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1970-04-24 第63回国会 衆議院 決算委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十四日(金曜日)    午前十時四十分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 小山 省二君 理事 丹羽 久章君    理事 森下 元晴君 理事 華山 親義君    理事 鳥居 一雄君 理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       中村 弘海君    中山 利生君       水野  清君    綿貫 民輔君       高田 富之君    坂井 弘一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  出席政府委員         経済企画庁国民         生活局長    矢野 智雄君         外務省経済局長 鶴見 清彦君         厚生省薬務局長 加藤 威二君         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         食糧庁次長   内村 良英君         通商産業省繊維         雑貨局長    三宅 幸夫君  委員外出席者         会計検査院事務         総局第四局長  増山 辰夫君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ————————————— 委員の異動 四月十五日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     柳田 秀一君 同日  辞任         補欠選任   柳田 秀一君     田中 武夫君 同月二十三日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     神田  博君 同日  辞任         補欠選任   神田  博君     綿貫 民輔君 同月二十四日  辞任         補欠選任   田中 武夫君     高田 富之君   坂井 弘一君     西中  清君 同日  辞任         補欠選任   高田 富之君     田中 武夫君     ————————————— 本日の会議に付した案件  歳入歳出実況に関する件      ————◇—————
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  歳入歳出実況に関する件に関し調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  3. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 食糧庁お尋ねをいたしたいと思いますが、国民が非常に関心を持っておりますし、政府としても非常に心配をしつつ、食糧庁とこの問題に対していろいろ苦慮しておられる問題である余剰米の問題について少しお尋ねをいたしたいと思います。  昭和四十四年、四十三年、四十二年——四十一年はないと思いますからこれはよして、古古米古米、四十五年はまだとれませんから、四十四年の新米等をまじえまして、余剰米はどのくらいあるか、ひとつお知らせをしていただきたいと思います。
  4. 内村良英

    内村(良)政府委員 お答え申し上げます。  四十四米穀年度末におきます古古米持ち越しは、四十二年産米百三十万トン、四十三年産米四百二十四万トンでございます。
  5. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 合計するとどれだけになるのですか。
  6. 内村良英

    内村(良)政府委員 五百五十四万トンでございます。
  7. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 五百五十四万トンに対して、四十五年の本年は比較的豊年といわなくても普通作だと考えると、これを合計するとどの程度になるのでしょうか。見込み額でけっこうです。
  8. 内村良英

    内村(良)政府委員 四十五年産米につきましては、これから収穫するものでございますので、いまだ食糧庁の……。
  9. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 四十五年の収穫見込みを入れて……。
  10. 内村良英

    内村(良)政府委員 四十四年産米でございますか。
  11. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 四十五年、ことし十月とれるのを見込むとどのくらいになるかというのです。
  12. 内村良英

    内村(良)政府委員 約八百万トン近くになるかと思います。
  13. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 余剰米が全部で八百万トンですか。
  14. 内村良英

    内村(良)政府委員 いや、数字を申し上げますと、今年とれる米の食糧庁買い入れ予定数量は六百五十万トンでございます。そこで、四十四米穀年度末に五百五十四万トンの古米持ち越しがございます。ことしの米がどういうふうにとれて、どういうふうに食糧庁に売られるかということはまだわかりませんが、われわれの見通しでは、これが約七百五十万トンくらいになるのではないか、こう見ております。
  15. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 七百五十万トン——本年、四十五年の産米をまじえると大体そのくらいの余剰米になる、こういうことですね。
  16. 内村良英

    内村(良)政府委員 四十四年産米、すなわち、昨年とれた米が昨年の秋からことしにかけて政府に売られているわけでございます。そこで、ことしの米がとれますと、四十四年産米古米になってくるわけでございます。
  17. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それで、一応七百万トンからの米が余るということになるのですけれども、この米に対して、同僚議員からもしばしば質問もありますし、私自身も前回食糧庁長官お尋ねいたした記憶を持っております。  そこで、この処分として、海外の友好国にも売りつけたり貸し付けたりいたしておりますが、さらに今後の方針として、この米は農林省食糧庁は所管としてたいへん心配していかなければならない問題で、心配していらっしゃるとは思っておりますが、どのような処理方法を全体的振り割りについて考えていらっしゃるか、その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  18. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 余剰米処理は非常に重大な問題でございまして、農林省といたしましては、まず何といっても消費拡大をはからなければならぬというようなことで、消費拡大についていろいろ検討をしておるわけであります。  その一つとして考えられていることが、外国等に対する延べ払いの輸出であります。今回、そのための単独の法律案を国会に出しまして、十年据え置きで二十年の年賦償還というようなことで、国際価格でできるだけ外国に売り渡しをするということが一つであります。  その次は、要するにえさ等への払い下げを考えておるわけであります。つまり、現在日本で畜産の振興が行なわれて、どんどん頭数もふえれば、そのためのえさの需要というものもふえていく、千二百万トン程度配合飼料を使っておりますから、その中に大体一〇%以内の混入ならば、値段の問題は別として、肥育あるいはその他の関係上差しつかえないというような実験の結果も出ておりますから、これについてえさとして払い下げをしよう、こういうような場合に値段が非常に安くなってまいります。したがって、それらについての払い下げを行なう場合は、特に不正な問題が起きるということでは困りますから、そういうことがないような手当てをして払い下げをしよう、また、原料米としての払い下げということも一応考えておるわけであります。  以上、大まかに申しますと、大体その三つが余剰米処理として当面考えておる問題であります。
  19. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 副大臣である政務次官から政治的な配慮に対するお考え方を承りましたけれども、私は、食糧庁次長に、これを技術的にどう配分をしてこの問題を処理し、そして国民が納得できるように計画が立てられておるかということをもう少し聞きたいと思うのです。  余剰米数量に対しては、五十万トン食い違いができるかも、あるいは百万トン食い違いができるかもしれませんけれども、最終的にはどの程度の米が余っていくのか、それには今後どのような計画を立てるんだということについて、もっと具体的に、軍門的な立場からお尋ねするのですが、お答えをいただきたいと思います。
  20. 内村良英

    内村(良)政府委員 余剰米処理の大きな方針については、ただいま政務次官から申し上げたとおりでございますが、事務的に、それではこれをどうやっていくのかということについて御説明いたします。  食糧庁といたしましては、古米をいつまでも持っておりますことは品いたみが起こるということから、なるべく早く処理しなければならないということで、るる検討を続けてきたわけでございますが、三月になりまして、古古米カビがはえるのではないか、これが毒になるのではないかという問題が出たわけでございます。  その点につきましては、その後、大学の先生方関係学者方々等意見を伺いまして、現在厚生省と打ち合わせ中でございます。  大体のことを申し上げますと、カビというものは水分関係がある、したがって、水分一五%以下くらいの米であればまず心配がないのじゃないかというようなことが学者先生方からも出ておりますので、そういった線で現在厚生省と打ち合わせ中でございます。  さらに、今後検討しなければならない大きな問題として、いわゆる横流れ防止の問題、すなわち、米を非常に安い価格で売りますと配給米との間に格差ができるという問題がございますので、横流れが起こらないように処分しなければならない、そのためにはどうしたらいいのだろうかという役所として研究すべき問題が出てきたわけでございます。それにつきましても、現在特にえさ用の場合は、トウモロコシ等の他の原料との価格のバランスということからいきますと、非常に安い価格で処分しなければえさ用に使われないということもございますので、そういったえさ用売却というものをやるとすれば、どのような横流し防止措置が必要かということを研究しております。  その他、もちろんえさ用だけでは過剰米処理ということはとても数量的にできませんので、新規用途というものをさがさなければならない。現在でん粉につきまして、コーンスターチというものが相当量生産されております。これに米を原料として使ったらどうかということになりますと、まず、技術的に可能であるかどうか、製品の品質はどうであるかというような問題も起こってくるわけでございます。その他パフドライスとか新規用途というものも考えようということで関係方面といろいろ研究しておりまして、その結果、食糧庁の中に過剰米対策処理委員会というものを設けまして、民間のいろいろな経験のある方、あるいは学者の方というような方も入っていただきまして、そこでいろいろな問題を最終的に詰めたい、その検討会をこの五月ごろから始めまして、八月中くらいには少なくとも結論を出したい、そういうようなことを事務的に進めまして、全体の過剰米対策というものを至急決定したい、このような事務的な段取りになっておるわけであります。
  21. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 政務次官が、私のところへ来たメモによりますと、特別な用があって、十一時までにこの席を離れたいということでありますので、特に政府首脳としての、また農林省首脳部としての責任的な御答弁をいただきたいと思います。  それにつきまして、まだこれからいろいろ聞いていくことはたくさんありますが、この余剰米の一部に、すでに新聞で報道せられたように事故が発生しておるわけですね。この払い下げた米が良質米に化けて売られておる、払い下げられた一部の米が、その趣旨のところに使われずして横流し的な存在だ、これは新聞に報道せられております。これは次官、御存じでしょうか、どうでしょう。
  22. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 数日前に各新聞に出た東京食糧事務所業務部業務第一課の加藤稔農林技官に関することでございますならば、内容については詳しくわかりませんが、新聞に出た程度のことは知っております。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次官、これは新聞に出た程度とおっしゃいますけれども、こういうことが出ますと、国民は大きな疑惑を持つのです。さらに、このようなケースによって、このような運用のしかたによってこれから余剰米処理せられなければならないということは、すでに次官も相談を受けていらっしゃるだろうと思うのです。  そこで、すでにこういう問題が起きてきますと、他のこれから処理をしていく古米に対して、政府はこんな方向で進むのだろうかといったらたいへんです。そこで、こういう問題が出たときに、あなたはもうすでにこの問題に限っては御報告を十分に聞かれましたか、どうでしょうか。
  24. 渡辺美智雄

    渡辺政府委員 このたび、食糧庁東京食糧事務所に勤務をする農林省職員不正事件が発生をした、こういうことにつきましては、食糧管理が重大な局面を迎えておる現在、たいへん国民の皆さまに対して申しわけがないと存じておるものであります。  何ぶんにも、事件が起きまして、関係職員捜査当局逮捕勾留をされておる、また関係書類も押収をされている、事件が司直の手にかかっておる段階であります関係上、詳細なことは実はわからないのでございますが、とりあえず、現段階において、食糧庁の組織を通していろいろと調査をいたしましてわかった経過等についてもちろん報告を受けておりますから、それについて御報告を申し上げたいと存じます。  事件の発端といたしましては、本年の四月十六日に東京食糧事務所業務部業務第一課の係員である加藤稔という農林技官が、その担当する職務に関する収賄の容疑で警視庁で取り調べを受けまして、同日、逮捕勾留をされたということであります。次いで、同月の二十日に、同技官の上司である係長の農林事務官である山田良雄が同様の容疑取り調べを受け、これまた同日、逮捕勾留をされたということであります。  容疑内容といたしましては、さきに申し上げましたように、詳細については不明でありますが、逮捕された職員の担当していた原材料用米穀粉割り当て売却に関して、米穀粉製造業者便宜をはかって金銭等を収賄したというような容疑を受けておるということでございます。  関係業者としては、昭和四十三年の八月から九月ごろ米穀粉製造業を開始して、東京食糧事務所からこれに使う原料米穀について数量割り当てを受けていた有限会社田中商店及び西武農産工業有限会社、これが関係をしておるようでありまして、これらの責任者はいずれも贈賄の容疑逮捕されているということであります。  一体、どういうふうな便宜を与えたのか、どの程度金銭の授受を受けたのか、それらについては、実はどうもまだこちらとしてはわからないのであります。  この二つの業者は、いま言ったように四十三年に登録したというようなことで、まだ新しい業者であって、特にその原料用米割り当てをいたしましても、原料用割り当ては決して安い価格でやっておりません。事故米払い下げということもこの業者に対してやっておるようでありますが、それぞれ七百八十キロとか、あるいは、いままでの累計で二十六トンというふうな非常に少ない数字であって——事故米は、いろんな事情で、米が商品としての値打ちを失ったものに対する払い下げでありますから、これは競争入札というようなことでやるわけでありますが、これらについても、新聞に出ているように——いろいろな新聞によって違うようでありますが、相当な金額を想像しておるものもある。しかし、そういうふうなことがどうして一体あるのか。われわれのほうで調べたところでは、実際のところわからないという実情であります。  いずれにいたしましても、かかる不詳事件を起こしたということは、きわめて遺憾なことであります。ことに、現在の食糧管理をめぐって、いろいろと財政上のこと、国民感情上の問題、いろいろむずかしい情勢にあります。したがいまして、われわれとしては、さらに一そう内部職員綱紀の厳正を保つように監督をしてまいるつもりであります。それと同時に、また、本事件について事実の解明を急ぎ、適切な措置をとるつもりであります。そうして、業務遂行のあり方や内部牽制の徹底など、不正防止対策というものを速急に検討して、かりそめにも今後再びこういうような事件の起こらないように処置をしていくつもりでございます。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 政務次官にもう少しお尋ねいたしたいと思いますけれども、時間がないようでありますから、あなたの決意を、政府を代表し、農林省を代表し、食糧庁を代表した意見として受け取りまするが、こういうような新聞報道はとにかくといたしまして、事実としては、その係の者が逮捕せられた。しかもそれは、やはり事故米であろうと何であろうと、政府から払い下げを受けて、その目的に使わずして横流しをしたというようなことにおいては、これは許すべきことじゃありません。さらに、今後における影響も私は非常に大きいと思うのです。あなたのおっしゃるように、綱紀の粛正と申しますか、こういうような払い下げ制度というものに対して、機構がうまくいっていなければ、機構の改善を考えていくというような点についても十分考慮を払っていただき、そして全体が姿勢を正しくしてもらって、そして処理をしてもらうように私は願ってやみません。  それでは、さらに少し時間をいただいて続けたいと思います。食糧庁次長、あなたにお尋ねいたします。  まず第一に、政府の買い上げる米というのは、大体幾らで買い上げて、事故米だとか、あるいは余剰米として鳥えさより使えないというような米、そういうような米に対して考えていらっしゃる価格というのは、もうすでにきまっておるのか、また、ほんとうに白紙であるというのか、その点どうでしょう。
  26. 内村良英

    内村(良)政府委員 まず最初に、政府買い上げ価格でございますが、これは玄米、精米、もみ、それから等級別に一等から五等までございまして、それからモチ米の加算とか、いろいろこまかい問題がございますので、標準的なものを申し上げますと、玄米三等六十キロ一俵八千九十円、これは四十四年産米であります。  そこで、事故が起こりましたときに、それではどういう値段で売るのかという御質問かと思います。たとえば、輸送中に水につかってしまった、主食用にはとても使えないというような米につきましては、まず検査員が、これは主食用として使えるか使えないかということを認定いたします。その結果、これは主食用配給には使えないということになりますと、それを入札に付して売ることになっております。したがいまして、品いたみの程度とか、あるいはその他いろいろのことがからんでまいりますので、値段はこの値段であるということはきまっておりません。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、四十四年に事故米として処理した米は大体どのくらいあるんですか、さらにさかのぼって、四十三年にどれだけあるんですか、そうして買い上げ価格と今度入札にして売った価格との差、どのくらい国は損をしておるのですか。それをひとつお知らせいただきたい。
  28. 内村良英

    内村(良)政府委員 四十三年度、四十四年度に事故米として売却いたしました数量は、四十三年度、これは会計年度でございますが、三百三十四トン、それから四十四年度は千六十三トンになっております。  そこで、政府の売った価格売却価格の差額が幾らであるかという御質問でございますが、それについては、ちょっといま数字を持っておりませんので、至急計算いたします。
  29. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま次長のお話を聞きますと、四十三年が三百何トン、四十四年が千六十何トン、合計すると、事故米というのは、四十三年、四十四年を通じて千四百トン程度だったとおっしゃるのですか。もう一度お尋ねいたしたい。
  30. 内村良英

    内村(良)政府委員 数量についてはそのとおりでございます。
  31. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃさらにお尋ねいたしたいと思いますが、いまその数字は間違いないということですから、それはもう信用いたしておきましょう。  それでは、鳥えさだとか、いろいろの飼料的な事故米としての処理でなくて、ほかの処理米としてはどれだけ四十二年に出されたのか、四十三年に出されたのか、これと四十四年と、この三年間をひとつお知らせいただきたい。
  32. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいまの御質問は、配給用以外の原材料用について、どういう数量が売られているだろうかという御質問でございます。  現在、主食用以外の原材料用に売っておりますのは、まず酒米がございます。それからみそ用菓子用穀粉用のり用ビタミン強化米用その他と、こういうことになっておりまして、四十三年度におきまして、そうした用途食糧庁から売却した数量は七十六万二千四百トンでございます。それから四十四年度は約七十万トン、こういうことになっております。
  33. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それじゃ、いま酒だとかお菓子だとかいうのに払い下げせられた、その払い下げする方法というのは、事故米と一緒の方法でおやりになったのでしょうか、どうでしょうか。
  34. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいま申し上げましたとおり、事故米につきましては入札でやっておりますが、現在のところ、原材料用につきましては割り当て制で、割り当てを受けた業者売却しております。食糧事情が非常に苦しいときには、主食用の確保が食糧管理の主たる目的でございますから、ある程度加工用のワクを締めたということは過去においてございます。しかし、現在のように米が余っている段階におきましては、加工用につきまして、特に業者の希望を切って売却しているということはございません。
  35. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それでは、次長のおっしゃるのは、いまのような米は、申請してくると、割り当て制度にのっとって渡しておるということですね。だから、この事故米と違って、いまのは普通価格で出しておるということですか。
  36. 内村良英

    内村(良)政府委員 米の価格につきましては、御承知のとおり、消費者価格の安定のために、政府が買い入れました価格よりも安い価格主食用には売却しております。しかし、原材料用につきましては、原則としてコスト主義と申しますか、買った値段食糧庁経費その他必要な経費を積み上げたコスト価格売却をしております。
  37. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 わかりました。  それでは、さらに尋ねたいと思いますが、この事故米良質米に化けたという問題であります。これはどういうようにしてこの米を彼らに与えたのですか。その点、ひとつ説明をしていただきたいと思います。
  38. 内村良英

    内村(良)政府委員 原材料用の米を問題の業者に売った割り当てのやり方は、通常の原材料用米穀売却方式処理したわけでございます。  そこで、原材料用米穀は、一体どういう割り当てをしているのかということを簡単に申し上げますと、まず食糧庁長官が、都道府県別種類別——種類別というのは、米に水稲、陸稲、ウルチ、モチ種類がございますから、種類別用途別に指示した数量——用途というのは、いま申しました酒だとか菓子だとか穀粉だとか、そういうものでございますが、その範囲内で、食糧事務所長業者ごと種類数量売却を行なう食糧事務所等を決定して割り当てを行なっております。  これはどういうことかと申しますと、東京業者が米を買おうとしても、米が全部東京にあるわけではございません。したがって、千葉で買ってらっしゃいとか、茨城で興ってこいというようなことで、売る事務所をきめるわけでございます。そうしますと、東京におります実需者は、この割り当てを受けた証明を持ってまいりまして、売却食糧事務所と申しますが、そこの所長に対して、これだけのものを売ってくれということで、米を現地で売却している、こういう形になっております。
  39. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 今度の問題ですけれども、調査してみると、四十三年の九月から十一月の間に、政府は相当たくさん、八回も払い下げをしておったといわれておりますけれども、その前はどうなんでしょうか、政府は。
  40. 内村良英

    内村(良)政府委員 ただいまの御質問は、関係業者に対する払い下げのことと思います。  この業者は、御承知のとおり四十三年の八月ごろから穀粉製造を始めまして、東京都知事が、それだけの設備能力を持っている、したがってこれは、実需者であるという実需者証明を発行いたしました。それに基づきまして東京食糧事務所売却を行なったということで、何しろ業者が非常に新しいものでございますから、四十三年八月以前には売却がなかったと思います。
  41. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この東京食糧事務所というのは、もちろん東京にあるのですが、ここに東京のそうした組合があるはずですが、この組合というのは、一体どこにあるのですか。
  42. 内村良英

    内村(良)政府委員 東京には、食糧関係でいろいろな商工業組合、協同組合あるいは工業組合、普通の協同組合等ございますが、それぞれオフィスはしかるべきところに持っております。
  43. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 国有財産である東京食糧事務所の敷地と庁舎の中に、組合別ということになるのですが、このような払い下げを受けた組合も入っておるといわれておりますが、どうでしょうか。
  44. 内村良英

    内村(良)政府委員 東京食糧事務所の庁舎の中に、一部業者が連絡協議のために使っている部分はございます。しかし、そこは関係団体の主たる事務所にはもちろんなっておりません。単なる連絡駐在員がそこに来て、いろいろ食糧事務所との書類のやりとりその他をやっているところはございます。
  45. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次長はごく簡単におっしゃいますけれども、そうばっかりでないようですよ。どうですか、責任を持ってそういうふうに言われますか。私の少し調査したことでも、そこの中におるから、東京食糧事務所の人々と非常に懇意になったりいろいろの関係が結ばれてくると思われる節もあると、しろうと考えでも考えられる点がありますが、いま次長のお話を聞きますと、ごく簡単に、何ら関係ない、連絡員がおる程度だとおっしゃいますが、そのとおりでしょうか。もう一度お尋ねいたしておきますよ。
  46. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもはただいま申し上げたとおりに考えております。
  47. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっといまの質問、これはほかにもあるはずだ。だから正直に言ったがいい。
  48. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもが東京食糧事務所から聞いているところでは、確かにそのようなものはある、しかし、そこに主たる事務所があるわけではないし、売却につきましては、食糧庁といろいろ書類のやりとりその他があるのでそこを使わせているんだ——この建物につきましては、昭和二十四年にできているわけです。そのころは御承知のとおり食糧事情が非常に悪くて、食糧事務所関係者その他、一体となって東京都民に対する主食の配給をやらなければならないという時代だったと思います。その時代に、そういう目的から、なるべく早く事務処理をするということでそういうものができたのではないか、こう思っております。その後、時代がだいぶ変わりましたけれども、そういうものがございますので、そこを利用している、こういうことになっておると思います。
  49. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次長に申し上げますが、農林省としては、余剰米処分というものに対しては一番考えなければならぬと思うのです。先ほどの説明を聞いておりましても、カビが古古米にはえるようになってくる、それが人体に及ぼす影響があるということをいわれておるし、それについても今後まだ研究もしていかなければならないという話もありました。年々、古米、古古米、古古古米というようにふえてくる。そこで余剰米処理委員会をつくって、これによって、余剰米をどう処理するかということを、民間を問わず役人を問わず、みんなで相談をしていきたいと思っておるということですが、現実としてはもう米が残ってきておるのでしょう。政府としても食糧庁としても、これをどう処理するかということについては当然プランは立ててなければならない。そして、その米の行くべき道というものはもうすでに道があいていなければならない。これに対して、いまごろそういうことを心配して、どうしたらいいということは、私は、実際において、政府のあり方、そうして食糧庁は少し怠慢だといってもいいと思うのですよ。うそだと思ったら、国民の皆さんに聞いてみなさい。国民はみなどう言っておるか。どうしてそんなに米が余るまでもほうっておくんだ、なぜもっと真剣に米の行き場というものを考えてくれないんだ、しかも、高い値段で買って、そして飼料にこの米を回すとするならば、ほんとうに三分の一程度で売られるそうだが、一体政治はほんとうにまじめに行なわれておるかどうだという批判を私どもは受けているのです。それがあなた方の耳に入っておりますか。次長、どうです。
  50. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもといたしましても、ただいま先生がおっしゃいましたことはよくわかっております。そこで、食糧庁といたしましては、三月までにさしあたりえさ用に六万トン売却したいということで、鋭意やっておったわけでございます。そのとき、全く新たな要素としてカビの問題が出てきたということがございまして、若干おくれてしまったわけでございます。もちろん、われわれとしても、この過剰米をなるべく品質がいたまないうちに早く合理的に使わなければならないということにつきましては、直接責任を持っておりますだけに、一そう強く感じているわけでございます。
  51. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 次長、あなたの耳に入っておりますか。たとえば鳥えさに渡すといっても、お米を食べさせると鶏にあぶらがわいて卵を産まないようになる、だから、養鶏の人たちはあまりこれを好んでいただかないというような考え方を持っておると言っておるのですよ。配給というか、払い下げをする上の大きなウエートを持っておる養鶏の人たちはそういうことを言っておる。これは事実かどうかということは、私にはわかりません。しかし、そういう声も上がっておる。そうして、新聞報道によれば、米によってクリームをつくろうかしらんというような声が起こっておることも宣伝せられておる。これは少し聞いたんですけれども、国民は何て言っておるのですか。そんなことはでたらめにもほどがある、高い金でお米を買って、それの処理方法が完ぺきなものでないなんということは、一体何をやっているんだと言うのです。そこへまたこんな問題が起きてきたとするならば、ますます信頼感がなくなってくる。  だから私は、少なくとも与党の立場で申し上げたいことは、こういうことのないように厳重な監督をしてもらって、そうして一日も早く古古古米にならないような処理方法を考えるべきが食糧庁の当然の責任だと思うが、どうお考えになっておりますか。
  52. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもといたしましても、食糧管理制度自体が大きな社会の注目の的となっている時期にこのような不祥な事件を起こしましたことは、まことに申しわけなく思っております。  過剰米の処理につきましては、先ほどから申し上げましたように、私どもといたしましても、決して過剰米をいつまでも持っていたいというような気持ちは全然ございません。なるべく早く合理的にこれを利用したい、こう思っております。  それからなお、えさの問題につきましては、鶏のことについて先生からお話がございましたけれども、われわれが畜産試験場で試験をしてもらった範囲内においては、卵の黄身が少し白くなるという程度の障害があるだけで、大体使えるのじゃないか、こういうことになっております。
  53. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 まだ少し掘り足らない点もありますけれども、私は自民党の代議士として、持に政府・与党の立場で率直に申し上げておきますが、古米、古古米、古古古米というように、だんだん米が残ってくる現実は御存じのとおりなんです。だから、これを早く軌道に乗せて、そうならないような処理方法を考えてもらいたい。そして、このような問題の起きないようにひとつ厳重な注意をしてもらいたい、そうして国に損害をかけるということを、つとめて少なくしていただきたい、こういうことを心からお願いいたしまして、一応私の質問は打ち切りますが、最後に、先ほどおっしゃいました関係業者組合食糧庁事務所内にあることは事実なんですよ。その事実が、あなたのおっしゃるような、ただ単なる連絡所程度のものでなくて、そういうところにいろいろの問題が起きてくるという原因をつくるのですから、こういうことについても、ひとつ全国的にそういう関係はあるのか、ないのかということを調査せられることも、はなはだ僭越な言い方ですが、私は必要があろうと思うのですよ。  だから、こういう事故を再び起こさないような考え方を十分持っていただく一つ方針としては、そういう点もひとつ調べていただきたい、そして未然に防いでいっていただきたい。機構に欠陥があるならこれを修正してもらう、そういうことが必要だと思いますが、もう一度あなたの決意を聞いておきたい。
  54. 内村良英

    内村(良)政府委員 私どもといたしましても、食糧庁の、特に食糧事務所の役人と関係業者の間につきまして疑惑を持たれるということは、非常にいけないことだと思います。したがいまして、ただいま先生から御指摘がございましたが、われわれといたしましても、四十六都道府県の事務所について実態を調査して、直すべきところは直すようにしたい、こう思っております。
  55. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ありがとうございました。
  56. 濱野清吾

  57. 高田富之

    高田委員 時間があまりございませんから、簡潔に御答弁を願いたいと思うのですが、最初に、いわゆる大衆保健薬の再検討の問題について、私は昨年斎藤厚生大臣のときに質問いたしまして、大臣からも相当詳細にわたりまして答弁をいただいておるのであります。予算委員会の総括質問のときには、同じ問題を総理にも御答弁いただきまして、総理も、大衆保健薬というものは相当重大だ、これは何とか再検討しなければならぬということをおっしゃいまして、それを受けて、厚生大臣が相当の決意を披瀝しておるわけなんです。その後どうなったかということにつきまして、私もまたお伺いしょうと思っておりましたやさき、東大の高橋講師が、当時私の質問しました速記録を援用いたしまして、政府に詳細な質問書を提出しておるわけであります。それについての御返事がまだ出してないというように伺っておるのでありますが、これは非常に重要な問題で、私が質問したこと、そのものでございますので、私からあらためてお伺いいたします。  質問の要旨については、あなたのところに高橋講師が差し上げてあります手紙に、整理されてきちっと出ておりますので、時間もありませんことですから、この順序で御回答願いたいと思うのであります。  したがいまして、まず第一は、私が委員会で取り上げましたアリナミンその他のビタミンB1誘導体、ハイシーその他のビタミンC剤、 ユベロン、リポビタンその他のドリンク剤、マミアン、アスパラ、グロンサン、チオクタンS、パロチン、パント、総合ホルモン剤、これに一応限定して、まず第一に、これらの大衆保健薬が許可された時点において、その許可基準は次のいずれであったか。害がなければいいとして許可したのか。害がなく、かつ有効でなければならないとして許可になったのか。またその場合に、厚生省の独自の判断によったものであるか、中央薬事審議会の答申をそのまま採用したものであるか。そして経験を背景にした直観的判断によったものか、科学的な論理によったものであるのか、こういうふうにあります。  この点について、ひとつ簡潔かつ明瞭な御答弁をお願いしたいと思います。
  58. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 ただいま御指摘の点でございますが、高橋講師の質問状の第一点は、先生御指摘のように、大衆保健薬、名前をあげました十種類ばかりの大衆保健薬が許可されました時点において、その許可の基準はどういうものであったか、害がなければいいというのか、あるいは、害がなく、かつ有効でなければならないというのか、その他、ということでございますが、これは厚生省におきまして、大衆保健薬ばかりでございません、あらゆる薬を承認、許可を与えますときには、まず、有害であるかどうかという点、副作用があるかどうかということを一番重視いたしまするけれども、同時に、薬であります以上、有効性というものを無視して承認ということはできないわけでございまして、これは害がなければ、あとはきくかどうかわからぬ、どっちでもいいということではないわけでございまして、害がないということと同時に、有効であるという判定があるものについて許可をしているということでございます。  それから第二点の、保健薬が有効であると認められたその手続はどうなのか、厚生省の独自の判断によったのか、あるいは中央薬事審議会の答申をそのまま採用したのかどうかの点でございますが、厚生省で薬を承認いたしますときには、いろんな薬の承認申請が出てくるわけでございますが、成分が全く新しい成分を含んでいるというような薬品につきましては、これは中央薬事審議会に諮問いたしまして、専門の先生方の御検討を願って、これは許可してもいいという御意見の出たものについて許可するという方針をとっております。したがいまして、何らか新しい成分を含んでいるとか、その他、使用方法その他が全く新しいというようなものにつきましては、中央薬事審議会の答申を得て、それに沿って承認をしている、しかし、中には日本薬局方等に載っております薬品、これはもう昔から使って、その成分とかあるいは有効性、それから無害性というものがほとんど確立されている心配のない薬品を日本薬局方に盛り込んでございますが、そういうものを成分として、いろんなそういう成分を組み合わせてつくったというような薬品につきましては、これは薬事審議会に聞くまでもなく、その成分等についてはっきりわかっていますので、そういうものは役所限り、厚生省限りでいろんな文献その他を見まして、そして判断をして承認を与えている、こういう二通りの方法をやっておるわけでございます。  それから三番目でございますが、有効であると認められた論理は、経験を背景にした直観的判断によったものか、あるいは科学の論理、たとえば二重盲検法のもとでの同時対照試験などによったものかどうか、こういう点でございますが、これはいわゆる二重盲検法というものが、最近ここ二、三年わが国でも取り入れられるようになっております。したがいまして、現在問題になっております大衆保健薬というものは、相当前、五年から十年前に承認をしたというものが多いわけでございまして、二重盲検法というようなやり方がまだあまり行なわれていないときに承認されたものでございます。したがって、二重盲検法というやり方はやっておりませんけれども、しかし、これを承認いたします場合には、国立病院とかあるいは大学付属病院等におきまして、そのような相当の施設を持った病院で臨床試験をやりまして、その結果、有効であるというような資料を出してもらって、それに基づいて承認をしておるということでございますので、ただ二重盲検法によらなかったからその効果は疑わしいということが言えるかどうかということは問題だろうと思います。この質問に対しましては、いわゆる二重盲検法というものがその当時はあまり行なわれていなかったので、二重盲検法によったものではないということを申し上げる以外にはないと思います。  それから四が、国民は、その大衆保健薬について厚生省が許可しているからには、科学の論理に従って審議し、その有効性を保証しているに違いないと考えていますが、そのように考えることは正しいのか誤りであるのかということでございますが、これにつきましては、いままで申し上げましたように、許可するにあたりましては、相当のデータを、しかもちゃんとした病院のお医者さんによるデータを基礎にして、そしてその有効性を判定した上で承認しているということでございますので、厚生省が許可しております以上は、一応その有効性について相当の根拠があるというぐあいに考えていただいてけっこうだろうと思います。  それから五番目が、四十四年二月の予算委員会第三分科会で、高田先生の御質問に対しまして、斎藤国務大臣が、早急にこういった大衆保健薬について検討すると言われておるけれども、その問題については、どういうぐあいにその後なっておるのかという御質問でございますが、これは、その国会のあとにおきまして、厚生省といたしましては、問題となりました約十種類の大衆保健薬につきまして、その後の臨床データというものを極力集めたわけでございます。それで、約十種類の薬品でございますが、そのうち六種類の薬品につきましては一千例以上の臨床例を集めております。一番多いのは八千八百例というものもございますが、六種類については一千例以上、四種類については一千例以下でございますが、相当の種類の臨床例というのを取り寄せまして検討いたしたわけでございます。  それによりますと、薬によってその有効率というものは違いまするけれども、大体七〇%前後、七〇%から八〇%、ものによっては若干七〇%を切るものもございますが、その程度の有効性があるという臨床例が出ておるわけでございます。  しかし、さらに私どもといたしましても、高田先生の仰せられますように、薬についていろいろ再検討するという必要性はあるというぐあいに判断いたしておりまして、昨年の九月に中央薬事審議会に一般用医薬品特別部会——この一般用医薬品と申しますのは、いわゆる大衆薬でございますが、大衆薬についての特別部会というものを設けまして、そして大衆薬についてのいろんな成分その他を再検討して、承認基準をつくっていこうということをやっております。最初はまずかぜ薬に取り組んでおりまして、近くかぜ薬の承認基準というのを答申していただくことになっておりますが、その後も大衆薬につきまして、種類ごとに逐次承認基準を定めていきたいということで、今後ともこういった大衆薬の再評価の問題には真剣に取り組んでまいりたいと思います。  ただ、高橋講師の指摘されますように——高橋講師の言われますのは、これらの大衆薬については、その臨床試験というものが二重盲検法によっていないということで、したがって、きくかどうかわからないじゃないかというような御指摘が中心になっているように考えられるのでございますが、こういう臨床試験というものが二重盲検法以外の方法ではだめなのかどうかという点については、これはむしろ学界で論議されるべき問題だろうと思います。そういう臨床例、東大とか京大、いろいろな大学、あるいは国立病院、あるいは慶応の付属病院というようなところの先生方のデータで私どもは許可しておるわけでございますが、その場合に、二重盲検法によらなければみんなだめなのかという点については、むしろそういった先生方と高橋講師の間で大いにディスカッションをしていただきまして、私どもとしては、その結論に基づいて処理をしていきたいというぐあいに考えておるわけでございます。したがって、高橋講師の御指摘の問題には、相当学界で検討せらるべき問題があるように考えられるわけでございます。  それから次の問題といたしまして、同じ高田先生の御質問に対して、第三分科会で斎藤前厚生大臣が、きかなければ許可を取り消すと言っておられますが、これは法律的にどのような条文によるものでしょうか、こういう御質問でございます。  薬事法におきましては、そういう最初きくと思った薬がきかなかったというようなときに、それを取り消すような明文の規定はございませんけれども、法制局等とも打ち合わせをいたしました結果では、とにかく最初のデータがイカサマなデータであった、それに基づいて厚生省のほうで承認、許可をしたという場合には、その最初のデータがイカサマといいますか、インチキなデータで信憑性がないという場合には、これは当然、条理上、明文の規定はなくてもそういうものは取り消すことができるという解釈でございます。したがいまして、明文の規定はございませんけれども、明らかに最初のデータがイカサマなデータであるというような場合には取り消すことができるというぐあいに考えております。  それから最後に、いま国民が最も多く飲んでいるビタミンB1誘導体は、疲れ、神経痛などにきくものとして、テレビ、新聞、ラジオなどに広告されておりますが、厚生省においてこれが誇大広告でないと判断しておられる科学的根拠をお示しを願いたいという御質問でございます。  私どもは、こういう薬の広告等につきましては、特に承認を与えた効能、効果以外のものをうたったり、そういう詐欺的な広告、こういうものが一応誇大広告であるということで、そういう場合には、その広告について、その広告をいたしましたものに対しまして、厳重な注意を与えているという行政措置をとっているわけでございます。これは一応一般的な御質問でございますので、個々のケースに当たってみないとわからないわけでございますが、私どもの広告に対しまする取り扱い、行政上の態度といたしましては、とにかく承認の際に、その薬はこういうものにきく、こういう症状にきくということで承認しておるわけでございますが、それを逸脱しましたような宣伝広告をやっております場合には、これに対して処置をする、こういう態度でおるわけでございます。  以上でございます。
  59. 高田富之

    高田委員 それじゃ、いまの最後のビタミンB1誘導体、アリナミン、ビオタミン、ベストンなど、これが疲れとか神経痛などにきくものだというようにいま新聞、ラジオ、テレビで盛んにやっておりますね。「毎日飲もうアリナミン」なんというやつもあるわけですが、そういうことは、厚生省としては誇大広告でない、こういうふうに判断しておるのですね。
  60. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 こういうビタミンB1誘導体につきましては、疲労とかあるいは神経痛というものにきく、承認の際にそういう承認を与えておりますので、疲れとか神経痛にきくという広告をいたしましても、これは誇大広告というぐあいに私どもは考えておらないのでございます。
  61. 高田富之

    高田委員 それで、さっきの十種類ですか、調べたということのお話があった。その十種類というのは、何と何ですか。
  62. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 その診療の臨床例を収集いたしました薬品は、アリナミン、グロンサン、チオクタン、アスパラ、パロチン、ユベロン、ハイシー、パント、マミアン、リポビタンD、以上でございます。
  63. 高田富之

    高田委員 そうすると、その十種類のうち六種類が千例以上、四種類が千例以下、このような話があったのですが、一応いま述べられたものについては、調査の結果、認可しておって差しつかえないという結論がもう出ているのですか。
  64. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 この臨床例につきましては、たとえばアリナミンなら武田製薬でございますが、これが承認のときには大体百例足らずの臨床例で承認をしておるわけでございます。その後、メーカーとしてもいろいろ臨床例を集めておったようでございますが、とにかくそういう臨床例を全部持ってこいということで取り寄せたのでございますが、たとえばアリナミンについては八千八百例くらいの臨床例が出ておる、グロンサンについては三千例とか、チオクタンについては二千三百例というような臨床例が出ておるわけであります。その臨床例を見ますと、七〇%くらいの有効率であります。その臨床例というのは、それぞれしかるべき大学病院とかあるいは国立病院という、ちゃんとした施設の整った病院で扱ってみたところがこういう効果があった、こういう臨床例でございます。その限りにおいては、私どもは有効だというぐあいに判定しておりますが、高橋講師の言われましたのは、とにかくそういう臨床例ではだめだ、二重盲検法をやらなければだめなんだ、こういう御意見だと思います。そういたしますと、こういう臨床例をいま集めてもそれは意味がない、そういう臨床例は医者の一方的な、主観的な判断にすぎないじゃないか、こういう御意見でございますが、その問題になってきますと、私どもは、それはやはり学界でその議論をしていただくよりしようがないじゃないか、こういうことでございます。
  65. 高田富之

    高田委員 しかし、こういう議論が大学の先生から出され、かつ、著書も何十万部も売れて、ベストセラーなんですね。それから、この人ばかりではありません。相当有力な、日本における最高権威といわれるような方々が、こういうビタミン剤については何ら薬品としての価値なきもの——この間、いつでしたか、関西で学会の研究発表のときにも有力なそういう意見が出まして、これは薬じゃないというのじゃないのですが、要するに効果はない、ビタミン剤を必要量の何百倍も何十倍も飲んでも、バケツの中に水が一ぱい入っているのにどんどん上から水を流されているのと同じで、全くむだであるという発表をされて、これは各新聞に大きく出ておりますが、相当多くの人が指摘しておりますので、もし臨床例ではだめだという意見が一方にあるならば、二重盲検法というものをどうしておやりにならないのですか。
  66. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 先ほど申し上げました千例の臨床例が出ておりますが、その中には二重盲検法をやっておるものもございます。問題は、要するに、こういうものについて、すべて二重盲検法でなければ臨床例としての価値がないのかどうか、これがやはり論争点の一つだろうと思います。高橋講師は、そういうものは二重盲検法でなきゃだめだということを言っておられるようでございますし、また、そういうお医者さんやら学者の中でも、必ずしもそうでないという御意見もあると思うのでございます。ですから、大衆保健薬というものについては、これは全部二重盲検法でやるべきだというような学界の御意見が多数を占めるというようなことでありますれば、私どもは、これは全部二重盲検法のデータがないものは認めないという方針がとれるわけでありますが、まだそこまでは学界としての御意見というものはまとまっていないというふうに私どもは感じておりますので、むしろこれは、行政上の問題として直ちに取り上げるよりは、学界でもう少し議論をしていただきたいというぐあいに考えておるわけでございます。
  67. 高田富之

    高田委員 私はこういうことには全くのしろうとなんですけれども、国民が納得するようにするためには——それはしろうとがいろいろなことを言うなら無視してもいいですよ。相当の権威ある方、私、あえて名前は言いませんですけれども、高橋先生のような方、それ以外に大学の大病院の院長さんをやった世界的な博土号を持っておる相当数の方々が確信を持って断言をしておるのですよ。そうなりますと、あらゆる試験方法をやったらいいじゃないですか、私はこういう疑いを持つのですよ。臨床例ばかりでなく、二重盲検法もどんどんやってみて、あらゆる試験方法をやってみて、この方法でやるとこういうのが出る、この方法でやるとこういうのが出る、いまあるありとあらゆる方法を全部やったらいいんですよ。二重盲検法はいまあまりやらないところに、しろうとである私は怪しいぞという感じがするんですよ。どうですか。
  68. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 確かに先生御指摘のとおり、私も、国民の間にそういう疑惑があるという場合には、これははっきりさせるべきだろうと思います。そういう意味で、今後とも二重盲検法等につきましても、できるだけそれを——臨床例につきましては、大衆保健薬についていいかどうかという議論はありますけれども、二重盲検法という一つ方法があるわけでございまするから、そういうものを今後大いに活用してもらうというようなことについては、行政上からも、そういうメーカーに注文を出しまして、なるべくいろんな試験をやった上で、それでもやはりきくんだというような結論が出ますれば国民も納得するだろうと思います。そういう方向で、この大衆保健薬については行政上の取り扱いをやっていきたいというぐあいに考えております。
  69. 高田富之

    高田委員 ですから、さっきの御説明でも二重盲検法というのは、五年ないし十年前に承認してしまっておるいままでの大衆保健薬の場合には、そういう方法自体がまだなかったんだ、こういう御説明があったんですね。いま再検討するときには、今度はこういう方法があるんですね。だから、その許可する時点でやった方法と違った新しい二重盲検法という方法でやってみるということが、むしろ一番大事なんじゃないかと思うんですよ。前にやったと同じ方法で、ただ例をよけいとってみたということだけでは、これは信憑性がないですよ。最近の新しい科学的な方法と、先生の言う科学の論理に従って、たとえば二重盲検のもとでの同時対照試験などがあるんですから、許可した当時なかった最新出てきた新しい科学的な方法があるならば、それでやってみなければいかぬでしょう。それは私はおかしいと思うのです。  私が疑問を抱いておりますのは、しろうとでありますから専門的な見地じゃないですけれども、アリナミンなんというのは、「毎日飲もうアリナミン」で宣伝されている。東京都民の二世帯に一世帯が飲んでいる。そういうものを外国人はひとつも飲まない。これだけ生産しているものは半分程度輸出してもいいのに、それほど生産量があって輸出できないという品物は日本にない。テレビだって半分くらい輸出されます。これだけつくっておるものを、日本人の半分くらいが飲んでおるものを、外国は、アメリカ人もドイツ人もフランス人もみんな、そんなものは薬じゃない、日本人というのは何とばかだろうといって、買ってくれない。たまたま少し輸出したら、在留日本人が飲んでいるだけだ。そういうことからも、私は、これは一流の博士たちの言っていることはほんとうなんだという感じを持っているんです。  武田製薬だけで一年間に一千億くらいつくっているんですね。これが全部にせものだということになったらどういうことになりますか。毎年一社で一千億ずつ詐欺をして、過去十年も二十年も詐欺を続けているわけですよ。だから私はこの前委員会で言ったんですよ。三億円どろぼうどころの騒ぎじゃないんじゃないか、なぜこれを本格的に調べないのか、こういうことを言っている。  委員長もこの問題に非常に関心が深いですから、一ぺんこういう大学教授を呼んできて、そして製薬会社の社長を呼んできて、対決させてみたらどうだ。私はある雑誌社に呼ばれまして、大メーカーの十社の社長全部と高橋さんと私と三人で討論会をやるわけだったんですよ。それで、こっちは張り切って行ったら、社長さんたち一人残らず、きょうは腹が痛いとか頭が痛いとかいって、一人も出てこないんです。だからぼくは、これは相当怪しいとこの前委員会でも大臣に申し上げたんです。一ぺん委員会に呼んできて、こういう説をなす学者と、これを責任をもって製造販売し、きくきくといま言うけれども、宣伝これつとめている会社の社長と対決させろというんですよ。会社の技術者を連れてきたらいいですわ。そういうことを一ぺんやって、世論を起こせというんです。そうして、大学でも研究所でもどこでも一斉に再検討していく。これは容易ならざることなんですよ。日本の巨大企業を相手にやるので、ちょっとやそっとではできない。第一、新聞でもテレビでも、広告がとだえたら立っていかないんですから、この薬の悪口だけは、新聞でもテレビでも雑誌でも一切書けない。最近新聞社が少し書くようになったということは大いに喜ばしいことなんですが、最近まではそうだったんですね。ですから、これは官庁も政党も各大学の研究所も製薬会社の献金を受けている。大学教授も知っているけれども言えない。言ったら外国に行くときに金がもらえない、言ったら機械買うときに補助金がもらえない。だから、学者もジャーナリストも官吏も政党も、ほとんどこれは縛られておると見られているんです。そう見られてはわれわれ心外ですから、これは委員長にお願いしておるんですが、ひとつ、大衆保健薬、世界にまれに見る薬にして薬にあらざるものであると一流の学者が断定したもの、こんなもののために国民が毎年何千億円とむだ使いさせられておる、こんなばかなことはありませんから、ぜひ徹底的に——いまの御説明では納得いきませんから、いま言いましたように、新しいいろいろな方法があるならば、認可したときと同じ方法なんか幾ら繰り返したってだめなんですから、新しい方法でおやりになっていただきたいということを申し上げます。  それから、時間がなくなりますので、これと関連して、いまサリドマイドの裁判がずっと続いておるわけでございますが、政府側の言い分は、これは東京地裁へ四十三年九月三日に提出しました書類によりますと、国側の主張としてはこういうことを言っているわけですね。「厚生省は薬品の製造許可申請に対して充分な理由なくして不許可にすればそれは直ちに違法な処分となる。」こういう文句が書いてございます。そうすると、十分な理由なくして不許可にすれば違法になるんだ、こういうことを主張しているんです。だから怪しいということが、疑わしいということがわかったわけですよね。サリドマイドの場合は、ドイツの学者が発表し、世界じゅうみんな発売中止して回収に取りかかったんですから、怪しいということは世界じゅうでそう思った。しかし、怪しいというだけではこれは不許可にできない、怪しいだけでは、製造禁止も何も直ちにはできないというので、厚生省はのんびりと研究を始めたり、ドイツヘお使いをやったり、一年間ももたもたして、その間にかたわの子供がたくさんできちゃったじゃないですか。だから、なるほど政府の言い分としては、そういうものなのかな、理由なくして不許可にすれば直ちに違法な処分となるのだ、だから、疑わしいと思ったけれども、研究が結論がつくまでほっておいたというんでしょう。こういうことなんですから……。
  70. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 先ほど申しましたように、薬事法には、そういう最初承認いたしますときに有効であるという、あるいは無害であるということで薬を承認いたしました後に、たとえば激しい副作用が出てきたということが判明いたしましたとすれば、これは当然処置をしなければならないわけでございますが、法律の条文にはそういう場合の取り消し規定というものがないわけでございます。ただし、これは先ほど申し上げましたように、そういう事態が客観的にはっきりした場合には、条理上、当然これは取り消しすることができるというぐあいに私ども解釈しておるわけでございます。その薬が有害であるということがはっきりした場合には問題ないわけでございますが、問題は、それがはっきりしないときに取り消しの処分をするということになりますと、これは公述書に書いてありますように、あるいは違法になることも考えられるわけでございます。  今後の行政運営といたしましては、先の問題になって恐縮でございますけれども、それでは、いま売られている薬が怪しかった場合にはほっておくのかといいますと、私どもといたしましては、それは行政指導で、業界のほうでそういうものは自発的に回収してもらうということで、今後は直ちにやるつもりでございます。取り消しということではなくて、また、メーカーもそういう問題については最近は非常に神経を使っておりますので、いささかでも怪しいものがあれば、役所のほうで発売停止をさせることにしたらどうか、あるいは回収したらどうかという話し合いをいたしますれば、それは応ずるということは、大体間違いないと思うのでございます。ただ、裁判所に提出いたしました書類は、取り消し処分というものを一方的にやる場合には法律上の問題が生ずるということはいえると思うのでございます。
  71. 高田富之

    高田委員 そうしますと、サリドマイドの問題に関して言えば、いまにして思えば、それは法的には、あるいは理屈がつくかもしれぬけれども、行政庁の行政指導を何にもしないで、一年もおくれてから回収したということが問題になって、被害者から訴訟されて被告になってしまっているわけですね。あなたはしょうがないので法的に言いわけを言っているのでしょうけれども、いまにしてみれば、行政措置をとらなかったことについては後悔しているのでしょう。これからはしないといま言いましたね。これは怪しいと思っても、客観的に、これを飲めばかたわの子供ができるという確実なものが出るまでは研究を続けるというのではたまったものではない。あのときの処置は、あなたは法的にはこういった弁解をするとしても、行政庁の行政指導を怠ったという点については、政府は反省されているわけですね。
  72. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 私、あるいは個人的見解になって申しわけございませんけれども、いまにして思えば、やはりもう少し早く処置をしておいたほうがよかったのじゃないかという気はいたしますけれども、その当時の情勢といたしましては、一度承認したものについて、そう簡単にやめさせることはどうかという意見がだいぶ強かったようでございます。また、あの事件が起こるまで、そういう薬についてものすごい副作用というような社会的、政治的な問題を引き起こした例が少なかったものでございますから、その点について、やや認識に欠けておった点があるかもしれません。あの措置が当時の状況としては絶対的に間違っておったということは、私どもの立場としては言えないのでございますが、いまからさかのぼってその当時のことを考えますならば、もう少し早く措置しておったほうがよかったかもしれぬということは感じておるところでございます。
  73. 高田富之

    高田委員 最近ドイツで刑事問題で会社側が訴えられておりましたが、和解が成立したということが大きく新聞等で報道されております。調べてみますと、すでにスウェーデンにおいても、全部じゃないようですが、和解が始まっておる。カナダにおいても和解が進んでおる、イギリスでも和解が成立したというようなことをいろいろ聞いております。そうすると、こういう訴訟問題は世界的に起こったのですが、いま残っているのは日本とオーストラリアだけですか。
  74. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 まるまる残っておるのは日本とオーストラリアだけだと承知しております。
  75. 高田富之

    高田委員 そこで、こういう事実が間違いないとしますと、私ども遺憾なことだと思うのです。同じ薬による被害で、各国とも同じ結果が出ておって、いずれも訴訟ざたになった。そのうち次次と和解が成立しておるのに、いまなお日本とオーストラリアだけが残っておる。これをこのままほうっておいていいものでしょうか。訴訟というものは、言うまでもないのですが、相当長い年月を要することでありますし、関係者は相当経費もかかることでもありますし、こんなことをしておるうちに被害を受けた子供は小学校に入っておるでしょう。両親と子供を考えますと、こんなことで政府が被告になって、原告と法律論争をやって、いまのようなことで法律的には正しいんだなんということを言って争っておっていいものでしょうか。世界じゅうみんな話し合いをつけているじゃないですか。  根本は、法律的に責任があったとかないとかいうことよりも、こういう事実があって、それは薬を飲んだことと何らかの関係があるというのは、世界的にある程度常識化しておるわけです。したがって和解が成立するわけです。会社が金を出すわけですから、事ここに至って、日本政府がいつまでも、おれは被告だから負けられないといって、被害者を目の前にしながら訴訟で勝つことを考えてがんばっているという態度は大問題だと思います。国の政治の姿勢がそういうことでいいかということです。即刻にもこれは解決してやらなければならない。このかたわの子供とこれをかかえた親のことを考えて、これに対して早く救済の手を打たなければならない。何かおやりになっておるのですか。そういう方面での考慮はございますか。
  76. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 先生御指摘の点、一々ごもっともだと思います。ただ、訴訟になっておりまして、国が関係会社と一緒に相被告になって訴えられておる、こういう状況でございますので、和解の問題等につきましても国が積極的に乗り出すことができるかどうかという点が、ほかの国では国が被告になっておりませんので、その点はちょっと事情が違うと思います。しかし私は、これが裁判になりましても、結論が出るということは、諸外国の例を見ましてもなかなかむずかしいと思います。ドイツでも二百回ぐらい裁判をやって、それでも結論が出なかったわけでございますから、日本で簡単に結論が出るわけはないと思うのでございます。そうなりますと、先生御指摘のとおり、一番お気の毒なのはサリドマイドの子供たちとその家族の方々だろうと思います。そういう意味で、私どもは一日も早くこの問題が解決の方向に持っていかれることを希望するわけでございます。  その一つは、やはり諸外国の例にならったような和解だろうと思います。ただ、そのためには、原告のほうがそういう気持ちになっていただかないと、これは話し合いがつかないわけでございます。原告のほうでそういう気持ちになっていただきますならば、国といたしましては、被告という立場はございますけれども、それを離れて、会社との間をあっせんするということも私は可能だと思います。また、そういう機運が出てきました場合には、やはりそういう努力をすべきだと思います。それまでの間は、国といたしましては、若干でございますが、電動義肢、電気で動く義肢をつくったり、そういうことで若干のサリドマイド児に対する福祉対策を続けておりますが、しかしこういうことでは不十分でございますので、なるべく早くぎりぎりの線で、サリドマイド児並びにその家族の方々が満足されるような結果が出ることを私どもも期待しておるわけでございます。
  77. 高田富之

    高田委員 国が訴えられておるということは、世界じゅうの例にはないのです。被害者と会社との争いになっておる。ドイツのごときは、検察庁が会社を訴えているわけですから、刑事被告人としておるわけです。だから、日本の場合とはまるきり違うわけですが、それだけに、日本の場合は政府がみずから法律問題なんか問題にすることはないですよ。さっきあなたが言われたように、行政上の手抜かりがあった、とにかく疑わしいということが世界的な世論になっておるときに、まだ客観的に証明されていないからということで日を延ばしたことは、こういうことがあるから政府が被告になっているのです。よその国にはそういう例がない。評判が立ったその日にさっと回収の命令を出しておる。アメリカのごときは、怪しいというので初めから許可を与えていない。日本だけが被告になっているのは、日本政府措置が世界に例のないマンマンデーの措置であったからやられている。だから、原告の態度いかんだとあなたはおっしゃったけれども、原告が、私が間違っていましたとあやまればおれが勝ったんだ、おれが勝ったことにならなければ、メンツ上口がきけないということを政府が言っていたんじゃ話にならない。政府みずから、園田元厚生大臣は、道義的責任はあるということをはっきり言明されました。そういうことでいいんじゃないですか。法律的なことを、何も結論が出るまで十年も二十年も争うことはない。道義的に、また行政指導の面で遺憾な点があったということがはっきり政府から言明され、したがって、自分としてはすみやかにこれを解決したい、被害者の皆さんに一日も早く手当てをしたい、こういう立場に立てば、それは政府だけは訴訟のほうから取り下げるかどうか、そこは私も関係者と別にそんな話をしておるわけじゃありませんからわかりませんが、政府の態度がはっきりと変わるということが、和解の始まる第一だと思う。そして、その態度で会社との間に話し合いがつくように政府が乗り出していく。普通なら、政府はほんとうは会社を摘発をしていい立場なんです。それを、政府が何か会社と一緒になっちゃって、という印象を与えるだけでも非常にまずいことでありますので、先ほどあなたのおっしゃったことはたいへん率直でいいと思うのですよ。これからはああいう失敗はしたくない。相当の国々に怪しいということがぽんと広がって、相当の国々でそういう措置をしておったら、間髪を入れずに日本でもこれからはやる。あのときのことはあなたは責任者じゃなかったでしょうからとやかくは言いにくいとは思いますが、そういう点で、きょうは大臣が見えておりませんが、政府の基本的な態度というものを明確にされれば、被告は何も大金をかけてこれから十年も二十年も争おうなんて思っちゃいません。この問題については世界に恥をさらしているようなものです。日本とオーストラリア、そのうち、オーストラリアが片づくと日本だけが残る、おまけに、政府が被告になっているのはいい恥さらしじゃないですか。日本の厚生省、特に薬事行政についてはいろいろなことが世間でいわれている。御承知のとおりですよ。  ですから、ここいらでそういう疑いを解くという意味からいっても、また、被害者の御本人や家族のことを考えましても、厚生省の立場とすれば、これはもう一時も早く解決をする。できるだけの手厚い手当て、可能な範囲で最大限度の手当てをして解決をしていくということに、もっと積極的に乗り出してもらわなければ困る。いまのように、原告の態度が変わらないうちは、なんということでは困ります。その点どうでしょう。
  78. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 先生の御指摘の点、十分肝に銘じまして、今後この問題に対して取り組んでまいりたいと思います。  ただ、私が原告の態度と申しましたのは、原告があくまでも裁判で争うという態度をもうちょっとやわらげていただかないと、なかなかこっちもやりにくいということを申し上げたわけでありますが、確かに、政府の態度いかんによってまた向こうも変わるということもあり得ると思いますので、先生御指摘の点につきましては、十分に今後の行政上の参考にさせていただきたいと思います。
  79. 高田富之

    高田委員 約束の時間が来ましたから終わりますが、こういう問題について特に御関心の深い委員長は、いまの政府の最後の答弁につきましては、また別の機会に、その実施状況、特に大臣にも一度御出席を願って、この問題については、すみやかにいま述べられたような趣旨で誠意をもって政府が自分の行政上の手抜かりや道義的責任——園田さんのことばでは道義的責任ありというおことばなんですが、そういうこともはっきりさせまして、そして解決に乗り出すように御尽力いただきたい、こう思います。  以上で質問を終わります。
  80. 濱野清吾

    濱野委員長 わかりました。  関連質問の申し出がありますからこれを許します。華山君。
  81. 華山親義

    ○華山委員 ちょっと関連してお聞きいたしますけれども、実は私、二年ばかり前に、何だかからだの調子がおかしいものですから、私の親戚の者に、これは日本でも一流の名医だと思いますけれども、見てもらったところが、いまの世の中に珍しいのですが、かっけだというのですね。かっけだとアリナミンでも飲むのかなと思いましたら、あんな高いものはやめなさい、エビオスを飲んでおきなさい、こう言われまして、私、エビオスを飲んだのですが、なおりました。私はどうもやっぱり高い薬を飲まされているのじゃないかという気がするのです。そのようなことが保険のいろんなことにも影響しているのじゃないかと思うのです。  それから、私はお聞きいたしますが、いまの同僚の議員の質問に答えられまして、いろいろなところで、大学等でいろいろ実験をした、施薬をして効果があるかどうかを確かめられたというのですが、現在売られているところの一般の薬は、予防薬としてみんなは使っているのでしょう。朝これを飲んでおけばいいのだとか、朝晩一つずつ飲めばからだが病気にならないとか、そういうことで広告しているわけですね。それですから病気にならないだろうと思って健康体の人が飲むわけですよ。そういうふうなことの実験というものは大学でできるのですか。予防薬としての実験というものを大学でやっているのですか。病人に飲ませてみて効果があったかどうかということはあったかもしれませんけれども、健康な人に飲ませてみて、そしてその人が病気になるかならないかなどという実験は、私はできまいと思う。アリナミンという薬の名前を具体的に言うのはおかしいですけれども、飲んでいる人は病気の人が飲んでいるのじゃないのじゃないの。健康体の人が飲んでいるのじゃないの。そういうふうに私思いますけれども、一体そういう実験というものは病人にやっているのか、健康体の人にもやって、病気にならないということの証明までしているのか、伺っておきたいと思う。
  82. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 先生が例をおあげになりましたアリナミンでございますが、これは予防的に使われる場合と、病気をなおす治療的に使われる場合と両方ございます。それで薬を、アリナミンを承認いたしますときに、この薬はどういう病気にきくかということを、全部資料によって役所のほうでもチェックいたしまして、それが効果があるという場合にはその適応症として認めるわけでございます。  先生いま、病気の場合はわかるけれども、予防の場合にはデータのつくりようがないじゃないかという御指摘でございますが、予防といいますのは、私どもがやっておりますのは疲労回復という点の効果があるかどうかということをやっているわけでございます。これにつきましては、特定の、たとえば工場とかそういうところで働いている人たちにお願いをして、こういう薬を飲んでもらう、それから、飲んだグループと飲まないグループとかいうことで疲労度を調べてもらうとか、そういうようなことでそのデータが出てきているということでございます。そういうことの調査によって、一応飲んだグループのほうが疲労が少ないということであれば、それなりの効果がある、こういうような判定をして、そして認めておるということでございます。
  83. 華山親義

    ○華山委員 ほんとうの病人が飲むものではなくて、一般の人が朝出かけるときに、食卓の上にアリナミン、といっては悪いですけれども、そういうものを並べておいて、二つも三つも口の中にぽんと突っ込んで出てくる、そういうことが多いのじゃないか。そういうところまで効果があるのかどうか。広告だってごらんなさい。朝晩に一粒ずつとか二粒ずつとか書いてある。私は、人間がじょうぶでありたいという弱点に乗じてああいう薬が売れているのじゃないかと思う。その点を規制されるような方法をひとつ考えてもらいたいと思う。あの広告は、人間のからだを大事にすることよりも、もうけることが非常に先に立っているのじゃないか、そういうふうに思われます。  その点、研究をしていただきたいのでございますが、なお一つ私、気がつくのは、このごろこわいのですが、たまに病気をしまして、お医者に行きますと、こんなに薬をくれるのですね。それで私は、飲むのはいいし、お金を出すのもいいのですけれども、こんな異物を飲んで、化学的物質を飲んで、私は何の勉強もしておりませんが、これがガンを誘発するようなことにならないかということが非常にこわいのですね。チクロがああいうふうな問題になったのですけれども、ああいうふうな化学物質というものは、一体ガンを誘発するものになるかならないかということを厚生省では研究して販売を許可なさっておられるのか。そうだったら私は、病院は薬を馬にくれるほどくれますから飲みますけれども、私はおつかなくてしょうがない。どういうものなのか、これはガンを誘発することにならないのかどうか、そういうことについて、ああいう化合物につきましての実験はなすって許可していらっしゃるのでしょうか。
  84. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 広告の点につきましては、さらに私どものほうでも十分検討をさせていただきたいと思います。  それから、医者に行ったときに薬をものすごくたくさんくれるということは、これは私は、一つは、現在の医療保険制度の欠陥と申しますか、そういうことのために、お医者さんも薬をたくさん出さないとなかなか経営がうまくいかぬというようなこともあるかと思います。ですから、そういう方面のことを、医療保険のほうを手直しをしていただかないと、なかなかこういう傾向はなくならぬのじゃないか。ですから、むしろ問題としては、そっちのほうの問題になるというぐあいに考えます。  それからガンの問題でございますが、医薬品の承認をいたします場合に、私どもといたしましては、最近、ことに昭和四十二年に医薬品の製造承認等に関する基本方針という方針を確立いたしまして、その基本方針の一番のねらいは、承認にあたって、基礎となるデータをちゃんと出してもらう、それを厳密に要求する。で、これは十種類ばかりございますが、その中には急性毒性に関する試験資料、慢性毒性に関する試験資料、それから胎仔——動物実験でございますから胎仔といいますか、人間では胎児でございますが、それの試験、要するに遺伝性の試験でございます。そういうものに対する試験資料、そのほか一般薬に関する試験資料、そういうようなものを厳重に要求いたしまして、いやしくも発ガン性のおそれがあるというようなものについては、これはもちろん承認しないということでございまして、承認にあたりましては、そういう試験資料を厳重に要求して、それに基づいて薬の承認をしていく、こういう方針をとっているわけでございます。
  85. 華山親義

    ○華山委員 いろんな未知の薬がガンを誘発するようなこともあり得ると思いますので、たくさんの薬を飲ませたためにガンになったということのないように、ひとつ十分に気をつけていただきたい、こういうふうに思いますが、特に私、こわいのは、抗生物質ですか、化学的につくられた抗生物質というものはだいじょうぶなものですか。あれは幾ら飲んでもいいものですか。
  86. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 抗生物質はだいじょうぶなものかと聞かれますると、これは私は薬品としては非常に効果があると思います。それだけに、これはやたらにたくさん飲むということになりますと、いろんな副作用も出てまいりますし、それから耐性といいますか、ほんとうに必要なときにそういう抗生物質を飲んでもきかなくなるというような問題もございます。そのために、使用上の注意というものを厳重につけて使ってもらうということになっております。ことに、抗生物質等は患者がかってに使うということはまずいわけでございまして、お医者さんの指導によって、医者の処方せん、ないし指示によって使う、こういうことにしておるわけでございます。たくさんむちゃに使われるとなればいろいろな副作用が出てくるというぐあいに考えられます。
  87. 華山親義

    ○華山委員 一言だけ申し上げておきますが、われわれもあれを売ってはいけないのかどうか知りませんが、薬屋に行きますと抗生物質の薬を売るのですね。そして、中に小さく、医者の指示によって使ってくださいと書いてあるわけです。そんなことだったら、初めから医者に行けばいいのであって、買ってこなくたっていいわけです。私はああいう危険な抗生物質というふうなものは薬屋で売るべきものでないのではないかという気がしますが、何か、このごろ売ってはいけないようになったようにも聞いておりますが、どうなっておりますか。やっぱりあれは売ってもいいのですか。
  88. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 三、四年前まではだいぶ抗生物質が薬屋でかってに売られているという事態があったようでございますが、これは薬事法上、要指示薬と申しまして、お医者さんの処方せんか、あるいはお医者さんの指示がなければ薬局で売ってはいかぬ、こういう薬になっておりますので、その後、薬局等厳重に指導いたしまして、いまでは、薬局に行って、ただ抗生物質を買おうと思ってもなかなか買えないという事態になっていると思います。
  89. 華山親義

    ○華山委員 終わります。
  90. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと委員長から質疑申し上げますが、実は薬学的な知識はわれわれの同僚は非常に少ないと思います。ただいま高田君の質疑中に二重盲検法というやり方があるそうだが、これの概要を説明してくれませんか。同僚諸君も知ったような顔して聞いているが、なかなかわからぬのだろうと思う。
  91. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 二重盲検法、これはダブルブラインドテストと申しておりますが、これは主として神経とか精神関係の新しい薬をつくりました場合に、それがきくかどうかということを判定する一つ方法でございますが、その患者と申しますか、患者のグループを二つに分けまして、そして健康な人の場合もあると思いますが、その試験する薬と、それから全くそれと同じような薬であって、しかも全然薬でないにせの薬というものを用意いたしまして、そしてダブルブラインドというのは、それを使うお医者さんも、それから使われる——試験台になるほうでございますが、その両方とも、どっちがほんとうの薬か、にせの薬かわからない。ダブルというのは、お医者さんも、使われるほうの人も、どっちがほんとうの薬で、どっちがにせの薬かわからぬ、そういう状態にしておいて、そして一定の期間薬を使っていただく、そうしますと、お医者さんも、その効果を判定いたします場合に、お医者さんが知っておりますと、自分がほんとうの薬をやった場合には、この薬はあの患者に飲ませたから、どうだ、少しよくなったじゃないかというような、そういう誘導尋問とかいうこともあり得るわけでありますが、お医者さんも全然わからないわけですから、全く客観的にその薬を投与したときの状態が把握できる、こういうことで客観的な判定方法になる、こういうことで最近いろいろ使われておるということでございます。
  92. 濱野清吾

    濱野委員長 あなたの説明だと、臨床例とほとんど同じですか。
  93. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 臨床例の場合は、そういうダブルブラインドをやらなくても、たとえば、ある薬を開発いたしまして、それを患者に投与しても、それでお医者さんがその患者の状態を観察して、これはきいたとかきかないとか、こういう判定をするわけでございます。それが、たとえば血圧の薬なんかは、血圧をはかれば、すぐきいたとかきかないとかわかるわけでありますが、疲労回復とかそういう問題になりますと、なかなかきいたかどうかということは客観的に出てまいりません。そういう場合には、やはりある程度そういうようなダブルブラインドみたいな方法をやったほうが客観性が出てくるということになるわけであります。
  94. 濱野清吾

    濱野委員長 それで、私ども高田君の話を聞いておって、また、あなたの答弁を聞いておってよくわからぬけれども、大体二重盲検法というものを使うためにはよほど時間と経費がかかるのですか。
  95. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 相当かかると思います。
  96. 濱野清吾

    濱野委員長 いままでの臨床例を私ども否定するわけじゃないですけれども、それのほうがよりよい正確なデータが出るというなら、どうしてやらないのですか。さっきの答弁ではやると言ってないですね。
  97. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 ですから、それはいままで病院なんかのお医者さん方が二重盲検法を使わないでやっておられた場合もあるわけで、それが絶対にそっちのほうがいいのかどうかということは、これは学界で検討していただくべきものだ、私どもはそう考えておるわけでございます。全部そういうものについて二重盲検法をやらなければいかぬかどうかということについては、学界で検討してもらったほうがいいのではないか、こういうぐあいに考えておるわけであります。
  98. 濱野清吾

    濱野委員長 そうすると、いまだかつて学界ではそういうことを研究したことはない。たまたま高橋講師が言っておることは、一つの専門的な意見だ、厚生省はこう見ておるのですか。
  99. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 要するに、私どもも、学界の先生方の中でも全部ダブルブラインドテストでやることはないという御意見もあるというぐあいに伺っておりまして、そういう両方の先生方が議論されて、私どもはその結果を採用したほうがいい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  100. 濱野清吾

    濱野委員長 私は委員長として聞きますが、私はただいまの高田君の質疑について非常に疑問を感じているのですよ。どうして客観点なデータを出して——人の健康、間違えば身体、生命に影響がある、これはどういう副作用があるか、神さまじゃないとわからないでしょう。だから、よりよい方法があるならば、厚生省はなぜそれをとらぬのか。これは健康に関する問題だ。間違えば身体と生命に関する問題だ。あなた方のほうの業務は非常に大事な業務なんだ。銭金じゃかえられないことなんだ。だから、客観的にそのほうがよりよいということなら、君たちは学界学界ばかり言ってないで、これはたいへんな問題なんだから、早く学界なら学界の検討をしてもらったほうがいいんじゃないかね。どうなんですか。
  101. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 ごもっともでございますが、ただ、厚生省には薬事審議会という審議会がございまして、これは薬学、医学の相当最高級の方々、先生方に委嘱しておる審議会でございますが、やはりそういう審議会の御意見も伺って、そうして、全部それがダブルブラインドテストをやるべきだということであれば、またそういう措置をとるべきだと思いますが、少なくとも高橋講師のそういう本も出てから相当たっておりますが、まだ薬事審議会でも、みんなダブルブラインドテストでやるべきだというようなお話も出てないわけでありまして、それだけに、また議論の余地のあるところじゃないか、私どもはそういうぐあいに考えております。
  102. 濱野清吾

    濱野委員長 委員長が長くしゃべって恐縮だけれども、問題は人間の健康、保健に関する問題なんだ。それは間違えば身体、生命に関する問題なんだ。それだからこれは大きな問題だと私は昔から思っているんです。ですから、あなた方が、いや審議会だ、調査会だ、その意見を聞いてというようなことが、最近日本の政府の悪いやり方だと思うんだ。政府の責任においてやったらどうですか。あなた、良心的に客観的なデータがあるなら、またそれは臨床例というようなものを否認するわけではないけれども、そのほうが、国民の健康並びに身体、生命に影響する、こうした薬品の問題についてよりよい方法だと考えたならば、あなた、行政官として踏み切ったらいいでしょう。あなたそれができないなら、高田君の言うように、薬屋のボスを呼び、あるいは有名な学者を呼び、あるいは厚生省の君たちも立ち会って、ここでひとつ検討してもらうことにします。どうなんですか。あなたさっき、一つも、客観的な二重盲検法についてやってみるということを言わない。
  103. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 私も専門家じゃございませんけれども、要するに、二重盲検法でやらなければいかぬのかどうかというその判断がまだ学界でも議論がある、こういうことをいわれておるということを承知いたしておりますので、その学界が……。
  104. 濱野清吾

    濱野委員長 しかし君、お話し中だが、二重盲検法をやっちゃ悪いということはないでしょう。
  105. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 悪いということはないです。
  106. 濱野清吾

    濱野委員長 いいというなら、やったらいいでしょう。
  107. 加藤威二

    加藤(威)政府委員 だから、その薬のすべてについて二重盲検法をやるべきかどうかということについては、もう少し学界で検討していただきたい……。
  108. 濱野清吾

    濱野委員長 君たちはもう少しもう少しと、いつもそう言っている。もういいです。  この問題は、理事会の協議によって、薬会社の責任者、それから各党でそのほうの専門家、それからまた役所も出てきてもらって、ひとつ公聴会か何か開いて——理事会の協議によって決定する。前向きの方法検討しましょう。君のほうもしっかりやりたまえ。こういうのは、重ねて言うけれども、保健薬保健薬というけれども、それを飲んでよけいな病気を生み出している人がたくさんあるんですよ。君たちは学者の言うことばかり言っているけれども、そういうことが人の生命をそこなう事例があるんですよ。それですからこれは大きい問題なんだ。それは金がたくさんかかるとかなんとかいう問題ばかりじゃないですよ。国民の健康、身体、生命にまで影響するんですよ。そして、あの誇大な広告をして無用な薬を飲まされている事例がたくさんあるんですよ。日ごろけしからぬことだと議員諸公も思っているに違いない。これはひとり高田さんばかりじゃない。私もそう思っている。したがって、あなたのほうも、これは大臣と十分相談して、そして腹をきめて出てきたまえ。悪い意味で言うんじゃないですよ。間違えば国民の身体、生命に影響するから、いままでのような答弁では、これはお互い議員は満足しませんよ。調査会だ、審議会だ、両説がある、学者がいろいろな奇説を吐く人がある、そこに利害関係が入って、高田君が言うように、洋行すれば薬会社からいろいろな旅費も出るだろうし、そういう弊害がたくさん医業界にもあるし、薬業界にもあることを代議士諸君はみんな知っておると思うのですよ。ですから、やってください。  それでは、吉田賢一君。
  109. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 長官、おそくなって済みません。できるだけ簡単にしますから、できるだけ要点だけお述べいただくことにします。  例の消費者物価問題でありますが、企画庁はまさに物価庁でございますし、あなたの就任の演説なり、あるいは国会の施政演説の際における発言なり、あるいは各委員会等におけるあなたの発言も、物価安定は相当重視しておられることは一貫しておるのであります。  そこで伺いますが、この二十二日、物価対策閣僚協議会におきまして決定を見たようでございます十六の項目でございますね。これは内容、趣旨は、昨年の九月九日の閣僚協議会における了解事項に基づいて、そして各省が検討した結果持ち寄ったもののようにも考えられるのですが、そういうような経過をたどっておるのですか。
  110. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 先日の二十二日の協議会は、ことしの四月一日に物価対策閣僚協議会を開きましたが、この四月一日の物価対策閣僚協議会において三つの点を確認をしております。  一つは、現在の金融引き締め基調はくずさない、こういうものを確認し、それから二番目には、最近における急激な賃金の上昇については十分関心を持たなければならない、物価の今後の動向を卜する上においてもこれは重要な事態である、こういう事柄についてが第二。第三番目に、個々の個別物価対策、個別対策というものについてさらに重点を置いて、従来各種提言等でいわれておる問題をできるだけ取り上げて、そうして急速にこれを実行に移すようにすべきである、こういうような点を閣僚協議会で取り上げたわけでございます。  その最後の点につきまして、私も、かねがね個別物価対策について各方面の提言がありますが、なかなか実行に移らないというふうに指摘されておる従来のことにかんがみまして、これを何とかしなければならない、しかし、従来のように、ただ作文をつくっておったり、あるいは事務当局まかせであっては、これはなかなか進まないのが現状である。そこで閣僚協議会というものを、従来の公共料金の引き上げ等のいわゆる追認の場であるといったような役割りだけでなくして、もっとフルにこれを活用しなければいかぬ、そういうことで、その閣僚協議会におきまして、各大臣からフリーディスカッションというような形で議論を出していただいて、そして、各大臣がしっかりと腹に入れてこれを推進される、こういうふうでなければなかなか進まないという見地から二十二日の協議会を開いたわけであります。
  111. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 昨年の九月九日に中山伊知郎物価安定政策会議議長も出席して発言をいたしております。  その発言によりますと、政府の四十四年度の物価上昇率の見通しが五%、これが最大限度で、これを上回るようなことを安易に認めるようなことであるならば、際限なき物価の騰貴を招くであろう、国民生活のまことに重大な脅威となるであろう、政府はこの線をかたく守っていかねばならぬという発言をしております。  それから、その日の閣議の了解事項としては、当面の対策といたしましても、消費者物価上昇を政府見通しの五%以内にとどめるよう、安定のため最善の努力を傾注する、そして次のような施策も積極的に推進するというようなことで、公共料金、財政金融上の措置などもありますが、第三項といたしましては、需給安定に資するため輸入の自由化を推進する、輸入政策の弾力的な活用をはかる、四といたしましては、構造政策については引き続き一そう強力に推進する、値上がりが著しい生鮮食料品の価格安定のため、生産、出荷体制の拡充強化、流通機構の合理化等を積極的に推進する、五、生産各部門について生産性の向上をはかるとともに、生産性向上による成果の一部を価格、料金の引き下げに充てるような環境をつくっていく、そして物価安定に資するように関係者の了解を求める。これは大きな企業のことでありましょう。三、四は生鮮食料品、中小企業、低生産性の農産物に全面的に関係することでありますが、こういうことの決定を見て、具体的な施策については各省において検討を進めるということになっておる。これは九月九日でございますね。  各省は事務官の段階におきましてそれぞれと検討されたはずであります。もうすでにそういうことの結論がなければならぬのですね、九月九日に閣僚了解事項があったのですから。もちろんこれは企画庁の長官も出席しておられるはずなんです。菅野さんでしょう。  そういうことでございますので、しばしばの閣僚協議会における了解事項なり閣議決定事項があったわけでございますね。だから、いまさらことしの四月一日の閣僚協議会における決定事項に基づいてというのは、私はふに落ちないのであります。まさに、昨年の九月九日の検討の実行の段階に入って、各省からも持ち寄って集められる、そして企画庁なりの意見もありましょう。これを織りなして本月二十二日の閣僚協議会に持ち出されたところの十六項目にわたる広範な案となっておる、こういうことを経過的に理解するのですが、そうじゃないのですか。  閣僚協議会というものは、国民はいいかげんに見ておりません。物価対策の閣僚協議会ということであるならば、相当真剣にこれは取り組んでいかれるものという理解をしておるものと思うのでございますが、どうでございましょうね。
  112. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 九月九日の閣僚協議会でいわれております財政金融の慎重な運用とか、公共料金の抑制とか輸入の自由化とか、あるいは低生産性部門の近代化、競争条件の整備、これは率直に申し上げますと、従来も何回も取り上げられていることであります。そして、この九月九日の閣僚協議会の決定ということも踏まえてわれわれは金融引き締めにも入ったわけであり、それからその後予算の編成におきましても、そうした趣旨に沿って各省がそれぞれの予算化をやったことは事実であります。でありますから、私はこの九月九日の閣僚協議会の決定を軽視も無視もいたすものではございません。  ただ、この間の閣僚協議会は——実はあの閣僚協議会の最初の開催にあたって、その前に先立つところの四月一日の閣僚協議会で、私としては総括的な物価対策を立てたい、こういう考え方に基づいて四月一日の閣僚協議会を開きましたから、それでいわば再点検の気持ちでもってこの際再び取り上げよう、そして、従来とかく文章だけだといわれる非難にもこたえる意味で、何とか実行を進めたいということでございますから、四月一日の閣僚協議会であろうと九月九日の閣僚協議会であろうと、中身において一致しておるものにつきましては、そのいずれによろうと、私にとっては別にどちらでもいいのでありますが、要は、そうした中身の問題をできるだけ実行していきたい、そういう体制づくりということを考えて開かれたわけであります。
  113. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 率直に伺うのでありますが、さっきも、物価安定対策というものは作文づくりに終わっておる、実行難であったということをおっしゃる。また、しばしば、懇談会とか政策会議なども提案、提言もいたしてきました。また、閣僚協議会もしばしば決定を見ておりますが、そういうふうに、繰り返し物価安定は叫ばれながら安定しない。一体これはなぜなのか。経済が成長するならば少々物価が上がるのは当然だ、だからぶつぶつ言わずに、経済の成長で賃金も上がるわ、所得もふえるわ、また借金をたくさんしても、金の値打ちが下がったときに払えば幾ら借金してもいいじゃないかという企業家一流の考え方、そういうものの陰に隠れてしまって、物価安定必要論とか切実な叫びというものが、幾ら繰り返されてもだめなのかどうか、その辺の見通しをほんとうに聞きたいのです。これはかって菅野長官にも聞いたりしたのですが、あなたのほうは真剣ですよ。物価庁の総指揮者としての任務を持って案を立てる、しかし、なかなか閣僚各位は一致していかぬ、なかなか推進はしない、実効があがらないというのでは——何年も何年も、三十七年ごろからですから、十年近くも繰り返し言うているのです。  だから、結局のところ、率直に伺いまして、経済のすばらしい成長発展というこの日本の経済大国への躍進過程において、物価が適当に上がっていくのはやむを得ない。言いかえるならば、五%や六%ぐらいはやむを得ないんだというのがほんとうの腹なのかどうか。そこを、政府として物価に対して責任を負うあなたの立場として率直に聞いておきたい。なぜ一体実行ができないのか。なぜ一体作文に終わっているのか。なぜ一体五%が守られないのか。六%、七%とどんどん上がっていく。大根一本二百円にも上がって、目を白黒させているのは国民ですよ。だから、心理的影響はとても大きい。そこは率直に、あなたが一番専門家だから私は聞きたいのです。実は総括質問のときに聞きたかったのですが、率直に言うてもらいたい。とてもこれはだめならだめだということを前提にしてわれわれはものを考えていきたいのです。専門家の権威あるベテランとして、この点についてはあなたの率直な御意見を聞かしておいてもらいたい。
  114. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 何回も対策が行なわれて作文に終わった、こういう感じを一々皆さんにお与えしておる。そのお与えしておる原因というものは、一つは、対策を立てても物価が上がっているじゃないか、こういうのがまぎれもない現実でございます。それからまた、対策を実行してないじゃないか。これも、実は多少の対策は実行されていると思うのですけれども、その物価が上がっていることによって、どうも皆さんの目には映りにくい。たとえば、この九月九日の場合においても、先ほど申し上げましたように、金融引き締めにも踏み切っておるし、それから各種の個別対策も多少はやっております。あるいは地価対策で例をとりますれば、地価の公示制度とか、いろいろな提言が行なわれたもののうち、実行されたものもずいぶんあるのです。あるけれども、現実には物価は上がっているじゃないか、こういうことが、いかにも政府が対策を行なってない感じを国民の皆さんにお与えしていると思います。このことは、私は確かに今日における物価問題のむずかしさを物語っておることと思います。経済成長をするのだから物価が上がっていいんだ、こういう考え方は、今日次第に否定されつつあります。  率直に言いまして、いま御指摘のような思想も相当強かった。これは特に経済学者その他には、物価というものは体温みたいなものだから、体温を押えたからといって熱が根本的に下がるものじゃない、それはある程度経済のバロメーターであって、ただ押えることだけを強制的にやっても済むものじゃないという学者の人もいるようでありますけれども、しかし、現実に国民の多くの皆さんが、物価、特に消費者物価高によって困惑を感じてこられている度合いはますます進んできております。そして世論もまた何とかしなきゃならぬ、成長も大事かもしれぬが、さらに物価の安定は大事だ、こういうことで、私はここ二、三年の間に国民各層の意識もずいぶん違ってきていると思います。そういう意味で、政府もこの重大性を認識して取り上げよう。ただ、率直に言いまして、経済成長というものは、現在の経済体制にしみ込むというか、定着化しつつあるという感じがいたします。  そこで、経済成長と物価ということを考えてみますと、直接ではございませんけれども、高い経済成長のもとにおいては高い物価がある程度起こりがちであるということは、ほぼ経験的にも了承されておるだけに、われわれとしては、経済成長をそう高度に持続させるということは、やはり物価対策上いかぬということで、経済成長のスローダウンということは、われわれの一つの大きな眼目でございます。それが、率直に言いますと、この四年間くらい一三%台の高い経済成長の持続で、ある程度加速度がついておる。でありますから、この加速度のついた経済というものを、何かの転機をつかんで徐々に方向転換をしてまいらなければならない、こういう基本的な問題がございます。  ただ、一方において、物価引き下げのわれわれの努力を阻害するというか、それを上回って、さらに物価を押し上げようとする動向もございます。たとえば海外の要因等もそうでございます。それから野菜等につきましては、これは何十年ぶりという干ばつとか寒波の襲来とか、率直に言って、まことに残念でありますけれども、ほかのものが非常に進んでおる今日、文明社会では考えられないのですが、まだまだわれわれの食糧の重要部分である野菜が相当天候に支配されるというこの現実、これもまた否定できない。今回は特に野菜の異常高ということで、国民の皆さまの関心を集めました。そこで、意外に野菜の流通問題にしても生産体制にしても、無防備であった、物価体制に対して備えが薄かったということがいまさらのごとくに認識されております。野菜というものは、これから天候でできてくるとまた下がってきます。むしろ住産者の立場からいえば、また下がるほうを警戒するというような状況を今日繰り返してきておるのでありますけれども、野菜一つとりましてもそういう状況でありますから、この際、思い切ってそうした制度的な問題にまで手を触れて、後顧の憂いのないようにしたいということで、この間も野菜の問題も重要なポイントとして扱ったわけでございます。また同時に、いま御指摘のようにあきらめているのか——あきらめているのでしたら、われわれとしてもああいうふうなものは開かないので、もちろんあきらめるどころではございません。これは何とかしなければならぬ。ただ、海外の物価高にしましても、あるいは最近の賃金の加速度的上昇の状況を見ましても、これは押えるのになかなか苦心が要るということをわれわれとしても百も承知しております。  でありますから、一方において全体としての対策をとりながら、個別対策も進めていく、いわば、できるだけのことをわれわれとしてもしなければならない、こういう気持ちでございまして、これは結局、先ほど申し上げましたように、現在あまりにも加速度のついたこの状態というものを、どうしてもある程度鎮静させていくようにしなければならぬ、こういうふうに思っております。そうして初めて個別対策というものもさらに効果を発揮するわけでございます。  それから、対策としてはいろいろなものがございますけれども、時間の関係でこの間は項目をしぼって議論いたしましたから、別にこれで尽きたという気持ちではございません。引き続いて閣僚協議会を開きまして、さらに問題点をどんどん取り上げてまいりたい、こういうことを会議でも確認をしております。
  115. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に伺っておきますが、二十二日の閣僚協議会で御協議になりました前向きの姿勢、私どもその姿勢に対しては敬意を表するの  であります。  そこで、十六の項目があがっておるようでありますが、これを最小限の物価安定対策とわれわれはとっていいのであろうかどうか。この上さらにそれぞれと手を打っていくということも考えていく、なお検討しながら積極的な姿勢で進めていくというふうにとっていいのであるかどうか。  それからもう一点は、物価の上がる原因はなかなか簡単にはつかまえにくいと思います。種々な原因があると思いますが、日本において最も重要な原因として指摘し得るものは一体何と何であろうか、そして逆に、一番阻害原因となってくるような面は何であるか。これは、ずばっと一、二点を指摘してもらいたいのであります。たとえて申しますと、超一流の企業は、優秀労働力吸収というために、可能な支払い能力の限界におきまして、それぞれの手当てもすれば給与も与えるというようなことをいたしております。中小企業以下になりますと、これはもう体質の問題もあり生産性の問題もありますから、相応でないと、とてももっていけぬ、つぶしてしまう、そして主客ともにおぼれてしまう、こういうようなことも考えられます。この辺のニュアンスもあるようでありますから、この辺のこともちらっとわれわれの頭にくるのであります。  もう一点は、一体物価論というものは、これは要するに経済理論、経済現象、経済の範囲内において論議するということではもう解決しない段階に来ておる。すべからく政治、政策の論議の場においてこれは進めていかなければ、経済論議の範疇におきましてはとてもどうにもならぬというのが今日の現状でないか、こう考えるのであります。  なお、ちょっとつけ加えて一点だけ申しておきたいと思いまするが、最近におきましての社会現象は、私は人以上に不安に思う面が幾つかあるのであります。異常な社会現象、われわれの普通の道徳的な常識的な生活からは考えられない社会現象がふえていきますので、こういうようなことへの一つの波及結果というようなことも、日本の物価問題との関連は何かないであろうか。それはやっぱり経済の底を流れる一つの考え方、思想、底流、そういうような姿勢につながっておるのじゃないか、こういうことを考えるのですけれども、これはつけたりにしておきまして、さきに申しました三点につきまして、ひとつ要点をはっきりした御答弁をいただいて、きょうは終わっておきたいと思います。
  116. 佐藤一郎

    ○佐藤(一)国務大臣 第一点の、これからの姿勢の問題であります。  私どもは現在まで、どっちかというと非常に間遠に開かれておりました閣僚協議会もひんぱんに開き、そして閣僚が陣頭に立って、むしろ事務方を督励する、こうした気持ちでやっていただく意味でさらに会を重ねてまいりたい。  それから、何といいましても、今日結局この具体的なことを実施するのは各省でございます。この各省がやはりそれぞれ立場はあるとしましても、従来の考え方を百八十度転換して物価対策に協力するのだ、こういう姿勢をはっきりと意識してやってもらわないことには始まりません。そういう意味で私は閣僚協議会を活用したい。そうして、しかも、どっちかというと、過去の習慣になずみがちな事務当局を督励をして、各大臣がもっと高い政治的な観点から判断してもらって、そして物価対策に沿うような政策の運用をやってもらいたい、こういうことでございますから、五月にも閣僚協議会を開きまして、先般具体化の十分でなかったものを今度は具体化して、さらにこれを政策として発表し、さらに引き続いて追加してまいりたい、こういうふうに今後逐次やってまいるつもりでございます。  それで、現在の物価高の主たる原因はどこだ。これは、御存じのように、消費者物価につきまして大ざっぱに言いますと、これは家計支出のほうから言えるわけでありますが、少なくとも最近の消費者物価高は、大体五割が食糧費でございます。実は、昨年の暮れまではほぼ予定の五%、先ほど御引用になりましたところの四十四年度の当初の見込みである五%におさまりそうだったのです。この一月、二月から急に上がってまいりまして、すべてが狂ってきたわけでありますが、特に野菜それからくだもの、魚、こうしたものの値上がりが中心になっております。そういう意味において、われわれはやはりこの食料品の価格の上昇という問題を一つの大きなポイントとして取り上げなければならない、これが一つです。それからもう一つ、最近におきましては雑費であります。サービス料金を中心とするところのものでございます。  そこで、これらの値上がりというものは、一方において農民の所得、あるいは従来比較的低所得に余んじておりましたところのサービス業におけるところの低所得者層の所得の向上とうらはらになっておるわけであります。それだけに、しかも、その生産性の向上によってこれを吸収することがきわめて困難である分野であるだけに、この価格対策というもののむずかしさというものがあるわけでありまして、これらを十分検討し、さらに、その間にあって流通機構というものが大きな役割りを果たしていることに着目しまして、私たちとしては、そうした観点から主として問題を取り上げてまいったわけでございます。  政治的な決断、政治的な観点から取り上げなければならぬ、こういう問題でございますが、もちろんその取り上げ方というものは、あくまで経済政策でございますからして、経済の論理と政策の線に沿ってこれを取り上げなければなりません。しかし、まあしばしば言われておりますように、いわゆるただ役所まかせ、こういうようなことでは、率直にいってなかなか進まないという現状も、これも多く認められているところでありますから、そういう意味においては、やはり政治的な判断というものが大きな重要なものになるということも私は考えられると思います。  最後に、最近の風潮ということになりますと、これは非常に社会現象全般にわたることですからむずかしい問題でありますが、私たち、たとえば先日も議論したのでありますが、われわれとしてもなかなかむずかしさを感じた点は、たとえば農林省あたりでも、いわゆる団地のようなところに大きな冷蔵庫というようなものを置きまして、牛乳の配達店がそこへ牛乳を持っていく、そうすると、もうあとは団地の奥さんたちが、その冷蔵庫に行って自由にそれを自分が取っていけばいいということにすれば、配達費の軽減ということも行なわれる、そうすると、牛乳が二円なり三円なり安くなるじゃないか、こういうような提案があり、議論もしたのであります。ところが、現在の風潮は逆でありまして、二円か三円で済むことなら、自分のうちまで届けてもらったほうがありがたいというのが、実は団地の奥さん方の多くの気持ちである、こういうようなことも議論に出まして、これらはやはり現在の全体の風潮ということであります。それだけに、現在そうした社会現象というようなことも頭に入れながら、この物価対策を進めていかなければならないというふうな感じを強くしたのでありますが、まあお答えになっているかどうかわかりませんけれども、できるだけひとつ今後物価対策、個別対策も総合対策も進めてまいりたい、こう思っております。
  117. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 今月二十二日の閣僚協議会で決定を見ておりまする十六項目のうちの野菜関係ですが、これは他の項目に比較いたしまして、かなり広範な要項が記載されておるようでございます。この問題は生鮮食料品のうち、いかに野菜問題が重要な部分を占めておるかということにもどうもつながっておるような感じがするのでございます。  そこで伺いたいのでありまするが、たとえば、一般的に申しまして、野菜生産出荷安定法の施行令の改正をして、国庫負担を増額するとかいうような規定もしたらしいのでありますが、この辺の国庫負担増額とかいうことになりますと、相当具体的な内容検討があって、そして目的の達成というものを規定していくということでないと、事実上、大蔵省との折衝段階に入りまして、なかなか困難になってくるのじゃないだろうかというふうにも思われるのでありまするが、一体どのくらいの国庫増というものを概括的につかんでおられるのかどうだろうか、そこらをまずお聞きしておきたいのです
  118. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 二十二日の閣僚協議会で決定し、あるいは討議いたしました内容につきまして、概略先ほど経済企画庁長官からお答えいたしましたが、ただいま御質問の野菜の関係につきましては、まず生産面におきましては、畑地かんがい、あるいは施設園芸を拡充するということにつきまして、基本的にその方向に基づいて今後具体的に検討しろ、こういうことが一つであります。次に、流通の問題につきましては、卸売り市場の運営等につきまして、また産地と消費地との直結について何か適当な方法がないだろうか。以上申しましたようなことが中心でありますが、これらのことにつきましては、二十二日に具体的にきめたわけではございませんで、そうした方向について、具体策を関係省庁の間で検討し、そうしてその具体策を五月の下旬か、二十二日からいいましておおむね一カ月程度の間にもう一度この閣僚協議会に報告しろ、そこで具体策を決定し実施に移す、こういう手はずでございます。  したがいまして、二十二日には具体的にどういうことをし、そのための予算なりがどうかという細目まできめたわけではございません。なお、予算の関係につきましては、五月の下旬でも、そこで具体的にはまだきまらないと思います。もし予算措置が必要なものにつきましては、六月あるいは七月ころに概算要求が出るわけでございますが、そうした時期にまたこれらの問題を詰めていくということにも相なるかと思います。  いずれにしましても、二十二日は大きな方向をきめ、その具体的な内容は五月の下旬までに詰める、それにおいて予算措置が必要なものは、さらにまた逐次概算要求のときまでにやっていく、こういうことでございます。
  119. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、何ですか、国民生活局長、二十二日の大体十六項目というと、世間にはかなり詳細のものが流布されておりますが、この具体的内容は、さきにも長官が、毎月一回閣僚会議をやるように進めたい、こういうように言っておりましたので、次の五月の閣僚会議に間に合わす、もし五月中に具体的実行対策として出てくる予算措置を伴うものについては、これは概算要求からということになると、あるいは来年度予算ということになるおそれがある。来年の四月以降の予算なんということになったら、間にも何にも合わぬということにもつながってくるわけですね。はたしてそんなんであろうか。緊急対策として必要ならば、予備費を使用するということもあるし、あるいはまた、特に補正予算という手もあるわけですから、何も概算要求、十二月の最終決定、来年度予算、そんなことになるならば、そんなあわててやるという意味はちょっと通じないのです。その辺の点は、あなたのほうで全部つかんでおると思うのですがね。この両者はどうですか。
  120. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 二十二日の閣僚協議会では、先ほど経済企画庁長官からも申したかと思いますが、ケネディラウンドの一括繰り上げと、国内消費の二%まで輸入ワクを拡大する、この二項目につきましては、その場で決定したわけでございます。もちろん、細目につきましてなお事務的に詰める点は残っておりますが、ただいま申しましたような事項は決定したわけであります。あとのことにつきましては、二十二日には各関係大臣からいろいろ問題を提起され、また提案をされまして、かなりの、項目になっておりますが、それを一つ一つそこで具体策をきめたわけではございませんで、大筋の方向について、これこれの問題につき具体策をおおむね一カ月の間につくれ、こういうことがきまったわけであります。それを受けまして、すぐ事務段階にいまおりております。それぞれせっかく現在具体策を検討中であります。  その具体策の中身につきましては、幾つかの種類が出てくるかと思います。現在運用上すぐにでも実施できるものは早急に実施に移すことになりますが、問題の性質によりましては、あるいは法令の改正を必要とするもの、あるいは予算措置を必要とするもの、それぞれいろいろ分かれてくるかと思います。それらにつきましては、ただ漫然とそういうことをやるというよりも、なるべくこの具体策の中身は、たとえば期限をつけて、いついつまでにその準備をしろとか、あるいは予算編成に間に合うようにしろとか、これは個々の項目につきましてあとのいろいろな処置が出てくるかと思います。  いずれにいたしましても、ただばく然とこうした方向で努力しろというよりは、かなり具体的な内容をなるべくきめまして、その実施についてはそれぞれの手はずを進める、その実施状況につきましては、さらに逐次閣僚協議会を開いてその報告を聴取するなど、いわばアフターケアと申しますか、そうしたことを続けていき、ともかく、なるべく早い機会に所要の手はずを終えて実施に移していく、こういう姿勢で取り組んでおる次第でございます。
  121. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 二十二日に決定を見たというのは、関税一括引き下げ、それからもう一つ、何でしたか。
  122. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 もう一項目は輸入に関するものでございまして、国内消費の二%までは輸入ワクを拡大するということでございます。
  123. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうしますと、来月一カ月を要して、予算措置、法令の改正等は一応除いても、あらかたが出そろう、具体的な案の内容が、各省庁協議して出そろうというふうに大体とっていいのでしょうか。
  124. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 先ほど申し上げましたが、具体策の中身には、法令、予算等の措置を要するものはその手続をあとで必要とするわけでございますが、そうしたことを要しない、運用上において改善し推進し得るものは、なるべくそのあと早急に実施していくという手はずで検討を進める予定でございます。
  125. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 園芸局長に伺いますが、野菜関係は、これは事実上小さな台所なんかには相当影響するし、また、百姓にしましても、豊作なら腐ってほかすし、また、高くてどうにもならぬようなときには、実に一種の敵視されるような立場にもなる。神経を使う問題ですが、大体これは指定野菜の範囲の決定であるとか、あるいは補給の交付金というようなもの、そういうようなものなどについては、大体の案は園芸局のほうでは持っておられるのですか。そして、ここに提起したような、二十二日に話題になったようでございますが、そういうようなおよそ六項目になりますかね、そういうような大体の御予定はもうあるところまで煮詰めてあるのでしょうかどうか、その辺どうでしょうか。
  126. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  園芸局といたしましては、野菜につきましては非常に天候に左右される作物でありますので、常に生産と出荷の安定、いわゆる需要に見合った生産と出荷の安定ということを常に基本方針としてやっている次第でございます。このたび、ことしの野菜の価格が非常に値上がりいたしまして、物価が上がりまして消費者の皆さんに御迷惑をかけた次第でございますが、われわれ、今回の野菜の値上がりの基本的な原因をいろいろ分析した次第でございますが、これは多少いいわけめくことになるわけでございますが、やはり非常な、五十日に及ぶ、冬野菜の最中に干ばつと寒波が訪れたということで、いわゆる葉菜類を中心といたしまして減産したということが野菜値上がりの基本的な大きな条件ではなかったかというふうに理解している次第でございます。したがいまして、園芸局としまして、ことしのこういうふうな野菜の値上がりの最中にありましても、施設ものの野菜でありますトマトとかキュウリといった種類の野菜が昨年並みの価格で推移した、しかも昨年は非常に、むしろ安過ぎた感じでありましたが、トマト、キュウリにつきましてはほぼそのような価格水準で推移したということにつきまして非常に着目いたしまして、しかも農林省としては従来それほど大きく助成しておりませんでしたこういう施設園芸ものにつきまして、今後野菜の生産と供給の安定のために施設園芸ものにもう少し力こぶを入れたらどうかというふうに、まずただいまの段階では判断している次第でございます。  第二点としまして、やはり水というか雨に弱かった——雨がほとんど降らないために葉菜類がほとんど育たなかったということで、従来農林省は常に水田中心の水のかんがいということでいろいろ施策を練ってきたわけでございますが、野菜につきましても、これから畑地かんがいというものに重点を置いて強化していけば、干ばつがありましてもある程度緩和できるのではなかろうか、第二点としてはそういうふうに判断している次第でございます。  それから第三点といたしましては、やはりいろいろ流通問題も問題になっておりますが、都市の発達に相並行いたしまして、今後道路網の整備も逐次急速に伸びていくというふうに理解しておるわけでありますが、それに対しまして、産地側の十分な供給体制が高速道路網の整備と相並行してまだ十分計画ができていないということに着目いたしまして、ばらばら出荷といいますか、小荷口で出荷するのを、どこか産地の高速道路網のインターチェンジの付近に出荷センターを設けまして、そこで荷口を大きくいたしまして都市へ運んだらどうか、こういうふうなことをただいま検討している次第でございます。
  127. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 大型の小売り店の育成などで、スーパーマーケットとか生協などの機能の拡大をはかったり、百貨店法の運用の緩和をするということもいわれておるようでございますが、いま、従来の小売り店の集まりました公設市場といっておりましたような小さな小売り店で、あまり設備はよくなかったけれども非常に便利にできておるというものは、漸次スーパーなどに圧迫されておるような現状でございますが、こういうものは、さらに積極的に指導し、あるいは助成などをいたしまして、それはそれなりの長所を生かしていくというような、言いかえるならば、一つ一つの大きな資本があちらこちらにチェーン組織で店を持つというような方式でなしに、小さな小売り店がそれぞれ最善の手を打ちながら進んでいくというものは育てる、こういう面はあまり対象に置かないのですか、この点はどうなりますか。
  128. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 流通機構の近代化に関連いたしましては、先般の物価対策閣僚協議会におきましても、ただいまお話しのスーパーあるいは生活協同組合、こうした大量販売組織を育てていくということと同時に、既存の小売り店につきましても、たとえばボランタリーチェーンをもっと拡充していくとか、あるいは、いまお話しの公設小売り市場、こうしたものも含めまして、全般的に流通を近代化していく方向についてさらに細目を検討しろ、こういうことになっております。
  129. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 その場合には、やはり資金面において、もしくは税の負担の面において積極的に助成するという面も必要でないか。もっとも、国ばかりにたよっておりましては、日本のこの種の企業のほんとうの発展を企図することもなかなか困難な状況にあるようでございますから、みずからの力を出していくということも必要でございますが、やはり資金などにおきましても長期低利の金を利用させるということも考えなければいかぬのではないか、こういうふうに考えるのですが、その辺は含んでおりますか。
  130. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 この流通機構の改善の点につきましても、予算的な処置あるいはまた財投などによる低利の融資、あるいは、ものによりましては法令の改正あるいは運用によっても改善していく、それぞれあると思いますが、それぞれを並行して進めていく必要があると思います。
  131. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 コールドチェーンの推進ということがうたってあるようでございますが、これはもちろん重要なことでございまして、第一、国鉄の機能について再検討を要するのじゃないか。国鉄のたとえばトラック業者との関係、両者の利用の方法というような面についてもなお検討の余地があるのじゃないだろうか、そういうようにも考えるのでございますが、どうもとかく国鉄が間尺に合わぬような、能率があがらぬような面もございます。しかし、大量の長距離の輸送ということになりましたら、北海道のジャガイモにしろ、四国とかあるいは東北地方の野菜にいたしましても、これはやはり早急に的確に適時に送りつけるという必要がございますので、国鉄あるいは私鉄、ないしはトラック等が最大限に活用される、そして、それはその方法はどうかという問題にもつながってくるだろうと思います。たとえば、どんな箱にしたならばいいのかどうかということもあろうと思いますが、その辺についても、これは運輸省関係がおもになるかどうかわかりませんけれども、あわせて検討するということになっていくのでしょうかね。
  132. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 いまお話しの点につきましても、たとえばストックポイントを設けまして、そこに冷凍冷蔵施設を設けるとか、あるいは団地等の末端と申しますか、消費段階においてもそれを受け入れるような施設を拡充していくとか、また、いまお話しの、いろいろ物的の流通の面でもっと改善していく余地のあるもの、こうした点も含めて今後の検討事項になってございます。先ほども申しましたように、二十二日にはその細目をきめたわけではございませんが、いまお話しのような点も含めまして検討することにいたしております。
  133. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 さきに長官も牛乳の流通問題でお述べになっておったのでありますが、最近の新聞の報ずるところによりますと、また驚くべき牛乳の農薬の汚染が確認されたということが伝わりまして、全国八都道府県の調査厚生省はやったというようなことも伝わっておるのでございますが、単にワンウエーで、容器を紙とかその他のものに拡大していくというようなこと、これも一つの発想といたしましては確かにおもしろいことでございますけれども、そもそも牛乳は国民の全部が、乳幼児から老年に至りまするまで最も均勢のとれた栄養分の含まれた食料として今日まで信じ切っておったのでございますが、急にこういう毒素が入っておるというようなことが伝わりますと、これはたいへんなことでございますので、これは単に物価問題から今度は広げまして、最も健康に適する牛乳にする、そしてワンウエー化もよければ、容器の改善もよし、また酪農対策もよし、生産性をあげることもよし、それぞれ生産、流通、消費の全面にわたって新しい改善の手を打っていくことが必要でございまするが、この牛乳問題が、こんなようなことが起こってきますと、あわせて検討していかぬと、単にワンウエー化するとか、あるいは容器を改善するということだけでは承知できないような重大問題がひっかかってくると思うのでございますが、これは厚生省の問題でございましょうけれども、一体農林省、企画庁はどういうふうにこれをつかまえておるのでしょうか。これはあわせていかなければいくまい問題だろうと考えるのです。
  134. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 牛乳の汚染の問題は、私、直接所管しておりませんので、正確な答弁はちょっとできかねるかと思いますが、もちろん、先生おっしゃいますように、物価対策に無関係ではございませんが、これは物価対策の一環としてというよりも、国民の健康保持という面で別途、十分検討すべきものであろうと思います。  先生のいま御指摘の点は、おそらくBHCの残留農薬による汚染のことかと思いますが、現在すでにBHCの製造はやめております。それと、さらにその使用につきまして厳格な基準を所管省で設けていたしております。したがいまして、なおまだ残っているものがございますが、この汚染の程度は漸減していく、かように考えております。それ以上詳細の点は、担当でございませんので、よくわかりかねます。
  135. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 物価問題というのは、一面食糧に関する場合には健全な日本人をつくる、健康に資するということが目的であります。したがいまして、こういうようなBHCの残留毒素——毒素というと語弊がありますけれども、残留薬品があるということがわかってさましたら、これは重要な課題として取り扱っていきませんと、なにしろ物価対策としても予算措置を講ずるのですし、どっちにしましても国民の税金を使うのですから、その目的を完全に果たし得るということにしてもらいませんといくまいと思います。  ですから、派生した問題か何かは別といたしまして、いずれにしましても、各省庁寄って相談して、具体案を最終的に練るのでしょうから、そういう際には大事な問題として取り上げるべきが適当だろうと思います。これは強く御要請を申し上げておきます。  それから、なおほかにちょっと一点、関税問題でありますが、関税一括引き下げを九カ月繰り上げるということになりますが、これは相当大きな品目になると思うのですが、そうしますと、これは一カ月くらいの間に品目は全部決定を見るということになるわけでございましょうか。その点をひとつはっきりしておきたいと思うのです。対象として二千百四十七品目あるというようなことがいわれておるのですが、具体的には一体どのくらいになるのだろうか。
  136. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 KRの問題につきましては、二十二日の物価対策閣僚協議会におきまして一括繰り上げという方針をきめたわけでございます。具体的には、現在KRによる関税の一括引き下げはすでに三回目まで終わっておりまして、さらに四回目を来年の一月に実施することになっております。問題はもう一回残ります分で、これは当初の予定では四十七年の一月にやることになっておりました。その分を繰り上げるということでありますが、この点につきましては、国会の御審議を経なければなりませんので、いつにするということは、現在まだきめられない段階であります。なるべく早い機会における次の国会においてこれを決定し、それによりまして、繰り上げの時期がきまることになるかと思います。
  137. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 きょうは物価問題はその程度にしておきますが、いずれにしましても、広範な範囲にわたる問題でございますので、国民生活局は、今度国民生活センターができたことでございますので、たいへんなお仕事を引き受けておられるわけですが、各省にわたってよほど綿密な連絡をとりながら進めていかないと、万年実行難で作文づくりに終わり、かけ声だけに終わるということになったらたいへんでございますので、その辺は強く進められんことを御要請を申しておきます。  それから、繊維問題で簡単に伺っておきます。きょうは大臣も出席されておりませんので簡単にとどめます。  対アメリカ関係における繊維の自主規制問題でございますが、最近の情勢は両国間でどういうふうになっておるのであろうか。すでに繊維が構造改善第四年目を迎えまして、かなり大きな負債もし、また精力的にも打ち込んでき、ずいぶんだくさんな関係者がこれに関連を持っております。これは業者の立場から見ても、また国策の立場から見ても、あるいはまたこれに従事する労働者の立場から見ても、どちらから見ましても、対アメリカ自主規制問題の成り行きというものは非常に大きな問題で、神経をいらいらさせながら注目しておるというのが現状でございます。地方によりましては、はや六月からは注文がばたっと落ちつつある、こういうような地域さえできておるのであります。こういうようなことでございますので、そういうことにもよほど神経を使って、対国際外交の関係もつながっておるのでございますから、この事実を背負って、政府はひとつ責任を持ってやってもらわなければならぬ、こう思うのですが、最近の経過の状況、それから、具体的に向こうから出ておる案なり、あるいはこちらが最近に出しました提案なり意見、そういうようなものの概況を御説明を願っておきたい。これは通産、外務両省にまたがる問題でございますので、双方から適当によろしくお願いいたします。
  138. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 お答え申し上げます。  最近の状況でございますが、これにつきましては、本国会のほかの委員会におきまして、外務大臣あるいは通産大臣から御説明申し上げているとおりでございまして、先生も御存じのとおり、先月の上旬に、日本側といたしましては、日本側のこの問題に対しまする基本的な考え方というものをまとめて、先方にエイドメモアールという形で出しております。  日本側の出しました要点につきましては、先生も御案内のとおり、要するに、日本側といたしましては、具体的に、日本あるいはその他の国からの輸出によりましてアメリカの産業に被害または被害のおそれのある場合には、日本側としては規制を考慮する用意はある、しかしながら、日本のみが対米繊維、化合繊、毛の輸出国ではございませんので、そういった規制につきましては、主要輸出国の間での話し合いがまとまった上で同時にやるべきであるという点、それから、こういった解決のしかたというものはガットのワク内でもって解決をはかるべきであるということでございまして、さらに輸出自主規制でございまするので、自主規制をする以上は、あくまでも業界の納得と協力が必要であるという点、こういう点をまとめて出したわけでございます。それに対しまして、いままでのところ、アメリカのほうから正式な回答というものはございません。  ただ、いろいろな接触面におきましては、その日本側の基本的な考え方にはアメリカ側が同調してきてないということがいわれてきておるわけでございまして、その間、先生御案内のとおり三月の中旬から下旬にかけまして、いわゆるケンドール私案なるものが伝えられておりまするが、アメリカの政府がこれを公式なアメリカ側の考え方という形で持ち出してきている状況にはなっておりません。したがいまして、現在のところ新たな進展というものはないという状況でございます。
  139. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 三月の二十日にサーモンド法案というのが出たようでございますが、この案はどうなるだろうか、その後審議でもやっておるんだろうか、どうなんだろうか。また、ミルズ法案ですか、今月の十三日に提案されたらしいのでございますが、この背景はどうなんだろうか。そして、それは一体法律として成立する可能性ありやいなや、内容とその見通しについてひとつ述べておいていただきたいと思います。
  140. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 三月の二十日に出ましたサーモンド法案につきましては、先生御案内のように、たいへんきついものでございまして、毛織、化合繊につきまして一九六一年ないし一九六五年の対米輸入レベルに押えるということでございますので、これは非常にきつい案でございます。さらに、四月の十三日に下院のミルズ歳入委員長が提案いたしましたものは、これは一九六七年から一九六八年のレベルに平均押えるということでございますから、サーモンド案に比べますると、やや寛大と申しますか、そういったことになっているわけでありまして、さらにミルズ委員長の提案しました案は、繊維のみならず、これにはきものをつけ加えているわけでございます。  いずれにいたしましても、このサーモンド法案あるいはミルズ法案にいたしましても、さらに昨年の第一会期以来議会に継続いたしておりますもろもろの繊維関係の規制法案、約五十以上ございますが、こういうもの等々は、いまだ審議の対象にはされておりませんで、仄聞するところによりますと、下院の歳入委員会は来月五月に入りますと、いよいよ通商法案、これは行政府が提出いたしておりますが、通商法案の審議に取りかかる、その際に一括していろいろな輸入規制の法案というものも審議の対象になるということがいわれておるわけでございまして、現在のところ、これがはたして全部通るのか、あるいはミルズ法案が通るのか、断定的なことは申し上げられませんけれども、先ほど申し上げましたように、ミルズ法案は、繊維のみならず、はきものというものも合わせておりますので、予断を許さない状況ではないかというふうに私ども見ておるわけでございます。
  141. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 外交の問題でありますから、いろいろなほかの懸案ともからんでいくかとも思いまするが、日本におきましては、とかく国民のうちには、政府の腰が弱い。雑誌などに伝わるところによると、財界の首脳部を招待して、そして通産大臣も説得、了解を求めようとしたけれども、逆襲を食らったというようなことさえ伝わるのでございますが、やはり相当イエスかノーかの態度を明確にしていただくということが、国民のよるべきところがはっきりしてくるのでございますので、もしやというようなことを国民に思わずということも、これは一体どうなんだろう。しかし、そういうことを言わないでも、だんだんそうなってしまうのならば、これまたたいへんだ、こういうことにも通じまするので、そこいらは、外務、通産は、皆さんのお立場からいたしましても一致して、そして日本の業界の要望に沿うていくという線を強く貫いていかれるのかどうか、適当なところでまた妥協の線が用意でもされているんじゃないだろうかという危惧の念さえ抱く面があるのでございますが、地方へ行きまして、地方のあちらこちらの業界の人に聞いてみましてもよくわからぬ点があるということでございます。しかし、不安である、業界に事実影響をしつつある、こういうことでございますので、一体どうしたらいいのかということにどうもなっておるらしい。ましてや、これに関連する、たとえば織物の場合は、化合繊をやっておるところなんかずばっとくるのでございますが、私が最近調べたところによりましても、兵庫県あたりにおきましても、四十四年ということになりますと、化合繊のうちの大部分はギンガムでございまして、相当ウエートは大きくなっていくのでございますから、その辺の心理的な打撃も大きいようでございます。そこへもってきて、関連の染色とか加工とかいうものが膨大な資金を投じて設備を増強しておる、また、いまなおしつつある、こういうことになっておるのでございます。言うなら、この繊維自主規制の問題が相当深刻に重大になってきたというのでてんやわんやというのが内情でございます。これはすでに通産当局も現地をあちらこちらと歩いて実情をよくつかんでおられるから、いまさら私がくどく言う必要はないのですけれども、これにしかるべく対応するという姿勢をくずしてはたいへんだなということもちょっと感じるのです。だから、外務、通産両省におきましては、強く国民の意向、要請をそのまま持っていくというようなことになるのか、まあまあということになるのか、そこらについて、あなたは答弁困難かもしらぬけれども、両君で可能な範囲をひとつ述べておいてもらえませんでしょうか。これは大臣でなければいけない省の態度かしりませんけれども、政府の態度から私が受けた印象を少し述べておきましたので、どうでございますか。事務当局のお立場といたしましていかがでございましょうね。
  142. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 ただいま先生の御指摘になりました点でございまするが、外務当局といたしましても、この問題につきましては通産当局と緊密な連絡をとりまして、一々十分な連絡をとり、相談をした上で対米折衝に当たっているという状況でございます。  さらに、この問題はどういうふうに処理されていくべきものであるかという点でございまするが、これにつきましては、最近も総理、外務大臣あるいは通産大臣がしばしば述べていられまするように、この点につきましての日本側としては筋の通った解決方というものを庶幾しているわけでございます。ただ、同時に、総理も言われておりまするように、日米の友好関係ということの中で、なるべく早く円満な解決に持っていきたいという考え方に立っているわけでございます。  日本の国内に対しまするいろいろな動きにつきましては、通産の三宅局長から御答弁いただきたいと思います。
  143. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 政府方針なり考え方は、ただいま鶴見局長から御説明があったとおりでございます。  各業界あるいは産地の実情がどうかというお尋でございますが、いま御指摘のございました綿、スフ織物の大きな産地、播州あるいは遠州というところでは、昨年はいまごろは七月の納期までほとんど注文がきまっておりましたが、現在は六月までしかきまっていない、受注量も若干落ちておるようでございますし、加工賃も三%ほど落ちておるようであります。ただ、この不況というものは、全部日米関係——日米関係について不安が産地にあることはごもっともでございますが、いま出ておりますような景況は、必ずしも日米問題だけではなしに、あるいは金融引き締めによる在庫調整の影響とか、あるいは香港に相当積み荷がたまっておるとかいうような複合した要因があるのではないだろうか、かように考えております。二月ごろに非常に動揺しておりました北陸の絹、人組織物業界も最近はやや景気を取り戻してきた。ただ、依然金融引き締め、対米問題並びに流行の変遷、そういった複合した要因がありまして、非常にさえた景況にないことはもちろんでございますが、二、三月ごろに見られた動揺はやや解消しつつある、かように判断しております。メリヤス業界あるいは縫製品については特に顕著な現在不況感は出ていない、かように考えております。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 最後に、最近の両国間の自主規制に対する動き、あるいは在外公館等における動き、そういうものが何かございますのでしょうかどうか。もしくは、近い将来に何らかの接触のお考えがあるのかどうか。ことに、この五月にアメリカにおける法案審議が進んでいくようなことになるならばほってもおけまいかと思いますが、督促なら督促、あるいはまた探りなら探り、提案なら提案、何でもよろしゅうございますから、何かそこに動くのかどうか、もっと向こうの出るのをこちらで待っておるのかどうか、そこらはいかがでございましょう。  これで終わります。
  145. 鶴見清彦

    ○鶴見政府委員 ただいま先生の御質問の点でございまするが、先ほど冒頭にお答え申し上げましたとおりの状況でございまして、その後、もちろん、私どもと申しますか、日本政府の出先機関であるワシントンにあります大使館の大使以下、随時米側と接触いたしまして、米側の考え方を日本側に引きつけるようにいろいろと努力はいたしておりまするが、現在のところ新しい目立った進展というのがないという状況でございます。  しかしながら、そのままほっておくというわけにもまいりません。ただいま先生の御指摘のとおりでございまするので、引き続き在米大使館が先方の動きというものをよく打診し、あるいはそれを把握しまして、いろいろと意見を言ってくる場合に、わがほうとしまして、それに対していろいろとまた指示も与えてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  146. 濱野清吾

    濱野委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十分散会