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1970-10-06 第63回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月六日(火曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 小山 省二君 理事 始関 伊平君    理事 渡辺 栄一君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君 理事 寒川 喜一君       伊東 正義君    野呂 恭一君       浜田 幸一君    林  義郎君       森田重次郎君    佐野 憲治君       土井たか子君    藤田 高敏君       堀  昌雄君    多田 時子君       西田 八郎君    寺前  巖君  委員外出席者         参  考  人         (電気事業連合         会会長)    木川田一隆君         参  考  人         (日本鉄鋼連盟         会長代理)   藤井 丙午君         参  考  人         (石油連盟会         長)      出光 計助君         参  考  人         (ファーイース         トオイルトレー         ディング株式会         社社長)    東  澄夫君     ————————————— 委員の異動 九月十六日  辞任         補欠選任   多田 時子君     近江巳記夫君 同月二十八日  辞任         補欠選任   近江巳記夫君     多田 時子君   川端 文夫君     西田 八郎君 十月六日  辞任         補欠選任   佐野 憲治君     堀  昌雄君   米原  昶君     寺前  巖君 同日  辞任         補欠選任   堀  昌雄君     佐野 憲治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業公害対策に関する件(大気汚染問題)      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  先般産業公害対策状況調査のため委員を派遣いたしましたが、その報告小山理事にお願いいたします。小山君。
  3. 小山省二

    小山(省)委員 本委員会におきましては、去る九月十六日から議長の承認を得て、大阪府、愛媛県、香川県及び兵庫県下の産業公害対策状況等、特に水質汚濁の問題及び大気汚染の問題を中心として調査を行ないました。報告書はすでにお手元に配付しております。  詳細は朗読を省略させていただき、会議録に掲載されんことをお願いいたします。
  4. 加藤清二

    加藤委員長 小山省二君の御提案に御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 加藤清二

    加藤委員長 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会において御協議願いましたとおり、産業公害対策に関する件について、本日参考人として電気事業連合会会長木川田一隆君、日本鉄鋼連盟会長代理藤井丙午君、石油連盟会長出光計助君、ファーイーストオイルトレーディング株式会社社長東澄夫君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  8. 加藤清二

    加藤委員長 ただいま御出席参考人は、電気事業連合会会長木川田一隆君、日本鉄鋼連盟会長代理藤井丙午君、石油連盟会長出光計助君、ファーイーストオイルトレーディング株式会社社長東澄夫君、以上でございます。  この際参考人に言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。  本委員会におきましては、産業公害対策樹立のため調査を進めておりますが、本日は特に大気汚染に関する問題について、参考人各位にはそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  なお、参考人の御意見の開陳はおおむね一人二十分程度といたしまして、あと委員の質疑の際にお答えくださるようお願い申し上げます。  それでは、最初木川田参考人からお願いいたします。
  9. 木川田一隆

    木川田参考人 陳述の冒頭にあたりまして、加藤委員長はじめ委員各位が、火力発電所の現場までお出向きくださいまして、御視察をいただきましたことに対しまして、火力発電所立地公害問題等に対する厚い御配慮に対して御礼を申し上げたいと存じます。  申し上げるまでもないことでございまするが、電気事業生活福祉密接不可分の一日も欠くべからざるサービスの事業でございますので、われわれはつとに生活福祉障害となる公害に対しましては、その防除につきまして積極的に取り組んでまいった次第でございます。しかしながら、われわれの努力不足、あるいはまたこれが根の深い、あるいは依存関係の非常に多方面にわたりまする関係上、この解決には諸種制約条件がございまして、努力不足に加えて、そうした制約条件によりまするために満足な結果を得ず、はなはだ苦慮しておるのが現状でございます。今後とも何ぶんの御理解と御配慮を賜りたいことを冒頭お願い申し上げたいと存じます。  ちょうど昭和二十六年の五月に、電力の再編成によりまして、いまの九電力が発生したわけでございまするが、その当時は、水、火力の、電源の構成と申しましょうか、大体水力が主でございまして、現在の状態と非常に違い、火力が約三割三分、あとの部分は全部水力でございます。ところが、三十七年ごろでございましょうか、それがちょうど半々になりまして、そうしてその以後いわゆる経済高度成長によりまする結果、三十年代の後半に至りますると、火力の増設は急ピッチに増大したわけでございます。これは申し上げるまでもないことでございまするが、火力技術の効率的な向上、あるいは世界的なエネルギー傾向というような問題に即応した姿でございまして、特に高密度社会日本におきましては、この火力発電による大気汚染というものと、きわめて重要な問題としましてわれわれ取り組んでまいったわけでございます。したがいまして、本日は御指命のとおり、火力発電による大気汚染につきまして、燃料面それから施設面と、この二つの面から大綱を申し上げたいと存じます。  すでに御承知おきのことは多うございまするが、一応お聞きとりをくださいますれば幸いと存じます。  施設面あとにしまして、燃料面対策について第一に申し上げますと、第一番に、やはり重油の低硫黄化というものを最初問題点として取り上げたわけでございますが、使用します重油を低硫黄化いたします。昭和三十六年ごろまでは、さきに申し上げましたとおり、火力発電がようやく増大してまいった当時でございますが、ちょうどサルファ含有量が三%程度でございました。それを次第に改善いたしまして、ただいまでは二%を割っておる。もっと進みますと、本年中に一・六%台に下げるくふうをいたしております。しこうして、これを五十年までには一%という見込みを立てまして、環境基準なり排出基準に適応する数値としまして努力を傾倒しよう、こういうふうな考えを持っておる次第でございます。ちょうど電力事業におきましては、四十二年でございましたろうか、総合的な公害対策の本部を設けまして、そうして活動を積極化した次第でございますが、各事業におきましても、それぞれの環境条件あるいは自覚不足によって必ずしも一致いたしておりませんが、三十七年ごろから取り組んできた次第でございます。したがいまして、低硫黄化政策というものに対しましては、石油業界協力をもちまして、さきに申し上げましたように、三%台から一・六%、さらに六年後の五十年には一%台にする大体のめどを立てて努力しておる次第でございます。  第二は、原油のなまだきの問題でございます。きわめて即効性のある原油のなまだきは、現に輸入重油範囲内において使用することを許可されております。したがいまして、その範囲内において、このなまだきを実施しておりますが、今後は、この問題を非常に大きな、大気汚染汚染源排除する基本的な最も即効的な問題として、各方面の御協力を得て、使用の拡大をはかりたいと存じます。  ちょうど、御承知のとおり、日本輸入原油は、八九%、いわゆる九〇%がらみが中東から入っております関係上、中東カフジ原油におきまして二・八%、重油におきますれば、ほとんどその倍のハイサルファの油でございますので、それにミナス等良質の油を混合いたしまして、原油のなまだきを行なっておる次第でございます。これがきわめて重要なる大気汚染排除の、われわれの関係する一つの大きな柱であろう、かように考えております。  第三に、燃料源としましてこれは世界でまだございませんが、LNG液化天然ガスを、ことしの四月から南横浜で初めて営業運転を始めたわけでございますが、約七十六万トン程度アラスカから持ってまいりまして、これを東京瓦斯と協力いたしまして、発電源といたしておる次第でございます。このLNGの問題は今後どのように拡大するか、今後ともこのLNGにつきまして目をつけまして——私が考えついたとき早く手を打って、もっと大量にこれを輸入する計画を立てておればと、いまさらながら残念に思う次第でございますが、いまは少し手おくれになっております。ただし、電気におきまして使っておるところは世界にございませんので、ニューヨークの例の公害で非常な困難を来たしておる電力会社も、数日中に南横浜を見学に参るというふうに、LNGの問題はきわめて世界的な、いわゆる都市ガスばかりでなく、発電にもこれを活用しようという機運で非常に広くかつ熱心に行なわれております。この点もまた幾ぶん手おくれではございますが、拡大方針をとりつつある次第でございます。  以上のような、大体三つの問題を燃料面で申し上げたのでございますが、これに施設面をあわせて陳述申し上げたいと存じます。  施設面では、やはり設備面におきましては集じん装置、いわゆるばい煙というものの排除の問題でございますが、アンモニアを注入いたしまして、それに集じん装置をつけておりますが、非常にこまかいばいじんですから、火力発電所電気方式のものを採用しております。そうしまして効率を高めて、大体八〇%以上ばいじんを吸収し得る程度にまで至っております。  かように、この集じん装置につきましては相当広く活用しておりますが、これに関連いたしまして煙突の高さでございますが、日本におきましては二百メートルの高煙突をはじめ、次第に全国的に煙突の高度を高める動きを示しております。従来は大体八十メートル、百メートルというのがほとんどの火力発電所煙突の高さでございましたが、今日は二百メートル、あるいは再来年には中部で二百二十メートルのものが建設される見込みでございます。目下二百五十メートルのものを研究中でございます。もちろんアメリカにおきましては御承知TVA、渓谷でございますので、三百六十六メートル程度のものをいま建設中でございます。高煙突という問題は世界各国が競って技術の改良と、特に日本におきましては風圧ばかりでございませんで、地震の問題で非常にデリケートな構造上の配慮安全性の確保のために必要でございますので、この研究にいま盛んに積極的な取り組み方をしておる次第でございます。いずれ三百メートル程度のものも出る。これは意味がないじゃないかというようなお考えの方もございますが、世界各国客観的立場で容認しておるものでございますので、われわれは何でもいいから大気汚染排除方法に取り組むつもりでおりますが、煙突の高さの問題もそうした意味でさらに高める道を積極化したい、かように考えておる次第でございます。  もう一つの面におきましては、排煙脱硫の問題でございますが、御承知のとおり、日本大気汚染、その他公害に対する、むしろ世界と申しましょうか、技術開発が非常に手おくれになっております。日本におきましても同じように量的な成長に傾きました結果、この点におきましては、世界と同様に大気汚染排除技術というものが手おくれになっておりますが、排煙脱硫を工業技術院におきまして大型プロジェクトとして数年前に御計画になりまして、中部電力東京電力におきまして、それの実験を数年間試みたわけでございますが、昨年の三月と九月にそれが終了いたしまして、一応のめどがつきました。そのあと機械等故障相当ございましたものですから、九電力におきまして、独自の立場の、独自の経費計算負担のもとにこれを実践いたしまして、ようやくめどを立て、今年中には、たとえば東京電力におきましては、十五万キロワット程度のものを鹿島の発電所につける。中部電力におきましても、十一万キロワットのものを四日市につける。少しおくれましたが、関西電力においても同じような設備を今年中につける運びに至っております。  本問題、いろいろ開発方式がございますが、東電活性炭方式とか、中部酸化マンガン方式とか、関西東電と同じように活性炭を用いております。こういう方式はいろいろございますが、少なくとも今年中からこれを取りつけまして、実験段階に入るという運びに至っております。大体、脱硫相当、八〇%程度成功率でございます。ただ、お金が非常にかかりまするので、土地の容積の大きさ、それからたとえば活性炭でございますと、トン当たり三十万円かかりますので、十五万キロワット程度のものに入れますると、三百トンくらいの活性炭——市場にございませんですが、武田薬品等研究中のものがございますので、そういったものの一部の障害はございまするが、私は信念といたしまして、生活福祉を守るために、公害排除というものに非常に効率的な努力をすると同時に、この経費等につきましても、簡単に価格に転嫁することなく、ことに公益事業料金におきましては、長期安定をモットーとしておりまする関係上、そうした面は、公害防止を第一目標といたしまして、経費を第二次的な自己吸収努力をしようというふうなたてまえでやっておりまするが、何ぶんにも、この脱硫技術というものに相当の、まだ実際上大型のユニットに、これが日本では六十万キロワットの設備が一番大きうございますが、そのうちに百万になります。そういう大きな火力発電設備に、これを故障もなく運転するということは非常に配慮のあるものでございまするが、それに大型の、まだ十分な検討を必要とする余地がある脱硫装置をつけるとかいうことは、火力発電所自体故障その他によって、御迷惑をかけることをおもんばかりましておるわけでございますが、これも積極的な、政府とわれわれとの間に意味相通じまして、この問題に積極的な取り組みをいたしておる次第でございます。  第三に申し上げたいのは、設備面と申しますか、いわゆるエネルギー革命によりまする固体から液体というふうな問題につきまする原子力発電の問題がこのあとに控えております。大体において安全審査世界的に最も高い基準ができておりますので、この問題は空気汚染等の弊害もございませんので、この開発には積極的に取り組む方針でございます。  かような三つ施設面の問題を申し上げて、燃料対策施設対策というものを通じまして、総合的な観点から大気汚染排除努力したいと思いますが、何ぶんにも種々の条件整備が全体としておくれております関係上、ひとり企業の単独の、一臂の努力ではなかなか実現を期しがたいわけでございますので、二、三、日ごろ考えておりまする阻害要因と申しましょうか、条件整備と申しましょうか、高密度社会の中における条件をどのような面において整備すればよろしいかということが、基本的な問題だろうと私思います。ワクづくりなくして急速に発展した日本国土の中で、個別企業自覚構造が必ずしも一致しない中で、この問題が急速に発展しました関係上、いわゆる社会的不安定の問題にまで発展する福祉の問題というものを最も尊重すべき時代と解しておりまする関係上、公害の中の大気汚染、われわれの関係する最も重大な問題を、条件整備の中でぜひ前提条件として御配慮いただきたい、この二、三を申し上げたいと存じます。  それはやはり何といいましても、世界の最近の情勢は、良質の油を獲得しよう、いわゆる資源問題にまで拡大されるわけでございますが、油の問題につきましても、世界的な争奪戦がいま開始されております。御承知のように、アメリカが従来の自由化政策を捨てまして、封鎖的な傾向がございます。そうして輸入を盛んにやろうというので、世界的な利権を持っておりまする関係上、これをどんどんアメリカに入れよう、これをLNG問題もさようでございますが、アメリカはもちろん各面に手を伸ばしまして、アメリカ輸入政策が、ちょうど八〇年ごろは国内消費の五割までも輸入に依存しようという封鎖的傾向がございます。同じように供与国におきましても、リビアのごとく、石油の輸出を制約するというふうな供与国もそうでございますし、先進国間においても、良質の油の争奪戦を展開しておるわけでございますので、この面につきまして、手おくれであり、かつ利権の少ない日本としては、この争奪戦の中で、国際的協調の場で、どのようにこの配分をより多くより合理的に獲得するかという問題点が非常に大きゅうございますので、結局良質の油をどのようにして日本全体でこれを手に入れるかという問題を、第一に資源政策と関連してぜひ御考慮おき配慮を願いたい、かように考える次第でございます。  それから先にも触れましたように、なまだきの即効性というものが非常に大きゅうございます。もう御承知おきのことでございまするが、サルファ重油の大体半分とわれわれみなしておりますが、なまだきを非常に広く拡大して、火力発電所で、もちろん機械その他の設備を改良せざるを得ませんが、なまだきの拡大ということをいま政府ともお話し合いをお願いして進めておりまするが、いわゆるC重油輸入分の中において許可するというようなお考えを改定されて、そうして自由に使い得る道を開いていただきたい、この問題が一つでございます。  それから石油政策というと少しなまいきでございまするが、従来の消費地精製主義あるいは民族尊重主義というような問題、それから関税が御承知のように重油にも石油にも六百六十円から六百四十円というふうにかかっておりますので、世界的に油を、しかも低硫黄良質な油を争奪して自分の国に持っていこうという時代に、これをはばむような政策はぜひ御検討願いたい。せんだっても通産大臣にお願いしてございますが、こういう面もやはり福祉優先経済政策なり社会政策を、いま日本といたしましても、また世界各国がそうした傾向にある場合において、日本におきましても、新しい公害排除の法令をお出しいただくことは、総合的な見地で、システマティックな形において御検討いただきますことは、非常にものによりますれば必要とは存じますが、既存の法律あるいは行政指導というような問題につきましても、こうした高次の人間福祉の理念からいいまして、ぜひ広く御検討をいただく、この中にエネルギー政策石油政策も包含されるもの、かように考える次第でございます。  それから、先ほどワクの問題を申し上げましたが、都市公害にしましても、産業公害にしましても、あるいは食品工業、農業その他の諸関係環境問題全般にわたりまして、日本は急速なる経済成長と申しましょうか、狭い国土の中で経済成長が、量的成長を軸にして、しかも、そのもとは技術革新を軸にした機械文明でございます。その面におきまして、日本の無秩序なる発展の中にいかにワク組み計画的につくり上げるか。たとえば国土開発、先般新全総といわれる全国の国土開発計画が企画庁から出ておりますが、あれをさらにきめこまかく、地域の工業規模、あるいは都市規模、あるいは大型プロジェクトをいかにするかというような、土地土地に合った、全国的な規模において、きめのこまかい、しかも、実際に即する国土開発計画を、ぜひお立てくださいますよう。それから、都市計画、再開発ということも同じように、東京都のような無秩序な発展それ自体の中に含まれる公害の原因というものが、そこら辺に大きくございますのに、そのあと始末だけをしまして——むしろあと始末をしながら、予防措置を重視するというようなものの考え方のところに非常に問題が存するわけでございます。あと始末だけを追っかけましても、経済成長の中には新しい公害がどんどん増してまいりますので、ぜひあと始末うしろ向き公害対策をお願いするとともに、前向きの、予防的な考えに立ちまして、そういう面も御配慮願えれば、国土開発都市開発等ワク組み計画的設定という問題も、大きく、われわれの火力発電所なら火力発電所排気ガス等に対する配慮の基本的な問題、かように考えますので、なまいきのようでございまするが、政策面にも触れて申し上げたわけでございます。  もう一つは、公害排除技術の問題でございますが、各所においてこの問題は個別的にいろいろやっておる。われわれ民間におきましても、科学技術協会というものをつくりまして、そうして現状調査する。大体関西のほうは現状調査が済みましたのですが、これからは、廃棄物技術活用、あるいはさらに根源に入りまして、技術文明の中の技術革新それ自体が、公害予防に対する技術が軽視されると申しましょうか、非常におくれているという問題について、そこまでも深めていきたいというような問題を取り上げております。これは政府におかれましてもお進めになっておるわけでございますが、そういう面におきましても、技術の総合的な、資金も非常に必要とし、知能も、シンクタンクというような説がいま盛んに官民に行なわれておりますが、この問題等に対する取り組み——一番最初にやっていただきたい問題は、この大気汚染その他の公害排除の問題である、かように考える次第でございます。  いろいろと申し述べましたが、要は、われわれ公益事業の、ほんとうに皆さん生活福祉に非常に関係がある、一日も欠かすべからざる事業に対しまするわれわれの経営の立場といたしましては、全力をあげてこの問題の解決に取り組む方針でございます。  いまいろいろ申し上げたとおり、諸種の根の深い、しかも依存関係のきわめて複雑な状態にありまする公害関係を、総合的に、システマティックに問題を解決するような御協力をぜひお願いしたい、そうしましてわれわれが日夜苦悩し続けておりまする立地等障害のないようにして、皆さんによりよき安定した、しかも長期的な料金の安定のもとに、電力の供給に奉仕したいというふうに存じますので、何ぶんの諸先生方の御協力をお願いいたしまして、陳述を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  10. 加藤清二

  11. 藤井丙午

    藤井参考人 実は、連盟会長の稲山さんが国際鉄鋼協会のためにヨーロッパへ参っておりますので、私からかわって陳述を申し上げることをお許しいただきたいと思います。  皆さん承知のように、日本鉄鉱資源がほとんどございません。大体鉱石にしまして本年度約一億トン、原料炭にしまして六千万トンを輸入するといったようなきわめて貧困な国土でございまするが、幸いにしまして昨年は八千六百七十万トンの粗鋼生産、本年度は約九千四百万トン程度粗銅生産でございまして、これはアメリカの一億二千五百万トン、ソ連の一億一千万トンに比べますと、まだかなり水はあけられておりまするけれども、フランスの二千万トン、イギリスの二千五、六百万トン、あるいは西独の四千百万トンに比べますとたいへんな成長でございます。したがいまして、いま申しますように膨大な鉄鉱原料等を使用します関係上、公害問題がこれに付随発生いたしますことは、やむを得ない事情もございまして、われわれ今日までその対策に極力努力しておりますけれども、まだその完ぺきを期し得ないことをはなはだ残念に思っております。  なお鉄鋼業は、申しおくれましたけれども、こう申し上げちゃはなはだ口幅つとうございますけれども、世界的に一番国際競争力を持った産業でございまして、昨年も鋼材といたしまして千六百五十万トン、粗鋼にしますと二千二百万トンぐらいでございますが、それを輸出いたしまして、世界第一の鉄鋼輸出国になっておるわけでございますが、大体直接輸出で二十五億ドル、間接輸出、と申しますと、輸出造船、輸出自動車、輸出機械等に含まれております鉄鋼素材が約八億ドルでございます。合計いたしまして三十三億ドル見当の外貨を獲得しておりまして、先ほど申しましたような膨大な原材料を輸入しておりますけれども、それを支払ってなおかつ十億ドルぐらいの貿易収支の上で黒字をかせいでおるという点を、ひとつ御認識いただきたいと思う次第でございます。  さて、問題の公害対策でございますが、これは陳述要旨に書いてございますので、それをお読み取りいただけば大体わかりますけれども、あらましかいつまんで問題点を御説明申し上げたいと思います。  まず、問題になっております大気汚染の問題でございますけれども、製鉄工場におけるSO2の発生源は、溶鉱炉あるいは製鋼工場における転炉等ではございません。実は溶鉱炉等がたいへんな公害源のように一般には思われておりますけれども、これは私ども集じん装置と同時に、発生するガスは全部これを捕捉いたしまして、火力発電等の燃料に活用しておりますから、溶鉱炉に関する限りはもうほとんど公害がないと申し上げていい。また製鋼工場における転炉方式、これはいまほとんど大部分の製鋼方式でございますが、これもわれわれ旧八幡時代開発しましたOG方式という集じん装置、これはパテントでございまして、いま世界各国の製鉄工場にこれをパテントとして輸出しております。そういうわけで新技術開発いたしまして、このほうも問題はございません。  ただ、問題になりますのは焼結工場、と申しますと、鉱石はかたまった鉱石だけじゃございません。最近では粉になった粉鉱石が非常に多うございまして、これを固めまして溶鉱炉に装入する、そのための焼結工場、これが問題点一つ。もう一つは、御承知のように、石炭をコークスにいたします際に発生する公害の問題。それからもう一つは、鋼材をつくる圧延の過程におきまして、一たんできましたはがねのかたまり、いわゆる鋼塊をもう一度加熱をし、あるいは熱を均一化するために加熱炉等を使っております。その場合にかなりの重油を使います。それがやはりSO2の発生源になっておるのでございます。これが大体このSO2の発生の原因でございまして、その中で約五〇%が、先ほど申しました焼結工場から出るものでございます。  そこで、私どもといたし医しては、このSO2の発生を極力抑制するために、排煙脱硫装置等をいませっかく検討中でございますが、これはなかなか技術開発が困難でございまして、まだ完全に実施段階にはまいっておりませんけれども、いま各製鉄業者共同してその技術開発努力しておるわけでございます。まあ排煙脱硫装置が、さっきも電力のお話がございましたけれども、技術的に成功し、設備的にこれが完成いたしますと、おそらくこの焼結工場等におけるSO2の問題も解消するのではなかろうかと思って、せっかく努力をしておる次第でございます。  それから粉じんの問題、これがやはり大気汚染一つの大きな問題でございます。製鉄工場における粉じんの発生原因は、これまた鉱石、石炭の原料の処理、あるいはこれを輸送する過程において、あるいはまた製銑、製鋼等の工程で出てまいるわけでございますが、先ほど申しましたように、高炉とか転炉とかいうものは、これはもうほとんど排気ガスを完全捕捉するということになっておりますので、公害上問題はございませんが、ただ、この鉱石、石炭、特に粉鉱等が非常に多うございますので、そういうものを船から積み取る場合のアンローダ、あるいは原料ヤードへこれを運送する段階、あるいはコンベアでもって溶鉱炉に入れる、そういう段階でやはり粉じんがかなり発生するわけでございますので、それらにつきましては、アンローダ等につきましてはカバーをするような防じん施設をしておりますし、あるいはまた水をまきましたり、そのほかサイクロンという——凝結剤を散布するといったようなことで粉じんの出ないようなくふうをしておりますし、さらに最近ではもっと性能の高い電気集じん機等を採用しつつあるという状況でございます。  さらに今後、粉じん対策といたしましては、石炭の、あるいは鉱石の荷役、原料ヤード、コークス炉等から発生する粉じんについて、一そう捕捉技術開発、完成にせっかく努力しつつある状況でございます。  もう一つ問題点は、水質汚濁、きょうは関係ございませんけれども、水をよごす問題でございます。製鉄工場からは、たとえば高炉ガスの洗浄であるとか、コークス炉ガスの洗浄であるとか、転炉ガスの洗浄であるとか、各圧延段階あるいはいろいろな表面処理、そういった工程を通じて汚濁物が発生いたしますので、これらの問題は沈でん池をつくることによってこれを処理するとか、あるいは冷却した排水でだんだん薄めるといったような方法を講じております。特に問題になりますのは、炭水と申しまして、水を何回も繰り返して使う。全国平均で申しますと、炭水率が七〇%でございますけれども、たとえば千葉県の君津工場といったような新鋭工場では、大体九三%、水を何回も何回も回転して使っておりまして、ほとんど排水をすることがない、こういう状態になりつつあるのでございまして、海水その他の汚濁の問題もやがては解決することと存じております。  さらに、水質汚濁につきましては、工場から排出する汚濁物の一日当たりの総排出量、つまり日間の汚濁負荷量とでも申しますか、これはだんだん規制がやかましくなってまいりますので、先ほど申しましたように、これを薄める方法をとることはむろんでございますけれども、戻水率を高める、あるいはこれからおそらくやかましい問題になるでありましょうシアンとか、フェノールといったような有害物の放出は、これは絶対に排出しない、こういったことのために、そこに書いてございますように、CODであるとか、BODであるとか、こういったような汚濁を低下し排除する方法を極力講じておるわけでございます。  繰り返し申しますけれども、何よりも一番効果のあるのは、いまの庭水率を高めるということでございますので、そのことに目下全力を注いでおる次第でございます。  それから、先ほど来木川田さんからもるる御説明がございましたが、しからばSO2を抑制するにどういった方法をとったらよろしいかということでございます。これはもう、話が重複いたしますけれども、申すまでもなく、SO2の、つまり硫黄分の少ない原料を使うということ。そこで、まず、鉱石について申しますと、でき得るなれば外国でもってこれをペレットにしまして、半還元をいたしまして、つまり鉄分の非常に多いものにいたしまして輸入する。そういたしますと、運賃の面からもコストの面からも非常にこれが改善されるわけでございますが、第一に、いま申しますようなSO2の排除ということで、非常に大きな役割りを持っております。また焼結をする場合にも、所によりましては、現地ではなかなか困難な場合には、地中海その他の離れ島でもって焼結工場をつくりまして、そういうところで、一般の公害のない離れ島等を活用することによって鉱石の焼結をする、そういったことも目下検討しておる次第でございます。  それから重油の問題は、もう繰り返して申し上げるまでもございませんが、できるだけローサルファの油を入れる。これも先ほど来お話のございましたように、ローサルファ原油と申しますのは、インドネシアのミナスあるいは中近東のリビアその他の一部の油でございまして、後ほど出光さんから詳しく御説明があると思いますが、なかなかこれは入手困難でございますが、できるだけそういった原油の確保をはかる。  話は余談にわたりますけれども、私は九州石油開発の社長もいたしておりまして、実はインドネシアにおきまして相当広大な十九万五千平方キロという、日本の六割に相当するような広大な鉱区の権利を獲得しまして、目下探鉱開発をやっておりますけれども、アラビア石油のようになかなかうまくいきません。もう十本いま掘りましたけれども、遺憾ながらまだ成功していないという状況でございます。しかしながら、これはわれわれ九州石油独力で、何とかひとつローサルファ原油開発したいと目下真剣に取り組んでおる状況でございます。しかしながら、このインドネシア地帯は一帯がローサルファの地帯でございまして、われわれの隣の鉱区であるIIAPCOであるとか、インドネシア石油等では、いまだんだんと油が発見されつつあるので、私どもも望みを捨てないで、せっかくそういった——これは製鉄とは間接的な問題でございますけれども、決定的な公害問題の要因になる問題でございますので、努力をしておるというような状況でございます。  そのほかに、先ほどお話に出ましたように、天然のいわゆる液化ガス、あるいは液化石油ガス、こういったものを極力確保することによってSO2発生の原因を抑制しよう、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、先ほども申しましたが、焼結の排煙脱硫、これが製鉄工場としては一番中心の問題でございますので、これはさっきも申しましたように、共同開発に力を注いでおる、こういう状況でございます。  そこで、今後鉄鋼業界としてはあらゆる面で最大の努力をして、発生源としての企業責任というものを痛感すると同時に、その解決に万全を期するかまえでございまするが、同時に、これは御承知のように一企業だけではなかなか解決の困難な問題でございますので、先ほど木川田さんのお話のように、やはり国策としても低硫黄石油開発について、もう少し思い切った開発助成をしていただきたい。鉱石につきましても同様に、なるべく成分のいい、硫黄分の少ない鉱石を使う。そしていまわれわれは硫酸滓等もかなり使っておりますけれども、こういったものの脱硫技術開発と同時に、硫酸滓の使用をなるたけ抑制する、こういったようなことについてわれわれ大いに努力したいと思っておる次第でございます。  ただ、木田川さんのお話のように、遺憾ながらまだ硫黄排除する脱硫技術というものが世界的に完全に開発されておりません。これはもうどういたしましても、政府におかれましても相当大型なプロジェクトを設定して、官民協力して脱硫技術開発あるいは脱硫設備の完成ということに、大いにひとつ今後皆さまの御配慮をぜひお願いしたいと思う次第でございます。  それから、木川田さんのお話とちょっと重複するようでございますけれども、御承知のように、結局この公害の問題といい、住宅難の問題、あるいは交通難の問題、物価高の問題、これは急激な高度成長と同時に、非常に高密度社会が構成されたという、産業構造上ないしは社会構造上からくる非常に大きな問題でございますので、私、こんなことを申し上げてはなはだ僭越でございますけれども、この際公害問題に当面取り組むことはもう喫緊の問題でございますけれども、同時に、根本問題にさかのぼってわれわれはこの解決をはからなければならぬ。実は先般も佐藤総理にも私、るる申し上げたのですが、この際やはり国土の総合的な再開発、あるいは産業の全国的な適正な再配分ということを考えなければ、あとからあとから問題を追いかけるのでは解決にならない。たとえば鉄鋼であるとか、石油であるとか、造船であるとか、こういった臨海工業でなければ成り立たないという産業はやむを得ませんけれども、機械産業あるいは精密機械その他の産業におきまして、内陸地帯で十分に成り立つ産業がたくさんあるわけでございますから、そのためには地方に適正に産業を分布して、そしてそのための工業用水であるとか、道路であるとか、その他の環境整備政府並びに民間が一緒になってやりますれば、おのずからこれは公害問題等々の当面の大きな社会問題の解決になる。その辺の思い切った施策をやらなければならない非常に大きな曲がり角に来ておるというふうに痛感する次第でございます。  はなはだよけいなことを申し上げましたけれども、あとは御質問をちょうだいしまして詳しく申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
  12. 加藤清二

  13. 出光計助

    出光参考人 過日、加藤委員長及び各委員先生方、わざわざ現地を御視察いただきまして、貴重なる御忠言をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。  先ほどからの木川田さん、藤井さんあたりのお話から総合いたしまして、石油業界というものが、SO2公害を出す源を断つということが根本問題であります。すなわち、硫黄の少ない重油を需要者の皆さまへ提供するという根本に尽きると思うのであります。しばらくわが国の特殊事情をひとつお聞き願いたいと思います。  わが国の経済の著しい発展に伴いまして、エネルギー需要が非常にふえております。石油がその大体七割近くを受け持っておるわけでありますが、ちょうどこの十年間に、昭和三十五年には三千五百万の需要であったものが、四十五年には約二億に近い、六倍の規模に達しておるわけであります。  ところが、わが国はこの石油資源がまことに貧弱でありまして、海外にそのほとんどを依存しております。特に中近東から九〇%を持ってくる、こういうことは当分動かない事実であろうと思います。  ところが、この中近東の油は御承知のようにたいへん硫黄の高い油であります。この高い油を使って、何とか公害に対処するというのがわが国の石油市場の宿命とでも申しましょうか、これが一大前提になるわけであります。したがいまして、わが国に輸入しております四十四年度原油の平均硫黄が一・六八%という高いものになっておりますので、亜硫酸ガスによる大気汚染の問題が起きてくるのは当然のことでありまして、社会的にも一日も早くこれを何とかしなければならぬ、こういう状態になっております。  そこで、その亜硫酸ガス対策といたしまして具体的な方法は何であるかと申しますと、まず第一に、硫黄分の少ない原油重油輸入する、こういうことであります。第二が硫黄分の高い重油から硫黄をとる重油脱硫。それから第三に、煙突から出ます煙から今度は亜硫酸ガス、硫黄を取るという排煙脱硫、それからあわせて液化天然ガス、先ほど木川田さんからお話ありました、これを積極的に導入する、こういう方法だろうと思います。  そこで、そのおのおのについて、ざっと説明申し上げたいと思います。  まず低硫黄石油の生産状態でありますが、原油は、世界の生産の大体半分が低硫黄、半分が高硫黄、こういうことになります。この低硫黄の生産が、北米が大体四割、ソ連が三割、それからアフリカが約二割、こういう状態になっておりまして、アメリカ及びソ連はそれ自体が消費地でありまして、とても輸出する余力はないわけであります。アフリカは、最近アメリカが非常にこれに目をつけておりまして、アフリカの原油はこれから急速に開発されると思いますが、いままでのところはアメリカ及びヨーロッパに全部行っている。日本にはごくわずかしか来ていない、こういうことであります。それから、御承知のミナスを中心とした南方の油は硫黄は低いのでありますが、これは生産力が、先ほど申しました世界の半分の硫黄のうちの四%にすぎませんので、たいした期待ができない、こういうことであります。四十四年度におきまして、インドネシアの生産量が約四千二百万キロであります。それから中東にごく一部ありますが、マーバンという原油があります。これが約二千万キロの生産をしております。それにごくわずかですが、ソ連の油等を入れまして、四十四年度にわが国に輸入しました原重油は三千万キロにすぎないのであります。全体の需要の二億から申しますとわずかに一五%にすぎない、こういう実情になっております。  ただ、この日本へ入っております原油の平均硫黄分は、われわれは非常に努力をいたしておりまして、四十年度において二・〇四%であったものが四十四年度一・六八%と下がっておりまして、毎年少しずつは下がっておる、こういうことをぜひ御了解願いたい。  しからば、将来この低硫黄原油入手の見込みはどうであろうかといいますと、最近、世界的に重油需要が非常に増加しておりますが、特に米国でニクソン大統領が公害宣言をされましてから、世界の低硫黄の油というものはアメリカへ大体向いていく傾向が非常に強くなってまいりまして、先ほど申しますような日本状態から申しますと、たいへんこれは将来を心配しておる状態であります。  そこで、ミナスを中心とした南方原油の生産の問題は、後ほど東社長からお話があると思いますが、この増産はたいした期待ができない、大勢から申しますとそういう状態にありますので、これに対しまするわれわれの対策といたしましては、西アフリカ——西アフリカと申しますとナイジェリア及びカビンダでございます。ここに相当の低硫黄の油の生産が期待されるわけであります。これをもってミナス原油等にかわる将来をになわしたいものだ、こういうつもりにいたしております。この、ただいま申しましたナイジェリア及びカビンダの生産が、四十四年度において大体六千万でございますが、これは非常に急速に伸びまして、四十八年度では一億になるであろうという見込みになっておりますので、ここから二千万やそのくらいのものは買い付けできるのではないか、かように考えております。  これが低硫黄石油の問題でありますが、次に、第二の問題の重油脱硫について申し上げますと、以上のように、低硫黄重油輸入に限界がありますので、われわれはこの重油脱硫というものに対しまして、世界に先がけまして、四十二年から取り組んでおります。技術的困難あるいは経済的にも高くなるということは覚悟の上で、これに取り組んだわけであります。現在は各石油会社の脱硫装置がだいぶ出そろいまして、四十四年度で三十万バーレルになっておりますが、三十万バーレルと申しますと、年間二千四百万の重油ということになります。これが四十七年になりますと六十三万五千バーレル、年間五千万キロの重油を生産できる能力、こういうふうに現に進んでおりますが、この重油脱硫につきましてはばく大なる設備投資の金が要りますし、あわせて運転経費もありまして、大幅にコストが高くなるわけであります。  現在までの投資額を申し上げますと、大体四十四年度で三十万バーレル、大体六百三十億円の実績を示しております。四十七年度で六十三万になりますと約千三百億以上であろう、こういう見込みをいたしております。  ただいま申しましたとおり、低硫黄化対策といたしましては、当面低硫黄重油輸入及び重油脱硫が中心になりますが、昨年十二月のエネ調の低硫黄化対策部会でも強調しておりますように、今後排煙脱硫及び液化天然ガスの導入など並行して強力に推進しなければ、とうていSO2対策は思い切ってできない、こういろ結論になっております。  そこで、石油業界公害対策に対しまして非常に積極的に取り組んでおるということを、数字をもってちょっと申し上げておきたいと思いますが、四十四年度におきまして総投資額の一六%を公害対策費として使っております。日本の一般製造業平均が五・二五%でございますから、石油業界は非常に、三倍以上の投資をしておる、こういう状態であります。ぜひ御了解願いたいと思う点であります。  石油業界はこの公害対策のほかに、需要の急激なる発展に対しまして巨大なる設備投資、それから備蓄の増強、パイプラインの建設問題、あるいは海外の油田開発等の諸問題、そのいずれをとりましてもばく大なる資金を要する問題があります。  一方、石油業界といたしましては、慢性的な業界の不振によりまして、まことに情けない経理状態になっております。それに加えましてガソリン税、軽油税等の諸税の重圧があります。企業経営を著しく圧迫しているのが現状であります。どうぞひとつ、この点を御同情願いたいと思う次第であります。  したがいまして、政府にお願い申し上げたいことは、重油脱硫に対する原油関税の還付、昨年一部やっていただきましたが、金額がはなはだ少ないわけであります。これの大幅なる引き上げ、それから低硫黄原油の関税軽減措置というようなものによりまして、石油業界が対処する公害対策の推進を積極的に助長する機運をぜひつくっていただきたいと思う次第であります。  以上、低硫黄化対策について石油業界の対処のしかたを申し上げましたが、将来ますます増加するこの石油需要を考えますと、従来の考え方のように、低硫黄化対策の大部分を低硫黄重油輸入重油脱硫だけに期待するのは非常に無理でありまして、国全体といたしましては、亜硫酸ガス対策に需要者、一般国民も理解ある考えを持って取り組まなければ、とうてい解決のできるような簡単な問題ではないと思う次第であります。政府におかれましても、どうぞ抜本的な強力なる助成を講ぜられるようにお願いしたいと思います。  はなはだざっぱくでありますが、これをもって終わりといたします。(拍手)
  14. 加藤清二

  15. 東澄夫

    ○東参考人 ただいま御指名をいただきましたファーイーストオイルトレーディング株式会社の社長をいたしております東でございます。私の御説明は、先ほど来のお三方と違いましてはなはだ次元が低うございますけれども、しばらく御清聴をわずらわしたいと思います。  ファーイーストオイルトレーディングという名前は、専門業界におきましてはようやく知られてまいりましたけれども、一般にはたいへん耳新しい名前だと存じますので、初めに、どんな会社か、どんなしかけになっておるかということをかいつまんで、ごく簡単に申し上げます。  御存じのとおり、インドネシア共和国では、その広大な国土に豊富な石油資源を保有いたしておりますので、戦前からシェルとか、スタンバックとか、あるいはカルテックス、こういった英米石油会社が油田の開発、生産、販売、あるいは石油精製を行なっておりましたけれども、一九六〇年の十月にインドネシア政府は、独立以来の構想でありますところの、石油及びガス鉱業は国営企業が独占をするのだ、こういう旨の石油鉱業法を制定いたしました。これによりまして、一九六三年九月に石油鉱業権は国営石油公社に移りまして、さきに述べました英米石油会社は、それぞれ国営石油公社と請負契約の形でその事業を行なうことになった次第でございます。  そして石油生産事業から生じましたカルテックスとか、スタンバック、あるいはシェルとか、こういった生産事業から生じました利益の六〇%、あるいは生産原油の四〇%を現物でインドネシア政府に納入することが取りきめられた次第でございます。  さらに、石油精製事業も漸次国営石油公社に移管をいたされまして、現在では、製油所はすべて公社が所有をし運営をしておる、こういう状況でございます。  当社は、インドネシア政府が外国石油会社から取得をいたしました原油及び、自分でも油田をやっておりますが、自分で生産をした原油及び製油所から出てまいりました重油その他の石油製品を、直接日本市場に原則として一手に販売する、こういう特殊の使命を持ちまして、いわば日イ経済協力の一環といたしまして一九六五年、昭和四十年の五月十五日に、日本とインドネシア側との五〇対五〇の合弁で設立をいたされたのでございます。インドネシア側の出資はすべて、唯一の国営石油公社であるプルタミナという公社が五〇%持っております。日本側では北スマトラ石油石油資源開発関西電力その他の電力会社日本鉱業その他の精製会社、こういった側が五〇%を拠出いたしておる次第でございます。  自来当社は、インドネシア産出の原油及び重油日本市場における新規需要の開拓に努力を傾注いたしてまいりましたが、供給可能な石油の大部分を占めておりますミナス原油、これは御承知でもございましょうが、硫黄含有量は〇・〇九%、なきにひとしいような含有量でございます。これを重油にいたしましたミナス重油でございましても〇・一三%という状況でございます。このミナス原油、ミナス重油を主として入れるわけでございますが、こういうふうに超低硫黄であります反面、非常にワクシーである。ろう分が非常に多うございまして、日本では常温で凝固をする。三十五度以下になりますとこれが凝固して、くつ墨のように固まってしまうという性質を持っております。したがいまして、当初はその市場開拓は非常に困難でございました。  しかしながら、一九六六年、昭和四十一年より電力会社におけるなまだき用として、次いでガス会社の直接分解用として、ミナス原油を使っていただくことになりまして以来、これを突破口といたしまして、逐次新規需要を獲得するに至りましたが、その間、需要者側においても保温設備のある貯油タンクあるいはパイプ、その他の設備を建設するなど、次第に受け入れ体制を整備いたしましたし、さらに大気汚染問題が大きくなるに伴いまして、急速に市場が拡大をしてまいりましたが、去年の四十四年の上期におきましては、まだ契約がございましても、安定した平均的引き取りという点に問題がございまして、われわれは不需要期対策に苦慮いたしていたような次第でございまして、現況からは考えらなないようなありさまでございました。  このようにして、当社のミナス原油の取り扱いは、昭和四十一年の七万キロリットルに始まり、逐次増加をいたしまして、昨四十四年度は三百六十万キロリットル、本年度は五百二十万キロリットルでも足りない状況となりまして、その他の原重油を合わせますと、取り扱い高合計は約七百五十万キロリットルに達する予定でございます。  次に、インドネシア産出の原油及び重油の生産について、簡単に御説明をいたします。  昨昭和四十四年度にインドネシア全土において生産をいたされました原油は、石油公社プルタミナあるいはカルテックス、スタンバック、北スマドラ石油等を合わせまして四千五百万キロリットルでございます。先ほど出光さんからお話しになりました数字と若干違いがございますが、これはわれわれの四−三ベースといいますか、日本の会計年度と同じとり方でとりましたものですから、若干多うございます。四千五百万キロリットルがインドネシアの全原油生産でございます。そのうちミナス原油、現在低硫黄原油の代名詞のようにいわれておりますこのミナス原油は、約三千四百万キロリットル産出をいたされております。この数字のとり方も同様でございます。四千五百万のうち三千四百万がミナス原油でございまして、全体の約七六%を占めております。  また重油は、パレンバン——これは南スマトラでございます。パリクパパン、これはカリマンタンの中部にございますが、これらの製油所から約五百四十万キロリットル生産をいたされましたが、そのうちのミナス重油、これはまた低硫黄重油の代表のようにいわれておりますが、これが三百万キロリットル精製をいたされておりまして、全体の約五六%を占めております。  なお詳しくはお手元に資料を配付を申し上げておりますが、ごらんをいただきたいと存じます。  次に、私どもの会社のミナス原重油の供給販売状況について、少し補足をして御説明をいたします。  現在当社が日本市場に供給をいたしております北スマトラ原油、デュリー原油、ブニュー原油及びミナス原油、ミナス重油、こういった五種類でございますが、さきに申し上げましたように、合わせまして七百五十万キロリットルでございます。ミナス原油及びミナス重油以外のものも、いずれも非常に低硫黄でございますけれども、ここでは、大気汚染防止対策用の低硫黄燃料として知られておりますミナス原油及び重油にしぼって説明をさせていただきます。  昭和四十四年度に生産されました約三千四百万キロリットルのミナス原油のうち、インドネシア国内の精製用に使われますものが約一千万キロリットル、輸出された二千四百万キロリットルのうち、日本輸入されたものは一千五百万キロリットル、大体六三%でございます。そのうち当社が扱っておりますのが約三百七十万キロリットルで、輸入総量の約二五%、四分の一でございます。これが昨年度の実績でございました。  本年度昭和四十五年のミナス原油の生産量は約三千九百万キロリットルが見込まれておりますけれども、日本向けの輸出量は約二千万キロリットルと推定をいたしております。そのうち当社の供給量は約五百二十万キロリットルでございまして、二六%の割合になると存じます。この約五百二十万を、電力、ガス業界へ百九十万キロリットル、石油精製会社各社、すなわち出光興産、丸善石油日本鉱業、三菱石油、こういった会社をはじめとする十数社の一般の石油精製会社へ約三百三十万キロリットル供給することにいたしております。  ミナス重油は、昭和四十四年度において約三百万キロリットル生産をいたされまして、このほとんど全量が日本へ入ってきております。  本年度の生産量はほとんど前年度と変わりませんで、約三百十万キロリットル程度の生産にすぎませんが、その全量が日本へ輸出されるものと推定をいたされます。当社はそのうち約百三十万キロリットル、四二%の供給を計画いたしまして、これは輸入割り当て権を持っていらっしゃる石油会社、商社を経由いたしまして電力、鉄鋼等の需要家へ納入をいたしております。  次に、ミナス系原重油の今後の供給見通しについて若干触れさせていただきます。  ミナス原油は、古い油井の生産の減少——デクラインがございますが、これをあわせ考えますと、先ほど出光さんからもお話がございましたように、大幅な増産は期待できないと伝えられておりますけれども、カルテックス社の手によって引き続きミナス油田の増産が計画いたされますと同時に、ミナス油田近傍の新油田の開発が着々と進められております。  これに加えまして、現在インドネシア全域では、インドネシア石油資源開発、九州石油開発をはじめといたしまして、お手元に配付してございます黄色いパンフレットがございますが、そのまん中にございますように、三十八社にのぼる内外の石油会社が新油田開発に従事をいたしております。中でもIIAPCO——藤井さんからお話しになりましたが、インデペンデント・インドネシアン・アメリカン・ペトロリアム・カンパニー、こういう長い名前でございますが、このIIAPCOグループは、ジャワ島の西北方海域及びスマトラ島の南東部の海中の大陸だなにおきまして、きわめて有望な大油田の発見にごく最近成功をいたしております。目下これを開発をし、商業生産を生み出すのに努力をいたしております。昭和四十六年の五月ごろから商業生産を開始するというふうに、先般も同社の社長が参りまして説明がございました。  また、インドネシア石油資源開発会社もカリマンタン島——カリマンタン島と申しますのは昔のボルネオでございますが、カリマンタン島の東方海域におきまして、きわめて大きな油田を掘り当てました。伺いますと、昭和四十八年の初頭から商業生産を開始するように聞いております。また、かねて探鉱中の南シナ海及びスマトラ島の中部インド洋側の海中等においても、石油ガスの噴出を見たという連絡を最近受けております。  こういった三十八社——四十社にも達しようという内外の石油会社が探鉱に着手をいたしましたのは、ごく最近、古いのでも四年くらい前でございまして、それがようやく実を結んで、インドネシア海域のあちこちに油田が見つかりかけておるわけでございます。  さらに、ジャワ島のジャティバランという地区がございますが、先ほど申し上げましたプルタミナという石油公社自身が手がけておる地点がございますが、これにおきましても新油田が発見をいたされまして、伝えられるところによりますと、その埋蔵量は、先ほど申し上げましたようなカリマンタンあるいはジャワ海域、こういった油田に匹敵する規模であるやに聞いております。  さきに述べましたような新油田は、いずれもミナス原油同様の超低硫黄原油でございます。また他の地域におきましても、陸に海に、引き続いて新油田の探鉱が強力に推進をいたされておりますので、近い将来、インドネシアにおけるミナスタイプの低硫黄原油の飛躍的増産は、期して待つべきものがあると確信いたします。  また、スマトラ島のミナス原油の積み出し港でありますところのデュマイという地名がございますが、これにプルタミナ社の新鋭製油所、十万バーレル・パー・デーでございますが、新鋭製油所の建設が、着工いたされましてからすでに一年有半を経過いたしておりますが、予定どおり明四十六年八月には竣工の予定でございます。  私どもは、当初からその企画に参加をいたしますとともに、その建設に全面的に協力をいたしてまいりまして、やがて生産されますミナス重油、これは年間約二百八十万キロリットルが見込まれておりますが、これはすべて当社を通じまして日本向けに供給されることになっております。明四十六年秋より、わが国向けのミナス重油の供給もまた増大する予定でございます。  概要、以上のとおりでございますが、当社は、会社の規模こそ小さくはございますが、日本とインドネシアを油で結ぶパイプライン、こういうふうに自負をいたしており、その使命の達成のために、またインドネシアサイドでは、最近の雑誌を見ますと、日本とインドネシアを結ぶ黒い真珠のかけ橋、こういうふうにいっておりますが、こういったインドネシアの期待にこたえるためにも、引き続きまして総力をあげ、インドネシアで開発し生産をいたされました低硫黄重油を、可能な限り多く日本に確保いたしまして、その窓口といたしまして、秩序あり、安定した受け入れ、供給を行なってまいりたい。そして、日本大気汚染防止とインドネシア経済の復興発展に寄与して、両国のお役に立ちたい。こんなふうに、少し大げさでございまするけれども、心から念願をいたしております。  こんな考えでやっておりますが、当面、現在出ておりますミナス原重油を少しでも多く日本に持ってきて、これは効果的に供給をしたい、こんなような考えで当社は当社なりに、硫黄分は多いけれども値段が安い、しかもアスファルトとか、潤滑油の生産に適するという、インドネシア原油にない特性を持ちました中東原油をインドネシアに持っていって、ミナス原油の輸出余力をふやすとか、あるいは日本で生産されました高硫黄重油をインドネシアに持ってまいりまして、そのかわりにミナス重油を持ってくるとか、あるいは日本サイドでは、関東、関西にミナス原重油の受け入れ配給基地を設けまして、その効率的な供給をはかる、こんなきめこまかい方法をいろいろと考えて推進をいたしております。  しかし、何と申しましても、将来インドネシアの低硫黄重油を量的により多く、そして確実に日本に持ってくるためには、新油田の開発に対するわが国よりの投資、インドネシアが計画している新しい製油所の建設資金の供与、こういうことを行なうことが根本方策であると考えます。  すでに北スマトラ石油、あるいはインドネシア石油資源、九州石油開発、あるいはジャパンローサルファ株式会社、これは伊藤忠さんが中心になって設立をされておる会社でございますが、そういう会社がそれぞれの方式でインドネシアに進出をし、活発な活動をしておられますが、何と申しましても、新しい油田の探鉱、特に開発段階に入りました場合、あるいは製油所の建設にはばく大な資金調達を必要といたします。この事情は、外国会社でございましても同様でございます。今後ますます増大をいたします低硫黄重油の供給源として、幸いにしていずれも極端に硫黄含有量の少ない、しかも距離的に近うございまして、輸送コストの安いインドネシアの原重油開発と確保が最も手近かであり、有効であると考えます。  インドネシアの石油がわが国において持つウエートは、今後さらに重きを加えることでございましょう。つきましては、わが国に密接な関係を持つインドネシアを、このような観点からもう一度見直していただきまして、諸施策の面において国家的見地からする特段の御配慮、バックアップを切にお願い申し上げて、私の説明を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手)
  16. 加藤清二

    加藤委員長 以上で参考人意見陳述は終わりました。     —————————————
  17. 加藤清二

    加藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  先ほどの理事会の申し合わせにより、参考人に対する質疑は各自三十分以内にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。始関伊平君。
  18. 始関伊平

    始関委員 先ほど来参考人の方々から、公害に取り組む真摯な姿勢、それから今日までの努力あと、今後の展望、さらに公害防止取り組みに関連して国全体の進むべき方向というような点につきまして、さすがに含蓄の深い御所見を聞かしていただきましてありがとうございました。  そこで、私はまず、油の供給側であります出光参考人にお尋ねをいたしたいと思います。  実は石油精製工場から、精製過程から出る公害自体の防止という問題はそれほどたいした問題ではない、石油精製工場で精製される重油その他の石油製品が公害の原因になっては困る、これはやはり石油精製会社の責任だ、こういうことになっていると思うのでございまして、たいへん御苦労なことだと存じております。  そこで、そのための方策として、まず世界じゆうで低硫黄原油を得られそうな場所から極力これを求めるのだ、こういう御方針、またもう一つは、国内におきまして、製油所としては多くの投資をされながら重油脱硫というものをやるのだ、その設備の進捗の状況等についても御説明がございました。私はこの関係をちょっと裏返しまして、実はただいま需要業界として電力、鉄鋼両業界からも、低硫黄重油の確保という御要請があるわけでございますが、私ども、地方を歩いてみましても、たいていの発電所その他重油を使用される企業の工場では、いずれも低硫黄原油を使うのだ、こういうことを申しております。およそ公害が問題になる場所ではすべて低硫黄原油を使いたい。また、公害が問題にならぬ場所はほとんどございませんから、およそ日本のすべての企業、会社、発電所、工場などが低硫黄原油を使いたい。特に、ミナス重油などというものは、たいへんな引っぱりだこであるようでございますが、それは私だけではございませんで、この委員会におります同僚の議員諸君の共通の一つの関心事、心配は、一体方々でこれほど低硫黄原油の入手ということを重要と考えて、かつ、そういう事柄を地域に約束しているといいますか、そういったような関係にもなっていると思うのでございまして、これは出光さんが石油連盟の会長でございますから、そういう立場から——これはむしろ政府に聞いたほうがいいかもしれませんが、需給関係という観点から低硫黄重油の問題はどうなるのかということについて、御説明を伺いたいと思います。
  19. 出光計助

    出光参考人 お答え申し上げます。  低硫黄化につきましては、先ほど申しましたとおり、ミナスの原重油輸入に非常に期待しております。ある点まで約束もしておりましたが、最近のニクソン宣言以来、アメリカのほうにかなり持っていかれ、したがって、日本への約束も、あまりそのまま実行できないというような体制になりました。かといって、重油脱硫設備を急にふやすというのも無理なんです。だんだん亜硫酸ガス問題がやかましくなってまいりまして、ミナスにかわるべきものとして、実は先ほど申しましたナイジェリア、カビンダを一部聞いてみました。そうすると、これはミナスと全く同じような、またもっと軽い油でございます。硫黄が非常に低いのでございます。ただ距離が非常に長い。中東に比べますと距離は約六割くらい遠くなる。したがいまして、運賃もその程度——六割といいますと、いまは運賃が非常に上がっておりますから、二千四、五百円高くなるということで、これを日本にいかに持ってくるかということをいろいろくふういたしますと、結局ヨーロッパから西アフリカ、日本中東、この四つをうまく組み合わせますと、わりあいにうまくいく。これに将来期待したらどうか、こういうつもりにしております。これが低硫黄化対策の大体の根本の考え方でございます。
  20. 始関伊平

    始関委員 将来の見通しでございますから、必ずしもはっきりしてない点もあるようでございますが、これはおそらくあとでまた、こちら側から質問があると思いますので、先に進ませていただきます。  先ほど東君が、インドネシアの低硫黄原油重油の確保のために、国の投資、金融の必要というようなことをおっしゃったのでございますが、低硫黄原油というのは、おそらく世界的に見まして、たいへんに引っぱりだこになるだろうと思うのですね。さっき木川田参考人は、資源の封鎖政策ということばをお使いになった。それから、普通いわれておりますことばで言いますと、コンサーべーションといいますか、アメリカなんかでも、国内のものはなるべくとっておいて、しかも自分の支配している油田から出る質のいい油は優先的に取る。あまり大きな国ではございませんが、方々で封鎖主義の傾向なども見受けるところでございます。メキシコなんかでも国営でやって、外国の資本のくるのは一切お断わりだ。石油に限りませんが、鉄鉱石なども一切出すのはごめんだ、こういうやり方をしております。  そこで、日本石油業の一つの大きな特色は、これは私が申し上げるまでもございませんが、外資系の会社たると民族系の会社たるとを問わず、油田開発部門、原油生産部門を持っていない。これは今日のように、昭和六十年には需要量が七億キロリットルですか、あるいは八億というような、いまの三倍半から四倍になるというような時代におきましては、私はたいへん不都合なことではなかろうかと思っております。さらにまた、低硫黄原油を買うと申しましても、間接になるわけでございますから、なかなか思うようにいかぬ面もあるのではなかろうかと思うのでございます。  実は私は、六月から七月にかけまして、こういう海外資源のいわゆる自主開発の問題で、十五ばかりの国を回ってまいりました。藤井さん、おいでになりますが、やはり鉄鉱石とか、粘結炭も問題なしとしませんが、開発の責任を持つと申しますか、開発の推進力になる鉄鋼六社——いまでは五社ですが、たいへん有力なものですから、外国で見ておっても安心なんです。ところが石油のほうは、いま申しました肝心かなめの石油会社がそういうことにあまり興味を持たぬ、こういう立場にあることが一つの根本的な問題だろう、こう思ったわけであります。  木川田さんはじめ財界の皆さんのお骨折りで、藤井さんもみずから社長を引き受けられて、いま十一の石油鉱業企業というものがあるそうでございますが、これはみんなばらばらに一つずつありまして、石油精製などとはつながっていない。金を出しているのはだれかと申しますと、貿易会社が一番大きい。精製会社はその次、これはただおつき合いだということであろうと思います。あと電力、鉄鋼両業界、こういうふうな形では、当面の一番緊急な低硫黄原油の確保という点から見まして、はなはだ問題ではなかろうか、こういう感じがいたします。アラスカにも行ってまいりましたが、アラスカのノーススロープ、あそこは一%ぐらいの質の原油だそうでして、低硫黄原油の中に入るかどうか知りませんが、世界じゃうから利権を求めるものが殺到して、利権料が高くなってしまったということもあるようですが、アラスカ石油、それからノーススロープ石油、二つの会社がありながら、いまだに利権の一かけらも取る仲間に入っていないというような、私に言わせればちょっと情けないような状態であるのでありますが、この問題につきまして、出光さんと、それから藤井さんもいらっしゃいますが、需要業界を代表して木川田参考人、両方から御意見をひとつお聞きしたいと思います。
  21. 木川田一隆

    木川田参考人 御質問の点は、私から先ほど陳述いたしました低硫黄石油の獲得という問題点だと存じます。それに対する日本政策並びに構造、それは主体もございましょうし、出資の参加者もございましょう。そうした構造的な面において弱点があるのじゃなかろうかというお話のようでございますが、資源政策につきましては、これは政府の一番——単に石油ばかりでなく、五十年までの六年間に一〇・六%の実質成長率をあげるには、資源政策がきわめて重要なる国策であるというようなことも、われわれ経審でも答申しております。それがエネルギー問題、いわゆる低硫黄問題、LNG問題になりますと、世界的な争奪戦に入っておるという現状の中で、石油政策なら石油政策、広範に申しますれば資源政策をどのように確立し、すみやかに実践に移すかという官民の共同問題の前提になるのはやはり資源政策だということは、先生は前に資源政策の最高責任者になっておられたので、申し上げるまでもなく御理解のことだと思います。資源政策の確立が大きな前提だ。その政策に即応した形において、個々ばらばらにやっておりまする商品輸入政策と申しましょうか、それからいま探鉱輸入にまで入っておるわけでございますが、探鉱輸入の主体が何に帰するか。これは単独にばらばらにやっておるものをいかに統合し、効率をあげるか。ノーススロープにしましても、アラスカにしましても、手をつけたんですが、なかなかうまくいかず、そのうちにもし当たったとしましても、ファンドが非常に巨額になります。そういう面におきまして、われわれは財界におきましても特殊法人をつくりまして、そして政府と民間の出資による、運営は民間でやるというような、そういう長期投資会社の構想を提案しておる次第でございます。いままでのようなばらばらの探鉱開発の主体を、いかにして総合的に、効率的にまとめるか。当たるか、当たらないか、九州石油開発の社長の藤井さんも現に苦悩している。私もそれに参加しておる。ノーススロープにも参加しております。いろいろ参加しておりますが、先生おっしゃるように、つばをつけるだけではなくて、総合的に今後長期ファンドをどのようにして調達するか。その辺になりますと、向こうの供与国に対する港湾の設備、並びに受け入れ体制の日本の港湾の状況、それから船腹の問題というようなものを相関関係において考えないと、したがって、資源政策による官民の協力体制ができなければ、争奪戦の中に日本が適正な割り合いで——これはお互いにやりますと資源戦争になりますから、その間に秩序を求める。その中で日本が、一つの総合的な資源政策の中に、民間と政府とが協力した長期投資会社みたいなものをつくって向かうべきである。現実には、先生御指摘のとおり、なかなかうまくいっておりません。つばをつけても、そのうちにファンドでお手上げになるだけなわけでございます。私企業において、五年、十年先に開発されるであろう、危険性を持つ探鉱輸入というものに対して、いまからお金を出すということは、自由企業としての経営責任上、そう簡単にまいりません。そういう総合的な官民の投資会社なり、それに船腹なり港湾の設備なり総合的にものを考える必要性を非常に痛感している次第でございます。  お答えになりましたかどうか存じませんが、私はさように日ごろ考えておる次第です。
  22. 藤井丙午

    藤井参考人 私は、ただいまの木川田さんと同じような考えでございますが、御承知のように石油資源開発公団というのがございますけれども、まだその予算は微々たるものといっては失礼でございますけれども、たいした金額になっておりません。したがって、私ども、九州石油開発を公団の資金にたよらないで独立でやらざるを得ぬという状況でございます。これはあまり見込みがないという御見解かもしれませんが。……そこで、ユニオン・カーバイド・オイルあるいはイギリスのBPと資本提携をいたしまして共同開発をしておる。ただし、油の出た場合は九州石油開発が販売権を持っておりますので、全部日本へ持ってくる。こういうことで、まあ俗なことばでいえば、金持ちのだんなを引き込んでできれば一山当てたいというさもしい根性でございます。  総体に、石油開発の歴史をいろいろ聞いてみますと、アラビア石油などというのは全く奇跡中の奇跡であって、大体二十本掘るか三十本掘って、あきらめた時分にやっと出たとか、権利を二度三度譲渡したところで当たったというような例が非常に多うございまして、非常にリスクを伴う仕事である。その点では欧米の大石油資本は、いままでにすっかりもうけておりますから、余裕があって、道楽じゃないのでしょうけれども、まあ一口乗っておけというような程度でやるのが当たりまして、われわれのようになけなしの金で、ぎりぎりでやっているのが当たらぬという、大体世の中というのはそういうものでございまして、そういう意味では、木川田さんのおっしゃるように、いままでのようにアラビア石油の夢を見て、各民間がそれぞれあっちこっち八方に手を広げてかじるというようなことでなしに、総合的な官民の大開発構想のもとによる機関がほしい。  それにしましても、これは先生方にお願いしたいのですけれども、石油資源ばかりじゃございません。非鉄金属しかり、これからはもう海外における原料確保という問題は、あらゆる産業を通じて、原材料を持たない日本の共通の問題でございます。そういう点で、思い切った施策の転換をやっていただきたいということが一つ。  それからもう一つは、特殊法人とか、いろいろ申しましても、何とか公団とか何とか事業団ということになりますと、はなはだ言いにくい話でございますけれども、なかなかこれは運営がうまくいかない。これは通産省は一生懸命でも、大蔵省のほうでなかなか監督がきびしいということで、実際のところ何とか公団、何とか事業団というもので実績があがった例はあまり承知しないことでございますので、政府は思い切って金を出す。しかし、運営はある程度民間の創意とくふうにまかせるというぐらいの相当積極的な、大胆なお考えを持っていただかないとこの問題はむずかしいのじゃないかというのが私の実感でございます。
  23. 始関伊平

    始関委員 私の現地を回った印象では、国際石油資本が資源を壟断しているといっても、まだまだ入っていく余地はある。問題は、むしろ国内の体制ですね。藤井さん、いま金を出せとおっしゃったけれども、金を使える体制になっていないじゃないかという気もするのですが、この点は、また何か別の機会に御高見を拝聴することにいたしまして、次に、木川田参考人電力発電所立地問題についてひとつお尋ねしたいと思います。  私は、先ほどお話しの、二十六年の電力再編成で発送配電の一貫体制の——私企業ですけれども、そういう責任体制、責任のある企業形態になりましてから、とにかく一年に一割とか、一割二分とか一割三分とか伸びるわけですからたいへんなことですが、大体責任を果たしてきたし、公害のほうでも、与えられた条件のもとで相当よくやっておるという印象を持っております。にもかかわらずと申しますか、今日至るところで、公害の元凶は発電所だということできらわれておりますね。方々で立地をけ飛ばされている。そこで私は、こういう問題につきましてちょっとお尋ねしてみたいのです。  私は、ことにきょう木川田さんがおいでになっているから東電の場合を問題にするという意味じゃございませんが、九電力一つずつやるのはめんどうですから、試みに東電をとってみますと、私ちょっと勉強してきたのですが、協電からの受電分を含めまして、今日の東電の供給能力は大体千六百万キロワットだ。本年九月初旬のピーク時には大体千五百六十九万キロワットですかの機械を動かして、しかも二、三の大口の電力需要者なんかには節電の要請をした、こういう話を、私はあなたの部下から聞いてきたのですが、関電のほうでは、何かやはり節電の範を示すという意味で、関電の本社の冷房をとめたというお話もございまして、現状でかなり窮屈になっている、こう思います。東電の管内では、大体需要の増をまかなうためには二百五十万キロワット、これはだんだんふえるでしょうが、さしあたりそのくらい必要なんだ。間違いがあったら御指摘をいただきたいのですが、大体そういうことだと了承いたしております。  そこで私がお尋ねしたいのは、私の地元にもおたくの発電所がありますからよく知っているつもりですが、たとえば袖ケ浦のように、いま建設中のものがある。それから、姉ケ崎は百二十万キロワットが建設中で、あと残りの予定の土地の余裕が百二十万キロワット分ある、こういうようなことなのですが、そういったような現在建設の進められているものを含めまして、あとトラブルなしにすぐに着工し得る余地といいますか立地の準備、これは大体何年分あるのかということですね。これは率直におっしゃっていただいたほうがいいと思いますので、お聞かせ願いたい。九電力の中には、たとえば関電のように、東電と同等あるいはそれ以上に窮屈なところもあるように思うのですけれども、こういう問題につきまして、東電の社長として、あるいは電気事業連合会の会長としてたいへん御苦心になっていると思いますが、今後どのように善処されるつもりなのかということをひとつお尋ねしたい。
  24. 木川田一隆

    木川田参考人 これは東電の社長としてよりも、きょうは電気事業連合会の会長でお呼び出しをいただいたわけで、一つの例として東電問題を御指摘でございまするが、非常に御勉強いただいてまことにありがたく、その計数等もまさに的確で、たとえば現設備が千六百万、ことにこの九月に千五百六十九万と、世界最大のピークを出しました。これは八月が普通でございましたが……。先ほど節電とおっしゃいましたが、節電ではございません。夏のピークが予想されますので、夏のピークを工場にお願いして、九月なら九月にシフトするというような御勉強を願ったわけであります。これは節電という問題は語弊がございますので、一言お断わりをいたしておきます。  とにもかくにも九電力におきまして、ことしと来年が非常に予備力の少ない苦しいときでございます。これは、それじゃおまえたち、需要の想定が間違っているじゃないか、供給設備の拡充がそごを来たしたのじゃないかという結果論からまいりますが、日本経済成長、ことに電力需要に対する急速なる伸びということは、なかなかコンピューターばかりではございませんが、各方面からのゲスワークにおきまして、なかなか的確につかみ得なかったということがございますが、ことしがちょうど少し予備力があるくらい、来年は幾ぶん赤字になりはしないかという九電力の全般でございます。ことに中、西のほうはこわうございます。そこいらの辺はことしと来年、ことしは何とか御協力で越しましたけれども、来年はよりきびしゅうございます。あるいは全体的な平均においては、予備力がゼロになるのじゃなかろうかという心配すら持っておるわけでございます。  そうすると、これを対策はどうするかということに問題が出てまいるわけでございますが、これにつきましては、御承知のように広域運営という、世界に比類のない私企業の九つの縦の責任体制をとりながら、横の融通その他の広域的な、広範な協力体制を確立しております。これを一〇〇%に利用いたしまして、この危機を突破する一つの軸にしたい。それからさらに社内におきまして、先生先ほどおっしゃいました節電ならざるシフトの問題、あるいは不用の——いまどういうわけでございましょうか、一般に、電気は余っているのに、どんどん使っても幾らでも出てくるのだというようなことを、われわれ自体が持っておるわけでございますので、有効な利用という資源の適正配分にもつながる問題でございますが、そういう運動ももちろん、従来どおりやっておりますが、展開する。それから修理の問題は、ピークの出る八月、九月を避けまして、このピークを他の時期に回すとか、いろいろな自主的な努力によってこれを切り抜けていく、かように考えております。  それから東電の問題でございますが、先生おっしゃるとおり、年に二百五十万増加せざるを得ない。これをまかなうのに用地その他で難点があるのじゃなかろうかというお話でございまするが、先ほどもお触れになりましたように、袖ケ浦が一号、二号ともブルネイからの液化天然ガス、確約いたしました。二百万トン入ってまいります。これは大気汚染上無公害でございますから、これは完全に実施ができる地元との関係で調整ができましたから、そういうふうにする。一部富士川火力、施設公害の多い富士川火力、それから銚子のごときは、実際はどういう油を使ってどういう煙突で、どういうことで、条件は実はまだ確定しないうちに、何だかふわふわと、まことにふしぎなことに誘致運動が白紙還元ということになって、はなはだわれわれの熱意の足らなさをいまさらのように痛感しておる次第でございます。少なくとも東電といたしましては、需要家の皆さんに御迷惑をかけないような万般の処置をとっておるつもりでございます。したがいまして、福島の原子力発電第二号地の用地の関係も、地元の了解を得まして調査を始めました。それから新潟の柏崎も、いま土地交渉に入っております。それから遠く六百キロに及ぶ青森県のほうに、例の問題に手を伸ばして、知事さんにお願いして土地交渉に入っておるという、いわゆる管内に発電立地を求めるばかりでなくて、他の地域全体の広域的立場で、そうした面も万般の処置を講じておるつもりでございまするが、一つ一つ公害というような問題で立地が不可能になりますことは、これは公益事業たる電気事業の一番心配しておるところで、もとをただせば、われわれ自体公害に対してさらに積極的に、各方面の御理解と御協力のもとに施策を積極的に推進するというのが基本でございます。その上に立っての地元の御了解ということに熱意を傾けたい。そうして難関の用地問題等片づけまして、われわれの課せられたる使命を果たしたいという覚悟でおります。  したがいまして、二百五十万キロという一時的な問題ではなくて、大体先生御承知のように、火力発電は三年かかります。それからLNGは、後ほど詳しく申し上げたほうが非常におもしろい問題で、石油時代から原子力の時代に入る一つの中間の燃料として非常におもしろい。世界に埋蔵量が三十九兆立方メートルございます。そのうちの二・五%程度しかまだ活用されておりません。しかし、みんなひもつきで、北米が第一で、ソビエトが第二、各国がみなそれぞれのひもつきになっておりますが、何かここにわれわれの手に入る道はないかという模索をしておる程度でございますが、そうした液化天然ガスという問題が、一つの中間燃料として、大気汚染防止の完全なものとして何とか手に入れてこれを利用拡大したい。南横浜から袖ケ浦に行きまして、袖ケ浦は御承知のように四台ございますが、二台分だけは確約した。そうすると、最近の国際的な情勢で値を上げようとする。それから、引っぱりだこなもんですから、その供給の契約に対して非常に渋り出した。そこにやはり手おくれがあって、私は非常に残念に思っております。  その公益事業に、いろいろ燃料種別ばかりでなくて、公害排除の基本的精神のもとに、諸先生はじめ政府、それから自治体、地方の地元の方々のもっぱら御理解を得てこの難関を突破して——四十八年、九年にまた一つの山が参るわけです。そこら辺の配慮をいたしております。何ぶん地元の方でございます先生ですから、千葉のほうはきわめて輸出国でございますので、何ぶんよろしく……。ですから輸出国に対しては、消費国が何か政府的な援助をしてほしいということを通産大臣に申請を申し上げておりまするが、何ぶん配慮をいただきたい。
  25. 加藤清二

    加藤委員長 関連質問の申し出がありまするので、これを許します。林君。
  26. 林義郎

    ○林(義)委員 いまの始関先生のお話に関連いたしまして、木川田会長にちょっとお尋ねをしておきたいと思います。  先ほどから藤井さん、出光さんのお話を聞いておりますと、低硫黄重油、低硫黄原油の確保というのは、なかなかそう簡単にできるものでもなくて、先般この公害対策特別委員会で各地の視察に回りましたときに、各発電所、またいろいろなところすべて、いや、私のところは低硫黄重油を使います、低硫黄原油を必ず持ってきてありますと、こういうお話が異口同音に返っているのでございます。私はこの問題に関連いたしまして、あした関係官庁の方々にゆっくりと話を聞きたいと思っておりますが、私考えますのに、なかなかむずかしい問題がある。そうします一方、各地で、発電所に対して設置の猛反対運動が起こっております。ところが、現在の公害の規制で申しますと、いわゆる汚染度と申しますか、環境基準というものが各地で定められておりますし、それから各煙突から出る煙の排出基準というものも定められたわけでございます。そういった立場で、実はそういったものは当然に電力会社さんも鉄鋼会社も守ってもらわなくちゃいかぬ。これは私は当然のことだと思うのです。ところが実際問題で、いろいろと発電所の反対運動云々ということになりますと、実は現在の基準以下のものでの話が相当出ているように私は聞いておるのでございます。私は、その環境基準なり排出基準というものがはたして妥当なものであるかどうかというような点につきましても、もう一歩突っ込んでやらなくちゃいかぬと思っておりますが、その問題は一応さておきまして、現在の環境基準なり排出基準というものを前提にして、さらにそれから下の話ということがあるわけです。私は、それは全部その環境基準に合っているから、この会社が全部強行してよろしいというわけでもないと思う。また住民のほうも、絶対にゼロにしてくれというのも、これは工場ができるわけですから、なかなかむずかしい問題だと思います。  特に電力の問題、鉄鋼業は別にしまして、電力の問題ですが、電力というのは何といっても公共事業公益事業でございます。やはり国民に低廉な電力を供給するという一つの社会的な、また国家的な使命を帯びている企業でございますから、どうしても発電というか、電力の供給をしていただかなくちゃいかぬ。ところが、聞きますところによりますと、四十八年くらいまでは何とかいけるけれども、それから先の計画というのは非常にむずかしいのではないかという話がございます。そういったいまの問題に関連いたしまして、当面まだ火力発電というものにたよらなくちゃいかぬ。LNGというような話もありますが、やはり火力発電相当たよっていかなければいかぬという問題があると思いますし、その辺からいたしますと、思い切って、公益事業であるから、たとえば尾鷲なら尾鷲に発電所をつくる。そうすると、尾鷲の景観というのは——あそこは非常にりっぱなところでございます。風光明媚なところでございます。やはり風光明媚をよごすことは確かだろうと私は思うのです。これは全然煙が出ないというような発電所でしたら、そういうことはないかもしれません。煙は若干出るわけでございます。やはり若干はよごすだろうと思います。  そういった意味に引きかえまして、思い切って、たとえばこういうことをお考えになったらどうだろうかということをいま申し上げたいのですが、それは電気事業料金でございます。料金は全部原価主義という形でいまやっておられます。ところが、われわれ一般の家庭の消費者が使う電気と工場の使う電気というのは相当違っております。私は思い切って電気料金は、その出すところの排気ガスの量に応じて、その地域だけはまけてやるとか、そういったことを考えていかないと、ほんとうにこれからの将来、国民全体に対して電力を供給するための施策というのはできないんじゃないだろうか、こういうふうな気持ちがいたします。実はこれは非常な前提があります。さっきお話ししましたように、環境基準排出基準その他いろいろな問題が、たくさん前提がございます。きょうは木川田会長がわざわざ来ておられます。せっかくのいいチャンスでございますから、ぜひ木川田会長からその辺に関する御見解を承っておきたい。  申し上げるまでもないのですが、これは全くの一つ考え方でございまして、言うなればグレンツファールの問題でございます。そういった意味で、この政策をぜひ進めるとかなんとかという話は抜きにしまして、そういったことも考えなければいかぬような電力の事態に来ているのではないだろうか。また、そういったことを考えたときに、電力会社なり公益事業としてどういうふうなことがあるんだろうか、その辺の点について御説明いただきたいと思います。
  27. 木川田一隆

    木川田参考人 立地について非常に御心配をおかけすることを、先にお礼を申し上げておきます。  立地の困難性が公害という問題を直接理由にしておることは、申し上げるまでもないことであります。やはり根本問題は、公害排除のための諸施策を、われわれ並びに政府、地方自治体、それぞれの役割りにおいて協力してやっていただく。主体はやはりわれわれ自体公害排除に対する自覚と行動というもの、おっしゃるように、各所でいまいいことをやっているというのではなくて、ほんとうに真剣にこの問題にぶつかる自覚と行動の必要性ということは、私、会長として非常に日ごろ痛感しておる次第でございます。その問題が前提でございまして、私はやはり公害排除ということは、地元の御理解を得、そしてわれわれの使命とする公益的な事業を健全に進めていく根本であろう、かように存じます。  御提案の問題も一つの御提案かとは存じますが、御承知のように、料金問題は原価主義によりまして、しかも総合原価を出しまして、そしてそれを電灯、電力あるいは大口、小口、みなそれぞれの基準によりましていま算定して、二カ年間の実績に従って、コストを割れば申請をして認可をいただくというたてまえになっております関係上、ある特殊の理由から、ある特殊地点に料金を高くし、あるいはまけるというようなことは、料金の公正の原則からいいまして非常に避くべき問題だ、かように存じます。料金問題で公害の問題の熱意を失われる、そういう対策よりも、私はやはり根本問題の公害排除自覚、行動を、われわれ自身並びに政府御当局、各面の御協力によって進めるということでなければならぬじゃなかろうかと存じます。  そのほかにまた、各種の方策ももちろんございます。LNGが問題になっておりますが、これもないわけではございません。ナイジェリア、イラン等にございます。せんだってBPのチェアマンのドレークにも会いましたが、あそこでも低硫黄とハイサルファと両方持っております。そういう問題も、要るのならやろうじゃないかとまで言ってくれておるわけであります。私は世界——国策的に、あるいは企業努力をもってすれば、低硫黄のものはなお開拓し得る。先ほどの始関先生の御指摘のように、これを効率的、総合的な見地からぶっつけて、しかもなお国際的な協力がなければ——利権を彼らはみんな持っておりますから、その中で進める。基本問題をぜひお進め願いまして、料金問題は、原価主義によって公平の原則という問題を貫いていただいたほうがいい。  先ほど輸出県の問題を申し上げたのですが、それでは地元の方にどのようにして——煙だけ残って、電力はよそさまに行くのだというような感情、これは生活感情として当然出るわけでございますので、そこら辺は何かメリットを与えていただきたいということを通産大臣にお願いしてございますが、そのときも料金問題が出たわけでございます。料金を適当に操作すればいいじゃないか。私は絶対反対でございます、こういうことを申し上げた。原価主義の公平の原則というものは、国民の全体の福祉の面からいってもぜひ貫いていただきたい、私はかように考えておりますので、イエスと申し上げかねるのははなはだ遺憾と存じます。
  28. 始関伊平

    始関委員 時間がだんだんなくなってまいりましたが、今度は藤井さんにひとつお尋ねをいたします。  これは鉄鋼に限りませんが、古い、公害ということがあまり問題にならなかった時代でも、製鉄所でも、あるいは発電所でも、公害の点からあまり評判がよくない。最近できた工場、たとえばおたくの君津なんかはだいぶよくいっているといううわさですが、私は製鉄公害対策といたしまして、最近問題になっております横浜方式とか、あるいは千葉方式とかいわれているものについての御所見を、鉄鋼連盟の会長代理というお立場でお聞きしておきたいと思うのです。これは長い間かかって、一つの製鉄会社と地方自治体の当局が相談して、合意に到達したのだということですから、この問題について具体的な論評をしたい、あるいは藤井さんにしていただきたい、ということは考えません。ただ、この問題を一般化して申し上げてみますと、これは国の定めている基準よりはるかにきびしい。たとえば十分の一くらい、あるいは五分の一かもしれませんが、そういうきびしい排出基準というものが横浜、千葉できめられた、こういう問題なんですね。これはしかし、話し合いできまったんだからいいじゃないかと言われても、何か割り切れないものがあるように思います。  まず、横浜方式とか千葉方式とかいわれるものが正しいなら、国の基準は甘過ぎるのではないか、これは国の基準を直すように検討しなければいかぬということになるだろうと思うのです。また、もし逆に、国の基準が合理的なものだとすれば、自治体と話し合いでできたこういう方式というものはどこかに無理がある。少なくとも普遍性というか、普遍的妥当性というものを持たない、こういうふうにいわざるを得ないのじゃないかと思うのですけれども、裏返して申しますと、たとえば千葉方式では〇・〇六五の低硫黄を使うというようなことを申しておるわけですが、日本じゅうからかき集めてそこに集約すれば、あるいは求められるかもしらぬけれども、あとの製鉄所は全部それでやろう、あるいはほかの製鉄所以外もそれでやろうといっても、こういうような極端なことは、低硫黄原油の需給関係その他から、これはちょっと無理だということにならざるを得ないと思うのですが、その辺に対する御見解。  こういうことになりますについては、過密地帯とそうでないところと扱いを変えなければいかぬというようなことも理解ができるわけですけれども、かといって、横浜でやればすぐ千葉に移るというように、一カ所でこういうシビアな基準がきまればほかにも波及せざるを得ない、これは社会情勢ですね、というような感じもいたしますので、これにつきましては、私は環境基準というものがどういう手続で、たとえばだれの意見を聞いて、あるいはだれの参加した委員会できめられるのか知りませんけれども、何かもうちょっと、話し合いできめたんだから五分の一でも十分の一でもいいというようなことじゃなしに、もう少し客観的に権威を持ったそういう環境排出基準というものをきめるように、きめ方なり何なりを変えていかなければならぬと思うのですが、この二点につきまして、率直な御所見をひとつ聞かしていただきたい。
  29. 藤井丙午

    藤井参考人 ただいま始関先生からたいへん御理解のあるお話を伺いましたが、新聞でも御承知のように、日本鋼管の扇島の移転に対しまして、横浜市から五十三年度までにPPMは〇・〇一二と、同様に千葉県では、千葉市の川崎製鉄に対しまして四十九年度までに〇・〇一九という非常にきびしいSO2の排出基準、むずかしく言いますれば一時間当たりの着地濃度の規定がきめられまして、協定ができまして、企業側も、これについてはよほどの慎重な考慮の上で、地域社会の住民の皆さんとできるだけ協力するという意味で、そういう制度に踏み切られたと存じますが、これを実際に実現するためには、私はいまお話しのように、はたしてローサルファ基準が確保できるのか、あるいは液化天然ガス等のものを十分に手当てできるかという点については、かなりの御不信があるだろうと思います。これは鉄鋼といわず、電力といわず、おそらく公害発生源といわれるような産業については、これから続々起きてくる問題であると思いますが、私はここでひとつお願い申し上げたいことは、各地方自治体ごとにこういう方式がだんだんと行なわれてまいりますと、もうそれはゼロに近いほうがいいということで、ますますきびしいことになってきて、先ほど来出光さんのお話のように、言うべくして行なわれないようなきびしいものを押しつけられるような結果になりがちだ。そうすると、日本電力産業にしても、鉄鋼産業にしても、成り立つかどうか、これは国民経済の根幹にも触れるような問題になってまいりますので、そこで私は、むろん高密度社会におきましては非常にきびしい基準が設けられることは当然でございますけれども、これが全国一律ということになりますと、これは非常に問題になってまいります。現在のわれわれの組織しておるところでは、国の基準は二・〇でございますから、いま横浜、千葉等はその十分の一以下というふうな非常なきびしい基準でございまして、そこでやはり地域的に、過密社会地域と過疎地帯と、あるいはその中間地帯と、いろいろなところがございましょうが、やはり国としてその地方地方においての大体の基準になるような環境基準を設定していただかないと、これは容易ならぬことになると思います。これは地方自治体に権限を委譲するというようなお話もございますけれども、やはりこういったものの基本は国家としてきめていただいて、そしてその監視等は地方自治体にまかせるということにしていただかないと、これはとんでもないことになるおそれがありはしないかということを申し上げたいのが一つと、もう一つは、公害公害といって最近盛んに言われます。まさに公害は非常に大きな社会問題であることには間違いない。われわれも企業側としまして、その発生源については、先ほど来るる申しますように、もう万全を期してこの問題に真剣に取り組んで、そういう御心配のないように努力いたしますけれども、ただ、はたしてSO2の濃度が、人体にどれだけの衛生的な害があるかという科学的な究明がどの程度までに徹底して行なわれておるか。これはSO2を一つの例として引きましたけれども、その他のいわゆる公害と称せられるものについても、そういったものについて国として徹底的に、これは人体にいかなる影響があるかということを、基礎データをはっきりしていただかないと、これが社会問題であることについての私どもの責任は、いささかも軽くなるものではございませんけれども、ただ風潮としてこういうことになってまいりますと、これは日本の国民経済なり国民生活にとっても非常に大きな問題になりますので、そういう点はひとつぜひお願いしたいと思います。
  30. 始関伊平

    始関委員 これで終わります。  ありがとうございました。
  31. 加藤清二

    加藤委員長 午後二時再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時六分休憩      ————◇—————    午後二時二分開議
  32. 加藤清二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対する質疑を続行いたします。浜田幸一君。
  33. 浜田幸一

    ○浜田委員 私は、お許しをいただきまして各参考人に対しまして率直にお伺いをいたしますので、途中失礼なこと等があるかもしれませんが、ぜひともお許しの上でひとつ御指導を賜わりたいと思います。  まず私は、現在各政党の中で検討され、公害対策委員会の中でも基本的な公害対策基準といたしまして、はからずも先ほど木川田会長から御発言がありましたが、公害対策基本法の改正の問題が現在プログラムにのっております。そこで私自身、まず冒頭に各参考人にお伺いをいたしたいと思います。  第一条の第二項「前項に規定する生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにするものとする。」というこの項目が、現在国民の中に不安と同時に不満を非常に与えておる。そこで次期国会にはこの問題が必ず上程され、検討されると思いますが、各代表参考人の方々については、特に二項の削除について、特別な御見解があるならば参考のために承りたいと思います。  同時に、第三条の問題で、これは事業者の責務でございますが、この中で先ほどから御説明を承っておりますと、各界の方々が日本経済成長を守りながら、同時に国民の福祉を守るという形で最大限の御努力をされているということは了承いたしております。しかし、四十二年に策定いたされましたこの公害基本法の中で第二十二条において、別にこれを定めるという項目が二カ年の間放置されておりました。この問題についてはいろいろと御意見があると思いますが、この義務負担行為を第二十二条で策定される場合に、現行の状態から勘案いたしますと、出光会長は先ほど当社石油関係業者では一六%の設備投資をしておるということでありますが、これは石油業者の問題でありまして、全国的な全生産工程を上げておる企業全体のパーセンテージではありません。  そこで、当然設備投資あるいは経済負担行為、こういうものが明確にされなければならない時点を迎えているのでありますが、このことについて先ほど木川田会長は、でき得るならば公害基本法を改正する、あるいは環境基準を設定される場合においては、これらの問題に対する政府の積極的な取り組み方というものがもっと具体的に示されなければならないということが御発言にあったようでございますが、このことに関連して第二十二条の、義務づける場合、具体的には財界あるいは各界代表の方々の御意見としてはどの程度のお考えをお持ちであるのか、承りたいと存じます。  もちろん私は、先ほどから説明の中にもありましたように、公害の問題は公害戦争をいかに解決するか、これが日本国家の責任、企業の責任、同時に公害基本法の中にうたわれております第六条の住民の責務、この三つの責任が明確にされない限り解決のできる問題ではないと考えております。でありますから巷間伝えられるところによりますといろいろと誤解をされておるようでございますので、念のためにそういうことではなしに、日本国家の将来のために公害問題を追放する、そういう観点に立っての御質問でございますので、ひとつでき得ましたならば、順次参考人からお答えを賜わりたいと思います。
  34. 木川田一隆

    木川田参考人 御質問の第一項は、産業と公害、生活、福祉との調和という問題に要約できるかと思いますが、元来経済と申しますか産業と申しますか、これは国民の福祉に貢献することを目的としたわけでございます。たまたま技術を中心にした量的な発展という基本問題がその発展の事項になっておることは御承知のとおりであります。したがいまして、技術の選択の問題はこの当初から考えねばならぬ。生活と福祉を直接阻害しない技術の選択というものを、同時に量的成長技術革新の中に考えねばならなかったわけでございます。それを怠ったがゆえに、一つの原因として、こういう問題が出たわけでございます。もともと産業もしくは経済の振興それ自体は国民の福祉向上を目的とするわけでございます。したがいまして、いまの二元的な問題の対立を調和するということ自体は、私は意味をなさぬものであって、やはり国民の生活、福祉の向上ということの高次の目的が前提になければならぬ、私はさように考えております。お答えになりますかどうですか。二元的に対立してこれを調和するという問題でなくて、経済も、あらゆる活動自体は生活、福祉という問題が高次の目的でなければならぬと私は考えます。  それから第二の問題でございますが、先ほど陳述で申し上げましたとおり、大気汚染を中心にしたお答えを申し上げたわけでございますが、公害全般の問題になりますと、これは非常に根の深い、しかも各方面の入り組んだ歴史的所産でございますので、私はよく文明の病気と表現しておりますのですが、この病気をなおすには健全なる医者が必要であり、患者自身も医者を信頼するという、そういう問題も出てまいりましょうと存じますが、何ぶんにも制約条件が非常に多いという問題がある。それを総合的に片づけながら、企業自体もそのワクの中で公害排除に対する意識を深め、かつあらゆる対策を求めねばならぬ。これは日本が非常に急速に発展して今日の社会になっておりますから、急激に出たようでございまするが、すでに欧米においては前からこの問題が起こっております。御承知のようにヨーロッパにおきましては人間の福祉ということを非常に中心においてやっておる。アメリカは幾ぶん産業の問題を重視する傾向がございます。日本におきまするわれわれの責務というものも、やはり条件整備の中におきまして、これに適応する段階における社会的責任といいますか、それが企業の基本的な態度でなければならない、かように存じます。したがいまして、陳述に申し上げたとおり、諸種制約条件を官民協力してこれを克服する政策転換のときであるというふうに考えております。
  35. 浜田幸一

    ○浜田委員 ちょっと、次に移らしていただきます。  いま御答弁を承りますと、全くそのとおりだと思います。しかし、私の質問点の肝心なところは、これは当然経済界の解釈と私どもの解釈と相違するからこそ、そこに政策協定というものが必要になってくると思うのでありますが、私は率直に申し上げて、この二項に掲上されている項目そのものは「生活環境の保全については、経済の健全な発展と調和が図られるようにするものとする。」ということばでございますが、現時点でこういう抽象的なことばだけでは公害戦争を解決するための条件にはならないのではないかと思うのでありますが、会長自身、まことに恐縮でございますが、もう一回、あったほうがいいのか。私は一年議員で、この次落ちるかどうかわかりませんから率直に伺いますが、残したほうがいいのか、あってもなくても同じなのか、その点ひとつずばりお答えをいただきたいと思います。
  36. 木川田一隆

    木川田参考人 あったほうがよろしいか、ないほうがよろしいのか、あるいは別なものに代替するほうがよろしいか、これは立法技術の問題でなくて、公害排除が人間生活福祉の一番大切ないま画面しておる世界的な日本的な問題であるということの意味からいいまして、私はそういうことをはっきり打ち出すべきである。それに対して産業も当然積極的に参加する。政府の役割りも大いにある。それから地方自治体の役割りもございましょう。住民の方々の御協力、理解もいただかねぱならぬということであろうと確信しております。
  37. 藤井丙午

    藤井参考人 実は私も、経済同友会で木川田さんは代表幹事、私が副代表幹事ということで、まあ女房みたいな役割りをしておりまして、思想的にも、ものの考え方も全く同一でございます。  ただこの際申し上げておきますことは、いままでは、御承知のように、日本は資源も乏しゅうございまして、戦後の経済復興から今日に至るまでの経過を率直に申しますと、どちらかといえば量的拡大ということに重点が置かれて、いわゆる質的充実、つまり国民の生活を豊かにするばかりでなしにいかに快適な生活環境、社会環境をつくるかという点において、政府も民間も、特に企業も、そういう点において意識的になおざりにしたわけでありませんけれども、結果からいうと、高度成長のひずみとしてそういうものが非常に大きく露呈されてきたということは、これは現状でございます。そこで私どもといたしましては、先ほど来るる申しますように、いままでのような量的拡大というよりも、むしろ質的充実、国民生活の高い文化的水準と同時に、快適な生活ができるような社会環境づくりをすることについて、企業は企業の立場において極力努力する、こういう基本的な考え方でございまして、いま御指摘のような法の改正の問題は、これは立法府の皆さま方の御判断に属する問題でございますけれども、私どもとしては、もう少し明確に、具体的にこの公害問題が実現されるような方向で改正されてしかるべきじゃなかろうかという感触を持っております。  それから第二に、企業の公害問題等に対する負担義務の問題でございます。これはもう先ほど来るる申しましたように、発生源としての企業の社会的な責任の重要性は、われわれひとしく痛感しておりますので、これは企業として当然負担すべきものである。ただし、ここで一言付言させていただくなれば、先ほど来お話が出ておりましたように、これは一企業だけで全部を解決できる問題でもありません。国は国として、地方自治体は地方自治体として、また住民の皆さんは住民の皆さんとしての理解と協力を得なければならぬ場合もあるわけでございます。そこで私どもは、企業の立場で申しますと、われわれは最善を尽くしますけれども、しかし具体的に申しますと、公害防止施設に対する特別補助等の制度もございますけれども、まだまだ税制面において、金融面において、政府はもう少しわれわれがそういう義務を遂行することがしやすいような条件づくりについて御配慮いただきたいということを申したいのであります。
  38. 出光計助

    出光参考人 私は石油業の立場から申し上げたいと思います。  石油の需要がこれだけふえまして、世界じゆうで、燃料としての中心になっております。このために、世界的に地球を取り巻く全体の問題としていろいろ公害が発生しておるということ、たとえば亜硫酸ガスの問題またしかり、さらに大きな問題といたしまして浮遊粉じん問題、これは世界じゅう、北半球では気流の関係で北方に行きまして、北極の氷山の上に最近は浮遊粉じんがたまってきた、さらにそれに鉛が含まれておって、非常な害があるというようなこと等がありまして、先日も新聞で拝見したのでありますが、有名なホール・ゲッティーという石油王がおりますが、先生が提言いたしまして、世界じゅうの石油人がひとつ大きな研究機関をつくって、この地球上の問題、大きく言えば人類保存の問題、子孫への義務の問題として現代人が取り上げなければならぬのではないか、こういうふうに言っておりますので、石油に関する公害問題と申しますと、一企業とか一国家とかいう問題ではないような気がいたしますが、一応この日本だけのところにとって言いますと、一企業だけではなく、国も、それから地方機関も、住民も、一体となりましてこれに当たらなければとうてい解決する問題でないと思います。  それから経費負担の問題でございますが、これもいま藤井さんが言われたとおりでありますが、たとえば東京のような過密都市でいい空気を吸おうと思えば、これはただでは吸えないわけであります。原価がかかるということを国民全体が覚悟しなければならぬ、こういう問題じゃないかと思っております。
  39. 浜田幸一

    ○浜田委員 私はこの問題については、やはり率直に申し上げておきますが、自由民主党が大企業の味方であって、国民大衆の味方でないという批判がいま公害論争を通じていろいろと行なわれております。先ほど藤井会長代理から、実は千葉県の公害規制の問題についても、地方自治のあり方等について問題の提起がされましたけれども、率直に申し上げて二・〇、それが〇・〇一九PPMに規制せざるを得ない。たとえばそういう現状は何かと言えば、やはりそこに自治体の悩みがあるからそうせざるを得なかった。国民とは遊離できない。日本の国家の経済考える上においても、国民から遊離した企業のあり方、自治体のあり方ではいけないのだという実は観点に立って次の質問をさしていただきたいと思います。  先ほど、これは特に亜硫酸の問題も含まれてくるわけでありますが、これは東さんにお伺いしますが、まず第一点の問題として、低いものを、たとえば低硫黄のものを輸入する。これを実は考えてみますと、先ほどの説明にもありましたとおり、これはもう二億から必要としているところに二千万キロ、十対一。やがてこれが三億になる。三億になった場合に、それが幾らになりましてもしょせんはたとえば十分の一程度しか可能ではないということを私は実感として実ははだで感じたわけであります。これをみなすぐ率直に言って大量に輸入するためには、国家資本を大投下して、そして東南アジア諸国に対して資本の投下を国が中心になってやらなければならない、こういうことが総合政策の上で必要だということが実は木川田会長からも言われております。  そこで、私はその問題を起点といたしまして、特に参考人にお伺いしたいのでありますが、ほんとうに開発資金を投下すれば、採算ペースに乗った低硫黄石油を、あるいは原油日本輸入をすることができるのかどうかということが一点であります。  輸入がかりにできた場合とすれば、その量は、先ほどからの答弁は非常に抽象的でありますが、率直に申し上げて三億というものは必要である。その中で、たとえば何千万キロというものを輸入することができるのか、この数字等についてお伺いをいたしたいと思います。  第二点の質問をあわせて行ないますが、もしかりに低いものを輸入することができないとすれば、高いものを送らないように、高硫黄のものを送らないように努力しなければならないと思います。その送らない技術というものが先ほどから指摘のように日本技術の中では非常におくれているのだ、そこに問題があるような気がいたします。私はこの問題から、これは非常に発展して恐縮でございますが、あわせて木川田会長にお伺いしたいのであります。私は、幾ら会長が御努力をされましても、会長自身がかわいいお孫さんたちのためにこれで十分であるという環境をつくり上げるためには、なおこの仕事に一生をささげ尽くしても足りない、そのくらい大きな問題に発展してくるのではないかと思うわけです。先ほど具体的な数字をあげられまして今回排煙脱硫について東電が画期的な努力をされました。これは成功をして、十五万キロワットのものに対して排煙脱硫装置をつけられたということ。同時に、あれは中部でありますが、十一万キロワット、これは合わせて二十六万キロワットでありますが、私はこの問題について意見を申し述べるつもりはございませんが、将来の計画として排煙脱硫装置というものは亜硫酸の放出というものを阻止でき得る日本国内の技術の最たるものであると私は考えております。そこで今後の——今回は十五万キロワットのものをつくりました。中部も十一万キロワットのものをつくりましたけれども、それが百万キロに対して十五万キロということでは、これは率直に申し上げて国民の不安のみならず、公害を除去することについては、御努力は認められますけれども、完ぺきではない。そこで、当然今後の計画というものをどういうふうに、たとえば数字の上でこの次にこういうものを設けるときにはこうするんだ、それがたとえば東電の銚子進出なり千葉県進出なりに大きなウエートを持つものでありますので、そういう計画があったらぜひお聞かせをいただきたいということが木川田会長に対する第一点であります。  それからもう一点、木川田会長にお伺いをしたいのでありますが、先ほど電力は原価計算システムであるので、実は料金を上げないでやりたい、先ほど私の同僚であります林義郎先生からも御質問がありました場合でも、そういう問題は時期尚早だ、あるいはそういう問題もこれから検討しなければならないというお話がありましたが、私は、電力は、現在の排煙脱硫一つを取り上げてみても、やはり近い将来コストで料金をきめていくとすれば上げなければならない状態に必ず到達すると思うのでありますが、先ほど会長は、絶対に料金の値上げには踏み切らないで進んでいきたいというおことばがあった。(「上げることを促進しているじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、上げることじゃなくて、そういう御発言がありましたが、その点について、十五万キロのものをつける。これは大体一千二百万キロなり一千三百万キロなり、それだけのものを膨大に、これからまた二百五十万キロワットの増設も考えていく。そういう場合に、たとえば排煙脱硫装置を加えた場合には、その時点でも原価を上げなくて済むような企業努力を会長としてはお続けいただくことができればわれわれ全く幸甚だと思いますが、その点について一点だけお伺いしておきます。  それから出光会長にもう一点お伺いしておきたいと思います。先ほど始関先生に対する答弁を承っておったのでございますが、これは忌憚のない御意見を承りたいと思います。  実は朝日新聞か、ここに持ってきておりますが、毎日新聞か、両方に出ておりましたが、いつか公害の問題でインタビューがありましたときに、君、それは企業だけに押しつけられては困る問題だという忌憚のない御意見を言っておられましたようでございますが、その意見の具体的な計数的な内容というものを——われわれは日本国家に対して、企業的に日本国民の福祉のために努力をしてきたんだ。だから経済成長の二十五年の中にあって、われわれが努力をしてきたその成果というものは認めてもらいたい。しかし、いまになって日本の国の経済が豊かになった時点になって、それは企業だけの責任だといわれても困るのだといわれたのではないかと私は思うのでありますが、この点、私新聞のあれを読めばいいのですが、読むとまた失礼なことが出るといけませんので読み上げませんが、どういう気持ちでその点発言されたのか、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。  それから藤井会長代理にお伺いしますが、私は、現在の新日本製鉄、私の地元でございますが、やはり新日本製鉄ができる前に亜硫酸がなかったということで、いろいろと木更津市でも今度公害調査出光、八幡そういう形で調査に入っております。これも書類で持ってきておりますが、差し控えさしていただきますが、しかし、設備からいけば、率直に申し上げて、おととい私はヘリコプターで川崎製鉄の上を飛んで見ました。八幡製鉄の上を通りましたときには、雲のような排煙はありませんでした。これがだんだん飛んでまいりまして出光を通過いたしましてそれから千葉港に近づいてまいりまして、川崎製鉄のちょうど頭上に行きましたら、雲がこうヘリコプターに向かってくるような状況でした。そして非常ににおいがいたしました。左側に何が見えたかといいますと、左側には東電煙突がありました。東電火力がありました。私はそのものずばり、それがどういう現象で起こったものであるかはわかりませんが、少なくとも千葉周辺のあの開発というものはいたさなければならないということで、考えて実は帰ってきたところでございます。先ほどたまたま藤井会長代理から、実は千葉県の規制問題について、地方自治体の規制にとどめるだけではなくて、日本国家の現在の規制は二・〇であり、千葉県は十分の一である。そういう形で地方権限譲渡というものが拡大解釈されていった場合には、日本の将来のためにとんだことになるのだという率直な意見が述べられまして、非常に参考になったわけであります。  そこで私は質問をさしていただきますが、八幡製鉄と川崎製鉄のたとえば排じんですね、あるいは亜硫酸防止、そういうものについて、数字の上でどの程度現在相違があるのか、念のためにお教えいただくとわかりやすいのでございますが、この点をぜひお聞かせをいただきたいと思います。  それともう一つは、友納知事が決定をいたしました今回の排出基準でございますが、その基準と新日本製鉄の現在の排出の相違点というのは、どの程度友納知事が無理なことを言っておるのか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。  これで第一回の質問を終わります。
  40. 藤井丙午

    藤井参考人 ちょっと先に終わらしていただきます。  私が先ほどお話を申し上げた中に、多少数字の間違いと誤解の点がございますので、まず訂正させていただきます。  先ほど全国の環境基準が二と申しましたが、これは〇がつくので、〇・二でございます。それから東京ないし横浜の煙突の煙の排出基準は、東京は〇・二で横浜は〇・七、こういうことになっておりますので、十分の一と申し上げたのはちょっと誤解を生じたかもしれませんけれども、そういう意味ではございませんで、その数字は訂正をさせていただきます。  それからいまのお話では、たとえば日本鋼管なり川崎製鉄の場合の今回の基準が、非常にきびし過ぎるような印象を与えたかと存じますが、私の申し上げたのはそういう意味ではございません。つまり私が申し上げんとしたことは、高密度社会、つまり社会環境と地方の過疎化と申しますか、そういう地域と、あるいはまたその中間にあるような地域とは、おのずから環境が違うわけでございますから、そこで全国一律に非常なきびしい基準を設けられますと、地域によっては不可能をしいるようなこともあるし、またそれほどしなくてもいいというような地域もあるから、一応国として、地方別にできればそういった地方の判断あるいは参考資料になるような基準でもけっこうですけれども、そういうものをきめていただければ非常にしあわせだということを申し上げたわけでございますので、この点は誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。  それから川崎製鉄と新日鉄との基準の比較でございますが、これは私ども実はいま詳細なデータを持っておりませんから何とも申し上げられませんけれども、川崎製鉄さんのほうは、御承知のようにかなり古い工場でございますので、まだ公害問題等が今日ほど社会問題化しない時点で工場誘致されたという歴史的な沿革がございまして、設備におきましては、どの程度まで公害対策をしておられるかという具体的なことは申し上げられませんけれども、少なくとも君津のほうは、世界最新鋭の工場でございますので、先ほど来るる申しましたように、溶鉱炉はむろんのこと、転炉はむろんのこと、焼結その他につきましてもできるだけ公害ないしは大気汚染のないような、万全とは申しませんけれども、現在において技術的に可能な限りの努力をしておりますから、先ほど空をごらんいただきましたように、そういった大気汚染といったような、少なくとも見たところはあまりないという差が出ておるんじゃないかと思います。
  41. 東澄夫

    ○東参考人 御説明申し上げます。  第一点は、国家資金などを集めて投下をすれば、必ず採算のとれる石油の生産が期待されるか、こういう御質問であったかと存じますが、結論的に申しますと、必ず採算がとれるようになる。と申しますのは、たとえば原油が年に五百万キロリットルということにいたします。そういたしますと、これは五千万ドルに該当をいたします。一つの油田が見つかりますと、それが二十数年にわたって同じように採油されるわけでございますので、当たりさえすればまず採算がとれるものと思います。  ただ、先ほど木川田さんからお話がございましたと思いますが、やはり石油採掘事業と申しますものは、オイルマイニング・イズ・ギャンブリングといわれますように、ある程度非常に大きなリスクも伴っておるわけでございまして、その地域に構造はあっても油がなければ失敗に帰するというような種類のことでございますから、このリスクをやはり分散をしなければいかぬ。その分散する手といたしましては、大きな外国の企業でございましてもお互いに組んで採掘事業石油の探鉱開発をやっておるというようなことでございますから、一つは、そういったほかの企業と一緒に組んでやるということも必要でございますし、また先ほどお話の出ておりました官民一体となった一つの統合組織というようなものを、わが国はわが国なりにつくって、そしてリスクの分散をやりながら開発を進めていくべきではなかろうか、こんなふうに考えます。  それからミナス原油をみな持ってきたってたいした数量ではないじゃないか、この点をどういうふうに考えるか、具体的に例をあげてもう少し数字的に説明をするようにというようなことであったかと存じますが、たとえて申しますと、ごく最近インドネシア地区でボルネオのカリマンタンの東部海岸で見つかった、インドネシア石油資源開発、これはユニオン石油と組んでやっております地区でございますが、この地区では、まだ一坑掘っただけでございまして、確定的なことは申せませんけれども、構造自体はすでに探鉱の段階において確認をしておるわけでございます。それから推論をいたしますと、まず少な目に見て六千四百万キロリットルの埋蔵量がある、こんなふうにインドネシア石油資源開発では申しております。  一方、同じ鉱区についてユニオンサイドから、ユニオン・オイルのほうから伺いましたところでは、インドネシア石油資源開発が言っておる三倍ぐらいの埋蔵量はあるはずだ、こんなふうに言っております。そのような規模でございますので、年間五、六百万ないし一千万キロリットルの生産はおそらくはできるんではなかろうか。  それからIIAPCO、これはジャワの北西部の海域と、スマトラの南部の海域と、東南の海域とに油田を発見をいたしております。これは先ほど申し上げたカリマンタンのものとは少し違いますけれども、構造が続いたものではなくて幾つかに分かれておりますけれども、これも先般参りました同社の社長の話、あるいは出てきた油田の層の厚さ、数、そういったものから判断をいたしますと、いずれもカリマンタンのものと同じような生産量、埋蔵量が期待をされるんじゃなかろうか、こんなふうに考えます。  また陸上のプルタミナ石油公社が自分で掘り当てました油田につきましても、これはインドネシアのことですからまだ詳しいデータを持っておりませんが、伝うるところでは、ミナス油田に匹敵する、こんなような話を承っておるわけでございます。  したがいまして、そういう既存の油田等から——既存といいますか、すでに発見をされたものから出るものも二、三年のうちには千五百万以上のものがとれる、こんなふうにわれわれは推算をいたしております。  なお、先ほども申し上げましたように、インドネシアでは三十八社、これがほとんどインドネシアの海域が余すところなくおおいつくされるぐらいに多くの探鉱をいたしております。これは陸上においても同様でございまして、それを始めましたのがごく最近三年か四年前、古くても四年前でございます。それでいまようやく当たりつつあるところでございますから、続々としてそういう油田があっちこっちに見つかるのじゃないか。  と申しますことは、先ほどもちょっと申し上げましたが、スマトラのインド洋側あるいは南シナ海、そういったところでも石油性のガスが噴出をいたしております。その地域が非常に広く分散をされておりまして、あっちでもこっちでもと申し上げてもいいようなところでございますので、相当期待をしてよろしいんじゃないか。近い将来飛躍的な増産が可能である、こんなふうに私考えます。ただし、現在のインドネシアの総生産量では、御指摘のように全部合わせましても五千万キロリットル、したがいまして、日本の総需要の四分の一でございます。これは相当馬力をかけ、歳月をかけませんと、これが何倍にも伸びていく、ここ数年のうちに何倍になるというわけにはまいらないと思いますが、少なくとも三、四年のうちには倍になることは、そんなにむずかしいことではないんじゃないか、こんなふうに考えております。ただし、日本の需要全体が非常に大きゅうございますし、それがだんだん伸びてまいりますので、インドネシアでの生産が伸びるだけではなかなか追いつかないと思います。  したがって、出光さんのお話がございましたように、アフリカの油を入れるとか、中東の低サルファあるいはアラスカの低サルファ原油を持ってくる。そういうことを石油面においてもやらなければなりませんし、LNG輸入あるいは排煙脱硫煙突を高くする、直脱、間脱、いろいろな方法を講じてやらなければとうてい解決はできないと思いますが、インドネシアの油は幸いにいたしましてそのサルファ分が零に近い数字、どの油を分析いたしましてもやはり〇・〇幾つという状態でございます。少ないけれども、そういった面では〇・五%のものよりもはるかにお役に立つことになるのじゃないか。公害問題の解決に役に立つ度合い、寄与率というものは高い、こんなふうに考えております。
  42. 加藤清二

    加藤委員長 この際、皆さんにちょっと申し上げておきます。  ただいま質問者は二人目でございます。あとまだ九名質問予定者がおられます。この調子でまいりますると、本日は延会のやむなきに至るかもしれません。すなわち、本日中にできない場合は、十二時過ぎた場合は、延会をしなければなりません。したがいまして、質問者におかれましても、答弁者におかれましても、なるべく予定のとおり本日午後十二時までには終わるべく、御協力のほどをお願いいたします。  次には、木川田一隆君。
  43. 木川田一隆

    木川田参考人 委員長の御注意もいただきましたので、簡明に、あるいは簡単にお答えいたします。  第一問でございますが、排煙脱硫、この問題は世界的にもなお技術開発中でございます。われわれが工業技術院と協力あるいはメーカーと協力して、ようやく実際の火力発電所に設置する段階です。しかし、なおかつ調査すべき諸項目を控えております。したがいまして、これを全発電所につける、そして脱硫八〇%以上の効果をあげるというのは無理でございます。いまようやく試験時代に入ったと私は考えております。したがって、十五万、十一万、関西が六万、この三つがどのように今後技術開発をして脱硫の効果をあげるかということに非常な期待を持って勉強はいたします。事実問題といたしまして非常に長くなる心配がございますのですが、土地が非常に多く必要なんです。発電機は、これが六十万ですと、三千坪必要でございます。古い者ですから坪でごかんべん願いたい。その次、ボイラーが三千坪というふうに、煙突のうしろにつけるわけですから、これもまた三千坪必要なんです。膨大な土地を必要とします。そして、これを十五万つけるのにもそれだけのものが要りますので、大体新鋭の火力発電所は一キロワットの設備に対して三万五千円というのが一つの定説になっております。それに土地を三千坪で、坪三万円と仮定いたします。そうしますと、一キロワット、それに加えることの一万二千円に現在の状態でなる、こういう状態でございまして、土地も必要であり、かつお金もかかる、しかもなおかつ技術的には、現実の発電所にくっつけて故障を起こされたのではたまりませんから、そういう全体的な研究をこれから進める。  そうしまして、何でもかんでも発電所にはこれをつけねばならぬという問題は、再々申し上げたとおり、あらゆる方策を講じて、そうして必要なところにこれをつけるということになろうと思います。こういう意味合いを持つ実験的な技術開発の過程にあるものと御了承願いたいと思います。  第二の問題点は、最近の風潮といたしまして公害その他のソーシャルコストを物価に反映させようというような考え方がもしありとすれば、これは日本の物価の関係上非常に憂うべき現象で、公益事業の経営者というものはやはり安定的料金というものを長期に確保する努力を先行すべきもので、それを、ソーシャルコストが幾らあるからこれを直ちに料金に反映するということは、私は絶対にとりたくない、絶対に上げないとは言わない、できるだけこれを自己吸収する努力が先行すべきである、これをあくまでも努力するということを御了解願いたいと存じます。
  44. 浜田幸一

    ○浜田委員 私の持ち時間二十五分はすでに二十分間経過いたしております。私は質問は各参考人に一回ずつしただけでありまして、いかに質問時間が短いかということだろうと思いますが、これはもう議会運営上のきめでございますから、守らしていただきます。  ただ私、一点だけ委員長並びに参考人の方々にお願いを申し上げて下がらしていただきますが、各界の代表の方々を、でき得るならば公害対策特別委員会にどしどし御指導のために御参加をいただくことをこれからも続けてほしいと思いますし、また財界の代表の方々も、でき得ますならば、国会のたとえば一年議員とか、若い議員とか、いろいろ議員の種類はございますけれども、皆さん方は古い者同士仲よくしておるようでございますが、これからは若い者の時代でもございますので、ひとつ財界の若手をどしどし送り込んでいただいて、お互いに需要の問題、供給の問題、そういう問題について討議ができるような場をお与えいただきたい、このことをお願いして終わらしていただきます。
  45. 加藤清二

    加藤委員長 ごもっともな御意見でございますので、これを理事会にはかり、御期待に沿うべく善処いたします。
  46. 浜田幸一

    ○浜田委員 ありがとうございます。感謝いたします。
  47. 加藤清二

    加藤委員長 次は島本虎三君。
  48. 島本虎三

    ○島本委員 まず、先ほどいろいろ参考意見の御開陳がありました。その中で若干私が理解しにくかった点がございますので、その点を先に質問し、あとからまた本論に入らしてもらいたいと思います。  まず先に木川田参考人から、排煙についていろいろ御説明がございまして、集じん装置を完備さして八〇%以上ばいじんを吸収することができるような施設を持ちたい、そのために方法として煙突を高くして、二百メートルの煙突、二百二十メートルまでいって、二百五十メートルを研究中である、そういうような御説明があったわけであります。おそらくはそれでよろしいという考えではないだろうと思うのでありますけれども、そうなりますと、当然広拡散になるわけでございます。そしてその地域、その周辺は、何でもなくても遠くまでよごしてしまうという結果になりかねないのでありまして、そうすると、ある場所では環境基準をきめても、排出基準を守っても、外からくるそのよごれのために、どうにもならなくなるおそれがないということは言い切れないのであります。当然これは公害の絶対的対策とならないのでございまして、広域に影響する結果になることを私はおそれるのであります。決してこれでいいというわけではなかっただろうと思うのですけれども、高煙突、広拡散、これをとって安心だというふうに聞こえましたので、この点は安心してはいけないんだぞ、広拡散になって広くよごすんだぞ、このおそれがあるんだぞと私は思うのでありますけれども、この点誤解でしょうか。
  49. 木川田一隆

    木川田参考人 先生の意見に一部賛成し、一部反対でございます。  反対と申しますのは、気象条件の説明を申し上げないとはなはだわかりにくくて申しわけないのでございますが、実は高煙突の効果につきましては、もちろん気象の諸条件にもよりますが、大体春、夏等は別としまして、秋から冬にかけますると、普通のときの逆になりまして、地上が冷たくなり百メートル以上のほうがだんだんとあたたかくなるという逆の状態になります。そうしますと、その中にいわゆる逆転層、百メートルのところに逆転層ができまして、煙突が低ければその逆転層にさえぎられまして煙が、排出がその中にたまるわけでございます。それが地上濃度を悪化させる非常に大きな原因です。したがって、この逆転層を突き抜けてより高い——逆転層は百メートルと大体私考えておりますが、それを突き抜けた煙突の必要性があります。そうしますと、先生おっしゃるように、非常にばらまかれるじゃないかというお話しがございましたが、それは一カ所で逆転層の下に煙突があって、灰がだんだん下にたまるということよりも、高くしまして、そして拡散すると非常に薄まりますから、地上濃度ははるかに低くなるわけであります。  これは午前中も申し上げたのでありますが、世界各国が競って高い煙突一つの手段、方法——このあとの点が同じ意見でございますが、あらゆる手段、方法を講ずる一つの善処方法としての高煙突である。高煙突は、いま申しました逆転層を突き抜けて、そうして広く拡散して地上濃度を少なくするという考え方に基づいているということを御理解をぜひお願いしたい。戒能先生も、効果はないんじゃないかと、——いろいろいまお話を申し上げておるところでございます。事実問題、そういう御意見もございます。が、私たちは何でもいいから公害排除大気汚染排除につきましてあらゆるものを取り入れていきたいというので、高煙突もその一つでございますことを御了承おき願いたい。
  50. 島本虎三

    ○島本委員 高煙突、広拡散、逆転層を突き抜けてこれは広拡散する。その方法は前からとられておって、これに対して絶対反対だと言ってない。ただ、これだけで絶対安心してはならないのだぞと言ったのであって、安心してなければいい。  なお、このほかに低硫黄性の多い油とか、こういうようなものがあるわけでありますから、その努力はするというからいいんですが、まず、しないでおいて、この高煙突、広拡散、これだけであってすべて終わりだ、こういうような考えではだめですぞと言ったので、そうじゃないということですから一致するんです。  今度は私のほうから譲歩して、あなたの言うとおりですから、それをひとつ意見を聞かしてもらいたいのは、排煙脱硫排煙脱硫の中で、今度大型プロジェクトをいま実験中である、めどがついた、独自の経費の負担でこれはめどがついたものであって、そして十五万キロワット、それから中部電力では十一万キロワット、それから関西でも同じようなものを本年中につけよう、本年中に取りつけると、これは脱硫で八〇%ぐらいはちゃんとめどがあるのだ、こういうようなことでありました。そうなりますと、今度トン当たり三十万円もかける。十五万トンで三百万円以上かかる。生活環境に対応する高度の努力として、今度はあなたのことばで言えば自己吸収策をはかるように努力しておる、こういうようなことであります。私は全然、あなたの意見に賛成であります。したがって、これは値上げは考えていないのだ、この努力を一生懸命しているのだということを了解して、私は心から拍手をしているのであります。何かそうでないような促進意見も出たようでありますけれども、私がいま言った意見はあなたに賛成だという意見なんですが、私に賛成してもらって迷惑でしょうかどうか、もう一回その意見をはっきり聞かしてもらいたい。
  51. 木川田一隆

    木川田参考人 まことにありがたきしあわせでございます。
  52. 島本虎三

    ○島本委員 もう一回。
  53. 木川田一隆

    木川田参考人 全面的に賛成を申し上げて、御理解を感謝いたします。
  54. 島本虎三

    ○島本委員 次に第三点。先ほどの、これも御意見の開陳の中に、エネルギー革命のために原子力発電の必要、これをいろいろと考えておるし、今後その方法をとらざるを得ないのじゃないかと思うし、その安全性世界的に高いし、積極的に取り組むつもりだ、こういうふうにおっしゃられたようであります。私もその意見について若干の危惧があるのですが、これを解明してもらいたい。  まず第一に、温排水によるいわゆる公害ということで、いま各地で疑義が持たれている。そうして原子力発電所からの大量の温排水によって付近海域の魚介類の被害が生ずるのではないかということで、だいぶこの問題に対しては疑念を持たれておることが第一点であります。  それから、日常運転に伴う放射能汚染はどうなるだろうかという、こういうような点も、御存じのとおり、疑義を持たれておるようであります。しかし、原子炉の運転の際に各種の放射能廃棄物を全くゼロにすることは、いまの段階ではまだできない。すでにきびしい法的規制はあっても、微量の放射性物質が海中の生物によって何万倍にも濃縮をされる可能性もあるし、この点の研究がまだまだ残念ながら不十分だといわざるを得ない。海水だけでなく、大気から土壌や地下水の過程でも同様のことが起こる可能性があるということをわれわれ自身知らされておりますが、この点に対する解明はどういうようにするつもりか。  それと同時に、事故時の放射能汚染のことも心配されておることは、御存じのとおりであります。これは原子炉の運転によって、炉内に強い放射能を持ったいわゆる死の灰といわれている、これがたまるわけでありまして、万一事故によってこの一部でも漏れれば、それはもう、その影響はまことに重大だといわざるを得ない。これは私が言う必要ないほど御存じだと思うのです。そうして、過去二十七年間で世界で一千基の原子炉がつくられておるそうでありますけれども、その中で十件以上の事故が起きているということも聞いているわけです。そうなりますと、地震国である日本が今後どんどんとこれを取り入れていくことにおいては、この対策を十分考えて、その安全性をまず十分確かめた上でこれを進めるのが当然じゃないか。いま私が申し上げた点、国民はまだ疑念を持っておるのですが、いま安全性を、世界的に高いからとおっしゃいましたが、いま一体これらの点は十分お考えの上でやっておられると思いますが、これに対してひとつとくと安心させてもらいたいと思います。
  55. 木川田一隆

    木川田参考人 温水の問題は、排出温水、これはひとり原子力ばかりでなく、諸種の工場、火力発電所等にもございます。ただ原子力の場合には排水量が多うございます。この点が心配なわけでございますけれども、それでも温度上昇が四度か五度程度という想定をしておりまして、それが二キロメートル先で一度程度に温度が下がるというようなことになっておりますが、諸種対策を講じつつあるわけでございます。  それから、大気に対する放射能の問題はございませんというケースになっておりますが、ただ、このウランを燃焼することによってその中から誘導される放射能がございます。これは四つに区分されておるわけでございまして、なかなかむずかしい問題で、私、書いてまいったわけでございますが、一つは気体の廃棄物でございます。それから一つは液体の廃棄物、それからもう一つは固体の廃棄物、との炉から他の発電機等に誘導する中におきましてこれをどう処理するかという問題点が、こういうふうに三つの種類において生ずるわけでございますけれども、この第一番の気体の廃棄物は、貯蔵のタンクをつくって一日間貯蔵いたしております。そうしまして放射能を弱めました後にフィルターにかけまして、そして測定した上で放出する。測定基準がございますから、測定した上で放出する。それからおおむね空気中に自然の放射能がございますわけですが、これはちょうど百ミリレムというユニットになっております。空気中に自然に存在するわけでございます。この気体の廃棄物の中の実際の原子力発電所の廃棄物の量は、この十分の一でございます。大気中に現存するものの十分の一以下になっております。そして許容限度はいわゆる五百ミリレムというわけでございますから、非常に少ない。大気中に自然にあるものの十分の一、かつ許容限度の五百分の十ということになります。これが気体の廃棄物です。  それから液体廃棄物はフィルターを通しまして、測定機によって確認しまして、そして冷却水とまぜて放出するということになって、これも安全基準上問題ないということになっております。  第三に、固体の廃棄物でございます。国が中心となっていまこれをどのように放棄するか。海洋放棄か、あるいは地中で処分するかということを検討中でございます。  それからもう一つ、御質問に関連すると思いますが、例のたいてしまった廃棄物、いわゆる使用済みの燃料でございます。これはコンクリートで固めましたものに入れまして、絶対に外に漏れないようにする。ただ量が非常に多うございますので、これをどのように処分するか。海中処分か、どこかのあき地に埋めるかというようなことも、これらも原子力局の中でいま検討中でございます。そうしまして私が特に先生と同じような憂いを持ちましたのは、安全に対しましては契約に特別の条項を設けまして、メーカーに安全に対する十二分の配慮ということに対して予算までつけて特別の二重、三重のあれをするという監督をこちらから派遣いたしまして、アメリカの製造業者に対して、アメリカのものよりもなおかつ契約面において、製作工程において、その点において配慮しておるということを御理解いただきたいと存じます。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 安全性の場合には特に留意するように強くこの点を、疑義を解くためにも要望しておきたいと思います。  次に、藤井参考人に、三点になりますが、ちょっと疑念を解かしてもらいたい。それは先ほどの始関委員の質問に対して、発生源について万全を期す、こういうような力強い意見の開陳があったのだけれども、この点は私はほんとうにそうしてもらいたいし、激励申し上げたいと思うのです。しかし、そのあとで、風潮としてということばで、政府は今後、公害といってもからだに被害があるかどうか、具体的なデータをほしいものだ、出してからにしてもらいたいものである、こういうふうに私は受け取りましたけれども、もしそういうふうなことまでいくとすると、藤井参考人、少しこれは誤解されるおそれがあるのであります。というのは、この公害というものの幅の広さと深さ、すなわち公害は因果関係の究明がなかなか困難なものでございまして、もうすでに御存じのイタイイタイ病の問題であるカドミウムの被害によっても、また有機水銀によるところのあの水俣病であっても、いまだに裁判になっておって、国が公害病と認定しておっても、はたして因果関係の究明ということになると、百年裁判の感がなきにしもあらずなんです。そうして司法関係の、ことに裁判所関係の裁判官の会議においてさえも、これは今後は因果関係よりも、蓋然性があるならばそれでいいことに踏み切ろうじゃないか、こういうような意見さえも出たと報ぜられておるのであります。そういうような中で、具体的にはないうちに公害公害と騒ぐのはおかしいぞ、こういうように聞こえると、現在の風潮に対して鉄槌を下しておるようなことになりまして、公害行政があとずさりするのであります。決してそういうような意味ではなかろうと思うのでありますが、私はそういうふうにとって、少しこの点に対しては究明を要する、解明を要する、こういうように思って質問するわけであります。私はそういうふうにとりましたが、これは誤解であろうと思うのですが、どうでございましょうか、まず、その一点をお聞かせ願いたいのであります。
  57. 藤井丙午

    藤井参考人 私のことばの足らぬ点であるいは誤解を生じたかとも存じますけれども、先ほど来るる申し上げておりますように、私どもとしましては、現在の技術において解明あるいは解決されておる限りにおいての万全を期するつもりでございまして、決して公害の風潮をいたずらに憂えているというような意味ではございません。ただ私が申し上げたかったのは、公害と申しましても、いまお話しのように非常にはっきりしているもの、私どもの製鉄業におきましても、SO2はむろんのこと、あるいはシアンであるとか、フェノールであるとか、明らかに公害有毒物であるというものにつきましては、これは及ぶ限り事前にその対策を講じるという考えでおりますが、ただ公害という問題も、お話しのように非常に幅の広い問題でございまして、何でも公害公害ということになってまいりますと、これまた問題になりますので、そこで政府におかれましても、公害問題に対する取り組み方としまして、できる限り——例を申しますとSO2のどのPPMまでの程度が人体に影響があるかどうか、衛生的に、科学的にそういうものを解明するといったような努力をしていただかないと、一から十まで何でも公害で片づけられてしまうことになったらたいへんだということを申し上げたわけでありまして、公害に対してわれわれが言いのがれをするとか、あるいは事後処理に対して抵抗するとかいう考えは毛頭ございませんので、その点はひとつ誤解のないようにお願いいたします。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 最近、公害ということばがいろいろ使われておるのは、おっしゃるとおりなのであります。まさに原因が一つの会社から出たということがわかっても、それが公害公害ということによって解決が長びく。いわば私害であることがわかっていても、公害ということばに惑わされる、こういうような傾向さえあるのでありますが、そういうような点では、まさに公害というよりも、これは私害であって、原因者は全面的に会社であって、これはもうすぐ公害ということばを使わないで、その原因発生源をなくするのに万全を期すればいい、こういうような例が間々あるのであります。そういうような意味において万全を期するということであるならば、今後、前向きでありまして、私はそういうように解釈をして、ひとつこれからの企業努力に大いに期待しておきたいと思います。  第二番目の点でございます。これは本委員会におきましても六月十一日に問題になったのでありますけれども、洞海湾の水質汚濁の中で、新日鉄からも出されておるシアン、フェノール、こういうようなものも検出されたということでございまして、これはもうあそこに古い工場もあるし、鉄工所の排水量も多いことでありますから、こういうような問題は、やはり環境をよくするという環境衛生上の問題からしても、これは発生源として、発生源者はその処置に万全を期さなければならないのじゃないかと思うのであります。古い工場であるからこれでよろしいという考えは万々なかろうかと思いますけれども、この工場汚水の処理は、現段階でどうお考えになっておられましょうか、これをひとつお答え願いたいと思うのでございます。
  59. 藤井丙午

    藤井参考人 先ほど申しましたように、汚水問題につきましては、たとえばいろいろな処理をしました水を何回も何回も使うことによって、いわゆる房水率を新鋭工場では九三%と申しましたが、そういうふうにして、なるべく水が流れ出ないようにし、また流れ出る場合でも、それを事前に有害物を捕捉する、こういう努力をしておるのでございます。たとえばいま御指摘になりましたようなシアンであるとか、フェノール、これは非常な有毒物でございまして、私どもも一番問題にしておるわけでございまして、先ほどお手元にお届けしました陳述書の四ページにも書いてございますように、これについてはCOD、つまり化学酸素要求量、あるいはBOD、生物化学酸素要求量、こういったものの毎日出る汚濁の負荷量をなるべく引き下げる、こういう意味での有機的あるいは設備的な施設を万全を期しておりますと同時に、上から五行目に書いてございますように活性汚泥方式、これはちょっとことばではわかりませんが、専門語でございますが、これはいわゆるバクテリアでもってそういった有毒物を食べてしまうというような方法も講じまして、有毒物の水を通しての汚染といったことがないような措置を講じております。ただ洞海湾について一言釈明させていただきますと、これはもう七十数年来のいわゆるそういったものの堆積でございまして、私どもばかりではなくて、旭硝子さんとか、数十あるいは百以上の工場の汚水が流れ込んでおりまして、一つの大きな堆積になっております。これは漁業補償等は済んでおりますから、直接にいま人体に影響するというような問題は起こっておりませんけれども、この洞海湾の処理につきましては、いま福岡県並びに北九州市とも協議いたしまして、将来問題のないように、いま御指摘のような被害の起こることのないような解決方法を目下検討中でございますから、御了承願いたいと思います。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 やはりこれは汚水処理上の問題にもなろうかと思います。そういうふうなことは、活性汚泥方式、けっこうでございます。これによってほんとうにいい水を流すように、率先して模範を示してやってほしい。そのために会社がつぶれるというおそれのないのは、日本ではあなたの会社でありますから、ひとつ進んでこの問題は手本を示して、この次来た場合は、大きい顔をしてぼくはりっぱにやりましたということを全国民にここではっきり周知できるように、ひとつ心から私は期待しておきたいと思います。  三番目でありますけれども、先ほどの意見開陳の中に粉鉱石の問題がございました。焼結工場からの、いろいろな苦労があるようでございます。そして石炭をコークスにするに必要な、粉じんについて捕捉技術開発努力したい、こういうふうなことであったと思います。これはまだ技術的な開発段階なのでございましょうか。これは、われわれが当委員会として四国の香川県の番の州のあの工業地帯のほうを先般視察してまいりました。その場合、——ちょっと速記やめさしてください。
  61. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  62. 加藤清二

    加藤委員長 速記を始めてください。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 三菱化成でも、コークスによる粉じん、これに対しまして新しい方式をもうすでに採用して、その点USスチールからも、アメリカから見学に来て、その技術について驚嘆おくあたわず、そしてそれもついに、われわれのほうにも使わしてもらいたい、こういうようなことさえも言っていったという説明を承ってきたのであります。そうすると、技術的な開発は向こうでできているんじゃなかろうか。これくらいの方法は大新日鉄は取り入れてもなおかつだめなんだという意味なんでしょうか。この問題は、先ほどの説明とあわせて、どうも納得しかねたものですから重ねてお伺いしておきたいのであります。三菱化成におきましては、これは世界的に優秀な技術である、こういうふうに誇っておりました。その点では、新日鉄さんのほうでは技術開発努力中であるようでありますが、この点はどんなものでございましょうか。
  64. 藤井丙午

    藤井参考人 粉鉱石を焼結しまする過程におきましての粉じんの問題は、先ほどるる申しましたように、これは船から陸揚げします際の、アンローダを使います、それから貯鉱場へ持っていくとか、貯鉱場からさらに溶鉱炉へこれを運搬する、そういう過程でどうしても、こまかい粉ですから、風等が吹きますと粉じんが出るおそれがございますので、それは先ほど申しましたように、たとえばコンベヤー等につきましては防じんのカバーを取りつけるとか、あるいは水をまくとか、あるいは凝結剤をそれに混入をして、いわゆる粉鉱石の粉じんが出ないようなことを講じておりまして、このほうは大体、さして御迷惑をかけることのないようになっておると思います。  ただ問題は、いま御指摘の第二番目のコークスの問題でございます。これはいま非常にいい御示唆をいただきました。私どももこれは真剣にいま技術開発に取り組んでおりますけれども、かりにそういった技術が完成されておるということでございますならば、至急に技術を導入いたしまして改善をしたいと思っております。御注意ほんとうにありがとうございました。
  65. 島本虎三

    ○島本委員 次に、出光参考人にお伺いしたいと思いますが、先ほどの御説明で、ミナス中心の原油、これについては増産はあまり期待できない、こういうふうな御説明がございました。対策として、アフリカのナイジェリアやカビンダ、この方面の低硫黄油が期待されるのである、こういうふうに御説明があって、るる計数的に説明があったのであります。私どももいろいろ以前からこの低硫黄原油、こういうようなものについていろいろ各階層からの意見を承っておるわけであります。ただ、アフリカの場合には、これはどうしても、これはいま必要なのが欧州であり、アメリカでありまして、向こうのほうへ全部行ってしまうおそれがあって、距離的にも遠い日本のほうへは、やはり向こうでいかに優秀なる低硫黄油が産しても、産されたままにほかのほうへ行って、こっちへ来ないんじゃないかというおそれがあるのじゃないかと思うのです。これはナイジェリア、カビンダ、この低硫黄オイルは期待されるというのですが、その点では十分でしょうかどうか。私は、そこでやっても、そのまま欧州なり、そのままアメリカなり、この方面のほうへほとんど行ってしまって、日本のほうへは、またしてかすばかりということになってはとんでもないことになると思うのですが、先ほどの説明、私この点十分ではございませんので、この際あらためて解明願いたいと思うのです。
  66. 出光計助

    出光参考人 御指摘のように欧米にいま行っておりますが、いまのところはまだ生産量が非常に少ない。御承知のようにナイジェリアの内乱がありましたりして、開発が進んでおりませんが、これもおさまりまして、最近急速に生産がふえております。来年、再来年と、相当期待していいような状況になっております。これを持っておりますのがBPとかシェルとかガルフとか、こういう大きな会社であります。われわれ業界としましても、おのおのこれと直接タッチいたしておりますので、ある点まで御安心願いたいと思います。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 ある程度まで安心はしたいが、もう一回その安心してもいい計数をはっきりここで言ってください。
  68. 出光計助

    出光参考人 結局距離が、ペルシャ湾、たとえばクウェートと比べますと六割ほど遠くなるわけです。したがいまして、その運賃の高くなる分を日本側が負担する、こういう原則を立てなければ、コンペティティブにならない、こういうことであります。この点は、その船の配船のしかたに一つ知恵のしぼり方があるわけでございます。ヨーロッパとそれからいまのナイジェリアと中東日本を結びまして、まずナイジェリアの油を日本へ持ってまいります。それから日本からペルシャ湾にから船が参ります。そしてペルシャ湾の油をヨーロッパに持っていくわけであります。それからヨーロッパからナイジェリアに行くのにから船になりますから、ちょうどからの間が三分の一で、実が三分の二となります。これで運賃のカバーがある点までできるのであります。これがわれわれのせいぜいの知恵でございます。御安心願いたいと申し上げましたのはその点でございます。
  69. 島本虎三

    ○島本委員 いま世界原油確認埋蔵量、これは資料によって報告していただいてありがとうございます。これによりますと七百三十二億トンだと、こういうようなことになっておるようであります。その消費量を見ますと、北米が三六%で、西欧が二八%で、東欧が一五%で、東南アジアが日本を含んで一二%、そのうち日本が八%だ、こういうような報告であります。そして毎年一二%ずつ伸びているので、あと十四、五年、もっとそれ以上で西欧に追いついてしまう、五年くらいで現在の倍になる、こういわれておるわけでありますが、当然そうなりますとこの消費量からしても、中東サルファの高いこういうような油を使わなければならないといういままでの、それで十分わかりました。第一に今度は、脱硫設備の問題が大きい。第二には天然ガスをこれから、先ほどの説明のとおりにこれは持ってくる。この点も大きい問題の第二番目だ。第三番目になるのはユーザーのこれに対する排煙脱硫の装置、こういうようなものを併置することもこれは重大な一つの問題になってくるのじゃないか、こういうように思うわけであります。  出光さんのほうではこの直接脱硫方式も成功したということを聞いておるのでありますけれども、これは世界に冠たる研究じゃないか、こう思いますが、ほんとうに成功の段階に達してもう安心なのですか、まだそうではない段階で不安があるのですか、この点等についてひとつお聞かせ願いたいと思います。
  70. 出光計助

    出光参考人 石油連盟会長として出ておりますが、ちょっと出光興産に返りまして御回答申し上げます。  千葉製油所に世界で初めての直接脱硫設備をつくりましたのが四十二年秋でございます。現在約三年近くたっておりますが、われわれ事務屋は、これは三カ月もしたらりっぱに成功すると実は思っていたのでございますが、非常にむずかしい技術であります。実は二年間ほどは全く故障続出の状態で稼動率が大体五割でございました。そういう状態でありましたが、最近この春からようやく落ちつきまして故障もないようでございます。ですから残る問題はいま入れております触媒の寿命がどのくらいあるか、一年間は保証されておりますので、来年の春まで待ちますとこれが一年間たつわけであります。さらに延長できるものやら、あるいはその前に故障を起こすものやら、これをもうちょっと見たいと思っております。  それからもう一つは、水島の日本鉱業さんがやっておられますガルフ方式、これは初めからかなり慎重に取り組まれた関係もありましょうが、まず成功といっていいんじゃないか。これも実はいまの触媒の寿命の問題がありまして、これも来年の春まで待たなければ実際の成績はわかりませんが、いずれにしろ、重油の直脱という技術はひとまず成功したといい得ると思います。
  71. 島本虎三

    ○島本委員 ひとまずということは、まだ全然じゃないわけですか。
  72. 出光計助

    出光参考人 ええ、来年の四月までお待ち願います。
  73. 島本虎三

    ○島本委員 それで、この際ですから、今度は石油連盟会長からもう一回出光社長に返っていただいて、あの協定違反で何か姫路でいろいろなことがあったということが、ちょっとこれはやはり信用の問題であり、今後のいろいろな企業の問題に対しては重大な一つの要素があるんじゃないかと思うのですが、やはりこういう問題は成功したのであるならば、これは何でもない。成功しないのであればしないようにはっきりさせて今後のめどをつければいいんじゃないか、こうも思うのでありますけれども、この問題等につきまして対処は完全にしてありましたか。これもお聞かせ願います。
  74. 出光計助

    出光参考人 姫路に関しましては、新聞紙上えらいにぎやかになりましてたいへん御心配をかけたこと、この機会におわび申し上げます。  実は先ほど申しましたとおり、ガルフ方式と千葉の私どもやっておりますUOP方式といずれがいいか。実はまだ来年の四月まで待ちたいわけでございますけれども、ああいう問題になりましてガルフ方式にきめたわけでございます。この姫路製油所につくります脱硫設備は姫路、地場のローサルファの油の供給という問題とはこれは全く縁がないわけであります。私のほうといたしましては、ローサルファ計画を、全体として自信をつけましたので、実はその脱硫設備いずれかはっきり見定めて取りかかりたい、こういう真意だったのでありますが、何しろ県と契約になっております。当然この手続をとるべきものを現地の若い者が忘れておったようでございましてまことに申しわけないのでありますが、そういう実情で、ありのままでございます。
  75. 島本虎三

    ○島本委員 それで直脱のほうは来年の四月に成功する、こういうようなことですから、一そうの御研さんを望んでやみません。早く成功するように祈ります。  それと同時に、今度間接脱硫の、こういうような問題等になってまいりまして、これは皆さんから御高見を拝聴しておきたいと思うことなんであります。と申しますのは、これはどうしても間接脱硫によります方法、これを採用してまいりますと確かにおっしゃるように、これは直接脱硫よりも効率としては低いようであります。しかしながら、ここにアスファルトが大量に、四対六の割合にできるようであります。このアスファルトができるということになりますと、これまた最近の日本傾向からして一石二鳥の行政をここに実施できるんじゃなかろうか、大体日本の道路全体、これを見ます場合には、アメリカでは八〇%舗装されている。それからイギリスでは一〇〇%舗装されている。ヨーロッパ全体の平均は七〇%である。こういうようなことであります。しかし、日本では残念ながらまだ舗装されていない、りっぱな道路、いわゆる道路予定地が多いのでありまして、そのほかには地球の表面そのままのところも多いのであります。市町村道全体で五・三%よりまだ舗装されていないというじゃありませんか。そうなると、この間接脱硫方式によって今度その中に含ませて、どんどんアスファルトというようなものを使用するような方法を皆さん自身で政府に要求する、もちろん私どももやりますが、ひとつ要求してやったならば油の点の一つの明るい見通しになりはせぬか、こういうように思うのであります。大体年間五百万トンのアスファルトを地方道路の舗装に使えば、十年間で七〇%近く舗装できるというようなことであります。それも間接脱硫のほうからとられるのだ、またそれを大いに利用すると道路もよくなるのだ、こういうようにして、農道を含めて市町村道あたりも大いに舗装するようにしたならば、行政の質は上がる。農村は農村で、今度いたまないようにしていろいろな果実を持ってこれたら、都市の奥さんたちには喜ばれる。それで油のほうは良質になる、こういうようなことになったら一石三鳥じゃありませんか。こういうことを大いに進めるべきだと思いますけれども、御出席皆さんの御高見をこの際賜わっておきたいと思うのであります。
  76. 加藤清二

    加藤委員長 それではこれは重要な問題ですから、木川田一隆君。
  77. 木川田一隆

    木川田参考人 間接脱硫と舗装の関係でございますが、間接脱硫は油会社のほうでやっておりますので、実は私よく存じ上げないのです。したがって、舗装との関係、これもまたお答えできないで残念でございます。
  78. 加藤清二

    加藤委員長 それでは先に出光計助君。
  79. 出光計助

    出光参考人 まことにごもっともな御意見で、実はそのとおりにしたいと思いますし、通産省のほうでもたいへん力を入れられまして、農道の舗装、それからセメントのかわりに使うというようなことを積極的に研究いたし、さらに海外の東南アジア地区に調査団も派遣いたしまして、あるいは砂漠地帯をアスファルトを使って緑化する、そういうアスファルトの需要喚起にいろいろ調査団を派遣いたしておりますが、農道の場合においても道をつくる費用がたいへんかかるそうでございます。そのほうの予算の関係でちょっと行き当っているような気がいたします。アスファルトだけから申しますと、全くお説のとおり非常に賛成でございます。それから砂漠の問題はドイツが長年研究いたしておりまして、技術的にたいへんむずかしい問題が伏在しておるということで実はまだ実現の運びまで至っておりませんが、方向といたしましては、先生のおっしゃるとおりにぜひ研究を進めたいと思います。
  80. 加藤清二

    加藤委員長 これは低硫黄化のポイントの一つですから、藤井丙午君。
  81. 藤井丙午

    藤井参考人 私は実は九州石油の社長を兼ねておりまして、間接脱硫をやっておるほうでございまして、ただいま島本先生の御指摘のように、私どもも大いにアスファルトを使っていただければ業績も上がるかと思いますが、ただ問題は、私どもの側の問題よりも、国もしくは地方自治体が道路をいかに整備するかという問題との関連でございますので、私どもとしてはきわめてお説に賛成でございます。
  82. 島本虎三

    ○島本委員 行政的にもこれは大いに進めるべき問題だ、こう思いますので、これは皆さんの御高見は十分わかりました。ありがとうございました。  それと合わせて、最後になりますけれども、ミナス原油でありますけれども、この開発の点はどうも希望があるようでもあり、またないようでもある、こういうことでございます。そうなりますと、今後は共産圏に対しても大いに開発を促進して、これによって低硫黄油を入手するようにつとめなければならないと思っておるのでありますが、しかし、そういうような調査も共同で開始しておる、こういうことでございまして、なかなか心強いのであります。今後はその方面にも十分力を入れて、いろいろ国際的な競争が熾烈な中で行なっておる努力、これは心から敬意を表しますけれども、世界石油資本と申しますか、アメリカ系が六つもあり、またイギリスとオランダ合弁によるのが一つあり、そのほかにまだ若干あるようでありますけれども、その中でいろいろ努力される、その努力とともに、共産圏の低硫黄オイルの開発についても今後大いに努力してほしい、こういうように思っておるわけであります。この点は説明は要りませんが、皆さんに心からこの点を要望しておきたいと思います。  なお、時間だそうでありまして申しわけありませんが、最後に一つ、先ほど私が言った中で、「何かそうでないような促進意見も出たようでありますけれども、」前の人は決して促進する意見ではないということでありますから、この促進意見が出たというのは取り消しておいてもらいたい、こう思います。  どうもありがとうございました。皆さんの御健闘を心からお祈りいたします。
  83. 加藤清二

    加藤委員長 次は、土井たか子君。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 私の地元の一つに、亜硫酸ガスで大気が汚染されております、日本一といわれる尼崎市がございます。尼崎の状況は皆さんもよく御承知のとおりに、汚染度が厚生省の基準を大きく上回っておりまして、地域によりましては、慢性気管支炎あるいはぜんそくのような症状の多発地帯が現にもうございます。この尼崎の亜硫酸ガスによる大気汚染源を見てまいりますと、いろいろあると思いますが、わけても液体燃料使用量の多い関西電力がその発生源であるということは周知の事実でございますので、きょうはこれから、けさほど来いろいろと御努力や御決意のほどを承ってまいりましたけれども、切実なこの問題について、一つ二つお伺いをいたしたいと存じます。地元では問題が深刻でございますので、あるいは失礼にわたるような質問のしかたになるかも存じませんが、その点はお許しをいただきたいと存じます。  まず、電気事業連合会会長の木川田さんにお伺いをするわけでございますが、御承知だと存じますけれども、関西電力では昨年兵庫県と尼崎市との三者の間に大気汚染防止協定という協定を結んでおりますが、協定の効用についてどうお考えになっていらっしゃるかという問題が一つでございます。  それから二つ目には、協定を結ばれまして、それに従って尼崎市のほうが改善計画書の提出を要求いたしまして、そして昨年改善計画書が出されているわけでございますが、しかし、現在ございます尼崎の四つの発電所のいずれもが、この計画書からいたしますと大きくその計画を上回るような亜硫酸ガスを噴出しているのが現状でございます。たとえば、その亜硫酸ガスのもとにございます油のたいております量を見てまいりますと、第一発電所では昨年同期に比べて減らなければならないはずのところが四倍にふえております。第二発電所では、これやはり昨年に比べまして同期の調査で減らなければならないところが一・八倍にふえております。こういうふうな実態を考えてまいりますと、協定書を結びましても、大きくこの協定書の内容に違反するという事実が進められているということになるわけでございますが、この間の事情をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、まずこれをお伺いいたしたいと存じます。
  85. 木川田一隆

    木川田参考人 電連会長の立場を申し上げねばならぬと思いますが、個別企業の責任において九電力が経営されている。共通の問題につきまして電連において相協議し、その主体的責任は各社においてこれを実施するということになっております。  その、いま先生のおっしゃった尼崎の問題というものは、私アウトラインだけは存じております。その御質問の中で、一般論といたしまして、自治体なり、個人なり、契約をした以上これを実施する、誠実履行の責任というものは明確にしておかねばならぬ。そうしませんと、一般の不信を買い、今後の事業運営なり、社会的な不安感を醸成するというソーシャルテンションの原因にもなるということでは、はなはだ遺憾と存じます。これが大体一般原則論でございまして、尼崎市がもし、協定に期間がございますかどうですか、そこまで私存じませんで、即刻その協定の順守をやることになっておるのか、あるいはある一定期間内にこれをやるということになっておるのか、実は内容を私存じませんですが、少なくとも条件に対する誠実履行の責任というものは、経営者として断固として努力すべきもの、もし諸条件関係上これが実施ができないと仮定すれば、その中の条件一つでも二つでもそれは相手当局とよく話し合いをいたしまして、誠実履行のできない問題については、あらためて御了解を得るなり何かの手段方法を講じていくべき筋合いのもの、かように存じます。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 実は先日この公害対策特別委員会から、現地に視察に参りました。そして、その間の事情を実は見学をし、いろいろな御意見も拝聴してまいったわけでございます。で、会長におかれましては、いまおっしゃいました協定どおりに事が運ばないと考えられる原因のうちで、大きな原因はどの辺にあるとお考えになりますか。
  87. 木川田一隆

    木川田参考人 たいへんお答えしにくい問題なんで、その協定の内容を、具体的内容を実は私存じないわけです。したがいまして、いかなる理由によってそれが不履行になり、あるいは一部不履行になっているかということに対する原因の那辺に存在するか、お答えできないのをはなはだ遺憾に存じますが、少なくとも協定する以上は誠実履行ということがきわめて重要なる絶対的条件と私は考えておることをあらためて申し上げたいと思います。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 実はこの問題につきましては、もう尼崎では第一、第二発電所について四十二年度から年次計画がございまして、そして年々これは亜硫酸ガスの排気量というものを年度計画によって減らしていくということが具体的に計画化されていたわけでございます。現地に参りまして、いろいろ計画どおりに進まない理由をお尋ねいたしますと、要は一点に尽きるようでございます。それは当初からお考えになっておりました、当時お考えになっておりました需要の量が、予定の見込みどおりにいかず、ずいぶん見込みよりも上回ってあったというこの現実で、この現実に対して、需要があれば供給をするということが、電気事業法という法律から考えても当然の大前提でございます。したがって、この需要に対する供給という点から考えて、いまのその排気量というものを減らすということがむずかしいというお答えだったわけでございます。  で、全般的に私は、これは尼崎市のみの問題ではなくて、いま先ほどからおっしゃいました一般論として考えましても、需要がふえますときにそれに対する供給を考えてまいりますと、いま申し上げたようなせっかく結んだ協定、あるいはお立てになった計画も、計画どおりに進まないということがあるように考えますが、そういう際の措置を会長としてはどういうふうにお考えになりますか。
  89. 木川田一隆

    木川田参考人 需要と供給の問題、需要想定の的確性と供給の責任の問題、あらゆる努力を払って、需要想定に過誤があっても供給する義務がある。ただ正当なる理由とは何かということになると、相当むずかしい問題が出ると思いますが、誠意をもって努力して、なおかつ供給力が不足したという場合は、正当理由に入るかと存じますが、これらは法理論としてはなかなかむずかしいと思います。その経営の立場において誠実に努力をしたかしないかというような問題が当然客観的な立場で評価される。したがいまして、供給の責任ということが当然原則として、法律的にも、われわれ経営の心情的立場においてもございますので、その点に過誤が出た場合の供給不足の問題に対するあれは、個別事業の責任で負い切れない場合には、けさほども申し上げたように、全国体の広域運営の立場において応援をするというような姿になっております。ただし、先ほど先生のおっしゃった、需要が超過して、したがって、一部履行ができないというような場合には、最善の供給対策をとったかとらないか、それは主体的な責任において第一番に努力する、それと同時に、われわれが広域運営の立場協力するということで運ぶという姿、そういう構造的な道をとっておるわけでございます。  尼崎の問題は、実はアウトラインを存じておりまして、非常に心配しておる問題でございます。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまの御発言で、供給に対して力を注ぐという意味を込めての御発言でございますから、おそらくは、これは尼崎の場合にもそういう点は抜かりなくお考えになっての上のことだと存じますけれども、年次計画を私拝見いたしますと、四十五年、四十六年、このあたりまでは供給予備力がいささか低下をいたしますが、四十七年度くらいからぐんぐん予備力が伸びてまいりまして、四十八年、四十九年、五十年とたいへんな勢いでこれが伸びるということを予定した見通しが現にございますようです。こういう供給予備力ということを考え合わせながら、しかし公害は出さない、できる限り公害を押えていく、この需要に対する供給とともに、公害に対する押えを両立させていくのにはどういう根本的方針でお臨みになるか、その辺をお聞せいただきたいと思います。
  91. 木川田一隆

    木川田参考人 御指摘のように、ことしと来年、一つの需給関係のアンバランス、ことばを変えますと、予備力がきわめて少のうございます。これでまた数年間過ぎまして、四十八年、四十九年、いまの発電計画がスムーズに行なわれないと、またそういう予備力の不足時代を来たす心配もございますわけですが、こういう場合に需給関係のバランスをとるということは、個別企業の主体的努力でやると同時に広域的な援助政策をとる。そうしますと、この公害の問題が、立地の問題に関するわけで、需給関係の根本のところにございますので、けさほどから諸先生の御質問、われわれの社会的責任上の立場等もいろいろと申し上げて、その具体策の予防措置を中心にした漸進的な考えも述べたわけでございますが、基本はやはりわれわれの経営の立場におきましては、公害排除ということを経営の基本的な軸といたしまして、そうして積極的に取り組むということが根本だろうと存じます。そうしまして、地方の地元の方々の御了解を得てものごとを進めていくというわけでございまして、現在の四十五年、四十六年の需給の逼迫した危機というものは、発電所を即刻つくるわけにいませんわけですから、やはり主体的立場努力する、努力の方法は幾らもございますと同時に、各社ができるだけの協力体制で広域運営の効果をあげる、そして、根本問題としてはやはり、われわれが公害排除を可能な限りの諸条件整備の中で進めるということが根本である、かように考えております。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 公害排除に対する努力を払う道はいろいろあるとおっしゃいましたとおりでございましょうが、また、それには総合的にそれを取り上げて対策を練らなきゃいけないことだと私は思いますけれども、いま尼崎の状況などを見ておりますと、きょうもお伺いいたしましたとおりに、どうも排煙脱硫装置というものがまだまだ研究途次でございまして、テストケースという域を脱しきっていない。また、原油でも油でも、いいのを買おうとすると、何だかそれには一定の限界があって、十分に需要にかなうだけの供給が確保されることがむずかしい。さらに、いまおっしゃいました発電所開発にいたしましても、各地で発電所を設置しようとすると、それがスムーズにいかないという事情もあったりいたします。その中で、先ほど申し上げましたように、この供給予備力が四十七年ぐらいからずっと伸びていくということを考えますと、これに対しては何か抜本的な決定的な対策をとらない限り、亜硫酸ガスの量は激増するのではないかという心配も私たちにはあるわけでございます。したがいまして、いろいろな努力の積み重ねとか、いろいろな方法によるところの総合的な対策とか、いろいろ抽象的な表現で言うことはできますけれども、連合会の会長さんとされましては、これでいきたいという何かこれに対する決定的な対策をお持ちであるならばお伺いしたいと考える次第でございます。
  93. 木川田一隆

    木川田参考人 電気産業の公害排除のきわめて効果的な措置いかんという御質問でございますが、一言で申して、ございません。総合的施策があって初めて——今朝来申し上げましたとおり、第一番にはやはり経営者の、抽象的とおっしゃいまするが、経営の主体的な立場において公害排除努力するという自覚が第一先決であろうと存じます。これを基本といたしまして、国家その他の諸政策ワクづくり、諸条件制約条件排除する、そうしましてわれわれ自体が、けさほどから申しました諸種対策をさらに積極化して、住民の方々の御理解を望む、やはり具体的に陳述の中にもるる申し上げたわけでございます。これがきめ手だというのにはあまりにも公害は根が深く、けさほど申し上げましたとおり、私は技術文明一つの病気である、その病気をなおすのに、一つの慢性的病気が累積して、しかも新しい病巣がからだにまた出てくる、これにすぐ効果のある対策はないかという御質問に対しましては、はなはだ遺憾でございまするが、各方面の御協力のもとに、建設的、積極的にこれを進めるほか方法はないものと、かように考えます。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 ただいまの会長の御発言のとおりに、私も経営の主体的な努力によって解決が初めて実行可能なものになるというふうに考える一人でございます。  そこで、この際委員長に申し上げたいことがございます。実はこの尼崎の大気汚染について、先日この公害対策特別委員会から視察に参りましたけれども、現地でのいろいろな事情聴取には時間の限りがございまして、十分に私は意を尽くして、これで尼崎問題についてはおおよそのところがわかったというまでにはいかなかったのではないかと存じます。  そこで、ただいま会長の御発言にもございましたとおりに、経営の主体的な努力こそ必要なのでございますから、ときを改めまして、関西電力、兵庫県、尼崎市、この三者の方々にたいへんお忙しゅうはございましょうけれども、この委員会に御出席をいただいて、参考人として御意見をいただきたいと考える次第でございます。この要請をひとつ委員長にしていただきたい。非常にこの尼崎の問題に固執するようでございますけれども、実は亜硫酸ガスによる大気汚染日本一ということは、もうゆるぎのない事実なんでございまして、現地に参りますとこれはたいへん深刻なことでございますので、何とかこの問題をひとつ日本のテストケースといたしまして、私たちも細心の努力をこのことに対しては注いで、そうしてできることまでやろうじゃないかという気分でただいま申し上げているわけでございますから、ひとつその意のあるところをおくみいただいて、要請を賜わりますようにお願い申し上げたいと思います。
  95. 加藤清二

    加藤委員長 質問者に申し上げます。  実は尼崎の公害につきましては、委員各位もすでに先刻御案内でございまするがゆえに、実は各党がこぞってここの調査を単独に行なったわけでございます。同時に、私ども当委員会といたしましても、事重大でございまするので、現地の視察をさせていただきました。しかし、仰せのとおり不十分でございます。これで十分だというところまで時間の余裕をとることができなかったことはまことに遺憾でございます。  同時にまた、企業努力が基本であるということはわかりつつも、かの地における発電会社には排煙脱硫の備えがございません。他と比較いたしまして、企業努力をしたあとがきわめて薄いようでございます。したがいまして、後刻参考人を呼ぶなり、あるいはまた再度調査をするなり等々のことが必要だと存じます。したがって、これは委員諸公の意見並びに理事会にかけまして、貴意に沿うように努力したいと存じます。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 ありがとうございました。時間の制約もございますから、きょうは私これで質問打ち切らせていただきたいと思います。ありがとうございました。
  97. 加藤清二

    加藤委員長 次は、多田時子君。
  98. 多田時子

    多田委員 けさほど来参考人の方々からの数々の御苦心の話やら、また今後に対する対策等もるる述べていただきました。よく了解するところでございますが、なお二、三の点について重複を避けてお尋ねしたいと思います。  先日、朝日新聞でしたか、新聞の記事によりますと、ソ連の北方領土の極東地方における低硫黄原油開発について、財界と、現地の方々との折衝が始まったように承っております。いままでのお話にもございましたように、もう公害問題といい、あるいは石油の需給問題といいまことに頭打ちの状態ではないかと思われるような現状でございます。そういう意味からいいますと、これがもし実現するならば、まことに私どもにとってもすばらしいことである、このように考えるわけでございますけれども、これはここにもございますように幾多難関が横たわっているのではないかというふうに想像するわけでございますけれども、これが折衝が開始されたということでありますが、一応のめどをどの辺に置いて今後の折衝を続けていくものか、また木川田参考人等もたいへん協力的な姿を示しているようでございますので、出光参考人ともどもにこの問題につきましての今後の折衝の努力、またもう一つはここに問題として持ち上がってまいります、ここにもあるわけなんですが、当然ソ連との折衝ということになりますと、さっそく中ソ問題とか日米問題とかに端を発していくのではないか、問題がそこから起きていくのではないかというふうな感も免れないわけでございまして、その辺の問題について、まずお二人にお伺いしたいと思います。
  99. 出光計助

    出光参考人 ソ連の沿海州方面の埋蔵量にあたりましては、現在発表されておりますのはチューメンの天然ガス、これはばく大なものということになっておりますが、油のほうはまだはっきりしたことはわかってない。ずいぶん前から私もソ連に参りましてその方面の出資をしておりますが、まだ調査が発表する段取りまでいってないという段取りでございます。ただいまソ連の、シベリアといっておりますが、欧州シベリアのほうが、チューメンという大きな油田が発見されましてこの開発に全力を注いでおる。御承知のように、五カ年計画で一生懸命やりましたが、予定よりいかないで、新五カ年計画においては沿海州方面にさわらずに、ヨーロッパ方面に主力を注ぐという形をとっておるようでございます。先日新聞に出ておりました北方領土の、北方特に沿海州シベリアの開発日本だけでなくてドイツその他の国々ともにソ連にプッシュしよう、こういう意見のようにお伺いしております。現状はその程度でございます。なかなか先の問題だと思います。
  100. 多田時子

    多田委員 同じく木川田参考人にお尋ねしたいと思います。
  101. 木川田一隆

    木川田参考人 沿海州サハリン等に埋蔵されております天然ガスあるいは良質の油等を探鉱輸入するか、あるいは商品輸入するか、こういう具体的な内容は何もまだ全然固まってはいないわけでございます。ただ日本の資源の将来を考えまして、こういう面におきましてもできればある程度これはある方法によってこれを輸入してはどうかという財界の声がございます。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 ある予備的な一部の動きがございます。というのが真実だと私は感知しております。
  102. 多田時子

    多田委員 いまの段階ではその程度の発言かと思われますけれども、こうしたことが一日も早く実現できれば、現段階におけるもろもろの積み重なります問題が一部解消していくのではないかというふうに考えられます。  そこに関連いたしまして、電気事業者等の要望といたしまして、その低硫黄重油の直接輸入ということが希望されているやに伺っておりますけれども、この辺のお考えについてひとつ木川田参考人からお願いしたいと思います。
  103. 木川田一隆

    木川田参考人 低硫黄その他の原重油の直接輸入の問題でございますけれども、私はやはりもち屋はもち屋のほうがよかろうとは存じますが、もち屋も国内的に強力なる組織体制が構造的に固まっておりませんと、この世界的な資源競争の激しいさなかにおいてどれだけの力が発揮できるかどうかということが、一つの危惧がございます。非常に立ちおくれた日本資源政策を、いかなる主体の構造でもってこれに対処するかということは、残された非常に大きな問題ではないかと存じますが、しかし、端的に申しまして、もち屋はもち屋という考えを持っております。それができなければ、われわれエネルギーのある責任を持っておる立場として、直接輸入もやむを得ませんとは存じますが、第一番にもち屋はもち屋、そうしてそれのバックとしましてはやはり官民共同の出資によって、しかも民意的な経営による長期投資会社というようなものをつくって、そしてこの国際競争の激しいさなかで、しかも単にぶんどり競争になることをおそれるのでありまして、相協力する姿において——これは当然国連その他で問題にすべき問題かとも私は思います。今度ドイツに参りますが、ドイツの資源の獲得は非常におくれております。共産圏とは非常にパイプを通じて御承知のように流通をやっておりますが、ドイツも資源獲得には世界的におくれております。ちょうど日本と諸条件が似ておりますので、これらの話し合いもしてまいりたいと思っております。やはりもち屋はもち屋として国策的な大きな立場において総合的な投資会社の資源獲得を目的にする組織体をつくるということは、私の現在の考え方でございます。
  104. 多田時子

    多田委員 いま、もちはもち屋ということでございましたけれども、そういうことになりますと、もち屋が出光参考人になるかどうかはあれでございますが、その問題に対して出光参考人はいかがでございましょうか。
  105. 出光計助

    出光参考人 木川田さんの言われましたようにもちはもち屋にぜひおまかせ願いたい。もち屋が破産しましてほかの人がもち屋をやられても、決してこれはいいもちはできないだろうと、現在の石油業界は確信いたしております。どうぞ御安心願います。
  106. 多田時子

    多田委員 先ほどの同僚委員の質問の中にもあったわけでありますけれども、これは木川田参考人にひとつお尋ねしたいわけなんですが、四日市の中部電力発電所の活性酸化マンガンあるいはまた東電の五井火力発電、これはしばらく前でしたが脱硫装置なるものを見せていただきたいと思いまして行ってみました。説明は十分伺ったわけでございますが、これが昨年の九月が一応の目標で、さらにことしの九月ということでございました。先ほど来年の四月ということでございましたどなたかの御発言によって、排煙脱硫装置をもう少しというようなお話でございましたけれども、現段階におけるその試験が九月までに終わるというふうに伺ったわけでございますが、その辺の開発スケジュールといいますか、なおまた今後、全国におきます各発電所におけるそうした排煙脱硫装置開発スケジュール等について、まず一ぺんお伺いいたしたいと思います。
  107. 木川田一隆

    木川田参考人 先般、わざわざ五井火力を御視察くださいましてありがとうございました。あそこの排煙脱硫計画は、先生おっしゃるとおり九月をもってひとまず完了いたしました。そしてこの十二月から、いままでは五万程度実験でございましたが、今度は十五万を実際に鹿島火力発電所にこの暮れまでにつけることになっております。四月というお話は、出光君は何か間接脱硫か直接脱硫の油関係排煙脱硫の問題かと存じます。ただ技術開発は、実際つけましてそして運転してみませんと、実際上どの程度安全性があるか、あるいは機械的に効率がよろしいかというような諸種の問題もございますので、つけてみまして、そして実験中部、東京、関西あたりでいたしまして、その上での問題展開、ただこの問題は積極的にわれわれとしましても、排煙脱硫に対して一つの救済措置として非常に有効であるということだけは言えます。その技術的な不安定の問題あるいは経済性の問題等も加えまして、今後どの程度適用するかということの研究の対象になろうと存じます。九月で終了し、今年末までに実際に据えつける、そういう運びになっております。
  108. 多田時子

    多田委員 けさほど来、その問題については回を重ねて質問をしてきたのでございますけれども、その御努力と苦心をされていらっしゃることはよくわかるわけでございますが、先ほど来お話もありましたように、年次別に需要度はぐんぐん増すばかりでございますし、そうした排煙脱硫装置あるいは高煙突等による公害防止施設は遅々として歩みはのろい、こう思わざるを得ません。亜硫酸ガス等による公害等を考えますと、この先五年も十年もというよりも、とりあえずは来年のピーク時といわれます夏、来年の夏は停電が起きるのではないかというふうな不安に満ちた声も聞くわけでございまして、そうした段階を迎えて、まずとりあえずはこの一年間におけるそうした公害に対する私どもの、先ほど安心してくださいというようなお話もあったわけですけれども、どのように考えていったらいいものか。  またもう一つは、高煙突あるいは低硫黄石油輸入あるいは排煙脱硫装置等のいろいろな御努力があるわけでございますけれども、なおそれ以外にこの公害を抑止するという方向はないものかどうか。その辺に対するお考えを聞かせていただきたいと思います。
  109. 木川田一隆

    木川田参考人 午前の陳述でも、この問題を私の理解する限り、あるいは積極的に取り組もうとする具体的な対策を申し上げたのでございますが、私はやはり即効薬は、なまだきだと思います。これは重油の半分しかサルファがございませんというのが常識になっております。なまだきの拡大こそ即効的な道であって、その上に立ってけさほど来申し上げたようないろいろな諸条件を次第に整備しつつ進むということであろう、かように考えております。
  110. 多田時子

    多田委員 最後にもう一つ、いま島本委員がおっしゃっておられたわけでございますが、藤井参考人の先ほどのいわゆる亜硫酸ガスによる人体への影響という問題について触れられたことでございますけれども、国立衛生試験所の鈴木公害衛生学部長ですか、この方の説によりますと、人間というのは自然のたとえば排煙等を吸い込んだという場合に、人間それ自体が自浄作用をする、そういう機能を働かせる、そうした自然の力を持っている。しかし、この亜硫酸ガス等による公害現象は、このような防御機能を阻害し、防御機能を越えて人に好ましからざる影響を与える。たとえば繊毛運動は亜硫酸ガスで阻害されることが知られている。こういうふうに人体における影響性というものは各所にはっきりと見られているわけでございます。したがって、ますます石油の需要がふえる、そうして公害に対する防除装置等はなかなか技術開発もむずかしい。こうした中で、各企業が少しでも人体に影響のないように、基準に合うようにと努力していくのは当然の姿であって、そこに片りんでも、基準がきびし過ぎる、むしろ甘いという声があるのであって、基準がきびし過ぎるとか、あるいはそうした考え方をもっと変えなければならないというような先ほどの御発言は、ちょっと私も納得しかねる、このように思うわけでございます。島本委員に対する御発言もあったわけでございますが、私としてまたあらためて一言御説明いただきたいと思います。
  111. 藤井丙午

    藤井参考人 御説のように、亜硫酸ガスが人体に有害であるということは、これはもう論をまたないところでございまして、先ほど来るる申しますように、われわれとしても、また電力その他各企業におきましても、SO2の発生源を何とかして抑制したい。これについて万全の努力をすることは当然でございますから、その点は誤解のないようにお願いしたいと思います。ただ、私が繰り返し申しますのは、人口密度の度合いによってあるいはまたその産業の環境によって大気汚染のぐあいが違う。いま御指摘になりましたように尼崎のような、あるいはまた四日市のような、あるいはまた東京周辺のようなところと、北海道あたりとはよほど環境が違いますから、そういう点でSO2のPPM〇・〇一がいいのか一・五がいいのか、そういった基準はその環境に応じてつくっていただいたらどうかということだけを申し上げたわけでございまして、決してそのために企業努力をわれわれはネグレクトするという意思では毛頭ございませんので、誤解のないように御了解願います。
  112. 多田時子

    多田委員 時間もありませんので、私は以上で終わらせていただきます。
  113. 島本虎三

    ○島本委員長代理 西田八郎君。
  114. 西田八郎

    西田委員 ただいままでの質疑応答の中で、大気汚染の原因がSO2、最近は公害学等ではSO2というふうに呼ばれているようでありまして、ツーからさらにまた化学反応を起こすので、どこまで広がるかわからない。エックスということばで使われているようでありますが、そうした排出量を軽減させるために、電力関係におきましても、現在の事態ではローサルファの油を大量に輸入することができないために、非常に呻吟をされておるようですけれども、できるだけ軽減しようということでこれをお使いになるということなんですが、しかし、日本電力事情等を考えてみますと、はたしてそれでいいのかどうか。私の地元であります滋賀県におきましても、関西配電の配電能力が非常に弱まってまいりました。弱まったというか、需要量がふえてきたために、供給が追っつかないような形で、先ほど東京電力の例が話に出ておりましたけれども、配電シフトの変更によってこの夏を切り抜けてきたということを聞いておるわけであります。さらに、来年はそのピークに達するということになってまいりました。そうすると、電気をとめて一般の家庭消費者に対して不便をかこちさせるのか、あるいは多少でも重油をたいてその公害といわれるものをしんぼうしてもらって発電するのか、この辺きわめて重要な問題になってくると思うわけであります。そういう点について電力界におきまして一体どのような方向でいこうとされるのか。もうそれは消費者にしんぼうしてもらって、配電をとめるというところまでいかれるのか、大気汚染の限界にきたときにはそれをとめようとおっしゃるのか、あるいはそうではなしに、それまでもひとつ努力して、そうして消費者にも迷惑をかけない、またその地域の大気も汚染しない、両方の道があるかどうか、まずこの辺のところがきわめて重要な問題だと思うのですが、その点についての見通し等についてお伺いしたいと思います。
  115. 木川田一隆

    木川田参考人 需給のバランスがくずれて、供給力不足の現象が出てきている、ことに来年がその最も危険な年度に際会しておるということで、非常に心配しておるわけでございますが、いま、ことし現在においてすら、全設備を動員して、この九月に各所でピークが出たのでございます。その際のときも、全設備を老朽設備すら使用いたしました。尼崎の問題もおそらく需給の逼迫の関係上の理由でああいう問題が一部に出たのではなかろうかというふうに疑念を持って、心配を持つわけでございます。したがって、われわれは環境基準排出基準、それらの年次縮減化計画のもとに、十二分にその限界内において可能な計画を立てております。たとえば低硫黄油の確保状態を申し上げますと、大体五十年までに平均一七%台であります。最高は三三%まで確保しております。したがって、その他をまぜますと、必ずしも一%のサルファというものが五十年度に確保できないことはない。そういう努力を傾倒する。至近年度の需給バランス、予備力の減少はどうするかという問題に対しまして、先ほど他の先生からの御質問のように、企業内の努力、主体的な努力、それに広域運営による協力体制の積極化というような問題をあわせもちまして、御家庭に迷惑を及ぼすごときことは私は極力というよりも、絶対避けるべき問題というふうなかまえでもって協力を進めたい、かように存じます。
  116. 西田八郎

    西田委員 いまの話、その決意のほどはわかったわけですけれども、実際に先ほどの土井先生の質問の中にもありましたように、尼崎で火力発電所から出る亜硫酸ガス、これは基準をはるかにオーバーしているということなんですが、関西電力で聞いてみますと、実際は需要がふえたために、実は廃棄にすべき火力発電所をあわててたきだした。したがって、設備が古いので十分なその基準に合わすことができなかったという、これは一種の言いのがれだろうとは思うのですけれども、そういうふうに言っておられるわけであります。そうしますと、需要関係が非常にふえていくし、さらに予測せざる需要が出てくるかもわからぬというようなときに、こういうようなことが事実としてあるとすると、これからの発電能力との関係においてきわめて微妙な問題が出てくると思うのです。そこで考えられるのが原子力発電ということになると思うのです。  現益全国各地で原子力発電所の設置というものが進んでおるわけですけれども、この原子力発電所が設置されて、かりにこれがあやまって公害でも起こしたら、現在の公害どころの騒ぎではないと思う。これは冷却水の問題もあれば、また焼却されてしまった燃料の廃棄の問題等が含まれてくるわけであります。まだ日本発電所では創設されてから日が浅いので、たしか廃棄されるところまで至っていないと思うのですけれども、これらのことを十分処置されていかなければならぬと思うのですが、その点について、電力界の大御所である木川田参考人から、絶対に原子力発電は安全なのかどうか、ひとつ今後の見通しとして、また国民の心配を除去する上からも、お答えをいただきたいと思います。
  117. 木川田一隆

    木川田参考人 いろいろ需給関係で御心配いただいてまことに恐縮なわけでございますが、火力が全発電量の七〇%を占めておる。それが将来は原子力に——至近としましては、そこに液化天然ガスが入ることができれば大量に入れたいというような考えを持っておりますけれども、一応は火力から原子力。原子力はちょうど現在九電力で八十万キロワットことし持ちます。五年後には百万程度になりましょうか。それから五十年度には二千七百万、六十年度には六千万キロワットと、膨大なる開発計画を持っておるわけでございまするが、その公害と安全の問題、この二つが問題でございますので、それに対するかまえと申しますか、これは先ほど四項目にわたって御説明を申し上げたわけでございまするが、大気汚染に対する放射能は完全にないということは言えるだろうと思います。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、燃やした場合における発電機による誘導の中に気体、液体、固体としてある、それから御心配の廃棄物という問題、それらに対する問題も、現在は廃棄物はまだおっしゃるとおりございませんですが、政府においてせっかく研究中というような状態でございます。これはもうすっかりコンクリートで固めて、ただ捨て場所だけの問題でございます。その面においては、安心というよりも、これからいかにして公害と安全とを、原子力開発という将来の展望の中に、各面の御理解の中で進め得るかということが官民の一つの宿題であります。いまのところの見通しとしては、さほどの心配はないような安全基準が明確に打ち出され、しかも外国よりもきびしい。これは地震その他のこともございまするから、当然きびしいはずだろうと思うのです。そういうような状態でございます。ただ、至近年度の需給関係、これだけは何とか切り抜けたい。抽象的とおっしゃいますが、各会社が努力するとともに、協力体制が、線路がつながっておりますから、かまえ一つ——北海道は残念ながら一二%予備力ございませんですが、これが線路がつながっておりませんで、数年前からぜひ早くつないで、そしてああいう過疎地帯の予備力の活用というような問題もやるべきであるという提唱をしておりまして、いま技術研究の最中でございます。そういうふうにして応援体制と申しますか広域運営の効果を出して、お客さんに御迷惑、ことに家庭のお客さんに御迷惑をかけることは絶対に避ける努力をぜひやる覚悟でおりますることを御理解願って、ぜひ応援していただいて、この問題のピンチを切り抜けたいと考えます。
  118. 加藤清二

    加藤委員長 この際、参考人皆さんに申し上げます。  長時間拘束と緊張を続けておりましてまことに恐縮でございまするが、公害委員会公害に相なっては申しわけございませんから、生理的現象は適宜御自由に御善処いただきまするようお願い申し上げておきます。  西田八郎君。
  119. 西田八郎

    西田委員 いまの液化ガス導入による公害排除ということもお考えになっておるようですが、ただしそれも導入できればという非常にわれわれにしてみれば不安な状態であります。そうすると、また先ほどの繰り返しみたいになりまして、大気を汚染する原因をつくることになるわけですが、この液化ガス導入といいますか、輸入というのですか、それの見通しはある程度お立てになっているのかどうか、差しつかえなければお伺いしたい。
  120. 木川田一隆

    木川田参考人 液化天然ガスの問題は、世界に類例のない、日本で始めたわけでございますが、あの当時、五年ばかり前ですか、もっと手を広げて、けさほども申し上げたのですが、残念ながら手おくれをしたわけですが、千葉の袖ケ浦というところで二百万トン確保いたしました。それから現在の南横浜で七十六万トン、二百七十六万トンだけは発電用として確保したわけであります。世界的には非常に多くの貯蔵量を持っておることは、けさほど申し上げたわけですが、実際使用しておるのは二・五%ということにすぎない。しかし、いずれもソ連、米国等の大国がひもつきみたいになっておりまして、しかも、アメリカが国内的なガス並びに石炭等の不足状態を来たしましたので、非常な高い価格でもって引き取ろう、東海津に、ナイジェリアですか、七百万トン、それからあの付近からまだ千五百万トン東海岸に持ってくるというような約束が大体進行しておるということで、非常にアグレッシブな姿でアメリカは天然ガスの発電関係にまで都市ガスのほかに手を伸ばしております。日本でもないわけではございませんが、ただ、これを開発いたしますると、開発資金が非常にかかること、いまわれわれは、アメリカのフィリップス会社と共同してやっておるのですが、この技術はいつでも貸してやる、ただしアメリカもドル防衛で金がないから、おまえのほうでしろ。それから船でございますが、三万トンをいま二隻使っております。それから三万トン、六隻のうち、三隻だけ注文しております。それが一隻二千五百万ドル、非常に高い。〇・五ミリの薄板でもって張るのでございますから、非常にデリケートなもので、それがべらぼうにまたアメリカ関係で高くなりまして、四千万ドル、最近は五千万ドルの声すら出ております。経済大国といいますが、実際はわれわれ金を持ちませんので、これに対抗して、資源はあるが、これを獲得するための——どうせ油と一緒に出てまいりますから、それはよろしいのですが、船が非常に高うございますので、この問題で行き悩んでおります。食指を伸ばしておることは、抽象的に申し上げますが、これも争奪戦——鉄のほうでも必要とおっしゃるし、われわれはずいぶん前から手を伸ばしておりますが、なかなかそういう面の障害がございます。しかも、船の価格がどんどん上がっております。ここら辺に難路がございますので、それをいかに打開するかということに苦慮しておりまして、やはりこれは国際協力の面において、ドイツ等からでも金を出してもらってというような気持ちでおるわけであります。
  121. 西田八郎

    西田委員 次に、鉄鋼連盟の藤井参考人にお伺いするわけですが、先ほどのお話の中で焼結炉については、どうもやはり臨海地あるいは国内において、内陸においての改善等が非常にむずかしい、したがって、離島における焼結作業等も考慮したいということであった。私自身も、そういう点につきましては非常に賛成でありまして、石油の精製等につきましても、できれば非常に人口の少ない、あるいは無人島と言われるようなところで、断崖絶壁で、いつでも、どんなタンカーでも入れるようなところへ一つのコンビナートをつくって、基地をつくって、そこで精製すれば、国内における大気の汚染も、また世界的な大気の汚染も、多少は免れ得るのではないかということで、そういう構想を持っておったわけでありますけれども、いまそういうお話を伺ったのですが、それについて具体的な御計画か何か持っておられるでしょうか、その辺についてひとつ……。
  122. 藤井丙午

    藤井参考人 先ほど申し上げましたとおりに、われわれとしてはSO2のそれで一番難儀しているのは焼結の問題でございます。そこで繰り返して申しますけれども、なるべくSO2の発生しないような鉱石の手当てをすることと、それからできれば原産地で焼結をいたしまして、ペレット、まあ半還元ですね。ペレットとして輸入する。これは、いまマルコナその他からも、世界各国からもかなり進んでおります。  それから、いま御指摘の離島を利用しての公害のない焼結という方法でございますが、これは、まだ具体的な名前をちょっとはばからせていただきますけれども、瀬戸内海の一つの島でそういう計画を進めておりますが、これは、まだ具体化しておりませんので、名前だけはばからせていただきますけれども、実はそういう計画をいたしている次第であります。
  123. 西田八郎

    西田委員 どうも私の考えているのとは若干違うような方向ですが、瀬戸内海ということになりますと、もう内陸に近くて、これは風の吹きようによっては、むしろその離島近辺というよりも、拡散していく内陸のほうが汚染されるのではないかという心配があるわけです。したがって、常に日本列島を取り巻く風の流れ等も十分きょうまでの気象学ででき上がっていることだろうと思うので、もっと南のほうに持っていくということは考えられないのかどうか。
  124. 藤井丙午

    藤井参考人 ごもっともでございます。しかし瀬戸内海と申しましても、かなり広うございまして、先ほどのお話にもございましたように、かなり高い煙突、二百メートルとか、いまわれわれは二百三十メートルなんていう集合煙突を使っているわけでございますが、そうしますと、かなり薄められてまいりますから、内陸地帯に被害を及ぼすというようなことは万あるまいとは思っておりますけれども、しかし、いま貴重な御意見を伺いましたので、必ずしも瀬戸内海に拘泥しないで、もう少し遠隔の離島でもって——ただ御承知のように、これは二十万トンくらいの大型の船を使うものでございますから、そういうものが着け得られるような地理的条件を備えた島でないと、島であればどこでもいいというわけにはいきませんので、その辺はもう少し検討させていただきたいと思います。
  125. 西田八郎

    西田委員 それから先ほどの陳述の中で、排水についての処理を、沈でん池を設けて有害物の除去、そういうことにつとめている、さらに、またそのことが房水利用ということで、非常に高い率で炭水を利用しているというお話があったのですが、問題は沈でん物ですね。やはり有害物を取り除くのですから、その取り除かれた沈でん槽に沈でんする有害物というのは、きわめて濃度の高い毒物となってくるわけでありますが、これの処分についてはどのように扱われているのか。
  126. 藤井丙午

    藤井参考人 ごもっともな御質問でございます。従来の例といたしましては、場合によっては、それを埋めてしまって土地を造成する場合もあり得ますし、それからものによりましては、非常な遠洋にこれを運びまして廃棄する。つまり、そういった有毒物の被害のないような処理の方法も考えているわけでございます。
  127. 西田八郎

    西田委員 製鉄所の冷却水は、ばく大な容量ではなかろうかと思います。したがって、それを沈でんさすためにはかなり広い沈でん池が必要になるわけですね。まさか琵琶湖ほどは必要はないでしょうけれども、しかし、その辺にある湖沼程度の沈でん池は必要になってくる。そうしますと、そこへ沈でんするまでには何年かかるか別として、埋め立てて使うというにしてもかなりな苦労が要るのではないかということと、そう適切な土地が見つからぬと思う。そうすると、勢い廃棄してしまうというようなことになりはしないかという心配があるのですけれども、そういうことはいままで全然なかったのか、あるいは今後そういうことについては全然やらないか、そこら辺のところをひとつ……。
  128. 藤井丙午

    藤井参考人 沈でん池はほんの一部分でございまして、先ほど申しますように、たとえば戻水率を非常に高くするとかいろいろな方法でもって、その過程で有毒物を捕捉するという方法をとっておりますので、沈でん池というのは、まあ設備的に申しますとごく限られた設備のものでございますから、御心配のようなそんな広大な沈でん池を必要とする、たとえば公団等におけるような沈でん池等、ああいったようなものではございません。
  129. 西田八郎

    西田委員 そこで、現在の日本経済界の大ものといわれる木川田参考人藤井参考人がお見えになっておるわけですが、そもそも公害問題が発生してまいりましたのは、生産というものに対するものの見方、考え方の相違ではなかろうかと思うのです。しかし、生産することによって人間がより向上して豊かな生活を築いていこうというところから科学の発達、文明の発展というところへ限りない人間の欲望が伸びてきたわけでありますけれども、しかし、ここまで限界に来ますと、人間生活そのものが脅かされるということになってくるわけであります。そうしますと、やはり人間生活を守るために、あるいは人間生活をさらに豊かに快適にするために行なわれる生産そのものが、人間の生活に害を及ぼすということになれば、その生産は一時とめてでも人間生活を、あるいは人間が住んでいく環境というものを守っていかなければならぬと私は思うわけですが、そういう点について、経営者の立場から私の意見に対してどうお考えになるか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  130. 藤井丙午

    藤井参考人 そのことにつきましては先ほども申し上げましたが、日本は工業原材料をはじめとして、食糧ですら、米こそ農村の御協力によりましてあり余るほどになりましたけれども、大豆、小麦あるいはその他家畜の飼料にいたしましても、コーヒーその他砂糖等の嗜好物にいたしましても、三十数億ドルというものを輸入しなければならぬ、いわば何にもない国でございます。そこで、われわれとしては好むと好まざるとにかかわらず海外から工業原材料を輸入して、これを付加価値の高いものにいたしまして輸出することによって国民経済をまかない、国民生活を維持していく、こういう宿命に置かれているわけでございます。  そこで、先ほど申しましたように、いままでは食うための量的拡大ということに重点が置かれたと思います。まあ卑俗なことを申し上げますと、いままでがつがつと食べることに一生懸命になっておった。さて、かなりおなかもふくれてきた、茶わんとはしを置いてみたら、そこに公害問題があり、住宅難の問題、道路問題、社会資本の立ちおくれの問題があるというのが偽らざる現状でございます。  そこで繰り返し申しますように、これからは量的拡大よりはむしろ質的拡充、そのことはいま御指摘のように国民生活をいかに豊かにし、いかに快適にしていくか、そういった条件づくりをしていかなければならぬ。ただお話しのあった、いま生活をむしばむようなところまで公害が来たから、生産を大きくストップしてもいいじゃないか、それは私どもとしましてはちょっと承服しがたいことであって、われわれが生きていくためには……(島本委員「人間を殺してまで……。」と呼ぶ)いや、人間を殺してまでという、そういう極端な表現ではなくて、生きていくためには、食べていくだけのことは当然考えていかなければなりませんから、そこを両立するような英知を働かしていくのがわれわれの当然の使命でございまして、私の個人の見解をもってしますれば、この貧困な国土でこの二十数年間にこれだけの経済成長をなし遂げた日本人の能力と民族的なバイタリティと英知とをもってすれば、このいわゆる二律背反するような問題もわれわれは必ず解決し得るだけの能力がある、またその努力をしなければならぬという実は信念と決意を持っておるわけでございます。これはこれからの実践を通じて、国民大衆の皆さま方の十分の御理解と御納得のいくような結果を、われわれはこれからどうしてもつくり出していかなければならぬ、そういう信念でございます。
  131. 木川田一隆

    木川田参考人 大体のものの考え方は、藤井参考人と同じでございます。  生活福祉の優先、これはどなたも一致する高次目標だ、かように考えます。  現実処理としまして、諸条件整備しない中でいかに善意の努力をいたしても、個別企業の限界がまだございます。したがって、たとえば国土開発ワクの問題、新全総をいかに地域的に具体的に堀り下げるか、あるいは土地開発、こういう無秩序なままに東京が膨張するというような問題、すべてのそういう外的なワクづくりの問題、それから既存の諸政策、行政の問題、これもそういう高次の理念から再検討していただくことは午前中から申し述べて、産業の責任の立場にあるわれわれ自体が、可能な積極的な努力をするという自覚をどう——全般的に、地域によりましては、必ずしも善意を持って至高の目的に向かって積極的に取り組んでいくと言いかねる部分ももちろんございますわけですから、これは全国民的な立場において自覚行動を起こすというようないろいろの具体的な問題になりますと、そういう条件整備した中において問題を解決するということは建設的な立場であろう。一挙にあすから公害をなくすために事業をとめる——ことにわれわれ、自由企業と違いまして、公益事業立場からすれば、公害のないいい電気皆さんに差し上げるということは、生活のきわめて重要なる部門なわけでございますので、自由企業よりさらによりきびしい態度で、われわれ電気事業の経営者自体が本問題に今後とも取り組みたい。この諸条件に対する整備に籍口して今後これをなおざりにするということのないように、さらに一そうの精進、努力を重ねていくという覚悟を披瀝いたしましてお答えといたします。
  132. 西田八郎

    西田委員 それは、もちろん経済界の立場に立たれる皆さんと私とが、全く一致した見解に立つことはむずかしいとは思いますけれども、しかし、いまのそうした決意をお聞きいたしまして、どうかそのお気持ちで各事業の末端に至るまで徹底をされまして、やはり人間あっての社会である、人間あっての生産であるということをひとつ脳裏に入れていただきまして、今後の御指導をいただきたいと思うわけであります。  次に、もう時間のようですけれども、石油連盟の出光さんにお伺いしたいのですが、アフリカ進出ということが先ほどから再々出ておるわけでありますけれども、アフリカへ進出する場合に、欧州各国からの妨害等が行なわれるのではなかろうかということを非常に心配しておるわけです。聞くところによると、日本に低硫黄のオイルを輸入するために、かなりきょうまで妨害があった。また先ほどの御発言の中では、現在行なっておりますインドネシアの石油についても、アメリカがかなり持っていくのでというお話がありました。そういうことは当然経済戦争の一つとして起こってくるのではないか。私も小僧でありましたからはっきり覚えていないのですけれども、第二次世界大戦が勃発した原因は、一つ世界石油の取り合いにあったというふうにいわれておるわけであります。そういうことから考えますと、まさに大戦前夜のような様相になってくるわけですけれども、その辺についての自信があるのかどうか。先ほどから伺っておりますと心配しないでくださいということであったのですけれども、ほんとうに安心していいのかどうか、重ねてお伺いしたい。
  133. 出光計助

    出光参考人 西アフリカの問題でございますが、これは御承知のようにアルジェリアの内乱のために開発が非常におくれておりますが、これがおさまりますと、非常に早いテンポで開発が進んでいる。それとともに英国あるいはアメリカの大きな、メージャーの石油会社が売りに来ております。もちろんアメリカなりヨーロッパに持っていく部分が大部分でございましょうが、日本市場というものはこのオイル面にとりましてはたいへん魅力のある将来性のあるものでございますから、その開拓にあたりましては、こういうメージャーカンパニーが非常な努力を払いますので、安くたたき買いさえしなければまあある数量、二千万やそのくらいはとれるものだと思っております。いままでの商売の話し合いの空気から大体そういう様子を察知できておるのが現在でありまして、わりあいに楽観しておる状態でございます。
  134. 西田八郎

    西田委員 時間ですが、もう一つ許してください。出光さんに同じくお伺いするのですが、いま沖繩の尖閣列島の問題が非常にクローズアップされております。そうして何かスタンダード石油株式会社が鉱区権を設定するとかせぬとかいうニュースが新聞に出ておりましたけれども、日本石油業界でこの尖閣列島に目をつけておられるのかどうか。また実際これはもう掘ってみなければわからぬけれども、先ほども油田を開発することは一つのばくちである、当然鉱山の開発についてもばくちが伴って、すでに、そういう探鉱業者のことを山師ともいうのはそういうところから出てきておるようでありますけれども、確かに危険を伴うものでありますけれども、しかし、わざわざアフリカやインドネシアまでいかなくても、この日本のもうやがて返ってくる領土の中にあるとするならば、これの開発に大いに力を入れるべきだと思うのでございますが、いかがでございましょうか。そういう点は石油連盟としてお考えになっているのかどうか。
  135. 出光計助

    出光参考人 尖閣列島に関しましては、実は領土の問題がありまして、台湾、中共、日本とこういう三つ関係がありまして、なかなか出にくい外交上の問題がありますが、積極的な日本人のことでございますから、ひそかにこれをねらって運動しておる日本人は少なからずあると思っておりますが、表面には全然出ておりません。
  136. 西田八郎

    西田委員 たいへんどうも時間を超過いたしまして失礼をいたしました。またかなり長い時間にわたってこの委員会に御出席をいただきました参考人の方々にお礼を申し上げます。  同時に、いま公害問題がやはり国民の死活の問題にまで発展をしてまいっておるので、そういう点で各業界のトップレベルにおられる皆さん方のよろしき御指導と御努力を重ねてお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  137. 加藤清二

    加藤委員長 次は、藤田高敏君。
  138. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 参考人皆さんには長時間御苦労さまです。二番せんじということがございますが、七番せんじでございまして、いささか質問もダブる面が率直にいってあります。しかし、私はあえて以下質問をいたしたいのは、参考人皆さんの御意見を拝聴して、私ども自身の党の政策の中にも、また国政の立場からする、公害防止のいま問題になっておるさまざまな政策課題の中にも、皆さん方の意見を十分参考にさしていただきたい、こういう観点からあえてダブる面もございますが、質問をいたしたいと思います。  まず、その第一でございますが、公害対策基本法の改正の問題、またそれに関連する大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法あるいは騒音規制法といったような公害防止に関連する法律はたくさんございますけれども、おそらくこの臨時国会から通常国会に向けて、基本法を中心とする法律体系全体の整備も行なわれると思います。その中で、先ほども質問がございましたが、問題のこの公害対策基本法の第一条の趣旨は、ことばは適切であるかどうかわかりませんが、一元主義か二元主義かという言い方をさしてもらえば、二元主義をとっている。しかし、二項に書かれております産業との調和という条項は、この際法律の改正にあたっては削除をして、公害防止という観点からいけば、国民の生命なり健康をいかにして保持するかという、この一点に集中をした法律改正をやるべきではないかというのが、もうこれは全体的な常識になってきておると私は思うのです。大体そういう趣旨の御説明を木川田さんもなさったと思います。  私は率直にお尋ねをしてみたいのでありますが、そういう観点から申しますと、この十年間わが国はたいへん異常な経済成長をやった。しかし、その陰には、公害防止を無視して経済発展の方向がとられたからこういう異常な経済発展がなされたのだ、こういう説もございます。そういう点から言いますと、二律背反主義ではありませんけれども、先ほどの御説明を聞いておりますと、ことばの上では量的拡大から質的拡大に転換するんだ、こう言っておりますが、もっと一般常識的な言い方をすれば、公害防止を完全に行なっていくためには、経済成長のテンポがゆるんでも、おくれても、これは公害防止のほうを優先的にやっていくべきだ、こういう観点から私どもは法律の改正をやるべきだと思うのでございますが、その点に対する御見解をお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  139. 木川田一隆

    木川田参考人 先ほども申し上げましたわけでございまするが、生活福祉と産業の調和という二元的な観念的対立という問題が問題があるので、法律としては存じませんが、少なくとも至高の目的としての人間福祉というものが前提にならなければならぬという考えております。例の経済審議会の答申も、その面におきまして、新しい経済社会発展計画というものがつくられた趣旨でございますが、具体的方策は必ずしも万全とは私は存じておりませんが、少なくともそれに着眼した均衡ある社会というものを、生活保全を軸にして、均衡と調和のとれた経済社会を実現するというものでございますから、生活福祉を目的にすれば、それを実現するために諸条件整備をし、企業自体もそれに積極的に参加をする、あるいは地方自治体もそれに参加していただくという国民的な合意としてこれに協同いたしますれば、産業が、必ずいまの経済のテンポがおくれるか、おくれないかということは、また別個の問題になろうじゃないか。必ずそうすることによっておくれる、経済が軽視されるという論理は私は出てこないのではなかろうか。あるいは結果としてわれわれが所期する実質成長率一〇・六%というものは六年間にできるかできないか、それは諸政策の実現を前提としております。しかし、基本のものの考え方は、人間福祉の向上ということを守るという点にあると私は考えております。
  140. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 基本的な考え方は、私もさらに理解することができました。ただ問題は、あとでもお尋ねしたいと思いますし、また先ほども質問がありましたが、例の日本鋼管京浜製鉄所の移転計画の問題に関連して、投資総額が約一千六百億程度だというふうに、数字はあまり自信ありませんが、その程度に記憶いたしておりますが、それに対して、先ほど〇・〇一二PPMというような基準に基づく公害防止をやるとすれば、従来はその公害防止対策費用としては六%程度のものであったものが、約その倍の一二%程度になってくると相当多額な公害防止の費用というものが要ると思うのです。これは鉄鍋だけでなくて、電力にしたって、各産業そういうことでやっていきますと、これは相当思い切った公害防止対策費を組まなきゃいかぬということになりますと、結果としては経済発展のテンポというものが、成長率というものが、従来に比較して鈍化することは、これはあり得るのじゃないか、こう思うのです。問題は、やはりここまで社会的な問題として公害問題が起こってきた以上、財界なり業界としては、結果としては経済のテンポがおくれることがあろうとも、いま会長の御意見にありましたように、人間福祉を最重点的に考え公害防止をやるのだ、この考え方がやはり財界の皆さんの中に腹がまえとしてできなければ、政府の強力な施策というものも伴ってこないのじゃないか、私はこう思うわけであります。そういう点で木川田さんなり、あるいは藤井さんにあらためて御見解を承りたいことが一つ。  いま一つは、時間の関係で、できるだけ質問の中身を集約してまいりたいと思いますが、これまた先ほどの質問にも関連をいたしますけれども、公害防止対策費用の負担の問題については、経団連でございましたか、日経連でございましたか、三方一両損主義、いわゆる資本家は、企業家は利潤は減るんだ、それは覚悟しましょう、労働者は賃金の面にはこたえますよ、そして一般市民は、これは物価の問題で、価格問題でいわゆる一定の犠牲を負担をしてもらわなきゃいかぬというのが、あえて財界筋と言わしてもらえれば、財界筋の意向として新聞その他では伝えられておるところでありますけれども、先ほど木川田さんの御意見を聞いておりますと、公害防止対策費用を物価の中にはね返らしていくようなことはやるべきでない、こういう基本的なお考えが述べられたわけでありますが、この三方一両損というものに対する、本日御出席いただいておる皆さん方のお考えをこの機会に聞かしていただきたい。これが私はある意味では非常に——私は率直に申し上げて労働組合出身でありますが、公害防止の問題で三方一両損という考え方がどういうふうにとられてくるのかという点については、労働組合の立場としても、また一般市民の国民の立場からしても非常に関心の高いところですから、この点に関する財界筋の御意見をあえて聞かしていただきたいと思います。
  141. 藤井丙午

    藤井参考人 ただいま日本鋼管の扇島の話が出ましたので、私から一言お話しさせていただきますが、大体伺うところによりますと公害対策費が二百億円くらいかかるということでござ、いまして、私どものこれからいま建設しております新しい製鉄所の公害対策考えましても、大体全体の予算の八%ないし一〇%の公害対策費が設備投資の中に含まれておるわけでございます。  そこで、いま三方一両損のお話でございますが、私どもの鉄鋼業とか、電力業といったような、いわゆる基礎産業と、非常に労働集約度の高い産業とは、一律になかなか論じがたい点がございますけれども、私どもいわゆる主要産業ということばを使わせていただきますれば、その考え方としましては、できるだけ機械化、近代化、合理化によって、また労働生産性も上げていただいて、そうしてやはり公害対策等の費用は、大衆の物価にはね返らないように企業の中でこれを吸収していく最大の努力をしていきたい、こういう考え方でございます。  ただし、それには先ほどもちょっと触れましたけれども、これはなかなか一企業だけではとうていなし得ない面もあります。ですから、税制の面におきましても、公害対策関係の施設費に対しては、現在も特別償却がある程度認められておりますけれども、そういう特別償却制度を拡充していただくとか、あるいは税制面でのある種の減免税等を考えていただくとか、最近は御承知のようにたいへんな資金不足でございまして、そういう金融上の措置も公害施設に対しては優先的に講じていただくとか、こういった国の金融財政面での御協力もやっていただきたい。  それからまた、いまこれは木川田さんは申し述べにくいだろうと思いますけれども、電力立地等につきましても、地域社会からかなりの反発がございまして、これに対しては電力業界はそれぞれ重視されますけれども、とにかく立地は反対だ、電力はよこせ、公害は反対だ、こういうようなことを何もかも一緒くたにされて論じられると、それは産業人としてはとても至難なことを押しつけられることになりますので、そういう点におきましては国も地域社会も十分な理解と認識を持っていただくと同時に、企業は企業としていま申しますようにその発生因をあくまでも根絶する、そして繰り返して申しますように、公害対策費等の問題はわれわれの企業努力によってこれを吸収するという腹がまえであるということを申し上げたい。
  142. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いま御意見を承りましたことに関連をして、さらには先ほどの質問にも関連するわけでありますが、いま国民の立場からする企業誘致に対する反対運動というのは、これは何でもかんでも反対するという性格のものではないと私は思うのです。これは電力なり、あるいは鉄鋼の場合は、主として本日のこの委員会で論議しております亜硫酸ガスを中心とした公害問題を心配している、ある意味でいえば弗素ガスの公害を心配しておる、またそれらの産業が来ることによって、地域の既得権益としての水利権とか、あるいは水、そういうものに対する生活条件が脅かされるようなことはないかどうか、こういう具体的な条件のもとに反対運動も起こっておると私自身は理解をしておるわけであります。これは住民の側から考えれば当然のことでありまして、経営者なり資本の立場からいけば、やはりそこへ企業を誘致したい、しかし、そのことによって生命なり、地域住民の生存権を脅かすようなことに対しては、反対の条件が出てくることも私は当然だと思う。  そこで午前中の、あるいは午後の質問にも関連いたしますが、先ほど質問いたしました例の日本鋼管の京浜製鉄所の問題でありますが、藤井さんの御意見を聞いておりますと、この〇・〇一二PPMという基準はきびし過ぎるというふうに私は聞こえたわけであります。これは国の環境基準が〇・二であるにもかかわらずという引例もございましたが、これは後ほど若干訂正されたようでありますが、この〇・二に匹敵するものが〇・〇一二PPMでないことは御承知のとおりですね。そうしないと比較基準が違いますから。ですからこの基準からいきますと、個々の工場としては現行の基準からいけば〇・〇二PPM程度になるだろう、こういうふうに私は理解をした上で以下質問をするわけでありますが、問題は、きびし過ぎるかどうかという点については、先ほども人体に対する影響度合い、こういうものを中心に科学的な調査結果に基づいてそういう基準をきめるべきだという御意見を拝聴しました。これは科学的にいわゆる風洞調査もやりまして、そうしていわば日本鋼管の技術陣も、その結果、この程度であれば技術的にもこなすことができるだろう、また費用の面から見てもこの程度は負担することはできるだろう、経営の立場からいけば採算もとれるだろう、こういう結果からこの〇・〇一二PPMというものについては企業側も了承をしてこれに調印をする、そういう運びになっておると私は思うのです。この点は先ほどの人体に影響の問題でありますが、現行のこの環境基準の〇・二でいきますと、おとなの有症率、病気にかかる率からいきますと、五%程度の者が慢性気管支炎にかかるというのが今日の基準なんですね。ですから私は、百人のうちで五人の者がやはり軽症であろうとこういう気管支炎にかかるような基準というものは、これは国の基準としても好ましくないと思っておるのです。ですからこの基準は、横浜の今回の日本鋼管との基準ではありませんけれども、こういうところまで具体的に基準をきびしくしていくことが、今日の公害問題にとってはきわめて大切ではないか。さらに一歩突き進んで申しますと、この基準というものが、それぞれの地域によっては若干の条件の違いがございましょうけれども、川鉄の千葉製鉄所にも、あるいは新日鉄の君津の製鉄所にも、この基準というものが原則的には受け入れらるべきものである。少なくとも京浜地区において、横浜地区においてこういう基準でこれを消化する企業ができた以上は、これが私は一つの大きな基準になってしかるべきじゃないかと思うのです。そういう点についてのお考えを、これはひとつ藤井さんのほうから承りたいと思います。
  143. 藤井丙午

    藤井参考人 先ほども繰り返し申しましたように、私は川鉄さん並びに日本鋼管さんの今回の協定の〇・〇一二もしくは〇・〇一九というのはきびし過ぎるという考えは毛頭持っておりません。これは、こういう人口の密度の高いところにおいては当然だろうと思いますし、またお話しのように、君津製鉄所等におきましてもこういうような基準が、いまは〇・〇二でございますけれども、だんだんと適用されてくるだろうということも十分想定いたしております。ただ、ちょっと誤解が多かったのは、先ほどもおことばの中にありましたように、非常な過疎地帯と人口過密地帯の違いについてちょっと申し上げたことが、たいへん誤解を生じたようでございますから、その点はあらためて御了承願いたいと思います。  それから、繰り返して申しますように、人命尊重ということは憲法の基本精神でございますから、いかなる犠牲を払ってでも企業としては国民の皆さんの健康をむしばむことのないように万全の努力をするということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
  144. 加藤清二

    加藤委員長 この際、皆さんにちょっとおはかりいたします。  藤田君の持ち時間はまだ十分余ございます。ところが参考人藤井丙午君からの申し出がございまするので、おはかりいたします。  前々からの約束であり、藤井丙午君に参考人として要請したときからの申し出でもございまするが、本日、藤井丙午君は六時から前々からの約束の所用これあり、退席をさせていただきたいとの申し出でございます。  ところが、藤井丙午君への質問は、まだ堀君、岡本君と二人ございます。これを満足させるには、藤田君の質問を中断してまことに悪いけれども、この際藤井丙午君への質問を集中しないと、あとのお二人が質問できないという結果になりまするので、すみませんが、この際、これを許していただけるでしょうかということでございます。——それでは質疑を進めます。藤田高敏君。
  145. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 いまの点については私も理解することができましたが、ただ、これは政府委員との質疑応答ではございませんから、決してそういう点では、極端にいえば、悪い言い方ですが、何もとっちめてやろうなんという気持ちはいささかもありません。むしろいろいろ教えていただきたいという気持ちで一ぱいであります。  先ほどのこのことに関連をしまして、地方自治体がこういうきびしい条件をつくるのはちょっと変則ではないか、私のことばだけの感覚からいきますと、国が基本をきめて地方自治体は監督だけやればいいのだ、こういう御意見であったように私は思うのです。これは、これまた法律改正にも関連するわけでありますが、むしろ最低の基準は、労働基準法ではありませんけれども、国がきめる、そうして、それぞれの地域によってそれぞれの地域の立地条件が違うわけですから、この上に公害防止をさらによくする意味の上乗せをやっていくというような性格のものにしていくことが、公害防止の法律体系なり規制措置としては一番適切ではないか、私はこう思っておるのです。先ほど藤井さんの御意見では、横浜と日本鋼管がきめたようなああいう協定を自治体の権限においてやられることはちょっと困るのじゃないか、国がやるべきじゃないか、こういう御意見であったように思うのですが、私の意見を含めてひとつ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  146. 藤井丙午

    藤井参考人 私、先ほど申しましたのは、先ほどの発言とも関連いたしますけれども、全国一律に非常にきびしい環境基準の規制が行なわれるということになりますと、ところによりましては非常に困る企業もあるという感触からそういうことを申し上げたので、でき得るなれば国において地域別の基準をきめていただくことが望ましいわけでございますけれども、しかし、いま先生からお話のように、国において最低の基準をつくって、それぞれの地方の自治体の実態に応じて自治体がそれをきめるということも一つの方法でありましょうし、あるいはまた、国が、その地区においてきめました基準を参考にしてきめるという方法もあろうかと思います。しかし、これはいずれも立法等に関する問題でございまして、われわれのとやかく申し上げる筋ではございませんけれども、われわれ企業経営の立場から申し上げますと、過密過疎等の問題も考慮していただけたらということを申し上げたわけでございます。
  147. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 時間がございませんから、あと二つばかり集約して質問をいたしたいのですが、電気関係はわが国の基幹産業の中でも最も中心的な役割りを果たすべき基幹産業でありますし、申し上げるまでもなく公益事業でございます。そういう点では、公害防止の問題についても、私は、一番先進的な、他の産業よりも一歩進んだ公害対策を講じていくべき企業責任といいますか、社会的責任があるように思うわけです。しかし、私自身は、必ずしも具体的な資料を十分持っておりませんが、たとえばけさ方来の質問を聞きましても、問題の排煙脱硫の装置は、関東電力の鹿島なり、あるいは中電の四日市なり、あるいは関西電力の堺港、こういったところが計画されておる程度で、そのほかにはまだこういった排煙脱硫の装置も必ずしも十分でないように私は思うわけであります。こういう点については少なくとも、このエネルギーの需給計画の年次計画ではございませんけれども、公害防止そのものの、電力であれば電力の、鉄鋼であれば鉄鋼の、あるいは石油精製であれば石油精製工場自体の年次計画というものがあってしかるべきではないか、そういう点について、私はきょうは時間の関係もございますので、特に電気関係のそういう年次計画をひとつ聞かしていただきたい、これが一つであります。  いま一つは、これは全くしろうとの質問でありますが、脱硫装置については、石油精製の過程で脱硫装置をやるのと、電力なり鉄鋼のいわゆる排煙脱硫と二本立てになっておりますけれども、これは業界全体がひとつ公害防止立場から、脱硫問題については共同研究で何か、石油だったら石油の精製過程でもうほとんど硫黄分を抜いてしまう、こういうようなことができないのかどうか。これは先ほどの公害対策基本法の二元主義ではないですけれども、手間損をやるように、もう石油精製のところでもやる、また鉄鋼でもやる、電力のところでもやるという、それぞれの産業別、企業別と申しますか、そういうことをやらないで、一元的に集中してこの脱硫をするようなことができないのかどうか、そういう面についての研究がいまなされておるのかどうかということをひとつお伺いいたしたい。これが第二点です。  もう一点は、SO2の問題については、この公害防止については、低硫黄の燃料を使うということが原則ですね。ところが、いろいろな資料を見てみましても、石油自身の年次計画というものがございますが、低硫黄の年次計画はあまり見当たらないですね。この点については出光さんにお尋ねをしたいわけでありますが、この年次計画というものはどういうことになっているのかどうか。  九月五日の新聞でございましたか、ことしの低硫黄輸入量が半分ぐらいになりそうだということで、ピンチだというような記事が出ておったと思いますが、これも午前中の質問にあったかと思いますけれども、私はそれらを含めて、問題になっておる低硫黄輸入量自身がどういうことになっていくのかということを、公害防止の観点からはもっと明確に国民の前にも明らかにすべきではないだろうかということ。  それに関連をして、これまた先ほどから出ておりますが、天然ガスの問題は、私は何年前であったか、ちょっと記憶忘れしましたが、小松製作所の社長である河合良成さんがソ連へ経済視察団として行きまして、そうしてこの天然ガスの輸入の問題については契約といいますか、そのパイプラインの問題も具体的に進むやになってきておりましたが、それがいろいろな国際関係でストップになった、御破算になった。しかし私は、これは強力に、低硫黄輸入することを考えることも必要だけれども、もうSO2の公害防止には天然ガスを使う以外にないのじゃないか、そういう点ではもっと積極的に業界自身が、ソ連のシベリア開発との関連における天然ガスの輸入計画に取り組むべきではなかろうか。それに関連をして国内でも、これは若干の数字、資料も持っておりますが、国内資源は決して多いというわけではございませんけれども、国内の天然ガスの開発についても、もっと業界自身としても積極的に取り組むべきではないか、この点に関する御意見をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  148. 出光計助

    出光参考人 重油脱硫と煙からとります脱硫と、これをダブらないで一本にしたらどうかというお話でございますが、何しろ中東硫黄の高い油が九〇%日本へ入ってくるということでございます。したがいまして、これを全部重油脱硫でやるとたいへんなあれになりますし、このことはエネ調の低硫黄化委員会でも重油脱硫と、それから煙からとるやつ、LNGというようなもの、すべてをあわせてこれこれの目標を達成するのだということになっております。実際問題としてはどれか一つにできますとたいへん好都合なのでございますが、先ほど申します日本市場の中東油依存の宿命からいきまして、これはいろいろな手を尽くさなければならぬ、こういうことになってまいります。  それから液化天然ガスの問題でございます。これは木川田さんがたびたび申されましたとおり、手おくれになっております。いまからやりましてもなかなか数量をふやすということはむずかしい。特にタンカーの問題、これが非常にむずかしい技術を要しまして、大量のLNGを運ぶということはまず不可能な状態でございます。  それから国内の天然ガス開発は、オフショアの天然ガスを来年から秋田沖、新潟沖、それから鳥取沖、これはみなかかりますが、来年の二月−六月ごろから取りかかる。四年間の研究の結果、まあたいした期待はできないでありましょうが、ある点まではできるだろう、かように考えております。  それから、重油のいまの硫黄分の問題でございますが、四十四年度では日本全体が二%でございます。これを要対策地域——対策地域は三つありますが、そこは一・七平均になっております。これを四十五年度では、全体に二%を一・九%に下げる、それから要対策地帯一・七を一・六に下げる、こういう計画で進んでおります。エネ調の低硫黄化委員会では四十八年に日本全体を一・八%、要対策地域を一・三%、これを目標にいたしていろいろな策を練っているわけでございます。
  149. 藤田高敏

    ○藤田(高)委員 もう時間がきましたから、私、質問事項が二、三まだありますけれども、これで終わります。
  150. 加藤清二

    加藤委員長 次は、堀昌雄君。
  151. 堀昌雄

    ○堀委員 最初に、藤井参考人にお伺いをいたします。  けさほど参考人最初にお述べになったことがたいへん尾を引いておりまして、そのつど問題になって恐縮でありますが、実はこの公害問題というのは、国民の側から見ますと最近特に関心が高まったわけでありますが、全然公害のないところに公害の企業が来る場合には、ないところに来るんだから、これはうんと減らしてもらいたいというのがおそらくその地域の住民の要望だろうと思います。公害の非常に過密になっておりますところでは、これまた減らしてもらわないと全体の水準が下がらないということですから、その点では、私はどうも、いま藤井参考人がおっしゃいましたように、過疎地帯と過密地帯を同一に考えるのは問題があるとおっしゃる企業側の気持ちはわかりますけれども、国民の側の受け取り方は私は同じことではないかと思うのでございます。その点は、やはり今後、企業の皆さんが企業進出をしていただく場合には、どの地域に行くにしても、要するに現在努力できる最高の努力はするというかまえで企業としてお出にならない限り、この問題は国民的納得は得られない、私はこう考えるのでございますが、その点について藤井参考人はいかがお考えになりますか。
  152. 藤井丙午

    藤井参考人 堀先生のおっしゃることは、まことに国民感情としてごもっともなことでございます。繰り返し申しますように、私どもは国民と社会と過疎地帯という、北海道と東京の例を引いたものですから誤解を生じたかもしれませんが、国民感情としてはまことにおっしゃるとおりだと思います。私どもも、そういう御意見については決して反論を申し上げる意思は毛頭ございません。ただ、これは一つの例でございますけれども、私ども石油工場を九州につくります場合に、非常にきびしい基準が出たんです。そうして、だんだん聞いてみますと、別府の市会議員の方々はあまりたいして、こういったPPMが何だかよく御存じなくて、少なければいいというようなことで非常にきびしい基準をきめられてしまった。そこで、るる説明をしまして、まあ一応の妥当な線へ落ちついた実例等もあるものですから、そういうことを申しました。  そこで、私が申し上げますのは、やはり国として非常な基準を、今度公害基本法を御改正になればお示しになって、先ほどお話しになりましたような、地方の環境に応じて地方自治体がそれを調整するといった方法をおとりになることは望ましいと申し上げただけで、決して基本精神においては、地方だから公害は何でもいいんじゃないかということではないことをひとつ御了承願いたいと思います。
  153. 堀昌雄

    ○堀委員 いまちょっと藤井参考人がお触れになりましたが、いまお触れになった問題というのは大分・鶴崎の問題だと思います。あそこには、今度は、新日鉄は四千トン高炉を四つぐらいお建てになるのですが、たいへん大きな高炉が建ちますから、これの、さっきお話しの焼結の問題は、どこでおやりになるかは別としても、かなり問題がある地域になる。そこに九州石油もいらっしゃる。さらに九州電力もあの横にできてくる。今日、大分のあの町は、まだほとんど公害からはフリーの町でございますけれども、しかし、いまのような別府の市会議員の方のことは私もわかりませんが、かなり一つずつきびしくしておきませんと、結局トータルとしては非常な公害都市になるおそれがあるのではないか、私はこう感じましたものですから、これからそういう新しいところに進出をするについては、やはりいまの鋼管の川崎におけると同じような心がまえでいっていただかないと、結局これはトラブルのもとになるし、するのではないかという感じがいたしますので、これは単に日鉄だけの問題ではございませんから、ひとつ財界全体としてお考えを願いたい。  この問題は、私は結局、今日、選択の問題だと思っておるわけであります。ですから、その選択というのは、要するに、確かに生産も必要でありますし、日本が置かれておる実情は、付加価値をつけることによって国民は生活をしているのでありますけれども、私はどう見ましても、日本成長は少しスピードが大き過ぎたと思います。ものの比較をいたしますときに、よく単純な計数で比較をされておりますけれども、公害のような問題は、住民のおります平地の面積、住民の単位密度とその工業生産の高さとで比較をいたしませんと、アメリカやソ連のような広大なところに人間がわりに分散しておりますところにおける生産量と、この狭い国土の中に国民が一億もひしめき合っているところに起きておる、それも過疎過密の状態で非常にデンシティーが強くなっておるところにおける問題とは一律に、単なる計数的な比較では問題は解決できない、非常に重要な問題が控えておると私は思うのであります。そういう意味では、今日、国民の公害に対する関心が非常にふえてきたことは、やはりそのよって来たる背景が十分にあることであるし、それを企業側として十分にここでお考えをいただかないと、これは日本の今後の将来については非常に重大な問題が起きてくる可能性があるということを痛感しておりますので、その点については私は、今日、経済成長よりもやはり人間としてのしあわせな暮らしをどうやっていくかということの反省がないと、今後の日本の社会生活というものは非常に不安に満ちたものになるのではないかという感じがするのでございますが、この点についてひとつ木川田参考人藤井参考人からお答えをいただきたいと思います。
  154. 木川田一隆

    木川田参考人 堀先生のお考えと申しますか、これはひとり日本高密度社会になればいいというので、非常に急激に問題化しましたけれども、これは世界的な問題でございまするので、世界の人間問題として協力すべき、解決すべき時代的要請である。きわめて率直に申し上げれば先生と同感でございます。そういう意識をわれわれ産業人がいかに深く根源的な点においてとらえて対策に進むかということが現実の問題でございます。ところが、私企業の立場においてそこまで普遍化するということはなかなか時間を要する問題でございます。先般来われわれ大企業の経営者が、産業問題研究会を起こしたゆえんもまた先生と同じように、経営の中にこういう人間福祉の問題をとらえて、そうして国民合意の中に産業の発展をこいねがうことこそ、人間福祉につながるわれわれ産業経営者の立場ではなかろうかということで、運動を展開しておりますのもその一つでございますが、全く同感でございます。  そうしまして、先ほどのもう一つの問題は、日本全体で、過疎過密にかかわる公害防除の一つ基準が望ましい、私もその点を望ましいと思います。しかもなお、私は発展途上国にすら公害を振りまくことはけしからぬという考えすら持っております。ただ、現実問題として、有限なる素材、材料、そしてまた条件整備しない現実において、これをどのようにして実現に一歩一歩近づくかというところにわれわれ建設的な立場がございますように思います。先生と全く同感でうれしいのでございます。
  155. 藤井丙午

    藤井参考人 私も堀先生のおっしゃること、先ほども申しましたことと大筋においてちっとも異論ございません。木川田さんのいまお話しになっておる点とわれわれ同感でございます。ただ、さっきもちょっと申しましたけれども、公害問題は確かに発生原因である企業が最大の責任者であることは間違いございませんけれども、ただそれだけでは片づかない。国土の総合開発とか、産業の適正な再配分ということにまで問題を広げて考えないとなかなか容易に解決できない問題だということをつけ加えさせていただきまして、趣旨は全く同感でございます。
  156. 堀昌雄

    ○堀委員 その次の問題は、実は私も尼崎に居住しておりますので、関西電力のこのSO2の問題はきわめて重大な関心を持っておるわけであります。そこで、関西電力では今度市のほうに対して、たいへん私どもとしては望ましい回答をしていらっしゃるわけでありますけれども、その回答を拝見しますと、燃料の硫黄含有分を昭和四十四年は実績で一・八でありましたものを、四十五年は一・五%にしたい、四十六年は一・一%、四十七年は一・〇%にということで、過去におきます状態の六三%程度でありますが、そのくらいに切り下げたいという計画を実は市の当局にお出しになっているわけであります。私どもはこれはたいへんけっこうなんですけれども、今日の時点で昭和四十七年、八年を見通しますときに、先ほどからいろいろお話のありますような、そういう低硫黄重油なり原油なりの手当てがこの計画を満たすだけに可能かどうかという点に実は不安を持っておるわけであります。関西電力自身は、これを手当てをしてこういうふうにやりたいというお考えがありましても、はたしてそういうさっきの客観的な条件の中で、その手配が今後三年、四年先の問題について見通しが立つかどうかという点にちょっと不安を感じるわけであります。こういう問題については、やはりお約束をいただいた以上これが守られませんと、これは企業に対しての不信感が非常に大きな問題として発展をしますから、お約束をいただいた以上は守られなければならない。その場合にこれの裏づけになるものは一体だいじょうぶだろうかという不安がちょっとありますので、これは直接木川田さんにお伺いするのは御無理な点もあるかもわかりませんが、ひとつ電気事業連合会長として、これらのそういう燃料の手配等は大体だいじょうぶかどうか。やや問題があるとすれば、それについては別途の対策、たとえばさっきお触れになりましたような原油のなまだきをもう少しやりたい、なまだきをやればこれは直ちに二分の一に下がるわけでございますから、これはあるいは可能になるかもわかりません。そこらの問題も含めてちょっとお答えをいただきたいと思うのであります。
  157. 木川田一隆

    木川田参考人 公害排除、ことにサルファの問題を環境基準なり脱硫基準なりに準拠いたしまして、さらにそれ以下にしようという気持ちをわれわれ持っておるわけでございます。したがいまして、そういうような考え方からすれば、当然お約束をするということ自体は、手当てができるという条件を踏まえてのお約束でなければ、これは不誠意なお約束となると私は考えております。  ただ、先ほどから、私は詳しく存じませんでしたが、いろいろお話を承りますと、供給力の不足関係でどうしても履行ができなかったようなふうにもお伺いするわけでございますが、そうした場合なら、何か対策政府にお願いして、なまだきをするなり、もちろん機械関係がございますから限界はございますが、そういうふうな方法論が当然あるはずで、あるいは油がなければ他の電力あるいは油会社から臨時にでももらってやる、そして継続する方途を講ずる、あるいはまたこれができないということなら、その理由を明確にしてお約束の相手方に対して何か別の理解を求め、待っていただく、停電するよりも、少しお約束と違うが、もう少し緩和していただきたいという道がとられたものと私は考えます。したがいまして、お約束は、さっきも申し述べたわけでございまするが、誠実履行の責務をはっきり実現すべきだと私は強く感ずる次第でございます。
  158. 堀昌雄

    ○堀委員 出光参考人にちょっとお伺いをいたしたいのでありますけれども、いまの原油なまだきに関連をいたしまして、本日ちょうだいをいたしました資料で見ますと、C重油の今後の輸入量はたいへん飛躍的にここのところで増加をするように拝見をいたすわけであります。昭和四十四年に一千百八十四万千キロリットルでありますものが、四十五年には一千八百六十二万二千キロリットルに、四十六年には二千六百七万二千キロリットルにとC重油輸入がふえることになっておりまして、ちょっとこれを簡単に計算してみますと、四十四年を一〇〇といたしまして、四十五年は一五七、四十六年は二二〇ということでありまして、たいへん飛躍的にC重油輸入が増加をいたします。そうしますと、当然この中で、低硫黄重油輸入のほうを見ますと、大体五百万キロリットルぐらいのところで、四十四年までの資料しかございませんが、動いておりませんから、なまだきにできる可能性というのはここで飛躍的に四十五年、六年はふえるのではないかという感じがいたします。これはどちらに伺ったほうがいいのかわかりませんが、四十五年、六年は四十四年に比べるとかなりなまだきのアローアンスはふえてくる、こう理解をしていいわけでございましょう。
  159. 出光計助

    出光参考人 なまだきに関しましては、電力界の非常に大きな要請がありますので、先生のおっしゃいましたようなことになると思います。
  160. 堀昌雄

    ○堀委員 私はやはりこのなまだき問題というのも一つの選択の問題だと思うのでございます。確かになまだきがふえれば、あるいは揮発油なり、ナフサの輸入をしなければならないかもしれませんが、いま電力の需給関係が非常に逼迫をして、発電所が建てられない、そのときにどうしてもSO2の公害を減らさなければ住民が納得しないとすれば、やはりこれは国のトータルの政策として見まして、単にエネルギー調査会が——ナフサや揮発油を輸入することは、エネルギー効率から見てはマイナスがあるかもしれませんけれども、しかし、電力不足になるというエネルギー問題から見れば、私はこれはやはり一つの選択の問題ではないか、こういう感じがいたしておるわけであります。  きょうはもう時間がございませんのでこれで終わりたいと思いますけれども、今後の問題として、ひとつこれは石油業界皆さん電力業界も通産省を中心として、やはり日本経済の国民的な効率という点から御検討をいただく余地のある問題ではないだろうか、ですから、いつまでもなまだきをやるということではなくて、少なくともある段階までの緊急避難的な時期には、なまだきを含めてともかくSO2を減らす、それによって住民も納得をして発電所ができる、そういう中で長期的な観点から問題が処理されることが私は今日的なエネルギー対策の課題ではないかと、こういう感じがいたしますが、その点についてひとつ木川田参考人出光参考人のお答えを伺って、私の質問を終わります。
  161. 木川田一隆

    木川田参考人 選択の問題、まことにおっしゃるとおりでございまして、私は冒頭からなまだきの即効性ということを強く申し上げたわけでございますが、現にC重油二千万キロリットルでございましょうか、C重油輸入範囲内においてこれを許可するということになっておりますので、それの範囲拡大を通産省にも御相談申し上げておる最中でございます。この問題はまことに第一義的な意味が選択の点においてございますということを強くお願いしてあるわけでございますので、何ぶんの御配慮方をお願いします。
  162. 出光計助

    出光参考人 低硫黄の油がだんだん減ってまいりますと、なまだきは硫黄の高い油をなまだきしていただきます。そして煙突から排煙脱硫していく、これをやっていただきます。そうしますと、いわゆるナフサその他ガソリン等の問題がありますが、そうなりますと、精製のパターンが白油主義といいますか、重油を少なくする主義になります。電力のほうには硫黄の高いものでなまだきをして排煙脱硫をしていただいて、それから硫黄の低い重油排煙脱硫も、煙突を高くできない一般に回す。こういたしますと、国全体の低硫黄計画ができるわけでございます。そういうふうにぜひお願いしたい。排煙脱硫は非常に期待しているところでございます。
  163. 堀昌雄

    ○堀委員 終わります。
  164. 加藤清二

    加藤委員長 あなたまだ時間がありますが……。それではあなたにはまたあとで許しますから。  岡本富夫君。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 十分で藤井さんが退場されるそうですから、簡単に質問を申し上げます。  そこで、最初に申し上げたいことは、御承知のように公害対策というものは地球の環境管理、こういうようになりまして、国連でも非常に問題になって、一九七二年には三百億ドルの予算を組む、あるいはまたアメリカでは二十五兆円というような予算を組むというようになってまいりまして、わが国のことだけではないということで、御承知と思いますけれども。  そこで、まず藤井さんに一言聞いていただきたいことは、日本鋼管と神奈川県、横浜あるいは川崎とが防止協定を結んだ。それは〇・〇一二という非常にきついものである。こういうような——きついとは仰せになりませんでしたけれども、国の基準より非常に低い、国の権威がなくなるのではないかというようなお話が先ほどありましたけれども、この防止協定も非常にしり抜けがございまして、そのうしろには天然ガスが多く出てきたとき、あるいはまた排煙脱硫が完全にできたときにはそういうようになるんだというような契約になっておるわけでございます。そこで、亜硫酸ガスの健康被害の調査もないのにというようなこともございましたけれども、これは亜硫酸ガスだけではない、やはり大気の粉じんもございます。そういう面を考えまして、国が環境基準をきめておるわけでございますが、どうかその点はひとつお取り消しをいただきまして、今後鉄鋼連盟の御代表といたしまして、それぞれの施策を打っていただきたい、この点をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  166. 藤井丙午

    藤井参考人 先ほど私のお話ししたことがたいへん誤解を生じたようでございまして、たびたび御訂正申し上げておりますので、大体御了解願ったと思いますが、国の環境基準をきめられたのは相当前でございまして、その後経済も非常に急成長しますし、産業構造も、したがって社会構造も変わってまいりましたので、当然公害関係の基本法、あるいはこれに伴う規制というものも改正されるだろうと思います。したがって、先ほどの〇・二という国の基準とたいへん隔たりがあるようだと申しましたけれども、それは必ずしも現在の国の基準が現在の社会情勢に適応しておるものとは私どもは判断しておりません。当然これは改定されるものと思っております。  それから先ほど堀先生の場合にも申し上げましたとおりに、われわれといたしましても、日本鋼管ないし川鉄さんのこの協定はあくまでも尊重すべきものである。また、いま御指摘のように天然ガスの問題であるとか、排煙脱硫の問題であるとか、条件がついておりましても、それはあくまでも、かなり努力目標という点も含まれておりますけれども、こういった協定は厳守するように鉄鋼業界全体といたしましてもそういう方向で努力することを、ここではっきり申し上げておきます。
  167. 岡本富夫

    ○岡本委員 それでは、私実は福島県の小名浜の製錬所に視察にいってまいりました。そうしますと、大体この鉄鋼関係のばい煙あるいはまた公害の源泉になっているのは、一つは先ほどおっしゃった焼結炉です。もう一つは、屋外に積んであるところのたくさんの鉄鉱石です。これが強風なんかのときは、水をかけたりしておりますけれども、これはほんとうのおざなりでございまして、ここの小名浜の製錬所では屋外にこれを置くような体育館の大きいようなやつをつくるのだということで、非常に精力的にやっていらっしゃったように思います。これが一点。  それからもう一つは、少なくとも排煙脱硫は、各所で聞きましてももうほとんど完成の域に達しておるわけでございますが、せめて、焼結炉の亜硫酸ガスが非常に多いわけでございますので、この二つを設備をしていただけるような御指導あるいはまた御協議をお願いしたいと思うのでありますが、その点いかがでございましょう。
  168. 藤井丙午

    藤井委員 先ほども申しましたように、確かに鉱石、なかんずく最近粉鉱が、これは鉄鉱資源関係で非常にふえてまいりまして、これを焼結して生産することが、かたまりの鉱石、つまり塊鉱石を処理するよりもより能率的でございますので、先ほど申しましたように君津製鉄所のごときは全部を粉鉱焼結という方法をとっているわけでございます。そこで、いま御指摘にありましたような製造過程に入るまでの間の粉じんの発生するおそれがたぶんにございますので、さっき申しましたようにアンローダー等、これはちょっと方法がございません、船から貯鉱場へおろす間は。しかし、その後はいま申しましたような散水並びに凝結剤を混入する等によりまして粉じんの発生を防ぐと同時に、溶鉱炉へ入れます過程におきましてはベルトコンベア等につきましてカバーをして粉じんの出ないようにと、こういう万全の措置をとっておりますが、いまお話を伺いますと貯鉱場に一種の大きなカバーするような施設をしたらという御示唆をいただきまして、これはきょうはたいへんありがたい御示唆をいただいたと思います。これは早速検討したいと思います。がしかし、これはいろいろな製錬業によって違いますけれども、われわれの場合は大きな船が着きまして、それを貯鉱場へ入れまして直ちにコンベアで溶鉱炉へ入れるというような方式をとっておりますので、野積みにいたします鉱石は塊鉱石が大部分で、粉鉱石は野積みにしておりませんから、そういう意味ではいまのお話のような製錬所とは少し趣が違うかと思いますけれども、いずれにしましてもそういった点ではさらに一段とくふうをしたいと思います。  それから焼結のことにつきましては、先ほどもるる申しましたけれども、これもいまお話しのように、排煙脱硫の問題をせっかく検討しておりますし、それからさっきも申しましたように、むしろ内地へ持ってくるよりも原産地でこれを半還元してペレットにするということをいま大々的に計画しておりますので、そういたしますれば船運賃も非常に節約されますので、そういったことも考えておりますが、何と申しましても、排煙脱硫の問題は、電気産業における排煙脱硫とは少し——正直いって技術的にやっかいでございます。それで、いまいろいろな方法で技術開発をし、また設備の改善もしておる状況でございまするが、これも先ほど来申しますように、遠からず排煙脱硫技術的にも設備的にも完成されるということでせっかく努力しておりますので、さようひとつ御了承願いたいと思います。
  169. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題は、かつて九州の、おたくのほうの八幡製鉄さんのとき、あるいはまた姫路の富士鉄さんのとき、当委員会あるいはまた商工委員会でも視察に参りまして、相当ないろいろなところを見せていただいたわけでございますので、これ以上は時間もあれでしょうから申し上げませんけれども、どうかひとつ鉄鋼連盟でほんとうに真剣に取り組んでいこう、近い、将来のものではないのだ……。姫路の付近でもそうでありましたし、あるいは北九州市みなそれを見ますと、ほとんどもう毎日毎日の問題でございます。中には本社のほうの、あるいはその会社の社宅がございますので、若干押えられているということは、またしかたがないわけでありまして、健康の被害にはこれは同じことでございます。その点を考えますと、やはり会社にいらっしゃる方々は会社の財産みたいなものです。それに被害を起こすということは結局会社をむしばむことになるということも考えますと、やはり企業の姿勢といたしまして、完全な公害防除が必要ではなかろうか、こういうようにも思います。大体いままで二十年に一ぺんずつくらいに日本でも大きな戦争があったわけでありますが、こうしてそうした国費をうんと投入したわけですけれども、いまは公害戦争の世の中である。私ども大体いま全国の公害の総点検を行ないまして、いまならば何とかなるんじゃないか、ここ五年、十年たつとどうにもならなくなるのじゃないかということも考えましたので、その点を御要求いたしまして、どうぞ帰っていただきます。
  170. 藤井丙午

    藤井参考人 ありがとうございました。いまお話に出ました、ごらんいただきました八幡の製鉄所、広畑の製鉄所は、いずれもこれは非常に古い、旧式の製鉄所でございまして、できますれば千葉県の君津製鉄所をごらんになりますれば、公害問題のみならず、すべての施設において相当近代化されておるということが御理解できると思いますが、何にいたしましても、御指摘の点につきましてはわれわれ万全を期して御心配をおかけすることのないように、また地域住民の皆さんに御迷惑のわたることのないようにせっかく努力をするつもりでございますので、御了承賜わりたいと思います。  はなはだかってでございますが、ちょっと所用がございますので、ここで中座させていただきます。どうもありがとうございました。
  171. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、木川田会長さんにお尋ねいたしますけれども、私の聞き違いかもわかりません、しかし、一番最初の御陳述のときに、御要望といたしまして、先ほど多田委員も少し触れましたけれども、低硫黄重油電気事業者による直接輸入について、低硫黄原油の確保のため、電気事業者にも長期計画に基づいて直接海外から輸入できるようにしていただきたい。これは実はこの間、一つは当委員会関西電力さんの視察に参りましたときに御要望をいただいたわけでございます。いま会長さんのお話を聞きますと、もちはもち屋で、これは関係ないんだというように受け取れたわけです。ですから片一方のほうからは、要するにあなたのほうの電気事業者である関西電力さんからは、当委員会に対してこういう要望がある。いまあなたがおっしゃるのと、ちょっとこう——えらい失礼でございますけれども、その点についてはっきりしていただきたい、こう思うのです。
  172. 木川田一隆

    木川田参考人 低硫黄良質な原重油、この安定的確保ということは非常に重要な公害排除の問題である、この認識ははっきりしておりますが、これをどの主体が獲得の責任に当たるかという問題でございますが、私はやはりいろんな事情もございましょうが、もち屋はもち屋で積極的な努力を強く要望したい。ただし、もち屋がその使命を一次産品たるエネルギー源を確保できる体制になければ、やむを得ませんから、われわれ自体が直接に手を出さねばならぬ事態も起こるかもしれぬ。そういうことのないように、ぜひ当事者の方、もち屋の懸命の努力を希望する。先ほど申し上げたとおりBPの責任者が直接輸入をしたいと私に実は申し込んできたわけです。そういう事態もございますので、事情のいかんにかかわらず、資源獲得の問題の重要性に対して当事者に強く御要望を申し上げて責任を果たしていただきたい。  ただ電気事業連合会として、会長の考え方と各企業の考え方が違うんじゃないかという御指摘でございますが、これはやむを得ません。度合いの問題でございまして、私は一社の社長ではございません。企業体はそれぞれ主体的な責任をもってやっておる。意見の異なることもございます。これはわれわれ社長会議に付議した結論ではなくて、各個別企業にはそれぞれの意見のあることは当然のことでございますので、その点御了承おき願いたい。
  173. 岡本富夫

    ○岡本委員 よくわかりました。  そこで、次にもう一ぺん木川田さんにお願いしたいのですが、先ほど尼崎の問題が出ましたが、実は尼崎市内の大気汚染によるところの有症率、病気になった方が一一%、要するに九人に一人が大気汚染でもって現在苦しんでいらっしゃるわけであります。大体ここの大気汚染の八〇%は、関西電力の四発電所によるところの大気汚染が寄与していることになっております。これはデータがはっきり出ておるわけであります。そして警報、要するに注意報が出たときは、杭瀬小学校というような学校では、児童が校庭で遊んでおるのを全部校舎に指示して入れる、そういうようにまでして、苦しいところの措置をとっているわけでございます。したがいまして、何とかこれは早急に処置をしなければならぬ。これは加藤委員長はじめ私どもみな視察に行ったときも、そういう状態をつぶさに見てまいりました。そこで先ほどもお話しありましたように、関西電力さんとの防止協定というものができておりますけれども、これが計画どおりできてない。このときにあたりまして、会長さんといたしまして、早急に排煙脱硫もつくろう、こういうような相談といいますか、御指示と申しますか、そういう面もお願いができましょうか。またあそこに参りますと、四つの発電所のうち第三発電所に参りますと、ここには硫黄が、要するにSO2の量を自動的に全部はかる器械がございます。視察に参りますと、どこでも、こういうようにやっております、こういうように視察に行くところはできておるのですけれども、それでは隣のほうはどうですかと聞きますと、いやこれはできておりません。視察用の発電所というのではありませんけれども、こういう面も特に御注意をいただいて早急に対処をしていただきたいと思いますが、会長さんとして、ひとつこの点についてどういうように指示と申しますか、相談と申しますか、そういう面についてお願いできますか、お答えいただきたいと思います。
  174. 木川田一隆

    木川田参考人 先ほど来、尼崎問題を非常に御心配いただきまして、恐縮しておる次第でございます。会長といたしましては、さっそく当面の責任者たる社長と会見しまして、問題の実態をよく調査いたしまして善処するということを申し上げておきます。もちろん指揮権はございません。指揮権発動はできません。お互いに話し合って、公害排除のために、特に問題になっておる尼崎の問題の片づくようなことを相談いたしたいと存じます。実は私、一両日中にドイツに参るものですから、あるいはその前にできますかどうですか、期日の点はお約束申し上げかねますが、積極的に解決に向かって協力したい、かように思います。御配慮感謝しております。
  175. 岡本富夫

    ○岡本委員 たいへん丁重な御答弁をいただきましてありがとうございました。一両日中に何とか相談していただけることを非常に喜んでおります。  そこで、あまり時間もございませんから、次に出光会長さんに……。  これは当委員会で正式発言をされましたような状態で、非常にお答えにくいかもわかりませんし、また先ほど島本委員からの発言もございましたので、この点については非常に恐縮でありますけれども、やはり将来のためにも質問を申し上げたいと思っております。  と申しますのは、全国に大体三百以上の公害防止協定というのがございます。国の法律によるところの不備がまだまだございます。その不備を補うために、各地方自治体におきましては、まだまだ権限委譲もできておりませんし、そのために公害防止協定というものをつくって、そして住民の皆さんも安心し、企業のほうもそれによってうまく、円満にその土地に工場を建設することができておるわけでございます。したがって、先ほど木川田会長さんからも、公害防止協定というものは非常に紳士的に大事なものなんだ、こういうお答えもいただきました。  そこで、この姫路の問題でございますが、その前に千葉の脱硫装置は、実はこれは私どもも見せてもらいに行きましたが、四十二年の十月から一年間満足に運転ができなかった、こういうことでございますが、この姫路の防止協定は、兵庫県と、それから姫路と、出光さんとの間で協定をつくられたのでございます。これは私ども、前の委員会のときにわざわざこちらへ行きまして、そしていろいろと紛争もまとめなければならぬというわけで視察したわけでございますが、そのときにはこの千葉の製油所の脱硫装置と同じものをつけて、そしてその付近に低硫黄重油を配給する、そのためにこれは設備の中に入れられたわけでございますが、私、これはいま社長さんの立場で申し上げると、社長さんはそこまではお気づきにならなかったかわからないのですけれども、この協定をつくったのは四十三年の九月の五日でございます。千葉の製油所の重油脱硫装置が四十二年の十月で、一年間はまだ完全に動かなかった。要するに、満足に運転ができていないときにあたってこういうような協定をなされたのではないかというように非常に不信を持つわけでございますが、お答えにくければしかたがないと思うのですが……。
  176. 出光計助

    出光参考人 千葉の脱硫装置はUOPの製造でございます。私あたりは、あれが動き出して三カ月もしたら完全なものになると考えておりました。ところが、やってみますと何しろ世界で初めての設備だものですから、機器的な、機械器具的なものに思わぬ故障が出まして、一年たってもまだいかない。結局、二年とちょっとかかったわけなんです。姫路の場合は、これがもう間もなくうまくいくだろうという想定のもとにやっておりました。ところが、別に御承知の水島のガルフの方式が出てまいりました。これがかかるわけで、かかって、まだ成績がわからないわけでございます。ですから、非常に迷うたわけでございます。そういうわけでございまして、決して悪意があったり、他意があったわけではないのでございますが、その点はどうぞひとつあしからず御了承いただきたいと思っております。
  177. 岡本富夫

    ○岡本委員 政府の方でありませんから、参考人の方ですから、これ以上は……。  次に、もう一つだけお聞きしたいことは、この姫路の製油所は四十五年十月一日から稼働ということになっておりますが、この協定どおりの施設の重油脱硫装置でありますが、これがどうもうまくいかないということで、約一年前の四十四年に通産省のほうにどうしたものだろうという御相談があったように聞いておりますが、そのときに通産省のほうから、それならば兵庫県あるいは姫路にそのことをやはりちゃんと了解をいまの間にとっておかなければならぬのだというような御回答があったように伺っておりますが、それで兵庫県並びに姫路に対して、そのことはお話しになられたのかどうか。そのようなこまかいことは社長さんは御存じでないだろうか。その点について一言聞きたいのです。
  178. 出光計助

    出光参考人 その点に関しますと、全く汗が出るような問題でございます。協定でございますから、当然協定の改定を申しいずべきでありますが、全く迷ってしまっておりまして、全くありのままを申し上げると、若い者が忘れてしまったわけであります。申しわけないのでございますが、事実はそのとおりでございます。どうぞひとつ御了承願いたいと思います。
  179. 岡本富夫

    ○岡本委員 御了承……。困ったことになりましたのでね。非常に大事な公害防止協定、これは一つがくずれますと、全国の各自治体が約束しております協定には何の力もなくなってまいるわけでございますので、事は、ここだけだったらたいしたことはない、こうお思いになりますけれども、非常に重大な問題である、こういうように思いますので、その点ひとつよく社内でも御相談いただきまして、善処をお願いしたいと思っております。これ以上深くはひとつ立ち入らないようにいたします。  そこで、先ほどお話がありましたように、どこの工場へ参りましても、低硫黄を使います、こういうような答弁でございまして、非常に計画はうまくつくってくれるのですが、全体を見ますと相当な量になってしまう、とてもこんなものはできないんじゃないかということで、心配なわけでございますけれども、これについてはあと加藤委員長のほうから数字をあげてお話があると思いますので、ちょうど時間ですからこれで終わります。
  180. 加藤清二

    加藤委員長 まだあなたの時間は少々ありますよ、いいですか。——それでは、次は寺前巖君。
  181. 寺前巖

    寺前委員 皆さんからいろいろ、もうかなりの分野にわたって質問がありましたので、私は、せっかく財界の幹部の皆さんがお見えなんですから、今日国民が、現実的に企業の責任においてばらまかれたあるいはたれ流したそういう公害、これに対してどういうふうに反省しておるのだろうかという問題について聞いてみたいというふうに思います。きわめて常識的に、代表して木川田さんにお願いしましょう。  私たちが生活をやって自分の健康あるいは生活を守るために自分のところの地域がよくありたい、これは当然のことだと思うのです。そうすると、そこではたとえば厚生省ですか、厚生省が亜硫酸ガスの環境基準というのを出すために、生活環境審議会公害部会環境基準専門委員会というところでこういうふうに言っているのですね。人の健康を保持するための限界の濃度というやつが検討されている、これこれの基準が要る、なるほどと、各界のそういう専門的な人が集まってそういう環境基準というのをつくった、そうすると、私たちはお互いに、その基準の生活よりもひどいことになったらかなわないというのは当然だと思う。したがって、その基準範囲の中においてすべての産業活動も許されていくのじゃないだろうか、これは私は当然のことだと思うのですが、そういう環境基準範囲内において産業活動というのはやるべきだという態度を、あなたたちはどういうふうに思われるのだろうかということをちょっと聞きたい。
  182. 木川田一隆

    木川田参考人 環境基準排出基準、いずれも法としての、われわれ国民として守るべき基準である。ただ環境基準におきましては、御承知のように十年、五年、あるいは新増設即時というような、地域差もあります。それから、排出基準は八区域に分けております。それから電気事業法においては、これをさらにこまかく八地域以上の部門までも通産省が設定しておるような次第でございます。それを守ることは当然のこと、先生がいまお話しのとおりであると、かように考えております。ただし、地域別の環境基準、これはなかなか、新全総におきましても、そこまでは詰めておりません。さらに国土開発ワクづくりというものは、これは東京都の公害というふうな問題も含めての全般論としますと、そういう都市づくりなり工業立地なり、そういうワクの設定ということが非常に大切な問題であろうと思います。それが地域的な、地域社会にまで現実化してないという、ワクづくりがまだはっきりしてないというところにも、まだ欠陥があるわけでございますので、先生のおっしゃるように法的な規制、基準に準拠する、そのワク内でやれということは当然で、むしろそれ以上にわれわれの事業においてはやりたいという念願を持っております。
  183. 寺前巖

    寺前委員 私の質問の説明がちょっと悪かったかもしれませんが、法律のワク内でやれということを言っているのじゃないのですよ。要するに人間生活を送る、あるいは健康を保持していくというのには、科学的にも、衛生学的にも、一定の環境を保たなければならぬということは当然考えられることだ。したがって、そのワク内でしか産業活動というのはやってはならない。産業活動が優先してしまって地域がそうなったって、それは産業が必要なのだからだめなんだということで、そんな基準はくそ食らえということではいかぬのじゃないかという、一般的な話をしているのですよね。だから、私は、もう一つことばをかえて言うならば、その一定の環境、その環境に従属するというのが産業活動ではないのか、産業活動のためにはその環境を破壊してもしかたがないのだ、ここの関係の問題を言っているのですよ。だから念のために、人間生活、健康を保持するその環境、その環境範囲内に産業活動というのは拘束されるべきだということについて、ノーかイエスで答えてほしいと思います。
  184. 木川田一隆

    木川田参考人 同感でございます。ただし、よりよき地域社会、環境社会をつくるということに、さらに上の希望をすら私は持っております。
  185. 寺前巖

    寺前委員 よりよくしていきたいというのはお互いに努力したいところですけれども、そこでそうなってくると、今度は法律の問題になってくるわけですが、これを社会的に拘束するところのものとして、法律というのが国家的に必要になってくる。それで法律も、したがって、いま一番問題になっているのは、さっきからここでちょっと話が出ました企業の発展ですか、発展との調和において云々ということが基本法のときにも問題になりましたね。公害基本法という以上は、企業云々というのは従属すべきものなんだから、したがって、それをあそこに入れておるというのはおかしいのだという意見がいま多くの人から出されているけれども、いまの考え方からいったら当然それは抜くべきだということにはならぬのでしょうか。おたくはどういうように思うのですか。
  186. 木川田一隆

    木川田参考人 これは再三私見を申し上げたわけでございますが、二元的に観念的に対立させること自体が間違っておる。生活、福祉の向上ということが優先すべきである、かように考えております。
  187. 寺前巖

    寺前委員 そうすると首尾が一貫しないことになると私は思うのですよ。何といったって、公害から防ぐというたら国民の生活、健康保持の範囲内でしか産業活動は許してはならない。したがって、公害基本法の一番明確にしなければならないことは、やはり一定の範囲内でしか産業活動は許されないのだということを明確にすることをうたうべきだ。これはまあ見解ですから、ここで政府との間のやりとりのようにはしませんが、そこには私は矛盾を持っておるというふうに言わざるを得ないと思います。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕  それから次に、どうでしょう、一定の健康を保持するための環境基準というのはこういうふうに必要だという見解が出て、出たらほんとに公害から社会を防いでいくために、公害発生源は法律的にもその範囲内を守らなければならない。とするならば、環境基準を断固として守っていくために、同時に、環境基準と個々の排出基準と両方が関係しますね、これを断固として守っていくためには、守らないという場合が起こった場合に、あるいは、その環境基準以上のことが起こっている場合に、当然それを規制する。そういう法的な拘束力を持たさなかったならば、自然人間の健康を守ることにはならないということになると思うのですが、現在の法律はそういう強制力は持っていない。非常に弱い。これはおかしいんではないかというふうに思われませんか。
  188. 木川田一隆

    木川田参考人 お答えする前に、一つの前提を申し上げたいのでございまするが、陳述にも述べたのでございますが、公害排除条件整備日本ではまだできておらない。このワクの問題が非常に大きくいまの御質問に影響すると思います。ワク政策が確立して、その中で環境基準なり、排出基準なりが、妥当な地域に、妥当に、しかも前進的にできますれば、当然これを守らざる場合には罰するとか、そういうような問題にも発展するかと思いまするが、現実の状況において、私、非常に不審に思いまするのは、公害に対して個別的な現象的な対策が多くて、総合的にあるいはシステムとしてこれを取り扱っていないというような気がしてならないのでございます。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 立法の場合におきましても、政府は誘導的な諸条件整備ができておるかできていないかというような問題とか、技術開発の問題がどの程度までいっておるかというような問題点、それから資源開発の中でも、たとえばいまのエネルギーの安定と確保がどうなっておるかとかいうような問題点、すべてそれらの総合的な観点の中で現実処理は行なわれてない。そうして、あるべき理想の姿は当然あってしかるべきだ、それに国民的に参加するということが正しいのでありまして、いまの正しい、法として出た以上は、そこに諸条件がございましょうから、これを積極的に守るのが国民的なあれである。ことに公害問題については積極的にこれに参加するという意味合いにおいて守るべきものだ。守らなかったらどうするかということは、私は、網することは、必ずしも権力的な刑罰で処するというよりも、何か、それを諸条件整備の段階に応じて仮処分するとか、行政処置がございますれば、かようなふうに考えております。
  189. 寺前巖

    寺前委員 総合的にそれを防止するという段階に到達していないんだから、強制力を発揮してどうこうするというのは無理があるんじゃないかという御意見と私には聞こえたんですが、よろしいですね。そういうことですね。間違いないですな。そういうふうに解釈していいんですか。
  190. 木川田一隆

    木川田参考人 そういう諸条件整備を待って、環境基準なり排出基準を守らねばならぬと申し上げておるわけではございません。それには積極的に基準を守り、かつ、むしろ基準以上に、環境の改善のために参加するということの必要性を申し上げたのでございまするが、ただ、基準をつくる場合に、諸条件整備云々というような総体的な意味合いを、よく考えてやるという希望を述べたわけでございます。
  191. 寺前巖

    寺前委員 そうすると、昭和四十三年一月に生活環境審議会公害部会環境基準専門委員会で一定の基準を出しました、その後またちょっとありましたけれども。そうすると、ここに書かれているように、こういうことは人間の健康を守るためには必要な基準だということをいっているわけですね。これは非常に重大な問題だと思うのですよ、健康上の問題ですから。生命にかかわります。そうすると、そういう状況が、たとえばおたくの産業だけで言うわけにはいきませんので、これは総合的な産業ですね。産業界の方々は、その基準というのは一体いつになったらできるという見通しなんですか。
  192. 木川田一隆

    木川田参考人 たとえば環境基準ですと、先ほど申し上げたように三つの区分になっておる。十年間の達成、五年間の達成、新増設即時実施というような基準になっております。そうした法の中で、これをいかにその以内においてやるかということが、私の言う積極参加という意味合いだと、かように考えております。
  193. 寺前巖

    寺前委員 質問が悪いか知らぬけれども、要するに人間の健康を守る水準というのが、一定の水準ができたら、その範囲内に早く入らなんだら私たちたまったものじゃないというのは常識的ですよね。だから各地で協定を結んで、こうせい、ああせいと言い出してくるのは、待っていられないという感情だと思うのですよ。だから私は、そういう感情の範囲内にある以上は、地方の自治体の首長が、ほんとうに自治体の首長というのは道路をしたり河川をこうしたりやるのと同じように、環境整備、全体に対する、住民に対する責任を持っているのだから、その人たちがそういう条件整備するための権限を持って仕事できるようにするということは、私は当然のことだと思うのです。それに産業界はやはりどんな場合だって従属していくということを基本にする。したがって、地方の知事とか、市町村長がそういう権限を持つような法律を保障してやるというのは、私は早くやっていく必要はあると思うのです。そんなものほったらかしておいたら、どんどんどんどんひどうなっていくから、それは住民がおこり出すのは無理ないというふうに思うのです。これは見解になってきますからやめておきましょう。  その次に、もう一つ聞いておきたいのは、現に公害発生をした結果、四日市をはじめとする各地で認定患者の問題も出てくる。認定の範囲だけではなくして、健康を害する状態というのは、かなりの範囲に起こってきているという現実の実態があるでしょう。こういう現実の実態に対して、たとえば四日市の場合に、電気だけではない、いろいろな企業があるわけです。しかし、全体としてその企業があの地域の環境汚染をやった、その結果がそういう住民がおこっているという場合に、私はその地域のその産業界全体が、全面的にそういう人々に対する救済というのですか、全体としてそういうことを請け負う必要があるのじゃないか。いわばよくありますね、無過失賠償責任制度というやつ、こういうような制度をつくってでも補償していくということをやらなかったら、今日まで先ほどのだれかのお話じゃないけれども、ないときから急速に発展させたのですから、知らなかったのだと言わぬばかりの話がありましたけれども、その結果がそういう被害を受けているということに対して、全面的にやはり企業の人々は責任を負うという立場をとるべきだし、またそういう制度を法律的にも保障していかなければいかぬじゃないかというふうに思われませんか。
  194. 木川田一隆

    木川田参考人 先生御承知おきでお話しくだすったと思うのですが、因果関係の明確なる場合、あるいは複合の因果関係の場合、いろいろございましょうが、大体複合の状況の公害というのは多いわけでございましょうから、その場合に、現実に健康に支障を来たした、阻害した、健康を害したというような、実はその以前に私はちょうど再々申し上げておるとおり、その事後処理の前に、以前の公害こそほんとうの公害だと私は思っておりますが、いまの御質問の観点に対しましては、結果としてこういう問題が出た場合には、個別の因果関係の明確なるものはもちろんのこと、複合的な因果関係の場合においても当然適正な対策を、補償をすべきもの、それを立法技術上どうするか、私はその点はわかりませんが、われわれ経営の立場においてもそういう問題は進んでなるべく早く、すみやかに処置すべきであるというふうに私は考えております。
  195. 寺前巖

    寺前委員 それでは、時間がちょっとあれなんですけれども、さっきから電力会社なんかでも協定が破られているとかいう話が出ましたね。そこで私は、いろいろな地域における紛糾問題なんかもいろいろ出てくるし、それからいまの認定の問題も出てくる。そしてその救済措置もしなければならない。これは過去の実態から現実に発生しているのですからね。だから、そういう意味においては、公害の問題に対して、地域については住民がお互いに自分で守ろうということでああいういろいろな紛糾が起こっているのだから、公選制の選挙で公害対策委員みたいなものを選んで、公害委員会というものをつくって、その委員会が事務局を持って、調査機構を持って調査もやらす。住民が、あそこの工場がどうもぐあいが悪いのだ、やってくれと言ってそこへばっと持ち込んだら、そこが調査に行って一定の勧告を知事なり市町村長にして、そこが権限を発揮する。こういうようにして地域の公害を防いでいくという立場をやったらどうだろうかという意見があるのですよ。これは非常にいいことだと思われるか、そんなことをやられたら私どもは困ったものだといわれるのか、その点どうですか。
  196. 木川田一隆

    木川田参考人 私一人お答えするのは恥ずかしいわけですが、実は変なことを申し上げるようですが、民主社会における選挙で地方自治体の長が選挙された。地域社会の生活感情なり、実情と申しましょうか、その一番理解の深い方、あるいは持つべき方は、やはり地方自治体の長の方だ、私はさように感じます。したがいまして、地方自治体の長の方がこうした人間問題に最も影響のある公害の問題に対しても、地域の理解と対策というものについて適任の方ではなかろうか。そうしまして、国家としてはそれに対するきめのこまかい基準を設定するということが両々相まって、その中にわれわれ企業が積極的に参加する、そして基準以上のよりよき社会にするような最善の努力を逐次的にやる、積極的に条件整備しながら進むというので、あらためて選挙による公害委員と申しましょうか、そういう方は私は地方自治体の長の方でやっていただくのがいまの筋ではなかろうかと存じます。
  197. 寺前巖

    寺前委員 最後にそれじゃ……。
  198. 加藤清二

    加藤委員長 所定のお約束の時間が超過いたしておりまするので、一問だけ許します。
  199. 寺前巖

    寺前委員 いまの問題をそれではもう一度解釈をさせてもらって、地方自治体の首長に、非常に住民と密接しているんだから、大幅な権限を持たせて活動させたらいいというふうにおっしゃっているわけですか。
  200. 木川田一隆

    木川田参考人 そこに政府の全国的な法の問題が出てまいると存じます。政府基準法規とその権限と、地方の実態の把握の最も深い理解を持たれる地方自治体の長との間に、一つの密接なる連絡、協議が行なわれ、両々相まって問題解決に進むのが妥当ではないか。片方にだけ委譲する、委譲しないというよりも、両者の協力体制をさらに密接にして、公害排除の真の目的の達成にどれがいいかという選択の問題が出ましょうが、私はさらにそういう協議を密接化するということが妥当ではないかと考えます。
  201. 寺前巖

    寺前委員 どうもあいまいであれですけれども、あと一問だけです。いまの答弁では非常にあいまいなんで、いま焦点になっておる問題は、地方に委譲せいという声が一つある。住民が積極的に意見を述べる場を、そういうものをつくったほうがいいのじゃないかという意見がかなり出ておるので、そういうものに対してあなたがどういうふうにお考えになっておるだろうかということでちょっとお聞きしたのですけれども、非常に不明確なんですが、私は時間もありませんので、これで質問を終わります。
  202. 加藤清二

    加藤委員長 次は、加藤清二君の順番に相なっておりますが、これ以上継続することは生理的現象その他もこれあり、人権じゅうりんの問題を惹起しても相なりませんので、理事と相はかりました結果、これにて参考人からの意見の聴取は終わります。ただし、質問を放棄したわけではございませんので、後ほど書類をもって質問をいたしまするから、後刻書類で御答弁願わしゅう存じます。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には御多用中のところ、長時間にわたりまして貴重な御意見の開陳をいただきまして、ありがとうございました。  次回は、明七日午前十時理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時四十七分散会      ————◇—————