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1970-05-12 第63回国会 衆議院 建設委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十二日(火曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       金子 一平君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       古内 広雄君    森下 國雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       大原  亨君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    北側 義一君       小濱 新次君    内海  清君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         文化庁次長   安達 健二君         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         文化庁文化財保         護部長     内山  正君         建設省都市局区         画整理課長   村山 幸雄君         建設省道路局国         道第一課長   高橋国一郎君         建設省道路局国         道第二課長   川上 賢司君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     宮地 直邦君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 五月十二日  辞任         補欠選任   三木 喜夫君     大原  亨君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第三三号)(参議院送付)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりをいたします。  すなわち、建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団より理事宮地直邦君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席
  4. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 内閣提出建築基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑申し出がありますので、これを許します。井上普方君。
  5. 井上普方

    井上委員 私は、建築基準法の問題につきましては、先国会におきまして長時間にわたりいろいろと論議せられたところがありまするので、重複部分を避けまして一応質問をいたしたいと存ずるのであります。  まず第一番に、この建築基準法の一部を改正する法律案をもう一度読んでみますと、政令にまかしておる部分が多々あるのであります。しかし、法文によりますと、政令は一応一年後に作成することにはなっておりますけれども先国会のいろいろな要求、これを盛り込んだ政令がなされなければならないと思うのであります。したがって、法案を審議する際には、法律政令とは、政令がいかに立法府の意思を盛り込むかということが重要な意味を持つと思いますので、少なくとも政令案要綱、いままでの各委員諸君から出されました意見を盛り込んだ要綱というものがなければならない、このように思うのであります。しかも、昨年の通常国会以来約一年をけみしておる今日におきましては、政令案要綱は少なくとも建設省当局においては用意されておると思いますので、この政令案要綱をひとつお出し願うことを強く要求いたしたい、このように思うのでございますが、政務次官いかがでございますか。この点、いま直ちに出せますかどうでございますか。
  6. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  要綱の完ぺきなものまではいっておりませんが、要旨は一応用意はいたしております。
  7. 井上普方

    井上委員 それでは、要旨をいま直ちにここの手元にお出し願うことを要求するものでございます。
  8. 大津留温

    大津留政府委員 私の手元にメモはございますけれども、提出するような形に印刷はしておりませんので、あとでごらんいただきたいと思います。
  9. 井上普方

    井上委員 それでは、私はこの印刷物が回ってまいりましてから質問をいたしたいと思いますので、私の質問はこの程度に終えて——といいますのは、先ほども申しましたように、先国会における質問あるいはまた委員会における要求が、いかに政令の趣旨に盛り込まれておるかということを見なければならない、このように考えますので、ひとつ委員長におかれましては、適宜御配慮をお願いしたいと思います。
  10. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  11. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 速記を始めて。
  12. 井上普方

    井上委員 私は、ただいま要求いたしました政府の資料ができるまで、私の質問は中断いたします。      ————◇—————
  13. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 この際、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。  大原亨君。
  14. 大原亨

    大原委員 私は、きょうこれは第一回目の質問にしたいと思うのですが、これは他の委員会でもやろうと思いますが、実は広島市の戦後の大きな区画整理を今日振り返ってみまして、都市計画の中における区画整理法運営のあり方について非常にたくさんの問題がある、こういうふうに思うわけであります。これらの問題点を私ども一つ一つについて重要な点を分析をし、あるいは解明をするということは、今後の都市計画を進めていく上において、あるいは法律一般運営においてきわめて重要である、こういうふうに私はいろいろと研究いたしまして痛感をいたしました。特に広島市は原爆を受けておりまして、都市計画が今日残っておる地点が、いままさに着手されようとしておるわけでありますが、段原地区があるわけであります。これは非常に広い地区にわたる密集地域でございまして、過密都市の中の典型的な過密地帯であります。そのことを円滑に進めていく上においても、いままでのことについて問題点を解明することが必要である、私はこういうふうに考えまして、質問をいたすわけであります。  都市計画法によりまして、都市計画をなす際に区画整理方式をとる、こういうことについては私は原則的に賛成の立場をとるのであります。しかし、これはあくまでも住民立場に立って公平になされなければならぬ、こういう観点で問題を取り上げるわけであります。  そこで、御承知のように広島市の原爆を受けました後の都市計画区画整理方式を取り入れまして、元安川という七つの川の一つの川を境といたしまして東西に分けて、西のほうを県がやり、東のほうは広島市がやる、こういうふうにいたしたわけであります。この広島市の都市計画は、都市計画方法として区画整理方式をとる際に施行者がきめられるわけでありますが、この施行者は一体だれであるか、こういう点について、責任の所在ということについて質問をしていきたいわけですが、これは一体だれですか。
  15. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 広島戦災復興土地区画整理事業施行者は、先生いま申されました元安川を境とする西部地域については広島県知事、それから東部につきましては広島市長県知事市長施行者でございます。
  16. 大原亨

    大原委員 つまり建設大臣の命令、委任を受けてやるわけですね。
  17. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 考え方といたしましては、行政庁施行ということでございますので、国の機関としての都道府県知事、国の機関としての市長執行いたすわけでございます。
  18. 大原亨

    大原委員 そういたしますと、その点だけはそれでいいわけですが、建設大臣に対しまして、関係地主住民から、不服審査法に基づいて、たくさんの不服審査申し立て一緒執行停止につきまして、それぞれ申し立てがなされておるわけですが、これは件数にいたしまして何件あるかということが第一点と、その不服審査申し立て執行停止申し立てに対しまして、建設大臣は現在どのような措置をとっておりますかという点についてお答えをいただきたい。
  19. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 現在、不服審査申請がございますのは三百二十九件でございますが、そのうち四件は取り下げられておりますので、三百二十五件でございます。出てまいりましたのは昨年の八月でございますが、現在、執行停止の問題も含めまして審査中でございます。
  20. 大原亨

    大原委員 これは不服審査法に基づく審査の請求、並びにこれに伴う執行停止申し立てでありますが、法律によりますと、すみやかに措置しなければならぬ、こういうふうにきめられてあるわけですが、この問題の最終的な建設大臣措置は、これからどのような手続で、どのような方針でなされるのですか。
  21. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 非常に事案が複雑でございますので、しかも、口頭陳述機会を与えてくれという要求も出ておりますので、今月末か来月初めに現地に参りまして調査をして、それから結論を出したい、こういうふうに考えておるわけです。
  22. 大原亨

    大原委員 これは区画整理の西のほうの場合ですが、知事から弁明書が出、それに対して地主のほうからは反論書が出、そして建設大臣行政庁方式官庁方式でやったわけですから責任があるわけですから、建設大臣に対する申し立てに対して関係者から事情を聞く、不服審査法によって口頭陳述機会を設ける、そういうのを、いまお話しのように来月にかけてやるわけですか。
  23. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 ただいまその予定でおります。
  24. 大原亨

    大原委員 この事態処理が、全体を見てそうですけれども昭和二十年に五カ年計画昭和二十五年までにやるというのが、都市計画昭和四十四年までかかっている。それで地価の変動や貨幣価値の下落、そういうもの等で利害関係が錯綜したということがいつも都市計画では問題になる。特に広島の場合は特徴的なんですね。たとえば不服審査にいたしましても、そういう法律に従って申し立てをするわけですが、たとえば口述つまり口頭における弁論、討論、意見を言う機会を当然認めるわけになるのだが、これにいたしましても、もう半年ぐらいおくれておると私は思うのです。これはそういうふうにおくらせるということになれば、ますますこういう問題については混迷するだけでなしに、現在取りかかろうといたしておる段原地区密集地帯における大きな区画整理の問題にいたしましても、広島区画整理の締めくくりのようなものですが、それにいたしましても非常に大きな疑惑や問題を提起するわけですね。私はそういう口述口頭による審理申し出に対しましては、すみやかにやるべきであると思うが、今度は間違いなくやりますね。
  25. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 不服審査処理の問題でございますが、実は弁明書を取り、答弁書を取り、そのあとで実態を見きわめてから口頭審理に入ったほうが適切じゃないかという判断で私どもいままで進めてきたわけでございます。まだ若干弁明書など出てきてないところもございますけれども、先ほど申し上げましたように、今月の終わりか来月の初めに現地に参りまして、そうして口頭陳述機会を与えるということにいたしております。
  26. 大原亨

    大原委員 行政不服審査法の四十条の第五項によりますと、裁決に際して原処分変更を命ずる裁決を決定しておるわけですが、この問題はそういうことになると、処理のしかたによりますと利害関係その他たいへんなことでありますね。しかし、不服審査法は、手続上といたしましてこれを認めておるわけであります。これが不当であり、かつ違法であるというふうな、そういう区画整理中心とする都市計画執行において、そういう問題が提起されたならばそういう事態があるわけですけれども行政不服審査法の精神で処理する場合に、その裁決はどういうふうな処理のしかたをするのですか。つまり、被害あり、違法であるという地主側の主張からいうならば、換地計画換地処分について改めてもらいたいというその要求が妥当であるということになれば、どういう措置のしかたがあるのですか。——局長でなくてもいい。問題点がはっきりすればいいのだから、わかっている人、だれでもいいから答弁してください。
  27. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 裁決のしかたといたしましては、現在の換地処分を取り消すという方法がございますが、取り消すことによって影響が非常に甚大であるという場合も考えられますので、その場合に、取り消しにかえまして損害賠償を命ずるというようなことも、裁決の中身としてはあり得ることだということに考えておるわけでございます。
  28. 大原亨

    大原委員 つまり、これから若干点申し上げるのだけれども、そういう行政処分が違法であり不適当であるという場合には、いまのように土地で処分するか、物で処分するか、あるいは金で処理するか、こういうことだと思います。この広島市のみならず、区画整理をやる場合に照応換地原則換地をする場合には、それに元地、換地が照応しておらなければならぬという原則があるわけです。もちろんそれに対しては例外があるわけです。広島市の区画整理の場合には、その一つの適用といたしましてどういう——それが問題になるわけですけれども、たとえば面積式換地方法というのが一つある。それからもう一つ評価式換地方法というのがある。場所によって違うから、土地の値段を考えながらやるというのもあるのかもしれない。評価式というのはそういうことだと私は理解しておる。広島市の場合にはどちらをとっておるというふうに——建設大臣監督官庁としての行政庁ですから知っておるはずですが、どういう方法をとってやったと理解していますか。
  29. 村山幸雄

    村山説明員 お答えいたします。  一般的には評価式を採用しておりますが、広島の場合はああいう非常に緊急な事態の中で換地計画を立てました関係上、面積式をとって換地を与えております。
  30. 大原亨

    大原委員 それで面積式によって換地をするという方式をとっておるというふうに考えてよろしいわけでしょうが、しかし、これをとっておるがゆえに非常に問題が起きておるという点もあるわけであります。  そこで、質問を進めてまいりますが、いまからは広島市の西部について、元安川から西部県知事が施行いたしました点について、具体的な問題を頭に置きながら質問を進めてまいります。  第一点、西部における減歩率幾らであったのか。それから、西部区画整理によって生み出した公共用地幾らであるのか。第三、その区画整理の中で出てきたいわゆる未指定地面積幾らであるのか、この三点、これは局長とはディスカッションしていないが、下のほうとはディスカッションしてあるのだから、突然の質問じゃないから、その点をひとつお答えいただきたい。
  31. 村山幸雄

    村山説明員 お答えいたします。  まず減歩の問題でございますが、減歩地区全体といたしまして二六%の減歩ということがこの地区の全部になっております。  なお、未指定地及びもう一点に関しましては、いま直ちに計算いたしましてすぐお答え申し上げます。
  32. 大原亨

    大原委員 この減歩の二六%はいつきめたのですか。いつの時点で決定した減歩率ですか。
  33. 村山幸雄

    村山説明員 事業計画の樹立の段階におきまして、二六%ということが大体決定いたします。
  34. 大原亨

    大原委員 それは時点は何年かわからぬですか。
  35. 村山幸雄

    村山説明員 二十六年ころだと思いますが……。
  36. 大原亨

    大原委員 この未指定地というのはどういう意味ですか。事務当局で調べておったら答えてください。区画整理法では、何条を根拠にして未指定地というのは出るのですか。
  37. 村山幸雄

    村山説明員 お答え申し上げます。  区画整理は、当然全部の従前の宅地に対しまして、整理後それぞれの方々がそれぞれの土地をいただくわけでございまして、その中で未指定地といいますか、そういうような指定をしない土地というのは、原則的にはあるはずはないわけでございます。  ただ、実際問題といたしまして、大きな面積でいろいろ割り込んでまいりますときに、すみっこのほうで土地が出ましたり、それからいろいろやっていく過程におきまして、換地操作上の未指定地というのをつくることがございます。これを非常にうまく運営して区画整理をやっていくというのは、現在の一つの形になっておりまして、そういう関係で非常に多くの未指定地をとるということについては難点がございますが、ある程度の——指定地というのは指定していないところでございますので、あとでどこかに必ず指定するわけでございますが、そういうような土地を幾ぶん保留しながら区画整理を進めていくというのが現在のやり方でございます。
  38. 大原亨

    大原委員 ぼくの理解では、未指定地というのは——あと一緒にお答えいただきたいが、未指定地広島では非常にたくさん出ておるというのは、昭和二十年から始めました都市計画区画整理ですけれどもつまり減歩の対象となった、根拠となった公共用地平和公園とかあるいは百メートル道路その他の国道、そういう公共用地を少なくしたために未指定地がたくさん出た、こういうことではないのですか。
  39. 村山幸雄

    村山説明員 この問題に関しましては、全く広島特有の問題でございまして、普通の場合の未指定地というのは、先ほど申し上げたとおりでございますが、実は広島の場合におきましては、閣議決定が途中で変更いたしまして、一つの例を申し上げますと、五十メートルの道路でやるはずになっておりましたのが、途中からそういう広幅員というのは問題であるというような点で三十メートルに下げろとか、あるいは大きな公園を縮小したとかいうような財政の問題から、区画整理全般に相当大きな変更を来たした時期がございます。その時期にすでにそういうことで公共用地指定するつもりであったわけでございますけれども、それが変更になりましたために残地が、いわゆる未指定地という形で相当部分広島の場合は出てきたという事実はございます。
  40. 大原亨

    大原委員 そこで未指定地というのは、広島市の西部だけをとってみますと何坪あるのですか。ばく大な未指定地があるわけですね。そういう都市計画変更中心として起きた未指定地がばく大に出ておるわけです。
  41. 村山幸雄

    村山説明員 西部の全部の面積が百五十万坪でございますが・その中で未指定地であけておりますものが六万坪でございます。
  42. 大原亨

    大原委員 未指定地は六万二千坪というふうに県は公表していますね。しかし、これは出し方によりますと、計画変更による未指定地が十一万坪ある、こういうふうに計算できる一つ根拠があるわけです。これはひとつ、私は問題として言っておきます。いずれにいたしましても、県の公表だけでも六万二千坪の未指定地が生まれておる。  この米指定地計画変更が主たる大きな原因であるから、つまり公共用地を狭くしたことによるものであるから、何らかの形で、平均二割六分ほど減歩を受けておる旧地主に、やはり減歩率を下げるなり、あるいはいま言われたような金銭で換算をして交付するなり、こういうふうにすべき問題ではないか。そういう点についてやっぱり疑惑をぴちっとしておかないと、これからの都市計画当局を信用していけないという、こういう議論になりますね。
  43. 村山幸雄

    村山説明員 未指定地の使い方の問題でございますが、区画整理の途中におきましては、いわゆる未指定地としてそういう土地が残ってまいるわけでございますが、たとえばそれを保留地の一万五千坪に使うとか、それから御承知の一坪換地でございます、そのほうに二万四千坪使うとか、その他、おっしゃいましたような仮換地指定変更によるもの、そういうものにいろいろ使いまして、最終的には、いわゆる何も換地しない、未指定地のままで残りておるものというのはゼロになっております。
  44. 大原亨

    大原委員 それで、そういうことが非常にずさんだと、こういうわけです。つまり私が言っておるのは、広島特殊事情もあるが、非常に長い間かかって、法律までだいぶ改正になっているけれどもつまり六万二千坪も未指定地ができた一番大きな原因計画変更ではないか。公共用地を、平和公園を当初の計画からいうと縮小したことが一つの大きな原因ではないか。であるならば、区画整理をする目標は、換地処分をして、そうして公共用地を見出すことが一つの大きな目標ですが、そういう公共用地が縮小されたならば、当然減歩率影響を与える、そういうことが当然のことではないか、こう言うわけです。そのことをずさんに処理していることはあとで議論するけれども、そこが一つ問題ではないかと思うわけです。
  45. 村山幸雄

    村山説明員 御説のとおりだと思います。  ただ、区画整理が相当進行いたしまして、それぞれの仮換地が与えられた段階がまいります。その段階におきまして公園とか道路の縮小がございますと、そのある位置にございますたとえば百坪なら百坪余った土地を、それぞれすでに仮換地がきまっておる方に一坪ずつまた渡していくというようなことが、現実問題として非常に困難でございますので、特に、しかも広島特殊性を勘案いたしまして、ああいう一坪換地の問題が出てきたわけでございますが、そういうほうからは当然清算金が出てまいりまして、その清算金を今度は地区全般の人に還元するというような形で、土地の形では還元していませんけれども、金銭的なものでそれが還元されておる。あの場合にそういう措置をとったということでございます。
  46. 大原亨

    大原委員 一坪換地増し換地についてはあとで議論いたします。いまの点はあとに残しておきます。  それから、測量による測量増し地ですか、つまり登記簿上の面積と、都市計画をやる際に実測いたしますが、その実測との間の差は幾らあるのか。  もう一つは、測量によって増大をする土地は、その所有権はだれに帰属をしているのか。登記と、実際に占有していた土地が違って、測量してみると登記簿面積よりも測量面積のほうが大きい。こういう場合には、これはだれの所有に属するのか。
  47. 村山幸雄

    村山説明員 測量増、一般になわ延びと申しておりますが、これについてお答え申し上げます。  広島西部につきましては、失札でございますが、坪で申し上げまして三万二千二百五坪でございます。それから東部につきましては二万二千九百四十坪というものが測量増になっております。これは実際に測量いたしてみますと、土地台帳との間にそれだけの差があったということでございます。  それで、区画整理をやります前に、それぞれの権利者土地を的確に測量いたしまして、自分土地幾ら幾らであるということがはっきりわかればいいわけでございますけれども、わからないときには、土地台帳によって区画整理は現在進められております。ただ、区画整理をいたします前に、特に何らかの事情測量等によりましてはっきりと自分の敷地がこれだけであるというようなことがわかりますと、その土地につきましては、そういう精査をいたしましたものを従前権利の地積として自後の処理をいたしております。  そういたしますと、そういう申請によって修正されなかった方、こういう方については非常に不公平を生じるわけであります。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕 そういうものは全部一括いたしまして、この土地がどなたのものであったかということはわかりませんけれども、その中に住んでおられる住民の方全部の何かの出し分であるということの考え方によりまして、それを届け出をした以外の方に、それだけのものをそれぞれ従前土地に案分いたしまして、測量増は結局従前土地にそれぞれ案分して従前権利とするというような形で評価をいたしております。
  48. 大原亨

    大原委員 そうすると、そのなわ延びによる土地は、それぞれ各もとの所有権者に還元する措置をとるという原則ですね。具体的にどうするかということです。これが一つ。  もう一つは、ある人にはなわ延びについて、一筆ごとに土地台帳面積と実測の面積にこれだけの差があって、これはあなたのものですよ、こういって返しておきながら、事情を知らないそういう権利を主張する立場になかった、そういう人に対しては、これは結局保留地として取り上げてしまう、それで一般的に還元をしていく、こういうことは、法の執行の公平という面から考えて非常に不公平ではないかということですね。だから、そういうことを不親切にやれば——これは合計いたしまして五万坪も六万坪もなわ延びが出ているということになるわけですね。だったら、土地台帳となわ延びとの関係について一定の基準を設けまして、それでこれは保留地にするのだという方針とか、法律的な根拠があるのならともかくとして、どさくさである、混乱期であるからやむを得ないというだけでは処置できないような不公平さが生まれてきているのではないか。つまり、結果としては権利の侵害になっておるのではないか。
  49. 村山幸雄

    村山説明員 お答え申し上げます。  たとえば申告が全然ございませんで、そういう地積の修正を全然やらなかったということの場合があったといたします。そういたしますと、なわ延び分というのは、全部それが減歩の形で公共用地に出すというと語弊がありますけれども公共用地に変わっております。ただ、そういうものが出ております関係上、実際に三〇%の減歩が普通だったらかかるものが、そういうなわ延びのものが公共用地に変わっておるために、その地区の方については二〇%の減歩で済んでおる、こういう事実があるわけでございます。そういたしますと、現実にやっておりますのは、先ほどのなわ延び申請のなかった者につきましては、実際行為といたしましては、そういうことで公共用地に変わっておるわけでございますが、そういたしますと、申請した者はそういうものを出さないかということでございますが、申請されてふえた方と、それから申請されなくてふえなかった方との間には、減歩でもってそれが公平をはかるように調整をいたします。そういうことでございますので、必ずしも申請をした人が得をして、申請をしなかった人だけが損をするというようなシステムにはなっておりません。
  50. 大原亨

    大原委員 では、個人個人のなわ延びについて、つまり土地台帳となわ延びについて、なわ延びは当然地主所有権であるということで、それの帰属をしておる人については、減歩率は、他の人、なわ延びについての権利を放棄した人、この人とは、減歩率が違ってくるわけなのですね。そういう措置をしてあるというわけですね。措置をしてなければこれは問題ですよ。よろしいですね。——その点は了解されたというように思います。  それからもう一つは、未指定地と認められる、あるいは特殊事情による未指定地原爆による未指定地等といまのなわ延び、それらをすべて含めて保留地というのですか、保留地はそれ以外にプラスアルファはどれだけあるのですか。
  51. 村山幸雄

    村山説明員 先ほど未指定地を私のほうは約六万坪と申し上げましたが、その中に一万五千坪ほどの保留地がございますが、保留地はそういうような関係とは全然違いまして、たとえば公共用地を生み出すと同じように各自の方からそれぞれ土地の供出をいただきまして、一カ所に保留地というものを集めます。それは、あくまでもそれを売却いたしましたものは、いわゆる区画整理の事業費に充てるということになっておりますので、保留地に住む方というのは、必ずしも区画整理関係した方ではない方でも、その買収をして、そこに住むことができるというような形でございますので、先ほどからの一坪換地の問題とかいうような問題とは、これは少し性格が異なるものであるというように考えております。
  52. 大原亨

    大原委員 一坪換地のことは質問していない。いま私の質問しておることだけに答えてもらいたい。つまり保留地公共用地と同じように、これと並んで事業費に充当するために捻出する土地だ、そういう目的で土地区画整理法上はやるのだ。しかし広島の場合は、未指定地それからなわ延びも、これは全部ぶっ込めて保留地として処置をしておるのではないか。でないとするならば、その内訳をはっきりしてもらいたい。私はいままでも事務的に議論していたのですから、はっきりしてもらいたい。
  53. 村山幸雄

    村山説明員 お答えいたします。  なわ延びにつきましては保留地には入っておりません。
  54. 大原亨

    大原委員 未指定地は……。
  55. 村山幸雄

    村山説明員 未指定地も入っておりません。
  56. 大原亨

    大原委員 入っている入ってないという問題は、またあとで事実に基づいて事務的に究明することができます。  それから、広島で行なわれておることで今日非常に問題になっておるのは、一坪換地、二坪換地ということですね。つまり県が、施行者土地を取得して、その土地を何も土地を持っていない人に対しまして一坪、二坪与えて、一坪、二坪の地主にする。その一坪、二坪の地主に対しまして換地を行なって、三十坪あるいは百坪増し換地をする。これが一坪換地、二坪換地といわれているというように私は理解しておるが、そういうことになれば、正直に減歩を二割六分とか三割とかいうふうに受けた人の立場に立つと、当然減歩率影響するようなそういう土地を、つまり無から有を生ずるような換地のしかたを生み出していくようなことは違法であり、法律根拠がなくて、しかも法律の精神からいっても不当であり、結果として権利の侵害ではないかと思うが、これに対してどういう答弁をいたしますか。
  57. 村山幸雄

    村山説明員 お答え申し上げます。  先ほどから西部の話が出ておりますので西部で申し上げますと、従前六百坪程度のものに関しまして、換地といたしましては二万四千坪程度、これは全体の面積の一%に当たろうかと思いますが、そういうようなものをいわゆる一坪換地、二坪換地ということばで申しておりますが、そういうような特別な換地処分を現実に行なっております。これにつきましては、先ほどからるるお話がございましたとおりに、広島原爆という戦災復興のかなめである本事業が、初めの閣議決定が途中で変更になりまして、根幹施設についての縮小を余儀なくされた。そういうためにそれぞれの土地が出てきたということ、それから、おそらくかつて広島に住んでおられたのだと思いますけれども土地とかそういうものの権利を持ってない方で、現実に区画整理地区の中に住んでおられて、土地がなければ生活ができないという方に対してなされた特殊なやり方であろうかと思います。  これにつきましては、法律上いろいろ御指摘の点もあろうかと思いますけれども、あのような状態の中では、事業を円滑に推進するという立場に立ちまして、やむを得なかったのではなかろうかというように考えております。
  58. 大原亨

    大原委員 都市計画土地区画整理法による土地区画整理において、こういうような一坪換地とか二坪換地とか、土地のない者に対して県が、施行者土地を与えて、それに対して増し換地をしていくような、三十坪、百坪と出していくよう々、言うならばでたらめだけれども、そういうことが他に行なわれておる例がありますか。
  59. 村山幸雄

    村山説明員 お答え申し上げます。  区画整理個所の宅地、これは普通の住宅地……(大原委員「他に例があるかないかだけ聞いている」と呼ぶ)広島のような例は他にございません。
  60. 大原亨

    大原委員 一坪換地、二坪換地から、つまり無から有を生ずるようなことは他に例がないが、広島は混乱しておったからやむを得ないということならば私、聞きますよ。たとえば長崎も原爆を受けておるが、長崎は都市計画はないでしょう。他に全然ないと言うからないのでしょう。  それから、あなたが言われることで、それに書いてあることは間違っておるわけで、広島の爆心地やその他都市計画区画整理中心地帯になるところは、原爆を受けた人でないところの人が来ておる。ほとんどずっと外から入ってきておって、それが権利の主張をしておるようなかっこうになっておるから、原爆を受けて穴があいた中心地の被害地域周辺にずっと被爆の地主その他がおるわけですが、それを見た場合に、一坪換地とか二坪換地という前例もない、法律上の根拠もないものは不公平ではないか、こういう議論をするのは当然です。法律上の根拠は第何条に基づいて、一坪換地、二坪換地というふうな無から有を生ずるようなこと、あなたの答弁のように、六百坪の元地を与えておいて二万数千坪の換地がなされた、こういうふうなことは、非常に減歩をされた地主立場からは不公平じゃないか。あるいは原爆によって被害を受けたという点を強調しているけれども、そうではないんじゃないか。地主がいない、地主がわからない、全部死んだ、一家全滅だというところへだっと入ってきた人が、政治的にいいことをしているんじゃないか、これは法律根拠のない非常に違法な処分ではないか、こういう議論があるわけだ。これは私は当然だと思います。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席〕 この法律根拠の点と、それから他に例がないというけれども、長崎だって原爆を受けたんだから、そういう例があってもいいはずだけれどもないということ、それから、このどさくさにまぎれていいことをした人があるんじゃないか。そういう点からいえば、違法性の問題と不当性の問題の二つの点から、私はこの問題は議論が起きてくるのは当然じゃないかと思うわけですが、いかがですか。
  61. 村山幸雄

    村山説明員 お答え申し上げます。  土地区画整理法の第九十一条に、たとえば二十坪とか三十坪のような非常に小さい土地を持っておりまして、区画整理の区域内に入った場合にはこれを減歩をしない、あるいはまた公益的な施設につきましては、相当規模の増し換地ができる、あるいは学校の用地というようなものにつきましては増し換地ができる、そういうような一つの例と申しますか、過小宅地を保護する考え方、それから公共的な宅地を大いにつくるという考え方、この二つで特別な換地処分をするということは、一応できるようにはなっております。  ただ、広島の場合のように、一坪のものを買わしてそれを三十坪にしたというようなことに関しましては、法文上何らの規定もないわけでございます。常識的に考えましても御指摘のとおりの結果になるように考えますけれども、先ほども何回も申し上げておりますとおりに、ああいう中で区画整理事業全般を生かしていくというときのやむを得なかった措置であるというように考えております。
  62. 大原亨

    大原委員 いまの御答弁は、法律上の根拠は九十一条だと言うのでしょう。九十一条で過小宅地の場合、一坪を県から取得いたしまして、その人が四十二坪もらった者もおれば、四十五坪もらった者もおれば、百五十七坪もらった者もおる。こういうふうなことは、この制度を乱用いたしまして、これに便乗しているんじゃないか。利権あさりをしているんじゃないか。役得をしているんじゃないか。こういうような者が区画整理の審議委員なんかにおる。また公益委員、学識経験者の中におる。市議会議員の中におる。これはずっと一覧表があるわけです。これは二十数年たってつい最近公表したものだからてんやわんやになるのだが、つまりあなたが言われたように、九十一条によって、二十坪以下、三十坪以下の過小宅地であると一件として単独に利用できない。だから、増し換地をしていくということはあるわけでしょう。しかし、百坪もとるというようなことは、一坪から百倍になるというようなことで、これはあまりにもひどい。しかも元地がない人である。所有権がない人がそういうことをやるというようなこと、しかも、原爆を受けたというよりもそこに入ってきた人だ。被害者というよりも、地主等がわからなくて、あるいは営業できなくて四散して、疎開してそのあとへ入ってきた人たちだ。こういうことになれば法律上の根拠はないでしょう。法律上の根拠がない上に、しかも常識から考えて、つまり百坪も百四十坪もやるということは、過小宅地に対する区画整理措置じゃないでしょうが。だから、そんなことは法律の精神からいっても違法であるだけでなしに、このこと自体は非常に不当な措置である。しかも地価が上がる、物価が上昇して、貨幣価値が下落して、生産自体も伸びているんだという、そういうことをねらいながら、こういうことをたくさんやっているんだ。  一坪換地以外の増し換地というものも乱用されている。増し換地の例を見ますと、二十一坪の人が百六十坪とっておる例がある。これは二十一坪は過小宅地でしょう。言うならば三十坪以下が過小宅地だと思うけれども、三十坪をとっているかというと百六十坪とっている。公共用地でも何でもない民有地でですね。  こういうことをやれば、区画整理なんかは非公開で、膨大なものについて数字なんか全部隠しておいて、評価なんか全部隠しておいてやれば、一応事情を知っている者は何でも悪いことができるし、一般住民は非常に不信を持つから、これから区画整理段原地区の最後の地域でやろうといたしましても、疑惑が出て協力をせられぬでしょう。私は、このことは法律根拠はないと思うのだ。一坪換地、二坪換地、こういう過小宅地でない増し換地、百坪以上のものをとっているのは、これは私は法をじゅうりんする違法行為だと思う。措置としてもやむを得ないことでなくて、不当なものだ、こういうふうに私は考えるし、そういうふうにきちっとしないと、今度は何でもできるということになってしまう。最初言ったように、面積方式によって面積をひとしく交換する、評価方式でないということを局長は答弁した。そう言いながら、無から有を生ずる一坪換地、二坪換地あるいは増し換地が乱用されていて、最後に広げてみると、その結果は修正できないような複雑な都市計画全体の構想になっている。  これは局長、あなたはのんびりしているが、あなたに質問するけれども、私はそんなことはいけないと思う。それに対して不服審査が出ているが、不服審査法によって出ているわけでしょう。どんな理屈をつけたって、経済情勢の変動その他に便乗して役得をはかったり利権をはかったというようなこと、ましてや審議会の委員等がやっておる、市議会議員等がやっておるということになれば、これは私は背任行為だと思う。いかがですか。
  63. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先生御承知のように、戦災復興の区画整理をやりました当時は、特別都市計画法によってやっていたわけでございます。その後区画整理法というのができたわけでございますが、特別都市計画法自体にも、施行令におきまして、先ほど申しました過小宅地の増歩ができるという根拠はあったわけでございます。実際は換地処分をやる段階になりますと、現在の区画整理法でいくわけでございますけれども、当時もうすでに仮換地指定が済んでいたわけでございます。それで、この百何十坪の実態をすべて私が知っているわけではございませんけれども、当時家が建っていて、その家を移転するためにかなり多額の費用がかかるということも考慮の中にあったのじゃないかと思います。  したがいまして、私どもまだ最終裁決の判断を下してはおりませんけれども、あの場合にはああいうような形がやむを得なかったのじゃないだろうか。それは原爆の被害者であるとは断定できませんけれども、当時そこにすでに家が建っておって、すでに生業を営み、生活を営んでいた人がいた。片一方で区画整理事業というものがある程度縮減を余儀なくされた。そういう事情に立った場合に、区画整理事業をやる上におきましても、住民の生活、生業を考える上におきましても、あんなことをやったのはやむを得なかったのじゃないかという判断をただいまのところ下しているわけでございます。  ただ、これから区画整理法に基づいて初めから仕事をいたします段原地区その他につきましては、これはもう先生おっしゃいますとおり、そういうことがあってはなりませんので、法律の運用を厳正にやるように私どもとしては指導してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  64. 大原亨

    大原委員 私が言ったのは、大切な点は二つあるのです。一つは、法律根拠がないではないかということ、過小宅地であるならば、百坪も百四十坪もとるというのはおかしいじゃないか、このこと自体が違法ではないかということです。過小宅地以外に、そんなに増し換地をかってに幾らやってもいいのですか。もう一つは、区画整理の審議委員やその他が当時代表となっておって、事情を知っておって、あるいは経済情勢の変動等も知っておって、土地の値上がり等も知っておって、払い下げのやつが清算される際に安いということを知っておって、そういうことをやるということは背任にならないか、こういうのです。この二つの点です。
  65. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 過小宅地の処理にあたりまして、その増し換地の限度につきましては、法律上規定がございません。したがいまして、直ちに……(大原委員幾らやってもいいのですか」と呼ぶ。)それは実態というものが一つあるのだろうと思います。そこで、不当かどうかということは問題があろうと思いますけれども、しかも清算金を取るわけでありますので、直ちに違法であるとはいえないのじゃないかと思います。  それからもう一つは、仮換地指定段階が二十三年か四年ごろだと思います。したがって、そこから先は個々人のお考えでございますので私どもはわかりませんけれども、自治体審議会の委員さんが二十三、四年ごろ、土地の値上がりを見越しましてそういうことをやったかどうかということはわかりませんけれども、そこら辺は、御本人がどういうふうにお考えになったかということで判断さるべき問題ではないか、こういうふうに考えるわけであります。
  66. 大原亨

    大原委員 法律の九十一条で、地主減歩を受けるのですよ。減歩を受けて公共用地を出すのです。あるいは事業費を出すのです。そのために法律を設けるのでしょう。それであるのに、片方ではどんどんふえておるということはおかしいでしょう。ふえるのには限界があるはずですよ。過小宅地という例外措置の限界があるのです。それを越した場合には違法ではないか。それが一つ。時間もなんですから、あとこの続きはほかの決算委員会その他でやりますけれども、これはこれから前例になることだから、私ははっきり言っておく。  もう一つ保留地ですね。保留地の公告は、昭和四十四年の八月十九日に西のほうではやっておると思うのです。その保留地は、公告を待って保留地であるということが確定するわけですよ。最後の段階で確定するわけです。しかし、この広島市の場合に、確定する以前に、たとえば昭和三十七、八年ごろから保留地をどんどん処分して事業費に充てているわけですね。そうすると、あとで是正したりするときにたいへん困るでしょう。そういうことがあるわけですけれども、確定しないのに停止条件付などと称してどんどん処分をするということは、違法であり脱法ではないかということが一つです。もしこれを是正しようとする場合には、いろいろな換地計画換地処分の結果として出てくる保留地が違ってくるということが出た場合に、これは所有権の変動が生ずるわけですね。そういうことはあり得るのかどうか。
  67. 村山幸雄

    村山説明員 御指摘のとおりに、保留地がはっきりと土地がきまりまして、売却をして登記もできるというようになりますのは、やはり換地処分が済んでからでございます。  ただ、区画整理は事業の途中におきまして当初から金が要るわけでございますので、保留地に大体予定いたしまして、そこのところを売っております。その売り方につきましては、いわゆる施行規程というもので売却の手続方法を正確にきめまして、それに定めたとおりに処分をしておるというのが現状でございます。
  68. 大原亨

    大原委員 保留地確定以前の処分については、法律上の根拠がないのじゃないか。法律のどういう根拠かということが一つありますよ。それを聞きます。  それからもう一つは、清算の評価時点昭和三十年三月とした。これは、大体八割方区画整理執行されたということが理由らしい。しかし、換地処分が行なわれた時点、すなわち昭和四十三年の八月ごろ換地処分が確定するわけですね。昭和三十年と昭和四十三年の中ごろということになれば、十四年も開きがあるわけですね。そうすると、清算をする場合に徴収したり交付したりするわけですが、十四年間もたっておりますから、貨幣価値は下落している。物価は上昇している。地価は上昇している。そういう非常におくれて換地処分が確定して、利害関係者に対してはそのときに金銭の授受が行なわれるということになりますと、それを見越しまして、これにもぐり込んで、便乗して役得をするものがおる。非常に不公平が生じてくる。得をする者がおるし大損をする者がおる。こういう方式というものは、これは法律から考えてみても違法であり不当ではないかと私は思うし、政治的に考えてみたって行政的に考えてみたって、これは全く無責任なやり方ではないかと私は思うわけです。いかがですか。
  69. 村山幸雄

    村山説明員 清算の時期につきましては、広島の場合は、昭和三十年に工事がほぼ完了しておりますので、その時期をもちまして一応清算の金額をきめる時期にいたしております。その後十数年たっておりますので、それに物価の上昇をかけまして、そういう形の指数をもちまして清算をやっております。  ただ、御指摘のとおりに、その間に相当の地価の上昇等があったわけでございますが、区画整理をやったことによって、いわゆる土地の上昇というものがあったのはどのくらいか。十年もたちますと、その後ほかの要因あるいは日本じゅうの土地が全部上がるというような一つの要因、いろいろなファクターが入ってまいりますので、区画整理そのものからくる清算ということになりますと、やはり工事を終了した時期を標準にするのが一応妥当であろうということになっておるわけでございます。  ただ、非常に遺憾でございますのは、そういう工事が済みましてから換地処分の間非常に時間がかかったという点でございまして、この点につきましては、工事の終了後なるべくすみやかにこういう換地処分ができるように指導してまいりたいと考えております。
  70. 大原亨

    大原委員 評価時点昭和三十年の三月であった、換地処分昭和四十三年の八月の終わりのほうにかけてである。そういうことになれば、これをもし換地処分をした昭和四十三年の時点評価してやれば、公平の原則からいえばある程度の理屈が立つと思う。昭和三十年と昭和四十三年との間の開きがギャップをつくるということは、非常に不公平を生むことになる。区画整理の結果として地価が上がったということ以外に、物価は現実に上昇している。貨幣価値が下落している。地価は三十倍ぐらい上昇している。地価の値上がりを計算に入れているかというと、ほとんど清算には入れていない。それを計算いたしますと、一万五千坪だけを計算いたしましても正味三十四億円ぐらい違う。こういうふうなずさんというか、でたらめなやり方をやると——区画整理について、法の精神は私は賛成ですよ。賛成ですけれども評価時点換地処分が確定する時点とこんなに開きをもってくるということは、利害関係人とかその他のことを考えてみた場合には、私は全く公平の原則をじゅうりんすることになると思うわけですね。この問題について、もう一回局長のほうから答弁してください。
  71. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、区画整理の清算ということが徴収と交付と両面にわたりますために、そのそれぞれの評価はきまっているわけでございますけれども、それにいわば単価を入れる。その単価を、いつの時点幾らの単価にするかということが非常にむずかしいわけでございます。特に戦災復興区画整理事業のように、非常に長い年月かかっているその間に地価の騰貴が相当あるという場合に、これをいつの時点にするかということは非常にむずかしい。むずかしいために、工事が終わってもなかなか清算に踏み切ってくれないという公共団体が非常に多いわけでございます。いまだに戦災復興の区画整理の清算が終わっていないところは相当あるわけでございます。  私どもといたしましては、なるべく早く清算をしなければ、ますますやりにくくなるということで指導はいたしておりますが、そこで、そこら辺のバランスを考えながら、時価を幾らにするかという単価をきめているというのが、戦災復興区画整理の清算の各地で行なっております実態でございます。区画整理本来の考え方からいたしますと、先生おっしゃいますとおり、清算の段階の時価によって徴収もし、交付もする、しかも工事期間を早くし、清算を早くしてやるということが最も必要なことでございます。戦災復興以外の事業につきましては、私どもそういう指導をいたしておりますけれども、戦災復興の事業につきましては、以上のような実情がございますので、両方のバランスがとり得るようなところで、政策判断をある程度加えながら、各知事さんなり市長さんがおきめになっているのが実態でございます。
  72. 大原亨

    大原委員 それで、昭和三十年の三月に評価時点をきめておいて、それで清算を昭和四十三年の八月から始めていくというふうなことは、そうすれば一坪当たりで、一坪持っている者が百坪になる、百坪になった者は金を払うのが安くてもいいということに極端にいえばなる。つまり土地減歩をされた者はたくさん減歩されて、そして交付金をもらう者は安い単価で交付を受ける、その逆の者は大もうけをする、こういうことになれば、ますますいまいった違法、不当の措置というものを拡大することになるのではないか。だから私は、立法論としても、昭和三十年ごろですから戦後は終わってないけれども、一応見通しがついたときですから、評価時点と清算の時点というものは、やはりそこには法律上のワクを設ける必要がある。法律上の限界を設ける必要がある。これは、そんなことはいつやってもいいようなものじゃないだろう。これは、立法論としてもその歯どめがないのはおかしいんじゃないか。いかがですか。
  73. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 現在の法律でも、考え方としては清算のとき、換地処分のときの時価ということだと思います。ただ、その時価をどう見るかということで、その見方につきまして、工事完了のときの評価額に物価上昇を加えた額ということでいまきめている、こういうことだと思います。  ただ、おっしゃいますように、立法論といたしましては、たとえば今度新しくできました都市再開発法におきましては、評価時点とそれから評価のしかたというものを詳しく書いております。そういうようなものが立法論としてはあるいは必要じゃないかと思いますけれども考え方としては、その時価の見方の問題になってくるというふうに私どもは判断いたしております。
  74. 大原亨

    大原委員 あの昭和三十年の三月を評価時点にきめる、そして清算は、換地処分の確定は昭和四十三年にする、そういうふうに間を開くと、物価の上昇率で、たとえば五割とか六割ぐらいの物価の上昇を幾ら計算したって追っつかない。三十倍以上、四十倍以上やっておるから、その中から数十億円の金が一部の者に不公平に流れる。施行者立場に立ってみたって、財源の立場から考えてみたっておかしいわけですよ。そういう野方図なでたらめなことは、建設大臣責任をもってこれは行政庁方式でやっているのだから、そういうことを考えてみても、建設大臣責任がないとはいえないと私は思う。そういうことについてはやはり歯どめをちゃんとすべきであるし、そういうことの結果生ずる不公平による損害を受けた者は、減歩をいたしましてまじめに協力した者、平均以上減歩した者、そういうふうな者は、やむを得ないというふうなことだけでは済まされないという議論が起きてきて、公平の問題、行政の信頼の問題になってくる。そういう問題点を私は指摘しておきますが、この問題は、私は趣旨においては答弁を了解できますが、具体的な問題に対する判断といたしましては、非常に無責任な判断ではないかと思う。  それから、この問題だけに限りますと最後ですが、先般県議会あるいは市のほうから——知事もかわるし市長もかわっておるわけだけれども、県は一億円の特別交付金というものを出した。御協力ありがとうございましたという意味かどうか知らぬ。これの法律的な性格はどうなんです。どこの都市計画区画整理でも特別交付金をやっているのか。行政庁方式で、行政庁責任、県や市の責任でやるから、一億円の金を出してまいって皆さんに出したのか。
  75. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 率直に申し上げますと、これは法律に基づいて出さなければならないものじゃございませんけれども、ただいまございましたような徴収、交付というような非常に苦難な事業をやっていくというために、区画整理審議会、これは広島県のこの戦災復興区画整理事業につきましては区画整理審議会というものがございますが、審議会が換地計画をきめます際の答申におきまして付された意見を尊重いたしまして、相当額の報償的な財政措置を講ぜられたいという答申に基づきまして、県が単独で、区画整理事業とは別途に出したものでございまして、非常にむずかしい清算金を片一方で取って、片一方では与えるという事業を円滑に遂行するために、県が独自に行なったものであるというふうに考えておるわけでございます。
  76. 大原亨

    大原委員 これは報償金ですね。補償金でなしに報償金というやつですね。つまみ金というやつ。つまんでばっと出した。ばらばらとササの葉で振ったわけだ。しかし、これは金にしては少ないじゃないですか。そういう報償金にしては、協力した者に対してこれは金が少ないじゃないですか。これはいままでの質疑応答を整理いたしまして、またほかのところでやります。これは整理してやります。それで皆さんのほうも十分研究してもらいたい。事実に即して研究してもらいたい。私はこれは出し抜かぬように、事務的には問題点だけは事前にずっと、かなり長い間時間をかけて事務当局と話をしてあるはずですから、きょうの答弁は若干はっきりした点もあるけれども、問題はたくさん残っておる。  私が要望することは、これから知事市長弁明書が出、それから地主の反論が出て、今度建設大臣不服審査法に基づいて出向いていって、それらの意見を聴取して納得できる判断を下す、行政不服審査法に基づく最終的な措置をする、こういう措置にあたっては、私は、いままで議論いたしました点を十分理解をした上で、納得できるそういう措置をとってもらいたい。これは、本月あるいは来月中というように御答弁がありましたが、ずるずると時間を延ばさぬようにしてもらいたい。いかがですか。
  77. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先生の御趣旨のとおりいたしたいと思います。
  78. 大原亨

    大原委員 それはなかなか納得できぬぞ。  それで最後に、これに関連いたしまして、いま広島市で区画整理の最後の残りをやっているけれども段原地区区画整理がなされる。これは最も過密地帯で、消防車も入れないし、自動車だって片道も入れないというところがたくさんある。四、五万人あるかもしれない。これは最後のところでありますが、ぜひ区画整理を進めてもらいたいと思う。私どもは絶対反対ではないわけです。区画整理については趣旨としては賛成です。ただし市長が、施行者が示しましたイメージプランというものは、過密を再開発いたしまして十四、五階の商店街を設けて、平地から上に上げていこうというのですが、住民考え方からいけば、土地について生活しておったものが、死ぬまぎわになって十四、五階の空のほうに行って生活するのはいやだ、死ぬまで土地についておりたいということです。そういうプランが大々的に出されておるわけです。そういうことを前提として、この区画整理の区画決定が最終の措置としてなされようとしておる案が出ておる。それに対していろいろな議論が出ておる。広島市の東西の区画整理を見て、いろいろな不信もあるでしょう、問題もあるでしょう、出ておる。  そこで、そういう事業計画、イメージプラン、そういうものについてかなり納得できる措置をとらないと、その中に三十六メートル道路、二十五メートル道路を縦横につける、そういうこと等の公共用地の捻出等を含めて、区画整理の区域をどのように決定するかということは、事業計画に対する納得が前提ではないかと私は思う。そして、これからどういう順序で区画整理をやっていくんだという時間的な見通し、清算のやり方、こういうものについてはっきりしないと、いままで議論したような経過があるから、区画整理審議委員を民主的に選んだんだというだけではおさまらない、こういうふうに思うわけです。その点について、事業計画を建設省は十分指導して、財政的な援助も十分して、締めくくりですから、平和記念都市建設法もまだ残っているんだから、これは全面的にバックアップして、他の土地を求める、その他の措置をしてやってもらいたいと私は思うのです。そうしないで、法律どおり区域の決定を次から次へとずっと事務的にやっていくと、私は、法律の趣旨はよくてもこの計画は実行できない、こう思いますが、いかがですか。
  79. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先生がおっしゃいますように、段原地区は密集市街地で、かねてから問題になっていたところでございますが、現在の市長さんが相当勇断をもってこれをやりたいということで、建設省といたしましても全面的に協力していきたいということで、一応事業の採択はいたしておりますが、都市計画の決定、事業計画の決定というものはこれからでございます。おっしゃいますように、区画整理を始めます前に十分地元の権利者のいろいろな疑問点を氷解させるということがございませんと、始まってから途中で区画整理の事業が挫折するという例が多いものでございます。私どもといたしましては、一般論としても、むしろ事業のプランをきめる前にいろいろ問題が出て、そしてそれに対して住民権利者の納得を得るような措置をして、そして、さあ行こうということになってから仕事を始めたほうがいいという考え方で最近は指導いたしております。特に段原地区はむずかしい問題もございますので、そういう考え方で十分権利者の納得を得て、そして計画をきめ、事業計画をきめる、そういうふうに進めていくように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  80. 大原亨

    大原委員 ただ、昭和四十四年度に調査費を計上しておりますね。その調査費を、区画整理の区域を決定しないと調査費が流れるぞというふうなおどかしというか、そういう圧力のかけ方をしないでしょうね。そうするとどうしても、区画整理の区域を早く決定しても、事業計画も納得できないのにどんどんやっていく、こういうことになるのですよ。それにこだわっているわけじゃないのですか。おどかしたりすると言っては語弊があるけれども、そういうことはないのですか。
  81. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 事業費をつけます前段階調査費をつけて、そして、調査費によりまして計画を立てるわけでございます。私どものほうで申し上げているのは、早く計画をきめてくださいという趣旨で申し上げているわけでございまして、それができないから取り上げるというようなことは考えておりませんけれども、やはり調査費を使って早く計画をきめてほしいということを、建設省で申しておるわけでございます。
  82. 大原亨

    大原委員 最後に。平和記念都市事業の法律もまだ残っているわけです。それで、最も過密地帯段原地区は、地主から、借地権から、借家人から、ずいぶん権利がふくそうしているわけです。そこだけではできないわけです。全体のことが要るわけです。そういう点で、県で事業費を出すとか、型どおりの国庫補助金を出すというようなことではできないわけです。そういう点では、それらの法律を生かしながら、最後の締めくくりですから建設省が全面的なバックアップをして、そしてこの計画ができ上がるように、そういう関係を通じて区画整理というものが正しく理解できるように、この事業計画が十分納得できる内容で進められるように要望しておきます。その点について、政務次官でもおられれば最後に聞くのだけれども、いまいないから、局長のほうから御答弁いただきます。
  83. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 私どもといたしましても、私自身も段原地区へ直接参りまして実地も見ておりますし、全面的に応援をしてまいりたいというように考えております。それから、地元の納得は十分得るように指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
  84. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 卜部政巳君。
  85. 卜部政巳

    ○卜部委員 文化庁がまだこちらのほうにお見えになっていないようですから、質問は建設省のほうへ進めてまいりたいと思うのですが、埋蔵文化財と取り組んでおられる関係者はちょっと前に出てください。  そこで、まず第一でございますが、これは朝日新聞の一月七日号に書かれておる記事なんですが、「破壊される埋蔵文化財」と題しまして、「古墳や集落跡など原始、古代の日本の姿を伝える文化財の破壊は予想以上にひどい。」「数千年も、地中に保存されてきた民族の遺産が、この数年の間に、ばたばたと消えていった現実」を指摘しているわけであります。しかも、「昨年五月、閣議決定をみた「新全国総合開発計画」で、はじめて環境保全の重要さが認められ、自然保護とならんで歴史的環境の保全計画が取上げられた。しかし、これにもとづく国の開発行政の転換も、保護行政の強化も、まだなされていない。」ということを指摘しておると同時に、学術上特に惜しまれる遺跡の中からおもなもの百五十二件を選んで紹介しているわけでありますが、国土開発と歴史的な文化財の保存、この二つは本来矛盾すべきものではない、私はこう思うのです。両者が一体になって初めて真の開発があるし、保存も全うされるものだと私は思っている。  ところが、現実はどうだろうか。朝日新聞の記事ではないけれども、まさに民族の遺跡が踏みつぶされようとしている状態である。さらに、現実に史跡に指定せられた国分寺等が草ぼうぼうとなっておる現実などを見るときに、これでは国の姿勢が一体どこにあるのか、国の姿勢に問題がないということがいえるだろうかということが指摘できると思うのです。したがって、開発側が遺跡を無視するところの挙に出てくるのも、これは国の姿勢に原因があるんではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、きょうは文化庁からも来ることになっておりますが、まだお見えになっていないようでありますから、まず建設省に基本的な問題からお伺いして、なおかつ文化庁の人に質問をしたあとに、具体的なその百五十二件の中の福市地区の問題について、建設当局に対しての質問をしていきたいと思うのです。  そこで、まず第一点ですが、埋蔵文化財の大量の破壊の原因というものが、これはもう建設工事にあることは言うまでもない。この点についてどのような行政措置をとっておるのか、今後どのような対策をとろうとしておるのか、この点をまずお伺いをしたいと思います。
  86. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 これは埋蔵文化財に限りませんけれども、文化財がはっきりいたしておりますところは、これは道路計画にいたしましてもいろんな計画にいたしましても、計画がはっきりしているところにつきましては、それをできる限り尊重いたしまして、そして工事をするあるいは計画を立てる、こういう考え方で進んでおるわけでございます。  ただ、先生御承知のように、日本の古代文化というのは土と木でできておりますために、どうしても遺跡も何も地表に残っていないというものが非常に多いわけであります。したがいまして、文化庁のほうでもまだ調べ切らぬで、どこに埋蔵文化財があるかわからぬようなところを、たまたま計画を立て工事をいたしますと埋蔵文化財が出てくることがございます。その場合には工事を中止いたしまして、調査をいたしまして、その結果文化財当局と協議をいたしまして、調整をはかりながら工事を進めていく、こういうような方針でございます。
  87. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの御答弁の中でわからないということをおっしゃられたわけでありますが、少なくとも工事などを行なう場合には、実地調査もあるし、ボーリングなんかのような場合もあるわけですから、予備調査というものもあるわけですね。開発をする場合には、当然私はそれと同じように、埋蔵文化財があるのかないのか、ことに日本はその面においては古い歴史を持っておるのですから、そういう面において十分に調査をして工事にかかる、そういうものがもしあるとすれば、それを事前に変更するというのがしごく当然の話である。だけれども調査もせずに、たまたま工事にかかったというような場合があったとする場合には、その点については、やはりこの住居趾なんかの問題があるとすれば、これを遺跡として残していくという配慮のもとにその計画変更を行なっていかなければならぬと思うわけです。  しかしながら、その問題はあとにして、前段として、そういう予備調査と同じような調査をこれからも業者にさせていくという建設省の指導、こういうものは行なわれるのか。と同時に、国としてもたいした予算でもないんだから、国の費用でもってこの点を見ていくのか、この点をひとつ明確にしてもらいたい。
  88. 川上賢司

    ○川上説明員 道路側の立場から御説明申し上げます。  道路計画の実施にあたりましては、文化財保護の立場を尊重いたしまして、事前に文化財保護関係機関と十分協議いたしまして、遺憾のないような処置をとっております。  具体的に申しますと、文化財保護委員会でそういう特別史跡、埋蔵史跡がはっきりしておる場合には、もちろんそれを避けるような道路計画を立てます。しかし、わが国は至るところにそういう埋蔵文化財がありますので、その重要度、これは文化庁のほうでいろいろ御指定になっておりますが、重要度に応じまして絶対避けるべきものと、工事をやりますときに注意しましてその保存をはかっていくというものと、二つに分かれると思いますが、絶対避けるべきものは、もちろん事前にはっきりしているものはそれを避けて計画いたします。ところが、何しろ全国的にはまだまだその調査が十分進んでおりません。したがいまして、計画当時におきまして特別史跡の範囲が一応きまっておったものは、工事を始める前に路線のつぼ掘り調査をやって事前に調査をいたします。その場合に、新たに史跡の拡大がなされることが往々にしてございます。そういった場合には、またあらためて文化財保護関係機関と十分打ち合わせしまして、それが避けるべきものであるならばルートの変更を行なっております。これが具体的な例といたしましては、奈良県の平城の宮跡とか藤原宮趾とか、そういったものがございます。  したがいまして、道路計画を立てるときに既存の資料によって十分検討いたしまして計画を立てて、それから工事にかかるときに、まず事前に道路サイドで調査費を計上いたしまして掘さく調査をいたしまして、それで差しつかえない場合に初めて用地買収にかかり、工事を促進するということにいたしております。したがいまして、今後も道路敷地に文化財の予想されるような地域につきましては、文化財保護委員会関係機関とも十分協力し、事前調査を促進いたしまして遺憾のないように処置いたしたいと存じております。
  89. 卜部政巳

    ○卜部委員 第二課長にお尋ねしたいと思いますが、なかなか見識のあるような御答弁でございましたが、では重要度とは一体何か。いま課長は、重要なものであるとすればそれは残し、それが重要でないとすればこわし実行していく、こういう御答弁がありましたが、重要度とは一体どういうことですか。遺跡に重要度があるのですか、ひとつ御答弁を願いたい。
  90. 川上賢司

    ○川上説明員 これは専門でございませんので、その点は詳しいことは存じませんが、これは文化庁の所管でございまして、私のほうできめるべき問題ではもちろんございません。
  91. 卜部政巳

    ○卜部委員 それで第二課長、やはりそうした問題に携わっておる課長として、少なくともそれだけのやはり私は研究もしてもらいたいと思う。ただ文化庁の範囲だということでそれを投げかけるのではなくして、今日の遺跡の問題についても、確かに文化庁はABCと、こうつけておることは事実です。しかし、時代が変わってくれば、この遺跡にABCという、いまその住居趾なりさらに貝塚なり弥生時代のそれが必要ないというような判断をしても、将来の私たちの後輩が学術上これが必要なんだというような、そういう時代というものは学術上出てくる。これは今日の考古学の常識ですよ。すべてこういう問題について、この新聞の中にもその問題が詳しく記載されていますけれども、だからそれが大事だとか、それが軽んじられるということは、それはいけないことである。  もう一つ、いま課長が御指摘になった平城宮のバイパスの関係の話が出てきましたけれども、実際事前に十分に協議をしておるというような——先ほどのランクの問題は文化庁のほうにお話ししますとして、今度は具体的に、いま課長から平城宮の問題などのお話が出てまいりましたが、これは事前に協議をしていたけれども、たまたま発掘をし、さらに工事施工の段階の中でそれが拡大されておるということで中止をしたという発言があったわけです。しかし、それは事実に反すると私は思う。登呂遺跡の南側の水田の場合だってそうでしょう、東名の場合だって。そういうことは前からわかっているんです。わかっておるから、事前調査をせよというんだけれどもしない。いよいよ東名道路がつきかけた、しかし、考古学者並びに地元の人々の反対があって調べてみたら、それはたいへんな遺跡だということがわかって、結果、工期が延びるということから道路公団は大損をしたわけですが、あそこ、登呂遺跡の南側、高架にしておるでしょう。こういうようなむだが多いわけです。  でありますから、いまの平城宮の問題とあわせて、いまの登呂遺跡なんかの問題についても十分に調査をし、そして考古学者と話し合いをし、そこの住民と話し合いをしていくならば、当然そこにむだなエネルギー、そしてまたむだな浪費というものが私は費やされなくて済むと思う。こういう面から、苦い経験がやはりどんどん出てきておるわけでありますが、それが改善されておるようなあれが全然ない。改善されておるような姿が見られないわけでありますが、その点について、今後どういうふうに改善していこうとするのかを明確にしてもらいたい、こう思います。
  92. 川上賢司

    ○川上説明員 埋蔵文化財の調査は、残念ながら現在のところ、そういう全体に対しましてはほとんどわかってないというのが実情だと思います。したがいまして、現在わかっている範囲につきましては、もちろん計画時におきまして、支障のないような道路計画を立てるわけでございますが、ただ、その保護関係機関との打ち合わせの際に、工事開始前の調査によりまして、もしそういう重要な保護すべき史跡が発見されたならば、それに対する措置を十分考えて工事を進めるようにという条件づきのもとに、いままでのところ工事をやってきたわけでございます。  ただいま先生御指摘のような点につきましては、計画段階におきます調査費を今後とも増額いたしまして、万遺憾ないように期したい所存でございます。
  93. 卜部政巳

    ○卜部委員 二つ問題が出ておりますので、文化庁の方がおいでになっていますが、第二課長に、建設省のほうに二つだけ確認をしたいと思います。  先ほど指摘をいたしました地質調査並びに予備調査の中で、当然そうした経費が組まれておるわけなんですが、こういう問題についての事前調査に対しては、いま課長のお話では、予算を増額して、そしてそれに対する十分なる配慮を行ないたい、こういうことでありますが、この点については、四十六年度の予算の中に十分それが反映されるものであるということを、まず第一として確認をしたいと思います。委員長、よろしいですか、その点は確認をして。——課長が言っておるわけですから、ひとつ委員長、そこら辺は明確にさしていただきたい。  それから、二つ目といたしまして、そこに重要な遺跡があるとすれば、工事などは全然やらせない、少なくともそういう民族の遺産を守るという立場からするならば、たとえばそこに工事が、こういう遺跡を無視して行なわれようとしておるときにも中止命令を出す、監督官庁としてのきびしい姿勢をもって臨むというこの一点を、合わせて二点でございますが、私は確認をしたいと思います。よろしゅうございますか。
  94. 川上賢司

    ○川上説明員 二つの御指摘の点につきまして、まず第一点でございますが、調査費の点につきましては、いままで、直轄工事と補助工事と二つに大きく分けて申しますと、直轄工事の場合には、事前にルートの実測調査というものがございます。それによりまして工事の路線の地質調査をやります。それから、そういう重要な埋没文化財が予想される場合には特に注意して調査をやりますので、大体現在のところ問題はないと考えております。それから補助工事の場合には、これは事前の計画段階調査は県の費用でもって調査をいたします。それから、ルートが決定しまして工事に着工する段階には、これは工事費の中でさらに工事実施のための調査をいたしまして、可能な限りそういう検討をいたしまして工事にかかるわけでございますが、不幸にしてそれが事前に確認できなかったが、そういう史跡が発見された場合には、工事を中止いたしまして、さらに工事の中の調査費でもって調査を継続するということで、増額と一がいに申しましても、必要な限度の調査費を、今後とも増額してやっていきたいというふうに御答弁申し上げたいと思います。  それから第二点の、もし重要なる文化財が発見された場合にはすみやかに中止命令。これも、もちろん発見された場合には工事を中止いたしまして、文化庁とまた協議いたしまして、そしてその対策を十分合意の上で、それからまた工事にかかるということで、発見されたときにはいままでも直ちに中止はいたしておりますが、今後とも支障のないように中止をし、それから合意に達してから工事にかかるというふうにいたしたいと思います。
  95. 卜部政巳

    ○卜部委員 課長、えらい歯切れの悪い答弁ですよ。それで何だかしどろもどろで、率直に言って意味がわからない。端的に答えてください。  そこで、まず私が指摘をしておるのは、確かに調査の問題については国で、国の予算執行の問題もあるけれども、国の遺産ですから、当然国がそういう点について調査していくというような配慮が、実際問題としてあってしかるべきだ。ただ、いまの答弁の中では、何か工事担当者がその費用をもって調査していくような感を与えていますけれども、何をあなたは言っているのですか。私は答弁を聞いていて、私も若干考古学のほうに頭を突っ込んでいますから、ぴんとこないというよりも何か腹立たしい。何か噴飯的な答弁に聞こえてしようがない。現実にはどうなんですか。記録保存だなんということをいっておいて、ただ記録を保存するという名目のもとにどんどん遺跡をこわしている。そうして、いわゆる企業のおかかえ調査団をつくったり、学者をその中にかかえ込んだりなんかしている現状もあるわけです。そういうことをさせないためにも、やはり国が責任をもって国の遺産を守っていく、民族の遺産を守るという姿勢がなくてどうするのですか。だからその面では、課長がいい答弁をしたなと私は思っていたのですよ。これからは国の予算を増大いたします、こういうのですから、何もつべこべ言う必要はないです。私の質問に答えて、わかりました、これからは国でもってひとつそういう予算をつける、それでいいです。——よろしゅうございますね。  それから二つ目は、中止をする云々ということは、文化庁と協議をしてということなんですが、卵が先か鶏が先かというかっこうになりますけれども、少なくとも事前調査をやっていれば、ほんとうにそういうことはないのです。ないんだけれども、たまたまそういうこともあり得たとする場合には、やはり私は、建設省として計画変更するための——いまの道路公団の話じゃありませんが、工期を延長するということがあるために高架にするということは、道路公団のような大きな公団ならできるけれども、中小企業程度だったらそういうことはせずに、強行的にやるような危険性もあるのですから、その点はやはり監督をしなければならぬだろうと思うのです。これは答弁は要りません。委員長が確認をせよというふうに言われておりますから、委員長の確認をもって、この点は四十六年度の予算を私は監視をしたいと考えます。  同時に、これから具体的に、文化庁の方がおいでになりますから質問をしていきますけれども、その質問の過程における具体的な問題について、これからも十分な監視を私はしていきたいと思っています。  そこで、きょうは何か本会議関係もありますし、業法の関係もありますから、二、三十分で中断をします。そしてさらに委員会が開かれることでありますし、文化庁の方がせっかく来ておられるのに、建設省の方ばかりとやっておってもお気の毒ですから、そのあとの問題は、じっくり中断後の委員会質問をし、語りたいと思います。  文化庁の方、たいへんお待たせをいたしました。そこで文化庁のほうにお伺いをしたいと思いますが、埋蔵文化財の包含地調査の結果をすべて建設業者や不動産業者に通知し、指導しておるのかどうかをまず冒頭質問してみたいと思います。
  96. 安達健二

    ○安達政府委員 埋蔵文化財の包蔵地を守るためには、一体どこが埋蔵文化財の包蔵地であるかを明らかにしなければならないわけでございます。ただ、しかしながら、それでもなお掘ってみないとわからないというような場合が非常に多いわけでございますが、文化庁といたしましては、わが国の歴史上、学術上において価値が高いと思われるものにつきまして、全国遺跡地図というのを作成いたしまして、これを昭和三十九年から四十二年度にかけて、都道府県その他の開発部局はじめ関係方面に配付をいたしまして、ここには遺跡がありますから御注意くださいということを、事前に申し上げておる次第でございます。
  97. 卜部政巳

    ○卜部委員 先ほど、文化庁の方がおいでにならないときに、朝日新聞の一月七日号の問題をお話ししたわけですが、「埋蔵文化財破壊の現状」ということの中で、特に惜しまれると思われる百五十二件を選んで紹介するということで、ここに全国的な破壊状況というものが提出をされておるわけです。それで、私の隣りの県でありますが、具体的にこれから福市の問題を指摘してまいりたいと思いますが、福市遺跡が破壊されておるという現実があるわけですね。いま次長が指摘したように、そこに包含されておる遺跡があるにかかわらず、それが現実に破壊されている。だからその点については、一体どのように指導をしたのかということを、もう一度お伺いをしたい。
  98. 安達健二

    ○安達政府委員 一面におきまして、そういう遺跡地図を作成して周知徹底をはかるとともに、先ほど建設省のほうからもお答があったと思いますが、昭和三十二年、それから三十九年といろいろ各省との間で打ち合わせをいたしまして、こういうものについては事前協議をするというような形で進めてきておるわけでございます。その場合においての基本的な態度といたしましては、そういう遺跡については原則として事業計画から排除していただきたい、ただし、そのことによって計画に重大な支障が生ずる場合におきましては、遺跡を緑地公園等として取り入れていただきたい、そしてまたやむを得ず遺跡の滅失することになるものについては、事前の発掘を行なって、十分な記録保存の措置をとるというようなことが基本的な考え方でございますが、特に重要なものにつきましては、これを国の史跡に指定をして完全保存をはかるというような態度で進んでおるわけでございます。  一月七日に朝日新聞に掲載されました日本考古学協会の特別委員会調査の中で、これが全部破壊されたのではなくて、この中では国が史跡に指定して、あるいはその当該土地を買い上げるというような措置をとっているものもございますし、または原因者負担あるいは補助金によりますところの調査によりまして、調査を完了した上でその工事をしておるというようなことでございまして、それぞれその遺跡の性格、重要性、あるいはその事業計画との関連等を総合的に判断しまして、先ほど先生からお示しの遺跡を十分守っていきたい、こういうことを基本としつつ、なおまたその他の公益との調整にも意を用いる、こういう態度で進んでおるのが実情でございます。
  99. 卜部政巳

    ○卜部委員 いま、用地買収ないしは史跡に指定されて、今日完全に保存されておるというような説明がありましたけれども、ことにここの鳥取県の福市遺跡等の問題を勘案してまいりますと、これは現実に破壊をされている。私は行ったわけじゃないから各県のことを知りませんので、その点は別問題といたしまして、現実にこれは破壊をされているわけなんです。ですから、私の知り得る範囲においては、この百五十二件というものは破壊をされたという理解のもとに立っておる、こういうことです。  そのことは別問題といたしまして、では具体的に福市遺跡の問題について質問をしてみたいと思いますが、福市遺跡の問題については、どのように指導、要請がなされたかということをお伺いしてみたいと思います。
  100. 安達健二

    ○安達政府委員 鳥取県の福市遺跡は、弥生時代から飛鳥時代にわたって、百個近い縦穴の住居あとと、集落に付属する墓地の遺構を伴った、山陰地方では有数の史跡でございます。昭和四十二年にこの遺跡地で住宅団地の建設が計画されたのでございまして、当時文化庁の前身でございます文化財保護委員会は、遺跡の重要性にかんがみて計画変更していただきました。そして四十三年の三月には史跡の指定の答申を得ておるわけでございまして、これと同時に、指定予定地のうちで民有地の買い上げの要求があったものにつきましては、米子市に国庫補助金を交付いたしまして、四十三、四十四両年度にわたりましてその全域を買収いたしたわけでございます。総経費は千四百万円、二分の一の国庫補助でございます。  ただ、その遺跡を単に買ってそのままにしておいては意味がないのでございまして、これを環境を整備いたしまして一般国民の理解に資するということで、三カ年計画で環境整備を行なったところでございます。最近におきまして、これから現地のほうでは、遺跡から出たところの遺物等を保存するための資料館のようなものをつくりたい、こういうような話まで持ち上がっているようなわけでございまして、私どもの見地からいたしますれば、この福市遺跡は国の指定関係もあり、土地の買い上げもし、遺物の公開等も計画されておるというような意味におきましては、これが破壊された遺跡であるという、そういうことにはにわかにそうである、破壊された遺跡であるということは言いにくい。私どもとしては、保存に最善の努力をしておるということを御承知いただきたいと思います。
  101. 卜部政巳

    ○卜部委員 次長は、私のことばが足らなかったために誤解をされておると思うのですが、この福市遺跡は私たちが掘ったのです。だから、それはよく知っている。ただ、米子市福市遺跡の宮畑地区、これが破壊された。御承知のように、私たちが掘った遺跡は本に響いてあります。福市遺跡についてのパンフを出しておる。国会図書館にもその調査の結果を出しておる。だからそれはいい。現実に破壊されようとしたのだ。しかしながら、率直にいって、私が文化庁に行って直訴して、初めてこんなに重要なものだということで、それは文化庁に敬意を表しますが、この遺跡は守られたのです。当時の県教委は、こんなものは遺跡じゃないと言った。それを私たちが発掘をしながら、ここに遺跡があるじゃないかということで、皆さん方の御協力を得てこれは残ったのです。  だけれども、この丘陵地帯はここにあるわけですが、日焼山地区、それから吉塚地区、その下に日進小学校、今度五十七条の二でもって申告が出ておると思いますが、この地区はそこに道路が通っておるけれども、峰続きなんですね。当然そこには遺跡があるんだということから、考古学者はこの問題について調査を依頼しておる。それでまた史跡の指定もしてきた。ところが、それが現実にいつかわからないうちに、しかも調査も行なわれずに、発掘も行なわれずに、しかもそういう学識経験者も立ち合わない中でこれがさっとやられたという現実があるわけです。  この点については、文化庁に文書を出しておるはずであります。「文化庁長官様」長官殿でいいのですが、様をつけて出しておるのです。「古墳破壊の実情などについて」として、これは鳥取県米子市福市にあるのでございまして、「福市遺跡の保護につきましては、格別のご配慮をいただき、感謝申しあげます。ところが、この遺跡地内の宮畑地区で、全く不可解な遺跡破壊事件が発生し、文化財保護法上の手続がとられているにもかかわらず、調査もしないまま古墳などが破壊しつくされるという実態があきらかとなりました。」以下云々ということで、一九七〇年二月七日付でもって文化庁あてにこういう文書を出しておるはずであります。ですから、いま御答弁になった福市遺跡というこの前段については、これは守られたんですから敬意を表します。だけれども、その周辺にあるところの宮畑地区というのが破壊をされておるという現実、しかも、この文書にありますように、不可解な事件のもとにこれが破壊をされておる、こういうことなんですから、その点についてどういうふうな措置をとったのか。さらにはまた破壊の経過、こういうものなどが明らかにされていない。県教委なんかに、どうやって破壊をしたのか、そういう破壊をする権限がだれにあるのか、さらにどのような機具を使ったのかという点について聞いてもナシのつぶてなんです。だから、そういうことではおかしいですから、文化庁はこの点については十分調べる必要があると思うのですね。その点について、知り得ていたならばここでひとつ明らかにしていただきたいし、わかっていないとするならば、徹底的な調査をすべきである、私はこう思うのです。  これから、その問題に対してたくさんあります。しかし、時間が刻々と迫ってきています。次長の顔色をおうかがいしていますと、そういう具体的なことについてはまだ把握されていないような面がございますね。本会議が終わりましたら続いて委員会が持たれますから、ひとつそういう事務担当者も含めて国会のほうへやってきていただいて、私の質問に克明に答えていただかなければ私は納得ができませんし、その責任の追及は徹底的にやろうと思っています。ですから、その点について次長、もしおわかりでしたら御答弁を願いたいと思います。
  102. 安達健二

    ○安達政府委員 ただいま御指摘の二月七日付の書類は、私どもまだ実は承知いたしておりません。しかし、いま御指摘のような事実があるとすれば、これはやはり非常に重要なことでございますから、県の教育委員会その他の手を通じまして十分調査をいたしたい、かように考えておりますが、ただ、直ちに午後お答えできるほどすぐ把握できるかどうかについては自信を持っておりませんけれども、先生からせっかく重要な御指摘がございましたので、われわれとしては十分調査をして、今後の措置について遺漏なきを期したい、かように考える次第でございます。
  103. 卜部政巳

    ○卜部委員 そこで、そういう具体的な問題についてはあとからいろいろと申し上げたいと思いますが、やはり文化財保護法の五十七条の二によって届け出をやっておるのですね。そういうような手続をやっている地区内において、調査もせずに破壊をしたということになりますと、次長が考えられても、これは全く悪質な行為だというふうに思われると思うのですが、どうでしょう。
  104. 安達健二

    ○安達政府委員 現行の文化財保護法の五十七条の二によりますと、土木工事その他埋蔵文化財の調査以外の目的で調査する場合には、事前の届け出ということがあるわけでございますが、その場合には中止命令権というものは持っておりません。ただ必要な指示をすることができる、こういうことになっておるわけでございまして、実はこの文化財保護法自体にも問題があろうかと思うわけでございまして、今後はその実態等との関連において、埋蔵文化財の保存について法律改正を要すべきことがあるならば、これについても検討すべきものである、かように考えているところでございます。
  105. 卜部政巳

    ○卜部委員 ですから、少なくとも首を突っ込んでいる以上、五十七条の二がどういうものであるかという説明は私は必要ないと思うのです。私のお答え願いたいのは、悪質でしょうということを聞いているのです。悪質であるのかないのか、その点だけでいいです。
  106. 安達健二

    ○安達政府委員 実際の状況を調べてみませんと、悪質であるかどうかということは、私がいま先生のお話を聞いただけでははっきりわからないわけでございますけれども、ただ、非常に悪質な例が多いということは事実でございますから、先生のお話がその中に入っておるかもしれませんけれども、十分事態調査する必要があろうと考えておるところでございます。
  107. 卜部政巳

    ○卜部委員 五十七条の二によると、当然調査も行なわれなくちゃなりません。調査もやらずに破壊といったら悪質ですよ。それを私の発言だけではわかりません、調査をしなければわからぬというのは、やはり次長自体が、何ものかの影におびえておるような気がしていけませんよ。そういうことじゃないのですよ。あなたは正しく評価してそれは悪質だ、こういうふうに言うべきです。確かにこの文化財保護法というものはざる法ですよ。確かに法改正をしなければならぬいろいろな点がありますけれども、そういう問題はいろいろとあと段階でお話をするといたしましても、今日破壊をされようとしておるその丘陵続きの青木地区あとからまた申し上げたいと思いますが、今度は具体的にその下にある日進小学校のプールがまた建設されようとするというような具体的な問題があるので、これを放置していたらたいへんだということで、きょうは具体的にこの問題だけにとどめますけれども、これから私は社会党を代表して、文教委員会から建設委員会をはじめとして、この埋蔵文化財というものは徹頭徹尾やりますから、きょうに限る問題ではないのです。ひとつ次長とも親しくしていただきたいと思いますが、その面についてはきびしく、ときによってはほんとうに張り倒さんばかりの勢いで進んでいくことも覚悟していただきたい。よろしゅうございますか。  では時間が来たようですから、本会議後の委員会で継続して質疑をしたいと思いますが、ひとつ先ほど申し上げたように事務当局等も、次長段階ではえらいですから、そこら辺までの詳しいことはわからぬから、事務当局者を呼んで、そういう往復文書がたくさん来ておりますから、その辺をつまびらかにしながら、そういう文化財を守っていきたい、こう思います。      ————◇—————
  108. 天野光晴

    天野(光)委員長代理 再び建築基準法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。井上普方君。
  109. 井上普方

    井上委員 ただいま、建築基準法にかかる政令事項につきまして骨子を大体提出されたのでございますが、これは大臣が来るまでに、まず各論からまいりたいと思います。お許し願いたいと思うのです。  九条の二の建築監視員の資格、権限行使の方法等ということが出されましたが、それによりますと、「建築監視員は建築行政に関して相当な経験があり、公正な判断をすることができる者のうちから任命し、その権限行使の方法については文書によること等を定める。」こうあるのでございますが、「建築行政に関して相当な経験があり、」というのはどの程度の経験か。「公正な判断をすることができる者のうちから任命し、」の「公正な判断をすることができる者のうちから」というのは、一体どういう基準をもってやられるのか。これは客観的なものでなければならないと思います。主観があってはならないと思います。この点いかがでございますか。それから、「権限行使の方法については文書によること等を定める。」と、こうありますが、「権限行使の方法については文書による」というのは具体的にどういうことか、ひとつお伺いしたいと思います。
  110. 大津留温

    大津留政府委員 相当な経験があると申しますのは、昨日もお答えいたしましたが、建築行政に関して三年以上の経験があるということにいたしたいと考えております。  「公正な判断をすることができる者」というのは、なかなか具体的な基準は困難でございますが、任命権者がこういうことを重要な判断要素として選択をしてもらいたい、こういう趣旨でございます。  「権限行使の方法については文書による」ということでありますが、御承知のように、建築監視員は現場におきまして違反が明らかな状況で、これを放置しておくと違反の建築物が完成するというような状況で命令を出すわけでありますが、その命令を出す相手方に対しまして、その場で文書を書きまして、相手方の住所、氏名、それから命令の内容等を明らかにして、文書を交付することによってその命令を伝達する、こういう趣旨でございます。
  111. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、現在建築監視員あるいはまた建築主事というものは、御承知のように非常に数が少ない。その上に持ってまいりまして、建築行政に携わっておる者であっても、建築基準法あるいはまた建築の実態、そういうものを知っておる者は非常に少ないと思うのです。この建築監視員を、三年以上の経験ある者というふうに限定いたしましても、実際に建築そのものについての知識が少ない者がかなりあると思う。たとえば特定行政庁の中における建築課あるいはまたそういうところに行きましても、三年というと私は非常に数が少なくなってくると、こう思わざるを得ないですね。この点いかに養成するか。まず第一に、しろうとであっては困るし、それからあなたの言われるように、お役人というものは権限を行使したがるものです。したがって、末端業者あるいは施工主に対しましてもかなり威圧的な態度に出る者が今後なしとしないと私は思うのです。  そこで、建築監視員によるところの被害者があった場合には、これはあるいは特定行政庁の長に対して、とにかくこういう者を排除してもらいたいというような意見を具申させる方法も一応考えてはどうか、このように思うのですが、どうでありますか。
  112. 大津留温

    大津留政府委員 建築監視員が非常に大事な権限を行使するわけでございますから、これを研修その他の方法で訓練をするということは、非常に大事なことだと思います。また、建築監視員のいわば業務必携というものをつくりまして、どういう場合にはどういう措置をとるという権限行使の準則を用意いたしまして、それをもとに訓練を重ねて、行き過ぎのないようにしたいと思います。もし万一、おっしゃるような権限を乱用するというような事態がございますならば、特定行政庁の長に申し出ていただきまして、長が十分しかるべき措置をとる、こういうことを指導したいと思います。
  113. 井上普方

    井上委員 最後の点につきましては、それは政令等々において明文化される御用意がございますか。
  114. 大津留温

    大津留政府委員 政令にはそういうことは、特に規定することは考えておりません。行政上の運用で十分措置したいと思います。
  115. 井上普方

    井上委員 では、次官通達等々においてそれをやられるおつもりでございますか。どうです。
  116. 大津留温

    大津留政府委員 次官通達その他で、その点はきつく指導するつもりでございます。
  117. 井上普方

    井上委員 その点につきましては、なお一そう、私が申しました諸点につきましては、十分ひとつ御留意の上で厳重にやっていただきたいことを申し添えておきます。  続いては、法第二条第九号の政令のところでございますが、用語の定義のところでございます。近ごろ新建材等々が非常に使われておるわけでございますが、これは建築研究所等々において、不燃材料とかあるいは準不燃材料とか、それから難燃材料等々を明確にする上におきましては、あくまでも科学的なものでなければならない、このように考えます。その点は厳重に科学的試験の上においてやられることを強く要求いたしたいと思いますが、どうでございます。
  118. 大津留温

    大津留政府委員 御指摘の点、まことにそのとおりでございます。この材料の認定並びにいまおっしゃいました三つの区分、これは建設省告示によります燃焼試験の方法をきめております。この燃焼試験によりまして、温度並びに発煙量を基準として、ほとんど燃えない、ほとんど煙を出さないというのが不燃材料で、それに次ぐものが準不燃材料並びに難燃材料、こういうことに相なります。
  119. 井上普方

    井上委員 私は、新建材につきまして近ごろ特に考えるのでありますが、これは医学的なことになるのですが、新建材によるところのアレルギーをつくる可能性が非常に多いようであります。はっきりいえば特にぜんそくですが、こういうような患者がかなり起こっておるんじゃないか。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕 これはもうすでにデータが出ておるようでありますが、それらについての配慮を建設省当局としましてはやられておるんでございますか、どうでございますか。
  120. 大津留温

    大津留政府委員 ただいま申しました試験方法によりまして、温度並びに発煙量を基準にしております。おっしゃるようにこの新建材は、そういう煙と同時に有毒ガスを発生するということだと思いますので、その発煙量の基準によりましてそれを規制し、これに不合格したものは内装上一切使用を禁止するということにしております。
  121. 井上普方

    井上委員 私が申すのはそうじゃなしに、現在新建材がたくさんできておる。しかも、新しい化学薬品がどんどんと使われておる。したがって、あるいはにおい、あるいはにおわないものでも、長年使うとかなり人体にアレルギーあるいはまたそういうことを起こすおそれもある材料が多々あると思うのです。したがって、そういうような医学的な研究もやられた上で、私は新建材の認定をやられるべきであると思うのですが、こういう点につきましては、建設省当局としてはおそらくやられていないと思うのです。したがって、あるいは国立の研究所等々において研究される必要があると思うのですが、どうでございます。
  122. 大津留温

    大津留政府委員 非常に重要な問題点でございますので、まだ新しい問題として研究が十分でない面もあろうかと思いますが、通産省とも連絡とりまして、そういう点を今後十分研究を進めてまいりたいと思います。
  123. 井上普方

    井上委員 通産省でやられたのでは私はだめだと思うのです。通産省というのは、これは大企業の代弁者、業者の代弁者みたいに私ら思われますので、むしろそれよりも医学的な検索をやる必要がある。近時ゴムの溶剤、こういうものがガンとかアレルギーを誘発する材料だということがはっきりいわれておりますから、特にこの点につきまして、通産省ではなくてむしろ医学的な検索をやられる必要があるのじゃないか。やはり住居は国民の健康を守るためですから、新建材によって新しい病気が出てくるということになればたいへんだと思いますので、検定する場合に、この点で医学的検索も行なうべきであると思うのですが、これは私はきつくやらなければならないと思うのですが、どうでございます。
  124. 大津留温

    大津留政府委員 非常に大事な点を御指摘いただいたわけでございますが、建築材料を所管しておる通産省並びにそういう健康の面での厚生省とも十分連絡とりまして、今後そういう点の研究を進めて、できるだけ早い機会に、何らかの規制をとるべきものならばそういう措置をとりたいと思います。
  125. 井上普方

    井上委員 特にその点は、私は強く要求いたしておきたいと存ずるのであります。  さらに、第四十二条第一項の第五号、道路に関する基準でありますが、これは一つには大都市における都市計画上、高度利用をはかるべきと考えられる場所、たとえていいますならば東京においては山手線以内のところ、こういうところは、すべて第二種専用住宅地域指定される御意思ありやいなや、この点をひとつお伺いしたいと思うのです。
  126. 大津留温

    大津留政府委員 高層の住宅地区として良好な環境を維持するにふさわしい地域、そういうものを指定するという方針でございます。  そこで、東京の山手線の中におきましても、おっしゃるようにそれに適当な場所も相当あると思います。しかし、この山手線の中におきましても、商業地域あるいは準工業地域というようなものもございますので、その地域の状況、特性を十分見きわめた上で決定をするように指導いたしたいと思います。
  127. 井上普方

    井上委員 そこで問題になりますのは、東京におきましてもこの山手線のうち、あるいは高層住宅地域、あるいはまた高度利用をはかるべき第二種専用地域ということになりますと、マンション等の高層建築が建つわけでございます。そういたしますと、一体現在の私道がはたしてどういうような方法になるかということにつきましては、大きな関心を持たざるを得ない。といいますのは、東京の高層地域におきましては、やがていわゆるマンションが林立するということになると思うのです。あるいはいままでモータリゼーションがこれだけ発達しておりますけれども、さらに都市的な要素を備えるためには、やはり道路の幅というものが大きい問題になってくると思う。やがていままでつくっておった高層住宅も、これまた再開発のためにこわさなければならないというような事態が起こってくるのじゃないか。  特に、日本におきましては木造建築でありますから、いままででございましたら、三十年、四十年でこわしてしまうということをやっておるわけです。民族のエネルギーといたしましてこれをこわしていく、まことにもったいない話です。フランスあたりでございますと、御承知のとおり、一八四〇−五〇年代につくられた建築がいまなお住居として使われておる。こういうようなことを考えますと、民族の遺産として残すためには、この永久住宅というものが将来もまたこわさなければならない。再開発しなければならないというようなことを防ぐためには、十分な私道というものを確保しなければならないと思うのです。したがって、私道の幅につきましては、現在は、あるいは四メートルなどということを考えずに、もう少し広い私道を考えるべきである、このように考えるのですが、どうでございますか。
  128. 大津留温

    大津留政府委員 私道そのものの基準は、いまおっしゃったように四メートル幅を考えておりますが、しかし、御指摘のような高層の共同住宅、マンションでございますが、こういうものにつきましては、御指摘のように四メートルでは足らないということが出てまいります。  したがって、道路斜線の制限がございますので、狭い幅のところにはそう高いものはおのずから建たないということになります。高いものを建てるためには、それ相応の幅の道に接するか、あるいはそういう私道をみずからつくらなければならないということになります。また、そういった高層共同住宅に限りませず、特殊建築物で大ぜいの人の出入りがあるというようなものの接する道路の基準につきましては、その地方地方の状況に応じて条例でまた別な基準を定めることができるということもございますので、東京につきましては、東京都がそういう基準を別に設けるということもできるわけでございます。
  129. 井上普方

    井上委員 この点につきましては政令にまかされておるのでございますから、将来、永久建築物でございましたならば、またこわすというような不経済なことをやらずに、あくまでも長いこと使えるというためには、やはり広い道路をつくっておかなければいかぬ。道路斜線があるから心配ないというようなお話でございますけれども、さらにさらに将来の都市の発展を考えますというと、しかも住宅環境をよくするようなものでなければいかぬ。やはり私道にいたしましても、大きい道路をつくるという必要があるということを痛感いたすのであります。したがって、この点につきまても十分な御配慮をお願いしたいと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  130. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま事務当局で説明いたしましたが、運用上十分に配慮いたしまして、せっかくの永久的なものが建てられたのが廃棄されるということになると、これはまことに国民的にも遺憾であります。十分配慮して運用したいと思います。
  131. 井上普方

    井上委員 特に私は、この点につきましては将来七十年、八十年も使えるというようなことを考えまして、ひとつ十分な配慮を強く要求いたすものであります。  続きましては、この用途地域等の都市計画法の制限は、現実にこの建築基準法が策定せられまして初めて動くのでございますが、この指定にあたりましては、十分に住民意見を聞くべきであと思います。と申しますのは、用途地域指定するということは重大な問題であると思うのです。住民にとりましては利害関係が非常に複雑に影響いたしてまいります。この都市計画法の定める手続によりますというと、都市計画の決定にあたりましては、必要に応じ公聴会を開くことになっておりますが、用途地域指定にあたりましても、公聴会を開くというようなことをやらなければ住民参加の意味がなくなると思うのです。  都市計画法を決定いたしました際に、特にわが党は、住民参加ということを非常に強く要求いたしまして、時の保利建設大臣は、私ども住民参加ということをある程度いれられまして都市計画法が策定せられたのであります。しかしながら、その後、新都市計画法の特徴点の一つは何かといいますと、大きく住民参加の道が開かれたことにあるということがスローガンになっております。したがって、このたびの用途地域指定にあたりましても、あくまでも住民の意思を尊重する、住民参加の方法を講ずべきである、このように考えるのですが、大臣といたしましてはどのような考え方を持っておられるか。特に私は、公聴会を開く等々の措置を講じなければならないと思うのですが、いかがでございますか。
  132. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり、用途地域指定住民にとりまして非常に重大な利害関係があるところでございます。その意味におきまして、これの指定にあたりましては、原則として公聴会を開きまして、十分に地域住民の意思を尊重し、また、住民の協力なくしては円満なるその後の運営ができないので、御指摘のとおり十分にこれは尊重してやるつもりでございます。
  133. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、公聴会を開く等等の措置は十分とっていただけると考えてよろしゅうございますか。
  134. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 そのとおりでございます。
  135. 井上普方

    井上委員 現在、たとえば三多摩地区等々におきましても、空地地区を大きくとろうとしておるわけでございます。そういたしますと、現在の実情とかなり離れたようなこの新用途地域指定が行なわれるのではないか、このような危惧を持たざるを得ないのであります。その際には住民との摩擦——住民と申しますよりは土地所有者との摩擦がかなり起こってくるように思われるのでございますが、この点いかに新用途地域指定の際にお考えになりますか、ひとつ御所見を承りたい。特に、新市街化区域に指定されましたところで新しく都市が開発せられている地域におきましては、どのような大きな摩擦が起こると思われますか、その点についての方途をひとつお示し願いたいと思いますが、大臣でなくて局長でけっこうでございます。
  136. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 おっしゃるように、非常に用途地域指定というのは地元の権利者の利害に関係がございますので、非常な抵抗と申しますか、そういうものが相当あると思います。  ただ、今回の法律改正に伴います用途地域の編成がえは猶予期間がございますので、私どもといたしましては、法律の趣旨をもう少し住民に徹底的にPRいたしまして、それに基づきまして猶予期間をとりまして、住民意見反映について慎重な考慮を払いながら、しかも、都市計画上誤らない用途地域指定をいたしてまいりたいというつもりで、法律施行後住宅局のほうと打ち合わせをして準備に入りたい、こういうように考えております。
  137. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、特に三多摩地区等の空地地区はかなり変動が行なわれるのではなかろうか。一面、市街化区域と調整区域との線引きによって大きい差がありますから、いま各地においてかなり難航しており、さらにはまた、この空地地区指定する、あるいはまた用途地域指定するということになりますと、地価の変動がかなり起こってくると考えられるのです。ここらに対してもどうお考えになって、どう処理されますか。
  138. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 東京都のほうにおきましては、できる限り武蔵野の緑を残したいということで、市街化区域の原案も相当緑を残すような形で、現在市町村に案が示されております。さらに、それだけではやはり不十分でございまして、市街化区域の中でも相当風致を残すべきところは、風致地区に変えていかなければならないと思います。  ただ、風致地区というのは、先生御承知のように、一切の建築を禁止するという趣旨ではございません。風致を残しつつある程度家は建てられるという地区でございます。そういう観点からいたしますれば、風致地区指定によりまして、必ずしもその地価が著しく下がってくるというようなことにはならないのじゃないかと思います。たとえば、鎌倉等に見られますような、自然環境を取り入れました良好な住宅地というような場合には、そう地価が下がっていないという現実もございますので、これが地価に与える影響というのは、いろんな御意見があろうかと思いますけれども、そういうふうな考えを私は持っておるわけでございます。
  139. 井上普方

    井上委員 まだ大臣がお見えになっておりますので、重要なことを一つお伺いいたしたいと思います。  先国会におきましても、全会一致で附帯決議を提出いたしましてこれが採択になったわけでございます。この附帯決議というものを、政令あるいはまた行政指導の上においては忠実に守っていただかなければならない。その点につきまして、あるいは審議会あるいはまた各地方団体等々の意見を聞くに際しましても、特に国会における附帯決議というものの趣旨を尊重していただかなければならない。この点につきまして、大臣の御決意をひとつお伺いいたしたいと思います。
  140. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先般もお答えいたしましたように、国会は国の最高の議決機関でございます。したがいまして、国会の意思が、行政運営あるいはまた行政指導に重要な意味を持つことでございますから、十分に国会の御決議の点は関係事務当局に徹底せしめまして、それに基づいて、十分にこれが行政に生きるように配慮いたしたいと考えます。
  141. 井上普方

    井上委員 この点は、強く私ども要求いたしておく次第でございます。  あと三分しか時間がございませんが、これは大臣でなくてけっこうでございますが、政令事項の中で、別表第二の第九号に第一種住居専用地域での建築物で「政令で定める公益上必要な建築物」のうちの、電気事業あるいはガス事業等の公益事業の施設とあるのでございますけれども、電気事業にいたしましても、変電所等は、これはかなりその住居地域の人たちには公害を及ぼしておるようであります。したがって、これらの電気事業、特に変電所等々は、これは地下に埋没させることを考える必要があると思うのですが、どうでございますか。この点、はっきりできますかどうですか。
  142. 大津留温

    大津留政府委員 これらの施設は住宅地域にも必要な施設でございますが、反面、御指摘のように、これらの施設は騒音その他の公害のもとにもなる施設でございます。そこで、そういうものを住居専用地域に設置する場合には、必要最小限度という観点から、変電所等につきましても、電圧が十万ボルト以下のものというように限定して認めることにしております。
  143. 井上普方

    井上委員 十万ボルト以下というようにいたしましても、あるいは騒音にいたしましても、あるいはまた電波障害等々がかなり起こっておるようです。したがって、これらは地下に埋没するというような処置を講ずべきであると私は思うのです。この点どうでございますか。
  144. 大津留温

    大津留政府委員 御指摘の点ごもっともでございますので、防音装置を設ける等、周囲に支障のないような方法で指導いたしたいと思います。
  145. 井上普方

    井上委員 指導ではだめなのでありまして、彼らはやはり公益事業という名のもとに金もうけばかりやっております。したがってこれは、騒音並びに電波障害が起こらないような処置を、政令等々におきましてきつく処置すべきであるということを私は強く要求いたしたいと思うのであります。  時間が参りましたので私はこれでやめますけれども、どうか本委員会においてあるいは質疑あるいは決議等々が行なわれました点につきましては、これを十分そんたくいたしましてやっていただくことを要求いたしまして、私の質問は終わります。(拍手)
  146. 金丸信

    金丸委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  147. 金丸信

    金丸委員長 引き続き本案を討論に付するのでございますが、討論の申し出がありませんので、これより直ちに採決をいたします。  建築基準法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  148. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  149. 金丸信

    金丸委員長 ただいま議決いたしました本案に対しまして、渡辺栄一君、阿部昭吾君、小濱新次君及び吉田之久君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者渡辺栄一君から趣旨の説明を求めます。渡辺栄一君。
  150. 渡辺栄一

    ○渡辺(栄)委員 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党を代表して、その趣旨を申し上げます。  御承知のごとく、建築基準法都市計画法その他都市関連法とともに、われわれ国民が良好な生活環境を保持するため等に、きわめて重要な法律であります。  ただいま議決されました改正案は、関係都市法とともに、都市における土地の合理的な高度利用及び秩序ある発展をはかるための措置として、まさに時宜に適したものと考える次第であります。  しかし、これらの改正内容をさらに実効あるものにするため、政府は、法の施行にあたり、次の諸点につきまして必要な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきことを強く要望してやまないものであります。  すなわちその第一点は、違反建築物に対する措置を強力に講じて、その絶滅を期するため、告発及び行政代執行の徹底、建築士、建設業者、宅地建物取引業者等の建築関係業者に対する厳正な監督処分、電気、水道、ガスの供給停止を行なうことであります。  第二点は、執行体制の整備強化をはかるため、建築関係職員の人員及び予算の確保についての特段の配慮、職員研修制度の拡充強化により職権乱用の戒めをすることであります。  第三点は、積極的な行政指導、技術指導により、日照、通風等、良好な環境実現の方途を提示し、住民の自発的協力を強化することであります。  第四点は、住民と密着した建築行政とするため、執行権限をできるだけ市町村に委譲するよう指導するとともに、政令の制定等改正法の施行にあたっては、条例に委任するなどの方法により、自治体の実情を生かした運営ができるよう配慮することであります。  第五点は、都市環境を良好にするため、用途地域に関する都市計画を決定するにあたっては、原則として公聴会を開くなどして、住民意見を反映させることであります。  第六点は、都市環境の抜本的改善をはかるため、著しく立ちおくれている地価、宅地、住宅対策等及び共同利用施設として、公園、緑地、広場、遊び場、運動施設等の空間確保について格段の努力をすることであります。  以上が建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨でありますが、委員各位の御賛成をお願いいたしまして、説明を終わります。     —————————————    建築基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  都市化が急激に進展しつつある今日、住みよい街づくりを進めるために、政府は、本法の施行に当つて左の諸点について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。 一、違反建築物に対しては次の措置を強力に講じて、その絶滅を期すること。  (一) 告発及び行政代執行の徹底  (二) 建築士、建設業者、宅地建物取引業者等の建築関係業者に対する厳正な監督処分  (三) 電気・水道・ガスの供給停止 二、執行体制の整備強化を図るため、建築関係職員、建築監視員の人員及び予算の確保について特段の配慮をするとともに、これらの職員の研修制度を拡充強化し、職権の濫用をいましめ、適正な建築行政の執行を期すること。 三、改正法の運用に当つては、単に住宅環境の悪化を追認するにとどまるが如きことのないように、積極的な行政指導、技術的指導により、日照、通風等良好な環境実現の方途を提示し、住民の自発的協力を強化すること。 四、住民の密着した建築行政とするため、執行権限をできるだけ市町村に委譲するよう指導するとともに、政令の制定等改正法の施行にあたつては、条例に委任するなどの方法により自治体の実情を活かした運営ができるよう配慮すること。 五、都市環境を良好にするために、都市計画法により用途地域に関する都市計画を決定するに当つては、原則として公聴会を開く等して住民意見を反映させるようにすること。 六、都市環境の抜本的改善をはかるため、著るしく立ち遅れている共同利用施設として、公園・緑地・広場・遊び場・運動施設等の空間確保について、格段の協力をすること。  右決議する。     —————————————
  151. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  152. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、渡辺栄一君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、根本建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣
  153. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 去る四月十八日本委員会に提案して御審議をお願いいたしました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、本日議決をいただきましたことはまことに感謝にたえません。ここに政府を代表いたしまして、つつしんでお礼申し上げます。  今後法の運用にあたりましては、御審議の際お寄せいただきました御意見、本日の附帯決議の御趣旨を十分尊重して、国民各位の御要望に沿うよう万全の措置を講じてまいる覚悟でございます。  まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  154. 金丸信

    金丸委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長は御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  155. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  156. 金丸信

    金丸委員長 本会議散会後直ちに再開することとし、この際、休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後三時十一分開議
  157. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について質疑を続行いたします。卜部政巳君。
  158. 卜部政巳

    ○卜部委員 午前中に引き続いて質問をいたしますが、文化庁の内山文化財保護部長でございますか。
  159. 内山正

    ○内山説明員 はい。
  160. 卜部政巳

    ○卜部委員 あなたお一人でだいじょうぶでございますか。
  161. 内山正

    ○内山説明員 担当官が来ております。
  162. 卜部政巳

    ○卜部委員 それでは、午前中に指摘をいたしました福市遺跡、この宮畑地区の問題の申請が出ておるわけでございますが、その破壊の実態についてまず御答弁を願いたい、こう思います。   〔委員長退席天野(光)委員長代理着席
  163. 内山正

    ○内山説明員 福市遺跡の宮畑地区の問題につきましては、昨年の五月に発掘届け出が出ております。その届け出に関しまして県が副申をつけておりますことは、電波探知機で古墳が二基あるということが判明いたしまして、その一基を原状保存しながら、他の一基についてはこれを十分に記録調査をいたしまして、破壊もやむを得ないということの副申が出ております。これにつきまして文化庁といたしましては審査をいたしまして、大体副申どおりの処置をしてもよろしかろうという指示を昨年の九月にいたしております。  その後、県も、文化庁の指示どおり実施するように発掘届け出者に申し渡してあったのでございますけれども、その後いつの間にかこの古墳二基も破壊されてしまっておったという事実でございました。県もこれを当時十分に承知をしておらずに、地元の考古学者からの申し出によって初めてこれを承知したという実情でございます。県に対しましてその辺の事情を十分問い合わせましたところ、だれがいつの間にやったか、それも調査が十分にできないということでございます。現状といたしましては、そういう形で現在終わっておるということでございます。
  164. 卜部政巳

    ○卜部委員 古墳が二基あった、こういうことですが、部長も御承知かと思いますし、さらにその申請書についても写真をお送りしたと思いますが、これは一目見ても古墳とわかるのです。これは一目見てもわかる。電波探知機などというのは、あれは正式にいいますとプロトン磁力計、こういうのですね。そんなものを持ってしなくともそれはわかるわけですね。それで実際問題として、そのプロトン磁力計というものが今日どれほどの科学的な、そしてまた確実な調査をし得るかということについてはまたあとから申し上げますけれども、そうした問題について、先ほど安達次長が言っておりましたが、古墳でない遺跡というものは掘ってみないとわからぬということをいみじくも指摘をされましたけれども、それは現実にいまの状態では掘ってみなければわからないのですよ、実際は。それでどこら辺の深さまでをはかったのか、そういうような調査をしたところの資料が届いていますか。おそらくそういうものはないと思うのです。しかしながら、それは何としても私たちが知りたいところでありますが、ともかくその私たちの文書にも出したように、ここにもありますけれども、これが遺跡指定地ですね。これが先ほど申し上げたように、文化庁の御尽力によって遺跡に指定をされて、今日福市遺跡としてこうしたパンフが出るようになった。しかしながら、先ほど申し上げたように、その当時にはやはり鳥取県教委も米子市教委も、そんなものは、遺跡なんかありませんといったやつを掘ってわかったわけです。掘ってわかって今日これが出てくれば、あたかも自分が掘ったようなかっこうで、こういう遺跡があるなんていって、こういうパンフをつくり上げています。  しかしながら、そのことは、話がだいぶ横に飛びましたけれどもあとからお見せしますが、この横に学校がある。これはずれてつくったわけですが、ここにも古墳じゃなくて遺跡があるわけです。さらに、これは峰続きでもってここにも宮畑地区というものがあるわけですから、当然遺跡はあるのです。これはもうあることはわかっておる。そういうものを遺跡がないと指摘したり、そしてその間に、だれも知らない間に破壊をしたなんというような、そんなばかげたことがどこにあるかということです。これは実際問題として文化財だから何か軽んじられておるような感じがしますが、もしこれがほんとうに重要な問題だということになってくると、人の命でも同じですが、奪ったということになれば、たいへんな捜査網が直ちに形成されて調査に当たる。そして犯人のきめ出しに当たるということになるわけでありますが、この問題についてもやはり破壊者の責任、そして破壊者の氏名というものを明らかにせねばならぬ、私はこういうふうに思っておるところです。  そういう点で、まず順番に進めてまいりたいと思いますが、いま部長が言われたように、調査をやったけれども遺跡ではないというその調査のしかた、それからまた調査方法、それで調査した結果そのプロトン磁力計というものはどこら辺までの深さをはかったのか、さらに、どの面積をはかったのかというような詳しいデータも出していただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  165. 内山正

    ○内山説明員 プロトン磁力計によります調査の詳しいデータにつきましては、県から出てまいりました発掘届け出書には記載されておりませず、詳しいことにつきましては、さらに調査をいたしましてお知らせいたしたいと思います。
  166. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうしますと、部長に、ついでにこの点も明らかにしてもらいたいと思います。  それは、まず古墳が破壊されたところの年月日ですね、それから破壊をした人の氏名、そして破壊をした器具は一体何か、この点をまず明らかにしてもらいたい。それから続いて、住宅団地の造成にあたって、法律手続をとった責任者の氏名、職業、そしてその責任者が破壊者にどのような指示、注意事項を与えたか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。  この住宅団地造成にあたって法律上の手続をとった責任者氏名云々というものは、今日全然明らかにされていません。そしてまた、県教委あたりにただしましてもわからぬの一点ばりでありますが、しかしながら工事者、そしてまた団地造成者は、県教委のほうから——そこまで言っていません。この団地造成にあたっては、しかるべきところからそこは遺跡ではないという文書をもらっている、こう言っています。ですから、文書は出たはずであります。指示を与えたはずであります。したがって、ないなどということや破壊者がわからぬというようなことはないはずです。自分たちは、そういう遺跡ではないということの文書をもらったからやったことでありますから、私たちに責任はない、こういうことを言っているのですから、その内容を明らかにすることは私はできると思います。この点はひとつ文書をもって明らかにしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  167. 内山正

    ○内山説明員 承知いたしました。
  168. 卜部政巳

    ○卜部委員 続いて、学術経験者をつけなかった理由ですね。いわゆる発掘をする場合においても、当然調査の中には学術調査の経験者というものをつけるということになっているわけでありますが、つけなかった理由。それから、先ほども指摘をいたしましたプロトン磁力計というものの問題でありますが、この点についてはひとつ保護部長からお知らせを願いたいのです。これを使うのには一体どれくらいな費用が要るものか、この点をひとつお聞きしたいと思いますが、幾らくらいかかりますか。
  169. 内山正

    ○内山説明員 プロトン磁力計を使うのにどれくらいの費用がかかりますか、申しわけございませんが、承知しておりません。
  170. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、予備調査に使ったといわれておる報告が来ていますね。その予備調査に使われたという費用は幾らか、同時に、どこから出ておるか。この点も先ほどの文書に明確にして、ひとつ報告をしていただきたいと思います。  続いて、そのプロトン磁力計を、どことどことをはかったということが明らかでありませんから、どことどことをはかったかということと、それから深さはどれくらいをはかったか、こういう点も明らかにしてもらいたいと思います。そこで、地図を見て、地図上におきましてどことどこを磁力計によって、どのような形でもってはかったかということも明らかにしてもらいたいと思います。ただ広範に、一般的に調査をした結果なかったなんという、一般はわからないですよ、どこにあるのか。だから、どことどことをはかった、それでその深さはどれくらいであったというような、これもひとつ明確にしてもらいたい、こういうふうなことであります。  それから、なぜに調査をやるときに公表をせなかったのかですね。私なんかが掘る場合なんかにも、明らかに公表する、公表というよりも、現実にシャベルを持って掘るのですから、みんなが集まってきて見るわけですが、この学術調査なんというのはいつやったかわからない、さっとやったんですが、なぜそういうようなことが公示できないのか。この点は、やはりぼくは文化庁の責任ではないかと思うのです。指導体制が悪いと思うのですが、その点についてはどうですか。やはりその指導の欠除がこの中にあったのではないかと思うのですが、この点はどうです。
  171. 内山正

    ○内山説明員 学術調査を実施します段階におきまして、これを公表するということは通常行なわれていることでございまして、これを差しとめる理由は全くないわけでございます。公然と学術調査を実施すべきものと私どもは考えております。いかなる事情がございましたか、その辺につきましては調査をいたしたいと思います。
  172. 卜部政巳

    ○卜部委員 先ほど部長がお答えのように、県教委も破壊されたことがわからない、こういう、言うならば偽りのことばですね。調査をやっておいて、そして人にわからぬようにこわさしておいて、そして私たちがその問題でいつこわしたのかといえば、私たちが知らぬところだ、こう言うけれども、先ほど言ったように、業者のほうはそういう指示が来ておるということが出ておるわけなのですから、そこに見られるものは、もうやみからやみに、まず調査もやみ、破壊もやみというようなかっこうで、そしてここにある福市遺跡というものに対して破壊をしていこう。これは、これからどんどん、どんどん団地をつくろうとするわけですから、そういうかっこうでこわしていこうとする意思が多分にあったように私は見えるわけです。ですから、こういう点について私は十分責任を追及していきたいと思いますし、文化庁としてもその点の責任を追及してもらいたいと思います。  そこで、先ほど申し上げたような各項目については、私あとから、ことばの上で足りなければいけませんからあとから具体的にひとつお知らせをいたしますから、その点については本委員会に文書をもって御回答を願いたい、この点はよろしゅうございますね。
  173. 内山正

    ○内山説明員 卜部委員の御指示をいただきまして、調査をいたしまして提出いたしたいと思います。
  174. 卜部政巳

    ○卜部委員 そこで、このような犯罪行為みたいなものが起こったわけでありますが、井上委員のほうから、警察に頼んで徹底的に調べさせろというようなことばもありますが、そういうふうな問題も私は十分勘案をしながら、文化庁があいまいにこの問題を県教委からあがってきたとか、さらに調査した段階でいいかげんなことがはね返ってくるということでありましたならば、私は断固たる措置をとることをここで明らかにしておきたい、こういうふうに思います。  そこで、ここに確認をされましたので、順次質問を進めてまいりたいと思います。  先ほど出ましたプロトン磁力計というものの経費はわからないということなんでありますが、大体文化庁としましてはこれをどのように判断されていますか。これは絶対的なものであるかどうか、この点の判断はどうなんでしょう。
  175. 内山正

    ○内山説明員 プロトン磁力計の効力につきましては、専門的なことをよく承知しておりませんが、発掘調査を実施された専門家のいままでの実績等から考えまして、現段階で知り得る段階ではある程度の信頼性はあるのじゃないか、その程度の感じでございます。
  176. 卜部政巳

    ○卜部委員 ですから、絶対的なものでないということが、いまぼくは明らかにされたと思うのです。そこで、絶対的なものであるということであれば、先ほどの次長の話ではないですが、掘ってみないとわからないということばにもなってこないであろうし、さらに、国分寺等なんかの調査でもそうでありますが、すべてのこれからの発掘等についてはやらずにこれでもってやればいいということになりますが、そういうものではないと思うのです。その点をひとつ明らかにしておきたいと思うわけです。  それで、先ほどもちょっと申し上げましたけれども調査に基づいて怪文書が出されておるわけであります。それで団地側は、遺跡はないという書簡をもらっているということがいわれておるわけなんでありますが、先ほども申しましたように、この文書を出した人の氏名ですね。大体私たちにはわかっていますよ。わかっているんだけれども、言わぬから私はひとつ明らかにさせてもらいたいと思うのですが、ひとつ文化庁のほうから、遺跡はないという文書を出したところの人の氏名を出してもらいたい、こういうふうに思います。よろしゅうございますね。
  177. 内山正

    ○内山説明員 調査をいたしまして、先ほどの資料とあわせまして提出いたします。
  178. 卜部政巳

    ○卜部委員 そこで、続いてまいりたいと思いますが、日進小学校のプール建設の問題について、これも五十七の二の届け出が出ておると思うのでありますが、出ておりますか。
  179. 内山正

    ○内山説明員 五月一日付の日付で、本日午前中に文書が入っております。
  180. 卜部政巳

    ○卜部委員 その問題についてどのようにこの現状を把握しておるか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
  181. 内山正

    ○内山説明員 日進小学校のプールを建設するために発掘したいという届け出が、本日文化庁に到達しております。これは福市遺跡に隣接した日進小学校の校地の中にプールをつくるというものでございますが、理由といたしましては、学校の校地が非常に狭いのでその場所しか適地がない、また、周辺には指定された史跡もあることだし、特にこれを保存しなければならない理由はないというような理由から発掘届けが出てきているものでございます。このことにつきましては、昭和四十二年の一月に学術調査をいたしまして、この地域が弥生時代から古墳時代にかけての住居跡の遺跡であるということが判明しておりまして、その当時の発掘が終わりましたあと砂をかぶせまして、跡を保存するような措置を施してまいっているわけでございます。この遺跡につきましては、文化庁といたしましても、その当時から原状のまま保存したい、保存をするという地元側の意向でございまして、文化庁としてもぜひ保存してほしいという指導をいたしてまいったものでございます。ところが、本日、突如としてこれを発掘したいという届け出が出てまいったものでございまして、私どもは当初の約束と違った発掘届けが新たに出てまいりましたことに当惑いたしておりますし、このことについては約束どおり、あるいは所定の方針どおり残す方向で努力してまいりたい、このように考えております。
  182. 卜部政巳

    ○卜部委員 全く文化庁の御意見のとおりだと思います。というのは、ここにも福市遺跡のパンフがあるわけですが、遠くてごらんになれないと思います。さっきもこれを見にきた人がおったわけですが、いや、これはすごい住居趾だな、こう言っておりますが、この上にあるのが学校です。これが日進小学校です。それでここにまた住居趾があるということで、これをわざわざ残して、それで校舎をずらしてここに建設されておるわけですね。これはいま部長のおっしゃるとおりです。そのときに、当然プールをつくろうとする土地も遺跡指定がなされておったと思うのですね。当然、文化庁のほうのお答えにもあったように、われわれとしてもそれは遺跡指定がしてあったと思っておったわけです。突如としてそういうことをやるものだから、これはとんでもないことだ、こういうことに相なっておるような状態です。ですから、いまのおことばの中で、これはあくまでも保存をしていくという態度を貫いていくということを聞いて安心いたしましたけれども、しかし、これと並行して、これはもう常識として、学校ができればやはり住宅ができてくるわけですね。そういう点からここにある福市遺跡、これを私たちは全部福市遺跡と言っておりますけれども、これをやはりこわそうとするような動きがあるわけですね。  そこで、これは建設省のほうに先ほど来指摘をいたしておりましたけれども、私たちの研究員の中にでさえ、業者から五十万の金を渡すからひとつ調査したことにしてくれないかというような誘惑がかかったことも事実であります。ですから、企業側としましては、ともかくなるべくそういうような調査をしたという名目の中で、一気かせいに——これは峰続きのほうをこわすことが一番安いのです。ここら辺のたんぼなんというものは、五千石平野といって、いまごろすごく高いわけですから手が出ない。ですから、やはりここに手が伸びてくる。こういうかっこうで青木地区というものが破壊される危険性もありますから、ひとつ文化庁としては、私たちが言う福市遺跡の問題、これは宮畑地区もそうでありますが、また二新庄地区、さらに御所原地区あるいは東堀地区とかいう地区がたくさんありますので、特にこの福市遺跡の問題については十分な監視をしていただきたいし、また指導をしていただきたい。このことをひとつお願いをしておきたいと思います。よろしゅうございますね。  そこで、建設省のほうに申し上げたいと思いますが、建設省のほうは政務次官一人しかおらぬのですか。——では続いて文化庁のほうに申し上げたいと思いますが、これはおそらく建設省と競合する分野がたくさんあると思うのですね。それで、こんなことを言って——先ほどのお答えもありましたように、文化庁はよくがんばっている、こういうことについては私わからぬではないのです。しかしながら、古都保存法にいたしましても、当然あれは文部省の担当ですよ。それが、古都保存法は建設省のほうにさっと吸い上げられた。こういう問題もありますが、これは予算的な関係もあるかどうか知らぬですが、人のふんどしで相撲をとるようなきらいが文部省、文化庁なんかで多々あるのです。それでは国の予算執行という問題がやはり問題だと思うのです。これは午前中にも指摘をいたしましたように、業者がこのごろおかかえの調査団をつくると同じように、国そのものの姿勢が、国でもって私たちの遺産を守ろうという姿勢がない。そして何かしら調査をやらせるというときには業者にやらして、それでもうそれは済んだというような、そういう国の予算執行の姿が文化庁にもはね返ってきておる、こういうふうに私は思うわけであります。  そこで、私はもう一つ原因があろうと思うわけなんですが、文化庁の技術員、技官、こういう人たちが、建設省だとか住宅公団だとかいうような人たちに、情報をキャッチして説得し得るような、そういう人たちがほんとうに少ないのじゃないか。予算の関係でしぼられておる関係かどうか知りませんけれども、そういう技術者が少ない。こういうところにも問題があろうと思う。だから、奈良だとかそこら辺の調査のあれがだいぶふえていますけれども、やはり、文化庁のそういう人員を強化する措置が必要じゃないか。だから、結果的にこの福市の遺跡なんかでもそうです。行って調査自分ができぬから、県教委にまかせた。そこら辺でやってみろというようなことではね上がってきたものを、ああそうか、五十七条の二によるところの申告が出たか、発掘やむなしだろう、そういう調子が全国にやられているから問題がある、こう思うわけです。ですから、確かに今度は五億から十億の土地買収の予算なんかもふえたけれども、これとても微々たるものですよ。六百億だけではならぬですよ。そういう意味で民族の遺産を守るという文化庁の皆さん方なんだから、胸を張って、やはり堂々と私は行ってもらいたい。そしてまた、いまの人員の強化の問題等につきましても、やはり十分に政府のほうに要求をしてもらいたい、こう思います。そういう点で、ちょっと文化庁をほめたようなかっこうになったりなんかしますけれども、しかし、実際問題としては、そういう弱点もあることも皆さん方も知ってもらわなければならぬ、こう思うわけであります。  建設省の方はお見えになりましたか。——建設省の方には、午前中にどこら辺までやりましたかね。たった二つしかやってなかったと思うのですが……。大企業の問題についてお話をしておったわけですが、大企業の記録保存という名目のもとで工事をどんどん施工することができておるわけですが、中小企業にとってはそうしたところの調査をする資力がないわけでありますから、隠して工事を進めていく。いまのこの福市遺跡と同じでありますが、そういう問題について建設省としてはどういうような指導をしておるのか、この点についてちょっと指摘をしてみたいと思います。
  183. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 おそくなりましてどうも申しわけございません。参議院のほうに回っておりましたもので、どうも恐縮でございます。   〔天野(光)委員長代理退席委員長着席〕  ただいまの御質問ですが、建設省が道路をつくる場合に、文化財につきましてはあらかじめ十分な調査をいたしまして、重要な文化財はできるだけ避けるようなルートを選定しておるのが原則でございます。ただ、いろいろな客観情勢から、どうしても文化財の一部を通る必要がやむにやまれず生じるような場合には、事前に文化庁とも十分御相談いたしまして、その工事のやり方等につきましては十分な相談をやっております。特に調査費を十分計上いたしまして、その文化財の程度、と申しましたらたいへん語弊がございますが、永久に保存すべきものであるとか、あるいは一応調査しましたあとそれを埋め戻していいという状態であるか、そういうような文化財の程度によりましてそれぞれ調査費を十分計上いたしまして、文化庁とも相談の上、道路事業を実施しておるような状況でございます。原則といたしましては、もう文化財を避けるというのが現在の道路計画でございますけれども、どうしても避けがたいときには、そういうような措置をとっておるのが実情でございます。
  184. 卜部政巳

    ○卜部委員 そうすると、午前中にもこの問題にちょっと触れたわけですが、十分な調査費をつけるのですね。いまは幾らぐらいついていますか。
  185. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいま全国でどれくらいの文化財のための調査費を出しておるか、ちょっと私いま詳しく存じておりませんけれども、その文化財の出ましたつど文化庁と相談いたしまして、文化庁の要求する額は全額出しております。たとえばいま第二阪和だけはっきりわかっておりますが、第二阪和につきましては、改定いたしまして二億四千万円の予算を出しております。私のほうで適当に計上するわけではございませんで、文化庁の要求するものについてはすべて出しております。これが現状でございます。
  186. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまの中で私はちょっとひっかかるわけですが、遺跡が出たところの時点調査費を出す、こういうふうなお話でした。それは文化庁の要求に従って出すということでしたけれども、私は午前中にも指摘しましたが、いわゆる開発側がやる場合にはやはりボーリング調査をやりますね。実質調査をやる。そういうときに、なぜそういう文化財保存のための調査が行なわれないのか。  実際問題として先ほども申し上げましたが、登呂遺跡の南側、あれも水田ですね。だけれども、実際問題としてあなたたちがやろうと思ったところが、たいへんな遺跡が出たでしょう。それで結果的に、あれは高架になりましたね。道路公団としてはもうばく大な損害ですよ。事前に調査をしていたら、そんなことは実際問題としてはないのです。ですから、私の言うのは、文化庁と十分に事前のいわゆる打ち合わせのもとに、そしてその事前調査が十分に行なわれる中で、そしてそれが文化庁の言うとおりの予算がつくということであればわかります。今後は、そういう方向で文化庁が事前調査をする場合には、ここにあるぞというような場合には潤沢な金は出してもらえるか。よろしゅうございますか、その点ははっきりしてください。
  187. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 御趣旨よくわかりましたので、そのようにいたしたいと思いますが、一言つけ加えさしていただきますと、従来とも、あらかじめルートの選定を行ないます場合に、文化財の所在等は文化庁とも相談いたしまして、大体ここはいけないというルートはできるだけ避けております。これは実情でございます。で、私たちのほうの都合で、いわゆるコントロールポイントというものがございまして、どうしても通過せねばいかぬ地点というものが道路の選定上きまります。たとえば橋の場合はここしか通れないというものが出てくるわけです。そういうようなコントロールポイントというものがございますので、そのコントロールポイントを結ぶ場合にどうしても文化財の一部を通る場合がございます。この場合にはいま申し上げました調査費を十分出しまして、その調査の様子によって私たちのほうの道路の構造も変更したり、あるいはもう最悪の場合にはルートを曲げた場合もございます。これは奈良バイパスというものがございまして、これは数年間文化庁と相談の結果ルートがきまったにもかかわらず、その後の調査の結果、またどうしてもだめだということになりまして、これはやむなく現在のバイパスのルートを全く変えまして、そのために一部また文化財に入っておりますけれども、奈良というところはどこでも文化財が出るところでございますけれども、それも現在は文化庁とよく相談して調査をやっておるわけでございます。で、御趣旨のとおりやっているつもりでございます。   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席
  188. 卜部政巳

    ○卜部委員 いまのことばの中でもやはりひっかかるのですね。文化庁と協議をしておったのにそういうものが出てきた。こういうことは、やはり事前調査が行なわれていないということですよ。それはやはり先ほどの人員の予算の面から技術者が少ないために、地元の考古学者に聞くわけじゃなくて、そういう住民の人たちに相談することでなくて、形式的な機関からそんなものはあるかないか——ないか、よしというようなかっこうでやるからそういうことになるのです。だから、事前にそういう調査を十分文化庁がやっていれば、それはいかぬということになるわけなんですね。だからこそ、そういうルートを変更しなければならぬという場合があります。  それからもう一つ、文化庁のほうからA、B、Cのランクをつけておるけれども、実際民族の遺産というものは、私たちがいまの時点ではこれはCランクだと思っていても、百年後の民族、われわれの子孫がその遺跡がほしかったというのが学術的にあるのです。そういう面ではどれがA、B、Cかということは、私は基準がつけられないと思う。私たちの民族の遺産なんですから、そういうポイントがあったからといって、どうしても文化財の上を通らなければならぬというものじゃないのです。そういうものはやはり後世の民族にそれを残していくという、そういうものの配慮がなければいかぬ、こう思うわけです。しかし、ともあれその問題は別問題として、文化財の保護部長、いま建設省のほうから言いましたから、ひとつ十分に調査費をふんだくってください。出すということを言っているのですから、私もこれからずっと監視をしますから、そういう点でこの話を進めてまいりたいと思います。  そこで、中小企業なんかの破壊の問題についてどういうふうに指導したかということについての御答弁がないようですが、その点はどうなんですか。大企業の場合はそういうふうなかっこうでやりますね。阪奈和なんかの問題でもそうです。二億四千万円ですか。しかし、実際問題としてそれはどういうことかといえば、この期間中に十分な調査をしてくださいというのじゃない。このためにはその記録保存をいたしますから、何月までにひとつ調査をしてください、こういうやり方でしょう。それも二億四千万です。やはりそういう問題からすれば、ほんとうの学術的な意味の考古学というものが危機におとしいれられるというような問題もあるわけです。中小企業の問題の答弁が出ないようでありますが、時間も約束の時間にどうやら十五分しかありませんから、順次進めていきたいと思うわけであります。   〔渡辺(栄)委員長代理退席委員長着席〕  それから、中小企業の問題と一緒に、建設省の方にあわせて御答弁をお願いしたいと思うのですが、土とりですね、これがどういうふうになっておるのか、その監視の状態をまずお知らせを願いたい。宅地造成ということになりますと、先ほどから申し上げておりますように、五十七条の二とか、いろいろな形で届け出があるわけですね。ところが、土とりというやつは届け出制がないから、いつどこで土をとってもわからないわけです。たとえば道路をつくる。そうすると土が要る。そうすると、土とりが始まるわけです。そして今日の自然を破壊してみたり、古墳や遺跡を破壊しているというような状態です。だから、東名道路ができるといえば考古学者あたりが全部パトロールせなければいかぬ。この土とりをやるような連中がおらぬだろうかというようなことでパトロールするのは、そういう考古学者がやっている。さらにそれに志す者がやっておる。こういう状態なんです。そういう状態に対して、これから建設省としてはどういうように監視をするか、さらにまた行政指導するか、またそういうことをする必要があるだろう、こう思うのですが、どうですか。
  189. 大津留温

    大津留政府委員 市街化区域におきまして地質、形状の変更をするような工事、つまり開発につきましては許可が得られます。したがって、市街化区域では、一定規模以上の開発工事に当たる場合にはおっしゃるような御心配は少ないかと思いますけれども、それ以外のいわゆる土とりにつきましては特別の監督規定はございません。しかし、これからは十分研究したいと思います。
  190. 卜部政巳

    ○卜部委員 私、いま聞いておりまして、これじゃ民族の遺産なんというのはたいへんなことになると思いますね。チンプンカンプンじゃないですか。ただ文化庁がひとり孤軍奮闘、しかもその文化庁もたよりないことをときどき言われる。それでは実際問題として困るのです。ですから、これは自治体のほうがシャンとしていますよ。委員長、笑いごとじゃありませんよ。ある自治体なんかにおきましては、建築許可基準——ぼくはこれを建築基準法の中に挿入したらいいかと思います。次期国会では必ずこれを挿入しますから、改正提案をしておきたいと思う。この建築許可基準につきましては、文化財の許可が行なわれたか、そしてまた、その調査の結果の承諾書をつけて出てこなければ建築許可をしない、こういうようなところがありますね。だから、建築業者としては、市がそういうふうな条例を出しているのですから、それを出さなければ、ガスも引いてくれなければ水道も引いてくれない、こうなるわけですね。これは市でもやっている。ところが国でやるところの、今日の建設省でも文部省でも、あまりにもだらしなさ過ぎる。少なくともそういうことは国がやるべきですよ。こういうことで、私はきょうはほんとうに皆さんから気の抜けたような答弁しか聞かされないので、全く歯が抜けたような気持ちがして、私も自分で張り切ってみても何かスウスウ吸い取られてしまう。これじゃいかぬ。これじゃいかぬから、私はこの点については、波状攻撃ということばがありますが、じゅうたん爆撃ということばがありますが、ほんとうにしつこいほどまでにこのことについてやっていきたい、こういうふうに思います。  そこで最後に、文化庁のほうに特に強調しておきたいのは、いまの日進の問題については、先ほどのおことばがありましたけれども、厳重にその点を監視していただくと同時に、これは一福市の遺跡の問題ではない。これは、百五十二件というこの記録にもあらわれておるように——先ほど部長は、これは必ずしも破壊されたものではない云々なんということを言っておりますけれども、ここに「同資料のうち学術上とくに惜しまれる遺跡のなかから主なもの百五十二件を選んで紹介する。」こういうことになっております。これはほんとうに何千ですよ。そういうような民族の遺跡を守るために、ひとつ文化庁は、建設省の答弁にも見られるようにわからぬことばかり言っておるけれども、残念ながらあなたたちはその人たちと協議をしなければならぬ、その面では共謀者になっている。だけれども、建設省のほうが業者の側に立って、開発の側に立って文化財をどんどん破壊する、その前面に立ちふさがるのはあなた方なんだから、その点はひとつ十分に自信を持った、そしてまた、民族の遺産を守るという堂々たる自信に満ちたこれからの行動を展開していただきたい、このことをお願いして、きょうはこれで終わらしていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  191. 金丸信

    金丸委員長 浦井君。
  192. 浦井洋

    ○浦井委員 私もきょうが最後になりますので、一番問題になります住宅の問題について、主として住宅公団の問題について質問をしたいと思うわけです。住宅公団は、五月の四日に本年度の事業計画を発表されておるわけなんですが、まず最初に、その問題について二、三質問したいと思うのです。  最初、多少家賃の実情を述べさせていただきますけれども、四十五年度の賃貸住宅の平均家賃が一万七千四百六円、これは前年度よりも一一・五%の値上げの見通し、最高は三万円をこすだろうというふうにいわれておるわけですが、三万円をこすというようなことになりますと、これは、もう公団住宅は庶民にとりまして高ねの花ということになるわけで、こういう状態であってはならぬというふうに私、思うわけなんですが、一体住宅公団の設立の目的をひとつ聞かしていただきたいと思うのです。
  193. 大津留温

    大津留政府委員 住宅公団は、昭和三十年に、住宅不足の著しい大都市並びにその付近におきまして、勤労者のために住宅及び宅地を供給するということを主たる目的に設立、発足して今日に至っておるわけでございます。
  194. 浦井洋

    ○浦井委員 住宅に困窮しておる勤労者、こういうことのために大量の住宅の供給を行なうということが一つあげられておるわけなんですが、ところが現実には二DKで大体二万六千円から二万八千円、こういうような団地も大都会ではあらわれてきておる。傾斜家賃方式というような方法がとられるというふうに新聞で読みましたけれども、こういうような、言えば一時的なこそく的なやり方でいま切り抜けられようとしておる、こういうように思わざるを得ないわけなんですが、二DKで先ほど申し上げたように二万六千円から二万八千円、三万円に近い家賃、こういうことは、先ほど局長が答えられた住宅公団の設立の目的に照らして、一体どういうことなのかというふうに思うわけです。そう言いますと、市街地に土地がないので高層になるので特別に高くなる、これはあくまでも例外だというふうに言われるかもしれませんけれども、全体をとりますと、昭和三十年の平均家賃が四千二十七円、ところがことしは、先ほど申し上げたように一万七千四百六円、約四・四倍に近い値上がりに家賃がなっておるわけです。本国会の一番初めにも出ましたように、住宅建設の五カ年計画の達成率が九七・七ということで一〇〇%を割っておるわけなんですが、こういう実情に対してひとつ政務次官のほうから、政府としてどのように責任を感じておられるか、お答え願いたいと思います。
  195. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  先般の委員会でも申し上げましたが、せっかく五年計画を閣議で決定しておきながら最終年次に一〇〇%の達成ができなかったということは、非常に申しわけないと思います。したがいまして、この次の新しい計画を立てるにあたりましては、少なくとも途中においてはいろいろ計算の見込み違い等は出るかもしれませんが、百戸建てるという約束を初年度にした以上、五年目には百戸建設されるのが当然の責務だと考えますので、先般もお答え申し上げましたが、私はそのように今後は、閣議というものはやはり権威あるものとして慎重な検討をすべきだというように考えておりますから、この点ひとつ御了承願いたいと思います。
  196. 浦井洋

    ○浦井委員 次に、住宅公団にお尋ねしたいんですが、公団の家賃の値上げというものは、一般の民間の賃貸住宅の家賃の値上げを非常に促進させるということで、ちょっと問題だと思うわけなんですが、一体公団の家賃というものはどういうふうにしてきめられるのか、家賃の具体的な中身をひとつ教えていただきたいというふうに思うわけです。
  197. 宮地直邦

    宮地参考人 住宅公団の家賃の積算方法につきましては、日本住宅公団法施行規則の九条に書いてございまして、その家賃は、住宅の建設の費用を一定期間で償却する、これは現在原則として七十年で償却する、そのほかに、利子は五分として七十年間償却、それに修繕費及び管理費、地代相当額、損害保険料、貸し倒れ引き当て金等を合算してきめる、こういうことがきまっておりますとともに、同第十条におきまして、家賃は、改良を施した場合とか著しく物価その他の事情に伴い、家賃の変更の必要があると認めるときには、これを建設大臣の承認を得て変更することができるようになっております。
  198. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことになりますと、建築費に応じて家賃を算出するという原価計算方式、そういうことになるわけですか。
  199. 宮地直邦

    宮地参考人 公団は、ある意味におきまして原価計算方式、しかし、十条等を加味しますと原価というのが適当でない場合も起こりまして、その原価主義という意味は、公団としてはノンプロフィットで住宅を供給する、こういう意味のほうがより適切な場合があると存じます。
  200. 浦井洋

    ○浦井委員 いまの家賃が高くなる原因として地価が非常に高くなる、それでさらに建設の工事費が大幅に値上がりしておるというふうにあげられておるわけなんですが、確かに地価の高騰というのは建設費をはね上げておるというふうに思うわけなんですけれども、といって、それにスライドするように家賃が上がってよいものだということにはならぬというふうに私は思うわけです。大臣おられないわけなんですが、地価の暴騰につきましては、いままでの政府のとってまいりましたところの施策にいろいろ問題があるし、責任があるというふうに思うわけなんですが、また公団自身が地価をつり上げて、そして民間資本に甘い汁を吸わせておるというような例もあるわけなんです。私ここへ昨日のアカハタを持ってきておるわけなんですが、このいわゆる三面記事のトップにこういうところがあるわけなんです。公団は、四十六年七月ごろ完成の計画で、埼玉県入間郡日高町に千七百戸のこまがわ団地建設を進めておる、この土地の売り手は、民間デベロッパーとして第一級の東急不動産、それで東急不動産は、四十一年ごろから約四十万平方米の山林を一平米当たり約二千百円で買収、ところが、この地域一帯は水がないところで、簡単には住宅地にできない、このために東急は、買収した土地の半分を一平米当たり四千円、買収した値の倍で公団に売りつけたが、その場所も山頂側の工事費がかかる部分である、ところが、たとえ条件が悪くてもそこは非常にお金のある公団らしくて、上水道の施設あるいは道路などをあわせてりっぱな団地を建設する、この団地完成を見はからって東急は売り残した土地に約七百戸分の宅地分譲をやるという、こういう筋書になっているわけです。そうしますと、結局東急は、たいした苦労なしに最初買収した四十万平米の買収費を公団に売りつけた半分の土地で取り戻し、さらに利益をあげるだけでなく、残しておいた土地を公団の諸施設に便乗して、りっぱな商品として大きな利益をあげることができる、こういうような計算になっておるわけなんですが、これは結局家賃の値上がりにはね返って、庶民の生活を苦しめるというふうにならざるを得ないと思うのですが、こういうことは御存じなのか、またこういうことに対してどういう対策を立てておられるのか、ひとつお聞きしたいと思うのです。
  201. 大津留温

    大津留政府委員 詳細には承知しておりませんが、公団が土地を買収する場合に、農民等の土地所有者から直接買う場合もございますし、こういったデベロッパーが手持ちしておる土地を分けてもらうということもございます。問題は、その価格が適正かどうかということだろうと思います。公団が土地を買います場合には、適正な価格で買うということが至上命令でございますから、土地鑑定士の専門家の評価を参考にいたしまして入手しておるということでございます。東急が買った値段と公団に売った値段が違うというのは、その時期のズレによる評価の差ということもあろうかと思いますしあれでございますが、公団がその団地を開発いたしますには、関連した道路とか水を取得するということは、これはまた当然なことでございますけれども、もしそれに接続する東急不動産が利用しようというような場合には、それに応じた負担をしてもらうということになろうかとも思うのでございまして、御指摘のような公団の負担でそういう工事をして、東急にそれをただで使わせるというようなことはございません。
  202. 浦井洋

    ○浦井委員 この問題についてはあとでまたゆっくりとお聞きしたいと思うのですが、もう一つの家賃値上がりの原因に建設資金のコスト高の問題があると思いますが、この公団の資金計画の中で、国の一般会計からは一体どのくらい公団に来ておるのか、それからいわゆる公団の支出の面では、借り入れ金の返済と利子支払いというのは一体どのくらいになっておるのか、ちょっと教えていただきたい。
  203. 大津留温

    大津留政府委員 公団の資金構成につきましては、三十九年度までは財投会計から国の資金を出しておりましたけれども、四十年度からは、出資にかえまして赤字になった場合利子補給をするというたてまえにいたしましたので、出資はやめております。  それから公団の事業資金の構成でございますが、自己資金といたしまして特別住宅債券、これは比較的わずかでございます。それから宅地債券も三十億程度でございますが、そのほかに財投資金から政府資金の借り入れ六分五厘が千三百六十四億円、それから七分の金が百億円、民間の資金が、七分四厘のものが二百七十六億円、七分六厘のものが千三百四十四億円、政府保証債券が百億円、こういう形になっております。
  204. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうお話で、結局まとめますと、四十年度から利子補給になったというふうに言われたわけなんですが、この公団のつくられた最初は、返済しなくてもよかった政府の出資金があった、それがずっと減ってきて現在ではゼロになっている、それから、あとのほうの説明で財投もあるけれども、結局大きな部分を民間の資金にたよっている、高い利子がついているということで、借金と利子の返済で非常にきゅうきゅうとしている、こういう状態では資金コストが急速に高くなる、したがって家賃が高くなるということの原因になっておるのではないか、こういうふうに思うわけなんですが、そういう状態であるということになりますと、こういう考え方でいきました場合の政府の対策というようなものは一体どうでしょうか。
  205. 大津留温

    大津留政府委員 先生御心配になっておりますこの家賃の算定に、いまの財政資金あるいは出資金が影響しておるのではないかという御指摘でございますが、これは賃貸住宅につきまして家賃を計算する場合には、七十年の償却期間で年利五分で計算するということになっております。したがって、この建設資金をどういう種類の金でまかなうにしても、家賃の計算はただいま申しましたようなことで計算するということになっておりますので、問題は、この公団の資金繰りが苦しくなるとか容易になるということはございますけれども、家賃の算定には影響がない、こういうたてまえをとっております。
  206. 浦井洋

    ○浦井委員 家賃には影響ないということなんですが、それではひとつあき家の家賃の値上げについてお尋ねしたいのです。  公団のほうからさっきお答えがあったわけなんですが、必ずしも原価主義ではないけれども、原価主義の部分も相当あるということなんですが、それは建築のときに定めた家賃で何年間かたてば償還ができるようになっておるはずなんです。それをあき家の場合にさらに値上げをするというのは、私これは不当だと思うわけなんですが、どうでしょう。
  207. 宮地直邦

    宮地参考人 お答え申し上げます。  公団は、先ほど局長からも申されましたとおり、七十年償却、五分という原則をとっております。それが第九条でございます。一方十条におきまして、公団は、住宅相互間における家賃の均衡の必要のある場合には上げ得る、これがあき家家賃の一つ根拠でございます。いますでに御指摘のございました四十年当時におきまして、当初建設いたしましたものと比較しますと二倍以上の格差が出ましたために、これを原因として上げるというのが一つ根拠になっております。もう一点は、住宅をそのまま放置いたしますとどうしても陳腐化してまいりますので、住宅に改良を施したい、これが第十条の三項。この家賃の均衡論と住宅に改良を施すという二つの理由のもとに、あき家家賃の値上げをいたしたわけでございます。
  208. 浦井洋

    ○浦井委員 住宅相互間の家賃の均衡上値上げをするのが第一ですね。そういうことになりますと、建ったときに入る人は、原価主義だからそのときは相当高くてもがまんして入りなさい、あとから入る人は、さっき言われたように、あき家になったときは家賃の均衡上さらに高い家賃を出してもらわなければいかぬ。ということになりますと、いわゆる原価主義でなく御都合主義ではないか、二重取りではないかというふうに思うわけなんですが、どうです。
  209. 宮地直邦

    宮地参考人 したがって、先ほど厳格な意味の原価主義ではないと申し上げました。ただ、私どものほうでは、ノンプロフィットという意味において措置をいたしておる。そういう意味で原価主義ということを考えてくれ、こういうことを申したわけでございます。あき家家賃の場合におきましては、一方において住宅改良を行なっており、その費用を償却し、一方においてあき家家賃の増収分につきましては、家賃の抑制財源に回しておるのは事実でございます。したがって、決して公団は、二重取りをすることによって公団の利益をはかっておるものではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  210. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことで、私は政府責任でこの問題は処理すべきだというふうに思うわけです。すなわち一般会計あるいは財投、そういうところからの出資、融資、こういうもので公団の経営をまかなっていくべきだというふうに思うわけですが、ちゃんと最初の建設費に見合う家賃を払い続けてきたところの入居者から家賃を高くして取るというのは、やはり筋違いではないかというふうに思うわけです。そういうあき家の問題についてさらに言いますと、あき家はばらばらできるわけですから、入居者は少ないわけです。そういうばらばら入ってきた人に対して個別的に値上げをしていくというようなことは、これはへたをすると現在現に入居しておる人たちの値上げにも、何か外堀を埋めていくというような感じになるのではないかという、その点を心配するわけで、こういうやり方はやはりやるべきでないというふうに思うのですが、どうでしょう。
  211. 大津留温

    大津留政府委員 先ほど先生も御指摘になりましたように、公団の三十年ごろ建てました住宅の家賃は、平均いたしまして四千円程度です。しかも今日から見れば非常にいい場所に建っておる。それで当時のベースで計算いたしましたから、これがもう十数年たって修繕をしようといたしましても、その家賃ではまかなえないというのが実態なんです。したがいまして、修繕がまかなえ、また公租公課もその後上がっておりますので、そういうようなこともございますし、また新しいのとの均衡も考えて適正な価格に引き上げるということは、これは国民の皆さんから貴重な資金をお預かりして建設、経営している公団といたしましては、そういう態度で検討するべき性格のものだと考えております。ただ、またいつ幾日からどういうふうにするというところまでは詰めてはおりませんけれども、そういうふうに基本的には考えるわけでございます。
  212. 浦井洋

    ○浦井委員 それでは具体的にお聞きするんですが、四十五年度は、あき家の家賃の値上げという具体的な計画はあるわけですか。
  213. 宮地直邦

    宮地参考人 四十五年度におきますあき家家賃は、全国平均にいたしまして四割九分くらいを上げる予定でございます。これは、すでに五年を経過した団地について上げる予定をいたしております。
  214. 浦井洋

    ○浦井委員 来年度はどうですか。
  215. 宮地直邦

    宮地参考人 これは、私のほうで計算いたしますときは土地の値上がり、建物の、簡単に申しますと復成原価、こういうものを直近の時期において算定いたしますので、来年の数字はまだ持ち合わせておりませんのですが、本年度につきまして、いま申し上げた数字を準備いたしておるのであります。
  216. 浦井洋

    ○浦井委員 私、やはりあき家であっても、家賃の値上げというものはできるだけ避けるべきである、むしろやめるべきであるということをここで主張しておいて、次の問題に移りたいと思うのです。  次に、団地建設がかなりおくれておるわけですが、その原因一つに用地が入手しがたいという問題があるわけですが、たとえ用地が手に入ってもその団地の存在する自治体、こういうところから赤字のふえるような団地が来てもらうのはごめんだということで、自治体からボイコットされるケースが非常にふえてきておるわけなんです。これはもちろん、団地の進出によっていろいろな公共施設を自治体がつくらなければならぬ、その金がないというところに原因があって、そういう現象が起こってきておるわけなんですけれども、今度住む側から見れば、当然団地に入れた、いろいろな公共施設が備わっておって、そして生活がエンジョイできるということを考えて来るわけなんで、一体こういう矛盾が起こる原因、また責任はどこにあるわけなんでしょう。どこが責任を負うべきだというふうに考えられますか。
  217. 大津留温

    大津留政府委員 御承知のように、団地をつくりますと、それに関連いたしまして街路、下水道、そのほか学校、幼稚園、保育所、またごみ処理というような公共施設の整備並びに公共団体の事務がふえます。これは相当な居住者がふえるわけでございますから、将来長い目で見れば公共団体の歳入もふえまして、収支相償うものでございますけれども、しかし、入居早々は固定資産税も軽減することになりますし、出費が重なる。したがって、十年なり十五年のつなぎがどうやってできるかということが、この解決の方法かと思うわけでございます。  そこで、実際上の手当てといたしましては、起債でめんどうを見まして、将来それが歳入があがったところで償還するということでやっておるわけでございますけれども、実際問題としては起債の償却費も相当多額にかさむというようなことで、地元の公共団体が困難している。したがいまして、もうちょっとその辺をさらに手厚く、つなぎ融資といいますか、負担の軽減の措置をいろいろな方面から考えてやる必要があろうか。補助金をふやすというようなことも、そういう適当なものがあればこれも一つでございますし、それから起債の償還の条件、長期のものを世話するということも一つだと思います。また、地方交付税をそういうものに対してめんどうを見るというのも一つかと思いますが、そういう方法をいろいろ総合いたしまして、地方の負担をひとつ適切なものにしたいというふうに考えています。
  218. 浦井洋

    ○浦井委員 具体的に局長からお答えがあったわけなんですが、政府として、その点で責任のある明確な所見を政務次官からお願いしたいのですが。
  219. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  入居者にとりましては、いま御意見のとおり、できるだけ安い家賃のほうがいいのでありますから、それが政府側ないしは公団側の資金のやり繰り等で、いつも家賃が引き上げられることが心配だということでは、入居者もなかなか落ちつかぬと思います。したがいまして、いま御質問の中で指摘されましたように、あるいは答弁をいたしておりますように、これからの住宅対策というものは、地価の問題と建設費の問題、あるいは五年たったらあき家から家賃を上げていこうというような行き方について、政府としてはこれをひっくるめまして、住宅対策に基本的な線を打ち出す必要があると思います。常にこういうことで質疑応答が繰り返されて、そうして入っておる御本人は非常に心配されておるということでは、住宅対策が将来に残された重大な問題でありますから、いまの御質疑をお伺いしておりまして、政府としては、申し上げたように一括ないし総括的に家賃の問題と取り組んで、公団のほうの答弁がどうで住宅局長の答弁がどうだということではなくして、やはり政府として一貫した方向を新しく確立するときに来ておりはせぬか。公団の歴史をいま御指摘なさいましたけれども、どうも設立当時と違うじゃないか、だんだん元利を取り立てるじゃないか、こういう御意見もありますから、私は、この点はやはり政府として、公団、住宅局はもちろんでありますが、ひっくるめた意味で新しき家賃対策を中心とするような住宅問題を研究していく時期に来ておる、このように考えます。
  220. 浦井洋

    ○浦井委員 最後になりますけれども、いろいろお答えを願ったわけなんですが、国が安い家賃の公営住宅を中心にして、公団など政府施策の住宅を大量に建設しなければならぬということが結論になるだろうと思うのですが、いまの政府考え方でいきますと、何度もお聞きしましたように、持ち家主義を中心として、民間デベロッパーによって民間住宅を住む人自身の責任でつくらせるということが重点になっておりまして、ここからはみ出した低所得層というものにだけ公営住宅を建てるという話の往復に終わっておるわけなんです。公営住宅というものをいわば貧民救済のための政策と考えておるというところに、私は根本的な誤りがあるのではないかというふうに考えるわけで、公営住宅というものは、税金で建てるのだから国民の負担になる、だから住宅の不足を公営住宅にのみたよろうとするのは誤りであるというような意見も、私は誤りだと思うわけです。そういうようなことなんで、やはり私が考えますのは、当面国の住宅建設計画中心は公営住宅を主にして、公団住宅にも力を入れ、そして年百万戸以上を建設する、そして国の財政資金の補助を強めて、公団住宅にも国による補助を新しく設ける、そして資本家の住宅負担金制度を新設して新しい財源とする、これらの住宅の建設を民主的な土地政策とあわせて推進するということを主張したいと思うわけです。  最後に、こういう私の主張に対して政務次官の答弁をもう一度お願いして、私の質問を終わりたいと思います。
  221. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  先ほども御答弁申し上げましたように、住宅ということは、元来の衣食住から見ましても一番残されました、しかも重要な問題であります。お互いにやはり安心して生活できる本拠でありますから、公営住宅であります以上、申されますように、貧民のために税金で建ててやるのだというようなセンスはとんでもないことでありまして、やはりこの新しき時代に、公営住宅というものは、国民により安い住居を提供するという意味で私は本質的に考えるべきだと考えます。したがいまして、最初御答弁申し上げましたように、できるだけ低い家賃で、国民の皆さまに喜んで住んでいただける、その住宅政策をこれから政府がほんとうに打ち出していくべき筋道ではないかと考えます。  以上、御答弁申し上げます。
  222. 浦井洋

    ○浦井委員 もう一度政務次官にお尋ねしたいのですが、これはいつですか、住宅産業調査団というものがイギリス、西ドイツに視察に行った。竹中工務店の設計部長ですが、言われておるのですが、イギリス、西ドイツには民間デベロッパーというものはなかった、それは、イギリス、西ドイツでは戦争直後から、政府が住宅最優先の政策をとってすでに十分な住宅を供給しており、住宅産業の発生する余地がないというふうな発言をされておるわけなんですが、これに対する感想をひとつ政務次官のほうからお聞きしたい。
  223. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  英国、西独の実態は私、十分承知いたしませんが、御指摘のような点で、すでに民間の企業なんかが適当な金もうけにも住宅なんかの入り込む余地はない、いわゆる国家の非常に進歩的な責任体制で住宅問題が解決しているということになるとするならば、大いに他山の石として政府自身も考えるべき問題と思います。  以上、御答弁申し上げます。
  224. 浦井洋

    ○浦井委員 以上で終わります。
  225. 金丸信

    金丸委員長 次回は、明十三日水曜日、午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会