○角屋議員 いま
島本委員からお尋ねの点についてお答えいたします。
御承知の昨年の通常
国会の際に、
公害紛争処理法案につきましては、
政府からも御
提案がありましたし、また私どもの社会党からも
対策として提示をいたしました。同様に他の野党からも御提示がございました。そして非常に真剣な論議が展開をされました。その論議の過程におきまして、与野党における
公害対策のそれぞれの
理事を中心に修正の折衝がございました。この点については先ほど与党の
浜田委員の
質問に対する
政府答弁の中でも御
答弁がございましたが、野党側のたくさんの修正要求の中で、主として数点についての修正が受け入れられたわけでございまして、一つは
公害の
専門調査会の問題について、これは社会党で現にありますそういう要請を受け入れて修正を取り入れたという点がございます。
同時に、
都道府県以下、市町村に関する問題については、
政府は当初原案では非常に抽象的な書き方をしておりました。これに対して野党側のそれぞれ成案を持っておる要請も受けまして、先ほど御
説明のように
都道府県あるいは政令の市については
苦情相談員を設ける、あるいはその他についても設けることができるというような形の、いわば
住民に直接接する末端における
紛争処理の窓口というものを明確にするというふうな点についての修正は受け入れられまして、
政府といたしましてはあの解散
国会の際に、その修正を受け入れた原案を御提示願ったわけであります。
同時に、
島本委員も御承知の、これと関連をして
救済立法についても与野党の
相談が行なわれまして、そうして同時に解散
国会に提示をされました。
救済立法については
内容的にはやはりなお不十分な点がありましたけれども、事やはり人間の健康、
生命に関する問題について、不十分ながらもその成立における恩恵を待望しておる
関係者の要請からいたしまして、これはやはり時期的にも急ぐ必要があるという高次の政治
判断から、御承知のように
救済立法については人間の健康と
生命ということに限定されて、物等に対するところの
救済の問題が
整備されてない等々のいろいろな問題がありましたけれども、これが御承知のように成立の運びになりました。しかし、
公害の
紛争処理法案については、これは長期にわたる非常に基本的な問題でもありますので、しかもまた与野党のそれぞれの
政府提案あるいは野党
提案の中では、基本的な問題についてまだ未
解決の問題があるというふうなこと等もありまして、これが持ち越されたという形に御承知のようになったわけであります。
そういった経緯からも御
判断のように、今回社会党から対案を出すことになりましたのは、
政府が折衝の経過の中でわれわれ野党側の要望について受け入れられた点もありまするけれども、なおかつ基本的な問題について相当部分が残っておる。解散、総選挙などの新しい議会構成のなされたこの機会に、やはり国際的にも国内的にも非常に重要な
課題である
公害問題に対処する
紛争処理の基本立法として、やはり
政府提案に対して基本的にやはり問題の提示を行なうという立場から、今回あらためて社会党の対案を出すことにいたしたのであります。
若干
浜田委員と
政府委員との議論の中でも御提示がありましたように、この社会
党案と
政府案との中には、こまかい点までいけばいろいろありまするけれども、基本的にやはり違っておる点は、一つはやはり例の
国家行政組織法の
三条機関にするか、あるいは八条機関にするかという点については、先ほど御
説明のように、
政府案では八条機関方式をとっておるわけでありまして、これはわれわれは当初
提案以来
三条機関にすべきである、こういう
機構の問題についての基本的な
考え方については、基本的に違った点がありますので、これはやはり一つの重要な問題として対案を出す一つの
理由になったわけであります。
さらに、
政府案とわが党の
法案との中で、御承知の
紛争処理の方法として、
和解の
仲介あるいは
調停、
仲裁というのが
政府案の三つの方式でありますけれども、われわれのほうでは
和解の
仲介、
調停までは同じような
趣旨で行なうわけでありますけれども、
仲裁の
政府案に対しまして、わが
党案では
裁定方式をとっておる点が、これがわが
党案の一つの大きな特徴であります。これは昨年の通常
国会の過程におきましても、当時
政府の
責任者のほうから
仲裁制度をとるか
裁定制度をとるかということはいろいろ議論は存するけれども、しかし、もし
裁定制度をとるということになったならば、八条機関でなくて
三条機関をとらざるを得ないだろうというふうな議論等も行なわれた経緯がございます。それは別にいたしまして、
紛争処理の方法として、
政府案の
和解の
仲介、
調停、
仲裁に対しまして、社会党のほうでは
和解の
仲介及び
調停並びに最終的には
裁定制度を採用しておるという点が基本的な相違でございまして、これはわれわれは
公害紛争のいわば民事裁判における最近の経緯、あるいは
公害紛争を
行政部面において最終的に
処理する方法の
考えられる方法としては、むしろ
仲裁よりも
裁定制度をとるべきじゃないかという
判断に基づいて、この
考え方を提示しておりますので、これが今回再び対案を出すことになった第二の主張点であります。
さらに、この
中央公害審査委員会、これに対しますわが党の
公害審査委員会等の形の権限の問題に関連をいたしまして、いわば
政府案でも「
専門調査員二十人以内を置くことができる。」という形にしておりますけれども、むしろこれは必置機関とすべきであり、またその権限等についても十分
裁定に見合う権限を付与すべきであるという点についても、
政府案の今回
提案された点と社会
党案については、やはり
内容的に違った面があると
考えております。
さらに、先ほどの議論の中で出ました例の
政府案の五十条の
基地公害の除外問題、これは本来
基地公害だけを本法から特別に除外をするというのは、社会党としては問題が基本的にあるという立場でありまして、基地といわず、あるいは
産業公害といわず、全般的に
公害紛争処理法案の
対象として路線に乗せるべきであるという基本的な立場に立っておりますので、
政府案五十条による
基地公害の除外という点については、われわれとしてはにわかに賛成し得ないという立場をとっております。この点はやはり対案を出す重要な
理由の一つであります。
裁定あるいは
調停との
関係で
訴訟との関連の問題はございますけれども、これはこまかくなりますので、
説明は省略いたします。
なおまた、公開、非公開の問題等、法文の
内容に入ってまいりますといろいろございますが、基本的に言うならば、以上述べたような数点が、
政府案は野党の修正をある程度のまれまして再
提案を出されましたけれども、
公害紛争の正しい運営のためには、
機構あるいは
紛争処理の方法その他も含めてさらに論議を深めて、正しいものを
国会において
処理していく必要があるだろうという立場から再
提案をいたした次第でございます。