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1970-07-06 第63回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月六日(月曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 辻原 弘市君    理事 天野 光晴君 理事 上林山榮吉君    理事 斉藤 正男君       伊能繁次郎君    高鳥  修君       千葉 三郎君    中島源太郎君       羽田  孜君    服部 安司君       浜田 幸一君    森  美秀君       安田 貴六君  早稻田柳右エ門君       金丸 徳重君    木原  実君       米田 東吾君    鈴切 康雄君       鶴岡  洋君    鳥居 一雄君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  委員外出席者         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         総理府内閣総理         大臣官房参事官 高橋 盛雄君         警察庁警備局警         備調査官    武士  孝君         防衛庁防衛局運         用課長     半田  博君         経済企画庁総合         開発局開発調整         課長      黒坂 正則君         経済企画庁総合         開発局山村豪雪         地帯振興課長  足利 知己君         経済企画庁総合         開発局離島振興         課長      青木 良文君         大蔵省主計局主         計官      藤井 直樹君         大蔵省主計局主         計官      松下 康雄君         国税庁直税部審         理課長     長村 輝彦君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       栗山 幸三君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省社会局庶         務課長     岸野 駿太君         厚生省社会局生         活課長     岡田 達雄君         農林大臣官房参         事官     大河原太一郎君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省農地局参         事官      住吉 勇三君         農林省農地局建         設部災害復旧課         長       福澤 達一君         林野庁指導部長 海法 正昌君         林野庁指導部治         山課長     藍原 義邦君         通商産業省化学         工業局窯業建材         課長      倉部 行雄君         中小企業庁計画         部金融課長   井川  博君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 秋富 公正君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道業務         課長      服部 経治君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部保         安課長     森永 昌良君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道施設         課長      信沢 利也君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部土         木電気課長   山本 正男君         気象庁長官   吉武 素二君         気象庁予報部予         報課主任予報官 大野 義輝君         郵政大臣官房電         気通信参事官  糸井 榮一君         建設省計画局宅         地部長     朝日 邦夫君         建設省計画局宅         地部宅地開発課         長       関口  洋君         建設省河川局長 川崎 精一君         建設省河川局治         水課長     岡崎 忠郎君         建設省河川局防         災課長     生瀬 隆夫君         建設省河川局砂         防部砂防課長  阿座上新吾君         建設省河川局砂         防部地すべり対         策室長     中村 二郎君         建設省道路局国         道第一課長   菊地 三男君         建設省住宅局住         宅総務課長   大富  宏君         建設省住宅局住         宅計画課長   丸山 良仁君         自治大臣官房調         査官      成田 一郎君         消防庁防災救急         課長      中沖  豊君         日本国有鉄道施         設局長     北沢 秀勝君     ――――――――――――― 委員の異動 七月三日  辞任         補欠選任  三ツ林弥太郎君     森  美秀君   林  百郎君     津川 武一君 同月六日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     浜田 幸一君   小澤 太郎君     伊能繁次郎君   古内 広雄君     千葉 三郎君   川村 継義君     木原  実君   新井 彬之君     鶴岡  洋君   西中  清君     鳥居 一雄君 同日  辞任         補欠選任   伊能繁次郎君     小澤 太郎君   千葉 三郎君     古内 広雄君   浜田 幸一君     小沢 一郎君   森  美秀君    三ツ林弥太郎君   鶴岡  洋君     新井 彬之君   鳥居 一雄君     西中  清君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十五年六月及び七月上旬の梅雨前線豪雨  並びに台風第二号による災害対策  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 辻原弘市

    辻原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、昭和四十五年六月及び七月上旬の梅雨前線豪雨並びに台風第二号による災害対策について調査を進めます。  まず、七月一日の豪雨に関し、去る三日緊急に理事会を開き、関係各省から説明を聴取した後、四日、千葉県に委員派遣を行ないましたので、現地派遣されました委員から報告を聴取いたします。天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 派遣委員を代表いたしまして、私から御報告申し上げます。  昭和四十五年七月一日の豪雨による被害状況調査のため、議長の承認を得、去る七月四日、千葉県に派遣されました派遣委員を代表して、調査概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、委員長辻原弘市君、自由民主党の天野光晴羽田孜君、日本社会党斉藤正男君、公明党の鈴切康雄君及び日本共産党津川武一君の六名で、ほかに地元選出議員多数の御参加を得、県当局から被害状況等について説明を聴取した後、二班に分かれ、被災現地実情をつぶさに調査いたしてまいりました。詳細につきましては、県及び市町村からの要望書等資料委員長のお手元に提出いたしておりますので、それらを御参照いただくこととし、以下、簡略に御報告いたします。  七月一日朝から、千葉県及び神奈川県南部豪雨に見舞われ、特に千葉南部では、時間雨量が百ミリをこえるという局地的異常集中豪雨となり、夷隅川、養老川小櫃川等はんらん市原市、木更津市、大多喜町、上総町、平川町、君津町、富来田町、天羽町及び小櫃村の二市六町一村に災害救助法が発動され、同県にとっては、戦後最大の災害となったのであります。  県当局説明によれば、被害状況は、七月四日現在、死者十六名、行くえ不明四名、住家全壊百一戸、床上浸水二千二百四十八戸、河川決壊個所約四百五十四カ所、道路は約二百二十一カ所か寸断され、三日現在不通個所が三十六カ所もあり、農地は、約4ヘクタールが土砂の堆積により埋没し、農業用施設は千四十四カ所が被害を受け、特に揚水機浸水流失する等の被害が多く、林地も、この地方独特の新生崩壊地被害が約二千カ所もあり、林道も約百カ所にわたって被害を受けているとのことであります。  また、被災三日目に至っても、市原市、大多喜町、上総町等には孤立地区が二十数カ所もあり、道路復旧物資輸送等、これが救済全力をあげているとのことでありました。  鉄道被害では、私鉄小湊線上総牛久-上総中野間で被害を受け、全線開通には約二カ月を要するとのことであり、国鉄関係では、九十五カ所か被害を受け、特に久留里線及び木原線が寸断され、復旧見通しが立っていないとのことであります。  被害額は、四日現在、公共土木関係約百十億円、農林関係約六十五億円、中小企業関係約十九億円等で、総額約二百二十四億円にのぼっているとのことであります。  次に、第一班が調査いたしました市原市及び大多喜町の被害状況等について御報告申し上げます。  まず、市原市当局説明によれば、四日午前四時現在判明しただけで、死者四名、住家床上浸水五百四十八戸、堤防決壊二十四カ所、橋の流失十四カ所、がけくずれ五百九カ所、道路決壊七十四カ所、水田冠水及び埋没千七百七十七ヘクタール、被害総額は約二十億円にのぼり、特に、山間部の十五地区道路等決壊のため孤立状態にあり、自衛隊の協力で、道路復旧及びヘリコプターにより水、食糧品等補給を行なうなど、救済全力を尽くしているとのことでありました。  同市においては、県道南天津小湊線沿いに激甚な被災地視察しましたが、養老川加茂橋付近堤防決壊により、水田約百五十ヘクタールが土砂によって埋没した現場視察、また、加茂橋によってせきとめられた急流が県道沿い高滝地区に流出、三十二戸が屋根まで浸水し、その復旧作業は難渋をきわめておりました。市当局からは、当面、とりあえず孤立地区救済しなければならないので、自衛隊増員等について強い要望を受けてまいりました。  次に、大多喜町当局説明によれば、一日午前十時ごろから夕方までの雨量は三百四十三ミリを記録、時間雨量百十六ミリという異常豪雨で、死者二名、住家全壊三十六一尺床上浸水二百七十六戸、がけくずれ千百九十五カ所、橋梁流失二十三カ所、農地被害が約六百ヘクタールにのぼり、道路は各所で寸断され、四日現在、紙敷、石神、平沢、筒森、伊藤の各地区が孤立しており、被害額は約二十億円にのぼっているとのことであります。  同町では、久保地区商店街視察被災時、水は軒にまで達し、家具、商品等すべて水びたしとなったとのことでありました。続いて、下川橋流失現場視察下川橋永久橋にもかかわらず、右岸側約二十メートルが流失大戸地区石上地区の通行は遮断され、大戸地区からの通学路がなくなり、仮橋の応急工事を実施していたものの、谷がけわしく工事がはかどらず、また、梅雨台風期の再災害を控え、住民から早急に強い仮橋建設要望がありました。  町当局から、何をおいても、まず孤立地区救済するため、自衛隊派遣を四、五日延長してほしいこと、災害査定についての資料作成等のため技術者等の援助をしてほしいこと、国鉄木原線復旧について見通しがつかず、廃止のうわさもあり、住民が不安がっているので、ぜひ早期復旧をされたいとの切実な要望がありました。  次に、第二班の君津平川町、富来田町上総町及び小櫃村の被害状況等について報告いたします。  これらの町村は、いずれも小櫃川の流域にあり、今回の豪雨により、小櫃川は、警戒水位をはるかに越え、約十二メートルの水位に達し、河川の蛇行と第三紀層のやわらかい地質であることもあって、随所ではんらんし、大きな被害が発生したとのことであります。  被害状況は、平川町では、床上浸水百八十戸、田畑冠水七百ヘクタール等、被害総額は約四億円、富来田町では、死者一名、全壊四戸、床上浸水百四十七戸、農地被害二百ヘクタール、道路決壊六十一カ所等、被害総額は約七億円、小櫃村では、床上浸水九十五戸、田畑冠水及び埋没二百二十ヘクタール、道路決壊七十七カ所等、被害総額は約二億円に達するとのことであります。  これら三町村被災の様相が似ていて、視察したいずれの地区も、河岸が深くえぐられ、泥土が田畑に流入し、中でもふくだ橋付近では、百ヘクタールに及ぶ田畑冠水あるいはヘドロの中に埋没しており、小櫃川はんらんの激しさをまざまざと見せておりました。  上総町は、死者二名、行くえ不明三名をはじめ、住家の全半壊四十戸、田畑冠水及び埋没五百五十ヘクタール、橋の流失十九カ所、とりわけ道路決壊崩壊が千二百カ所もあり、いまなお孤立している部落があるとのことであります。その他簡易水道施設揚水施設等の破損、林野の崩壊等、その被害総額は約十七億円にのぼっているとのことであります。  視察した松尾地区では、川からはるか高地の田におびただしい流木がたまっており、また亀山地区でも、亀山鉱泉の旅館が流失し、増水の激しさを物語っておりました。  各町村からの要望を概略申し上げますと、小櫃川にはほとんど護岸工事が施されてなく、護岸役割りを果たしていた竹やぶが枯れてきたこともありますが、本質的には河川改修のおくれが被害を大きくした要因であるとのことであり、これが改修について切なる要望がありました。  特にしもごおり橋付近では、まわりの堤防がえぐられているのに、三十九年災のおり施行した護岸工事が無傷のまま残っており、河川改修必要性を物語っておりました。  また、田畑冠水埋没により、揚水施設等かんがい施設が大きな被害を受け、このままでは稲の青枯れのおそれがあり、早急な対策について強い要望があり、さらに上総町当局から、冠水田に対して、減反の別ワクとして休耕農地同様に取り扱われたいとの要望がありました。  また、国鉄久留里線早期復旧についても強い要望がありました。  次に県当局からの要望事項を要約して申し上げます。  一、激甚法を適用されたいこと。  二、早急に災害査定を完了し、復旧事業早期に着工し、大幅な改良復旧復旧年次短縮措置を講ぜられたいこと。  三、県及び被災市町村に対して、特別交付税と起債による財源措置について特別な配慮をされたいこと。  四、罹災者に対する国税の減免措置等について特別の措置を講ぜられたいこと。  五、被災中小企業者に対し、設備近代化資金等貸付金償還等について特段の配慮をされ、災害復旧資金借り入れについての融資条件を緩和されたいこと。  六、農林災害対策として、(イ)天災融資法を適用し、自作農維持資金貸し付けワクの拡大をはかられたいこと。(ロ)農林関係各種制度資金償還延期措置をとられたいこと。(ハ)農業共済金早期支払いを実施されたいこと。等を中心に、十項目にわたる要望事項がありました。  最後に、調査団として、今回の異常集中豪雨による災害調査を終えて感じました点について申し上げます。  まず第一に、何をおいても孤立地区救済を行なうことであります。これがためには、自衛隊派遣延長増員等により、道路復旧をはじめ物資補給等救助策を強力に実施すべきであります。同時に、梅雨台風期を控え、再災害対策を緊急に実施すべきであります。  第二に、中小河川改修についてであります。今回の調査に当たった地方は、治水対策が特におくれていると思います。早急に対策を講じ、住民の不安を一掃すべきであります。  第三に、激甚法の運用についてであります。災害実情等を勘案し、弾力的に運用されんことを切望します。  なお、財政当局責任者が実際に被災地視察し、施政の参考にすべきだとの意見がありましたことを申し添えておきます。  第四に、地域気象観測施設を拡充し、集中豪雨原因の究明を全力をあげて行ない、迅速で正確な予報体制を確立すべきであると考えます。  第五に、今回の災害は局地的にかかわらず、とうとい人命の損傷を多く出しました。原因は種々ありましょうが、その一つに、防災教育ないし訓練の不徹底さがあげられます。最近の傾向では、災害が少ないといわれたところでも大きな災害が発生しております。防災教育訓練の徹底をはかるべきだと考えます。  終わりに、千葉県並びに被災市町村の切実な要望について、政府の積極的な措置を強く要望するとともに、今回の調査に御協力いただいた関係各位に謝意を表し、報告を終わります。
  4. 辻原弘市

    辻原委員長 これにて派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位には、まことに御苦労さまでございました。     ―――――――――――――
  5. 辻原弘市

    辻原委員長 次に、昭和四十五年六月及び七月上旬の梅雨前線豪雨並びに台風第二号による災害対策について、現在までの被害状況及び政府においてとった措置概要について、政府当局から説明を聴取いたします。総理府総務副長官湊徹郎君。
  6. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお話のございました、六月から七月にかけての梅雨前線被害並びに今回の集中豪雨災害及び、関連して発生いたしました二号台風状況等について、この機会に御説明申し上げたいと思います。  初めに、今回の豪雨によりまして不幸にもおなくなりになられました方々に対して、衷心から哀悼の意を表しますとともに、負傷された皆さま方に対してもお見舞いを申し上げる次第でございます。罹災された方々に対しましては、政府といたしましてもできる限りのことをいたしまして、一日も早く立ち直っていただけるように努力を傾ける所存でございます。  本年は、六月十日に九州地方からつゆ入りが始まりまして、その後梅雨前線日本の南海上に、相当長期にわたって停滞をいたしてまいりました。このためいわゆる陰性の梅雨というふうな現象が起きまして、長雨が続いたわけであります。特に六月三十日の夕方から降り始めました雨は、七月一日の早朝から関東南部、特に湘南地方から房総方面にかけまして局地的な豪雨となって、ところによっては、先ほども話がございましたように、時間雨量百ミリをこえる、日雨量にして三百ミリをこえる、こういうふうな記録的な降雨をもたらしたため、河川水位が急激に上がりまして、溢水によってこの地方に大きな被害が発生したわけであります。  このため、政府といたしましては、直ちに七月二日、続いておととい四日の両日に、各省庁の連絡会議を開催したわけでありますが、時たまたま二日の日に、総理現地をヘリで視察されましたし、ちょうど担当者会議の席上、同行された官房長官からも、現地の模様並びにそれに関連するいろいろな指示があったわけでございます。自来、被害状況把握、特に応急救助措置、当面の水、食糧確保あるいは防疫対策、さらには交通確保その他応急措置等について、協議を続けてまいっておるわけであります。  今回の災害の特色といたしましては、先ほど千葉県及び天野委員のほうから話がございましたように、関東地方災害というのは、率直のところ、過去十年ございませんでした。昭和三十五年以来の災害かと思いますし、先ほど申しましたように、雨がきわめて短時間に集中的に降った、特にその対象になった地域平野部であった、こういうことから、被害が局部的にかなり激甚になったものと考えております。特に中小河川はんらん、山くずれ等の現象が目立つわけでありますが、その結果、橋梁流失あるいは道路の損壊、家屋の倒壊・浸水等被害が非常に大きかったわけであります。  現在まで判明いたしました被害概要について申し上げますと、一般被害につきましては、死者・行くえ不明二十四名、負傷者三十七名、建物の全半壊流失二百八十八棟、床上浸水二千七百四十六棟、床下浸水が一万一千九百八十七棟、罹災世帯数が三千百八十九世帯罹災者数が一万一千六百四十七名となっております。  次に、各種公共土木その他の施設関係被害でございますが、直ちに各関係各省現地派遣いたしまして、現状把握とあわせて応急措置について現在努力を続けておりますが、先ほど千葉県知事、及び委員会を代表されて天野委員から報告がございました現時点における県報告の数字については、先ほど申し述べられたとおりでございますので、省略をいたしたいと思います。  政府といたしましてとった処置につきましては、まず警備救助活動でありますが、県警本部では、警視庁の応援を得て警備活動に当たり、被災者救出救護避難誘導、さらに、水が非常に不足しておりますので、タンクローリー等による給水等を実施してきたわけであります。  消防機関といたしましては、それぞれ消防職員、団員も、避難指示人命救出救助、行くえ不明者の捜索、水防活動を実施してまいりました。  防衛庁は、先ほども話がございましたが、今日まで自衛隊員延べ二千三百名を派遣いたしましたほかに、各種車両航空機等を出動さして、人命救助道路啓開給水防疫等、広範な活動を続けてまいりました。  さらに、災害救助法適用状況についても、これまた先ほど話がございましたが、特に千葉県では、大多喜町を含め二市七町一村に災害救助法を発動いたしております。そして避難所設置あるいはたき出し、あるいは飲料水の供給、被服、寝具の給与等応急救助を行ない、さらに応急仮設住宅設置住宅応急修理、学用品の給与等応急救助を実施しておるところであります。  次に、防疫対策でありますが、被災者検病調査を行ないまして、伝染病患者の発見あるいは流行の防止につとめておりますが、幸いにして、目下のところ伝染病患者の発生は皆無となっております。  また、水道につきましては、先ほど申しましたように、大多喜町等十市町村で十二カ所の水道被害を受けましたが、すでにそのうち八施設復旧をいたしております。その他の断水中の被災地域についても、自家用井戸の活用あるいは自衛隊等による給水救護活動によって、飲料水確保には万全を期しておる次第であります。現在の状況は、洗たくにはおおむねこと欠かないが、おふろの水まではまだ完全に確保できていないというふうな状況であります。  次に、住宅対策について。先ほど申しましたように、応急仮設住宅設置、それから住宅応急修理等は、現在着々実施いたしておりますが、さらに、被災住宅に対しましては、災害復興のための住宅資金貸し付けの準備を進めておりますほか、既設公営住宅復旧についても所要の措置を講ずることといたしております。  次に、文教対策でありますが、被災児童、生徒の学習に支障を生じないように、滅失した教科書の補給を行ないますほかに、不幸にして一名の児童が死亡されましたので、日本学校安全会法に基づいて、お見舞い金を差し上げることにいたしております。  次に、交通通信対策でありますが、主要国道に関しましては、市原大多喜の二カ所が交通制限を現在いたしておりますが、一日も早くその制限を解除するように努力中であります。  なお、主要地方道六カ所、これも今日ほぼ開通いたしておりますが、その他の県道市町村道等については、目下現地に係官を派遣して、早急復旧のための努力を鋭意続けておるわけであります。また、通信関係は、全部開通をいたしました。  国鉄に関しましては、十一線区、四十四区間被害を受けましたが、ほとんどが開通をいたしまして、ただ私鉄関係五社、六区間に及んでおる中で、小湊線の一部を除いては、おおむね復旧のめどが立っております。  次に、中小企業対策でありますが、中小企業関係金融機関に対して、償還期限延長あるいは新規貸し付け優先取り扱い等措置指示してあるわけであります。  次に、公共土木施設等復旧でありますが、公共土木施設及び農地農業用施設等の復旧につきましては、緊急に必要とする個所については、応急工事をやりますことはもちろんでありますが、査定前着工を行なうように指導をいたしておるところでございます。  次に、被災者の援護対策でありますが、被災者に対しましては、郵便はがきの無償交付、郵便貯金、簡易保険等の非常取り扱い、救援小包の無料取り扱い等を実施いたしております。  以上、七月一日の関東地方南部豪雨による災害に対する被災状況、及び政府の現在とっておる措置概要を申し上げた次第でございます。  次に、先ほど申しましたように、長雨がかなりの期間続いた六月中の被害状況を取りまとめて御報告申し上げたいと思います。  一般被害につきましては、死者が十五名、負傷者が六十一名、建物の全・半壊が五十四棟、床上浸水が四百三十九棟、床下浸水が八千五十棟、罹災世帯数が四百九十世帯罹災者数が千八百三十二名となっております。  また、施設等の被害につきましては、県報告を取りまとめたところによりますと、公共土木施設等が約百六十四億円、農地農業用施設等が約四十四億円、荒廃林地が約二十億円、国有林等が約八億円、その他約十三億円、総計二百四十八億円になっております。  この長雨は、ほとんど日本全土にわたって被害を及ぼしておりますために、三十六都道府県がその対象地域になっております。政府は、その対策として、先ほど申しました各省庁の連絡会議において必要な諸対策をあわせて検討をいたして、七月一日の豪雨災害と同じように所要の対策を推進しておる次第であります。  最後に、台風第二号について御説明を申し上げますと、去る六月二十八日カロリン諸島に発生しました弱い熱帯性低気圧は、二十九日の昼ごろにヤップ島に達しまして、当時中心気圧が九九五ミリバールの台風第二号となったわけであります。その後、この台風は、本土に接近するにつれましてだんだんと発達をいたしまして、九五五ミミバールに達し、七月五日午後六時三十分ごろ紀伊半島に上陸をして、けさの四時前に、鳥取県と兵庫県のちょうど県境の付近から日本海に入って、衰弱して温帯低気圧となったわけであります。  初め、千葉県を中心にする関東南部災害に対する台風第二号の影響が非常に心配されておったのでありますが、ただいま申しましたような状況のために、今回の集中豪雨被災地に対する影響は、幸いにしてほとんどなかったわけであります。  なお、二号台風による被害については現在調査中でございますが、そう大きな被害はない模様であります。  以上、概要を御報告申し上げます。
  7. 辻原弘市

    辻原委員長 次に、建設省河川局長川崎精一君。
  8. 川崎精一

    ○川崎説明員 建設省の河川局長でございます。  六月並びに七月の梅雨前線豪雨による被害につきまして、建設省関係の公共土木施設被害の概況を御報告申し上げます。  お手元に、委員部からガリ刷りの四枚ばかりの資料を届けておると思いますが、これによって簡単に御説明をさせていただきます。  六月十三日から六月二十七日までの豪雨によりまして、公共土木施設の直轄関係被害といたしまして、約三十億の被害河川、砂防、道路等でございました。なお、七月の千葉県を中心とする豪雨につましては、直轄の被害はほとんど報告が入っておりません。  それから、補助につきましては、六月の十三日からの豪雨による被害が百三十億でございまして、六月三十日から二日までの豪雨に伴います補助災害が約百十五億になっておりますが、これらのほかに都市施設関係被害を加えまして、この二つの梅雨前線豪雨によります公共土木施設被害は、合計で二百七十七億に達しております。  なお、一二ページ以下にそれぞれ内訳をつけております。さらに三枚目には、各県ごとの被害も概況が出ておりますので、御参考にしていただければけっこうかと存じます。  なお、これらの対策でございますが、現在緊急に復旧する必要のあるところにつきましては、直ちに応急復旧工事に着手いたしております。なお、早急に復旧工事を進めますために、現地調査員を派遣いたしまして、特に災害のひどかった長野県、岐阜県、山梨県、滋賀県、千葉県等には係官を現在派遣いたしまして、復旧工事の指導等に当たっております。  なお、これらの準備が済み次第、七月末から八月にかけまして緊急の査定を行ないまして、できるだけ復旧の促進をはかりたい、こういうふうに考えております。  以上、簡単でございますが、御報告さしていただきます。
  9. 辻原弘市

  10. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 時間の関係もございますので、簡単に被害状況並びに対策について御説明を申し上げます。  本日の議題の中心でございます千葉県を中心といたしました六月三十日、七月一日の災害につきましては、先ほど総務副長官から御報告ございましたように、なお被害が動いておりますけれども、とりあえず、本日朝現在で六十四億というような被害を受けておるという報告を受けておりまして、うち施設四十三億、農作物二十一億というような数字に相なっております。  これに対する対策等につきましては、応急対策は、御案内のように食糧の応急配給といたしまして、乾パンなりあるいは政府手持ち玄米の応急配給等を、市原市、木更津市等においてそれぞれ行ないました。また、復旧用材につきましては、東京営林局管内の備蓄用材で、いつでも申し込みに応ずるというような態勢を整えております。  施設災害復旧等につきましては、ただいま建設省方面からも御説明がございましたように、緊急な査定を行ないまして、すみやかにその復旧につとめるという態勢でおりますが、特に地元県の復旧等に関する技術者の不足等につきましては、いつでも各方面から動員できるような準備を整えておりますし、また、かんがい時期の大事な時期でございますので、応急な工事あるいは必要なポンプの整備というような点につきましても、万遺憾なきを期するようにしておるわけでございます。  なお、六月中ごろからの梅雨前線等の被害につきましては、お手元に農作物災害並びに施設災害として資料を差し上げてございますので、これで御承知を願いたいと思いますが、これらにつきましても、被害の大きかった長野、岐阜等を中心といたしまして、施設災害復旧等についてつとめてまいりたいと思うわけでございます。  なお、農家の営農なり再生産に万全を期するための措置等につきましては、共済金の仮払いなりあるいは天災融資法の発動等につきましては、国としての被害状況把握した場合に必要な措置をとるとか、あるいは共済金等につきましては早期の支払いを講ずるとか、それぞれ事態に即応いたしまして遺憾のないようにつとめてまいりたいと存じております。  とりあえず御報告申し上げます。
  11. 辻原弘市

    辻原委員長 次に、気象庁主任予報官大野義輝君。
  12. 大野義輝

    ○大野説明員 梅雨前線について簡単に御報告申し上げます。  六月の十日ごろからつゆ入りになりまして、その後前線がときどき雨を降らせまして、特に強く降りましたのが十四口から十六日、十九日から二十日、二十四日から二十六日、この付近を中心に、各地に大雨を降らしたわけでございます。  その後、三十日になりまして、中部山岳方面にかなりの雨がございまして、それが夜半過ぎには、関東北部にまた別の強雨域があらわれまして、それらが二つ合体いたしまして、さらに関東南部で停滞を始めたわけでございます。この時点になりまして雷を伴う集中的な大雨が降ったわけで、一日の六時から九時にかけて、主として湘南方面を中心に特に強く降ったわけでございます。  その後、その強雨域は関東南部に定着いたしまして、次は、湘南から房総方面にかけて大雨を降らしたわけでございます。特に十時から十五時くらいの間でございますが、大多喜地方を中心にいたしまして、ほぼ四百ミリに近い大雨を降らしたわけでございまして、十時から十一時のわずか一時間でございますが、この間に百十五ミリというおそるべき豪雨が降ったわけでございます。その後十五時ごろには、その強雨域は東方海上に抜けまして、十八時ごろ、さしもの豪雨も峠を越したということでございます。  それから次に、台風二号でございますが、先ほど湊総務副長官から詳細に御説明になりましたが、大雨につきましては目下集計中でございますが、特に雨の多かったのは紀伊半島南東斜面でございまして、その辺で四百ミリ程度の豪雨が降った模様でございます。  台風は、けさ六時には温帯低気圧となりまして、台風の性質は全く失われましたので、一応大雨の峠は越したのではないだろうか、こういうふうに見ております。  以上、簡単でありますが、御報告を終わります。
  13. 辻原弘市

    辻原委員長 これにて説明は終わりました。
  14. 辻原弘市

    辻原委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浜田幸一君。
  15. 浜田幸一

    浜田委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、今回、豪雨において被害を受けました諸問題について、ただいまより、お許しをいただきまして、建設大臣に御質問をさせていただきたいと思います。  まず冒頭に、今回衆議院の皆さま方には、特に対策委員会の御派遣を賜わりまして、千葉県全土に対しまして多大なる御調査を賜わり、あたたかい御激励のおことばを賜わりましたことを、心から感謝を申し上げます。なお、関係各省におきましても、直ちに調査官を御派遣賜わり、まことに感謝をいたしております。  時間の関係がありますので、私は、直ちに大臣に御質問を申し上げたいと思います。  まず第一点の質問は、今回受けました県民の被害は多大であります。すでに大臣のお手元に参考資料が届いておると思いますので、具体的な数字の指摘を避けまして御質問申し上げますが、解決の方法の第一点といたしまして、今後県民の心をなごやかに安定せしめるためには、この際御配慮を賜わりまして、激甚災害の指定を求めなければならないと存じます。このことにつきまして、大臣の所見を承りたいと思うのでございます。  第二点の問題は、今回の被害の起こりました要因を特に追及いたしますと、河川の容量、すなわち普通状況水位二メートル程度であるのでございますが、それが短時間の間に十メートルを上回る水位になったということが、原因の一つでございます。この問題は先ほど説明でもございましたけれども、わが地方にあります約十の河川は蛇行河川でございまして、この原始河川対策というものを抜本的にお考えいただかないと、この解決は恒久的にできないものと存じます。  そこで、質問の第一点でございますが、この蛇行河川、原始河川の解決について大臣はどのようなお考えをお持ちであるのかお伺いをいたしたいのであります。  率直に申し上げまして、御配慮をいただきながら御要求を申し上げることは差し控えなければならない問題であると思いますが、千葉県においては、率直に申し上げまして、この問題で嘆いている人たちがあまりにも多過ぎます。あえてお許しをいただきまして御質問を申し上げます。  まず第一の問題は、何ゆえにこのような河川状況を今日まで黙認していたかということであります。この問題については、私どもは深くざんきにたえないところでありますが、解決が先行いたさなければなりませんので、その解決策についてお伺いをいたします。  建設省におきます現在の河川改修法の規定を見ますと、初年度が三〇%、次年度が五〇%、そして三年目が二〇%ということで御配慮をいただいておるようでありますが、現在の被害状況から見まして、このような状況では、次に起こるべき豪雨災害に対して対処をいたすことができません。  そこで、率直にお伺いをいたします。お許しをいただきます。  私どもは、この比率を初年度において増額をしていただく御決意を賜わりたいと思うのでありますが、この点についてどのようにお考えであるのか、お答えを賜わりたいと思うのでございます。  次に、第三点の問題でございますが、今回の解決には、どうしても近代社会にふさわしいスピードを要求されております。このスピードの問題につきましては、スピードが早ければ早いほど国民の治安を保てるわけでございますけれども、スピードアップをいたします場合に必要な条件といたしまして、率直に申し上げまして、予算の伴わない解決方法ではならないのでございます。たとえば道路改修の見込み等についてどのようなお考えをお持ちであるのか、お答えを賜わりたいと思います。  特にこれは、建設省のみならず自治省にも関係のあることでございますが、今回の道路関係被害はまことに多大であります。そこで、町村道あるいは県道に至る地方道に対しまして、負担軽減の措置を御配慮いただきながら御解決を賜わらなければならない問題であろうと思います。特に山間過疎地帯におきましては、建設省の査定を待たずして、直ちに原状復旧をいたさなければ住民交通を保つことができません。その場合に、たとえば現場写真の確認あるいは調査官の派遣による早期復旧工事の着工、このような御配慮を賜わらなければならないと存じますが、あたたかい善政をもちまして、地方公共団体に対して負担の軽減を考えながら、早期復旧ができますように御配慮賜わりたいのでありますが、この点についてどのようにお考えになっておられるのか、お答えを賜わりたいと存ずるのであります。  私は、第四番目の問題といたしまして、大臣に御要望等を申し上げさしていただきたいのでありますが、今回でき得ますならば、御多忙中とは存じますけれども、初めて原始河川を擁するために被害を受けましたわが千葉県に対しまして、一回御視察の機会をおつくりいただけるならば幸甚と存じます。何とぞあたたかい御配慮のもとにおきまして、現地の悩む国民のために、建設大臣みずから、原始河川改修のためにどうあるべきか、抜本的な姿勢確立のために御出張を賜わるよう、お願いを申し上げる次第でございます。  以上、四点につきまして、大臣の御所見を承りたいと存ずるのでございます。よろしくお願い申し上げます。
  16. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 今般の異常なる集中豪雨、引き続いて二号台風に基づく災害が発生いたしまして、多くの被害者が出、あるいはおなくなりになった人もあることを思いまして、胸を痛めておる次第でございます。遺族の方々に対しては心からお悔やみ申し上げるとともに、罹災者の皆さんに対して心からなるお見舞いを申し上げます。  まず第一点でございまするが、南房総の地区が、他地区に比べて著しく原始河川が多い、今日まで放置されておることははなはだ遺憾であるとのことでございますが、そのとおりでございます。  これは御承知のように、房総半島の南部は、統計的に見ましても従来災害の非常に少なかったところでございます。そういう関係から、国の制度というものを、言うならば未然に事故を防止する、災害を防止することが本来あるべき姿でございますが、災害の多い日本でありますので、年々の災害をあと始末するだけでもたいへんに追われたために、ついこのようになったということはまことに遺憾でございまして、この点については十分に地元県、自治体とも協議をいたしまして、河川改修はもとよりのこと、災害防除については、今後計画的に措置をいたしたいと存じておる次第でございます。  その次に、災害が非常に深刻である。したがいまして、罹災地の罹災者のショックは非常に大きい。これを復旧するためには、通常の災害復旧対策では間に合わない、ぜひ激甚地指定をせよとのことでございます。  まことに当然なる要求と思います。ただ、御承知のように昭和三十七年、中央防災会議できめましたところの激甚地指定には一定の基準がございます。それには、今回の梅雨前線による集中豪雨は、どうもなかなか適合しないようでありますが、昭和四十二年にきめましたところの局地激甚指定には、これは指定すべきものだと考えております。そのほうが実際的であると考えます。これには各市町村別の被害状況、そのために必要なる事業費等が算定されて、それによって判定するのでございます。したがいまして、まず被害地の現状をすみやかに現地当局関係省、特にこれは建設省あるいは自治省、大蔵等と連携をとりながら、すみやかに局部的激甚地指定ができる措置を講じてまいりたいと思います。  その次の問題点は、南房総地区は原始河川、いわゆる蛇行しておる中小河川が非常に多い。これに対していわゆる捷水路、ショートカットをして、なるべく水の流れをよくすべきかどうかということでございます。  これは、地形とその地域の産業の立地条件を考えてこれを決定しなければならぬと思います。捷水路をつくったために水のはけはよくなったけれども、それに伴う農業その他に相当大きな影響を与えるということも考えられます。そのほうがいいのか。たとえ若干の蛇行はしておりましても、堤防を強化することによって、現地における産業の大きな変革をさせずにやったほうがいいか。これは、主として地方住民の利害関係とよく調整をとりましてやりたいと思います。そういうような観点で、これは特に県当局、自治体と建設省が、早急に専門的な調査官を派遣いたしまして、協議の上に決定いたしたいと思います。  その次に、災害復旧に対して地元負担がなるべく少ないように。これは、最初にお答えいたしました激甚地指定になりますれば、それだけ政府の補助、助成が多くなりますから、その御要望に沿う一端にもなります。  しかし、その上に特に御指摘になったと思われますのは、あの地方はかなりの過疎地域です。過疎地域でありますがゆえに、住民負担が非常に困難である。しかも、道路延長が非常に長いために、これの復旧がおくれますれば、たいへんに地域住民の生活、産業関係が大きな被害を受ける。この問題を特に考慮せいということであろうと存じます。  これにつきましては、われわれといたしましても、建設省でなし得ることは最大限の措置をいたします。たとえ市町村道であろうとも、公共事業費でまかなってしかるべきものと解釈され得るものならば、最大限度の適用をいたしまして、地元の御要請にこたえるつもりでございます。なおまた、これは地方の単独でやる小工事も多いことでありましょうから、この点はよく自治省と連絡の上、建設省の予算のほかに特別交付税等何らかの考慮がなし得る余地もあろうかと思いまするので、その点はよく大蔵省、自治省とも連絡の上善処いたしたいと考えております。  最後に、私に現地を見て措置せいということでありまするが、私もすぐにでも行きたいと思っておりまするが、御承知のように、すでに総理みずからがヘリコプターで大多喜町に行ってまいり、また係官もそれぞれ派遣しております。そこで、私は、できるだけ日程を早く組んで参るのでありまするが、問題は、現地において十分に、私が参りまして地元の方々と御相談もでき、また、ある程度まで具体的な措置ができる程度の準備をしていったほうが効果的ではなかろうかと思います。ただ行ってみたというだけでは――いつでも私は、他のほうの日程を変更しても行く用意はありますけれども、問題は、行くという行為そのものが問題ではなくして、行って、いかに現地において皆さんの意向を受け取り、そうしてそれを具体的に措置する、これについての措置が問題だと思いますので、そういう点をも含めて準備の上すみやかに参って、よく現地状況を認識するとともに、現地方々の御意向をも体し、また、これには現地復旧事業に働く諸君の意見をも徴して、善後処置をすみやかにとりたいと考えておる次第でございます。  なお、具体的な道路河川その他の問題につきましては、政府委員から答弁いたさせることにいたしまして、総括的に私から御答弁申し上げる次第でございます。
  17. 浜田幸一

    浜田委員 まことに御丁寧な御答弁を賜わりまして、感謝をいたしております。特に私は、蛇行河川と同時に、今回の被害状況の中で大臣に御配慮を賜わりたいと思います問題が一点ございますので、大臣に直接お伺いをいたしたいと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。  それは、今回被害を受けておりまする一つの状況といたしまして、蛇行河川プラスアルファというものがございます。そのプラスアルファが何であるかといいますと、過般自治省において砂採取税のお認めをいただいた地域が直ちに、被害の一番甚大な地域ということに相なっております。それは新日本製鉄の建設をはじめといたしまして、東京国際空港の建設資材、そういう砂採取、砂利採取関係の開発が進められております。森林が伐採され、いろいろ開発事業が進んでおるわけでございますが、その地点が特にひどい状況でございます。  これは私から具体的に申し上げるまでもなく、なぜそのような現象であるかは、大臣すでに御理解をいただいたものと存じますが、新しく、その都市造成の近隣にある砂採取、砂利採取をお認めいただく、御許可をいただく場合等におきましては、私は新しい形で御配慮をいただかなければならない問題であると考えます。特にこの問題は、大臣には御配慮だけいただければけっこうでございますが、その排土の処理方法、こういうものについて、水かさが上がってまいりますと、川のへりに積んである排土、これはろ過設備といいますか、そういうものが完全でありませんために、その排土が水と一緒に流れて下流に押し上げられた、こういう現況でございますから、開発状況の進捗につきましても、これらの問題について十二分なる御配慮を賜わりたいと存ずる次第でございます。  私は、諸先生方から、特に建設大臣に対して御質疑を申し上げろということでございますから、大臣にこの点をもお含みをいただきたいということをお願い申し上げておきます。  最後でたいへん恐縮でございますが、局地激甚地の指定、このことについては大臣が責任を持って考えていただくということでございますので、千葉県民ともどもに、大臣に心から感謝申し上げます。特にここに湊副長官もおられるわけでありますが、総理府におきましても、総務長官と御協議の上、全体の問題に対して、局地激甚地の指定でもけっこうでございますので、どうか御配慮、御決定を賜わるようお願いを申し上げる次第でございます。  委員長に最後に、発言の機会を賜わりましたことを感謝申し上げまして、私の質問を終わらしていただきます。  なお、お許しをいただきまして、各関係省に対する質問については、他の先輩議員と関連をいたしまして御質問をさしていただきたいと思いますので、お許しを願います。  ありがとうございました。感謝申し上げます。
  18. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘になりました骨材の採取の問題でございます。御承知のように、この許可は通産省がやっているのでございます。しかしながら、他の所管であろうとも、それが今度の災害関係あるということは、政府として十分に考慮しなければならぬことだろうと思います。おそらく従前は、南房総地区がわりあいに豪雨とか河川災害が少なかったので、従来の経験から見てたいしたことがないということで、相当大きな土砂の採取を、たいした条件をつけずに許可しておったのじゃなかったかと思います。しかし、聞くところによりますれば、それが豪雨とともに流れたために、下流地区に相当の被害を与えているということでございまするから、十分通産省のほうとも連絡をとり、われわれといたしましては、災害が起こったこと自身に対する対策は十分にいたしたいと考えておる次第でございます。
  19. 辻原弘市

    辻原委員長 関連して木原実君。
  20. 木原実

    木原委員 ただいま浜田委員から幾つかの質問を申し上げましたが、私も関連をいたしまして、大臣にお尋ねをいたしたいわけでございます。  このたびの問題は、地元としましては初めての経験でございます。しかも、御承知のように千葉県は、海岸地帯はたいへんなスピードでいわゆる工業化、開発が行なわれておる。そこからわずか入ったところが、大臣のおことばにもありましたように、過疎地帯――過疎地帯の怒りではないのか、こういう声が地元にはあるような状況でございます。しかも、そういう中で第一点の問題は、ただいまも御質問がございまして、大臣から局地激甚災害の指定を考慮したい、こういうおことばがございましたので、私もぜひ指定をお願いをいたしたい。このことは、やはり地元の被害の大きさと、それから担税能力、こういうものを考慮しました場合には、どうにもならないという側面があるわけでございます。これはもうすでに調査があがっておりますし、おそらくこれからの精密な調査が進むにつれて御納得のいただけることではないか、こういうふうに考えておるところでございますので、これはぜひとも御考慮をいただきたい、これが第一点でございます。  それから第二点は、これはただいまも御質問がございましたけれども、中小河川の問題でございます。山砂採取の問題がただいまございましたが、これも、私どもから見ましてきわめて無計画にと申しますか、そこに砂があるからとるんだ、こういうような側面がないわけでもございません。所管が違うということでございますけれども、これまた開発に関連をするところでございますので、今後の対策の中でぜひとも御考慮に入れていただきたい点でございます。  それから、中小河川につきましては、いろいろと建設省でも御配慮を賜わっていると思いますけれども、今度災害を受けました地域は、自然河川もいいところでございます。蛇行の問題もございますけれども、いずれにしましても堤防らしい堤防はございません。わずかな措置を講じたところが、私ども現地を見まして、やはり残っておるような状況がございます。もうほとんど昔から手をつけないままのところが、もろにやられておる。多少とも橋梁をかけるその他で措置をした部分は保全をされておる、こういうような状況を見まして、私はやはり蛇行修正をするという問題、あるいはまた、やり方につきましては、技術的な問題がこれから出てまいろうと思いますけれども、しかしながら、いずれにいたしましても中小河川については、いままで何の手も打ってないわけでございますので、ひとつ技術的な条件の許す限りの御配慮をいただきませんというと、これはもう二度、三度の災害が目に見えておるというような側面がございます。したがいまして、中小河川に対する対策、それの進め方はただいま御答弁ございましたけれども、ひとつ思い切った手を打っていただきませんと、二度、三度の災害を呼び起こす。  なお、地元としましては、今度災害の起こりました河川の上流にダムをつくる計画が実はあるわけでございます。したがいまして、このダムの計画が、今度の災害の起こり方その他と勘案をいたしまして、はたして適切であるかどうかということについても、御検討いただきたいと思います。しかし、いずれにしましても多目的ダムの建設を考慮いたしておるわけでありますけれども、もしダムが今後の災害を防止をする上で役立つ、こういうような観点が成り立つとすれば、従来の計画を上回った対策を考慮する等の措置を講じていただいて、中小河川の保全の問題と、それから適切なダム建設等についての御援助という面についてもぜひひとつ御考慮をいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、いま一つの問題は、これまた大臣のおことばにございましたけれども、道路の問題でございます。千葉県は昔から、どうもあまり道路がよくございません。人が歩けば道になるという式の道路が、特に少し奥地に入ったところには続いておるわけでございます。したがいまして、今度もまた、わずかのところで部落に至る道がなかなか開通をしないで、至るところに孤立部落が生ずる、こういう事態もございました。したがいまして、これからの地方道の修復につきましては、これまた、従来の慣例あるいは法律上の措置等もございますけれども、いずれにいたしましても、道路状況がはなはだしく立ちおくれていたという事情等も考慮に入れていただきまして、町村道ないしは地方道の復旧の問題についても格段の御配慮を賜わりたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それからなお、農村地帯でございますから、たいへん古い老朽住宅が多いわけでございます。そういうところでかなりの数が倒壊をし、あるいはまた床上浸水、こういう被害を受けておるわけでございまして、応急の措置現地等でもそれぞれいたしておるところでございますけれども、これからの住宅復旧等についても、従来のいろいろな慣例等がございましょうとも、ぜひとも御指導を賜わりたい、このように考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、特に建設大臣に私どもがお願いいたしたいことは、社会的な背景として、いま申し上げましたように、開発の進んでおるすぐの裏側でこの種の激しい災害を受ける。しかも、調べてみますと、ほとんど手つかずの、人工的な措置を加えていない自然河川のいわば怒りにも似たような、そういうことが原因災害を引き起こしている。やはり天災と申すものも、多分に社会的な背景を持った災害である、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。したがいまして、私どもとしましては、災いを転じて福にするためには、原因を追及すると同時に、社会的な背景にさかのぼって措置していただきたい。具体的にはいま申し上げましたように、すみやかにひとつ局地激甚の御指定をいただき、ともかくたいへんな被害を受けました町村に対する精神的、物質的な立ち直りの道を講じていただきたいということと、それから、私ども非常にうかつでございましたけれども、やはり自然河川の問題について格段の御考慮を賜わりたい、こういうことに尽きるわけでございます。大臣の御所見を承りたいと存じます。
  21. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど御答弁したことで大体尽きていると思いまするが、特に御指摘になりました中小河川とダムの問題でございます。  御承知のように千葉県の将来は、首都圏内におきましても産業と文化、これが相当集中して開発される地帯だと思っています。その地点でありながら、あそこで最大のウイークポイントと申しますか、条件の整っていないのが水でございます。水資源がありますれば、海岸地区のみならず、その背後地区が実は相当の住宅地あるいはレクリエーションの場として注目をさるべき条件を備えていると、われわれは見ているのでございます。ところが、それがないために、私は、あそこはむしろ過疎地帯で残っておると考えるのでございます。そういう意味からして、防災の意味のほかに利水の意味からしても、あそこはぜひダムをつくって、これは平常においては都市用水あるいは工業用水の一部に当て、一面においては農業の補完的な役割りをさせるというふうに考えるべきだと思うのでございます。ところが、従来千葉県におきましては、水はほとんど利根川とか大きい河川のみに依存するということを考えておったために、ほとんどあそこの水系を利用することも考えなかった。したがって、治水、利水ともにおくれているような気がするのでございます。  そういう意味で、この際に一段と――これは国だけではできません。やはり地方自治体が、そういうふうな海岸地区の急速に過密化したのとあわせて、県全体の総合開発の観点から、利水並びに治水の面をどう具体的に総合開発するかという意思決定をしていただきたい。それに対して政府は全面的に御支持申し上げるというほうが適切だと思いまするので、御指摘の点は十分に配慮して、今後県当局と折衝してみたいと思います。  それから、もう一つ大事なことを御指摘になりましたが、羅災者の住宅問題でございます。これにつきましては、すでに住宅金融公庫の資金を、でき得るだけ罹災者方々に優先的に融資の道を講ずるように指示しておきました。これを第一にやります。その次は、住宅公団あるいは地方住宅供給公社で持っておるあき室、あき家で罹災者に融通し得るものは、優先的にこれをお引き当てするということ、それから、いわゆるプレハブで早急に現地で県及び市町村がやることについては、最善の協力を申し上げる、こういうようにいたしまして、でき得る限り早く羅災者の皆さん方の生活の再建と安定に資したいと考えている次第でございます。  あとのことは、先ほど申し上げたことでありまするので、省略させていただきます。
  22. 木原実

    木原委員 いま一つダムのことで。実は現地では、大体ダムに予定をされている地域がたいへんに被害を受けているという事情もございます。したがいまして、大臣の御指摘がございましたが、県のほうでも、自治体としましても、せっかく計画を進めてダムを建設したい、こういうことを実はやっているわけでございます。今度の災害も、新たな条件としましてダムの計画の中に繰り入れて、ひとつできるだけのことをしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、住宅の問題につきましては、たいへん御配慮のあるおことばをいただきまして、私ども、たいへんけっこうだと思います。  なお、もう一つ橋梁流失、しかも、これは御承知のように、小さな橋梁流失が激しいわけでございます。やはり地元の住民にとりましては、たいへん小さな橋にいたしましても、これは日常の便にこと欠くというようなこともございますので、これは当然かとも思いますけれども、応急の措置のうち、ないしはこれからの河川改修等とも関連いたしまして、ひとつ橋梁措置につきましてもできるだけの御配慮をいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  23. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、むしろ小さい橋がゆえに、実は生活に深刻に響くと思うのでございます。なお、あそこの実態は非常に木橋が多かったと思いますので、できるだけ、単なる復旧ではなく、改良も含めた復旧工事を進めていくように配慮いたしたいと思います。
  24. 辻原弘市

    辻原委員長 関連して鳥居一雄君。
  25. 鳥居一雄

    鳥居委員 浜田委員の質問に関連いたしまして、質疑をさせていただきます。  私は一日夜半、災害救助法の適用されました大多喜町におりました。今回の集中豪雨を見ますと、いろいろなことが言えるわけでありますが、特に山くずれ、がけくずれ、道路の寸断、こういう大きな特徴があります。  考えてみますと、このあたり一帯は、大体国有林が大半を占めておりまして、そうして伐採後の国有林でありますから、非常に幼木でありまして、大体五年の幼木で水を吸うことができない。しかも河川は、昭和三十五年にもはんらんをいたしました河川がそのままの状態でありまして、今日まで捨ておかれております。山間部の過疎地域であることから、投資率ゼロの河川であったわけでありますが、これが最大の原因であります。現在千葉県下の河川改修のための平常予算を考えてみますと、年間十億円という数字が出ております。道路でさえも百億円をこえるような現状でありまして、これは平常予算を大幅にふやさなければ、こうした災害を二度と起こさないための手だてがとれない、こう考えるものでありますが、この点について大臣のお考えを伺いたいと思います。  第二点は激甚災害の指定でありますけれども、市町村に関して被害を考えてみますと、税収の一割をはるかにこえる被害をこうむっております。早急な指定がなされなければならないように思います。しかも客観的な数字で正確な数字が出るのは、かなりおくれるわけでありますが、現在被害をこうむった概算を見ても、一割をはるかにこえる数字でありまして、早急な指定をお願いしたいと思うのです。  この二点について、いかがでございましょうか。
  26. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 千葉県の南部地方河川改修が非常におくれていることは、先ほど申されたとおりでございます。また、私が御答弁申し上げたとおりでございます。これは先ほど申したように、理論的に申し上げるならば、そういうものをどんどんやるべきだということは、そのとおりです。しかし、現実には、毎年のように災害が頻発している。にもかかわらず、過去においては千葉県は、わりあいに風水害の被害が少なかったので、どうも手おくれになったという傾向、これはいなめないと思います。  しかし、このような事実と、先ほど御指摘がありましたような過疎過密が隣合わせているということと、しかも、水の供給がありますれば、あの過疎地帯は、工業地区の接続地でありますから、非常に利用されるべき可能性がありますので、そうした面から、単なる過疎対策ではなくて、全体としての千葉県の総合開発計画の一環として考えていただくよう、われわれは地元自治体に勧奨するつもりでございます。その観点において治水と利水をあわせてこの際にやるべきだ、こういうふうに考えているのでございます。そうした計画ができますれば、政府は積極的に、建設省のみならず、首都圏構想の一環としてこれは考えるべきだと存じている次第でございます。  それから局地激甚地指定、これはできるだけ急ぐつもりです。けれども、これは建設省のみならず、関係各省が非常に多く、その元締めをしているのが総理府でございますので、われわれのほうから十分お願いをいたしまして、できるだく早く激甚地指定をいたすように最善の努力をいたしたいと考えている次第であります。  以上をもってお答えとします。
  27. 鳥居一雄

    鳥居委員 関連質問を終わります。
  28. 辻原弘市

    辻原委員長 同じく、関連いたしまして天野光晴君。
  29. 天野光晴

    天野(光)委員 浜田君の質問に補足して具体的な質問を二つだけ、災害の処理についてお伺いしておきます。  一つは、浜田君がちょっと舌足らずだったと思いますが、災害復旧は大体三・五・二の比率でやるということになっておりますが、今度の場合の河川は、私現地を見てきたのでありますが、いままで災害のあった地域河川と、河川の様相がちょっと違います。これは堤防がなくて、いままで自然の竹林が防波堤のようなかっこうになっておったのが、竹の根が枯れて流れ落ちたというようなかっこうでございますから、堤防決壊してあふれ出たというかっこうではなくて、河川全域にわたって崩壊しているという現況であります。そういう点で、言ってみますと、もうちょっとの雨が来ればどんどんくずれていくという状態にありますが、いま言った三・五・二の比率でこの災害復旧するというような状態では、住民が安心ができるというところまではちょっといきかねるのではないか。いわゆる応急措置を講ずるわけでありますが、その応急措置について、ある程度得心のいくような応急作業といいますか、土地の崩壊を防ぐだけのものをやらなければいけない。要するに三・五・二の比率を、パーセンテージを少しバランスをくずしてやらなければいけないと思うのでありますが、特別な措置を講ずるようにしなければいけないと思うのですが、その点はいかがですか。
  30. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど具体的に申し上げませんでしたが、私もそう感じております。  というのは、各委員から御指摘になりましたように、河川改修がおくれておりますから――これは公共被害ではないんですよ。ちょっと定義はおかしいのですが、それだけ、これは復旧よりも改良工事をすみやかにやらなければ、次の豪雨あるいは台風が来ますれば、非常に大きな被害が出ると思います。そこで、従来のいわゆる慣例的にきめられている三・五・二ではなくして、でき得れば五を先にやって二年くらいでやるというくらいでなければ、あそこはだめだと思います。そこで、これは大蔵省とわれわれとの折衝でございまするので、事務当局に、大蔵省に二年間五・五で少なくともやるように交渉すべく指示をいたしております。そういうようなことでやらなければ、現状の認識と違ってくると思っておる次第でございます。
  31. 天野光晴

    天野(光)委員 その問題は、大臣よく御認識になっておるようでありますから、そういうかっこうに進めていただきたいと思います。  それからもう一点。被害の個所が非常に多い。そして、応急対策をすぐにやらなければいけないという個所も非常に多いのですが、建設省で派遣しておる査定官は何人行っておるか、問題にならない数だと思うのでありまして、そういう意味で、着工のできかねておる場所が非常に多いわけですが、これも、いままでの災害と違いまして特別の措置を講じていただいて、地元の土木部関係の出先が現地の写真をとった程度で、すぐに手の回らないところは、そのまま応急措置を講ずるようなかっこうにすべきである、そう思うのであります。これは被害個所が何千カ所というのですから、とてもじゃないが、一人や二人の査定官が行ったところで、査定が時間的に間に合うものでもなし、査定自体を待っておったのでは、なかなか応急復旧が可能でありません。特にダブルパンチの来そうな地域でありますから、そういう点で、これはもう少し簡易な措置でやられるようにしていただきたいと思いますが、その点いかがでしょう。
  32. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように非常に個所が多いのでありまして、建設省の職員だけではとうていできないので、隣接の各県の土木職員も動員して、査定並びに調査をさせようと思います。  ところで、写真だけですぐにやれといっても、今度は会計検査でやられるのです。私のほうでは簡易にやりたいことはやまやまでございますが、そういうことが、今度は土木復旧事業の監督不行き届きで、非常に決算委員会等でやられるのでございまするので、両方を充足せしむるためには、建設省の職員のみならず、その近くの県の土木職員を動員して、そうして設計等を応援させる、そしてその御要請にこたえるというようにいたしたいと思っております。
  33. 天野光晴

    天野(光)委員 そこがちょっと認識が違うと思うのですが、時期が梅雨季であります。すぐにこれを追っかけて――幸い台風二号がほかへそれたからたいへん助かったようなものの、あれがまっ正面に来られた日には、ダブルパンチどころじゃない、問題にならないほど被害をこうむる。とにかく、今月の二十日ごろまでは梅雨が延びたといっておりますし、いつ、どういう形で梅雨前線が荒れて再災害をこうむらないとも限らないと思うのです。それはもう、きちっと査定をされることはけっこうでありますが、そうするのが常識であると思いますが、この場合は特別な措置として、特に応急措置を講じなければならない場所については、特別な御配慮があってしかるべきではないかと思うのであります。他府県からの技術者を頼むと言ったって、まだ頼んでいないでしょう。まだ応援に見えてないでしょう。災害が終わってから五日にもなっているのですから、とてものんびりしておられる時期ではない。台風時期に入っておるのですから、その点もう少し、会計検査院とも大蔵省とも連絡をとられて、簡便な処置をとられるようにお願いいたします。
  34. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 たいへんおしかりを受けましたが、応急の措置はどんどんやらしております。ただし、写真だけでいいかげんにやったというようなことになりますれば、建設省並びに地方の責任にもなりまするので、その点は十分に配慮してやっておるわけでございまして、私がこの席上において、天野さんから言われたために、設計はどうでもいい、写真だけ見ればどんどんやってもいいということには、ちょっとまいらないのでございまして、十分現地状況を勘案して早急に措置をさせつつ、しかも、それにはちょっと職員が足らないから関係県からも応援をさせて、集中的に御意図に沿うように努力する、こう申し上げておる次第でございます。
  35. 天野光晴

    天野(光)委員 もう時間がなくなっちゃって、これはここで押し問答してもどうにもなりませんが、私の言っているのは、応急措置の問題を言っているのです。恒久措置の問題についてはきちっとしなければなりませんが、応急措置の問題は、土のうを積んだら、あとから見ればどういう状態か、やらなければならなかったかどうかは、一目瞭然わかるのです。だから、そういう問題まではそう窮屈に考えないで、それだけをやってほしい。恒久的な措置は、きちっと査定をして、きちっと設計をしてやらなければいけません。その点とは違うのですから、応急措置に万全の策を講じてほしいということですから、御理解願っておいて、私の質問を終わります。
  36. 辻原弘市

    辻原委員長 森美秀君。
  37. 森美秀

    ○森(美)委員 こういう災害が起きますと、いわゆる人心が安定しない。そういう意味におきまして、今回佐藤総理あるいは保利官房長官、さっそく来ていただきまして、また、衆議院の特別委員会の御調査がありまして、地元民はたいへん感激をしております。そのことを冒頭にお話し申し上げておきます。  先ほど建設大臣から、局地につきましての激甚法の指定を配慮しようじゃないかというお話がございました。これもたいへんありがたい御措置と考えております。この被害のありましたいわゆる南総地帯の河川、これと都市化の河川との間に、河川改修についてたいへんいろいろな差があったのじゃないかというような感じがいたしますが、河川局長、いままでの過去の数字をちょっとお示しを願って、お話しを願いたいと思います。
  38. 川崎精一

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  千葉県におきます河川事業の例を昭和四十五年にとりますと、全県下で十三億二千五百万円でございます。そのうち南総地区に投資いたしておりますのが、二割強の二億七千三百万円くらいに相なっております。
  39. 森美秀

    ○森(美)委員 この南総地帯というのは、御承知のとおりたいへんな過疎地帯で、いまや住民がどんどん都会に出ていくというような現象にありますが、ひとつこの点を今後抜本的に、河川改修について――先ほど浜田委員からもお話がありましたような、いわゆる蛇行性の問題あるいは川の長さ、短かさの問題、こういったことで、今回のような事件がたびたび起きるというようなことにありますので、ひとつこの点も将来十分御配慮いただきたいと思います。  なお、大多喜町の町の中で起こりました災害は、これは本流の決壊その他ではございません。すでに三十五年、ちょうど十年前に起きた災害と全く同一のものでございますが、これにつきまして、今後の措置はどう考えておられますか。
  40. 川崎精一

    ○川崎説明員 最初に、南総地区の治水投資のことでございますが、大臣からも基本的なお話のございましたように、南総地区は非常に雨の少ないところでございます。したがって、私どもの河川改修の計画を立てます場合の基本的な問題からいきますと、そう不適切ではなかったように私は思っております。しかし、今回のような異常な豪雨がございましたので、こういった現実の豪雨、それから、それに伴う洪水の問題、こういったものをとらまえて、大臣の御趣旨に沿って、私どもも積極的に中小河川改修を進めたいと思います。したがって、基本的な考え方といたしますと、特に過疎地域だからどうだ、あるいは都市地域だからどうだというような区別は、私どもはいたしてないつもりでおります。  それから二番目に、大多喜町の災害のことでございますが、ちょうどあそこに久保樋門という樋門がございまして、いろいろそれの問題でかなり出水の被害を助長した、こういうようなことでございますけれども、三十五年当時の災害を受けまして、あの地区は、その当時の災害復旧並びに関連事業で堤防を、一メートル五十ぐらいだったかと思いますが、かなりかさ上げをいたしております。それから、あのすぐ上流に外廻橋というのがございますが、その災害を受けて、あの橋もたしか改築したのじゃなかったかと思います。  その当時の気象状況からまいりますと、今回の大多喜町の雨は三百三十ミリをこしております。特に時間雨量でいきますと、百五十ミリというような非常に高い数字でございまして、おそらく日本の記録的な雨じゃなかろうかと思っております。三十五年当時の記録を少し調べてみますと、大体総雨量で二百ミリ余り、時間雨量で六十ミリ前後じゃなかったかと思います。したがって、ほとんど倍近い出水があったというような、今度の気象状況の異常さがうかがわれるわけでございます。したがいまして、私どももこの流量あるいは雨量を見て、さらに大多喜町周辺の安全性の問題、それから樋門の処置等、今後十分検討して悔いのない改修計画をいたしたい、こういうふうに考えております。
  41. 森美秀

    ○森(美)委員 大多喜町のことにつきましては、ポンプアップして本流に水を流すとか、そういった処置について、ひとつ適切な処置をとっていただきたいと考えております。  次に、今回、市町村の簡易水道がえらくやられました。これの復旧についてたいへん市町村にロードがかかってまいりますが、この問題についてどういう御見解か、伺いたいと思います。
  42. 国川建二

    ○国川説明員 千葉県内の今回の災害によります全般的な被害状況を申し上げますと、非常に軽微なものも含めまして、大多喜町ほか十一市町村に及びまして、個所数が二十五カ所に及びました。このうち、直ちに応急復旧を行ないまして、現在十二カ所が復旧済みでございますが、なお大多喜町ほか三市町の簡易水道並びに上水道一カ所の復旧を、現在行なっておるところでございます。  なお、この施設災害復旧につきましては、一般の風水害の災害復旧と同様、予算補助といたしまして二分の一の補助、残りにつきましては起債を充当いたしまして施設復旧をいたすことにいたしております。
  43. 森美秀

    ○森(美)委員 その点につきましても、ひとつ応急的な処置をお願い申し上げます。  次に、農林省にお伺いいたします。  千葉県は災害無風地帯といわれておりますが、実際、四十年以降どのくらいこの災害防除に力を注いできたか、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  44. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 御案内のように、災害につきましては、毎年度中央で策定いたします防災基本計画がございまして、それに基づいて各地域における防災計画が策定されております。したがいまして、それぞれその地域の最近における災害状況を勘案して行なわれるわけでございますが、積極的な防災事業以外の復旧事業につきましては、災害のつど、それぞれ農業用施設なり治山施設等につきましては、必要な防災事業を行なってきておるわけでございます。  残念でございますが、ただいま手元に数字を持ってないのはまことに恐縮でございますが、必要とあらば、後刻資料を提出いたします。
  45. 森美秀

    ○森(美)委員 ちょうど千葉県と耕地面積の似ているのが長野県とかあるいは鹿児島県だと思いますが、これと比較してみますと、私は非常に格差があるような気がする。そういう意味におきまして、やはり災害は未然に防がなければならないという原則に立って、もう少し重点的にものを考えていただきたいということをお願い申し上げます。千葉県の中でも、あるいは南総地帯と都市化とでは差があるのではないかという気もいたしますが、これもあとで御調査いただきたいと思います。  次に、特殊土じょう地帯災害防除及び振興臨時措置法というシラス地帯に対する法律がございますが、千葉県も第三紀層、全く同じようなことでございますが、この法律の適用はできるのかできないのか、御見解をいただきたいと思います。
  46. 黒坂正則

    ○黒坂説明員 私、開発課長でございまして、そのシラスの特殊土壌につきましては実は課が違いまして、担当が違っておりますので、的確なお答えはできません。その担当の方面と連絡中でございますので、いましばらく時間をかしでいただきたいと思います。
  47. 森美秀

    ○森(美)委員 これもぜひひとつ御研究願いたいと思います。  先ほども問題になっておりましたが、いわゆる今回の災害地はいままでの干ばつ地帯でございます。そういう意味におきまして、この水をかぶってない、どろをかぶってない農地について、早急なポンプの手配とかそういったものが必要と思われますが、それについての見解を伺いたいと思います。
  48. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの揚水機の問題につきましては、いま一番大事なかんがい時期でございますので、その数量、規格、そういうものが現地調査によってわかり次第いつでも対処できるように、私のほうでは準備をさせております。
  49. 森美秀

    ○森(美)委員 ひとつ何ぶん早急に手配をお願いします。  次に、国鉄木原線の問題でございますが、四日の千葉県庁での説明では、大多喜以降中野までの線は当分開通の見込みがないというような発言がございましたが、私ども地元といたしますと、どうしてもこれは通学その他に必要です。その点について、国鉄の見解をお伺いしたいと思います。
  50. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 お答えいたします。ただいま木原線につきましては、国吉まで開通しておりますが、国吉から先非常に被害が大きいのでございまして、現在調査中でございますが、特に大多喜から先中野までは、河川その他橋梁等がまだ増水のため調査ができないような状態でございまして、この調査をまちまして十分な対策を講じたいと思います。誠意をもって今後ともやっていきたいと思っておりますので、御了承をお願いいたします。
  51. 森美秀

    ○森(美)委員 実は私ども、おとといも木原線のこわれているところに行ってきましたが、いまだに調査その他がないような現況で、地元民が非常に不安に思っております。この点につきまして、くれぐれも、一刻も早い貫通をひとつお願い申し上げたい、こう考えます。  私の質問はこれで終わりたいと思います。
  52. 辻原弘市

    辻原委員長 関連をして浜田幸一君。
  53. 浜田幸一

    浜田委員 お許しをいただき、関連質問をさしていただきます。  まず第一点は、河川局長にお願いをいたします。ただいま建設大臣からは、河川の今後の対策に対しまして総合的な所見をいただいたのでございますが、私は、その見通しについて河川局長にお伺いいたします。  率直に申し上げまして、今回の六河川、支流を含めますと約十河川になりますが、これは、先ほども申し上げましたとおり原始河川でありまして、建設省の重点事業の中に積極的にお取り上げをいただかなければ解決のできない問題だと思いますが、見通しをお伺いしたいと思います。現在局長は、この問題の改修につきまして何年間を必要とされるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。第一点終わります。
  54. 川崎精一

    ○川崎説明員 お答え申し上げます。  先ほど来大臣のお話もございましたように、改修の計画を立てます前にはいろいろ問題があろうかと思います。  私どもも、単に蛇行河川をまっすぐに伸ばすだけが改修の本来の工法ではないんじゃないかということを――実は私も、昨日朝早くからおじゃまをいたしまして、いろいろあちらこちらを見てまいりました。あの南総地区河川の特徴は、非常に新しい新生層でございますが、泥板岩とかあるいは粘板岩、こういったものがかなり風化して河川がえぐられておるわけでございます。その結果、その他の河川等に比べますと、河川が非常に掘り込みになっておりまして、比較的低い堤防で、あるいは堤防なしで守られておるわけでございます。われわれが想像しております程度の雨でございますと、あれで在来は十分安全にきたわけでございますが、今回の雨を見ますと、やはり計画規模が小さかったんじゃないかということを痛感いたすわけでございまして、しからばどういう改修方式をとるかというようなことにつきましては、いろいろ地域の問題もございますし、大臣の申されましたような農業との水利秩序の問題、それから蛇行をあまり短縮いたしますと、今度は水の速度が早くなって逆に下流に被害を及ぼすとか、いろいろ技術的な問題もございまして、そういうものを総合的に、私どもとしても至急に検討いたしたいと思います。  なお、災害復旧事業、それから、これに少し改良的な要素を加えました助成事業、それから本来の中小河川改修事業、それにダムあるいは砂防事業もございますので、そういうものを各水系ごとに総合的に計画を立てていきたい、そうして当面の応急復旧なり災害復旧工事と矛盾のないようにいたしたい、こういうふうに考えております。  なお、現在私どものほうで治水の五カ年事業を促進しておりますが、当然その内容も、やはりこういう雨がございますと変わってまいりますので、これはひとつ弾力的に運用いたしまして、いまここで何年までとはちょっと申し上げかねますが、できるだけ当面の支障のないようには早急にいたしたい、こういうふうに考えております。
  55. 浜田幸一

    浜田委員 そこで、私は特に御指摘を申し上げておきますが、今回お取り上げをいただく具体的な河川は、夷隅川、一ノ宮川、養老川小櫃川、小糸川でございますが、これらの河川についてどのような御調査をされているか。たとえば、調査の終わった河川はどことどことどこであるのか、ひつとお答えいただきたいと思います。
  56. 川崎精一

    ○川崎説明員 南総地区には、建設省が直接管理しておる川はございません。全部県の管理の河川になっております。したがって、私どももその後あまり詳細には承知していないわけでございますけれども、小櫃川につきましては、中小河川で採択いたしまして、三十四年から着工いたしております。夷隅川も同様でございまして、三十五年から着工いたしております。それから一ノ宮川は、二十四年から着工いたしまして、四十一年に一応の完成を見ております。それから小糸川につきましては、終戦前に一応下流部の改修を終わりまして、その後国の補助事業はやっておりません。養老川につきましては、三十四年から三十七年までにかけて改修をやっております。  いずれも、それ以外にやはり県の単独事業とかこういうものがあろうかと思いますが、その辺になりますと、ちょっと資料がございませんのでお答えいたしかねます。  なお、このほかに養老川小櫃川には上流にダムの計画がございまして、現在進めております。
  57. 浜田幸一

    浜田委員 先ほど委員の御質問に対して御答弁いただきましたが、過密過疎の隔てはしていなかった。ただ千葉県の現況を見てみると、手落ちはないと思われるという御発言をいただいたのであります。確かにそうでございますでしょうが、私ども考えますのに、やはり問題の起こらないところには予算を投下しないという一つの姿勢があった。そこにまず差があったと私は思うのでありますが、ここで御議論を申し上げる必要もございませんので、ただただ私どもは猛省を促したいと考えますが、大臣から御発言をいただきましたようなことについて、ひとつ改良事業も含めまして、私は積極的に御配慮を賜わりたいと思います。ただ、私どもは地元であるという関係からわがままを申し上げるというのではなしに、今後、先ほど天野委員から御指摘がありましたように、再発を防ぎたい。こういう見地から私は御配慮を賜わりたいと思います。  そこで、次の質問をさしていただきます。  総理府の湊副長官にお伺いいたしますが、先ほど大臣は、激甚地の指定については各省と相談の上、局地の激甚地指定について最善の努力を払われると言われました。このほうの取り扱いは副長官のところでお取り扱いになるものでございますが、私はこの際、特に副長官の御出席をいただいておりますので、御質問申し上げます。  私どもとしては、どんな形でもけっこうですから、負担軽減の中で御配慮をいただきたいということをお願い申し上げるわけでございますが、激甚地の指定を受けませんとそれがかなえられませんので、総理府の代表者として、この激甚地指定に対して必ず責任を持つという御答弁をいただけるかどうか、お答えいただきたいと思います。
  58. 湊徹郎

    湊説明員 ただいま激甚地指定の問題についてお話がございましたが、従来の例によりますと、各種現地査定その他、おおむね一カ月程度を要しておるのが実態でございます。そこで、御承知のように、国民経済的に非常に影響の大きい大規模激甚災害だけが対象になっておる制度では、最近のような集中豪雨による局地災害は救い得ないのではないか、こういう趣旨から、四十二年に局地激甚制度というものを初めて創設をしたわけであります。したがって、制度創設の趣旨はできるだけ傷の深いやつを、たとえそれが局地であっても拾っていこう、こういう趣旨から発しておりますので、従来もできる限り指定をするんだという前提で、私どもも作業を進めてまいっております。  そういう観点で、今度の場合、特に局地にかなりまとまった形で災害が発生しておる実態から見ましても、局地激甚の指定ということを十分念頭に置いて、そして願わくは指定が行なわれるようにということで、各省の取りまとめに私ども当たっていきたいというふうに考えております。
  59. 浜田幸一

    浜田委員 続いてお伺いをいたしておきます。  これは御配慮を含めて御答弁賜わりたいのでありますが、ただいままでわが千葉県において災害救助法の適用を受けていない町村も、相当な被害を出しております。もちろん、これが査定にあたりまして、点数が足りないということでありますが、それらの地域も、でき得ますならば湊副長官の御配慮によりまして、激甚地区指定地域外における問題点の取り扱いについても、御寛大な御処理をいただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。お答えをいただきます。
  60. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお話がございましたが、激甚地指定の問題と災害救助法の適用、直接には関連ございませんけれども、しかし、いずれも災害の大きな地帯であることに変わりがございませんし、先ほど建設大臣もお答え申し上げたように、要は地方負担、特に過疎地帯に属する市町村が多いという関係から、市町村の地元負担とのかね合いにおいてこの激甚災の運用を考えてほしい、こういう御要望のように承りますので、そういう観点から、両者あわしてひとつ検討さしていただきたいと思います。
  61. 浜田幸一

    浜田委員 私は建設省にお伺いをいたします。  先ほど建設大臣から、あたたかいおことばをいただいておるのでございますが、木原委員からも御指摘のありましたように、橋梁流失がたいへんでございます。橋梁の場合、率直に申し上げまして、委員会理事方々には、これらの橋梁については全責任をもって解決をいたさせるということを、地元の方々におことばをいただいておりますが、橋梁流失に対する対策の中で、先ほどは特に天野委員から、私の手落ちになりました問題の言及をしていただきましたが、原状復旧の場合に、直ちに行なわなければ興隆をはかることのできない部落がございます。そういう地域について、査定がおくれればおくれるほど復興がおくれるということでございますが、そういう問題点の取り扱いについてはどのようにお考えであるのか、お答えをいただきたいと思います。
  62. 川崎精一

    ○川崎説明員 私、昨日参りましていろいろ実情を見てまいりましたが、いま御指摘のように、本復旧にはとても時間がかかる。しかし、地域交通確保しなければいけないというようなところにつきましては、直ちに応急工事に着手するように、なお、将来の復旧に対する見込みもやはりつけておきませんと、いろいろ工法上の矛盾があってもまた困ったことになりますので、そういった点については、すでに派遣しております係官と、重要な問題については、次の本復旧と矛盾のないように指導するように、すでに現地でいろいろ協議をいたしておりますので、まずまず御心配はないかと思います。
  63. 浜田幸一

    浜田委員 自治省にお伺いいたします。  先ほどから御答弁をいただいておるわけでございますが、特に今回の問題の解決にあたっては、法律の精神だけで解決のでき得ない問題もあると思います。その場合に、たとえば地方交付税あるいは特別交付税、そういう形で御配慮をいただかなければ、千葉県といたしまして、行政予算の計上の上に非常に大きな支障を来たすと思うのでございますが、ただいままでの答弁を含められました配慮の中で、千葉県が特に解決をいたさなければならないと決定、査定をいたしました問題について、早期に着工いたした場合に、最終的に交付税措置において御解決をいただけるかどうか、ひとつ御答弁を賜わっておきたいと思います。お願いいたします。
  64. 成田一郎

    ○成田説明員 お答え申し上げます。  関係省の災害査定の作業が終わりました段階におきまして、当該地方団体、特に今回の場合は市町村でございますけれども、この財政需要が、特に災害に必要な財政需要が確定することになるわけであります。その場合におきまして必要な措置、特に交付税による措置が大きな意味を持つと考えますので、これらの措置につきましては遺漏のないように考えてまいりたい。特に特別交付税関係につきましては、最優先的に扱う方針でございます。
  65. 浜田幸一

    浜田委員 特によろしくお願いを申し上げておきます。  農林省にお伺いをいたします。  先ほど委員からも御指摘をいただき、御質問を申し上げて、完全な配慮をするというお答えをいただいたのでありますが、それは当面の問題だけであります。  たとえば揚水機等については、流失は全部といっても過言ではありません。その場合に、応急措置については農林省のお持ちになっておられるポンプ等を貸与していただけるという御答弁をいただいて、非常に心強く感じておりますが、最終的な解決策といたしまして、流れ去ってしまった揚水場、あるいはそれと匹敵するような条件のものを新しくつくらなければなりません。ただし、それをつくります場合には、防波堤そのものは完全でなければ、また設備をいたしましても流れてしまいます。そういう問題をあわせまして、新規に設置いたします場合の農林省の態度についてお伺いをいたしたいと思います。  続きまして第二点目に、農林省は、特に二点だけをお伺いいたしますが、冠土地帯、土をかぶりました地帯に対しまする解決策は、最も最適な方法と考えられるものは、現在の段階でどのようにお考えになられるのか、この点を私は、地元の要望をあとにいたしまして、解決策に最適と思われる方法についてお伺いをいたします。
  66. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの揚水機場の恒久復旧の問題につきましては、当然再災害を防止する上におきまして効用を十分発揮できるような形で設計を組みまして、それに対応できるように処理したいと思います。  それから、第二点の冠水いたしました水田復旧につきましては、幸いにして現地水田は、土砂埋没したのを含めまして、石れきがほとんどございませんので、その点は、私のほうといたしましては非常に仕事もやりやすくて、早急にこれは処置できるような状態であると考えております。
  67. 浜田幸一

    浜田委員 重ねてお伺いいたします。  揚水機の問題につきましては、的確な御答弁をいただきまして感謝をいたしております。  ただ、冠土地帯の対策の問題につきましては、私どもと意見が異なります。しかし、質問だけをさしていただきます。  まず第一の質問は、復旧工事に入りました場合に、たとえば農地災害法の適用を受ける場合でも、それらの法律を生かしました場合でも同じでございますが、本年復旧の見込みがあるかどうか、お答えをいただきたいと思います。もし本年度復旧をいたしましても、農民の所得を守れるかどうか、この点について、私は二点だけを特にお伺いをさせていただきたいと思います。
  68. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答えいたします。  冠土等の被害につきましては、個々の農地被害程度によりまして、応急――ただいま農林省の方針としては、申し上げましたような緊急な復旧事業によりまして、直ちに砂れき等の排除が行なわれ、次の耕作等に的確な対応がとれる場合と、そうでない場合といろいろあるかと思うのでございます。で、これにつきましては、御案内のように、冠上等によって稲作等が全損というような場合になりますと、農業災害補償制度によります共済金の支払いということによって対処するわけでございます。  それから、さらに再生産の問題につきましては、今回の被害を含めまして、梅雨前線等の集中豪雨被害について、現在国として作物被害等について調査中でございまして、これは相当大きな被害にのぼるものと判断いたしております。したがいまして、これにつきましては、天災融資法の発動等の検討、あるいは自作農維持資金等の所要の資金手当てというようなことにつきまして、所得の補てんなりあるいは再生産の確保等につきましては万全の措置を講じたいというふうに考えております。
  69. 浜田幸一

    浜田委員 たいへん時間を要しまして、お許しをいただきますが、最後に要望をさせていただいて、終わらせていただきます。  特に私は、要望の前に感謝を申し上げたいところがございますので、お許しをいただきます。  本来、時間がありますれば、防衛庁の発動体制あるいは出動の体制について御質問を申し上げると同時に、警察機動隊の活動状況についてお伺いをいたしたかったのでございますが、時間の関係がありますから、地元といたしましては、ただただ防衛庁のあたたかい配慮と、特に献身的な努力に対しまして、心から感謝を申し上げます。  この問題については、防衛庁並びに警察機動隊に対して、本委員会の名をもって、委員長から丁重なる謝意を御表示賜わりますようお願いを申し上げる次第でございます。  最後に、要望でありますが、私は農林省関係に特に要望申し上げておきます。  現存御答弁を賜わりました段階では、あたかも、あしたから農民が安心して農業に従事できるかのごときおことばをいただいておるのでありますが、実際は違います。今回は、農林省におかれて思い切った施策をおとりいただきませんと、初めて災害を受けました千葉県の農民は、立ち上がることができないような精神状態でございます。どうか農林省におかれましても、林道の実態調査を含めまして――現在は林道の実態の調査がされておりませんから、これから続々と出てまいると思いますが、それらの問題を含めまして、農民が再起でき得ますようにあたたかい配慮政府としておとりいただきますよう、この席から御要望を申し上げる次第でございます。  皆さま方のあたたかい、発言の機会をお与え賜わりましたことに対しまして、心から感謝を申し上げて、再質問を終わります。
  70. 辻原弘市

    辻原委員長 先ほどの森委員の質疑に対する経済企画庁の答弁を求めます。足利山村豪雪地帯振興課長
  71. 足利知己

    ○足利説明員 お答えいたします。  特殊土壌地帯の指定につきましては、昭和二十七年九月の特殊土じょう地帯対策審議会におきまして指定基準が定められております。これは特定の特殊土壌地帯であること、それから台風の頻度が非常に高いこと、それから降雨量が非常に多いことといったような基準で地帯の指定を行なっておるわけでありまして、御質問の千葉県につきましては、現在の基準から申しますと非常に困難ではないかというように考えますけれども、なおこの点は検討させていただきたいと思います。  以上でございます。
  72. 辻原弘市

    辻原委員長 先ほど浜田君の要望につきましては、理事会の協議を経まして善処いたしたいと思います。  午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時四十五分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十二分開議
  73. 辻原弘市

    辻原委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  昭和四十五年六月及び七月上旬の梅雨前線豪雨並びに台風第二号による災害対策について質疑を続行いたします。木原実君。
  74. 木原実

    木原委員 午前中に引き続きまして、ひとつ簡潔に、二、三の点で関係各省にお伺いをいたしたいと思います。  最初に、運輸省の方見えておりますね。先般の理事会でも、木原線あるいは久留里線復旧の問題について委員会の意思表示があったと承っておるわけでありますけれども、実際に回復をする見込みといいますか、その辺の見通しをお伺いしたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  75. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 お答えいたします。  ただいま久留里線木原線復旧見込みについて御質問がございましたが、先ほど申し上げましたように、非常に災害が多いのでございまして、久留里までにつきましては、昨日の十二時三十八分に開通いたしました。それで、それから先でございますが、これにつきましては約四十カ所の災害現場がございますし、そのほか小櫃川橋梁というのが四カ所またがっておりまして、これが根入り等の調査につきましては相当慎重にやりませんと、安全確保の上からも相当問題がございまして、鋭意調査中でございますので、復旧見込みにつきましては、いましばらく御猶予願いたいと思います。  また、木原線につきましても同様でございまして、大原-国吉につきましては開通しておりますが、国吉-大多喜の間、さらに大多喜-中野間につきましては、やはり夷隅川橋梁等約十カ所ぐらい横断しておるのでございまして、これにつきましても、まだ非常に増水が激しく、根入り等につきましての調査が不十分でございます。したがいまして、水が引きまして十分調査の上安全を確認の上復旧等の見込みを立てたいと思っておりますので、それで御了承願いたいと思います。
  76. 木原実

    木原委員 調査中はわかるのですけれども、これは、一つは地元が非常に不安を感じている問題があるわけです。先ほども同僚委員からの質問がありましたけれども、そういってはあれですけれども、幹線等のこの種の災害については、これは規模が違いますけれども、たいへん復旧が早い。ところが、こういういわば支線につきましては、しかも赤字線で廃止だというようなことがいままでもしばしば問題になった線でございますから、どうもこのまま捨てておかれるのではないか、こういう不安が背景にありまして、調査中はいいのですけれども、おおむねこれが開通をする予定なり何なりというものをすみやかに示してもらいませんと、一つにはやはり人心の不安を一掃するという問題に、鉄道の問題というものは非常にからんでいるわけなんです。ですから、調査中というのはわかるわけなんですけれども、しかし、やはり迅速に調査を進めるべき点は調査を進めて措置をする。ですから、おおむねの見通しというものはわかりませんか。
  77. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 お答えいたします。  ただいま、おおむねということではいかぬというおしかりでございますが、われわれ鉄道を預かっております者には、やはり安全の確保というものが第一でございまして、橋梁の根入り等につきましては、それを十分調査いたしませんと、その橋梁を改築する、あるいは、ほかの路線を引いてまで通すというようなことを判断いたすことができないわけでございます。まして今回の災害につきましては、その橋梁を通って全部資材等、復旧等のための計画を立てるわけでございまして、一つ一つ橋梁を十分に調査をいたしませんと、その復旧見込みがどのぐらいと言われましても、現在の段階ではお答えいたしかねると思います。  なお、輸送の面の御不安につきましても、ただいま、たとえば久留里まであるいは大多喜までバス代行等を、十一便あるいは二十二便というふうな代行を行なっておりまして、この先の道路開通いたしますれば、さらに中野まで、あるいは亀山までというようなことにつきましても、通勤、通学の皆さんにできるだけ不便をかけないような手段は講じていきたいと思いますが、この復旧見込みにつきましては、ただいま申し上げましたとおり、いろいろな観点からやらないとなりませんので、しばらく御猶予願いたいと思います。  なお、これにつきましても、本社からも技術団を出しまして、いま局と一緒になって調査いたしておりますので、その点で御了承願いたいと思います。
  78. 木原実

    木原委員 これはおっしゃるとおりなんですけれども、しかし、いまの御答弁を聞いておりますと、時日がはっきりしないわけですね。たとえば一カ月かかるのか二カ月かかるのか、あるいは近々一週間ぐらいで大体修理が終わるのか、その辺のめどはどうですか。  それにしても、調査が必要だということはわれわれも否定はしないわけですけれども、もう災害が起こって五日もたっておるわけです。だから、大体十日以内なら十日以内ぐらいには何とか列車を通すようにする、こういうような見込みは立ちませんか。
  79. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 何回も同じ答弁で申しわけございませんが、ただ申し上げられますことは、木原線につきまして国吉-大多喜までの間ですと、被害件数がわりあいに少ない。それから橋梁数も三橋梁でございまして、水の引きもわりあいに早いはずでございますので、そのほうの調査は、あるいは復旧につきましては、一段階早まると考えております。ただ、それから奥につきましては、非常に災害個所が多いので、ある程度それから以降になるというふうに判断されますが、何日というような日を限られますと、この橋梁につきましては、被害の状態によりまして非常に復旧の日数が変わってまいりますので、その点はやはり技術的な調査をまちませんとお答えできませんので、その点だけは御了承願いたいと思いますが、できるだけ早い機会に復旧いたしたいというふうに考えております。
  80. 木原実

    木原委員 これはあなたに申し上げてもしようがないことなんですけれども、小指の痛みだって、痛みは痛みです。新幹線がかりにこういうことになって、いまのような御答弁だったら、これはたいへんなことだと思うのです。確かにこれは過疎地帯の鉄道で、赤字線であることは、われわれもよく承知いたしております。しかし、この鉄道がきちんと開通するのかどうかということにつきましては、災害地の人心の安定上、一番大きなウエートを占めておる問題だと思うのです。ですから、これを新幹線並みにやれということは私も申しませんけれども、しかしながら、もう少し調査にしても集中すべきものは集中をして、適切な措置をとるということでやってもらいませんと、これはとてものことには、地元の罹災者の人たちの不安というものはぬぐい切れぬだろうと思うのです。ですから、これは調査が必要であって安全を確保する、これは当然のことだと思うのです。しかし、それにしてもやはりめどを立てて、必ずこの辺のところあたりまでは国鉄全力をあげてでもやりますというようなことばがないというと、やはりこれは、鉄道はとまりっぱなしだ、捨てられてしまうのじゃないか。そうでなくても過疎地帯ですから、鉄道もろとも、一方では復旧の声があがりながら、何か捨てられていくという形になったのでは、これは政治的には捨てておけない問題だと思うのです。ですから、技術的なこと、保安上の問題、あるいは予算上の措置その他いろいろ問題があることは、私もよくわかるわけですけれども、しかし、過疎であるがゆえにそういうことをされるという、そういうひがみが起こらないように迅速な措置を講じてもらいたい、こういうのが私の申し上げたい趣旨なんですが、たびたび念を押すようですけれども、これは国鉄としても力を尽くして、誠意をもって復旧に当たるのだ、この点についてはいかがですか。
  81. 北沢秀勝

    ○北沢説明員 お答え申し上げます。  われわれといたしましても、国鉄というものの運営につきましてやはり大事でございますので、誠意をもって復旧いたしたいと思っておりますが、交通確保につきましては、いろんな面を通じまして、できるだけ皆さんに御迷惑かけないように今後とも努力いたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  82. 木原実

    木原委員 どうもたいへん不満です。これではとてものことには、鉄道は本腰入れてくれぬのかという不安が残ると思いますけれども、しかし、あなたの御答弁はそれ以上、どうも求められそうにありません。しかしながら、これは再度申し上げておきますけれども、当委員会としましても、先般の理事会で、かりにも赤字線であるがゆえに、この災害を、罹災を契機にして廃止線にやっぱり踏み切るのだということのないように、措置措置として修復を急いで、その上での問題にしてもらいたいという意思表示があったというふうに聞いておりますけれども、どうぞひとつそういう意味では、ともかく力を尽くして災害の復興に鉄道としても御協力を願いたい、こういうふうに、これは特に要望いたしておきます。  それから、運輸省の方見えましたか。――おりますか。  あなたにお伺いをして御判断できるかどうかですが、あわせまして、あそこには一つ私線が通っているわけです。小湊線――わかりませんか。
  83. 辻原弘市

    辻原委員長 ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  84. 辻原弘市

    辻原委員長 速記を始めて。
  85. 木原実

    木原委員 それでは、時間を急ぎますので、農林省の関係についてお伺いをいたします。  先ほど来農林省関係に対していろいろ質問がございましたけれども、一つは、いままで出なかった問題で、大体農家が自家保有米の飯米を流失した分がかなりあるわけです。そういうこれからの飯米対策等についても、これはやはりしかるべき措置をしてもらいたいと思うのですが、その点についての調査その他はできておるでしょうか。
  86. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 ただいまの先生の御指摘につきましては、われわれ従来災害のつど、自家保有米を有し配給を必要としない農家に対して、配給農家へ転落した数等を詳細把握し、その数量につきまして、食糧事務所なり県と打ち合わせまして、遺憾のないように措置してまいったわけでございますが、今回の災害につきましても、地元の千葉食糧事務所及び県と打ち合わせ中でございまして、遺憾のないように措置を進めておるわけでございます。
  87. 木原実

    木原委員 それから、あわせてお伺いいたしておきますけれども、この種の災害が起こりました場合に、農地復旧の問題その他を含めまして、これも参事官にひとつぜひ御配慮いただきたいのですが、御案内のとおりの過疎地帯なんです。率直に申し上げまして、復旧の度合い、テンポ、そういうことのいかんによっては、もう百姓をやめた、こういう空気が出てくる条件もあるわけなんです。これは減反や休耕を進めているような政策のもとですから、やめていく者はやめていけというような考えもあるいは起こるかもしれませんけれども、しかしながら、農家の人たちが経営意欲を失っていく、こういうようなことでは、幾ら力を入れましてもどうにもなりません。したがいまして措置が急がれるわけなんです。それから同時に、復興をしていく過程の中で、これからやはり経営が成り立っていくようなめどを示していく必要がある。この点について、これはひとつ農林省の特段の御配慮をいただきたいと思うのです。  われわれも、こういう地帯ですから、災害があったのはいい転機で、ひとつ農業をやめてしまえというようなことは、これは言えたものではありません。また、そういうような空気を起こしたのでは、これは行政的に見ましても政治的に見ましても、ほんとうの意味での復興対策にはならないと思います。したがいまして、この種の災害に対処するにあたって、あるいは、先ほど来お話のありましたように、河川改修あるいは農地の回復、いろいろな措置があるわけですけれども、たとえば金融的な側面で、融資の側面で、あるいは、これからの営農方針を考えていくというような場合についての何か農林省としての援助の方法、あるいはこの種の災害復興についての指導の方法といいますか、そういうものが何かおありでありましょうか。
  88. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 お答え申し上げます。  米の生産調整その他米の経済の安定のための措置措置といたしまして、いやしくも農業経営を続けていこうという方々の今後の営農の意欲を喪失するようなことがあってはならないことは、御指摘のとおりでございます。したがいまして、午前中からるる申し上げましたように、施設災害復旧その他について緊急の措置を講じまして、早急な解決をはかることにつとめることはもちろんでございますが、午前中にも申し上げましたような天災融資法その他、被害農家の立ち直りと申しますか、再生産確保のためのもろもろの資金なり、あるいは損害補てんのための農業共済制度の早期仮払い等については、遺憾のないようにしたいと思うわけでございます。  なお、今後の営農等の問題につきましては、再度災害を防止しながら、その地域における営農、今後の新しい営農方式をどう展開していくかというようなことにつきましては、地元千葉県等と十分お打ち合わせの上、農業改良普及事業等の指導を通しまして、あとう限り御指摘の点に沿うようにいたしたいというように考えております。
  89. 木原実

    木原委員 そうしますと、具体的には、いろいろ自作農維持資金貸し付けワクの問題であるとか、あるいは制度金融の問題等がありますが、それらについても、これはおそらく先例も幾つかあろうと思います。したがいまして、これはひとつ調査の進むにつれまして、ぜひ適切な措置を講じていただきたいと思います。  それから、午前中にもちょっと質問がありました、重複は避けますけれども、耕地の回復につきましては、これは確かに、石等の流入はほとんどありませんが、しかし、それにしましても流出土砂埋没、これはかなり広範にわたっておるわけであります。これらの回復につきましては、これは技術的なこともいろいろありますけれども、私ども一番心配いたしますのは、個々の農家がそれらの耕地の復旧に要する費用と、それから、よそへ売ったほうが安上がりだ、こういうようなたいへん微妙なかね合いの問題もあると思うのです。ですから、耕地の復旧の方法等については、何か先例等に照らしてお考え方、ございますか。
  90. 福澤達一

    ○福澤説明員 ただいまの御質問につきましては、従来取り行なわれてきておりますいろいろの方法はあると思いますし、それから、最近非常に問題になっておりました生産調整を踏まえての農家の問題ということから、いろいろの点を配慮しながら処置を考えていかなくてはならない問題で、いままで取り行なわれておったものということではなしに、新しく現在の状況を判断しながら、具体的には私のほうは考えていきたいと思っております。
  91. 木原実

    木原委員 たいへんどうも含みのある御答弁なんで、まあこれは別途に委員会でも、農林省と話し合いをする余地があるようでございますから、これ以上申し上げません。  もう一つお伺いしますけれども、一つ問題は、災害を免れた田畑で、天気が回復しました場合に、今度は逆に水不足に悩む可能性が非常にあるわけです。これは用水池その他がこわれておるというような問題がありまして、天候が回復するとすぐ、おそらく今度は水不足という、こういう問題が出る可能性があります。それらについての何か措置はございましょうか。
  92. 福澤達一

    ○福澤説明員 用水源の問題につきましては、いま大切なかんがい時期に際しておりますので、ポンプなどの応急な措置を含めまして、それぞれの地域、場所に応じた措置をはかっていきたいと思っております。  なお、現在関東農政局におきまして整備をされて、いつでも使えるポンプも六十余台ございますので、それも能力に応じまして必要な場所に配置したいと考えております。
  93. 木原実

    木原委員 それでは、大蔵省の主計官が見えていますね。一つ、二つお伺いします。  午前中来、今度の災害の問題につきまして、建設大臣をはじめ各省とも、この災害の復興のためにはできるだけの努力をしたい、このために従来ある制度は最大限に活用をしたい、こういう趣旨の答弁がございました。それからまた、幾つかの点で調査がおくれておる面もございますけれども、いずれにしましても河川改修や、あるいは耕地の復旧等、あるいは罹災者に対する援助、そういうことを含めまして、これは全体として多額の費用が予想されるわけなんです。  それで、一般的な質問で恐縮ですけれども、ひとつ大蔵省の御見解を、これらの問題について伺っておきたいと思うのです。  この種の災害については、さまざまな前例等もあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、各省庁のそれぞれここで御答弁をなさった裏づけについて、今度の災害についてのひとつ大蔵省当局の一般的な御見解を、まず承っておきたいと思います。
  94. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  何ぶん今回の災害につきましては、現在、被害状況その他、各省で調査されているところでございまして、その結果を見て、現在の災害復旧についての体系その他を考えまして、また、過去の同種同規模の災害等の実例をも考えて、必要な予算措置を講じてまいりたい、そういうふうに考えている次第でございます。
  95. 木原実

    木原委員 まあそうだろうと思いますが、千葉県などは、どうもこの種の災害を受けたのは近来まれなことなんです。おそらく初めてといっていいような経験だろうと思うのです。ですから、これは何をどうしてもらっていいのか、おそらく地元の県あたりでもわからないような側面がまだたくさんあろうかと思います。したがいまして、大蔵省に特に私のほうからも要求をしておきたいところなんですけれども、この種の災害について、大蔵省御自身で現地調査をなさって判断をする、こういうような措置のことは考えられませんか。
  96. 藤井直樹

    ○藤井説明員 災害が起きまして、三日に大蔵省の千葉財務部長が現地を見て回っております。これからの個々の災害復旧査定作業には、やはり係官が立ち会って、各省の共同調査ということになりますので、その場合には財務局のほうから参ることになると思います。必要に応じまして本省からも応援をする、そういうことにしておりますが、ただいまお話しの件につきましては、早急に、係官が現地を見るかどうかということについて決定をしまして、できるだけ実情把握につとめたいというふうに考えておる次第でございます。
  97. 木原実

    木原委員 それでは、二つだけ具体的なことをお伺いしますけれども、これは従来の先例があると思いますが、罹災者に対する税の減免の措置ですね、これは現在の時点でお考えになっていらっしゃいますか……
  98. 辻原弘市

    辻原委員長 この際、木原君に申し上げます。  運輸省の担当者がそろいましたので、質疑を続行願います。
  99. 木原実

    木原委員 それでは、大蔵省はもうちょっとあと回しにしまして、運輸省の方にお伺いをしておきます。  あそこに小湊線という私鉄が走っておるわけです。これがひどいのですね。写真等がここにも参っておりますけれども、もうレールが踊っているわけなんです。御承知のように、たいへん資本の弱体な企業でございまして、しかも、これは五井というところから中野まで単線で、一本で走っている。しかも最近は、これが非常に利用者がふえておる。こういう実は鉄道なんです。おそらくこれは、私どもの推測では、このままにしておいたのでは、どうにも自力で回復の見通しはないのじゃないか、こういう心配が実はあるわけなんです。  それでお伺いをするわけなんですが、こういう災害等を受けた場合に、この種の民間の私鉄等の立ち直りのために何らかやはり国として措置を講じてやるというような、そういう余地はないわけなんですか。
  100. 山本正男

    ○山本説明員 お答えいたします。  先生の御指摘の第一点は、小湊鉄道災害復旧に要します工事費の補助を、国において何かめんどうが見れないものかどうかというふうに、私は承知さしていただきました。  これにつきましては、実は私、その直接の担当ではございませんので、あるいは誤りがあるかとも思いますが、一般的な話を申し上げまして回答をさしていただきます。  先生御指摘の災害の補助でございますが、おっしゃいますように、地方鉄道軌道整備法という法律がございまして、この法律の適用によりまして、災害を受けました鉄道復旧の補助をいたす制度がございます。ただ、損害金額とそれから年間の運輸収入との関係におきまして、非常に軽微な損害でございますればこの補助の対象にならない、相当大きな被害をこうむりました場合は、いろいろ検討いたしましてこれを補助の対象にいたすというようなことで、本日までまいってきております。  そこで、この小湊鉄道災害状況でございますけれども、いままでわかっております範囲におきましては、あるいはもう先生十分御承知だと思いますが、道床流失、路盤流失、切り取り崩壊、路肩流失、こういうような件数をひっくるめますと、六十七カ所の被害個所になっております。現在、しからば復旧費は一体どのくらいになるか、これは鋭意担当の者が詰めておりますし、また会社とも連絡をとりまして、被害の最終的な復旧費をいま算定中でございますので、はっきりしたことをいまここで申し上げられませんが、この復旧費が非常に大きいということになりますれば、先ほど申し上げました地方鉄道軌道整備法の対象によりまして、復旧費の何%かは補助をするということに相なろうかと思います。
  101. 木原実

    木原委員 もう一つだけ、そこでお伺いしておきたいのですが、被害金額もまだはっきりしないということだと思います。六十七カ所という御指摘がございました。これはおそらく、私はまだ出るのじゃないかと思っております。問題は、おそらく運輸収入と対比した場合には、とてもこの企業ではすみやかに復旧という形にはならぬ、私はそういうふうに推測をいたしておるわけなんです。  そこでお伺いをしたいわけですが、一つは、そういうことですから、小湊鉄道復旧については、私はいまのところ見通しがないというふうに実は判断をしておるのです。その点について運輸省としては、いや何とか復旧見通しはあるのだ、こういうふうな御判断かどうか、その御判断をひとつ承っておきたいと思うのです。  それからもう一つは、いまおあげになりました地方鉄道等の整備法の関係でございますけれども、いまの被害状況から見ますと、私は当然この法律を適用し、その上に何かをしてやりませんと、この小湊鉄道自体が、これは廃線といいますか、廃業というか、そういう危機に追い込まれているということが、実は容易に推測が立つところなんです。単線で、距離もそう長くありませんし、日常のこととしてわれわれはわかるわけなんです。そういうことですから、この法律の適用の可能性の問題と、いま申し上げました復旧見込みについての御判断がありましたら、ひとつお示しを願いたい。
  102. 山本正男

    ○山本説明員 御質問の最初の復旧見込みでございますけれども、これは小湊鉄道の意向として、現在こういうような考え方を持っております。  現在運転を、大体平常ダイヤにて行なっておりますのは、御承知のように五井から上総牛久間でございまして、上総牛久から終点の上総中野間は、現在運休をいたしております。この区間が非常に被害が多うございまして、先ほど申し上げました六十七カ所の損害個所がございます。  そこで、これをどういうふうに整備をしていくか、復旧をしていくかという一応のめどでございますけれども、上総鶴舞、それから月崎、これが約十キロございます。この間は一両、その間に閉じこもった車がございますので、これは何とか動けるであろう。ところが、上総鶴舞から上総牛久の間がとぎれておりますので、これはバス連絡をいたそう。しからばいつごろ直るか、こういう問題でありますが、これは近日中に整備できるであろう。七月の八日ないし九日くらいには、何とか上総鶴舞までは行けるかもしれない。それから、鶴舞から月崎は電車で動く。その次の、上総鶴舞-月崎は通りましたが、月崎から終点の中野まで約九キロございます。ここはたいへんいろいろ問題がございますので、月崎の先は、養老渓谷までは約一カ月かかるであろう。養老渓谷からあと五キロ程度、終点までございますが、上総中野までは、大体現在から数えますと二カ月くらいかかるであろうというような段取りになっております。  不幸中の幸いと申しますか、車両が起点の五井付近のほうにありました関係で、車のほうはあまり被害がございませんので、線路を応急復旧いたしますれば、約二カ月くらいには全線復旧し、平常どおりのダイヤで運行できるという熱意で、会社のほうが現在努力をいたしております。  次の、整備に関します国の補助でございますが、これはよく検討いたしまして――先ほど申し上げましたように、私はこの直接の担当ではございませんので、ここではっきりは申し上げられませんけれども、省内でよくこれを検討いたしまして、そういう補助ができるかどうか、できればどのくらいになるのか、これはなるべく御趣旨に沿うような線で検討を進めてまいりたいと思っております。
  103. 木原実

    木原委員 ありがとうございました。  そういうある程度のめどを立てていただきますと、地元の軌道の利用者の人たちも安心はするだろうと思いますが、なお、いま申し上げましたように、国有鉄道のほうと同じように、やはり鉄道が走っているということが、地元の罹災者の人たちには一つの安心感を与えるということでございますので、復旧の一助としてぜひ配慮願いたいと要望いたしておきます。  あわせまして、先ほど来の大蔵省にもう少しお伺いをいたしたいと思います。  たいへん費用を食う災害対策で、いろいろと調査のあがってきた段階で措置をする、こういうお話でございました。  もう一つの問題は、罹災者に対する税の減免の措置、これがもうすでに行なわれる対象になっているのかどうかという点を、ひとつお伺いをいたしておきたいと思います。  それから、もう一つの問題をお伺いしたいわけですが、先ほど来話がありましたように、建設省を中心にしました河川復旧の問題、これは応急の問題とやや長期にわたる復旧の問題というのが、今度の災害の問題のめどになろうかと思うのです。  これは建設省自体がかなり技術的な調査なり何なりを要する、こういう答弁でもありましたし、私どもとしても、恒久的な対策としては、この際に、やはりこの種の中小河川についての抜本的な対策を立ててもらいたい、こういう意向を持っておるわけなんですが、そういう際に、大蔵省としては、中小河川のいわゆる改修その他について、これは何といっても現在の制度もございます。それから、いままでの先例等もありますが、私どもが見たところでは、今度災害を起こした河川は、いままで全く人工的な手を入れたことのない河川であった。こういう、ある意味では特殊のケースだと思うのです。したがいまして、先例等に照らしましても、おそらく多額の費用を食うことになるのではないか、こういうふうに考えておるわけですけれども、災害ということを踏まえて、そういういわば自然河川の状態でほうり出されておった河川改修等についても、財政当局としても、しからばこの際に思い切った措置を講ずべきだという御判断を実は願いたいというのが私の趣旨なんですが、そういう問題が出された場合の大蔵省の御判断のようなものを、あらかじめやはり承っておきたいと思うのですが、どうでしょうか。
  104. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  今回の災害被害状況がはっきりしたところで、あの地域におきます河川改修をどうするかということについて、建設省のほうでしかるべき計画をお立てになると思うのでございますが、その計画のようなものができましたときに御相談に応ずるということで、特に現在どういう形かということについては、一切私ども、まだ何とも申し上げられません。再度災害の起こらないというようなこと、そういう方向で検討させていただきたいと思います。
  105. 木原実

    木原委員 減免措置はどうですか、税金の問題は。
  106. 藤井直樹

    ○藤井説明員 国税庁の担当官がただいま参りますから……。
  107. 木原実

    木原委員 税の減免の措置につきましては、国税庁の関係の方がお見えでないそうですから、あとでお見えになりましたら御答弁をいただくことにいたしまして、最後に、関連いたしましてもう一つだけ通産省の方にお伺いしておきたいのですけれども、大多喜町を中心にいたしまして、商店等のいわゆる中小企業者の人たちの被害が意外にひどいわけなんです。これは報告にも出ておりますように、大体短時間の間に二階の上まで水が上がったというようなことで、ほとんど商品がだめになっておるというようなこともございまして、この中小企業者の罹災者に対しましては、いろいろ応急の措置等がありますけれども、一つはやはり立ち直りのための資金的なめんどう、それから一つは、それに関連をいたしまして、商品の仕入れであるとかあるいはまた、先ほどちょっと申し上げましたような税制上の措置の問題であるとか、いろいろな関連した問題が出てこようかと思いますけれども、こういう中小企業者の罹災者についての救済措置というものは、何かおありでございましょうか。
  108. 井川博

    ○井川説明員 お答え申し上げます。  中小企業の被害につきましては、先週通産局の担当者派遣したわけでございますが、お話のように商業関係が、大多喜町を中心にして相当大きい被害を受けておるという調査報告がまいっております。  こうした被害中小企業者に対する救済金融処置の問題といたしましては二つの方法があるわけでございまして、一つは、事こうした災害を受けたということになりますと、市中の金融機関からの金融というのはなかなかむずかしくなる。したがって、この信用を補完して金が借りやすくする。従来処置といたしまして、信用保険公庫及び地方の信用保証協会を通じまする信用補完制度というものがあるわけでございますけれども、実は県のほうにおきましても、中小企業災害特別貸し付けというふうな処置をとられて、この保証協会を使われて融資をするというかっこうをとっておられるわけでございますが、これに対しましては、国のほうといたしましても所要の支援をするということで決定いたしてございます。  もう一つの方法は、やはり市中からは借りにくいために、どういたしましても国の専門金融機関のほうに融資期待が集まるという点がございますけれども、この点につきましては、三機関、すなわち中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金のほうに、災害の特別貸し付けを実施するよう決定いたしております。これによりまして、現在すでに千葉県では、二万余の人たちが三機関を利用されておるわけでございますけれども、償還期限延長等々の処置がございますし、さらに新たに借りられます場合に、ワクの拡大であるとか――これは個人が借りる場合の限度の拡大でございます。あるいはまた、借りる期間の延長といったような優遇処置がとられることになっておるわけでございまして、これらの処置を通じまして、被害中小企業者の復興のために必要な資金を十分お世話してまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  109. 木原実

    木原委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
  110. 辻原弘市

  111. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まず、気象庁のほうにお伺いいたしたいと思います。  集中豪雨に対する気象観測については、その被害のあるたびごとに、委員会においていろいろな角度で質問もあり、答弁をされております。いわゆる一時間当たりの雨量が圧倒的に多いという異常なケースについては、気象観測上の予報観測等、なかなか困難な点も多々あろうかと思うのでありますが、それだからといって放置しておくわけにはいかないほど、集中豪雨、すなわち梅雨前線を中心としての集中豪雨というものの被害が多いのであります。  そこで、気象庁において四十三年から五カ年計画で、西九州と九州西方海域で実施されている集中豪雨特別観測について、現行の気象予報上実効ある予報として活用されているかどうか。  なお、集中豪雨対策についてはどのように考えられておるか。  なお、四十五年におけるところの観測は、いかなることを主要な課題としておられるか、それらの点についてまずお伺いします。
  112. 吉武素二

    ○吉武説明員 お答え申し上げます。  集中豪雨というようなものの非常な技術的なむずかしさが予報にあるというのは、結局、あるものがあらわれていて、それを追っかけていく。それが発達するとか衰弱するとか、そういう問題は比較的楽だといいますか、まあそこらが、気象台の多くの技術の対象になる現象なんですけれども、集中豪雨というようなものは、いままでそれほど降ってなかった雨が、ある時間に、ある限られた狭い地域で非常に強く降るというような現象でございます。  非常に頭を痛めているわけですけれども、何しろ、そういうようなものの予報をしっかりやるためには、集中豪雨がどうして起こるかという機構をしっかりつかまなければいけないというわけで、先生もおっしゃいましたように、五年計画で、気象研究所を中心に南九州で梅雨季にその研究調査をいたしております。現在も三年目の研究調査を行なっているわけでございますけれども、とにかくつかみにくい。しかし、それだからといって、先生もおっしゃるように、ほっておける問題ではないということで、いま鋭意そういう研究調査を進めているという段階でございまして、まだそれが具体的に、実際にこうすればいいという方法が見つかっているわけではございません。  しかし、それだからといってほっておけるわけではございませんし、一応考えられる対策的なことといたしましては、何といっても狭い範囲で降るわけですから、しかも突然と降り出すという状況ですから、気象レーダーというものの活用は十分考えられることでございます。それで今年度も、東京の気象レーダーの情報を銚子へ刻々流してやる、そういうレーダー情報の伝送網の予算をいただきまして、いまその機械を会社でつくらしておる段階でございます。  それからまた一方、千葉県の中で現在どんなに雨が降っているかという雨量のデータをもうちょっと集めることを考えたいというように思っております。しかし、先生も御存じのように、千葉県でこういう集中豪雨があったということは、台風期にずいぶん雨が降って被害を起こしたことはございますけれども、いままであまりございません。そういうようなところへ突然やってきたというところに、何か不意打ちをやられたという面がございます。しかし、非常に大切な問題ですから、私たちも総力をあげて、何とかその対処方針をしっかり打ち立てていきたいというように考えております。
  113. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回の七月一日の集中豪雨被害に対しては的確な、かつタイムリーな気象情報があれば最小限の被害で済んだ、そういう指摘が圧倒的であり、また事実そのとおりだと私は思います。いまも気象庁長官が、災害がなかったために、いままでそういう問題についてあまり関心がなかった、とは言わないけれども、関心がなかったが、千葉県のデータを極力集めたいというふうに言われているのは、私はそういう意味であろうかと思うのであります。  集中豪雨について、気象観測上困難なことは、先ほど言われたとおりでありますけれども、今回の低気圧は、三十日の夜に四国沖で発生した時点において、レーダーですでに観測をされているわけであります。そして、初期的な段階における観測による規模がきわめて小さいとの理由で、気象観測上の過小評価という不手ぎわが実際にあったのではないか。その点が、私、気象庁長官にお伺いしたい点でございますが、その点について。
  114. 吉武素二

    ○吉武説明員 お答えします。  先生も御存じのように、東京の気象レーダーというのと、それからもう一つ、今回の台風についても非常に威力を発揮しております富士山の気象レーダーというもの、二つが今度の場合にずいぶん活用されたわけですけれども、何しろ気象レーダーというのは、雨域というものをただ追っかけているだけでございまして、それが今後どういうふうに発達していくのだろうというような面については、やはりほかの気象データを集めて解析した天気図というものも参考にしながらやっていかなければ、レーダーだけで今後の予想が確実につくというものでもございません。しかし、私もけさ予報課へ行きまして、いろいろなデータを見せてもらいましたけれども、まああの段階では、やはり今回気象庁が発表したような一応の予報、そういうふうになるというように判定せざるを得ないんじゃないかというような印象を私は受けております。あとから見ると、やはりもうちょっとこうすればよかったということはあるのでございますけれども、やはりその瞬間に予報官という立場で見たときには、ある程度のはっきりした見通しをつけなければいけない。その段階ではまあまあという判断だったと私は考えております。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 気象情報に限って考えてみますと、時間的なズレ、誤報という面で明確に、その点についてはもうちょっとこうすればよかったというところに、私は入るのではないかと思うのですが、なお予報課長によると、レーダーでとらえたところの雨雲の中からわずか三十キロから五十キロ、豪雨域を見つけ出せなかったことが立ちおくれの原因である、というふうに言ったことも明白であります。  そこで、限られた人員あるいは予算等で努力を払っておられるということは、ただただ了承するわけでありますが、このようにして年間数回にわたる集中豪雨の来襲に対して、今後取り組む具体的なビジョン、また導入されるべき新技術というものについては、どのような御構想をお持ちになっているか、その点についてお伺いします。
  116. 吉武素二

    ○吉武説明員 そういうような、どうしたらこの問題が解決できるか、純技術的に考えてみますと、非常にむずかしい。しかし、むずかしいからといってほっておける問題じゃない。それで、今後集中豪雨に対しては、先ほども申し上げましたように、気象レーダーをフルに活用すること、それから、雨量のデータというものをもうちょっと迅速に、また、より密に集めるというようなこと、それから、予報という立場になるならば、おそらくは雨が降り始めた段階あるいは雨が降る前の段階に、きょう雨が降り出すとこいつは非常にたいへんなことになるのだというような、そういう予報のことを考えますと、それはやはり、私たちがいつもものごとを考える基礎にしている気象解析といいますか天気図解析というものに結びつけざるを得ないわけです。  それでは、はたして千葉県という中でそういうようなデータを集めれば気象解析ができるかというと、それはできない相談でございます。予報という立場から見ますならば、やはり日本付近の広い海の上の、しかも高層のデータというものがなければ、十分な気象の解析、天気の解析はできないわけでございます。そういう根本的な問題になってくると、では、海の上で一体高層観測をどうしてやればいいのだということになってくると、たとえば定点観測船を一つつくるとかやってみても、広い海でございますから、非常に不十分なことしかわかりません。それだからといって、ほっておけない。  しかし、何か最近の技術は、そういう問題に対してある種の光を当てつつある。世界の気象機関で計画し、各国が現在努力しておりますところの世界気象監視計画というのがございます。これは、そういう構想が出てきたおもなことは、気象衛星というようなものをほんとうの意味で活用するならば、いろいろな問題についてかなり明るい見通しができるのではないかということでございます。来年度の予算におきましても、そういうような意味で、世界気象監視計画というようなことを各国と歩調をそろえながら資本も推進していきたい。そういうことで、じわりじわりこういう問題を攻めていく以外に、私は手はないというふうに考えております。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 技術革新ともいえる科学、機械の発達した今日においては、防災気象情報を中心とした防災緊急対策といったものが考慮すべき問題ではないかと思います。たとえていえば、現行の観測データを中枢に収集し、解析、あるいは気象予報、災害予報を立てて、防災機関や国民に予報を提供するという時間的な問題を一元化するという、すなわち全機構を通じての迅速な処理流通体系の拡充、近代的な防災気象情報システムをつくらなければならない時代になってきているのではないかと思うのです。そういう点について、気象庁長官はどのようにお考えになっているか。  また、コンピューターあるいはそのコンピューター使用促進、雨量の観測、通信システムの近代化をはかるべきそういう時代になってきたのではないかと思うのですが、その点についてどのようにお考えになっているか、ということについてお伺いいたします。
  118. 吉武素二

    ○吉武説明員 先ほどもちょっとお話し申し上げたのですが、世界気象監視計画というのは、いま、ただデータをとるということだけでなくて、それを非常に迅速に世界的な規模において交換し合う、もちろん国内もそうでございます。それに電子計算機と、それから近代の新しい通信技術というものを自由に駆使してやるというところにねらいがあるのでございます。  気象庁といたしましても、そういうような面で、現在電子計算機が入ってはおりますけれども、まだ容量その他で十分とは申せません。その面で改善を加えていくつもりでございます。やはりそういうような面をしっかりさして、気象情報をしっかりつかんで、それだけではいけませんで、やはり災害対策というようなことを考えますと、その情報をいかに有効に国民に流していくか、そういう面を考えざるを得ません。そういう面で今後大いに努力していきたいというように考えております。
  119. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 七月一日の集中豪雨の予報の情報源となったのは、いま気象庁長官が言われましたように、東京のレーダーあるいは富士山レーダーが中心になっておるわけでありますが、レーダー障害というものが指摘をされております。主任の予報官は、そんなことはなかったというふうに否定をしておられるでありましょうけれども、私どもはどうも信頼ができないのでありますが、具体的なレーダー障害というのはどのようなものであるか。特に東京レーダーに関していえば、高層化したビルの陰になり、死角約三十度、房総半島がレーダーに映らない。レーダーの死角による影響は当然あったのではないか。過去の統計から見て、確かに千葉房総方面におけるところの異常気象は少なかった。しかし、それだから被害もまた、このたびの問題で大きかったと言えるのではないかと思うのですが、そこで、高層ビルによるレーダーの死角はいつごろからあったのか。いままでそのことによる影響は全くなかったのかどうか、そのことは、外部にも現状がはたして知らされていたかどうか、その点についてお伺いいたします。
  120. 吉武素二

    ○吉武説明員 先生がおっしゃっているのはきっと気象庁の屋上についているレーダーで、そのレーダーの近くにいま第三合同庁舎ができております。それが気象庁の庁舎よりもちょっと背が高いので電波の障害になっている、ということをおっしゃっているのだと思います。  もちろん障害になるわけでございます。しかし、今回の場合について申し上げますと、そのためにそれほど大きな障害になったとは、私は考えておりません。この問題は、都心にレーダーを置いておく限り起こる問題でございます。隣に高い合同庁舎ができるという段階で、建設省と十分話し合いまして、その建物が完成する前に、気象レーダーだけでも、鉄骨が組み上がった段階で上のところへ移していただけるように話し合いを進めていた段階でございまして、これは間もなく、そのための障害というものは除去されると思います。  しかし、何もその東京の気象レーダーだけで今度の千葉県の集中豪雨に対処したわけではございませんで、やはりいろいろなレーダー、富士山のレーダーももちろん活用したわけでございます。しかし、東京のレーダーがそういう面で多少不便であったということは、先生がおっしゃるとおりであると思います。
  121. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それ以上追及はいたしませんが、これは防災の関係になりますので、気象庁長官とは違いますけれども、災害の想定という考え方もあろうかと思います。広域的な防災計画ときわめて小さい区域に対するところの防災計画の二本立てで、その地域における雨量を想定し、集中的多量の降雨については、たとえば百ミリ、二百ミリ、そして三百ミリと想定して微分的に考えていく。その想定結果に基づくもう一本のより具体的な防災計画に基づく適宜適切な措置、指導を徹底するやり方、このようなプロセスというものを、市町村単位と協力して確立するということも一法ではないかと思いますが、その点についてどのようにお考えになっているか、お伺いいたします。
  122. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまのお話でありますが、私もかつてこの委員会に籍を置いた当時、同様趣旨の質問を幾たびか繰り返したことがございます。過去五、六年の間、実はこの集中豪雨現象というのは、ごく最近の特殊な気象によるものであるし、特に飛騨川災害等の場合も、そういう集中豪雨の起きやすい地形というものが日本全土の中であるのじゃないか、そういうものをある程度客観的にまとめて、そして、それに対応して事前に予測するような方法はとれないものだろうか、こういうふうなことをかつてお尋ねしたこともあったし、現在防災会議の中に入って、同じようなことでいろいろと内部的に御検討を願っておるわけでございますが、大きな国全体としての防災計画と、それから地域ごとの計画、いま申されたような観点から、さらに詰めて検討していってみたいと思っておりなす。
  123. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度は建設省にお伺いいたしますが、集中豪雨によるところのがけくずれで、土砂崩壊して家屋は倒れ、そうしてとうとい人命が失われている。なお、その土砂河川に流出し、そうして橋を流し、田畑を埋めて、その被害をふやしているわけであります。  そこで、台風やがけくずれ等の災害の防止については、幾つかの宅地防災のための法律が制定されており、必要な規制が行なわれておりますが、宅地造成等規制法及び急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律による運用でいかなる効果が生じていると認識をされているか、この点についてお伺いをします。
  124. 川崎精一

    ○川崎説明員 いまお話しの宅地造成等規制法、それから急傾斜地の崩壊防止法の二つの柱で、私ども、そういった急傾斜によるいろいろな人命の損失、こういったものを防ぎたい、こういうふうに考えて進めてまいっておるわけでございますが、現実の状況は、まず急傾斜のほうから申し上げますと、これの危険区域というのを指定するわけであります。これは、非常に地域的な小さいものから相当大きな規模まで、いろいろございますが、今回の災害で見受けますものは非常に局地的な小さい、人家の裏庭のがけがくずれたとかいうようなもので、なかなか県でも把握しにくいようでございます。したがいまして、これは知事さんがいろいろ市町村長さんの意見を聞いて、そうして区域の指定をする。その区域を指定いたしますと、いろいろがけをくずすような行為の制限だとか、あるいはそれの保全だとか監視、連絡、こういったものが整ってくるわけでございますが、何ぶんそういった非常に小範囲のものでございますし、ほとんど私有地になっております。そういった関係で所有権の問題等もございまして、なかなか制限をすることがむずかしいというような事情もありまして、事実千葉県では、まだ一件も区域の指定をされておりません。そういった点で私どもは、期待している方向に進んでいないので非常に残念に思っておるわけでございます。今後もっと十分県にも指導をいたしまして、そういう方向の区域の指定を進めたい、こういうふうに思っております。  それから、宅地造成等の規制につきましては、これは計画局のほうでやっておりますので、そのほうからお願いしたいと思います。
  125. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 建設省としては、当然運用に対する認識というものは、具体的な数値によって判断をされているのではないかと思うのであります。そこで、崩壊したがけの種類を分析しますと、自然がけあるいは宅造法施行以前の造成地あるいは宅造法施行以後の造成地、宅造法の規制区域外等に分かれると思いますが、昭和四十四年度じゅうに起きた個所と分析比率、被害に伴う人的あるいは物的の掌握はどのようになっておるか、その点について……。
  126. 川崎精一

    ○川崎説明員 七月一日に起きました梅雨前線による急傾斜地関係被害状況を見ますと、大体急傾斜の関係の人的被害といたしまして、千葉県でなくなられたのが八名、件数も八件でございます。それから行くえ不明が四、こういう形になっております。なお、そのほかに神奈川県で五名、合計十二名の方がなくなられております。なお、その間の急傾斜地の崩壊数は、千葉県が八、神奈川県が二十八カ所でございます。いずれも非常に小さい規模のものが多いようでございます。
  127. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま私が質問をしたのは、そういう内容では実はないわけであります。昭和四十四年度に、私がいま、がけの崩壊によるところの分析というものを種類別に申し上げたのに対して、その御答弁は実はないわけでありますが、それはいまここで数字を出せということになりますと、なかなかおわかりにならない点があろうかと思いますので、後日、それでは御報告を願いたいと思います。  そこで、具体的なお話になりますけれども、六月十七日の梅雨前線の大雨によりまして被害の特に多かった急傾斜地の非常に多い熱海においては、がけくずれが約三十数カ所ばかりありまして、しかも、造成した土地の崩壊による死者が二名出ております。急傾斜地崩壊の危険区域の指定は、その三十数カ所の中において大体何カ所ぐらい行なわれておったか。あの熱海の観光地というのは、要するに非常に急傾斜地が多いわけでありますから、そういう点についてどのような調査をされておるか、お伺いいたします。
  128. 川崎精一

    ○川崎説明員 ただいまのお尋ねでございますが、一件も急傾斜地の危険区域の指定はなされておりません。
  129. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま、私も実際に熱海の現場に行って痛切に感ずることは、少なくとも三十度以上の急傾斜地を持っているところは種々あるわけであります。また、言うならば、今度の千葉県におけるところの急傾斜地も非常にあるわけであります。それが実際に法律が施行されたにもかかわらず、いまだにその指定をされていないということは、確かに、都道府県知事が関係市村町等の意見を聞いてその指定がなされるという点については、わかるわけでありますけれども、その政府の行政指導というものが徹底されていなかったところに、私は大きな問題があろうかと思うのでありますが、その点について前向きに御答弁を願いたい。
  130. 川崎精一

    ○川崎説明員 私どものほうで年次計画を立てまして、四十四年には四百カ所、それから四十五年度じゅうに千カ所、四十七年までに全国で約四千カ所ぐらいの指定をしたいということで、いろいろ指導をいたしておるわけでございます。現在までに指定の終わりました総数が約六百余りでございます。したがって、計画の約六十点ぐらいの成績までしかいっておりません。  なお、先生のお話のございましたように、私どものほうで数年前に全国の危険区域、特に天然がけでございますけれども、これを調査いたしましたら、約七千カ所余りございました。なお、これに人工がけといいますか、造成による危険区域その他天然がけで見落としの分、こういったものを加えますと相当大きい数字になるようでございます。これは現在、昨年の秋から調査をいたしておりまして、まだ最終の数字が参っておりませんが、まあそういった点で、非常に個所が多いにもかかわらず指定がおくれておるということで、その点はまさに御指摘のとおりでございます。私どももできるだけ全力をあげたい、こういうふうに思っております。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 千葉県や神奈川県等で、都市の周辺部における土地不足から、丘陵地帯を中心とした宅地開発が急テンポに進められております。今回の一連の集中豪雨被害状況により、造成宅地におけるがけくずれの原因が特色としてあげられているわけでありますが、都市化、工業化の中で、経済投資効果のあまり期待のできない治水治山事業の対策のおくれが目立っております。  そこで、宅地法第二条に見て明らかなように、第一条の「災害の防止のため必要な規制を行なう」、この規制の対象外に置かれているのが農地だの森林になっておりますが、その法的適用の対象とする考えはないのか。たとえて言うならば農地の造成、たんぼを埋めて畑にする、山を開いて畑にする場合、このような中で事実上の宅造が行なわれ、二、三年もすると、宅地として第三者に売却をされているのが現状ではないかと思います。これらの土地についての諸設備工事の不備のために被害が起きているというのも、いなめない事実ではないかと思います。  そこで、宅地造成法による規制が現行法において困難があるため、指定区域を定め考えることはされないのか。また、そういう点についての、要するに宅地法第二条からはずれているところの農地、森林について、そういうお考えがないかどうか、この点についてお伺いします。
  132. 関口洋

    ○関口説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおりに、現在の宅地造成等規制法の中におきましては、宅地の定義をいたしまして、農地だとかそういうものに伴う造成は適用の対象外にしております。この考え方の良否の問題でございますが、農地の造成等につきましては、それぞれそういう場合の安全性の技術指導を農林省のほうでしていただいておるというふうに伺っておるものでございますから、この法律の適用対象からはずしておるわけでございます。  ただ、御指摘のとおりに、最近になりまして、いわゆる植物園というような名目で宅地ではないということからする、何といいますか規制法の区域内におきまして、規制法の規制を受けずに荒造成をするような傾向が出ております。その問題につきましては個別に洗いまして、特に地盤の不良な地帯におきましては、法律の適用の問題以前に、それぞれの造成主体と技術上の措置につきまして意見交換をして、まわり近所に被害を及ぼさないように、そういう個別指導でいまのところ措置しております。  なお、法律を改正しましてそういう問題を広く手当てするかどうかという点につきましては、実はこの法律をつくります際に、かなりその点検討は詰まっておりまして、いろいろな前提条件がございますので、その点につきましては、なおもう少しよく検討さしていただきたい、こういうふうに考えております。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 実際に現地を回って、適切な指導行政に携わられる宅造技術者、調査員の実情というものがあまりにも貧困なようであるので、その実情についてお伺いします。  宅地法の実効ある運用のための行政指導は、はたして十分にされているかどうか。実際にどれだけの人が携わっているか。また、技術者について、実際面における人員の確保はされているのかどうか。技術者の資格について、たとえば建築士法に定められた建築士、このような明確な基準というのはあるのかどうか。必要に応じて、特に防災サイドから見た基礎的、専門的な教育というものがされているかどうかという点についてお伺いいたします。
  134. 関口洋

    ○関口説明員 宅地造成等規制法のかなめをなすものは、先生御指摘のとおりに、いわゆる指導行政でございます。したがいまして、指導する陣容のほうに人的に――と申すと技術の方に失礼でございますが、いわゆる数の問題と質の問題とございます。現在私どもが運用しておりますのは、これは都道府県知事の許可になっておるものでございますから、主管課は、それぞれ都道府県の土木なりあるいは建築の担当の課で行なっております。しかしながら、広く全県下をそういう一課の陣容でもって見回ることは困難でございますので、現在の処理といたしましては、市町村側と連絡をし、さらに中間にございます県のいわゆる土木出張所、ここにもお願いいたしまして、市町村、土木出張所におきまして、いろいろ、いわゆるパトロールをして、無断の宅造を未然に摘発するとか、あるいは必要な許可の事前審査という形で、具体的に即して必要な措置がとられるようにいろいろ事前調査を行なって、都道府県知事の判断に誤りのないように期しております。  そこで、そういうことに携わる方のいわゆる資格と申しますか、資質の向上でございますが、この点につきましては、私どもの関係の協会といたしまして宅地開発協会がございます。そこで年二回府県、市町村、それから、実際に民間で宅地開発事業に携わる方、こういう方に対しまする講習会を開きまして、宅地造成に必要な水処理の問題であるとか、地盤の処理のしかた、こういう点につきまして、大体二週間前後にわたりまして教育をするということを、毎年繰り返しております。そういうことによりまして、できる限り広く、この宅地の規制の重要問題につきまして、運営が適切に行なわれるように配慮しておる所存でございます。
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あまり時間がございませんので、はしょって質問いたします。  六月十四日から六月十六日の集中豪雨で、三島に約三百六十九ミリの集中豪雨があったわけでありますが、大場川あるいは梅名川のはんらんは狩野川の放水路操作に問題があったのではないか、こういう声が非常に大きいわけであります。放水操作の規則はどのような基準によってつくられたか、この点についてお伺いします。
  136. 川崎精一

    ○川崎説明員 狩野川の放水路から洪水時に分流する分流ぜきの地点におきまして、一定の水位の高さをきめまして、それから水位が上がった場合には分流ぜきのゲートを開放する、そういうような取りきめになっております。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ところが、私は、狩野川放水路分流の分流堰操作規則というものを持っておるわけでありますが、洪水時における操作の方法というものが実は出ているわけであります。この放水操作規則というのは、一面漁業補償との関連で、地元との話し合いできめられたというふうに聞いておりますが、私はそういう点も必要ではあろうかと思いますが、実際に、災害というものを考えたときの放水操作規則でなくてはならないと思います。  なぜならば、三島における豪雨によりまして、三島市長が、あまりに急激な増水で、何とか水を放水してもらいたいという要請をされたのは九時でありました。ところが、実際に放水されたのは四時で、その間、何と六、七時間のズレがあった。そのズレによって、あの大場川並びに梅名川がはんらんをしたというふうに聞いておりますが、その点の事実関係はどういうようになっておりましょうか。
  138. 川崎精一

    ○川崎説明員 最初の、放水路の下流の漁業関係の問題でいろいろ制約を受けたのではないかというお尋ねでございますが、河川改修計画は、いずれもやはり治水を主にして考えております。ただ、その間にいろいろ、漁業問題等の調整はもちろん必要でございますが、そのために河川改修計画なりあるいは分流ぜきの操作の方法なりを特に歪曲したというようなことは聞いておりません。また、それで円満に漁業関係方々との話もまとまったのだというふうに聞いております。  先般の出水の前後の事情でございますが、私のところに入っております報告では、前夜の十時過ぎに、三島市の市長代理として、土木課長さんから電話をいただいたそうでございます。その当時の水位は九メートル弱くらいでございました。その時点では、これは十メートル六十がたしか規定の分流を開始する時期になっておりますので、まだ相当余裕もございましたので、一応、少し様子を見たいということでおりましたが、翌日三時に再度要請がございました。そのときには九メートル八十くらいでございましたので、規定の水位よりも若干低うございましたけれども、諸般の情勢を考えまして、なお下流の漁業関係の皆さんの了解も得て、むしろ多少早目に放水をしたように、私どものほうは報告を受けております。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いずれにしても、大場川も中小河川の一つでありまして、狩野川に通ずるところの河口が非常に細くなっておる。そういうところに対しての改修というものをやはり早急に行なわなければならないと思います。  また、梅名川の梅名橋のところから大場川に通ずるところに、堤防のないところがある。これは増水すれば当然水が流れ込むような場所であるのに、いまだに建設省として何ら手を打っていませんが、その点についていかなる計画をお持ちであるか。
  140. 川崎精一

    ○川崎説明員 狩野川の支川は大場川、それから御殿川とございますが、大場川につきましては、これは直轄の河川改修計画を進めておりまして、昭和四十九年度までに完成をしたい、こういうふうに考えております。なお、御殿川につきましては、これは補助事業で進めておりますが、中小河川改修事業として五十年度には完成を見るように努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、防衛庁にお伺いします。  自衛隊災害出動については、各都道府県の長の要請によって災害出動が行なわれるわけでありますから、その点については、被災現地において、労働力の不足な場所においては非常に復旧の原動力にもなり、先ほど浜田議員から言われたように、現地においては感謝をされているのが現状であります。  しかし、今度の千葉県の問題について少し問題があるわけでありますが、現地の要請と自衛隊の考え方とに大きなギャップがあるように思われたのであります。例をとってみますと、大多喜町で、私たちが参りました土曜日には大体三百名ぐらい派遣をされておりましたが、もうその日にすでに六十名引き揚げるということでした。当地の町長は、孤立している村もあるし、自衛隊のようなまとまった力を何とかあと四、五日かしてほしいということでありましたが、現地要望が受けられなかったという結果になった。その点、要するに、引き揚げを判断されたのはどこであるかという問題でありますが、この点についてお伺いします。
  142. 半田博

    ○半田説明員 お答えいたします。  自衛隊災害派遣の撤収につきましては、通常の場合、災害派遣を要請したもの、つまり都道府県知事が通常でございますが、これから、災害派遣を命じた部隊等の長に対しまして撤収の要請がございます。この撤収の要請をまって撤収をするというのが通常の状態でございます。  今回の千葉県下の場合、延べにして、人員四千百五十人、車両七百二十両、航空機五十三機が出動をいたしましたが、なお現在一部出動中でございます。この撤収にあたりましては、いずれも地元の市町村なりと十分調整もし、最終的には、災害対策本部長である千葉県知事の判断をまって撤収をいたしておる次第でございます。  大多喜町の問題をただいま御指摘いただいたのでございまするが、この点につきましては、五日の日の十五時に、派遣部隊長であります高射学校長と、それから災害対策本部長である千葉県知事とが協議をした結果、知事さんのほうから、撤収してもらってけっこうだ、ただし、また二号台風が来るおそれがあるから連絡員を残しておいてくれということで、現在も四人の連絡幹部を残してございますが、そういうふうにして引き揚げたというふうに、私ども報告を聞いておるわけでございます。  しかしながら、ただいま御指摘のございましたようなことがもし事実といたしますならば、これはまた遺憾なことでございまするので、再度調査をいたしまして、千葉県知事の再度の要請がございますならば、再び派遣をいたしたいというふうに考えます。
  143. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 質問を終わります。
  144. 辻原弘市

    辻原委員長 小宮武喜君。
  145. 小宮武喜

    ○小宮委員 私は、今度の千葉、神奈川などの関東地方南部を襲った集中豪雨による被害状況や、それに対する救済措置については、いままでの各委員の質問並びに政府委員の答弁によりまして大体明らかにされましたので、一般的な災害の問題について質問をしてみたいと思います。  この梅雨前線豪雨による被害は、ただ単に関東地方の問題だけではなくて、程度に差こそありますが、全国の各地で発生しておる問題であります。私は長崎県の出身でありますが、長崎県下においても、六月三十日までに判明しておる状況を見ましても、死者一名を出し、農林被害だけでも八億三千二百万、土木被害で三億二千七百万、その他合計で大体十一億の被害を出しております。それにまだ未調査の分を含めますと、さらにその被害は上回ることが明らかであります。しかし、この梅雨前線による豪雨は、まだまだ今後続くものと見なければなりません。そうなりますと、全国的にも、この梅雨前線豪雨による被害は大きく拡大されるものと考えるのであります。かてて加えて、すでに台風による被害も出ておるのであります。  そこで、私は、まず農林関係の問題につきましては、幸い私も農林水産委員会に籍を置いておりますので、そこの場でやりたいと思います。したがって、本日は土木関係、おもに建設省関係について若干質問してみたいと思います。  昔から備えあれば憂いなしということばがありますが、いままでの政府災害対策を見てみましても、また、きょうの政府の答弁を聞きましても、災害が発生してから、それに対する対策に追われておるというのが実情ではなかろうかというように考えます。災害が発生してから幾ら騒いでみても、まさに手おくれでありまして、要は、どのようにして災害を未然に防止するか、その予防対策が一番重要な、かつ先決の問題ではなかろうかと考えるわけであります。これについては、午前中の建設大臣の答弁の中にも、予防措置を十分に考えておるけれども、現在は災害対策、その復旧に追われておるというような答弁があったわけでございますが、要するに、災害が発生してから災害復旧に金を使うよりは、むしろ災害を起こさないように予防対策に金を使うべきだと私は思います。いまのような状態では、幾らここでいろんな答弁をしても、この災害対策というものは、今後もその対策が後手後手に回って、こういったことをしょっちゅう繰り返していく結果になりはしないかと考えるのであります。したがって、私は――根本建設大臣も、予防対策に金を使うべきであるということを言われたのでありますが、ただ口で言うだけでは、これはどうにもならないと思うのです。相当国の金も要るわけですから、長期的な防災計画をやはり立てるべきであると思います。  特に私は、今回長崎県の各地を回りましても、非常にその重要性を痛感しましたのは、長崎県に島原というところがありますが、ここに眉山という山がございます。この山は、かつて三十七年に、大きな豪雨によって死傷者を出した山でございます。しかも、現在も土砂くずれで、その地域住民は非常に不安におののいておるのであります。市や県でも、五カ年計画で、総事業費十一億円で一応歯どめ対策を完了する予定で計画をしたのでありますが、それが国の予算の規模が少ないために、現在までほとんど手をつけられておらないというのが実情でありまして、今日のような豪雨のために、その付近の住民は非常に戦々恐々としておるのであります。  また、もう一つ例を申し上げますと、長崎県は、御承知のように離島が非常に多いところでございますが、この離島の中に、御存じだと思いますが、対馬というのがあります。この対馬に上県町の仁田という村がございますが、ここでも、大体雨が七十ミリから百ミリ降ると部落全体が水浸しになるというような状態で、これも、三十四年には非常な災害を受けておるわけです。それに今度の六月三十日の雨が、同じ対馬の南部の厳原では八十四ミリ降っておるわけであります。そういったことのために、この部落の人、村の人は非常に不安におびえておったわけです。  こういったことで、私は、やはり防災について政府はもっともっと熱を入れるべきだ、これを地方自治体にまかせておったんではどうにもならぬのではないかということを痛感するわけです。きょうの場合、いろいろな質問があります。たとえば気象庁の問題やいろいろありますけれども、問題はやはり、どんなにそれを事前に察知したとしても、その対策が十分であれば、私はこういうような災害は発生しないのではなかろうかというふうに考えておるわけです。現在のような、災害対策に毎年毎年追われているような状態では、繰り返しておるような状態では、いつも同じような答弁を建設省としてもしなければならないし、また、政府としてもそういった答弁の繰り返しになると思います。ただ災害が発生したその場所にだけは、いま言ったようないろいろな救済の手が伸べられますが、いまのままでは、問題が発生した、災害が起きた、そこに行ってこう薬を張る、またこちらにできた、またこう薬を張る、こういうようなことを今後何年も何十年も繰り返すようでは、これでは、私は全く政治ではないと思います。  したがって私は、国の予算でこういった長期的な計画を立てて、河川対策あるいは道路対策、治山対策、いろいろな問題を国の予算でやはりやるべきだ、計画的にやるべきではないかというふうに考えるものであります。したがって、これは午前中、建設大臣からも一応の考え方はありましたけれども、もう一度確認しておきますが、そういった災害に後手後手に回るというより、一歩先んじて予防対策をやっていく、防災対策をやっていくということについて、建設省としてその基本的な考え方を、まず聞いておきたいと思います。
  146. 川崎精一

    ○川崎説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、現在の日本治水対策実情は、ともすればやはり現実が先に立ちまして、特に最近は、地域開発といいますか、非常に人口の集中、それから宅地の適地がだんだんなくなってくる、こういうようなことで都市化現象も進んでまいりまして、私どもとしても非常に後手後手に回っておるのが実情でございます。  ただ、そういう後手後手という意味じゃなくて、私どもとしても、やはりある程度全体を包含して、私どもとしてこの程度の規模であればまず心配はなかろうじゃないかというような構想を持っております。全体構想としますと相当大きな数字になりますが、現在建設省は、いろいろ都道府県の建設省所管施設の長期構想を持っておりますが、昭和六十年を見詰めますと、治水投資だけで大体二十三兆くらいというような数字が出てまいります。これだけあれば、大体ほぼ重要なところは全部守れて、人命も守れるんじゃないかというように、私どもとしては考えておるわけでございます。現在それの第一期事業といたしまして、第三次の治水事業五カ年計画を進めておるわけでございますが、いろいろ現地の開発の状況等も変わってまいっておりますので、できるだけそういったものを活用しながら、そうして、長期構想を目ざして私どもなりに努力をしていきたい、こういうふうに考えております。
  147. 小宮武喜

    ○小宮委員 いまの考え方は、大臣もそのように述べておられるわけですけれども、問題は、そうであれば、ただ毎年毎年そういうような対策は、災害が発生してから同じような答弁を繰り返すというようなことではなくて――それでは、具体的に建設省としては、たとえば本年度の予算の比較にしても、予防対策復旧対策はどういうような比較になっておるのか、そういうようなことも聞きたいわけですけれども、それは別にしても、一応そういったような考えでなくて、やはりもっと前向きにやってもらわなければ、特に県あたりでも、そういった個所を建設省あたりと調査をして、そういったところは優先的にそういうような対策を進めていくということをしなければ、そういった災害というものが起きてから、もうしょっちゅう災害対策委員会まで――災害対策委員会はもうつくらぬでよろしい、廃止するというところくらいまで、やはり積極的に政策を進めるようにしてもらいたいと思います。  特にもう一つ聞きたいのは、そういった今度の千葉県の問題、これについては、先ほどからいろいろ救済措置について説明があっておるわけですが、たとえば、それ以外のこの梅雨前線による被害が、先ほど申し上げましたように各地で起こっておるわけですから、まだ、つゆの終わりにかけてさらに集中豪雨が来るであろうというようなこともいわれておりますし、そういった場合に、千葉県、神奈川県以外のこういうような被災地についての救済についてはどのように考えておられるのか。これは農林省関係はよろしゅうございますから、建設省関係で何かあったらお答え願いたいと思います。
  148. 川崎精一

    ○川崎説明員 きょうも午前中、ちょっと冒頭に申し上げましたように、やはり主として千葉県の話が中心でございましたが、あれと同じような考え方でそれぞれ、特に岐阜とか山梨、滋賀等、相当ひどいところがございますので、同じような考え方で、できるだけ促進するようにいたしております。
  149. 小宮武喜

    ○小宮委員 特にこの離島関係の問題は、離島振興法の関係は経企庁ですか、特にいま言ったいろいろな意味で、たとえば本土内でもいろいろな、そういうふうな対策についての格差が見られるわけですが、特に離島については、私はその感を強くしておるわけです。離島といえども人命の尊重には変わりないので、離島でも何方という人が住んでおるわけですから、やはりこういったことが起きた場合には非常に大きな社会問題、政治問題にも発展する問題でありますから、そういった意味では、現在のような考え方以外に、離島に対しては、特にこれは道路行政、治山行政、治水行政、全部おくれておるわけですから、そういった意味では離島振興法あたりを適用して、もっともっとそういった方向でも、離島のこういうような問題を解決するような政策はとれないものかどうか。つまり、いわゆる離島振興法の適用、こういったものをやれぬものかどうか、そういった点をまずお伺いしておきたいと思います。
  150. 青木良文

    ○青木説明員 お答えいたします。  政府は、離島の置かれておる特殊事情を考慮しまして、鋭意、その後進性を除去するために、基礎条件の改善とかあるいは産業の振興、福祉の向上に努力してまいりました。昭和二十八年以降昭和四十四年度までの離島振興関係の公共事業費の総額、国費でございますが、約一千十五億四千万円を投入いたしました。四十五年度につきましては約二百五億四千五百万円を投入いたしております。このために離島の経済、社会は、年一年とその面目を一新しつつあります。  最近、特に本土におきます都市を中心としました経済成長というものが著しいために、本土と離島との経済的、社会的格差という問題につきましては、縮小するということはなかなか困難な現状でございます。したがいまして、今後このような格差を縮小しまして、島の人たちが真に平和でしあわせな生活ができるように、われわれも前向きに努力いたしてまいってきておるところでございます。その地域的特殊性というものを十分考慮しまして、私のほうで作成しました新全国総合開発計画というような、この計画の趣旨に沿いまして、新たな観点から離島の今後の方向づけというものをはっきりさせまして、そして、それに即応しました経済施策というものを効果的かつ強力に実施してまいりたい、かように考えております。  特に先生御指摘の国土保全の関係でございますが、私たちは、この国土保全につきましては、関係各省とも十分協議をいたしまして、最重点的に取り上げております。すなわち河川、ダム、砂防それから治山、海岸保全、あるいは農地保全等がございます。これらにつきましては、合理的に、積極的に事業を進めております。特に離島は急傾斜地帯が多うございますし、それからまた、周囲が海に囲まれておりますので非常に災害を受けやすい実情にございますので、この国土保全については特に留意をしております。
  151. 小宮武喜

    ○小宮委員 離島振興の問題につきましては、また別途、離島振興対策審議会あたりで十分論議したいと思いますが、この同じ離島の中でも格差が出ております。そういった問題をぜひひとつ、今後はその格差是正ということで取り上げてもらいたいと思います。  それから次は、私は先ほど言いましたように、防災対策が必要であることは言うまでもありませんけれども、また、災害復旧するについて、ちょっと問題が一、二点ありますので、その点をひとつ質問しておきたいと思います。  それというのは、私の聞く範囲内では、災害復旧にあたって、先ほど、午前中にも三、五、二とか話がありましたけれども、大体四年計画くらいで災害復旧をやっておるのではないかというような話も聞いておるわけですが、私、それが事実かどうかということを一応確かめたいと思います。事実ですか。
  152. 川崎精一

    ○川崎説明員 災害復旧事業につきましては、翌年から三カ年で全部の事業を完了するというたてまえになっております。
  153. 小宮武喜

    ○小宮委員 わかりました。  私は災害復旧について、午前中も質問があったわけですが、やはりこれは、緊急かつ可及的すみやかに復旧するというのが災害復旧の基本ではなかろうかと思います。そうしないと、三年間の期限でやっても――これは午前中の質問に出たわけですが、たとえば、翌年また集中豪雨がないとは保証できぬわけです。そうしたら、すぐまたその集中豪雨によって、せっかくいままでできた工事が壊滅するということになれば、むしろそのことが、国費をむだにする結果になりはしないのか。そういった意味では、私はその三カ年計画は、少なくとも二年にでも短縮をしてやるべきだというように考えるわけですが、そういったこの三年という計画を、できれば可及的すみやかに、でなければ、少なくとも二年くらいで復旧するようにひとつしてもらいたいというのが地元の非常な要望でもありますし、これは全国的な要望であろうと思いますので、その点、もうちょっとはっきりひとつ御回答願いたいと思います。
  154. 川崎精一

    ○川崎説明員 災害復旧の進度の問題でございますが、ただいま申し上げましたように、たとえば、一番わかりやすいかと思いますが、四十二年の災害の例をとってみますと、災害の起こりました年に約三割くらい復旧いたしました。それから次に四二%程度、したがって、合計七二%が二年目に復旧をいたしております。ただし、これの中身は、全部が七二%じゃなくて、それぞれ非常に再度災害とかのおそれのあるような緊急なやつは片づけてやっておるわけでございます。したがいまして、中にはもっと進度の早いのもございます。第三年目にさらに一七%、したがって合計八九%になりまして、本年に一割余り残っておりますが、これは本年中に完成をいたしまして、四十二年度に起こった災害が全部片づくというようなしかけになっておるわけでございます。それで、昨年の例でいきますと、先ほど二年目に約四二%と申し上げましたが、これを二%ばかり上げまして、したがって、前には全体で七二%程度であったのを七四%まで上げまして、スピードアップをしておるということであります。なお、そのほかに、最近は国庫債務負担行為をとりまして、契約だけでも先に先行して進めるというようなことを、大蔵省と関係方面と打ち合わせをいたしまして、実質上、二年でほぼ片づくというような方向で努力はいたしております。  今後とも、きょう大臣のお話もございましたので、私どもとしても一そう努力をいたしたいと思っております。
  155. 小宮武喜

    ○小宮委員 努力はひとつ大いに買いますので、今後ともあらゆる災害について、やはりそういった長期的に復旧するということでなくて、少なくとも二年くらいで復旧が終わるということでひとつ取り組んでもらいたいというように考えます。  それからもう一つは、復旧にあたって原形復旧が大体基本になっておるようですね。原形復旧ということになりますと、その原形によって災害を受けたわけですから、少なくとも原形に復しただけでは、さらに同じような災害をまた起こす危険性があるわけです。そういういった災害を二度とまた引き起こさないためには、原形復旧ではなくて、やはり改良復旧も含めて災害復旧をすべきだと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  156. 川崎精一

    ○川崎説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、私どもも、災害復旧事業だけではなくて、災害関連事業と称しまして、災害復旧を改良の方向に拡大しまして、既往の災害だけでなくて、本来の改修計画をにらみながら改良復旧を進めるように、できるだけ努力いたしたいと思っております。
  157. 小宮武喜

    ○小宮委員 いずれ毎月災害対策委員会がありますし、また災害もふえることでもあるし、次の機会にゆっくりまたやらしてもらいますから、きょうは、これで私の質問を終わります。
  158. 辻原弘市

  159. 鳥居一雄

    鳥居委員 私は、千葉県下の今回の集中豪雨禍につきまして、多少細部にわたるお話になりますが、締めくくる意味で質問さしていただきたいと思います。  まず、被災後の復旧という当面最大の課題でありますが、各省から災害査定官が今後出ることになります。常に、いつものことでありますけれども、非常に少ない人数で、たいへんな日時をかけてこの査定を行なうというのが相場になっておるわけでありますが、大幅な査定官の増強計画、そして短期間の査定で復旧をぜひとも急いでいただきたい、こう考えております。具体的に、建設省では現在どういう計画でいるか、農林省ではどういう計画でいるか、御説明願いたい。
  160. 川崎精一

    ○川崎説明員 私も昨日現地のほうへ行ってまいりまして、いろいろ土木部長さんはじめ皆さんと相談いたしましたのですが、現状を見ますと、むしろ県の補助事業はかなり順調に進んでおるようでございます。ただ、町村関係の中に非常に技術者が少なくて、そのほうの災害査定に必要な設計なり調査なりがおくれるのではないかというようなことが、非常に心配されますので、もよりの近県からの応援隊をできるだけ出しまして、町村の技術力とのバランスを考えながら、建設省関係の仕事につきましては、できるだけ積極的に協力するような体制を整えるようにいたしたいと思っております。  なお、応急的なことにつきましては、現在すみやかに、係官がいろいろ現地応急工事の指導もいたしておりますので、当面支障はないものと思います。  なお、基本的には、非常に技術者が不足をいたしておりますので、何か私どものほうでも基本的に基準化するとか、あるいはコンピューターにそういうものを入れまして、なるべく簡単に災害復旧業務を推進するような方法も今後考えていきたい、こういうふうに考えております。
  161. 鳥居一雄

    鳥居委員 それでは、いまの建設省に関して質問しますが、地元の県としては、確かに技術者不足であるために近県に働きかけを行ないまして、そして技術者を募るわけであります。そうしてでき上がる設計の上で、今度は査定官が現場へ行くわけです。その査定官が現場へ向かう、要するにその数の問題になってくるわけですけれども、従来どおりの数でやるか、あるいは、現在大幅に増強する考えがあるか、どうでしょうか。
  162. 川崎精一

    ○川崎説明員 被害の大きい県につきましては、できるだけ集中的に実施いたしまして、早く査定を完了するようにいたしたいと思っております。ただ現在、いろいろ天候の状態その他で今後どの程度災害の規模が拡大していくか、その辺の問題もございますからはっきりとは申し上げませんが、基本的にはそういう姿勢でできるだけ努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
  163. 鳥居一雄

    鳥居委員 私は今回、非常に早い時期に現場に急行いたしました。私はこれまで決算委員会に籍を置きまして、決算書として回ってきた段階でチェックするよりかは、ともかく予防決算という意味で現場を見てみたい、こういう意味から、災害救助法の適用直後になるべく早く現場を見たい、こう思ったわけなんです。  被災後、考えてみますと、今度は復旧工事を急がなければならない最大の課題があるわけで、現在、一日の被災後今日まで五日間経過しておるわけでありまして、この五日間の間に、なるべく具体的な数字で建設省としての対応策があってしかるべきだろうと思うわけですが、今後、この査定官の投入のしかた等につきましてはチェックさしていただきたいと思っております。  農林関係ではどういうふうにお考えですか。具体的にどうですか。
  164. 福澤達一

    ○福澤説明員 お答えいたします。  災害が生じましたら、それに対しまして、補助事業としましては、二カ月以内に計画概要書を作成いたしまして査定をすることになっております。したがいまして、現在の段階で一番困っておりますのは、その計画概要書を作成するという事務でございます。これに対しましては、午前中に申し上げましたように、千葉県のほうで要請がございますれば、近県におきましては技術者をいつでも派遣できるように、私どもでは対処いたしております。その計画概要書ができまして、査定作業がおくれるというようなことは、私のほうはいたさないように処理をいたしたいと思っております。
  165. 鳥居一雄

    鳥居委員 よろしくお願いしたいと思います。  そうして各省が幾ら本腰を入れたところで、肝心の大蔵当局がこれに伴わなければ何にもならない、こういう現状にあるわけですが、まず大蔵省の主計局の担当官、千葉でいいますと千葉財務部長が現場を見たそうでありますが、これは実務ができないわけでありますし、この査定の場合に、各省が査定する際に同行するなり、大蔵省としてそうした措置がとれないかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  166. 藤井直樹

    ○藤井説明員 お答えいたします。  災害査定の際には、各省の査定官と一緒に、大蔵省の財務局の実地監査官というのが立ち会いまして査定をいたすことになっておりますので、今回もそういうことになるものと思います。したがいまして、もし人が足りないというような場合には、他の財務局からの応援ということもあわせて考えてまいりたいと思います。
  167. 鳥居一雄

    鳥居委員 次に、復旧作業の上で大量の木材を必要とするわけでありますが、国有林の災害時における木材補給、これに近在の国有林を充てる措置、これが当面必要になっております。現在中小河川、特に小さい川等におきましては、丸太を組む等で早急に必要でありますけれども、こうした場合の復旧資材として、現在千葉県、特に安房のあたりの国有林がこれに充てられるか、どうでしょうか。この場合、復旧資材として半額になるというような措置がとられるものと聞いておりますけれども、この点につきまして、林野庁のほうの関係いかがですか。
  168. 海法正昌

    海法説明員 非常災害の場合の国有林の材木のことでございますが、非常災害が発生いたしました場合に、災害早期復旧に寄与いたしますために、現在全国の主要土場に復旧用材を準備してございます。なお、その場合に、不足いたします場合には近隣の営林署から手当てをするということにいたしております。  なお、いまお話ございました売り払い上の問題でございますけれども、その代金につきましては、地元公共団体が行ないますものにつきましては無担保で、一年以内の延長を認めるということとなっております。  なお、国有林の所在する地方市町村の区域内に発生いたしました災害につきまして、著しい被害がありました場合に災害救助法が発動されるのでございますけれども、この場合におきましては、都道府県が行ないますところの応急仮設住宅関係用材、それから応急修理用材、それから市町村の管理に属しますところの事務所、学校、病院、診療所、託児所というようなもの、それから道路、橋、堤防等の応急復旧用材、これにつきましては、いまお話ございました五割の減額措置をいたしまして、かつ、これにつきましては無利子、無担保で一年の延納を認めることにいたしております。
  169. 鳥居一雄

    鳥居委員 次に、厚生省の関係でありますが、上水道、簡易水道被害につきまして、先ほども取り上げられました。この被害はざっと十二市町村、二十五施設で、内訳を見てみますと、上水道八、簡易水道十七カ所の被害に及んでおります。総額八千八十六万円と、県当局ではトータルを出しております。  厚生省は、この問題につきましては、災害復旧調査要領に基づきまして、従来半額補助を行なうというのが通例になっておりますけれども、今回の被災地域を見てみますと、非常にささやかな市町村財政でありまして、この破綻の危機から脱することができないという実情にあります。水道人命をささえる公共性の最たるものである以上、これを何としてでも何らかの措置をとらなければならない。従来の二分の一という補助率をさらに引き上げる、そういう必要性があるわけでありますが、厚生省としては、この点についてどう考えられますでしょうか。
  170. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  被害状況は、午前中御説明申し上げましたとおり、十一カ所、約二十五施設ございまして、その被害総額は約八千万という報告になっております。で、いま御指摘の財政補助につきましては、これは風水害の従来の例によりますと、補助対象事業費の二分の一が国庫補助でございまして、残額に対しましては長期の起債を充当するというたてまえになっておるわけでございます。  なお、その被害状況あるいは態様等がまだ詳しくわかりませんので、私どもも、それらの点がよくわかりました上で十分考えてまいりたいというふうに思っております。
  171. 鳥居一雄

    鳥居委員 この水道復旧のための補助金は、おそらくは年度末に出ることになるだろうと思うわけですが、やはり資金繰りに苦慮するのが、こうした被害を受けました市町村であります。特段の配慮が必要であることは、今日これがはっきりしているわけであります。  次に自治省にお伺いしたいわけですが、県と市町村に対する特別交付税、それと起債のワクをぜひともとって、そうして財源措置を講じていただきたいこと。さらに普通交付税で、四月-六月の受領分はすでに出ておりますが、九月-十一月の交付分につきまして、繰り上げてこれを交付することはできないかどうか、この点についてはいかがでしょうか。
  172. 成田一郎

    ○成田説明員 お答え申し上げます。  災害時につきましての財政需要が急激に増大しますことは、御指摘のとおりでございます。それらにつきましては、先ほど申し上げましたように、災害事業関係の担当省の査定をまちまして、確定しました財政需要につきまして必要な財源措置を講ずるということになります。  具体的には、いま御指摘の起債措置あるいは交付税、特に特別交付税によるところの財源措置が考えられるわけでございます。それでもなおかつ、当面市町村が資金繰りに困ります場合、普通交付税の繰り上げ交付、こういう緊急な措置もとっておるのでございますけれども、ただいま御指摘の千葉の場合につきましては、まだ関係方面の査定等が済みませんので何とも申し上げられませんけれども、これらにつきましては前向きで考えてみたいと思いますけれども、念のために申し上げますれば、通常、災害発生時につきましては、関係市町村団体、特に財政力の弱い市町村等におきましては、当面、財務部等の御協力を得まして一時借り入れというような措置を講じております。これらにつきまして、後日におきましてその借り入れに必要な金利等の負担につきましては、特別交付税でカバーする、こういうような措置等も講じておるわけでございます。
  173. 鳥居一雄

    鳥居委員 大蔵省の関係でありますが、官報ですでに発表したというお話でありますが、被災者に対する国税の減免措置、あるいはまた納期限の延期措置等、官報に発表した概要をひとつ説明していただきたいと思います。
  174. 長村輝彦

    ○長村説明員 災害被害者の方々に対する課税関係といたしましては、所得税の場合を例にとりますと、こうむられた財産の種類とかその被害程度とかということに応じて、所得税のいろいろの免除あるいは軽減の措置があるわけでございまして、私ども税の執行に当たる者としては、そういう措置を最もフルに活用して納税者の方のそれぞれの実情に合った処置をすることが、今後の仕事であろうかと思っておりますが、ただいまお話しのとおり、当面の問題といたしましては、納税者の方に税金のことなど忘れていただいて、復旧に立ち上がっていただくことが大事なことでございまして、たとえば所得税の場合に、第一期の所得税の納期が今月末に参ります。また、法人の方の場合ですと、五月決算の場合は二カ月おいた今月末が、やはり法人税の申告、納付の時期になります。そこで、本日付の官報に掲載いたしましたのは、七月一日から九月一日までの間に、本来の法令の規定に基づいて申告、申請、納付等の期限が到来するものについては、これを九月二日まで延期するということでございます。  そして、大多喜町をその地域に指定いたしまして、大多喜町については、全部の納税者の方が、いわば無条件に九月二日まで、もろもろの税の関係の手続は延ばしていただいてけっこうであるということでございます。そのほかの地域につきましては、納税者の方の分布状況が、必ずしも地域によって同じではないということで、個々の方の被害状況によって処置することが最も妥当であろうということで、特に地域は指定しておりませんが、同じ趣旨で、個々の方の実情に応じて課税の繰り延べをするという措置を講じたいということで、国税庁から局長に通達いたしましたし、局、署とも、そのような心がまえで仕事をやっておるところでございます。
  175. 鳥居一雄

    鳥居委員 いま概要説明を伺いましたけれども、そうしますと、いまの大多喜町以外の場合でも、被災した場合にはそうした特別措置がとられるということですね。間違いありませんね。その点いかがですか。
  176. 長村輝彦

    ○長村説明員 地域指定をしますと、その地域が納税地である納税者の方は、告示に従ってそれぞれの期限が延期されるわけですが、地域指定されていない地区の納税者の方は、個別に申請を出していただいて、それに基づいて処理をするということになり、結果としては同じことになります。
  177. 鳥居一雄

    鳥居委員 次に、農林省のほうの関係でありますが、時間の都合がありますので個条書きに申し上げます。  天災融資法に基づく天災の指定をいたしまして、自作農維持資金貸し付けワクの拡大ができないかどうか、また農林水産業制度資金の償還延期措置、それから農業共済金早期支払い措置、この三つについていかがでしょうか。
  178. 大河原太一郎

    ○大河原説明員 三点についてお答え申し上げます。  被災者の必要とする資金措置につきましては、天災融資法並びに自作農資金につきましては、被害程度を国としても早急に判定いたしまして、前向きに早急に対処いたしたいというふうに考えております。  それから、御案内のように制度金融につきましては、既貸し付け金等を受けられた被災農家について、今回の災害のために償還が困難であるということにつきましては、農林漁業金融公庫資金あるいは農業近代化資金等におきまして、それぞれ償還猶予なりあるいは返還期間の延長という措置が認められておりますので、関係機関に対して、実情に応じて措置するよう適切な指導をしてまいりたいというふうに考えております。  なお、農業共済金の仮払いなりあるいは保険金、再保険金の概算払い等につきましても、従来の災害等の例にならいまして早急に措置いたしたいというふうに考えておりまして、三点とも、それぞれ前向きに早急に対処してまいりたいというふうに考えております。
  179. 鳥居一雄

    鳥居委員 以上で私の質問を終わります。
  180. 辻原弘市

  181. 津川武一

    津川委員 まず、死亡された方のことでございますが、道路被害も、農業施設被害も、農産物の被害も、山くずれの被害も何も、すべて大事でございますが、一番深刻なのは、なくなった方のことかと思います。十六人がなくなっておるのでございますが、災害救助法ではこれに対して、おとなの死体一体の埋葬料七千円ですか、そのくらいより規定されてないのでございます。十六人のうちで一人だけが、学校の生徒であったために学校関係での補償金をもらえるのでございますが、ほかの方たちはこれをもらえないというふうな、非常にかわいそうな状況であります。しかも、なくなった方たちは一家の支柱の方たちでありますので、国としてこれに何らかの形で、それ相応の見舞い金を上げる必要があるかと思いますが、厚生省の意見を聞かしていただきます。  在来でございますと、たいてい市町村と県で五万円ぐらいで片づいておるのでございます。これでは、私はあまりに問題がひど過ぎると思うのでございます。この点を、とりあえずの見舞い金についてお答えいただいて、第二の問題は、死亡された方たちに対する弔慰金なり見舞い金なりをここで災害救助法の中に取り入れて法改正することが、いまは非常に必要じゃないかと思うのでございます。これが死亡者に対する第二点。  その次に、行くえ不明者が三人あるということでございます。現地に行ってみましてびっくりしたのですが、行くえ不明者の捜索が――厚生省のこの書類では、行くえ不明者を対象に捜索をしていると書いてありますけれども、されてないのが実情なので、びっくりしたのです。いろいろ御事情もあるでしょうけれども、ここにも災害救助法に問題があるわけであります。この行くえ不明者を捜索するときの費用は、山の遭難者の捜索と同じように、捜索を依頼した人たちの負担になるのでございまして、この点、残った三人の行くえ不明の捜索をすみやかに厚生省としてできるような臨時の処置をいま講じていただきたい。これが一つ。第二番目には、この点でも災害救助法を、行くえ不明者の捜索の費用を負担する道を講ずるように改正する必要があると思うのであります。これが行くえ不明者に対する二点であります。  その次は、たき出しの問題でございます。ことしの予算でちょっと上がったかと思いますが、一日百七十円、これで数えてみますと、二千カロリーの補給はどうしてもできません。ところが、被災者があの災害にあいますと、二十四時間はおろか四十八時間、これほどまで不眠のあと片づけやそういう活動をしております。一日四千カロリーは必要になっておりますが、この点がまことにぐあいが悪いのでございます。幸いなるかな友好善隣の措置で、隣近所の、難を免れた人たちからの差し入れみたいな応援で事を救っている場合がだいぶ多いのですが、この災害救助法だけでやらなければならぬ場合が相当あるのでございまして、一日百七十円何がしというものは法を改正して、必要な分、特に当面の一週間ぐらいはうんとこの額をふやさなければいけない、こういうふうに考えているわけであります。これが三つ目の問題です。  厚生省に対して第四の問題は、急に家財、宝、いろいろなものを失って、収入がぴったりとまってしまう人たちに対して、生活保護法の適用というものがかなり必要になっておりますが、この指導もあまりされていなかったので、これも私、意想外に思ったわけであります。いずれにしても、人命や健康やそういったことに対する配慮が必ずしも十分でない、こういうふうに見てきたわけであります。  この四つの点について、厚生省から答えをいただきます。
  182. 岸野駿太

    ○岸野説明員 お答えを申し上げます。  第一点の、死亡者に対する見舞い金の制度を打ち立てる、あるいはまた、災害救助法の中にそういう制度を取り入れたらどうかという御質問でございます。  これは、おなくなりになった方に対しまして、かけがえのない命を落とされた家族の方の心情を思いますときには、確かに道路や川を直すこと以上に、何らかの弔意を示すべきではないかという御意見は、われわれも災害地を見、あるいはまた被災者の声を聞きますときに、個人的にはそういう感じを持つことはしばしばあるわけでございます。ただ、これは基本的な問題でございますし、要するに、応急の救助体制を県あるいは市町村にとらせるときの財政負担についてかなりの高率の国庫負担をするという、現在の災害救助法本来の法律の趣旨にこの見舞い金というものが乗っかるかどうかという点については、若干否定的な見解を持っておるわけでございます。ただ全般として、そういうような制度を持ったらどうかというような御意見もないわけではないというぐあいに承知いたしております。  中央防災会議というような連絡の場、中央の最高の機関もございますし、よく私ども関係者とお話をして、国の責任というものは一体どういうぐあいに考えたらいいか、あるいはまた、その死亡者に対してそれをやるとすれば、一体どういう方向でどういう程度の金額を差し上げることが必要なものなのか、あるいは、他の均衡においてどういうぐあいに考えるか。個人的には、災害救助法を発動された市町村と同じような被害をこうむっている、救助法の発動をされていない市町村におきます被災者の方の救助、こういうふうな均衡論が、私ども救助法を実際に実施しておりまして、個々の家庭の個々の家族の方の心情なり被害を見ましたときには、法律や国の制度でもって画一にやりますと、どうしてもやはりどこかにこぼれが出てくるということもございます。そういうような場合等全体を比較しまして、結局根本といいますか、たとえば死亡者に対して見舞い金を出すというような制度を打ち立てるといたしましても、その対象の災害とかあるいはそれによる死亡とはどういうことにするか、あるいは重傷者とはどういうぐあいにするか、そういういろいろな均衡論、バランスの問題等がまたございましてなかなか踏み切れないというのが、従来、内々私どもの検討いたしましたときの一応の経過でございます。  しかし、御質問もございましたことでございますので、また先生御指摘のように、従来これは、県あるいは市町村等で、市民あるいは県民に対して弔意を表するということで見舞い金が出ているというような場合もございますので、そういうような制度等をもよく調査をいたしまして、もう一ぺん検討させていただきたいというぐあいに考えております。  それから、第三点の食費の問題でございます。  これは、非常に弁解がましゅうございますけれども、やはり応急の救助ということになりますので、どうしても、おっしゃるようになかなか――私どもも毎年大蔵省財政当局に、必要な物価の上昇分に見合うある程度の引き上げをお願いしまして、四十五年度についてもこれが引き上げについてお願いをしているわけでございます。しかし、おっしゃるように、百七十円の金額でもって災害復旧の重労働にたえられるかという御質問になりますと、まあ摂取のしかたによりますけれども、私どももなかなかむずかしい――これは一時の応急の場合でございますので、国費ではどうしてもある程度の限界がございますし、また御指摘のように、近隣のいろいろな援助等が現実にはございますので、実際には災害復旧の仕事もそれなりに進んでいるという面もございますけれども、御指摘の点は、私ともも必要なカロリー数を――災害時の緊急の短期間であって、必ずしも全部を国費に負う必要はないという御意見もあるわけですけれども、私ども救助法を管轄しておりますものとしては、やはりできるだけの引き上げをお願いしたいというぐあいに考えて、四十五年度につきましても現在折衝中でございます。  それから、生活保護法の適用は、過去の先例によりましても、これは被災者が出ましたときには、被保護者の数が一時的にどうしてもふえます。これは私どもは、当然ふえるというぐあいに考えております。これはある場合においては、その人が比較的短期間でもって被保護者から抜け出すという場合もあるわけでございます。しかし、短期間で抜け出すであろうということを前提にして、被保護者にする、あるいは保護費を支給することを渋るというようなことは決してございませんで、収入がとだえる、家財その他が流失した場合、被保護者になるかならないかというのは、収入の道がとだえるかとだえないかによるわけでございますので、被災者の立場からいいますと、かなりの資産が消滅した、しかし収入の道がある、たとえばつとめ人のような場合には被保護者にならないという場合がございますけれども、農業であるとかいうような場合には、どうしても生産の手段を一時的に、やはり田畑復旧するまではむずかしいというような場合もあり得るわけでございますので、この点につきましては、私どもはそういうことのないように従来から指導してございますけれども、今後も、今回の千葉県のあの辺ですと当然農業県でございますので、個々の具体的な例についてあとでおしかりを受けるということのないように、十分現地県当局市町村、あるいは福祉事務所につきまして、やはり十分私どもからも指導をし、遺憾のないように期するつもりでございます。
  183. 津川武一

    津川委員 厚生省の意中もわかりましたが、それでは私、答弁じゃないんじゃないかと思います。  災害による死亡者に対して――その災害原因はいろいろあるかと思います。したがって、これはめんどうな議論になりますが、一応国としてお見舞い申し上げるのが当然じゃないか、これをひとつ制度化してみる。災害救助法が適用されてない地域であっても、死亡という非常に深刻な状態に対して国は配慮すべきだと思うので、ひとつこれは厚生省の省議にかけてみまませんか。これをひとつ答えていただきます。  第二は、行くえ不明者の捜索が、捜索の費用がないし、災害時には各市町村もそれぞれみな人が忙しくなっていて、行くえ不明者がそのまま放置されているわけであります。たとえば飛騨川で事故が起きると、大事件としてみな捜索します。飛行機事故だと、死体の捜索が第一です。こういう点で行くえ不明者に対する態度を、この際だから死亡者と同じように、法律をつくる前に、死亡者に何らかの形の見舞い金、行くえ不明者の捜索に対して何らかの処置が必要じゃないか、私はこういうふうに考えるわけであります。このことも一つの法律改正の中に盛ったらどうか。  最後に、災害時の当面の四、五日の食事の点も、私はこれは、あなたの気持ちはわかったけれども、積極的に省議にかけて、その方向を検討してみるという、少なくとも最低そのくらいの答弁が必要じゃないか。同意を要求する、答えを強制するわけじゃありませんけれども、もう一度答弁していただきたいのです。
  184. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまの再度の御質問の前段の、個人のなくなられた方に対する措置でございますが、この点は従来の災害対策の考え方が、一義的には市町村で処置すべきものは処置し、二義的には県がやる、さらに、非常に傷が深かったり災害の程度が規模が大きいために、とうていそういう小さな単位ではさばき切れないものは国が見る、こういう形で成り立っておりました関係上、個人の災害については、従来原則として国としてはタッチしないということでございましたが、過去数年来の被害の実態にかんがみて、これはどうしても国として何らかの形で、いまおっしゃるように、考える必要があるのではないか、衆参両院の特別委員会一致の御結論でございまして、四百七十万ほどでありますが、その種の対策を国として制度化できるかどうか、ひとつことし検討してみよう、こういうことになっております。  それで、大体九月一日が防災の日ということになっておりまして、その前後非常に災害の頻度が例年あるものですから、そこら辺でひとつ全国的な県、市町村をはじめ地域住民の、特にいままで被害を多く受けられた地域を中心にして調査をいたしまして、国としてもできるだけ、いまおっしゃったような気持ちでタッチできるような形をひとつ探り出してみよう、こういうことになっております。  それで問題は、私どもさらっと調べましたところ、伊勢湾台風等がございましたような年、これはもう実に死者が五千名を突破いたしております。ところが、過去二、三年の実績を見ると、一年間平均約二百名ということでございまして、そのほかに雷さんによる事故、これが大体例年三、四十名ございます。それから、火災による事故が累年ふえまして、現在のところ約千三百名ぐらいになっております。そのほかに山登りの関係で約二百名、それから、水の災難が非常に多うございまして三千名、それに、いま不規則発言のございました交通事故でございますが、これは実に死者が一万六千名、負傷者を合わせると百万になんなんとする、こういう状況になっておりますので、単独の共済制度としてはとても――二百名でありますから、一県平均して三人ないし四人というので、国としての制度の対象にはなかなかむずかしかろうが、ほかの制度とも関連させながら、あるいは、いまおっしゃったような見舞い金という形でファンドかなにかをもってやることが可能かどうか、そういう点を、もっぱら委員会のほうでもこれから御検討いただき、私どもとしてもひとつおっしゃるような趣旨で検討してまいりたいというふうに考えております。
  185. 岸野駿太

    ○岸野説明員 行くえ不明者に対します捜索の費用でございますけれども、これは制度的には、かかった費用はみな私のほうの救助法の対象にしてございます。千葉県のほうで、実際に行くえ不明者の捜索について十分手が行き届いていないという御指摘でございましたので、この点につきましては、再度私のほうから千葉県当局に対しまして、一日も早く、家族の方々の心情を思ってできるだけのことはしてまいりたいということを、もう一ぺん調査かたがた督促をし、実態を究明したいというぐあいに考えております。  それから、食費の問題でございますけれども、これは私どもも、先生の御趣旨に沿ってできるだけ善処をしてまいりたい、増額をするように努力したいというぐあいに考えております。
  186. 津川武一

    津川委員 そこで、人命の問題はこれで終わりますが、人命の問題を考えたら、私、この間木原委員と二人で車に乗りながら、あの千葉の東京湾に面した川鉄石油コンビナート、ものすごいあの工場開発を見て、ほんとうにうらやましくなったわけであります。これが公害さえ出なければどれほどいいかなというふうにして、私たち、あれにはあえてここで反対するのじゃなくて、ひたすらに公害なかれと、これは要求するだけでございますが、そうした眼で現地に入ってみましたら、河川のあまりにひどいのに、これまたびっくりしたわけであります。そこで、同行の向こうの開発局の局長などにいろいろ聞いてみましたら、千葉県の現在の通常予算が約千二百億円だそうです。あの大規模工業開発、それを中心にした開発局の予算が一千二百億円の特別予算があるわけであります。これほどお金がそこにつぎ込まれておる。うべなるかなであります。  ところが、七十八ある中小河川の水害が起きないような、安全の川になるためにどのくらいかかるだろうと言ったら約三千億円、二千九百七十億。これに対してどのくらいの予算を使っていますかと聞いたら十二億です。ほかに十億ばかり、あの成田の国際空港に対する水のそういう改修で使っているけれども、中小河川に対しては十二億。何年かかってはんらんの心配がなくなるだろうかと思って、割ってみてもなかなか出ない。百年河清を待つということばがあるのですが、これだと二百五十年から三百年です。私はここに、今度の災害の本質を見たような気がするわけであります。  こういう立場から見ましたら、問題がまだあるわけであります。急傾斜地崩壊防止法によるいわゆるがけくずれの個所として、県がぜひそれの対策を講じなければならないと考えている個所が七十。現在実施しているのが勝浦で二カ所、一千七百万円。土木部の人たちが建設省の下の人たちと相談したのでしょう。なかなか予算がないので、うまくいっても二十二カ所指定になればけっこうだが、建設省は十五億円の予算しかないので、これはなかなかできない、これが実情であったわけであります。この急傾斜地崩壊、いわゆるがけくずれが今度死者を出しているし、災害を大きくしておるので、一方にあれほどの大事業を起こしながらこのがけくずれに拱手しておる、こういうふうに感じ取ったのであります。  ところが、がけくずれはこのままにしておりますけれども、実に手ぎわよくやっているのがあったんです。それはいわゆる砂利採取です。回ってみて、千葉県のあの南半分というのはほんとうに砂も砂利もないところで、砂利がどれほど宝であるかということは私にもよくわかりますが、百十九業者が九十一カ所で砂利採取を申請して、七十五カ所認可しているのです。がけくずれに対してはなかなかスピードが上がらないのに対して、この点は実に手ぎわよくやられておって、こういうことを見たときに、私は今度の災害原因は明らかに国と県にある、大事業本位の、大企業本位の国と県の行政がここで問題にされなければならない、こう考えているわけであります。  そこで、先ほど国土保全は国の重要事業であると言っておりますけれども、あれはことばだけで、やはり河川はこのとおりです。がけがこのとおりであります。砂利がこのとおり採掘されて災害を大きくしている。これは開発はけっこうですが、それと並行する、それにもまさる、優先するくらいに治山治水、国土保全というのは考えてみなければならないのではないか。この点の政府の批判、反省、対策を伺わせていただきたいのであります。  こうしてこのことと関連しますと、とりあえず問題の七十八中小未改修河川、二千九百七十億円かかる。これをどうするかというのに対して非常に不明確な答弁で、私は、できたならば五カ年計画、おそくても十カ年計画でこれを改修するという方針を打ち出さなければならない段階になっているのじゃないか、こう思うわけでありますので、この点は建設省に答えていただきます。がけくずれ防止のことも、この際でありますから、県当局がやろうと言っておるのですから、県当局と話をして、この災いを転じて福にするということをこの際やっていく必要があるかと思いますが、この点も建設省の考えを明らかにしていただきます。  この点からいきますと、通産省の砂利の認可の問題であります。千葉県へ行ってみて、ほんとうに砂利が宝だということを私、身をもって感じてきましたけれども、その宝の砂利を何に使うかというと、やはり生命、財産、国土保全、治山治水のためにこの際は使うべきであって、いろいろ御事情もあるでしょうけれども、認可した七十五カ所、業者の数もたくさんでやりづらいでしょうけれども、これはやはり認可の事情を話して即時取り消すのがしかるべきだと思うのでございますが、この点の答弁を求めます。
  187. 川崎精一

    ○川崎説明員 最初に、中小河川の問題でございますが、先生のおっしゃるように、投資の額とすればまさに非常に少のうございます。大体私どもが補助事業の対象にいたしておりますのが約十二、三億、まあそのうち二割程度が、あの南総の山岳地帯を含めました一帯の予算でございます。午前中も申し上げましたように、非常に雨が少ない。過去の統計から見ますと非常に少ないものですから、したがって計画規模も小さい。こういうようなことで、今回の相当な豪雨を見まして、私どもも非常に計画の甘かったことを反省いたしておるわけでございます。したがってこの機会に、災害復旧だけではなくて、いろいろ原始的な河川の河道の問題も議論が出ましたけれども、そういうものを含めまして積極的に改修計画を見直して、砂防なり、あるいはダムのできるところはダム計画もあわせまして促進するように、できるだけ努力をいたしたいと思います。ただ、全国的なベースで見ますと、いろいろ予算の制約もあったりいたしまして、なかなか治水事業も前途多難でございますけれども、私どもなりに努力したい、こういうふうに思っております。  それから、がけくずれのことでございますけれども、これは私ども数年前に、全国の急傾斜地の危険を防止するというようなことで法律をつくります前に、いろいろ全国で調査いたしました。その際に、千葉県の関係で約二十二カ所ぐらい候補地点がありそうだという報告を受けております。なお最近、その程度じゃ少ないのじゃなかろうかということで、昨年から再点検をやっておるわけでございますが、その中間の報告で、七十カ所程度の数字がたしか出てきたのじゃなかろうかと思います。現在は一カ所も危険区域の指定はございませんで、ただ予算措置としまして、法律のほうで前から防止の事業をやっておりますのが、勝浦で二カ所あるだけでございます。  この急傾斜に関する区域の指定は、実は県の知事さんが告示をされることになっておりまして、当然所在の関係市町村長の意見を聞いて出すというようなことで、県のほうでもいろいろ指導をしておるようでございます。非常に小規模であったり、いろいろ所有権の問題があったりというようなことでおくれておるのじゃないかと思います。できるだけ私どもとしても、せっかくの法律もございますし、それによってまた援助の措置も期待できるわけでございますので、活用するように、極力県のほうとも相談をいたしまして指導をしていきたい、こういうふうに思っております。  それから、砂利採取に関しましては、これは主として山砂利じゃなかろうかと思いますが、砂利採取となりますと、直接は通産省のほうが関係しておりますのでよく存じませんが、やはり大規模になってまいりますると河川改修にも間接的に影響がございますし、量の問題、それから水質の問題等いろいろございますので、その点は、またよく関係方面と連絡をとって進めていきたい、こういうふうに考えております。
  188. 倉部行雄

    ○倉部説明員 砂利の採取に関連いたしましてお答えいたします。  御承知のように、新しい砂利採取法が一昨年八月末施行されましてから、従来の事後届け出制というものが改められまして事前の認可制、しかも、その前に登録制というものが採用されまして、非常に強化されたわけでございます。これによりまして、現在砂利採取の認可というものは、河川につきましては河川管理者、これは建設省と都道府県知事に分かれるわけでございます。また、その他につきましては、都道府県知事が認可権者ということになっております。そういった形におきまして具体的に認可が行なわれておるわけでございます。  先ほど御指摘がございました千葉県の問題でございますが、この問題につきまして、千葉県でも災害と砂利採取の関係を現在調査をいたしておるわけでございますが、その調査によりまして、おそらく、認可した要件のとおりに採取をしていたかどうかというふうなチェックも行なわれると思います。それによりまして、今後、砂利採取法に基づくところの、たとえば登録の取り消しあるいは認可の取り消しといったようなことも行なわれるのではないかというふうに考えるわけでございます。  さらに、今後の採取計画の認可の問題につきましては、実際にそれが災害につながるおそれがあるかどうかということにつきましては、それぞれの地域、地元のいろんな事情、そういったものを勘案しまして、先ほど申しました認可権者がそれぞれ認可をするわけでございますが、今回の災害につきましては、予想に反したようないろんな事態もあるようでございますので、そういったことの調査あるいは経験というものに基づきまして、今後の採取計画については、それぞれの認可されるところにおきまして適当な処置がとられるであろうというふうに私ども考えております。また、私どもとしましても、今後そういった関係庁と連絡を密にしまして、災害が起こらないように措置してまいりたいというふうに考えております。
  189. 津川武一

    津川委員 これは経済企画庁でもいいし、総理府でもいいですが、国土に対する投資、国鉄鉄道道路、それから工場団地、そういう場合明らかに、いま指摘しましたように、治山治水、国土保全がなおざりにされておりますので、この点ひとつ、他の投資におくれない、もしくは優先することが現在必要じゃないかと私は思いますので、どちらでもいいですが、調整する官庁のほうで政府の方針を聞かしていただきたいのです。
  190. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお話がございました、政府全体としての一つの基本姿勢の問題になろうかと思いますが、実は最近数回の閣議において、ただいま御指摘のような点がさまざま問題になったわけでございます。特に自然環境に対する公害のチェックないし防止の問題、開発と保全とのかね合いの問題、こういうことについて、私ども総理府として、ただいま申しました河川と砂利のような、開発か保全かというその両者のバランス並びに公害防止のための対策、あるいは激増する交通需要に伴って発生しております交通事故の対策、この三つをかね合わせながら、私ども総理府として政府全体の調整をしていきたい、こういうふうなつもりで、最近積極的に取り組むことにいたしております。特に公共投資と民間設備投資、あるいは社会資本と私的資本と申してもよろしいかと思いますが、そのバランス、確かに公共投資のほうが立ちおくれておることはもう事実でございます。そちらのほうのおくれを回復するために、ひとつ私ども関係各省と協議をして全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  191. 津川武一

    津川委員 時間が来ましたので、これで最後にいたしますけれども、気象関係です。鈴切委員が詳しく質問して、その答弁で私もある程度まで了承いたしましたが、最後に一つだけ。  現地に行ってみまして、これもびっくりしたわけです。私、今度は何でもびっくりしましたけれども、観測地点が県下で二十六よりないのです。随行した人と一緒に調べてみたら、十五キロ平方に一つもないところがある。これでは私は、集中豪雨のああいう形のものを、どんなに富士山麓のレーダー、気象台のレーダーが活躍しても無理じゃないかと思うわけであります。この点はどうしても自動式の、そうしてすぐ気象関係のところに連絡がいくような観測装置、これはたいしたお金じゃありません、早急に――三倍ぐらいにしたならば、あるいは今度の場合は防げたのではないかという具体的な考え方を持っているわけであります。この点で繰り返した政府当局の答弁は、千葉県はいままで災害がなかったからという答弁でございますが、私は、災害がなかったからというのでは事が済まされないと思います。たとえば二年ごとに一ぺん災害が来る県の中小河川改修費が三千億円なんです。これに対して政府が出しているお金は、県も市町村の負担も合わせて八億円なんです。これは、千葉県が災害がなかったからこうなんじゃなくして、政府の根本施策の中に私は問題があると思います。ちょっとこれは余分なことでしたが、そういう点を考慮に入れながら事後処理をしていく必要があると思うのであります。  そこで、観測地点、観測装置をもっとふやすことが必要だと思いますが、気象庁なり運輸省なりの答弁を求めます。
  192. 吉武素二

    ○吉武説明員 よくそういうお話や、またそういう御意見が出るのでございますが、考えてみますと、今度のような集中豪雨、狭い範囲に降る雨、それをつかまえるために、それじゃ全国どのくらいになるかということを考えてみますと、まあそれはちょっと想像を絶するくらいな数になるわけです。それで、それじゃそういうものを置けば集中豪雨対策というのがうまくいくかというと、私は必ずしもそう考えていない。  といいますのは、集中豪雨というのは、最初はじわじわ降っていたのがある短時間のうちにざっと降るわけです。それで、たまたまそこにロボットの雨量計があったとします。その雨量計が自動化されていた。そうすると、そのデータが気象台に入る。その時点で警報を出すとしてみても、一体どれほど役に立つかということは、非常に私は疑問だというふうに考えている。はっきり申し上げますと、雨が降った瞬間に被害は起きているわけです。ですから、気象庁がやらなければいけない最も大切なことというのは、きょう雨が降り出したら、この雨は場合によると、非常に集中豪雨的な降り方をして被害を伴うようなおそれがありますというようなことを、降る前に皆さんにお知らせするということが一番大切なことじゃないか。雨量計を幾ら密に置いても、集中豪雨の問題はそれだけでは解決しないというのが、私の、また気象庁の技術屋の考え方でございます。しかしながら、やはりある程度の雨量というものは把握しながらものごとを考えていきませんと現実から離れてしまいますから、そういう意味では、県下にある程度のロボット雨量計というものを国が持つべきであろうと私は思います。しかし、集中豪雨対策というのは、幾ら雨量計を置いたからできるというものとは私は考えません。
  193. 津川武一

    津川委員 私は技術上のことをここで問題にする腹はちっともありませんが、いまの気象庁の考え方は、やはりものを見る見方が静的でだめなんです。私も専門家に聞いてみて、あとでまた専門家の名前を話してもいいですが、雨量計を自動装置しておくと、ふだんでもふえていくスピードというものがわかる。あるところでスピードが上がっているときは、すぐ警告を出す、それで十分間に合うというのです。自動しないと、朝晩に一回だけ見回りです。これだともう間に合わない。どうしても自動化して、絶対量でなくふえていくスピードということが、それをずっと見ていると、これはスピードがふえてくるときには三十分くらいでわかる。そのときに出す。これに対して絶対不可欠な問題は、気象庁と各自治体の県庁と市町村の間に無線装置がなければならぬ。ここまでがわれわれがほんとうに、先ほど総理府でも話したとおり、国土というものを考えたときの具体的な問題になるのです。私はこの点、技術上では議論する腹はここではありませんけれども、そのことをやはり検討していただきたい、こう申し添えておきます。終わります。
  194. 辻原弘市

    辻原委員長 関連をして森美秀君。
  195. 森美秀

    ○森(美)委員 一点の質問と二点の要望を申し上げたいと思います。  第一点の質問でございますが、建設省の地方道課に申し上げたいと思います。  今回の夷隅町のように、谷津に通ずる町道というものがみんなやられてしまった。中では二メートル、三メートルというものがある。行ってみますと、シャベルでもってみんな、農民がどろをどかしている。いまだに孤立した地帯が、一軒、二軒と散在しております。それで鶏を飼っていたり、乳牛を飼っていたりして、牛乳を捨ててしまったり、鶏にえさをヘリコプターでやっているところもありますが、なかなか徹底しないというようなことで、即刻町村道を補修することを強力に推し進めていただきたい、それについて見解を伺います。
  196. 川崎精一

    ○川崎説明員 私も実は昨日車で走りまして、途中で思わず通行どめになって、ずいぶん苦労をしたわけでございます。県の方に聞いてみますと、主要な地方道は大体、少なくとも一車線は整備されておるようでございますが、次第に奥地に入りますと、なおまだ災害状況の若干不明な点もあるようでございます。やはり地域地域の自主防衛的な意味でそれぞれ御苦労なさっておるようでございますが、県としてもできるだけ応援するということで、ただ資材等を送りますのに逐次整備していかないと奥地に入れない、こういうような条件もございますので、県も相当急いで努力をしておられるようでございますから、早晩開通の見込みができると思いますが、私どもといたしましても、とにかく地域交通確保するために、できるだけ県を指導いたしまして努力いたしたいと思います。
  197. 森美秀

    ○森(美)委員 至急にひとつお願いいたします。  次に、二つの要望でございますが、まず一つは、先ほど鳥居委員からも話がありましたが、査定官を至急に送り込んでくれということについて、査定官の前に、市町村で技術屋さんを非常にほしがっている。先ほど河川局長さんも、農林省の防災課長さんもおっしゃっておりました。ひとつこの点を至急にお取り計らい願いたい。  次に、最後の一点でございますが、陸上で死んでしまう人がいるというのは、あまりにも政治の貧困である。つい最近、千倉町で漁船が、サケ・マス船が出ていって、二十一人北海道沖でなくなりましたが、これについてもあと何ら改善されないで、きょうもあすもサケ・マス船が出ていっているというような状態でございます。ましてや陸上にいて突然災害のために死んでしまうというようなことは決してあらしてはならないんだという見地から、ひとつ今後とも皆さん方極力、私どもの被害をもう一度繰り返さないような御処置をくれぐれもお願い申し上げて、終わります。
  198. 辻原弘市

    辻原委員長 本日は、この程度にとどめます。  なお、先般七月九日に委員会を開会する旨通知をいたしましたが、当分の間延期することとし、次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後四時四十五分散会