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1970-09-08 第63回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月八日(火曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 始関 伊平君 理事 古川 丈吉君    理事 山本 幸雄君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君 理事 寒川 喜一君       伊東 正義君    遠藤 三郎君       松本 十郎君    大原  亨君       佐野 憲治君    土井たか子君       藤田 高敏君    多田 時子君       松尾 正吉君    川端 文夫君       米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      城戸 謙次君         経済企画庁審議         官       西川  喬君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         法務政務次官  大竹 太郎君         厚生政務次官  橋本龍太郎君         厚生省環境衛生         局公害部長   曾根田郁夫君         農林省農政局植         物防疫課長   福田 秀夫君         農林省農地局長 岩本 道夫君         食糧庁次長   内村 良英君         水産庁長官   大和田啓気君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省公害         保安局公害部長 柴崎 芳三君         工業技術院長  太田 暢人君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省船舶局関         連工業課長   鈴木達太郎君         運輸省港湾局技         術参事官    竹内 良夫君         海上保安庁長官 手塚 良成君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治大臣官房調         査官      冨崎 逸夫君     ————————————— 委員の異動 八月十八日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     佐野 憲治君 九月七日  辞任         補欠選任   西田 八郎君     川端 文夫君 同月八日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     大原  亨君   多田 時子君     松尾 正吉君 同日  辞任         補欠選任   大原  亨君     藤田 高敏君   松尾 正吉君     多田 時子君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  産業公害対策に関する件(水質汚濁対策等)      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  産業公害対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  理事会において協議願いましたとおり、産業公害対策に関する件について、明九日、静岡県知事竹山祐太郎君、静岡富士市長渡辺彦太郎君、大昭和製紙株式会社社長斉藤了英君、静岡紙業協会会長佐野富男君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人出頭手続等については、委員長に御一任願うことに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  5. 加藤清二

    加藤委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。土井たか子君。
  6. 土井たか子

    土井委員 それでは、私はきょうこれから、おもに昨今新聞紙上でも取りざたをされております自治体に対します公害対策における権限委譲の問題について、御質問をさせていただきたいと思います。  最近新聞では、世論調査などの結果がしきりと発表されておりますが、私は、世論に耳を傾けて、世論によってこの公害対策はどういうふうなぐあいに講じられていかなければならないかを忘れてはならないと思うのです。いまこの世論内容で最も要求の多いのは、発生源規制をきびしくするという問題と、やはり地方自治体に対して期待を大きくかけているということで、きびしい公害条例をつくるということに対する要求が、非常に強く表面に出てきております。  先ごろから自治省におかれましては、自治体に対する公害取り締まり、公害対策権限を強化させていくというふうな御趣旨でそれぞれ施策を講じられてきているやに私たち伺っているわけでございますが、いままでのところ、私たちが見聞いたします限りでは、自治体に対する権限委譲の中で特に重点を置かれているやに見えますのは都道府県段階でございまして、市町村というのは、どうもそうそう表には出てこないというふうな傾向があるのではないかと思うのです。  いま、まず第一点といたしまして、自治省のほうでは、公害対策に対する自治体への権限委譲青写真をどのようにお考えになっていらっしゃるか、ひとつ大まかなところからお伺いをいたしたいと思います。
  7. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 自治省におきましては、六月に、公害対策積極的展開ということで、方針内部で決定をいたしました。それによって今後の自治体に対します公害対策の推進の一端を指導してまいりたい、このように方針を定めたわけでございます。特に権限委譲につきましては、現在のところ、都道府県に対する一元的な委譲というような考え方骨子にいたしております。しかしながら現実には、すでに大気汚染法なり、あるいは騒音規制法におきましても、市町村段階におきます規制ということを現行法でも認めておるわけでございまして、したがって、今後権限委譲中心といたしまして、地方団体がより実効のある公害対策を講じますにつきましては、一応は都道府県段階でこの一元化をいたすという考え骨子にいたしまするけれども、なお市町村段階への、特に市に対します委譲ということを検討してまいりたい、このように考えておるわけでございます。現実には各都道府県は、一、二を除きましては、ほとんど公害防止条例制定済みでありまして、その中でも、市町村への条例上の委任というような形をとっているケースもございます。そうしたいろいろな形を今後さらに検討してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  8. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁では、府県段階からさらに市町村へという権限委譲が大綱としては考えられておるやに私たち受け取るわけでございますが、実はこの公害問題などというものは、最も地元でもって実態をよく把握してそれに対処するということを機敏にやることができるかと思うのです。この際、公害対策をきめこまかに、しかも実効をあげ得るような対策として考えていくということをお心がけになるのなら、むしろ都道府県段階よりも、市町村こそ私は問題じゃないかと思うのですが、その点がどうも私、いままでお伺いしている限りでは、消極的に過ぎるという感想を持っております。その点いかがでございましょう。
  9. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 御承知のように、公害というものはたいへん地域性のある問題がございまして、特に騒音とか、悪臭とか、こうした問題は、住民のじかの問題としまして、市町村規制に適するというような種類の公害であろうかと存じます。すでにそうした見地から、騒音規制法等におきまして、大幅に市町村段階での規制ということをたてまえにして現行法ができております。ただ、大気とか水の問題につきましては、やや広域的な汚染というような問題がございます限りにおいては、市町村におきます規制というのにやや問題があるのではなかろうか。権限の一部につきまして市町村、特に市に対します委譲ということは考えるわけでございまして、そういう面で、自治省といたしましてもさらにより検討を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  10. 土井たか子

    土井委員 ただいまの御答弁伺いましても、なおかつ、どうも府県本位でお考えになっているように私には思われます。いま広域的な側面について考えた場合にという前置きで、やはり広域的な取り扱いというものが第一に考えられなければならないから、府県本位で問題にしていったほうがいいのではなかろうかというような御趣旨の御答弁やに私伺うわけでございますが、広域的な意味を持っている河川なり、海域なり、それからさらには大気汚染などの問題を考えれば考えるほど、これはきめこまかに取り上げて、発生源に対する対策を徹底してやらないとどうにもならないということを考えれば考えるほど、私は、府県よりも市町村重点を置くべきだという構想を持つわけなんです。したがって、この点はあとでお伺いをすることといたしまして、いま質問内容を少し変えますが、各都道府県市町村発生源考えられる企業、この三者でそれぞれ進められてきております協定などにつきまして、自治省としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。と申しますのは、この協定については、やはり大事であるから大いにやってもらいたいというお考えをお持ちであるか、それとも、協定よりももう一つそのもとにある法令についての規制と十分に取り組むことなくして、協定というものは実効性をあげ得ないんだというふうなお考えでいらっしゃるか、いずれでいらっしゃいますか。
  11. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 公害防止協定を締結している数が最近でもたくさんあるわけでございますが、自治省といたしましては、この協定のいろいろなケース等について実態調査をいたしたい。現在その調査票等も各地方団体に配付をいたしまして、取りまとめの作業を依頼している段階でございます。  基本的な考え方といたしましては、公害防止協定というのは、地域実情に即して、条例あるいは法令の範疇からも若干はみ出たケースにつきまして、きめこまかい取りきめというものを、自治体中心といたしまして企業との間で結ぶ、ないしは一部住民の参加も得て協定を結ばれるケースもございますが、そうした意味におきまして、この協定の締結というものは、今後も自治省としては、法令または条例の補完の意味におきましてますます進めてまいる必要があるだろう、このように考えております。でき得るならば協定につきましても、内容検討の上、一つのモデル的なものを考えてみたらどうかというような考えを、自治省としては持っておるわけでございます。そうした意味におきまして、現在やっております調査の結果によりまして、今後協定取り上げ方というものを検討してまいりたい、かように考えております。
  12. 土井たか子

    土井委員 協定に対して、やはりこれに期待をかけた指導をいままでおやりになっていらっしゃるという趣を私、いま拝聴したわけですが、いままで協定を問題にしてきた場合に、公害発生源である企業に対しまして、この協定に違反したときには操業の短縮であるとか操業停止であるとかいうふうな制裁が、表向きこの協定内容には文章化されておりますが、しかし、それをいざ行なおうというときには、やはり協定そのものの持つ法的な効力なり法的な意味なりにずいぶんわずらわされるというふうな側面があるようでございます。いまこの協定そのもの法的拘束性はないんだ、単に道徳規範にしかすぎない、単に心得程度の覚え書きにしかすぎないというふうな協定に対する認識が企業側にある限りは、協定を結ぶということに対しても、私は一定の効果をあげ得ないと思うわけでございますが、自治省におかれましては、この協定の持つところの法的な意味と申しますか、法的効果と申しますか、こういう問題についてどのようにお考えでいらっしゃいますか。
  13. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 公害防止協定には、実際面におきましてはいろいろな態様がございまして、それぞれに若干のニュアンスの差はあるかと思います。中には、単なる紳士協約的な意味協定というのも一部にあるかと存じます。しかし、通常の場合、公共団体当事者といたしまして企業側と結んでおります限りにおきまして、少なくとも準公法的な意味の契約になるであろう。ただ、操業停止とかその他の問題につきましての実効性の問題からいたしますと、いま御指摘のような問題点が確かにあろうかと存じます。この点については、協定実効力を持つための裏づけといたしまして、やはり何と申しましても住民世論裏づけというふうなものが必要ではないか。そういう限りにおいて、そうした背景のもとで協定を結んでいくことが望ましい、このように考えておるわけでございます。
  14. 土井たか子

    土井委員 それでは重ねてお尋ねいたしますが、協定というのは法令とは別ワクの問題である、法令別ワクの問題として協定考えていかなければならない、あるいは法令別次元の問題であるというふうにお考えになっていらっしゃるわけでございますか。
  15. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 現行法令の補完的な意味合いを持つものであろう、ないしは法令の上におきまして——法令というのは画一的な面がございますので、それを地域的な特殊事情というようなものを埋めるものであるというような性格のものであろう、このように考えております。
  16. 土井たか子

    土井委員 それでは、ずいぶんこの協定に力を入れていらっしゃるということになるはずでございますが、となれば、この協定当事者である自治体の持つところの財政力によって、かなりこの協定実効性というのは左右されるという向き現実あるように私は思うのです。このところ企業に対する責任が追及されまして、公害防止のための費用企業責任でまかなっていくのか、それとも、国と自治体がそれに対してやはり責任を果たすということになっていくのか、このところがたいへん注目される一つの論点になってまいっておりますが、企業に対するいまの公害防止責任について、費用負担というふうな意味から、自治省はどのようなお考えをまずお持ちでいらっしゃいますか。
  17. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 費用負担の問題はたいへん大きな問題でございまして、現在政府部内におきましていろいろ検討しておりますが、少なくとも次の国会には法律案として提案をするというような意味で、現在内容等について各省の折衝を進めております。  自治省といたしましては、やはり企業の側が原因者であるという限りにおきまして、事業負担を相当強めて、住民立場から見て納得のいくような負担ということで結論を得たい、このように考えております。  ただいま、財政力によって協定実効性が云々というようなお話がございましたが、実際上そういう面がうかがわれないとは申しがたいと思います。確かにそういう実情もあろうかと思いますが、今後そうした法律上の企業負担というものが明確にされることによりまして、いま御指摘のような点も漸次改善されてまいる、このように考えております。
  18. 土井たか子

    土井委員 次の国会を目ざしてということをいまおっしゃいましたが、次の国会というのは、すでに野党側から臨時国会要求の声が非常に高くて、そうしてこのことに対しては、政府側ももはや手をこまねいているわけにはいかない問題だと思うのです。といたしますと、いつ何どき国会が開会されましても間に合うように、作業をお急ぎにならなければだめだと思うのですが、いままだ調整の段階というのを聞きまして、ずいぶんこれはのろいなという実感を持ちます。何としても、やはりこういう問題についてはたいへん大きなことでございますし、自治体権限委譲とおっしゃる場合にも、企業責任を一体どういうふうにお考えになるかというのは、この公害発生源に対する規制ということを考えになる以上、十分このことに対してのはっきりした視点をお持ちにならないと、実は権限委譲についても、私は権限委譲の仏をつくって魂入れずというふうなことになりかねないと思うのです。やはり自治省とされましては、こういう企業に対する企業責任ということを十分にお考えいただいて、もうはっきりした青写真くらいは持っていていただかなければならないはずだと私は思うのですが、まだその点については、現在お考えをせんじ詰めていらっしゃる最中なんでございますか。
  19. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 過般厚生省研究会中間報告等が提示されまして、自治省といたしましても、内部企業負担問題点を詰めておる段階でございます。なお、もう少し時日をいただきまして結論持ち込みたい、このように考えております。基本的な考え方としては、企業負担を強めるということで自治省方針をきめたい、このような前提条件で進めております。
  20. 土井たか子

    土井委員 これは何度申し上げましても、作業がいつも後手後手にいくというのが、この公害対策のいままでの特徴でございますから、急にこれを改めて、前向きで、先手先手にやっていくということはむずかしいかもしれませんが、これほど公害が、行き着くところまで行ってしまうようなかっこうであたりに頻発しておりますときに、なおかつ後手後手では、どうも国民から不信の念を持たれてもあたりまえだと思うのです。どうかここらあたりで心機一転、少し、日ごろになくスピーディーに作業を進めていただいて、そしてはっきりした考え方というふうなものを前面に押し出すことを心がけていただきたい、切に要望する次第です。  さて、そこで、いまの企業についての責任というふうな問題から、先ほど都道府県よりも市町村重点を置くべきだということを私は申し上げましたけれども、考えてみますと、立ち入り検査一つ考えましても、この発生源になっている企業に対する監視、それからそれに対する対策——いま、公害対策基本法から考えてまいりまして、御承知のとおり市町村よりも府県段階に実権がございます。しかし、工場立ち入りだとか企業立ち入りというものが、地元市町村段階で手まめに、小まめに実情に即して行なわれるということが、実際問題に即応したところの対策として、どうしても忘れられてはならない問題だと思うのです。そういう点から考えましても、私は、やはり企業責任をめぐる問題、いわゆる発生源をめぐる問題として、市町村段階重点を置いた権限委譲というものをお考えいただきたい、そういうふうに考えるわけなんです。いかがでございましょう。
  21. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 現行法におきまして、都道府県になお権限委譲のなされていない向きがございまして、当面、これの地方委譲ということを重点にいたしております関係上、市町村段階に対します委譲の問題がなお若干未検討であるという点は、自治省といたしましても早急にこれを結論づけなければいかぬ、このように考えております。
  22. 土井たか子

    土井委員 権限委譲の問題を早急に結論づけるとおっしゃいましたが、どういうふうな意味における権限委譲市町村に対しておやりになるか、そこが私は問題だと思うのです。権限委譲市町村に対してもはや考えないわけにはいかないでしょう。だけれども、都道府県に比べまして、市町村のあり方というものをどう考えるか。いままで財源の問題からいたしましても——いろいろな計画、いろいろな対策を練ったところで、次に出てくる問題は、それの実行性ということに関して、財源というのはどこまでもまつわりついてまいります。地方財政白書なんか見ましても、都道府県に比べまして手薄いのは実は市町村段階でございまして、どうしてもやらなければならないことに対して後手後手に回ってしまうということは、財源についての手薄さのためだというのが、市町村段階で常に問題にされてまいりました。いま公害対策について財源確保ができないことのために、計画はあるけれども実行に移すわけにいかないということが出てきたら、私は、これこそ取り返しのつかない、悔やんでも悔やみ足りない問題になるに違いないと思うのです。そういう点から、財源確保という意味も込めて市町村に対する権限委譲というものを、むしろ都道府県以上に力を入れて考えていただく必要があるのじゃないか。この財源確保は、単に自治省のみのお考えではまいらないと思います。ただしかし、自治省がどういう姿勢でこの対策に臨まれるかということは、必ず財源確保という意味でも大いに影響を与えていくに違いないと私は思いますので、相当強い姿勢自治省がこの問題に取り組んでいただかない限り、財源の問題についても、どうも先行き不安でなりません。どうか、いま申し上げているような趣旨で、この財源確保という意味も込めまして、都道府県よりも市町村重点を置いた自治体に対する権限委譲青写真をひとつ早急に練っていただきたい、そう私は考えるわけでございます。  いまのことに対しまして何か御決意のほどがございますなら、承りたいと存じます。
  23. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 御趣旨の点はよく了承いたしました。さらに内部検討いたしまして、特に立ち入り調査とか、そうした日常の規制、常時規制というような面での市町村役割りという点を再度検討いたしまして結論を導きたい、このように考えております。
  24. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁を私、ちゃんと肝に銘じまして、自治省がどういう青写真をおつくりになるかというのをにらんでおりますので、どうぞよろしく御検討くださるように要望いたします。  次に、先ほど少し問題になりました広域対策の問題なんですが、そろそろこれは注目を集めかけております。瀬戸内海の海水の汚染などをめぐりまして、もうすでに瀬戸内海域の十二府県が、瀬戸内海の海をきれいにする会というのをおつくりになって、いろいろこの公害対策を進めてこられております。さらには阪神間におきましても、阪神工業地帯における公害対策という意味で、阪神間の各都市が集まって対策を練る協議会も発足して、いろいろな計画を練ってこられております。  こういう広域的な一つ海域一つ地域にそれぞれ公害をひっかかえて問題を取り扱ってこられているその計画、あるいは対策それぞれに対しましては、自治省としては、自治体に対する権限委譲というふうな観点から、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。これを別ワクとして、特に広域問題については広域問題として取り扱うという側面を御用意になっていらっしゃるのか、それとも各都道府県市町村段階に全部消化させてしまって、それぞれの府県、それぞれの市町村が寄って、そういう広域問題は独自の立場でやっていけばよいというふうなお考えを持っていらっしゃるのか、その辺を少しお伺いしてみたいと思います。
  25. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 従前、地域開発というような趣旨におきまして、各都道府県あるいは市におきましても、連合して協議会等を持つというケースが各所にございます。自治省といたしましては、法律に基づきます地方行政連絡会議一つは舞台といたしまして、こうした都道府県間あるいは市の間の問題点を、それぞれ地域の特性に応じて取り上げていただいて、特に公害問題等も、そうした意味におきましては重点的に取り上げていただくということで、地域話し合いを進めるにつきましての指導助言という立場におきまして、いままで進めてまいっております。地方行政連絡会議の中には、すでに公害部会等を設けられまして、そうした部会活動によって公害広域的な処理というようなものを取り上げていくというケースが、最近ふえてまいっております。さらに、各都市の間の広域的な協議会というような形におきまして、広域にわたります公害に関します情報の交換とか、あるいは規制につきましてもいろいろな基準の話し合いというようなことについて現在進めております。自治省といたしましても、そうした広域的なものは今後より進めていくべきであるということで指導いたしてまいっておる次第でございます。
  26. 土井たか子

    土井委員 その御指導もけっこうなんですが、そこで練り上げられました計画なり対策なりに対する促進という意味で、大きな壁にやはりこれも突き当たるようでございます。何かというと、やはり財源確保という問題のようでございまして、この瀬戸内海域につきましても、阪神間の対策の問題につきましても、それぞれやはり財源確保という意味で——これは各関係部署が多方面にわたるものでございますから、一つにまとめて一カ所でというわけにはまいりません。たとえば建設省に行かなければならない、あるいは通産省に行かなければならない、さらには自治省そのものにももちろん行かなければならないというような、多方面に対するいろいろなかね合いがございますために、財源確保という意味で相当これはしにくいというような声も、私は聞いております。したがいまして、今後広域対策について力を入れていかなければならないというふうな、ただいま御答弁でございましたので、今度自治体に対する権限委譲というものをお考えになる際に、あわせまして広域対策に対してどう取り組んでいくかということを、これまた相当強い姿勢でお考えいただかなければならないだろうと思うのです。  現に、大きな河川になってまいりますと、一級河川、二級河川、さらに御承知のとおりに普通河川、要するに河川法でいうところの準用河川、また準用していない河川等々、これは国が管理するというのか、都道府県が管理責任を持っているのか、市町村が管理責任を持っているのか、一体どこなのかというふうな問題から考えてまいりますと、河川が大きければ大きいだけその調整に難儀をするという問題が出てまいります。いわゆる水源から河口に至るまで、水を利用しております地域別に見ていった場合にも、飲料水に適する地域から、飲料水にはもはや適さない、さらには工業用水にしか向かないというふうな、水そのものが持っている利用の目的から考えてまいりまして、一つの川の流れに対する規制一つの川の流れに対するいろいろな対策というふうな意味考えてまいりましても、やはりこの持っている意味は多方面に及ぶということになってまいりますので、広域であればあるだけそのことに対する調整、そのことに対する対策というのは、自治省が音頭をとっていただいて、相当強く対策を練っていただかなければならないと思うのです。  計画決定に対する財源裏づけについて、自治省あたりは、いまどういうふうなお考えをお持ちでいらっしゃいますか。そのあたりをひとつお伺いいたします。
  27. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 御質問にございましたような広域的な利水調整というのは、たいへん大きな問題でございまして、これは、地方自治体のいろいろな協議方式によりまして現在いろいろ調整をやっておりますけれども、なかなか実効があがらないという面がございます。単に財政的な問題だけじゃなしに、水源問題等については、相当高度の利害調整というものをやってまいらなければならないわけでございまして、そうした意味で、建設省を中心として、一級河川等につきましては、それぞれの流域において、利水調整のための協議会その他の組織を通じまして、各利水側あるいは水源の関係府県というようなものが入りまして各種の協議をいたしているわけでございます。特に今後は公害規制というものも一つの大きなテーマとして、こうした協議会の活動の範囲を広げていくべきであろう、このように考えるわけでございます。  自治省自体といたしましては、特にこうした広域の水利調整の問題につきましては、自治体間の意見の調整ということを重点に置きまして、いろいろ問題点等が生じました場合の話し合いを進めるということを中心に、いままで地方団体等と接触してまいっております。今後もそうした形で自治省としての考え方を進めていくべきではなかろうか、このように考えております。
  28. 加藤清二

    加藤委員長 本件について経企庁、答弁ありませんか。経企庁の関係ですが、いいですか。宮崎国民生活局長来ているでしょう。この件は経企庁の責任ですよ。
  29. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 経済企画庁のほうからも、あわせて御答弁を申し上げます。  ただいま御指摘の一級河川等数府県にまたがる河川の水利の調整問題、これは非常にむずかしい問題がたくさんございます。現在国が指定をいたしております五つの水系、利根川その他ございますが、これにつきましては、水資源開発促進法によりまして基本計画をつくるという作業を私どもがやっております。こういう形で、関係府県の意見の調整、各省間の調整をしてそれぞれの基本計画がつくられて、仕事が行なわれているわけであります。  この形で水資源開発の問題そのものは、大体円滑に進められると考えておりますが、ただいま問題になっております公害の問題につきまして、私のほうにおきましては、水質保全法その他関係法の全面改正をいたしまして、水質汚濁防止法というようなものを次の通常国会に出そうということで準備をいたしておりますが、この際に、一級河川のような数府県にまたがる河川の権限をどの程度地方に委譲すべきかということが問題になっております。私のほうの先ほど発表いたしました一応の素案におきましては、やはり原則としてこういった多府県にまたがる河川についても、都道府県知事に権限を委任しようという考え方をとっておりますが、この問題につきましては、現在直轄管理をやっております建設省としての御意見もありますし、これからその辺の調整をはかってまいりたいと考えております。
  30. 土井たか子

    土井委員 いまの経企庁からの御答弁に、従いまして、さらに建設省は、いま河川に対する管理をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。大体一級河川、二級河川、それから普通河川、それぞれに対しての管理は機関が違うわけでございますから、自治体に対する権限委譲ということに公害対策の問題がなってまいりますと、これはやはりかかわり合います分野が非常に大きゅうございます。六十三国会で河川法の施行法に対する一部改正が問題にされまして、それが実現をしたわけでありますが、その審議の過程で、この問題をめぐってもいろいろ意見が百出したように聞いておりますが、建設省とされましてはどういうお考えを現在お持ちでいらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  31. 加藤清二

    加藤委員長 建設省、来ていますか。——それではまた後ほど呼んでいただいてからにします。
  32. 土井たか子

    土井委員 いままで私お尋ねしてまいりましたのは、おもに自治体に対する公害対策権限委譲の問題を自治省についてお尋ねしたわけでございますが、いわばこれは総合的な公害対策の一環として、重点自治体権限委譲というところに置いた一つ対策でございまして、大きくこれを考えていった場合には、現に公害対策本部というものが政府にございますから、公害対策本部のほうで、いま自治省青写真をおつくりになってお進めになりつつある権限委譲の問題について、どういうふうにこれを総合的に処理しようとなさっていらっしゃるか、そのあたりについて少し御説明を賜わりたいと思います。
  33. 城戸謙次

    ○城戸説明員 ただいまの権限委譲の関係でございますが、これは私ども、公害対策本部ができまして以来、非常に注目しながら検討いたしてまいったわけでございまして、この八月二十五日の公害対策閣僚会議におきまして、その基本的な方針が決定されたわけでございます。  いわゆる権限委譲でございますが、これは大きく分けますと、環境基準に関するもの、それから規制基準に関するもの、それから具体的な取り締まり権限に関するもの、これだけあるわけでございます。  この中で環境基準に関しましては、私どもとしましては、そのときの科学的な水準に従いまして十分慎重に科学的に検討さるべきものだ。また時代が変わってまいりますれば、科学的基礎によって変更するのも当然でございますが、そういうぐあいに考えておるわけでございまして、原則的にはこれは国がきめていくという考えを持っておるわけでございます。ただ、水の環境基準の中で生活環境にかかわるものに関しましては、現在やっておりますように具体的な当てはめを必要とする、こういう場合におきましては、その当てはめを都道府県知事にゆだねるというような考え方をとっております。  それから規制基準でございますが、これについては、水銀だとか、カドミウムだとか、非常に少量でございましても人の健康に非常に悪い影響を及ぼす汚染物質につきましては、全国一律のきびしい基準をきめていこうという考え方で通しておりまして、いま常時規制が行なわれていないものにつきましても、常時規制を行なうという方角づけをいたしております。ただ例外的に、たとえば地形だとか、気象だとか、水量だとか、そういう条件から必要であります場合には、地方公共団体がよりきびしい基準を設定する、こういう考え方を持っております。そのほか一般の汚染物質につきましては、国が所定の基準を設けまして、地方公共団体がその上に一定の範囲内で国よりきびしい基準を設けるという考え方をとっておるわけでございます。ただ、この中でも硫黄酸化物に関します大気汚染につきましては、国は基準としましては地域別に数段階に分けていく、こういう考え方でございます。  なおまた、いまの環境基準の当てはめなり規制基準の設定につきまして、二以上の都道府県にまたがる水域の場合など調整が必要な場合には、所要の調整措置を講ずる。これは、先ほどからお話しになっております広域対策との関連があるわけでございます。  それから、最後に取り締まり権限でございますが、現在ほとんど、大気汚染防止法にしましても、騒音規制法にしましても、規制権限はおりているわけでございますが、工排法の関係でおりておりません業種が十一業種ございましたが、これにつきましては、おろすという方向で決定されたわけでございます。  以上のようなのが、基本的な私どもとしましての権限委譲考え方でございます。
  34. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁承わりまして、総合的にこれを取り扱うという基本的な姿勢は、私理解をいたすわけでございますが、やはり事を進めますのには、自治省一省のみでは事が進みませんで、問題は、先ほどからお尋ねをした中にもございますけれども、多岐にわたると思うのです。厚生省、通産省、運輸省あるいは建設省等々にも、かかわり合いのある重大問題が、それぞれにすでに既成の事実として引き起こってきているわけでございますから、それぞれの省間にわたる問題の調整などというのは、自治体に対する権限委譲をめぐる大きな問題点だろうと思うのです。その間の調整については、公害対策本部のほうでこれをお進めになるのでございますか、どうでございますか。
  35. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ごらんのように、ただいま参りましたので、あるいは答弁がちぐはぐになりましたらあとで変えますから……。  ただいまのお尋ねは、各省庁の固有の行政権限というものがある、そういうものを調整していくのに本部がやるのかということだと思います。これにつきましては、実行上も法律改正上も、本部が全部中心になりましてこれを進めてまいります。したがって、毎週一回はほとんど開いております関係閣僚協において、そのつど関係する閣僚にお集まりを願いまして、基本法の改正から始まって、先ほど答弁を説明員よりいたしました地方に対する権限委譲、工場排水法の取り締まりの残存十一業種について全部地方に委譲するというようなことをきめまして、あるいは今後の研究機関の資料、そういうものを本部が一元的に収集し整理し、諸外国との話し合い等にも応じられるような高い公害データバンクみたいなものを持とうとか、そういうようなものについても進めてきておりますから、今後法改正をいたしますにつきましては、たとえば先般、建設省が河川法の政令改正をいたしまして、そうして河川管理者として、一級河川について勧告することができるという政令をつくったのですが、肝心の勧告を受けた法律のほうの規制法では、勧告を受けたらどうするというのがないのですね。ですから、そういうものを勧告された場合には、それぞれの取り締まり法においてこういうふうにしなければならない、その権限は地方都道府県知事に委譲するというふうに全部整理をしていきたいと思うので、法律につきましても、場合によれば予算につきましても、本部が全部責任を負って各省間の調整に当たるということでございます。
  36. 土井たか子

    土井委員 いまの御答弁で、大体公害対策本部がどういうふうに権限委譲をお考えになっていらっしゃるかという一端を私は承ることができたわけですが、実は公害発生源を押えないと公害対策というのは十分にすることができないことは、周知の事実でございます。そういう点から考えてみますと、公害発生源企業である場合は、むしろ中小企業よりも大企業の及ぼす影響というのがもはや問題ということになっておりますし、いま話題になさいました河川なんかについても、これは中小河川よりも、むしろ一級河川そのもののもたらす実害というものが非常に大きいということが問題になっておりますので、いかにして公害発生源である大企業等に対する規制、あるいは調整、取り締まりを強化していくかという問題、一級河川についてどういうふうに対策をとっていくかという問題、これこそ大きな問題だろうと私は思うのです。ところが、いままでにはそういう一級河川にしろ、大企業にしろ、都道府県並びに市町村そのものにこれにタッチするという権限がございましても、非常に手薄でございまして、やろうとしたときにはすでに後手後手であるということがいつもつきまとってまいりました。したがって、いま問題になっております権限委譲考えます場合にも、公害発生源を押えるということを一つ眼目にしながら、やはり取り扱いを進めていただく必要があるように私思います。  そういうことと、先ほどから自治省にも私申し上げましたけれども、これを具体的に進めます場合には、むしろ自治体に対する権限委譲の中で考えるべきことは、都道府県に対する権限委譲よりもむしろ強く市町村に対する権限委譲ということを考えるべきではないか。これはなぜかというと、やはり公害発生源に対する取り扱いというのは、地元で、しかもその具体的な状況に対処してスピーディーに効果をあげなければならないということが至上命題としてございますので、そういうところから考えてまいりますと、むしろ市町村段階権限委譲というものを重点を置いて考える。さらには財源確保という点から考えましても、都道府県段階よりも市町村重点を置いたものの考え方を持っていきませんと、財源の確保も私は手薄になってしまうじゃないかという心配もいたします。この点に対しまして、ひとつ意のあるところを長官からお伺いしたいと思います。
  37. 山中貞則

    ○山中国務大臣 公害問題は、人の健康と生活の環境という、人間の尊厳を守るかどうかという問題ですから、やはり人間生活の一番身近な場所でものごとをとらえて処理できる権限を与えていくということは、あなたのお話しのとおりであると思います。しかし、市町村重点的に委譲していくかと申しますと、やはり市町村には市町村でやってふさわしい、たとえば典型的なものとしては、清掃法というようなものは、市町村の固有事務として一番ふさわしゅうございます。かといって、河川の流れ全体というものの流域には市町村が一ぱいでございますから、そういう場合の河川、あるいは大気、そういうものは都道府県ということに分けたほうがよろしいようでございますから、なるべく地方委譲の原則を貫く、これは徹底して貫いてまいりますが、その権限の、都道府県知事と市町村との割り振りはどういうふうにしたほうが一番より地域住民に親切であり、密接な効果期待できるかという判断からのみこれを裁定していきたいと考えます。
  38. 土井たか子

    土井委員 あくまで地方自治の本旨ということをひとつお忘れなく、いまの構想についても生かしていただくということを切に要望いたしまして、私、きょうの質問はこれで終わりたいと思います。
  39. 加藤清二

    加藤委員長 次は島本虎三君。  島本虎三君に申し上げておきます。国務大臣が時間の都合上十分だけいて、約束の一時間は別なところに……。
  40. 島本虎三

    ○島本委員 いま一番問題になっております公害に対しましての対策、またはそれを協議するのは、臨時国会が開かれない限り本公害対策特別委員会のはずなんですが、どうも大臣の出が悪い。悪いだけではなしに、来ても次のほうへすぐ行ってしまう。伺うと、法務大臣は、心臓移植の問題一つで朝からくぎづけになっているそうじゃありませんか。この大事な公害対策特別委員会、臨時国会にかえられるようなこういうような委員会に対して、大臣来ているからいいけれども、そのほかの大臣どうして来ないのか。これはやはりいろいろな観点から、副本部長である山中長官のほうから、厳重にこの点は申し入れておいてもらわなければならないと思うのです。この態度では——あなた見ておわかりのとおりなんです。これで臨時国会に代用すると言えますか。これは困るのです、こういうようなことは。姿勢が悪いのじゃないですか。またすぐあなた、行くというので、少し腹がたつわけですけれども、それにしてみても、何か姿勢が全然悪い。厚生大臣なんか、来たためしがないじゃないですか、大事な段階で。もう公害対策の万全を期するなんというのは、まさに木によって魚を求むるがごとし、こういうようなことを言わざるを得ないのを残念に思うのですが、時間がたちますから、あえて大臣にお伺いします。  政府のほうでは、今秋、何か二十五周年記念の国連総会に総理が出席することになるようでありまして、公害に対する国際協力を呼びかけて、国連の公害センターを日本に誘致するようにしたい、こういうようなことさえ考えられておるようです。そのほかに、七〇年代の最大の課題だ、こういうようなことからして、公害対策に日米共同研究体制というようなものを考えられて、相互協力を積極的に進めるということからニクソン親書が出、そして専門家会議、データの交換、こういうようなものが考えられておるようです。ラッセル・トレイン全米生活環境改善諮問委員会の議長も来られるようです。日本では山中長官と会談されるように思われます。  そうなりますと、この公害対策というようなものは、日本は、まさに国内的なものから全世界的視野の上に立って対処しなければならないという重大なる運命を、いま背負っているのです。そういうような大事なこの公害対策特別委員会が、こういうようにほんとうに微々たるメンバーで、大臣、これは少し恥ずかしいと思いませんか、要求した大臣は来ないんですから。来たのはあなた一人、こういうような状態なんです。そういうようになりますと、当然今度は、日本は世界の公害対策の総本山ということになるわけでして、これはちょっと重大だ、こう言わなければなりません。それに対して、大臣もこれを受けて相談され、また協議される。その自後に来たるものも、日本の立場としては、ほんとうにごうまつも気を許すことができないような重大な責任を負うことだと思うのです。これら一貫した一つの行き方に対して、どのような決意をもって対処されるお見込みでしょうか。まず、決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  41. 山中貞則

    ○山中国務大臣 出席していない閣僚について、出席した閣僚の私がおしかりを受ける、これも少し筋違いと思いますが、しかし公害問題は、どろもヘドロも私がかぶることに腹を据えておりますので、ただいまのおしかりも、政府全体に対するおしかりとして、姿勢がなっていないということでありますならば、私がつつしんで承りたいと思います。  ただいまの、トレイン委員長から私あてのメッセージが参りまして、閣議に一応はかりまして、それから、私のほうで返事をトレインに出しました。その返事の内容は、トレイン委員長のメッセージの内容の柱は大気汚染が主でございましたので、私は、やはり太平洋を越えた問題としてとらえるには、大気汚染ばかりでなくして、その他の各種公害現象についても取り組もうではないか、さらに日米両国のみならず、EECもしくはOECD等において、すでに論議する機構なり、あるいはそういう姿勢もうかがえるので、それらの国際的な広い意味の協力等の先鞭をお互いにつけようではないか、しかしながら、人類を今日の地球上の環境から守っていくという尊厳なることに対する競争、尊厳を守るための競争というものはたいへん好ましい、このような競争ならば喜んで自分たちは応じたいという意味の返書を出しました。それに対しまして、トレイン委員長はニクソンにそれをあげました。ニクソン大統領より佐藤総理への双方のメッセージ交換があったことは、すでに報道されたとおりであります。  御指摘のとおり、日本が公害問題で悩んでいるということは——単に日本ばかりではなくして、世界各国の問題でもあると同時に、日本が公害を処理できない国であるというふうに受け取られることは、たいへん恥ずかしいことであると私は思っておりますので、国連公害センターを日本に持ってくるのはいいことなのか悪いことなのか、あるいは悲しむべき現実なのか、そこらのところは、まだ、総理が国連に出席されてどのような提案をされるかについては、話し合いも受けておりませんのでわかりませんが、私たちはいずれにしても、世界の国々が目標を全部まだ解決していないこの公害という問題を、日本が率先処理することは可能ではないか、そうしてその処理し得たときに、公害対策においても日本が先陣を切ることは可能である。私たちは、日本人の頭脳と技術というものをそこまで買ってもいいのではないかと思うのです。要するにそれらのものを政治がどのように指導し、どのように凝集して力を爆発させていくかということにかかっていると思いますので、その使命の重大さにかんがみて、やはり日本の公害政策は世界じゅうの注目しておるところであるという自戒のもとに、その世界じゅうの注目に日本がみごとにこたえ切ったという答えはぜひとも出したいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 島本虎三

    ○島本委員 それと同時に、先般七月十五日から八月十七日まで衆院議から派遣されて、列国の議会制度並びに国情の調査に行ってまいりました際に、フランスへ寄った。そのフランスからも、日本の公害について重大な提議をされました。そして、当然万国博にはわれわれは行く、また一九七二年の札幌にあります冬季オリンピック、その方面にもわれわれは出席したい、それまでに大気をきれいにしておいてください、こういうような皮肉さえも受けたのであります。  それと同時に、フランスでもそういうような共通の問題の基盤もあるから、今後フランスの議会は日本の国会とも、ひとつ公害の問題について交流しませんか。これは坪川信三団長も言っておりましたが、そういうような話し合いさえも、非公式ではありましたが、なされております。英国においてもしかりであります。  いまや、大臣がおっしゃったように、日本の公害対策というものは、世界の一つの注目の焦点になっているのです。また、一緒に話し合おうとする国も、アメリカだけではなしに、他にもあるのであります。こういうような点からして、もう乗った船ですから、この中で進路を誤らないように、十分ひとつ副本部長もこの際、総理にかわってこれに対処してもらわないとだめだ、こういうように思うのです。おそらくそういうような申し出がたくさんあるだろうと思います。私どもも二つ受けてまいりました。この点もひとつ踏まえて十分決意を新たにしてやってもらいたい。また、機構等についても考えておいてもらいたい、こういうように思うのです。それはよろしゅうございますか。——では次へ進みます。  そういうような重大な中に、つい最近ですが閣内においても、公害に対する考え方がともすれば場当たり的であって、ともすればどうも考え方がまちまちであるというような点、われわれは遺憾に思うのです。二十八日、東京の帝国ホテルの記者クラブの昼食会のおりに宮澤通産大臣が、当面する通産政策の課題ということで講演し、公害防止問題を最も重要視している旨を強調されているのです。これは講演ですから写しがございません。その報道によると、はたしてこれでいいのかと思う二、三点があります。この点も誤解のないように解明をしておきたいと思うのです。大臣を呼んでおりますけれども、副大臣しか来ておりません。これは副大臣も知っておられると思いますから、この点よく聞いて解明を願いたいと思うのです。  その一つは、公害問題を生活優先か生産優先かという二者択一の考えでとらえることは賛成できない、経済成長の過程で公害防止に対処をするという立場をとる、こういうように言っておられるようです。これは次官、間違いないですか。
  43. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 そういう発言をされたかどうだか、私聞いておりません。これは、そういう講演の中で話されたのか、あとで雑談で話されたのか、その点も聞いておりませんので、その場ではお答えできないと思います。
  44. 島本虎三

    ○島本委員 では、この問題は大臣が来るまで保留いたします。そういう不完全な状態でそれは進められないと思います。これは世界の焦点になっているのに、国内においては片や企業を担当している当然指導すべき大臣が、少しでもちぐはぐな考え方を中外に声明しては困る、こういうふうに思いますので、この問題は、大臣が来てからあらためてやることにします。
  45. 加藤清二

    加藤委員長 速記とめて。   〔速記中止〕
  46. 加藤清二

    加藤委員長 速記始めて。
  47. 島本虎三

    ○島本委員 急いでまた順序を変更しながら——ここに海上保安庁の長官来ておりますか。
  48. 加藤清二

    加藤委員長 来ております。
  49. 島本虎三

    ○島本委員 自治省関係来ておりますか。それから厚生政務次官おりますね。——では、お伺いいたします。  いま問題になっておりますヘドロの問題についての解決点について、ちょっと伺いたいのです。これは、われわれも常に頭を痛めている問題です。したがって、一日たりといえどもこの対策をおろそかにしてはならないのです。当局の指導は、このヘドロに対してどういうような指導をとっておりますか、お伺いいたします。
  50. 手塚良成

    ○手塚説明員 ヘドロにつきましては、私どもの関係では、これが船舶の運航の安全並びにそれがひいては関係方面への影響が非常に大になるような場合につきまして、所定の法に照らして刑事事犯になると思われる場合にそれの捜査等を実施をする、並びにそういう事犯になる以前に、そういう災害に及びそうな場合に対する予防措置を、関係方面との連絡のもとに実施をしていく、かような立場で目下のところ対処いたしております。
  51. 島本虎三

    ○島本委員 海上保安庁の対策だけを聞いたのじゃないのですよ。ヘドロの問題では、現在その処置の問題で、県当局や国の指導、また厚生省、通産省それぞれ一貫した指導をしなければならないような状態になっているのです。いまの時点において、このヘドロの処置の指導をどういうふうにしているかということです。ヘドロについて答弁するのは一体どこなんですか。
  52. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 本来、公害対策本部の副本部長である山中総務長官から答弁をされる性格のものだと思いますが、むしろ健康被害等にもかかわる部分がございますし、一応私のほうからお答えをさせていただき、なお、山中長官が戻られてから、再度あるいは御確認を願えればよろしいかと思います。  率直に申し上げまして、従来からヘドロに対しての対策というものは、私ども自体の考え方の中でもずいぶんおくれておりましたために、今日の事態を発生いたしたわけであります。当面の処理をいたす方法とすれば、率直に申し上げて、外洋投棄以外の方法が今日では考えにくい状態にあります。  御承知のとおり、すでに何例かの事故も発生をいたしました。ヘドロの中には、硫化水素をはじめ有害なガスを発生する発生源が相当量ありますために、これを移動することそのものの中で、すでに事故が出たわけであります。陸上において処理をいたす方法も、技術的に不可能ではございません。しかし、その設備をつくること、その時間等を考えてまいります場合、たとえば一番ひどい問題になっております田子の浦のような場合、陸上の施設をつくり、その処理体系が完成するまで便々と日を過ごすわけにもまいらないということから、副本部長また静岡県知事の間において種々協議の結果、外洋投棄の方針に踏み切られ、陸上の処理等も考えながら、黒潮の外に投棄をしていこうということをおきめになったわけであります。黒潮の流れ自体が相当に移動がございますから、沿岸から一番近い場合、また遠い場合、そうした点の距離を考え、安全率を見込んで、約三百三十海里余り沖に投棄をする方針を当面立てました。  しかし、あくまでもこれは当面の策であり、むろんそれに伴って生物学的な処理、あるいは工業学的な処理、こうしたものが同時に並行していかなければならぬことは当然でありまして、本部自体においても、そうした点についての検討は進められておるはずでありますし、それぞれの事務当局においても、それぞれの持ち分において対策は考慮いたしつつあります。
  53. 島本虎三

    ○島本委員 厚生省がこれを直接指導してやったのではなかろうと思いますが、大体厚生省からまとまった答弁をいまちょうだいしたのです。しかし、それでもなお漁民が、漁業協同組合をはじめとしてこれに対しては反対しておるのです。外洋投棄を反対しておるのには、これは根拠がないわけではないと思うのです。陸で処理すべきであって、結局は海に流しては困るという根拠、硫化水素は、これは未来永劫になくなるという問題ではないわけです。そうなりますと、有機物は流れるだけであって、もうすでに幅四キロ、長さ十キロにわたって帯状のものが流れているということを、委員長はじめ、ちゃんと調べてきてあるのです。そういうふうなことになると、これは大もとをつかまなければ、ただ流しておったのでは、いまや世界の焦点になっている日本の公害が、これによって解決されるという何らの保障にもなりません。一トンの水で二トンのチップが必要なんだそうです。それに今度百トンの水が必要なんだそうです。毎日三千トン以上の、おそらく五、六千トンもかすが出ているのだそうです。こういうようなものを毎日外洋投棄している。それによって日本の水はもうすでにくさいものである、こういうようなことは、そろそろ評判になりかけておるようですけれども、これがもう万全の策ではないはずです。私は、こういうような指導理念がおかしいと思うのだ。外国では、こういうような問題はどういうように処理しておりますか。これはだれが答弁するのですか。
  54. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 外国での処理のしかたは、まだ十分調査されておりませんけれども、たぶん内部処理をしているのだろうと思います。田子の浦の関係については、内部指導をいたしまして、新聞報道その他でごらんのように、二〇%ということで現在処理しようという考え方でやっております。
  55. 島本虎三

    ○島本委員 しかし、これは通産省に答弁させるのも少しどうかと思うのですが、現実の面でヘドロの問題が問題になって、この対策について、おそらくはもう皆さん以上に自民党さんも心配しておられる。中には、もう政府はやるだけの問題だから、それを激励してやり、むしろいろいろなことを言わないほうがいいのではないかと言う人さえもあるのです。黙っておいたら、もう何をやっているか、外国の例もわからない、海洋投棄一本、これしか方法がないという考えのようです。万全かといえば、万全かどうかもわからぬという、一体こういうような処理のしかたがありますか。これもやはり大臣来てもらわないと困るんだな。何ですか、これは。  今度、委員長責任もって答弁できる人がない以上、委員を指名しないでください。
  56. 加藤清二

    加藤委員長 わかりました。
  57. 島本虎三

    ○島本委員 委員長権限にもかかわりますから、困ります。
  58. 加藤清二

    加藤委員長 わかりました。  再三にわたって、大臣には出席を要請いたしておりまするが、あれこれと御都合があるそうでございまして、出席不可能のようでございます。
  59. 島本虎三

    ○島本委員 答弁のできないようなことを聞いたってしようがないのです。  答弁のできるところから聞いていきます。  四十二年のころだと思いますけれども、県で水質基準を設定して、沼川の流域の水質基準B水域、この汚染度二〇〇PPM、それから岳南排水路完成まで、暫定的にA水域、特別二五〇PPM、こういうようにきめておったということを承っておる。しかし、実際は二七〇PPM排出しておった、こういうようなことなんですけれども、問題は、通産省の公害担当官が、三十六年から七年にかけて駿河湾の海域調査、この水質基準指定、こういうようなものをなぜしなかったのか、これは事務段階答弁できるでしょう。これはなぜ水質指定をしなかったのですか。
  60. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答えいたします。  先生御指摘の当時、確かに田子の浦の水質が相当悪化しておるという事態が出ておりましたので、企画庁といろいろ相談いたしまして、正式には企画庁におきましていろいろ事前の調査もやりまして、県に指定地域にしたらどうだろうか、規制を始めたらどうだろうかという相談をしたわけでございますが、当時県側の考え方といたしましては、岳南排水路が一部完成していることでもあり、この排水路を利用してやっていけば、そう大きな問題になることもあるまい。特に当時の関心事は農業用水との関係で、農業用水に対する汚濁はそれで完全に排除できるような体制になっておりましたので、そういうふうな県の意向もありまして、これは県の同意なくしては地域の指定もできないような体制になっておりますので、経済企画庁並びに通産省も、それでは情勢を少し見守ろうということで引き下がった経緯がございます。
  61. 加藤清二

    加藤委員長 本件は、水質基準の問題ですから、経企庁の国民生活局長来ているでしょう、答弁してください。
  62. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ただいま通産省のほうから、経緯について若干御説明ございましたが、そういった形で、昭和三十六年に一応の調査を実施したわけでございますが、岳南排水路というものの第一期工事が三十七年に完成をする、さらに第二期工事を引き続き実施をいたしますと、農業被害はほとんど防止できるというような見通しが得られた、こういうようなことで、当時問題になったのが農業被害が中心であったものですから、一応水質基準の設定という問題は保留するという形で推移したようでございます。  しかしながら、その後この地域における企業の立地がさらに進みまして、また既設の企業については増設が行なわれるというようなことで、非常に排出量がふえてまいりました。新たに問題になってきた、こういうことでございますが、いずれにしても、基準設定そのものがそういった事情で保留になったということについては、私どもといたしましても、これは責任を感ぜざるを得ない、そういう感じを持っております。
  63. 島本虎三

    ○島本委員 県当局が、指定するな、こういうふうに言ってきたというのもおかしい。そうして、水質基準の指定を拒否してきたということは、これは許せない。それに従っていったということは、なおさら悪いじゃありませんか、それに従うことが。そうして、その岳南排水路、これに終末処理がちゃんとついてあるのかもわからないで、認めないで、そのまま基準指定を延ばしてきた、こういうようなことは、完全にこれはもう行政上のミスじゃありませんか。この責任はどこにあるのでしょうか。県が悪いのですか、それとも経済企画庁が悪いのですか、知事が悪いのですか、それとも市長が悪いのですか、これはどういうことになりますか。
  64. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御指摘のように、確かに当時の事情においてこの基準の設定を保留するということをきめたのは、四十一年の六月でございますが、その後の生産の見込み等について十分な把握がなかったという点はあると思います。  また、この岳南排水路の処理施設の計画は、建設省の立てられた計画の中に入っておったのでありますけれども、これが予定どおり行なわれなかったということも一つの事情としてございます。この点については、いろいろ進めようということで地元でのお話し合い等があったようでございますが、反対等もあってできなかった。資金の問題も一方にあったようでございます。  いぜれにいたしましても基準の設定をする際に、そういった将来の増設の見込みその他について十分な把握ができなかった。ある程度やむを得なかった点もあろうと思いますけれども、基準設定の問題について各省調整し、またこれを審議会にかけていくというのは、経済企画庁の私どもの責任でございまして、そういった点において、先ほど申しましたように、やはり責任を感ずる、こういう次第でございます。
  65. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと待ってください。生産の見込み違いの問題について小宮山通商産業政務次官。
  66. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答え申し上げます。  当時の処理施設の計画には、排水量としては、年度はちょっと私はっきり記憶しておりませんが、排水量の総量といたしましては、日量約二百五十万トンというぐあいに織り込まれておりまして、現に排水しております排水量は、日量約二百万トンでございますので、私たちが見ております限りにおきましては、生産を過小に見積もっておったという事実はないと考えております。
  67. 島本虎三

    ○島本委員 生産を過小に見積もっていたこともない、それで計画に若干おくれはあったけれども、自分らは別に間違いではない。その結果が、今回のようなこういうような重大な事態を招来した。これは、すると、通産省でも、これはもう経済企画庁でも、自治省指導でも何でもないということですか。これは悪いのは住民だけだということになるのですか。こんなばかな答弁はありませんよ。自分の立身出世ばかりしか考えていない答弁じゃないですか、これは。だめだよ、そんなのは。終末処理施設をも持たない排水路で企業に処理施設を義務づける。これは当然じゃないですか。そのための水質基準設定、これをしないでくれと言えば、はいそうですかと、しなかったのはどこなんですか。
  68. 加藤清二

    加藤委員長 これは水道ですから、橋本厚生政務次官
  69. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 委員長の御指名ではありますけれども、遺憾ながら下水道及びそれに付随する終末処理、厚生省の所管外になりまして、建設省をお呼び願わないと、私どものほうから答弁をいたすことができません。岳南排水路そのものにつきましても、建設省の指導でなされたことでありまして、遺憾ながら私のところから御答弁申しかねる次第であります。
  70. 島本虎三

    ○島本委員 私の質問が終わるまでの間に、建設省の責任者を呼んでおいてもらいたいと思う。このことを要請いたしたいと思います。  それで、結局は水質基準の設定を県が拒否した。それに国がまた従っているのです。こういうようなやり方ってありませんよ。ほんとうにそれが必要だと思ったら、国がなぜやらせないのですか。県が待ってくれと言ったら待たなければならないのですか、これは。終末処理もつけないものを、たれ流しのように港の中にやる、こういうような指導、これさえも建設省だと言うが、厚生、通産、経済企画庁、これあたり一言も言えないものなんですか、これは。だめですよ、そんなの。ましてもう保安庁は取り締まりの権限の中に入るじゃありませんか。四日市の場合には進んでそれをもう検挙までしている。なぜこの田子の浦はそれができないのですか。政治的な圧力でもあったのですか。どうもこの点私は解明に苦しむのです。そういうような計画、その計画厚生省、通産省、経済企画庁、それぞれの水や基準をきめるか、または指導する、こういうような立場にある各省が全然知っていないということはあり得ない。また自治体がそれを要請し、必要だと思っていた。経済企画庁でたれ流しのそういうような状態を見ながら、三十六年、四十一年以来そのままにしておる。これは怠慢もはなはだしい。結果がいまのような状態だ。ましていま全世界的な一つの焦点になっているじゃありませんか。それを内部でまだこんなことについての意思の統一もできておらない。恥ずかしい次第です、これは。
  71. 手塚良成

    ○手塚説明員 田子の浦のヘドロの件につきましては、先生御承知のとおり去る八月十一日に地元から告発が地検に対してなされております。内容は、港則法違反、港湾法違反といった違反問題でございまして、目下私どもも地検と共同でこの告発に対処した捜査を実施すべく進めておるわけでございます。それ以前における港則法違反問題を早期に手当てすべきではないかという御意見があるかと思いますが、先ほど来のお話にもございますとおり、いろいろ法的な問題につきましては検討はしておりましたけれども、非常にまあ問題が多うございます。なされておりました行為が、たとえば岳南排水路という公共下水道を通してなされている行為であり、また港が浅くなるというような事態については地元で定期的にしゅんせつするという行為等も行なわれておりましたので、それら諸般の事情を勘案いたしますと、直ちに港則法違反であるかどうかということについてはさらに検討を要するということで今日まできておる次第でございます。
  72. 島本虎三

    ○島本委員 とんでもない答弁です。港則法の二十四条に「何人も、港内又は港の境界外一万メートル以内の水面においては、みだりに、バラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならない。」違うのですか、これは。そうあるでしょう。
  73. 手塚良成

    ○手塚説明員 港則法二十四条は、いま先生がお読みになりましたとおりでございます。ただ問題が、検討を要すると申し上げましたのは、いまそこでお読みになったことばで言えば「みだりに」ということばがそこに特に入っておるわけであります。そこで、いまの公共下水道等に流しておるということでございまして、あるいは先ほど申し上げましたようなしゅんせつというような事態が行なわれておるというようなこと、そういったこと等につきましてそのことばとの関連等についていろいろ検討を要する。ただし、私どももこれについては関係方面ともただいま十分折衝しております。告発もなされておることでございますので、そういった最終的な結論については近く出されることだと考えております。
  74. 島本虎三

    ○島本委員 するとこれは三十年間流していた。みだりに流していたことにならぬのですか。しゅんせつしているのを認めたならば、みだりに流さないということになるのですか。どうもそういうような点だったら場当たり的な解釈ですよ。それだったらなおおかしいじゃありませんか。先般石原産業の摘発の件、これあたりは進んで、港則法二十四条違反、それと県の漁業調整規則違反、これによって摘発してやった事件さえあるでしょう。やったでしょう。それに対してわれわれ、まあこの際ですからよくやったというふうに激励したでしょう。ところが、今回こういうような大きい問題になっても、みだりに投げておらないからいいんだという解釈をとって、何らこれに対して手を触れない。これどう違うのですか。四日市の場合は進んでやった。今度の場合はおそらく怠慢と思われるようなこういうような行動に終始した。どう違うのですか、これは。
  75. 手塚良成

    ○手塚説明員 四日市の場合におきましては、工場からいまのような公共下水道等を通さずして直接に海面に向かって硫酸を流しておるという事実でございまして、これはきわめて端的なことだと考えられますので、直ちに港則法違反の処置を当庁としてはとったわけでございます。  繰り返すようでございますが、この田子の浦の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますような、若干そこにニュアンスの違う内容、要素が含まれております。いま申し上げましたような点につきましては、政府部内でそういった関係のところで、私の申し上げましたような意味検討が続けられておるということでございまして、内容の違いは御了解願えるのではないかと考えます。
  76. 島本虎三

    ○島本委員 公共下水道というんですが、あなたは言った以上、公共下水道はどういうものだか言ってみてください。下水と下水道、違うのですよ。公共下水道というのはどういうものですか。
  77. 手塚良成

    ○手塚説明員 私、直ちに下水道の定義を申し上げるほどのあれもございませんが、要するに、港則法にいたしましても、これは三十七年に制定せられております。そうして、いまの事態は、先生も御指摘の、それ以上、非常に長期にわたってなされておる事態でございまして、それが、そういった県の、あるいは港湾の管理者等におかれての港湾の管理の状態から見ましても、まあ言うなれば、いま言ったようなある種の措置をとりながら、港湾機能を維持するように継続されてきておる。そこで、港則法のたてまえは、そういった船舶の交通の安全確保、水路の保全ということを法の目的にして、そしていまのような、そういうものを投げ捨ててはならない、こういうものがついておりますので、そういった公害プロパーの法律というたてまえではございませんので、その目的に徴しながら、現状を注視してきた、監視してきた、こういうことになっておるわけでございます。
  78. 島本虎三

    ○島本委員 いよいよもって私はもう、いまの答弁なら、これだけにかからなければならなくなるんです。下水道が、終末処理もない港の中に、こういうようなヘドロも全部流し込んでいる。見ないならまだしも、全国民が見ておる。それでも、下水道であるから、これはわれわれの範囲外なんだ、平気でよくそういうことをおっしゃれるものですね。私は驚きました。いまあなたの考えは、下水のことを考えておられたんじゃないですか。何の終末処理もしなくてもいい、こういうようなのは、下水の考えで下水道のことを口にしているんじゃありませんか。少しこの点、私は遺憾です。まして、今度の場合は、特に運輸省では、八月十七日に、港湾法の改定ではございませんけれども、港湾の中に水質汚濁や汚泥の積堆を防ぐために、港湾法の規定を公害防止に適用して、危険な廃棄物、こういうようなものを調査して流入を規制する、こういうようなことを都道府県知事にもちゃんと通達してありますね。二重、三重にあなたのほうでやらなければならなくなっているはずなんです。それに対しても手をこまねいて見ている。石原産業だからやる、大昭和製紙だからやらない、こういうようなことがあっちゃとんでもないことです。だめです、そんな考えは。やはり保安庁のほうでは、田子の浦は、あれによって港が浅くなり、水路がわからなくなるどころか、港として使えなくなってしまった。そして、こういうようなのは一つじゃない。二つも三つもそういうのができてきている。水路とか、安全航行に関係ないから、われわれの出る幕じゃない、そのとおり信じていいでしょうか。私は、こういうのは全然なっておらぬと思う。また同じような答弁をするなら、もうやらぬでもいい。大臣とやる。いま言ったことに対して、あなたは反論しておいてください。
  79. 手塚良成

    ○手塚説明員 田子の浦そのものにつきましての御答弁としましては、先ほど来申し上げておるようなことでございますが、ただ、特定の会社についてやる、やらないというようなことにつきましては、私どもは毛頭そういうことは考えておりません。東京湾の場合にいたしましても、そういった港則法そのものが明らかに適用されるという事態については、それぞれ調査、捜査の上、実行いたしておるつもりでございますし、そのほか、関連のところにおきましても、いろいろそういった面をやっております。  田子の浦の問題については、先般、告発されましたので、そういった件についてただいま捜査を実行しておりますので、最終的な見解については、先ほど問題のあるということで申し上げた程度にとどめておきたいと思います。
  80. 島本虎三

    ○島本委員 保安庁の答弁は、ほんとうに私の納得するところとならず、まことに残念に思いますが、いずれこれはもう一回、責任者とはっきりけりをつけたいと思います。  それで、廃棄物の問題なんですが、当然、これに要する費用は、発生企業が明らかなものは発生企業に処理させるということは、これは原則じゃないでしょうか。これを、税金を使って国なり都道府県がやっていくということは、企業優先の考え方に立つものじゃないでしょうか。企業ができない場合には、企業責任自治体や国が代行して、費用企業負担させる、これが当然のやり方じゃないかと思うのですが、こういうような方法をとっていますか。  これはどちらでしょうか、また……
  81. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと待ってください。その前に、答弁の申し出がありますので、これを許します。宮崎国民生活局長
  82. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 先ほどの御質問につきまして簡単に御答弁申し上げます。  水質基準の設定にあたりまして、都道府県との関係でございますが、これは公共用水域の水質の保全に関する法律の第六条によりまして、基準を設定するときには、都道府県知事の意見を聞かなければならないことになっております。この取り扱いといたしまして、都道府県知事に意見を聞くわけでございますが、当然、これは基準設定に同意するという形でなければ大体やっていかない。当時の事情として、知事のほうに十分説得をするということは、必要であったろうとは思いますが、そういう規定もございまして、県のほうの意見が、ただいま通産省からもお話がありましたように、当時の状況から見て、もう少し待ちたい、こういうことだったようでございまして、一応保留をしておる、こういう状況であります。  最近の事態にかんがみまして、早急に基準を設定すべく、いま調査検討を続けておりまして、今月中に暫定基準を設定したいと考えておる次第でございます。
  83. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 いまばく然と廃棄物という御指摘がありましたが、産業廃棄物をさしてお尋ねであろうと考えますので、そうした観点から御答弁をさせていただきたいと思います。  島本先生よく御承知のとおりに、従来、これは産業廃棄物ばかりではございません、いわゆる都市廃棄物、粗大ごみあるいは一般家庭の排出するいわゆる家庭の廃棄物、こうしたものをひっくるめて、いままで私どもは、第一次的責任市町村におとり願う、いわゆる清掃法の体系の中で処理してまいりました。そうして法の運営において、私どもは必ずしも、清掃法で今日以降の状態に絶対に対処できないとは考えておりませんが、しかし、現実にいわゆる市町村だけで処理し得る種類の廃棄物以外に、いわゆる粗大ごみと呼ばれるようなもの、あるいは広域市町村を対象としなければならない産業廃棄物、こうしたものの量が非常に増大をしてまいりました今日の中で、従来のそのままの体系を残していくことが決して私どもよいものだとは考えておりません。ただ、現在までは、いわゆる廃棄物一般に関して清掃法以外にかぶせていく規定がなかったわけであります。今日、私どもは、いわゆるこうした廃棄物に対する費用負担問題等も含めての検討を行ない、そうして厚生省としての一つの試案を示し、本部のほうにおいて、これに基づいてのいわゆる費用負担検討を願っておるわけでありますが、企業者の責任において処理されるべき産業排出物、それに対する費用負担というものは、この中で私は明定化されていくものと考えております。  同時に、現在までの清掃法の体系の中に、新たにいわゆる産業廃棄物、都市廃棄物、粗大ごみといった、一つ市町村のみで処理をしていく体系に必ずしも合わないものを、ひとつ新たな観点からその中につけ加え、前処理の段階からあと処理の段階までを法体系の上でも整備をしてまいりたいと今日考え検討を加えているさ中であります。
  84. 島本虎三

    ○島本委員 これは通産省に承っておきますが、やはり前に言ったように、発生企業が明らかである、そして発生企業に処理させることがまずあたりまえである、これを企業が処理できない場合には企業責任で、自治体や国が代行して当たる、その費用は、税金ではなくて企業負担するのは当然である。住民に当然被害が出る、そしてその因果関係は明らかであっても、蓋然性を認めるにしても、企業に一切の補償の責任がある、こういうようなことになるのじゃないかということを言っているのです。これは筋道が立っている。これをいまいろいろおかしくいっているから問題になっているわけです。そうですね。この点については、通産省はどういうように考えてこれに対処していきますか。
  85. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 企業が出した公害については、これは公害というものが企業と——通産省の考えておりますのは、最近こういうふうな考え方をしております。企業が出した公害は、設備投資の一部として今後企業公害防止をやらなければいけない。やはりオートメーションと一緒に、設備の一環であると考えております。ですから、公害を出したものに対しては、企業側責任をもって対処していかなければいけない。因果関係が明確な場合には、そうあるべきであろうと考えております。
  86. 島本虎三

    ○島本委員 結局は、そういうようにわかっているのですけれども、それがはっきり処理できない。この技術開発も相当おくれている。この点は指摘しなければなりませんけれども、海洋投棄以外に方法がない、こういうように考えられているようですが、装置をつくって工場で浄化して、そしてそれを乾燥させて、それを焼いてしまう、しろうと考えですが、こういうようなわけにいかぬですか。海洋投棄しても生きているものは生きている、未来永劫生きている。そういうようなものは投げないでくれ、投げては困る、また漁民の反対も多い、そういうようなところは、それ以外に方法がないということで、これを一つ覚えのように強行すると、それがためにまた何かトラブルが起きる。これをなくするためにはやはり技術開発、これによってはっきり対処するのがほんとうですけれども、おくれているのじゃないか。おくれているその中でも、これを焼いてしまうという方法がないのかどうか。どうもこの返事では私は納得できない。
  87. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 その方法はございます。しかし、現実に、いま出ておるものをどう処理するかということ、またその問題をどう解決していくかということが設備との関係でございます、時間の問題でございます。  大企業のほうにおいては、田子の浦は来年の九月までには全部完成するということでいま鋭意指導いたしております。その間、ヘドロの出ている分について海洋投棄をさしていただきたいということでございます。
  88. 島本虎三

    ○島本委員 海洋投棄をしても、それは抜本的解決策にはなりません。それでただ一つ私どものほうで問題にしたいのは、これは大臣、やはり通産省の関係でも、大臣のほうが公害の総元締めとして考えてもらいたいのですけれども、いま処理施設も使わない、こういうのが平然と行なわれているわけです。下水道に流した、しかし、それはもう終末処理もない。これは製紙会社で沈でん槽もつくらないのでそのままたれ流してもいい、こういうようなことがいまだにあっていいものでしょうか。せめて沈でん槽くらいつくる、そうしてそれでも十分薬物はとれるわけではない。それなのに沈でん槽もつくらないで、たれ流しているのが現在まだあるのですよ。もし少し通産省を督励してもらえませんか。私の手元にちょっとあるのは、私これを見てびっくりしたほうですから、少しトロかった。これを見てください。日曜特集版で出てきた、これは大昭和製紙のたれ流しの現況なんです。これは沈でん槽もないままに出しているのです。こういうことで一体どうなんですか。全部これは指導すべきじゃありませんか。そうして、これは国道のそばにありますが、通ると異様なるにおいがして困っておるのです。大昭和製紙です。北海道白老にあるものです。片や田子の浦ではそれをやり、片やまたこっちのほうでは沈でん槽もなしにたれ流している。こういうのを全国にやらせておいて、あとしりぬぐいばかりしていてこれはどうなりましょうか。これはすぐ処置してもらわないといけないと思います。
  89. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 白老にございます大昭和製紙の処理施設については、本年度中に全部完成いたします。いまその行政指導で建設中でございます。
  90. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいまの田子の浦に関する問題でございますが、このたれ流しが主として零細企業に多いと思います。これはいままでの行政指導の出発のしかたが、廃液の及ぼす周辺農地、農作物への被害というようなところから始めまして、岳南排水路という構想も出てきた。これも一つの新しい構想ではあったのですが、しかし零細企業のほうとしては、そこに、いわゆる俗に言うたれ流しをしても、それは岳南排水路を通っていけばよろしいのであるという気持ちでおったことは間違いないし、事実そのために工場の中におけるスクリーンもしくは沈でん池というものが完備されていないということは事実であると思います。しかし、やはり今日の事態から見れば、明らかにそれは間違いであったことには違いがありませんので、ただいま大手のほうの各種の工場内の排出に対する施設を大急ぎでやらせるとともに、零細企業につきましては、岳南排水路に流すものであっても、その中にスクリーンし、もしくは沈でん池をつくる、そういうものに対して政府が援助をして早急につくらせる。そうしますと、岳南排水路の終末処理の施設の問題も、企業自体の元の排出のバルブが締まるわけでありますから、その締まった総量が幾らであるから、したがって岳南排水路の終末処理はどの規模で足りるということが、漁業者側も最終的に納得できるような方式がとれると考えまして、それらの点はことに零細企業のほうに多いということを考えまして、十分の措置をとりながらすみやかに実行させていく、そうして最終的に各工場の排出が工場内において最大限に効果ある方法をとられた後、岳南排水路を経由して海に注ぐ場合における終末処理の能力、あるいはその性能等についての最終的な判断をいたしまして、これをすみやかにいたしたいと思いますが、何しろ土地買収等がなかなか進まない、いわゆる岳南排水路の終末処理の土地買収等が進まないという背景等もあるようでありまして、それは知事さんあるいは富士市当局等にもよく連絡をとりながら、せめてすみやかに土地買収等はできるようにしてほしいということをお願いしております。
  91. 島本虎三

    ○島本委員 それでは、この問題についてはこれで終わっておきます。  それで、あと時間を急ぎますから端的に聞きます。  公害対策基本法、この改正の際に、無過失賠償責任については、これは四党が一致を見なかった問題です。これは大臣はどういうふうに考えて処理されようとしておりますか、この点まずお伺いいたします。
  92. 山中貞則

    ○山中国務大臣 無過失責任の問題は、これは公害対策基本法そのものではございませんで、やはり法務省の法体系の中で、新しく無過失責任罪というものを設定するかという問題に帰すると思います。したがって、法務大臣のほうに、法理論の上でそれが成り立ち得るかどうか、あるいはそれを法制定をした場合にその運用の適確性が期せられるかどうか、あるいは裁判の実際上のテクニックの問題等、いろいろいま部内の研究をしてもらっております。本日の閣議等でも、その公害罪あるいは無過失責任、あるいは挙証責任の訴えられた側の転換というような毛のを含めて、次の予想される国会には必ず、臨時国会であろうと、通常国会であろうと、基本法から始まる一連の公害対策関係法に至るまで全部改正いたしますと私のほうから述べまして、それについては、法務大臣もいろいろ議論があろうけれども、国会にはすべての公害関連法案が出そろうように、法務省自体の問題でございますけれどもまげてお願いをいたしますということで、できないという返事はございませんので、全部この問題も含めて国会に出そろってまいると存じております。
  93. 大竹太郎

    ○大竹説明員 ただいま山中副本部長のお話のとおりでありまして、法務省におきましても民事局を中心といたしましてこの無過失賠償の問題に取り組んでおるわけでございます。この無過失賠償を認めるというからには、相当危険度の高いものでなければならないわけでありますし、また自動車賠償法でも御承知のように挙証責任の転換ということで、ほとんど無過失責任に近いいわゆる実質的な効果をあげることもできることは御承知のとおりでございます。そういうようなこともあわせまして、民事局においてどういうふうに持っていくかということを鋭意研究いたしておりますが、先ほどお話のありましたように、次期国会にはぜひ提出いたしたいという考えでおりますから御了承いただきたいと思います。
  94. 島本虎三

    ○島本委員 それを出してくれるならば、これはあえて言う必要もないのですが、第五十五国会、昭和四十二年七月十七日、佐藤総理がこの産業公害対策特別委員会に出てきて、これは六ページに「無過失賠償法理を具体的に、やはり公害の救済を円滑にするためには実施できるところから逐次採用していく、こういうことでなければならないのじゃないか、検討するというだけじゃなくて逐次実施していくということでなければならぬ」、この質問に対して「逐次これを整備していく、かような方向であるということを御了承いただきたいと思います。」これをはっきり言っているのです。ですから、これはもう関連実施法が行なわれる際には、この趣旨に従って当然考えられるものであるというのが当時のわれわれの考えであった。それがだんだんそうでないほうへ行ったから、これはおかしいと、こういうふうになって、いままでこの委員会で数次指摘してまいりました。いまこれをあわせて検討し、これも入れるというようなことですから、あえてこういうようなことがあったということにとどめます。  それと同時に、公害罪の場合には、これもまさに日本が焦点であるということを考えて、世界の注目を浴びている、こういうようなことを考えて、単に身体や生命に実際に危険が生じなければ処罰できない、これだけじゃなくて、それ以上に今度は公害防止、具体的な危険が生じなくても危険や被害を未然に防ぐのだ、こういうようなことを考え、なおかつ今度、個人じゃなく法人関係にも及ぼせるように、こういうふうにして、ひとつほぞをかむようなことがないようにしてもらいたいのだ。このことを十分にお願いして——お願いというのはおかしいですが、これを申し出ておきたい、こういうふうに思うわけです。  それと同時に、費用負担の問題。費用負担の問題では、これはもう大臣も以前から重大な決意をもってやっているのは私十分知っております。まあこれあたりは、まさにあなたでなければできないのじゃないか、こういうような当時のわれわれ自身の考えもございました。厚生、通産両省ともにそれぞれの権限にとどまって、どうにも動きがとれなかった。基本法ができて、法律によって定めると言いながらも、その法律がいつになったらできるものか、出るものかわからぬ状態であった。それをもうはっきりあなたが割り切って出す、これならば大いにけっこうでありますから、私は刮目して待っております。  ただその際に、まあおそらくは両方から出されております諮問案に対する答申、産業構造審議会の産業公害部会からの通産大臣に対する中間報告、それと同時に厚生大臣に出されております公害防止事業に要する費用負担に関する研究会の報告、この二つは大体似ているようですけれども、片や肝心なところがぼけ、片やはっきり数字によってあらわしている、こういうようなことになっております。この結果によって、もうすでに、企業が、利潤へ食い込むおそれがあるのだ、こういうようなことで、だいぶ反対もあるかのように承っております。しかし、これはやはりあなたのところで具体的な問題として、この問題ははっきりとした態度をもって対処してもらいたい、このことを心からお願いしておきたいと思うのです。公害罪とあわせて、この問題に対してひとつ具体的に決意を聞いておきたいのです。  それと同時に、時間の関係で早くやれという紙が来ていますからやりますけれども、いま公害をやるやると言いながらも逆にやることを理由にして値上げをしようとする、こういうような動きが出ております。石油各社が十月から値上げをする、こういうような意向を示しておるようです。パルプ業者も値上げの動きを示しておるようであります。公害対策に伴う負担、これを今度は消費者に全部しわ寄せをするような結果になってしまうわけでありまして、こういうようなことに対しては前から十分注意を喚起してきたわけなのです。ことに石油業界の値上げ、こういうことが行なわれると、電力関係でも鉄鋼関係でも、セメント、バス、トラックはもちろん、ふろ代まで当然上がることになってしまいます。こういうような一連の、公害関係の施設をするという名目のもとに値上げをやる動きが現在あります。これだけはあなたの手で断じて阻止をしておいてもらいたい。この三つを一括していま質問しましたが、ひとつ決意のほどを承ります。
  95. 山中貞則

    ○山中国務大臣 対策本部としては公害罪も含めて次の国会に提出をいたします。  それから企業費用負担区分の法律に関しましては、お話しのように通産省の産業構造審議会の産業公害部会の中間報告、それに厚生大臣の諮問機関である委員会の答申というものが両者そろいましたが、一長一短がございます。さらにまた両者とも明示できないで終わった点がございます。それは費用負担の算出方法というものを、これを両方とも具体的に示し得ておりません。そこで、今度両者を手がかりといたしまして、私のほうで算出方法についても、さらに法律法律に書くことを別に求めておるわけでございますから、やはり政令に委ねるという形式の法律では耐え得られないであろう、法律の求めるとおり、すらっと費用の算出方法についても、困難であってもこれは法律の条項に盛り込みたいと考えまして、取捨選択をして私の手元で費用負担法律を出したいと考えます。  さらに、公害防止施設等、あるいは費用負担等に伴いまして、だんだん製品に価格転嫁していくというような、コストに織り込むという傾向があるというお話であります。すでに国際的にも日本の産業は公害費用というものを全くといっていいほど使わないで、その費用をダンピング的に国際競争の場へ持ち込んでいって、アメリカのように、一生懸命やっておるところ——と自分たちは思っておるらしいのですけれども、そういうところを脅かしておるのだという評価を一部受けたことがあります。国内においても私は同じことだと思います。やはり企業が当然行なうべき防止施設についても、もう反社会的な企業というものは、地域的にもあるいは全社会的にも、存在が認められない事態がきているのだということを自覚をしつつありますから、そういう場合において、それぞれの科学技術の分野なりあるいは操業の近代化、高度化なりということにおいて、当然それが吸収されていく努力を経済人はしなければならない。当然自分たちのしなければならない、ただし収益を生まない施設であるということはあるにいたしましても、それをのみ込んでいくというだけの努力をする企業が出てくるでありましょう。そうすると、同じ製品であって、そのような本来の当然の企業努力をした企業の製品は、安価にして同じ品質のものが市場に並んだ場合に、おそらく消費者はこぞって、企業費用負担が転嫁された製品として提供された価格の反省を求め、あるいは買う場合において、当然自分の企業努力によって吸収した企業の製品に殺到して先買いしていくことは間違いありません。そうすれば、売れない製品をつくり出すことにおいて、これはもう商売の原理をはずれるわけですから、競争が行なわれるのは、いかにしてコストの中にそれを吸収していくかの競争が当然これから行なわれていくであろうし、行なわれなければ、一斉に公害防除施設の費用の増大に名をかりて製品を高くしていく、値段を上げていくということが社会的に許されるはずはないわけでありますから、もちろん政府がタッチし得る管理価格等についての配慮は当然きびしくやらなければなりませんが、一般自由競争の企業においてもその原理は貫かれていくべきであると思いますし、企業者の自覚もすでにその点には到達しておるものと私は確信しております。
  96. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 ガソリンその他の値上げが一部に見られるということでございますけれども、これには非常に問題がございまして、船腹の問題その他がございます。  それからそういうことのないように関税還付一二%、原油関税に納めているものを一部脱硫装置に還付していくというような措置もやらなければいけない。  それから特に生産性の伸びに対して公害防止施設をやるときに、それを吸収できない中小企業の問題がございます。これがやはり一番物価の引き上げに出てくるのではないかということで、通産省としましては、公害防止のために準備金制度をつくりたいということで、いまその構想を練っております。
  97. 加藤清二

    加藤委員長 この際、島本虎三君に申し上げます。  お約束の時間は切れておりまするけれども、建設省の答弁漏れがございます。ただいま答弁者が到着いたしましたので、その件について質問を許します。
  98. 島本虎三

    ○島本委員 委員長の配慮には心から感謝いたします。  なお、答弁がこういうようにしてできない時間が約二、三十分あったということを考慮に入れておいてもらわないと、これは私ども困るのであります。ですから、その点は十分お考えおき願いたいと思います。同僚の皆さんにも心からお願いしておきたいと思います。  いま建設省から下水道課長出席されたようでございます。それで下水道課長に先ほどの件について少しく質問をして終わらなければならないのであります。  それで大臣、この緊急に措置すべき事項、これは四党政策担当者会議で合意事項として約八項目にわたってきまりました。これは直ちにやる、緊急性を要する措置である、こういうようなことであったわけであります。これに対しては、直ちにということはいますぐということです。そうなると、いついかなる方法で、いつまでにこれを終わるのだ、これをはっきりきめるのでなければ、せっかく四党間の政策担当者会議において合意として成立しても、これは何にもならなくなってしまうのではないか。一つ一つ読み上げればいいのですが、それは時間が長くかかりますからあえて読みませんが、八つの項目に対して具体的に直ちに実施しますか。するとするならば、それはいつ、予算はどういうようにするのだ、いつまでにこれをやってしまうのだ、こういうようなことについて御答弁願いたい。これがまず一つ。  それともう一つ、大臣、最近私は感じているのですが、ここに厚生大臣がどうしてもまだあらわれてくれないのです。これは私はおかしいと思うのだ。この重大な問題になっているときに、公害対策本部ができたら大臣としてあなたが来て一生懸命やっておられるが、ほかの大臣であらわれた大臣は一人もない。全部あなたが代行するならいいのだ。こういうことであるならば、副総理大臣ということでそれもいいでしょう。しかしながら、やはり現在の機構からしても、各大臣は責任を持っていますから、来てもらわないとだめなんです。それで、もう厚生省関係についてはどうも意気消沈しているのではないか、こう思われるのです。これは、そのために出てこないわけじゃ決してありませんでしょうけれども、この点も大臣のほうから閣議等において十分おはかり願いたい。一体、公害対策本部と厚生省との関係はどうなっているのですか。公害対策本部ができたら、全部そっちのほうでやって、厚生省はいつもシュンタロウになっていなければならないのですか。こういうようなことであっては、ほんとうに公害行政は花も咲かないだろうし、実も結ばぬであろう。これを憂える者の一人なんです。来いといったって、さっぱり大臣は来ないじゃないですか。一時間をこえても来ない。これだけはほんとうに心配なんですが、予算づけの点とあわせて厚生省対策、この点について大臣のほうからはっきり答弁してください。
  99. 山中貞則

    ○山中国務大臣 各党申し合わせのうち、もの別れに終わった部門と、一応各党が中間においてここらくらいは緊急にやろうということできまったといいますか、意見が一致した部門とがございます。それは承知いたしておりますが、いつ、どんな手段でやるのかということでございますが、本日午前の閣議において緊急措置を決定をいたしました。  その内容を申し上げます。緊急全国汚染状況等の総点検、これを一つ柱を立てまして、それは水質から微量重金属、カドミウムその他一連のいま緊急に調べておかなければいけないという問題を、各省それぞれに配分をいたしまして、その総額が一億九千万円でございます。  それから第二の柱は分析測定機器、たとえば先般警視庁のほうでCO検査というものを一斉にやりましたが、そういう機器も、やはり機器全体が不足しておりますし、機器をそろえてさえあげればわりと簡単に計量できるようなものでございます。かといって、そう安くもない単価でございますから、やはりこれも国のほうで台数をふやすためにめんどうを見る必要があろうというようなこと等を含めまして、緊急に測定機器を整備するという予算が一億二千五百万円。  さらに原因、仕組み、そういうようなものを徹底的に究明しておかないと、来年度予算の施策あるいは行政上の政策が生まれてきにくいもの、たとえば典型的なものは光化学現象ですね。光化学現象等も、時期おくれで何を言っているかといわれるかもしれませんが、やはり予算をまとめるには時間がかかりますので、一応そういうものを含めまして、要するにいますぐに原因究明しておいて次の準備に取りかかろうという関係が各省八千七百万円でございます。  さらに、東京湾と大阪湾の汚染がことに顕著であるということで、その東京湾、大阪湾を中心に、それに対する下水道について建設のほうの、どうしてももう少し追加して緊急にやらしてほしいという要望を受けまして、下水道関係では九億九千百万円。  それから千葉県の行徳でございますか、カモ猟なんかの行なわれている、野鳥がまだよく来ているような緑地があるそうでございますが、これが実は前面埋め立て、後面は宅地開発のスプロール現象に脅かされている。どうしても千葉県のほうでこれをすみやかに買い上げたいという要望が強い。これを来年度予算の成立まで待つことは時を失するおそれがあるという心配があるそうでございまして、ここだけでございますが、この千葉県の西部の東京湾沿岸地区の一部を買い上げるという費用が一億五千二百万円でございます。総計で十五億四千五百万円でございます。  これの経費の内訳は、支出のほうは別といたしまして、財源のほうは、各省が既定経費を充当して新しい分野に使用してよろしいという分野が一億八千八百万円、それから経企庁に七十四億計上されておりまする調整費の各省別の仕分けとして振り分けましたものが、国土開発事業調整費として十二億七千万円、さらに研究開発促進調整費のいわゆる科学技術庁の六億八千万円のうち緊急分というのが一億二千万円ございますので、その分のおおむね八割に当たる八千七百万円を振り分けたというような財源の内訳になっております。私としては一応予備費使用ということを考えて、中に入って折衝したのでありますが、各省、主管省ともにそういう既定経費の充当もしくは調整費の配分等によってこれらの範囲は可能である、緊急、急ぐことはこれでできますということでございましたので、以上の点でセットいたしましたが、ほかにもうすでに明らかにされておりますが、閣議に報告、了承という形をとっておりませんでした田子の浦分の事業団の緊急融資十億と、当初、資金運用部資金でという構想で出発いたしましたが、これを五年償還の起債ということではっきりといたしました七億の分というものがございまして、十七億でございますから、これを本日まとめまして、三十二億四千五百万円というものを緊急に措置することを決定をいたしました。  以上でございます。  厚生省が一応公害対策基本法というものを主管する役所であった、あるいは現在でもいまの時点ではそうでございますが、これは事実でございます。しかし、公害対策本部が出発したゆえんというものを考えますと、やはり公害対策本部というものが、基本法というものについては責任を持たなければならぬだろうということでございますので、これはある意味では悪意ではございませんで、私が働きやすいように厚生省で配慮をしてくれておるものと思っております。したがって、別段厚生省権限を取り上げられて、かってにしろと言って開き直っておるというふうには私は受け取っておりませんし、大臣との間でも気持ちよく話が進んでおります。私の手元に参りました各省出向の諸君も、首席は厚生省の現職公害部長をいただいて、みんなひとしくお互いの能力を出し合って、分担をしつつ協力をしておる状態でありますから、シュンタロウというのはどういう存在か知りませんが、あまりそういうふうにお考えにならないほうがよろしいのじゃないかと思います。
  100. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 まず最初に、本日厚生大臣が出席できませんことをおわびを申し上げます。実は従来から当委員会の定例日が大体十日でありましたために、前から実は社会局関係、民生委員の関係の仕事でございますが、大臣が地方出張を予定しておりました。そこへもってまいりまして、実はけさ六時四十分、厚生省のある機関の長が急に死去いたしまして、その後の後任人事等の関係の連絡等をしております間に、当委員会の出席の時間がないまま地方出張をした点で、この点はおわびを申し上げます。  ただ厚生省がしょげ込んでおるのではないかというお話をいただきました。非常に厚生省立場を御配慮いただきましてありがたい話でありますが、私どもは決してしょげ込んでおりません。むしろ従来厚生省として、ある意味では被害者サイドに本来立つべき官庁でありながら、調整機能まで厚生省に持たされておったという点には、非常につらい部分もございました。率直に言って、言いたい部分も、その調整という機能のために言えない部分も実はあったわけであります。しかし、今度本部がスタートし、山中副本部長が実際の責任者としてその調整の機能を果たしていただけるということで、むしろ私どもにとっては一つの重荷がおりたわけであります。現在は、先生よく御承知でありますけれども、厚生省では公害部一部三課、定員はわずか三十三名であります。今日まで被害者サイドに立つべき官庁として公害行政を主管しながら、現行の制度の中で応援を求め、各局の兼任を入れながらも、遺憾ながら実は五十三名の人員で全国の公害問題に厚生省という役所は対処しておりました。その中で、それに加えて調整というものまで負っていた厚生省というものは、それがどれくらいの負担をしておったか、これは先生よく御理解をいただけておるところであります。私どもは、むしろその意味では調整の機能を本部に移し、本来の国民の健康、生活環境の保全という厚生省本来の仕事に専念できるようになったことをむしろ喜んでおります。そうしてその意味では、なお多くの人員を必要とするこの公害という仕事に、厚生省は今後ともに全力を注ぎながら元気一ぱい努力をしていきたいと考えております最中でありますので、どうか御安心をいただくと同時に、今後とも御激励をいただきたいと思います。
  101. 久保赳

    ○久保説明員 おそくあがりましてまことに申しわけございません。  田子の浦地区の岳南特別都市下水路の問題でございますが、この問題につきましては実は昭和二十六年度から事業が始まっておりますが、事業の重点が田子の浦地区に流入しております河川の潤井川周辺におきます農業被害を中心に先にそれを解決する、農業被害を取り除くということに重点が指向されました結果、終末処理がおくれて現在の事態に立ち至ったことにつきましては、見通しその他きわめて甘かったことを反省しておるわけでございますが、終末処理につきましては来年度から鋭意これに取り組みまして、終末処理をした上、近く経済企画庁がきめる水質基準に対応した処理水にして排水したい、かように考えておるところでございます。
  102. 島本虎三

    ○島本委員 終わります。
  103. 加藤清二

    加藤委員長 次は始関伊平君。
  104. 始関伊平

    始関委員 主として山中長官にお尋ねをいたします。  去る八月一日に公害対策本部というものが発足いたしまして、佐藤総理がみずから本部長になられ、山中長官が副木部長になられて、各省から比較的経験のある有能な人材を集めてこの本部が発足したわけでございますが、これは公害対策に対する政府の基本的な姿勢を示すという意味においても、また実際有効にその対策を進め得るだろうという点においても、まことにけっこうなことだったと思います。この公害対策本部の構想は、機構そのものの一元化、統合ではなくして、機能の統一、一元化だというふうにいわれております。これは公害対策の性質上それでよろしいのだろうと思いますが、ただ現在は閣議決定という形だけでやっておる。これは異例でございますし、公害対策の重要性から申しますと、やはり適当な機会に、法律によってもっとはっきりした組織にすべきじゃないかと思いますが、最初にその点をちょっと伺っておきます。
  105. 山中貞則

    ○山中国務大臣 中間の過程の議論としては、公害省を置いて担当大臣を置くことから始まる、対策庁を置いて専任長官を置いて専任大臣が当たったらというようないろいろの意見が出ましたけれども、まずとりあえずは機構いじり、議論よりも何をするかということであろうということで、ただいまのような機能を集中して、それを存分に本来の機能を発揮せしめるということで出発をいたしました。ただ、これをこのままの状態でいつまでやっていっていいのかという問題は、お話しのとおりあろうかと思います。しかし、何か仕事をする場合には、必ず役所の中に機構をつくらなければいかぬとか、新しい役所をつくらなければいかぬとかいうことも、これは原則的には正しいのでしょうが、よくよく考えてみませんと、仕事のために機構ができ、人のために機構がふえ、あるいはパーキンソンはそういうことについて一つの法則というものを打ち出しておるようですけれども、やはり私たちは国民の負託にこたえて、なるべく少数精鋭でもって能力が果たせるものなら果たしていきたいと思っております。しかし、やはり本部というものは総理を長とし、担当大臣を副本部長とする機構としてはそのままで差しつかえございませんが、事務機構というものが、ただ本部員というだけで集まりましたのではやはり問題もあろうかと思いますので、そこらのところは予算編成等の過程において公害対策室という事務の部屋ですね、そういうものを機構としてはっきりつくって、その中で機能を発揮していくというようなこと等は最小限考えなければならないのじゃなかろうか。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 その場合には、もちろんこれは国会に総理府設置法という形で、その形でいいかどうかの御議論をお願いすることになろうかと思います。
  106. 始関伊平

    始関委員 次に公害基本法の第一条第二項にございます「経済の健全な発展との調和」という条項でございますね、この問題につきましてちょっと御所見を伺いたいと思いますが、この書き方は確かにまあ何と申しますか、無用の議論を誘発しやすいような書き方になっていると思います。公害の問題と経済の問題との関係は、ただいま議論が出ておりましたが、私は公害という問題がございますからまあいろいろ立地上の問題があったり、結局公害に要する経費というものは、いま長官もお話しになりましたが企業努力、いわゆる合理化等で吸収するのが望ましいけれども、これはやっぱりノーマルな経費として認めざるを得ないんだから、ある場合には価格に転嫁されるのもやむを得ない。消費者の負担になる。島本君が言われたように、それに便乗する値上げというのは厳重に監視していただかなければならぬと思いますが、まあそういったような影響が経済の面にある。これはもう当然われわれが容認すべきだと思います。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕 ただ、しかしながら、経済の発展のテンポが少しおくれたり、あるいは場合によったら多少物価が上がったりということなら当然がまんをすべきでありますが、一つの重要な問題は、たとえば発電所なんか、これは方々で公害という理由で立地を毛ぎらいいたしますと、二、三年もたつと電気が不自由になる、冷房もやれない、テレビも聞けないということになりまして、国民生活自体にはね返ってくるという要素もある。そこで、経済はどうでもいいというような逆の印象を与えるのでも、やはり国民生活の確保、安定向上あるいは国民の福祉増進ということにはならないのだと思いますので、第一、基本法を改正されるとすれば、経済がどうだとか生活優先がどうだとかいうことではなしに、ちょっともう少し高い次元から、生活優先というものは当然の前提として、そしてその前提のもとに経済もやはり生活の一つの要素になるという考え方はそこなわぬように、何かこう国民福祉を進めていくといううまい表現といいますかね、を考えていただければ一番いいんじゃないかと思いますが、この点について御所見を伺います。
  107. 山中貞則

    ○山中国務大臣 誤解を受けているのなら、受けないようにするということがまず答えでありましょう。そのためには、基本法第一条第二項の「経済の健全な発展との調和」という条項は、削除すべきだと思います。しかしながら、現在の公害対策基本法が昭和四十二年に制定されて、三年目にはこのような基本姿勢で議論を呼んでいるということを考えた場合には、ほかの法律と違いますので、厳然として、基本法ですから、やはりもっと長い時限の議論にたえ得る、高い、そしてまた内容についても、普遍的な内容のものをそろえた基本法にしなくちゃならぬと私は思うのです。そのためにはやはり憲法の、健康にして文化的な生活というものを受けて、今度の新しい公害対策基本法というものを、いわゆる公害憲章として、日本の姿勢として内外ともの議論にたえ得るものに、高いものにしたい、いわば公害憲章的なものにしたいという気持ちであります。でありますから、表現は全面的に変えるわけでありまして、いまは第一条第二項という形で議論をしておりますけれども、要するに公害憲章的な高い次元の基本法をつくるという場合において、そういう誤解を招く調和条項というものは入ってこないということになると思います。
  108. 始関伊平

    始関委員 公害対策といたしましてはさしあたり予算の確保、財政投融資もございましょうが、これが一番大事だと思いますが、予算の時期に入っておりますけれども、昨年が二百億程度でございましたかね。本年は千五百億ですか、だいぶ多額の要求も出ておるようですが、この予算の確保ということについて、公害対策本部というものはどういう立場に立たれるのか、どういう態度をとられるのかということをあわせて、公害予算は何と申しましてもいままでのベースが低いのですから、各省庁で力を入れますと、その省全体としては二五%の範囲内でおさまりながら、かなりの増加率になっておると思いますけれども、それが不十分であるというような問題が起こってないのかどうか、その辺の問題につきましてもあわせて御所見をひとつ伺いたいと思います。
  109. 山中貞則

    ○山中国務大臣 各省が公害に関する直接あるいは関連的な予算をそれぞれ概算要求として大蔵省に提出をいたしまする前に、私の手元で、連日各省の責任者を呼びまして、それぞれ事情を聴取し、その内容検討いたしまして、その結果、完全に両省、関係省が意見を調整し合わないまま、同じ場所に同じ仕事を二つの省がやろうとしておる、たとえば地域暖冷房とかですね、そういうものを二つの省が同じところを要求しておったり、あるいは全く類似して、これならばどちらかの方向に思想を統一して吸収をすべきだというケースのものもありますし、あるいは、これはどうもそういうものを公害予算といっていいのかどうか、公害が今日このように声が高くならなければそういうものは出てこなかったんじゃないかというような種類のものもありますし、あるいは機構等についても、やはり公害の問題でこの際大蔵省もあるいは行管も、機構、予算ともにお目こぼしをするのではないか、あるいは公害予算は大蔵省は重点一つにすでに発表しておりますし、行管も幾らやかましいことを言っても、機構は公害については認めるんじゃないかというようなことを前提に考えてきたのではないかと思われる節もある役所もございます。これらの問題点は私の手元で全部集計をいたしましたので、これから作業をいたしまして、大蔵省に各省から提出されておる公害関係予算についての査定にあたってということで、公害対策本部としての考え方、すなわちダブっているものはダブっていることを指摘し、類似しているものは整理することを命じ、要求し、あるいは機構等についてもいわゆる軽重あるいは緩急、それらの措置を明示して感触を伝えたいと思います。ただ閣議の席でそのことは了承をしたのでありますが、さて大蔵省が査定をいたします段階で、刻々と私ども対策本部で各省の膨大なものを一々復活折衝をやるかどうかについては、まだ詰まっておりませんが、しかし、それらの技術的な問題は別といたしまして、最終的に来年度予算が決定をいたし、それぞれの省においてセットいたしまする段階においては、大蔵大臣と私が、便宜上、対策本部を代表いたしまして相談をして、そうして来年度のわが国の公害対策に対する予算というものはこのような一応の展望を持った、あるいは国の対策本部から見て、国民に対してはっきりとした姿勢の示せる予算という形にまとめていきたいと考えておりますし、大蔵大臣もそれを望んでいるようでございます。  しかし、予算だけでは事は済みませんので、先ほど来質疑応答でそれぞれ答弁をしてまいりましたとおり、企業費用負担区分等の法律、あるいは今後行なわれてまいります場合のそれぞれの企業の出費、あるいは行なわれる事業に対する負担、融資、そういう問題等について、税制、金融、それぞれこまかな配慮を加えてまいりませんと、ことに零細企業等における立場を常時念頭に置かなければなりませんし、そのために基本法でも中小企業について特に配慮しなければならぬという一項を起こしているくらいでございますから、この点は、予算を詰めると同時に、それらの裏づけたる財政金融の問題を十分に、これも一緒のものとしてもちろんよく連絡をとりながら、税制面まで完全に公害対策として補完できておるというものにしたい。私の能力でそこまでいけるかどうかわかりませんが、全力をあげてそうしませんと、いたずらに犠牲のみをしいて、企業の存在というもの、従業員もやはり同じ人間であり、自分の生活のかてを失うということになるおそれもありますので、そこらのところを十分考えながら、日本人のバイタリティーというものがさらに健全な発展を遂げられるような努力をしてみたいと思っております。
  110. 始関伊平

    始関委員 予算の問題に入りましたので、ただいま力強い御意見を伺ったわけでございますが、関連をいたしましてこういうことをお尋ねしてみたいと思います。  公害関係予算というのは、数年来この方、新しく起こった事柄に対する予算が多いと思いますが、たとえば下水道のように昔からずっとあるものが、近ごろでは公害対策としてもきわめて重要である。先ほどお話が出ておりましたが、特に家庭汚水というようなものも非常にふえておりますので、私は、下水道整備ということが公害対策としてもきわめて重要だと思うのであります。下水道関係の予算というもののほとんど大部分が公害に関係あるようでございますが、こういうものは一体公害対策本部としてどう扱われるのか。おそらくは、建設省がただ下水道予算を出すよりは、あなたのほうで、やはりこれは公害対策予算の一環だというふうにされたほうが効果が大きいといいますか、予算の獲得上も有利ではないかと思いますが、下水道関係は、私が申し上げるまでもなくたいへんおくれているわけでございますが、長官としてはこの辺どうお扱いになるのか、この点をちょっと伺いたい。
  111. 山中貞則

    ○山中国務大臣 わが国の公共事業の立ちおくれは、つとに大蔵大臣も指摘をしておるところでありまして、ここ一両年の予算編成には、公共事業優先、重視ということがはっきりあらわれていると思います。しかし一方、下水道予算等については、同じような重視の中の一環として、ただそれだけで扱われておるというきらいも、逆にいうとあります。そうすると、今日の日本の下水道の普及率あるいは家庭の屎尿処理の現状、こういうものは、先進諸外国に比べて、そと見のGNPではいばれても、ちょっとどうも情けない数字なんですね。どうも文化国家と言えない。こういうことを考えますと、相当これは重点的にやりませんと、公害を幾ら締めてみても、やはりみんなが生きている以上は、産業の廃棄物が発展の途中で生まれるというように、人間も生存のための廃棄物があるわけですから、それらの問題も念頭に置くということから、やはり公害予算の中に下水道事業というものも、建設省からよくその計画内容、初年度要求の根拠を承って、さらにまた、公害に対処するための新しい考え方として、市町村の事業であるという考えを脱却して、広域下水道というような考え方で、都道府県なり、そういうような広域自治体の事業として新しい分野を盛り込んでいこう。でなければ、とてもこの公害対策に対する下水道の姿勢としては追いつかないということで、新しいアイデア等も研究しておるようであります。  そこで、私のほうもそれを受けまして、やはり公害対策費の一環として、大蔵省との話し合いの中には下水道予算も入れていきたいと考えております。
  112. 始関伊平

    始関委員 公害の問題は、範囲とか種類とかいうものがしょっちゅう広がるわけでございまして、いつ、どんな新しい種類の公害が起こるかわからぬというのが実情だと思いますが、実は非常に大きな公害の一部をなしておるものでいま日本の国では比較的等閑視されておるものの一つとして、化学薬品の問題、特に農薬の問題があると思います。これは農林省当局の見解を聞くのじゃなくて、公害の副本部長としてあなたの御意見を伺いたいのですが、環境保全という意味からいいますと、これは農薬のために、われわれが子供の時分から親しんだ一切のこん虫が、もう目に見えない。農村と申しますか、田園の風景というものはまるっきり変わってしまった、こういうような事実があるわけでございまして、米の汚染なんかにつきましては、カドミウムといったようなものが問題になっておる。これはもちろん大事な問題でございますが、と同時に、こん虫に害のあるものは人間にも害があるかもしらぬというような見方もあるわけでございますね。一方、食糧は非常に豊富になってまいっておりますから、水銀なんかを使った農薬というものをやめて、問題は非常にむずかしいと思いますが、こういったような方面にもひとつ公害対策の手を広げまして、そうして日本の国土、特に日本の大部分を占める農村地帯、田園風景、これを保全するというような着意が必要じゃないかと思います。まだなかなかそう全部には手が回らぬと思いますが、御見解をちょっと伺っておきたい。
  113. 山中貞則

    ○山中国務大臣 農林省においては、すでにその点を、総理の指示もありましたので検討をいたしておりまして、農薬取締法の改正を急いでおるようであります。  さらに、他面においては、いま御示唆がありましたように、何でもかんでも薬品で益虫も害虫も殺してしまうということは、一見非常に進んだ姿であるかもしれませんが、素朴に振り返って、天敵により必要な害虫のみが駆除されるということ等ももう一ぺん見直そうじゃないかというようなことも研究しておるようでありまして、そのためのいろいろな予算等についても努力しておるようであります。  公害対策立場からいいますと、現在、基本法の中で典型六公害がございますが、そのほかに、やはり農薬にしろ、あるいは工場排水、廃棄物にしろ、媒体として一ぺん土壌というものに蓄積され、それが累積、累加されて農作物なりその他のものに残留していくというケースが非常に多いわけでございますから、この際、基本法の改正の際に、典型公害に土壌汚染という新しい公害の項目を一つ立てたい。それによって土壌汚染に関する取締法、並びにそれによって行なわれるべき、たとえば土地改良等の——土壌が汚染された場合の土地改良は、普通の土地改良と違ってくるわけでありますから、そういうものも含めた法律もさらに出していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  114. 始関伊平

    始関委員 最近、新聞で見ますと、世界じゅうで公害で一番困っているのは日本とアメリカだろうと思いますが、この両者の間で情報交換といいますか、技術協力その他をおやりになるということでございまして、その点けっこうだと思いますが、もっと広く、先ほども議論が出ておったようでございますが、公害対策、その基準をどうきめるかというようなことは、やはりこれはノルマルなコストになり、結局はプライス、価格に響くことであって、企業の国際競争力にも影響がある、こういうことも無視できないと思います。そういうことになりますと、国際的な技術協力、いまのような問題、もっともこの問題につきましては、産業が過密であるかどうかということが大きな要素になりますから、たとえばフランスでこうだから日本でこうだという議論にはならぬと思いますけれども、やはり水質なり大気汚染なりの基準というものを、なるべく国際的に歩調を合わしたほうがいいのじゃないか。公害問題については、ずいぶんいろんな方面のいろんな方が発言をされるわけであります。船頭多くして船何とかというようなことにもなりかねないような状況なんですから、最も権威のある基準というものをきめる必要もあるし、技術開発、いま申し上げたような基準決定というようなことが国際的に解決されていくということがやはり望ましいと思うのです。この点についてはOECDなんかでも、公害問題を、いま私がざっと申し上げましたような見地で取り上げていこうというような考え方もあるようですが、この辺につきまして、今日までの経緯なり、将来の御方針なり、ちょっと伺っておきたいと思います。
  115. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほど島本君に御答弁いたしましたように、アメリカのトレイン委員会の委員長の書簡に対する私の返書は、アメリカの呼びかけは単に大気汚染ということにとどまる文章でございましたけれども、その他の公害についてもやろうじゃないか、さらに太平洋を越えたという立場で両国は検討することも大いに賛成であるが、OECD、EECというようなことを——アメリカでございますから、ソ連のことは書かなかったのですけれども、私の念頭にはソ連も、やはり社会主義国家であっても生産過程が大量生産の過程を同じように踏まなければ、今日の近代社会の供給に間に合わないという状態を招きますと、同じようにバイカル湖とか、あるいはカスピ海、ボルガ川、いろいろの汚染が問題になっているようです。そういうようなことを考えますと、これはやはりもう全地球的に、全人類的に議論をしていく問題であることは間違いありません。  ただ問題は、私たちが単にそういう会合の場所においてものを言うだけでなくて、日本が積極的に、まずみずからがしっかりしたものを持たなければ動けないわけですけれども、日本も呼びかけに応ずるとともに、日本がまたある意味においてイニシアチブをとりながら、社会主義国家も含めた、そのような人類の地球的な立場からの尊厳を守るという戦いの先頭に自分たちが立つべきじゃないかということで考えておりますが、具体的には、いまのところ、アメリカのトレイン委員長が十月の第一週に日本を訪れることを自分が命じたという大統領の書簡がありますので、まずトレインさんが参りましたときに、お互いがこれからどういうふうにしていこうかという打ち合わせも含めて、これをやはり世界的な規模に広げていくよすがにしたいと念願をしております。
  116. 始関伊平

    始関委員 国際協力もだんだん進むようでございまして、このことは私はたいへん望ましいことだと思います。ある方面の人々の御意見では、公害というのはいまの日本の社会体制、資本主義体制の産物であるような点をことさらに強調される向きもあるわけでございますが、よく見ると、そういう面もあると思いますが、最も本質的な部分は、やはり経済の高度成長、それから産業立地の過密といいますか、それと裏表ですから、やはり社会体制の相違を越えて起こることであって、向こうをやって、こっちはほっておいていいということを申しているわけではありませんが、そういうような情報をとり、いろいろな点で協力していくということは、私はいろいろな意味で大事なことだと思いますので、ソ連との公害問題に対する協力というようなものも、特に山中長官がお進めになることを希望いたします。  最後に、先ほどもたいへんお話が出たわけでございますが、あしたは実は静岡県知事以下ここに来てもらうことになっておりますが、田子の浦のヘドロ公害の問題でございますけれども、この問題につきましては、またたいへん御苦労を願っておるようでございます。私は、どうも大気汚染の問題の対策が決して十分だとは申しませんけれども、これは技術的、その他の面でほぼ目鼻がついておる。問題は要するに過度集中の問題ではないかと思いますが、それに比べて水質汚濁のほうは監視、測定の体制から、あるいは発生源の防止対策から、技術的にちょっとおくれておるし、困難なのではなかろうかと思いますが、私の考えが間違っておるかどうか、その点の御所見を一つ。  それから二番目に、海洋投棄のお話が非常に行き悩んでおるやに伺いましたが、これはその後どうなったかという点が第二点。  それから第三点といたしまして、これはさっき資本主義体制の特別の問題ではないと申し上げましたが、どうもいろいろないきさつがあるようですけれども、もうすでにわかっておる技術なり、あるいは設備なりを設けないというようなことで、公害の事例としては一番まずい事例ではないかと思いますが、今日までの経緯などを伺おうとは思いませんけれども、しかし、何もやっていないんだから、ある程度手を打てば、設備をやれば、それだけ成果のあがり方も早いような感じもいたします。こまかいことはわかりませんが、大体いつごろになれば——ヘドロというのは非常にこまかい粒のようですが、これがいまの半分になるのか、三分の一になるのか、皆無にはならぬと思いますけれども、いつごろどうなる、どういう改善された状態になるかということにつきまして、見当がついていらっしゃれば伺いたい。これが第三点です。  さらにもう一つ、これは関連事項でございますが、田子の浦の辺が、紙やパルプの立地上たいへんいい場所であったということかと思いますけれども、あそこにあまりに紙やパルプの工場が集約したということが、今日のように問題がめんどうになっておる理由であって、いまきております工場をどこかに行けというわけにはなかなかいかぬと思いますが、今後の政策としては、公害政策と不可分だと思いますけれども、産業立地上あまり同じような公害を出すものをくっつけない、日本は狭いから、それならどこへ持っていったらいいかということも、なかなかそう簡単には言えないかと思いますけれども、要するにことばをかえて申しますと、公害対策と産業立地との関係、これが第四点です。  以上の四点につきまして御答弁をいただきまして、私の質問を終わります。
  117. 山中貞則

    ○山中国務大臣 田子の浦に例をとって、施策が立ちおくれておるという傾向にあるのではないかという点は、率直に私はそのとおりであると思います。先ほどの建設省の下水道課長の話を聞きましても、私が先ほど答弁いたしましたことによっても、岳南排水路というものは、本来そういうような、公害処理機能のためにつくったものではなかったのだということから、現在は公害処理機能というものを備えないで、たれ流ししている排水路というふうに、議論は全く違った角度からなされておるわけでありますから、やはりこれは立ちおくれであることはいなめませんし、すでに長い期間、三十年前後の集約された製紙業界の排出するいわゆる廃液というものが、ヘドロの上に、さらに新しい有毒ヘドロとして沈でんしていくという現象が始まって長い時間を持っておるわけであります。やはりある意味では確かに経企庁の水質基準の指定地域の指定もまだなされておりません。立ちおくれは認めざるを得ないと思います。しかし、先ほどの島本君に説明をいたしました、本日きめました各項目の中で、経企庁の田子の浦だけが特掲して別に予算が組んでありますが、これはもうすでに使いまして、田子の浦の分は今月中に作業が終わって、来月の一日をめどとして指定をするということにこぎつけましたので、あとは地方の都道府県知事に全面的に権限委譲するんだということを申しておりますから、この示された基準について、知事さんが積極的にやっていける、国のほうも、これに対してものを言い得る根拠がここに出てくるということになろうかと思いますが、いずれにしても、今日の状態まで、国として手を打っていないということは、幾らローカルの問題であっても、公害として全政治の視野の面でとらえれば、これは反省しなければならぬ点だと考えます。  なお、海洋投棄に関する御質問でありますが、漁業者の方々はいかなる地点、いかなる距離であっても、場所であっても、これは認めないんだということをおっしゃっておられます。ただその前提に、企業側が依然として出しっぱなしにしておきながら、そうして投棄は外洋だとか何とかいっても、それは受け付けぬという感触もあるようでございまして、なるべく企業側の被害を受けるおそれのある漁業者、すでに受けておる地域の漁業者の人々が納得できる姿勢をやはり企業側に示してもらうのが第一だと考えます。  きのうは第一回の会合が持たれたのでありますが、私としては、あす知事さんもおいでになるということでありますが、知事さんのローカルにおける問題の処理の力を実は高く評価し、またそれをたよりにしたいと思っておりますが、自分の手に負えないんだといって投げ出してもらうと、知事に権限委譲したあとがどうなるかという問題にもなる一つの試金石だと考えておりますが、幸い竹山知事さんは、私たち国会議員の先輩でもございますし、政治的にも多年の経験を積んだ知事さんでございます。漁業者との話し合い企業者の説得その他についても、私にまかしてくださいということを二度にわたって私に言明をいたしておられるわけでありまして、その点は御信頼を申し上げておるわけであります。しかし、漁業者の方々はどうしても直接山中にも会わせろということで、きのうおいでになりまして、その御意見も十分に承りました。でありますので、そのあと行なわれました直接の企業者側との会談、もちろん副知事が立ち合ったといたしましても、私としてはどうも好ましくない会合の持ち方だと実は思って見ておりましたが、やむを得ずもの別れということは予想できたわけでありますけれども、そのとおりになりました。  私としては、県のほうに漁業者の意向というものを十分に聞いていただきたい。あるいは地域住民の意向、それも十分に何回も足を運んで意見を聞いてもらう。そして、一方において製紙業界を中心とする産業界の意見もまた何べんも足を運んで聞いてもらって、逐次その間にお互いが県の知事さんを媒体としながら意見を詰めていく。その最終段階で、両者が最後確認し合うために代表者を出して会うというような形が好ましいように私は思うのです。  御承知のように、ロケットの紛争は私が小委員長で処理いたしましたし、自分の体験から見ても、加害者と被害者とまともに議論をしてもらったのでは、とてもまとまる話もエキサイトしてしまってだめだと思うのです。その意味で、さらにそこら辺詰めていく感触を知事さんにお願いしておりますが、それらの点も、漁民の方々が自分たちの生命線である漁場というものを死守するという気持ちは、田子の浦地区の静岡県漁連のみならず、それに関連のある地域、もしくは日本鰹鮪組合連合会、全国漁業協同組合連合会、こういうところも非常な関心を示しておられることでもよくわかるところでありますから、今後それらの点を十分踏まえて漁業者の理解を取りつけるということに全力をあげるということにしたいと考えます。  投棄場所は、もちろん漁業に関係のない場所を水産庁が選んで、距離も地点も示してくれるわけでありますから、その点は水産庁を信頼したいと考えます。  さらに、今後の見通しでございますが、こまかな流入量、堆積量、あるいは規制による排出の減、あるいは運搬船による海洋投棄による運び出しの数量、あるいは一部船だまりをヘドロ貯蔵池として使用するとか、いろいろな検討がございますが、それらを総合いたしまして、田子の浦の機能の復活、海洋の状態を取り戻すという、最低の状態を切り抜けるという状態は、四十六年中には解決できる。しかし、いま立てておりまする施策は、これ以上に蓄積されない、これ以上悪化しないという条件をまず最初取り組んで果たしていこう。その後に逐次国の施策、県の施策と相まって、あるいは事業団等の積極的な重点融資等とも相まって、企業側、両者相まって四十六年中に港湾の機能が回復できる、これ以上に悪くならない条件を、すみやかにさらにりっぱにする条件に積み上げていくように努力をしておりますが、見通しとしては、四十六年中には何とかしたいということでございます。  それから立地の問題としてこれをとらえて考えてみる必要があるということは、当然でございまして、あの広大なアメリカの大陸の中にたくさんの荒れ野がございます。あれだけの広大な陸地がありながらなおニクソン大統領の議会に対する勧告の文書を見ますと、立地条件、土地政策というものを重視しろ、これが前提だということを言っております。やはりその中に、荒れ野というものも当然レイアウトの対象にしろということを言っているようであります。私どもは、やはり学ぶべき点は学ばなければならぬ。ことに私たちの居住可能面積というものが、諸外国に比べてたいへん狭い環境下の日本の中において、いまおっしゃったように、企業の集中したことによる発展という形態をとったわけでありますから、当然まとまった被害というものが一カ所に集中して起こる可能性が予測されるわけでありまして、今後公害対策の大前提には、アメリカのあの広大な陸地ですら荒れ野を含めての土地政策というものをやはり前提に求めておることを念頭におきまして、建設省その他を重点に置いて、日本の今後の長期的な公害の防除については、産業立地の前提に立って、土地政策というものを十分に念頭に置いて、いわゆる産業立地の土地計画というものを日本列島全体に、遠くは沖繩まで含めてよく考えなければならないと思います。  ただ、それも公害企業をいなかのほうにやって、あっちこっちで公害を出せというような分散であってはなりませんので、それは当然のこと、これから先の新しく立地する企業は、公害を出さない状態において、しかも立地条件というものを念頭において配置していくということであろうと思います。
  118. 始関伊平

    始関委員 どうもありがとうございました。これで終わらせていただきます。
  119. 加藤清二

    加藤委員長 午後二時三十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時八分休憩      ————◇—————    午後二時四十八分開議
  120. 加藤清二

    加藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡本富夫君。
  121. 岡本富夫

    ○岡本委員 明日、田子の浦の参考人をこの場に来ていただいていろいろと質疑するわけですが、その前に若干政府の考え方を問いただしておく、そういう意味できょうは一般質問に入ったわけでありますので、最初に山中国務大臣にお尋ねいたしますけれども、田子の浦のヘドロの海上投棄、こういうことを知事との間にきめたんだ、こういうことでありましたが、それに対して漁連の皆さん方、要するに漁業者の皆さんは、そうしてもらうと非常に困る。確かに言い分はそうであります。また陸上でつくったところのそういう廃棄物を海上にもってきて海に迷惑をかけるということは、もってのほかだと言っているわけですが、それについての対策をどういうようにお考えになっておるか、お聞きしたいのです。
  122. 山中貞則

    ○山中国務大臣 当初、竹山知事に急遽上京していただきまして、緊急会議をやりました。そのときに一応まとまりました案の中には、堆積物について海洋投棄ということも前提にいたしているわけでございますが、その距離あるいは地域等については、純粋に水産庁が漁業に及ぼす影響というものを十分考慮してきめてもらわぬといけませんので、その当日は水産庁でその地点について後ほど漁業団体等の意向、これは単に地域だけでなくて、日本鰹鮪組合とか、全漁連とか、そういう広範囲な影響の及ぶ地点もありますから、よく事情を調べて、水産庁が決定するところにゆだねましょうということで緊急会議が終わったわけです。しかし、現時点において、言われるように海洋投棄は絶対反対だという意見があるということは承知いたしておりますし、私もそのことで昨日漁業者代表の皆さんとよくお話し合いをいたしました。本来海洋というものを汚染する行為は一切やってはならない、これは私たち人類の義務でなければならぬと思います。しかし、このように現状が港湾機能が麻痺して、海員組合が立ち入りをやめようという決議をしたり、あるいは清水港に荷物を揚げて喫水線を浅くして入ってこなければ来れないというような状態は、これは国の責任でそうなったと私は思いません。しかしながら、国が黙視し得ざるところにきたというところにおいては、ほうっておけない状態にあると思うわけです。そこでたいへん好ましくないことであり、陸上から出る廃棄物はもちろん出さないことが第一であり、どうしても出る場合において、あるいは現在蓄積されておるものについてはこれを陸上で処理するということが原則でありますから、このこともそのときは検討をしたのでありますが、それを陸上で処理する場所について、まだ静岡県側からその当日も、現時点においても、この場所なら付近の住民の人々もけっこうだとおっしゃっているというような場所の明示がございませんが、やはり陸上における処理ということについては、私は依然として原則の一つとして進めていきたいと思っているわけです。しかし、これを運ぶについては、やはりガスの発生等についての危険をどのように防ぐか、あるいは普通のトラックでオープンにして運ぶわけにもまいるまい。そうすると、その運搬手段や、吸い上げてたまっているやつのその地域までの処理のしかた等について、いろいろと技術的に検討しなければならない問題もありますので、この陸上処理ということを私としては念頭に置いておりまして、これもやらなければならないことの一つとして努力をしていきたいとなお思っているわけですが、海洋投棄を全くしないということでありますと、現在の港湾機能が麻痺あるいは停とんしてしまうという状態に対して打つ手がなくなるということにおいては、これはやはり重大問題の一つでございますから、運輸省としてもほうっておけない事態でありましょうし、その意味で、漁民の方々の納得の得られる手段、これを求めるためにいま一生懸命やっておるわけです。  ということは、漁民の人々は海洋投棄は絶対反対である、しかしその前に、これ以上無責任に蓄積されることを承知の上でどんどん出すことについて何ら手を打たないで、すなわち企業側の自覚がないのに、あるいはそれに対する自覚と認められる手段が講ぜられないのに、海洋投棄のみを認めるということはいかぬという感触もございますので、そこらの点をまず企業側が、漁業者側の納得を得る手段として、どこまで、何ができるかという問題についていま詰めておる段階でございます。
  123. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、漁業組合の皆さんが納得する線というのは、あなたもきのうお会いになっておわかりと思いますが、操業停止をしてもらいたい、こういうようなお話もありましたが、長官はそこまでお考えになっておりますか、いかがですか。
  124. 山中貞則

    ○山中国務大臣 御要望の数項目の第一点に、企業側は直ちに操業停止しろという要望があることは事実であります。その印刷されたことばというものと、さらに私と漁業者の代表と話し合いましたことばでは、当然そこにいろいろな対話が生まれるわけですから、ニュアンスもよくわかります。要するに、企業側がいかなる誠意を示すかということに問題はかかっているように私としては感じました。あるいは私の感じ方が甘いのかもしれませんが、しかし、余談でありますが、私も漁連の会長でもありますし、漁業者の立場というものはよくわかっておるつもりでありますので、漁業者の方々の誠意と認められる範囲というものは、企業側でどのような内容を打ち出し得るかどうか。これが原則的には直ちにストップしろというこの表現になってあらわれているものと私は理解しております。どうしても企業側のほうで反省しないということであるならば、問題はまた別でありますけれども、しかし、業界の会長であり、地域におけるトップ企業である大昭和製紙の社長が、外遊された朝の会見と、夕方の漁業者代表との会見との間においては、すでに操短等の意思の表明が行なわれたように、国内における公害問題、ことに田子の浦の問題に対する国民の関心の度というものを関係者もわかってきていただいておるように思いますから、さらに一そう努力を重ねることによって、何らかの話し合いの糸口、そして妥結への道が求められるものと確信をいたしておる次第でございます。  しかし、これは私が直接やる前に、やはりこれから一切の公害権限その他も、都道府県知事になるべくローカルの問題、身近な問題として住民意識の上で解決してもらいたいという基本線をいま貫きつつありますので、都道府県知事が一義的には仲に入って、できれば知事さんの段階で了解がとれる、そしてあっせん、妥結という線を私たちとしては要望しておるわけでありますが、じんぜん日をむなしゅうするということであれば、政府自体が乗り出さなければならぬこともあるかもしれないと考えております。
  125. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題は、知事の範囲ではとても無理である。ということは、すでに海上投棄をするためにヘドロを運ぶところの船を二隻、一億円でもって改造しておる。こういうところを見ましても、知事としてはあとに引けないというような状態にもなっておるのではないか、こういうように思うわけです。  同時に、先ほども話がありましたように、操短するとか、あるいは操業停止するとか、そうした何らかの方法を公害対策本部でもって勧告をしなければならないと私は思うのですが、その点いかがですか。
  126. 山中貞則

    ○山中国務大臣 通産省は、監督官庁として当然のことながら、製紙業界、ことに地域の関係の会社の人々と密接に連絡をとって、直接担当課長もいろいろと努力をしておるわけであります。その努力のあらわれが、きのう一日のいろいろなニュアンスの変化になってあらわれているものとお受け取りいただいてけっこうだと思います。  ただ、知事の手に余ると簡単に結論づけて申し上げていいかどうか。私が知事さんに来ていただきました会合では、漁業者との間の話し合いも、企業者のそれに対するとるべき措置についての説得も、私にまかしてくださいと知事さんははっきりおっしゃっておりました。ただ国のほうでは、それをやるための財源措置その他を明らかにしていただけば、私のほうが責任持ちます、こうおっしゃっておりますので、あなたにはその能力はないということをきめつける段階にはまだ来ていない、むしろ知事さんが言明されたことに対して、いま努力をしておられることを見守りながら、できる援助はしていくという形をとっていくべきだろうと考えております。
  127. 岡本富夫

    ○岡本委員 そこで長官、実は富士市あるいは富士市の商工会議所では、どういうことを考えているかと申しますと、御承知のように、富士川のすぐそばに岩本山という山がある。その裏側に山砂利を採取したあとがあるのです。富士市長としては、そこには産業廃棄物を捨てよう、こういうような考えで、了解も得ておる。そこは大体六、七十万トンから八十万トンぐらい入る大きな穴になっているのです。それを何とかしようということを考えておると、いま県があわててブルドーザーでそれを埋めておる。この間、私、見に行きましたら埋めておるのです。ですから、そういうことを考えましても、知事さんがあなたとお約束した海上投棄といいますか、これに非常にこだわっておるんではないかと私は思うのです。それで長官としては、この間そういうふうにきめたけれども、またほかに方法があればお互いに検討しようじゃないか。たとえば陸上投棄の場合、そこに約七十万トン、八十万トンでありますが、そのくらいのものが入るならばやはりそのままじゃまずいと思うのです。したがって、ある学者のお話ではデハイドロンですか、これを約五%混入する。大体一キロ二十五円くらいだそうです。これをうまく混入してパイプでもってあそこに運べば——パイプのメーカーに見積もらせますと、大体二百五十ミリで約四億円くらいのものです。そうすると、八十万トンやるとしてそのデハイドロンが一億くらいの予算ということになる。こういうことになれば、さらに硫化水素を下げる方法はどうしたらいいか。硫化水素のガスですね。これはちょうどあそこに日本軽金属の清水の工場がある。ここの廃棄物、すなわちボーキサイト、これは御承知のようにアルミをつくっている原料ですが、これの半分が廃棄されておる。それを混入すれば約三分の一以下に下がるであろう、こういうようないろいろな研究もやっておる。これは県の梅沢研究班がヘドロの研究対策をやっているわけですけれども、こういうところにもう一ぺん検討させて、そうして国からももう少しそうした指示をして海上投棄を防ぐという考えはございませんか、どうですか。
  128. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は当初から陸上処理ということを念頭に置いて検討しておることは先ほど申し上げましたが、ただいまの山砂利の採取あと、そこにかりに投棄しても三十万トンくらいかということらしいのです。それは非常に有望な場所だと思うのですが、十三キロも離れておって、それをはたしてパイプで運べるかどうか。あるいはそこに堆積いたしました際に、いまおっしゃったような非常に傾聴すべき学者の御意見等を採用してその処理を行なって、無害な物質として堆積処理できるということ等があれば、その前提で地域住民の御理解、御協力が得られるかどうか、これらの問題もあろうかと思います。しかし、いま山砂利採取あとを埋めておるという事実については、私は承知いたしておりませんし、事務当局もその情報は把握しておりませんので、そのような事実がありますならば直ちに——陸上処理場所として一つの候補地である、それを埋める行為については、その候補地の容積を少なくしてしまう行為ですから、地域住民の了解が前提ですけれども、その行為はおやめいただくように県のほうに私のほうで要請したいと考えます。
  129. 岡本富夫

    ○岡本委員 この問題は、明日各参考人に来ていただいてよく検討をしたいと思います。  そこで、時間があれですから、次に経企庁長官、田子の浦の水質基準が非常におくれておる、これに対して先ほど宮崎さんからは、県の意見を入れなければならないのでおくれたんだ、したがって、県の意見が入っておらなかったために、こうしておくれることになると県知事の責任ということになってくると思うのです。これはまたあしたもう一度、知事さんがお見えになったときに聞いてみたいと思うのです。  そこで、国全体のそうした基準を経済企画庁で一つ一つきめるということが非常におくれておる。これは御承知だと思うのです。したがって、もう経企庁で全国の基準をきめられて、一々地域指定をせずに全部ならしていく。これはすでに自民、社会、公明、民社の四党でもっていろいろとこの前検討した公害対策のその中にも入っておるわけですが、この考えはいかがでございましょうか。
  130. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 よく御存じのように、水質保全の問題は、水質保全法が全面的に拡充強化されまして、そしてこれをやってまいってきておりますけれども、いま申し上げましたように、水域の指定とその前提になる調査が前提です。ところが、従来この調査がやはり二年かかっております。私はこういうことではとても全国に間に合わないということで、二年のものを一年、さらにできるだけそれをまた短縮するように、こういうことで最近は非常にピッチを上げております。ただし、もちろんこれにはスタッフの現状もございますから限度がありますけれども、今日はそういうことで急速に地域指定が拡大強化されてきております。そういう際でありますが、しかし、今後のことを考えますと、何ぶんにも全国の河川の数はおびただしい数でございます。そして今日はまだ汚染されてないもので、今後汚染をされるおそれのあるものがたくさんある、こういうことでありますからして、すでに政府におきましても対策本部を通じてその意向を発表しておりますが、従来のものの考え方を改めまして、全国的な基準というものをまず設けまして、いわゆるシビルミニマムと称するものを設けまして、ただし、地方地方によってはさらにもっと高い水準を要求されるはずであります。これらのものを、現地の知事に基準の設定をしてもらう。地域住民の最も関心の高いものであり、しかも同時に地域によって事情に相違がございます。でありますから、やはりその地元立場に立ったところの知事さんの考え方、これによって基準の設定を、それぞれの地域にふさわしいものを設定してもらう、こういうふうに制度を全面的に改めよう。たしかいま岡本さんのおっしゃっているのもそういう趣旨だろうと思いますが、そうした趣旨の根本改正を、ただいま政府としても法律制度の改正を考えておるところであります。
  131. 岡本富夫

    ○岡本委員 大体基本姿勢はわかりました。要するに、公共用水域の水質保全に関する法律の改正、これは四党一致を見ておるわけですから、そうだと解釈しておきます。  そこで、次に本論ですが、四党政審会長会談で公害対策の一致した点で、カドミウム汚染米について、汚染企業が明確な場合は稲の刈り取り、これは企業責任、また不明確な場合は国が責任をもって行なう、廃棄する、こういうようにこれもきまったわけでありますけれども、政府のほうの考えを、私、これから兵庫県の播州における住鉱アイ・エス・ピー、この工場の視察を行ないまして、この現実の面から事例をあげて御質問を申し上げたい、そして明らかにしていきたい、こう思うわけです。さらにカドミウム含有量の許容限度、これにもいろいろな学者の異論もございます。国民はそれに対して非常に不安を抱いております。したがって、この場でこの面も明らかにしてまいりたい、こういう考えから御質問をいたします。  そこで最初に、農林省の農地局長さん、全国のカドミウム汚染地域、それからカドミウム汚染米、これは大体どれくらいの数量であるか、これについてひとつお答え願いたい。それを一ぺんはっきりしてもらいたいと思うのです。
  132. 岩本道夫

    ○岩本説明員 カドミウムの汚染地域が、どの程度広がっておりますかという点につきましては現在調査中でございまして、農林省といたしましては、昭和四十五年度から、カドミウム汚染の可能性のある地域を対象にいたしまして、水平的にどの程度の規模、面積に汚染が広がっておるかという点と、もう一つ、同じ水をかけました場合に、土壌の中に何センチの深さまで汚染が広がっておるかという縦、横両面について分布調査を実施中でございます。したがいまして、その調査結論を待ちまして、どの程度の範囲が汚染されておるかということが判明するわけでございまして、いまのところ、それがどの程度であるかということを、確かな数字でもってお答えすることは残念ながらできないわけでございますが、そういう調査を急ぎますとともに、それに対する対策を立てるための調査も同時に並行して実施をしている最中でございます。
  133. 岡本富夫

    ○岡本委員 農地局長さん、このカドミウムの問題が全国的にやかましくいわれまして、富山県のイタイイタイ病あるいは各所におけるところのこうした問題がすでに起こって、はっきりしてから約三年、いまだに調査ができない、これは非常に怠慢じゃないですか。毎日毎日、国民は水と同じように、米がなくてはならない。それでこの全国的な調査はいつ終わるのですか。これをひとつはっきりしてもらいたい。
  134. 岩本道夫

    ○岩本説明員 事柄の性質から見まして、調査を急ぐ必要がありますので、できるだけ早い機会に結論を得たい。万全の結論が出なくとも、早い機会に対策が立てられる程度の結論は得たいと考えておりますが、調査の期間としましては二、三年を予定しております。しかしながら、結論の得たところから対策を打てるようなことは考えてまいりたいというふうに考えております。
  135. 岡本富夫

    ○岡本委員 毎日国民は不安な米を食べているわけです。これはカドミウムが入っているかどうか。あるいはまたああして報道もされておる。それで、これから二、三年かかったらどうなるのですか。そのくらいかからなかったならばできない問題ではないと思う。なぜかならば、予約米の買い付けをしたり、あるいは各所に農林省には出先機関がある。これから、四十五年から二、三年かかると四十七年から八年、これじゃあなた、話にならぬじゃないですか。ぼくは前からこの問題を農林省のほうにはやかましく言っておったはずなんです。この問題まだこれから二、三年かかるというような、そんなのん気な局長の考えだからいつまでたってもできないじゃないですか、いかがですか、その点。
  136. 岩本道夫

    ○岩本説明員 現在調査しております内容といたしまして、カドミウムの汚染がどの程度広がっておるかという分布の調査と同時に、特に厚生省から指定されました五つの汚染地域につきましては、試験圃場を現地に設けまして、そこにおきまする水質の調査あるいは土壌の汚染状況の調査、あるいは作物の生育、収量の調査、そこから生産されました玄米の分析をいたしまして、どの程度の汚染が残っておるかというようなことを調査中でございまして、その結論に基づきまして、たとえば客土をするとか、あるいは土壌の置きかえをするとか、あるいは特殊な土壌改良剤をまくことによって汚染を防止いたしますとか、また深耕で土壌をかき回して、もし下のほうが汚染されていないのであれば、それで薄められるといったような対策考えられるわけですが、どういう対策が一番その現地に合うかといったような調査結論を得つつ、現地の住民あるいは農民の意向を勘案しながら対策考えたいと思っております。しかしこの二、三年の時間的余裕は待てないという面もございますので、とりあえずこの対策の判明いたしましたところから事業化に着手したらどうかということで、さしあたって対策を考慮することを検討中でございます。
  137. 岡本富夫

    ○岡本委員 そんなのは答えのうちになっていません。ぼくが播磨の住鉱アイ・エス・ピーの近所の状態を調査しましたところ、四十三年にはカドミウムの汚染している場所で〇・二七、それがことし同じ地域において〇・六〇、こういうようにふえてきておる。これを考えますと、これから年々ふえていくんじゃないか。すぐ今度は一PPM、またさらにそれより多くなってくる。それを今度は一PPM以上は買い上げない。〇・四PPM以上は買い上げる、こういうことになっておるのですが、これは食糧庁のほうに聞かなければいかぬのですが、〇・四PPMから一PPMまでの間は配給に回さない、こういうような話であったのですが、その米はどうするのか、またその米がいまどのくらいあるのか、これもひとつ食糧庁のほうに聞きたいと思うのですが、どうですか。
  138. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  一・〇PPM以上の米は主食に充当せず、のりとか、要するに人間の口に入らないような用途で処分いたしたいと思っております。  それから、そうした米が現在幾らあるかということでございますが、政府の要観察地域の米であって、現在政府が持っております米は約三千五百トンでございます。(岡本委員「〇・四」と呼ぶ)いや、要するに要観察地域でできた米であって、政府が買い上げまして現在持っているのが三千五百トンでございます。その中には一・〇〇以上のものも入っているわけでございます。
  139. 岡本富夫

    ○岡本委員 それで、〇・四以上〇・九までのこの米は、のりだとかあるいは口にしないものに使う、こういうことですが、価格はどのくらいになるのですか。何%くらい減になるのですか。
  140. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  のり用にこういった米を売却いたします場合には、現在の主食用の政府の売り渡し価格よりも安い価格で処理しなければならないわけでございます。現在過剰米処理の問題につきまして、主食用以外の用途で過剰米処理をするということで、のり用等もいろいろ研究中でございます。したがいまして、売却する場合には、そうした研究結果を待って価格をきめたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  141. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうしますと、おそらく価格は七〇%あるいはまた四〇%か、主食に使えないような値段になると思うのです。だから食管会計でもって高く買ってそうして安く売るわけです。これは国民の金が、そこで税金が使われるわけですが、そういうことがこれからまだ二、三年、これは農地局長さんに私がさいぜん示したこの播磨の姿を見ましても、昨年は〇・二七PPMのところがことしは〇・六PPMの米ができておる。四十三年から四十四年、四十三年は〇・二七、四十四年は〇・六、これはあなたのほうでおくれればおくれるほど国民の金が、国民の税金がむだづかいされることになるのじゃないか、こういうことになれば、これは一日も早く調査をして、そういう悪い米のできるところに対しては早くこれを客土するとか、あるいはまたほかのものをつくるとか、あるいはまた何らかの手を打たなければ、いつまでたってもこれはむだづかいになるのじゃないか、こういう懸念があるのですが、いかがですか。
  142. 岩本道夫

    ○岩本説明員 御指摘のとおりでございますので、私どもとしましては調査結論を急ぎますとともに、その対策の実施を早急に検討してまいりたいと思います。もちろん土壌的な処理、あるいは作物的な処理、あるいは土木建設的な処理、各方面にこの対策がわたっておりまして、それを総合して計画を立てる必要がございますので、今年度の調査結果を頭に置きつつ、明年度において何らか事業ができるように取り進めるよう検討してまいりたいと思います。
  143. 岡本富夫

    ○岡本委員 では明年度は大体これができるようにする、それは了解しておきましょう。  そこで食糧庁の次長さんに、なぜ一PPM以上は買い上げられないのか、〇・四PPMは買い上げてもこれを配給しないのか、〇・四というのは人体に影響があるのか、どういうわけで〇・四から〇・九の間は配給しないのか、この根拠は何なんですか、お答えしてください。
  144. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  カドミウム汚染米の問題が出ましたときに、食品衛生上の問題としてこれをどう考えたらいいかということについて、食糧庁から厚生省のほうに御意見を伺ったわけでございます。その結果、厚生省のほうで専門の学者の方々に集まっていただきまして、いろいろ御相談いただきました結果、一・〇PPM以下のものは安全であろうという結論が出たわけでございます。私どもが伺っているところでは、厚生省がその基準に基づきまして食品衛生法上の措置をおとりになることを準備しておることを伺っております。そこで食糧庁として、そうした食品衛生法上の結論を受けて配給の面でそれをどう扱うか、それから買い入れの面でどう扱うかということを研究したわけでございます。その結果、御承知のとおり七月の二十四日に至りまして、要観察地域のうち農家保有玄米のカドミウム濃度が一・〇PPM以上と認定された地域の産米は配給せず、主食用以外の用途に売却する、それから要観察地域の産米のうち上記以外の産米は食品衛生上安全と見られるが、現在の米穀の需給事情及び消費者感情を考慮して配給しないということをきめたわけでございます。したがいまして、食糧庁といたしましては、食品衛生上は安全と見られるけれども、いま米が余っておりますし、それからさらに消費者の感情というものを考慮して配給しないということをきめたわけでございます。
  145. 岡本富夫

    ○岡本委員 そうすると、米が余っておるから、米が余ってなかったら食わしてしまおう、簡単に言うたらそうですね。あとは感情の問題ということですが、そこで厚生省にお聞きいたしますけれども、七月十七日の朝のNHKの「スタジオ一〇二」、ここで橋本公害課長、それから小林岡山大学教授の対談のような形式がありました。そのときに橋本公害課長の話では、厚生省は一日当たりのカドミウムの摂取量と尿に出てくるカドミウム量との相関を調べて関係をあらわす計算式をつくり、それから逆算して白米中〇・九PPMとした。そして厚生省の相関式では、摂取したカドミウムのうちわずか三%余りが尿に出てくる、他は大便に出る、こういうようなことを橋本公害課長が言っているわけですけれども、ところがこれを岡山大学の教授がよく調べますと、カドミウムの基準量は〇・三三PPMにしかならない。これは厚生省のこまかいものを逆算しただけなんです。そうしたら、テレビにおいて発表されたわけですが、これによって国民は非常に不安を感じているわけです。その点について厚生省の御意見を伺いたい。
  146. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 そのテレビの番組自体私も拝見しておりましたし、それとは別の席上におきましても、岡山大学の小林純教授が人体に影響のない限界として自分は〇・三PPM程度が適当であると思うという御意見を述べておられたことは私も承知をいたしております。しかし、私どもとして、これは私はそれこそ科学技術の専門家でもありませんし、微量重金属の専門家でもありませんから、それこそ専門の学者の御意見を信ずる以外にありませんが、カドミウム等の研究をしておられる学者の方々からなっておるいわゆる微量重金属調査研究会に私どもはこの仕事をお願いし、基準を設定いたしました。だから、こまかい点を申し上げればいろいろ申し上げる点はございますけれども、私どもとして一応この数字というものに対して相当な安全率を見込んだ上で、玄米中一・〇PPM以下のものすなわち精白して〇・九PPM以下のものは人体には影響はないという学者の方々の御意見を信じております。小林教授はどういうことから〇・三PPMというものをお示しになったのか、私は専門家ではないからよくわかりませんけれども、しかし非常に誤解を生じやすい点でありますので、ひとつふえんして申し上げますと、先生よく御存じのとおりに、カドミウムは微量重金属としてはある意味でわが国の国土いずれの土を掘ってもごく微量は存在するものでございます。そして植物には、それぞれ好む金属を吸い上げる性質がございます。たとえばパイナップル等は鉄分が不足すると枯れていくというのもその例の一つでありますが、米の場合はたまたまカドミウムというものを非常に好み、吸い上げる性質がある。現在カドミウムによる人為的な汚染が何ら考えられない地域においても、実は天然自然のカドミウムを吸い上げた米の中には〇・四七二PPMというような数字を示しておるのもございまして、私どもとしてはこういう天然自然の何ら汚染されておらないところにおいてさえ、実は〇・四七PPMというような数字が出ておる状況の中で、小林教授が、わが国には多くおられるこうしたカドミウムをはじめ微量重金属についての権威といわれる先生方の中で、特にお一人特異な御見解をお示しになったのか、その根拠はわかりません。しかし、私どもは多くの専門家の方々の御意見としてまとめられてまいりました調査会の結論を信用する以外にその方法も持たないわけでありまして、私はわが国の科学技術水準の中で、その中枢を占める方々の御意見というものを今日は信頼いたしたいと考えております。
  147. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は専門家ではないからはっきりわからぬけれどもという前提のもとの話でありますので、それに対していまここで議論してもしかたがない。したがって、委員長、実は七月十九日の朝日新聞の座談会の記事を見ますと、重松という博士が、尿には食べたカドミウムの大部分が出る、橋本さんは、〇・三%ぐらいしか出ない、ここにも大きな食い違いがあるのです。したがって、私は当委員会に一度小林教授あるいはまた萩野あるいはまた重松さんでしたか、こういう人に出ていただいて、やはりここで解明する必要がある、こういうふうに思うのですが、ひとつ委員長のほうでおはかり願いたいと思います。
  148. 加藤清二

    加藤委員長 ごもっともな御意見でございますので、後刻理事会にはかって参考人の招致をきめたいと存じます。
  149. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いまの質疑応答で、多分にまだ混乱が残るおそれがありますから、私のほうから統一して御説明をしておきたいと思いますが、いまの〇・四という数字が一ぺん厚生省から出たことがあることは間違いありません。それはいわゆる汚染地区を指定する際の調査の際に〇・四PPM以上ということで、これが公になりまして、いかにもこの〇・四PPMというものが、即人体に有害というふうに受け取られて、その後食管法によって買い入れる基準、国民の食糧にふさわしいかどうかの基準として、一PPM以上は買い上げないという方針との間に混乱が見られるおそれがあります。  そこで、対策本部のほうで国民の主食として適しないのは一PPM以上のものであって、これは食管法のたてまえからいっても買い上げないことができる。そのかわり、その買い上げない分については、企業のほうにおいてそれぞれ賠償をするということで、事実安中等をはじめとしてそれらの分は補償はされつつあります。  なお、冒頭にお話しになりました、一体だれがしてやっていいかわからないという点が少し残りますが、これはわずかな数量で、金額にして四十数万ぐらいということでありますので、場合によっては国がその分についてめんどうを見なければならぬだろうと思います。  なお、一PPM以下のものは買い入れても国民の主食として配給はしないということをはっきり食糧庁のほうとして方針を定めて、対策本部も了承をいたしました。  しからば、買い入れたものはどうするのだということについては、先ほど食糧庁の次長から話がありましたように、買い入れたものは国民の口に入らないような方法を、価格、処分方法等について考慮しながら処分をしていくということを申しておりますが、そのとおりでございまして、整理して申しますと、食管法上一PPM以上の米は買わない、その買わないものは基因者である企業から反当幾らという補償がなされ、その補償も、残余のものはわずかですが、そのめんどうを見るであろうということであります。  なお、買い入れたものについては、絶対に国民の主食に配給はしないという点でございますから、〇・四PPMというものはその後においては存在をしていない、汚染地区をどう調べるか、どう指定するかというときにのみ存在したということでありまして、買い入れ配給するという場合においては、〇・四PPMというものはその対象としての数値としてとっていないということであります。
  150. 岡本富夫

    ○岡本委員 あまり時間がありませんが、簡単にひとつ答えてください。  そこで、最後の詰めは、この汚染米がやみに流れる、福島の凍結地区には買いたたき業者が横行しておる、こういうような記事が出ております。そこで私はこの播磨の姿を見ますと、〇・四PPMも政府は買ってくれるわけですが、今度保有米のほうは、みなはかると〇・六くらいある、こういうものはどういう考えをあなたのほうでしておるのか。要するに、農家の保有米、これは農林省のほうで買ってあげて、そして配給米を別に渡してやるのか、またあるいは差額は企業へ持たせるのか、こういうこともひとつはっきりしておいてもらいたいと思うのです。
  151. 内村良英

    ○内村説明員 要観察地域であって、一・〇PPM以上の汚染地域の保有米につきましては、現在農家の保有米の凍結措置をとっております。それをどうするのかという問題でございますが、ただいま山中長官から御答弁がありましたように、補償の問題は大体片づきつつございますので、そのものを物的にどう処理するかということについては、今後県とよく相談してきめたいと思っております。  それからそういう地域の農家につきましては、保有米が食べられませんから、配給をしております。それから要観察地域の中の農家であって、保有米がどうも気持ちが悪いから食べられないという農家につきましては、配給をやるような措置をとっております。
  152. 岡本富夫

    ○岡本委員 買いたたきの答弁がなかったですね。
  153. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  現在の要観察地域に指定されておりますのは、御承知のとおり、群馬、富山、長崎、大分、宮崎の五県の一部の地域でございます。福島につきましては、現在要観察地域の指定がございません。したがいまして、食糧庁といたしまして、そういった地域におきましても、農家から保有米のかわりに配給をしてくれという希望がございますので、配給措置はとっております。  そこで、そういう地域の米を政府が買うとか買わないという問題でございますが、現在のところ、要観察地域の指定がございませんので、そうした米は政府が買い上げることになっております。新聞に出ておりますようなことは、正式にはまだ県から報告を受けておりませんけれども、われわれといたしましては、かりにそういったことがあれば、そういった地域の保有米につきましても、要観察地域に準じた措置をとる必要があるのではないかと思いますが、よく厚生省、県と相談して措置をとりたいと思っておるわけでございます。
  154. 岡本富夫

    ○岡本委員 いいかげんな答弁をしたのでは困るのです。時間がないからあれですけれども、福島の食糧事務所、ここにひとつよく問い合わせて、そしていまの安全対策ではしり抜けだ、現地の人たちがそう言っておりますね。ですから、もう一度あなたのほうではっきりと処置をして、結果を報告してください。  それはそれとして、次に、播磨の住鉱アイ・エス・ピーを視察しましたところが、排煙によるところの、要するに煙の中、ここのカドミウムが地域汚染させておるわけでありますが、これに対して県も、あるいはまたこの工場においても、何も知らないわけです。こういうことは、県に対して、あるいは各自治体に対して——東邦亜鉛の安中の問題も、最初はなかなか、排煙の中のカドミウムではないと橋本さんががんばっておった、しかし、とうとう岡山大学の小林さんあたりが調べたり、われわれが調査して、結局は排煙中のカドミウムの規制ということになったわけでありますけれども、こうしたことは、結論としては、独立製錬所、要するに通産省が直接手を下してないところの製錬所、こういうものが対象になっていない、鉱山保安法の適用を受けていない、そのために、こんなに大事なわれわれ国民の毎日毎日食べる米を汚染するような、こうした工場の取り締まりということがしり抜けになっているわけです。そこで、この間私がやかましく言って、富山県の三日市のほうは何か入れたそうでありますけれども、このあとの八つの製錬所についても保安法を適用しなければならない。そうしてきちんとしたものを今度は都道府県に、自治体にまかしていく、こういうふうにしませんと、これはほんとうの公害対策にならないんじゃないかというふうに思うのですが、通産省と山中国務大臣の御意見を伺いたい。
  155. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっとその前に食糧庁にお尋ねします。  ただいま質問者から、福島の買いたたき汚染米の調査報告を求めるという要望が出ておりますが、それは出せますか。
  156. 内村良英

    ○内村説明員 至急調査をして結果を御報告申し上げたいと思います。
  157. 加藤清二

    加藤委員長 至急とはいつまで、どのくらいかかるか。
  158. 内村良英

    ○内村説明員 県と食糧事務所に照会いたしまして、あるいはもう報告が出ているところでも、まだ届いていないところがあるかもしれませんが、照会いたしまして、極力早く御報告いたしたいと思います。
  159. 加藤清二

    加藤委員長 どのくらいの予定……。
  160. 内村良英

    ○内村説明員 買いたたきの問題でございますから、実態をある程度正確に調べるということになりますと、若干の時間がかかるかもしれません。
  161. 加藤清二

    加藤委員長 農林省が凍結しているとお答えのその米が、やみに流れるということは、農林省の権威にかかわる問題です。至急調査をして、御答弁のほどをお願いします。
  162. 内村良英

    ○内村説明員 お答え申し上げます。  福島の場合はまだ要観察地域になっておりませんので、保有米の凍結措置はとっておりません。
  163. 山中貞則

    ○山中国務大臣 一貫して私が法改正の方針を示し、またそれぞれの規制のしかた、ナショナルミニマム的なものを設定していくというようなことも答弁をいたしておりますが、このような人の健康に直接被害を与えるような微量重金属等については、全国一律のきびしい基準を制定しようと思っておりますので、それらの体系が整いますと、ただいま地区別にいろいろな問題がありますところも、全部全国一律のきびしい規制を受けるわけでありますから、問題は、規制面において急速に解決の道はあると思いますが、それまでの間における個々の問題については、所管官庁の通産省からの答弁をお願いしたいと思います。
  164. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 住鉱アイ・エス・ピーの件につきましては、通産省では内部指導いたしまして、県知事に申しましたし、二十日間の操業停止をいたしまして、緊急な設備をいまやっております。  それから独立製錬所の件でございますけれども、これは、鉱業権者が鉱業に付随して行なっておりませんので、鉱山保安法が適用になることは非常に困難でございます、そういうことで、大気汚染防止法や水質二法の抜本的な改正で一律な水質の規制をしたときに、これで独立製錬所を規制していく、それまで通産省としては、直接独立製錬所については今後行政指導していく所存でございます。
  165. 岡本富夫

    ○岡本委員 三日市の製錬所に今度鉱山法を適用した経過、これについては、よく聞いてみると、詳細調査をして、大体これなら公害規制の中に入る、それから保安法を適用しておる、こういうような姿を私見ましたが、それが一つと、それから八つの独立製錬所、こういうように通産省では考えておりますが、宮崎県の日向に行くと、また一つ製錬所ができておる。そういうものももっと全国的に調査して、そうして早くあなたのほうで鉱山保安法の中に入れなければ穴ぼこが次々と出てきておる。そうしていままでカドミウムの汚染地域、これは厚生省が調べたけれども、そこのところは忘れていました、それは通産省からの連絡がありませんでした、こういうようなことがまた起こってはならない。したがって、もう一ぺん検討してそうして鉱山保安法の中に入れていこう、法改正したらいいのですから、その点を一ぺんもう一度検討していただきたいと思います。
  166. 小宮山重四郎

    ○小宮山説明員 鉱山保安法の改正についてはもう一度検討してみますけれども、体系的に違うということが一番大きな問題であります。  それから独立製錬所の問題でございますが、今月一ぱい鉱山保安法の適用がございませんので、いままでなかなかそれはできておりませんけれども、今月一ぱいに全部独立製錬所については調査を完了する予定でございます。
  167. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう時間がありませんから自治省に……。  今度公害対策本部としても、あらゆる公害対策の行政あるいはまた立ち入り等の権限を地方に移そうというお考えである。そこでその財政負担。それからもう一つは地方を回ってみますと、まだ公害防止条例もないような県がある。これは香川県なんかそうですが、そうした基本をあなたのほうで示す用意があるかどうか、これをお聞かせ願いたい。
  168. 立田清士

    ○立田説明員 最初に、都道府県条例でございますけれども、現在四十六府県のうち四十四府県が制定されております。したがいまして、ただいまお話しの県を含めまして二県がまだ未制定でございますが、私らのほうはこれを早急に制定していただくように、都道府県のほうには要請しております。実は昨年来からことしにかけまして、相当数未制定の県が制定されてきまして、現在四十四県になっておりますので、できるだけ早くこれを制定していただくように二つの県にはお願いをしております。なお、県のほうは現在それを制定のための準備をいろいろしておられる段階でございます。  それから最初にお尋ねのございました、ただいま考えられております地方団体への権限委譲に伴いまして、当然地方団体としてはいまお話しの行政体制の整備も必要でございますし、それからその権限委譲に伴う財政措置についても必要な措置を講じていくというような考え方で現在いろいろそういう点の検討を進めておる、こういう段階でございます。
  169. 岡本富夫

    ○岡本委員 答弁がはなはだ不満足ですが、時間がありませんのであと三点。  公害防止事業団が中小企業公害防止事業を行なうために貸し付けをしよう、こういうときには、指定地域以外は中小企業から申し出てもできないような法律にいまなっておる。そのために公害防止事業団の活動が非常にできない、したがって、その点を改正する考えがあるかどうか、これを山中国務大臣に、これは通産と厚生の共管になっておりますけれども、対策本部の考えを聞かしていただきます。
  170. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは現時点においてはお話しのとおりの状態でありますが、これから全国一律の基準を定めて、あるいは大幅に地方に権限委譲しなどいたしますと、全国各地で似たような現象が、指定地域とか何かになっていなくても、やはり必要なものとして発生してくるだろうと思います。そのとき、一番肝心の融資の中心である公害防止事業団融資の対象にならないということはたいへん問題でございますので、まだこの点だけは大蔵省と最終的に詰めておりませんが、そのような方向で、すなわち全国どこにでも国が定めた基準を達成するための防止事業その他の中小企業等の必要な資金については、事業団が融資に応ぜられるような基礎的な条件を整えるとともに、融資量についても、事業団融資というものを最重点に置いて来年度予算では考えていくつもりでおります。
  171. 岡本富夫

    ○岡本委員 大蔵省の中川政務次官、公害保険の構想をここで示しておいてもらいたいと思うのです。
  172. 山中貞則

    ○山中国務大臣 公害保険というような意見も一部にありますが、政府といたしましては、まだそのような構想について検討もいたしておりませんし、そういう方向に進めるための意思もいまのところはございません。すなわち保険の中にそのようなものがなじむのかなじまないのかという問題もありますから、今後の検討課題といたしたいと考えておるわけでありまして、ただいま確認いたしましたが、大蔵省自体でもそういうことを言ったこともなければ考えている段階ではないということであります。
  173. 岡本富夫

    ○岡本委員 けさテレビを見ておりますと、利根川の上水、群馬県の渋川ですが、ここは市長がいままでとめておった放水を——汚水ですが、悪臭あるいはくさい水で問題になったのですが、これがまだ五〇〇度ある。しかし、それをいよいよ流すというので、七日から放流し出したというのですね。これに対しては、東京都では非常に困る。この問題について、山中国務大臣はひとつこの調整に乗り出してあげることができるかどうか。  もう一つは、悪臭はいよいよ法制化しなければならない時代にきた。基本法ではすでに悪臭は公害の中に入っておるわけですけれども、いまだに一つの基準がないために放置されておるわけです。この点について、このくさい水問題について長官の御意見を承りたい。
  174. 山中貞則

    ○山中国務大臣 悪臭は、典型公害として法律に明記されていて、その規制法というものがないということは確かにおかしな話でありまして、これはある意味で私どもの政府の怠慢でもございます。でありますので、今度の法改正で典型公害に土壌汚染を取り入れるのと同じように、すでに典型公害の中に明記されております悪臭についても、その取り締まりの基準たるべき法規をつくるつもりであります。  なお、渋川市の問題については個々のケースで、やはり所管省に答弁してもらったほうがいいと思いますので、経企庁のほうから答弁をお願いしたいと思います。
  175. 西川喬

    ○西川説明員 渋川市の地下水の放流につきましては非常に遺憾なことでございまして、経企庁といたしましてはやめなさいというふうに再三通告しているわけでございますけれども、現在のところ法律的な規制はどうにもならない状況でございます。そのために、いまやる、やらないということで、最終的な報告はまだ聞いておりませんが、けさからまた放流をするということを地元のほうの県、市が強行しようとしている段階のところまできまして、経企庁といたしましてはいかぬということで、いま行政指導をしている段階でございます。
  176. 岡本富夫

    ○岡本委員 ただいかぬと言うだけでは、これはほんとうにいかぬですね。長官も、それは所管が違うなんて言わずに、公害対策部は全部ひっくるめてやっておるわけでしょう。だからひとつこれは強力に要請しておきます。
  177. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は責任のがれを言っているのではなくて、そのような個々のケースについては今後といえども対策本部においてはやらないということであって、基本的なものをやるわけでありますから、監督官庁の経企庁においてそのような指導をしておるということであれば、そのことについてどうしてもうまくいかない場合に、対策本部が乗り出さなければならないという事情がありましたら乗り出すことになるだろうと思いますが、いまの説明では確かに納得はされないだろうと思うので、私の仄聞している範囲では、一応悪臭の大部分は除去する施設が完成したと地元責任者は認めた、そのために放流を開始するのであって、したがってこれは他の公害ではなくて、悪臭の原因者であると見られたために放流をやめてその除去をやっていた。それがしかし経企庁から見たら完全ではないということでありましょうから、ここらのところは監督官庁と県、さらに地元市との間にいま少しく話し合いをする必要があるかと思います。
  178. 岡本富夫

    ○岡本委員 そんな答弁では納得できないですよ。大体三分の一落としたといってもまだ五〇〇度というのですから、くさいといって頭にきておるわけです。あなたも東京都の水を飲んでおる。くさいものをこれから飲むわけですから、その点、きょうは時間がありませんからあれしておきますが……。  そこで、スモン病の原因になるところのキノホルム、これについて中止の結論が中央薬事審議会から出ておりますけれども、それに対して厚生省の最後の一言、どうするかということだけ答弁を願いたい。
  179. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 スモン病の原因を調査いたしておりますうちに、椿教授の手元より、スモン病患者の中にキノホルムを多量に服用していた方が多いということから、何らかの原因、かかわりがあるのじゃないかという御意見がしばらく前に提出されました。その結果、薬事審議会にも私どもとしては一応お尋ねはしなければなるまいと御意見を伺ったわけでありますが、その原因となるかならないか、その因果関係自体がまだ明らかでないというような御意見でありましたけれども、原因が明らかでないなら、そのためになお患者をふやすようなことがあってはいかぬということで、新聞等でも御承知のとおりの経緯をもって、私どもとしては当分使用を中止をしていただきたいということをお願いしたわけであります。ただ、一部の疾病に関しては、キノホルム以外に特効薬のないものがあるようであります。ですから、それについては医師の方のデータをそろえての服用はやはり今後も認めざるを得ないと思いますが、その他に関しては私どもとしては一応ストップをかけました。  なお、個々のメーカーについてもこの件については非常に協力的に取り運んでいただいておるようでありますし、また普通のケースとは異なり、キノホルムを含んでおる薬品の名前を厚生省としても世間に発表いたしました。個々の方々もごらんになっておられるはずであります。
  180. 岡本富夫

    ○岡本委員 終わります。
  181. 加藤清二

    加藤委員長 次は、多田時子君。
  182. 多田時子

    多田委員 きょう私は、運輸省の港湾局の局長さんにおもに御質問申し上げたいと思いましたが、参事官がお見えになっているということでございますので、港湾局の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  東京湾の汚染はすでに頂点に達している様相を示しておりまして、すでに話題の焦点になっております。この問題、確かに工場排水あるいはヘドロあるいは一部家庭排水等も問題でございますが、特に海水の汚濁という問題に対しては、タンカーによる廃油のたれ流しがそのおもな原因である、このように考えるわけでございますけれども、運輸省港湾局といたしまして、現在の海水汚濁の現状をどのようにお考えかを最初にお尋ねしたいと思います。
  183. 竹内良夫

    ○竹内説明員 港湾局といたしましては、港湾の船舶からの油によりまして海水が汚濁することを防止する目的をもちまして、現在、港湾施設といたしまして、廃油の処理施設を整備いたしまして、それに対処していきたいというように考えております。
  184. 多田時子

    多田委員 いまお話がありました、その廃油の処理施設のことについてお尋ねしたいと思います。海水の汚濁の防止のための条約、油濁法が施行されてから三年になりますが、その法に基づいて、いまもお話のありました廃油処理施設が設置されているわけでございますけれども、この廃油処理施設が現在日本の国の港湾にどのくらい設置されているものか、その現状についてお尋ねしたいと思います。
  185. 竹内良夫

    ○竹内説明員 昭和四十二年から整備を始めまして、現在十四港でございます。ただいま計画といたしましては、昭和四十七年度末までに三十三港を予定しておりますが、本年までに、現在ただいまにおきまして整備港として運輸大臣が告示した港は川崎港と、昨日横浜港を指定いたしまして、二港でございます。
  186. 多田時子

    多田委員 この間、廃油処理施設を設置されまして、いまもお話がありました整備港として指定されておりますのが川崎港と、そして昨日横浜港ということでございますけれども、その整備港に指定された港以外の港に出入りする船舶あるいはタンカー、それらの廃油、その問題に対してはこの法律からは除外されている、あるいは整備港に指定されていないがゆえに、そこに出入りする船舶等は、その問題に対しては義務づけられていないということで、どこまでも現在の廃油、バラスト水のたれ流しがあとを断たないということのようでございます。そういうことから、この油濁法が何か抜け穴がある、あるいは盲点がある等の汚名を免れない現況なわけでございますけれども、その点について、港湾局としてどのようにお考えか、お尋ねしたいと思います。
  187. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。  海水油濁防止法におきましては、百五十トン未満のタンカーと、それから五百トン未満のタンカー以外の船舶は、適用除外になっております。これは法律制定当時の考え方といたしましては、国際条約に同じような規定があったことと、それから百五十トン以上のタンカーあるいは五百トン以上のタンカー以外の船舶から排出される油の量は、日本沿岸海域におけるすべての船舶が排出する油の約八割ぐらいに当たると推定されますので、大部分の油が規制できると考えられたからでございます。百五十トン未満のタンカーと申しますと、その航行区域は非常に狭いわけでありますが、この種の船舶は、船内で廃油を処理するということが技術的に困難でございますし、また法律で定められました五十海里以内で投棄してはいけない、五十海里の外へ行って捨てるということは、平水区域を航行区域とするような百五十トン未満のタンカーにつきましては、船舶安全法上これができませんので、勢い陸上の廃油処理施設を利用せざるを得ないということになるわけでありますが、いま御指摘のように、そういう、抜けているではないかというお話でございますが、われわれとしましては、今後の廃油処理施設の整備に並行しまして、この種の船舶につきましてもその規制を強化していきたい。現在におきましても、法律的には港則法によって取り締まりができるわけであります。港則法の二十四条によりまして、港内または港の境界から一万メートル以内にはバラスト水、廃油を捨ててはいけないというような規定がございますので、それによって規制をすることはできるわけでありますが、いずれにいたしましても、その捨て場が問題でございます。捨て場の整備を今後強力にやりまして油濁の防止に努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  188. 多田時子

    多田委員 何かよく理解できないわけなんですが、要するに問題は、いまのお話にもありましたように二点あると思うのです。  一つは、整備港に指定されているのは現在川崎と横浜だけであるということであれば、それ以外の港を運航するタンカー等のバラスト水は、逆にたれ流しをしてもいいという立場になってしまう、こういう点が一つ問題点であることと、もう一つは、百五十トン以下のタンカーあるいは五百トン以下のその他の一般の船舶、その問題はこの法の適用を受けないというところに一つ問題があるということで、この二つが問題の焦点になるようでございますけれども、いまの御答弁ではちょっと理解をしにくいわけでございますので、もうひとつ明確な御答弁をいただきたいと思います。
  189. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。現在の法律におきましては、先ほど申し上げましたように、タンカーにつきましては百五十トン、その他の船舶につきましては五百トンということで、それが適用の限界になっておるわけです。原則といたしまして、この法律では、船舶は「本邦の海岸の基線から五十海里以内の海域」、それから「本邦及び外国の沿岸海域であって、政令で定めるもの」、ここには「油を排出してはならない。」という規定がございます。ただこの規定は、油送船以外の船舶、したがって普通の貨物船でございますが、「油送船以外の船舶又は平水区域若しくは沿海区域を航行区域とする油送船が次の各号の一に該当する場合における当該船舶からのその運航又は修理に関し必要な油の排出には適用しない。」適用除外の規定がございますが、その場合と申しますのは「廃油処理施設が整備されていない港であって運輸省令で定めるものに入港するため当該港に向って航行中の場合」、「施設未整備港」といっておりますが、その施設が整備されていない港に向かって航行中の場合、それから「施設未整備港において航行中の場合」、港において航行中の場合、その場合には適用しないとなっておりますが、「前項に規定する油の排出は、海岸からできる限り離れて行なわなければならない。」ということで、なるべく遠くに捨てろということでございます。なぜこういう規定が設けられたかということにつきましては、五十海里という遠い距離になりますと、たとえば「平水区域若しくは沿海区域を航行区域とする」タンカーは、五十海里まで行くことができないわけであります。「沿海区域」といいますのは、大体二十海里くらいでございますので、それ以上遠くに行かなければいかぬということになりますと、その船が持っております航行区域よりもっと遠いところということに相なるわけでございますので、それが非常にむずかしい。したがって、廃油処理施設の整備を早くいたしまして油が捨てられる、それに伴ってこの適用除外からはずれていくというようにいたすべきであろうというように考えるわけでございます。
  190. 多田時子

    多田委員 いまの問題を続けていきたいんですが、いまおっしゃる適用除外をされていること、そこが問題ではないかというふうに、いま私も質問申し上げているんですが、どうしてもそれのお答えはいただけないようでございます。それは後ほどに回しまして、いま橋本政務次官が退席されますそうですので、その問題を先にちょっとお願いをしたいと思います。  それは、いまここに持ってきておりますけれども、これは最近起きた問題ではないようなんですが、表面化されてきたのは最近のようでございます。これはいわゆる、アメリカから渡来いたしましたブタクサ——アメリカシロヒトリが一時問題になりましたけれども、それによく似た問題ではないかと思います。それで問題は、人間それ自体に影響を直接及ぼすということでこれは問題になってきたようでございます。それが、特にアレルギー体質の人がこれを敏感に受けるということでございますが、事実その近辺に行ってみましたところが、大きく問題にしないまでも、ちょうど夏かぜに似た症状になるものですから、かぜではないかというふうに済ましてしまった方々が多いようですけれども、実際はブタクサによる影響であることがはっきりしているわけなんです。医師の診断等もありまして、また、医師自体からの証言も得まして、今回ここにその対策について伺うわけでございますけれども、その問題が起きて、まず、都に問題の解決策を依頼した。   〔委員長退席、島本委員長代理着席〕 ところが都は、相談室というのがあって、都民相談室にそれを回した。その相談室はさらに区へ回した。区からまた相談室へ回ったということで、結局たらい回しで、何の対策もない。これは、ただ刈ればいいことなんですが、ただ刈ればいいと申しましても、その草自体は相当繁殖力が旺盛で、しかも大きな、私の背ぐらいに伸びていきます。とてもその近所隣の人たちでは刈り取ることはできない。しかも、さわれば、切り傷などあろうものならそこから大きく炎症を起こす、あるいは鼻汁が出る、あるいは目が赤くなってはれる等々のことがありますので、そこを通るにもマスクをして通るといったような現状で、これは世田谷の問題が表面化いたしましたけれども、全国的にいま土地の値上がりを待つ休閑地というものがたいへん多うございます。そこに猛烈な勢いで繁殖をしております。これに対して、最終的に伺いたかったのですが、最初に政務次官、この問題に対して、国としてというよりも、国のサイドで都の条例なり何なり、そうした推進の力をもってこの駆除に当たっていただきたい。これが第一の要点でございますが、よろしくお願いいたします。
  191. 橋本龍太郎

    ○橋本説明員 結論から先に申し上げて恐縮でありますが、本日午前十時から、東京都に関係の者たちが集まりまして、現在対策を相談をいたしております。いま、たまたま先生、区の名前をおっしゃいました。実は世田谷区の場合、世田谷区の所管外だといっておられまして、そのたらい回ししていられた元凶なのでありますが、調べられたところ、御自分の区の区有地にたいへんたくさん繁茂しておるということで、あわてて土木部を督励して刈り取りにかかられたということであります。  ただ、これはひとつ、いま先生がブタクサというものを取り上げてお話しになりましたが、私どもとしてはむしろ違った側面でこの問題は見さしていただきたいと思います。と申しますのは、植物の花粉あるいはその他によるアレルギー性の疾患の問題というものは、実は従来からわが国においてもいろいろなケースが出ておりました。そしてそれなりに一つのアレルギー性疾患の対策として、実は私どもは今日まで考えてまいっております。中には、たとえば松の木の花粉であるとか、あるいはキョウチクトウの花の花粉であるとか、山野に自生するものばかりではなくて、一般の家庭の中に庭木として観賞されるようなものの中にさえ、実は植物性のアレルギー疾患の原因となるものがあるわけでありまして、量的に繁茂が激しいために、ある意味での大きな問題になってきたことは事実でありますが、これは八日、本日の十時から、都として私どものほうにも関係者の招請があったようでありますが、対策が練られておると思いますけれども、全体としてのアレルギー疾患の一環として考えさせていただきたい、今日私どもはそのように考えております。
  192. 多田時子

    多田委員 いまの問題は、また後ほどいろいろ伺いたいと思います。  最初の問題に移りたいと思いますが、先ほどの港湾局の方にもう一度お尋ねしたいと思います。  百五十トン以上のタンカー、五百トン以下の一般船舶が法の適用を除外されているという点について、もう一ぺんよろしくお願いいたします。
  193. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。  一つには、海水油濁防止に関する国際条約の中に同趣旨のことが規定されておるということと、それから日本の国内法として考えました場合に、百五十トン未満のタンカーについて考えますと、おおむね平水区域を航行区域とするものがほとんどでございます。したがいまして、これが五十海里以遠に捨てなければならないということになりますと、船舶安全法上平水区域を航行区域として定められておるものを当然違反をしなければ出られないということになるわけですが、それは船の安全上非常に無理であるということで、こういうような規定が設けられたわけでございます。  それから五百トン以下のタンカー以外の船舶でございますが、こういう船につきましてはビルジの排出防止装置が本来なら必要なわけでございますが、この種の船舶につきましては、対象となる船舶数が多い割りにはビルジ排出総量がわりあい少ないということで、法律規制の対象とする緊急性はないということで法律から適用除外に相なったものと考えております。  以上でございます。   〔島本委員長代理退席、委員長着席〕
  194. 多田時子

    多田委員 いま法改正の問題が御答弁の中にございましたけれども、この海水汚濁の防止のための国際条約の条約改正がIMCOで採決されたということを伺っております。この改正点と、それからこれを国内法でどう対処していくかという問題、いまのいわゆる適用を除外されている船舶の問題に対して、今後法改正の意思はあるかないかという問題と、それからこのIMCOで採決されました国際条約の改正点を国内法でどう受けとめていくかという問題と、あわせてお願いいたします。
  195. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。  お話のように、昨年の十月の第六回IMCO総会におきまして、油による海水汚濁の防止のための国際条約が改正になりました。そのおもな改正点は、一つは油性混合物の定義を改めまして、現行では油の含有量が一〇〇PPM以上の混合物ということになっておりますのを、油を含有する混合物ということで、これを非常に広く、きつく規定をしております。  それから規制内容でございますが、まずタンカーにつきましては、現行条約では五十海里以内の海域で油または一〇〇PPM以上の油性混合物を排出することを禁止しておったわけでございますが、改正条約では、原則として全海域で油または油性混合物の排出を禁止いたしました。特に、次に申し上げる四つの条件がすべて満たされる場合にのみ排出が許されるということになっておりますが、一つは油送船が航行中であること、第二に油送船が陸地から五十海里以上離れていること、それから油の含有物の排出率が一海里につき六十リットル以下であること、走りながら排出していく場合に、一海里につき六十リットル以下の割合で排出をしていく。四番目に、排出油の総量が全貨物輸送能力の一万五千分の一以下であること、そういう場合に特に排出が認められる。  それから油送船以外の船舶につきましては、現行条約では施設未整備港に向かって航行している場合を除きまして、五十海里以内の海域では油または一〇〇PPM以上の油性混合物の排出を現在禁止いたしておるわけでありますが、改正条約では原則として全海域で油または油性混合物の排出を禁止いたしております。これらの船につきましても、特に次の四条件が満たされる場合には排出が許されるということでございますが、第一に船舶が航行中であること、二番目に油の含有物の排出率が一海里につき六十リットル以下であること、これはタンカーの場合も同じでございます。それから油の含有量が一〇〇PPM未満であること、排出が陸地からできる限り離れて行なわれることということがおもな規制内容の強化でございます。それから油清浄機の残留物の排出とか、機関区域からの潤滑油を含むビルジの排出も禁止されるという点が入っております。第四に、以上の改正に関連いたします油の記録簿の改正がございます。  このような条約改正が行なわれたわけでございますが、この条約を受諾するには国内法の改正をいたさなければならないわけであります。われわれといたしましては、この問題につきましては積極的に取り組んでいきたいというふうに考えておりますが、条約受諾の時期等につきましては関係省とも十分協議いたしたい。ただ、先ほど御説明申し上げましたように、かりにこの改正条約を全面実施ということに相なりますと、現行法で適用除外になっている場合、現行法の五条第二項の措置、特に内航船に対する措置、それはとりもなおさず廃油処理施設の整備の問題に入っていくわけでありますが、そのような施設の整備状況の一そうの促進というようなことも関連いたしまして、私ども現在真剣にその問題点を詰めておるところでございます。まあ海運国である日本といたしましても、できるだけ早い機会にこの条約を受諾して、海水油濁防止法の所要の整備をはかりたいというふうに念願をいたしておるわけでございます。
  196. 多田時子

    多田委員 いま国際条約としての改正点等についてはよくわかりましたが、それを国内法としてどう受けとめるかという問題と、そうしてできるだけ早い時期にということでございましたけれども、その点は次国会とか、そういう時期の点についても、もう一つお尋ねしたいと思います。  それから、国内法としてどう受けとめるかというこちら側の当局としての姿勢も、いまの御答弁ではあまり、積極的にというおことばのわりあいには、その精神面といいますか、姿勢といいますか、そうした点ははなはだ甘いのではないかというふうに考えられます。  もう一つは、先ほど三十三港の指定港の整備港の話がございましたが、この廃油処理施設のある港を整備港に指定していくというその段階、それもいつまでというふうな目標があれば、御答弁いただきたいと思います。
  197. 見坊力男

    ○見坊説明員 先ほどちょっと御説明の際に申し落としましたが、百五十トン、五百トンの点につきましては、改正条約におきましてもそのままでございます。  ただ、これを国内法としてどう受けとめるかという問題でございますが、直ちに国内法の中に全部取り入れるとかいうような問題は、先ほど申し上げましたように、現行法、現在行なわれておるものとの調整、あるいは所要の廃油処理施設の整備の進行ぐあい等、それをさらに促進することとか、いろいろな問題がございますので、そういう点を十分詰めまして、できるだけ早い機会に法改正までまいりたいということでございます。
  198. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私のほうで、いまあらゆる基本法から始まる各種公害法の検討をいたしておる対象に、船舶油濁防止法も、これを対象に入れております。ヨーロッパの国々あたりから、世界の海洋を油で汚染しておる最大の犯人は日本の船舶であるというようなこと等もきめつけられた国際的な環境もございますし、やはり条約の批准を急ぐとともに、国内法整備というものは、ただいまは事務当局の責任者としての慎重な発言でありますが、木部といたしましては、それらの規制の改正を国内諸法令について行ないます一環に、その対象といたしておりますので、これはなるべく同じように、次の国会に提案できる改正法の中に入れていきたいと考えております。今後調整を進めてまいります。
  199. 竹内良夫

    ○竹内説明員 整備の今後の方針についてお答えいたします。  現在十四港と申し上げましたが、整備指定港がいままで二港、本年八港ぐらいをプラスしていきたいというように考えております。  なお、三十三港につきましては、四十七年度の終わりまでに一応完了していきたい。で、三十三港の指定を四十八年度の初めにはしていきたいというように考えております。  この整備港が全部できますと、所要量の九〇%程度は処理できるというように考えております。  なお、それ以外のものにつきましては、船をつくりまして、その船によって処理していきたいというように考えております。
  200. 多田時子

    多田委員 次へ進みたいと思います。  この川崎が現在、きのうは横浜も入りましたが、指定港としてあったわけでございますが、この指定整備港となって指定されましても一向に利用率が上がらない。そういう点で、なぜ利用されないのか。私も行ってみましたが、やはりその日は一隻も廃油処理場には船は姿を見せない、九人の従業員の方々は手をこまねいてただ海をながめているだけ、こういうような実情で、せっかく海をきれいにしようとするその法律ができて、しかも処理場までできていながら、こうした利用されないというその原因はどこにあるのだろうか。こうしたことを当然運輸省としても研究され、またそれに対する対策考えておいでのことと思いますが、その辺についてお願いいたします。
  201. 竹内良夫

    ○竹内説明員 おっしゃるように、施設を使う方が非常に少ないようでございます。私たちも極力使うように、港湾管理者あるいは船の方々にもお願いをするわけでございますが、結局はモラルの面が相当あるのではないかというように考えております。われわれといたしましては、できるだけぜひ使っていただきたいというように考えております。
  202. 多田時子

    多田委員 現状によりますと、この一年間予想いたしました利用船の隻数は二千隻、廃油量五十万トン、ところが実際は三百六十七隻、廃油量八万二千トンで、全くの赤字である、こういうことでございます。まあ今後いろいろ検討をなさっていることと思いますけれども、やはりそこに停泊して船の中の廃油を出し、またそこから離れて航行に入るということであれば時間もかかる、そしてまたバラスト水ですと一トン四十二円という金がかかる、大きな船ですと一回に一万円以上もかかる、こういうことでお金もかかるし時間もかかる。それが夜こっそりと航行して、その夜のうちに排水してしまえばいままでどおりだということであれば、当然だれしもが、モラルの点を論ずればそうですけれども、まあいままでどおりに見つからないようにやっていればいいということにもなりかねない。そこで、その問題に対する具体的な対策がもしあれば聞かせていただきたいと思います。
  203. 竹内良夫

    ○竹内説明員 私たちといたしましては、具体的に対処するすべは現在のところはございません。ただ、十キロ以内におきますところの港則法、これを海上保安庁等で強く取り締まるというような体制は強化できると思いますが、結局は船の皆さま方が、全般的に海をよごしてはいけないということを考えていただきたいと願うだけでございます。
  204. 多田時子

    多田委員 願うだけでは、実際にはその効果はほとんど望めないといってもいいのではないかと思います。運輸省の先ほど来の御答弁ですけれども、それでは一体海水汚濁防止法を、ほんとうに海をきれいにするという目的を持って、だれが真剣にやっているのだろうかという疑問を私は持たずにはいられないわけでございます。ことしの二月の実績を見ますと、昨年来特に成果をおさめまして、六十何隻という隻数がこの川崎の廃油処理場を利用しております。このときは海上保安庁のいわゆる廃油不法投棄取り締まり月間であった。その結果、いままでになく最高の成果を示した。こういう実績もあるわけでございます。それをピークにいたしまして、またぐっと下がっております。五十隻を過ぎましたのは二月だけです。まただんだん下がりぎみでございます。こうした状況で、海上保安庁の不法投棄取り締まり月間の成果というものは、明らかに廃油処理施設を利用する船が多かったという成果となってあらわれております。海上保安庁として、この問題に対して今後どういう対策をお持ちか、伺いたいと思います。
  205. 手塚良成

    ○手塚説明員 先ほど来のお話しで、海上におきますところの油濁の状態は年々数が多くなっております。私どもはこれに対しまして、取り締まりの立場においていろいろ施策を講じております。先生御指摘の、ことしにおきます油濁法の順守の安全週間といいますか、強調週間といいますか、そういうのを第三管区本部においてやりましたが、その成果はいまおっしゃいましたとおりでございまして、まずその期間中においては相当な成果をあげておるかと考えております。最近におきますこういった増強の状態、あるいは公害問題が私どものきわめて身近な問題で、国民生活としてますます改善されなければならぬ現状におきましては、私どもの職分としましては、こういった取り締まりの強化ということを今後続けてまいりたい。しかしながら、これに伴いましての諸法令の整備、先ほどお話しのございましたような油濁防止法順守のための除外の船舶というものをできるだけしぼる、あるいは利用を指導いたしますについての油処理施設を早急に整備をしていただいて、取り締まりという面以外に一般的な使用の指導等も続けていきたいと考えますので、そういった整備を迅速にやっていただくというようなこと等を背景といたしまして、取り締まりと指導という両面によって、今後こういった面の施策を進めてまいりたい、かように考えております。
  206. 多田時子

    多田委員 もう一つ、海上保安庁に伺いたいのですが、油濁法第五章に罰則の条文がございますけれども、現在までに海上保安庁として、いわゆる海水汚濁事犯といいますか、そうした罰則に該当する事件、また現在までに検挙した数、そうしたものが、明細がわかれば発表していただきたいと思います。
  207. 手塚良成

    ○手塚説明員 四十四年の件数でございますが、海水油濁の私どものほうへの届け出確認に基づきました件数は三百八件、そのうち油によりましたものが二百七十三件で、全体の八九%になっております。この数字は、対前年四十三年に比べますと、三十五件、一五%の増になっております。このうち検挙いたしましたものが百五十九件、対前年の七%増になっております。この百五十九件のうち、違反の中身として港則法違反というので取り上げましたのが最も多うございまして百三十一件、いまお話しの油濁法によりましたものが十四件という数字になっております。そのほかは清掃法、港湾法あるいは水産資源保護法、こういった法律によるものの内容でございます。
  208. 多田時子

    多田委員 最後に公害副本部長にお尋ねしたいと思いますが、現在まで運輸省港湾局に廃油処理施設、油濁法等の問題について伺いましたけれども、私は何ら誠意ある回答というふうには考えられません。この問題はいま伊豆諸島でも水産物に多大な影響があるとしていろいろ陳情にも来、訴えております。そうした問題が各所にございますので、積極的にこの問題は取り組んで、何らかの手を打っていかなければならないのは当然のことでございますが、いままでの御答弁の中では、その旨をはっきりとお伺いすることはできなかったように思われますので、ひとつ最後に副本部長にお尋ねしたいと思います。
  209. 山中貞則

    ○山中国務大臣 事務当局としては、現在の法律のもとにおいて、でき得る限りの誠意ある答弁ということで、あの域を出なかったのだろうと思いますが、今後の方向としては、そういう整備港というものを、廃油処理施設ができれば直ちにそれをどんどん指定していくということで、整備並びに指定を進めていくとともに、それらの施設を利用しなければならないのに利用しないで、法律無視でかってに走り回るようなものに対しては、取り締まりが対象的にむずかしいといたしましても、罰則その他をきびしくするという点が一つありましょう。あるいはまた企業的、採算的に考えて、あなたのお話しのあったように、トン当たり四十何円とか、あるいは時間のロスがあるとかいうこと等も、あるいは暗夜にまぎれてこっそりということにつながるのかもしれませんけれども、そこらのところはやはり誘導策としてのそれらの処理に要した費用を税制上めんどうを見ていけるかどうか、あるいはそれらのものをきびしく処罰することによって、税制上の誘導策と相まって、そういうロスは当然の義務として、海の男が自分たちの走る場所をきれいにしようとするのはあたりまえのことだという意識に戻るように、私のほうでも、できるだけ事務当局同士の話を詰めながら、最終的には大臣同士の間で大所高所から踏み切るべきところまで踏み切ってみたいと考えます。
  210. 多田時子

    多田委員 最後に、先ほどのブタクサの問題をもう一つ厚生政務次官にお答えいただきましたので、農林省等に伺いたいのですが、そうした問題はこのブタクサばかりではなくていろいろ問題になっております関係上、その防疫体制とか今日までの状況、それから今後の防疫体制、このような問題について、農林省の方がお見えになっていらっしゃいましたら、お聞きしたいと思います。
  211. 福田秀夫

    ○福田説明員 お答えいたします。  ブタクサにつきましては、農業生産上の被害としての雑草としましては、今日までそれほど重要な被害もなかったようでございますけれども、しかしまた、この草が農耕地におきまして非常にはびこりますと、農業生産上にもいろいろ支障を来たしますので、ほかの雑草と同様にこの防除につきましても十分指導してまいっているところでございます。
  212. 多田時子

    多田委員 もう少し具体的に、たとえば千葉県の習志野では一つ条例つくりまして、この問題、未然に防いだということでございます。千葉県の習志野市でできることですから、東京都あるいは区としても当然できるはずでございますのに、これがたらい回しで、いつもどこもやるところがない。こういうことで、やはり国としてバックアップあるいは推進力になる必要があるのではないか。その点、連絡調整課長さんもお見えくだすっているようでございますから、その問題に対して今後どこへそういう問題を持っていけば解決をするのかという一つの具体的な道をお示ししていただきたいと思います。
  213. 福田秀夫

    ○福田説明員 農耕地につきましては先ほどお答えしたとおりでございますが、休耕地等につきましては、雑草あるいは病菌、害虫等の巣になると申しますか、発生、蔓延のもととなるという危険がございますので、近ごろ休閑地、休閑田というものもふえておりますので、そういったところの雑草防除につきましても十分指導してまいっているところでございますし、それから農耕地から転用されてしまいました土地につきましては、保健所、厚生省あるいは関係官庁から、技術的な面で助言を求められますれば農林省といたしましてこれに応ずる用意もございます。
  214. 多田時子

    多田委員 時間ですので、これをなお伺っていきたいのですが、また次回に譲ることにいたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
  215. 加藤清二

    加藤委員長 次は川端文夫君。
  216. 川端文夫

    川端委員 あとにまだ質問者も大ぜいいらっしゃるようでありますし、時間もだいぶん過ぎていますから、おもに山中長官に聞いて方針だけを明らかにしていただく、こういう立場で簡潔にひとつ要点を御答弁願って、できるだけ時間の節約に御協力願いたいと思うわけです。  そこで、御存じのように七〇年代は、都市問題と公害問題をどのようにわれわれが解決していくかという大きな課題であることは言うまでもない。その意味を含めて私はひそかに、佐藤総理が公害対策本部長になられて、山中長官が副本部長になられたことに対して拍手を送ろうとする気があったわけでしたが、どうも最近になってくると、拍手をどこへ送っていいかわからなくなってきた。したがって、総理を本部長とするこの委員会をおつくりになって、裏づけになる用意というものをいつごろ具体的にできるのか。きょうまでまだ何かもやもやされているようにしか考えられない。組織のための組織を準備されておるようにしか見受けられないのですが、この点に対してひとつ明快なる御答弁をお願いいたしたいと思います。
  217. 山中貞則

    ○山中国務大臣 公害担当相を命ぜられましたときに、私はおそらく在任中この問題でほめられることはあり得ないという覚悟は固めました。幾らりっぱにやっても、それであたりまえの状態を取り戻すわけでございますから、その覚悟はできておりますが、しかしながら、といって何もしないで覚悟だけ据えて、泰然と腰を抜かしておるわけではございませんで、出発いたしましてから直ちに毎週関係閣僚会議を開きまして、基本法をはじめとする法改正並びに先ほど御披露いたしました本日の閣議で決定いたしました緊急対策費の支出等、具体的に毎週毎週それを処理してまいっておるわけでありますが、それらはいずれも法改正等の問題が主でありますので、次の国会には基本法から始まってすべての関連法規を全部整備いたしまして、これが日本の公害対策に資する姿勢であるというものを打ち出してまいるために連日連夜努力をいたしておるところでございます。
  218. 川端文夫

    川端委員 連日連夜御苦労さまですと申し上げたいわけですが、われわれは当然のこととして予算も裏づけとして必要なのではないか、そういう意味も含めて、法律改正と予算の問題を含めて臨時国会をお開きなさいと、そしてこの問題に対していっときも早くひとつ対策国民の前に示して、国民に政治に対する信頼と安心を持ってもらおうじゃないかということを呼びかけているのですが、どうもそこまでいかない。  たとえば一つの例をいいますと、きょうのこの公害特別委員会と、昨日の科学技術振興対策特別委員会との話の中にも、大きな食い違いがあるように感じられるわけです。昨日の委員会において委員質問に対して、いわゆる海洋投棄に対しては海底平和利用委員会の勧告にもあるとおり、有害物は海洋に捨てない、捨てては困るということに対して、もっともだと、西田科学技術庁長官は、この海洋投棄ということは恥ずかしいということを明らかにされておるわけですね。しかし、この委員会をけさから開かれておるけれども、どうも田子の浦の問題に対しても、海洋投棄以外に方法がないと、こういうような断定、まあ露骨にいえばドグマ的な答弁しかないように思うのだが、私はもっと突き進んで考えられる道があるのではないか。先日私は田子の浦を見てきました。しかし、田子の浦を見てきて、あの港をつくった当時からあれは適しない港となってでき上がったのではないかと思われる。川を二つ、いわゆる土砂が流れ込む姿の田子の浦の港の上にあの製紙廃棄物が流れ込んで、それが混合されてだんだん港が機能を失うような条件ができてきておる。こういうことに対して、先ほどからの山中さんの答弁を聞いていると、国は責任がないという、ちょっぴり逃げながら答弁されている一面があるように聞こえたのです。これは聞き違いなら訂正しますが。責任は一方逃げておいてものを言っているということでこの公害の問題が解決つくのであろうか、つかせられるだけの英断があるのかどうかということを感ずるのですが、まず心がまえの問題を先に承りたいと思うのです。
  219. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、たびたび申しますように、責任をのがれるということは毛頭ございません。ただ全般的な方向として、基本的に都道府県知事に身近な自分たちの地域住民の問題としてとらえていただいて処理していただくことが正しいという大方の国会の議論、あるいはその他の世論等をくみまして、いま全面的に権限委譲を地方都道府県知事にやろうという方針を次々と打ち出しております。でありますので、田子の浦のケースも、やはり都道府県知事さんの手によってそれが処理されることが望ましいというふうには考えておりますが、それができないということでありますならば、当然政府の立場において乗り出すこともやぶさかではない。これは当然のことであります。  また港をあそこにつくったことのよしあしという問題も、私自身もそう思います。しかしながら、現実には港がありますし、そしてその港の機能が麻痺をするという状態を何とかしなければならないということに立ち向かっておる現状でありますから、港のあそこにつくられたこと自体の議論はすでに現時点においては問題ではなくなって、そのことの起こった現象をどう処理するかという問題に尽きるだろうと思うのです。私も西田大臣が答弁されましたように、私たち人類が経済の伸展のために、生活の向上のために努力した結果に起こってまいりました廃棄物、これを人間の英知が処理できないということは恥ずかしいと思います。また、本来すべての地球上の人類の享有すべき水域である海洋に投棄することも、原則として好ましくないということは、私もたびたび前提として答弁をいたしておりますが、緊急措置をする場合には、海洋投棄も含めた、先ほど岡本君のお話で示唆も受けましたけれども、陸上処理あるいはまた一部の緊急船だまりをせきとめての処理というような、あらゆることを考えて、港湾機能の回復、これ以上の悪質ヘドロの堆積の増加を食いとめるということに全力をあげたわけでございまして、私は、海洋投棄すべきことが最も正しいことである、望ましいことであるとは断じて考えておりません。
  220. 川端文夫

    川端委員 もう一つものを申せば、漁業者が反対しているという一面もあるけれども、やはり港としての機能として適するかどうか、現状のまま航行ができるかどうかということで海員団体がいま調査中ですが、もし船の腐食なり、人体に影響があるならば、乗船拒否をするという方針も予告しながらいま調査している段階である。そういう問題もあるのに、いまのところは何か海洋投棄だけを二十日に強行するのだということが伝わっておる。これだけしか対策を立てていないのじゃないか、こういう感じがあるわけです。  特に、けさの新聞をごらんになりましても、東京都が、死の海と化そうとするこの東京湾の問題に対しては、いろいろな有機物の有毒のものが出てまいっておるままを海洋投棄するわけにいかない、内湾の深いところに埋めて、多少さくをつくってでも外へ漏れないようにしてやりたいという悲願を込めていま発表されておることから考えて、私は、海洋投棄だけが方針であるように聞こえてくることに対しては、あまりにも策がなさ過ぎるのではなかろうか。並行してやはり何らかの方針を準備される必要があるのじゃないかということをお尋ねしたいわけなんです。
  221. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これも答弁いたしましたが、竹山知事のほうで、企業側の処置に対する説得並びに漁業者の説得については私にまかしてほしいというおことばでございましたので、おまかせした形で若干推移した日にちのあったことは私も否定をいたしません。しかしながら、東京都においては、コンクリートの壁をつくって、そこに、土砂と廃棄物と交互に、ヘドロを流しながら、やがては土地造成ということにしていこうという計画のあることも注目をもって見ております。しかし、田子の浦の場合には、土地造成というものを海面に向かってつくり上げるような、あるいはそれを将来はさらに新しいバースに仕立てるような条件がなかなかないようでございまして、やはり、先ほども申しましたとおり、陸上処理の場所があり得るかどうか、これらも、今後の問題としては、現地のほうでその場所等について御示唆がありませんと、ただ中央のほうでそういうことをしたらどうだという、あるいはしろということの指令もなかなかできかねますので、もう少し模様を見て、地元の知事さんあるいは富士市を中心とする地元の市の関係者の方々の御協力を仰ぎながら、港があって、その港の機能を、乗り組み員の人々が自分たちはあの海域にはもう船をつけたくないと言われるような全く情けない状態にすることだけは食いとめなければならぬというふうに思っているわけでございまして、私どもいまとっておる政策がまだ完全ではございません点は確かにございますが、国がすべてを処理しなければならないという、その前に、地方に権限委譲する場合には、やはり地方が処理し得るということが前提にならなければなりませんので、地方の自治体責任者の方々の御努力というものに期待をかけておる段階であることについては間違いないわけでございます。
  222. 川端文夫

    川端委員 一つ考え方なりいき方であろうと思いますけれども、私をもって言わせるならば、国家というこれだけの大きな権力をもってすれば、科学的な開発は十分できる道があるのではないか。  これも昨日聞いた話でありますから正確かどうかわかりませんけれども、大阪府においては、ヘドロを何か産業として再生させるためのパテントを特許庁へ提出したというようなことも聞いておるわけでして、きょうまで、これだけ、国内ばかりでなく国際的にまで大きな問題になっているときに、そういう準備が並行して行なわれていいのではなかったかという点が、われわれは残念に思えてならないわけです。  もう一つ私は——この問題を議論をしておると、冒頭に言いましたように、時間を食いますから、ひとつ、そういう意味において、視野をときどき変えた立場で研究をしてもらいたい。行政の中に一つの見方だけを追及していきますと、その中にマンネリズムになってしまうおそれがあるから、まあ大阪府の一つのやり方が成功してくれればありがたいものだと思うわけですが、それはどこまでのものかわかりません。しかしながら、とにもかくにも、全国民があげてみなノイローゼぎみになっている公害の問題に対しては、からだを張ってひとつやってもらいたいことを前提に申し上げながら次の問題に移りますけれども、今度公害基本法の改定の問題に対しては、野党だけではなくて政府も第一条の第二項の修正の問題はお考えになっている、このことは当然のことと思うけれども、いわゆる企業家なり産業界の力の関係をどう見るのか。責任企業にあるといっても、企業は国の方針に従って、企業を行ないながら、その中から収益があがれば所得税なりあるいは事業税を払って今日まで来たものに対して、はたしてできるものばかりあるのかどうか、企業責任の分野をどの方向まで追及できる用意を考えられているのか。もし追及できてやれるものがあったとしても、中小企業等の、できないものに対してはどうするのか、こういうことをどのようにお考えか、方針を明らかにしていただきたいと思うのです。
  223. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは午前中答弁いたしましたように、企業費用負担に関する法律を提出いたしますが、それについて当然中小企業等の配慮をいたしながら、なおかつ一義的には企業者の基因のはっきりいたしたものについては最高一〇〇%という負担を強制するということは前提といたしております。また田子の浦の問題で、事業団緊急融資十億、起債転貸債として七億というものも、これは企業が返済の責めを負うということで明確にいたしておりまして、このような基因者の明確なものについては、てきぱきと処理ができていくと思いますが、将来の問題としては、法改正をいたしまして、そして政府の姿勢並びにそれに対して関連企業負担しなければならない範囲、費用、その算出方法等を明確にいたしまして、それに対応いたしまして、零細企業等で問題になるであろうケースにつきましては、税制、金融その他の手段を講じて、それが直ちに企業倒産というようなことにならないよう、全力をあげるつもりでございます。
  224. 川端文夫

    川端委員 東京都がきのう発表した資料は、ここに私持っておりますが、新聞等に出ておることであるから一々報告はいたしませんけれども、とにもかくにも、下水処理の中に排出された金属有害毒物は、全部といっていいほど東京湾に流れ込むものは中小企業の排出しておるものであるといっても言い過ぎではないと思うのです。特に東京都においては、大企業らしいものが流しておるほどのものはありません。神奈川にはありますけれども。東京都はほとんど中小企業なんです。しかも、出しておるものは、けさも新聞に出ているように、膨大なる有害毒物を出しておる。このことから考えて、これらを企業責任として追求するならば、今日それでなくても金詰まりその他において苦しんでいる中小企業は、成り立たなくなる現実が出てまいることをやはり考えざるを得ないではないか。この点は、いまお話がありましたが、十分御配慮を願いたいということで一応この質問を打ち切って、次に移りたいと思うわけです。  その次の問題は、やはり公害対策に対しての予算的な裏づけが、どの点までお話し合いがなっているのか、どれだけの準備をしようとされているのか、考え方があったらお示し願いたいと思います。
  225. 山中貞則

    ○山中国務大臣 来年度予算につきましては、いまから、各省概算要求いたしましたものについて、公害に関する予算は全部私の手元で総ざらえをいたしまして、重点的に必要なところを、たとえば事業団の融資額は相当思い切ってふやすとか、あるいは金利等の条件をもっと考えるとか、いろんな点でやっていきたいと思いますし、また予算でも各省重複しておるようなものについては、私どもの本部の見解を添えて、大蔵の査定の指針にさせたいというふうなことで、閣議の了解もとっておるわけでございます。  なお、本日の閣議で決定しました緊急措置については午前中に報告いたしたとおりでございまして、予算措置の伴わない口頭禅に終わる取り締まり法だけではとてもうまくいかないことだけは十分承知いたしております。
  226. 川端文夫

    川端委員 私の調べがはたして正確かどうか、まだ正確に大蔵省へも予算折衝されているかどうかわかりませんけれども、聞くところによると公害の予算が一千百億円程度だ、このように聞いているのは事実かどうか知りません。これはまだ各省の概算の中にあるのかもしれませんが、私が聞いておるところによると、今年度は一千百億円程度だ。しかし公害の問題がこれほど一億の国民に不安を与えノイローゼを与えている条件の中に、はたして来年度一千億や二千億で問題の解決になるような条件をつくることができるのかどうか。この点は、たとえば私が調べても、全部が全部使ったわけではない、オリンピックなり万博に使った金、いろいろそこにいくまでの道路等の予算を織り込みますと、約一兆円ずつほど使っている。私が調べた程度ですから正確かどうかわかりませんけれども、その程度使っている。私は日本の政治の中にまだまだ封建的な時代と同じように、殿さまがお城をつくって町づくりしてきた古い封建的な考え方が残っているのではないか。はなやかなものに対しては思い切って金を出す、オリンピックなり万博に対しては——これをやったことを悪いと言っているのじゃないのですよ。それだけ出す金があるのにかかわらず、一億の国民が悩んでいる公害の問題に対して、来年度わずか一千億余りの金で公害が処置できるとお考えなのかどうか、このことを、ひとつ十分決意のほどを伺っておきたいと思うわけなんです。
  227. 山中貞則

    ○山中国務大臣 金額が一千億余りであるからだめであるというようなことばかりの議論もできないと思いますし、また下水道事業等は相当金を食う事業でもありますし、これは一方において公共投資という景気刺激の面等から考える財政運用の問題の一端にも触れるわけでありますから、両々相まって検討はしていきますけれども、各省の出しましたものの重点的なものについては、なるべくそれが原則的な政治の姿勢として予算の上にあらわれてくるように努力をいたします。ただ、幾らあれば足りる、幾らあればできないという端的なものでもなかろうと思いますので、各種の規制方針法律、あり方、そういうものと相まって、政治の姿勢全体、その全体を推進する上において不可欠な対応予算というようなものについては、これを不足がちにならないように、あるいは抜けておる点がないように十分注意して予算編成に臨むつもりであります。
  228. 川端文夫

    川端委員 理屈としてはそのとおりですが、しかしながら、実際の問題を見ているとそうなってはいないのです。言うならば、公害の問題でいまわれわれが一番痛切に感じなければならないのは、大気汚染の問題と水質汚濁の問題であろうし、土壌汚濁の問題ではあろうと思います。たとえば大気汚染の問題を解決しようとするには過疎、過密の問題を考えながら都市再開発の問題を十分考えなければならぬ、こういうことを考えた場合に、必ずしも、直接公害ではないかもしれぬけれども、やはり都市改造のためには、これは公害を緩和するための、排除するための施策が必要じゃないか。そのための方針はあってしかるべきだし、たとえば東京都の考え内容を調べてみますと、いま調べられた結果を見ても、改良下水によっても金属的な有害物はなくなりません。なくならぬけれども、水だけはきれいになって、かなり水質基準に適応するようになる。この一面は理解できるし、あの改良下水処理場において処理された残土は焼くこともできるわけです。燃やして肥料に使っている一面もあるわけです。しかしながら、この改良下水処理場が、東京都だけで見た場合に、わずか四割しかいま普及されていないわけです。三多摩その他周辺地区を除いて旧市内だけで四割、それを現在の姿で年々やっておるとどのくらいかかるかと聞いてみると、いままでどおりの物価であっても、いままでの考え方でいけば、二十年たっても旧東京市内を完全な改良下水地域にすることは困難であろうというのが当事者の見方であるし、いまかりに東京湾の中に、それらの廃棄物を捨てるために鉄のさくをつくってとりあえずやろうとしても、その金が足りないんだ、ないんだ。こういう一面で、全部ができるかできぬか、その間累積しておくわけにいかぬからどうしようかということが寄り寄り会議されていると聞いておるわけです。こういう緊急の問題で、直接公害の問題と、公害を除去するための下水処理の問題なり、あるいは都市改造の問題に対する予算の組み方の中に、何か一本筋が抜けているんじゃないか。皆さんはなかなか優秀なエリートの集まりですから、それは十分研究されておるかもしれぬけれども、素朴な国民の気持ちからいって、政府はかけ声だけかけておって何もやってくれないんじゃないか、政治たよるに足らずという結果が、政治不信の声となってやがてはわれわれにもはね返ってくることを心配するわけですが、これらの問題に対しては、やはり新しい大事業を起こすだけの決意で、来年度の予算なり、あるいは臨時国会を開いての思い切った予算措置の裏づけなしには、金だけではできないといっても、法律は必要だけれども、その裏づけになる——東京都の改良下水をやるのにこれから二十年もかかるというようなことを黙って見ておいて、それでやれやれ、やっているんだといったって話にならぬと思うのです。  こういう問題、あらゆる方面に角度を広げれば議論は幾らでも広がるけれども、やはりこれだけはこれから五年の間にやるんだ、公害の問題はいろいろ学者の説もたくさんありますけれども、わかったものだけは直ちに処理するんだという決意のあらわれがいま明らかにされなければ、国民の不安というものは解消されないんじゃないか。この点が、いろいろ準備はあろうけれども、何かひとつ決意が足らぬように、熱意が足らぬように考えられてしようがないんだが、この点に対してのひとつ決意のほどを伺っておきたいと思うのです。
  229. 山中貞則

    ○山中国務大臣 総理が本部長になりまして、内閣に対策本部を置くというのは全く異例なことでございまして、それだけにこの問題を私どもが解決できなかったということをかりに考えます場合には、内閣の運命も、あるいはまたわが党の政治の真価も問われることになるという覚悟は十分にした上でこの対策本部を出発させておるつもりでございます。もちろん予算につきましては、水洗便所の普及率とか、あるいは下水道の普及率等は、日本の比べてみてもいい近代国家に比べて、まことにお恥ずかしい状態にありまして、統計の数字を比較しますと憂うつでございますが、これらは近代国家日本、文化国家日本にするためには予算の重点項目として私たちが心がけていかなければならないことは、単に公害問題のみならず、やはり日本を先進国家らしい姿にするために、人目につかない場所でありますけれども、調べられたらまことにお恥ずかしいという状態が存在しますので、十分にそこらに配慮しながら、しかも、政治の姿勢として命運をかけて取り組むという決意をしているつもりでございます。
  230. 川端文夫

    川端委員 短い質問で終わりますという前提を置いたわけですからこれで終わりますけれども、山中副本部長を通じて佐藤総理にもお話しおき願いたいと思うことは、これは単に自民党や一佐藤さんの命運をかけてもらっても困る。国民的な問題として、われわれも虚心に皆さんに協力しよう、その意味において三野党だけではなく、四党政策審議会会長会議を持って、臨時国会を開いて、できるものからやろうじゃないかという熱意を持って考えておる、単にいままでのような党利党略をもって攻撃のための攻撃はこの問題ではしない、少なくとも全国民的な世論の背景に立って、国会が、各政党が協力しようという気持ちにおることをひとつ理解願って、各党にも虚心に御相談願って、多少困難な問題が起きれば克服して前進していくことを一日も早くやってもらいたい、このことを切にお願いして私の質問を終わりたいと思います。
  231. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私の答弁が誤解を招くような答弁であったと思いますが、いまの政治の責任をあずかっておるのは私たちでございますので、その意味において申し上げたわけでございます。処理について、各党が政調会長も含めた国対委員長等の会合を持たれて、熱心に合意点を見出そうとしておられることについて、当然念頭にあるわけでございまして、それだけにその期待にこたえるだけの、責任ある私たちの結論を導き出しまして、すみやかに国会の審議にかけるよう、法律その他について全面的な努力を開始することをお約束いたしておきたいと存じます。
  232. 川端文夫

    川端委員 勇断をお願いします。
  233. 加藤清二

    加藤委員長 次は米原昶君。
  234. 米原昶

    ○米原委員 私は、山中総務長官だけに集中して質問します。時間の関係もありますが、けさほどから委員会で質疑回答の状況を聞いておりまして、たとえば社会党の島本君が岳南排水路の処理施設をどうしてつけなかったというような問題や、あるいはあそこに水域指定をやらなかった、この問題なんかいろいろ質問してみると、事務官の答弁では、どこに責任があるやら、全くはっきりしない。公害問題では担当がどこやらわからない。こういう感じを持ちました。事務官級の答弁では、あるいはやむを得ないかもしれない。しかし、これはいま実に政治的な問題になっておるので、山中長官だけに集中して聞きたいと思います。ただし、実務的にやむを得ない場合にはその他の事務官の答弁もお願いしたいと思うのです。  最初にお聞きしたいのは、いまもちょっと話した、田子の浦のヘドロに関連しての責任の問題です。いま川端君もちょっと言いましたが、先ほど山中長官の答弁を聞いていると、国の責任はないんだということばが確かにあったのです。はたしてそう思っておられるのか。確かに私も主要な責任企業にある、そう思います。そしてまた県にも重大な責任がある。指定水域にすることを望まなかったというのは県知事だそうでありますが、この点は明日知事さんに聞こうと思っているんです。しかし、そういうことをこのまま放任して、そうしてこういう事態になっているということについては、やはり国が責任を感ずるのは当然だと思うのです。国には責任がないのだといって逃げられる問題ではもうなくなっている、こう思いますが、私の感じ方が誤解があるとしたら、長官にまずその点を聞きたいと思います。
  235. 山中貞則

    ○山中国務大臣 国に責任がないとは申しておりませんが、たとえばなぜあそこに港をつくることを認めたのか、しかも、認めてそれを貿易港の指定をしたか、これはやはり結果的には、それを許可いたしました運輸省というものの責任ものがれられないでありましょう。あるいは前進した異例の措置でありましたけれども、県営の岳南排水路というものに建設省が予算をつけた、このことは当初よかったと思います。これはしかし、地域の農地汚染というものに対してとられた措置であって、したがって、企業はそこにはたれ流してもいいんだという概念のもとに今日まで推移してきた。しかし、その環境は日々悪化して今日論議されるような状態になりつつある、なってしまった現在において、あわてて終末処理その他のことが議論されておって、また用地すら取得できていない。このことをもう少し前から建設省なり何なり、これは政府でございますから、政府としてやはり注意して、このような状態が続いたらどうなるか。岳南排水路は、単に農地汚染の問題を越えた海洋汚染、あるいは堆積ヘドロによる港湾機能の麻痺につながるという運輸省からなりの警告、あるいは関係県の要請を受けて国が何かをやるべきであったという点については、私も後手に回ったことを率直に認める次第であります。
  236. 米原昶

    ○米原委員 そこで、いますぐの緊急措置の問題ですが、先ほどからのお話では、陸上処理のほうがむしろ望ましいのだ、山中長官の見解はその点はわかります。しかし、緊急の措置としてはやむを得ない、やはり海洋投棄という考え方が、実際にはいまのところ中心になっています。はたしてそれでいいのかどうか。けさの新聞では、海洋投棄を二十日には強行するということがきまったように新聞に書いておりますが、この点ははっきりそうなっているんですか。二十日に強行されますか。この点まずはっきりお答え願いたい。
  237. 山中貞則

    ○山中国務大臣 新聞の報道あるいは私の聞いた情報では、知事さんは、海洋投棄を行なう、妨害すれば公務執行妨害であるということを言われたとか言われないとかいう程度のことは聞いておりますが、私は、きのう漁民代表の方々とお会いをして、やはり漁業者がいま最も何を求めておられるかは、企業姿勢である、あるいは誠意であるということをくみ取りました。ですから、目下企業がどの程度漁民の方々に誠意を示せるかということに重点を置いておるわけでございますが、しかしながら、海洋投棄の手段を絶対にやらないということで、はたして堆積する一方の港湾内の累積ヘドロというものを食いとめられるかどうかということになりますと、おそらく他に手段がなかなかむずかしい。陸上も急ぎますし、道も求めて切り開いていきたいと思いますが、緊急やらなければならないことの一つにどうしても海洋投棄が入るのではなかろうか。しかしながら、企業がもともとそういうものを出さなければこれは問題にならないのだから、たまっておるものだけの処理だからいいじゃないかという議論も成り立つと思います。現に、漁業者の方々の第一の要望も、企業はただいま限り直ちに操業を全部やめろということを言っておられます。私もよくその気持ちはわかります。しかし、たとえ三カ月くらいであったとしても、企業に全部操業をさせないということになりました場合は、紙の需給面の混乱は別といたしまして、やはりそれにたえ切れないものは、零細企業から先に倒れていくであろうということ等も考えますので、そういう乱暴な手段以前に、企業側がヘドロのこれ以上の流出を——少なくともいまの計画でも、一応企業側立場として二割操短くらいを申し出ているようでございますが、納得を得るに至っていない。されば、これに対してどのような姿勢をとるかは、もっと企業側のほうに、県知事さんを媒体として、容易ならざる事態であることの自覚、反社会的な企業として、地域に存在が許されない時代が来ておることの自覚、こういうものを求めまして、最後にはやはり政府としてもとるべき手段は万全を尽くして、強硬な手段も辞さない決意は持っていなければならぬと考えております。
  238. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、さしあたっては二十日からの強行ということは決定しているわけじゃない。知事さんはそういう意向かもしれないが、政府としては二十日からの強行は必ずしもやらない。昨日私も漁民の代表に会いましたら、山中長官に会ってその点をただしたところが、強行はしないという回答があったそうでありますが、そのとおりに受け取っていいのですか。
  239. 山中貞則

    ○山中国務大臣 九月二十日外洋投棄の開始というのは、逆算をして、一隻一億かかる改装その他が終わって曳航されていって、曳航といいますか、航海していって、その作業を開始できる日にちが二十日ころからであるということでありまして、現在のところは、やはりその間に漁民の納得を得る努力をする、これは漁業に影響があるかないかについては、海洋を汚染してはならないという原則を置かす。その次に、実際に被害があるかどうかという問題は、水産庁のほうで慎重に投棄場所について検討してくれております。それらの作業と相まって、でき得るならば、やはりこれ以上田子の浦の状態を悪化させないための手段として、私も、できるならば予定した二十日には外洋投棄の手段等も開始できるようにしたいという念願は持っておりますが、これはやはり政府のほうから強行しろというような命令をすべきものではないと思っております。
  240. 米原昶

    ○米原委員 そうしますと、二十日から強行しないということは言えないわけですね。——その点で、投棄する場所なんかも、まだ水産庁の検討の結果が出てないようでありますが、どういうことになりますか。いまのところではどのあたりに投棄することになっておるのか。新聞紙の報ずるところは、最初は百五十キロあたりという話だったけれども、最近では、それではもう黒潮のまん中に投げ込むような結果になる。それで三百二十キロから三百三十キロ、先ほどもどなたかそういう答弁をなさいましたが、そういうことになりますか。投棄するとすると大体三百二、三十キロのところに投棄する、こういうことですか。
  241. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは水産庁に一任してございますが、その過程においても百五十キロという数字なり地域なりが出た経過はございません。その場所については、すべて水産庁にその選定を一任しております。少なくとも沿岸から三百二十キロ以北のところでなければならないだろうというのがまず第一に出ておりますが、あとはそれを投棄した場合に、三百二十キロ以上であっても、それが既存の豊富な漁場として知られている伊豆諸島あるいは小笠原諸島、そういうところに与える影響はどうなのかという点について、その最終投下地点について、水産庁にさらに慎重な場所の選定を頼んでおるということでございます。
  242. 米原昶

    ○米原委員 昨日の科学技術委員会における科学技術庁の答弁では、あの地帯の海の浄化力、潮流あるいは風向き、それから魚族に対する影響、こういうものはまだ研究ができてないとはっきり答弁されているのですがね。そういう状態で一体間に合うのかどうか。そういうことすらまだわかってないのに、海洋投棄よりほかないという結論を出して、船のほうはどんどん準備を進めておる。このこと自体がずいぶん驚いたやり方ではないかと思うのですがね。この点について山中長官自身が、七月の委員会でしたか、副本部長に就任されたときのあいさつの中で、今後の公害対策の基本的な考え方一つとして、煙突を高くしてただ散らかす、あのやり方ではだめだ。いわゆる拡散方式では限度がくるのだということを話されまして、その点私、全く同感だったのです。  ところが、陸上でできたそういう汚染物質を海の中に投げ込む、これはあのときに長官自身がおっしゃった考え方と全く反する行き方なんですね。そういうことを、水産庁もまだ結論を出してないし、それからこれはいろいろな新聞に出ておりますが、海洋学者、魚類関係の学者は、ほとんど全部が、こんな乱暴な話はないと言って憤慨しておりますね。それなのに、しゅんせつ船のほうはもう準備して、二十日にはもう就航する準備ができている。一体そういうやり方ではとんでもない結果を引き起こすのじゃないか。勢いに乗って十分な結論も出ないうちにやられることになるのではないか。非常に危惧にたえないわけです。この点についてひとつはっきりした考え方を教えてもらいたい。
  243. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は、たびたび申しておりますように、海洋を汚染することはどの国も許されない行為だと思うのです。しかし、一方において、その今日までの経過は別として、港湾機能が完全に麻痺しつつある、その状態をほっておけない。しかも、その周辺の漁業者の方々も、このまま累積してヘドロが拡散していった場合には、やはりすでにサクラエビの漁場等は一部失われているということ等もいわれておりますから、何とかしなければならないということは事実だろうと思うのです。しかし、何とかする場合に、陸上投棄処分、処理だけでこれが完全にできる、その条件も整ったというめどがつけば、直ちに海洋投棄はやめてよろしゅうございます。しかしながら、海洋投棄のいろいろな影響について、科学技術的な立場から見れば、これはまだ完全にいいとも悪いともいえないということは当然のことでございまして、まだそれを調査した者もいないわけでありますから、いい効果を与えることはあり得ないことは私もわかっておりますけれども、万やむを得ない措置として、第一の目標達成のために、私の好ましくない手段を一部とらざるを得ないというのが外洋投棄になるわけでございます。しかし、これが外洋投棄をしなくても、陸上で済むような、しかも目的の港湾機能も回復し、企業の元せんもバルブが締められる、出るものも少なくなる。あるいは末端の終末処理もできる。そして陸上で継続的にある一定期間処理すれば、これはもう港湾機能としてほぼ完全に維持できる状態になるのだという見通しさえつけば、直ちに海上投棄をまずまつ先にやめるべきだと考えておることにおいて私は変わりはありませんが、しかし、やらないという場合においては、今日以上に田子の浦はどんどん悪くなっていく。その状態を放置していくことの責任をのがれることはやはり許されないだろうというふうに私は考えておるわけでございます。
  244. 米原昶

    ○米原委員 港の機能が現実において麻痺している、ここまできた。これは現実だからよくわかっている。同時に、もう一つの面があるのではないか。ヘドロの汚染によって汚水がずっと駿河湾に流れ込んで、現実にもう相当な問題が起こっておるわけですね。しかも、海洋投棄をやるということになって、あすこでどういうふうにヘドロのしゅんせつをやるのか。やり方によってはむしろかきまぜて、汚水がさらに駿河湾に広がっていくという面が明らかにありますね。同時に、いままで出ている水産学者の多くの意見を聞きましても、では完全に解決するかという、むしろ外洋投棄は三百キロ、三百二十キロのところでも非常に危険だと言っている学者もいるわけですし、もう魚族の根源のところを荒らす結果になるんじゃないか。  それからヘドロの捨て方ですが、この捨て方も学者は問題にしています。少しずつ捨てるというやり方、一カ所にどかっと何千トンというものを捨てるようなことをしたら、もう魚族を根絶することになるということをひとつ心配しております。一番いい方法は、何か大きなかんの中に密閉して三千メートルから下の地下の中に捨てるんだそうですが、そんなことじゃあの問題は解決つかない、解決法にならないと思うのですね。そういう点がどうも研究されていないような印象を受けるのです。  駿河湾の汚染というのがどの程度まで一体進んでいるのか。私も静岡県の水産試験場に行って聞きましたが、水産試験場自身がまだ調査していません。これは金がなくてできないんだ。実際はこれはたいへんなことだと思うのですね。駿河湾というのは、長官御存じのとおり、世界でもまれな重要な湾ですね。そして魚類の、サクラエビにしましてもあそこだけしか日本ではとれない。世界でもあれはまれなんでしょう。そういうようなところがいまのままでも荒らされている。港が埋まっている。これを解決しなくちゃならぬ。一つの問題はありますが、しかし、いまのやり方では、海洋投棄しましても駿河湾のよごれはもっとひどくなるし、また、あるいはへたなやり方をすれば、伊豆諸島、伊豆近海の魚族にぜん滅的な打撃を与えるような結果になりかねない。この問題はありますね。そういう問題を多くの学者が心配しているわけですけれども、そういう問題について納得のいく説明もない。漁民も、おそらくこれは経験からしてそういうことを感ずるのでしょう、港よりもまず海洋を守ってくれ、こういうことがまず一つあると思うのですね。港が埋まってしまうから、これは確かに一つの問題だ。これも解決しなくちゃならぬ。そうだといって、この漁業に大打撃を与えていいのかという問題がありますね。大体駿河湾のどこまで汚染が広がっているか。あそこで確かにいろいろな損傷魚が生まれておりますが、その原因が一体どこに基因するのか。それはヘドロなのか。ヘドロだけじゃなくて、ヘドロその他の悪水がずっと流れていますね、そういうことじゃないかということもいわれております。ヘドロをさらっただけじゃ解決つかないといわれております。そういう点について一体どう考えておられるのか。
  245. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私もしゅんせつの技術あるいは投棄の具体的な手段等についての専門家でもございませんが、やはり吸い上げ方式で船の中に、堆積した——もともとヘドロはあるわけですけれども、その上に堆積した製紙工場の悪質ヘドロですね、そういうものを吸い上げて、そのまま液状のまま海洋に持っていって、お話しのように一カ所にどかっと船倉を開いて捨てるのでなくて、なるべく広範囲に走りながら長く細くそれを投棄していくという手段をとらざるを得ないだろうということぐらいはいま一応打ち合わせ中でございますけれども、しゅんせつすること自体、それではたして解決することになるのか。あるいは港の機能というもの、それは駿河湾汚染というものもあるわけですから、それを解決するためにさらに広範な大洋の漁業資源というものに致命傷を与えるということになるのか、ならないのか、そこらのところはやはり慎重な検討を必要とするところであろうと思います。
  246. 米原昶

    ○米原委員 そういうふうに長官がお考えなら、少なくとも、そういう心配をされる諸点ですね、そういうものが基本的に処理できるという確信を持たない以上やってはならないことじゃないか。そしてこれは、長官自身の公害問題解決の試金石だと思っているのです。長官が公害対策副本部長に就任されて、これで失敗されたんじゃ、もういままでいろいろおっしゃったことも全部だめだと思うのです。そういう意味責任をもって、いいかげんな、当てずっぽうな解決策じゃだめだ、こう思うのです。  もう一つは、そういうことになってヘドロを吸い上げてそして運ぶというようなことになりますね。いま聞いているところでは二隻のしゅんせつ船だというのですが、何隻か知りませんが、それで三百二十キロのところを往復するわけですね。そうすると一カ月に一体何日ぐらいこれをできるのか。いろいろ報道されているところでは、実際上は半月もできないのじゃないか。あるいは非常に気候が悪くなりますね。これから秋から冬にかけて波が高くなる。実際問題としては一カ月の三分の一くらいしかできないのじゃないか。一方では、若干操短はやれるかもしらぬけれども、依然としてヘドロは流れ込んでくるわけですね。そしてすでにもう相当堆積しているわけでしょう。一体これの処理ができるのかということですね。捨てに行っても結局三日かかる。一月に十回ほど、二千トン、三千トン、あるいは四千トンかもしれませんが、運んでいっても、毎日いまのところ三千トン堆積しているというのでしょう。若干操短をやりましても、依然としてヘドロはたまっているのですよ。そして、そんなスピードでわずか二隻のしゅんせつ船でやって、外洋をおそらくよごす。そして元も子もなくなるようにかき回して駿河湾もよごれる。ほんとの解決になるかどうか、ほんとにヘドロをすくい取ることができるのかどうかということさえ心配なんです。実際的な解決には必ずしもなっていないのじゃないか。この解決はどうしても必要だと思うのですが、いまのやり方では解決にならないのじゃないか。それくらいならむしろ漁民の人が言っているように、一時的に港を閉鎖するということのほうがもっと安全だ。あるいは企業を全面的に停止を命ずるよりほかない。私はあそこへ行ってみて、企業停止を命じない人のほうの感覚がどうかしていると思いました。人間なら、あそこへ行ったら、こんな企業はともかくやめさせるほうがいいというくらい感じますね、直接の感覚としては。実際はいろんな問題を考えなくちゃいけないから、それだけでいけというわけじゃありませんが、根本的にはいまのやり方を、二割ぐらいの操短でいって解決になるかどうか、気休め程度のことじゃないか、こういうふうに感ぜざるを得ないのです。その点ではたして緊急対策にでもなるのかどうかということをはっきり説明してほしい。
  247. 山中貞則

    ○山中国務大臣 第一の、試金石であり、責任をとる用意があるかということでありますが、もちろん私は、政治家として、自分に担当を命ぜられた仕事で失敗したら、当然責任をとる用意を持って毎日仕事をしております。  それから、ただいまの具体的な疑問の数々でございますが、これは通産省の指導等によりまして——大手が汚染に占める比率が六〇%である。したがって、大手の諸君のあらゆる対策は来年の半ばごろまでに、汚染についての貢献度ということばをよく使いますが、ちょっとおかしいのですけれども、汚染に貢献する率を半分に下げる。あるいは大手、中規模ぐらいまでの、大手十八、中二十八ですか、というようなものを数えますと、これが八〇%汚染している。それもそれぞれの施策を企業に講じさせることによりまして、来年の中ごろまでにやはり同じような目標をもって排出物そのものの量を少なくしよう。一方、零細企業につきましては、スクリーンもしくは沈でん池、できれば共同施設でやったほうが負担が軽いと思ったのでありますが、なかなか企業の立地条件やいろいろの入り組んだ事情がありまして、やはり企業個々につくらせるよりしか手段がないように聞いております。それらのものを早急に援助しながらつくってもらいまして、零細企業そのものも岳南排水路のたれ流しの元せんを締めてもらう。そしてすみやかに岳南排水路の終末処理施設を完成させ、さらにこれに付随いたしまして、海洋投棄の是非の論は別といたしまして、これから先、季節風なり冬季の波浪が高い時期に来ますので、おっしゃるとおり、どの程度月間操業できるかもたいへん心配いたしておりますが、本来その目的のためにつくられた船でないわけでありますから、希望する会社が幸いありまして、運輸省のほうで、できれば公団の共有船等の形式をもって、もっと大規模な、そのための船というものの建造も計画しよう、そういうことの稼働力等を計算をいたしまして、四十六年中にできればきれいな海にしたいという努力はしてみるつもりでありますが、根本の海洋投棄の是非、その論はなおかつ残ろうかと思います。
  248. 米原昶

    ○米原委員 海洋投棄については、先ほどお話ししたようなこまかな点についてももう少し明確な結論を得てからにしていただきたい。そうでないと、全く無暴なことをやって、大失敗をやる結果になるんじゃないかと思うのです。  もう一つ、問題は海洋投棄の際、先ほども川端君から話もありました、海員組合が入港を拒否するかもしれないという決定をやっている問題ですが、これは全くもっともだと思うのです。  というのは、朝日新聞の九月五日に出ておりますが、「ヘドロ公害が問題になっている静岡県富士市田子の浦港北側の私鉄岳南鉄道吉原駅近くで、四日午前九時半ごろ、貨車の入替え作業をしていた電気機関車の運転士、稲葉任男さんが気分が悪くなって倒れ、市立富士中央病院に運び込まれた。」そして、その医師の診断によると、硫化水素ガスによる中毒の疑いがあり、一週間の治療が必要であるということで、一つの問題が起こっております。  私もあそこに行って、硫化水素のひどいにおいに驚きました。この前あそこで漁民大会が開かれて、漁民が船に乗って外のほうから田子の浦港に入ってきた。前に十二号台風が来る日ですね。海がたいへん荒れたんだろうと思ったところが、海が荒れたのよりも、田子の浦港に入って、目が回って倒れそうになったとみんな言っておりますね。硫化水素ガスで、とにかく私鉄の運転士が運転をやっておりまして、途中で倒れてしまったらしいのですね、気を失って。鉄道をとめたからよかったけれども、そのまま倒れたままだったらたいへんな事故が起こっているところなんです。あのあたりでただ電車を運転していて、これは湾の木材置き場のすぐそばらしいのです。そんなところで、貯木場のそばで、線路が通っているらしい。そこで運転していた運転士が倒れるというのは相当の状態ですよ。硫化水素にやられた場合は、私は医者の意見を聞きましたが、非常に危険だそうです。いわば青酸カリに匹敵するといっておりますが、そういうような状態のところに、そういう硫化水素が発生している場所に海員を入れてしゅんせつをやるということになると、当然いま以上に硫化水素が出てくる危険性があるわけです。これは人体にとってもたいへん危険じゃないかと思うわけです。ですから、そのことをやられるとしたら、この問題も解決されなくちゃならぬということになります。この点についてひとつ見解を伺いたい。
  249. 山中貞則

    ○山中国務大臣 その鉄道員の方、あるいは夏休みの取材と申しますか、勉強に、ヘドロ採取をした学童たちが何か被害を受けたとか、あるいは勤務しておられる現地のおまわりさんがどうも健康状態がおかしいらしいとか、いろいろの人命上のふだんの危険ということも私注意して見ておりますが、やはり作業をする場合においては、当然人命に対して危害の及ばないような事前の周到な準備というものがなしに始めてはならないということは、私もそう思っております。
  250. 米原昶

    ○米原委員 私は海洋投棄そのものを、やはりやめたほうがいいのじゃないか、そう思うのですが、陸上の処理の方法が、いまのところ適切なのが見つからない。また場所もないというような話でした。場所の問題については先ほど静岡県や富士市にさがさせるということを主にして話されたようですが、ひとつ国のほうでも積極的に陸上処理の方法を考えないといけないのじゃないか。実際の処理方法として、たとえばここに、新聞に出ておりますが、東京大学の名誉教授、水産学専攻の檜山義夫さん、この方がこういう意見を言っていますね。ヘドロの海洋投棄は絶対にやってはならない。軽率にやったらたいへんなことになるということを言いながら、こう言っております。田子の浦港がヘドロで埋まった。会社は処理用の沈でん池をほとんど持っていないというひどい話だが、それならば田子の浦港の港口を閉鎖して、田子の浦港そのものを沈でん池にするのも解決の一策ではないか。ヘドロも港に捨て、船も入れるでは虫がよ過ぎる。船をつける港を別に早くつくって駿河湾をヘドロから守ってもらいたい、こういう意見があります。これを私読んだときに、これは港をつぶすことを覚悟の上にやるのですから、相当乱暴な意見だとは感じました。これ以外の解決法があれば確かに——しかし、これも確かに考えてみなくちゃならぬ一つの重要な点じゃないか。へたなやり方をやったら漁業を全滅させるおそれがあるのです。明らかにあるのです。ですから、何とかあそこ自体で解決する。そうして川から流れている水もあるわけですから、上澄みの比較的いい水だけを湾の中に流して一時閉鎖して、あそこの中で一ぺん処理する方法を考える。さらには陸上で最後的にもう一ぺん処理するような方法も考えながら、あそこ自体で処理するということも考えたらどうか。海洋投棄というやり方一本でいくことは非常に危険だ、こう思うわけです。この点どうでしょうか。
  251. 山中貞則

    ○山中国務大臣 企業の諸君も、港の機能を失うということは、逆に自分たちが出した排せつ物で自分たちの首を締めることになっているわけですね。自分たちの必要な船が入れないわけですから。そこらのことわりくらいは、常識は持っておるでありましょうから、おそらくわかっておられると思うのです。それについて企業姿勢というものがどこまで打ち出せるか、私はやはりここのところに出発点があると思います。政府の姿勢としては、こういう加害者の原因のはっきりしたものは、全部企業負担にするぞという姿勢は、すでに先般十七億円の負担は全部企業だということで明確にしておりますから、あれは単にそのときだけの措置ではなくて、今後も継続するわけですから、企業が無反省にいまの状態を続けていった場合には、どんどん企業の自分たちの存在に、採算上からも重荷になってくる、負担がかかってくることは明白なわけでありますので、いま言われたような、港そのものをせきとめて沈でん場所にして、投棄しないで、そこに締め込んでしまうということも、あるいは最悪の場合の思い切った、奇抜でありますけれども、考えられる範囲の中にある一つの提案かと思いますが、いまのところはやはり企業側の自覚ということがどうしても必要だと思います。それがわからないという姿勢があるならば、これは政府としても強硬な手段も辞せないということにならざるを得ないと考えます。
  252. 米原昶

    ○米原委員 確かに企業の自覚が足りないという点が最大の問題だと思います。しかし、そうなったについては、いままでの経過を見ましても、政府もかなりあいまいだった。岳南排水路をつくる際に、これは農業用水ということが主だったとはおっしゃいますが、その場合に会社の沈でん池までつぶして岳南排水路に入れてしまった。そういうところもあるのですね。これはひどい話ですよ。それでそこのところをつぶしてそこに工場を建てたから、いまは沈でん池はつくれなくなっている。だから、これは政府がある意味では甘やかしたといってもいいのではないか。そういう限りでは政府に責任があると思う。そういう点でひとつ政府も責任を持って積極的な解決策をとってもらいたい。静岡県のほうのやり方も指定水域にすることをしないでくれといったり、全くなってないと思うのです。しかし、これも政府に指導責任があるので、ひとつそういう点を考えて、いろんな心配がたくさんありますから、山中長官が思い切った措置をとろうという気がまえは非常にいいと思うのです。勇敢にやると同時に、しかしたいへんな悪い結果をもたらさないように、そこはひとつしっかり検討して、結論が出たら勇気をもって断行してもらいたい、こういうことを要求しまして私の質問を終わります。
  253. 加藤清二

    加藤委員長 次は大原亨君。
  254. 大原亨

    大原委員 私は、きょうは海水の汚濁の問題、特に瀬戸内海全域の汚染の問題について、その中で赤潮の問題は非常に大きな問題になっておりますが、特に具体的な環境基準の設定が九月一日の閣議であったわけですが、大竹・岩国地区、そういう地域中心にいたしました、以上申し上げたような総合対策についてひとつ質問いたしたいと思います。  瀬戸内海の赤潮は、たとえば宮島ですが、大竹・岩国地区からうんと広島寄りなんですが、宮島の沿岸から広島、呉、岡山のコンビナートに至るまで、ずっと青い海ということではなしに、しょうゆのような海、赤い色をし、黒ずんだ海になっているわけですから、たとえば宮島にいたしましても、もう観光地といたしましては昔のような潮のにおいはないし、非常にどす黒くて気持ちの悪い色とにおいで、すっかり日本三景の一つの姿をこの一両年で失うという状況にあるわけです。ですから、これが一歩進んでまいりますと、いま議論をされている田子の浦港やあるいは東京湾のように、赤潮の原因である植物性あるいは動物プランクトンも発生しないような汚染状況になるだろう、こういうふうに考えるわけです。  そこで、この赤潮の問題をまず最初に取り上げるのですが、これは国会ではあまり議論されたことはありませんが、地方議会やあるいは各県議会、市議会等では非常に大きな問題になっております、瀬戸内海全域で。しかし、この赤潮の発生原因や実態調査はほとんど行なわれていないという状況です。しかし、私どもは公害の問題を議論する際には、具体的に議論しなければ実態がつかめないことが一つあると思うのです。公害問題の根本はどこに発生源があるのか、こういう点を究明しなければならぬ。ばく然とやってもどこかにやはり公害源があって、それが集中し集積をしまして、量から質に変化をして広い範囲の環境破壊をもたらす。魚がすまないような瀬戸内海になれば、人間のいこいの場にもならぬわけです。そこで私は赤潮の問題を中心に環境基準の問題、瀬戸内海をどうするかという問題について、短時間ですが集中的に質問いたしますから、関係各省の皆さんこっちに来ててきぱきとひとつ答弁してもらいたい。  まず第一に質問をいたしますが、プランクトンの異常発生により海中の酸素が欠乏する、あるいはプランクトンの死体が分解する、そういう過程を通じて酸素がなくなって、そうしてたとえば先般の八月の九号、十号台風の直後には、大竹・岩国の指定水域の十キロ沖合いにある阿多田島、これは昨年までは五万人も海水浴客がおったのですが、ことしは四千名、来年は海水浴場閉鎖、そこではハマチの養殖で二年ものを含めて十一万五千匹が一ぺんに死んでいる、こういう事態があるわけです。それだけではなしに、瀬戸内海の生き魚といって東京でも皆さん方たくさんいまでも食べているんです。これはほんとうは瀬戸内海の生き魚ではなしに、方々から来たやつを瀬戸内海の生き魚として食べているわけですが、ハマチとか、メバルとか、チヌとか、タイとか、貝とか、カキとか、ノリとかいう、そういうような瀬戸内海の漁業資源というものが非常なピンチになっておるわけですね。その一つの大きな原因は赤潮なんですね。赤潮が一時的に異常発生しておったのが、恒常化して、一般化しておるという現状があるわけです。その赤潮の発生原因を、被害者の漁民や生活環境が破壊される住民立場に立って、政府はどこの機関で研究をしておるのかということを私はまず最初にお聞きをいたします。
  255. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私ども水産関係にとりましては、赤潮の問題はきわめて重要でございます。かねてから各大学等の協力を得て研究を進めておるわけでございます。その一例について申し上げますと、四十一年から四十三年にかけまして九大の花岡教授を主任研究者にいたしまして、一つの相当多数の地域についての研究がございます。それからもう一つは、主任研究者といたしまして水産大学校の松井教授を据えまして、水産庁の南西水研あるいは山口県の内海水試等々の共同研究者を得まして、これは相当な金をかけまして、瀬戸内海水域の赤潮に関する総合研究を四十二年から四十四年にかけてやっておるわけでございます。赤潮の問題はなかなか複雑でございまして、研究者の言によりましてもこの究明はなかなか容易ではございませんけれども、だんだんにその展望が開けておることは確かでございます。
  256. 大原亨

    大原委員 政府が独自にどこかの研究機関を持って予算を設定して、人員を配してやるというふうな責任ある研究体制は、私が調査をしたり、関係者から意見を聞きましたところではないわけです。いまお話のような九大の先生や広島大学の水畜産学部の先生等に依頼をしてやっておるわけですが、これも私は非常に中途はんぱであると思うのです。  そこで私は、漁民の立場に立って、住民立場に立って聞きたいのは、公害問題は常に真実の調査が基本になるのですね。赤潮の原因は何によるんだ、赤潮がああいう異常発生するのは何によって発生するのであるか、こういう点についてどういう見解を持っておられるかということが一つ、簡潔にお答えください。  それからもう一つは、それに対してどういう対策を政府は立てておるのか、こういう点をお聞かせいただきたいのです。  つまり、これは数年前からずっと異常発生しておって、昨年から本年にかけて急速度に一般化して、そして育てる魚からつくる魚といって水産庁は非常に育成してきたし、各県もやってきたのですね。それが限界点にきているわけですね。ですから、その原因の究明と対策は今日もうできても早いことはないわけです。これはいかがですか。
  257. 大和田啓気

    ○大和田説明員 赤潮の原因はきわめて複雑でございますけれども、私どもの研究の成果に立って若干申し上げますと、赤潮の現象形態といいますか、あらわれ方といたしましては、一つは赤潮のプランクトンの死滅、腐敗によって、水中酸素が欠乏いたしまして、また硫化水素等の有害物質が出る、そこで水産関係に被害が起こるという場合が一つございます。これは夜光虫の腐敗による硫化水素の一つの例でございます。  それからさらに第二番目の形といたしましては、粘着物を多量に細胞外に出すプランクトンがございまして、これが大量に粘着物を出しまして魚介類のえらに付着して、そうして魚介類が窒息してしまうという場合がございます。これは繊毛虫による場合でございます。  それから第三番目は、プランクトンに含まれる有毒物質によって魚介類が死ぬ場合でございまして、これは鞭毛藻による場合でございます。その他若干の形態があるわけでございますが、いずれにいたしましても赤潮の原因は海水中の栄養塩、たとえば窒素とか燐酸等々、それから水温、海流、その他いろいろな要因が複雑にからみ合って、私どもの調査によりましても一律に申し上げることができないほど複雑であるわけでございますが、その原因としてただいまの研究段階考えられますのは、たとえば雨が降りましたあとで河川の水が大量に海に入る、あるいは都市排水なり工場排水なりによりまして海水中の栄養塩類、特に窒素とか燐酸でございますが、それが急速に増加する、そういう場合が考えられるわけでございます。  またある場合は、水の出入りが悪くて、いわば水が停滞をいたしまして、また特定刺激物、これはビタミンB12というのが検定されておるわけでございますが、そういう刺激物が急に何らかの条件で発生して、それが赤潮発生の原因になるという、そういうことがあるわけでございます。  そこで、いままでの研究の過程におきましては、たとえば硫酸銅を海面に投棄いたしまして、これで赤潮が若干防げるのではないかというそういう想定をもって研究をいたしたことがあるわけでございますけれども、必ずしも十分の成果はあがっておらない、そういうことでございます。  いずれにいたしましても、いま申し述べましたような理由でございますから、基本的には排水の処理によりまして栄養塩類が過大に流入してくることを防ぐということがやはり基本的な問題だろうというふうに私ども理解をいたしているわけでございます。
  258. 大原亨

    大原委員 海水のプランクトンの異常発生による赤潮、青潮、赤潮は言うならば学者の意見によると、陸上で言うならば光化学スモッグのような、そういういろいろな条件のときにそういう大きな被害が発生するのだということなんですが、異常発生する原因はいろいろな原因があるわけです。しかし、なぜ最近そういうことになったかということの一番大きな原因は、工場排水と臨海工業地帯が瀬戸内海をずっと取り囲みましたその都市排水ではないのですか。この二つではないのですか。たくさん並べておいて、そしてこれは原因が不明だ。だから責任はどこにもないというふうなことで逃げておるわけですが、私は大きく言えば、工場排水と、それから人間が臨海工業地帯に集まっておる都市排水、この二つではないかと思うのですよ。いかがですか。
  259. 大和田啓気

    ○大和田説明員 ただいま申し上げましたように、赤潮の原因は複雑でございますけれども、基本的には都市排水あるいは工場排水等々を規制いたしまして、栄養塩が過度に流入することを防ぐということが基本的な問題であろうというふうに私どもも考えておるわけでございます。
  260. 大原亨

    大原委員 もう一つ私は、県議会とかいろいろな各官庁の責任者の見解表明を聞いて特色があると思うのは、やっぱり都市排水、なまのふん尿、屎尿を瀬戸内海に流す。これは清掃法、厚生大臣に関係あることですが、そういうことを前面に出しがちなんです。しかし下水の施設をやりましても、下水の施設からは窒素が出るのですから、窒素と燐酸がある適度な条件のときにこれが結合いたしまして条件ができてまいりますと、一定のバランスの中でプランクトンが異常発生するわけです。あなたは言わなかったけれども、たくさんプランクトンが発生すると、酸素を吸うから魚が窒息するという面もあるわけですよ。その一番大きな根源は私は都市排水というよりも工場排水が第一だと思う。  たとえば、具体的なことを言わなければわからぬからあげますと、大竹・岩国地区には、山陽パルプとか、日本紙業とか、あるいは三菱レーヨンとか、興亜石油とか、化学産業とかあるわけです。田子の浦ほどはないけれども、一日百六十六万トンもこの政府の資料によっても工場排水物があるわけなんです。今度公害対策基本法ではA、B、Cのランクを設けて、Cが一番きたないのですが、B、Aとやって、ずっと奥のほうはAなんですけれども、Aに相当する阿多田島、これは五百名余りの人々が住んでいるのですが、その海水浴場の話をいたしましたけれども、そこは十一万五千尾も養殖ハマチが死んだ。その他の養殖魚類が死んだ。稚魚や自然発生魚も育成魚も死んだ。こういうことですね。これはA基準に相当しないのですよ。海水浴もできなければ、魚も死んでしまうのですよ。公害対策基本法第九条で、先般の九月一日に決定いたしましたものでは何もこれは意味ないのですよ。都市排水といいますけれども、大竹市は人口が減っているのです。海が汚染され、それからノリが、亜硫酸ガス等が発生しまして公害で減っているのです。岩国市も軍事基地がありますけれども、人口は横ばいなんです。広島市から一日六百キロリットルのものをずっと向こうのほうの島の近くに落としておりますけれども、途中で廃棄するのもあるでしょう。あるのですが、工場排水が一日百六十六万トンも排水するようになった。そういう条件で、その工場排水と同じような茶色系統の水と一緒に赤いプランクトンが発生しているのですよ。これは地域の人がみんな知っているのです。そのことを県や政府は隠すんじゃないか。水産庁も、責任ある官庁でないから逃げるんじゃないか。こういう疑惑が漁民や住民の中にあるわけですよ。  ですからかなり究明されておるけれども、なぜこんなに異常発生するのか。異常発生だけなのか、工場排水はないのか、こういう具体的な問題になると解明できていないわけですよ。私が調査した範囲では解明できておるのですが、できておっても、政府はあちらこちらの企業に遠慮したり、あるいはいろいろなところに遠慮して発表していないと私は思うのですよ。そうすれば、対策はどうするのですか。もう瀬戸内海はどろの海でもよろしいから、臨海工業地帯の運河として——ある人が、だれか言ったけれども、運河として利用すればいいのか、あるいは魚もすめるように、海水浴もできるように、宮島や島々の観光地として、いこいの場所として、生命も生き返るように、そういうふうにしていくのかどうか、これは基本問題になるのです。水産庁の長官だけを責めてもしようがない。しかし、これは水産庁の長官が被害者の立場に立って、あるいは他の官庁が被害者の立場に立って、赤潮の根源をはっきり言うべきである。それを言わなければ一歩も前進しないのですよ。いかがですか。
  261. 大和田啓気

    ○大和田説明員 まだ研究の過程でございますから、私ども断定的にものを言うことはなかなかむずかしいわけでございますけれども、研究者の意見を総合的に聞きます限りでは、工場用水ばかりではなしに、都市の屎尿等の投棄が相当の関係があるのではないかというふうに私ども聞いておるわけでございます。
  262. 大原亨

    大原委員 ここに瀬戸内海水産開発協議会、これは水産庁の瀬戸内海連合海区漁業調整委員会の事務局がある神戸市にあるのですが、各県や漁業団体等が集まりまして、専門家に自主的に研究を依頼いたしました。その文書によりますと、頻発する赤潮が工場排水、都市下水の影響と思われる、そういうことで赤潮についての大阪湾、広島湾、徳山湾、佐伯湾など大竹・岩国地区からのずっとの問題について一応説明を加えておって、これははっきり工場排水と都市排水によるのだ、こういうことをいっているのですよ、いかがですか。
  263. 大和田啓気

    ○大和田説明員 先ほどから申し上げておりますように、私どもの研究の過程におきましても、都市排水と工場排水とが相当な役割りを占めるであろうということは明らかでございます。ただ、いまお示しの文書は、各県の人たちあるいは団体の人たちが寄り集まって協議してつくった文書でございますから、必ずしもいろいろな形で研究をいたしておりますこととそのまま一致するということではないというふうに私ども考えております。
  264. 大原亨

    大原委員 水産庁長官、あんまり方々遠慮する必要ないのです。こういう問題は遠慮しないで……。こういうことなんですよ。だれの常識からも、都市排水が確かに広島やその他にはあるのですよ。あるのですが、それではひとつ都市排水のことについて聞いてみましょう。  工場排水と都市排水で、都市排水のほうから聞いていきますが、厚生省、清掃法によって大竹・岩国地区の十キロ向こうの阿多田島、その向こうの島に、ちょっといまど忘れしておるが、厚生大臣が場所を指定して広島のふん尿を投棄しているのですが、一日どのくらいなまのふん尿を投棄しているのですか。
  265. 大和田啓気

    ○大和田説明員 私どもの研究者の調査によりますと、広島県の場合は一日約五十三万人分で五百四十キロリットルの屎尿の投棄が行なわれている、そういうことを聞いております。
  266. 大原亨

    大原委員 広島——これは具体的に土地を限定して議論したほうがわかるから私は例を言っているのですが、広島市は五十三万人ですが、連檐地域を入れたら百万人近いのです。しかし、海洋投棄をしているのは大体その七割くらいでしょう。下水が若干あるから。あなたが言われることは確実でもないわけです。ないわけですが、阿多田島沖の孤島のところでは、海洋投棄をするのはかなりのなんで、量にすると六百キロリットルですよ。一日に六百キロリットル投棄するわけです。しかし、これは途中で投棄するのがかなり問題なんですね。これは海上保安庁の警備の問題になりますが、途中で投棄をする。そこで、そこの厚生大臣が指定をしておるところが、非常にでたらめなところを指定しておるわけですよ。それがずっと山口の沖のほうなんだけれども、それが逆流いたしまして、大竹・岩国の、宮島のほうから広島のほうにずっと流れてくる。ちょっと風の方向が変わりましたら、季節風が吹くのは南や西からですから、海流といたしましては向こうに流れていますから、そこで潮がぐるぐる回りまして、そして海底から汚物が攪拌されるわけですね。ですからこれは、瀬戸内海の岡山、呉、ずっと臨海工業地帯のふん尿の海洋投棄、屎尿の海洋投棄を瀬戸内海にやっているのですよ。これはこのままやっておくと、工場排水と結合いたしまして、そしてあらゆるところからずっと廃棄物が出てまいりまして、瀬戸内海は一、二年を待たないで漁業ができないどころか、ほんとうの死の海になってしまうのですよ。つくる漁業はもう限界だと専門家はみんないっているのです。厚生大臣は清掃法によって、屎尿の海洋投棄について、これはいまのヘドロの問題じゃないが、ずっと高知県の沖のほうにやったらこれはまた問題になるだろうが、どういたしましても、あの瀬戸内海は海水が動かぬところですよ、底が浅いのですよ。それでずっと沈でんをしていくというような形のところに海洋投棄を許すだけでなしに、途中でどんどん投棄をしているというようなことは一体どういうことなんだ。これは厚生大臣は、漁民や住民立場からいえば、私は告発されてしかるべきだと思うのだ。不法行為で損害賠償を要求されても、当然因果関係はあると思うのだ。厚生省は一体これはどうするのだ。公害対策に全然総合性がないじゃないか、こういう一つ指摘になると思うのですが、いかがですか。——厚生省は来ましたか。
  267. 城戸謙次

    ○城戸説明員 屎尿の問題でございますが、これは前の式で申し上げますと、現在、大体全国で一二・九%程度が屎尿の中で海洋に投棄されております。特にいま御指摘瀬戸内海におきましては、指定されている地域、ふん尿を捨てるということが政令で指定されている地域は相当ございまして、捨てる地域、要するに瀬戸内海の中でふん尿を捨ててもいい地域が残っているということでいろいろ問題がございまして、この点政令をいずれ改正をするということで、厚生省としても検討いたしている段階だと思うわけでございます。それ以上のことは私としては存じておりません。
  268. 大原亨

    大原委員 赤潮の原因について、水産庁長官、あなたはやっぱり都市公害を前面に出した。屎尿の問題を前面に出して答弁されたけれども、政府としてはこの手を何も打ってないということになるのです。私は現地を調査していろいろ専門家の意見を聞き、県に関係してない専門家の意見、通産省の通産局に関係してないそういう意見を聞くと、赤潮だけではないのです。やっぱり大竹・岩国地区から一日百六十六万トン工場排水が出ておる中には、その半分以上が山陽パルプのヘドロなんですよ。ヘドロについては、いままで議論がいろいろあって、うにゃうにゃ答弁があったが、ヘドロの中には非常に有毒な物質が含まれておるということは、政府は承知しておるのか、いかがですか。どの省でもよろしい。
  269. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 お答え申し上げます。  パルプ排水の主たる要素は繊維質の物質でございまして、それにリグニンが若干まじるということで、われわれの調べた限りでは、魚に特に有害な物質はそう大量には含まれてない、若干は含まれているというように考えております。
  270. 大原亨

    大原委員 それは地元の漁民とかいろいろな人は、大竹・岩国地区でばく大な工場排水がある中で、パルプのヘドロ、その繊維質、これがずっと主として流れている。それが流れて十キロ向こうの阿多田島、能美島のほうから、江田島のほうへずっと流れている。広島まで流れている。こういうことを実際に実感を通じて知っているのですよ。それでこれはあとにするが、そこの中には、いまあなたが指摘されたようにリグニンが入っているわけです。リグニンは魚に実験してみましたら、これは一ころなんだそうですね。すぐ死ぬのだそうですね。有毒性の強いものだそうですね。つまり樹脂とかやにとかというふうに俗にいうが、リグニンはパルプのそういう原材の中にあるわけですから、これが出るのだそうだ。だから繊維質が非常に目立って見えるけれども、リグニンがやはり元凶である、こういわれているのですよ。だから赤潮が異常発生した。工場排水、工場独自の発生した、そういうパルプのヘドロの中にリグニンが入っておるということは、私は間違いないと思うのですよ。その他石油工場であり、あるいは化学繊維工場だ、そういうふうなところの化学薬品が入っているでしょう。そういうことについて的確な分析はしない。そういうたくさんの魚が斃死する事件に直面しても調査しない。だから、あなただってえらい遠慮して、ちょっぴりくらいしか入っておらぬということを言っているでしょう。そうじゃないのですよ。私どもが独自に研究を求めた学者によると、そうじゃないのですよ。だから、二つのことがある。これは山中長官——経済企画庁長官にきょうは来てもらいたかったわけですが、水質保全法その他の問題で。これは総合的に、全面的に検討してもらいたい。  いままで申し上げたことについて、私は政府のほうの答弁というものは全くばらばらであって、自信に満ちていない、確信のない答弁である、こう思うから、ひとつ締めくくりといたしまして、あなたに御答弁いただきたい。
  271. 山中貞則

    ○山中国務大臣 清掃法の投棄禁止区域の別表の掲示された海域そのものに、水面に穴があいているというそこは、裏返しに言うと、捨ててもいいんだということに読まれるわけですから、その辺は手を入れて、たとえば瀬戸内海全域というものを禁止区域にするとかいうような非常手段をとるべき時期に来ているんじゃないかと思いますが、いまのところ断定的には、私そこまで言えませんけれども、そういう検討をする時期にきておるだろう。さらに通産省の研究所において瀬戸内海の二千分の一の模型を実際上つくって、そして工場排水その他水質汚濁等の状況等、全般的に瀬戸内海の海流の動きその他を来年度はひとつやろう。ことしは六百万円余りの調査費をとって、来年度四億数千万円でそういうものをやろうという計画も持っているようでありますから、具体的に動き出しておるということもありますので、必要ならば政令あるいは法、そういうものの改正を、私の手元で関係省と連絡をとりながら、一連の法改正の体系の中に入れていきたいと考えます。
  272. 大原亨

    大原委員 まだ議論する問題はあとに保留いたしまして、それで九月一日に閣議決定いたしました海水の環境基準で三年以内にA、B、Cのランクに海を浄化して、阿多田島その他のずっとその近くの中間地帯から沖のほうは海水浴もできるし、魚もすめるようにするんだというが、いまはそんなことはできぬですよ。そういうふうにするというんだが、A、B、Cの、沿岸の工場の排水口の一番近いところのCランクのきめ方を見てみますと、山陽パルプのある山口県側ですよ、岩国市のほう、山陽パルプがあるほうは、川岸から千メートルの距離のところにCランクを引いているのですよ。広島県のほうの大竹市を、日本紙業、三菱レイヨン、三菱ボンネル、そういう工場のほうは排水口から五百メートルのところでもCランクを引いているのです。水も空気も境がなしに流れておるのに、なぜ山陽パルプの前だけを遠慮しなければならぬのか、そういう環境基準の設定のしかたは、現行法公害対策基本法の第一条に、産業発展との調和ということがあるから、それで調和をしてやったのかもしれない。腹の中はそうであるに違いない。九月一日の閣議決定ですよ、検討されずにやっておる。そういう企業優先の原則で、しかも口先だけで、産業優先ではなしに、人間の健康と環境を守るのだという第一条の一項の精神でやるんだといいながら、実際にはそういうでたらめなことをしているんじゃないかという住民の声があるのですが、これは、この声に対してどういう答弁をするか、政府の答弁を聞きたい。
  273. 西川喬

    ○西川説明員 お答え申し上げます。  大竹・岩国の環境基準の線の引き方につきましては、これはすでに排水規制がきまっております。排水規制の基準をきめましたときに、この漁業の関係に対する影響その他を勘案いたしまして排水基準をきめております。そのようにきまりました排出基準を当てはめまして、この希釈拡散ということを、計算によりましておおよその三PPMと、その三PPM以下を守れないところの線といたしましていま先生がおっしゃいましたように、広島県側、山口県側とも線が出てきたわけでございます。
  274. 大原亨

    大原委員 それで三年間に環境基準のA、B、Cを達成するのだという閣議決定を九月一日にしたわけですよ。その前に水質保全法によって水質基準をきめたわけでしょう。それで工場排水の規制をやっているのでしょう。しかし、その工場排水の規制をやるのが現状をもとにしてやっておるのです。その蓄積をもとにしてやっているものですから、公害をゼロにする目的はないのです。ですから、それが時間がたてば、少々規制をいたしましても、現実に基づいてやっているのですから、どんどん、どんどんこれを拡散をしていくのですよ。それは当然じゃないですか。だから、現地の人々の意見はA、B、Cのランクをつけるのはああいうところではおかしい。少なくとも、全部B以上にしてもらいたい。それが公害基本法の精神ではないか。だから、公害基本法の精神を達成するために、あなたの言いわけは、その前に水質保全法によって水質基準をきめておいて、工場排水の規制をしていくのだと言うけれども、この議論は逆じゃないか、さか立ちじゃないか。だから、ほんとうにやるつもりはないのではないかと言っている。いかがですか。
  275. 西川喬

    ○西川説明員 水質基準をきめますときには、当時環境基準はきまっておりませんけれども、行政目標値としてはそのことは念頭に置いているわけでございます。その場合に問題になりますのは、それならば海は全部B水域であろうかということの問題でございます。当然、その付近に、利水目的からいたしまして、海水浴場等があれば、これは海水浴場はA水域としてそこを確保するように考えなければいけない。それから漁場がありましたら、水産業といたしましてどうしてもこれはB水域以上、BかAに考えなければいけない。ところが港湾地域とか、あるいは臨海工業地帯でございまして、すでに漁業権がないというようなところにつきましては、これは最低の環境保全といたしましてC水域ということを最低の条件として確保しなければならない。そのようなことを念頭に置きまして排出基準をきめているわけでございます。で、今回環境基準をきめる場合におきましては、すでに大竹・岩国の場合につきましては、最近水質基準を設定したところでございますから、その時点におきまして、環境の基準的なことにつきましてもすでに基準設定のときに念頭に置いていたしたわけでございますので、その線に基づきまして環境基準を決定したようなわけでございます。  それから環境基準の達成期間三年間の問題でございますが、これは先生も御承知かと思いますが、排出基準につきまして山陽パルプの規制につきましては、二段階に分かれております。まず六カ月後から発効いたします第一段の規制、さらにその後除害施設を入れまして第二段の規制というのに分かれてございます。この第二段の規制が三年後になるものでございますから、環境基準の達成は三年後、このようにいたしておるわけでございます。
  276. 大原亨

    大原委員 あなたの答弁はなかったが、岩国のほうの山パルの前のほうは千メートルにきめて、広島県のほうは五百メートルにきめているのですよ。そういうきめ方をやったら、現状を認めているのですから。特に注意を喚起したいのは、専門家の意見を聞いてみると、海岸沿いに五百メートル、今度はひょっと出て千メートルでずっとC区域があるわけですよ。しかし、この山陽パルプの排出口にずっとそこで立ってこれを調査しますと、この排水口から出る工場排水というものは、そんなにまんべんにいくのじゃないので、突出型に、ずっとある場合には四キロも、五キロも前のほうへ突出していくのですよ。排水口から突出するのです。それが風や潮流にゆられてずっとやるから、なでるようにして汚染区域が広がるのです。私は、企業優先の原則の議論がありますが、山中長官、ありますが、私は今度きめておる排出基準とか、あるいは水質基準とか、閣議決定の環境基準は再検討しなければ現状以上にこれをきれいにすることはできない。そうして瀬戸内海を死の海に追いやる道を防ぐことはできない。  委員長から時間が指示されましたので協力いたしますが、私はこれをあなたに答弁していただきたい。  それから、法務省来ていますか。——それではほかでもよろしい。  昭和三十九年に阿多田島の漁業組合や大竹漁業組合や玖波の漁業組合という、大竹・岩国地区の三漁業組合が、地元企業との間において公害防止協定を結んだ。きょうの土井さんのお話は自治体ですが、これは漁業組合が連合して企業体と、市長が立ち会い人になりましてきめたのです。  そのきめた中によりますと、昭和三十九年当時の現状において補償金のやりとりがあったわけですけれども、三十九年の現状を悪くしないように民法上の善良なる管理者の注意をもってやる、もしやらなかった場合にはこれについては責任を負う、立ち会った市長も責任を負う、こういう協定があるわけですが、明らかに、昭和三十九年よりも工場排水による汚染度、量というものが拡大をしていることは事実なんです。客観的な経済企画庁の資料によっても事実なんです。そういたしますならば、漁業者や住民は、特に漁業組合の諸君は、企業に対しまして、あるいはある場合には市長に対しまして損害賠償の要求をするなり財産権侵害の要求をする、そういうことは法律上可能であると私は考えるが、この点について二つの質問をいたしておきます。これはあといろいろ質問するためにやっておきますが、第一の質問は山中長官、第二の質問は法務省、でなかったならば自治省の見解を聞かしていただきたい。
  277. 山中貞則

    ○山中国務大臣 今回は、経企庁が今日までの作業の形式をそのまま踏襲して、目標年次その他をA、B、Cに分け、いろいろの区分けをした作業の結果でございます。したがって、これは閣議決定をしたわけでありますが、やはり今後は水質基準あるいは全体の環境基準の設定についてあらためて、基本の工場排水その他のあり方等についても目標を、逆にあなたのおっしゃったように——さかさまじゃないかと言われたのですが、やはりあるべき環境の姿をどこに置くか、その環境を取り戻すためには、もとに戻って工場排水等の原因者規制等をどこまでやるかというようなこと等も、現状肯定でなくて、やはりもう少し前進した姿勢を将来とっていくようにしなければならぬだろう。これは一連の全国一律の基準を示していく作業の過程の中で、今後のあり方は違ってくるだろうと思います。
  278. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 漁業共同組合と企業との協定の中で、市が立ち会い人であるというお話でございます。その市の立場が、あっせんであるのか、その他の事情がつまびらかではございません。しかし、民事的な意味での契約としての問題があるであろう、このように考えます。その間におきます公共団体に対する関係をどう考えるかという点がちょっとあきらかではございませんが、その間の実情等調べさしていただきたい、このように思います。
  279. 大原亨

    大原委員 それではいまの点は、その協定をとるまでもなく、赤潮の原因あるいは工場排水によるリグニンの実例を申し上げましたが、そういうことによって魚族がたくさん死んでおる。そういう因果関係が出てきたならば、私は明らかに漁業組合、漁民はその加害者、公害源に対しまして、たとえば最低限度損害賠償の請求、法廷闘争等ができると思う。先ほど国道の事故の補償の問題について議論がありましたが、そういうことがきちっとならないと、企業責任をもって何もやる気はないのです。私はそういう点は、これから重要な問題として指摘をして、別の機会に議論をいたします。  いずれにいたしましても、工場排水の規制区域がきまっておるだけですが、それ以外からどんどんどんどん臨海工業地帯から廃液が入っておる。それから内海の水は動かない、浅い。風に動揺しやすい。そういう条件の中でいままでの瀬戸内海の様相は一変しようとしておるわけですから、そういう現実の上に立って、言うなれば陸上における光化学スモッグに類するような赤潮の異常プランクトンの発生、そういう問題について科学的な究明をして、そうしてこれに対して除去する方向を示して、将来いこいの場となるのか、観光地となるのか、あるいは漁業ができるのか、そういう明確な責任ある指針を示すべきであると思うわけですが、そういう点について最後に長官の見解を求めまして私は終わります。
  280. 山中貞則

    ○山中国務大臣 確かにそのような方向での作業が必要と思いますので、御意見を尊重して研究いたします。
  281. 加藤清二

    加藤委員長 自治省に申し上げておきます。ただいまの最後の質問、法務省との関係もこれあり、ここでの答弁は困難かと存じますので、あとでよく法務省と御連絡の上、書面をもって御答弁を願います。よろしゅうございますか。
  282. 冨崎逸夫

    冨崎説明員 はい。
  283. 加藤清二

    加藤委員長 次は松尾正吉君。
  284. 松尾正吉

    松尾(正)委員 私は、時間がだいぶおそくなりましたので、少しはしょってやりたいと思います。特に、山中長官がもう終日で、健康的に、というお話もありましたので、なるべく七時までにやりたいと思いますが、少々お願いしたいと思います。  私の質問は、東京湾を中心として特に京浜運河、ここの公害問題を中心にして伺いたいと思います。  その前に一つ、いま大原委員から環境基準並びに工場排水規制法による基準についての質問がありました。私はこれに関連をして経企庁に伺いたいのですが、これは県当局等で非常に困っておる問題です。というのは、環境基準では〇・〇五PPM、工場排水規制法では排水口から〇・五、十倍希釈というあれをとっております。ところが端的に言いますと、はたしてこの環境基準による〇・〇五というのはどこの地点をさすのかということで、県当局が何回か要請しておるわけです。たとえば、海洋面で〇・〇五の場合には運河に入ってくると一にも二にもなってしまう。あるいは排水口直下で〇・〇五なのか、そこからどのくらい離れたところでこういう基準をさすのか全然明示されていない。これは砒素に一つ例をとった場合です。こういう点について、せっかく権限委譲するのですけれども、県当局が責任をもってやれるような方針を示してあげないと何にもならない、こういうことになりますので、この点、どこをさすのかということをはっきり明示してもらいたい。
  285. 西川喬

    ○西川説明員 環境基準の監視点といたしましては、一応そこの利水目的に着目するわけでございます。工場排水そのものの排水口直下におきましては、当然相当高い廃液が出ておるわけでございますから、これが公共用水域に入りまして希釈拡散ということで一般の通常状態になるわけでございます。そのような観点から原則といたしましては利水地点。ですから今回当てはめをやりました環境項目につきましては、ここからこの間の水域はAとか、この間の水域はBということをきめておきまして、それと合わせまして観測すべき基準点を決定しております。これは閣議決定の内容にはなっておりませんが、審議会その他におきます審議過程におきまして、この地点、この地点、この地点を基準点といたしますというのをきめてございます。ただ、健康項目につきましては全公共用水域に適用になっているということで、現在基準地点を明示してございませんでしたが、私たちのあれといたしましては工場の排水口直下ではない。これがある程度常識的な範囲内で希釈してしまうと、これは十倍希釈でございますから、一般的な水域の中に入りましたら、この健康項目については希釈しているものと考えてよろしかろうと思います。そのような点で、今後行政指導によりまして、大体そういう有毒物質を排出する工場あるいは事業場等がある場合におきましては、この辺のところを測定点にしなさいというような方向で指導いたしたい、こんなふうに考えております。それによりまして、大体個々の水域が環境基準が守られているかどうかということを判断する地点は決定してくるだろう、このように考えております。
  286. 松尾正吉

    松尾(正)委員 場所を示すというのですけれども、現在基本計画の策定を指示された府県では現在やっているわけです。そうすると、いつごろそれが県で対策に着手できるのか、その時期は明示できませんか。
  287. 西川喬

    ○西川説明員 もし県のほうでそういう素案がございましたら、早急に中央のほうに持ってきていただきまして、それでしたら私たちもその点が環境基準の達成を判断する地点として適当であるか不適用であるか、そういうことに相談に乗って適切な指示を与えたいと思いますので、この点は府県のほうにも伝えまして、そういう案がありましたら早急に持ってきてくれというふうにして処置したいと思います。
  288. 松尾正吉

    松尾(正)委員 早急に持ってきてくれというけれども、県ではもう何回も照会して困っているというのですよ。ですからその辺をひとつ……。
  289. 西川喬

    ○西川説明員 正直なところを申しまして、私たちもこの全国の公共用水域全部の細部の地点まで知っているわけではありません。それで、県のほうはこういう地点を観測地点にいたしたいということで持ってきていただければ私たちも相談に乗れるわけでございますが、何にもなしにどこを観測地点にしたらよいか、これでまいられますと、正直なところを申しまして私たちも判断に困る。こういう問題は、やはり中央できめるよりも地方のほうが案を持ってきまして、それが適切であるかどうか、そういう判断だけにしてきていただきませんと、中央のほうが一方的にこことここにせいということになりますと、全国の健康項目につきましては全公共用水域に適用になっているというたてまえでございますので、全公共用水域の非常に細部のところにつきまして、一点一点そういうものを中央で指示しなければならないということになりますと、これは非常に時間がかかるのではないか、このように考えております。
  290. 松尾正吉

    松尾(正)委員 たとえば、県のほうでこの地点ということを持ってくれば早急に回答できる、こういうふうに解釈してよろしいですね。——それでは次に移ります。  きょう、終日公害問題を私も聞いておりましたが、非常に深刻な場面にきているということを感じます。前回の本委員会で、昭電で不法投棄したヘドロの問題が取り上げられました。ここで一七〇PPMという総水銀その他の重金属があげられましたけれども、そのあと国でもあるいは県でも着手をしておりますが、まだ結果が出ておりません。私どもは当時何とか実情を早く知りたいということで公開を迫ったんですが、捜査上という理由で聞けなかった。これがためにあの翌日に私もまじわって京浜運河のヘドロを採取しました。最終的に昨日その結果が出たんですが、一部は新聞に報道されておりますけれども、非常に驚く数字が出ております。  これは東京衛研で分析をした結果ですが、総水銀が六六PPM、シアンが三・四、砒素が基準を六千倍上回る三二〇PPM、鉛が三七、カドミウムが一・四、さらに昨日の結果を見ますと、この中に塩化メチルいわゆる有機水銀が〇・二検出された。クロムが五三・二PPM検出された。数字ははっきりしませんけれども、東京都の調査の結果でも、やはり東京湾で有機水銀が発見された、こういうことを聞いております。しかも、この第一回の検体は湿潤検体、いわゆる湿潤ベースで進めておりますので、乾体でこれを分析しますと、全部のものがこの数値の倍以上になるということです。第二次の結果が昨日出たのですけれども、これにはまだ有機水銀の量はありませんが、シアンが八・三、砒素が六二五、総水銀が一二一、カドミウムが三・八、鉛が一八五PPMと非常に高度な数字を示しております。ですから、この第一回の湿潤検体——第二回目のものは乾燥ベースで検出したものですが、この湿潤ベースで検出したものを乾体に直しますと、大体倍以上ということで、メチル水銀等も〇・四ないし五PPMということが考えられるわけです。こういう状態を見ますと、東京湾そのものがもう死滅に近い状態だ。これはごく一部分ですから全体には言えませんけれども、私どもが京浜運河等を数回歩いてみると、むしろこれ以上の危険なものが検出される場所もあるのではないか、こういう感じさえするところがあります。この砒素の場合等を見ますと〇・〇六グラムで致死量だ。こういう高い数字で示されたものを、対策本部で責任を持ってこれを解決してまいりたいという長官が、一体この数字をどう見られるのか。またこれについては、先ほど大原委員も示したように、発生源をきわめなければ、これはあそこのヘドロを完全にさらったとしても再びこういう状態が起こってくる。したがって、この発生源について長官はどう考えているか、まずこの点を伺いたい。
  291. 山中貞則

    ○山中国務大臣 こまかな各物質についての見解を表明するような常識がありませんが、問題はそのようなおそらく複合した原因による累積が長年にわたって堆積した結果の集計であろうと思いますので、やはり東京湾全体並びに東京湾に流入する各河川というようなものについては、その排出源について徹底的な再調査の必要があるというふうに考えますし、午前中申し上げました閣議の内容におきましても、東京、大阪湾を中心に流入河川についてさらに緊急調査をするということになっておりますので、それらの糸口をつかむことが可能になるかと考えます。
  292. 松尾正吉

    松尾(正)委員 いま長官は、長い間蓄積した結果と言われるのですけれども、あそこには非常に中小河川等もあります。大工場が林立しておって、その工場排水等もものすごい量のものがある。それから、これからあとに検討したいと思うのですが、現在化学工場で使っている原料にはほとんど重金属、いわゆる毒を含有している、こういったことがいままではほとんど検討されないできておるのですが、この工場排水——排水の面では非常にきびしいのですけれども、工場そのものから出る廃棄物については全然長官は考えられないか、この点だけひとつお答えいただきたいと思います。
  293. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ちょっと質問がよくわからないのですが、工場排水について……(松尾(正)委員「長い間蓄積した結果だと、こういうのですけれども」と呼ぶ)蓄積した結果であろうということを申し上げたので、蓄積には、最近急速にそれらの工業地帯あるいは工場そのものから出されたものがその累積の度を増していったというようなことも当然あるであろうと思います。したがって、いまそれに対して極度にそのような汚染度を加えつつある企業あるいは排出源というものを的確に把握しようと申したのはそこでありまして、これは天然自然にたまったものであるからしかたがないという意味のことを答弁申し上げたつもりではありません。
  294. 松尾正吉

    松尾(正)委員 そこで水産庁ですか、厚生省ですか、いま示した総水銀ないしメチル水銀、高濃度の砒素、シアン、こういうものの魚介類並びに人間に及ぼす毒性、この影響について、ごく重点的でけっこうですからお示し願いたいと思うのです。
  295. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁といたしましては、昭和四十年に水産資源保護協会によりまして水産用水基準というのをつくりまして、それ以上は水産生物に被害があるので、その基準に保ってほしいというのできめておりますが、たとえてみますと、シアンは〇・〇一PPM、カドミウム〇・〇三PPM、鉛〇・一PPM、クロム一PPMと、そういうようにきめておりますが、これは先ごろ定められました水質汚濁にかかわる環境基準よりはこちらのほうが甘くなっておりますが、ただいま先生のおっしゃったような数字でもしこういうものが続きますと、相当大きな被害が水産にあらわれるのじゃないかというように考えております。
  296. 松尾正吉

    松尾(正)委員 相当大きな被害があらわれるかでなしに、たとえば貝類についてはどうなのか、それからほとんど海底にすむアナゴとか、あるいはタイとか、そういうものはこういう場合にはどうなのか。それで人体にはどうなのか。こういう点をごくかいつまんで具体的に、ということなんです。
  297. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 こういう高い数字のものについて実験した例はございませんが、おそらく水産生物もすむことはできないものというふうに考えておりますが、それに対する人体への影響につきましては厚生省のほうで……。私どもの判断はちょっとできかねます。
  298. 松尾正吉

    松尾(正)委員 では厚生省……。
  299. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 お答えします。  ヘドロの中の水銀その他の汚染物質の存在は、人体に対する影響という点で考えますと、それ自体の存在というより、海水等の汚染を通じて魚介類等にどのような影響を与えるかということが問題でございます。それで、実は厚生省としましては、東京湾等でいろいろ問題がございまして、近く東京湾も含めまして、他の汚染のひどい大阪湾あるいは瀬戸内海等で大がかりな魚介類の調査をしようと思っておりますけれども、先般神奈川県で魚介類等の調査のデータが一部出ておりますが、私の記憶しているところでは、そのときの最高の魚介類の濃度は、たしか〇・六PPMであったかと思います。水銀の濃度でございますが……。したがいまして、いまのところ東京湾の魚について、まあこれから東京なり千葉県でも魚介類の調査をやることになっておりますが、いまのところまだそれは結果を見なければわかりませんけれども、著しく高い濃度の数字は出ないのではないかとは思いますけれども、しかしいずれにしましても、大量のヘドロの存在というものは、ただいま申しましたように、海水の汚染を通じて魚介類を汚染し、それが人体に直ちに影響を及ぼすという点において、常に厳重に監視をしなければいかぬというふうに考えております。
  300. 松尾正吉

    松尾(正)委員 そこで、厚生省伺いたいのですが、厚生省が九月一日に全国の河川あるいは湖沼、工場排水等の水銀による汚染調査を発表しました。この中で、一つは人体には危険ではない、こういうことが結論づけられておりますが、この根拠と、それからもう一つは、あの調査の対象に大工場を除いて中小企業だけにしぼった、この理由について伺いたいと思います。
  301. 曾根田郁夫

    ○曾根田説明員 お答えします。  九月一日、厚生省は昭和四十四年度の水銀汚染調査の結果を発表いたしまして、今回の調査は工場排水あるいは従来から継続してやっております河川の汚染のほかに、今回初めて一般の海洋魚並びに野菜、米等の食品の調査もやったわけでございますけれども、その際結論的に、今回の調査の結果の数字で見た限りにおいては、この程度の汚染では人体に対する影響は心配ないということを申し上げました。  その根拠ということでございますけれども、これはもともとこの調査そのものが、わが国の水銀問題の一応最高権威とされておる学識の先生方にお集まり願ったものでもございますし、その確認も得た数字ではございますけれども、最近、この水銀問題が非常にやかましくなっておりますので念を入れまして、たまたま九月の一日に食品衛生調査会もございましたので、そこの食品衛生調査会の権威ある先生方の意見も聞いた上で、この程度のものであれば、この数字の段階にとどまるならば心配ないということを申し上げたのでございまして、決して私どもの判断でそのような結論を出したわけではございません。  それから次の御質問で、今回の四十四年度、中小企業だけにしぼったというのは、従来大企業につきましては、経企庁等においてもそれぞれ調査がなされておりますので、四十四年度は特に問題になると思われる中小企業にとりあえず重点をしぼって、排水関係の調査を行なったという次第でございます。
  302. 松尾正吉

    松尾(正)委員 いま答弁を聞くと、前のお答えといまの答弁を聞いて私は非常に疑問を持つわけです。疑問を持つだけでなしに、これは非常に危険だと思うのですね。国民の健康を守る衝に当たる厚生省が——四十四年度の時点から現在ではものすごい角度で汚染されているわけですよ、汚染度等一つ見ても。しかもこの調査は水銀だけ、あとのクロムとかおそろしいシアンとか砒素とか、こういうものはやっていない。そういうものをやらないで、厚生省は四十四年度の調査をやった結果人間には心配ないのだ、こういうことはもうあまりにも現状を無視した考え方だと思うのですね。現実に有機水銀が出ている。砒素なんかは、乾体で出ればはっきりしますけれども、環境基準の一万倍以上の高度のものが出ているのですよ。こういうことを考えたときに、人体には心配ないと結論づけた発表なんかは、私はとんでもない、むしろここで、あれは四十四年度の調査で、水銀のみで砒素その他にはまだ全然触れていない、したがって、これは安心とはいえないということをあらためて発表すべきじゃないか。このぐらいの気持ちにもなっているのですけれども、まあしかし、先ほどの答弁で非常に問題があるということでありますから、あれを答弁にかえるとして、こういうことは慎重に考えてもらいたいと思うのですね。  そこで、工業技術院の方がおいでになっていると思うのですが、いま言った、重金属だけで問題ですけれども、さらに工業技術院で最近、無機を有機に変えるバクテリアを発見したということがいわれております。その他、学説にたくさんありますけれども、あれはまだ学説だということで、健康を重視する立場の学者は非常に問題だと言っておるんですが、こういった関係と、それからもう一つはプランクトン、これを食べる魚、この魚を食べた人間、この濃縮度というものはものすごい急速度で上昇する、こういうことが発表されておりますけれども、この食物連鎖による人体の影響、これについて技術院のほうにわかる範囲だけお答え願いたい。
  303. 太田暢人

    ○太田説明員 お答えいたします。  先生が先ほどおっしゃいましたように、無機水銀を有機水銀に変えるバクテリアがおるということは、昨今アメリカあるいはスウェーデンの学者その他が言っておりまして、かなり定説に近づいておるかと思っております。で、私どもの工業技術院傘下の研究所の一つでございます微生物工業技術研究所というのがございますが、そこで、最近一種のバクテリア、これは東京都の荒川区の土壊の中から見つけたものでございますが、そのバクテリアが無機水銀を有機水銀に変える働きを持っているということを見つけたわけでございまして、これにつきましてはかなり重要な問題でもございますので、菌の生育条件とかあるいは菌の種類とか、そのメチル水銀ができます反応速度その他について、学問的な研究を目下進めておる段階でございます。それから後半の食物連鎖に関しましては、ちょっと私ども専門が違いますので、工業技術院としましてはちょっとお答えいたしかねます。
  304. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁でまだそういう実験をいたしておりませんので、お答え申し上げられません。
  305. 松尾正吉

    松尾(正)委員 それでは、ここにアメリカのこの連鎖関係を詳しく研究したものが新聞に載っておりますが、これによると、〇・〇〇〇〇〇三PPMという極微量のものが舞い上がった、空中に散布をした。これが動物のプランクトンに吸収されると、〇・〇四PPMになる。この〇・〇四PPMになったプランクトンを魚が食べると、小魚で〇・五PPM、十倍になるわけです。この小魚を食べた大魚は二PPM、さらにこれを鳥が食べると二五PPM、これほど濃縮度というものは、最初から計算すると八百万倍になるという危険性があるわけです。こういった点を考えたときに、厚生省の、これは人体には影響ないんだという発表については、大きな責任を感じて処置してもらわなければならない。はたして言い切れるか、こういう答弁も求めたいんですが、どうかこれは慎重にやってもらいたいと思います。  それから時間の関係で第二番目に移りますけれども、大企業は水質保全法で完全に監視しているから、もう改善された、こういう発表になっています。ところが、現に私どもの対策本部で九月四日に福島県の日本水素小名浜工場を検査したときには、一時間四千トンの排水される水の中に八キログラムのシアンが流出されておった。これは県の基準は〇・〇二ですか、県の基準だからいいんだといって流し出した。この八キログラムのシアンというのは、人の数で言うと十万人の人を殺す力があるおそろしい毒なんです。また田辺運河周辺で私どもが調査した状態でも、昭和電工からも出ておりますし、あの直下からも、ものすごい水銀が出ておる。こういう事実を考えたときに、はたして大工場はチェックしているからだいじょうぶだ、こういう考え方が、いまの公害対策にマッチした考え方なのかどうか、これは根本的に考えていかなければならない問題だと思うのです。例をあげると、中小企業で一日十トンかそこらの排水に〇・二の濃度の毒物を出すのと、一日何十万トンという排水量の中に同じ〇・二の毒素を含むのとでは、その蓄積度というものは全然違うわけです。こういった点を考えたときに、この考え方は改めていかなければならないと思うのですが、どうでしょう。
  306. 柴崎芳三

    ○柴崎説明員 先生御指摘の小名浜の日本水素の件でございますが、ただいまこの地域は指定水域になっておりませんで、県条例規制しておる地域でございますが、大工場はすべて水質保全法その他で規制しておるからだいじょうぶだということではございませんで、やはり現在の水質二法の適用範囲という点から考えますと、この適用範囲外に存在する企業がまだ多々あるわけでございます。そういう点から、対策本部中心、あるいは経済企画庁を中心にいたしまして、水質二法の改正が考えられておることは、先ほど来それぞれ御説明があったとおりでございますが、日本水素につきましては、御指摘のように毎時四千トンの水が流れておりまして、その中に二PPMのシアンが含まれているということでございまして、絶対量からいいますと相当大量のものであることは否定できない事実でございます。この点通産局は県とただいまよく相談いたしまして、緊急対策といたしまして次亜硫酸ソーダという薬液を使いましてこれを中和させる方法を実行させるべく、現在進めておりますし、それから恒久対策といたしましては、その廃液を濃縮いたしまして燃焼させる。これは燃焼させればもう完全に分解する性質のものでございますので、そういうような方法を恒久対策としては考えるということで、将来は絶対量を減らさせると同時に、その処理について最も有効な方法を確実に実行させるという方向で現在指導しておるところでございます。
  307. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間がないので掘り下げませんが、その考え方について私は申し上げたんです。  次に具体的な問題について。現在川崎の扇島前の埋め立てをやっております、許可になって。ところがこの埋め立ては、ほとんどあの京浜運河一帯のヘドロ等が中心になって、これをしゅんせつしたものを捨てる。私が聞いた範囲では、あそこの潮流が非常に早くて、あの軽いヘドロ等は、投棄すると、それによって大体一キロ以上分散されてしまうというのです。いま検査された範囲の猛毒を持ったヘドロが、埋め立て予定地だといってワクもないところにどんどん捨てられているのです。そしてそれがどんどん拡散される。まるでこれは毒を拡散しているようなものなんですね。こういう状態ですから、一時これを中止させるか——川崎市は重視して中止したというのですけれども、まだ毎日やられておりますから、一時中止させるか、あるいはこれを、ワクを組んで流出しないように方法を講ずるか、いずれかを選ばなければならないと思うのですけれども、港湾局、どうでしょう。
  308. 竹内良夫

    ○竹内説明員 お答えいたします。  扇島前面の埋め立て予定地がございまして、そこに国の直轄工事のしゅんせつ土砂であるとか……
  309. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間の関係で詳しいことはけっこうです。
  310. 竹内良夫

    ○竹内説明員 国とか県とか市とかそういうところで集まりまして、いままで連絡協議会を設けまして、漁業関係者の了解を得ながら捨てておりました。ところが、今回八月に漁業関係者から、分析結果がわかるまで中止してくれという申し込みがございましたので、一応原則として中止をしております。ただ河川のヘドロでございまして、横浜の部分でございますが、台風期にあふれてしまうようなところがございますので、その部分だけは現在中止できないという形でございますが、できるだけ早くこれも中止させたいと思っております。そして分析の結果、非常に悪いものである、いま現在分析しているわけでございますが、悪いものであるということがもしわかりまして、そしてそれが海底に非常に悪い影響を与えるということがわかりました場合には、これは私ども専門家でございませんので、関係の機関であるとかあるいは漁業関係者と相談いたしまして、おっしゃったようなさくをつくるなどの防御も考えたいと思っております。
  311. 松尾正吉

    松尾(正)委員 時間がないので質問がだいぶおかしなぐあいになるのですが、次に発生源の問題の一つで船底塗料について伺いたいのです。  これは船舶の関係ですがね。現在日本の鉄船は年に大体一回ぐらいドック入りをして塗りかえるというのですが、どのくらいあるのでしょうか。というのは、この船底塗料に、カキその他の付着物を防ぐために砒素あるいは水銀、クロム、シアン、こういう毒素が約一割混入されておった、こういう状態なので、それをひとつ伺いたいと思います。
  312. 鈴木達太郎

    ○鈴木説明員 御説明申し上げます。  砒素につきましては、昭和四十二年から昭和四十四年、昨年でございますが、足かけ約三年間にわたって砒素の入った船底塗料というものをつくっておりまして、使用しておりましたけれども、現在使用いたしておりません。それで、鋼船の全体の数は日本にどのくらいあるでしょうかという点につきましては、一万八千六十三隻、これは本年の六月三十日現在の数字でございます。合計二千六百四十万トンございます。こういう船舶に船底塗料といたしまして、おっしゃいましたように大体一年に一回修繕をやりますけれども、一万トン程度の船ですと、修繕のために船底塗料を約二トン程度使います。
  313. 松尾正吉

    松尾(正)委員 総量でどのくらいになりますか。
  314. 鈴木達太郎

    ○鈴木説明員 ペイントは一万一千トンぐらいになります、船底塗料全体で。砒素は全然使っておりませんで、毒性のものにつきましては約二〇%から三〇%程度というのが現状でございます。
  315. 松尾正吉

    松尾(正)委員 この船底塗料を、一年に一回ドック入りをして塗りかえのために全部落とすわけです。そうすると四十四年に禁止しましたけれども、現在輸入したものについては、まだ砒素等の入ったものが使われておるんですね。しかもこの塗料は船主の要望でやるものですから、舶来のものを使うといった場合には、やはりいま毒性のものがどんどん使われているわけです。そうすると、一年に一回数百トンという船が港湾に毒のペイントを落とす。この処理が全然なされていない。こういうことでむしろ湾内に非常に猛毒が、目に見えないところで流れているということを考えましたときに、これらの規制も当然早急に講じなければならないんじゃないか、こう思うのですが、この見通しはどうでしょう。
  316. 鈴木達太郎

    ○鈴木説明員 造船所といたしましては、砒素の入りました塗料というものは、これは労務対策上非常に危険なものであるということで使っておりません。先ほどお話しの、ドックに入ったときに古い塗料を落とす、このかき落とした塗料は、造船所としましては、これを一括整理いたしまして、これを陸にあげまして陸上の処理施設に送るというようなことで、海水のほうにそれをドックの水とともに流してしまうというようなことはやっておりません。
  317. 松尾正吉

    松尾(正)委員 まだだいぶ内容があったのですけれども、では最後に長官にお伺いしたいのです。  先ほど申し上げた発生源については、もちろん中小企業あるいは河川の一般排出物等はありますけれども、特に京浜運河等の状態を見ますと、あそこに林立する化学、製鉄その他の工場の原料に、私どもしろうとが考えても、ほとんどこれらの重金属等の毒素が混入されておるわけです。こういったものに対して、いままで私が聞いた範囲では、ほとんどノーチェックなんですね。会社が任意にその廃棄物は処理しておった、こういう状態ですけれども、もう膨大な数が排出される。これら有毒素について、その原料の段階、生産過程、それから製品、廃棄物、こういった関係で流れるものは、これは当然工場廃棄物規制法なり法措置を講ずる必要があるのではないか。こういう点が一つ。  それからもう一つは、水については基準がきびしいのですが、現状では水以上に、目に見えなかった、いままで知られなかった廃棄物におそろしい毒素があるのではないか。これらの処理に対して、いわゆる法規制がもう絶対の要件だ、こういうふうに考えますけれども、この過程については御説明したとおりで、考え方だけ伺っておきたいと思います。
  318. 山中貞則

    ○山中国務大臣 原料の問題については、通産省から答弁させますが、考え方の基本としては、やはり産業廃棄物の問題をどう扱うかのジャンルとしてつかまえるべきだろうと思います。先般来の、本日の答弁で、第二条の典型公害の指定物質については、土壊汚染は取り入れるということを明確にいたしました。なお産業廃棄物、生活環境廃棄物というようなものについては、目下まだ検討中でございますが、たいへんむずかしゅうございます、いまあなたの言われたような問題の現象として起こりました場合は。典型六公害、さらに土壊を加えて七公害の対象として現象面としてあらわれてきますと、すでにあらゆる産業廃棄物がつかまえられるということにはなっているわけです。しかし、そのほかの、それ以前の状態の産業廃棄物とは一体何であろうか。あるいは空間の不法占拠とかいろいろの形でつかまえることができるかとも思いますが、第二条にいう典型公害に産業廃棄物というのをまともに取り入れるのはなかなかむずかしかろう。そうすると第三条の(事業者の責務)、もしくは第十二条の規定の中に、やはり何らかの産業廃棄物、さらに生活環境廃棄物というものをどこかに出していきたい。具体的には現象としてあらわれた第二条の各種公害の態様になったときにつかまえられますし、それ以前のものは(事業者の責務)等において、あるいは禁止条項等が法律に書けるかどうかという問題。さらに生活環境廃棄物は、粗大ごみ等を含めまして清掃法の中でどのように処理できるか。あるいは清掃法そのものの考え方を基本的に変えて、この基本法を受けた取り組みができるように改正できるか。ここらのところは、いま盛んに議論しているところでございます。  少し質問のないところまで立ち入って答弁いたしましたが、締めくくりに以上のことを申し上げておきたいと思います。
  319. 加藤清二

    加藤委員長 時間ですよ。
  320. 松尾正吉

    松尾(正)委員 通産省で一応検討してもらいたかったのですけれども、これはけっこうです。次回にこの問題を私持ち越しまして、そうして現状をはっきり示した上でまたお答え願いたい。非常に緊迫した事態にあるということを重視されて、積極的な施策を心からお願い申し上げて私の質問を終わります。
  321. 島本虎三

    ○島本委員 議事進行について。公害対策委員会はけさからいままで——いま午後七時三十二分にならんとしているのでありますが、各委員は、委員長も御存じのように、現在の事象や公害問題をとらえて真剣にここで質疑し、あるいは姿勢を問いただし、今後のための間違いないような方策を打ち立てるために一生懸命なのです。そういうような段階の中で、私はきょうの議事が少しこんとんとしたなと思ったのは、関係大臣がほとんど要請のとおりに来ない。来ても一時間で帰ってしまう。初めから最後までおってくれたのは山中総理府総務長官ただ一人なんです。今後の重大な公害問題を扱う委員会が、いつもこういうような状態であることは全く寒心にたえないと思うのです。はたして閣議の中で、こういうようなことでいいというような発言があったのかどうか。おそらくあるわけはないと思うのです。今後こういうようなことがないように、閣議の中で長官から十分に発言しておいてもらいたい。そうして委員長においても、公害対策特別委員会を開く際に、それぞれ日にちの決定等については、あらかじめあまり差しさわりのないような日にちを選んで、そうして関係大臣はその質疑者の要請に応じて出られるような態勢を整えておいてもらいたい、これだけは心から要請しておきたいと思います。ことに私自身の立場から見れば、経済企画庁の長官に対する水の質問はきょうできなかった。通産大臣の問題は残しながら、きょう八時三十分でないとここへ来ないという。もうこれで終わってしまいましたから、きょうはついにできない、厚生大臣に対しては、通産大臣との対比において間違いない今後の行き方をここで引き出そうと思ったら、厚生大臣のほうで民生委員、児童委員の全国大会のほうへ行かなければならないといって、これを終わってから飛行機でも行けるのじゃないかというのに、わざわざ列車で行っている、こういうような態度です。私としてはこういうような態度ではまことに遺憾だと思うのです。委員長からこの点を厳重に御注意願いたい。  それとあわして委員長のほうから、山中総理府総務長官がせっかく出てきておりますので、閣議の中でこの点について十分発言されて、今後臨時国会を開くかどうか、開くにきまったようでありますけれども、いま国民がこの問題に焦点を合わして、そうしてこの公害対策委員会がそれまでの間公害の問題に対して、完膚なきまでにいろいろ国民にかわってやることを凝視しているのです。にもかかわらずこういうような状態ではまことに遺憾であります。委員長において善処されんことの動議を提出いたします。よろしくお願いいたします。
  322. 加藤清二

    加藤委員長 ごもっともな御意見でございまするので、これを理事会にかけて善処することをお約束いたしますが、すでにいままで行なわれました何回かの理事会並びに理事懇談会におきましても話題になり、討議の材料になった問題でございます。どうも総理、官房長官のおっしゃられる公害に対する意気込みと、各省大臣のこれとの取り組み方に矛盾があるようでございます。ただし、山中総理府総務長官、本部長だけはこれはまた別格で、この限りではございませんから、念のため申し添えておきまするが、いずれ理事会にかけて善処いたします。  次回は、明九日午前十時理事会、十時三十分委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後七時三十六分散会