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1970-04-24 第63回国会 衆議院 建設委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十四日(金曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       金子 一平君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       廣瀬 正雄君    藤波 孝生君       古内 広雄君    森下 國雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    北側 義一君       小濱 新次君    内海  清君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         通商産業政務次         官      小宮山重四郎君         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         議     員 小川新一郎君         大蔵省主計局主         計官      井上 幸夫君         文部省管理局教         育施設部長   菅野  誠君         労働省労働基準         局安全衛生部計         画課長     保谷 六郎君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ――――――――――――― 四月二十日  建設業法の一部を改正する法律案成立促進に  関する請願三木武夫紹介)(第三五一三  号)  同(古内広雄紹介)(第三五一四号)  同(橋本登美三郎紹介)(第三六一〇号)  同(村田敬次郎紹介)(第三六一一号)  同(増田甲子七君紹介)(第三六九三号)  建設業法の一部を改正する法律案等反対に関す  る請願小林進紹介)(第三五一五号)  同(島本虎三紹介)(第三五一六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第三五一七号)  同(山本政弘紹介)(第三五一八号)  同(青柳盛雄紹介)(第三六一二号)  同外三件(寒川喜一紹介)(第三六一三号)  同外一件(下平正一紹介)(第三六一四号)  同(曽祢益紹介)(第三六一五号)  同(原茂紹介)(第三六一六号)  同(不破哲三紹介)(第三六一七号)  同(三木喜夫紹介)(第三六一八号)  同(山本政弘紹介)(第三六一九号)  同(田邊誠紹介)(第三六九四号)  同(畑和紹介)(第三六九五号)  同(堀昌雄紹介)(第三六九六号)  同(原茂紹介)(第三六九七号) 同月二十二日  建設業法の一部を改正する法律案等反対に関す  る請願麻生良方紹介)(第三七七九号)  同(曽祢益紹介)(第三七八〇号)  同外二件(大原亨紹介)(第三八七八号)  同(北山愛郎紹介)(第三八七九号)  同(土井たか子紹介)(第三八八〇号)  同外百二十八件(成田知巳紹介)(第三八八  一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十日  市町村道整備促進に関する陳情書  (第一四六号)  四国縦貫横断自動車道早期建設に関する陳  情書  (第一四七号)  第六次道路整備五箇年計画策定に関する陳情  書外一件  (第一四八号)  海岸及び港湾等整備事業改善に関する陳情書  (第一七三号)  尾瀬分水反対に関する陳情書  (第一七四号)  中部圏における保全区域整備強化に関する陳  情書  (第一七五号)  駐車場対策確立に関する陳情書  (第一七六号)  瀬戸大橋の架橋促進に関する陳情書  (第一七七号)  公営住宅入居基準の引上げに関する陳情書  (第二〇九号)  東部大阪治水対策事業促進に関する陳情書  (第二一〇号)  県道志度脇町線の国道昇格等に関する陳情書  (第二一一号)  建築基準法の一部を改正する法律案成立促進  に関する陳情書  (第二  一四号)  建設業法の一部を改正する法律案の一部修正に  関する陳情書  (第二一五号)  黒ノ瀬戸架橋に関する陳情書  (第二三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  住宅基本法案小川新一郎君外二名提出衆法  第二三号)  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第八七号)  建設行政基本施策に関する件(大阪市のガス  爆発事故)      ――――◇―――――
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  小川新一郎君外二名提出住宅基本法案議題といたします。
  3. 金丸信

    金丸委員長 まず、提出者から提案理由説明を聴取いたします。小川新一郎君。
  4. 小川新一郎

    小川(新)議員 ただいま議題となりました住宅基本法案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  住宅は、国民が円滑な家庭生活人間形成及びあすの社会活動を十分に行なう場としてきわめて重要な役割を持つものであります。まして住生活安定向上がなくしては、家庭生活のみならず社会生活においても、また、社会秩序においても悪い影響を及ぼし、健康で文化的な生活を営むことは望むべくもないことであります。  わが国の住宅事情は、過去二十数年間に一千万戸以上の住宅建設されてきたにもかかわらず、経済の高度成長に伴い人口の都市集中化世帯細分化等によりまして、その需要は激増を続けており、依然として深刻な実情となっております。  わが党は、かかる事態に対処するため、公営による一世帯住宅実現を目標として住宅難解消のため具体的な方策を促進していますが、住宅対策には量による不足戸数解消のほかに、質の向上をはかっていく必要があり、さらに、宅地供給促進その他住宅に関する総合的、かつ基本的な施策を強力に推進する必要があると考え、この法律案提出することといたした次第であります。  次に、この法律案要旨について御説明申し上げます。  まず第一に、国は国民に健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を確保し、一世帯住宅一人一室の実現を目途とする施策策定、及び実施責任を、地方公共団体は国の施策に準じ、その地域に応じた施策及び実施責任を持つことといたしました。  第二に、国は国民住生活向上をはかるための適正な住宅基準及び住居費負担基準を定めるものとし、国及び地方公共団体は、定められた基準に適合する住宅に居住できるようにするため、住宅費補助等施策を講ずることといたしました。  第三に、国は住宅需要及び供給に関する長期見通しに即して、住宅建設についての長期計画策定することとし、国及び地方公共団体公営住宅等の君建設促進し、また、その譲渡の制度を設ける等の施策を講ずることといたしました。  第四に、国は低額所得者等に、適正な規模の住宅供給する事業を行なう者またはみずから居住する住宅建設する者に対し、長期低利資金の融通の円滑化と税制上の考慮を払うとともに、銀行その他一般の金融機関が行なう住宅建設等に必要な資金の貸し付けに対する保険制度整備をはかる等の施策を講ずることといたしました。  第五に、国は住宅地居住環境を良好に保護するための必要な施策を講ずるものとし、国及び地方公共団体宅地開発供給土地価格の安定、住宅の災害からの保護のための施策を講ずるほか、公共施設整備促進等につとめることといたしました。  以上が、この法律案提出する理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。  以上でございます。(拍手)
  5. 金丸信

    金丸委員長 以上で提案理由説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 金丸信

    金丸委員長 次に、内閣提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田之久君。
  7. 吉田之久

    吉田(之)委員 私は、ただいま議題となっております道路整備緊急措置法に関連いたしまして、特に国道バイパスの問題で一、二の例を申し上げまして、この問題点をお尋ねいたしたいと思います。  実は大臣がお見えになっておりませんので、まず政務次官にお聞きをいたしますが、去る三月二十三日付の陳情の中に「遠賀バイパス路線位置変更についての陳情」というのが出ております。紹介議員は、わが党の伊藤卯四郎代議士であります。陳情者は、遠賀郡の遠賀バイパス路線変更期成同盟会長小田友亀という人の名前で建設大臣あてに書かれております。これはすでに大臣も御承知のはずであります。したがって、政務次官局長らもその事情についてはよく御承知だろうと思いますけれども、要するに、遠賀町におきまして民間の宅地造成が行なわれております。それは町自身もいろんな形で後援をしているようでございます。この宅地が造成されました分譲地に、現在すでに百数十戸の人たちが永住の地を求めてそこに移住をしてきております。しかしながら、ただいまその宅地分譲中に、しかもまだ入居者が閑寂な土地を求めて入ってきたばかりであるのに、その住宅団地のどまん中国道三号線のバイパスが通るということが問題になって、現地ではたいへん困惑をいたしておるようでございます。特に入居者につきましては、全然約束が違うではないかということで、その宅地造成者に対するふんまんはもとより、建設省そのものに対してもたいへん疑惑を感じておる。どうもあらかじめそういうことは建設省自身が知っておったようである。だとするならば、まことにもって入居者に対しては迷惑千万な話ではないか。道がつくということが当初から予定されておるならば、われわれはここに入らなかったはずだ、われわれがここに入居するときの条件としてあくまでも閑静にして清澄などといううたい文句で勧誘されておるのに、来てみればこういうことになっているようでは全く話にならぬではないかというようなことで、たいへん深刻な陳情が出されているようでございます。
  8. 金丸信

    金丸委員長 静粛に願います。
  9. 吉田之久

    吉田(之)委員 その間の事情につきまして、建設省自身、今日まで調査されました内容などをまず御説明いただきたいと思うわけでございます。
  10. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 遠賀バイパスのいままでの経過を御説明いたします。  これは、遠賀町の現在の国道三号線、これは二車線道路でございまして、非常に混雑しておる、四十三年の交通量で大体二万台ぐらいが通っておる状況でございます。こういうような、今後さらに激増する交通に対するために四車線バイパスをつくろうということで、予定路線につきましては数年前から調査してまいったわけでございまして、東側の地形からいいますと、遠賀川に現在古い二車線の橋と新しいもう二車線の橋がかかっておりまして、それをもとにいたしましてバイパスをどうするかということでございます。西側のほうは人家のない岡垣町についておりまして、その間でいろいろ計画路線調査をしておったわけでございます。たまたま四十二年の夏ごろから、信和興産という株式会社がそこで農地を買いまして宅地造成するという話を聞きました。すぐ町当局と話をいたしまして、この信和興産のやっております第一期の宅地造成工事に支障のないように、その外側を回したわけでございます。用地買収は、四十三年度に信和興産からすでに済んでおるわけでございます。実はその後、さらに第二期工事がいまのバイパス北側実施されておりまして、そういうことを考えますと、いま先生のおっしゃいました非常に閑静な土地だということで土地を買ったという人からいろいろ苦情がきておることも事実でございます。実はこのバイパスは、どうしてもバイパスが必要だということはだれも認めておることだと思います。  では、そのルートをどうするかということが一つの問題かと思います。私たち考えでは、やはりバイパスといいましてもその周辺は相当市街化するようなところでもございますし、そういうことも考えまして、バイパスといいますと、騒音で一番悩まされております東京でいいますと環状七号線、ああいうような形の構造では困るだろうということで、かなり用地の幅、標準全断面で約三十六メートルをとりまして、その中で道路を高くいたしまして、ほんとうバイパス通過交通に対しては車道の幅を二十メートル程度とりまして、その外に四メートルから八メートルくらいの側道を設ける。さらに、そののり面には木を植える、その他でできるだけいまの通過交通による騒音を排除する、少なくしていくというような形で、このバイパスの完成をいま計画しておるわけでございます。  さらに、このルート変更といいましても、いまの遠賀川の橋の状況から考えまして、これをもっと北側にするということは、道路が非常に無理な線形になりましてかえって交通事故のもとにもなりますので、そういうような騒音対策の万全を講じまして、この計画実施していきたいというふうに考えておるような次第でございます。
  11. 吉田之久

    吉田(之)委員 局長からいま御説明がありましたけれども建設省がこのバイパス路線を決定して同時にその用地買収された時期と、この宅地造成業者宅地造成を始めて入居者を募集した時期と一体どっちが先なんですか。
  12. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この信和興産というのが第一期の宅地造成を行ないまして、分譲予約を開始したのは四十二年の七月でございます。これは第一期の宅地造成分譲予約でございまして、その後うちのほうと町を入れまして信和興産と話しまして、四十三年にその北側信和興産土地になっておりましたそれの買収をしたわけでございます。
  13. 吉田之久

    吉田(之)委員 そうすると、先に信和興産がこの辺に団地をつくろうということをきめていろいろと事業をやりかけたところへ、さらに建設省がここヘバイパスをつくるのだということであとから割り込んだかっこうになりますね。そういう場合、どうしてもそこを通らなければバイパスがつけられないというふうな、絶対どうにもならない条件であれば別といたしまして、大体この辺にバイパスをつけたいと思う場合に、その辺に最近でき上がりつつある住宅などがある場合には、それを何とか避けて通ろうというような努力は全くなされなくていいのかどうか。もしもなされたとするならば、その辺どのような検討をされたか。あるいはすでに分譲予定地入居を希望している人たちなどがわかった場合には、そういう人たちとの交渉は持たれなくともいいのかどうかという問題についてお聞きします。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 私たちバイパスルート計画いたします場合は、やはり地形的な制約が相当ございます。ただ、地形的な制約のほかに、そういうような既成の団地について、また団地計画のあるものについて、こういうものとの調整はやはりとらなければならないと思います。ただ、そういうものが理想的にとれるかといいますと、やはり地形的な問題もございまして、必ずしもそれがうまくいくとは限らないと思います。そういう場合に、じゃ私たちの一般的な考え方ですが、どうすべきかということでございます。やはりいまの交通の増加に対してはバイパスというものが必要でございますので、そういう点の御理解を願うことと、道路をつくる面においても、できるだけ騒音周辺に波及しないような構造をとるというようなことが必要だというように考えております。現にそういうような考えで、このバイパスにつきましてもできるだけ防音壁その他の方法騒音を防ぐ方法を講じてまいりたいと考えております。
  15. 吉田之久

    吉田(之)委員 ほとんどこの信和興産宅地造成をやり始めた時期とそれから建設省バイパス予定地として買収した時期とは相前後しているわけですね。私はこういう場合、ある日突然建設省が、あるいは地建がここへ道をつけるんだというふうなことを申し入れるというようなことではないだろうと思うのです。それに先立つ何カ月かあるいは場合によれば何年か前から、大体この辺のバイパスはどの辺につけるべきであるというふうなことは、いろいろ下準備をしているはずでございます。当然そういう重要なバイパスの問題になってくれば、その当該の市町村もあらかじめいろいろと相談に乗っているはずだと思うのです。にもかかわらず、その町がいろいろと後援して宅地造成をやっておるその場所に、入居者がきまってから直ちにバイパスが走るというふうなことがあり得てはならないと思うのです。これは当然最大の慎重な配慮をするならば、あらかじめ予見し得ることだと思いますし、またトラブルを防止する意味からいいましても、もう少し何らかの措置ができたはずだと思います。その辺、たいへん私どもは、住民人たちが——何か建設省と町とあるいは宅地造成業者とがツーツーで、道をつけるから、しかしそれは黙っておいてまずこの辺に宅地造成をしておこうじゃないかというふうなやりとりがされておったのではないか、何かからくりがあるのではないかというふうに住民の側がたいへん疑ってかかっておりますけれども、むしろ住民のほうがそう思うのも当然だと思うのです。なおふしぎなことは、せっかくそうして昭和四十二年にバイパスが通るということがいま局長説明のとおりきまっておりますのに、そして地方でも、これはことしの二月二十一日の朝日新聞でございますけれども、相当大きく記事が取り上げられております。「バイパス団地クシ刺し 福岡県遠賀町 もう騒音ご免住民が一斉に建設反対」というふうなことで、こういう新聞が出ております。私がどうしてもおかしいと思いまするのは、これが記事になっておりますのが昭和四十五年の二月二十三日です。ところが、それよりおくれて、これは二月二十八日でございますけれども、五日間おくれてなお新聞広告に、しれつとして「宅地分譲の部」と「建売分譲の部」と二つに分けて、「閑静にして清澄 通勤、通学に最適 平坦なる住宅地」というふれ込みで入居者の募集の広告が出ておるわけです。これは明らかに誇大広告というか不当表示というか、そこにバイパスがつくことがわかっておりながら、依然として、静かな住宅地ですよ、どうぞお入りくださいというふうな広告をしている。これは一体どういう神経なのか。あるいは建設省としても、そんなことは全くあずかり知らぬということで避けて通れることなのか。いずれにしても、住民の側からいえば全く看板に偽りあり、約束違反じゃないかということで、これはとてもおさまる問題ではないと思う。私は、この問題について事前に、あるいは事後に町当局などと建設省とがどういう話し合いをされているのか、特に住民不信感を除くために何らかの措置がされているのかどうかという点をお聞きします。
  16. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はわれわれ、このバイパスルート調査をしております四十二年の九月に、この宅地造成の話もございまして、遠賀町の当局ルートの打ち合わせを行なっております。その際に信和興産が立ち会っておって、それ以後の分譲地について、十分信和興産もそういう国道バイパスができるということで納得しておったものだというふうに考えております。ただ、いま先生のおっしゃいました国道の通るということを何も知らせずに予約をとったという問題が誇大広告かどうかということになると、非常に問題があろうかと思います。そういう話もございまして、いまの四十五年ぐらいの予約広告には、国道沿いというようなことも掲げてあったように聞いております。どっちにいたしましても、国道バイパスというのは公共的な性格の非常に強いものでございまして、やはりこういうものと住民生活環環を悪化する騒音の問題、これをわれわれが道路をつくる際に、どう調和していかなければいかぬかという問題もあるかと思います。この場合は町も入れまして信和興産買収した土地をこちらが譲ってもらったというような形でございまして、その間に、町と信和興産建設省の間に特にいろんな批判されるようないきさつというものはないというふうに聞いております。ただ、この三者の話のときには、やはりいまの遠賀川の橋を、旧橋はいずれかけかえなければいかぬ、そのときに新橋に添加してかける、そこが四車線になるということで、そこからルートバイパスの起点をそこに持ってきたために、第一期の宅地造成ではその北側を通って外側へきておりますが、どうしても第二期宅地造成の中に入ってきたというような結果になったわけでございます。先ほど言いましたいまの国道公共性とそれから住民環境の悪化とどう調和させるかということで、今後地元民と十分交渉を持ちまして納得のいくような構造にしてまいりたいと考えております。
  17. 吉田之久

    吉田(之)委員 確かに広告には「国道沿い」と書いてあるようです。ところが、遠くてこの地図はごらんになりにくいでしょうが、国道は横を走っておるのです。駅があって、国道三号線があって、すぐにそれに隣接して新町団地ができておる。その団地のどまん中を、もう一ぺんバイパスを通すというかっこうになっておるわけなんです。ここに住民人たちの切々たる陳情文が一ぱい来ております。これは、この問題のためにも、あるいは将来のバイパスあるいは道路そのものを新設する場合などにも、住民気持ちというものはもっとそんたくしてやってもらわなければならないということを申し上げたいために、ちょっとはしょって読み上げさせてもらいたい。「私どもは、昨年スモッグと騒音大気汚染の北九州の公害からのがれて、清澄で閑静な土地を求めて、この遠賀町に住居を移した薄給サラリーマンです。」みんな同じ気持ちの、われわれ、皆さん方、よく理解できるサラリーマンの一群です。「清浄な大気によって取り戻した健康が私ども唯一の財産と喜んだのも束の間、現在百三十五戸、この住宅地の中央を無情にもバイパスが縦断すると言うのです。業者が掲げた町後援と言う美名につられてまったく安心して買いました」、この辺の事情はよくわかります。町が後援しているのだからめったに間違いないだろうというので信じ込んでいると思うのです。ところが、「この地にこんな無謀な計画がかくされていたとは全然知らず、会社の融資となけなしの財布の底をはたいて、苦しいやりくりの末やっと狭いながらの小さな我が家が実現した矢先に、軒先すれすれの四車線から多量の排気ガスと填りが容赦なく疾風の様にまきこむ事を思えば、一家の健康管理をする主婦の心が痛みます。年から年中雨戸を閉ざさなければならない様な陰うつで息づまるような生活と、間断なく猛スピードで走る車がいつ飛び込むかも知れぬ生命の危険におびえながらのぞっとするような生活が私どもを待ち受けているのです。」もちろんいまの局長の御説明のとおり、新しいバイパスですから、車がいきなり飛んでくるだろうというふうなことはめったにあるとは思えません。しかし、被害者の側である住民人たちからの懸念あるいはおそれというものは、十分に察しられるものがあります。しかもこの人たちの言によれば、建設省がせっかくバイパスをつけようとするその場所は非常に軟弱な地盤であり、「地盤沈下と振動による家屋の損傷を肯定しながらも尚道路計画にもとずいて強行しようと言うのです。」というふうな受け取り方をしているわけなんです。いろいろと書いておりますけれども、要するにサラリーマンほんとうに自分の生涯の最後の望みと希望をかけて、なけなしのさいふの底をはたいて、しかも町が住宅をさらに整備する意味後援してやってくれている信頼すべき宅地だということでざあっと押しかけているところへ、やにわに国道バイパスを敷いていくというふうなことでは、これは住民とのトラブルはたいへん想像にかたくないものがございます。  そこで私は、どうしてもこのような団地をくし刺ししたバイパス変更することができないのか。あるいはわれわれ常識的に考えましても、あるいは地元の伊藤代議士らの言によりましても、もし少し北側に寄せて、いまおっしゃる遠賀川をまたいでバイパスをつくれば、少し工費は高くなるかもしれませんけれども、全体の路線としてはもっとまっすぐに、理想的なバイパスができるような気がしてならないのです。その辺のところ、さらに現地とも折衝を重ねられまして、ただ単に国道バイパス建設省がもう路線を決定したんだから、どんな事情があっても動かせないんだというふうなことではなしに、一そうのあたたかい配慮をなされなければならないのではないかという感じがいたします。  局長からお答えいただいて、なお大臣自身もこの問題は陳情を受けておられるはずでございますので、ひとつこうした団地のどまん中にくし刺しのバイパスが走っていく、団地というものが先にあって、そのところへバイパスが走るというふうなことはつとめて避けられなければならない問題だと思いますが、大臣のお考えをお尋ねいたしたいと思います。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この問題は、やはり先生のおっしゃいましたように、一番大きな問題としては、閑静な郊外へのがれた住宅地だということで、そこへ行ってみたら国道が通る、その国道計画をよく聞いてみると、もうすでに四十二年くらいから町と信和興産の間で話がついている、その辺がだまされたというようなことが、これが一番大きな問題ではないかと思います。まあ国道と申しましてもいろんな構造国道がいまございますので、現在ここでつくろうといたしますのは、先ほど言いましたように敷幅三十六メートルで、その中で盛り土をして四車線の車道が通るということになると、車道の端から道路のふちまで大体十メートルあると思います。さらに、その外側にやはり四メートルぐらいの一つの側道みたいなものも信和興産のほうは考えているということも聞きますと、やはり一番道路に接近しておる住宅でも、いまの車道の端からは十五メートルくらいになるんじゃないかということでございます。それから、斜面にいろいろ防音のための植樹とかそういうことをするということで、まあもう少し現地でそこの住民の方とよく話し合って、一体どうしたらそこに入った人の希望もかなえられるし、国道バイパスというような公共性の強い施設もできるか、この辺はやっぱり構造の問題としてよく話し合って解決する以外にはないという、そういう考えでございますので、今後この問題については九州の地方建設局を通じまして、よく地元との折衝を持つように指示したいというように考えております。
  19. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘の点については、実は総理あての陳情書もございまして、私もその陳情書を見たときに、ちょうどあなたの御発言になったような状況なので、さっそく関係事務当局それから地建を呼びましてどうなっているか聞きましたところ、この路線については町当局と十分打ち合わして、ぜひこれ以外の方法はないというようなことで、それで着工したのです。ところが、その後になって一方において町では団地形成もやっている。たいへんどうも、そういうふうにきめて着工してからそうなったので、まことにその点の手違いが現地にあったようです。しかし、いまさらそれを責めてもしようがありません。  それでは、その路線をもう一本かけたらどうなるかというと、そうするとあの遠賀川に、近いところに三本ということは、どうしてもこれは必ずしも適当でないということで、ただいま道路局長が御説明申し上げましたようにできるだけ公害、騒音を、その害がないように設計をするということでこれは了承していただくよりほかはない、こう考えまして、極力地元住民の皆さんの御意見をも聞き取りまして、可能な範囲において公害の少ないようにいたしてまいりたいと考えている次第でございます。
  20. 吉田之久

    吉田(之)委員 いまの大臣の御説明あるいは先ほどの局長の御説明でだいぶ問題が明らかになってきました。一番の問題は、これは遠賀町というのでしょうね、町があらかじめどちらのことをも知っておったということです。団地をつくろうという計画を知っておるし、指導しておる。地建のほうからバイパスの話があって、それも知っておる。これは町のジレンマというか、あるいは背信行為というか、住民はおさまらないと思います。橋を三本もつけられないとおっしゃいますけれども、一本は鉄道のはずでございます。したがって道路が二本になるか一本になるかという問題。むしろ建設省としては、できるだけ橋を一本にして提防のところからすぐに分岐しようという考え方が発想の一番中心である。そうすると、この団地をくし刺しせざるを得ないということになっているのだろうと思います。私はやはり、たかだか百五十軒、三百軒の住宅団地程度はどうでもいいじゃないかというふうな考え方は捨てられなければならない。やはりその辺の住民に対するほんとう不信感をなくする、建設業者に対する心からの協力を求める、政治そのものに対する信頼を高めさせる、もろもろの意味から考えても、なお私は検討の余地があると思います。どうしてもできないというならば、やはりだまされて入った住民に対する何らかの措置を、町や宅建宅地業者がみずから負わなければならないだろう。そういう点の指導も建設省としてはこの際ぜひなされたいと思うのでございます。  実はいま一つの問題は、奈良県におきまして国道二十四号線のバイパスの問題があります。この国道二十四号線は、御承知のとおり京都から和歌山に走っております。古都である奈良のどまん中を走っております。
  21. 金丸信

    金丸委員長 静粛に願います。
  22. 吉田之久

    吉田(之)委員 三条通りなどは、国道でありながら一方通行になっておるというような、非常に妙な路線であります。そこでバイパスをつくろう。ところがこのバイパスが、平城宮跡のまん中は通せないということで、文部省からストップがかかりました。どこも通しようがないというので、国鉄関西線に沿ってたいへん妙なくねり方をしながらバイパスの路線が決定された。たまたまその路線が奈良市立の一条高校という高等学校の真横を通ります。しかも一部そのグランドにかかります。野球場のバックネットのうしろの空地などは、今度のバイパスによって約百坪ほど削り取られるという状態であります。私はこの際、その学校などの横にたいへん交通がふくそうする、場合によれば一日に四万台から六万台通るだろうというふうに予想されます、そういうバイパスが通る場合、学校の教育環境というものは根底から破壊されると思います。しかし、御承知のとおり奈良というふうな史跡、文化、いろいろな点で非常に制約を受けております場所でございますので、やむなくその学校の横を通さなければならない、こういう場合に当該教育施設に対して、建設省はそのバイパスを通すことについてどのような援助措置あるいは環境の保全をしなければならないか。ちょっと普通の場合と事情がずいぶん違うようでございますので、学校当局も非常に悩んでおります。この辺のところにつきましてお考えをただしておきたいと思います。
  23. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生御指摘の一般国道二十四号線の奈良バイパスでございます。これは先生もいまおっしゃいましたように、ルートについて文化財との問題で数年間かかりまして、やむを得ずこういうところを通さざるを得なくなったのでございます。その際に、先生もおっしゃいますように、高等学校のすぐ近くを通るということになりますと、将来の交通の増加によりまして相当騒音が出てくるということに対する学校側のいろいろ陳情もあったのでございます。また私たちも、こういう道路をつくりまして、それの上を通ります道路騒音につきまして今後どういう対策をとるか、それは将来の道路計画の非常に大きな問題だと思います。ただ、道路の上の交通から発生する騒音の問題は、環境によって非常に違うと思います。たとえば東京の中の環状七号線の周辺騒音ですが、一体こういうものはどうやって除去するかといっても、これは非常にむずかしい問題だと思います。では、そういうような新しい道路をつくった場合に、周辺に与える環境道路計画の中で、道路工事計画の中でどう対処していくかという問題になろうかと思います。一般的に考えられますのは、特にそういうような静かなことを要求される病院とか学校、こういう公共施設に対してはどうするかという問題さらにもっと付近の住民に対してどうするかという問題、これはいろいろむずかしい問題でございまして、現在の道路をつくる際のいろいろな補償の問題、これの基本的な問題にからんでくるわけでございます。ただ、いまなるべく騒音を少なくするようなコンクリートの防音壁、そういうようなものも一応検討はしております。しかし、車道から発生いたします騒音は上に広がっていきますから、なかなか三メートルか四メートルくらいのもので周辺が全部それで静寂になるということも不可能かとも思います。また、お話を聞きますと、いまの一条高等学校につきましても木造の校舎もあるような話を聞いております。木造の校舎というのは将来コンクリートか水久建築物に改造されるものだということだと思いますので、市、その他と話しまして、そういうものをなるべく教育環境のいいような校舎に建てかえるということ、それからその際に、いま私のほうが、どれだけそういうものに対して補償という形で援助できるかという問題が出てくると思いますが、この問題は、補償の全体の要綱に関する問題でございますので、慎重に検討いたしたいと思っております。慎重に検討の上、できるだけ環境の悪くなることを防ぐような方向でこれを検討してまいりたいと思います。
  24. 吉田之久

    吉田(之)委員 文部省のほうも来ていただいていると思います。もともとあなたのほうの管轄ではありませんけれども、文部省が平城宮跡があるから東へ寄ってくれと言ったのが原因なんで、しかも結局、その一番の被害は文部省がめんどうを見なければならない一つの学校にしわ寄せされてきたということであります。学校当局に言わせればたいへん迷惑だと思います。文部省は、こういういきさつがあるバイパスが敷かれることによって起こる障害に対してどの程度援助してくれるであろうかというのが、市教育委員会や学校当局の一番の心配の種であります。文部省のほうに聞いてみますと、実はいささか迷惑です、私のほうの学校が先にあって、そこへ建設省バイパスをあとから持ってくる、もっと敷きようはないんですかというようなお気持ちのようであります。その事情気持ちはわかります。しかし、先ほどの団地の例といい、今度の高等学校の例といい、そのままほっておくわけにはまいらない問題でございます。文部省としては、騒音防止のために今後こういうケースの場合にはどのような措置がとらるべきであるというようにお考えであるか、また、こういう場合に建設省はどの程度責任を分担し、あるいは教育側の文部省はどの程度みずからこの問題を解決しなければならないというふうにお考えになっておるのか、その辺のところを御説明願いたいと思います。
  25. 菅野誠

    ○菅野説明員 文部省の施設部長の菅野でございます。  ただいまお話がございました奈良市立一条高等学校周辺バイパス問題のことでございますが、いまお話があったかと思いますが、生徒数が千四百七十二名、学級数三十三学級というような中規模よりは少し大きい高等学校になっております。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 保有面積は、校舎が約三千平米で屋内運動場が約二千平米というような学校でございます。この学校は、御案内のように奈良市の北西部にありまして、このたび校地の東側に、ただいまお話がありました国道二十四号線が建設されるということになったわけでございます。それで、これによりましてお話しのように学校施設に対する環境が阻害されるという問題が生ずるわけであります。たてまえといたしましては、先ほども道路局長のほうからお話がありましたように、建設省のほうで校地との境界に、ただいま伺っているところでは、高さが三メートル、延長が七十メートルの防音壁建設して、これを騒音防止に役立てるという計画があるということを聞いております。しかし、その結果が完全であるかどうかということには若干疑問を持っておりますので、なお引き続いて文部省としては、この学校環境といいましょうか、教育施設の特殊性にかんがみまして、騒音防止その他につきまして実態調査をした上で、できるだけ教育環境がいい状況に保全されるように建設省に特段の御配慮をお願いしたいと考えております。  なお、つけ加えて申しますれば、この学校は、先ほどもちょっとお話がありましたように、木造の校舎のようでございます。したがいまして、この木造がただいま危険校舎になっておるかどうかちょっと調査をいたしていないようでございますが、市、県のほうでよく調査をいたしまして、耐久度が非常に落ちているということでありますれば、その危険校舎の改築の機会に鉄筋で改築をさせまして、そのときにできるだけこの騒音を、同じ校地内でありましてもバイパスから遠ざけて建てるというように指導するようになるかと思いますが、文部省といたしましては、その改築の場合の補助あるいはその技術指導ということは可能でありますので、できるだけその方向で努力したいと思っております。  なお、先ほどからお話がありました公害防止という問題につきましては、たてまえとして教育施設に対する公害は、加害者負担主義と申しましょうか、その損害賠償という形でまいりましょうか、そういう意味におきまして、建設省のほうと連絡をとりましてお願いする方向で進んでまいりたい、かように考えております。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
  26. 吉田之久

    吉田(之)委員 時間がございませんので、そういう点から大臣に一つの要望をしておきたいと思います。道路というのは、今日国民にとりましてはどうしてもなくてはならない、しかもすみやかに整備されなければならない重大な課題であります。しかし、同時に、道路が持つ公害という面から見れば、できるだけそのそばを道路が通って公害を受けることは避けたいという背反する住民の側の要求がございます。これは道路自身の持つ一つの内部矛盾のようなものでありまして、そこで、特に学校とか病院とか住宅地、こういうところに対するその道路整備あるいはバイパスの新設というような場合には、先ほど来申しております点について、建設省として、特に大臣にはいろいろと最大の御配慮を尽くしていただきまして、住民人たちが一部泣き寝入りすることのないように、特に弱い立場の人たち、学校の生徒であるとかあるいは病人であるとか、あるいはなけなしのさいふの底をはたいて集まってきたサラリーマン人たちに犠牲が集中することのないように、ひとつ積極的な御尽力をいただきたいと思います。特に今度の場合は両省にまたがりますので、ひとつ各省とも精一ぱいの配慮をしていただきたい。同時に、私は、この道路の被害、特に公害、特に騒音ですね、これはいまこれでいいだろうと思っていても、だんだんとなお予見できないいろいろな状態が出てまいります。いわゆる交通事故の後遺症みたいなもので、あとでどうなるかわからないというような問題があります。そういう時間の流れの中で起こってくる後遺症的なことに対する措置というものも、建設省が相当長期にわたって、道路を敷設した場合には責任を持つんだという姿勢がなければならない。それがあれば、今度は住民の側もずいぶん信頼すると思います。まず当面これで処置してください、また、ひどくなれば建設省がよくしてくださるでしょうという信頼感ができれば、これから道路を次々と新しくつくっていかれる場合にも、よけいなトラブルがずいぶん事前に防止されるのではないかというような気がするわけであります。その点、大臣いかようにお考えかをお伺いいたしまして、なお聞きたいこともございますけれども、時間の関係で私の質問を終わります。
  27. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように、道路需要が非常に熾烈であると同時に、道路に基づく公害に対する抵抗も、これまた非常に敏感になってきております。この点はわれわれも十分配慮しておりまするが、これはどうも建設省だけではなかなかできない。で、交通事故等そういう総合的な対策については、いま総理府の山中総務長官のところでいろいろくふうしてやっておるところでございまするが、建設省といたしましては、ただ道路をつくればいいというようなことでは現在ではございません。その道路をつくった場合に、その道路をいかにその地域地域が総合的に活用するかということを配慮してほしいという指導方針をもって、特に地方自治体に臨みたいと思っておるのでございます。そういう意味で、たとえばバイパスをつくると、すぐに今度はそれに接続してだあっと店ができてきてしまって、もうそれがすぐ事故の原因をつくっておる。だから、バイパスをつくった場合にはしかるべく、それと同時に、私は、地方自治体でこれを一つの都市改造の計画と一緒にしてほしいということを実は申しておるのでございます。都道府県はもとよりのこと、たいていのちょっとした大きな市になりますと企業局的なものを持っておりますから、そこで、それを都市改造に使ってほしいというふうにお願いしておるわけでございます。そうでもしないと、道路をつくったことがかえって連鎖反応的に交通公害を誘発してくるということでは困る。  それからもう一つ、御質問がございませんでしたけれども、従来は鉄道と道路との関係、これは必ずここで、その鉄道を高架線にするときに、御承知のように鉄道関係が経理が悪いものだからやらない。そうするとバイパスをつくっても遮断されてしまっている。そこで、これは英断をもちまして道路側が大部分負担をするというところまでやって、改善をしておるわけでございます。今後、特に過密現象の地区におけるバイパス等は、安全施設を十分配慮してこれをつくっていくということで、いま吉田さんから御指摘になりました点は、ただ延長だけではない、これから安全にしてかつその道路地方のよりよき生活環境にプラスになるような措置考えながらやっていこうということで、指導しておる次第でございます。      ————◇—————
  28. 金丸信

    金丸委員長 この際、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  29. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、主として大阪ガス爆発事故についての建設行政について、通産行政とからませながら質問をするつもりであります。爆発のありました翌日、社会党の調査団として現地のほうに九日早朝から行ってまいりまして、つぶさに被害の状況を見てまいりました。先般の委員会建設大臣から、被害の状況調査された結果について大臣としての所見を述べられたわけでありますが、この事故の起こった背景として、幾つかの人災的な問題を指摘しなければならぬと思うわけであります。そういった面について御質問をいたしますので、的確に御答弁をいただきたいと存じます。  御承知のように、大阪府におきましては、万博という問題を中心にいたしまして六十四キロの地下鉄が開通をした。四、五年の間に約三十キロ近くが延長できた。このことは、世界に類例のない軌道開発の早さであります。このスピードを誇っておった大阪市に、突然あのような大きな爆発事故が起こったわけでありますけれども、早かろう悪かろうという工事だけあって、安全工学あるいは組織工学、こうしたものが全く無視されておるということを私は知ったわけであります。ところが、そうした工事のあり方とうらはらに、国のとってこられておる行政にもきわめて重大な欠陥があるのではないかという気がしてならぬのであります。  まず、通産政務次官にお尋ねをするわけでありますが、政務次官とは商工委員会等でもときどきたいへん失礼な質問をするわけですが、またたいへん失礼な質問で申しわけありませんけれども、お許しをいただきたいと思うのであります。  実は昭和四十四年十二月二十五日にガス導管防護対策会議報告書というものが——御承知のように板橋のガス爆発事故後にガス導管防護対策会議というものが設けられて、これが通産省に報告をされておるわけでありますが、この報告書に対して通産省側はどのような措置をとられたのか。たとえば建設省に対していつこの対策会議の結果について合い議されたのか、こういう点について政務次官のほうからお答えいただきたいと思います。
  30. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 これは各省にも連絡いたしましたし、今度の大阪ガス爆発に対しては、ことしの二月でございますか局長通達を出しまして、私のほうで担当官を大阪市の大阪瓦斯に送っております。
  31. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 このガス事業法の一部を改正する法律案が通過した日に爆発でありますけれども、実はこの法案を審議しておる際に、商工委員会で公益事業局長は、委員の質問に答えて、「非常にガス爆発の事故というものが累積をしておる。統計的にいうならだんだんとふえてきておるわけであります。」、これは商工委員会提出された資料をもらったわけでありますけれども、「年々事故件数というのは増加をしてきておる。したがって、ガス爆発事故について事前の対策を強化するために、各省に対して具体的に指示をし、あるいは協力を要請しております。」、こういうふうに委員会会議録を見ますと記載されておるわけでありますが、その点は間違いありませんか。
  32. 馬場一也

    ○馬場政府委員 お答え申し上げます。  先ほど政務次官からお答え申し上げましたように、このガス導管防護対策会議の報告書が出ましたので、とりあえず、ことしの二月九日に公益事業局長名をもちまして、建設省道路局長それから建設業界の団体であります土木工業協会の会長、それから特に他工事関係ということで帝都高速度交通営団総裁、それから東京都、横浜市、名古屋市、大阪市、札幌市の各交通局長あてにこの報告書を送付いたしまして、そしてここに書かれておる事柄につきまして、いわゆるガス事業者から見ますれば他工事関係、こういうことになるわけでございますが、他工事関係の当局におかれましても、ガス事故に関する防止対策の強化拡充をお願いしておるところでございます。同時に、本内容は、ガス事業者の団体であります日本瓦斯協会の会長、それから各通産局長にも通達をいたしまして、ここに盛られた趣旨で防護対策を強化するようにという通達をいたしておるわけでございます。
  33. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは建設省にお尋ねいたしますが、私がここに資料としていただいておるこの資料は、実はいまの公益事業局長の答弁とは逆に——公益事業局長は、二月の九日に建設省道路局に対して文書で要請した、こういうように言っておりますけれども、私の手元に来た資料によりますと、建設省道政発第二十七号、昭和四十五年四月六日——爆発する二日前であります。四月の六日に、建設省道路局長名で各道路管理者あるいは都道府県その他に文書通達をしておるわけであります。その文書の内容としては、「通商産業省にガス導管防護対策会議が設置され、ガス導管の防護対策について検討の結果、その基本的な考え方が、問題点について別紙報告書のとおり結論が得られたので、道路管理者としては本報告書の旨を尊重し、事故の防止につとめるよう配慮願いたい。特にガス導管に限らず、他の占用物件について」云々という文書が四月の六日に出されておるわけですよ。二月九日に、通産省が建設省のほうに依頼をして、それが道路局から文書が出るのは四月六日であります。爆発の二日前であります。何でこんなに——導管会議がせっかく約六カ月かかって出した結論、これが一番の末端の道路管理者の手元に行ったのは四月の六日であります。なぜこういうふうな遅滞というものが行なわれるんですか。その点についてお答えいただきたいと思います。
  34. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路工事または占用工事に起因するこういうガスのトラブルにつきましては、昨年板橋の事故がございまして、その後すぐ道路局長名で「道路工事又は占用工事に起因する事故の防止について」ということで、監督の強化それから今後の立ち会いの強化、事故処理の対策の確立とか占用許可の際の留意事項、こういうものを全部昨年の三月二十四日に出したわけでございます。その後いまの通産省の会議がございまして、そのつど板橋のガス爆発から得られる教訓につきましては、道路課長会議、土木部長会議の際、いつも道路管理の強化ということで注意を促しておったわけでございます。たまたま今度の、先ほど先生の御指摘の四月六日に出したというものにつきましては、二月に通産省のほうからそういう正式の話がございまして、その後やはりこういうものについての防護の対策をどうするか、もちろんこの会議できまりましたことを実施することでございますが、道路管理者としては、またそのほかの連絡の問題その他もございまして、その方法を検討しておったわけでございます。たまたま爆発の二日前に出したということは、その間で多少の通達のおくれたことは申しわけないと思います。内容につきましては、先ほど言いましたように、土木部長会議道路課長会議で常に道路管理の強化ということで、最新の情報その他を道路管理者によく知らせておったわけでございます。
  35. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 今度の問題は、非常に偶然というのが重なり合っておるわけです。いま申し上げましたように、この対策会議から出されたその建設省としての文書が、爆発の二日前の四月六日に出されておる。はたしてそれが大阪市なり大阪府の手元に来ておるかどうかということは、まだ確認しておりませんから、はっきりしませんね。文書が出されたのは四月六日であります。そうしてこのガス事業法の一部改正法が通った日が四月の八日、こういうふうに非常に偶然が重なり合っておるわけですけれども、こうした大切な内容が、政府間の横の連絡がきわめて密接でないために停滞をする。少なくともこれが早く道路管理者に指示されておったなら、あるいはこうした事故は防げたかもしれない。こういう連絡というものが行政の中で停滞をする、こういった問題について根本建設大臣はどのように思われますか。
  36. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま道路局長から御説明申し上げましたように、ガス事故について十分注意せいということはすでに何回も出しております。ただ、いわゆる会議を経た通達が、たまたまいま御指摘になったように、それがきめられてから若干時間が経過しておるということでございまするが、これの前に全然やってなければ、御指摘のようにこれは非常に叱責を受けてしかるべきでございますが、当然これは、いままでやらなければならぬことは何回も通達しておることでございます。さらにそれを総合して通達したということでございます。  それから、私も翌日行ってみまして、私に報告するときには、一応あらゆる前に通達されておったことは守っておるということになっておるのです。現実に、前日も見た、当日も見ておる。だから、通達は十分にやっておるけれども、それがほんとうに厳密に調査をせずに、一応関係者が一緒にずっと見て回ったという程度のところに問題がある。そこで私は、関係の管理者諸君には、いままでのように安易なやり方ではいけないから、もう徹底的に原因究明しなさいというところまで言ったことでございまして、松浦さん御指摘の通達のこともさることながら、通達を受けたところの現場の責任者が、真剣にその通達事項を守るということがまず第一前提条件ではなかろうかと考えまして、その意味で閣議においても私は発言をいたしまして、総点検をすると同時に、常時この問題については、いままでたいしたことがなかったからというような安易な考えでやってはいかないということを関係方面に厳重に注意するように、私から発言いたしておった次第でございます。
  37. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大臣が御説明になったことは事実だと思います。私の手元にも、昭和三十八年一月二十六日の「地下占用物件による事故の防止について」、それからさらに昭和四十四年三月二十四日、「道路工事又は占用工事に起因する事故の防止について」という通達が出されておることは了解をしておるのです。ところが、この対策会議から出されておる文書というのは、これより以上に詳細になっておるわけなんです。そういう通達が出されておるからというのではなくて、それにさらにこれをプラスしなさいということが一つの目的なんですね。しかし、それが実際におくれておったということなんです。そのことが確実に守られておれば——これはこういうふうに書いてあるのです。「このように立会いおよび見回りは、他工事施工の際のガス導管の事故の発生を未然に防止するためには、極めて重要な意義をもつものであるので」、ですから、他工事の監督者とガスのパトロールするところのものが一緒に見回りなさいということが答申されておるのです。この答申のポイントは実はそこにあるわけなんです。それじゃそのことが実際に守られておったかというと、あのパトロールはガス会社だけがパトロールしておるわけです。工事施行者は全然立ち会っておらない。そういう点で完全に履行されておらぬじゃありませんか。その点、大臣どう思われますか。あなたは、完全に履行されておると言われましたけれども、この通達は実際にはそのとおり守られていないのです。
  38. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私が報告を聞いたときには、ガス会社とそれから工事担当のほうも一緒に回ったという報告を聞いておる。そこで、ますますこれはおかしいじゃないか。それを見ておりながら、わずか半日やそこらで、数時間のうちにああいう爆発が起こるということになれば、どこかに監視における油断がありはしないか。あるいはまた、従来の注意した事項で、どこか基本的に抜けておるところがありはしないか。そういうものを厳密に科学的に原因を究明してほしいということを、私は警察並びに消防の責任者にお願いしてきたということでございます。いま松浦さんが御指摘したように、ガス会社だけで監視したということはあとでわかったから、そうなったと思いますが、私が当日行ったときには、そういうふうに関係者からの報告があった、そういう状況でございます。
  39. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 政務次官にお尋ねをいたしますが、私たち調査した範囲内では、パトロールというのは、ガスが漏れておるかどうかのパトロールをしたのではなくて、宙づり工法が正確にできておるかどうかをチェックして回ったんですという答えなんです。そういう行き方は、ガス導管防護対策会議の結論として正しいのですか。ただ、宙づり工法が正しいかどうかだけをチェックして回っておる。ガスが出ておるかどうかということは見て回っておらないのです。その点どうですか。
  40. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス事業者は、本件につきましてもパトロールをしておるわけでございますが、そのパトロールの主目的は、ただいま先生のおっしゃいましたように、防護方法状況というものを見ますというよりは、むしろ毎日点検をいたしまして、その時点におけるガス漏れがあるかないかというのを見るのがパトロールの主任務でございます。防護方法の適否を見るというよりは、ガス漏れの有無を見るというのがガス事業者の行なうパトロールの主目的でございます。
  41. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間がないから早くしてくれ、早くしてくれということですから、それでは答弁のほうも短くしてください、私の質問は簡単にしますから。  私たちは直接担当者に聞いたら、宙づり工法だけを私たちはチェックして回っておるのです、そう回った人が言っているのです。なくなった人が言うのじゃありません。そして、実際にガスが漏れておるかどうかは、ガス検知器というのは現在開発されておりません。臭覚にたよるということです。ところが、ほんとうガスが漏れておるかどうかをチェックするのには、非常に原始的なやり方だけれども、石けん水を接続部につけていけばいいわけですね。臭覚にたよると同時にそれをやっていけばいい。そういうことをなぜしなかったかという質問に対して、いや、私たちは宙づり工法が正確に行なわれておるかどうかをパトロールすればいいのですということで、実際そういうふうになっているのです。その点についてどう思われますか、事業局長は。
  42. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ちょっと先生のお尋ねのほうが——ガス事業者と、それからいわゆる地下鉄工事業者も巡回見回りをしているかとも思いますけれども、ただいま私がお答え申し上げましたのは、ガス事業者のほうで立ち会い見回りをいたします場合の主目的は、あくまでガス漏れがあるかないかということの見回りが主任務でございます。地下鉄の工事業者のほうがもし巡回点検をいたしますときの主目的は、つり工法等の防護法の点検が主任務であろうかと思いますが、ガス事業者の見回りの主目的は、繰り返して申しますけれどもガス漏れのチェックでございます。
  43. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、私が現場で聞いた人が間違った答弁をしたということで理解をすべきなんですね。直接見回りをしている人に聞いたのですけれども、それが間違いで、いま言われておることが現実に行なわれておる姿だ、こう言うんですね、今度の爆発事故に関する限りは。そうですか。
  44. 馬場一也

    ○馬場政府委員 先生のお聞きになりましたのは、ガス事業者でございまして、そのガス事業者の者が、ガス漏れではなくて防護の方法を見るのだと申したのであれば、それは何らかの間違いであろうと思います。
  45. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ガスの扱いという危険物をかかえておりながら、そのように指導が非常にあいまいなんですね。  そこで私は、この際建設大臣にお尋ねをしたいのですが、ガスをつくるということは確かに通産省ペースだと思うのです。しかし、その導管を埋設するというのは建設工事だと思うのです。そこにちぐはぐが起こって、こういう事故が起こる原因があると思うのですが、私は、ガスをつくるのは通産省の所管でいいと思います。しかし、その導管を埋設するとかいう工事そのものは建設省の一環として行なわるべき内容だと私は思うのですが、その点、建設大臣どうですか。
  46. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 現在の行政の分担はそうなっておりません。ガスをつくってガス供給する事業は通産省の仕事でございます。その場合に導管がなくてガス供給することはできませんから、したがって、そのガス管並びにその埋設の仕事も通産省が監督するということは当然でございます。ただそれが、供用する道路の地下にやっておるということ、あるいはまた、今度は地下鉄等の工事等に関連してくるということで、これが建設省なり運輸省に関係するんだということでございまして、これは世の中というものが非常に複雑になっておりますから、やはりそれぞれの見方はありますけれども、そういうふうな現状になっておるのでございます。
  47. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は気持ちはわかります。しかし、やはり国の行政が横断的でばらばらだというところに文書が遅滞したり、あるいは事故が起こるという原因があるとすれば、いますぐではなくてもいいのですけれども道路の埋設物を工事して道路を掘り上げるとか、オープンカットの工事をするとか、そういった問題については通産省ペースというよりも建設省所管で、あるいは建設省と通産省とで何かぴしっとした法的な機関をつくって、そういった方向でこれから指導していかなければ、私はガス爆発事故は防げないという気がするのですが、その点はどうでしょう。
  48. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 そういう意見もあるということは、これはあえてガス問題のみならず、一切の建設事業、鉄道でも何でも全部建設省がやったらいいじゃないかという議論もございますけれども、どうもそこまでは行き切れないのでございます。現状は、むしろいかにしてお互いに権限の接触するところで粗漏がないようにするかということが一番の当面の問題であろうと存じます。
  49. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣のお気持ちもよくわかります。しかし、いま私が指摘したように、そのことがうまくいってないわけですね。それでは、こういうことをこれから必ずうまくやります、こういうことの食い違いがないようにぴしっとやりますということを明確にお答えできますか。もう二度と起こらないように……。
  50. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 十分御趣旨を体しまして、関係機関が十分に連絡をとって遺憾なきを期したいと思います。
  51. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 政務次官、上があるそうですから、政務次官に対する質問はこれで終わらせていただきますので、どうぞお引き取りください。  それでは大臣にお尋ねいたしますが、建設省を一つとってみましても、たとえば東京なら東京という大都市を例にとってみますと、道路管理者がばらばらなんですよ。ところが、ガス供給する、先ほど言った導管を布設する、そういったものは、一つの東京瓦斯なら東京瓦斯が工事をして、そのガス供給しておる。こういう実情から考えて、いままでのばらばらの道路管理者に対して、大都市については、ある一定の生活圏を持った市においては、あるいは都会においては、この埋設物の工事については道路管理者を一人の者に限定する、あるときには県に頼む、あるときは国、あるときは市町村といったように管理者をばらばらにせず、埋設物に関する限りは一定のところに窓口を統一する、こういったお考え方がありますか。
  52. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在の道路管理の現状につきましては、いま先生のおっしゃいましたように、国道の指定区間は国が管理する、そのほかの国道と府県道は県が、市町村道市町村が管理するということだと思います。ただ、これを全部一本の管理にするということ、地下埋設物からいえば、いま先生のおっしゃいましたように、国道であろうと県道であろうと市町村道であろうと、必要なところに管はつながっていくと思います。そういう面からいえば一本であったほうがいいということもございます。しかし、道路全体の管理からいいますと、やはり地下埋設物ももちろん重要なことでございますが、そのほかのいろいろな占用の問題そういう問題もからみますと、ある自分の守備範囲というものをきめて、そこについて責任をもってその体制を整えてやるということのほうが、いまの現状からいえばやりやすいのじゃないかというふうに考えております。ただ、いま先生のおっしゃいました、いろいろな連続している埋設物みたいなものについてどうするかということになりますと、やはり各違った道路管理者の中の連絡なり、そういう図面をお互いが交換して持つというような、こういうことはこれからの問題として必要でございますので、検討していきたいと考えております。
  53. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま台帳の整備について局長からお話がありましたが、道路台帳の整備と同時に、地下埋設物の台帳というものについて、将来各道路管理者ごとに設置させるという構想があるわけですか。
  54. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 道路台帳のほかに、こういう地下埋設物の占用物件については、占用物件の台帳というものをつくらしております。これを、いま言いましたお互いに連絡しておる占用物件についてはお互いに連絡をとって、その必要な範囲でそういう台帳をチェックする。それには地下占用物件を対象とした道路管理者の協議会とかそういうようなもの——その中にはいまの地下埋設物の占用者も入れまして、そういうような形で協議会をつくっていくということは、これから必要になっていくというように考えております。
  55. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣に前向きの答弁をいただきたいのですが、実は大阪の管理者と話をいたしましたときに、道路台帳の地下埋設物の台帳をつくるということになりますと相当な経費がかさむということを聞いたのですけれども、こうしたガス爆発事故を契機として、地下埋設物に対する台帳の整備ということが急がれるということははっきりしていると思うのです。こういうものについて、将来予算措置をしてでもこういう台帳の整備をはかるということについて約束できますか。
  56. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 この問題は関係閣僚と十分協議して前向きに検討し、そうした方向で努力したいと思っています。
  57. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 前向きの発言、たいへんありがとうございました。  そこで、これはたいへん技術的な問題になりますから、道路局長にお尋ねいたします。私はいまここに資料として「公衆災害防止の手引 市街地土木工事公衆災害防止対策要綱解説」という冊子——これは計画局の建設業課が編集してくれた冊子です。これによりますと、オープンカット方式による覆工板は、「原則として鋼製覆工板を使用するものとする。」、こういうふうに書いてあるのです。ところが私が大阪で見た範囲は、鉄鋼板じゃなかったわけです。あの大きなコンクリートが置いてあるわけですよ。この点について道路局長はどう思われますか。——どちらでもけっこうです。
  58. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  最近の建設工事による公衆災害の多発にかんがみまして、昭和三十九年に、御案内の「市街地土木工事公衆災害防止対策要綱」を策定いたしまして、これに基づいて各主要の発注者並びに建設業者を指導いたしているわけでございます。ただいま御指摘になりましたこの要綱の第五十六には、御指摘のように「原則として鋼製覆工板を使用するものとする。」とございます。また、この覆工板を用います場合にはしっかりと締めつけをいたしまして、この板がはね上がったりあるいはブレーキをかけたときにずれたりというようなことのないようにというふうに指導いたしておるわけでございます。  問題となっております大阪爆発事故におきましては、実はこの鋼製の覆工板は使っておりません。この要綱を策定いたしました三十九年当時は鉄板を使うのが通例でございましたが、最近の工事におきましては、コンポデッキと称しまして鉄製のワクにコンクリートを詰めた覆工板を使用する場合が多くなっておるのでございます。このコンポデッキはコンクリートを詰めますから、それ自体非常に重量がある。また、剛性についても十分でございますために、特にボルトで締め付けるという構造になっていないわけでございますが、これ自体の重量が重いということと、それから剛性が強いということで、交通車両によるはね上がりやあるいはブレーキをかけた場合の移動に対して十分な構造になっておるわけであります。で、今回大阪の現場でこのコンポデッキを使用いたしましたのは、警察でも、特に雨の降ったときにコンポデッキはすべりどめに非常によいということもございまして、警察の推奨によりまして大阪市が指定をして使用させたものでございます。したがいまして、確かにこの要綱にいいます、原則として鋼製の覆工板を使用するということには反しておるわけでございますが、その後の技術開発によりましてこういう新しいコンポデッキというような製品ができてまいりましたので、しかもこれが構造的にも、従来の鋼製板を締め付けた場合と同じ効用があるということでございますので、必ずしもこの要綱の趣旨に違反するというふうには考えておらないわけでございます。
  59. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま言われたコンポデッキというのですか、それであることは事実です。ところが、あの爆発事故があったときに、東京の地下鉄工事のように鉄鋼板であったら、二次的な災害というのは防げたのです。私の郷里の者が二人夜学校に通りまして、たまたまあそこを通っておって死亡したのですよ。二人とも私の郷里です。夜学にやっと通って学校を見に行って、帰りがけあの災害に入って二人死んでおるのです。ところがその死に方が、いまのコンポデッキが吹き上げて、それによって死亡しておるのですね。ところが、実際に東京都のような鉄鋼板でおおっておったら、そういう二次的な災害というものは防げたかもしれない。こういう結果から見て、いま言っておるコンポデッキというものは、これからも利用するというふうにお考えになりますか。これからも使用するというふうに計画局長、お考えになりますか。
  60. 川島博

    ○川島(博)政府委員 このコンポデッキは比較的最近開発された部材でございますし、問題は、この爆発力の大小とも関係があろうと思います。爆発力がある程度以上に強い場合には、鋼製覆工板で受けゲタにしっかり締め付けたときのほうが、かえって爆発による力が強くなるし、受けゲタ全体を破壊して被害がより増大するということも考えられないではないと思います。したがいまして、今回はたまたまコンポデッキを使ったためにああいう災害が起きましたけれども、今後そういった爆発事故に備えまして、爆発の場合にコンポデッキを使ったほうがいいのか、あるいは鋼製覆工板を使ったほうがいいのかという点は、今後の問題として十分研究をいたしまして、安全なほうを採用するということにいたしたいと思います。
  61. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この第六十一項の最後の解説によりますと、「鉄筋コンクリート製のもので重量が大きく、かつ、一スパンのみに渡してあるためはね上りのおそれがない場合、」云々というふうに書いておりまして、「かかる場合は、必ず道路管理者の許可を受けるとともに、安全性を証明するにたる資料を提示しておいて欲しい。」というただし書きがあるのですね。コンポデッキに対しては、この点は間違いないですね。コンポデッキでやっても、この手続は踏まなければならないのでしょう。この点どうなんですか。
  62. 川島博

    ○川島(博)政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、実は地下におけるガス爆発があるということを前提にいたしまして、その安全性を問題にしておるのではございませんで、鋼製デッキ、鋼製の覆工板と同じように、車によるはね上がりあるいはブレーキをかけたときのズレ、そういったものに対して安全であるかどうかということを十分にチェックせよということでございます。ガスとの関係は、今後の新しい課題として私どもは受け取っております。
  63. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、現実にガス爆発が起こっているわけでありますが、安全性というものがやはり道路その他ではなくて、通っておる人命を対象にして安全というものをこれから考えられるようにやられますか。その点どうですか。
  64. 川島博

    ○川島(博)政府委員 当然そういうことを重点に検討いたします。
  65. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、今度の大阪の地下鉄工事で、大阪の土木局長から交通局長に対しての工事に対する契約あるいは指示に対する控えをいまここに持っております。ところが、いま計画局長が言われたのとちょっと違うのですが、コンクリートの場合も、「路面覆工に使用する資材は交通に支障を与えない堅牢なものを使用し、覆工舗板は相互に連結すること。」こういうふうに書いてあるんです。相互にあのコンクリートを連結することというふうに、この土木局長交通局長に対して指示しておるのですね。現場を見られて連結してありましたか。
  66. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答えしますが、その点は私確認しておりませんので、至急調べた上でお答えいたしたいと思います。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これにはちゃんと連結するように書いてあります。ところが、私が現場で見た範囲では——おそらく大臣も見られたでしょうが、セメントそのものが連結されておらなかったんです。そのことは、下にガスの導管が入っておるからということも考えて、吹き飛ばないように連結したらどうか、連結すべきだということで安全ということについての指導がされておると思うのですが、そのとおりされておらなかったのです。これがしておらなかったということになると、どこの責任ですか。土木局長交通局長に対してこうしなさいという指示をしておる。ところが、そのとおりされておらなかった。そのことが結果的に二次的な災害を大きくした。そういうときはどうなりますか。これはただ一片のものですか。たとえば通産省から建設省にぽいっと文書をやる程度のものというふうに理解すべきですか。それはどうですか。
  68. 川島博

    ○川島(博)政府委員 土木局から交通局に対する連絡の内容につきましては十分承知をしておりませんけれども、おそらくこの安全という面では、やはり路面の交通、歩行者その他に被害を及ぼさないようにという観点から施工上の注意がなされていると思います。したがいまして、ガスが爆発するかもしれないという前提のもとに工法の指示を行なっておるのではないと思いますけれども、その点は、よく現地で事情を確認してから検討いたしたいというふうに考えております。
  69. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その問題は早急に検討していただいて、そのことをいたしておらなかったために生じた問題点というものをえぐり出していただきたい。ただ、道路管理者として当然なすべきことを指示したけれども、それが実行されないということならたいへんなことですから、なぜそういうふうなものを入れたのか、そういう点についても詳しく調査していただいて、次回にまた機会がありましたら結果について御報告をいただきたいと思います。  そこで、時間の点で盛んにやめろということで催促が来ますので、公益事業局長にお尋ねをいたしますけれども、現在ガスの宙づり工法等については、全国一律の安全基準というものがあるのですか。
  70. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス事業法、ガス事業法施行規則等におきまして、ただいまのつり防護、受け防護等に対する具体的基準は、現在の状態では規定されておりません。私どもといたしましては、昨年の板橋事故の経験にかんがみまして防護対策会議をつくりまして、そこで詳細な報告をいただいておりますので、これを基礎にいたしまして、改正ガス事業法の施行と同時に詳細ないまの基準を織り込みたいという考え方で作業を進めておるわけでありますが、今回の事故にかんがみまして、その作業をできるだけ繰り上げたいということで鋭意作業をしている状況であります。
  71. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これから都市再開発問題をめぐって、こういった地下鉄工事にしても何にしても多くの建設工事が行なわれ、密集地帯へ進んでいくだろうと思います。都市が都市としての機能を発揮するための基準あるいは適切な管理、こういった問題について、内閣として早急に方向づけをしてもらわなければならない段階にきていると思いますが、その点について根本建設大臣はどう思われますか。
  72. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおりでございますので、先般私は現地を見てきた後、通産大臣、運輸大臣建設大臣で協議をいたしまして、今後の都市開発に伴う地下工事について、関係各省の事務当局技術者を集めまして、万全の措置を講ずるように指示して、いま検討をさせているところでございます。
  73. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 もう時間がなくてあとの質問者に支障を与えてはいけませんから、私は質問を終わりますけれども、いずれにしても、今度のガス爆発事故によって二次的な災害が起こった。そのことは警察行政の問題、通産行政の問題、いろいろあると思うのです。しかし、いずれにしても、いやしくも建設行政によって二次災害が起こったということのないように、えげつないことばですけれども、これからふんどしを締め直して、二度とこういう災害が起こらないということを建設大臣がこの委員会を通じて国民の皆さんに約束してもらいたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
  74. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のとおり非常に重大な災害が起きましたし、これの教訓を生かしまして、万遺憾なきを期したいと存じます。
  75. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 最後に、これは四月十一日の朝日の切り抜きですけれども、石油連盟も参加して首都圏一周のパイプラインを設置するという構想、建設計画というものが新聞に発表されております。こういうものは事前に計画局といったところには連絡があるのですか、その点についてはどうでしょうか。
  76. 川島博

    ○川島(博)政府委員 承知しておりません。
  77. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そこで、私は大臣の先ほどの答弁を思い出すのですが、こうした民間ぺースで、すでに石油連盟も参加して首都圏一周のパイプラインを敷くというような構想が発表になっておる。ところが、実際に建設省のほうはそれを全く知らない。通産省のほうは知っておるかどうかわかりません。おそらく通産省のほうは知っておるかも知れませんね。こういった問題が、実は都市再開発を困難とし、何か表面的には進んだ非常に楽しい生活をしておるようだけれども、地下のほうから何が起こるかわからない、上から何が落ちてくるかわからない、そういった不安にかられておるという都市の生活の現状なんです。私は、このパイプラインの問題一つを見ても、先ほど大臣が答弁された行政のばらばらの問題が、一つも解決されておらない気がしてならないのです。その点、こうした問題については早急に建設大臣のほうから提起していただきまして、閣議等においてこういった問題を、少なくとも建設省が知らない間にこういうものが進む、あるいは通産省が知らない間にこういうことが起こるということがいやしくもないように、こういったものについては、一本の国としての指導行政というものが徹底するようにぜひおはかりをいただきたい、これから検討していただきたいということを最後に申し上げまして、向こうで終われ、終われと盛んに言っておりますので、私の質問を終わらせていただきます。
  78. 金丸信

    金丸委員長 浦井洋君。
  79. 浦井洋

    ○浦井委員 私も引き続いて大阪ガス爆発についてお聞きしたいのですが、事故が起こった当初、通産大臣も、この事故は高度成長によるひずみだというふうに言われております。そうですね。だから、そういう意味では、私はやはり人災だというふうに考えるわけです。したがって、この事故でなくなられた方々には非常にお気の毒だと思います。それから、非常な損害を受けられた方もたくさんあります。こういう方々に対しては、やはり公的にできるだけ補償をすべきだというふうに考えるわけなんです。補償の問題につきましてはひとつあとで質問したいと思うのですが、まず最初に、やはりこういう事故が起こった、非常に悲惨な事故なんですが、再び繰り返さないということが大事だと思うわけです。そこで、政務次官がおられますので、この事故に関しまして、主としてガス会社関係の方面、ガスの関係から、二、三質問をし、点検をしてみたいというふうに思うわけです。そして、そのことが今後のこういう災害を繰り返さないという教訓になればというふうに考えるわけです。  大体いろいろ工事現場における災害、これの発生する原因、それからそれによって起こってくる災害の大きさというものは、やはりその工事現場で働く人たちのいろいろな点の労働条件、それから作業環境ですね、それから三番目にはやはり働いておる人たちの教育、この教育には安全教育と、それから避難教育といいますか、救急教育といいますか、そういうものが含まれると思うのですが、そういう労働条件と作業環境と教育、こういう三つの条件によって左右されるわけだと思うのです。まだ現在、このガス爆発については原因を究明中だというふうに聞いております。はっきりわからないということだそうでございますが、私も現場へ行ってみました。それから大阪ガスの関係者、東京のガスの関係者にもいろいろお話を聞きました。大ざっぱに言いまして、今度の原因は、やはりこの場合中圧管ですか、ガスの導管のジョイントが何らかの原因で徐々にゆるんできていて、そして最後のちょっとしたショックでそれが完全にはずれてしまったか、あるいは破損したか、そういうような形になっていったのではないかというふうに理解せざるを得ないのですが、その点についてはどういうふうに考えられますか。これは現場におった人たちも、事故の前から——数日前ですか、ガスのにおいがしておったということを新聞記事でも見ましたし、そういうふうに考えるのが最も妥当ではないかと思うのですが……。
  80. 馬場一也

    ○馬場政府委員 今回の爆発の原因につきましては、ただいま警察で調査中でございますし、主としてその物件についてのチェックあるいは鑑定等も現在継続中でございますので、正確な原因につきましては何事も申し上げられないのでございますが、ただ、現場の状況から見まして、これは先般対策本部からも、このガス導管防護対策会議のほうに出席していただました学識経験者の方四名にも、十三日でございましたか御視察を願ったのでございますが、その先生方の御所見によりますと、状況判断といたしまして、当日事故の起こります約一時間前にガス事業者、ガス会社の者がパトロールをいたしまして、そのときにはガス漏ればなかったという報告でございます。それから一時間後にこれだけの爆発事故が起こっておりますので、その短い時間の間に、掘さく現場の中にかなり大量のガスが急激に漏れるという状況が出たということは、ほぼ間違いないわけでございます。その大量のガスが一時に急激に出る状況につきましては、詳しいことはわかりませんが、最初中圧管と水取り機の接続部がはずれておりますので、これが一ぺんにでございますか、あるいは徐々にはずれる原因が先にあって、ただいま先生のおっしゃいましたように、あの一時間の間にそれが急激にはずれる状態が起こったというような、いろいろなことが考えられるわけでございます。詳しい状況につきましては、現在調査中でございますので、それ以上のことはわれわれもわからないわけでございます。
  81. 浦井洋

    ○浦井委員 それで、一時間前にパトロールしたときにはガス漏れがなかったということですね。——それでふだんの点検の問題ですが、その点検がどの程度やられておるかという問題なんです。この場合、地下鉄工事によってガス管が露出していた距離はどれくらいあるのですか。コンクリートの板で囲われていたところ……。
  82. 馬場一也

    ○馬場政府委員 この事故のございましたいわゆる第四工区と申しますか、その現場におきまして、当日露出しておったのは大体二百メートルというふうに聞いております。
  83. 浦井洋

    ○浦井委員 二百メートルというのはおおわれてなかった部分と違いますか。もっと長かったのと違いますか。
  84. 馬場一也

    ○馬場政府委員 その工区におきまして、当日までに露出いたしまして、いわゆる地の外に出ましてつり防護が施されてお量その部分が二百メートルというふうに聞いております。
  85. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がないのであれですけれども、導管というのはどれも大体一本四メートルから五メートルぐらいあるそうですね。四メートル五十センチから五メートル十センチですか、そういう規格があるそうですね。そういたしますと、二百メートルといたしますと、ジョイントが二十カ所ですか——露出部分が二百メートル、もっと長いと思うのですが、二百メートルとしてやはり二十カ所ある。そういう場合のガス漏れを探るやり方なんですが、前々から言われておるように、においをかぐとか検知器を使うとか、あるいは石けん水を塗るとかいうようなことに、いまのところではならざるを得ないそうなんですが、やはりこれを綿密にやっていくためには、パトロールというのではなしに、二百メートルも露出部分があってガス漏れの可能性があるということになれば、相当長時間にわたってそこに監視員がおるということが必要じゃないかと思うのです。で、その監視員は、ただ単におるというだけではなしに、ガスについての相当な専門教育も受け、それからそれに伴う能力もある、それからとっさの場合にある程度のことができるような権限も持っておる、そういうような人たちが、実際に監視員としてその場に常駐しておることが必要ではないかというふうに私、思うわけなんですが、その点について、通常ガス管に関係のある工事現場ではどの程度の監視体制というのですか、パトロール体制なのですか。それから、実際に具体的に大阪の現場でどの程度やられたのかということをひとつお答え願いたいのです。
  86. 馬場一也

    ○馬場政府委員 大阪ガスのパトロールは、多少休日等もございますけれども、日誌を見ますとこの現場におきましては、大体毎日一度ずつは巡回をいたしましてパトロールをいたしております。当日も事件の一時間ほど前に、午後三時四十分から四時半まで、約一時間パトロールをいたしておるわけでございます。その編成は、報告によりますと大阪瓦斯の工手として約二十年間の経験を持ちます技術者を長といたしまして、あと大阪瓦斯の工事を請け負っております組の者三名を率いまして、合計四名で約一時間にわたってこの二百メートルの現場を点検いたしまして、ガス漏れの部分をチェックいたしておるわけでございます。ガス漏れのチェック方法としましては、ただいまも仰せになりましたように、全部分にわたっていわゆる嗅覚検査を主とするわけでございますが、もしその嗅覚検査によりましてガスが出ておるということを発見いたしましたらば、さらにいろいろなCO検知器を用いまして、その漏れておる方向等をさらにチェックをいたしまして、最後にこの部分らしいということがわかれば、おもにジョイントのところでございますが、そこに石けん水等を塗って精細な検知をやるというのが、ガス事業者が行なっておるパトロールの実情でございます。むろん当日はガス漏れはございませんでしたので、石けん水の検査までは行なっていないわけでございます。  それから常駐するかどうかという問題でございますが、御承知のようにここは地下鉄工事ということで、いわゆるほかの工事業者がそこで仕事をやっておりますので、ガス事業者が毎日のように巡回をいたしますが、それに加えてガス事業者の相当権限のある者が、ここに二十四時間中常駐しておることが必要であるかどうか、あるいはそういうことを他の工事業者に備えてもらうかどうかというような問題につきましては、現在対策本部におきまして、建設省その他と今後のパトロール体制、チェック体制についてどういうやり方がいいかということを検討いたしております。
  87. 浦井洋

    ○浦井委員 パトロールというのでなしに、常時監視という体制を、やはり何らかの方法でとるべきだというふうに思うわけなんです。そこで、私は現在のパトロールの実情を東京で調査してみたのですが、東京では大体パトロールの方たちも、実際現場に行く人は東京瓦斯なら東京瓦斯の職員でなしに、実際には下請が行っておるという話なんです。その人に聞いてみたのですが、一番最下級の給料、一日千六百円くらい。そして二十五日まるまる働いても四万円にならないというようなことで、八時間交代だからどうしても二つの勤務を一緒にやってしまう。十六時間。そうするとどうしても疲れるし、緊張がゆるむ。自然仕事もおざなりになる。だから、いま言われたように、一日一回現場に行ってはおるようですけれども、実際に調べるのでなしに、ガスに関係のない人たち、そこで働いている建設の労働者であるとかあるいは現場監督、そういうような人たちに、どうですか、異状ありませんかというようなことを聞いていくくらいが関の山だというふうに聞いておるのですが、大阪ではどうやっているのですか。
  88. 馬場一也

    ○馬場政府委員 大阪瓦斯でパトロールをやっておりましたときの状況は、先ほど私が申し上げたとおりのように報告を受けておりまして、大阪瓦斯のかなり経験豊富な工手が長になりまして、いわゆる大阪瓦斯の関係の補助をやっておる会社の連中を三名率いまして、約一時間パトロールいたしておるわけであります。ただいま先生の仰せになりましたようなルーズなと申しますか、そういうパトロールではなかったようにわれわれは聞いております。
  89. 浦井洋

    ○浦井委員 パトロールのことはそういうことなんですが、今度ガス工事全体を見ますと、先ほど申し上げたようなことで、ガスの配管工事自身も、ほとんどが大阪瓦斯なり東京瓦斯なりの直属の職員、従業員がやるのでなしに、九〇%くらいまでは下請に出しているという話なんですが、それはそういうことなんですか。
  90. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガスの配管工事そのものにつきましては、大阪瓦斯あるいは東京瓦斯の場合、直営でやる場合もございますけれども、同時に、大阪瓦斯のそういう関係の工事をやるいわゆる下請と申しますか、そういう専門の会社にまかす場合もございます。
  91. 浦井洋

    ○浦井委員 それは直営とどのくらいの割合なんですか。
  92. 馬場一也

    ○馬場政府委員 ガス管にも非常な高圧管、中圧管、あるいは低圧管等、各種の種類がございますので、非常に基本的な大きな高圧管につきましては、当然それだけの技術を要しますので、おそらくそういうものはガス会社の直営でやる場合が多かろうと思います。種類によって違うかと思いますけれども、ただいま詳細な割合は持っておりません。
  93. 浦井洋

    ○浦井委員 その割合をひとつあとで知らせていただけますか。
  94. 馬場一也

    ○馬場政府委員 わかる限りで御報告いたします。
  95. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうところから見ましても、下請がやっておるようなガス工事が少し——何か普通は地下一メートル半以上深くせぬといかぬそうですね。その場合、規定によりますと、最後の土の埋め戻しですか、その場合にガスの配管工事一つ見ても、三十センチ埋めたら一度土を打って、それからまた三十センチ埋めたら打つというようなことで、理屈からいきますと一メートル半の深さの埋め戻しをやるときには、三十センチごとに五回くらい土を打たなければいかぬという計算になるのですが、実際に下請の場合には距離が問題になるわけでしょうね。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕 だから、丁寧な埋め戻しというようなことがやられておらないというようなことを、最近に実際私聞いたわけです。これはガスだけでなしに、水道であるとかあるいは電気工事の場合でも、同じような実情、があるのではないかと思うのです。  それと配管工事、太いのから細いのまでいろいろあると思うのですが、その配管工事の場合、実際にガスを相当吸うわけですし、相当危険な仕事である。そして、どういうのですか、ガスの配管工事については相当の熟練を要するわけですね。だから、そういう点で専門の労働者に聞きましても、四、五年くらいの経験がないと一人前になれぬというふうに聞いておるのですが、実際に東京瓦斯の下請なんか見ました場合に、三人なら三人が一つの班をつくってある路地にいく、そういう場合に一人がせいぜい一年くらいの経験で、あとの二人はもうその日初めて来た人あるいはせいぜい数カ月の経験しかない、しろうとにちょっと毛のはえた程度だというふうな仕事のやり方をやっておるそうなんです。だから、パトロールからちょっと話が発展していますけれどもガス工事全体についてそういう実情があるように聞いておるわけなんです。下請の場合は、距離でノルマ制になるとかいろいろな点で、やはり直用の東京瓦斯あるいは大阪瓦斯の労働者に比べて待遇も悪いということが、そういうところにはね返っているだろうと思うのです。その点で、ひとつ政務次官の御意見を聞かしていただきたいのですが、そういう方たちのほうを規制していくなり、あるいは現実にもっとそういう人たちの待遇をよくしていく、そういうことがすなわちこういう事故を防ぎ、災害を防ぐ一番大きな源になるのではないかというふうに思うわけなんですが、どうでしょう。
  96. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 先生のおっしゃるとおり、配管工事その他に対しては、人命にかかわる問題でございますので、その工事の方々には、十分教育の行なわれた方々にやっていただかなければならない。私どもも内閣で、いま大阪ガスの対策連絡会議をつくりまして、そういう問題も周知徹底するように今後教育していこうではないか。それからもう一つは、やはり配管工事の中でパトロール、いろんな問題が出てまいりましたけれども、今後監督権の問題なども、やはり強化していかなければいけないというようなことを考えております。
  97. 浦井洋

    ○浦井委員 それに関連してもう一つ具体的にお聞きしたいのですけれども、特にガス会社の場合もそうですが、下請の場合どうなっているかということを聞きたいのですが、いままでの従業員に対する安全教育の実態がどうなっておるか。特に大阪ガス爆発の場合は、実際の仕事をやっているのは建設会社ですから、そこの鉄建会社あるいは青木建設ですか、そういうところの従業員の安全教育は一体どうなっていたのかということをお聞きしたいわけです。特に、いろんな問題があると思うのですが、ガスマスクがどうなっておったか、あるいはいざというときの退避経路が確立されておったのか、あるいは事故が起こった場合にどういう方法で連絡するのかというような問題、それから保安要員の数とか、その辺についてひとつまとめてお答え願いたいのですが……。
  98. 馬場一也

    ○馬場政府委員 お答え申し上げます。  いわゆる地下鉄工事業者のほうの関係は私どもお答えする限りではございませんが、大阪瓦斯の社内におきまして、ふだんどの程度の保安安全教育を行なっておるかという状況を四十四年度について申し上げますと、社内教育といたしましては、いわゆる保安安全関係につきまして九十四のコースを設けまして、延べ回数四百二十六回、それから受講人員は八千五百名、この中には、これは大阪瓦斯の人間はもとよりでございますが、同時に、ただいま仰せになりましたいわゆる大阪瓦斯の下請工事会社の従業員に対しましても、いまのような規模で保安安全教育を行なっておるわけでございます。さらに、その内訳について申し上げますと、いわゆるサービスチェーン関係におきましては十九コースの二百二回、四千四百名、それから下請工事会社関係につきましては三十コース、八十七回、千九百名、それから社内関係につきましては三十七コース、百二回、千四百名という内訳になっておりまして、大別いたしますと基礎訓練それから資格訓練、専門訓練等に分かれて体系的にやっております。  私ども、こういう社内教育につきましてはふだんから十分行政指導いたしておりますし、また毎年保安監査を行ないまして、そういう状況をチェックいたしておるわけでございますけれども大阪瓦斯は、比較的社内の保安安全訓練、社外いわゆる下請関係の保安安全訓練の行き届いた会社ではなかろうかと思っているわけでございます。
  99. 浦井洋

    ○浦井委員 数をずらずらと並べ立てられるといかにもそのように見えるわけですが、実際に、そのようなことがちぐはぐになってこういうような大きな災害を招いているわけなんで、もう一度よく血の通ったやり方をやっていただきたいと思うのです。  それに関連して、各方面からお聞きすると、やはり日本のガス企業の場合、一番大きいのは東京、大阪、東邦瓦斯ということになるのだろうと思うのですが、どうも需要がどんどん伸びればよい、それからガス器具が売れればよいというようなことで、工事をする人の安全とかあるいは一般家庭の安全というようなこと、そのための努力が、もうからないからでしょうが怠られている傾向があるというふうに思うわけです。御存じだと思うのですが、最近東京ですかの小学校の給食の調理婦が慢性のガス中毒、CO中毒になった。よく調べてみると、不完全燃焼とそれから換気不全が原因であったというようなこともあるわけですし、やはりもっと需要を伸ばす、器具を売りさばくというだけでなしに、使用上の注意であるとかあるいはガス器具の取りつけに関連のあるいろんな構造の改善の指導であるとか、そのほかもろもろの安全のための努力を企業としてもすべきだし、通産省としてもひとつ努力をしていただきたいというように考えるわけですが、その辺はどうでしょう。
  100. 小宮山重四郎

    ○小宮山政府委員 その点については各ガス会社に、安全の問題についてはユーザーによく注意をし、また教育をしております。今後とも大いに、そういう事故がないように教育をするように行政指導したいと思います。
  101. 浦井洋

    ○浦井委員 それで次の問題に移りたいと思うのですが、都市ガスの中には七%か八%くらいCOが含まれておるそうですね。どうですか。
  102. 馬場一也

    ○馬場政府委員 これは都市ガス、油ガス関係あるいは石炭系統によって多少一酸化炭素の成分が異なるわけでありますが、天然ガスあるいはプロパンガス等につきましては、御承知のように一酸化炭素は全然含まれておりません。参考までに、大阪瓦斯の全体の供給ガスの成分について申し上げますと、大阪瓦斯全体では一酸化炭素の成分はその中の約六%——五・九%でございます。
  103. 浦井洋

    ○浦井委員 六%にしても一酸化炭素中毒というものは起こり得るし、現にまた起こっておるわけです。建設大臣がこの間視察に行って帰られてここで報告をされたときにも、警察官が一人一酸化炭素中毒で死亡された、一生懸命がんばられて非常に気の毒だ、こういうことでございますが、これはどなたでもけっこうなんですが、その警察官は指揮者ですね。その方はどこでどういう作業をしておられたのかわかりますか。
  104. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私は現場におらないからわかりませんですが、警察本部長からの報告によると一定の場所に定置しておったわけじゃなさそうです。あのような非常な惨害で苦しんでおる、あるいは死にかけておるというのを見て、自分が陣頭指揮して救出作業に夢中になっておって、それでそこで倒れた。それから介抱して病院に運んだが、その翌朝に絶命したということで、自分はよくわかりませんけれども、私の印象では、あそこで死体が出たりあるいは苦しんでおる人たちのところをずっと回っておったのじゃないかというような気がしますね。一カ所ではなさそうです。
  105. 浦井洋

    ○浦井委員 ある程度類推していきますと、とにかく現実に一酸化炭素の中毒で一人の警察官が死亡されておる。そうすると、死亡まではいかなくても、何か中海をしたというような程度の方がその近所にも、やはり同じような作業をした人に——あるいは見ておった人の中にもあるかもわからないのですが、そういうような可能性が当然考えられるわけです。爆発後もやはり長時間燃え続けておったわけですから、その中で部分的に不完全燃焼などが起こって一酸化炭素が発生するというようなことも考えられるわけで、三井三池の炭鉱の爆発のときでも、あとあとまで一酸化炭素中毒で苦しんだ人の中の相当な部分が、むしろ救援に入った人が苦しんだというふうにも聞いておりますし、この警察官あるいは消防夫であるとかその他周囲の人たちで救援活動などに走り回った人の調査、一体そういう方たちが出ておるのか出ておらないのかという点の調査をやっておられるか、またやられるおつもりがあるのかないのか、一ぺんお聞きしたいんですが、これは通産省でも労働省でもけっこうです。
  106. 保谷六郎

    ○保谷説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、爆発、火災、そういった場合にCOの中毒は非常に大きな問題でございます。三池の炭鉱の災害においても、飛来、崩壊とか爆発で直接死んだ方よりもCO中毒でなくなった方が非常に多いわけであります。したがいまして、今度のガス爆発につきましても、八日の夜すぐ監督官が工事施行者の責任者に、気持ちが悪くなったり目まいがしたり、ふらふらするかどうか、そういったことを聞いております。そのときにはないという話でございましたのですが、次の日も、さらに今度は病院に電話いたしましてその状況を聞きましたところ、九日の日に三名ございまして、そのあと合計五名ございます。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 幸いに、先生承知のとおり、ガス漏れがあったときに、日ごろからガス漏れがあったときには避難する、それから、そういう工事のときにはガス管近辺では手掘りするとか、いろいろな労働省なりの指導をしておりますので、わりあいに早く退避したわけでございます。したがって、皆さんとも軽傷でございまして、その中の一人がなお、病院は出たんでございますが、通院加療中ということで、不幸中の幸いだというふうに存じております。
  107. 浦井洋

    ○浦井委員 ちょっと具体的にお尋ねしたいんですが、その病院は、私北野病院に聞いたんですが、北野病院ではないというふうな報告を受けているんですか、どちらの病院ですか。
  108. 保谷六郎

    ○保谷説明員 現在、その入院加療中の方が通っている病院は加納病院です。
  109. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことで、いまは救援に当たられた警察官ないし工事現場の方、消防士、そういうところを当たっておられるんですか。これは起こるか起こらないかわからない未知の分野だと思うのですが、爆発の周囲の住民の方たち調査を、やはりこの際COに関してすべきではないかというふうに思うわけなんですが、その辺の御見解はどうですか。
  110. 保谷六郎

    ○保谷説明員 私労働省の者でございまして、労働者以外となるとちょっと答えられないのでございます。
  111. 浦井洋

    ○浦井委員 時間が来ましたのであれなんですが、COというのは急性だけでなしに、ガス配管工の中にも慢性の一酸化炭素中毒がたくさん出ておる。すでに労災の認定を受けておる人が現在で百八十人くらいおるというふうに労働省のほうから聞いております。そういう点で、特にガス爆発事故の場合でもCOの中毒の問題というのは、非常に大きな目に見えた災害に隠れて見のがされやすいというふうに思うので、ぜひこの後遺症の問題も含めて、さらに補償の問題もございますし、聞き取り調査をやるなり健康診断をやるなり、そういう一つの項目をぜひ具体的な実施項目の中に入れていただきたいというふうに思うわけです。  もう一つは、軽傷の人でも、一たん病院で治療を受けて帰った人の中でも、特に頭に傷を受けた人が多いというふうに聞いておるわけですが、そういう場合には、えてしていろいろな後遺症が出てくるものですから、そういう点についても大臣のほうでもよく考えていただいて、十分な補償なり措置なりをとっていただきたい。こういうことを最後にお願いして、私の質問を終わりたいと思うのです。      ————◇—————
  112. 金丸信

    金丸委員長 引き続き道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。井上普方君。
  113. 井上普方

    井上委員 私は緊急整備五カ年計画につきまして伺いたいのでありますが、まず第一番に、大蔵政務次官が出ておられますので伺いたいのです。  十兆三千五百億円というかなり巨大な投資がされるということになりますと、わが国の金融財政上においてはかなり大きい影響が及ぶのではないかと思われるのでございますが、いかにお考えになり、これをどういうふうに解決されていくか、御所見をお伺いしたいのです。
  114. 中川一郎

    ○中川政府委員 御承知のように、前の五カ年計画は六兆六千億でありますから、それに比べて十兆三千五百億というとかなり大きなものではありますけれども、国の財政経済もかなり伸びておりますので、それほど国の財政経済に大きな影響を及ぼすとは考えられませんが、前向きにやっておりますので、これの財源措置等、これからくふうをしなければならぬ問題は若干残っておりますけれども、これらについては昭和四十六年度の予算までには明確にして御提示申し上げたい、かように考えております。
  115. 井上普方

    井上委員 私がお伺いしているのは、財政上また金融上大きい変化を来たしてくるのではないかということを懸念して、それについての御所見あるいは見通しというものをお伺いしておるのです。
  116. 中川一郎

    ○中川政府委員 ただいま回答いたしました前半がそういうつもりであったわけでございますが、前の計画は六兆六千億で、今度のものは十兆三千五百億とかなり大きいように見えますけれども、年々十数%国の経済が伸びているわけですから、経済なり金融面なりにそれほど大きな影響はないというふうに考えております。
  117. 井上普方

    井上委員 この日本の現在の高度成長政策は、現在のように平均一七%というような大きい発展は今後は期せられないではないか、少なくとも政府の今後の長期経済見通しを見ますと、実質成長率は一〇%程度に押えられているはずだ。ところが、この十兆三千五百億円という投資額を見てみますと、これは一七%ないし二二、三%の伸びだというように考えられます。したがいまして、この実質成長率と道路投資との間に大きい差が出てくるというように考えられる。したがって、日本経済あるいは金融財政に大きな影響を持たざるを得ないと考えるのですが、あなたのおっしゃるように、日本の経済がいまのまま進んでおっても、政府の見通しが実質成長率一〇%ですから、すでに大きな差が出てきておるのです。そこであなたのおっしゃられるような意味と違ってくる面が大きく出てくるので、あえて私はこの点をお伺いしておるわけです。日本の経済は伸びているから心配ない、そんなグローバルな話ではなくて、実質経済の成長率はこれくらいで、これでいけば何%になる、そのギャップはどうやって埋めていくのだ、こういう点をひとつ具体的に御提示願いたいと思います。
  118. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私から申し上げるのはあるいは僭越かとも思いますが、実は井上さんも御承知のように、現在の日本の民間企業の非常に高度な発展が、今日いろいろのいわゆる社会公害を出しているというくらいの状況でございます。むしろ現在では、そのために社会資本の充実が非常に立ちおくれておる、これを解決しなければならないというのが、いわゆる一九七〇年代の最大の課題である、そのために政策の重点をそこに指向するということは、したがって財投もそこに集中するということになるわけでございます。したがいまして、従前以上に一般会計並びに財投において道路整備に重点を指向するというのが、先般の十兆三千五百億ということを指定したわけでございます。ただ、そのときにあたって、本来ならば特定財源を何ぼ出す、それから財投はどの程度出す、あるいは民間資金をどの程度やるということをやるべきが理論的には正しいのですけれども、御指摘のように、これは一般会計並びに財投等にかない大きい影響がありまするので、そこで、大蔵省が中心になって財源調整を少し綿密に検討してやりたい、そのために四十六年予算編成までにこれをやろうということにしたのでございますが、井上さん御指摘のように、かなり影響のあることは事実です。その影響のあることを覚悟の上であえてこの道路政策をやらなければ、日本の今後の過疎、過密、それからいまの非常な地方的なアンバランスが出てくる、これを解決することができない。いわゆる新全総との関係において、あえて道路政策を一番最初に確定した、こういうふうにわれわれは考えておる次第でございます。したがって、いま計数上、財投からどの程度の影響を受けるのをどういうふうにカバーする、一般会計からどれだけ入れる、あるいはそのためにどれだけの特定財源をするかはまだ確定していない、こういうことでございます。
  119. 井上普方

    井上委員 私は、大蔵当局じゃなくて建設当局からそういうお話を承って、これははなはだ残念であります。少なくともこれだけの財投をやれば、日本の財政金融に対していかに影響があるか、これは私どもも聞きたいところであります。その予測は聞かなければならないと思います。ただ、経済成長率が実質一〇%であるというのに、これは一七%から二三%ぐらい上がっておるのです。そうすると、そこに大きいギャップが出てくる。これをどのようにして埋めていくのか。これは先ほども大臣がおっしゃられましたように、社会資本の立ちおくれ、これは認めます、やらなければならないけれども、日本の財政金融上にどのような影響を及ぼしてくるかという予測をここで立てなければならない、それがなされていない。それで、あえてこの点を大蔵当局にお伺いしておるのです。いかがですか。
  120. 中川一郎

    ○中川政府委員 かなり大きな規模でありますから、ただいま建設大臣から御答弁がありましたように、若干の影響はあろうけれどもあえてやらざるを得ない。先ほど私が影響がないと言った意味は、これによって経済が混乱して、日本の経済がおかしくなるのじゃなかろうかというようなことはないという意味で申し上げたのでありまして、特につけ加えて申し上げますならば、日本ほど道路のおくれた国はない。一方、経済が非常に発展をする。この場合、今後の課題としていま心配をしておりますのは、労働事情交通事情じゃないかという意味からいくならば、一九七〇年代の経済を安定的にはかっていくためには、この道路網の整備というものを重点的にやっていかなきゃならぬ。財政あるいは金融に混乱などはまあ考えられませんし、若干思い切った力を入れなきゃならぬということはあろうかと存じますが、大蔵省当局としても、混乱のないように、経済が安定的に、しかもいま言いましたように、社会資本の充実の中で道路を最重点的にやっていこうというところから計画したものでございます。
  121. 井上普方

    井上委員 私は、そこで問題がたくさん出てくると思うわけです。なぜこの新しい十兆三千五百億のものをやるかということについては、ただいま根本建設大臣も言われましたように、一つは非常なる産業の発達、これによって公害も出てきたので、交通公害も出てきたのだ、そしてまた民間投資が激しいのであらゆる公害というものも出てきたし、かつまた一般会計、財投においても苦しいものがある、こういうお話であります。したがいまして、このよって来たる、現在のこのような交通事情あるいはまたそれを起こしたものは高度成長政策という政策の名のもとに行なわれた、言うなれば産業優先の政策によって、現在の交通事情も悪化するし、かつまた、公害問題も出てきたと思う。こう考えられるのが理の当然であります。したがいまして、このたびの十兆三千五百億の財源関係においては、一体どういうようにこの財源を確保するのか。少なくとも、先ほど申されましたように産業優先、すなわち民間投資の拡大によってこのようなものが起こってきたならば、これは当然大衆課税ではなすべきでない、こういう結論に達すると思うのです。したがいまして、道路予算の獲得のためには、少なくとも一般の大衆課税によるべきでない、このように考えるのですが、大蔵当局はどうお考えになりますか。
  122. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これもたいへん僭越でございますが、実は特定財源等について、いろいろ私も一つの意見をもちまして党と折衝したのでございます。それで観念的に、私は大衆課税なりやいなやということは非常に問題だと思います。  いま非常に政治的に問題になっているのは、いわゆる自動車新税が一つございます。これを評して、このごろはもうサラリーマンが全部マイカー族になったから、これは大衆課税だということで反論する向きもございますが、現実に日本においては非常にオーナードライバーによる交通戦争と申しますか、それからこれがどんどん都心に入ってくるということのために、これをまかなうということは非常に困難になってきまして、都心において再開発をするという場合に、道路を再開発する場合もう八〇%以上が土地買収の補償費です。それをやればやるほどますます集中してくるということになりますれば、やはり車それ自身を規制するということが必要ではなかろうかということが一つでございます。  それからもう一つは、現在のサラリーマンと申しましても必ずしも——これが大衆課税になるという税制理論上の議論もあるようですが、これはむしろ物品税としてメーカーのほうにこれはやらるべきである、また場合によっては、御承知のように自動車の自由化を促進すべきだ、これだけ輸出しかつこれだけあるものが、むしろ大衆保護の名において実は日本の自動車メーカーがぬくぬくともうけておる、これがもう自由化してきますとより安いものが与えられるのじゃないか、その場合において、輸入したものにも全部税金をかけるということでいいじゃないかという議論もあります。  それからもう一つは、自動車を買った人に対する、自動車債券を買っていただいて、これはいずれ十年か十五年たったら返してやるということで、結局は一つの債券的な形において大衆課税にはしない。  それから現実にはトラックですね。トラックに対してはもっとかけていい。特に大きいダンプとかこういうもの、こういうものが非常に道路をいため、かつ一般の交通を阻害していながら、全然これが負担をしていない。  それから、御承知のように、地方に行きますればガソリンを使わないで、軽油を使っておるものが相当大型のものがどんどん走っておる、これには課税がない、おかしいじゃないかというように、そうしたものをずっと綿密に計算していきますれば、道路はかなりの財源が可能である、これは財政的にもプラスの面が出てくるだろうということで、まずこれが一つ。  その次に出てくるのが、御承知のように、いま参議院のほうに回していただきました地方道路公社によって——実は道路というものは、非常に経過地点が隘路になっています。たとえば東京周辺では、埼玉とか群馬とかあるいは神奈川とか静岡、こういう経過地点がばっとやられておりまして、それがバイパスができればこれはすっといく。ところがバイパスを全部政府でやるとなると、これはたいへんな財投になってくる。ところが、財源を与えて地方道路公社でやられますというと、各都道府県が相当思い切って道路整備ができる。しかもそれは自分のほうの採算に合うようなところをやりますから、それでかなりができる。そうしますれば、一般会計からそう負担しなくてもいいというようにして、これはこの前にも井上さんから御指摘がありましたが、その際に、いままでの地方が持っておる有料自動車道とぶつかるんじゃないかというけれども、それはいままでは起債のワクがきちっと押えられておったのを、今度はそのあれから除外する。そうしますれば、地元銀行あるいは農協等がこれに資金を出していただいて、それに対して公共団体がこれを保証するということになりますとかなりのものができるというふうに、相当綿密に考えて、そうしていわゆる大蔵省だけに一般税金からいただいたものを奪い合うということではなくて、相当こまかくこれは検討して進めておる。そのためには関係各省の合意が必要でありまするので、相当時間がかかりますから、四十六年までにその時間の余裕を与えていただきたい、こういうことでございます。
  123. 井上普方

    井上委員 私はいまのお話を承りまして、十兆三千五百億円の財源関係に大きい不安を抱かざるを得ないのです。と申しますのは、このガソリン税というような特定財源におきましては、もう満度一ぱいになっておる。おそらく世界第一の税金をガソリン税では取っておると思います。これは自動車を保有する者についてはこれ以上取れないというのが大体一般的な、あるいはまた、大蔵当局建設当局もこれ以上ガソリン税の増徴ということは考えられないというので、意見は一致しておると思うのです。それほどまでにたくさん取っております。ところが、いまのお話によりますと、今度は自動車新税を考え、あるいはまたその自動車の物品税を考える。私は、この物品税についてはある程度うなづけます。と申しますのは、現在の自動車は、この間も見ておりますと、原価の秘密という本がございますが、それによりますと、アメリカに輸出する車と日本の国内で販売する車との比較が出ておりまして、一般ユーザーに渡る金額を比べますと、アメリカに輸出する場合、大体四割方安い。これはカラーテレビでもいわれたことでありますが、日本の自動車においてもそのようなことがいわれる。したがいまして、この四割に及ぶところの差、これをある程度大衆に利益を還元する。同時に、ある程度物品税によってメーカーから取り上げるという方法は、私は考えていい方法ではないかと思います。もちろんユーザーに対しましては還元していく。こういうようなことにすれば自動車新税をつくる必要はなくなってくるのじゃないか、このように考えられるのであります。  それからもう一つ、これは四十六年からと申されますが、まだ計画が——今国会通らして、来年から特定財源を、あるいはまた財源関係を明らかにするというのは、まことに意味が薄らいでくると思わざるを得ないのであります。もう一つの問題といたしましては、いま大臣が言われました通過道路の問題です。通過道路が混雑していることはわかります。しかし、これをバイパスをもって有料道路にするのだ。地方道路公社をそのためにつくっていったのだ。しかもこのための十兆三千五百億円の第六次計画を見てみますと、有料道路が非常に多くなっているのです。これじゃ国民は、道路を通るときに、無料、公開の原則というものがどんどん侵されていく、このようなことにもなりかねない、このように思うのです。しかも、この有料道路は営利を目的に行なわれるのではないか。たとえば先般の地方道路公社に対しまして、最初建設省原案というものは、これは民間出資金を認めておるし、民間融資、少なくとも道路を営利を目的とするような形の地方道路公社である。ところが、これが閣内において削られてああいうような形になって出されてきたのでありますが、しかし、その中には、あくまでも有料道路を、やはりただいま大臣も言われましたが、営利を目的にすべきでない道路というものを、民間出資によってあるいは民間の資金を導入することによってそのような可能性が出てくるのでないか、このように思われてならないのであります。そこらあたりのところを明確にしていただきたい。これが第二点であります。  第三点といたしましては、このたびの第六次五カ年計画といいますものは、これは地方財源に負うところが非常に多い。この計画を見てみましても、地方自治体に市町村道の改良というものを大きく——地方単独事業というものが大きく浮かび上がってきておるのであります。地方単独事業が大きくなりますと、当然地方自治体の財源が乏しくなってくる。現在の地方自治体は豊かである、豊かであるといわれますけれども、実質内容を見てみますと、財源の裏打ちがなくて、このままいけばやがてまた赤字になってくるおそれがあると思うのです。したがいまして、この地方単独道路を多くすることによって地方財源が非常に圧迫されると思うのですが、大臣の御所見をお伺いいたしたいのであります。
  124. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 いろいろ御指摘がございましたが、私は財源問題についてはいずれまた機会を見て御審議を願わなければならぬと思いまするが、日本の道路政策のうち、有料自動車道路がこんなに進んだのは行き過ぎだ——とは言わないようですけれども、これは現実に税金だけでやっていくといたしますれば、日本の交通体系は非常に硬直しておったと思うのです。これは決して有料自動車道ですべて置きかえるという構想ではないのです。ちゃんと一般国道がございまして、無料、公開のそれと有料自動車道と並行しておりまして、無料のほうを利用することはすべての人に公開しております。ただ、有料自動車道路をつくったために、時間的にもそれから燃料においても経済的であるというから、それを選択して利用する道を与えたということでございます。そういう意味におきまして、これは決して無料、公開をだんだん圧迫していくということではないのでございます。そうしてさらに、一定の期間で償還ができれば、これは全部有料自動車道というものは無料に変換されていくわけでございますから、道路政策を実施するためにいろいろくふうして知恵をしぼった一つの策でございまして、井上さんが御心配のように、有料自動車道路で無料、公開の道路を食いつぶしていくということではないということだけは明確にしておきたいと思います。その事実は、各地方において有料自動車道路をつくってほしいということが要請されておる事実を見ましても、地元住民においても相当そういう点が出てきているということが、すべてではないけれども、そういう問題が出ているということについては、相当の圧倒的国民がこの有料道路制度に支持を与えていただいておると私は判断いたしております。  それからもう一つ、道路をつくるにあたりまして、われわれは……(「国民は支持していない、支持しているというのは間違いだ。」と呼ぶ者あり)いや、われわれは三百名をいただいておることから見まして、ちゃんとこのくらいは……。それは、ものを考える場合にあたって、ただ一つだけの現象をとらえて無料であることがいい、これはわれわれもそのとおりです。ただ、無料で全部やるとなれば税金をたくさんいただかなければならない。しからば皆さんが、税金をたくさん取ることに賛成していただけばいいけれども、それはなかなかできません。だから、そこにくふうがあるのでございます。  それからもう一つの問題の地方財政との関係でございますが、これは、地方道路公社等をつくる道を与えたことは地方財政の圧迫を救済する一つの道でもあるのでございます。実は近くの首都圏、それから近畿圏それから中部圏あたりの経過地区の知事さんや大きい都市の市長さんは、いままでのような形でのろいテンポで行くならば、とてもわれわれは住民生活が脅かされる、何としてもバイパスを現在の国道のほかにつくっていただかなければならぬ、あるいはわれわれの地方道をバイパスとして有料道路につくらしてほしい、それでなければ、自分の住民の税金で経過するところのよその車を全部通過させて、それの保守、維持に困っておる、だからどうしてもという要望があってこれをやったものでございます。したがいまして、これは決して地方財政を犠牲にするものではありません。  それから、これと関連して井上さんが御指摘になりました十兆三千五百億の中に地方単独道路の占める比率がかなり大きい、これは一体地方財政上負担できるかどうかということの問題でございます。これは従来の実績から見ましても、かなり地方単独道路の伸び率が大きいです。これは相当苦労しているからだと思います。というのは、モータリゼーションが非常に急速に発達したために、市町村といえども道路整備しなければ地方自治体の体をなさないということになってきますので、一生懸命やっている結果とは思います。しかし、その道路のためにかなりの財源が食われていることも事実でございますので、今度われわれとしては、現在は一応ああいうふうな配分はいたしておりますけれども、国の財政あるいは特定財源が充実いたしますれば、従来よりもだんだんと町村道を——非常に急激に団地が形成されたとか、あるいは総合農政で一つの。プロジェクトができたというときには、たとえ町村道であろうとも国が公共事業として援助しようという政策をとるつもりでございます。それからまた、町村道の超過部分も考えております。そういうことによって実情に即してやっていくつもりでございまして、いま一応基本計画としてああいうふうに配分したのでございますけれども、財政並びに地方の社会経済の発展の過程において漸次これに修正を加えていくという余裕を持っておるのございます。  以上で、大体三点について御説明申し上げました。
  125. 井上普方

    井上委員 私は、ただいまの大臣の御答弁を承りまして、顧みて他を言うという御答弁ではなかろうかと思うのであります。と申しますのは、このように交通事情が悪くなったのは、あるいは交通公害を出してきたのは、先ほども大臣が言われましたように、高度経済成長政策というものを強力に政府は推し進めていった、その反面において社会資本の充実というものをおろそかに政府がしておった。ここにバイパスをつくらなければならない、通過道路も広げなければならないのだけれども、広げる余裕——社会資本を充実せずにほうっておいたがためにバイパスを必要とするようになった。いいですか。社会資本の充実を忘れて、高度成長政策ということで産業や生産に力点を置いたがために、日本がこのようなゆがんだ形の状況になってきた。したがって、そのゆがんだものを正常にするには、やはり国の政策としてこれを直さなければならない。したがって、通過道路の問題一つをとりましても、ほとんどの国道を拡幅さすべきだ。それを金がかかるというのでいままで置いておいたがために、バイパスにすることが必要になる。住民にしてみれば、これほど公害が激しいので、せめてバイパスをやってくれないかと国に言っても、国はその社会資本の充実にはなかなか金を出さない。したがって、住民は自己防衛のためにバイパスをつくってくれ。これはわれわれもやむを得ぬから金を出しておるので、地方自治体は喜んで金を出しておるんじゃない。国が当然やらなければならない仕事をやらないがために、地方自治体とすれば、住民の生命あるいは住民の財産を保全するために、バイパス地方自治体ででもけっこうですという、やむにやまれぬことばから出てきているのです。したがって、大臣のお考え方は本末転倒だと思うのです。私は、この問題につきましていろいろと申し上げたいことがある。モータリゼーションがこれほど盛んになった。そのとおりです。しかし、モータリゼーションを盛んにしたのは一体だれだ、これによって利益を得ている人はだれだということを考えると、これは地方住民に対してのみならず、むしろ国の責任のほうが多いんじゃないか、社会資本の充実に国が金をつぎ込まなかったから、このような結果を生み出しておるのであると強く言わざるを得ないのであります。  この問題につきましては、大臣と私どもとの間には、おそらく大きい意見の食い違いがあるでしょう。見解の相違があるでしょう。これ以上議論いたしましても意味ないと思いますので、私はこの問題はおきますが、いずれにいたしましても、先刻の大臣の御答弁、あの気持ちを突き詰めていったならば、現在の交通事情あるいは交通公害の原因がどこにあるんだという認識から出発するならば、現在の交通混雑をいかにして解消すべきか、責任の所在はどこにあるのかということもおのずから明らかになると思うのであります。この点につきましては、時間もございませんので御答弁は要りません。  もう一つお伺いいたしておきたいのは、新五カ年計画と約二十日ほど前に出されました新経済社会発展計画との関係であります。といいますのは、新経済社会発展計画というものはあとから出てきたのです。これは新全総に関連があるものとは思います。しかし、あとから出てくるはずの道路計画が先に出ておる。そこで、この際、この計画と両計画との間の関係がどうなっておるんだ。当然これは、新経済社会発展計画がまず出てきて、そのあとで新五カ年計画となる道路計画が出てきておるのなら私は納得します。しかし、あとから経済計画というものが出てきた。ここにいま私は不安というか、矛盾を感ずるのですが、大臣、どうでございますか。簡単にひとつお答え願います。
  126. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 あらわれた現象からいえばそのとおりです。ところが、御承知のように、新全総も新しい経済社会発展計画も、道路計画も中に含んで検討して作業しておったわけです。新全総については、私も党におったとき五回も意見を申し述べて修正を要求したわけでありますし、まして、いまの新経済社会発展計画について関係省からいろいろとクレームがついたり、修正を要求されたりするために、まとまることが実質上おくれたということです。道路については、新全総のいわば一つの一番基盤をなすものでありまして、わりあいにその点は合意が早かったということであれができ、しかも今年度からこれは相当早くスピードアップをいたしていかないと非常におくれをとるということで、これは道路計画のほうが先行してしまったということでございます。
  127. 井上普方

    井上委員 私は、その点につきましては両計画あるいは三つの計画がすべて一貫性を持っておるものだ、こういう御答弁と承りまして、この点はあと質問はいたしません。  時間も制限せられておりますので、先般本州四国連絡橋のことにつきまして、政治責任についてお伺いいたしたのでありますが、しかし、そのときにも、時間をいただいて工費あるいは工期の問題についてもお伺いしたいということで申してございましたので、少しくその点について御質問申し上げたいと思うのです。  一般国民は、もうすでに昭和三十二年でございましたか、それ以来調査が行なわれ、何十億という投資が実はやられてきておる。したがいまして、どういたしましてもほとんど調査というものは終わっておるのじゃないかという感を深くいたしておるのであります。しかも、いままでの政府・自民党は、はっきり言いまして政府と自民党は、国民に対して三十八年にはルート決定するのだ、あるいはまた四十年にはルート決定するのだ四十四年の夏にはルート決定するのだということを盛んにおっしゃってきているのです。したがいまして、これらの調査はほとんど終わっておるのだという認識を持っておるものであります。ここで多額の調査費を使っておるが、一体調査はどの程度にまで進んでおるのか。これは大臣じゃなくてけっこうです。  それから、具体的に説明していただきたいのでありますが、公団発足後、先般発表せられましたところによると、実施調査、技術開発はどのような内容なのか。これは三ルート共通部分、各ルート別、分けて御説明をお願いいたしたいと思います。
  128. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いままで鉄建公団また建設省自身が行なってきたことでありますが、これは御承知のように、いろいろな地形、地質からおおよその架橋地点の地質の調査、そういうものから土木学会の技術的な報告書に基づきます耐震、耐風の設計、それに伴いますいろいろな実験を実施してまいったわけでございます。そのほかに、やはり海中の工事につきまして、ボーリングから始まりまして海中の岩盤、ある水深のところの海中の岩盤をどういう形で掘さくするか、こういうことにつきまして、数年来建設省としては淡路島の沖で実験をやっておったのでございます。そのほかに船舶航行の問題、また漁業につきましても、農林省に委託をして、おおよその魚の回遊状況その他の調査を依頼しておる次第でございます。今後、これからどういうような技術開発をしていくかという問題もございますし、やはり橋梁といたしましては一番長いスパンのつり橋でございますので、架設するためのケーブルのつり渡し、こういうものの技術的な開発の問題、また深い海中において安全な施工のできるような技術的工法の開発、これが主体になろうかと考えております。  やはり一番いま心配なのは、海中の二十メートル、また三十メートルでもそうですが、その中に人が入って工事をするということは、ほとんどこれはやりたくない。作業員の安全を考えますとやりたくない。水中の状況が地上で手にとるようにわかるようにできれば、それにこしたことはないということでございます。また、コンクリートを打つにいたしましても、大体海中のコンクリートがこちらの所定のとおり打たれているかいないかということが、無人の調査で、こちらが陸上でわかるということが一番必要じゃないか。さらに、そういうことが不可能ならば、大ざっぱにいいますと海中の潜水艦みたいな作業船の開発というようなことになろうかと思います。そういう問題がこれから工事を安全に施行するための大きな技術開発の主眼点になろうかというふうに考えております。
  129. 井上普方

    井上委員 私はここで昭和四十三年の二月に建設省道路局から出されております資料を見てみますと、「全く新しい形式の施工機械は開発実用化に予想外の年月を必要とすることがあるのでこれを避けて、現在すでに実用段階にある機械の改良または大型化の範囲にとどめるよう努めた。」これが技術開発の第三項に書いてあるのですね。現在の機械で、ただ大型化することによってこの工事というものは安全にできるのだということをあなた方道路局は御発表になっておる。ここにありますよ。四十三年の二月です。したがって、いまあなたのおっしゃるように、そういうことも私は必要だと思う。しかしながら、このいままでの発表一つ見ましても、新しい施工機械は開発、実用化に予想外の年月を必要とするので、これを避ける、現在すでに実用段階にある機械の改良または大型化の範囲にとどめるようにつとめることによってでもこの工事はできるということを、四十三年の二月にあなた方は御発表になっておられる。私はどうも考えまして、あなたのほうが政治的に——建設大臣の談話もここにあります。あるいはまた、あなた方の技術当局の御発表を見ましても、ここにありますよ。いままでの過去のいきさつをずっと見てみますと、そういうように非常にあやふやなものをたくさんこれには含んでおるです。そこで、このことについてはあなた方技術屋さんとすれば、当然よりよいものをより安全により安くする努力というものは、これは当然やらなければなりません。しかし、万全のものが一体いつが来たらできるのか、施工実施日までにそういうものはどれくらいすればできるのか。今度公団が発足いたしまして、実施調査、技術開発には——あなたが四十三年の二月にはこうは言っておりますけれども実施調査あるいは技術開発にはどの程度の期間が必要なのか、これをひとつ技術的に御答弁になっていただきたいと思うのです。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  130. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 前段に、先ほど先生のおっしゃいました四十三年二月建設省が発表したということでございますが、実は四十三年の二月に鉄道、道路の単独橋、併用橋、こういうものの工費、工期を発表いたし、工費を出します場合に、やはりある工法を仮定いたしませんとできませんので、その時点では新しい工法、その他の開発がまだ進んでいない時期でございまして、そういう意味で、工費の算定はいまある施工機械を大型化するということで工費を出したというように私たち考えておる次第でございまして、いま先生のおっしゃいました、将来よりよいもの、またより安全なもの、こういうものを確信を持って工事実施できるような技術開発をこれからしていきたいと考えておる次第でございます。  じゃ、それが各ルートについてどのくらい時間がかかるかという問題でございますが、いまAルート、Dルート、Eルートございまして、その中ではやはりEルートについては比較的水深も浅く、その辺の問題になりますと、基礎の問題はそう時間がかからないと思います。ただ、Eルートでは千メートルのつり橋になりますので、現在工事実施しようとしております関門の架橋、これが最大スパンが七百二十メートルくらいでございます。これのケーブルの架設の状況を相当検討いたしますれば、大体千メートルくらいの施工の確信はつかめるのではないかというように考えております。関門のつり橋の施工につきましては、大体四十七年くらいには終わると思いますが、大部分完成してくる時点までは、大体千メートルくらいのつり橋の架橋については確信の持てる技術が確立すると考えております。  もう一つは、いまのAルートになってまいりますと、最大スパンが千五百メートルという問題、千五百メートルになりますと、やはりいまのケーブルピアノ線を一本一本架設する方法、こういうことではたしてできるかどうか、これは非常に疑問があります。そのために関門でもピアノ線を一本一本かけるのではなくて、ある束にしたプレハブストランドという工法を採用しております。これについては、やはり千五百メートルになりますと、ピアノ線の束も非常に太くなってまいりますので、それを一体どう安全に操作するか、この辺が技術的に架設の問題で非常に大きな問題になってまいります。ただ、Aルートにつきましては、そのほかにいまの五十メートル水深のところの岩盤の掘さく、それに伴う橋脚の立ち上がり、この辺になりますと、いまいつまでに確信が持てるということをはりきり言明できませんが、少なくとも三、四年くらいの研究は必要ではないかというように考えております。  また、その中間になりますと、DルートはAルートよりは水深も浅いし潮流も少ないということで、Aルートよりはもう少し早く確信が持てるのではないかというように考えております。
  131. 井上普方

    井上委員 いままでの土木学会の調査あるいはまた道路局等々の工費、工期等の発表、これは、技術的諸問題というものは一応私どもは解決済みだと考えておったんです。しかし工費、工期の面においては、いまだAルートについては三、四年の調査が必要だ、こういわれておるのですが、これはAルートの明石−鳴門を最初からかけるということじゃなしに、建設大臣が言われておったように、三本実施計画あるいはまた実施調査するという考えに立つならば、当然明石側あるいはまた淡路側の浅いところにピアを立てていくことが一つの研究になって、これが一つの実績となってあらわれてくるのじゃなかろうか、こういうように。思うんです。したがって、当然浅いところの本土寄りの、あるいは淡路寄りのピアを建設していくこと、これが一つの研究になって、さらに深いところに進めるんだ、こう私ども考えるんです。したがいまして、こういうような工法、あるいはまたこういうような実験段階をとりながら、この大架橋の完成を目ざしていくのであるかどうか。とにかく橋をかけるといいますと、一発にかかるものじゃない。したがって、できる部分からやっていく。その中から技術の開発も行なうし、安全性も保ちながらやっていくんだという考え方からするならば、一発に全部を同時着工するんじゃなくて、やさしいところからやっていって、あるいは水深四十メートルのところは最後にかけるというような工法のやり方もあると思うんですが、どうでございますか。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕
  132. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、やさしい橋脚からやっていく、それも一つの方法だと思います。ただ、一例を明石にとってみますと、いま一番むずかしいのはそういう水深五十メートルの中央の橋脚でございます。それに伴いまして私たち心配いたしますのは、いろいろな陸上の基地をどうするか、相当大きな作業船を使わなければならぬようになる。陸上の基地をどうするかということになりますと、橋の全体の規模にからんだ陸上基地、またそれから作業資材を輸送いたします港湾、埠頭の問題そういうものも全部一括して設計していきませんと、小さなピアのための作業基地をつくり、また大きなもののために別につくるというわけにまいりませんので、やはりその辺は全体の資材の輸送、工法をどういうことにするか、これによってだいぶ陸上の基地、船の波止場の構造、こういうものにも影響してまいりますので、そういう全体の規模のもとにいまの工事の施行の体制を考えていきたいというふうに考えております。
  133. 井上普方

    井上委員 当然、陸上基地というものもかなり大きいものが必要であることは、これは認めざるを得ないわけですね。これも、もちろん完成するということの前提に立っての陸上基地でなければなりませんから、当然そこには必要と私も思います。最初から巨大なものが必要だと思います。しかし、陸上の浅いところからやっていくことによって技術開発はできるわけですね。そういうような方法をおとりになるべきだ。一つの方法であると局長さんおっしゃいましたけれども、そういうような方法でやられるべきであろうと思うのであります。ただここで、大臣の言われました地元の受け入れ体制の整ったところから着手するんだ、実施調査を行ない、技術開発を行なって本工事の着手の段階、こうおっしゃっておるわけですね。地元の受け入れ体制ができたところから着手する、こうおっしゃっておられるのですが、実施調査、技術開発が終わって本工事に着手する段階で、各ルート間の優先争いが起こってくるのじゃなかろうか。実施調査、技術開発がある程度——いまのそういう私の言ったようなことをやらずにやるならば、技術開発あるいは実施調査が終わってこれから本工事に着手するという段階におきまして、各ルートの優先争いが起こってくる可能性も出てくるわけです。そのおそれが十分にあるわけです。大臣は、地元の陳情合戦というものはこれはやめなければいかぬ、こうおっしゃっておられました。これは私も賛成です。しかし、またぞろ、ここ一、二年は終わっても、三年、四年後にはまた本工事の着工に優先争いの陳情合戦が行なわれるのではないか、そういうおそれがあります。そこで、これをどういうように大臣はお考えになるか。  もう一つは、受け入れ体制の整備は各ルート間に当然難易の差がある、こう思われるのでありますが、政府は受け入れ体制だけで着工の条件とするのかどうか、この点をひとつお伺いしたい。  それからもう一つ、国土開発あるいは経済開発という国家的な見地に立った重要度、優先度というものは当然考えなければならない。これは私が先般来やかましく言ったところでありますが、政府は指導的に必要なルートから、こういう国家的な必要性からやっていく必要があるのではないか、このように考えられるのですが、大臣の御所見を承りたいのと、もう一つ時間がございませんので、この第四条によるところの公団への出資範囲ですね。「政令で定める地方公共団体としては、兵庫県、岡山県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県及び神戸市を指定するものとするほか、大阪府、大阪市その他の地方公共団体については、その受益の程度等を勘案し、充分検討のうえ適切なものを指定するものとする。」建設省の方針としてはこうあるわけです。しかし、四国の開発ということ、あるいはまた南九州開発ということは近畿経済圏とは一体不離の関係にある。したがいまして、第四条第一項の政令に定めるのには、受益の程度を勘案し、十分検討の上というようなことをやらずに、もうすでに大阪府、大阪市、これらも指定していいのではなかろうか。経済圏の関係からいって当然だと思うのですが、この点についてどうお考えになりますか、ひとつ大臣の御所見を承りたいと思います。
  134. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 いろいろと御指摘がありましたが、端的にお答えいたします。  優先順位の陳情合戦がまた再び起こるのであろう、私もそれをおそれます。しかし、その陳情合戦によって左右されるような考えはございません。条件としては、まず第一に、現実に技術開発ができ、これが可能であるということ。それからもう一つは、国家的な、総合的な開発利益が考えられます。  その次に御指摘になりました地元の受け入れ体制ということは、この前も数次にわたって御説明申し上げましたように、単なる資金だけではないのです。土地の先行取得、それから漁業補償、それから航行の安全確保に伴ういろいろなトラブル、これをどう処理するかということが出てまいります。そうしたものを含めて地元の受け入れ体制と申しました。そうしたものを総合的に勘案してこれがきめられるということでございます。ただし、同時着工ということは、技術開発と実施設計は同時にやっていくということでございます。その意味において同時着工でございますが、現実に橋そのものの着工のときには、物理的には必ずしも同時ではないということになると思います。
  135. 井上普方

    井上委員 大臣に一言だけ聞いておきます。  いままでの土木学会の発表あるいは六八年二月二十七日の道路局の発表、こういうものを見ましたら、技術的には全部可能であるということをいっているのです。しかし、技術屋さんとすれば、より安全で、より効果があって、より早くできる技術開発をしようというのは当然です。しかし、技術屋さんは日進月歩のところにいますから、どこでちょんを入れるか、線を入れるかという点はむずかしいと思う。四十三年二月段階においても、現在の機械で大型化すればできるんだということは建設省道路局が発表されておる。この実態を見ましてひとつお考えになっていただきたい。同時に、国家的な見地というものも、これは経済調査をやがて発表されるというのでございますので、私も期待いたしたい。ただ、地元の受け入れにつきましても、そのような先行取得という点につきまして私も賛成いたします。ただ国にばかりおんぶするのではなくて、地方自治体としても受け入れ体制の整備をはかる必要があると思います。しかし、いずれにいたしましても、これら諸案件を考えましても、いかに日本の国土が発展するか、あるいは経済効果をどういうようにして高めていくかという大局的な立場に立って、これらの諸問題を決定していただきますよう強く要求しておく次第でございます。  私の持ち時間も参ったようでございますので、この辺で……。
  136. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 最後にお答えいたします。井上さんの御趣旨はわかりますので、十分勘案いたします。  それから先ほどちょっと答弁漏れいたしましたが、大阪市、大阪府、これは当然考えていいと思います。ただし、いまそのために政令を変える必要はないと思いますので、十分それは勘案いたします。
  137. 井上普方

    井上委員 早急にやっていただきたい。
  138. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 やるつもりであります。
  139. 金丸信

    金丸委員長 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時三十五分休憩      ————◇—————    午後四時四分開議
  140. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案について質疑を続行いたします。小濱新次君。
  141. 小濱新次

    ○小濱委員 道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案、いよいよ最終審議の日を迎えましたわけで、私は総括的に根本建設大臣に幾つかお尋ねしていきたいと思います。よろしく御答弁を願います。  だいぶ時間も経過いたしましたので、少しく省略をいたしまして、要点に入ってまいります。前回御答弁をいただいたその内容と重複しないようにつとめて質問を続けていきたいと思います。  そこで、現行道路整備五カ年計画は、計画第三年度目を終了する昭和四十四年度末においても、その進捗率は五〇・二%にすぎないという現状でございます。これを過去の道路整備五カ年計画に比べると、第三次道路整備五カ年計画においては、同じ第三年度目完了時点で五九・六%、こうなっております。第四次計画では五三・四%と、五カ年計画事業規模が増大するとともに、逆に事業の消化率の低下、が見られるようになってまいりました。この点について、政府は、今回の第六次道路整備五カ年計画策定にあたっては、再び計画遂行途上においてこれを変更することなく完遂し得るという的確なる見通しのもとに、これを策定したものであるかどうか、その点、一点お伺いしておきたいと思います。  なお、もう一点。六兆六千億円の現行道路整備五カ年計画でさえも、計画第三年度目を終了してなお半数が未消化のままに残されるという現状より見まして、この十兆三千五百億円に及ぶ第六次道路整備五カ年計画の膨大なる事業量を完全に消化し得る道路整備の財源の確保に十分の自信を持っておられるのかどうか。道路整備とこの財源のあり方について、基本的にどのようなお考えをお持ちになっておられますか、あわせてお答えいただきたいと思います。
  142. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘になりましたように、従来の三回にわたる道路整備五カ年計画が、それぞれ三年度経過した後において消化しきれないということはそのとおりでございます。それはどこに原因があるかというと、やはり特定財源を設けないで従来のきめられておる特定財源の伸び率と、それから一般会計から何とかなるだろうということでいったところに私は問題があると思うのです。そこで、今度の新五カ年計画につきましては、これはすでに御答弁申し上げたように、道路需要の質が従来と違いまして、だいぶ変わってきたわけなんです。というのは、コンテナ化が相当出てまいりまして、従来のように地域と地域を結ぶということのほかに港との関係、それから産業分布もだいぶ変わってきた。それに対応する道路計画に変えなければならぬ。それからもう一つは、御承知のように道路の安全施設の整備、これに伴う構造令の改正というようなものを含んで、現在の経済並びに社会情勢の需要に対する五カ年計画をつくらなければならないということで策定したわけで、それは先ほどの御質問にお答えしましたように、新全総とそれから経済社会発展計画と歩調を合わしたものでございます。これをまず政治的に意思決定をいたしまして、そうしてこれをやるには、従来の経験からすれば、単にいままでの財源措置をしただけではこれはできませんよ。だから、特定財源をはっきり裏づけしなければならない。そのためには、本来ならば本年度予算並びに新五カ年計画策定のときに当然裏づけすべきでありましたけれども、御承知のような昨年の年末の解散、引き続いて予算編成、そうして国会ということで、どうもそれまでに責任ある措置ができなかったために、四十六年度までには、明らかにこの十兆三千五百億円に該当する特定財源をはっきりと内閣の責任において明定するというようにした次第でございまして、そういう意味から、いま御質問になりました二つの点は、佐藤内閣の政治的責任において五カ年計画は完全に遂行し得る体制をとり、したがって、そのための特定財源も明定する、こういうふうに閣議で決定されたわけでございます。したがいまして、御心配の点は、従来の経験から見て当然の御心配でございまするが、政府はこれに対して、今後はそういうことの過去の実績にかんがみて、決意を新たにして善処したいと考えておる次第でございます。
  143. 小濱新次

    ○小濱委員 力強い御答弁をいただいたわけでございます。そこで、その問題についてもう一つ私伺っておきたいことは、この十兆三千五百億円、非常に魅力のある数字でございまして、いろいろ仄聞するところによりますと意見もあるようです。そこで、この新五カ年計画の基礎、この十兆三千五百億円の魅力ある数字の基礎はどういう根拠に基づいて算出せられたのであろうか、非常に疑問を持っておるわけですが、この点についてお答えをいただきたいと思います。
  144. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はこの第六次の十兆三千五百億円の基礎でございますが、私たち昭和六十年、長期的な道路の展望をつくっておりまして、そのときの自動車の保有台数として、これは再三述べておりますが、約三千五百万台、それに伴う交通需要がどのくらいになるか、そのときの日本の交通の幹線道路がどのくらいあるか、そういうことに基づきまして、それまでに投資する金額として六十兆が必要だという数字を出した。それを昭和六十年までに六十兆を達成する前提で、その中のまず緊急のものを五カ年に選んだわけでございます。実はそういう点からいいますと、いまの交通の混雑しているものをできるだけ早く解消するという観点から事業費を出しますと十兆七千億あるいはもう少し、もっとなるべく大きいほうが早く道路整備ができるということでいいんでございますが、やはり毎年の公共事業費の伸びとかそれから経済成長率、そういうものを勘案いたしまして、大体十兆七千億ということで要求した次第でございます。それがいろいろ最終の予算の決定では十兆三千五百億、この中で十分効果的にやっていけば、いまの六十年までの長期計画に基づいた道路整備の一環として四十九年までの道路計画ができるというような数字でございます。
  145. 小濱新次

    ○小濱委員 次にお伺いしたいことは、この四十三年度の予算編成に際しまして、財政硬直化を理由に、道路整備特別会計への一般財源の投入を、昭和四十二年度八百二十二億円から一挙に四百七十億、こういうふうに削減をされております。また、四十四年度においても、景気警戒を唱えて五百九十億円にとどめている、こういう現状になっている。そこで、第六次道路整備五カ年計画の初年度に当たる昭和四十五年度予算においてさえ、一般財源の投入は六百九十億円にすぎません。なお昭和四十二年度の水準にさえも達していない、こういう状態でございます。一方、昭和四十五年度では見送ったものの、昭和四十六年度よりはトラック税等自動車新税の創設等の構想があるように聞いているわけです。もともと道路は、もう常に大臣がおっしゃっておられますように、これは自動車利用者のみが利用するものではなく、一般歩行者その他のものも使用するものであり、また、道路整備は、国あるいは地方公共団体の公の営造物、財産として長く後世に継承されるものである以上、道路整備の財源に一般財源の投入を抑制し、その負担をこれら自動車利用者のみにこれ以上強調することは慎重を要する問題であろう、私どもはこう考えるわけであります。もし昭和四十六年度よりこの自動車新税あるいは揮発油税等、既定財源の値上げ等を実施する場合にも、納税者であるところのこれら自動車利用者を納得せしめ得る程度の相当額の一般財源の投入を当然行ないながら道路整備に対する政府の熱意を示す必要があるのではないか。これはひとつはっきりとやはり政府の答弁が示されませんと、利用者は非常に疑問を持つ点ではなかろうか、こう思われますので、この点についてのお答えをいただきたい。
  146. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 小濱さんのそういう発想のしかたも非常に理由あることだと思いまするが、普通でありますれば全部新税は一般会計に一般財源としてしまいまして、それを配分するということはあります。そうしますれば、いま小濱さんが御指摘になりましたところの抵抗はなくなります。抵抗はなくなりますけれども、現実にそれをやりますと、今度は予算の配分のときに、大蔵省並びに各省との関係で、これは一般財源だからいま医療対策が非常に忙しいからよこせ、あるいは教育費だということで、今度は一般財源の配分に非常に政治的な、端的に言えば抗争が出てくるわけであります。そこで、道路の緊急性から見れば、本来ならば、一般財源として取った税金を一般の財源としてそれから編入してもいいけれども、それよりも直接に特定財源にしたほうが道路整備に非常に安定性を持つということで、便宜上建設省としてのわれわれは、これは特定財源として新税を設けて、これを道路特別会計に入れるべきだ、これを主張しているわけです。ところが、大蔵省は、そういうふうに道路だけに特定財源を持つことに必ずしも賛成ではない。それは一般財源として、国のいわゆる一般財源としてそれから配分すべきだ、こういう議論が実はいま残っているわけであります。したがいまして、いま小濱さんの言われたような議論もさることながら、建設省のわれわれ事業執行官庁としては、できるだけ直接に道路特別会計に入れたほうが安定した財源であって、これならば年次的にわかるわけであります。どれだけの車がふえる、そうすれば必然的にこれだけのあれがふえる、こういうふうに行ったほうがいいのではないかということでございます。しかしながら、それあるがゆえに一般会計からの繰り入れをそれにだんだん減らすということではなくて、そういう発想のしかたで実はいま考えておるということでございます。
  147. 小濱新次

    ○小濱委員 そこで、関連して一つお伺いしたいのですが、この自動車新税を創設して道路、鉄道等の建設促進しようといういわゆる田中構想に対してどうしても疑問に思えることは、この道路−鉄道、地下鉄も入る、これに自動車新税を創設して利用しよう、この問題についてどうしてもひっかかるわけです。大臣の見解をひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  148. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これもただいま申し上げたことの延長でございます。実はこのように交通が非常に麻痺状態になって過密、過疎の現象が出ている現状、道路のみならず鉄道の整備もはからなければならない。ところでそのときにあたって、田中構想は二つを含んでいるのです。これは本来自動車新税をつくって、これを一般財源に入れて、そうすればそれだけの財源がふえるから、そうなりますればこれは鉄道に配分しようが道路に配分してもいいんだけれども、どうもいまの状態から見ると、大蔵省は、そうすると交通政策に使わずに、すぐに他のほうに相当ウエートを持って取っていかれたのではいかぬではないか、鉄道と道路というものは交通政策の非常に大きなウエートを占めているから、道路をよくするということと鉄道をよくするということは、二つ相合わされて交通政策の前進になる、こうい、う意味で発想したのでございます。これは一つの発想でございまして、まだ具体的に党議できまっているわけでもなさそうですし、私も実は党におるときに、発想のしかたについては立場としては了解できるけれども、実は私が政調会長当時これに完全なる同意をしているわけではございません。これはもう少し検討の余地があるぞということで、二人はああそうだなという程度の了解はいたしておった次第でございます。現在これは党として、政府として確定していることではございません。いずれにいたしましても、交通政策のために思い切った投資をしなければいかぬ。それにはやはり新たなる財源をつくってやらなければいかぬという、その一つの試みの案でございます。
  149. 小濱新次

    ○小濱委員 きょうは総括でございますが、時間の制約を示されましたので、少しはしょって御質問を続けていきたいと思います。  次は、高速自動車国道事業主体である日本道路公団の収入と支出の内訳を見ますると、昭和四十五年度総額は三千四百二十億で、対前年度比は一・二六倍の伸び率を示しているにもかかわらず、建設利息等の増加とともに、実質的に五カ年計画の対象として実施される事業量は二千十五億円で、対前年度比は一・一九倍にとどまっております。今後の日本道路公団の予算構成、ひいては高速道路建設財源問題等について重大なる転換期に到達しているものとわれわれは見ているわけでございます。建設大臣は、どのようにこの問題に対して対処せられようとしておられますか、お答えいただきたい。
  150. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御指摘のように、高速自動車道の建設にあたっては、ほとんど大部分が財投に依存しております。財投には当然これは利息がつくわけであります。そのために、そうしたふうに予算額に比して借金を返すということやそれから利子を払う、そうなるのです。そこで、どうしても資金構成を改善しなければならない。それには一般会計から入れるか、あるいはまた特定財源をもちまして、その特定財源から利子のかからない資金を公団に与えなければ、そういう結果になる。そういう意味からも、先ほど来御議論になりました特定財源を拡充しようというふうに考えている次第でございます。
  151. 小濱新次

    ○小濱委員 わが国の高速道路は、すべて有料道路として建設されてまいりましたが、はたして七千六百キロに及ぶ幹線自動車道路網のすべてを有料道路として建設していくことが適当かどうか。幹線自動車道路網は、とりもなおさずわが国の正式の高速自動車国道として一般国道の上位にランクされ、陸上輸送の大動脈を形成するものである。その高速自動車国道のすべてを有料道路として建設していくことが、高速自動車国道の性格より見てはたして適当であるかどうか。また、今後その建設が全国的に拡大していった場合、必ずしも有料制で採算のとれる高速道路のみの建設が行なわれるものでない以上、わが国の高速道路の有料制について、もう一度再検討を加える時期に来ているのではないか、こういうふうにわれわれは考えるわけです。大臣のお答えをひとついただきたいと思います。
  152. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 御承知のように、いわゆる国土開発縦貫自動車道路というものが、ちょうどこれは私が十二年前の建設大臣当時に議員立法でなされてこういうふうにきたのであります。ところが、これを実施するには膨大な経費がかかります。これをいわゆる税金による一般会計でやるとすると、ほとんど計画実施するに百年以上の時間がかかる。それでどうしてもそれまで待っておれないということで、実は最初はいろいろの問題がございましたが、世界銀行から金を借りたりなんかして、いまのいわゆる東名ですが、これを始めた。その成果が非常に予想以上にあがったために、今度は逆に、あらゆる方面から高速自動車道路は有料でスピーディーにつくるべきだ、そのほうがより経済的であり、しかも終局においては、できたあとにおいては、無料、公開になるのじゃないか、しからばそのほうが、道路政策を実施するためには新しい一つの手法であるだろうということで、御承知のように五道がそれぞれの地区から、これは政府の計画より前に、国会やあるいは地方自治体から要請されてでき、さらに、今度は五道では足らないというので、現在では七道になっておる次第です。こういうことです。そして今度は、いまいろいろ御議論に出てくるようでございまするが、これを一本一本償還期限をきめて、そうして終わったら無料にするということであるならば、いまのやり方でやるならば非常に経済的なアンバランスがある日本の国土の状態から見るならば、これは一面においてはいいところは何ぼでも道路ができるけれども、過疎地帯とかあるいは辺境の地域は、有料道路制度では永久にできないのじゃないか。だから、むしろ国で管理しておる道路公団等でやるところの高速自動車道路は、全部プール計算にすべきだ。そうして片方のあがったところの収益を、東北なりあるいは北陸なり九州なり北海道に持っていくべきだという議論がいま非常に盛んに出てきておる、こういう現状でございます。そういう点をも踏まえてまいりますれば、いわゆる高速自動車道路を有料制度にしないほうがいいという理論にも一つのりっぱな見識がございますが、実際的な面においてはむしろ全面的にプール計算にして、しかもそうしたところの収益のあがるところの収益をもって普通ならば採算がとれないところまでやって、そうして結局において、できるだけ早く日本の縦貫道を一つのネットワークとしてつくることが必要じゃないか。また一方、そうしておる間に国の財政の状況が豊かになったならば、一部は全然有料にあらざる高速自動車道路を無料で初めからやるということも考えていいけれども、やはりそれは、それぞれの時点における国家財政と社会経済情勢を勘案していくべきだというふうに考えておる次第でございます。
  153. 小濱新次

    ○小濱委員 次に、従来市町村道整備は、その膨大なる路線延長と市町村道の性格、実態の把握が困難なままに、離島振興法等、特殊立法地域の市町村道本位の補助政策の域を多く出るものではなかったが、すでに昭和四十一年度より四十二年度にわたり建設省において市町村道の実態調査も行なわれ、ほぼその実態を把握したもの、こういうふうにわれわれは聞いておりますので、第六次道路整備五カ年計画実施に際して、国道、都道、府県道のような幹線道路にかわるべき性格を有する市町村道整備促進を大幅に国の施策の中に取り入れ、重点的に事業促進をはかる必要がある、このようにわれわれは考えるわけでございます。したがって、この際、市町村道管理の明確化をはかるため、これは一つの提案でございますが、道路法の一部を改正して、市町村道を幹線市町村道と一般市町村道、あるいは一級市町村道、二級市町村道等にランクし、その実態に即して市町村道整備を行なう必要がある。市町村道整備、どうしてもこのおくれを取り戻していくためには何らかの方法を講じなければならない、こういうふうに私ども考えるわけでございますが、この必要性について大臣からお答えいただきたいと思います。
  154. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 大体の発想は私も同感です。ただし、一級市町村道路というふうに改正するかどうかはまだはっきりいたしませんが、現実の運営といたしましては、御承知のように生活圏構想はその一端のあらわれでございます。従来は、市町村道よりも国道地方主要道路にいったのでありますが、それが地域社会の一つのネットワークとして十分とれていない古いものがあるわけでございますが、現在のように過密、過疎現象が出ておる場合においては、核になるところの一つの都市を中心として道路の体系的なネットワークをつくっていこう、その場合には、まず第一に、市町村道であってもその地域の総合的な開発に役立つものについては、ある場合においては県道に昇格をしてもよろしい、ある場合においては市町村道のまま政府は重点的に公共事業費を配分しよう、こういう構想でございます。そうして、いわゆる農村における農工一体の政策、あるいは集団営農体系の確立の場合にはどうしても道路をつくってやらなければいかぬ、そういうふうに道路費の機動的な配分をしようということを本年から私は決意した次第でございます。したがいまして、従来ややもすれば国道何号線は何年計画で、こういって何年計画で何ぼずつ金をやるとか、あるいはどの県道はというように予算の固定的な張りつけがあったのを、今後はもっと弾力的にやろうじゃないかということを考えている次第でございます。そういう意味においては、いま小濱さんが御提言なさったことと考え方については同じでございますが、ただ、その実行のために道路法を改正して一級市町村道とかどうとかいうことについては、まだこれは検討しておりませんが、十分そうした御意見を含めて、今後の地方道路整備について検討を進めてまいりたいと思います。
  155. 小濱新次

    ○小濱委員 これは大蔵省と自治省と論議の的になっているわけでございますが、地方財政がやや好転のきざしを見せているということで、委員会等でもいつの場合でも意見の一致を見ないようでございますが、この地方財政の問題から、今後五カ年間に二兆五千五百億円もの膨大な事業量を地方にのみ、表現は悪いけれども押しつけるというような形になっているように、今回見受けられるわけです。したがって、私は、国として無責任のそしりを免れないのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。はたして地方が、これだけの事業量の負担を十分に消化し得る高邁なる見通しのもとに、今回のこの問題についての決定を見られたのかどうか。これは、どうしてもいまの問題から地方道がおくれておりますし、何とかしてこのおくれを取り戻してあげたいと思うわけです。非常に大事な問題でございますので、この点についても大臣からお答えをいただきたいと思います。
  156. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 地方財政と国の財政との見方については、やはりみんな、それぞれ役所の立場で自分のほうに有利にしたいために論争があることは事実でございます。しかし、私はその論争には実はあまり入りたくない。それよりも大事なことは、いかにして地方道路財源を与えてやるかというところに私のほうの主張があるのでございます。その意味で、いわゆる道路財源といたしましても、国の財源だけ私は考えているのではございません。そこで、現在地方税になっておる軽油引取税、これをもう少し増徴していい。そして、これは市町村に与えるべきだということです。現在どんないなかに行きましても、トラック、バス、これが非常に道路を荒らしております。しかるに、軽油を使っておるところのそうしたトラック、バス、ダンプ、これが一番税負担が少ない。これは適当ではない。その意味において、私は大蔵省にも、自治省にも道路財源の中には、国の財源のほかに地方財源においてこれを確保してやるべきである、それからまた、都市計画税をもう少し地方事情に合わせて増徴してもいいではないか、あるいはまた、固定資産税の再評価も当然やってよろしい、こういうふうにいたしまして、地方自治体みずからの独自の財源を与えてやらなければ、これは小濱さんも御承知のように、地方道路のうち市町村道路が八十五万キロという膨大な延長を、国の助成だけでとてもできません。そこで、私は、地方自治体が財源が豊かだからどうとかいうことのほかに、それ以上に根本的なことは、地方自治体自体に独自の道路財源を与えてやるべきだという主張をもって、今後もこれは努力してまいりたいと考えておる次第であります。
  157. 小濱新次

    ○小濱委員 いろいろと耳にしていることでございますが、ちょっと伺っておきたいのです。  第六次道路整備五カ年計画遂行途上において、民間資金を公共事業に投入する方法として、民間企業そのものを活用し、民間に道路事業を直接行なわせようという構想も検討されているようであります。これはいろいろ耳にするわけです。そこで、財界方面においても関西電力の芦原構想というんですか、それから九州電力の瓦林構想あるいは近鉄の佐伯構想等が資金活用の大手、こういうふうに話題にのぼっておるわけであります。この辺については、民間の利潤追求と道路本来の公共性の問題等、これが実現までには解決すべきいろいろな問題が残されていると思うわけですが、公共性という問題についてもいろいろと耳にしておりますので、大臣から御所見を承りたいと思います。
  158. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 現在私のところの建設省では、いわゆる一般道路を純然たる企業体に営業の目的でやらせようという考えは持っておりません。おそらくそうしたところの発想は、たとえばこういう点では研究する価値があると思いまするのは、一つの工業団地が新しくずっとコンビナートができた、それはある意味においては産業道路ですが、それを使うのは一般の国民よりも、そこの一つの工業コンビナートに立地しておる人たちの利益になり、採算にも影響するというような場合には、それらの関係企業体がお互いに出資をしてやり、そうして維持するということは許してもいいんじゃないかとは考えます。しかし、一般的な道路において営業としてやるようなものを現在は考えておりません。ただ、従来、道路運送法に基づく一般道路はいまでもありますから、それらのものは、いまのところは主として観光的なものが行なわれておりますけれども、私は将来、だんだんレクリエーションが国民生活の潤いをつくるために必須の事業になった場合には、できるだけこれも公団等においてやらしたい、こう思っております。ただし、いま御質問がございませんでしたけれども、民間資金の活用の幅にはいろいろな幅があると思います。たとえば、いまの地方道路公社等においては、よく知事さんから私のほうに提言があるわけですが、この場合に、県が保証することによって地元の農協とか地元の銀行から資金を借りやすいのだ、そうしていくほうが政府の財投を経ていくよりも、われわれのほうが地元と密着しつつスピーディーにできる、だから、こういうものをぜひ大幅に許してほしいというような要求はあります。これは営業ではなくして、民間資金を県の保証において地方バイパスとか地方の産業開発に役立たせる、こういう発想は傾聴に値するので、われわれはそういうことも前向きにいま考えておるという次第でございます。
  159. 小濱新次

    ○小濱委員 だいぶ時間も経過しましたので、何点か省略いたしまして最後に一点だけお伺いしたいことは、現在設置せられました高速道路のインターチェンジの新設に関してであります。東京周辺の地域は、ほとんどが過密地帯であります。そこで、神奈川県の場合には年間二十五万人くらい転入人口がふえておりまして、私の選挙区でも約その半数くらい毎年ふえております。ある市では、四年間で人口が倍になって二十五万を突破している。そういう地域がございまして、大学あるいは大規模な住宅団地、大企業の進出などが、地域によってはどんどんと推し進められているわけです。しばらく行きませんと、あっという間に山がなくなっているというような姿がございまして、都市化の進展は激化しているというか、そういう姿になっている。そこで、その地域では今後の発展、開発に大きな期待を寄せておられるわけですけれども、このインターチェンジの新設を要望しているところがたくさんあるようであります。私の聞いたところでは、全国に四十カ所くらい建設省のほうに要望が出ているというふうに聞いております。  そこで、おとといでしたか、平塚市、秦野市、それから二宮町、橘町、中井町の二市三町の代表が参りまして、いろいろと陳情書を手渡してくださいました。これによりますと、三十九年当時からすでにこの新設を要望してきたようでございます。また、四十年度早々にも実現をはかっていただきたいというふうに申し入れてきているようでございますが、私もいろいろと陳情書を読むわけですけれども、おととい建設省にも配られたと思いますが、この陳情書を見ますと、ほんとうに心からこの新設を熱望しているという姿が出ているわけです。その中には、一日千秋の思いでその実現を待ち望んでいるということばもございます。そこで、こまかいことは申し上げませんが、こうしたインターチェンジの新設のことについては、やはり何らかの対策を講じていかなければならないと思います。いろいろとその審議の過程等も聞いておりますし、また膨大な予算を伴うことも聞いておりますが、どちらにしても、四十カ所からの申し入れもございますし、こうした地元住民ほんとうに心からなる願望の陳情書も来ておりますので、こういう点について、ひとつ希望に燃えるような建設大臣からの明確なるお答えをいただきたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
  160. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 高速道路のインターチェンジの増設につきましては、いま先生から御指摘がありましたように、全国約四十カ所の要望がございまして、インターチェンジの増設を要望される趣旨もよくわかるわけでございます。ただ、インターチェンジをどこにつくるかという問題になりますと、これを各市町村につくっていきますとだんだんインターチェンジがふえまして、本線の高速走行にも非常に影響されてまいりますので、やはり高速道路というのは、インターチェンジを中心にしたそのほかの道路との関連も考えなければいけないと思います。ただ、いま先生の御指摘の秦野市につきましては、現在の東名高速道路が厚木から大井松田までインターチェンジがないわけでありまして、その間約二十五キロございます。また、この秦野の現況が東名高速道路計画したときとだいぶ変わっておるということもございまして、そういう意味では、このインターチェンジの増設については慎重に検討していきたいと思いますが、一つの問題は、インターチェンジの増設については建設費がかかるわけでございますので、そういう費用をいまの乏しい幹線自動車道の建設費用の中から出しておったのでは、いまの高速道路ができていないところからのいろいろ苦情もありますので、そういうことも考えまして、どういうふうに資金の調達をすればできやすくなるかということも、あわせまして今後の検討事項にしておる次第でございます。
  161. 小濱新次

    ○小濱委員 最後に一言申し上げたいのですが、道路局長、地元では、すでにもう敷地の問題についても測量もやっております。声をかけていただければ協力を惜しまないという態勢で、一生懸命努力をしておるというふうにも聞いております。また非常な密集地帯と違いますから、土地買収の問題についてもそんなに困難はない、こういうふうにも聞いております。こういう問題ですから、ひとつ検討を加えていきたいということですが、これはぜひとも全体的に検討を加えなければならないと思います。それにはまた膨大な予算も伴うし、たいへんだと思いますけれども、ひとつ誠意ある検討をぜひ加えていただきたいと心からお願いする次第でございます。建設大臣、その点よろしくお願いいたします。  以上で私の質問を終わります。
  162. 金丸信

    金丸委員長 卜部政巳君。
  163. 卜部政巳

    ○卜部委員 きょうは、大臣がおいでになっておりますので、先般の委員会と若干だけ重複する面があろうかと思いますが、私は大臣に対して御質問を申し上げ、同時に、御意見を申し上げ、さらに大臣の英断をお願いいたしたい、このように思います。  大臣も御承知かと思いますが、去る十六日に春の交通安全運動週間というのがありました。その運動週間の期間中に、警察庁が発表しておるところによりますと一日平均二千二百人、これは秒数にして三十秒に一人の死傷者が出ておるという計算になります。   〔委員長退席、渡辺(栄)委員長代理着席〕 そういうことになりますと、昨年、一昨年に引き続いて八十二万台を大きく上回るものである、こういう予想が成り立ちます。まさに、これは高知県だとか愛媛県とかいう県に匹敵するような死傷者が出ておるという忌まわしい現実です。その中で大きくクローズアップされてくるのが老人、子供です。歩行者です。これが事故の大体八割にも達しておるという現実であります。その中で、大臣が先ほどの各質問者の方々に御答弁になっておりましたけれども、公害、さらに交通事故の問題から安全施設の問題は特に配慮をしたいという御答弁がありました。その面について、私は、これがただ単にこの委員会における根本大臣の構想である、ただ自分の意思だけだということではなくて、それが現実の新道路五カ年計画に結びついていかなければならぬものだと思うわけでありますが、その点についてひとつまず冒頭に大臣の所信をお伺いしたい。
  164. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 卜部さん御指摘のように、日本の道路は、本来自動車のためにあったのではなくて、車馬それから人間の道路であったのが、ごく最近、十年と言ってもいいでしょう、その間に日本のモータリゼーションが急激に進んだために、従来の道路規格では人間は疎外されているという現状でございます。それと同時に、これは道路のみならず、ドライバーマナーがおそらく世界で一番悪いのじゃないかと私は思うのです。特に大きな、がんじょうなものに乗っている者ほどドライバーマナーが悪い。おれは強いのだからぶつかってもたいしたことないというような、何か潜在意識があるのじゃないかと思うほどでございます。その意味において、道路交通災害をなくすには、道路もさることながら、まずドライバーマナーをすっかりやり直さなければならぬということも一つだと思います。しかし、われわれ道路建設し、管理するものとしては、今後安全施設を充実させなければならない、こういう観点から、実は先般来いろいろと御批判もございましたけれども、新道路五カ年計画整備するには、それも一つの大きな原因をなしている、いままでの道路では、そういう道路安全施設というものも若干考えているけれども、それほど考えてなかったのじゃないかと思われるから、それを考え直そうということでございます。したがいまして、これは実は閣議でこの新道路五カ年計画を発足するときにあたって私からも発言し、それから公安委員長からも発言して、今度はすでに三カ年計画ができておる、道路安全施設もさらに重点的に人間を車の、ことばが過ぎるかもしらぬけれども、暴力から防いでいく施設を大いにやろうというふうにいたした次第でございまして、その意味においては、卜部さんの御指摘になったことについては私も真剣に取り組んでまいりたいと思う次第でございます。
  165. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣のほうから、ドライバーの不届きな行為というものについての指摘がありました。その点については若干そういう要素はあったにしても、それが根本的な問題でないことは大臣も御承知のとおりです。それは何といってもやはり道路ができる、自動車産業が急速にのし上がってくるという状態の中で、たまたまあらわれた現象にしかすぎないと思うのです。そうした問題から以下討議を続けていきたいと思いますが、その前に、私はいま安全施設の問題を出したのですから、やはりこの面においてただ万全を期していくということでなくて、具体的にこれがどうあらねばならぬかという問題を大臣のほうからお伺いをしたい。  道路局長には、この間いろいろと御配慮を願った点もあります。ですから、そうした問題は感謝をしながらも、それは一つの私がいる県だとか町だとかいう問題じゃなくて、私のいる島根県のような過疎の県——これはあとから申し上げますが、そこでも、県の中にある松江市を中心とした過密という問題がやはり出てきております。そういう道路事情をながめてまいりますと、まさにこの安全施設というものは、皆無にひとしいという現実があるわけです。ですから、これからのいわゆる道路計画というものについては、必ず安全施設をこの中につけ加えていかなければならぬのじゃないだろうか、こういうことであります。  具体的に申し上げますと、私のところには九号線というのがずっと通っておるわけですが、それから切れて一般国道があるわけなんですね。それは宍道湖をめぐるきれいな歩道であります。これは人が歩いていた道路です。いまは現実に人が歩けない。歩こうと思ったら、ほんとうにぺたっと護岸の壁にくっついて歩かなければいかぬというほど車の量が多い。そうしてみれば、やはり大臣が指摘されたように、人は一体どこを歩くのかという問題があるわけです。されば、やはりそこには歩道を一メートルでも両側につけていくというような配慮がほしい。そしてその中間を横切ろうとするとき、農民のトラクター、さらにバインダー、いろいろありますけれども、こういうものが通れない。これはもちろん一ぺんえんごすると、もう一ぺん引っぱってモーターをかけるのですから、そういう状態になるところには信号機をつけていく、手動の押しボタン式のやつがありますが、そういうものをつけていくという、あくまでも人を守るという施設をつけていかなければならぬのじゃないだろうか、こういうふうに考えるわけです。ですから、これからの五カ年計画の中に出てまいっておりますけれども、パーセンテージの上では、地方単独事業がかなり大きなウエートを占めてはおりますね。しかし、これはただパーセンテージだけであって、数字の上からは少ない。二・三倍ということになると大きなように見えるけれども、現実の金額は少ないですよ。枝葉がつきましたけれども、たとえ二・三倍となっておる地方道路についても、そういうものを付加していくようなかっこうでなければならぬと思うのですが、その点についてはどういうふうになるのか。大臣が指摘をされたように、人の安全もさることながら、やはり産業基盤というものも考えていかなければならぬ、有料道路は大事なんですよということでは、解決のつかない問題もあろうかと思うわけなんです。その点について、具体的に大臣がそういう指示を事務当局に命ずる、大臣命令というかっこうで安全を守ってもらいたい、安全施設を確保していただきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  166. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 具体的なことについては道路局長から御説明いたさせますが、その趣旨には私も賛成でございます。そういう意味で、今度の新五カ年計画にあたっては、これは建設省ばかりではございません、安全関係は公安の関係それから地方自体、特に市町村でやっておりますので、そこへも連絡をして、今度は安全施設を重点的にやろうということで閣議に発言しておるわけでございます。その方針でやります。  ただし、御承知のように、四十万、八十万キロもあるところのものを一挙に全部安全施設をやるということはとうていできませんので、少なくとも改良の場合、あるいは現に子供や老人やその他の人が非常に危機にさらされているようなところは、重点的に取り上げて改良さすべきであると考えておる次第でございます。  具体的な問題については、完全な説明にはならぬかもしれませんけれども道路局長に御説明いたさせます。
  167. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 交通事故を防ぐ交通安全施設をつくるということは、いまの道路の新しい五カ年計画の中でも大きな一つの柱だと思います。いまの交通安全施設の整備等の三カ年計画といいますのは、現在ある道路に応急的にそういう交通安全施設をつけていこうということでございます。交通環境道路環境をよくするということは、やはり交通事情に合った道路整備をしていくことが根本になろうかと思います。ただ、そういうことをやっておるのは時間がかかるということで、既存の道路についての安全施設をふやしていくということを、両方考えておる次第でございます。  もう一つは、先生のおっしゃいましたように、宍道湖みたいな非常に景色のいいところはだれでも散歩したい、レクリエーションに歩くということになると思います。そういうところにつきましては、これからの道路としては、私のほうでは道路構造令の改正というものを考えております。幹線になるような自動車の多い道路については、歩行者と車とを完全に分離するという形をとっていきたいと考えております。これにはやはり歩道をつける、また自転車と歩行者を一緒に通す道、あるいは自転車の多いところは自転車道路というものを新しい道路構造令の中で取り入れていきたいと考えております。そういうことをやっていきますと、道路建設にはいまよりは多少金がかかるということもございますが、将来の交通の安全からいえば、将来安全施設をやるよりずっと有効だという考え方で、構造令の改正の時期に、これからの交通量の多い幹線の道路については歩車道を分離する、また観光地の道路については、特に遊歩道というようなものも積極的につくるという方針で道路整備を指導していきたいと思っております。
  168. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣に申し上げたいと思いますが、地方の公安その他にいろいろと連絡をしながら、指導しながら充実をはかりたいというお話がありましたけれども、現実に松江市に起きた事故の中でも、当然そこには信号機がなければあぶないんだということを言いながらも予算がない。交通安全云々協会とかいうのは、いろいろ人から金を取ります。私たちからも多額な寄付を要求はするけれども、何をやっているかさっぱりわからぬという声が出てきておる。それはちょっと枝葉がつきましたけれども、予算に縛られて子供が三人死ぬ、そこでようやく信号機がつくという現状ですよ。そういうことのないような措置が事前に行なわれなければならないということですね。そのためには、建設省が大きな指導的な役割りを持っておるし、予算的にも、その面においては十分な配慮が行なわれるべきだと思うのです。  それで、いま道路局長のほうからも御指摘がありましたけれども、日本海、さらに過疎の県ではありますが、宍道湖なんかの先ほど申した道路がもう歩けないということになりますと、当然歩道、できればその周辺に、いままで戯れたわらべたちの、三十センチないし四十センチでもいいから自転車道路でもこれに付加していくという配慮があってしかるべきだ、こういうふうに思うわけでありますが、道路局長のほうから、そういうものは十分考慮して今後に処したいということでありますから、私はその実現をじっと見守っていきたいと思っております。それは決して、あした待たれる宝船というようなことばにあるように、何かしらん、あした、あしたということで四、五年たってしまった、計画の後にまたこういうことを言わなければならないということのないような配慮を行なってもらいたいことを、ひとつお願いいたしたいと思います。  と同時に、いま過疎の県の中の過密の問題を若干取り上げたわけですが、島根県は人口一〇%減少の県です。流出の県、過疎の県ですね。そういう点に対して、地方生活圏構想というものがあります。これは建設省の打ち出した大きな構想なんでありますが、これと新道路計画との関連について大臣の御意見をお伺いいたしたい。さらに、それが具体的にどのように進行しつつあるのか、この点もお伺いをいたしたいと思います。
  169. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 生活圏構想は、御承知のように、過疎、過密をどうして効率的に救済していくかという一つの構想でもあるわけです。過疎化しているところの山村全部にりっぱな道路をつくるということはとうていできません。そこで、それぞれの地区において中心都市になるところを一応設定いたしまして、そこと過疎化されておるところとを地方幹線道路で結びつけよう。そして生活関係、産業関係でどうしてもそこに立地することができないところは、やむを得ないからある近くまで移転させよう。そこまでの道路網はつくってあげましょう。そして、今度はそこと中心都市との間であるいは通勤ができる、あるいはまた、中心になる都市からそこに何らかの中小企業を持っていけるというような構想、これには道路のみならず通信関係あるいはいろいろの施設、特に最近問題になるのは、過疎地帯における医療関係が整備されなければどんどんどんどん過疎化していく、そこで中心都市からそこまで診療車が簡単に行けるというようなことでいこう、そういう意味において実はそれぞれの地区においてひとつ具体的な構想をつくっていただきまして、その県でつくった構想を一つのマスタープランとしてこれに対する予算づけ、助成をしていこう、こういう考え方であります。したがいまして、建設省が自分で、島根県なら島根県でこれこれこういうことだ、こう押しつけるのではなくて、できるだけ地元の実態に合った一つの生活圏をつくっていただいて、それに対するいろいろの要望をつけていただいて、これにわれわれがフォローをしていくというほうが現実的であろうと考えておる次第でございます。
  170. 卜部政巳

    ○卜部委員 私は社会党の過疎対策特別委員会の事務局長をやっておりますので、その面でいま大臣が御指摘の地方生活圏構想、さらに広域市町村圏の構想の問題がある、そうした流れ、構想については、私はよく把握しておるつもりでございます。ですから、過疎法の中にある診療所の設置や老人施設の問題、さらにはいまの診療車の配置の問題、保健婦の配置の問題、今度いろいろとお手配をいただきましたけれども、しかしながら、現実の問題でいま大臣のおっしゃるようなかっこうですと、広域市町村圏というものとの構想と相まって、各市町村がまず広域市町村圏の指定をされて一まだ実際されていないところもあるんですから、そういう問題にウエートがかかっちゃう。大体生活圏構想と広域市町村圏構想というのはよく似通ってはおりますけれども、若干枝葉で違いがあります。そういうものを待っていたのでは、私は若干問題があるだろうと思うのです。ですから、やはり先ほど大臣のおっしゃった中に、こういう構想があったんだけれども道路のほうが先走ってしまった結果になりました、ですから、御批判を仰いだわけでございますが云々ということがございますが、根本プランとして、マスタープランともいいますか、これは別の意味のあれなんですが、そういうものが打ち出されて過疎の県、そして過疎の一カ所をモデル地区として、いわゆるマスタープランとしてつくり上げ、さらに道路の充実をはかっていくんだということがいわれるとするならば、そこには島根県でも特に過疎地帯、こういうところの人々にまず重きを置いた、配慮された道路整備というものが私は先行してもいいのではないか、こういうふうに思うわけです。ですから、大臣も御承知の、これは六十一国会において参考人になりました匹見の町長なども参りましたけれども、こうしたところの道路事情なんかをながめてまいりまして、まさにそれはもう道路ではないですね。そういう人たちが、ほんとうに故郷の廃家とでもいいますか、歌が思い浮かぶように人がおらない家々がある。そうして大臣が指摘されたように、ここで病気になったらどうなるのだろうか。もう盲腸一つでさえも命を断っていかなければならぬという、そういうところがあるんですよ。そういうところの人々が常日ごろから道路の拡充、こういう問題をこいねがっていながらも、今日なおかつそれが整備されないという状態であるならば、そういう問題に対する地方生活圏構想と相まった道路整備というものがあってしかるべきだ、こういうふうに思うわけでありますが、いかがなものでしょうか。
  171. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 よくあなたのお考えわかります、私も実は過疎地帯を持っている東北でございますから。ただ、過疎地帯だから過疎地帯だけに重点を指向するというと非常にアンバランスなので、そこでそれを御承知のように、過疎対策の一つの特別立法もいたし、それと建設省生活圏構想とあわせてこれは予算づけをしていくということでございます。それにいたしましても、そういうふうな過疎化しているようなところというものは、建設省道路計画でどうこうと言うよりも、やはりその地方自体がわかったところの地方自治体を中心にして、一つの構想をまとめてほしいというわけです。それに応じてわれわれが予算づけをしていく、道路のネットワークをつくっていこうということでございます。したがいまして、これは決して責任転嫁でなくて、現実にそうせなければ、建設省地建で北陸なら北陸全体の過疎地帯まで道路を調べてどうこうということは、これは事実上できないのです。それはやはり県の土木部がよく知っており、そして今度全体の産業関係は農林部なり、それからその他の各部が知っておるわけですから、やはりこういう問題は知事さんあたりが一番知っておるから、知事さんが中心になっていまの広域行政圏と生活圏と調整をとり、一つの構想を持ってきてほしい。それに応じてわれわれは、具体的な道路のネットワークをつくるように予算づけしていこう、こう考えておる次第でございます。
  172. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣の構想としてはよくわかるし、気持ちもよくわかるのです。だけれども、現実に広域市町村圏をながめてまいりましても、たとえば島根県に雲南三郡といっていわゆるグループの郡があるわけです。今度そういうふうな郡が広域市町村圏によって、仁多郡は出雲市に、そして大原郡は松江市というかっこうになって、ばらばらな状態にさせられる状態になっておるわけです。そこの中でいま何が行なわれているかといえば、やはりぶんどりですよ。そういう中では、匹見なんかという過疎の県境ですね、言うなればそういう地帯は、常に日の目を見ないという現実が出てくるということです。それをそのままにしていたのでは、やはりまた大きな広域市町村圏という中に埋もれてしまうだろうということです。ですから、それは生活圏構想と違って、むしろ奥地、それから雪寒だとかそういう面で処理すべき内容のものかもしれません。しかし、その地域というものは、もう少し眼を大きくあければ、道路さえ整備すれば、いわゆる近郊の益田市へとつながっていく土地でもあるわけです。そういうところが常に、旅館が三軒あったものが二軒になり、一軒になり、いまはもうない。学校は、いま突っかい棒をしながら学校がささえられておる。そんなばかな学校がどこにあるかといって怒りたくなるような状態に置かれていきますと、人がおらぬようになる。そういう人たちの意見が反映されなくなるということではならぬのではないかと私は思います。これはやはり、生活圏とは違った意味ではありますが、そうした人々の配慮という問題、こういう点においては私は十分に配慮されてしかるべきではないか。この新道路計画の中でも、特にそれが大臣が言うように、広域市町村圏と相まって、自治体のそれと相まって私たちの主張もその中に十分織り込んでもらって、その中から道路をつけますということはよくわかる。わかるけれども、やはり現実にそうした人々に対する道路を強化していくというか、拡充をしていくような措置もあっていいのではないか、私はこう思うわけです。  これは道路局長なんかも御承知かと思いますが、加計線といわれておる広島に通ずる道がありますし、また匹見峡というりっぱな観光地としての要素を持っておるわけでありますから、そういう面で十分な配慮を行なってもらいたい。具体的には道路局長のほうがその事情に詳しいと思いますので、御答弁をしていただくにいたしましても、そういう僻地の中に埋もれておるもの、そういうものに対してあたたかい手を投げかけていくというのが私は政治だろうと思うのです。だから、いろいろ社会資本の立ちおくれ云々というようなことでありますけれども、たまにはひとつ根本大臣在任期間中に、そういうところにもやはり道路は一本いったのだ——匹見というところは過疎の全国的に有名なところなんですから、それにはやはり一本くらいいったという、一つくらい、ただことばだけでない道路がそこにあって私はしかるべきじゃないか、こう思います。
  173. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたように、山陰と山陽を結ぶ線の中の一つだと思います。そういう意味もございまして、益田から加計へ行く線はこの四月から国道に昇格した次第でございます。やはりそういういま先生のおっしゃいました、何というか一言で言えば非常に気の毒な町村、こういうものに対しては、道路のような環境整備になるようなものを大いにやっていくべきだと思います。一般に島根県は、私たちいまの地方道路予算の配分に際しましても、ほかの県より県道の舗装率、改良率あたりが非常におくれております。そういうところにかなり力を入れて予算の配分もしておるわけでございまして、具体的には、県等の末端までいきますとどこの線からまず改良し、どういう困っておるところの道路を改良を始めていくかということは、県が一番知っておることでございまして、やはり県道の整備につきましては、県の意思を尊重して予算の措置をしておるわけでございます。ただいま先生のおっしゃいましたことはよく事情としてわかりますので、機会があれば県の土木当局にも話しまして、そういう困っておるような町村の県道の改修というもの、こういうものを何らかの方法促進していくということを考えたいと思っております。
  174. 卜部政巳

    ○卜部委員 きょうは大臣がせっかくおいでになっておるわけですから、いろいろと具体的な問題で御指摘をしたい面がありますが、それは時間が許す限りの中で指摘をしたいと思います。やはり大きな問題だけをひとつ大臣にお答えを願いたいと思います。  それで、当然その中からは、先ほど申し上げた雪寒地帯だとか、さらには奥地だとか、いろいろな問題がございますが、これは道路局長とでもお話ができますけれども、そこで問題になりますのは、やはり生活圏構想の中で一番大きく浮かび上がっておるのは、山陽とそれから山陰を結ぶ道路だろうと私は思うのです。中国縦貫道路というのができておりますが、その縦貫道路も確かに必要なことではあります。六日市のインターチェンジをはじめとして、これはもう山陰地方にとってはたいへんな道路ではあるにいたしましても、やはり山陰と山陽を結ぶ——建設省あたりにも出ておると思いますが、浜田と広島を結ぶ横断道路、これは縦貫道路よりもより早く完成されるべき内容のものだと私は思うのです。このほうにむしろ重点を置くべきだというふうに考えるわけですが、この横断道路に対する大臣考え方、ないしこれに対する執行の調査の段階を明確にしてもらいたいと思います。
  175. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生のお話の、国土開発幹線自動車道の中の中国横断道路としての益田から広島へ行く道、これは、山陰筋はいまの七千六百キロの高速道路網に入っておりませんので、やはりこの横断道路は、御指摘のように非常に必要なものになってくると思います。そういうものに対しましては、現在基本計画策定するための調査実施しております。いろいろ経過地点については、特に広島側で問題はあるわけでございますが、その問題のないようなところにつきましては、できるだけ早く基本計画策定だけの調査を終わらせまして、基本計画に持ち込みたいというように考えております。建設のためには整備計画をきめることでございます。これは、先ほどからのいろいろ御議論がありますように、いかにしてその建設資金を確保するかという問題が出てまいります。財源をどうするかの問題になりますので、まず基本計画を早くきめていきたい。そういたしませんとそのほかの関連の道路計画もまた立たないということもございまして、いま基本計画策定するために鋭意努力しておる次第でございます。
  176. 卜部政巳

    ○卜部委員 広島側に若干の問題があるということを御指摘になっていらっしゃいますが、その点が了解がつくということになりますと——もちろんそれは容易に了解をつけるような行動が行なわれると思いますが、これがもしその了解がついたときには、基本計画は大体いつごろできるということになりましょうか。それは、そういうものを地元の了解ができていないのにおまえ未知数のことは言うなということになりますが、かりに今年中にできると仮定をいたしますと、基本計画はもう即刻その中で実行に移っていくわけですか。
  177. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 基本計画をきめます際には、いろいろ地方建設局で調査した路線につきまして県なり地元とも協議をしていくわけでございます。私たちいま事務的な考えでは、この国会が終わりますれば、できるだけ早い機会に県ともそういう打ち合わせを進めていきたいというふうに考えております。
  178. 卜部政巳

    ○卜部委員 では、この横断道路の問題はまだ未知数ですからその問題で質問を終わりたいと思いますが、ひとつ大臣にも、特に過疎の県だという大臣の立場がございますが、やはり過疎の県には、そうした縦横の大きな道路もさることながら、奥地まで手の届くようなあたたかい措置をお願いしたい、このように思います。  そこで、いまの財源の問題が出てきたわけでありますが、先ほどの質問を聞いておりますと、大臣がいろいろといいことを御答弁になっておりまするけれども、私にはやはり若干不可解なところがあります。たとえば今度の自動車税の問題なんですね。財源の問題としましての自動車財源の問題等がございますが、これは建設省から大蔵省には言われておるけれども、世間にはあまりその構想というものが明らかにされていないですね。それで何かしら閣議において検討した結果、前向きな検討をするというようなことをもっともらしくおっしゃって、四十六年度までには云々だというような中川政務次官のような答弁がございます。しかしながら、どうですか、大臣、それだけの建設省案として予算編成時に出したものであれば、堂々と建設省はそのことを主張するということを新聞等でどんどんと発表してはどうですか。その点について何か世論の反撃とでもいいますか、そういうものをおそれているかのような印象を与えるのですが、その点に対しては全然構想はないのですか。   〔渡辺(栄)委員長代理退席、委員長着席〕
  179. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 反撃をおそれるとかそういうことは全然気にしておりません。この自動車財源についてはいろいろの考え方があると思いますけれども、一応は自動車を購入される方に一つの一定の利付の債券を買っていただく。ちょうど電話債券みたいな形でいきますれば、それを買ってくれる人についても、若干のこれは負担になりまするけれども、やがては返ってくることだということで、相当抵抗なくいけるのじゃないかという一つの構想もあるわけでございます。しかし、こういうことは建設省だけできめられることでもございませんので、財政当局ともそれからまた通産省にも関係がございます。というのは、いわゆる自動車産業の立場というものもございましょうから、そこで十分に四十六年度予算編成までにはそうした各方面の意見調整をしてやるべきであるということで、いまのところ建設省案として世に問うまでには至っていない。ただ、国会でいろいろ御議論がございまして、どういう特定財源というか、どういうことが考えられるかといえば、そういうものもあります、それから自動車新税もあるし、トラックの物品税もあるし、いろいろの問題がございます、という程度にいっておりまして、これらのことは、関係事務当局でまずこれから詰めに入るというふうに段取りしているような状況でございます。
  180. 卜部政巳

    ○卜部委員 まあ大臣の苦しい胸の中、ぼくはわからぬでもないと思います。なぜなら、先ほど来から大臣が言われていたわけですが、電話債券ですね。その場合は電話料金によって償還がなされます。だけれども、この自動車の場合には、新車をかえていかなければならぬというような状態もありますし、さらに道路計画の問題、五カ年計画というような問題もありますから、そう簡単にこの電話債券と同じようにはいかぬ、この償還をめぐる問題で財政的に若干問題があることはわかります。だけれども、やはり一番大きな問題は、自動車業界の圧力だと私は思うのです。それは一部には、むしろその債券を二百億とか三百億とか受け持とうじゃないかというようなうわさもちらほら出ておりますけれども、やはりこの自動車債券というものがかけられた場合にたいへんだということで、トラックの問題も新税の問題もそうですが、業界がいまこぞって反撃体制にあるということを聞くわけです。そうなりますと、何か知らぬけれども、先ほどの質問者は大衆課税だ云々だということを言っておりましたけれども、別な角度から、私は何かこの業界の圧力に政府自体がゆらぎつつあるのではないかというような印象を受けてしかたがない、こういうことであります。しかし、この財源問題についてはやはりこれからずいぶん論議をされなくちゃならぬところでありますが、この法案をながめてみましても、一つも財源措置がないという状態もあります。ですから、附帯決議の中にも入るんでありましょうけれども、こういう問題は、やはり大衆課税にならないような配慮を持ってひとつ十分やっていただきたいと思います。  そこでもう一つ、それと関連いたしまして大臣が重大な発言をしております。このことはぜひやってもらいたいと思いますが、大臣は、自動車がずいぶん多くなってきた、だから自由化をするか、さらには自動車の製造制限をやらなければいかぬのじゃないかという発言でございます。これはやはり、私は当を得た発言だと思います。したがいまして、これからある面におきましては、自動車のそれを制限するということになりますと政治的な問題はあるにしても、道路事情が有料道路ばかりよくなってまいりますと、当然自動車というやつはどんどんふえてくる事情になってくるわけなんですが、それと相関連して業界が規制をしなければ、規制されるような道路をつくっていくというふうな配慮はあるのですか。その点をひとつ。
  181. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 まだ具体的なものは出ていませんけれども、私は特に過密化した都市等において、現在では道路でありさえすればどんな無理してもダンプみたいなものまでどんどん入ってきまして、そうして老人、子供がそれにおびえている、これは許すべきではない。そこで、一定の地域については、住宅地域とかあるいはまた時間帯において車両の通行制限をやるべきである。これは建設省はできませんので、そこで総理府の山中長官のところでいま熱心にやっていただいておりまして、これは道路の使用制限をやるべきである、それから一方交通を相当思い切ってやるべきであるということを私は提言しておるのでございます。  それからもう一つは、これはいま開発途上であるようですけれども、私は将来の問題として通産省なんかに研究をお願いしているのは、電力による自動車の開発をもう少し奨励すべきである。現在のように、都市においては百とか百五十キロなんかのスピードは実際できないわけです。確かに現在の電力による自動車は七十キロまで走る。ただ、いまコストが相当高いというわけですから、これを開発していきますれば、大体都市においてはこれで間に合うじゃないか。そうすれば公害もなくなり、それから交通による死傷者もだんだん少なくなるのじゃないか。だから、むしろそういうことも開発をすべきであるということを私は申し出ているわけでございます。  それから、先ほど答弁は要らないということでございましたが、業界の圧力ということが云々されておるそうです、が、それはどういうところからきておるかは存じません。建設省ではそういうことはございません。たとえば、それは業界が自分の利益を擁護するために相当の動きはあるでしょうけれども、私は政府として、ただ業界が反対したからやめるとかなんとかいうようなものではなく、これは相当の決意を持って道路政策をやるということをきめた以上は、大蔵省も通産省も十分大所高所から協力していただけるものと思って、いま進めておるわけでございます。
  182. 卜部政巳

    ○卜部委員 大臣から力強い決意が述べられました。おそらく来年あたりは、この財源をめぐって論議が活発になることでありましょう。そのときにひとつ大臣はいまのことばをお忘れのないように、少なくともこの問題はかなり問題を呼びそうです。しかしながら、それはそれとして、大臣から御発言があったわけですから、この点は信じながら進めてまいりたいと思います。  そこで、いま大臣が御指摘になったように、道路の規制云々という問題、これはいいことだと思うのですね。だけれども、反面よく考えてみなければならぬことは、いまバス乗り入れで時間制限をやる場合がありますね。ああいうことはいいことだと思うのです。そうしたら自家用車が通れない。どこを通るかといったら裏道をだあっと通るわけですね。そうすると、そこの公園にも行かれない、路地でもって遊んでおる子供をはねるという現実があるわけです。ですから、思い切った、それは私は大臣だけのあれではいかないと思いますが、都心にはもう入れない。自動車ならある範囲を区切って、そういうかっこうで裏道へ逃げて、路地へ路地へと伝わってくる自動車が子や老人をはねておるのが多いのですから、そういう盲点があるようなことではなくて、ずばりその点でやりまして、乗り入れ制限ができたところには大型の自動車か何かを持ってさておいて、そして大量な輸送機関でもって都市に入ってくるような措置考えないと、ただこっちを押えますと風船みたいにこっちがふくれちゃって、こっちを押えるとまたこっちがふくれるというようなことでは私はいけないと思います。だから、いまの根本大臣の構想は実にりっぱなんでありますが、ただ私にこの建設委員会で聞かせたということではやはり私はいけないと思います。少なくともいまそういう構想があれば、根本構想はやはりそこに住民の中に生きたということでなければならぬと思いますが、その点についても十分な配慮を行なってもらいたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、もう一つ続けて入ってまいりたいと思いますが、この新五カ年計画の中におきますところの用地の取得の問題、買収の問題ですね。この点、高速道路だとかいろいろそういうニュースなんかを見てみますと、各県あたりの買収状況などを刻々グラフに出して、そしてその間の県との摩擦等については、いろいろとお互いに立場を了解し合いながらやっていかなければ、この土地取得はむずかしいというようなことをいっておるわけであります。この土地取得に対する見込みなんですが、現実には道路五カ年計画が毎年毎年失敗をしております。用地の取得の問題にあろうかとも思いますが、この五カ年間の中では、用地の取得の問題については自信があるということでございますか。
  183. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 用地の取得につきましては、いままでいろいろトラブルがあったことは事実でございます。ただ、いま私聞いておりますのは、幹線になるような四車線以上のバイパスとか高速道路というようなものになりますと、相当の用地がつぶれます。そのために、やはり用地をとられる人が再建の自信を得るまでにかなり時間がかかると思います。ただ、そのほかの市町村道、県道となりますと、これはどちらかといいますと自分たち生活環境をよくするということで、非常に用地については協力を願っておる状況でございます。やはり大規模な工事になるほど用地の問題は問題が多いというようなことだと思いますので、大規模な工事につきましては、事前にその計画から用地買収まで、十分地元に納得のいくような話し合いを進めてやれば解決できるという考え方でございます。
  184. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 卜部委員の質問に関連して大臣にお尋ねいたしますが、どうも理解できないことがあるのです。決してこの法案に反対するつもりで質問をしておるわけじゃありませんが、この法律は何をねらっておるのかということをもっとはっきりさせたい。財源が不確定な財源であるにかかわらず法律だけが先行しておるわけですから、そういう意味では、どこにこの法律の根拠があるかということを明確にしたいのです。そういう意味で、少し意地が悪いというふうに質問をとらずにお答えをいただきたいと思います。  この道路整備緊急措置法という法律案は、今度発表になりました新全総計画ですね、この新全総計画との関連はどうなっておるのか。私は、新全総計画というのは少なくともブロック計画、さらに各県計画というものができ上がってこなければ、完全な新全総計画というものはできないと思うのです。また、この新全総計画は二十年ですけれども、この新全総計画から出ました経済社会発展計画、これは五カ年計画ですけれども、この法案との具体的な関連性というものはどうなっておるのか、その点を一ぺんお聞かせいただきたいと思うのです。
  185. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 それは、たしか先ほどもそういう御質問がございましてお答えしたつもりでございますが、この新全総計画も、それから新しい社会経済発展計画も、それから道路計画も、これは全部からみ合っております。したがいまして、この案をつくるにあたりましては、関係省全部がいろいろの過去の資料、それから将来における日本経済の発展の展望、それから今後の日本の全体の国の産業並びに文化の一応の予想図、こういうものも入れてやっていったわけでございます。ところで、この道路計画のほうが先行したということは、これは、新全総にいたしましてもその他についても、その中の一番基礎になるところです。これも予想がつかなければ、他のほうがこれはまた違っていくわけでございます。しかも御承知のように、最近の道路事情はなるべく早く構想をまとめていかなければ非常な大きなおくれをとってくるということで、私は意欲的に党並びは政府関係に働きかけまして、それで御承知のように昨年中に——道路昇格も国道昇格も数年間やっていない、そのために地方が意気消沈しておるし、見通しが立たない、これを私が党におるときに推進してやらして、あのときに実は新五カ年計画策定してもらおうと思ったわけです。ところがそれに対して、財政当局が非常に膨大なものを、こういうことはどうだということでかなり抵抗したことも事実なんです。そうしておるうちに国会が解散になり、そうして直ちに、今度は国会が召集されると同時に予算編成にかからなければならない。そのときに、もし五カ年計画をやっていかないと非常なおくれをとってしまいます。そこで私は関係閣僚等とも話をして、少し異例だけれども、本来ならば財政の裏づけをして出したいのだけれども、それを待っておれないならば、少なくともこれについては、党と政府が責任をもって四十六年度予算までに特定財源をはっきりときめるということであるならば、道路五カ年計画を先行してもあえて国民からはふしぎとはいわれないだろう。むしろこれをやってもらったほうがいい。そうでないと、財源のほうで大蔵省あたりの一般的ないろいろの意見で、こういう状態ではとてもだめだなんて言ったら道路五カ年計画はますます後退してしまうではないかということで、実は私は相当勇ましい発言をし、党側もこれに共鳴をし、これに押されて大蔵当局がまあそれじゃそうしようということで閣議決定を見たというのが真相なんですよ。その意味で、理論的に、大体こういう長期計画なるものを財源の裏づけなくしてやるのははなはだけしからぬと言うのは、そのとおりです。しかしながら、その理論的な正当性を待っておると、道路昇格したことも、それからこれから急速にやらなければならぬいろいろの道路対策もぐっとおくれてしまうので、これは少し異例ではございましたが、閣議決定を先にしてもらったというような次第でございます。したがいまして、何らの財政の裏づけがないというわけではない。従来は、その裏づけなくして五カ年計画だけどんどん改定していったために実現ができなかった。そこで、私は総理にも話をして、総理も、四十六年の予算編成までにはっきりと大蔵省も財源措置をするのだぞということの条件つきで策定した、こういうことでございます。どうかその点を御了承していただきたい。
  186. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣の丁寧なお答えでよくわかりましたが、道路局長にこの際お尊ねをしておきたいのですが、この十兆三千五百億という金額が算出された根拠——少なくとも積み上げてきておると思うのです。ブロック計画から各県計画というものが上がってきて、その一部分をとって第六次五カ年計画ということで引き戻しておるだろうと思うのです。だから、さらに第七次、第八次と進んでいかなければならないと思うのです。そういう数字的な根拠というものは、これを予算編成する場合あるいは計画する場合に、事務当局としては試算されておるのですか。その点どうでしょうか。
  187. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 この第六次の十兆三千五百億のきまりました経過でございますが、私たち昨年八月の予算要求時点では、先ほども述べましたように、昭和六十年までに五十兆という長期計画の中で、いまの経済の発展、毎年の道路事業の伸び率も勘案いたしまして、十兆七千億という形で要求したわけでございます。十兆七千億につきましては、いろいろまた調整しなければならぬものもございましたが、一応国道として幾ら、高速道路として幾ら、県道、地方道として幾らというような積み上げをして十兆七千億にしたわけでございます。ただ、これが今度最終的に十兆三千五百億ということになりまして、これを今度は道路種別にどう配分するか、どういう整備計画を立てていくか、これはこれから検討する事項でございますが、やはり府県の道路整備の問題につきましては、県当局を呼びまして、県の考えております将来計画昭和四十九年までの五カ年で実施すべきもの、そういうものをよく調整して最終の案をつくりたいというふうに考えております。
  188. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これはおそらく法案の審議の前に——きょうは採決だそうですから、もっと早く資料をいただけばよかったんですけれども、通ったあとからでもけっこうですから、やはり将来計画についての事務当局の試案を資料としていただきたいと思うのです。なぜそれをいただくかというと、またぞろ計画変更というものが出てきたときに、資料としてやはり議論しなければならぬ場面が出てくると思いますから、通ったあとでもいいからひとつ事務当局にお願いいたしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  189. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま私のほうで計画しております、昭和六十年までの五十兆の道路整備計画がございます。これは各県別に幾ら幾らということじゃございませんで、一体県道はいつまでにどうする、市町村道は六十年までにどれだけの整備をやるというようなことから積み上げたものでございます。その間には維持、修繕の費用をどのくらいに見込むかというようなことを入れております。そういう資料についてはさっそく提出いたします。
  190. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣に財源の問題について、くどいようですがお尋ねをしておきたいと思うのです。  財源の問題で先ほど卜部委員が質問しましたときに、自動車の利用制限を計画しておるというようなことをちょっと発言なさいましたね。それから時間制限というようなことを言われたんですが、やはり新全総計画というものに従った道路計画であれば、爆発的なモータリゼーションに対しての道路行政というものが非常にアンバランスして進行する。だから、そういうものについて道路整備計画とバランスした形でこのモータリゼーションというものも前進するんだということから考えれば、やはりここで何らかの生産調整といいますか、利用調整といいますか、そういったものは具体的に検討されなければならぬと思うのです。そういった問題について先ほど大臣ちょっと触れられましたけれども、そういう計画はすでに閣議の中で具体化されておるのかどうか、その点だけちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  191. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 先ほど申し上げましたのは、特に都市内の過密化しておる公害の非常に著しいところでは、道路であるからどんなところでも車が入っていいということではなくて、車両の通行の制限、禁止というようなことをやらなければ、とてももう都市の裏口まで全部歩道をつくり、ガードレールをつくってやることは実質上できない。したがって、これは現在、道路災害の総合的な防止のために総理府総務長官が中心になってやっておりますから、そこでそれを研究してほしいということを言っているということでございます。  それからもう一つの、車両の生産制限ということまでは閣議でまだ議題になっておりません。ただし、先ほど卜部さんにも話したように、都市内におきましてはそんなにハイスピードで走らなくてもいいし、これだけの排気ガスのために都会生活がめちゃめちゃにやられているときに電気カーを開発する——これは現実に相当程度やっておるから、これを奨励して、そういう過密都市には電気カーで交通関係を充足していくということも一つの発想ではないかということを提言したことは事実でございますが、いずれにいたしましても、それでは、これでそういうふうにしようというところまではいっておりません。私のほうで、道路、特に都会において、都市の街路を限られた資金で開発するということはとうていできません。その意味で、こういう発想を申し上げたということであります。
  192. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 あまり時間が長くなるといけないそうでありますが、私は質問を辞退して関連質問で短くしたつもりなんです。これからは関連質問をせずに時間をいただいて質問してもいいと思いますが、きょうは関連質問ですから簡単にやります。  この際、道路局長にお尋ねしておきたいのですが、この道路整備特別会計予算説明書によりますと、特定財源が、当初の計画が過小見積もりで、四十四年度推定決算ではもっと増加をすると予測しておるわけですけれども、この四十四年度の特定財源の推定見込みは幾らくらいだというふうに試算しておられますか。この予算では非常に不確定です。
  193. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 四十四年度の特定財源、ガソリン税の収入額が当初予定の額よりどのくらいふえるかということでございますが、実は私、いまはっきりした数字を持ち合わせておりませんが、たぶん去年の十二月くらいの現況では、二十億程度の増は出るだろうというように聞いております。ただ、この四十四年度の特定財源の増につきましては、いまの制度では、四十六年度に決算調整額として使えるようになるというようなものでございますので、いまのところ、はっきり四十四年度でどれだけ特定財源の増があるかというのはまだ調べておりません。
  194. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この特定財源の問題で、私は本会議でも大臣並びに総理にも御質問いたしましたけれども、自動車新税ということがございますね。そうすると、実際に自動車新税というものを考えた場合に、自動車を利用する国民にたいへんな負担を与える結果が出てくると思います。私が推定しますと二十億どころではない。そのほか物品税がありますね。そういったものを試算していきますと、四十四年度推定で約六千億から七千億近くの特定財源ということになるのではないか。これはあくまで推定ですからわかりませんけれども、それくらいの数字になると思うのです。先ほど大臣が言われたように、それをさらに利用者に負担をかけることについては、若干限度があるのではないかという気がしてならないわけです。  もう一つは、先ほど大臣が言われたように、自動車公債を発行するという構想は確かにいい構想だと私は思う。しかし問題は、公債を発行することはいいですけれども、公債を発行したら償還しなければならないということです。償還をするということになれば、有料道路からその財源を得る以外にはないわけでありますから、そうなってくると、有料道路の開放がおくれたり、あるいは走るところはほとんど有料道路になるということが、自動車公債を発行するために起こる現象として出てくると思います。ですから、そういう問題を考えていくと、ただ単に取りやすいところから財源を求めるという考え方ではなくて、やはり国の財源という全体のワクの中で、実際に予算をきめずに計画だけ先行させて財源をあとから見つけるということになると、どうしても財源をどこからか引き出さなければならぬということになりますから、そうなってくればやはり計画にそごを来たしたり、あるいは財源を確保するために無理がくるというようなことになると思います。そういう意味で、私は、計画と財源というものは関連させてぜひ提出をいただきたいと思うわけです。しかし、残念ながらそうではなかったわけでありますから、それでは四十六年度の予算編成——今年末でありますか十一月ごろに、ぜひそういった私の申し上げた点も考慮していただいて、この第六次計画がまた三年で財源難のために計画変更というようなことにならないようにぜひ御考慮いただきたいということを申し上げて、関連質問を終わらせていただきたいと思います。
  195. 卜部政巳

    ○卜部委員 いま松浦委員が指摘いたしましたように、第一次の道路計画は四年後、第二次から以降は三年後という形になりましたし、さらにいまの財源の問題も、はたして計画性があるのかないのかという問題は十分論議をされなければならぬだろうと思います。しかしながら、冒頭申し上げたように、そうした問題等についていろいろ論議をしたいのですが、そういう論議の問題の中心もまたあとに譲ることといたしまして、先ほど大臣にお話し申し上げたように、ごく概略的に問題点を列記して要請ないし意見を申し述べました。この点について十分に配慮をし、その意見は今後の道路行政に大きく反映されることを私は期待して、時間が来たようでありますので私の質問を終わらせていただきます。
  196. 金丸信

    金丸委員長 佐野憲治君。
  197. 佐野憲治

    ○佐野委員 まず、根本大臣は着任以来、土地対策なり、あるいはまた土地税制に対する考え方なり、地価対策なり、いろいろ斬新な構想を発表されるので、私たちも非常に刮目をしながら検討させていただいておるわけであります。ただこれまで、ある大臣土地は商品ではない、この考え方でこれからの土地対策を実行するんだ、ある大臣はまた変わりまして、それは資本主義だから商品であることには変わりない、しかしながら特殊な商品である、そういう意味において考え方を統一していきたい、こういうぐあいに言われますけれども、みんなどうなったのかわからないというのがいままでの状態だったろうと思います。そこで根本大臣もその点を心配されて、何としてもこれらの構想を実行していくためには国民の合意が必要だ、その合意を求めるために努力をするんだ、こういうことを発言しておられるわけでありますけれども、私は、この発言を新聞雑誌で読みましてある種の感銘を受けたわけでありますが、大臣としては、国民の合意を得るためにはどういう方法をもって進んでいかれるかという点について、まずお聞きしておきたいと思います。
  198. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 国民の合意にはいろいろ方法があると思いまするが、まず第一に、国民の一番代表であるのが国会でございますので、国会における国会議員の方々の土地問題に対するいろいろの御提言は、非常に重要視しておるのでございます。したがいまして、今日まで予算委員会あるいは建設委員会その他において、この際政府が勇断をもって土地対策に取り組むべきだ、いまやその時期である、こういう鞭撻を受けております。  それからもう一つは、この国民合意のうち、従来非常に大きな影響をしておりましたのがマスコミでございます。今日このマスコミ自身、各大新聞も、この日本の経済成長の中において政治的にも社会的にも一つのウィークポイントがこの土地政策である、これに対して抜本的な措置を講ずるべきであるという世論の背景も出てまいりました。  それともう一つは、いわゆる学者の方々も、いまや部分的にはいろいろ矛盾があるけれども、勇断をもって土地対策のために税制に思い切った措置を講ずべきである、そうして土地というものが一般の国民生活の基本的な場として安定と、それから国民がそれによって生活が潤い、安定をするところの基礎であるからこれについて勇断すべきである、こういう世論形成がやや出てきたことを私は非常に歓迎しておるのであります。  実はその一つの問題提起のために、昨年以来若干の提言を自分なりにいたしてまいったということであります。
  199. 佐野憲治

    ○佐野委員 まあ時間もありませんから……。私は、そうした意味におきまして日本においては行政手続法と申しますか、こういう法律がない、また国民の合意を得るための慣行としても非常に乏しいと思うのです。そういう意味でそういう努力をしておられることに対して一応了解しますけれども、私はもっとそういう意味において、たとえばアメリカ行政手続法の第四条ですか、法律制定で非常に利害関係の多い場合におきましてはとるべき道を明らかにしておると思います。そのためには政府の草案ができてまいる、草案ができてまいりますと、これをいろいろな聴聞なりあるいは各界の意見を求める、そうでなければ国会に提案できないというような規定を置いておるわけですが、非常に大きな問題を含んでおりますがゆえに、もっと国民の合意を得るために、アメリカの行政手続法の第四条ですか、そういう意味大臣考えておいていただきたい、かように希望するわけであります。  第二の点として、今度の第六次五カ年計画ですけれども、私はこの五カ年計画を見ながらひとつ大臣に根本的なものの考え方をただしておきたいと思うのですが、この道路法なり五カ年計画を見てまいりますと、地方自治なり地方自治体の仕組みと全く離れてしまっておる、こういう点に対して一まつの不安を持つわけです。そこで大臣にお聞きいたしておきたいのは、一体地方自治体の本質とは何であろうか、こういう点に対して憲法が特に民主主義の基盤として地方自治を、しかも第八章に特に章を設けて地方自治を強調しておる。この地方自治の本旨に従って運営なりあるいは法律が定められねばならない、こういうぐあいに規定しておるわけですね。そういう意味において地方自治の本質を一体どのように大臣は理解しておられるか、この点をまずお聞きしておきたいと思います。
  200. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 世論形成をどういう手続でこなすかについて御提言がありまして、行政手続法でこれを明定したらどうかということでありまするが、それも一つのあれでございまするけれども、いまこのような問題が提起されておるときに行政手続法を新たにつくるということもなかなかむずかしいのじゃないか。それよりも、いまではむしろ土地問題については相当程度世論形成ができておることを踏まえて、そうして最終的というか、各政党でいろいろの議論がなされ、それが今度はシンポジウムということで、特に近く各政党の代表によって一般大衆の意見をも含めてこれをやっていくというふうに、われわれも実は内面的にそういう手配もいたしてやっているわけでございますから、やはり最終的には国会で皆さんの御意見を聞いて政府が案を出し、そしてきめていただくということでいいじゃないかと思います。  その次に、地方自治の本義いかんという、まことに私のような知識のない者では答えることが困難なほどの問題でございまするが、これは地方自治というものは理屈を言えばいろいろ問題がありましょう。発想のしかたがあると思います。しかし、現在においては、やはり基本的には、地域住民によって選ばれたる議員によって、いろいろと地方の行政をやっていくということが基本的なごく平凡な形であると思います。そうしたものが、土地問題についてもだんだんと形成されていくべきであるという意見を私は持っておるのでございます。その点からするならば、農地は別としまして、宅地等、いわゆる今後都市化すべきところの土地の所有者というものは全国民のごく少数です。大部分は土地を持っていないで、この土地の上に何らかの形において借地権かあるいは使用収益権を持って、間接ながらその土地を利用しておるという人が多い。ところが、ややもすれば所有権の絶対性が強調せられたために、土地の高度利用については、いままで地方自治体も行動においてどうも少し消極的であったのじゃないか。ところが今日になりますと、土地問題について地方自治体も相当積極的な姿勢を示さなければならない。それをやるためには政府自身が相当決意を新たにして、税制上あるいはいろいろの計画において、もっと大胆にやれというふうに地方自治体も動いてきておると思います。それとの関連において、土地問題も今後進めてまいりたいと思っておる次第でございます。
  201. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は、土地問題は終わったので、そういう意味においてはアメリカの行政手続法の第四条を参考にして、国民の合意を得るために努力していただきたいと申し上げておったわけでございます。  いまの道路法なりあるいは緊急措置法ですね、この流れておる中に、地方自治の仕組みと申しますか、これが全くはずされておるのじゃないかという考え方をまず第一に持つわけです。というのは、たとえば五カ年計画を見てまいりましても、道路の種類、目標、量その他建設大臣が閣議の決定を経なければならない。しかも決定する前におきまして運輸大臣なり経済企画庁長官とも協議をする、きまった場合に知事にこれを通知するのだ、これで済んでしまっておるのですね。県道にいたしましても市町村道にいたしましても、それぞれ管理者がおるわけですね。しかも地方自治体は団体自治でありますので、住民自治、住民が参加して住民の意思を積極的に反映するという中で守っていく、育てていく、こういうのが地方自治の本旨だろうと思うのです。そういう場合に、自分のところの市町村道、県道が閣議決定できめられてくる、それが市町村長の場合は県知事を通じて通知を受けるだけだ、この計画作成にあたりまして何ら関与しなくてもよろしい、こういう考え方で貫かれておると思うのです。たとえば同じ法律によりましても、住宅建設法を見てまいりますと、建設大臣住宅五カ年計画を作成するにあたりまして、県知事がまず市町村長から住宅事情その他の資料を収集して、その上で建設大臣に報告する、それから宅地審議会の議を経て決定をする、こういうたてまえをとっておるわけですね。道路の場合にはそういうたてまえがすっかり消えてしまっておる。ですから、住民にすれば、自分のところを通っておる道路市町村道にしろあるいは県道にしろ国道にしろ、一体どうすれば住民の立場において道路づくりができるか、そしてまた、生活環境の中から自動車の洪水をどうしたら守っていくことができるか、こういう形で積極的に参加をしていくというたてまえがなければ、道路問題の解決と申しますか出発点というものは出てこないのじゃないか。そういう意味で、五カ年計画の法律のたてまえというものは、地方自治というものを、言ってみれば非常に無視しておると申しますか、こういう考え方で貫かれているのじゃないかという感じを受けるわけです。この点に対しては大臣はどうお考えになりますか。
  202. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 手続上にすれば、いろいろそういうふうに御指摘になる点もあると思いますが、現在のわれわれの道路計画は、建設省の役人が頭の中で描いてかってにやっておるものではございません。国土開発縦貫自動車道、これは御承知のように国会できめていただいたものであります。国会でこれをきめるにあたりましては、それぞれ各地方の御意見を各党がお聞きの上、出されたものであります。それから現在の高速自動車道路も、国で意欲的につくったというよりも、むしろそれぞれの各県、各関係地方から、ぜひこれは有料高速自動車道をつくってくれということが集積してできたのが現在の計画路線でございます。それから都道府県道に至りましては、ほとんどこれは、現在の地方自治体であるところの都道府県から、長年にわたって、これはぜひ都道府県道として整備してほしいということで、下から積み上げられて建設してきたものであります。それから市町村道も、これは非常に要望があるけれども、そのうち特にこれだけのものは整備してほしいという資料が集まって、それを建設省が整理してできたということで、手続は、確かにいわゆるアメリカ方式の手続はとっておりませんけれども、実質内容はほとんど地方自治体の意向を受けて現実の策定をしておる、こういう次第でございますので、手続の問題には議論はあると思いますけれども、実質上われわれは十分に地方の意見を聞いてやっておるつもりでございます。
  203. 佐野憲治

    ○佐野委員 私は立法論の立場から、こういう法律の作成のしかたは——特に公共事業というのは非常に中央集権制の強いものです。ですから、地方自治と集権制、これはいろいろ問題を含んでおりますけれども、やはり地方自治のたてまえを組み入れていくという考え方をもって立法されるべきじゃないか、こういう点を感ずるので、一応現実にはいろいろな手続はとっておられるとして、法律上全く中央集権的な印象を与えておるのではないか。これは戦争前の道路法、道路は国の営造物だという考え方で出発してきている。だから道路のことは上がきめるんだ、単なる営造物として市町村長なり県知事に機関委任をしておるんだ、こういう考え方がなおも払拭されていないが、新しい憲法のもとにおいては、法律においてももう少しそういう配慮が望ましいのではないか。  このことは、行政の面だけではなくて、財源の問題においてもやはり出てきておるのではないか。たとえば大臣も御承知の特にアメリカの道路の歴史を見てまいっても、アメリカの州道路政策ができたのは一九二〇年であります。その前にやられておるのは、各州は特定財源のガソリン税をいち早く持ってきておる。このガソリン税をもって自治体なりあるいは郡なりの道路整備に充てておる。と同時に、各自治体においては独自の道路利用税というものを発足させておる。ですから、二十世紀に入ってまいりますと、ほとんどアメリカの場合におきましては、州道の幹線、支線よりも、地方自治体いわゆる郡なりそれぞれの自治体の道路が良好な状態が保たれておる、こういう歴史を経てきておると思います。と同時に、アメリカにおいて初めてガソリン税を連邦政府が目的税として取ったのは、一九五七年から一九七二年の十五年計画を立てるときに、初めてガソリン税というものを国の一応の帰属にした。しかしながら、先ほど申しました一九二〇年の連邦道路政策の中で、一般会計から二分の一補助を出しておったのを、この機会に十分の九にしてしまった。と同時に、州際道路、州と州との間の道路においてはそれぞれの州が管理し、あるいはまた建設に当たる、国は金は出すけれども口は出さない、こういう態度が貫かれてまいってきておるわけですね。ところが、日本財源というのを見てまいりますと、日本はそれ以前の昭和二十九年第一次五カ年計画、このときにガソリン税が目的税として与えられた。全部国が持ってしまった。ようやく三十年か三十一年に道路譲与税なり軽油引取税が発足してきた。しかし、町村には一つの特定財源も与えていない。アメリカとまるで逆のやり方がとられてきた。しかも、いろいろな意味におけるところの補助金政策なりその他の、たとえばこの計画を立てるにいたしましても、単独事業というものが出てまいる。これはたいへんな問題であろうと思いますけれども、単独事業は、たとえば第五次五カ年計画の場合でも、建設省は八千億円程度の単独事業考えて、いつの間にか建設省の要求は少なくなったけれども、単独事業は逆に三千億もふえてまいった。地方自治体なりその他の財源なり、全く配慮なしに、市町村道路だから、あるいは単独事業だからふやせばいいじゃないかということで、つじつまを合わせるためにこれをふやしてまいった、あるいは予備費なるものもつくり出してきた。第五次から初めて予備費をつくり出してきた。一体道路に予備費があるだろうか。全くわけのわからない性格のものが生まれてきて、一定のつじつまを合わせる、こういう五カ年計画の編成の過程を見てまいりますと、やはりアメリカのこのやり方を学ばなくてはならないのじゃないか。もっと町村なり県に特定財源を与える。こういう考え方が、日本の場合全く逆行してしまっておるのじゃないか。だから、中央集権的に国が押えて、譲与税その他を二、三割よこす、町村にはよこさない、こういう形がとられてまいっておる。しかも、単独事業というものに対しましては、これは一体なんだろうか。  ことしの地方財政計画の中を見まして実は私もびっくりしたのですけれども、いわゆる国が立てておる長期計画、こういう長期計画は単独事業と普通は言っておるのですけれども、この単独事業の中で、五千三百五十億円の単独事業を国の長期計画によって地方自治体はやらなくてはならない。これは下水道の場合もありますし、清掃、環境衛生の場合もありますね。いろいろの長期計画、この九割の単独事業道路だ、四千三百四十五億円。こうなってまいりますと五千三百五十四億円の単独事業、これは長期政策に基づくわけですから、地方財政計画には優先的に組まなくてはならない。他の仕事、行政水準でやらなくてはならない仕事があっても、国がきめた長期計画だから地方はこれを受け入れなければならない。こういう形で、交付税でめんどうを見なくてはならない。しかも道路がその中で四千三百四十五億円ですと、全く九割までも占めてしまう。他の公共事業を見てまいりましても、補助事業の場合、特別会計、一般会計を合わせまして、いわゆる地方団体の道路事業の五二%まで財源としてここへつぎ込まなくてはならないという形が出てまいっておるわけですね。しかも、これの道路整備なり何なりで、地方住民の自治の立場から自分たち環境の町づくり、村づくりをする、その中に重要な生活基盤の道路なりあるいは通過道路なり、これは一体どうしてできてきておるのか、どうすれば自分たち生活環境がよくなるのか、あるいは生活環境を侵害してくる問題についてはどういう措置をとればいいのか、こういう創意くふうというものが出てまいって初めて道路政策というのは正しい出発点に戻っていくんじゃないか。どうも逆じゃないかという感じを持つのですけれども、そういう点についてどうお考えになりますか。
  204. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 まず第一に、アメリカ式の道路開発の問題は、これは国の成り立ち自身が基本的に違うところに問題があると思います。御承知のように、アメリカはみんなそれぞれの州が一つの独立国で、日本の県と向こうの州とは違うということ、そういう関係で、これは欧州におけるところのシティーから発達したところの都市国家ともやや似ているところでありまして、その点については、やや風土的に民族的な歴史の違いがそこに相当あると思います。ただし、先ほど申し上げましたように、道路政策については十分にわれわれは地方の要望を聞いて、その基礎の上に立っているということだけは御了承いただきたいと思います。  その次に、地方道路財源を与えるべきだということについては、私も賛成なんです。その意味において、何でも国で全部やれということでなしに、やはり地方単独で自治体の生活環境に合うような、住民の意思が尊重されてできるような単独事業を持たしたということ、これは決して転嫁したのではないということで御理解願えると思います。ただ、そのためには特定財源をやるべきだ、そのためには交付税のもとで、軽油引取税というようなものもこれは増徴してやるべきできる。将来においては、市町村道についても公共事業費、国の財政のゆとりのある限り、だんだんそっちに政府予算を回してやる方向で今後進めてまいりたいと思っている次第でございます。
  205. 佐野憲治

    ○佐野委員 私がアメリカの例を引いたのは、アメリカの歴史や沿革を無視して言うのではなくて、やはり地方住民地方自治、住民自治、この立場に立って、民主主義の基盤としてそこにまず特定財源——国はほしいけれども特定財源は持たない、地方に特定財源を与える、こういう形で出発してきているということですね。イギリスにおいては、今日市町村道は全部舗装、改良とも完成してきている。国道よりも地方道が優先して整備されるべきだ、地方に特定財源を与え、国は一般財源でやる、こういう考え方をとられてきたところに、日本と逆の流れを歩いている。日本が逆の流れを歩かなければならなかったような諸条件があったとしても、やはり本流に戻っていく努力が必要ではないかという点において、一応問題を提起してみたわけです。  次に、今度の五カ年計画の財源の問題につきまして、もう少しはっきりお聞かせ願いたいと思いますのは、一応皆さんの計画とすれば、国費としては三兆五千八百九十億円、有料道路事業費が三千九百九十億円、合わせまして三兆九千八百八十億円、こういうことに対して皆さんが見込んでおられるのは、いわゆる特定財源が三兆三千百二十億円、一般財源が六千七百六十億円、合わせまして三兆九千八百八十億円だ。ところが、実際の財源の見通しとして、一応特定財源は三兆三千百二十億円はまあほぼ見込まれる、しかしながら、一般財源は四千四百六十億円程度しか見込まれないのではないか、そうするとここに二千三百億円国費において不足をする、こういうぐあいにいわれているのですが、これはそのとおり理解していいのですか。
  206. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 これは一応の試算のようでございます。それで、今度特定財源をきめて新道路五カ年計画の財源の裏づけをするときに、はっきりその点をきめていきたいと考えているところでございます。  一応試算をつくるまでの経過については、道路局長から説明させます。
  207. 佐野憲治

    ○佐野委員 けっこうです。  それから、地方費の場合においては、一般道路事業が一兆四千六百十億円、地方単独事業が二兆五千五百億円、有料道路事業が九百二十億、合計四兆一千三十億円、これに対する地方費は、特定財源が二兆一千五百九十億円、一般財源が一兆九千四百四十億円、合わせまして四兆一千三十億円。これは地方費の場合におきましては、皆さんとしては十分財源が見通され、不足額なし。財投の場合を見てまいりますと、有料道路事業として二兆九十億円、これに借りかえ債が六千五百億円見込まれるから、二兆六千五百九十億円で、これに対して公団債が一兆八千四百八十億円、地方債が七百十億円、民間資金が九百億円、合わせて二兆九十億円。これは借りかえ債を抜きにして大体予想せられる。しかしながら、借りかえ債の問題も出てまいりますから、財源の見通しとしては二兆六千五百九十億円だ。これに対して財投確保額が一兆六千六百十億円だ、差し引きいたしますと九千九百八十億円、約一兆億円の財投が不足する、こういうぐあいに見込まれるとなっておるのですが、そういう不足額を見込んでおられるわけですか。
  208. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いま先生のおっしゃいましたのは、これは私たちはいろいろな方法で試算をしたものでございまして、一番試算のしにくいのが、いまの有料道路をつくります財政投融資の資金でございまして、公団債、いまの現状では国の財投資金にたよっておりますが、財投資金が今後五年でどのくらい伸びるか、これはまだ財政当局とも十分折衝しておりませんので、もしこういう、このくらい、あまり伸びないようなものだと、いわゆる公債のような特定財源の強化が一兆億円くらい要るだろうということで、この問題はやはりこれから財政当局との交渉によって、もう少し、どれだけの財源が要るかをきめてまいりたいと考えております。
  209. 佐野憲治

    ○佐野委員 一応いま申し上げましたような財源の見通しとして、国費においては二千三百億円だ。これを、先ほど大臣が言われた揮発油税あるいは軽油引取税の引き上げ、またはトラック税、それから財投の場合におきましては九千九百八十億円の不足だ、これは自動車公債の発行をもってまかなえるんじゃないか、大体こういう考え方で建設省としては準備を進めておられる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  210. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 一応事務当局がそういう試案をつくったのでありますので、建設省だけでそれができるものではありませんで、先ほどまた松浦さんも御指摘になりましたように、いわゆる債券といえば公債ですから、これとそれからいまの償還財源との関係もあります。そういうものをあわせて総合的に、多元的に資金源を考慮しなければならないと思っている次第でございます。
  211. 佐野憲治

    ○佐野委員 一応この公債の場合におきまして、一般会計の中で建設公債がいま発行されておる。こういう中における公債を考えておられるのか、それとも道路整備特別会計の中におけるところの起債、公債、こういう意味における公債を考えておられるのか、どちらかということ。  もう一つは、いま発行されておる建設公債、この中で一体道路に何割くらい充当になっておるか、あるいはまた、これに何か一つの原則があるのかどうか、建設公債として現に発行されておるその中身は一体どういうふうになっているのですか。
  212. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 たいへん精密な答弁にはなりかねますけれども、現在建設公債の中で、道路に回っておるのは六百億円程度だそうでございます。それから、現在道路特別会計の債券にするか、一般、国の債券にするかということについても、まだこれは全然固まっておりません。どういうようにしたほうがいいかというのは、今後総合的に特定財源あるいは資金手当てを、財投等をどういうふうにして持っていくかということも今後、先般来お答えしているように、四十六年度予算編成までに各省が十分に検討の上、最終的な結論を出したい、こういう段階でございます。
  213. 佐野憲治

    ○佐野委員 業界報によりますと、相当いろいろな折衝が積まれていることは明らかにされておりますけれども、それは別といたしまして、では一般会計から建設公債が出されておるのに、そのもとで進むのが——たとえば先ほど松浦さんの質疑の中にいろいろ問題のありました償還にいたしましても税金を担保として一般建設公債、この中に道路費というものを確保していく、このほうが一番無難なような感じですけれども、何かこれを避けておられる。いろいろな問題があるのでしょう。ところで、道路特別会計の中におけるところの債券、この場合に自民党の皆さんの筋からいろいろなお話が出ておるのですけれども、何かこれは適当な機会に資料としていただきたいのですが、たとえば地方公共団体の引き受け債、二番目には地方金融機関の引き受け債、あるいは自動車メーカーの引き受け債、いわゆる自動車購入者による自動車公債、大体五つくらいいろいろ私たちのところにも入ってくるのですけれども、こういう考え方、そういうことに対するもっといろいろな問題点を、ひとつ検討の中で明らかにしておいていただきたいと思います。  私は、たとえば農業協同組合の理事長をやっておりまして、これはなかなか皆さんのほうからお話があるような地元経営で、農協が一体現在すでに発行されておる債券をいろいろ買って高利のやつを持っておるのに、いまさら何の関係もない道路にそれは投資しろと言ったって投資できないだろうし、あるいはまた、地元銀行にいたしましても、あるいはまた、地方銀行なり相互銀行にいたしましても、県金庫として毎年毎年たくさんの縁故債を引き受けさせられ、その上に毎年毎年道路公債を引き受けさせられ、建設公債を引き受けさせられ、その上にまた道路公債をなんと言ったら、とても、私たちもそういう金融的な問題に関係いたしておりますだけに、もう少しそういう点をはっきりさせていただかなくちゃならないのじゃないか。これはいろいろなうわさを通じて、その場合どうだというような話というのは非常におかしいじゃないか。もっとそういう点に利害得失なり、現実にどうだという——大臣なんか、公社の場合でも、県知事あたりは非常に地元金融機関を動員して引き受けるのだと言っておるのですけれども、地元金融機関はみんな悲鳴をあげているのじゃないですか。既発行債のやつを四十一年の金繰りから四十二年の段階に来て市中に売って、それで大きな損をしておる。こういうようないろいろな経験をなめてきておるだけに、しかも開発公社なんというのは民法法人としてやられておって、これは特殊法人の公社に切りかえるわけですけれども、前の場合だって、財団法人の公社なんというものはいわゆる県知事が理事長ですけれども、その理事長が自分の道路その他のために金を借ろうと思えば、一番にらみのきくこの県知事が、いわゆる今度は特殊法人としての道路公社になる、その場合の理事長というものはだれになるかわかりませんけれども、そういう意味においてにらみがきかないのじゃないかということなんかも地元で話をしておるのですけれども、もう少しこういう点に対して、私たちにも資料を与えて検討させていただきたい。かようなことを考えるわけです。  ただ、この場合に、今度は別の角度において大臣にひとつ検討してもらいたいと思いますことは、たとえば道路利用者税にいたしましても、やっぱりもっと特別税として問題を考えてみたらどうだろうか、あるいは通過道路ができて、その通過道路の付近は、住民には迷惑かもしれません。騒音なりガスなり、いろいろな形で困っておる。そういうところに道路がついたら、固定資産税といったって、なかなか住民はうんと言わないだろうと思います。しかしながら、通過道路からうんと奥に入ったところにいわゆる企業がやってくる。その企業がそこにおいて、外部経済としての利益を内部経済の利益に変えることができる期待利益も大きいと思いますね。そういう法人が現実的に企業が利益を受けておる、こういう道路によって利益を受ける者にいわゆる期待利潤としての特別税を課するという、諸外国でもやっていると思いますがね。日本の場合は、大臣が言われる都市計画にしても、道路があるから、道路が何十メートルまでというような形におけるたとえば都市計画税なんというものは、とてもこれは現実には合わないと思いますけれども、その人たちが迷惑をこうむっておって、逆に奥に引っ込んだそこに企業が進出してきた、そこで社会的生産手段を独占して、道路を準占用してそして膨大な期待利潤を得ておる、こういう企業グループに対する道路の利用税として、ひとつそういう資本に対する、企業に対する税金というものも考えらるべきじゃないかという点が第一点ですね。  第二点として、この自動車関連産業と申しますか、たとえば二月の十幾日だったですか政府原案が発表されて、一番喜んだのは土建業界であり、あるいは鉄鋼、セメント関係産業である。これで、この道路費を公共事業一八・四%ですか、あるいは万博が終わって不景気になると予想されたが、スムーズにいけるんだという形に非常になっている。先般送ってまいりました鉄鋼協会からの、いわゆる今度の予算を分析して、どれだけの鉄鋼が使われるかという試算をやっているのを見ますと、たいへん膨大な数字を見込んでおる。こういう道路産業によって、それらのものに投資されたからといって他の産業に波及していくわけじゃないですね。ですから、そういうことで膨大な利益をあげているセメントなりあるいは鉄鋼なりあるいは建設業なり、こういうところにやはり一つの特別税というものを設けてやっていく、こういうことも考えられていいんじゃないか。そういう点に対して、諸外国でもやっておりますが、日本の場合においては特にそういうのをきらって、逆にいえば、産業基盤のために道路をつくっているのに、その産業基盤の社会的生産手段をカバーしてやっておるのに、そこから税金を取るのはもってのほかだという意見もありますけれども、今日の道路の状態を考えてみますと、そういう意味における道路利用者税なり受益者税というものを、違った角度において検討さるべきじゃないか。こういう点、非常に皆さんが公債問題その他で大きな困難にぶつかっておられますし、それはそれなりのいろいろな問題があると思いますので、そういう角度においてもひとつ検討していただきたい、こういう点をひとつ申し上げておきたいと思います。  時間も非常におそくなりまして恐縮ですけれども、先ほども申し上げましたような、地方におけるこの道路費のもたらす影響というものに対して、大臣はやはり相当深刻に考えて、特定財源なんというものは地方に与えるべきじゃないか。逆にいえば、そういう特別税なり一般の税金をもって国道その他のなにに当たるべきじゃないかという考え方を持つわけですけれども、こういう点は大きな転換になるだけに、少し検討していただきたい。というのは、先般もある県から決算書をいただいたのですけれども、見てやはりびっくりさせらられるのは、町村の状態がたいへんだということです。これは雪の国ですから、特に市町道の場合、雪の被害をこうむるためにもどうしても舗装しなければならない。舗装しなかったら、あとの維持、修理がたいへんなわけですね。こういうことをやられているある県の報告をいただいたのですけれども、これはたとえば、昭和四十二年度で全国平均、市町村が舗装を五%しかやっていない、こういうときに、この県は八・二%やっておるわけですね。四十三年は九・六%、四十四年度は二・一%だ。だから、皆さんが考えておられるよりも、非常にテンポが早く舗装がやられておるわけですね。しかしながら、財源を見てまいりますとこれはたいへんじゃないか。というのは、先ほど申し上げましたような、単独事業に対するところの交付税で優先的に頭から取ってしまうから、非常に優遇されておるように考えますけれども、この県の市町村に対するところの基準財政需要額というのは五億七千八十二万五千円であるわけです。ところが、実際に使っておる金というのは二十億四千五百十二万円、たいへんなお金だと思いますね。ですから、率もいいわけですけれども、これだけ本来市町村がやるべきものを、住民負担という形で寄付その他においてやられているところに非常に無理が出てきておるということを、ひとつ考えていただきたいと思います。そういう意味におきましても、ことしの財政計画において非常な伸びを示しておりますね。ですから、そういうだけでなくて、それだけやったとしてもなお現実の市町村におきましては住民負担の中でやっておる。県におけるところの改良、舗装にいたしましても、市町村に対する負担がいわゆる受益者負担という形でかかってくる。市町村もまたこれを住民にほとんどのものをかぶせていかなければならないという、こういう状態の中にあるということもひとつ知っておいていただきたいと思います。  それからもう一つ、やはり私たちもびっくりする数字なんですけれども、たとえば冬の間における道路交通確保、これは雪寒道路にも出ておりますけれども、こういう中でこの市町村の場合を見てまいりますと、除却機械の償却費というのが七千九百万円もかかる、維持管理費が四千万円もかかっている、融雪溝の整備その他に二千百万円、合計一億四千万円です。これに対するところの特定財源は、市町村の場合は一般国庫支出なりその他全部ないわけです。だから、すべてが市町村の持ち出しになっておる。六千九百四十九万円程度は基準財政需要額に見ておる。ですから、倍以上のものがいわゆる持ち出しとして、ここでいわゆる寒冷地帯におけるところの道路確保がやられておる。ですから、この計画の中に寒冷地帯における予算が出ておりますけれども、この予算の中身を見てまいりますと、大臣も御存じのとおり、これは指定された県道しか対象になっていない。市町村道はそれは除外になっておる。ですから、ここにおきましてたとえば特別交付税の比率を見てまいりましても、たいへんだと思うわけです。ですから、自治省あたりでは特別交付税をもってある程度まで除雪その他のめんどうを見ておるのですけれども、これが昭和四十三年では市町村が十一億四千万円、県は、雪寒道路によるところの指定路線による除雪の補助金がありますから五億九千万円になる。四十四年度は県は七億円で、町村は十五億円です。二十二億円を特別出資としてこれに充てなければ、これがどうもならないという中で処理されてきておるわけです。もちろんこの場合に、住民負担というものが非常に大きな数字が出てきておるだろうと思います。こういう点もやはり五カ年計画の作成の中において、市町村長なりそして住民の要求なり、それらの熱意なりエネルギーというものをどういうぐあいにくみ取っていくか。こういう中で苦しんでおる。こんな特定財源さえ一つやれない。交付税があるじゃないか。その交付税もよけいやるのだから土地開発基金に回せ、あるいは国に三百億円借金させてくれろというような形で吸い上げていっている中で、こういうような地方財政の現況というものが出てきておるわけです。その上、今度の措置によって、国道であっても、四車線であってしかも都市計画に指定されておる道路は、四分の三の補助から今度は三分の二の補助に減らす、こういう措置がとられてきておるわけですが、いまの道路の状態を見たら、あらゆる単独事業の九割まで道路に持っていく。雪寒の現状を見てもいまのような状況だ。そういう中で、なおも国が現在政令による四分の三であったものを三分の二に切り捨てなくちゃならないという考え方が、非常に冷酷な姿として浮き彫りされてくるのではないかという点も、ひとっこれからの問題として考えていただきたいと思います。  最後に、こっちばかりしゃべってなんですけれども、いずれ検討事項としてひとつ申し上げて、時間も迫っておりますので……。ただ、街路の場合におきましても、非常に市町村と密接な関係で国の補助も出ておりますけれども、この街路の現況は、大臣も一応またそれぞれの局課長からお聞きしていただきたいと思うのですけれども、四十一年度において承認されているのは金額にいたしまして四兆六千億円、四十二年度では五兆八千億円、これはキロとみなそれぞれ出ておりますけれども、これに投資した金というものは五百七十九億円です、これは四十二年度ですけれどもね。ですから、都市街路に五百七十九億円、これだけのものを投資して承認された計画路線だけを達成しようとすると、大臣も先ほど笑っておられましたけれども、四十一年度分をやるのには自後九十年間かかる。四十二年度分をやるには百年間かかる。こういうのが都市計画街路として承認されておる。承認されておるのを、実際において四十二年度一カ年間にどれだけの金を投資したのだろうか。考えてみると、これはたいへんな事態の中に——都市におきまして生活環境と非常に密着しておる街路、その街路の進捗状況がこのような状態の中にある。  そういう中で、今回とられる措置というものは非常に残酷な措置じゃないかということを感じましたので、いろいろの角度からいろいろお伺いしたい点もありましたけれども、一応問題を羅列して将来の検討に資していただきたいということで、意見を述べて終わっておきたいと思います。
  214. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 数々の御提言並びに注意事項、十分に拝聴いたしまして、できるだけあなたの御趣旨も尊重して、十分検討しまして善処いたしたいと思います。
  215. 金丸信

    金丸委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
  216. 金丸信

    金丸委員長 これより本案を討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。浦井洋君。
  217. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、共産党を代表いたしまして、この道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に反対の態度を表明し、その理由を述べたいと思うわけです。  第一に、第六次五カ年計画の中で、地方道路など地域住民と密着した生活道の整備について、どのように力を入れようとされておるのか、それから第二に、地方公共団体の行なう事業について、従来国の負担率あるいは補助率が四分の三であったものが、三分の二に低くなっておる点、私はこういう点を中心にして質問したかったわけなんですが、その機会がなくなったので、反対討論だけやらしていただきたいと思います。  わが党は、まず第一に、人民の立場に立って、地域のつり合いのとれた発展、それから国土利用の民主的再編を目ざした総合的、民主的国土計画の確立、第二に、人民の生活に必要な空間、環境の改善を伴う全国的な生産、交通、通信、流通などの施設の合理的な配置、第三に、自動車産業本位のモータリゼーションの制限などの政策を明らかにしておるわけです。この立場から人民の生活に必要な幹線道路整備に反対するものではございません。しかし、第六次五カ年計画を発足させるための本法の改正案は、新全総に基づくところの大資本の地域進出のための幹線自動車道路と高速自動車道路整備強化を中心とするものであります。産業基盤強化のための自動車道路中心の計画のために、地方道路は依然として軽視され、中でも、人民の生活と営業に直接関係の深い生活道の整備は著しく遅滞することとなっております。また、新五カ年計画の財源措置は未確定で、自動車新税など、新税創設による人民負担の増大が予想されるわけです。また、計画そのものが地方単独事業に負うところが大きく、地方財政の負担を増大いたします。さらに、一般国道二次改築事業などの国庫負担率の低下は、これに拍車をかけるものであります。  以上の理由によって、日本共産党は、道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に反対するものであります。  なお、積雪寒冷特別地域道路整備の案及び奥地等産業開発道路整備臨時措置法の有効期限の延長については、人民の利益を守る上で積極的内容を持っておるものと考えられますので、この点については賛成するものであることを明らかにしておきます。  以上です。
  218. 金丸信

    金丸委員長 これにて討論は終局いたしました。  引き続き、内閣提出道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案の採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  219. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
  220. 金丸信

    金丸委員長 ただいま議決いたしました本案に対しまして、天野光晴君、阿部昭吾君、小川新一郎君及び吉田之久君から、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者天野光晴君から趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  221. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表いたしまして、附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、この法律の施行に際し、左の事項について努力すべきである。   一、第六次道路整備五箇年計画の財源調達にあたつては、あくまで大衆負担にならないよう留意すること。   一、道路法による道路公共性にかんがみ、これが整備にあたつては、民間企業の営利的投資の対象とならないよう特に配慮すること。   一、市町村道整備にあたつては、極力、道路管理者に自主性をもたせるよう指導するとともに、財源の確保についても特に考慮すること。    右決議する。  以上の事項につきましては、御承知のとおり、委員会の審議過程において論議された重要な問題がありますので、ここに附帯決議を付し、政府の適切なる措置を要望するものであります。  以上が、本案に附帯決議を付さんとする理由であります。各位の御賛同をお願いいたす次第であります。
  222. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  223. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、天野光晴君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、根本建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣
  224. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま全会一致をもって御決定になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に体して努力いたします。(拍手)
  225. 金丸信

    金丸委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  227. 金丸信

    金丸委員長 次回は、定例日ではありませんが、来たる二十八日火曜日、午前十時理事会、理事会散会後委員会を開会いたしますので、御出席をお願いいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会