運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-09-09 第63回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月九日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 始関 伊平君 理事 山本 幸雄君    理事 島本 虎三君 理事 岡本 富夫君    理事 寒川 喜一君       遠藤 三郎君    浜田 幸一君       林  義郎君    佐野 憲治君       土井たか子君    細谷 治嘉君       川端 文夫君    米原  昶君  委員外出席者         参  考  人         (静岡県知事) 竹山祐太郎君         参  考  人         (静岡富士市         長)      渡辺彦太郎君         参  考  人         (大昭和製紙株         式会社社長)  斉藤 了英君         参  考  人         (静岡紙業協         会副会長)   佐野 富男君     ――――――――――――― 委員の異動 九月九日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     藤田 高敏君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  産業公害対策に関する件(水質汚濁対策等)      ――――◇―――――
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  本日御出席参考人は、静岡県知事竹山祐太郎君、静岡富士市長渡辺彦太郎君、大昭和製紙株式会社社長斉藤了英君、静岡紙業協会会長佐野富男君、以上でございます。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございました。本委員会におきましては産業公害対策樹立のため調査を進めておりますが、田子の浦ヘドロ問題について、参考人各位にはそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただくようお願い申し上げます。  なお、参考人の御意見の開陳はおおむね一人二十分程度といたしまして、あと委員質疑の際にお答えくださるようお願い申し上げます。  それでは最初に、竹山参考人からお願いいたします。
  3. 竹山祐太郎

    竹山参考人 きょうは実は御質問お答えをするべく出てまいりましたので、私からまず冒頭発言を求められましたが、そういう心の用意がありませんから、たいへん本県田子の浦の問題について御心配をかけました点は、知事としてまことに恐縮に存じます。したがって、私の責任において、政府の指図を受けながら、全力をあげてこの問題の解決努力をいたしておるつもりであります。ただ、用意その他がありまして、世間が思うようにてきぱきこれは片づきませんが、しかし、現在の状況においては、私の考える予定行動は、そのとおり進んでおりますので、そのことだけを申し上げて、あとは御質問お答えをいたしたいと思います。
  4. 加藤清二

  5. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 富士市長渡辺彦太郎でございます。  きょう、特別委員会参考人として御意見をというお話でございますが、私も何か御質問があればお答えを申し上げたい、かような存念出席をさせていただいたわけでございますので、後刻各般にわたる、私でわかる範囲の御質問についてお答えを申し上げたいと思っております。  先ほど知事からのお話もありましたように、特に富士市の中にある企業から排出をされている問題でございますので、行政責任者といたしましても、鋭意これらの解決のために努力を払いつつある段階でございます。委員各位の今後ともの御協力をひとつ賜わりたいと存じております。  当面いろいろの行政指導を行なっておるわけでございますが、何といたしましても私の存念では、田子の浦港という一つのものの見方でなくて、駿河湾をどうするかという問題に視点を合わせべきだと私は存じておるわけであります。その中における田子の浦港問題をどう処理をしていくか、かように実は考えておるのでございます。かような意味合い政府並びに県等の御指導の中で、当面する排出のもととなる各工場企業排水の浄化を第一義として考えております。現在田子の浦港に注入し、駿河湾に流れ込んでいる排水量日量約二百万トン、こういわれておるわけでございます。二百万トンの中におけるSS、いわゆる懸濁物、これらの占める割合というのが非常に多いのでございます。まず第一番にこの問題の解決に当たるというぐあいで、当面大手十五工場についてはこれらの処置に具体的に入っておるわけでございます。所要額にいたしますと、大手十五社においては約七十億をちょっと上回る状況でございます。さらに一万トン以上の排水量企業も十八カ工場ございます。これらの処理についても現在第一次として八億程度、さらには一万トン以下の中小関係につきましても、現在試算中でございますが、これとても十億前後、これらの資金量が必要になってこようかと思います。しかし、大きな企業負担になることは当然でございますが、問題解決のために、業界皆さん協力方を強く要請を申し上げているわけでございます。  第一次処理だけですべてが解決するとは思ってはおりません。しかし、今後のいろいろの技術開発等々の問題の中で、どうしても集中的に第一次処理に当たってまいる、かように存じておりますので、その中における中小企業のいわゆる経営の負担、こういう点が実は百五十工場にものぼるわけでございます。これらの中小企業の経営不振というものが当富士市のいろいろの産業活動市民活動等に与える影響はこれまた甚大なものがございます。公害対策とは、あらゆる産業活動を停止をして問題解決というのが、なかなか現段階においては困難なような気もいたすわけでございます。特に中小企業対策についていろいろの御配慮を賜わりたいというように考えております。いろいろ御議論のあるところでございまして、産業を擁護する、こういう意味合いの私の発言ではなく、公害対策を前進させる意味においても、実は中小の問題を無視してこれらを進めるということについては、実際市民住民と直接接している市長立場としては、きわめて困難な問題があることだけは御認識を願いたいと思っております。しかし、公害そのものは、今日の社会思潮の中でも、当然住民の要求の中においてもこの問題の始末を一日も早く、一刻も早くつける、この姿勢の中で、今後とも国、県等々の御指導の中で積極的に進めてまいりますことをこの際申し述べて、私の意見の一端にかえさせていただきたいと思います。  今後ともの御指導をよろしくお願い申し上げます。
  6. 加藤清二

  7. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま御指名を受けました大昭和製紙社長である斉藤でございます。本日は、富士大手の十五社の代表というような意味合い参考人として出席せよということで出席したわけでございます。  田子の浦港ヘドロの問題につきましては、たいへん世間に御迷惑をおかけしております点については重々おわびいたしたいと思っておりますし、その責任というものも深く感じておる次第でございます。  私たちといたしましては、この問題を過去にないがしろにしておったんじゃないかというような疑問の点もおありとも思いますけれども、決してさような考えはございませんでして、本日は竹山知事さんもおいでになっておりますが、私たちはどちらかと申しますと、国あるいは県、市の方々の強力な御指導を得て、たとえば岳南排水路というようなものによってこの問題は処理できるものとして考えておった点に、いわゆる甘さがあったのではなかろうかと思いますし、また甘えておったのではなかろうかという点について、ここに一つの大きな考え方として、将来に対してもっと積極的に公害対策に取り組んでいかなければならないんじゃないかという時点に立たされておるわけでございます。  竹山知事さんには今後ともお願いもいたさなけなければなりませんし、また富士市長さんにもお願いいたさなければなりませんし、また国に対してもいろいろと御指導をお願いいたさなければならない点もございますので、後ほどおそらく竹山知事さんからいろいろと諸般の問題について御説明があられると思いますので、私といたしましては詳しくはこの時間においてお話しすることは避けたいと思います。  ただ、当面の問題といたしましては、私たちといたしましては、恒久的な汚水処理対策として、もうすでに七十億円以上の予算をもってこれに取り組んでおります。また、現在緊急の措置といたしまして、十五社においては三億数千万円をもってとりあえずのことをやろうというようなことで、鋭意それに努力いたしておる次第でございます。また、操短という問題もございますので、減産措置などを考えまして、それぞれの会社においては二割とか一割とかということで、いかにしてヘドロを減らすかということで努力しておる点について皆さん方の理解ある御同情をお願いいたしたい次第でございます。  企業というものは、御承知のとおり、私たち個人のもので成り立っているわけでございませんので、御承知のとおり、企業というものは株主のものであり、そこには金融機関からばく大な借金をして大きな設備投資もしておるわけでございますし、また特に減産あるいは操短ということになりますと、当然ここに労働組合従業員組合から、われわれの生活権はどうするんだ、いわゆる休業によって私たちの給料は減るんじゃないかという問題も出てくるわけでございまして、すでに当社の労働組合をはじめといたしまして、紙パ労連傘下会社組合からは、いわゆる減産問題について厳重な抗議がきておるというのが実情でございます。  私たちといたしましては、本件につきまして、いわゆる企業の存立ということを考えながら、できるだけのことをしておるというのが現状でございますので、その点について理解ある皆さん方の御同情をいただきたいと思います。  ただ、この機会にお願いいたしておきたいことは、昭和二十六年から岳南排水路というものを継続させていただいておりますけれども、こうしたことによりまして、われわれがいわゆる恒久的な公害対策に対しての設備をする関係で、このいわゆる岳南排水路事業というものは将来継続されていくものであろうかどうかという問題でございます。と申しますのは、いままでのそうしたものに対する投資はどうなるだろうかという問題、また今後それに対して投資していった場合には、どういうことになっていくだろうという一つの大きな疑問と、一つの不安があるわけでございます。それにつきましては、富士市長さんも非常に心配しておりますしばく大な金がここにかかるわけでございまして、いわゆる金の面ばかりでなく、技術的な面においても抜本的な一つの御方針をいただければ非常に私たちとしても幸いでございます。  富士郡の製紙というものは、明治の時代手すきから始まりました。富士郡には現在紙幣の原料になっておりますところのミツマタというものがございまして、手すきから始まって大正時代機械ずきになりました。  なお、大正時代に、王子製紙の合併前の会社であります富士製紙工業、すなわち大川平三郎さんが初めてあそこに、現在の富士本州製紙富士製紙というものを設立いたしまして、ここに初めて化学パルプというものを設立いたしました。そうした長い歴史の中に富士製紙というものは育っております。そうして、こうした日本産業の発展とともに、現在富士市には、先ほど富士市長さんがお話しになりましたように、百五十社以上のいわゆる製紙会社がございますし、それに働く従業員は一万七千人以上になっておるわけでございまして、それに伴うところの家族などを含めますと、七万人以上になっているはずでございます。また、これに伴いまして、その製紙機械を製造する方々、修繕する方々を含めますと、富士市の十八万人口の少なくとも半分以上はいわゆる製紙関係しておるということをひとつ御認識いただきまして、私たちが今日この問題について非常な不安感の中に、今後どうしていくだろうというところに立たされていることをひとつ御認識いただいて、御同情ある御処理のしかたと御方針をいただければ私としては非常に幸いだと思っております。  どうか今後ともひとつよろしくお願いいたしまして、私のとりあえずの陳述を終わらしていただきます。  たいへんありがとうございました。
  8. 加藤清二

  9. 佐野富男

    佐野参考人 本日は、私ども富士市及び富士宮市の製紙及びパルプ公害問題につき、委員会の皆さまにたいへん御心配をおかけいたし、申しわけなく存じております。  私は中小企業立場から申し上げて、諸先生方の御理解と御配慮をお願いいたします。  われわれ中小企業は、ちり紙製造工場が六十九社、段ボール原紙など板紙工場二十二社、よりひも原紙工場十社、印刷せんか紙工場六社、その他十三社、合計百二十社を数えており、その生産額は年間百八十二万トンで、地域全体の三四%を占めておりますが、木材化学パルプ生産は一社のみでパルプ全体の四%程度にしかすぎません。これらの中小企業富士市に集中しており、豊富な地下水排水缶南排水路利用により順調な発達を遂げ、ちり紙生産高は全国の三七%をはじめとして、内装用板紙の三四%、ひも原紙の八八%、印刷せんか紙の六六%等、おのおの全国的に重要の産額をあげております。しかるところ、一昨年の東京電力の富士川火力発電所設置反対運動の台頭のころより公害問題がようやくやかましくなり、まず大手会社大気汚染問題等解決を急がれ、大企業より中企業大気汚染対策設備を進めてきたやさき、本年春ごろより田子の浦港ヘドロ問題が突如大問題に発展し、現在その解決をめぐって県、市、企業者漁業者、ともども呻吟しておるのが現状でございます。世間では私ども企業者排水田子の浦港にたれ流していて、その全責任企業者にあるとして強い批判と叱責を受けておりますが、この排水は、昭和二十六年以来、県営事業である岳南排水路により国、県、市等指導のもとに駿河湾に注がれていたもので、田子の浦港はこの排水路の下流に昭和三十二年以後に築港されたものです港内のヘドロは、私ども排水中に含まれている浮遊物質がその大部分でございますので、私ども責任は回避できませんが、私ども全力を尽くして排水処理施設を実施いたしますので、ぜひとも火急の御措置をゆるめて、漸進的の御指導を賜わりたいと存じます。ことに私ども中小企業現状は、金融引き締め、大企業の進出、労働力の不足、公害対策施設等にあえいでおりますので、何ぶんの御考慮を賜わりたく、次の要望事項については特に御審議をいただきたくお願いいたします。    要望事項  一、排水処理設備費特別融資ワク措置と格段の助成措置をお願いしたい。  二、水質基準等の設定にあたり弱小の中小企業については漸進的措置をお願いしたい。  三、中小企業地域ごとの共同による排水処理設備などを機会に協業化など産業構造の改善について行政指導をお願いしたい。  四、中小企業は技術的の水準が低く、かつ技術者もないので、国、県等技術指導をお願いしたい。  五、田子の浦港ヘドロしゅんせつ費企業負担は、中小企業にとっては非常に苦痛なので、今回の緊急措置分はもちろん、将来の負担分についてもその割り当てと金融等につき特別の措置を講ぜられたい。 以上でございます。
  10. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと佐野さんにお尋ねしますが、いま要望事項が出たようでございますが、それは各員に知らせるように、書類用意ができておりますか。
  11. 佐野富男

    佐野参考人 つくってまいりました。
  12. 加藤清二

    加藤委員長 それではそれを配付してください。  以上で、参考人からの意見聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  13. 加藤清二

    加藤委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  先ほどの理事会の申し合わせにより、まず、竹山参考人に対する質疑を行ないます。  竹山参考人に対する質疑は、各自十分以内にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。始関伊平君。
  14. 始関伊平

    始関委員 いま日本じゅうの注目を引いております田子の浦ヘドロ公害問題につきまして、きょうは竹山知事はじめ参考人方々、われわれの委員会おいでをいただきまして、ただいまそれぞれのお立場から御所見を聞かしていただきましてありがとうございました。いまお話のございました点や、またお触れになりませんでした点につきまして、私から最初竹山知事にお尋ねいたします。  最初にお尋ねいたしますことは、この公害問題と知事という役職と申しますか、立場関係の問題についてでございますが、ちょうど国における総理のように、その県における知事さんの立場というものは非常に高い。どんな問題が県内に起こりましても、またトラブル、対立抗争、その他一切のめんどうな問題につきまして、それを解決することが知事の政治的な責任に属するというふうに普通考えられておると思います。  そこで、政治的責任だけを負わされまして、行政上、法律上の権限がなくては、これは片手落ちということになるわけでございますから、特に公害のような地方的な、あるいは地域的な問題につきましては、その処理権限を大幅に地方に、つまり知事に委譲するということが政府方針でありますし、また着々と委譲しつつある、こう考えるのでございます。  このような観点から申しますと、後ほど行政責任の問題につきましてはまた別に伺いたいと思いますが、ヘドロ公害問題の解決について、たいへんこれはごめんどうな話でありますが、知事さんというものがやはり最高の、そして唯一のと申してもいいと思うのでございますが、責任者であろう、こう考えます。この点についての竹山知事の御所見と決意というものを最初に伺いたいと思います。
  15. 竹山祐太郎

    竹山参考人 たいへん御心配をかけて恐縮に存じますが、御質問知事責任ということは、おっしゃるとおりざっくばらんにいえば一切の責任知事にあるということは私も政治家として心得てやっておるつもりであります。ただ、実をいうと、公害の問題というものを、今度私は初めての体験ですけれども、やってみますと、行政的には非常に複雑に各省にわたっておって、これを知事が一括して処理するということは不可能に近いということを実は感じまして、知事会としても、お説のように知事にもっと権限を移せという意見もありますが、たまたま私は今度知事会公害特別委員長を仰せつかりまして、この間山中大臣にもお目にかかって、実は私はこういう役で、これは政府との連絡役のつもりで引き受けたのだ、ただ政府は、公害がやかましくなったから知事に全部権限を渡せば片づくように考えられちゃ、知事としてはなかなか承服はできない、これを知事がやれるようにしてくれる内容については、知事会政府との間でよく十分事前連絡をとりたいと思うということを申し入れてあります。そういう私の気持ちば今度の実感から出たことでありまして、これは別にどっちがいいとか悪いとかという問題じゃなくて、一切の責任は負いますけれども、負ったからといって問題が解決できないというところに、この公害だけというわけじゃありませんけれども、特にむずかしさがあるということを申し上げて、前提としての知事責任は、あくまで私は当然考えております。
  16. 始関伊平

    始関委員 ただいま御指摘のような点もございますので、われわれも政治的な責任を持つ知事が、実質的にその責任を果たし得るような体制を整えるために、今後ともこれを推進してまいりたいと存じております。  そこで、知事さんの行動をわきのほうから見ておりますので、あるいは見当違いなことを申すかもしれませんが、この公害の問題は、一部におきまして、製紙業界市民一般、特に水産業界との対立といったような関係になることはもちろんだと思いますが、この話し合いというものを機会をつくったり、推進するということも知事さんの大きな役割りではなかろうかと思いますが、今日まで、これはたいへん御心配になっておるのにこういう御質問をいたしましては恐縮でございますが、関係業界などに対しまして、どんな御指導をなさってこられたのかということ。  それからもう一つは、これもちょっと見当違いであればまた御指摘をいただきたいと思いますが、いまお話しのとおり、知事は御自身政治的責任に属するということを十分御承知で、先般山中公害担当大臣にお会いになったときも、この問題の解決は自分にまかせてほしいというふうなお話をなさったそうでありますが、一方、最近の新聞紙などによりますと、この問題に介入するのは時期がいささか早いんじゃないかというような談話もあるように存じます。しゅんせつの開始というものの予定の時期もだいぶ近寄っているようでございますが、同じ県がやると申しましても、知事が御自身で出馬になりますのと、副知事以下をお使いになってやります場合とでは、政治的な効果というものはずいぶん違うと思うのでございます。それが実際だと思うのでございまして、知事自身が陣頭に立って、あるいは率先して解決に乗り出していただく時期ではなかろうか、こんなふうに存じておりますが、これにつきまして、御見解をひとつ伺いたいと思います。
  17. 竹山祐太郎

    竹山参考人 私の努力が足りないというおしかりは甘んじて受けますが、実はこの問題はきょうこのごろ始まった問題じゃないわけでして、いま斉藤社長が言われたように、富士というところは紙屋と全く一体の自然発生的というと大げさかもしれませんが、恵まれた条件をもとにして長年の歴史と伝統の中に発展してきた産業であります。それですから、よくあるように、税金が入るために工場を誘致したというような、そういうものじゃない。したがって、これをただ産業というだけで考えられないということは、いま言われたとおりでありまして、私も実は選挙区じゃなかったから詳しいことは知らなかったのですが、知事になってからこの事態を見聞きするうちに、これはなかなかたいへんな問題だぞということが、実感として持つようになりました。  前のことは申しませんけれども、実はことしの五月、私は市町村を毎年一回ずつ回るものですから、富士市に行きましたときに、その前の年に大気汚染で騒動があったぐらいのところですから、私は大気汚染の問題は法律に基づく対策が着々と進行しておるから、もうそう心配することはない。しかし、この残った水の問題は、そうはいかぬ。この点について私に率直に意見を述べさしてもらうから、それをひとつよく考えてほしい、ということは、いままで県が、しばしば出てくる排水について県の事業として仕事をしてきた。このことには十分の理由があって、政府もそれに応援をしてきた。そのことを私はいまさらどうこう言うのじゃない。ところが、そういう姿というものがいまどういう結果をあらわしておるかというと、関係企業者はどんなものを流しても、これは県があと始末をしてくれるという素朴な気持ちになっているのじゃないか。それだとするとたいへんな間違いになってくる。そういうところは県下に一つもない。これは例外としてやったことだけれども、私はやはりその流すものについては企業者も市も、これは県にまかせておれは知らぬということを許される今日の時代じゃないぞ。したがって私は、これからこの問題に取っ組まざるを得ないと思うが、その前にまず一つ私から注文がある。市と市会企業者と、一体になった体制を私に示してほしい。おのおのかってなことを言っておったのじゃ県はこれに対応する策をつくるわけにいかないということを、私は少し強い発言を、実はみんな関係者のおるところでしました。その結果、だいぶごてごてしました。それは県はいまごろ何だという意見を言うのも当然のことですけれども、私は私の政治家としての判断からそういうことを申した。  ところが、一月ほどかかりまして、おもな企業者市会と市が、一体になった対策協議会というものを私のところへ、これで今後対処いたしますということで持ってきましたから、それは御苦労でした、私もそれを相手にこれからやりましょうということをいたしたわけでありまして、自後実は私はそういう対象を考えながら、政府にいろいろ具体的な対策を呼びかけてみたのですけれども、事務的には実をいうとどうにもなりません。たまたま政府が、山中大臣から、出てこいというお話ですから、私は即刻参りましたら、今夜一ぺんにきめてしまおうとおっしゃる。まことにありがたい。それなら私の言い分も聞いてほしいということで、山中大臣のところで各省のいろいろな食い違った意見を総括をしてくれて、一応のいわゆる応急対策及び恒久対策を含む方向をきめてくだすった。それから問題は始まったので、実はそれまではどうにもならなかった。そこで初めて船の注文もできるし、外洋投棄の準備もできるしというわけでありまして、いま私が何もしないのじゃなくて、その準備を着々いまいたしておる段階でありまして、船が来なければ話にならぬわけでして、やりようはありません。  それから、漁業者との問題は、これはなかなか長い間の問題で、簡単に私が中に入って話したからといってできると思わないから、言い分は言うだけ言いなさい、しかし、私は外洋投棄はするぞということを漁業者には申しておるわけで、この点はいささかも変えておりません。ただ、いま漁業者業界に対して操業短縮をしろという要求、これは実は知事はその権限は持っておりません。したがって、私はこの問題のいい悪いを言う力はありませんから、漁業者が言うことを悪いといって押えるわけにもいきません。また、それをけしかけるわけにももちろんいきません。だから、私は静観せざるを得ない。もっぱらいま企業者と市と一体になって、当面必要な緊急対策と恒久対策を進めておる。漁業者には今後も話し合いの努力はいたすことはもちろんでありまして、決して私は手を抜いておるつもりはないので、船ができるまではどうしようもないということを正直申し上げておきます。
  18. 始関伊平

    始関委員 古い歴史のある問題でございますから、竹山知事はいわばいままでたまった問題のあと始末をするということで、たいへん御苦労だと思います。  ただ、いまのお話にも大体ございましたが、たれ流しの直接の責任はもちろん企業にある。しかし、あの排水路自体が県のおつくりになったものである。それから港も県のものである。二つのものがつながって、しかも、その排水路に未処理の水を流すことを県がお認めになったというような事実もございまして、これはやはり長い歴史のあることでございますから、いまの知事にあまり責任追及のようなことを申すのは恐縮でございますが、やはり県としての行政責任というものがそこにあるのじゃなかろうかということについて一つお尋ねいたします。  それから、時間がございませんので合わせてもう一つでございますが、しゅんせつのためには金が要る。その金の出し方は、これは要するに国や県の行なう公害対策事業に対しての企業負担割合の問題ということになると思うのでございますが、八億二千万円というこれは支出費用のうちで、一億二千万円が県だ、あと七億は県の起債を通じて企業負担だということであるようでございますが、これは従前の富士市、企業、県のしゅんせつ費用の負担割合とは違うのでございますが、従前のやつは通常の場合のしゅんせつ割合だし、今度は緊急の場合公害対策としてのものだというふうな違いがあるのだと思いますが、従前と負担割合が違ってきたことに対する御説明と、それから来年度なんかはどういうふうになさるおつもりなのか、もしお考えがございましたらその点も合わせて伺っておきたい。
  19. 竹山祐太郎

    竹山参考人 ヘドロ処理の費用の負担ということについては、いろいろ分析して研究すればむずかしい問題があると思います。しかし私は、山中大臣ときょうきめちゃおう、とこういう話です。そこで、私は政治的判断をいたしたわけでして、一億二千万円というのは県がすでに予算できめておりますから、きょう出しても使える。大体八億要るという目算だから、じゃそのあと七億は、ひとつ国が資金の心配をしてくれ、まず企業者が持つ以外に、いまどこへも持っていきようがないという現実処理をいたしたわけでありまして、いままでの政府の補助金に対する負担割合なんということを考えたわけじゃありません。だから率がどう違うかということも全くの臨時処置でありまして、多い少ないは、それぞれ言い分はありましょうけれども、私はこれをがまんしてもらう以外にしようがないということを帰るとすぐ市にも、市会にも、紙業協会にも私の決定を申し上げたようなわけでありまして、何も数字的といいますか、そういう根拠に基づいてやったわけじゃありませんので、私の一にかかって政治的判断であります。したがって、これを今年度中やって来年どうするかということは、無計画ではありませんけれども、私はいま考えておりません。これを当面やってみた結果、私は新しい問題がどうなるかということは実行してから考えたほうがいい。ということは、現に、きめるときにはまだいまの企業者がどれだけの恒久対策を急ぐかということはきまってないときです。しかし、私はやると思ったのですが、案の定このごろお話しのように非常に急いでやり出した。ということは、このヘドロ処理をいつまでも負担させられたのではたまったものではない、同じ金をかけるなら恒久施設をしようというのは商売人としては当然な話です。ですから私は、こんなことをいつまでもやっている気は率直のところありませんから、いまはこの額でひとつ集中的に事態の緊急処理をするという考えであります。
  20. 始関伊平

    始関委員 ただいまの私の質問に対して、行政責任の問題がございましたが、もしお答えございましたら、次の質問と御一緒にお答え願いたいと思います。  堆積物は外洋投棄ということに方針がきまっていると思いますが、これはそのとおりだと思いますが、いかがでございますか。  それから、聞くところによりますと、山砂利の採取したあとなどに埋めるということも技術的には可能だというお話でございますが、この方法についてもし御研究がおありでしたらお聞かせいただきたい。  それから、なお今後の問題といたしまして、これはもう一日も早くこういう作業はやめなければいかぬわけでございますから、企業自体の発生源の対策が一番根本だと思いますが、そのほかに岳南排水路の終末処理機構、これをどうするかという問題、放流方法をどうするかというようなことが将来に向かって非常に大事な問題でありますが、以上三点につきましてお答えいただきたいと思います。
  21. 竹山祐太郎

    竹山参考人 行政責任は毎度申すとおり知事にあると私は考えております。  それから、外洋投棄以外の問題というものは、もうおっしゃられるまでもなく、われわれとしてはあらゆる研究をいまいたしております。実は先ほど申した対策協議会ができまして、私のところへさしあたり三千万円でひとつ調査をしようというから、わかった。それじゃ一千万円は県が出しましょうと言って、これも県も金を出していま研究をいたしておるわけでして、あれば実はやりたいんですが、それに時間をかけておってそれで済むというもんじゃないもんですから、全くの緊急処置として外洋投棄を決意をいたしておるというのが事実でありまして、お話しのようにいろんな問題をいま研究をしております。実はこのごろ、最近になりますと、そのヘドロを原料に利用したいからというもう次の段階の申し込みが殺到してきておるような、世の中はなかなか先回りが多うございますから、あるいはこれで金もうけになるかもしらぬというようなことも考えられるような情勢であります。  それから、もう一つ終末処理の問題は、いまお話しがありましたが、当初に計画した時代と情勢が非常に変わってきまして、各会社がもう根本的な対策をしておりますから、したがって、それの見通しを見た上で計画を練り直しませんと、当初の計画を二重にする必要はもう全くなくなりましたから、構想を変えなければならぬと思います。やることはやりますけれども、その見通しを見てからやっても決しておそくないというふうに考えております。
  22. 始関伊平

    始関委員 それでは、これで終わります。
  23. 加藤清二

    加藤委員長 次は、島本虎三君。
  24. 島本虎三

    ○島本委員 竹山知事に集中して、時間の関係でやることになりますので、ほんとうは全部関連するのでございますけれども、ひとつ部分的になる点はお許し願いたいと思います。  いま始関委員にいろいろ御答弁がございましたが、その中で、事務的にはどうにもならない。各省の違った意見を調整してくれたおかげで、今回これができるのだ、こういうような御意見があったようです。そうなりますと、どうにもならなくなっているこの事態、これは国の責任だというふうに相なろうかと思うのでございまするけれども、この点についての知事のお考えを承りたいと思うのです。
  25. 竹山祐太郎

    竹山参考人 私はしばしば県会でも答弁しておる私の政治家としての考え方は、事公害という字を使うような問題は、国、県、市町村及び企業者、これはもうみんなが共同責任だ。したがって、根本は国会で法律できめる。それを国が実行する。その下を受けて県、市町村がやる。企業者も当然の責任があるというのが私は当然なことであって、国に責任がどの程度ということはいろいろ違いますけれども、これは今後の問題だと思って、あることは確かだと思います。
  26. 島本虎三

    ○島本委員 先ほどの御意見の開陳の中で、政府の指示を受けながらこの問題の解決をしたい。御意見の開陳の中にそれがはっきり出されました。私がいままでの経過と、こういうようになった結果にかんがみまして、県独自の恒久対策、県独自のこれに対処するところの応急対策、これ二つがなければ、これの問題の解決には断じてならないのではなかろうか、こういうように思っているのです。いままで意見の開陳がございましたが、政府の指示を受けながらというのと、各省の違った意見を調整してくれたおかげでこれができたということに対しては、何か県独自のものがない。県にもこの問題についての発言や、まあ責任とは申しませんが、あえて権限がないものである、こういうふうに思うのでありますけれども、この点はどうも私の考えと一致いたしません。県自身の恒久対策または応急対策、独自のものをお持ちでしょうか、御開陳願いたいと存じます。
  27. 竹山祐太郎

    竹山参考人 私はないとも申しませんが、県だけの独自の計画というものを別にそう力んでやらなければいかぬと考えておりません。これはすべて国との関連において起こってきた問題であるし、また起こる問題でありますし、国が全然関係のないということは言えません。ただ、いま始関委員のおっしゃるように、制度が、法律が変わってきて、もうこれからはみな知事がやるんだということになれば、これはおのずから別ですが、いまはそうなっておりませんから、御意見とは合わぬかもしれませんが、私は国と県が共同でこの問題を処理するということは、いささかも不当ではないという考えであります。
  28. 島本虎三

    ○島本委員 いわゆる水に対する汚濁の問題、これは国が出しているのであれば、国です。この原因者はこれ企業である。これはもうだれ人も認めるところであります、そうすると、企業の関連でというのならわかりますが、国の関連でということは責任回避ではございませんでしょうか。この点は私は若干抵抗を感ずるのでありますけれども、お考え、間違いございませんか。
  29. 竹山祐太郎

    竹山参考人 責任回避とおっしゃられる点がちょっと私にはのみ込めません。
  30. 島本虎三

    ○島本委員 どうも遺憾に存じます。  では、次にお伺いしますが、三十六年から三十七年にかけまして、この駿河湾の海域調査、そうして水質基準指定の段階になりました際に、静岡県当局は、指定をしないでもらいたい、水質基準の指定を拒否なさった。これは何か目算があったとは思いますが、なぜこれをなすったのか。また終末処理施設を持たない排水路で、企業にこの処理施設を義務づけるのに必要な水質基準の設定、これを県が拒否したということ自体は、これはやはり問題があるのではなかろうかと思っておりました。そうすると、いまはこれは国の責任であって、企業責任でもなくて、その関連でもないとおっしゃいましたが、こうなりましたならば、やはり県当局の一つ指導というようなものが出てきているわけじゃございませんでしょうか。私はこの点についても十分の解明を願いたいと存じます。
  31. 竹山祐太郎

    竹山参考人 まあその点になりますと、私の就任前の問題でして、どういう考え方でやったかということは、これは私にはちょっとわかりませんから、想像論をするわけにはいきませんが、もちろんこれは政府と話し合いの結果、まだ水質基準がきまっていなかったことだけは結果的に明らかであります。  そこで、いま急いで私も政府に要請をして、今月中には水質基準をきめることになった。これが今日の段階でありまして、過去のことについては責任は負いますけれども、私にどういう考え方だったかということをおっしゃられても、これはちょっと困りますから、お答えはできません。
  32. 島本虎三

    ○島本委員 やはりその点が――これは現知事にお伺いしておるわけなんですけれども、やはり原因があれば結果があるものでございます。経過があってこそここにまたいろいろな問題も、これも起こっておるのでありまするけれども、前知事責任だからおれの責任ではないという考え方は、これはやはり県の公共団体の長としては引き継いでおられるお仕事でもありますし、そのもの自体が県民を全面的に拘束している問題にもなりますから、これは私の責任じゃないんだということばは、私はどうもいただけないのであります。ここでどうだこうだといっても、これはもう結論にはなりません。しかし、私はあくまでも県自身、あなた公共団体の長としての責任にあるわけでありまして、この点前知事がやったことだから、私はよくわかりません、こういうふうに言いましても、依然としてその責任はついて回るのであります。何か目算があって県当局が指定しないでもらいたいと、これを拒否なさった。このことから始まっておるようであります。もしそれを御存じなければ、これはどういうようなことになるのでしょうか。条例は県が制定することになっておるようでございます。これほど、いままでの調査によりましても、だいぶこれが多いのでありまするけれども富士地区では、紙パルプ工場が百七十工場あるようでございます。それで大企業と目されるのは二十八、中小が百四十にもなっておる。そして三十九年には工業整備特別地域に指定されてございます。田子の浦港の整備の促進と、特別都市下水路の建設整備、こういうようなのを進めながら企業が誘致されておる現状であります。そうなりますと、これはやはりその時点からこれに対する対策は万全をきわめておかなければ、当然こういうようなことが予想されるということは論を待ちません。私はそのあとでなおさら疑問だったことは、四十二年に県水質基準設定を見ましたけれども、条例によっての基準がないので行政指導程度のものしかできなかったということを伺っております。これは条例があるのでしょうか、ないのでしょうか。もしなんでしたならば、条例によってこの基準がどのようにきめられておるのでしょうか。ない以上、条例があっても、ないといたしますと、これは当然行政指導ということよりもしようがないのではなかろうかと思われます。この沼川地域でございましょうか。鈴川工場排水のあるところ、この水質基準は、これは指導基準ということになりましょうか。汚染度が二〇〇PPM、普通の河川では二〇くらいがまずまずというところ、それが二〇〇PPM、こういうようなことで御指導なさっておられたようだ。岳南排水路完成までの、暫定的にA水域として特別二五〇PPMとして認めておられたようであります。海の場合には一か二PPM、これが普通のきれいな状態と申しましょうか、そういうような状態でございまするけれども、川の例からしても十倍以上、どうもこの指導基準自身も立て方もおかしいのじゃないかと思いますが、実際これに流しておった水を調べた結果によると、これは二七〇から三〇〇PPMくらいになって排出されておったということを聞いておるのです。これはやはりあくまでも私の責任であるということではないとあなたはおっしゃるかもしれませんが、県自身の問題じゃございませんでしょうか。県自身指導ではないでしょうか。この結果がこういうようになったというと、やはり県自身もこの問題に対しては考えなければならない問題があるのではございませんでしょうか。知事の御見解を賜わりたいと思います。
  33. 竹山祐太郎

    竹山参考人 前知事のやったことに私は責任がないということを申した覚えはありませんから、どうかそれはあらためて確認をさしておいていただきます。私は、行政の継続性ということは政治の大前提ですから、もちろんだれのやったことだって現在の知事として一切の責任を負うということを申しております。  それから、いまの水質基準のことは、指導はいろいろやったかどうか知りませんけれども、要するに水質基準の法律に基づく基準はなかったことは事実ですから、したがって、いろいろそういうことをいまいい悪いといってみたところで、これからきめてやるというのがいまの時点でありますから、いままでなかったことは悪かったと言われれば、私があやまる以外に方法はありません。
  34. 島本虎三

    ○島本委員 これはそうむきにならぬでもいいのでございますよ。これはやはりこれから解決しなければならないので、ここでいい方法を見出し、また進路を、もしものろかったならば早めよう、少し行き過ぎていたならばもう方向を転換してもらいましょう。この意味での一つの重大なる提起である、提案である、こういうように解しまして、言ってもらわないと、県民のために困る。私の立場で国民のために困るのですから、まあそうむきにならぬでけっこうでございます。  それで、条例によって基準を定める。条例自身の設定は県当局になっておりますが、条例はあるのでございましょうか。
  35. 竹山祐太郎

    竹山参考人 公害に関する条例はあります。ありますが、実はだいぶ古いものでして、いま私は根本的に検討を命じております。あわててやらないのは、実はどうせこの通常国会でこれに関する法律がたくさん変わると思いますから、それをわずか数カ月の前に改めても悪いことはありませんけれども、私は、法律の大体の方向を見通して、この暮れの県会で条例の大改正をいたすつもりでおります。あることはありますが、実はそれほど効能の、ないとは言いませんけれども、ずいぶん前につくった条例ですから、いまの時世には合わぬことのほうが多いということを正直に申し上げます。
  36. 島本虎三

    ○島本委員 正直に言ってくださいましてありがとうございます。しかし、やはり条例の制定の責任知事ですよ。したがって、そういう条例があるということは知事責任になるのですよ。これだけははっきりしております。そしてそれがあっても基準をきめておらない。したがって、行政目標としての行政指導だけしかそれに入らない。したがって、いまのような、私が読み上げたような数字、こういうようなものも出るのでございまして、この点はやはり県民のためにもきちっとされておいたほうがよかろう。これは、三十六年当時からこの問題がもうそろそろ出ておりますから、準備されておいたほうがよかったと思います。それはそれとして、今後はっきり改める、こういうのですから、可及的すみやかにこれはやるべきだ、こう思います。その点の手抜かりがあったということは認めざるを得ません。  それと、これはいかがでございましょうか、岳南排水路、これは四十六年完成のめどで、二十六年から着工されたようでございました。終末処理施設、この問題等につきましては、途中で、またあとのほうかもしれませんが、費用負担の問題でいろいろ問題があったために、県は進んで企業負担が大きいのと施設の膨大なのをもって海中放流に切りかえた、こういうようなことがわれわれの耳に達しております。そうすると事業主体には、終末処理をしなくてもよろしいのだ、建設管理費さえ負担してくれればあと岳南排水路に流してよろしいのだ、漁業補償はそれと合わせてやったらいいじゃないか、こういう御指導が県当局であったようでございます。したがって、企業はその線に沿うて一生懸命に能率をあげた結果が、現在のようなヘドロ騒動じゃないかと思われるのであります。私は、安易な指導、こういうようなことではやはり重大な問題があるのではないかと思うのです。そして知事としても、これは当時の建設省はどういうふうに指導したのか、この点も私としては疑問なんです。しかしながら、こういうような点については、やはり県当局の指導があまりにも企業寄りでございまして、そしてこういうようなことが当然招来されることに対しての条例もなかったことと合わせて、あまりにも軽く見過ぎておったのではなかろうか、こういうように思われるわけです。これに行政当局、たとえば建設省なり、または経済企画庁なり、あるいはまた通産省なり、このほうから、こういうふうに指導したという事実がありましたならば、ひとつ解明を願いたいと思います。今後のためにこれは重大であります。いま私が言ったのは資料に基づいての発言でありますけれども、この点についての御解明もまた願いたいと存じます。
  37. 竹山祐太郎

    竹山参考人 過去においていろいろな情勢の変化に応じて、行政がそのときの考え方をもってきたことはいろいろあろうと思いますが、そのときの役人を責めてみても、いい悪いはどうしたってきまりませんが、私は、総じて現実を考えて、この事態に対応する処置をとることが緊急だと思うものですから、あまり過去のことについてせんさくもせずまた研究もしませんけれども、いろいろお説のようなこともあったかもしれません。しかし、それは過去のことでして、だれが悪いといっていま責めてみてもそれで問題が片づくわけのものではない。したがって私は、この際、先ほど申したように、地元も紙と運命をともにしておる市なんだから、市と一帯になってひとつこの問題に当たれ、そうすれば県も一緒になってやるという態勢にいま切りかわってきましたから、これによって今後の問題の解決をすることがみんなのためになるというふうに考えますので、私はこの際、過去のことをかれこれ理屈を言ってみても、それは相手は役人のやったことですから、あるいは十分に徹底しない面があったかもしれませんけれども、これをいま私は責める気にはなれないというのが率直なところであります。
  38. 島本虎三

    ○島本委員 過去過去と申しましても、過去が現在になりそれが未来になるのでございまして、一貫したそれに対する行政責任者が県におきましては知事なのでございまして、その点、過去のことはやらないとするならば、これはどうも私自身としてあまり、そうですか、よろしゅうございますとは言えないのです。ただ現在これからの問題に重点を置くとするならば、このヘドロ対策、これはどういうような点がきめ手でどういうようにしたらいいのだ、これはこれからの問題です。これに対してはっきりした決意を御開陳願いたいのです。
  39. 竹山祐太郎

    竹山参考人 はっきりした決意ということは、この間山中大臣ときめていただきましたあの方針、すなわち恒久対策にはまずとりあえず十億の事業団の資金を中心に業界が根本対策をできるだけ早くやる。中にはこの年内に完成するのもありますから、来年の半ばまでにはおおよそできるという見通しでかかっております。  それから、たまってしまったものの始末は、いろいろお話のように、陸上処理その他、研究は今後も続けますけれども、当面緊急処置としては、外洋投棄以外にこれを救う道はないという決心でこれを実行するつもりであります。
  40. 島本虎三

    ○島本委員 外洋投棄をするとすると、やはりその中の汚染された物質は、これはそのまま永久に抹殺されるものでもなく、そのまままた流れることになり、それがまた漁場を荒らすようなことになり、近くでは瀬戸内海の問題がいまや問題になり、外洋その他に流しましても、それはやはり危険だという思惑は当然漁民の中には出るのじゃなかろうかと思います。そうなりました場合には、きめ手でなくてもそれでやるのだという知事のお考え、よくわかりました。問題になるのは漁民ではございませんでしょうか。漁民とひざを交えて誠意を十分披瀝してお話しなすったことはございましょうか。この点についてまずお伺いしたいと思います。
  41. 竹山祐太郎

    竹山参考人 いや、それは内々は何回も話をしておりますけれども、相手の立場も考えてやらなければいけませんから、私はそうはでな交渉はまだいたしていないことは事実です。しかし、話し合いはいろいろな手でやっております。問題は、外洋投棄はいかにも毒物を海へまき散らすようにとられますけれども、この点は非常に慎重にいま関係者が研究をしておってくれまして、ほとんど水を持っていって方々に広くまき散らすということもやっていくつもりでありますから、きのうも実は試験をしてみましたけれども、硫化水素の問題はもう心配はないということを、労働基準局も参加をしてテストは終わっておるような状況で、今後も慎重に――もちろんわれわれは決してこれを一番いい方法だと思ってやるわけではないので、これ以外に道がないものですから、やむを得ず緊急臨時の処置だということを覚悟してやるつもりであります。
  42. 島本虎三

    ○島本委員 知事のそれに対する態度はわかりました。わかりましたが、どうもこれで解明したというほどにもなっておりませんし、その結果がいろいろ及んでおるようでありますから、あとは別別に質疑してこれを解明してまいりたいと思います。  なお、今後漁民とひざをつき合わせて話す、誠意を示す、その誠意を示さないで、口先ばかり、またはどろをかぶらないで問題の解決、こういうようなことはやはり最近なかなか困難でございます。この点等につきましては、特にひとつ勇断を望みまして、この問題の一日も早く解決されるように先頭に立って行動してもらいたいことを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
  43. 加藤清二

    加藤委員長 次は、岡本富夫君。
  44. 岡本富夫

    ○岡本委員 知事さんに質問を集中することになっておりますので……。  先ほどからも聞きましたり、またいままでの報道によりますと、八月十一日知事さんが、山中長官に、出てこい、こういうことでこちらに来られてそうしてきめたのだ、こういうお話でございましたが、そうしますと、それまでの具体策、そうしたものを県のほうでおきめになってそうしてこちらにお出ましになってきめたのか。きょうきめてもらうということですからきめたのだ、こういうお話でございますが、その点はいかがですか。
  45. 竹山祐太郎

    竹山参考人 もちろん、私の考えを申したわけであります。
  46. 岡本富夫

    ○岡本委員 そのときに、知事さんは漁民の方の――外洋投棄すると漁民が非常に困る。御承知のように、きょうのテレビを見ましても、伊予三島ではヘドロがたくさん台風のために出てきて、たくさんの魚が死んでおります。こういうことのようでございますが、先ほど知事さんのお話をちょっと聞いておりますと、漁民は前からいろいろなことを言っていたんだと非常に簡単にお考えになって外洋投棄をおきめになったんじゃないか、こういうような感じがするのですが、いかがでございましょうか。
  47. 竹山祐太郎

    竹山参考人 私は、簡単にしろと言われても簡単に考えるはずはないのです。県下の漁民のことを考えずにやるなんということば決してありません。考え抜いたあげくの私の決意であります。
  48. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、知事さんのほうに、漁民の方からどういうような陳情、またどういうような要請が出ておるのでございましょうか。
  49. 竹山祐太郎

    竹山参考人 それは御承知のように、外洋投棄反対、それから操業を停止しろ、要約すればそういうことです。
  50. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、漁民の方の御意見を取り上げる知事さんであるならば、そのうちどれとどれとを取り上げるか。どれとどれとを取り上げて今度のこのヘドロ処理する対策を講じられるのか、この点ちょっと解明してもらいたい。
  51. 竹山祐太郎

    竹山参考人 そのうちの、操業を停止しろということは私の権限では言えない、そういう私の判断ですから、これをよし悪しは言わないということは先ほど始関君にお答えしたとおり。外洋投棄の点については、反対は私も承知しているけれども、その反対に対して、慎重な努力をして害のないようにしてやるからという以外に道はないと私は考えて、そうやっておるわけです。
  52. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ時間があれですから二点。  操業停止はそれは私のほうに権限がないんだ、――しかし、操短あるいは当面のこうした緊急対策として操業停止を勧告する権利はあると思うのです。この勧告権を行使するお考えはございましょうか。  それからもう一つは、漁民に被害を与えないような外洋投棄をなさる、それは結論としてはどういうことになるのか。  もう一つ最後にお聞きしたいことは、知事さんは、この二十日から強行する、こういうことでありますけれども、それは間違いないのか。  同時にもう一つは、漁民の皆さん生活権でありますから、もしも海上封鎖の挙に出たらどうするか、この四点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  53. 竹山祐太郎

    竹山参考人 害のないようにしようという努力は、専門家が、船のほうからも、やり方からも、場所からも、それから拡散のしかたからも、あらゆる点を研究してやっておってくれますから、理屈の上においてないということを言い切るわけにはいきますまいけれども、まず常識的に見て、私は害のない方法が可能だというふうに判断をいたしております。しかし、これはやってみないとわかりませんから、どうせみな見ているところでやることで、こそこそやるわけにはいきませんから、やってみた上でまた改める点があれば改めることはやぶさかではないと思います。  それから、漁業者が反対をしているんだから、海上封鎖をされたらどうするか、――それに対する用意も十分いたしております。
  54. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから勧告権の問題。
  55. 竹山祐太郎

    竹山参考人 恐縮しました。  勧告権というものが一体あるのかないのか、そうやかましくおっしゃられると、私はそういう権限はないという判断なのです。話し合いで、あれほど言うんだからということぐらい言って悪いとは思わぬのですけれども、それはいま漁業者企業者と対で話をしておるところですから、私がまだ割って入るには早いのではないかという判断でして、時期が来ればもちろん私は中へ立って話をする用意は十分あります。
  56. 岡本富夫

    ○岡本委員 これは知事さん、企業のほうの関係も非常にございましょうけれども、やはり漁民の方の問題もよく考えて騒ぎが大きくならないように、またよく話し合いできるように指導していくのが知事さんのとるべき態度ではないか。  そこで、きのう山中長官にこの問題を聞きましたならば、水産庁のほうで海洋投棄のいろいろなところをいまさがしておるんだ、あるいはそれの結果がまだ出てないんだ、こういうお話でありますが、知事さんは、二十日から強行するんだ、こういうことになりますと、これはいかがですか。
  57. 竹山祐太郎

    竹山参考人 これも別に二十日ということを、私はそんなにきめておるわけじゃありませんので、船が約一カ月かかるものですから、今月の十五、六日までにはできるという見通しですから、ゆとりをとって二十日ごろと言っただけの話で、別に何もそれに特別の根拠はない。私から言えば一日も早くやりたいわけですから、用意のでき次第やる。それまでに水産庁が場所をきめてくれるという約束ですから、私はそれに期待をしておる、こういうことです。
  58. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、海上封鎖をもしも漁業者生活権を守るためにした場合は、どういう用意をなさっておるのか、これだけお聞きしたい。
  59. 竹山祐太郎

    竹山参考人 これは私から申すことじゃないと思います。それぞれその道の諸君が心配をしておってくれると私は考えております。
  60. 岡本富夫

    ○岡本委員 その点はお答えにくいでしょうから……。  そこで次に、きょうきめてしまおう、こういうような話で検討してこの結果が出たんだというお話の中から考えますと、私、陸上の処理知事さんのほうであまり考えてなかったのではないか、こういうように考えられるのでありますが、地元市あるいは私ども調査によりますと、岩本山裏の山砂利の採取あと、ここに大体六十万トンから八十万トンの陸上処理のできるような穴がある。これは市あるいはまた商工会議所のほうでは、特に市当局では、産業廃棄物の処理をしようとしておった、こういうことでありましたが一これに対して私のほうでよく調査しますと、最近県のほうであわててブルドーザーを出して埋めておる。きのうちょっとまたもう一ぺん調査させますと、だいぶ、半分近く埋まってきたというような話でございますので、これは知事さんにこんなことを言っては失礼でございますけれども、あまりにも山中長官あるいは国とあなたとの約束の中で、海上投棄ということをもうはっきりきめてしまった。そのために、いまさら変更はできない、そういう面で県の圧力が相当かかっておるというようなことで、地元ではだいぶ騒いでおるわけでございますが、その点について知事さんから御解明を願いたいと思います。
  61. 竹山祐太郎

    竹山参考人 何も好きこのんで海洋投棄をやりたがる人があるはずはないのでして、いろいろ何カ月も研究した結果が、もうこれより道はないということであって、したがって、ほかのことを研究せぬということはありません。やっております。  それから、いま山へ捨てろとおっしゃいますけれども、そうこれも簡単にはいきません。だれだってそばに持ってこられれば文句を言うにきまっておりますし、あの辺はどこにもうちがあるところなんですから、したがって、そう簡単にいくくらいなら、私も好んで反対のある海洋投棄をするはずはないわけでして、努力はいたしますけれども、これにかわるそんな大口の場所はありません。
  62. 岡本富夫

    ○岡本委員 知事さんがそう言い切られると、これはしかたがないわけでありますけれども、これはいま提案をしておるわけですけれども、それはない、こうあなたはおっしゃるのだから、これはもうしかたがないのですけれども、そうしますと、ひるがえって今度は申しますと、あなたは、いま水産庁にきめてもらっているんだ、このところに海上投棄をしてやってみなければならぬ、やってみて被害があった場合、漁業者に十分の補償を、県がおきめになって投棄したのですから、県のほうで補償をしてあげる用意はございましょうか。
  63. 竹山祐太郎

    竹山参考人 これは事態を見た上で、その事態に対処することは当然だと思います。
  64. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一点、そのほかに岳南の汚水、これが一秒間に二十八トン、一日二百四十万トンの汚水がこの田子の浦に流れております。ある新聞の記事を見ますと、この汚水で写真を現像すると、こういう現像ができるというのです。この汚水対策は、このヘドロ対策と同時に、どういう考えでいらっしゃるか、この点もひとつお聞きしたいと思います。
  65. 竹山祐太郎

    竹山参考人 汚水対策ヘドロで、別にその区分はないと私は考えております。
  66. 岡本富夫

    ○岡本委員 知事さん、ちょっと冷静になってくださいね。それは、ヘドロはすでにいまこの湾の中に一ぱいたまっておる、大体七十万トンから八十万トン。これの対策を、あなた、海洋投棄しよう一あとどんどん毎日毎日二百四十万トンずつ海に流れてくるのです。それらの点も非常にみんな心配しております。だから、ヘドロを取ったから、後から流れてくる水は一緒に入っているのだ、こういう考えは、ちょっとお粗末ではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  67. 竹山祐太郎

    竹山参考人 だから、私はしばしば申しておるように、あとから入ってくる対策を、いま恒久対策を急いでいる。だから、それによって二割操業短縮もあわせて、ぐっと入ってくるものは減るのですから、いまのように当然入るように考えておりません。
  68. 岡本富夫

    ○岡本委員 どうもいまの答弁を聞きますと、県に確たるところの対策があまりないようにいま思われます。もっと的確な、漁民もまた一般の人たちも安心できるようなひとつ的確な処置をやっていただきたい。これをひとつさらに要求しまして、時間ですからきょうは終わります。
  69. 加藤清二

    加藤委員長 あなたの時間、まだ少々ありますよ。――委員長は公平無私に行ないます。
  70. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、もう一つだけ。知事さん、最後に、たとえばヘドロ処理、これは提案ですが、一ぺん研究してもらいたい。それはきのう長官に話したのですけれども、デハイドロン、これは一キロ二十五円するのです。これが五%入りますと、このヘドロが固まるのですね。それから、ちょうどあなたの県下に、軽金属のボーキサイトの廃棄物がある。あれは大体半分がアルミになるわけですから、毎日半分が捨てられているわけですね。これをまぜると非常に硫化水素が減る。こういう研究をしてもらって、そうして陸上投棄をしてもみなに迷惑をかけないというような実験を、ちょうど県の研究班の梅沢研究班ですが、これも手がすいてきたところですから、さらにしていただきたい。これについてあなたの御見解を伺いたい。
  71. 竹山祐太郎

    竹山参考人 実はせっかくの御提案ですから……。ボーキサイトはもう実行しております。これで押えができて、硫化水素が出ないように、したがって、今後もいよいよやるときにはこれを使うつもりでおります。  それから、いまいろいろな新しい薬などは、もううんざりするほど方々から来ておりまして、当然研究はいたしております。
  72. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ、それをさらに進めて、いまみたいないいかげんなこと言わぬでひとつお願いいたしておきます。
  73. 加藤清二

    加藤委員長 次は、川端文夫君。
  74. 川端文夫

    ○川端委員 政界では私の大先輩であろうと思うのですが、きょうは知事さんという立場で御出席いただいておるわけですから、多少聞きにくい点がありましても、ひとつわれわれがお聞きしたいという気持ちでお聞きしておるという点でひとつ御理解願いたいと存じます。先ほどから聞いておりますと、知事さんの気持ちの中に、どうも政界の先輩という気持ちがひらめいておるのじゃないかというような感じもいたしてしようがないわけです。  そこで、私はまず、八月の十一日でありましたか、山中長官とお会いになって、先ほどからのお話を承っても、それまではそれほど詰めた考えはなかったのだが、きょうここですぐ即決をしようではないか、こういうようなお話があったので受けて立ったというお話のように聞いたわけですが、そこで八月十一日からだいぶ日もたっておるから、いろいろの問題が起きてきて、これにかなり批判も出ているのだが、それでもなおかつこれしかないという断定的な気持ちを強くお持ちか、もっといい方法があれば考えてもいいのだというお気持ちがあるかどうか、最初にお聞きしてみたいと思うわけです。
  75. 竹山祐太郎

    竹山参考人 山中大臣とお目にかかるまでは何もしないでいたんじゃないのでありまして、先ほど申すように、五月以来関係の方面と一緒になって、いろいろ研究を進めておるのですけれども、各省がそれぞれのことを言っておって、それを知事権限ではまとまらぬところで山中さんに助けてもらったということは申し上げたとおりでありまして、ああいう山中大臣のやりっぷりでなければ実はいまの複雑な公害の問題の解決はできやしないというのが、――私は何も元代議士を鼻にかけておるのじゃない、知事としての経験上申し上げておるわけですから、これは私はああいうやり方できめた以上、別にそれにこだわるわけじゃありませんが、その後も研究苦心をしておるけれども、まだそれにかわる対案というものは見つかっておりませんから、やはり約束どおりやるつもりでおります。
  76. 川端文夫

    ○川端委員 まあスムーズに行なわれるならば、言うならば、弊害がないというならば、これも緊急対策として一面の理由が成り立つということは私は認めます。しかしながら、いろいろ問題が各方面から出てまいって、海洋投棄すれば承知しない、特に私本先日田子の浦を見せていただきまして、市会の人々、市長さんにもお会いしたり、いろいろの人々とお会いしてまいっておるわけですが、問題の中にあの沈でん物というか、ヘドロがたまった原因の中には港湾をつくったこと自体にも問題があるという意見が地元にもかなり強いのです。そこで、この港湾をこのまま機能を生かすためには、はたして有利であるかどうか、ある一定の時期まで港湾を閉鎖して、その間にものを処理することも考えなければならぬのではないかという考え方も、地元の有力な代表の人々の意見としてもあったことから考えて、いま漁民の反対のあるこの海洋投棄、しかも御存じであるかどうか、はなはだ失礼な言い方ですが、八月の十八日には国連の海底平和利用会議においても有害物は海洋に捨ててはならないという決議をいたして、これを日本も賛成いたしておるわけでしょう。こういう状態の中にややもすればエコノミックアニマルという国際的にも非難の中にある日本が、自分の県の漁民であるから、これはおれが話しすればわかるというだけで問題を処理しようとされるだけでは、問題があとに大きく残るのではないか。一つは漁民の問題もありますが、もう一つはやはり港湾自体としての問題点も、昨日も山中長官に申し上げたのですが、いま海員団体がこの港をこのままの姿に置かれた中で船を回すことが可能かどうかということを厳密に調査中で、結論は出ていないようですが、もし航行上人体に影響あり、あるいは船の損失が非常に大きいとするならば、われわれは乗船拒否をして清水港に荷役をしようではないかということも考えながら、いま調査しているということも聞いておるわけです。  いろいろな問題が出てきて、なるほどあの当時はせっぱ詰まった気持ちで、いろいろ御苦心の中に、山中長官の呼びかけもありまして海洋投棄の方針をとられたのであることは、善意に理解してわれわれも理解できないことはない。しかしながら、それは絶対のものではないということが方々から批判が出てきたときに、それにいつまででもこだわらないで、もう少し虚心に考えるなり、各方面の理解、協力を求めるという態度もおありになっていいのではないか、こう考えるのですが、もう一ぺんその点をお聞かせいただきたいと思うのです。
  77. 竹山祐太郎

    竹山参考人 いま、御親切な御忠告は感謝して受けます。  ただ、私としては、そういういろいろな反対があるということはもう当然読んでの話でして、総合的に政治家として港をとめるということは簡単な問題じゃありません。だから、そういうことを前提にものを判断するわけにはいきません。やはりこれは国がつくった港でありますから、これをとめるというのには県の責任は重大ですから、これは動かせるようにするという努力をするのが当然なことだというのが一つの柱であることは、いろいろ御意見は伺っておきますけれども、私はそれで変える考えにはなりません。
  78. 川端文夫

    ○川端委員 もう一点、かりに海洋投棄をどうしてもしなければならぬ、これしか道がないというお話であるならば、私はもう一つの問題として、心づかいが、二十日ということが断定的な決定日にちではないというお話ですから、これにはこだわりません。しかしながら、漁民の反対の中に、これは後ほどまた承りますが、先ほど渡辺市長さんのことばの中に、田子の浦の問題でなく、駿河湾の問題に考えなければならぬ段階に来たということばがあったわけでした。したがって、私も現地に行っていろいろ聞いてみますと、田子の浦周辺の漁民に対しては、かなりいろいろな手を尽くされているから、反対運動もそれほど激しいものではない。しかしながら、駿河湾全域の漁民が、だんだんとエビが死んでいったりいろいろな問題でということになれば、いわゆる被害のないところに責任がないというような問題とは違って、海洋投棄すればなお大きく被害が広がることから考えて、もう少し漁民に対して話し合いの用意があってしかるべきではないか。聞くところによれば、大阪湾の問題が起きたときには、県、市、企業この三者一体になって広域な漁民の補償をいたした上に立って港湾の整備をいたしたことを聞いておるわけでありまして、それなくして、何かいま聞くと、私の心配は、漁民と、権力を持っている政治勢力で押し切るのだということで、いたずらに摩擦が拡大するのではないか、そのことがはたしてよろしいのかどうかという心配のあまりお尋ねしているのでありまして、この点に対しては、やはり漁民のそういう長年の損害と今後の心配がありますことも含めて、何か心に用意があってだいじょうぶだとおっしゃるのか、何か強引にでもやるのだというだけのようにしか聞こえないところに、われわれが心配でならない、不安でならない気持ちでお尋ねしておるわけですから、もう少しここはひとつ腹を割った御答弁なりを御開陳いただけないものかとお尋ねしたいわけです。
  79. 竹山祐太郎

    竹山参考人 これは少し説明が適当でないということは承知しておりますが、いまお話が出たから申し上げますけれどもヘドロを外洋に投棄しないで置いておきますと、これはそれこそ駿河湾の近いところにみな拡散をします。自然ですから、雨が降ればどうしたって出ます。ですから、早く外洋の害のないところに持っていこうということのほうが、むしろ駿河湾の漁民のために私は親切だというふうに考えて、これを押しつける理屈にはなりませんけれども、現実にはそういうことも考えられるわけでありまして、決して何も強引にやることだけを言っているわけじゃないので、いろいろな情勢の判断から、こういうことがまず一番害が少ないというふうに考えておるわけであります。
  80. 川端文夫

    ○川端委員 いろいろのやり方、いわゆる科学的にも、実施面においても、変化していかざるを得ない非常なむずかしい問題であることはわかるが、たとえば東京都がおとといですか、発表した姿において、東京湾の汚物、ヘドロは、海洋投棄するということが東京都の方針としていままできめられておったようでありますが、いろいろ海洋投棄に伴う弊害の問題が各方面から出てきて、急遽海洋投棄を一時中止して内部調査をされた。その結果、このような有害毒物を海洋に投棄しては、責任はかえって大きくなるという感じであったようでありますが、内湾の一角にさくを設けて、そこへ一時投棄いたしまして、その間に恒久的な対策を立てようという準備を決定されたように報道されておるわけです。したがって私は、各方面の理解と合意のない姿の中でおやりになること、やること自体は人間がやるのですから、いろいろな方法を――これしかないという場合もありましょう、あとで考えれば欠点としていろいろ批判される問題がありましても、それしかないという場合もあろうけれども、どうも今度田子の浦のおやりになろうとしているやり方の中に、批判を謙虚に受け入れるというよりは、あるいはまた合意を取りつけるというよりは、これしかないのだという、何かお一人だけの決意で押し切られるというところに、問題が別な角度で大きく社会問題に発展するおそれを心配いたしてお尋ねしているわけですから、内湾を永久に閉鎖する、田子の浦の港を永久閉鎖するのではなくても、少なくとも、方針がきまるまで一時期、港の機能をとめて、一部分を生かして、八割なり、七割をとめてでも、方針を立てるまで待つというぐらいのことはなされてもいいような気がするのですが、このことは全面的にやめろと言っているのじゃないわけですから、もう一ぺんお考えになっていただくわけにいかないかということをお尋ねしてみたいわけです。
  81. 竹山祐太郎

    竹山参考人 お説のようなことは十分研究をいたしておりますから、今後も研究をいたすつもりでおります。
  82. 川端文夫

    ○川端委員 恒久対策には、先ほど斉藤参考人から、いろいろ大企業お話がありました。したがって、この中からある程度の将来の恒久計画というものがあるが、先ほどからの質問の中にも、特別工業都市に富士市は指定されているということであるし、下水処理場の、改良下水の建設等も、全面的な解決にはならぬまでも、少なくとも先ほど佐野さんがおっしゃっている中小企業対策のためには県と市が協力して下水道の完備を急ぐということもやはり必要な面であったのではないか。これを岳南排水路――私も見てきました。しかしながら、その計画がおありになるように考えられない。したがって、何か成り行きにまかして今日までこられた気持ち責任はやはり強く感じてもらわなければならぬように思うのですが、そういう恒久対策に一歩でも二歩でも計画が進んでおれば、もう少しわれわれもすなおにものが承ることができたんじゃないかという気もするのですが、こういう点の計画は、私の聞いたのは寡聞で間違いであったかどうか。ひとつ計画がおありならばお聞かせ願いたい。企業側の大企業のものは聞いたんですが、中小企業から出る、たとえば東京湾のあの汚染にいたしましても、東京湾の周辺には大企業がほとんどありません、神奈川は別にして。ほとんど中小企業から出ているものだ。あれだけの水銀なりいろいろな有害な毒物が出ているのはほとんど中小企業であるために、昨日も私は山中総務長官に、東京都に思い切った下水道の整備に対しての資金を回す用意をしてもらいたいということもお願いしている。われわれは何もあなたを攻撃して得意になっているんじゃない。できることは国会の中でお手伝いをしたいという立場に立ってお尋ねしていることで、ひとつ虚心にお話し願えればありがたいと思うのです。
  83. 竹山祐太郎

    竹山参考人 御忠言はありがたくちょうだいしておきます。  中小企業の問題については私は初めから心配をして、これはまた別の観点からやらなければいかぬということで、今度の場合の七億の負担もなるべく中小企業にはかけぬでいければそうしたらどうかということも話しておるくらいでありまして、そうかといってやはり出しているものは出しているんですから、業者間で話をしなさいというふうにしておりますが、同時に恒久対策の面についても大企業はできますけれども中小企業のほうはそうはいかぬことはわかっていますから、この点は事業団の資金を使うがいいか、あるいは通産省の別の資金を使うがいいか、これは通産省と県と一緒になっていま具体的な指導をせっかくやっておる段階でありまして、必ずこの問題は解決をいたさにゃならぬ。またちょうどこういう機会にやるべき問題、いままでやりたくてできなかった問題を解決すれば、それだけ企業の力が新しく伸びるわけですから、これはぜひやりたいと思っております。
  84. 川端文夫

    ○川端委員 いたずらに質問の時間を延ばしてもいけませんから、私は結論だけ申し上げて終わりたいと思うのですが、私は、私ども心配をしているいわゆる海洋投棄絶対でないという見方も一面なるほどという見方を持っている。もう一つは、それをそれしかないといっておやりになる場合の、起きてくる一いま単に漁民だけの反対のように見えているけれども、別な反対が方々からあがってくるおそれも感じておる立場から、これらを処理できる自信をお持ちの上でおやりになられるかどうかということを私は強い気持ちで監視をさせていただきたい。それしかないと言ったけれども、こういう結果が出たじゃないかということをわれわれに再び言わせないように、りっぱに処置をしてもらいたい、このことを希望いたして質問を終わりたいと思います。
  85. 加藤清二

    加藤委員長 次は、米原昶君。
  86. 米原昶

    ○米原委員 私は竹山さんに、先ほども問題になった水域指定の問題、それから岳南排水路の終末処理場の問題、こういうことを初め聞こうと思っていたのですが、すでにお答えになりましたので、それはやめようと思うのです。ただこれが、先ほど質問が出ましたのは、実は昨日の委員会で、ここで問題になったのです。そしてそれに対する政府の事務当局の答弁では、そこでは水域指定をしなかったということについては全部静岡県の責任だというような答弁であったのです。それで、はたしてそうであろうかどうか、政府がああいうようなところについては当然指導しなくてはならぬ問題であって、県だけの全部の責任にやるやり方は事実に反するのではないかという点があったので、私も聞きたかったのであります。ですから、その点について、あなたのときのことではないわけでありますから、答える筋合いでないかもしれませんが、とにかくその結果としての責任は依然としてあなたが持っておられるのでありますから、それについての基本的な考え方ですね、昨日の政府側の答弁でそういうようなことであったものですから、県としての考え方を聞かしていただきたいと思います。
  87. 竹山祐太郎

    竹山参考人 これは、私のときでなかったからといって、決して責任を回避しておるのじゃありません。したがって、政府が、県に責任があると言われれば、別に書いたもので理屈を言うわけではないですから、それは甘んじて受けます。しかし、問題はそういうことじゃなくて、お話しのように今日の段階をどう処理するかということですから、それで私は先ほども申したように、いままでのことはかりに正しいとして考えても、しかし、それでは問題は片づかない。だからここで企業者も考えを改めて国、県、市町村と一緒になってやろうじゃないかという方向にいま切りかえたようなわけでありまして、過去のことをいろいろおっしゃられても実は私も知らないものですから、正直、私が断定的なお答えはできませんけれども、私の気持ちとしては、責任はあくまで私にある。しかし、その責任を果たす道は、現実に即して、この問題を解決することがすなわち解決の方法だ。いまさら政府にそのしりを持っていってみたところで問題が解決するわけじゃないと思います。
  88. 米原昶

    ○米原委員 それでは、いまもいろいろお話が出ましたヘドロの海洋投棄の問題、これについて若干聞きたいと思うのです。  いまの御回答では、九月二十日強行するということでは必ずしもない、いろいろ尋ねておられる。そこで何か必ずしもいい結果が出ないならば、やはりやり方も考え直すという含みも若干あるように思うのですが、実はこの問題がきのうも問題になりました。山中長官に私、聞いたのですが、まだ断定的な結論は水産庁は出してないようです。それから衆議院の科学技術委員会で問題になったときにも、海の浄化力、潮流、風向き、魚族に対する影響、これについてはまだわかっていないという答弁があるわけですね。これから研究するのだという答弁なのです。はたしてそれで結論が、どうも九月二十日までに出るように思えないのですがね。実際は、これは官庁関係じゃありませんが、多くの水産学者や地球化学の関係の学者の意見というのが新聞紙にもずいぶん出ております。この中でもうほとんどが絶対反対ということを言っておるですね。これは駿河湾の実は漁民だけでなくて、国会にも陳情に来ているわけですが、伊豆七島の町村が全部反対決議して、そして町村長が絶対に反対だ、東京湾から出てくるのにも反対だということで、東京都と政府に対する陳情があった。それを受けて立って東京都のほうは先ほども話があった措置をとられたと思うのです、ヘドロの外洋投棄をやめた、そういう問題でありまして、私は、これを解決するためには、一つは単に駿河湾関係の漁民だけの納得じゃ足りないのだと思うのです。まだ内々な話し合い程度で、まだ話し合いも本筋に入っていないように思うのです。ある程度までは話されているかもしれないけれども、これは漁業の死活に関する問題じゃないか、そういうふうに考えるのです。いままで出ている案について、初めは、これはきのう山中長官に聞きますと、百五十キロのところに捨てるなどということをきめたわけじゃない、新聞でも初め百五十キロのところに捨てると出ていたので私質問したのですが、それが最近では三百二十キロから三百三十キロのあたりに捨てる、この問題についても私はそういう学術関係の人にもいろいろ調べてもらったのですが、たとえ三百二十キロ、三十キロの明らかに黒潮の外側のところに捨てたとしても、決してとれで安心できる問題じゃないんだということを一様に学者は言っております。そうだとすると、もちろん非常にいま田子の浦の、私も行って驚いたのですが、この実情をそのまま放置しておくわけにいかないし、そのままにしておけば、さっきもお話があったように駿河湾の汚染もどんどん進みます。何とか処置しなければならぬというところに来ているのは事実です。思い切った措置をとられなければならない、これはわかるのです。勇気を持ってやってもらいたい。しかし、その勇気を持ってやった結果が、日本有数の漁業地帯、これをほんとうに荒廃させるようなことがあったら、取り返しのつかないことになるのじゃないかという点が一番心配なんです。この点ではまだ水産庁も結論を出していないとなると、非常に重大なんです。政府のほうが一応そういう方針をきめたからというので、それに合わせたというような結果を出されてもらっては困るのです。この点はよほど慎重にやってもらわないといけない、こういうことが私の考え方なんです。できたらそういう乱暴なやり方はストップすべきだ。その点で調査研究が十分でないのじゃないかという印象を受ける。  もう一つは、駿河湾のことですが、駿河湾の汚染は何もヘドロだけのせいじゃ明らかにないわけですね。流れ込んでいる汚水が相当な範囲に広がっている。その結果として、おそらくいろいろな奇形魚というのですか、損傷魚というのですか、そういうものがずいぶん出ているという話も聞いておりますが、ただその点について、私たち静岡県の水産試験場に行って聞きましたが、これは県のほうの責任の問題だと思うのです。なぜ、どういうわけでこの損傷魚が出ているかということについての結論は、まだ水産試験場は出していないのですね。なぜそれをやっていないのかと聞いたところが、予算がないんだ、費用がないんだ、こう言っておりますが、私は外洋投棄そのものにも研究調査が足りない。同時に、問題の起こった駿河湾自身がまだ調査もされていないということを非常に遺憾に思うのです。一体あの損傷魚の原因はどこにあるのか、ヘドロのせいなのか、汚水のせいなのか、そのあたりすら明確でないというわけです。一体こういうようなことで、その程度のことで、いままでは確かに――これは前々からの問題でありますから知事さんだけの責任を責めるわけにいきませんが、しかし、十分な研究がされていないという事実が駿河湾ではあるわけです。こういう点をどう考えられるか。もっと慎重に対処しないととんでもないことになるのではないか、こう思うのです。この点について知事さんの意見を聞きたいと思います。
  89. 竹山祐太郎

    竹山参考人 お説のように水産のほうは私もしろうとでしたが、実はいろいろな点において研究が不十分だということは私も認めます。第一、私の県のウナギがどこで生まれるかまだわからないというようなことで、いま私はそういう研究に船をやっておりますけれども、実はお説のようにまだまだ調査研究が非常におくれていることは事実です。いま御指摘のような問題だけがおくれておるとも思っておりませんから、水産の調査研究は、私は今度は日本一の水産試験場をいまつくっておりますが、これはおっしゃられるまでもなく努力するつもりでおります。  それから、いまの外洋投棄の問題については、しばしば申すように、私は何もこれが最善の策だと決して思ってやっておるわけではないので、いろいろやってみたけれども、もう今日行き詰まった、切迫した事態の策としては一時これをやらしてもらう以外に道はない。しかし、それが一般漁業に影響がないようなあらゆる対策を研究してやろうという用意をいたしておるわけですから、これは水産庁も、県も、そのことをいま全力をあげてやっておるわけですから、やってみてこれではけしからぬという問題が起これば、それはそのとき改めますけれども、いまはあらゆる万全の処置を講じてやる用意を進めておる。それが私として、政治家としてこの問題の打開策はそれ以外にないという、これは私はいわゆる専門家の意見を聞いた上での結論でして、決して私の思いつきでやったのではないことを申し上げます。
  90. 米原昶

    ○米原委員 知事さんの思いつきではない、かなりな程度までいろいろ研究されたと思うのです。しかし、実際問題からいいますと、水産学、海洋学の専門家がほとんど反対している。これは漁民だけの問題ではない。そうして伊豆七島の人たちも全部反対しているというような問題ですね。それだけに――しかも政府に聞いてみると、まだ基本的な点すら調査の結果が出ていないというような点ですね。それを九月二十日から強行するのだ。強行した結果、まずい点があれば直すのだというのではあまりにも乱暴ではないか。九月二十日は若干訂正されるとしましても、根本的にもう一度考え直してみるべき問題ではないか、こう考えるのです。そして、もちろんそうしたらどうするのだという問題はあります。これは私、先日富士市に行ったときにもこういう学者の意見もあるということを伝えたのですが、たとえば東大の名誉教授の檜山義夫博士です。これは水産学の専攻です。こういうことを言っておられるのです。これは新聞に出ておるのですが、田子の浦港ヘドロで埋まった、会社処理用の沈でん池をほとんど持っていないというひどい話だが、それならば田子の浦港の港口を閉鎖して港そのものを沈でん池に改造するのも解決の一案ではないか。ヘドロも海に捨て、船も入れるでは虫がよ過ぎる。船をつける港を別に早くつくって、駿河湾ヘドロ汚染から守ってもらいたい。こういう意見です。これは、私聞きましたが、ちょっと乱暴な意見でびっくりしたのです。これはいきなり港をつぶしてもということなんです。しかし、行ってみまして、実際のところはその程度の手でも打たなければ処理ができないのではないかぐらいに感じました。先ほどもちょっと意見があったし、この前もたしか朝日新聞でしたか出ていた意見ですね。港全体ではなくて一部でもとにかく処理する場所、材木の置き場のところですか、あの一帯のところを若干、そういう案も出るようですが、これは同じ考え方だと思うのです。とにかく外洋に捨てる一本やりでいってはたして解決つくか。いま私たちが知っておる範囲でも、捨て方自身がおそらく問題になりますね。いろいろな条件がつくと思いますよ、結論が出たとしても。投棄が非常な条件づきで許されるというようなことしかいえないのじゃないかというふうに思うのです。そうしますと、実はあれだけたまっているヘドロ処理することもできないようなことに結果としてはなるのじゃないか、根本的に考え直さないととんでもない失敗をおかすことになるのではないか、こう感じるわけです。その点をもう一度考慮してもらえるかどうか、知事さんの考え方を聞きたいと思います。
  91. 竹山祐太郎

    竹山参考人 御親切な御忠告とよく伺っておきます。もちろん、おっしゃるようなことは私も考え抜いてのことでありまして、決して簡単でないことはもう覚悟の上であります。しかし、私も政治家として考えますと、このことはやはり一切の責任を私が負ってこの問題の解決に当たる以外に、いろいろな人の意見を聞いておったら何にもできません。そういうことが私は政治家責任だと思いますから、御忠告は伺いますけれども、それによっていまの考えを変える考えはありません。
  92. 米原昶

    ○米原委員 もちろん、政治家として一定のところで決断力を持ってやられる、そのことは非常にけっこうだと思うのですよ。しかし、この全体の状況を見ますと、つまりやられることにほんとうの解決の裏づけ、科学的な裏づけがないのです。こういうやり方で、こういう範囲ならだいじょうぶだということが科学的に言えるか。まだ言えないというのですよ。だから、あまりにもそのやり方が乱暴で、結局は政治家としても考えておられることと、結果が狂ってくるようになるのじゃないかと思いますので、そのことを最後に、勧告といったらおかしいですが、私の意見を申し上げて質問を終わりにしたいと思います。
  93. 加藤清二

    加藤委員長 午後一時四十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時五十二分開議
  94. 加藤清二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  午前中に引き続き参考人に対する質疑を続行いたします。  なお、理事会の申し合わせどおり、参考人に対する質疑は、おのおの二十分以内にお願いいたします。始関伊平君。
  95. 始関伊平

    始関委員 三人の参考人方々には、たいへん長い間お待たせをいたしました。  まず最初に、富士市の大企業側を代表してここに見えられました斉藤参考人にお尋ねをいたします。先ほどからお話を伺っておりますとおり、大昭和製紙という天下の大企業も含めて、ほとんどすべての企業排水を未処理の状態で放流していた。これは他の地域の紙パルプ業界と申しますか、企業にはそういう事情は少ないように思います。それで、こういうことになっておったということは、ある意味でいえばまことに驚くべきことでありますが、一方におきましては、いわゆる岳南排水路に流してよろしいということを県が認めておったというような事情が一つある。  それから、二十五年の歴史があるということでありますが、少なくとも昭和三十四、五年ごろまではここにいわれる公害もたいしたことはなかったのではないか。それは要するに田子の浦地区のあの製紙業あるいは。パルプ業というものが、企業の数なりその生産規模なりにおいて少なかったからであろうと思います。同じ現象でもあまり集まりますと、集約すれば公害になるし、そうでない場合には別段問題にならない。公害というものは、そういった相対的な概念でありますから、最初のころはそういう事情によって、あまり実際は問題にならなかったのだろうと思います。その証拠には、岳南排水路ができてからあとに、あの下流のところにあの港ができておるという事情によってもわかると思うのでございますが、そういう過去の経緯は別といたしまして、ここ二、三年来と申しますか、長らくの惰性でやったとは申しながら、そういう状態を続けて、今日のようなやかましい社会的、政治的問題が起こってまいった。そういうところまで拡大させたというのは、やはり企業自体に社会的責任感が足りなかったのではないか。いま公害問題につきましていろいろの論点がございますが、企業責任感、社会的責任感の欠乏ということが最も大きな側面の一つとしてあげられておるわけでございまして、大昭和製紙などの場合はその最も代表的な事例ではなかろうかという印象を私自身も持っておったのであります。先ほど斉藤社長はその点につきまして釈明をされ、反省しておられる、また従来社会にと申しますか、企業側が甘えておったのではないかというふうなおことばもあったのでございますが、たいへん重要な点でございますから、この点につきまして、もう一ぺんひとつこの席で言明をしていただきたいと思います。
  96. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま先生から御指摘がありましたとおり、私といたしましても、また富士郡の同業者といたしましても、いわゆる県の御指導によりますところの岳南排水路にあまりにもたより過ぎておったという点、それからその計画に非常に期待しておったという点などで、確かに先生のおっしゃられるとおり甘えておったという点には、私としては現在、先ほどお話したように、もっとやはり自分自身で積極的に、国は国、県は県の御方針はあるけれども、やはり自分たちでももっと考えてやるべきじゃなかったかということをいま反省しておるわけでございます。でありますので、積極的に、今後は急いでこの対策に取っ組んでまいりたいと思っておりますので、しばらくの間、このいわゆる汚水処理設備ができるまでの間、ひとつ何ぶんにも御同情のほどをお願いいたしたいと思う次第でございます。
  97. 始関伊平

    始関委員 これは妙な言い方でございますが、国や県の指導というものはどうであったかということを離れまして、企業企業として、いわば直接の加害者であり、直接の責任である。そういう自覚の上に立って、これからものごとに処していかれようということでございまして、その点はそれでけっこうだろうと思います。  そこで今後の問題といたしまして、企業責任の第一は、やはり公害発生の源を断つ、これが根本でございまして、これは企業が自力でやるべきものであるということは申し上げるまでもないのでございますが、この点につきましては、大企業側におかれましては、各社別にそれぞれ計画ができておるようでございます。七十億という金をお使いになるということも先ほど伺ったのでありますが、そういうふうに発生源自体をコントロールしていくという施策がいつごろ完成して、その結果としていわゆるヘドロ公害、皆無になりませんまでも、だいぶ減ってまいると思うのでありますが、それがいつごろにどの程度まで下がるのかということを、あなた御自身の口からこの席でひとつおっしゃっておいていただきたいと思います。
  98. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま御指摘のことでございますけれども、緊急対策といたしまして、来年の六月ごろまでに現時点より大体二〇%程度ヘドロが減ります。六月以降においては現時点から三分の一に減ります。大体それでおそらく私たちが想定しているところの水質基準まで落とせると思います。そして、それに要する費用が約七十億ということに相なっておるわけでございます。
  99. 始関伊平

    始関委員 まあ水質基準に合うようになる時期が、来年中には実現するというお話でございまして、これはぜひ間違いのないように促進していただきたいと思います。  そこで、当面の問題といたしまして、海洋投棄の問題などがやかましい問題になっておりますが、あれはあのまま捨てておいてよろしいというわけにはまいりませんので、しゅんせつをしなければならぬ。その費用負担の問題があるわけでございますが、これは当年限りの問題としてきめたと知事が言われておるのでございますが、この点につきましては、大筋において、あなたの直接の関係業界においては御異論がないものと承知をいたしてよろしゅうございますか。
  100. 斉藤了英

    斉藤参考人 この外洋投棄等の費用の点につきまして、竹山知事さんと山中大臣とのお約束で大体七億、要するに県、市が一億二千万と、それから七億についてはひとつ業界協力してくれぬかというようなお話がございまして、私たちといたしましても何回となく協議を重ねておりますが、やはり業界の中には岳南排水路という問題を考えまして非常な反対もございます。しかしながら、私といたしましては竹山知事さんが勇断をもってああしたお約束をなさっておりますので、また過去のいろいろのことをいまとやかく言っているときではございませんので、この問題については先ほど中小企業の代表の佐野さんからお話もございましたと思いますけれども、とにかく私といたしましては、原因者のいわゆる十分な責任においてこれについておこたえしてまいりたいということを覚悟しておる次第でございます。また、中小企業の中には、あるいはこの問題について反対される方もあろうかと思いますけれども、その点についても私自身会長という立場において、これは処理してまいりたいと思っております。そういう意味でも私としても今回のこうしたことについての責任というものを重々に感じております点、ひとつ御了承いただきたいと思います。ただ、この点につきまして佐野さんよりもお話がございましたと思いますが、でき得れば長期の起債などをしていただきまして、こうした金融情勢のときでございますので、ひとつ何ぶんの御配慮をいただければ非常に幸いだと思っておる次第でございます。
  101. 始関伊平

    始関委員 企業はみずからの力で、みずからの費用で公害の発生源をなくするようにつとめなければならぬということとあわせて、国や公共団体のやる公害防止対策のために必要な費用を関係の機関が負担しなければならぬという問題の一つだろうと思うのでございまして、その基準につきましてはまだ立法の準備をしておる段階でございます。いまお話しのとおり関係者も多いことでございますから、取りまとめの立場にあられる方としていろいろお骨折りのことと思いますが、とにかく非常に緊迫した問題でございますから、この上ともひとつまとめていただきますように私どもとしてもお願いをしておきます。  なお、長期の起債等の条件につきましては、当委員会といたしましてもいろいろ相談をいたしましてお手伝いいたしたい、このように思っております。  次に、中小企業を代表するということでお見えになりました佐野参考人にお尋ねをいたしますが、先ほどお話がございましたが、おたくのほうの中小企業関係は最近のちり紙なんかの需給関係や価格などの点から申しまして、営業収支と申しますか、営業成績と申しますかはいろいろ問題があるように聞いておりますが、その点をちょっと簡単に御説明をいただきたいと思います。
  102. 佐野富男

    佐野参考人 ちり紙関係の収支でございますが、昨年の暮れから原料が非常に上がりまして、収支バランスが悪くなりまして、現在約三割程度ぐらいは赤字の企業だと思います。しかし、これからちょうど時期に入りますので、多少、価格等が直ればその点は一割くらいは赤字が減るかと思いますが、一番心配なのは、これから公害防止にかかるいろいろの費用の点が降りかかってくるので、そういう点は非常に心配しております。
  103. 始関伊平

    始関委員 中小企業皆さんには、いまお話がございましたような事情もございますし、私どももできる限り御協力をいたしたいと思いますが、先ほどお話のございました要望事項の中で、「排水処理設備費特別融資ワクの設置と格段の助成措置をお願いしたい。」ということが最初に書いてございますが、この点につきまして具体的にはどういうことを御要望になっておられるのか。その問題につきまして今日まで県なり、市なり、あるいはまた通産省なり、あるいはその他どこかに御折衝になったことがあるのかどうか。あったとすればどういう結果になっておるかということを簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  104. 佐野富男

    佐野参考人 始関先生の御質問は、処理費、処理対策費用のことですか。
  105. 始関伊平

    始関委員 その問題でここに書いてございますね。「特別融資ワク」を設置しろとか「格段の助成措置をお願いしたい。」とかいうふうに書いてございますが、具体的にひとつお考えになって、どことどういう話をしたか……。
  106. 佐野富男

    佐野参考人 これは、現在中小企業は金融引き締め、それから大企業等の進出もありまして、あまりいい収支でないところにこういうような、生産に直接関係のない設備費がかかるので、なかなか普通金融がつきませんので、どうしても制度金融をお願いしたいと思うわけでございます。特別の長期の低利資金というようなものを御心配願わないと、普通銀行ではなかなか貸してくれないというのが実情でございますので、制度金融をぜひともお願いしたいというのが私どもの希望でございます。
  107. 始関伊平

    始関委員 この御要望事項の中に、水質基準の設定について弱小の中小企業については漸進的にやってくれというお話がございますが、基準というものはこれは画一にやらぬといかぬので、この点はどうなんでございますか。ちょっと無理な話じゃございませんか。
  108. 佐野富男

    佐野参考人 水質基準が設定されるということを聞いておりますが、設定された以上は私ども中小企業といえどもそれを厳格に守っていかなければなりませんので、でき得れば多少ゆるやかの基準にしていただきたい。なお、その後においてそれ以上の強い基準が必要ならばまた御設定を変えていただいてもいいけれども、当初からあまりきつい基準はなるべく避けていただきたい。まあこれは非常にわがままのお願いでございますが、そういうことでございます。
  109. 始関伊平

    始関委員 中小企業の当面しております事情はよくわかりますが、しかし、公害という問題につきましては、中小企業だからといってかってなことをしていいというわけではない。その点は十分に認識されておられますので、どうぞその他の中小企業皆さんにもひとつそのように指導していただきますことをお願いしておきたいと存じます。  それから、単独で処理ができない場合には共同でやろうということでございますが、これもたいへんけっこうな考え方でございまして、公害処理を共同設備でやるということはきわめて重要なことでございますし、こういうやり方について政府の助成の方法もあるわけでございますが、こういったようなお話し合いはある程度中小企業皆さんの間では進んでおられるのかどうかということをひとつお尋ねしておきたいと思います。
  110. 佐野富男

    佐野参考人 私ども中小企業といえども、汚水の浄化設備はしっかりやりたいと思います。ただし、中小企業でございますので、限度がありますが、ただいまの共同でやるとかというようなことはすでに通産省紙業課のほう、県の商工部のほうから御指導を受けまして構造改善の特定を受けまして共同化も進めております。すでに部落ごと、集団ごとに共同施設をしようという機運で内々相談しております。特にヘドロの焼却炉あるいはこれを圧縮して小さくするという場合は、相当の金がかかりますので、これはどうしても共同施設でやらなければ、大企業のようなことができませんので、これはぜひそういう共同施設ということでやっていきたいと思いますので、ぜひとも今後ともその点につきましては、特に金融等についても特別の御配慮をお願いしたいと思います。
  111. 始関伊平

    始関委員 富士市長渡辺参考人に。  私は繰り返して申して恐縮ですが、公害に対する企業の無責任ぶりというものが最も露骨に出ておるのが富士市の問題ではないかと思っておりましたが、きょう参考人方々おいでいただいてお話を伺いまして、必ずしもそうでない、むしろ県、市、企業側、中小企業協力してやっていこうという姿勢であるようでございまして、その点はたいへんけっこうだと思います。  いまお聞きのとおり、中小企業の側におきましては、そうでなくてさえ体質が弱いのでありますから、こういう大きな費用負担を伴う問題が起こりますと、特にいろいろ問題が多いわけでございまして、その点をただいま佐野さんからもお話があったわけでございますが、中小企業に対する指導は、現地では県、中央では通産省が中心になってやるべきだと思いますけれども、市といたしましてもこの辺につきましては特に御留意をいただいて指導なり、われわれの方面への連絡なり、いろいろお願いしたいと思っておりますが、その辺に対するあなたの御所見、また心がまえなどを伺いたいと思います。
  112. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  中小企業の問題につきましては、御指摘のように非常に基盤的に脆弱でございます。なかんずく当富士市は、中小企業群と申しましょうか、非常に数が多いわけでございます。また中小企業が実はあそこの産業活動なり、経済活動をささえている、こういう認識を私持っておりますので、各種の共同化の方向についての行政指導もしくは利子補給、こういう点は在来も続けておるわけでございます。さらに、今日のようなこういう問題につきましては、特段の配慮をいたしてまいりたいと考えております。今度おっつけ九月の市議会も開催されるわけでございますが、新たな方法をもって、今日の金融事情等もございますから、当面中小企業対策として大体七、八億程度の融資の問題についてもほほ見通しがついてまいりました。今後とも中小企業の育成の問題については十分配慮をいたしてまいる所存でございます。
  113. 始関伊平

    始関委員 それでは私の質問はこの辺で終わらしていただきますが、ただいまお話しがございましたように県、市、業界協力の上で、今後一そう強力に対策を推進されますように心から希望いたします。ありがとうございました。
  114. 加藤清二

    加藤委員長 次は、島本虎三君。
  115. 島本虎三

    ○島本委員 大昭和製紙斉藤社長にちょっとお伺いしますが、先ほどのいろいろな公述の中に、十五社三億でとりあえずやる、操短減産も、いかにヘドロを減らすか努力している、こういうような御報告があった。そのあと従業員組合が休業によって収入が減るし、紙パ労連の組合からも減産について厳重な抗議が来ておる、こういうような陳述がございました。はたしてこれはほんとうでしょうかどうか。また、もし紙パ労連から社長のほうへそういうような要請があったとしたら、具体的なその内容についてこの場ではっきりしておいてもらいたい、こういうように思いますので、まずこの点をお伺いいたします。この内容を、どういうような申し入れがございましたか。
  116. 斉藤了英

    斉藤参考人 この問題につきましては、やはり収入が減るということについての心配でございます。でありますので、もし休んだ場合でもわれわれの生活権が影響のないようにひとつしていただきたいというようなことでございます。
  117. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、結局収入が減るのだから休んでも生活に影響のないように取り計らってくれ、こういうようなことであって、紙パ労連をはじめ組合が、減産について厳重な抗議をしてきたということとちょっと内容がお違いになるようですが、これは組合、すなわち総評自身も、最近のこの動向からして企業組合であり、その中に労働組合が閉じこもって、会社側と一緒になって、いわば企業を守るような態度は、これからの、現在の要請されている問題からほど遠いものがあるから、この際一緒になって、市民運動と一緒になって、会社側から排出するといわれる公害除去のために努力するように決議されてあります。運動方針としても、同盟を含めてきまっておるのです。それだのに、いまのようにして、紙パ労連の組合からも減産について厳重な抗議が来ているという、こういうようなことは、ともすれば会社側が、組合のこれをひとつ利用して、いかにも減産するのが労働者にも悪いんだからという印象を与えがちなんで、こういうようなことについてはもっと慎重にひとつ御報告を願わなければならないと思うのです。いまの内容を聞いて、これはもう休んでも生活に影響ないようにしてくれ、こういうような要請だ、こういうようなことですから、進んで休んでその賃金を保証してやったら喜ぶことじゃありませんか。組合側はそういうふうに言っているじゃありませんか。
  118. 斉藤了英

    斉藤参考人 この点につきましては、労働組合側も、このいわゆる公害対策については十分にひとつ配慮しなさいということの上に立っての要求でございます。
  119. 島本虎三

    ○島本委員 まさにそのとおりだと思います。公害対策をまっ先にやらない企業は、これからだめだ。ですから、進んでこれはやるべきです。大昭和製紙のことを思うなら、この際おそらくすべてを掲げてこの廃棄物を、ヘドロを出さないようにつとめたほうが、世界の信用を得るのです。世界の信用を得るような企業は、いまにしてあなたに与えられた使命じゃありませんか、これは。これをやり遂げることが、一番これからの会社のためにはいいことだと思うのです。少しハッパをかけるわけじゃありませんけれども、しかしその点も十分御留意願いたい、こういうように思うのです。  それで、社長にちょっと聞いておきたいと思います。それは、いま、これは公害対策特別委員会、この中でも、総理も国連の公害センターを日本に誘致したらどうだ、そしてそのためにニクソン大統領から、特使と山中総理府長官との間でいろいろ協議をして、今度各国に及ぼして、公害の絶滅のため努力しよう、これははっきりここできのう答弁された。そのさなかに、この日本公害の原動力はこれだといわれるほどさびしいことはないのであります。その考え方のおもなものは、いままでともし考え方が、余地あるならばはっきり変えてもらいたいのです。もらわないと、これから企業自身は存立しませんよ。というのは、経済の高度成長、これは望ましい、だからいままでやっていた。しかしながら、そのために人間の生活や健康を破壊する権利は会社側にないんだ、そして、それでもやりたかったならば、技術的な裏づけを持って、人畜に被害のないようにして臨むのが会社のために新しい道義なんです。そのためにも公害防除技術、こういうようなものに対してもはっきり整える、それから操短をする。でなければ操業停止する。そしてこれが人間尊重、健康第一、これに通ずる道だと、はっきりレールが引かれると思うのです。おそらくこういうようなところまで考えないとだめなんじゃございませんか。もうここまで来ていますよ。だから賢明な社長なんかこれは十分知っておられるのじゃないか、こう思っているのですが、あえて理念を申し上げましたが、この考え方の上に立って今後やはりいろいろと企業をおやりになられましょうか。私の考えが間違いでしょうか。これひとつ、間違いであるならば、ここで正々堂々とだめだということを言ってもらいたいのです。言ってもらえなかったら、これに従ってやってもらいたいです。
  120. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま先生から御指摘の点については、私はこれは非常にいい御意見をお聞きしたと思います。  特に技術の点につきまして、私たちについては、なかなかそうすばらしい技術能力もございませんので、こうした機会に国、あるいは県、あるいは世界の技術を、こういう方法があるけれども、どうだとかというような意味合いからして、いろいろと公害対策についての技術的な御指導を賜われば、私としても幸いでございますし、そうしたものについても十分に私としても配慮してまいりたいと思いますので、たいへんいまの御発言についてはありがたくちょうだいいたしたいと思います。
  121. 島本虎三

    ○島本委員 私も、もう一回疑点がある点を聞きたい。  大昭和製紙、これは静岡も、それから北海道もみな傾向として同じような指導をどこかでなさるのでしょうか。というのは、つい最近問題になって、私自身も恥ずかしくて北海道へ戻られないようなことが一つあるのです。読賣新聞の八月二十三日の日曜日のこの特集版、これを見たでしょう。この結果は沈でん池がないということがもうわかったのです。いまだにないのです。いつできるかということできのう答弁があっただけです。いまのこの時代に、沈でん池がないという大昭和製紙指導方針は、いま私に言ったのと違うのですよ。ですから、これについては即刻改めなすって、先ほど言った線に沿って、いままではこういうようなことで――確かにこれは天然色ですからきれいですよ。きれいですけれども、これはどれほど害悪をもたらしているかわからぬのです。外側の黒いの、中側の白いの。このために水産試験場が調べて、いろいろと魚介類の損失、これははっきり出ております。こういうようなことですから、まあひとつ大昭和ということになりますと、北海道も、静岡もみな同じような指導をこうとっておられるとしたら、これは中小企業指導にもなりませんでしょう。ちょっと困ったことじゃありませんか。この点解明しておいてください。念のために……。
  122. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま先生から白老において沈でん池がないというお話がございましたけれども、これはぜひ白老工場をごらんになっていただきたいと思います。沈でん池もございます。そうして、先ほど試験場のことについてもお話がございましたけれども、この点についても、私たちのところに入っているデータにおいては、先生のような御指摘の点がございません点、いまひとつお改めいただきたいと思います。
  123. 島本虎三

    ○島本委員 この点は、きのうの朝、調べて聞いてきたのです。それでここでこの九月から、沈でん池をこれからやることになっていると通産省から答弁があったのです。ないじゃないかということに対して、そういう答弁があったのです。ですから、これはもしまだやっていない。現に、私現地から電話を入れて調べたところが、こういうことで恥ずかしくて行けないというのが、これなんです。こんなことはないようにしてもらいたい。  それともう一つ、次には、四十四年十二月五日、二千五百万円で漁民と協定を結んでおられるようですけれども、これはどういうようなことで二千五百万円の協定をお結びになったのでしょうか。
  124. 斉藤了英

    斉藤参考人 二千五百万円というのは、どこのことでございましょうか。
  125. 島本虎三

    ○島本委員 大昭和製紙が、これは漁業権放棄の契約をして、そうしてそのために二千五百万円で漁民と協定を結んでおられた。そして、そういうようなことで、今度一部の漁民が、そういうようなことだけするというので、これに対してなお紛争に輪をかけておる、こういうようなことを聞いたから、この事実はないならないでいいのですが、これは単なる端摩憶測でしょうか。
  126. 斉藤了英

    斉藤参考人 この点につきましては、この席でちょっと発言を控えさせていただきたいと思います。
  127. 島本虎三

    ○島本委員 私はあえて言うのは、こういうようなことで一部の人とやる、漁民が誠意を持って全体的な運動にこれはならないようなことをして、これでひとつ紛争を解決しようとするこの魂胆は、間違いじゃないかと、これなんです。ですから、もうこれはあとでというならけっこうです。あとからこれはゆっくり知らせて――このやり方はあまり所望じゃない。このことだけをはっきり言っておきます。  それと、次、いかがでしょうか、海洋投棄に県も踏み切られたようです。それで皆さんのほうもそれをやっていこうとすることに努力されるようです。この海洋投棄に対して皆さんのほうではどういうようなお考えを持っているのか。知事がもう帰ってしまったので、これでは少しぐあい悪うございますけれども、これがベストな方法だとお考えでしょうか。これは市長から、皆さんのほうの御意見をちょっと聞かしてもらいたいと思うのです。
  128. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 正直に申し上げて海洋投棄には非常に問題点があります。しかし八月十一日の閣議終了後の山中・竹山会談で、政府方針としてそれが出たわけでございます。知事のほうから私も呼ばれて、こういう経過で海洋投棄に踏み切ったのでぜひ承知をしてほしい、協力をしてほしい、こういう御要請が実はあったわけであります。市の立場として、政府と県がきめた問題について、いま私がとやかく言うこと自身が問題をさらに紛叫をいたすというように考えておりますので、この点についてはそれ以上の発言についてはぜひお許しを願いたいと思います。
  129. 斉藤了英

    斉藤参考人 本件につきましては、私たちの見解を差しはさむべき問題でございませんので、それでひとつ御了承いただきたいと思います。  なお、先ほどの二千二百五十万円のお話ですけれども大昭和製紙というお話がございましたけれども、これは紙業協会とのお間違いじゃないかという点について、ひとつ御訂正いただきたいと思います。
  130. 佐野富男

    佐野参考人 海洋投棄につきましては、私たち企業から出たものの処置で、結局竹山知事さんと山中大臣がおきめになったことでございますので、私どもはとやかく申しませんが、私どもの発生したものを処置することで漁業者に迷惑をかけるということで、ほんとうに申しわけないと思っております。今後については、一刻も早くこういうことのないように私どもは心がけて、それに全力を尽くさなければならぬという覚悟でございます。
  131. 島本虎三

    ○島本委員 いまちょっと、じゃ私の聞いたのは間違いだったということであらためて訂正いたしますが、紙業協会と、これはどういうことで、一部漁民との間でこれをやったのでしょうか。これ、もし言っていいならば、ここで言っておいてもらいたい。どうせやったのですから、公開になっているのでしょう。言えませんか。
  132. 斉藤了英

    斉藤参考人 これは長い間の過去の歴史がございまして、この時点に発生した問題でございませんので、いろいろとやはり問題が起きるというようなお話もございますので、この際は私の発言差し控えさせていただきたい点、ひとつごかんべんいただきたいと思います。
  133. 島本虎三

    ○島本委員 進んで、最後までそう発言できなければ、これ以上聞きません。ほんとうに紙業組合であろうと何であろうと、やるなら大きく皆さんの了解の上でやるべきなんです。そうでなければ、一部の組合とだけやって、一部のほうだけやればよろしいということになったら、それ以外のものは敵になるのはあたりまえで、何か進んで敵を求めたようなやり方じゃなかったのか、どういう理由かもしれませんが。この点が私重要だと思って聞いたのですがね。しかし、まあそれもはっきり言えないというならば、これ以上聞くわけにはまいりませんが、どうも根が深いようであります。ですから漁民との間にも、もっともっと皆さんのほうで誠意をもって全体と話し合って、もし漁民のほうで、皆さんのほうで誠意をもって話してくれるならば、片意地に意地を張って、そして全然何でも応じないなんという態度じゃなかろうと思うのです。私もそのつもりですから、何か上から高飛車でこういうようなことをやったのじゃ、やはり最後までこじれるばかりじゃないでしょうか。私はその点を一番危惧するのです。  またいま言ったような点で、一部の漁民だけをやって他のほうを敵にするというようなことだったらなおさらです。まして海洋投棄自身、これは皆さんも言えないようですけれども、私どもも漁民の意見を聞いてみますと、もっともな点があります。いかに黒潮の本流に乗せてやる、こういうようなことをしても、そのもの自体がもうすでにカツオの一つの通路というのですか、流路というか、主道というのですか、それになっている、そのことをまでおそれているようです。その間また親潮、その方面に対してもやはり流れてくる、その中に乗ってくる魚、これあたりが汚染されたらどうなるだろうかというおそれもあるようです。それを手放しで賛成するというわけにはちょっとまいらぬのですけれども知事はもういないし、これは国会の問題として今後やらざるを得ない問題です。ですけれども、こういうような問題があるということで、一方的な強行だけは困る問題の一つだ、このことだけははっきり言っておかないとだめだ、こういうように思うわけであります。  それと、次には、私自身中小企業の点でちょっと聞いておきたい、こういうように思うのですが、現在のところではいわゆる三割方赤字で、これから少し取り戻せるのじゃないか、こういうようなお話がございました。いまいろいろ皆さんが困っておられるこの中で、中小企業に対しては公害防止事業団、それから中小企業の金融公庫、そのほかまた県単位の一つの近代化資金の融資の方法とかいろいろあって、公害中小企業に対しては十分行き渡るような方法を考えておられる、こういうようなことになっているのです。しかしながらやはり依然としてこれは隘路がある、それならば、この点はやはり解明しなければならないのが国会であります。させなければならないのがわれわれであります。そういうようなことからして、いまのような現行の金融機関、これが公害防除のためのいろいろな施設に対してどのような隘路になっているか、率直に、思ったとおり、何も遠慮は要りませんからそのまま言ってください。
  134. 佐野富男

    佐野参考人 いま金融引き締めで、私ども業界が非常に金に困っておりますので、さいぜんも申し上げましたが、こういうような金については、なかなか頭を痛めるわけでございますが、いろいろ県、国等の御指導によって、ただいま先生からおっしゃられたような金をできるだけ早く借りて、一日も早く施設をやっていきたいという考えでございます。金融界というものは、かたいことを非常に申されますので、ことしのワクはないとか、来年にしろとか、申し込みがちょっとおくれちゃったというようなことでございまして、そういう点で、一方のほうは急がなければならぬ、金のほうはなかなか出てこないというようなことがたくさんあります。そういう意味で、私どもも急いでこの施設をしなければならぬので、そういう場合ぜひともそういう金が出るようにお願いしたいということでございます。
  135. 島本虎三

    ○島本委員 まあ、その点はわれわれも力をかすにやぶさかではありませんし、やらなければならないと思っています。ただ、もう少し具体的に、地域指定になっていないと一銭も貸さないとか、これだけの担保を出さないとやってくれないとか、いろいろめんどうくさいことを言うに相違ないと思うのです。この具体的な問題のために公害の防除施設もできないのだということがあったならば、即座に解決になるのではないかと思います。それはもうあえてなんですけれども、そういうのがあったならばお聞かせ願いたい。ばく然と融資をふやしてくれとか、低利長期にしてくれ、これはよくわかっていますけれども、具体的な――われわれの報告には、現在十分やっているという報告がくるのです。やっていながら皆さんのほうへ行き渡っておらないということ、その隘路はどこなんだろうか、中小企業に対して、具体的な問題で聞かせてもらいたいのがいまの私どもなんです。それを聞けないとすると、この次まででもいいですから、十分お調べの上お知らせ願いたい、この点お願いしておきたいと思います。  次に、富士市長のほうへちょっとお伺いしますが、富士市にも、いろいろあるようですけれども富士市の場合にはヘドロ問題はさることながら、大気汚染の問題でも、これはなかなか御苦労がおありのようであります。しかし、やはりああいうような場合には、現在の日本の状態からして、これは将来展望を十分考えた上で、今度はもう基本的な抜本的なと申しますか、今後ひとつそういうような大きい展望を開けさせなければならない。個々の対策だけではもう間に合わない、こういうようなことになっておるだろうと思うのです。そのためには、もちろん財政の関係も大きいことは知っております。公害のない町づくり、このために努力されておられるのではないかと思いますが、こういうような大きい構想、これをひとつ富士市が示すと、日本じゅういまやそれを見習うような立場に、渡辺市長あるわけです。こういうような展望について何かお考えございましょうか。ありましたら、この際はっきり開陳しておいてもらいたい、こういうふうに思うわけです。
  136. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、私ども富士市の中には、大気汚染、悪臭、排水、騒音、芒硝、それぞれ世間的にいうと公害デパートだという何か御指摘があるようでございます。確かに産業公害が混在をいたしております。これからの町づくりをどうするかというのが、これからの政治と行政の私は責任だと思っております。まだいろいろのプランというものが煮詰まったわけではございませんが、しかし、将来展望の中で一つの町づくりのビジョンを策定をいたしてまいる、これがいま富士市にとって最大の課題だと私は思っております。ヘドロ問題が解決した、大気の問題が解決したからといっていいわけじゃございません。最近の経済の高度成長の中から、私どもの町自身が生産第一主義的な傾向が実はあったわけです。そうでなくて、もういまの段階では、市民の生活を守る環境をどう整備をしていくか、これが市政の重点の方向でございます。今年度の市政の方針も、さようなことを議会の皆さんにおはかりして、その方針を決定をしていただいたわけでございます。どこの都市も御案内のように、多かれ少なかれこれらの計画の遅滞というのがございます。なかんずく私のところについては、もう少し積極的な都市の再開発というものが要望されるわけでございます。私自身、まだ就任をして間のないわけでございますが、しかし、十年ぐらいの展望を立てて――いまそれぞれ町の中に工場企業が混在をしている、これではどうしたって公害が出るのはあたりまえであります。これらを整理をして、ちゃんとした一つの町づくりというものをやってまいりたいと思います。きょうここでいろいろの具体的な提案というものについて開陳をする資料を持ち合わせておりませんが、しかし、その意欲で今後進めさしていただきたいと思います。  ただ、この際御要望申し上げたいのは、相当の規模のプランを早晩私のほうでつくり上げますので、これには多くの財政投融資が必要になってこようかと思っております。この点については、政府に強くひとつ御要望を願いたいと思っております。町だけで人口十八万五千、一般会計にいたしましても約六十億でございます。道路一本こしらえるにも今日何億かかかるわけでございます。こういうような点等々も考え合わせて、財政投融資の関係については特段の御配慮を賜わりたいと思っております。  具体的なプランについての御説明は差し控えたいと思いますのは、まだ策定が終わっておりませんので、ごかんべんを願いたいと思います。
  137. 島本虎三

    ○島本委員 そういうような線に沿いまして、ひとつ大いに御健闘されるように、私も祈ります。それと同時に、早くそれの効果があらわれる日を私も一日も早く期待しておきたい、こういうふうに思います。あわせてわれわれも微力でありますが、その財政的な方面で、可能なる限り一生懸命尽力をしていきたい、こういうふうに思いますから、少なくとも公害というこのものの除去のためには、富士市あげてひとつ懸命なる努力を払ってもらいたい、このことをお願いしておきたいと思います。  最後に私は、大昭和製紙斉藤社長さんに、先ほどからのあなたの初め公述をずっと書いておりまして、その中に、ヘドロの問題で、決してないがしろにしておるのではないけれども、県、市の指導処理できると思っておったし、あるいはいま考えてみるとそれに甘えておりました、こういうようなことがあなたの口から聞かされました。なるほどいまになってみると、完全にこれは甘えておったことになります。そうして県の指導も誤っておったと思います。それから経済企画庁なり、建設省または通産省、この方面がもう少し具体的に自信を持って指導すべきだったと思う点も多々あります。しかしながら何にしても、県の段階でできるいまの行政そのものが、企業の圧力に押されたのか何か知りませんけれども、午前中お聞きのとおりのああいうような状態になってしまっておったわけでありますから、これはいまほんとうに困った状態になっておることは御存じのとおりなんです。  それで、今後の問題でありますけれども、やはり十分この点を考えて、そうして今後は水質基準なりいろいろな点が明示されると思います。それに対しては、進んでそれに沿ってもらいたい、順守してもらいたい。これはあたりまえだといえばそのとおりなんです。それと同時に、いま問題になっておる漁民との間で、おそらく感情問題もあるのじゃなかろうか。理性的な問題では、外洋たりといえども魚の通る道である。したがって、そこへ流したならば国際問題も発生する、そういうおそれもある。しかし、これが水産庁なり――一歩、二歩後退するのですよ。水産庁なり国が責任をもってその方面に当たるとするならば、あと皆さんのほうと漁民との感情じゃないか。そうだった場合は進んで誠意を示して、われわれもヘドロがなくなるまで操業停止をする、そのかわりやった以上は誠意を尽くすから、皆さんのほうでもしっかりしたデータを持ってきて、突き合わせながらお互いに栄えるようにしようやということでもう少し話し合いを進められたらどうでしょうか。私は、それがない以上、この問題の解決にならない。ほんとうはこれだけでも解決にならぬですけれども、これをやったならば、いますぐのこの場のまず感情的な、なにの打開にもなる、こういうふうに思っております。ぜひこれもやってもらいたい。  このことを心から希望して、私の皆さんに対しましての質問を終わらしていただきます。一生懸命この問題の解決のために努力してもらいたいことをお願いして、終わります。
  138. 加藤清二

    加藤委員長 次は、細谷治嘉君。
  139. 細谷治嘉

    細谷委員 午前中竹山知事いらっしゃったのでありますけれども、都合で席をお立ちになっておりまして、たいへん残念でございますが、残られたお三人に若干質問をしてみたいと思います。  事が公害でありますが、私は大の野球ファンでありまして、そういう意味では、大昭和製紙のファンであります。ことし優勝したことをたいへん喜んでおるわけでありますけれども公害問題ということになりますと、野球ファンという感情問題で議論をするわけにまいりませんし、また私も現地に行って詳しく調べたわけではありませんので、ほんの常識論にすぎないと思いますけれども、二、三質問をしてみたいと思います  第一にお尋ねいたしたい点は、渡辺市長斉藤社長にお尋ねしたいのでありますけれども、午前中の質問に対して竹山知事は、公害というのは、国、県、市町村、そして企業の連帯責任である、したがって、連帯責任解決しなければならぬ、こういうことを主張されたと思うのであります。この問題につきましては、新聞によりますと、都道府県知事の会合だったかで佐藤総理が、いまや公害問題の解決というのは、国、企業、国民が打って一丸となって当たらなければならぬ、こういうことを言われたとか、言われないとかいうことで、新聞でもかなりその基本的姿勢が問われておったのでありますけれども、先ほど来、この問題が竹山知事から出ておりますので、地元の市長として、あるいは企業の中心的な大昭和製紙として、どうお考えになっておるか、お尋ねしたいと思います。
  140. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 率直に申し上げます。私も基本理念は、産業公害企業責任だと思っております。しかし、これを解決する場合において、大きく社会思潮がここ変わってまいりました。急遽これを解決しなければならないという事態にあるわけであります。その場合において、当然政治責任行政責任というものはあるべきだと思っております。  ちなみに当市における今回の排水ヘドロの問題は、昭和二十六年に、石橋内閣のときに、都市特別下水道事業として起こされたわけであります。国、県、市、企業四者が均等負担岳南排水路というものができて、これに放流をするように、こういう指導をやってまいったわけです。私も長らく県会の席におりましたので、岳南排水路の問題については常に毎議会議論をしてきた一員であります。中途三十七年当時だと記憶いたしますが、下流部に終末処理をというプランが一応立ったことがあります。どうした理由かわかりませんが、この終末処理の問題についても立ち消えになっているわけであります。これは産業界の圧力で行政が負けたか、もしくは行政のほうから引っ込めたのか、実はいろいろ議論があるわけであります。しかし、今日までの行政指導というものを国も、県も、実は私のところの市もやってきたのです。そういう立場をとるならば、私はこの際責任追及という意味ではなくて、これらの政治責任をどうとるか、当然国もとるべきだと思う、県もとるべきだと思う、私のところの市もとるべきだと思う。だれが総理をやり、だれが県知事をやっていた、――私のように一月二十一日に市長に就任したのだから、前任者だ、こんな考え方では公共団体の長としてはつとまらないわけです。知事も先ほど来言っているとおりに、行政の継続性というものがあります。私たちは大いに過去の問題を反省をして、新しく七〇年代における国民生活というものを追及していく政治と行政責任がある、かように考えておりますので、この点についても各委員皆さんの今後の御健闘を、ひとつぜひともお願いを申し上げたいと思っております。
  141. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま渡辺市長からお話がございましたとおり、昭和二十六年に岳排の計画がなされたわけでございまして、おそらく当時としては公害という問題に対して日本でも非常に初めの、要するに当初の画期的なことだったと思います。それを引き続いて現在までやっておるわけでございますけれども、そのいわゆる岳排の計画が時流に合わないということは、やはりこの時点においては認めざるを得ないと思います。と同時に、ただいま渡辺市長さんがおっしゃったとおりの基本的理念において私は全く同感でございますので、くどくど私が申し上げるよりもいま渡辺市長さんがおっしゃいましたので、それでひとつ御了承いただきたいと思います。
  142. 細谷治嘉

    細谷委員 いまお二人から四者の共同責任、それも岳南排水路、こういう問題を例に取り上げられまして、しかも、政治の継続性、こういうことから共同責任があるのだ、こういうことでお二人の意見は全く一致しておる、知事さんの御意見も全く一致しておる、こういうことが確認されたのでありますけれども、渡辺市長さんの御主張はやや抽象的でございまして、私はその考え方というのが今日の公害をもたらした原因ではないか、こういうふうに思うのです。  最近新聞、雑誌等では、企業公害問題の先取りをやろうとする傾向が非常に強くなってきた。そしてそういう先取りによって根本的な対策を講ずることなしに、ごまかしでやっていく財界の動きが出てきておるのではないか、こういうことが指摘されております。言ってみますと、岳南排水路というものは四者の合議で四分の一ずつの負担で始まったものであるから、こうなったのもすべて四者の均等責任を分担しなければならぬ。したがって、これからの対策もそうならなければならぬという結果が必然的に引き出されてくると私は思うのですよ。たいへん重要な問題でありますから、ひとつ重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  143. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 抽象論でたいへん恐縮です。  産業公害は私は企業責任だという、この原則に立っております。私は一般論としては企業責任だ、これはあくまでも貫いて、これに対する防除施設、公害除去の責任を、企業はみずからがやるべきだと私は思います。ただ御案内のように、私どものところの岳南排水路関係は、実は当時昭和二十五年、六年、具体的には私がタッチした問題でございます。当時農業関係に被害を与えるという形の中で、特別下水道事業というのを国がまず第一番採択したわけでございます。石橋総理が就任して五日目だと思います。私もそのときは東京に来ておりました。当時農林省と商工省でございますか、その辺についてもいろいろ陳情した経験を実は持っておるわけであります。五日目に建設省のほうに総理は指示をして、あの始末をということで、特別下水道事業がここで起こされたわけであります。当時は各企業も、専用排水路や浄化槽を持っていた企業もあったわけであります。これは具体的にお調べになればおわかりになると思う。その後、国の採択を受けて県が工事を起こして、このように排水をここへ流しなさい、こういう問題の指導が行なわれたわけだが、専用排水路も全部それをやめさしたわけであります。この問題については、私は県会議員当時中に入って、ずいぶんこれらの調整をやった経験も実はある者でございますが、そういう形が当時の社会的の思潮という反省が実はあるわけであります。当時からちゃんとした問題をやっておけば今日問題にならない。でありますから、その面の行政指導の点について、問題点があると私は指摘をいたしておるわけであります。  たとえて言うと、業界のプッシュで、行政がその処理上の問題においても、もしおろしたとしても、これは政治、行政責任があるのじゃないだろうか、この辺は非常にむずかしい見解になると思いますが、そういう特殊な問題を富士地区の岳南排水路というものは持っておるわけであります。そういう点をぜひお考え願って、私はこれらに対する費用分担が四者均一だという表現をとっておるわけじゃありません。これから排出する排水を浄化する、これらの資金的な問題等々についての負担は私は当然企業がやるべきだ、しかし、それだけをもってしてよしとすることはおかしいのじゃないか、もっと行政責任というものをとったらどうだろうか、その点について国のほうもひとつお考え願いたい。四者均等だという表現を私は使っておるわけではございません。幸い融資等々の問題もありますが、これでは中小関係が生きられないという今日的な富士地区の実態というものを、私は富士市の行政責任者として十分承知をいたしておるわけでございますから、企業責任責任として、しかし、他面的には、これらの中小を守り育成をする、こういう立場に立ってみるならば、今日までの行政責任というものをぜひひとつ考えてほしい、これは国だけに私は申し上げているわけじゃございません。私のところの市自身もそれに賛同して今日までやってきた、こういう問題についても、大きな反省に実は立っておる、かように申し上げたところでございます。
  144. 細谷治嘉

    細谷委員 斉藤社長さんにお尋ねいたします。  岳南排水路の特別都市下水路ですか、そういう形でたまたま静岡県出身の総理大臣が生まれてから三日目か四日目にそれがスタートした、そういうようないきさつだということでありますが、先ほど斉藤社長さんは、どうも岳南排水路にたより過ぎた、やや見通しが甘かった、こういうおことばがございましたけれども、お尋ねいたしたいことは、特別都市下水路をつくるにあたっての国なり、県なり、あるいは市なり、あるいは企業側の負担割合が妥当であったといまもお考えになっていらっしゃるかどうか、これが第一点であります。  第二点は、その岳南排水路に集中して工場排水が流れ込んだわけでありますけれども、終末処理というものもできていない。言ってみますと、たれ流し状態にあって今日の事態を呼んだわけでありますが、二十六年からでありますから、かなりの期間を経ているわけでありますが、その間にこの岳南排水路に対して、企業の伸展に伴って計画の手直し、こういうものは当然起こってくべきであろうと私は思うのでありますけれども、そういう点について反省がおありかどうかお尋ねします。
  145. 斉藤了英

    斉藤参考人 国、県、市、企業負担金について妥当であるかどうかということは、私たちはそうした政治的な問題についてはしろうとでございますので、こういう問題については国に何か基準というものがございまして、それで私たちはそれに従ったというように考えてみたいと思います。それが多いとか少ないとかいうことは、私としては何とも申し上げられませんで、国のこうしたものに対する一つの基準があるのじゃなかろうかというように私考えております。  それから、終末処理につきましては、私たちはこれを非常に期待しておったわけでございまして、終末処理によって整理されて出ていくというようなことで期待しておりましたけれども、いままだそれが具体化されていない点にやはり問題が起きているじゃなかろうかというような点がございますので、ここにおいていわゆる田子の浦ヘドロから、いろいろな岳南排水路という問題が、私たちにとっては一つの大きな問題があるわけでございます。午前においてお話ししておきましたのですが、二十六年からずっといままで負担金を出しております。私たち大手においては、少なくとも自分の力において排水処理設備をやるわけでございます。そうしますと、岳南排水路をはたして利用するかどうかという疑問点に立つわけでございます。今後も岳南排水路を自分たちでも流せる事態にまで水処理をしてしまう。それでもなおかっこの岳南排水路を続けていく場合において、負担金を出さなければならないかどうかという疑問点に立つわけでございます。でありますので、今後この岳南排水路というものを継続して、なおかつ終末処理設備をしていく場合において、われわれの果たす責任の分野というものをどの点に置いたらいいかということを今後国及び県、市において、いろいろと私たちに御指導を願いたいというような観点にいま立たされていると思います。でありますので、その辺諸先生方におきましてもひとつ御研究をいただきまして、しかるべき御処置をいただければ幸いだと思っております。
  146. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから、この点についてこれ以上申し上げませんけれども、私は考えるのでありますが、いま、地球は滅びる、こういうことがたいへん大きな問題になっております。あるいはアメリカあたりでも、大統領が特に目にとめたという、春が来てももう小鳥はさえずらぬだろう、いわゆるサイレントスプリング、こういう本すら出ております。それだけにきわめて深刻な問題でありまして、やはり環境を守らなければならぬ、こういう点で、住民があるいはそこの自治体が企業に対して環境を守っていく。先ほど渡辺さんがおっしゃったように、何といってもやはり住民の生活と生命を守っていかなければならぬというのが一義的なものなんだ、こういう観点で、それでは企業をつぶしちゃっていいか、こういう議論は出てこないわけでありますけれども、何といってもやはり公害ゼロの企業を目ざして企業努力をする、国も県も市町村も努力する、住民努力をする。こういう意味において、ある場合には企業はそんなに負担できぬ、住民のほうは公害ゼロにしてくれということになりますと、金銭のことであるいは対立するかもしれませんけれども公害をゼロにする、そういう企業をつくり上げる、そして環境を保全していくという意味においては、これはやはり共同であろうと思う。そういう意味の共同責任なら私は理解できるのでありますけれども、いま言われておる共同責任というのは、もうたれ流しでここまで来た、この公害を防ぐために、このヘドロを取り払うための一切の負担というのが、四者均等に負担していくのが共同責任だということは、今後の公害対策としてもいろいろと危険性がある、根本的な問題点があると私は思うので、この点についてもひとつ自治体側のほうも、企業側においても、十分な配慮をして、目標としては公害ゼロの企業をつくり上げる、こういうことで努力をしていただきたい、こう私は思うのであります。  そこで、お三人見えておりますが、これもまた渡辺さんと斉藤社長にお聞きするのでありますけれども日本パルプ資源というのはほとんど外国から買っておるわけですね。買うとなりますと、やはり運賃が要るわけでありますけれども、新聞、雑誌等も書いてありますように、日本製紙工業がここまで発展してまいったのは、公害たれ流し、これによってパルプ原料がないための不利な条件をカバーしてなお余りあったのだ。これは何も製紙工業ばかりではありません。製鉄工業もしかりだ。たとえば公害を防ぎとめるだけの施設はしないで、とにかくスチールだけつくればいい、こういうことで鋼が非常に発展した、世界の諸国とも競争できるんだ、製紙もそういうことなんだ、こういわれております。いわゆる公害を生むことによって企業が発展してきたんだ、こういうふうに批評されておるのでありますけれども、この点についてお二方の御見解はどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  147. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  先ほどおっしゃられた点、私は今後とも公害防止の積極的な施策を進めてまいります。公害防止ができない企業というものはもう企業ではありません。その意味では、私はあくまでも原則論に立って、具体的な行政の中で展開をいたしてまいりたいと思いますので、先生がおっしゃっている点については全く同感でございます。同じ意見を持っておるわけでございます。若干注釈を加えた点が、岳南排水路の問題が実はありますので、その点について私の発言で誤解をされておる点が若干あるかと実は思いますが、この点については、後ほど機会がありましたらいろいろの疎明の資料等々を提出いたしたいと存じております。  ただいま御質問の点については、紙パルプ産業というものが今日公害たれ流し、水は地下水、ただ、こういう点で発展してきたということについては、確かにお説のとおりだと思います。そういう立地条件に実はあった、かように解釈してよろしいかと存じます。しかし、昨今に至りましては、地下水の賦存度が限界でございます。それ以上給水をいたしておるわけでございます。必然的に工業用水道の施設が必要になる、こういう状況に実はございます。この点について全く同感だという御返事を、実は私のほうがちょっと勉強不足でございますので、直ちにお説のとおりという解明はいたしかねるわけでございます。それだけの私まだ勉強がちょっと足りませんので、御容赦願いたいと思います。
  148. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま御指摘の点につきましては、現在私たちが外国から買っておる材料は約一五%でございます。あとはほとんどが国産材でございますけれども、ただいま御指摘の点については、今後十分に注意いたしまして、公害対策をした上でパルプ設備をやっていくということで進めてまいって、その上ではたして国際的に競争力があるかということを計算の上に立って、今後の私たちの姿勢を正してまいりたいと思いますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。
  149. 細谷治嘉

    細谷委員 まあ日本の高度経済成長というのが生産第一主義に流れ過ぎて、いろいろな弊害、ひずみを生んでおるということは、これはいなめない事実であろうと思うのでありますが、先ほど、渡辺市長さん、あなたは午前中の陳述の中で、田子の浦問題解決ということではなくて、駿河湾解決の一要素として田子の浦ヘドロ問題を考えなければならないのだ、こうおっしゃいました。私は竿頭一歩を進めて、田子の浦駿河湾ばかりじゃなくて、ひとつ太平洋の近海を守るという前提、その一環として駿河湾を浄化していくのだ、田子の浦ヘドロ解決するのだという考えがなければならぬと思うのでありますけれども、いかがですか。
  150. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お説のとおりでございまして、私が申し上げたのは、富士市というこういう領域がございまして、田子の浦港の問題というものの見方の当て方は違う。田子の浦港の港湾機能が回復すればよろしいという問題じゃない。駿河湾の自然をどう守るか、まして漁民の生活をどうするのか、われわれ漁民以外のともかく国民のすばらしいレクリエーションの場をどう確保するか、こういう問題の見方でございますから、拡大して申し上げれば太平洋という、こういうことにも置きかえられる。こういう一つの思想で今後の公害対策をやってまいりたい。それには何と申し上げましても、発生しているもとをちゃんと始末をするということに市の行政の重点を置いて、企業皆さんに強くお願いを申し上げてまいりたい、かように考えておりますので、先生のおっしゃることと同意義とひとつ御解釈願いたいと思います。
  151. 細谷治嘉

    細谷委員 そこでお尋ねいたすわけでありますけれども、いまばく大な原油というものが大洋を通じて運ばれてきております。その運搬途中等に〇・〇五%ぐらいの油が大洋に流れておる。そのことによって、大洋の汚染というものはもう極限に近づきつつある、こういうことがいわれております。極限に近づくということになりますと、人間が吸っておる酸素の半分か六割ぐらいは大洋によってつくられておる。陸上の木もつくってくれますけれども、もはや酸素のバランスは、陸上ではとれないのだ、こういう事態になっております。大洋をよごしますと、殷鑑遠からず、人間が呼吸困難になる、こういうふうにいわれておるわけであります。少し話が大きくなりますが、事実、これは大きいなんということで笑っておれないことなんですね。  そこであなたは、駿河湾田子の浦を守るのではなくて、その前提はやはり静岡県の前にあるあのぼうぼうたる太平洋を守るのだということになりますと、先ほど島本委員質問に対して、海上投棄、いわゆる外洋投棄について、いままだ根拠がしっかり出ていない。出ていないですけれども、投棄することはもうきまったのだからあえてやると竹山知事はおっしゃっておったのですけれども、そのことについて答弁がなされないということは、何か少し政治的な、奥歯にもののはさまったように私は聞えるのでありますけれども、いかがですか。
  152. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  御指摘のとおりだと思います。と申し上げますのは、国会の先生方もよくひとつお考えを願いたいと思いますことは、今日置かれている市町村の姿というものをぜひ御判断を願いたいと思います。どれだけの機能を持ち、どれだけの権能を持ち、どれだけの財政力を持っているかということであります。この点はぜひひとつお考えを願いたいと思います。私が駿河湾、すなわち太平洋を守る、それでは外洋投棄は反対だ、それでは陸上処理がどういう方法で、具体的にはどれだけの資金がかかり、どうしていくか。これが市の提案としてなされるだけの力を持ち合わせることが、実は本来的の自治体の姿だと思っております。今日の行財政のその実態の中で、言わんとして言えないこの苦衷というものを、ぜひ皆さん御判断を願いたいと思います。まして、政府方針、県がきめている問題、それをストップだということは、すなわち田子の浦港の機能は停止、停止の上に、さらにこの問題は駿河湾に自然放流がされているわけであります。今日の時点でも、しゅんせつが行なわれていないにかかわらず駿河湾には自然に入っている、こういう実態でありますから、必要悪という表現は適切ではございませんが、外洋投棄の問題について、私のいまの立場としてとやかく言えない。ぜひ政府と県が協力してほしいという形である以上、私はこれに従わざるを得ないという実情をぜひ御判断を願いたいと思っております。代案があって、それだけの力があれば、当然私はこのような形については反対もいたしましょう。しかし、そういう実態であることだけをひとつお考えを願いたいと思います。
  153. 細谷治嘉

    細谷委員 時間があまりありませんので、渡辺さんなりあるいは斉藤社長にお尋ねしたいのでありますが、いま問題になっております田子の浦ヘドロ、新聞等によって、一日どのくらい排出するかという量も、どうもまちまちのようでありますが、かなりの量が堆積していることは事実でありますけれども、このヘドロの成分というのは有機物がどのくらいあるのか、無機物がどのくらいあるのか、お調べになっておったらお聞かせいただきたいと思います。
  154. 斉藤了英

    斉藤参考人 SSがいま固形分にして八百トンから千トンでございます。
  155. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょっとSSというおことばですけれども、私は大別して有機物と無機物というのはどの程度の割合かということを、きわめて常識的に聞いているわけです。
  156. 斉藤了英

    斉藤参考人 SSというのは有機物でございます。
  157. 細谷治嘉

    細谷委員 そうしますと、同型分として八百ないし千ということになりますと、八〇%ないし一〇〇%ということですか。
  158. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げますが、私たちがただいままで試算をいたしておりますのは、水分九〇%の場合についてという、こういう試算でございます。ただいまの固型分と申し上げたのはおおよそ水分四〇%の場合について推定で約八百トンないし九百トンと、かように御理解を願いたいと思います。水分が九〇%については約三千トン、かように存じておりますが、しかし、この点につきましても、ぜひ国にお願いを申し上げたいのは、まだ急遽総合的な調査が開始をされたばかりでございます。いままでこれらの点についての分析その他については、きわめて幼稚な調査しか行なわれておりません。急遽いま県、市と共同しまして、総合的な駿河湾全体の問題の調査に取りかかって、まだ中間報告もなされておらぬ、結論が出ておらない、かように存じております。
  159. 細谷治嘉

    細谷委員 この辺少し聞きたいのでありますけれども、これがきましたから……。  一つお尋ねしたいんですけれども、せんだって岳南鉄道で、この港から発生する硫化水素によって中毒した人がおると新聞に書いてありますね。それからその辺の住民の人は気分が悪くなった。少しこの実態をお聞かせいただきたい。そして先ほど竹山知事さんの話では、硫化水素の問題はすでに片づいたと、こういうことなんでありますけれども、その片づいたという具体的内容は、ひとつ斉藤社長さん、どういうことなのかお尋ねしたいと思います。
  160. 斉藤了英

    斉藤参考人 その点について私不勉強でございまして、ただ岳南鉄道の場合においては私の知る範囲においては、病気になられた方が前日四時ごろまでマージャンをやっておって、非常に酒に酔って、日ごろ非常にかよわかったというようなことで、何かそういうことも一つの原因になっておるのじゃなかろうかというように聞いておりまして、詳しくは私ちょっと聞いておりませんので、その辺ひとつ御了承いただきたいと思います。
  161. 細谷治嘉

    細谷委員 数日前の「スタジオ一〇二」あたりでもこの問題が出まして、港の近くに行きますと卵の腐ったようなにおいがする、これはもう文字どおり硫化水素のにおいですね。そういうことで、かなり硫化水素は濃い。それと漁民の人は外洋に捨ててもらっちゃ困る、これは漁業の関係から。その港の周辺の住民の人たちは、ヘドロをかき立てますと一気に硫化水素が発生するんで、これはもう住んでおれぬということで反対する。いろいろな複雑な問題が出ておるようでありますが、委員長、時間がありませんので、ひとつヘドロなり、硫化水素は片づいたと、こういうことでありますが、まだ全く緒についたばかりのようでありますけれどもヘドロの量なり、あるいはその分析の結果なり、あるいは硫化水素のその近傍における濃度、あるいはヘドロを取った場合の危険性、そういうものについての現存する、現在握っておる資料等を後ほどおまとめいただいて提出していただくことをお願いして、私の質問をきょうは終わっておきます。
  162. 加藤清二

    加藤委員長 この際、ちょっと参考人に申し上げておきますが、いま資料の要求がありましたですね。現状における調査結果、中間報告ということになるでしょうが、それがございましたら御提出願えますか。
  163. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 はい、けっこうでございます。
  164. 加藤清二

    加藤委員長 それはいつごろまでに御提出願えますか。
  165. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 現在の時点については、逐一それぞれの資料がございますので、ただいまの岳南鉄道の機関士の発病の問題も含めて、しかし、これは非常に医学的の立場になりますので、この点についてはもう少しの時間、専門医がいまかかって調査をいたしております。  また、ヘドロの問題が解決したと知事はおっしゃられておりますが、周辺における住民関係がございますので、私は県にもよく申し上げているわけですが、市民の健康を守ることが市長としての最大の意義だ、この問題に影響があるということになればたいへんな問題だということを強く私は県にも申し上げているわけでございます。  関係の資料については、今日ただいま現在の問題については、さっそくでもひとつ委員長の手元にお送りさしていただきたいと思います。
  166. 加藤清二

    加藤委員長 それではお帰りになりましてから、できるだけ、可及的すみやかに御提出のほどをお願い申し上げておきます。  次は岡本富夫君。
  167. 岡本富夫

    ○岡本委員 まず、渡辺市長さんにお聞きいたしますけれども市長さんは、市長候補の時分に、何とかしてこの富士から公害をなくそうと、これが大きなスローガンで当選されたように伺っております。したがって、この公害問題については一番御熱心であろうと思いますので、これからお伺いいたすわけでございますけれども、そこで、先ほども県やあるいは国に対して、何か批判的なことを言うと、あとで非常に力が弱くて困るのだというようなお話でございますけれども、そうでなくして、この場はどうしてもあなたの当初の初心であったその公害をなくそうという特別委員会の席上でございます。したがって、どうかひとつ何か奥歯にものをはさんだ言い方でなくして、率直な意見をこの場で吐いていただいて、そうしてやはり一日も早くこの公害問題を何とかしなければならぬというのが当委員会委員のみんなの、与野党を含めての意見でございます。したがいまして、その点について、そういうことを前提に置いてお伺いいたしますけれども、まず八月十一日、山中長官と県知事とが具体的な打ち合わせをされたのでありますけれども、それに対してあなたの、要するに市の御意見を取り上げられていれられてこういうことが決定されたのか、これをひとつまずお聞きしたいと思うのです。
  168. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  山中長官と竹山知事とのあの結論というものは、市のほうの意向は聴取をされておりません。
  169. 岡本富夫

    ○岡本委員 よくわかりました。それで海上投棄ということを決定をされたわけでございますけれども、まず、あなたが県会議員のときに、国から四十五年度の予算として田子の浦公害調査費が支出されるような状態になっておったのですが、それがなくなっておる。こういう事実を御存じでございましょうか。
  170. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  田子の浦港の問題でなくて、駿河湾の海域調査関係について、国が予算措置をするという計画を持たれておったように私は県の担当課から伺っておった。市長に就任して、駿河湾海域調査が行なわれると期待をいたしたわけでございますが、その関係の点の予算は落ちておった、こういう事実でございます。
  171. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはほんとうに問題です。国がやろうとしたときに県がその予算を断わったのか、あるいはまたどうなったのか、なくなっている。そういうところにおいて、ただいままだ総合的な調査ができていない。総合的な調査ができていなければ、処置の対策が立たないように思うのです。  知事さんは、政治力、政治判断で海上投棄をやろう、こういうようにきめたんだ、こういうことでありますけれども、そこで、市長さん、あなた、富士市を、田子の浦をほんとうに公害から守ろうという、その一念に立った場合に、はたして現在の海上投棄の計画、すなわち、一隻四千五百トンの船が二隻、これが、いま約一億で改造して、今月の二十日ごろにできるのだそうですが、その二隻で、約八十万トンあるところのこのヘドロを、一歩退いて海上投棄をするとして、はたして田子の浦がきれいになるのかどうか。あとへどんどんと毎日毎日流されてきておるわけでございます。二割操短したとしても、一日、現在三千トンで二千四百トン、こういうものがどんどん流されてくるとしまして計算いたしますと、これはとても解決がしにくいのじゃないかというように考えるのは、しろうとでも大体わかるのですが、市長さんの御意見として、ほんとうに富士市を守らなければいかぬという立場から、どういうお考えか、言お聞かせ願いたいです。
  172. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  御指摘のように、現在、港内に沈滞をいたしております通称ヘドロというものが、六十万立米だと思います。でありますから、四千五百トンの、輸送船ですか、ヘドロ運搬船ですか、二隻で外洋三百二十キロの地点、何ノットかよく存じませんが、その計算をしていきますと、――さらには毎日のように実は田子浦港に注入をするわけでございます。差し引き計算すると、数字的には明らかな事実でございまして、二隻でこの問題の解決になるとは私は存じておりません。ただ、たいへん発言多いようで恐縮でございますが、しからば、この問題を手をつけずにどうするかという問題がそこにあるわけでございます。その中の一方法としての外洋投棄だと知事がおっしゃられているわけでございます。  いま、ここで、しからば市長としてどうするかという問題は、田子浦港の管理者は県知事でございます。私が田子浦港の問題をああしろこうしろという問題については、その権能を持ち合わせておりません。問題は、田子浦港に堆積をしたヘドロから、硫化水素なり、亜硫酸ガス、市民の健康に問題がある場合については、私は強い発言ができますが、田子浦港の問題をああしろこうしろという指図がましいことについては、これは越権の問題に相なろうかと思いますので、その点で、奥歯にものがはさまった、こういう表現に受け取られているきらいがあるかも存じませんが、さような点についてぜひ御理解を賜わりたいと思います。
  173. 岡本富夫

    ○岡本委員 よくわかりました。これは市の問題でないのだから、県の管理港だから、それに対してことばを差しはさむのは越権だというお考えでしょうが……。  そこで私も、きのうからも、きょうもまた知事さんにも話しておいたのですけれども、あなたのほうで、産業廃棄物を処理しようとされた市長さんの御熱心な発意から、あなたのお知り合いのこの岩本山裏の山砂利の採取あとを利用したらどうかと、市と、市の会議所、こういう事実はございましょうか。また、もしも県のほうから、何とかそこにひとつパイプでもって、処理をするところがないのだから、陸上処理のためにということになれば、そこを門戸を開いて入れてあげられるようなお考えはございましょうか。この二点について。
  174. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおりでございまして、実は、私が市長になって、私の選挙責任者会社がその山砂利の採取場所を持っているわけでございます。いま各工場企業から出る産業廃棄物の問題、実は市長として苦慮をいたしております。その実態を見て、どうだ、おれの山に――約いま三十万立米くらいの捨て場所が実はあるわけでございます。ここへ産業廃棄物として処理をしたら、これはあくまでも行政上の問題だ、業界から言われて云々じゃない、こういう意思を私まで持ってきているわけでございます。  第二番目の質問の、それでは田子浦港のヘドロを陸上処理をという問題でございます。技術的には、私のところはもちろんですが、県の関係、厚生省の関係についても、いろいろこれらの点については具体的に事務ベースで検討されていると思います。  以上です。
  175. 岡本富夫

    ○岡本委員 御熱心な市長さんのお考えを承る二とができました。これは今後、公害対策本部、佐藤総理あるいはまた山中長官にも意見をさらに私どものほうからも言って、そして海上投棄一辺倒のこの考えをやはり改めさせていかなくてはならない。  なぜかといいますと、市長さんは、駿河湾あるいはまた太平洋、こういう面のものも考えなければならぬ、こういう意見でございましたが、来年度から新型のしゅんせつ船をつくって恒久的に海上投棄をしようというような、これは報道ですが、出ておるわけです。そうしますと、これは、ほんとうに、現在あるものでなくして、恒久的にそういうことになりますと、相当これは問題である。国際問題にもひっかかってくる。こういうことなんでございます。そこで、何とかして産業廃棄物はいよいよ処理しなければならぬという時代に入って、次の国会ではこれを法案にするのだということにまでなっておるわけですから、さらにひとつ市長さんの協力をお願いしたいと思います。  もう一点は、これは富士フィルムあるいはまたあなたのほうの市にある小さなメッキ工場排水処理です。これもおそらくこの田子の浦湾に入っておるように、私どもはずっと調査のときにわかったわけでありますが、すなわちシアンとか水銀が相当流れておりますが、この対策にもひとつ力を入れていただかなければならぬ。  もう一つは、富士市に参りますと、非常な悪臭であります。この悪臭の除去にもひとつ市長さんとして力を入れてもらわなければならぬ。この具体策、具体案をお持ちでございましたら、この際ですから、ひとつ意見を聞かしていただきたいと思います。
  176. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 メッキ工場のシアンの関係につきましてはたいへん心配でございますので、公害課をして十分これらの監視に当たっております。ただいま私の手元に報告をもたらされている問題については、シアンの関係については心配ないという状況の報告がもたらされておりますが、御指摘のように、今後ともこれらの問題についてはひとつ十分考えてまいりたいというように考えております。  第二番の、臭気の関係でございますが、この点については長い間KP、いわゆるクラフトパルプの悪臭という問題は、汽車に乗っていただくとよくわかるのですが、有名でございますので、県当局ももう七年くらい実はこれらの研究を学者に委託をいたしております。まだきめ手というものがございません。最近は、臭気研究会等々もできて、具体的に臭気の対策についてこれらの研究が進められていると思います。さらにきょう参考人として出席の大昭和社長工場についても地球がまの点を切りかえて、連続蒸解がまということで運転がもう開始される段階になりまして、大きく違ってまいると思いますが、これらの問題もあわせて、今後の公害対策に主として最大限の力を発揮してまいりたい、かように存じております。
  177. 岡本富夫

    ○岡本委員 大昭和製紙社長さんに、これは静岡県の紙業協会会長さんでもあるわけですが、聞くところによりますと、あなたが公害対策の万全を期するために諸外国に旅行されておった、こういうように伺っております。あなたがお帰りになるのをみな、国のほうでも待っておった、政府部内でも待っておったということです。これは報道ですが、お帰りになったときに、日本公害対策は一番進んでいるのだ、絶対に操短は考えないというような、非常にかたい御決意のようであったわけでありますけれども、その後御心境の御変化か、公害対策をしっかりやろうというようなお考えに、きょうの陳述を聞きましても感じたわけでありますが、その辺のいきさつ、あるいはまた考え方、くどいようですが、もう一度お聞かせ願いたいと思うのです。
  178. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、海外を旅行したことによりまして、私たちとしては公害対策についていかように万全を期するかという一つの勉強で参ったわけでございまして、やはり先進国である北欧の状態などを見てまいったわけでございますが、羽田に着きましたときに、やはり私といたしましては、操短という問題については非常に企業の存立という問題についてむずかしい問題が出てまいりますし、収益が非常に減るということはもう事実でございます。しかし、そういうことばかり考えておられませんので、諸般の情勢から、そしてまた紙業協会としての諸般の情勢から、やはりこれはあえて操短もして、そしてこれに対処していかなければならないと思いましたし、また通産省のほうのいろいろなアドバイスもございまして、こうしたほうがいいということで、実はそれに考えを変えたわけでございます。そういうことでひとつ御理解をいただきたいと思います。
  179. 岡本富夫

    ○岡本委員 これはまことに失礼な話でございますけれども、諸外国に企業の育成の見学にお行きになって、そして帰ってきて、さらに企業を伸ばそう、これなら非常に話がわかるのですが、公害対策の見学にお行きになって帰ってきて、公害に直ちに――そのときの心境ですよ、日本が一番進んでおってというような考えになられたということは、諸外国の公害対策は非常におくれておる、こういうようにお感じになってのお話なのか。ですから、諸外国でもこんなにおくれておるんだから、日本はまだ進んでいるほうだ、こういうようにお考えになったのか、その点について再度くどいようですけれどもお聞かせ願いたい、こう思うのです。
  180. 斉藤了英

    斉藤参考人 これはちょっと説明が足りませんで申しわけありませんけれども、私たちがいま計画しておる設備において、現在外国にあるところの公害設備よりも、現在私どもが計画している設備のほうが進んでおるということでひとつ御理解いただきたいと思います。日本のほうが現在進んでいるんだということじゃなくて、私たちがいま計画しておる公害処理設備のほうが進んでおる、要するにこんなようなことでいいというような考えであったということで、その辺ちょっとニュアンスの違いがあると思いますけれども、御理解をいただきたいと思います。
  181. 岡本富夫

    ○岡本委員 なかなか答えにくいことを答えていただくということはまことに申しわけないことでありますけれども、通産省あるいはあっちこっちのアドバイスによってあなたの心がお変わりになった、こういうように、この報道から見ますと感ずるわけであります。そこで、もう一歩お進みいただきまして、たとえば漁民の皆さんの御心情、これは非常にかたいものがございます。先ほども少し島本さんからお話がありましたけれども、いまのような、どっちかといえばにらみ合いのような状態ではぐあいが悪いと思うのです。したがって、やはり漁民の皆さん意見をもう一度よく聞いてあげ、またあなたのほうの状態も話をして、そして話が歩み寄れるような門戸、心を開くという御用意はございましょうか。
  182. 斉藤了英

    斉藤参考人 それは用意はございます。
  183. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、中小企業の代表の佐野さんにお伺いいたしますが、先ほども御陳情がございましたが、この総額、予算を大体どれくらいにお考えになっておるのか、これをひとつお聞かせ願いたいのです。このそれぞれの、たとえば、まず「排水処理設備費の特別融資枠の措置と格段の助成措置」、大体あなたのほうの中小企業の協会の全部のワクはどのくらいあったらいいのか、これをひとつお聞かせ願えたら非常にありがたいと思うのです。
  184. 佐野富男

    佐野参考人 中小企業工場、いろいろ小さいのから大きいのがありまして、また内容もいろいろ違いますが、ちり紙の六十何社だけで申しますと、約一次処理で二千万円から二千五百万円くらい、これが七十社としまして十四億円くらい、そのほかヘドロの焼却処理の共同処理工場を一カ所一億円くらいと見まして五カ所くらい見ますと五億円ぐらいかかります。その他百二十社の中小企業、ちり紙以外のものは、ちょっと排水の内容がよくわかりませんので詳しいことを調べてまいりませんでしたが、やはりちり紙程度排水設備は要ると思います。一社二千五百万円から三千万円、ヘドロの共同処理場もやはり必要かと存じております。
  185. 岡本富夫

    ○岡本委員 佐野さん、そのほかに、いま聞きますと、現在大体三割ぐらいの赤字が出ておる。これからいよいよそれを取り返す時期だということでありますが、その時期においてまたどうして操短しているのか知りませんけれども、新聞によると大企業操短しているというようなことですが、いろんな問題で、税制問題あるいはまた納税の延期問題、こういう小さな配慮も必要になってくるのではないか、このように思うのです。運転資金の金融関係も必要になってくると思うのです。したがいまして、ひとつ団結をしていただきまして、そして根拠のある御要求を出していただく、そしてわれわれ当委員会委員長をはじめみなで、また各党が応援をしていくということもしなければならぬのではないか、こういうように思うのです。その点について資料が出ましょうか、どうですか。
  186. 佐野富男

    佐野参考人 その点につきましてはちり紙工業組合中小企業団体法の工業組合を設立しておりますので、その機関によりまして構造改善の方面に進みまして、紙業課並びに県の御指導を得て共同化、協業化によってこれを切り開いていきたい。そのほかダンボール、内装にも協同組合があります。そういうことで、協同組合のないところは紙業協会等によって中小企業の今後の行き方を協業化するとか、あるいは制度金融をあっせんするとかということで切り抜けていけるではないかと存じますが、一番心配のものはやはりヘドロ公害負担の割り当て金が来ます。これについては制度金融がちょっとないように思うのでございます。この辺について、私どもといたしましても商工組合の商工中金とか、ああいうところへ取引いたして、そしてできるだけ金融をつけていきたいというふうにも考えておりますが、まだ具体的の案は計画にはなっておりません。  この七億の負担がいずれ中小企業にも割り当てられる、これは私どもといたしましては非常に心配の種でございまして、私が工業組合理事長をやっております、ので、この点について組合員から、非常に心配して、どうするかというようなことを相談をかけられておりますが、これは相談して何とかあっせんしてもらうかしようじゃないかというようなことを申しております。県の金が五カ年というようなことでございますが、初めは十年ぐらいのことで聞いておったのですが、それが今度五カ年というようなことになってまいりまして、今回の七億だけでなく、引き続きまた来年も再来年もということになりますと、非常な大きな金額でございまして、これを一番心配しておるわけでございます。この点ひとつ先生方もいろいろの面で御配慮願いたいと存じます。
  187. 岡本富夫

    ○岡本委員 じゃ最後に市長さんに、まあお聞き及びのようなことでございます。中小企業に対してもどうかきめのこまかい手を打っていただく、同時にまた、あまり県や国に遠慮をしたようなことにならないように、この公害対策の一番大事な面は、どしどしひとつあなたのほうで陳情もしていただき、また申し入れもしていただきまして、そしてやっていただきたい。  それと同時に、漁民の皆さんとも、これは知事さんの責任だ、こういうことでございましょうが、あなたもひとつ市長として、市の中にある漁民の方と話し合いをしたり、あるいはまたあっせんをしてあげられる、ひとつこういうような考えを出していただきたい、これを要求しておきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  188. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 お答え申し上げます。  私は公害対策をやる部面について国や県に遠慮は申し上げておりません。でございますから、各党の議員の皆さんおいでになりましても、また関係各省庁に出かけましても、私は発言については何にも変わっておりません。いまの自治体十八万市民の健康と生活を守るわけでございますから、市長としての責任上で言うべきことは、総理であろうとだれであろうと言ってまいりたいと思っております。この点だけは私は自説を曲げてまいりたくはございません。  さらに、中小関係につきましては、いろいろの面でひとつ配慮をいたしてまいりたいと思っております。限られた財政の問題であります。またどういうように資金的の問題を誘導するかという問題についてもくふうが実はございます。そういう点がございますので、当然県に対しても要望すべきものについては要望いたしてまいりますが、その点格段の各先生方の御協力をいただきたいと思っております。わがままなことも国の関係について申し上げたいと実は考えておりますので、よろしく御指導願いたいと思います。
  189. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  190. 加藤清二

    加藤委員長 次は、川端文夫君。
  191. 川端文夫

    ○川端委員 午前中から長い間御苦労さまです。したがって、私あまり重複した質問を申し上げないで、要点のみ御質問申し上げて短時間で切り上げたいと思いますから、御答弁もひとつ要領よく、短くやっていただいたほうがいいのではないかということを前提として申し上げておきたいと存じます。  そこで、大昭和製紙社長さんである会長さんに、日本の紙業の国際的な競争力というものはどの辺におるのか、ひとつこの点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  192. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま御指摘の点でございますけれども、原料に乏しい日本といたしましては、決して強い産業と言うことはできないと思います。ただ、現在まだ日本の紙の価格が、外国から輸入される価格よりも安いので、まだ外国から入ってくる要素は少ないと思います。ただ、最近の傾向といたしましては、輸入パルプが非常に高いので、日本の、パルプを購入している業者は非常に困難しておるということは事実でございます。原料の点から国際競争力は弱いということでひとつ御答弁にかえさせていただきたいと思います。
  193. 川端文夫

    ○川端委員 企業としては比較がなかなか困難かもしれぬけれども、紙の値段の上では国際競争力を持っている、こういうお答えだと承ってよろしいわけですね。したがって、国際競争力の上からいっても日本の紙の値段が安いから、まだまだ輸入の脅威はないけれども、材料の点は外国から輸入しなければ困難だというお話と承るわけです。  しからば、その問題は後日また商工委員会等で十分検討さしていただくことといたしまして、あまりその問題で触れないことにいたしますけれども、悪いことばで言えばたれ流し、浄化装置等をしたならば経営が成り立たぬというような状態であったのかどうか、この点はどういうふうに御理解置きか、気づかぬで今日までまいられたのか、その点いかがなものでしょうか。
  194. 斉藤了英

    斉藤参考人 この点につきましては、気づかないとも言えますし、気づいておりましたけれども、いわゆる社会情勢に甘えておったということも言えましょうし、ただ今後、公害設備をすることによってコストがアップいたした場合においては、原価高になりまして、市場価格も引き上げなければならないというような状態に追い込まれるのではなかろうかと思っております。でありますので、今後においてはこうした公害設備によってあと処理の費用も非常にかさまりますので、ますます紙業協会としては非常にたいへんな事態になっていくだろうというように私としては想定いたしたいと思います。
  195. 川端文夫

    ○川端委員 その点で私は紙の製造、いろいろシステム等の問題は、あまり詳しく存じていないのですが、先日北海道に商工委員会で視察に参りましたとき、釧路の十条製紙でありましたか、十分浄化装置をつくって、そう付近に迷惑をかけない施設をしていたように私は見て帰ったわけですが、北海道を歩いておる中にも、どうもはなはだここでは言いにくいことでありますけれども大昭和製紙さんがあそこに一軒あるのだが、あそこの近所でもやはり漁民に問題を起こされている。しかも、日本製紙の中においての大手中の大手であるところの大昭和製紙さんが、率先してやっていただかなければならなかったのじゃないかと思うのに、何かしら抜けていることに対しては、どうもけさから聞いておっても――この間行きましても、特に富士においては政治と癒着した姿において県政なり市政の中に何か甘える要素をお持ちになっていたのではないか、いまここで責任を感じてもらわなければならぬのじゃないかという気がしてならないのですが、これは少し思い過ごしであるかどうかをお聞かせいただければありがたい。
  196. 斉藤了英

    斉藤参考人 ただいま御指摘の点については、今後十分に注意してまいりたいと思いますし、北海道においても、私たちとしてもできるだけのことはしておると思います。が、なお一そう努力いたしまして、非難を受けないようにひとつ努力してまいりたいので、ひとつそういう点で御理解をいただければ幸いだと思います。
  197. 川端文夫

    ○川端委員 そこで、きょうは参考人に来てもらっているので、あまり討論をしてはどうかと思うので、あまり追及はいたしませんけれども、ただ聞いておきたい一、二の問題、特にここで思い切って大手十五社で七十億円予算を立てて浄化装置の準備をされるということですが、いつできますか、これは。
  198. 斉藤了英

    斉藤参考人 これは当社においては、来年の八月までにはすべてを完成させたいと思います。それから他の大手企業においても、来年の末までには全部これは完了する予定でございます。
  199. 川端文夫

    ○川端委員 たいへん苦労のあるところかとも存じますけれども、これは早くやってもらわなければいかぬし、もう一ついま問題になっている、従来からの問題点として今日爆発的に問題になっているヘドロの問題に対して、かりにわれわれは、海洋投棄をやらずに何か方法があるのではないか、けさほどから話をしているとおりでありますけれども、万が一それしかない、それをやる以外に当面あの港の中の処置はないのだということになった場合といたしましても、いろいろ反対のあるところの多いことは御存じのとおりでありますが、これもけさほど知事にも申し上げたように、漁民に対する補償と申すか、見舞いと申すか、漁業権の総買い上げということは容易でなかろうと思いますけれども、これらに対する相談に乗る御準備があるかどうか、この点も承っておきたいと思うのですが……。
  200. 斉藤了英

    斉藤参考人 この点につきましては私個人で何とも申し上げられませんけれども、十分に慎重にひとつ研究させていただきたいと思います。
  201. 川端文夫

    ○川端委員 そこで、佐野さんにちょっとお尋ねしたいわけですが、ここ数日前でしたか、二週間ぐらいになりますか、岳南製紙株式会社ですか、倒産したという報道が新聞に出ておるわけですが、これは、理由はどういう理由によるか、新聞にはいろいろ書いてありましたけれども、御存じの範囲でひとつその倒産の事情をお聞かせ願いたいと思うわけです。   〔委員長退席、岡本委員長代理着席〕
  202. 佐野富男

    佐野参考人 私、関係がありまして、債権者会議にも出ました。九月一日の第二回の債権者会議に出まして専務に聞きました。経営の意欲を喪失しております。それが第一です。内容は、二千五百万円ほどの赤字が出ておりますが、それほど差し迫ってはいないように思いますけれども、おとうさんが、社長が八十二歳、専務さんが四十歳ぐらいですが、専務さんは女性でございます。非常におとなしい方でございまして、その経営意欲を喪失したという一つの原因は、やはりこの公害対策がかなり響いているではないかと思います。そのほか少し経営についての弱さが長く続いて、赤字が少し続いたように観察します。  以上でございます。
  203. 川端文夫

    ○川端委員 景気がいい時分にも倒産がほかの業種にも出ておるわけですし、経営意欲の喪失ということになれば、これはなかなか問題はデリケートでありますが、他の中小企業製紙業者の中に、そういう生産意欲というか、経営意欲を喪失していると見られる傾向が出てまいっておりましょうか、この点いかがですか。
  204. 佐野富男

    佐野参考人 その岳南さんのほかに一カ所、やはりそういうところがあります。いままだ経営を続けておりますが、これ以上やかましくなるならば、いまのうちにやめたほうがいいから、どこか転売先を理事長ひとつ心配してくれというところがあります。名前はちょっと言えません。言えませんが、一軒あります。それからそのほかに二、三軒、屋敷も狭いし、このやかましい水質基準になった場合は、とても自分の屋敷内では処理ができないというようなことで、これは内容はあまり悪くありません。悪くありませんが、これは企業があまり小さいので、ちょうどちり紙のほうは、いま通産省のほうで構造改善の指定を受けるようになっておりますので、そういうことでやめていくというところが二、三あるようでございますが、そんな状態でございます。
  205. 川端文夫

    ○川端委員 もう一点、私もこの前田子の浦に行きましたときに、富士市に行きましたときに、中小企業の業者の二、三を見て帰ったわけですが、東京で聞いておりますと、このごろ古紙の取りかえ等がどえらい景気がいいということが週刊誌にも出たことがあって、月十七万であしたからすぐ雇ってくれるところがあると、こういうことも出るほどに紙というものはいますばらしい景気がいいのじゃないか。古紙を集めておるものでさえ十七万だから、つくりかえているところはもっといいんであろうと思って見て回ったわけですが、わりあいに小さいところがあるのです。私はちり紙をやっているところの排水を見てまいったけれども、木材やパルプからやっていないああいう再生の場合の水は、そうよごれてないように見たのですが、これは見方が少し悪かったのかどうなんでしょうか、ちょっと……。
  206. 佐野富男

    佐野参考人 排水は、ちり紙の場合、富士のちり紙はほとんどが古紙でございますので、わりあいに排水はよごれております。当社のものがSS八〇〇くらいであります。しかし、これは浄化装置をすればとれます。化学的のCODのほうは、比較的ずっと低いのでございますが、やはり古紙をやっておりますので、古紙が原料ですので、SSはわいあい高いというのが事実でございます。ちり紙のほかの、よりひも原紙とか、板紙の小さいところは、わりあいに少のうございます。それが事実でございます。
  207. 川端文夫

    ○川端委員 もう一点佐野さんに伺いたいのですが、これは私が行ってみて、おもに中小企業は問屋じゃなかろうかと思ったんだが、下請的な企業のような形のものがあるのでしょうか、ないのでしょうか。この点ちょっと……。
  208. 佐野富男

    佐野参考人 ちり紙の場合でございますが、ちり紙はほかの洋紙板紙と違いまして最終製品でございますので、下請というような経営形態はございません。直接問屋に売っている形態が多うございます。
  209. 川端文夫

    ○川端委員 いま先ほどから承っておると、当面改造するにあたっては構造改善事業の指定を受けて準備をしているけれどもヘドロ処理あと始末の問題の分担金がきたらたまらぬ、こういうのが中小企業の実態であるというお話でしたが、そのとおりに承っておいてよろしいわけですね。これからの問題は、構造改善や何かやっていく中からいろんな資金の手当てももらえるけれどもあと始末の分には、ことばをかえて言えば、あと始末の分はなかなか金融のめども立たぬ、こういうのが実態だというふうにお答えがあったように理解してよろしいのですか。
  210. 佐野富男

    佐野参考人 これはさいぜん私から申し上げましたが、中小企業でございますので、そういう困難のところもありますけれども、大部分は大企業に準じて、それはおのずから限度がございますけれども中小企業といえども、この公害に対しては敢然としてこれをなくするという覚悟でございます。   〔岡本委員長代理退席、委員長着席〕 そういう意味で、金融やいろいろの面で特段のお願いをしたい。やるからにはそういう面を解決していただきたいというのが私ども中小企業の考えでございます。これははっきり申し上げておきたいと思います。
  211. 川端文夫

    ○川端委員 きょうせっかくの機会でありますから、二つの問題を織りまぜて聞いておるわけですが、これからの問題と、いうならばあと始末の問題と、二つ合わせていろいろの角度でたくさんの人々から聞いて大体理解もできたように思うのですが、しかし私は市長さんにも言承りたいわけですけれども、七億の問題に対しては、この前のときにも、これは責任の所在が明らかにならなければ私は中へ入りたくない、こういうことを富士へ行ったときにおっしゃったわけですが、その意味において七億というものに対しての、この海洋投棄を直ちにする場合の話し合いの問題は別として、この問題として、これから起きるいろんな問題に対して、市は何がしかの負担なり、――市民に対してこれは全部企業責任であるから市は知らぬということで済むのかどうか。この点何かお考えがほかにあって、いま言うべき時期でないとしておっしゃらないのか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思うわけです。
  212. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 七億の企業負担関係につきましては、私は企業皆さんが保証をしない限り市議会に提案をいたしません、かように申し上げたわけであります。企業皆さんが保証をしていただくならば、私は議会に提案をして御了承を得て県のほうにそれを出すつもりでございます。  あと中小企業関係について、今後どうしていくかという問題については、いろいろの配慮が当然あるべきだと私は思っております。これらの点については十分知事とも相談をして今後対処いたしてまいりたい、かように考えております。市だけ独自という形では考えられない問題だと、私は心得ております。
  213. 川端文夫

    ○川端委員 この点に対して、国は国として当然将来考える問題もあろうけれども、県は一億二千万の予算を組んでヘドロ処理をしよう。しかし、なるほど港湾の中は、県が管理者であることはわかるけれども、市は精神的な問題と、市民の人権の問題に対しては責任あるけれども、この問題は全然責任ないのだという考え方の中にも、私は市長さんも少し考えていただかなければならぬ面もあるのではないかと思うのだが、いかがなものでしょう。
  214. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 申し上げます。  その点が先ほど来、奥歯にものがはさまったとかはさまらないという議論になるわけでございます。でありますから私は、いままでの政治、行政責任というものが、その問題がやはりこの問題に関連をいたしておる、かように心得ておるわけでございます。でありますから、これらの問題についても、特に中小関係、港湾のしゅんせつという問題については、実はいろいろの団体のほうからしゅんせつ費を公の費用でやることの是非論がいま提起をされておる状況でございます。こういう点でございますので、行政立場といたしましては、県、市と十分協議の上にこれらの対策を進めてまいりたい、かように考えております。
  215. 川端文夫

    ○川端委員 ここは市会でもありませんので、討論をしようとは思っていません。ただ企業負担といい、いろいろな予算という形において処理をおくらせればおくらせるほど、迷惑を受けるのは市民であり、漁民であるのではないか。この点に対しては、やはり過去の行きがかりを捨てて、虚心に、国も県も市も企業者一体になって問題の処理に当たるということこそが、一番正しい道ではなかろうかと私らはひそかに思うのです。額の問題とか、いろんな問題はとやかくは申しません。しかしながら、やはり責任のなすり合いをしているだけでは問題の解決になる時点ではなさそうだ。私が目で見てまいったところにおいては、それぞれ分相応に力を発揮し、物を出し合い、その姿の中に問題の解決点を見出していく以外にはないのじゃないか。ないから出せない、筋が違うというだけではいかないような気がして、おそらく全国においても異常地帯として起きている以上は、願わくは総力をあげて、漁民も市民も納得する姿において、過去のヘドロを一日も早く処理してもらい、今後再びこういう問題の起きない抜本対策にも勇断をもってやってもらいたいことを切にお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  216. 加藤清二

    加藤委員長 次は、米原昶君。
  217. 米原昶

    ○米原委員 参考人方々には、たいへん長い間ごしんぼう願いまして感謝いたします。私が最後ですから、あと二十分くらいだろうと思いますから……。  時間もありませんし、いろいろ他の委員から申されたことと重複する点はできるだけ避けまして、私は公害責任は何といっても発生源である企業にある。もちろん今度の場合、岳南排水路の問題に見られるように、国や県の指導のやり方にも大きなあやまちがあったということを認めざるを得ませんが、しかし、今後の解決にしましても、やはり企業に大きな責任を負ってもらわなくちゃならぬ、こう考えますので、大昭和製紙社長さんだけにしぼって最後にお尋ねしたいと思うのです。  先ほど岡本委員から質問された問題、これを繰り返したくはなかったのですが、一点だけきょうお聞きしたいのです。  つまり、社長さんが海外視察に出られて帰られたときの発言ですね。私もこれを読んでちょっと驚いたのです。そういう点もありまして、先ほどの御答弁では、公害防止施設の点で公害対策日本が一番だ、外国は問題にならない、こういうふうに新聞には出ておるわけです。そのとおりにおっしゃったのか。新聞に出るときは、趣旨は大体同じでも、若干変わることがありますからね。ただ、先ほどのお話では、企業がこれから計画されている設備、この点では外国に負けないという意味なんだとお答えになった。しかし、この記者会見のときは、そういうふうにお話しになったんですか。それを間違えてこう書いたんですか。それともおっしゃったのは、外国に絶対負けないんだ、日本が一番公害対策は進んでいるんだ、こういうお話をなさったのか、その点をはっきりひとつ話してください。
  218. 斉藤了英

    斉藤参考人 その点につきましては、先ほど岡本先生にお話ししたとおりでございまして、これからの設備については負けない。でありますので、そのニュースについては、ニュアンスが私の真意と違っておるというように御理解願いたいと思います。
  219. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、そのときにもこれからの点では負けないというような点をおっしゃったのであって、いまの現実が欧米よりも進んでいる、日本が一番だというようにおっしゃったんじゃないとはっきり言えますか。
  220. 斉藤了英

    斉藤参考人 そのとおりでございます。
  221. 米原昶

    ○米原委員 そうおっしゃれば特別、これが間違って書いているんだとおっしゃれば、これは新聞社の方に聞いてみなくちゃならぬので、ここで議論することはやめます。  次の問題は、いまもお話のあった大手十五社が七十億円ほど出して、早急に処理施設をつくっていくという点ですがね。その七十億円の中で、聞くところによりますと、大昭和製紙だけでも大体約半額、三十数億円を投入されてやられる計画だというふうに聞いておりますが、その点についてちょっとお聞きしたいのです。その三十数億円で大体どういうものをつくろうとされているか。聞くところによると六カ所に沈でん池をつくらなくちゃならぬということですが、どういうことになるのか。大体のもくろみを話していただきたい。
  222. 斉藤了英

    斉藤参考人 これは当社だけで三十七億ということで御理解いただきたいと思います。それは各工場には直径八十メートルから百メートルの沈でん槽をつくりまして、これを機械的と化学的に処理いたしまして、それを焼却または加工いたしましてこれを処理してまいりたいと思います。
  223. 米原昶

    ○米原委員 聞くところによると、そのうちで土地の買収費に大体九億円かかる。その他のものがそういう設備をつくるのに充てられる、こう聞いておりますが、六カ所つくられるのでしょう。そうしますと、一つ当たりからいうとそれほど大きな施設じゃないし、どの程度のことが一体その結果としてできるのかという点なんですがね。問題はもちろんそれだけが最後じゃないと思いますがね。それだけの設備をつくる。これは絶体にやってもらいたいのですよ。しかし、それだけの結果としてどの程度に汚水が清浄化されるのか、どういうような大体のもくろみですか、それを聞きたいのです。
  224. 斉藤了英

    斉藤参考人 その結果といたしまして、SSにおいて一〇〇以下になる予定でございます。そして六カ所と申しますのは、緊急の措置のために六カ所をやるわけでございまして、あとは各工場別にその八十メートルから百メートルの大きな沈でん槽をつくって機械的、化学的に処理していくということでございます。臨時でありますので、三十七億プラスまた一億何千万の臨時ですね。とりあえずとにかく完全な設備ができるまで、それだけなおかつ金をかけてこの問題に取り組んでいきたいということでございます。
  225. 米原昶

    ○米原委員 一〇〇以下といいますと、いますでに発表されておりますね。浮遊物について大体会社側が発表されているのは一二〇〇PPMから三五〇PPM、こういうふうに発表されておりますが、それは大体間違いないというふうに見ておられますか。
  226. 斉藤了英

    斉藤参考人 そのとおりでございます。
  227. 米原昶

    ○米原委員 あそこには富士市の公害対策市民協議会というのですか、こういうのができていて、そしてここが中央から学者や技術者を呼んで調査した結果を私持っているのです。それで大昭和製紙から出てくる浮遊物について調査した結果を見ますと、こういう調査は場合によって非常に違いますし、一回や二回の調査だけでいうと問題になるのですが、これはかなり何回も繰り返した調査なんです。調査としては六〇〇PPMというのが出ております。それで会社が発表されていることはどうなんだろうか、これは信用できないじゃないか、市民の中にもすでにそういう声があがっているそうでありますが、その点どう思われますか。私は先ほどのなにで二割操短というような話も聞きましたけれども、六〇〇PPMだとすると、二〇%操短をやったって四〇〇PPMだということになりますね。これはたいへんなことだと思っているのです。この点をどう思われますか。私たちはこういう問題が起こっているのですから、さらにもっと精密な調査のしかたも今後あると思うし、どんどん行って調査しようと思うのです。その三〇〇PPM、三五〇PPMというのは信用できないということに大体科学者の間ではなっているようであります。
  228. 斉藤了英

    斉藤参考人 その点につきましては、私といたしましても十分になお調査いたしたいと思いますので、市民協がそのように御調査なさった数字についても、私のほうといたしましてもなお調査いたしますので、きょうの時点においては御理解いただきたいと思います。
  229. 米原昶

    ○米原委員 もう一つ、同じく市民協が問題にしていることで、吉永工場ですね。ここのところで水が足りないという理由で、一ぺん流された水の中の沈でんした残りの上澄みの水、これをもう一ぺん再使用されている。このかすのほうはどんどん問題の岳南排水路のほうに行っている、こういうやり方がされているそうですが、これは事実ですか。
  230. 斉藤了英

    斉藤参考人 これは上澄みにされて清浄になった水は、いま一度再使用しているものもございます。しかし、沈でんされたものはいま一度原料として使用している部分が大部分でございます。そういうことでひとつ御理解いただきたいと思います。
  231. 米原昶

    ○米原委員 実際の問題を申しますと、きのうも実はこの委員会で問題になったのですが、いまヘドロがたまって港が使えないという問題が起こっておりますね。そういうことでヘドロヘドロと言って騒ぎになっておりますが、しかし、駿河湾をよごしているのは、単にたまって積まれているヘドロというよりも、全部含めた汚水の問題だと思うのですね。それが駿河湾でいろいろな奇形魚を生み出したりしているわけですね。だから何かヘドロを外洋に捨てたらいいという考え方に反対するのは、何かそうしさえすれば確かに港は使えるかもしれぬけれども、根本的な駿河湾の汚染とか、さらにこれが外洋を汚染することになるということで、私たちはどうも納得できないのです。いまの話を聞いておりましても、実際にいまのやり方でやられてもSS一〇〇というところですね。おそらく水質基準というものが決定されますと、私はどんなにしても常識からいって河川の基準はせいぜい二〇PPMだと思うのです。海は一PPMですよ。そうしますと、とてもこれではほんとうの解決にはならないということになるように思うのです。さらに第二段の処理施設をつくらないと解決にはならない、そして駿河湾の漁業に対する被害の問題はこれだけの措置じゃまだ依然として解決つかない、そういうふうに思うのですが、そのあたりどう覚悟しておられるか、ひとつ聞きたいのです。
  232. 斉藤了英

    斉藤参考人 これは一〇〇と申しましたけれども、私たち努力することによって一〇〇以下にいたしてまいりたいとは思います。そしてただいまのお話の、二〇とか三〇とかいうお話がございまして、二次処理の問題もございますけれども、この問題につきましては、岳南排水路を今後どのように利用していくかという問題とあわせましていろいろと検討してまいるように、市長さんあるいは県知事さんあたりからも御相談があることと思います。しかし、二〇とか三〇ということになりますと、企業の紙の値段に対する原価の点において非常に困難な点が出てまいりますので、そういう例はおそらく全国にもなかなか紙の場合は出てこないような気もいたしますが、この点については、岳南排水路、二次処理の問題もいまちょっと話に出ておりますので、ひとつ研究させていただきたいということで御理解をいただきたいと思います。
  233. 米原昶

    ○米原委員 いままで甘えてこられたとおっしゃいました。甘えてきたんでは確かにたいへんなことになると思うのです。しかし、やはり公害をなくするということが企業責任だと、先ほどの発言でははっきり考えておられるようであります。そうだとしたら、やはり最終的な処理までやるという覚悟になってもらいたいのですよ。もちろんこれに対しては国にも県にもいままでの経過からいったって重大な責任がある。ですから、国や県が何もしないでいるなんということでは話にならぬと思います。しかるべき措置を国も県も当然とらなければならない。しかし、企業として十分その責任を感じてやってもらいたい。その態度でないと、どういうふうに国がそれを援助していいかということも出てこないと思うのです。企業自身の自主的な責任ということを考えてもらいたい。  もう一点、これは参考に聞きたいのですが、きょうも市長さんから発言がありまして経過がはっきりしているので、私はみな知っているのかと思って、きのう山中長官に質問したときにも、岳南排水路をつくる前に、すでに企業自身が幾つかの沈でん池を持っておるところもあった、処理施設もあった、そういうものまでつぶしてああいうものをつくった点に、重大な責任があるのじゃないかということをちょっと触れたのですが、山中長官、そのことを全然知らなかったようであります。それほど経過そのものもまだ十分に政府は把握していないように思うのです。政府自身がそういう点で責任があるのだということを、はっきり感じさせなくちゃいけないのだと思うのです。そういう点で、当時は一体どのくらいの処理施設が――いまからいえばそれじゃ不十分なものでしょうが、どういう程度のものを実際はその当時すでに企業自身がつくっていて、そういうものまでつぶして排水路に注ぎ込むようなことをきめたのかという点について、御存じであったら経過をひとつ知らしていただきたいと思います。
  234. 渡辺彦太郎

    渡辺参考人 程度の問題と処理個所の問題について、数字的の点については記憶がございませんので、この点については十分経過を調べて御報告をさせていただきたいと思います。  当時は、実は製紙工法の中で今日みたいに薬品を多量に使っておらない、そういう問題の経過が一つございます。製法そのものが大きく技術革新をされてきているという点が一つ。  もう一つは、排水量というものがここ近時数年間のうちにえらく上昇してきたということであります。私たち子供のときの記憶だと、あのヘドロをたんぼの中に入れまして、かまぼこのように四角に切って、それを乾燥して燃料に使っていたという経緯があります。土壌が酸性になるという問題も実はあるわけですが、農業被害の関係については大正年間も実はこれらの争議がありました。昭和年間においても農民と工場との関係の争議が実はあります。そういう経過をずっと繰り返してきた点も実はございます。そういうような点で、この歴史的なものについての記録がどの程度までありますか、きょうのところ私まだ未確認でございますが、そのことの事実のあったことだけは御報告できると思っております。
  235. 米原昶

    ○米原委員 それでは、これで終わりたいと思いますが、市長さんがいま答弁なさったので一言だけ……。  先ほどから問題になっている市長さんの発言ですが、やはり市長さん自身の考え方からすれば、外洋投棄は望ましくないという考え方を持っておられるようです。そうだとすると、実はこれ私もいろいろ学界の人や何かにも会って聞いてみたのですが、ほとんど全くでたらめの方針だといっているのが大勢なんですよ。水産庁はどういう結論を出されるか知らないが、自信を持った回答はいまもって科学技術庁もやっていない状態です。そういう状態であるとすれば、やはり市長さんとしてもそういう考えを持っておられれば、はっきりそういう見解だということだけは公然と言われたほうがいい、こう思います。いろいろ困難はありましょうが、やはりそういう立場はとってもらいたい、こういうことを一言注文しておきまして、これで私の質問を終わりたいと思います。
  236. 加藤清二

    加藤委員長 これにて参考人よりの意見の聴取は終わりました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ、長時間にわたりまして貴重な御意見の開陳をいただきまして、たいへんどうもありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時三十九分散会