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1970-03-25 第63回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十五日(水曜日)     午前十時二十分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 正示啓次郎君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 小川新一郎君 理事 吉田 之久君      稻村左近四郎君    木村 武雄君       砂原  格君    丹羽喬四郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       藤波 孝生君    古内 広雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       卜部 政巳君    佐野 憲治君       松浦 利尚君    三木 喜夫君       北側 義一君    小濱 新次君       浦井  洋君  出席政府委員         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         労働省労働基準         局補償課長   松尾 弘一君         労働省労働基準         局安全衛生部安         全課長     中西 正雄君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   山本 秀夫君         建設省住宅局建         築指導課長   前川 喜寛君         消防庁予防課長 高田  勇君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     宮地 直邦君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     東  貞三君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月二十四日  辞任         補欠選任   松浦 利尚君     岡田 利春君 同日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     松浦 利尚君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  本州四国連絡橋公団法案内閣提出第八二号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  すなわち、建設行政基本施策に関する件調査のため、本日、日本住宅公団より総裁林敬三君、理事宮地直邦君及び理事東貞三君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 金丸信

  5. 金丸信

    金丸委員長 まず、提案理由説明を求めます。田村建設政務次官
  6. 田村良平

    田村政府委員 ただいま議題になりました本州四国連絡橋公団法案につきまして、提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。  近時わが国経済発展国民生活向上にはまことに目ざましいものがありますが、なお一そうの発展向上をはかるために、国土の効率的な利用と均衡ある発展を目標といたしまして、国土開発基礎条件であります交通幹線整備をはかり、開発可能性を全国土に拡大することが最大の急務と考えます。  特に、本州四国の間は、瀬戸内海に隔てられて円滑な交通が著しく阻害されて今日に至っております。これを道路及び鉄道連絡橋で結び、本州四国を一体とする総合的な開発をはかることを熱望する声は、年を追ってますます強くなってきたところであります。  政府及びその関係機関におきまして、この期待に応じて、長年にわたり道路及び鉄道に関する技術の問題、経済効果等につきまして鋭意、調査、研究を進めてまいりましたが、その結果、大規模なつり橋を含む連絡架橋建設技術的に可能ではありますが、なお多くの解決すべき問題を持っております。本事業を遂行するためには、新たにわが国技術の総力を結集いたしまして、これに当たる必要があることが明らかになったのでございます。また、本事業は、大規模かつ長期にわたるものでありますため、その財源としては国及び地方公共団体からの出資、なお低利融資等が必要とされるのであります。  このため、政府といたしましては、本州四国の間を連絡する道路及び鉄道建設、さらに管理に専念し、総合的かつ効率的にこれを行なう事業体として、新たに本州四国連絡橋公団設立することといたしたのでございます。  以上がこの法律案提案いたしました理由でありますが、続いてその要旨を御説明申し上げます。  まず、本州四国連絡橋公団は、本州四国連絡橋にかかる有料道路及び鉄道建設及び管理を総合的かつ効率的に行なうこと等により、本州四国の間の交通円滑化をはかり、もって国土の均衡ある発展国民経済の発達に資するためにこれを設置するものであります。  第二番に、本州四国連絡橋公団は、法人といたしまして、その資本金は、政府及び政令で定める地方公共団体からの出資金合計額といたしまして、政府公団設立の際二億円を出資することといたしております。  第三に、公団に、管理委員会を設置することといたしました。管理委員会は、任期二年の委員七人及び公団総裁をもって組織するもので、事業計画予算資金計画及び決算についての議決機関とするものでございます。  第四番に、公団の役員として総裁、副総裁理事及び監事を置くこととし、その任期は、それぞれ四年といたしております。  第五に、公団の行なう業務でございますが、道路整備特別措置法に基づく有料一般国道建設及び管理並びに鉄道施設建設、さらに管理を行なうことを主たる業務といたしまして、あわせて有料自動車駐車場建設及び管理等を行なうことといたしておりますが、公団の行なう本州四国連絡する道路及び鉄道施設建設には、それぞれ建設大臣及び運輸大臣が定める基本計画に従ってなされることといたしております。  第六に、公団の財務及び会計でありますが、公団事業計画予算資金計画、財務諸表、借入金、本州四国連絡橋債券等につきましては、建設大臣認可または承認を受けることを必要といたしております。なお、建設大臣認可または承認をしようとするときは、あらかじめ、運輸大臣に協議しなければならないものといたしております。  最後に、公団設立に関する事務は、建設大臣運輸大臣に協議して任命する設立委員に処理させることといたしまして、公団の成立の際、現に日本道路公団及び日本鉄道建設公団が行なっております本州四国連絡架橋に関する事務につきましては、これを本州四国連絡橋公団が承継することといたしております。  なお、本州四国連絡橋公団昭和四十五年度に施行すべき事業に必要な資金は十三億五千万円を予定いたしておりますが、これには、政府出資二億円、関係地方公共団体出資二億円のほか、借り入れ金九億五千万円を充当する予定でございます。  以上がこの法律案提案理由並びにその要旨でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださるようお願いいたします。
  7. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。      ————◇—————
  8. 金丸信

    金丸委員長 建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  先刻決定しました参考人からの意見は、質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承ください。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  9. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは主として高層建築の防火問題、防火設備、こうした関連について建設行政並びに公団、さらには消防庁の見解を承りたいと存じます。  なお、本問題につきましては、たいへん重要な内容でありますから、関連質問として阿部理事、さらに卜部委員のほうから適宜関連質問を行ないますから、あらかじめ委員長のほうで御裁量いただきたいと存じます。  まず、消防庁高田予防課長お尋ねいたしますが、公団建設する住宅団地防火体制が完全になされておるかどうか。私はいま具体的な一つの例として、昨年の一月一日埼玉県の武里団地で起こった火災、さらに本年二月六日赤羽台団地で起こった火災の例について、具体的な問題として御質問をするわけであります。この赤羽台団地には、消火せんあるいはその他の防火設備、これが全く皆無の状態であったという結果が出ておるわけでありますが、消防庁のほうでは赤羽台団地消火設備についてどのように把握しておられるのか、この際お尋ねしておきたいと存じます。
  10. 高田勇

    高田説明員 お答えいたします。  赤羽台団地の場合の例をあげて先生お尋ねでございますので、赤羽団地について申し上げますと、出火を中心にいたしまして半径百四十メートル、これで円を描きました場合、消火せんその他の水利の状況について見ますと、公設の消火せんが四カ所、それから四十立米の水をたくわえた貯水槽が三カ所、それから百立米たくわえました貯水槽が一カ所ございました。
  11. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに消防庁お尋ねいたしますが、私が現地調査した範囲、さらには現地の地元の方あるいは被害を受けられた皆さん方からいろいろと説明を受けた範囲では、当初消防署がかけつけたときに貯水槽も役に立たなかった、そしてまた直接的な消火せんがなかったために、放水するまでに非常に時間がかかった、さらに、はしご車がなかったために、はしご単が到着するまでに相当な時間がかかった、こういう報告を受けておりますが、間違いありませんか。
  12. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  赤羽台団地火災の場合につきましては、私どもの受けております報告では、出火が十二時五十四分、それから確知が十二時五十五分、消防隊の出動が十二時五十六分、現場に到着いたしましたのが十三時一分、こういう報告を受けております。それによりまして三隊三口が出まして、一つは、先ほどお答え申し上げました四カ所の消火せんのうちの一カ所の消火せんからポンプ車が水を取り、それから連結送水管を利用して内部による消火活動を行なった。それから、あとから参りましたスノーケル車が外側からその活動を行なった。そのスノーケル軍が参りましたときには、かなり連結送水管による内部消火活動、あれは一戸の火災で終わりましたもので、ある程度消火活動をやったことによって、もう相当程度消火されていた状態においてスノーケル車が到着し、そして消火活動を若干やった、こういうような状況になっております。それで放水を開始いたしましたのが十三時六分、放水を中止いたしましたのがその後十四分後の十三時二十分、こういうことでございますので、私ども判断ではそれほど、先生指摘のような時間が非常におくれたという事実はないと報告を受けております。
  13. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらにお尋ねをいたしますが、現地消防署の方、消火に当たった消防署の方自身が、現地住民座談会において、はしご車が到着をしたときに、この火災を起こしておる団地周辺の地盤がやわいために、はしご車を固定するのに非常に障害になった、こういう報告消火に当たった消防士が語っておるわけでありますが、そういう事実がありますか。
  14. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  その点につきましては、先生指摘はしご車は、いわゆる十五メートル級のスノーケル車のことだと存じます。スノーケル車につきましては、ただいまちょっと申し上げましたように、十三時一分に到着いたしました先発隊がすでに内部——あの建物には内部連結送水管装置がございますので、それを利用しまして内部まで、下から消火せんから水をつぎ込みまして七階まで水を揚げて内部消火活動ができる装置がございますので、それですでに消火をやっておりまして、その後スノーケル車が若干おくれて参ったという状態でございますので、スノーケル車による消火活動というものはそれほどの効果というものはございませんでしたが、その当時にはすでにかなり消火作業が終わっていた状態であったと聞いております。
  15. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私がお尋ねしておるのは、その車が現地に到着して消火がすでに半分以上済んでおったかどうかということではなくて、火災が起こっておるその団地周辺に固定する場所が非常に困難であった、そういう報告をしておるが、そういう事実はあったのか、こういう質問です。
  16. 高田勇

    高田説明員 あの団地現場は、まわりが芝生等になっておりまして若干地面がやわらかい状態になっておりますので、先生指摘のとおりであったかと思います。
  17. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらにお尋ねをいたしますが、昨年の一月一日の武里団地火災のときには、消防がかけつけて消火せんがどこにあるのか、消火連結管というのですか、その消火連結管がどこにあるのかわからずにたいへんまごついたという、それは消防署の方がはっきり団地座談会で言っておる記録がここに出ておりますけれども、少なくとも団地を形成する場合に、事前に該当市町村、都道府県あるいは消防庁に設計の合い議をした上で工事にかかると思うのであります。どこに消火せんがあり、どこに連結管があるのかわからないというような状態ではすみやかな消火活動はできないと思うのでありますが、そういう点についてはどのように処置されておるのか、明確にお答えいただきたい。
  18. 高田勇

    高田説明員 建設段階におきましては、当然消防法の七条によります建設建築主事からの回付によりまして、消防のほうでそれに対して同意をするという法律上のたてまえになっておりますので、その段階においてはわかっております。それで実際の問題といたしましては、その建物ないしは団地がございます関係のその所轄の署に於いては、その配置というものは十分わかっておると思います。ただ、かなり火災が拡大いたしますと、他から応援を求めるというような場合が非常に多いのでございますので、その場合に、応援を求められたほうが若干先生指摘のとおりにあるということは、これは私ども事実として認めざるを得ないと思います。今後は、そういう点は、連絡の協調というか、連絡体制というものは十分にやっていかなければならない部分があろうかと思います。
  19. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらに予防課長お尋ねをいたしますが、これから御承知のように都市の再開発計画、あるいは今度のこの委員会でも議論されます六大都市高層住宅がどんどん建つようになります。現在私が把握しておる団地は大体十一階から高いところで十五階、これが将来、二十階ないし二十五階という高層にだんだん住宅がなってくるわけでありますけれども、私が消防六法を調べた範囲内ではいろいろと規制がございます。消防法施行令に従っていろいろときびしい規制があるわけでありますけれども住宅団地についてはすべてこれが規制除外になっておる。たとえば警報設備にいたしましても、消火設備状況にいたしましても、あるいは避難設備等についても、全くこれが住宅については除外をされておる。不特定の多数が集まるところ、たとえば大きなホテル、劇場、こういったところはきびしいこうした制限を受けておるにもかかわらず、住宅はほとんど制限を受けない。こういう状態で今後高層住宅がどんどんと建っていった場合に、消防庁は、防火体制は完全である、現状のこういうやり方で防火体制は完全である、こういうふうに判断をされますか。
  20. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の点につきましては、昭和三十六年の私ども取り扱いによって、一般消防法上の基準消防設備等を設置すべき基準というものがございまして、それに対しまして共同住宅に関しては消防法上の基準特例を適用して緩和しているではないか、こういう御指摘だと存じます。確かに共同住宅につきましては、そういう点を三十六年にやってございます。これは共同住宅につきましては、いわば一種の個人住宅集合体であって、その構造によりましては、延焼とかあるいは拡大の危険性が著しく低いものがあるということにかんがみて、耐火構造とかその他の条件を満たしている一定構造のものにつきましてはその特例基準を設けておったわけであります。この当時におきましては確かに数が、公団住宅というもの、民間住宅建設というものもそれほど盛んでございませんでしたし、かなり建築様式というものが、住宅の場合にそれほどいろいろな様式というものもなかったわけでございます。しかし、最近におきましては、いろいろ民間投資等もございまして高層のものが出てきたり、あるいは廊下の形態がいろいろの形態をとっていたりするもの等もございまして、それから構造自体によっていろいろ全体が共同住宅でないというようなもの等もあったりいたしまして、検討すべき部分がその後において最近出ていることは事実だと存じます。したがって、そういう点につきましても建設省当局と調整をとりながら、私どもは、検討すべきものについては今後検討を加えてまいりたい、かように存じております。
  21. 松浦利尚

    松浦(利)委員 予防課長にさらにお尋ねするわけでありますが、基準がゆるめられておる最大理由としては、延焼しない、類焼がない、固定された一定のところから外に延焼しない、そのことが最大理由になっておる、こういうふうに法のたてまえ上解釈できるわけでありますけれども、実際に現地に行ってまいりますと、たとえば四階から火が出る。そうすると、必ず放水するために窓ガラスを割る。あるいは熱で窓ガラスが割れる。そうすると、炎は下に行くのではなくて上に上がりますね。上のベランダにかりに燃焼物——ガソリンその他を家の中に置いておくと危険だというので、その家庭はベランダにかりに置いておった。あるいは物干しに洗たくものが干してあった。そうすると、上がった炎から上のほうに類焼をするという可能性現実の問題としてあるわけです。同時に、煙に対して防煙体制というものがないために、上におる者はどうにもならない。しかもベランダに逃げろという公団側の指示だから、出てみたら非常に熱くて、ベランダに逃げることは、これはかえってやけどをしてあぶない。こういう住民報告が出ておるわけでありますけれども、実際に延焼はないから、こういう考え方では、もう今日のこの高層に入ってきた住宅段階では役に立たない。延焼はあるんだという仮定に立って私は防火体制というものを強化すべきだと思うのでありますが、そういう点について消防庁予防課長はどう思われますか。
  22. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  あの当時、そういう特例基準を設けましたのには、赤羽台団地住宅を二戸使いまして、火災の実際の規模による火災実験を行なった結果、そういう取り扱いというものをやはりやってもいいではないかという当時の決定であったわけであります。ただ、先生指摘のように、あるいは先般私お答え申し上げましたように、いろいろ下階に店舗あるいは事業所等が出て、その上に共同住宅があるといった型式のものもあったりしますし、また高層なるがゆえに避難というものが非常に困難になるというような状態のものもございますし、それから御指摘のような下階開口部の破壊によって上階に移るというような点も、以前赤羽台団地での実験によってそれは確かめておりますけれども、そういう点について、今後の建築様式について問題があれば、そういう点等もあらためて検討を重ねていきたいというようなことを考えているわけでございます。
  23. 松浦利尚

    松浦(利)委員 予防課長あと二つの点をお尋ねしたいのですが、いま消防六法に関して、基準をゆるめてある部分について検討を加えて住宅にも消防の完全を期したい、こういうふうに理解したわけでありますけれども現実の問題として、現在ある建物についてはどのように指導されようとするのか。現に阿部理事さらに卜部委員と私の三人で現地調査いたしましたが、現地を見てもらったらわかるのですが、七階からおりる場合に、避難するためのはしごも何にもないのですね。もうはしご車が出動してくるのを待たなければならないような現実的な状態が起こるのですよ。法をそういうふうにあなたがそのような方向に持っていくことは、これは正しい方向だと思うのですが、その以前に、現状あるこうした問題についてどのように行政指導をされようとされるのか、このことをひとつお聞かせいただきたい。  それからもう一つ。私ははしご車を調べてみましたら、現在あるこの法律でいうはしご車最高の延長の高さは、三十メートル級が最高ですね。そういたしますと、いまかりに霞が関ビルが建っております、あのビル消火体制も完全にできて実際には万遺憾のないようにしてあると思うのですが、消防車がかけつけて外から人を助け出すことのできる限界の高さは何メートルですか。
  24. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  現在すでに建っている共同住宅についてどう措置するかという問題でございますが、消防法の現在のたてまえは、ある一定時点でもって——法律の改正をやりましたときに、その時点においてすでに建っているものにつきましては特段の規定をしている部分がございます。それは、消防用設備等によりましては、いろいろ建築物内部を破壊して配管等工事をやらなければ、つかないというようなものもございますので、その点になりますと既存の権益との均衡等もありまして、なかなかその点について遡及の適用をしていないという設備等もございます。したがって、先生指摘のように、現在ございます共同住宅につきましても検討すべき部分はあると思います。その部分について特に検討を重ねますのは、遡及し得るもの、たとえば消火器とかあるいは避難器具とか、そういう人命救助等に直接関係あるもので遡及し得るものについては、まず考えていかなければならない問題だろうと存じます。  それから、外部からの救助活動はどの程度のものができるか、こういうことでございますが、現在三十一メートル級のはしごが、消防が持っております最高の高さのものでございます。それ以上になりますと重量トン等の影響がございまして、なかなか現実に不可能でございます。したがって、現在ございます三十一メートル級では、大体最近の建築物でございますと十階程度。十階程度最高の高さになろうかと思います。それで、東京消防庁管内で例をとりますと、最近のはしご車エレベーター型式のものが圧倒的に多くなっております。三十一メートル級は全部その型式になっております。その三十一メートル級のエレベーター型式のものは、大体毎秒一メートルの速度で昇降いたしますので、大体それで一ぺんに二人を救助して、一秒一メートルで三十一メートルの往復をして人命救助活動をする、こういう型式のものが現在達し得る最高の高さの救助活動でございます。
  25. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外部からの救助活動は、いま予防課長が言われた三十一メートル、これが限度だとすれば、それ以上の高さに対しては自己防衛をしなければならない。建築する側が、人命尊重の立場から防火設備に完全を期さなければならないと同時に、財産保護というよりも人命救助を優先にするなら、避難その他の用器具というものを完備しなければならぬ、こういう条件にあると思うのです。  それで消防庁のほうにお尋ねをして、そのあと関連質問があるそうですから一区切りしますが、それ以上の建物がこれから高層住宅として積み重ねてくるわけですね。だからそういうものについては、私は公団側と十分話をしていただいて、たいへんな問題がありますので、あとから公団のほうの意見も聞きたいのですけれども、その前に、そういった建築物がどんどんできる段階に来ておるわけでありますから、消防庁のほうは十分に事前の設計の打ち合わせをしていただいて、かりに建築上の設計のミスあるいは外からの救助の限界、そういうもののためにとうとい人命が失われることがないように、消防庁のほうはもっときびしい態度で建設する側と話し合いをし、あるいは指導していただきたいということを、一区切りとしてお願いをしておきたいと存じます。消防庁関連質問があるそうですから……。
  26. 卜部政巳

    卜部委員 関連して高田課長に若干の質問をしたいと思います。それはあげ足をとったり、戸惑わしたりしようという意図からの質問ではありませんから、その面でいま出てくる私の質問が若干意地悪に聞こえる面があるかもしれませんけれども、それを最後まで聞いていただきたいと思います。  いま高田課長のほうからの説明によりますと、連絡送水管によって消火活動が迅速に行なわれたというような発言がありました。しかし、現実にはどうであったのかという問題であります。あれは、いま言うことでもおわかりのように、あけても水が出ないのです。ですから、団地の子供たちがあれをいたずらしてあけていますが、この赤羽台団地のあのときに、いざ送水管に水を入れてホースを連結してみたものの、みんなあいておるものだから水圧が上がってこない、どこか締まっておるかあいておるかということで消防の方々が一生懸命広い団地を走り回って、それで管を締めたといういきさつがあります。そういうふうなことから、あの場合においては、送水管というものがただほんとうのアクセサリーみたいなものだった。むしろ団地内に消火用水せんというものがあったならば、そういうことはあり得なかっただろうということが推測できます。また同時に、この問題について、将来の展望として消火せんを備えなければならぬ問題がここに一つ残されているのではないかと思います。これが第一点。  それから第二点は、貯水槽が三カ所あるということでありましたが、課長は直接そのテストなどをごらんになったのかどうか知りませんが、この貯水槽から運び込まれた水、送水された水は、残念ながら全焼したところの部屋に至らなかったという事実があります。ですから、いま課長のお話によれば、はしご車がかけつけたときには大半が鎮火していたような説明があったわけですが、行ってみればおわかりのように全焼していたということです。あのベランダの鉄のあれが、ぐにゃぐにゃに曲がっておったという事実があります。そういう点について、私は消防庁を責めつける意味ではありませんが、そういう団地にも完全な消火設備消火せんというものがあって——送水管というようなものがあるが、それでもって事足りると思ったら大間違いじゃないかということを課題にしながらの質問なんですから、これは今後の問題として、そういう団地には消火せんを一カ所か二カ所は延長し、設置していく必要があるのではないか。その点をひとつお伺いしておきたい、また希望しておきたいと思います。その点についてはどうでしょうか。
  27. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘連結送水管が、子供によって各階のバルブがあけられていたために、肝心の七階の連結送水管に管をつないだときには水が十分に出なくて、各階に出てしまったということは事実であります。しかし、連結送水管と申しますものを主として消防法上義務づけております趣旨は、高層建築物の場合の高層部分については連結送水管という形で、外部からの消火活動が困難でありますので、内部から消火活動をやるという意味で、連結送水管というものを内部に取りつけて、外部消火活動に資しようという趣旨のものであります。したがって、この消防会がその内部に取りつけた連結送水管によって中から消火活動をやる効果は、実際の例からいきますと非常に大きな奏功例が幾らもあるわけであります。そこで連結送水管と申しますのは、あの場合に子供たちがいじれる  ような状態に置いてあったということも、管理の不手ぎわがあったかもしれません。ただ、実際問題として内部に入りましたときに、あまり見えないで子供も操作できないようなところに置くと、今度は逆に消防隊が戸惑うというような矛盾もありますので、その点については両者が解決のできるような方法で管理をすべき問題かと思いますが、連結送水管そのものの効果は非常にあろうかと私は存じます。  それで、先生が御指摘でございますのは屋内消火せんのことかと存じますが、屋内消火せんになりますと、その点については、実際の消火活動からいきますと、屋内消火せんは住んでいる関係者によって主として利用される施設というような意味から置いてあるわけでございますが、共同住宅のような場合には、なかなか共同的に訓練をするということもできませんし、屋内消火せんはある程度訓練をしていかないとなかなか扱いにくいという部分もございますので、そういう点において、共同住宅の場合に屋内消火せんがどの程度実際問題として効果があるかという点については、私どもも慎重に検討を重ねてまいりたい、かように思っております。  それから、貯水槽からの水が十分に出なかったという点の御指摘でございますが、確かに赤羽台団地の場合には、貯水槽から取りましたのはスノーケル車で、これが取っております。実際水が十分に出なかったというのは御指摘のとおりかと存じます。ただその場合、もうすでにそのこと自体が消火活動にはそれほどの影響はほとんどございませんでしたけれども、あれはなかなかうまく設定できなかったということが一つございまして、その水を出すといったときには、もうすでに何かためしに水を出していこうかというような形で終わってしまったというような段階で、水が十分に放水できなかったというような報告を聞いております。今後、こういう団地その他についての水利の問題につきましては十分配慮していかなければならないということで、すでに新都市計画法あるいは都市開発法の中におきまして、それぞれ私どもの必要な要求といたしまして建設省のほうにお願いをし、もうすでにその点について、その開発行為あるいは事業計画事業決定の中に必要な消防規則を設けるということで、その基準の中に入れていただいております。
  28. 卜部政巳

    卜部委員 意地悪い質問ですが、課長赤羽台団地に行かれたことがございますか。——そうすると、いま御答弁の送水管というのは、屋内はさることながら屋外に設置されている。ですから、いま子供が云々というようなことがございましたが、それは戸外に出て遊ぶ子供たちの目には、あたかも消火せんのような形で出ておるわけです。あれは連結送水管です。ああいうようなりっぱなものがある。あけてみても水は出ない。これは水は出ないんだよということで、随所にりっぱなものがあるから、子供は遊んでいるわけです。そういう面がありますから、いま御答弁になった屋内にある云々ということについては、若干的はずれかと思うのです。ですから、ああいうりっぱな送水管が随所にあるとするならば、あの中にかりに二カ所でも現実に水が出てくる消火せんがあれば容易にあれは鎮火したであろう、そうしていま松浦委員からの質問のように、四階くらいで出てくるならば五階、六階等の類焼はあらかじめ阻止できたであろう、そういう場合においてもすみやかに鎮火できる体制にあるだろう、そういうことですから、私は非常に意地の悪い質問のようですが、そうではなくて、あの団地にも消火せんを置くべきだという主張のもとに言っておるんですよ。ですから、それをもって事足り得るという消防庁の答弁には納得ができないわけです。こういう点については、将来は建設省とも公団とも打ち合わせをしていただいて、やはり高層団地ではそういう消火せんを随所に置くのだ、さらにこの貯水槽というものが、いま御答弁になったように用を達しなかったという冷厳な事実があるのですから、そういうものをぜひとも設備しなければいけないのではないだろうか、こういう点についてひとつ答弁をしていただければそれでよろしい。
  29. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  申しわけございませんが、私、先生の先ほどの御質問を誤解いたしておりまして、屋内消火せんの設備についての問題だ、こういうふうに理解しておりましたが、確かに、御指摘のように屋外の消火せんというものがありますと、それから水を引いて消火活動をやるということが非常に効果的であることは、これはまぎれもないことであります。したがって、そういう屋外消火せんあるいは貯水槽というものの設置につきましては、消防活動上十分な活動ができるような量の確保につきましては今後とも十分配慮してまいりたい、かように考えております。
  30. 卜部政巳

    卜部委員 もう一つだけ。冒頭に課長のほうから、現場にかけつけたときの時間が克明に報告されていました。しかし、実際問題としてどこの消防署からやってきたか。豊島の消防ですね。ですから、そういう距離的に、そして時間的にこのようなズレが出たということも事実です。そうしたならば、やはり赤羽台団地というのは、率直にいってマンモスですし、大体これはいまモデル地区になっている。そういうところとの連携、たとえば消防署火災報知機によって連絡してすみやかにその出動体制をお願いするというような、そういう体制は事実できていないと思うのです。そういう点についてのこれからの配慮、高層団地、そうしてマンモス団地に対するそういう配慮というものも、住宅側とこれから当然協議していただいて、そういう配備もしていただきたいと思います。この点はよろしゅうございますか。——じゃ私は関連質問を終わります。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 次に、建設省の住宅局長にお尋ねをいたします。  赤羽台団地等をずっと見てまいりましてつくづく感じましたことは、防煙体制ですね、極端にいうと。先ほど消防庁高田予防課長との話の中でも出てまいりましたが、延焼はないんだという前提で消防法規制をゆるめておるんですけれども、事実問題として逃げる場合に、玄関のほうから火が起こったら窓のほうに出ていかなければならぬですね。その場合に、高いところから飛びおりる以外に逃げる方法はない。窓のほうからかりに出てきたとしたら、そのとびらをぴしっと締めておれば煙が外に出ないという解釈が成り立つと思うんですよ。逃げ出すときにはどうしても戸をあけて飛び出して、それを締めていく余裕というのは、もう身が危険なんですから、あけたまま飛び出す。そうすると、これから煙がずっと出ていく。実際に廊下がオープンになっておる。窓も何もなくて、すぐ外にオープンになっているところは煙が充満する可能性というものはないのですけれども、その廊下は外から見るとかっこうがいいように、ちゃんと窓で、雨が吹き込まないように、風が入らないように仕切っているのですね。隔離されておる。そうすると、実質問題としては、煙が充満して逃げ場を失うというような設計構造建物があるわけなんですね。こういうものに対しての防火設備、そういったものに対してはどのように理解しておられるか。消防法規制をゆるめておる現在の状態でだいじょうぶだ、人命は保たれる、こういうふうに設計上お考えになりますか。
  32. 大津留温

    ○大津留政府委員 先ほど消防庁のほうからお答えがありましたように、住宅公団建設しておりますような耐火構造共同住宅、これにつきましては消防法上の消火設備、器具の設置は一応義務が免れております。御承知のようにああいう型式耐火構造建築物でございまして、しかも各戸が防火区画によってきちんと区画されておる。階段も防火区画によって囲まれておるという構造でございますから、おっしゃるように、延焼のおそれは実験等からしましてもきわめて少ないということに考えております。  御指摘の煙の問題でございますが、煙につきましても、とびらを締めておればこれが屋外には漏れない、また外から入ってこないという設計に一応なっております。しかし、あわててあけっぱなしにして出るというようなときに問題が出てくる、そういうことはあり得ることだと思います。そこで、一つはとびらを自動式にして、あけたら自動的に締まるというような構造にでもしておれば、それは一つの解決方法かと思います。なお廊下に排煙口といいますか、ところどころに煙の抜ける穴を設けるとか、あるいは煙が外に広がらないようなたれ幕をしてそれを制限するというようなこと、いろいろ方法があろうかと思います。人命に関することでございますので、公団側建設省側といたしましても、設計上いろいろくふうをこらしまして、今後研究を進めたいというふうに考えております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 住宅局長でなくてもけっこうです。何も建設省をつるし上げるつもりで質問しておるわけじゃないので、課長でも説明員でもけっこうですから詳しく説明してください。  現地赤羽台団地の十五棟、三十三棟を私たちは見ました。ところが、いま住宅局長が説明されたような設備にはなっておりません。排煙設備も何もありません。現実に、廊下はずっと窓ガラスがありまして、そして煙が出たら、そのまま外に出ずにずっと廊下に入っていく。確かに両側に避難用の階段があることは事実です。しかし、その間はもうのっぺらぼうで、伝わっていくばかりですね。三十三棟はどのようになっておるかというと、私はこの設計は技術者の遊びではないか、あるいはコストダウンをねらったやり方ではないかと思うのですけれども、袋小路になるわけですね。迷路になるんです。いまここで三十三棟のだれだれさんの家に行きたいと思って行っても、一ぺんで行き当たる人は一人もおらぬ、こういうんですね。どういうふうになっておるかというと、エレベーターが三階、五階、七階にとまるだけですね。あとはとまらない。二階に行くにはどうするかというと、一ぺん三階に上がって二階におりるんですね。二階に二つ独立して家があるだけ。そういうふうにまた次々階段を一つずつおりていって二階に行く。しかも二階同士の廊下はない。一ぺんその人は三階に上がっておりなければならない。一ぺん三階に出て階段をおりなければならない。こういう設計になっておるのですね。しかもこれに対して、いま住宅局長が言ったような防火設備とかあるいは防煙設備というものは全くないんですね。こういった設計が現実にあの赤羽台団地の中にあるんですよ。しかもコストダウンですね、廊下部分というような共有部門を少なくすればそれだけコストが下がる。ですから、二階の廊下と四階の廊下と六階の廊下は全部カットされておるんですね。そういう状態の中の人命の尊重のための防火体制防煙体制、こういったものに対してどういうふうに指導課長は考えられますか。
  34. 前川喜寛

    ○前川説明員 お答えいたします。  正直に申し上げまして、煙の問題は非常に大きな問題でございますが、やはり研究そのものがまだ十分進んでない、ごく最近の問題でございます。したがいまして、まだ解明できないことは多少ございますけれども、基本的に、四十三年度で建設省が補助金を出しまして、防煙対策の基本原則、いろいろな研究をしてもらいまして、今回の国会に提案されております建築基準法の改正案でも、そういった方針に基づいて提案されているわけでございます。  具体的に申し上げますと、いま特に火事の起こっているその階ということから御説明したほうがかえってわかりやすいかと思いますが、現実に起こっている部屋から煙が出てまいりますと、横に走る煙の速度も相当速いわけでございまして、実際問題としましては、煙が廊下なら廊下の上のほうをずっと伝わっていくわけでございます。そして、極端に言いますと、その間に廊下全部が煙になるまでにはやはり七分とか十分とかいうふうなタイムラグがあるわけでございまして、その間に逃げ出せばいいんじゃないかというようなことを考えているわけでございます。  それで、火事の起こっている階以外の階につきましては、階段室の防火区画とか、そういったものにつきまして自動的に階段室を区画するというふうなこと、こういったものを考えているわけでございます。それで、いまの公団タイプのような普通のものにつきましては、それで一応安全であると考えております。  なお、今度の政令その他の整備につきましては、いま局長の申し上げました開口部、その他の排煙口とか、あるいは煙の延びていく速度をおくらすためにたれ壁をつくるとか、こういったことを検討してみたい、こういうふうに考えております。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 建設省にお尋ねしますが、今度は政策の問題で局長にお尋ねをするのです。将来の問題として建築基準法の改正その他も出てくると思うのですが、それはそれとしていいわけです。しかし、現実一つの例として赤羽台団地の十五棟、三十三棟のことを申し上げておるわけですけれども、いま言われたようにきわめて科学的な答弁をされましたが、人間というのは、実際に火災が起こったらそんなに冷静な判断というのはできないんですね。現状として、それでは三十三棟の迷路の二階の人が火災になったときには、具体的にどういうふうにして逃げていくのですか、逃げる方法がない。どういうふうに逃げますかと聞いたら、私のほうは、しかたがありませんから帯でも縛りつけておりる以外にありません、こういう入っておられる方々の答弁でしたけれども、将来のことはそういうふうに法改正その他の手続で、先ほど消防庁予防課長が言われたように、必ずやってもらいたいのですが、現実はそれで間に合わない。かりに人が死んだからといって、あわてたってもうおそいのです。やはり消防の原則というのは、財産保護というより人命が優先されなければならぬ。そうであるとするならば、今日のそういった危険な状態に放置されておる——確かに火災が起こる件数というのはアパートに関しては非常に少ない、少ないけれども、万が一起こったときにどうなるかという問題が残っておるんですよ。そういう問題について、建設省としてはこれからどのように行政指導なさろうとするのか。たとえば避難ばしごを置くとか、あるいは非常用のベルをつけるとか、こういった処置をやるべきではないか。現にあれだけの団地の中で、十五棟なら十五棟で火災が起こって、どこにも電話がなかったらどうしますか、一一九番に電話をする方法がない、その間だけおくれてしまうんですよ。そういった問題について具体的な方法として、十五棟、三十三棟のそういった問題がかりに起こったときに、どのように処置をされようとするのか。私はそれは行政指導でやれると思うのですよ。そういう問題について、住宅局長からひとつ明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  36. 大津留温

    ○大津留政府委員 先ほどもお答えしましたように、公団建設しますアパートは、各戸が防火区画で十分に区画されておりますので、発生した住戸以外の住戸は、大体そこにそのままおられたら延焼の危険はないと思っております。しかしながら、これはなかなかそういっても、隣が、階段下が火事だというときに、じっとしておられるかという問題があろうかと思います。したがって……(「安全じゃない」と呼ぶ者あり)いや、これは安全だと思います。したがって、どういうふうに避難するかということでございますが、これはそういう構造なり何なりによりましてそれぞれに違うわけですが、公団としましては、入居の際に火災の予防の御注意、それからもし万一発生した場合にどういうふうなことをしていただきたいというようなことを「住いのしおり」というもので一応はPRしております。そういうことで、また必要があれば訓練もやるわけでございますが、そういう住戸住戸に応じまして避難あるいは通報、こういうことについてそれぞれの措置、訓練をお考え願わなければならぬと思います。  これから建てます場合には、先ほど指導課長が申しましたように、煙のことを十分考慮いたしまして、排煙あるいは防煙ということについては特段のくふうを必要といたすというふうに考えております。十分研究いたします。
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 住宅局長、あなたは十五棟、三十三棟に行ったことがありますか、あなたはどういう家に住んでおられますか、あなたがいま住んでおる家はどういう家ですか、言ってください。
  38. 大津留温

    ○大津留政府委員 私が住んでおりますのは、ブロック造の二階建てでございます。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 だからあなたはわからないのですよ。この住宅に住んでおる人たちの声を住宅局長は聞いていただきたいと思うのです。私はあなたを責めるつもりはないのです。実際にあの住宅に住んでおる人たちが非常に困っておる。あなたはとびらを締めておけばだいじょうぶ、こう言うけれども、逃げ出したあとを締めるほどの冷静な人というのはおらないですよ。自分のところが火事になったら、火事だと言ってとびらをあけて飛び出して逃げるでしょう、そうした場合に、煙がやはり充満することは事実なんです。隣の部屋にじっとしておればいいというような問題じゃないのです。しかもこの赤羽台団地の、隣の人はどういう状態だったかというと、炎が隣のほうまで行っておるわけですよ、どんどん熱くなるわけですよ、ベランダの鉄がじゅっと燃えて。現実にサッシなんかあめのように曲がっておる、そういう状態を考えたときに、逃げ出しなさい、こういうふうにただ訓練をしてやればいいのだという考え方では間に合わない。現実赤羽台団地でもあるいは武里団地でも、春の消防週間にセレモニー的に防火訓練があるそうです。どういう防火訓練をするかというと、はしご車が出動して救助活動をする、それからあの袋でぱっとおろすというか、すべり台というか、そういうことも避難させるためにする。ところがそういう設備は何もないのですよ。それを見たときにはなるほどりっぱなんですね、セレモニー、儀式なんですから。ところが実際に火事が起こったときには、どうしていいかわからないという現実なんです。だからそこに避難ばしごの一つでもあれば、その避難ばしごをばあっとかけておりることができるでしょうし、あるいはそういったものがどこかにあれば、気が早い人が行ってそれをおろして避難することができるでしょう。そういったことの行政指導はできませんかとあなたに聞いておるのです。そういう不安が現実赤羽台団地あるいは武里団地に住んでおる人たちの中に充満しておるのです。その国民の不安に対してそういった——確かに消防法からは、緩和されておるから設備は要らないということでは政治にはならない。法律にないからせぬでもいいじゃなくて、現実にそういう危険があるという条件を前にして、あなたはどのようにそういうものに処置をされようとしておるのかということをお聞きしておるのですから、もう少し国民に対して誠心誠意答弁をしてください。これは政務次官にお聞きしましょうか。政務次官お願いします。
  40. 田村良平

    田村政府委員 ただいま赤羽台団地の火事の問題で、送水管とか連結管いろいろな質疑がありまして、その質疑応答を聞いておりまして御意見のとおりでありまして、まことにすぐれた理論的に、技術的に近代建築と称するものの中で、マッチ一本あるいは漏電から火事が起こるわけであります。まことに原始的な事件であります。これらの原始的な、昔から何百年、何千年と続いた火事の予防に対して、近代建築は御指摘のとおりでありまして、完全な消火対策はできておりません。したがって、いろいろ法律の文言がございましょうし、答弁はすんなりできましても、現実の火事にどうするかということは仰せのとおり。ここでも地震が起きて火事が起きたら、とてもこういったかっこうでおれぬと思います。したがって、現状に対する御指摘になりました点、建設省としては、どういうようにあしたから、こういった団地皆さん方が安心して住まわれるような消火対策をとるかということを専門家としてはお考えになって答弁をされたい、私はこのように考えますので、政務次官といたしましては、担当の局長ないし関係官に対しまして、ただいまるる述べられました御指摘の点について、すみやかに建設省として、次の対策はどういうようにして御安心願うような方策を講じますということは、別の機会に私の意見をまとめてお答えすべきだと思います。私としましては、何といっても人命が最大の尊重すべき問題でありますので、特にこのように集団して多くの人々が一カ所に住まいをいたします以上、ある人の不注意からとんでもない事件が起こって、完全にわが家の戸締まりをしておる人でも大きな迷惑を受ける。その際、お話しのとおり、五十メートルの建物では三十メートルのはしご車が間に合わないことはわかり切ったことであります。それは消防庁の専門家が答弁されておりますから、われわれとしては、そういった現在の生活と起こっております事件と勘案いたしまして、どのように建設省が便宜責任ある体制をとるかということについては、慎重な協議と具体的な実行を早く急がなければならないということが建設省のとるべき道と考えまして、以上御答弁申し上げます。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政務次官の答弁で了解をいたします。ぜひ早急にそういった問題についての見解をまとめて本委員会に、政府側から早い機会に御報告をいただきたいと思います。  さらに、住宅局長に重ねてお尋ねをするわけですが、実はどんどん住宅が建ちます。早い話が南多摩ニュータウンの問題でも、二市二町にまたがったあの広大なところに新しいニュータウンができるわけですが、地方自治体のほうでは、学校あるいはその他の施設の関係で受け入れに支障があるということでなかなか了解をしないという事例があるわけですけれども、事実問題として消防設備ですね、そういう大きな住宅が建つために、その住宅建設消防設備が追いつかない、こういう事例があるやにお聞きしておるわけなんです。現実に埼玉県の春日部にはしご車がない。そのはしご車の購入問題をめぐって、実は現実問題としていろいろもめておる。そういう状況で、高層団地ができるにかかわらず、その消防設備に対する充実というものがたいへんおくれておる。こういう問題について住宅局長はどのようにお考えになるのか。  さらに、たいへん残念なことですけれども、これは三月二十四日の朝日新聞に出ておる消防車の問題です。これは公正取引委員会から勧告を受けておるわけですけれども消防車の価格協定をして一斉に価格を引き上げておる。これは朝日の新聞から私は知ったわけです。公取が破棄勧告をしておるわけですけれども、少なくとも人命に最も重要な消防車がこういう形でもうけ仕事にされておる。確かにもうからなければいかぬけれども、こういう、公取から破棄勧告を受けなければならぬような状態に来ておる。と同時にお尋ねをしておきたいのは、消防施設の購入に対する三分の一の国の補助ですね、この国の補助について現在ある交付単価、ここに出ておる交付単価ですね、基準単価、この基準単価の三分の一を負担するそうですけれども、実質的にはこの基準単価では地方自治体は買えない、超過負担になるのだ、だからそういう消防の設備はあと回しになる、こういう話を実は私は承ったのですが、そういう事実があるのか。もしかりにそういう事実があったとすれば、これから都市開発あるいは高層住宅建設といった問題をめぐってたいへん重要ですから、局長のほうからその点を明確にしていただいて、今後の方針を明らかにしていただきたい、かように思います。
  42. 大津留温

    ○大津留政府委員 消防車の価格の問題は、消防庁のほうからお答えしていただきます。  大団地ができました場合に、その地元の地方公共団体消防設備等の負担がふえて公団との間になかなか合意が成立しない、こういう事例がよく見られます。これは消防設備に限りませんで、団地がふえますと学校を建てなければならぬ、あるいは清掃の仕事もふえます。そういったことでいろいろ自治体に一般行政がふえますし、また財政負担もかかってくるということで、公共団体との間のいろいろなそういった負担の問題が団地進出には当然伴うわけでございますが、これらにつきましては、関連公共施設の負担区分を協定いたしまして、公団が負担すべきものは負担する、たとえば学校の敷地は半額で公共団体に譲渡する、またその公共団体の負担分を何年か長期で割賦でちょうだいするというようなこと、そういうことをやっております。消防関係につきましては、たとえば消防署建設の敷地を団地の一部分安く提供するというようなことはございますけれども、たとえば消防車を買うというような費用について、公団が負担するというようなことは特にはございません。ただ、こういう団地ができ、関連の公共施設も整備されてきますと、この辺の地価が当然上がってくるわけでございます。そこで、建設大臣が前の予算委員会でも答弁いたしましたように、固定資産税の評価また都市計画税というようなものを適正化することによって地元の公共団体の財政力は増すではないか、そういうようなことを十分研究したいということをお述べになっております。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕  なお、この公団の負担区分あるいは国の援助の方式につきましてもさらに検討いたしまして、地元の負担ができるだけ軽減されるように研究を進めたいと思います。
  43. 高田勇

    高田説明員 消防ポンプ自動車にかかわります補助金額と販売価格との間にズレがあるのではないか、こういう御質問でございますが、私直接の担当ではございませんがお答え申し上げます。  消防ポンプ自動車の補助金の補助基準額と申しますのは、国庫補助金の交付額の算定基礎になるものでございまして、それはそのつど、毎年機材費とか工賃などの値上がりもありますので、そういう点も勘案して決定されているものと思います。それで販売価格になりますと、その点は、それからさらに購入いたします先の各市町村と消防ポンプメーカーとの契約によって、各市町村ごとに特別な艤装等の注文等もございますので、そういう点を加味して決定されるものでございますので、補助金額と販売価格との間ではズレがあるということは、現実的には先生指摘のとおりでございます。
  44. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 関連して。消防庁建設省との間に、三十六年に団地、こういう場合の基準を緩和することについて合意に達しているわけです。この合意に達したときの情勢については、先ほど説明のように、大体四階建て程度のものだったということなんでありますが、その合意に達した当時の、いわば文書交換がされておる、これをひとつこの委員会に出してほしいと思うのです。  私の記憶では、たしか消防庁予防課長と当時の稗田住宅局長との間に合意に達した文書交換があるはずであります。これに基づいて消防庁は、傘下の各組織に対して一定の指示をしておって、それぞれの消防当局はいまの緩和基準というのを明確にしておるわけであります。この当時かわされた建設省と消防当局との間の合意に達した内容、これを明瞭にしてほしいと思うのです。かわされた文書とその背景にあるいわば情勢判断、これは先ほどから説明のように、情勢は相当変わったということはお認めになられておるようでありますから、情勢が変わった以上、当然当時の合意に達した内容というものを変えなければならぬというかっこうになってきていると思うのです。そういう趣旨の答弁があったのでありますけれども、私ども、今後の高層住宅における、人命をほんとうに大切にするという消防の立場から、当時の経過、内容というものを明瞭に認識しなければならぬ、こう思うのでそのことをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  45. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘のように、三十六年に公団等の耐火構造共同住宅につきまして、その消火設備をどうするかということにつきまして、建設住宅局と消防庁と御相談した結果、消防庁予防課長の名で各都道府県の所管部長に通牒が出ております。両省の間に合意ができてその文書を交換したというのは実はないのですが、その合意に基づいてそういった通牒が出された、こういうことでございます。
  46. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 合意があったことは事実ですね。これは私はいま責めるつもりはないのですが、消防当局はその当時、この合意に達するまでにずいぶん抵抗しておるのですね。しかし、建設省の側は、どうも、公団住宅や何かに基準を緩和しない原則を全部適用したのでは、コストの問題その他もあってなかなかたいへんなことになるという態度で、ついに消防当局がこれに屈服をしてこの合意が成り立ったといういきさつがあるのです。これは、私どもは当時の消防当局の関係者にいろいろ事情を聞いて承知をいたしておる。しかし、現時点になってまいりますれば、先ほども説明のように高層住宅といっても当時は四階建て程度、現状はどうかということになりますと、これは四階なんというものではなくて、べらぼうに高いものがどんどん広がってきておるわけでありますから、この基準というものは当然に変えられなければいけない、こう思う、その変えようとする内容を、この場合消防庁の立場からは、一体考えがまとまっておるのかどうか、この辺はどうです。
  47. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  先ほど松浦先生お尋ねのときに私お答え申し上げましたような経過で、三十六年当時、建設省と私どもの間で合意が成立したわけでございます。それで、その当時の事情というものは、確かに今日においては変わっている部分はあるわけでございます。その点につきましても、一部高層のものが出てきたり、あるいは下階に店舗あるいは事業所等のものが出てきたり、あるいは住宅の形式等につきましても、煙等の通路になります廊下等にいろいろな形式のものが出てきたりという事情がある、その点等が変わっているということは事実でございます。したがって、そういう点等を勘案いたしまして、私どものほうで建設省当局と調整をはかりながら今度検討を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  その内容等につきましては、いま私が申し上げました三点等を中心にして設置し得るものについて検討をしていきたい。ただ、この場合に、共同住宅になりますと、一つの難点は、共同住宅の場合にはいろいろな個人の住宅集合体でもございますので、共同して訓練をし、共同した訓練の上で使える設備というものがなかなかむずかしいという点がございますし、また最近の共同住宅になりますと、分譲形式というようなものもできております。そういたしますと、その分譲されたものについて、だれが共通的にそれを管理していくのだろうか、こういうむずかしさもあろうかと思います。したがって、そういう点等も勘案しながら、それを克服して、私どものほうで関係当局と協議しながら調整をはかってまいりたい、かように思います。その場合に、やはり避難を中心に、早期発見、通報、避難という、この直接人命につながるものについて重点的に考えてまいりたい、かように思っております。
  48. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 どうも消防庁のほうは、ぼくらが消防庁と対で会っておると、もっと歯にきぬ着せない明快なことを言うのですね。いま公団なりあるいは住宅局長や何か、みんな一緒に集まっておりますと、どうも奥歯にものがはさまった言い方になる。私はさっきも言いましたように、実際上、三十六年の当時も、高層住居というものが四階程度で済むなんというふうに消防庁は思っていなかった。もっとどんどん高層化されたものが生まれてくることがわかっておったのです。したがって、この緩和をすることにものすごい抵抗をしたのですよ。当時の関係者に全部聞きました。しかるにいまこの場合において、個人住宅集合体だからなかなかむずかしいの、ごんべえのといって、結局話にならぬような言い方になっている。この際、もし人命が失われるということになった場合に、責任は消防当局なんです。皆さん責任を負えるのですか。そこで、現実には煙に対する問題は何ら配慮にない。これは一体どうするかということが大問題。  それから公団住宅などでも七階で火事がある、水をぶっかけた、ところがそれが一階の押し入れや何かまで全部水浸しになるという状態になっているのです。それはなぜか。あの建物にひび割れがあるのですよ。ものすごい水が下のほうにどんどんいって、七階で火事があると一階ぐらいまで全部だめになってしまうという状態が起こっている。畳なんかもずいぶん下までみんな入れかえたでしょう。壁やなんかもずいぶん塗りかえをやったでしょう。そういう状態現実に起こるのです。したがってこの場合に、私は関連質問ですから多くは聞きませんけれども火災報知機とかあるいはまた化学消防、こういう方法で一戸なら一戸ぱっと消してしまうという方法は不可能ですか。
  49. 高田勇

    高田説明員 先生指摘の点は、ああいう住宅火災上階でありましたときに、それによって消火活動を行なった。その消火活動の水による水損が下まで及ぶということから、そこだけでおさめるような方法はないだろうか、こういうお尋ねかと存じます。現在の消防活動上の観点から申しますと、コストの点その他等も考えまして、一番とりやすいのは何であろうかといったときに、やはり水が一番活動効果があるということから、水によって消火するということを現在の段階でも重点的に考えておるわけでございます。ただ、その場合に必要以上に水を出す、ある程度十分に消火がなされたのにまだそれを放水しているということによる水損、必要以上に水損が生ずるような消火活動による放水をやるということは絶対に避けなければいけないということから、ある限界に達しまして、火勢の状況によりましては、いわゆる一斉に放射するという、どっと出すというやり方をやめて、途中からノズルによって切りかえて、水噴霧型式によってこれを消火する、そしてできるだけ水損というものを少なくしていこうという方法は現在講じております。  ただ先生指摘のように、その部屋だけをぱっと消すという方法については、現在の段階ではなかなかそういう方法は——直接先生がおっしゃったような方法ではございませんが、火源を探知して早く消火につとめよう、早く効果的に消火を行なおうという方法については研究所等におきましても研究いたしておりますが、先生指摘のような点についてはまだ十分なあれにはとてもいっていない、かように存じております。
  50. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これでやめますけれども予防課長、その部屋だけをぱっと消す方法が何かあるのじゃないか。たとえば化学消防。それを現在の消防当局は何と言っているかというと、たとえばガソリンスタンド、工場がやられたという場合にはそれはできますけれども、個人の住宅には銭がかかってとてもじゃないがそんな化学消防なんかできるか、こういう言い方をしている。問題は、なぜ起こったかということになると、七階で火事があったのに一階まで全部水をぶっかけたわけですね。住宅公団の林総裁、七階で消火活動をやった水が窓ぎわのほうに全部たれて、下の部屋、一階まで全部水浸しになるということは想定になかったわけでしょう。実際上はどうかということになると、ものすごいひび割れがあるのです、鉄筋工事か何か私はようわかりませんけれども。一階まで全部水浸しになって、畳は入れかえなければならぬ、あるいは壁は塗りかえなければならぬ、いろいろな状態現実には起こっているわけですね。したがって、七階で火事があったらそこだけを消す方法があるのじゃないか、化学消防か何かで。費用がかかってできませんという答弁なんですね。会社、工場、ガソリンスタンドなどではできますけれども、個人の住宅は化学消防はできませんというのは、たとえば先ほど住宅局長は、そこのうちの隣が火事になっても部屋の中でじっとしておればだいじょうぶなんです——それはあなた現状を知らざる者の認識です。たとえば赤羽台団地の場合は七階だった。四階か五階で火事があったら、上のほうは煙で、タヌキだっていびり出されてくるのでありますから、そんな皆さまが言うほど簡単なものじゃないのです。七階で火事があれば、水でもって消火作業をやればその一階まで全部水浸しになって、公団もずいぶんと銭をかけて、畳の入れかえから何から、いろいろなことをやったでしょう。鉄の窓ワクや何かみんなあめん棒のようになっております際に、隣の部屋が焼けてます、うちの部屋はストーブ要らず、だいじょうぶ、そんな簡単なわけにいきませんよ。  私は、やはりここで消防の方法というものについても検討の要があるのじゃないかということを言っておるわけです。私は、緩和した基準というものを、あのように密集した高層住宅の場合に、従来と同じ消防のしかたでいいのかどうかということを含めて今後再検討の要があるのじゃないかと思う。単に水をかける、水がどんどん出るようにしておけばいいとかいうものじゃないと思う。そういう意味では、かつて住宅局と消防当局との間で三十六年の話し合いが行なわれた際に、消防当局は、やはりその責任を持っておりますからずいぶん抵抗した。住宅局のほうは、コスト主義というたてまえがありますから非常にきびしく消防当局の言い分を押えて、今回の緩和基準というものはつくられたという経過があるのです。その辺の経過は、当時の消防関係者はみんな口をきわめて言うのですよ、現役の課長がどう言おうと、私どもずいぶん手を回してみんな調べましたから。そういういわば従来のコスト主義のワク組みの中で、人間の命を何よりも大事にするという、この基本原則というものが見失われるような緩和基準というのは、全く生きた人間をどのように中心にして考えるかという観点で再検討されるべきだと思うのです。どうですか。
  51. 高田勇

    高田説明員 お答え申し上げます。  この点につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおりに私考えておりますが、ただ、あの当時におきましては、これは実験的に確かめたという実験の裏づけもあったわけでございますけれども、今日においては、確かに御指摘のように事情は変わっている部分がございます。したがって、私どもとしては、人命の安全ということを第一に考えて、できるだけの配慮を関係当局と調整をとりながらやってまいりたいという決意は持っております。
  52. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 局長と消防庁と話し合って出すのですから、当たりさわりのないようなものを出すとは思いますけれども、三十六年のあの合意に達したときの内容、それから情勢判断、こういうものを文書にして本委員会に提出をしてもらいたい。
  53. 金丸信

    金丸委員長 いいですね。
  54. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは消防庁にもう一つお願いをしておきます。  実は消防庁が各消防署行政指導した通達がありますね。高層住宅に対する設置基準、これもいま阿部委員が要求した書類と同じように、この委員会に提出をしていただきたいというふうに思います。それがどのように実行されておるのか、その点もあわせて文書で出してください。よろしゅうございますか。  それでは続いて、たいへん長い間お待たせをしましたが、参考人でございます住宅公団の林総裁お尋ねをいたします。  いま阿部委員からもお話がありましたが、実は住宅公団がつくった住宅というのはたいへん理想郷である、そして延焼、火事にも強い、こういうことで、実は多くの方たちが住宅公団建設された住宅に入っておられる。ところがいま阿部委員からお話がありましたように、赤羽台団地では七階の火を消すために、消防署で調べましたところが十五トンの水を放水しておられるわけですね。その結果、この赤羽台団地建物のひび割れ、クラックというのですか、クラックから滝のように降り注いだ。しかも、それが火事の起こったすぐ下ではなくて、両わきとかいろいろなところに波及的に滝のように水が出ておるのですね。それと同時に、便所の汚水を流す配管ですが、この配管をセメントに通す場合に、その間に遊びがある。修理その他地震等で障害が起こらないように遊びがあるのかどうか、私は技術的なことはわかりませんが、そのためにそこからも滝のように水が流れ込んで、水による被害というのが、たいへん入っておる住民に影響を与えておるわけです。ここに証拠の写真を持ってきておるわけですが、このようにもうすべてのものが冠水してしまっておるのですね。そういう状態について、総裁のほうでは前もって予知しておられたのかどうか、火事になったらこういうことが起こるということを予知しておられたのかどうか、このことをお尋ねいたします。  それともう一つ、この赤羽台団地もそうでありますけれども武里団地においても避難訓練というか、火災その他についての指導というのは全く住宅公団からなされておらない。一ぺんぐらいそういう説明があったのかと聞いたら、全くそういう説明はありません、こういう話なんです。なるほど、パンフレットに書いてあるかもしれないけれども、そういった避難訓練その他の指導というのは何らなされておらないわけですね。こういう点については、一体どういうふうに考えておられるのか。  この二点について、総裁からお答えをいただきたいと思います。
  55. 林敬三

    ○林参考人 先ほど来、公団火災につきましていろいろな御質問がありました。また、当局から御答弁がありましたが、その点はとくと承りまして、御指摘のように人命に関する問題でございまして、消防につき、避難につき、よく消防当局とは——日進月歩の資材の世の中で、いろいろとまた悪い煙を出したり、パニックを起こすような原因になる用具もたくさん各家具の中に使われるような時代になってきておりますし、よく検討をいたしまして、建設省それから自治省、消防庁というところの相談には、実務者としてできるだけの意見を具申いたしまして、今後一そう遺憾なきを期してまいりたいと存じております。  さて、お話しの水の点でありますが、私も写真を見ましたし、担当理事は実際のところを見に参っておりますし、いろいろとこれについては、その下のほうをずっと一階から六階まで回ると、なかなかひどい影響があったということについては、当然でございますが、承知をいたして認識をしております。  予想していたかどうかというと、あんなにひどいとは実は思ってなかった。しかしながら、これは、もちろん私の責任でございますが、建築専門家の話によりますと、やはりどの建築につきましても、ふろ場とか洗面所とか、あるいは水を使いますベランダとか、そういうところは防水の設備をいたします。しかしながら、それ以外のところはコンクリートを打って、できるだけ穴があかないように、あるいは管を通すためにあけたところはほかの資材で詰めるというようなことをいたしておるのでございます。そこでコンクリートというのは、やはりそういう点では水が漏れるものと、技術者はみな申します。  そこで、あのところに消防は十五トンの水を注いだということでございますが、あの狭い一区画に十五トンのタンクを上に置いて水を抜いたというような状態になりますと、ひどい圧力でございまして、これはいろいろなすき間を通りましたりあるいは組織を抜けまして、お話しのようにやはり滝のようにといいますか、流れ落ちるということは、ああいう状態になれば免れがたいということでございます。これは、大事なとき脱線して恐縮でございますが、あの霞が関ビルだってやはり同じだ、こういうことでございます。幾ぶん上等でございますから——あちらのほうも漏れがあるかもしれませんが、やはり同じような物理状態のもとで、それだけの重いもので、上でせんを抜いてぐっと水の圧力をかけたら、それは抜けるものだ。しかし、それではその場合を予想してふだん全部に防水設備をするかといったら、これはたいへんな費用がかかって、家賃に換算いたしまして非常なものになってしまってどうにもならないということで、結局、配管の間の遊びのようなところをできるだけ詰めますとか、あるいはクラックができるだけ起こらないようにするとかいうことはいたしますが、あとは必要十分なだけの水をかけていただいて、そこでとめていただく。これはまた消防に、火を出しておいてお願いして、あまりかけるなと言うこともつらいことで、こちらとしてはむずかしいことでございますが、それであとは、ふすま、畳、みな公団の収支の中でこれを補修する。ただ、たんすや夜具や個人の所有のものは個人で、これは災難と見ていただく、あるいはそれについて動産保険を個人でおかけになるという以外にはない、こういう状態でございまして、右のようなことでもってひとつ御了承を得たいと思うのでございます。  それから避難訓練のことでございます。公団はやはり大事な、大ぜいの方がおいでになって、その方の人命と安全をおはかりしなければならないのでありまして、これはもう、先ほども局長からお話がありましたが、まず入るときの説明会、そういうときにも申しますし、それから「住いのしおり」というところでも、火災の予防、入居者のとるべき措置というものの周知徹底をはかっておりますし、ときどき冬など火災の多いときには、チラシを配るというようなことをいたしまして、いずれの営業所でも実施をいたしておるところでございます。また防火訓練につきましては、所轄の消防署の指導のもとに適宜実施をしている。それから公団団地管理主任というものが消防法の規定によります防火管理者に選任されまして、その指導に当たっているということでございまして、そういうことでつとめてまいっておりますが、今後も一そうこういうことについてつとめてまいりたい。やはり訓練をしてあるのとないのとでは、たいへんな違いがあると存じます。  ちなみに、こういうとき一つ申しますと、昨年度は、三十一万戸持っておりますうち、火災の発見は、ぼやまで入れまして二十五件ということで、幸い非常に少ない。万に一つということばがまさに当てはまるという状態ではございますが、しかし、事一つでありましても大事な人の命のことでありまして、居住性と経済性とをあわせ考えなければいけませんが、安全ということに特に今後も重点を置いてつとめてまいりたいと思います。
  56. 松浦利尚

    松浦(利)委員 総裁にさらにお尋ねをするのですが、それでは、入っておる人たちに、公団建物に入ったら、もう水には弱いんだ、そのことを知らしめておるのかどうか。先ほど言われたように、そういうことは今度初めて経験したことだと言われたから、いままでは別にしても、今後は、入られる方に、上のほうで火災があって消防をやったら水がどんどん下に漏りますということを言わなければ、私はうそになると思うのです。そういう点についてどう思われますか。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕  私が言いたいのは、実はそういうことをしなくても、コストが上がるかどうかということは別にして、技術的にローコストでそういったことを防ぐ方法はないのかどうか、そういう技術開発はできないのか、そういう答弁が私は総裁の口から出るものと思ったのです。ところがそうじゃない、もうだめなんだ。そういうことであるとするなら、これから公団に入る人たちに対して、もう水には弱いですからあきらめてくださいということをはっきり言って、入居させるべきだと思います。そうしなければ公団住宅は不当表示になりますよ。その点はっきりしてください。
  57. 東貞三

    ○東参考人 総裁にかわってお答え申し上げます。  この点につきましては、ただいまの技術では安い方法ではなかなかいいものができませんし、いかなる高級マンションでもそこまで手が回っているというところはないと思います。また、住宅ですと床を張ったりいろいろなことをしますものですから、普通の防水層をいたしましても、その間にねだとかそういうものをつけるボルトとか、そういうものが出ていきますので、これを完全防水するのは、なかなか費用がかかってできないという現状でございます。これを安く、何か塗っただけで非常に防水ができるというのが今後開発いたされますれば、そういうものも使っていけると思うのですが、現状ではなかなか安くそういうものができない、こういう現状でございます。  それと、水の点につきまして弱いということは、これはどうしてもコンクリートには収縮亀裂というのが固まる段階で起こりまして、どうしても水は漏るものなんでございます。その点につきまして、入居者につきましては、これは火災ということではございませんけれども、ときどき上の階で洗たく機を使いまして、洗たく機のすすぎをやったままでどこかでほかの用をしているという場合に、たまたま排水の管がはずれましてざあっと出る、そういうことで下に非常に迷惑をかけるこういうこと。それから流しなどの水がときどきオーバーフローしまして、漏って下の階に非常に迷惑をかける、こういうこともたまたま起こりますものですから、入居段階で、水については下の階に非常な御迷惑をかけるからそういう点は十分注意してください、こういうことは十分知らしてあるようになっております。
  58. 松浦利尚

    松浦(利)委員 防水しておらぬところでオーバーフローすれば下に漏るということは、それは言ってもけっこうだと思うのですが、いずれにしても、要するに水に弱い、火災があって水をやったら水をかぶるものだ、滝のように降るものだ、そういうことを入居者にはっきり言うべきだ、こういうふうに私は申し上げておるのです。その点どうですか、はっきり言ってもらわぬと困るのです。
  59. 林敬三

    ○林参考人 水に弱い、程度の問題でございますが、しかし、いま建築担当理事から申し上げたようなのがもう偽らざる実情でございます。しかし、火事のとき、上に水をうんとかけられたら下に漏りますよという指導はいままでしておりませんので、今後、いま建築担当理事も申しましたように、洗たく機で水の出しっぱなしなんかやると漏りますということで、上に水がうんとかかれば漏るのだということは、入っている人はみんな知っているはずでございます。火事のときには、実際外国なんかではやはりそういうことはあるらしいのですね。もうなれて、すぐたんすや何かにはぱっとビニールをかけてしまうとか、そういうことをやるためのものを持っておるという話も聞くのでございます。やはり御指摘のように、これだけ五十万戸、百七十万人をお預かりしているところでは何かローコストで、この災禍から免れるという方法はまさにくふうあってしかるべしとみずから反省して、今後努力いたします。
  60. 松浦利尚

    松浦(利)委員 外国の例も出されたようで、外国ではビニールを持っていて、すぐビニールをさっとかけるようになっておるのだそうですけれども、そうであればそういうふうに住宅公団でもやらせたらどうですか。せっかく外国のいい例を出されたのですから、それを参考にしてどうですか。
  61. 林敬三

    ○林参考人 これも検討一つとして、教訓として考えます。しかし、それを各人に買わせるということになりますと、これは一万軒に一軒起こる問題でございまして、そこらになりますと、さてどうしたらいいかということを一つの例として申し上げたのでございますが、しかし、一つの参考例として、今後こういう問題についてもできるだけの知恵を出してまいりたいと存じます。
  62. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは私も一つ参考を申し上げましょう。総裁が参考を言われたから、私も参考を出しましょう。  埼玉県の武里団地で、いつまでたっても水が流れてくるのです。あわてて調べてみたところが、セメントを打ってその上に床を立てますね。そして畳を敷きますね。その床とセメントの間に建設をしたくずが全部ほうり込んであった。そのために水がいつまでたっても消えなかったという事実があるのですよ。そういうことがなければ、そこの水が落ちてくるのを防げたはずですよ。これも一つの例ですが、どうですか。私は言うつもりはなかったのですが、あなたが例を出したから言うのです。
  63. 東貞三

    ○東参考人 お答え申し上げます。  これは手抜きということではございませんけれども、たまたまそういうところに木のくずとか、それからのこぎりで切ったくずとか、そういうものが入っていたのを掃除せずに、そのまま知らずに上を張っていった、そういうことだと聞いております。こういうことは今後厳にないようにしたいと思います。これはたくさんの戸数なものですから、検査するときたまたま見のがした、こういう点があったかと思います。この点については今後十分注意したいと思っております。
  64. 卜部政巳

    卜部委員 関連質問をしたいと思います。  まず、総裁質問をしたいと思いますが、ただいまの総裁の答弁を聞いておりまして、私は全く不誠意な答弁だと思っております。先ほど阿部委員松浦委員からの、滝のように流れるという表現を用いた問題ですが、ただ天井の亀裂のために水が滝のように流れるか。流れることないですよ。それは松浦委員指摘したように、配管パイプの接続部分のところに穴があいているのですよ。接続部分のところをシールがしてない。だからそれを伝わって七階から一階までばっと滝のように流れる。雨が降るなんというものじゃないのです。それを外国の例によったらビニールをかぶせるなんという、そんなばかなことがどこにありますか。そんなことはないですよ。天井のコンクリートの弱点の中で亀裂を生ずるということはあったにしても、それから漏れる水はぽとぽとと雨のごとくであるかもしれぬ。滝というならば、そういう欠陥があるのですから、この欠陥を皆さん方が正しく見詰めて、こういうところに欠陥があったから滝のような現象を来たしたのでございましょうから、当然そこの接続部分にはシールをかぶせるとか密着させるとかいう措置を今後行なうという誠意ある答弁があってしかるべきだと私は思うのですが、その点どうですか。現実にそういう点を考えておられぬわけですか。その点ひとつ答弁をしてもらいたい。
  65. 東貞三

    ○東参考人 お答え申し上げます。  ただいまの件につきましては、一応配管の穴というものはセメントで詰めるということになっております。それで最近のものは浴室、便所、そういうようなところに縦管を通しておりまして、そういうところは防水化してありますので、そこも非常に厳重にシールしております。それから、いま御説明のものは、台所等に立っている縦管について、詰め方が少し悪かった点があったかもしれません。今後そういうところがありますれば注意して、そこをシールするようにいたしますが、シールしただけでもそれはある程度水が漏ると思います。これはモルタルで詰めますから、ある程度は漏ってくるということはやむを得ないと思います。最近のものは、中にあまり縦管を通さないようにはしておるわけでございます。  以上でございます。
  66. 卜部政巳

    卜部委員 えらい元気のない答弁がなされておりますが、そうすると、この赤羽台団地の十五棟のそのところは、全部そうした縦管が通ってシールされていないわけなんですが、当然そのシールをするということですね、今度は。どうですか。
  67. 東貞三

    ○東参考人 それは、いままででもセメントで詰めてあるわけでございます。あるのが普通なんです。だから赤羽台団地全部がそうしていないということは、ちょっと信じられないのでございますけれども……。
  68. 卜部政巳

    卜部委員 先ほどから申し上げるように、滝のように流れるというのは、それがシールされていないからだ、そういうことを口すっぱく申し上げておるわけです。そうでしょう。シールされておったら、そんなに滝のように流れるものですか。それは常識から考えてもそうでしょう。ただ、それは、いまの外国の例ではありませんが、雨のように漏るならばビニールくらいで防げるけれども、滝のように流れるものを何でビニールで防止することができますか。ですから、そういうことの水かけ論は別といたしましても、赤羽台団地においては、現実に七階から一階まで水が滝のようにおりてきた。そうすれば、シールされていないという現実に立って、そういう補修改善を行なうということをここで確約していただきたい。どうです。これはひとつ公団総裁にお願いいたします。
  69. 林敬三

    ○林参考人 この配管のところがどうしても遊びができるわけでございまして、そこを物質で詰めまして、そうして上からのものが漏らないように、またそこを伝わっていろいろなことが来ないようにというふうにいたしておるのでございます。しかし、これはまあ赤羽のを一つの例にいたしましてよく再調査いたしまして、直す必要のあるところは修理をいたします。ただ、非常に異常な圧力でこの上に水が乗っかってきて押されるという場合には、普通詰めておきましても、それが本来のコンクリートと違うところは、やはりぶあっと突き破って出てくるということがあります。そこいらのところはひとつ常識で判断をして、なすべきことはできるだけのことをしてまいりたいと思います。
  70. 卜部政巳

    卜部委員 では、そうしたものを補修改善するということについては確認をされたわけですね。よろしゅうございますね。
  71. 林敬三

    ○林参考人 よく調べました上で、必要な面について最善の努力をいたします。
  72. 卜部政巳

    卜部委員 そういう答弁がぼくは官僚的だと思うのですよ。現実にあなた、滝のように流れてきておるわけなんでしょう。そこに現実調査をして云々と、こうおっしゃられるのですから……。  では、そのことばに私はあげ足をとるようなことではないのですけれども、先ほど松浦委員が御指摘になったように、一階、三階、六階というエレベーター迷路——だれが来ても実際問題としてどこに行っておるのかわからない。その部屋にたどりつくということは、その居住者がここよここよと言って、自分が下へおりていって手を携えてあげないと上がれないという、現実のそういう迷路である住宅もあります。そうしてまた十五棟のように、いま言うように、調査してみなければなおかつ理解していただけない公団総裁のそういうことばがありますが、ひとつそれを調べていただいて、現実に迷路であるその住宅等にも行っていただいて、そしてこの委員会に、自分が総裁としてこの住宅を視察した所感というものをひとつ出していただきたい、こう思いますが、よろしゅうございますか。
  73. 林敬三

    ○林参考人 いまの配管のところは、直すべきものはもう至急直すようにいたします。  それからいまの迷路の点でございますが、これは赤羽ができたのは数年前でございますけれども、当時の設計としてずいぶん苦心をして経済性と効率性と居住性を考えて、かつ消防署とは相談をして——あれも二つあるようですが、あまりよけいなことを申してはいけませんが、二つ考え方があるので、あれを迷路にしておかないと——迷路ということばは少し語弊がありますが、吹き抜けでいくと煙が上まで吹き抜けるというようないろいろなこともあり、よく御相談の上あそこを一つ上のものは下へ下がる、下のものは上へ上がるというようなことにして通しにしなかった。むしろそういう火災とか煙とかいう安全性から考えたものというふうに聞いております。しかし、それからあとずいぶん世の中も変わっておりますし、事情も違いますから、また持ってこられる家財の種類も違いますから、そこらを考えまして一ぺん調べて最善の措置を講じるようにいたします。
  74. 卜部政巳

    卜部委員 総裁、何か一階から三階へ、三階から六階へというこの構造は、かなり研究し尽くされた中でつくられたというような印象を与える答弁でありましたけれども、まさに、先ほどの阿部委員のことばではないですが、これはタヌキのねぐらですよ。廊下を伝わっていく、下に何か知らぬけれども入るものがあるなと思って入ってみたら家です。どこから逃げるというところもないです。地下街みたいなものです。行き当たりばったり、そこからどっちにも抜けられない、そしてまた上がってくるというそういう住宅です。それではひとつ公団総裁行ってみて調査をしていただいて、あなたが確実に何号室に自分ひとりでたずねていって、そこまでたどりつくかどうか。これはひとつ私はたいへん興味深く拝見をいたしますが、一緒に行ってもよろしゅうございますから、その所感を出していただきたいと思います。  それからちょっと総裁に、気になることがたくさんあるのですが、盛んに避難訓練とかしおりとかチラシを出しているというようなことを言われておりますけれども消火訓練等について消防署は、七階から水が滝のごとく流れてくるときに、ばっといち早くかけつけてシートをさっと出して、シートを巧みにあやつりながら滝のような水を誘導したという事実がありますが、そのときに公団側がかけつけて持ってきたのはポリバケツで、これで何とかしてくれ、こういう状態であったというのです。ましてや、しおりだとかそれから避難訓練などということは、まさしくこれはあった事実がない。こういうことも、公団総裁等の答弁の中で、いかにもチラシも配り、しおりも配り、訓練も行ない、入居のときにはいろいろと説明をし云々とありますが、これが一切なされていないという事実があります。ただ、冬の時点火災予防、火には注意をしてくださいというチラシが来ておる程度のものです。この点はひとつ総裁十分に、ただ机上の目でこうであったであろうという、またこういうようにしておりますということではなくて、やはり調査を十分にした上の配慮というものがあってしかるべきだ、このことをひとつ申し上げておきたいと思います。  関連質問ですからきょうはこれで終わりますが、建設省並びに消防庁につきましては最後に一点だけありますから、その点の質問を保留して、一応関連質問を終わります。
  75. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、委員長のほうからもうそろそろやめてくれという連絡が来ましたから、もうやめさせていただきたいと思いますが、最後にぜひここでお願いしておきたいことは、公団側が直接管理ということであそこには管理所というのがありますね。所長が常駐しておられるわけです(「常駐していない」と呼ぶ者あり)管理主任ですか、常駐しておられるわけです。その方と住民との間の連絡が非常にまずいのですね。極端に言うと、これこれがこうですからどうかしてもらえぬでしょうかという話をしたら、明確に答えてくれないのです。むしろ官僚的に突き放す。地元のほうから、このようにしてもらえぬでしょうかという陳情を持っていったら、それは上のほうに出して、答えが来なければ答えることができない。調べてみたら上には上がっておらない。直接きょう来ておられる理事皆さん方のところに赤羽台団地住民が行って、お願いをする以外に道がない。こうしたパイプの詰まりというものがあるわけです。こうしたパイプの詰まりというのが、むしろ公団側と入っておる住民との間の感情的なしこりというものに広がっていくおそれがありますから、そういった行政上の指導ということが必要ではないか。そういう指導が抜けておるから、火災訓練とか避難訓練とかいうことについても、何ら行政的に指導がなされておらないという事実が出てきておると思うのです。また入っておる人たちは年間——赤羽台団地で三千三百戸ですが、合計して二千万円の負担をしておりますね、公団に納めておるところの家賃のほかに。それは、御承知のように芝生の手入れとかその他に使われておるわけですけれども、それがどのように支出されておるかということについて、住民に知らされておらない。ただ、年に一ぺん住宅団地報か何かで知らすだけで、それが一体ほんとうにどういうふうに使われておるかということについて、チェックする機能が住んでおる人たちにない。こうした問題についてもこの際改めていただいて、もっと住民との意思の疎通というものを明確にするように——これは火災とは関係がありませんけれども、お願いをしておきたいと思うのです。  最後に、そのことをお願いすると同時に、先ほど政務次官からきわめて前向きの発言がありましたから、その政務次官の発言を私はきょうのこの質問一つの締めくくりとして、現在建っておる住宅あるいはこれから建とうとする住宅、特に高層住宅防火体制等について早急に政府の見解をまとめていただいて、先ほどお約束されましたように本委員会に早い機会に報告をしていただきたい。そうして、不安に思っておる住民に安心を与えていただきたいということを最後に申し上げて、長い質問になりましたが、また一問一答でたいへん申しわけなかったのですが、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  76. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 答弁はいいですか。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)委員 答弁はようございます。
  78. 卜部政巳

    卜部委員 関連。先ほど保留しておきました建設省、消防庁に対する問題の要望を申し上げて、関連質問を終わりたいと思います。  それに先立ちまして、ちょっと公団のほうに、忘れておりましたが、先ほど阿部委員のほうから、天井の亀裂も直したでしょう、畳も直したでしょう、それからふすまも直して、公団ではたいへんな物入りであったでしょうという発言がございましたけれども、この中でやはり問題と思いますのは、この人たちが消防庁のほうから出してくれたシートあたりで守って、ふすまもそれから畳も守るだけは守った。そうすると、その中に二枚程度完全にだめになったやつがある。守ったといっても、御承知のように滝のように流れたのですから、畳も何も水浸しになっている。そうしたらこの住民の、入居している人たちが公団のその建物を守ったということにもかかわらず、おまえのところの家は六枚のうち大体見たら一枚程度がだめだからといって、六枚のうち一枚程度をかえてみたり、ふすまは二枚あるやつを一枚ずつかえてみるような、そういうぶていさいなことをやっておる事実があります。その人たちは一生懸命守ったのですから、それを、たまたま六枚のうち四枚ためになった、そうしたらあとの二枚は——おまえのところはそれで守ったのだからいい、四枚だけは補てんしてやるというようなみみっちいことではなくて、六枚なら六枚全部かえてやったらいいじゃありませんか。ふすまも二枚あったらその二枚をかえてやったらいいじゃありませんか。そのぐらいの配慮をしていただきたい、こう思うのですが、どうでしょう。
  79. 宮地直邦

    宮地参考人 お答え申し上げます。  原則としまして、損害をこうむって使用に耐えないものにつきまして取りかえる。私その点も調査いたしておりますが、たとえばふすまの二枚の引き違いの場合に、一枚だけかえてあるというようなことになりますと非常にぶていさいでございますから、こういうことはないように思いますが、ふすまがそれだけ新しくなりましたから全部ふすまをかえろと言われましても、この点はちょっと困難だと思っております。しかし、まだ工事中のようですから、ペイントの問題もいろいろあるようでございますからまだ工事が完了しておりませんので、責任者が再チェックをするということを私が参りましたときに申しておりましたので、御了解を得たいと思います。
  80. 卜部政巳

    卜部委員 それは焼けたところの人だけではなくて、水をかぶった人のことも言っておるのですよ。ですから、いまのように六畳のうち四枚がだめであって二枚がよかった。そうすれば使用不可能である。四枚に限ってというようなことでやるのじゃなくて、やはりあなた、ついでに——それは率直に言って一生懸命守ったのですから、その人は。だからそのぐらいのことは配慮があっていいではないかということを言っておるのですね。いいですか。
  81. 宮地直邦

    宮地参考人 いま申し上げましたのは、水害を含めて申し上げたのでございます。
  82. 卜部政巳

    卜部委員 ではひとつ頼みますよ。  そこで、いま松浦委員のほうから指摘されました問題でありますが、政務次官のことば、前向きのことばということで私も了解をいたしますが、それにやはり私は具体性がないといかぬと思います。政務次官、その面につきまして、いま論議をされました、質問の中で指摘されました項目を一つ一つあげてまいりましたならば、次のことが言えると思うのです。  それは、やはり消火せんのいわゆる新設の問題、これは消防庁が確認をしたのですね。この問題があるでしょう。報知機の新設という問題がございますね。直接連絡ができるという問題。阿部委員指摘されましたように、ただもう十五トンの水をかければいいというのではなくて、そのときに簡易消火器等があったならば、ふわっと消えた性質のものです、あの内容を聞いてみますと。そういうことを考えてみますならば、やはり消火器の新設、これは各棟に一応設置するとかいろいろなことがあるでしょうが、そういう配慮もあってしかるべきだし、それからもう一つは、消火方法の改良の問題、さらに構造上の補修の改善の問題等、いろいろな問題がこの中に論議をされたのですけれども、この具体的なものを一つずつ文章にして提案をしていただきたい。このことをお願いして、私の質問を終わらしていただきます。
  83. 田村良平

    田村政府委員 具体的に御指摘になりましたが、お話しのとおり、その問題を具体的に解決する方針を示すことが安全であり、あるいは不燃化の住宅でございます。したがいまして、そういうことが現実に起こっておる問題でございますから、問題の原因を解消する方策を、建設省、消防庁あわせてどうするのだという御回答を申し上げることが正しい答弁であり、具体的な措置、このように考えて、仰せのように御回答いたしたいと思います。      ————◇—————
  84. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 この際、おはかりいたします。  先ほど決定いたしました参考人に追加して、日本住宅公団理事尚明君を参考人といたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 御異議ないようでございますから、さよう決定いたします。  午後一時十分再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十九分休憩      ————◇—————    午後一時二十二分開議
  86. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  引き続き質疑を行ないます。北側義一君。
  87. 北側義一

    ○北側委員 住宅局長にお伺いしたいのですが、先日予算一般質問でいろいろと住宅関係についてお聞きしたわけですが、まだ詰めのできていない点がありますので、その点をきょうはちょっと詰めさせていただきたい、このように思います。  先日の根本建設大臣の答弁では、今後の住宅対策については、企業やまた農家、地主の民間住宅建設に力を入れてまいりたい、このようなお話があったわけであります。そこで、聞くところによりますと、建設省でも民間住宅建設促進の構想を調査検討なさっておられる、このように私は聞いておるわけでありますが、その実態についてお伺いしたいものです。   〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕
  88. 大津留温

    ○大津留政府委員 先般建設大臣がここで御説明申し上げましたように、住宅対策を進める上におきまして、公的資金による住宅のみにたよっておったのではなかなか解決が進みませんので、民間自力建設も大いに促進したい。その方策といたしまして、一つには、企業による従業員のための持ち家政策を進めたい。それからもう一つの重点としましては、大都市近郊の農家の方々が、その土地を利用して住宅建設される、これを賃貸または分譲住宅として供給される、それを融資その他の方法で援助して促進したい、こういう二点を申し上げたわけでございます。  農家による住宅建設促進の一つの資料といたしまして、昨年都市近郊の農家の意識調査と申しますか、住宅建設についてどういうお考えをお持ちかということを調べました。そうしましたら、その土地を利用して住宅経営をやってみたいという御意向も相当見られましたので、先ほどの方策を少し積極的に進めてみたいというふうに考えておるわけでございます。
  89. 北側義一

    ○北側委員 そこで、いま局長がおっしゃられた東京都近郊農家の住宅経営についての意識調査について資料をきのういただいたわけですが、この調査結果を見ると、基本的ないわゆる問題点についていろいろと述べておられるわけです。この点につきましては、先般の住宅統計調査等によりましても御存じのとおり、あらゆる設備の共用の住宅ですね。これについては非常にその面積等が狭くなっておる、こういうことを私申し上げたところ、大臣のほうでは、そういう点につきましては何とか考慮してやっていかなければならない、こういう答弁があったわけでありますが、やはりこれを見ましても、そのような問題点が出てきておるように思うわけです。こういう点についてどのような考え方をされておるのか。やはりやっていく以上はそういう問題点が浮かび上がっておるわけでありますから、それについては、基本的には何らかの対策がなければやはり同じような傾向になっていくんじゃないか、こういう心配があるわけです。その点どうでしょうか。
  90. 大津留温

    ○大津留政府委員 御指摘のとおりでございまして、先般も建設大臣がこの席で、これからの住宅対策の一つの重点として、規模の拡充を含む質の向上に重点を置いていきたいということを申したわけでございます。その具体的なやり方といたしましては、政府が公的資金によって建てます公団住宅なり公営住宅規模を年々拡充してまいりたい。また、住宅金融公庫から融資をいたしまして、民間の方に建てていただく住宅につきましても融資対象の面積をふやして、これを拡充していこう、具体的にはそういう方法をとってまいる考えであります。
  91. 北側義一

    ○北側委員 そこいらのところが非常に大事な問題になってくるんじゃないかと思うのです。それを、いまかりに大臣がそのような方向で今後の住宅対策を持っていかれようとしても、そこに国としての住宅建設に対する援助といいましょうか、何らかがなければ、やはり同じような傾向になってくるんじゃないかと思いますので、その点はひとつ間違いなくやっていただきたいと思うのです。方法としては、それはいろいろな方法があろうと思います。そういう点についてはここで論議しても始まりませんので、この意識調査の最後のほうに書いてあります問題点を指摘なさっておられるわけですから、指摘なさった以上は、あくまでもそれを解決する方向に持っていっていただきたい、まずこういうことをお願いしておきたいと思います。  次に、このような農家が住宅経営をやっていく場合に一番心配になりますことは、都市計画法との関連なんです。当然これは市街化区域内に住宅建設がされ、調整区域においてはされない、このように私は了解しておるわけでありますが、市街化区域においても、これは第七条でしたか、約十年で都市基幹施設の整備を行なう、このようになっておるわけです。そうしますと、その際、用途地域等を定める前にそういう住宅が建っていった場合に、かりにいままでと同じような住宅が建っていった場合にスプロールしていく可能性があるのではないか、こういうことを私心配するわけなんですが、その点についてはどうでしょうか。
  92. 大津留温

    ○大津留政府委員 新しい都市計画法によりますと、市街化区域を設定いたしましたら、それと同時に、その地域の用途地域を定める、こういうたてまえになっております。したがいまして、市街化区域が設定されますと、それを追っかけまして住居地域なり工業地域という指定がなされ、また都市施設の根幹的な都市計画というものが同時に行なわれますので、従来のようなスプロール現象というのは抑制できるのじゃないか、こういうふうに期待しております。
  93. 北側義一

    ○北側委員 そのように線引きを行なって用途地域をすぐきめられる、このようにおっしゃっていますが、この期間というものはかなりあるのじゃないですか。これは竹内局長どうですか。
  94. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 お答えします。  市街化区域を設定する場合には、当然用途地域はどういうところに指定をするかというのを、市街化区域の整備開発、保全の方針である程度うたっておるわけであります。したがいまして、用途地域の設定は、市街化区域設定後遅滞なく行なわれることと思いますが、現在のところは、大部分のところがすでに用途地域が指定されておりますので、それをある場合には変更しなければならない場合も出てくると思いますが、大体は用途地域は指定されております。指定されてないところは、遅滞なく用途地域の変更を追っかけてすぐやろう、こういうことでいま作業を進めております。市街化区域の計画ができている段階におきまして、大体用途地域の計画もできておりますので、手続的に一ぺんに市街化区域の設定と用途地域の変更をかけるということがなかなか困難なものですから、市街化区域の設定後遅滞なく手続に入る、こういうような方針でいま進めております。
  95. 北側義一

    ○北側委員 来年度からいよいよ新五カ年計画に入っていくわけです。いま局長が言われたとおり、公的資金住宅のみやる、これはいけません。そこで、持ち家政策として、そのように企業また農家の住宅経営、こういうことを考えておられる。このこと自体はそれでけっこうなんですが、たとえば、現在そういう民間デベロッパーが、市街化区域に入る地域に一体どれくらいの土地を持っておるのか、これはわかりますか。
  96. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  私のほうで調べたところによりますと、昭和四十三年の十二月末現在における資本金一千万以上の大手不動産業者が全国に保有している用地、約  一万一千ヘクタールということになっております。  なお、市街化区域予定地内とそれ以外にどれくらいあるだろうかという御質問でございますが、これについては正確なデータはございません。ただ、首都圏内におきまして、大手業者の団体であります不動産協会の調べによりますと、会員会社が持っている用地は約七千六百ヘクタールでございまして、そのうち約四千四百ヘクタールは、現行の制度による、いわゆる用途地域内に約四千四百ヘクタールの土地を保有しておるという報告がなされております。
  97. 北側義一

    ○北側委員 また、農協が現在、いわゆる住宅用地として持っておる土地についてはどれくらいあるか
  98. 大津留温

    ○大津留政府委員 いわゆる農協住宅といっているのは、その農協に加入しておる農家が土地を持ち寄って、共同で区画整理をして住宅建設しようという計画でございまして、農協自体がそういう土地を持っているという関係ではございません。
  99. 北側義一

    ○北側委員 いずれにいたしましても、民間のそのような企業また農家の住宅経営、こういうことをやっていく場合に、ばく然とした考え方でこれをやっていったらいけないと思うのです。やはりそれくらいの調査はやっていただいて、そうしてその上に立ったところの計画というものがなければ、一貫性のある住宅政策とはいえないのじゃないか、このように私は思うわけです。それでこの問題をただいまお聞きしたわけです。  さてそこで、現在新都市計画法に基づいて各所において市街化区域及び市街化調整区域、このような線引きが行なわれております。   〔天野(光)委員長代理退席、委員長着席〕 ちょうど昨年の国会でこの都市計画法についていろいろと審議をやっていったわけでありますが、その当時の市街化区域の予想面積、これはたしか竹内局長が八十四万ヘクタールくらいと言っておられたと私記憶しておるわけでありますが、現在、地方公共団体の線引きの段階で一体市街化調整区域としてはどれくらいの面積なのか、その見込みを教えていただきたい。
  100. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 国会で都市計画法の御審議をいただきましたときに申し上げた数字は、市街化区域の面積が先生いまおっしゃいましたように八十四万ヘクタール、これはそのとき申し上げたと思いますが、建設省が地方に相談せずに、机上計算で大体これくらいになるだろうというおおよその目安をつけた数字でございまして、全く公共団体からは意見をとった数字ではなかったわけでございます。ただ、審議の都合上、大体どれくらいになるかという目安がないとおわかりにくいということで申し上げたわけでございます。現在市街化区域の作業が進行中でございまして、大部分の府県におきまして公聴会をすでに済まして、あるいはこれから公聴会をやろうという段階でございまして、県の素案というものはもちろんできているわけではございますが、まだこれは公聴会の段階でございますので、なお変わってくると思います。しかし、そういうことを前提に置きまして、現在の段階で非常に大ざっぱに県の素案で入っております市街化区域の面積を申し上げますと、百十四万ヘクタールぐらいになるのではないか。これが最終的にはあるいはもう少しふえてくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  101. 北側義一

    ○北側委員 そこで先ほど申し上げましたとおり、机上の段階で計算されたときと比べますと、市街化区域が非常に大きくなっているわけです。先ほど申しました第七条の第二項で、市街化区域を、「おおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。」このようにあるわけです。その市街化区域内の都市整備、これの総投資額、都市整備するための投資額もやはりその面積が変わりますと変わってくると思うのですが、総投資額は一体どれくらいに見ておられるのか。
  102. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 八十四万町のときに、投資にもいろいろございますけれども道路、上下水道、それから義務教育施設、それから河川というようなもの、都市整備に、市街地の整備に必要不可欠な投資額を大体二十二兆ぐらい要るというふうに申し上げたと思います。現在百十四万ヘクタールになって、それがどれくらいになるかというのは、実はまだはじいていないわけであります。私どもといたしましては、市街化区域の決定の際に、当然市街化区域の整備開発、保全の方針というものをきめるわけでございます。その方針に従いましてすでに通達を出してございますけれども、今後十年間にそれぞれの都市計画区域におきまして市街化をはかっていきますために、公共施設がどれくらい要るかという数字を、現在各都道府県を通じまして作業してもらっておる段階でございます。一応の目標といたしましては、六月末までに出してくれということでやっております。したがいまして、市街化区域がきまる、整備開発、保全の基本方針がきまって、さらに十年間にどれくらいの投資が要るか、その投資も、公共投資がどれくらい、民間の負担するものがどれくらいという数字がその段階で出てくる。したがいまして、現在はっきりどれくらいということは申し上げられませんが、ただ、私ども整備の考え方といたしましては、市街化区域というのは、ヘクタール当たりの人口から面積を割り出しまして、漫然とこれくらいの面積が要るから線をすっと引くんだという考え方ではございませんで、既成市街地、これはやむを得ませんけれども、それ以外の地域は、しばしば国会で御答弁申し上げておりますように、計画的な開発の見通しが確実なものから入れていくんだ。計画的開発といいますのは、区画整理なりあるいは民間あるいは公共機関がおやりになります計画的な宅地開発というものを、実施の見通しのついたところから入れていく、こういう方針でおりますので、この場合にはもちろん負担区分が問題でございますけれども、既成市街地等におきまして公共施設を整備するようなほど公共団体の負担はかかってこない、そういうふうに考えているわけでございます。
  103. 北側義一

    ○北側委員 これはもう先ほど申されたのですが、そのように机上計算の上からいった場合と、実質おそらく百十四万ヘクタールから百二十万、これぐらいになるんじゃないか、このように私、新聞等でも拝見しているわけですが、そうしますと、これはやはりおおむね十年で都市整備をやっていくという法律であるわけですから、その点、公共投資分がそれに見合うだけのものが国なり地方公共団体なりに出てくるかどうか、非常に大きな疑問じゃないかと思うのです。また、この六月にそういう問題についてはきまる、このようにおっしゃっておるわけですが、地方公共団体の財政を大きく圧迫していかないか、こういう心配も私はしておるわけなんです。で、この問題を申し上げたわけでありますが、この市街化区域について、これは地方公共団体が線引きするわけですから、どうこう言うわけにはいかないかもわかりませんが、やはりそこに第七条がある限りは、その第七条に沿った公共投資というものをやらなければいけない、私はこう思うわけなんです。その点、どのように考えておられるのか。
  104. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 お答えいたします。  私どもといたしましては、市街化区域、これは先生いま御指摘になりましたように、既成市街地と、それからおおむね十年以内に計画的に市街化をすべき区域、二つに分かれるわけでございます。既成市街地につきましては、これを完全に公共施設を十年間で整備するということは、なかなかむずかしいことだと思います。たとえば道路一つとりましても、自動車の交通量に完全に見合った形、立体交差なり鉄道の高架化を含めて公共施設を完全に整備するというのは、これはなかなかむずかしい。したがいまして、既成市街地につきましては、やはり幹線的なものに重点を置いて整備する、あるいは現在の非常に困っている状況を直していくということになろうかと思います。しかし、いわゆる新市街地につきましては、これはやはり法律に書いてありますとおり、公共施設の整備と宅地の開発というものを、少なくともできれば公共施設を先に整備して、あとで宅地開発をやればいいわけでありますが、少なくとも同時に整備していくというような考え方で、宅地開発というようなものと公共施設の整備というものは、車の両輪のようになって整備していくというような考え方で私どもとしては整備を進めていく、このための財源措置は何としても進めていかなければならない、こういうように考えております。
  105. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 関連お尋ねいたしますけれども建設省は、八十四万ヘクタールという机上計算を出したということは、やはり新都市計画法においてはそこに公共投資を十分していくための財政とか、または日本の国土開発とか、都市問題とか、そういうものを踏まえた上で八十四万ヘクタールという算定を出した。これは専門所管官庁としては当然だと思う。ところが、地方公共団体やその地元からの圧力によって百二十万ヘクタールにもなるということは、約五〇%も増加する。こういうことは、いまの都市局長のお話によりますと、当初計画していたよりも拡大するということは、それだけ財源がそこに投下されるということになって、薄くなってくるという考え方が一つ。だからコミュニティーとかそういった問題で、これは上から押えるべきものではありませんけれども、いま線引きで争われている問題は、調整区域に自分の町や村が編入された場合には土地問題と関係してくるんだ、売れなくなっちゃうんだ、また地価が下がるんだ、こういう思惑から拡大に次ぐ拡大を続けているわけです。これはおそらく、私はもっとふえるのではないかと思う。これを地方公共団体の言うままに日本の都市計画上の、新都計法の線に沿って市街化区域を拡大していった場合には、いまあなたが御心配のように、市街化区域になったけれども、あまりにも拡大されたために、そこに公共投資の十分なる配慮というものがなされなくなるという憂いも出てくる。そうなってくると、ある一面ではこれは憲法問題にまで触れてくるのではないか。片方には、市街化調整区域にされた場合に地価は押えられてくる。片方は、地価は上がってくる、もうかる。こういう問題になってきたときには、これは重大問題になるわけですが、これは建設省としては、あくまでも地方公共団体から吸い上げた数字で妥当なのかどうか。一体、その八十四万ヘクタールという机上計算から出た数字というものはどこで押えるのか。これがいま私どもの一番関心のあることですが、これは大きな問題でありますので、局長並びに政務次官にお尋ねいたしたいと思います。
  106. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 お答えします。  私ども市街化区域の設定にあたりましては、将来の人口、将来の産業というものを、十年後のものを見通しまして、それに基づいて面積をはじくわけでございます。その際の指導基準といたしましては、新市街地についてはヘクタール六十人以上を標準にするということを言っております。実際現実に福井都市圏、それから近く山形都市圏が認可になりまして、それ以外にいま作業しているので、われわれのところにいろいろな形で接触がございますのを見ておりましても、建設省の基準を割ってそして市街化区域を広げているというケースはございません。おそらく今後もないのじゃないか。これは先のことでございますので、先生御心配のような点はもちろん私どももしておりますけれども、それは私どものほうで基準を割らないように指導してまいりたい、こう思っております。  それから公共施設の問題でございますが、確かに総投資額は、面積がふえればふえると思います。しかし、先ほど申し上げましたように、やはりこれからの市街地の整備というものは全部公共団体がやる、公的機関が全部公共投資をやってしまうというような形ではまいらないのではないか。したがいまして、私どもとしては区画整理——これはいわゆる区画街路とかあるいは小公園というようなものは、お互いが現物で出してくださいという制度です。幹線街路とか大公園は、これは公共投資をいたしましょう、こういうような制度でございますから、そういう自分の身のまわりの公共施設の土地は地主さんに出していただくという形の区画整理とか、あるいは団地開発をいたします場合に、幹線的な道路みたいなものは、多摩その他におきましても当然公共投資としていたしてまいりますけれども、枝線のようなものにつきましては宅地開発事業者に負担させる。ひいては土地の所有者に負担が転嫁されるというような形で、いわゆる受益者負担的な考え方をある程度取り入れて公共施設を整備していかなければ、とてもその秩序ある町づくりというものはできないのではないか。そういう方向で進めてまいりたい。そういうことも考えてまいりますと、新市街地が広がれば確かに投資額はふえるわけでございますけれども、私どもとしては、十年でそれができないというような数字にはならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  107. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうすると局長、八十四万ヘクタールという数字の算定から、建設省はいまヘクタール当たり六十人を割らない。そうすると、限度はぎりぎりどのくらいの線を見込んでいるのですか。地方公共団体から上がってくる数字が、たとえば百四十万ヘクタールとか百六十万ヘクタールとか、これからもっと拡大する可能性が出てくるとも考えられる。一体建設省としては、理想的なところは何万ヘクタールまでとして、最終リミットを押えているのですか。
  108. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 これは先生御承知のように、やはり大都市周辺部とか地方都市で実情が違うと思うのです。やはり大都市周辺部でございますと、ヘクタール当たりの人口密度は高くなる。したがいまして、単純に全国のものをヘクタール六十人で割った場合に幾らになるか、ただいま数字は持ち合わせておりませんけれども、そういう数字よりはうんと小さい数字で出てくると思います。私どもとしては、やはり個々の都市計画区域ごとにヘクタール六十人というものを目安にして押えていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  109. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 政務次官、これは大きな政治問題です。日本の都市づくりがここではっきりしてくる。都市の集中か分散か、いろいろな意見があるのですが、特にこの首都圏なんか、また近畿圏なんか、いま都市局長も非常に重大なところに触れておりましたけれども、私どもも専門的に研究していけばなるほどたいへんなものです。そこで政務次官、あなたは大所高所に立って、実際には日本の都市づくりの中で、市街化区域というものはいまの面積からいったら一体どれくらいが妥当かということを——またあまりにもいたずらに拡散して、確かに人口配分だけでいきますと面積と配分率と違いますので、いたずらにその点が拡大されてはいけない、地価問題というものは相乗的に考えなければいけない、そういう点のお考えを承って、私、関連でございますから終わらしていただきます。
  110. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  御案内のとおり、約半世紀にわたって続けられたこの新しき市街化の問題を処理する新都市計画法の問題ですから、いろいろ困難な問題があると思いますが、せっかく成立した法律でございますから、公共団体その他とも十二分に連絡をとりながら、御指摘のようないたずらに拡散をする、何のことかわけがわからなくなったということのないように、法の趣旨を生かすべく、この問題の解決を長期的に進めていきたい、このように考えております。
  111. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 あまり行き過ぎた場合には、建設省としては勧告なり注意なり、行き過ぎというときには何らかの手を打つ、こう理解してよろしゅうございますか。
  112. 田村良平

    田村政府委員 申請が出てまいりますので、そういう場合に、御心配の向きにつきまして十分検討を加えて、法の趣旨が達成される方向認可をしていく、このように考えております。
  113. 北側義一

    ○北側委員 そこで、今後、市街化区域の公共投資をいま政務次官また局長が言われたとおりやっていく場合に、たとえば下水道計画、こういうものはやはりこれと関連して一つの十年計画なら十年計画の下水道計画、そういうものを立ててやっていくべきじゃないか、私はこのような考えを持っておるわけですが、そういう点についてはどのように考えておられますか。
  114. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 先生おっしゃるとおりでございまして、そのために都市計画法でも、市街化区域をきめたら、同時に下水道、道路、公園といった基幹施設の計画をきめろということになっております。同時にというわけにはまいらないと思いますが、市街化区域の設定の際には、下水道につきましても基本方針で触れるわけであります。それに基づきまして市街化区域全域についての下水道計画を遅滞なく立てていく、そしてそれに基づいて事業の遂行をしていく、こういうふうな計画でまいりたい、こういうふうに考えております。
  115. 北側義一

    ○北側委員 ただいま言われましたとおり、私たちは昨年、この国会でこの都市計画法については十分な審議を行なって、そして国会を通過しておるわけです。この法の精神を私はくずしてはならない、このように思うわけです。そういう点で、ただいま小川議員も質問されておりましたが、どうかひとつ法の精神が生かされたところの都市計画、これをやっていっていただきたい、このように要望いたしておきます。これは今後十年たたなければ、実際の問題として現状ではわからないわけです。そのときには竹内さんもおそらくおられないのではないかと思うのですが、実際ここでどのような答弁をされても、あとの成り行きというものは十年たたなければわからないわけです。それを法できめた以上は、やはり一番最高のものをきめられたと思うのです。したがって、それはやはり守っていくように前任者としてやっていくのがあたりまえじゃないか、こう思うわけです。そういう点で心配でありましたので、御質問申し上げたわけです。  次に、地価対策について、これはいろいろと提案もなされておるわけです。道路整備にしましても、住宅にしましても、また再開発にしましても、鉄道建設にしましても、すべての根本となっておるのが土地問題なんです。根本建設大臣も、地価安定政策の一環として昭和四十六年から宅地開発五カ年計画、これの構想を持っておられるようですが、その内容についてお伺いしたいと思うのです。
  116. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  御承知のように、宅地開発住宅建設の計画と対応して行なわるべきでございますが、現行の住宅建設五カ年計画は、御案内のように、昭和四十一年度から四十五年度までに六百七十万戸の住宅建設する計画を立てております。しかし、宅地供給の面から見ますると、この六百七十万戸全体の宅地を用意する必要はございません。と申しますのは、これらの総建設戸数のうちには老朽建てかえによるもの、また既成市街地の再開発あるいは既存の宅地の空閑地を利用するもの、それから農村で建設される住宅もございます。そういったものが六百七十万戸の中には大体三百八十万戸程度含まれておりますので、これを除きました二百九十万戸分が新たな新市街地として宅地を供給する必要がある、こういう前提に立ちまして、現行計画では、四十一年から四十五年までの五年間に五万三千ヘクタールの宅地を供給するというのが現在の計画でございます。  ところで次の五カ年でございますが、これは当然に新しい第二次の住宅建設五カ年計画、これの戸数がきまり、その中で新市街地に何万戸供給すべきかという計画がセットされました段階で、これと並行して宅地供給計画も数字がきまってくるわけでございます。これらは、現在住宅局、また住宅宅地審議会等においてもいろいろ御検討でございます。数字の固まり次第宅地供給についても計画を固めたい、かように考えております。
  117. 北側義一

    ○北側委員 そこで私、考えとしては非常にいい考えだと思うのです。ところが実際の問題といたしまして、こういう計画を策定していく上において、その財源から、やはり政府がこれを全部持っていくということではいけないわけです。やはり民間開発による方法もとられると思うわけです。そこで、その比率というものが非常に大事になってくるのではないか、このように思うわけなんです。またこの宅地開発五カ年計画で、現在の戸数主義から脱却して先行投資的な意味を持って行なわれるべきであろうと思うのですが、この策定にあたって、住宅建設の戸数とも関連して、各都道府県との住宅建設関連したところの調整というものが行なわれなければいけないのじゃないか、このように思うのですが、その点どうでしょうか。
  118. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  現行計画の五万三千ヘクタールにつきましても、その内訳といたしましては、公的機関によるものが二万五千ヘクタール、民間の宅地開発部分が二万八千ヘクタール、公的部門よりも民間デベロッパーにお願いするほうが若干多いという比率になっております。次期の計画におきましてこの比率をどうすべきかはまだきめておりませんけれども、大規模で優良な宅地造成ということになりますと、はやり公的機関の造成いたしますもののほうがすぐれておりますので、財政の許す限りは公的機関のシェアをなるたけ多く見込むということが必要であろうかと思います。  それからこの地域割りでございますが、これはやはり全国総合開発計画、新しい新全総計画あるいは首都圏、近畿圏、中部圏等の各地域開発計画がございます。これらによりまして、地域別に将来の産業あるいは人口の伸びぐあいを勘案いたしまして、ある程度の見通しは立てなければならないというふうに考えております。
  119. 北側義一

    ○北側委員 新全総の計画によってそのようにやっていかれる、そのようなお答えなんですが、たとえば大都市周辺ですね、この宅地開発、一番適地と思われるようなそういう場所については、現在大企業の開発業者がすでにそういう用地を買い占めてある。一番必要なそういう土地については、適当と思われる場所は買い占められてある。公的な資金において開発する場合においてそういう適地があるかどうかというのは、非常にこれは問題になってくると思うのです、適地がないとすると。そこで、やはり道路なり交通網なり整備しなければこの開発はできないような実態になってくるのじゃないか、こういう心配が出てくるわけなんです。これらについては調査なさっておられますか。
  120. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  大都市近郊におきまして大手の不動産業者が土地を買い占めているといううわさは、私もちょいちょい耳にいたしますけれども現実に、先ほどお答え申し上げましたように、大手の不動産協会加盟業者の手持ちの保有登記を調べてみますると、全国で一万一千ヘクタール、首都圏で七千六百ヘクタール程度でございます。次期五カ年計画は、現行の五万三千ヘクタールよりも住宅建設戸数もふえるでしょうし、当然にふえてまいりまするから、少なくとも現在大手のデベロッパーが手持ちの土地というものは、今後の計画全体の面積から見るとわずか一割か二割という程度でございますので、そう開発適地が全部大手に買い占められておるというふうには考えておらないわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、今後の東京あるいは大阪近郊における大規模開発にあたりましては、ただいま先生の仰せられましたように、足の問題、水の問題がきめ手になると思います。これらにつきましては、水の問題については、何より水源の手当てあるいは排水の関係をどうするかという問題、足の問題につきましては通勤用の鉄道あるいは道路整備というものに相当力を入れて投資を行ないませんと、あたらせっかくの開発適地が具体的に宅地として供給できないということにもなりますので、今後における大規模な宅地開発にあたりましては、いわゆるそういった関連公益施設の整備には十分力を入れなければいけないのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  121. 北側義一

    ○北側委員 次のやはり五カ年計画、これから考えますと、やはり十万ヘクタール近くになるのじゃないかと思うのです。これは新聞では一応そのように書かれておりました。そこで、先ほど言いましたとおり、なるほど大手業者が持っているのは一割近い数しか持っておられないかもしれませんが、その大手業者が持っている一割というのは、やはり一番地価の上がる可能性のある場所、そういう場所が買い占められておるのじゃないか、こういうぐあいに考えるわけです。どうしてもその土地の需要が高くなるところ、そういうところがおそらく買い占められてある、このように考えるわけなんです。やはり住宅を不必要なところに建ててもいたし方ないわけですから、どうしても住宅の必要な場所へ建てる。そういう場所は買い占められてあるのが現在の実情ではないか、こういう考えを持っているわけです。そういう点で、これがいま構想を練っておられる段階でありますが、この点についてもひとつ、これは次の五カ年計画で大事な問題になってくると思いますので、詳しく検討していただきたい、このように要望いたしておきます。  また、その民間の業者が宅地開発する場合にその助成措置、これは講じなければいけないと思うのですが、その開発された宅地の分譲価格、これがまた高くなるようでは何にもならないわけです。やはりそれに対しての分譲価格の適正な値段というものを、一つ基準をきめなければいけないのじゃないか。そうせぬと、せっかくそのように五カ年計画であっても、一般の人が手に入らないような値段になるようでは何にもならないと思うのです。そこらについてはどのように考えていられるんですか。
  122. 川島博

    ○川島(博)政府委員 昨年御審議、成立をさせていただきました地価公示法が、幸いにこの四月一日から三大都市圏において実施をされます。この公示価格は、民間の取引にあたって、その取引価格を拘束するものではございませんけれども、私どもは、専門家が非常に慎重な手続を経て適正な時価として公示価格を官報に掲載するわけでございますから、民間の取引にあたりましても、これを最も信頼し得る目安として使っていただきたいということのPRにいまつとめておるわけでございます。おそらく大手の不動産会社等が今後新しく宅地を売り出します場合にも、良心的な業者でございます限りは、この公示価格を守っていただけるものと思います。ただ、一部の悪質業者が必ずしもこの公示価格を守らないという場合もあるかもしれませんけれども、これはこの制度そのものが、法律的にこの公示価格を公定価格として義務づけておりませんので、その点はやむ得ないと思いますけれども、大部分の大手業者は、この公示価格に準拠した適正な値段で宅地を供給していただけるものと確信いたしておる次第でございます。
  123. 北側義一

    ○北側委員 これは、ここが非常に大事な問題だと思うのですね。地価公示法を先般審議しました際に、近傍類地の地価によっても公示されるわけですが、あのとき大臣ははっきり、地価安定政策にならぬとおっしゃっておるのですよ、坪川さんが。ただ、そういう一部の悪徳不動産業者、そういう人を押えるためにこれは地価公示するのだ、こういう答弁だった、そのように記憶しているわけです。そういう何らかの措置が講じられることが、この宅地開発五カ年計画というものにこれから法案をつくられて提出される、そういう段階になっておるのか知りませんが、一番大事なことじゃないかと思うのです。そうしなければかえって地価が上がってしまった、そして、宅地開発五カ年計画によってそういう計画をやり出して地価が上がってしまった、こういうことも考えられるのじゃないかと思うのです。これはやはり次の住宅建設新五カ年計画に関連してくると思うのです。これは非常に大事な問題だと思うのですが、別に適正な価格をきちんときめていくようなものについては助成措置も講じる、ただし適正な価格でこれを売買する、このような方法をきめなければいけないのじゃないか。いま局長がお答えになっておられたような答弁ですと、これは地価の問題ですから必ず上がってくるのじゃないか、間違いなく開発されて上がってくるのじゃないか、このように思うのですが、その点どうでしょうか。
  124. 川島博

    ○川島(博)政府委員 お答え申し上げます。  民間の優良な宅地開発事業につきましては、政府におきましても、現在ささやかではございますが、助成の道を開いております。その一つは、三十ヘクタール以上の優良な宅地造成をいたします業者が地主から土地を買います場合に、その地主が手にいたしました代金、この譲渡差益につきまして租税特別措置法を適用いたしまして、三百万円の特別控除制度を実施いたしております。それから一昨年からでございますが、住宅金融公庫に、民間の宅地造成業者に対する融資の道を開いておるわけでございます。それから別途いわゆる住宅金融公庫は、融資保険制度によりまして、これも民間のデベロッパーに相当融資保険制度が利用されております。このうち前二者の適用を受けます、すなわち税制並びに公庫の直接融資という政府の助成の手を差し伸べられる業者につきましては、そういった国の助成と引きかえに、造成宅地の処分価格についても規制をいたすことにいたしております。その内容は、大体民間の宅地造成は三年程度時間がかかるわけでございますが、その三年間における金利込みの利潤を三五%以内に、約年一割でございますけれども押えまして、その適正な価格で分譲するものに限って税制あるいは公庫の融資の手を差し伸べる、こういう仕組みになっております。したがいまして、少なくともそういった政府の助成を受けた者につきましては、きびしい利潤統制が行なわれることになっております。
  125. 北側義一

    ○北側委員 その問題は、まだ法案として出てきてないわけですが、構想の段階で練っておられるところであろうと思いますのでやめておきまして、法案が出た際に十分審議したいと思うのです。  次に、日本住宅公団総裁がお見えになっておられるわけですが、公団が先般日本都市センターに住宅団地関連公共施設整備に対する委託をなさった資料をいただいたわけです。この公共関連整備に対する公共投資が非常に問題になりまして、公団住宅は、たとえば多摩ニュータウンの場合でも小中学校の敷地の問題でずいぶんもめまして、解決したとは聞いておりますが、何といいましょうか、今後日本住宅公団住宅建設をやっていく場合にこの問題が非常に大きくクローズアップされてくるんじゃないか、このように思うわけです。そういう点で、きのうある一団地の資料をいただいたのですが、総裁、これをお持ちでしょうか。この資料によりますと、賃貸住宅の家賃に対する負担金の割合——いただいた資料は町田の山崎団地の資料ですが、これは昭和四十二年に建設された四千二百二十戸の団地である、このようにここではなっておりますが、二戸当たりの平均家賃が一万三千七百四十七円になっております。これに対して、いわゆる負担金の平均家賃に占める額は六百四十九円、このようになっておりまして、家賃から比べますと四・七%、このようになっておるわけですが、今後あの多摩その他いろいろな地方公共団体の財政負担がとても伴わない、そういう問題で、この負担率というものは全部家賃にかかってくるわけですが、どれほどまでだったらいけるかということです。その点どのようにお考えでしょうか。
  126. 林敬三

    ○林参考人 先ほど来北側さんが御発言になっておりますように、公団の仕事をやっていく上での一番の問題が土地の入手でございまして、土地の値上がりに困っておりますが、続いて現在は、ここ数年来大きくクローズアップされてまいりましたのは、お話しのように関連公共事業費を地元の自治体と公団とでいかように負担するかという問題でございます。お話しのように年々むずかしくなってまいりますし、年々その負担は増加せざるを得ない、そうでなければ仕事ができないというような段階になっております。公団は首都圏が一番大きな場所でございますが、全国的に事業をやっておりますので、全国との間に著しいアンバランスは許されないわけでございます。また、公団以外に公営住宅もあれば府県の住宅、供給公社の住宅等もございますし、それらとの間もあまりにも公団だけ独走するというわけにもまいらないわけでございます。それよりも地元からはなるべく多く負担してくれということで、これは地元の自治体が弱い自治体であり、大きくない自治体であればあるほどそうでございますし、それからまた、公団の場所も、自然にだんだんとそういうところに、しかも規模の大きいものが参るわけで、自治体の側としても苦しいことはよくわかるのでございますが、公団で負担をいたしますと、それが御指摘のように家賃にはね返ってまいるわけであります。  そこで町田の山崎の例は、四十三年の八月から入ったのでございますが、そのときは四・七%、それで大体四、五%くらいのところで押えていきたい、かように考えておるのでございますけれども、やはり土地の事情によりまして、また、そこの自治体自体の周辺にいままでに公共的施設というものが非常に乏しいところに参りますと、もっと大きな負担をしなければならないところも出てまいっておるのが現状でございます。どこまでかというこのめどはないのでございますが、庶民住宅であって家賃はできるだけ安くということを考えてまいりますときに、自治体のほうとしては、あまりに急激に大きなものが一度に来たときは利息の支払いだけでもどうにもならないということで、その間をどう調整していくかということは、いま一番苦労をしておるところでございます。  そこで、お話しのように、昨年来関係者、学者に集まってもらいまして委員会をつくりまして、そして五省が関係しておるのでございますが、そちらのほうにも絶えず働きかけまして、自治体との間が、現在なり今後を見通して、大団地が入っていくときに自治体がどのように負担すべきか、またどのように新しく入っていって公団側が負担をするか、また、それの財政の裏打ちというものを自治体側に対してはどういうふうにするか、また公団側に対してはどのようにするかということを鋭意検討いたしてもらっておるところでございまして、いま起草小委員会が簡単な方法だけは取りまとめましたが、これでいま試算をして積算をして、あと財政問題にもなってまいりますし、関係各省とも詰めなければならないのでございますが、お話しのような多摩ニュータウンあたりまことに、かねがね言っておるのですが、いよいよむずかしい段階にぶつかってまいりましたので、それを妥結すべく努力いたしておるところでございます。
  127. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 いま総裁から御苦労を承ったのですが、総裁建設大臣住宅公団に対する将来性の問題について、宅地開発公団に切りかえて、土地問題をおもにやっていかせていくような構想を述べておりますが、いまのようなこういった問題が出てくると、賃貸住宅が後退するんじゃないか、こういう懸念を私は非常に持っておるのですが、この点は、根本建設大臣と林総裁との間で何らかの協定等が結ばれたのですか。
  128. 林敬三

    ○林参考人 根本建設大臣は、大臣御就任の前に政調会長をしていらっしゃる当時から、いろいろと斬新な前向きな思い切った御意見がございまして、そして私もまた根本さんにお目にかかりに参りまして、そうして公団の任務あるいは公団の将来あるいは公団の実情というところをいろいろお話を申し上げて、意思の疎通をはかってまいってきております。大臣に御就任になってからはなおさらでございます。それで大臣は、土地問題というものが一番大事なんだ、これを解決しないでもたもたしておって何の解決ぞやという意気込みで、重点というものをそこにぴしゃっと置いていらっしゃる。これは私も全く同感でございまして、そのねらいけっこうで、大いに馬力を出して政策を推進していただきたいと考えております。  しかし、それでは賃貸住宅は要らないか、それからあるいは長期に分譲する庶民のための住宅は法的にはやらないでいいかというと、そうはお考えになっていらっしゃらないようでございます。これはただいろいろと、午前中も御質問がありましたが、公団五十万戸をかかえて、そしてまた年々七、八万戸ずつつくってまいります。その間にいろいろなことがございまして、これは根本大臣も大臣御就任前から、おれだっていろんなことを知っているぞと、こういうようなお話でございまして、公団もっとしっかりしなきゃいかぬじゃないか、あまりいろいろなことがいろいろにあると、もうそういうことはやめてしまってもとすら思うときがある、こういうふうにおっしゃっていらっしゃったので、そういうところが御真意だと思います。私もその点はありがたき御忠告だと思いまして、部内相戒めて、しかしやはり中産階級と申しますか、中産階級以下と申しますか、そういう一般庶民の方々に対する大都市における相当な大規模な公的な賃貸住宅の供給、それからやはり庶民のためのできるだけ低廉な長期分譲住宅の供給ということは依然として努力すべきであると存じますし、建設大臣もそういうお気持ちで、ただし、そのやり方にはよく注意をして、いやしくも、せっかく努力してかえって批判を受け、非難を受けることのないようにということであろうと存じております。
  129. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 総裁のお話よくわかるのですが、大臣は、住宅というものは政府の力では限りがあるんだ、自分が住むんだから自分のことは自分でしろというような意味の相当強い意見を述べていらっしゃいますね。これは根本さんに私、総括質問のときにもただしてあります。そうなって住宅公団のあり方ということで話がついてきて——私いつも下半身の計画がないと言っておるのですが、住宅五カ年計画はあるけれども、宅地開発五カ年計画というものはない。そういうような日本の土地対策のアンバランスの中から、住宅公団というものに対して宅地開発公団に切りかえていって、将来はこのような方向で進むんだということが、大臣の所信表明のときの新聞発表等で出ているんですね。賃貸住宅がだめだとは言っておりませんけれども、そのような方向で行くということは、言わず語らず賃貸住宅が疎遠になっていく。その一つ理由としては先ほどの火事の問題もある、いろいろな問題がある、これはたいへんなんだ、住宅というものは一から十まで、ピンからキリまで政府がしょっていくということはたいへんなんだという考え方に立脚している。そういうことがあるならばこれはILOの住宅勧告にも反してくるし、私どもは、社会不安の巻き起こる住宅革命というものが当然起きてくる、こういう考え方の中から聞いたのですが、いま総裁のお考えをお聞きいたしまして、住宅公団というものは今後ともに賃貸住宅にも十分に配慮していくんだということで、私よく了解しておきます。  まあ、大臣おりませんから、ここで言っても水かけ論になっちゃうのですが、そこで土地の問題においては、市街化区域内においては既存の民間デベロッパーと競争して、はたしてこれが太刀打ちできるのか、そこで住宅公団の逃げ場として調整区域に逃げていくんじゃないか。調整区域は、御存じのとおり、政令で定められて二十ヘクタール以上の大型開発のときには認められる。将来林総裁は、この市街化区域内における土地戦争にもしも敗れるようなことがあるならば、これはたいへんなことなんでありますが、調整区域の方向へあなたのほうとしては行くお考えがあるのか、そのような計画が来年度どれくらいあるのか、これは総裁理事の方でけっこうですが、その点は大事なことですからお尋ねしておきたい。  それから民間デベロッパーに対して、私、公私混合の住宅開発公団というものをつくったらいいんじゃないかという考えをいつも持っておるのです。いまのままに土地不動産業者や宅地開発業者を野放しにしておいて、いまのようなスタイルでいっては、公営住宅公団住宅もこれから農協という新たな敵が出てくる——敵ということばはおかしいけれども一つの市場を開発して住宅をになっていく、その競争相手が出てくる。そうなってきますと、一番しわ寄せを受けるのは公営住宅公団住宅だ、そこで私はこういう心配をするのですが、総裁の御意見として民間デベロッパーの今後のあり方、この点、あなたの御意見をひとつ聞いておきたいと思います。
  130. 林敬三

    ○林参考人 根本建設大臣の御発言を引用されましたが、住宅建設というものももちろん努力をする、ますます努力をする。しかしながら、一つだけ最もどこに努力するかということをあげてみろということになると、やはりここは土地の問題宅地の造成ということに一番力を出していくべきだ。そういうことにおいては、日本住宅公団においても、いまは住宅建設のほうが四分の三くらいの力になっておりますけれども、それはそれで努力するとして、やはり宅地の造成というものはもっともっと努力をしていくべきであるというふうに思いますし、根本建設大臣もその御意向だと思うのでございまして、今後土地の造成ということについては、次の五カ年計画においては一そう画期的に努力をさせていただきたいと思っております。そういう意味においては、だんだんと看板が、どっちにウエートがかかってくるかということになってまいります時代も、時代の推移とともに来るかと存じますが、だからといって住宅建設を怠るということではなく、しっかりやれよということだと存ずるのであります。  それから民間デベロッパーのお話がございましたが、これも大いに発展してくださるべきであると思うのでございます。ただ、民間デベロッパーのやりますことと、日本住宅公団住宅建設なりあるいは土地造成なりのやりますこととの間に、現段階においてはやはり性格の違いがあり、それから分野の違いがある。民間デベロッパーがあるから住宅公団はやらなくていいという段階では決してないと思うのでございます。しかしながら、両者の間がだんだんに、いわゆる民間デベロッパーも社会政策的な分野に仕事の範囲が出てくるというときにおいては、それはぶつかる場合もある、協力する場合もあると思うのでございます。私は、双方のいいところは大いに競争し合ってけっこうだと思っております。それから同時に、協力するところは協力して、御指摘のような一つの混合体といいますか、民間デベロッパーと公団との協力体というようなものをつくるのもいいことだ。すでに業務の上においては、そういうことが始まりかかっているところもございます。  それから市街化区域と調整区域の点でございますが、ああいう制度ができましたので、やはり住宅公団のメーンフィールドというものは、当然市街化区域の中でやるということを原則としてやってまいろうと思います。そこにおいても相当競合もあるかもしれませんが、民間デベロッパーに負けてしまって、こちらが全然出られないということはなく、住宅公団住宅公団としてやはり大きな特色と力を持っておりまして、これはやっていけるということを考えております。しかしながら、この線引きのいかんによりましては、調整区域のほうに出ていくということも絶無ではないというように考えております。しかし、市街化区域では民間デベロッパーに負けてしまって、一番やさしい調整区域のほうに行って例外を認めてもらってやろうというのではなくして、さっき戦争のたとえがございましたが、主戦場は——戦場でもなく協力してもやりますが、そのやりますところは市街化区域であって、調整区域にも公団の特色と全体の発展の姿からいって、全然差しつかえないところで認められるところにおいては出ていくこともあり得る、かように考えておる次第であります。
  131. 小川新一郎

    ○小川(新)委員 そうしますと、総裁、宅地戦争が市街化区域という限定された戦場の中で行なわれた場合には、住宅公団の性格としては、むやみやたらに高い土地を買って、それが政策家賃なりまたはその家賃にはね返ってくるようなこと、また宅地にはね返ってきたのでは、住宅公団としての本来の任務は消えてしまう。それなら民間デベロッパーにまかせていいのです。そこら辺のところは、向こうは資本力にものを言わせ、公共資本が入っておりませんからそういう制約がございませんから、金に糸目をつけず、どんどん土地が上がっていった場合でも太刀打ちできるだろうけれども、林総裁のように一つの制約をしょって、中流、中産的な階級の方々の所得に見合った社会的なモラルに立った住宅、宅地というものを供給する側に立っているあなたにとっては、この戦争はベトナム戦争以上に非常に激烈になると思うのです。それははたして勝てますか。
  132. 林敬三

    ○林参考人 民間デベロッパーと戦うと言うと少しことばがぴたっと当てはまらないのでございますが、民間デベロッパーの方も大いに活躍されると思います。しかし、やはり住宅公団は相当な力を持っていると自分では思っておりますし、実際客観的にもそう評価していただいていると思うのでございます。それで広いところ、むずかしいところ、それからいろいろと技術上くふうを要するところ、いろいろ問題の多いところ、そういうようなところは、公団はもうむしろ飛び込んでいきまして解決をするというような態度をとっております。しかし、お話のように公団民間業者と違って非常な制約を受けておりまして、公平でなければいけないし、オープンでなければいけないし、予算上の制約もあり、いろいろございますが、それらの制約を背後に全部控えた行動としても、もちろんたんたんたる道ではありませんけれども、やっていける自信はございます。
  133. 北側義一

    ○北側委員 ちょっと話が横へそれてしまったわけですが、いま一度この資料によってお尋ねしたいのです。道路建設鉄道建設をやった場合にはその周辺の地価が上がる。これは何の場合でも同じなんですが、この資料によりますと、負担金の概要は道路、排水、給水、このようになっておるわけです。いわゆる地域内と地域外、地域外というのは道路の場合ですと取りつけ道路、このようになると思うのですが、この率を見ますと、大体この六百四十九円の負担金に占める額から見ますと、地域外が三百九十九円、地域内が二百五十円、このようになっておるわけです。私、一つ非常に抵抗を感じるのですが、そのように入居者に、いわゆる地域外の取りつけ道路の分の負担金までが全部かかってきているわけですね。取りつけ道路建設し、また河川改修をやり、給水を行なっていく、このようにしますと、当然その地域の地価というものは必ず上がると私は思うのです。その分が全部入居者の負担になっておる。いわゆる地域外の負担よりも多いようになっているのですね。これは大体大蔵関係、自治省関係も全部関連してくると思うのですが、こういう点、私非常に抵抗を感ずるのですが、建設省としてはこういう問題に対してどういうようにお感じでしょう。
  134. 竹内藤男

    ○竹内(藤)政府委員 先生のおっしゃいましたように、地区外の道路、これはいろいろあると思いますけれども、幹線道路等につきましては当然公共施設として整備していかなければならない、そういうような観点で、私どもも、いわゆる住宅公団のやっております大規模団地あるいは県でやっております住宅団地等につきましては、道路、街路あるいは公共下水道というものの国庫補助事業をつき合っていくわけでございます。先ほど公団総裁からお話がございましたが、地方財政の問題がございます。実はそこに掲げてある問題以外に、学校の建設というようなものが非常に大きな地方の負担の問題があります。そういうことのために若干公団側、宅地開発者側で負担してもらうということが現実に起こってくる、それをどういうふうに処理すればいいかということで公団自身で研究会を持ちまして、そういう負担区分の問題、それから負担区分に伴う地方財政の問題というような問題を研究会で取り上げていく、そういう段階であるというように判断しております。
  135. 北側義一

    ○北側委員 まあそういうお答えがあろうと思ったのですが、結局これは、その周辺の土地を持っている人が一番得をするのですよ。地価が上がって、何にも負担しないでもいいのです。これは私は非常に矛盾があると思うのです。先ほども申し上げたとおり、道路建設、また鉄道建設、これはすべて現在の状況では同じであるかもわかりませんが、しかし、こういう問題がやはり今後、先ほど総裁がおっしゃっていられたとおり、負担率がだんだん高くなりますと全部これは家賃にかかってきます。そういう点で、これは都市センターの先生方に委託されていろいろ検討なさっておられると思うのですが、今後やはり賃貸住宅建設していく上に非常に大事な問題じゃないかと思うのです。私としてはここに大蔵省も自治省もおられませんので詳しく質問できませんが、建設省としてはひとつぜひそういう点、前向きにがっちり言ってもらいたいと思うのです、大蔵省あたりにも。ひとつ政務次官お願いしますね。そうしませんと、日本住宅公団の賃貸住宅建設はだんだんしりすぼみになって、最後にはなくなっていく傾向にあるのじゃないか、そういう心配を非常にしているわけです。公的な住宅建設がいまでも足りないのが、ますます住宅難はいつまでたっても解消しないような、そういう方向になってはたいへんだと思うのです。これはそういう点から取り上げてお尋ね申し上げたわけです。そういう点、どうぞよろしくお願い申し上げます。  最後に、琵琶湖の総合開発について、現在どのような状況になっておるのかということをちょっと御説明願いたいのです。
  136. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えします。  御承知のように、建設省は数年にわたって調査をやってきたわけでございますが、総合開発の内容としては、御承知のように、下流の水の需要のための利水問題、それから湖周辺の治水問題、それとあわせて、ほかのダムと違いましてこれはかなり規模な総合開発でございますので、周辺の地域開発というものも考えなければならぬ、その三本の柱で計画の立案をやっているわけでございます。その中で主体となる最初の二つの問題については、建設省も大体原案ができたわけでございます。しかし、三番目の周辺開発問題になりますと、これは建設省だけの主管の事業でございませんので、各省でもってやはり地域開発は考えなければいかぬということで、実は経済企画庁に持ち込んでいま各省で鋭意調査をやりまして、大体ことしの六月ごろを目途に、計画の最終的といいますか、取りまとめということをひとつやってまいりたい。その間において、もちろん問題は滋賀県との調整がございます。滋賀県との調整を急いで、できれば四十五年度内に着工の運びに持っていきたいということでございます。
  137. 北側義一

    ○北側委員 この問題は、この下流の大阪にしましても兵庫にしましても、淀川水系の水を上水道工業用水にみな使っておるわけです。私のいただきました資料によりますと、単位は毎秒、立方メートルですが、現有水利権これが大阪府の場合で二万五千九百八十二、兵庫が六千八百二十七、このようになっております。これが昭和五十年になりますと、必要水量というのは非常に上がりまして五万四千二百ですか、今後この琵琶湖の総合開発によってやらなければ、これは非常に大きな問題になってくるわけなんです。聞くところによりますと、大阪市あたりは淀川から水を取っておりますが、浄化するための薬品代が非常に膨大な額になってきておるわけです。そういう点でこの問題は、琵琶湖をかかえておる滋賀県の問題、いろいろあると思うのですが、先ほど局長が答弁されたとおり、早急にこれは着工しなければ非常に大事な問題となってくるのじゃないか、このように考えておりますので、どうかひとつその点、先ほど言われたとおり各省ともよく相談なさって、何とか今年度中に着工する運びに持っていっていただきたい。このことを要望しておきます。  これで終わります。
  138. 金丸信

    金丸委員長 浦井洋君。
  139. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、建設業に従事する労働者の労働災害とそれから職業病、そういうようなことについて質問したいと思うのですが、建設省並びに労働省関係の方にお尋ねします。  ここに持ってきておるのですが、御承知のように、労働省の労働基準局の出しております「安全の指標」、これで全産業の四十三年度の死傷者数を見ますと、大体昭和四十一年度から、それまで減ってきたのが、カーブが横ばいないし鈍化してきておるわけなんです。死亡者だけを見ると、せっかく年間六千人を割っておったのが、四十三年には六千人を再びこえるというような状態になっておりまして、必ずしも喜ばしい傾向とは言えないのじゃないかというふうに思うわけなのです。  建設業だけの項を見ますと、なるほど十年前に比べますと死傷者数は減ってきてはおるのですが、それでもなおかっこの「安全の指標」によりますと、休業八日以上の死傷者の数が全死傷者の中の二八・四%、製造業に次ぐ第二位になっているわけですね。そして死亡者数は全死亡者の四〇・六%、依然として第一位、実数で申しますと二千四百七十人ということになっているわけなのです。この数は、そのただし書きを見ますと、請負金額が三千万円以上の事業所、それから年間に労災保険料を推定二十万円以上払い込むという事業所以上の統計でございますので、それ以下の事業所を加えると相当数字がふえるのではないかというふうに考えられるわけなのです。  そこでお聞きしたいのですが、建設業に従事する労働者の中に起こっておる労働災害の特徴的なこと、それから原因、規模別などの実情をひとつ教えていただきたい。それとあわせて、近年建設業界でも労働災害の減少傾向が鈍化ないし横ばいになっておるということの原因を、建設省並びに補足として労働省のほうからひとつ教えていただきたいと思うのです。
  140. 中西正雄

    ○中西説明員 お答えいたします。  建設業における労働災害の発生状況は、先生指摘のとおりでございまして、ここ十年来相当大幅に減少を続けてまいったのでございますが、一年前からそれが鈍化の傾向にございます。この鈍化の傾向になりました原因の点でございますが、その最も大きな原因と考えられますのは、最近における労働力の不足に関連いたしまして、未熟練労働者あるいは高年齢者等が建設業で非常にたくさん使われるようになってきているということでございます。そのほかにまた、急速な建設機械化が行なわれておりまして、総体的に見ますとこれは災害を減少させる要因にもなるのでございますが、また一方、この機械化を実際に担当します技能労働者の不足等の関係もございまして、機械災害が相当ふえております。こういう点が、最近の建設業における労働災害の減少傾向の鈍化の原因だというふうに考えております。
  141. 浦井洋

    ○浦井委員 前半の特徴のことはどうですか。
  142. 中西正雄

    ○中西説明員 特徴でございますが、規模別に見ますと、大手建設業の災害発生率に比べまして、やはり中小業者の行なう工事の災害発生率が相当高くなっております。それから原因別の傾向を見てみますと、最近は、機械化の進展に伴いましてやはり建設機械関係の災害が増加しております。一方、従来非常に多かったといいますか、災害の大部分を占めておりましたいわゆる作業行動災害の手作業等に基づく災害は減少しておりまして、大勢として機械化関係に伴う災害が増加している、統計上そのような状況になっております。
  143. 浦井洋

    ○浦井委員 政務次官にお尋ねしたいのですが、このように減ったとは言い条まだ非常に多いのが建設業における労働災害の実態なんです。これは労働省にまかしておくだけではなしに、当然各方面が災害がなくなるように努力しなければならぬと思うわけなんです。特に建設省として、どういうような考え方でこういう問題に当たっておられるのか、具体的にどういうような方策あるいは施策を講じておられるのか、簡単にひとつお答え願いたいと思います。
  144. 川島博

    ○川島(博)政府委員 ただいま労働省からも御説明ございましたように、最近におきましても産業災害が必ずしも減少の傾向を見せておらないということは、私どもといたしましてもきわめて遺憾に考えております。   〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 先ほどるる原因の御説明がございましたけれども、何と申しましても建設業は、作業現場の環境が非常に危険にさらされるという特殊な環境にございます。したがいまして、労働災害の発生率を見ましても、鉱業、マイニングに次いで高い比率を示しているわけでございます。これに対しましては、主務官庁でございます労働省とも常に密接に協力をいたして、いろいろ防止策に頭を痛めているわけでございますが、建設省におきましては、発注官庁という立場から、請負業者の監督、労働災害の防止については常々口やかましく指導いたしております。現在、建築と土木、大きく分けて二つの現場に分かれるわけでございますが、建築につきましては、御案内のように、建築基準法に基づきまして施行令の第七章の二という特別の章がございまして、工事現場の危害の防止に関しまして、たとえば仮囲いをどうするとか、あるいは根切り工事の場合の注意事項でございますとか、あるいは落下物に対する防護措置、あるいは建物の建て方、あるいは材料の集積等にあたりましての危害の防止を法令で定めておりますし、また、これに基づきます指導基準も各現場に通達をいたしておるわけでございます。   〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 土木工事につきましては、法令上そういう必要はございませんけれども建設省部内で独自に土木工事の安全施工技術指針というものを定めておりますし、また労働災害を含めまして公衆災害を防止するためには、市街地の土木工事のための公衆災害防止対策要綱というものをもって行政指導をいたしておるわけでございます。  なお、現場におきまして人が何人も死ぬような重大な事故を起こしました業者につきましては、指名等につきましてもいろいろと配慮を加えるというようなことで、事故の防止に十分注意を払っている次第でございます。
  145. 浦井洋

    ○浦井委員 次に、労働省の方にお尋ねしたいのですが、昭和四十四年度の労働災害防止実施計画ですか、それを見ますと、最近の特徴というところに、「技術革新は基本的には産業安全を指向するとはいえ、その急激な進展は安全衛生に対する十分な配慮がなければ災害の大型化、新しい型の職業性疾病発生の危険をはらんでいる。」こういうふうに書かれておるわけなんです。この新しい型の職業性疾病に関連してお聞きしたいのですが、ここに「労働衛生のしおり」という、これは安全衛生部で出されておるのですが、四十三年度の業務上疾病発生状況の中で、これは施行規則三十五条の三十八項目に分かれている分ですが、建設業のところを見ますと、一番多いのは負傷、第二位が重激の業務による運動器の疾病、第三位が熱傷・凍傷、やけど、しもやけということですが、第四位が一番最後のその他業務によることの明らかな疾病ということで、百七十六という数字があがっておるわけです。第五位がCO中毒、第六位が酸、アルカリ等による腐蝕、第七位が中毒皮膚炎となっている。第四位のその他業務によることの明らかな疾病の具体的な内訳は、建設業に関してどういう特徴がございますか、教えていただきたい。
  146. 山本秀夫

    山本説明員 お答え申し上げます。  その中身といたしましては、お手持ちの資料をごらんいただきますとわかりますが、第二番目の重激な業務に起因する疾病というところに腰痛なんかが入るわけでございますけれども、災害性の腰痛というものは三十八の中に入っております。そのほかに、さまざまな業務との関連性が明らかな疾病が入ってくるわけでございますけれども、その中身は残念ながら、分析して統計をとっておりませんので、申し上げられません。
  147. 浦井洋

    ○浦井委員 私さっき申し上げた新しい型の職業性疾患ということで、いろいろ具体的な、われわれがいままで耳にしなかったような不正常な形が出てきた場合には、たいがい三十八項のその他業務によることの明らかな疾患の中に入ると思うのですが、そうですね。それをよく分析しておかなければ、それの対策は立たないんじゃないですか。どうでしょうか。
  148. 山本秀夫

    山本説明員 分類は三十八ございまして、三十七番までに組み入れられるものはできるだけ広く読み取るということにしております。どうしても一番から三十七番までの間に入らないものをやむを得ず三十八に入れておるわけでございます。
  149. 浦井洋

    ○浦井委員 それはあとでまた出てきます。次に移らしていただきます。  そういうような新しい職業性疾患が起こってきておるわけですが、建設——これは建設業だけにかかわらず、運輸業、港湾荷役あるいは陸上運搬ですか、そういうような職業にも共通に起こっておるわけですが、ブルドーザーとかショベルカー、それからフォークリフト、クレーン、こういうものが非常に使われておるわけです。私、実はここに写真を持ってきたのです。これはフォークリフトの運転者だったと思うのですが、四十一歳でフォークリフトに七年間乗っておる人の背骨の写真なんですが、四十一歳といいますと、私らと同い年ぐらいですから普通はきれいなものです。それが、少し老化して骨の変形が起こってきましても、大体腰に負担がかかりますから、腰から変形が起こってくる。ところが、この四十一歳の男の人は胸椎の十一番、十二番目の辺の脊椎骨が変形をし、癒着をしておる、こういう状態が最近見つかったわけなんです。これが一番ひどい例なんですが、そのほかにも、ここへ至るまでの過程のいろいろな変化が続々とあらわれてきておる。私、それの原因を考えてみたのですがたとえばここに写真があるのですが、これはフォークリフトの運転者がすわる座席です。スプリングもないし、非常に粗末である。そこで、ちょうどこの胸椎の十一番目、十二番目の辺がこの座席の一番上に当たるということになるわけなんですね。したがって、特異的に十一番目、十二番目の辺が、長時間振動もあるし、非常に無理な姿勢をするということで、変形を来たすのではないかというふうに私疑っておるわけなんです。そのほかにもいろいろな原因——写真をここに持ってきておりますけれども、最近の一番新しいブルドーザーが、多少運転する人の居住環境がよいというくらいで、これはよいほうなんです。これは何という機械か知りませんけれども、すわるところもないわけなんです。そこで無理にすわっておるというような形なんですね。これは当然すわって仕事をする上だけでなしに、特にブルドーザーの場合には騒音であるとかあるいは振動であるとか、そういうようなことはからだに非常に危害を及ぼしますし、そういう運転に従事しておる人に共通した症状を申し上げると、背骨が痛い、背中が痛い、腰が痛い、それからひざが痛い、肩がこる、それから胃腸の症状が共通にございます。それからさっきも言いましたように、聴力障害、耳が聞こえにくい、こういう症状を来たしておるケースが非常にふえてきておるわけなんです。これはやはり、その人を取り巻くいろいろな外的な条件が非常に悪いということで起こっておるのではないかということで、そういうような共通な症状というのは、労災補償でいいますと、明らかに業務遂行性はもちろんのこと、業務起因性がそこに認められるのではないかというふうに思うわけでございます。これは建設省でも労働省でもどちらの方でもけっこうですが、こういうような建設機械に従事しておる運転者の健康の実態、あるいは障害の実態をどの程度把握しておられるのか、ひとつお聞きしたいと思います。
  150. 松尾弘一

    ○松尾説明員 ただいまの写真にありますような症状を呈して、それが業務に起因している、あるいは業務遂行性のものだといわれますけれども、起因しておる場合には、現在すべて業務上の扱いとして補償の対象にいたしております。ただ、その扱いは三十五条の各号のうち、第一号にいう腰痛症ではなくていわゆる非災害性による腰痛、これをもって扱っておる、こういうふうに私どもは考えております。
  151. 浦井洋

    ○浦井委員 私がお尋ねしておるのは、全体のそういう建設機械従事者の中ではこういうような状態が続々と起こっているだろうというふうに、私の推定なんですが、その一例を持ってきたのですけれども、起こったケースをどうしておるかということでなしに、それの全体をどう把握しておられるかということです。
  152. 松尾弘一

    ○松尾説明員 統計的にとっておりませんが、現実に補償されている対象者といたしまして、たとえば牛乳配達でありますとか、港湾荷役労働者、あるいは新聞等の労働者の中には腰痛が非常に多発いたしております。そういう観点で、現在補償の状況の中でそれが把握されておるというふうに申し上げておるわけでございます。
  153. 浦井洋

    ○浦井委員 建設省のほうにお尋ねしたいのですが、こういう建設機械——統計のとり方によっていろいろあると思うのですが、建設機械、ブルドーザーあるいはフォークリフト、クレーンというふうに分けて、全国で大体どれくらい使われて、それに従事しておるのはどれくらいの数の人間がおるかということはわかりますか。
  154. 川島博

    ○川島(博)政府委員 詳しいことはわかりませんけれども、私どものほうで建設工事施工統計調査報告を毎年とっておりますが、四十三年の報告によりますと、いわゆる建設機械と称せられるもので、登録建設業者の保有しておりますものが全国で約十三万七千台ございます。もっともこれらには、普通トラックでありますとか、ダンプあるいはコンクリートミキサー、くい打ち機等除いておりますので、こういったものを加えますと、全体で約三十二万五千台保有されておるという報告になっております。  それから、これらの建設機械を運転いたしますオペレーターにつきましては、昭和四十二年に建設省が行ないました実態調査によりますと、約八万五千人程度というふうに推計されておるわけでございます。
  155. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうふうに何万台かあるわけで、当然平均して一台に二人ずつぐらいは運転する人がおるというふうに勘定していきますと、相当多くの労働者がこの職業に従事しておるということになると思うので、建設省としてもひとつ労働省と協力して、その人たちの健康の破壊というのですか、健康の状態の把握のために、実態調査をやるべきだと私は思うのですが、どうでしょうか。
  156. 松尾弘一

    ○松尾説明員 労災の補償という立場と、それから労働衛生なり安全の今後の推進のための資料ということで、実は先ほど御指摘いただきましたその他の疾病の中の内訳が明確でないということで、私どもとしてそこを具体的に列挙しまして、全部具体的な病名をあげて、そこまでチェックできるようにして把握する。そうして、いままでその他として把握して、いままでたいしてなかったのでありますけれども、御指摘のように非常にふえてまいりましたから、そこを明らかに把握する方法をとろうということで、ことしからそういう把握の方法で進めてまいっております。
  157. 浦井洋

    ○浦井委員 これは少しこまかいのですが、最近、兵庫県の労働基準局が、港湾あるいは一般製造業、あるいは建設業も含めて、そこで使われているフォークリフトの運転者の実態調査をされたというふうに聞いておるのですが、その内容はわかっておりますか。
  158. 松尾弘一

    ○松尾説明員 まだ結論が出ておりません。そういうことをやっているということを聞いております。
  159. 浦井洋

    ○浦井委員 そちらも報告を受けているだけですか。
  160. 松尾弘一

    ○松尾説明員 はい。
  161. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで補償の問題について少し専門的になるかもわからぬのですが、さっきの施行規則三十五条の三十八号、「その他」という号についてなんですが、非常に近代化、機械化が進んでいますね。そうして、いまあなたが言われたように、新しい不正常な状態が出てきておるという中で、あの号は施行規則がつくられてからずっと変えられていないわけでしょう。そういう中で、非常に具体的に労災認定をしてほしいというふうに考えておる側から見れば、いろいろ矛盾が出てきておるわけなんですね。たとえば三十七号までに入る場合には、むしろ認定する側の基準局に責任があるということで、いままで定まった書式で、非常に簡単な申請で通るということになるわけなんですが、「その他」ということになりますと、医者であるとかあるいは弁護士であるとか、そういういろいろな専門家の知識も入れて、専門家の手もわずらわして、相当膨大な資料をつくらなければならぬということになるわけなんです。これが一つの例なんですが、腰痛の人はこれだけの資料を書いている。それからこちらは例のタイピスト、キーパンチャーの頸腕症候群、やはりこれだけのものでまだ結審がつかないというような状態で、非常に繁雑なわけなんです。そういう意味で、ひとつ労働省の方にお伺いしたいのですが、もっと施行規則の三十五条を整備して、そしてそれ以後出てきておる具体的なケースもつけ加えて——あるいは上のほうでもっと簡略にするところがあるかもしれぬ、たとえば十三号に出ておる書痙ですか、あれなんかも、いま出ておるキーパンチャーについてはほとんど「その他」で処理されておって、十三は非常に狭い意味にしか使われていないということも聞いておりますし、そういう点をもっと整備して、労災認定の基準の改正というんですか、そういうようなことを私はやるべきだと思うのですが、御意見はどうでしょう。
  162. 松尾弘一

    ○松尾説明員 いまの問題でございますが、三十五条の各号にあげておりますのは、従来の医学経験法則上と申しますか、従来から長い間かかってでき上がった職業性疾病、障害でございます。最近あらわれてまいります、たとえばキーパンチャーの場合の手指以外の上肢疾患の問題、あるいは白ろう病の問題、米杉ぜんそくの問題、こういう問題がいろいろ出てまいっておりますので、そのつど専門家会議を開きまして、そしてあそこにあげておる「その他業務に起因することの明かな疾病」の中を埋めていく、こういう作業でそこを充実さしていくというかっこうで救済していくというふうに私ども考えまして、現在もそれを継続してやっておるわけで、先般来キーパンチャーの上肢疾患の通達も出しておるような次第であります。
  163. 浦井洋

    ○浦井委員 腰痛であるとか、さっきのキーパンチャーであるとか、どんどん次から次へニュアンスの異なった通達が出ていって、それを扱う医療機関としても、弁護士としても、あるいは実際に被害を受けている患者にしても繁雑きわまりないわけなんです。しかも書式が非常に複雑であるということで、私は、ある時期に思い切って、そういう通達をずっと積み上げていく方式でなしに、やはりこの施行規則なりあるいは時によれば基準法なりの改正に踏み切るのが至当ではないかというふうに、重ねて意見を述べておきたいと思うのです。  それから、時間がございませんのでその次の問題に入りたいと思うのですが、私、最近聞くところによると、現在のところ職業病というのですか、労災認定の決定は各地の労働基準監督署でやられ、少しむずかしいいろいろ疑義の出てくるのは基準局に上げる、それから中央にいく場合もあるというふうになっているというふうに聞いているのですが、そうですね。その場合に最近、どういうのですか、表現がなかなかむずかしいのですが、全国を数ブロックに分けて、そして常設の特別委員会というのですか、そういう決定権を持った委員会をつくって、そこですべての労災認定を一括してやるというような話をちらっと聞いたのですが、そういう事実がおありなんですか、どうですか。
  164. 松尾弘一

    ○松尾説明員 いまの問題は、業務上外の認定が御指摘のようになかなか複雑な疾病につきまして、特にまた新しい職業の疾病につきまして現地でなかなか判定が困難である、そういう場合には複数の医師の方々、専門家の方々にお寄りいただきまして、そしてそこでいろんな御意見をいただく。認定それ自体は行政官庁の責任においてやらなければいけませんが、その複数の委員会をブロックに一つくらいつくりまして、そしていまの認定業務の促進をはかる、こういう意図で本年度の予算に計上して、認められております。
  165. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がないので、あとでひとつその複数の委員会の資料をいただきたいと思うのです。どういうような計画を、たとえばどういうような人が入るのか、どういう立場の人か、ひとつ資料をいただいてから意見をまとめたいと思うが、私はやはりそういうやり方には反対なんです。労災認定が非常に受けにくくなるという立場から反対しておきたいと思うのです。  最後に、これもいまの問題に関係があるわけなんですが、初めのころにいわれた非災害性の腰痛ですね。災害性の急性の腰痛はわりに労災で認められるケースが多いわけなんですが、慢性の腰痛、非災害性の腰痛については、むしろ認められない方向だというふうなことも聞いたのですが、その辺はどうですか。
  166. 松尾弘一

    ○松尾説明員 先生は御専門の方だと思いますので、私から申し上げるのもいかがかと思うのですが、問題は、御存じのように、個々の労働者について見るとそれぞれの素因が違う。既応症もいろいろございまして、発症した状態それ自体が、たとえばわれわれの申します機会原因なのか共同原因なのか、あるいは業務上に起因したのかどうか、非常に判定のむずかしい問題がございまして、もとより医証も相対立するという問題もございます。そういう問題はさらに第三者のお医者さんにお願いして検討して、できるだけ手厚く補償していく、こういう考え方をとっております。
  167. 浦井洋

    ○浦井委員 その素因の問題、こういうようなものを突っ込むとなかなかむずかしいのですが、私は、その個人個人の素因というようなものは問題にすべきでない、こういう考え方に立って常日ごろ努力しておるわけなんですが、それを言い出すと長くなりますので、最後に建設省政務次官にお伺いしたいのですが、いま問答を聞いておられましても、とにかく災害が多い。それに対する処置というのがなかなか効果を発揮しておらないというのが、やはり偽らざる実態ではないかというふうに思うのですが、政務次官としての御決意を最後に承って、私の質問を終わりたいと思うのです。
  168. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  いま質疑応答の中でもいろいろ出ましたように、産業界の科学技術の急激な進歩に伴って生活環境が非常な変革を行なう。したがって、いままでのような過去の実績の分類に該当するとかせぬとかでなくして、御指摘のように、どうしてこんな病気が起こっているのだ——病因は医学的にいろいろ問題がございましょうが、とにかく現在かかっておる患者の方々をどういうふうに救ってあげるか、新しい労働対策といいますか、新しい勤労者対策を打ち出す。当然建設省としても、大きな仕事をやっておる役所でありますから、それらの建設業から起こってくるいろいろな問題、それらもあわせまして、やはり政府としては、責任のある新しい対策をすみやかに各省と連絡をとって打ち出していくというような方向にいきたい、かように考えております。
  169. 金丸信

    金丸委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十八分散会