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根本国務大臣 非常に
基本的な御
質問でございまするので、まず総合的な
考え方から申し上げます。
阿部さんの
指摘されたのは、まず第一に、私の
構想は、要するに民間資金を活用するという点は住宅政策その他において、いわば
一つの後退を
意味することではないのかというふうなとり方でございますが、私はそうは思っていないのでございます。なぜかと申しますれば、住宅にしろ、
道路にいたしましても、公的な資金だけで現在
国民が要望しておる住宅を満足に充足せしめることは、実情から不可能でございます。なぜかならば、一方においては大いに減税せよという強い要求があるときに、結局税金で
措置しなければならない住宅を要望する
人間がますます多くなる。そうしますと、財源の点でこれは行き詰まってしまいます。そこで、現在私
たちが
考えておりますのは、たとえば現在、
高度成長下において相当の
企業が年々相当の収益をあげております。しかもそのリターンは、ほとんど賃金だけにいっておる。賃金が上がると、これは購買力が多くなりまして物価上昇に引き続いていく。そこで、民間資金の活用のしかたにおいても、
企業自体において持ち家政策を大いに推進してほしい、そうした場合に、そのための資金に対する財投でめんどうを見る、あるいは税制上の優遇
措置を講ずる、あるいはこれも税制上でございまするが、一部を経費として認めるというようなことにいたしますれば、
企業がこのように相当に充実しておるときには、これによって
相当程度の住宅が、あるいは持ち家となり、あるいは社宅ということになって解決されていくのが相当ございます。それから
国民所得が相当ふえておる今日におきまして、住宅ローンが相当進んでまいっております。この住宅ローンに対して保険制度を設けますれば、それだけ安全な投資になり、同町にまた、
都市銀行、
地方銀行もこれに対して融資をするということになりますれば、
政府施策でできないところのものが相当民間の力でこれが活用されていく。こういうふうにいたすことによって、低所得者でそういうローンを利用できない人や大きな会社に従事していない人
たちに対し、重点的に公的資金による住宅政策が集中的に行なわれる、こういうふうに
考えておるのでございます。
それからもう
一つは、
道路等におきましても現在一番問題になっておるのは、いわば経過地点における
道路の非常な梗塞状況でございます。たとえば
首都圏内におきますれば、いまの栃木県だとかあるいは埼玉県、群馬県、千葉県、神奈川県というものは、
東北とかあるいは
北陸方面からずっと大型のトラック並びにオーナードライバーが入ってきます。そうした場合に、現在の状況では
地方道等がこのために梗塞している。財源が十分ない。そういうような場合においては、むしろ国道でも、そういう
地方道路で重要なものでも、有料
道路制度にしていいじゃないか、そうして
道路が安全にかつ非常に便利にできますれば、その間において料金を支払っても、これを使う人も便利である、こういう状況が相当進んできましたので、そこで今度の国会で御審議願いたいという
地方道路公社というものを設けまして、そうしてこのような需要にこたえると同時に、
地方自治体自身が一面におきましてはその
道路に関連したところで他の事業の
開発をやりまして、その
開発利益が
地方自治体に入るということになりますれば、これは
道路政策のみならず
地方の
開発のために役立つではないか、こうしたことが従来はほとんど許されてなかったのを、皆さんの御支持と御賛同によってこれができますれば、財源問題において相当梗塞状況にあるものが開けていける。こうしたものを含めて、社会情勢の変化に対応しつつ、新しい
構想も含めて
国土の
開発と同時に
国民の幸福に向かって進みたいと言いましたのは、一例を申し上げますればそういうことでございます。
さて、阿部さんが御
指摘になりましたように、従来いろいろの五カ年
計画が策定されておるが、今日現在の状況から見てこれは満足すべき状況かと言われるのでありますが、これは端的に申し上げまして、満足すべき状況ではございません。そこで、新たなるくふうをこらして、それぞれの立場において、さらに新しい
計画を立ててまいらなければならないと思っているのでございます。しかもこういう新たなる長期
計画を立てるゆえんのものは、たとえば
道路計画におきましても
道路需要の要素が変わってまいりました。もう十年前につくったところの
道路では、
交通安全の立場から見ても、それからそれを走る車両の重量においても、車種においても、だいぶ変わってまいりました。さらに、
経済のルートと申しますか、これもまた相当の条件の変化がありまするので、そうしたものとあわせてこれは再改定しなきゃならないということで途中で変更したようでございまするけれども、やはり
経済並びに社会の変化があまりに急速であるがゆえに、いままでの
計画をそのまま自動的に延長しただけではいけないということで、この改定をしておるのであります。したがいまして、計算的に見れば、従来の経過をそのまま引き延ばしたようにちょっと見られるかもしれませんけれども、われわれとしては、内容において相当改革をして、再改定をしていくつもりでございます。