運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-04-10 第63回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月十日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       仮谷 忠男君    木村 武雄君       砂原  格君    野中 英二君       葉梨 信行君    古内 広雄君       森下 國雄君    山本 幸雄君     早稻田柳右エ門君    井上 普方君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    小濱 新次君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君  委員外出席者         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 四月十日  辞任         補欠選任   丹羽喬四郎君     野中 英二君   廣瀬 正雄君     仮谷 忠男君 同日  辞任         補欠選任   仮谷 忠男君     廣瀬 正雄君   野中 英二君     丹羽喬四郎君     ————————————— 四月八日  建設業法の一部を改正する法律案成立促進に  関する請願伊藤宗一郎紹介)(第二七九二号)  同(金丸信紹介)(第二七九三号)  同(草野一郎平紹介)(第二七九四号)  同(天野光晴紹介)(第二九三五号)  同(奥田敬和紹介)(第二九三六号)  同(佐々木義武紹介)(第二九三七号)  同(砂原格紹介)(第二九三八号)  同(田澤吉郎紹介)(第二九三九号)  同(保利茂紹介)(第二九四〇号)  同(松澤雄藏紹介)(第二九四一号)  同(村上勇紹介)(第二九四二号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第二九四三号)  宅地建物取引業法の一部改正に関する請願(中  野四郎紹介)(第二七九五号)  建設業法の一部を改正する法律案等反対に関す  る請願青柳盛雄紹介)(第二七九六号)  同(浦井洋紹介)(第二七九七号)  同(米原昶紹介)(第二七九八号)  同外二件(大出俊紹介)(第二七九九号)  同(角屋堅次郎紹介)(第二八〇〇号)  同(小林政子紹介)(第二八〇一号)  同(田代文久紹介)(第二八〇二号)  同(谷口善太郎紹介)(第二八〇三号)  同(津川武一紹介)(第二八〇四号)  同(寺前巖紹介)(第二八〇五号)  同(土橋一吉紹介)(第二八〇六号)  同(林百郎君紹介)(第二八〇七号)  同(東中光雄紹介)(第二八〇八号)  同(不破哲三紹介)(第二八〇九号)  同(松平忠久紹介)(第二八一〇号)  同(松本善明紹介)(第二八一一号)  同(山原健二郎紹介)(第二八一二号)  同(山本政弘紹介)(第二八一三号)  同(林百郎君紹介)(第二九四四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  本州四国連絡橋公団法案内閣提出第八二号)  地方道路公社法案内閣提出第八六号)  道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律  案(内閣提出第八七号)  建設行政基本施策に関する件(大阪市のガス  爆発事故)      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  本州四国連絡橋公団法案地方道路公社法案道路整備緊急措置法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。三木喜夫君。
  3. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いま大臣が参議院の予算委員会に出ておられるようですが、そこできょうはむしろ本四連絡架橋公団、この問題にしぼってお伺いしたいと思うのです。  いままでに、予算委員会それから本建設委員会、それから先日は運輸委員会からの申し出によりまして連合審査、その連合審査によってかなりいろいろな点について質問がされておりまして、疑問点が明確になってきておるように思うわけです。したがいまして、私は、きょうは主としてその確認の上に立って、問題だと思うことにつきましてお伺いしたいと思います。  それで、まず第一にお伺いしておきたいことは、連絡架橋というものに対して、要するに、いままでの政府の態度ないしは連絡架橋公団一つの使命として考えられておるものは、とにかく技術的に非常にむずかしいという点があるので、技術開発ということが根底になければならないだろうということが一つ、それから資金面ということも考えて、その資金調達がどのようにできるかということが一つ、最後に、地元協力といいますか支援体制、こういうものが大きなネックになっておったように思います。先日もそういう点についてお伺いがされておったように思いまして、確認されましたが、私は、この中で一つ強調されなかったことは経済的効果というもの、これをどのように把握するかということが、この本四連絡架橋のときにはやっぱり大きなネックになると思う。これがあまり論議されていなかったように思うのです。そこで、きょうはその点についてお伺いしたいということが一つ。なお、地元協力資金調達ぐあいというものを考え合わせたときに、その経済的な効果というものと資金調達ということが関連しておるのじゃないか。だということになりますと、ここに当然資金調達してもそこから利潤が出てこなかったら、資金を出すほうにいたしましても足踏みをするのじゃないか、こういうことが考えられたわけです。その点を最初にずばりとお伺いしておきたいと思います。
  4. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいま先生の御質問のように、資金調達、これはなかなか国の財政投融資だけではできない、民間の御協力を願いたいということを考えておりまして、それと経済効果という問題をからめて考えますと、やはり経済効果がなければ資金調達は非常に困難ではないかということだと思います。いま先生のおっしゃいました資金民間が出して、それによって利潤を得るというこの問題になりますと、これはちょっとまた問題がむずかしくなると思いますが、いまのこの公団で考えておりますのは、民間資本参加ということではございませんで、民間資金を借り入れてくるという趣旨でいま進めておるわけでございます。そういう意味でいいますと、やはり民間から金を借りるにしても、一回貸した金がなかなか回収できないというようなものだと、これは民間のほうでなかなか金が集まらないということは確かにあると思います。ただ、この三本の橋がおのおの一つの特徴を持っておりまして、またいまの四国の現状からいいますと、やはり阪神圏に近いほうが非常に交通量が多いということも事実でございまして、ただ将来の四国全体の開発を考えますと、単にいまの四国経済状態だけでここが一番交通量が多い、ここは少ないということだけで経済効果を判定していいものかというような問題も出てくると思います。ただ、率直に言いまして、先生のおっしゃいました民間資金を借り入れるという点になりますと、やはり私のほうが人さまから金を借りるわけですから、こういう方針で、こういう計画でやりたいという計画があって、それに賛成してくれなければ金は借りられないと思います。そういう意味では、やはり民間いろいろ協力を得るには、うちのほうがまずそういう計画をつくるにしても、どういう計画が一番協力が得られるかということも、いろいろ内々では民間と相談しなければいかぬと思います。ただ、この間大臣もこの委員会答弁されましたように、一回借りますと、それをこの金はどこに使う、この金はどこに使うという色づけということは非常に困難だと思います。やはり金を借りる条件、それにはどういうような償還計画で、どういうところに使われるとかいうその基本的な計画がはっきりしなければ、金がなかなか集まらないということだと思います。その基本的な計画の中には、やはり金を貸してもらえる財界の考え方、これも当然その中でいろいろしんしゃくをしていくべきものだというように考えております。
  5. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣が見えましたら本日は、もうどっちかというと全体的な、総合的な観点に立たなければならぬと思いますので、ここでそういう点をお伺いしたいと思いますが、しかし、いまの御答弁をもう少しつぶさに考えてみますと、財界から出すかあるいは自治体から出すか、それは借りるのですから、出すところはいろいろになるだろうと思います。しかし、私のお伺いしたのは、そのことが財界ないしは地方自治体においてすぐに経済的な効果、あるいは直接的にそこに効果を生むというその効果の大小ということを考えなかったら、出すことにおいても渋るのではないか、こういう心配がありますが、それをいま蓑輪局長のほうからは、一たん借りた金は、これはAルートに使う、これはEルートに使う、これはDルートに使う、こういうことはもうこっちのかってじゃ、だから、どのようにそれを使おうとそれはもう文句を言うな、こういうように私聞こえたのですが、それでは経済的な効果や、それから出す側の了解が得られるだろうか。ここにこういう橋をつけますことによってこういう効果を生みます、これにはこれこれの技術開発が要りまして、この技術開発は現にできました、だからこの橋については、これを完成することには自信があります、したがって出していただけないでしょうかと言うことにおいて初めてそのことが可能ではないかと私は思うのです。しかしながら、本四連絡架橋公団というものの公団の設立それ自体は、それらを含めての調査研究技術開発、これらがあるように思うのですが、そうすると、本四連絡架橋公団というものには賛成であるが、しかし、出すほうにすれば、あらかじめ目標を持ってここにつけてもらう、ここにつけてもらうということを待望しながら出すと思うのですね。その間の関係は、いまの話では、さい然と、もう文句言うな、借りた以上はこっちが使うんだから、このように聞こえたのですが、その点はどうでしょう。なかなか私は微妙だと思うのです。
  6. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの先生のお話の、一たん借りた金は文句言うなというような考えではございません。と申しますのは、これは長期にわたりますので、その年度だけじゃなくて数年間にわたると思いますが、その中で、たとえばAルートはこういう順序でやりますからここでこれだけのお金が借りたい、Dはこういう順序でやりますからこういうお金を借りたい、Eルートはこういうような順序でやるから来年はこれだけお金を借りたい、合わせましてこれだけの民間資金を借りたいというような一つの基本的なわれわれの建設計画を示して、それで民間資金の借り入れの御協力をお願いするということになると思うのでございます。ただ、私、言いましたことは、それがもし一もしもですが、三本同時にやるとなりましたならば、おのおのここには幾ら、ここには幾ら、ここには幾ら、三本合わせまして幾らほしい。その金が地元愛媛銀行から出ようと、大阪銀行から出ようと、一回そういうような計画で集まった金は、愛媛銀行から出たものだけはこれに使うというようなことはできない。やはり全体としてそれを一本に、有効に使うという趣旨で申し上げたわけでございます。
  7. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いままでよく論議をされ、言い古されているだろうと思うのですが、いまの蓑輪局長の話を聞いておりまして、経済効果について交通量だけでは律しがたい、まことにそのとおりです。しからばその経済的効果というものをどのように押え、判断して考えておられるか。経済的効果ということをひとつ限定してお答え願いたいと思います。
  8. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は経済効果につきましては、去年、おととしごろから急速にまとめております。その前提といたしましては、いろいろな経済効果観点があると思いますが、物が動くことによって国民所得が増になる、国民所得の増という形でとらえたわけでございます。こうなりますと、やはり前提条件が非常に問題になります。といいますのは、どういう交通手段がある年度にできるんだということになるわけでございまして、その交通手段としていま国土開発幹線自動車道できまっております七千六百キロ、この高速国道昭和六十年までには全部できるということでございます。また、鉄道についてはいまAルートDルートの二つが鉄道の併用を調査しておりますので、その場合、Aルート鉄道が乗った場合、Dルートに乗った場合、AとD両方に乗った場合というようないろいろなケースでこれを計算しているわけでございます。また、その計算は、要するに昭和六十年までには三本がかかるんだという前提でこれも計算しております。また前提になりますのは、ではその橋の有料道路としての料金をどのくらいにするか。また鉄道が併設された場合、鉄道の旅客の運賃、それから貨物の運賃をどれくらいにするか。やはりこういう料金というものは物の輸送の抵抗になりますので、そういうものの前提を置いてやったわけでございまして、それで四国、中国、いろいろ国民所得の増を計算いたします。その増の計算をある時点に全部金利で還元いたします。それと建設費、これも数年かかりますので、これもある時点金利還元でそれを割りまして、それで経済効果という数字を出しておるのでございます。その中で、まだ発表をしておりませんが、一番私たち、問題になりますのは、やはりいまの四国経済成長というものが平等に進むというような前提がございます。特に特定な開発プロジェクトというものをその中に与えておりません。これを与えるか、与えないかによって、非常にその数字が変わってくるものでございます。たとえば淡路島開発をどうするかということになりますと、いまの自然に開発されていくというテンポでしか考えていないということで、この前提が狂うとまた非常に変わってくるような状態でございます。そういう前提でいまの経済効果というものを、投資額、それに伴う国民所得の増という形でとらえてみますと、昭和六十五年時点ではいずれも一コンマ幾らというような、投資効果としては投資額を上回る効果があるということでございます。  その差というのは、これは一・二一と一・二二とでは一・二二のほうが、それは数字的にはいいにきまっています。ただ、そのときにそういう非常な前提を置いておりますので、そういう〇・〇一というような差がとにかくどれだけものごとを支配するか、非常に疑問だと思います。そういうこともありまして、いま経済効果を、調査の結果を出すのをためらっておる状況でございます。どっちにいたしましても、これは一つの小規模のプロジェクトに対する経済効果には当てはまるかと思いますが、このような国の非常な大規模プロジェクトとしてやる場合に、はたしてそういうものの経済効果だけで判断していいかという点に疑問があります。  ただもう一つは、その償還計画からいいますと、これはある一つの金を入れて、それから料金をきめて、それで何年に償還するということになりますと、これはやはり交通量が多いほうがその償還は非常に早い、料金も非常に有利になるということは言えると思います。
  9. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この経済効果の問題について、あと井上委員のほうから関連質問があります。したがいまして、この関連質問は時間に入りませんから……。  ただ、ここであなたのおっしゃるように、いわゆる投資効率そのことが経済成長ないしは国民所得の増に影響をしてくる。それが投資額分幾らというような観点で見ていかなければならぬということがもう一つあると思いますし、いまおっしゃるように、ナショナル・プロジェクトという観点に立ちますならば、単に経済効果だけを押えることはできない。こういうこともうなずけます。  しかし、私の申し上げたいのは、いまの国鉄を考えてみたときに、四国国鉄路線赤字がかなり多い。それはなぜ赤字が多いかということになりますと、私は、本州との連絡がうまくいかなかったからだと思います。したがって、その連絡がうまくいくときには、四国経済も非常に活気づいてくる。したがって、赤字が解消されることはあり得ると思うのですね。そこに橋の値打ちがあると思うのです、どこにつけようと。しかしながら、三本つけた場合、私が常識的に考えて、経済的な効率のないところはまた赤字路線にならないか。しかし、赤字路線になっても、そのことは大プロジェクトをやったのだから、プロジェクト的観点からいくならばこれは効果があったのだ。橋を非常にむずかしいところに架橋する、橋をかけるところの日本的な技術開発されたのだから、そのプロジェクトがまた売れるということがありますから、そういうことを考え合わせるならば、非常に効果的だった、こういう観点もわかります。しかしながら、現実の問題で考えて、常識的に考えて、せっかく苦労した架橋赤字路線におちいってしまうというようなことになるならば、やはりここに経済効果というものを重点に、大きな要素に考えなければならないのじゃなかろうかと私は思うわけです。そういう観点から申し上げたわけです。あとでまたその問題については申し上げたいと思いますが、井上君のほうで経済効果についての関連質問があるようですから……。
  10. 井上普方

    井上委員 それでは関連してお伺いしますが、昨年この問題が論議せられました際に、ルート決定は八月に行なうのだということは、坪川大臣がここで、当委員会で再三言明になったところです。そしてその際には、経済効果は二月には一応調査はできておるのだけれども、経済効果一つメルクマールにするために、八月に発表させてくれということを盛んにおっしゃった。このたび、公団が設立されるに際しまして、なぜ経済効果発表されないのですか。どうなんですか、この点。
  11. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実は、経済効果は、いま言いましたようにいろいろ前提がございまして、これの前提をよく理解していただけば、まず経済効果発表しても問題はないと思います。実は、この辺は大臣ともいろいろ相談しております。この経済効果というものは、去年の八月の時点では、建設省基本方針をそのときまでにきめよう、それに合わせていまの調査経済効果を出そうということにしておりました。経済効果基本方針というのは、この公団をつくりまして、それで今後の地元開発をしていく段階で逐次わかってくると思いますが、いま経済効果発表するかしないかは、これはもう少し大臣とも十分打ち合わせをしてきめていきたいというふうに考えております。
  12. 井上普方

    井上委員 これは坪川大臣の当時からそういうお約束になっておるはずなんです。八月には発表します、こういうことを当局は盛んにおっしゃっておったはずなんです。道路局長、聞いておいてくださいよ。それが九月になり、十月になり、あるいは渡米前に発表するとか言ってみたり、それには当然経済効果というのはくっつけて発表するのだ、こういう理解が全委員においてなされておったはずだ。ところが一方において、片一方で公団方式が出てきたから、当然建設省としては、公団を設立するに際して、この経済効果というものは出してこなければならない。あなたの言うように、淡路島がどうだ、あるいはその地点の開発効果がどうだという小さい効果についてじゃなしに、この橋がついたならばどういう経済効果があるか、三本ともそれに基づいてやっておるのでしょうが。それは去年の二月までに決定しているのでしょう。それが、ルート決定のときには発表します、八月までには発表しますから許してください、こういうのが坪川大臣言明だった。それがいまだに発表にならないというのは、私は納得がいかないのです。どうなんでしょうか。これは大臣、いかがですか。
  13. 根本龍太郎

    根本国務大臣 経済効果について一応の資料が整っておるようでございます。ただし、私が感じておりますることは、この経済効果というものは事実上の問題と違いまして、この見方、それからその観点において相当違うので、これがいわゆる経済効果が少しでも多いほうが優先順位だ、こういうふうにとられることは、これはかなり誤解を招くじゃないか、そういう意味で、もう少し慎重にしたほうがいいぞという意見を私は持っております。しかし、前の大臣以来発表する約束でございましたならば、発表してもけっこうです。ただし、それにはこういう前提のもとにこれが制定されておるということにして、即いまの経済効果というものが、それがすぐに今度の順位に結びつくというような解釈はとらないというように、相当親切に解説しておかないとそこに非常に誤解が出て、そこにトラブルが起こることをおそれておるということでございます。
  14. 井上普方

    井上委員 これは大臣、この前のいきさつというものを御存じないのです。坪川大臣は、去年の二月に、経済効果の策定というものはできておると言った。工事技術難易性というものも学界で発表しました、いずれのルートもできます、この橋のルート優先順位というのを八月にはきめます、こうここでも言明していたのです。それが八月が九月になり、十月になり、十二月に在り、今日に及んでいるのです。その優先順位を決定する際には、こういうことばを使っております。優先順位を決定する一つの根拠として、経済効果を一緒にあわせて発表したいということをおっしゃっているのです。それが昨年の長い通常国会において、本四架橋に際しての大臣の一貫した御答弁であった。公団法がこの際審議せられる際に、経済効果が一体どうなるのか。その時点、その時点でそれは違うでしょう。しかしながら、一応去年の二月に、工事費あるいはまた工期あるいは工事難易というものを発表された。そのあと半年して、建設省と運輸省と経済企画庁とが集まって、経済効果というものを策定せられておるはずなのです。これを一つメルクマールとして発表するのだ、こうおっしゃっているのですよ。優先順位というものを……。ところが、公団法のほうは出てきた。ところが経済効果はどうなっているのか。これも、いままでの何年間にわたる作業というものが全然出されていないというのは、私はどうも納得いたしかねるのです。この際発表になる御意思はありますか。いつまでに御発表になりますか。
  15. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般来、この公団法に関連いたしまして、四国架橋のための技術開発あるいは実施設計調査、それに関連する地元開発プロジェクト、それに対する地元協力、こういうようなものがそろって実質上の着工順位というものが現実にきまってくる、こう申し上げておるわけでございます。そういうようなことにしてこれはきめなければ、先般来幾たびも御説明申し上げましたように、ただ技術上これは可能であるということだけでいくことはなかなかむずかしいということ、さらにこの補償の問題、それから航行、運航の問題、こういうものがみな出てきている。ところが、いままでは、そういうことは一応言っておるけれども、そのときの時点では何とか政治的に早く一本だけきめようというような気持ちが相当強くあったので、それにある意味においては流されておったような気がするのですよ。ところが、現実にそれがなかなかできないのです、私がほんとうに取り組んでみて。そこで、前大臣皆さんに対する答弁いきさつもいろいろあろうと思いますけれども、これを一たびやって故障が起きたりあるいは途中で挫折するとたいへんなことになるから、総理や現在の閣僚の皆さんにもよく御相談の上、この方式にしたわけであります。ですから、この時点になりますれば、私は、経済効果がいま井上さんの言ったような意味経済効果であると、とにかくこれで順位がきまるのだ、経済効果はこっちのほうが大きいのだということになれば、かえってここに混乱を起こすから実質的な効果がない。だから、しばらく待ったほうがいいというのが実は私の政治的な判断でございます。しかし、いわゆるまとめた段階における資料があることは事実でございます。そこで、これを発表する場合には、実はこれは直ちにこれによって着工順位がきまるのではない、ただ一応の、この前資料を集めた段階における一つ調査結果である、こういう前提ならば私は発表させてけっこうだ、こう思う次第でございます。
  16. 井上普方

    井上委員 それはあなたのおっしゃるように、いろいろな海上運航上の問題であるとか、問題がたくさん出てきたという点については私も了解いたします。それらについて研究してないということではない。でありますが、経済効果一つの大きいポイントでもあるししますので——しかも経済効果はいつ発表か、経済効果については建設省はいま研究中であります、各省とも連絡協議しております、それは八月に発表いたします、こう言ってきた手前、どうしても早急に発表していただかなきゃならぬと思うのです。この点はひとつ強く要求いたしまして、私は関連質問でございますので終わります。
  17. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま井上さんから言われたこと私もよくわかりますので、先ほど私が御説明申し上げたところの前提条件をくっつけまして、発表することを急がせます。
  18. 三木喜夫

    三木(喜)委員 大臣からあのような御答弁がありましたので、その問題については、やはり大きな判断の資料になるのですから、それを出してもらわなかったらいけないと思いますので、急いでください。  それで、いまの大臣なり局長のお話を聞いておりますと、なるほど今日の本四連絡架橋というものが、純粋な経済効果あるいは技術地元協力資金、この四つの要素の上に立って、国民的要求として、ナショナル・プロジェクトとして進むにしては、あまりにも政治的になり過ぎておる、政治橋になり過ぎた。したがって、そういう配慮をしなければならぬということはわかりますけれども、しかし、いまのお話の中には、言うならば橋はおれらがかけてやるのだ、おれらが判断するんだ、もっと極言すれば総理が決定するんだ、だからそれにまかしておいたらよろしいんで、そういう資料を国民の前に出せばかえって混乱を呼ぶのではないか。ナショナル・プロジェクトとしては、国民的判断というものを基底におかない考え方、あまりにも政治橋になり過ぎたのでそれにおそれた、そういう感じがするのです。したがいまして、やはり今日地元協力だとかいうようなものは、むしろこれからの問題ですね。いよいよ具体化するときに出てくる問題資金もその後に出てきます。いま全国的に、国民的にこの問題を注目しておるのは、一つは、技術的に可能かどうかということが大きな注目の要素です。それからもう一つは、四国のため、全体のための経済効果というものはどれが一番いいのか、ここにポイントを置いておると思うのです。しかし、今日発表されておるのは、経済的効果のほうはそういう配慮によって伏せられた。しかし、土木学会におきまして、この技術的な予備調査は、大体難易というものはわれわれが見てわかり得るところのものを出してきておる。ただし、それについては技術開発の要があるという注文までつけ、日本の国の科学技術に取り組むところの姿勢と、その科学技術の解決によってこの難関を突破しなさいという要望もつけてきたのですけれども、それは技術観点に非常に重点が置かれた。今日、経済的効果を隠すということになりますと、その点、四国全体の発展ということが目をおおうて鈴を盗むというような感じがする。経済効果というのは、私は一つの目だと思う。からだにたとえるならば、手足は技術です。頭脳である、目であるこの経済効果というものがおおわれておって、この本四連絡公団を判断しなさい、国会は判断してそれに賛成しなさい。きょう現実に、二時の本会議に緊急上程するのでしょう。その段階において、片一方資料は目をふさがれておるということになれば、これは私は片手落らのような感じが非常にするのですが、急ぐということです。もう時間的に与野党の間で話ができてしまっておる問題ですから、これはしつつこく言いませんけれども、出してもらって、その後またどこか順位がきまるので、公団ができてから判断しなければならぬから、それに譲りたいと思います。  大臣がおいでいただきましたので、私はひとつ総括的な観点に立ちまして、そしていままで質問された要点を確認しながら、問題点をお伺いしておいて参考にしたいと思うのですが、この本四連絡架橋公団というのが、仕事として日本道路公団鉄道建設公団の進めている調査を引き継ぐというが、調査の仕事とそのスタッフもさしておるのかどうか。調査の仕事がございますね、これこれ調査した結果、それを引き継ぐ、その上でいまから研究しなければならぬですね。その研究スタッフも引き継ぐのかということです。
  19. 根本龍太郎

    根本国務大臣 貴重なお金を使って研究したものですから、それはそのまま引き継ぎます。しかし、そのままでやれるわけではございませんから、それは資料として引き継ぐのでありまして、さらに現実技術開発それから設計に役立たせるという意味において、これは貴重な資料として使うということです。  それから人間につきましては、必ずしもその担当した技術者たちを、道路公団あるいは鉄建公団から、そのまま引き継ぐというわけにもいかないと思うのです。これは来てもらう人もあるし、また別な人を採用するということで、本四架橋のために必要にしてかつ最も適当な人間を、広く国内から集めて人事構成をする、かように思っております。
  20. 三木喜夫

    三木(喜)委員 いままでやった予備調査というものは、いわゆる三ルートを策定するための予備調査であって、これから三ルートの実施調査をやる。このことが同時に発足しておるのが同時発足しておるという意味であって、実施調査が進み、そして着工については早いおそいがある。水曜日の質問でもそういうことが明らかにされておりますが、それなら一ルートのみやる場合もあり、二ルートを相次いで着工して、他の一ルートはやらないこともある、こういうことを意味しておるのですか。その点微妙ですから……。
  21. 根本龍太郎

    根本国務大臣 三ルートともやるということでございまするが、いま三木さんが御指摘になったように、あるものはちょっと早くて、その次にいって、三番目にいこうという場合もあり得るし、ある場合には二つ一緒にやるという場合もあり得ると思います。ただし、三本一緒に同時スタートということはなかなか困難ではないか、こう思っておるわけです。したがいまして、三本やるということが、調査してみた結果、そのあとの一本はペケにするということはあり得ないと思います。
  22. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ルートの名前は従前つけておられる名前を使いますが、明石−鳴門をAルート、児島−坂出はDルート、それから尾道−今治、これをEルートとして考えた場合に、AとDとは鉄道併用橋、そしてEは道路橋ですね。だれがこういう負担をここに着せたか。これは地元の要請もあったでしょうし、鉄建公団の要請もあったでしょうしいたしますけれども、このAとDが併用橋ということになれば、技術的に非常にむずかしい過酷な条件になっておると思うのです。Eは道路橋だけですから、言うなら条件的には一段安い条件になっておると思うのです。この条件はどういう観点からつけられたのか。建設省はそれに了解を与えて、今回の本四連絡架橋公団にこの仕事を持たされた。これは朝日新聞の伝えるところによるとこういうておるので、あなた方からははっきりとは聞いておりませんので、あらためて聞いておきたいと思います。
  23. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは御承知のように、鉄道をつけるほうは、これは建設省じゃなくて実は運輸省で、それぞれの全国にわたる鉄道網構想があるわけであります。そこで明石−鳴門の方面は、これは新しい鉄道計画に、あれをつなぐことによってやがては九州にまで鉄道並びにフェリ等で結びつけるという構想のもとに——これは運輸省側の構想でございます。  それからもう一つDルートは、これは現実にフェリがあるわけですから、それを鉄道にする、こういう構想で、これは主として運輸省、国鉄関係の要請によってああいうふうな形になったものと承知しております。
  24. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、この法律案に照らし合わせてみて私は奇異の感じを持つのですが、この法律案の条項を見ますと、二十九条の「業務の範囲」の中に、いま言ったようなことが調査されるようになっておりますし、それから測量、設計、試験、研究という項目があります。そして三十条へ入りますと、「建設大臣は、」云々、そしてあなたがいまおっしゃいました「運輸大臣は、政令で定めるところにより、前条第一項第二号の業務につき基本計画を定め、これを公団に指示するものとする。」こうあるのです。そうすると、そういうことが前もって指示されておるということは、この法律からいえば逸脱行為になるんじゃないかと思う。この法律をつくるのに、はやすでにAルートDルートにはそういう過酷な条件がついておる。それは鉄道建設の全体計画の中から出ていたものかもしれません。しかし、この法律の案文からいけば、この三十条のところに書いてありますが、基本計画はこれらの調査の上において出すというようになっておりますから、一方は非常に安い条件、二つは重い条件というような、こういう条件を前もって着せておくということは、私は、この法律案の上からいえばおかしいと思う。そういう意味合いでいまお伺いしておるのですが、それはどうですか。
  25. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは御承知のように、そういう構想で今日まで進んでいるということでございまして、これは閣議で決定したことでも何でもございません。ただ、いままで三本のうち、どういう構想で進んできておったかと申しますれば、二本は併用、一本は道路だけ、それはどこから発想してくるかというと、いまの鉄道の今後の敷設網の一環としてそういうふうなことが要請されてきておる。しかし、これは何ら国できめたことでもないし、また法律上そういうふうにしたということでもないわけであります。いわば今日までの経緯がそうであって、そうしてこの公団ができて初めて調査技術開発をやった結果、この法律に基づいて、その鉄道の点については運輸大臣がその基本計画を立ててこれからやる、こういうふうに御理解いただければいいと思います。
  26. 三木喜夫

    三木(喜)委員 この公団の仕事は、いま大臣のおっしゃったようにその前段の調査になる。そして、その後に基本計画は運輸大臣ないしは建設大臣が出すので、それから併用橋であるかどうかということがきまる。これで私は筋が通ったと思います。  そこで最初、大臣がおいでになるまで経済効果というものを私はお伺いしておった。蓑輪道路局長は、要するに経済効果というものは、交通量あるいは物資の輸送量だけでは経済効果はあげられない、そのとおりであります。この投資した額で四国国民所得経済というものを割ってみたときに初めて経済効果が明らかになる、それもそのとおりだと思います。しかしながら、いま大臣は閣議決定でも何でも危いのだとおっしゃいますけれども、これは朝日新聞に、この公団法律案が閣議決定したときにこういうことがはっきりと書いてある。AとDとはこういう立場、それからEはこういう立場でやるということを公団が引き継いだのだ、こういうふうに朝日新聞には書いてある。これは新聞ですから、うそを書いておると言いませんけれども、そういうようになったということは、知らず知らずのうちにそういう重い荷をかけたということは、要するにそこに鉄道をつけたらいいということでしょう。そこに連絡橋をつけたらいいという世間の目がそこに映っておるわけでしょう。それが責任ある閣議というものの中ではきまってなくとも、世間がそれをきめてしもうておるということになれば、これは蓑輪さん、ここにおのずから経済効果というものが世論の形でですか、政府がきめたのでもなければということなら、大衆の願いの中に出てきておるものじゃないか。そして何とはなしにAルートには併用橋、Dルートも併用橋がよろしい、鉄道もそれを非常に望んでおる。望んでおるということは、私は経済的効果一つのあらわれじゃないかと思う。一番大きな証拠じゃないかと思う。だからAルートを一番先にやりなさい、そういうようなけちなことを言うておるわけじゃありませんよ。そういう大きな願いが出てきておるのじゃ互いかということです。先がた経済効果一つとして私申し上げましたように、四国四県のルートについての真の国民投票といいますか、投票をやった場合に、私は、はたしてどんな結果が出るだろうかということを思うのです。そのときには、私は兵庫県ですから、Aルート支持の立場に立てば当然東に片寄ること、これはもう間違いなしという感じを持ちますけれども、そういう願いを持つということも経済的な効果になるのじゃないか。これは蓑輪さんにひとつお聞きしておきたいと思います。  そして大臣、これは先がた蓑輪さんにもお伺いしたのですが、そこで資金計画になるのでしょう。地元協力ということになるのでしょう。そうした場合に、経済的な効果というものを抜きにして——これは水曜日に大臣言っておられましたね。抜きにしてそういうことが経済的な国の投資、それから地元協力資金、こういうものは考えられないと私は思うのです。そういう立場から先がた経済効果ということをお伺いしたのですが、もう一回、大臣がおいでになりましたから、簡潔にひとつお願いしたいと思います。その次、ずっとまた関連して聞きたいことありますから……。
  27. 根本龍太郎

    根本国務大臣 道路局長に対する質問のようだけれども、私があわせて答弁申し上げます。  いま三木さんが御指摘した点も非常に重要な観点だと私は思うのです。ただ、私は、あの経済効果四国だけではないと思うのです。四国とそれから本州側の利益を受ける形が違った形において出てきますけれども、この投資効果は非常に大きいと思うのです。近畿あるいは中国、あるいはその背後地としての北陸、山陰との関係もあると思うのでございます。ところが、いままで経済効果として調査したのは、主として四国における経済効果に重点を入れているので、そこに私自身若干の実は疑点を持っておるのです。ほんとうのこの効果は、いわゆる近畿、中国と山陰、北陸、あるいはもっといえばこれは中京まで含めなければ、私はほんとうの経済効果の判定ということは言えないという気さえするのです。ところが、いままで四国四国がと言うものだから、そこでよく出てくる議論は、わずか四百万の四国のためにこのような膨大な投資は一体どうかという議論が出てくる。それは私はおかしいと言うのです。何も四国だけじゃないのです。これは全国的な視野において見るべきだと思うのです。こういうことで、そういうふうに見るならば、やがてこれが完成時においては一兆くらいになるだろうけれども、それくらいのことはやっていいじゃないかという考えを持っております。
  28. 三木喜夫

    三木(喜)委員 さすがに政調会長をされただけあって、規模、構想なり観点が非常に大きいので敬服の至りでありますが、まず出発は四国が水を飲みたい、だからうまい水を飲まそうというところから始まっておると思いますし、その四国を後背地に持つならば、京阪神あるいは中国も急速に発展し、それで国民も住民もしあわせになるだろうという観点が発想だったと思うのです。そこで今回の政治橋としての競争が起こっておると思うのですが、先日塩崎さんの質問の中でこういう質問がありました。私もなかなかいいたとえだったと思うのですが、同時着工ということは、とにかく実施調査を一緒にやることだ、だから入学は三ルートとも一緒だ、しかしながら、それが安ければやれるという判断がつけば卒業が早くできる、こういう質問をされておりました。そのとおりです。ただし、大臣が言っておられたのは、これについては経済効果も考えなければいけない、ただ技術難易だけではこれは卒業証書は渡せませんぞという話をしておられた。  そこで、私も御質問したいのですが、あのとき優等生なら早く卒業できるでしょうという質問がありました。そこで優等生の条件、そしてその優等生であるという判定を一体どこがするのか、だれがするのか、これはひとつお聞きしておきたいことであります。それから、優等生であるという条件づくりは一体だれがするのか、判定はだれがするのか、条件づくりはだれがするのかということをお教えいただきたい。
  29. 根本龍太郎

    根本国務大臣 優等生はやはり生徒自身の勉強、素質、そしてそれを判定するのは学校の先生であり、校長でありまして、このたとえでいけば、やはり条件づくりは技術開発とかそれから実施設計とか——これは公団でやります。しかしその素質は、ただいま申したように地元の受け入れ体制あるいは条件づくりが出てきますれば、今度は御承知のように、公団には管理委員会がこれについて相当の意見が出てくるはずです。それを受けて今度は閣議で決定いたします。そういう段階になると思います。
  30. 三木喜夫

    三木(喜)委員 そこで、この前聞いた範囲も、それからいまお聞きして抽象的でありましたけれども、大体一致しておると思うのですが、まず技術的にやれるという裏づけですね、これが優等生の一つ条件。それから民間資金の活用を含む財源の見通し、これもあると思います。それから地元の受け入れ体制の完備、これもあると思うのです。それら三つが優等生の条件だ、そういうように見ればいいように思いますが、そのとおりですか。
  31. 根本龍太郎

    根本国務大臣 大体そのとおりでございまするが、そのほかに少し丁寧に申し上げますれば、実はあの路線をやる場合において、たいへんな船があそこを錯綜して動いているために、その運航の規制並びに安全航行の手段がとれないと、これは事実上技術的にできてもなかなかできない。そのために、地元の運送関係あるいは漁業補償、こういう問題、それから取りつけ道路の先行買収等、こういうものをやはり一つの受け入れ体制という中に入れて御判断願いたいと思っております。
  32. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それは、三番に私が申し上げました地元の受け入れ体制の完備という中に入っておりますね。そこで、いまおっしゃいましたように、この条件づくりというものは公団がイニシアチブをとって関係地元協力を得ることになる、こういうことで了解したのですが、そこで私は、この管理委員会法律案の中で二つほど問題があると思います。それは、管理委員会と、それから技術開発をやるに耐えるところの公団であるかということを見ましたときに、この公団法では、私の観点ではきわめて不備だ。これは、動力炉・核燃料開発事業団法にいたしましても、あるいは宇宙開発事業団法を参照いたしましても、あるいは住宅公団法ですか、これを参考にしてみましても、ほとんど住宅公団法のまる写しに近い。私はゆうべ住宅公団法とずっと対比してみました。どこが一体違うておるのかなと思って見ましたら、事業のところはなるほど違っておりますが、そのほかはまる写しに近い。しかしながら、こういう科学技術の進歩発展する中で、これはいわゆるビッグサイエンスだと私は思うのですね。ビッグサイエンスないしはナショナル・プロジェクトに取り組むところの公団法としてはこれはきわめて不備だと思いますので、後ほどこれを対比しながら申し上げたいと思いますが、いまお伺いしました範囲で、だとすればいま言いました二つが認められるということになれば、これは水曜日だったと思いますが、關谷君のほうから話があったように聞いております。私はよう出なかったので申しわけないのですが、速記録を見ますと關谷君のほうから強い意見が出ておりますが、地元協力いかんということが優等生の条件ということになりますならば、大臣の言う優等生は卒業させなければいかぬのですから、裏口入学的な陳情は受け付けない、しかしながら、むしろ条件をつくるためには地元の受け入れ体制ということになれば、土地も提供しなければならない、漁民も文句は言うな、それは押えつけておかなければならぬ、それに対する補償もずっとやっておかなければならぬ。いわばサービスのよいところ、国の負担のかからないところ、地方の持ち出しの多いところが優等生判定の材料になってきたり、そういう動きが強くなってこないか。かりにEルートを例にとって悪いですが、AとEを比較したときに、Eルートのほうはその点十分完備された、しかしながら、Aルートはよう完備しなかったということになりますと、Eルートのほうの県民負担、住民負担は非常に多くなって、国は非常に楽ですよ。ふところ手をしておって地元の受け入れ体制ができ、技術開発がうまくでき、そして資金も何とかかんとかで集めることができたら、非常に楽な方法になってくると私は思う。しかしながら、その受けるところの県はサービスこれつとめなければならぬ。こういうことが、裏口入学的な考え方ではない、優等生になるための条件づくりのために起こってこないかということを私は憂えるものですが、この点はどうですか。
  33. 根本龍太郎

    根本国務大臣 何事も一長一短が出てきます。いま御指摘のように、それはやらなければ、全然政府はふところ手をして、その条件ができたらやってやる、私が申し上げておるのはそういう意味ではない。たとえ政府がやろうとしても——このごろのこういう大きな事業をやる場合に、特にわれわれがいま一番困っておる問題が、電源開発等をやる場合、まず第一に地元の補償問題です。それから今度は買収の問題です。これが長いところは十年以上もかかっているのです。でありまするから、これは幾ら公団がやろうとしても、あの広範なところの漁業者あるいは運送業者、それから地元の人の納得、それだけでくたびれちゃうのですよ。だから、そこはやはり地元の県や町村がそういうことをやってくれる、それが早くできたところへやればやりやすいからそうしてもらいたいというのであって、政府並びに公団は何もせずに、おまえたちができたらやってやるよ、そういうことではないのです。だから、極端にそういうことを御心配する必要はございません。ただ、少なくともその条件が整えば、技術開発等が実質的にできればスムーズに発足できますよ、したがって順位はそっちが優先されますよ、こういう程度に御理解していただけばよろしいわけです。
  34. 三木喜夫

    三木(喜)委員 当局としてはそういう答えしかできないでしょう。しかし、現実問題は、そういうことが起こり得ると私は思います。そのときに、はたしてだれがそれをチェックするかということになりますと、できません。県民の、負担を受けるほうの熱意がそれを解決するかもしれませんけれども、しかし、一般県民なり国民は、かなりそのために重い負担を受けなければならぬ。そこで、国が責任をもってやる仕事が府県にかなり負担をかけるという結果が起こらないように、これは今後ぜひ注意してもらわなければいかぬ問題じゃないかと思う。  これは余談になって一言多いかもしれませんけれども、いままでは裏口入学のようなかっこうということで根本建設大臣はおっしゃっておったのですが、各県ではかなり金を使っておるようです。これは建設にすぐに効果のある金の使い方じゃないですが、かなり使っておるようです。しかし、それはまだ表に出ている問題ではないのですけれども、これはやはり国の責任でやる工事ということになりますと、長いこと放置しておくことはどうかと思います。個々ばらばらになりますから、国も県も一本にならないことになる。先日は大臣、たいへんなことで大阪へ行かれて御苦労さんでしたけれども、それを見ていただきましても、水道事業は水道事業、ガス事業はガス事業、鉄建会社は鉄建会社というように、この中に安全性というものが総合的に押えられていなかったというところにあの大惨事が起こり、そうして地元民が泣くに泣けぬところの大きな災害を受けたのです。今度の場合は、そういう爆発というようなことはないでしょう。橋がやりそこのうてひっくり返るということはありましても、そう個々の人に迷惑をかけることはないと思いますけれども、しかし問題は、財的な被害を受けることがあってはいけないと私は思うのです。これは地元地元だとか、あるいは県のサービスのよし悪しによってきめるんだということにウエートを置かれると、今度は財的被害を受けることになる。これはひとつ十分にお考えいただきたいと思うのです。  そこで、これは朝日新聞に書いてあったのですが、二月一日の記事によりますと、「具体的な着工スケジュールは、これらの調査結果や、民間資金活用を含む財源見通しを得たうえで決定されるが、これまでの調査経過などから、瀬戸大橋の着工、完成が優先することは決定的である。」というような書き方で出ておるのです。これはこれでいいのですか。  それからもう一つ、それと関連して、去る一月三十日、佐藤総理は、着工順位はきまってない、こういうように言われ、そして予算委員会でも同じ発言がなされた。そこで同時着工という話が出てきて、何か話がオブラートに包まれ、その同時着工とは何かというと、それは実施調査をやることが同時着工だというように、何か話が横へ横へずれていったわけです。何が何やらわからぬですが、この記事のことはこれでいいのか、それからこの佐藤発言とどういう関係があるのか、これはひとつぜひお聞きしておきたいことであります。
  35. 根本龍太郎

    根本国務大臣 朝日新聞にどなたがそういうことを言ったか、あるいは観測記事かわかりませんが、そういうことは全然きめておりません。これから公団ができて、諸般の調査並びに技術開発ができ、先ほど申し上げた条件が整ったときにきめるのであります。政府は全然そういうことはきめておりません。  それから、総理は、御承知のようにだいぶ前には一本にしぼるとかなんとかいうことも言ったようでございまするが、この公団をつくるにあたっては、この公団によって私が申し上げたいろいろの条件を整えてからきめるということで、これは総理の御意見も私も全部同じでございます。したがって、私が申し上げていることが現在の政府の統一見解でございます。
  36. 三木喜夫

    三木(喜)委員 総理は、私がきめるのですからと、こうおっしゃっておるのですが、総理がきめられるのですか。
  37. 根本龍太郎

    根本国務大臣 佐藤内閣でございますから、内閣できめるということを、総理は私がきめると、こう表現しておるのだと思います。
  38. 三木喜夫

    三木(喜)委員 最後に管理委員会の問題ですが、管理委員会の仕事の内容はどの程度の内容になっておるのですか。ただお金を出さしてもらうだけが管理委員会の仕事か、公団全部の仕事を管理委員会が管理することをさしておるのか、そしてこの管理委員会がナショナル・プロジェクトに取り組む、国の先端をいく科学を取り扱うということになれば、私は、科学的な検討、研究、調査というものが非常に薄いと思うのです。これはもう時間がありませんから個々に押えて言うことができませんが、逐条的に押えていけば私は非常に欠点があると思う。概括的な言い方だけして申しわけないのですが、ここがここでこうでということをはっきり言う必要があるのですけれども、与党のほうから、どうやら二時ということで、もはやだいぶ頭がつかえてきたようですので……。
  39. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 管理委員会の行ないますことと権限といいますか、これはこの法律の第九条にもございますように、事業計画と予算、資金計画並びに決算、こういうものは委員会の議決を得なければならないことになっております。しかし、もう一つは、先ほど先生から御指摘のございました三十条で、建設についての基本的な基本計画というものは大臣が指示するようになっております。その基本計画の中で、どうこの事業計画を織り込んでいくかということが管理委員会一つの問題だと思います。ただ、先生おっしゃいましたように、管理委員会の運営についてはいろいろ利害がある、メリットとデメリットがあると思いますが、やはりこれは、いま委員会委員七名で、出資団体、いわゆる各ルートからは三名を入れまして、そのほか学識経験者ということになります、そういう人選に人を得れば、決して公団のためにマイナスになるものではないというように考えております。
  40. 三木喜夫

    三木(喜)委員 どこでそうした技術開発をやるのですか。
  41. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実はこの法律をつくります場合に、技術開発のための特別な考えも検討したことがございますが、まずこの公団の中でどういう形で技術開発できるか、いまのこの法律で十分できるということで、結論を先ほど申し上げたような、そういうことになるわけでございます。では、どういう形で技術開発をするかということでございますが、この間の委員会でも申し上げましたように、いわゆる役所の機構としては土木研究所、鉄道には鉄道技術研究所がございます。そういうようなものを使っての技術開発の面、もう一つ民間の電気メーカー、そういうところにやっていただく技術開発と、両面があると思います。そういうものにつきましては、いまの公団の内部の組織の中で、やはり外に対する技術開発を担当する部局、中の技術開発を担当する部局、それを総合的に運営するような一つの組織、そういうものを考えていきたいと思います。また、私の考えでは、技術開発というものはやはり私たち十木屋だけで済む問題ではございませんので、いま公団理事、部長、課長という縦の線は仕事をする一つの線でございます。そのほかに理事待遇の参与というものを設けまして、それに電気技術者、機械技術者を入れまして、横の面でそういう技術開発を推進することを考えていきたい。また、そのためにはやはり電気技術者、機械技術者の協力を得なければいけませんので、そういう人の協力を得られるような中のポストも考えていきたいというふうに考えております。
  42. 三木喜夫

    三木(喜)委員 それなら一つ問題が起こってきます。私は前々から問題にしておるのですが、各技術開発の面において問題が起こってくるのは、たとえば宇宙開発において、ロケットを開発した、このロケット開発技術のプラントなりその特許権というものはどこが握るかということで、東大が打ち上げた、そして産業界にそれを渡した、産業界がそれを握って輸出する。国費で開発しておりながら、その実、その実権は産業界が握る、その会社が握る。そしてそれをブラント輸出してしまう、あるいは輸出する、こういうことが起こった場合に、それは困りますよ。宇宙開発事業団あるいは動燃事業団というものは、その技術はそれに所属するというきめがしてある。これは政令ないしはその他のものでこれをカバーいたしますか。いまのスタッフなら、かりに架橋技術プラントというもの、あるいはそういう世界にまれな特許を持ったとしても、このかっこうではどこに責任があるのかわかりませんよ。参与やそんなものだけ来て、ああでもないこうでもないと協議するだけの話です。技術開発に取り組むところのスタッフがこれにない。委員会は管理だけ、全部管理と書いてある。それから公団の役職員というものは公団の運営だけであって、開発の面が何にもない。ありますか。どこにあるのですか。
  43. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 ただいまの御質問は、いろいろ技術開発をいたしまして、それが民間にやらした場合に、国が相当お金をかけた技術開発が国の所属にならないで、民間の今後の利益になっていくという御趣旨かと思いますが、いまの本州四国との橋のための技術開発の中には、当然電気部門ではそういうものがあろうかと思います。海中のいろいろな新しい工法の技術開発ということになれば、将来の海底開発なんかにも利用されるようなものがあろうと思います。問題は、そういうような一つのアイデアをつくり、それに伴ってものを実際開発していくというような形をとる場合に、では将来、それがどういう形でどんなところに利用されるかということを考えまして、どれだけの国費を出し、民間民間としてどれだけの資金を投入するかという問題があろうかと思います。これは私も非常にむずかしい問題だと思います。いま先生のおっしゃいましたロケットの問題もあわせまして、これが技術開発のためにどういう契約をするか、どういうような条件技術開発していくか、この辺は非常にむずかしい問題でございますので、これは管理委員会を通じまして、そういう弊害の起こらないような形を十分研究してまいりたいと存じます。  もう一つ法律の中には、この委員会のそういうようなあれはないじゃないかということでございますが、これはやはり一つ技術開発というものが、まず新しい公団の発足の大きな一つの仕事でございますので、これは公団全員が一丸になってやるべきだというように考えております。ただ、中にはやはり役員会と、そのほかに技術開発会議というものを設けまして、そういうものを中心に役員会と技術開発会議、さらに民間の学識経験者にお願いいたします一つ技術の顧問、そういうものをあわせました技術開発会議という形で、どういう方向で技術開発を進めるべきか、そういうことを検討しておる次第でございまして、私たちのいまの技術開発会議、これは関係の部課長で編成いたしまして、それに開発のための課、その他をつける、そういうような、内部機構の問題で十分検討してまいりたいというふうに考えております。
  44. 三木喜夫

    三木(喜)委員 簡単に公団を申し上げて失礼なんですけれども、要するにこれは橋かけ屋、それから調査測量屋、そして橋ができたらそこからお金を受け取るところの管理屋、これに終始しておって、あなたがおっしゃるような——私は、今度のこの公団にこそ一つの使命と期待をかけておるのは、要するに科学技術開発研究する開発屋というところがほしかったと思うのです。そうでなかったら、今日まで本四連絡架橋公団についてわれわれが抱いておったイメージ、またはあなた方が言ってきた主張というものは、きわめて法律的には希薄ですよ。道路公社、道路公団あるいは住宅公団をつくった既設の技術を生かしながら行くんならこれでいいですよ。しかし、今回はあげて技術開発ということがいわれているのです。「長大橋の建設並びに長大橋に関する調査、測量、設計、試験及び研究」、これは非常にいいことですよ。いままでの公団法なんかにはなかったところの新しい着点、これなかったら公団意味ないですよ。これによって政府が判断するというのですからね。あなた方の説明では、公団の本部を東京に置いて、ほかのところと連絡するのだとおっしゃるけれども、スタッフを持たなかったら私はだめだと思う。たとえばあなたもおっしゃった機械屋、電気屋を入れてもらうのだ。早い話が今度の架橋は、一つのものを検査する場合にも総合科学ですよ。それに対する発言権もそれに対する監督もできないじゃないですか。大臣大阪に行かれて、工事というものは総合的工事でなかったら、共同溝でなかったらいかぬということを痛感されて帰ったと思う。都市再開発という問題が個々ばらばらでやられておったら困るので、今度の道路公社あるいは鉄道公社、鉄建公団、こういうものまでも含まなかったらできないものでありますから、これが単に政府のコントロールの中にあるところの公団として、非常に都合のいい公団づくりならこれでよろしい。しかしながら、それがある程度の発言権を持つ、そうして技術開発的に権威を持ったものをやろうとしたら、この法律案ではだめなんですよ。これはきょう時間があれば、私はむしろ修正案を出してやってもらいたい。しかしながら、あと二時なら二時の本会議に緊急上程するという段階にこれを置いておいて、そういうことも不可能だろうと思いますから、今後の課題としてこれはひとつ取り組んでもらいたいと思う。これだったら、完全にほかの技術屋にやられてしまいますよ。産業界にもう何もかも技術をまかせなければならない。そこよろしい、そこよろしいというて公団の中でそれをチェックする力もない、こういうことではいかぬと思います。これは私も時間がないですから、五十分までということですからこれでおきますが、これは重大な問題点じゃないかと思いますので、大臣ひとつ御答弁をいただきたい。そして、このあと、地方道路公社でこれをやらすのかとか、あるいは漁業補償について政府はめんどうを見ないのか、こういう問題を関連質問として私のほうへ言うてこられましたから、この点はあわせて大臣に御答弁いただいて、私の質問を終わらしていただきます。
  45. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘になりました点は、非常に研究しなければならぬと思っております。ただ、公団であらゆる研究を全部スタッフをそろえてやると、これまた非常に今度は膨大なものになりまして、そうなりますと今度はまた非常に運営上むずかしくなってくるので、相当部分は、条件をちゃんと明確にさして民間にひとつ委託研究というようなものをやっていいだろうと私は思う。これは、国鉄でもあの新幹線をやる場合に、相当部分があれは実は民間発注で技術開発してこれを総合したというあの点から見ましても、かなりじょうずになったと思います。しかし、いま三木さんから御指摘された点は、これまた非常に大事なポイントでもありますので、十分配慮して、この公団が発足して運営してみて、そういう欠点が出てくれば、その時点においてまた改正するということも考えなければならぬと思っておる次第でございます。
  46. 金丸信

    金丸委員長 関連して佐野君。
  47. 佐野憲治

    ○佐野委員 ただいま三木さんからの質問、それから前回からの連合審査の運輸との関連の中で、大臣は、架橋の三本のルートのうち一本は、現在国会に提案されている地方道路公社法が制定されたらこの中で活用していきたい、こういうことを発言しておられるのですが、この真意は一体どこにあるのですか。もう少し説明してください。
  48. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私があの際申し上げたことは、道路公社でやらせるということではないのです。質問の要旨の中身は、これはこの公団で全部やるかというようなことでありましたが、たてまえは全部この公団で、技術開発から実施設計から建設までやるたてまえではございまするが、ただ、そうなりますと資金量が非常に多くかかって、いまの五道あるいは七道といわれるあの問題、さらに今度は東京湾岸道路というような大きな工事がちょうど同じ時点に要請されてくるので、そうしますれば財源的にかなりの窮屈になってくるので、それを待っておれないというような場所、しかも民間でこれは道路公社法でやらしてほしいというような意思を持っておる方もあるようでございますので、そういう時点になってその条件が整っておりますればそちらでやらしてもよろしい、こう申し上げたのです。特に關谷議員が言われたのは、これでやらしてくれるかというところまで詰め寄られたぐらいの意気込みで、道路公社法でやりたいという意図がかなり出ておったと思われます。そういうやりとりの過程で申し上げたことでございます。
  49. 佐野憲治

    ○佐野委員 關谷委員との質疑ではなくて、他の面でもそういう趣旨のことが問題になったと思います。この点だけ、もう少しはっきりしておきたいと思います。大臣のその発言の中に、調査、研究、技術開発というのができたら、それを引き継いで地方道路公社が建設に当たる、こういう場合もあり得るという趣旨もありますので、これから地方道路公社法案の審議に入る前なんですけれども、非常に重大な問題だということで一応ただしておきたいと思うのですが、地方道路公社法の目的、計画ですね。これはあくまでも地方的な幹線網の整備だ、それが目的にはっきりしているわけですね。性格的に見ましても、あくまでも地方的幹線である。こういう目的、性格が限定されておると思います。だから、設立団体は地方自治体でなければ設立することはできない、こういう規定を置いて、地方自治のたてまえを生かしながら道路の整備に当たっていきたい。地方的な幹線の整備、こういうぐあいに目的や性格、出資関係も非常に限定された法律だと思う。しかしながら、本四架橋その他の問題は、これはやっぱり国土開発建設法なり、高速自動車国道法なり、あるいは日本道路公団法なり、こういう一連の国土開発幹線網の整備で、こういうふうに規定を置いておる法律体系と全くなじまない形ではっきりしていると思うのですが、そういう点をもうちょっと大臣に明確に伺えなければ、地方道路公社法の審議に入りますときに非常に大きな疑義が出てくるので、この点、大臣にはっきりした見解を伺っておきたい。
  50. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そういうふうに御指摘になりますれば、そこにかなりの疑点が出てくると思います。ただ、私が申し上げているのは、あれで国道全部をやらせるという意味ではないのです。たとえばあのルートのごときはかなり島がたくさんありまして、その島と島をどんどん結びつけていって、結果において一本になるということも開発の手段として、あるいは手法としてあり得る。そういうことをやるということになりますれば、地方道路公社法でやって、結果的には全部結ぶということもあり得るわけです。そのほうが、その関係自治体あるいは地元のほうがむしろ早く、しかも経済効果があるというならば、そういうような手段によってやらせることもあり得るという意味でございまして、いわゆる道路公社法で全部やらせるというこっちの積極的意思ではない、こういう意味でございます。
  51. 佐野憲治

    ○佐野委員 大体わかりましたけれども、大臣、これはやっぱりはっきりしておいてもらわなくちゃいかぬと思うのです。あくまで地方道路公社というのは地方行政の体系から例外的な措置だ。道路体系から見ても例外的なものだ。本来は公開の原則で生活基盤、地方的幹線の整備をはからなくちゃならない。それをあえて公社法によって整備をはかろうとするのは例外的な措置だと思う。  それと、国土開発なり本州四国の問題は、大臣が指摘になるように、単なる四国の問題でなくて、日本の国土開発への波及効果その他の重大な影響を持っているものだ。こういう国土幹線網。国鉄の場合も、新幹線網の中にこれを組み入れなければならぬと鉄監局長も言っておるわけです。これはこういう重大な道路である。あるいは首都圏なりあるいは阪神高速道路公団になりますが、この場合といたしましても、都市交通として都市道路網の整備というために地方団体がある程度の出資をしておる。これも例外的なものだと思います。地方道路公社はもっと限定されたものだ。出資者は地方団体でなければならない。しかも地方的幹線網の整備だ。しかも例外的にこれはやっていくのだということ。こういうぐあいに目的がはっきりしておりますので、この法律を本四問題に関連して考えると非常に危険ではないか。そういう意味において、今後の審議の過程においてもう少し性格なり目的を明確にしていきたいと思いますけれども、何だか聞いておりますと、この法律の審議が始まっていないのに、この法律を本四の問題の解決のために——非常に何か誤解を与えているのじゃないか。安易な気持ちでいるのじゃないか。国土幹線網の整備というのは、法律体系からいってももっと別にあると思うのです。それと地方的な幹線網の整備と全然性格が違っているので、そのために出資団体に対しても、あるいはまた地方議会の関与の問題、ことに地方自治のたてまえから相当きびしい規定が置いてあると思いますが、そういう点はもう少し明確に認識して、その問題に当たっていただきたいと思います。  こういうことを一応希望しておきます。
  52. 井上普方

    井上委員 大臣に、関連いたしましてもう少しお伺いいたしたいと思います。  たとえば、先ほど三木委員のほうから御質問になった漁業補償あるいはまた運航——これは運送業者に対する補償もあるいは含まれるかもしれません。あるいは生活保障というような地元の受け入れ体制と盛んにおっしゃっていました。それも必要でしょう。しかし、それの補償の金はあくまでも公団が出すのですか、あるいは地元に負担させるのですか。その点どうでございますか。
  53. 根本龍太郎

    根本国務大臣 誤解のないように申し上げまするが、この前の連合審査で、許可を受けて運送業をやっておる人たちがこの架橋のために相当のディスターブを受ける、その場合に補償するかと言っておりましたが、そういうことはわれわれもいま考えていないのです、補償というものは。ただし、漁業補償は従来やっていますから、これは考えるということでございます。それからその場合に、補償を地元で負担せいという、そういうことは考えておりません。やる場合には、この架橋に関して漁業補償をしなければならない場合には、これは公団がやるたてまえでいくわけでございます。ちょうどダムの建設にあたって水資源公団が補償に当たると同じでございます。
  54. 井上普方

    井上委員 そうでございますと地方自治体はあくまでも世話役、こう考えて差しつかえございませんね。
  55. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そのように考えております。
  56. 井上普方

    井上委員 それから、特にこれは委員長にお願いしたいのでございますが、先般の連合審査のときに、運輸大臣あるいはまた鉄建公団等々を建設委員会に召喚いたしましてこの審議が行なわれるということで、私どもは実は質問しなかった。これが後におきましても、すみやかにそういう機会をつくられることをお願いいたしておきたい。  もう一つの問題といたしまして、その際にも十分お伺いしたいと思うのでございますが、道路及び鉄道建設費はそれぞれ料金及び利用料で償還することになろうと思いますが、償還すべき建設費のアロケーションはもうすでにできておるのですか。
  57. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまのところは、道路だけならこのぐらい金がかかる、それから鉄道を載せるとさらにこれだけふえるという数字は出ておりますが、これによってどうアロケートするかはまだきめておりません。  では、どうしてそれがきまらないのだということでございますが、やはりこれは鉄道料金がどのくらいにあるべきか、道路の料金とすれば、いまの三本の各ルートともフェリがございますが、その料金との比較でどのくらいが妥当であるか、この辺を相当考えていきませんと、単に機械的なアロケートだけで非常に鉄道料金がふえ、また道路の料金を高くしないと償還しないというようなことになっても困りますので、その辺は十分工費の最終的な算定と、それから今後道路としての料金をどのくらいにするか、鉄道としての料金をどのくらいにするか、こういうものをあわせて慎重にきめたいというふうに考えております。
  58. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、料金というような問題につきましては、鉄道と道路とにどれだけのアロケートを持たすかというようなのも全然まだおきめになってい覆い。これからこの公団の内部においてそのアロケートそのもの自体も研究する、こう考えて差しつかえないのですね。
  59. 根本龍太郎

    根本国務大臣 あとで事務当局から答弁させますが、まずやはり技術開発をやり、それから実施設計ができ、どういう規格のものができるということにならないと、観念的にいまアロケートしても、なかなかこれは実情にそぐわない。  それから御承知のように、あの上に新幹線を入れるか普通の路線を入れるか、これでまただいぶ違ってきます。それからもう一つは、あすこに貨物列車を通すか通さないかということも、まだ相当問題があるらしいのです。そういう点がきまり、かつそのときにあたって、こちらのほうの道路は、あすこだけである意味における独立採算になりますけれども、鉄道になりますと、御承知のように全国的な料金体制をとっておるわけでございますから、そうした場合において、あすこだけ特に高くするとか特に安くするということもなかなかむずかしい問題です。その場合にはあの建設に対するアロケートをどのくらいにして、そしてそのほかから、国鉄全体から持ち出してやるかどうかというような問題も出てくるだろうと思います。  そういうような意味で、あれが大体できて供用するときまでにその態様を研究してきめる。したがって、いまからこれについて何ぼ、鉄道とどういうふうにアロケーションをきめるかということにはまだ至っていないという状況でございます。
  60. 井上普方

    井上委員 私は、この問題につきましては、鉄建公団あるいはまた国鉄等々と十分にいままで打ち合わせができて、しておることだと思っていたのです。この問題が起こりだしまして、一体技術的にはどうだという研究は、技術的な研究はおととしからできておるし、経済効果は昨年の二月にもうすでに完了しておるのですね。アロケートなんというのも、できておらなければならないのです。それもできていない。この公団をつくるに際します政治姿勢というものが、非常にあやふやなものでつくられてきておる、こう言わざるを得ないと思うのです。  この問題につきましてはまた次の機会に十分お伺いすることといたしますが、もう少しこれらにつきまして、あるいは十分な検討があったものとして私はお伺いしたがったのです。私ははなはだ遺憾の意を表して、ともかくきょうは関連質問でございますので、この程度にとどめさせていただきます。
  61. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 四十三年に道路単独橋、併用橋の金を発表いたしました。実はその当時と去年あたりとだいぶ変わってまいりまして、その当時はやはり在来線の鉄道を載せるが、これは荷重的には貨物が一番大きな荷重になりますので、貨物線を載せるようなことで金をはじいたわけでございます。  いろいろ去年あたりから新幹線の構想が出てまいりまして、新幹線というのはどの程度の経済効果があるか、どの程度の採算性がそこに出るか、まだその辺がどうもはっきりいたしません。いまの新幹線を入れたアロケートの問題、それから将来新幹線にすれば新幹線がどのくらい乗客を輸送できるか、そういうようなこまかい点がはっきりいたしませんので、そういうアロケートは、もう少しそういうものをこまかく積算されたあと、十分慎重に検討しようということにしておる次第でございます。
  62. 井上普方

    井上委員 そうしますと、私は、いままで発表になられたものと大きな条件の変化があると思うのです。といいますのは、技術的検討の要約というのは、昭和四十二年の五月に出されておるのですね。その後鉄道を載せるとしましても、新幹線だけということになれば、この技術調査の結論も変わってきておると思うのです。そのとおりですね。結論も、新幹線だけという場合と、あるいは貨車も載せるんだ——先ほどのお話によりますと、貨車を載せるのではだいぶ構造も違うというようなことになってきますと、この結論とだいぶ違ってくるのですね。どうです、その点は。
  63. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 四十二年の土木学会の技術報告書、これのときは、やはりいま先生のおっしゃいました新幹線じゃなくて在来線ということで、在来線を載せるということになりますと、いま言いました貨物線が橋梁に対しては一番荷重的に大きな影響がある、それを基礎にして書かれたものだと思います。ただ、技術的なものの内容の中には、当然そういう貨物線の場合と新幹線の場合とは荷重的な影響が変わってまいることは事実でございますが、ここに技術的な報告書に書かれておりました基礎的な問題については、ほとんど変わりないんじゃないか。ただ、橋梁、つり橋の部材の大きさとか、そういうものについては変わってくるということはあろうかと思います。それと同じようなことは、四十三年に出しました工費、工期につきましても、やはり当然変わってくるわけでございます。四十三年に出しました工費につきましては、在来線が載るという前提で工費を出しまして、これがいまの新幹線になりますと、構造的には荷重的に多少軽くなってくることになりますので、その辺は金額としては当然減ってくるという傾向になってくるわけでございます。そういうものもございまして、いまその辺が十分まだ正確に金額として詰まっておりませんので、そういう前提の変わった前の前提でいろいろ経済効果をつくった、これも相当手直しをしなければならないということもございまして、いままでちゅうちょしてまいった次第でございます。
  64. 井上普方

    井上委員 そういたしますと、いままで発表になった技術的な検討、これも変化を来たしてきた、あるいはまた工期、工事費、これ自体も変わってきている。そうなってきますと、これはまだいまも出されていない。いままでは三つの要因で動かされるということになってきたが、根本大臣になって四つのファクターになってきた。その上、経済効果である。根本大臣になってもう一つというのは、地元の受け入れ体制と、こういうことになってきた。ところが、最初の経済効果は去年の二月でできておって、まだわれわれには発表にならないのですが、近々御発表になるということで、これはまあけっこうです。早急にひとつ発表してください。そうすると、技術的な検討も変わってくると、工費、工期もこれまた変わってくるということになると、根本的に全部を、公団でそういうことすらも研究しながら発表していくのですか。どうでございます。
  65. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 実際にそういう前提は多少の変更がございまして、それに伴って実施設計をつくるということになりますので、いま発表いたしました工費についても、今度公団ができまして実施設計をやったときには、多少の変更は出るものだというように考えております。
  66. 井上普方

    井上委員 しかし、これは多少の変更じゃないじゃありませんか。かなり大きく変わってくると私どもは思うのですね。
  67. 根本龍太郎

    根本国務大臣 井上さん、これはいままでは、これを着工しよう、一本にしぼろう、そのために技術会議に頼んだりなんかしたのでありまして、そのままでいけるなら公団は要らないともいえるわけです。そういうものはありますけれども、現実にこの大工事にいくためには、いろいろの要素が変わってくる。まあ変わるのが私はほんとうだと思います。問題は、いかにしてこの四国本州を結ぶ、効率的にしてかつ経済的な安全なものをつくるかということの問題でありますから、その目的のためには、いままで発表したいろいろの技術調査とか何か変更しても、私はそれだけで責任を追及するよりも、むしろよりよきものをつくるために前進することは、やはり政治としてこれは許さるべきではないかと思うのでございますが、おそらくあなたもそういう意味であろうけれども、それならば、なぜこういうふうに変更したということを言わないのかということだろうと思います。その意味において、若干いままでと変わったことがあるならば、なぜ、せっかく皆さんに対してこれはおそらく発表したことでしょうから、これはこういうことであるけれども、今度はこういう条件の変化とかあるいは構想の変化でこういうふうに変わったということを明確にすべきである、こう思います。
  68. 井上普方

    井上委員 これはかなり重要な問題でございます。たとえばこれが鉄道を併用するとするならば、いままで貨車であったのが新幹線に変わってくる。これは大きく、工事費それ自体あるいは設計それ自体も変わってくるのではないですか。そういう場合にはどうなるんだということを、やはり技術的な検討の中から出さしていただかなければならない。あるいは工事費もどれくらいになっているんだ、変わるんだということがやはり発表にならなければうそなんですね。それもなし。しかも経済効果だけは伏せておく。こういうようなことでは非常に不明朗——何といいますか、私はこれは責任を追及するのではございません。当然技術というものは日進月歩のものでございます。いまはこの技術であっても、二年後にはこういうような新しい技術が当然使われてしかるべきだ、また、そうでなければならないと思います。そのためには工期も早くなるし、あるいは工事費も安くなるし、あるいはまた人命の安全というものを考えても、安全対策というものもできてくるでしょう。そういうようなものを、そのつどそのつど、こういうような結果になったのだとこれを発表するのが、当然行政当局としての責務であろうと私は思う。したがいまして、そういうようなところを国民に親切にひとつ御発表になるように今後心がけていただきたいことを重ねて要求いたしておく次第です。
  69. 三木喜夫

    三木(喜)委員 ともあれ、今度の本四連絡架橋公団というものは、私は世紀の大事業だと思います。これに取り組むのには、やはりこの表題にもありますように、「総合的かつ効率的に行なう」ということがあげられておりますが、それにあわせて、私はやはり科学技術開発ということに重点を置いてそれなりの法案の整備——で費なければ付属機関としてでもけっこうですから、機関を置いて、一方では技術開発しながら、一方にその建設に従事をしていく。そしてその建議を政府にする。そこで決定をするという、こういう大上段のかまえをもってこれをやってもらわなければならないということと、そして下には住民の切なる要求、いわゆる経済効果というものを踏まえ、地元協力というものを円滑にやっていく中で、政府資金的にもその関係地域にあまり多くの負担をかけないという配慮をやってもらって、この世紀の大事業が完成されるように私は祈りたいと思います。  これをもちまして私の質問を終わります。
  70. 金丸信

    金丸委員長 吉田之久君。
  71. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 本州四国連絡公団に対する質問に入ります前に、一昨日夕刻、大阪においてガス爆発による大惨事が発生いたしました。まことに憤慨にたえない気持ちでございます。今日この時代において何たるぶざまであるか。また無謀であるか。先ほども三木さんがおっしゃいましたけれども、何か最近、科学に対するおそれというものが非常に麻痺してきているのではないか。科学的変化に対する災害の発生、そういうことに対するもっと国民的な再認識が行なわれなければならぬという感じがしてならないのであります。この本州四国架橋の場合においても、全く同様のことが考慮されなければならないと思う次第でございます。この際、特に被災者に対して弔意を申し上げると同時に、その点を申し添えて質問に入りたいと思います。   〔委員長退席、服部委員長代理着席〕  そこで、先ほど佐野委員からも申しておられましたけれども、どうも本四連絡架橋というもが実施に入った場合に一体だれがやるのか、あるいは今度発足する公団というものが実施設計はやるとしても、一体それ以降はどの程度の任務を持つ組織なのであるかという点が非常にあいまいなものでありまして、場合によれば、地方道路公社に全部おんぶしてもらうというふうな考えもなしとしないというふうな発言を、しばしばわれわれは大臣答弁等から感ずるわけでございます。実は、先ほども別室で、この法案が通った際の附帯決議をどうしようかというふうな相談をいたしておりました。たとえば、架橋順位をすみやかに決定する、これはもちろん公団一つの重要な仕事である。これはお互いに合意ができております。ところが、損失補償と相まって、生活再建及び環境整備のための措置を講ずること、あるいは地方財政を圧迫せざるよう措置することなどという決議をつけようという考え方に対して、一部の理事からは、いや、この公団というものはそこまでやるとはまだはっきりしてないのであって、それは第二段のことであるから、いまここでそこまでの附帯決議をつけることは少し疑義があるのではないかというふうな意見が現に出ているわけであります。この世紀の大事業をやろうとするのに、出発点において公団の性格、任務というものがその程度のものであって一体いいのだろうかどうだろうかという気がいたします。この点、特に大臣どうお考えになっておりますか。
  72. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先般来から御説明を申し上げておるように、この公団の任務は技術開発をし、実施設計をし、架橋するということが任務でございます。そのために必要なる業務をやることでございます。したがいまして、補償も、今日までこういう工事をやる場合において国が補償したようなものをやります。しかしながら、それ以上の生活保障とか、あるいは御指摘になりましたようですが、海上運航がこれでディスターブされたその補償を出すということは、いままで例がほとんどございませんから、そういうものは考えていないということでございまして、通常国がこういう工事を実施する場合における補償はいたすということでございます。
  73. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いまの大臣の御説明を聞いても非常にありきたりの手法と申しますか、ありきたりの行政的措置ということしか考えておられない。しかし、今度、本州四国にかけようとする大がかりな、世界でも事例の少ないような橋を公団を発足させてやろうというこの出発点において、いままで国がこの種の事例において施してきた措置はするけれども、それ以上のことはわれわれはまだ考えていないというふうなことで、こういう大事業というものが進展するだろうかどうか。規模の大小ということは、やはり大きな社会的変化、そしてまた政治的、行政的変化を伴うものでなければならないと思うのであります。そういう点が私は非常にあいまいだと思うのです。たとえば、財源の捻出の問題でありますけれども、この間の連合審査におきまして、關谷委員から、もし地方道路公社のほうから積極的に受け入れようという体制が整えば、それは地方道路公社にやらせてもらいではないかという御質問があった。大臣は、その受け入れの熱意に大いにほだされたのかどうか知りませんが、それならばやってもらってもいいんだというようなことをおっしゃっております。しかし、そういうローカル問題そういうありきたりの問題ではない、新しい性格の大事業だというふうに思うのであります。これはいままでに予想されなかった新しい事業を十分に考慮して、なおかつ政府みずからが異常な決心と主体性をもってやらなければこういう工事はできないのではないか。ただ、地元から幾つも要請があるし、だいぶ政治問題になってきたから、いつまでもほっておくわけにはいかぬので、公団でも発足させて、いろいろ調査をさせて、あとは順番をきめて、何十年かかろうともだんだん進んでいけばいいのであるというようなことでは、たいへん懸念すべき事態が、政治的にも経済的にも、あるいはまたいろいろな工事の進捗状態の中でも思わざる災害と支障が発生するおそれが十分にあると思いますが、この点についてはいかがですか、
  74. 根本龍太郎

    根本国務大臣 まず第一点は、地方道路公社との関係でございますが、連合審査で關谷議員からああいうふうに言われましたので、私はことばが足らなかったようでありますけれども、それだけの熱意があり、また道路公社法で規定している条件を具備してしかるべき場合にはこれは考えてもいい、こう言ったのでございまして、連絡架橋を地方道路公社にやらせるというこちらの積極的な姿勢ではないわけであります。先ほど御指摘がありましたように、あれを初めから道路公社が全部やるということは法律上にも相当疑義があるわけです。そこで、たとえば島と島を連結していく、そのために公社ができた、それがだんだんいって結局は全部つながってしまったというようなことは否定し得ないが、そのほうが開発効果があるし、開発することによってそれだけのメリットがあるということで、地方公社がやる場合にはその方法がとり得る、そういう意味のことでありまして、初めから全部やらせるというような構想で申し上げたのではないというのが一点であります。  それから、この連絡架橋が、いままであまりにも政治的な紛争が出たから、ここでワンクッションを置いて一服というようなことは全然考えていません。これは先ほど来御指摘になったように、日本における世紀の大きな事業であると考えております。ただ、私が地元協力というようなことを申し上げているゆえんのものは、何か大きなプロジェクト政府がやろうとすると、最初は一生懸命にやってくれやってくれと促進運動をし、やがて着手すると今度は条件闘争になる。そうしてむしろこれを阻害するほうにやられてしまう。こういう問題があって、これには非常に大きな困難な問題が伴うわけでありますから、先行取得なりあるいは補償の問題等は、地元のほうからよほど積極的にやってもらわなければ困る。それでああいう地元の受け入れ体制ということを言っておるわけでございます。そういう意味において、決してこの事業の推進を少し先に延ばすためのやり方ではない。何と申しましても膨大な金の要ることでございますから、それだけに早く供用しないと、経済効果も国のほうでもメリットがなければ、地元でもメリットがないわけです。だから、民間も最初は相当負担が重いようだけれども、できるだけ早く開発したほうがずっとそれだけ開発利益が還元されてくる、こういう意味で私は今日までいろいろ申し上げておる次第でございます。
  75. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 大臣のおっしゃる気持ちはわかります。また苦心のほどもわかります。ただ、やはり住民あるいは地元から協力を求めることは非常に大事なことです。協力を求めるということとそれにおんぶしてもらおうということとでは、だいぶ主体性というものが違うわけですが、その辺のけじめが、この間からの政府答弁の姿勢では、われわれははっきりしないという感じがいたします。  それから島がたくさんあるわけですから、いろいろと陸上の施設や工事等については、独自でやれるものはやってもらおうじゃないか、わかります。しかし、できたものが非常にこま切れ的なものであって、だれがつくったものか、どこのものだかわけがわからなかったということでいいのだろうかという疑問も出てくるわけであります。だからその辺は、これから二年間ほど歳月があるわけでございますから、よほど慎重な検討がなされなければならない。同時に、こういう大事業をやる場合に一番重要なことは、一つは、科学の開発であります。一つは、資金の十分な、完全な調達であります。この両者ともが科学的でなければならない。単なる場当たり的思いつきであってはならない。   〔服部委員長代理退席、委員長着席〕 だから、たとえば尾道−今治ルート資金調達面から見て、あるいは地元にかかるいろいろな負担の額等から見て、公団みずからがやる場合と道路公社にまかせる場合、一長一短比較対照すればどうなんだろうということは、もうそろそろ検討されていなければならないと思うのです。たとえばどちらが地元負担が多いか、あるいは資金コストはどちらが有利であるか、あるいはどちらが民間資金を多く集め得る能力を持っているか、こういう問題について少しでもすでに検討されたことがあるのかどうか。そういうことを検討せずして、何らかたとえ一部分でも道路公社にやってもらいましょうというふうなことにはならぬと私は思うのですが、その点どうでしょうか。
  76. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在は、建設省としてはそういう具体的な検討はいたしておりません。それは今度公団ができた場合に、地元の要請があれば比較検討もいたします。われわれのほうとしては、現在はまず技術開発実施設計をやりまして、そうしてそれで何ぼかかるかという計算は当然やっていくわけですが、その場合に、それを利用して、そういう状況であるならばわれわれはむしろ民間でその全体の設計を、今度は自分たちが早く着工して早く開発したほうが経済効果があるということで、地方自治体がその設計を利用していくことにはわれわれは反対しない、こういう意味で解釈していただきたいと思います。
  77. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 次に、民間資金の活用の問題で、現在、日本道路公団あるいは首都、阪神公団は出資金のほかに公団債を発行いたしております。これは政府みずからが運用している分と、それから民間に引き受けてもらっている分、二つから成っている。その民間引き受けに対しては政府が保証しておる、こういう仕組みでございます。ところが、民間設備資金との競合等の関係からでありましょう、年々民間側が引き受ける分がだんだん低下してきておるというのが、今日までここ数年間の趨勢のようでございます。現に昭和四十二年度には五千百億円であったものが、四十三年度には、そして四十四年度にも三千六百億円程度に下がってきておる。四十五年度には三千億円程度に在るのではないか、こういうことであります。こういう趨勢の中で、さらに新たなる民間資金を活用しようとするためには、在来のそういう方法のまだ奥にある純粋の民間協力というもの、政府とは全く無関係なもの、たとえば農協からも信用金庫からも、そういうところから大いにひとつ協力してもらおうという考え方がなければ、この資金計画というものは達成しないと思うのです。
  78. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでございますので、それこそ資金問題については検討しなければならないと思います。そこで、いまの直接のあれにはならぬかもしれませんが、地方道路公社法をつくったゆえんのものは、あれは全部いままで起債のワクに押えられてしまっていた。ところが、それじゃどうもいかない。そこで今度あの法律では、御承知のように、いまの運行資金を県が主体になって農協なり地元銀行から借りて、しかもそれに対して県自体が保証するということになれば、相当活用できるという方法を利用しているわけでございます。それで、今度この公団公団債を発行するような場合はそうした手法も活用すべきじゃないか、こう考えておるわけでございます。そうなりますれば、相当の部分いまの関係の自治体で持てるということを、実は数県の知事さんから私にも申し出がありました。そういうことでありますれば、県が、われわれが保証することによって相当集まりますよ、また場合によっては、われわれのほうで促進するためには、地方道路公社を対象として考えているかもしれませんが、利子補給しても早くやったほうが得ですよというような意見を出しておる人もあるぐらいでありまして、そういう点から見れば、とにかくなるべく早くやるんだ。早くやらなければ、これができ得れば十年か八年でやらなければ、この経済の発展の激しいときに——これをやればやるほど効果があるときですから、早く着工させてくれという機運が非常に盛んなようでございます。
  79. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 たいへんけっこうな動きだと思います。ただ問題は、そういうように地方自治体が引き受けて、純粋にそれぞれの民間の全融機関から資金を活用しよう、しかし、いまおっしゃったように、当然利子補給という問題が出てくると思います。それがまたある意味において地方財政を圧迫しはしないだろうかという懸念もしなければなりません。しかし、それはその地方の開発に大きくメリットがあることなんです。その辺の指導あるいはローカルな合意というものがよくやられれば、期待以上の効果も発揮できるのではないか。建設省の責任も大いにその辺にあるだろうと思います。  いま一つは、いろいろと第六次五カ年計画なんかを推進する場合にも財源が不足いたしておる。ひとつこの際、自動車新税というものを考えようじゃないかという動きが最近非常に顕著になってまいりました。時間がありませんので、はしょって質問いたしますけれども、こういう自動車公債の発行が可能であり、有効であるならば、そういうものもこの本四連絡橋の場合には活用していく、あるいは適用を求めていくということは、いまの段階でいささかでもお考えでございますか。
  80. 根本龍太郎

    根本国務大臣 実はそういうものをも含めて四十六年度予算編成までには特定財源を考えようということで、これは大蔵大臣もその旨は了承しておるわけです。党側といたしましても、社会資本の立ちおくれておるとき、単にガソリン税だけ、これの増徴だけではとてもいかないじゃないか、しかも自動車公害、交通戦争といわれる今日このままではいかぬじゃないか、そうするならばやはり間接税的なものあるいは自動車税的なもの、あるいはトラックに対する課税とか、そうした財源を総合的に充実させてやらなければ、現在の過疎過密の経済的偏在も解決できないということで、われわれとしては、これにぜひ特定財源をやり、そしてこっちにやらなければとてもやり切れないと思っておる次第でございます。これは精力的に実は主張しておる次第でございます。
  81. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 同時に、かりに自動車新税が非常に有効であるからといっても、全国新幹線もそれだ、道路もそれだ、橋もそれだということでは実際上とても不可能でございます。だから、いま大臣のおっしゃったように、あらゆる角度からこの際、そういう公共投資に対する財源の確保あるいは税の再検討というものを積極的に進められなければならない。要するに、この本四連絡公団が発足しなければならないという点では全く同感でございますが、先ほども申し上げましたとおり、決して大臣はそうお考えになっていないと思いますけれども、異常な決心で、しかもき然たる主体性を持って、かつ資金的にも大いに科学的に検討されなければならないことについては、この公団発足と同時にこれからもわれわれはいつもそういう点をさらに質問し、また報告を求めていくということを特に付言いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
  82. 金丸信

  83. 浦井洋

    浦井委員 私は、共産党を代表いたしまして、このたびの本州四国連絡橋公団法案について質問をいたしたいと思います。  時間がないのでひとつ簡潔にお願いしたいのですが、本州四国の間に橋をかける、こういうことにつきまして、これは本州四国の交通の安全であるとか、あるいは四国経済発展に貢献するものであるというふうに考えて、私どもの党は、連絡橋をつくるということについては賛成をいたします。そして、この連絡橋のできることによって、四国の四百万住民の生活が一そう豊かになる、そして業者の営業が発展するということが当然なければならないというふうに考えるわけでございます。ところがこの公団法案を見ますと、必ずしも住民が願っておるような方向にいかないと思われる不安がありますので、その点について少し質問をしたいと思うのですけれども、第一の問題はやはりルートの問題でございます。私は、どこにつけるかという点をはっきりさせるべきだというふうに思うわけです。私自身は神戸の出身ではありますけれども、決してその特定のルートを支持する、代表するというような立場ではないということをはっきりさせておいて、なぜルート決定を急ぐのか、早くしなければならないかという理由を三点ほど述べてみたいと思うのです。  第一点は、ルートの決定をめぐってのいままでの動きが、客観的、合理的なもので表しに非常に政治的な動きであった。毎日新聞によると、すでに陳情合戦あるいはいろいろな形でいままでに費やされてきた費用が、各地元合計いたしますと二十億円に達する。出張旅費とか雑費その他を合わせると、国の費用も入れて優に百億をこえる。そうすると、たとえば若戸大橋であればもう二つかかっているというようなことが出ておりますけれども、こういうようなことをやっておったのでは、これは地元住民の利益に反する。へたをすると汚職、腐敗の根源にもなりかねないというふうに思うこと、これが第一点。  それから第二点は、ルートをはっきりさせずに公団法案が出たわけでございますけれども、そのためでもありましょうが、この法案を研究すればするほど、相当基本的主点についてまだ不確定因子が強い。これでは法案が通っても、われわれはいわば白紙委任に近い形でとにかく公団を発足させる、そしてあと大臣の権限でよろしくやってくれというような結果になってしまう危惧がある。これが第二点です。  それから第三点は、ルートの決定をせずに地元の受け入れ体制を要請するということは、今後もやはりいままでのような陳情合戦を強化させる。そして非常に不明朗な政争の具に、橋がされるという可能性が残ると思うわけです。  以上の点から見て、また先ほどから論議されております、いまだ発表されておらない経済効果というような点も、調査結果も明らかにしていただいて、どこにどういう連絡橋をつくるのかという点を、もう一ぺんここで私、あらためてお聞きしたいと思います。
  84. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いま御指摘のありました点は、ほとんど何回も御答弁したところでございまするが、せっかくでございますから簡潔に申し上げます。  まず第一に、公団法をつくっても依然として陳情合戦が続くじゃないか。それは禁止するわけにはいかないけれども、それにはほとんど動かされません。いままでの経過ですと、この法案を出すということになって、ほとんど私には来なくなりました。それまではたいへんな精力的な陳情がありましたけれども、この法律公団ができれば、そこで客観的に技術開発実施設計をやって、しかる後やると言ってからはほとんど陳情が来なくなりました。  それから、その次に早くきめろということでありますが、そのためには、そういった陳情合戦に動かされないで客観的にきめるために、公団技術開発実施設計をやって科学的な判断できめよう。  それから経済調査は、先ほどいろいろ御論議がありましたので、ただこの調査が、それはある時点における調査であって、しかも四国を主体としたものであって、ほんとうの経済効果は、それは全国的な背後地帯をも含めなければなりませんので、誤解のないように、これから発表したところの経済効果が、こっちがちょっといいじゃないか、なぜこちらをやらないかというようなトラブルのないように、これは条件づきの理解をしてもらう意味前提として発表する、こういうことにいたします。
  85. 浦井洋

    浦井委員 次に、三ルートをつくる問題でありますけれども、私はやはり、橋の完成する時点昭和六十年くらいというふうに予想されておるわけですが、そのときは三本の橋が必要だというふうに思うわけですし、いままでの大臣答弁の中でもそういうことだったと思うのですが、三本ともつくるのだ、建設するのだというふうにもう一度確認したいのです。
  86. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは何回も申し上げておるところでございますから、確認いたします。
  87. 浦井洋

    浦井委員 そこで少し技術的な問題に入りたいと思うのですが、この橋の計画、それから管理、運営というものを、この法案が通ればこれでやるわけですが、当然地元の関係住民の意見とかあるいは希望、願い、こういうものは十分反映さるべきだというふうに考えるわけで、その点について二、三質問したいのです。  まず一番は、管理委員会の件です。七名という数字が出ておりますが、その中の三名は、地元の関係地方公共団体の推薦する者から選ぶということになっておるわけです。関係地方公共団体というのは、きょうの資料では八つとなっておりますが、どういう——公平に選ぶのか、それとも特定のルートの代表を選ぶのかという点についてお聞きしたい。これが第一点。  それから、残りの四名は学識経験者あるいは専門学者だろうと思うのですが、どういうような方を選ぶのか、もう少し補足説明していただきたい。  それから、管理委員会についての第三点は、他の公団の管理委員会の様子などを勘案して、この公団の管理委員会というのは、実際にどの程度開かれて——これはきょうの資料に出ておりますけれども、どのくらい開かれるのか。その辺の三つの点をお聞きしたいと思います。
  88. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 まず、管理委員会の七名のうち三名でございますが、これはやはりきょうお手元にお配りいたしました資料にもございますが、出資する地方公共団体として八つ、そのほかにも大阪の市、府が今後の検討をすることにしております。この三つのルートはおのおの性格がありまして、おのおのその地域の開発のために非常に役に立つということでございますので、私の考えでは、おのおの三つのルートのそういう地域開発に非常に造詣の深い人を選んでいただいたらというふうに考えております。  七名のうちのあとの四名でございますが、これは学識経験者でございます。これも公団ができまして新しい総裁のきめることではございますが、私たちの考えといたしましては、やはり橋梁というようなものに経験のあるような学識経験者の方、技術的な発言もされる方及び全国的な総合開発計画というものについての造詣のあるような方、こういう人から選ぶのが、この運営としてはいいのじゃないかというふうに考えております。  もう一つ、何回ぐらい開くかということでございますが、管理委員会は現在の首都高速道路公団、それから阪神道路公団がございますが、やはり法律に規定されております事業の計画というものを正式に諮問するのは一年に一回かと思います。ただ、いま私たちの考えておりますのは、首都公団とか阪神公団と違いまして、やはり地元の総合開発的な計画というものと橋との関連が非常にございますので、そういう意味では、いま言いました学識経験者によって管理委員会をつくりますと、正式の委員会のほかに、そういう人の意見を聞くような回数はできるだけ多く開くべきだというふうに考えております。
  89. 浦井洋

    浦井委員 次に、基本計画なんですが、その内容はやはり施行令の中に入っておりますからわかったわけなんですが、本文によりますと、結局基本計画というものは、それぞれの関係の地方公共団体での承認を要する、議決を要するというふうになっていると思うのです。こういうふうになっておる場合に、ルート三本とも全くの同時着工の場合はどこも異議はないと思うのですが、かりに着工のときに順序がつけられた場合に、なかなかそれぞれの関係県議会あるいは市議会の承認が得られないのではないかというような危惧を持つわけであります。そういうようなことになりますと、結局は、まずルートの決定においても建設大臣がきめて、関係する地方自治体の議会の承認を得るというような形で、ここにうたわれているような方向でなしに、その逆のルートが起こってくるのではないかというふうな危惧が持たれるわけですが、その点はどうですか。
  90. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 いまの危惧もあろうかと思います。基本計画をきめます場合に、たとえばあるルートだけ、これだけの基本計画をきめて、あとは何もきめないということになりますと、これは非常に問題があろうかと思います。ただ、この基本計画そのものは、将来六十年までには三本かけるんだということで、やはり三つのルートについてきめなければならないということと、基本計画をきめる、また変更しようとするときには道路管理者の同意を得なければならないということは、一つルートについての道路管理者でございますので、そのほかのルートについて、たとえばAルートについては広島の道路管理者の同意を得なければならないということでございませんので、その辺は十分配慮して基本計画をきめていけば、そういうような議会の議決が得られないというような事態にはならないと考えております。
  91. 浦井洋

    浦井委員 次に、資本金、建設費の問題がだいぶ出ましたのでなにしますが、でき上がった場合に、通行料金の場合、たとえば目的の項には「有料の道路及び鉄道の建設及び管理」というように、有料であるということをはっきりうたっておるわけですが、たとえば明石−鳴門にかかった場合に、淡路島の島民というか住民というか、これは無料にするとか軽減するとかいうふうな方法は必ずしも不可能ではないと思うわけなんですが、その辺の見通しはどうでしょうか。
  92. 蓑輪健二郎

    蓑輪政府委員 現在道路公団でやっております有料道路でも、特に住民のために、一般的な原則として軽減するというようなことはやっておりません。この軽減の方法といたしまして、一般に通行する人が住民であるか、ほかから来た者であるかというような区別も非常にむずかしいと思います。  もう一つは、いまの現状では、例をとって言いますと、淡路島の方が神戸に行くときには、やはりフェリということになると料金を取られるわけでございます。やはり現在通行のために必要な料金の以下で定めていきたいと考えております。
  93. 浦井洋

    浦井委員 そういうふうにお聞きしましたところ、やはり管理委員会の構成、運営、それから基本計画と地方議会との関係、まだまだ不確定なところが多くて、地域の住民の願いというものが十分に反映されておるとは言いがたいというふうに思うわけですが、そういう点について私はひとつ積極的に提案をしたいと思うのです。デモクラチックに選ばれた地域住民の代表であるとか、あるいは専門学者などを含めて審議機関をつくって、たとえば公聴会なども開いて計画案をもっと適正なものにして、そして、それを地元関係住民に公表して意見を反映させた上で、最終的には国会での議決を経るというような方法できめるべきだと思うわけですが、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
  94. 根本龍太郎

    根本国務大臣 現在のところ、せっかくの御提案ですが、そういうことは考えておりません。
  95. 浦井洋

    浦井委員 そこで、ぜひ確認しておきたいことがあるわけなんですが、この法案を実施するにあたって、次の三点はぜひ貫いていただきたいというふうに思うのです。  この公団側が、本州四国架橋にあたって地域の住民などの利益を守る立場を貫く、こういうことが一つ。それから第二は、公団をデモクラチックに運営をする、そのためには管理委員会あるいは役員、こういう人たちは、公団が実際に必要とする適切な人材を公平に配置して、たとえば天下り人事というような不明朗な人事は行なわないということが第二点。それから第三点、公団の経理というものは何らかの方法で公開するということで、中でややこしい——絶対に腐敗、汚職というようなものは起こさないということ。この三点はぜひ守らなければならぬというように考えるわけですが、どうでしょうか。
  96. 根本龍太郎

    根本国務大臣 概念的にはそれはわかりますけれども、経理の公開というのはどういうことを意味するのか、これはみなちゃんと国の監査を受けて国会に報告されますから、それでいいと思います。それを一々利害関係者を呼んで説明するということは要らないと思います。  それからまた、天下り人事と申しますけれども、これは特殊な技術者その他が相当必要です。したがって、いまの建設省なりあるいは運輸省のほうからも、相当これはやらないと充足できないということであって、それは天下りではないと私は解釈しております。もちろん、民間人からもこれは使います。  それから、生活をちゃんと見るということは、これは当然なことでございます。
  97. 浦井洋

    浦井委員 最後に一つ申し上げたいのですが、初めに言いましたように、私はこの瀬戸内海に橋をかける、それから本州四国の交通の発展をはかるということについて賛成したいというふうに考えるわけなんですが、実際にこの公団法で橋をかけていくについては、非常に多くの問題を残しておるというふうに考えるわけです。時間がないので省略いたしますけれども、橋の可能性でなしに、たとえば橋の安全性がどうなっているか、それから通行の安全性、工事中の災害防止、それから工事がもたらすところの漁場や農地、それから架橋地域の住民などに対する被害を最小限に食いとめる、それから瀬戸内海の海運業者を含めて被害を補償するというような多くの問題をかかえておるわけですが、そういう点で今後ともほんとうに四国四県をはじめ、関係住民の利益が守られるような橋の建設のために私どもも努力したいというふうに考えるわけで、大臣もいままでの答弁の中で言われておりますように、その点で地元住民の要望、意見、願い、こういうものが十分に反映されるような方向で努力していただきたいということを要望して、最後に決意を一言お伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  98. 根本龍太郎

    根本国務大臣 申し出の点は十分配慮いたしまして、慎重にしかも安全に、そうしてみんなに喜ばれる橋をつくりたいと思っております。
  99. 金丸信

    金丸委員長 この際、ただいま審査中の三案中、内閣提出本州四国連絡橋公団法案につきましては、他に質疑の申し出もありませんので、本案に対する質疑は、これにて終了いたします。     —————————————
  100. 金丸信

    金丸委員長 引き続き本案を討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、これより直ちに採決いたします。  内閣提出本州四国連絡橋公団法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  101. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  102. 金丸信

    金丸委員長 ただいま議決いたしました本案に対しまして、正示啓次郎君、阿部昭吾君、小濱新次君、吉田之久君及び浦井洋君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者正示啓次郎君から趣旨の説明を求めます。正示啓次郎君。
  103. 正示啓次郎

    ○正示委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党を代表いたしまして、附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     本州四国連絡橋公団法案に対する附帯決議(案)   政府は、この法律の施行に際し、左の事項について努力すべきである。  一 国土総合開発との関連を考慮して、架橋順位をすみやかに決定すること。  一 地方自治を尊重し、地方財政を圧迫しないよう措置すること。  一 適切な損失補償とあいまって、生活再建及び環境整備等についても十分配慮すること。   右決議する。  以上の事項につきましては、御承知のとおり、委員会の審議過程において論議された重要な問題がありますので、ここに附帯決議を付し、政府の適切な措置を要望するものであります。  以上が本案に附帯決議を付さんとする理由であります。各位の御賛同をお願いいたす次第であります。
  104. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し、別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  105. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、正示啓次郎君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、根本建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣
  106. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ただいま採決されました附帯決議につきましては、御趣旨に沿って努力いたしたいと存じます。     —————————————
  107. 金丸信

    金丸委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  109. 金丸信

    金丸委員長 この際、建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  根本建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣
  110. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ここに各委員の皆さまに印刷したものを差し上げておりますので、これで御承知願いたいと思いまするが、主として私は今回行って見た後の所見を申し述べまして、これに基づきましてもし御質問がございますれば、御説明いたしたいと思います。  昨日、羽田五時発の飛行機で参りまして、直ちに現場に設置されてありまする現場の対策本部に入っていきました。そこには中馬市長ほか関係のおも立った人が集まって、今日までの経過の御説明がございました。この経過がここに書いてあるのでありますが、それから現場はすぐ近くでございましたので行きました。行ってみて想像以上の被害の状況に、私はしばし絶句したのでございます。と申しますのは、工事のための覆工板がまるでめちゃめちゃに散乱しておる。ただ幸いにも——幸いと申しますか、私が行ったときには大阪の警察の機動隊、消防署、関係者の非常な必死の努力で遺骸あるいはまた負傷者の処置はできており、凄惨なそれだけはなくなっておりました。  ところで、現場に私が行こうとしたら、それはあぶない、まだ非常に危険であるからということで、中まではだれも入れさせてくれなかったので、そばからずっと見てきたのでありまするが、おそらくこういう工事中の爆発としては、よその国でもほとんどないのじゃないかというほどの大きなもので、私は驚いたのでございます。  いろいろ事情を聞いてみますと、あの工事については、関係者はそれぞれ指示されたことはかなり守っているようなんです。安全のために、二日前、それから前日と当日も調査はしておるのですね。確認しておる。にもかかわらずああいう事故が起こったことについて、どうも私は解せない。そこで、これは慎重に原因を調査してもらわなければなりませんが、確認をしたけれども、確認の方法に手落ちがなかったかどうかということですね。これの究明を客観的にやらなければならないのじゃないかということがまず第一点です。  確認の方法は、ただにおいでやるよりほかはないということを言っているけれども、この科学技術の進んだ今日、科学的にガス漏れがはっきり探知できないというところに疑問を持ちまして、このガス漏れの探知機の開発を精力的にやらなければいけないということが一つでございます。  それから、建設現場の担当者は、こっちから指示したところの工法はよく守っているようでございます。したがって、動揺とかつり下げの工法に誤りがあって、そこから出たとは思えない状況でございます。しかし、これは厳重に検討してもらわなければならぬ。爆発後そういうものがくずれたとか、何かによってああいうふうになったというような結論はまだ出てないようなんです。ただし、私は、自分の所見として本日の閣議にも報告し、参議院の本会議質問にも答えたのでありまするが、ああいうふうに非常に大都会の密集したところでございまするから、非常に埋設物が複雑に入り組んでおります。そういうところでオープンカット方式の工法を——これは禁止するわけにいかない、いまのあれでは。みな発注者の意思によってきめられておる。私は、あれを許可するときに、これは法律上の改正が必要かどうかまだわかりませんけれども、ああいう密集地帯の非常に複雑な埋設物のあるところでは、工法を条件つきにきめて、シールド工法をとるならとるという条件のもとに許可するということも検討すべきじゃないかということを、これは運輸大臣にも、それから通産大臣にも私は意見を出しております。ただ、シールド工法をとるに適当でない地盤もあるようでございますから、そういう場合には、むしろ私はガス管を移設してしまって、移設してから工事をやるという、命令でやれるなら、そういうふうな方法をとるべきではなかろうか。いずれにいたしましても、いままでやって指示したことで間違いないということを技術者の諸君が言っているようでありますけれども、それだけでは満足せずに、私は工法全体を再検討すべきだということを、きょうの閣議で提案している次第でございます。  それから私が現場で聞き、また、いろいろその後の調査で確認したことでございまするが、工事関係者の死傷者は非常に少ないということです。わずか三、四名のようですね。ところが大部分は工事に関係のない人、しかもその地域の人よりも、むしろよそから来た通行人が非常に多かったということでございます。なぜそうなったかということをいろいろ聞いてみますと、最初修理に来た、安全装置を手入れするために来たガス会社の職員が乗ってきた車がその現場にあって、それが燃え出した。ちょうど夕方どきで、サラリーマンやいろいろ通行人がバスとか何かで来たところが、道路のまん中で燃えているから、それに興味をそそられてずっとみな出てきたらしいですね。警察は交通規制はしたんですけれども、制止したけれどもみんなぞろぞろと来て、制止が物理的に行き届かなかった、力の関係で。もうだあっと来るものだから。そうしているうちに爆発、それでああいう被害が大きくなったということでございます。機動隊が来て現場の処置等一生懸命やったようでありまするけれども、どうも一般の市民の方々が、ガス漏れによって起こる爆発の危険性を認識しない。写真をとるとか、子供なんかは——子供さんが死んだのがだいぶあったようですけれども、それなんかはやはり興味本位で、燃えておるのでみな集まるから、ますます人が集まってきたというところに爆発の連鎖反応が起こった、こういうことでございますから、私は今後の対策として、ガス漏洩のあるところの地区については、今後警察がまず何よりも避難命令を早く出して、それから消火なり何かということ、ガスの手当てをするというほうがむしろ適切じゃなかったか。大阪の警察本部長も、そういう経験がだれもないものだから、ただ一生懸命燃えているところを押えるのに集中したのではなかろうか。そこで今後は全国的に、ガス漏れの地帯については何よりもまず避難命令、それからいまの交通遮断してそこに人をやらないというような措置が必要ではなかろうか、こういう所感を持ちました。  それからもう一つは、これは通産省に対しまして、先ほど申したようにガス漏れの自動探知機の開発と、その設備をすべきであるということで研究してほしいということを要請しました。  それから、私も非常にガスの知識がなかったために——あの事件が起きて、ガスがとまるまでに三時間かかっておりますね。なぜすぐにとめられないのかと申したところが、専門家のほうでは、メーンパイプ、そのそばを何とかして急にとめると、今度はその圧力の変化で、家庭で使っておる火から引火してさらに大きな爆発を誘発するので急にとめられない。何かとめる前には大きな風船みたいなものをそばに置いて、そこに吸い口をつけて、そうして圧力を調整しながらとめなければならぬ、そのために三時間もかかった。これは現在、それよりほかないということです。それはあまりにもプリミティブではないか、そういうことであるならば、やはりガス漏れが出た場合にパイプを安全に、かつすみやかに遮断する技術開発を当然やるべきだということもお願いしてまいった、こういう状況でございます。  建設省といたしましては、直ちに事務当局に今後こういうことの絶対ないように、まず現在各地で地下工事等をやっておるところを総点検して、万全の上にも万全を期する指示を与えたということと、それから今後地下工事を、特に大都会でやる場合にはできるだけシールド工法を採用するということ、それから移設する検討を命じておる次第であります。  なお、今回私は、自分の所管でないけれども非常にショックを受けたのは、あそこの警察官で非常に優良な機動隊の隊長が、死体やそれから負傷者がそこに見えておるものだから、やはり自分の身の危険を全然忘れてしまって非常によくやったために、一酸化炭素を吸入してしまってなくなられたという。そこで私は、いままでああいう災害に対して、ああいう警察隊とか警察官があまり経験がないからそうだと思いますけれども、国家公安委員長には、大都市については消防と、警察官にはガス漏れの場合に安全な防具をちゃんと整備してやらないと、職務に忠実なる人間に不測の災いが起こってくる。最初はみんなあぶないと警戒しておったらしいですけれども、あまりにも悲惨な状況のものだから忘れてしまって、抱きかかえて搬出に夢中になってしまうのは、これは人間の本能だと私は思うのですね。だからして、それは不注意だといってしかることはできないのじゃないか、やはりこれは防具をちゃんと与えておかなければああいうところの処置ができないじゃないかと思いまして、さっそくこれを公安委員長に申し入れておいた次第でございます。  概略以上でございます。もし何か御質問ございましたら、私の知っている範囲内で御答弁申し上げます。
  111. 金丸信

    金丸委員長 ただいまの根本建設大臣の発言に対する質疑は次回に譲ることといたします。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十一分散会