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1970-05-12 第63回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十二日(火曜日)     午前十一時三分開議  出席委員    委員長 受田 新吉君    理事 加藤 六月君 理事 木部 佳昭君    理事 小峯 柳多君 理事 丹羽 久章君    理事 後藤 俊男君 理事 田中 昭二君    理事 河村  勝君      稻村左近四郎君   小此木彦三郎君       唐沢俊二郎君    左藤  恵君       佐藤 守良君    斉藤滋与史君       野中 英二君    古屋  亨君       久保 三郎君    高田 富之君       横路 孝弘君    松本 忠助君       土橋 一吉君  出席政府委員         運輸大臣官房審         議官      内村 信行君         運輸省海運局長 澤  雄次君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省自動車局         業務部長    見坊 力男君         気象庁長官   吉武 素二君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部外勤課長  原   仁君         警察庁交通局交         通指導課長   竹岡 勝美君         通商産業省重工         業局自動車課長 大永 勇作君         運輸省船舶局首         席船舶検査官  内田  守君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 菅川  薫君         運輸省自動車局         整備部管理課長 福田  稔君         運輸省自動車局         整備部車両課長 細谷 開造君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         労働省職業安定         局業務指導課長 保科 真一君         消防庁調査官  矢筈野義郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  閉会中審査に関する件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 受田新吉

    受田委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 本日、私は、主としてフロントグラス中心関係当局の御意見を承り、交通事故の現状というものとあわせていきたいと思います。  まず運輸省車両課長おいでのようでございますが、安全基準改正せられまして、フロントグラスの面について、この六月一日から、いままでの面よりか相当変わっておるようでございます。フロントグラス前面ガラスを、昭和四十四年の六月十二日に省令三十五号で少し変えておられますが、その内容はどうでしょうか。
  4. 細谷開造

    細谷説明員 お答え申し上げます。道路運送車両保安基準につきまして、ただいま加藤先生から御質問がございましたとおり、昨年六月十二日に保安基準改正をいたしまして、前面ガラスにつきましては、従来、安全ガラスであることというふうに規定されておりましたけれども安全ガラスのうち強化ガラスにつきましては、これが破損をいたしました場合に、瞬間非常にこまかく破損いたしまして、全く視野がなくなるという現象を呈しますので、前面ガラス破損をいたしました場合にも運転者視野を最小限に確保できるものであることというような内容改正をいたしたわけでございます。この適用につきましては、今年六月一日以降の新車から適用されることになっております。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 安全ガラスというものの中にはいろいろな種類があると思うわけです。たとえば強化ガラスあるいは部分強化ガラスあるいは合わせガラス、これは合わせガラスの合わせる部分被膜の厚さということでいろいろ違うと思うわけでございますが、今回の保安基準改正にあたりましては、こういう点についての検討はどの程度されておられたわけでしょうか。
  6. 細谷開造

    細谷説明員 ただいまお話しのとおり、安全ガラスには三種類ガラスがあるわけでございますが、この安全ガラスそのものにつきましてはJISの規格によることにしてまいったわけでございます。このうち、合わせガラスにつきましては、破損時、先ほど申し上げましたように強化ガラスのような、非常にこまかく割れて視野を失うというようなことはないのでございますけれども強化ガラスにつきましてはほとんど全面にわたりまして全く視野を失う、こういうことでございますから、部分強化ガラスと申しまして、ちょうど運転者の正面にあたる部分の面積については割れ方がわりあい大きく割れる、そういうことによりまして必要な視野を確保するということで、この基準改正を行なったわけでございます。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま車両課長の御説明によりますと、視野ということをだいぶ中心にして保安基準を改定する要素にされておったようでございますが、私たちは、もちろん交通安全の立場からいって、事故を起こした場合に視野ということは非常に大切だと思っております。しかし問題は、自動車自動車あるいは自動車自動車以外の一般の物体にぶつかったときの運転する人あるいは車内におる人、こういう人の安全あるいは事故対策というものも考えなくてはいけない、こう思っておるわけです。  ちょっと話が横道へそれますが、竹岡指導課長おいでのようでございますが、フロントグラス中心としたような交通事故数字というのは、統計といいますか、そういうものは出ておるでしょうか。
  8. 竹岡勝美

    竹岡説明員 御承知のとおり、フロントグラスがよく割れるといううわさが立ちましたのは、首都高速道路でわれわれもいろいろそういううわさを聞いたわけでございます。それで、昨年からとりあえず高速道路につきましてのフロントグラスひび割れなりあるいは割れたということの発生件数を取り寄せました。昨年一年じゅうで最も率が高いと思われるのはやはり首都高速でございまして、百七十一件報告が参っております。それから次に距離的に多いと思われますのは中央高速で、これが二百十九件、それから名神で二百五十二件、東名で三百三十一件という件数フロントグラスひび割れ報告が参っております。これを詳細に分析してみますと、運転者が供述します内容には、ときどき飛び石で割れたのではないでしょうかというような言い分が約半分くらい占めておるようでございます。これを見ていただきましても、首都高速中央高速、あまり道路維持のよくないところが高いということが言えます。いわゆる雨の降った日よりも乾燥した日のほうがはるかに率が高いという結果が出ております。東名高速で見ますならば、去年の八月が最も多く五十三件出ております。車の速度的にはやはり非常に高速を出しておるときが多いわけでございます。  さらに、ガラス製作別に調べてみますと、たとえば八月の例を引きますならば、旭硝子が十七件、日本板硝子が一件、日本安全硝子が一件、不明が三十四件というふうに出ております。ただこのガラスが故障、いわゆる割れたあるいはひび割れしたということで、その事態での報告でございます。これによって事故が起こったという報告は来ておりません。それはないと思います。ただ運転者に非常に危険があった、不安があったということは間違いございません。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 竹岡課長、その際に自動車別製作年次あるいは自動車別のいまおっしゃいました首都高速中央あるいは名神東名のそういう数字はわからぬでしょうか。
  10. 竹岡勝美

    竹岡説明員 わかっております。これは主としてそれによって問題点は浮き彫りにされないかもしれませんが、先ほど申しましたたとえば東名の八月の五十三件のうち日産が十三件、トヨタが二十八件、いすゞが二件、三菱四件、富士重工が三件、日野一件、不明二件等になっております。ただそれの製作年次まではちょっとつかんでおりません。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 細谷車両課長にお伺いしますが、先ほど強化ガラスの場合、全面強化ガラス部分強化ガラス、合わせガラス、合わせガラスでも十五ミリのものと三十ミリのものとございますが、わが国メーカーメーカー別に見てどういうフロントグラスを採用しておるかということを御説明願いたいと思います。
  12. 細谷開造

    細谷説明員 これは乗用車の場合について申し上げたいと思いますが、現在私ども調査をいたしております四社のうち一社だけが合わせガラスを使用いたしておりまして、その他の三社は強化ガラスを使用いたしておりましたけれども、今般の保安基準改正によりまして、強化ガラスを使用いたしておりましたものは逐次部分強化ガラスに取りかえられつつあります。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 私がお伺いしたいと思いますのは、しからば諸外国の例はどうなっておるかということでございます。
  14. 細谷開造

    細谷説明員 先ほど事故状態及びこれに対します対応の体制ということにつきまして警察庁のほうに御質問ございましたけれども、この点からちょっと申し上げたいと思います。  いままでの日本自動車工業会自動車技術会調査によりますと、自動車衝突をした場合に頭部損傷している事故につきまして、これは申すまでもないことでございますけれどもフロントグラスによる損傷というのが一番件数としては多いわけでございます。このフロントグラスによる損傷が多いという実態から、ガラスにつきまして要求されますところは、まず第一はフロントグラスに当たらないようにする、二番目は、当たっても衝撃をなるべく少なくする、三番目につきましては、破損したガラス損傷しないようにする、四番目は、破損しても視野を妨げないようにする、こういった安全性といいますか、性質が要求されるわけでございます。これに対しまして、従来の規定安全ガラスであるというふうに規定をしてまいったのでございます。  諸外国のこれにつきましての状況でございますが、アメリカイタリアスウェーデンにおきましては、合わせガラスを使用することというふうに規定をいたしております。その他の欧州各国及び日本の場合には、合わせガラスまたは部分強化ガラスということで規定をいたしております。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 その場合、なぜアメリカは合わせガラスにし、しかも三十ミリの中間被膜というものを採用するようにしたかということについてのデータあるいは研究というものを運輸省当局はされておるでしょうか。
  16. 細谷開造

    細谷説明員 先ほど申し上げましたガラスに要求される性質のうちで、一つは、ガラス衝突した場合に頭部に与えられる衝撃をなるべく小さくするということが一つと、それから破損をいたしました場合に、ガラス破片によって人体損傷を受けないようにすることということの二つが、ガラスに対する人体衝撃について要求される点でございますけれども、この二つの点につきまして、合わせガラス強化ガラスを比較して申し上げますと、合わせガラスにつきましては、衝撃を受けました場合に、これは普通のガラスを二枚合わせまして、その間に可塑性中間被膜をはさんでおるわけでございますから、頭部等衝突いたしました場合に、比較的衝撃力が小さい、しかも破片が飛び散らない、つまり貫通しにくいという長所がございます。ただしこれが貫通いたしました場合には、頸部等を損傷をしやすい、普通のガラスでございますから非常に鋭く割れまして、頸部損傷するというふうに考えております。強化ガラスにつきましては、合わせガラスに対しまして約十倍ぐらいの強度を持っておるということでございますが、頭がこれに当たった場合の衝撃力は大きいわけでございますけれども破損をいたしました場合には非常にこまかい小石状破片になるものでございますので、頸部損傷は非常に少ないということでございます。  この二つのそれぞれ長所、短所がございますので、現在のところはそのいずれでもよろしいというふうに規制をいたしておるわけでございます。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 車の内部におる者が事故を起こした場合における負傷の問題、これにつきまして、われわれは一時審議いたしたのでございますが、安全ベルトの問題をやりましたのですね。安全ベルトをつけてやれば、車対車あるいは車対物という場合に相当助かる、事故件数も減るという観点のもとに、たしかそれをやったときに、安全まくら安全ベルト、十数点について審議したと思うのですが、今日の安全ベルトは、新車を買う場合には全部ついております。しかしこれを使用しておるというのは、私不敏にしてあまり聞いていないのです。  そこで警察庁にお伺いしますが、東名高速とか中央高速を通過していろいろ点検あるいは事故等をやる場合に、事故を起こした人が安全ベルトを締めておったか締めてなかったかという統計、あるいは検問におけるところの安全ベルト使用状態、こういうことはおやりになっておるでしょうか、なっていないでしょうか。
  18. 竹岡勝美

    竹岡説明員 正確な数字はつかんでおりません。しかし私が報告を聞き、現認した事故の場合に、安全ベルトをつけておったという例は聞いておりません。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで今度は細谷車両課長保安基準安全ベルトのあれまでやった、ところが一つも使用してない。そうすると、われわれが心配いたしておりました事故を起こした場合における運転者あるいは車内におる人の防衛という問題は、もちろん安全ベルト完全施行ということに指導面で私たちは重点を持っていかなくちゃなりません。その反面、このフロントグラスというものの性能はどういうものが一番いいのかという問題を相当厳重に努力してやらなくちゃならないと思うのです。  そこで、いままでフロントグラス研究というのでおやりになっておるのを見ますと、被衝撃損傷の推定についてということで、運輸省等も非常に緊密な連絡をとり、また運輸省の中にも船舶技術研究所あるいは東京農工大学事故がある場合共同研究されておりますね。そのときには、先般われわれもちょっと映画を見せていただいたのですが、渋沢先生等も出られて、六人の船舶技術研究所皆さん並びに東京農工大学皆さん方でおやりになっておる数字等を見せてもらったのです。ところがこの研究を見ますと、フロントグラスがどれの場合にどうなるということが出てないんですね。強化ガラスの場合、部分強化ガラスの場合、合わせガラスの十五ミリの場合、三十ミリの場合というそれぞれについて、いま課長がおっしゃいました頭がどうなるとか、あるいは飛び込んでここを切るとか、あるいはむち打ち症になるとか、こういった問題についての前面ガラスそのものの形をいろいろ変えた分の研究というものは、私はなされてないと思うのです。ところが、アメリカ資料をいろいろ見ますと、アメリカの場合は、そういう一定の速度と一定の強力でやった場合のそれぞれのガラスについての試験データを出しておる。そうしてアメリカが一九六六年に合わせガラス全面的にやらせた大きな根拠としては、いわゆるハイウェー時代が来るに際して、車の事故を防ぎ、またドライバーの生命、身体を守るというために、安全ガラスと合わせガラス全面的に切りかえたのではないか。この資料をいろいろ読ましてもらいますと、そういう数字が出ておるのです。そこで、運輸省当局としましては、そういう問題についての研究は、私の見る限りまだないと思うのですが、目下のところどうですか。
  20. 細谷開造

    細谷説明員 先ほどお話のございました王子病院等の協力を得て行なっております研究は、船舶技術研究所交通安全部中心になって推進をいたしておるものでございます。この研究は、自動車衝突時の車体構造安全性に関する研究の一部として行なっておるものでございまして、その中で、人間が自動車の各部分からの衝撃を受けた場合、その衝撃損傷との関係についての実験研究ということになっております。したがいまして、先ほどお話のございましたのは、その研究のうちでの人体損傷に関する発表であろうかと思うのでございますが、実は交通安全部といたしましては、その同じ実験研究の中におきまして、自動車前面ガラスにはいかなる物理的性質が要求されるのかということを研究主題にして、この実験研究を推進しておるものでございます。私どもといたしましては、この研究の結果を見まして、今後合わせガラスにすべきかどうかという点、あるいは合わせガラスにする場合には、その合わせガラスにどのような物理的性質が要求されるかということをその研究結果から見出していきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 わが国の車は最近外国へ非常にたくさん輸出するようになりましたね。そうしますと、国内で売り出す自動車フロントグラスと、アメリカあるいはイタリアスウェーデンへ輸出する自動車フロントグラスとは違うようになっておると思うのですが、そのはっきりした数字はわかっておりますでしょうか。
  22. 細谷開造

    細谷説明員 一社の場合を例にとって申し上げますと、北米、中米、スウェーデンに輸出されますところの車両につきましては、厚さ六・六ミリメートル、中間被膜が三十ミリの合わせガラスを使用いたしております。同じ会社からヨーロッパの他の国々と東南アジア、アフリカ、オーストラリアに輸出されておりますものにつきましては、輸出先の国の規制に従いまして部分強化ガラスを使用いたしております。この場合の厚さは五ミリメートルということでございます。その会社国内向け車両につきましては、同じく部分強化ガラスでもって五ミリメートルの部分強化ガラスを使用しております。他の各社につきましてもほぼ同様でございます。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 その場合に、これは通産省に対する質問になると思いますが、部品ですね。あとから補給部品として輸出しておるものはどの程度になるかということはわかりませんか。いまのは輸出車として私はお伺いしたわけですが、あとそれを補給するパーツとしてのフロントグラス前面ガラスをどの程度輸出しておるかということ。
  24. 大永勇作

    ○大永説明員 補給部品として輸出しております量につきましては、つかんでおりませんが、ただ輸出する品物性質につきましては、純正部品としてメーカー代理店を通して輸出する形になりますので、最初組みつけられたものと同じものを出しておるというふうに聞いております。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 もう一つお伺いしたいのですが、いま話を承りますと、国内向けと、そしてアメリカ関係の、合わせガラスを使用規定しておる国へ向ける分と、それ以外の東南アジアなどの国と厚さが違いますね。厚さが違うということになると、自動車として前面フロントグラスをはめる作業ですね、これは構造上変化は全然ないのでしょうか、あるのでしょうか。
  26. 細谷開造

    細谷説明員 厚さの相違だけでございますから、固定方法につきましては相違はないと思います。その取りつけの部分の厚さに相応する部分の寸法の相違でありまして、取りつけ方法そのものにつきましては相違がないと考えます。
  27. 加藤六月

    加藤(六)委員 取りつけ部分、あの部分は厚みが違いますね。ゴムでカバーしてありますね。そうするとゴムだけの操作になるのですか、それとも金具の類まで及ぶわけですか、フロントグラスを取りつけるときの操作は。
  28. 細谷開造

    細谷説明員 その辺、実は手元に資料を持っておりませんで、明確にお答えいたしかねますので、これは後ほど調査しましてお答え申し上げます。
  29. 加藤六月

    加藤(六)委員 私が申し上げたいのは、たとえば同じメーカーの製品が、ある国へ輸出する場合は合わせガラス、ある国へ輸出する場合は、いま課長の御説明では、規制があるから部分強化ガラスを使っておるといいますけれども部分強化ガラスだけという規制をしておる国がありますか。これが一点。  その次は、同じメーカーがつくったもので、国内を走っておる自動車フロントグラスアメリカへ輸出したフロントグラスあるいはそれ以外の国へ出したフロントグラス、それぞれ違う、しかもこれは自動車事故とかあるいはドライバー安全保障の問題に非常なる影響がある。ハイウェーのある国に行きますと、相当この問題が出てくると思うのです。それがどうもはっきりせずに、うやむやのうちに、この国はいわゆるレベルが、合わせガラスの三十ミリでなくてもいいのだ、部分強化ガラスでいいのだから、安くつくから部分強化ガラスにして輸出するのだ、日本国内も、部分強化ガラスあるいは合わせガラスということになっておるから、合わせガラスを使うよりは部分強化ガラスのほうが安い。しかし、ほんとうは合わせガラスを使ったほうがドライバーの安全にいいのだという気持ちがありながら、経済性を優先して使っておるのではないかという気持ちがあるわけですね。いま運輸省当局は、交通安全研究所でこの問題を検討していただいておるというので、やがてはっきりした数字が出ると思いますが、一般国民感情から見た場合は、どうもしっくりしないわけなんです。そこら辺、もう一度二点についてお答え願いたい、こう思うわけです。
  30. 細谷開造

    細谷説明員 最初の点でございますが、部分強化ガラスだけというふうに規制をいたしておる国はございません。  第二点でございますが、強化ガラスと合わせガラスとどちらがという考え方につきましては、私どもも、先生のおっしゃるように、合わせガラス長所というものを十分に考慮いたしまして、現在行なっております実験研究の結果を見まして、その方向で検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  31. 加藤六月

    加藤(六)委員 私の与えられた時間もあと二分ほどしかございません。きょうはもう少し突っ込んで十分各方面にわたり御質問いたしたい、こう思っておったわけでございますが、先ほど私が申し上げましたように、安全ベルトをつけさせるようにしても、実際は安全ベルトを使用してない。さらに新聞で見ますと、衝撃からドライバーを救う方法としていろいろ研究されておるようでございます。そういうことでございますので、私この問題、これ以上追及しませんが、要は、経済性中心にした自動車であっては困る、安全性というものを加味してもらわなくちゃ困る。自動車先進国アメリカがそういうところを完全に踏み切ってやっておる。私のところにはいろいろな写真、フィルムを取りそろえ、いろんな問題等研究しております。また先般は、当委員会委員長中心に、むち打ち症あるいはそういうものに関係する人の映画等も見まして研究いたしておるわけです。ところが当局のほうが、まだ少し研究がおくれておるようでございますので、この問題については早急に検討していただき、少なくとも同じメーカーの同じ品物で、アメリカに輸出するものと日本国内を走っておるもので、日本国内を走っておるもののほうが安全性において欠除したと思われるような危惧の念を国民に与えるということは、私は自動車行政、特に自動車の安全という問題から考えて好ましくないと思うのです。そういう点で強く要望いたしておきまして、時間が来ましたので、私の質問を終わらしていただきます。
  32. 受田新吉

  33. 左藤恵

    左藤委員 私はタクシー無線利用に関して伺いたいと思います。  まず第一に、東京はハイヤー、タクシーの数が約四万台ありまして、一日に一台当たり五十回営業するといたしますと二百万回、そうしますと、一台平均一・五人乗ったといたしますと、一日の利用が三百万人であるというふうに数えられるわけでございます。一方、バスの利用は一日三百五十万人というところでありまして、このタクシーというものは、特に大都会におきましてのいろいろなサービスの問題、それからその利用の問題を十分に考えないことには、都市交通の体系を大きく混乱させるという問題になっておる。ひいては交通安全対策上も非常に問題になろうかということで、そういった見地からタクシーサービス改善対策という点におきましての無線利用ということについてお伺いしたいと思うわけでございます。  運輸省当局では昨年の八月に「大都市におけるタクシーサービス改善対策」という資料をお出しになっておられるわけであります。この作成されました資料の中でいろいろと実施を進められておる。また今回は、タクシー業務の適正化の臨時措置法というものもこの国会において成立するというふうなことで、着々と準備が進められておるわけでございますけれども、その中に一つタクシーの近代化センターの設置という問題がありまして、昨年の十二月からこういったタクシーの近代化センターの設置に踏み切られたわけでありますが、聞くところによりますと、現在負担金の問題などで開店休業になっているということであります。これは料金値上げのときの約束があったとか、いろいろなことがあろうと思いますけれども、こういった問題について近代化するということは、単にタクシーの能率をあげるということだけでなくて、交通の安全の対策にも資する大きな力になると私は考えますので、今後ひとつ行政指導の実をあげていただきたいと思うわけであります。  そうして、そのタクシーの近代化センターの設立の中にタクシーの機動隊の設置という計画があるわけであります。これはタクシーの近代化センターが実際に効率よく活用された段階において設置されるものだと考えるわけでありますが、そのとき、タクシーの特に逼迫している時間帯、それから地域に適宜に集中配車するということを考えておられる。これに関連いたしまして無線利用をどのように考えておられるかということをまずお伺いいたしたいと思います。
  34. 見坊力男

    ○見坊政府委員 無線タクシーの効用につきましては、ただいま先生からもお話がございましたように、昨年の八月発表いたしました「大都市におけるタクシーサービス改善対策」という中にもうたってございますように、無線タクシーが需要に適確に応じ得る、また運転者の状況を確実に把握することができるというような長所がございますので、われわれといたしましては、利用者の利便を増進させるために、今後とも拡充をしてまいりたいという方針でまいっております。
  35. 左藤恵

    左藤委員 いま、今後ともこの無線タクシー利用を拡充していきたいというお話でありましたが、東京の現在の無線タクシーの普及率と申しますか、機械を載せて実際に利用しておるのは、四万三千台のハイタクのうちで約八千台、パーセンテージにしまして一八・五%という数字にしかなっていないわけであります。確かに東京では流しのタクシーで客がどんどん拾えるということで、実際の利用が非常に少ないのじゃないかと思うわけであります。このことについて、運輸省当局として今後タクシー無線利用の普及を積極的に推進していかれるかどうか、この点について伺いたいのであります。
  36. 見坊力男

    ○見坊政府委員 無線車の普及率は、現在東京地区におきます法人タクシー車両数が二万五千四百五十七両、個人タクシーが八千七百四十七両、合計いたしまして三万四千二百四両ございますが、そのうち移動局といたしまして無線車の数は六千五百三十一台でございます。これは割り当てを受けた周波数の八千七百台に現在まだ達しておりません。そういうような状況でございますが、今後これをどういうふうにして普及させていくかというお尋ねでございますが、無線タクシーにつきましては料金面でいろいろ問題がございます。従来の無線タクシーの平均利用距離といいますか乗車距離は、平均いたしまして十六キロ、わりあい長距離のお客さんが利用をいたしております。一般の流しでございますと、平均して四キロ程度であります。したがいまして、わりあいに長いお客さんがこれを利用するわけですが、料金面から申しますと、単純に計算いたしますと、現在のタクシー料金は遠距離逓減になっておるというような関係もございまして、十六キロを一人のお客で一回輸送をやるよりも、四キロを四回やったほうが収入としては多いという結果が出てまいります。その辺も一つ問題がございます。  それからコストの面でございますが、無線機を備えつけ、そのオペレーターを置き、それに伴ういろいろな事務的な人件費、あるいは物件費というようなコストがかかりますが、全体のタクシーの実車率が低い場合には、無線機をつけて、これを運用することによりまして実車率を高めることができる、ということは、その会社にとりまして無線機を備えつけたことによって生産性を上げることができるというようなことも考えられるわけでありますが、現状はどうかと申しますと、東京におきましては実車率が非常に高い、現状でも六三%程度になっておるわけでありますが、われわれの経験的な考えから申しますと、需給のバランスからいいまして、実車率が五五%程度であれば大体適正である、それが六〇をこえると車が足りなくなる、それが現在はもう六三%程度という状況でございますが、そういたしますと、会社のほうで無線機をつけても、無線によって指令を受けてお客を拾うよりも流しで十分営業ができる、利用するお客さんが非常に多い、ということは、車の需給関係から見てそういう状況になるわけでございますが、これを経費的な面で申しますと、それだけの利用客に利便を与え、また非常にサービス的にプラスになる無線車の普及をはかるためにはそのコストの面を考えなければいかぬということに相なるわけでございます。
  37. 左藤恵

    左藤委員 私が申し上げたいのは、こういった非常に貴重な周波数の割り当てをして、そして効率的な利用ということがはたしてできているかどうかという点のことであります。たとえば一波について四百台ということを基準にして割り当てても、実際は五十とか百台くらいのところで割り当てられている例もあるわけであります。また、ある会社では、周波数のセパレーションを四十九年には規則化される、五〇KCを二五KCに狭くするということを自主的に進めておる会社があるわけでありますけれども、そういったことに対して、現実の実態を見ながらどういう方向に進めたらいいかということを十分考えて、この周波数の有効利用を考えてもらいたいと思うわけです。特にVの波を割り当てております分につきましては近くUが割り当てられる。そしてVは公共通信の用に供されるという計画になっておるわけでありますが、こういったことも少しでも早く変換ができて、それによって周波数の有効利用という点を考えていただきたい。ただ割り当てられたからそれだけは確保しておこう、そして利用はどうでもいいということであってはならない、このように思うわけであります。まあ流しのタクシーがそういった成績をあげておるなら、これは増車するか減車するかというふうな問題についても、この無線タクシー利用という面を考えて配慮していただきたい、このように要望いたしたいと思います。  それからもう一つ、地方においての集中基地化の問題についてどういうふうになっておるか。大体十四、五カ所集中基地化できておりますが、名古屋とか広島についてはまだ残っておるというふうな点について、これもやはり周波数の有効利用という点で、タクシー業者の間で、いろいろいままでの設備に投資したということについて、これから新しく出てくる競争相手のためによけいにそういう金を出せるかどうかという、いろいろな問題もあろうかと思いますが、周波数の適正な割り当てという点から考えても、これは進めていただきたいと思いますが、この点についてどういうふうになっておるか、これは電波監理局長にお伺いしたいと思います。
  38. 藤木栄

    ○藤木政府委員 お答え申し上げます。いわゆるタクシー無線の集中基地につきましては、現在東京、大阪をはじめといたしまして、全国で約十四の主要都市に設置されております。ただし、名古屋と広島につきましてはいま準備の段階でございまして、おそらく名古屋につきましては本年度中に開設ができる見込みでございます。また、広島も敷地の問題で多少もめているようでございますけれども、敷地も近く確保できる見込みがありますので、おそらくそう遠くない将来できる、こういうふうに考えておるわけでございまして、大体十四地区に名古屋と広島が加わりますと、集中基地として能率よく電波を使うという場所はそれでいいのじゃないか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  39. 左藤恵

    左藤委員 もう一点、先ほどの無線タクシー利用の簡便化をはかるためということで、運輸省でも全国自動車無線協会ですか、それに対してその研究、開発を指導しておられると伺っております。専用電話の見通し及びこれを実施します場合の公衆電気通信法との関係をお伺いしたいと思います。  専用電話の設置計画については自動車局からお伺いしたいと思います。
  40. 見坊力男

    ○見坊政府委員 専用電話につきましては、試作品も完成いたしまして、実験用の電話を東京都内に二カ所ほど設置をしようということで、現在その場所を選定中でございます。将来の計画といたしましては、東京におきましては四十五年度から五カ年計画で二千個設置いたしたい、大阪におきましては、同じく四十五年度を初年度にいたしまして五カ年間で一千個を設置したい、このように考えております。
  41. 藤木栄

    ○藤木政府委員 公衆電気通信法との関係でございますけれども、これは問題はございません。
  42. 左藤恵

    左藤委員 私は、そういった意味で無線タクシー利用というものを促進するということによって都市の交通体系の混乱を少しでも防ぐということができるならば、この点を業者に対しても強く行政指導していただいて、せっかくできたたとえば近代化センターというものも効率よく運用していただく、それによって少しでもタクシーの回転効率をよくするだけでなくて、改善をはかることによって都市における交通安全の対策にも資することができるというふうに考えますので、運輸当局の特に強力な行政指導を要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  43. 受田新吉

    受田委員長 久保三郎君。
  44. 久保三郎

    ○久保委員 前回に引き続いて、大型船の海難事故に関して若干お尋ねをしたいのであります。  一つは、遭難海員の遺族に対する補償の問題であります。「ぼりばあ」あるいは「かりふおるにあ丸」等、それぞれ規定に基づいての補償等は一応なされていると思うのであります。ただ残念ながら、その一部については、いまだ遺族と船社側との間で円満な話ができないままにいるようにわれわれは聞いているわけであります。ついては、かような海難の場合において、一般的に言うならばもちろん一つには船員保険法による労災補償、これは当然出る。ところが、労災の補償は、最近労災の基準の引き上げがありましたが、まだまだ遺族にとって十分納得のいけるような制度にはかなり距離があると思うのであります。片方には、多少制度的な違いはありますが、いわゆる自賠責の補償限度の引き上げ、こういうものがありまして、その辺のバランスというか、均衡がとれないままに実はいるわけであります。これはもちろん制度そのもののおい立ちなり経緯というか、そういうものは違うことではありますが、いうならば事の性質上、このバランス、均衡を考えなければならない時勢になっている。ついてはこういうものについて検討を加えることは当然でありますが、そのほかにそれぞれ労働協約によるところの補償もございましょう。これは労災を補完するようなものではありますが、最近における労働協約の内容を見ましても、必ずしもこれまた十分でない。そこで、かかる事故に遭遇いたしましては、遺族として当然相応の補償を要求するのはあたりまえだろうと思う。もちろんそれにはおのおの限度はあろうかと思いますが、船社側についてながめますと、この遭難自体の原因がはっきりせぬうちは何か見舞い金程度でがまんしてもらおうかというようなことを言っている向きもあるそうでありますが、その原因と責任についてもちろん関係が全然ないとは言いませんけれども、ただ、遺族に対する船社の責任というのは、これまた別な観点から考える筋合いでもあろうかと思う。雇用し、運航を命じていたものでありますから、これから起こるところのいわゆる責任というのは、当然のごとく船社側が全面的に負うべきではなかろうか。もちろんたとえば船の構造による欠陥があったとするならば、これは船社側と造船側との問題である。あるいは検査に落ち度があったとすれば、検査機構といわゆる船社側との関係が生ずるのであります。必ずしも遺族に対する問題ではないと思うのですね。このことについて、船社側はこの原因のいかんにかかわらず、まず第一義的な責任を負うべきだとわれわれは考えているのでありますが、運輸省の見解はいかがですか。
  45. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。海難事故の場合におきます責任がどこにあるか、それにつきましては、それぞれの事故の態様によりましていろいろ相違があると思います。したがって、当然船社側の問題であるというふうに一律に言い切れない点もいろいろあるかと思います。遺族補償の問題につきましては、現在船員法におきまして、標準報酬月額の三十六カ月分に相当するところのものが遺族補償、これは一時金として、あるいは遺族年金といたしまして、それにかわるものといたしまして、標準報酬の五カ月分が毎年遺族年金として支払われるというような制度になっております。これについては、確かに制度といたしまして、全般的なバランスとしてそのような制度が樹立されておるわけでございますが、実際の事故の面におきましてそれで不十分な場合もある、そういうものを補完するものといたしまして、現在労働協約が締結されておるわけです。昨年までの労働協約におきましては、これの三十六カ月分が三百万円に満たない場合においては、三百万円になるように船社側においてこれを支給するというふうに、労働協約の大部分がそのようになっております。しかし、これでは不十分でございますので、今年度からはこの船員保険の三十六カ月分プラス四百万円、一律に四百万円というふうに労働協約の改定がございました。やはり遺族に対して幾分でもそういう面において補完が大きくなるように、船社側においても努力し、また組合側においてもいろいろそういう面において努力しておるという状況でございます。
  46. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしましても、いま局長からお話のありましたそういう計算といいますか、そういう制度でも、補償額というかそういうものを見た場合には、もちろん限度はございますけれども、いまの世相に合わないといったらたいへんことばが過ぎるかもしれませんが、すごく懸隔のあるような数字が出てくる心配があるわけです。私の手元にもそういう計算をしたものがたくさんございます。一々申し上げる時間はございませんけれども、この制度についてやはり改善を加えることと、誠意をもって船社側は、遺族に対する補償などは責任をもって解決するというのでなくてはいけないだろうと思うのですね。いや、あれは天候のせいであったかもわからぬとか、船の構造であったかもわからぬとか、あるいは操船の関係であったかもわからぬとか、いろいろ原因には幾つかあるかと思います。しかし、その究明をしていくことは当然でありますが、先ほどくどく申し上げたように、乗り組み員に対するところの遺族補償はまず第一義的に船社の責任である、こういうふうにわれわれは考えておるわけなんで、そういう意味でいまお尋ねしたわけなんです。こまかい御答弁もございましたが、われわれはそういう観点から、いわゆる遺族補償が十分遺族の納得されるような線で解決するように、ひとつ関係当局の努力が必要であろう、こういうふうに思うわけであります。これは一つの要望になりますが、そういうふうに考えております。  次には、これは船舶局にお尋ねをするわけでありますが、先般も参考人においでをいただいて、いろいろお話を伺ったり質問をしたのでありますが、第二十次船だけの問題じゃなくて、やはり大型船全体について問題を提起されたとわれわれは考えているのであります。ついては、大型船の点検検査、こういうものが十分できるように措置すべきではないか。この点検検査は現行制度では船舶安全法によるところでありますが、そういう規定、法律だけでは、これまでの実績が物語るように、不完全であると思うのであります。そういう意味を考えますれば、この際一ぺん総点検というか、大型船について全部点検検査をひとつやってみたらどうか、これは当然の要求だろうと思います。もちろんそれがいまの安全法に基づくところの成規の検査であるなしにかかわらず、これは船社側においても当然やるべき筋合いであるし、あるいは当然この検査制度に基づくところのいわゆる定期検査、随時やる臨時検査というか、そういうものも当然行なわれる筋合いだと思うのですが、いずれにしてもいろいろな方法で、あらゆる責任の部署において総力をあげて点検をすべき時期である、こういうふうに考えるのでありますが、この点はどうですか。
  47. 内田守

    ○内田説明員 ただいま先生のお話にございましたように、いわゆる総点検という形では、御承知のように「かりふおるにあ丸」の類似の六十九隻と、それから最近船齢の割りに損傷の多いタンカーの事例が発生いたしまして、十四隻の船について検査を行なっているわけでございますが、その他の船につきましても、今度のタンカーに関連いたしまして、従来から特にいろいろな検査時期、特に最近の検査時期において一そう厳重な検査をいたすように指示いたしたわけでございます。したがいまして、ある程度それらの現状というものは把握しつつあるわけでございまして、今後の検査の時期等におきまして、一そう厳重な点検整備をやらせるという考え方でおります。
  48. 久保三郎

    ○久保委員 次には、同じような船舶の安全性でありますが、これはいろいろな見方がありまして、せんだっても参考人の海事協会の責任者を呼びましたら、まずまず国際級である、あるいはそれ以上の水準であるというお話がありましたが、実際には御案内のとおりの結果を招いている。だからわれわれとしては、やはりこれまでも申し上げていたように、船舶の強度、いわゆる安全性の向上のために現行制度を一ぺん再点検する必要がある、こういうふうに考えているわけであります。先般お呼びしました海事協会の責任者の発言をもってすれば、現在の海事協会の機構あるいは性格、担当する者の考え方にかなり問題があると思うのですね。これはやはりきびしく検討を加えて、完全なものに持っていく。何かこの間の参考人は自分の職責をお忘れになっていたようでありまして、間違っていた。これは問題が突発的にきたのではなしに、これまで一年間もやってきているのに自分の職分がはっきりわからぬで、わきのほうから何か参考書類を見せられて訂正をするがごときは、断じてわれわれとしては容認できないのでありまして、こういうものの指導監督というのは当然船舶安全法によって運輸省に課せられた任務である、だから特にこの検査体制というか、海事協会を含むところの体制についてはきびしく糾弾しなければならぬ、こういうふうにわれわれは思っている。ついては、これに対してきびしく検討を加える必要があると思うのだが、船舶局としてはどう考えているか。
  49. 内田守

    ○内田説明員 いま御指摘のございましたようないわゆる検査体制というのは、国際的にある程度確立された制度ではございますけれども、いま御指摘のございましたように、最近の大型船の損傷等の事例を考えますと、たとえば保船につきまして、船舶所有者としての保船整備の問題、あるいは造船所における自主検査の問題さらに第三者の検査機関としての船級協会等の検査の問題、それぞれの立場におきまして一そう慎重な検査等を行なう必要があると思いますし、私どもといたしまして、これらのそれぞれの立場、検査機関を含みまして、検査の体制につきまして再検討を加えまして、一そう厳正な建造ないしは保船管理等が行なわれるように対処したいと思っております。
  50. 久保三郎

    ○久保委員 もう一つ、海事協会に関連してお尋ねしたいのは、船舶安全法によりますれば、海事協会のいわゆる検査は国が検査したと同じ、そういうようにみなすというか、そういうことになっている。そうしますと、たとえば検査にミスがあった場合というか、海事協会の検査に対しては、最終的に政府が責任を負うべき筋合いのものであるのかどうか、この点をお伺いしたい。
  51. 内田守

    ○内田説明員 かりに船級協会が、いまの例では海事協会でございますけれども、海事協会が検査上のミスによって問題が生じた場合には、直接的には日本海事協会の責任であると考えております。もちろん私ども政府としては、そういう船級協会を監督する立場にございますので、そういう立場での行政上の責任はあるというふうに考えております。
  52. 久保三郎

    ○久保委員 わかりました。それだけに、そうだとするならば、やはり先ほど申し上げたように、この制度自体に厳重なメスを加えて、世論に正しく前向きで対応できるようなものにしなければならぬと私たちは考えているわけでありますから、御考慮をいただきたい、こういうふうに思うのです。  それから、保安庁はきょうは儀式のようでありますから、審議官にお尋ねしますが、海難救助の問題。先般もお尋ねしましたが、航空機の事故などの場合は、航空局長が本部長になって全体の指揮をとって捜査救難に当たる、制度上こういうふうになっていると思うのです。ところが、この海難の場合は必ずしもそうでない。たとえば自衛隊の出動に対しても、出動後における指揮命令、きっちりどうかはわかりませんが、いずれにしても、自衛隊に対して保安庁長官の、いわゆる海難救助に対してのみでありますが、そういう場合に、海上保安庁長官の指揮下に入るわけではない、いわゆる協調体制だけでやっているところに問題があると思うのです。だから、これは、そういう場合には政府としていわゆる一元的な救難体制ができるようにすれば、先般来幾つか指摘されたような問題は起こらないのではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。この点について政府部内の体制を早急に固める必要がある、こういうふうに思うのだが、御所見はいかがですか。
  53. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生御指摘の点でございますけれども、救難活動につきましては、海上保安庁といたしまして、あるいは前進哨戒船でありますとかあるいは航空機の救難体制を整備いたしまして、海空一体となりましてこの救難をはかるというようなことで鋭意努力しているところでございます。  なお、先生いま御指摘になりました、一体的にやられたらどうかという問題でございます。これにつきましては、もちろん政府全体のことでございますから、私からこういたしますというふうな御確約はできかねると思いますけれども、私どもといたしましては、現在も一応緊密な体制をとりながら防衛庁関係とも連絡をとってやっておるわけでございますけれども、さらにその体制が緊密化いたしますように、先生の御指摘になりました点も十分心にとめて、その方向で進めてまいりたい、努力してまいりたいというふうに考えております。
  54. 久保三郎

    ○久保委員 次に、気象庁長官おいででありますね。先般もお尋ねしましたが、時間の関係であなたの御意見を伺うことが少し足りなかったものでありますから、もう一言お伺いしたいのであります。  問題になっておりますように、本州東方海上というか海域におけるところの海象、気象の調査でありますが、いままでも十分なされているようでありますが、いまいろいろな方面から言われていることは、やはりもう一ぺんこの海域におけるところの海象、気象を継続的に調査をして、その解析を行ない、運航の安全あるいは船舶設計の安全性を高めていったらどうか、こういうふうな意見があるわけでありますが、いままでのやり方は大体どうだったのか、簡単にお述べをいただくと同時に、いま私から申し上げたような、体制的にはどうしたらいいか、あるいは四十五年度予算ではそういうものは盛られていないのか、簡単にいま御答弁いただきたいと思います。
  55. 吉武素二

    ○吉武政府委員 お答え申し上げます。気象庁といたしまして、一九六一年から北太平洋海洋気候表というのを、ここにございますが、毎年出してございます。これは大体御説明申し上げますと、赤道から北緯六十度まで、それから経度のほうは東経百度から日付変更線のもう少し先の西経百七十度まで、その範囲の海域を航行した船舶から気象電報をもらったものを各月ごとに各要素別に統計したものでございます。この資料が気象庁にはずっとあるわけですけれども、こういう、毎年だけでなしに、いままでのその資料すべてを使って、もう少しこまかい統計をやってみたらということでいまいろいろ計画中でございます。
  56. 久保三郎

    ○久保委員 わかりました、計画中でございますから、これからおやりになることだと思いますが、ただ問題は、予算はどういうふうになっておるのですか。
  57. 吉武素二

    ○吉武政府委員 四十五年度の予算にはそういうことはまだありませんけれども、御存じのように、いま大型船の調査委員会ができております。そこでもこの問題は問題になっていて、何とかやろうじゃないかという機運になっております。私も何とか実現したいというふうに考えておりますが、金にちょっと困っているという面がございます。
  58. 久保三郎

    ○久保委員 金に困っていては長官だめですよ。わらっている方もいらっしゃるけれども、これは笑いごとじゃないのですね。大体、庁のつく官庁というのはみんな予算がとれないところになっている。そのうちでも一番しわ寄せを食っているのは気象庁じゃなかろうかというのが、この国会の中での大体通り相場になっているのです。これは気象庁長官の責任ではありません。それでいろいろなこういう問題が出てくると、気象はどうなるのか、やっているのか、そのうちに大きな地震でも来たら、気象庁長官はやめるほかないのじゃないかというふうな評判さえ出てくる。予算がとれてない、これは十分考えていかなければならぬ点だ。きょうは運輸大臣も保安庁のほうへ行っているようですが、予算について答弁される方はおりますか。——おりませんね。あとでこれは詰めますけれども、そういうことではおざなりだと思うのですね。調査していこうというのに、予算についてはどうもとってありませんということ、これはまことに正直でいいと思うのですが、それだけでは済まない。だから、これは当委員会としても十分今後追跡していかなければならぬ問題点だろうと私は思うのです。実際笑っているどころじゃないです。  次に審判庁は来てないですか。
  59. 受田新吉

    受田委員長 審判庁は来ていないのですが、内村審議官がかわって答弁できるそうです。
  60. 久保三郎

    ○久保委員 先般もまたこの問題ではお話しを申し上げたのでありますが、事故調査機関を独立して権威あるものをつくるということについて、これは政府側でも検討をしよう、こういうお話でありますから、これはそれでいいと思うのです。検討を早めてもらいたい。それと同時に、そういう調査機関というものを、この間も申し上げましたが、審判庁もそれぞれの立場からやっていく、船舶局もやっていく、あるいは造船工業会もやる、船主協会もやる、あるいは海事協会もやるというのでは、何が権威あるものであるかちょっとわからなくなってくる。だから独立機関を設けようということなんです。これはおわかりですね。それと同時に、海難審判制度というのは先般も申し上げたように、船舶職員法違反の事項をどうも中心に、この歴史、これまでの経緯もありますからやむを得ぬと思うのでありますが、そういうものが重点に処理されるような機構というふうになっているわけです、実際は。しかし今日の事態を考えますれば、審判庁のそういう機構ではもの足りないというか、事足りない事態になってまいったわけです。そこで、一番審判庁のウィークポイントは何かというと、いわゆる独自の調査機関というものが非常に微弱である。事故の原因を究明する機関というものがなかなか持てない。そのために審判というか、審理も、長い時間をかけて初めて始まるということだと思うのです。でありますから、先ほど申し上げた独立した権威ある調査機関を設けると同時に、現在の審判制度を実質的に改善していくような方向をとるべきだと思うのです。これはやはり検討を加えていかなければならぬ。こちらにおいても検討を加えますけれども、政府においても検討を加えて、この制度そのものは別に否定するようなものではないと思うのでありますが、その機能というか、そういうものが非常に微弱である、こういうふうに思うので、その点の御所見を伺いたい。
  61. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 事故調査機関につきましては、私はこういうふうに考えております。一つは、その総合性というものが非常に大事であるということ、それからもう一つは、先生御指摘になりましたように、中立性を確保するということが大事である、それから三番目には、このごろの技術革新の世の中におきまして、絶えず進歩する技術革新というものに即応し得る体制でなければならない、この三点が非常に重要じゃないかというふうに考えております。そういった点におきまして、いわゆる事故調査機関全般につきましても検討は進めていくつもりでおりますけれども、ただいま問題になりました海難審判庁の構成につきましては、さらにそういった新しい態勢に即応し得るような構成メンバーでありますとか、あるいは参審制度の問題でありますとか、そういう点につきまして、なお先生の御趣旨を体しまして前向きに検討いたしたい、こういうように考えます。
  62. 久保三郎

    ○久保委員 次には船舶運航の安全性の問題でありますが、これも先般来それぞれ意見が出ているとおり、特に問題の大型船については、運航マニュアルの作成あるいは必要な情報の提供、こういうものが体制として確立される必要がありはしないか、こういうことなんでありますが、こういう問題についていままであまりないわけですね。あまりないというか、ほとんどないと思います。気象にしても、この間うちはどうなったんだかわかりませんけれども、たとえば洋上からの通報はかなりあったが、これを受けて、いわゆる波の高さはどのくらいかわかりませんでしたが、まあこのくらいだ、風はどうである、そういう場合において、これを必要な検討を加えて、運航安全のためにはどうしたらいいかという、そういう情報は提供されなかったように聞いているわけなんです。そういう場合に必要な情報が的確に迅速に提供されるならば、一そうこの運航は安全を確保できると思うんです。こういう点について運輸省当局はどういうふうに思っているのか。
  63. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生御指摘になりましたように、運航につきましては気象、海象その他の情報の提供、そういったことが非常に重要なことであると思います。それから運航マニュアルにつきましても、これは二つとも現在設置されております大型船海難特別調査委員会の運航部会において種々検討されておるわけでございます。したがいまして、そういうところでの結論がいずれ出ると思いますので、それによりましてこういったものの安全を高めてまいりたいというふうに考えております。
  64. 久保三郎

    ○久保委員 これも保安庁の専管事項かしりませんが、この前も話に出ましたが、また国会でももう四、五年前からわれわれ自身もその要求をしていたのでありますが、海上交通法の制定であります。これは成案を内部的には得ながら、水産界というかそういうものとの関係で実は日の目を見ないままに今日に至っておる。今度の国会には最大の努力をして出すのだろうと思ったらば、これまた調整がつかないという理由で出してこない。これはもはや一刻も猶予ができない時期に来ているので、これは来国会は必ず提案をすべきだと思う。そういう気がまえで内外ともに折衝をしていくべきだろうと思うのですが、これは政府というか運輸省の方針としてはどういうふうになっておるか、簡単に御説明願いたい。
  65. 内村信行

    ○内村(信)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、海上交通法の制定ということは、海上交通の安全のためにぜひともされなくてはならぬことであるというふうに考えております。これまでの経緯につきましては御存じのとおりのことでございますけれども、今後も私ども鋭意この早期制定について努力をいたしていきたいところでございます。どうぞ皆さま方にもよろしく御尽力を賜わりたいと思います。
  66. 久保三郎

    ○久保委員 最後に、たいへんおそくなりましたが、海運局長にこの前お尋ねができなかったのでありますが、その一つは、計画造船が大きな事故の経済的な要因というふうに言っている向きもあるわけなんです。これはそうでないといえばそうでないし、そうであるといえばそうであるかもしれません。ただ問題は、安い船価でかせがなければならぬという仕組み。もちろんこれは経済行為でありますから、効率のいい運航をしなければならぬのは当然でありますが、しかし、安全性をどこに求めるかというのは、たいへんむずかしいかもしれませんが、大事な点だと思うんですね。だから、いまやっている計画造船を含めて、いわゆる海運業のあり方がやはり問題として問われねばならぬ時期でもあろうかと思うんですね。これについて海運局長としてどのように考えられますか。  それからもう一つ、造船のほうはこの間申し上げましたから、もういいでしょう。ただ、船舶職員法と安全の問題であります。これは船員局長の所管でありましょうが、大体自動化が進んでまいりまして、それぞれ船員の乗り組み員を減らしてまいりました。ある程度、自動化、機械化、近代化でありますから、そういうものは否定できないにしても、しろうと考えで、甲板員というのでありますか、そういうものが十分に乗り組んでいて、船の運航中における点検、あるいは小さいものの修理、そういうものを実際はやっているのかどうか。運航中におけるところの船舶安全の点検、こういうものの要員、これはもちろんそれ専門の委員を乗せることはわれわれは一番いいと思うのでありますが、たとえば専門でなくても、そういうものを兼務する要員がだんだん減らされれば、言うならば操船だけが専門になってくる。船舶の安全性というか、そういうものの点検というか、これはなかなか手が回りかねるというためにいろいろな問題が出やしないか。だから省力化というかそういうものについて一ぺん考え直してみる必要はありはせぬか、こういうふうに考えるのだが、どうでしょうか。
  67. 澤雄次

    ○澤政府委員 お答え申し上げます。先生御指摘のように、荷主は船会社から少しでも安い運賃にしてもらいたいと思うことは当然でございますが、海上運賃につきましては、先生御承知のように、国際的なマーケットというものがございまして、やはり運賃の一定の相場というものがあるわけでございます。さらに計画造船におきましては、船会社があまり安い運賃で契約をしないように、十年船価回収ベースという、これも先生よく御承知の制度をとっておりまして、十年間でその船価を回収できるような運賃をとってこなければ計画造船の対象にしないということで船会社の経済的な安定をはかっているわけでございます。  それから、計画造船が船価を下げて造船所に無理がいっているのじゃないかという御趣旨の御質問かと思いますが、現在におきましては、計画造船において、政府なり日本開発銀行が船価を査定するということはやっておりません。これは再建整備の前でございますが、予算が通らないときに船価を査定するというようなことをやったことはございますが、最近では、再建整備ができましたあとは、船価査定ということはやっておりませんで、船会社と造船所で契約できた船価につきましては、そのまま政府として認めて、融資の対象あるいは利子補給の対象にしているわけでございます。船会社といたしましても、船の安全をはかるということがやはり一番大事なことでございまして、船会社自身にも工務の技術者もおりますし、それから海事協会の検査に絶対の信頼をおいているわけでございます。船会社としては、海事協会が非常に厳密に検査をしてくれることをむしろ望んでいるということでございまして、安全性経済性の追求はもちろんでございますが、さらに安全性のほうに重点を置いて考えていく、またそのように運輸省としても指導いたしているわけでございます。
  68. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。確かに先生御指摘のように、ここ十年来の船内の乗り組み員の数を見ますと、次第次第に一船当たりの乗り組み員の数は減少しております。これはやはり基本的には、いろいろの機械、そういうようなものが採用され、また船内の就労組織というものが非常に変わりつつあるということに対応するものでございます。ただ、これらの乗り組み定員がそれぞれ配備されます場合、制度においてもあるいはまた実際の海上におきましても、根本になりますものは当然運航の安全でございます。その運航の安全の面については、十分な配慮を、制度面においても実際の海上面においても留意しておるのでございます。たとえば、かつて船大工というものがございました。そういうものが職種としては現在乗り組んでおりませんけれども、それに該当するところの仕事というものは甲板員がこれを行なっておるというようなことで、それぞれ安全の面に必要なことはいろいろ留意しながら実際の配備を進めておるということでございます。今後の問題といたしまして、当然自動化なり省力化というものが大幅に進んでまいると思います。したがいまして、まだ従来の船舶職員法の基本的な考え方でございました当直業務というものについても大きく変わってまいる。それと同時に、保守、点検の業務というものが大きなウエートを占めてくるだろうということは当然予想されるわけであります。こういうような観点からいま船舶職員制度の問題も検討をしておるのでございますけれども、しかし根本におきましては運航の安全が第一義でございます。その点については、私どもあるいはまた関係審議会の委員も、十分それを基本の前提としながら、今後の制度のあり方をいろいろ検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
  69. 久保三郎

    ○久保委員 わかりました。いずれにしても経済性あるいは省力化、近代化というものが先行し過ぎて、安全性がないがしろにされるわけじゃないでしょうが、ともすればあと回しになるというきらいが最近の経済成長の中にも見られるわけでありますから、これは十分船舶職員法の制度自体にも検討を加えていく必要がある、こういうふうに考えているわけであります。  それからもう一つ、これは時間がありませんから船舶局に申し上げておきますが、先般も申し上げたように、造船の作業の中で、下請に回す部面がかなり多いんですね。いわゆる下請工というのか社外工というのかわかりませんが、こういう者がいわゆる本工と同じような作業をしているやにもわれわれは聞いているわけです。そういうところにもやはり問題がありはしないか。下請に出している、同じところで何か同じような仕事をしている、そういう制度にもわれわれはもう少し安全性確保の面からもひとつ考えていくべきではなかろうか、こういうふうに思うので、これをひとつ含めて考えてもらいたい、こういうふうに思います。  以上でこの問題の質問を終わるわけでありますが、本国会も明日が最終日でありまして、閉会になります。ついては、これから国会は休会というか、次の国会まで一応中断されるわけであります。もちろん閉会中の審査もございますが、この大型船の海難事故はかなり大きな、しかも広範囲に関係する重大な問題でありまして、当特別委員会としては、当然これはさらに追及調査というか、審議もしなければならぬものだと思うのでありますが、幸い先般参考人も招致をいたしまして、それぞれ意見も徴し、審議を進めてまいりました。一応国会が近く閉会になるにあたりまして、当特別委員会の意思を決定し、政府にこれを伝達し、政府の善処を求めるというのが国会としての任務でなかろうか、こういうふうに思うので、この際私は次の動議を提案する次第であります。  まず案文を朗読いたします。   大型船の海上交通安全対策に関する決議   政府は、大型船の海難事故にかんがみ、その原因究明と安全対策確立のため、次の諸点につき特段の措置を講じ、事故の絶滅を期すべきである。
  70. 受田新吉

    受田委員長 久保君、発言をちょっと待ってください。——その動議は質疑終了後取り扱いを検討いたしますから……。
  71. 久保三郎

    ○久保委員 動議の扱いを委員長にお尋ねするわけですが、われわれはこの動議の提案はこの時点で何ら制約はないと思うのです。お取り上げいただくかどうかはもちろん後刻おはかりをいただくのが当然だと思うのです。そういう意味で私は動議の提案だけをしたわけです。
  72. 受田新吉

    受田委員長 緊急動議ですか。
  73. 久保三郎

    ○久保委員 そうです。もう国会は明日で終わりますから、緊急動議として提案をいたしたわけであります。御了承いただいて次を続行いたします。
  74. 受田新吉

    受田委員長 その扱いは……。
  75. 久保三郎

    ○久保委員 扱いじゃなくて、私は動議を提案するのであります。その扱いは委員長お話のとおり質問が終わってから当然やってけっこうだと思うのです。
  76. 受田新吉

    受田委員長 その案はそれじゃ委員各位におはかりを……。
  77. 久保三郎

    ○久保委員 だから、動議として私が提案いたしますから、どうぞおはかりいただいて、あとで御報告お願いしたいと思うのです。
  78. 受田新吉

    受田委員長 それをひとつ拝見して、委員各位におはかりいたします。
  79. 久保三郎

    ○久保委員 拝見じゃなくて、私が提案しておりますから、ここで読み上げるのが筋でありまして、非公式にはお渡ししてある……。
  80. 受田新吉

    受田委員長 それでは一応御提案を許しましょう。
  81. 久保三郎

    ○久保委員 はい、ありがとうございます。   〔発言する者あり〕
  82. 久保三郎

    ○久保委員 前段はそのとおりであります。        記  一、ぼりばあ丸、かりふおるにあ丸の海難事故の原因を早急に究明するとともに遺族補償が適切に行なわれるようにすること。  二、大型事用船及び大型タンカーの船体の強度等その安全性について厳重な点検・検査が実施されるよう必要な措置を講ずること。  三、船舶の安全性を向上させるため、船体の強度、検査の基準及び点検・検査の体制について再検討し、必要な措置を講ずること。  四、救難活動がより迅速、適確に行なわれるよう海上保安庁を中心とする救難体制の一元化、施設の増備、近代化をはかるとともに救命器具の開発を促進すること。  五、本州東方海域における海象、気象の解析調査を行ない、造船設計及び運航の安全に寄与させること。  六、陸海空にわたる重大交通事故の原因を正確迅速に究明させるため権威ある恒常的調査機関の設置を検討するとともに、現行海難審判制度の補強を行ない、その機能を充実させること。  七、船舶運航の安全を確保するため運航マニュアルの作製、及び必要な情報が適確迅速に提供される体制等の整備に努めること。  八、海上交通の安全を図るため、海上交通法の早期制定をはかること。  九、船舶の建造及び運航の省力化などの経済性がその安全性を侵さないよう必要な措置を講ずること。  右決議する。  以上が決議の案文でありますが、決議の内容につきましては、さきの質問の経過で明らかになっていると思いますので、説明は省略いたしますが、何とぞ委員各位の御賛成をお願いする次第であります。  以上です。
  83. 受田新吉

    受田委員長 ただいま久保委員の発言につきましては、これを承りまして、引き続き質疑の続行をさしていただきます。横路孝弘君。
  84. 横路孝弘

    ○横路委員 二つほどお尋ねをしたいと思うのですけれども一つは、昭和四十一年の二月四日に、乗員乗客百三十三名が死亡した例の全日空のボーイング727型機の問題についてお尋ねをしたいと思うのです。  あの事故以来四年経過して、本年の一月二十四日に、事故の技術調査団から事故の推定原因は不明という公算が大であるという内容が発表されました。何かいろいろ雑誌の報道によりますと、これは多数決できめられた。科学の世界に多数決を持ち込んだ点でいろいろ批判があるようでありますけれども、そのことはともかくとして、その後正式な報告というのが全然なされていないわけです。一体あの事故技術調査団の内容が一月二十四日に公表されて現在までどういう取り扱いになっておるのか、その点を最初にお答えをいただきたいと思います。
  85. 金井洋

    ○金井説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、727の事故調査につきましては、運輸大臣が委嘱しまして技術調査団というのを組織しまして、その技術調査団が事故調査の究明に当たっております。そうして一月二十四日に中間的な発表としまして発表しましたけれども事故調査団が作成したところの正式な事故調査報告書というものは運輸大臣にはまだ答申されておりません。したがいまして、まだ事故調査は継続中であるということでございます。
  86. 横路孝弘

    ○横路委員 そうするとあの一月二十四日以後も、何か聞くところによると、あれはもうきまったのだ、つまり結論ですね。問題なのは、事故の推定原因は不明という公算が大であるということで、一月二十四日に発表になったわけです。いまの御答弁ですと、その後まだ調査を継続しているのだ、こういうふうに承ってよろしいわけですか。
  87. 金井洋

    ○金井説明員 さようでございます。
  88. 横路孝弘

    ○横路委員 そうしますと、そのいまの結論、事故の推定原因は不明という公算が大であるという結論をも含めて検討している、こういうことでございますか。
  89. 金井洋

    ○金井説明員 さようでございます。
  90. 横路孝弘

    ○横路委員 そうすると、その見通しの問題ですね、結局報告書をつくって大臣の許可をもらって、承認をしてもらって、それからもう一つは航空機製造国であるアメリカの承認が必要になりますね。そうすると、大体いつごろそれがまとまるものか、その辺のところはいかがですか。   〔「休憩してくださいよ」と呼ぶ者あり〕
  91. 受田新吉

    受田委員長 続行中のだけひとつ片づけて休憩いたします。
  92. 金井洋

    ○金井説明員 これは事故調査団はじめ事故調査団長が最終的には大体の見通しをお立てになることと思いますけれども、現在までのところでは、現物に関する調査は終わっておりまして、その調査結果に基づいてそれを解析し、あるいはいろいろ結びつけて、そうしてどういう原因であったかということを解析し、同時に推定しておる段階でございますので、いつごろ終わるかということはいまのところ見通しができておりません。
  93. 受田新吉

    受田委員長 横路君、休憩後やってもらうことにして、暫時休憩いたします。    午後零時四十八分休憩      ————◇—————    午後一時七分開議
  94. 受田新吉

    受田委員長 休憩前に引き続き、質疑を続行いたします。横路孝弘君。
  95. 横路孝弘

    ○横路委員 いま、調査結果を解析しているのだというお話だったけれども、その解析しているのは、事故技術調査団としておやりになっているのですか。
  96. 金井洋

    ○金井説明員 さようでございまして、解析あるいは調査結果、試験結果、そういったものの突き合わせというか、再検討をしているというのは、これは技術調査団としてやっているということでございます。
  97. 横路孝弘

    ○横路委員 そこで、ひとつお尋ねしたいんですが、この調査団の中でいろいろと対立があったということを私たち聞いているのですけれども、その過程の中で、ことしの二月二日に運輸大臣あてに山名正夫氏が辞表を出したということになっているのですが、これは、その後の取り扱いはどういうことになっておりますか。
  98. 金井洋

    ○金井説明員 確かに、先生御指摘のとおり、調査団を、団員をやめたいという辞表を受理しておりますけれども、これは、まだ団長をはじめ運輸省事務局、これが慰留につとめているという段階でございまして、最終的には、団長でありますところの木村団長がさらに努力し、木村団長から大臣のほうに、それをどうするかという、その扱いの相談があるものと思われます。目下慰留につとめているということでございます。
  99. 横路孝弘

    ○横路委員 山名氏が、いろんな点について、一月二十四日の結論に対して批判を加えているわけですね。そうすると、それについてさらに検討をされておるということであるならば、山名さんを除いてやられているのか、入れてやっているのかというのは、やはり非常に重大な点になるのです。そうすると、今後出てくる報告書の内容、これに一体山名氏は参加するのかしないのかという点も含めまして、その辺のところはどういうことになるのですか。
  100. 金井洋

    ○金井説明員 もちろん山名先生の意見も聞いております。御承知かもわかりませんが、一月二十四日の会議におきましていわゆる山名先生の意見が発表されたわけですけれども、その意見については、非常に可能性が少ないということで、大方の団員の賛成は得られませんでした。ただ、いろいろな実験あるいは試験をおやりになっておりますので、そういうものも参考にし、調査団として検討あるいは突き合わせをしておるということでございます。もちろんその中では、山名先生のおやりになった試験あるいは調査結果、意見というものを参考にしておりますので、山名先生の意見も当然くみながら検討しておるということでございます。
  101. 横路孝弘

    ○横路委員 この一月二十四日の調査の発表というのは、たしか、いわゆる第四次草案で、それまで第一次、第二次、第三次と草案があったと思うのです、報告についての。その重要な点で、一次草案から四次草案までの間に変わってきている点があるわけですね。たとえば機長の窓があいていたことについても、一次草案においては何か人為的にあけられたような報告だったのが、今度の第三次ないし第四次になると、墜落したときの水圧によるものだ。あと、いろいろな点についてそういう変化というのがあるわけですね。  そこで、私、その詳細な点は、報告書が出てからお尋ねをしたいと思うのですけれども、たとえば一番大きな点として、グラウンド・スポイラーの問題を山名先生が提起しているわけですけれども、これは聞くところによりますと、その後、昭和四十三年七月二十一日に日本航空の千歳−東京間ボーイング727、それから四十三年八月二十六日にやはり全日空のボーイング727大阪−東京便で、これと同じようなグラウンド・スポイラーに関する事故が何か発生したというように聞いておりますので、この点について資料あとで提出していただきたいと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  102. 金井洋

    ○金井説明員 お答えします。その点は、もちろん資料をお渡ししてもよろしいわけですけれども、その日航あるいは全日空の故障の例が、確かにグラウンド・スポイラーが飛行中出かかったという例はございます。しかし、事故当該機の脚その他関連部分調査したところ、グラウンド・スポイラーが飛行中出たという証拠は何も発見できておりません。したがって、山名さんのように、飛行中グラウンド・スポイラーが出たという断定をする証拠は何もないわけでございます。
  103. 横路孝弘

    ○横路委員 それで、この二つ事故について、おたくのほうでも調査されたのでしょうから、その原因なり何なりについて資料を提供していただきたいと思うのです。その点はどうですか。
  104. 金井洋

    ○金井説明員 それは二つの故障例ですね。——故障例についての資料はお出しできます。
  105. 横路孝弘

    ○横路委員 それと、やはりこの山名説によりますと、第三エンジンの取りつけボルトの点につきまして指摘がされておるのですけれども、その後、聞くところによりますと、ボーイング社のほうの指示で改められた。そのほかにも何か改められた点がある、たとえば予備のブラケットについても改められたということも聞いておりますので、あの事故以後、ボーイング社のほうから、全日空に、あるいは日本航空でもいいですが、このボーイング727型機について何らかの具体的な指示があったとすれば、その指示の例と、それから、あと何らかの、構造等を含めましてこの設計の変更等がございましたら、その点も、この具体的な事例について資料として出していただきたいと思うのです。その点いかがでございますか。
  106. 金井洋

    ○金井説明員 ただいまの御指摘のものは、これは全世界に使われておる727型機に対する仕様というか、改修というか、そういうものでございますので、当然公表できるしろものでございますので、資料はお出しできると思います。
  107. 横路孝弘

    ○横路委員 時間がありませんので、もう一つ。これはやはり資料なんですが、この727型機のエンジンについてもいろいろな話があるわけですね。たとえば、あの事故機の第三エンジンについても、何か昭和四十年八月に取りつけをした新しいエンジンだそうですけれども、十月になったらもうすでにオーバーホールしなければならぬ状態になった。それから十月二十六日に第一エンジンから第三エンジンに取りかえて、事故の二日前にも異常があったというような話も聞いておるわけです。五月七日の読売新聞を見ますと、羽田発大阪行の全日空のやはりボーイング727が、午前十時五十分離陸してすぐ、左側エンジン出火という警報装置がついて、消防車のほうでは消火の措置をとり、飛行機が引き返してきたというようなことが新聞に出ていたのですけれども、全日空の整備士とか航空機関士の人の話によりますと、727型機で年に三、四件は現に出火をしている例がある、また月に十件程度は出火直前の状態になっている、こういうケースがあるのだ、こういうことでございますので、やはりこの点も、この事故の原因を解明するためにも、727型機のエンジンの異常について、つまりエンジンに異常があると警報装置に出火とか過熱というのがつくわけですね。そういうようなケースを過去一年間ぐらいでよろしいのですけれども、これは別に全日空でなくても、とにかく727の機種についてそういう例がどのくらいあるか、その原因が一体何なのかということを、あわせて資料としてお出しいただきたいと思いますけれども、それはどうでございましょうか。
  108. 金井洋

    ○金井説明員 その御指摘のような例はどこからおとりになったものかわかりませんけれども、私どもが得ておる資料では、要するに誤作動という例が、昨年の場合には日航、全日空の場合で二、三件ありましたけれども、それは実際エンジンが火災になったものではなくて、電気系統の故障によってランプがついたというものでございます。  その資料の件でございますけれども、そういう事例が何件あったかと、その件数だけでよろしいわけですか。
  109. 横路孝弘

    ○横路委員 いや、その内容、原因、それが問題になるわけです。
  110. 金井洋

    ○金井説明員 もちろん原因を調べてお出しできるとは思いますけれども、これはわが国の場合の例しか出せません。
  111. 横路孝弘

    ○横路委員 もちろんわが国の例だけでけっこうですから、そういう資料を提出していただきたいと思います。  そこで、もう時間がありませんし、運輸委員会のほうでも何かあるようですから、これでこの問題は終わりたいと思いますけれども、この問題に関していろいろな話があちこちから聞こえてくるわけです。第一次草案から第四次草案の間にくるくる変わったとか、またメンバーの重要な構成員である山名氏が辞表を出したとかいうようなことで、一体どういうことになっているのだろうかということが遺族の方から私のほうに話があったので、きょう御質問したわけですけれども、詳しい報告が出た時限でこまかい内容についてはさらに質問したいと思います。
  112. 金井洋

    ○金井説明員 一次草案から四次草案まで内容がくるくる変わったという御指摘でございますけれども調査の段階で第一回目は見過ごしておったものでも新たに発見された事実あるいはより確実性の高い証拠が発見されたというような場合には、草案が改正され、訂正されるのはきわめて常識的で一般的なことであるので、草案が変わるということは特に作為があるとか、そういうことではないということをここで申し上げたいと思います。
  113. 横路孝弘

    ○横路委員 作為があるということを申し上げているわけではなくて、変わってきたのが、その事実と証拠に基づいて変わるのならいいけれども、そうではなくて、何かそういう結論を出しておいて変えられるのでは困るので、その辺については、報告書が出てからあらためて御質問したいと思うのです。  そこで、もう一つ、今度は自動車の陸送に関してちょっとお尋ねをしたいと思うのですけれども、実は昨年の十月十九日なんですが、札幌で、小学校の児童が五人ほどけがをして、一人なくなるという事故があったのです。その中で、その加害者の車両というのが、実は自動車の陸送の車だったわけです。  この陸送の車を調べてみますと、新車と中古車の陸送というのがあるわけですけれども、さらにその中で、車に新車を載せて陸送する場合と、運転者がその車そのものを陸送といいますか、回送といいますか、運転する場合があるのです。本件の場合、こういうケースなので、ひとつ労働省と運輸省の方にお尋ねをしたいと思うのです。  これは実ははやて陸送株式会社という会社で、トヨタ自動車の札幌支店との間に請負契約を結んでいる。そして、こういう請負契約の内容になっているのです。  その、はやて陸送株式会社というのは、電話を事務所に置いていて、あと運転者を七、八人そこに常駐させているのです。そして、この契約書によると、はやて陸送は、トヨタ自動車には三名は必ず常駐させておくこと。さらに、トヨタ自動車の指示があった場合には直ちに運転手を派遣すること。そうして、どういう仕事をやらせるかというと、おもに中古車なんですけれども、トヨタ自動車札幌支店の営業所から、ほかに、その車が売れたということになりますと、その車をその運転手が行って陸送していくわけです。そして、遠距離の場合には料金に応じてトヨタ自動車から会社のほうにお金が払われる、町の中の場合には時間に応じて料金が支払われる。そして、問題なのは、この請負契約ということでありまして、その中で、もし事故を起こした場合にはトヨタ自動車は一切責任を負わない、こういう請負契約になっているわけです。  実際に、小学校の子供ばかりでありますけれども五人ほどはねられまして、一人死んだ事例については、このはやて陸送という株式会社の、トヨタ自動車に派遣された運転者が陸送中に起こした事故なんですね。  そこで、このケースを考えてみますと、職業安定法の四十四条に、「労働者供給事業の禁止」という規定があるわけです。いまのこの形態から言いますと、はやて陸送というのは、ともかく運転手だけ置いておいてトヨタと請負契約を結んで、トヨタの指示で人間をどんどん出して車を運送させる、こういうことになっているわけですから、これは職業安定法の四十四条に違反するのじゃないかというように考えられるのですけれども、労働省の方にその辺について見解を承りたいと思います。
  114. 保科真一

    ○保科説明員 ただいま先生御指摘の件でございますが、率直に申しまして、実態を十分調べないと判断はできないかと思いますが、御指摘のように職業安定法におきまして労働者供給事業の禁止規定がございます。請負契約でありましても、施行規則で四つの要件をきめておりまして、その四つの要件に該当しなければならないということになっておるわけでございます。ただいま承りました点では、労働者の指揮監督がどういうふうに行なわれているか、これが一つ問題点であろうかと思いますが、請け負いました会社が依頼されてどこかに車を運ぶというような場合に、どこへ運んでくれというのは請け負わしたもとの会社が注文するような形になるだろうと思います。それを請け負わした会社が直接運転手に指揮しているかどうか。請け負った会社が一応そういう指示を受けて、請け負った会社がこの運転手を派遣するというような形であれば、直接指揮監督の問題はないようなことも考えられます。もっと十分実態を調べまして判断いたしたいと思います。
  115. 横路孝弘

    ○横路委員 請負契約の中で三名常駐させることというような一項目があるのですね。そうしますと、これはトヨタのほうでともかくどんどんかってに使うわけなんです。ですから、この職安法の関係で問題がやはり出てくると思うのです。全国いまもどんどん車というのは伸びていますから、こういう会社というのは無数にあるのです。それで問題なのは、事故を起こしたときが問題なんです。本件の事故についてもトヨタのほうは、請負契約をたてにして全然払わないと言っているわけです。この会社のほうは、電話一本持って事業所をかまえているだけですから、支払い能力が全然ない。一名死亡、四名重軽傷という事故ですから、遺族のほうが困っているわけなんです。そこで労働省のほうは実態をひとつ十分に調査していただきたいと思うのです。  運輸省のほうにちょっとお尋ねしたいのですけれども、こういうケースは、道路運送法による自動車運送事業にもどうも該当しないようだし、それから道路運送車両法ですか、あれの回送事業者にも検討してみるとどうも該当しないようだ。しかし現実に、業務として自動車の回送というものをこの会社として運転手を使ってやらせているわけです。そうすると、これは野放しにしておいていいものかどうかという問題がやはり出てくるわけです。トヨタなり何なりの大手の販売会社なりメーカーのほうでは、非常に大きなメリットがあるわけですね。人件費が安くて済むし、事故の場合に責任を負わない。この事故の場合、責任を負わないというのは——実は似たようなケースが、困ったことに最高裁判所の判例が一つある。元請、下請の関係について非常に厳格な指揮監督権がある場合、つまり運行供用者の責任があるようなケースについてはいいけれども、それ以外はだめだという判例があるものですから、現実に泣いている人が非常にたくさんいるわけです。そこでこの場合、何らかの法的な規制というのを労働省のほうには職業安定法の観点からやってもらいますけれども、おたくのほうではそういう道路運送車両法なり道路運送法の関係でもってこういう会社の法的規制というものを何らかの形でできないものなのか、その辺のところはいかがでございますか。
  116. 福田稔

    ○福田説明員 お答えいたします。いまお尋ねの件でございますけれども、具体的にはちょっと実情を調べてみませんとわかりませんが、かりに、自動車というのは全部ナンバープレートをつけていないと走れないわけなのですが、商品自動車につきましては、御承知と思いますけれども、赤いワクのついた商品ナンバーで便宜走行することができるというふうになっております。したがいまして、このナンバープレートをいまのお話の場合、これは陸運局長が貸与するわけですが、トヨタがそのナンバープレートをもらって運行しているのか、いまお話しの陸送会社が許可を受けてもらっているのかというところで若干結論が違ってくるかと思います。そういうことで、回送運行の許可制度というものがございますので、その制度に乗ってくる場合には、その陸送事業者のある程度の順法精神でありますとか、あるいは自賠責、強制保険でございますが、この強制保険の加入もございますので、その点もチェックいたしまして、できるだけそういう御迷惑のかからないようなことにしたいということで行政指導しているわけでございます。具体的なケースにつきましては、実情をよく調べてみたいと思います。
  117. 横路孝弘

    ○横路委員 この車の場合は新車じゃないのです。中古車なんです。下取りした車を営業所から営業所に運んでいくその途中の事故なんです。ですから、なかなか運輸行政の面であらわれてこないと思うのです。ただ、このことは、トヨタ等の大手の販売会社なり自動車会社を調べればすぐわかることですから……。新車については大体きちんとした手続をとってやっているのですね。ところが中古車の営業所から営業所への移動については、電話一本持って運転手をかかえてやるような形でもって回送というのは行なわれている。だから、たまたまその車が任意保険にでも入っているといいのですけれども、入っていないともうどうしようもない。強制保険だけ、こういうことになるので、その辺のところを運輸省のほうとしても労働省のほうと協力されて調べていただいて、後々報告していただきたいと思います。  それで私の質問を終わります。      ————◇—————
  118. 受田新吉

    受田委員長 この際申し上げます。  本委員会に付託になりました請願につきましては、先ほどの理事会において協議いたしました結果、その採否の決定を保留することとなりましたので、御了承願います。     —————————————
  119. 受田新吉

    受田委員長 本日までに本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してございますとおり、交通安全対策に関する陳情書外一件でございます。この際申し添えておきます。      ————◇—————
  120. 受田新吉

    受田委員長 次に、閉会中審査の申し出の件についておはかりいたします。  交通安全対策に関する件につきまして、閉会中もなお調査を行なうことができますよう、議長に対し閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 受田新吉

    受田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  122. 受田新吉

    受田委員長 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  閉会中審査案件が本委員会に付託され、委員派遣の必要が生じました際には、派遣地、派遣期間、派遣委員及び承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 受田新吉

    受田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、先ほどの久保委員からの御提案につきましては、理事会で協議することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時二十八分休憩      ————◇—————    午後四時十一分開議
  124. 受田新吉

    受田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。後藤俊男君。
  125. 後藤俊男

    ○後藤委員 実は、レンタカーの問題で、いろいろと内容なり、さらにこれを運営している会社でございますが、これらの運営等の問題について最初お尋ねしたいわけですが、現在レジャーブームの反映でレンタカーの利用率が非常にふえておる、これは私が言うまでもございません。それと同時に、事故発生率もふえておるのではないかと私は思っております。そこで、レンタカーの各社が、いま大手といわれるのが六社あると思いますが、保険料あるいは免責保険料の名で相当の料金を借り受け人から徴収している。これは運輸省ですから、十分御承知だと思うのです。しかしながら、各社の内規で、事故発生の際の補償負担を最大限に回避できるような内規をつくって、自動車の損害賠償補償法の第三条でいう運行供用者としての補償責任を事実上回避しておる。これらの点を考えるときには、事故の被害者救済のために、さらには交通安全対策上、放置できない問題ではないかと私は思うわけでございます。  そこで、第一番にお尋ねいたしたいのは、現在レンタカーの業者が全国にどれくらいあるのだろうか。自動車は一体どれくらいあるのだろうか。レンタカーの業者というのは、全国的に網の目のようなかっこうになっておる業者もございますので、ダブる点もあるかもわかりませんけれども、ひとつレンタカー業者の数なり、あるいはそこで使っておる車両数、これらにつきましてお答えいただきたいと思います。
  126. 見坊力男

    ○見坊政府委員 お答えいたします。四十四年の十月現在で、事業者数は二千百四十二でございます。それから車両数は一万六千四百四十五両ということでございます。ただ、その事業者数につきましては、二つ以上の陸運事務所に管轄区域がまたがっておるというようなものも、それぞれ一事業者として計上いたしておりますし、車種別に集計いたしましたため、乗用車、マイクロバス、トラック、それぞれ兼ねて営業しているような場合には、それぞれ一事業者として計上いたしてございますので、ダブリがこのうち相当あるということでございますが、いま手もとにございます資料としては、先ほど申し上げたような数字でございます。
  127. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、レンタカーをいわゆる商売としてやっている会社が二千百四十二、そこで使われている自動車が一万六千四百四十五。そこで話を一歩進めまして、レンタカーの会社がいわゆる借り受け人に貸す場合の貸し渡し料ですか、金を取っているわけですが、その場合には、どこかの監督庁の承認と申しましょうか、監督庁の関係があると思うのです。これだけの二千百四十二の会社がかってに料金をきめて、かってに取らせて、かってにやっている、こういうものじゃないと思うのですが、これらの監督庁は一体どこがなっているのか、この点お尋ねします。
  128. 見坊力男

    ○見坊政府委員 制度といたしましては、道路運送法百一条に規定されております自家用自動車の有償貸し渡しの許可ということでございますが、これは都道府県知事に権限を委任いたしまして、実際は各県の陸運事務所で許可を与えております。  それから、どういうふうに使うかというその使用の約款とか、そういうものにつきましては、実態把握のために届け出をさせているというような状況でございます。
  129. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、いま申し上げました二千百四十二のレンタカーの会社、これが届け出をしているわけですが、どういう条件で借り受け人に貸すのか、その内容等については、運輸省で十分把握をしておられると思っていいわけですか。
  130. 見坊力男

    ○見坊政府委員 これは権限的には、陸運事務所、都道府県知事に委任してございますので、私のほうには現在詳細な資料はございません。
  131. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、その詳細な資料がないということは、大まかな資料があるということだろうと思いますが、それで問題は、先ほど申し上げましたところの借り受け人に貸す場合には、レンタカーの会社が伝票を出しているわけですが、その伝票というのは、自動車貸し伝票という伝票を出しているわけですが、この裏にはいろいろな御注意書きが書いてあるわけです。その御注意書きの中を読んでみますと、使用料の一割を保険料として取るとか、あるいは一割が五百円に達しない場合には五百円を取るとか、いろいろなことが記入されているわけですが、こういう裏表の記事の問題については、陸運局ではきちっと把握をされているのかどうか、そのことがあなたのほうへ報告が来ているかどうか、全然知らぬでは通らないと思うのです。少なくとも陸運局のやることですから、運輸省としては握っておられると思うのです。二千百四十二の業者があって、自動車を一万六千台から使って商売をやっておるのですから、これはたいへんな仕事だと思うのです。
  132. 見坊力男

    ○見坊政府委員 ただいま御答弁申し上げましたように、われわれのほうでは事実上実態把握のために届け出をさしておるわけでございますが、その許可というのは、自家用自動車を有償で貸すということの許可でございまして、レンタカーの事業を業として許可するということではございません。そこで、いま御指摘のような問題点、非常に利用者がふえまして、一般大衆の利便に直接つながるというような観点に立ちますと、将来このレンタカーの事業を現在のままでいいかどうかということは非常に大きな問題であろうと思います。われわれのほうでも、将来の問題といたしましては、レンタカーを業として規制をする必要性があるかどうか、あるいは業として規制をするとすればどういうような規制内容にすべきか、そういう検討を現在やっておるところでございます。
  133. 後藤俊男

    ○後藤委員 いや、私がお尋ねしましたのは、これからどうとかこうとかを尋ねておるのじゃないのです。レンタカーの会社が借り受け人に貸す場合は、こういう借り受け伝票を出して、裏表に金額が全部書かれている。保険料が幾ら、何が幾らと全部書いてある。先ほどのあなたの説明ですと、陸運局のほうで全部これを掌握しておるのだ、そう言われますので、それなら、たとえばここに、ある会社のやつを出しますけれども、この内容等について、運輸省の責任でやらしておるのですから、運輸省として間違ったものを出しておらないかどうかということを把握しておるかどうかという点をお尋ねしておるわけです。これからの問題はまたあとの問題です。
  134. 見坊力男

    ○見坊政府委員 間違ったものであるかどうかというところまでチェックはいたしておりません。各陸運事務所に届け出をさしておるということでございまして、その内容が正しいものであるか、あるいは妥当なものであるかというチェックは現在のところいたしておりません。
  135. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、二千百四十二のレンタカー業者が一万六千の自動車を使って事業をやっておるのですが、これはどこが一体行政指導しておるのですか。いまあなたの話を聞くと、陸運局がやっておるけれども、陸運局はただ届けさえすればいいのだ、中身のことについては検討いたしません。そういうことになってくると、二千百四十二のレンタカー業者がやりたいほうだいのかっこうになると思うのです。運輸省は一体どういうふうにこれを指導しておられるのですか。
  136. 見坊力男

    ○見坊政府委員 現在の制度からそのようになっているという現状を御説明申し上げたわけですが、それでいいかどうかということは、将来の問題として検討しなければならぬというふうに考えております。
  137. 後藤俊男

    ○後藤委員 いいかどうか検討しなければわかりませんか。少なくとも二千百四十二の会社が一万六千何がしの自動車を使って、毎日毎日車を大衆に貸して、やっておるわけなんです。それに対しては運輸省も、何の規制の法律もいまない。いわば野放しの形なんです。そこへ交通はどんどん激しくなってくるわ、交通事故はふえてくるわ、それで保険は一体どうなっているのか。そこの会社は一体事故を起こした場合はどうなるのか。こういうようなことがいま野放しですよ。これは責任省である運輸省として、それでいいわけですか。これからいいか悪いかひとつ検討してみましょうというようなのんきなことを言っておっていいのでしょうか。
  138. 見坊力男

    ○見坊政府委員 これからいいかどうかを検討するということではございませんで、運輸省としましては、業としてこれを規制をしていこうという方向を打ち出しておるのです。ただ、その場合にどういうような規制内容にするかということを検討中でございます。
  139. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 関連してちょっとお尋ねいたしますが、部長さん、あなたはこれからレンタカーに対する検討をしなければいかぬと言っていらっしゃるが、いま後藤さんの質問は非常に重大な問題だと思うのです。これは、ある程度というか、ここ最近は非常に発達してきたが、その前はレンタカーというのは相当きびしい規制をしておったのですよ。たとえば愛知県の陸運事務所なんかきびしいことを言っていたし、それがやみ行為的に運輸行為に使われている場合には、摘発もいたしましたし、いろいろとそういうことに対するきびしいことをやっていたのですよ。いまあなたの話を聞いていると、ほんとうに野放しで、どうぞおやりください、かってほうだい、何も関係ありません、届け出すればそれでいいのだというような話ですが、私はそういうふうでないように記憶しております。部長ですから少なくとも責任のあることを言っていただかなければいかぬですよ。そうなってくると、地方で、あるところはそういうものの取り締まりを、タクシー行為のようなことをやってみたり、一時間幾らで貸し切ってみたり、そういうようなことをやってはいけないという規則を相当きびしく言ったことがあるのですよ。いまあなたの後藤委員に対する答え方を私どもは聞いておりますと、そういうことは全部御破算で、どうぞおやりなさい、何らの規制もないような形ですが、ほんとうにそうですか。そうすると、正直な者が日常ばかを見ていっておるということになるのですよ。そうすると、本省の指導というものが徹底していなかったことになると私は思う。それぞれの各出先機関が思い思いの取り締まりをやっておる、そういうことになるのじゃないですか。だから、ほんとうに国は何もそういうものに対する考え方は少しも持っていなかったといまおっしゃるのでしょうか。その点一点だけを聞いておきたい。前にぼくは、個人的な問題だが、あやまりに行ってやったことがある。ところが、だめだといってしかられてしまった。白ナンバーを返しなさいと言われたことがあるのですよ。それは四、五年前ですが、その後どう変わったのでしょうか。そうあわてて答弁せぬでいいから、ゆっくり落ちついて、よく打ち合わせて、あなたのわからないところはやはりうしろの人と相談して、あなたは神さまじゃないから、全部わかっておるわけはないんだから、よくそこを間違いのないように答弁してください。重大な問題だ。一万数千台が野放しで使われているということになるとたいへんですよ。もう一ぺんゆっくり打ち合わせてみてください。
  140. 見坊力男

    ○見坊政府委員 先ほど申し上げましたのは、制度として道路運送法百一条の許可を与えておる。ただ、その使用の約款とか、そういうものの内容についてチェックしているかどうかということでございましたので、そういう点につきましては届け出をさしておるということを申し上げたわけでございます。運輸省としましては、従来は営業類似行為にわたるようなものを防止する、あるいは安全の面であるとか、そういう面について指導の重点を置いて指導監督をしてきたということでございます。
  141. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員 そうするとレンタカーを借りるときに、全国でやっているのはいいが、地方地方でやっているのがありますね。届け出して百一条の許可でやっているのかしれませんが、保証金を積みなさい、たとえば事故を起こす前に、車を持ち出すときにわずかながら保証金を積んでくれ、そして免許証を提示してくれ、そういうことを一々言うのですよ。そういうようなことはどこに該当するかということなんですよ。そしてそういうようなことがある程度きびしくあるから、私どもはある程度安心してレンタカーというものは利用しておるのだと思うのですが、野放し的な存在ということになってきますと、これはたいへんだから、今後というようなことではないですよ。これは至急すみやかに交通安全対策でそれを取り上げて、委員長中心にして、どうあるべきかということを検討する必要がある、こういうことだと私は思うのです。私はこれ以上のことは申し上げぬが、いまの答弁で聞いていると、ちょっと野放し的だということになると、それはたいへんですよ。私どももある程度安心感の持てるような運営をしてもらっておったものだと思っておったのに野放しではちょっと困るが、もう一ぺんよくお考えいただいて答弁していただきたい。
  142. 後藤俊男

    ○後藤委員 いま丹羽委員のほうからお話があったのですが、あなたが先ほどお答えになりましたように、いわば運輸省としては陸運局まかせ、これは表現は悪いかもしれませんけれども、というような形で二千百四十二のレンタカーの業者が一万六千台有余の自動車を使って商売をやっておる。これは全部運輸省まかせだ、こういうような形になってきておると思うのです。  そこで具体的な問題を、これは私のところにも陳情書がたくさん来ているわけなんです。私はレンタカーの関係事故をやってけがをしたが、だれもめんどうを見てくれぬというようなことで、陳情書がたくさん来ておるわけなんです。その中の一つを簡単に御披露申し上げますと、四十四年の八月十日ごろでございますけれども、これは東京の第三京浜道路で事故を起こしておるわけなんです。これは追突事故なんです。三台の自動車事故に遭遇しておるわけなんですが、そこでけがをした人が八人あった。そこで、これはえらいことだというので、そのレンタカーの、ジャパン・レンタカーですが、これはあなたのところの自動車を借りて事故をやったのだから、ぜひひとつと、そういうことでそこへ行きました。これはあとから話をしますけれども、この事故は追突事故でございますから、私のところでは一切補償するわけにはまいりません、こういうすげない返事ですね。それから、事故に遭遇した者だけがとやかく言っておってもこれは話が進まぬからというので、だれでもやることですけれども、そういう道にたんのうな人を頼んで話をした。ところがやはり同じような話で、ジャパン・レンタカーとしては全然相手になってくれないというようなことになってきたわけなんです。そこで事故に遭遇した人は、これはえらいことだというので、また次から次へとお願いをしながらやったところが、第一番には、社内規定により追突事故の場合の補償は一切いたしません、補償金は払えない。さらにそこへ話をしに行きました人が、保険の証書を見せてくれ。ところが、その保険証書は私のところはございません、自家保険を使用しておるので保険証書はございませんという返答なのです。そのあげくどういうことを言ったかというと、その旨は大蔵省銀行局の保険第二課に届けを出しております、さらに東京陸運局の指導を受けながら現在こういうふうにやっておるのです、私たちのやっておることは間違いじゃございません、こういう返答が来たわけであります。向こうが返答をするわけなのです。そこで一台一台保険に加入しておりますとめんどうくさいもので、一括自家保険ということでこれは入っておる、年間大体五、六千万円この保険でもうかりますということまで言っておるわけなのです、はっきり言うと。それからさらに、いまの事故にかんがみまして、次から次へと何とかしてもらいたいということで話をしに行ったわけなのですが、なかなか話が進まない。そこで考えましたのが、松竹レンタカーというのがあるのですね。これは御承知だと思います。ここの社長さんのところへひとつお願いに行こう、ジャパン・レンタカーと友だちの会社だから話がうまくいくだろうというようなことで、そこへお願いに行きましたら、この社長がどういうことを言ったかというと、レンタカーでも保険金として徴収し、実際は保険に加入しておらぬ、車を貸す場合の保険料を徴収はいたしておりますけれども、保険には加入しておらぬのですよと、こういう言い方をしておるわけです。いわゆるのみ行為をしておるのです。(「詐欺だ」と呼ぶ者あり)これによって松竹レンタカーとして年間四千万から五千万もうけておりますと、これははっきり言うておるわけなのです。うそだと思われるならば私が証人に立ちましょうという証人までおるわけなんです。そこで私考えましたのは、その次に問題になるのは、この貸し出しの伝票なんです。これはそのときに事故をやった人がもらってきたものを裏表複写でこうやってきたわけなのです。これを見ますると、強制保険にも入っておるようになっておるし、任意保険にも入っておるようになっておるわけなのです。そこへ保険の約款のようなものが書いてあるわけです。たとえば、一つ御紹介申し上げますと、借り受け人が交通法規を守らなくて事故を起こした場合には補償はいたしません、と書いてあるわけです。さらに、借り受け人以外の運転の事故についてもこれは補償はいたしません。追突事故を起こした場合におきましてもこれは補償はいたしません。いわば強制保険の約款の中身のようなことが全部書いてあるわけなのです。ところが、あなたも御承知だろうと思いますけれども、強制保険の約款の中にはそういうことはないはずなのです。ないものをなぜ一体ここに書かれるのだろうかというと、なるべく規制を拡大しておいて、事故があった場合にはこれを適用しないような方向へ持っていく。さらにもう一つ大事なことは、先ほどもちょっと声が出ましたけれども、任意保険には加入しておらぬわけなんです。加入しておるものなら保険証が先ほどの説明で見せられるわけなんですね。全然見せない。保険証はありません、私のところはともかくも自家補償保険です。そこで私のほうで自家補償保険に松竹レンタカーあるいはジャパン・レンタカーが入っておるか調べてみましたら、これは認可されておらぬし、入っておりません。だからこの事故に遭遇した人はどこへ言うていったらいいのやら、さっぱり、行くところ行くところででたらめばかり言われておる。しかも先ほどの話でございませんけれども、保険料として使用料の一割取られておるわけなのです。だから事故を起こした人は、保険料を出してきたんだから保険の裏づけがあるはずだということで話をしに行きますと、いや、どうだとかこうだとか、この裏にはこう書いてありますということで全部回避をしてしまうわけです。確実なことを私いまここでとやかく言えぬかもしれませんけれども、一口に言うならば、保険料を取っておきながら、その裏づけとなるところの補償がしっかり行なわれておらない。先ほど声がかかりましたように、詐欺じゃないかという疑いもこれは出てくるわけなのです。こういうふうなことを二千百四十二のレンタカー業者が一万六千台の自動車を使って、全部が全部私はやっておるとは思いませんけれども、これがいま野放しの状態でやられているわけなんですよ。日本国内で。しかも、私が調べましたところでは、小さい中小企業、十台、十五台というところは、しごくまじめにやっていらっしゃるわけなんです。先ほど言いましたところ、大手業者、それは大手業者全部が全部どうこうということは私言いませんけれども、私が調べました範囲におきましては、聞きに行きますと、任意保険に入っておるようにこれは書いてありますけれども、自家補償保険でございます、保険証見せてくれと言っていくと、そういうわけなんですね。で、事故に遭遇した人は補償をしてもらえぬ。いまのこの陳情書をもっとこまかく説明いたしますと、これはわかるわけでございますが、時間の関係で私は省略をいたしましたけれども、ただ、一口に申し上げまして、そういうかっこうでずっとつながっておるわけなんです。これをそれなら一体運輸省としてどうされるか。いままで陸運局まかせでやってこられた。先ほど言いましたところの会社あたりは、車を貸したり借りたりするのは道路上でやっておるわけなんです。これは駐車違反の関係も出てくると思うんです。ところが、その辺におられるおまわりさんは何もおっしゃられぬわけなんです。ああ、やっぱりそうかということになるわけなんです、周囲から見る人は。そういうようなよからぬ疑いすら、今日うわさとなって出てきておるわけなんです。それが現実にあなたが掌握されておるところで起こっておるところの、これはレンタカーの問題なんです。これをあなたはお聞きになって、一体、どう思われますか。
  143. 見坊力男

    ○見坊政府委員 いま先生お話しになりましたようなことにつきましては、非常に重大な問題であろうと思います。レンタカーがこれほど、現在のように一般化してまいりましたが、そういうような事例が安易に行なわれるというようなことは、重大なことであろうと思います。十分われわれのほうでも、それに対しまして、できれば先生から、いまお話のほかにも、もし事例がございましたなら、お話も伺いまして、実態をまず十分調査してみたいというふうに思います。
  144. 後藤俊男

    ○後藤委員 それから、運輸省で免責補償制度というのを承認しておられるんですか。
  145. 菅川薫

    ○菅川説明員 旅客課長でございますが、免責補償制度は、もう先生御承知のように、任意保険の約款のほうで、たとえば二万円とかそういう少額にわたるような場合には、もう任意でカバーできないということで、その範囲内のものについて、一定の料金をとりまして、それでその少額の範囲内であれば、その貸し渡しのほうの業者が補償するというような制度でございますが、これも現行法制については、先ほど業務部長からもお話しいたしましたけれども、許可とか認可の内容にはなっておりませんけれども、現実に貸し渡し業者のほうでそういう制度を実施しているものもあるということでございます。
  146. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、認可もしておらぬが、業者のほうでやっております。これは、やはりこの自動車貸し伝票というのを見ますと、いま言いましたところの制度が入っておるわけなんです。さらに、これは私、ほかのある雑誌を見たわけなんですが、六大メーカーが全部、この免責補償料というのが取られているわけです。一日だと五百円、二日だと千円、三日だと千五百円。これは大体、ニッポンにしても、松竹にしても、アスウにしても、あるいはトヨタにしても、日産にしても、ジャパレンにしても、全部免責補償料というのを取っておるわけなんです。取られるほうはわりあい、レンタカーですから、ミーチャン、ハーチャンの若い人が多いわけなんです。中身がどうなっておる、こうなっておると知らぬ人が多いわけなんです。いわば中身の何もわからぬ人にかえってこういうふうなかっこうでつけ込むような形で取っておるんじゃないかというふうに思うわけなんですが、ただ、運輸省のほうで、この免責補償制度というのは認めておらぬのなら、業者がかってにこういうことをやって、自動車を貸す場合に取っておるのは、これは違反じゃないですか。たとえばいま言いましたのは、一日五百円と言いましたが、一日五千円取ってもいいのですか。あなたのおやりになるようにやってくださいということでいいのですか。
  147. 菅川薫

    ○菅川説明員 レンタカー業者の場合の免責補償制度については、これは必ずしも全部が行なわれてはいないようでございますが、お話しのように、大きなところでやっておる例が多いわけでありまして、その補償料の額も必ずしも一律ではございません。内容は、対物保険とかあるいは車両保険とか、そういうものについてこの免責補償制度をやっておる、こういうことでございます。御承知のように、こういう対物保険あるいは車両保険については、現在、法制的にはそれを義務づけるというようなことになっておりませんので、これはやはり利用者、この場合についていえば、貸し渡し業者と借り受け人の利用者との間の一つの契約関係、それを前提にしてこういう形のものが行なわれるのであって、別に、先ほど認可、許可の対象にはしていないと申し上げましたけれども、それについての法規制があるわけではございませんので、法違反という問題ではなくて、その貸し渡し業者と利用者との間の一つ利用関係、契約関係であるというぐあいに考えます。
  148. 後藤俊男

    ○後藤委員 それと、もう一つは、あなた、保険はちょっと詳しいらしいが、先ほども言いましたように、このジャパン・レンタカーの場合には、保険料が使用料の一割というのが入っておるのですね。一割に満たぬ場合が五百円、この保険料をちゃんと払って自動車を借りていくわけなんです。この保険料は一体、どういう保険料ですか。その会社がかってに保険料を取るというわけには私は参らぬと思うのです。
  149. 菅川薫

    ○菅川説明員 御承知のように、強制保険については、保有者のほうでかけておるわけでございますから、まあコスト的に、そういう対人賠償の場合の強制保険を上回るいわゆる任意保険の分について貸し渡し業者が補償するという場合の一つのコストを回収するという意味で、そういうものが取られておる、そういう形になっております。
  150. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、あなたの言われた、強制保険についてはその自動車の所有者が支払う、任意保険についてはこういうふうに借りにいった者に対して割り振ってもよろしい、それがおそらく割り振られておるんだろう、そういう説明ですと、強制保険に入っておらぬところのレンタカーの保険料というのは一体、何をさすのですか。
  151. 菅川薫

    ○菅川説明員 強制保険については、これは入っていないという例はないと思います。
  152. 後藤俊男

    ○後藤委員 いやいや、この保険料の五百円、千円というのは入っておるのです、必ず支払えということで。これは一体どういう保険料だということなんです。そうすると、あなたがお答えになったのは、時間がないから早く言いますけれども、強制保険なり任意保険、これらを業者が、自動車所有主が負担するわけです。その負担する分をさらに借りる者に負担をさせるのだ、こういう説明なのかということを私は聞いたわけなんです。
  153. 菅川薫

    ○菅川説明員 さように考えております。
  154. 後藤俊男

    ○後藤委員 そうしますと、そういう保険料を一時間、二時間、三時間借りる人にどんどん負担させていっていいのですか、強制保険の保険料を。
  155. 菅川薫

    ○菅川説明員 私が申し上げましたのは、結局強制保険を上回る分について、会社が任意保険にかけている分のコストの回収という意味でそういう特別の割り当てがあるのじゃないかというぐあいに考えております。
  156. 後藤俊男

    ○後藤委員 私は、任意保険に入っておらぬ強制保険だけのレンタカーの会社のことを言っているのですよ。その場合に、強制保険を年間一万か二万の保険料を支払うのです。その支払う保険料を個人個人に負担させていいのかどうかということなんです。
  157. 菅川薫

    ○菅川説明員 結局、強制保険につきましても、任意保険につきましても、それをレンタカー業者が支払うということになれば、そういう保険という形で危険分散がされておりますから、それはレンタカー業者のコストになるわけでございますので、それは料金を計算する場合に、いずれを問わず、その料金のコストの一部として計算するということはやむを得ないのじゃないかと思います。  ただ、先生が、特別に料金の一定の割合で取るというお話がございましたので、それについては、そういう強制保険をオーバーするようなものは、それはどういう場合に任意保険をかけていくかということは、各会社会社によって事情が違いましょうから、そういうものは特別なものとして、必要がある場合にそういう一定の割り当てをしているのだろう、そういうふうに申し上げたわけであります。
  158. 後藤俊男

    ○後藤委員 それなら、いまあなたが言われたように、あなたの言われた話にしますけれども、強制保険と任意保険と入っておる、その業者が負担をするわけですね。その負担分をその借りる借り受け人に負担をさせる。そうすると、三時間にしても五百円で、これは保険料を支払うわけですね。これははっきり保険料と書いてあるわけなんです。そうすると、借りる人は保険に加入することになるわけです。あなたが言いましたように、保険料であるというような別じゃなしに、使用料の中にその分も含めて計算をしてあるということなら私は話がわからぬことはないわけなんです。ところが、このジャパン・レンタカーのこれを見ますと、保険料として使用料の一割、一万円使うと千円、五万円使うと五千円取られるわけです。保険に加入するのですから、保険料として取られる以上は、それだったら保険証がなければいかぬじゃないですか。これを払う人には全部保険証を出さなければいかぬわけです。そうじゃないと保険法違反になりませんか。
  159. 菅川薫

    ○菅川説明員 その利用者のほうが保険料を払いまして、そこで保険契約の形になっておるのかどうか、その点はよく実情を調査さしていただきたいと思います。
  160. 後藤俊男

    ○後藤委員 いまあなたは簡単に言われたから、言われたことがわかりませんけれども、この話はここまでにしますが、これは去年の年末に出したジャパン・レンタカーの、自動車を借りるときにだれにでもよこすところの伝票なんです。いわば伝票です。その裏表にいろいろなことが書いてある。その中の一つの項目として、結局保険料とはっきり書いてあるのです。そうして使用料の一割、使用料の一割が三百円のときは保険料は五百円に引き上げます、したがいまして全部保険料を納めては借りていくわけなんです。そうすると、保険法からいきまして、こういうふうにかってに保険料を徴収していいのかどうかということなんです。保険法にひっかかるでしょう。
  161. 菅川薫

    ○菅川説明員 保険法違反の問題につきましては、ちょっとお答えいたしかねる点がございます。
  162. 後藤俊男

    ○後藤委員 運輸省の一番最高の責任者にお尋ねするわけですが、まだまだ私はたくさん資料があるわけなんです。そこで、運輸省としてこの実情を見られたときには、ひとつ何とかせねばいかぬという気持ちになっておられると思うのですが、これは直ちに一ぺん調査をしてもらいたいと思います。徹底した調査をしていただきたい、これだけはぜひひとつお願いいたしたいし、さらに警察庁はおいでになりますか。いままでの話に対してお考えをひとつ聞かしていただきたい。
  163. 竹岡勝美

    竹岡説明員 レンタカーの事故は、ことしに入りましてから私のほうも正式な統計をとっております。現在東京その他大都市のレンタカーの台数と事故件数と比べますと、確かに一般事両より約二倍ぐらい事故数が高い。先ほどからお話がありました点につきましては、われわれも現場の警察官から、御承知のように約款なりあるいは賃貸借の契約書あるいは弁済の誓約書、そういうものの内容が確かに一見して非常にむずかしいようです。そういう点で警察に問題が持ち込まれておるというようなこともあるように聞いております。これは監督官庁のほうで今後検討されましてやられることと思います。各会社ごとにそれぞれ違った約款なり、違った契約書で、しかもその文書がしろうとでは一見してわかりにくいということは確かのようでございますので、監督官庁がやられることと思って期待しております。
  164. 後藤俊男

    ○後藤委員 あなたの言われるようにわかりにくいだけならけっこうなんですが、正しいことはないと私は思うのです。あなたはわかりにくい、わかりにくいと言われましたが、一ぺんでもお調べになったことがあるのですか、いかがですか。
  165. 竹岡勝美

    竹岡説明員 私自身もおもなところの約款は読みました。
  166. 受田新吉

    受田委員長 後藤君時間です。これで締めくくりを……。
  167. 後藤俊男

    ○後藤委員 時間がないけれども、いままで言いましたことに対しては運輸省としても早急に調査を徹底してやっていただく、警察庁としてもこれは直ちに調査をやっていただきたい、こう思いますし、さらにこの問題をもう少し深く私考えてみますと、脱税の問題がからんでくるのじゃないかと思うのです。さっきの話じゃないのですが、こういうのは野放しなんです。ほんとうに保険料を取って、それらしいことをやっておれば、これはまだ人間らしいところがあるのですが、そうでないとするなら、これは大問題だと思うのです。さっきの話じゃありませんが、詐欺にも入るでしょうし、まことに知能犯的な脱税の問題にもなってくると思うのです。  さらに、冒頭言いましたように、二千百四十二以上に会社がどんどんふえまして、現在自動車は一万六千台ですか、これが二万台になり二万三千台と、どんどんふえてくると思うのです。これは一番責任の監督庁である運輸省さんがこのままのかっこうでやっていかれるということに対しては、えらい問題だと私は思うのです。ですから、いま申し上げましたような関係で、私もできるだけ資料は提供する決意でおりますけれども、正しいことは正しい、間違っておるものは間違っておる。こんなことがどんどん横行しておったとしたらたいへんな問題だと思いますから、ぜひとも早急に善処をしていただく、早急に捜査をしていただく、そうしてその結果を、ぜひひとつこの交通安全委員会の委員長を通じてお出しをいただきたい。これだけをお願いいたしまして終わらしていただきます。
  168. 受田新吉

    受田委員長 土橋一吉君。
  169. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、先日もちょっと委員会に問題を出したのでありますが、具体的に警察当局と消防当局に対して、こういう内容については、いわゆる河川航行についてどういう安全を保障しているのかという点を聞いてみたいと思うのであります。  私の調べましたところは、東京都内の河川の船舶の航行の問題でありますが、その前に私のほうで調べました隅田川を中心とする荒川水系には、一日約四百そうのタンカーが出入りをしておるということがいわれておるわけです。この資料を提供した内航タンカー海運組合の調べによると、いま申し上げたように、一日四百そうのタンカーが隅田川をのぼってくるといわれておるわけです。私が具体的に調べたのは小名木川という川です。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 その川は清洲橋から新大橋の方向へ向かって、清洲橋の近くを右へ折れるところの川でありまして、私の歩幅ではかったところによると、大体八十歩ほどの川幅がございます。その一番最初の万年橋という橋を通って、高橋を通り越して、約二キロ半くらい荒川放水路のほうへ、東のほうへ向かっていくわけです。そしてそこから今度左折をしまして、それが横十間川という川になるわけです。この横十間川を同じようにまた二キロ半くらいのぼっていきますと、今度は北十間川というものにぶつかります。そこで東のほうへ行きますと、花王石鹸という工場があるわけです。これは墨田区になっておると思いますが、この約六キロ近い地域においての内容を、これから質問するわけです。  この小名木川には、毎日平均百トンないし二百トンのタンカーが上下しているわけですが、そこでいま問題になっていると思われるのは、シェル石油貯蔵所でございますが、ここは大体一日千五百トンの、たとえば石油とか灯油というものが、小名木川を通って、横十間川を通って入っていくわけです。この石油の貯蔵所には約十の大きいタンクがございまして、そこへどんどん川から入れるわけです。どういうもので入れるかというと、小型タンカーでございまして、ちょうどこのテーブルの外郭ぐらいの大きさで、長さはその壁の向こうの五メートルないしもう少しくらいあると思われる。それは大体二百トン積みでありまして、それが引き船でどんどん入ってくるわけです。問題になるのは、小名木川のところは、三つ水門をかけておりまして、まん中をいつもあけておるわけです。そこの水門のところはやっとこのタンカーが通れるという状態なんです。それからいま申し上げるように二キロ半くらい行きまして、横十間川に入ってくる、それからが問題なんです。つまりそこにあるのは御承知のように流木、いかだというような、大きさにしまして大体十センチから十五センチの、約三メートルくらいの材木がその横十間川のところに、こちらの端からこちらの端までずっと並べてあるわけです。いかだを組んでおるわけです。この程度の大きさの材木が縦になり横になってずっとあるわけです。したがって小型の二百トンタンカーが、やっとそこを通れるわけですね。もともとこれは貯木場の一部であったという関係もありましょう。このシェルがそこへタンクを設けましたのが大正十四年のころなんです。幸いにして、これは関東大震災にあっていないわけなんですが、非常に危険な状態でそこを運航しているのです。特に潮が満ちてきているときには、非常に橋げたが低いので、全然通ることができないわけです。一番先の万年橋からこのシェルのところまで橋げたが大体十四、五ぐらいあるのじゃないかと思うのです。かどまでは九つあります。このかどから上にのぼったところが、いま申し上げるようにほとんど船が通行できないくらいになっておるところをこれが行くわけです。そして、干潮時をねらって橋げたそこそこのところを船がすれるようにして、人間は全部中に入って通る。そして、橋げたあるいはそういうところに高圧線が通っている、あるいは電話回線が通っている、あるいはガス管が通っている。場合によっては水道も通っているところがあると思いますが、そういう危険なところを航行していくわけです。それから、シェルから向こうの北十間川のところに来ますと、北十間川の一番最初の、花王石鹸のところにある境橋という橋なんか、非常に低いのです。ですから、船舶を運航する船員さんの危険の問題、流木との衝突の問題、橋げたにそういう危険な高圧線があるとか、電話回線があるとか、非常に危険な状態の中を航行しておるわけです。これに対して警察庁や消防庁は、この運航を確保するために一体どういうふうに善処されておるのか。これは一つの例であります。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 こういう面は川崎方面でも、あるいは名古屋港でも、大阪湾においても多いのじゃないかというふうに推測するわけです。これについての警察当局の、交通安全を保障しながら、そういう災害がいつ起こるやもしれないということについて、どういう措置なり考え方をいままでやっておられるのか、この点を第一にお聞きしたいわけです。  二番目の問題としては、同じようなケースですけれども、荒川区の、ちょうどそこから見えると思うのですが、隅田川が曲がってくるところの地域で、南千住の八丁目という地域があります。そこには日本石油の貯蔵所が入り口にありまして、左側には鐘淵紡績の工場があるわけです。向こうにはニチボーの大きい工場があるわけです。その地域には高専とか短大なんかもありますけれども、この地図でごらんになってわかりますように、常磐線でこちらの荒川地区に逃げることができないわけです。そしてこれが南千住の駅の構内になっておりまして、汐入橋という橋一つ以外に外との連絡ができないわけです。これは向島のほうから来ますと、白髪橋を通って、すぐ右を行ったところをまっすぐのぼっていくと汐入橋に入るわけです。ここに相当人がいるわけです。ここにもずっといままで日本石油はそういう方法で石油を運んでおりましたけれども、いまこの水門を閉じて、ここは全部埋め立てをしているわけです。  ここで問題になるのは、汐入橋という小さい橋は、バス一台しか通ることができないのです。ところが、この日本石油さんもタンカーで各地方地方にそれぞれ石油を配っておられるわけです。また普通のタクシーも通るわけです。通行人も通るわけです。これだけの地域がこの橋一本で、あるいは新しく向こうのほうに抜けるところをつくったかもわかりませんが、私がきのう見たところでは、この橋一本なんです。そうしますと、きのうの夕方のように非常に交通がふくそういたしますと、しばらく待っていなければその橋を渡ることができない。もちろん人間もここを全然渡ることができない、こういう状況にあるわけですね。これは要するに橋が狭隘である。こういう陸上交通から見ても非常に危険な状態の地域が依然として残っているわけです。こういう点について、皆さんとしては、一体どういうふうに交通安全を保障されておるのか。たとえばさっき申し上げたシェルの場合ですと、大体九十台の自動車が一日に動いておるわけです。そうしてここの署長さんの説明によりますと、多いところは四回、少ないところでも二回、そうしてやはり千五百トン程度の石油をさばいておるというお話であったわけです。そうなってまいりますと、この周辺、いま申し上げた日本石油の場合もほぼそういう傾向にあるわけです。ましてやここのいわゆるシェルの地域は、地図でも皆さんごらんになっていると思いますが、ここはちょうど錦糸町の駅と亀戸の駅の中間のところの北側に当たるわけです。ですから鉄道レールが真近に迫っているわけですね。その北側にはすばらしい大きい公団住宅、つまり十一階とか十二階という高層の団地がずっとあるわけです。それで小学校なども近くに建っているわけです。ですから、ここでもし火災を起こしたとかあるいは事故を起こしたというときには、たいへんなことになりますので、そういう点について消防署などはどういうふうに協力されているか。ここの署長さんのお話を承りますと、相当協力はしていただいておるようなんですが、私どもが見るところでは、非常に危険じゃないか。特に日本シェルは三カ所でタンカーからタンクへあけるところを持っているわけです。そこへいま申し上げるように船が三そう、四そうといますので、そうして貯木がずっとありますから、危険と言おうか何と言おうか、全くはらはらするわけです。そうしていま申し上げましたように、干潮時をねらって船が全部そこを通るわけです。そしてここまで入ってくるわけですね。それからこちらの北十間川というのは非常に浅いのです。開さくしておりませんから、非常に浅いので、ここはそんなに船はおりませんが、たとえば花王石鹸はやはり二百トンぐらいか、もう少し大きい船に鯨の油を一ぱい持ってきて、そうして月に十六、七回は運ぶということを話しておりました。ここはそれほど貯木はございません。ここと小名木川のところには貯木がないわけです。あるのは横十間川のところがものすごいわけです。こういうところは先ほど申し上げたとおりです。  もう一つ、先ほどの議員さんのお話からもわかりますように、シェルが自分では運んでいないわけです。上野運輸株式会社というのがタンカーを一切運んで、そうして入ってくるわけです。そうしてシェルの大きな黄色いのに貝のしるしをつけたトラックは、これまたほとんど大部分を上野運輸株式会社というのでやらしているわけです。私が、事故が起こったときにはおたくのほうは一体どうされるんですかと聞いたら、それは上野運輸とシェルが責任を負わなければならぬでしょうということをおっしゃっているわけですね。つまり、そのことばだけを聞きますと、脱法行為をしていらっしゃるのじゃないかという気がするわけです。日本シェルそのものが全部やらなければいけないけれども、輸送の上において問題が起これば、上野運輸が責任を負うという形で引き船その他を一切そこまで持ってくる。陸上で一日百五十トンもはかす。問題は、これまた上野運輸という会社で、シェルの看板をつけて、そして車の運転手さんだけはそこの所属になっているわけです。そこの上野運輸というのが、これまたはからずもこのシェル会社と同じ敷地のうちに別にしておいて、二階建ての建物にして、そこに従業員の宿舎と事務所がある。こちらには壁一重でシェルさんの管理者のいる住宅やなんかがちゃんとある。こういうまことに奇怪なところがあるわけですね。これは私は一つの脱法行為をしていらっしゃるような気がするわけです。ですからこういうことを一体調べ上げておるのかどうか、もし問題が起こったときに、それを一体どうしようとしておるのか、こういう点について明確なお答えをしていただきたいと思います。  時間がありませんので、私は簡単にそのことだけ質問をいたしまして、皆さんこれからどういうふうにこれを処置してくださるか。これはもういまから一週間ぐらい前の委員会でもこの問題を出しまして、警視庁のほうでも知っていらっしゃると思いますが、具体的な例を私は申し上げて、ここで善処方をお願いしたいということであります。
  170. 原仁

    ○原説明員 御指摘のありました横十間川につきましては、まず、いかだの問題がございますが、大体こういう河川につきましては、警察といたしましては、東京都水上取締条例というのがございますが、これに基づいて航行の安全あるいは取り締まり、こういうことを行なっておるわけでございます。  まず、いかだの問題でございますが、大体川の両岸から三分の一程度のところへ一応係留の許可を与えまして、中央の三分の一を航行船舶用にあけてある、こういう状況でございます。そこに入ってくるタンカーにつきましては、まず荒川放水路あるいは隅田川の河口におきまして、入ってくるタンカーに航行安全の注意、指導、これをよく行なっております。それから十間川に入ってまいりますと、大体船はこの条例によりまして右側通行になっておりますけれども、安全のために、いまお話のありましたような最も水深の深いところを通すように指導をしております。  それからなお、さっきの流木の問題でございますが、いかだがくずれた流木あるいはその他の流木につきましては、東京都の河川課のほうに常に連絡をいたしまして、流木の排除につとめておる次第でございます。  それから、タンカーから石油タンクに移す場合については、消防庁のほうがよく御指導をなさっておるところでございます。  そのほか警察といたしましても、いわゆる水深を深くするために、川の沈でん物を除去する等、常に要請しておりますし、それから、いわゆる川にいろいろなものを投げ捨てる、こういうことを取り締まる。水深を浅くしない、その他のためにこういうことをやっておるのが現状でございます。
  171. 矢筈野義郎

    ○矢筈野説明員 お答え申し上げます。ただいま先生のほうから御指摘のありましたように、東京都における油槽基地が川に面している、あるいは海岸に面している、その他ございまして、非常に危険な状態でございます。昨年の七月現在でございますが、隅田川その他の川に面しまして、油槽基地が六十一カ所ございまして、規模にしまして大小さまざまでございますけれども、日石の基地とかあるいはシェルの基地、その他大きいのがございます。そこで問題は、タンカーからそういう油槽基地に油を入れるときに、陸の油槽所のほうの責任者に消防のほうから指導条項を流しておりまして、タンカーとよく連絡をとり、付近の火気使用制限をする、あるいはバルブ、ポンプ等の操作についてはチェックをする、そのほか火災になったということを想定しての消火設備の基準を強化するとか、いろいろ具体的な指導要項を示しております。随時消防署員を点検査察させまして、それが守られておるかどうかの予防の実態の強化についてもつとめておる次第でございます。  御指摘の日赤のほうの基地でございますが、これは特に大きいので、タンカーから荷揚げする場合に、消火せん設備を特につけさせまして、火災に対処させておる次第でございます。  そのほか、先ほど横十間川の地帯の危険性について御指摘がございましたので、川に油が漏れて、そしてそれが火災になるといったようなことを想定いたしまして、特別化学車の配置の強化も第七方面本部、これは城東消防署の管内でございますけれども、第七方面本部に十一台化学車を強化しておる次第でございます。
  172. 土橋一吉

    ○土橋委員 最後に、もう時間が過ぎましたが、いまの汐入橋の日本石油のあるところですね。あれはやはり積極的に警視庁が中へ入りまして、あの橋げたを広げなければ必ず事故を起こすと思うのですね。もうあそこは非常に、特に狭いところなんですよ。それで出るところは一方しかないわけです。そこしかないわけですね。これは私も昨晩、夕方見まして、ぞっとするような状態です。バスなんか通ったり、大きいタンクローリーが通れば、人間は全然通ることはできない。もちろん、タクシーはずっと並んで待っているわけです。交通整理も何もない。もしあそこで事故を起こしたら、あなた方の責任だと思うのです。幸いあそこのところはいま埋め立てをしておるのです。水門をあけたままで埋め立て工事をしまして、日本石油はどこからパイプでタンクに入れているのか、ちょっとそこまでわからなかったのですが、いままではそこへ船が入ってきたわけですね。ところが、それを埋めてしまいましたから、今度は別の日本石油の横からとるような方法をしなければならぬと思うのです。いまのところはどうもそれをやっていないようなんです。ですから、みんなタンクローリーを入れておるような状態のように私は見受けたわけです。なおさら危険だということを感じましたので、皆さんの善処方を要求したいし、こういう地域は私は名古屋にも大阪にも、あるいは東京の中川方面にたくさんあると思うのです。ただ、私の見たのは、小名木川の一部分であったのですけれども、こういう点は非常に危険でありますので、特に内航の船舶輸送あるいは海運の輸送をよくするためには全力をあげて検討し、さらに努力していただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
  173. 受田新吉

    受田委員長 暫時休憩いたします。    午後五時二十二分休憩      ————◇—————   〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕