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1970-03-11 第63回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十一日(水曜日)     午前十時九分開議  出席委員    委員長 金丸  信君    理事 天野 光晴君 理事 大村 襄治君    理事 正示啓次郎君 理事 服部 安司君    理事 渡辺 栄一君 理事 阿部 昭吾君    理事 吉田 之久君       池田 清志君   稻村左近四郎君       木村 武雄君    砂原  格君       丹羽喬四郎君    羽田  孜君       葉梨 信行君    廣瀬 正雄君       藤波 孝生君    森下 國雄君       山本 幸雄君  早稻田柳右エ門君       井上 普方君    卜部 政巳君       佐野 憲治君    松浦 利尚君       三木 喜夫君    北側 義一君       小濱 新次君    内海  清君       浦井  洋君  出席国務大臣         建 設 大 臣 根本龍太郎君  出席政府委員         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省計画局長 川島  博君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省道路局長 蓑輪健二郎君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  角田 正経君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     宮地 直邦君         建設委員会調査         室長      曾田  忠君     ————————————— 委員の異動 三月九日  辞任         補欠選任   井上 普方君     北山 愛郎君 同月十日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     井上 普方君 同月十一日  辞任         補欠選任   古内 広雄君     羽田  孜君 同日  辞任         補欠選任   羽田  孜君     古内 広雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  河川法施行法の一部を改正する法律案内閣提  出第二六号)  建設行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 金丸信

    金丸委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、おはかりいたします。  本件調査のため、本日、日本住宅公団から総裁林敬三君、理事宮地直邦君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金丸信

    金丸委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、参考人からの意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承ください。     —————————————
  4. 金丸信

    金丸委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。卜部政巳君。
  5. 卜部政巳

    卜部委員 ある対談におきまして、大臣は、いままでは経済成長を優先させていた、しかし、人間生活中心にして産業がある、したがって、この冒頭にも述べられておりますように、従来の観念を脱却いたしまして新しい方策を打ち出すことも必要だ、こう語っております大臣に期待をしながら質問をいたしたい思います。  まず、この基本施策に関する所信表明の順序に従って質問をいたしてまいりたいと思いますが、健康で文化的な都市生活と、機能的な都市を、そして活動を確保するための都市計画性を確立することが基本である、こういうふうに述べられておるわけでありますが、まず人間生活中心生活をさせていく都市づくりをやっていくということになってまいりますと、当然首都に集まってくる人口という問題が問題になってまいると思うのでありますが、大臣は十五年後の首都圏には、一体都市化された市街地に幾らの人口がひしめくとお考えになるかをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  6. 根本龍太郎

    根本国務大臣 具体的な数字としていま申し述べることは困難だと思います。ただ、考え方といたしまして、従来は、いわゆる都市学者あるいはいわゆる近代経済学者の方々の意見国土総合開発に相当強く取り入れられまして、現在、さらに二十一世紀になりますれば都市集中が出るというのは、これは一つの文明の必然的な趨勢である。これは自由主義であろうが社会主義であろうが、そういうものだという前提に立って考えておったために、たとえば日本では瀬戸内海あるいは太平洋メガロポリス論が出まして、そこへ少なくとも昭和六十年以降については人口の七割五分あるいは八割ぐらいが集中するだろう。そうして北海道、東北北陸、山陰、九州四国等のところには、膨大な面積にもかかわらず、わずか二〇%ないし二五%が人口並びに産業として定着するであろう。こういうことは、もう政治というものが経済の自然の流れに押されたままでいっているという姿の集積ではなかろうか。そのことが日本全体のために、また日本国民生活にはたして適当かどうかということが大いに議論のあるところで、そういう反省に立ちまして、いわゆる新全総もこれが変更をされましたし、さらにまた、現在いわゆる新経済社会発展計画もこの新全総の構想が出てやっておるわけでございます。われわれも、過疎、過密の現象はいろいろの公害、いろいろの人間生活をスポイルしている点がありまするので、やはりこれはでき得るだけ政治、政策をもって国土の均衡ある発展をさせる、そのための非常に大きな役割りを演ずるのは社会資本の充実であり、その部面を相当担当しておる建設省の任務である、こういう観点から今後の人間尊重のしかも均衡ある施策を進めていきたい、こういう構想でございます。ただ、そのときにあたって、しからばどの程度人口都市並びに農村に分布するかということについて、いま数字として申し上げることは困難でございまして、むしろ今後そういう発想のもとにどういうふうに分布せしめるかについては、広く各方面意見を聞いてその理想とするところに近づけてまいりたい、こう考えている次第でございます。
  7. 卜部政巳

    卜部委員 大体わかりました。  そこで、首都圏に対する新全総の十五年後の人口集中度、こういうものが明らかにされていますが、これは上昇率というか集中率とでもいいますか、そういう率によって若干の違いがあるわけですが、大臣は、十五年後には大体どこら辺になるとお考えでございましょうか。
  8. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは私、数字は実はいま用意しておりませんので、ちょっと正確を欠くと思いますけれども、この首都圏開発構想を、現在実は首都圏整備委員会にはかりつつあるのであります。これは、東京都に集中することは経済的にメリットがない。それかといって、首都圏に集まるということは必然でございますので、どこでそれを調整するかといいますと、いま考えておるのは、水戸、鹿島を中心とするところに一つ拠点を置く。少なくともここに百万人口規模プロジェクトをこれから進めていく。それからもう一つは、栃木県宇都宮を中心とするところに百万都市プロジェクトする。それからもう一つは、高崎、前橋周辺、ここに大体百万都市を集中する。そうしますれば、この東京都からそちらのほうに吸引されていく。これをやらないで、ただ東京都に入れないといっても、これはなかなかできない。ところが、今度は東京都を人間生活が豊かになるように再開発するというのは、膨大な金がかかって経済的なメリットがない。そこでいま考えておるのは、この三つ拠点をつくり、さらに今度は神奈川県のほうにそれをつくっていく。こういうことでこの調整をはかっていくべきだ。その意味で新全総でいろいろ考えておるのは、あれは非常に概括的に考えたものでございますが、いまむしろわれわれのほうとしては、そうしたところのプロジェクトをやる場合において、どれだけの資金と、どれだけの地方がこれに対する受け入れ体制ができるかによって、いまの新全総で出されておる一志の目見当を具体的な実施計画にまで持っていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  9. 卜部政巳

    卜部委員 具体的な数字がわからないということでございますが、政府委員のほうで知っていましたらひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  10. 川島博

    川島(博)政府委員 新全国総合開発計画におきましては、昭和六十年における市街地人口は、四十年現在の四千六百万人が八千四百万人程度になると予想しております。このうち首都圏にどの程度集中するかという問題でございますが、これについてはまだ確定した数字はございません。しかしながら、およそのところを申し上げますと、各種の予測が行なわれているわけでございますが、いずれの場合も、昭和六十年の首都圏関東地方人口は四十年の約三千万人から一千万人ないし一千二百万人が増加をいたしまして、四千万人程度になるものと考えられております。このうち、いわゆる東京圏といわれる南関東一都三県につきましては、現在約二千万人でございますが、これが一千万人増しまして三千万人程度に増加するというのが、各種の推計のほぼ一致した見方でございます。ただ、この首都圏の中で南関東北関東に分けるということは多分に便宜的なものでございまして、地域的には連続をしておりますし、また十五年後の首都圏の姿を考えますと、おそらく南関東北関東という分け方がナンセンスになるのじゃないか。地域としては一体とした広域的な都市地域ということになりますので、関東地方全域東京と結びついて一体的な経済圏域となる。そこに約四千万人の人口が居住するであろうというのが大かた見方でございます。
  11. 卜部政巳

    卜部委員 これは大臣のほうではあれでございますから、政府委員の方にお伺いをいたします。  そうすると、一人当たり何平方の緑地帯、いわゆる公園、こういうものが必要なのか、この点ひとつお伺いをしたいのであります。四千万としてですね。
  12. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 お答えいたします。  都市公園といたしましては、御承知のように、都市人口一人当たり六平米というのを基準にしております。現状はまだそこまでとうていいっておりません。したがいまして、二万四千ヘクタールになると思います。二万四千ヘクタールの都市公園用地が必要だ、こう思います。
  13. 卜部政巳

    卜部委員 大臣、いまの政府委員答弁をされたように、二万四千ヘクタールの公園が必要になる、こういうことであります。そうすると、いまこの構想に描いている都市計画の中身は、いま政府委員の方も申されたように、六平米自体がまだその基準になっていない。そういう中でどうしても二万四千、これはちょっと数字が間違っておると思うのですよ。私のほうが正しいと思っていますが、まあこれは多いことを言ってくれたから私は黙っておるのですが、現にこのヘクタールの公園ができますか、そういう余地がありますか。その点はひとつ人間生活中心にという大臣のそのことばに期待して、ただこの間の答弁のように、河野建設大臣はこう言った、河野さんの答弁と私の答弁とは違うのだというふうに、ときどきの大臣答弁が食い違う、また責任がないということではないように、ひとつこの記録を未来永劫に、これができ上がりますまで、根本大臣政治生命をかけて私は誓っていただきたいし、私も監視したい。この点はどうでございますか。
  14. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私は、人間生活に対する観念時代とともに変わっていくものだと思います。したがいまして、いま固定して、一人当たりどれだけの公園がいま計算されたから、それだけが絶対だというものではないと私は思います。むしろ私が申し上げたいことは、いま事務当局から申された数字も、いわゆる数量経済学者あるいはいままでの都市工学的な観点から、従来の趨勢からすればこの首都圏に約四千万、それ以上集まるであろうということが、これは前提になっているわけであります。それだけ集まってそういうふうな都市生活をさしたほうが機能的であり、かつ幸福であるという観点からきているのじゃないと私は思います。だから、むしろ今度発想を変えて、東北でもあるいはまたいまの北陸でも、これに交通あるいは社会資本を十分にやりますれば、その上に日本においては工業が立地できるし、あるいはまた文化もそこに定着することができると思うのです。だから、むしろわれわれは今後都会に集まることだけを考えずに、いかにして東北あるいは北陸あるいは九州四国に、経済的にしてかつ人間生活の豊かなる産業経済の分布をはかるかということに私は重点を入れる。そういうことになりますれば、いまの一人当たり六平米とかなんとかいうことを、あまり言わなくたっていいじゃないかというような考えを実は私は持っているのです。むしろ、現在日本における問題は、都市集中必然であって、これは不可抗力なんだということが、あまりにも強く強調されているじゃないかというような感じがするのでございます。それをずっと転向させるために、いわゆる鉄道新幹線網道路新幹線網、あるいはまた、日本の大企業はむしろ瀬戸内海から鹿児島湾の系統、あるいは四国のいま非常に過疎化している高知なんとか、あるいは陸奥湾までいま登場しているのはこれに対する一つ反省であり、ある意味における未来社会に対するところの日本人の一つビジョンを大きく示したものだ、そういうものをもう少し評価していいじゃないかというふうに考えるのでございます。したがって、私は将来、六十年後に都市、特に首都圏に四千万人以上も集中することは、むしろ避ける方向で計画を進めるべきじゃないかとすら考えている次第でございます。
  15. 卜部政巳

    卜部委員 大臣のほうからは広大なる構想が述べられましたが、問題になっている新全総の都市計画によると、現実には四千万に近い人口が集中するであろうということは、これは予想としてあげられておるところなんです。ですから、その予想としてあげられておることに基づいて、そうすればやはり緑地帯なりまた公園なり、こういうものが人間生活にとっては必要なんだということを私は申し上げて、そうすれば少なくともそうした二万四千ヘクタールの公園というものが必要になるのじゃないか。しかし、それが実際問題としてどこにつくられるのだろうか。つくられるような状況に今日ない。またその基準にいたしましても、それに満たないような姿が出てきつつあるじゃないか。このことを指摘しておるわけであります。でありますから、私はそうした面で、大臣の大構想もさることながら、やはりそうした問題を頭に描きながら都市計画考えていただきたいということを申し上げておるわけであります。  続いて、そのことと関連をいたしまして、大都市ビルのニュータウンへの分散をはかる場合に、低層建築の、オフィスビルと言ったほうがいいじゃないかと思うのですが、オフィスビルを間引いて分散させて緑地公園にかえるという方法、こういうものをひとつ考えてみてはどうか。これは大阪のあれもありますが、その点については、大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  16. 根本龍太郎

    根本国務大臣 そういう構想を今後大いにやるべきだと思います。ただ、いまのように過密だからどうだといってもなかなかできませんから、やはりちゃんと移転するものの受け入れ体制をつくっていけば、これはいけるだろうと思います。ある生命保険会社が、東京都心から離れたところで十分に業務ができるというふうな事実を見ましても、今後情報産業が発達した場合におきますれば、相当程度のものは、都心から離れていくことによってむしろメリットがあるというふうになると思います。しかしながら、それを企業が一切の責任でやるということになると、なかなかできにくいと思います。やはりそういう企業が、首都圏内で、しかも政策的に受け入れ体制をとってくれれば行くというものはあろうと思いまするので、先ほど申し上げましたように大体三つ拠点——いままでは東京都内の副都心というような構想であったのを、もうちょっと範囲を広げまして一つ拠点都市をつくっていき、それとの交通関係をつくり、かつまた、先ほど御指摘になりました生活環境としての公園なり下水道なり、そういうものを整備してやることによって、そういう人間疎外都市生活から脱出しよう、こういうふうにいくべきではなかろうか。これができてきますれば、やがて福島とか宮城とか、あるいは新潟というものもいまや一つ拠点都市となっていきますというと、首都圏というものから離れて首都圏の拡大とも見ることができるでしょうし、あるいはまた地方の総合的な都市化ということもできる、そういうふうに考えていくことが正しいではないかと考えておる次第でございます。
  17. 卜部政巳

    卜部委員 では具体的に、いま万国博覧会が十四日から開催されますが、その千里丘のあと大臣は一体何を持ってこようとされるのか、具体的にこの点をお聞きしたい。構想ですね。
  18. 根本龍太郎

    根本国務大臣 あそこにはいろいろの意見が出ておるようです。あれを中心として近畿圏のいわゆる道州制の拠点にすべきだという世論も出てきたり、むしろ万国博の使命から見て、これがアジア一つの平和にして、かつアジアの諸国があそこに来れば、未来のアジア開発一つビジョンがあそこでつくられるような何らかの構想を持つべきだ、あるいはまた一部では、このごろちょっと話の出ておる東南アジア国際大学みたいなものを持ってくる、いろいろあるようですが、しかし、これについては非常にたくさんの金もかけておることであるし、いま政府内でもそういう問題についてぼつぼつ、何といいますか、ささやきみたいな意味においてどうすべきだと言う人もあるようでありますが、これは非常に重大な問題で、いま私がこうすべきだということを公の席上で言うことは適当ではないと思っておるのでございます。いましばらく政府が各方面意見を聞いて、最も効率的な方法考えるべきだと思うのでございます。
  19. 卜部政巳

    卜部委員 だから私が、その低層建物オフィスビル等を間引いて云々ということを言ったのは、そこにあると思うのです。ですから、そういうところに新しく大学を創設するとか何かということではなくて、むしろそういう都心にある大学等を持っていくとか、さらに低層ビルとかいうものをそこに持っていく、そして同じような——同じというわけにはまいりませんが、大阪のどまん中にやはり公園みたいなものをつくっていく、さらに緑地帯をつくっていくという構想がなければ、やはり先ほど申し上げた何平米という問題とあわせ、人間生活というものは決して緑の、そしてまた健康な生活ができない。こういうことから、根本建設大臣にはもちろん大きな問題ではありましょうが、やはり間引いていくということが、単に何というのですか、ただほんとうに力づくで間引くとかなんとかじゃなくて、それを機会にひとつ大英断をやっていただきたい、こういうふうに考えます。そしてそれは、大臣が申し述べられておる、あくまでも人間生活をという基準の中でひとつ考えていただきたい、こういうふうに思っているわけであります。  次に、それと関連いたしまして文化財の問題について若干申し上げたいと思うのですが、私たち祖先国土の上に築き上げた、そうしてまた、その中に歴史的な文化財というものがあるわけであります。いままで地下に眠っていたそうしたところの考古学研究の資料というものが、いま大きく破壊をされているという現実があるわけなんであります。私は全く残念だと思うのでありますが、これに対しまして、いろいろ土建業者、さらに国の問題でもいろいろ所管が違うかと思いますが、この破壊をされ、各地で問題を起こしておるこういう問題の中で、大臣は、これからの国土建設の中で、私たち祖先国土の上に築き上げたそうした歴史的なものについて、たとえば道路の線上にあるとすれば道路を変更するとか、そういうあたたかい思いやりを行なっていくお気持ちがあるのか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
  20. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおり、文化財保護ということは非常に大事なことであります。特に今日、日本国民が、ややもすれば民族精神あるいは自分文化を否定することがいかにも進歩のような傾向にあるということは、特に不幸だと思います。御指摘のように、現在中共においてもソ連においても、非常な力を入れて自分民族の古い文化保護しておる。かつてはイデオロギーでこれを否定したものを、古い帝政時代であろうとあるいはかっての政府下のものであろうとも、これを保護することによって民族の誇りと人類の文化を残そうとしておるのであります。日本においては、その意味において、わりあいに比較的、世界の中では文化保護国民の手でなされたということが言えるでございましょう。ところが、近代経済高度成長に伴う工事あるいはいろいろの施設ができてくるに従いまして、心なき国民の一部によってこれが破壊されつつあるということは非常に大事なことであります。その意味において議員立法古都保存法もでき、また、その精神に基づいて政府もいろいろやってきておるのでございます。今度建設省といたしましては、都市計画法において市街化区域調整区域にいたしまして、この歴史的な文化財のあるところは原則として市街化区域に入れない、地方では市街化調整区域においてそれを保存するという一つの方針を持っております。そうして特に重要なものが集中しているようなところは、特別保存地域に指定しまして、やはりこれは地方自治体や所有者だけに責任を負わせるということは非常にむずかしいから、政府が買い上げる等の措置をとるべきだと思っています。  それから、御指摘になりました道路等をつくる場合にあたりまして、重要な史跡あるいは文化財とぶつかった場合にはできるだけそれを避けていく、また工事中にそういうものが出たならば、その出たものを大事にちゃんと保存するような措置を講ずるというような配慮をするつもりでございます。  それからもう一つ、これは私の所管ではありませんが、実は私が党におるときに、総理の意図を受けまして、今度文部省の予算でできたのでありまするが、歴史博物館というものを明治百年事業として政府が予算化したはずでございます。これは佐倉市の佐倉城あと政府が買い取りまして、日本歴史的文化財並びにいろいろの文献等をそこに集めて、いま申されたような趣旨を国家としてやろうじゃないかという発足を見ているような次第でございます。
  21. 卜部政巳

    卜部委員 大臣の心あたたまる御答弁がありまして、たいへんうれしいわけでありますが、その中にやはり問題になる個所が一、二カ所あります。  まず一つ古都保存法の問題などがありますけれども、実際問題として行ってまいりますと、風致地区なんかがありますけれども、あれが風致地区であったそうだということであって、すでにもう建設業者がやっておる、ブルドーザーが入っておる、こういう現状があります。そしてまたもう一つ、これはことばじりをとらえるわけではありませんが、たまたまにして道路工事を進めつつあった、そういう文化財が出てきた、こういうことばでございますが、私はこれがたいへんだと思う。むしろこれは事前調査をしていただいて——日本の国は古い歴史を持っておるのですから、そういう埋没文化財というものがあるとすれば事前調査というものが必要じゃないか、こう私は思うのです。その点ひとつ、出てきたから保存する、こういうことではない取り組みをやっていただきたい、こう私は思います。  そこで、これは弥生時代住居趾の問題、登呂をさらにしのぐ規模といわれておるところの大阪の和泉の第二阪和でありましたか、この建設に対しまして建設省から一億四千万の金が出ております。そして関西の考古学者を全部動員をして調査したという事実もあるわけでありまして、この点はたいへんに喜ばしいことだと私は思います。しかし、それが時間を切って、何日までという調査のしかたを命じたようでありますし、何か知らぬけれども、あることばでは、調査はさせるけれども、路線の変更はさせないというような問題も出てきたということを聞いておりますが、そういうことではなくて、やはり事前調査をやっていただくということをひとつこの中に織り込んで、注文をしておきたいと思います。  時間がございませんので、ひとつその二点を大臣に特に要請しておきながら、次に進めてまいりたいと思います。  次に、いま大臣が御答弁になりました市街化区域の問題にいよいよ入ってまいりたいと思いますか、現在、線引きはどの程度進んでおるのかをお伺いいたしたい、こう思います。これは政府委員でもけっこうです。
  22. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 お答えいたします。  市街化区域調整区域の区域区分をいたします対象市町村は、首都圏近畿圏あるいは中部圏の既成市街地あるいは近郊整備地帯あるいは都市整備地帯というもののほかに、新産業都市でございますとか工業整備特別地域とかあるいは県庁所在地というようなところで、大体人口十万以上の市か中心になっておりますが、八百八市町村ございます。これにつきまして、知事が決定をするということになっておりますので府県のほうを指導いたしておりますが、その進捗状況の一つの目安になるものは公聴会の開催で、私どもそれを一つの目安にいたしておりますが、公聴会をすでに開催いたしまして終わっている県、並びに三月中に公聴会を開催することを告示している県が二十府県ございます。それ以外の県も、三月中に予定をし、あるいは若干ずれ込んで四月になるというところもございますが、四十六府県のうち現在二十府県が公聴会を終わり、または公聴会の日取りを決定しております。公聴会が済みますと、それから原案の手直しをいたしまして正式に案をきめて、そして都市計画法の公告、縦覧、地方審議会の付議、それから大臣認可という手続に入るわけであります。それを目安に考えますと、これから先のことでございますので予想になりますけれども、大体六月くらいまでには大半の府県が手続を終わるのではないかというふうに予測いたしておる状況でございます。
  23. 卜部政巳

    卜部委員 そうすると、今年度までには間に合わない、おくれておるということでございますね。
  24. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 当初のわれわれの目標といたしましては、次官通達に示しましたように、今年三月末までに指定を終えてくれということを言っておりましたが、県が案をきめるわけでございますが、市町村とも相談をし、市町村長はさらに地元の部落その他をかけめぐりましていろんな調整をする、あるいは農業団体との調整をする、あるいはそれ以外の団体との調整というようなことがございまして、非常に大事な問題でございますので、慎重な手続をいろいろな形でやっているわけでございます。そういう関係で、当初三月末目標というのが若干おくれておる状況でございます。
  25. 卜部政巳

    卜部委員 いまの政府委員答弁ですと、十六条に基づく公聴会の問題ですが、これは必ず公聴会をやらさなければならぬということで指導しておるわけですか。
  26. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 私ども指導方針としましては、市街化区域の決定につきましては必ず公聴会を開いて、そして原案を固めるようにという指導をいたしております。
  27. 卜部政巳

    卜部委員 それならいいわけですが、ある都市等につきましては、十六条はあくまでもその必要を認めたとき、こういうふうな法解釈に伴って全然公聴会も開かない。そしてまた、十七条によるところの縦覧に対する規定もございますが、そういう点について、今度白紙で出すというわけにもいかないし、かなり住民に不安を与えておるところがあります。  これは六月までにということでございますから、いいことといたしまして、大臣、いまそういうような線引きが行なわれておる状態の中で、これはあまり芳しくないことを聞くわけでありますが、土地の買い占めが盛んに行なわれておる。こういう事実について大臣はどういうふうにお考えでございましょうか。また、その対策はいかがですか。
  28. 根本龍太郎

    根本国務大臣 市街化区域市街化調整区域との線引きが若干おくれておることについては、どうもいろいろの思惑があるようでございます。農民の皆さんは、特に近郊の農民の皆さんは、現在は農業所得よりもむしろ不動産の値上がりを非常に期待しておる。したがって、もしこれが調整区域に入れられると、その期待感が断絶してしまうんだという意味の不安がある。ところが、一方、今度はほんとうに近郊農業のほうが、むしろ高級野菜あるいは花卉園芸をやる場合には有利だ。それが今度市街地地域に入ってしまうと農業環境が非常に悪化する。その人々の未来に対する自分ビジョンによって非常に違うために、かなりの混乱が起きているように思われます。そういう意味で、先ほど都市局長が説明したように、これは十分公聴会にかけて、初めてのことでございますから、国民の納得の上に、少しぐらいおくれても、これは公聴会を開いてやるべきだという指導をしておるということでございます。ところがその間において、御承知のように、今度は米の過剰に関連して農地の転換を緩和してきた。そこでかなりの不動産業者が、いままでほとんど手をつけられないところが今度はつけるにいいだろうというような意味のもとに、買いあさるであろうという予測も立っておったのでございます。われわれのほうといたしましては、都市近郊で宅地が大量に供給されることば地価対策上望ましいので、場合によっては、これらの不動産業者に対しても金融のめんどうまで見てやろうかとまで実は最初は考えたのでございます。ところが、主として東京中心とするいわゆる大手の民間デベロッパーのあれを聞いてみますと、むしろ金融が非常に引き締まってきたために、ほとんど手が出ないというのがどうも現状のようでございます。したがいまして、一部で期待されたほどの水田が、この首都圏内において相当大幅に本年中に買い取られるということは、そう期待できないじゃないか。むしろ現在においては、農家の方も、例の固定資産税の関係その他から考えて、土地、水田そのものは売らないが、そこにいわゆる農協を中心として農地を宅地に転用して農林資金をつぎ込み、そこで貸し家を経営するというほうがむしろ相当進んできておるように思われます。これは農協の指導部の諸君とも私は会ってみておりますが、これは大いに進めたい、こういうような動きでありまして、農地が大幅に買い占められるということは、いまのところわれわれの予想ではそう進まないと思っております。しかし、市街化区域は、現在都市化されておる地域並びに十年後に都市化されるということを予定しての線引きでございまするので、長期になりますれば、その中に入りますと必然的に農地法が排除されますから、これは農地転用、水田の転用は相当急速に進むものと思うのでございます。
  29. 卜部政巳

    卜部委員 この市街化区域の問題と農村との関係、農地との関係、これはまた時間がありましたらやりたいと思いますが、その前に、線引きの問題をめぐって市街化調整区域の問題があります。市街化地区の問題については盛んに業者があおり立てて、この調整区域に入らないようにというふうなあおり方をやっていたり、さらに、もう市街地になるということがわかっているところをどんどんと買い占めているような、これは都市近郊ですが、こういう状態というものが出てきておる。この点についてはどういうふうにお考えですか。
  30. 根本龍太郎

    根本国務大臣 われわれといたしましては、宅地を全部公共資金で買い取ってまかなうというだけの力はございません。相当部分やはり民間資金によって宅地を供給せざるを得ない現状だと思っております。政府計画もそうなっているのでございます。ところで、これが秩序ある宅地開発がやられる場合においては、これはけっこうなことだとわれわれは思っております。これが非常に短期の投機によってやるものについては、抑制しなければならないと思っております。現在大手がやっておるのは、相当まとまった地区を入手して、その上に相当程度の公共的な施設までをやって、初めてこれが分譲ができるという形になるのでございます。また、そういうふうな相当大幅の土地を入手するときには、原則として、ほとんど市町村や農協が介在してあっせんしているような向きのようでございます。大手筋がわずか何百坪とかあるいは千坪単位で買うということは、ほとんど今日にないようでございまして、その意味におきましては、各市町村あるいはそこにあるところの農協等が十分連絡をとって初めて入手できるような状況でありますから、これによって非常な暴利がとれるというようなことがないものとわれわれは思っています。もしそういうような危険がありますれば、これは行政指導でそういうことのないように注意したいと思っております。
  31. 卜部政巳

    卜部委員 いま大臣がおっしゃっているように、民間資本だとか大企業については何かかなりあたたかい思いやりがあるようなことばが述べられておるわけですが、こういう問題について、すでにもう新聞等においても、この線引きをめぐってそうした業者の動きがあることについては警鐘を乱打しておるわけです。しかし、建設大臣ことばをかりれば、これは大規模に買うのだからいいじゃないかということにはならぬと私は思うのですね。そうした面について、線引きがいま行なわれておる段階なんですから、そういうところに持ってきて、どんどん買い占めが始まるということについてはやはり規制しなければいかぬ。大臣が申される先買い権の問題もありますけれども、地方自治体あたりに相談をするとか、そういう姿勢は一つもないわけなんですからね。現在、そういうものに対する規制は一体どうやってやろうとしておるのかということを聞きたいと思うのです。
  32. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先ほど申し上げましたように、全国でいま二十府県が公聴会を済んでおりますし、または近くやろうとしておるわけです。私どもといたしましては、公聴会にかけますときにただ白紙でかけるというわけにまいりませんので、県と市町村が十分相談いたしまして市街化区域調整区域構想事前に発表して、これについて意見のある人を公述人として公聴会で意見を述べさせる、こういう形をとっているわけでございます。この点につきましては、農林省とも相談いたしまして、公聴会にかけますいわゆる県の素案の中で市街化調整区域というものに考えられているところがございますれば、その地域市街化調整区域のいわば予定地につきましては、農地転用の許可を保留するということにいたしております。実際問題として農地の売買というのは、御承知のように、転用許可がございませんと効力が発生しないわけでございます。そういう観点から、私どもといたしましては、調整区域市街化区域の線引き以前におきまして取引を禁止するということにはまいりませんけれども、できる限り早くそういうような段階に県のほうで到達することによって、そういうような取引から起こります弊害がないようにしたいということで、そういう措置を農林省と協議いたしているわけでございます。
  33. 卜部政巳

    卜部委員 時間がだいぶ迫ってきましたし、たくさんありますから、この問題については十分そういう点を監視していただきたいし、同時に、私たちも監視をしていきたいということで、これを進めてまいりたいと思います。  次に、都市の再開発ということで問題が出ておるわけでありますが、ここに市街地開発の組合等による計画云々と、こういうことが出ておるわけであります。この都市開発の組合でありますけれども、この組合には二十一条においてこのことのあれが明確になっておるのでありますが、その中に参加組合員等も政令で定めるというのがあるわけなんですが、これを調べてまいりますと、この政令がこの中には載っていないのですけれども、これはまた私の不勉強かどうか知りませんが、政令が出ておるわけですか。
  34. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 政令はすでに出ております。
  35. 卜部政巳

    卜部委員 そうですか。この建設六法の中にはないですね。建設六法の中にありますか。——あとからでいいですから、調べておいてください。  そこで、この組合を最高度に活動させながら市街地計画を立て、そして再開発をはかる、こういうふうなことをいっておるわけでありますが、実際問題としていま土地に権利を持っていない借家、そしてまた借地権者、こういうものが今度これに基づいてビルに入る。そしてまた、それの権利を取得するという場合があったとしても、地主との契約更新の中でこうした問題が無視される、こういうような事例が多々あると思うのです。そういうふうな問題を考えてみると、やはり指定された地区の立ちのきを要求された時点で、その裏側のほうに今度移転しようと思ったら、もうそのところはうしろの土地が値上がりになっておるという、こういうようなこともあるわけでありますが、そうしたものに対する保護というものについては考えていらっしゃるか、全然考えていないか。
  36. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 先ほどの政令は、その建設小六法の中に載っております。都市開発法施行令という形で載っております。  それから、いまの借家権者に対する措置でございますが、借家権者は、必ず新しい建物に借家権を取得するというような形にいたしております。もし大家さんが金をもらって出ていくというときには、施行者である組合ないし公共団体が借家権を与えるということにいたしております。  それから、その場合に借家権価格の評価が問題になるわけでございますが、これにつきましても、借家権価格というものを考えて将来の家賃をきめるというような措置を講じております。  それから、どうしてもそこに住むことができないというような場合につきましては、一番問題になりますのは住宅の借家人でございます。これにつきましては、公営住宅あるいは公庫の融資、あるいは公団住宅に対します優先的な入居、あるいは貸し付けというような措置を講ずることにいたしております。
  37. 卜部政巳

    卜部委員 これは大臣でなく政府委員の方でけっこうなんですが、実際問題として組合のそれをつくったというのは、その土地から離れなくても、そしてまた、なるべくその希望に沿いたいという構想のもとにこれはできておるわけでしょう。それを、その条件によらなければどこかの住宅に入ってください、そういうことではいけないと私は思うのです。ですから、この点についても、やはり借家権というものが地主の更新等によってほごにされてみたり、そしてまた、政府の路線の中にあって、せっかくそこでもって営業しておるのに、たまたま計画に従って出ざるを得なかった、それで自分としてはそこで営業しておるのですから、もう少し下げて営業してみたいと思うときには、もううしろの土地がそれを想定して高くなっておるというようなことについては、やはり単純買収と同じような姿にならないように配慮があってしかるべきだ、私はこういうふうに思います。この点、ひとつ都市開発について要望しておきたいと思います。  次に大臣に、これは大きな問題でありますが、先ほどの問題といたしまして、農地の買収云々という問題があったわけであります。しかしながら、私は、それよりも大きな根本として、農民の方々は、地方のほうにありましてはやはり広域市町村圏だとか、さらにはまた農振法だとか、そしてまたいまの計画法だとか、各省の出しておる法案がばらばらに統一性がない、そういうかっこうでおりてきているわけですね。ですから、土地を買われる農民のことはさることながら、実際問題として農民自体が一体何をやっていいのかわからない。そういう問題について、少なくとも地方生活圏という建設省のそれと、それから自治省の広域市町村圏、こういうものはやはり統一してもいいんじゃないか、一緒に一元化させてもいいんじゃないか、こういうふうに思うのですか、大臣いかがですか。
  38. 根本龍太郎

    根本国務大臣 いまわれわれのほうで考えて進めておる生活圏のほうは、広域市町村圏よりちょっと範囲が大きいのでございます。私のほうとしましては、最近特に地方で問題になっておるのは、過疎現象がどんどんどんどん起こっておる。これはどこに問題があるかというと、都市との間がほとんど断絶状況になっておるところに過疎化が非常に進んでいっている。そこに幾ら金かけても、とてもそこにおれない。そこで、道路網を整備して核都市を一応想定し、その核都市都市機能を十分に持たせる、それと結びつけた道路その他によって過疎にならない。道路関係がよくなりますればそのままで通勤もできるし、あるいはまた、そこが過疎化したところはむしろレジャーの場所になり得る。そういう意味でございますから、かなり広い範囲で設備投資をしていこう。その基本になるのが道路である。これは国道の場合もあるし、地方道もあるということです。そうして、核都市になるところにはいろいろ都市設備をすると同時に、今度は過疎が起こりそうなところには中心部落をつくってその部落にまた設備してやる、こういうようなやり方でございます。ところが自治省で考えておる広域市町村は、三つないし四つ、あるいは多いところでは五つにもなるでしょうが、行政の共通性を見出して、そうしてその行政効果をあげようというところにあるようでございます。したがってここは、いまの現状におきましては広域行政圏が三つないし四つ、あるいは二つの場合もありまするが、それが生活圏の中に入っていくというようなことで、矛盾しないで相提携しながらやっていくというようなやり方で調整をとっておる次第でございます。
  39. 卜部政巳

    卜部委員 まあ大臣の御答弁ですが、私は十分そのことは承知をしながら、やはり相似通っておる。少なくとも相似通っておる。各省は新全総に基づく云々といっておるけれども、各省ばらばらに出てきておるわけですから、決してこの新全総が統一性を持っているものじゃないのです。ですから、何だかんだといっても各市町村——府県もそうですが、知事さんが全部を掌握するわけにまいりません。皆さん方の建設省建設省、どんどん縦割りのおりた仕事をしておって、とても統一することはできない現状なんですね。そうした面から新全総の問題、さらにいまの広域市町村、それから今度の地方生活圏の問題ということに入って、さらに私、いろいろと質問したかった。地盤沈下の問題等もたくさんあるのですけれども、私には時間の制限がここに来たようであります。したがいまして、本日は大まかな大綱に触れるにすぎなかったわけですが、ひとつこれからの委員会で具体的に進めていきたい、こういうふうに考えます。  本日は、いまここに私の制限時間を告げる紙がきたのでこれで終わりますが、どうかその点の質問を保留させていただきたいと思います。
  40. 金丸信

    金丸委員長 吉田之久君。
  41. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ただいま卜部委員のほうから、いろいろと日本人口都市集中の問題の是非について御質問がございました。大臣答弁の中で、あまり過度に密集し過ぎることは好ましくないのであって、いろいろと均衡ある都市発展をはからなければならないということをお述べになっておるわけでございます。しかし私は、人口はますます都市に集中するか、あるいは政策的にできるだけこれを分散させていくかは別として、いずれにしても人口というものはそれぞれ一つの核を構成しながらその生活を営んでいく、これは古今東西一緒なんですけれども、ますますこれからの——核という表現が的確であるかどうかは別として、その生活様式の新しい形が、団地という形で展開されていくということは時代趨勢であると思います。これはひとり住宅だけではなしに、生産工場の場合もだんだん団地化いたしてまいります。そういう点で、わが国でも団地族ということばがはやってすでに久しくなるわけでございますが、私は、日本のこれからのいわゆる団地に対する政治の対応のしかた、あるいは団地においてますます起こってくるであろう新しいいろいろな課題、そういうものに対してわが国の建設行政というものは一つの新しい課題を発見しなければならないのではないか、新しい知恵を発揮しなければならないのではないか、また、きわめて民主的な運営というものがはかられなければならないのではないかという考え方を持つ次第でございます。こういう新しい社会の変化、そして新しい社会層と申しますか社会圏の発達に対して、どのように政治は対応していかなければならないかという問題について、大臣はお考えになったことがあるかどうか、まずお伺いいたしたいと思います。
  42. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは、非常に現代における一つの総合的な判断を要する問題だと思います。いわゆる団地化することによって、経済的なほうが非常に機能化したことはけっこうでございます。ところが、一面において、その団地化したために団地の中にもうみんな孤独化してしまう。ここに、本来団地に入った人の幸福のためにやったことで、物質的にある程度まで恵まれたけれども、その間において精神的な孤独感になり、もう連帯感がなくなってきておる。これが社会学的に見て、あるいは人間幸福の面において一つの非常に大きな問題だ。日本のみならず各国においてこの問題が提起されていることでございまして、これは単に建設行政という面からではなくして、私としては、社会学的に見ても非常に重大に考えなければならぬ問題だと思います。これについては十分各方面意見を聞いて、団地におけるいまの生活環境よりも、生活に対する考え方をひとつ問題にしてみなければならない段階だと私ときどき考えますけれども、知恵がございません。これはもっと広い視野で政治的に考えなければならぬではなかろうかというふうに考えています。最近の団地におけるいろいろの犯罪事件、あるいはまた、団地の中におけるいろいろの共同施設等なんかも、新しい観点に立ってこれをやっていかないと、核家族としての生活環境には一応恵まれているけれども、一つの社会としての環境が必ずしも十分にこれに伴っていない。これをやろうとすれば、今度団地をつくったいろいろな施設に膨大な金がかかる。したがって、公団住宅とかあるいは供給公社の住宅自身が、これは単に政府施策住宅でも何でもやれやれというふうなことだけではいかないんで、これを引き受けたというか、そこに立地する地方自治体が団地に対してどういうふうな行政をすべきかということも、これは検討されなければならぬ段階にきているのではないかと思う次第でございます。
  43. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 確かにお説のとおり、この団地の問題というものはきわめて新しい社会問題でございまして、したがって、ひとり建設行政だけですべてを解決するわけにはまいらないと思います。しかし、われわれ建設行政に関係する者たちが、その分野内において考えるべき問題はたくさんあると思う。特にいま御指摘の社会的犯罪の問題、あるいは精神的荒廃の問題、あるいはどちらかといえば個人主義的な考え方に立たざるを得ない人たちの社会的な一つの集団、こういう中でまず当然考えられなければならないのは、連帯感をより深め、そして人間的な疎外感を少なくしていく、まず具体的には公園をつくってやる、あるいは託児所をつくってやる、あるいはその他公共施設、公民館などを政治の指導のもとに次々と推進していく、こういうことがきわめて重要な一つの仕事になっております。私はそういう意味で、きょう日本住宅公団総裁理事に来ていただいたわけでございますけれども、それはそういう構想のもとに九年前に団地サービスというものができたんだろうと思います。あらためて十年近くになるこの時点において、いわゆる団地問題に対応する一つのテストパイロットとして発足した団地サービスという組織は、株式会社の形で運営されておりますが、それが当初どういう目的で発足したものであるか、そして今日の時点において、その当初の目的と違うべき新たな問題が付加されてきているのかどうか、こういう点についてまず総裁からお伺いいたしたいと思います。
  44. 林敬三

    ○林参考人 いま御質問の中に述べられたとおり、現在団地ができましてから十数年の歴史を経ているのでありますが、いわゆる新しい社会問題というものを、ここで真剣に考えなければならないところに当面しているわけでございます。それで、それを解決する手段の一つといたしまして、組織の一つといたしましてお話しのように三十六年に団地サービス株式会社というものをつくって、そして公団から三分の二の出資をし、ほかの会社その他から三分の一出資をして、こまごまとした団地のあらゆる世話——御承知と存じますけれども、駐車場の世話であるとか、保育園の世話であるとか、あるいは芝生の手入れのことであるとか、あるいは共用のいろいろな施設を維持、管理し、水道でありますとか汚水処理場の問題でありますとか、あるいは普通の職人や会社の方では来ていただけないようなこまごまとした修繕をそこでもって一手に引き受けてやるとか、そのほかのサービスをするというために、これは公団自体でも無理だという、こまかい母親のような手の届く会社というものをここでつくろうという理想のもとに発足いたした次第でございます。自来逐次充実し、組織も人的にも物的にも整ってまいってきておりますが、しかし、まだまだ理想に比べますと遠ざかること、はなはだ多いことを残念に思っておりますが、逐次充実をはかりまして、そしてこの当初の目的である団地の人のためのサービス、それから、それとさらにそういう団地サービスが紐帯——結びのひもになりまして、近隣社会との間のいろいろな結びつきについての協力ということについても役立たせるように、一そうはかってまいりたいと存じております。
  45. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ただいま総裁は、非常にやさしい思いやりの気持ちから団地サービスができたのだとおっしゃいました。当時国会の質疑応答の中で各委員から、この団地サービスというものは、運営のしかたいかんによっては非常に官僚的な運営になりはしないか、あるいはまた、現在の時点では非常にまだ規模の小さいものであるけれども、団地が大きくなることによって、ますます巨大なるものとなってきはしないかということでいろいろと質疑が重ねられ、また、団地サービスそのものの発足にもずいぶん反対の意思表示もあったと承っております。しかしながら、私がこの時点で特に総裁にお聞きしたい問題は、まず団地サービスがもう一度結成、創立当初の初心に戻って、いろんな問題を見直される必要があるのではないか。まずこの定款などを拝見いたしましても、なさなければならない主要な事業の内容は、いま御説明ありましたように、保育園をつくるとか、駐車場をつくるとか、汚水の処理をするとか、清掃業務をやるとか、そういうことが主眼目でありました。その他必要なサービス業務、団地の維持営繕等が述べられておるわけであります。ところが、われわれが仄聞するところによりますと、ほとんど託児所というものは十分にはつくられていない、あるいは団地サービスみずからがやるべき保育園が市の事業に肩がわりされているというような事例をたくさん聞いております。この機会に、現在の時点において、今日までなされてきたいろいろな事業の内容を、その事業額によってすべてが判定できるわけではありませんけれども、額の面から見て大体何%程度がどういう事業で推進され、何%程度がどの方面に振り分けられてきたかということをひとつ御説明いただきたい。
  46. 林敬三

    ○林参考人 いまおっしゃいましたように、当初あの法案が通りますときに各党一致で付帯条件がつけられ、これは官僚化してはいけない、それから巨大化して初めの志を失ってはいけないという意味の御意見がいろいろございましたことは、私も速記録を繰り返し見て心にとめているところでございます。また、団地サービスを直接担当いたしております者たちは、いずれもこれを基本の信条として、現在も、至らぬながらもできるだけの努力をいたしていると存ずるのでございます。各般の事業については次第に育成されて、また堅実に発展をしてまいっておると思うのでありますが、その間、率直に申しましていろいろと紆余曲折がございます。  それから人を集めるにつきましては、仕事が仕事でありますので適任者を得ることが困難な面にぶつかった場合もありますし、それからなお、当初の気持ちに省みて是正をしながら伸ばしていかなければならないという面も多々あることを認めるわけでございます。十分その団地サービスとは気をつけて話し合いながら、御質問の趣旨に沿った、当初の目的をますます生かしていくようないい機関にこれが成長していくことに努力してまいりたいと存じます。  なお、引き続き宮地理事からお答えいたします。
  47. 宮地直邦

    宮地参考人 まず、保育園の問題についてお答えいたしますが、現在団地サービスにおきましては、政令業務といたしまして経営いたしております保育園は七カ所でございます。これらはいずれも直接に団地サービスが経営いたしておりますが、これは株式会社でありますために公的な援助が得られませんので、団地サービスといたしましては欠損部門の業務でございます。しかもまた入園料というものが高くなってまいります。したがって、元来公団が団地を設立いたします場合には、保育園というようなものは公的機関の手によって建設していただくように連絡をとっておるのでございますが、もしもそういう機関がどうしてもできないという場合に団地サービスがこれを取り扱うようになるのでございまして、もしもそういう公的機関のほうで現在行なっているものを引き取るというようなことがございましたら、その公的機関のほうに移譲した例はございます。  なお、どういうようなことをやっておるかということの内訳を述べよという御質問でございますが、団地サービスは、大体四十三年度の決算で見ますと、総売り上げと申しますか、営業総収益というものが五十四億ぐらいでございますが、いま総裁の申しました駐車場の経営とかあるいは保育園の経営というものは、大体そのうちの約六%ぐらいを占める。それから、先ほど申しました汚水処理場の管理あるいは公団の経営、公団がやっております水道の受託業務と申しますものは三〇%——これは切り捨てて申します。こまかい数字は別としまして、大ざっぱに見まして約三〇%。それから物品、これは一般の商人と同じように販売しておりますが、それが約九%。それから広い意味の補修業務がこの総収益の半ばを占めておるのでございます。
  48. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 いまお聞きして、ますますこれは当初の考え現状とが狂ってきているということの一つの明らかな証明が出てきたと思うのです。この株式会社団地サービスの定款を読みますと、その目的第二条に、一番先に「当会社は、団地における次の事業を営むことを目的とする。」「一託児所」と書いてある。それから「駐車場その他居住者の利便に供する施設の経営」、「二植栽、清掃その他」と書いてございます。いまお話しのとおり、この株式会社が経営する託児所、それは法的な援助がない。したがって非常に割り高になる。だから、ほとんど積極的な努力をしていないというのが実態でありまして、大阪管内で見ましても、託児所は、私の知っている範囲内では東淀川と総持寺の二カ所しかございません。出来島団地は大阪市へ経営を委託しているという現状でございます。その後、変化が若干あるかもしれません。こういうことであるならば、団地サービスの定款の再検討がなされなければならないのではないか。一番先にうたってあることがわずか六%であり、いまのお話によれば、ますますこれは消極化していかざるを得ないであろうということでございます。まず、その点、何らかの反省をしておられるか。
  49. 宮地直邦

    宮地参考人 申されますとおりに、託児所、駐車場ということを定款の第一に書いてございますが、これを軽視している意味ではございませんが、これらは政令で指定されている業務でございますので、政令で指定されたという意味において第一にあげてあるのでございます。決していま申しましたように託児所というものを軽視している意味ではございませんけれども、託児所の性格からいいまして、これはいまの公的機関でやっていただくことが、もしも公的機関が負担に耐えられるならば、これが入居者のためでもありますので、これは筋として、いまの建設方針におきましても託児所は公的機関にお願いしておる。その補完的業務として——これは出発当時から託児所をどんどん自分のところでやるという趣旨ではなくて、どうしても託児所というようなものは団地に必要でございますが、そういう関係機関において託児所が実施できない場合には、よしんば団地サービスは損をしても、あの速記録にも出ておりますが、ある意味においては損をしても、団地サービスはその性格からいって実施せよという意味において政令に載せられているわけでございまして、決していまの託児所の割合が少ないからというその点において、団地サービスの本来の性格が変わったようには存じていないのであります。
  50. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 それは一つの説明ではありますけれども、聞き方によっては一つの強弁にもなる。確かに政令業務ではあります。そして政令業務、受託業務、販売業務、それぞれ順を追って書かれるのは当然でございますけれども、それでは政令業務の中で、特に最近駐車場の経営に対しては非常に積極的にやっておられる。これはまた事実非常に収益の多いものであるらしい。あるいは貸し倉庫の場合も同様かと思います。そういうことで、われわれの側から考えていくならば、同じ政令業務であっても、保育所というものは子供を預かるきわめて重要な任務ですね。これは採算を度外視してでも、ここに住宅公団が住宅団地をつくった以上は、責任をもって団地サービスに保育所をつくらせますと、こういう趣旨から団地サービスというものは、やはりこれを主目標として発足していると一般国民は解釈していると私は思うのです。その辺に、現に団地の人たちと皆さま方との間に、看板に偽りがあるではないかというような印象を非常に与えているというのは、私はむしろ当然のことだと思います。  そこで、私は、こういう論議をさらに重ねていくと同時に、時間の関係もございますのでちょっと具体的な問題に入りたいのでございますが、聞くところによりますと、前年度の決算で会計検査院が、団地サービスのあり方について、特に特別あき家補修を一括まる投げで下請業者に出していることは好ましくないなど、二、三の点について指摘していると承っておりますけれども、それの内容について御説明を承っておきたいと思います。
  51. 宮地直邦

    宮地参考人 昨年秋、当公団とともに団地サービスにつきまして会計検査院の検査を受けました。その際、その際の所見あるいはその検査に際しましていろいろ御意見のありましたことをわれわれ聞きまして、たいへん得ることもあるとわれわれ考えまして、われわれ慎重に団地サービスのあり方というものを検討いたしまして、われわれ並びに団地サービスの幹部としての責任におきまして、いろいろ指導を具体的にいたしておるところでございます。  その御意見の中にあき家特別補修、これは専門語でございますのでちょっと注を加えさせていただきますが、あき家特別補修と申しますのは、建設後五年を経過いたしました住宅があき家になって、新しく貸しますときに、機能的に古くなっておりますから、たとえば従来木製浴槽であったものをほうろう浴槽にかえるとか、あるいは新とぎ出し流しであったものをステンレス流しにかえるとか、一般の入退居に伴う修繕以上の特別の修繕を行なっている。それらの業務を、公団は団地サービスと契約いたしまして、団地サービスに行なわせておるのでございます。これらのそれを、一括というふうに御意見の出たことも承知いたしておりますが、われわれといたしましてはよく事情を御説明申し上げまして、大体あき家特別補修を一そう——これはいろいろケースによって違いますけれども、平均的に八万円ぐらいかかります。そのうち約半ばの費用というものがほうろう浴槽に取りかえるのに使われ、そしてその関係工事をするのは団地サービスが直轄でやっております。そしてその他の工事というものは、ここで例を申し上げるのもわずらわしいくらいと申しては失礼でありますが、わずらわしいくらいございまして、電気、ガス、畳、ペイント等、ちょっと計算いたしますと十種類以上もの総合工事になってまいります。そういうことをやっておるのでございますので、こういうのは全く総合工事でございますから、一番おもなことをやっておる団地サービスに発注いたしております。しかしながら、一部の地方におきまして、団地サービスがこのほうろう浴槽の工事のみをいたしまして、その他の工事を全部外に出しておったという事実がありましたので、それらについてはその事情もよくわかる、しかしながら、団地サービスがその他の工事といえども一括してほかの工事店に流すことは趣旨として不適当だろうということで、漸次実情に合ってそういうことのないように指導するようにいまいたしておるところでございます。
  52. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 あの会計検査院の指摘というのは、口頭であったんですか文書であったんですか。
  53. 宮地直邦

    宮地参考人 会計検査院の指摘の段階には、決算書をごらんになってもおわかりのように、指摘ということではございませんで、その指摘に至るまでの内部の文書の往復、質疑応答でございます。
  54. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 その質疑応答の中で、こういう一括まる投げで下請けさせることは、建設業法違反の疑いがありはしないかという論議までは出ませんでしたか。
  55. 宮地直邦

    宮地参考人 いまお取り上げになりましたあき家特修につきましては、現に団地サービスがその大半の仕事をしておりまして、一部のものを外へ出したという例でございましたために、この点については建設業法違反というふうな論議はなされておりませんが、一般論議としまして、ことばが非常に悪うございますが、団地サービスが請け負ったものについて一括他の業者にやるとするならば、これは建設業法違反になる、こういうことは話題としては、論議の過程の問題としては出ておりますが、そのこと自体において指摘だとか、そのこと自体の論議としては出たことはございません。
  56. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 総裁、お聞きのとおり、問題として提起されていることはいま御説明のとおりです。いわゆる特別あき家補修の場合あるいは普通あき家補修の場合、その性格は少し違いますけれども、ともかく団地サービスが公団から発注された仕事をそのまま素通りして下請けさせるということについては、確かに問題があり過ぎると思うのです。当然、みずからやらなければならない業務についてはみずからが陣容を整えてやらなければならないし、他の一般指定工事人にさせるべき仕事は、団地サービスは直接関与しない。公団から発注されなければならない。その辺のけじめが非常にルーズになっておりまして、何もかにもが全部団地サービスを通じまして、一般工事人には仕事が与えられないというような傾向になっているようでありまして、これは当然改善されなければなりません。その改善の方法について、公団のほうではどのような指示をなさったか。
  57. 林敬三

    ○林参考人 会計検査を昨年の秋受けましたとき、いろいろ検査官との間に——これは検査官でございますから、鋭い質問があるわけでございます。そうしてそれに対して、こういうわけでこういうふうにしているということを、団地サービス並びに公団のほうからいろいろお話をして納得をそれぞれしていただいたり、あるいは将来はこういうふうに改めたほうが確かにいいというようなことをこちらで申しました。そういうことをいたしてまいったのでございます。それで、いまお話しのように、やはり団地サービスというものは、こまごまとした団地の世話というものを一括してといいますか、広くやる。普通の業者では引き受けないようなこまかいことまでやってもらうというたてまえでございますが、そうであればあるだけ、やはりある程度コンスタントに仕事を団地サービスも受けて、そして団地サービスの内容、陣容というものももっとしっかりしてこないと、今度こまごまとして普通の業者が受けないようなことまではやらせるわけにもいかない、こういうようなことで、逐次陣容を整え、助成していく段階でございます。同時に、またあき家特別補修というようなことは、能率の関係からいって、たいへん急いで、こまごまとしたたくさんにわたる仕事を一括やらなければなりませんために、そのために一つの、ベテランのそういう団地サービスのようなものを育成していくという必要もございまして、いろいろ苦心しながら、団地サービスの人と協力をしてこれをもり立てているという面はあるわけでございます。しかし一方、いわゆる従来からいろいろと協力をしてもらっている業者もございますし、また事柄の性質によっては、それぞれにさせたほうがいいというものもあるわけでございます。したがって、団地サービスがただトンネルみたいになりましたり、あるいは素通り機関になったりということでは意味がない。むしろいけないことでございます。しかしながら、団地サービスのなすべきことというものをまた育成して、しっかりしたものにして、きちっとしたものにさせていかなければならない面もあるわけでございます。ただ、従来の業者も保護しながら、急に迷惑がかからないように、徐々になすべき分野になって、そしてお互いがまたその間に協力をする、こういう形もとってまいらなければならないと思いますので、逐次、徐々にでありますが、その本来の目的とする姿にそれぞれをつくり上げていくといういま段階中でございます。そこで、一つ一つ見ますと、いろいろと至らぬ点やあるいは当事者においての行き過ぎというようなこともずいぶんございまして、非常に反省しながら、これを正しい道につくり上げていくということをいまいたしておるところでございます。
  58. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 ところが、そういうこまごまとした配慮で、反省しながら漸次いい方向に持っていこうと総裁はお考えのようですけれども、その総裁考え方は全く下には通じておりません。現に大阪方面で聞きました話では、とにかく会計検査院から指摘されて、このままじゃぐあいが悪いからというので、数次にわたって、団地サービスの幹部並びに公団の幹部も出てまいりまして、ともかくいままで出入りをしておった業者に対して、ひとつ別の会社をつくらないか、いわゆる直接配下業者らしき窓口を別につくってもらえないだろうかというような働きかけが現になされております。これは全く総裁のいまおっしゃった趣旨、志とは違った形で、ただ一時びほう策としてつじつまを合わせ、かっこうだけつけておこうではないかというような動きに転化してきている事実を御承知でございましょうか。
  59. 林敬三

    ○林参考人 一実は昨日そういうことを聞いたわけでございまして、はなはだ恐縮に存じておるのでございます。そういう会計検査院との間は、いろいろの検査を受けるときの質疑応答はございます。あくまでなすべきは、公団は、公団の総裁以下公団の責任でございますし、また団地サービスがそれを受けていたしますとき、団地サービスの幹部以下の責任であるわけでございます。全くその責任でいろいろいたしておるわけでありまして、それを現場におきまして会計検査院云々ということを言われることは、検査院も迷惑であろうと思いますし、また私どももまことに心外でございまして、公団の総裁がそう言っているからというのなら、これはまたそれも当然の責任でございますけれども、それは責任は全部公団と団地サービスにあるわけでございます。それで、いま御指摘のようなこと、だいぶ事実に近いようなんでございますが、これはもうまことに私どもの職員とそれから団地サービスの職員の行き過ぎと思い違いであると存じます。そんな真意でそんな形式的な別会社をつくって、だからということで形を整えるというようなことは、たいへんな思い違いでございますので、その点は直ちに改めさせて、本来の姿で正しくこれが伸びていって、かつ会計検査院から見ましても、これが何ら質問にすら値しないという姿に持ってまいりたいと存じます。
  60. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 確かに総裁お感じのとおり、下部では行き過ぎの傾向がございます。直ちに改めさせなければなりません。特にこの種の半官半民の形に似た団地サービスという会社、しかもそのうしろには膨大な公団というものがある。業者が絶えず圧迫感を感じているのは当然でありまして、にもかかわらずそういう中へ出てきて、人は送っている、金は送っている。これは、だれが見たっておそれをなすほどの膨大なマンモス的な公団が、しかも公団の幹部自身も出ていってそういう指導をしているということであるならば、これは総裁は厳に戒めていただかなければならないと思うわけでございます。  次に私は、特にいま申しました指定工事店が団地サービスからいろいろの仕事をもらって工事した場合に、その事業量の七%は団地サービスに納めなければならないという規定か不文律か知りませんけれども、全国一般にそうなっているのでございます。このことは総裁は御承知でございますか。
  61. 林敬三

    ○林参考人 宮地理事から……。
  62. 宮地直邦

    宮地参考人 あき家特修の場合に自分がやらないで他の業者に業務を委託した場合に、その経費として計上する場合七%となっております。この内容を申しますと、あき家特修は、一応われわれは早くまた再入居をさせなければならない、つまり専門語であき家ロスを少なくすると申しておりますが、そのために約二週間以内に、いまのガラスの一枚から始まる工事の段取り、監督、順序立てというものが必要になってまいります。その費用として七%というものが現在のところ適当であろうとして取っておるところでございますが、はたしてそれでは将来とも七%がいいかどうかというような点につきましては、われわれとしても経済の状況等、常に関心を持って見守っていることでございまして、状況に応じて変革させることはさすべきものだと思っております。
  63. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 私はピンはねとは言いません。一種のマージンとして何がしかのそういうことも全く必要でないとは申しませんけれども、しかし私は、団地サービスという会社の収入というものは相当多元的にいろいろな方面から想定できるはずでありまして、しかも総裁あるいは大臣御承知のとおり、入居者はその家賃の三倍額を敷金として出しているのでしょう。大体家賃というのは、最近平均一万円くらいしているそうです。そうすると、一種住宅に入っている入居者は平均三万円の敷金を納めている。それは当然全部公団に集まっているはずでございます。ところがその利息相当分と申しますか、五%の計算をなさっているようですが、それだけでも、敷金が大体全部で八十億でしょう、五%としても四億の金が団地サービスに回されているはずでございます。もちろん環境整備のいろいろな費用に充てられるのでございましょうけれども、それから、いま指摘いたしましたように七%のマージンが入っておる。当然その他の収入というものがこの団地サービスにはいろいろあるはずでございまして、こういう業者から、非常に利益の少ない仕事を彼らに命じながら、なおかつあき家ロスを防ぐための配慮とはおっしゃいますけれども、この程度のマージンを今後とも徴収していかなければならないものかどうか。どうも私は、この団地サービスの収入源の内容に若干の疑惑を感ぜざるを得ないわけなんでございますが、その点御説明願いたいと思います。
  64. 宮地直邦

    宮地参考人 団地サービスは、いま最初に申し上げましたような業務によりまして、五十二億に対しまして四十三年度の決算では約三千三百万の利益をあげております。はたして三千三百万が多いか少ないかという点については御議論が多々あろうかと思いますが、六分の配当をいたしております。公団が三分の二の出資を受けております関係上、これは公団の出資の二億四千万に対しまして六分の配当、約一千四百万の利益を公団が受けております。しかしながら、その公団が受けました一千四百万は、一旦受けました上で公団は、環境整備費という費目においてこれを財源として実質的に団地の環境向上に還元しておるのであります。     〔委員長退席、天野(光)委員長代理着席〕  なお、いま御質問がございました敷金、確かに四十四年度の事業計画におきまして、一般民間では、敷金の利子は当然家主の収入になることは慣習でございますが、公団といたしましては、その特殊性から、敷金の利子相当分約四億三千万につきましては、この団地サービスの配当金と——決して敷金は団地サービスが受けるものじゃございませんので、敷金の利子相当分を環境整備費として団地の環境整備、たとえばガードレールをつけるとか、あるいは遊技施設を増設するとか、当初なかったものを、修繕ではございませんので、環境整備の向上に充てておるという次第でございます。  なお、団地サービスも三分の一の株主でございますので、どうしてもこれは利益ということで配当せざるを得ない立場でありますが、そのために公団がいたずらに一般の業者を泣かすことによって利益を出すといったような趣旨は毛頭考えておりませんし、厳にそれを戒めておるところでございます。
  65. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 団地サービスの特別あき家補修業務というものは、おしなべて赤字と聞いております。それは単価が安いのか、特別人件費がたくさん要るのか、その辺の分析はどうなさっておりますか。
  66. 宮地直邦

    宮地参考人 あき家補修業務は各種の段取りがございまして、もしも段取り等が悪いと、一件当たりが八万ぐらいの工事でございますので赤字が出る可能性もございますが、われわれのほうの積算といたしましては、特に公団の一般基準によりまして正当な経費というものは見込んでおる次第でございます。
  67. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 団地サービスに管理主任というのがおりますね。その管理主任が一人で大体千五百軒から二千軒の戸数を担当しておるというふうに聞いております。これはいかに優秀な人間であっても、まかない切れる感じではございません。そこでいろいろと助手を必要といたしております。その他事務員を必要といたします。ところが最近この補修関係は、いまもお話しのとおり、非常に急がなければならない仕事であります。また、一般補修の場合に、入っておる人たちもきわめて近代人ばかりでございますので、非常に仕事をせかせるはずでございます。したがって、いろいろな業務を遂行のためには、マン・ツー・マン組織のようなかっこうで、管理者と職員と業者とが完全にタイアップして車で走り回ってやらなければならない、そういうことに要する経費が非常に膨大であって、この仕事は団地サービスももうからないし、それから下請している業者もほとんどうまみのない仕事であるというふうにわれわれは聞いておりますけれども、さらに最近大阪付近では、万博がいよいよ三日後に始まるわけでございまして、そういうことによって交通の渋滞その他もろもろの影響が出ておりまして、非常にはかどらないというふうなことでございますが、そういう点について配慮されたことがあるのかどうか。
  68. 宮地直邦

    宮地参考人 いまのお尋ねは大阪方面、団地サービスで申しますと大阪支店の管内の状況だと思います。それからなお、団地サービスに管理主任がいるかという点でございますが、公団には、団地にいま申されました数字のような管理主任を配置しておるのでございます。御質問の趣旨、私どもその御真意はよくわかります。あき家と申しますものは季節的に発生いたします。また時期的に土曜日とか日曜日というのにあき家査定という業務が発生いたしますために、一定数の配置しております管理主任の能力を越えて一時的に現象が出ることがございまして、大阪地方において一時的に団地サービスの職員をそのあき家査定業務の補助業務に使った事例を発見いたしました。これはいま七%の利潤の有無との関係がなくても、公団の体制として団地サービスに払うべきものは払う、当然そういうけじめははっきりすべきだという趣旨から、すでにそういう業務が必要であるというならば当然費用を払うというたてまえから、昨年末に管理業務の補助業務を委託業務にいたしまして、費用を公団から払うように筋を通した次第でございます。
  69. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 公団から委託費用を払って、大阪だけではことしからさらに八名そういう管理担当の職員をふやそうということは、いまのお話のことでしょうね。そういう人数の算出のしかたですね。八名でいいのか、あるいは二十名も三十名も要るのか、何かその辺、ただ場当たり的に、ともかく足らぬようだからふやしていこうかというふうなことであってはならないと思います。これはひとり大阪だけの問題ではありません。東京の場合、多摩の場合、あるいは福岡、名古屋の場合、いろいろと事情が、おそらく大同小異そういう問題を生じているだろうと思いますので、これは当然全国的に再検討されなければならない問題だと思います。  私ばもう一度、マージンの問題について触れたいのでございますが、特に大阪瓦斯からマージンを取っているという問題、これはどういうことですか。
  70. 宮地直邦

    宮地参考人 大阪瓦斯からマージンを取っている、ちょっと具体的なものでございましていまわかりませんが、何か御示唆がございましたら調査いたしたいと思います。
  71. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 業者からもあるいはガス会社からも、もちろんガスの配管工事とかなんとかに関連する場合だろうと思いますけれども、何がしかの、二、三%か五%までくらいだろうと思いますが、マージンを受け取っておられるはずでございます。そこで、私どもは計算いたしますと、たとえば大阪の場合だけでも大体五億五千万から約六億の工事が年間あるわけです。そうすると、七%のマージンをもらうだけでもこれは四千万円になります。大阪で、ほとんどこれだけで職員の人件費が出てくるのではないかというふうな気がするのです。一体団地サービスの人件費というものはどのくらいであって、そして先ほど申しましたように、こういうマージンから得る収入というものは、総支出のどのくらいの要素を占めているのかという問題を重ねてお聞きいたします。
  72. 宮地直邦

    宮地参考人 大阪瓦斯あるいは業者からマージンを取るというのは、ある意味においてはそういう表現もあるかと思いますが、団地サービスが発注いたしますときに、団地サービスの必要経費として留保する部分でございます。  第二の御質問は、年間約五億のあき家特修がある。それに七%の率をかけると約四千万になる、こう申されるのでありますが、実はそれは総額五億の工事でございましても、先ほど申しましたように、その半ばのほうろう浴槽及びその関連工事というものは、これは例外なく団地サービスに来てもらってやっておるわけであります。したがって、その五億という数字はありましても、その数字は半分の二億五千万になるわけでございます。そういう計算になるわけでございますし、その団地サービスがそういうものを、あき家の補修というたとえもございますように、まことにこまごましたものでございますから、現場に人を出し、それらの必要経費として下請に出す場合に留保している金額でございまして、いま一部に申されましたように利益があるかないか、もしも段取りが悪かったら利益もないということも、事実一部に発生しているような状況でございます。
  73. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 非常にこまかい数字になってくると、われわれもなかなか実態をつかみがたいことでございます。おそらく答弁なさっている方も完ぺきではないと思います。しかし、その辺の論議は別としても、私は総裁に申し上げたいのですが、もともとこの団地サービスという株式会社、これは営利本位でできているものではないはずです。また総裁指摘のとおり、まことにこまごまとした、しかも非常に忙しいタイムリミットのしいられた、そしてもとよりうまみのない仕事をかかえていることは事実でありまして、したがって私は、団地サービスがもうかっているだろうとかいうふうなことを指摘しようとは思いません。しかし、そういうことを覚悟の上で発足した株式会社なんですから、しかも公団やその裏には政府機関というものがそれぞれ指導をしているはずです、そういう性格を帯びた株式会社なんですから、しかも絶えず問題になっておりますように、共益費というものを公団は取っておられます。これが値上げされたというので、新聞でもずいぶん書き立てられ、団地の人たちも不満を持っているわけです。そういうものもちゃんと取っておりながら、なおかつ、もうけの少ない業者から今後ともさらにこれ以上のマージンなどを取るべきかどうかという問題を、この機会にぜひ幹部の皆さん方は再検討していただきたい。さらに、台風などがありましたら、それらの業者の人たちは率先してやはり団地の復旧のために挺身しているはずでございまして、にもかかわらず別な会社をつくって、かっこうだけをつけていこうではないかというふうな指摘をしたり、あるいはときには、文句を言うならばもう一切仕事から締め出すこともあり得るぞというような——言う言わないは別として、そのような節々が見られたりというようなことがあってはならないと思うのでありまして、その点、重ねてひとつ総裁のほうから、いま申し上げました諸点について御見解をただしたいと思う次第でございます。
  74. 林敬三

    ○林参考人 いま御質問の中に述べられれましたように、これは株式会社でありますけれども、営利本位のものではございません。それから民間からの出資もありますけれども、しかし、民間から出資された方も、それぞれ他の面でもうけてもこの面においては公益事業に奉仕するというふうな気持ちで出資をされているものと存じますし、重役会なんかでも、そういう立場でいろいろなことが議せられていると存じます。御同情いただきましたように、忙しい仕事であり、こまごました仕事であり、うまみの少ない仕事でありますが、それだけに、それを覚悟の上でもってこれは発足したものであり、またそれゆえにこそ価値がある、意義があるということを職員全部考えまして、努力してまいらねばならぬものと思うのでございます。確かにもうけの少ないものであり、しかも育成途上、発展途上のものであり、まだほんとうの本来の姿にまでなっていないという状態のものでありまして、業者との関係においてもその間無理のないように、しかし逐次正しい姿のほうに築き上げていくことを努力してまいらねばならぬと存ずる次第でございまして、いろいろな点においては絶えず検討、さらに再検討を加えながら、正しい本来の目的に沿うような姿にこれを持っていくように一そうの努力をいたすことをお誓いいたします。
  75. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 最後に、大臣に申し上げます。  いまお聞きのとおりでございまして、確かによかれかしと思っていろいろ努力をされているだろうと思うのです。しかし、下部でなされております実態はいろいろと摩擦が生じ、また事、志と違ったやり方で仕事が進められようとしている。あるいは手直しが試みられようとしている。さらに、一般団地に入居している側から見ても、あるいは団地サービスあるいは公団の仕事を受けている業者の側から見ても、やはり天下り人事によって運営されている、一つの官僚的な機構のにおいの強い株式会社ではないかというような先入観を持ってながめております。まさにわれわれの先入観が当たっておったというような現象が末端でいろいろ生じてまいるということは非常に好ましいこととは考えられませんので、ひとつ建設大臣とされましても、今後きわめてむずかしい、団地に対するサービスのあり方という点について一般の配慮、検討を続けていただきたい。それから同時に、先ほど定款でも私少し指摘いたしましたように、確かに十年も前に考えたことと現時点における実態とが、社会の変化の中で食い違いを見せてきていると存じます。したがって、定款等で改正を試みられなければならない諸点があるとすれば、そういう点も再検討され、もっと団地サービスというものはこういう面に力点を置くべきであるということを周知徹底せしむるべきであると思います。  それから、特に私は最初の託児所と申しますか、保育園、こういう問題はあくまでも採算を度外視して、かりに法的な援助がなかろうとも団地サービスがやるのだといって発足した以上は、これは団地の人たちの子供を守る、あるいは親の職業を安定せしむるというふうな意味からも、もっと政府が積極的に指導していくべきではないか。また、法的援助というものが何らかの形でなされてもいいのではないか。場合によっては、団地サービスの株式会社という形態がそれをじゃまするのであれば、根本的に再検討されてもいいのではないかというような気がいたします。同時に、私は、この種の問題はひとり日本だけの問題ではなしに、諸外国においてもどういう試み方をしているのかという点は、広く検討するに値する新しい課題であると思います。また、いわゆる住宅公団がやっている方法と、たとえば私鉄が経営している団地、あるいは一般民間が経営している相当大規模な団地、そういう各団地においてなされているサービス業務あるいは補修、あるいは託児所やその他公共施設の問題、これとの関連というものも検討されていいと思います。民間がやっていることでいいことがあるならばそれを採用すべきであるし、また、同じ日本の中で、最初に申し上げましたように、団地というものがますますマンモス化していく状態にございますので、この種の面でお互いに統一すべき点があるならば統一していくことが、地方行政にも非常に大きな効果を与えるのではないかという感じがいたしますので、最後に大臣のほうから、この問題に対してもしも所見がございましたら、お述べいただきたいと思います。
  76. 根本龍太郎

    根本国務大臣 非常に詳細にわたっての御指摘がありまして、私も非常に参考になりました。公団総裁等も十分その点を配慮して改善するとのことでございますから、それに期待しております。  ただ一点、私ここで申し上げたいことは、保育所その他の問題を義務としてやらせるということはなかなかむずかしいと思います。一体こういうふうな問題は、私は他の場所でも申し上げたのですが、本来地方自治体でもっとしかるべき措置を講ずべき問題も相当あるのです。ところが、これができないために、公団の住宅をつくること、それすら拒絶する自治体がこのごろ出てきました。どこに原因があるかというと、地方に財源がない。それに対する交付税等も必ずしも配慮していない。そこで、私は、例の固定資産税、都市計画税等を弾力的に調整しながら、地方自治体にもう少し、こういうふうな団地が出てくることによる収入源を与えるべきだと思うのです。そうしますれば、彼らも積極的にそうした公的施設をなすことができ、そしてまた、一方におきましては、公団がそうした公共施設まで今度負担するとなりますれば、どうしても家賃にはね返っていくということで、そういう点を総合的に考えるべきだという判断に達しているのでございます。その意味で、実はこれは宅地あるいは住宅政策とも関連して、現在自治大臣経済企画庁長官、大蔵省とすみやかにこの点について総合的な対策を講じようという、いま内々の話を進めているところでございます。それはやりまするが、しかしいま御指摘の点は、これは住宅に対する、またそこの入居者に対する配慮として当然なされるべきことでございますから、私からも十分に諸般の状況を検討して善処させるようにいたしたいと思います。
  77. 吉田之久

    ○吉田(之)委員 大臣おっしゃいましたように、さらに総合的に、積極的にこうした問題に取り組んでいただきたい。  なお、御出席いただきました林総裁宮地理事に、いま申し上げました点でさらに行き届いた監督をよろしくお願いしたい。御出席のお礼を申し上げまして、私の質問を終わります。
  78. 天野光晴

    ○天野(光)委員長代理 午後一時まで休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ————◇—————     午後一時二十一分開議
  79. 金丸信

    金丸委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件について質疑を続行いたします。阿部昭吾君。
  80. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 大臣所信表明が行なわれました際に、「住みよい国土建設し、国民生活の向上と国民経済発展をはかるこ乏あります。」——各般の施策を通じてそういう目標に向かって努力をする、こういう意味だと思うのでありますが、大臣は現在の、たとえば都市の状況あるいは農山村地方における状況、こういう状況が住みよい状況だ、こういう御認識をなさっておるのか、あるいはまた、国民生活の向上と国民経済発展をはかる、一体この目標はどういうあたりに置いておるのか、お聞きしたいわけであります。七〇年代の日本、これは十五年後にはアメリカを追い抜く、そして世界一の富裕国にするんだということがいましきりにいわれておるわけであります。大臣が目ざしている住みよい国土建設あるいは国民生活の向上、国民経済発展、こういう目標というものが、いまいわれている十五年後の日本というものを世界一の富裕国にする、こういう関連を持っておるのだと思うのですけれども、そうだとすると、四十五年度に表明せられました各般の施策というものが、必ずしも一致をしているものだとは思われない面を私ども多く感ずるのであります。そういう面で、住みよい国土というものの目標は一体どれなのか、国民生活の向上、国民経済発展、この目標は大臣としては一体どこに置いているのかということを、抽象的ではなしに、明瞭にひとつお示しいただきたいと思います。
  81. 根本龍太郎

    根本国務大臣 たいへんこれはむずかしい問題でございまして、まず最初に申し上げたいことは、いわゆる二十一世紀は日本時代なりというふうに言ったのは、ハーマン・カーンがこれは最も顕著な形において取り上げたと思うのです。それは、いわゆる今日までの日本経済成長趨勢とその可能性についてはそういうふうにいっておるようでございますけれども、経済的な、いわば物質的な諸条件がそれだけ伸びることがはたしてほんとうの豊かなものかということについては、かなりこれは批判があることだと思います。特に、最近の日本の若い世代の人々も、世界の各国でも、単に経済成長の伸びあるいは物質的生産の量だけでこれは豊かであるということが必ずしも言えない、その過程において、いろいろの社会的な、あるいは人間の幸福観の違いが出てきておるというような反省が相当出てきておると思うのでございます。したがいまして、現在政府のいう住みよいあるいは豊かなというような中には、単に経済総生産とか、あるいは都市が非常に発達したということだけを意味するのではなくして、むしろ均衡のある国全体としての、これは地域的にも、あるいは職業的にも含めた均衡のある経済発展人間生活が物質的にも精神的にも豊かな生活ということを目標としておる、こう考えていいと思います。その意味において、佐藤総理が言われまするように、単に経済だけではなく、社会開発ということばを特に用いているのはその点にあると思うのでございます。  しからば、その具体的な目標は何かということでございまするが、昭和六十年度どういうふうな目標でいくかということについては、これはなかなか明示することは困難だと思いまするけれども、一応政府として統一的に、まあこういうところを目標として総合的な施策をつくるべきだということで策定しているのが、いわゆる新全総でございます。またこれを受けて、いわゆる新しい経済社会発展計画というものが出てきたのでございます。これに対応しまして、われわれも建設諸般の行政を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  82. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 あとでまたそこに戻っていきたいと思うのでありますが、私ども、大臣所信表明の各般の施策というものをずっと伺いますると、従来の延長でしかないように思う。非常に機械的な延長でしかないように思う。しかし、住みよい国土建設とか、国民生活の向上とか、国民経済発展とか、あるいはまた、新しい時代の要請を的確に把握をし、従来の観念を脱却した新たな方策を打ち出すことが必要であると考えている、こう言っておるのであります。新しい時代の要請、これも私は、時代の動きを一体どうとらえるかということによってたいへん違ってくると思うのです。たとえば、きょうは政務次官見えないのでありますが、この間、政務次官は大臣がおられなかった際の答弁の中で、たとえば住宅五カ年計画、この中の公的資金による住宅は目標に達せなかった、しかし、民間の住宅建設というものがこれを補ってほぼ目標を達成した、しかし、この政府施策による、公的資金による住宅というものが目標を下回ったということは、まことに遺憾千万だということを言っておるのであります。いままで質疑の中で明らかにされた大臣考え方を伺いますると、民間資金により多く依存する、こういう考え方が出されてきておるように思うのであります。そうすると、住宅政策などの面では、従来の延長より前向きに進めていくというのではなしに、むしろ逆に後退をさしていくということになるんじゃないかと思うのであります。  そこで、あとでまたこの問題に戻ってまいりたいと思うのでありますけれども、いま建設省が持っております五カ年計画があるわけであります。たとえば下水道五カ年計画、治水事業五カ年計画道路整備五カ年計画、あるいはまた住宅建設五カ年計画、これらの計画はそれぞれみんな順調にいったというふうに認識しておるのか、なかなか計画のようには進まなかった、こういうふうに思っているのか。たとえば先ほどの住宅のように、何か民間が非常にやったのでどんどん建ったみたいな、責任のがれの立場じゃなくて、政府責任におけるこの計画の達成率というものを私ども問題にしたい、こう思っているわけでありますが、そういう観点でこの五カ年計画というものに対して一体どういうふうに思っているのか、このことをお聞きしたいのでありますけれども、たとえば道路などの場合、金額の問題があると思うのです。一体どれだけのものを投資したかという問題、そのことと、一体どれだけの道路をどのようにするのかということをこの計画目標にも示されておるわけでありますが、私どもは、金額の問題もさることながら、国民が受けとめておるものは、道路がどれだけ、どのように整備されるのかということが、この五カ年計画に対する期待であり、求めているものだと思うのであります。そういう意味で、この四つの五カ年計画というものが、単に金額的な問題のみならず、内容の面で一体目標の目ざしておるとおり順調に進んでおるのかどうか。このことについて大臣は、この四つの五カ年計画に対してどういう受け取り方をなさっておるのか、このことをまず基本的にお聞きしたい。
  83. 根本龍太郎

    根本国務大臣 非常に基本的な御質問でございまするので、まず総合的な考え方から申し上げます。  阿部さんの指摘されたのは、まず第一に、私の構想は、要するに民間資金を活用するという点は住宅政策その他において、いわば一つの後退を意味することではないのかというふうなとり方でございますが、私はそうは思っていないのでございます。なぜかと申しますれば、住宅にしろ、道路にいたしましても、公的な資金だけで現在国民が要望しておる住宅を満足に充足せしめることは、実情から不可能でございます。なぜかならば、一方においては大いに減税せよという強い要求があるときに、結局税金で措置しなければならない住宅を要望する人間がますます多くなる。そうしますと、財源の点でこれは行き詰まってしまいます。そこで、現在私たち考えておりますのは、たとえば現在、高度成長下において相当の企業が年々相当の収益をあげております。しかもそのリターンは、ほとんど賃金だけにいっておる。賃金が上がると、これは購買力が多くなりまして物価上昇に引き続いていく。そこで、民間資金の活用のしかたにおいても、企業自体において持ち家政策を大いに推進してほしい、そうした場合に、そのための資金に対する財投でめんどうを見る、あるいは税制上の優遇措置を講ずる、あるいはこれも税制上でございまするが、一部を経費として認めるというようなことにいたしますれば、企業がこのように相当に充実しておるときには、これによって相当程度の住宅が、あるいは持ち家となり、あるいは社宅ということになって解決されていくのが相当ございます。それから国民所得が相当ふえておる今日におきまして、住宅ローンが相当進んでまいっております。この住宅ローンに対して保険制度を設けますれば、それだけ安全な投資になり、同町にまた、都市銀行、地方銀行もこれに対して融資をするということになりますれば、政府施策でできないところのものが相当民間の力でこれが活用されていく。こういうふうにいたすことによって、低所得者でそういうローンを利用できない人や大きな会社に従事していない人たちに対し、重点的に公的資金による住宅政策が集中的に行なわれる、こういうふうに考えておるのでございます。  それからもう一つは、道路等におきましても現在一番問題になっておるのは、いわば経過地点における道路の非常な梗塞状況でございます。たとえば首都圏内におきますれば、いまの栃木県だとかあるいは埼玉県、群馬県、千葉県、神奈川県というものは、東北とかあるいは北陸方面からずっと大型のトラック並びにオーナードライバーが入ってきます。そうした場合に、現在の状況では地方道等がこのために梗塞している。財源が十分ない。そういうような場合においては、むしろ国道でも、そういう地方道路で重要なものでも、有料道路制度にしていいじゃないか、そうして道路が安全にかつ非常に便利にできますれば、その間において料金を支払っても、これを使う人も便利である、こういう状況が相当進んできましたので、そこで今度の国会で御審議願いたいという地方道路公社というものを設けまして、そうしてこのような需要にこたえると同時に、地方自治体自身が一面におきましてはその道路に関連したところで他の事業の開発をやりまして、その開発利益が地方自治体に入るということになりますれば、これは道路政策のみならず地方開発のために役立つではないか、こうしたことが従来はほとんど許されてなかったのを、皆さんの御支持と御賛同によってこれができますれば、財源問題において相当梗塞状況にあるものが開けていける。こうしたものを含めて、社会情勢の変化に対応しつつ、新しい構想も含めて国土開発と同時に国民の幸福に向かって進みたいと言いましたのは、一例を申し上げますればそういうことでございます。  さて、阿部さんが御指摘になりましたように、従来いろいろの五カ年計画が策定されておるが、今日現在の状況から見てこれは満足すべき状況かと言われるのでありますが、これは端的に申し上げまして、満足すべき状況ではございません。そこで、新たなるくふうをこらして、それぞれの立場において、さらに新しい計画を立ててまいらなければならないと思っているのでございます。しかもこういう新たなる長期計画を立てるゆえんのものは、たとえば道路計画におきましても道路需要の要素が変わってまいりました。もう十年前につくったところの道路では、交通安全の立場から見ても、それからそれを走る車両の重量においても、車種においても、だいぶ変わってまいりました。さらに、経済のルートと申しますか、これもまた相当の条件の変化がありまするので、そうしたものとあわせてこれは再改定しなきゃならないということで途中で変更したようでございまするけれども、やはり経済並びに社会の変化があまりに急速であるがゆえに、いままでの計画をそのまま自動的に延長しただけではいけないということで、この改定をしておるのであります。したがいまして、計算的に見れば、従来の経過をそのまま引き延ばしたようにちょっと見られるかもしれませんけれども、われわれとしては、内容において相当改革をして、再改定をしていくつもりでございます。
  84. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、四つの五カ年計画のうち、計画の達成の状況というのは決して満足じゃない、こう思っておるという御答弁でしたが、具体的にはどの計画は達成率がおくれておる、どの計画がまあまあだ、どの計画はちょっとよ過ぎたという、四つの計画のどれをどのようにお考えになっておるかということも、この機会に明らかにしておいてください。
  85. 根本龍太郎

    根本国務大臣 住宅計画につきましては、先ほど御指摘がありましたからごく簡単に申し上げれば、策定した当時における住宅需要の見積もりを誤っておったと思います。なぜかならば、都市集中がこれほど急速にくるとは思わなかったということと、いわゆる核家族が非常にふえたということ、これが一つの大きな原因です。一方においては、過疎地帯ではどんどん家屋が放棄されていっている。この過密、過疎のスピード、その範囲についての判定が違っておった、これは言えると思います。  それから道路計画につきましては、相当程度投資はいたしましたけれども、モータリゼーションが策定した当時に比べればはなはだ大きく、しかも輸送関係が非常に急速に都市に集中してきたということのために、この道路計画も再改定をしなければならなくなった。その意味においても相当変わっていると思います。  治水事業については、それほど計画と大きく変わってはいないと思います。ただしかし、これにも一つの河川関係における大きな変化はある。都市内における中小河川の問題でございますが、これは都市化ということと、それから最近における河川公害、これも結局都市化に基づく一つの大きな変化でございますが、これが従来あまり策定してなかった。したがって、この問題が大きく修正されなければならぬ、こういうふうに考えておるのでございます。  いずれも経済成長の大きな変化に伴う修正をしなければならない。したがって、結果的に見ればいずれも満足すべき状況でなかった、こう申し上げて差しつかえないかと思います。(阿部(昭)委員「下水道はどうです。」と呼ぶ)下水道もそのとおりでございます。これは御承知のように、地方自治体が本来やってきたのでありまするけれども、都市化に基づき、たとえば従来ふん尿等は農村の肥料になっておったが、そういうことに全然使わなくなってきた。それから現在消費物資が非常に多くなって、しかもビニール等ができて、これが家庭やそこらで簡単に焼けなくなった。こういうふうな社会経済生活の変化に伴えなくなってきたというか、これが大きく変わってきたことだと思います。
  86. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 いまの大臣の御答弁は、いわば概念的な答弁であります。具体的に四つの計画のうち、内容的に達成率はどうか、こうお聞きしておるわけでありますが、どの計画はこのくらいまでいっておるのでまあまあだ、これはちょっとおくれておるので何とかせにゃならぬ、これはこうなんだという点です。
  87. 根本龍太郎

    根本国務大臣 事務当局から説明させます。
  88. 蓑輪健二郎

    ○蓑輪政府委員 道路についての第五次の五カ年計画の進捗状況について申し上げますと、四年目の四十五年を終わりまして、金額の上で一般道路が七二・二%、有料道路が五九・一%、地方単独が一一六%という数字でございます。なお、全体を合わせまして六兆六千億のうち、予備費を除いた六兆四千五百億に対しましては、四年目で全体で七六%という数字予想されます。
  89. 大津留温

    ○大津留政府委員 住宅計画は、御存じのように四十五年度で終わりますが、四十五年度で終わった段階で、公的資金によるものが九六%、民間自力が一〇三%、合わせまして約一〇〇%、こういう見込みでございます。
  90. 坂野重信

    ○坂野政府委員 治水事業は、第三年目の四十五年度末で、予定は四八%でございましたが、実績は四六%でございます。
  91. 竹内藤男

    竹内(藤)政府委員 下水道は、四十二年度からの五カ年で、予備費を除きまして九千億に対しまして、四十二年度から四十五年度までにおおねむ六千百五十六億円の投資が行なわれる見込みでございますので、六八・四%の達成率でございます。
  92. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 時間の関係でそうこまごまとできませんので、これはあとの機会に譲りますが、大臣、この間の復活折衝の中で、特に下水道の問題を大臣がたいへんな力を入れて努力したということについては、実は評価をいたしておるのであります。しかし、いま御報告がありましたように、計画達成の状況からいうと、下水道がどの五カ年計画よりも一番おくれておるという状態であります。同時にまた、メガロポリスの中でも——地方都市の中でも同じでありますけれども、特に都市化が進みつつある状況の中で、都市街路などは、舗装をやったと思うとやれ下水道だ、やれ送電線だ何だといって、ひっくり返すということをしょっちゅう繰り返しておるのであります。そういう意味では、下水道などの事業は都市街路よりもまず先にやって、一ぺんその上を舗装をやったならば、車が通って何年かして舗装がこわれるというのなら話がわかるのでありますが、今年こわして何か埋め込んだかと思うと、次の年は電電公社がひっくり返す、次は電力会社がひっくり返す、こういうむちゃなことは考えなければならぬのじゃないかという気がするのであります。そういう意味で、この五カ年計画の中で下水道五カ年計画が一番おくれているじゃありませんか。これは来年度、現在の六八%から一〇〇%に最終の年度で達成できるのかどうか、この点を特にお聞きしておきたいと思います。
  93. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これはたいへん困難だと思います。その意味において私は、本年度予算編成にあたって、大蔵省の認識は違うということでいろいろ折衝してやったのでありますが、この程度に終わったのは私も残念に思っております。
  94. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 困難であるということじゃ、どうなりますか。困難だからしようがない、こういう意味ですか。
  95. 根本龍太郎

    根本国務大臣 来年度予算の獲得にこれから一生懸命がんばるという意味でございます。
  96. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、冒頭に五カ年計画とは一体何かということで大臣の心がまえを伺ったのであります。私は、現在の五カ年計画それ自体にも問題があると思っておるのです。たとえば、一番都市構造の中では土台になるべきものが、ある意味でいえば、この五カ年計画の総体のワクを設定する場合でも非常にウエートが低い。ですから、そっちのほうの土台のほうは進んでおりませんから、舗装のほうが先になって、そして下水道で掘つくり返し、上水道で掘つくり返し、何で掘つくり返すということを何度も何度も繰り返す。したがって、少なくとも町の中で都市街路や何かをやる場合には、将来ここには何を埋めねばならぬのかということが最初から明らかになっていなければならぬと思うのです。私はそういう意味で、少なくとも都会の中で——それはなかなか緊急やむを得ざるものも相当多いとは思う。思うけれども、舗装を一ぺんやったら、次の年あるいは二年後あたりですぐ掘つくり返すようなむちゃなことをやめねばならぬのじゃないかと思う。そういう意味では、四つある計画の中で、下水道だけが一番計画達成が困難だと思いますなんてことで大臣胸を張るんじゃ、何だそんな胸の張り方でとこっちが開き直ると、いやそれは来年がんばる意味だと言われ直す、どうもすらっと入ってきませんね。私は、そういう意味で先ほど冒頭の問題に戻るのでありますが、十五年後の日本はアメリカを追い抜くんだ、こういうことを自民党のえらい方が最近宣伝しておるのであります。私は追い抜くことはいいと思う。思いますけれども、その中で一体建設省所管の事業というものはどういうふうに進んでいくのか。いまのように単なる数字を合わせて、既存のいろいろな中期計画のようなものをちょっと延長するような程度でいいのかどうかということです。大臣所信表明ことばはいいのであります。新しい時代の要請を的確に把握をして、そして従来の観念を脱却した新たな方策を打ち出さねばならぬなどと言って、これはたいへんいい。いいのでありますが、四十五年度施策や、あるいはいままた新たな中期計画などを策定しなければならぬような問題か幾つかある。それに取り組むかっこうを見ると、全部従来の機械的な延長でしかないのじゃありませんか。そういう意味で、私がたまたま下水道の問題を言ったのは、十五年間という相当長い大局的な観点に立つならば、都市街路など一ぺん舗装をやったら、一年後、二年後の間に掘つくり返してまたしょっちゅういろいろなものを埋め込むみたいな工事は、もっと効果的に、合理的に、計画的にやらねばならぬのじゃないかと思う。そういう意味で五カ年計画というものは一体何なのか。ただ場当たり的に機械的にやればいいというものじゃないと思うのであります。七〇年から八〇年、十五年後の日本というものをどうするのか、この観点に立って中期計画として五カ年なら五カ年は何をなすのか、こういうのが私は五カ年計画だと思うのです。いまのを見ると、そうじゃなくて、場当たり的に、単なるいままでやっておったことの延長でしかないじゃありませんか。都市問題がほんとうに大事だというのなら、下水道などの問題は、非常に困難であると思います、私のほうから開き直られると、いや来年大いにがんばるという意味でありますなんて、そんなちゃちなもんじゃなくて、やはり相当長い展望の上に立って、当面何をなすべきかということが明瞭でなければならないと思います。そういう意味で、五カ年計画というものは何なのかということをもう一ぺん明瞭にしてもらいたい。
  97. 根本龍太郎

    根本国務大臣 日本の社会開発が非常におくれておるということが、今日この五カ年計画をやる場合において非常な立ちおくれを取り返すに困難しておりますと同時に、ややもすれば要請だけが多くてこれに協力する体制が非常に困難だということです。たとえば本来ならば、阿部さんが指摘したような問題を解決するには、かつて、また現在でもパリでやっている共同溝をつくりまして、その中に下水も上水道も、それから電話線もガスパイプもみんなやるということが望ましいのであります。しかしながら、これには膨大な先行投資が必要であります。そのときにあたりまして、そういう場合には建設公債をやってもいいじゃないかというような意見もありますが、そうやるとそれはインフレになるという反論が出てくる。あるいは受益者負担でこれは当然やるべきだ。そうすると、そのほうは今度金がかかって圧迫する。これをやるためのいろいろな手段については反対をして、結果だけを要望するというところに日本の公共事業が立ちおくれている原因があるのであります。また、こういうような事業をやる場合には、本来ならば土地の先行取得をしなければなりません。それをやるためには、いまの土地所有者についてはやはり所有権の制限をしなければならない。ところが、それをやると、すぐに今度は国家が権力をもって圧迫をするというような議論がしょっちゅうからまっておって、たいへんにおくれていると思います。幸いにして最近はそういうことを越えてやるべきだという議論が出てきて、これが国民の定着した合意が得られるということになりますれば、今後相当にこれを進めることができると思うのであります。五カ年計画が単なる延長であるという御指摘も、これはある意味においては当たっていると思います。しかし、現在の少なくとも四、五年中における国家財政の観点からすれば、せめてそれをやることだけでも一つの前進である。理想的な姿ではない。そのうちに国力が充実し、かつまた、そういう公共的なもののためには与野党ともほんとうに御支持していただけ、国民も理解されれば、そのときにはもっといいものができる。はなはだ気に入らないかもしれませんが、それが現実でございます。
  98. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 経済企画庁がおいでになっているのでありますが、従来の新全総というものを再検討する、こういう議論を私ども耳にするのであります。そこで、先ほども申し上げました十五年後の日本はアメリカを追い抜いて世界一の富裕国になる、こういうアドバルンが上がっておるのであります。大体権力者がさらに次の権力を目ざすときには、非常に耳ざわりのいいアドバルンを上げておるのであります。所得倍増だとかあるいは経済社会発展計画だとか、今度はアメリカを追い抜いて世界一の富裕国、こういうことなんでありますが、いまいわれているこのアメリカを追い抜くという考え方、おおむね十五年後だというふうにいわれているのでありますが、十五年先まで見通さなくとも向こう十年間、そのとき日本経済というのは、一体現状との比較においてどの程度になるのか。
  99. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  私ども、一応長期の計画でございますから中間年次をとっておりませんで、昭和六十年時点をほぼめどにいたしまして計算を出しているわけでございます。その間にいろんな計算がございますけれども、昭和六十年におきます国民総生産がおよそ百三十兆から百五十兆程度ということで、昭和四十年度の価格に比較しまして、これは約三十兆程度としておりますが、これの四、五倍程度になるというふうな規模を一応予定しております。
  100. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 四、五倍程度なんというのは非常に雑じゃありませんか。四倍と五倍じゃ相当違う。経済企画庁が四、五倍程度なんということじゃ、計画の立てようがないんじゃないですが。
  101. 角田正経

    ○角田説明員 これは先生の御指摘のとおりでございますが、非常に長期なものでございますので、下限と上限のとり方によって非常に数字が違ってまいります。で、上限のほうで相当政策的な意欲的な施策を行ないますと、先ほど申し上げた百五十兆程度になるということでございまして、その場合は五倍程度になるということを予想しているわけでございます。
  102. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、大臣伺いたいのでありますが、大臣の言う従来の観念を脱却した新たな方策というもの、これは国全体の目標というもの、いまの経済力という意味での目標をどこに置いて新たな方策を打ち出そうとするのか。従来の延長でいいと私ども思わぬわけです。先ほど大臣は、そういう問題については与野党がほんとうに協力するならばと、こうおっしゃる。それならば、ぼくら前提があると思う。いまのように、企業はもうほんとうに手厚く保護されてどこまでもどんどんどんどん優遇されていく、広範な市民や勤労者というものはだんだん窮屈にされていくような状態の中で、与野党協力せいといっても、なかなかそうはいかぬような情勢が生まれてくると思う。私は、与野党がほんとうに協力できるという土俵は、いまのように企業だけがどんどん優遇されるという状態ではなくて、もっとやっぱり企業の側も多くの負担をするという前提がなければ、与野党一致という土俵は生まれてこないと思うのですけれども、まあそれはさておいて、いま経済企画庁が上限、下限とかいってなかなかうまいこと言っているわけです。うまいこと言っているわけですが、大臣建設行政を進めるにあたって、一体五年後、十年後の経済というのはどうなる、それと無関係に建設行政というのは動かぬと思うのです。十年なら十年後の目標というものは、建設省は、たとえば経済企画庁なら経済企画庁はこういう把握をしなさい、そのためにこういう努力をしなさい、それならば建設省もこうやろうじゃないかということになって、全部組み立てられてこなければならぬと思うのですが、大臣は、一体十年後の日本経済の目標というものをどこに持っておるか。
  103. 根本龍太郎

    根本国務大臣 ことばとしては議論できますけれども、正確にこれを数字ではじくことは非常に困難だと思います。現在のところは大体建設省としては、経済企画庁の新全総なりその他の長期あるいは中期計画を一応の経済的指標として、そうしてそれに伴うところの国土の均衡ある発展考えて、道路あるいは治山、治水、利水あるいは住宅等を考えてまいる、こういう考えに立っておる次第でございます。
  104. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 経済企画庁に、どうも大臣は歯切れが悪いので、それじゃもうちょっと裏固めをしたいと思うのでありますが、七五年三千四百十億ドルという考え方ですね、それから八〇年六千五百三十億ドルという考え方がいろんな場合に出されてきておるわけです。これは経済企画庁で固めた見解かどうか。
  105. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  固めた数字ではございません。
  106. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 福田蔵相が十五年後は世界一の富裕国だ、それから愛知外務大臣が七〇年代末の日本経済力というのが、いま私が申し上げましたような数字になる、こういう前提で海外援助の額はその一%、五十億ドルないしは六十億ドル程度のものをやるんだといったようなことを対外的にも表明なさっておる。経済企画庁がその土台を、それは固めた数字じゃないということになりますと、大蔵大臣や外務大臣はかってなことを言っているのかどうか。よその外務省にせよ大蔵省がそういうことを言っておるんなら、建設省もやっぱりそういう目標に合わして、具体的な中期計画なり長期計画なりというものを持つべきなんじゃないか、こう思うのです。大臣どうでしょう。
  107. 根本龍太郎

    根本国務大臣 従来の政府計画は、一応の見通しというものとすぐに関連して、非常に長期計画を立てるということは必ずしも適当じゃないと考えています。というのは、社会情勢の変化に従いまして非常に変わりつつあるとき、たとえば十年前の農村並びに都市人口分布を一応想定してつくったところの道路計画が変わってしまう。あるいはまた、住宅の問題についても、都市化がこんなにひどくなるという想定はしていなかったのがまた変わってきた。だから、長期計画になればなるほど、大砲を撃つ場合でもちょっとの角度の差が将来に対して非常な偏差があると同じように、やはりこういうふうな実施官庁機関における投資というものは、あんまり長い長期計画によってこれを固定して考えることは、必ずしも現実に合わないんじゃないか。そういう意味からして、長期を見通しながら、そうして現在に引き写してみて、そして可能な範囲の期間となれば、まあ三年か五年計画ということになるではないか。そういう意味でわれわれは五カ年計画を一応一つの実施のめどと考えておる次第でございます。
  108. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 だんだん時間がなくなりますので……。  先ほど申し上げましたように、いろいろな五カ年計画があるわけであります。その中で特にいま問題になっておりますのは、都市問題というのが当面の非常に大きな問題だというふうに、大臣もしばしば指摘をされておる。私も全く同感なんであります。その意味で特に下水道計画というのは、私どもは、計画全体のいわばきびしい都市化現象という問題になっておるこの現状の中では、ワク組みそれ自体が小さ過ぎると思っております。小さ過ぎる目標さえも、最終年度を四十六年度に置いて、完全達成できるかということになるときわめて困難に近い。これじゃまるっきり建設省当局が怠慢だ、政府が怠慢だといわれてもしようがないと思う。都市問題は大事だといいながら、五カ年計画の中で、この下水道の五カ年計画だけが来年度達成まことに困難な状態、これじゃ話にならぬじゃないかと思うのでありますが、私はこの機会に、経済企画庁もおいでになっておりますから、おそらくこの五カ年計画というのは建設省独自で組んだものじゃないと思う。やはり経済企画庁や国の各関係方面と十分の連携の上で、五カ年計画というものは策定されておると思う。  そういう意味で、最終年度においてこの五カ年計画が達成できなかったというのなれば、今日の佐藤内閣はことばの上ではいろんなことを言いましても、経済社会発展とかなんとかうまいことを言いましても、都市問題は大事だ大事だといいながら、四つの計画の中で下水道が計画達成できなかったということになるならば、口先だけで実際の都市問題にはきわめて不熱心だったといわれても、これはことばがないのじゃないかと思うのです。そういう意味で、この計画、明年度完全達成について大臣は非常な決意をしてもらいたいということが一つ。  それから、都市問題をほんとうに熱心にやっていこうというならば、きょうは企画庁からも来ておるわけでありますが、今度の下水道問題の長期計画というもののワク組みそれ自体も、私は、先ほど言いましたように、都市街路などはやってまたひっくり返すなんてむだなことをやらぬように、まず基本になる、都市の下に埋めなければならぬものを先にやるという考え方は当然だと思うのです。そういう意味で、下水道の、来年終わってその次の新たな中期計画というものは、相当大胆なワク組みというものをすべきだと思うのですけれども、大臣の見解をひとつお聞きしておきたいと思う。
  109. 根本龍太郎

    根本国務大臣 お答えいたします。  御指摘のように、下水計画が非常におくれておる最大の原因は、従来の日本都市には下水計画はほとんど持っていないで、ただ道路をつくればそれでいいということでいったというわけではないけれども、それに追いまくられてしまったということです。したがって、今度の新しいわれわれの都市計画によりましては、当然それを基本的なベースとしてやっていく、こういうことで進めたいと思います。いま一番おくれておりまするのは、旧市街におけるその問題と、それから、にわかに計画なくしてスプロール現象のように、自然発生的にいったところに問題があります。そこで、御承知のように、われわれといたしましては、皆さんの御協力を得て新都市計画法あるいは都市開発法というものとあわせてこれでやりたいと思います。  なお、来年度下水道中期計画を改定するにあたっては、新しい構想のもとに相当の幅を持ってやれとのようでございます。これは十分に御指導を得て、その方面に向かってまいりたいと思う次第であります。
  110. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、先ほどから、この都市問題というものは、こんなに都市人口集中するということは実は予測をしていなかった、こう大臣がおっしゃるわけですね。しかし、都市人口が集中したというのは、大臣所属の政府の長年の施策の結果、都市人口が集中するようになったのじゃないでしょうか。いまの企業というのは、分散じゃなくて集中という方向にあると思うのです。分散するより集中したほうが、企業が利益を追求するという意味では、やはりより効率的になっていくと思うのです。分散をやればやったで、いろいろなロスが出てくる。したがって、どうしても集中というのが、いまの自由主義経済における原則だと思うのです。このことに一定の規制なしに、予想以上に都市人口集中したなどといっても、これは予想しなかったとすれば、よほど間抜けておったかどうかだったと私は言わざるを得ないと思うのです。長年の政府施策の結果、今日の都市集中というものが行なわれたと私どもは見るのです。単なる技術革新や何か——確かに技術革新やそういうものは行なわれました。行なわれる際に、これだけ都市に集中しないようないろいろな手だてというものがなければならなかったと思う。いま大臣の郷里の、従来比較的安定的であった東北パルプのような企業も、東北肥料のような企業——パルプはどうかわかりませんか、ああいう企業はあのままあそこにおれるかどうかということが問題になっておる。裏日本の科学産業なんというものは、全部メガロポリスの表日本のコンビナート工場地帯への移転という問題がいまどんどん起こってきているのです。では、かわるべきものがそういう地域に再び進出するようになるかということになると、なかなかそうはならぬ。私はやはり、このように都市に異常なほど人口が集中するようになったということを政府はなかなか予見できなかったと大臣は言うのですが、予見できなかったというならば、間抜けておったか意識的であったかどっちかだと思うのです。私は、そういう意味建設大臣として、この都市問題は大事だ大事だ、たいへんだ、こういうならば、やはりこれ以上都市にあらゆるものが集中することを押えるような立場で、他の各省との間に問題を提起していってやるべきではないかと思うのですが、その辺はどうでしょう。
  111. 根本龍太郎

    根本国務大臣 過去の責任については、終戦以来二十数年にわたって政局を担当したわが自由民主党が、究極的には責任を負うべきものと思います。  なお、今後の建設行政にあたって、都市集中を抑制しつつ、地方産業が分布するような構想で進むべきだという御意見に、私も全く賛成でございます。そういう観点に立って道路あるいは河川等、そういう諸般のわがほうの中期計画は進めてまいりたいと考えている次第でございます。
  112. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、今度のこの国会にも建設業法の改正法案が提案されるのではないかと伝えられております。そこで、私はこの機会に、おそらく今次国会でこの問題が提案されるとすれば、非常に大きな問題になると思います。そこで、大臣はこういう現状を御存じかどうか。いまの建設業界の持っておる現状の姿——たとえば日本で名の通っておるようなでかい業者、この皆さんが事業をやります場合に、その下に中小業者といわれるようなものが必ず下請に入るわけであります。そしてまた、その下に孫請というものがほとんどの場合入っている。どうかするとひこ請などといった、こういう何段階もの重層下請が行なわれておる。ここからたいへんな問題が起こっているのでありますけれども、大臣はその事実をどういうふうに認識されておるか。たいへんりっぱな状態にいっておるというふうに思っておられるのかどうか、どうも問題があるというふうに思っていらっしゃのか、お伺いしておきたい。
  113. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私はまだ詳細にわたって調べておりませんけれども、大体その点は認識しておるつもりです。そういう事態であるがゆえに、建設業法を制定いたしまして、そういう無責任なやり方あるいは下に責任を転嫁することを法的に規制していこう。それから現在の届け出制度になりますと、地方では——これも私詳細調べたわけではないですけれども、地方業者が非常に乱立してまいりまして、その結果非常に粗悪なものがどんどん出てき、そのために土地の荒廃あるいは住宅の基準も守られないような不良住宅等が相当出ておる。こういう状況から見ますれば、やはり生命、財産に最も関係ある問題でありますから、許可制度にして責任体制をつくったほうがいい。長年のみんなの要望もありますので、これは制定すべきであると考えておる次第であります。
  114. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私の質問とはかみ合いません。かみ合いませんが、これはさらに当委員会において、私ども一般質問あるいはこれからの審議を通じて問題点を明瞭にしていきたいと存じます。  最後に、先ほど申し上げましたように、今日建設行政の最大の問題は、都市に一番人口集中が行なわれて、過密という問題が起こっておる。一方、地方の体制の中には過疎という現象が起こっておる。この状態の中で国が策定をいたしました中期計画等にいたしましても、なかなか計画のようなわけにまいらぬ現状というものが出てきておる、こういわれておるのであります。  そこで、私は最後に大臣に、少なくとも建設省が、他の政府機関のいわばワク組みの中で従たる立場で動きをしていくということではなしに、やはり建設省は独自で、一定のビジョンと一定の目標と一定の日本社会のこれからの将来展望というものを把握して、その中で一体何をなすのかという意味では、経済企画庁がこういうワク組みを設定したからそのワク内で建設省は従たる立場でやっていく、大蔵がこういう立場で方針を組んだから建設省はこの立場でやっていく、こういう態度じゃなしに、建設省は少なくともわが国のこれからの発展の方向というものを独自で把握をしながら、自主的な立場で問題を提起しながら取り組んでいく、こういう態度に立っていただきたいということを最後に要望いたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。
  115. 根本龍太郎

    根本国務大臣 その点は、御希望はよくわかりましたけれども、政府はこれは全体が、内閣は共同責任でやっております。経済企画庁において策定するものも、これは全部関係機関が十分に協議して出ているものでございます。建設大臣が内閣と独自にある存在ではございませんので、これは内閣全体として——ただし、私のほうの主張は十分に閣議に反映させる、そういう意味においてあなたの激励のおことばを受けるのでございます。そういう意味でのあなたの御趣旨を体して、大いに前進してまいりたいと思います。
  116. 金丸信

    金丸委員長 浦井洋君。
  117. 浦井洋

    ○浦井委員 私は、共産党を代表いたしまして、時間があまりございませんので特に住宅の問題、できれば土地政策、こういうところまで主として大臣にお尋ねをしたいと思います。  御承知のように、政府の総理府が行ないました昭和四十三年十月の住宅統計調査によりますと、建設省基準二人で九畳、四人で十二畳、こういう基準でいきましてなお三百六十万世帯が住宅難で困っておられる。こういう数字が出ておるわけでございます。特にその傾向は大都会でひどいわけでございますが、私の住んでおりますところの神戸におきましても二人で九畳、それから四人で十五畳というような少し甘い基準でいきますと、ほほ半数の世帯の方が狭小過密住宅に住んでおる、こういう数字が出ておるわけでございます。こういうことを大臣は十分に認識されておるというふうに思いますが、こういうような傾向は神戸よりも大阪大阪よりも東京というふうに、大都会になるほどひどいわけでございます。こういうことに対しまして、これはどうしても政府責任をもって解消しなければならぬ社会的な大問題であるというふうに私思うわけでございますが、大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  118. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりでございまして、従来は家さえあればまあまあ何とか、とにかく入りたいということで、これに重点を置いてきたのでありますが、いまや、やはり経済発展と同時に、社会環境から見ても質の向上に当たる段階だと思っております。したがって、今後の住宅政策には、質的向上も含めてやらなければならないと考えておる次第であります。
  119. 浦井洋

    ○浦井委員 そこでお聞きしたいわけでございますが、来年度、四十五年度の予算を見ますと、公的住宅の建設戸数が四十五万五百戸になっておるわけでございます。その四十五万五百戸になりました経過を見ますと、当初の建設省の要求というものは五十六万八千戸であった、これに対して大蔵省の内示は四十四万六千戸であったわけでございます。そうでございますね。——そこで建設省は、削られた十二万二千戸のうち三万三千戸しか復活要求をされておらない、こういうことでございます。他の部門、たとえば道路にいたしましても河川にいたしましても、ほとんど全額復活要求をされておるというにもかかわらず、住宅についてこういう非常に少ない要求をされたのは、住宅の問題について非常に姿勢が消極的ではないかというふうに考えるわけでございますが、この辺の事情なり理由、こういうものをひとつ聞かしていただきたい、こういうふうに思うわけでございます。  それから、それに関連いたしまして、特に大臣御承知のように、一月十九日の住宅宅地審議会の建議を見ましても、公営住宅など低所得者や都市勤労者に対する公共賃貸住宅の建設を最優先させること、こういう建議がなされておるわけでございます。この建設省計画予算どおりにいきますならば、来年度末の五カ年計画達成のときには、公的住宅で九五・八%、特に改良住宅を含む公営住宅については九二・二%、こういうような非常に他の住宅分野の数字に比べて最低の数字が達成できない、こういうことになるわけでございますが、これを見ても非常に公的資金による住宅の建設について消極的ではないかというふうに考えるわけでございますが、前段の質問とあわせてひとつお答えを願いたい。
  120. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりで、遺憾に存じております。というのは、これは実は特に東京都などにおきまして、公団あるいは住宅供給公社が建設しようといたしましても、一つは土地の入手難、あるいはまた今度は関連事業、公共施設のほうが非常におくれておるというようなことで、計画がずっとおくれてきてしまいました。     〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 したがいまして、予算措置をしても、公共関係において実質上困難であるという事実が出てまいりましたことが、一つの大きな原因だと思います。詳細については、住宅局長から説明いたさせます。  そこで、われわれといたしましては、これはあなたの御質問にないのでありますが、関連して申し上げますと、地方自治体、特にこれが市町村といいますか、末端機関になりますればなりまするほど、住宅が密集してまいりますというと学校をつくらなければならない、いろいろ保育所をつくらなければならない、あるいは屎尿処理場をつくらなければならぬという問題が出てくるわけでございますね。ところがその財源がない。しからばこれを、公的機関である住宅公団とか住宅供給公社でやるとなると、非常に単価が高くなる。その矛盾があるのでございます。そこでこれを現在関係省、特に自治省、それから大蔵省と相はかりまして、やはり土地計画税とか固定資産税の評価にあたって相当程度の財源を地方自治体にも与える、あるいはまた交付税の配分にあたってそういうものを考慮してやるようなことをしなければ、いわゆる政府の公的住宅に対する予算措置だけではなかなかいかないというような隘路がありまするので、これは今後十分に総合調整していかなければならぬのじゃないか、こう考えておる次第でございます。
  121. 大津留温

    ○大津留政府委員 ただいま大臣がお答えいたしたとおりでございまして、計数的に申し上げますと、公営住宅のうち、いわゆる不良住宅が密集しておる地区をクリアランスして改良住宅を建てる。これが現実問題といたしまして、居住者との間に話をつけて事業にかかるのがなかなか時間がかかる。そういう関係で、五カ年計画に予定しておりました約十万戸の改良住宅のうち、実際にこなせる見込みというのが三万五千戸程度にとどまるであろうというような見込みから、復活要求の際にはその分を落として要求したという経緯であります。
  122. 浦井洋

    ○浦井委員 それでは、これはことしの一月三十日の朝日新聞の「見捨てられる住宅難」という記事なんですが、いま言われたような理由と、それからこういうことが書いてあるのですが、念のために大臣にお伺いしたいのです。公団や公営住宅は、自民党にとりまして票にならぬからやめろというような声があるというふうにここに書いてあるのですが、こういうことは事実無根であるわけなんですね。
  123. 根本龍太郎

    根本国務大臣 政策をやる場合に、そんなことは全然考えておりません。
  124. 浦井洋

    ○浦井委員 次に、持ち家の問題に入りたいと思うのですが、なるほどほとんどの国民は、自分の家を持ちたいと願っておるのは事実でございますか、しかし、その自分の持ち家が持てないところに問題があると思うわけでございます。神戸の例で見ましても、やはり先ほどの四十三年十月の住宅統計調査でいきますと、三十八年には持ち家が四一・六%、それが四十三年には三九・〇%というふうに減っておるわけです。逆に民営の借家は四五・九から四七・八というふうにふえておるわけでございます。全国的な数字を見ましても、総建設戸数に占める持ち家の割合というものは、ここ数年を一つの境にして減ってきておる。こういうことは、勤労者が家を持ちたいと思ってもなかなか家を持てないということを、数字的にあらわしておるのではないかというふうに思うわけでございます。そういう点で、やはり公的住宅の建設というものがもっと必要ではないか。特に低所得者あるいは今後予想される核家族の場合、若年者が多いわけでございますから、そういう層に対してもっと公営住宅が建てられるべきではないかと私は思うわけでございますが、大臣の御意見はどうでございましょう。
  125. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほども阿部さんにお答えしたのにちょっと触れておりまするが、これは公的でやるべきだという気持ちはわかりまするけれども、しからばそれをやる場合に、先ほど申したように非常に隘路がございます。まず財源において、税金でこれをやるという場合には、相当の税金を国民の皆さんから納めていただかなければなりませんが、一方においては減税の要望が非常に強いのでございまして、そこでわれわれとして考えておりますのは、どうしても処置できないものはやはり公的資金でやることに重点は入れまするけれども、一面においては、民間で相当程度持ち家政策をなし得る方策も考えられてしかるべきであろう。     〔正示委員長代理退席、委員長着席〕 たとえば現在、相当大きな企業においては増収、増益が続いております。そういうところにおいては、できるだけ会社で持ち家政策をとってほしい、あるいはまた、会社自身の社宅を充実してもらうという一つ方法もございます。さらに、労働省は勤労者の持ち家政策を相当推進しております。そういうような措置を講ずる企業あるいは主体については、税制上あるいは資金上のめんどうを見てやる、あるいはまた、住宅ローンに対する保険制度を設けるというようなことにいたしまして、相当数のサラリーマンに対して自分で持ち家を持てるという一つの希望を持たせることも一つだと思います。  そういうふうなことをいたしましても、それに該当しない人も相当出てくるわけでありますから、そういう人々に対しては重点的に、質の向上も含めて公的資金に基づく貸し家住宅、あるいはさらに分譲住宅を考えていくべきだと思うのでございまして、すべてのものを公的資金でやるということはなかなかむずかしいのではなかろうか、こう考えておる次第であります。
  126. 浦井洋

    ○浦井委員 どうしても大臣はマイホームをつくりなさいというふうに言われるわけでございますが、どうしてもできないのが公的住宅ということなんですが、一体自分の持ち家をつくり得る階層はどういう層なのかということを、資料その他があれば具体的にお教え願いたいと思うわけです。私ここに持っておりますのは、四十三年度に建設省が行ないました民間自力住宅建設実態調査ですが、簡単に申し上げますけれども、この数字によりますと、東京都の区部で木賃アパートに住んでおる方々の収入は、合計いたしますと、実に七一%が年収七十二万以下という数字が出ておるわけであります。こういうような人たちに対して、具体的にどうして家を持ったらよいのかということを教えてほしいと思うわけです。  それからもう一つ例をあげますと、これはごく最近のデータで、ここに持ってきておりますが、草加旭町団地の公団分譲住宅でございますけれども、この内容をずっと見ますと、大体規模は三DK——私、医者でございますけれども、三DKといいますと、規模としては核家族で大体健康にして文化的な最低の生活が営まれる数字だろうと思うのですが、これに要する費用が全体として四百六十万円から四百九十万円、たとえば四百七十七万円の分譲の例をとってみますと、頭金が百五十万円で二十年返済、そうしますと当初の返済が月大体三万五千五百円、したがって、そこから逆に計算していきますと、入れる人の基準収入は年にして大体百七十万四千円、月にしますと十四万二千円、こういうような基準なんです。先ほどの木賃アパートの例もございます。こういうような木賃アパートの人が、公的住宅ではあるけれども公団の分譲住宅にさえも決して入れないというのは、どういうふうにごらんになりますか。
  127. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のとおりだと思います。私が申し上げているのは、個々のサラリーマンの方々が自分の努力だけで持ち家を持てというような意味ではないのでございます。先ほど申し上げましたように、企業自分の従業員に対して持ち家政策をするために協力してほしい、これは一部でやっておりまして、かなり成功をおさめているものもありますので、そういう意味で協力してほしいということが一つ。それからもう一つは、民間の金融機関がかなり住宅ローンを始めてまいりました。ところが、これには保険制度が十分にないために、かなりの隘路になっておるようでございます。その住宅ローンに対する保険制度をつくりまして、それに対する政府保証というような道を講じますれば、民間の金融によってかなりの持ち家が進み得る条件が整ってくるであろう。これについては金融機関とも相談してみたら、かなりの可能性があると言っております。それからもう一つは、現在のような状況においては、大工さんが非常に足りなくなってきました。そこで住宅産業を工場生産化する、工業化する。そうして所得に応じてセットを継ぎ足していくような制度も考えていくというような、総合的なことをやってまいらないと、先ほど何回も繰り返して申し上げましたように、住宅需要を全部公的資金、端的に申し述べますれば税金でこれを充足しようとすると非常な長期の時間がかかります。住宅政策をやれば、あとは何でも、他の道路なりその他もやらないでいいというわけじゃありませんから、そこで私はそういう方法考えつつ、しかもいま御指摘のような木賃アパートにおって、非常に人間生活として適当でない人たちには、重点的にいまの公的資金による賃貸、これをやる。やがて漸次持ち家に持っていくという方法をとらざるを得ないだろう、こう申し上げているわけであります。
  128. 浦井洋

    ○浦井委員 もう少し上の層の例を一つ申し上げてみたいと思うのですが、たとえばいま銀行の住宅ローンというお話が出ましたけれども、ここにこういう一つの例があるわけです。住宅信託の昨年の十二月の調査なんですが、東京で五十人、大阪で百人の方をアンケートで調べておるわけです。そうしますと、平均して年齢が四十一歳、そうして年収が百六十万円で、その人たちは平均して三年間で頭金四百三十万円を積み立てて、そして銀行から住宅ローンとして三百万円を借りて入っているわけです。その結果、大体年々四十万円平均返していかなければいかぬ。大体年収の四分の一、二五%に当たるわけです。それが数年ないし十数年続くわけです。その百人の意識調査でございますが、こういう状態をどう思うかということに対して、やや苦しい、たいへん苦しいという人の合計が、これも七一・五%ある。これは余談でございますけれども、そういう人は東京では食費を切り詰めているし、大阪では着るものを切り詰めて、苦労してお金を返しておる。これが、一つの例ではございますが、実情でございます。非常に苦しい。こういうようなのはどうですか。
  129. 根本龍太郎

    根本国務大臣 それば現実であろうと思います。
  130. 浦井洋

    ○浦井委員 それで私、実は先ほども申し上げたのですが、医者になってからずっと十五年間、神戸の生田川地区で病院をやっておるわけなんでございますけれども、その中でほとんど毎日のように、いろいろ住宅に基因するところのトラブルを見るわけです。住宅さえ満足にあれば病気もなおるし、つまらぬストレスも生じないという例をたくさん見るわけでございます。たとえば、ここに一、二持ってきたわけでございますけれども、大正十年生まれの寡婦でございますが、六畳一間に本人と子供四人が一緒に住んでおる、主人は結核で死亡して、そして奥さんから子供全員結核にかかっておる、こういうような悲惨な例もございます。それから、これは改良住宅でありますけれども、家族五人で十畳半に住んでおる、そしてその中で主人と子供が肺結核にかかっておる、こういうようなこともございます。それから、最近私、経験したのでございますけれども、四十歳くらいの患者が血圧が高いということで来診をいたしまして、入院させますと、薬も使わずにすぐ下がったわけであります。ところが退院させるとまた上がるということで、往診もし、看護婦もやっていろいろ実情を調べてみますと、何と六人が三畳一間に住んでおる、こういう状態であります。もう一つ資料を申し上げますと、国立療養所東京病院、国立の病院でありますが、内科医長の先生が、結核の感染について家族内感染ということで簡単に書いておりますが、結核の発病率を調べると、生活条件、特に住宅の影響が大きいことがわかります。アパート住まいで、数人の家族が狭い部屋に密集して生活しておる世帯では、余裕のある住居の世帯より感染発病率が高いという、これは当然のことであります。  こういう状態で、決して住宅ばかりが病気を悪くしておる原因であるというふうには言えませんけれども、相当な部分がやはり住宅に由来するというふうに考えざるを得ないわけでございます。そういう点で、もう一度お伺いしたいわけでございますけれども、先ほど阿部さんも言われましたように、国の政策の結果として人口が都会に集中して、住宅の需要がつくり出されておるわけでございますから、当然国としても勤労者に対して、低家賃の住宅をいまよりももっともっと多く保障すべきではないかというふうに私考えるわけです。それが一つ。それと同時に、低所得者といういまの公営住宅の狭い概念、こういうものをもっと拡張して、勤労者に対して安くて住みよいような住宅を国や自治体が保障するという方向に、もっと公営住宅法などを発展させなければならぬ。これこそが、現在の住宅難を解消する基本的方向ではないかというふうに私信ずるわけでございますが、大臣、どうでしょう。
  131. 根本龍太郎

    根本国務大臣 考え方としては、そういう方向に進んでおるつもりでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、これは建設省施策だけではなかなかいかないところの隘路がありまするのでたとえば、先ほども申したように、公的機関による公営住宅をやる場合において、いままであるものをこわしてもう少しよいものにしようというときに、入居者の理解がないために非常な抵抗があったり、あるいはまた、新しいところにそういうものをつくるという場合において、地方自治体がそうした住宅を集中的に引き受けることによって、他の公共投資を非常にしなければならぬ、それが現在のところでは十分にないということでかえって拒絶される、こういう問題があるのでございます。したがいまして、先ほど申したように税制の面その他、地方自治体と住宅を建設するほうとの間の、もう少し理解と協力関係が必要であろうと思います。そうしたものを踏まえて、いまの低所得者の方々の住宅を充足することについては最善の努力をしたいと思います。と同時に、先ほど申したように、それ以外のかなりの大きな企業体においては、できるだけ持ち家政策を会社の一つの経営方法の中に入れていただいて、そして、できるだけ住宅をそれらの人々が持てるような政策をとることもまた必要であろうから、それも勧奨していきたい、こういうことでございます。
  132. 浦井洋

    ○浦井委員 時間がありませんので、次に、公営住宅の質の問題で一つ伺いしたいのですが、結露問題というのは御存じですか。
  133. 大津留温

    ○大津留政府委員 鉄筋アパートなどで、特に新しいうちは壁に結露と称しまして水滴がたまる。それが押し入れの中などにそういった現象が出ますので、収納しておる衣類などがぬれるというようなことが見られます。
  134. 浦井洋

    ○浦井委員 そのとおりなんでございますけれども、神戸の兵庫区で、ずっと北のほうに現在団地がたくさんでき上がって、たしか建設省から模範団地であるというふうにいわれておるわけなんですが、そこでもごたぶんに漏れず、結露問題が起こっておるわけでございます。いま言われたように、外が寒くて中があたたかいということで、天井やら、押し入れの天井まで水滴がたまって部屋にも落ちてくるし、それからふとんの中にどんどんと水がしみ込む。それをほっておくと青カビが発生するというようなことで、非常に住民が迷惑を受けて騒いでおるわけでございますが、これを防ぐのはどうしたらいいのですか。
  135. 大津留温

    ○大津留政府委員 いろいろいわゆる内装、壁の仕上げ等も研究しておりますし、それから換気をよくする、そういうことでくふうはしておりますけれども、まだこういう現象を安全に除去できるというまでに至っていないような現状でございます。
  136. 浦井洋

    ○浦井委員 これは、天井のすぐ上側くらいのところに穴をあけて、湿気を外に発散させると簡単に防げるというふうに私は聞いておるのですが、それで間違いないですか。
  137. 大津留温

    ○大津留政府委員 そういう建築工学のことは、ちょっと私不得手でございますが、おっしゃるように、換気が一つの重要なきめ手だとは思います。天井に穴をあけるというところまではよく存じません。
  138. 浦井洋

    ○浦井委員 原因がはっきりしないというお答えでございますけれども、やはり工事にどこか手抜きがあるために起こるのではないか。それは、起こってないところもあるわけなんですから、隣の県営住宅、市営のほうは起こっているわけです。そういう点で、市営のほうが非常に——非常にといいましても、簡単なことで直るというふうに私は聞いておるのですが、それさえも怠っておるというふうに考えざるを得ないわけでございますが、これもやはりもとをただせば、大臣がずっと前の質問に答えられたように、自治体の超過負担の問題に関連してくるのではないかというふうにも考えるわけです。  兵庫県の超過負担の住宅について言いますと、一種住宅で補助率五〇%のところが三八%、二種が六六%、三分の二のところが四九%ということで、相当の超過負担になっておるわけでございますが、この現状について、大臣どういうふうに考えておられますか。
  139. 根本龍太郎

    根本国務大臣 超過負担の問題はだいぶ前から言われていることでございまして、できるだけこれを解消する努力をしておるつもりでございます。ただ、この単価の計算にあたりまして、地域的な差が非常にあるんですね。東京とか神戸とか大阪のほうは非常に単価が高くなる。その上に、より質のよいものをつくろうというまたあれが出てきたりして、いろいろあるようでございます。  今日までどの程度の超過負担を解消する努力をしたかについては、事務当局から御説明いたさせます。
  140. 大津留温

    ○大津留政府委員 いわゆる超過負担、四十三年度で全国平均いたしまして、工事費で二二・一%ございます。しかし、これは予算で認めました単価と実際に工事をいたしました単価との差という点だけを申しますと、四・七%あります。そのほかに、いわゆる実施上構造の変更をする、つまり予算では、簡易耐火二階建てという予算しかこちらも割り当てられないけれども、事業主体のほうでどうしても中層耐火建築をしたいということで、簡易耐火構造の予算で中層耐火のものをつくるという、そういう構造変更による超過負担が実は九・六%ございます。それから、事業主体のほうで、自分のほうの負担で面積を幾ぶん広くする、まあ一坪なりそこらの面積を広くしたためによる持ち出しというのが七・八%あるのです。それで、予第に認めました単価が実際の工事費に足らないということでははなはだ申しわけないというので、これは三カ年計画で解消しようということで、四十五年度の予算におきまして、その分は一応解消するという予算にしております。  それから、いまの構造変更による超過負担というのは、事業主体のほうから中層耐火を希望するけれども、予算上、中層耐火の数が少なくて、簡易耐火の割り当てしかできないというようなところに原因がございますので、四十五年度におきましては、中層耐火または高層をふやしまして六一%にいたしました。  また、面積が狭いから自分の負担でやや広いものをつくるということを解消するために、四十五年度におきましては、公営住宅一種、二種とも、中層耐火におきましては三平方メートル、それから高層につきましては七平方メートル面積をふやしたわけでございます。  そういうことによりまして、四十五年度は相当改善されるものとは考えておりますけれども、なお若干そういうものが残ろうかとは思いますが、できるだけこれは解消していく努力をいたすつもりでございます。
  141. 浦井洋

    ○浦井委員 超過負担の問題、もっとお聞きしたいのですが、その問題と、それからきょうは宅地の問題もお聞きしたがったわけなんですが、時間がございませんので、次の機会に譲らせていただいて、最後に一問だけ大臣にお聞きしたいわけなんです。  やはり私は、先ほどから主張しておりますように、低家賃の公営住宅を中心とした公的資金での住宅を大量に建てることが、現在の住宅難を解決する一番の——まずそれをやらぬことにはなかなか解決しないというふうに考えております。私ども共産党は、具体的には、年間百万戸以上の公営住宅を中心とした低家賃住宅を建設する必要があるということで、政府に対しても予算要求を提出しておるわけでございます。こういう決意でおるわけでございますが、最後にもう一ぺんこの点についてお答えを願いたい。
  142. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先ほど申し上げましたように、政府といたしましても重点を入れるところは、御指摘のような低所得者の公営住宅に重点を指向してまいるつもりで、今日までやってきておるわけでございます。
  143. 浦井洋

    ○浦井委員 一般勤労者はどうですか。
  144. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これも労働省と綿密な連携をとりながら、労働省がやっておることと政府——政府といいますか、建設省でやっておるものと、あわせて重点的に指向してまいるつもりでございます。      ————◇—————
  145. 金丸信

    金丸委員長 内閣提出、河川法施行法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  146. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、河川法施行法の一部を改正する法律案について質問をいたします。  まずお尋ねをいたしますが、今度の新河川法は、水系主義というものを中心にしておるわけであります。この水系主義というのは、水源から河口まで一貫して管理をするというのが原則であります。ところが、御承知のように、依然として区間主義がとられております。中小とかあるいは小規模河川あるいは都市河川というように、重要河川についても一貫した国の施策というものがとられておらないように見受けられます。その問題については、御承知のように今年度の三月二日、行政管理庁が建設省に対して、そのことについてはきびしく指摘をしておるところであります。ところが、さらに振り返って調べてまいりますと、昭和四十一年十月、同じように行政管理庁が河川管理に関する行政監察結果に基づく勧告というものを出しておるわけでありますが、内婚約には何ら改善されておらない、同じような勧賞瞳されておるのであります。こういう問題について、建設大臣は、この水系主義に立った一貫的な管理を行なう責任という問題に対してどのように考えておられるか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  147. 根本龍太郎

    根本国務大臣 水系の一貫管理ということは、一つの管理者が全部をやらなければならないという狭義に解さなくてもいいのではないかと思っています。河川水系について基本計画が統一的に制定せられまして、ただそれを所管する者があるいは都道府県知事に委任したり何かすることがあっても、全体として体系的に河川の管理並びに改修ができればしかるべきかと存じます。  なお、行政管理庁からの指摘の点については、十分考慮してやってまいりたいと思っております。
  148. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは建設大臣に覚悟のほどをお聞かせいただきたいのですが、同じような行管からの勧告を河川に関する限り再び受けるようなことはない、こういうふうに明確にお答えをいただきたいと思います。私が答弁を教えておるようでありますけれども、覚悟のほどをお聞かせいただきたい。
  149. 根本龍太郎

    根本国務大臣 たいへん御親切な御提言でございまして、そのように努力いたしたいと思っております。
  150. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この前質疑を保留しておきましたが、御承知のように、森林法、砂防法、河川法という三つの治水三法という法律があるわけでありますが、この法律が重複しながら、しかも調和を保ちながら治山治水というものが進行していくことは御承知のとおりです。ところが、森林行政との調整というものが治水面でうまく調和を保っておらない、こういうふうに思うのです。そういう意味から、この森林法、砂防法、河川法という治水三法に対して一貫した統一ある行政というものが組めるように、総合的な政策についての具体策をお聞かせいただきたいと思います。
  151. 根本龍太郎

    根本国務大臣 過去においてそういう事例があったことは、私自分の選挙区でもよく承知しております。現在は、林野庁所管建設省所管は緊密な連携をとってやるようになりまして、だいぶ改善されておるように聞いております。なお、昨年これについて林野庁に対して申し入れをして、緊密な連携のもとに遺漏なきを期しておる次第でございます。
  152. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 さらにお尋ねいたしますが、この前も御質問をいたしましたけれども、河川行政というものの建設省の中に占める位置づけがだんだんと低下してきておる、こういうふうに感じられてならぬわけです。特に、この前の質問でも申し上げましたが、第三次治水事業五カ年計画で本年度を入れて四六%しか進捗しないのです。これば金額的にですよ。ところが、残りの五四%が四十六年度ないし四十七年度で完成できるのかどうか、そのことをもう一ぺんお聞かせいただきたいと思います。  それと同時に、いままでの治水計画というのは、金額的、財政的にだけ進捗率が出されておって、具体的に危険個所に対する工事の実質的な計画に対する進捗率というものは出されておらぬと思うのです。だから、治水事業というものは、十カ年計画が途中で改められ、さらに途中で改められるという形が出てくると思うのですね。こうした問題について、建設大臣のほうから明快にお答えをいただきたいと思います。
  153. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御指摘のように、河川行政の建設省所管の全体の予算の中に占める比率が減ってきておることは事実でございます。これは社会、経済発展の過程において起こったことでございまして、従来に比べて道路需要が非常に多くなったということ、あるいは都市化現象に伴う都市の再開発、あるいは先ほど諸先生から御指摘になりました下水対策等、緊急の問題が出たために、予算的に見て確かに比率が低下したということは事実だと思います。しかし、これは河川行政をないがしろにするとかあるいは軽視しているということではないのでございます。  それから、次に御指摘になりました、従来の河川計画の報告が、事業量あるいはまた改良の実質よりも予算だけでいっているのは必ずしも適当じゃないのじゃないかという御指摘です。これは確かに今後十分に御意見を拝聴して善処しなければならないことでありまするが、従来ややもすれば、みんな計画の進捗度を一番わかりやすく端的に表現するのが事業金額であったから、そういうふうな状況にとられがちだと思います。  それから河川事業がいまのままでもって非常に計画よりおくれておる、本年度並びに来年度においては相当の予算措置を講じなければ、これが充足ができないであろう、そのとおり私も思っております。その意味において、われわれといたしましても財政当局に対しては、これは前に計画されるときから当然予測したことであるから、財政事情いろいろ困難なことがあるだろうけれども、協力してこれを充足するように、本年の予算編成のときにもあらためて実は私が大蔵大臣に申し入れているところでございまするが、大蔵大臣も、わかることはわかるけれども、なかなかそういって、まだ現在の段階において、明後年までに完全に予算措置を裏づけしてもらうという段階までは至っておりません。今後一生懸命努力するつもりでございます。
  154. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 さらにお尋ねいたしますが、治水事業の長期計画というものが具体的に用意されておりますか。さらに、治水事業にこれから必要とする財政はどれくらいになるのか、それを知っておられれば明らかにしていただきたいと思うのです。
  155. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは先ほどの御質問にも関連いたしておりまするが、長期の見通しというものがあっても、なかなか計数的に言うことは非常にむずかしいと思います。現在一応の事務当局考えておるものがありまするが、参考までに事務当局から御説明いたさせます。
  156. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えします。  昭和六十年度を目標にしまして、経済社会発展計画あるいは新全総計画等とバランスをとりまして、昭和四十三年度以降二十三兆ということで長期計画を立てております。その第一期といたしまして、四十三年度以降二兆五百億ということで進んでおるわけでございます。
  157. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 御承知のように、昭和四十四年度の建設白書が出されております。いま手元に持ってきておらないんですが、できればこの建設白書の説明を、機会があれば政府のほうからしていただけばたいへんありがたいと思うのですが、この河川の項に、毎年災害が平年度三千億あると、こういうんです。災害が少なかった昭和四十二年度においても一千七百億の被害が出てきておる、災害がある、こういうふうにこの白書では指摘をしておるわけです。そういうことになれば、この前にも話をいたしましたように、水を治むる者は国を治むというほど大切な治水事業でありますから、いま言われた二十三兆の長期計画に対しての財源措置というものは、たいへん重要な国民生活に影響を与える財源だと思うのです。そういった面について、この二十三兆という長期計画について、あるいはこれが試算であってまだ具体化されておらぬと思いますけれども、これに対しては責任をもって、白書に指摘したとおり、こうした災害を繰り返さないためにも努力をするということについて確約できますか。
  158. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは一生懸命に検討してみたいと思っています。道路は特定財源がございまして、また長期計画についての財源の裏づけが、わりあいに、河川よりはまだいいと思います。ところが、河川のうち特に災害等につきましては、特別の特定財源を設けることは非常に困難でございます。かろうじて多目的ダムの、御承知のような上水道等に対する、あるいは工業用水に対する料金を特定財源とすることは可能でございまするけれども、治水関係と災害になりますと、特定財源を設けるということは技術上非常にむずかしいのであります。したがいまして、これは大部分が一般会計から繰り入れなければなりません。そういう観点から今後十分に検討しまして、安定的な長期並びに中期計画を樹立するために努力いたしたいと思う次第であります。
  159. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 これは具体的な例としてお尋ねをするんですが、いま多摩ニュータウンが、たいへん大きな規模で宅地造成、住宅建設が進むわけであります。しかし、ある学者の説によりますと、治水というものが全く顧みられておらないという批判を聞くわけでありますが、こうした住宅建設にあたっての治水行政との関連ですね、計画的な治水対策、こういったものが具体的に計画の爼上に出されておるのかどうか、そういう点についてお尋ねをいたします。
  160. 根本龍太郎

    根本国務大臣 私が聞いておるところでは、ああいうふうな総合的な、かつ広域におけるニュータウンのときには、十分に災害、これは考えておると報告を受けておるのでありますが、事務当局からその点について説明いたさせます。
  161. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えいたします。  多摩ニュータウンのような地域開発あるいは都市化の急に進展した地域につきましては、都市河川ということで特に重点を置いておりまして、多摩ニュータウンにつきましては、具体的にはあの中に大栗川、乞田川という二河川があります。これは開発主体の負担金といいますか、そういうものも含めて総合的に考えて、重点的に事業が進むように、決して河川事業がおくれてそういった事業の進捗に支障を来たすということのないように努力いたしたいと思います。
  162. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大臣並びに局長がお話しになりましたように、治水というのは道路財源のように目的税というものを取ることができない、ほとんどが一般財源にたよるという悪い条件があることは事実です。しかし、お話しになったように、たいへん重要な問題なんです。そういう重要な案件であるにかかわらず、今回の河川法施行法の一部を改正する法律案によって、従来の四分の三の負担を一部の大規模工事に限定をして、施行法の一部を改正するという方向を出されたのはどういう理由ですか。
  163. 根本龍太郎

    根本国務大臣 御承知のように、本法で四十五年をもって特例法廃止ということに法定されておるのでございます。本来ならば、特例法の期限と同時に自動的にそうなるのでございますが、そういたしますれば非常に地方の負担が大きくなって困るということで、これはかなり大蔵省の抵抗がございましたけれども、暫定的に、大体五年をめどとして、大きな工事あるいはダムの建設と、金額の相当大きいものについては従前どおりに補助率をそのままにしておきまして、自余のものを、特例法は時限立法でございますから、これはやむを得ず地方で負担する、ただし、これは自治省とも十分に連絡をとりまして、その負担分については地方財政でめんどうを見るということによって、事業執行には支障なきを期しておる次第でございます。
  164. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 いま大臣が、地方交付税の中で支障のないように財源を見る、こういうことでございますが、いただきましたいわゆる従前の特別措置の対象事業と同一の事業についての試算で百四億、今回の特例措置の対象事業について四十三億、差額六十一億が実質的な地方の負担、こういうことに計算上は出てまいります。これが今度の地方財政計画の中で見てありますか。
  165. 根本龍太郎

    根本国務大臣 事務局同士でその点を相談いたさせましたので、河川局長から説明いたさせます。
  166. 坂野重信

    ○坂野政府委員 大臣おっしゃいましたように、自治省と事務的に連絡いたしまして、地方交付税の算定をいたしまして県に交付する際に、この法律がはっきりいたしますれば、それによって六十一億についての事業費調整というものを自治省でも考えてまいりたいというぐあいに申しております。
  167. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 その金額は確認しておられますか。
  168. 坂野重信

    ○坂野政府委員 詳細につきましては、まだ今後の作業になりますので、今後十分自治省と打ち合わせていきたいと思っております。
  169. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 河川局長に、事務局のレベルの問題ですからお尋ねをいたしますが、やっぱりこの河川法施行法の一部を改正する法律を審議する前に、そういった具体的な資料というものはおそろえになったほうがわれわれとしては審議がしやすいと思うのですが、どうですか。
  170. 坂野重信

    ○坂野政府委員 原則的な了解がついておりますし、自治省のほうでもおそらく数字はある程度つかんでおろうと思いますので、 できるだけ早急に、先生の御必要の資料につきましてはそろえたいと思っております。
  171. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私が調査した資料がここにありますけれども、それでは次回の当委員会に、地方財政計画の中の河川計画について、事務局のほうから御報告をいただきたいというふうに思います。
  172. 坂野重信

    ○坂野政府委員 所管が自治省の問題でございますので、自治省のほうから直接答弁するように連絡しておきます。
  173. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 私は初年兵議員でありますから、過去のいきさつのことは、あまり先輩の先生方と違ってわからないわけです。それで、いろいろ過去の速記録あるいはその他を読ませていただきました。この新河川法が決定をされるときには、たいへんな閣議における各省間の意見調整が行なわれておるわけです。その場合に、管理権が、知事管理から国に移管をされるのだから、当然国家管理という原則に立つなら全額国庫が負担をせよという自治省側の意見と、道路と同じように当然これは受益者負担ということで、一部は地元が負担をすべきであるという大蔵省の意見とが、最後まで調整がつかずに、なくなられました池田元総理の裁断で、十カ年計画中は四分の一、こういうふうに特例が設けられたというふうに記録に残されておりますが、間違いありませんか。
  174. 坂野重信

    ○坂野政府委員 総理裁定で、そのような趣旨のことが行なわれておることは事実でございます。
  175. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そしてさらに、治山治水緊急措置法、治水十カ年計画昭和三十五年十二月二十七日から始まりまして、前期で三千六百五十億、後期で四千八百五十億、計八千五百億の治水事業に入っております。ところが、実質、前期で四千三百十七億と、もうすでに計画の一八%も上回ってしまったために、物価高あるいは緊急災害、こういった問題から支出がかさんで、昭和四十年度を初年度とする治水五カ年計画にこれを改められて一兆一千億、さらに昭和四十三年度を初年度として治水事業五カ年計画、今日の二兆五百億、こうした計画変更が行なわれてきておるわけでありますけれども、間違いありませんか。
  176. 坂野重信

    ○坂野政府委員 そのとおりでございます。
  177. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 そうだとすれば、この施行法の一部改正についての負担金の問題は、当然第一次の計画改定の際に改めらるべきであった、こういうふうに思いますが、その点はどうですか。
  178. 坂野重信

    ○坂野政府委員 先生先ほどおっしゃいましたように、総理裁定がございましたが、ちょうど五年ということで、河川法の施行法で本来的に三分の二とすべきところを四分の三とやったのが、ちょうどたまたま十カ年計画の前期を終わったところで、あと五年残っておるというところでたまたま符合したので、五年ということ、五年たてば財政、地方財政の状態あるいは国家財政の状態も相当変貌するであろうということも予想されて、まあとりあえず五年ということは、たまたまそういう十カ年画計があったので、それと歩調を合わせて五年ということで、五年間の暫定期間ということがきまっておるわけであります。そういうことで、緊急措置法等によらないで、河川法の施行法ということで五年間の暫定期間を見たわけでございますので、本来的に緊急措置法ではなくて施行法というもので来ておりますので、施行法は本年の三月三十一日の時点において終わるので、施行法の延長ということを考えたわけでございます。
  179. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それではお尋ねをいたしますが、かりに今度、この提案説明によりますと「地方財政に急激な影響を与えることとなるので、これを緩和し、」云々と、こういうふうに書いてあるわけでございますけれども、今回の措置によって四分の三を一部の大きな工事に限って負担することによって、地方財政には影響を与えないというふうに判断をしておられますか。
  180. 坂野重信

    ○坂野政府委員 全面的に一級河川の改良工事が四分の三から三分の二に下がりますと、百四億の差額が出るわけでございます。それだけ地方財政のほうに負担がかかりてくるということで、できるだけそれを最小限度にしたいという観点から、ダムの工事並びに河川工事の中で大規模な、集中的に投資をする必要がある、そういう集中的な投資をすれば、どうしてもその分だけ地方の財政というものに負担がかかってくる、そういう意味合いから負担を最小限度に食いとめたいという考え方で、そういう特例的なものが考えられたわけでございます。
  181. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 今度のこの措置によって、これはあまりいい例ではありませんけれども、私の選出県でございます宮崎県の例にとりますと、この特例措置がなくなるとどうも二億の持ち出しになるのです。これが実質的に、先ほど言いましたように大きなダムに関する工事等の経費がこれによって救済されますから、その差額が約七千万から八千万の、実際に地方財源のしわ寄せになるわけなんです。ところが、地方交付税の伸び率が確かに一八%から二〇%あるから、地方財源が豊かになったからということではありますけれども、実際に宮崎県のようなところをとってまいりますと、この措置によってたいへんな被害をこうむるわけなんですね。ですから、こうした例を考えてまいりますと、今後の地方財政に与える影響、今後の地方財政に対する計画、この河川に関する限り建設省のほうから、そういった問題についてどのように処置をされようと思うのか、具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  182. 坂野重信

    ○坂野政府委員 御指摘の宮崎県の場合も、四十四年度のベースでいきますと、かりに全部が三分の二に下がったということに計算しますと、二億四百万でございます。そういう数字が四十四年度の実績で出ております。これを、今度の特例を採択して幾らに下がるかということ、今後の予算の個所づけ等もまだ決定しておりませんので、数字がだんだん出てまいりますけれども、その差額分につきましては、先ほど答弁いたしましたように、地方財政の問題として交付税その他で自治省のほうとも十分連絡をとりまして、地方財政の圧迫が及ばないような措置を講ずるように、十分協議してまいりたいというふうに考えております。
  183. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 ここに「五年を下らない範囲内において政令で定める」云々と、こうありますけれども、「五年を下らない範囲内」でというこの期間は、大体何年なんですか。
  184. 坂野重信

    ○坂野政府委員 一応五年ということにしております。
  185. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 さらに計画を変更して、延長するということが考えられますか。
  186. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えします。  政令では一応五年ということになろうかと思いますが、五年たった時点におきまして、国家財政あるいは地方財政等の状況によりまして、また国としてそれを継続するかどうかという問題につきましては、その時点で判断されることと思います。
  187. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 それでは、ここに書いてある「五年を下らない範囲内」というのは五年、さらに計画の変更もあり得るというふうに理解してよろしいですか。
  188. 根本龍太郎

    根本国務大臣 これは、原則としては五年で終わるということでありまするけれども、その時点になりまして、地方財政が非常に困難である、それに対して国家財政がかなり余裕があるという時点になりますれば、その時点においてあらためて大蔵省、自治省と折衝して、これを一部変更して延長するかどうかを考えようという、そこに若干の余裕を持ってこういうふうにいたしたのでございます。実はその意味で、政令で五年といわずに、当分の間としたらどうかという案があったけれども、当分の間というと、そこに非常にかえって不明朗な形になるから、一応五年で切ろう、そのかわりその時点においては、もう一回わがほうからもその時点に立っての主張をすることがあるんだよということを、実は大蔵大臣にも自治大臣にもこれは言っていることでございます。
  189. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この前、第四十六回国会の建設委員会における兒玉委員の発言に対する河野国務大臣答弁について大臣に御質問いたしましたが、あらためてもう一ぺんお尋ねをいたします。  三十九年の五月二十六日、これは参議院の建設委員会における河野建設大臣答弁を抜粋いたしましたから、読み上げます。「もう一ぺん申し上げれば、補助率からいっても、三分の二、二分の一であったものを、今度四分の三に引き上げておる、それで四分の三というものは、まず平時においてはマキシマムであろうということで、その最高の四分の三まで引き上げた。そして、それによって災害をすみやかに防除して、そうして災害を未然に防ぐことにひとつ大幅に拡張していこう。少なくとも、従来の河川行政十カ年計画なり五カ年計画をさらに大幅にこれを繰り上げて、そして河川改修についても、ひとつ積極性を持っていこうということを考えておるわけであります。」という答弁をしておられるわけでありますが、この河野建設大臣の今日の河川法が通るときの答弁に依拠して、この河川法施行法の一部を改正する法律についてどういう関連でお考えになっておるのか、もう一度お聞かせをいただきたいと思います。  きょうはこれだけですけれども、まだあるのです。
  190. 根本龍太郎

    根本国務大臣 先日もそのお話が出ましたが、河野大臣はそのときにはそう考えておったと思います。そのままその河野さんのことばは生きておるのでございます。速記に残っておる。しかし、現実河野さんの実力をもって、これはどうしてもその趣旨を貫くというならば、本法を改正していただければ非常にありがたかったと思います。しかし、それは政治家でありますから、全体として河川法がそう明定される限り、しかも当時は非常に災害が多かったものだから特例法によってその補助率を上げたという、これは河野大臣の災害並びに河川改修に対する熱意のあらわれと私は解釈しております。ただし、現在においては、先ほど以来申し上げましたように、立法上すでに時限が来ておるものでございます。それから、当時より見て地方財政もかなり豊かになってきていることも事実であり、しかもまた、現在においては、補助率もさることながら、事業量をぜひ拡大してほしいということが実は関係自治体からの切なる要求でもございます。その意味におきまして現在は、政治はある意味において妥協でございまするので、事業量を拡大しつつ、しかも地方負担を急激にふやさないという観点に立って、今度の河川法の改正になったということでございます。
  191. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 河川局長にお尋ねをいたしますが、この前も法定外河川、これの総延長については資料として出されておらない。まだ調査も市町村の協力がないからできておらないということでしたが、具体的なものがここで出てこないと思うのですが、私が知っておる範囲内においては、原始河川、原始のままの河川に放置されておるところが非常に多いと思っておるのですが、河川局長はどう思っておられますか。
  192. 坂野重信

    ○坂野政府委員 ちょっと、誤解があってはまずいので……。  御承知のように、河川では私どもは一級河川、二級河川——一級河川は直接建設大臣が全面的な責任を持ってやる、二級河川については都道府県知事がやるということで、二級河川だけでもいま十万キロぐらいの延長はあるわけでございまして、その一級河川、二級河川の中で実際に治水事業の行なわれているのは確かに何%ということで、進捗がいっておらない。明治以来営々としてやっておりながら、まだまだ、先ほど申し上げましたように、今後にやる必要があるのは六十年までに二十三兆と踏んでおるわけでございます。  一方、その他の普通河川ということになりますと、その中で一部市町村長が管理しているものもございますが、いろいろまちまちでございます。下水道としてやっているものもあれば、あるいは農林省の土地改良でやっておるものもある。あるいは何にもやっていないもの、およそ上十万キロぐらい、地球の五、六周ぐらいの全延長になると思いますが、とてもそこまでは私どもは手が届きません。しかし、災害が起きるような重要なところについては逐次実態調査を数年前からやっておりますので、だんだんそういうものについて必要なものは二級河川に格上げをして事業をやっていく、かように考えております。
  193. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 大臣にぜひ御理解をいただきたいのですが、いま地方自治体では、河川に関する限り逆の現象が出てきておるのです。逆に言うと災害が来いということなんですよ。災害が来ますと、災害復旧の三分の二をいただいて、それにプラス二分の一の改良を加えて工事が進む、復旧が進む、こういう状態をたどっておるのです。だから逆から言うなら、台風によって被害を受けたその被害のあとを行政というものが追っかけていくというような状態になってきておるのが現実なんです。だから、先ほど大臣が言われたように、地方財源が一八%から二〇%近く伸びたから地方財源が豊かになったから、河川行政は地方にまかせても進むだろうというふうに理解をされると、現状としてはたいへん地方住民は迷惑をする——というのはことばが言い過ぎかもしれませんが、たいへん被害を受けて困るのは国民なんです。だからそういう面からするなら、やはり河川というのは、先ほど私が申し上げましたように国家管理の原則ですね、二級河川は都道府県知事という今度の新河川法の基本的な原則、こういうものを踏まえていくなら、少なくとも国家管理の部面については、やはり全額国庫で見るというのがほんとうの姿勢であって、しかし、それが道路と同じように受益者負担で一部は地元が負担をしなければならぬという原則があるとするなら、河野建設大臣が言っておるように、従来の四分の三というものをこれからも堅持する、大きな工事に限らずにこれからも堅持するというのが私は正しい原則だと思うのです。わが党はそういう意味で修正案を用意するつもりですけれども、この際、法案を提案された大臣でありますから、私の意見に賛成するはずはありませんけれども、いま言った地方の市町村の状況というものをぜひ御理解いただいて、善処をしていただきたいというふうに思います。  そこで、あと質問者もおられますから最後に質問申し上げますが、具体的な名前は申し上げませんけれども、同じ建設省の中で道路がかさ上げをされる。国道が拡幅されてかさ上げをする。暗渠が小さいために、いままでスムーズに流れておった河川がはんらんをするという例が出てきておるのです。そういう状況について、やはり国道が改修される場合には当然河川というものも付随して改修されなければならぬと思うのですけれども、その関連性についてどういうふうにしておられるのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  194. 坂野重信

    ○坂野政府委員 お答えします。  道路のそういう橋梁の問題、あるいは暗渠等の問題につきましては、私ども同じ建設省の中でございますので十分連絡をとっておるつもりでございますが、ただ、その工事の進捗のぐあいによって、道路のほうが先にできて河川があとになったとか、あるいは逆の場合等もございますが、やはり河川としては上流、下流全体的に見ていかなければなりませんものだから、道路のほうを先にやってしまいますと、今度はその次の下流のほうが被害を受ける、そういうような複雑な事情がございますので、先生御指摘の河川も想像できますが、十分先生の意図を体して、河川の上、下流のバランスをくずさない範囲でできるだけ善処するようにしてまいりたい。しかし、こういった問題が今後起きました場合には、できるだけその場合場合に応じて是正するようにしていきたいと思います。
  195. 松浦利尚

    ○松浦(利)委員 この問題につきましては、さらにわが党の各委員から質問する予定でありますけれども、ぜひ河川という問題が住宅、道路都市問題、こういった陰に隠れてしまわないように、この際建設省の治水、河川に対する積極的な行政指導を切に期待をし、またお願いをして、私の質問を終わります。
  196. 金丸信

    金丸委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十六分散会