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1970-03-20 第63回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)     午前十一時四十一分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       小沢 一郎君    木村 武雄君       砂原  格君    丹羽喬四郎君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       古内 広雄君    森下 國雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       北側 義一君    小濱 新次君       内海  清君    浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         建設政務次官  田村 良平君         建設省河川局長 坂野 重信君  委員外出席者         建設省都市局都         市計画課長   大富  宏君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月二十日  辞任         補欠選任   砂原  格君     小沢 一郎君 同日  辞任         補欠選任   小沢 一郎君     砂原  格君     ————————————— 三月十八日  本州四国連絡橋公団法案内閣提出第八二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  河川法施行法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  内閣提出河川法施行法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。浦井洋君。
  3. 浦井洋

    浦井委員 私、共産党を代表いたしまして、この河川法施行法の一部改正について二、三質問をさしていただきたいと思うわけです。  この改正案についてまず考えなければならぬことは、この改正案国民にとりまして有利なものであるかどうかということが、判断のメルクマールになるのではないかというふうに思うわけでございます。具体的に申し上げますと、この改正案によりまして治水事業が進むのか、あるいは治水事業がむしろ萎縮し、後退するのかというような点から判断していかなければならぬというふうに考えるわけでございます。治山治水事業というのは、直接的に国民生命財産にかかわりのある重要な事業でございますけれども、その事業現状というものはどうなっておるのか。たとえば水害という点から見ていきますと、ここに建設白書がございますが、ここの一一ページにこういうふうに響いてあるわけですね。「わが国は、元来、気象的条件に恵まれず、台風豪雨等が多いうえに流域内の開発が近年著しく進んだため、洪水時の流量が増加し、多くの人命が失われるとともに、被災資産の増大を招いている。すなわち、河川の氾濫するおそれがある区域は全国土面積のおおよそ一〇%にも及ぶ、」こういうふうに書かれておるわけです。またその下には、「最近の水害傾向としては、整備の遅れている中小河川において、局地的豪雨のため洪水、土石流による災害の頻発がみられ、また、都市河川において、降雨の浸透の減少遊水地域減少、家屋・工場の低湿地での立地等により、水害は著しく増加している。」こういうふうにはっきりと建設省の文書にも書かれておるわけでございます。寺田寅彦ではございませんけれども災害は忘れられたころにやってくるということでなしに、これからいきますと水害は現に増加しておるということになるわけでございます。しかも、先ほど読みましたように、河川はんらんするおそれのある区域は全国土のおよそ一〇%に及ぶという、きわめて危険な状態に置かれておるわけです。兵庫県の例でとりましても、河川改良済みが四八・五%、それから未改良が五一・五ということで、改良されていないほうが多いという現状でございます。水害が起きて、そして国民生命財産が多く失われて、そのあとで復旧をするというようなやり方ではあまりにも知恵がなさ過ぎるのではないか。やはり予防ということで、事前に危険な個所に対してはきちんと手を打っておく、少々台風があったり雨が降ったりしてもびくともしないようにしておく、こういうことを考える姿勢が政治というものではないかというふうに私は思うわけでございます。  そこでお尋ねしたいのですが、現在の治水五カ年計画によりますと、四十五年度が三年目に当たるわけなんです。その四十五年度終了の時点で、その進捗状況は四六%というふうにいわれておるわけでございますが、残された二年間、四十六年、四十七年度で残り五四%をやらなければならない。これがほんとうに二年間で、あと正味三年でございますけれども、やり切れるのかどうか、また具体的にどういうふうにしてやり切ろうとしておられるのか、こういうことをまず最初にお尋ねしたいと思います。
  4. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  御指摘のとおりに、四十五年度末で五カ年計画進捗率は四六%を達成してまいります。私どもの当初の予定は、実は四八%見込んでおりました。まあ二%ばかり進捗率が低いという結果になっておりますけれどもあと二年残されておりますし、その間にひとつ最大努力を払って達成するように持っていきたい、このように脅えております。
  5. 浦井洋

    浦井委員 最大努力ということでございますが、単なる願望でなしに、なかなか現実はきびしいわけですから、私率直に言って、この数字は達成不可能ではないか、困難ではないかというふうに考えざるを得ないわけでございます。  私が五カ年計画の見通しにつきまして局長さんにお尋ねしたのは、公共事業の中における治山治水事業に対する軽視があるのではないかという点についてお尋ねしたかったわけなんですが、四十五年度公共事業関係費一般会計で一兆四千九十八億、このうち治山治水関係費が二千三百六十六億、こういうふうにこの数字が年々の予算の中で占める比重というものは、一体多くなっておるのかあるいは軽くなっていっておるのか、どちらなんですか。
  6. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  やはり最近の傾向としては若干減っている傾向でございます。ただ、四十五年度予算を見ていただきますと、公共事業全体の対前年の伸び率が一七・三%でございますが、治水事業は約二〇%弱でございますので、今年度は昨年等と違いまして、一般公共事業の平均の伸び率に対して治水事業は若干上回っているということでございます。
  7. 浦井洋

    浦井委員 次にお尋ねしたいのですが、そういうことで私、住宅の問題で質問させていただいたときに、大臣のほうから、住宅建設五カ年計画が達成できなくて、はなはだ遺憾であると思うというようなお答えをいただいたわけですが、この問題につきましても、そういうような結果にならないようにひとつ努力を願いたいと思うわけです。  ところが、河川に対して、今度の改正案に、いわゆる大規模工事以外は実際には国庫負担を下げて、その分を都道府県負担させる。これはどう見ても、治水事業を積極的に推進していくということにならないのではないかというふうに思うわけです。前回の委員会などでも委員の方々の質問にもございますように、府県負担率増加というものは、結局は府県段階にとどまらずにその下の段階市町村にもだんだんとしわ寄せされていって、ますます中小河川普通河川改修整備がおくれていくという結果を招くと思うわけです。おくれるというよりも、私考えるのに、むしろ放置されていくのではないか。市町村は、ここの川をこういうふうに改修しなければならぬというふうにわかっておりながら、手をつけられないというのがすでにいまの現状でございます。そして台風豪雨が来れば、全くその市町村が考えておる予定のところに、予定どおりその場所が決壊したり、あるいは大きな被害を出すことになりはしないかというふうに考えるわけでございます。大臣は、まず一級河川、幹線をやるというふうに言っておられるわけでございますけれども、それと同時に、いままで放置に近い状態に置かれておるところの普通河川に手をつけなければ、ほんとう治水事業とはいえないのではないかというふうに思うわけでございます。  私の住んでおります神戸では、御承知のように三年前に集中豪雨がございまして、百人以上の方方がなくなられた。そこに私住んでおりまして経験したのですが、神戸の場合には市内には一級河川はなしに、二級河川ばかりでございますけれども、大きな河川、そういう大きな、二級河川ではあるけれどもきちんと改修されておる河川、こういうところではやはりあまり被害を生んでおらない、こういうことがはっきりしたわけでございます。で、被害の大きな原因は、日ごろそこに川があるということなどが気づかれないような、しかも名前などだれも知らないような小河川、この小河川の決壊あるいははんらん、こういうことが、われわれの想像を絶するような大きな被害を出しておるのが現状でございます。中小河川につきましては今度の新規事業で二十三億ほどの予算がついたわけでございますけれども、さっき読み上げました建設白書建設省自身が書かれておるこの中小河川整備、こういうことにとってこの改正案の及ぼす影響、どのように作用するのかという点をひとつお聞かせ願いたいと思うわけでございます。
  8. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  先生指摘の、たとえば神戸のような場合でも、いろいろ中身を見てみますと、単独普通河川とそれから二級水系の中における、二級河川になっていない小さないわゆるひげ河川、そういうものがございます。そういうものを今度の制度ではできるだけ二級河川に格上げする、こういうことによりまして河川法を適用さして、そしてそれに対しては都市小河川補助制度というものを新しく設けまして、事業費を国から補助する。国が三分の一、県が三分の一、それから市が三分の一ということに相なりますので、市のほうとしては従来市の単独事業でやっているものについて補助が出てくる、県のほうとしましても本来二級河川でやるべきものを国から三分の一、また市から三分の一ということになりますし、国のほうとしても三分の一の補助で済むというようなことで、三者相よってひとつそういった小河川改修をやっていこうということで新しく設けた次第でございます。まあこれは、とりあえず東京都の区部とごく指定地だけに限りましたけれども、その成果を見て、次第にこの制度を拡大する方向につきまして、今度の成果いかんによってはひとつ拡大する方向で検討しようということでございます。
  9. 浦井洋

    浦井委員 この改正案との関連ということでお尋ねしたわけなんですが、時間がございませんので次の問題に入らしていただきたいと思うのです。  この改正案のときに第二に問題にしなければならぬのは、やはりこの質疑の中ですでに繰り返されておりますように、地方財政との関連でございます。いままで質問された方によって、地方財政政府の言っておるように決して好転しておらない、こういうこと。それから、この改正案の実施に伴って、本年度新たに生ずるところの六十一億円の地方負担増加をどうするか、これに対して政府のほうは、はっきりした保障を持っていないということが明らかになっておるというふうに私理解しておるわけでございます。そこで、私はできるだけ重複を避けて、この改正案についてだけでなしに、公共事業費全体と地方財政との関連からこの問題を考えてみたいと思うわけでございます。  本年度公共事業予算の特徴の一つは、基本的な考え方として大蔵省の強調する受益者負担の原則が貫かれた、こういう結果であるというふうに私思うわけでございますが、具体的にはやはり国庫負担金補助金負担率補助率、こういうものが引き下げられた。いま私どもが審議しておる河川法にかかわる負担金をはじめ、国道第二次改築費、これはバイパス工事などでございますが、それの補助率が四分の三から三分の二に引き下げられる。それから港湾でございますが、特定重要港湾のうち横浜、神戸関門、この整備費が十分の十から十分の九に引き下げられる。それから地方道改修費、舗装に対する二分の一の補助が残っておりはしますけれども市町村道の分は補助の対象にしないというような形で表にあらわれてきておるわけでございます。私、この六十一億円の心配だけでなしに、これらの補助率負担率低下、こういうものが地方財政にどのように影響するのかということを総合的に考えてみたいと思うわけです。  そこで、自治省並びに建設政務次官にお尋ねしたいのですが、まず自治省には、これらの負担率補助率低下に伴う地方負担の増額は全体的におよそどのくらいになるのか、そしてこれに対して国としては援助をどの程度にしようとしているのかということをお尋ねしたいわけでございます。  それから政務次官には、こうした地方財政が圧迫されておる中で、自治体が一級河川ばかりでなく、二級河川そのほかの普通河川について改修整備していくことが一体期待できるのかどうか、こういうことを、ひとつ率直に御意見をお伺いしたいと思うのです。
  10. 森岡敞

    森岡説明員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘河川、それから道路の一部、それから港湾、そのほかに北海道の特例に若干の変更がございました。それらを合わせまして、もとの国庫補助負担率に比べました場合の地方負担増加は、約百五十億円程度というふうに見込んでおります。公共事業費の総額は、地方財政計画では一兆五千二百二十八億円と見込まれておりまして、前年度に対しまして一九・三%、二千四百六十二億円の増、こういうことに相なっております。  この中で、いま申し上げましたように、地方負担の増が百五十億円程度出ておるわけでございます。これらの地方負担につきましては、御承知のように、地方財政計画に計上いたしまして所要の財源措置を講ずるということで、地方財政の収支のバランスはとる形になっております。  なお、具体の個々の地方団体に対します財源措置といたしましては、先般もお答え申し上げましたように、地方交付税の配分の増加及び地方債の重点的な充当を通じまして支障のないように措置してまいりたい、こういうふうに考えております。
  11. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  このたびの国庫負担率の変化に伴います地方自治体との関係でございます。ただいま自治省のほうからもお話がございましたが、建設省といたしましても、国あるいは府県市町村、各公共団体協力をいただきまして、このたびの法改正に伴って円満な推進ができますよう極力協力体制を推進したい、このように考えております。
  12. 浦井洋

    浦井委員 いま自治省のほうから河川とか道路港湾、そのほか北海道ですか、負担金補助金切り下げ額、百五十億円と言われたわけでございますけれども、これはやはり圧迫していると思うのです。私の理解しておるところでは、地方財政の苦しさというものはこれにとどまらないわけでございます。大蔵省は、昭和四十五年度予算編成に際しまして交付税率を三二%から三〇%に引き下げる、そして、あわせて地方交付税年度間調整を行なおう、こういうことでございましたけれども、幸いこのことは実現はしませんでした。そのかわりに、国は、四十五年度地方交付税から新たに三百億円借りるというような、変則的な措置をもう一度繰り返すことになっておるわけでございます。四十三、四十四年度返済額が三百八十億円、これを四十四年度補正予算で返すことにして、それだけ四十五年度財政負担を軽くするということにしておるわけでございます。これらの結果、四十五年度は、地方交付税に対しまして地方が国に六百八十億円の協力をさせられておるということになるわけでございます。このほかに、少し長いですが、市町村民税臨時減税補てん債元利補給金百十七億、それから特別事業債償還交付金百一億、合計二百十八億円の打ち切りがございますから、地方交付税国庫支出金とを合わせると、四十五年度に国が節約することになった額は実に千四百億円になる、こういうことになるわけでございます。逆にいえば、地方財政がその分だけ圧迫されておるということになるというふうに私、理解するわけです。しかし、一方で地方自治体のしなければならない仕事というのは近年ますますふえてきておるわけで、御承知のように、過密、過疎の問題あるいは公害の問題、交通災害の問題、あるいは健康破壊の問題、それからこちらでは住宅難通勤通学難など、数え切れ在りほどたくさんあるわけでございます。そのほかにも学校教育の問題、保育所、ごみ、屎尿、下水道、こういうものもあるわけなんですが、これらは決して、大臣がどこかで言われておりますように、住民が質の高い要求をするようになったから、こういう理由ではなしに、やはりほんとうにいまの住民の生活の実態の中から出てきたところの切実な要望ではないかというふうに思うわけでございます。こういう切実な住民要望をかかえて、地方自治体は非常に財政難で困っておる。確かに地方財政全体として見ますならば、金額の上では大型にはなっておるわけでございますけれども、その内容は、決して好転したというような内容ではございません。いまだにやはりますますきびしい現実が迫っておるというわけでございます。  そこで、ひとつ政務次官にお尋ねしたいのですが、こういうような地方財政の困り抜いておる苦しい状況の中で、ここに出されておる改正案、大規模工事以外の河川国庫負担率を引き下げる、そしてその分を地方自治体負担を肩がわりさせる、そういうようなやり方で、はたして治水事業治山も合わせて治山治水事業が、普通河川も合わせてうまくいくのかどうか、こういうところをひとつ、これも率直にお答え願いたいと思うのです。
  13. 田村良平

    田村政府委員 お答えします。  だんだんの御質問にお答え申し上げたのですが、国が高い負担率で経営することは望ましいと思います。思いますが、このたびは暫定措置として、五年目の最終であります三月三十一日を迎えて変更になりますので、せめて大規模事業あるいはダムというような、集中的に経済効果をあげなくちゃならぬというような重大な事業につきましては、従来どおりの四分の三で国が見ていこう、そのほかはひとつ本来三分の二という姿で御協力を願いたい、こういう趣旨で御審議をお願いいたしたので、御了承を願いたいと思います。
  14. 浦井洋

    浦井委員 非常に残念でございますけれども、時間も迫っておりますのでひとつ具体的な問題をお尋ねしたいと思うのですが、ここで政令で定める大規模工事ということで、そのことについては後ほど井上先生のほうからお尋ねになると思いますので、それの具体的な問題に関連して、兵庫県の裏日本円山川というのがあるわけです。これは非常にあばれ川ということで定評がございます。兵庫県の裏日本中心地豊岡市でございますが、この豊岡市は、ずっと昔からいまに至るまで、ちょっとした出水で非常に困らされておるという実情でございますが、この円山川水系治水の問題について、ひとつ関係のところから総括的な今後の展望というようなものをお聞かせ願いたい。もしあれば、具体的に、それがどの程度進んでおるのか、進渉状況、こういうことをお聞きしたいのです。
  15. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  円山川改修工事につきましては、直轄改修区間といわゆる中小補助工事改修をやっている区間とございまして、直轄改修の第一期事業が大正九年から昭和十三年まで行なわれておりますが、現在の改修はいわば第二期改修的なものでございまして、昭和三十一年から実施しておりまして、昭和四十四年度まで、堤防の危険な個所はあらかた手をつけております。しかし、まだまだ今後に残された事業がたくさんございまして、昭和四十四年度は三億四千万円の事業費をつけておる。それから中小河川につきましては、昭和二十三年からそれぞれの支流につきまして事業を実施しておりまして、昭和四十四年度には八千万円の事業費をつけております。この中で現在やはり問題のございますのは、六方川その他の支川がございまして、その流域が非常に出水ごとはんらん襲地帯になっておりますので、これにつきましては、ひとつ放水路でも設けて抜本的な改修をしようというようなことで現在検討中の段階でございまして、その辺はまだ最終的にはいろいろこまかい問題点がございますので固まっておりませんが、できるだけその辺を重点に実施する。それから本川自体につきましても、豊岡城崎地先におきまして仕事が残っておるところがございますので、その辺をひとつ重点的にやってまいりたいと考えております。
  16. 浦井洋

    浦井委員 少しこまかいあれになるのですが、六方川、八代川、これのはんらんがやはり当面さしあたって問題になるわけですが、もう少し具体的にその二つ河川についてどうされようとしておられるのか、お聞きしたいと思うのです。
  17. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  八代川につきましては放水路を設ける計画でございまして、ただ、放水路が非常に膨大な事業費のかかることでございますので、その前段といたしまして、中流部河道改修昭和四十四年度から小規模河川改修として着工しております。それから六方川につきましては、上流地点放水路を設ける案と、さっき申し上げたように、これはまだ計画が確定しておりませんので、下流の既設ポンプを増強する案と、二つをいま勘案して早急にひとつ検討いたしまして、どちらかの案にきめてまいりたいということで、そういう案がきまった段階でひとつ重点的に事業を進めるというぐあいに考えております。
  18. 浦井洋

    浦井委員 六方川のポンプというのは、大体どれくらいの分量が要るものですか、増強されるというようなお話でありますが。
  19. 坂野重信

    坂野政府委員 先生承知かと思いますが、既設ポンプは毎秒十八トンだと思っております。それから今後の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、ポンプの案によるか放水路の案によるかはまだ快走しておりませんので、ポンプ容量等につきましても今後県等にまかしていきたいと思います。
  20. 浦井洋

    浦井委員 時間が来ましたので、この辺で終わらせていただきます。
  21. 金丸信

  22. 井上普方

    井上委員 私は、一昨日保留いたしました問題につきまして、河川局並びに都市局から御説明をいただきたいと思います。
  23. 坂野重信

    坂野政府委員 御質問のありました第一点の、昭和四十五年度——昭和四十四年度しかはっきりわかりませんが、一級河川と二級河川の全事業費地方負担内容を示せということでございますが、昭和四十四年度事業費が、二級河川水系でございますが、河川ダム、砂防、全部入っており、四百十二億円でございまして、その中で地方負担が百九十三億円でございます。  それから、提出いたしました河川法施行令改正する政令案の要旨でございますが、申し上げますと、第一点は、政令で定める大規模工事の範囲でございます。お手元に届いておると思いますが、政令で定める大規模工事と申しますのは、たとえば湖沼水位調節施設、長さが五百メートル以上の導水路または放水路、また、面積が百ヘクタール以上の遊水池、長さが百メートル以上のせきまたは床どめ、長さが五十メートル以上の閘門または水門、長さが五百メートル以上の永久橋、一秒間につき、三十立方メートル以上の水量を処理する揚水機場または排水機場というような工事でございまして、これに要する費用の額が五億円をこえるものとするというように考えております。それから政令で定める日につきましては、昭和五十年三月三十一日からということでまいりたいと思います。そういうことであります。  あと都市局のほうでお答えいたします。
  24. 井上普方

    井上委員 河川局長さん、私がお伺いいたしましたのは、一級河川地方が国庫納入金として出しておる金額が幾らで、また二級河川においては国が地方に対して出しておる補助金の総額は幾らか、そしてまた、地方負担はどれくらいになっておるかを詳細にお知らせ願いたいということです。
  25. 坂野重信

    坂野政府委員 そこら辺、ちょっと私のほうは勘違いしましたので、早急に調べてお答え申し上げます。
  26. 井上普方

    井上委員 私は、こういうような河川法負担率が違う際に違えてくる、昨年は一体どれくらい地方負担があり、かつまた国はこれほど補助したのだという金額がわからないようでは、ちょっと困ると思うのです。これが即答できないようでは、地方自治体に対する理解度があまりにも中央になさ過ぎるのではないか、このように感じられてならないのであります。今度の改正案というものはまさにその点をついておるんですから、国と地方との費用負担をどういうように——ともかく四分の三を三分の二に下げるなら、総額で減るけれどもということで六十一億が下がってくるのだといいますけれども、その全体がわからなければ、私どもはどうも審議いたしかねるのであります。これはいまさっそく御調査になっておりますので後ほどにいたしまして、次に都市局のほうからお伺いしたいと思います。
  27. 大富宏

    ○大富説明員 お答えいたします。  市街化調整区域内における開発許可の方針が、国会審議のときにおける答弁の趣旨と運用が違うのではないかという御指摘だと思いますが、御承知のとおり、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域でございます。したがいまして、市街化調整区域内において開発許可を認めるのはあくまで例外的なものである。そういうことで三十四条に、開発許可をし得る条項を十号にわたりまして制限列挙いたしておるわけでございます。ただ、その十号にイとロと分かれておるわけでございますが、これは開発審査会の議を経て開発を許可するという仕組みになっておるわけでございます。ところが、現実には、御承知のとおり、ただいま全国にわたって市街化区域及び市街化調整区域区域区分の作業を行なっておるわけでございます。この区域区分の結果といたしましては、市街化区域に入るか市街化調整区域に入るかによって、地元の関心は非常に重大な利害関係を持っておるわけでございます。そこで、この際、市街化調整区域に関する許可方針というものを明確にしなければこの区域区分の作業も進まないという関係がございまして、昨年の十二月末におきまして許可基準の方針についての局長通達を出したわけですが、これにいたしましても、あくまでも三十四条各号の運用は例外運用であるという前提で通達の中身にいたしておりますので、国会審議における答弁とはいささかも異なってはいない、かように理解いたしております。
  28. 井上普方

    井上委員 この問題につきましては、後ほど機会を得まして質問申し上げたいと思います。  きょうは河川法のことでございますので、特に一言だけ申し上げておきたいのですが、ただいま法案審議の際の趣旨と変わらないと御答弁になったのでございますけれども、実際問題といたしまして、農家の次三男が分家する場合の住宅ということが通達の中に入っておるわけなんです。しかし、この際私も、この農家の次三男が分家する農地の宅地化につきましては、その必要性は認めます。しかし、国会においての答弁の際には、あくまでも農業施設のみに限っているという御答弁であったはずであります。ここに通達と委員会での御答弁の大きな差を見出すのであります。しかし、運用の面においてこういう方法をとらざるを得ないことも、これまた私は認めざるを得ないと思います。ただ、ここで問題になりますのは、次三男に分家する場合の宅地はある程度広さを規制する必要がありはしないか、このように考えられます。といいますのは、このごろ人口流動が非常に激しうございますので、次男、三男のために農家が宅地化しても、次三男の方が人口流動によって都市に集中したときに、それがまた転売せられるという可能性も十分にございますので、ますますスプロール化の方向に進む抜け道になりかねないとも私たちには考えられるのであります。したがいまして、その場合には、一体どれくらいの面積にするか、そこらあたりを規制しておかなければスプロール化の方向はひどくなるのではなかろうか、このように考えられるのです。特に先国会においての建築基準法の審議の際に、被害者同盟のほうからも説明がありましたように、最初は五十坪をさらに二十坪と三十坪に分筆するというようなケースが非常に多くなっておりますので、特にこの点についての配慮をしなければ、この都市計画法の本旨にもとるような結果にもなりかねないと思いますので、この点についての今後の方針はどうされるのでございますか。
  29. 大富宏

    ○大富説明員 農業経営者みずからが住む建築物につきましては、二十九条でこれは許可が要らないということになっております。それから農業を経営するに必要な付属物、たとえば蚕室であるとかいう種類のものにつきましては、三十四条の四号で許可の対象にする。いま御指摘になりました農家の次三男等の分家の場合の許可につきましては、先ほど申し上げました十号の口で開発許可の対象にすることになっております。その場合に、確かに面積等についてはいまのところ結論を持っておりませんが、あくまでも開発許可の対象になりますところの目的なり位置なり規模なりを判断して、開発審査会が個別に吟味をして許可の対象にするということでございます。しかし、それにいたしましても、先生指摘のように、あくまでも市街化を抑制しようとするところの調整区域が、さらにそれを一つの原点としてスプロール化するという心配も多分にあると思います。今後十分検討さしていただきたいと思います。
  30. 井上普方

    井上委員 国会審議の際には、次三男の分家の場合のケースということは議論がされなかったのでありますが、議論がされなかった理由は、先ほども申しましたように、農業に必要な建築物、農作物等の処理、加工に必要な建築物に限られておったからにほかならないのです。こういう場合、運用の面においては確かに必要だと思います。しかし、それが悪用されることがないように、なお一そう御注意になっていただきたい。あるいはまたドライブイン等のサービス施設でも、これまた悪用される可能性は十分にある。このごろ全国至るところに風紀問題として出ておりますモーテルとかカーテルとかの出現、これはドライブイン等の中に入るのかどうかも私は大きな疑問を持たざるを得ないのです。こういうものに対しても、そこらあたりをはっきりとされる必要があろうかと思うのです。どうでございますか。
  31. 大富宏

    ○大富説明員 説明を省略いたしましたけれども、十号の口の運用につきまして昨年の年末に出しました局長通達では、この十号の口の対象になり得る開発行為といたしましては、農家の次三男等の分家の場合、さらにガソリンスタンド、ドライブイン、火薬庫、それから市街化調整区域内で収用対象事業でどうしても移転しなければならない、その移転先として行なうもの、さらには社寺仏閣及び納骨堂、こういったものを具体の例示としてあげておるわけでございますが、確かに一つ一つとりましても、それを悪用するという観点から見るならば非常に心配の面も出てくるわけでございまして、したがいまして、いま申し上げますように、周辺の市街化のおそれのないという前提で開発審査会が個別に判断していく、こういう仕組みになっているわけでございます。
  32. 坂野重信

    坂野政府委員 ちょっと先ほどの資料の追加説明をさせていただきます。  四十四年度で申し上げました中で、一級河川地方負担だけ申し上げます。四百八十二億の地方負担のうちで、直轄地方納付金が二百十億、補助関係が二百七十二億、事業費では千八百九億のうち、直轄が千七十五億、補助が七百三十四億、二級河川では、地方負担だけ申し上げますと、百九十三億のうち直轄が三億、補助が百九十億、事業費の四百十二億のうち、直轄が十五億、補助が三百九十七億でございます。
  33. 井上普方

    井上委員 ただいまの数字をお聞きいたしましても、地方がこの法律改正によりまして六十一億負担が多くなるということになりますと、地方自治体の自主財源が非常にそこなわれるわけでございまして、そのことがはたして地方自治体にどのような影響を及ぼすか、私は心配でならないのであります。おそらく、この河川法改正が一つの例となりまして、さらに道路事業あるいは海岸事業等々の負担が多くなってくることを皆さん方で阻止されるように、御努力をお願いいたしたいと存ずるのであります。  続きまして、河川法施行法の「政令で定める大規模工事」の範囲につきまして、いま政令案の要旨が出てまいったのでありますが、これによりまして政令で定める分が金額は大体どれくらいになりますか。
  34. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えいたします。  河川関係で百九十二億五千七百万、ダム関係で三百十七億四千九百万、全体が五百十億六百万でございます。それが対象事業に在りまして、それの四分の三と三分の二の差額が四十三億になるわけでございます。それで全部差が出ますと百四億ということでございますので、百四億と四十三億の差額が六十一億ということに相なるわけであります。
  35. 井上普方

    井上委員 私ども最初建設省から承ったところによりますと、五億円をこえる範囲内のものを大体やるんだ、工事費が五億円以下の場合に三分の二にするんだというお話であったのでありますが、しかし、これで見ますと実は堤防も入ってないのですね。これはどういうわけで堤防が入らないのですか。
  36. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えいたします。  堤防以外のものをちょっと先に御説明いたしたいと思います。ダムだとか、さっき申し上げた大規模工事というのは、これは一連の施設でございまして、切り離してはできない。しかもこれは集中的に投資をする必要がある。経済的な工程に従ってやらなければいかぬということでございますが、築堤工事のほうにつきましては若干性格が違いまして、御承知のように、上流、下流の状況というものを勘案しながら事業を進めていくわけでございまして、比較的に長期間にわたって継続的に仕事をやっていくということでございまして、一連の工事と申しましてもその中である程度分断して、切って施工ができるというようなことでございますので、そういう観点から、大規模工事という範疇から除外したわけでございます。
  37. 井上普方

    井上委員 しかし、このごろの河川におきましては、ダムと堤防とは、これは切り離せない問題じゃございませんでしょうか。といいますのは、近時におきましては、ダムは利水面が非常に強調されますがゆえに、特に洪水調節あるいはまた都市用水を確保するというのが、主体的な意味合いを持ち始めております。したがいまして、洪水調節というような意味をダムが持ちます以上、堤防との相関性というものをあなたはどうお考えになり、なぜ堤防を除いたか、そこらあたり明確にしていただきたい、このように思うのでございます。
  38. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、たとえばダムの場合ですと、どうしても河川を締め切って工事をやっていくということでございますので、これは工事の一定期間に早くやらなければ、大洪水があったときにダム導水路といいますか分水路、一時的なそういう仮排水路ではカバーできないというようなこともございますし、工程からいっても一定の期間でやらなければ、あまり長くだらだらできないということは御承知のとおりでございます。利水上の目的からいいますと、もちろん河川ダムも同じでありますけれども、そういう工程の面からいって、先ほど申し上げましたように、堤防の場合は一カ所に集中するというよりも、川全体をながめて危険な個所を逐次やっていくというケースが多うございますし、場合によっては一連の工事の中で分断をして、一時山つき堤防にしておくとか、あるいは仮堤防にするとか、いろいろなことができるわけでありますけれどもダムのようなものはそれがなかなかできにくいので、どうしても短期間に集中投資というものが必要になってくる、そういう観点から分類したわけでございます。
  39. 井上普方

    井上委員 昭和三十九年に新河川法が制定されますまでの直轄河川につきましては、自治体の納入金は一割だったのですね。ところが、これが四分の一になり、今度はまた三分の一になろうとしている。特に堤防の場合においての国に対する納付金というものが非常に多くなってきておる。こういう点、最初の新河川法の意味合いが、あくまでも管理権を中央に取り上げ、かつその反面において、先日も申しましたように費用の分担は国が持つのだという考え方からいたしますと、どうもちぐはぐになってきておるという感じがしてならないのです。特に堤防における補助率を低くする意味が私には納得できないのですが、どうお考えになりますか。
  40. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。  先生指摘のとおりに、現在の本法におきましても一級河川は三分の二、二級河川は二分の一ということで差がつけられております。そこで、三分の二のままでは困るということで、現在の特例措置として四分の三、全額国費に近い特例措置でいっているわけでございます。そこで、一昨日来いろいろ議論されておりますように、急激に下げるのは困るということで、できるだけ食いとめようということで実は四分の三という特例措置を、ダムそれから特大工事——ダム事業等は、堤防等に比べまして今後むしろ事業の相対的な量がだんだんふえると思います。また私どもはふえる方向に持っていきたいと思いますので、そういう面でそういう制度の中におきましても、できるだけ地方負担が少なくなるような方向で今後努力したいと思います。したがって、ダム事業がふえればそれだけ堤防の事業費というものが相対的に減ってくるわけであります。先ほど申し上げましたように、従来、御承知のように旧法時代、直轄河川だけが三分の二で、補助工事は二分の一であったわけでありますが、新法では、一級河川につきましては三分の二、補助工事につきましても三分の二と、現行の河川法でも一応、本法自体でもって一部は優遇されておることにはなっておるわけであります。ですから、基本的な考え方としては、一級河川は二級河川よりも国の負担をできるだけ多くしようという、要するに精神的には貫かれております。ただ量的に問題があるわけであります。
  41. 井上普方

    井上委員 どうも私は納得いたしかねるのです。といいますのは、見ておりますと年中、おたくのほうの計画高水量というのは、各河川とも上がっていっているのですね。一級河川にいたしましても、毎年毎年計画高水量の水量を実は上げていっておる。それに従ってダムは上でつくらなければならないというのがおたくの説明なんです。同時に、利水ダムもつくらなければならないという考え方も出てくるでしょう。しかし、その一方においては、やはり計画高水量を多くしたので、堤防もまた手当てをしておるのが現状ではございませんか。私どもの国の例を申し上げますと、吉野川なんかは毎年毎年堤防をかさ上げしておるのですね。計画高水量が最初のころは一万三千トンくらいであったのが、続いて一万六千トンになり、現在では二万トンになっておるのでしょう。そういうふうな観点からいたしますと、現在吉野川水系におきまして堤防にかけておる金というものは、かなりなものになるのだろうと思う。また、あの中流以上は遊水地帯であったのを、今度は遊水地帯でなくするというようなことになりますと——御措置を願っておるようで、この点はまことにけっこうなんでありますが、それに対する負担金というものが地方自治体に大きくのしかかってくる、こう思わざるを得ないのです。局長、どうでございます。
  42. 坂野重信

    坂野政府委員 その点は先生と同感でございます。堤防は決して放任できるわけでございませんので、堤防とダムと相まって事業をやるわけでございます。ただ、いろいろな流量改定等が行なわれる場合には、水資源の関係も最近非常に多うございますので、流量のふえた分はできるだけダムに持たせようという方針でおることは事実でございます。そういう意味からいいますと、今後の計画のふえた段階においては、この分だけは大体ダム事業のほうがふえるという傾向にあることは間違いございません。そういう意味ではダムについての特例はなされますので、この点については、地方負担は助かるということになると思います。
  43. 井上普方

    井上委員 ダムの点につきましては元のとおりやるのでございますから、これは私は了解できるのです。ただ、堤防につきまして、これから新しく堤防をつくるのに四分の三から三分の二に引き下げられてくる、こういう点につきましては、私どうも、私のくににおきましての地方財政状況から見ましても非常に不安を持たざるを得ないのです。もしも吉野川の、局長も御存じのとおり、岩津から池田までの間の遊水地帯に堤防をつくるということにいたしますと百八十億かかるのですね。そうしますと、あの貧弱な地方財政の中から差を出してくるということになると、なみなみならぬものがあるわけです。むしろ工事がおくれるのじゃないかとすら思われるのです。こういうような大規模な堤防工事に対して、政令でやはり大規模工事のワク内に入れるべきじゃないですか、どうでございますか。
  44. 坂野重信

    坂野政府委員 先ほど答弁いたしましたように、ダムだとか河川の中の大規模工事というのは非常に集中投資——これは比較論でございます。これはもちろん堤防の中でもそういう例外的なものは確かにあると思いますけれども、総体的に申し上げて、やはりダムだとか大規模工事というのはどうしても一カ所にまとまって集中投資をしなければならない。このために、やはり県の負担がそれだけ非常にふえてくる。したがって、そういうものを急激にいま廃止するということになると、やはり急激な影響というものを地方財政に及ぼすのじゃないか、そういう配慮で、そういうものについては特に特例措置ということで今後お願いしているわけでございます。
  45. 井上普方

    井上委員 どうも私、局長さんのお話を聞いていますと、事堤防に関する限りは顧みて他を言うという感を深くするのであります。どうも私は、この点につきましては納得いたしかねるのです。特に計画しておる大規模工事に対しまして、大規模な築堤工事をやろうとしておるときに、地方負担を増額させるという点につきましては考え直していただかなければならない問題を含んでおる、このようにいわざるを得ません。  続いてでございますが、政令案の第一項第七に「一秒間につき、三十立方メートル以上の水量を処理する揚水機場又は排水機場」とありますけれども、一秒間に三十トン揚水するような場所はそう数ないと思うのですが、どうでございますか。
  46. 坂野重信

    坂野政府委員 全国で現在のところ十カ所ございます。
  47. 井上普方

    井上委員 これは農業用水ですか、それとも内水排除のためのものですか。
  48. 坂野重信

    坂野政府委員 お答えします。主として内水排除でございます。
  49. 井上普方

    井上委員 しかし、一級水系が御承知のように百四つになろうとする現在、内水排除にいたしましても、現在ある内水排除の補助対象の、今度例外措置として認められるのが十カ所といいますと、ほとんどほかの揚排水場は補助率が下がるということになりますね。全国で十カ所しかないのだから、これまた大きな負担がかかってくると思うのです。各地におきましても、堤防ができつつあると内水排除の揚水ポンプをつくってくれという要求が非常にたくさんあります。現在、内水排除を要求しておる個所はどのくらいありますか、また、しなければいかぬ、四十五年度予定しておるのはどのくらいありますか。
  50. 坂野重信

    坂野政府委員 ちょっといま手元に資料を持ち合わせておりませんが、先ほど申し上げましたように、この三十トンというのは面積にしますと十平方キロくらいでございまして、これが大体金額にしますと五億相当程度のものでございまして、そういうものは、私ども常識的に考えてこれは大規模なものだというぐあいに考えまして、それで一応の限界をそこに置いておるわけでございます。
  51. 井上普方

    井上委員 局長さん、これは非常に少ないですね。十カ所といいますと、一級水系が百四河川でしょう。その中で十カ所といいますと、非常に少なくなってくるのです。それを例外措置としてお認めになるのですか。もう少しこれは考えてもいいんじゃないか、このような感がしてならないのでございます。しかも補助対象とするのは十カ所くらいとおっしゃられますが、全国の数と比較ができないのではなはだ残念でございますけれども、この点私は将来、これまた現在の内水排除、しかも都市化がどんどん進んでおりますので、都市河川等の関連等において、この内水排除の問題が非常に大きく出てくるのではなかろうかと思うのです。これは大臣が来てからお伺いしたいと思いますが、都市河川の排水問題、これが現在の大きな問題の一つにもなろうかと思うのです。そのときにあたりまして、この揚水場の措置政令ではわずか十カ所くらいしかお認めにならないところに、これまた地方財政に及ぼす負担が非常に大きくなってくるのではなかろうか。内水排除はこれから都市問題としても大きな問題になってくると思うのですが、河川局長、どうですか。
  52. 坂野重信

    坂野政府委員 先ほどお答えしましたように、十カ所程度が金額にしてたまたまちょうど五億程度でございますので、五億程度というのが——一つの大きな問題があると思いますが、やはり地方財政に及ぼす、一カ所五億以上ということになるとかなりそれだけの負担がかかってまいりますので、それ以外の、五億に達しませんかなり小さいものから大小取りまぜてあるわけでございますので、その辺の事業規模の面と事業費の面等勘案してきめたわけでございまして、いまさっき申し上げなかったのでありますけれども、大体三十カ所くらいの計画はいまあるようでございます。これは都市河川の問題が非常に重要性がありますので、そういった五億以上のものが出てくれば、それももちろん特例に入れるわけでございます。ただ、ポンプだけお考えになると十カ所ということになるわけでありますが、しかもさっき申し上げましたように、いろいろなものを取りまぜて考えておりますと、全国で不幸にして三県だけが該当しませんけれども、大体全国のうちでほとんどの県が、この政令の大規模工事に該当するわけでございます。
  53. 井上普方

    井上委員 先ほど局長さん、十カ所と仰せられて、今度は、来年は三十カ所と仰せられるのですね。違うのですか。
  54. 坂野重信

    坂野政府委員 内水排除関係ポンプが全部で三十カ所くらい、そのうちで五億以上のものが十カ所ということでございます。
  55. 井上普方

    井上委員 しかし、ただいまの局長さんのお話から承りますと、将来の都市問題といたしましても、下水問題あるいは都市河川の内水排除をしなければならない、あるいはまた、先ほど松浦委員から指摘されましたように、水害襲地帯の都市の排除の問題というのが、これから大きく取り上げられる可能性があるわけでございます。したがって、いまこの一秒間に三十トンの水量を処理する揚水機といいますと、これは数が非常に少なくなってくるんじゃないか、このように思われます。先ほどあなたは十平方キロと申されましたけれども、ちょっとその辺、十平方キロと三十トンとの関連はどうなっておりますか。技術的な問題になりますので、こんなことを申してもなんでございますが……。
  56. 坂野重信

    坂野政府委員 三十トンの容量が十平方キロの排水面積に相当するということでございます。
  57. 井上普方

    井上委員 三十トンも出すというのは、大規模中の大規模の揚水機、ポンプであろうと私は思うのです。相当なものです、これは。これはもうほとんど内水排除はできないんじゃないか、このように危惧されてならないのであります。  この問題につきましてはこの程度におくことといたしまして、大臣来られまして、お忙しいところでございましょうから大臣にお伺いいたしたいと思います。  一昨日は、非常に話がほかへほかへまいりまして、十分なお話ができなかったのでありますけれども、どう考えましても地方負担が非常に多くなる。六十一億といわれますけれども、また将来、道路におきましてもあるいは海岸工事においても、治山事業においても、地すべりにおいても、建設省関係補助率は、将来も地方財源が豊かであるからという理由のもとに、補助率が下げられる可能性が私は考えられてならないのでありますが、根本大臣といたしましては、将来これはいかにされるか、御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  58. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 事業執行官庁としての建設省といたしましては、でき得るだけ公共事業は量が多く、しかも国費の許す限りにおいて国庫負担率を多くしてやることが親切なことだ、こう思っています。ただ、それを現実にきめるのは、実際上は建設省だけでいきませんので、先般来井上さんが言われている点は、われわれも趣旨においては同感でございますが、今後ともそういう方針で努力いたしたいと存じておる次第であります。
  59. 井上普方

    井上委員 私は、いろいろ大臣河川関係におきましてお伺いしたいことがあるのでございますが、しかし、大臣も、きょう予算委員会であられるし、あるいはまた時間の関係もございますので、後ほど私の質問を行なわせていただくことを留保いたしまして、本日はこの程度で終わりたいと思います。(拍手)
  60. 金丸信

    金丸委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  61. 金丸信

    金丸委員長 この際、阿部昭吾君、北側義一君、吉田之久君及び浦井洋君から、河川法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。     —————————————
  62. 金丸信

    金丸委員長 提出者阿部昭吾君から趣旨の説明を求めます。阿部昭吾君。
  63. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、日本社会党、公明党、民社党及び共産党を代表いたしまして、ただいまお手元に配付をされました河川法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案について、簡潔にその理由と内容を御説明申し上げたいと思います。  まず第一に、治水事業の高率国庫負担の特例措置は、国の長期計画に基づいて緊急に整備を進めるという国の政策のもとに、国及び地方負担割合を定めたものであります。地方団体の固有事業や施設に対する補助金とは、その役割りと性格を異にしていると思うのであります。したがって、国庫負担率は、理念的にも国の財政捻出などの都合のために、一定の方針もなく安易に引き下げられるというようなものでないことは明らかだと思うのであります。  第二に、きわめて低い水準にある生活基盤施設などの整備、地域社会の激変に伴う過密過疎のひずみをはじめ、公害対策や交通安全対策等の新しい財政需要の増大に今日地方財政は非常に苦しんでおるわけであります。こういう情勢にかんがみまして、国の計画による河川道路、地域開発などの根本的な基幹的な事業は、国が直接実施をして経費全額負担をすることが強く要請をされているところであります。この要請にこたえるため、行政事務の内容に応じ国、地方間の事務配分と経費負担を再検討した上で、地方経費を十分まかない得るように財源の配分を行なわねばならない責任があると思うのであります。その検討結果が明らかになりまするまで、特例措置を延長すべき必要があると思うのであります。  第三に、国土並びに国民生命、身体及び財産水害から守るため、自治体と地域住民は自然の猛威と戦いながら水を治めてきた、その歴史と伝統の中でつちかわれてまいりましたこの河川に対する管理権、三十九年、水系一体管理を基本理念とする新河川法の制定が行なわれて、国に管理権が移管をされたのであります。  新河川法の目的と役割りについて、地域住民や自治体は、制定をめぐる各省間の折衝や国会の法案審議の経過及び利害関係団体や住民に対する政府説明内容、これに深い関心を持って見守っていることを私どもは忘れてはならないと思うのであります。国会は、その期待と信頼を裏切ってはならないのであります。政治の道義を正しく貫かなければならないと思うのであります。こういう観点から、私どもはこの修正案の提案をいたしたのであります。  以上、その要旨と理由をきわめて簡潔に御説明申し上げたのでありますが、委員各位の全員の御賛同をお願いいたしまして、提案理由の説明を終わりたいと思います。(拍手)
  64. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  修正案に対し別に発言の申し出もありませんので、この際、河川法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案について、国会法第五十七条の三の規定により内閣から意見を聴取いたします。根本建設大臣
  65. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま提出されました河川法施行法の一部を改正する法律案に対する修正案は、一級河川改良工事費用についての国庫負担の特例措置を全面的に延長しようとするものでありまするが、特例措置の延長にあたっては、政府といたしましては原案をもって適当なものと考え、遺憾ながら修正案に賛成することはできませんので、原案のまま御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————
  66. 金丸信

    金丸委員長 これより河川法施行法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案の両案を一括して討論に付します。  討論の申し出がありますので、これを許します。松浦利尚君。
  67. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は、日本社会党を代表して、わが党、公明党、民社党、共産党四党共同提案にかかる修正案に賛成をし、原案に反対する立場から、若干討論をいたしたいと思います。  根本建設大臣の所信表明にあるごとく国土の保全は国政の基本であり、河川行政は国土の保全、水の高度利用を通じて社会経済の発展に資するところ大であり、治水、利水の両面にわたり国民生活を密接不可分の関係にあることは多言を要しないところであります。周知のとおり、水は循環、変態して種々の様相を示し、人類社会を常に包容して社会経済生活に密接な関係を有し、重大な影響を与えるものであります。昔から水を治むる者はよく国を治めるといわれており、また今日においては、水を利する者は国を富ますことができると言うことができると思います。しかしながら、河川は一面において常に洪水の危機を内包しており、一たびはんらんするときは限りなく災害の源となるのであります。  このことは、建設白書指摘するごとく、わが国は気象上及び地形上河川洪水による被害は大であり、洪水を防御すべき治水事業の促進は一日もゆるがせにすることを許されないものであると思います。それゆえにこそ、なくなられた河野元建設大臣は、国会の答弁の中で、補助率を四分の三に引き上げて河川行政を積極的に進めると答弁をし、さらに補助率が一ぺん上がったものが下がるということは、日本の法律の常識や政治の常識にはないと断言されておるのであります。しかるに、本原案は、一部を除き補助率を事実上引き下げ、法律及び政治の常識を破る措置をとるに至ったことはまことに遺憾にたえないところであります。しかも、治水計画を再三にわたって変更するごときことは慎んでいただかなければならないと思うのであります。政府答弁によれば、地方財政が豊かになったことをその最大の理由としていますが、現実地方行政水準は、地域住民の要求からかなり低い水準にあるといわなければなりません。その証拠に、法定外河川の現況は全くの原始河川の現況をとどめ、災害が発生したあと災害復旧補助三分の二と改良工事補助二分の一を含めて、細々と災害あと追い工事を行なっているのが地方自治体の実情であります。  また、原案施行後の地方財政へのしわ寄せは六十一億にのぼり、自治省との話し合いは未決定のままだといわれて偽りますが、四十五年度特別交付金を除く交付税総額は一兆六千九百二十億、河川関係都道府県分基準財政需要額八百三十億に対し、交付団体交付分は六百六十九億、同じく市町村分基準財政需要額七十億のうち交付団体交付分は六十五億にすぎないのであります。交付税総額に占める河川関係交付分は四・六一%、昨年の三・九六%に比べてわずかに〇・六五%の増加にしかすぎず、河川行政は、根本建設大臣の言う国政の基本ということばとはうらはらに建設行政の片隅に追いやられ、まことに寒心にたえないところであります。  また、大臣は、原案を通さなければ本法にもとるということを理由に、一部ダム及び大工事を四分の三の補助に食いとめることができると自賛せられておりまするが、まさに四党共同提案にかかる修正案によってこそ河川行政の進展に資することができるのであります。現に事務当局の説明によれば、今後の河川行政に必要とする需要額の総額は二十八兆であると説明をしておられるのであります。  なお、新河川法国土の保全と水の高度利用に資するためのものであり、水系主義に基づく国家責任管理の原則を明らかにし、一級河川の管理費用については、原則として国が負担しようとするのがその法の趣旨であります。  以上の理由から、修正案に賛成をし、原案に強く反対するものであります。
  68. 金丸信

    金丸委員長 以上で討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、阿部昭吾君外三名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  69. 金丸信

    金丸委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  引き続き、河川法施行法の一部を改正する法律案について採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  70. 金丸信

    金丸委員長 起立多数。よって、河川法施行法の一部を改正する法律案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  71. 金丸信

    金丸委員長 ただいま議決いたしました本案に対しまして、天野光晴君、阿部昭吾君、北側義一君、吉田之久君及び浦井洋君から附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者天野光晴君から趣旨の説明を求めます。天野光晴君。
  72. 天野光晴

    ○天野(光)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び日本共産党の五党を代表いたしまして、ただいま可決されました河川法施行法の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。    河川法施行法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、従前に比して増大する地方負担については、地方財政計画において十分配慮し、治水事業の推進に支障がないよう適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。  右決議する。  この決議案について、簡単にその理由を御説明申し上げます。  これは審査中において種々議論があり、その趣旨は十分におわかりのことと存じますが、近時における地方財政の窮状にかんがみ、治水事業の推進に支障が生ずることのないよう特段の措置が講ぜらるべきことは当然のことであります。これ、本案に附帯決議を付せんとする理由であります。  各位の御賛同をお願いいたす次第であります。
  73. 金丸信

    金丸委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  本動議に対し別に発言の申し出もありませんので、これより採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  74. 金丸信

    金丸委員長 起立総員。よって、天野光晴君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、根本建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。根本建設大臣
  75. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 ただいま全会一致をもって御決定になりました附帯決議につきましては、その趣旨を十分体して努力いたしたいと思います。     —————————————
  76. 金丸信

    金丸委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  77. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  78. 金丸信

    金丸委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時十分散会