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1970-06-11 第63回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年六月十一日(木曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 辻原 弘市君    理事 天野 光晴君 理事 稻葉  修君    理事 内海 英男君 理事 上林山榮吉君    理事 細田 吉藏君 理事 小濱 新次君    理事 合沢  栄君       坂元 親男君    塩谷 一夫君       高鳥  修君    羽田野忠文君       別川悠紀夫君    村田敬次郎君       安田 貴六君    吉田  実君       渡辺  肇君    金丸 徳重君       川俣健二郎君    川村 継義君       小林  進君    三宅 正一君       米田 東吾君    新井 彬之君       小宮 武喜君    林  百郎君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         内閣総理大臣官         房参事官    川上 幸郎君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局山村豪雪         地帯振興課長  足利 知己君         科学技術庁研究         調整局総合研究         課長      原野 律郎君         文部省管理局教         育施設部指導課         長       栗山 幸三君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         厚生省医務局総         務課長     信沢  清君         厚生省社会局施         設課長     吉村  仁君         農林大臣官房         参事官    大河原太一郎君         農林省農政局参         事官      遠藤 寛二君         農林省蚕糸園芸         局蚕業課長   山下 武雄君         通商産業省鉱山         石炭局金属課長 今泉 嘉正君         気象庁予報部長 高橋浩一郎君         労働省職業安定         局雇用政策課長 吉本  実君         建設省都市局参         事官      石川 邦夫君         建設省河川局都         市河川対策室長 飯塚 敏夫君         建設省道路局企         画課長     井上  孝君     ————————————— 委員の異動 六月十一日  辞任         補欠選任稻田柳右エ門君     渡辺  肇君   川俣健二郎君     三宅 正一君   安井 吉典君     小林  進君 同日  辞任         補欠選任   渡辺  肇君   早稻田柳右エ門君   小林  進君     安井 吉典君   三宅 正一君     川俣健二郎君     ————————————— 五月十三日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  豪雪及び長雨等による災害対策      ————◇—————
  2. 辻原弘市

    辻原委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、豪雪及び長雨等による災害対策について調査を進めてまいりたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。天野光晴君。
  3. 天野光晴

    天野(光)委員 私は、ただいま陳情のございました長雨による果樹災害について、二、三の点について質問をいたします。簡潔に答弁をしていただきたいと思います。  最近、農薬等を使用することによりまして、花粉を媒介する昆虫類が非常に少なくなり、くだものを生産するということはなかなか容易でないような状態になってきたわけであります。全国ともそうだろうと思いますが、特に花粉の媒介、人工授精をやるためには、私どものほうでは、中学校の生徒を総動員してやらなきゃ完全にいかないというような状態でございます。  総合農政を叫んでおる今日の段階において、果樹栽培相当重点を置くようになることは当然だと思うのでありますが、それについて、当面の問題として花粉共同開葯場設置というようなものを、私どものほうの県では現在やっております。それと花粉冷蔵、ことしの花粉をしまっておいて、来年これを媒介するという方法も考えております。そうして、その花粉を媒介するのにも、人間の力を多く用いるというのは困難になってきますので、何か機械化するくふうはないかということにまで現在至っておるのでありますが、現在、農林省としては、このような事態を将来数少なく押えるためには、そういう点も考慮の余地があろうと思います。それについて、農林省自体としては考えがあるかどうか、もしそれに対する対策がなければ、各県で、自治体でやるのに対して適当な援護措置、補助などを講じてこれを助長する意向はあるかどうか、これが第一点です。
  4. 大河原太一郎

    大河原説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の、果実安定供給のために、安定的な授精等が行なわれるために積極的な施策を行なうべきではないかという点で、具体的な三点の御質問があったと思います。  花粉共同開葯場設置については、すでに県単独で行なっておられる向きもございますが、農林省といたしましても、果実安定供給と、その年によるフレを防止するということにつきまして、今後——これについては恒久措置でございますので、明年度以降の予算の問題でございますが、積極的に考えていきたいというふうに考えております。  それから、花粉冷蔵施設設置等につきましては、すでに御案内のように、果樹広域主産地形成事業というものを行なっておりまして、年次計画に基づいて、主産地に対して地域指定しておりますが、その助成につきましては、いわゆるメニュー方式でございまして、その中には花粉冷蔵施設等も入っております。  したがいまして、これらの広域事業の進展に伴いまして、地元におけるこれらの要望にはこたえていけるというふうに考えております。  第三点の人工授精機械の問題でございますが、われわれ承知しております限りにおいても、筆や手でやります人工授精にかわりまして、機械による人工授精というものの必要性が出てまいりまして、二、三の機械がすでに市販されておるというふうに考えております。収穫期における摘果労力の軽減とか優良な果実だけを残すというような点で、機械によるものは一人手によるものに比べて三倍くらいの能力があるというふうに承知しておりますけれども、また、別の目途とは必ずしもマッチしておらない点等もございますので、各県の試験場等における研究をやっていただくのはもちろんでございますが、園芸試験場及び農業機械化研究所においても、これらの研究を進めてまいりたいというのが現段階でございます。
  5. 天野光晴

    天野(光)委員 いま申し上げた三つの問題について、大河原参事官から答弁があったのですが、これはひとつ時間的にゆとりを置かないで、早急に、前向きでやってもらうように希望しておきます。  そこで、今度の災害はわずか、金額からいえば福島市だけで約五億くらい、その周辺を入れて八億くらいになるだろうと思うのです。これは具体的に全部調査が完了していたとしても、まだ農林省までは届いていないと思いますが、その災害内容について、至急ひとつ農林省のほうから下げて、急いで吸い上げて、この問題に対処する基本的なものをつくっておいてほしいと思います。  それから、いつも災害対策委員会で問題になるのでありますが、個人災害をどうするかという問題。これは、私、災害対策委員になってからここ六、七年の間、大いに議論されてきておるわけでありますが、金額においては、国の立場から見ればそれほど大きなものではないが、個人に与える被害は非常に大きいという問題があるわけです。今度のような場合も、ほとんど皆無にひとしいという畑を持った者は、来年度の耕作を続けるのについてもなかなか容易でないという実態が起きてまいります。金額はわずか五億か七億だとはいいながら、その激甚被害を受けた農家一戸一戸、あるいは集団的なその部落全部にとりましては、これは容易ならざる事態になっておるわけであります。そういう点で、これは総理府農林省と両方になると思いますが、特段なひとつ御配慮をいただきたいと思います。  そこで、いろいろ考えてみたのですが、その対策として、とりあえず第一の問題は、いままですでに融資を受けておる制度資金、この資金はとうてい、今年度皆無状態ですから、返済をするというような状態にはまいりませんので、これは当然延期してほしいということが第一点。それから第二点は、できれば天災融資法融資を受けたい。本来なら激甚災指定を受けると、金利が非常に安いのですから——たいへんでありますが、いまの規模の点からいって、この状態からいって、激甚災指定をするということは困難であろうと思いますが、その点ひとつ考慮してもらえないかどうか。そして、天災融資法融資を、要するに調査を完了して進めていただきたいというのが第二点。それからもう一つは、自作農創設資金でありますが、これはおそらく予算がきまって、割り当てが済んでいるのじゃないかと思うのでありますが、これを何らかのやりくりをして、この措置を至急講ずるようにしてほしい。  以上三つの点について、とりあえずお答えを願っておきたいと思います。
  6. 大河原太一郎

    大河原説明員 まず天災融資法の問題でございますが、これにつきましては、先生の御質問にもございましたが、ただいま、県報告の最初の段階程度被害状況をわれわれ聞いておる段階でございまして、早急に統計調査部等を通じまして被害実態を明らかにして、従来の基準に基づきました結論を出したいというふうに考えております。  それから、第二点の既貸し付け金償還期限というような問題でございますが、御案内のように、災害によって既貸し付け金償還が困難になった農業者には、農林漁業金融公庫資金あるいは農業近代化資金等につきましても、それぞれ猶予措置がきめられておりますので、御指摘地域個々被害農家の実情なり、あるいは資金需要というようなものを万般見まして、関係機関に対する適切な指導をしてまいりたいというように考えております。  それから、第三点の自作農資金の問題でございますが、これにつきましては一般ワク特別ワクの問題がございますが、一般ワクにつきましては、被害地域である福島県等においては、すでに相当額の配分を済んでおりますので、このワク内で操作をまずしていただく。しかし、個々農家被害状態なり資金需要が非常に強いというような実情を見ますれば、それに応じた適切な処置をやっていきたいというように考えておりまして、いずれにいたしましても、資金面につきましてもそれぞれ適切な措置を進めていきたいというように考えております。
  7. 天野光晴

    天野(光)委員 いずれにしろ、まだ完全に調査が来ていないということになれば、確約的な答弁もできないだろうと思いますが、問題は、個々の小さな農業経営をやっておる農家にとりましては重大な問題でございますので、時間的に、ひとつ積極的に、できるだけ早い機会に善処してほしいと思います。  そこで、時間をきょうはあまりとるなということだから簡単にやりますが、果樹共済を私たち、前からずいぶん叫びまして、こういう問題があるから共済をやるべきだというので、ようやく踏み切った形になったようでありますが、いまの農林省指導しておる姿勢からいくと、どうも完全なものでないようでありますが、大体において、共済を施行して実施してから今日に至るまで、どの程度加盟しておるのでしょうか。
  8. 大河原太一郎

    大河原説明員 果樹共済につきましては、先生案内のように、農業災害補償制度の一環といたしまして、今後の重要な作目でございます果樹につきましては、四十三年度から五年間の試験実施、相当な規模試験実施を行ないまして、保険設計を早急に行なうというようなたてまえで、主要な果樹六品目について——今回被害を受けましたナシなりリンゴ等はもちろんでございますが、これらについて、ただいま試験実施実施中でございます。試験実施と申しましても、加入農家にとっては果樹共済実施されたのと同様でございますが、おおむね全国平均で六%くらいの加入率で、試験実施を行なっておるわけでございます。今後、あと二年のあれを終えました後に本格実施しいうことで、準備を進めておるわけでございます。
  9. 天野光晴

    天野(光)委員 果樹共済を試験的にやっておる、大体五年間の試験期間が終われば本格的にやるのだという御意向のようでありますが、すでに三年近くたっておるのでありますから、所期の目的が達成できるような試験的なものは終えたのじゃないかと思うのですが、そのあたり、どうでしたか。
  10. 大河原太一郎

    大河原説明員 御案内のように、保険でございますので、やはり保険設計には、五年間くらいの期間の実績を見た上で設計いたしませんと、料率その他につきまして、なかなか安定的なものが得られないということでございまして、われわれとしては早ければ早いほどいい、これは本格実施をやるべきものだということでやっておるわけでございますが、やはり将来、農業保険の非常なウエートを占めるべきこの共済につきましては、そのくらいの準備は最小限必要であるというふうに思いまして、現在所定のあれを進めておるわけでございます。
  11. 天野光晴

    天野(光)委員 御承知のように、米作地帯では生産制限をされるような状態で、生産制限をされたその水田を一体どう転向するかということで、相当大きな問題が残っておりますし、米作地帯を除けば、やはり酪農、果樹というものは日本の農業の三大柱の一本でもあり、これは重要な役割りを果たすものである。これがしょっちゅう、台風が来るわ、いま言ったような天候不順だわ、というようなことで災害をこうむっておったのでは、農家の経済が安定するわけにまいりません。そういう点で、何といっても当然果樹共済をやるべきだという主張を、われわれはずいぶん長い間統一して主張してきたわけでありますが、ようやくそれが、試験的にやるのだというところまで来たようでありますが、その五年間という日数がどうしても必要だというならば、これは五年の日数はやむを得ないと思いますが、五年たった六年目には完全にこれが実行されるように、準備万端も整えておいてほしいということを希望しておきます。  先ほど申し上げましたが、いずれにしろ問題は、金額にして七億ぐらい、七億ちょっとというようなたいした金額ではございませんが、いま言ったように、局部的には非常に激甚災害をこうむっておるわけでございまして、そういう点、ひとつあたたかい気持ちでこれを見てやるというように、急いで始末をしていただきたいと思います。そうでないと、来年度の栽培にも大きな影響がありますし、いま申し上げましたように、果樹関係が非常に盛んな地域においては、米を転向するのには唯一無二のものでもあり、それに非常に支障を来たすことになりますから、そういう点で、一日も早くこの問題を吸い上げていただいて、そして軌道に乗るようにやっていただきたい。県のほうでも十二分努力しておるようでありますが、なかなか県の財政だけではまかない切れるものではないと思いますので、その点ひとつ十二分にやっていただくということをお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  12. 辻原弘市

  13. 高鳥修

    高鳥委員 先ほど委員会の開会前に、新潟県の雪害対策特別委員長からの陳情をお聞き取りいただきました。また、お手元にそれぞれ新潟県並びに新潟県議会からの陳情資料ども差し上げてあるわけであります。この機会に雪害問題、豪雪問題につきまして、若干その対策などについてお尋ねを申し上げたいと思うわけであります。  時節はもうすでに夏も近いという、夏服を着るような時期になっておるわけでありまして、雪の季節とはほど遠い時候ではありますけれども、このあとはまた、梅雨前線豪雨でありますとか台風災害でありますとか、いろいろやってまいりますので、雪の寒さのまだ残っております、身にしみておりますただいま、こうした問題について、若干掘り下げて検討をいたしたいと思うわけであります。  まず第一に、総理府総務副長官がお見えでありますので、湊副長官お尋ねを申し上げたいと思います。  それは、豪雪というもの、あるいは異常豪雪というものは、われわれの感覚からいたしますと、これは一つ災害であるという感を深くいたしておるわけであります。事実また、日常生活をしいたげられることは、たとえば河川災害でありますとか、あるいはまた、海岸の津波あるいは高波による災害でありますとか、それと同様、むしろ非常な苦しみにあうのは、それよりもはるかに期間的には長いという状況にあるわけであります。  そこで、副長官も、積寒地帯のことについては十分よく御認識であるわけでありますが、まず第一に、いま豪雪問題については、豪雪地帯対策審議会というところでいろいろ御検討に相なりまして、四十五年三月現在で、豪雪地帯対策の諸問題について答申もお出しになっておるという状況になっておりますし、これらの内容についても、これから逐次お尋ねをしたいと思うわけでありますが、この豪雪地帯対策審議会資料をずっと拝見をいたしますと、その中では、異常豪雪というものについては全然触れておらないのであります。ところが、われわれの今日までの経験からいたしますと、異常豪雪もしくは集中豪雪、ちょうど集中豪雨と同じような異常集中豪雪というものが、現に存在することは事実であります。そういうことについて副長官は、異常豪雪というものをお認めになるかどうか、そういうものの存在をお認めになるかどうかという点を、まず第一点としてお聞きをいたしたいと思うわけであります。
  14. 湊徹郎

    湊説明員 ただいまお尋ねがございました雪の問題については、これは長い間の懸案でございまして、災害という観点からいたしますならば、そのことによって具体的な被害が起きるということが、要件として必要なわけであります。そこで、従来は、たとえば雪が降った、長期間根雪になって残った、それが春先に解けて融雪災害という形であらわれた、それに対していかに対処するかということが、いままでの雪に対する対策の基本的な態度であったわけであります。  ただいまの御質問は、そうじゃなくて、雪そのもの災害である、特に地帯によって異常豪雪で、普通の積雪と違って異常豪雪というものがはたしてあるかないか、それを認めるかどうか、こういうお尋ねでございますが、どの辺を基準にして異常とするか、その辺の基準を、私どもとしても——先ほど申しましたように、積雪そのもの災害である、そういう前提に立って、それで、異常豪雪というのはどの程度異常のものであるかというふうな基準について、いま検討をしておるところであります。私はそういうことで、異常豪雪というものが確かにある、こういう前提に立って検討してまいりたいと思っております。
  15. 高鳥修

    高鳥委員 ただいま副長官は、異常豪雪があるという事態をお認めいただきましたので、その前提に立って、なおお尋ねをしてまいりたいと思うわけであります。  いわゆる集中豪雪あるいは異常豪雪という実態については、たとえば新潟県においてしばしば例を見るわけでありますが、鉄道の問題を取り上げてみますと、新潟から長岡まで、通例の場合急行で一時間、あるいは普通列車で一時間半というのが普通の所要時間であります。ところが、一たびこの集中豪雪あるいは異常豪雪に襲われました場合には、この区間は、わずか一時間の区間を走るのに四泊五日を要した、というのが現にあるのであります。  それからまた、ことしは、特に三月中に非常な降雪がありました。三月中は連日降雪を続けまして、東京ではもうすでに花見が過ぎておる、そういう段階において、たとえば入広瀬村の穴沢という観測地点において観測されたものでは、三月に入りまして、三月の二十二日に三メートル五十の積雪がまだ残っておるというような状況であります。三月末には二メートル七十二という積雪量があります。最終的に、この観測地点で雪が消滅をいたしましたのが、五月の半ばに入ってであります。いまから見ますと、今日から約一カ月未満の前にようやく雪が消えたという状況であります。これは、ほとんど三月中に非常に異例の降雪を見たということであります。  それからまた、十日町市の六箇地区において、六箇小学校塩之又分校というところにおける観測結果でありますが、標高およそ五百三十五メートルというところにおきまして、三月二十六日の積雪は三メートル八十四、そのときは、東京ではすでに桜が散っておる状況だろうと思うのであります。それからまた、同地点における四月四日の積雪は二メートル九十五、約三メートルあるわけであります。さらにまた、ずっと飛びまして、四月の二十五日同地点において一メートル三十という状況でありまして、この地点における雪の最終的に消えたのは五月の六日。大体この付近における最終的な消雪は、五月の六日ないし七日という状況になっておるわけであります。  こうした異常な豪雪あるいは集中豪雪という状況をまのあたりに見ますと、よく災害救助法発動の場合に、床下浸水何戸、床上浸水何戸ということをいわれるわけでありますが、雪というものも水でありますから、これは屋根浸水である、屋根浸水状態が継続しているのが豪雪のありさまである、こういうふうに考えるのであります。したがいまして、新潟県においては、地域住民の声といたしまして、災害救助法発動してもらいたいという非常に強い要望があるのであります。現在の状況の中で、現在の災害救助法規定においては、この法律が発動されたとしても、必ずしも十分な救援が期待できるとは考えられません。たとえば、毛布をくれるとか石けんをくれるとか、なべ、かまをくれるとか、バケツをくれるとか言われましても、それらはうちにあるのでありますから、それらをもらっても何にもならない。何日分のたき出しをくれる、あるいは応急仮設住宅をくれると言われても、それらは用をなさないのであります。しかし、異常豪雪があり、集中豪雪があり、それが一種の災害であり、集中豪雪の場合には自衛隊の出動まで見る、あるいはまた、災害救助法部分的発動もやむを得ないというような状況もあったと思うのであります。そうした状況を見たときに、この屋根浸水という事態に対して、いまの災害救助法そのものが適用できないとするならば、適当な方策を考える必要がないだろうか、私は必要があると思うのでありますが、法の改正なり、あるいは法の中に適当な救済措置を考えるなりという御意思がないかどうか、その点をお伺いをいたしたいと思うわけであります。
  16. 吉村仁

    吉村説明員 お答えいたします。  災害救助法豪雪災害に対して適用することにつきましては、過去の例から言いましても、豪雪があった場合に災害救助法を適用した例がございます。  そこで、どういう災害救助方法があるかということでございますが、災害救助法救助方法といたしましては、いま先生がおっしゃいましたようなもののほか、障害物の除去というような救助方法もあるわけでございまして、その規定を弾力的に運用すれば、災害救助法の現行の制度によりましても、豪雪災害に対する災害救助法発動ということは可能ではないかと考えております。
  17. 高鳥修

    高鳥委員 なお、総務長官お尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、豪雪問題については、担当する各省、各部局が非常に多岐にわたっておるわけであります。そこで、現在では主として経済企画庁総合開発局が、豪雪地帯にかかる主要対策について取りまとめをしておるわけでありますが、各省にまたがるもの、あるいはいずれの省にも属さざるものは、総理府のほうで御所管になるということであります。したがいまして、こうした機構上の問題について、たまたま豪雪地域と過疎地域というものはほぼ一致したかっこう、大体重なっておるというようなかっこうにもなっておるわけでありますが、こうしたものを合わせまして、担当する部局というものについて、現在のままでいいのか、あるいはまた、総務長官として、さらに充実強化をはかられる、そのようなお考えがあるかどうか、そうした点について、ひとつ御所見を承りたいと思います。
  18. 湊徹郎

    湊説明員 ただいま各省にまたがるもの、あるいは各省に属せざる事項は、一応総理府で処理をすることになっておる。まさに豪雪対策、雪害対策はその最たるものであるから、これについて、現在のような、各省が分断的に仕事をさばいていくような体制でいいのかどうか、こういうお話でございましたが、考えてみますと、最近の複雑になった世の中で、一省だけでさばける問題というのは、むしろほとんどなかろうとぼくは思うのであります。公害しかり、交通対策しかり、災害はもちろんのこと、とにかく一省限りで処理のできるということのほうが、むしろ見つけるのに苦労するだろう、いま、そういう世の中になっておると私は考えております。  そういうことになりますと、何でもかんでも総理府で背負えといいましても、なかなかうまくまいりません。よく縦割り行政の弊害ということが言われますけれども、やはり、もちはもち屋という面もございまして、それぞれ専門的に各省が担当願って、そうして深く掘り下げていっていただく、それをどういうふうに横にまとめ、たばねていくか、そういうことが必要だろうと思いますので、これは機構の問題というよりも機能の問題として、各省がそれぞれやったものをうまくまとめ上げていく、そして全体として効果をあげるような、そういう方法というものを考えていく必要があるだろう。豪雪に関しましても、私はそういうまとめの役というものを積極的にお引き受けをして、それでやっていきたい、こういうふうに考えております。
  19. 高鳥修

    高鳥委員 きわめて巧みな御答弁をいただきましたが、問題は、異常豪雪があり、また集中豪雪があり、これが一つの非常に大きな災害であり、これに関しては災害救助法そのものの適用、あるいは適当な救済措置を講ずべきであるという、私は考えをいたしておりますし、先ほど来の御答弁の中でも、適用するケースもあり得るという御答弁をいただいたわけでありますが、特に災害救助法に関連いたしましては、この法律がつくられました当時から見まして、社会生活の状態というものが相当に変化をしてきておる。したがって、この法律をそのままに適用されました場合には、住民救済の上において非常に不十分な点が多いということは、先般来当委員会においてしばしば指摘をされているところであろうと思うのであります。したがって、そういう点も含めまして、雪の問題を織り込んだ御検討要望をいたしたいと思うわけであります。  次に、これは経済企画庁の担当のほうにお伺いをいたしたいと思うわけでありますが、豪雪地帯と申しましても、内容についてはずいぶんいろいろあるわけであります。豪雪地帯対策審議会がお出しになった資料というのは、経済企画庁総合開発局でお出しになった豪雪地帯にかかる主要対策概要というのと、ほぼ裏表になっているような感じでありますので、審議会の答申資料といえども、おそらく企画庁のほうにおいて、その内容については相当深く携わっておられるもの、このように考えるわけであります。  そこで、この豪雪地帯対策特別措置法というのは、面積において全国のうち五二%、また、人口において約二〇%をその対象とする状況にある。あるいは積寒農業法、あるいは雪寒道路法と、その区域はほぼ一致をしている。さらにまた、自治省が地方交付税により寒冷地補正五級地区分を実施している範囲は、豪雪法の指定区域と一致をしておる。こういうことを豪雪地帯の範囲として指摘をしておるわけでありますが、そのような指定をされておる豪雪地帯対策特別措置法が、いわゆる豪雪地域については、何となくもう一歩もの足りないという感を深くするものがあるわけであります。  この点について、いまの審議会の答申資料の中の三二ページ、第一五表「地方交付税の算定における積雪補正級地区分」というのを見ますと、自治省は、改定前においては四級地、改定後には五級地という区分にいたしまして、累年平均積雪積算値を基礎といたしまして級地区分をして、交付税の補正をいたしておるわけであります。これと同様の考え方に基づいて、少なくとも積雪深が一万センチから一万五千センチ以上という三級地、四級地、五級地、この級地区分に属する地域については特別豪雪地域というものを指定をして、これをひとつ、なお一そう十分な御援助、あるいは地域に適切な施策というものを講じたらどうか、こういう考え方があるわけでありますが、そうした点について、担当の企画庁のほうにおいてはどのようにお考えになっておられるか、この点をお伺いをいたしたいと思います。
  20. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 お答え申し上げます。  豪雪地帯対策特別措置法は、昭和三十七年に議員提案でつくられた法律でございます。この法律は、御指摘のように、全国の五二%という非常に広範な地域を、豪雪地帯として指定をいたしました。この地帯についてのいわゆる豪雪の防除、産業の基礎条件の改善というようなことを内容といたします各種の施策を計画として織り込みまして、これを推進するということでやってまいっておるわけであります。ただ、この法律の性格は、ただいま申しましたような防除と産業の振興というようなことでございまして、起こりました異常な豪雪に即応して、応急的あるいは緊急的に必要なことをやっていくというような体制ではございません。そういう問題は、ただいま御指摘のとおり、この災害対策基本法、さらに各災害対策法に基づくいわゆる災害対策の施策として行なわれる。そして、そういう事態に対するやや長期的な、また地域振興的な施策をこの法律でやっていく、こういうたてまえでやっておるわけでございます。  したがいまして、実際に雪が降りましてさあどうするということになると、どうもこの特別措置法でやっている仕事はあまりぴんと来ないのじゃないか、こういう議論が常に出るわけであります。私どもはそういう点につきまして、いろいろといままで検討してまいりました。そして、一昨年十二月でございましたか、豪雪地帯対策審議会におきまして、どうも現在、各省それぞれに一生懸命やっていただいておるわけでございますが、こういう体制だけではなかなか十分な効果があげ得ないということから、ひとつ基本的にこの法律の内容なり運用を考え直してみよう、そうして、どういうことをやるべきかということをきめよう、こういう御意見が、審議会において非常に強く出ました。このために小委員会がつくられまして、そして、ただいま御指摘のように、本年三月にその内容が決定されたわけでございます。  この議論におきまして、ただいま御指摘のように、何といいましても全国の五二%も地域指定をしておるのでは、手厚いことをやろうといってもなかなかできない。そういうことから、ほんとうの意味の豪雪地帯と言うと語弊がございますが、非常にひどいところを重点的に取り上げるような考え方はどうかという御議論もございました。これは確かに一つの方向でございます。ただ、現在こういう形でいろいろの施策が進められておりますので、こういう広範な施策、特に地域開発というような面も含めての施策が行なわれているわけでありますが、そういう面をどう見るか、あるいは、非常に問題になります交通確保、さらに豪雪地帯における都市の無雪化の問題、こういうことが、非常に重要な豪雪地帯における施策であるということが議論されておりますが、そういう場合において、いわゆる非常に積雪の深いところだけを対象にするという形では、なかなか計画的にうまいものができないかもしれぬというような問題もございまして、結局小委員会としての答申におきましては、五つの施策が、今後強化すべしということがいわれたわけでございまして、ただいま御指摘地域の問題については、特に方向づけが行なわれなかった、こういうことになっております。  ただ、そういう問題につきましては、私どもは、実は地域開発の制度全般について、これは相当たくさんの制度がございますが、経済社会の情勢もだいぶ変わってまいっておりますので、全体に再点検をし、また再編成をする必要があるという考え方を持っております。昨年五月に政府として決定いたしました新全国総合開発計画に、そういうことが書かれているわけでございます。私どもは、いま事務当局としていろいろ検討いたしておりますが、たとえば東北あるいは北陸というような地域促進法との関係をどういうふうに見るか、さらに、山村振興法でありますとか過疎地域振興法というのも今度行なわれますが、そういう法律との関係をどう見るか、こういうようなことで、少し基本的に法律体系の再編成なり体系化を考えてみたいと思っておるところでございます。そういう際におきまして、ただいま御指摘がありました問題市というものをどういうふうに盛り込めるか、そういう意味の検討をこれから続けていきたいと考えておる次第でございます。
  21. 高鳥修

    高鳥委員 ただいまの御答弁によると、級地別指定については、検討段階ではついにつけ加えるところとならなかったということでございますが、これは地域の実情から見ますと、たいへん実態に合わないものである。新潟県自体としても、同じ豪雪地帯でありましても、お手元に陳情書の参考資料として差し上げました一ページにありますような、新潟県のような、全体が豪雪地域であるところにおいてすらも若干の区分をする必要がなかろうかということで、それぞれ類型を分けておるわけであります。全市町村中、いまの類型のたとえばVに当たるのは三十四市町村である。あるいはIVに当たるのは十五市町村であるというようなことでありまして、同じ豪雪地域内にあっても、その矛盾を感じておるわけであります。そういう点から見ますと、これはやはり若干の検討を要するのじゃないか。現に自治省のほうではそういうことをやっておるわけでありますから、この法律そのものの適用の態様において今後検討を望みたいと思うわけであります。  時間がおよそ三、四十分ということで、だいぶ経過をいたしておりますので、以下若干の問題について、この機会お尋ねを申し上げたいと思います。  まず、建設省の井上道路局企画課長がお見えでありますので、課長は、地域の実情については十分御存じでありますが、この審議会の資料の中で二一ページに、「除雪事業」の中の「四十四年度における除雪計画延長は、積雪地域内の国県道の道路延長に対し国道で九二%主要地方道で七五%、一般県道で三六%に達した。」と、まことに誇らしげに書いてあるのであります。  どうも私の実感からすると、国道で九二%を除雪されているとはとうてい考えられない。主要地方道では七五%を除雪をいたしておるということでありますが、これまた、私の承知する限りでは、こんなに除雪されているとはとうてい思えないのであります。実は新潟県へ、それでははたしてどうなのかということで聞いてみたのでありますが、県の資料出し方の中でも、直轄は別といたしまして、国道で八四%ほど、主要地方道でも七六%等々、除雪をいたしておるということであります。  この数字というのは、一体どういうふうにして出したものであるか。こういうふうな成績であるならば、だれも、困ったと言って悲鳴をあげないはずであります。計画はして、一ぺんブルドーザーは動いたが、それっきりだというものも相当あるのじゃないかというふうに考えるのであります。課長は十分御存じでありますが、たとえば二百五十二号線、二百五十三号線、その他一四八、あるいは主要地方道、地域内のもので、冬期間はほとんど大部分が除雪されておらないという実態から考えてみますと、これはおそらく、建設省がこういう資料をお出しになったから企画庁が書いたと思いますが、その辺についての事情をひとつ承りたいと思うわけであります。
  22. 井上孝

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  ただいまの答申の中にございます比率は、先生のおっしゃるとおりでございます。これは私ども予算配分から出てまいりました除雪延長、それに対する全道路延長の比率でございます。私どもとしては、もちろんこれを、都道府県道以上でございますれば交通の幹線でございますので、一〇〇%にいたしたいということを目標にいたしておりますが、先生もよく御承知のように、除雪と申しますのは、道路が改良されておらなければ、なかなか機械除雪ができません。それで、私どもとしては、要するに二車線以上の道路の改良をして、それに十分な機械除雪費をつけていくということを目標にいたしております。  現在国道の改良率が、雪寒地域内でいまだ七五%でございます。それから、主要地方道が六一%、一般県道が三一%にすぎません。したがいまして、先ほど一般国道で九二%、これは予算上はそうつけておりますが、その中には、未改良で十分な機械が入れられない、やむを得ない場合に人力除雪、そういった苦しい除雪をいたしておるものが数字の中に入っておるわけでございまして、ある程度以上の降雪になりますと、交通途絶が数日に及ぶというようなことも、実際にはあろうかと思います。  ただいまの段階では、ともかく私どもとしては、除雪の延長と除雪を充実させる、その前段として道路の改良整備、これを急いでまいりたい、こういうように思っております。
  23. 高鳥修

    高鳥委員 時間がございませんので、あと一、二だけ承りたいと思います。  文部省の方、お見えだろうと思うのでありますが、審議会の出しております資料の二八ページの第一一表に「学校施設の除雪事業補助」の実績があげてあります。これは、豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法というのに基づいて実施された事業成績であります。  これを見ますというと、地域の実情を知っているものからいたしますと、中身が納得しがたい交付のしかたがされているような感が深いのであります。おそらくこれは法律のたてまえからいたしまして、他のいろいろな地方交付税等の関連から、このような結果になったんだろうとは思いますけれども、もしこのとおりであるとするならば、これは除雪事業の補助金が適当な交付をされているとは思えない感じが、非常に深いのであります。その後若干事業の手直しをされたやに、総合開発局主要対策の概要においては見受けられるわけでありますけれども、せっかくの法律をつくりながら、実情に合わないものであったならば、これはやはり実情に合うように直す必要があると思うのでありますが、文部省の担当のほうでは、その点をどのように認識しておられるかを承りたいと思うわけであります。
  24. 栗山幸三

    ○栗山説明員 お答えいたします。  豪雪に際して地方公共団体が行なう公共の施設の除雪事業に要する費用の補助に関する特別措置法、これは昭和三十八年の異常な豪雪に際し、先生方の御提案をもとにして制定されたものでございます。ところが、昭和四十二年の十二月から四十三年の三月ころまでの豪雪が、これがやはり異常ではないかということで、この委員会でもたびたび御指摘をいただきました。ところが、従来の政令等がその実情をカバーするということがなかなかむずかしいということがございました。そこで、昭和四十三年の七月に政令の改正が行なわれました。  そこで、簡単に改正の要点を申し上げますと、法律に基づく補助条件と申しますのは、法律では、平年に比して著しく多額の経費を要したといったようなものに対して補助を行なうというたてまえになっておりますが、その法律に基づく補助条件である、豪雪時の除雪費が平年の除雪費の二倍をこえるということが、従来の政令でございました。それを、四十三年の七月には一・五倍というふうに改めました。さらに、その平年除雪費をこえる額がその年度の標準税収入額の百分の四をこえるという規定がございましたが、これを四分の一にいたしまして、百分の一以上になった場合には除雪の経費を補助する、こういうふうなたてまえに改正されたわけでございます。  ところで、昭和四十二年の十二月から昭和四十三年の豪雪に際して、どれだけの市町村からそういう申請があったかと申しますと、全国で、市町村の数にして二十六件でございます。そのうち、先ほど申したとおり、平年除雪費の一・五倍をこえるもの、それから、標準税収入額の百分の一をこえるもの、これに該当するものが、青森県では三町村、それから、新潟県では栃尾市ほか三町村というふうな結果であったわけでございます。  具体的に少し数字で申し上げますと、先ほど申しましたとおり、全国二十六市町村から昭和四十三年、つまり四十二年の十二月から四十三年の三月までに、どれだけ学校等の雪おろしに使ったかと申しますと、四千六百万円でございました。そのうち平年除雪費というものが二千八百万円あります。超過したものが千八百万円でございました。それに対して、先ほど申したとおり、政令に該当するものが七市町村でございました。そういうことで、金額が総体的に少ないものですから、結果的には少なくなったということに相なっていると思います。
  25. 高鳥修

    高鳥委員 なお、労働省関係についても御質問を申し上げる予定であったのでありますが、時間がすでに経過をいたしておりますので、取りやめをいたします。  ただいまの答弁を聞いておりましても、議員提案でできた法律について、そのあとで政令でもっていろいろむずかしい基準をつくって、なるべく金はやらないようにするというような結果がどうも出ている感が深いのであります。しかも、いまの政令の内容を考えてみますと、せっかく法律をつくった趣旨のような交付のされ方がされておらないという感が、非常に深いのであります。そういう点については、政府当局におかれましても、前向きの姿勢でひとつ御検討をいただいて、積極的に取り組んでいただきたいと思うわけであります。  ただいま御質問を申し上げた中で、特に委員長において今後ひとつ、なお検討機会をお与えをいただきたいと思いますことは、特別豪雪地帯設定の問題あるいは異常豪雪、こうした問題については、今後ともひとつ検討する機会をお与えをいただきたい、こう思うわけであります。  時間がございませんので、以上で質疑を終わります。
  26. 辻原弘市

    辻原委員長 ただいまの委員長へのお申し出につきましては、理事会ですでに検討を開始いたしておりますので、次回の理事会等において十分協議をいたしたいと思います。  米田東吾君。
  27. 米田東吾

    ○米田委員 総務長官がほかの委員会のほうにおいでになる時間があるそうでございますので、最初に、副長官に御答弁いただく部分を先に御質問申し上げます。  私も、ただいま開会前に御陳情いただきました新潟県の今度の三月豪雪、異常残雪の問題に限りまして、若干の御質問をしたいと思うわけであります。  その前に、私、政府側から資料としていただいております、ことしの四月七日に出ております豪雪地帯対策審議会の葛西会長の政府に対する意見書と要望豪雪地帯対策の推進に関する意見、それから若干の要望でございますが、これにつきまして、非常にこれが関連がありますので、ひとつ政府の見解、特に所管の総理府の御見解をまずお聞きをしておきたいと思うわけであります。  この意見書は、要するに豪雪地帯対策の推進について、三点に分けて、非常に傾聴すべき問題指摘と意見が具申されておると思います。さらにそれに加えまして、一つは、積雪時における道路交通の確保は捨ておきがたい重要問題である。これには、市町村道の除雪も含めて早急にその実現をはかれ。二つ目に、豪雪地帯における税等に関する措置及び雪に関する調査研究について、審議会の意見を十分尊重してやれ。このことを早急に促進方要望しますというふうにして、政府に出されておるわけであります。  私はまずお聞きしたいのは——意見のほうは、あとでまたこまかく聞いていきたいと思いますが、この要望について、たとえば市町村道も含めた除雪の対策豪雪地帯の税制の軽減についての関係、それから、雪についての科学的な調査、この三つについて、この答申を受けられて、意見書を受けられて、政府はどういうようなお考えであるか。いま何かこれについて、次年度、来年度予算に対して前向きに検討されている、そういう動きがあるかと私は思うのでありますけれども、このことについて、ひとつ現状をお聞かせいただきたいと思います。
  28. 湊徹郎

    湊説明員 ただいま、所管の総理府でひとつ返事をせいというお話でございましたが、先ほど来申し上げましたように、この雪の問題というのは、地域開発立法と災害のちょうど接点に位しているわけでございまして、ただいま御指摘がありました三つの点を含む豪雪地帯対策審議会の答申は、これは経済企画庁の所管の審議会でございます。で、内容については私も承知をいたしておりますが、いまの三点については、それぞれ経済企画庁において、ただいま具体的に検討してもらっております。その検討内容については、宮崎局長からお答えを申し上げたいと思います。  いずれにせよ、雪の問題については、私どもも全般的に、総合行政という立場から取り組んでまいりたいというふうに思っております。
  29. 米田東吾

    ○米田委員 所管はそうでありましょうけれども、きょうの委員会には、私、特に総務長官に実は出ていただきたいということを要請したわけです。関係各省にまたがっておりますので、各省の大臣に来てもらいたいのでありますけれども、なかなかそれができない。それはおくといたしまして、総理府長官に来ていただきたい、そうして、この豪雪の問題を総体的に聞いてもらいたい、こう実は思っておったのですが、それが出られなくて、副長官がおいでになっているわけであります。したがって、そういう立場で私は、きょうは——おいでになっている皆さんの、政府を代表する最高の方があなたでございますので、総理大臣にかわって実は御答弁いただきたいと思って、御質問申し上げたわけであります。この審議会の意見書は、内閣総理大臣と関係行政機関の長に対する意見であります。この審議会の所管は経済企画庁でありましょうけれども出したのは、あなたのほうにこの意見を出しているわけでありますので、まず総理府のほうから長官のお考えをお聞きしたい、こういうことなんでございますので、宮崎さんからも、それは事務的には聞きますけれども、そういう面で、もう一回決意を聞かしていただきたいと思います。
  30. 湊徹郎

    湊説明員 先ほど来申し上げましたように、私も災害関係を、国会におりまして、いままで七年ほどやってまいっておりますし、特に私自身が豪雪地帯の出身でございますので、雪の問題の取り扱い方については、前々から非常な関心を持っております。  先ほども申し上げましたように、大体、この雪によって具体的に被害が明らかになった段階災害対策で取り上げる、雪そのものは、降雪そのもの災害ではないというのが、つい四年前までの考えでございましたが、それを前進させて、雪が降ることそのものが一種の災害である、こういうふうなたてまえになってまいりましたし、法律の中にも、特に防災基本法等の中にもその点が明らかでございますので、それを今度は、具体的にどういう基準で扱っていくか、こういうことについて、私どもは内部的にいま検討を始めているわけであります。私どもはそういう態度で、これから雪の問題に対処していきたいというふうに思っております。
  31. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 補足的に御説明を申し上げます。  この豪雪地帯対策審議会の小委員会の報告について審議会で御討議をいただいた際、ただいま御指摘のように、三点についての要望を政府にお申し入れになられたわけであります。  この三点のうちの特に問題になった点をちょっと申し上げておきますと、冬季の道路交通の確保の問題、これは御承知のように、いわゆる雪寒道路法によって行なわれておることでございますが、このうち特に市町村道の除雪について、従来補助対象になっておらなかったということから、この市町村道を含めて今後やってもらいたいという御意見が非常に強かったわけであります。この点については、御承知のとおり、現在第六次道路整備五カ年計画の一環として、この雪寒道路についても五カ年計画がつくられるわけでありますが、この中においてこの趣旨をひとつ織り込んでいきたい、こういうことで建設省のほうとも御相談をいたしまして、この実現に努力していこう、こういうところでございます。この五カ年計画の内容は、近く決定をされる運びになると聞いております。  それから、第二の問題は、税の関係の問題でございます。これも法律制定以来、非常に議論の多い問題でございまして、従来固定資産税、法人税等について若干の改善が行なわれておりますけれども、特に問題のありますのは所得税の関係でございます。これにつきましては、大蔵省当局は、税のたてまえ論から見まして、この特別の措置をとることはできないというのが従来の主張でございまして、なかなかこの辺の解決は困難でございます。そこで、この点につきましては、実情の調査をこれからやりまして、これは大蔵省にも入ってもらうつもりでありますが、そういう形において何らかの措置をひとつやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。  それから、研究の問題につきましては、これはいろいろ広範な議論がございます。現在でも科学技術センターあるいはその他の研究機関がございますが、さらに必要があれば、ひとつ新しい課題に対する研究体制の整備をはかっていく、こういうことで、無雪都市の問題、あるいは積雪そのものを活用するというような議論もございます。そういった点について、これから各専門の方面とお打ち合わせしながら、企画庁としても推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  32. 米田東吾

    ○米田委員 この豪雪審議会は、私も豪雪地帯の出でございますけれども豪雪地帯のわれわれといたしましては、非常に権威あるもの、しかも、これには政府として、答申や意見や要望があった以上は、それを受けて実のあるものにして、ひとつ政治の面に即刻生かしてもらうような、絶えず前向きの姿勢を実は期待をしておるわけであります。豪雪地帯に関係する各種法令あるいは政令、あるいは政府の行政指導、それから、この種委員会の答申、いろいろありますけれども、総体的に実がない。言うことはいいことを言うのだけれども、さあ実行の段階になりますと、予算の関係その他のことが前に出てまいりまして、なかなか実が入らぬ、こういうことで、非常に失望を感じておるわけであります。いまの豪雪審議会の要望、あるいは、これからも私若干触れますが、具体的な意見等につきましては、ひとつ誠意をもって、皆さんのほうではこれを受けていただいて——これは総理大臣の諮問機関であります。受けていただいて、もう来年度の予算編成の時期に入っておるわけでありますが、ひとつもっとこれが促進されるように、取り上げていただくようにお願いしたい。これは基本的な姿勢として、ひとつお願いをしておきたいと思います。  それから、新潟県から七項目にわたりまして具体的な陳情書が出ておるのでありますが、これも、私どもお聞きいたしますと、ほとんど豪雪審の意見書、特に第三章の「豪雪地帯対策推進上の課題」というふうにして、いろいろ取りまとめて意見が出ておるわけでありますが、この中に触れられておるのに尽きるやに、私、実は感ずるわけであります。したがいまして、新潟県の陳情に関連いたしまして、この具体的な豪雪審の意見についての政府各省の考え方について、以下若干お聞きをしてみたいと思うのであります。  私、時間がありませんから、大体第三章の「豪雪地帯対策推進上の課題」、これからの課題についてお聞きをいたしますが、この三六ページ、「豪雪地帯対策の考え方」というのがまず第一点にございます。ここに二つのことが言われておりますが、一つは、これからの対策を進めるにあたって後進性の解消、それから、地域の実情に即した雪害防除の積極的な施策ということが言われておると思うのであります。  この中で、特に私、問題にしたいのは、地域の実情に即した雪害防除の積極的な施策、この関係なのであります。特に豪雪審が、地域の実情に即したというこのことを強調しておるのは、まあ言えば、いままでの豪雪対策としての予防対策というものは、あまり地域の実情に即しておらなかったのじゃないか。ことばをかえれば、総花的ではないか。それからもう一つは、精神条項的なものであって、裏づけになるものがないのじゃないか。したがって、それが必ずしも地域の実情あるいは防災の実情に即しておらないということを、ことばをかえてここに言っておられるのじゃないかと私、思うのであります。こういう点について、政府のほうのお考えはいかがかと私は思います。  特に、もう少し申し上げますと、現に、先ほど高鳥委員も触れられましたけれども豪雪基本法によって豪雪地域というものが指定される。ほとんど日本の半分が、豪雪地帯指定を受けている。政令によりまして五千センチでありますか、大体の基準になりまして、そして、多少の地域の手直しはありましょうけれども、それを基準にして、広範に豪雪地帯というものが指定をされておるわけであります。そして、それを対象にして、年々多少の予防対策というものが推進されていっているということであります。ここにやはり一つの問題点があるのじゃないか。大体全国を総体に適用するような豪雪地帯指定しておいて、そうして、わずかの予算でこの予防措置を講ずるといっても、これが実情に合うような、あるいは実態に適応するような対策になるはずはない。したがって、私は、もう少しこの豪雪地帯というものをしぼって、特に政府が重点的に施策を講じなければならないところ、あるいは予防対策や後進性の地域開発上のものを含めて、予防措置というものを積極的に進めていかなければならないところを、一定の科学的資料に基づいて設定をして、そうして、そこに乏しい予算であろうけれども、もっと集中した継続的な施策というものを進めていく。そういうことがなければ、この審議会が指摘しているような、地域の実情に見合ったということにはなかなかならないんじゃないか、こういうふうに私、感ずるのであります。  そういう点からいきますと、今回新潟県が提起しております、特別豪雪地帯指定してくれるような措置——法制面、それから行政面でそういうことが考えられないかという問題提起がございました。私は、まことに適切だと思うのでありますし、これこそ、この豪雪審が言っていることを具体的に提起してきた問題ではないかと、実は思うのであります。この点について、政府の御見解はいかがかということを、私はお聞きしておきたいと思います。
  33. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御指摘のとおり、豪雪地帯は非常に広うございますので、その地域の特性というものもいろいろ違いがございます。そういった相違というものを十分に踏まえて、そして、その災害防除の施策を講ずることが必要であるということが、この災害の報告で指摘されておるわけでございます。  その内容については、三八ページから三九ページに書いてありますので、特に繰り返しませんが、要するに問題になりましたのは、一つ大きな問題は、道路の交通確保の問題である。こういう地域においても、モータリゼーションが非常に発達をしておる。これに即応して道路の体制が整備されなければならないわけでございますが、除雪もまた、これに応じて考えられなければならない。その場合において、どういうところが最も重点になるかといいますと、やはり、先ほど建設省の御説明もありましたように、まず幹線道路から逐次地域の道路にいく、こういう形で、都市との交通あるいは主要な幹線の交通確保というようなことが重点になってまいります。そういう観点というものは、もちろんこれは必要でありましょうから、それに応じての施策というものをやっていく。その場合において、道路の事情もございますが、積雪の程度によって経費も変わってくるわけでございますから、そういった配慮がなければならないのは当然であろうと思います。  それから、もう一つの大きな問題はいわゆる山村地域、非常に雪の深いところでありまして、まだ道路の改良等が十分に行なわれておらないというようなところについて、道路改良から全部やって、そうしてそれから除雪をするというのでは、なかなか間に合わない。こういうところにおいては、医療の問題、あるいは生活そのものに関する問題等が出てまいります。こういうことについては、やはりそういう地域に合うような交通の確保策、あるいは災害を未然に防止する策というものが必要になる。このために、巡回医療の問題でありますとか、雪上車の問題でありますとか、いろいろな問題が、現在でも問題になっておりますが、こういうことを強化していく、そういうような配慮をすべきである、こういうことにわれわれは理解しておるわけでございまして、この線に沿って、これからさらに施策を強化したいと思っております。  そこで、全体として、まず豪雪地帯そのものが広過ぎるというような考え方から、もっと重点をしぼったらどうかということは、先ほども指摘をいただいたわけでありますが、これは確かに一つの有力な考え方でございます。ただ、そういう形がいいのかどうかということについては、この審議会の議論でもだいぶ問題があったということでございます。  やはり一方では、こういう地域の開発振興をはかっていくということが、この法律の非常に大きな目的である。そういう際には、やはり山奥の地域とか、非常に雪の深いところだけを対象にするというのでは、なかなか具体的な開発振興の計画なり施策というものが出てまいりません。こういう場合には、どうしても相当広域にわたって考えていく必要がある。新潟県とか、あるいは東北の日本海側というようなことが問題になってまいります。したがって、そういう観点もなければならぬ。しかし、一方では、非常に生活にも支障があるというような条件に対して、手厚い措置がとられなければならないという問題もございます。  そこで、先ほどもちょっと申し上げましたが、こういう特別な山村等につきましては、山村振興法であるとか、過疎地域の特別措置法であるとか、いろいろの法律が現につくられ、あるいは、最近成立をするということにもなっております。こういうものとの関係を考えくいく。あるいは新全総計画でも指摘をいたしましたように、こういう山村地域等について、基本的に過疎問題というようなものを解決していくためには、やはりその村だけではなかなかできない。そこで、広域生活圏ということが打ち出されておるわけでございます。この考え方に基づいて、いま自治省が、広域市町村圏という事業を二年ほど前から始め出しておりまして、こういう考え方をこの中にどう織り込んでいくか。もともと広域生活圏といいますのは、全国の各地方を通じて、いわゆる生活にかかわる問題について一種のシビルミニマムを確保しよう、こういうことから圏域構想が出ておるわけでございまして、やはり基本的にはそういう施策に乗せていかないといけないのじゃないか。まあその辺、いろいろの政策あるいは施策というものが現在出そろってきつつあります。  私どもも、そういう問題を踏まえまして、地域開発制度そのもの、現在あります法律の再編成まで含めまして、これを検討してみたい、こういう考え方でございます。
  34. 米田東吾

    ○米田委員 特に豪雪地帯におきましては、防災とそれから災害になった場合の救助、これは全く表と裏の関係でございまして、見方によっては一体に見ておる、そういう感があるわけであります。そういう観点からいきまして、豪雪地帯対策特別措置法ですね、ここでいう豪雪地域指定ということは、法律のたてまえからいきまして、これは直ちに災害に結びつけて、そうして災害対策にこれをかえていく。災害救助法発動であるとか、その他いろいろな災害対策にこれが関係していくというふうにはなりませんけれども、しかし、その前の防災ということになりますと、あるいは、こういう過疎地域積雪寒冷地域地域振興開発ということになりますと、この豪雪地帯対策特別措置法というものは、非常に重要な法律なんであります。しかも、私どもが、豪雪地帯がよりどころとするのは、この法律に示されておる第二条の一項の豪雪地帯指定、これが一つ基準になる。ところが、唯一のよりどころになるその基準が、一道一府二十二県にわたっておる。あるいは、面積においては全国の市の五二%に当たっておる。人口においては、約二〇%をこの豪雪地帯の人口は占めておる。こういう間口の広い状態にそのまましておいて、そして、豪雪地帯対策特別措置法というものを有効的に作用させる——豪雪地帯対策基本計画というものがかりにできましても、これが御承知のように、なかなか、こういう面に対する裏づけになる予算措置というものは常にあと回しで、制約をされておる。どうしてもそれは総花的に、結局この関係地域全般に何らかの影響を及ぼす、恩恵を与えるというか、そういうかっこうで仕事が分配されてしまう。なかなか集中度というものは出てこない。そういうことが、これは実態論としてあるわけなんです。法律論では、これはまた別でありましょうけれども……。  それを何とかやはり解決する方法というものは、これは政治の力で考えていかなければならぬのじゃないか。たとえば寒冷地帯なんというものは、全国的には、これは質が違うと言えば言えましょうけれども、一級地から五級地までに分かれておるとか、いろいろそういうふうにランクを設けて、そして、それに合うような重点施策というものを進めておるのであります。この豪雪地帯だけは、ただ指定された、それだけでありまして、ランクがありませんし、集中度もありません。陳情したり、あなたのほうに何か頼んでいって、少しでもそこへそれを向けてもらうということが精一ばいであります。災害になれば別でありますけれども……。しかし、豪雪は即災害にならないという見解が、あなたのほうにあるわけであります。そういうことを考えますと、どうしても私は、新潟県の言うように、豪雪地帯に特に一ランクを設けて特別豪雪地帯、あるいは異常豪雪地帯——というのはちょっとおかしいと思いますけれども、一級豪雪地帯、何かそういうような方法を講じて、それに行政の手がもっと集中できるように、そうしなければ、これは実際問題として救われません。そういうことなんでありますが、毎度、ひとつ宮崎さん、積極的なあなたの前向きの答弁、どうでございましょうか。
  35. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 御指摘の点は非常によくわかるわけでありますが、この特別措置法に基づいて、あるいはこれと並行して、いろいろの法律による施策が行なわれておるわけであります。たとえば、先ほど問題になりました雪寒道路法、これも大体が同じ地域指定しておる。それから、学校とか医療施設関係等、いずれもこれは僻地という名前を使っておりまして——どものほうは、豪雪と言ってくれと言っておるんですが、まあ僻地と言っておる。そういう形でやっている部分も、大体似たような地域でやっております。したがって、現在ある、いわば特別な措置になるわけでありますから、地域をしぼって、いいかげんにその辺はやめろというのは、なかなかむずかしいと思います。しかし、非常にひどいところは手厚くしたらどうかというのは、これはよくわかる。それをどうするかというのが、先ほど申しましたように、いろいろそういった地域だけを対象にする法律もあるわけですから、そういうものとの関係で何かひとつ考え方が出ないだろうか、こういうことでございます。  この豪雪地帯対策特別措置法の中を、また一級地から何級地までに分けるということになりますと、また非常に複雑なことになって、ほんとうを言いまして、なかなか行政実務としてはむずかしいと思います。たとえば、一本の道路が一級から五級までに分かれておって、どっちの除雪をしたかによって補助率が違うというようなことをやりますと、これは理屈の上ではいいでしょうけれども、実務的には非常に問題になるだろう。やはり、やる施策の性格によって、そういう点を考え分けていく必要があるだろう、こういうふうに私は考えております。
  36. 米田東吾

    ○米田委員 あんまり時間がとれませんが、宮崎さん、あなたのところにも、新潟県の陳情書は行っておると思うんです。この内容説明の資料の一ページに、新潟県で現にやっている級地の類型区分の基準の表が一応参考に出ておりますが、これを見ましても、わずか新潟県というところだけでも、たとえばここの類型区分でI、II、III、IV、Vとありますが、この累年平均積雪積算値が、五千センチから二万センチ以上まで分けてありますけれども、早い話が、この二万センチ以上、そして最大積雪深が百八十五以上、根雪日数が百一以上、この四倍も指数をとって当てはめなければならないような、五級地でありません、Vに区分しているところ、これが新潟県では三十四町村ある。それから、その上のIVの類型区分になっているところが、新潟県では十五市町村、それから、一万センチから一万五千までのIIIのランクが十五市町村、合計いたしまして、大体新潟県の半分以上は一万以上のこの類型に入る町村であります。ところが、豪雪地の指定という基準は、この最低の五千センチからであります。こういうことを一つ見ましても、どうも私は、現状に即さない法律じゃないかという感じがするわけであります。  なぜこう言うかというと、この豪雪地帯指定がどうかということが、また、災害の起きた場合の災害対策に直ちに関係してくる。いろいろ政府の助成や、あるいは地域開発や、その他の防災関係に直ちにこれが影響してくるわけであります。したがって、私どもが特に級地についてこだわるのは、私は、これはやむを得ないと認めていただかなければならないと思うのです。こういうことからいきましても、実情に合わないように思うのでありますが、これは答弁要りませんけれども、先ほど委員長のお話もありましたように、この問題等につきましては、いずれ委員会でさらに検討されることになっているそうでありますから、十分検討いたしますが、ひとつ皆さんのほうも前向きに、いま御答弁がありましたような趣旨でお考えをいただきたいと思うのであります。そういうことだけ申し上げておきたいと思います。  次に、災害の関係について、私、若干お聞きをしたいのでありますが、これは新潟県が陳情しております第七項に関係をいたします。  ここで私は、先ほどの陳情をお聞きをいたしまして、なるほどと思ったのでありますけれども、いまの災害救助あるいは災害対策という面の法令の中では、この新潟県の陳情の中の七項という問題はなかなか解決されない。こういうことで、現実に県の執行部も、それから、豪雪関係を終始扱っててきておられる県議会の専門家も、こういうことについて結論を出して、これは法の不備ではないか、あるいは法律改正という問題ではないかということで、陳情がこういうふうに出てきておると思うのであります。この点につきまして、私は政府の見解をひとつお聞きしておきたいのでありますけれども、この所管は、あるいは厚生省になるかそれとも総理府になるか、私もよくわかりませんけれども、特に説明資料の中に、相当具体的に新潟県が陳情しておる、言わんとしておることを述べておるわけでありますけれども、こういう問題を解決するに、現行の災害対策の法律、政令で解決できるかどうか。法律の運用と、もう一つ、あなたのほうの行政指導で、この種の問題は解決できるかどうか。法律の改正にまたなければだめかどうか、そのことを、ひとつ関係のほうから御答弁をいただきたいと思うのであります。
  37. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいま御質問ございました、新潟県よりの要望事項の七項でございますが、その内容が種々に分かれております。第一番目の「特別豪雪地帯の設定について」、第二番目、「豪雪地帯対策に関する総合施策を調査研究する機関の設置について」というようになっております。これにつきましては、先生からおっしゃいましたように、現在の法律をもってなお検討を要すべき事項、または、行政上いろいろ配慮すべき事項とあると思われます。所管も各省にまたがっておりますので、これを一括して申し上げることはできませんが、これにつきましては、県会の陳情も種々聞いておりますので、部内におきまして、関係の省庁につきまして十分検討しておるところでございます。
  38. 米田東吾

    ○米田委員 それでは困る。新潟県の陳情に対しては、そういう答弁をされても、そうですかということになるけれども、本委員会では、そういう答弁ではだめです。
  39. 吉村仁

    吉村説明員 七項のうち、私のほうで災害救助法発動する一つ基準といたしまして、ここに具体的な例があがっております。事前に異常豪雪か予測されます場合に、こういう基準発動してはどうかということにつきましては、私どもも、ひとつ災害救助法発動基準として検討をしたい、かように思っております。  災害救助法発動いたしました場合の屋根の雪おろしの費用、それから、なだれによる被害家屋等の応急修理費用、それから、五番目の救急患者や妊産婦の輸送経費等につきましては、災害救助法によりまして当然負担する経費でございます。
  40. 米田東吾

    ○米田委員 もう少し基本的なこともお聞きしておかないと、なかなか御答弁ができないのじゃないかと思うのでありますけれども災害対策基本法の関係は、これはどこの所管になりますか。——総理府ですね。  それでは、ひとつ参事官にお開きいたしますけれども災害対策基本法の第二条の一項に災害としての指定がございますが、これに「豪雪」とあります。この豪雪というものを対象にして災害と認定する、あるいは災害救助法発動するというような場合には、何か基準があるのですか。
  41. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  災害対策基本法の第二条にございます災害の定義でございますが、先ほど副長官からも非常に微妙な答弁がございましたように、豪雪によりまして被害が起きました場合においてこれを災害という、こうなっております。いかなる場合に豪雪なりやという問題がございますが、むしろ災害といたしましては被害の程度に応じてとらえるという考えでございます。
  42. 米田東吾

    ○米田委員 もう一つ、この中に「津波その他の異常な自然現象」という条文がございます。これは、たとえば今度の新潟県の三月豪雪、異常残雪というふうに表現しておりますけれども、こういうような事態は対象になるかどうか。  それから、被害が出てからということになりますけれども、特に残雪の場合は推定被害の計算はできますけれども、早い話が、農林業関係の被害なんというものは出来秋でなければ計算できない、そういう関係もありますから、被害が出てからということでは実はおそい。したがって、いままで人的被害、あるいは実際の生活面や商業面、直接被害が出て、そうして、ある程度実態がつかめれば、皆さん方のほうに陳情して、この災害としての認定をいただいて、政府としての手を打ってもらうという陳情が出ておるはずでありますけれども、いままで私が聞いておるところでは、さっき陳情がありました、新潟県の三月を頂点にした異常豪雪と引き続く残雪についての災害としての認定や救済は全然ない、こういうふうに聞いているのでありますけれども、この「自然現象」というような条文があるのだが、こういうところにあなたのほうで認定できるような条件になっておらないのかどうか、いま新潟県のこの実情は、災害としての認定はできないかどうか、これをひとつはっきり聞かしてもらいたい。
  43. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいままでの答弁にございましたように、異常な自然現象によりまして被害が相当起きました場合においては、これを災害といたしまして扱うのでございますが、ただいまの豪雪の問題、非常にデリケートな問題を持っております。そのような関係がございますので、豪雪につきましては、災害対策基本法におきまして、災害が起きました場合には扱いますとともに、豪雪地帯対策特別措置法におきまして、住民の生活水準の向上が阻害されるとか、産業の基礎条件が阻害されます場合に、対策を樹立しておるのでございます。  ただいまの、本年の新潟災害につきましては、農林関係におきまして被害が起きるのではないかというような御質問でございますので、これは農林省のほうより御説明していただきたいと思います。
  44. 米田東吾

    ○米田委員 いや、時間がないから、農林省答弁は要りません。要するに災害として認定できるのかできないのか、こういうことを聞いているのです。新潟県の調査によりますと、推計も入っておりますが、約百十億の被害を受けておる。この中に、それは農林関係の被害も相当大きいですけれども、私が聞いているのは、災害の認定が可能かどうかということなんです。なぜ認定してくれなかったのかということなんです。
  45. 川上幸郎

    ○川上説明員 農林の被害がどの程度ありますかということにつきましては、農林省におきましても、その被害の態様について検討中とは存じますが、何ぶんにも、その被害の測定が非常につかみにくいという実情でございます。でございますので、その事態に応じまして種々対策を立てたい、このように考えておるわけでございます。
  46. 米田東吾

    ○米田委員 災害の主管の総理府が、この種の問題については各省指導する、やはりそういうような姿勢をとってもらわないと——だから、窓口を一本にしてくれという要望が下から出てくるのです。各省まかせだ、これでは困るのです。しかも、災害対策というのは緊急を要するわけです。時期を失すれば、これはもう意味をなさない。したがって、主管の総理府に、私どもはそういう点では非常に強く、各省に対する統制と指導性をお願いするようになるのでありますけれども、私はやはり、一番主管の総理府が、各省に聞かなければ認定できるかどうかわからぬ、ということでは困ると思う。やはりそれは、あなたのほうにみないくのでありますから、あなたのほうでは総体的に検討されて、これはやはり災害として見てやらなければならぬ。したがって、農林省についてはこういう手を打つ、あるいは厚生省についてはこういう手を打つ、こういうようなふうに、ある程度指導してもらわなければ、一本になった、あなたのほうの主管だ、ということにならないのじゃないですか。これはひとつ、もっと強い姿勢をお願いしますが、御見解はどうでしょう。
  47. 川上幸郎

    ○川上説明員 先ほど来申しておりますとおり、災害対策をどういうように講ずるかということは、もちろん、先生おっしゃるまでもなく、総理府におきまして、関係各省と十分連絡をとりまして行ないたいと思います。でございますので、被害の態様等は、農林被害はもちろんでございましょうが、その他につきましても十分御相談いたし、適当な措置を講じたい、このように考えております。
  48. 米田東吾

    ○米田委員 では、私、時間もそうとれませんし、また、小林先生がこれから御質問されますので、ひとつこの問題につきまして、第一項に私が触れました特別豪雪地域を設定できるかできないか、法律面、実際面、政治面でひとつもう少し検討していただくために、いまの問題を含めまして、これは私は、できれば災害対策特別委員会の小委員会か何か、そういうような担当と陣容をそろえて、これを検討していただくような方法をとっていただきたいというふうに思いますけれども、これは理事会ですでに取り扱いを御検討されておるそうでありますから、理事会におまかせをいたしますけれども、何とかひとつ雪の問題——どうしてもこれはおくれがちなんです。そうして、雪が降ってきても、もう間に合わないのです。やはり夏のいまのうちにやっておかないと、もう十一月になれば雪が降るのですから、間に合わないのです。そういうことで、ぜひひとつこの問題は、災害対策特別委員会で前向きに取り上げていただきまして、新潟県の要望を、これは私どもの主張でありますけれども、ひとつ解決されるように御配慮いただきたいと思います。  以上、委員長にお願いしまして、私の質問を終わります。
  49. 辻原弘市

    辻原委員長 米田委員に申し上げますが、ただいまの委員会における検討方法についても、けさほど来の理事会におきましても議論が出ておりますので、それを含めて次回の理事会で、どういう方法で今後雪害問題を検討していくかを協議いたしたいと思います。  小林進君。
  50. 小林進

    小林(進)委員 私は、いま歯を修理をいたしておりまして、少し聞きづらいところがあるかと思いますが、その点は、あしからずひとつ御了承をいただきたいと思います。  雪害問題は、これは政党政派の問題ではございません。地域住民あげての要望でございまするので、この点ひとつよく御了承をいただきまして、先ほど質問がありました、自民党の高鳥委員、社会党の米田委員ともに、私の質問も同じであります。何ら変わりがないのでありまするから、この点はひとつ最初から、重々にお含みおきをいただきたいと思うのであります。  両君との質問の重複を避けたいと思いますが、私ども各省各党にお願いいたしました七つの項目の中の重点は、やはり第一でありまして、どうしても特別の豪雪地帯設置というものを立法作業でやっていただかなければ、問題の解決にならない。実情に即した、生きた問題の解決にならない。これがもうあげての要望でございまするので、この点、十分再考をわずらわしたいと思う。  先ほどからの質疑応答を承っておりますると、どうも役所のほうの答弁が煮え切らないようであります。そこで、私どもは、言わずもがなのことを言わなければならぬのであります。国会の委員会ですから、本来ならば、各省の責任ある長官が来てお答えいただくのがたてまえですが、しかし、きょうは、十日、十一日、二日続いて衆参両議院各委員会がそれぞれ開かれているから、大臣も忙しい、局長も忙しい。かけ持ちで走り回っておるということでございますから、その点は勘案するといたしましても、御承知のとおり、ここにいられる大かたは課長課長は、御承知のとおり説明員でありますけれども、政府委員じゃない。私どもがいかに答弁を引きずり出しても、課長答弁では、あとからそれは責任ある回答にならないのだ。これが私ども、いかにも残念にたえないのであります。まあ局長は政府委員でいらっしゃいましょうから、局長答弁となれば、これは、あのときのあの機会で、あなたはこういう答弁をしたから責任を持ちなさいと追及できるが、課長では言いっぱなし、聞きっぱなしだ。いかにもたよりないのでありますが、その意味において、きょうはひとつ各課の課長も、きょう一日は局長に任命をされたというぐらいの気持ちで、一日局長、こういうかまえで、責任ある答弁をしていただきたいと思うのであります。  第一の、特別の豪雪地帯を立法で設けなさいという点なんだが、先ほどから宮崎君、なかなか技術上むずかしい——これが、われわれに言わせれば、すなわち官僚の、実情に即したものの考え方じゃなくて、事務的立場からものを考えておる。  あとでも出ましょうが、やはり豪雪地帯における住民の所得税の問題も出てくる。  この所得税の問題については、なくなった池田勇人さんが大蔵大臣のころ、予算委員会でこの問題が取り上げられた。豪雪地域における住民の必要経費というものは、雪の降らない地域の者は想像もつかないほどたいへんなんだ。だから、固定資産税はもちろんだが、所得税、法人税においても、豪雪地帯における住民の必要経費というものを特別に見て、所得税の免税あるいは軽減をおやりなさい、こういうことを要求したときに、彼は何と言ったか。いわゆる事務的立場から見て、この細長い新潟県において、雪の降る地域を、さらに段階を分けて所得税の免税ないし軽減をすることは、事務的には非常に困難、言われる御趣旨はわかりますが、事務的に困難ですから、どうかひとつごかんべんをいただきたい、こういう答弁。毎回毎回これを繰り返しているうちに、今度は、考慮いたします、慎重に審議をさせていただきます、というところまできたけれども、そのうちに総理大臣になったが、約束を守らないうちに冥途の旅に行ってしまった、死んじゃって、いなくなった。だから、いまなおこの問題が未解決になっている。  そこへまた、あとを追ってくる官僚が、先ほどもお話しのとおり、こういう特別の豪雪地帯を設けたらどうだ、事務屋の立場では困難です——住民の生活は、事務屋の事務の困難や、できるとかできないとかで、しているのではないですよ。住民の切実な願いは、そんなところに重点があるのではない。そこに、いわゆる官僚政治というか、事務屋の本末転倒のものの考え方の基本的な間違いがある。池田勇人さえ間違ったのだから、君たちが間違えるのはあたりまえだろうけれども、そういう根性からひとつたたき直してこなければ、こういう豪雪問題の切実な住民の要望を基本的に解決していくという姿勢が出てこない。これをよく考えて……。  これは先ほどからしばしば、委員長委員長席で言われて、理事会でこの特別立法をやるかやらぬかについては十分考慮するというお話が出ておりますから、私どもは、この委員長のお答えを非常にありがたくちょうだいいたします。ひとつ理事会においても御審議いただくと同時に、そこに並んでおられる各省においても、この立法化の問題については、これはひとつ必ず促進するというかまえで取り組んでいただきたい。取り組んでいただかなければ、私どもは毎国会、毎国会やります。またやります。やってくれるまでやる。その気持ちでひとつかまえていただきたいと思うのであります。  あとの六項目は、それぞれお話がありましたから、重複を避けます。  最後の、災害救助の問題、個人被害をどうするかという問題でありまするが、これは大体、きょうの答弁の中で非常に前向きな、前進した御答弁があって、私は非常にけっこうだと思ってお聞きしたのでありまするけれども豪雪における障害物を除去するための個人の費用は、現行災害救助法においてそれを負担することができる。具体的にいえば、屋根の雪おろしだとか、あるいは軒先の雪おろしとか、あるいは玄関の雪おろしとか、そういう雪を排除する費用、それを個人に支給することができるという、そういうふうな御答弁だったというふうに私は聞いたのであります。この点は、非常に重要な答弁ですから、いま一回これをお聞かせをいただきたい。
  51. 吉村仁

    吉村説明員 お答えいたします。  災害救助法を適用いたしましたときには、その災害救助法障害物の除去という条項がございます。たくさんの項目がありますが、その一つ災害救助方法といたしまして、障害物の除去という項目があるのでございますが、その障害物の除去ということをもって、この屋根の雪おろしの費用というようなものを、一定の基準に合致いたしました場合には行ない得るということでございます。
  52. 小林進

    小林(進)委員 この問題も、実はきょうあすじゃないのです。これももう三十年以来、国会の中に繰り返されてきた。時間もありませんから、古いことは言いませんけれども、かつて熊本で阿蘇山が爆発して、あの噴火の灰や石が個人の庭先や屋根に落ちたときに、それを排除するための費用を出した行政の経験が、国会には一つあるのです。その経験に基づいて、それを直ちに雪にも——一晩で二メートルも三メートルも降られたときに、どうなりますか。それは、考えようによっては阿蘇山の噴火なんというものじゃない。そういうものを類推適用すべきであるということを叫び続けてきたが、なかなか行政の面に進展をしなかったが、いま、ああいうふうな明快な回答を得たのでありまするから、この回答を行政において具体的に実施するかどうかという問題は、一つ残るわけであります。もう間もなくことしの冬に雪が降りますから、その辺、ひとつ頼みますよ。絶対実施していただく。これはお手並みを拝見することにしまして、このお約束をありがたくちょうだいいたします。  それから、あとはもう両君のほうでいろいろお話がありましたから——ありましたが、先ほどもお話しのように、法律はでき上がっている。しかし、抽象論ばかりで、具体的にそれがさっぱり、実施段階になってくるとぼけているじゃないか、こういうふうな嘆きが各末端の市町村にありますから、それを具体的に皆さん方に理解していただくために、先ほど私は、新潟県の北魚沼郡の守門村という村の豪雪の実際の写真を持ってまいりまして、見ていただきました。この村は、いわゆる過疎の特別法に基づく過疎地帯ではありません。といって都市ではない。その中間のやはり山村の地帯であります。人口が七千足らず。新潟県における大豪雪地帯でありまするけれども、これに準ずる豪雪地帯は、先ほども米田委員が言われたように、もう三、四十もある。その中の一つであります。そこで、一体、この豪雪のために住民がどんなに困るかということを私は具体的に申し上げて、それによって答弁を得たいと思うのであります。  簡単に守門村の実態を申し上げますると、早い年で十一月から、平年でも十二月初旬から五月の初旬または中旬まで、大体百八十日から二百日に近い間が根雪であります。これは新潟県の標準の実態です。そこに住んでいる住民の日常生活、産業、経済、医療、文化等に及ぼすこの百八十日から二百日の根雪の中の生活。根雪というのはわかりますな。わからなかったら、根雪を研究していただかなければならぬ。そういう状態の中でいるのであります。それで、平年で、この根雪における百八十日間の平均の積雪の量が三・五メートル。ことしは雪が多いなというときには、四・七メートルから五メートルに達する。これが百八十日も続くのですよ。いいですか。  まず、その中における日常生活における雪害だ。こういう状態の中で、住民がどんなに雪の害を受けているかという実情でありまするけれども、昭和三十年ころまでは、この白い悪魔も、住民は宿命であると考えた。災害であるという考えまで至らなかった。しかし、三十五年ころから高度成長政策というものが行なわれて、山村にも家庭の消費財、文化が押し寄せてきて、機械の導入が進められた。農耕の形が変わってくる。現金収入が必要になってくる。出かせぎをしなければならないという、農村の生活実態、経済実態が変わってきた。その変わるに従って、冬季の労働力が不足をしてくる。いわゆる豪雪のための大きな被害が、今度は具体的にあらわれてくるというかっこうになったのでありまして、まず第一番に豪雪地帯で行なわれなければならないのは、家屋の除雪であります。  雪なんて軽いじゃないか。とんでもない。あれほど重いものはない。あれが一晩で一メートルも二メートルも積もられたら、それだけで、鉄筋コンクリートでない限りは家がつぶれてしまう。そういうこともひとつ考えていただいて、将来、この豪雪地帯における家屋のための補助金をつくって、全部鉄筋コンクリートにしてくれるというふうな案でもつくってもらうのなら別だが、普通の家屋ならば、一晩の雪でつぶれてしまう。だから、夢中になって屋根の雪おろしをやる。この雪おろしというものを各戸で、大体百八十日の期間の間に平均で八回、ちょっと雪が多いなといえば十二回。私なんかの長岡に住んでいる小さな家でありますけれども、大体長岡でも、私は六回から七回おろす。一回六人雇っている。雪おろしの料金はいま高いですよ。このインフレのために大体四千円だ。四千円で六人。四、六の二万四千円。六回雇わなければいけない。これはしがないわれわれの歳費ではとても耐えられないけれども、ましてや、豪雪地帯における農民のささやかな生活の中で、おやじさんの男手はみんな出かせぎに行っているのだから、これを一体どう解決するのか。残るのは女だけだ。豪雪地帯の住民の苦しみは、まずそこから始まる。  そのほかに今度は部落間。山村ですから、部落間と各戸問。隣の家に行く道路をつくるだけでも、これはたいへんです。住んだ者でなければわからぬでしょう。もう雪のないときには呼べば答えるような隣同士でも、雪が降ったら他国なんだ。そうですよ。三メートルも五メートルも降る雪の中を、これをはねのけて道路をつくって、隣の家に行けますか。一晩雪が降ったら、五十メートルと離れない隣の家に行くだけで、半日かかりますよ。そういう日常の苦しみを一体どう解決するか。  それから、まず各戸間のそこで雪踏みというのが始まる。一生懸命雪を踏んで道路をつくるという作業が始まる。次には公共施設の除雪です。学校だ、役場だ、あるいは農協だ、郵便局だ、電電公社だ、あるいは保健所だ、診療所だ、こういう施設の雪おろし、これは夢中になってやる。自分の家の窓だって、雪がくるので全部ふさがって、家の中はまっ暗です。あかりがない。それで、まず窓の雪おろしをやる。そういうことから始まってくるのであります。  一体、こういう中で病人が出たら、どう患者を輸送しますか。急患の輸送をどうしますか。雪上車とかヘリコプターという話が出ておりますけれども、そんなのは机上の空論ですよ。こういう豪雪の中でヘリコプターがききますか、雪上車がききますか。そんなものは雪が固まってしまったあとの話ですよ。このときの急患の輸送をどうするか、考えてみてください。  次には、生活物資の搬出入だ。一体どうして出す、一体どうして入れる。まずこういう問題。きたない話ですが、屎尿の処理も困難だ。ごみの処理もたいへんな問題です。こういうのが出てまいります。  それから、まず、この豪雪に備えて各戸の家庭が何をやるかといえば、もはや秋の取り入れが済めば、急いでやるのは、各家庭において冬囲いです。雪の被害を防ぐのに、家のまわりを全部囲まなければならぬ。どんなすき間からも雪が入ってくるのです。水と空気と雪は同じなんです。これをどう防ぐかというのが雪囲い。それから家屋の除雪、雪踏み、雪害のための家屋の修理なんというものは、雪の降らない地域に住んでいる方にはわかりません。もう一冬たてば家ががたがたする。そうでしょう。総数量で二万センチメートルくらいの雪が、一冬に屋根に積もるのですから、もう家はがたがただ。その修理もたいへんであります。  こういうようなことによる損失は、どんなに貧しい人であろうと、貧富にかかわりなしだ。この守門村で、平均していえば、一冬これだけの災害を除去するのに、大体貧富にかかわりなく、最低六万円から十万円の費用がかかる。いいですか。わかりますか。私の言うことに山があったら、うそだと言ってくださいよ。私は神に誓ってうそは言わない。正直の話を、ごく内輪に申し上げておるのであります。  次に、産業と交通等に及ぼす被害の問題を、若干私は述べてみたい。  この守門村の山林は一万ヘクタール。しかし、植林可能な面積は二〇%、二千ヘクタール。しかし、この可能な地域で植林を進めたって、四年か五年、ようやく雪の中に耐え忍んで成長を続けるまでに、みんなやられてしまう。せっかく植林をしたところで、一冬豪雪が来ると、その中の何%しか残らない。全部だめになる。まず半分、もう五〇%は、一冬の雪害で、せっかくの植林がだめになってしまう。こういう状態です。農林省、いらっしゃいますが、こういうことの被害を皆さん方、真剣に考えたことありますか。  農業面でも、非常に根雪の期間が長い。先ほども高鳥君が言ったように、五月の初旬といったって雪が残っている。もはや五月の初旬といえば、あなた、千葉県なんかに行ってごらんなさい。私はこの五月の連休日に行きましたけれども、田植えは済んでいますよ。みんな早場地帯は済んでいる。しかし、こういう地帯は、まだ雪が一メートルも二メートルもある。これをかきのけて早く苗しろづくりをやらなければ、一年の田植えができない。稲はつくれない。それで、一メートルも二メートルもある雪を、ようやく最近は雪上車ができましたから、機械力でもってこれをはねのけて、そして苗しろだけのたんぼの黒土を出して、そこへ苗しろをつくるという耕作に入るのです。種まきの耕作をやる。このために、一体十アール当たりの値段がどれだけかかるか。インフレですから、来年になったらまた上がりますけれども、今年度の計算で大体六万八千円です。こうして苗しろづくりをやらなければ一年の作物はとれないのですから、それがかかる。そのほか、あと苗しろの手当てだとか雪害のための病虫害の駆除だとか、ほんとうに田植えに至るまで、これに要する費用というものはばく大なものであります。いま申し上げました十アール六方八千円、来年になれば、自足党のインフレ政策でこれは七万五千円から八万円かかるようになってしまう、そういう状態です。  その中で、まず多角経営をやったらいいじゃないかといいますけれども、たとえば畜産です。農林省指導に基づいて乳牛も飼ってみました。養豚もやってみました。しかし、雪が来たらどうなりますか。まず、飼料を入れるための貯蔵庫の設備をしなければならない。しかし、設備よりも一番困るのは、いわゆる搬出入なんですよ。乳をしぼったところが、このしぼった乳を一体どうやって市場へ出すのですか。これは一地域では、長いパイプを用いて、六キロも七キロもある山の上から市場まで牛乳を流している。そういう設備を持っているところもありますけれども、しかし、実情ではなかなかうまくいかない。ましてや養豚の肉なんか売ろうと思ったところで、搬出ができないのです。しかも、設備のための、豚小屋から牛小屋の雪おろしも、全部やらなければならない。雪おろしで困る。持った製品も金にはできない。搬出ができない。こういう苦労の話があって、みんな失敗しました。あるいは事業を縮小いたしました。こういう実情を、一体農林省はどうこれを、豪雪で苦しむ農民のために解決するというお考えを持っていらっしゃるのか。  時間がありませんから、私は続けていきますけれどもあとで一括して答弁いただきますが、こういう苦しみがある。ましてや果樹や園芸なんというものは、さっきの植林とみんな同じです。一冬でみんな枝が折れてしまう。倒れてしまう。ずいぶん豪雪のための手入れをしても、雪のための囲みをしてやったところで、雪でやられてだめになってしまう。  それから、今度は、産業の問題は別にして、教育の面にまいりますと、この守門村は面積百十四平方キロメートルですよ。あまり大きくない、農村としては標準的です。しかし、こういう豪雪ですから、学校は、義務教育の本校がこの中に六つあります。分教場が二つ、豪雪のための寄宿舎、これが二つ。子供が、雪が降ったら通学できない。いたいけな子供が、親のところを離れて合宿生活をしなければならないという分教場が二つあります。そのために要する助成費だけでも、昭和四十四年度二百三十六万円かかっております。  それから、学校の通学と通勤、一般交通のために雪を圧して道路をつくるための雪上車四台、これは三台は県が貸し付けてくれました。これは率直に言いますけれども、この雪上車の貸し付けは非常に善政だ。それが非常に威力を発揮して、住民の要望にこたえておりますが、雪上車の維持費というものは、昨年一年間でやはり二百三十一万四千五百円かかっております。いいですか。これも雪の降らない地方なんか、こんな費用は要らない。頭を下げて雪上車を借りてきたのはいいけれども、ただじゃない。その運営費は全部こっちにかかってくる。  特に教育面で雪の影響を受けるのは、教室の採光、運動場の狭小です。文部省がけちんぼうのために、あんな標準なんかで学校を何にも見ないものだから、子供たちは百八十日から二百日、狭い屋内運動場の中で暮らしていなければならないという全く——あれも人の子なんとかという俳句がありますけれども、同じ日本国民と生まれて、この豪雪地帯の子供たちは、降らない地方の子供並みの遊びもできない、運動もできない、体育の訓練もできないという状態です。これは国家百年の大計の上からいっても重大問題です。文部省は、これに対して一体どういうふうに考えているのか。これも豪雪地帯対策における重大な質問でありますから、あとでお考えをお聞きしたい。  こういうことで、農民は出かせぎに出なければならない。農業や畜産ではだめだ。所得を得る道はない。出かせぎ以外にない。もしかりにこれが、せめて、先ほど言われた雪害をなくする道路行政だけでもうまくいって、部落と部落を合わせる村道、あるいは村道から町村道、部落道までが、ちゃんと雪が排除せられておるならば、これは部落道から村道を通じ、村道から市道を通じ、市道から県道を通じ、県道から国道を通じてその近辺に出かせぎに行って、また夜はあたたかい家庭に帰ってくることもできましょうけれども豪雪地帯における道路行政が何もでき上がっていないから、そういう通勤、通学というものができない。これはみんな奥さんを半年後家、八カ月後家にして、他国に出て収入の道をはからなければならない、こういう状態であります。この問題を一体どう考えるか、これは人道上の問題ですよ。単なる経済問題じゃありませんよ。夫婦の仲をさいている。人としての交わりもできないことにしているのだ。こういう問題を一体どう処置しようと考えていられるのか。  特に、はなはだしいのは医療問題であります。厚生省も来ているでしょうけれども、この豪雪地帯の中で急患ができた場合には——この守門村では福山などという地区がありますけれども、ここは、中心地の診療所があるところまで七キロメートルある。やはり人間だから、急患ができますよ。急患ができたときには、村の人が十人くらい出て、長いスノーボートに乗せて診療所まで通う。これに対して部落民は何と言ったか。急患になったおかげで、私はこうやって医者にかかれるというのだ。急患になったから、村の人が十人くらいで運んでくれるから医者にかかれる。急患にならなければ、こういう地帯は、百八十日たとうと二百日たとうと、医者にはかかれないのだ。医者もこんなところに来てくれませんし、通うほうも、病気なんだから通っていけない。まさに医者にはかかれないのです。こういうような、急患になってはじめて医者にかかれると、涙を流して病人が喜ぶような医療行政をそのままにしておいて、一体どこに豪雪地帯対策があるのです。皆さん方、聞いているのか。  そこで厚生省、私は言いますけれども、この話をしたのです。医療関係の学者や関係者を昨夜呼んでこの話をし、諸君ら、いい知恵がないかと言ったら、知恵はありませんけれども、それは厚生省はもとより、国が詐欺ですねと言った。詐欺で訴えなさいと言った。国民皆保険なんといって、保険料を出せば、医療はみんな政府が責任を持って行政の面で提供しますということを言っておきながら、病気になったところで医者にもかかれないような制度にして、保険料だけふんだくっているのは、国みずからが詐欺をしているのじゃないか。詐欺で訴えなさいと言われた。  なるほど、言われてみればそのとおりだ。国の経済の成長が世界で二番目などというようなことをおっしゃるならば、せめて、国みずからが詐欺をやっているなどと住民から非難されるような、そんな恥ずかしい行政だけでもおやめになったらいかがですか。一体こういう豪雪地帯の病気対策をどう処置されるか。その点を——ヘリコプターで何とか、スノー何とかというちゃかちゃかした話はもうだめですぞ。、実情に即した、生きた話をひとつしていただかなければならないと思うのであります。  もう時間がありませんので、私は割愛をいたしまして、いまのことを総括して、ちょっと結んでまいりますると、個人の受ける直接の被害が、家屋の除雪や道路費、自分のうちから隣のうちに行くまでの道路の除雪、村道まで出る除雪費、そういうことのために、一人大体最低三万から三万五千円だ。守門村全町村一千六百五十戸といたしまして、大体四千九百五十万円から五千五百万円。家屋の修繕、冬囲い費——冬囲いをやらなければならないのですから、その費用が一戸平均二万円で、大体三千三百万円。農作物が雪のために受ける被害、これはもう災害なんでありますから、毎年繰り返し繰り返し災害期に大体一千万円前後、八百五十万円から一千万円の損害。これが個人です。みんな負担している個人被害です。  そのほかに、公共団体の受ける被害というのは、先ほど申し上げました苗しろの除雪の補助金として、補助金をお出しになっている。これが、苗しろが三十五ヘクタールといたしまして大体二百四十万円。道路の除雪費が三百万円、これはブルドーザー二台であります。雪上車の運行費が、先ほど申し上げました雪上車四台で二百三十一万円。学校の建物、学校だけの除雪の費用が二百三十六万円。その他の公共施設の除雪費が百七十万円。農地融雪の災害費、雪よけをやらないと田植えができないから——いまでもまだ雪があるのですから。行ってごらんなさい。それは谷間ですけれども、ちゃんと雪があるのですから。これを消して、今度は苗しろから本田に田植えをしなければならない除雪費が四百二十万円。土木融雪の災害費が大体五百万円というように、この公共事業に要する、いま申し上げました費用だけで概算一億一千五百七十二万円から一億二千万円。一体この守門の一年間の予算が幾らであるかと申しますと、私はちょっと調べてみましたが、大体二億から二億五千万円くらいの村の財政です。その財政の中でだれが出そうと、村自身が出すのもありましょうけれども、一億一千万円から一億二千万円、雪のためのみの、豪雪のためのみの費用を毎年出していかなければならないという切実な形を、一体どう皆さんが処理をしてくださいますかということを私は言いたい。私は、みんな質問をしているのですから、あとで答えてくださいよ。  それで、以上の概況質問の中で、今度はこれからお願いです。  これからお願いいたしますが、まず部落の再編成をやらなくちゃいかぬ。とてもこれは、このままではいけません。それで、集落を中心にまとめて、医療、教育、文化等の面が部落の集約で解決される。しかし、個人ではできません。そのための家屋移転の費用等に要する助成金を、一体お出しくださるお考えがあるかどうか。  それから、先ほど申しました豪雪地の税の軽減をやっていただく。これは二十年も国会の中で叫び続けているのですから、もはや結論を出していただきたい。これは池田さんも、慎重に考慮して前向きに解決しますと言って死んでいったのですから、これはひとつ政府でやっていただきたい。もちろん固定資産税等についても、もっともっと軽減の措置をやっていただかなければなりません。  特に私は経済企画庁にお願いしたいのは、除雪の機械です。三分の二の国の補助がありました。これは限られた台数です。国、県道の除雪にこれが当たっております。本来ならば、当然国と県の道路の管理者が、これらの機械を用いて除雪を行なうべきでありますけれども、町村が国や県になりかわって、いま除雪を実際にしているという状態でありまするが、これをいま少し、機械の増加も認めてもらわなくちゃならない。予算認めてもらわなくちゃいけない。特に除雪の機械を町村の実態に合わしてひとつ配置をするようにしたい。先ほどの、特別豪雪地帯を設けていただきたいというお願いと同じなんでありますけれども経済企画庁は、昭和四十一年から町村に雪上車を貸し付けるという、これは非常に善政である。善政でありますけれども、実情を知らないから、一町村三台なんという平均的な割り当てをしている。豪雪被害などというものは、町村別にみな違うのですから、一つ一つこまかく実情をやはりながめて、血の通った配分方法をしていただかなければならない。さしあたりことしから、この一町村三台などという原則を排除して、やはりひどいところには五台も六台も配置をしていただく、今年からこれを実施してくださるかどうか。これは、私はこの席上ばかりではない、直接電話でも企画庁に厳重に申し込んでおいたのでありますけれども、私の前からの申し入れとあわせて、この席上でひとつ明快な回答をしていただきたいと思うのであります。  それから、公共の建物の除雪事業に補助金をお願いしたい。これは文部省は、さっきごちゃごちゃ何か言っておりましたけれども答弁は長いが、結論を見たら、わずかスズメの涙の金しか出していない。新潟県でたった三カ所なんという、そんなことじゃ問題にならない。こういう公共施設、特に学校の建物等に対する雪おろしの除雪費というものは、もっと懇切丁寧に出していただくような考え方があるかどうか。  医療問題については、特に町村は悲鳴をあげている。これは僻地の問題と同じなんでありまするけれども、僻地に加うるに豪雪地帯の住民の最大の悩みであります。人の命に変わりがないのでありますから、こういう問題だけは特にひとつ慎重にかまえて、どうしても今年中にこの問題を解決してもらいたい。解決しなければ、何回でも何回でもこれを繰り返しますよ。やりますから。立法の処置は立法でやる、行政でいけることは行政でやっていただきたい。  限られた時間が参りましたから、いま一問だけ申し上げて、あとは皆さんの答弁におまかせいたしますけれども、国家公務員の寒冷地手当の問題です。  これもやはり豪雪と関係がありますけれども、御承知のとおり昭和二十四年に、雪国に働く恵まれない公務員関係の職員のために、冬営生活改善というところから、議員立法で、法律第二百号としていわゆる寒冷地手当が発足いたしまして、これは人事院等御理解ある御協力によりまして、たいへんいろいろの改善が行なわれてまいりましたけれども、まだ不均衡が完全に解決されておるわけではございません。関係公務員並びに地域自治体、豪雪地帯の自治体の方々は、この解決をすみやかに望んでいるのであります。  去る四十三年の国会で、両院において、すみやなかる改定の附帯決議が満場一致で行なわれている。これは人事院もよく御存じのとおりでありますけれども、この寒冷地手当の級の格づけは、私が申し上げるまでもなく、公務員諸君の手当の増額だけではなくて、自治体の交付税そのものにも大きく関係してまいりまするから、自治体の首長もあげて、超党派的にこのいわゆる公正な均衡格上げ等を要望いたしていることは、御承知のとおりであります。この点、十分ひとつ御了承いただきまして、公務員諸君の強い要求でありまするから、関係自治体が熱心に要望いたしておりまするこの問題を一日も早く解決をして、みんなが安心して働き得るような体制を整えていただきたい。  まず、質問の第一点として、昭和四十四年に参議院の内閣委員会へ提出された、いわゆる級地格づけの基準です。これは一体、絶対に不変なものであるか。  第二番目、昭和四十三年八月十六日に出された級地改定の勧告は、この基準に基づいて勧告されたものであるかどうか。  第三点、もしこの基準によって調査した場合、この基準が変わるのだったら別ですけれども基準調査では上位の級に該当するという結果——その基準に基づいてこれはひとつ級を上げなければならないという結果が出た場合には、一体人事院は、いつこれを改められるお考えであるかどうか。できれば、当然今年度からこれを直ちに改めるべきである。もはや勧告もお出しになるのでしょうから、改めるべきでありますけれども、具体的に、今年の何月からこれを改めるとおっしゃるのか、それをひとつ承りたい。両院とも附帯決議の中で、すみやかにこれを解決しなさい、改めなさいという勧告をしているのでありますから、両院の決議を忠実に履行するという任務が人事院にはあるはずでありますから、ひとつその点を明確にしていただきたい。四十三年に決議が付せられ、ことしでもう三年たっております。三年間、とうとう食い逃げされてしまっておる。当然給与の改定があってもらうべき給与を、もらってない。これは損失が大きいのであります。補償してくれとまでは言わないのでありますけれども、すみやかにひとつこれを改定するというお答えをいただきたい。  その給与改定の具体的な例、これは全部あげてしまったら、人事院の不公平をそのまま暴露するようなものでありますから、全部やりませんけれども、参考までに一、二を申し上げますと、わが新潟県の長岡市であります。  私の住んでいるところでまことに申しわけありませんけれども、不公平の例でありますから申し上げますが、ここは、同じ長岡市の中でも四級地と五級地が混然としている、こういう状態でありますから、人事交流上非常に不便だ。同じ市の職員の中でも、四級地へ行ったり五級地へ行ったりするものですから、非常に人事の交流がうまくいかない。  気温は、一九一六年から一九五〇年までの三十五年間平均です。この出所は気象庁の観測技術資料第十号、全国気温資料からとっておる。積雪量及び積雪期間については、一九三六年から一九五五年までの二十年の平均値で、農林省農業総合研究所の調べたものとなっておりまするし、また、日照時数は新潟地方気象台調べのもので、一八九二年から一九五〇年までの五十九年の平均値で、これはいわゆる公式資料であります。  その資料によりますると、気温が月別累年平均値で摂氏十二・三度です。デグリーデー指数ですと二七〇三。積雪量の平均は百四十三センチメートルで、基本基準は四・〇級地であります。また調整基準では、日照時間が七十九・三時間で一・〇級、新潟気象台調べ。積雪期間は九十三日で〇・五級地であります。合計いたしますると五・五級地になっておるのであります。  ところが、先ほども申し上げましたように、五級地がほんの一部分で大部分が四級地という、きわめて不均衡な状態にありますから、これをひとつ早急にお手直しをいただきたい。五級地でひとつ認めていただけますかどうか。お認めいただけますというならば、もうお答えはそれ一言でよろしいし、まだまだ云々おっしゃれば、これまた、繰り返しひとつ御質問を申し上げます。  次は、新潟県の南蒲原郡の下田村というところです。ここは非常に雪が多いところでありまして、新聞によりますと、ここには日本で一カ所、カモシカが住んでおるという。サルも生息しております。これはもう有名なところであります。  ここでの気温は、月別平均値で十二・三度C、デグリーデー指数ですと二六四〇で、積雪の平均が百八十一センチメートルであります。したがって、基本基準は四・五級地です。これは一九〇五年から一九六五年の森町という、県の種畜場がございますが、ここの数値で、新潟地方気象台の区内観測所の原簿からとった数値であります。また、調整基準では、日照時間は新潟市のものをとって七十九・三時間。ここは四囲は山また山の谷間の部落でございまして、実際の日照時間はもっと少ないかもしれませんが、観測はこのようにできておるわけでございます。この中の積雪期間は九十二日で〇・五級地。合計いたしますと、これは六・〇級地になるのであります。  これが四級地のままに放置せられている。これも当然五級地に認めていただく性質のものとわれわれは考えますが、一体人事院はどうお考えになっておりますか、御親切な答弁を要求いたします。  少し与えられた時間を超過いたしたようで、まことに失礼いたしましたけれども、私どもは、地域住民の多年の願いを込めて、ややくどくお願いいたしたわけでございますから、各省それぞれ責任ある答弁をお願いいたしたい。答弁に実のあるものがあれば、私はこのまま下がりますし、もし了解し得ないところがあれば、再三再四質問を繰り返すことを御了承をいただきたいと思います。
  53. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 非常に実態に即したお話を聞かしていただきまして、私ども豪雪地帯対策審議会の事務を預かる者といたしまして、十分ひとつこれからの施策において、ただいまの実情についての話を盛り込ましてやらしていただきたいと思います。  そこで、具体的な御指摘のございました点で、私のほうの関係があるかと思われる点をお答え申し上げます。  まず、集落移転の問題でございます。この問題は、現在過疎地域等を中心に、非常にその必要性が叫ばれております。なかなかこの仕事は、従来の公共事業をやるような形とは違いますので、どういう形でやればこれが円滑にできるかということは、非常にむずかしいところもあると思いますけれども、何といいましても実際にぶつかってみないといけないわけでありまして、四十四年度から経済企画庁予算として、この仕事に取り組んでみようということで始めております。四十五年度には、山村でございますが、四カ所ぐらいこの事業をやってみようということで考えております。もちろん、これはいわばパイロット事業でございます。全国でこういうような移転事業が必要であると思われるものは、非常に多数にのぼると思われますが、大体の方式が確立されたならば、これを農林省なり自治省なり、適当な実施官庁にお願いをいたしまして、ひとつ広範にやっていきたい、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。  それから、税の問題につきましては御指摘のとおりでございまして、非常に私どもの力不足を感ずるわけでございますが、今回の小委員会の答申において、この問題をさらに御指摘を受けました。調査をして、そして国、地方ともに適切な措置を講ずるようにという御趣旨でございまして、さっそくこの問題に取り組む、こういうつもりでございます。  除雪機械あるいは雪上車の問題の御指摘がございました。  除雪機械の問題は、これは道路の問題として、現在相当広範に補助が行なわれておりまして、まだ足りないとは思いますけれども、かなり予算の増額が行なわれている。今度の第六次の道路整備五カ年計画で、この点につきましては、建設省のほうで十分考えていただくつもりでございますが、私どものほうも積極的に、この推進を要望してまいりたいと考えております。  それから、雪上車の問題につきましては、もともと、これもいわばパイロット事業的な考え方で、大体五カ年ぐらいで必要な台数を確保してみようかということで計画的に始めた事業でございます。そこで、積雪の程度によりまして三台、二台、一台というように、一応県とも御相談した基準でやってきたわけでありますが、御指摘のように三台でもまだ足りない、さらにこれに追加をしたいということで、県単事業等で補助をしておる例も聞いております。この守門村についても、四十四年度でそういったことが行なわれておるようでございますが、それは、必要な台数を全部国庫補助でやるべきかどうかというところに若干議論がございますけれども、私どもとしては、これはひとつ前向きに取り組んでみたいと思います。  公共建物の除雪問題、これは文部省からお答えがあろうかと思いますが、御承知のとおり、こういったものの一般的な措置は、いわゆる交付税による措置であります。特に降雪が異常であります場合には特別交付税で措置される、こういう形でありますが、文教施設につきましては、いわば激甚災害というようなことに対する措置がなかったこともございまして、こういった特別の法律がつくられた、こういう経緯に承知をいたしております。  非常に補助金が少ないという実績で御指摘がございましたが、私、実はこの法律をつくるときに若干関係いたしました責任もありますので、少し申し上げておきますと、もちろん、この法律をつくって政令の基準をきめますときには、各府県、特に新潟県等の実際のデータを出していただいて判断をしたわけであります。ところが、どうも災害のデータというのは大体大きく出るものでございますから、それを基準にして、大体このくらいならば非常によく該当するだろうと思ってきめたものが、どうも高過ぎた、それが数年実施をしてわかってまいりました。そこで、四十三年に、先ほど文部省のほうで御説明がありましたように、基準の改定をして広くとれるようにした、こういうことでございます。まだこれでも不十分ということが、あるいは出るかもしれませんが、これはひとつ、私どものほうとしても今後検討してまいりたいと考えております。  そのほか、医療問題等については、それぞれひとつお願いしたいと思います。
  54. 栗山幸三

    ○栗山説明員 ただいま経済企画庁の局長のほうからお話のあったとおりでございます。私どもも、異常な豪雪ということがきまれば、できるだけ前向きで、十分カバーできるようなことを関係省庁と協力してやってまいりたいと思います。
  55. 信沢清

    ○信沢説明員 どんな場所に住もうとも、どんな場合でも、国民の医療を確保するという責任が厚生省にあることは、御指摘のとおりでございます。従来、豪雪地帯につきましては、いろいろ私ども対策について御注文がございました。私どもは、いま伺ったような実態をよく存じませんために、不十分な点が多いかと思いまするが、ともかく、ことし、診療所のお医者さんの往診用の雪上車というものについて補助をする道を開いたわけでございますが、先ほどもお話を伺っておりますと、これでもだめだ、こういう状態がしかも常時続くということでありますれば、これは私どもの認識が足りないという一語に尽きるわけでございますので、したがって、いま伺いました実情を、さらに現地の方々の御意見を伺いながら、前向きにその解決に取り組んでいきたい、このように考えております。
  56. 辻原弘市

    辻原委員長 ちょっと速記をとめて。   [速記中止〕
  57. 辻原弘市

    辻原委員長 速記を始めて。
  58. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 公務員の寒冷地手当につきましての御指摘でございますけれども地域区分の基準につきましては、前回に改定をいたしました四十二年の勧告の際に新しい基準をきめまして、それに基づきまして前回の勧告をいたしたのでございます。  前回の基準は、御指摘のとおり昭和二十四年からこの関係をやっておりますけれども、その格づけ及び調査の経験に徴しまして、さらにいろいろ寒冷増高費と生計費との関係等につきまして検討をいたしましてつくり上げたものでございます。それによりまして、全国的な公平の原則で格づけを前回やってきたわけでございます。それによって、上げるべきところを上げ、下げるべきところも若干ございますけれども、その点は今後の検討にまつという形にしたのでございます。  したがいまして、この関係は、もちろん絶対不変というものではございませんけれども、私どもとしましては、一応現在は最善のものというふうに考えておるわけでございますが、それによりまして、いま御指摘がございました長岡とかあるいは下田等のところにつきましては、御指摘のとおり私どものとる資料にもよりますけれども、私どものところにおきましても前回いろいろ検討しました結果、近いということは考えておりますけれども、たとえば積雪期間のとり方とかそういう関係で、まだ、資料を今後もよく調べてみたいというようなところが若干ございますので、そういうところにつきまして、なお新しい資料の入手をしつつ検討をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  59. 辻原弘市

    辻原委員長 小林委員に申し上げますが、労働省の雇用政策課長はすぐ見えるそうでありますが、一応、次の質問段階で見えましたら、その時点でお答えを得ることにいたしたいと思います。  時間が経過をいたしておりますので、小濱新次君。
  60. 小濱新次

    ○小濱委員 だいぶ時間が経過をいたしました。私も時間の制約を受けておりますので、なるべく重複を避けて、若干の質問を続けていきたいと思います。  質問に先立って委員長にお願いしたいのですが、企画庁、科学技術庁、農林省、建設省、私の質問いたしたい省庁では、全部課長さんが答弁ということになっております。したがって、先ほども指摘かございましたけれども、どうなっているか、その内容お尋ねする以外にはない。そういう点で、当委員会の威厳という立場からも、これからなるべく、そういう点御高配をいただきたいことを、冒頭にお願いしておきます。  そこで、企画庁にお尋ねいたしますが、いままでいろいろと、きびしい質疑応答がございました。やはり福祉国家というそういう立場から、いままでのような質疑の内容があったわけでございますか、やはりそういう立場から、この問題は重視をし、時間をかけて審議は続けなければならない、こういうように私どもも考えております。そこで、いろいろと準備をしたわけでございますが、時間の関係で、私も極力少な目にして問題をお伺いしていきますので、よろしくお願いしたいと思います。  豪雪地帯対策については、わが国は、豪雪地帯においては、他の地域に比しまして生産性も非常に低い。私は新潟へ二回ばかり行ってまいりました。いろいろと現地の声を伺いますと、昨年度あたりでも冷害があった。そうして減収した、あるいは減反の指示があった。そこで真剣に農業に従事できない、何となく力が入らない、こういう点での減収。また、物価が上がる、生産者米価は上がらない、こういうことからも、その収入は非常に大きい減収となっている。こういう問題があるわけです。生活費が非常に割り高になっているので、この地域対策についてはやはり積極的に対処しなければならない、そういう時期にきていると私は思うわけでございます。この豪雪地帯対策は、狭い意味の災害対策だけではなくして、地域振興政策という観点から、広域的、総合的に検討すべき段階にきている、私どもはこういうふうに考えるわけですが、この点についてどういうふうになっているか、企画庁の足利課長さんから御答弁をいただきたいと思います。
  61. 足利知己

    ○足利説明員 非常に大きな問題でございますが、お説のように、豪雪地帯につきましては、単に災害防除だけでなくて、むしろ基本的には、地域の総合的な開発について積極的に取り組むべきであるというように、われわれも考えております。先ほど来お話が出てまいりましたこのたびの豪雪地帯対策審議会の答申におきましても、そういった趣旨で、総合的な地域開発政策の充実ということがうたわれております。  それがどうなっておるかと言われまして、これを具体的にいろいろ申し上げるのもたいへんでございますが、私どもといたしましては、先ほど閣議決定いたしました新しい全国総合開発計画におきましても、特に豪雪地帯、具体的にいえば裏日本ということになりますが、そういったところについては、表日本の大集積地との連携をより一そう緊密にするといった点、あるいは産業開発の面におきましても、より地域の特性に応じた開発を進める等、いろいろ今後の方向を明らかにしておるわけでございますが、そういった方向に沿いまして一そう努力してまいりたいというように考えております。
  62. 小濱新次

    ○小濱委員 今国会でも、過疎問題が大きく取り上げられました。この過疎対策を膨大な予算を計上して、これが対策のために力を注いでいこうということで、前々からこの問題については、各党とも強力な検討を続けてきておりますけれども、やはりいま御質問いたしましたこういう内容が真剣に検討されていかなければ、過疎問題の解決もないわけである、こういうふうに私どもは考えるわけでして、きょうは課長さんからの御発言でございますので、いろいろとむずかしい内容についての御質問は避けたいと思いますが、そういう点をよく勘案しながら、こういう問題の解決に一そうの努力をしていただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  企画庁については、あと何点かございましたけれども、申し上げましたような時間の問題がございますので、全部割愛いたしまして、これで企画庁関係は終わらしていただきます。  次は、科学技術庁関係、原野総合研究課長さんにお尋ねいたします。  現在新潟県下には、防災科学センターの機関として、三十九年長岡市に雪害実験研究所、四十四年新庄市にその支所が、それぞれ設置されているそうであります。ところが、これは現地の声でありますが、当初の目標とするところの十分の効果があがっていない、こういうふうに聞きました。  そこで、今回のような異常豪雪に対し、いかに雪害を防ぐかというそういう観点に立って、それと同時に、雪害を乗り越え、雪の利用、その特異性の克服をはかるベく、至急に充実した総合研究機関を設立すべきである、このように、現地の声を聞きながら私は感じたわけでございます。その点について、具体案はあるのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  63. 原野律郎

    ○原野説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、三十九年末に新潟県長岡市に雪害実験研究所をつくりましたが、この新潟県長岡市の雪害実験研究所におきましては、主として雪質の変化の問題であるとかいうような基礎的な試験研究を遂行してまいりました。しかし、雪害に関しましては、どうしても大規模な野外実験を必要とする、それなくしては技術的な解決もなかなかめどが得られないという考え方から、先生指摘のとおり、昨年十月に新庄市に特に支所を設けまして、そうした大規模な野外実験の研究開発に当たらせるように努力しておる次第でございます。  なお、雪害関係の試験研究全体の問題につきましては、私ども科学技術庁は、試験研究に関します総合調整官庁としての機能を持っておりますので、その意味におきまして、関係各省庁を網羅した形でのそれぞれの試験研究の総合調整、さらに、私どもが持っております特別研究促進調整費というような研究費を至急支出いたしまして、関係省庁の総合的な協力を得て、具体的に施策を展開していくというふうに考えておる次第でございます。
  64. 小濱新次

    ○小濱委員 茨城県の筑波学園都市、あの予定地に、今回地震に対する研究所ができました。見てまいりましたけれども、もう想像もできないような内容を持った研究所でございました。これほどのものができるんだから、私はこういう総合研究機関もできないわけはない、こういうふうに感じるわけです。どうかそういう点も勘案しながら、今後一そうの努力をお願いをしたいと思います。  次に、農林省関係では、豪雪地帯における消雪遅延による稲作及び養蚕対策として生産安定をはかることが必要である、こういうふうに考えますが、ことしは、三月に入ってもかなりの降雪があった。先ほど小林先生のお話のとおりであります。特に南、北、中の魚沼地帯、それから東頸城、こういう山間地帯においては、例年に比して稲の作付が、平均十日から十五日おくれている。水も冷たく、そのために稲の発育が非常に悪い。そうして五月、六月、七月と気候の変化が激しいと、こう見られておるようであります。あたたかくなると、今度は稲が急に生育するために、軟弱な稲として、先ほどもお話があったように、病虫害が発生をする。今年度は政府の減反政策によって各農家とも一割減反を余儀なくされて——こういう現時点においても、すでに作付のおくれにより一割前後の減収が、残念ながら予想されているわけでございます。したがって、一割の減反、一割の作付のおくれによる減収、この二重の被害を負担すべき農業従事者の生活は非常に不安定であることは、想像にかたくないわけでございます。いろいろと雪のためのこういう被害が発生して、そして、とうとい住民の福祉生活がおかされているという事実が起こっているわけであります。  いろいろときょうは御質問がございましたけれども、われわれの納得するような御答弁は得られません。非常に残念でありますが、どうかひとつ、御質問を申し上げたようなこういう点についての政府の対策、現在までの内容でけっこうでありますから、その対策はどうなっているのかということをお答えをいただきたいと思います。
  65. 遠藤寛二

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  本年、先生指摘のとおり、当初雪が非常におそい時期にございまして、三月になりましてからかなりの雪がございましたために、各地におきまして、苗しろの設置がかなりおくれるという事情がございました。その後、天候が非常に急速に回復いたしましたために、ただいまのところではかなりおくれを取り戻しまして、地域的にはいろいろなことがございますでしょうが、新潟県全体としては作況並みというところまでこぎつけてまいりました。私ども幾らか安心をいたしたわけでございます。  そこで、苗しろ対策でございますが、従来補助金を出してまいっておりますが、今年の場合、どうも従来の基準等に照らして考えますと、補助をいたしますことは非常に困難な状況ではないかと思っております。一つには、こういう補助の御要望が出ておりますのが新潟県一県しかないということでございますのと、その他にかかります経費を、従来補助金として見ておりますが、その点内容の問題がございまして、ただいま大蔵省とも折衝をいたしておる段階でございますので、今後とも折衝はいたしてまいりたいと存じておりますが、ただいまのところではたいへんむずかしい状況でございます。  それからもう一つ新潟県の東部のほうにつきましては、三年に一度くらいこういうことが、先生もおっしゃいますとおりございますので、何か恒久的な対策ということでわれわれも検討いたしておりまして、新潟県からの御陳情も、今度初めて共同育苗センターというようなものの御陳情がございましたので、その点私ども、まことにごもっともだと思いますので、この問題につきましては、今後私どもといたしましては検討いたしてまいりたいと思います。この点につきましても、従来農業改良資金では、そういった育苗施設というものは対象にいたしておりますが、今回は特に御陳情もございますので、また今後、その点につきまして一そう検討いたしたいと思っております。
  66. 小濱新次

    ○小濱委員 もう一点、農林省山下課長さんにお尋ねいたします。  養蚕の現状については、蚕のえさになる桑の木の発育が非常におくれているそうであります。蚕には年四回の収穫がある。その四回中最高の収穫を得られる春蚕の収穫も、桑の木の影響で思うにまかせなかった、こういうふうにいわれております。そうして次回、五月、六月の収穫期には、ちょうど稲作の農繁期に重なってしまう。そこで労働力の絶対量が不足してしまう、こういうことを伺っております。養蚕における十分な収穫を危ぶまれている、こういう声を聞くわけでありますが、このようなことは、農家にとってかなりの収入減。いま農家は、稲作をやり、そして非常に楽になってきたので、収入の多いこの蚕の仕事に一生懸命携わっているそうでありますが、この蚕の収入が減るということがまた、生活に大きな影響をもたらすということになって、非常に不安感を持っているということであります。この点についてどういうふうなお考え方をお持ちになっておられるか。この対応策はあるのかどうかということでお尋ねをしていきたいと思います。
  67. 山下武雄

    ○山下説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話しの、豪雪のために春の蚕がかなり減産になるということは、お話しのとおりでございまして、大体新潟県の春蚕というのは、年間の四五、六%を占めております。したがって、それの影響はかなりございますが、その後の蚕が、稲作との労働競合でなかなか十分にできないであろう、そういうお話でございますが、私どもといたしましては、まあ対策といたしましては、従来から続けております養蚕の生産の組織化といいますか、特に稚蚕の共同飼育ということによりまして、養蚕の——大体三齢まで共同飼育をいたしますと、飼育期間の半分ぐらいは共同でやることができまして、かなり生産性も上がりますし、農家の労働配分にもいい影響を与えておりますので、そういう方向で指導をいたしておりますし、また、稚蚕共同飼育というのは、大体七、八〇%はもう実行されておりまして、かなりの成果をあげている。従来はこれを二齢までやっておりましたけれども、できるだけ三齢まで延長するように、そういうことで指導をいたしております。  以上でございます。
  68. 小濱新次

    ○小濱委員 蚕業課長さん、専門のようでございますので、少しお尋ねしたいのでございますが、私は、神奈川県ですから、この豪雪のことも身の体験はないのです。蚕のこともそうなんですけれども、いろいろといままで伺ってきた蚕の飼い方、昔は寝るところもないくらい、家の中に目張りをし、あたたかくして、そして、最も大事に蚕を育てたそうであります。したがって、桑の木をえさにやるときでも、かたいところは取って、やわらかいところを非常にこまかく切って食べやすいようにして、大事に、大事にして育てた、こういうことでございますので、非常に手がかかった。いまの蚕の飼い方は非常に違ってきたと、こう聞いているわけです。蚕なんか露天で飼っているという話を聞いております。桑はもう幹のついたまま並べて、自由にお上がんなさい、こういうふうにやっておるところが、私どもはとても、いままで聞いておった内容と違うわけですけれども、きょうは、あと先生お一人でございますので、おそくなりついでに、いまの問題を参考までに聞かしていただきたいと思うのです。課長さん、いかがでございましょう。
  69. 山下武雄

    ○山下説明員 いまのお話は、大体お話しのとおりでございまして、従来は寝るところも、というようなことでございましたけれども、いまは春の蚕は、ところによると全くの露天でも飼えますし、労働生産力で申しますと、大体ここ十年間で労働時間、労働生産力は倍になりまして、一キロ繭をつくるのに六時間余りかかっていたのが、三時間ちょっとくらいになりまして、非常に生産力は上がってきております。ただ、新潟県については特にそうなんですが、一月当たりの養蚕の規模が非常に小さい。そういうことからも、新潟県の養蚕の生産性は低いし、また、現実にそういう低い農家はおやめになって、続けられる農家は、一戸当たりの規模をどんどん大きくしている。そういうことによって、生産性がどんどん上がっているという、そういう実態にございます。  たいへんあれですけれども、この程度でよろしゅうございましょうか。
  70. 小濱新次

    ○小濱委員 ありがとうございました。  最後に、建設省にお尋ねいたしますが、井上企画課長さん、新潟県下の一般国道、それから地方道、一般県道における除雪事業も年々拡充をされている、こういうふうに伺いました。ことしの場合、降雪量も非常に多かった。例年ならば除雪は四月で打ち切りになるが、五月になってもなお除雪が必要となっている、こういうことでございました。ところが、もう新しい年度を迎えたわけですけれども、四十五年度分の除雪費も使われているという話を聞きました。  このような異常豪雪による経費の膨脹も考慮して、現行の災害対策の柔軟な運用、これによって適正な財政援助の必要性が当然起こってくるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。これに対して恒久的な対策を講ずる考えがあるのかどうか、これは建設省からお答えをいただきたいと思います。
  71. 井上孝

    ○井上説明員 お答えを申し上げます。  私のほうは雪寒事業費の中の除雪費を、毎年直轄及び各府県に配分しておりますが、その配分の方法は、例年の積雪及び除雪の実績を勘案いたしまして、十一月にひとまずその年度の七割を配分いたしまして、あと三割を本省に保留いたしまして、その年の降雪状況に応じて追加配分する。今年度は二十二億七千万の除雪費を予算上予定をいたしております。これは地方単独事業を除いております。そういうことで、今年度十一月に配分いたしまして、一月末の降雪状況によりまして、二月に追加配分をいたしました。これは各道路管理者から雪の降り方に応じて要望をとってやったわけでございます。  ところが、二月の時点の追加配分では、各府県の道路管理者からとりました要望を集計いたしましても、なお、いま申し上げました二十二億七千万から六千万余っておりました。これが余りますと、私どもとしては繰り越しか、あるいは不用額にたてるという事態でございましたが、例の三月のドカ雪がございまして、急遽三月に再び、ドカ雪のありました当該府県から要望をとりましたところが、直轄も含めまして不足額が八千万円になりました。したがって、保留しておりました六千万円は全部、それから他の道路事業費から流用を認めていただきまして、この八千万円を、三月十九日に各道路管理者に配分したような次第でございます。  いま先生の御指摘のように、四月、五月に除雪も相当あったようでございますが、私どもの除雪事業は、御承知のように雪寒法に基づきまして、除雪の指定路線がございます。この指定路線はもちろん幹線でございますので、ただいま申し上げました八千万円の支出によりまして、大体三月中に除雪を終わっております。したがいまして、四月、五月にあるいは県道の一部、市町村道の一部等に、各道路管理者は除雪の費用が要ったかと思います。御参考に申し上げますと、新潟県では県費で二千三百万円ほど追加支出をしたということを伺っておりますが、実は、これは私どもの補助対象になります指定区間以外でございますので、県単で処理をしていただきました。こういう実情でございます。  なお、今後こういう異常事態に対して、いま先生の御指摘のように、年度をまたがる場合にどうするかという問題でございますが、これは、四十五年度もすでに雪寒事業費は予算上きまっておりますし、それを放出するなり、あるいは、先ほど御指摘にもございました異常災害ということで災害費をとる。これは道路局の経費というよりも、災害の予備費でとります。そういうもので、御指摘のように、今後弾力的に処理をいたしていきたい、こういうふうに考えております。
  72. 小濱新次

    ○小濱委員 企画課長さん、非常に詳しいので、もう一つ疑問を持っていることをお尋ねしたいのですが、新潟県には国道の歩道橋が四十本前後ですか、あったと思います。幾つか御存じならばお教えいただきたいと思いますが、その歩道橋が、屋根がついているのがある。あるいはまた、中にとかす機械を設備してあるものがある。屋根がついてないのもある。ところが、先ほどの小林先生質問ですと、どこから入ってくるかわからない雪、こうでしょう。そうすると、屋根があっても、歩道橋の中はきっと雪で一ぱいになっているに違いない。歩道橋が用をなさないというそういう豪雪地帯では、それを渡る人たちは、どうやって向こう側へ道を変えるのか。非常に車の通行の激しい道路になっているのか、車が通らないのならばどういう形で向こうに渡っていくのか。通れるようにしたら、今度はそこしか渡れないわけですが、話を聞いているうちにこういう疑問点がわいてきたわけです。御存じならばお答えいただきたいと思います。
  73. 井上孝

    ○井上説明員 お答えいたします。  新潟県下の歩道橋につきましては、ちょっとただいま、手元に資料を持っておりません。ただ、豪雪地帯からは、最近交通安全上非常にふえました歩道橋、これが降雪の時点に非常に使いづらいという御意見は、しばしば伺っております。中には、横断歩道橋ではなくて、地下道にしてもらえないか。地下道にいたしますともちろん雪があまり入りませんし、地下道が一番いいという御意見も伺っております。ところが、実は地下道の建設は、場所にもよりますけれども、歩道橋よりも施設費が四倍以上かかります。それから、地下埋設物との関係で、技術的にできない場合もございます。それから、さらに地下道にいたしますと、危険防止とかいうようなことで常に照明をしなければならない。維持費も非常にたくさんかかる、こういう経費上の問題がございますので、地下道を全面的に雪寒地帯設置するということも、まあ可能ではございますが、全面的にやるということは実際上なかなか実現しにくいということで、先生いまおっしゃいましたように、苦肉の策として、屋根をつけたり横の壁をつけたり、あるいは場合によっては——どもで、いま主として直轄で試験的にやっておりますが、歩道橋の床に電熱線を入れまして、雪が降ってもすぐとけて流れるというようなことも、相当あっちこっちで実験をやっております。これも実は経費計算をいたしませんと、電熱費が非常に高くつきまして、この維持費が道路管理者の負担になりますので、実現不可能という場合もございますが、いま申し上げたようなことで、先生指摘の点は、私ども、いま研究課題でございます。
  74. 小濱新次

    ○小濱委員 一そうの努力をお願いして、私の質問を終わります。
  75. 辻原弘市

    辻原委員長 この際、先ほどの小林委員に対する農林省答弁をいたさせます。農林省大河原参事官
  76. 大河原太一郎

    大河原説明員 豪雪地帯に対する農林関係については、先生の具体的な御指摘がいろいろあったわけでございますが、豪雪地帯につきましては、従来の施策といたしましては、地域がおそらく重なるわけでございますが、林業につきましては林業構造改善事業、あるいは農林漁業につきましては山村振興法に基づく山村振興特別開発事業というようなものを行なってきたわけでございます。これらの施策の整備充実は、これはとりあえずできることでございますので、進めるというふうにわれわれも考えております。  なお、稲作等について、豪雪と融雪期間の遅延に伴います苗しろ作業等の非常にきびしいお話が種々あったわけでございますが、この点につきましては、今後の方向といたしましては、先ほど小濱先生との質疑応答の中で明らかにされましたように、共同苗しろの大がかりなものというようなものについて、積極的に地域の実情に応じたものを助成して、きびしい条件のもとにおける稲作作業の負担の軽減につとめるというようなことをはかっていく必要がある、というふうに考えております。  なお、畜産等についても種々具体的な御指摘があったわけでございますが、畜舎やあるいはサイロ等、豪雪地帯に即応したようなものにつきましては、現在では山村振興特別開発事業の共同管理施設とか、あるいは農業構造改善資金の三分五厘資金とかいうものにつきまして助成をしておるわけでございますが、それらの条件が、はたして豪雪地帯の需要に合っているかどうかという点については、なお再検討する必要があるというふうに考えております。  いずれにいたしましても、豪雪というきびしい苛烈な条件のもとにおける農業経営に対しては、さらにきめのこまかい施策を検討する必要があるというふうに考えております。
  77. 辻原弘市

    辻原委員長 林百郎君。
  78. 林百郎

    ○林(百)委員 新潟県関係の豪雪の切実な質問がありまして、これは長野県も全く同感でして、長野県の北部は、全くいまの新潟出身の議員の皆さんの質問にぴったりするような情勢でございます。しかし、私はきょう、いよいよつゆどきを控えて、防災関係として国がどういうことを考えているかということについて、二点ほど分けてお聞きしたいと思うのです。  これは長野県のある郡の資料なんですけれども、長野県に上伊那というところがありますが、この伊那建設事務所の調査によりますと、つゆどきとなって雨が降れば、これによって管内で合わせて百二カ所の赤信号地域が出てくる。延べ三万二百九十メートルの危険個所がある。これに関係する世帯数は五百七十二世帯、公共建物で十二カ所、工場などで百五十棟、田畑合わせて耕地で三百十二ヘクタールあるという調査が発表されているわけですけれども、これは一つの県の一郡だけでこのような数字が出ておるわけですけれども、全国的にいって、つゆどきを前にして、こういう危険個所についてはどのような調査をし、どのような実情にあるか、ひとつ聞かしていただきたいと思うわけです。
  79. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 お答えいたします。  例年、出水期に入りますと、建設事務次官名で、出水期に対する諸施策について行政指導をしておりますが、ただいま御指摘のありました長野県の問題につきましては、これは水防法によりまして、毎年各都道府県並びに市町村は水防計画書を作成することになっておりますが、その水防計画書の中で、危険個所というものをあらかじめ想定いたしまして、それに対する具体的な措置を各個々検討をしておるわけでございます。  それは水防という活動を通じての消極的な対策ではございますが、基本的には、そういうはんらん区域につきましては河川改修を促進いたしまして、特に直轄河川のみならず、中小河川等の改修も促進しなければなりませんが、ただいまの先生の御指摘の問題については、水防法という立場から、各市町村の固有の責任ということになっておりますので、その市町村固有の水防事務を進める意味におきまして、水防計画書の中でそういう危険個所を想定して、それに対処する準備を行なっておるわけでございます。
  80. 林百郎

    ○林(百)委員 水防の責任の所在が各市町村、それから県ということだからといって、国が、このつゆどきを前にして、全国で一体何カ所ぐらい危険個所があり、そして、人命と人家に対してどれくらいの影響を及ぼすことになるだろうかという、そういう全国的な状態を把握しなければならないんじゃないでしょうか。水防の責任が市町村と自治体にあるから、国のほうはそこにまかせきりというわけにいかないんじゃないでしょうか。
  81. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 ただいま申し上げました水防計画書で、危険個所というものがいろいろ想定されておるわけでございますが、これらの危険個所の想定に関しましては、各河川の実情その他でいろいろ差がございますので、実は各都道府県におきまして、あるいは市町村におきまして、独自の考え方、標準的考え方はございますが、おおむね各個個の地域に相応する危険の状態基準を想定いたしまして、それに基づいて危険個所を作成しているわけでございます。それにつきまして、建設省といたしましては各都道府県の計画書を、毎年計画書ができ上がった段階で、報告義務といいますか資料の提出をお願いしておりまして、その報告書は、全国全部私の手元にございますが、しかし、先ほど申し上げましたように、各危険の基準が多少差異がございますので、その危険個所をここに合計はいたしておりません。
  82. 林百郎

    ○林(百)委員 危険個所に差異があるにしても、建設省として見て、至急この県のこの個所は手を打たなければならない、そういう個所、あるいは人命に影響を及ぼすところ、あるいは人家に及ぼすところ、そういうところは把握しておらないのですか。ただ、県から来ているからそれを私の手元で持っているだけです、こういうことでいいのですか。
  83. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 危険個所でもいろいろ、小さい雨でもすぐ危険になるとかいろいろ段階がございますが、それらにつきましては、緊急を要するものについては、現在国が国庫補助事業でやっております中小河川の改修事業とか、局部改良事業等によって、そのつど適切な措置を講じておりますし、災害があったあとにおきましては、改良復旧等の問題も含めまして、災害助成事業でもそういう危険個所は逐次解消するように、現在改修事業を進めておるわけでございます。
  84. 林百郎

    ○林(百)委員 私の聞いているのは——これは幾らあなたと問答してもしようがない。全国的な展望として、建設省としては、各県からあがってきた水防計画を検討した結果、本年のつゆどきを控えて、何カ所には至急こういう手を打たなければならない、何カ所は特に人家、人命に影響を及ぼす場所である、これにはこういう手を打たなければならない。こういうことを、全国的な展望のもとに建設省がどのように把握しているかということを、国会に報告できないのかどうか、こういうことなんですよ。各県から水防計画があがってきているから、それはいろいろの差異があるから、それはそれにまかしておくよりしようがありません、各県の自主性にまかせてあります、そういう答弁しかできないならできないで、やむを得ません。  しかし、私は、これは委員長にお願いしますが、資料としてぜひ出していただきたいと思うのです。そんな、建設省自体が、水防計画は自治体と県にあるから、それは自治体と県におまかせしておきますということだけでは、これは国会としては、われわれ議員の責任を果たしたことにならないと思います。その資料を出すということはどうですか。
  85. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 先ほどもお答えいたしましたように、危険個所の種類がまたいろいろございます。適切な集計になるかわかりませんが、一応危険個所ということで銘打ちまして集計することはできると思いますので、資料として出せると思います。ただ、分類が、いろいろ定義を設けましても、各県の合計が同じ表題に適合するようにはなっておりませんので、その点は御了解を賜わりたいと思います。
  86. 林百郎

    ○林(百)委員 では、それはそれでお願いしておきますが、私たちが心配するのは、これは建設事務所の発表なんですけれども一つの県の一つの郡だけで百二カ所の危険個所があり、延べ三万二百九十メートルの危険個所がある。世帯数で五百七十二世帯だということは、非常に大きい数字だと思うのです。公共建物ですら十二カ所あるというような、こういう非常に大きな個所が、つゆを寸前にして危険個所となっておるということは、一体どこに原因があるのか。ここでいろいろこまかいことを質問する時間がありませんけれども災害が起きればそこを復旧する、そういう従来の建設省の態度ですね。そうして、しかもそれが二年、三年、四年に及ぶから、次の年の災害には十分間に合わない。そういうことから、さらに予防的な防災措置を積極的にする、そういう姿勢に移行することはできないものかどうか。要するに、原状に復旧するというところが精一ぱいであるが、事前にむしろ、そういう事故が起きないような積極的予防措置をとる、そういう政策に移行していくということはできないものかどうか。また、そういうことに移行するとすれば、どういう問題を処理し、解決していかなければならぬと思うのか、そういうことを聞かしていただきたいと思うのです。
  87. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 災害の原因でございますが、いろいろ気象状況にもよることと思いますが、基本的には、やはり河川改修のおくれというものが問題になってくると思います。建設省といたしましても、これらに対処するために治水事業五カ年計画、今年度が第三年度でございますが、この治水事業五カ年計画の中におきましても、特に先ほど先生指摘の防災的な立場、しかも、それらの水系を一貫して考えるということで、治水事業につきましては抜本的な促進をはかるよう考えておるわけでございますが、全体の事業費も非常に膨大なものですから、先ほど御指摘のように、すぐいまの段階で、災害を全くなくすということにはなかなかまいらないというのが実情だろうと思います。
  88. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、あなたの言われた治水計画というのは、積極的な予防的な事前の措置をとるという政策が、その中に入っているのですか。それとも、いままで決壊した場所を、第三年度で一応その危険個所を原形復旧するという性格のものになっていますか、どうなっているんですか。
  89. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 先生の前段のほうの御指摘の、積極的に予防的な措置を講ずるという内容でございます。ただ、災害でこわれた個所の問題がございましたが、これはそのつど、災害が起きれば災害復旧事業として採択しておるのが実情でございまして、治水事業五カ年計画の内容は、予防的措置に積極的な内容として含まれております。
  90. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。  そこで、そういう積極的な計画があるにもかかわらず、私たちの調査によりますと——天竜川という川がありますけれども、そこに中部地方建設局の天竜川上流工事事務所というのがあるのです。そこへ行って私のほうで調査してみたのですけれども、八十キロメートルの天竜川の維持費が年間三千万、要するに一キロメートル四十万なんですね。こういう維持費では、天竜川という、ああいう川の治水ができないことはもう明らかだと思うのですよ。八十キロメートルもの天竜川に対する維持費を三千万というわずかな金額にする、この基礎というものは一体どこから出てくるのですか。これはもう工事事務所の責任者が、とってもこんな予算では、あなたの言うような予防措置どころの騒ぎじゃない、現状維持すら不可能だ、こういうことを言っているのですけれどもね。
  91. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 ただいま先生指摘の直轄河川の維持の問題でございますが、これにつきましては、ここ数年来、常に改修等よりもより以上に重点を置きまして、毎年の費用を増額しております。その結果でもなお、先生指摘のように、十分とはわれわれも思っておりませんが、ここ数年来、ほかの事業費よりも最も優先して事業費を伸ばし、維持費の完ぺきを期したいというぐあいに考えております。
  92. 林百郎

    ○林(百)委員 不十分だということを認められるならいいけれども、いかにも十分な予防措置を講じているような答弁だった。しかし、実情はそういう実情だ。  それから、これは建設省と気象庁、ことに気象庁にお聞きしたいのですが、これからつゆどきになって、雨量をはかるということが非常に重要なことになると思うのですよ。この気象庁の雨量計というものは非常に原始的なもので、これは話にならない。少なくとも近代的なテレメーター式の雨量計がほしいということですね。これは気象庁も建設省も、ともに要望しているわけですけれども、一体気象庁の自記雨量計というのはどういう設備でやっているのか、ちょっと説明願いたいと思うのです。  それで一体間に合うのかどうか。非常に原始的なものでやっている。しかも、気象庁だけでは間に合わないから、やむを得ないので、各自治体が自分で、非常に原始的な施設をつくって雨量をはかっているような状態だというわけですけれども、これからつゆどきを控えて、雨量がどのくらいかということを正確に、科学的に把握することは非常に重要だと思うのですが、それについて気象庁はどう考えているか。さらに、テレメーター式の雨量計を設置するについては、どういう考えを持ち、どういうところに問題があるか、説明願いたいと思います。
  93. 高橋浩一郎

    ○高橋説明員 お答えいたします。  ただいまの点、確かにおっしゃるとおりの点がございます。しかし、雨量と申しますのは、測定する原理が非常に簡単でございまして、簡単に申すならば、コップに雨を入れましてその深さをはかれば、それでもうよろしいわけでございます。そして、いまのテレメーター式がほしいというのは、おもに、豪雨がありました場合に、豪雨警報なり何なりを出すために早く知りたいという意味で必要なのでございまして、そういう意味では確かに必要だと思います。  その方式によりまして、気象庁の観測もおいおい進めていきたいと思っております。それには、何しろ予算や何かがかかるものでございますから、十分に進みかねてはおりますけれども、来年度予算にも一部計上いたしまして、そういう方向に持っていきたいと思っております。
  94. 林百郎

    ○林(百)委員 私も、びんの中に雨を入れて、それではかっているということを聞いているのですよ、気象庁がね。しかし、防災関係からいって雨量を測定するというのは、何分あるいは何秒にどれくらいの雨量があるかということを科学的に調べて、このままいけばどのくらいの降雨量になる、そうすれば水がどのように溢水してくる、そうすればすぐ予防措置をしなければならないという科学的な措置が、あとに継続しているわけですよ。それをコップに一ぱいになるまで見ていて、大体コップに一ぱいになったからこの雨量はこれくらいだというようなことを、気象庁がまだやっているということは、これは全く時代錯誤だと思うのです。もし予算が必要なら、どうしても近代的な雨量測定器としてはテレメーター式のものがほしいから、本年度予算にはぜひということを委員会でも言ってもらったり、われわれ国会も、いまもって日本の気象庁がコップに入れて雨量をはかっているという状態では困りますので、その点はもっと積極的な態度をとってもらいたい、こういうように思うわけです。何か答弁ありますか。
  95. 高橋浩一郎

    ○高橋説明員 ただいまのコップではかるというのは、これは気象庁でやっているというわけではございません。そういう方法でもやれるのでございまして、一般の方なんというのには、そういう方法でも非常に役に立つということを申し上げたのでございます。  気象庁でやります場合には、やはり自記雨量計を使っておりまして、刻々観測値はテレメーター方式で——テレメーターと申しましても、これはいろいろ場所がございますので、測候所でやるのもございますし、山で観測しておるのもあります。山で観測しておるのは、無線を使いまして、一時間おきに雨量が入るようになっております。そういうものでやっておるのでございまして、決して、いま先生申されましたようなコップでやっておるわけではございません。
  96. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。いずれにしても、何か入れものに入れて非常に原始的なやり方をやっているという話ですから、これは至急改善しなければならないし、そのための予算関係だったら、当委員会へ懇談でも申し込んでいただけば、そして、実際の近代的なテレメーター方式といま使っているものと比較してもらえばわかるわけですから、やはりそういう努力を積極的になさる必要があると思うのです。  それから、次に防災関係のことをお聞きしたいのですけれども、実はこれから雨季を控えて、防災関係を考えなければならないのですが、これはさっき新潟でも、過疎地帯の問題が出たのですが、これは長野県でもそうですし、地方では非常に過疎地帯が多くて、水防能力を持つ人たちがいないような事態のところが非常に多いわけなんですね。これは防災関係は建設省になりますか。——なるわけですね。ですから、機動力でも持たせないと、そこここの部落あるいは市町村では、独自ではもう防災能力を欠くところが方々に出てきているのじゃないかと思うわけなんですが、そういう場合、多量の雨が降る、あるいは川が溢水する、そういう中で孤立した過疎地帯の水防作業をしなければならないというような、非常に困難な問題があると思うのですけれども、それに対してはどういう考えをお持ちですか。
  97. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 お答えいたします。  過疎地域における水防団員の減少に伴う問題でございますが、先生指摘のとおり、若年層が毎年非常に減っておりまして、水防団員の数も減少するとともに、年齢も老齢化しております。したがいまして、水防団員を確保することはなかなか困難な実情でございます。  こういうことにつきましては、市町村で極力水防団員の確保策を講じておるわけでございますが、建設省といたしましても、水防工法の改善とかあるいは資機材、機械化というようなものである程度省力化できるものについては、極力その方向に進めるよう検討しておりますが、必要に応じては消防機関等の強化ということも、水防の不備を消防機関のほうで——現在常設機関としてございます消防機関が水防に当たっておるわけでございますが、そういう方向で過疎地域の各市町村にもお願いするという方向で、検討を進めております。
  98. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題で一つだけ。無線設備で、たとえば市町村役場とそれから過疎になっておる部落との間を、無線で相互に連絡し合う。これは有線ですと、災害があるとすぐ切断されて連絡がつかなくなるから、そういう無線で過疎地帯と自治体の中心地とを連絡するような機械化の方向については、積極的な考えなり、実際の施設の充実というのは考えておらないのでしょうか。
  99. 飯塚敏夫

    ○飯塚説明員 お答えいたします。  各市町村間の無線の問題でございますが、現在国で補助しております水害時における無線の問題につきましては、都道府県の県庁と土木事務所、あるいは土木事務所の出先、あるいは土木事務所に所属するジープ等の移動無線車、そういう間の補助はしておりますが、現在のところ、各市町村のところまでは財政上回りかねておるというのが実情でございます。  なお、市町村につきましては、直接水防の工法に供する資機材については補助をしております。
  100. 林百郎

    ○林(百)委員 この問題はこれで終わって、あともう一つの問題をお聞きしたいと思いますが、これはどうも災害特別委員会と公害特別委員会のあいのこみたいなものでありますけれども、これは直接私の選挙区に関係している重要な問題ですから、当委員会でやらせていただきます。  実はメッキ関係の中小企業が、その工場排水をそのまま地下へたれ流しにしてしまう。その中には青酸カリと同様の性格を持ったシアンだとかクロムを許容量以上含んだ水が、地下へたれ流しになってしまう。雨水季になりますと、雨水がどんどん地下へ浸透しますから、それが地下へ流れ込んでくる。そうすると、地下からポンプアップして、それを水源にしている水道地域の水源にそのシアンやクロムが入ってくる。きょうもテレビで言っておりましたが、長野県の岡谷市というところであります。二十三カ所くらいの水源を持った水道なんですけれども、そのうちの一つは、もう許容量以上のシアンやクロムが出てきたということで、水の補給を中止せざるを得なくなった。  こういうことで、これは市民の生命に関する重大な問題なんですけれども、こういうつゆどきを控えて、全国の水道の水質を定期的に調査するという制度は、これは厚生省としては持っておられないのでしょうか。そうでないと、これは何も長野県の岡谷市だけでなくて、工業地帯で、地下水をポンプアップして水道の水源にしている地帯では、同じような問題がないという保証はありませんので——これは人命にかかわる重大な問題であります。その水道を使っておる金魚だとかコイなどは死んでしまうわけですけれども、まさかそれが、人体にまで影響を及ぼす許容量以上を含んでおるとは、善良な市民たちは知らなかったわけですね。しかし、そういうことが、長野県の工業地帯である岡谷市ばかりでなくて、方々にあると思うのですけれども、そういう全国的に水道の水質を定期的に検査する、こういうことについて、厚生省では実際しているのかしていないのか。あるいは、それに対してどういう施策を考えているのか、ちょっと説明していただきたいと思うのです。
  101. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  水道の水質につきましては、これは水道法に基づきまして、それぞれの水道事業を経営しております、主として市町村でございますが、水道事業体におきまして、定期的に、また必要なときには随時臨時的に水質検査を行なうことにいたしておるわけであります。  水道水の場合には、水質の検査項目と申しますのは、水道法に基づく省令で定めておりますのは、全部で二十七項目ございます。すべてを非常にひんぱんに行なうということもむずかしいわけでございますが、水質の項目によりまして、毎日検査する項目、それから、毎月定期的にやらなければいけない項目、それから、年一回は全項目をしなければいけない、そういうように分けられておりまして、法律上必要最小限度の検査が各自治体で行なわれておりまして、それらの結果につきましては、やはり定期的に、私どものほうに報告をとっておるところであります。  なお、いろんな事故等によりまして、水質上に異常な問題が起きました場合には、直ちに県を通じて私どもに報告がございまして、これに必要な措置を講ずるようにいたしております。  なお、一般的に、最近地表水並びに地下水の水質汚染というような問題がふえているような傾向もございますので、特にことしの一月には全国的に、水道の原水につきましても十分な配慮をするように通達をもって出しまして、水質の監視を一そう厳重にするよう指導いたしておるところでございます。
  102. 林百郎

    ○林(百)委員 各市町村が、そういうように水道の水質について定期的に調査をして、厚生省にあげているということならば、たとえば長野県の岡谷にありましたように、これはむしろ農林省の蚕糸試験場で、水を水槽に入れてみたところが、バスクリンみたいな色になってきた。これはどうもおかしい。水道の水がバスクリンみたいな色になるはずはないんだということで、農林省の蚕糸試験場が東京の試験所のほうに回して調べてみたところが、シアンとクロムがあるということがわかって、それが県の衛生試験所で調べてみたところが、これは許容量以上のものがあるということがわかった。しかし、市ではそれを、きょうのテレビでも言っていましたけれども、一カ月間くらい伏せていて、市民に知らせなくて、そして、その水道を給水を中止して、よそから水源を持ってくる措置をして、市民には黙っていた。  こういうことがあるわけですけれども、あなたのおっしゃるようなことかあるならば——しかも、その蚕糸試験場がおかしいといって調べたのは、ことしの一月ごろなんですね。衛研から通知がきたのは四月ごろで、市が処置したのは五月、その間はずっと伏せているわけなんですけれども、そういうことが起きるはずはないんじゃないですか。使用者のほうからおかしいと言われて調べてみたら、実は許容量を越すシアンやクロムがあった。そして県の衛研で、市のほうで言われたものだから、調べてみたら実はあったんだ。こういう事態は、あなたの言うようなことであるならば、ないはずじゃないですか。だから、厚生省のほうが、そういう都市の水道の水質をもっと厳格に、定期的に調査するというような行政指導はしてないんじゃないですか。これは人命にかかわる重大な問題ですから、やはりやらないといかぬと思うのです。どうでしょうか。
  103. 国川建二

    ○国川説明員 ただいまも御説明いたしましたように、定期的に水質検査を行なっておりますが、いわゆるシアンとかその他一般的には検出されないような項目につきましては、毎月検査の試験項目には実は入っていないわけでございます。ところが、必要に応じて試験項目を選び検査するたてまえになっておりまして、今回の岡谷市の問題につきましては、農林省の蚕糸試験場の構内の地下水の水質異変から事情がわかったと聞いておりますが、それに基づきました報告が四月の半ばごろに、保健所を通じて県のほうに報告されたというように聞いております。直ちに、その地域からわりあい近いところの岡谷市の水道の水源の一部、これは弥生水源でございますが、これを急遽調べまして、その結果クロム並びにシアンが、これは量は非常に少ないわけでございますが、一応水質基準を越えた量が検出されましたので、直ちにその場で、その日に取水を停止いたしまして、他の水源系統からに切りかえたというように聞いております。  なお、私どもといたしましては、すべての項目を定期的にやるということも、実際は事業体の検査能力、あるいは保健所あるいは衛生研究所等の試験検査能力等もございまして、あらかじめ汚染の疑いをできるだけ早くわかるような、そういう指標となるような試験項目を検査させておりますが、御指摘のように、たとえば岡谷市等におきましては、多数のメッキ工場あるいはその他の工場等がございますので、そういった地域につきましては、十分に水質の監視あるいはその検査の回数をふやすとか、そういったことを今後さらに、こういう事故を契機といたしまして十分注意していきたいというように考えております。
  104. 林百郎

    ○林(百)委員 水質の調査項目が二十数項目あるというようにちょっとお聞きしたのですけれども、しかし、シアンというのは、これは非常に毒性の強いもので、青酸カリ的な性格を持っているものですから、これがはずされているとか、あるいはクロムが二十七項目の水質検査の中からはずされているとすれば——はずされているかどうか知りませんけれども、何かあなたから言うと、シアンなどははずされているようなお話ですけれども、これは間違いで、やはりシアン、クロムは、どうしても近代的な化学産業では使うものなんですから、ことにメッキとか鋳造部門では使うものですから、これがもし抜けていたとすれば入れなければならない問題だし、それから使用者、水道を使っている側からおかしいと言われて、使っている側のほうが検査をして、そして市当局に注意をして、市当局がその注意に基づいてやってみたら実は含んでいた、こういう行政的指導もおかしいじゃないでしょうか。これはやはり定期的に県を通ずるなりして、それは水道の責任者である地方自治体のほうが使用者より先に気がつかなければ、実は飲んでいた水にシアンがあって、クロムがあって、そう言われてみればおなかが痛いなんといわれるような状態に放置しておくということは、厚生省の行政指導としては怠慢といわざるを得ないのじゃないでしょうか。どうでしょう。
  105. 国川建二

    ○国川説明員 水道水を使用しておった側からこういう情報が入ったわけではございませんので、発見した端緒と申しますのは、蚕糸試験場が構内で使っておる井戸の水質異変からそういう疑惑、おそれを感じまして、その近くの水道の水源を市がみずから検査したということでございます。したがいまして、その水道水から出たわけではございません。ただ、そういうおそれのある地域だということで、直ちに市としては行動を起こしたというように聞いておりますが、一般的に、そういう水質汚染のおそれのあるような地域につきましては、シアンその他の項目についても、定められた回数と申しますか、期間と申しますか、それ以上にもっと濃密に検査して、安全性を確保していく必要は十分あると思います。その点につきましては、私どもも、全国的な問題でもございますので、十分さらに指導を強化していきたいと思います。  なお、シアン、クロム等については、水質検査の検査すべき項目に定められております。
  106. 林百郎

    ○林(百)委員 時間がありませんので、ごく簡潔にあと二、三問で終わらしたいと思うのですけれども、あなたの言うのは、ちょっと事実と違うのですよ。その蚕糸試験場で糸を繰糸するための水を水槽にためてみたら、バスクリンみたいな緑色になっていた。これはおかしいということで、蚕糸試験場で、独自で東京の衛生試験所へ送ってみたら、そこでどうもクロムやシアンがあったということがわかって、そして、これは人体に影響を及ぼすということで、直ちに蚕糸試験場では、この水の使用を禁止すると同時に、このことを市のほうへ注意して、そして市が県の衛研へはかったということですね。たまたま農林省の蚕糸試験場があったものですからそういう措置ができたので、やはり発見したのは、使用者側がおかしい——それはあなた、水道の水がバスクリンのように緑色になるということを使用者の側から注意されるなんということは、その中にシアンやクロムが幾らあったかなかったかという、そういう精密なことはかりに市が検査したにしても、そんなことを放置しておく、そんな水道の水を飲ましておくということは、これはやはり国の水道行政の責任者としては職務怠慢といわざるを得ないと、私は思います。  そこで、次の問題に移りまして、通産省のほうへお聞きしたいんですけれども、実はこの原因が大きな企業ならいいんですけれども、親方と五、六人の工員を使っておる下請のメッキ工場が、このシアンやクロムを使っている。それで、それを浄化する施設をつくるためには何百万という金が要る。しかし、そんな金を借りればこれはとうてい償却できないということで、結局、そのシアンやクロムを含んだ水をたれ流しにして、土の中へ入れちゃうわけですね。それがたまりたまって、それに雨水が入ってくる。それが地下水源へ入っていくという形になっておりますので、独自で浄化装置のできるような能力を持つ企業は別として、こういう中小企業で、しかも、人体に非常な影響を及ぼすような工場廃水を排出する中小企業に対して、どういう指導をしていったらいいのか。これはやはり人命に関する非常に重大な問題ですから、通産省も将来、その点については十分低利、長期の資金融資するなり、県なり自治体に制度資金を設けるなりするか、私のほうからいろいろ発案を言うまでもなく、これは適切な指導をしていかないとたいへんなことになると思うのですね、たれ流しにしてしまうわけですから。ですから、それについては、どういう指導を将来していくつもりですか。これは通産省の方にお聞きしたいと思いますが、たしか岡谷のことの調査もしていると思うのですけれども答弁を願いたいと思います。
  107. 今泉嘉正

    ○今泉説明員 お答えいたします。  メッキの公害につきましては先生指摘のとおりでございまして、関係当局と常時協議いたしまして、指導助成に当たっております。メッキの公害防止策といたしましては、電気メッキの業者のみではなくて、これら企業に発注をしております機械工業等の協力も必要でございます。それで、今後は関連企業も含めまして指導していくということを考えております。  それから、メッキ業者は、大部分が中小の零細企業であることにかんがみまして、これらの公害防止措置をとろうとするときは、金融面等でできるだけの助成を行なっております。具体的には、ただいま金融面につきましては中小企業金融公庫、それから中小企業設備近代化資金、中小企業振興事業団、それから公害防止事業団から融資を行なっております。それから、なお税制面につきましては、汚水の処理施設に対しまして特別償却及び固定資産税の非課税制度をとっております。  四十五年度、今年度におきまして、従来の中小企業金融公庫、公害防止事業団等からの融資を拡充いたしまして、日本商工会議所等に産業公害相談事業を行なわせることといたしております。また、公害防止の機器のリース制度もございますし、国民金融公庫に特別制度を創設いたしまして、特に中小企業の公害防止に資することといたしております。それから、電気メッキ施設の減価償却の施設の耐用年数を、前九年でございましたものを、ことし五月一日から七年に短縮いたしまして、自動メッキ装置、それからサイリスター型の整流装置の特別償却制度等も加えております。
  108. 国川建二

    ○国川説明員 説明がどうも十分でなかったかと思いますけれども、蚕糸試験場の水槽の中で変質した水と申しますのは、岡谷市の水道の水ではございません。蚕糸試験場がみずから掘っております構内の工場用の井戸でございます。そういうように聞いております。
  109. 林百郎

    ○林(百)委員 あなたの言うとおりです。蚕糸試験場で使っていたのは、自分で七十何メートルの地下からポンプアップしてやっていたので、そうしたら、そういうバスクリンみたいな色の水が出た。これは付近に、あなたの言うように弥生水源があるから、もし弥生水源でも同じ事態が起きてはいけないということで、まず自分のところの水質を調査して、続いて、すぐ近くにある弥生水源も調査しろということになって——これは直接水道の水ではなかった、私、訂正いたします。蚕糸試験場が独自でポンプアップした。しかし、すぐそばにポンプアップしている水源があるから、念のために調べてみたら、下の水源は同じ水源だったと思うのですよ。だから、こっちからあげてみても、弥生の水道のもとであげてみても、同じような結果が出てきたということだと思うのですね。  そこで、時間がありませんので、通産省に私のほうから結論を申しますが、こういう指導もしていかなければならないのじゃないかと思うのです。個々のばらばらの中小メッキ業者が、ばらばらのままでそれぞれが施設をつくるということではメリットがあがらないので、将来できたら、やはりメッキ業、そういう人体に影響を及ぼすようなシアンやクロムを使う中小企業を一工業団地に集約して、そこで共同処理場をつくってメリットをあげていく、こういう指導は考えておられないのでしょうか。
  110. 今泉嘉正

    ○今泉説明員 先生指摘のとおりでございまして、公害防止事業団によりまして、葛飾にすでに工業団地をつくり、共同処理施設を設けた例がございます。それを各地に似たようなものをつくらせるということとあわせまして、バキュウムカーのようなもので廃水を一カ所に集めて処理するということも考えております。
  111. 林百郎

    ○林(百)委員 これは国川さんでおわかりかどうか、もしわかったらお答え願いたいのですが、浄化装置を持っておる工場で浄化したあとにクロムが残るわけですね。何か泥土状のスラッジというんですか、それがまた、たまってきちゃっているわけなんですね。その捨て場がないから、それをまた地中へ埋めてしまう。これは浄化してクロムだけたまってしまったものですから、それを地中に埋めれば、今度つゆどきに雨が降れば、それが溶けて下へ流れていっちゃうわけですね。それをどう処理するかと聞けば、海へ持っていって、海のまん中へ捨てるかどうかするよりしかたがないじゃないかということだと思うのですが、この処理方法をいま考えているのか。ないならないで、これはまた違う感度で質問するのですが、それがばく大なものになると思うのですね。浄化装置だけはつくってクロムを分離するけれども、そのクロムが泥状でうんとたまってきちゃって、工場に置ききれなくなってしまう。しょうがないから地中へ埋めちゃう。地中へ埋めれば、たれ流しと同じ効果になっちゃうと思うのですね。そこら辺はどのようにお考えですか。
  112. 今泉嘉正

    ○今泉説明員 通産省からお答えいたします。  四日市に先例がございまして、脱水の上それを焼却いたし、そしてあと廃棄するということをいたしております。
  113. 林百郎

    ○林(百)委員 焼却というのは何で焼却するのですか。電気か何かで焼却しなければ、よほど水分を含んで泥状になっておりますから……。
  114. 今泉嘉正

    ○今泉説明員 高圧ガスを用いております。
  115. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは最後に、建設省関係になると思いますが、そこで、いま長野県の諏訪湖周辺で幹線下水道をつくって、その工場排水を幹線下水道に入れて、そして終末処理場で処理する、こういう計画が立っておるのですけれども、この幹線下水道に対する費用負担ですね。国が幾ら補助して、県が幾ら負担をして、市町村が幾ら負担するかという問題。それから、今度は各工場から幹線下水道に、各市町村が支線の下水道をつくるわけなんですけれども、この支線の下水道の費用負担はどういうような割りになるのか。市町村が幾ら負担して、県から幾ら補助があって、国から幾ら補助があるのか。その費用負担の点を、これは実は会合を開いてみたところ、各市町村、自治体が——私のほうで聞いておりますけれども、正式に政府から聞きたいと思いますが、負担率はとても——それでは約三百億ぐらいかかるというのです。それを三市一町ですか、これで幹線下水道と支線下水道の費用を負担するには財政的にたいへんだと言っているので、自治省がいれば起債関係も聞きますが、自治省おりませんけれども、この費用負担がわかったら説明願いたいと思うのです。
  116. 石川邦夫

    ○石川説明員 ただいまお尋ねになりましたのは、諏訪湖の流域下水道と公共下水道の話だろうと思いますが、四十四年度に長野県に委託して調査いたしまして、大体の基本的な結果というものが出てまいっておりまして、現在われわれのほうで検討中でございます。  御指摘の流域下水道の費用負担でございますが、流域下水道は五〇%が国庫補助でございます。残り五〇%を県と市が半々に持つということになっておりまして、そのうちのそれぞれ六割は起債で見る、四割を一般の県費なり市費で見る、こういうふうになっております。  それから、公共下水道でございますが、公共下水道は、十分の四が国庫補助でございます。残りにつきましては、これは県でございませんで、市でございます。市が六割と四割でございますか、起債と市費で負担するということになっておるわけでございます。ただ、公共下水道につきましては、国庫補助対象分のほかに単独事業がございまして、それが一体となって公共下水道となるわけでございまして、結局、その分につきましては起債と一般市費で持つということになりますので、結果的に申しますと、大体三割が国費、それから四割が起債、三割が市費、現在大体そういう傾向になっておるわけでございます。
  117. 林百郎

    ○林(百)委員 それは支線の下水道ですか。
  118. 石川邦夫

    ○石川説明員 はい、さようでございます。
  119. 林百郎

    ○林(百)委員 わかりました。これで終わります。  厚生省の国川さんですか、結局それで、岡谷としては——きょうもスタジオ一〇二で全国的に放送されているほどで、要するにひた隠しに隠していたという点が、これは岡谷ばかりじゃなくて、各自治体がそういうことで正しくない態度をとっているという放送があって、その中に岡谷が入っていたわけですけれども、岡谷としては、そういう汚染した地下水をポンプアップしてそれを水源にするという水道のやり方をやめて、上水を取ってきてこれを水道にするという方向へ切りかえなければならない。それには約八千万から一億近くかかるかもしれない。そういう場合に、そういう施設をつくるについてひとつ厚生省のほうにもお願いをして、起債なり補助を出すような要請をした場合には、最大の限度の好意を示してもらいたいという希望が、市長から私にもあったわけですけれども、それについて何かお考えありますか。私、これで質問を終わりますから……。
  120. 国川建二

    ○国川説明員 地下水が汚染されました場合、それがはたして回復するかどうか、これは非常にむずかしい問題でございますので、将来にわたりまして継続的に、いま取水を中止しております井戸の水質を検査していくということにしておりますが、それとは別に、恒久的な対策として水源を別なところに求めたいということで、現在表流水及び他の地区の地下水を調査しておるわけでございます。したがいまして、これによります拡張工事が出てきましたならば、私どもといたしましては、こういう突発の事故対策でございますので、その拡張事業の資金、これは起債でございますが、特に十分考えまして、優先的に採択いたしたい。また、事業がスムーズに行なわれるようにいたしたい、そういうように考えております。
  121. 辻原弘市

    辻原委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。    午後二時四十七分散会