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1970-06-10 第63回国会 衆議院 決算委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年六月十日(水曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 小山 省二君 理事 高橋清一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 華山 親義君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       笠岡  喬君    椎名悦三郎君       中村 弘海君    綿貫 民輔君       勝澤 芳雄君    日野 吉夫君       西中  清君  委員外出席者         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         法務省民事局長 新谷 正夫君         外務省アジア局         南東アジア第一         課長      三宅 和助君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       熊田淳一郎君         大蔵省主計局次         長       竹内 道雄君         大蔵省主税局長 細見  卓君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 庄司 俊夫君         大蔵省国際金融         局長      奥村 輝之君         国税庁税部長 佐藤 健司君         国税庁間税部長 中橋敬次郎君         厚生大臣官房審         議官      松下 廉蔵君         会計検査院事務         総局第一局長  中込 良吉君         会計検査院事務         総局第五局長  石川 達郎君         日本専売公社総         裁       北島 武雄君         日本専売公社総         務理事     黒田  実君         日本専売公社理         事       斎藤 欣一君         日本専売公社営         業本部本部長 永井 幸一君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— ○本日の会議に付した案件  昭和四十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十三年度政府関係機関決算書  昭和四十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (大蔵省所管日本専売公社)      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  この際、竹内大蔵省主計局次長から発言を求められておりますので、これを許します。竹内主計局次長
  3. 竹内道雄

    竹内説明員 ただいま委員長からお許しが出ましたので、四十四年度からの決算書の様式につきまして、私ども、ただいま多少の改正考えておるのでございますが、その点につきまして御報告を申し上げまして、御了承を得たいと考えておる次第でございます。  御承知のように、昭和四十四年度予算書から予算書形式改正されました。そのおもな点は三つでございますが、一つは、できるだけ表の形式、表のスタイルを採用いたしまして、予算書を見やすくするようにしたということが一つでございます。それから二つ目は、いろいろ説明文予算書の中に書かれておりまするが、これを個条書きにして見やすく、わかりやすくするというふうにいたしたことが二つ目でございます。それから三つ目は、各費目にコードナンバーをつけたことでございます。これは将来電子計算機などが入りましたときに、いろいろ予算内容について分析などをいたします場合に便利のためを考えまして、経費性質別目的別等に従がいましてコードナンバーを付したのでございますが、その四十四年度予算書に対応いたしまして、決算書につきましても、四十四年度のものからなるべく表形式を採用する、説明の文章も簡略にして見やすくする、また、各経費につきましてコード番号をつけるというような改正をいたしたいと思っておるのでございますが、この点につきまして、あらかじめ御報告いたしますと同時に、もし御意見でもございますれば承りたいと存じて御報告申し上げる次第でございます。
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 ただいまの竹内主計局次長発言了承するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 では、さよう決しました。     —————————————
  6. 濱野清吾

    濱野委員長 それでは、本日は大蔵省所管及び日本専売公社について審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。華山君。
  7. 華山親義

    華山委員 最近、特にことしになりましてから、土地を処分する、そのことによりまして、土地を処分したために生じたところの所得、これに対する税という問題が大きくクローズアップされているわけで、大きな社会問題になっているわけであります。それにつきまして、最近、新聞によりますと、法務省は従来不動産登記があった場合にその写し国税庁に送っていた。ところが、その仕事は従来、何も事務的な仕事でもありませんし、臨時職員にやらしていた。ところが、これはわれわれも大きな責任があるわけでありますけれども臨時職員経常事務をやらしてはいけないというふうなことで、特に法務省にその事実があらわれましたことから問題が提起されまして、そしてこの前の国会でも、そういうことはやめるべきだという事項が決議されているわけです。  そういうこともありまして、法務省国税庁に対しまして、今後登記写し国税庁に送るという仕事はやめるということをいったというふうなことがありまして、国税庁国税庁で、そうすれば今度自分がやらなくてはいけない、いまでも人が足りない、とてもそういうふうなことができないし、調査をするということになったならば、これはたいへんなことになるというふうなことが新聞等に出ております。この問題は、決算委員会といたしましても、これを提唱した私としましても、非常に責任のある問題でもありますので、その事情を、簡単でよろしゅうございますから、法務省から御説明を願います。
  8. 新谷正夫

    新谷説明員 登記所から税務署に対して行ないます、いわゆる税務署通知と私ども申しておりますが、これにつきましては、かねがね国会におかれましてもいろいろ御批判をいただいていますし、また、最近の総定員法の成立の際にも、一般的に臨時職員の問題が取り上げられてまいったのであります。私どもは、昭和三十六年以来、国税庁の御依頼によりまして、官庁間の協力関係といたしまして、いわゆる税務署通知なるものを行なってまいったのでございますが、このやり方は、ただいま御指摘のように、予算支出委任を受けまして臨時職員を雇用いたしまして、これによってその通知仕事をやってまいりました。私ども考えでは、ほかの同じような仕事と同じようにこれは臨時仕事である、こういう理解に立って実はやっておったわけでございます。  ところが、いろいろ御指摘のありましたように、その臨時職員が経常的な業務を年間を通じてやっているのではないかという御指摘も実はあったわけでございます。そういうことはもちろんなすべきことではございませんので、私どもも法務局に向かいましては、厳にそのようなことのないように、臨時職員臨時職員として予算の範囲内でその業務を遂行させるようにと、こういう指導を数年来やってまいりました。  しかし、先ほど申し上げましたようないろいろの事情がございますため、この際、税務署通知の問題についてもう少し再検討をする必要はないだろうか、こう考えまして、昨年の八月ころでございましたか、担当課長から国税庁のほうへ申し入れをいたしまして、何かいい案でもあればさらにあらためて御相談しようじゃないか、こういうことで申し入れをいたしたわけでございます。  先般新聞に報道されました記事は、多少その点の事実を曲解されているように私は理解いたしております、あのように最終的に打ち切ったということは、一切申しておりません。国税庁のほうとも十分御相談して、皆さんの誤解のないように、すっきりした形で協力できるものなら協力いたしましょう、ただその提案がございますまでは、しばらく従来のやり方の作業は一応見合わせておきます、こういうことは申しております。しかし、最終的に打ち切ったという趣旨ではございません。
  9. 華山親義

    華山委員 この決算委員会としましては、臨時職員で経常的な仕事をやるということは、経理を乱すものであるというふうなことで、抽象的に御注意を申し上げたわけでありまして、この問題を取り上げたわけではございません。抽象的に、そういうことであり、各省全般についてそういうことを言ったわけであります。  それで、おっしゃるとおりこの仕事は一カ年や二カ年、あるいは一月や二月の問題じゃありません。いままで、また今後とも続けられるべき性格のものだと私は思う。それをいつまでも臨時職員でやっておるということは、私はいけないことだと思う。私は経理内容は知りませんけれども法務省の主張は当然だと思うのです。それで、この仕事というものがどうしても国のために必要なものだ、経常的に今後続けていかなくちゃならない問題であるというならば、これらの仕事経常職員をもってやらすべきものだと私は思うのです。そうなっておらぬということだと思うのでございますけれども、いまお話しになったようなことで、今後個々の不動産の移動の通知国税庁にはしないということになった場合には、国税庁はどうなさいますか。
  10. 佐藤健司

    佐藤説明員 法務省のほうから、いまお話しのありましたような申し入れが私どものほうにございましたのは事実でございます。また、登記済み通知書写しを私どもちょうだいしておりますのは、三十六年から現在に至っておるわけでありますが、御承知のように、これは譲渡所得に対する課税また贈与に対する課税、両方につきましての基本的な資料でございまして、これを何らかの形で私ども入手いたしませんと、課税の面で非常な支障を来たすわけであります。  その点で、法務省からの申し入れに対しまして、その後私どもとしても、各局等のいろいろの会議の場合におきましても、十分に実情を調べるということもやっておりますし、それから法務省との間で、何か合理的なやり方がないものだろうか、その点をお互いに研究を続けておるということで現在に至っておるわけであります。私どもとしては、もう少し協議をして、何か合理的な一致点を見出せれば、それによって何かやっていく方法はないのかというふうに考えております。
  11. 華山親義

    華山委員 地方税固定資産税につきましては、これは法律に規定がございますから別問題でございますけれども、いまの問題は、うまい方法といいましても、要するに人の問題だと思う。だから、この点につきまして、行政管理庁も実態を見ないで、ただ一割減らすのだ、減らすのだ、こういうことから出てきた問題じゃないかと私は思う。また人の問題になって、経常職員登記所にふやすということであれば、これは予算の問題でもあろうかと思うわけであります。  したがって、いま国税庁法務省だけで相談をされまして、うまい方法が見つかればけっこうでありますけれども、私は結局見つからないと思う。人手をどうするかの問題です。この問題に限って定員外職員業務をやらしてもらいたいといったって、これはわれわれは聞くわけにはいかない。特に、知った以上はこれを追及しなければいけない、こういうこともありますので、私から希望を申し上げておきますが、行政管理庁あるいは主計局もこの点について関係があるかもしれませんが、解決をしていただきたい。今日の段階ではこれ以上申し上げることもありませんので、そのことを強く希望申し上げておきたいと思います。行政管理庁のほうなり主計局から御意見があれば承りたい。
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 華山さんに申し上げますが、これは総定員法関係するし、できれば大臣でないと確かな答弁を得ることはできないと思う。管理官おいでになっていますが、管理官では事務的な話だけで、いま局長を呼んでいますが、せめて局長に来てもらおうと思います。−大蔵省からとうですか。最終的な解決はあなたのほうになりますが、主計局次長、どうですか。
  13. 竹内道雄

    竹内説明員 たいへんどうもむずかしい問題でございますし、大きな問題と関連いたします。国税庁行管法務省とよく相談いたしまして、なるべく早く解決策を得たいと存じます。いまのところ、私それ以上のことは申し上げかねますので、御了承を願います。
  14. 濱野清吾

    濱野委員長 これは政治問題になってきますが、政務次官、いいですか。
  15. 中川一郎

    中川説明員 わかりました。
  16. 華山親義

    華山委員 話を変えまして、ここの委員会予備費のことを見ておりますので、今後の予備費の動向についてちょっと伺っておきたい。  予備費については、ことしは千二百億——千二百億であったと思いますが、間違いございませんか。
  17. 竹内道雄

    竹内説明員 千百億でございます。
  18. 華山親義

    華山委員 そうですが。千百億だそうでございます。  それで、私、この千百億というものは、とてもたいへんなめちゃくちゃなことになりはせぬかと思って心配しているのです。と申しますことは、一つには、総合予算主義のたてまえから、人事院勧告による給与改善予備費でやるということをたてまえにしてこられたわけであります。そして、これを総合予算主義の柱にしてきたわけです。私は総合予算主義はけっこうだという意味じゃありませんけれども、そういうふうにいわれてきたわけです。ところが、去年は、ことしも同じようなことが行なわれましたけれども、二百二十億の稲作対策特別事業費というようなものを出したから、もうめちゃくちゃになっちゃった。結局予備費では支弁できなくなって補正予算でやった、こういうかっこうになりましたけれども、ことしは一体どうなるのか。私の申し上げることで間違えておりましたら御訂正を願いたいのでございますけれども、五%の給与改善の増であろうということから、六百四十三億計上してございますね。ところが、五%ではこれはとても追いつかないというふうなことでございまして、これが一〇%にかりになったとすると、さらに六百四十三億出さなければいけない。新聞等では一二%になるであろうというふうなことまでいわれておる。そういたしますと、九百億が改善費として必要になるんじゃないか。昨年のように事務費とかいろいろなものの節約、あるいは俸給の残額、そういうものもございましょうけれども、八百億から九百億、そういうものが出るわけですね。  それからほかに、ことしは、きのうの閣議決定で二百三十八億というものを米のために出されるということになっておりますが、二百三十八億はいつお出しになる考えでございますか。
  19. 竹内道雄

    竹内説明員 二百三十八億につきまして、いつ支出いたすかということにつきましては、農林省とも現在打ち合わせ中でございまして、まだ時期的にはっきりした、何月に払うということはきまっておりません状態でございます。
  20. 華山親義

    華山委員 新聞等で見ますと、買い上げをした二月以内には出す、こう書いてありますね。これは政府できめたのかどうか知りませんが、そうしますと、これが二百三十八億年度内には出るというふうに考えなければいけない。それから減反をなすった。減反のために当初予算に計上した額は、これも間違えておりましたら直していただきたいのですが、八百十四億じゃございませんでしたか。——八百十四億。ところが、これも政府のほうでは成功したと言われているわけでありますけれども、三〇%から三五%増したということです。そうすれば八百十四億、これが、すぐ三〇%なり三五%掛けたものにはならないかもしれません。減反をする場所は、あるいは補償の単価が低いかもしれませんから、一がいには言えませんけれども、おそらくは二百五十億か三百億になるんじゃございませんか。  そうしますと、処遇改善のための九百億、それから米の対策としての二百三十八億、減反追加分二百五十億、これはいずれも不確定な数字でございますけれども、大体当たっていると思う。これを合わせますと、もう予備費どころの問題じゃないのですね。一千百億をこれだけでオーバーする。そのほかに、まだわかりませんけれども予備費の本来の目的である災害の問題、また事務的経費の足りなかった部分を補足する金額等があるわけであります。私は、予備費というものはもう無意味になったのじゃないか、こういうふうに考えるわけでありますけれども、これは技術的な面もありますけれども主計局担当官としては一体予備費の前途についてどんなふうにお考えになりますか。
  21. 竹内道雄

    竹内説明員 お話がございましたように、ことしの予備費状況はなかなかたいへんな状況だろうと思っております。もちろん、人事院勧告がまだ出ておらない状況でございますから、まあ人事院勧告が何%になるのか、したがって給与改善のための経費がどのぐらい必要になるのかということは、いまの段階ではちょっとわからないわけでございますし、また私どもから幾らぐらいだろうと言うわけにはまいらないようなことでございます。また、米の生産調整のことでございますが、現在のところの農家のほうの希望数量を見ますと、予定の百万トンを三〇%以上オーバーしておるというような状況でございますので、これをそのまま計算いたしますれば、お話しのように二百四、五十億円の金が要るということには相なる問題かと存じます。ただこれも、あるいはそう違わないかもしれませんけれども、現在の段階では希望数量でございますので、実際に減反をどのぐらいされるかというところに、多少のズレというものがあるいは出てくるのではあるまいかというふうに存じております。  それやこれや考えますと、ことしの予備費はなかなかつらい状況でございまして、昨日の閣議の席上で、非常に財源的に苦しい状況であるので、行政費節約については各省とも協力をしていただきたいということをお願い申し上げたような次第でございます。いろいろ既定経費節約等につきましても十分気をつけて、むだ金を使わないようにやっていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
  22. 華山親義

    華山委員 いま申し上げた数字等考えますと、一千百億の予備費でもって、節約をしてみたところがつじつまの合う数字じゃありません。また、もう前々から約束もされてしばしば言明されているところでございますから、給与改善費を五月からの完全実施という点を後退させるわけにはもちろんまいりません。  それで、私はいまここで申し上げたいことは、政務次官おいでになりますから申し上げますが、何といったって、補正予算の問題からだけでもこの秋には臨時国会を開かなければだめだということなんです。臨時国会を開かないで無理なことをしてもらいたくないということなんです。そういう覚悟でいらっしゃいませんと、これはたいへんな無理なことをなさるのじゃないかという気がするわけですね。大体、政務次官も御存じのとおり、最近の予算執行のあり方というものは、これは毎年毎年、年度末になってくると違うのですね。前年は予備費で出したものを補正予算で出してみたり、それからこれを今度後年度に譲ってみたり、いろいろなことをしているので、非常につじつまの合わない経理やり方をやっておるのですが、私は、どうしてもやはり予算というものはきちんとしてもらいたい、予算執行はきちんとしてもらいたい、これがまた一般官僚に対する、一つの正しい道を歩む方法だと思う。そういうふうな意味で私は、どうしても予算の面からもこの秋には補正予算のための国会というものが必要になるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございまして、いまここで私から数字をお聞きして御注文を申し上げるわけであります。  政務次官、ちょっと伺っておきますが、私から申し上げたようなことで、尋常なことで、節約ぐらいのことで、予備費の中でこれらのものはまかなえるということはとてもだめだということはおわかりでしょうね。
  23. 中川一郎

    中川説明員 ただいま華山委員指摘の点は、概括的に申し上げますと御指摘のとおりだといわざるを得ないのではないかと思います。ただ、人事院勧告が、先ほど次長が申しましたように、幾らになって、その額がどこにきまるか、あるいはまた、今度の稲作奨励金二百三十八億といっておりますが、これはいい米をつくった人を中心にして考えております予算でありますし、これもどの程度になりますか、秋になってみなければ、供出してみなければわからないという不確定要素もあります。それと、事務的経費節約幾ら出てくるか、これも年度末近くになって、秋になってみなければわからない、このように不確定要素がありますが、概括的にいうならば、かなり大きな金額になるのではないかと思いますが、大蔵省政府としては、総合予算主義というものがことしの予算のやはり柱になっておりますので、なるべくは補正予算を組まないようなことでくふうをしてみる、しかしどうしてもということになれば、これはまた成規の手続を経てお願いすることにもなろうかと存じますが、従来もそういったことで御批判のあるところでありますので、慎重に、この辺は処理できるものは十分処理して、予算が毎年相も変わらずおかしなことをやっているという批判がないように十分の配慮を続けていきたい、かように思っております。
  24. 華山親義

    華山委員 それは自民党政務次官ですからそうおっしゃるのでしょうけれども、それは無理ですよ。もうそんなことを言ったって、それは無理ですよ。大体私の計算しただけでも二千億程度になるでしょう。一千百億の予備費——私は何も誇張して言っているわけじゃないのですからね。それを、大きな柱ですから、予備費で、補正予算をきめないでまいりたいと思いますなんて言ったって、そんなことは世の中通りませんよ。それはそうでもおっしゃらなければ困るのでしょうからおっしゃったのだろうと私は思いますから、あなたの言われる、無理をして、そして国会審議権を無視するようなことのないように、ひとつその点を一番私は心配する。いろいろな無理をしますと、予算審議権は無視されますからね。そういう立場から申し上げた。総合予算主義なんというものは去年つぶれちゃっておるのですよ。ことしはとてもそんなものでやれるものじゃない。総合予算主義という自民党の掲げる政策が大事なのか、国会審議権が大事なのか、その点をよくわきまえてやっていただきたい、こういうことをお願いしておきたいと思うわけであります。  それから、ちょっとだけ伺っておきますが、酒ですね。私は去年、酒米自主流通米にする理由は何もないじゃないか、酒米については何も国が負担しておるわけじゃない、一般会計で負担しておるわけじゃない、あれは五十万でしたか、それを自主流通米にする意味がわからない、結局、自主流通米にしたならば、大きな酒のメーカー中小メーカーを圧迫する、こういうことを申し上げたわけです。これについては、そんな心配をしなくてもいいという御返事だったと思いますが、結局、ことしになって酒業者を保護するような法律が出たそうですね。いろいろその間私は聞いておるのですけれども、たとえば、酒税というものを完全に納めるためには、小売り業者をまとめておかなければいけないというふうなこともありますし、酒税というものを小さなメーカーが納められないというふうな場合には、いままでは配給を受けていたわけですから、配給について権利金があったのだそうですね。税金を納められないというと、税務署がその権利金をよそに譲る世話をしまして、そして税金を取っていたそうですね。それが税金の取り方だ、こういう話だ。これはどうもほんとうらしい。そういうふうなこともあるのですから、どうしていまでも酒の売る店を固定しておくのですか、なぜもっと一般消費者と酒のメーカーとを直結させるような方法販売店を多く設けないのか、その点ちょっと伺っておきたい。
  25. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 第一点の御質問の、自主流通米制度を酒造米に適用するのがいいのかどうかというお話でございますが、この点に関しましては、まず第一には、よく食管制度と自主流通米制度との問題として広く御議論があったと思います。
  26. 華山親義

    華山委員 それは過ぎたことだからいいですよ。
  27. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 じゃそれはそれで省略させていただきまして、最後の御質問が要点だと思いますので、小売り店についてはなぜ販売免許を持っておるのかというお尋ねにお答えしたいと思います。  現在、清酒のみならず、酒類の販売業につきましての免許制度を持っておるものにつきましては、私どもは二つばかりの理由があると思っております。  それは、第一は、酒税という非常に高い負担を酒にかけておりますものですから、売り掛けの中に、かなり高い酒税負担が小売りの価格に入っておるわけであります。この酒税負担が現在でも実はかなり高い負担でございまして、酒類全体の平均で申しますと、約三八%くらいが小売り価格の中で酒税の負担ということになっております。  実は、販売業の免許制度というのは昭和十三年に採用したわけでございますけれども、その当時、戦時の必要性からも、かなり酒税が増徴されまして免許制度というものが採用されたわけでございます。その当時の小売り価格の中に占めますところの酒税負担というのは、大体その程度でございます。自来、だんだん引き上げられ、また減税もあって今日と、こういうような状態になっていますけれども、私どもといたしましては、やはりかなりこういう小売り価格の中に占めますところの高いウエートの酒税というものが入っております限りにおきましては、売り掛けの回収その他について、酒税の確保という点から、どうしてもこの免許制度がなお今日も必要ではないかというふうに思っております。  それから第二の理由といたしましては、これは少しく税金とは離れますけれども、お酒というようなもの、あるいはたばこというようなものにつきましての販売について野方図にしておいていいかというふうな問題がございます。先進各国におきましても、酒の小売りにつきまして免許制度というものは大体みんな持っております。私の関知しておりますところでは、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、すべて持っておりまして、西独だけが持っていないというような状況でございます。やはりそういう観点からも、私は、お酒の免許制度というのは今後も必要ではないかというふうに思っております。  そういう二つの理由からこの制度を持っておるわけでございますけれども、小売り免許制度ということに安住してはいけないといういまの華山委員の御指摘は、全くそのとおりでございまして、私どもも、そういう制度のもとにおきまして免許制度の運用に弾力化を持たせるということには十分配意をしてまいったわけでございます。これは全く固定しておるということではございませんで、最近の例から申しましても、年々約二千件ずつはふえてございます。昨年はこのぺースがもっと高くなっておりまして、約二千六百件というようなペースになっておりますし、今後とも、私どもはそういう運用の弾力化という方向についてはなお努力をいたしてまいりたいと思っております。
  28. 華山親義

    華山委員 この間新聞に出ていましたけれども、横浜の生協ですか、団地でビールを非常に安く、一割かなんか安く売ったというようなことが新聞に出ておりますが、あれはどういうところから出てくるのですか。
  29. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 現在私どももその状況をつまびらかに、確実には知っておりませんけれども、一本、一般には百三十円で売られているものを百二十円で売ったということでございます。これにつきまして、はたして、それだけ価格を切り下げて適正な利潤を確保して売っておりますのか、あるいは、いわば目玉的にそれを扱いまして、仕入れ価格を割ってまで、かなりの利益をはき出してまでマージンを取らなくて売っておるのかという点になりますと、かなり疑問でございまして、今後そういう状況調査いたしてまいりたいと思っております。
  30. 華山親義

    華山委員 安く売ったっていいんでしょう。売っちゃいけないのですか。定価なんですか。あなたから聞いているというと、売っているのがけしからぬように聞こえるのですけれども、団地の生協がビールを安く団地の人に売ったっておかしくないじゃないですか。どういうわけなんですか。
  31. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 おっしゃいますように、お酒はかなり前からマル公の制度をはずしまして、また基準価格の制度というのをはずしてございますから自由でございます。したがいまして、小売り店なら小売り店が自分の得ますところのマージンの中からそれを切ってまで売ってもいいわけでございます。マージンを切って売るということはかまわないわけでございますし、生協という組織でもって、いわば流通のための費用というものを販売店が取らなくて、それを——生協の場合には、私は生協がそのための費用というものを取らないでやっているかどうかということはかなり疑問でございますけれども、それを、生協に従事しておる人たち、あるいは買うほうの主婦たちのいわば勤労奉仕的に無報酬でやるということでは、それは可能だと思います。しかし、あの場合には、小売り店が通常百三十円というものを百二十円で売ったのでございますので、十分自分が得ましたところのマージンの範囲内で売っておりますのか、あるいは少しその辺を切って売っておるのか、その辺は問題だということを申し上げたわけでございます。
  32. 華山親義

    華山委員 その生協ですが、少なくとも確実な生協とか、あるいはある程度の規模の職員組合とか、そういうふうなものについては、現在の制度では、買う者が限られているから免許しないというのが趣旨のようにもあの通達では見えますけれども、そうなんですか。総理大臣は、生協を利用して、そして生産者と消費者を直結しろと書っていられるということまでありますし、生協とかあるいは労働組合の売店とか、そういうところでは、酒とかビールとか売らしたらどうなんですか。だめなんですか。私は売らすべきだと思うのですがね。少なくとも、そこまではとりあえずはできるんじゃないかということです。
  33. 中橋敬次郎

    ○中橋説明員 現在小売り免許制度を運用いたしますにつきましては、国税庁長官の通達というもので運用いたしております。その中で、御承知のように、生協につきましての私どもの態度としましては、員外利用をできる生協にしていただいて、そこで免許をするかしないかということを判断するということにいたしております。  それは一体なぜかと申しますと、先ほど申しましたような免許制度の必要性ということから考えますと、ある一定の地域、そこに住むところの世帯なり人口、酒の需要というものを考えまして小売り店というものを免許いたしておるわけでございます。せっかく免許をいたしましたものが、限られた人だけしか利用できないということでは、私どもが免許をしまして、小売り店でもってお酒を買ってもらいたいという趣旨と非常に反しまして、パブリックにオープンに売っていただく店にまず優先的に私どもが免許を付与してまいりたいというのが従来の方針でございます。したがいまして、かりに員外利用が得られませんでも、大体その地域の住民の大部分がその生協に入っておる、たとえば炭鉱地帯でございまして、そういう生協だけがその辺の地域の商品を扱っておるというような地域については免許を認めておりますし、そういうふうな例でもって、現在までのところ約二百軒余りくらいの生協が現実に小売り免許を持って売っております。決して生協について全面的に免許を拒否しておるというわけでございませんで、そういった地域の必要性から生んでおるところの小売り店の必要ということから考えますれば、やはり員外利用をまずとっていただいて、そこでもって、同じレベルでもって小売り免許を付与すべきかどうかという判断をいたしたいと思っております。
  34. 華山親義

    華山委員 酒の税金は私はたいへんに大切なものだと思いますけれども、やはり一面においては、なるべく安いものを飲ましてあげるべきだと思うのですよ。あなたの話からいいますと、たとえば大規模の工場の中の売店等、職員組合なり共済組合で売店を経営していたって、その中では酒は売れないということだと、おかしいと私は思うのですよ。その中で売ったっていいと私は思う。私は、そういうふうな、税金のためにある程度のものを安く売るということが押えられてもしかたがないというのはおかしいと思うのです。国民あっての税金なんですからね。その点は思い切った改善がなさるべきだと私は思います。  それから、一つ私申し上げておきますが、非常に私の勘にさわることは、酒を売る組合それからメーカー、これが一つにまとまって政治的行動をする。選挙のときには推薦をする、こういうことをやるわけですね。これは政治運動だから自由かもしれませんけれども、酒をつくることだって、酒を売ることだって一つの特権なんだから、特権の上に、あるものが一つにまとまって、そして政治的な運動をしたり、一定の候補者を推薦したり、一定の候補者のための運動をしたり、そういうことは許されないと私は思うのです。  政務次官、そういう問題、どう思いますか。私は一般の人ならいいです。とにかく特権を持っておるわけですよ。同業組合とはまた違うわけです。そういう連中が集まって、そしていろいろな政治的な運動をするということは、私は許されないような気持ちを強くするのですが、政務次官、どうですか。
  35. 中川一郎

    中川説明員 そういった組合そのものが、政府から恩恵を受けており、あるいは特権を持っておる組合そのものが選挙運動をするということは、これは許されないことではないか、ただし、組合に所属しております者が別の政治結社をつくって政治活動をするものを押えることは、これは憲法違反になりますか、政治行動の規制が度が過ぎる、このように思います。酒造組合のほうはどうやっておりますか、組合そのものとして選挙活動をするとすれば、自粛していただくことが当然であろう、このように思います。
  36. 華山親義

    華山委員 その点はひとつ監視してください。私自身が小売り販売業の組合ですかから推薦されているのですから、それで免状をもらっているのです。私はおかしいと思うのですよ、そんなことは。これは私ばかりじゃないのだ。自民党のだれ、社会党の華山、こういうわけだ。そして、何とか小売り販売業組合選挙に推薦をいたします、たいへんありがたいことですけれども、私はそういうことはやるべきものじゃないと思うのですよ。普通の業者さん方がやることは、私はやかましいことは言えないと思いますけれども、とにかく特権でしょう、小売り業者というものは。それが集まって選挙運動をやるなんということは、これは酒ばかり、酒造部門もそうですが、販売だって私は同じだと思うのです。気をつけてもらいたいと私は思います。これは間違いありません。私、破っていたかな——何かありますから。  それから次に、委員長、まことに時間が長くなってすみませんが、一言だけ。  今度何か赤十字のほうでカンボジアに対しまして政府のほうからお金が出て、救じゅつ金のようなものを出されるということが新聞に出ておりますが、その金額なり、またその経緯なり、そういうことをちょっと外務省にお伺いしたい。
  37. 三宅和助

    ○三宅説明員 外務省の南東アジア課長です。  カンボジアの現在の難民、百万くらいおりますが、その百万の難民に対しまして、政治的立場を離れまして、かん詰めだとか医薬品、それからかや、こういう系統のものを援助したいということで、援助をする方針を、先般六月二日の閣議で口頭了解していただいたわけでございます。実際には、日本赤十字を通じまして先方のカンボジアの赤十字社に援助する。実際の管理の方法といたしましては、変な方面に流用されないように、日赤といたしましても厳重に監視していきたい。金額に関しましては、約二百万ドルくらいを考えております。正式には、予備費閣議の御了解をいただいた上発効することになるかと思いますが、具体的には日赤のほうで品目の選定、試算等やっておりますから、まだ若干時間がかかるかと思います。
  38. 華山親義

    華山委員 二百万ドルの根拠は何です。
  39. 三宅和助

    ○三宅説明員 これはかってベトナムに、六四年、六五年のときに難民六十万に対しましてやったことがあります。それを一人当たりに直しますと約二ドルちょっとでございますが、今度も百万以上難民がいるという報告を受けているものでございますから、そういうことで、一人当たり二ドルという計算で一応二百万ドルということを計上したいと考えております。
  40. 華山親義

    華山委員 ベトナムを例にとられましたが、ベトナムにつきましては赤十字を通しませんでしたね。赤十字が断わった。今度は赤十字でやる。どこに違いがあるのですか。
  41. 三宅和助

    ○三宅説明員 前のときには、日赤自体は必ずしも積極的でなかったと私は聞いております。今度の場合は、国際赤十字連盟とそれからカンボジアの赤十字社のほうから日赤のほうに強い要望がありまして、何とかして人道的な援助をしてもらいたい——これははっきりわかりませんが、私の見るところでは、現在のところ、あまりこの種の援助というものが、人道的な援助というものが各国から行なわれていない、それで各国ともに強く働きかけているという状況かと思います。そこで、日赤といたしましても、この際、人道的見地からできるだけ早急にやりたいという希望もありまして、またわれわれ政府のほうといたしましても、この際人道的な立場からぜひやるべきだという結論になりまして、両方の希望というものが合致したということになったわけでございます。
  42. 華山親義

    華山委員 そこで私非常に気になるのですけれども、この前も韓国のときにも申し上げたのですけれども、いつでも政府の言い方は、政府が赤十字にやらすのだというものの考え方が先に立つのですよ。そういうものじゃないでしょう。赤十字がやるのだ、それに対して政府が押していくのだという態度でないと間違いを起こしますよ。先ほどあなたが答弁されたときだって、赤十字をしてやらせます、こういう答弁のしかただ。しかし、あとのほうで聞きますと、国際赤十字なりそういうところからの要請もあったし、こういうふうなものの言い方、そうでなければいけないと思う。  それで、非常に気をつけていただきたいことは、今度ペルーに地震がありましたね。ペルーの地震については、国民がこぞって集めてやろうということなんです。それは当然のこと、そうあってしかるべきだと思うのですけれども、今度の場合は、国民に呼びかけるのではなくて、政府だけなんですね。私は、そうでなければおかしなことになって、実際集めることがわからぬですね、批判は別として。そういう意味で、赤十字を使う場合には赤十字にやってもらう、そういう場合にはよほど気をつけてもらいたい。そうしませんと、日本の赤十字というものは、よその国からおかしな目で見られることを私はおそれる。
  43. 三宅和助

    ○三宅説明員 御案内のとおり、したがいまして、赤十字といたしましても、自発的に品目の選定それから時期それから運送手段、すべて自主的に現在やっております。私たちといたしましては、できるだけその日赤の希望に従いまして、また日赤の自主的な判断、品目、時期それから金額につきましても十分相談を受けまして、できるだけ自主的にやるという方向で現在日赤のほうで検討しております。
  44. 華山親義

    華山委員 くどいから申しませんが、それはできるだけじゃないですよ。全く自主的にやるべきですよ。本来は政府でやるのだけれども、自主的に計画とか金をきめなさい、そういう問題じゃない。私は、そういう点につきまして、今度の問題について、具体的の批判は後にいたしますけれども、気をつけていただきたい。この前、韓国のコレラの問題についても私は御注意申し上げたのです。とにかく、国策というものと赤十字との分解というものにほんとうに細心の注意を払っていただきたい、そのことを申し上げます。
  45. 濱野清吾

    濱野委員長 華山君に申し上げます。  簡単にもう一つやってください。行政管理庁の河合管理局長が来ましたから、さっきの長官の連絡の事務の問題、これは歳入その他に関係するでしょうから、管理局長、お答えしてください。
  46. 華山親義

    華山委員 それではお聞きになったと思いますから、御答弁だけ。
  47. 河合三良

    ○河合説明員 お答え申し上げます。  先ほどの法務、国税両当局の問題についてでございますが、先ほど華山先生から経常的な仕事は定員内職員でやるべきではないかという御質問があったように承っております。  これにつきまして、私ども国のやっております仕事の中で、かなり継続的ではありましても、これは必ずしも定員内職員を当てていない場合もしばしばございます。たとえば、これは極端な例で申しますと、エレベーターのオペレーターでございますとか守衛なんかも、これは民間に委託している場合がございますし、また計算事務その他につきましても、これは幾らでも民間に委託している場合がございます。そういう意味から申しまして、必ずしもそういう仕事は定員内ということには限っていないわけでございます。この場合につきましては、仕事内容その他、私どもも十分に検討いたしておりませんが、たとえば、ただいまの仕事内容とは別途の見方をいたしました場合に、時期が、一月のうち、たとえば一部分に固まってピークになるというような場合には、その際に臨時職員を雇って処理するということがさらに適当な場合も多いかと思いますので、そういう点も十分に考慮いたしまして、その問題につきましての両省の検討を待ちたいというふうに思っております。両省におきましては、合理的な処理の方法その他について鋭意検討されるということでありますので、それに期待をいたしたいというふうに思っておる次第であります。
  48. 華山親義

    華山委員 長くなって恐縮ですけれども、エレベーターとか庭掃除とか、そんなものまで持ち出してはおかしいですよ。それは官庁の仕事には違いありませんけれども、そういうふうなものと一般役人の仕事とを同じだなんといったら、そんな考え方ではおかしいですよ。そういう機械的な仕事と今度のものは、とにかく事務でしょう。私だって、幾ら頭がかたくたって、何もかも、便所掃除まで役人がやるべきだ、それを一般の人にやらしてはいけない、そんなことを考えているわけではない。その辺の草むしりだって役所の仕事に違いないけれども、それはほかの人がみんなやりますよ。そんなことを言っているのではない。それは少しおかしいと私は思うから、時間が長くなりますけれども言いますが、今度の場合は、毎日毎日来た申告を、写しをとって、法務省登記所から税務署のほうに送る仕事ですから、ひとつよく気をつけてもらいたいと思うのです。そういうふうなことになりますと、これはたいへん税の支障を来たしますし、税の支障を来たさないようにするとなれば原則を破ってまいりますから、あなたのほうで調整をしていただきたい。  これで終わります。
  49. 濱野清吾

  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 国有財産の処分の問題について御質問いたしますが、きょうは局長もお見えにならないようですから、おもな点は別の機会にいたしまして、事務的な問題だけちょっとお尋ねいたしておきます。  国有財産の処分が不適正であるということが数年前指摘をされまして、昭和三十九年に法律によりまして用途指定という制度が法律の上で明文化されてきたわけであります。しかし、最近見てみますと、用途指定をしてあるものにつきまして、用途指定が完全に守られているかどうか。あるいは、期間が五年なり七年なりというようにきめられておるわけでありますが、五年たちあるいは七年たつと、払い下げ目的以外に使用されているというような点が間々あるように聞き及ぶわけでありますけれども、それは用途指定という法律改正をした趣旨からいうと、その法律の趣旨が実行されていないということになろうと私は思うわけであります。そういう点で、この用途指定というものを法律改正した目的といいますか、これは当時の要請によって出たわけでありますけれども、それについてのお考えをまずお聞きしたいと思います。  それと第二に、五年、あるいは減額売り払いの場合は七年、譲与の場合は十年と、こうなっておりますが、この五年、七年、十年というものについて、どういう基準でこういうものがなされたのかという二点を、まず最初にお尋ねいたします。
  51. 庄司俊夫

    ○庄司説明員 まず、第一点の用途指定の目的でございますが、国有財産の売り払い等をいたします場合に、できるだけ公共的な用途に使っていただきたいということでやっているわけでございますが、特定の方に払い下げをするというような場合に、その方のほうの利用計画等をよく調べまして、その利用計画が妥当であると判断いたしました場合に払い下げをするわけでございますが、その場合に、国のほうといたしまして、この利用計画ならば妥当であろうと判断したその利用計画どおりに利用していただく、そういうために用途指定という制度を設けて運用いたしておる次第でございます。  それから第二の用途指定の期間の問題でございますが、時価売り払いの場合は五年、あるいは減額の場合は七年、さらに譲与の場合は十年ということで現在運用をいたしておるわけでございますが、指定期間の点につきましては、法律上は定めはございませんが、運用面でやっておるわけでございます。一般的に申し上げますと、普通財産等を売り払いました場合には買い戻しの特約というものがあるわけでございますが、民法上は最高十年をこえてはいけないということになっておりますし、期間の定めがない場合には五年間で打ち切れというような規定もございます。そういったような民法上の規定を背景にいたしまして、私どもの取り扱いは、時価の場合は五年、減額の場合は七年、譲与の場合は十年ということで定めておるわけでございます。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 契約の上からいろいろ問題があると思うのですけれども、期間の満了の直前なり直後なりに計画的に売り払われたというような例というものを聞くわけですけれども、あなたのほうはこういう点について承知いたしておりますか。
  53. 庄司俊夫

    ○庄司説明員 具体的な例については直接聞いておりませんが、もし先生御指摘のような事例がございますとすれば、はなはだ遺憾なことでございまして、私どもとしては、払い下げをいたします場合によく相手方の利用計画等を審査いたしまして、妥当なものに払い下げをするということで取り扱ってまいりたいと考えております。     〔委員長退席、丹羽(久)委員長代理着席〕
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 会計検査院にちょっとお尋ねしますが、この国有財産処分について用途指定制度というのが三十九年の法律改正で出てきたのですね。これは各省、それから公社や公団その他、そういうものも同じような取り扱いにしたのですか、その点どうなんですか。
  55. 中込良吉

    ○中込会計検査院説明員 国の機関、これにつきましては、当然大蔵省でそういうことで用途指定、五年、七年、十年ということでやっておりますが、公団その他の機関につきましては、私、ちょっとここで答弁できかねるのでございますが、一応そういう制限はないと思います。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、この国有財産の問題で、国直接の財産が三十七、八年あるいは八、九年ごろ問題になりましたね。それと同じように、たとえば専売公社の小林さんの場合には、あまりにも公社、公団に対する取り締まりがおかしいじゃないかという点で、当時、法律なりあるいは規定なりを見合わせをいたしましたところが、国のほうはなかなかきっちりしておるけれども、そちらのほうが問題だということが起きたわけでありますけれども、そういう点からいきますと、国のほうは規制されるけれども、公社、公団のほうはどうもその点が、いまあなた不確実だと言いましたけれども、国並みにいっていないようだ、こういう話をしたわけですけれども担当かどうかよくわかりませんけれども、その点は、どういうわけで公社、公団というのは国との関係において違うのですか。
  57. 中込良吉

    ○中込会計検査院説明員 国につきましては、国有財産法その他法令が整備されておりますが、公社、公団、これは私、所管外でございますのでちょっとはっきりあれいたしませんが、一応法令その他が整備されていない——公庫法その他の法律で規定はございますけれども、それほど整備されてない、かような観点から、そういうことを申し上げた次第であります。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは、具体的に用途指定というものが法律上はきっちりされているようですけれども、実情の面からいって、その用途指定について少し問題が出てきているという点で、具体的な事実問題をあげて質問をいたしたいと思いますが、また会計検査院のほうにも、国は国有財産法がある、しかし公社、公団、公庫というのは独自の規定整備がされているというのが、一体いかなる一−理由はわかりますけれども、それでいいのかどうかという点についてひとつ御研究をいただいておきまして、次の機会に質問いたしたいと思います。  終わります。
  59. 丹羽久章

    ○丹羽(久)委員長代理 西中清君。
  60. 西中清

    ○西中委員 専売公社の質問を前回やらしていただきましたが、きょうは引き続いて残された部分をひとつ質問したいと思います。  前回の質問で、外国葉たばこの輸入について質問したわけですが、その検査機関についてこまかくお聞きをしました。いろいろと御説明はいただいたわけですが、十分納得できない点が少なくなかったわけでございます。その後、検査の実地の見学をということでございましたので、私も参りました。しかしその結果、何カ所か行くたびに、やはり問題があるというように私は理解をして帰ってまいりました。その点については、この前もお話をしておりますので、深くは申しませんが、ただ検査機関についてはなお一そうの御検討を願いたいし、体制も整えていただきたい、このように考えているわけでございます。  そこで、私はこの輸入業者並びに外国のサプライヤーの社名とそれから取引高、金額等について資料の要求をしたわけですが、その点は社名だけを御回答いただいて、あとは回答がなかった。その点、いろいろと理由はあろうかと思いますけれども、そういうようなことが十分発表できないということですと、私が前回より質問をしておりますこの輸入に対しての疑問点が十分払われない疑点を残したままおかれるわけでございます。非常に残念なことだと思っております。  そこで、きょうはこの輸入業者の選定について御質問をしたいわけでございますが、公社としてはどのような基準なりまた条件なりでこの輸入業者をきめておられるのか、お聞きをしたいと思います。
  61. 永井幸一

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  われわれが取引をしたしております国はアメリカのほかにもたくさんございますが、アメリカについて申し上げますと、向こう側のサプライヤーを選定をいたしておるわけでございますが、向こうから出てまいりました見本を審査をいたしまして、その品質がわれわれの求めております基準に合致いたします場合に購買をいたすというのがたてまえになっておりまして、そういうことで選定をいたすわけでございますが、向こうの産地の事情とかわれわれの好む品質の傾向とか、そういったものが大体きまっておりますので、そういうことから、向こう側が非常にわれわれの好む品質をよく知っておる業者ということで、大体十五社ぐらいにきまっているというような状況になっております。
  62. 西中清

    ○西中委員 サプライヤーが決定されて、輸入商社はどうなんですか。
  63. 永井幸一

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  わが国の輸入商社は向こうのサプライヤーの代理店ということになっておりますものですから、向こうと代理店契約を結んでおる輸入業者が自動的に向こうの代理店として公社と取引をするという形になっております。
  64. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、サプライヤーの条件だけが優先して、商社は、たとえどういう内容であっても、ないしはその他のいろいろなまずい条件がかりにあったとしても、これは目をつぶって認めるということですか。
  65. 永井幸一

    ○永井説明員 お答え申し上げます。  向こう側のサプライヤーが一応非常に大きな選定基準になっておりますので、原則としては先生のお話のとおりでございますが、たとえば破産寸前であるとか、いろいろ従来から公社との取引に非常に欠陥がある、そういう特別な事情がございません限り、先生のおっしゃるとおりと申しますか、そういうようなことでございます。
  66. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、かりに実績のない、たとえば設立されて、この輸入に対してほとんど実績がない会社においても認めることは妥当だとお考えですか。
  67. 永井幸一

    ○永井説明員 お答えを申し上げます。  従来から、実績のない会社でありましても、向こう側のサプライヤーが代理店として指定をいたしました場合に取引をいたした実績はたくさんございます。
  68. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、この前の説明では、十分サプライヤーがこちらのこともよく知っておる、そういうところを選んでいるんだ、こういうお話がございましたけれども、新しい商社が最近できたということは、新しいサプライヤーを選んだということですね、逆にいうと。サプライヤーによって自動的に代理店がきまるのでしょう。そういうのは、なぜそういうことになるのか。むしろ、御説明では、ここ数年はほとんど変わっておらない、こういうことでございますが、私が聞いております中には、四十二年あたりいきなりでき上がった会社もあるわけなんです。それはどういう理由によってでき上がったのか、ちょっと説明を願いたい。
  69. 永井幸一

    ○永井説明員 お答えを申し上げます。  アメリカの場合、先ほど申し上げました比較的続けて買っております十五社につきましては、向こう側のサプライヤーと日本のエージェントとの関係で代理店契約は更改はされておりません。ずっと同じ商社ということに相なっております。その他の地域、新しく買い付けを始めましたインドでございますとか、タイでございますとか、その他の地域について、あるいはアメリカにつきましても、その十五社以外に、たとえばわれわれのほうの需要高が増加いたしました場合に、それ以外のサプライヤーから買う場合もございます。そういったものにつきまして新しいサプライヤーが入ってきた事例があるというように申し上げたわけでございます。
  70. 西中清

    ○西中委員 それじゃ具体的にお伺いをいたしますが、会社設立が四十二年十月の米星煙草貿易は、これはその前から取引があったわけでも何でもないわけです。こういう点で、これはちょっと私としては理解に苦しむわけです。選定基準なりサプライヤーの決定なり、こういう点からいってどうも理解しがたい。できてすぐ業績が始まっていると思うのです。それはどういうわけでこういうことになるのか。
  71. 永井幸一

    ○永井説明員 お答えを申し上げます。  私も正確にはちょっと存じておりませんが、米星煙草は従来から取引をいたしておりまして、ただ社名を変更しただけではなかったかと思います。
  72. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、日本たばこ交易はどうですか。
  73. 永井幸一

    ○永井説明員 日本たばこ交易株式会社は確かに新しくできた会社でございますが、これは向こう側がわれわれの、先ほど申し上げました十五社の中には入っておりませんオースチンという会社でございますが、それと代理店契約を結んでおるわけでございますが、われわれのほうの需要が変動いたしました場合にそこから買い付けた実績はあろうかと思いますけれども、経常的に契約をしている会社ではございません。
  74. 西中清

    ○西中委員 経常的に取引をしているとかいないとかいうことでございますけれども、公社からいただきました資料では、やはり四十数社が一応指定の範囲に入っておる。私が先ほどからお聞きをしておるのは、なぜこういうことを聞くかというと、前回から、輸入検査については非常に甘い、また、何カ所かの倉庫を見学させていただいて、保管の点でも絶対間違いないという御答弁ですけれども、実際はそうじゃない。いろいろと問題がございました。きょうはこまかいことは申しませんけれども……。しかも、この輸入指定業者というものが、いろいろと条件はあるのでしょうけれども、たばこというものが非常にむずかしいものだから、長くこちらの公社の癖を知っている、要求を知っている業者でなければならぬとか、いろいろとおっしゃるものですから、じゃ一体どうなっておるのか、私は若干調べてみた。そうしますと、大手の商社というものがほとんど入っておることはわかった。しかしながら、中には資本金が二百万円くらいの会社もある、四百万の会社もありますし、六百万の会社もあります。そうした、言うならば零細企業的な業者が数多く入っておる。どういう信用状況で、またサプライヤーといままでどんな関係があってここの業者に指定がいったのか、この辺を一つ一つ聞いていけば、これはおかしいじゃないかということがたくさん出てくるのではないか、私はこのように考えておるわけです。  じゃ、角度を変えまして御質問をいたしますが、専売公社の幹部の方で、もと公社におって、いまこの業者の顧問または取締役、監査、また部長、そうした会社の幹部をしておられる方はどれほどいるのか、この点をつかんでおられるかどうか、お聞きしたいと思います。
  75. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 公社の先輩でこういう代理店の重役なりそれに準ずる立場についておられる方々、これは手元に資料がございませんけれども、先生御指摘のように、かなりございます。いま資料がございませんので、いまお答え申し上げるわけにまいりませんが、確かに、かなりの会社にある程度の先輩が行っているという事実がございます。  それから、さっき永井副木部長が申し上げました点で、ちょっと誤解があると思いますので申し上げたいと思います。  と申しますのは、当時、私その担当でございましたので事情を存じておるわけでありますが、米星煙草貿易、これは確かに会社としては形式的に新しいことになっておりますけれども、これは永井副本部長がお答え申し上げましたように、名前が変わっただけでございます。これはずっと昔からたばこの仕事をやっております。  それからもう一つの日本たばこ交易、これは別の会社がございまして、製品たばこと葉たばこと両方扱っておりまして、その葉たばこの部分だけを日本たばこ交易として分離したということで、形式的には新しい会社でございますけれども、実態的には昔からそういう仕事をしておったということで御了承いただきたいと思います。
  76. 西中清

    ○西中委員 それでは、米星煙草貿易の取締役をやっておる星子さんというのは公社の何だったのですか。
  77. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 公社の総務理事をしておりました。
  78. 西中清

    ○西中委員 それじゃ、たばこ交易の中塚さんは何をしておりましたか。
  79. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 これは公社の監事をしておいでになったと思います。
  80. 西中清

    ○西中委員 それでは、三晶実業の大槻さんは。
  81. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 三晶実業においでになるかどうか私ははっきり存じませんが、副総裁をしておりました。
  82. 西中清

    ○西中委員 国際商事の中島さんは。
  83. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 国際商事の中島さんは、公社のどこかの局長をしておいでになりましたが、いま、はたしておいでになりますかどうか、ちょっとはっきりしません。
  84. 西中清

    ○西中委員 それでは、宇田商事の大田さんは。
  85. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 大田さんはだいぶ前に監事をしておいでになりました。
  86. 西中清

    ○西中委員 まだあるでしょう。
  87. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 まだほかにあろうかと思います。
  88. 西中清

    ○西中委員 こういう外国葉たばこの輸入業者に、公社の幹部をしておった、総務理事とか副総裁とか監事とか理事とか、こういうような方がたくさんいるということについては、私は非常に不明朗だと思う。もちろん、就職の自由ということはございますから、どこの会社に行こうと自由です。しかし、事、公社に関して、葉たばこの輸入業者に重役、社長、こういう立場で大ぜい並んでおるというのは一体どういうことなんですか、総裁。
  89. 北島武雄

    ○北島説明員 ただいまお話にございました、専売公社にかつてつとめておりました者が葉たばこの輸入業者に関係していることは事実でございます。これは、それだけお話しになりますと、いかにもおかしいじゃないかという気が部外者はすると思います。ただ、たばこは日本は専売でございまして、専売公社の者だけしか実は葉たばこの取引の実績はございません。ことに、たばこの取引で公社がどういうたばこを欲するかということは、専売公社につとめておった者のみが存じておるわけであります。したがって、そういう取引について公社につとめておった者が関係するということは、これは取引の性質からいって業者としてもやむを得ない、私はそういうふうに感じております。
  90. 西中清

    ○西中委員 それじゃあなた、今後こういうことがどんどん行なわれてもかまわないという御意見ですか、しようがないという……。
  91. 北島武雄

    ○北島説明員 それは、世の中の御非難を招くようなことは私どもできるだけいたしたくありませんが、いまのたばこの輸入の問題については、やはり何といっても専売品で、専売公社におった者しか実際そういうものについての知識はないわけでございますから、これはどうも、そういう点については私はやむを得ぬであろうと思います。
  92. 西中清

    ○西中委員 だけれども、そういうことをおっしゃると、この前の説明からも、きょうの説明からも、代理店にすぎないんですよ。そして、検査機関でもなければ、たばこについての何らの手当てもしない、こういう話じゃないですか。これなら別にたばこに関係した人じゃなくたって十分できるはずなんです。だから私は長々とこの前はアメリカから日本に輸入されるまで経過をこまかく聞いていった。あなたのいまの御説明では全然理由にならぬですよ。どうですか。
  93. 黒田実

    ○黒田説明員 代理店の機能につきまして、簡単に補足させていただきます。  代理店が向こうのサプライヤーの代理をしまして公社と取引をしているわけでございますが、一つの機能といたしまして、向こうのサプライヤー自身、たとえばアメリカの例でございますと、向こうの業者でございますから、向こうのたばこの専門家で、こちらの要求するものをちゃんと買って提供する、こういうような能力はもちろん十分持っているわけでございますが、いろいろな点で、やはりその間でこちらのエージェントがそういうたばこの技術を持っておりまして、向こうのサプライヤーと一体となりまして良品を提供する、こういうことができれば一番よろしいわけでございまして、現在のエージェントの全部とは申しませんが、相当部分のものは、一部向こうのサプライヤーと一緒になりまして公社の欲する品種のものを提供する、こういう仕事に従事している、こういう実態があるわけでございます。
  94. 西中清

    ○西中委員 全然それは説明にもなっておりませんし、大体、前の委員会でもそういう説明はなかった。私も、何回も公社に来ていただいて聞いておるけれども、商社というものは自動的にきまるんだ、サプライヤーが検査をやるんだ、買い付けをやるんだ、こういう話ですよ。しかも、先ほども申したように、この公社をやめてすぐに会社を設立しているという例もある。逆に言うと、在職中から自分のつながりをつけて、やめてからすぐ会社をつくって、公社の中身は全部わかっている人がこの輸入をやっておる、こういうことが現実に行なわれておるんですから、いまの説明では十分じゃない。もう一度総裁に御説明を願います。
  95. 北島武雄

    ○北島説明員 私も、輸入葉たばこについての代理店の機能については内部でいろいろ聞いたわけでありますが、その間、どうしてもこちらの代理店としても相当な知識を持ってサプライヤーと折衝する、こういう者が代理店としても適任であるというふうに私も承知しております。  そういう点から申しますと、先ほどから申しましたように、たばこは何といっても専売公社の専売でございまして、ほかにはその知識がないわけでございますから、業者といたしましても、葉たばこの輸入をやりたいというときには、やはり専売公社におって知識ある者を雇う、こういうようなことは私はあり得ることじゃないかと思います。
  96. 西中清

    ○西中委員 それでは引き続いて私はお伺いしますが、協同貿易の本間さんは何をしておったんですか。
  97. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 本間さんは、やはりだいぶ前におやめになりましたのではっきり覚えておりませんが、茨城の工場長をしておりました。
  98. 西中清

    ○西中委員 理事ですよ。覚えててくださいよ、先輩を。それから明興産業の駿河さんは。
  99. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 たしか駿河さんも専売公社の理事おいでになったかと思います。
  100. 西中清

    ○西中委員 日塩KKの請川さんは今年六月一日に退職をされておりますが、いまどこにおられますか。この人は、もとは何ですか。
  101. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 監事でございます。
  102. 西中清

    ○西中委員 私はおとといおたくのほうから会社名を聞かしていただいたばかりで、まだ十分な調査もできておりませんので、下の部長さんとか課長さんクラスはどうなっているか知りません。だけれども、いまあげたこの各社の例を見てみてもわかりますように、公社と輸入業者、これを除くと、あとはほとんどが大手なんです、三井とか三菱とか日商とか。小さいところはほとんどがこのように公社の幹部の方が入っておられる。こういう業者の報告について、大蔵省はどのように受けておられ、そしてお考えになっておるか、政務次官、ちょっとお伺いしたいと思います。
  103. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 ただいま公社の総裁がおっしゃいましたように、輸入業務は公社が行なうというのが専売法上きめられたことでございまして、これを便宜委託してやっておるわけでございます。そういう意味で、やはり公社の事情に通じた方がおられたほうがベターであるという総裁の考え方は、私は、妥当であると思います。  ただ、問題は、公社の方が入っておられるということが問題なのではなくして、それがゆえに公社との間に、もしも不明朗なことがあるとすれば、それが問題なのであろうと思います。これはもっぱら公社と委託業者との間の間柄が明朗に行なわれるということでなければならないのでありまして、もっぱら運営のしかたにあるというふうに私は考えるものでございます。
  104. 西中清

    ○西中委員 そうしますと、大手の三井、三菱、日商その他の会社にも公社から大ぜい入っておられますね。どうでしょうか、その点。
  105. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 先ほどお答え申し上げました米星煙草貿易、これは日商でございます。日商のたばこ部門でございます。あと、三井とか三菱とかいうところへ大ぜい入っているという、大ぜいというあれでございますけれども、入っていないとは申し上げませんけれども、そういう重役陣には入っていないということであります。
  106. 西中清

    ○西中委員 いるのかいないのか、いま聞いているのはそういうことです。
  107. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 三井なり三菱なりに公社の先輩がおることは事実でございます。しかし、そう高いポストにおるということではないと思います。
  108. 西中清

    ○西中委員 小さい会社も大きい会社も公社の先輩がどんどん入って、そこらじゅうにいる。皆さん方にとっては大先輩です。そして、業務に一切通じた人が入り込んでおって、しかも、前回私が言っているように、皆さん方がこの外葉の、たばこの葉っぱの質なり数量なりその他について目に触れるというのは、結局は港へ揚がってからです。それまでは全然めくらだ。値段はどうなっているんだ、C&Fはどうなんだ、内容はどういうふうにわかっておるんだと私は質問したけれども、わからないという回答だった。価格の内容についても十分把握をしておらない。しかも港へ揚がるまで製品はわからない。それを受けておる業者が、全然このように公社の先輩だ、こういうような業務形態というものは民間会社では絶対考えられないし、また、ほかの公団、公社ではこんなひどいことはない。言うならば、これは専売公社一家によってどのようにでも話し合いができるということは、世間の当然常識的な考え方だと私は思います。こういう点について総裁はどう考えているか。
  109. 北島武雄

    ○北島説明員 葉たばこの輸入業者の中に専売公社のOBの方が相当入っておることは事実でございます。その点については先ほど私が申し上げたわけでありますが、こうしたことが、えてして公社と業者との関係について変な関係を生じはしないかということが一番私どもとしては警戒しなければならぬところでございます。そういう点については、私どもも公社の先輩が入っているからどうということではなくて、いやしくもほかからはそういうような疑いの目で見られることのないようにいたしたい、こう考えております。今後もそのつもりでやっていきたいと思います。
  110. 西中清

    ○西中委員 政務次官、どうですか。これはまことにおかしいと思われませんか。それは気をつけますというものの、人情としてどうしても——一番新しい人はこの間一カ月もならないのに重役として入っておる、そういう会社もあるわけです。そこと公社は取引をしておる。前回からもお話をしておりますように、買い付けについてもほとんどめくら、こういう状況において、しかもサプライヤーがきまってから商社がきまる。なぜこんなに幹部が入っておるところばかりどんどん出てくるんですか。こういう点も考えていけば非常におかしいんです。しかも、大蔵省として業者の報告を受けて、これは妥当であるということになっておるのじゃないか。この手続上の問題もありまして、これは大蔵省にちゃんと届け出が行っているはずだ。こういう点はどのようになっておるか、わかりますか。
  111. 斎藤欣一

    ○斎藤説明員 サプライヤーと取引をし、したがいまして、どういう代理店と取引をするかということにつきましては、実は専売公社が公社としての判断でやっておりますが、一々大蔵省に報告したり、あるいは大蔵省に相談するということはございません。したがいまして、大蔵省のほうとしても、特別にそういう報告を求められれば公社のほうからお出ししますが、一応大蔵省関係がないということになっております。
  112. 西中清

    ○西中委員 よく官僚の天下りということがいわれますけれども、天下りといっても、公団、公社等に行かれる方は、一応月給が多いとか退職金が多いとか、こういう問題がある。しかしながら、この公社の場合は、民間商社を自分でおつくりになったり、または重要なポストにおられる、そして、それは長い期間にわたって継続されていく性質上、考えると非常にこれは問題だろう。しかも、信用状況等につきましてはたいへんな問題だ。いろいろとこうした点で疑問点が出てくる。いま、運用上の問題さえなければいいんじゃないかとか、そういうことをおっしゃっておりますけれども、少なくとも危険な状態にあるということは事実なんです。そういう点について、総裁なり、また大蔵省として、いつまでもこのままでいくのか、または、これを検討してすっきりした線に改善していく気持ちはあるかどうか、この点についてお願いいたします。
  113. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 輸入業者と公社の間が明朗に円滑に行なわれる体制はどういうような体制であるかということにつきましては、今後も十分に検討してまいりたいと思います。
  114. 西中清

    ○西中委員 これ以上私も追及はいたしませんけれども、もうこんなものは世間ではだれ一人納得できるような状態ではない。いろいろと経験者だとかなんとかいうお話がありましたけれども、今後こういう点については、事が起こらなければけっこうでございますけれども、何もないというようなことはどうも考えられない。業務内容についてもはっきりした線を出していかなければいけない。いま私が申し上げたことについて総裁からも御返事がないが、はっきりしたことをおっしゃってください。
  115. 北島武雄

    ○北島説明員 かつて公社につとめておった者が民間商社に入っておって、それと取引すること等について、そういった疑惑の眼を向けられることのないよう私どもとしては十分に慎重に運営してまいりたいと考えております。
  116. 西中清

    ○西中委員 どうするのか、このままでいくのかということです。
  117. 北島武雄

    ○北島説明員 民間会社でありまして、私どもはそれを排除しようということは申せないわけであります。就職の自由がございますし、先ほど申しましたように、葉たばこについてトップの技術が要るわけでありまして、向こうのサプライヤーの言いなりになるわけでもありません。現地指導をやることもあるわけで、大手商社が葉たばこの輸入をする場合には、専売公社のベターを招聘するということが実際にございます。しかし、それがゆえに公社が運用を曲げるということは、私は絶対にいたさないつもりであります。しかも、そういった疑惑を招くことのないように今後も十分戒心してまいりたいと考えております。
  118. 中川一郎

    中川説明員 ただいま御指摘の専売公社は、官僚の天下りということで国民の中から非難があることは事実であります。したがって、こういった点については、一九七〇年代の政治といいますか、行政としてやはり慎重に考えなければいけない一つの問題であろうと思いますので、こういったことを踏まえまして、国民から疑惑の眼を向けられることのないよう最善を尽くしてまいりたいと思います。
  119. 西中清

    ○西中委員 総裁のことばは、あくまでもやむを得ない面があるというように受け取れるのです。公社はどこまでも国民の税金一つの基盤としておるわけですから、当然すっきりした姿にしなければならぬのじゃないですか。その点はどうなんですか。さっきから聞いておると、事故さえなければいいんだ、逆に言うと、見つからない間はいいんだ、何もなければいいんだということですが、こうした密着した姿は重要な問題点だ。その他についての反省なりまた改善に対して前向きの姿が全然見られない。もう一度回答してください。
  120. 北島武雄

    ○北島説明員 これは個人の就職の自由にも関係すると私は思います。専売公社の諸君が無事に定年を終えまして第二の人生として他の職場に行きたいといった場合に、たとえば、いま言ったような専売における特殊の技能を買われて招聘される場合は多々あるわけであります。こういうことは、私どもはとめるわけにはいきません。そういう方々はそういうところに行っていただいて、そうして第二の人生を清く正しく御自分の生計を立てられるわけですが、そういうことをあえて排除するわけにはいかぬと思います。  ただ、そういうことについては、公社として、先ほどお話がありましたように、ややもすれば疑惑の念を招くということはいけませんので、運用については今後十分に慎重にやりたいと思います。
  121. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連して総裁にお尋ねしたいのですけれども、いま人事院における公務員の天下りについては人事院が審査をいたしておりますね。それはあなたも大蔵省におられたんだから御存じだと思うのです。人事院で審査をされておる。そうして、できるだけ関連する業界については行かせないように、それは結局、つながりによって利益誘導とか、そういうことになるわけですからね。それはあなた御存じですね。それを御返事ください。
  122. 北島武雄

    ○北島説明員 国家公務員についてそういう制限があることは、私も十分承知しております。
  123. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、専売公社と国家公務員との関連で、専売公社は差しつかえない、こうお考えになるのですか。
  124. 北島武雄

    ○北島説明員 三公社につきましては、そういった法的規制がございません。
  125. 勝澤芳雄

    勝澤委員 法的な規制がない、あなたのおっしゃるとおりです。しかし、専売公社の公共的な機関であることと、国家独占的な仕事をしていることと国の機関との間で、いま人事院が特に重く見て、天下りというのを禁止をしている趣旨からいうならば、いまやっておる理事がやめて、専売公社の直接関係のある輸入業者をやることの可否について、あなたはこれは差しつかえないと思いますか。私は法律的なことじゃないのです。
  126. 北島武雄

    ○北島説明員 私はこれは法律的なことと思います。法律でやはり国家公務員は特殊なそういうような制限を加えておるわけなんです。あとの三公社あるいは公団その他についてもそういった制限は加えてないわけであります。もし国としてそういう必要があるとすれば、立法なさって制限するということがあろうと思いますけれども、ただいまのところそういった制限がございませんし、個人の就職の自由ということもございます。
  127. 勝澤芳雄

    勝澤委員 あなたは専売公社の総裁だ。総裁といえば、社会的常識を持っていると思う。私は法律論争をやっているのじゃない。国家公務員の次の天下り人事がいま問題になっている。それはおわかりになろうと思う。問題になっている。だからそれは人事院が規制をしている。だから、直接自分の業種と関係のないところへみな行く。しかしあなたの場合は、専売公社から直接関係のあるところへ天下りをしていて、そして、それはあなたは当然だと、こう言っている。これは法律的な問題じゃないですよ。世間の常識というものですよ。あなたはそれが通ると思いますか。
  128. 北島武雄

    ○北島説明員 私は三公社の職員がやめたあとで、その技能を買われて行くということについて、これをやはり否定する根拠は決してないと思います。ただそれについては、やはり国としてそういったことがいかぬということになれば、これは立法の問題かと私は思います。
  129. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、専売公社の総裁というものが、いま世間でいわれている私なりに見た常識というものをあなたが否定をされているということは、専売公社の総裁として一体いいだろうかどうか実は疑問を持つわけです。  政務次官、答えにくいことでしょうけれども大蔵省の銀行局長が三井銀行の重役になる、これは法律で禁止されていますね、これは人事院で許可をとらなければいけないわけですから。専売公社の総裁や副総裁や理事をやった人が輸入業者の会社をつくる。請われていくのじゃない。いまお話を聞いていれば、新しくつくったり——これはあなた、政治家として、大蔵政務次官でもけっこうですから、政治家としてどう感じますか。これが常識的に許されていいものかどうか、少しぐらい遠慮するくらいの面があるならともかく、常識的に許されるかどうか。その点どうですか。
  130. 中川一郎

    中川説明員 御指摘の点は、確かに考えなければならぬことであろうという反省といいますか、そういったことについては慎重を期し、また、こういうことがあってはならないし、できれば自粛するという方向でいいと思うのでありますが、北島総裁があのように強く、これは当然のことであると言われる背景を見ますと、かりにそういうことが行なわれておっても業務上おかしなことはないんだという一方の、何といいますか、自信のほどもあるのじゃないかという意味で、案外頼もしいという気持ちも一面ではありますが、常識的にいうならば、やはりこの点は十分考えなければいかぬことであろう、こういうように思います。
  131. 勝澤芳雄

    勝澤委員 政務次官も政治家ですから、常識的な判断をされている。いまあなたは私の常識と違った常識で、それがあたりまえだ——私は、定年になった人がどこかの会社に行って生活することについては、何も文句言っているわけじゃないんです。また、その人ができるだけ自分のいままでの得た技術あるいは習得した技術をどこかで生かすことも、それはいいと思う。しかし、それはできるだけ密着しているところに行くのはよくないんじゃないかというのが、社会的な常識なんです。あるいは、五十でもってやめた人に、全然関係のないところに行けといったって、それは無理なことも承知をいたしております。だから、五十でやめさせるのは——私は、五十五じゃない、六十ぐらいの定年にしなさい、せっかく役所に入った人が、役所で優秀になって、これから使えるというときになって、五十でもって民間に渡すというのはばかな話ですよ。これはなぜかといえば、結局月給が安いからです。あるいはまた、卒業年次の関係で、いろいろの機構の問題ですよ。ですから私は、とにかく給料を三割でも五割でもふやしなさい、そして、人が多いなら減らしなさい、そして役人として入ってきた優秀な人はとにかく六十まで使いなさい、そういう機構に改める中で、いまの天下り人事はやめなさい。両々相まってやらなければできないことはよくわかっております。しかし、世間的な常識にあなたは挑戦をして、専売公社につとめたやつは、どこでもたばこの小売り業者におまえ優先的にやらしてやろう、専売公社の職員は、おまえやめたらたばこ業者を優先的に許可してやろう、そうはしないでしょう。しかし理事になったら、役員になったら、おまえは商社をつくってそこに入れてやろう、同じことじゃありませんか。こんなばかばかしいことが行なわれておって、総裁は、それは当然のことだ、こう決算委員会で言っているわけです。もう一回答弁してください。
  132. 北島武雄

    ○北島説明員 ちょっと私のお答えのしようが悪かったと思いますが、決して常識に挑戦しているということじゃありません。ただ、いけないことかと言われたら、これは法律的には現在はそこまでする必要がないということで言っているわけであります。  そこで今度は、しからば第二の人生をどう送るかという問題でございますが、それについても、第二の人生で、かつての知識、経験を買われて招聘されることは、これはやはりいまの委員のお話でもあったと思うのであります。ただ、それについて、あまりに密着したところにやるのはどうか、こういうお話でありますが、それはやはり常識的に考えると、世間から、これはおかしなことがあるんじゃないかと疑われることもあります。しかし、それについては、私はそういうことのないよう万全の力を尽くしていきたい、こう思っておるわけであります。ただし、就職の自由もございますので、公社の人が入っても、それを排除することは、やはり私どもとしてはできないと思います。
  133. 勝澤芳雄

    勝澤委員 関連質問ですから、いま総裁の言った議事録をよく見せていただいて、過去の官房長官の発言なり、あるいは人事院総裁なり、いろいろのこの人事の天下りの問題にあわせ見まして、いかにあなたが非常識な答弁をしているかということを別のところではっきりいたしたいと思います。  それと、もう一つ申し上げておきます。あなたが通ってきた歴史の中で、あなたはそれが信条になっているかもしれません。その常識は今日は私は通らないということを、ひとつ明確にいたしておきたいと思います。
  134. 西中清

    ○西中委員 非常に残念なお答えで、私もさっきからがっかりしておるのですが、先ほどの御質問のように、この点については、疑惑のないように総裁としてはお考えいただくのがやはり当然じゃないか、このように私は思います。この点については私もまだまだ疑点が残っておりますので、引き続いて次回においてやらしていただく気持ちでございます。  話は変わりますが、たばこの問題について、われわれのからだ、健康について、これは古くからの問題として、実はまた新しい問題として非常な論議を呼んでおるわけでございますが、御承知のように、アメリカでは有害であるとの明記をたばこにいたしております。公社としては、いまその点についてどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
  135. 北島武雄

    ○北島説明員 従来、たばこのパッケージにつきまして、お話のありましたような有害の表示をしているのはアメリカだけでございます。これにはいろいろな事情もあろうかと思います。  まず第一に、アメリカでは、ガンといえばとにかく肺ガンが主たるものである。日本では、ガンといえば胃ガンが大体ガンの半分くらいを占めている。肺ガンははるかに少ない。たしか八%かその程度で、それに対して、アメリカでは胃ガンがまたはるかに少なくて、たしか七、八%、これに対して、肺ガンが三〇%近くある。こういうことで、アメリカでは、とにかくガンといえばまず肺ガンが非常に恐怖心をもって見られておるのでありまして、これがまず第一に大きな背景をなしているんじゃないかと思います。  それともう一つは、アメリカでは日本のような未成年者喫煙禁止がございません。したがいまして、未成年者の喫煙の風習が一般的なんでございます。これに対する警告の意味もあるというふうに私ども考えております。  それから第三には、アメリカの社会的心理と申しますか、そういったものもやはり関係していると考えます。  そこで、私のほうといたしましては、たばこというのは、健康上の問題からいえば、長期にわたって多量に吸うことはやはり問題があることは私どもも存じておりまして、これはもっぱら量との関連で考えられることじゃないか、こういう感じがします。     〔丹羽(久)委員長代理退席、委員長着席〕 ことに、たばこにつきましては、酒と並んで人類の二大嗜好品で、愛煙家からいえば、たばこを吸うことが非常な楽しみであるわけでございまして、たばこを吸うときに心の慰安を感ずるという愛煙家が多いわけでございます。そのときにたばこのパッケ−ジ、これは包装の一部でございますから、デザインというものも愛煙家にとっては大事なことでございますが、その一部にそういうことを書くということは、愛煙家に対してはいかがなものか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただし、公社といたしましては、もちろん肺ガン等の問題については等閑に付しておるわけではございません。非常に重大な問題と思いますので、従来から委託研究もいたしておりますし、それから、内部ではとにかく新しい技術を開発いたしまして、できるだけニコチン、タールの少ないたばこをつくろうじゃないか、それからさらに、将来は人工的に合成たばこができないかといった研究もいたしております。喫煙と健康については、私どもも十分の考慮を払っておるわけでございます。それからまた、さらに昨年ニコチン、タールの分量を各銘柄別に発表いたしまして、ことしの一月から小売り屋の店頭でそれがわかるようにいたしておりまして、消費者の選択にまかしておるわけでございます。
  136. 西中清

    ○西中委員 いま肺ガンについての御説明が中心でございますが、たばこの害については、ガンだけではなくていろんな面で問題になっておるわけでございます。たとえば、これはある新聞の社説でございますが、心臓疾患、動脈硬化、青少年の喫煙の弊害、妊婦の喫煙による未熟児出産、そういう警告がなされております。また、各医学者の研究でもいろいろと多岐にわたっての有害が論じられておるわけでございます。事、ガンに関する限りでは、なるほど病理学的にはこれは疑問点があるとか、いろいろと論議はあろうかと思います。  いま私は公社に考えていただきたいことは、このように世間が公害公害で騒いでいる中で、むしろたばこの有害は非常に幅が広い。しかも直接からだの中に入る、間違いなく入っていく。また、いま各地で問題になっている公害の場合は局地的なものである。たばこは全日本国じゅうにわたって愛煙者が多いわけです。しかも年々消費量もふえておる、またこれを愛好している人も多くなる。いまかりにガン一つ見ても、アメリカは肺ガンが多いし、日本は少ない、だから日本はだいじょうぶなんだ、ないしは、心配しておるけれども、そう大きな問題ではないのだというような感覚では、いまもうこうした、公害ではないけれども、同じく人体に対して有害な問題に対しての国民の意識というものは非常に変化しておる。私はあちこちの公害についての調査団に加わってまいっておりますけれども、やはり前回また前々回という過去にわたっての住民の意識と現在とは非常に変わってきておる。そういう点で、過日もテレビでも問題になった。当然これはアメリカと同じように有害であると、ないしは、それだけのはっきりしたことを言うのはまずいというならば、それなりにたばこにニコチンとタールの成分を明記するなり、ないしはそういう心配があるというようなえんきょくな表現にしても、何らかの対策なり方法を講じて、国民の健康の保持のために考えていかなければならぬじゃないか、このように考えるわけですけれども、その点どうでしょうか。
  137. 北島武雄

    ○北島説明員 まず喫煙と健康の問題、これは公社も非常に重要な問題と思って、深い関心を持っております。先ほど御説明いたしましたように、いままでも十分研究を委託しておりますし、公社自身もまた今後研究を続けていきたいわけであります。  なお、昨年十一月にチクロなどの問題が起こりましたあとに、専売公社といたしましては、進んで公社でつくっております銘柄のニコチン、タールの成分を発表いたしまして、そしていま店頭でもそれがわかるようになっております。公示いたしましてからたばこの需要がだいぶ変わってまいりまして、これは私は需要者の嗜好にこたえて、いいことだと思っております。それとともに、宣伝についてはできるだけ自粛する、ことにテレビ、ラジオについては、新製品の紹介程度にとどめる、あるいはまた未成年者の喫煙防止運動、それから防火運動、こういったものには極力協力する、それから若人や婦入が吸いたくなるような宣伝はやめる、こういったことでいたしておるわけでありまして、そういった健康の面についても専売公社は十分考えておるわけであります。  ただ、今後は私は無害たばこの開発ということが一番の問題じゃなかろうか、安心して吸えるたばこ——私も公社に参りましたとき、昔愛煙家でございましたときに、やはりたばこというものは、愛煙者が安心して吸えるたばこをつくる必要があるということを申しまして、いま着々そうした体制で公社の内部でも姿勢を整えております。できるだけそういった方向で向かうつもりでございます。
  138. 西中清

    ○西中委員 確かに有害であることは公社のほうでも認めていらっしゃるようにいまのお話を伺いました。  厚生省としてこの問題をどのようにお考えになっておるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  139. 松下廉蔵

    ○松下説明員 厚生省といたしてましても、いま先生から御指摘のありましたように、三十九年にアメリカでたばこと健康の問題につきまして報告書が発表されまして以来、各国の資料を収集いたして分析いたしておりますし、国内でもガン研究助成金等の活用によりまして、たばこと健康の関係について幅広い研究を専門家にお願いいたしております。  厚生省の考え方といたしましても、たばこが、特に長期多量の喫煙が健康に有害であるという点につきましては、これはおそらく学問的には認めざるを得ないであろうという前提に立ちまして、すでに三十九年当時から、地方に対しましても、たばこの有害性について広く国民に対する衛生教育をする、それから、幸いにして日本では未成年者の喫煙は法律をもって禁止されておりますので、そういった点につきましても、法務省、文部省あるいは警察庁等にもお願いいたしまして、この法律が厳重に守られるように指導していただく、あるいは、いま御指摘のたばこの広告等につきましても、いま公社の総裁からもお話がございましたが、私どもとしても公社のほうに希望を述べまして、婦人とか青少年等がたばこに対して新たな興味を持つような宣伝はできるだけしないようにしていただくというような、各般の面におきまして、成人病予防週間のPR等も通じまして、たばこの有害性、できるだけたばこをのまないようにするという衛生教育について努力をいたしておるところでございます。
  140. 西中清

    ○西中委員 ただいまのお話で、やはりこれは国民の健康を守るという点では非常な問題であることもはっきりいたしておりますし、先ほど総裁から、アメリカの条件はちょっと違うというようなニュアンスのお話があった。肺ガンの例をあげて、また未成年の例をあげて。しかしながら、日本の未成年者がやはりたばこをどんどん吸ってきており、その数がふえておることは事実であるわけです。ある統計では二十歳以前、十九歳以前で二八%が吸っておる、こういうようなものも出ております。しかも、公社というのは公共性を持った一つの団体です。先ほどあなたからはその点についてはあまり常識的な御回答をいただかなかったので、こちらのほうもどうかと思いますけれども、アメリカでは、民間会社において、最初は注意、明らかにこれは危険でありますよ、こうした程度の文句でございますが、明記された。引き続いて今度はそれが警告に変わった。当然、これは民間会社ですから、こういうものを印刷したならば、明記したならば売れ行きも減るであろう。ですから、これは業者としてはたいへんな抵抗をするに違いない。だけれども、抵抗できない理由があればこそ、そういうデータがそろってきた今日においては、これはもうがんばり切れない、認めざるを得ないからこそ、この民間会社も印刷を始めたのじゃないか。むしろ日本の公社なんていうのは、その心配は必要ない、大蔵省は専売益金の収入が減れば困る、こういうような気持ちもあるかもしれませんけれども、まさか人の命、健康を害してまで税金をあげる、そういう気持ちはないだろう。専売益金が減ったなら、かえってけっこうなことだ。だれひとり国民は批判をしないと私は思います。ですから、いわんやアメリカでは、売れ行きが減って会社があぶなくなるかもしれないけれども、あえて法的な規制、ここまでの施策をしておる。そして、総裁はアメリカだけの例をあげられましたが、よそじゃやっていないのだ、やっていないからうちも急ぐ必要はないのだというようなニュアンスを持った発言をしてもらっては困る。  過日のWHO総会ではどのような勧告が行なわれておるか、その点についてお話しを願いたいと思います。
  141. 松下廉蔵

    ○松下説明員 今年の五月十九日のWHOの総会におきまして、いま先生の御指摘のありましたような喫煙と健康に関する決議がなされておるということは、私どもも聞き及んでおります。内容は、いま先生が御指摘になりましたような点を含めまして、喫煙というものが慢性気管支炎であるとか、循環器系の疾患であるとか、肺ガンであるとか、そういったものに対して影響があるという専門家の報告を前提といたしまして、総会からWHOの事務局長に対しまして一定の事項を要望するというような内容のものでございまして、その事務局長に対する要望といたしましては、先ほど私から申し上げました日本ですでに行なっておりますようなたばこの害の衛生教育の普及という点が中心になっておるようでございますが、特にその総会に報告されました学者の意見について各国が関心を持つというようなこと、それからWHOで専門家グループを集めて研究を進める、若い人たちに吸わせないようにする、それから紙巻きたばこの広告を減少させる、包装や広告にニコチン、タールの含有量等について警告するように勧告する、それから保健関係者がなるべく病人に喫煙をやめるようにすすめる、そういったようなことが内容になっておるようでございます。  これはいま申し上げましたように、事務局長に対する総会の要望という形でなされておるようでございまして、具体的な問題につきましては、今後事務局長がこれを受けましてどのような形で加盟各国に対してこの勧告をするかということにかかってくると思いますので、私どもといたしましても、この趣旨、内容につきましては、先ほど申し上げましたように、今後ますます既定方針を強化していかなければならないと思っておりますが、具体的な問題につきましては、その勧告を待ちましてはっきりした結論を出したいというふうに考えておる次第でございます。
  142. 西中清

    ○西中委員 これは新聞の記事でございますが、いまのお話で大体尽きておるわけでございますが、事務局長の報告にある勧告の中では「タバコの箱にはニコチンの含有量を明記し、タバコは害はあると書くこと」、こういうような一項もございます。また、このときの採決、委員会採決だと思いますが、六十九カ国ですか、これが賛成をした。棄権をした十一カ国はたばこの生産輸出国、輸入関税によって潤っている国だけが棄権をした。これを見ましても、もうたばこの有害については世界じゅうが決定的にみんな認識をしておる、こういうような状態に入ってきている。しかも、このテレビの内容についても新聞で報道されておりますが、御婦人方からは、何とか健康に有害であるというようにしてもらいたい、そのときに総裁が出られて、新聞では、政府機関の公社であるせいか、専売公社の答えももたもたしていた、あまりすっきりした返事をされなかったように書いてあります。まあ事実は知りませんが、やはりこうしたところで世界じゅうの情勢、国民の関心というものは非常な変化をしておる。先ほど申し上げましたように、公害の局部的な問題ではなくて、これは非常に大きな、広範囲な、長期にわたる問題でもございますので、これは民間会社よりもやりやすい公社においてやることが大事じゃないか、明記をするのが大事じゃないか。それに対してのいろいろな異論があることも知っておりますが、こうして政府機関である公社が明記をするということは、今日の有害食品なり公害に対する国民の不信感を払う意味においても、総裁が厳然としてやられることは非常に印象的にいいのではないか、このように私は思うのです。その点、どうでしょうか。
  143. 北島武雄

    ○北島説明員 私は、たばこが健康に害があるかどうかという問題については、やはり量を度外視しては考えられないと思うのです。私もある医学者から承ったのですが、昔の英国の統計あるいはアメリカの統計でも、一日二十本以内の喫煙ならば吸わない人との間にほとんど差異がないのだ、統計上の誤差程度しか出ないのだ、だから私は、人には一日二十本以内ならばだいじょうぶですよと言っている、こういう話もございました。やはり長期に多量吸うということが問題だと思います。これは何もたばこに限ったことではないのです。お酒がまず第一にそうじやなかろうか。お酒はたばこよりもはるかに一たくさん飲めばアル中になる、あるいは他の病気の原因になる。お酒のために身をあやまったことはあるが、たばこで身をあやまったことはないわけでございます。もちろんたばこの火の不始末のために火事を起こしたということはございますが、そういうことがないように十分やっているわけでございます。それから、たとえばお砂糖などでもとり過ぎれば心筋硬塞になるという説があるわけでございます。  そういった点、いろいろバランスを考えますと、私はなぜたばこについて——しか嗜好品でありまして、愛煙者はそれによってくつろぎと安らぎを得ている、吸っている間は楽しいのであります。一方、有害という説がある。これは御自分の判断でなさるわけでございますが、吸っている間は気持ちよく吸っていただくのが私どものつとめではないか、こう考えるわけであります。もし気持ちよく吸っていただくということを考えなければ、パッケージのデザインなどはこる必要はない。できるだけ吸わなくするために装飾も何もしなくてもけっこうであります。そういうわけにまいりません。やはり三千万人の喫煙者がございます。その中には非常な愛煙者もおりまして、気分を楽しんでいる方が多いのであります。そういう点を私ども十分考えなければいけない、こう考えております。
  144. 西中清

    ○西中委員 これまでの御説明で、なるほど納得できる面もあるわけでございますが、ただ、いまたばこに対する害というものについてはまだ研究をしなければならない面も確かに多い。それだけに、逆に申しますと、いま二十木以内という話ですけれども、あるデータでは吸う者と吸わない者との間に差があるということもございます。ですから、動脈硬化とかいろいろな心臓障害を起こすとか、ガンであるとか、その他寿命の問題とか、これが一つ一つ解明されてきた場合に、アメリカなりまた全世界が、こういうようなWHOが一つ勧告をし、決議をし、また明記をしておる時代になって、なおかつわが日本の専売公社が、そういうことまですることはないのじゃないか、これは自由でございますけれども、もしもそういうはっきりした病理上の問題なり学説が出てきた場合に、アメリカでも見られるように裁判問題が山ほど起こってくる。私が寿命を縮めたのもたばこがだいぶ関係しておるらしいぞ、こういうことになった場合に、公社として非常に苦しい立場に立つ。世間が、世界じゅうがこの問題について関心を持ってない、わからなかったというならばいいのです。相当そういうような背景が盛り上がっておる今日において、よその国のようにほとんどが民間というならば、これはいろいろと財政的な処置も考えなければならぬけれども、公社においては一番やりやすい。むしろそういう点で率先してやる。そして国民にはっきりとこの認識を与え、また公社としての姿勢をきちっと確立しておけば、あとは国民一人一人の嗜好の問題ですから、自爆を覚悟でのむというのは自由なんです。先ほどこの問題について気分を害するとおっしゃいますが、国民は、半分はやはり心の底で、どうも危険らしいとか有害らしいということはうすうす感じながらも、やめられないでのんでおる。書いても書かなくても一緒なんです。だけれども、若干なりともこれはセーブする気になってくる。いまのように、公社が全然そういう点ではやらないぞとがんばっていると、半分は、やはり日本の政府機関がやることなんだからだいじょうぶかもしれぬぞ、こういう気分を持たしておることもまた事実なんです。私は、健康を害する面において公社が消極的な責任を持ってもらわなければならぬ、こういうようにも思います。  それで、将来にわたって問題にならないように、ここで十分検討していただいて、早くこうした処置をとられたほうが賢明ではないか、アメリカのように裁判がどんどん起こってから大騒ぎをしておったのでは、おたくのほうもたいへんだ、こういうことを先ほどから申しておるわけでございますが、その点、どうでしょうか。
  145. 北島武雄

    ○北島説明員 御意見十分承っておきます。
  146. 西中清

    ○西中委員 じゃ、そういう点で、できるならば、厚生省ないしは通産省、公取の品質の表示というような関係もあって、きょうは御質問しようかと思いましたけれども、どこかに規制をしたり強力な行政指導をするところがないかと考えたわけでございますが、しょせんは公社がその気になっていただかなければならない、こういう状態だそうでございます。  大蔵省のたばこの監理官の方いらっしゃいますか——大蔵省のほうではどうお考えになっているか、ちょっと聞かしていただきたい。
  147. 熊田淳一郎

    ○熊田説明員 たばこが健康に影響がある、長期多量であれば有害であるということがいわれておる、これは私ども承知しております。しかし、先ほど来総裁からも御説明がございましたように、その程度がはっきりしておらない。どの程度の期間、どの程度の量吸えば有害であるのかということは、まだ医学的にもはっきりしておらないわけでございます。公社といたしまして、できるだけ害の少ないたばこを開発するということを一方で努力いたしますと同時に、一方では、そういうたばこの害があるかないか、どういう吸い方をすれば害がないかということについての研究も、これからさらに金をつぎ込みまして検討するという体制にございますので、私どもといたしましては、その公社の姿勢におまかせをしたいと考えております。
  148. 西中清

    ○西中委員 以上で私の質問は終わりますが、何といっても国民の健康の問題でございますので、たとえば未成年者の喫煙には法律上の規制がございますが、事実の上ではふえてきておる。相当数の若い人は吸っておる。事実の上においてみんな長期にわたるわけです。  そういうことを考えていくならば、これはゆるがせにしておっては将来大きな問題を残す。公社ならば、これはかりに明記したところでたいした影響はないと私は考えておる。売れ行きは若干減って、大蔵省の専売益金が少なくなるので、大蔵省がそんなもの書いちゃいけないとおっしゃっておるのかどうか知りませんけれども、そうじやなかろうかと思ってしまう。むしろ民間会社でもあえてやっているようなことが、何で公社はできないのか。これは各紙の論調、社説その他、これら等にも繰り返し載っておるわけであります。一刻も早く公社としての適切な処置を、できるならば含有量の明記なり、また警告なり注意なり、そうしたものをやっていただきたい、このように考えておるわけでございます。政務次官の姿勢を聞かしていただきたいと思います。
  149. 中川一郎

    中川説明員 大蔵省としては、専売公社でたくさん税金をかせいでもらいたいという一面があることも事実でありますが、国民の健康を犠牲にしてまで税金をかせぐというようなことは当然あってはならないことでありますし、特に、最近たばこの害が強くいわれる世界的な傾向となってまいりました。アメリカという国は、酒についても禁止している州があるくらい、なかなか慎重な国のようでありますから、アメリカについて学ぶべき点もあろうかと存じますが、ただ、いま急に、害があるだの何だのというようなことを逆宣伝というか、誇大に宣伝いたしましても、これまた必要以上の不安を与えることにもなりはしないかといった点も考慮しつつ、これからまた専売公社においても相当そういった点について研究のほうもいたしております。諸外国においてもまた研究も進むでありましょうし、政府としても、厚生省等、こういった問題については研究をさらに一段と進めて、ほんとうに害があるというようなことでありますならば、これはたいへんなことでありますので、そういった点も配慮してこれからの行政を行なっていきたい、このように存じます。
  150. 西中清

    ○西中委員 学説の問題になりますと、これはどんな病気でも反論がある。ですから、これがきちっとした定説になるまで待つということであれば、とんでもない時間がかかる、年数がかかります。私はいまがちょうど大事なときじゃないか、そういう考えでおるわけです。定説になるまで待っておったならば、これは何十年かかるかわからない、実際問題として。非常に幅の広い問題ですから、有害であろうといわれておるものが非常に幅が広い。その一つ一つがはっきりするまで学説を待っておったのではしようがない。その点、先ほど来の話は、ただ医学的に病理的にはっきりせぬから引っぱるという姿勢をいつまでも続けておったのでは、これは解決にならない、こういう点を十分理解をしていただいてお考え願いたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。
  151. 濱野清吾

    濱野委員長 吉田君。
  152. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 円切り上げの問題を少し伺ってみたいと思います。適当にしかるべく御答弁をいただきます。  いまわが国におきましてもまた外国におきましても、日本の円を切り上げるという論議が相当行なわれているよろでございます。また、これを予想いたしまして、有力商社もしかるべくその用意までしたことが伝わっております。一体、この円切り上げ論の理由、論拠というものは何でございますか、それを一応御説明願いたい。
  153. 奥村輝之

    ○奥村説明員 円の切り上げの話は、日本の国内においても間々聞かれるようでございます。外国にもそういう話があるわけであります。むしろどちらかといえば、日本の国内における話のほうが熱心で活気を帯びておる、これは皮肉でございますが、そういう感じでございます。  と申しますのは、日本の国際収支、これが昭和四十四年度におきましては、総合収支で約十九億ドルの黒字を出し、また昭和四十五年度におきましては、政府見通しによりますれば十億七千万ドルの黒字が出るというような見通しをしているわけであります。こういうふうに、国際収支の好調というものが続いておりますので、そういう関係で、円の切り上げというものが外国から要請せられるかもしれないというような考え方が国内の一部にあるように聞いているわけでございます。  しかし、これに対しましては、私どもは、まず一番大切なことは、いろいろと障害はございましょうけれども、外国に比べまして保護の状態がいささか手厚いことになっております輸入を自由化していく、あるいは外資、資本の面について自由化をしてまいるというようなことが、日本の経済の合理化のためにも必要である、まずこういうことをやっていくべきであるというふうに考えておるわけでございます。  次に、先ほどは国際収支の一般論について申し上げたのでございますけれども、ことに外貨準備という点についてながめてみますと、昨年は御存じのように、円シフトという政策をやってまいりました。総合収支がよくても外貨準備の現金の準備の増加というものが過度にならないように、適度にこれが増加してまいるようにという配慮をしてきたわけでございます。世界銀行に対しまして融資参加証書の買い入れを昨年は行ないましたし、本年に入りましても、世界銀行に対する貸し付けという形で同じような趣旨のことを行なったのであります。こういうことで、私どもは現在の外貨準備三十九億ドルというものは、決して過大であるとは思っていないのでございます。日本の現在の貿易量に比べて、考え方によっては、あるいは少し少な過ぎるかもしれない、しかし、問題は国際協調という観点が重要であります。したがって、外貨準備の増加というものも、これは急激に行なうことなしに、徐々にこれを増加せしめるということも、これまた必要ではないかと思っているわけでございます。  こういうことで、いろいろな角度から方策をとりつつあるのが現状でございまして、たびたび大蔵大臣国会においてお話を申し上げておりますとおり、円の平価切り上げというものは頭のどこにもないというふうに大蔵大臣も申しておりますが、そのとおりでございます。
  154. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ところで、一方におきまして、たとえばわが国の国内におきましての物価の問題などもずいぶんと議論があり、方策の提案はされますけれども、一向に効果はあがってこない。世界インフレのうちに日本の物価も次第に上昇しつつあるということは、これはまぎれもない事実でございます。いまおっしゃった、たとえば輸入の自由化と申しましても、ドイツあたりと比べましたならば、ドイツにしましても、輸入資本、為替の自由化などはもう十年も前に完了しております。日本は輸入の自由化といいましても、これはまだ百二十品目が残っておるはずであります。これは経済問題でなくて、政治問題がからんでおります。ですから、輸入の自由化とおっしゃり、円切り上げの回避対策はとりつつあるとおっしゃっておるけれども、一体輸入の自由化というのは何ができておるのかどうかということは、国民としては疑惑にたえないと思うのです。  と申しますのは、たとえば新聞の伝うるところによりますと、円切り上げをだいぶ予測いたしまして、日本におきましても、三井物産が為替変動の準備金を積み立てるとか、住友商事とか日商岩井とか伊藤忠とか等々、一流の外国貿易に関係するところでは、相当資金的な用意をもってこれに対処しようとしておる。また、輸出を主とする船舶の輸出なんかにおきましては、延べ払いの船舶の建造の注文などに対しましては相当警戒して、これを円払いに切りかえてほしい、もしくは、今後契約するものは円払いにせねばいかぬ、こういうふうに、将来の円の切り上げというものは、政府当局がやらないと断言しておっても、日本の現状からすると、好むと好まざるとにかかわらず次第にそのほうへ行くんじゃないだろうかというのが、相当有力な論でもあり、説です。また、この  一流の大商社、世界的な目を持ち耳を持ちまして企業をやっておる会社ですが、これはだてや酔狂でこういうことはいたしません。そういう経営者の人々に聞きましても、次第に情勢は緊迫していくという観察もしておる。政府のほうにおきましてはそんなことはいたしませんと言うておっても、やかましゅうなってきたからやむを得ないというてそれをやっていくということで態度を変えましても、別にたいした利害がないような立場、というとえらい失礼ですけれども、こういうことも考えられるのです。そういうことになりますと、もう少しこの問題は深く真剣に掘り下げて考えるべきではないか。したがいまして、回避対策として当然とっておる手段、そんな輸入の自由化といったら、何をどうしようというのか、物価対策として輸入自由化とどう関連づけて、何をどうしようかということについて、やはり具体的に行なうという姿勢が明らかにならぬといけないと思うのですね。  この点について、輸入の自由化の具体施策を、何をどうしているかということをひとつ説明してもらいたいと思うのです。
  155. 中川一郎

    中川説明員 この所掌は通産省、農林省になっておりますが、きょうお呼びがなかったものですから、見えておりません。
  156. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはりこの問題は、なるほど通産省、農林省の問題ではありますけれども、もちろん円の切り上げの問題というものは、日本の円の平価維持の立場からするならば、日本の円の国際的値打ちが上になるのか下になるのかという問題でしょう。だから、これはもうたいへんな財政の問題でなければなりません。主管庁の大蔵省で回避対策はどうとっておるかということを、他省がやっておってもそうでなくても、これは当然答弁せぬばいかぬと思うのだが、御無理でしたら別の機会にしますよ。何も私は用意を頼んでおりませんので、これは別の機会でもかまいません。
  157. 奥村輝之

    ○奥村説明員 輸入の自由化の細目につきましては、やはり責任のある通産省、農林省からお答えをするのが筋であると思います。  ただ、御指摘のように、輸入の自由化というものも平たんな道ではないわけでございまして、産業界との関係においてはいろいろとむずかしいことがあるわけでございます。しかし、日本の輸出を伸ばしていくためにはやはり輸入のほうを自由化していく、これは総合的にそういうふうな問題があるわけでございまして、そういう趣旨に基づいて、いろいろと産業界との問題なども考慮に入れながら輸入の自由化の推進について努力しているというのが現在の状況でございます。  なお、先ほど御指摘ございましたが、為替の平価の変化というものを別にいたしましても、現在の為替相場制度のもとにおきましては、平価の上下一%ないし〇・七五%という間に為替相場は動くわけでございます。そういう意味で、円建てによる貿易というものを進めていきたいというふうに考えている業界というものは確かにあるわけでございます。これは円平価の問題もありますけれども、為替相場の現在の制度下における刻みの中の変動の問題としてそれを考えることも可能でございます。日本の対外決済の場合に、円建ての取引の割合は非常に小そうございます。ドイツなどは、輸出取引は八〇%くらいはマルク建てになっている。これは正確な数字がなかなか出てこないのでございますけれども、フランスは、まあ一般的な地域で四〇%くらいはフランスフラン建てになっているというようなことでございます。  そういうふうな先進各国の例にならいまして日本もまた円建ての契約をするということは、商社、メーカーにとって、先ほど申しました為替の日々の変動のリスクの回避という点から見て非常に有益であろうということで、そういう動きは十分了解せられるのでございます。何ぶん、そういうふうな契約をするということは、相手国との関係で日本の商品の輸出の場合には競争力の問題ということになってまいります。これはそう一朝一夕にしてできるものではございませんけれども、現にそういう動きがあるということは、これは私どもとしては一つの道ではないかというふうに考えているわけでございます。
  158. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ケネディラウンドによる関税一括引き下げの問題ですね。これにいたしましても、早期にこれを実施するという問題もあるようでございますが、こういう方面についても、もっと積極的な姿勢が打ち出されていくということが回避の対内対策の一環となるのではないか、こういうことを強く要請する向きもあるようでございますが、これとても、やはり業界との関連があり、産業部門との関連もあろうし、政治性を持った反面もありますので、日本のような国はなかなかその点はむずかしいと思いますが、やはり輸入自由化の一環といたしましてこの問題に積極的な姿勢で取り組んでいくのがほんとうは正しい姿でないだろうか、こう考えますが、いかがでございましょうね。
  159. 奥村輝之

    ○奥村説明員 全くお説のとおりでございます。
  160. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ことに特恵関税の実施が間近に迫っておりますね。そういたしますと、開発途上国のほうにおきましても無税のものができてまいりましょうし、労賃は安いし、労働力は相当あるし、日本のように、完全雇用、労働力不足の現状と比較いたしますれば、そのような生産的な客観情勢はよほど違った要素をたくさん持っているのが開発途上国の実情でございますので、こういう方面の特恵関税実施の暁における日本に対する一つの攻勢といいますか、追い上げ、攻勢というものも、これもまたやはり輸入自由化をめぐって一つの難問になっておるのじゃないか。ただし、政府はすでに国際的に約束をしておりますから、特恵関税をいまさら拒否することは不可能でございますけれども、そんな問題もあろうと思うのでございます。  それから、資本の自由化の問題にいたしましても、これはずいぶんとたくさんに、七百業種ですか、対象業種がまだ残っておるようでございますね。そんな際でございまするが、やはりこのところ日本は国際的にGNPの上昇なり、円の地位が非常に強化したというようなふれ込みから、どんどんと資本自由化というものへの道を開けという声も高くなってきておるらしいのですね。こういうこともございますが、これらにつきましても、やはりしかるべく積極的な姿勢で解決していきませんと、当初おっしゃったように、資本の自由化も努力しておるというても、抽象的なだけではとてもいくまいと思うのです。日本では一つ一つが政治課題ですから、そのくらいに円切り上げをめぐっての諸条件のむずかしい問題がこんがらかっておるような気がいたします。  資本の自由化に対しまして、いま大蔵省の持っておりまする具体的な考え方は何かあるのでございましょうか。どうでございましょうか。
  161. 奥村輝之

    ○奥村説明員 今度私ども考えております資本の自由化、外資の導入のほうの自由化、これは五月の二十八日に大蔵大臣が外資審議会の総会に対しまして答申を求めたのであります。現在外資審議会におきましては、いかなる業種をどういうふうなやり方で自由化を進めるかについて検討中でございます。第一回、第二回の自由化が行なわれ、今度第三回の自由化が行なわれるという時期を迎えておるのでございますが、まさに御指摘のように、いままでのような状態を一歩越えまして、量、質ともに充実した自由化をするように努力をしなければならぬということで、外資審議会の意見もそういうふうな点については一致を見ているのでございます。ただ、その過程におきましては、いろいろと各産業界との関係においてお話し合いをしなければならない事柄があると思います。  しかし、反面、日本から外国に対して行なわれております対外投資、これは相当、たとえば五〇%でなくて一〇〇%で出ておるものもございます。地域としても、アメリカその他先進国に対してかなりのものが出ているわけでございます。そういうお互いの投資の相互主義という関係から見まして、いつまでも日本に対する外国の直接投資の門戸をかたく閉ざしたままにしておくということは問題があるわけでございまして、いろいろな諸問題があるということは頭に置きつつも、何とかしてこの調整をうまくやって、先ほど申しましたような量、質ともに充実した第三の自由化を実現させたい、こういうかっこうで現在この問題と取り組んでいる最中でございます。
  162. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 輸入の自由化は、物が入ってくる自由、資本の自由化は、資本が入ってくる自由、そのほかに為替管理の問題ですね。輸入の制限、為替管理のもとでの円の信用の保持といいますか、力といいますか、まつ裸になって国際競争裏に円というものはためしてみたかどうか、まだはっきりしないというのが国民感情でございますね。  そこで、あれは去年の十月でございましたか、日銀の為替管理の一件二十万ドルでしたか、自動認可の制度になりましたね。もっとふやすということが必要でないかということも伝えられておるのでございますが、この辺は大蔵省のほうで適当に審査をするという段階にきておるのではないかと思うのです。これは外資審議会にかかるのか、あなたのほうの事務的でやるのかよく存じませんけれども、やはり大事な問題でないかと思うのですが、いかがですか。
  163. 奥村輝之

    ○奥村説明員 為替の自由化をいたします場合に、私どもとして一番注意しなければならないのは、短期資本の移動をいかに処理するかというような心がまえで全体としての為替の自由化を進めるかということにあると思います。フランスにいたしましても、イギリスにいたしましても、ドイツにいたしましても、ヨーロッパで通貨不安が起こり、それに対してスペキュレーションがあった、こうながめてみますときに、必ずそこに短期資本の移動というものが行なわれたのであります。経済の実態そのものをかなり増幅した形で外貨が移動をいたします。これは一度管理の手をゆるめますと、なかなかもとに戻らないのでございます。そういう意味で、私どもはこの一点については特に注意を払う必要があるということを考えております。  次に、具体的な自由化の問題でございますが、先ほどお話に出てまいりました二十万ドルというのは、たしか海外に対して直接投資をいたします際に、累計二十万ドルまでに相当する申請については、日本銀行の窓口で自動的に認可をすることを原則とするという措置をさすものではないかと思います。海外に対する直接投資は、外国において生産事業を営む場合もございますし、あるいは資源の開発をいたします場合もございましょうし、あるいは商社活動をいたします場合もございますし、これから日本が発展していくためにはやはり必要な一つの方向でございます。この手続を簡素化していくということは重要でございます。  そういう意味で二十万ドルまでを・言うなれば自動認可の対象としたわけでございますが、この二十万ドルというのはいかにもまだ金額としては低いのでございます。できればこれをもう少し大幅に上げたいと思っておりますが、本件は大蔵省の所管の行政でございまするが、何ぶんこれを実施します場合には、産業所管官庁と密接な連絡をとって方針を確定するという必要がございます。現在それぞれの産業所管官庁と打ち合わせ中でございます。  なお、為替管理全般の今後の方向についてでありますが、ごく最近には海外渡航を一人一回七百ドルというのを千ドルに引き上げたというようなことも行ないましたし、徐々に為替管理の緩和をはかってまいりたい。もともと統制というものはないのが一番望ましい姿でございます。そういう方向に向かって努力をしているのでございます。
  164. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 いま一つ対策といたしまして、例の海外経済協力の問題がございますね。日本もこれは平和外交推進の一つの大きな目標としまして、また先進国の地位といたしましても、当然海外経済協力については、相当大幅に、かつ実質的にやらねばならぬ義務あるだろがう。この点は、去年の四月でありましたか、アジア開銀の第二回ですかの総会におきまして、福田大蔵大臣も五年間の計画で倍額にしたいと言っておられる。現在は、四十三年度統計によりますと十億四千九百万ドルぐらいですね。これを国民総生産の率からいきますと、一%にしたい。しかし現状は国民所得の〇・七四%らしいですね、そのうち政府援助は〇・二五%しかない。少なくともこれは七割にする必要があるということも主張されておるようでありますが、いずれにしましても、従来は、福田蔵相もその総会で述べたようでありますが、賠償の観念とか戦後処理、あるいはまた商売、貿易の観念とか、こういう観点がおもな援助でございましたようですが、やはり先進国の使命として、経済任務として、平和外交の推進の大きな手としましてこれらは当然の責任だろう。経済大国といわれる先進国日本は、それくらいのことをしないで世界万博もないのでございますということも国民の気持ちですね。そういう点から見ましても、それならばGNPの一%というところまで引き上げていくということについて、相当決意を持って具体的な方向づけをしておかないと、単に商売的なエコノミックアニマル、そのあらわれかいなと思われるようでは、こいつは効果はいかがかと思われます。その点はいかがです。
  165. 奥村輝之

    ○奥村説明員 経済協力全体に対する私どもの姿勢でございますが、御指摘のとおり、日本の発展というものは平和のうちに今後行なわれなければならない、そういう意味におきましては、近隣諸国、発展途上国の発展なくしては日本の発展、世界の発展は望み得ない、そういう意味で、日本も国力に応じて経済協力に努力をしてまいりたいというのが基本的な姿勢でございます。  そこで、去年の春、大蔵大臣がシドニーにおいて行なわれましたアジア開発銀行の総会において述べましたことは、今後五年間にアジアに対する日本の経済協力を、日本の国力の許す範囲内において倍にいたしたいということでございました。本年の去る五月二十、二十一、二十二日、パリにおいて開催されましたOECDの閣僚理事会におきまして、日本の代表でございました宮澤通産大臣は、閣内においてお話し合いのあと、一九七五年には日本の発展途上国に対する援助を一%にするように努力をしていきたいという発言をしたのでございます。これは大蔵省も参加をいたしまして、政府一つの方針として決定したところでございます。数日後、ジョクジャカルタにおいて開かれましたアジア経済閣僚会議においては、愛知通産大臣から同様の発言があったのでございます。  一%の内訳につきまして、その七割については、政府開発援助として一九七五年までに達成するかどうかという点につきましては、OECDの会議におきまして日本代表は、この点は非常にむずかしい、ただ増加をするように努力をいたしたいという発言をしたのでございます。これらを通じておわかりいただけますように、一%というものは、  一つ政府資金によって行なわれる、一つは民間資金によって行なわれるわけでございます。民間の資金によって行なわれるものにつきましては、この民間の資金の余裕等にもよる面もございます。また民間のイニシアチブによって行なわれる。非常にたくさん行なわれる場合と少なくなる場合とがあるわけでございます。こういうことで、一%という目標はあくまでも目標であり、努力の対象でございます。そういうことで、財政上の問題もいろいろと検討いたしましたが、これはそういうふうな民間資金とのかね合いでこの問題をあわせてひとつ努力の対象にしようというのが私ども考えでございます。  もう一つお話がございましたエコノミックアニマルという点でございますが、この秋にはDACの上級者会議というのが東京で行なわれるのでございますが、援助をアンタイイングにするということ、それから多角的な援助に力を注いでいく、この二点について議論が行なわれるのでございます。大蔵省といたしましては、これらの点についてはできるだけ前向きに問題を処理していきたいと考えております。
  166. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その点ひとつ次官、大蔵省の最高の方針、腹をきめておかなければいかぬ問題があると思うのです。やはり開発途上国、アジア諸国に対する経済援助は、私も先年医療協力の実態調査に行った一人でございますが、経済的裏づけをもって協力をするという以上は、その目的とするところも明確に把握いたしまして、その結果をすぐに日本が期待するということはこれはいかがかと思いますが、しかし長期的には長期計画を立てまして、日本との間に一そう親善と信頼関係が高まっていくという方向へ推進する、絶えず効率の検討をしていくということは、私は非常に重要な課題であると思うのです。私は反面から見ましたら、いまの国際的な情勢から見て、アジアが一つの混乱におちいっております。ベトナムの混乱いまだ終息せず、カンボジアの紛糾はいよいよまた大きな導火線になる、次に何が出るか、第三には何が出るかというようなアジアの情勢の中で、それでアメリカが兵力を引き揚げていく、イギリスはまたシンガポールから引き揚げていく、残されたアジアについて、日本はまさに先進指導国の大役にあります。こういう立場にありますので、せっかく経済援助をする以上は、やはりみみっちい考え方ではなしに、もう一つ高い視野に立ちまして、今後の国民的お互いの協力あるいは信頼というものを高めていく。だから、民度が低ければ高めていく、技術がなければ技術を与えていく、そして日本は、与えたらもらうというようなそんなみみっちい考え方ではなしにいくという理念の協力原理がこの際立てられるべきではないだろうか、こう考えるのであります。  でありますから、言うならば、できるだけ客観情勢に対して正確な情勢をとってください。いまアメリカがいろいろあちらこちらと援助しますね。軍事援助もしたり、経済援助もしたり、いろいろ援助いたしますけれども、われわれが一番目につくことは、実態を知らぬのです。極端にいうならば、どろ沼に大砲を持っていって据えようというのと同じことです。基盤に対する調査が不十分です。地位が不十分です。あんな科学性を持った国でありながら、そういう点においては前提が非常に不正確であります。この点は日本も反省しなければいかぬと思うのです。反省いたしまして、ただ金何ぼ積んで何をやったからどうというそんなことじゃなしに、その効果いかん、どう用いられておるか、日本に対する反響はどうか、この辺のことはやはり絶えず測定していく、もっと大きな規模のもとに、もっと高い理念のもとに協力していくということが、一つは平和につながります。一つは国際親善、経済親善につながってきます。でありますから、いろいろな意味におきまして、この経済協力の問題は、私は絶好の一つのテーマが投げられたような感じがしてしようがないのです。  ですから、これは国力の許す限り倍増するという御意見ももっともでございますが、いまのような点から考えまして、私は経済協力の問題はさらに積極的な姿勢をとっていく、それは大蔵省も外務省も、ないしは通産、農林その他各省が一体となりましてこの施策を進めていくということが、実に重要な七〇年の課題かもわかりません。この点を、ひとつあなた、大蔵省の御意向としてやはり答弁しておいてください。お帰りになったら、どうぞ福田さんともよく御相談いただいて、この点は非常に大きな課題として、私はほんとうは大臣の御答弁もいただきたかったくらいですけれども、どうぞその点よろしく願いたいと思いますが、いかがでしょう。
  167. 中川一郎

    中川説明員 ただいまの御指摘はごもっともでありまして、日本がこれだけ経済力がついてまいりまして、東南アジアの諸国とともに繁栄する姿勢、このことは今回の予算編成におきましても、あるいはこれからの長期的な見通しにおいても、一九七〇年代の大きなわが国の課題として取り上げてまいりますし、また、せっかく使ってもエコノミックアニマルとかなんとかいうような、もったいない、多額の金を使って悪口を言われるようなことがあってはならない、この点も十分配意していこうという姿勢はとっておりますが、せっかく御指摘でございますので、さらに大臣にも趣旨を伝えまして、善処してまいりたいと思います。
  168. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで残った問題の重要なのは、やはり私は国内対策の問題だと思います。国内対策といたしましては、冒頭私、指摘いたしましたとおりに、やはり物価ですね。極端にいうなら、わが国におきましては、経済にあらずして政治問題として物価が暗礁にぶつかっております。そういってもはばかりません。したがいまして、先般の四十二年度決算の総括質問の際にも、企画庁長官も、物価対策あれども実効はない。作文に終わっておりますということを物価庁の長官の佐藤さんがはっきり言うのですから、それほど対策あって効果が上がってこぬのがこの物価問題です。また物価問題はむずかしいですわ。経済だけ考えて、物価は物価としてだけ考えては、次元がまた違ったものがたくさんにこんがらがっております。ですから、わかるのです。わかるのだけれども、これを歴史的に考えてみると、昨年の十月に九・二九%でありましたか、ドイツがマルクの切り上げを実行いたしました。あの前後のいろんなドイツの実情を考えてみましても、ドイツにおきましては、これはもう申し上げるまでもなく、インフレというものについては深刻な民族的体験を受けております。第一次欧州大戦のあとにコーヒン一ぱいが五百万マルクしたというそういう時代、町に売笑婦がはんらんするというような深刻な体験。日本人やアメリカ人は、人もいうがごとくに、インフレ、物価不感症です。まさにドイツ人は物価アレルギーを持っておるというぐらいに物価問題は深刻です。したがいまして、インフレ対策、物価安定対策として、経済政策の至上命令としてマルクの切り上げ問題は打ち出してきたんじゃないかとまで考えられるし、また、後刻そういった批判をしておる人々もあるようでございます。  そういうことを考えますると、日本が物価問題が解決しないで物価がどんどんと上がっていくということ、そして思わしく輸入自由化は進展しない、経済の自由化はなかなか進展しない等々、あれこれと対外関係はなかなか思うにまかせないままに進んでいって、それでドルはどんどんと蓄積していく、ことしの年末には五十億ドル近くなるんじゃありませんか。というように、どんどん滞積していく。ドルは滞積していくわ、輸出貿易にたよっておるわ、輸入はなお門を締めておるわ、こういう状態でございましたら、国際世論というものは相当きつく日本に押し寄せてくるということは、これは幾つかの有力新聞、外国のそういう有力新聞が日本の円切り上げをどんどんと主張しておること、アメリカの経済相でしたか、何らか甘木も手を打たなくちゃいくまい、日本もだらだらと何もしないでおる時期ではないというような発言をしたとも伝えられておるのでありますが、やはり物価対策といたしましても考えてみなければならぬ、インフレ対策としても考えてみなければならぬのがこの円切り上げ問題じゃないかと思うのです。  さりとて、私も未熟ながら、やはり円切り上げ問題は幾多の未解決の問題が前提となっておりますから、まつ裸で世界的に横行濶歩して円の力を示していくといろ、そんな力はありはしないと実は思っておる一人でございますが、いずれにしても、物価対策として円の切り上げ問題は、やはり西独の教訓にも徴しまして、国際世論がいやおうなしに日本に押し寄せてくるということも考えまして、私はこの際に真剣に取り組むべき問題でないか、こういうふうに思うのですが、その点のからみ合った問題もよけいありますけれども、どうでございましょう。
  169. 奥村輝之

    ○奥村説明員 まさに御指摘のように、西独でマルクが切り上げられましたときには、西独のインフレ問題、物価問題などの解決の一助にしたいという考え方があったと思うのでございます。ただ、その後の状態を見てまいりますと、必ずしも切り上げによって西独の物価問題は、いままでに関する限りは解決されていないのでございます。これにはいろいろな注釈があるようでございますが、解決されていない。  その根本は何かといえば、やはり為替レートの問題というものは、それだけですべてのむずかしい問題を解決するという魔力を持ったものではないのでございます。これは切り上げの場合のみならず、切り下げの場合もそうでございます。その限界というものは、いま各方面において認識せられてきたと思います。そういう意味で、物価問題に対して、政府としても正面から取り組んでいるのが現状でございます。これを、円の切り上げ問題のために非常に便利ないい方法であるという考え方は、私どもとしてはとらないところでございます。
  170. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 切り上げが実行せられるようなことになりますと、日本の輸出貿易には相当重大な打撃がある、こう思うのでございます。反面におきまして、日本の輸出に対しましては、先進諸国、アメリカにおきましても、西欧におきましても制限するという機運も強うございますね。でありますし、たとえばいま具体的問題になっている繊維問題、アメリカの日本に対する自主規制の問題等々、これは相当重要な段階にきております。こんなようなこともありますので、円の切り上げというものが実現するということになりますと、輸出に関する企業は全国的に相当重大な影響を受けるということは必然だろう、こう考えますが、その点はその切り上げの問題の大小にかかわらずそうなってくるのではないかと思います。  しからば、こういうことに対しましても、もう何か手を打っておかねばいかぬのであるかどうか、その必要もないというのであるかどうか。これもやはりまた根本の方針にまでひっかかって返ってくるわけですね。だいじょうぶだ、だいじょうぶだと言いながら、ずるずる入っちゃったらたいへんだというのが、私が一番初めに指摘した有力商社が幾らか積み上げして用意しておるというふうになってきている。その傾向ですから、小さい業者はそんなこと、できはしません。それならば、小さい業者に対しては、反面においてやはり体質を強化する、経済力を強化する、設備の近代化もやる、生産性も上げるというようなことをして、これを並行していかなければいかぬ、こう考えるのですね。  そういう点におきまして、円の切り上げが実現するということになれば、打撃を受ける面はかなり多方面になるであろう。あるいは、あってはというので万全の対策を立てて、そしてその企業の体質を強化し、ないしは物価対策から輸入の問題も適当にすみやかに処理していく、それぞれを総合いたしましてこれを進めていかないと、非常に重大な波紋が八方に広がっていくのではないか、こう思います。もし実現が間近く迫ってさましたら、日本の円のみならず、企業全体が国際危機の断崖に立たされることになるというほどの、もうてんやわんやの問題になってくる、私はこうも考えられるのです。これは実現がないと断言しておられます。これを国民が信用していくのでしょうけれども、国際情勢も考えながら、やはり私どもは、いずれにしてもなすべきことはなす、体質の強化等、なすべきことはなすという面は怠ってはいくまい、こうも考えております。  これで終わっておきますが、いいですか。何かありますか。
  171. 奥村輝之

    ○奥村説明員 先ほども最初に申し上げましたように、円切り上げについては、頭のすみのどこにもない、大蔵大臣が重ねて国会で申し上げましたとおりでございますが、それとは別に、日本の経済の体質強化は必要でございます。その点においては御趣旨のとおりでございます。
  172. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 どうも時間がなくなってきましたので、ほかの方、相すみませんが、ごく簡単にはしょっていきますからあしからず。
  173. 濱野清吾

    濱野委員長 吉田さん、食管財政はどうでしょう。次の次に回してください、これは大きい問題だから。
  174. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうすると、食管のいま見えているのはどなたでしたか、食管財政のことでありますけれども、食管財政は、食管問題を一般に扱う機会がありますので、たいへん相すまんけれども、きょうはやめることにいたします。ちょっと時間を食ってしまいましたから、申しわけありません。  そうしましたら、税の問題をちょっと触れておくだけにいたします。  簡単にしますが、税の問題は所得税の問題中心なんですが、税の問題というものは、国の財政の面から見ても重要な財源であろうし、大蔵省から見てもできるだけ国民から取らなければいきますまいし、取られちゃ困るという国民の立場でございますし、どっちにしましてもこれは大きな課題です。そのうち、やはり何といっても個々には力がなし、微力ではあるし、批判の争いも十分できないというのが所得税の納税者であります。そこで、所得税問題について、これも一、二点だけにきょうはとどめておきまするが、所得控除の項目がずいぶんとあるようでございますが、こういう項目につきましては、ほんとうに全面的に再検討するというような御用意がないであろうかと思うのであります。たとえば医療控除にしても、社会保険あるいは寄付金、心身の障害者、老齢者、寡婦あるいは勤労学生、配偶者、扶養控除、基礎控除、こういう問題について全面的に再検討をすることが必要でないであろうか。やはり根本的に組み立ては、大蔵省が組んでおられます税制をちょっと見ても、寸分のすきもないような組み立てができておるようでありまするけれども、生活の実際の体験者の話を聞いてみますると、何が何じゃらわけがわからぬような控除のしかたになっておるとどうも感ぜざるを得ないのでありまして、だからこれを全面的に再検討する、これは税調のほうにおまかせになってすべきかと思いますけれども、その基本方針はぜひとってもらいたい。この点、先にちょっと次官に聞いておきます。
  175. 中川一郎

    中川説明員 税の問題は非常にむずかしい問題でありまして、時代の変遷あるいは経済の伸び等、刻々情勢に対処して、一番しかるべき形をとっていかなければならないわけであります。所得税についても、いろいろな控除がありまして非常に複雑だから、抜本的にという御意見もありますが、また、きめのこまかい控除をやれという声も一方にはあるわけでございますので、それらを合わせて十分検討してまいりたい、このように存じます。
  176. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 これはひとつ税調のほうでぜひ検討されるようにお願いしたい、と思うのです。しからざれば、国会国会の立場からいたしまして、あらゆる具体的実情に即しまして議論を展開してみることにしたいと思います。  それから、勤労学生の控除の問題でございますが、勤労学生の控除というものは、特定した人的条件がきめてあるようでございますが、学生控除という観点からしますと、もっと広い範囲におきまして教育控除の項目をつくる必要がある。やはりいまの教育制度というものは、今後どう改善していくかわからぬといたしましても、ずいぶん普及いたしていることと、幼稚園、保育所が教育かどうかは別としまして、幼稚園からずっと上がっていきまして大学に至りますまで、教育の家庭負担はたいへんなものです。ほんとうにたいへんなものでございまして、これを思いますと、その方面を、教育控除という一項を設けまして、そして具体的に検討する必要があるんじゃないだろうが。どうも控除という問題が、いろいろな他の方面とバランスをとるというような面がおもになっておるようでございますけれども、やはり所得税に関連する問題は、具体的、実際に生きていくために、食っていくために必要かどうかという観点から発足いたしまして、やはり根本の、これは、文化的な、日本人として生活のできるだけのものを保障するという憲法の保障があるのですから、その理念をあまり無視してはいかぬと私は思う。法人税とは違うと思うのですね。そういうことがありまするので、教育控除というものを一木立てる必要があるんじゃないか。  もう一つは、最近の家賃というやつですな。これもいろいろな方面において問題になっておるようでございますが、家賃問題については、これは特に控除の費目に加えるべきじゃないか、この点が一つございます。  もう一つは、寄付の問題であります。寄付の問題につきまして、たとえば最近の寄付と申しましても、日本人の社会慣習といたしましては、PTAの寄付にしても、あるいは町内の寄付にしても、そういう方面の寄付ということが案外かさむのでございます。案外かさみまして、寄付というものは、ともかく奥さんのふところから出すとか何かのようなかっこうになってしまって、どうも、そこらは全然控除費目にも実際あらわれてこないという問題、たとえば、私も一つ体験したのでありますけれども、ある篤志家が、なけなしの不動産を売って、そして社会福祉法人に寄付してしまった。寄付したんだけれども、売った瞬間にまず所得税を取られてます。それから残ったものを寄付する。寄付が目的で処分して、そして社会福祉法人に寄付していくというような、そこまで二重に税金を取らいでもいいじゃないかというようにわれわれは感じるのですね。そういう点につきましても、当初の目的が明白でありましたならば、やはりこれは所得税は免除するとかいうふうにするのが筋じゃないだろうか、こういうふうにも考えます。  それから寡婦控除の問題ですが、寡婦控除の問題にしましても、寡婦というむのが、これはもう戦災未亡人もこのごろはずいぶんと子供も大きくなっております。離婚者も寡婦の一人になっておりますけれども、寡婦が案外いま、いろいろな意味におきましてまだあちらこちらと処遇がまちまちなんです、各府県の力等によりまして。寡婦の実態にもよるかと思いますけれども、寡婦の処遇につきましては、これはもっと検討する必要があるんじゃないかということが一つ。  それからもう一つは老人の控除の件ですが、これはやはり寝たきり老人等々、いろいろ並べて、いろいろ条件を書いてございますけれども、やはり日本の老人生活というものにつきましては、これは六十五歳になったらどうという、そういう形式的なことできまっておりますけれども、やはり老人についてどう健康を保持するかというようなことについて、たとえば一定の所得を得るというような老人生活、これは私らすすめておるのです。国のやっかいになったりそこらのやっかいになっておるのは老人の生活じゃない、生きがいのある生活をしなさい、それにはやはり働きなさい、愉快に働いて所得を得なさい、こういうことも言っておるのです。しかし、へたに所得を得ますと、また税金を取られることにつながっていくんじゃないかというようなことも考えますので、そんなようなこともあわせまして、老人控除というものをできるだけ実態に即して考えていただきたい。  それから心身障害者の場合には、実情を見ますと、リハリビリテーションの実態から見ましたら、これは残酷なばかりです。社会的な公害を受けたような人が多数にあるわけでございます。ございまするので、これはそれぞれ等級等によりましていろいろ優遇の道も講ぜられておりますけれども、私は進んで、たとえばその人がある資格をとるためにどうするとか、あるいは、進んで何か新しい道を開くためにどうするとかいうような点についても、これはすぐ控除と結びつくかどうか疑問ですけれども、控除の面からも考えまして、できるだけ身障者あるいは精薄者などの立場をもっと積極的に優遇する必要があるんじゃないだろうか、そうして社会復帰への道をもっと広げていく必要があるんじゃないか。あまりに数が多いものですから、こういうことを感ずるのです。  あれこれと並べてみますとたくさんあるのです。妻の控除にいたしましてもそうです。妻の控除とは一体何か。夫が働いて収入を得る、妻はうちで扶養者か。とんでもないことです。夫は一日働いてうちに帰って、うちはいこいの場であるけれども、同時に団らんの場である、同時に、あすの労働力をほんとうに養い得る場所である。それの一切のまかない者はだれであるか、それは妻です。言うならば、妻は所得の源泉の重大役割りをしておるのです。この妻の控除はことしは十八万円でございましたか、忘れましたが、妻に対しましてはもっと積極的な控除の考え方を適用していくべきじゃなだろうか、こういう面から私は考えるのです。これは所得の最低限を百万円にしよう、百二十万円にしようという議論はございますけれども、その観点じゃなしに、私は、自主的に、文化的な日本人らしい生活をほんとうに保障することは憲法の明文に基づく責任ですから、かかる観点からいまの控除問題を一つ一つ実は洗ってみたいという気がするのです。時間もないからひとつ並べておきます。並べておきますから、適当にあさって答弁しておいてください。基本的方針としては、全面的に再検討するように税調のほうへぜひそういうふうに要望せられるように、要請されるようにお願いしておきたいと思うのです。主税局、だれか見えておるでしょう。どうぞやってください。
  177. 細見卓

    ○細見説明員 いまおっしゃいましたことにつきましては、理屈を申せばいろいろ理屈もございますが、せっかくの御要望でございます。またわれわれとしても絶えず考えて検討してまいらなければならない幾つかの問題について御指摘をいただいたわけでありますので、税制調査会に十分伝えまして、しっかり検討していただくようにいたしたい、かように思います。
  178. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に一点だけ聞いておきますが、詳しく知りませんけれども新聞に伝わるところによると、今度国税庁を歳入庁にしようというような、こういう案が新聞に伝わったのであります。これは何でもないようでございますけれども、私は名前はどっちになってもよろしいが、もしそういうふうに改変して、そうして地方税も国税もできるだけ一木化して進めていきたいというのでございましたならば、そういう機会に、やはりできるだけ税金というものは、国民が喜んで納めるようなくふうはないかということをひとつ検討してもらいたいと思うのです。昔は巡査、いまは税務職員というほど、国民に親しまれないのではどうにもならぬのです。一体、原因がどこにあるかということも考えまして、もしそういうふうな機構改革にいくというのであるならば、そういう機会にぜひひとつ重要な課題としてこれは取り上げてもらいたい。われわれ、国政の見地からいたしましたら、税はもっと軽くすべし、むだな経費は使っちゃいかぬ、国民の税金は大切にすべし、代議士はみな納税者の代弁者であるというくらいな気持ちでおりますので、その辺のこともお考えいただいて、取り立て役が苛歛諫求者になったらたいへんです。これはまさに国民の敵になっちゃう。そういうことにならぬように、愛される国税庁、歳入庁になるように、これは大臣の答弁になっちゃうけれども……。  これで終わります。
  179. 中川一郎

    中川説明員 ただいまの御指摘、ごもっともでありますので、十分愛される国税庁になるように努力をいたすことをお約束いたします。
  180. 濱野清吾

    濱野委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時十六分散会