運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-04-15 第63回国会 衆議院 産業公害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十五日(水曜日)     午後一時十五分開議  出席委員    委員長 加藤 清二君    理事 小山 省二君 理事 始関 伊平君    理事 古川 丈吉君 理事 山本 幸雄君    理事 渡辺 栄一君 理事 島本 虎三君    理事 岡本 富夫君      小此木彦三郎君    久保田円次君       野呂 恭一君    浜田 幸一君       林  義郎君    松本 十郎君       佐野 憲治君    土井たか子君       多田 時子君    西田 八郎君       米原  昶君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房審議室長   青鹿 明司君         経済企画庁国民         生活局長    矢野 智雄君         経済企画庁国民         生活局参事官  西川  喬君         経済企画庁総合         計画局長    八塚 陽介君         通商産業省企業         局立地公害部長 柴崎 芳三君         建設省河川局長 坂野 重信君  委員外出席者         議     員 角屋堅次郎君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         自治大臣官房参         事官      立田 清士君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   伊東 正義君     小此木彦三郎君 同日  辞任         補欠選任   小此木彦三郎君    伊東 正義君     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害紛争処理法案内閣提出第一八号)  公害紛争処理法案角屋堅次郎君外五名提出、  衆法第五号)  公共用水域水質保全に関する法律の一部を  改正する法律案内閣提出第二〇号)      ————◇—————
  2. 加藤清二

    加藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公害紛争処理法案角屋堅次郎君外五名提出公害紛争処理法案、及び内閣提出公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
  3. 島本虎三

    島本委員 経済企画庁長官に、前回の水の問題に関してのいろいろな質疑に引き続きまして、その残余の部分についてこれを明らかにしておきたい、この点について質問を申し上げます。  前にも申し上げましたとおり、昭和四十五年三月に出されました行政管理庁行政監察局からの「都市河川に関する行政監察結果に基づく勧告」、これが出されておる。その中の「3、都市河川整備に関連する諸対策の推進について」、この中の「(1) 総合排水計画の策定について」がございます。そしてその(2)には「下水道との調整について」、これが勧告されているのであります。この「下水道との調整について」、この中身は、「(ア)河川下水道機能区分を明確にし、防災、治水、環境衛生あるいは都市計画観点から河川ごとに個別に検討し、下水道転換すべき都市河川を選定すること。(イ)下水道転換後、従前に比し浸水被害を多発しているものがあるので、転換に際しては、都市排水の安全な処理をはかるよう十分配慮すること。(ウ)なお、都市下水路として整備したものは、都市下水路指定を励行し、管理適正化をはかること。」こういうように指摘されているのであります。これは下水道への転換の件であります。それと同時に、(3)には「都市河川浄化について」、これをはっきりうたっているのであります。  こういうような点からいたしまして、先般の長官の御答弁等によりまして、ここに今回の水質保全に関する環境基準閣議決定、こういうような運びに相なりましたけれども、これを達成するために公共下水道整備、これが基本施策の最も関心を持たなければならない点だ、こういうように思うわけであります。この点について政府はどのようにお考えなのか、まず長官決意を伺っておきたいと思います。
  4. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いま御質問の点は、私たちも非常に関心を持っておるところでございます。いかに環境基準というものをきめましても、それについて実効のあがるようにということがなければならないわけでございまして、下水道につきましては、遺憾ながらまだ国際的に見てもわが日本は低いのであります。それだけに、この問題についてわれわれはなお今後非常な努力を払って、この普及率の向上をはかっていかなければならぬ、こういうふうに思っております。まあ最近におきましては、各方面の御了解等も得まして、わりあいにこの工事の進捗率等も見るべきものがあると思っておりますが、また特に今回は新しい計画におきましても、これに相当重点を置きまして、環境衛生関係投資額というものの伸び率も他の投資に比較しまして相当高いところを見込んでおるような次第でございます。
  5. 島本虎三

    島本委員 三十八年度だったと思いますが、緊急整備五カ年計画、これが特別措置法として制定されまして、現在第二次の五カ年計画の最中でありますけれども、この下水道緊急整備計画、これと環境基準達成、この関係が今後やはり大きい問題になってくる、こういうようなことは私自身言う必要がないほどでございますし、先般来の議論の中にもこの問題に触れて、いわば所管の問題でずいぶんこれを議論したところであります。  そこで、いま長官の御説明もございましたけれども、従来二回にわたって五カ年計画が策定されて、現在進捗中であります。この計画達成実績、これについて、やはり終末処理、それといわゆるパイプ、管渠というのですか、これに分けて十分説明してもらいたいと思います。これは下水道課長でございますか、それからひとつ説明を願います。
  6. 久保赳

    久保説明員 下水道整備五カ年計画は、ただいま島本先生から御指摘のように、過去におきまして二つ整備計画閣議決定をいたしております。第一次の五カ年計画は、三十八年から四十二年までの五カ年間です。第二次は、第一次計画最終年度を一年繰り上げまして、四十二年から四十六年まで、こういうふうになっております。  第一次の実績を申し上げますと、第一次五カ年計画は、下水道整備全体で四千四百億でございます。そのうち終末処理場が千百億でございます。終末処理場以外の分が三千三百億ということになるわけでございますが、それの四年分を実施したわけでございますので、四年分の実績終末処理場管渠とも九〇%であります。それが第一次でございます。  第二次の五カ年計画は、四十二年以降五カ年で総額九千億でございます。九千億のうち中身公共下水道、それから流域下水道それから都市下水路特別都市下水路というふうに四つに分かれているわけでございますが、先生指摘終末処理場につきましては、公共下水道とそれから流域下水道二つに分かれて入っております。九千億のうち終末処理場の分は二千二百億になっております。  それで、それの現在までの進捗率は、全体といたしまして六八%ということになっております。四十五年度末でございます。四年目になります。それで、その中身終末処理場、それからそれ以外の部分達成率はほぼ均衡しております。大体同じでございます。
  7. 島本虎三

    島本委員 処理場計画、これはなかなかよくはない、こういうようなことをいわれておりました。しかし、いま報告によりますと六八%、まだまだというところであります。それで、この下水道関係、これをよくしない限りにおいては、将来はやはり、いかに水質保全をはかってもその辺が一つの大きいポイントになりますから、これに重点を置かなければならない、こういうように思うわけであります。しかし、まだまだでありますけれども、経済社会発展計画では、水質環境基準達成のためには下水道整備計画を十分扱わなければならないし、考えなければならない、こういうことになっておるわけでありますけれども、その事業量、これはいわゆる管渠処理場に分けると、経済社会発展計画部分ではどういうように計画し、これを運営しょうとしているのでしょうか。これは今後、長官としても大きい問題でありますので、ひとつ長官から御答弁願いたいと思います。
  8. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは実はまだ正式の発表は行なわれていませんが、一応いわゆる行政投資の金額を積算いたす前の試算としてこれが出ております。これが二兆三千億です。これのいま御指摘のような内訳につきましては、今後これを関係各省と相談してきめていく、こういうことになろうと思っております。そして、ただいまの事業費でまいりますと、大体伸び率が二六%余り、こういうことになります。
  9. 島本虎三

    島本委員 伸び率二六%程度ということでございます。前回、水についてのいわば期限、何年でこれを完全に対策を樹立し、これを遂行できるか。これに対しまして、長官のほうから、見直しを行ないたい、その年度は五年以内にする、こういうような答弁がございました。そうしてどうしてもできなければ六年になるのもあるし、七年程度までにはおさめたいのだ、こういうような決意があったわけであります。ただし、一般的なものに対しては即刻これを行ないたい、こういうような御答弁でございました。答弁内容そのものはさすがに佐藤経企庁長官である、こういうように思わざるを得ないようなりっぱな答弁なのでございます。五年間を原則として達成するというこの答弁、なかなか長官としてはかつてないような決意だ。水の場合はいかに掲げても、目標はりっぱにしても、それに対する実施目標期限、それと具体的な計画、こういうのがない以上、これは達成できないのだ。そのプランの中に、はっきりこれはめどを立てたということは私はいいと思うのです。心から激励しておるのです。そういうようなことからして、いまの経済社会発展計画、この分ではおそらく現在二六%程度だ、こういうようなことでありまするけれども、今後やはり五年で達成させるということになれば、この中で、あなたの受け持ちとして、相当馬力をかけていかないと、これはできないことになるわけであります。計画を立ててそれを別々な行政ということはあり得ません。そのいわゆる経済社会発展計画、この中と一致させてやらなければなりませんから、この点では今後にひとつ、達成のためにこれははっきりと約束をここにしておかなければならないことになるのですが、前回の、一般河川に対しては即刻だ、それは重要な、また困難なものに対しても五年を限度とする、六年、七年に及んでもそれ以内にしたいということがございましたが、今度の経済社会発展計画の中でも、当然五年でこれを達成できるのだという目標でなければならないと思うのです。これに対して長官、再び決意を、前の答弁と相反しないように答弁しておいてもらいたい。
  10. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 前に申し上げたとおりの方針を変えておりません。ひとつできるだけ達成するようにしたい、こう思っております。
  11. 島本虎三

    島本委員 できるだけというのがそもそも困るのです、これは絶対にこうやるというかまえでないと。絶対といってもこぼれるのです。できるだけというとそれからこぼれるのですよ、水は。それではニクソンに笑われますから。これはその程度ではなんですけれどもほんとうに約束できた、こういうふうにして次へ進めてまいります。  それでは、今度は下水道課長長官の両方に伺いたいのですけれども、アメリカニクソン大統領は、北米の五大湖水域関連水域、これでさえも三次処理を行なうのだ、こういうようなことを言っているわけです。社会経済発展計画では、三次処理考え方、これが組み込まれておるのかどうか。おそらくは微量でこの辺まで減らしていくとしても、そういうような考えの上に立ってやっていかなければ、これはもうだめなんじゃないか、こうまで思われますけれども、いままでどおりの二次処理までの考え方水質基準環境基準、この達成をはかられる、こういうふうにお考えなのかどうか、三次処理までも考え達成するというのか、これもなかなか急なことでございまして、大臣も困ると思いますが、水をきれいにするという立場からすると、おそらくはアメリカ考えてやろうとしていることを日本が、アメリカに次ぐ経済力、GNPを持ちながら、できないなんということはないはずでありますから、ここではっきりこれに対する考え方も承っておきたい、こういうふうに思うわけです。
  12. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは、いま御指摘のように、現在までのところ二次処理までということで考えてきておるのでありますけれども、御指摘のように、大都市のまん中にあります、たとえば隅田川でありますとか、そういうような河川になりますと、これは二次処理だけではもう不十分であると私も思います。そういう意味におきまして、さらに三次処理といいますか、より高度な処理実施をわれわれとしても検討しなければならない、こういうように考えております。
  13. 島本虎三

    島本委員 したがって、この下水道の緊急五カ年計画、それと社会経済発展計画、この下水道分、この水質環境基準、こういうようなものの設定、こういうようなものを契機にして再検討して、もう一回補正を加えるべき段階だ、こういうふうにも思うわけなんであります。これはやはり水をいろいろ考えてやっても、最後に残るのはいろいろな困難な情勢を踏んまえた下水なんです。この下水終末処理、これにあたりましてはなかなか困難であります。困難でありますけれども、これまた省が変わるのであります。そうなりますと、今度はばらばら行政といわれないようにするためにも、やはりその辺は十分考えておかなければならない、こういうふうに思うわけであります。それで今度五カ年計画原則としてやるということになると、これは計画予算人員、こういうような面からしても、どうしてもやれるところからやっていく、やれる程度にしておくというと、環境基準を立てて五カ年やると、予算と、それから人員と、その計画が十分でない場合には、質が低下するというのですか、手抜きするというのですか、十分でないままにこれは終わってしまうおそれがあるのじゃないか、こういう懸念がするのです。ですからこの点は、その環境基準に沿うて少しでもこれを後退させないのだ、こういうようなことでやるためには、初めから人員と、それから予算と、はっきりした計画というものが一致して進まないとだめだと思うのです。この点については、長官、だいじょうぶだと思うのですが、どうも私も心配なものですから聞くのですが、だいじょうぶでしょうな。
  14. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 だいじょうぶでございます。
  15. 島本虎三

    島本委員 それで今度、下水道工場排水、こういうようなものを当然いま流入さしておるわけでありますけれども、その場合の料金、こういうようなものに対してもいろいろ問題をはらむところであります。私どもの手にいたしましたニクソン大統領のあの声明、これは一歩前進した姿勢を示しておるのでありますけれども、その中にさえもこれに触れているのであります。そういうようなことからして、具体的なこの問題の取り上げ方は今後大きい問題をはらむと思います。ことに、いままでの質疑の中でも、佐藤総理をはじめ、企業責任ということを具体的に出しました。それからいろいろな点におきましても、今後の公害対策を具体的にするためにも企業責任を明確にしていかなければならない、こういうようなこともあえて答弁の中に数多く出たのであります。そういうふうな中からしても、今後は企業負担の最も具体的な問題、下水道工場排水を流入させる場合の料金、こういうようなものから考えなければならないのじゃないかと思うわけなんです。工場下水道料金現状、これはどうなっておるのか。それと同時に、将来これをどうするつもりなのか、これにつきまして関係方面から伺いたいと思うのです。
  16. 久保赳

    久保説明員 下水道とそれから工場排水の問題でございますが、下水道法の第十二条に除害施設という項目がございますが、これは下水道自体が一番最終段階放流水水質基準を受けて、その基準に合うように浄化をしてから放流するわけでございますが、下水道が受け入れる工場排水に対しましては、下水道自身処理し得ないような成分を持った工場排水につきましては、除害施設工場側であらかじめその成分を除害してもらってから、下水道放流をしてもらうという趣旨のものでございます。したがいまして、下水道工場排水ということで第一義的にはそれが働くわけでございます。  それから、次に先生指摘の、工場排水に対する下水道使用料の問題でございますが、下水道使用料は、下水道施設の主として維持管理が一番大きなウエートを占めますけれども、一般の住民の方々並びに工場排水とも下水道使用料を徴収するというたてまえにいたしておりますが、その中で特に下水道施設相当の経費がかかる、負担区分といたしましては、工場に対しては工場排水の量だけではなくて、工場排水の質を加味をいたしました下水道使用料制度をとることを指導の方針といたしております。  その例といたしましては、現在まだたくさんはございませんけれども、東京都の下水道局実施をしておりますものに、隅田川汚濁対策事業でいたしました、新河岸川の流域に非常にたくさんの工場地帯を控えた下水道排水区がございます。この区域におきましては、処理場に入ってくる水の相当部分工場排水でございますので、この工場排水に対しまして、たとえばその水質成分といたしましてPHとそれからBOD、その他SS等加味をした水質使用料ということによって、費用の負担公平化をはかっておるというのが現状でございます。  なお、この制度はまだ広く全国的には普及をいたしておりませんけれども、先ほど申し上げました方針に従って、逐次工場排水を取り入れるたびごとにこのような下水道使用料制度を採用してまいりたい、かように思っております。
  17. 島本虎三

    島本委員 それで、これまた長官にお聞きいたしますが、いま水資源局はありますか。
  18. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 ただいまございません。
  19. 島本虎三

    島本委員 これは、そうするとないようでありますけれども、水質保全行政水質行政、これはどういうような有機的な組み合わせで運用されるのか、このことも重要になってくるわけです。今後この大事な問題を控えて、水資源局はなくなっている。こういうようなことになると——長官の就任以前の話ですから、いまさらそれを佐藤長官に聞くのもどうかと思いますけれども、いま隅田川浄化の話があったわけですけれども、それとあわせて、今後は水資源行政、それから河川行政水質保全行政、こういうようなものの重要なる接点、こういうようなものが大事になってくるわけなんですが、それに対して環境基準は一体こういうような問題をどう扱っているのだろうか。しかし、水質行政としても、これは三つ三様にこのものは一致して取り締まらないとだめなんですが、取り締まるという長官を前にして、水資源局はもうなくなってしまっている、こういうふうになってしまうと、大事なものを進めるのに三本足が片足欠けちまう、こういうことになってしまうのではないか、こういうことを私おそれるのですが、経済企画庁内の調整はどうなっているのか。それから河川行政との関係はどうなっているのだ。せっかく両省から来ておりますので、この点は私の疑問とするところでありますから、ここは明確にしておいてもらいたいと思います。
  20. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御心配をいただいて恐縮であります。御存じのように水資源局は大別いたしまして、いわゆる河川関係についての各省水関係調整ということが一つ重点でありまして、この系統は、ただいま企画庁にございます総合開発局のほうに移っております。これはこれで、御存じのように総合開発計画というものは推進されていく過程におきまして、やはり水の問題は非常に重要でございます。そういう意味で、この開発局において総合的に見ていくということも、これまた非常にいいんじゃないかと私は思っております。本来の河川行政その他の水行政は、御存じのように各省においてそれぞれ担当されております。したがって、企画庁においてはその調整を旨として行政を行なうことが趣旨でございますから、この水資源局がなくなりましても、開発局に移りましても、そちらにおいて実体において変わらない調整能力を発揮する、こういうことでいけるのじゃないかと思います。  それからもう一方の水質関係のことでございますが、これにつきましては課もそのまま残りまして、そしてこれは国民生活局のほうに入ることになったわけでございます。実体においては縮小を見ておりません。そういう意味水質保全行政につきましては、さらに今後能率的に働くことによりまして、御懸念のないように各省との連絡も緊密にしながらやってまいりたい、こう思っております。
  21. 島本虎三

    島本委員 質問を進めます。  先般の河川法に対しましてのいろいろな質問の中で、この政令は今国会中にも出すように考えたい、こういうふうに約束をなさいまして、河川法実施に必要な政令は今国会中に出す、こういうことになってまいりますと、当然地方公害条例によるところの水質汚濁防止との関係についてはやはり問題が生ずるおそれがあることはいろいろいわれておるところであります。すなわち地方条例がこれによって死ぬことに相なりまするから、条例関係をやはり明らかにしておかぬとだめだ。東京都等におきましては同じ公害関係でも、大気の汚染の関係の問題では、若干のトラブルがあったようであります。しかしながら、水の関係においても当然河川法政令によって今度実施させるような、いろいろな罰則まで加えて出すようになりますと、現行の地方条例との関係が当然生じてくるのじゃないか、こういうように思うわけなのであります。それで建設省自治省に、この水質汚濁防止のための条例との関係において十分対処できておるか、このことをひとつ聞いておきたいと思います。建設省自治省からの見解を承ります。
  22. 立田清士

    立田説明員 ただいまお尋ねの河川法施行令関係でございますが、現在の段階はまだ政府内部で協議中の段階でございますので、そういう前提でお答えさせていただきたいと思います。  そこで、いまのお話、私たち地方行政関係から見た場合に、多少問題点政令についてあるということを考えております。その点は、御承知のとおりこの行政に関しましては、やはり総合的に行なう必要があるということ、それから、いわゆる地域問題として、やはり地方団体自身実施の中心になっているということを考えました場合において、いわゆる権限的な問題といたしまして、現に地方団体条例で規制しております部分について、河川の種類によりまして権限が分かれるようなことが出てきてはひとつ問題があるのではないかということ。それからさらに、いまお話しがございました公共水域水質保全に関する系統の規制との関係で、やはりそういうものとの一元的な処理ということが必要ではなかろうかというような観点から、それと現にあります指定水域指定水域外の問題をどういうふうに考えていくのかという点が、地方団体条例のほうから見ました場合に問題がございますので、そういう点について現在いろいろ検討をしておる、こういう段階でございます。  基本的には、私たち自治省立場といたしましては、地方行政観点でございますから、河川といわず、一般的な水といわず、その地域の水質が総合的に円滑に推進される必要があるわけでございまして、そういう観点から現在検討中の段階でございます。
  23. 久保赳

    久保説明員 これは河川局が主管でございまして、大事な問題でございますので、私ちょっと答えられませんので、河川局を出席要求していただきたいと思います。
  24. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 この問題が二つぐらいに分かれているように私ちょっと御質問を承ったものですから、条例との関係につきましては、実は水についてはほとんど問題がないというふうに私たち考えております。何か東京都の関係がばかに誇大に報道されましたけれども、中身を調べてみますと、私どもの考え方とほとんど矛盾をいたしておらないようであります。一、二私のほうの基準の設定がだいぶ古いものがございました。これなんかは本年見直し調査をすることになっておりまして、そういう関係実体的にはあまり矛盾がない。でありますから私は、あまりあの問題について神経質になる必要はないと考えておるのでありますが、もちろん法律論としまして、これは法制局の解釈として、一律的に、法律条例とが重複した場合においては法律が優先する、これは解釈としてはやむを得ないことだと思います。そういうことが多少経過的に起こる場合がありましても、もちろん国と地方行政を総合的に調整しながらやっていかなければならぬことでありますから、私たちはそういう事態が起こらないように十分処理していきたい、こういうふうに考えています。  それから、河川法に基づく政令の話はいま河川局長が来ると思いますが、この前私もそばにいて河川局長の答弁を聞いておりましたから、大体の経過を知っております。そこで結局私のほうといたしましては、現在のいわゆる水質保全行政というものと重複することのないように、重複しない範囲において河川管理者としての立場から、河川の清潔という趣旨から、もし政令の規定をすべきものがあるならば、そのものについて政令をきめられることについては異論はない、こういうふうに私はお答えをしておるわけであります。ただ、その過程におきまして、いま自治省から答弁がございましたように、これは関係方面が多うございます。その関係でやはりいろいろといま協議中のようでございます。自治省のほうで心配しておられる、いわゆる地域を総合的に見るべきである、したがって、都道府県知事の持っておる管理権、監督権というものとうまくはたして調整ができるかどうかという心配を非常に持っておるようであります。そういう意味で、いま目下それの調整をしておる、こういうふうに私も聞いております。
  25. 島本虎三

    島本委員 では建設省関係の意見については後ほど伺うことにして、時間の関係上先へ進みます。  委員長御存じだと思いますし、各大臣もこの問題についてははっきり御存じのとおりでありますけれども、現在、きょう問題になっておる公共用水域水質保全に関する法律案、この原案の内容であります。この内容と申しましても、改正案ですが、これは前々国会の時点でできたものであります。しかしその後、もう御存じのように、いま日本に来ておりますウ・タント国連事務総長、そのいろいろな発言、それと同時にニクソン大統領のあの教書をはじめとしての最近の動き、こういうような中で、また国際公害シンポジウムが東京で開かれた、そうして各地の視察も行なった、こういうような時点で、国内の世論が急激に高まっていることは長官御存じのとおりなんです。それで、いま出された改正案、いわば前々回の国会の時点での修正を入れて出したものである、こういうようなことでありまするけれども、その以後の世論の高まり、したがって、水質環境基準の設定、こういう新しい事態になってきておるわけでありまするけれども、やはりこの問題を控えて今回の改正案、この状態の中で将来やはりこれを生かして使わなければならないし、生かさなければざる法になってしまうのだ、こういうような心配を前にして、やはり、もうはっきりした態度をここにとっておかなければならないんだ、こういうような点を考えて具体的に質問するんですけれども、指定したり基準をきめたりする、これはいままでやってきたことなんです。しかし、それによってもいろいろな病気の発生や国民に対する被害が出てきたわけです。いま改正される以前は、三十三年にもうすでに水質関係の二法が出ておるわけであります。今回の場合にはこれは前進的な法律である、これは高く評価いたします。しかしながら、実施面や問題を生じたときの責任体制、こういうようなことが明確でないうらみをどうしても私はぬぐいさることができない。こういうようなことからして各省調整がつかなければ動けないという状態の法律案じゃないか、それをつけるのは調整機関である大臣なんだ。この各省はいまそれぞれの分野で動いているわけであります。これがやはり大事なところになるんじゃないか。したがって、実施面や問題が生じたときの責任体制、こういうようなものが明確でない点があるならば、これを明確にして実施するのでなければだめだ、こういうように思うわけなんですが、この体制については、長官責任をもってだいじょうぶだということをここに答弁できましょうかどうか。
  26. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 まことに御指摘の面、私自身も非常に心配をしておるところでありますが、これは企画庁として責任をもってやらなければならぬ一番大事な点だと思っています。各担当が各省ばらばらに分かれておるということを理由にして、この水資源の保全に関する行政がいいかげんに行なわれたり、責任が不分明である、こういうようなことがあってはたいへんであります。われわれもただ環境基準を設定するということだけで満足するものではございません。今後各省行政分野にわたって、総合調整立場から、十分アフターケアその他についても心を用い、そしていやしくも実行上の問題について、そごのないように私たちも責任をもってやりたい、こう思っております。
  27. 島本虎三

    島本委員 了解しました。それならば水俣病やイタイイタイ病のような、こういうような問題が発生した場合に、経済企画庁長官のところでどのような処理ができましょうか。今後この法律を、あわせて皆さんのほうで調整しなければならない。今後起きないという保証もないわけです。できた場合の責任体制、これも実施面で明確にしておかなければならないわけでありますけれども、イタイイタイ病や水俣病、こういうものが発生した場合に、どのような処理経済企画庁にできましょうか、これも念のために、国民のまえにはっきりしておいてもらいたいと思います。
  28. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これはもう当然のことながら、もし現在、その点において指定が行なわれていないというようなことがありましたら、できるだけ早く情報もとり、調査も急がなければなりません。そうして、調査をした上でこの基準の設定、規制対象の拡大、早急にそうした措置をとり、かつまた当然、一面において厚生省がこの問題を取り上げなければならない。おそらく厚生省は、あるいはもっと早く取り上げられるかもしれませんが、そこらの点については、私のほうあるいは厚生省一体になって、そうした点について手落ちのないように進めていきたい、こう思います。
  29. 島本虎三

    島本委員 健康の問題については、厚生大臣の責任が、水質保全関係のこの法律案に関する限り、全く明文化されていないじゃありませんか、これではどうなりますか。厚生大臣に対しての責任の問題が、いま出しているこの水質保全法律の中に明文化されていない。大臣は、健康に関しては厚生大臣としても十分やっていく、このようなことをおっしゃいましたから、それならば明文化しておけばいいのですけれども、この場合に明文化されていないじゃないか、どうですか。
  30. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いわゆる国民の健康あるいは衛生、こういうものを管理することが本来の厚生大臣の職能でございます。そういうことで当然厚生大臣がこういう問題についてそれの原因をできるだけ早く突きとめる、こういうようなことが義務になっているわけであります。ところが、この水質保全の直接の行政責任というのは、工場排水等については通産大臣であるとか、それぞれに責任が分かれております。でありますから、原因を突きとめるというような点については、厚生大臣ができるだけすみやかにこれを行なわなければなりません。そしてまた、私たちはすぐ水質基準の設定なり、指定の対象の拡大なり、こうしたことをやらなければなりません。そして今度それに応じて、水質の規制の具体的な問題の処理については、それぞれの法律の担当省において責任をもって行なう、こういうふうに、ある意味でばらばらになっているわけでありますから、私どもはできるだけその中心にあって、そういう点でそごがないように今後やってまいりたい、こう思っております。
  31. 島本虎三

    島本委員 その点では、少し大臣自身の今後の努力に期待しなければならないのですが、少なくともそういうような場合には、法文のどこかにそういうようなことがあってしかるべきではないかと思うのですが、それは入れないでおいても内部で調整して十分やれる、こういうふうなことでありますから、それで了解しておきたいと思いますが、もうすでに起きている問題に対して、処理が現在できない。ですから、これから起きるであろうと思われるこういうような問題については、万全の配慮をしておかなければならない。このことだけを強く申し添えておきたいと思います。特に、河川の場合には、上流や下流、または対岸、こういうようなところで自治体がそれぞれ違っておる、こういうような場合が多いわけです。したがって、中央の責任体制を明確化しておくことも今後の大きい問題となるわけです。それで一本の川にたくさんそれに関連している自治体がありますから、こういうような点をおろそかにすると、ばらばら行政だ、こういうようなことになってしまうわけなんです。これに対してもやはり大臣自身も決意を新たにしてこの法律実施に当たらなければなりません。いままで問題になっているのもえてしてそういうようなことから端を発しておりますので、あえてこの問題についての大臣決意を聞いておきたいと思います。
  32. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 この水の処理、あるいはこの管理の体制、これにつきましては御心配の点がないように、ひとつくれぐれもその管理体制について今後一そうの注意を払ってまいりたい、こういう覚悟でございます。
  33. 島本虎三

    島本委員 そこなんですね。じゃ、いままでの大臣は注意を払わなかったという反語が出るわけなんです、現在までのところを見ると。私は、佐藤大臣には、いままでの質疑応答の経過からしてほんとうに信頼できるものを見出したことはしあわせだと思うのです。ことに水の基準達成年限まではっきりしたということは、私はほんとうに敬服するのです。これをやってもらいたいということですが、やる際にもいま言ったように、いろいろばらばら行政の実態がまさに水の場合にありますから、よほどしっかりしてやらなければだめだ、このことであります。そしていままでの発生した病気、たとえばイタイイタイ病、水俣病、こういうようなもの、阿賀野川の問題なんかもそうですけれども、これを振り返ってみましても、今回の水質保全に関する法律の改正案の中には、この核心の問題に触れて、都道府県知事の測定分析事務、この程度の問題しかないじゃないか、これではたしていいだろうか、こういうように思うわけなんです。今回のこういうような改正案は、これは前より見たらいいですから、私はこれに対して賛成するものでありまするけれども、都道府県知事のこういうような事務だけでいいのか、こういうようなことになりますと、今度これを実施する際に、長官もほんとうに心を据えてやらなければならない面が多々あります。私は、ただ単に調整するんだ、総合するんだ、これだけでは河川行政は全きを期することができないと思います。したがいまして、これらがいままであってもいろいろな事故が発生しておりますから、この新しい法律を成立させることを契機にして、今後強力な権限をもって、そしてばらばらにならせないように、いまのような都道府県知事の測定分析事務、こういうようなものと合わして、完全にこれは一本化の体制で進まなければならないんだ、こういうように私自身思うわけなんです。長官に新しい任務が付与されるようでありますけれども、世界の情勢からして、これは重大な決意をもってこれに当たってもらいたい、当たらなければならない、このことを心から申し上げなければならないのです。最後になりましたが、決意を伺います。
  34. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 この水処理関係の機構がばらばらでございますから、私もこの際全くあなたと同感でございます。そこで、この処理体制を確立するために、われわれもひとつ今後新しい角度でそれの推進をはかるように大いに検討したいと思います。
  35. 島本虎三

    島本委員 これからのほんとうに善処を期待するということではございませんで、われわれ自身もいままでいろいろ質疑してまいりましたその中で、長官答弁に関しましても意欲的な面、これをあくまで高く私は評価しておきたい、こういうふうに思うのであります。それで今後いろいろな問題があるわけでありまするけれども、それに対しましては本法案を通したあとで、ひとつ一致した体制でこれに当たってもらいたい、このことを強く申し上げておきたいと思います。
  36. 加藤清二

    加藤委員長 ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕
  37. 加藤清二

    加藤委員長 速記を始めて。
  38. 島本虎三

    島本委員 河川局長が参りましたから、先ほど答弁が留保されている点についてあらためて河川局長から御意見を伺っておきたい、こういうふうに思うわけです。  それは前回この場所で、いろいろ今回の経済企画庁が提案されました公共用水域水質保全に関するこの法律案の審議の際に、河川法との関係で、重要な、たぶん二十九条だと思います、それと百二条のいわゆる罰則の問題、これだったと思いましたが、それに対しましての具体的実施の面で欠けている、まあ行政措置がない、こういうことでいろいろ質疑いたしました。それで今国会中にでも必要なる関係政令は出したい、こういうような意向が表明されたわけであります。  私はそれを受けて、いま最後に、この河川法地方公害条例、これによるところの水質汚濁防止に関する関係、これについていま聞いているところなんです。これは当然局長が来て答弁してもらわなければならないということで、これだけは留保になっておりました。そしていま聞きたいのは、今度政令ができ具体的実施に入るようなことになりますと、地方公害条例によるところの水質汚濁防止との関係が具体的に生じてくるわけであります。そうなりますと地方条例が当然これは死んでしまうんだ、だから地方条例関係をこの際ですから制定する前に明らかにしておいて、それによって政令の制定を行なってもらいたい、こういうようなことであります。それで建設省のこれに対しましての準備なり見解をお知らせ願いたい、こういうことなんです。いままでこの答弁が留保されていたわけです。条例との関係をここに明確にしてもらいたいと思います。
  39. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えいたします。  水質保全法との関係は、先般お答えいたしましたように、調整をはかりながらやっていこうということでいま協議中でございます。それから先生指摘の各府県の公害防止条例との関係も全く同様でございまして、調整を十分はかるということで目下協議中でございまして、まだ結論は出ておりませんが、先般お答えしましたように今国会中にできるだけひとつ成案を得るような方向で現在折衝中でございます。まあ私どもの気持ちとしては間もなく調整案ができるものと期待しておるわけでございます。
  40. 島本虎三

    島本委員 それで水に関する環境基準、これの設定は長官いつこれを閣議にかけて行なう予定ですか。
  41. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 今月の下旬の予定にしております。
  42. 島本虎三

    島本委員 今月の下旬というと、日にちにして何日ごろになりますか。
  43. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 二十二日か三日と思っております。
  44. 島本虎三

    島本委員 はっきりその問題に対して出してもらうことを、心から期待いたします。じゃ、二十二日か三日……。
  45. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 失礼しました。二十一日にしたいと思います。
  46. 島本虎三

    島本委員 二十一日にこれを出すということでありますから、間違いなくそれをやってもらいたい、こういうように思うわけであります。  それで今後は指定水域指定水質基準の設定、これについては前からいろいろやっておりましたが、百をこえる河川の中でまだ四〇%内外しか指定しておらない、こういうようなことであります。もちろんこれは全部をやるというのが理想でありますけれども、そのままにしておけないのであります。この問題については、可及的すみやかにその水域の指定も行なわなければならない、こういうようなことになります。これについての長官決意を承っておきます。
  47. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私も全くそう思っております。可及的すみやかにやりたいと思います。
  48. 島本虎三

    島本委員 それと最近の被害の実情、これはいろいろ私も具体的な例をあげてここに質問いたしました。しかし、おもに被害者が出ておったこの問題点を洗ってみますと、重金属の物質にかかるところの水質の汚濁というものが大きい原因になっていたわけです。しかし、これにつきましても、法的な措置を含めてこの防止対策の強化、これが目下一番大事な問題の一つであります。まあこれも可及的すみやかにということばがありましたけれども、これはできてから二、三年たってもすみやかに実施されておらないようでありますが、これに対して長官、どのようになさる決意でございましょうか。この重金属にかかわるところの水質の汚濁についての見解もついでに明らかにしておいてもらいたいと思います。
  49. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは御存じのように、生命にかかわる問題にもなることでありますから、私どもとしてはできるだけ早くやるつもりでございます。御存じのようにメチル水銀、シアン、クローム、これはもうすでに実施済みであります。問題のカドミウムあるいはまたその他今後新たに起こるであろうと予想されるような問題は、これはできるだけすみやかに取り入れていく、こういう方針にしております。
  50. 島本虎三

    島本委員 今後公共用水域水質保全の万全を期するためには、当然これは機構と人員予算、この方面の充実をはからなければならないことが必要であります。しかしながら、水資源局がなくなったりして、一つの接点になるような重大な際に、三本足のものが一本欠けるというような情勢もあるのであります。それも長官の就任以前の話ですから、そういうような不毛の議論はまずまずといたしましても、今後この機構と、人員と、予算の充実、これに対しましては長官も格段の決意を持って当たらなければならない、こういうように思うわけでありますけれども、これにつきましても長官の意見を伺っておきたいと思います。
  51. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 まあ時節柄機構の拡大、人員の増加ということは、政府全体の方針としてもなかなかむずかしいところでございますから、ひとつできるだけ能率的にやってまいりたいと思います。しかし、本来の行政がそのために十分完遂できないようなことがあってはこれは困ります。よく実情に即して、できるだけお話にありましたように、そうした意味の充実ということも機会をつかまえてひとつ考えてまいりたい、こう思っています。
  52. 島本虎三

    島本委員 強力に要請いたしまして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  53. 加藤清二

    加藤委員長 それでは岡本富夫君。
  54. 岡本富夫

    ○岡本委員 先回の委員会のときに、少し答弁をいただくのが時間の関係上なかったので、最後に念を三点だけ押しておきたいと思うのです。  そこで、中性洗剤すなわち合成洗済の毒性については再検討していると、こういうようなお話でございました。その後、通産省のほうから説明がありましたが、厚生省の管轄でありますところの食品衛生調査会、この中には、「中性洗剤を野菜、果物類食品等の洗浄に使用することは、洗浄の目的から甚しく逸脱しない」、こういうような一項目があるわけでありまして、したがって、やはり毒性があるということを若干認めているわけでしょう。     〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 その目的から著しく逸脱しないということは、これはこの前もお話ししましたように、誤飲すなわち牛乳と間違って飲んだり、あるいはまた酔っぱらって飲んだり、こういうような事故がありまして、こういうことが出てきたのじゃないか、こういうように思うのですが、そこでこの毒性については、再検討する必要があるのではないか、こういうことでお願いしておきましたのですが、もう一度はっきりと再検討すると、こういう御答弁をはっきり長官からいただきたい、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  55. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 この問題は、私も実はまだ十分には知悉してないのですが、いろいろ経過がおありのようです。そこで、食品衛生調査会から出ました例の安全性の答申というものがございますね。私もこれを読んでみたわけであります。そういうようなことで、まずこの基本になる厚生省のお考え方なり、それからまた通産省の考え方なりを科学的に確立しなければいかぬと思うのです。そういう意味で、私も先般来岡本さんのお話を伺っておりましたから、そして岡本さんの御指摘になるように、この答申そのものについて大いに疑問がある、こういうことでありますから、これにつきましては、やはりなお厚生省に、この科学的な見地からの再検討をしてもらう以外にない、こういうように感じております。これは私からも厚生大臣に話しておきますけれども、いま私がすぐどうということもちょっといま申し上げられませんが、ひとつそういうことでもって、厚生省にもう一回申し入れをするようにいたしたいと思います。
  56. 岡本富夫

    ○岡本委員 それから消費者を守る、すなわち物価の問題あるいはまた表示の問題、こういうものは、やはり経済企画庁で消費者行政の上からお取り扱いであろうと思うのです。そこでこの中性洗剤の表示を見ますと、無害であるというように、安心して使っていただけるのだ、こういうのが非常に大きくて、そしてもしも誤って飲んだときは、すぐに牛乳を飲んで医者にかかれというのは非常に小さいんですね。ですから、誤らぬようにやはりはっきりとした明示をしてあげるのがあたりまえではないか。きのう実はそのことで通産省からお見えになって話をしたのですが、そうすると、何でも誤って飲んだらそれはだめだ。たとえば子供が五円玉、十円玉をのんだらこれはぐあいが悪い。あるいはしょうゆをたくさん飲んだらだめだというような意見があった。しかし、確かにお金をのんだり、あるいはまたしょうゆをたくさん飲む、これはいけないことは、そんなことはもうだれでもわかっておるのです。ところが、要するに無害であるというような表示があれば、それと非常に論法が違うんじゃないかと私は思ったんです。したがって、やはりこの使用のしかたについては、親切にしてあげるのがあたりまえではないか。これは生活局長のほうになると思うのですがね。もっともっとこまかいことたくさんあるのですけれども、要約してきょうのところは申し上げておるのですが、その表示のしかたについてどうでございましょう。
  57. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 表示の問題につきましては、現在不当景品類及び不当表示防止法あるいはJIS法あるいはJAS法、それぞれございますが、現在経済企画庁が中心になりまして、その点の明確な表示のしかたを——もちろんそれに関連いたしまして、危害を防止するという観点から、なるべく統一的に運用していく方途をいま研究しております。     〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕 当然この表示につきましては正確に表示する。たとえば使用方法等につきまして消費者がすぐわかるように表示する。いまお話しのように、小さくちょっと書くというようなことでないような方法で検討を進めようと、寄り寄り関係省といま協議をしております。
  58. 岡本富夫

    ○岡本委員 もう一点。と殺場あるいはへい獣の処理場、これをこの前私どもやかましく言って、今度の改正案に入れてもらったわけですけれども、このへい獣の排水処理は非常にむずかしい。経企庁のほうで基準をきめられましても、現在の排水処理というものは非常にむずかしい。実は私、加古川の水質基準をきめてもらいたい、こういうことでお願いしましたが、加古川の水質基準をきめると、その上流、西脇方面にたくさんの染色工場ですか、ああいうものがございまして、うまくいかないのですね。そういうようにされると中小企業はつぶれてしまう、こういうことで排水処理が非常にむずかしいのです。小さな、何といいますか、一つの試験の機関をつくりましていろいろやったときにはうまくいくのですが、今度現実にそこをやりますと非常に合わないのですね。  一つ例をとりますと、川西というところがあるのですが、上流、火打というところでたくさんなめし皮をやっておるのです。この水が市内にどんどん流れてきて非常に困っておる。そのために市役所のお声がかりで排水処理場をつくったわけです。ところが、それが全然ものにならぬ。したがって私は、非常に技術革新が必要じゃないかと思うのです。こういう方面に指導されなければならない。これは通産省の仕事だとかいうことになりますけれども、経企庁としても、やはり新しいこうした技術の開発と申しますか、そういう面に若干補助金も出していただきたい。何が違うかわかりませんけれども、川西あたりはこれに一億かけているのです。それで市と県でやっているのです。ところがものにならぬ。あともうこの金が続かぬわけですね。そういうことならなかっても同じことになってしまう、こういうような実例がございます。したがって、技術革新の方向と、それからそれに対する予算がどちらから出るのか知りませんが、そういう面もひとつ考えてもらわなければならぬ、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。
  59. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いま御指摘のような点が私は多々あると思います。試験段階実施段階で、技術の点でいまの処理施設等が、必ずしも十分に満足な結果を試験のとおり実現しない、こういうことも起こり得ると思うのです。  そこで、いま御指摘の地域につきましては、いま聞いてみますと、公害防止事業団で共同処理場の建設をやっておりまして、この五月ごろから運転を始めるそうなんです。これがどういう結果になりますか、これは見なければいかぬと思うのです。あるいは御指摘の地点と違う地点ですか、それはちょっと確かめてみなければなりませんが、いずれにしましても、いま言ったような問題は今後大いにあるわけですから、これは当然通産省にも要請をして、技術の研究にも金をかけなければいけないし、われわれとしてもこういう点をぜひ注目してやってまいりたい、こう思っているのです。
  60. 岡本富夫

    ○岡本委員 いまおっしゃったここのところは、公害防止事業団は入ってないのです。では公害防止事業団に少し手伝ってもらったらどうだといっても、そういうことがもう一つわからぬのですね。いま長官から御答弁いただいたように、これは何ぼ水質基準をきめましても、今度はそれを流すほうの処理施設を強力にやらさなければ基準をきめただけになってしまう、これはしり抜けである、こういうふうに私思うのです。非常に極端な私どもの考えでは、工場排水法、要するに工排法と水質保全法をくっつけた、たとえば水質汚濁防止法、こういうものをつくらなければ、これは満足な解決はしないのではないかという考えも持っているわけです。ですから将来そうしていただかないと、いかに水質基準をきめようといたしましても、その事業をとめるわけにもいきませんし、ひとつその点をよくお考えいただきたい、こういうように思うのです。  最後に河川局長に。これは先国会にも私たびたびお願いしたのですけれども、兵庫県と大阪との間を流れているところの神崎川、これはずいぶんやかましく水質基準をきめていただいて、そうして早くあの悪臭をとってもらいたいということをたびたび質問もし、お願いをしてきたのですけれども、最近に至りまして、とうとう付近の住民がたまりかねて大きな市民運動を起こそう、——私は、大ぜい集まって反対、反対という、ああいうかっこうは外国に見られてもみっともない、そういうことのないようにお願いしてあったわけですけれども、局長さんのその後の処理、あるいはまたどうなさるか、これについて最後の決意、あるいはまたこれからの見通しをお答え願います。
  61. 坂野重信

    ○坂野政府委員 神崎川の水質問題につきましては、先生指摘のとおり非常に水質が悪化しております。私どもの立場としては、できるだけいわゆる川底をしゅんせつして、少しでも水の通しをよくしよう、こういう立場でしゅんせつの事業を進めてきたわけでございます。それと並行しまして、淀川の本流のきれいな水を上流の樋門を通して、上流のほうからひとつ浄化用水を流そうということで、すでにそういう方向で進めておりますし、先般先生から御指摘がございましたのでお答えしましたように、もう少しそれを拡大して、浄化用水の導入というものを、もう少し抜本的にできないかということをさらに検討中でございます。そういう方向で、現在川ざらいと同時に、上のほうからきれいな水を導入するという方向で、さらにひとつこの辺のところを前向きで進めるように努力いたしたいと思います。
  62. 岡本富夫

    ○岡本委員 経企庁長官、そういうようなところが各所にあるわけですね。ですから水質基準をおきめになりましてもそれが守られないということでありますので、先ほど島本委員からも話がありましたように、各省調整だけでなくして、この水質保全の法案を通じまして、またこの趣旨を体して、ひとつ強力に水質保全につとめてもらいたい、この要求をさらにお願い申し上げます。最後に決意をお聞きしておきたいと思います。
  63. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いまお話がありましたように、単なる調整ということにとどまらず、各省行政自体についても、私どもも一体になってこれを推進するように、ひとつぜひ努力を傾けてまいるつもりでございます。
  64. 加藤清二

  65. 島本虎三

    島本委員 いよいよ公害紛争処理法案、最後の詰めに相なってまいったわけであります。この際に、私は、総理府長官に若干の点について伺っておきたい、こういうふうに思うわけであります。  その一つは、御存じのように社会党から政府案に対する対案が出されてございます。その対案によりますと、その内容等につきましては、角屋議員は現在おりませんけれども、政府考え方とやり方においては違いますけれども、公害紛争処理のための一つの具体的な方法、また専門的な方法ということでこれを討議しているわけであります。しかし、本法案がいまいよいよ最後の段階になりまして、そしてこの附則の最後に検討事項を入れて一緒に検討してもらいたい、こういうふうな要請が強くなされたことは長官御存じのとおりでありまして、この附則の中に検討事項を入れてそしてやるということにつきましては、長官はこれに対しましてはっきりした考えがおありのようでございました。この際、それを明らかにしておきたい、こういうふうに思いますので、御質問申し上げる次第です。
  66. 山中貞則

    ○山中国務大臣 与野党一致いたしておりまするのに、当該大臣との間に紛争処理がなされなかったということについておわびを申し上げます。私は、中身の問題よりも法律の形の問題を考えたわけでございまして、法律というものは、国が国民に対し、何を目的に、何をしようとするかということを定めなければならぬと思います。本法は、そのことがもちろん定めてあるわけでございますが、附則で、その定めたこと以外のことを検討しろということが書かれますと、ここでは国会の意思をいれたんだということで形はおかしくないようでありますが、成立可決の瞬間からこの法律は全体として法律になりますから、そうすると、政府のやるべきことについて附則でさらにこんなことも検討すると書いてありますと、だれがだれに対して何を——何ははっきりしておるわけですが、どうしてこんな法律なんだということに、形の上で法律としておかしくなるということであります。前例があるということでございましたが、私は、前例も悪例であるならばとる必要はないと考えたわけであります。  そこで、私としては、ただ法律のていさいだけで、中身を議論しなかったかと言われると困るのでありまして、そうではないんで、担当の審議室長以下官房を集めまして、事務担当の副長官ももちろん集めまして、このような法律がどうしても与野党でつくられるというならば、むしろ三条機関並びに裁定機能を持たせる法律につくりかえる、それを国会のほうで入れてもらうということにできないだろうか。それならば、自衛隊の基地の問題を別にいたしましてはっきりするわけですから、思い切ってそれをはっきりさせたほうがいいと考えまして、十分——二時間ほど議論をいたしましたが、いまの段階で司法制度を補おうという立場で、私どもの考えておりますこの法案から出て、さらに行政府において最終結審に近い形の裁定を下していくということについては、どうしても私も踏み切れなかったわけです。そこで、踏み切れないならば、やむを得ずもとの線に戻りまして、せっかくの御提案であるけれども、私の考えとしてはそれを受けることができませんというお答えをしたわけでございます。  いきさつはそのようなことでございますが、ついでに、ではどうするかという問題についてお答え申し上げておきますと、三条機関というのは公取等で非常にはっきりしておりますように、政府一般行政の機構の外にありまして、相当強力な権限を与えられることになるわけでございますから、現在あります三条機関を総ざらいして点検をいたしてみますと、土地調整委員会というものがございます。土地調整委員会は当初、鉱業権、砂利採取、その他の許認可に関しまして、主として農地等の他の公共の利益に対して紛争が生じた場合に、その所管大臣が裁定をいたします際、決定以前に土地調整委員会の意見を聞かなければならないということになっておるのであります。これは、この処理件数を見ますと、実際にはあまり力はないようなんですけれども、こういうものが三条機関でいまありますから、そうすると、今後の、おそらく増大し多様化するであろう、しかも国民は、人間の立場において日々追い詰められていくであろうと思われる公害に対しまして、これを紛争処理の権能を付与するのに、そのような土地調整委員会等の既存の機関の換骨奪胎なり、あるいはさらに権限を付与するなり等の考え方で、やがてはいずれこの裁定の——司法権そのものはできませんけれども、行政上持ち得る権能の一ぱい一ぱいまで考えていかなければならない日は、そう遠くないであろうという感触をいま持っております。でありますから、いつまでに裁定権を持った三条機関をつくるということを、いま直ちにこの時点では言えませんけれども、決して私も不用意に、国会の皆さま方の御意見を無視する言動をしておるわけではございませんので、当然自分としては、それ以上の考えを持っていかなければならない義務があると考えまして、そのような検討をこれからやっていきたいと思っております。
  67. 島本虎三

    島本委員 いわば明快な答弁であります。明快な答弁でありますけれども、それはなかなか承服し得ない明快な答弁になったわけであります。形式上の点から大臣はいろいろこれを議論を進められました。内容の点で、この複雑な公害行政に身をもって当たるためには、与野党一致した体制でこれに当たるのが、やはりこれが法の実施上、これを強力に推進する一つの道になるわけであります。せっかくその方法があるならば、前例もあるならば、当然そういうような場合に強力に進めるために、与野党一致したこの案を取り入れても人畜に被害がないはずであります。しかしながら、以上のような理由によって、大臣はここに拒否されたのであります。しかし、今後はこれを法律以外に実施検討していく、こういうようなことでありますから、ひとつこの点は前向きにこれを十分に検討し、すみやかに結論を出すように、これは心から願ってやまないわけであります。  ことに最近の公害の問題等につきましては、ここ二、三年でもずいぶん変わってきておるのであります。以前はやはり日弁連、いわゆる日本弁護士連合会でありますけれども、法体系として三条機関には全面的に賛成ではなかったのでありました。しかし、最近におきましては、他のいろいろ整備すべき三条機関、こういうようなものもあるけれども、新たにやるとするならば、最右翼に最も必要なのは公害紛争処理を三条機関にすることである、こういうような意思表示さえも公的になさっておる状態にあるのでありますから、ここは前向きに、この裁定制度の採用と、国家行政組織法第三条機関への移行、こういうようなことに対しましては検討して、すみやかに結論を出すようにしてもらいたい、このことを強く要請しておきたいと思いますが、あらためて決意を承ります。
  68. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は事柄について逃げたわけではございませんので、事柄の、たとえばかりに与野党でおつくりになった附則というものを、そのまま上げたとしましょう。しかし、そのままでよろしいのでしょうか。附則につけたら自分たちはそれで満足であるというには、公害の問題は——検討せよといったならば、それは法律にできるものはしろということだと思うのです。それならば、検討条項が附則に入ったから、それが公害に対して万全の対策をしたのであるとは逆に私は断言できないと思う。ですから、そのようなことが与野党で思想、党派を越えて強く要求されている今日の公害の実態を見るならば、それに対してほんとうに実行するのに何ができるか。できるならば、場合によってはこの法律を改正して、裁定条項を入れて、三条機関という新しいものを打ち出すかもしれませんし、そのようなことも含めて実行しなければなりませんから、実行するための——ただいま土地調整委員会の例をあげました。土地調整委員会も働いてはおりますが、しかし、これは三条機関でありますから、この機関をこのままで存続させるくらいならば、これらの権能を与えて存続させることは不可能であるかどうか等についての問題も、具体的な問題として初めて私は表に出したわけであります。内々では予算編成時期あたりごろから検討しておったわけですけれども、たまたまこの問題を、三条機関等と関連をいたしまして、公的に国会の場において初めて答弁をしたわけでありますから、決して私はその事柄を逃げているものではないということを御了解賜わりたいと思います。
  69. 島本虎三

    島本委員 次は、基地公害の扱いでございまするけれども、現在別に法律はつくられない、現行法でこれを行なっていくたてまえになっておるのでありまするけれども、その法律内容そのものには、いわば防衛施設周辺整備法ですか、それと特損法、こういうような法律の適用によってこれを行なっていくもののようであります。そうなりますと、これは当然個人被害についても救済の対象にするようにしておかなければならないことは、論をまたないのであります。この点につきましては十分配慮して、あわせてこの基地に本法を及ぼす、こういうような点等につきましても、既存の法律の中に入れていいのか悪いのかというようなこともあわせて十分検討しておいてもらいたい。  それから、手厚くこれを保護しておる、配慮しておる、こういうような答弁もありましたけれども、関係法そのものの中には、個人の被害に対しましても単独にないのでありますから、その辺までも具体的に及ぼすように、これは十分配慮しておいてほしい、こういうように思うわけであります。この点については遺憾ないと思いますが、あらためて長官のそれに対する決意を伺っておきたいと思います。
  70. 山中貞則

    ○山中国務大臣 前の委員会においてもお答えいたしましたが、今回防衛庁設置法の一部を改正する法律案というものを国会に出しておりまして、内閣委員会にかかるようでありますので、公害に関する識見を持っておられる皆さま方におかれては、適時内閣委員会等に——他の角度から防衛庁設置法が議論されて、この問題が埋没してしまう可能性なしといたしません。これは批判はいたしませんが、それなしといたしませんから、そういうところに審議にお出かけいただきまして、今回防衛庁が設置法の一部改正の立場のもとに、防衛施設中央審議会を置いて、そして第三者等を入れてもらって、この公害処理に対して防衛庁の独自の判断だけでない行為をとろうとすることについて、はたして公害紛争処理法案の中で排除されておることに補完する役目を持ち得るかどうかということについては、私も当然国務大臣といたしまして、中曽根大臣と今後の処理についても相談いたしますが、さしあたり今回は、前の国会とも違いまして、防衛庁のほうも単独法を出しておるということでございますので、その方面の審議を十分に賜わりまして、前国会よりも補完措置が単独に防衛庁でとられておりますので、その意味では前進であるということについて御理解を賜わりたいと思います。
  71. 島本虎三

    島本委員 お聞きしたい最後の点でありまするけれども、今回、公害の紛争処理に関する議事はどうするのか、これもだいぶ問題になったことは、長官も御承知のとおりでございます。これは、やはり調停、仲裁の手続は非公開、これを原則にされております。しかしながら、相当と認めるものの傍聴、こういうようなことはやはり要請があろうと思いますし、必要と認めるときには調停案を公表する、こういうようなことも当然であろうと思うのであります。今回特に公害紛争処理に関する議事を、非公開ということにはなっておりますが、公害の持つ社会性から見て、その運用に対しましては十分配慮をしてやってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。これに対しましての所感を承っておきたいと思います。
  72. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これは、原則法律で書きますときに、法律の前提が当事者間の依頼というものが前提になっておりますので、そういう傍聴等の実際の必要性があまりないということもあり、あるいは傍聴を許したために混乱して紛糾するというような事態がないようなケースであるということで、原則を変えたわけでありますけれども、今後どのような形態のものが出るかもわかりません。でありますから、いまの御指摘の点は、今後運用の面において配慮してまいりたいと思います。
  73. 島本虎三

    島本委員 その十分なる配慮を心からお願いする次第であります。  それとあわせて、この仲裁に移行した場合には、もう全然司法裁判のほうへ移行できないのだ、こういうようなたてまえになっているわけであります。これに対しましても、われわれはそうじゃいけないんだということを主張してまいりましたが、今後十分検討はしておいてもらいたい、このことを強く私は要請しておきたいと思うのです。法ではそうなっておりません。しかしながら現在の公害の持つ特殊性、複雑性、こういうようなところから見て、あくまでも原因と結果、これが明らかにならない以上これは裁判でも結審を見ることができない、こういうような状態になっているわけであります。その早道としての仲裁が、はたしてどういうふうになって具体的に生かされるか。残念でありますけれども、つい最近厚生省が行った水俣病に対しましての熊本にあるあの仲裁的なやり方、これは十分であるということは評価できないのであります。現時点でもそのとおりであります。まして命をなくした者、これは百万円か二百万円でがまんしなさい、こういうようなことを言っても、はたしてこの社会情勢にマッチするかどうか、これも重大な問題なんです。現時点でもうそういうような状態ですから、これが司法裁判に移行できない、こういうようなことになります結果が、公害紛争処理に対してはたして万全かどうか、こういうようなことに対しましても私どもは疑問の存するところであります。これに対しても、法の施行をしながらでも検討を十分きわめるように、心からこの点要請しておきたいと思うのであります。  以上をもって私の質問を終わるわけでありますけれども、大臣、これはいかがですか。最後です。
  74. 山中貞則

    ○山中国務大臣 仲裁に持ち込んだら裁判に移行できない、これは形の上ではそうでありますが、裁判に持ち込ませないということではないのでありまして、仲裁に移行する場合に裁判はできなくなりますが、それでも仲裁に応じられますかということが前提になるわけなんですから、したがって、いや、自分は不服だから仲裁にいくんだという人は裁定の中に入ってこないということにケースとしてはなるわけです。ですから、ここらのところに行政の関与すべき分野がさらに一歩進んで、裁定という問題でたいへん大きな問題となり、さらに慎重に検討を要することに触れてくるわけであります。しかし、おっしゃろうとする意味は私もよくわかりますから、運営の上においてはそのようなことの、すなわち一方が故意にもしくは過失でもって当然一般国民が受けるべき司法の権利を剥奪されるということのないように、十分の配慮をしてまいります。
  75. 島本虎三

    島本委員 長官の紛争処理に対しましての熱意と、能力と、手腕を今後存分に発揮されるように心から期待して、私の質問を終わるものであります。
  76. 加藤清二

    加藤委員長 これにて内閣提出公害紛争処理法案、及び公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  77. 加藤清二

    加藤委員長 この際、本日まで理事各位と十分協議をし、私の手元で起草いたしました内閣提出公害紛争処理法案に対する修正案を提出いたします。
  78. 加藤清二

    加藤委員長 修正案は、お手元に配付してございます。  その趣旨について、御説明申し上げます。  まず、第一点は、中央公害審査委員会に、専門の事項を調査させるため、専門調査員の数は、二十人以内を置くことができることとなっておりますが、その数を三十人以内といたしました。  第二点は、中央公害審査委員会の庶務は、内閣総理大臣官房において処理することとなっておりますが、これを改め、独立して、中央公害審査委員会に事務局を設け、事務局長その他の職員を置くことといたしております。  以上が修正案を提出した趣旨と内容でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  修正案について御発言はございませんか。——なければ、公害紛争処理法案及びこれに対する修正案、公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより採決に入ります。  公害紛争処理法案を採決いたします。  まず、本案に対する修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  79. 加藤清二

    加藤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決をいたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  80. 加藤清二

    加藤委員長 起立多数。よって、公害紛争処理法案は修正案どおり修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  81. 加藤清二

    加藤委員長 次に、本案に対し、古川丈吉君、島本虎三君、岡本富夫君、西田八郎君、米原昶君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。島本虎三
  82. 島本虎三

    島本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、公害紛争処理法案に対する附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    公害紛争処理法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、累積する公害紛争の処理に充分な実効を挙げるため、次の事項について積極的に対処し、公害紛争処理制度整備充実に万全を期すべきである。  一、今回の紛争処理制度においては、和解の仲介、調停、仲裁を採用しているが、公害紛争が多くの場合公害発生源の明定、因果関係の究明等に複雑困難な公害固有の特殊性の存することを配慮し、今後裁定制度の採用等と国家行政組織法第三条機関への移行を前向きに検討し、速かに結論を出すよう努めること。  二、本法から所謂基地公害を除外することについては、相当議論の存したところであり、今後本法との関連において既存の防衛施設周辺の整備等に関する法律等をも含め真剣に再検討し、所謂基地公害の防止等の対策に遺憾なきを期すること。  三、公害紛争処理に関する議事は、非公開を旨としているが、公害の社会性等からみてこれが運用に適切な配慮を加えること。  四、公害苦情相談員の制度を実効あらしめるため、その機構、権限等についてさらに検討すること。  五、公害紛争処理の円滑公正な実施を図るため、中央、地方を通ずる機構、人員整備予算充実等について充分配慮すること。   右決議する。 以上でありますが、この動議の趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、省略さしていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  83. 加藤清二

    加藤委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  84. 加藤清二

    加藤委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。     —————————————
  85. 加藤清二

    加藤委員長 次に、公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  86. 加藤清二

    加藤委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  87. 加藤清二

    加藤委員長 次に、本案に対し、古川丈吉君、島本虎三君、岡本富夫君、西田八郎君及び米原昶君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨説明を聴取することといたします。岡本富夫君。
  88. 岡本富夫

    ○岡本委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党を代表いたしまして、公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    公共用水域水質保全に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、公共用水域水質保全がわが国の公害対策上極めて重要な課題である実態に鑑み、本改正案の成立に伴い、次の事項の実現を積 極的に推進し、もつて公共用水域水質保全に万全を期すべきである。  一、公共用水域水質保全するため、一層公   害の予防的対策を重視しつつ、指定水域指定及び水質基準の設定を促進すること。  二、最近における公害被害の実情に照らし、重金属物質に係る水質の汚濁について、法的措置も含めて防止対策の強化を図ること。  三、公共用水域水質保全に万全を期するため、一層機構、人員予算等の充実を図ること。   右決議する。 以上でありますが、この動議の趣旨につきましては、案文のうちに尽くされておりますので、省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  89. 加藤清二

    加藤委員長 以上で説明は終わりました。  採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  90. 加藤清二

    加藤委員長 起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、各附帯決議についてそれぞれ政府当局より発言を求められておりまするので、これを許します。山中総理府総務長官。
  91. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいま全会一致をもって可決されました附帯決議の各項目につきましては、直前の島本委員との一問一答において明瞭でございまするように、誠意をもって尊重してまいりたいと存じます。(拍手)
  92. 加藤清二

  93. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 ただいま本案につきまして議決されました附帯決議につきましては、私どもも十分にこの趣旨を尊重し、今後行政の実際にあたりまして十分御趣旨の実現できますよう、大いにやってまいるつもりでございます。(拍手)     —————————————
  94. 加藤清二

    加藤委員長 ただいま議決いたしました二法案に関する委員会の報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 加藤清二

    加藤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  96. 加藤清二

    加藤委員長 長次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後二時五十八分散会