○青柳
委員 前回の
衆議院議員の
選挙の結果について、先ほど
自治大臣並びに
警察庁、
検察庁のほうから御
報告がございました。実は当初は
選挙違反の取り締まりの
状況についてお尋ねをしたかったわけでございますが、
警察庁あるいは
検察庁の方々が他の
委員会に出席されておられるのできょうはお尋ねできないということで、これは後の
機会に譲りたいと思います。
そこで
自治大臣、
関係の方々にお尋ねするわけですが、先ほどからも問題になっております
選挙運動の自由の事柄でございます。
〔
委員長退席、大西
委員長代理着席〕
選挙運動というものは、一応
公職選挙法で一定の概念がきめられておりまして、いわゆる
政治活動、これは個人あるいは
政党の行なう
政治活動でございますが、それとは区別される形になっております。しかし
考えてみますと、本来議会制民主主義のもとで
政治が行なわれておりますから、
政治活動と
選挙活動というものは何か異質なもの、あるいは一応別なものとして区切ること自体に相当の無理があることは当然だと私は思います。本来、民主主義を守っていくためには
政治活動の自由というものは十二分に保障されなければならないわけであります。これは
言論の自由、出版の自由、その他表現の自由が
政治的な面において十二分に保障されていく、これは権力によってもあるいは他の勢力によっても妨害はされないということは明らかなんであります。ところが
選挙になりますというと、いろいろの制約が
選挙運動に加えられてまいりまして、従来やっていた
政党あるいは個人、一般の団体の
政治活動が、一挙に停止をさせられると同じような状態にならざるを得ないわけであります。
文書の宣伝につきましては、
前回一部
改正がありまして、先ほどの
衆議院選挙の場合、相当自由に
政党の
文書が発行され、頒布され、大いに
政治的な関心に対する答えを出していたと思うのであります。これは非常にいいことであります。それが先ほどの
警察庁あるいは
検察庁の
報告によりましても、特徴的に
文書違反は減っております。これは自由を保障したからこそこういう違反が減ったんだろうと思う。従来どおりの制約があったらば、こういう減り方というものはなかっただろうと思う。われわれは、技術的な問題もいろいろありましょうけれども、もっともっと
文書による政策宣伝の自由を
選挙運動の中にも加えていくべきであるというふうに
考えるわけであります。
ところで、先ほども
お話にありました
戸別訪問禁止でございますけれども、これは
選挙をやる者がだれであるかという点についての
考えから出発すれば、非常に早くわかる問題でありまして、
選挙をやるのは有権者なんで、何か
選挙運動をやるのは
候補者あるいは
政党運動員、そういうものであって、
選挙民はこの
選挙運動を受ける立場の者、受動的なものであるかのような錯覚が、いままでの
状況では相当びまんしていると思うのであります。これはお互いに
選挙活動をおやりになった各位におかれては、よく御存じのとおりだと思うのです。どうも
選挙民のほうが、反応がよくないとかいうような不平も出てくるわけであります。なぜだろうか。
政治に対する不信あるいは
選挙に対する不信がそこにあるだろう。確かに私も、そういう
側面があることは事実であって、これは
政治の姿勢が改まらない限り、有権者は
政治的な関心が薄らいでくるということは必然だと思いますけれども、しかし、他面
選挙民が受動的なものであってはいけないのであって、
選挙民自身が最も公正な
選挙をみずからの権利と
義務において行なうんだという、そういう
状況をつくり出すことが
前提でなければならないと思う。ところが
戸別訪問を禁止するというやり方、これは先ほどの御答弁では
買収に連なるおそれがある。確かにそういうことが
戸別訪問を禁止している有力な根拠のようであります。諸外国では、いわゆる民度が進んでおる、
政治的な意識が高くなっているから、あるいは
日本とは違うから、
戸別訪問は禁止しなくても弊害は出てこないけれども、
日本のような国では
買収に連なるおそれがあるから、これはやはり禁止しておかなければいけないのだという——われわれは
買収を禁止するという、これは厳重にしなければいけないのでございますけれども、それはいままでが
買収というものに対する事実上の取り締まりが十分でなかった、規定ももちろんざる法になっている面がございますけれども、運用の面において、
買収が常識化している、減ったとは言っても、今回の
衆議院選挙におきましても、
買収が八六%にもなっている、こういうような事実を見ますと、運用の面でもっともっと厳重にやるならば、こういうものをなくしていくことができると思うのでありまして、何か
戸別訪問を禁止すれば、それに一定の効果を与えるであろうというようなことから、
戸別訪問罪というものをつくり上げて、一般
選挙民を
選挙には近づけさせない、何かこれに近づかないで黙って
投票だけすれば無難だけれども、自分が支持する
政党、
候補者、そういうもののために
努力するとかすれば、それが何らかの理由で抑圧を受け、取り締まられるのじゃなかろうかというおそれを感ずるようになっていると思うのであります。もちろん
選挙になれた
運動員の方々、また
政党の中でも相当訓練を積んだ党員は、そういう点は心得ておりますから、必ずしも消極的になるとは限りません。また消極的になったのでは当選を得ることは困難でありますから、これはやりますけれども、大方の人々は非常に
選挙というものをこわく思っているわけであります。その中の最大のものといっていいかどうかはわかりませんけれども、ずっと前から論議が行なわれている
戸別訪問、これについてわれわれは目を向けないわけにはいかないわけです。本来政策を十分に
選挙民に知らしめるためには、いろいろの方法があると思います。
文書による宣伝、演説による宣伝、これも非常に重要でございます。
〔大西
委員長代理退席、
委員長着席〕
しかし家庭を訪問して、そうして
候補者であれ、あるいは
候補者を支持する人であれ、とっくり話し合ってみる、今度の
選挙の問題点はどういうところにあるだろうか、あの
政党はこういう政策を出しているけれども、自分の支持する
政党はこういう政策で、この点が非常に違うのだというような争点についての解明を行なう、また
候補者の人格、識見等についても十分
選挙民に知ってもらうというようなことが、この人たちを国の主権者として自分の
投票権を確信を持って自主的に行使させる、そういう結果に連なると思うのであります。ところが、この
戸別訪問が禁止されておりますから、どうも話に行くことができにくい。いろいろの知恵を出して、よそへ呼び出して話し、あるいは道路へ呼び出して話すというような苦肉の策もとっているようでありますけれども、またこれが判例などによりますと、道路に呼び出しても、それを
戸別訪問を免れるような形で行なわれるならば、これも犯罪になるのだというふうに、また
戸別訪問も一日に何回も連続してやるのでなくとも、間隔を置いてやっても最初からその計画に基づくものならば犯罪になる。相手がいなくともその目的で行けば犯罪はもう既遂になるのだ。判例などを見ますとどこまでいってもこれは、全く日常の交際としての訪問、その結果、談たまたま
選挙の話に及んだような場合でさえも危険を感ずるというような
状況でございますので、私はどうしてもこの
戸別訪問罪というものは
検討してもらわなければならない、かように
考える次第でございます。非常に短い時間しか与えられておりませんので、まず最初にその点をお尋ねいたしたい。