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1970-04-18 第63回国会 衆議院 建設委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十八日(土曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 大村 襄治君 理事 正示啓次郎君    理事 服部 安司君 理事 渡辺 栄一君    理事 阿部 昭吾君 理事 吉田 之久君       安倍晋太郎君   稻村左近四郎君       砂原  格君    竹下  登君       丹羽喬四郎君    葉梨 信行君       藤波 孝生君    古内 広雄君       井上 普方君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    三木 喜夫君       北側 義一君    小濱 新次君       浦井  洋君  出席国務大臣         通商産業大臣  宮澤 喜一君        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         通商産業省公益         事業局長    馬場 一也君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         海上保安庁長官 河君 一郎君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     富樫 凱一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     村上 永一君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団総裁)   篠原 武司君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   増川 遼三君         参  考  人         (日本鉄道建設         公団理事)   別所多喜次君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   池田 清志君     竹下  登君   廣瀬 正雄君     安倍晋太郎君 同日  辞任         補欠選任   安倍晋太郎君     廣瀬 正雄君   竹下  登君     池田 清志君     ————————————— 四月十七日  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第三三号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  建築基準法の一部を改正する法律案内閣提出  第三三号)(参議院送付)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出参議院送付建築基準法の一部を改正する法律案議題といたします。
  3. 金丸信

    金丸委員長 まず、提案理由説明を求めます。根本建設大臣
  4. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま議題となりました建築基準法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  建築基準法は、建築物敷地、構造、設備及び用途に関する基準を定めたものでありまするが、法制定以来二十年近くを経過し、その間の社会情勢の変化、建築技術進歩等により実情に沿わない点も生じてまいりましたので、次のような事項について改正を行なおうとするものであります。  第一に、都市における建築物用途純化土地高度利用の促進に関することであります。  建築物用途規制につきましては、都市の秩序ある発展に資するため、住環境の保護の強化を主眼として用途地域純化をはかることといたしました。すなわち、低層住宅地としての良好な環境を維持するための第一種住居専用地域中高層住宅地としての良好な環境を維持するための第二種住居専用地域近隣住宅地のための日用品店舗が立地する地域としての近隣商業地域等を新たに設けることといたしました。また、住居地域においては、特殊浴場を排除するとともに、公害を伴う工場の制限を強化することといたしました。  建築物の形態の規制につきましては、土地の合理的な高度利用をはかるため、建築物の高さの制限を原則として廃止し、これにかえてそれぞれ用途地域の特性に応じた容積率による制限とすることといたしました。さらに、第一種住居専用地域及び第二種住居専用地域においては、新たに北側隣地建築物の日照、採光、通風等を考慮した高さに関する斜線制限を設けることとしております。また、都市における建築物敷地が狭小化している実情にかんがみ、現行の建蔽率の制限を緩和することといたしました。  第二に、建築物防災基準に関することであります。  最近相次いで発生した旅館、ホテル等火災による人身事故実情にかんがみ、室内の仕上げ材料制限する建築物の範囲を拡大するとともに、火災が発生した場合の避難及び消火が円滑に行なえるよう、新たに排煙設備、非常用照明装置及び非常用進入口設置基準を設けることとしております。また、三十一メートルをこえる高層の建築物には、新たに非常用昇降機設置を義務づけることといたしました。  第三に、執行体制整備に関することであります。  まず、建築基準行政の適正な執行を確保するため、人口が二十五万以上の市は建築主事を置かなければならないこととするとともに、その他の市または町村においては、知事と協議の上、建築物全般に関する事務または小規模な建築用のみに関する事務について、これを執行させるため、建築主事を置くことができることといたしました。  次に、違反建築の取り締まりを効果的に行なうため新たに建築監視員制度を設け、管内を巡回して違反建築物早期に発見し、これに対し工事施工停止等を命ずる権限を行なわせることとするほか、違反是正を命じた場合には、現場の標識を設置する等によりその旨を公示する制度を設けることといたしました。さらに、違反建築物に対して行政代執行をするための特別の規定を設け、また、建築主事建築監視員等がその権限を行使する場合には、建築物所有者工事施工者等に対して必要な事項について質問することができることとするとともに、違反是正命令にかかわる建築物設計者工事請負人等については、これらを監督する行政庁にその住所、氏名等を通知するものとし、通知を受けた監督行政庁は免許の取り消し、営業の停止等の所要の措置を講ずるものといたしました。  第四に、この改正に伴って都市計画法等の一部を改めるとともに、この法律の施行に必要な経過措置を定めることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  5. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  6. 金丸信

    金丸委員長 次に、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  なお、本日参考人として、日本道路公団より総裁富樫凱一君理事村上永一君並びに日本鉄道建設公団より総裁篠原武司君、理事増川遼三君及び理事別所多喜次君に御出席をお願いしております。  参考人からの御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承ください。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古内広雄君。
  7. 古内広雄

    古内委員 まず、この前のお話によって、本日の質問では大阪爆発事故についての質問から始めるということでございましたので、私は一、二御質問申し上げたいのでございます。  大阪ガスのこの前のような現場というものは、大阪市内にもほかに多々ありましょうし、また東京都においても、あるいはいろろいな都会においてもあのような同種類の現場というものはたくさんあると思うのです。したがって、たびたび御発言がございましたから、政府のこれからのおやりになることについてはわかっておりますけれども、第二、第三のあのような悲惨な事故が起こらないように、ひとつ猛烈な反省を求める次第でございますが、私は、そういうような大阪ガス爆発というような個々の問題よりも、ひとつ率直に非常な不安を持っておるのは、実は地震対策でございます。  御承知のように、日本ことに東京に関しては、この前の大正十二年でございましたか、あのような関東地震というものは六十年ごとに繰り返すということがいわれておるわけでございまして、関東地震の前の安政何年でございましたか、地震がやはり六十年前にあった、それに続いて関東地震があったわけでございまして、このような説が事実でなければけっこうでございますけれども、実際六十年くらいにあのような大地震が起こるとすれば、数えてみますと、これから十年くらいのときにそういう時期が来るわけでございます。関東地震のようなあのころの東京考えてみれば、まだ都市開発も進んでいないし、したがって、地下ガス管とかそういうものの網もそうたいしたものはなかったと想像いたしますが、それからさらに六十年たった日本東京考えてみると、地下のそういうようなガス管あるいはプロパンというような設備は、たいへんなものになっていると思うのでございます。そういうところでこの前の関東地震のような大地震がかりにまた来た場合、あのくらいの強度のものが来た場合に一体どうなるのか。それで、それに関連してこの前の大阪ガス爆発のことを考えてみますと、あのくらいのことで、しかも整備に来た自動車のエンジンの何か火花くらいであのような悲惨なことが起こるとすれば、かりに関東地震のようなものがさらに十年後あるいは五年後に不幸にも起こった場合に、現在のような東京地下状態で一体どうなるのか、まさに原爆が落ちたと同じようなことになるのじゃないかと思いますが、そういうことを政府としてもよくお考えの上、ひとつ至急いろんな根本対策を立ててもらわなきゃならないと思うのでございますが、その点について担当の大臣の御意見を伺いたいと思うのであります。
  8. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 気象台関係、私のほうでありますので、私からも一応申し述べておきたいと思います。  おっしゃるように、六十年周期説というのもありますけれども、これは一応の周期説でありますから、そのとおりやってくるとは限りませんけれども、しかし、治にいて乱を忘れずというたてまえからいえば、現状対策で十分かといえば、まことに十分ではないと申し上げるほかありません。これは一つには行政上の問題もあります。またいろいろの問題からして、もしこれらが勃発した場合には、十分なる体制ということがまだ自信を持って言いかねるという状況でありますが、最近建設大臣あるいは自治大臣等とも相談をいたしまして、そこでさっそくにも本格的な対策をきめる必要がありはしないか。現在では、御承知のとおりに、たとえば消防は自治省関係である、あるいは津波等に関しては建設大臣である、交通機関に関しては運輸大臣、あるいはガス管関係については通産大臣ということで実務的には総合的にやってはおるのでありますけれども、なお明確な命令系統がはっきりいたしておりません。同時にまた、対策についても、一元的な対策が十分になされておるとはいえない。私はとりあえず気象台関係について申したのは、たとえばそのような状態の起きた場合に、いまの通信網ではたして十分かどうか、現在は主として有線を中心にして、それに無線を取り合わしておる、あるいはそれらの情報を出す場合においても、どこが総合的な情報を出すのか、その点についてまだ十分の実務的な対策ができておらない。あるいは東京中心になって地震状態をとるにしても、その中央気象台が何らかのことがあれば非常に困ってしまう。そうなりますと、かような東京の地盤が弱いとかいろいろの問題がありますからして、はたして東京中心になってそういう情報を集めるのがいいのか、あるいは無線等を十分に活用して、もう少し離れた地点にそれらを総合的に情報を集める、こういう措置がいいのか、こういう面については私は急速にやる必要があると思う。それについて国会終了後、直ちに建設大臣中心にして私、運輸大臣自治大臣あるいは通産大臣、これらによってこれらの問題の総合的な施策、またそれに必要な予算は四十六年度の予算に盛り上げる、かような形で万全を期したいと考えております。
  9. 古内広雄

    古内委員 運輸大臣政府としての確たる御方針を伺って、一応安心する次第であります。どうぞひとつしっかりやっていただきたいと思います。  建設にも関係するところがございますので、一書建設大臣の御所信を伺いたい。
  10. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま運輸大臣が申し上げたことが、政府として今後総括的に協力してやるということで、内々御相談をしておることでございます。  せっかく立ちましたので申し上げますと、先ほど御指摘がありましたガス等の問題について、私が現場に行って感じましたことは、従来各関係省で指示したことは一応守られておる。守られておるにもかかわらず、ああいう事故が起きたということを謙虚に反省しなければならぬ。ややもすれば事務当局というものは、従来やったことが守られておるからそれでいいじゃないかという安易な考えになりやすいので、現場においてその点を十分指示すると同時に、私は閣議におきましてこの点を明確に申し上げまして、従来の経験でまあまあということではなくて、いま古内さんから御指摘になりましたように、将来都市化する傾向が著しい今日、地下埋設物はますます多くなり、また地下工事がますます大きくなるという前提に立って、技術的にも、それから従来の考え方自身を本格的に再検討すべきである、総点検の時代である、こういうふうに申し上げまして関係閣僚もそれを了承し、現在は、御承知のように地下埋設施設並びに工事について、各省が総点検をさせておるわけであります。その総点検の結果が、最近東京都内でも、もうどんどん、どんどんとガス漏れの事態が発見されたり、いろいろ現状ではいけないということが指摘されておるのでございます。この意味におきましては、大阪ガス爆発は非常な悲惨事でございまして、遺憾なことでございますが、これを契機として地下工事に伴うガス対策、こういうものを本格的に検討する一つの前向きの問題として取り上げたいと思っておる次第でございます。
  11. 古内広雄

    古内委員 建設大臣からもいろいろ詳しい御方針を伺いまして、安心した次第でございますが、問題は今後の実施いかんにかかわりますから、よろしくお願いいたします。  なお、せっかく多少の時間をいただきましたので、引き続き道路について多少質問させていただきたいと思いますが、きょう私が特にお伺いしたいことは、高速自動車道路財源の問題についてでございます。その問題が中心でございますが、それに入る前に第一に伺いたいのは、高速自動車道路の現在の整備状況、つまり第五次計画について当初の計画と実際がどのくらいずれておるか等について、事務当局からでよろしゅうございますが、ちょっと簡単に伺いたい。
  12. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在高速自動車国道としてすでに供用しておりますのは、名神、東名自動車道中央道のうち吉田まで、これで六百四十数キロになっております。現在施工しておりますのが、整備計画を出しまして公団施工命令を出しておるのが約二千キロございます。これについて第五次の道路整備五カ年計画から鋭意用地買収建設を促進しておるわけでございます。  いまの進捗状況はといいますと、いまの第五次道路五カ年計画でも三五%くらいしかいっていないということでございます。実はこれは財源の問題もございますが、やはり整備計画を出しまして二、三年というのは、用地の交渉、これに時間がかかります。最近ようやく、四十一年に整備計画を出したものが用地がまとまりまして、急速に工事ができるような状態になりまして、これからやはりその財源いかん高速道路進捗状況を非常に左右するのではないかというふうに考えております。
  13. 古内広雄

    古内委員 ただいま道路局長お話で、大体計画は三〇%くらいしかできてない、理由はいろいろあって、一つ土地買収の問題もあるけれども、財源の問題だというお話でございます。そこで一つ問題を提起したいのは、建設大臣に申し上げたいのですけれども、日本はGNPで世界第二位といい、あるいはソ連を入れて第三位といわれていますが、なるほどそれによって国全体の生産というものは上がっておりますけれども、われわれ一人一人の生活を見ました場合、住宅の問題でも道路の問題でもやはり非常におくれておって、一人一人の生活は、まだまだ欧米の一流国並みになっていないという感じがするわけでございます。ことに道路とか住宅になりますというと、幹線道路は非常によくなってまいりましたけれども、ちょっといなかに参りますと、もうアジアの発展途上にある国とあまり違わないところもまだまだあるわけでございまして、そういう意味では今後とも国力の充実発展のために、われわれみんな大いにがんばらなければならないわけでございます。  ところで、問題を道路にとってみまして、いまのような計画からおくれておる状況ではどうにもならない。世界一流国状況を見ますと、これは釈迦説法だけれども、アメリカあたりのハイウエーは四万三千キロもある、またわれわれと同じような立場にある西独のアウトバーンでも、現在三千九百六十七キロメートルもすでに供用されておって、一九八五年までに、これから十五年後には一万三千キロメートルの延長を持つといわれておるわけであります。日本においてはどうかといえば、いま道路局長お話で、供用されておるのは六百キロちょっとであるということで、ことに高速自動車道路をとってみても、これから大いにがんばってもらって充実してもらわなければならないと思うのです。私は、これも両大臣を前に置いて釈迦説法だが、政治というものはやはり二十年、三十年先のことを考え長期計画を立てて、その目標に向かって当面の計画を立てていくということだろうと思うのでございます。ことにそれは道路について言えると思うのです。これからの十年、二十年先の日本の経済の発展というのは非常なものがあると思うのですが、道路計画もそれを目標としてやっていかないと、十年、二十年たったあとにほんとうにあわててしまうだろうと思うのです。そういうことで道路全般充実が重要でございますが、特に私が興味を持っておるのは、高速自動車道路整備の問題でございます。今度第六次五カ年計画を立てられたわけでございますが、その新しい五カ年計画高速自動車道路整備方針はどういうものであるか。これも事務当局でけっこうでございます。
  14. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 第六次の総額十兆三千五百億の道路整備五カ年計画内容につきましては、これから検討する段階でございまして、高速道路については、いま考えておりますのは、昭和六十年までには幹線自動車道建設法によります七千六百キロを完成さしたいという目標のもとに、四十九年までの第六次の実際の計画をきめてまいりたいと考えております。いまのところ六百四十何キロが供用開始しておりますが、それを含めまして昭和四十九年までには、目算でございますが、大体千九百キロくらいが供用延長になるのではないかというように考えておるわけであります。こまかい点は、これからの検討事項にしておる次第でございます。
  15. 古内広雄

    古内委員 そこで、計画としては昭和四十九年まで、第六次五カ年計画が終わるころまでに大体千九百キロくらい供用できるということでございます。まあそこまでいけば、ドイツ並みにはならないけれども、非常にけっこうだと思うのです。しかし、大臣、そういう計画が実現されなければいけないのでありまして、計画だけ立ててもどうにもならない、絵に描いたぼたもちではどうにもならないわけでございます。従来の道路計画というものは、むろん建設省のほうで一生懸命やられ、予算にそれを出されるけれども、予算の実際を見れば、最後にきまるときは、目標にとうてい達しないような予算しか実現できてないのが実情でございますが、いまのような御計画をお立てになって、一体いままでのように財投資金だけに依存してできるとお考えになりますかどうか、その点、財源対策をどうお考えになっているか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
  16. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、財投だけでこれをやるということは非常に困難です。財投に対する政府政策需要が非常に多くなる一方、財投の原資が非常なハイレベルで多くなるということも、これは必ずしも保証がないということでございます。そういう観点からいたしまして、新道路五カ年計画を閣議決定するときにあたりまして、特定財源をこれは裏づけしなければだめだということを特に私が要請いたしまして、その結果、大蔵大臣も了承をして、昭和四十六年度予算編成までには一つ特定財源について合意を見るように努力するということにいたしております。  その中にはいろいろな案がございまして、いわゆる自動車新税なるものもございます。あるいはまた自動車債券という構想、さらにはガソリン税の増徴、もう一つトラック税を新設するというような構想もあり、さらに、地方道路財源といたしましては軽油引取税等課税等、広範にわたってこれは検討すべきである、こういうことで、いまこれは建設省だけできめられる問題ではございませんので、これも近く国会終了後は精力的に関係各省とまず事務的に意見調整をはかりながら、予算編成期までに関係閣僚合意を見たいと思っておる次第でございます。
  17. 古内広雄

    古内委員 いま大臣お話によりますと、いろいろ財源として考えておられる。いろいろの税もあるし債券もあるというお話で、むろん、その点が最終的にきまりますまでには関係各省でいろいろ御相談なさるわけでありますから、そのはっきりしたことを伺うまでには、まだこれから数カ月待たなければならないのでございます。けれども、われわれとしても非常に関心を持っておりますので、私のいままで集めました情報に基づいて、もう少し質問を続けさしていただきたいと思うのです。  いろいろな自動車税その他の税金のほうを上げるということは非常に抵抗が強いようなんでございますが、この財源として自動車公債を発行すべきだという説を聞くわけでございます。大体内容として伝えられておるところを私どもしろうと考えで見まして、これは非常に可能な方法ではないかと思う次第でございます。なお、それについて建設省かあるいは関係の団体でございますが、どちらがおやりになったか、世論調査までもある程度おやりになったと聞いておるのでございますが、お差しつかえなかったならば、自動車公債債券内容ポイント世論調査の結果などをひとつお漏らしいただければありがたいと思います。
  18. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 自動車公債につきましては、昨年全国高速自動車国道建設協議会自動車のユーザーに対して行なった簡単な世論調査でございます。その大きな内容を言いますと、結局、いまの道路については非常に不満が多いということがまずあると思います。さらに、高速道路早期完成を相当熱望しておるということ。そのために自動車公債を引き受けるという場合は、ある程度の負担が増すことはやむを得ないというような意見が大多数になっております。
  19. 古内広雄

    古内委員 その自動車公債として考えておる内容と、そのポイントを少しお漏らし願いたい。
  20. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これについてはいろいろの方法があろうかと思いますが、一つの案としては、大体、自動車購入者が、普通小型自動車の場合で五万円、軽自動車の場合で三万円ぐらいを購入して、その新車の登録のときに公債を買ってもらうということで、債券は大体年利率が七分二厘程度で、十年目に元金を償還するというようなのが一つ構想の中にございます。
  21. 古内広雄

    古内委員 大体いまの御計画でさしあたってかまわないのですけれども、そういう自動車公債、普通の車で五万円ぐらいの債券だ、十年間の期限で、十年間たったら返す、それで一体自動車の伸びと計算してみて、どのくらいの資金がたとえば四十九年までに集まるのか、それと自動車道路建設費との関係で言うと、どのぐらいのものが自動車公債で集まるものか、おわかりならひとつ……。
  22. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 これも非常に概略の試算でございますが、いま言いました大体新車一台当たり五万円平均として算定いたしますと、四十五年から四十九年の第六次五カ年計画の間で、大体一兆二千億ぐらいの財源が得られるというような計算であります。さらに、先ほど言いました千九百キロの使用開始、さらにそのほかに、二千キロ以上の工事施行区間をつくるわけでございます。それに要する費用はこれからこまかい点を計算するわけでございますが、大体一兆四千億ぐらいあればいいのじゃないかということで、大半がこれで金額的にはまかなえるというような形になろうかと思います。
  23. 古内広雄

    古内委員 いま承りますと、自動車公債で約一兆四千億近くのものが集まるという非常に大ざっぱな計算でございますけれども、大臣、私は自動車公債というものは非常にポッシブルな、可能な方法じゃないかと思うのですね。いままで聞くと、自動車税とかそういうものでは非常に抵抗が多い。メーカーなども、そんなに税金が上がってしまったのでは車が売れなくなると言うのですけれども、この自動車公債でいけば、これは電話債券と同じで、すぐ現金化できるという点もたしかあったと思うのです。十年たてばみな返ってくるということであれば、買う人も、たとえば六十万ぐらいの小型の車を買う人が、調達するときに五万円足して六十五万円にしたところで、これはたいへんな負担にならないと私は思うのですね。しかもその債券は、すぐまた必要ならば現金化されるということでございますから、これは自動車道路をつくるのにたいへん可能な債券だと思いますが、これについて、いま直ちに大臣の御所見ということは無理かもしれませんけれども、もしできますならば簡単に御所見を伺えればと思いますが、いかがでございますか。
  24. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これにはいろいろまた抵抗のある面もあるようでありますが、何事をやるにも抵抗のあることは当然でございますので、そういう意味で、これも一つの有力なる高速自動車道路財源に使える、資金源になり得る、こういうことでわれわれも、関係各省と十分に前向きでこれを推進してまいりたいと考えている次第でございます。
  25. 古内広雄

    古内委員 大臣のお考え、よくわかりました。よろしくひとつお願いします。要は、GNP世界第二位あるいは第三位といわれる日本の国力にふさわしい道路をやはりつくって、ほんとうの一流国家になれるように大いに御努力を願いたいと思います。  なお、もう一つ自動車道路に関して、私東北出身でございますので東北に関連してひとつ、これは事務当局に対して伺いたいのでありますけれども、自動車道路が青森まで通る計画でいる場合に、その途中、福島県も含めて、あるいは宮城県、青森、岩手と考えますと、ところどころに積雪寒冷地域があるのでございますが、そういうところを通る自動車道路の構造上の問題、あるいはその対策をどう考えておられるか。日本より寒い西独などでは、アウトバーンが四通八達している。冬の凍るときには、砂と岩塩とミックスしたものをアウトバーンの方々に置いて、そして道路が凍るという危険のある場合には道路管理員をフルに動かして、それを方々にまいて事故を防ぐというようなことをやっておりますが、そういうような問題も含めまして、ひとつそういう積雪寒冷地域を通る自動車道路の雪氷対策というものをどう考えておられるか、ひとつこの際御披露願いたいと思います。
  26. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 積雪寒冷地における高速道路、これは道路管理上非常に大きな課題となっております。この対策といたしましては、やはり高速道路をつくるときに、山岳地帯におけるなだれの防止施設、平地部においては吹きだまりの防止の施設、機械除雪をやるための機械の配置、整備体制、こういうものを総合的に検討していかなければならないと思います。また、できたあとの路面の凍結でありますが、これは現在のところ、塩その他の薬剤散布をやっております。やはりこういうものと、もう少し気象情報に基づく交通管理を的確に把握するということがまず第一だと思います。それには、やはり道路沿いの通信網の管理とか、電話の連絡によります緊急事態に対する処理の方法、こういうことをこれからの一つの問題として検討したいと思っております。
  27. 古内広雄

    古内委員 これで私の質問を終わりますが、いまの最後の問題も、東北地区などにとってはたいへん重大な問題でございますので、高速道路をおつくりになるときに十分お考えになることを希望して、私の質問を終わります。(拍手)
  28. 金丸信

    金丸委員長 三木喜夫君。
  29. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 本四連絡架橋につきましてお伺いしたいのですが、その中で、この前連合審査が運輸委員会と持たれましたが、まだ道路橋、鉄道橋というこの二つの接点が明確になっておりませんので、その点につきまして若干お伺いしたいと思います。したがいまして、きょうは運輸省関係、海上保安庁関係だけに私はお伺いしたいと思います。  大臣、御苦労さんです。この前においでいただいておったわけですけれども、併用橋ということで運輸省側、鉄建公団側、国鉄側の意向が明確でないのです。そこで、きょうはそれをお伺いしたいのですが、まず第一に鉄建公団は、この併用橋であるということから、過去二十二億円ほどこれの調査費を使っておられるようでありますが、どういうことを御調査なさったか、ひとつ鉄建公団のほうから最初にお伺いしたいと思います。
  30. 篠原武司

    篠原参考人 この調査は非常に多岐にわたっておりまして、いわゆる明石ルートのほうと、それから備讃ルートのほうと両方にわたりまして、風の問題、地震の問題、潮流の問題、それから地質の問題、それから施工する場合のことを考えまして、ボーリングをいたしましたり、あらゆる基礎的な調査をやってまいりました。
  31. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ポイントは、橋梁に車両を通す場合に振動とかあるいは風速とか、こういう直接的なものが重点で調査されておるだろうと私は思います。したがって、この報告書を見ますと、いまおっしゃいましたそれぞれのことが書いてあります。しかし、その調査は鉄道公団がなさったのかその他に委託なさったのか、その辺をひとり……。
  32. 篠原武司

    篠原参考人 大部分は鉄道建設公団でやっておりまして、これは建設省がお始めになる前から、明石ルートにつきましてはいろいろな調査をやってまいりました。当初のときには隧道案も考えまして、その諸調査をやってまいりまして、その後建設省としまして道路橋をかけるという話になってまいりましたので、お互いに仕事を分担いたしまして、最近では、主として鉄道公団では併用橋ということを主体にして仕事を進めております。いろいろな調査は、大体できる限りは公団でやっておりましたけれども、たとえば経済調査につきましては、これは外部へ委託してやっておりますし、いろいろあらゆる方々の知能を集めて調査しようということでやっておる次第であります。
  33. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 技術調査に限ってひとつお聞かせ願いたいと思います。どういう技術をどういうぐあいに御検討になったか。このポイントは、いま申しましたようなものを足がかりにして、併用橋が可か否かということに重点が移らないか。併用することがいいことか悪いことか、この観点でおそらく御調査になっておられるだろう。重みだとかあるいはゆれだとか、そういうものが主体になっておるだろうと思うのですが……。
  34. 篠原武司

    篠原参考人 いろいろ複雑でございますので、一つの例を申し上げたいのでございますが、たとえば明石のようなところに千五百メートル級のつり橋をかけた場合に一体どうなるか、その場合に、道路単独でやるか鉄道併用橋でやるかということにつきましては慎重に検討してまいったわけでございますが、鉄道だけでやる場合には隧道を考えるわけでございますけれども、道路橋をかける、そして隧道もつくるということでは非常にむだがあるのじゃないか。特に鉄道の荷重は、だんだん進歩してまいりまして軽くなっております。明石ルートの一番大きなスパンで考えてまいりますと、全体の橋の目方、つまり上部構造で申しますと大体十五万七千トンくらいになりますが、そのうちの道路の荷重が約八%になります。それから鉄道の目方は、これは在来の鉄道を考えておりましたけれども、たとえばここに新幹線を通すということになりますと、新幹線はかえって荷重が軽うございまして、わずかに一%にしか当たらないというようなことになってまいりまして、そういうことを考えますと、どうせ上に道路が六車線くらいできますと、構造上どうしてもある程度の深さが——つまりガーターをつらなければならぬという立場にありますので、下に余裕ができましてこれに鉄道を載せるということは非常に簡単でございますので、これは国家経済からいっても、併用橋でやるのが当然じゃないかというような立場で検討を進めてまいっておりました。結論としましては、ただいまの考えでは併用橋をやるべきじゃないかという考えになっております。
  35. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 二十二億円のお金を使われたその比率ですね。内部でやられたのが何ぼくらいで、外部に調査に出された調査の費用は何ぼか。概算でけっこうですから、これで私は傾向を知りたいと思ってお伺いしておるのです。
  36. 篠原武司

    篠原参考人 これは、経済調査とかそういうようなことは外部に委託しておりますけれども、大部分は、実際に海上に作業台をつくりまして大がかりな実験をやっておりますので、コンクリートの実験にしましても非常に大がかりなものをやっております。そういうようなことで、大部分は鉄建公団自体でやっておるというふうに言って差しつかえないと思います。
  37. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 二十二億円の大部分は鉄道建設団が使って予備調査をした、こういうことになるようであります。しからば、その予備調査をなさった結論としてAルートとDルートに併用橋を持っていこう、こういうお考えのようでありますが、これはこの調査の結論として出たのですか。それは別問題ですか。
  38. 篠原武司

    篠原参考人 これは建設省道路単独橋を御調査になりますし、私のほうでは併用橋を調査しようということで、両方で分担しておりますので、最終的な結論はこれからでございます。一応われわれが鉄道をAルートもDルートも通すのだという立場をとっている上から言いますと、やはり経済的にはそのほうが有利じゃないかという考えを持っておりますけれども、最終的には、これは大臣なり政府のトップできめていただくということになると思っております。
  39. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 ちょっと誤解せずに答えていただきたいと思うのです。それは最終的に決定するところは、この間からずっと話が出ておるのですからけっこうですが、予備調査としてやる場合には、その調査というものは何か目標がなければならぬ。併用橋にしようという目標があるわけです。ですから、両方とも併用橋可能という最終決定をなすところの資料がなかったらいかぬわけです。そこで、両方とも併用橋可能という結論をこの調査から出されたかどうかということをお聞きしているので、最終決定はもちろん政府においてなさり、それを素材にしてわれわれは検討するようになると思いますが、そういう点をお聞きしておるのです。
  40. 篠原武司

    篠原参考人 併用橋は両ルートとも可能でございまして、ただここにもう一点お考えおきいただかなければならないのは、Dルートにつきましては、坂出を通るルートでございますが、これは狭軌の鉄道については岡山方あるいは高松方にも、連絡船を通じましていろいろないままでの施設がございます。ばく大な投資がございますので、その辺はやはり考えていかなければならぬというふうに考えております。
  41. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 そこで運輸大臣にお伺いしたいのですが、この間の連合審査でいろいろ論議されました点を総括して考えてまいりますと——鉄道監督局長の町田さんがおいでになっておりますから、私の取り違いなれば正していただきたいと思うのですが、とにかくこの調査というものは、新幹線を通すというような調査でなくて在来線の調査だ。それから、将来全国高速貨物列車網の構想も国鉄は持っております。この二つ。それから、在来線と新幹線をそれぞれ通すということにするか、いわゆる第三軌条と申しますか、三木の線を引いて新幹線も通れるようにするかというような問題が具体的にはあると思いますけれども、まだ検討してない、検討する必要がある。それから、当然新幹線をここに通すという前提のもとに、技術調査あるいは経済調査を進めるということに相なるかと思っておりますということで、町田さんはこれからの調査だと言っておる。それから、国鉄十カ年の財政再建計画との関連におきましては、国鉄の経営にもプラスになるという面がなければならないと思う、こういうように答えておられる。その観点をいま言いましたように四つにしぼって、その上に足を置いてひとつお伺いしたいと思うのです。  これは運輸大臣がちょうどおいでいただいておりますので、私はやっぱり国鉄財政再建下の本四連絡国鉄橋、こういう観点でとらえてみたいと思うのですが、この中で業務運営の基本方針として、「国鉄自らが将来とも総合交通体系においてその役割を十分発揮できる近代的経営体制を確立し」、そしてその方法として新幹線、近代化による輸送力の増強、在来線の整備、こういうことがあげられておるわけです。そういう観点からは、これはまだ論じられていないんです。ただ、そういうことを考える必要があるということなんですが、ほんとうに十カ年計画というものが提示されておれば、四国各線とそして連絡橋との関連がどうなるか、これを国鉄財政再建という観点から検討する必要があるんじゃないか、検討されておるべきだと私は思うのです。  これは別の問題ですけれども、国鉄総裁磯崎さんは、この間の説明では、「私は二つ必要ないと思います。」、言うなれば、併用橋としてAルートとDルートが技術的に、あるいは経済効果的に可能だという結論を予備調査において出されておりますけれども、実際の国鉄総裁意見としてはA、D、この二ルートは必要ないと思う、こういうようにお考えになっておるわけです。これはかなり総裁のお考えの中に、国鉄再建十カ年ということが頭の中にあると思う。  したがって、運輸大臣として、その観点からどういうようにお考えになるか、あるいは考えておられたとしますならば、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  42. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 あるいはこれから私の考え方を申し述べる場合に、多少事務当局意見の違う点、ニュアンスの違う点があるかもしれません。これはわれわれは政治家といいますか、長期展望という点からものを考えますので、多少ニュアンスの違いが出てきましても、その点は御了承を願いたいのであります。  そこで、とにかくこの本四連絡架橋というものは、鉄道を含めてこれは三年、五年の問題じゃないんですね。どう考えても完成までには十年以上かかる。早くても十年は見なくちゃいかぬでしょう。そこで、このバックグラウンドとして考えるべきことは、昭和六十年なりあるいは昭和六十五年なりの日本の経済予測というものがまずバックグラウンドになくてはならぬ。私はその意味において、このいわゆる大阪中心とする地帯といいますか、あるいは東京中心、この考え方、現在の点の考え方といいますかある地域のものの考え方、これは訂正をする必要がありはしないか。私はこれを東海道メガロポリスとも言っておるのですが、東京−神戸間というもののいわゆる市街地形成というものは、現在は一つの点の連絡という時代でとらえておりますけれども、十年もしくは二十年将来には、これは一つの長さが六百キロ、幅十五キロ平均の巨大なる組織都市の形成が進むんじゃないか。全国都市の約六割程度がここに集中される。これは御承知のように、情報化社会、情報産業社会における一つの特色であります。そういう考え方からいきますと、日本の巨大都市というこうしたものは、ムカデでいえば、からだの長いこういう都市の形成があって、そこから足が出ていく。たとえば徳島方面とか兵庫方面とかいうものはそこから足が出ている。あるいは千葉県、茨城県というものはそこから足が出ている。こういう一つの姿をわれわれは想定しなければいかぬのじゃないか。そうなりますと、全国人口の六割なり六割五分なりというものが二十年将来において集まり得るという予測に立って考えますと、そういう観点から、たとえばいまの本四連絡架橋にいたしましても、あるいは自動車網の問題につきましても、これは考えていかなくちゃならぬ。そういう意味から考えますと、いまもちろんこれは技術調査の問題がかなり根本であります。  私、昭和四十二年に建設大臣をやっておりましたときに、徳島県知事の道路橋としてのいろいろの陳情があり、また徳島県も金を出してこれがえらい調査をしておりました。私はある研究所に行きまして風洞実験なども見ましたけれども、非常な長大橋の場合におきましてはかなりな問題がある。これはアメリカの例でありますけれども、台風によって非常な長大橋がねじれるようにして倒れる状態を映画で私は見た。そういうことから考えて、十分なる研究開発、これがないとたいへんな結果を招来するのじゃないだろうかということを当時考えた。  その後において、すなわちその当時から、先ほど篠原総裁が言われましたように、鉄道関係においては研究を進めてまいったわけであります。そういう一つの前提に立って考えますと、いわゆる国鉄再建というのは十カ年計画の中でバランスをとっていこうという問題、そうして将来の新幹線網の一環になるわけですが、あるいは在来鉄道の整備がこの十カ年計画の中で大体においてこれが完了しようというのですが、まあ残りましょう。そういう意味から考えますと、もちろんこれは、在来鉄道再建計画と新幹線というものがからみ合いがないとはいえません。だが近く皆さんの手によって提案されるであろう新幹線網鉄道の建設法におきましても、その財源措置は別個において検討すべし、かような考え方があられるようであります。そういう意味からいいますと、もちろん、これは新幹線が在来鉄道の財政を将来においてこわすということでありますなれば、鉄道経済としては非常に困難をきわめますけれども、私は、十五年なり二十年なりの将来の貨物、人間の移動、こういう状態から考えますと、必ずしも全部がオーバーラップしているわけじゃない。一部はオーバーラップします。飛行機の例で恐縮ですが申し上げますれば、十年先におそらく現在の四倍から六倍近い人間を運ぶ。一億二千万人が国内で飛行機によって動くだろう。これは飛行機に鉄道の人間がとられるというわけじゃありません。それだけ将来において人間の移動なり、こういうものが非常にひんぱんになるという一つの証左として申し上げておるのでありまして、鉄道からとっていくために、いわゆる飛行機がふえるということじゃなくして、十年、十五年将来を考えますと、それだけ人口の短期的移動、いわゆるレジャーとか調査、こういうものにおいて動いていくんじゃないか。  こういう一つの前提に立って考えますと、必ずしもAルートは鉄道が必要でないとか、あるいはA、Dともに必要であるという問題は、そういういわゆる将来の需要予測を完全に行なった上で、かつまた、これはもちろん研究開発によって実際的にできなければしかたがありませんが、同時に、この費用が非常な不経済であれば、これも一つの問題でありましょう。しかし、それらを十分にこの公団によって検討した上で、政府はやはり十五年なり二十年の将来を考えて着手すべきものは着手していく。これくらいの遠大な考え方があって、初めていわゆる全国の総合開発ができるんじゃないか、かように私自身は考えておるのでありまして、おそらく政府としてもその方針のもとに、この公団によって、いわゆる研究開発あるいはそれらのことがあった場合において、進んだ場合において最終的な決定をいたしたい、かように考えておるのであります。
  43. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 磯崎国鉄総裁はA、D二本は必要はないというお考え、それから運輸大臣は、いろんなことを勘案して、これからの調査研究によって二本必要なればやらなければならない、こういうお考えのようであります。  私のお聞きしておる点は、もう少しわかりやすくひとつ説明していただきたいのですが、ここに国鉄赤字路線が出ております。二千五百九十キロに及んでおります。そうして全体計画二百四十五線区のうちで、二百二十線区が赤字になっておる。国鉄再建会議、国鉄諮問委員会におきましては、道路論送が適当と認められる線についてはその転換を推進するということでこれは一応おさめられましたけれども、国鉄として早期バス転換すべき路線が八十三あげてある。その赤字路線ということを考えた場合には、当然国鉄は営業をやらなければいかぬ、そこで損してもやり切るということにちょっと踏み切れぬだろうと思うのです。磯崎国鉄総裁はその観点に立っておられると思うのですが、しかし、というて将来を見越した場合には、いまは赤字でも将来はやはり新幹線をつけたほうがよっぽどいい——建設大臣は、先般から海陸空、総合的に考えていかにゃならぬ、まことにそのとおりでありまして、将来は道路輸送というものが非常に混雑するということを考えた場合に、鉄道というものにどういうぐあいに移管していくかということを考えなければならぬ。そういうことからいえば、いまおっしゃったような考え方も出てくると思うのです。  私の申し上げておるのは、この赤字路線というもの、国鉄十カ年計画というものを踏まえたときに、なおかつここに新幹線を通すという意向があるのか。先がたから申し上げておりますように、在来線の調査をした段階では新幹線なんか全然考えていない、こういうことなのか、その辺をずばりお聞きしたいと思います。
  44. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 そこで、もう一つ前提で考えてもらいたいことは、過密過疎地帯のものの考え方ですね。過疎地帯があるということは、必ずしも人口が極端に減ってきたということだけじゃないのです。あるいは最近の新聞でごらんのように、必ずしも人口は減っておらない。だが、交通上における人口は減ってきておる。なぜ減ってきたかというと、御承知のようにマイカー族というものが非常にふえた。農村においても、二戸もしくは三戸に一台の自動車を持ってきておる。これはもう鉄道やバスを利用しないのです。だから、その地域の人口はあまり減っておらないにかかわらず、国鉄なりバスなりを利用する人が減ってきた。であるから、従来もそれは赤字であったのですが、赤字になってきておる。そこで、これは国の政策ですね。国の政策としてそういう過疎地帯における交通機関、鉄道もしくはバスその他ありましょう、こういうものに対してどういう対策を練らなければならぬかという問題があります。でありますから、いまの、現行によるところの国鉄にしょわせておる無理な責任、これは将来やはり国が考えなければいかぬ。従来は独占事業であった。それが今日では、全く競争原理に従っていわゆる独占事業ではない。にもかかわらず独立採算制をしいておる。こういう現状がはたしていいかどうか。  しかしながら、これは法律によって極端に押えておるわけではありませんからして、本年度のごときは、四十五年度百二十五億円の国の負担を認めております。こういう形で、いわゆる赤字路線の問題はそれだけではきまりませんが、現在国鉄が考えておるように、バスでやってもいいものはバスにかえる、あるいはどうしても地方の開発のために軌道が必要な場合は、何らか特別な経営形式を考える、こういう考え方もあります。同時にまた、それらに対して将来国として過疎地帯に対する文化の位置というものをどう考えてやるべきか、こういうことから考えていかなければならぬときが当然来ます。本年度、御承知のように過疎地帯の振興法というものも出ておる。これは当然国がだんだんと強化していかなければならぬ一つ方針じゃなかろうか。  こういう点をにらみ合わせますと、現在国鉄が赤字路線で悩んでおり、それがマイナスの面であるということだけで、いわゆる新幹線の将来の考え方は、必ずしもその点からだけ考えるべき問題ではない。かように私は、少しのんきな考え方かもしれませんけれども、幅広く考えてまいっておるのでありまして、将来の予測が必要であれば、また実際上、開発上可能であればそれはもう新幹線もやるべきであり、あるいはまた在来線も考えなければならぬ。ということは、御承知のように、貨物も全国的に鉄道が輸送しなければならぬ。もし新幹線一つだけを通すなれば、これはもう四国一帯の従来の軌道というものは孤島的な性格におちいってしまう、あるいはまた、在来線だけを通せば、四国は人間輸送の上においてはやはり孤島的な性格を持つ。こういう状態は政治としてあるべきではない。もちろんこれは、私は五年、十年で達成しようとは思っておりませんが、将来の展望としてはそれくらいの考え方があっていいのではないだろうか、かように考えておるわけであります。
  45. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 御高説はよくわかるのですが、ちょっと時間がないので、ずばりお聞かせいただきたいと思って、新幹線計画を全体的にのせるという意図のもとで本四架橋の上に新幹線を乗せるというお考えがあるのか、乗せることも可能なときがあるだろうという推定に立っておるのかということをお聞きしたいのです。この間の連合審査では、在来線でやるつもりだったんだ、新幹線を乗せるならこれから調査しなければならぬ。こういうことになりますと、鉄道公団が二十二億円お金を使ったことが、ちょっと違ってくるかっこうになるのではないかと私は思うのです。それで、大臣として責任ある立場でそれはどうなのか。四国にも赤字線が相当あるのですが、その赤字を解消するという観点からひとつこれを検討してあるか。もう一つの論点は、全国新幹線計画というものの上で検討してあるかということをお聞きしておるわけです。
  46. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私は大体はっきり申し上げておるつもりですがね。問題は、技術的に可能であり、経済的に将来ともに必要であれば考えるべきだ、これははっきりしておるのです。ただ、技術的に可能な状態が明確にされない場合に、やります、こう言うのはかえって不正確な答弁になるわけです。その点に立っては考えるべきである、こういうことです。
  47. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 いまもおっしゃいましたように、一九七〇年代というものは市街地人口が八千四百万、七〇%がここに集中してくる。市街地が現在の二倍の面積が要る。これは建設的に問題ですけれども、そこに基幹通信網と交通をどう敷くかということ、はっきり言ってホモ・モーペンス時代に入りますとそう考えなければならない。運輸大臣は、その時代のことを想定してお話しになっている。私もそれは賛成なんです。賛成なんですけれども、要するに本四架橋というものが、新幹線路線、普通鉄道路線というものが全体計画の中からにじみ出てきて——技術的には、できなければできぬでいいですよ。あるいは経済効果も考え、地元の受け入れを考えた場合に、残念ながらこれは見送らざるを得ない、将来また通すことがあっても、という線になるかもしれませんけれども、どうも今度の本四架橋の場合は、私は、鉄道が非常に考え方がおくれておるのじゃないかという感じを持つのです。また、悪う言えば、本四架橋に鉄道が便乗したのじゃないかという考え方も持っておるのです。いまの鉄建公団の話を聞きますと、隧道を掘るよりもそれは安上がりである、重さも一%ほどしか荷重にならない、これは私はいい観点だと思います。重さの点なんかを考えますと。しかしながら、感じとしましていままで私たちの受け取っておる感じは、本四架橋というものが高速道路橋として発足したような気がするのです。これが、いつのころやしらん、国鉄、そしてそれがだんだんエスカレートして新幹線、こういうようなことになっていったような気がしてしかたがないのです。それならば、その見取り図を出してもらいたいというのが私の言い分なんです。しかしながら、この間の話では見取り図はないようだ。論議を聞いておりますと、どうやらそうすることがいいようだ、新幹線やるならそれで調査しなければならぬようだ。いまの話でも、要するに、今度建設公団ができますとそれに調査さすということになります、こういうことなんですけれども、一方に赤字と十カ年計画を持ち、一方には新幹線を増強せなければいけない、こういう意見がある。ホモ・モーペンスの時代に備えてやらなければならぬ。その二つを、どういうぐあいに足を置いて考えていただいておるか。私は、これが国鉄当局、運輸当局のつとめだと思うのです。われわれ納得する説明をしてもらいたい。大所高所の御高説は、またの機会に、よくわかりましたから。ずばりそれを言うてください。
  48. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 しかし、三木さんも御承知でしょう。この初めの発足は、徳島県知事にしても神戸市長にしても、道路橋をやりたい。そうして私が建設大臣のときに、その調査費を県自体が負担してやりたいということで、最初は道路橋としてやりたい、こういう発足の歴史のあることは御承知のとおりなんです。ところが、やって、途中において、せっかく道路橋をやるならば最近の技術では併用橋も可能じゃないか。また、運輸省のほうといたしましてもこれは検討すべきものである、こういう発足の歴史は、あなたはよく御承知のはずです。ですから、決して出おくれだとかどうということじゃなく、ものの発足の順序がそうであった。しかし、今回本四連絡架橋公団ができて本式にやる以上は、やはり将来のこと等を考えて本格的にやるべきものである、かように考えておるわけであります。
  49. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 それでけっこうなんですが、それならば、「技術的検討の概要」というのが建設省道路局それから日本鉄道建設公団から四十一年の三月に出ておる。それから「本州・四国連絡橋の工費、工期」というものがおととし出されておるわけです。四十一年からおととしまでかかってこれは検討された。この中にそれが入るべきだと思いますし、よし入らなければ、おととしから去年、一年あるのですから、新幹線という線が出てくればその計画図というものがあるはずだと思う。その点どうなっておりますか。その発展段階はもうわかりました。
  50. 町田直

    ○町田政府委員 新幹線と在来線の関係のように伺いましたので、新幹線の関係について申し上げます。  まず、国鉄の再建と新幹線の関係でございますが、先生も御承知のように、国鉄は近代化しなければならぬ。近代化する一番大事なものは、高速の、非常に効果のいい汽車をつくる、こういうことでございます。したがいまして、新幹線を必要なところに敷いていくということは、国鉄の近代化にもなり、国鉄の再建にもなる、こういうことでございます。したがいまして、現在非常に苦しい中で、山陽新幹線の建設をやっておるわけです。ただ、国鉄が十カ年間に、自分の——自分のと申すとおかしゅうございますけれども、国鉄の負担でやれるものは、いまのところ山陽新幹線までである、こういうことで、山陽新幹線を十カ年でやろうということを考えております。  一方、御承知のように、全国的に新幹線網を敷くべきである、こういう議論が出ました。これは、御承知のように、国鉄の近代化にもなりますけれども、同時に、地域開発ということもあるわけです。そして、それに関する法案が今度の国会提案されるというふうに私どもは伺っておりますけれども、その全国新幹線網につきましては、これはやはり十カ年間にそれをつくっていく場合には、先ほど申しましたように、国鉄の負担にならない方法でやっていただくということにしませんと、十カ年の間に再建が非常にむずかしくなるということもございますので、そういうことはお考えいただく必要があるのではないかと思っております。しかし、いずれにいたしましても、全国的に新幹線網を敷いていくということは、これは国鉄の近代化のプラスになるというふうにお考えいただいていいのではないか。  次は本四の問題でございますけれども、これは御承知のように、在来線で調査をいたしております。その後に新幹線問題が出てきたのは、つい最近でございます。したがいまして、新幹線を敷くことによってどれだけ経済的なプラスになるかという点につきましては、鉄道建設公団では非公式にはやっておりますけれども、まだ発表いたす段階ではございませんので、そこで新幹線については、経済効果等についてはまだはっきり調査をいたしておりません、こう申し上げております。  それから、技術的な問題でございますけれども、これにつきましても、技術調査の結果が発表になりました段階では、新幹線を対象にした調査でございませんので、それは出ておりません。しかしながら、在来線が通せる橋に新幹線を通すということは、スピードの点で問題がございましょうけれども、荷重その他の点では一切問題がない、こういうことは言えると思います。したがいまして、あと、スピードを二百キロあるいは二百五十キロというようなスピードでその橋をもし通すとしたら、そういうスピードの関係でどういう影響があるかということは、今後相当研究しなければいけないと思いますけれども、いずれにいたしましても、新幹線を通す技術的な問題というのは、これは私、技術屋でございませんからはっきり申し上げられませんけれども、そうたいして大問題ではないというふうに考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、そういう情勢にございますので、新幹線について当然今後は技術的な検討をしていかなければならないであろう、経済的な研究もしていかなければならないであろう、こういうふうに考えておる次第でございます。
  51. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 できるだけそれは早く御検討いただきたいと思うのです。こういう論議が特に出てきておりますししますので、要望しておきたいと思います。  それから、きょう海上保安庁からお見えいただいておりますので、やはり陸海空の関連において考えるという立場から、海上保安庁としてこの本四架橋をどのようにとらえておられるか。この間の連合審査のときには、漁業補償だとかそういう問題で話が出ておったようでございますけれども、道路局長考え方とあわせてみてどう考えておられるか、ちょっと前に私は道路局からお聞きしたのですが、それだけ聞いておいて、きょうは質問を終わりたいと思います。     〔委員長退席、服部委員長代理着席〕
  52. 河君一郎

    ○河君政府委員 お答え申し上げます。  海上保安庁といたしましては、本四連絡架橋に関しましては昭和四十三年度におきまして建設省から委託を受けまして、明石海峡、尾道−今治、児島−坂出ルートにつきまして、連絡橋がつくられました場合、航行安全上の問題について調査を一年かかりまして実施いたしました。これにつきましては専門的、技術的な事項でもございますので、そういった専門家にお集まりいただきまして、本四連絡架橋航行安全技術検討会議というものを別に設けまして、そこを中心にして実地調査なりあるいは調査資料の結果をまとめるということで、すでにこれは報告書も出ておるわけでございます。  そこで、いろいろ留意すべき事項が航行安全上ございますが、やはり一番問題は、架橋によって見通しが非常に悪くなる、あるいはまた船舶の交通がふくそうすることが予想される。     〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、橋ができたあとにおきましては、航行規制の実施なりあるいは航路標識その他安全環境整備対策を講ずる必要がある、あるいはまた、架橋によりまして橋脚付近の潮流に変化が起こる、あるいはまた、船はレーダーを使いますが、それが橋によってどのような影響を受けるかというような点につきまして必要な措置を講ずるということが、おおむねこの調査結果でございます。  それからさらに、これは橋ができましたあとの問題でございますけれども、これからいろいろな調査が進み、また設計ができ上がりますと、現実に工事を行なうということがあるわけでございます。そこで、その工事中の安全をどのようにして確保するかということは非常に重大な問題でございますが、この工事中の航行安全の問題につきましては、この調査ではいたしておりません。で、今後やはり工事中の航行規制その他いろいろな問題があると存じますが、全体の具体的な計画が進行するにつれまして、私どもも建設当局とよく連絡をとりまして必要な安全措置を講じてまいりたい、このように考えておる次第であります。
  53. 三木喜夫

    ○三木(喜)委員 一月にそれができておるようでしたら、それを一ペん見せていただきたいものだと思うのですが、お願いしておきます。  それから、大きな流れとしましてこういう橋ができる、そして五万トン級タンカーが二十万トン級タンカーになってくる、橋脚が問題になるというようなことから、勢い瀬戸内海の交通というものがそこのけそこのけお馬が通るというぐあいに、弱い漁民の立場がかなり圧迫されるのではないかと思うのです。そういう心配を持つわけであります。今日、現実にまだ橋がついておりません。零細漁民が明石とかあるいは淡路とかその他のところでノリの養殖をやっております。それを海上保安庁の権限でかってにやめさせる、そういう事実がないか、これは一ぺん調べておいていただきたいと思います。漁民の意思に反して、あるいは水産庁あたり、あるいはまた県の農林水産部あたりから県の許可をとっておきながら、そういう非合法なことが行なわれていないかということをひとつ調べていただきたいと思う。私はここでとやかく実例は申しませんけれども、そういうことになってくると、漁業ということと航行安全ということと架橋ということと、それから石油コンビナートの問題がからみ合ってきて非常にむずかしい問題になる。いよいよ海上保安庁のお仕事もたいへんだと思いますけれども、その点ひとつよろしくお願いしたいと思います。  以上で終わります。
  54. 金丸信

    金丸委員長 井上君。
  55. 井上普方

    ○井上委員 ちょっとお伺いいたしたいのでありますが、ただいま三木委員の御発言にもありましたが、将来瀬戸内海並びに東京湾等々におきましては非常に航行がふくそうしてくる。しかもこのごろのタンカーの様子を見てみますと、二十万トン、三十万トンあるいは五十万トンにもなる可能性がある。とういうようなことになりますと、例のイギリスにおけるタンカーの遭難事件等々から考えましても非常に大きい危険性をはらんできて、将来の瀬戸内海あるいはまた東京湾などにおきましては、ああいう災害が起こった場合に大災害が起こってくるのではないか、こういうことも考えられるのですが、運輸省といたしましてはこの瀬戸内海あるいはまた東京湾の大規模なタンカーの航行につきまして制限を加える御意思があるかどうか、この点ひとつお伺いしておきたいと思います。
  56. 河君一郎

    ○河君政府委員 いまの点につきましてお答え申し上げます。  御指摘のように、東京湾あるいは瀬戸内海におきまして海上交通が非常にふくそうし、またタンカーその他の災害というものが非常に考えられるというような状態が今後あるわけでございますが、さしあたっての問題といたしましては、特に海上交通のふくそうする狭水道におきましては、まず航路標識を整備する、あるいはまた、行政指導によりまして船の航行の方法を定めまして、それを励行させる、また、励行させるにあたりましては、私どもの巡視船艇を現場に派遣いたしましてその指導に当たる、あるいはまた、災害防止につきましては特に官民合同による災害防止の体制を各地につくりまして、それが中心となって万一の場合に備える、こういうことにいたしておる次第でございますが、船型が非常に大型化してくるという問題につきまして、今後どのように考えるかということにつきましては、最近、たとえばCTS方式というようなことで鹿児島湾あたりに非常に大きな基地ができておりますが、そういった方法が逐次実現していくということは非常に望ましいのではないか、このように考えております。
  57. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま海上保安庁長官から話がありましたが、はたして将来瀬戸内海とかあるいは東京湾に三十万、五十万トンのタンカーを入れることがいいのか悪いのか。いま話がありましたように、シーバースといいますか、そういう拠点からあとはパイプラインで送るという方式も当然考えられなければならぬという意味においては、もちろんこれは海上交通等との関係を十分に調べた上で、調整ある措置考えるということが一つ方法ではないか、かように考えております。
  58. 井上普方

    ○井上委員 現在の段階におきまして、この問題は、一面におきまして、もしイギリスあるいはまたドーバー海峡におけるああいうような事故が起こった場合、これは十分想定せられるのです。しかし、一たん起こったならば、東京湾あるいはまた瀬戸内海なんかは、大きな被害をこうむることは必至なんです。したがいまして、それの予防措置として、あるいはまた、このごろでございますと五十万トンにまでタンカーは大きくなってきている。現在二十万トン程度でございましょうけれども、そういうことになれば、大阪湾あるいは瀬戸内海あるいはまた東京湾というものは非常な災害が起こる。これはもう予測できるのですね。だから、そういう立場において航行制限なりする必要がすでに出てきているのではないか、こう思うのですが、どうでございますか。同時に、宮澤通産大臣もお見えになりましたので、それらの点につきまして通産行政としてはどういう御指導をなさるおつもりですか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  59. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま井上さんもおっしゃるように、要するに、おっしゃることはタンカーのそういうところに入るやつの大きさを制限すべきじゃないか、こういうお考えでしょう。私もさよう考えております。ただ、いろいろ、たとえば瀬戸内海における船の隻数あるいは水道の広さ——いまマラッカ海峡にいたしましても、現在以上の三十万トン、四十万トンになることはなかなかむずかしい状態でありますので、これらの本格調査も進めることになっております。そういう点からいって、将来なるべく早い機会に、ある程度のそういうタンカーの大きさというものを制限する時期が来るのじゃないか。それもいろいろの経済事情もありましょうけれども、この場合においてはシーバースを適当な安心すべきところにつくるとか、そういう万全な措置を講じないと、いま言ったような災害が起きないとは限らない。そういう意味では、十分に通産省あるいは各省とも相談をした上で、なるべく早い機会にそのような考え方をひとつ検討し、あるいはできれば実施の時期も、なるべく早期の時期に考えていきたいと目下考えておる最中であります。
  60. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 やはりたとえば橘湾でありますとか、あるいは四国の南部でありますとか、豊予海峡の外側、あるいは東北の北部といったようなところに大きなCTSをつくって、そうしてパイプで送るということを考えざるを得ないのではないか。全国総合開発計画でも、大体そういうような考え方で書かれておると思います。
  61. 井上普方

    ○井上委員 この問題を私がなぜ聞くかと申しますと、架橋との関連がかなり出てくると思うのです。したがって、それよりもむしろ、すでにイギリスあるいはフランスにおきましてもああいうような事故が起こっておるのでございますから、あれよりもはるかに航行のふくそうしておる日本東京湾であるとかあるいは瀬戸内海において、それを予見していまからやるべきではないか、この点を大臣に強く要求いたしておくところでございます。  続きまして、私は本四問題についてお伺いしたいのでございますが、経済調査が昨年の一月には完成しておるのですね。国鉄側並びに建設省あるいは経済企画庁、当時宮澤さんは経済企画庁長官であられたわけですが、いずれも完成しておるのです。調査ができておるのです。ただ、新幹線でない。こういう点だけで、実は問題はありましょうけれども、一応の経済調査というものができておる。しかも先ほど橋本運輸大臣は、これらは新幹線を通すか、あるいは併用橋にするか、あるいは単独橋にするか、こういうようなものは経済調査がバックグラウンドになって初めてできるのだ、こういうことをおっしゃっておる。また、いままでも再三にわたりまして、閣議において決定する際には経済調査というものをバックグラウンドにするといいますか、重要なデータとしてひとつルートの決定をいたしたいということは、建設省も常々私どもには言明してきたところなのです。なぜ公団発足に際しまして経済調査を発表しないのかと先日も根本大臣にお伺いいたしましたところ、出してもよろしいというお話でございました。しかし、その経済調査が全然出されずに、しかも新聞紙上伝わるところによると、この五月中旬に発表するとかいうことをいわれておるのであります。しかし私どもは、完成しておる、できておる経済調査をなぜこの際発表しないのか、あるいは勘ぐりますと、国会が済んだあとで経済調査というものを発表したいというような気持ちがあるのじゃないか、このように思われてならないのであります。根本大臣、ひとつこの際、早急にこの経済調査を御発表なさる御意思はありませんか。先日は早く発表いたしますとおっしゃいましたが、新聞紙上伝わるところによると五月中旬、こういわれておるのです。しかし、国会は五月中旬となるとしまうのです。やはりわれわれは国民の選良でございます。十分それを知った上でこの公団の発足に際しましてもやりたかった。しかし、まだそこまでは御用意がないということでございますから、早急に、少なくともこの連休までにこういうものは発表してしかるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  62. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般の委員会でも御説明申し上げましたように、決して国会が終わらなければ発表しないという筋合いのものではないと思います。新聞がいかなる観測で、いかなる根拠でそういう発表をしたか存じませんけれども、私のほうではそういうことは言っておりません。ただ、先般御説明申し上げましたように、従来の経済効果といいますか、それのとり方が、必ずしも私はそれだけが非常に正確で、今後これが変更しないというものではない。先ほど運輸大臣あるいは鉄道公団からいろいろ話がありましてもわかりますように、この経済効果というものは、その観点ととらえる時期によって非常に違ってきます。従来は、ややもすれば四国を四百万の人口よりない島じゃないか、この開発利益を重点としていままで考えられたようでありますが、むしろ四国もさることながら、近畿地区の開発利益は非常に大きい。それからまた、瀬戸内海沿岸の中国筋、さらには引き続いてきましては山陰、北陸にもその経済効果があるもの、こう見なければならないと思います。今後これが、それこそ新幹線がこれに乗るか乗らぬかということによっても、非常に大きく違ってくるわけでございます。そういう意味において、条件つきでこれは出しましょう、いままでの研究の過程ではこうであるけれども、さらにこうしたところの条件があればこれが変わってくる、そういうものを今後新しい公団でさらに広範に研究していかなければならないということをも前提として、私は発表すべきである、こう申し上げたわけでありまして、その意味で決して国会が終わって諸先生方がいなくなってから、台風の目を避けて発表するなどという考えはございません。
  63. 井上普方

    ○井上委員 私は、発表の時期をいつにするかということをお伺いしているのです。根本大臣は、そういうように台風の目が去ったあとでいつも発表するようなことはしないとおっしゃっておられます。言われてはおりますけれども、昨年の国会におきましても、このルート決定はひとつ国会が済んでからやらしていただけないかということは、当時の坪川大臣が盛んに言ったのです。台風の目があるからともかくやめるんだということを坪川さんも暗に申しておるのです。暗にも、また明らかにもおっしゃっているのです。したがって、この経済効果がどういうようなものであるか。四十四年の一月段階においてできたものだといって、私はけっこうだと思うのです。そういう条件さえつけておけばいいじゃないですか。その後新幹線を乗せるというようなことになってくると、経済情勢が違ってくるのです。こういうような考え方もわれわれは十分わかります。わかった上での話なんです。これが四十四年一月の経済調査の結果でございますといって出してきたってかまわないじゃないですか。それを早急にお出しになって、われわれの参考にしていただきたい。いつ発表できますか。
  64. 根本龍太郎

    根本国務大臣 事務当局から答弁させます。
  65. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの経済調査については、一応その前提がいろいろございまして、それによってやられております。はっきり言いますと、どの橋を一木かけるというのじゃなくて、三本どういうような順序でかければどうなるというような形でまとめておる次第でございます。ただ、これにはいろいろ先ほどの前提条件といまの情勢と差がございます。それをこれから各省、運輸省、経済企画庁、大蔵省等も関係ございますので、その前提条件といまの状態でどういう点に問題があるか、そういうものをまとめて出そうという考えでございましたので、やはり二、三週間時間をいただきたいということでございます。
  66. 井上普方

    ○井上委員 私は、事務当局がやられておるその調査自体も、非常に政治的な配慮が加わってきておることに不満を抱くのです。あなたの発言として、ここにもたくさん持っていますけれども、経済調査の発表は四十四年の七月にはできるであろうということは、あなたは四十三年の十二月に新聞に発表されておるのです。しかし、それは政治的な配慮によって、ルート決定の際にその重要な一つのデータとして発表するんだということで、前国会においてはこれは了承したのです。しかし、そのときには、一体ルート決定はどういうような様式によってやるのだと聞きましたら、審議会はつくりません、あるいは関係閣僚会議においてルートの決定をいたします。それは八月の中旬でございましょう。こういう言明がある。国会が八月の五日まで延びますと、これは九月になり、十月になる。ずんずん現在まで延ばされてきておる。その間に関係閣僚会議というものも、一たん政府方針として出されておることでも、開かれたということも私は聞いていない。そうして公団方式でぽっと出されてきた。さあ今度は、調査は、あるいはまた実施設計は、あるいは経済調査はこれからまた公団がやりますというのでは、私どもはどうも承服いたしかねる。少なくともいままで税金を使ってできておる経済調査なんです。これを早急にひとつお出し願いたい。二、三週間以内とおっしゃいましたけれども、われわれ前提があることは十分認めます。昭和四十四年の一月あるいは二月段階においてまとめたものであるということはわかった上でいえば、わかるのじゃありませんか。それを隠そう隠そうとするところにいろいろな問題があるので、早急にこの点はこの経済調査を御発表になっていただきたい。これは根本大臣いかがですか。
  67. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般来私が申し上げているように、何らこれは私は政治的意図も何もないのです。したがって、発表するものは発表しなさいということを、実は事務当局を勉励しておるような状況です。ところが、事務当局は、これは建設省のみならず関係省からの意見合意を見なければ発表できないような状況であるので、それには二、三週間どうしてもかかる、こう言っておりまするので、それまで私が各省合意を得ないうちに建設省だけでやるということも、これはあまり適当ではないと思っているだけでございまして、できるだけ関係事務当局の精力的な打ち合わせの上、すみやかに発表するように私も勉励いたしたいと思います。
  68. 井上普方

    ○井上委員 私は、早急にこれは発表になる、国会が開かれておるさなかに、終わらないうちにわれわれの手元に出されることをひとつ強く要求いたしておく次第です。  先ほど来、運輸交通機関が今後時代の変遷によって大きく動くということを橋本運輸大臣はおっしゃいました。そのとおりだろうと思うのです。一時、鉄道はアメリカにおきましても斜陽産業だ、飛行機にとってかわられるのだ、こういうようなことがいまから十年あるいは十四、五年前いわれたことを覚えておるのですが、その後、日本における新幹線の発達あるいはフランスにおける急行列車の発達等々からして、いまアメリカにおきましても、鉄道輸送の重要性というのが再認識されつつある。しかもワシントンあるいはニューヨークの間なんかは、飛行機よりもむしろ新幹線みたいな高速電車によって運輸が行なわれておる。こういう状況で、非常に一時的な観点からいたしましてものごとを考えちゃいけないのじゃないか。将来は、やはり私どもは情報産業の重要性も考えなければならないですが、未来学というような観点からいたしまして、日本の鉄道の重要性あるいはまた鉄道がどういうように変遷していくか、これの予測を立てなければならないと思うのです。そういう意味におきまして、運輸省とすればどういうような御調査をなさっておられるか。少なくともこれから日進月歩で世の中の動きが激しくなってくる。したがいまして、これからどういうように運輸機関、鉄道機関、こういうものが動いていくか、これの御研究がされるべきだと私は思うのですが、この点はいかがでございます。
  69. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 技術的といいますか、調査の問題のようでございますから鉄監局長から答弁させますが、先ほど来申しましたように、国土の総合開発という点から見れば、われわれは、政治的に考えるとその地域を孤島にしてはいけない。したがって可能な限り、いわゆる津々浦々までそうした新幹線の問題につきましても考えるべきである。それから先ほど申しましたように技術上の問題がありますから、その点がこれからの検討の結果でありますが、方針としては井上さんが考えるのと私の考えるところでは同じである。ただ、具体的な調査結果については鉄監局長から答弁させます。
  70. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま先生からお話ございましたとおり、今後やはり鉄道というものは、日本の陸上交通機関の中で相当中心的な役割りを果たすであろうというふうに私どもは考えております。その具体的な調査といたしましては、たとえば東京大阪間を飛行機と、それから東名高速による自動車、それと新幹線と、この三つでどういう距離にどういうお客さんがどのくらいの幅で占めているかというような調査一つの例といたしまして、具体的に検討いたしております。その結果、非常に大ざっぱに申しますと、やはり鉄道の今後の分野というのは、貨物におきましても人におきましても、中長距離の大量の輸送機関として発達していくであろう、こういうふうな観点で今後の輸送の需要というものを算定いたしまして、今度つくりました国鉄の再建十カ年計画におきましても、そういう点でいままでの伸びにさらにそういう点を考慮いたしまして、今後の需要を考えていくということをいたしておる次第でございます。
  71. 井上普方

    ○井上委員 私は、将来のことを考えますと、ここ十年、十五年考えますと、鉄道輸送というものはまた大きな比重を占めてくるのじゃないか、このように、これは私の全くの予想でございまして、科学的根拠も私も持っておりませんが、そのように考えられてならないのです、ところが先般も、中長距離の輸送問題ですけれども、何か東京大阪間を一時間で走る新々幹線を考えるなんていうアドバルーンが、ぽっとまたおたくのほうから上がったようであります。こういうようなことを私どもは、計画案をお持ちになるのはけっこうでありますけれども、もう少しそれにはそれなりのやはり将来の計画というもの、全国総合開発の一環としての計画というものが出されていかなければならないのじゃないか。昨年の新全総によりますとそういうような計画がないのですね。宮澤さんが当時経済企画庁の長官でおられたときにつくられたのでしょうが、あのときには新々幹線なんていう構想はなかった。一年の間にそういうように出てきておるのです。これほど重大な動きが世の中に動きつつあるのです。したがいまして、どうかひとつ運輸省におきましても、こういう観点で将来の運輸体系、十五年、二十年後の運輸体系はどうなるかということをひとつお考えになってやっていただきたい。特に新幹線を三本の橋のうち二本に乗せるという問題については、技術的に私はそうむずかしい問題じゃなかろうと思います。しかし、それが及ぼす経済効果が一体どうなるのかということについては、まだ経済調査というものはできておらないようであります。しかし、そういうような点もあらかじめここに御研究になって——新全総では新幹線二本とも乗せるようになっております。しかし、やはりそういう大きい観点に立って進めていく必要があるのではなかろうか、このように考えられてならないのであります。この点、ひとつ大臣といたしましての御所見をお伺いいたしたいのです。
  72. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま井上さんのおっしゃった基本方針に私も賛成であり、またその方針でやっております。新全総の中でもすでに計画されたものは、いわゆる新幹線は乗っております。あとは抽象的なことばで、全国総合開発の場合で順次これを具体化していく、こういう形であの新全総の中でも、いわゆる全国新幹線網というものの考え方は明確になっている。中には具体的にはっきり出ておるものもあります。  そこで、もちろんこれは三年、五年の問題でありませんけれども、新全総にいたしましても、新全総の当時のあれは四十年度の基礎をもってやったわけですが、四十三年度の実績から、これは民間の研究所の考え方ですが、新全総は大体昭和六十年に、いわゆる国民所得を百三十億円ないし百五十億円と押えております。しかし、民間の研究所で最近出しましたものによりますと、実質的に二百五十億円くらいに伸びるのじゃないかという、かなり大幅なものの考え方を打ち出しております。こういう意味からいって、私は国土総合開発、これは軌道、道路を含めまして、こういうものはかなり今日において、将来の考え方をやはりベースにして今日考えるべき時期に入っておる。そういう意味においては、近く建設大臣運輸大臣あるいは通産大臣自治大臣等とともに交通総合体系というものを具体化したい、かように考えておる次第であります。
  73. 井上普方

    ○井上委員 ともかく私どもは、ああいう本四架橋をやるということになりますとばく大な費用がかかるのでございますし、そしてまたもう一本つくれなんということはなかなかできない。したがいまして、そういうようなことから考えますと、やはり慎重に、かつまた将来を見通して国土総合開発はいかにあるべきかという観点から、あるいは鉄道、道路、こういうようなものの建設をぜひとも考えていただきたいことを強く要求いたしておきたいと思うのであります。  続きまして、私は、本四連絡橋につきましては建設省の技術屋さん、あるいは現場における技術屋さん、あるいは鉄建公団の技術屋さんにお会いいたしまして、どうだと言って聞きますとどの方も異口同音にして言われるのは、政治がともかく優先してしまってこの橋は政治橋になってしまう、これが偽らざる技術屋さんの感覚である。かつまた、私もそういう感を深くいたすのであります。宮澤さん、あなたにこにこお笑いになっておるけれども、あなたの御発言もここにございます。あなたは、昭和四十二年五月二十四日に、明石−鳴門優先は常識だということをちゃんと新聞に発表されておるのです。それほどまでにやられておる。スクラップを見てみますと、私は各歴代建設大臣運輸大臣をこうやって見てみました。そうすると、根本さん、あなたの師匠でございますか兄貴分とされました河野一郎さんが、昭和三十八年に私どものところに参りました。どういうことを言ったか。私は直接その場におったのですけれども、胸をたたいて私がおる限りは明石−鳴門線ルートを最優先させる。必ずかけて見せます、こうおっしゃった。胸をたたいておっしゃったですよ、それは一万人くらい集まっておるところで。その後、また池田総理も徳島に帰りまして、小学校の生徒が日の丸の旗を振ってくれたのでうれしくなったのかもしれませんが、これまた明石−鳴門を最優先にかけるのだということを胸をたたいておっしゃった。これも私は目の前で見ております。各歴代大臣はそういうことをおっしゃった。しかも昭和四十二年に知事選挙が行なわれたのでありますが、当時の自民党の公認候補はどう言ったかといいますと、選挙公報にまでも、万国博覧会までに明石−鳴門の橋をつくって、手をつないで万国博覧会に行こうではありませんかと当時公約までされておる。しかもお国入りをしてきた大臣、選挙応援に来た大臣は、まだひどいことを盛んにしゃべっておるのです。でございますので、私どもといたしましては、これはあまりにも政治に、選挙に利用し過ぎておるということを再三申し上げたのです。これは橋本さん、あなたは佐藤総理の御三家だと人からはいわれておる。しかし、佐藤総理も言っておるんですよ。昭和四十二年の参議院選挙、その六月の十三日に神戸の垂水小学校におきまして、明石架橋を優先させるということをおっしゃっているんです。各新聞全部書いてある。朝日、毎日、読売、サンケイあるいは共同通信、全部あります。こういうことをおっしゃっておる。現在もやはり佐藤内閣でしょう。池田さんが胸をたたいた。池田さんもあるいは河野さんもどうもお気の毒なことになりましたけれども、佐藤さんはまだ現職でございますので、私は佐藤内閣の責任というものは、これは単に選挙のときにおっしゃっただけでは済まないと思うのです。それほどまでに県民あるいは関係民に対しては非常に選挙の前に、選挙中におっしゃってこられた事実、これを考えますときに私は、現在のように公団方式でやって、これから調査するんだというような事態ではもはやなくなってきておるのではないか、このように思われてならないのです。根本建設大臣あるいは橋本運輸大臣、この佐藤さんがどういうことをおっしゃったか、ここに載っておるから後ほど見ていただいてけっこうです。そういうことを頭に入れて、これが今後の態度をひとつおきめ願いたいと思うのです。  いろいろと申し上げたいことがございますが、ともかくこういうような政治責任、選挙のときあるいはまた選挙の直前、あるいはまた選挙の途中においてこういうことを盛んに言われてきた。これは単に兵庫あるいは徳島、あるいはまた高知だけの問題じゃないと思うのです。あるいは私は聞いておりませんけれども、香川あるいは岡山、あるいは広島、あるいは愛媛においてもこんなことを言ってきた責任者が、政府の中におらないとは限らないと思うのです。でございますので、もはや現在では関係民は、これは政治橋だという感を強くいたしておるのであります。おそらく広島県においてもそうでございましょう。  こういうようなことを考えてみますと、私どもは、非常に自民党諸君の政治責任というものは追及されなければならないと思います。したがって、この公団方式、公団でやるということをきめましたけれども、これは根本建設大臣はいかにも、公団はこれから調査をするのでございます、実施設計も公団でやるのでございます、それだけでは関係国民は承知をしない段階になっているのです。したがって、この際、一体実施設計には各ルートともどれくらい年月がかかるんだ、そしてどういう順序でかけていくんだ、ここまではっきりおっしゃる必要があると私は思うのですが、根本大臣の御所見をひとつお伺いしたい。
  74. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いろいろと過去の歴史を教えていただきましたが、私もおぼろげながら知っております。しかし、それを明言した方々がいずれも実力者でありましたために、生きておれば必ずやったろうと思います。残念ながらお二人ともなくなっておりますから、その問題をいまさら追及しても私は処置なしと思います。  ただ御承知のように、いまから三年、四年あるいは五年前の日本の経済成長力と見通しについて、かなりの差があるわけでございます。その当時は、いずれも三ルートのみならず、四ルートも五ルートも実は立候補したこともあることは御承知のとおりであります。けれども、そのときにあたって三ルート、四ルート、五ルートを実行することは、とうていこれは日本の経済の力じゃだめだ、だから一木にしぼりたいという政治的な決断をしなければならぬと思って、一本にしぼろうとしたと思います。その場合にどれが一番効果的かといえば、いま御指摘になった点が当時クローズアップをしたということも、私は事実だと思うのでございます。  ところが、御承知のように、新全総における日本経済の展望から見れば、少なくとも昭和六十年当時になりますれば日本はあるいはアメリカと同じくらい、あるいは総生産で日本がもっともっと大きく伸びる、そういうことを見通してきますれば、四国と本州との架橋というものはただ単に地域住民の願望を達成してやる、陳情にこたえてやるということ以上の大きな政治的な、経済的な意義が出てきた。そういう観点からすれば三本やることも可能であるし、これをまた進めるべきであるというふうに政府全体として考えが進んだということもこれは正しいことであり、進めるべきことだと思うのでございます。  そういう観点でいってみるとき、いままでは何とかして政治的な地元の陳情を集約して一本にするという、ある意味においては政治的な消極的な対策から、むしろ三本受けてやらせましょう。しかし、それには、御承知のように非常に技術的なむずかしい問題がある。それから、工法についてもいろいろ技術開発をしなければできないという問題がありまするが、それを受けて立って公団でやるということでありますから、これは井上さんから怒られるより、大いに私は賞賛されてしかるべきだと思うのでございます、その前向きは。  ただそのときにあたって、過去のことについてこういうことがあるから、国民は非常に政治的に取り扱われるという不満を持っている、その点を姿勢を正せということの激励と受けまして、私はそういうふうに受け取ってこれから善処していきたい。そのためにもまず過去のいろいろ調査したことを発表もいたしまするが、さらに、現在もっと要請されておる新幹線の問題、あるいはまた開発利益を大きく全体に及ぼすためには、さらにどういうプロジェクトをやるべきかというような問題、さらに、いままでは議論されておったときには漁業補償の問題とか航空安全の問題とか、そうしたものは全然たな上げにされて、とにかく一本つくれということに集中しておったような問題を、現実に着工するために必要なるあらゆる条件を調査する、そしてその上に技術開発をしてやるということでございますから、これからは非常に客観的な国民の理解の上に、そうしてまた地元の御協力の上にこれがやれる、こういうふうに信じておる次第でございます。
  75. 井上普方

    ○井上委員 私は根本大臣お話を承りまして、いかに日本の政治家とトップグループの連中が、十年、二十年後の将来の見通しかなかったかよくわかったのであります。これほどまでに無能力と言いましたら語弊がありますか知りませんけれども、ともかく見通しのない人たちがしゃべってきたんだということを私は痛感いたすのであります。  私は、この問題につきましてまだまだ工期の問題、あるいは工事費の問題、あるいは実施設計の段階における諸問題等々につきましても、いろいろとこれからただすべきものもございます。また、国民の前に明らかにしなければならない問題がたくさんあると思う。しかし、きょうはどうも委員会の御都合で時間がなさそうでございますので、委員長にぜひとも次の委員会におきましてはこの続きをやらしていただきたいことをひとつ要求いたしまして、私はきょうはこれで終わらしていただきます。
  76. 金丸信

  77. 北側義一

    北側委員 きょうは、私は大阪の天六のガス爆発事故の問題と道路関係、この二点についてお聞きしたいわけでありますが、通産大臣が時間が非常にお忙しいようでございますので、まずガス爆発事故について要点だけをお伺いしていきたい、このように思います。  この二十日に、このガス爆発事故の合同葬儀が大阪で行なわれるわけでありますが、今後このような事故は絶対起こしてはならない、そういう立場に立ちまして質問をしていきたいわけであります。最近の新聞報道等を見ますと、東京の、また大阪あたりもそうですが、都市の密集地におけるガス漏れがたびたび報道されておるわけです。     〔委員長退席、服部委員長代理着席〕 政府のほうとしてはその総点検各省にやらしておられるわけでありますが、万が一大阪と同様なガス爆発事故が起こらないとも限らない。そういう点から、通産大臣は最近ひんぱんに起こっておりますガス漏れに対してどのように対処されておるのか、これについてまずお伺いしたいと思います。
  78. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そういうできごとが頻発しておりまして、まことに申しわけないと思い、心配しておるわけであります。昨年板橋で事故がございましたあと、ガス導管の防護について防護対策会議というものを開きまして、専門家に教カ月研究をしてもらって、その答申を昨年の暮れにもらいました。そこでその途中においても、保安について東京大阪等々には、瓦斯協会の会議等に私どものほうの公益事業局長も参りまして具体的に十分注意もいたしましたし、またその後に通達もいたしました。今回の大阪事故は、そういう昨年来の注意に基づいて、市当局と大阪瓦斯との間に工事の施行についての文書上の意思統一が始めてできたケースであったわけでございます。それにもかかわらず、ああいう残念な事故が起こった。検討してみますと、やはり両者の文書上の意思統一というものは形式的には非常にりっぱにできておったわけですけれども、あれだけこわいものを扱っているのだという意識が関係者全部に欠けておったということは、これは認めざるを得ないのでございます。でありますから、同じようなできごとがいつまたよそのところで起こるともはかり知れない。これは結局、関係者がほんとうにこわいものを扱っていると考えて、注意深くその保安規程を守っていくかいかないかという、そういう心がまえにかかわるわけでございます。実は東京でこの数日そういうことを聞きますので、今日も東京瓦斯の副社長に私どもの公益事業局においでを願って、どうしてああいうことになっているのかということを聞き、また御存じのことではあろうが、これこれの点はよく守っていただきたいということを申し上げることにしておるところでございます。それがちょうど今日でございます。
  79. 北側義一

    北側委員 今後そういうガス漏れば絶対起こらない、こういうことはなかなか言えないことじゃないかと思うのです。そこに一つの大きな原因があるのじゃないか、このように私は思うわけです。東京の例をとりますと、現在地下工事の進捗中の分またこれから計画の分、新玉川線とか千代田線、それから都営六号線、このようにあるわけでありますが、こういう地下工事等に対して建設大臣は総点検の指示をなさっておられるわけなんです。そこで、先般の災害特別委員会の答弁では、その必要予算額は関係企業団が持つ、このように答弁をされたというように私は聞いておるわけでありますが、たとえばそういう総点検にしましても、特別に予算を組まない限り、企業にそのような総点検をやらせても実際の効果というのは出てこないのじゃないか、こういう考えを私持っておるわけなんですが、これについて特別の予算を組むような考えはないのですか。
  80. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現状のところで総点検をやる、その総点検というのは、建設省は、御承知のように道路関係道路関係で調べていく。それには、御承知のように、それぞれ道路管理者が一応の予算を持っていますから、それでやることで可能だと思っています。今度はガスのほうは、これは私のほうで点検しても技術的にも責任を持てないことです。それからいまの地下鉄を経営しているほうは、それぞれの予算と責任者がありますから、そこでやって、その結果をみんなで打ち合わして是正するという以外の方法はございませんようでございまして、また、このためにぜひこれだけの予算をもらわなければやれないという申し込みも実は受けておりませんので、現状でいけるものと信じておる次第でございます。
  81. 北側義一

    北側委員 たとえば今度の大阪ガス爆発の場合は、大阪市と施工業者の間で契約がなされて、そうしてあのような地下工事のトンネル掘りをやっておるわけです。ところが、先ほど通産大臣もおっしゃっておられたとおり、工事をやる前には工事の仕様書があるわけです。その仕様書に基づいてこれを行なうわけですが、その場合企業としては、私の考えるところでは、非常に何といいましょうか、地方公共団体としても、だんだん人口が密集して、そうして市電またはバス、こういうものは交通ふくそうするために全部地下鉄にかえなければならない。そのためには相当な建設費というものがかかってくるわけです。これは私、大阪の市会議員をやっておりました関係で、いつも大阪の中馬市長からそういう関係についてはよく聞いておりましたし、また私自身が何べんも国会のほうへ陳情に来たことがあるわけです。地下鉄をつくった場合には、その利子だけでもこれはたいへんなんです。そういう点で地方としては、どうしても業者に対する——いわゆる仕様書その他についていろいろなことが内容に書いてありますが、実際の問題として企業としては、企業の採算ベースから見るとこれはあまりいい仕事ではない。あまりいい仕事でないから、そこで当然工事に手抜きが出てくるのではないか、こういう心配がされるわけなんです。その点どうでしょうか。通産大臣どのように思っていられますか。
  82. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私から。御承知のように、私が党におるとき、例の地下鉄は非常に高上がりにつくので財政負担にたえない、そこで補助を多くしてほしいということがありまして、従前に比べれば補助率もかなり上げたわけであります。これは私が申し上げることじゃないかもしらぬが、実は先ほど御指摘になりました企業者というか関係業者のうちに——ガス会社自身も、実は近代的な大きな他の産業からすれば非常に立ちおくれて、あまり強力な会社でありません。いままでは地下埋設物があまりないし、こういう地下工事がなかったからいったものの、今後は、先般来共同溝に入れろとか被覆工事をせよとか、いろいろ言われるとかなり採算上困る。そこで私は実は通産大臣にも内々、ああいうような公共的な事業であり、かつ危険なものを埋設しているようなガス業なんかについては、財投をもう少しめんどう見てやるべきだ。端的に言えば、開発銀行の資金はああいうところに重点的にやっていかなければならぬじゃないか。もうすでに他の産業では相当高収益を続けておる。どんどん賃金を上げていっても、それを吸収し縛るようなところとああいうところを同じにするよりも、むしろ他のいんしん産業のほうの資金は少し押えても、地下鉄なりあるいはいまのガス会社なんかには思い切って財投の金を使ってもいいじゃないか。間接でありますが、それにはいまの日本開発銀行の資金をああいうものにも活用すべきだということを、実は大蔵大臣にも経済企画庁長官にも、それから通産大臣にも内々に、来年度あたりからそういうことを考えるべき時期じゃないかということを申し上げているような次第でございます。
  83. 北側義一

    北側委員 私もそのように思うわけなんです。と申しますのは、やはり今度の大阪ガス爆発を見ますと、管をぶら下げておる帯というんですか、これが——私は通産大臣よりも早く向こうへ着いたわけなんです。事故が起こってすぐ飛んでいったわけです。私の知人も二人死んでおります。そういう関係で非常にショックを受けたわけですが、すぐ現場の人に聞きますと、帯の間隔なりまた帯が非常にばらばらな点があった、このようなことを私は聞いたわけなんです。これは飛んでしまったあとで事実はわかりません。見えませんでした。そこらを見ますと、企業側としても請負金額が非常に安いので、どうしても手を抜かざるを得ない。それから東京にしましてもまた名古屋にしましても、大都市のそういう工事についてはガス漏れがしょっちゅう起こっているわけです。もう去年は去年で板橋で起こり、また大阪、最近も新聞で日々報道されておる。何らかの手を打たなければまた同じ事故が起こるのじゃないか、私はこういう心配をしておるわけなんです。通産大臣、いま建設大臣がお答えになった点をどのようにお考えになっておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
  84. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そこで、ただいまのような御指摘の点もあろうかと考えますので、各省で連絡対策会議というものをつくりまして、その下に幹事会も置いておりますけれども、その会合をもうすでに二度ほどいたしました。これは今回の大阪事故の善後処置をするというばかりじゃありませんで、今後このような事故を再発させないためにはどのような措置が必要であるかということを、多少時間をかけましても検討して結論を出すということで実は開いておるわけでございます。  そこでその中では、工法につきましてもいろいろ研究をいたしておりますし、当面の保安の問題はもちろんでございます。これはすぐ処置をもういたしましたが、そういったようなことを考え、また他方で、昨年、先ほど申し上げました導管防護対策会議のメンバーの、これは学者が多いわけでございますけれども、数名に実は先日大阪現場へ行ってもらいまして、昨年の会議の答申を、今回の事故にかんがみてどのように考えるかということについての所見も求めまして、これも間もなく公になると思いますけれども、従来これで間違いがなかったからこれからもこれでいいんだというわけには、世の中が動いておりますからいかないので、少し気持ちを新しくして全体の問題を再検討しなければならぬ。その結果、ことによりますと財政上の新しい措置も要るようなこともありましょうし、金融上の問題もいろいろありましょうし、いろいろあると思いますけれども、いずれも人命にはかえがたいので、そういうことを基本的に考え直してみたいと思っておるところでございます。
  85. 北側義一

    北側委員 今度の大阪事故について、先ほど申しましたように、着工前に大阪市といわゆる施工業者と結ばれたところの安全確保のための工事仕様書というのがあるのですよ。その工事仕様書に二つあるわけです。一つは標準仕様書、いま一つは特記仕様書、二つあるわけです。それに対する安全確保の内容がどのように盛られておったか御存じですか。
  86. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私どもの知っておりますのは、ガス会社と市との間のことは存じております。これには安全確保についていろいろ書いてございまして、市がそれに基づいて施工業者に一定の仕様書を示しておるのだと思いますけれども、その後者の内容は私ども実は存じません。
  87. 北側義一

    北側委員 私これを見てみたわけなんですが、いろいろなことが書かれております。しかし実際の問題として、その内容が、具体的な点については書かれてないように思うのです。やはりこういう工事がどうしてもおざなりになるのは、そこらにいろいろな問題があるのじゃないか、私はこのように思ったわけなんです。やはりこういうものは、通産大臣、一ぺん見ておく必要はありますよ。そうしなければ実際の真相というのはわからないです。ぜひとも一ぺん見ていただきたいと思いますね。  時間がありませんので話を次に移しまして、都市地下には、別に地下鉄というような大きなものでなくても、道路の下にはいろいろなものが埋設されておるわけです。たとえば電話は、もう電話局がどこの道路のどこに電話線がいっておる、水道については水道局、ガスについてはガス会社、また下水については土木局、このようにばらばらに一つ一つ管理しておるわけです。ところが工事をするほうは、たとえば水道局が工事する場合に、どこにガス管があるのか、またどこに下水管があるのか、そういう一枚の見取り図といいましょうか、道路一本に対してどこに何が埋設されてある、こういう地図がないように私は思うのです。その点どうでしょうか。
  88. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 そういう問題が御指摘のようにあるわけでございます。そこで今回、先ほど対策会議のことを申し上げましたが、先ほど建設大臣も言われましたように、各関係者が総点検をしておるわけでございますけれども、その総点検の結果は一カ所に持ち寄ろうではないか、行政がばらばらであるためにただいまのようなことも問題になってくるわけですので、道路管理者のところに持ち寄ろうではないか、こういうことに今回いたしました。これは今回だけのことではなくて、今後こういうことについては道路管理者を中心に協調体制をとるということをきめましたので、私どもとしては、各省が自分の持っております資料を道路管理者のところに集めまして、そうして総合的な地図を書くような作業をこれから始めたいと思っております。事実は、経験者の話によりますと、図面がありましても実際のパイプは、どういうわけかその図面よりは動いておるそうでございます。ともかくその図面を道路管理者のほうへ持ち寄って、総合的なものをつくるためのそういう行政を、今回道路管理者を中心に始めようと思います。
  89. 北側義一

    北側委員 これはぜひともやっていただきたいと思うのです。というのは、都市道路というのは年じゅう掘り返されておるわけです。たとえば、先般も申し上げたのですが、東京の国道にしましても、また都道にしましても、年間七〇%掘り返されているというんですね。そのような実態ですと、幾ら総点検をやっても、そこで一枚の何らかのこういう図面をつくって、そうしてそこにいろいろ注意力を払っていく、そういうふうにしないといけないと思うのです。新聞なんか見ますと、ガス漏れ、また水道管が破裂した、いろいろな問題があるわけです。その上は猛烈な交通量で、大型のトラックが通っているわけですから、もう常にそこを掘り返される、こういうことですから、安全を期すためには、やはりいま大臣が言われたとおりのことは早急にやって、そうして安全確保のためにやっていただきたいと私は思うのです。  最後に、共同溝の問題もあるわけですが、この補償の問題で、現在大阪市のほうで話し合いが進められておるわけなんです。この被害の状況にもいろいろあると思うのです。見舞い金を出されたということも聞いております。通産大臣としてはこれに対してどのように思われておるのか、またどのように指示されておるのか、これをお聞きしたいと思うのです。
  90. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 私、参りましたときに最初にした仕事の一つは実はそれであったわけでございますが、この法律上の責任というものはしばらく究明するのに時間がかかるであろうが、市にいたしましても、ガス会社にいたしましても、あるいは施工業者にいたしましても、救済については逃げてはいけない、市を中心にみんな一緒になって、ともかく法律の責任とは別の問題として、自分の問題として考えてもらいたいということを実は申しまして、それはそういたしますということで、今日までのところその協調体制は守られておるようでございます。したがって、市はもちろんですが、ガス会社などにも相当の資力がございますから、板橋事故の例もあり、まずそういうことを考えながら、常識的に考えてできるだけのことはした、そういうふうに行政上指導していきたいと思っておるわけでございます。
  91. 北側義一

    北側委員 まあこの仕様書を見ておられないからわからないと思うのですが、やはり仕様書なんかっくる場合、決して自分の不利なような仕様書はつくらないわけです。そうしますと、その責任というものはどうしても企業側に強くかかってくるのじゃないかと思うのです。工事があのような公共的な地下工事でありますので、ここで公的な、いわゆる第一義的には事故の直接責任者は当然そうなければいけないのですが、非常に大きい事件ですから、やはり国としても何らかの補償の道を選ぶような方法考えてあげなければいけないのじゃないか、こういう考えを持っておるのですが、その点の考え方はどうでしょうか。
  92. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはもう少し事態の推移を待ちたいと思っているわけでございますけれども、たとえば大阪市にいたしましても、あるいは地下鉄事業そのものにいたしましても、財政的には国と無関係ではございません。したがって、そういうことも考えながらもう少し事態の推移を見ていきたいと思っておるわけでございます。
  93. 北側義一

    北側委員 これで終わりますが、どうかこの補償の問題については、ひとつよく考えてやっていただきたいと思うのです。たとえば裁判問題にもなりますと、補償問題が非常に問題になってくると思うのです。どうしてもそこに仕様書なんか提出される。そうしますと、これは非常に問題になってくるのじゃないかと思うのですよ。期間も非常におくれてくるでしょうし、そういう点の、いわゆる国としての被害者の立場を考え措置というものをぜひともやっていただきたいと私は思うのです。  その点、最後にお願いしまして、このガス爆発についての私の質問を終わらせていただきます。
  94. 服部安司

    ○服部委員長代理 吉田之久君。
  95. 吉田之久

    吉田(之)委員 質問に入る前に、委員長おられませんので、代理の服部さんに……。こういう重要な問題を審議するときは、せっかく日を一日設けてやっているのですけれども、大臣いろいろ御用事があってすぐおられなくなる。やはりこういう特に大惨事のあった問題を追及し、また今後どういう対策を講じなければならないというようなときには、やはりできるだけ時間をかけて、そうして問題を再び起こさないような最大の方法をお互いに模索しなければしかたがない。そういう意味で、五分ではこれはいかに切り詰めてもどうにもなりませんので、少し質問の入り口だけ入らせていただいて、後日ぜひもう一度、通産大臣お忙しいでしょうがおいでをいただいて、さらに機会をつくっていただきたいということを私はまず申し上げたいのですけれども、通産大臣御都合いかがでしょうか。
  96. 服部安司

    ○服部委員長代理 速記をとめて。   〔速記中止〕
  97. 服部安司

    ○服部委員長代理 速記を始めて。
  98. 吉田之久

    吉田(之)委員 その点わかりました。ただ、本州四国架橋と両方ぶつかっておりまして、しかも建設大臣に対する質問がずいぶん長引いたため、せっかく通産大臣にお待ちいただきながら質問できる時間がほとんどないということで、大臣も非常に御迷惑だろうと思います。しかし、そういう事態ですから、あらためてひとつ機会をつくっていただかないと困るわけです。
  99. 服部安司

    ○服部委員長代理 御趣旨よくわかりました。理事会で検討いたします。
  100. 吉田之久

    吉田(之)委員 そこで、質問に入りようもないのですけれども、せっかくの三分間をいただいて、一、二だけ質問しておきます。  まず、通産大臣にお聞きいたします。  共同溝の問題が出ております。この間本会議で、総理は、そうは言ってもガスと電気は一緒にしたくないのだとおっしゃいました。根本建設大臣は、一緒にしても考えられるのじゃないかということであります。この辺、科学的にはどうなのかという問題が一つ。  いま一つは、もしも科学的にそういうことが可能で、安全であって、共同溝に電気もガスも水道も下水道も全部一緒に配管されて、もしも何かの事故が起こってそれを遮断するという場合には、その都市全部にわたって都市機能が一時的に麻痺することが想像されるわけであります。こういう点からも考えて、この共同溝の問題について今日の時点で大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  101. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 共同溝の中にガスの管を入れましたときに、温度の変化によってそれがどういう影響を受けるかというふうなことでありますとか、それからガス管がブランチのところ、支線で共同溝から出ていきますときに、その部分は非常に弱く、事故を起こしやすいわけでありますが、そういうことをどう処置するかとか、いろいろ問題がありまして、共同溝に入れるにしてもガスだけは別の間仕切りをしておかなければいけないのじゃないかという問題がございます。そこで、先ほど申し上げました今回の対策会議で、共同溝についても、大体一カ月ぐらいの間に問題点なりそれに対する措置なりについて研究をして、大まかな結論を出してみようということにいたしております。
  102. 吉田之久

    吉田(之)委員 次に、自動警報装置あるいはガスの探知器の問題なんですけれども、現在ガス探知器が使用されているはずです。この間も、その後に起こった足立区の事件でガス探知器が有効に働いて、またいろいろな手当てもよくて防止され、非常に喜んでおりますが、しかし、はたしてガス探知器というものがどの程度進んだものかどうか。われわれの聞いておるところでは、石けん水を塗ってみたらぶくぶくあわが出るから漏れているのだろうとか、結局人間の鼻にたよるよりしかたがないのだろうとかいわれております。問題は、自動警報装置あるいはガス探知器の開発が問題なのか、活用が問題なのか、あるいは、これほど膨大なガス供給事業というものは日進月歩、ますます広がっていきます、しかも非常に危険な存在です、それがバランスのとれた安全装置がどんどん開発されているのかどうか、今度の事件に徴してお考えを伺いたいと思います。
  103. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 活用が問題なのか、開発が問題なのかと言われる点については、やはりどうやら開発のほうが問題らしく思われます。と申しますのは、いまのガス探知器ですと、いわゆるわれわれの申しております都市ガスといったようなものと、たとえば自動車の排気ガスといったようなものを見分けることができない。何か異常なガスがあるということだけはわかるのですが、これは都市ガスが漏れているということを探知器では確定できないという問題があるらしくございます。それで人間の鼻ということになっている。鼻で怪しいと思ったときには確かに石けん水を塗ると申しますか、これはいかにも心細い話だと思われるわけでございますから、どうやらこういうあぶないものを扱っておるにしては、そういうところの開発がいかにもおくれておる。それは先ほど申しました防護対策会議の学者の方々あるいは今度の事故対策の私ども、みんな共同して実はその問題をいま検討しておるところでございます。どうやら開発が問題らしくございます。
  104. 吉田之久

    吉田(之)委員 もう時間がありませんので、あと一つだけ。諸外国ではこれのどの程度進んだ機器があるのか。
  105. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 全く同じことだそうでございます。
  106. 吉田之久

    吉田(之)委員 続いて建設大臣に御質問いたします。非常にやりにくい妙な質問になりますが、もう一ぺん初めから系統的に質問いたします。それから、通産大臣が、いまの様子ならば、はたして次の委員会に来てくれるかどうか、これもまだ確認が得られておりません。したがって私は、問題点を建設大臣に申し上げるよりほかしかたがありませんので全部申し上げますから、あなたの責任において通産省とよく協議をしてもらう。そしてまたしかるべき答弁をいただくということにする以外にないと思います。  そこで、ちょうどきょうで大阪ガス爆発のあの日から十日たちます。何だか十日間、ずいぶん時間がたったようであり、また、世間の関心というものはまた次の問題、アポロに移ったりいろんなほかの問題に移って、ついそういうことでああした大きな、七十二名の死者を出したガス爆発事件というものが、またおざなりにされはしないかというふうな感じをわれわれは持たないわけにはまいりません。しかし、私は、食堂で絶えず茶わんが割れているように、建設現場では絶えず事故があり、そしてある程度死者が出るということはいたし方ないんだというふうなことでこの問題を済まされてはならないと思うのです。したがって、私は、今度のガス爆発を詳細に振り返ってみるときに、直接原因あるいは間接原因あるいは措置のまずさ、いろんなことが寄ってああした大惨事を惹起していると思います。  そこで、やはり直接の原因は、ガス管の継ぎ目のゆるみというのが一番の問題点のように思います。大阪府警をはじめ大阪市の対策本部あるいは市の消防局、大阪地検、大阪労働基準局、これらがいま鋭意現場検証に当たって原因の追及をしておられるところでございますけれども、まずまずその工事現場の西寄りの直径三百ミリの中庄管の継ぎ目の管がすっぽり抜けておったのが、この原因の最大のものではないかということにほぼ焦点が集まっているようでございます。しかもそのはずれている個所は、事故前から、つながったままガスが吹き出していたという作業員の証言が出てきております。しかもそのジョイントというものは——メカニカルジョイントと呼ぶそうですが、周囲を麻やゴムや鉛で固めてパッキンではさんでボルトで締めてあるということのようでございます。したがって、この種のものであるならば、当然時間がたてば、普通の場合でもだんだんとゆるみができたり腐敗が生じたりということによって、微量のガス漏れるということは想像にかたくありません。しかもああいう工事現場の場合、上を重量のある車が絶えず通行しているわけですから、それが外部から振動を与える。この振動によって、しかもぶら下げてある装置が非常にあいまいなものでございますから、だんだんと管にひび割れが生じたりゆるみが生ずる、これは条件は備わっていると私は思うのです。そういうところへたまたまガスが漏れた。しかも、この事故が起こったのが八日ですが、四日にやはりさらに西に五メートル寄ったところで、かぎ型のジョイントからガスが漏れておった。これは、そのときすぐに修理しておったから問題は起こらなかったわけでございますけれども、いわば事故が起こる前奏曲というものは、板橋に例をとるまでもなく、この天六の現場ですでに起こっておったというようなことも十分反省されなければならない。五日にもそのにおいは消えてなかったということのようでございます。ただこのときに、ガス漏れ注意という張り紙程度しかしてなかった。実はそこに管理側の一つの責任がひそんでいるといわざるを得ないと思います。  それから、ガスが漏れて修理車が走っていった。そのときに、その車の発火装置が点火の原因になったのか、大爆発が起こった。ああいう爆発が一たん起これば、覆工板というのですか、上に置いてある板ですね、それは必ず飛びまして落ちてきます。そして次から次へとガス管をまたぶちこわしていく。これがまたおそるべき誘爆につながっていくものだろうと思います。私どもはこういうことを考えます。しかもこの事故のあとでも、先ほど申しましたように、同じようなことが起こった。未然に防止されたけれども、やはり起こってきておる。だから、問題はきょう起こるかもしれない、あるいはここ一週間絶対起こらないという保証はどこにもない。こういう差し迫った問題でありますので、われわれはあらゆる角度から、これはひとり建設省の側からだけではなしに、通産省も労働省もあるいはその他科学技術庁も、あらゆる角度からこの問題を真剣に考えなければならない。先ほど北側君の御答弁の中で建設大臣が、それぞれ各パート、パートで調査するしかしかたがないのだ、その調査を持ち寄って、そしてあとでひとつ対策を講ずるという方法しか現在は残されていないように思うとおっしゃいました。そういう現状だろうと思いますけれども、それは非常に危険な現状だと思います。  だから、あらためてこの事故を契機に、大臣は、単なるばらばら行政ではなしに、しかるべき行政部門が一つになって、二度とこういう災害を起こさせないために、まず何をなそうとするかということをはっきりと申し述べていただかぬといかぬと思うのです。われわれは、この委員会で何を追及するかというよりも、何を反省し、ただいまから直ちに何をなさなければならないかという問題にやはり問題をしぼらなければならないと思います。まず、そういう行政官庁のばらばら行政がこういう問題を起こす遠因になっているのではないかという私の質問に対して、大臣の何かお答えがあるはずだと思います。
  107. 根本龍太郎

    根本国務大臣 だんだんの分析の結果、政府の今後の処置についての所信をただされましたが、実は私が翌日参りまして、現場の近くにありましたところの大阪市の対策本部に関係者がみな集まって一応聞きましたときには、それぞれしかるべくいままでの訓令あるいは注意事項、みなうまくやっておるというわけなんですね。しかも結果的にはああいう事件が起きたという状況でありましたので、私はふとそのときに現場考えたことは、いわゆる国鉄の競合脱線ですね。一つ一つの条件は満たされておる。しかしながら脱線はする。それを専門的に国鉄は競合脱線といっておりますが、同じじゃないか。しかもああいうようなたいへんな犠牲者を出しているために、おそらく市でも建設現場工事場でも、それからガス会社でも、すぐにくるのは補償がたいへんだ、その原、因が自分のほうにきたらたいへんだということに頭を悩まされる。これは人間の自己防衛の本能だと思います。だからそこで私は、特に警察、それからうちの地建のほうの技術員には、そういうことを一切頭に置かずに、とにかくこの原因がどこにあるかということを徹底的に究明してほしい。そうして、それは従来の訓示なりあるいは訓令なり、いろいろのやったことに欠陥があるということならたいへんだということで、それをまたごまかしてもいけない、とにかく徹底的に究明してほしいということを申し上げたわけであります。また、私が帰ってきての閣議の発言においても、まずこれを徹底的にやるべきだ。そうじゃないと、先ほど来委員の各位からいろいろ御質疑がありましたように、今後日本における高度成長の条件下におきまして、ますます地下埋設物が多くなるのです。それと同時に、地下工事がまたうんと多くなるときに、従来これでやっておったとか、いろいろ学者諸君から意見を聞いてやったから間違いないはずだなどという、そういう安易な想定は一切白紙に返して、そうして原因究明と同時に改善をどうすべきかということをなすべきである。これに基づいて現在通産大臣を長とする対策本部ができて、先ほど来通産大臣から、今日までの検討の結果がるる示されておるということでございます。  そこで、すでに御説明申し上げましたように、それぞれの機関で総点検を命ずると同時に、いま吉田さんが言われるように、一つ行政官庁でこれを全部やるということは、現在の状況では現実に言うべくしてこれは行なわれません。そこで、それぞれの検討したものを、現在ちゃんとあそこに連絡対策協議会がございますから、そこの場でその集まった情報を整理して、そうして先ほどの自動探知器みたいなものは、必要なものは技術開発をしなければならない、あるいはまた、管理体制の改善についてはそれぞれやっていくというようなことでこれを措置すべきであると思います。そういう検討の過程において、よりよき管理体制がさらに発見されれば、それを採用するには、これは何らちゅうちょなく政府全体としてやるべきだと思います。そういうふうな形で今後対処してまいりたいと思っている次第です。
  108. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま大臣が国鉄に例をとって競合脱線、それに近いようなものだと言われ始めておる、しかし、それではならないというお話です。私はいまの競合脱線という、こんな表現はないと思うのです。あれ自体が非常に不愉快でしょうがない。大体こういう事故が起こりますと、責任があると言えばみんな必ず補償をかぶらなければならない。ほんとうはここまで責任を感じておっても知らぬ顔して、私のほうは完ぺきでございますとみんなが言って、そういうふうになっております。だれもがほんとうのことを言わない。だから、みんなそれぞれ適当にしかるべくやっておったのであろう、にもかかわらずこういう事故が起こった、これは今日の社会においてはある程度やむを得ない、いわば不可抗力的な間々起こる事故なんだろうというふうなことにでもなろうものなら、私は大問題だと思うのです。したがって、私は必ずどこかに原因があると思うのです。その原因が一つであるか、あるいは三つ、四つ、もっと数多くの複雑な要因がからみ合って一つの爆発になったのか、それは別として、ともかく原因がなければこういう現象というものは起こらないわけです。したがって、建設大臣は、この原因が究明されない限り、今後地下工事はやらせないというくらいの決断を示されなければ、そのくらいの決心を持って原因を全部が究明しろ、このくらいのき然たる態度を政治が示さなければ、まあまあ日がたてばそのうち警察が調べるのも時間がかかるだろう、三年も五年もたてば被害者もだんだんあきらめてしまったりあるいは雲散霧消してしまう、またまた解決も少しは楽になるだろうというふうなことになったのでは私はいかぬと思うのです。もし原因がわかっても、その原因に対応する措置が、先ほど通産大臣は帰られましたけれども、不完全でございます。あるいは防止するための余地が不完全でございまして、現在の計器ではそれに十分対応できないというようなことがはっきりしてくれば、やはり今後ガス配管の地下工事はさせない、あるいはこういう手だてをしない限り絶対させないという態度を建設大臣が示さなければ、こんな事故はきょうあすにまた起こるかもしれません。起こらないという保証はどこにもありません。だから私は、そういう点で、いまも大臣はおっしゃいましたけれども同感でございますけれども、まだ大臣はなまぬるい、もっと強力に対処してもらわなければ、これは今後の事故の続発ということが予見されるのではないか。私は、事情は少し違いますけれども、井上君も前に理事をいたしておりましたとき一緒でしたが、新四ッ木橋のリングビーム方式の災害、あのときも建設委員会で言いましたが、即刻調査いたしましょう、いずれ調査の結果は委員会に報告いたしましょう、リングビーム方式が不可能であるならばすぐにやめなければなりませんぞ、それにかわるべき方式はどれなんだと言ったけれども、ナシのつぶてで何の返事もない。一事が万事、私はそういうことではいかぬと思う。
  109. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘になりました件は、私も深刻に考えているのです。そのために私は閣議の席上でも、いままでは企業者が地下工事をこれこれの事業計画でやりたい、そうすると、運輸大臣建設大臣がこれを認可した場合に、工法とか何かを指定してないわけですね。私はそのときに発言しておきましたが、ああいうふうに地下埋設物が非常に錯雑して、しかも交通量が非常に大きい都市中心地においては、今後工法を条件つきにして許可するというようなことも考えてはどうかという提言をしているわけであります。それは、シールド工法をとったほうが安全である、しかもまたそれが可能である場合には、シールド工法を単価が高くてもやらせたらいいじゃないか、あるいはまたガス管を移設させる、移設してしかる後に許可するというような方法もあっていいじゃないか、あるいはまた地下鉄の路線そのものを変える、そういう埋設物のあまりないところをやらせるというふうな、そうしたくふうも必要であろうということを実は発言しておるのでございます。そうしたものも含めて、今後の地下構造物の許可にあたっては検討することにいたしております。  ただし、現在あれは許可しておりまして、現実にこれが工事進行中でありまして、現在のところではこれに対してさらに安全の条件をきびしく守らせるということでやらせる以外に方法がございません。したがいまして、現在では市当局もそれから関係企業体も非常に注意してやっておるのでありまするから、あの工事自身においては再び事故が起こることはまずあるまいと思っております。もしあれを今度停止しますと大阪市自身はほとんどたいへんな状況になってしまいますし、そういうことで先般も市長から、みずから反省し非常に迷惑をかけたということで丁重な手紙でその責任の痛感と今後に対処する決意を示してきましたので、私も、相当真剣にやってくれることだから今後はそういうことはなかろうと信じているのでございます。しかし、いま御指摘になりました点は非常に重要なことでありまするので、十分に関係省庁が連絡をとりまして、特にガス管のあるところ——地下埋設物としての一番問題なのは、私はガスだと思っています。これについては、厳重なる条件のもとでなければ地下工事が許されないように、ひとつ配慮してやっていきたいと思っています。  それからもう一つ、先ほどちょっと申し上げましたが、一番問題のあるところは、ガス会社が非常に近代企業でありながら資本構成も弱いということです。電力会社とか製鉄企業なんかに比べれば、ほんとうに失礼な言い方ですけれども、中小企業からちょっと脱出した程度のあり方です。そうして、いままでは地下埋設しておれば、たいしたことがなくていけたというところに私は弱さがあると思うのです。でありますから、あのジョイントの部分に、もっと安全な被覆の上にさらに被覆して安全を確保するとか、いろいろな方法があっていいはずなんです。それをやっていないというのは資本構成が弱いからです。でありますから、私は、ただ単にけしからぬ、けしからぬと言ったっていかないから、財投をつけてやるべきじゃないか、開発銀行の資金を相当やって、そうしていままでの埋設管を総点検し、改造させるというぐらいはやったらどうですかということを、私は実は自分の所管じゃないけれども、自分のほうに影響が来て人命に関係することだから、通産大臣にも毎々申し入れ、それから大蔵大臣にもそれをすすめているゆえんなんです。そうして、いままではよかったからもうこれでいいんだということじゃなくて、都市におけるガス管の配置については、ひきょうなほど神経質になってほしい。そうして、それにはいまガスは、御承知のように公共料金に関係があるものだから、値段は押えられている、しかも一方において、どんどん施設をしなければならないというところに非常な矛盾があるのです。しかもこれには何らの財政的な援助もないということであるならば、独占企業だからもうかっているからいいじゃないかというような考え方ではいかぬじゃないか、公共料金であり、しかも公共事業とほとんど同じようなものであり、しかも人命と生活に影響することだから、私は、融資についても考えてやるべきだということすら申し上げている次第でございます。
  110. 吉田之久

    吉田(之)委員 ガス会社のいろいろな意味での弱さに対する御理解は、私も同感です。しかし、電気の場合でも、初めはいいかげんな大ざっぱなことをやっておったようです。ただ、これではあまりに危険だ、また被害を人畜に与え過ぎるということから政治の規制がきつくなり、また会社自身も、より真剣に対処し始めて、今日それだけの差が生じてきているんだと私は思うのです。だから、ガス会社の場合も、おっしゃるとおり、よほど政治が指導、協力、援助してやらないと、このままでは、これはいつどこでどんな爆発が続出しないとも限らない。しかも私は、今度の事件でいかにもガス会社が加害者のようにはっきり普通感じられておりますけれども、見方によっては、これは被害者です。何も工事さえしてくれなければ、事故が起きていないのです。ガス会社は、損害賠償も何も心配する必要はない。だから、そういう点でこの工事を始める場合に、ガス会社が何ら工事計画や工法に始めから関与しない、協議の中に加えられていないというふうなことでいいのかどうか。これは特にこれから、こういうガスにかかわらず、あるいは他のいろいろな地下埋蔵施設のあるところの工事は、その埋蔵しているものを主管する団体あるいは行政庁が十分にその討議に加わる、そして納得した上でないと工事は始められない、そうでもしないと、全然知らぬ間に発注者がどこかの建設会社に注文する、それが下請になり、孫請になり、全然知らない相手が、がしゃがしゃと大事な管の横に工事を始めておる、爆発したらおまえの会社が悪いのだと言われたら、ガス会社だってたまったものじゃない。一体この辺はどうなっているのですか。
  111. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現状でもガス会社にも十分連絡をとって、ガス会社の異議があればできなくなっているのです。ただ、いままではガス会社の立場も弱かったせいか、協議しても、よろしゅうございますというようなことでやっているようでございます。したがいまして、今回の場合も、点検の場合はみな一緒に行っているのです。ただ形式的にやってしまって、十分それがいっていないというところに問題があると思いますので、今後さらにそういう点を注意してやらせることにいたしたいと思います。  それから、いま下請、孫請の問題が出ましたが、これが実は建設業法の非常な弱い点です。そのためにいまのところは、事実上そういうことは民法上の契約でいけばあたりまえなんだ、しかも今度は、一方におきまして建設業法では一定の料金というか金を出して、申請すればみなこれが——許可制度じゃありません、届け出制度だから、この人命財産に大きい影響をする建設業が、ただ届け出さえすれば何でもやれる。しかも下請との関係は何ら法律上の規制を受けてない、これが非常に危険なんです。だから、やはりこれは建設業法ではっきりと許可制度にし、そして下請、孫請になるようなものの責任と義務、これは明定しないと、とうていこういう問題は防ぎ切れないということで、これについてもいろいろ誤解と、一つのわずかの小さなクループの陳情に少しセンチメンタルな同情をして、それに対する義理立てのほうが、より重大な人命と財産の尊重に大きな危険を与えるというようなことが過去にはございました。今度はそういうことはなかろうと思いますので、私は、こういう事件があればあるほど、この建設業法なんかも真剣に前向きに考えてもらわなければ困難ではなかろうか、こう思っている次第でございます。
  112. 吉田之久

    吉田(之)委員 建設業法もあらためて今度議題になるわけですが、検討されなければならぬという点は、今度の事件でわれわれも確かに痛感いたしております。ただしかし、問題は、業法の孫請の問題も大事ですけれども、いまの契約のしかたですね。いま大臣おっしゃいましたが、それでは大阪瓦斯はシールド方式でないと工事は困りますといえば、オープンカット方式ではできなくなるわけですね。そういう協議をして、協議が整わなければ工事ができないというのは規定としてあるのかどうか、あるいは不文律なのか、単なる習慣なのか、エチケットなのか、どこかできまっているのですか。
  113. 根本龍太郎

    根本国務大臣 最近私が向こうへ行ってからシールド工法と言ったので、シールド工法は一番安全のごとくいわれておりますけれども、シールド工法が全能でないことも事実あるわけでございます。そこで私は、先ほど来いろいろ御質疑に対して答えてまいりましたが、許可条件に、地下工事をやる場合にいままではそういう条件ができない、できないというかやっていない。企業者である大阪市なりあるいは東京都が、こういうあれをやるんだということさえ整えば、こういう工法でなければ許さないというようなことすら何ら言っていないようでございます。そこで私は、そういう地点についてはこういう工法でやるべきだという、条件つきの許可ということがあっていいじゃないか、特に人命に関するようなことになるからということで、実は問題を提起しておるわけでございます。これは建設省、運輸省それから通産省、三者共同でこの問題を研究しておるということでございます。そして場合によっては、先ほど申し上げたように、工法と同時にあるいは移設の条件をつけるなり、いろいろな方法があるのではないか。いま通産大臣の主宰のもとの対策協議会で、そうしたものも含めて検討中でございます。
  114. 吉田之久

    吉田(之)委員 その対策協議会で検討されているのはよくわかりましたが、いつごろに結論を出し、そしていま大臣がおっしゃるようなことがきちんとしていかない限り、ただみんなで心配している、このままではいかぬわなあと言っているだけでは答えにならないと思うのです。局長どうです。
  115. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 大阪ガス爆発事故対策連絡本部におきまして、各省集まりまして対策をつくろうということでいま検討しております。いま検討しております事項としては、地下鉄の工事のあり方とかまた共同溝、それ以外の安全対策の問題をどうするかというような将来の問題について、こうあるべきだというようなものを、この一月くらいのうちに方向をきめてまいりたいというふうに考えておりまして、それに伴いましていろいろ実施の面になりますと、たとえばシールド工法というものを採用するにしても、実施の面についてはいろいろな条件があろうかと思います。そういうようなこまかい点は、これからあとにいろいろ技術的な基準をつくっていくということになろうかと思います。  もう一つは、いまの大阪ガス爆発の現地においてこれからどういうような復旧対策を講ずるかという応急的な対策を、実は来週の月曜か火曜くらいに復旧の方針をきめて、いまの工事をどうやっていくかということをきめてまいりたいというふうに考えております。
  116. 吉田之久

    吉田(之)委員 大臣、さっきあなたは、いま中馬市長に対してこの工法を許可しておるから、ああいう大事件が起こったけれどもそれはそれとして、これはこのまま認めていかざるを得ないというお話がございました。もう一度ああいう事故が起こってもやはりこのままを認めるのですか。一たん認めたことは、どんな大災害が起ころうとそれは取り消せないのか、訂正できないのか。注意してよろしくやれということだけなんですか。政治が犯した責任というものはないのですか。
  117. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そういう極端なことではございません。いまのところ原因もほぼ明らかになってきたようであります。先ほどあなた御自身も言われたように、ジョイントのあそこのあれが無理であった、それの確保が十分でないということが大きな原因であったこと、それから先ほど通産大臣が答弁されたように、管理というか監視している人たちが、形式的な監視はやっているけれども、本格的なあれはやってない、その点が注意されれば当然防げたというふうな点もだいぶ明らかになってきましたので、そうした点を十分に注意をし、かつ、いま道路局長が御説明申し上げましたように、応急の安全対策をはっきりとやる、そうしますれば工事をやらせざるを得ないのじゃないか、こう思っております。しかし、何らの対策が立たざるまま、向こうのほうがやりたいからやらせろ、そんな無責任なことじゃありません。ただ、現状でこれならだいじょうぶというような対策をいま立てつつありますから、それを厳守していくということであるならば、これは工事をやらせなければ、ああいう爆発が起こったからということで中止したら、今度は大阪市民もたいへんに困りますし、いままでの投資が、経済的にもたいへん大きな損失になりますから、やはり安全を期しつつ工事を再開させるということがしかるべきであろうと私は存ずる次第であります。
  118. 吉田之久

    吉田(之)委員 その対策が樹立するまでは、工事はとまっているんですか。きょうも続いているんですか。
  119. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ちゃんととめているわけです。一応の応急対策がはっきりきまるまで、いま中止させているわけです。そこで、向こうのほうとしては、関係者には非常に大きな損害になるわけですから、早く応急対策をきめていただいて、工事をやらせてもらわなければ困るというような気持ちになっておることも事実のようでございます。
  120. 吉田之久

    吉田(之)委員 じゃ、この工法でともかく注意をしながら、こういう点を守ってやれということで建設省が許可した場合には、いままでとは違った責任があらためて建設省に負荷されるということになりますね。その点はいかがですか。
  121. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 もちろんこの事故によりまして、もっと安全な対策ということをいろいろ検討しておるわけでございます。それにはやはり、今度の事故はどういうところに原因があったか、その原因探求がまず第一だと思います。しかし、原因探求にはいろいろ警察がやっておる問題もございまして、そればかりをやっておられませんので、私のほうは土木研究所の専門の技術者を派遣いたしまして、こういうような問題についてはこの辺までやればだいじょうぶだというような、具体的なものをまず指示していきたいと思います。それをやったら、あと建設省は相当責任を持たなければいかぬじゃないかという問題もございます。しかし、一つの工法上何を注意しなければいかぬ、どういう点を注意しなければいかぬ、その注意事項について現場施工をどう当てはめていくかという問題は、相当技術的な問題があろうかと思います。現場のいろいろ地下埋設物の形状その他から見ますと、一々すべての設計書をうちのほうがつくるということもなかなか不可能な問題でございまして、やはり現場の技術者が、こういうところに注意をし、こういう点で設計に考慮を払わなければならぬということをまず指示することが大事だと思います。そのあと、やはり現場の技術者、地下鉄の施行者なりガスの会社なり、また現場道路管理者なりが集まって、実際に技術的な防護の方法を講じる、設計をつくっていくということになるというふうに考えております。
  122. 吉田之久

    吉田(之)委員 いま局長がはしなくもおっしゃいましたけれども、ぼくらも懸念いたしておりますのは、一つの問題はその辺にあると思います。われわれ理事者になったことがないのでよくわかりませんけれども、何か役所の契約というものは、民間会社のそれと比べてきわめて大ざっぱなものだ、ずさんなものだ。科学技術が非常に進んでおる今日の時代の中で、しかも工事内容その他もきわめて複雑になっておる今日の時点の中で、にもかかわらず、役所の契約というものは、非常に大きな工事であってもその内容はずいぶんずさんなものらしい。ということは、私はかつて役所に働いておった人から最近何回も聞かされておるのです。その点、大臣あるいは局長はどういうふうにお考えですか。
  123. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの役所の契約が非常にずさんだという点でございます。私たち現場でいろいろ土木工事の施行を契約いたします場合に、仕様書がございます。仕様書については、一般に道路工事なら道路工事についての共通的な仕様書のほかに、その現場だけに当てはまる特記仕様書というようなものがございます。ただ、道路工事もそうですが、土木工事一般をとりまして、非常に現場で設計をし得る工法がいろいろあるわけであります。土を単に掘さくする場合でも、どんな機械を使うか、その辺の機械の指定まではしていないわけであります。そういう点について、いま先生の御指摘のように、はっきりものをきめてないところがずさんだというふうな御指摘になろうかと思いますが、やはりおのおの現地の技術者が自分で設計をし、自分で考案をした工法でやるというようなこと、これは安全の面からいっても能率の面からいっても十分納得されるものであれば、おのおのそこの工事を請け負いました業者と現場監督との間で話をして、そういう工法が採用されるということでございます。そういう意味で、いまの仕様書その他は、非常にこまかい点についていわれていないということがあろうかと思いますが、土木の工事といいますと、非常に小さな設計につきましては経験的な方法によるものも少なくないと思います。それをこれからの施工の上でどう安全を確保し、能率を確保するかというような点で、こういうものが逐次改良されていって一つの経験になり、それが積み重なっていって施工されるというような状況でございます。
  124. 服部安司

    ○服部委員長代理 吉田君、発言の前にちょっと。時間もかなり経過していますし、また発言の機会も考えることができると思うので、ひとつよろしく。
  125. 吉田之久

    吉田(之)委員 あと十分ぐらい。  それから、さっきもちょっと御説明がありましたが、ガス導管防護対策会議ですか、昭和四十四年十二月に報告がまとめられたそうですが、これを中心にしていろいろと今後の事故防止のための指導をしていかれると思うのです。先ほどから話が出ているパトロール、確かにパトロールはしていると思います。しかし、ただ人が歩いて報告してパトロールしましたと言うのもパトロールなら、ほんとうに微に入り細にわたって科学的に点検し尽くして回ってきてもパトロールなんです。ただやっているというだけでは、私は答えにならないと思うのです。したがって、このガス等のパトロールは、この要素が全部チェックされなければなりませんというふうなことがより具体的、科学的に指示されなければならない。そういう意味で、何らかの行政指導上の措置を法制上から義務づけるべきときに来ているのではないか、少なくとも省令か何かを出すべきではないかというふうな気がするのですが、どうお考えですか。
  126. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私もそういうふうに感じておりまして、今度の対策協議会のほうで、いろいろそういう結論も出してくるだろうと期待しております。もしそういうことが出てこないで、閣議了解事項とかなんかで持ってきた場合は、私はそれは発言しておかなければならないと思っております。  現在も、ガス事業法の省令で出ておるそうです。
  127. 吉田之久

    吉田(之)委員 出しておるほうも知らなければ、われわれ建設委員も知らぬ、そういうことではおそらく現場のほうも知らぬということでしょうね。
  128. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは通産省のほうで……。
  129. 吉田之久

    吉田(之)委員 そういうことならば、やはり省令の権威にかけても、それがほんとうに守られていない場合にどうなるのかということを、この機会にもう一度各大臣間で話し合いをしてもらわなければいかぬ。今度の事故は、やはり政府の責任なしといたしません。  それから、さっきも出ました補償の問題ですが、これはほっておけばずいぶん警察の捜査もひまがかかります。また、各会社や市や下請それぞれが、先ほど言いましたように責任回避をするでしょうし、なかなか結論が出ない。しかし、補償というのは、そう時間をおくべき問題ではないと思います。板橋の場合に、あれは死亡者に対して五百万円出されたのですか、こういう先例にならって、しかも結論が出なくても早目に国なら国、市なら市、どこかが立てかえてでも一応の補償をするというたてまえがとられなければならないというふうに私は思うのですけれども、その辺のところは協議なすったことがありますか。
  130. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 昨年の板橋のガス爆発事故につきましては、これはまだ責任がはっきりしておりませんが、東京瓦斯と鹿島が両方折半で昨年の十二月に一億五千六百万円の補償をしております。
  131. 根本龍太郎

    根本国務大臣 補償をなるべく早く出すようにという御指摘でございますが、私もそう思います。この問題については、先ほど通産大臣も若干これに触れたようでありますが、こういう問題も含めて現在は通産大臣が主管をする協議会でやっているので、私からかれこれいま申す段階ではなかろうと思いますけれども、御趣旨の点は通産大臣にもよくお伝えしておきたいと思います。
  132. 吉田之久

    吉田(之)委員 そういう問題もあるから通産大臣がおる問に私質問したかったのですけれども、どうもならぬ。ひとつぜひ委員長のほうから……。  それから大臣、ガスの保安のPRの問題なんですが、とかくガス会社でもガスを売りたいものですから、どちらかといえばここ十年、二十年、ガスなんかこわいものじゃありません、こういうふうに使えばこんなに便利なものだと——これはだれでもやることなんですけれども、どうもそういう観念が国民一般の中に広がってきてしまっている。お年寄りの人たちの中にはいまでもガスをたいへんこわがっている方がありますけれども、若い子供なんか、ガスをシューシューつけたり消したりしている。そういう感覚の麻痺といいますか、化学変化に対するおそれを知らない国民がだんだん広がってきているのじゃないか。だから、やじ馬といっては失礼だけれども、こわいもの見たさで集まって、幾ら制止したって聞かない。そういう国民の心情の底には、何だ火ぐらい燃えたって、ガスぐらい何だというふうなことがあったとするならば、これは大問題です。そういう意味で、今後総理府なんかが責任を持って、この科学技術時代に処する社会人としての教えというものを、あらゆる角度から徹底していかなければならないのじゃないかというふうに考えます。都市災害の危険性というものを、これは建設大臣としても大いに積極的にPRされなければならない。同時に、こういう災害が起こった、起こりそうだというときには、のぞきにくいのじゃなしに、まず逃げるんだということ。同時に、こういうことは幾ら観念で教えたって、いざというときにはあわててしまいます。昔、ぼくら防空演習をみなやりました。それでもほんとうに爆弾が落ちてみたら、青くなって動けなかった。だから繰り返し繰り返し、必要以上の訓練といえばちょっとおかしいけれども、そういう危機が察知された場合には十二分の避難を命令して、そういうことを絶えず繰り返しておくということになれば、不祥の事態においても被害を最小限度に食いとめることができると私は思うのです。そういう点で国民の再教育ということは焦眉の急だと思いますが、いかがでありますか。
  133. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりと思います。先般、実はガスの問題のみならず、先ほども若干御質疑がありました東京の大震災のようなものが起きた場合というようなことで、参議院でも予算委員会で問題になったのでありますが、これを私は、相当徹底的に配慮をして国民に知らしめる必要があると思う。ただ、これを東京都全体を国が主催で防災演習をやったなどというと非常な不安、動揺をつくって効果がないから、むしろこれは小さく、東京でいうならば区単位ぐらいで、大阪あたりでもそうした現実的なことをやるのには、隣組のようなお互いに助け合い、お互いに理解していくというような程度のものがいいと思うのでございます。  そうして、これはガスのみならず、いま問題になっている交通事故もそのとおり。いまおそらく世界で、これほどオーナードライバーのマナーの悪い国はないと私は思う。自分がより安全な、強いものに乗りさえすれば——ダンプカーなんか、全くこれは他人の迷惑を考えない。弱い者ほど非常に配慮しているのですけれども、その配慮が非常に無責任な連中のために、たいへん恐怖におとしいれられている点もありますので、これは御指摘のように、交通それから災害等を含めて全体の国民が、いわゆる科学技術の発展、これに伴うところの危険というものをお互いに知り合うためのPRといか、教育については一そうの配慮をするように、これまた関係閣僚にも申し伝えまして、配慮いたしたいと存ずる次第でございます。
  134. 吉田之久

    吉田(之)委員 時間がなくなりましたので、それでは一つだけ。  大臣がこの間、ガスが漏れているところがわかったからといって、ガスは急にとめられません、とめてしまうと、今度は逆流すると上のほうの圧力がずっと高くなってしまう、何でもない家庭まで被害が及ぶ。それほどガスというものはむずかしいと思うのですね。それでは、これほど情報の発達している時代ですから、どこそこでガスが漏れている、これを食いとめなくてはならぬ、一ぺんにとめたらあぶないから、各所で、たとえばAの地点で三分の一とめる、Bの地点で三分の一とめる、Cの地点で三分の一とめる、このくらいのとめ方ならば、それぞれ逆流したって被害は与えない、異常な高圧にもならない、そうして全体としては、ほとんど八分通りガスがとまることになるとかいうふうなことは、私はできないことはないと思うのです。そういう点もひとつ検討していただきたいと、私も要望しておきます。  それからもう一つは、最近都市ガスの中にプロパンガスをまぜているのです。プロパンガスというのは非常に安価なんです。しかも圧力が非常に高くなる。そういう点が、こういう危険をより大きくする要素になっていはしないかという点を検討しておいていただきたい。  それから、地下埋設の詳細地図が、ガスに関してはほとんどできていない。電気なんか完全にできている。どこに柱があって、どこに支線が張ってあるか、どこにトランスがあるかはっきりしている。ガスの場合は全くめくらめっぽうで、ほとんど判然としていない。そういうところで地下工事なんて、大胆不敵であると思います。でき得るならば、早急に政府で指導してでも、詳細な地図をつくらせるべきではないかと思います。  いろいろ申し上げたいことが一ぱいありますけれども、私の要望はそれだけ申し上げておきますので、私の要望に大臣から何かお気づきの点があれば答弁をいただいて、それで私の質問を終わらせていただきます。
  135. 根本龍太郎

    根本国務大臣 たいへん大事なことでございますから、御指摘の点は、いま事務当局をして全部筆記させておりましたし、会議録を読んで、その指摘された点は全部連絡協議会に提出しまして、それに対して何らかの回答を早くきめさせて、できますれば、それについては文書にして事務当局から吉田さんあてに届けるようにいたさせます。
  136. 服部安司

    ○服部委員長代理 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十五分散会