれで済むような問題もあるのではないかと思っておりますが、特に大きな問題と申しては語弊があるかもしれませんけれども、特にこの際考えておかなくちゃいかぬ問題を二つほど指摘して、その点を中心に御質問をいたしたいと思います。  実は各地火力発電工場を見せていただいたわけでございますが、いずれも、公害防止対策は何だ、こういうふうなお話をしますと、きまったように低硫黄重油を持ってきまして……、こういうふうなお話が返ってくるのでございます。各社みなそれぞれ低硫黄重油をお使いになるのは非常にけっこうなことでありますが、一体世界的にいってそれだけの重油があるのか、こういうふうな私は率直な疑問を持ったわけでございます。日本もいろいろこれから生産拡大を伴ってやっていかなければならぬ。いまからの経済計画はいろいろございますけれども、やはりそれに相応してエネルギー事業というものが当然拡大していくわけでございます。そういったものにつきまして低サルファの原油というものがはたして一体その需要に見合うだけの供給が確保できるかどうか、その辺について一体どういうふうに考えておられるのだろうかということをお尋ねしたいのでございます。  実は通産省のほうで、エネルギー調査会の低硫黄分科会というのが何か専門分科会でございまして、そのほうの資料によりますと、一応四十八年度における低硫黄燃料必要量というのがあります。申しますと、過密地域が四千三百六十万キロリットル、既汚染地域が二千八百三十万キロリットル、事前予防地域二千七百五十万キロリットル、要対策地域計九千九百四十万キロリットル、全燃料が一億七千七百八十万キロリットル、こういうふうな数字が出ております。しかし、こういった数字で実は過密地域というものを四十三年あたりと比較してみますと、おそらく過密地域についてはもうこれ以上の過密というのはエネルギー問題からしてはできないような現状になってくるのではないだろうか。過密地域の伸びの比率を調べてみますと、大体六年間で一・九〇というような数字になっております。そうしますと、年率に直しますと一二、三%でございまして、過密地域についてはあまり新しい工場をつくっていくとかなんとかいうことはできないというような状況一つ出てきているんではないだろうかと思いますし、また、それほど実はこれはぎりぎりの数字のように私は拝見しているわけですが、やはりこれから海外から低硫黄重油をいろいろ持ってくる。これもきのうお話がありまして、石油連盟の出光さん、それからファーイーストオイルトレーディングの東さんからもいろいろお話がございましたが、そういった低硫黄重油というものを海外から持ってくるのは非常にむずかしい問題であるという気が私はしておりますが、やはり海外からも持ってくるし、国内におきましてもいろいろな対策というものを考えていかなければならぬのではないか。通産省のほうでも、大型プロということで、排煙脱硫装置のいろいろな研究をしておられますが、そういったものを総合してこれを進めていかなければいかぬだろうと思いますが、まず、大臣にひとつお尋ねしておきたいのは、そういった四十八年における計画と申しますか、四十八年くらいまでには何とかやっていけるのだというようなことで考えておられるのか、四十八年まででもこれはなかなかたいへんな問題になるだろうというお考えなのか、その辺についての率直なお考えをお漏らしいただけたら幸いと思います。
  24. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私もその方面の専門でございませんので、決してたいへんに権威のある所見を申し上げるようなことは自分にできませんで、そういうことを含めてお聞き取りいただきたいのでございますけれども、どうもエネルギー全体の問題につきましてかなり不安な状況ではないかという判断をいたしております。これはわが国ばかりではございませんけれども、ことにわが国公害問題が非常に切実でございますので、そういう要素が多うございます。低硫黄、これはインドネシアでありますとかアフリカでありますとか、総合エネルギーの低硫黄対策部会でサゼスチョンはいろいろしておられるわけでございますけれども、ここに来まして、世界全体の低硫黄に対する需要が非常に急速に多くなっておりますし、中東の動乱等々もございます。低硫黄に限って申しましても、供給が確保されておるとは申しにくい状況でございますし、あるいは石油全体について、低硫黄でありませんでも、そういう傾向があるのではないか。先般アメリカで、その方面のおそらく最高の権威と思われる人の意見を聞きましたら、世界全体の原油の需給につきまして、その御本人自身も実はかなりの不安を持っておるということを隠さずに申しておりました。それが世界の現況ではないだろうか。わが国の場合は、そのほかにも輸送の問題もございますけれども、それを切り離しましても、かなりの問題ではないだろうか。電力につきましても、先ほど始関委員の言われたような問題がございます。そこで、私どもとしては、できるだけ海外の自分のそのような供給源を確保するということ、それから国内で、電力立地でありますとか、原子力発電でございますとか、それからこれは海外になりますが、天然ガス、LNGの確保等々、これは御承知のようにソ連との間にも一つ話があるわけでございますが、できるだけそういうものの手当てをしていく。それでだいじょうぶかとおっしゃいますと、ただいまだいじょうぶでございますと申し上げにくいような不安定な状況ではないかと思っております。
  25. 林義郎

    ○林(義)委員 いま大臣から非常に率直なお話がございましたが、やはりいまきまっていますところの環境基準というものの〇・二PPMでしたか、こういう環境基準を非常に汚染度の高いものにするということは、国民感情としてもとうてい納得できないことではないか。低硫黄重油が入らないから、そういったものは国民の負担において忍んでくれということは、私は非常にむずかしい問題だと思うのです。どちらかといいますと、その環境基準が、むしろこれから非常に汚染度の少ないかっこうにいくことはあっても、その汚染度が高いような方向に環境基準は決して定まらぬと先ほど大臣はおっしゃいましたけれども、やはり国民的な一般的な合意という形でそういったものがきまるということで、いまの基準より低くないところで定まっていくということが当然考えられるわけでございまして、私は、この際いま低硫黄重油の供給についても非常に不安定な要素がたくさんあるというお話でございますが、そうしますと、海外からの低硫黄重油の供給ができないということになれば、国内で何とか解決しなければいけない。脱硫技術の開発をいろいろやっていかなければならぬということでございますが、実は昨日その脱硫関係で木川田会長さんからお話がございました。大体一キロワットつくるのに設備として三万五千円かかります。脱硫のほうでは一万二千円でございます。こういうようなお話だったのでありますが、その脱硫技術にいたしましても、電力の設備につきましても、大規模なものにすればするほどメリットが上がる、スケールのメリットというものは相当あるのではないだろうかと考えております。そういったことから、やはり大火力発電所をこれからつくっていかなければいかぬということを考えますし、大火力発電所ということになれば、いままでたとえばある一定の小さなと申しますか中規模の工業地帯一つ発電所をつくる、あるいは五、六社集まったところの中に一つつくるというようなかっこうでなくて、もう少し広域を対象にしたかっこうの発電設備というものをつくっていかなくちゃいかぬ。しかもやはりローサルファの問題もありますから、それは立地の問題としてあまり過密都市に近いようなところは困るのではないかという気がいたすのであります。むしろあまりほかに工場のないようなところに火力発電所というものをつくっていかないと非常に危険性があります。特に火力発電がそういった一般の硫黄の問題では一番大きな原因だろうと私は考えておりますので、そういった立地の問題は考えていかなくてはいかぬのではないかという気がしてならないのですが、一体現在のところはそういった火力発電所電力会社計画しておられるのは、大体大都市周辺をやっておられるのではないかと思っておりますが、その辺につきまして、もし局長あたりから大ざっぱなお話でも聞かせていただけたらと思います。やはり何かそこで電力の問題につきましても、立地の問題も相当に考えていかなければいかぬ、単に電力会社だけにまかしておいたのではいかぬような問題が相当あるのではないかという気が私はいたしますので、その辺につきましてお答えいただきたいと思います。
  26. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国の総合エネルギーの需給の見通しを見ておりますと、そのとおりやるといたしますと、もう発電所で国が一ぱいになってしまうような、きわめて奇怪なことになってくるわけでございますし、それはしかも公害の問題を一応無視して、立地の問題もあまり考えずに、計算だけで出てくる話でございますから、どうもそのようなことは実際にできそうには考えません。といたしますと、ただいま林委員の言われましたようなことにならざるを得ない、電力だけについて申しますと、そうなろうかと思います。そういたしますと、おそらく送電の問題の技術の開発が必要であろうかと思います。しかし長い目で見れば、もうそうせざるを得ないでございましょう。そういう九電力側の体制というものがとれていくのか、あるいはそれは電源開発会社の仕事になるのか、共同の作業になるのか、いろいろな問題もございましょうと思いますけれども、送電の技術等々もあわせまして、やはりそういう趨勢にならざるを得ないであろうというように考えております。
  27. 林義郎

    ○林(義)委員 委員長からの御指摘の時間があまりございませんので、この問題はこのくらいにさせていただきまして、もう一つの問題、別の問題でございますが、その問題に入りたいと思います。  実は四国に参りましたときに、川之江で非常な問題がちょうど出ておりました。川之江、三島あたりに伝統的な製紙工場というものがあるわけであります。現在は非常に活況を呈しております。ところが、実は当初の予定の中にはなかったものでございますが、ちょうど行きましたときに、魚ががたくさん死んだというような話がございまして、急遽そこに行くというようなことになったわけでございますが、私もそこの工場の排水の状況を見せていただいたのでございますが、やはり聞きしにまさるものだというふうな感じを受けたわけでございます。  さらにまた、自民党のほうで派遣されまして、先般広島に参りました。大臣のお国でございますけれども、広島の大竹地区に行きました。そこでもいろいろと見せていただいたのでございますが、やはりこれも相当なものでございます。特に広島地区では、各党からもおいでになって、公明党のほうの竹入委員長は、みずからヘドロを採取されたというような話もあったわけでございますが、私たちもヘドロを幾つか見せていただきまして、においをかいでちょっと頭がくらくらするような感じすら受けたのでございます。  この問題にずっと関連いたしまして、いろいろな問題があります。紙パルプ業界というのは、非常に長い歴史のある産業であることは当然でございますが、技術的に申しますと、スウェーデンの技術を非常にたくさん製紙業というのは使っている。ヨーロッパではスウェーデンが製紙業の盛んな国でございます。いろいろな製紙機械あたりにいたしましても、スウェーデンからの輸入が非常に多い。またスウェーデンという国は公害に対して非常にシリアスな国でございます。おそらくスウェーデンあたりでは、工場の排水の問題であるとか、あるいは立地の問題であるとか、いろいろと考えてやっておられるのではないだろうか。スウェーデンでたいへん魚が死んだとかなんとかいう話はあまり聞きませんし、また先般聞きましたところでは、カナダあたりでも、実は大きな製紙会社があるのですが、その辺は相当にきつい規制を加えている。カナダはサケ・マスの漁場として相当なものがあるわけでございますので、すでにそういった点との関連でいろいろと考えておるわけでございます。そういった紙パルプ排水の処理技術の開発を一体どの程度日本でやっておられるのかということ。それから要するにパルプの排水でございますから、その排水が今度流れて、実は海の中または川の中にたまるわけでございます。田子の浦でも同じようなことでございます。ヘドロの処理の技術開発というものは、一体どういうふうな形なのか。これはやはり企業がたれ流しをしておいてよろしいというわけにいかぬと私は思うのです。これは企業として当然何か対策を打ってもらわなければ困るわけでございまして、やはりそういったものについて処理技術なり、またヘドロの処理をどういうふうにしていくかという技術開発状況について、簡単でけっこうでございますから御説明いただきたいと思います。
  28. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 技術的な問題でございますので、公害部長からお答えさしていただきます。  紙パルプの排水の処理につきましては二つに分かれておりまして、まず第一の観点は、出てまいりました汚物をどういう形で処理するかという観点からの技術でございます。これにつきましては、凝集沈でん法とか、あるいは浮上処理法とか、あるいは活性汚泥法というようなことで処理しておりまして、この技術は大体完成しておりまして、現在有効に働き、かつこの装置を設置すれば、相当の汚濁物は除去できるという体制になっております。ただこれは、将来の問題も含めてでございますが、さらに一歩進めまして、生産工程そのものの中で、汚濁物を出さないような形でものは回収できないかという観点からの技術研究をいま大幅に進めておるというのが実態でございまして、その方法といたしましては、たとえばKP法、クラフトパルプに関しましては、濃縮燃焼法というものがすでに完成しておりまして、これは蒸解後の黒液を濃縮いたしまして燃焼させて、それでその中に含まれております薬分を回収いたしますために、排出量そのものが非常に減ってくるわけでございます。かようにして回収された薬品は、また再び生産に使うということで、循環使用するわけでございます。  KP法につきましてはこういう技術が一応完成しておるのですが、それと並びます有力な。パルプといたしましてSP、SCPというものがございます。このパルプにつきましては濃縮燃焼法もまだ技術的に確立されておりません。一部は、薬品をKPのほうに流し込みまして回収する、いわゆるクロスリカバー法というものができておるわけでございますが、ただ、これはまだ量的にクラフトパルプとのバランスがとれないということで、定着した方法になっておりません。したがって、こういった方法をさらに技術開発することが一つの大きなテーマになっております。  その他、活性炭を利用して排水の脱色をするというような技術、あるいはスラッジを効率的に燃焼させるというような技術、あるいは透過膜を利用して排水処理をするという技術、そういった点についてもいろいろ研究を進めておる段階でございまして、四十六年度におきましてはこういう点に重点を置きまして、研究の委託制度というものを新しく設けまして、実情に応じた技術開発をさらに一歩進めたいという考えでございます。  それからヘドロの技術開発でございますが、一たん海にたまりましたヘドロをどういう形ですくい上げてこれを処理するかという点につきましては、あまり確立した技術はございません。現在の田子の浦あるいは伊予三島の具体的なケースにあたりましていろいろ技術的な検討をやっておるわけでございますが、いずれもまだ不十分でございまして、今後これはわれわれとしても大いに重点を置いてやっていきたいと考えております。  ただ、海にたまりますヘドロの前で、工場で前処理をいたしまして、いわゆるSSを回収するわけでございます。この点につきましては、回収されたスラッジを有効利用しようという考え方で、従来から建材関係その他に一部使われておるわけでございます。繊維質としては非常に上質の繊維質でございますので、これからの技術開発によりますれば、前処理して回収したスラッジを有効利用できる可能性は非常に高いかと思います。したがいまして、その点に関します技術もこれから通産省として大いに力を入れてやっていきたい、かような段階でございます。
  29. 加藤清二

    加藤委員長 林君に申し上げます。  あなたの持ち時間はまだございまするけれども、先ほど申し上げましたお約束の時間になりました。内田厚生大臣の御出席の時間は十二時三十分まででございます。それまでに内田厚生大臣に対する質問者が五名おられます。したがって、五名とも御満足いただくために分割させていただきたいと存じます。  次は、島本虎三君。
  30. 島本虎三

    ○島本委員 厚生大臣通産大臣を中心にして若干お伺いいたしたいと思います。  先般、公害対策特別委員会が大阪、兵庫、それから四国の愛媛、香川、これらを視察してまいりました。その中で、行政上これでいいのかと思う点が若干あったわけでございます。その点等について直接お伺いいたしたいと思います。  まず、四国の香川県の、いま瀬戸の大橋を予定しております香川方のそのつけ根でございます。そこへ番の州工業地帯をつくっておって、その中に三菱化成坂出コークス工場ほかもう数社ができ、運営しているわけです。そしてその場所は瀬戸内海国立公園であります。そしてその国立公園の中で海の水をよごすおそれのあるようなこういうような企業を許可してやっておるわけであります。そうして精製の過程で活性汚泥方式によって水を浄化しておる。これは人畜に何にも影響はないのである、もちろん魚にもない、こういう説明を聞いたのであります。しかし、実際その場所を見てあ然といたしました。活性汚泥方式によってそれは浄化して出してある、そのまま流してある、そのまま流してあってはたして被害がないかどうか、これあたりを十分調査するために見せてもらいました。工場長立ち会いで見せてもらいました。浄化されたものが流れているはずの中へ、ゼリー状の油のかたまりも一緒になって流れて、もろにそのまま瀬戸内海の国立公園へ注いでいるじゃありませんか。これを指摘いたしました。通産省でもそれを調べたはずであります。しかしながら、沈でん池もないままにして許可してある。そしてそのまま国立公園へ注ぐ、それをそのままの状態で沈でん池もなくして、信用して出さしておく。何でもないというはずのものに油のかたまりが流れておった。工場長も一緒に見ておる、こういうふうな状態であります。そしてやっている方法としてはあわだけ、それをとるようにブイを浮かべながら見ているわけであります。あわだけとるのであります。そういうような状態でしたが、漁民の話によれば、色まで変わる瀬戸内海の海である。そしてきょうは皆さんが来る、こういうようなことを聞いたら、二、三日前から海の水がきれいになって、きょうはほんとうにきれいです。いつもこんな水じゃないのだ、こういうようなことを言っているわけであります。これはまた重大な問題だと思うのですけれども、瀬戸内海のこの番の州工業地帯を許可して、国立公園の中でどういうような状態でこれを運営させるように指導したのか、偶然にも厚生、通産両大臣がそこへすわっておりますから、この問題についてはっきりした見解を述べてもらいたいと思います。これは現在の公害対策と全然逆であります。ことばでは一生懸命取り組んでおると言いながら、しかし次々と許可している状態がこれであります。こういうようなことは許されません。ひとつどういう条件で通産大臣はこれを許可し指導しているのか、どういうふうな状態で国立公園の中にこういうふうなものを許可したのですか、そしてそれをどのように管理しているのか、両大臣からこもごもにひとつ明快なる答弁を伺いたい。
  31. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 具体的なことでございますので、要すれば後ほど関係者から申し上げますが、通産省として、新設をされる工場に対しては、相当きびしいことを申しておるに違いないと考えておりますが、既設のものについての処置が、処置と申しますか、それは権限にも関係があるかもしれませんが、十分でなかったのではなかろうか。承りますと、御視察の当日にはきれいになっておるということであれば、おそらくそれは操業を中止してきれいになったのではございますまいから、苦労すればそういう方法があるということになるのでございましょう。そういう方向の指導をこれからしてまいらなければならないのではないか、実情を私存じませんので、具体的にお答えすることができませんが、そのように思います。
  32. 内田常雄

    ○内田国務大臣 公害の問題につきましては、私はかねがね厚生大臣として一つの理念を持っております。それは従来の公害対策ということが、よごれて処置ないところを、あるいは地域指定をし、あるいは水域指定をして、そして局所対応主義の仕組みになっておったことを私は非常に不満足に思っておるものでございまして、新しい時代の公害対策というものは、よごれてない地域をよごさないようにすることこそが環境保全、すなわち公害対策だ、私はこういう理念に立ちまして、地域指定主義というものを取っ払うべきである、東京や大阪や四日市やあるいは千葉等の地域へ入れられない企業が、指定地域あるいは指定水域以外に出ていって、そこをよごすのはかまわないということがあってはならないということを私は常々述べておるわけであります。したがって、島本さんのお尋ねの地域は、おそらく公害立法における今日の指定水域にもなっていないし、あるいは地域指定もされていないようなまことに遺憾な状態にあると私は考えておるのであります。したがって、私は、今度公害関係法の抜本改正の際において、それらの指定地域をやめて、いかなる場所もよごしてはならないという網羅的な環境保全の仕組みをつくって、島本さんの御指摘のような事態がどこへ行っても起こらないようなそういう公害対策の組み方をいたしたいと考えます。  もう一点は、御指摘の所が国立公園だということでありますが、私は口ぐせのように言うんでありますが、国立公園というものはこれは国民の天領であり、また最近の特別のことばでいいますと、私は国民の聖域である、こうさえ思うわけでありますが、公害対策につきまして、国立公園と自然公園とが別扱いにされていないことを私はたいへん遺憾に思っておるわけでありまして、私は厚生大臣として、これはまた別個のよりきつい排出基準あるいは環境基準というようなものを国立公園、自然公園としての立場からつくるべきだという主張を実はいたしておるわけであります。瀬戸内海は国立公園でありますが、現状のまま放置いたしますならば、あるいはまた公害関係法律の改正によりまして、よくいわれるようなシビルミニマム的な最低限な基準が設けられるという程度でありますならば、その国立公園の区域内における海も、あるいは湖沼も、ある程度よごれてしまって、もう自然公園としての意味がなくなると考えますので、国立公園につきましては、別個なより強い水質基準なり、排出基準なり、あるいはその環境基準というものをみずからつくり、あるいはまた関係の省庁に要求することができるというようなたてまえで、自然公園法を改正することを政府公害対策中央本部にも案を出しておる、こういう状況であります。  以上、私の理念でございますが、実際は工場がたれ流し、あるいはたれ流す前に活性汚泥法その他の水をきれいにする措置を講じておるはずでございましょう、法律のあるなしにかかわらず、今日これだけやかましく公害問題が取り上げられている事態でありますから。その活性汚泥法その他の技術的効果については、あとから専門家の局長さん方にお答えをいただくつもりでありますが、厚生省の守備範囲におきましても非常に遺憾な事態がある。たとえば屎尿などにつきまして、今日なお海岸から一定の距離数の範囲外においては海洋投棄が認められているというような、そういう法規のたてまえになっております。もっとも、これは政令をもってそういう屎尿などの投棄を絶対許さないという海洋の指定もできることになっておりますが、瀬戸内海はそういう屎尿投棄を禁止する区域に指定されていないはずでございますので、これらにつきましても、みずからのいろいろな関係がございまして、では屎尿投棄をしなければどうするかという問題があるわけでございますが、私どもの施策が十分でなかったことを反省しつつ、これらの屎尿処理につきまして、至急に最も適正な処置を進めますとともに、屎尿の投棄を禁止する区域の対象としても瀬戸内海などは考えるべきだ、私はこういうつもりでおります。
  33. 島本虎三

    ○島本委員 通産大臣、これは旧設のものであるならばやむを得ない点もあるといえるんですが、新設で、できたばかりの工場です。できたばかりの工場の運転に際して、活性汚泥という方法によってやっているからだいじょうぶだと言う。現場を見てもなお心配だから排水路のほうまで見せてくれと言って、そこを見たときにこれがあったのです。公然と見せていながら、その場所を見ている場合はいいが、その水が流れ込んでいる、海岸へ注ぐ排水溝になったらそういうものも流れている。この実態をどういうふうに監視しているんだということです。どういうようにしてこのようなものを指導しているんだ。これでは漁民が心配するのは無理ないじゃありませんか。そのままたれ流しと同じ状態ですよ。私はこういうような点は厳重に——これはもう当時通産省からも技術者が行きましたから、注意しておいたはずです。これはその後どういうふうな状態になっているか。少なくとも固型物が流れ出るのです。そんな、国立公園の中ですから、まだ水域指定をされていないからいいというような、安閑としたような、こういうような考えをいま持つ人がいるものですか。こんな人、困ったものです。そうじゃなしに、一たん行ったなら、そういうものは汚物が出ないように完全な措置をして、それを点検の上で操業させる、これでなければならないのです。それをしてありましたか、目の前に流れ出てたんじゃありませんか。これは行ってきた技術者もおりますが、この点その後どういうようなことをしておったか。そのときの状態で間違いなかったのかどうか、これを答弁してもらいたいと思います。
  34. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 私、先生のお供をいたしまして現場も見たわけでございますが、先生が御指摘の異物が挿入しておったという点は、私も目で確認をいたしました。したがいまして、さっそく会社責任者を呼びましてその事情を究明したわけでございますが、問題点と申しますか、問題が二つに分かれると思います。  一つは、活性汚泥法による処理の結果、その処理後の水質がどうなっておるかという点でございますが、これは調べました結果、CODについては二五PPM以下、SSについては四〇PPM以下、フェノールについては〇・〇八PPM以下でございまして、コークス工場からよく出てまいりますシアンについては全く検出しないという状況でございまして、これは現在の活性汚泥法の処理による結果といたしましては相当の効果をおさめておるというぐあいに判定いたしました。  それから現実に確認いたしました排水溝の中の異物でございますが、その出どころを調べました結果、判明いたしました事情は次のとおりでございまして、現在第一コークス炉の隣に第二コークス炉の建設工事をやっております。その基礎工事でいま盛んに掘っておるわけですが、それを掘るために水を少なくするということで、まわりに井戸を掘りまして水をくみ上げながら基礎工事を進めておる状況でございまして、問題の異物は、そのくみ上げた水の中から出てきている。その排水溝がたまたま活性汚泥法で処理した水を流し込んでおる溝と同一でございましたので、活性汚泥法の処理後にそういうものが入っておったような形になったわけでございますが、排水源は全然別でございました。その異物をさっそく県の衛生研究所のほうに回しましてどういうものであるか分析させました。その結果わかりましたのは、これはシデロカプサという鉄バクテリアでございまして、たとえば鉄管の中とかボイラーの中とか、鉄分によくつくバクテリアで、全然無害なものでございます。ただ量が比較的多かったことは事実でございますので、その事情が判明すると同時にスクリーンを設けさせまして、そのシデロカプサはそれ以後完全に全部排水溝の中からは抽出しております。したがいまして、その措置のあとでは、瀬戸内海に流れ込んでおりますものは、活性汚泥法で汚水を処理した、先ほど申し上げましたような水質のようなものが流れ込んでおるという実態でございます。
  35. 島本虎三

    ○島本委員 いまお聞きのような実態なんですが、問題は、通産大臣、これを許可してやっても、その排水溝の中に流れて入るような状態にして運営させているということ。そしてそれを許可した条件のままでこれはやっておらないということ。これはやはりいけないことです。これは常時監視を厳重にして、こういうことがないように指導すべきだ、このことだけは強く言っておきたいと思います。  それと厚生大臣、同じその場所で、瀬戸内海の高松から出て小豆島を越えるあたり、あの辺に平気で全部ふん尿を投げております。このふん尿投棄は、現在瀬戸内海で赤潮発生の状態からして、いろいろの問題が、このヘドロの問題とあわせて惹起しているその最中であります。夜陰に乗じて流すのかと思ったら、白昼堂々と流しておるのであります。それは厚生大臣の許可であります。厚生大臣が許可する以上、その辺に流しても被害がないというすべてのデータがあるはずであります。これはやはり重大な問題です。瀬戸内海の中で赤潮発生が現在漁民を恐々とさせているその最中に、ヘドロの問題とあわせてこのふん尿のたれ流し——たれ流しではありません。持っていって集中投棄をさせている。その瀬戸内海の小豆島の付近である、こういったすぐ近くである。こういうようなことになっては、これはもう海上保安庁ががっかりするのは無理ないと思うのです。こういうようなことを許可するとするならば理由があるはずであります。これによって被害がないのか。ちょうど水産庁も来ておられると思いますが、水産庁はこれによって魚族並びに漁民に全然被害がない、こういうようなことで許可を受けているのか。大臣は、これはもうそういうような見地から絶対無害であるというような確認を得て、これを許可したのか。この辺はっきりさせないと、環境を保全すると言いながら、次から次とよごしているのです。前に進めと言いながら、回れ右しているのです。こんなことではほんとうに困ります。あなたは、うわさによると誠実な人であり、じみであるけれどもやる人だと聞いているのですが、こういうようなことを言った以上敢然とこれに取っ組まなければだめです。この点をはっきりさせていただきたいと思います。
  36. 内田常雄

    ○内田国務大臣 ふん尿の海洋投棄のことは、私もたまたま瀬戸内海汚染のお答え関連して島本さんのお尋ねを先取りしたような形で恐縮でございましたが、厚生大臣が許可して投棄をさせておるということではございません。まことにふしぎなことに、法令上そういう仕組みにいままでなっておる。清掃法という法律がございまして、そしてふん尿の処理というものが結局は下水道の処理と相まっている。下水道の中に流れ込んで終末処理をするか、そうでなければふん尿処理のための特別処理装置をつくって活性汚泥その他で無害化して、そうしてきれいな水にして、その海の中に流すというようなそういう施策がとらるべきでありますけれども、下水道の処理が間に合っていない。あるいはまたそのふん尿処理のための特別の施設が間に合っていないということで、いまの法令のたてまえが、やむを得ない場合には、海岸線から一定以上の距離の外ならば捨ててもよろしいと言わんばかりの、それを許容したたてまえになっておることは、私はまことにふしぎであり、遺憾と思います。  そこで、先ほども触れましたように、私は一方においては下水道の整備、これは建設省の所管でございますが、それに協力しつつ、屎尿処理の特別施設というようなものも五カ年計画等をさらに推進いたしまして、そして完全処理をはかると同時に、瀬戸内海のような国立公園については、これはいまの法律に、先ほども触れましたように絶対投棄禁止区域の指定ということもあればできることになっておりますので、ふん詰まりになってしまったのでは指定はできませんけれども、一方においてふん詰まりにならない処理を考究しつつ、瀬戸内海をふん尿投棄禁止区域にすることをぜひ考えろ、こういうことを私自身も考えつつ、また役所にも私が指図いたしております。現状はまことに遺憾でありますが、そういう、あなたのおことばをかりて申すと、私の理念なり誠意なりをぜひおくみ取りいただきたいと思います。
  37. 加藤清二

    加藤委員長 島本君に申し上げます。  あなたの持ち時間はまだじゅうぶんありますが、先ほどの理事会の申し合わせどおり次へ移らせていただきたいと存じます。いいですか。
  38. 島本虎三

    ○島本委員 委員長、それはまことに残念で、まだこれでいいのかどうか水産庁のほうの見解もないですが、これはあとでこの続きをやります。大臣も用事があるそうですが、用事が終わったらここへ来てやりませんか。ひとつそれを強く要請して次に譲らせていただきます。
  39. 加藤清二

    加藤委員長 水産庁の答弁は後ほどさせていただきます。残念ですけれども、大臣の都合により、やむなくあなたの質問に対する答弁は延期させていただきます。  岡本君。
  40. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に、通産大臣おいでになっていますので、先般の商工委員会におきましても、製紙工場の公害、これが田子の浦あるいはまたその他に、先ほどお話がありましたように伊予三島、こういう方面に、ずいぶんいろいろなところに出ているわけですが、漁民が騒ぎ、あるいは被害があってから考える、対策を講じるということでは非常におそい。したがって、通産省のほうでこの製紙工場の総点検をして未然に防いだらどうだということを申し上げたわけでありますが、そのとおりといろ話で、あとはっきりした返事がなかった、わけです。そこで、実は私、伊予三島のヘドロを取って帰りまして、東京都立衛生研究所で試験をした結果、寒川の沖では砒素が一二PPM出ております。また、赤之井川の河口では〇・八PPM、これは環境基準が〇・〇五であります。したがって、六百倍というような大きな砒素が出ているわけであります。あとまだ水銀ようのものについては試験結果が出ておりませんけれども、したがって通産大臣はこうした非常に大きな被害をいまの間にとめるためにひとつ強力にやっていただきたい、こう私は要求するわけですが、それについて確たる答弁をいただきたいと思います。
  41. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 御説のように、製紙工場が汚染源になっておるケースが相当あるように考えますので、総点検に入ったわけでございます。各通産局を動員いたしまして、今月一ぱいぐらいには全部総点検を終了いたしまして、そうして改善すべきものについては改善の勧告等々をしてまいらなければならない、ただいまそういう段階でございます。
  42. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間がありませんから、次は厚生大臣に。  公害対策基本法の第二条(定義)の中に、騒音、振動、悪臭というのがございますが、この中で悪臭はまあ今度の国会で法案を、要するに実施法を提出しようというようなことをこの前、これは佐藤経企庁長官からでしたか、答弁を受けております。したがって、あと残っておりますのが振動、騒音。そこで、厚生省の調べ、あるいは私どもの調査によりましても、交通騒音、振動に対し非常に苦情を訴えております。ところが、昭和四十二年八月三日にできました公害対策基本法、ここにあるのにこの実施法がいつまでたってもできない。これは大体いつごろやるつもりか、これをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  43. 内田常雄

    ○内田国務大臣 騒音規制法というのは現在ございますが、まことに部分的な規制だけをきめた法律でありますことは岡本さん御承知のとおりであります。すなわち、工場騒音並びに建設高音といいますか建築騒音といいますか、それだけを規制する。あと付加的に商業広告などによる騒音あるいは喫茶店、バーなどによる深夜騒音というようなものも、現地の事情によっては地方公共団体の長みずからがきめることができるという程度法律でございますけれども、御意見がございましたように、一方、公害対策基本法につきましては、騒音については環境基準もきめなければならないことになっておりますし、環境基準の最たるものは、今日何と申しましても自動車交通騒音といいますか、道路騒音といいますか、そういうものが一番大きな課題であると私は考えますので、すでに自動車道路の騒音の環境基準につきましては、それぞれの専門的な機関に御研究を願いまして、ある程度の見通しを得ておりますので、これらの自動車交通騒音の環境基準をきめますのと相対応しつつ、騒音規制法の中にも自動車交通騒音を規制できるような条文を入れまして、そしてこの騒音規制法でみずから規制する部分あるいは道路運送車両法なり、道路交通法なり、そういう他の法律規制の手段をお願いをするものもあろうと思いますが、そういうことも取り入れまして、騒音規制法というものを今日の大気なり水質なりと並ぶ第三番目の公害対策一つの大きな柱として前進をさせる。そのためのいろんな法規等は、来たるべき臨時国会なりそれに続く通常国会には必ず間に合わせたい、こういうことでやっております。
  44. 岡本富夫

    ○岡本委員 いま騒音についてはわかりましたが、振動につきまして、大阪の池田におきまして、万博の交通騒音あるいは振動によって、これに抗議した婦人が自殺したというようなこともございます。そこで実は大阪と兵庫県の間を通っております阪神第二国道、これは万博のために上にバイパスをつけまして、そのために振動あるいは騒音がこもってしまった。こういうような状態で、しかも最近は九州、四国方面からのフェリーがものすごくふえておりまして、夜中も絶えずずっと八トン車という大きな車が通っております。交通量を見てみますと、四十四年七月は月間四万台余りであったのが六万四、五千台になっておるわけです。しかも、ちょうど芦屋のほうから苦情が出てまいりまして行ってまいりましたが、一分間に建て棟が三センチ余り動く。上下ぶれは一秒間に〇・七ですから四・二センチ、横ぶれが〇・五で、一分間には約三センチ、ここでは付近の人たちはもうノイローゼになっております。万博が終わったら何とかしてくれるだろう、こういうように期待しておったのですが、万博は成功裏に終わったけれども、まだそのままになっている。この問題は非常に重要な問題だと思うのです。ですから、振動につきましてもひとつ十分心得ていただきたい。そして今度の国会へ何とか提出するようにしていただきたいということを要求しておきます。  そこで、建設省いらっしゃいますね。この状態を見ますと、阪神第二国道の中に凹凸が非常に多い。そのために、ちょうど汽車のレールが途中でがたがたしているようにものすごい振動なんです。ですから、まず一番最初にやることは、国道をきれいに直すということですが、それについてあなたから答弁をいただきたい。
  45. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいまの、第二阪神国道の路面が著しく損傷しておりまして、このために相当の騒音を発したり交通に障害を与えておるということでございますが、これにつきまして、西宮市の今津社前町というところから神戸側の区間につきましては、阪神高速道路、神戸−西宮線でございますが、高架工事を昭和四十三年から四十五年まで施行しておりまして、現在その橋の足になる橋脚の前後だけが、かりの復旧のまま残っております。したがいまして、片側五車線あるうちの二車線分がかりの復旧になっております。その足の部分が非常に悪い舗装になっておるかと思われます。それから、それ以外の個所につきましても、これはことしの十一月から本格的に舗装を全部やり直す計画になっておりますので、路面が必ずしもよい状態になっておりません。これは、十分維持管理はさしておるわけでございますけれども、何しろ万博が終わってから工事に着手するというつもりのために、その間はしばらく工事を休ませておいた都合がございます。大阪でもことしの十一月から着工いたしまして、四十六年度にわたって全面的に直すというふうな計画になっておりますので、しばらくごしんぼういただきたいと存じます。  それからいまの今津社前町から大阪側の区間につきましてでございますが、これは武庫川から東のほうが、四十五年度より阪神高速道路が建設されることになります。したがいまして、現在はそのために相当路面もよろしくないわけでございますけれども、いま路面を直しますともう一度掘り返すことになりますので、これも阪神高速道路のピア、基礎ができたあとに全面的に修復するように計画しておりますので、できるだけ維持にはつとめておりますけれども、もう少しごしんぼう願いたいと思います。
  46. 加藤清二

    加藤委員長 岡本君に申し上げます。あなたの持ち時間はまだございまするけれども、先ほどのお約束で次に移ります。  西田八郎君。——なるべく大臣に御質問をお願いします。
  47. 西田八郎

    ○西田委員 厚生大臣にお伺いするわけですが、水質保全と固形廃棄物の処理について、特に水質保全について工場排水等の規制に関する法律等がございまして、工場からの排水はかなりきびしい規制があります。また農薬につきましても農薬規制がここ近年非常に厳重になりました。しかし、いま問題になっておりますのは、家庭排水をどう処理するかということが大きな問題ではなかろうかと思うわけであります。ことに、最近各家庭で使っております合成洗剤の中には、ソフト洗剤とハード洗剤があって、ソフトの場合はそう影響はないけれども、ハードの場合という御答弁がせんだっての社会労働委員会質問のときにも御説明があったわけですけれども、しかし、いずれにしましても合成洗剤が水質の保全について一つの害敵といいますか盲点というか、そういうところにきていると思うわけであります。したがって、このまま放置しますと、洗剤の使用量は年々ふえる一方でありまして、それが各河川を通じ、あるいは排水溝を通じて河川に流入し、あるいはまた湖沼に流入して、そのことが結果的に湖沼、河川の正常な自然循環作用をとめるとさえいわれておるわけでありますが、これらについて厚生大臣は今後どう処置するのか。そういうことについての方針があれば、お伺いしたいということと、もう一つは固形廃棄物、特に家庭からのごみですね。これが最近不燃性のごみが非常にふえておるわけであります。特に、プラスチック製の容器がどうにもならないとさえいわれておるわけであります。かためて焼けば、焼いた煙でまた有害ガスが発生する、このために公害が出る。といって、埋めれば埋めたで腐らないからどうにもならないというようなことですし、ここ五年の間には、日本は——アメリカが一番たくさん家庭廃棄物を出すようでありますけれども、その量をしのぐのではないかとさえいわれておるわけであります。  ところが、清掃法によりますと、こうした清掃は一定区域のみに限られておる。したがって、市町村の十分な監督の行き届いていないところでは、河川に捨てられたりあるいは川のいわゆる河川敷というのですか、そういうようなところを利用して、人目につかないところへどんどんと無断投棄がなされておるような現状であります。こういうようなことを放置いたしますならば、これがまた水の汚濁にも関係しましょうし、美観をそこねましょう。さらに、あるいはまた人間の環境というものを非常に悪くするのではないかと思われるわけでありますので、これらの固形物、特に家庭から廃棄されるごみ等の処理について、今後清掃法を改正し、そうしてもっと適切な方法というものを講ずる意思があるかどうか、この二点についてお伺いをいたします。
  48. 内田常雄

    ○内田国務大臣 西田先生のお尋ね、まことにごもっともで、私ども非常に心配をいたしておるところでございます。  工場から出る排水等につきましては、水質保全法、またそれから生まれる工排法等の系統によりまして、これを規制ができるたてまえになっておりますが、家庭から出ますお勝手の水、洗たくの水、あるいはこのごろ家庭で、屎尿につきましても浄化装置がたいへん普及してまいっておりますが、それから出る水というようなものにつきまして、これは工場排水規制法の対象外になるわけでありまして、どうしても下水道法なりあるいは清掃法なりの系列で処理しなければならない問題であるわけでございます。  ところで、家庭の浄化槽などにつきましては、これは西田先生お気づきかどうか知りませんが、実はBOD等につきましては、これはゆるいといえばゆるうございますけれども、規制の数値がございまして、たとえば家庭から出る屎尿の浄化装置から出るうわ水につきましてはBOD九〇以下。しかし、これはだんだん、学校とかアパートとか大きくなるに従ってその規制数値は強められておりますが、各家庭のものはいま言うようにBOD九〇、こういうようなことで、これなんかにつきましてもこれでいいのかというような問題がございます。ことにいまおっしゃった中性洗剤が流れ出す問題につきましては、これはやはり本来は下水に入りますので、下水の終末処理において処理されるはずでございますが、残念ながら、都市下水道あるいは公共下水というようなものの終末処理あるいは中間の輸送路さえも十分にできておらない。これまた五カ年計画がございますけれども、五カ年計画を増強いたしたとしましても、五年先でなければ処理できませんので、その中間的な処理といたしましては、やはり何らかの対策を講じなければならない。これは経済企画庁とも打ち合わせまして、また、もともと中性洗剤なんかにいたしましても、もっとソフトな、ああいったあわがいつまでも残らないようなものの開発につきましても、通産省にもお願いをいたし、ともども処理しなければならないところだと考えております。まことに痛いところでございます。  それから家庭のごみ、ことに固形廃棄物、最近経済成長いたしまして、畳でも机でもどんどん捨てるということになりまして、いわゆる粗大ごみ、それから建設が盛んでございますので、建設の現場から出る建設関係の資材の非常に膨大な廃棄物、また工場から出る産業廃棄物、これらが、従来私どもがおあずかりしておった家庭のごみの約二十倍ないし三十倍ぐらい一日に出るはずでございます。というのは、普通の家庭ごみは一日に日本じゆうで五万トンぐらいでございます。しかしその他の、私が申し上げ、また西田さんの御指摘なさっておるような粗大ごみ、産業廃棄物等を加えますと、百万トン以上のものが一日で出るはずでございますので、これにつきましては、今日の清掃法というものの組織、仕組みを根本的に改めまして、いままでのように、市町村が家庭の廃棄ごみを対象として処理するというような仕組みをさらに広げまして、都道府県の範囲において広域処理をするような体制をつくる、市町村組合あるいは都道府県自身をその主体とする、また国の助成対象も、家庭廃棄物ばかりでなしに、粗大ごみ等の粉砕なりあるいはプレスなり、そういうものの施設についても還元融資をするなり、あるいは大蔵省とも交渉いたしまして、それらの処理の助成金をつけるというようなことをやってまいったり、また場合によりましては、府県、市町村組合ばかりでなしに、私は、一種の地方道路公社あるいは地方住宅公社的な、ああいう廃棄物を出すところを出資に参加させるような仕組みまでも考えて、設備費にお金が何億も何十億もかかるものでございますから、そういうことも考えて、産業廃棄物地方処理公社的なものもつくり得るように、今度の清掃法を題からして抜本的に改正をするということで、内閣の公害対策中央本部のほうにも考え方を実は出しておるところでございます。そういう線で御期待に沿ってまいる所在でございます。
  49. 西田八郎

    ○西田委員 水洗トイレのことなんですけれども、これは下水道の完備しておるところでの水洗処理というのは、下水溝へ入っていって終末処理がされますから、これは問題がないのですけれども、いま日立だとか、ナショナルだとか、クリーントイレというのが出ておるわけです。これは薬剤か何か化学的反応で浄化させる方法らしいのです。それもいま危険だからということで、基準がきめられておるわけなんですが、その基準が、実際に工場でつくられた製品によって試験をしてみてそしてきめておられるのか、あるいは設置された家庭一戸、一戸回って計測しておられるのかどうか、この点が非常に問題だと思うのであります。私の知っている限りでは、一戸一戸市役所なり町村役場から来て計測したということを聞かないし、実際にはやっていないように思うのですけれども、その辺の基準はどうなっておりますか。
  50. 内田常雄

    ○内田国務大臣 結局、私どものほうの問題ではございますが、家庭の屎尿浄化装置の設備、場所あるいはその構造基準等につきましては、実は建設省の——こう言うことがいいかどうか知りませんが、建築基準法の法体系の中できめられているそうでございます。だから、まかしておけということではございませんので、私は大臣ですから、お尋ねのような技術的なことはわかりませんが、建設省とも十分打ち合わせまして、納得のいくような基準、装置などをつくっていただいて、そして最終的には、公害の原因にならないように私どもも十分働きかけるべきだと考えております。
  51. 加藤清二

    加藤委員長 西田八郎君に申し上げます。あなたの持ち時間はありまするけれども、次に移らせていただきます。  藤田高敏君。
  52. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 非常に短時間のようでございますから、そのものずばりで御質問いたしたいと思います。  まず、通産大臣にお尋ねをしたいのでありますが、先般、私も、自分地元であります、いわゆる西の田子の浦といわれておる愛媛県の三島・川之江地区のヘドロの現地を見たわけであります。これは昭和三十九年に経済企画庁から県に委託をして水質調査をさせたといういわくつきの地域であります。ごく最近に至るまで、この実態というものが発表されなかった。ですから、結論的に言いますと、この三島・川之江地区を中心とするヘドロ公害は、見方によりますと、これは行政公害ではないかとさえいわれておるわけであります。ところが、この地域を国が指定水域としてやりますためには、そこに審議会の議を経て、それぞれ手続がございます。しかし、現在、この地域には、毎日毎日四十万トン程度の悪水が流れておるわけです。ですから、そのことによって、この地域の漁民の生活は、もういわばこの間のヘドロ問題が起こって以来、生活権は根底から破壊されておるといっても言い過ぎではありません。ところが、そういう国の行政上の手続が非常に時間がかかる。それを待っておる間にも漁民の生活権というものは奪われておるわけです。そういう観点からいきますと、私は、ある意味において、緊急避難的な対策を通産省としても、大王製紙を中心とする大きな製紙会社、いわゆる悪水を流しておる製紙会社に対して、直ちにこの浄化施設を中心とする公害防止の施設をつくらす指導をやらないといけないのではないか。その点については、通産省としては、これは私の率直な感触でありますが、水質保全法のたてまえによる手続が進行しておるという、そういう立場から、通産当局としては、工場に対する公害防止の適切な規制措置あるいは指導というものが、今日おろそかになっておるのではないかと思うのですが、ひとつその点についての対策を要請すると同時に、今日、どういう手だてをもって行政上の指導をしておるかという点についてお尋ねをいたしたいと思います。
  53. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 三十九年当時の事情は、私、つまびらかでございませんが、いずれにいたしましても、御指摘のような問題が起こってまいりましたので、ただいま県で便宜指導基準のようなものをつくりまして、そして私どもも、それに合うような改善を企業に対して促しておるわけでございます。しかし、これでは法律的に万全でございませんので、経済企画庁において間もなく——おそらくただいま調査が進んでおりまして年内ということだと思いますが——指定水域にいたし、そういたしますと、改善の行政指導は続いてありますが、法律的にはさらに改善命令というようなことにもなっていくわけでございますから、先々はそういうふうにいたしたいと思っておりますが、しかし、あと二カ月足らず、放置しておるわけにまいりませんので、ただいまそのような行政指導をやっておるわけでございます。
  54. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、法律上の手続としては、いまおっしゃっておるようなことになることは十分承知しております。したがって、これは午後の質疑の時間で経済企画庁長官にもただしたいと思っておりますが、私は、やはり現地の実態は、一日もゆるがせにすることのできない、非常に緊急性を要するほど悪水が出ておるわけですから、どうかひとつ通産当局としても、もっと積極的に現地に乗り込んでいって、行政上の指導をしてほしい、この点を強く要望いたしておきます。  次に、厚生大臣にお尋ねいたしますが、これまた私の出身地でございますが、この間も公害対策特別委員調査団に視察を願った地域であります。一昨年、この衆議院の公害対策特別委員会においても問題になりました、住友化学を中心にする弗素ガスの問題です。この弗素ガスが、当時は、約三百ヘクタールの稲作に対して非常に大きな被害を与えました。自来、会社は、それなりに施設改善を鋭意やってきておるようでありますけれども、今日、一番大きな問題になっておりますことは、これは弗素だけであるかどうかという科学的な判定はいまちょっとむずかしい面がありますけれども、地域住民としては、これは弗素ガスに基づくものではないかということで、いま集団検診なり、集団移転の問題が起こっております。それほどまでに弗素ガスの問題がいま大きく私どもの愛媛県では起こっておるわけでありますが、全国的に見ましても、昭和四十年にアルミの生産数量というのが三十万トン、四十三年度は五十万トン、四十五年、ことしでは七十八万トンというふうに、これは幾何級数的に近い形でこのアルミの生産量というものが増大をしています。それに関連して、この弗素ガスによる被害というものが増大をしてきておる。したがって、いま全国各地でこの弗素ガスに対する対策をどうすべきかということが問題になっておりますが、この弗素ガスに対する規制措置というものは、今日の大気汚染防止法では、いわゆる大気汚染防止法十八条による特定有害物質として問題が起こった後に事後処理をするという、そういうワクの中に入っておると思うのです。そういうことでは私は、国の施策としては非常におくれているんじゃないか。少なくとも早急に排出基準環境基準を設定して公害防止に万全を期すべきではないか、こういうふうに思います。この点に対する厚生大臣考え方を聞かしていただきたいのと、いま一つは、これまた愛媛県に関連する問題でありますが、愛媛県の喜多郡長浜町というところに青島という自然公園があります。昭和電工が、いまこの地域に工場誘致をするということで、工場用地の土地造成をいたしておりますが、こともあろうに、この公園として指定されておる地域から、無許可で土砂をとっておる、こういう無政府的な状態が起こっておるわけなんですが、私の調べたところでは、九月三十日に厚生省に対して土砂をとる許可申請をしてきておるようであります。ですから、これはもう明らかに無許可で土砂をとっていた。これは直ちにやめさすべきでありますし、かたがた自然公園と名のつくところからそういう工場用地の土地造成に必要な土砂をとるようなことは、国の方針としても許可すべきでないと思いますが、その点に対する大臣の見解を伺いたいと思います。
  55. 内田常雄

    ○内田国務大臣 まず、弗化水素の問題でございますが、私も藤田さんと同意見でして、弗化水素その他の特定有害物質については、現在の法制上事故時だけに限るたな上げ的な措置が講ぜられていることはいまや適当でない。したがって、政令で幾つか特定有害物質を並べておりますが、弗化水素あるいは硫化水素などもそうだと思いますが、その中へさらに特別のものにつきましては亜硫酸ガスなり一酸化炭素なりと同じように、常時規制の対象に入れるように大気汚染防止法の改正の際に取り計らうと同時に、それらの環境基準につきましても、いまの環境基準がごく三つか四つかくらいの物質についてしかきめられておりませんので、弗化水素につきましても、実は環境基準をきめる専門的な作業をいたしております。これらの結果を待ちまして、環境基準も弗化水素についてはきめてまいるように進む所存でございます。  またお話しの新居浜でございますか、住友化学の近所の住民の集団的な健康阻害ということは実は私まだ聞いておりません。まあ弗化水素は第一次的には植物、農作物等に影響があるわけでありますが、もちろんこれが高じますと人体にも悪影響があるわけであります。はたしてお話しのとおりでありますならば、国といたしましても健康診断のお手伝いをしなければならない場合もございますので、直ちに県当局にそういう周囲の住民の集団的な健康診断をするような事態になっているかどうかをも問い合わせて調べたいと思います。他の原因の中毒、あるいは他の原因に基づく人体障害等であれば、これはまた別でありますので、その上で善処をいたしたいと存じます。  それからいまお話しの公園、これは自然公園だと存じますが、自然公園の中の土砂をかってに採取しているということにつきましては、私も詳しくは存じませんが、自然公園の中にも非常に重い重区域と、軽区域といいますか、特別保護区域のような、厚生省本省で許可しないといろんな物理的な行為ができない地域のほか、地元知事限りで地元の人々の行為を許可できるものもあるわけでありまして、はたして九月三十日で厚生省のほうにそういう申請が出てきているとおっしゃれば、これは特別保護区域だと思いますが、それらともあわせて地元に問い合わせまして、そういうことでありますならば、自然公園は大切な国民の聖域、天領でありますから、みだりにそういうことがないように十分ひとつ指導いたすつもりでおります。
  56. 加藤清二

    加藤委員長 藤田君に申し上げます。  あなたの持ち時間はまだございまするが、お約束によって、次に移らさしていただきます。  多田時子君。
  57. 多田時子

    ○多田委員 私は一つ厚生大臣にお尋ね申し上げたいと思います。  いまの藤田委員の御質問と全く同一でございます。アルミ工場周辺の弗化水素によるいわゆる植物の被害はたいへんなものでございまして、私も福島の喜多方、あの地域をちょっと見て回ったわけでございますけれども、そうした問題がここ何十年と会社住民の間で——補償等の問題で片づけられてまいりましたけれども、いまも大臣の御説明にもございましたように、専門的な立場でいろいろ検討を重ねておいでのようでございます。ここに弗化物による大気汚染防止研究委員会、こうしたものがいわゆる環境基準排出基準を設定されるための足がかりとしてつくられているようでございますが、その委員会の現況と、それからいま御答弁いただきました中で、次国会における作業によってその排出基準をきめるというふうな確たるお話はなかったわけでございますけれども、その辺結論的に国としての排出基準がいつごろきまるものかをお尋ねしたいと思います。
  58. 内田常雄

    ○内田国務大臣 弗化水素の人体影響につきましては、藤田さんにお答えしたとおりでございまして、私どもも、これは次の大気汚染防止法におきまして、たな上げ的な規定から、恒常的な規定に引き入れてまいる、これはもう私はお約束できると思います。  環境基準につきましては、厚生省の中に生活環境審議会というのがございまして、その中にそれぞれその方面の専門家にお集まりをいただき、専門部会をつくるのでございますが、その専門部会はまだつくられておりませんで、その専門部会に持ち出す前に、その専門家の方々に調査研究を昭和四十四年からお願いをいたしております。それは主任研究者といたしましては福島医科大学の角田文男先生、それから国立公衆衛生院の大気汚染室長であられる大喜多敏一先生等を中心として、この弗化水素による人体影響、あるいはその大気汚染防止の措置等について基礎調査をいたしておりますので、それがまとまり次第、その方々を中心とした専門部会を編成して、そうして生活環境審議会の総会にかけまして、案をつくりまして決定に持ち込む、こういうことになりますので、法律よりも環境基準のつくり方のほうが若干おくれるかと思います。しかし、それはそれといたしまして、法律の常時規制の対象にするということになりますと、いままでの扱いと全く違いますので、これまでもそういう問題があることは私もたびたび聞いておりますが、対策が法律に基づいて一歩も二歩も前進いたすと考えます。
  59. 多田時子

    ○多田委員 この一問だけで終わります。
  60. 加藤清二

    加藤委員長 午後一時四十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時四十九分休憩      ————◇—————    午後一時五十三分開議
  61. 加藤清二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  質疑の申出がありますので、これを許します。林義郎君。
  62. 林義郎

    ○林(義)委員 休憩前のお話で、いろいろとヘドロの技術開発については、いまからやっていくんだというお話、それからパルプの廃液処理についてのいろいろなお話を聞いたのですが、私はいまのお話を聞きますと、繊維質のもの、あるいは糖質のものについては、そういったものもあるだろうと思いますが、やはり一番問題なのは、リグニンの問題ではないか。リグニンの問題というのは、これをやることは私は非常にむずかしい問題だろうと思っているのです。現実問題としてなかなか取るということができない。ところが一方、やはりこれが使用時において非常に影響があるということでございまして、この辺についても、やはり抜本的な技術開発をお願いしたい。それから全国的に申しまして、環境基準が全部できていないというようなところもございます。さっきお話がございました川之江のようなところもできていないということでございまして、やはり会社に対して何か調整をするというようなかっこうをとらないと、技術開発をやれやれと言ってもなかなかできないし、おそくなるということでございます。問題は、いまから述べますいろいろな問題も出てまいりますので、この点につきましては、早急にやってもらいたいし、また会社に対してもきびしい、厳正な態度で臨まれることを期待しておきます。  この問題は、これぐらいにいたしまして、次は、これに関連するのですが、先般大竹に参りましたときに、大竹と岩国と、境になっております広島県と山口県の両県にわたりまして製紙工場、パルプ工場がございます。ところが、私は広島にお伺いしたのでございますが、私は実は山口県の出身でございまして、広島県のほうから、山口県は非常に基準が甘いのではないか、こういう話がございました。山口県は、何か総理がおるから甘いんじゃないかというような話が、冗談のように出ておりましたが、実はそういう問題じゃなくて、この問題は、SPとKPとの排出基準の違いというような形でやっておられるというような御説明がございました。しかし、排水基準ということになりますと、私はあまりSP、KPというような区別をするのはいかがであろうかという気がするわけでございます。影響するところは、漁業に対して影響がある。最初にお話ししましたように、漁業のほうを私たちも見せてもらいました。魚が一分足らずで死んでしまう、こういうふうなところでございましたけれども、そういった点から考えますと、なぜそういった基準二つに分けておられるのか、その点のところの御説明をいただきたいのが第一点でございます。  それから第二点は、川之江、伊予三島沖の水質汚濁でございますが、十月三日の新聞によりますと、水質保全法によって指定を受けるのは、早くても四十七年になるというような記事がございます。先ほどの御答弁では、何か非常に早いようなお話でございましたが、いずれが正しいのか。なお、事務的な手続のことでございますから、事務当局でけっこうでございますから、その辺の御説明をいただきたいと思います。
  63. 西川喬

    西川説明員 お答え申し上げます。  先生も御承知のように、先ほど通産省からも答弁がございましたように、SPとKPにつきましては、処理のあれが非常に困難性が違っております。SPのほうが非常に困難でございまして、現在の段階におきましては、技術的にある点以上から下げることがほとんど不可能に近いというような状況でございます。同じ地域であれば、環境基準に対して排出基準は同一であるべきではないか、このようなお話でございましたが、一応環境基準考えました場合に、現在の排出源というものを考えまして、そのロードを何割カットしたら環境基準が達成できるであろうか、このようなことが最初の基準設定の手がかりになるわけでございます。この場合に、たとえば五割カットしなければいけないということで、全企業に対しまして全部五割カットするということになりますと、これは完全に平等に規制をかけることになるわけでございますが、その間やはり技術的に可能、不可能の問題・それからすでに現在までに相当除害施設を入れて一生懸命やっている企業、やっていない企業、野放しのまま出している企業と、いろいろな問題がございます。それらの点を勘案いたしまして、可能性とそれから今後の除害施設を入れてできる限度、そのようなものを勘案いたしまして最終的に目標といたします汚濁のカットというようなことを考えているわけでございます。そのために、この例にあげられました大竹・岩国地先等につきましても、実際のカット率から見ますと、SPのほうのカット率が非常に多うございます。現在までの排出基準各地で設定いたしました例から見まして、SPにつきまして大竹・岩国地先で八〇〇PPMというのを決定いたしてございますが、これは従来全国には例がございません。SPはいままで全部一三〇〇とか一一〇〇というような数字でございましたのを、この大竹の場合に初めて八〇〇というところまで最終基準を決定したわけでございます。これに到達いたすためには、相当な努力が必要でございますので、そのために設備投資の期間なりその他を含めまして約三年という期間も、最終目標までは置いたわけでございますが、私どもが聞いているところでは、これに必要な投資が、回収いたしました廃液をKPのほうに回す、KPの生産設備を訂正しなければいけないというようなことから、約百億というような投資がかかるというような状況でございます。ですから、そのような投資をしなければ八〇〇というのは守れないというようなところでございまして、最終的に出てきました数字だけは高いようでございますけれども、SPだけをやっておりますあれとしては非常にきびしい基準であるということがいえようかと思うわけでございます。  それから第二番の三島・川之江の問題でございますが、この点につきましては従来の方式でいきますと、やはり国が設定いたします場合には調査した結果を相当解析いたしましてやらなければいけないということになりまして、実は三島・川之江の場合、私どものほうといたしましては今年度調査をしたかったわけでございますが、県の体制が整わないというようなことで、県は四十七年度くらいを目標にして、四十六年度調査して四十七年度くらいに指定してくれというようなことを本年度の当初においていっておりました。しかし、問題が非常にあれでございますので、県の調査だけをもとにいたしまして当面規制をかけるべきではないかというようなことで、当初私どものほうといたしましては、県条例でまず当面スタートをさせるようにというようなことで実は指導をいたしております。しかし、その後、私どもの担当者が現地におもむきまして、現地で関係者意見その他を聞きましていろいろ検討してまいりました結果、これは実は愛媛県と香川県の県境に存在しておりまして、香川県のほうの漁協の問題もございます。そのような観点から現在早急に県にゆだねるということは困難ではないかというような見通しが出てまいりましたので、私どもといたしましては方針を変更いたしまして、十月に直ちに部会を設けまして、十一月、十二月の二カ月間に、データは不備ではございますけれども、それ以外のパルプの製造工場等のデータも活用さしていただきまして、並びに通産省のほうの協力も得まして、年内を目途に指定水域にいたしたい、このように考えて現在段取りを進めておるところでございます。
  64. 林義郎

    ○林(義)委員 いまのお話でわかったのですが、実際に見ましてどうも紙の排水基準というのは甘いのではないか。もう少しきつくしてやっていかなければいかぬ。特にSPのほうはいまお話にございましたようにむずかしいということでございますが、やはりこれは相当きつくしていくことによって、会社側のほうもあわてて何とか技術開発をしなければいかぬということになってくるだろうと思うのです。SPのほうということになれば、使われるのは人絹、スフとか、アセテートとかいうような形になるわけでございまして、中でも国内で使われておるようなものは大体スフ系のものだろうというように考えております。そういったことからいたしますと、スフというものの置かれている繊維業界における地位からいたしましても、もうそろそろこの辺でつくることをやめてもいい段階に来ているのではないだろうか、積極的に海外へ持っていって原料をつくってもらう、日本もアラスカパルプというような、かつて三大投資といわれた大投資をやっているわけでありますから、そういったところで積極的につくってもらうような方向に積極的に指導していったほうがいいのではないかという気もするわけでございます。  その問題はさておきまして、実は現地を見ますと非常に水がよごれているし、魚はたくさん死んでいる。特に川之江では、当時お話を聞きましたところでは、赤潮に原因がある、赤潮が発生したということでございますが、赤潮の発生原因はいろいろあるだろうと私は思います。これにつきましてはたしか科学技術庁のほうで水産庁あたりと協力して、前から相当御研究になっておられると思います。その辺の研究、特に確かに四十四年か五年まで予算がついておったのではないかと私は思っておりますが、その辺でこういった問題が出てきておる。しかも赤潮の問題は、委員長からさっきお話がありましたが、伊勢湾などはたいへんな問題になっている。しかも、瀬戸内海の中では、岡山も広島も、私の地元の山口県もみんなたいへんである。対岸の香川県、愛媛県も大体同じような状況が出ております。赤潮の問題とこういった工場排水関係、それから赤潮の発生します原因とすれば下水道から出る水があるのですが、やはりこれだけ工場がたくさんできてきたところの原因というのは私は否定できないと思いますが、その辺につきまして科学技術庁のほう、あるいは水産庁でお調べになった成果がわかれば教えていただきたいし、またわからなければ、いつの段階においてことしの調査結果の報告が出るのか、大体のめどがわかればこの点を教えていただきたいと思います。
  65. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいまの赤潮の原因の調査でございますが、四十一年から三カ年にわたりまして、応用研究費としまして主任研究者が九大の花岡教授で研究を一回いたしました。それとほぼ並行でございますが、四十二年から三カ年、科学技術庁の予算の特別調整費で主任研究官を水産大学校の松井教授といたしまして、水研、それから私のほうの東海区水産研究所、南西海区水産研究所と山口県の内水試験場、それから海上保安庁が協力いたしまして調査をいたしております。  これでいままでわかりましたことは、赤潮によって魚が死ぬという過程を究明いたしますと、それには大体三種類ある。  一つは、動物性の赤潮が発生して、それが酸素を非常に使うことによってその海域が無酸素状態になってしまう場合、これはプランクトンがたくさん発生して、プランクトン自体が死んで、それが腐敗して酸素がなくなる場合もございます。  二番目といたしましては、ある種の鞭毛虫ができて、その生きておるもの、あるいは死んだものが、魚のえらに付着して魚を死なせる問題。  それから三番目といたしましては、比較的数は少ないのでございますが、プランクトン自体が毒物を出して、その毒性によって魚が死ぬものという三つのものがあるのではないかということが大体わかってきております。  それから、それではその赤潮はどうして発生するかという問題でございますが、これは非常に複雑な問題があろうかということで、現在もまだこれだというきめ手はございません。ただし、工場排水あるいは都市下水、屎尿投棄等の影響が非常にあるであろう。そういうものはありますが、特定の海域で急に赤潮が出るというのは、そういういろいろな条件が重なったところに、ある種のアミノ酸とか、ビタミンB12というようなものが起爆剤のような役を果たしているのではないかという推定をいたしておりますが、その結論といたしましてこうだというはっきりしたきめ手まではまだ出ておりません。現在そういう状況になっておりますので、本年、これは明日でございますが、南西海区水産研究所へ関係者が集まりまして、赤潮研究協議会というのを発足させることになっております。構成員といたしましては、水産庁の研究所、それから岡山、香川以西の各県の試験場、それから愛知県の水産試験場、九州大学、それから私のほうの水産大学、こういうものが協力して協議会を発足させて、さらに研究いたすことにしております。
  66. 林義郎

    ○林(義)委員 赤潮の被害発生原因はいま調査中ということで、あしたから対策協議会をつくるということでございます。私は、一刻も早くその赤潮の原因についてはっきりさせていただきたい。というのは、最近では毎年毎年必ず起こってきております。しかも、相当広い水面で起こってきているし、また方々至るところで出ておるということでございますので、何か対策はとらなければいかぬだろうと思うのです。瀬戸内海というのは決して工業だけの港でもないし、また自然観光だけの港、海でもないわけです。やはり漁業というものもここでやっていかなければならぬ、私はそう思うのですが、そのためにも一刻も早く原因を究明されて、それに伴った対策を立てていかなければならぬ、こう思っております。  それに関連いたしまして、どうもこれは川之江のほうの漁協で見ますと、実は新聞で見ますと、製紙会社のほうから二千万円を漁民百五十世帯に救済資金として出した、こういうふうな話が出ております。私はこれはいろいろと、救済資金というのはどんな名目か知りませんが、製紙会社の出すものと、それからそういった赤潮の原因というものとがそこにあるんじゃないだろうか。特にリグニンが相当出ますから、赤潮が出なくても、リグニンだけでも死ぬるという場合も私は考えられるだろうと思うのです。ですから、その辺の関係もやはり詰めていかなくちゃいかぬ。赤潮が原因か、リグニンが原因かというのは、詰めていかなくちゃいかぬだろうと思うのです。またリグニンがある中で、あるいはパルプから出るところの糖分というものが、やはりさっきお話がありましたアミノ酸であるとか、あるいはビタミンB12とかいう話に関係してくるかどうかという問題も、特に詰めていただかないといかぬ問題じゃないだろうかと思っておりますが、そのときに私は、瀬戸内海というものが、いま申しましたように観光資源であり、漁業資源であり、また工業のための海であるというようなことからしまして、いろいろと問題がある。特に瀬戸内海の中でたくさん埋め立てをして漁業権を買い上げしているというようなことがありますけれども、そのときに、その沖合いには必ず漁業権というものができるわけでございます。その埋め立てをしたところは漁業権はなくなる。ところがその沖合いには、必ず漁業権というものが私はできるだろうと思うのです。さらにもう一つ申し上げますと大竹・岩国のところでは、一方では漁業権は買っている、一方では漁業権は買ってない、むしろまだ漁業権を売らない、こういうふうな形でやっている。ところが基準としてはもうどちらも魚が死ぬるような基準になっておるというような状況でございます。やはりこの辺は、漁業権というものを、いま私も考えますと、何か魚族の保護という関係、あるいはお互いの漁業者間だけの調整というような観点がありましたのですが、私はやはりこれから広域的にいろいろなそういった観光の問題であるとか、工業の問題であるとか、そういうものと漁業との調整というものを、どういうふうにはかっていくのが一番日本全体としていいのか、国民経済的に見て一番望ましいのかということをもう一ぺん考えてみる必要があるんじゃないだろうか、こういうふうな気がするわけでございます。そういった点につきまして、水産庁のほうでもし何か検討しておられるというようなことがありましたならば、この機会にお話しをしていただきたいと思っております。
  67. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 たいへんむずかしい問題で、水産庁だけでお答えするわけにはまいらぬ問題も含んでおろうかと思いますが、私どもが検討いたしておりますのは、現在は海中公園との関係を、厚生省といろいろ協議いたしております。  それから最近盛んになっております釣りの問題でございますが、釣りにつきまして一千七百万人程度の釣りがあったというような私どもの調査になっておりますし、その後もどんどんふえておりますので、釣りとの調整をどういうふうにはかるか、遊漁者の釣り場所をどういうふうに確保するか、漁業者との関係をどうするかという点を現在具体的に検討しておる段階でございます。
  68. 林義郎

    ○林(義)委員 私はやはり瀬戸内海が相当に工業地帯になってくる、そういうときに漁業がどうしても影響を受けるということは、否定できない事実だろうと思うのです。その点でいまの釣りとか、公園とかという関係だけではなくて、その辺につきましても、これは水産庁にお願いするのがいいのかどこにお願いするのがいいのかわかりませんが、あるいは建設省かもしれませんし、あるいは経済企画庁かもしれませんが、私はそういった形での全体的な見通しに立った土地利用あるいは海面利用あるいは海水利用というものを、これから考えていただかなくちゃいかぬ時期にきているだろうと思うのです。工場立地をする、したがって漁業権を買う、それで事が済んだということでは私はないだろうと思うのです。特に先ほど申しましたように、水質基準でありますと、千三百五十というような非常にきつい基準が出る。そこでは全く死の海になるわけでございます。そこにはしかも漁業権が存在する、こういうような状況というものは、非常に私はおかしな形になっているのではないかと思うのです。何も生息できないところに、土地に関する権利と同じような物権であるところの漁業権が存在するというのは、非常におかしなことではないだろうか、こういうふうな気がするわけでございまして、その点につきましてぜひ関係御当局の間で十分意見を詰めて、ほんとうにはっきりした形での瀬戸内海海域の開発というものを進められることを希望しておきます。  最後に私は、資料を要求しておきたいと思いますが、赤潮は全国的に出ておりますので、その被害状況を水産庁のほうでつかんでおられるだろうと思いますから、その資料を出していただきたいと思っております。これは委員長にお願いしまして、委員会に出していただいたほうが私はいいと思いますから、そういうふうにしていただきたいと思います。
  69. 加藤清二

    加藤委員長 ただいま林君から資料要求がございましたが、水産庁いつまでにできますか、赤潮の全国調査の結果。
  70. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 とりあえずというのでしたら、今週末までには提出できると思います。
  71. 加藤清二

    加藤委員長 今週末でいいですか。
  72. 林義郎

    ○林(義)委員 けっこうであります。
  73. 加藤清二

    加藤委員長 それではそれを今週末までに委員長の手元まで御提出のほどをお願いいたします。
  74. 林義郎

    ○林(義)委員 終わります。
  75. 加藤清二

    加藤委員長 それでは、次は島本虎三君。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 午前中にちょっと大臣の答弁を先にし、時間が切れたものですから、水産庁長官の答弁だけは午後に保留になりました。その保留になった分の答弁からお願いして、次の質問に入りたいと思うわけであります。  それは産業廃棄物、こういうようなものの外洋投棄、こういうことが盛んに行なわれておりますが、水産庁もこれに対してはタッチしているのかいないのか。ことに赤潮の発生がいま問題になっております瀬戸内海、その中へふん尿の投棄、こういうようなものも認めておった、こういうようなことにつきましては、当然厚生省なり今後十分これに対して対処するというのですけれども、漁民に対して、その立場に立って、水産庁ではそのような行為に対して全面的に賛成をしていたのか、規制をしておったのか、この返答を願いたいというのが午前中の質問だったのです。一つだけ残ったわけですが、これに対する答弁を伺って、あとからまた質問を展開させてもらいます。
  77. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 産業廃棄物の投棄全般について、水産庁では一々全部協議を受けることにはなっておりませんが、漁業に被害があるものについては公式非公式に相談を受けている場合が多いのは現実でございます。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 それならば聞きますけれども、今回私どもの公害対策特別委員会調査がありました。委員長以下ほとんど全員で行ったのであります。その際に、大阪の堺地区のあの新しい工業地帯に、三井東圧の大阪工業所がございます。その産業廃棄物は海洋に投棄しているのです。そういうようなことに対しては付近の住民や、またいろいろな漁民からの反対が多いので、なぜそういうふうにしているのだ、こう質問したところが、水産庁はじめ政府関係省に幾ら聞いても返事をしてくれないのだ、適当にやれという意味だと思ってやっています。一体これはどういうようなことなのですか。一番被害を受ける漁民を代表するあなたのほうで、こういうようなことに対してはちゃんと自分のほうで処置していると言いながらも、では三井東圧大阪工業所のこの外洋投棄に対してはこれは知らないのですか。また協議していないのですか。相談にあずからないのですか。政府関係省から一つも返答がこない、これは一体どういうことになりますか。
  79. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁といたしまして、産業廃棄物を海洋へ投棄するというのは、原則として反対の態度を持っております。ただいまお話しの、三井東圧の産業廃棄物の投棄場所、投棄するというような話は、私どもは伺っておりません。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 では、一緒に行った政府関係筋はそれも聞いておられると思うのですが、これに対して関係筋で行った人はどういうような見解ですか。向こうがうそを言ったならば、厳重に処罰とまでいかなくても警告をしなければなりませんが、われわれの前ではっきりと、責任者である社長と工場長が、水産庁をはじめ政府関係省では幾ら聞いても返事をくれないから、われわれは適当にやれという意味だと思ってやっています。これは怠慢ではありませんか。一緒に行った人が答えてください。それでなければ、われわれが侮辱されていることになる。この一工場に公害対策委員会が侮辱されるというようなことがあってはならない。
  81. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 私どものほうといたしましては、現在のところでは聞いておりませんとお答え申し上げましたけれども、さらに調査をいたしますが、私どものところでは現在のところ聞いておりません。
  82. 荘清

    荘説明員 大阪は、私も御一緒いたしましたので、現場での工場側の説明は私もはっきり記憶いたしております。私、水産関係は所管外ではございますけれども、考えまするに、水産資源保護法というのは、公海の上では法律として適用ないし拘束力はないという法律かと存じますけれども、工場側も十分意識しておりますとおり、海洋投棄の問題というのは、公害防止の点から非常に重大な問題になってきておることは明瞭なわけでございますから、やはり保護さるべき利益について、この場合水産だと思いますが、あるいは船の交通というふうな問題についての一般的な監督権を持っている官庁のほうに、やはり行政指導ということに法律適用上はなるかと存じますけれども、正式の御了解を得た上で捨てるというふうにつとめることが、ああいう大きな企業としては当然の姿勢であるべきだ、こういうふうに思っています。
  83. 島本虎三

    ○島本委員 海上保安庁と経済企画庁来ていますから、それも一緒に答弁してください。
  84. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  長官欠席いたしておりますのは、本日予定の行動によりまして大臣に随行いたしまして名古屋のほうに参っておりますから、私不肖でございますけれども代理として出席いたしておる次第でございます。御了承願う次第でございます。  産業廃棄物の外洋投棄に問題があるということ、われわれも最近非常に強く認識いたしておりまして、ただいま当庁の各出先機関を動員いたしましてその実態を現在調査いたし、集計いたしておる段階でございます。堺の出先からも、若干の産業廃棄物が海上投棄されておるという報告が参っておりますが、その報告によりますと、その廃棄物は室戸岬の沖合い約二十マイルのところに投棄されているというぐあいに資料の面ではなっております。先生仰せのようなことでございましたら、さらに実態を詰めてみたい、そのように考えております。
  85. 西川喬

    西川説明員 経済企画庁におきましては、先般の視察には公害課長が随行してまいりましたのですが、本日公害課長はほかのほうへ参っておりましてこの席には来ておりませんが、私が聞いておりますところによりますと、海上の投棄でございますと、現在陸上に施設される施設から出す排出規制は企画庁の所管でございますが、まことに遺憾でございますが、海洋の投棄につきましては現在保全法の所管にはなっておりません。そのような観点から三井東圧は海上投棄につきまして経済企画庁のほうに協議をしてきた事実はないというふうに存じております。
  86. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、ほとんどの各官庁では相談にあずかっていない、政府関係省へ、水産庁はじめ全部聞いても返事がない、これはうそだということになる。これは厳重に調査してもらいたい。どこへ出して、そうしてどこからいつまでに返事が来なかったのか、これは調査してもらいたい。向こうでははっきり出した、返事がないから自由にやれという意味でやっている。こっちは来ていないという。これじゃとんでもないことです。すぐ調査してもらいたい。委員長調査を要求いたします。
  87. 加藤清二

    加藤委員長 何省が調査しますか、この件について。
  88. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁に問い合わせたという点につきましては、水産庁で調査いたしたいと思います。
  89. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  先ほども御説明いたしましたように、当庁におきましては、すでに出先の各官署全部を動員いたしまして、産業廃棄物の海洋投棄の実態を現在調査中であり、集計中でございます。非常に時間を急ぎました関係上、中には粗漏なものがございましょうし、ミスもあると思いますので、これからさらに疑問点につきましてはいろいろ詰めていきたい。実態をより正確に把握するようにいたしたい。特に外洋の問題につきましては保安庁が最も適当だと思いますので、私のほうではその調査を積極的にやりたい、そのように考えております。
  90. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと待ってください。いまの海上保安庁の答弁並びに水産庁の答弁、ともに自分のところのことを言うてみえる。それはそれでけっこうです。ただし、どこにもお尋ねがなかったという場合の今後の調査はどこがやってもらえますかと私が質問しておるのです。ということは、われわれが調査に行ったときに、会社側は関係当該の官庁にお尋ねしたところ、何ら返事がなかったので、かってに投棄しておりますという答弁だった。それが事実であるかないかの調査をしている最中なんだから、どこがこれを調査してくれますかと質問しておる。だから、平生なわ張りの争いをするのだったら、こういうときにシェアの拡大をしたほうがいいと言っている。どうなんです、とこにもありませんか、どこも——だからこれは当然本部ですね、総理府。
  91. 植松守雄

    ○植松説明員 私自身はいま初めて伺ったことでございますけれども、いま島本委員のお尋ねの、三井東圧が政府機関に話を持ち出したけれども、全然それについて何らの答えがなかった、その事実についての調査でございます。したがいまして、まあ会社がどこの役所に言ったかということでございますが、それが直接その会社の所管ということになりますと、これは通産省でございます。またそれは廃棄物といえども一種のごみでございますから、清掃法的な観点からいえばこれは厚生省ということになるのでございますが、いずれにしましても、現在の問題はおそらくは会社がどこに捨てようかということの相談でございますから、まずその事実を確かめるのは、私どもとしては通産省がいいのではないか、こういうふうに考えます。
  92. 加藤清二

    加藤委員長 これについて通産省いいですか。——それでは荘公害保安局長
  93. 荘清

    荘説明員 海上投棄の行為については、お聞き取りいただきますとおり法的な不備がありまして、所管がはっきりしないというきわめて遺憾な状態でございますが、通産省所管事業所の行なう行為であるという意味におきまして、その会社に、どこどこの役所にあなたはお伺いしたのかということを私のほうで確かめまして、通産省のほうから当該官庁にも連絡をするというふうにしたいと思います。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 それを早く望みます。来たならばすぐ委員長を通じてこっちのほうへ通知してもらいたいと思います。  それから全然関係ないと言った経済企画庁西川参事官、今度いま言った視察の中で、愛媛県の川之江漁協を通じて調べた。いま藤田君もこれについて触れたけれども、大王製紙、丸住製紙、これから出される廃液、これはもちろん沈でん池もない、コーヒーよりもっと濁った廃液がそのままもろに海洋に注がれている、こういうような状態ですが、これはひどいじゃないかと言ったところが、三十九年に経済企画庁が調査して、指定水域にしようとしておる。それをまた県のほうが待ってくれと言ったら待って、今日このようなことをしているのです。行政的にあなたたちのみんなミスじゃないか。いまこれはあまりひどいとかなんとかいう、しかしひどくならないうちにちゃんと打つ手があったはずなんです。三十九年に水域指定の調査をして、そして指定水域にしようとする、こういうようなことに対して、県が待ってくれと言ったときに、そうですがと言って、そのあとの監視を怠った。なぜこれを水域に指定しなかったか。これが今度の大きな結果じゃないか、みんなあなたたちのミスだ、この理由をはっきりさせてください。
  95. 西川喬

    西川説明員 御指摘のとおり三十九年に基準設定と指定水域ということを目途といたしまして調査を実施したわけでございますけれども、そのまま県のほうの、地元の事情によりまして基準設定に至らなかった、指定するに至らなかった、これはまことに遺憾であったと存じております。あえて弁明させていただきますと、当時の公害意識の定着という問題もございます。それからまたもう一点におきましては、パルプの廃液の処理という問題が非常にむずかしいということで、その後四十年、四十一年、四十二年くらいにかけまして特別にパルプの廃液問題だけを特殊項目に取り上げまして、水質審議会の中に特別部会を設けて検討いたしております。そのようなことも関連いたしまして、その時点におきまして、処理技術の問題がなかなかむずかしい。それから公害意識の定着の問題もございますし、地元の県が待ってくれ、こういうふうに言った。私どものほうとしましては、水質保全法によりまして指定水域にいたします場合には、「関係都道府県知事意見をきかなければならない。」ということになっておりますが、それは実際上は、こういう公害問題の基準を設定します調整上の問題でございますから、従来は実質的な同意というような形で運営をしてまいりました。御承知のように、先般問題になりました田子の浦につきましても同じような状況があったわけでございます。あそこもやはり三十六年に調査いたしまして、その後たな上げにして今日のような事態を招いてしまったというようなことがあるわけでございまして、その点に対しましては、六年前の状況でございますが、まことに遺憾であったと存じております。われわれの行政指導が足りなかったということもございますが、今後は地元が待ってくれと言いましても行政指導を強めまして、そういうことではいかぬではないかというようなことで努力してまいりたい、このように考えております。
  96. 島本虎三

    ○島本委員 それで理由はわかりました。りっぱにやっておるはずが、案外そういう手抜かりがある。その手抜かりがあるところに今度十一月から権限委譲されるのですよ。どうなんですか、これは。公害のたれ流しじゃなくて、それなら公害頒布じゃありませんか。こういうようなことはちょっと許されませんぞ。いままでのミスはいい。——よくはないけれども、あなたの言う釈明は認めましょう。それならば、それに対してどういう措置をするか。この措置を現在に至ってもしていないじゃないか。そのままで十一月から今度権限委譲になる。一体そのままいったならばあとどうなる。これを待ってくれと言って、このような結果を招来した知事のもとに今度は権限がいくのですね。悪の根源はもう経済企画庁じゃないか。だめだ、こんなことをやっていては。
  97. 西川喬

    西川説明員 先ほど通産省のほうからお答えがありました権限委譲の問題は、工排法に基づきます権限委譲でございまして、現在通産局長に残されておりました工排法によります取り締まり水質基準が設定されました以降の、事後の監督取り締まり権限の移行でございます。現在まだ基準が設定されておりませんので、工排法の適用にはなっておりません。  基準の設定につきましては先ほど林先生の御質問にもお答えしましたように、企画庁といたしましては早急にいたしまして、年内を目途に指定水域に基準設定をやりたいと思います。
  98. 加藤清二

    加藤委員長 関連の申し出がありますので、これを許します。藤田高敏君。
  99. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いま、三十九年の調査については経済企画庁自身の行政上のミスを認めたわけでございますけれども、私は率直に言って、これはミスとして取り扱っていいものかどうかという点についてははなはだ疑問を持っております。というのは、私はミスとして取り扱うべき問題じゃない。なぜなれば、ここの大王製紙と愛媛県の知事との関係というのはきわめて特別な関係があるわけです。これはちょっと古い話になりますが、昭和二十六年に現在の知事は革新系で出た。ところが自民党に寝返りを打ったのは、大王製紙の社長が、いろいろいきさつはあったけれども、半ば政治的などうかつをするような事件が起こって、自民党といいますか、保守系に寝返りを打って、今日自民党の知事になっておる。ここの工場と県との関係は、工業用水一つ見ても、どこの県を見ても、トンあたりの水は六円なり七円の水を使っていると思うのですが、ここの工場だけが一円足らず、二十五銭か二十七銭の水を今日でも使っておる。ですから、これはただの水だといわれておるのです。そういう県政とこの製紙会社との政治的な癒着性というものが非常にあるわけです。こういう中で起こっている問題ですから、いわゆる県が待ってくれということは——そのとき国の立場経済企画庁としては、水質基準に照らして当然これは水域指定をやらなければいけない。ですからこれは単なる事務的なミスじゃないんだ。政治責任を問われるような、いわば計画的なものによって経済企画庁はこれを水域指定をしなかった。現在その当時の課長なり局長というのは何をしておるのですか。どこにいるのですか。そういう者の責任を私は問いたい。そうしないと、課長や部長や局長がかわれば、ここでミスだという答弁をすればそれで行政責任を免れるというようなことでは国民の生活なり生命というものは守られないと思うのです。そういう点に対する見解はどうですか。
  100. 加藤清二

    加藤委員長 西川君、答えますか。それとも佐藤経企庁長官がやがて来ますから、そこで答弁してもらいますか。どっちにしますか。
  101. 西川喬

    西川説明員 そうしていただければけっこうです。
  102. 加藤清二

    加藤委員長 それじゃそうします。  本件は、いま西川君が答弁しましたように、多分に政治的な問題が含まれているようでございまするので、後ほど佐藤経企庁長官が参りますので、そのおりにもう一度質問をしていただく、こういうことにいたします。したがって、次に進めてください。
  103. 島本虎三

    ○島本委員 次に、海上保安庁長官にお伺いしたいのですけれども、この港則法二十四条違反の事実、これに対して昨今は海上保安庁はいろいろ能動的に動いておられるようであります。私はほんとうに同慶にたえないと思います。今後の健闘を祈ります。  なお、現在の状態でわれわれが同じに視察いたしました中で、金生川、この辺にもずいぶん廃液が集まって、もうすでに茶色どころか、コーヒーよりももっと濃い色の水が流されておる場所です。それから出る汚水は、また当然、港がございますから港に入ります。その港に流入する汚水のために漁船のスクリューがいたんで、六カ月のものが三カ月もたったならばもう心配でどうにもならない。そういうことになりと、スクリューが心配で、そのまま出漁ができない、こういうような状態にあるという事実は御存じですか。そして、そういうような場合には、事人命にかかわる問題です。少なくとも六カ月というのに、三カ月未満でもうすでにその心配があるとしたならば、これは重大な問題じゃありませんか。もうすでにこういうような問題に対しては、二十四条の点とからんでお調べ願っているのじゃないかと思うのでありますけれども、こういうような問題とあわせてひとつ御答弁を願いたい。  それとあわせてこのヘドロの処理は一体どこの官庁が責任を持って海の中にある場合にはやることになっているのか。保安庁でしょうか、これもあわせてお知らせ願いたいわけです。ひとつ御答弁願います。
  104. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  川之江、伊予三島、寒川の三港の港内、それからその一帯の海域におきまして、製紙工場からの廃棄物が相当たまっておる。また、その廃液の影響であろうと思われるいろいろな水産資源の被害、また、ただいまお話のございましたような漁船のスクリューの被害というようなものが発生しておるという事実は、私どもよく承知いたしております。ただ現在までのところ、その因果関係が、これははっきり工場廃液によるものであるという明快な確認はまだできておりませんので、これは目下原因探求中でございます。  なお、川之江地帯の問題について、保安庁が非常に出足が鈍いというおしかりを受けたわけでございますけれども、この問題につきましては先生よく御承知のとおり、関係の工場が七十五社もございまして、原因者と思われるものが非常に多数ある。しかも、それが相当長期間にわたりまして公然平然と、若干の問題はあるものの、現状どおり放流し続けておったという実態がございますので、これを一夜にして急に犯罪人扱いするのはいかがなものかという、正直なところわれわれ警察権を行使する立場としてのちゅうちょがございます。  また、反面この問題につきましては県当局のほうで非常に積極的に問題の解決に乗り出されまして、その話が相当軌道に乗っておる。ごく最近の報告によりますれば、あまり正確ではございませんが、抜本的な対策を含めた解決案を提示されまして、ほとんど現地での紛争は解決したというぐあいの報告も受けておりますので、そのような状態の中で、海上保安庁が警察権を発動するということはいかがなものかという点から慎重にかまえておるわけでございます。  もちろんわれわれといたしまして、港則法という公器、伝家の宝刀をさびつかせるつもりは毛頭ございません。資料の収集、原因の究明につきましては、怠らずに作業を続けておるわけでございます。
  105. 島本虎三

    ○島本委員 これはいま重大な発言です。その後改善をしてもう納得するところまでいっている、こういうようなことを言っておりますけれども、それならば緊急にその資料を取り寄せて、どうなっているか一週間以内に手元に持ってきてください。そうして責任ある報告を求めます。そうでなければあなたは私にうそを言ったことになります。われわれはその場所へ行って見てきているのです。知らない人に言うならば、はいそうですかもあるでしょう。現に行って、見て、漁民からそれを訴えられて、そうして雨の中を十分に徴してきてすぐ帰ってきた。そんな、委員会で、雨が降って流したごとくにきれいになっていました、こういうようなことを私としては愚鈍にして信じられませんから、これは急いでその資料を私の手元へ、一週間以内に持ってきてください。そうでなければあなたは私をばかにしたことになります。
  106. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  私は現地からの報告に基づいてただいまお答え申し上げた次第でございますが、県当局が現在たまっておりますヘドロの処置、それから廃液の浄化施設の整備、それから関係漁民に対する救済措置というようなものを提示いたしまして、その日が十月三日というぐあいに報告を受けておりますが、それによりまして現地の問題は非常に好転した、そのような報告を受けております。もしこの報告の内容に間違いございましたら、私は保安庁を代表いたしましてつつしんでおわび申し上げます。
  107. 島本虎三

    ○島本委員 その後その報告が来たというのは、読んだとおりわかります。実態はどのようになっているか、これを十分確かめて報告してもらいたい。われわれの行って見た際に、あの実態では、やるといっても容易じゃないという実態を見てきているから知っているのです。そういうようなことを、一片の報告によって、こうなっていますから……これではどうも私は信じられない。あなたたちは、そういうのがあればそれでいいということなんですか。だから具体的に調べてくれと言うのです。はたしてそのとおりやっていますか。これは要求します。
  108. 加藤清二

    加藤委員長 いまの要求について、できますか。
  109. 上原啓

    ○上原説明員 たいへん歯切れの悪いお答えでまことに申しわけございませんが、現地から、そういう案を県庁のほうから提示されたことによって非常に問題が好転する方向に向かっておる、こういう報告を受けております。その段階でわれわれが警察権を行使して割り込むということは事態を紛糾させるもとではなかろうか、こういうことを申し上げただけでございます。  いま申し上げましたように、この具体案が示されましたのが十月三日だという報告でございますので、もちろんそれに基づいてまだ手は打たれてはいないと思います。今後どのようにその提案を関係者が受け取ってそのように実行されていくかどうかということは、保安庁といたしましても十分に見守っていきたい、そのように考えております。これはもう当然のことであると思います。
  110. 島本虎三

    ○島本委員 スクリューの損害は人命に関係しますから、こういうような問題に対しても十分納得したというのならばいいのですが、私の質問はそこに焦点をしぼって言っているのです。そういうような状態は人命に関する、ですから三カ月ぐらいでやらなければならないのに、これはとんでもないです。ですから、こういうような点に焦点を合わせて、それが円満に解決されたというならいいですよ、どうなっているか、もう一回よく調べてください。  それともう一つ、今度は日軽金が北海道まで進出してきたのです。もう操業しているのです。そうしてその中から出す赤どろ残滓、これも外洋投棄をするといっております。これを皆さん御存じですか。御存じあるならば、だれが許可したか、ちょっと答弁願います。
  111. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  苫小牧で日軽金がアルミニウムの精錬にスタートしておりますが、赤どろ廃棄の問題については承知いたしておりませんので、至急に調査して御報告させていただきたいと思います。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 こういうふうにして、企業サイドで、企業が先にやってあとを追っかけて歩いているのが皆さんの行政じゃありませんか。こっちから指摘されてようやく調査する、指摘されなければ調査しない。これでは公害が発生するのはあたりまえじゃありませんか。日本全国がこれでは公害列島です。それによってこれからなお調査するなんておそきに過ぎるのです。  どうもまことに残念でありますけれども、あまりやっていても時間がなくなるからこの程度にして、また次のほうに移るわけでありますが、なお、海上保安庁のほうではこれでいろいろ動いているようでありますけれども、四日市にしろ、横浜にしろ、いろいろ現場を押え、あるいは科学的な追及をしておっても、何かしら会社側の言いわけ並びにその言うことが十分に理解できないのか、その甘言に乗せられてしまうのか、どうもはっきりした結果を招来しないというのは、専門的な技術を持った人を乗せていないためにそうじゃないかと思うのですが、今後公害に対しての一つのパトロールをやるならば、そういうような人を十分養成し、それを乗せて万遺憾なきを期さなければならぬと思うのです。この問題に対してどういうふうにしていますか。
  113. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、現在の段階では、海上保安庁の第一線の取り締まり官たちが、この公害問題についての特殊な専門的な知識を持っておらないのが現状でございます。したがいまして、これはおかしいということを感づきましたならば、資料を収集いたしまして、しかるべき試験研究機関に鑑定を依頼する、それによって一歩前進するという行き方をとってきておったわけでございます。しかし、それでは非常に事件の処理に時間がかかるといいますか、手ぬるいという感じをわれわれは受け取っておりますので、先生よく御承知かと思いますけれども、本庁と主要な四つの管区本部に公害専門のチームを十月一日から発足させたわけでございますけれども、その専門の担当官たちには極力早い時期に必要な、少なくとも第一歩の実態把握に必要な知識を植え付けるという意味での研修は計画的に実施していきたい、このように考えております。  なお研修は、従来全然やっていなかったということではございませんので、昨年度も若干やってはおります。これを今後さらに新しい組織と関連させながら強化していきたい、こういう考え方でございます。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 保安庁はこれで終わりますが、十分今後の行政に対処するために万全の策をもってしてもらいたいということだけお願いしておきます。  いまのように公害が発生する、それに耳をかさないでおられないような事態なり状態を招来しているわけですけれども、生活環境の不良が子供にまで及んでいるというようなこの事実は、もうすでに知らない人がないほどなんです。いつテレビを見てもラジオを聞いても、公害の報道のない日はない、新聞においてもそのとおりであります。そういうふうな中で、工場排水をはじめとして、その環境の中に生活をしている子供、その子供の将来のことを考える場合には、ほんとうに現在の公害の解決、これがいろいろな関係でむずかしいような状態の中に、その悪い環境の中に子供は生活しているわけです。しかしながら、子供はそのまま満足しているわけでは決してないはずです。したがって今度は、来年度から小学校の教科書が新しく生まれかわるというようなことを聞いているわけですが、公害も義務教育の中で正しい認識をもって教え込まなければならないような段階にきたのではないかと思うのです。将来の子供、それとあわせて、現在のこの経営者を含めて公害原因者といわれる人たちの心がまえ、こういうようなものを含めて対処する文部省の人間つくりの根本的な考え方、これはやはり間違ってはいけない。基本的な問題になるわけですから、子供とおとなを含めてこれからの公害に対処するための基本的な理念というものは、現時点において最も重大な問題ではないかと思うのです。文部省では、来年度から小学校の教科書が生まれかわるので、このために十分の配慮をしている、こういうようなことでありますけれども、一体文部省ではどのようにお考えでしょうか。
  115. 西岡武夫

    ○西岡説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のとおり、公害問題についての文部省の基本的な考え方は、子供たちに、他人に迷惑をかけてはいけないという考え方を基本的に教えていくということが、将来子供たちが社会人になったときの社会生活における生活態度にも直結するし、それが企業活動の基本的な精神の基礎づくりにもなるという考え方に立ちまして、御指摘のとおり、来年度から改定されます学習指導要領に基づきまして、小学校の教科書におきましても、公害問題につきまして積極的に内容、量ともに充実をしていくという考え方でございます。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 私の手元に新しく今度交付されるであろうと思われるそのサンプルはちょうだいしてあるのであります。それによりますと、この中で、はたしてこれでいいのかと思われるような点がないわけではございません。「「公害はふせがなければならないが、工場がつぶれてはこまる。」というようなことを考えると、そのとりしまりをじゅうぶんに行なうことが、なかなかできません。」とあるのです。これが新しい来年度からの教科書でございます。そうなりますと公害を防ぐ努力と計画、こういうものに対しては、どうももう文部省のほうでは、現在の時点よりもっとおくれた考えを持って指導しているんじゃないかと思うのです。産業との調和も抜くという事態になっているんです。ですけれども、依然としてこういうようなことでは困るじゃございませんでしょうか。私は、そういうような点のために、これじゃ困るんだ。ことに指導要領によってこれは行なっている、こうおっしゃいました。なるほどそのとおりでございまして、私もその指導要領をちょうだいいたしました。それによると、「産業による公害などから生活環境を守る努力を続けている都市の事例」をとり上げて説明していることになる。これあたり、もしやったとすると、「産業による公害などから生活環境を守る努力を続けている都市の事例」、全部こうですが、こういうようなことで教えたならば、はたしてこの中で、現在公害で悩んでいるいろいろな都市の子供たちは、教育に対してはたして何と思うでしょうか。富士市や水俣や婦中町やまた川之江、伊予三島、大阪、東京、四日市、すべてその公害に悩む子供、こういう子供にいまのような基本的な方針で教えるということは、むしろ、いまこの場所考えられていることよりももっとおくれているじゃありませんか。やはり私は指導要領にもこれは今後考えなければならない問題があるし、来年変えられるであろうと思われる教科書に対しても、まだまだ考えなければならない点があるんじゃないか、こういうように思うわけです。その最後に、「公害をなくして、産業をいっそう発達させることは、たいへんむずかしいことですが、国民全体の努力で、ぜひとも、解決しなければならない問題です。」と結んであります。これは一億総ざんげ、総責任です。どうしてこれにはもう少し企業の点を強く言えないのですか。公害を排出するなということをもっとなぜ強く言えないのですか。公害防止対策がこれでいいのかということをなぜ指摘できないのでしょうか。人間尊重、こういうようなことの姿を子供にはっきりとなぜ教えてやれないのでしょうか。私はその点がもうこれを見た場合に——ちょっと政務次官は、この点についてはほんとうにもういろいろ考えのある人である、こういうように承っておりますので、きょうは大臣はいなくてもいいから、次官をぜひ出してくれ、こういうようなことで来てもらったわけです。これではまだまだ手ぬるい。そして肝心の公害防止の対策には甘い。それであるから、人間尊重の姿がこの中ではうかがえない。ほんとうに人間をつくるのは教育じゃございませんか。私はそう思っているんです。この中に公害を通しての人間の尊重がないんですね。ひとつ御所見を賜わりたいと思います。
  117. 西岡武夫

    ○西岡説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘、私は全く同感でございます。ただ、御承知のとおり、現在の教科書につきましては、文部省といたしましては、その内容については学習指導要領に基づいて、これが書かれるわけでございまして、先般の家永裁判、教科書裁判でも御理解いただけますように、検定制度そのものにもいろいろな議論があるわけでありまして、文部省としては、こういう点をこういうふうに教科書としては書くべきであるということを考えていた場合にも、それを直接そのままの形で指示するということが非常に困難であるという現在の教科書のあり方に一つ根本的な問題があると思うわけでございます。  ただ、しかしながら、ただいま御指摘の部分につきましては、私も多分に問題がある個所があると私自身考えますので、十分出版社等々と連絡をとって、著作者との間でどのような改善の余地があるか、検討をいたしたい、かように考えるわけでございます。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 そのようにお願いしておきたいと思います。  時間もございませんので、一、二尋ねて終わりますけれども、素朴な子供の純真なその気持ち、これだけはよく育ててやってほしいものです。ことに公害で悩んでいる人たち、その中でもなお生きるための努力、成長する努力をしているわけです。その能力としあわせだけは、われわれはどのようなことをしても奪ってはならないはずです。そのためには、やはり子供たちに少しでも疑われることのないように、すべて教科書から直してもらいたい。  それとあわせて、先般の一日内閣のあの子供の質問の際にあった、それにまっ正面から取っ組まないのは政治献金を受けておる人がやっているからじゃないか、あれはまさにぶすっとナイフを突きつけられるような気持ちです。今後——今後でもございませんが、あなたとしては、そういうようないま公害で問題になっているような会社から、時の政府を握っておる政党が献金を受けているということは、子供に疑心暗鬼を与えることで、まずいと思うのです。お考えを承って終わりにしたいと思います。
  119. 西岡武夫

    ○西岡説明員 これは文部省と申しますよりは、政治家としての一人一人の自覚の問題である、かように考えるわけでございます。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 公害に対してはこれで終わります。なお、ほんとうはまだあるのですけれども、もう時間がないと言ってきてから十分たちましたから……。どうも長い時間ありがとうございました。なお、政府の皆さんのほうは、さっき言ったように急いで対処してもらいたい。このことをお願いしておきます。
  121. 加藤清二

    加藤委員長 次は、岡本富夫君。
  122. 岡本富夫

    ○岡本委員 島本委員から文部省に対しての質問がありましたので、そこで、午前中に、最近は非常に交通騒音の苦情が問題になっておりますが、新しく国道がついたところ、あるいはまた改造したところ、たとえばけさも言いましたように、阪神の第二国道、こういうところにおきまして、精道幼稚園あるいは精道小学校、宮川小学校、こういうところにおいて非常な騒音の問題で困っておる。たとえばデータも出ておりますけれども、七十五ホンあるいは八十ホン、そのために勉強ができない。四六時中車が走っておるわけですが、こういうことに対して、文部省としてどういうような考え方か、あるいはまたどういう助成措置をいままで行なってきたか。これは国道の問題ですから、地方自治体には責任はないわけでございます。したがって、文部省として今後どういう対策をとるか、聞きたいと思います。
  123. 西岡武夫

    ○西岡説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘の、公害の中でも騒音による被害につきましては、文部省はいわば被害者の立場にあるわけでございまして、ただ問題は、これが非常に広域的にわたる問題でございますので、地域全体の問題として、これを根本的に解決いたしませんと、基本的にはなかなか解決が学校限りでは困難であるという場合が多いわけでございます。しかしながら、具体的、実際的な問題といたしまして、文部省としては騒音に対する対策として、それぞれ基本的には発生者、原因をつくっているものの責任においてこれを行なうという原則に立って、たとえば航空機の騒音については運輸省のほうでこれを責任をもってやってもらう、また自衛隊等の基地に関係をする問題については、防衛庁のほうでこれを責任をもってやってもらうという考え方でいままできたわけでございます。  ただいま先生指摘の、国道が新しくつくことによって学校に騒音が新しく発生をするという問題が近年各地に出てきているわけでございます。これにつきましては、文部省といたしましてもいろいろ調査をいたしておりますが、ここ数年急激にその被害がふえているのが実態でございます。したがいまして、それについては、たとえば来年度の予算措置といたしましては、数字を少し申し上げますと、公害防止の工事につきましての補助金でございますが、これまでの補助率三分の一を三分の二に引き上げて、また、全体的な事業計画につきましても、今年度二億二千八百四十万円の公害防止工事に対する補助金を組んでいるわけでございますが、来年度は約三倍に増額をいたしまして、六億八千二百万を大蔵当局に概算要求をいたしている。こういった形で、積極的に公害防止工事に取り組んでいるのが実態でございます。  ただいま先生指摘の、精道小学校の問題でございますが、校舎につきましては、窓ワクを二重にするとかいろいろな措置が対策としてはわりあいにとれるわけでございますが、運動場の騒音については、技術的に解決するのが非常にむずかしいという面があることがいえるわけでございまして、具体的に精道小学校の場合につきましては、早急に技術官を派遣いたしまして、どのような方法がより適切に騒音防止に役立つことができるかという観点から具体的な案をつくっていきたい、すみやかにこれに対処をしていきたいと考えている次第でございます。
  124. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間がありませんから、あとのやつをやらなきゃいけませんので、もう一点。  いま、文部省のほうは被害者で、建設省あるいは運輸省のほうが、道路の場合は建設省ですが、そこが加害者だからというようなお話がありましたけれども、これは全部国の問題になるわけですよね。そうすると、道路をつけたときに、これは建設省だから文部省どうなるというようなわけにいかないでしょう。だから、学校の問題につきましては、先ほどお話がありましたように、児童の福祉あるいは成長、時代を考えて、相当大幅な予算をとって、そして完全に勉強ができるようにするのが文部省なんですよ。  それから、いま、補金助を三分の二に引き上げるという話ですけれども、そうすると、国道の場合、あとの三分の一はどこから出すのですか。これは地方自治体ですか。県道とか、ほかの場合は、これは地方自治体になりましょうけれども……。その点をもう一つ聞かしていただきたいのと、それから技術官はいつ派遣してくれるか。これは昔からだいぶやかましゅう言うているのですけれども、一向に解決しない。だから私はこういう委員会に出したわけですけれども、じゃ、いつ来てくれるか、現地を視察するのか、これを最後に伺いたい。
  125. 西岡武夫

    ○西岡説明員 お答えいたします。  先ほど被害者ということを申し上げましたのは、これを根本的に解決をすることは、国として根本問題として取り組まなければいけない問題でありますが、当面学校に対する対策としては、被害者という受け身の立場でこれを受け取らなければいけないという意味で申し上げたわけでございまして、決して先生の御指摘のような意味で申し上げたわけではない点を御了解いただきたいと思います。  ただいまの三分の二のほかの三分の一につきましては、起債等でこれを措置をしていきたいと考えているわけでございます。  それと、ただいまの調査技術官の派遣でございますが、一週間以内に派遣をいたすつもりでございます。
  126. 岡本富夫

    ○岡本委員 次は、これも先ほど伊予三島・川之江方面のヘドロの問題について若干各委員が触れましたが、私も午前中ちょっと話したわけですけれども、そのときに通産省の答えとしては、あのヘドロは非常に上質だから建材あたりに再生して使えるのだというような答弁がありましたけれども、はたしてそんなことができるのかどうか、答弁のための答弁では話にならないと思うのです。ですから私は、九月十一日に、特別委員会の前に行きましてヘドロを持って帰ったりいろいろ調査してきて、海上を船で回ってやってきたわけですけれども、はたしてそんなことでこのヘドロ対策ができるのか。漁民の皆さんは一日も早く解決してもらいたい、こう言っているけれども、先ほどの答弁ではどうも納得ができない。これをひとつ再度お聞きしたい。
  127. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答え申し上げます。  先ほど、ヘドロを二つに分けまして、海中にた、まっておるヘドロについてはどういう形で処理をしたらいいか、非常に悪質でございますのでむずかしい。ただし、前処理をいたしまして工場の中で回収するものにつきましては、その繊維質そのものは非常に良質でございますので、建材その他で使えるというぐあいに御説明申し上げたわけでございますが、現にある程度の規模の企業で、パルプの前処理の段階で取り出せますスラッジを利用いたしまして、これを合成樹脂その他をまぜまして建材をつくっておるケースはございます。これは十分日常の使用にたえ得るような良質の建材もできております。ただ、合成樹脂とまぜるために非常に価格が高くなります。したがいまして、その辺もう少し技術改善の余地がないかというのが非常に大きな技術開発のテーマになっておるということでございます。
  128. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、経企庁長官が見えましたが、先般の商工委員会であなたに来ていただいて、この伊予三島方面のヘドロ対策について御質問したときに、ことしじゅうに県条例でもってきめさせる。経企庁はそれをしない、そこまで手は伸びないというような話があった。先ほど西川参事官からは、香川県と両県にわたるのでどうしても経企庁がやらなければいかぬ、こういうようにも思っておるのだというような話でございましたけれども、確かにことしじゅうに、ことしといっても、これはもうほんとうに早急にきめなければいかぬのです。なぜかといいますと、この水質基準がきまって初めて工場のほうの設備の排水の基準がきまるわけですから、そうでないと大王製紙は十億かけてやるんだ、しかし、どこまでしていいかわからない、こういうこともあるわけです。ですからもっと早く、大体これは前のデータも出ておるわけですから、その点ひとつ聞きたいのです。
  129. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 前回は、国としてもできるだけ早く処理したい、こういう程度に御答弁申し上げましたが、その中身は当時水質審議会のほうも二十本近いものをいまかかえておる状況であるから、もし緊急の場合に間に合わないといかぬから、そのときには、さしあたって県条例でやるほかないかという感じでおったのですが、いまおそらく私のほうの参事官から答弁があったと思うのですが、県とも相談しまして、国でひとつ直接取り上げよう、年内に何とか片づけよう、こういうことに大体方針をきめましたから、それに従いましてできるだけ急いでやりたい、こう思っております。
  130. 岡本富夫

    ○岡本委員 ヘドロ対策につきましては、あと公害対策副本部長の山中長官が来てからお聞きすることにしまして、長官も公害対策会議の一員でございます。これはまだあるのですから、もう消えたのじゃないですから。  そこで丸柱、大王、これが大きな廃水の原因になっておりますけれども、地場産業ですから、あと中小企業がたくさんございます。この方面の排水も何とかしなければならぬと思うのですが、その中小企業に対する金融、これに対して特別の配慮ができるのかどうか、これをひとつあなたのほうからお聞きしたい。
  131. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 中小企業金融については、こういうことと関係なくいまなかなかむずかしい時期でございまして、私たち特に年末を迎えて、融資については万全を期したい、こう思っておる際でありますが、公害問題につきましては、その負担の問題等いろいろございますし、そういうこともありますから、われわれとしても特に注意をしなければならぬ。これはやはり公害対策本部に問題を持ち出して、そうした点について今後どういうふうに方針を固めていくか、御趣旨に沿ったような方向で措置をするようにやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  132. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはあとの山中長官に聞くことにしまして、その次は、運輸省航空局来ておりますか。−最近の新聞を見ますと、関西新空港の問題が取り上げられております。また、私ども衆議院の産業公害の視察で、大阪空港にもわずかしか行けませんでしたけれども、皆さんに無理を言って来ていただいた。もう大阪空港は満席というような状態、もう少ししたらパンクする、しかもまた非常にあたりに騒音をまいて困っておるということで、やはりどうしても関西の新空港をつくらなければならぬというような機運にもなっておりますけれども、それについての構想といいますか、それをひとつ聞かしていただきたい。
  133. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ただいまの大阪地区の空港の能力が非常に限界に近づいているということは、先生の御指摘のとおりでございます。したがいまして、運輸省といたしましても、できるだけ早く新しい関西の空港をつくりたいということで調査を進めてきておるわけでございますが、今年度は特に相当多額の調査費を計上していただきましたので、目下鋭意調査を継続している現状でございます。
  134. 岡本富夫

    ○岡本委員 まあ予算は一億五千万というような話でありましたが、大体候補地はいつごろ決定するのか、またどういうところが候補地としてあがっておるのか、これをひとつお聞きしたい。
  135. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 このまずスケジュールでございますけれども、現在調査を実施している段階でございまして、私どもといたしましては、大体今年度一ばいかけまして調査をし、決定に持ち込みたいというふうに考えております。現在そういう状況でございまして、一般的に大阪湾を中心といたします面につきましての候補地をさがしているという状況でございますので、特定な地点が幾つかあがってくるというような状態にはなっていないわけでございます。
  136. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、大阪湾内ということになりますれば、非常にあの付近はみな過密地区です。そうしますと、非常にまた騒音の問題でいろいろなことが起こってくるのじゃないか。たとえば私、神戸大学の騒音の人体被害調査を現在行なっておる中間報告を受けましたが、妊産婦、これにも非常に内分泌が多いのじゃないか。あるいはまたマウスあたりでも試験した結果も出ておりますけれども、こういうことを見ますと、相当な騒音によるところの人体被害があるわけです。したがって、海岸からどの程度離す予定をしておるのか。また、どの程度離すとそうした被害を受けずに済むのか、こういうことが科学的にも大体検討されておると思う。これをひとつお聞きしたい。     〔委員長退席、島本委員長代理着席〕
  137. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 お答え申します前に、ちょっと先ほどの発言で先生、お聞き取り違ったのではないかという気がいたしますので……。大阪湾を中心といたしました地区でさがしているということを申し上げまして、大阪湾の中でということではございません。その点、ちょっとお答えしておきます。  ただいまの騒音の問題でございますけれども、滑走路の横の方向につきましては大体二キロ程度も離せば十分に影響がなくなるのではなかろうかと思っております。しかしながら、縦の方向につきましては相当に騒音の影響範囲が広くなってまいります。したがいまして、そういう縦の方向につきまして民家の上を通るというようなことがないように飛行場の位置あるいは滑走路の方向をきめたいというふうに考えているわけでございます。したがいまして、たとえば海上につくるような場合になりますと、先ほど申し上げましたように横の方向から考えれば二キロも離せばよろしいわけですが、縦のほうの影響考えますと、地形その他によりまして四、五キロあるいはそれ以上離さなければならないというような場合も考えられると思っております。
  138. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで、この前少しお聞きしたことがあるのですが、淡路島も含まっているというような話もありましたけれども、淡路島は何か山の上を削りますと、海上から三百メートルくらいの高さになってしまうと雲にさえぎられて、上下するときに非常に困るんじゃないかというような意見も聞いておりましたが、そういうことはどうですか。淡路島にはそうすると不適である、こういうように考えていいわけでしょうか。
  139. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 淡路島の場合でございますと、先生の御指摘になりましたような心配は確かにあるわけでございますが、まだ十分に気象のほうの調査が行き届いておりませんので、本年委託をいたしまして、それを含めました調査をやっておりますので、その結論を見ませんとはっきりした答えは出てこないかと思っております。
  140. 岡本富夫

    ○岡本委員 淡路島では非常に反対をしておりますから、ひとつその点も含めて考慮をして決定していただきたい。  そこでまた大阪あるいは神戸の方面、要するに西宮、この間も周囲の人たちがどうしてもこの騒音によって大きく被害を受けるのはかなわぬというわけで、わざわざ陳情にも来ておりましたから、十分その点は考慮して計画をしていただきたい。それを要求しておきます。  そこで、今度計画されるところの空港の規模、これはどれくらいのものなのか、これをひとつお聞きしたい。
  141. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 当面の問題といたしまして、四千メートルグラスの滑走路を一本持つものをつくりまして、早く供用を開始したいと思っております。しかし、その後でき得る限り拡張が大きくできるような場所をさがしたいというふうに考えております。
  142. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、海上に島をつくって飛行場をつくる、こういうことですと、四千メートルを現在一本、次は二本にしようというような計画ですと、そこへは陸上からどういうような、たとえばトンネルにするとか、あるいはまた橋をかけるのか、そういうような点についてはまだ検討はされていないのか。これを一つお聞きしたい。
  143. 鮫島泰佑

    ○鮫島説明員 ただいまのもし海上のほうにつくられるような場合には何で結ぶかというと、もちろん地点がきまっておりませんのではっきりしておりませんけれども、あの地区にはいろいろ航路などもございますので、おそらくおっしゃったようなトンネルで結ぶのが実現性が多いのではないかというふうに感じてはおります。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは新空港の構想についてはそれぐらいでとめまして、次は、私先国会でこの大阪空港の騒音で非常に困っている人たち、この人たちに対して何とか手を打つ法はないかということで、その地区に当たる人たちの移転の補償計画を提案いたしまして予算を組んでいただいたわけでございますが、それについてどういうような移転補償、これについての構想を聞かしていただきたい。
  145. 大塚正名

    ○大塚説明員 ただいまお話しのございました移転補償の問題につきましては、たいへん事務手続がおくれて申しわけないわけでございますが、つい最近こういった資料をつくりまして、近く現地で説明会を開催する予定になっております。  移転補償の構想と申しますのは、先生御存じのように、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第九条によりまして行なうわけでございまして、ある一定の地域を指定いたしまして、その中にある「建物、立木竹その他土地に定着する物件」を除去したり、あるいは移転したりする際に、当該当事者に対して補償するということでございまして、その幅はただいま滑走路の末端から千六百メートルということになっておるわけでございます。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 それは滑走路の先から千六百メートル。その幅のほうはどうですか、横のほうは。横のほうがはっきりしていない。
  147. 大塚正名

    ○大塚説明員 文章でまいりますとちょっとわかりにくいのでございますが、図面にいたしますとこういう形になっておりまして、着陸帯から横は三百十五メートルずつになっております。横幅は三百十五メートルずつでございます。
  148. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間が来ましたからあれですが、そこで、この地域におけるところの人たちが毎日毎日飛行機騒音でほんとうに困っておるわけですが、それについての助成ですね。移転補償についての割合といいますか、国で大体値段をきめて、そしてこのくらいだというような押しつけでなくして、やはりそれぞれの立場立場もあろうかと思うのです。したがって、きめこまかく一軒一軒の様子をよく聞き、そして納得ができるような線で移転補償をしてあげる、こういうことを最後に要求して私の質問を終わりますが、それに対してお答えを……。
  149. 大塚正名

    ○大塚説明員 ただいま先生のお話がございましたように、私ども事務当局といたしまして、おっしゃるとおりにできるだけきめのこまかい補償をしてまいりたいと考えておりまして、現地の御意見等も十分に反映させるべく、説明会等で現地の御意見を伺うつもりにいたしております。     〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 時間ですから終わります。
  151. 加藤清二

    加藤委員長 次は、先ほど答弁漏れになっておりました件、経済企画庁の長官が来られておりますので、長官至急答弁漏れを答弁してください。  島本虎三君。
  152. 島本虎三

    ○島本委員 先ほど長官がいないので、この答弁だけはどうしても長官でないとだめなことになりまして、来るのを長い間お待ち申し上げておったわけでございます。  愛媛県の川之江の大王、丸住製紙工場から出される廃液、これは沈でん池もないままに出しっぱなし、たれ流しの状態である。しかし、三十九年に経済企画庁が水域指定のために調査に入った事実がはっきりしたわけであります。そこで、当然指定すべきところであったわけです。県当局が待ってくれ、こういったままにそれを待ったがために現在こういうふうになってしまった。それまでの間何ら手当てをしておらないという事態がわかったのであります。私はとういうようなものは行政的にはとうていあり得ないことだと思う。待ってくれと言うが、待つとしたならば、待ってる間にしかるべき措置が当然あっていいはずだ。しかし、何もしないでおった。知事との関係なんかはたしてどうなんだということが当然問題になるわけです。この水域を指定しようとしても、待ってくれと言ったままに漫然と待っておって、現在のこういうような公害を来たした、この実態はまことに遺憾なんです。長官として、この事態をどのようにお考えですか、御意見を聞いておきたいと思います。
  153. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまにして思いますと、私もまことに遺憾だと思っております。当時のことでありますから、率直に言いまして、公害意識というものも今日ほどには高まっていなかったことは事実であろうと思います。それにしましても、どうも今日省みて、率直に言いまして、企画庁がやります際には、地元と協議をして相談が成り立たないと、もちろんこれは実施できないたてまえになっておりますから、企画庁としても地元ともっと積極的に交渉を重ね、努力すべきであったと私は今日はそう考えております。
  154. 島本虎三

    ○島本委員 その間に当然行政指導すべきを怠っておった、待ってる間に当然すべき措置もしなかった、このことは怠慢では済まないと思うのです。そのためにこういうような事態を招来した、申しわけございません。この裏に何かないかということが大きい問題になるのです。これに対して大臣は、ただ単に行政的な手抜かりで、申しわけないだけですか。
  155. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御趣旨がよくわかりませんが、今日といたしましては、私もまことに遺憾と思っております。
  156. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 関連して。いま島本議員のほうから質問しましたことに関連して、実は私も先ほど質問をしたわけですけれども、長官が来られないことには答弁はできない、こういうことで保留をいたしておりました。と申しますのは、西川議官の答弁によりますと、いわゆる三十九年に経済企画庁が県をしてこの水域の調査をさせた、その調査結果が経済企画庁に上がってきた。なるほどいま長官が言われるように、あるいは西川議官もそう言いましたが、今日の時点で考えれば、当時は公害意識も薄かった、あるいは行政的な面からいけば、これはたいへんな大きなミスだ、まことに遺憾だ、こう言っておるわけですけれども、私は率直に申し上げて、この問題はいわば単なるミスとか、行政上のミスという程度で処理すべきでないほど政治的な問題がからんでおると思うのです。  と申しますのは、この地方のヘドロの最大の発生源は製紙会社ですけれども、ここに大王製紙という非常に大きな製紙会社がありまして、この製紙会社と県との政治的な癒着関係については、大臣は先ほど私が質問したことを事務官のほうから聞かれておるかどうかわかりませんが、非常に深い癒着性がありまして、一つの例ですけれども、現在のその製紙工場が成り立っておりますのは、県営の発電所をつくり、ダムをつくって県が水を提供してやる、そうしてしかもその水は今日発電余水だからという理由で、それにもせよトン当たり二十五銭程度の——二十五円じゃいのですよ、二十五銭の、いわばただの水でこの会社が操業をしておるというくらいに、県政といいますか、県知事とこの企業家との間の、ざっくばらんにいって、腐れ縁があるわけであります。  そういう関連がありまして、私いま思い出したのですが、この会社は三十九年当時であれば、会社更生法の適用を受けておったかと思うのです。そういう事情があったかもわかりませんけれども、いわば先ほど言われましたように、なるほど形式上は県と協議してということになっておりますから、県の意見を聞くということは大事ではありましょうけれども、ここの実態は、先ほどの西川議官の答弁ではありませんが、県が待ってくれと言った、県が待ってくれということは、その裏には大王製紙という企業家が待ってくれと言ったわけなんですよ、これは。そういう政治的な関係があるわけであります。  いま少しここの実態を長官自身に認識してもらうために付言をいたしますと、実はこの間加藤委員長を中心にこの地域調査に行きました。そしてその前の晩、だれかれということは言いませんけれども、地元のその地域の代表者も入れて、この地域ではヘドロ問題が起こっているから、ぜひ被害漁民の代表とわれわれ調査団が会えるように、そしてヘドロの一番ひどいところを視察することができるように、この二つの点を押えて、実態調査をしたい、こういうことで、限られた時間でありましたけれども、スケジュールを組んでもらって、結果的にはスケジュールは約三十分でありましたけれども、一時間余って、ここは現地視察をやっておるわけであります。ところが肝心な被害漁民ともどういうことか会わさなかったという結果が生まれたわけであります。そういう一連のことを実態として見た場合に、私は少なくともその当時実態を知らなかったとはいえ、今日これだけのヘドロ公害が起こって、そして主として漁民の生活権を根底から破壊するような事態が起こっておる、その責任はどこだということになれば、なるほど発生源は工場であるかもわからぬけれども、その中間の過程では、水域指定をすべき、国、経済企画庁がやらなかった、いわばこれは政治的公害だ、行政公害だ、そういう過程があったために、今日これほど大きなヘドロ公害というものが伊予三島あるいは川之江を中心に起こったのではないか。こういう一連の事実から判断しまして、長官は、なるほど今日時点においては率直にこれは遺憾であったというふうにお答えをなさいましたが、私は役人の世界のことは十分わかりませんけれども、その当時の課長とか部長とか局長とか、こういう人は、いま私が指摘したようなことで、これだけの公害被害を起こしておるわけですから、その行政責任を具体的にとるようなことをしないと、この種のことが将来にわたってまた起こる心配が私はあると思うのです。そういう点で、所管庁としての行政上の責任を具体的にどのようにおとりになるのか、そのあたりについて長官の見解を聞かしてもらいたいと思います。
  157. 加藤清二

    加藤委員長 ━━━━━━━━━━━━━━━
  158. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 率直に申しまして、地元と相談をしてきめるという体制は、やはり何といいましても、公害という問題が地元住民の皆さんの意識というものを前提にしておると私は思います。そういうことで、当時一方においてあの地の中小企業の問題等もおそらくあったのではないかと、類推でありますけれども、どこでもよくあるように、産業公害の問題の調整という問題があったのだと思います。そういう意味でいろいろな意見前提の中にもあったのではないかと思いますが、いずれにしてもその調整が十分できないままに終わってしまった、それが私は今日から見ますとまことに残念でございます。地元との相談をよく整えてやるという行政のやり方をやっておりましたから、また当時の体制としてはそうした方向ですべての処理が行なわれておったわけでありますから、今日になってみますと、私も非常に遺憾であると思います。これはやはり、たとえば特に公害産業としてのパルプ産業のあり方を一体どう考えるのかというようなことが今日いろいろと問題になってきておりますけれども、当時としては、まだそこまで十分な検討が行なわれていなかったと思います。そういう意味においては、企画庁の当時の担当官が地元との話し合いがつかないままに延引させた、こういうことになったと思うのでありまして、責任ということをどういうふうに理解していいか私はわかりませんが、そういう意味においては、まさに当時の担当者の態度というものは、今日から見るとやはり遺憾であったといわざるを得ません。そういう意味責任ということであれば、私も同感でございます。  しかし、やはり時代が進みまして、今日こういうことでお互いに真剣にこれを取り上げようとしておる際でございますから、まあどこの国でもこういう経過は経てきておるようでありますが、われわれとして、今日においてこれを早急にひとつ取り上げ、これの解決をはかる、これがやはりわれわれとしての当面の問題であろう、こう考えています。
  159. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私はいま少し具体的な責任のとり方について長官の意見を求めたい気持ちでございます。と申しますのは、役人の世界のことは十分わかりませんけれども、この種のいま問題になっておるようなことで責任をとらなければいけないような事態が起こっても、その当時の責任の地位にあった課長なり部長なり局長というものが他の部署にかわるということになれば、これはもう何ら責任はとられなくて済むのか。こういうことになれば、私は行政の姿勢も正すことはできないと思うのです。そういう意味では、私はこれほど重大なヘドロ問題を、しかも片一方、地域住民からいえば生活権、生存権がかかっておるわけですから、そういう問題について私は、行政の指導としても、行政罰と申しますか、行政的な責任を明らかにする具体的な措置というものが出てきてもよろしいのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。  なお、このことに関連していま一つ長官の見解を承っておきたいのですが、なるほど県の意見をしんしゃくするということになっておりましても、経済企画庁が責任をもって調査をさせた、その調査の結果、水質保全法に基づく水域の指定をする、そういう条件が主体的に整っておれば、やはり行政官庁として、県がどう言おうとも経済企画庁の指導的な責任において水域指定をする、そして具体的な排水規制もやっていく、環境基準もつくっていく、こういう措置をとらないことには、県が待ってくれと言った、その待ってくれという理由が、政治的なものやら技術的なものやら、何やらうやむやで明らかにされない、こういうことでは私は何のために経済企画庁がこの水質調査を委嘱したのかということになってくると思うのです。ですから、これほど今日ヘドロ問題を中心に公害問題がやかましくいわれておるときですから、将来の問題としては県の意見を聞くのもよろしい、しかしながら、先ほど私が指摘をした愛媛県のような事情もあるわけですから、やはり国の立場としては主体的、自主的な条件の中で具体的な措置を講じていく、こういうことにぜひすべきだと思いますが、それに対する見解を承ると同時に、本来からいえば、この地域は水域指定を六年前にやられるべき地域だった。それが六年間もおくれて、しかも地元といいますか、地域住民にはたいへんな被害を与えておるわけですから、私は同じこの地域を、水質保全法に基づく地域指定をやる場合についても、他の地区と同じようなテンポでやるということはおかしいと思うのです。これは少なくとも特別に——先ほどの西川議官の答弁を聞いておりますと、十月の三十日に水質審議会を開いて部会をつくって、それから十一月の上旬から中旬にかけて専門委員会を開く、そして十二月の上旬にはその結論が出るように事を運びたいと、こう言っておるわけですけれども、私は後刻通産省のほうの関係に対しても質問したいと思っておりますけれども、やはり一種の緊急避難的な行政措置を講じて、こういったいま申し上げたようなスケジュールについても、この地区のヘドロ問題が起こったのは八月の二十一日の台風ですから、それから見たらもうかれこれ一カ月半もたっておるわけですからね。ですから私は、もうこの問題は緊急に水質審議会ぐらいを招集して開いて、そうして大急ぎでこの水域の指定をすべきではないか。これは具体的にこの資料も私、持っておりますけれども、この内容を見ると、これはもうこの資料を見ただけで指定地域として指定しなければいけない条件になっております。そういう点で私はあえて申し上げたのでありますが、そういう作業についても日程を繰り上げて、長官の責任においてこの地域の水域の指定を行なうべきではないかと思うわけですが、それに対する長官の見解を聞かしてもらいたい。
  160. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 もちろんなぜ地元と相談をするかということは、結局、水質規制をいたします際に、その後の行政、つまり監視であるとか、測定であるとか、こうした問題を地元にゆだねることになっています。そういう意味において、できるだけ地元の納得のいく形でもってやらないと、形の上で基準ばかりきめましても、結局これを順守してもらうというその実行上の効果について問題が起こってくるからであります。企画庁としては、その観点を除きますれば、特に地元としなくても、一定の基準だけで遂行することも可能です。こういう地元にとって特に重要な行政は、私はそういう要素はどうしても残ると思います。むしろ私たちがこの水質規制の原則を今度地方委譲しようとしているのも、そういう観点からであります。そういうことがございますからして、どうしても地元との話し合いを尊重してきましたが、しかし、率直に申しまして、地域によって公害意識に差があります。大都会から始まりまして、そうしてだんだんと地方のほうにいっております。それから同じ地方でも、ある局部的に非常に工場のあるところ、そうでないところでずいぶん公害の意識が違います。われわれも全国を扱ってみてそれを感じます。そういうようなことがあって、やはり今日までこういう事態になったのであろうと私は思っております。  で、いまあなたの御指摘になりましたように、われわれも、そういう意味ではもう時代が違っております。私たちは地元の多少反対がありましても、何とか説得して、そうして今日水質行政を進めておる、これが実情でございます。でありますから、今後そういうようなおそれのないように、私も全くその御意見には同感でありまして、企画庁の水質行政もその方向で進めてまいるつもりでありますし、今日そういう方向で行なっております。  それから具体的にいまの今回の基準の設定でございますが、これは国が基準を設定するという以上は、前提としての調査も要ります。そういうことも勘案いたしまして、そうして最大限にスピードをつけてやって、大体そうならざるを得ない。率直に言いまして、いま水質審議会にかかっておりますものは、みなそういう同じように緊急度の高いものであります。そうしたことから、そうした全国に無数にあるところの個所を、一々中央政府の手をかけて水質を設定しなければならないという行政体制に問題があったと思うのでありまして、そういうことの反省も兼ねてわれわれは、このたび制度の改正を検討しておるわけであります。でありますけれども、まだ今日は従来からの体制で行なわざるを得ない。いま水質審議会にかかっておるのは二十本近くあります。それらはいずれも緊急度の高いものであります。そういうようなことでございますから、われわれとしてもできるだけこれをすみやかに行ないたい。そういうことで、ほんとうはほかの従来からの懸案があるものですから、場合によってはまず県条例で先にやってもらわなければいかぬか、こう思っていたのですが、まあ何とか馬力をかけて国でもって直接年内にやろう、これがわれわれとして現在事務的に急いでやれる限度である。  なお、年内という範囲においてできるだけひとつ、御要望もわかるわけでありますから、急いでやるように今後とも指導はしていきたい、そういうふうに考えておるわけであります。  役人の責任問題は、私は先ほどから申し上げていますように、政府として遺憾である、こういうふうに申し上げております。ただいわゆるいまお話しになった行政罰というようなことになりますと、これはまた別問題でありまして、今日その要件を満たすということができるかどうか、なかなかそういう点については問題がございますから、いまそういう角度から取り上げることはちょっとなかなかむずかしいのじゃないか、私はいまの制度の上から見ましてそう考えております。
  161. 島本虎三

    ○島本委員 じゃあこれで関連質問を終わるわけです。  ただ、長官にこの際これだけ言っておきたい。  あの辺の漁民が沖合いの内海のいい魚を、一キロ離れた場所へいけすをつくって全部入れておかなければならない。そのいけすをつくって入れておく一キロ海岸から離れた場所ではもうだめになって、一・五キロの地点まで沖へ流して、そこでいま魚のいけすをつくり、生かしておる、こういうような状態だ。そうしてその場所まで行く時間と、その場所をさがすのにまた時間がかかり、あわせて今度はしけなどにあった場合は損傷も多いのだということも聞かされました。川之江旧港では一番おそれたのは、青い色をしている港は私は初めてでした。色が青いから、これほどきれいな港はないと思って喜び勇んでよく見たら、青い水が流れて水を青くしているのであります。そうして青い紙をすいたその廃液がそのまま流れてきて、港の水が青くなっている。住民に聞いたら、きょうは青い水、日にちが変われば、赤い紙をすけばこれは赤い水になって、港全体は赤くなる、こういうような話であります。こういうふうにしてみますと、染料の色によって変わる港、こういうようなのは依然としてまだそういうような行政の谷間に入っているのです。その中にみな入っているのです。そうしてその港であれども、一キロ半も離れた沖合いで魚を生かしておくというような現状です。これが水質を管理するあなたの直接の仕事になっている、遠いけれども、愛媛県の実態なんです。これも瀬戸内海ですが、早くこの辺の水質を完全にして全きを期するようにことさらに要望しておきたいと思います。いままで長官が言ったことを急いでこれを実現するように心から要請いたします。  終わります。
  162. 加藤清二

    加藤委員長 次は、佐藤観樹君。
  163. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私はいま問題になっております伊勢湾、三河湾の異常赤潮の問題についてちょっとお伺いしたいと思います。  この伊勢湾、三河湾の赤潮は、九月の十九日に始まりまして、九月の二十四日、二十五日、二十六、二十七、二十九、三十、十月一日、二日、すでに二十八日を除いて全部赤潮が出ているということでございます。  まず水産庁にお伺いしたいと思うのでございますけれども、昨日の中日新聞によりますと、また続いて真珠のもとでございます真珠貝を取っております英虞湾でも、真珠がほとんど全滅の状態であるということでございます。そして、ここにこんな写真を借りてきておりますけれども、九月三十日は、蒲郡の沖、星越海岸では、見てください、海岸が魚の死骸で白くなっているわけですね。これはみな窒息死です。これは後ほど公害対策副本部長である山中総務長官に進呈したいと思うのでございますけれども、そういうような状態になっておるわけです。そして中日新聞のほうで海にもぐりますと、ヘドロが五十センチから六十センチたまっていて、潜水夫が二人もぐって再び海の中で会おうと思ったら二度と会えなかった、こういう状態でございます。ここに沈んでおりますのは魚でございますけれども、取ろうと思ったらばらばらになってつかむことさえできなかったという状態になっているわけでございます。それで、このように異常に発生した赤潮に対して、先ほど林委員のほうから御質問がございまして、若干の答弁がございましたけれども、確かに伊勢湾、三河湾というところは、構造的に非常に赤潮が起きやすいところだというように聞いております。そしてまた、時期的に見ましても冷え込む時期には起こるということもあるし、前にも多々あったわけでございます。しかし、この七年間に赤潮が十倍回数がふえている。そしてまた、今度の赤潮は硫黄くさいとか、あるいは薬くさいということが住民に言われていて、いままでの赤潮とちょっと違うということが言われているわけです。私たちがここで赤潮だ、硫化水素だという論議をしておりますけれども、これはもっと端的に考えてみて、東宝の映画じゃないけれども、ゴジラという怪物が伊勢湾、三河湾に来たのと同じ状態ではないかと思います。いまわれわれの話しているときでもぶくぶく硫化水素が上がってきて——硫化水素は、御承知のように大気汚染の大きな原因でございます亜硫酸ガスと同じような種類のものでございます。そういう種類のものが、現在なお怪物が三河湾、伊勢湾におるということです。これは三河湾、伊勢湾ばかりじゃなくて、いままで問題になった田子の浦にしろ、大阪湾にしろ、東京湾にしろ、各地にこういう怪物が、魚ばかりではなくてわれわれをもねらっているというような状態をとらえてみるときに、これは十一月いっぱいにやります、十二月いっぱいにやりますという答弁では、私は少しなまぬるいのではないかと思うわけでございます。  そこで、まず水産庁にお伺いしたいのは、このような状態に赤潮がたびたび訪れる。これは先ほど答弁がございましたけれども、単なる自然現象だけではないんじゃないか。そこには工場の汚水なり、あるいは都市の下水、あるいは臨海工業地帯で三河港をつくっておりますけれども、この臨海工業地帯の埋め立てその他の人為的な要因、こういうものが加わって植物性バクテリアが起こりやすい状態になっているのではないか。まず今度のこの赤潮騒動について、水産庁としてはどのようなものを原因としてつかんでおられるかをお伺いしたいと思います。
  164. 大和田啓気

    ○大和田説明員 毎々申し上げておることでございますけれども、赤潮の成因はきわめて複雑でございます。一般的には都市用水あるいは都市の屎尿、あるいは洪水等の現象によって川水が一挙に海に出た、そういうことを基盤にいたしまして、水温あるいは海の流れ等が原因になり、また場合によりましてはビタミンB12という一種の刺激剤が作用して赤潮になるわけでございますけれども、それでは都市用水あるいは都市の屎尿がなければ赤潮は起こらないかというと、必ずしもそうではございませんで、私どもの調査によりましても、たとえば長崎県の大村湾のごときは、近所に大きな都市もございませんし、工場もございませんが、しかし、そういうとどろでよく赤潮が起こっておるわけでございます。  そこで、これはここ数年来私ども各種の研究機関を動員して調査検討いたしておるわけでございますけれども、この三年ほど最も力を入れてやりました徳山湾における調査におきましても、プランクトンの種類がそこで八十くらいあって、いろいろな形で赤潮が——その中に赤潮にならないものも当然多数あるわけでございますが、いろいろな組み合わせで起こるわけでございます。自然現象だというふうにも断定できませんし、私どもただいまの時点におきましては、工場用水あるいは屎尿が相当有力な原因をなしておるというふうには考えられますけれども、ただそういうようなものだけで、自然的な原因にはよらないで、ただ全く人為的なものだというふうにも断定できない状態でございます。  そこで、いまお話がございましたように、ことしの赤潮の発生はいままでと比べまして相当深刻でございます。瀬戸内海におきましてもそうでございますし、伊勢湾等においてもそうでございますので、私どもいま東京の東海区水研、それから広島にあります南西海区水研、これは水産庁の国立試験場でございますけれども、それが主体になって、各県の試験場あるいは学者を動員いたしまして、なかなかむずかしいことでございますけれども、もう一度赤潮の本質に迫ろうということで、現在研究の開始をいたしておるわけでございます。
  165. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 いまの問題でございますけれども、私も原因その他につきましては確かに決め手がないということもいろいろ読んでおりますし、あるいは先月のこの委員会でも論議をしておりますので、その点は時間がないので、重複を避けたいと思いますが、ただ簡単に自然現象の連続であると私は言えないと思うのです。その点で、いま長官もお話がございましたように、調べるということでございますし、明日には赤潮研究協議会でございますか、あるということでございますので、瀬戸内海の徳山湾と同じように、ひとつ水産庁が中心となりまして、愛知県、三重県を誘いまして、緊急にこの赤潮の実態について調べていただけないか。その際に、海底にどのような物質がたまっているのか、そしてそのヘドロの内容は何か、十年前とどのように変化したのか、赤潮との関係はどうか、今度の特徴でございます薬品または硫黄のにおいというのは一体どういうものなのか、そしてこれが従来の赤潮とどういうように関係があるのか、このまま放置しておいていいものかどうか、これらの諸点につきましてひとつ御動員を願えないか、こういうふうに思うわけでございます。ただ、聞くところによりますと、これを調べるにもいろいろ時間がかかりますけれども、私も、県の水産課に行って聞きましたところでは、すでに三日前にノリの作付、ノリをつけるのをほぼ終わったということでございます。ただ、いまのような状態では必ずしもこのノリ自体も安全かどうかわからないと思うのです。そういう意味におきまして、なるべく赤潮に対する資料を集めるという意味においても、ひとつ緊急に本腰を入れてこの三河湾、伊勢湾の赤潮の実態を調査してもらえないか、そういうふうに要望したいのでございますが、いかがでございましょうか。
  166. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども、ことしの大がかりの調査をやりますときは、実は瀬戸内海を頭に置いて始めたことで、伊勢湾、三河湾の赤潮というのはまだそれほどの問題になっておらないときでございますれけども、その後の推移を見ますと、伊勢湾、三河湾におきましてもゆるがせにできない問題でございますので、両県の試験場とも連絡をとりまして、この地方の赤潮についても調査検討を進めるつもりでやっておるわけでございます。
  167. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 たいへん時間がございませんので、きょうは運輸省の方にも来ていただいたのですが、ちょっと飛ばさしていただきまして、経済企画庁の方にお伺いしたいと思います。この三河湾、伊勢湾に関係ある地域で、海域の水質指定と申しますか、がされているのはどことどこでしょうか。
  168. 西川喬

    西川説明員 お答え申し上げます。  現在の段階におきましては、伊勢湾、三河湾関係で指定水域になっておりますところは矢作川出口のところの一部海域と、それから衣浦の湾奥部でございます。それと四日市・鈴鹿地先の海域、その三カ所でございます。
  169. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 私は、いま伊勢湾、三河湾がこのようなひどい状態になっているとなると、いまの水質指定という考え方自体ずいぶん変えなければいけないのじゃないか、そういう時期に来ているのではないかと思います。きょうも午前中厚生大臣のお話もございましたけれども、この際、この水域指定というものを根本的に考えなければいけないのではないか、そしてこういうふうに考えていかなければいけないのじゃないかと思うのです。つまり海の環境基準を守るためには、海の水質環境基準というものをどの辺にきめなければいけない、そのためにはそこの名古屋港なり、あるいは衣浦港なりあるいは三河港なりというものをどの辺に設定しなければいけない、そしてこの伊勢湾、三河湾に流れ込む木曽川、長良川、揖斐川、あるいは矢作川、境川、そういうような川を、いま汚染されている度合いなりあるいは水量なりというものに従ってきめていく、つまり最終的に流れ込む海の水質というものをこのくらいに設定すれば人間の環境には適合する、それに従って川なり、あるいはそれに隣接する、排出する工場なり、あるいは家庭の汚水物なり、そういうものを規制していかなければいけないのじゃないか、そういう考えに変えていかなければならぬのじゃないかということを、今度の赤潮騒動というものは教えたんじゃないかと私は思うのでございますが、その辺の考え方はいかがですか。
  170. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 全く私も同感でございます。まあ川と海とは一体でございますから、やはり海と川を一体にして設定していく、こういう方針でいかなければいかぬと思います。率直に言いまして、公害問題が起こってまいりまして、わりあいに町に接着しておる河川が最初中心になって取り上げられました。それからまた従来の資料調査関係等がありまして河川単独できめた例はたくさんございます。最近に至って資料の整備とともに、たとえば水島湾と高梁川の水質とを一緒にきめるとか、そのほかたとえば四日市と鈴鹿の例であるとか、できるだけいまあなたの御指摘になったような方向でこれからはやっていかなければならない、こういうふうに考えております。
  171. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 しつこいようでございますが、そういうふうに考え方を変えていくというのは一体いつごろか、一年後なのか二年後なのか、あるいはもっと先の話なのか、その辺は、時期的にどういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
  172. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いま例に申し上げたのは、すでにそれでやっているわけです。それで、たとえば伊勢湾なんかも、木曽川もすでにきまっていますけれども、しかし、その他の川できまらぬものがあります。それは伊勢湾全体としてきめていきたい。それからまた三河湾はあそこに流れる豊川、これと一緒に三河湾をきめていきたい。近々中に地域の指定、水質基準、こういうものをきめる予定にしています。
  173. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 時間はまだよろしゅうございますね。——運輸省の方にお伺いしたいのですが、今度の赤潮騒動の原因といわれている中には、一つは名古屋港の温度が非常に上がっているという問題と、もう一つは三河湾の三河港に隣接する地域の埋め立ての問題が理由ではないかといわれているわけです。この埋め立てが、サンドポンプを使いまして水中から土砂を吸い上げて、土砂だけ残してまた海に戻すというやり方をやっている。つまりサンドポンプを使いまして海水というものをかき回しているということをいまやっているのであります。そうしますと、岸辺に魚がつこうと思っても根っからかき回された水のために魚がよりつかなくなってしまう。どうもまわりの人の話によりますと、この臨海工業地帯の造成が始まってからこの二、三年というもの、水質が悪化した。たとえばこのデータを見ましても、昨年夏のデータでございますけれども、BOD標準一リットル中五から七ccなければいけないものが、〇・五から三ccということになっている。化学的酸素要求量でも、一PPM以下でなければいけないのが二PPMから三PPMという状態になっている。これがいま申しました三河湾の奥でございます。これは臨海工業地帯の造成が始まってからこのようになったというふうにいわれているわけでございますけれども、このように静かな、ほとんど流れのないといわれておる湾の奥に港をつくる場合には、かなりいろいろのことを考えてやらなければいけないのじゃないか。いままでの臨海工業地帯の造成に対しては、陸上からだけものごとを考えていて、海上からのことを考えていなかったのじゃないかと思うのですが、その辺、このような内海における港湾建設の問題について、運輸省としてはどのように考えていらっしゃるか、御見解を承りたいと思います。
  174. 竹内良夫

    ○竹内説明員 港湾の建設に関しまして、従来まで一年間に大体三億立方メートルくらいの土を毎年動かしてきていたわけでございますが、それと赤潮との関係は、従来あまり関係がなかったようでございますので、私どもといたしましては、赤潮と港湾の建設との間には因果関係はないものと考えていたわけでございます。そういうことでございまして、今後もし専門のほうの水産庁等の御調査がございました場合には、ぜひ一緒に調査をさせていただきたいというふうに思っております。もし三河湾の湾奥に——港湾の計画でございますが、この計画はやはり非常に高いポテンシャルの場所でございますので、やはり港湾としては開発を進めていかなくてはいけないと思っております。しかし、もし調査の結果、それがマイナスであるということになりますと、その工事の方法論等につきまして十分調査していきたいというふうに考えております。
  175. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 これは運輸省に属するのか、あるいは建設省に属するのか、あるいは県に属するのか、非常にいろいろまじっているところでございますが、三河湾がこのような状態になった以上、三河湾あるいは衣浦湾の調査が済むまで、新しい工場の造設、つまり臨海工業地帯の上に乗る工場には待ったをかけるべきではないか。あるいはそれはおたくに権限がないかもしれない、あるいはこれは建設省の権限になるかもしれませんけれども、いまでさえ工場の排水でこれだけなっている以上、さらに工場が加わって、このほとんど動かない海に流された場合には、幾ら規制するといっても、ある程度は出てくることは間違いないわけですから、さらにこの上加わったということでは、これはますます三河湾というものは死の海になってしまうのではないかというふうに懸念するわけですけれども、海の汚濁を防ぐためにも、工場の新造設を規制すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  176. 山中貞則

    ○山中国務大臣 何でも私ということで、答弁はいたしますが……。これからの企業立地条件の策定にあたりましては、これは経企庁長官のほうが所管いたしております新全国総合開発計画のレイアウトのしかた、あるいはそれぞれの県ブロック等において考えられる企業立地の定め方等がいままでは地域の繁栄ということのみで、ただいま確かに佐藤君の言われるように、陸上からながめた立地でありました。やはりこれからは広い意味の海洋汚濁あるいは湾内等のそのような天然の動植物、そういうようなもの等への影響等も考慮した設計あるいは設定がなされなければならない現実がそこに生まれておると思います。どこの役所ということでもありませんが、埋め立て、あるいは工場造成、工場誘致、あるいは許認可等については、今後地域知事、あるいは市町村長、あるいは国、それを許認可する官庁等においては、十分に周辺の民意等を配慮しながら、また国自体の考えもそこに明らかにして許可するならばそれはだいじょうぶである、どのようなことを確認したかということを検討された後に決定さるべきが、今後の産業立地のレイアウトであろうというふうに考えるわけであります。
  177. 佐藤観樹

    佐藤(観)委員 最後に、このような伊勢湾、三河湾の汚濁の問題については、やはり何といっても下水道の整備というものを早急にはからなければいけないと思いますが、この問題は非常に大きな問題でございますので、本日は時間がございませんので次回に譲らしていただき、また本日は赤松先生が同じ問題についてやっていただきますので、補っていただくことにいたしまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  178. 加藤清二

    加藤委員長 次は、藤田高敏君。
  179. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 私は、先ほど関連質問をさしていただきましたので、限られた時間、二十分程度でございますが、以下質問をいたしたいと思います。  先ほどの三島・川之江地区のヘドロ問題に関連をしてお尋ねをいたしたいわけでありますが、例の衆議院の公害視察調査団がまいりましてから、経済企画庁等におきましても現地をさらに調査に行かれたと思いますが、調査に行った実態、先ほどから問題になっておりますように、水質保全法の対象として地域指定、海域指定をやる場合に、どういう実態であったかという実態把握について聞かしてもらいたい。あえてこのことを申し上げますのは、先ほど海上保安庁のどなたかが答弁をされておりましたが、後ほど触れますが、十月の二日に県の農林、商工両部長が現地に行きまして、いわゆる漁業補償と申しましょうか、漁業者に対する補償金の問題を中心に、一つの中間的な解決策というものを考えたようでありますけれども、あそこのヘドロの実態というもの、あるいは工場から汚水を出しておる実態というものについては、何ら改善もされていないわけですから、問題は、経企庁においても、あるいは通産省においても、その他各省が今後対策を講じていく場合に、現実の事実認識に誤りがあってはなりません。そういう立場から調査の結果についてひとつ聞かしていただきたいと思います。
  180. 西川喬

    西川説明員 先日の問題がありましてから、私どもの担当課長が現地に行っていろいろ調整をはかり、実態を調べておりますが、海水の分析値の問題につきましては、これは調査はすぐではできませんので、県がいま県費で調査をいたしておりますそのデータを見ているわけでございますが、それによりますと、やはり相当沖合いまで現在汚濁が三十九年当時と比べると前進しているという実態が出ております。約二キロ以上の沖合いにおきましてCODが四ないし五というようなデータが出ております。漁業として望ましい環境基準といたしましては三PPMというものが決定されているわけでございますが、それをオーバーしてございます。これは三十九年当時におきましては、せいぜい五百メートルかそこらのところでございましたのが、いま二キロメートル程度まで、そのように汚濁しているというような状況が入ってきております。  ヘドロの問題につきましては、大体沖合いの約三キロメートルくらいまでが海底にヘドロがたまっているのではないかということでございますが、そのうち非常に悪臭を発するような汚泥がたまっておりますのは約一・五キロメートルくらいまでというふうになっております。特に赤之井川のパルプの大量排水がありますところの河口付近にたくさんだまっているというような状況がはっきりいたしております。私ども年内を目標に基準を設定しなければならないわけでございますが、これをいたしますためには、この海域のあれだけではございませんで、どのくらい汚濁量を減らさなければいけないかというようなことから、工場の排水口のほうの汚濁量の調査、これを現在県のほうにも督促いたしまして早急にデータをとるように、このデータは、一ぺんだけではなかなか工場の廃水はばらつきが多うございまして、その変動範囲がございます。一度だけのデータでは完全ではございませんので、何回かをとりまして、変動の範囲を押えるようにということで、大体このデータがまとまりますのが十月一ぱいというようなことで、現在県のほうを督促しているような段階でございます。そのデータがまとまりまして、排水口のデータが出てきましたところでこれを解析いたしまして、それといままでわかっております海域そのものの汚染状況というものを見比べまして、どのくらいカットしなければいけないか、それによりまして現在のたとえば四PPM、五PPMの線をずっと後退させなければならないというような場合に、どの辺まで後退できるかというようなことを解析しなければいかぬわけでございます。そのあれを、先ほどからも非常に問題が出たわけでございますけれども、一生懸命詰めまして、何とかして私どもとしましては年内に取りまとめたいという方向で現在やっておる、そういう状況でございます。
  181. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いままでの質問は、主として愛媛県側を主体に質問をしましたが、このヘドロの被害はお隣の香川県まで及んでおるわけですから、これは当然のこととして、環境基準を設定するときには香川県も含めておやりになると思いますが、そういうことになるかどうか。そしてまた愛媛県だけでなくして、香川県のほうも並行してそういう調査をしておるかどうかということをお尋ねいたしたいと思います。  時間の関係がありますので、関連することについて質問点を先に出していきたいと思いますが、通産省にお尋ねします。私はけさがたもこれに関連をして意見を出したわけでありますが、いわゆる三十九年当時の先ほど来から問題になりました経過から見て、これだけひどい悪水を流しておるわけですから、最近の公害常識からいけば、私は一定期間操業を直ちに停止させてでも、工場の汚水、廃水、悪水をなくするような改善策をこれは当然通産省としても行政指導としておやりになるべきではなかろうか。現実の問題として、完全操業停止ということがむずかしければ、例の大昭和製紙ではないけれども、一部悪水を流す状態を緩和さすという、操業短縮と申しますか、そういうような方法を講じてでも、私はこの問題にもっと積極的に通産当局としても取り組むべきではなかろうか、そのことが一点。  いま一つは、精力的に海域の指定をやる、こう言っているわけですけれども、通産省の常識から見て企業側が精力的に誠意をもってやれば、大王なり丸柱製紙を中心にした施設改善というものは、何カ月ぐらいやったらできると見ているのか。そうして、そういう時間的なものが通産当局なり関係当局でわかれば、そのことについて、企業家に対してもそういうしりをくくった、期限をきめて改善措置をとらすべきだと思うのですが、その点に対する考え方はどうか。  いま一つの問題は、これは経済企画庁、通産省、あるいは水産庁を含めてでございますけれども、先ほど保安庁の方が言われましたが、四項目で県があっせんに入って、一、二、三、四と二千万円の補償金でひとまず解決したと言っておりますけれども、この四項目というのはいまからやらなければいけないことですが、この県が出したあっせん案に対して、国の関係当局の意向というものはこの中に実質的に反映しておるのかどうか、この点ひとつお尋ねしたいと思います。
  182. 西川喬

    西川説明員 企画庁の関係の御質問お答えいたします。  第一点の香川県の問題でございますが、香川県につきましても、県のほうが、これは愛媛県の地先海域ほど点数は多くはございませんが、調査をいたしております。そして、それも参考にいたしまして、現在のところ私どものほうでつかんでおりますのでは、漁港のあります豊浜の前面におきまして、この場合は二PPM程度ということで比較的良好でございます。基準の設定といたしましては、海水基準そのものは愛媛県管内にかけることになりますが、環境基準といたしましては愛媛県の排出先から出てまいります汚濁というものの拡散も考えまして、当然香川県域につきましても、環境基準というものはあわせて設定するという考えで現在作業を進めようと思っております。  それから、最後の点の県のあっせんの問題でございますが、この点に関しましては、経済企画庁のほうといたしましては相談にあずかっておりません。
  183. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 伊予三島の対策につきまして非常に立ちおくれがございまして、現在のような状況に立ち至りましたことは、われわれの対策が足りなかった点重々おわびいたしたいと思いますが、現在の会社側の計画によりますと、緊急対策といたしまして現在応急沈でん池、沈でん式の繊維分離装置とか、あるいは回転式の網とか、いろいろ緊急対策を立てておりまして、これはほぼ本年の十二月末になりますれば効果が出てまいりまして、現在のSSのカットには相当役に立つのではないかと考えております。  さらに、恒久対策といたしまして、大王製紙、丸住製紙をはじめといたしまして、大手企業につきましては大体資金の金額で約三十億円、それから中小企業につきましては約七億円の設備投資計画が出てまいりまして、その面の国の関係政府金融機関あるいは県の融資制度その他に対する要望が出ておるのですが、これは何をおいても全面的に国でも力を入れてこの設備計画を完成させようという体制で進んでおりまして、この工事が順調に進みますと、四十六年の十二月までにはほぼ完全に恒久対策の設備もでき上がるのではないかというぐあいに考えておるわけでございます。  ただ、これではもちろん時間的な差がございまして、現在の状態をどうするかという先生の御質問に対しましては、直接の対策にならないわけでございますが、現在の緊急対策は、県が仲に入りまして、漁業者、製紙業者を集めまして、いろいろ対策を練っておるというぐあいに聞いておるわけでございますが、その辺の状況も十分にらみ合わせまして、必要とあらば田子の浦でやりましたSSのカットという対策を通産省といたしましても十分検討いたしまして、それを用意するということを考えたいと思います。
  184. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 通産省にお尋ねしますが、先ほど私が三十九年のときの行政責任を問う質問をしたことに関連をして申し上げましたが、その政治的な実態というものは今日といえども変わってないわけなんですよ。それが加藤委員長のほうからああいう説明のあったことになっておるわけなんですから、そういう点ではもちろん行政上は県との関係ということは大切でございましょう。しかしながら、この地域の、事三島・川之江地区における製紙業に関係する公害問題に関する限りは、国がもっと積極的に出ていって、積極的な対策を講じてもらいたい、講じるべきだ。そういう意味から、いまの答弁ではありませんけれども、県が仲へ入ってどうこうするということにはたよらないで、国の自主的判断に基づいた積極的な施策を講じてもらいたい、このことを要請しておきます。  水産庁にお尋ねしますが、この問題に関連して、水産庁は現地へ直接行ってこの実態を調べているかどうか。少なくともこれだけ漁民が、香川県県境を越えて大がかりな海上デモをやるほど地域的には重大な社会問題になっている、その現地の実態を調べているかどうか。それに基づく水産庁の見解というものは、どういうものを持っておるかということをお尋ねしたい。  いま一つは、県が出しておる十月二日のあっせん案と称するものの内容について、水産庁としてはこの内容を知っておるのかどうか。そうして水産庁当局としては、漁民の生活なり、魚族の繁殖あるいは水産資源を守るという立場から考えて、この問題に対してはどういう積極的な施策というものを水産当局としては考えているか、このことをお尋ねいたしたいと思います。
  185. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども農林省が、直接本省から出て調査はいたしておりませんけれども、私ども全国的に幾つかの重要なといいますか、あぶない漁場に対しまして、漁場環境保全基礎調査という相当大がかりな委託調査を県にやってもらっておるわけです。これはことしの事業です。近くその報告があるわけでございますから、それをもとにして私ども対策を十分検討するというつもりでおるわけでございます。  それから、ただいまお話のあっせん案につきましては、あるいは係のほうで若干話を聞いておるかもわかりませんけれども、正式に水産庁に相談があったということはございません。
  186. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 事務当局段階でいま少しく煮詰めていきたいことがあるわけですが、時間の関係がありますから、最後に総務長官にお尋ねをしたいと思います。  公害対策本部ができて、長官がいわゆる副総理格でおやりになるというそのときに、公害問題に対してはたいへんな意気込みの姿勢を示されたわけであります。たしか私の記憶に間違いがなければ、ヘドロでも何でも公害問題に関する限りは、私でよかったらかぶっていくというぐらいな意気込みを示されたわけでありますが、全国的に見て、このヘドロ公害が非常にたくさん起こっておるわけなんですね。このヘドロ問題の所管は、あなたのところでおやりになるのか、それともどこか他の省に担当さしてやらすのかどうか、この点が一つ。  第二の問題点は、ヘドロ処理の問題について、先ほどちょっと意見が出ておりましたが、愛媛県の場合は、臨海土地造成のためにこのヘドロを使いたいというようなことが出ておるようですけれども、これは、私も専門的なことがわからないので、教えてもらいたいわけですが、こういうものを土地造成のいわゆる砂利にかわるべきものとして、材料に使った場合、ヘドロ公害がまたヘドロ公害を生むようなことはないのかどうか。そこらについて、研究はなされているのかどうかということをお尋ねいたしたい。  いま一つの問題は、これはヘドロ問題とは全然違った問題でありますが、いま全国的にアルミの生産がたいへん多くなっております。愛媛県の新居浜市に一昨年アルミの弗素ガス問題が起こりまして、約二百ヘクタールに及ぶ稲作被害が起こって、これは会社もすぐそのことを認めてこの解決をしたわけでありますが、その後やはり依然として弗素ガスの影響があるのじゃないかということで、いまのところは限られた地域でありますが、この間衆議院の公害対策特別委員の連中が視察に行きましたときにも、集団検診、集団移動の問題が陳情をされたわけであります。これは、なかなかむずかしいことかもわかりませんけれども、会社側にしてみれば、これは明らかにこの公害発生源はうちの会社責任だということが明確にならないと、この集団移動についても会社にその対策費を出さすということは、これは現実の問題としてなかなかむずかしいのではなかろうか。さりとて、その地域住民は、具体的な事実を通して非常にからだの変調、不調を訴えております。そういうことになりますと、この集団移動の必要性があるかどうかは、一つには医者の診断も必要でありましょうけれども、現実の問題としては、費用負担をどこがやるにしても、暫定的には国の機関を中心とした公的機関がその金の立てかえをやるなり、あるいは企業側に対してその費用負担をやらすなりして私は集団移動の問題についても考えないことには、住民の健康なり生命を守っていくことができない。こう思うわけでありますが、そういう問題が起こったときの集団移動に関する行政上の指導方針というものについて、長官の見解を聞かしていただきたいと思います。
  187. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ヘドロはどこの所管かという、これは実は公害対策関係閣僚会議でも佐藤経企庁長官から持ち出されまして、まあ所管という言い方が少しおかしいのですが、ヘドロは本来天然に長年蓄積された水底の堆積物でありましょうし、二千メートル以上の深い海底でも一応あるものである。しかし、いまわれわれがヘドロといって議論をしておるのは有毒、もしくは有機物を含んだそういう人工的につくり出されたものが堆積をして、天然ヘドロを汚染したり、さらに堆積の蓄積を重ねたりというものが、われわれ人類の居住環境、場合によっては生命に影響を与えつつある、この問題をどうするかという問題だと思います。そういう意味では、港湾内はこれは運輸省、河川、海岸等については建設省、内水面等の漁業権等の設定されておる水面の湖底等については水産庁という、いろいろとそれぞれ事業主体等によって分けられると思いますが、全般的にそのようなものは、全部のヘドロと申しますか、俗にいういま問題にしておるという意味のヘドロということでこれから申し上げますが、そのヘドロ問題は、やはりその地区、あるいは汚染された場所という問題でヘドロの問題提起の内容が第一違いますから、それらの地区についてどのような処理をするかということにおいて、その主導権をとっていく主管庁が違ってくるであろう。そして、関係官庁はそれに対して応援をする体制で、対策本部がそれをリードして調整していくということに現実にはなろうかと考えるわけであります。  なおまた、処理の方法の一つに、埋め立ての土砂としてヘドロを吸い上げて使うということが一応いわれておる。これは場所によってはたいへん有効な方法ではないかと思います。東京湾でもそういう話が一応伝わっておりますし、北九州の洞海湾あたりでも、あの濁った海面の、二メートルに及ぶといわれる長年の蓄積された工場廃液等が累積していった堆積物、こういうものをやはり埋め立ての土砂として使って、その上にきれいな公園とか、あるいは森林地帯——森林と申しますか緑地帯、公園みたいなものをつくろうというような、いろいろな計画があるようですけれども、これはまわりに囲いをしっかりして、そうしてきちんとした護岸みたいに外洋あるいは関係水面を遮断をして、その中で処理をして、しかも処理の過程で硫化ガス等の有害物質の発生しないような手段を講じつつ、その中で乾燥していって、次第にそれをいろいろな都市の廃棄物その他と一緒にまぜながらほうり込んでいって、やがては一番上層に覆土をして、そうしてきれいな土として固まっていけば、しかもまた、そこに緑地帯等ができて、公園等ができていけば、私は非常に簡単で有効な、海をきれいにするいい方法ではないかと思っておりますが、そういう手段がとれない場所もあるし、とれない物質もあるように思います。これらのことは、全般論として、埋め立てに使用してもらって、そうして海の底がきれいになるものならば、たいへんやりやすい形式の一つであろうというふうに思うわけでございます。  それから、弗素ガスの稲作その他に対する大気汚染、土壌汚染等に関連をしてのお話でございましょうが、具体的な案件そのものを行政実施官庁でございませんので私よく知りませんが、私のいわゆる基本的なあり方という立場からいえば、これは一つは、原因者はだれであるか、加害者はだれであるかという問題の提起であろうと私は思います。これは現在法務省に純法律理論、あるいは法執行の上の、具体的にそれが有効な法廷維持の手段として成り立ち得るか等の問題を前提としながら、専門的に、法務省プロパーで立案を急いでもらっております公害罪、あるいは挙証責任の被害者立証主義転換ですね、だから過誤もしくは自己の故意、過失によってやったものでないというその証明を自分自身がしなければならぬということの御承知のとおりの法体系にしようというわけでありますけれども、これらは大体成案を得ていただいたようでありまして、今月中には法務大臣と私との間で、その案でいけるかどうかについて、法務省の立場を主にしてお伺いをいたしまして、いままでの公害の万般の議論あるいは公害対策関係閣僚会議には、法務大臣はその問題ができ上がるまでは御列席をいただいておりませんので、それらの関係閣僚の責任ある議論の過程を踏まえて私と法務大臣と相談をいたしまして、あるいはもっときびしいものという感触をお伝えして練り直していただくかどうか、それらの相談を近くいたすことになっております。  一方、それらの現象によって、自分たちはもう土地への愛着あるいは居住地への愛着を断って去ろうという、人間としての最悪の、いわゆる自分の住んでいるところを立ちのくという、そういう集落の移転等の問題については、これは企業の費用負担の法律というものを、今回、次の臨時国会に提出する準備をいま進めております。これはもう御承知のように通産省の産業構造審議会公害対策部会の中間答申、厚生大臣の私的諮問機関である委員会の答申等がそれぞれございます。一長一短がございますが、その中で当然緑地帯の設定から、こういう集落移転を余儀なくされる場合の費用負担等に至るまで、これは全部法律で定めていくつもりでございますので、いまのところその法律のできる前に立てかえるということになりますと、国の段階でそれを立てかえたにしても、その法律ができ上がったならば、それは企業の負担に帰すべきものであった場合には、企業からそれを取り返してもらうということにやはりしなければならぬと思いますが、それは融資の手段なり起債の手段なりが考えられることになるだろうと思います。
  188. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 時間がありませんので、たいへん残念ですが、私はこれで終わりたいと思います。
  189. 加藤清二

    加藤委員長 多田時子君。
  190. 多田時子

    ○多田委員 ただいま議題に上っております弗素ガスの問題について二、三お尋ねしたいと思います。  先ほど厚生大臣環境基準排出基準等についてお尋ねいたしましたが、もう一度最初に戻りまして、この弗素ガスによる影響が、いまも長官からお話がございましたように、いまだに何十年たっても同じようにこの弗素ガスの影響によって悩んでいる住民がたいへん多い、こういうことで、何十年来のことでございますので、その処理方法がいわゆる希苛性ソーダの水溶液等によって行なわれてまいりましたが、委員会等でも検討されていることと思いますので、その辺の弗素ガスの処理方法というものについて、現段階一歩前進の段階が見られるかどうか、今後も旧態依然とした方法で行なわれていくものかどうか、その辺について厚生省の方にお尋ねしたいと思います。
  191. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 弗化水素の人体に対する影響につきましては、いわゆる急性、慢性、それぞれあるわけでございますけれども、急性のものにつきましては主として粘膜に対する強い刺激作用ということになっておりますが、高濃度のガスを吸入したような場合には、場合によると肺水腫あるいは気管支炎を起こすということも報告されております。慢性の影響につきましては一般的には骨が硬化して貧血を起こす、あるいは食欲不振、体重減少、そういうような現象を起こすということも一般に報告されております。  この弗化水素による大気汚染住民への影響につきましては、先般喜多方につきまして私ども調査いたしまして、その結果では植物被害はかなり著明でございますけれども、この弗化物の過剰摂取による悪影響と見られるようなデータは、集団的にも個人的にも認め得なかったのでございますが、しかし、いずれにしましても、他の汚染地域等もいろいろデータもございますので、引き続き追跡調査をいたしてまいりたい、そういうふうに考えております。  したがいまして、いずれにしましても一般的な問題としましては現在程度といいますか、弗化物につきましては、現在報告されておる範囲では大体植物被害につきましては、これははっきりしたデータがございますけれども、人体に直ちに影響があるというところまでは、一般的にはそういうデータは得られておらない、そういうことであります。
  192. 多田時子

    ○多田委員 いま私のお尋ねいたしましたのは処理方法の問題でありまして、希苛性ソーダ水溶液による処理方法をとっておりますけれども、現時点において一歩前進したかどうか、微量でも植物には敏感に影響するという強い刺激を持っておりますので、その処理方法については鋭意努力を重ねておいでのことと思いますので、その処理方法についてお尋ねしたいわけなんです。
  193. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  アルミニウムの精錬工場で弗化水素の発生いたしますのは、氷晶石とアルミナをまぜてこれを電解する電解槽から発生するものでございまして、現在できるだけ弗化水素の漏れを防ぐために電解槽を密閉いたしまして、密閉部分から出る弗化水素をパイプで吸いまして、電気集じん機で除じんをいたしました後、洗浄塔に送りまして、洗浄塔で弗化水素を水で洗いまして、洗った水に弗化水素が溶けるわけでございますが、これにアルミン酸ソーダで沈でんをさせまして、沈でんをさせますと、ここで氷晶石と同じ物質になりまして、これをもう一度電解槽に返すということをやっております。ただし、この方法をやりましても、電解工場の建屋の中になお若干漏れるようになっておりまして、従来これの捕集が必ずしも十分でなかったということでございますので、電解槽の建屋の上からやはりモーターで吸い出しまして、ここでやはり同じように水洗をいたしまして、弗化水素を水に溶かしてこれをもう一度電解槽からとった沈でん槽のほうに送る、同じ方法に返しまして、氷晶石に返して電解槽に戻すという方法をとっております。この方法によりますと、従来五PPM等の高い弗化水素が漏れておったわけでございますが、かなり低く相なりまして、現在は福島県、富山県、新潟県では、県の条例で弗化水素の排出の基準を設けておりますが、この基準に適合できる装置になるというふうに考えておる次第でございます。
  194. 多田時子

    ○多田委員 そうしますと、現在の処理方法は、いままでと何ら変わりはないというふうに理解できるわけでございますけれども、こうした状況のもとで農作物には相変わらず被害がありまして、過日は福島の喜多方に行ってまいりましたけれども、確かに、先ほどもお話が出ておりましたが、その辺一帯の住民は、会社がどくか自分たちがどくかという、最終段階、そこまで考えておられるようでございます。農作物の被害が多いということは、すなわちその人々の精神的なショックがあまりにも大き過ぎる、このように考えられるわけでございます。そのために弗化物による大気汚染防止研究委員会というものができて、そのための研究を鋭意重ねていられるようでございますが、先ほど厚生大臣のお話によりますと、この委員会はまだ発足していないというふうにおっしゃったように私ちょっと伺ったのですが、この辺の現在の活動状況、あるいは進行状況について、お願いしたいと思います。
  195. 本田早苗

    ○本田説明員 補足させていただきたいと思いますが、先ほど御指摘がありました福島県のアルミニウムの精錬工場におきましては、工場が古い設備でございましたために弗化水素の排出が多かったわけでございますが、先ほどの方法を完備することにいたしまして、四十三年度には六・三PPM出ておりまして、四十四年には五・三PPMに下がりましたが、これを二・〇PPM以下に下げたいということで、現在設備の整備をやっておるわけでございまして、処理方法としては従来のなにでございますが、設備を完備いたしますと、排出量は急激に低く下がるという見込みでございます。
  196. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 先生のおっしゃいました大気汚染防止委員会は、あるいは地元関係者によってつくられておる委員会ではなかろうかと思うのですが、そうであるとしますと、午前中厚生大臣が申し上げましたのはちょっと質問のあれを取り違えたようでございまして、大臣が申し上げました、まだできていないというのは、御質問にございました点、環境基準の設定等についてはもう研究会で始めておるのかというふうにおとりになって、そういう意味での里門委員会等はまだできていないというふうに申し上げたのではなかろうかと思います。御了承願います。
  197. 多田時子

    ○多田委員 その委員会なるものが現地でつくられているとすれば、やはり現地の人々にこうした重大な問題をまかせておいていいものであろうか、こういうふうに考えるわけなんです。当然現地をよくよく承知しているのは現地の人々であろうと思いますが、こちら側の政府サイドとしても、その問題に対して積極的に解決を目ざして進んでいこうというお気持ちがあるならば、この委員会はむしろ、こちら側からも大挙委員会委員となって、ともにその問題の解決のために働いていくべきではないか、このように考えるわけでございますが、この辺についてはいかがなものでしょうか。
  198. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 先ほど私申し上げましたように、弗化水素等は主として植物被害ということで、直ちに人体に対する影響がまだはっきりしていないということから、おそらくそういうことで私どものほうに現地からも特別連絡なり、あるいは係官の派遣等についても要請がないのではなかろうかと思いますけれども、お話もございましたので、さっそく県を通じまして現地の様子も聞いていきたいと思います。一般的には、私どもの態度としましては、そういう現地でトラブルが、人体に影響を及ぼすような汚染があり、現地でそういう何らかの協議機関みたいなものができまして、中央に対して要望があれば、できる範囲でお手伝いするというのが、私どもの基本的態度でございます。
  199. 多田時子

    ○多田委員 その辺にやはりもの足りなさを感ずるわけなんです。人体にあまり影響はないというふうに一般的にはいわれているようでございますが、先日、福島医大の辻教授あるいは角田助教授等によりますと、若干斑状歯といわれる歯のいわゆる骨に対する影響があるというふうにもいわれております。そういう問題に対して、現地からの要請があればというふうな態度に私は大きな疑問があるわけなんです。現在のところ、全国十二工場、みなそれぞれ、福島の問題ばかりではなくて、長野の大町でも、福島以上の被害を受けて悩んでおります。そういうことに対して、もう一歩こちら側の国のとるべき姿勢というのが強力でなければならないのじゃないか、このように思います。そこで、その立場から、県条例等にまかせておきませんで、国としても環境基準排出基準等を早く定めて、そしてその基準に合うような指導行政あるいは工場の排出、排煙等に持っていかなければ、この問題はいつまでも片がつかないのではないか、このように考えるわけでございますけれども、その環境基準排出基準に対して、厚生大臣がおっしゃっておられましたけれども、再度お尋ねしたいと思います。
  200. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 午前中、厚生大臣からもお答えいたしましたように、現在、弗化水素等につきましては、大気汚染防止法では特定有害物質としてとら、えられておりまして、事故時に事後的に規制するというやり方になっております。特定有害物質は政令で二十八種類ほど定められておりますけれども、このうちの相当数のものは、やはり毒性その他から考えまして、常時規制の必要がある。そういうことで、私どもは、次の国会に提出を予定しております大気汚染防止法においては、その常時規制という方向で規制を加えるということを考えております。したがいまして、それに応じた排出基準も当然きめられることになるわけでございます。  それからまた、環境基準の問題につきましては、これも基礎研究がいろいろと出そろってまいりますので、できるだけ早い機会に専門委員会を生活環境審議会の中に設けまして、その作業にとりかかりたいというふうに考えております。
  201. 多田時子

    ○多田委員 実は昨日、この委員会の一員かどうかはわかりませんが、その弗素の問題に対して長年研究を続けていらっしゃる方にお目にかかりました。いろいろお話を伺ってまいりましたけれども、その方々のお話の状況では、どうもあまりこの委員会は進まないのではないかというふうに考えられました。そこで、こちらのサイドから、むしろ現地に乗り込んでいくぐらいの姿勢がほしいというふうに申し上げたわけでございます。  時間もありませんので、次に、通産省のほうに進みたいと思いますが、いわゆる周囲に対して、特に農作物等に対して打撃を与え、環境を破壊しておりますこのアルミ工場等に対する通産省としての指導のあり方といいますか、そういう問題について、現状をお知らせいただきたいものだと思います。
  202. 本田早苗

    ○本田説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、県の条例で三県が基準を設けて、排出を規制いたしておるわけでございますが、他の数県はまだ排出の基準について、これを設けるという段階になっておりません。そこで、われわれといたしましては、今後、新設する場合については、五百トン以上の生産をする工場につきましては、アルミニウム一トン当たり一・二キログラムの弗素、これはPPMに直しますと、すぐには換算できませんが、一・五か六ではなかろうかと思います。既設のものについては、福島の基準以下にするということで現在指導いたしておる次第でございます。
  203. 多田時子

    ○多田委員 いまのようなお話ですと、なななか解決点が見出せないような気がいたしまして、たいへん心配なわけでありますけれども、時間がありませんので、もう一つ、次の問題に移らせていただきます。  これはいま新聞や週刊誌等でも取り上げられておりますけれども、すでにアメリカでは禁止になっております245Tですか、この農薬によって、サル等の生物には奇形児が生まれるということは、これはもう周知の事実のようでございます。特に妊婦の体内にこれが入れば、これは完全に奇形児が生まれるというふうにおそれられておりますものが、いわゆる杉の若木等を生長させますため他の雑草等を刈り取るために、これがヘリコプターあたりから散布されておるようでございます。これはいわゆるブラシキラーとかいう薬のようですけれども、この問題について農林省にお尋ねしたいわけでございますが、これはやはり農林省の許可によってこの薬が使われていると、こう思われますが、その辺いかがでございましょうか。
  204. 福田秀夫

    ○福田説明員 お答えいたします。  ただいまお話にございました245T除草剤は、やはり一応農林省に登録になっておりまして、登録いたしませんと農薬は使えないものですから登録になっておりますけれども、森林の除草、下草刈りという条件で登録になっておりまして、それ以外のあれには使えないようになっておりますが、森林の除草には農林省の登録になっております。
  205. 多田時子

    ○多田委員 これは農林省御承知の上で使っているということになれば、私は、これはまたたいへんな問題だと思うわけですけれども、アメリカではすでに禁止されている。しかも、国土からいいますと、日本の場合はもう、幾ら森林と申しましても、これだけ狭い国土でございますので、アメリカのカーソン女史の言うように、「サイレントスプリング」というような状況が、日本の国のあちらこちらにもあらわれてくるのではないかという危惧の念を抱くわけでございまして、これはもう有毒であるということがはっきりしているものを、ほかの公害ならば生産過程で出てくるものとしてこれはあと始末をしなければならないわけですけれども、みずから好んで公害を空から散布する必要はなかろう、こういうふうに思われるわけですけれども、その辺の御所見はいかがでございましょうか。
  206. 福田秀夫

    ○福田説明員 245Tは非常に有効な除草剤ということで、森林の下草刈りに利用されてきましたが、御指摘のございましたように、本年の四月十五日でございましたか、アメリカの厚生省の発表によりますと、ラット及びマウスに多量の245Tを注射してみますというと、ラットの場合は奇形児を生じたが、マウスでは奇形児を生じないという御報告が行なわれました。それによりまして、アメリカでは現在家庭とか湖沼の周辺、食用作物における使用を登録から削除したようでございますけれども、森林での使用はまだ禁止しておらなくて、レクリエーション地帯とか水源地への散布をしないという指導をするという程度にとどまっているやに聞いております。先ほど申し上げましたように、わが国では森林の下草刈りに林野庁のほうでお使いになっておりまして、この面積は全林野の——ちょっと私記憶が間違っていると恐縮でございますが、〇・五ぐらいかと聞いております。  それから、下草刈りでございますので、新しく植林をしたところの下草刈りだけで、同じ場所には続けて使う必要がない、植林をしたところだけに使っておるというふうに聞いております。林野庁のほうでそういった植林地の下草刈りの労働力等々の問題からお使いになっておるようでございますが、御指摘のような問題もございますので、その影響等について今後さらに検討し、また情報も集めまして、林野庁といたしましてほかの代替農薬等の見込みがございますれば、そういった疑いのあるものはなるべくやめていきたいと思いますので、今後とも林野庁のほうと相談して検討してみたいと思います。
  207. 加藤清二

    加藤委員長 多田君申し上げます。まだ質問があるかと存じまするけれども、お約束の時間がまいりました。次の質問者が長時間待っておられまするので、まことに申しわけございませんが、質問がございましたらあとにしていただいて、次のバッターにお譲りのほどをお願いいたします。  西田八郎君。
  208. 西田八郎

    ○西田委員 経済企画庁長官がおられるときにと思ったんですが、お帰りになりましたので、政府公害対策を一手に引き受けておられます山中総務長官にお伺いしたいわけですが、いまいろいろと質疑応答の中で出てまいりました諸種の環境基準、いわゆる大気水質、騒音、振動、悪臭、有害毒物、いろいろと環境基準がきめられてきておるわけでございますけれども、今日公害が起こってきておるのは、やはりある自然の循環還元現象というものを人為的に補足することができないために結局起こってきておる問題ではなかろうかと思うわけであります。そうした観点から考えました場合に、これらの基準を定められるにあたりまして、一体人体に対する最大許容量というものを求めて、それで基準をきめられるのか、あるいは自然還元現象というものに近いというか、これがほんとうの自然の姿であるというものに基準を置いて定められるのか、その辺のところをひとつ、一体政府がこれから環境基準を定めるにあたってどれを基本にされるのか、その点をお伺いしたいわけであります。と申しますことは、人体に対する最大許容量であるということでありますならば、人間には環境順応性というものがありまして、だんだんと体制ができ上がっていきます。そうしますと、その体制に基づいて基準がきめられるということになると、この体制には人それぞれの体質なり性格によって大きな幅が出てまいるわけであります。その幅の取り方というものが非常に問題になるわけであります。たとえば亜硫酸ガスを同じ地域地域で吸っておっても、片方ではぜんそくを起こす、片方はまた何ともないというような人ができてくるわけであります。そういう場合に一体どうするかということがきわめて重要な問題ではなかろうかと思うわけであります。最近アメリカのニクソン大統領が議会に提出しました環境に関する教書の中で、自然界はいろいろの微妙なバランスの組み合わせの上に成り立っておる。そのバランスを軽率な人間の行為によって破壊することは、生体学的に大きな災害に直面するのではなかろうか。したがってこの際、環境を保全するために、あらゆる面からできるだけのベストを尽して努力すべきであるというような教書が出されておるわけでありますが、私はいままさに日本の現在問題になっております公害問題は、これを通り越して、すでに人間が生息すること不可能な状態にまで来ているのではないか、こういうふうに思うわけでありますが、そうした観点から基準の定め方についての政府責任ある態度についてひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  209. 山中貞則

    ○山中国務大臣 日本の場合には公害ということばを私たちはもう使いなれてまいったのでありますが、しかし、世界的にはやはりいまあなたのおっしゃるとおり環境の保全、いわゆる環境汚染ないし環境破壊者というような立場からものをとらえて、それを防ぐというように考えているようでありますが、日本の場合にはやはり相当な範囲影響が具体的に起こったときにこれをとらえるという考え方から基本法が成り立っておるということは、ある意味では進歩でありますが、これは悲しむべき現象であって、これは私たちはもっとそういう意味の、そういうことにならない前の状態というものの基準設定ということを念頭に置かなければなりません。そこで、いま関係閣僚会議で決定いたしました基本線としては、人の健康に影響を与える有害な微量重金属その他のものについて基準設定は、全国一律にきびしい基準を定めるということを申し合わせております。具体的にはこれから詰めていくわけですけれども、許容量限界一ぱいならばよろしいというものは、これは決してきびしい基準と言えないのであって、そういう状態が永続されていってもだいじょうぶであるということがはっきりと確認される基準ということが、きびしい基準ということに表現をされておるというふうにお受け取りいただきたいと考えます。作業はこれからいたします。
  210. 西田八郎

    ○西田委員 そうすると、自然の環境に還元するいわゆる作用がここまでということは非常にむずかしかろうと思いますが、ほぼそれに近い、要するに人体に及ぼす影響の最大許容量というものではないということがはっきりしたわけです。そうしますと、それは結局物を生産していく過程でそうしたことがこの自然の作用によっては不可能である。したがって、人為的に科学技術の開発によってそれがほぼ基準に近い線まで達せられる。これならばだいじょうぶだという点に来るまでは、物の製造は禁止するか、大幅に抑制すべきだと思うのですが、いかがですか。
  211. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私たちは、自分たちの生活の向上のために大量生産の過程を経ながら今日の、これは日本のみでない生活の向上というものをかちとってまいりました。しかしながら、人類の英知がもたらしたそのような繁栄の裏に、人類の英知で処理しておくべき範囲のものであったはずの不必要なものの排せつが蓄積、堆積をされつつ今日まで放置されてきた。これがあなたのおっしゃる自然の環境浄化能力をこえてきたというところに、日本では公害という立場からそれをつかまえたということであります。私たちはやはり地球的に考えても、後世の子孫に対してわれわれが申し開きが立つためにも、人類の英知がつくり出した繁栄の陰に、人類の英知で処理できないはずはない。そういう廃棄物等についてわれわれの英知を結集してこれは処理しなければならない。しかも、自然浄化能力にゆだねていた感がややもすればあったようなことを、自然の浄化能力以前の段階でそれをつかまえて、そしてそれを処理して、自然浄化能力がおのずからそこに復元して、あたりまえの自然環境というものが構成される努力をすべきである。個々の問題をとらえればたいへんむずかしい問題ですけれども、目標はわれわれがそういうわれわれの子孫に対しても申し開きの立つ、あるいは地球的人類的な立場から取り組むべき問題であろう、私はそうとらえておるわけであります。
  212. 西田八郎

    ○西田委員 そうしますと先ほどから各議員の方々が質疑をしておられます。そうして三河湾のヘドロの問題、あるいは伊予沖におけるヘドロの問題、あるいはまた私どもの周辺でも琵琶湖の湖水の水質の汚濁の問題等があるわけでありますけれども、そういうものもいま長官がおっしゃるような姿勢で臨んできておったとするなら起こってこないはずなんですね。それが現実に起こっている。そうして、こうして委員会等で質問があると、先ほどの答弁の中には、そこまで調査が至っていなくて申しわけなかったというようなことで御答弁なさっておるわけでありますけれども、はたしてそういうことでいいのかどうか。これはいまがこうだから、これをとめればある程度国民生活に支障を与えるだろう、したがって、それをとめないで何かというふうにお考えのようでありますけれども、しかし私は、それが堆積されたのが今日の状態ではなかろうかと思うのです。したがって、このままで進んでいくということになれば、さらにそれの繰り返し、上積みということになるわけであります。したがって、現在問題の起こっている発生源については、即時手当てをし、その手当てがほぼ完成されるまでは物の生産を禁止するかあるいは大幅に抑制すべきである。そのことが日本の経済成長のかなりな足踏みになっても、あるいは成長をとめることになっても、これからの人間の生活、長い日本人の生活をしていく先のことを考えれば、ここ半年、一年のことは、そう取るに足らぬ問題ではなかろうかというふうに考えるのですが、いかがでございましょう。
  213. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、事柄によっていろいろ違いまして、法律を背中にして、最終的には企業の操業停止を命ずるような法体系もないではありませんが、現在のたとえば製紙工場のへ下口の問題等については、現行法規をいろいろひっくり返してみてもこれを強制的に、国家権力の法律の名によって停止させることが非常に困難なようです。そうすると、やはり私企業でありますから、強制権に服せしめた代償としての損害の責めに応じなければならないというばかなことになるおそれがありますから、いま研究中でありますけれども、やはりこれらのことは取捨選択をして、あまりにも人類の生活環境、生命に重大な影響を及ぼす業種、あるいはそれらの取り締まり法律の中には、やはりどこかの段階で排出源そのものがとめられるというようなものを織り込んだ法律をつくっていかなくてはいかぬなということをいま考えているところでございます。
  214. 西田八郎

    ○西田委員 民主的な法治国でありますから、法律の背景なしには行政はできない。私はその精神はとうといし、守っていかなければならぬと思う。しかし、予測されざるものが起こってきた、その間に法的措置を講ずることができないという場合には、そこに行政というものが存在するんではないかと思うわけでございます。たとえば日雇労働者健康保険法によりますれば、擬制適用ということばはどこにも出てこない。ところが厚生省は擬制適用しておられるのです。これは法律的に組合をつくったらできるというようなことで、拡大解釈されてやっておられるわけです。公害問題についてはこういうことはできません、——それはちょっと聞こえないと思うのです。私はそれは政府の姿勢だと思うのです。そして、もしも法律的にむずかしければ、そこの住民ないし工場を誘致し、所在さしている県との間における協定というものによっても、これは任意に成立するものではなかろうかと私は思うのです。それなら、そういう形で、法律の背景がなしに行政的に取り締まることができないとするなら、あるいはそれをいわゆる政治力というものによって、協定によって防除する、そして公共の福祉を守るということが私は政府に与えられておる使命だと思うのです。その点についていかがでございますか。
  215. 山中貞則

    ○山中国務大臣 そのような趣旨の御意見なら私も同感であります。当然相手方も、国は何といっても国家権力を行使する立場にあるわけですから、それの言うことに全く反対をして、反社会的、反国家的な企業として存立してみようと思っても、これはよほど周辺の土地住民の味方でもない限りはなかなかできない、抵抗なんです。話し合いができるものはいい。しかしながら、ただいま一例をあげられました擬制適用等の拡大解釈等の問題は、これは個人の財産なり、個人の生命等にプラスの問題を与え得る場合には、相当な法律の弾力的な運用が可能だと思いますけれども、これが法の根拠なしにいわゆるデメリットを与える、あるいは打撃を与えるというような問題についての法の運用については、よほど詰めてかかりませんと、逆に憲法違反というようなことで、国が敗訴というようなことになりましても醜態でありますから、御趣旨の方向は私もよくわかりますし同感ですから、そういう方面でゆらつかないような手段があるならそういうことも考えながら、どうしてもやむを得なければ伝家の宝刀の抜ける法律体系というものをこしらえていく必要のある範囲があると思っております。
  216. 西田八郎

    ○西田委員 そこで法律改正という問題に触れてくるわけでありますが、現在閣僚会議等を開かれまして、その準備をいろいろなさっておるようでありますけれども、その中でやはり最も重要になる諸点があるわけであります。  一つ企業責任ですね。そういう公害を出しておる企業がどこまで責任をとらなければならないのか。私は生産が利潤を追求するということが容認されておる現在の資本主義経済体制の中では、当然これは企業責任に付すべきではないか。またその企業が、そのことが起こるということが予測されながら、しかしながら化学反応その他によって起こったといういわゆる無過失責任においても、その責任はとらすべきではないかというふうに考えるわけでありますけれども、長官としてどうお考えになりますか。
  217. 山中貞則

    ○山中国務大臣 公害罪の設定並びに挙証責任転換等については、ほぼ固まってきておると思いますが、いまの公害に関する無過失責任罪については、総理も一応宇都宮で、検討をするということを述べております。これは先ほどもちょっと答弁もいたしましたが、法理論上の問題と、法廷維持、そういう問題でたいへんむずかしい詰めが要りますので、そこらのところは慎重にやっているということを述べただけでありますが、基本的にはそういうような方向に社会体系あるいは国の姿勢を向けていこう、それに従ってもらう社会をつくらなければ、私たち人間の能力はそれにたえられない環境ができつつあるということの認識においては一致いたしております。
  218. 西田八郎

    ○西田委員 もう一つ法律の改正にあたりまして、地方自治体に対する権限委譲、それも権限委譲されてもできるとか許可という程度のことでなしに、かなりアフターケアを含めて、問題が起こったことの処理というものを含めて強化した権限委譲をすべきではないか。そして処理をすべきではないか。今日公害は、いわゆる地域住民の生活の防衛闘争として展開されてきておる様相であるわけであります。そういう点から考えますと、国としては、いろいろな環境の違いがあるわけであります。たとえば、北海道のような清浄な空気のあるところと、東京のようにどうにもならないところと、いろいろ処置のしかたが変わってくるだろうと思うのですが、その場合にやはりケース・バイ・ケースといいますか、その立地条件なり環境に適した処置というものをとるべきではなかろうか。そういう意味で、最近各都道府県で定められます環境基準は、国の環境基準をかなり上回っておるわけですが、問題が出ておるところもありますけれども、案外問題なしにスムーズに進んでおるところもあると思うのです。これらはやはり地方の特殊性というものがそうならしむるものだと思うのですが、そういう点について地方への権限委譲、特にそれは強化した権限委譲ということについてどうお考えになっておるか。
  219. 山中貞則

    ○山中国務大臣 すでに閣僚会議工場排水については一番問題である、大蔵省の印刷工場も含めて全部知事権限委譲することを、これは政令でございますから、決定をいたしました。閣議決定で済むことであります。しかしながら、委譲したあとの権限内容そのものについてやはりお話のような知事の勧告とかいう程度のものだけではどうにもならない内容のものもありますから、これらのものは一連の法体系を整備する際に、十分念頭に置いて処理しますとともに、自治体に常時観測規制等の権限を与えますと、やはりわれわれ中央から見ても財政的にも必要な金が要るわけでありますから、それらは自治省等とも連絡をとり、あるいは各省の立場からも十分補助、融資、起債等のめんどうを見ていって、地方知事委譲された権限を十分に発揮できるような体型を固めていきたいと思っております。
  220. 西田八郎

    ○西田委員 次の国会にどういう法案が提出されてくるか、私ども非常に期待をするわけでありますけれども、とにかくわれわれはもうこれ以上環境を破壊できない、自然はもう破壊できないという限界にきておる、こういう立場でひとつ強く臨んでもらいたいと思うわけであります。  時間のようでありますけれども、最後にこれとちょっと関連をいたしまして、先ほど厚生大臣にお伺いをいたしましたところですが、結局、家庭用排水等の処理について、いわゆる水質の汚濁を防止する意味では、現在の家庭用排水を適正処理をしなければならない。それには下水道の普及をはかっていかなければならないということになっておるわけでありますけれども、現在の日本の下水道の普及率というのは、非常に低いように聞いておるわけであります。その点について建設省の下水道局長からお伺いしたいことと、もう一つ、たとえば琵琶湖は一級河川、そうしますと琵琶湖に注ぐ小さなどぶ川のようなものまで一級河川に指定をされておる河川がございます。その河川をふたをして暗渠にして下水溝に利用すればできるような河川も中にはあるわけなんです。ところが、なかなか建設省で許可いただけないから困っているのだというような市当局の態度もあるわけなんです。そういう点について、きょうまでの経過と、それからそれに対する建設省の方針等について、許されるならお聞かせいただきたいと思います。
  221. 久保赳

    ○久保説明員 西田先生の第一点でございますが、家庭雑排水、それが水質汚濁の原因になっているような場合には、結局市街地という集積した地域から生活排水が出てくるわけでございまして、それの対策は御指摘のように下水道の整備以外には適切な方法がないかと思いますが、先生指摘のように、現状きわめて下水道の整備普及率が低うございますので、建設省におきましては、来年度から第三次の下水道整備五カ年計画を策定をいたしまして、それに基づいて市街地の下水道整備を意欲的に進めてまいりたい、かように考えておるところでございます。  それから、第二点の琵琶湖の周辺から流入している河川の問題でございますが、都市部にある河川につきましては、河川と下水道の分離が必要であろうかと思いますが、いずれにいたしましても、その地域の実態に応じてでき得る限り下水道とそれから雨水を分離する、こういう方向で処置をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  以上でございます。
  222. 西田八郎

    ○西田委員 時間のようですけれども、最後にこれは要望しておきたいのですが、第三次下水道整備の五カ年計画ということをいま言われたのですけれども、下水が整備されるのを五カ年も待っておるとどうにもならない、水質汚濁になってしまうのじゃないかと思うわけであります。したがって、できれば、責任ある方じゃないのでお答えがしにくいかもわかりませんが、ひとつ山中総務長官も力を入れていただいて、三年くらいで少々起債をしてでも整備するということにしていただきたいと思います。とにかく二百七十億トンという水をかかえて京阪神に飲料水を送っている琵琶湖の水が、AA級の水道用水からA級まで下がってまいりました。このままで三年しますとB級になって、もう水道用水には使えないというところまでいくことは、国家の資源としても重大な問題じゃないかと思うのであります。そういう意味で急がれるところの下水道整備に特にひとつ力を入れていただきたいということを要望いたしまして、終わります。
  223. 山中貞則

    ○山中国務大臣 公害関係予算につきましては、私のほうで各省の下水道建設費を含めて来年度予算要求を全部一括いたしまして、目を通しまして、そしてそれに対する公害対策本部としての閣議の了承を得て、対策本部の名において重点的に査定すべき大蔵省の方針についてわれわれから意見を伝えることにいたしてありますが、その中で下水道予算というものは、重点を置かなければならない項目であると考えております。私たちが国際的に一番比較したくない表の一つに、水洗便所の普及率というものがあります。やはりここらは、われわれ文化人みたいな顔をしているならば、文化国家みたいな顔をしているならば、どうしても見たくない国際比較表というものに対応する、せめて下水道施設というものの急速な整備ということについては同感でございますので、対策本部としても、これを傍観しないで、予算編成で援助するということを申し上げておきます。
  224. 加藤清二

    加藤委員長 西田君に申し上げます。まだ質問があるかもしれませんが、次の登壇予定者がたくさんございまするので、もしありましたらば皆さん終わった後に時間を差し上げますから、どうぞ。  次は、赤松勇君。
  225. 赤松勇

    赤松委員 四時に大臣来られるということで、私の質問を四時に延ばしたわけでありますけれども、私は二十数年間国会でいろいろ仕事をしてまいりましたが、こんな委員会はかつて知りません。ここへ各省の諸君が並んでおりますけれども、これは単なる行政官でありまして、少なくとも予算の伴う問題などについては、責任のある答弁ができないわけであります。しかも、本年二月における衆議院の予算委員会の代表質問で、私は佐藤総理に対しまして、一九七〇年代の日本というものはいかにあるべきか、特に内政問題について総理の所信を伺ったのであります。その際、一九六〇年代は高度成長の時代だった、七〇年代は人間回復の時代であるという論点から総理の所信をただしましたら、総理は同じ意見だというように言っておりました。宇都宮で一日内閣をやって、政府は全力をあげて公害と取り組みます、こう言っている。この委員会は公聴会を除けば月に二日か三日開かれるのだ。各省の大臣がここに列席をして、予算委員会で予算を通すと同じような熱意で、今日全国にほうはいとして席巻せるこの公害問題に真剣に取り組むという姿勢がかけらも見られない。何ですか、けさから。厚生大臣がちょろちょろ来たかと思ったらどっかへ行っちゃう。かわって佐藤君が来たと思ったら、これまたどこかへ行っちゃう。あとへ長官が来て、そして質問をする。その間各省の課長連中や、あるいは局長連中に質問する。新聞がたたくのは無理もないですよ。しかも、公害対策委員の諸君は、きのうもそうですし、きょうもそうですが、おそくまでがんばっている。衆参両院でこれほどおそくまでがんばっている委員会がありますか。しかるに、出席している大臣はたった一人だ。これで国民は納得しますか。私はきょうほど政治家として自分の無力さを痛感したことはありません。ことに行政権を持っていないわれわれとしては、ここで提案し、立法し、法を改正し、ものを言う、これまでのことです。しかも政府は、やれ佐藤四選だ何だといっている。権力に、みつにアリがはい寄るように、総裁選挙はどうだ、そういうことで明け暮れている。三百名の上にあぐらをかいている。これが佐藤内閣の実態でありませんか。こんな調子でいけばかりに四選されても二年足らずで野たれ死にしますよ。山中長官覚えているかしらぬが、ちょうどこれは昭和二十九年の忘れもしないが三月十九日、ちょうどいまごろの時間だ。私が衆議院労働委員長をやってスト規制法を提案しておった。あなたは一年生議員で、そのとき倉石君や、あるいは石田博英君などと一緒に、私の席に殺到して私をけ飛ばした。しかし私は、そのときに思った。これは何というすごい一年生議員だろう。私は保守党は保守党としての一つの信念をもってスト規制法を通そう、そのエネルギー、その姿勢、努力、行動力、私はそのときにあらためて保守党の強さというものを見直したのです。私は下の国会対策の部屋に行ったら、わが党の国会対策はだれもいなかった。そうしてあなたはその後勉強されて非常にりっぱな大臣になった。けれども今日、けさほどからずっといろいろ論議されておるけれども、これほど全国的に大きな問題を巻き起こして、しかも新聞が連日にわたってキャンペーンを張っている。しかし、産業公害対策特別委員会の実態はどうですか。国民の負託にこたえられるとこれで言えますか。何が佐藤四選だ。繊維交渉でアメリカにあやまりに行くために、これも一生懸命な作業をしている。それも大事でしょう。しかし、公害という問題は、日本民族にとってはこれはきのうきょうの問題ではないのだ。われわれの子孫代々まで続く問題なんです。だとすれば、民族の運命にかかわるといっても私は決して言い過ぎではないと思うのです。私はここへ出るたびに思うのです。各省の役人の諸君気の毒だ。責任ある答弁はできない。しかも各省にわたって行政権が全部違うじゃありませんか。水質基準については経企庁、それから下水道は建設省、上水道は厚生省、こういうばらばら行政で、真剣に日本民族の命を守っていく、あるいはこの愛する国土を守っていくというようなことができますか。あなたはひとつ閣議で発言をして、他の委員会はどうでもいいというわけではないけれども、何はさておいても産業公害対策委員会には出て、そうして政府の誠意を示す、あるいは施策を示す。ぜひ関係各省の大臣は万難を排して出るべきである。予算のように、連日やるわけじゃないんだ。月に二回くらいじゃありませんか。どうして出れないのですか。どうして各省の役人諸君にまかして答弁に困らせているのですか。あなたはこれを閣議でもって提言する用意がありますか。
  226. 山中貞則

    ○山中国務大臣 赤松委員との問題は水に流したと思ったのですが、厳流島の決戦をいまさらここでやる気はありませんので、過去のことは水に流していただきたいと思います。  なお、私自身は本日はアリバイについて申し上げますが、これは委員長並びに理事会の承認を得て、午前十時より参議院の決算委員会に入りました。午後二時近くまでやりまして、二時からは総理官邸において秋の叙勲の総理を交えた最終の、私の所管事項でございますから、打ち合わせ会に出席いたしました。四時が近づいてもなお終わっておりませんでしたが、産業公害委員会に四時から出るという約束がありますからということで、総理の許可を得て中断、私の場合は退席をいたしました。そして、四時にはここに到着したつもりでございます。私自身の弁解をいたしておるわけではございません。したがって、先月は私は終始出席をいたしまして、終了したのは七時四十二分であったと思いますが、それまで私としてはつとめを果たしたつもりでおります。ただ、各省大臣はそれぞれ私の命令権下にもありませんし、また私がそういう意味で閣議で各省大臣の不心得を直すような発言というものも表向きはしにくうございますから、むしろ総理と私のほうで、木部長でもございますし、それらのことについてただいまの御趣旨が結果伝わるようにいたしたいと存じます。
  227. 赤松勇

    赤松委員 もう一つ要望しておきたいことは、あなたは沖繩問題もかかえておるわけです。交通問題もかかえておるわけです。そうしてこの公害問題全体をかかえておる。おそらく世界じゅうにこれほど仕事をたくさん持っている大臣も珍しいと思う。やれませんよ。幾らあなたが能力があるといっても、それはやれるものではないですよ。ですから私は予算委員会でも提案したのですけれども、なぜ公害対策庁あるいは公害省というものをおつくりにならぬか。今日公害公害といっておりますけれども、私に言わせればこれは企業害ですよ。産業害ですよ。しかし、企業産業を個々に幾ら責めても問題は解決しない。政治害ですよ。だから政府みずからが公害を少なくするための抜本的な施策を思い切って断行する。そのためには一省をつくって、そこへ各省の精鋭を集めて、そして真剣に取り組んでいくということをあわせてもう一度総理とひとつ相談をしてもらいたい。行政管理庁がこれに反対するようだったら、私どもはむしろ行政管理庁の反対を押えます。私はこれは喫緊の重要な課題であると思う。  次にお尋ねしたいのだが、先ほど佐藤観樹君から問題が提案されましたが、伊勢湾及び三河湾の問題です。これも高度成長経済のいわば犠牲者です。この問題について私はもうくどくどここでもって言おうとは思わない。さっき水産庁のほうからその原因はわからないということを言っておりましたけれども、私は現地で学者やあるいはそれぞれの専門機関が調査いたしました調査のデータをここへ持ってきておる。しかし、残念ながら時間がありませんからこれを省略いたしますけれども、現地の情勢はどんなにきびしいものであるか。ノリづけ作業は終わったがと言っておりますけれども、ノリづけ作業は終わっておりません。御承知のようにノリは、愛知県は全国一位で年産約百億円、三重県は第五位でたしか七十七億円だと思います。それから桑名のハマグリも全滅です。私はけさも木村官房副長官に言った。彼の選挙区です。これはまっ先にいま大被害を受けている伊勢湾の問題と取り組んでもらわなくちゃいかぬと言ったのですけれども、ほとんど貝は全滅。魚は全滅。ノリも全滅。これはどうするのですか。私は四月の十七日のこの衆議院の産業公害対策委員会質問した。西川議官御存じだと思う。当時私は、名古屋港の調査ができておりますか、水質基準の指定をいつやるのですかと聞いた。一部調査をやっていると言う。しかし、私が名古屋港管理組合から聞いた話では、ほとんどやっておりません。伊勢湾、三河湾も調査はほとんどやっていないじゃないですか。さっきの答弁では、河口のところを少しやったと言うけれども、湾そのものについては何ら調査してない。調査をしてないということは、水質基準の指定をしないということなんだ。そうしていまああいうような大被害が起きた。その原因はよくわからないけれども、まあこれから調べてみよう。これは局長はいつ水質基準をきめるつもりですか。
  228. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私も人間で、能力の限界のあることはわかりますし、総理にも私の限界を越えるおそれがあるということも直接申し上げました。しかし、担当大臣を命ぜられて副本部長としての仕事をさせられた以上は、やはり政治家として全力を傾けて、生涯を傾けてやる価値のあることだと考えましたので、私の能力の全部を発揮していま努力しているつもりでございます。しかし、許されれば公害省を設置して専門の大臣がいてもらう、これが私にとってもいまの立場からはたいへん願わしいことでございます。これらの問題は私自身の決定することではありませんので、お話しのように、これからの問題としてこの体制でいっていいのかどうか、そういうこともよく相談をさせていただきたいと考えます。  あとの問題は経企庁から答えてもらいます。
  229. 西川喬

    西川説明員 お答えいたします。  名古屋港につきましては四月にお答えいたしましたとおり四十四年度に調査いたしております。その結果をもちましてことしの七月に水質審議会に部会を設けまして現在検討中でございます。この場合、名古屋港の港内並びにその港外の周辺の調査を完了いたしておりますが、あわせまして、いままで調査をやっておりました流入河川、日光川、庄内川、これらも含めまして、一応伊勢湾につきましては、大半すでに四日市、鈴鹿のほうは済んでおるわけでございます。それからずっと知多半島のほうにかけまして、環境基準も今回の水域指定の際に設定いたしたい。一応伊勢湾の陸岸の地先海域につきましては、大半のものを終了いたしました。流入河川の長良川についても、すでに部会を設置しまして、現在指定水域のあれを検討しておるような段階でございます。現在のところの作業の目標といたしましては、年内に指定水域に持っていきたい、このように考えております。  三河湾のほうにつきましては、あのとき、四月におきましても、調査が済んでいるということは、三河湾につきましては申し上げなかったと思います。現在豊川について調査をいたしております。先ほど佐藤先生の御質問に私どもの長官がお答えしましたように、豊川並びに三河湾というものにつきましては、今年度の調査結果を待ちまして指定水域に持ち込みたい、このように考えております。
  230. 赤松勇

    赤松委員 調査範囲がきわめて小部分で、大部分の調査は終わっていないということを、私は現地の機関から聞いております。そして一体何カ所、どこを調査したか、そしてその範囲はどの範囲かということまで聞きたいのでありますけれども、時間がありませんから、そういう新たな議論はやめます。  そこで、年内に水質基準を指定するわけですね。そうでありますね。間違いありませんね。これは四月のやはり産業公害委員会で、私は木曽川の水質基準を早くきめてもらいたいということを経企庁に要求しました。その際、五月の閣議できめるという答弁があります。これは議事録にちゃんと載っている。しかし若干おくれまして閣議決定をしてまいりました。そして上流をAA、それから名古屋の水道の取り口をA、それからその次をBですか、そういうように一応基準の指定をしてまいりました。これは当時反対されました岐阜県側も政府の努力で協力してくれました。この点は非常にうまくいったと思います。  しかし問題は、私は念のため、ここにへたな地図でありますけれども、書いてまいりましたが、これはあなたたちに伊勢湾とは一体どの付近であろうか、三河湾とはどの辺であろうかということを知ってもらうためにあれしたのですが、これが渥美半島、豊橋、それから蒲郡、それから半田、名古屋、それから木曽川、長良川、四日市、鈴鹿、松阪、伊勢、鳥羽というように、この辺を伊勢湾、これを三河湾。どこで魚が死んだかというと、この辺一帯で魚が死んでいる。それから同じくこの辺一帯で死んでいる。ここでも死んでいる。それから桑名の貝、ハマグリは絶滅している。この辺はすごい汚染なんです。昭和四十年に愛知県は、この三河湾の水を太平洋の水と交流させるために、渥美半島に渥美運河というものをつくろう、その調査をしてもらいたいということを、運輸省の第五港湾建設部を通じて調査を依頼したわけであります。ところが、いまだにナシのつぶてで、うんともすんとも返事がない。私はここに渥美運河をかりにつけても、はたして太平洋と湾内の水の交流によって、この汚染が防げるかどうかは、私は疑問に思っております。あるいはいま名古屋港の防潮堤をこわして、水の交流をはかれという意見もあるけれども、これについても私は疑問を持っている。それから、ここの海底の岩礁をずっとこわしていこうという計画を、これからつくろうということになっておりますが、それによっても私は伊勢湾、三河湾のいまの汚染状況は改善しないと思う。  そこで、まず最初に聞きたいのは、渥美半島をぶち抜く運河計画について、かねて建設部に調査を依頼してあるが、一体運輸省はその調査をどうしているか、まず最初に、これを聞きたいと思います。
  231. 竹内良夫

    ○竹内説明員 第五港湾建設局に調査を依頼された……(赤松委員「建設部だよ」と呼ぶ)いまは局でございます。第五港湾建設局に調査を依頼したとおっしゃられました点につきましては、私はちょっと存じておりません。しかし、港湾建設局で、おそらくその当時だと思いますが、ある程度の試案のようなものをつくってございまして、先生のおっしゃる渥美半島の根元のところでございますが、長さ約六千メートル、幅二百メートル、深さ十メートル、そういたしますと数千万立米の土を動かすわけでございますが、その当時のお金にいたしまして百五十億円くらいのお金がかかるであろうというような一応の試算をやっております。しかし、現在私ども、いわゆる伊勢湾、三河湾全体の開発の基本構想というものを考えておりますが、その中には現在入れておりません。一つ考え方ではあると思っておりますけれども、技術的にも非常にむずかしいし、先ほど先生のおっしゃいましたように、中のほうの潮位の関係とか、そういう点では、まだまだ調査しなければいけないのではないかというように考えております。
  232. 赤松勇

    赤松委員 それで、運輸省の考えている三河湾のいまの構想というのは何ですか。その内容を話してください。
  233. 竹内良夫

    ○竹内説明員 昭和五十五年を目標といたしまして、伊勢湾、三河湾全体の港湾の開発の基本的な方向を考えていきたいということで、港湾審議会という運輸大臣の諮問機関がございまして、そこにおはかりいたしまして方向を考えていったわけでございます。その方向と申しますのは、大体まん中部分、名古屋であるとか半田、衣浦、そういうところには、やはり商港といいますか、そういうものをつくっていきたい、それから一番奥のほうの豊橋であるとか、三河湾、あるいは伊勢湾の一部のところには、工業港や流通的な基地をつくりたい、そしてまた美しさを保っていきたいというような考え方で、そのような方向の考え方をいま一応つくってございます。
  234. 赤松勇

    赤松委員 いま埋め立てて奥三河にコンビナートをつくろう、そしてその計画ができると、汚染度はさらに激しくなるんじゃないですか。それについてはどう思っておりますか。
  235. 竹内良夫

    ○竹内説明員 一番奥にコンビナートをつくるというようなものの考えは、必ずしもございません。コンビナートがいい場合には、確かにそれをつくらなければいけないと思いますが、やはり豊橋であるとか、三河湾の奥のほうは、日本で残された非常に大事なところではないか。したがいまして、そこの流通、日本全体の流通の基地になるとも考えられますし、また、いまおっしゃいましたコンビナートといいますか、おそらく重化学工業のことだろうと思いますが、重化学工業の基地として、もし公害のないような形、そのような形でできるとするならば、そういうことも考え得るというふうに、非常に弾力的に現在考えております。ただ私ども、そこのところを見ておりますと、やはり日本のベルト地帯の残された非常に大事な場所でありますので、丁寧に開発していきたいというように港湾管理者のほうを指導している段階でございます。
  236. 赤松勇

    赤松委員 山中国務大臣にお尋ねしますが、いま運輸省のほうは、日本に残された非常にきれいなところだ、これをなるべく確保していって、そうしてそういう重化学工業地帯にすることに対しては、ある程度チェックしていきたい、こういうことを答弁しておりますが、あなたは、この辺のところはよく御存じないと存じますが、とにかく風光明媚なところを、日本民族の重要な財産ですから、それを保存していくという基本方針はどうなんですか。
  237. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ちょっとそこまで、私現業の問題について、そういう工場の具体的な設計、開発計画等についてはタッチいたしておりませんので、私としては、やはり美しいところであるならば美しさをなるべく残し、現在のようにあなたの書かれた地図で死魚が浮くとか、ノリ被害ということになっておる現状であるならば、これをなくするようにする努力と同時に、さらにそれに汚染を加えていくような計画についてはよほど地元知事、市町村長というものと協議した上で、地域住民の感情等も配慮して設計がなされていかなければならぬだろうというふうに考えますが、しょせん私の場合は、立場からいっても、その意味では門外漢でございます。
  238. 赤松勇

    赤松委員 門外漢であっても、あなた自身が全体の総合調整をなさる公害対策責任者なんだから、したがって、運輸省がいまそういう意見を述べだから——これはこの辺を、ただ地元計画が申請されたからといって、でたらめに荒らさないように厳重にチェックしていただきたいということが一つ。  もう一つは、国際貨物空港をこの三河湾の中につくる計画があるということを私は聞いておる。これについてはどうですか。
  239. 竹内良夫

    ○竹内説明員 私は港湾の関係でございまして、それにつきましては確とした情報を持っておりませんが、三河湾の一部に国際空港をつくりたいという地元の御希望ですか、そういうものがあるということを聞いたような気がいたします。その責任ある答弁はちょっと航空局のほうでないとわかりませんので、失礼いたします。
  240. 赤松勇

    赤松委員 山中大臣、かくのとおりだ。非常に大事なことを聞いても、私は港湾のほうなんで、航空のほうはよくわからないということです。これは回答にならぬわけですけれども、確かにその計画はあるのです。いま運輸省、ここにつくろうとして計画しているわけです。そうすると、これは騒音あるいは汚染という問題が必ず起きてくるわけです。きょうは責任者がいないから私は明確な答弁をくれとは言いませんけれども、この点についてもひとつ慎重に考えてもらいたいということ。私は攻撃しているわけじゃないのですよ。いまこれから提案するんだ。まず、この渥美半島のところはあなたに聞いた。それから水質基準調査は終わった、こういう経企庁のほうの答弁だ。年内にはその基準の指定をやるということですね。とれでわかりました。  第三点としてお尋ねしたいのは、たれ流し、それから各工場の排水をでたらめにこう入れている限りは、伊勢湾も三河湾も再生しませんよ。何ぼこのヘドロを取ってみたところでだめです。その根源を押えなければだめなんです。きょうの新聞によりますと、海上保安庁がこれを発見したのですけれども、伊勢湾への大量の有毒廃液をやっている。これは工場から名古屋の環境衛生協会というのが請け負って、そうして屎尿処理船を使って一年間有毒廃液の不法投棄をやっておった。そうして海上保安庁がそれを発見して、いま取り締まりをやっておるわけでありますけれども、とにかく私がここで聞きたいのは、いろいろ工場をつくりますね。この工場から流れ出るいろいろな廃液について、これを抑制するいろいろな基準なり取り締まり法なりをつくりましても、工場の建設の段階で、その廃液を処理する処理工場なり、あるいは処理をする設備なりがあるかないかということが問題なんです。これは許可条件の中で厳重にチェックしてもらわなければ、工場ができてしまって、そうして廃液を出しておる、その廃液をどうするかという問題になってくるといろいろな問題が起きる。だから、工場建設の段階でこれを押えていくということが必要ではないだろうか。これは建築基準法の改正でできるのか、あるいは清掃法の改正でできるのか、その辺のことは私はよくわからないけれども、通産省なり、あるいはその他の官庁で、次の法改正を考えておる省があれば、この際明らかにしてもらいたい。どこがやっていますか。
  241. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまの、新しく工場をつくる場合の前提として、当然公害の発生が予想されるならば、工場として発生しないような施設を初めからつくるということは、これからの常識でありますし、それは許認可官庁というものがそういう常識でもって許可しなければいけません。しかし具体的には、やはり直接は工場排水を担当しておる通産省、したがってほとんど許認可も通産省の範囲企業が多いということから、そのような常識の線が今後は法律の上でもやはり明確にされてしかるべきだということだろうと思います。
  242. 赤松勇

    赤松委員 いや、しかるべきだろうというのではなしに、現実にどんどん工場をつくっている。つくっていけば認可しているのですよ。その場合、廃液をどうするかというのが許可条件になっていないのだ。つまり法改正をやる用意があるかどうかということを私は聞いておる。
  243. 西川喬

    西川説明員 排水の問題に関しましては、指定水域になりまして水質基準が設定されますと、工場排水規制法がかかりまして、特定施設を設置する場合には事前に届け出をいたしまして、その処理施設におきましてその水質基準が守られるかどうかということがチェックされるわけでございます。それでその場合、その処理施設が当該水域において守るべきことがきまっております。水質基準が守られないということになれば、所管大臣のほうから改善命令が出されるわけであります。その改善命令を満足させなければ工場の設置はできないということになっております。それで現行法におきましては指定水域だけに限られておるものですから、新しい汚濁防止法におきましては、一応ナショナルミニマム的な一律基準をかける、全国的に適用するという方針をとっております。それで、さらにそれよりもきびしい基準をきめるときには、上乗せ基準が個々の水域にきまってくるわけでありますけれども、一応全国的に一律基準がかかりますので、今後はその一律基準を満足させるような除害施設を持たなければ工場の設置はできないということになる仕組みになっております。
  244. 赤松勇

    赤松委員 逆なんだ。君の言うのは逆なんだ。水質基準をきめて、そうして悪いものを流してはいけないのだというように取り締まっていく、それは逆なんだ。家が建てばどうしてもその排せつ物を処理する必要はあるのですよ。それを川に流すなとかなんとか言っても無理なんだ。その場合、それを浄化する必要がある。要するに工場の場合もそうだが、そういう廃液が出ると思われる工場、たとえば化学工場なら化学工場に建設許可が出た場合に、その段階で十分な廃液の処理のできる、つまり浄化のできる施設がなければ認可しないという法律をつくる用意があるのかどうか、次の国会にそれを提案するかどうかということを私は聞いておる。あなたのほうは川のほうだ。川のことを聞いているのではない。工場をつくる場合に、そういうような許可条件の中にきびしく入れるかどうか。たとえば自動車でもそうでしょう。車庫がなければ運転免許をやらないというのと同じなんだ。それはどうなんですか。用意しているのでしょう。
  245. 荘清

    荘説明員 いまの経済企画庁からの答弁と若干重複するかと存じますが、先生のおっしゃるような汚水を発生する工場の施設というものがございます。化学工場その他にいろいろな施設があって、汚水を発生する施設というものがございます。そういうものを置かなければ経営のできない業種というのがございます。そういう工場でそういう施設をつくるときには事前に、その工事を始める前に、監督官庁に詳細な計画を出しまして審査を受けなければならない。審査の段階で、これでは非常に汚水がひどいではないかというときには、現行法で改善命令を出せることになっております。それから、一応これでいいということになって、工事をさせましたあとで、いろいろな変化でまた汚水が出ておるということが発見されたら、またその段階で改善命令をかける、言うことを聞かなければ操業の停止とか処罰もできる、こういう規定になっております。  それが現在の制度でございますが、現在経済企画庁におかれまして、そういう法令を全部一回見直して、水質指定があろうがなかろうが全国的な規制ができるような方向で改正しようということで作業にかかっておられる段階でございます。
  246. 赤松勇

    赤松委員 よくわかりました。その関連ならばよくわかる。それから経企庁のほうも、この間九つの業種ですか、水質をきめましたね。そういうふうに一生懸命努力をされているということはよくわかるのだが、いま言ったように、通産省と一体になって、その許可条件の中に、十分にそういうチェックができるようなことをやってもらわなければいかぬ。いまの通産省の答弁は、議事録になって出てくると非常にきれいなことばで、許可いたしません、その場合にはなんというが、それは一体だれが検査するのですか。通産省みずからやるわけではないでしょう。どこかにやっていただくんでしょう。
  247. 荘清

    荘説明員 お答えいたします。  現行法のもとでは、石油化学工業とか石油精製工業等、特定の七つの業種につきましては、通産大臣政令通産局長権限委任して、申し上げました監督をやらしておりますが、本年の十一月一日から、そういう七つの業種につきましても、すべて所在の都道府県知事権限委任することに、政令の改正案がすでに閣議を通過いたしておりますので、今後はすべて所在の都道府県知事にお願いする。もっとも、都道府県知事委任いたしましても、法律上はそれぞれの事業の所管大臣が、もとの権限があり責任がございますから、これは委任しっぱなしではなくして、十分県に対しての指導責任というものがあることは申すまでもございません。
  248. 赤松勇

    赤松委員 わかりました。通産局ではとてもとても一々そんな検査をやるような能力もないし、そんな人員もありませんよ。だから、それを都道府県に委譲するということはたいへんいいことです。いいことですが、藤田君も指摘しておったように、資本と知事とが癒着している場合は、往々にしてそういう許可条件を無視したようなことも行なわれますから、その点は十分監督を必要としますので、注意してもらいたいと思います。  次にお尋ねしたいのは、この伊勢湾と三河湾のあれですが、いま三重県においてはどういう状態かといえば、三重県の下水道の施設は一七%でしょう。非常に低い。全然下水の施設を持たない都市が九つある、こういう状態です。日本全体がおくれていますね。イギリスは九〇%です。おそらく、日本全体の平均が五〇%をこえていますか、こえていないでしょう。お恥ずかしい次第だ。愛知県の場合でもまだ五〇%までいっていないと思う。そうしますと、下水の施設はない、たれっぱなしでどんどん伊勢湾、三河湾にそれが流れてくるということになれば、浄化を幾らやろうと思っても困難だ。そこで近く——私が三月の産業公害対策委員会政府に提案したのは、この三重県の沿岸、つまり伊勢湾の西部と伊勢湾の東部に大導流堤または大導流管をつくる。愛知用水のような導流堤でもいい、あるいはパイプラインの大導流管でもいいです。それで伊勢湾の外の伊良湖の向こうの太平洋に——それまでにもちろん途中で浄化しなければ、その汚水をそのまま太平洋に流されたのではたまりませんから。これをやるには大体の試算でいくと二兆円かかるといわれておる。しかし、二兆円といったって、オリンピックを二回やればいいのだから、たいしたことはない。たとえば十カ年計画でやれば、中部地方の生産出荷額が幾らあるか知らぬけれども、その出荷額のほんの一%か二%を税金がわりに取ればこんなものはできると思うし、これはやはり将来の問題としてぜひ検討してもらいたい。いま私がここで言うと皆さんは、ああ赤松君ほらを吹いているな、大ぶろしきを広げたな、こう言うかもしれないけれども、私はいまにこの計画は、大体あのときもっと大きな計画を立てればよかったというように必ずなると思う。現に愛知用水をつくるときに、加藤委員長地元で久野庄太郎というお百姓さんが、木曽川の水を知多半島にずっと引くと言ったら、初め笑いました。県庁へ行っても、どこへ行っても、あいつは気違いだといって笑ったが、とうとうそのお百姓の理想が実現したじゃありませんか。木曽川の水がみごとに知多半島をぶち抜いて伊勢湾に出て、あの大愛知用水ができ上がったじゃありませんか。だから、やろうと思えばできないことはない。問題は、やるかやらないかの姿勢なんです。いま伊勢湾、三河湾に大きな被害を与えている、こういう問題について私は政府のほうでぜひこの提案を十分に検討してもらいたいと思う。ああ野党のやつの提案か、そんなものは一笑に付してしまえというのでなしに、ぜひひとつ皆さん方のほうで真剣にこの提案を検討してもらいたい。私はこの前、愛知県知事に会ってこの話もした。近く三重県知事と愛知県知事が会って、この問題について、環伊勢湾下水という構想を一応相談しようという段階にまできているのですから、決して夢物語ではないわけです。これについて加藤委員長のほろからぜひ政府質問をしてもらいたいのだが、この問題について十分検討して、あるいは審議会を設けてもらってもよろしい、公社公団方式でもよろしい、何でもよろしいが、とにかくこれを検討するという、政府の個々ばらばらの見解でなしに、ひとつ統一見解をきちんととってもらうように、もしこの提案に賛成ならば、加藤委員長からあらためて御提案してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
  249. 加藤清二

    加藤委員長 これはごもっともな御意見でございますので、後刻理事会にはかりまして、委員長提案ということになりますと、そういう手続を踏む必要がありますから、必要な手続は踏みたいと思います。意見はきわめて賛成ですが、本日のところは、幸い公害関係の国務大臣がいらっしゃいますから、国務大臣にひとついまの構想に対する御感想を述べていただきたいと思います。
  250. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これはやはり日本列島全体の開発計画なり、浄化計画なり、環境汚染に対する計画なりの一環として考えるべきであって、私自身がこの問題で、この場所だけで、そういうことは政府の方針としてけっこうだから推進しましょうという立場に実はないということだけは遺憾ながら事実でございます。やはりこれは経企庁の日本列島の総合的な計画というものの中に組み込んでいけるかどうか、中部圏におけるそういう大型の、しかも新しい未来へ向かってのプロジェクトでありましょうから、そういう構想について取り組めるかどうかについては、やはり経企庁あたりの総合官庁から取り組んで糸口を見つけるべき問題ではないかと思います。
  251. 赤松勇

    赤松委員 大臣どうですか。それでは、私のほうから具体的に提案いたしましょう。こういう問題を含めて、愛知県、三重県知事と、経企庁の長官と、至急話し合う用意があるかどうか、これはどうですか。
  252. 山中貞則

    ○山中国務大臣 佐藤君がおりませんから、まず私自身でお会いをして、やはり関係のないことではありませんからお会いをして、なるべく経企庁長官にお会いできるようにあっせんの労をとりたいと思います。
  253. 赤松勇

    赤松委員 最後に私は、さっき佐藤君の質問に対する答弁を聞いておってあきれたんだが、政府のほうの対策が全然ないのですね。この屎尿による貝、ノリの大被害に対して、あるいは三重県では真珠が死んでいる。これに対する何らの対策がない。だから、これから調査をいたします、そして何やら水産試験場なんかを通じて調査をして、そうしてあれしますなんということを言っておりますけれども、いまや漁民や、あるいはノリ業者というものは、まさに生活の浮沈にかかわる重大な問題だと考えております。これについて、どういう対策をとりますか。さしあたりの対策です。たとえばノリ業者や、あるいはそういう被害を受けた人々に対する補償などはどうですか。考えていますか。
  254. 大和田啓気

    ○大和田説明員 水産物の被害は、漁業共済に入っております者は、当然漁業共済において措置されるわけでございます。共済金の支払い等はできるだけすみやかに行なうように私ども絶えず指導をいたしております。しかし、先ほども申し上げましたように、赤潮一般につきましては、なかなかむずかしい問題がございますので、それをいま直ちにどうこうするということはできませんので、水産研究所一体となって、府県の試験場の協力を得て、その根因、現象、対策等について今後早急に研究の歩を進めたいと考えております。
  255. 赤松勇

    赤松委員 共済組合に入っている者が、それは共済のあれをもらうことは当然の話です。そんなことはあたりまえの話なんですけれども、そうでなしに、政府のほうとしては、非常に被害が大きい、その被害の大きい業者に対しましては、その損害の補償をする用意があるかどうか、検討してみるなら検討してみる、それはどうなんですか、長官。
  256. 大和田啓気

    ○大和田説明員 赤潮が、たとえばある工場の排水によるとか、あるいは屎尿の処理によるとかいうことが明確でありますれば、そこで補償という問題、これはもちろん国が補償するという意味ではございませんけれども、補償という問題が出てくるわけでございますけれども、先ほども申し上げましたように、そういう社会的な現象と自然的な現象との混合でございますから、赤潮による被害の原因が何かということをまだ断定的に申し上げる段階ではございません。したがいまして、補償もいま直ちにだれがどれだけというふうに申し上げることはできないだろうと思います。
  257. 赤松勇

    赤松委員 私、データを持っていますが、時間がありませんから、あなたに示しませんが、重ねて聞きますが、その際に、それが工場廃液やその他が赤潮を生んだんだという原因が明確になった場合は、しからば、そういうような廃液を流した工場に補償させますか。あなた、いまさせると言ったでしょう。
  258. 大和田啓気

    ○大和田説明員 これは、一般に損害賠償の問題でございますが、原因と結果とではっきりした相関関係がありますれば、そういう問題は当然出てくるだろうと思います。ただ、水産庁の研究所を中心にいたしまして、ここ数年、相当な努力をいたしておりましても、なお原因の究明ができないわけでございまするから、個々の研究あるいは個々の説によって、いま直ちにそうだという断定はなかなかむずかしいというふうに私ども思っております。
  259. 赤松勇

    赤松委員 あなた、この災害が発生してからもう数日たちますが、三重県水産試験場や、あるいは愛知県の水産課その他に対しまして、どういう調査を依頼しましたか。いつやったんですか。
  260. 大和田啓気

    ○大和田説明員 県庁及び水産試験場に対して、情報は絶えずとっておりますけれども、明日でございますか、広島の農林省の水産研究所で、東海区の水産研究所及び南西区の水産研究所が主体になりまして、瀬戸内海関係の水産試験場の人たちと協議をすることになっておりますが、三重県の水産試験場及び愛知県の水産試験場の担当者にも、その会議に出て、この問題の究明に当たるように、私ども、指示といいますか、依頼をいたしたわけでございます。
  261. 赤松勇

    赤松委員 大臣、いまの答弁聞いたでしょう。これから広島で、瀬戸内海やあるいは愛知や三重の水産試験場の者を呼んで、そこで会議をやるという。すでにこの赤潮の発生で被害を受けてから、もう数日間あるいは十日以上たっておる。なぜ現地へ行ってすぐ調査にかからないのですか。これから広島へぽつぽつ集まって、それからどんなふうに調査するか、ということを相談しようというのですか。現にもうノリつけをやらなければだめなんですよ。ノリを業としておる漁民は、来年生計ができないのですよ。諸君のようにサラリーをもらって生活しておる諸君ではないのですよ。直ちに手を打って、そうして現地調査をやって、それに対する対策を講じていくという積極的な姿勢、積極的な誠実さというものが示されなければ、だれがいまの政府にたよれるのですか。だから、もういまの一般の国民は、こんな内閣が四選されようが、五選されようが、だれがこんな内閣にたよるものか。まあしかたがないだろうというのが、いま一般国民の気持ちであり、それがこの間の総選挙の三分の一の棄権になってあらわれてきておるのです。そのことをひとつよく考えて——山中長官もいま答弁をお聞きになったと思う。ゆらりゆらり、ひねもすのたりのたりかなだ。現地の漁民はそんなどころの騒ぎじゃありませんよ。夜も寝ないでその対策に一家あげて悩んでおる。それにぱっとこたえる。すぐに原因がわからなくても、一生懸命努力しておるという姿が政治の上にはちっともあらわれていないじゃないですか。いまの答弁を聞いて、漁民たちはどう思いますか。水産庁の長官も、水産庁を預かっておるなら、もう少し庶民、漁民の気持ちというものを考えてやってもらわなければならぬと思う。できればすみやかに三重県、愛知県の水産試験場に依頼をして調査をする。一方広島で会議をやるならそれはよろしい、それはそれで進めていく。とりあえず調査をやるというふうな方法を講じてもらいたいということを希望して私の質問を終わります。
  262. 加藤清二

    加藤委員長 次は、寺前巖君。
  263. 寺前巖

    ○寺前委員 大臣にお聞きしたいと思います。時間がありませんので、私は余分な話は避けたいと思います。  この間、佐藤総理が一日内閣なるものにおいて、公害国民生活の脅威となっているが、福祉なくして成長なしという理念のもとに、生活環境を保全し、真に豊かな社会の実現を目ざすことが、公害に取り組む私の基本的な任務であるというようなことを言っておられるようです。今日、日本の住民は、自分の住んでいるところの地域、この地域が特に大企業の生産活動力のもとにおいて破壊されてきておる。特に健康の被害は著しいと思う。それが現在の法律のもとにおいては救われない。なぜか。それは、一定の環境基準を充足して生産を——もしも破壊する状況が生まれるならば、生産をとめさすという権限自治体の首長に持たされていない、あるいはわれわれ自身が、直接一つずつの会社についても検査をすることができないという権限上の問題もある。いろんな等々のことをもって今日の公害に対する法律は、どうしても基本法をはじめなべて真に地域社会の生活が保たれるようにしてもらいたいというのが多くの国民の要求であろうと思います。それを反映して、私どもの党も、臨時国会を開いて国民の期待にこたえるようにすべきであるということを申し入れました。また、野党三党の諸君たちも、憲法に基づくところの要求をやりました。私は佐藤総理が一日内閣でこれを基本的な姿勢とするんだと言われた以上は、すみやかに国民の期待に沿うべき法律の準備をして、臨時国会を開かなければならないと思うのですが、なぜ臨時国会が開かれずにこのままきているのでしょうか、その点についての見解をお聞きしたいと思います。
  264. 山中貞則

    ○山中国務大臣 憲法の定めによってきちんと前提条件が整った臨時国会の要求があった場合には、政府はそれに応じなければならないということになっておるわけですから、いずれ開かれると思いますが、しかしながら、なぜいま開かないのか等については、私自身だけの発言ですべて政府のことばであるというふうには受け取っていただくわけにはまいらないわけですけれども、しかし、私自身ただいま必死に事務当局を督励いたしまして、また関係各省とも連携をとりながら、それぞれの立場から法改正をやっております問題の詰めがやはり法律になって皆さまの御審議を仰ぐということが一番必要なことだろうと思います。その意味におきまして、たとえば典型六公害と定められた中に、悪臭というものを四十二年の基本法の中で掲げておきながら、なおその基準あるいは取り締まり等の法律がつくられていない、これらの大きな問題がありますが、悪臭の立法についてのあり方は非常にむずかしい、あるいは基本法において要求されておる企業の費用負担の法律についても、負担させるべき費用の算出方法というのを法律に書かなければならないということで、どのような書き方ができるのか、これは政令にゆだねるというような表現で逃げるわけにはいかないだろう。しかし、いかにむずかしいかは通産省の中間報告も厚生省の大臣に対する答申も、いずれも算出の方法については触れていない。しかし、そのむずかしい問題も何とかこれを法律の中に書き込んで国会の御審議を得たい。したがって、基本法をはじめとする二十以上の法律を次の臨時国会には要求されておりますとおり、公害国会という公害対策に応ずるための体質、内容法律をまとめて全部出したいと考えまして、鋭意作業をいたしております。その意味では、たとえばいま開かれると仮定した場合には、私は間に合わせる法律を全部そろえることは現実に不可能であるという立場であることだけを御理解いただきたいと思います。
  265. 寺前巖

    ○寺前委員 それだったら、いつの時期だったら国民の期待にこたえるところの臨時国会が開かれますか。
  266. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これも憲法に定められた次の通常国会の前に開かれることは間違いありませんから、その臨時国会には改正すべき法律、統一すべき法律等、全部整えて提出をする予定でございます。
  267. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは、先ほどから大気あるいは水などの問題についていろいろ討論があったようですから、私は少し角度を変えた点からお聞きをしたいと思います。  もうすでに昨年につくられた法律ではありますが、公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法という法律ができました。ところが、実際に国が法律でもって規定している公害だけを見ても、公害の中に騒音の問題もあればその他等々の対象物があります。こういう問題に対する救済がないということが現実にいろいろな角度で起こっていると思います。たとえば先月の新聞を見ましても、福岡の大牟田の有明の漁民が、汚染赤貝を食ってみろと言って三井の化学工場と大きな行動を起こして、そうしてその見舞い金として一億三千万円の補償をせいというような、そういう問題が起こっておりますけれども、実際毎日の新聞を見ておっても地盤沈下とか悪臭、振動とか、そういうような対象になっているものから、さらに農作物や漁業に対するところの深刻な被害が連日載っていると思うのです。たとえば農地の工場排水による被害は農林省の四十四年十二月末の調べを見ても、四十三都道府県の約九百地域、農地十二万九千ヘクタールに及んでその被害は出ているというふうに、この公害によるところの被害というのは他の分野において、すなわち健康破壊の分野にとどまらず、他の分野の被害にまでずっと及んできている。こういう問題について法律において検討する必要があるのかないのか。このことも検討するということで準備をされているのかどうかをお聞きしたいと思います。
  268. 山中貞則

    ○山中国務大臣 現在の基本法第二条において例示された典型六公害のほかに、土壌汚染という項目を入れて、いわゆる農薬あるいは重金属その他の蓄積媒体としての土壌汚染に対処するための土壌汚染防止法を策定するつもりでございますが、一方、農薬の方面からもやはりもとのほうの取締法の改正が必要だと思いますので、土壌の媒体によらない農薬の汚染等も含めた農薬取締法の改正もいま準備をしてもらっておるところでございます。
  269. 寺前巖

    ○寺前委員 それでは公害に係る健康被害の救済に関する特別措置法、この法律については検討は要るんですか要らないのですか、どうでしょう。
  270. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 お答えします。  健康被害の救済措置法につきましては本年の二月、法律としては発足したわけですけれども、いまお尋ねの法律改正の問題につきましては、当面問題になっておりますのは、新しい疾病範囲を拡大するというような附帯決議の御趣旨もございますけれども、緊急の問題としては、現在指定地域制度をとっておりますけれども、そのどういう地域を拡大していくか、そういう運用の面にあろうかと思いますので、いまの段階で必ずこの法律の改正をするというお約束をする段階にはなっておりません。
  271. 寺前巖

    ○寺前委員 大気汚染とか、あるいは水質の場合に、地域指定をしているということは非常に不合理である、全体について汚染が広がっていく以上。だから、そういう地域あるいは水域指定をするということは不合理だという考え方をもしおとりになられるというならば、法律的に考えても、救済の面においても当然広げて考えるべきだと思うのですけれども、大気汚染その他の法において、そういう指定水域制をやめるという態度とそれとの関連性はどういうふうに取り扱われるつもりですか。
  272. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 いままで公害関係の各法の改正の中で、指定地域あるいは指定水域の廃止ということがいわれておりますけれども、これらの場合はいずれも規制法としてのそういう指定地域の廃止でございまして、いわば公害を未然に防止し、あるいは規制する意味での範囲を撤廃する、地域を撤廃するということでございまして、救済法のように事後的に一定の疾病についてこれの救済をはかるという場合には、やはり疾病の特定というものがまず先行するわけでございますから、その疾病の特定にあたって地域を指定するということで、そういう特定を行なうということが必要になってまいると思いますので、いまのところは他の法律でいう指定地域と被害救済法でいう指定地域とは、直接の関係はないものというふうに私どもは考えております。
  273. 寺前巖

    ○寺前委員 私は、ここから意見になってしまいまするから、時間のないときにここで意見の展開をしようとは思いませんけれども、公害の発生を未然に防いでいくために、全体としての基準を設けて押えていくということと、しかし同時に、一方被害が起こっている場合には、被害地域が特定の極端なところだけだということは筋が通らなかろう。現にこの法律が施行されてから、その施行令による指定地域と指定の疾病を見ると、わずかなところしかないですね。六つですね。間違いないですね。神奈川県川崎市の一部区域、新潟県新潟市の一部区域、富山県富山市の一部区域、三重県四日市市の一部区域、大阪市西淀川区の区域、熊本県水俣市などの六つの地域であるということを見ても、実際施行面において非常に不合理な地域を指定しているではないかという批判が現実的に起こっていると思うのです。  それからまた、今度は地域指定だけではなくて、疾病の取り扱いの側から見ても、ぜんそくとか、イタイイタイ病とかも、その地域に限ってしか取り扱われない。そんなばかなことはないということで、いろいろなところでこれに対する意見も出てきていると思うのです。だから、現在実際に起こっている事実から見ても、公害については、指定地域あるいは指定疾病という考え方自身に問題があるだろう。だから当然ここで検討してもらって、次の国会では明らかにしてもらう必要があるのじゃないかというふうに私は思うのです。特に、たとえばこの前の柳町の問題じゃございませんけれども、鉛公害ですか、ああいう問題が起こって、現にその地域の人は病院にみてくれといって、心配のあまり行きます。そしてそこで現に治療に参加していっておる。これはやはりその地域全体が環境を破壊されてしまったその公害の結果だということはきわめて明らかだ。  ところが鉛公害のようなものは全然対象になっていない。ちゃんとはっきりそういう事実が出てきている、あるいは地域全体がそういうふうになっている、こういうふうに考えたら、私はどうしてもこの問題について改正をしていくという態度がやはり要るのじゃないかと思うのですけれども、今度は大臣にその辺、これは深い分析でなくて私見でけっこうですから、お答え願いたいと思います。
  274. 山中貞則

    ○山中国務大臣 現在の法律のたてまえからは、いま厚生省の公害部長の答弁の範囲を出られないだろうと思います。しかし、いまの御発言は、柳町の問題とか、そういう具体的な問題は別にして、基本的な問題として一応私のほうで検討いたしますが、さらに前国会で制定願った公害紛争処理法が、十一月一日から中央公害審査委員会というので出発をいたしますので、そういう意味においてお互いが話し合って、そういう補償その他の処理が法の庇護のもとに受けられるという制度も半面においてはできつつあるわけでございますから、より法律の体制が完備されるように不断の努力を続けていきたいと思います。
  275. 寺前巖

    ○寺前委員 いよいよ時間がなくなりましたので、私はこの健康被害の救済特別措置法をもっと深めることができなくて残念ですが、細部にわたって見ていっても、今日国民公害に基づいての意見を出しておる立場から見るならば、ほんとうに検討し直してもらわなければならぬものが多々あると思うのです。たとえば介護手当の問題一つとってみても、そうです。実際介護手当が支給されるということになっても、その日額は五百円です。五百円の介護手当で実際に人を雇ってできるかというたら、そんなことは不可能です。いやそれは、よう雇われへんかったら、国のほうで、私のほうで人を雇って差し上げますというような機関でもつくってくださるなら私はけっこうだと思うのですけれども、それをやらないというなら、やはりこれについてはもう少し合理的にする必要がある。その面からも、私は内部面からも検討を要するのじゃないかと思うのですが、再度お聞きしたいと思います。
  276. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 先ほど申しましたように、制度の基本的な骨組みについては考えておりませんけれども、給付内容の改善につきましては、ただいまの介護手当の改善等を含めて、できるだけ来年実現するよう努力いたします。
  277. 寺前巖

    ○寺前委員 最後に、この救済の特別措置法の結果の問題なんですが、ちょっと不審でならぬので大臣に聞いてみたいと思うのです。たとえば熊本の水俣病です。明らかに新日本窒素が被害を与えた。そこに公害患者が出た。ところがこの救済の問題になると、救済の法律では、公害発生企業が二分の一負担で済むということになっておる。どう考えたって、救済法の費用負担というのも企業側が全額持つべきだと私は思うのですが、ふしぎでならぬので、この点どういうふうにお考えになりますか。
  278. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは厚生大臣が答弁してもらうのが一番いいと思いますが、基本的にはこれらの議論が行なわれていく前提として、企業の無過失責任もしくは挙証責任転換、公害罪というようなはっきりした裏づけをもって、そして一般の法律でもそれに対処していく体系がすみやかに整えられていく必要があるというふうに感じます。
  279. 寺前巖

    ○寺前委員 時間が来ましたので終わります。
  280. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  281. 加藤清二

    加藤委員長 速記を始めて。  では、発言の申し出がありまするので、これを許します。島本虎三君。
  282. 島本虎三

    ○島本委員 実は、長官は、以前は十分公害対策特別委員会で議論をし合い、いろいろとうんちくの深い意見も聞かしてもらった。その成果が最近実りつつあるものだ、こういうように思っておる最中です。そして先ほどから下水道の予算の問題や、そのほかいろいろと御存じのように意見もあり、予算そのものの一つの集約権と申しますか、それさえも考えておられるように思うのです。そういうようなことからして私はここで、きのう参考人が四人参りました、そしてその意見をただしてみた。公害対策の上から、また国土開発の上から、今後のいろいろな環境整備の上から、まことにこれは適切だ、こういうような結論に達したことなんであります。それで大臣が来るのを待っていたのです。そのもとに道路関係になりますから、それならば建設省。市町村道、その分に対しての交付金による予算措置を扱うところの自治省。それから林道、農道、このための林野庁や農林省。その関係者も来てもらって待っているわけです。ところがいまこうなってしまって時間がないかのようであります。ほんの二、三分あたりの質問というなら、私はほんとうに申しわけありませんが、二、三分ではこれはもうアブハチとらずというか、何を言っているのかわからないようなところで終わっても困るのであります。これは重大な問題でありますから、これだけは必ず実現してもらわなければならない要素なんです。またこれが公害対策を今後進めるためのキャスチングボートになる。私はこういうような問題をかかえてきょうここまできたのですが、もう時間もないようであります。それで、きょうせっかくこれまで待ってくださいました建設省や、自治省や、農林省や、林野庁、並びに山中長官に心から敬意を表して、私の質問はこれで終わります。
  283. 加藤清二

    加藤委員長 この際委員長から一言だけ政府の皆さんに申し上げておきます。  それは、優等生に向かって、おまえたちは成績が悪いではないかという結果になるかもしれませんが、ただいまもお聞き及びのとおり、緊急理事会をここで開きましたが、その根本の問題は、委員の皆さまが公害に対して非常に熱心である。それと大臣の出席とが並行しないというところに最大の原因があるわけでございます。山中国務大臣は非常に優等生でいらっしゃいまするから、あなたに申し上げることではございませんが、しかし国務大臣、特に公害としては山中さんが総括責任者でいらっしゃる立場上、当該関係大臣に、今後は口と行動を一致させていただきたい、特に公害委員会に出ることくらいは、万難を排して出席願いたいということをぜひ山中国務大臣並びに総理から申し伝えていただきまするよう、委員長から要望をいたして終わりたいと存じます。  この点について何か御意見がありましたら、どうぞ。
  284. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先月の委員会の終わりにも、もっとおそい時間であったかと思いますが、同じおしかりあるいは要望を受けました。その結果、きょうは一応閣僚が出たようでありますが、それはやはり全閣僚がそろって一日皆さん方の御質問に答えるということがあるべきほんとうの姿でありましょう。その点が、それぞれの理由があったにせよ、理想どおりの形態をとれなかったという点については、私自身も含めておわびを申し上げます。もちろんただいま委員長のお話しになりましたとおり、総理に対しましては、先ほども答弁いたしましたとおり、閣議の席の発言等の形でない形で、私の意向を、委員長からの意向も含めて伝えて善処したいと考えます。
  285. 加藤清二

    加藤委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後七時八分散会