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1970-02-24 第63回国会 衆議院 決算委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年二月二十四日(火曜日)    午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 濱野 清吾君    理事 小山 省二君 理事 高橋清一郎君    理事 丹羽 久章君 理事 森下 元晴君    理事 華山 親義君 理事 浅井 美幸君    理事 吉田 賢一君       阿部 文男君    笠岡  喬君       塩崎  潤君    中村 弘海君       中山 利生君    水野  清君       綿貫 民輔君    勝澤 芳雄君       日野 吉夫君  出席政府委員         経済企画政務次         官       山口シヅエ君         経済企画庁長官         官房長     相澤 英之君         経済企画庁長官         官房会計課長  佐々木孝男君         経済企画庁調整         局長      新田 庚一君         経済企画庁国民         生活局長    矢野 智雄君         経済企画庁総合         開発局長    宮崎  仁君         法務政務次官  大竹 太郎君         法務大臣官房長 安原 美穂君         法務大臣官房会         計課長     伊藤 榮樹君         法務省刑事局長 辻 辰三郎君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務大臣官房会         計課長     山崎 敏夫君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君  委員外出席者         経済企画庁総合         開発局参事官  加藤 庄市君         経済企画庁経済         研究所主任研究         官       小金 芳弘君         法務省刑事局公         安課長     豊島英次郎君         法務省矯正局総         務課長     武田 武久君         外務大臣官房領         事移住部長   遠藤 又男君         外務大臣官房領         事移住部領事課         長       佐々木正賢君         外務省アジア局         外務参事官   小林 春尚君         会計検査院事務         総局第一局長  中込 良吉君         会計検査院事務         総局第二局長  鎌田 英夫君         北海道東北開発         公庫総裁    熊本 政晴君         参  考  人         (海外技術協力         事業団理事長) 田付 景一君         参  考  人         (海外移住事業         団理事長)   柏村 信雄君         参  考  人         (海外経済協力         基金理事)   村井 七郎君         決算委員会調査         室長      池田 孝道君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和四十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和四十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和四十二年度政府関係機関決算書  昭和四十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和四十二年度国有財産無償貸付状況計算書  〔総理府所管経済企画庁)、法務省所管外務  省所管〕      ――――◇―――――
  2. 濱野清吾

    濱野委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、総理府所管経済企画庁法務省所管及び外務省所管について審査を行ないます。      ――――◇―――――
  3. 濱野清吾

    濱野委員長 この際、おはかりいたします。  総理府所管経済企画庁及び外務省所管審査のため、海外経済協力基金理事村井七郎君、海外技術協力事業団理事長田付景一君及び海外移住事業団理事長柏村信雄君の方々に御出席を願い、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 濱野清吾

    濱野委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  なお、参考人からの意見聴取は、委員質疑により行ないたいと存じますので、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  5. 濱野清吾

    濱野委員長 これより順次概要説明を求めます。  まず、経済企画庁について概要説明を求めます。山口経済企画政務次官
  6. 山口シヅエ

    山口政府委員 経済企画庁昭和四十二年度決算につきまして、御説明申し上げます。  経済企画庁歳出予算額は、当初予算額三百十七億四千四百七十四万円でありますが、予算補正追加額三千九百十三万円、予算補正修正減少額七千七百五十二万円、各省所管一般会計への移しかえ減少額百二十四億九千五百六十二万円を差し引き、百二十五億三千四百一万円の減少がありますので、百九十二億一千七十三万円となっております。  歳出予算現額は、歳出予算額百九十二億一千七十三万円、前年度繰り越し額十億五千九百二十五万円、移用増加額二千五百五十万円を加え、二百二億九千五百四十八万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は、百七十八億五千百四十五万円となっております。  この支出済み歳出額歳出予算現額に比べますと、二十四億四千四百三万円の差額を生じます。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は、二十三億七百三万円でありまして、不用となった額は一億三千七百万円となっております。  次ぎに、以上の内容を項別に申し上げますと、第一に、経済企画庁の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額十億七千三百六十九万円でありますが、予算補正追加額三千九百十三万円、予算補正修正減少額三千五百二十八万円を差し引き、三百八十五万円の増加がありますので、十億七千七百五十四万円となっております。  歳出予算現額は、歳出予算額十億七千七百五十四万円に移用増加額二千七百三十三万円を加え、十一億四百八十七万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は十億八千七百七十八万円でありまして、その差額一千七百九万円が不用額となっております。  この不用額が生じたおもな理由は、物価安定推進会議地方会議開催回数が少なかったので、諸謝金を要することが少なかったこと等のためであります。  昭和四十二年度のおもな事業としましては、従来に引き続き、総合経済政策の樹立及び調整経済社会発展計画実績検討国土総合開発推進水資源開発の促進、内外経済事情調査分析等を行ないました。  第二に、国土調査費の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額十二億六千三十三万円でありますが、予算補正修正減少額四千八十一万円がありますので、十二億一千九百五十二万円となっております。  歳出予算現額は、歳出予算額同額であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は十二億一千九百四十六万円でありまして、その差額六万円が不用額となっております。  国土調査につきましては、前年度に引き続きまして、基準点測量地籍調査水文資料整備及び土地分類調査実施してまいりました。  第三に、経済研究所の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額一億九千四百三十万円でありますが、予算補正修正減少額百四十三万円がありますので、一億九千二百八十七万円となっております。  歳出予算現額は、歳出予算額一億九千二百八十七万円から移用減少額百八十三万円を差し引き、一億九千百四万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は一億八千四百四十九万円でありまして、その差額六百五十五万円が不用額となっております。  この不用額が生じたおもな理由は、職員に欠員があったので職員俸給を要することが少なかった等のためであります。  経済研究所におきましては、おもに、日本経済の成長、循環及び構造に関する計量的解明経済政策効果及び経済予測計量的研究をするとともに、国民経済計算調査分析を行なってまいりました。  第四に、豪雪地帯対策特別事業費の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額一億二千万円となっております。  歳出予算現額は、歳出予算額同額であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は一億一千九百三十七万円でありまして、その差額六十三万円が不用額となっております。  この経費は、豪雪地帯対策特別措置法に基づき指定された豪雪地帯において、地方公共団体雪上車を購入するに要する費用の一部を補助するため必要な経費であります。  第五に、振興山村開発総合特別事業費の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額六千万円となっております。  歳出予算現額は、歳出予算額と同様であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は三百八十五万円でありまして、その差額五千六百十五万円は、翌年度繰り越し額となっております。  この経費は、山村振興法に基づき指定された振興山村であって、豪雪地帯対策特別措置法に基づき指定された豪雪地帯に属する山村において、地方公共団体社会開発推進するために豪雪山村開発総合センターを建設するに要する費用の一部を補助するための経費であって、昭和四十二年度から新規に計上されたものであります。  なお、翌年度繰り越し額を生じたのは、羽越豪雨等により建物設計に再検討の必要が生じ、このため工事の遅延を来たし、年度内支出を終わらなかったこと等のため、財政法第十四条の三第一項の規定繰越明許費)により繰り越したものであります。  第六に、国土総合開発事業調整費の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額五十八億五千万円から各省所管一般会計への移しかえ額十七億一千六百四十三万円を差し引き、四十一億三千三百五十七万円となっております。  歳出予算現額は歳出予算額同額であります。  この歳出予算現額は、道路整備特別会計外特別会計への繰り入れ額として全額支出しております。  この経費は、国土総合開発法等地域開発関係諸法律にかかる区域において実施する開発事業について各省各庁の所管する事業相互間の進度の不均衡調整をはかるため必要な経費でありまして、各省所管一般会計及び特別会計へそれぞれ移しかえ及び繰り入れをいたしたのであります。  第七に、地域開発計画調査調整費の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額五千万円、各省所管一般会計への移しかえ額五千万円となっております。  この経費は、地域開発計画調査に関する各省間の不均衡調整するためのものでありまして、各省一般会計移しかえをしたのであります。  第八に、離島振興事業費の項でありますが、農林漁業用揮発油税財源身替離島農道等整備事業費及び揮発油税等財源離島道路整備事業費の項を含めて、歳出予算額は、当初予算額百三十六億四千五百九十三万円から各省所管一般会計への移しかえ額七十二億五千五百二十三万円を差し引き、六十三億九千七十万円であります。  歳出予算現額は、歳出予算額同額であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は五十九億五千四百五十九万円でありまして、その差額四億三千六百十一万円は、昭和四十二年九月五日の閣議決定に基づく、財政の執行の繰り延べ措置一環として翌年度に繰り越すこととなったものであります。  第九に、水資源開発事業費の項でありますが、歳出予算額は、当初予算額九十四億九千四十八万円から各省所管一般会計への移しかえ額三十四億七千三百九十五万円を差し引き、六十億一千六百五十三万円であります。  歳出予算現額は、歳出予算額六十億一千六百五十三万円に前年度繰り越し額十億五千九百二十五万円を加え、七十億七千五百七十八万円であります。  この歳出予算現額に対しまして、支出済み歳出額は五十一億四千八百三十四万円でありまして、その内訳は、水資源開発基本計画調査費三千六百九十九万円、治水特別会計への繰り入れ額五十一億一千百三十五万円となっております。  なお、翌年度繰り越し額は十八億一千四百七十六万円でありまして、その差額一億一千二百六十八万円が不用額となっております。  この不用額が生じたおもな理由は、水資源開発公団において事務費を要することが少なかったこと等により、治水特別会計繰り入れを要することが少なかったこと等のためであります。  この経費は、前年度と同様、その使用に際して各省所管一般会計及び特別会計へそれぞれ移しかえ及び繰り入れをするとともに、経済企画庁において水資源開発を円滑に促進するため所要の調査実施したのであります。  なお、翌年度繰り越し額を生じたのは、水資源開発公団の行なうダム等の建設の一部において台風による出水等により不測の日数を要したことと、用地補償が難航し、遅延したため年度内支出を終わらなかったこと等のため、財政法第十四条の三第一項の規定繰越明許費)により繰り越したものであります。  以上、経済企画庁決算概要を御説明申し上げました。  なにとぞよろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
  7. 濱野清吾

  8. 中込良吉

    中込会計検査院説明員 昭和四十二年度経済企画庁決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。  以上でございます。
  9. 浅井美幸

    浅井委員 議事進行で少しお話し申し上げたいのですけれども、いま経済企画庁決算説明を伺いましたが、この金額でありますが、万円で切られております。これは万円で、全然端数がないのかどうか。ある場合なら、たとえば何万余円あるいは万円余と、はっきりしておいてもらいたいと思うのです。万単位で切ることについては、この間理事会発言がございまして、それを了承したわけでありますが、あまりにぶっ切られると、このままの説明では、トータルをしますと、数に食い違いが出てきます。余のあるものなら余と、余りがあることをはっきりしてもらいたいと思うのです。これを要望いたします。
  10. 濱野清吾

    濱野委員長 浅井君の御発言の趣旨につきましては、政府においてさっそく処置するよう取り計らいたいと思います。
  11. 華山親義

    華山委員 議事進行について。  いま経済企画庁からお出しになったもの、それから法務省からお出しになったもの、私は法務省のようなやり方がいいだろうということをこの問も申し上げたんですけれども、読む時間が長くて困るのですね。それで、これはひとつ形式をできるだけ簡単にして、そして統一したものを各省出していただきたい。そのことについては、各省に対しましてかれこれ言うわけにもいかぬでしょうけれども、調査室等においてもいろいろ研究されまして、こういう形式出してもらいたいということを希望されることは、私は差しつかえないと思いますので、委員長において御配慮を願いたいと思います。山口政務次官もお読みになるのにたいへんだったろうと思いますので……。
  12. 濱野清吾

    濱野委員長 それでは、研究いたしまして、そう取り計らうことにいたします。     ―――――――――――――
  13. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、法務省所管について概要説明を求めます。大竹法務政務次官
  14. 大竹太郎

    大竹政府委員 昭和四十二年度法務省一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  一、法務省主管歳入につきましては、当初予算額三百十五億八千百六十九万四千円に補正予算額五十一億九千三百八万二千円が増加されましたので、歳入予算額は三百六十七億七千四百七十七万六千円となっております。  これに対しまして、収納済み額は三百六十六億六千九十六万三千円であり、差し引き一億一千三百八十一万三千円の減少となっております。  これは、罰金及び科料の二億七千八百二万三千円、刑務所作業収入の八千七百二十九万三千円が減少したこと等によるものであります。  二、次に、法務省所管歳出につきましては、当初予算額六百六十九億二千百八十四万一千円に、給与改定等に伴う補正予算額二十一億四千百四十四万二千円、大蔵省所管からの予算移しかえ増加額二億六千五百十三万一千円、前年度からの繰り越し額四千五百二十八万五千円、予備費使用額三億七千三百七十四万八千円が増加されましたので、歳出予算現額は六百九十七億四千七百四十四万七千円となっております。  これに対しまして、支出済み歳出額は六百八十八億八千八百十八万七千四百六円であり、その差額は八億五千九百二十五万九千五百九十四円となっております。  この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は五億二千九百十万七千六百十六円であり、不用額は三億三千十五万一千九百七十八円であります。  支出済み歳出額のうち、おもなものは、外国人登録事務処理経費一億六千二百七十五万六千円、登記事務等処理経費十一億一千百三十二万一千円、検察事務処理経費八億二千九百三十六万一千円、矯正施設における被収容者収容作業等に要する経費六十七億二千七百三万九千円、補導援護経費十億五千八百七十九万円、出入国審査及び被退去強制者収容送還等に要する経費八千九百四十四万一千円、暴力主義的破壊活動団体等調査に要する経費九億五千六百十八万五千円、施設費四十三億三千五百六十六万六千円となっております。  不用額となったおもな経費は、人件費刑務所等収容者食糧費及び都道府県警察実費弁償金であります。  詳細につきましては、お手元に提出しております「昭和四十二年度決算について」に記述してありますので、御了承願いたいと存じます。  以上をもって、昭和四十二年度法務省所管一般会計歳入歳出決算について説明申し上げました。  よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  15. 濱野清吾

  16. 鎌田英夫

    鎌田会計検査院説明員 昭和四十二年度法務省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございませんでした。     ―――――――――――――
  17. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、外務省所管について概要説明を求めます。竹内外務政務次官
  18. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 昭和四十二年度外務省所管一般会計歳出決算につきまして、その概要を御説明申し上げます。  歳出予算現額は三百三十六億九千三百五十四万円でありまして、支出済み歳出額は三百二十三億三千三百七十九万円、翌年度繰り越し額は九億三千七百九十万円、不用額は四億二千百八十五万円であります。  歳出予算現額の内訳は、歳出予算額三百二十九億三千十二万円、前年度繰り越し額七億三千六百四十二万円、予備費使用額パレスタイン難民救済計画特別拠出金に要した経費)二千七百万円でありまして、前年度から繰り越したものの内訳は、海外技術協力実施委託費五億七千百三十一万円、在外公館施設関係費一億六千五百十一万円であります。  支出済み歳出額のおもなものは、科学技術振興のため、国際原子力機関に対し、同機関の憲章に基づく分担金及び拠出金として、九千七百四十九万円並びに国際連合その他各種国際機関に対する分担金等として二十三億五千四百六十四万円、また、貿易振興一環として、外国におけるわが国商品輸入制限運動に対処して、関係国議会公聴会及び関税委員会公聴会出席し、陳述をする等、輸入制限問題に関し、政界、業界首脳わが国に対する理解を深めしめるとともに、輸入制限動向実情調査分析を行なって、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌等、マスコミに対する啓発宣伝工作PRパンフレットの配布を行なう等、輸入制限運動阻止のため四億四千二百六十七万円、次に、経済協力一環としての技術協力実施につきましては、コロンボ計画等に基づく技術研修員千百七十五名の受け入れ及び専門家三百七十八名の派遣業務並びに海外技術センター事業メコン河開発事業調査、投資前基礎調査海外技術協力事業団交付金国連開発計画拠出等に要した経費七十四億六千二百四十六万円、さらに、移住振興につきましては、中南米等への移住者八百八十四名を送出及びこれを援護するため等の経費十六億四千三百三十六万円であります。  次に、翌年度繰り越し額について申し上げますと、財政法第十四条の三第一項の規定による明許繰越のものは八億五千二百二十万円でありまして、その内訳は、海外技術協力実施委託費七億三千二百八十四万円、在外公館施設関係費一億一千九百三十六万円、また、財政法第四十二条ただし書きの規定による事故繰り越しのものは海外技術協力実施委託費八千五百七十万円であります。  不用額のおもなものは、外務本省の項で外国旅費等を要することが少なかったこと、海外経済技術協力費の項で海外技術協力実施委託費を要することが少なかったこと、移住振興費の項で移住者渡航費交付金を要することが少なかったこと並びに在外公館の項では、職員諸手当を要することが少なかったこと等のためであります。  以上で説明を終わりますが、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
  19. 濱野清吾

    濱野委員長 次に、会計検査院当局より検査概要説明を求めます。中込会計検査院第一局長
  20. 中込良吉

    中込会計検査院説明員 昭和四十二年度外務省決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。
  21. 濱野清吾

    濱野委員長 これにて説明聴取を終わります。     ―――――――――――――
  22. 濱野清吾

    濱野委員長 これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。丹羽久章君。
  23. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 委員長のお許しを得ましたので、外務省に対し二、三の質問をいたしたいと思います。  きょうは、参考人として御出席をいただいておりますので、まず、移住事業団関係についてお尋ねをいたしたいと思いますが、昨年十一月十日の決算委員会におきまして、御質問を申し上げました。それは移住関係について南米ブラジルジャカレイを中心としたお尋ねをいたしたのであります。そのときの御回答が一応持ち越しになっておる点について、その後の作業進捗状況をひとつお聞かせいただきたいと思います。この回答にあたりましては、移住事業団の方からでも、また外務省のほうからでも、どちらからでもけっこうです。  まず第一点は、例のブラジルにおける移住者方々土地購入代金の返済の問題でありますが、この前のときの御回答では、目下研究し、検討中であり、近くこれに対して何らかの合理的な、また実情に沿うような解決策を講じたいということであったが、その後この期待に沿うようになっておるのかどうか。その点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  24. 遠藤又男

    遠藤説明員 この問題は、ブラジルにおきましては、移住者土地の取得は従来円貨建ての契約に基づいておったわけでございますが、昨年の三月十日、大統領令四百九十四号というのが出まして、永住者でなければ、つまり外国人土地は取得できないということになりまして、それに伴いまして、円貨建てでなくて、ブラジルクルゼーロ建てにしなくてはならいぬという状況になったわけでございます。  その際、問題は、土地支払いの実際問題になりますと、ブラジルにおけるクルゼーロのはなはだしい下落という問題がございます。このはなはだしいブラジル・クルゼーロ貨下落は、ブラジルにおける土地騰貴率、それから農産物価格騰貴率をはるかに上回っておりますために、その間の調整が問題になるわけであります。  その問題を解決いたしますにあたりまして、われわれといたしましては、従来とも、大蔵省海外移住事業団と相談いたしまして、さっき申し上げましたように合理的な解決をはかりたいと思っておるわけでございますが、問題は、移住者に対して支払いを容易にして、定着、安定をはかるという要請と、もう一つは、政府で負担する為替差損の問題をどの程度に押えるかというわけでございまして、その両者の調整の仕事がございまして、いままでやってきたわけでございますが、大体基本的なラインにつきましては、大蔵省海外移住事業団との間に原則的な意見の一致を見ております。目下細目について検討を加えているところでございます。遠くないうちに解決するものと期待しております。
  25. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 遠藤移住部長の御答弁は前回とたいした変わり方はありません。そういう方針でいくのだということでありますが、この問題について、現地のほうへ行かれて、そしていろいろと現地の人の意見を聞かれ、実情に沿うような線がいまのような説明であるかどうかという点を、ひとつお尋ねいたしたいと思います。
  26. 柏村信雄

    ○柏村参考人 お答え申し上げます。  現地におきましては、ただいま遠藤部長が大綱において了承を得たという現地通貨建てを非常に希望いたしておることは、私ども事業団創設以来承知をいたしておりまして、今度の大統領令が出る前におきましても、現地通貨建てに切りかえるように、外務省を通じ、また直接大蔵省とも折衝をいたしてきたわけでございますが、ただいま遠藤部長が申しましたような為替差損をどこで受けるかというようなことについての問題点が非常に複雑でございますので解決を見なかったのでございますが、今回現地通貨建てでやるという基本的な方針については了解が取りつけられたわけでございます。  これについてどういう条件にしていくか、移住者も納得し得る、また国としても理屈が通るというような線を目下外務省大蔵省で御検討になっておるという段階でございまして、基本的には解決する方向で、決してこれからさらに大綱について研究するという問題でございませんことを御了解願いたいと思います。
  27. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 柏村理事長からのお話を聞きますと、方針はきまった、移住部長の方針もきまって、外務省大蔵省等と話し合いの線は出たということでありますが、私は、この問題を研究してみると、まだまだこれによって解決するということでは現地民が満足し得ない点もあるように思いますから、もう少しこの点を突き詰めて、煮詰めて、そして本人たちも十分な希望というところまではいかぬにしても、喜びにひたりつつ、海外におって、国の方針に基づき、われわれも海外へ出てきて幾多の国からの援助を受けてほんとうにうれしいことである、これによってわれわれはその使命を全うしていくんだ、そして永住の地をこの地に求めていくんだというような気持ちになるように、不満のないような解決策をそれぞれで研究して片をつけてやってもらいたい。重ねてお願いをいたしておきます。時間が制約せられておりますので、私はこれ以上のことは申しませんけれども、十分な考慮を払っていただきたいと思います。  それからもう一点は、移住者に対する渡航費が先般の国会で免除がきまったとき、千二百万円だったと記憶いたしますが、すでに返済されております。その分については、外務委員会での意思表示もあったことであるから、何か全体の利益になるような方面にこの金を回して使いたいという返答があったように私は記憶しておりますが、この作業はどうなっておるのか、この点についてもひとつ説明していただきたいと思います。
  28. 遠藤又男

    遠藤説明員 ただいまお話のありましたように、回収されたお金の総額は千二百万をこしておりますが、そのうち国庫に納付されたものがございまして、現在移住事業団で管理しております勘定は、二月十六日現在で三百六十八万九千五百十三円でございます。これにつきましては、昨年十一月の決算委員会で申し上げましたように、移住者全体の利益になるように現地に還元して有効に使おうということで具体策を練ってきたわけであります。これにつきましては、この回収金を返済した人たちのおる国別に比率を出しまして、つまり、それでまいりますと、ブラジルが圧倒的に多いのでございまして、ブラジル、それからパラグアイ、アルゼンチン、ボリビア、ドミニカ、こういう順になりますが、案分比例でもってこれを算出いたしまして、それぞれの国にある日本人の移住者の援護団体、もしくは日本人の諸団体を選んで寄贈して、全体のために有効に使ってもらおうということで、いま作業を進めるところでございます。
  29. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それはね、千二百万円余というのは、いまから至急やるということであったから、まだ作業を進めておるではいけない。できるだけ早く解決して、これが一番喜ぶ方法、全体の利益になるという方針をきめて、あなた方で片をつけてください。作業というと、また今度聞くときに、まだ作業をやっておるというようなことでは、それはお役所仕事になりますから、もう金もあるのだから、どう処分すべきか、どう全体の利益にすべきかという方針がきまったら、直ちにそれを実行に移してください。これで私はもう質問を終わりますが、お願いいたします。  それから第二点について少しお尋ねいたしたいと思います。  わが国の発展途上国に対する経済援助は年を追って増大しております。一応私が調べた範囲によりますと、昭和四十二年度は八億五千五百万ドル、四十三年は十億四千九百万ドル、十億五千万ドル近いものになっておりますが、これを四十三年度において国民総生産から計算いたしますると、〇・九四%ということになるわけなんです。四十三年の国連の貿易開発会議の勧告を見ますと、国民総生産の一%ということになって、一九七二年までの援助で計算していくと、今後毎年、援助が前年の比較でいくと二〇%くらい増加をしなければならぬことになるわけなんです。政府は今後海外に対する経済援助を何年間、どのくらいの程度で増加していけるのか、どんな御計画を持っておられるのか、この点をひとつお尋ねいたしたいと思います。
  30. 新田庚一

    ○新田政府委員 先生いまおっしゃいましたように、日本の経済協力の規模は一九六八年で十億四千九百万ドル、対国民総生産比で〇・七四%という数字になっております。これを一%まで持っていくということにつきましては、一九六八年のUNCTADの決議で決議されておりまして、DAC加盟先進諸国、これに向かって努力しておるのでございますが、DAC先進諸国全体としましても、六八年度におきまして〇・七七という数字になっておるわけでございまして、日本の現在の比率よりも若干高いという程度になっております。これをできるだけ早く一%の線に持っていくということは一つの国際的な目標になっておりますが、わが国も最近の経済力の充実に伴いまして、そういう努力を当然いたすべきものと思います。  ただ、これにつきまして、昨年の十月いわゆるピアソン報告というのが出ておりまして、一九七五年までに各国一%までに増加すべきであるというリコメンデーションが出ておるわけでございます。これについては、別に各国政府を拘束するものではございませんが、また、各国それについて、やりますとか、やらないとかいうふうな意思表示をやっておりませんけれども、一つのそういった国際的なものさしができつつある状態でございます。  日本としてどういうテンポでこれをやっていくかということにつきましては、これからの国内との資源配分の問題もございますし、いろいろ総合的な検討を加えなければならない問題でございます。ただいま対外経済協力審議会におきまして、日本の経済援助のあり方、それから、それに必要ないろいろの問題点というものを整理しておる段階でございまして、御質問の、いつまでどういうふうなテンポでということにつきまして、はっきりした数字的なものは現在持ち合わしておらないということでございます。
  31. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 いま御答弁願った方はどなたですか。
  32. 新田庚一

  33. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 それではもう一ぺん調整局長さんにお尋ねしますが、対外経済協力審議会の答申を待って考えていくというのですか。それはちょっとおかしいじゃないの。こういうことは四十三年の国連貿易開発会議の勧告にもあると思うが、国民総生産の約一%は援助しようじゃないかというお互いの申し合わせを受けてきたんでしょう。そうじゃないですか。そうでなければ別だけれども、そうであるということで引き受けてきておるとするならば、いまの数字はそれにやや近いものであるけれども、〇・九四%になっておるからほとんど一%に近い、これはそれでいいとしても、今後日本の経済状態では、この審議会の答申を待ってそうして方針をきめるんだなんというようなことはおかしいことないですか。そういう機構になっているのですか。私は勉強足らずでわからぬけれども、どうですか。
  34. 新田庚一

    ○新田政府委員 昨年の二月の国連UNCTADにおきまして、GNPの一%の目標、一%に到達すべきであるという決議はございますけれども、それについて、この決議を日本として受諾するというふうなコミットはしておらないわけでございまして、日本としては、各国に比べまして援助の量の増加のテンポというものは非常に早いわけでございまして、そういった増加のテンポというものも考慮すべきであるという発言をしておるわけでございます。  ただ、おっしゃるとおり、この一%の目標というものが、徐々に一つの国際的な目標になっておりまして、日本としてもできるだけ早くそれに到達する義務が、これからは生じてまいると思うわけでございます。したがいまして、どういうふうな方法で、どういうふうなテンポでそういう方向にいくかという点につきましては、基本的に今後検討したい、こういうことでございます。
  35. 濱野清吾

    濱野委員長 ちょっと待ってください。  柏村参考人には、当委員会の審査に御協力くださいまして、まことにありがとうございました。御退席をくださってけっこうです。
  36. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 四十二年度に八億五千五百万ドル出しているのです。四十三年度に十億四千九百万ドル出している。これをあれすると、一%には達していないけれども、〇・九四%を出しているのです。だから、日本の経済見通しというものは大蔵省経済企画庁なんかでもちゃんと出しているのだから、大体今後これを平均していくと、年々二〇%ぐらいを考えていかなければならぬけれども、これは一体今後どの程度までいけるのだというぐらいの基本的日本の経済見通しというものはなければならぬはずだが、それは全然ないという意味ですか。他国から聞かれた場合には、これから審議会においてそれが答申せられなければ日本の見通しは全然つきませんというように答えるのですか。それとも、大体この方針で進んでいこうと思っておる、大きな変動がなければいけますよ、ということぐらいは、この席でぼくは御答弁を伺えると思っているが、どうですか。
  37. 新田庚一

    ○新田政府委員 先ほど申し上げましたように、年々GNPに対する比率が上がっておるわけでございまして、一九六七年度で〇・七二、それが七四に上がっておるという状況でございます。  これからの問題は、GNPの伸びのテンポ、これは実は新しい長期計画ということで現在策定中でございますが、それとにらみ合わせまして、その一%という経済援助の規模が国内の一これは幾らドルがあっても、円というものと無関係では実現できませんので、国内の資源配分として可能かどうかというような検討も、当然なされるべきものと思います。
  38. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 この問題はまた後日に譲ります。どうもぼくはそれじゃ納得でき得ないと思うのですが、局長にあまりこれを詳しく聞こうと思っても無理かもしれませんから、それじゃこの問題はおきましょう。  次に移っていきますが、経済協力には、政府ベースでは二国間の贈与、直接借款、国際機関に対する出資、拠出などがありますが、民間ベースでは両国間で輸出信用、直接投資があり、また国際機関への融資参加などがありますね。政府ベースで関係するところとしては、外務省のほかに大蔵省があり、輸出入銀行があり、海外経済協力基金だとか海外技術協力事業団等々があるわけですが、かように対外経済援助はいろいろの形を通じて、多くの機関の手によって行なわれているのでありますが、その取り扱う金額が、現状から見ていくと、今後急速に増大していくということになるのです。いま聞いておりますと、先ほどの説明でもちょっと見通しが困難だということになるので、私は、こういう問題に対して、相手方に対する考え方、そしてこういうような問題についてのもう少し突き詰めたことを聞きたいと思って原稿をつくってきたのですけれども、きょうは局長さん一人ですから、この問題は一応あと回しにいたしたいと思います。  それから、日本の対外経済援助の実績は、その総額においてはアメリカ、フランス、西ドイツに次ぐ大きな金額で、しかも、イギリスを抜いておるというような対外援助になっておると思うのです。したがって、この援助は増加とともに、いろいろと検討せなければならぬ問題がたくさんあると思います。外務省においては、昨年の一月、二月、三月にわたってインドネシア、韓国、パキスタン、インド等に経済協力調査団を派遣されましたが、現地における経済協力の効果というものなんかの測定などを調査して、その報告書をまとめられたようであります。  その内容は、断片的に新聞紙上に報道されておったわけでありますが、インドネシアにおいては、わが国のプロジェクト援助の問題点として、当初計画の段階で、政治的の配慮から、立地条件などの面で採算性を無視したものが少なくありませんよ。二つ目には、建設工事は、実施段階で現地資金の不足から工事が進まなかった、とまっている例が、断片的報告の中にも指摘されておるのです。また、同じくインドネシアに対する商品援助が、自国の経済安定に果たした役割りは大きく評価されているのであります。  かように、調査団が各地に派遣されまして、その調査の結果、どのような点が改善を要する事項として指摘されているのであるか、この調査結果を今後の援助に生かすためには、どういうような措置を、あるいは対策をお考えになっているのか、ひとつその点をお聞かせいただきたい。要約すると、いい面と悪い面がたくさん出てきた。それはもう全体的には非常に複雑化しておるから、十分な発表はできなくて、断片的に発表のあったものだと考えるけれども、そうした面において、いい面、悪い面をどのように今後考えていかれるか、ごく簡単でいいからお聞かせをいただきたい、こういうことなんです。――竹内政務次官いらっしゃるけれども、専門的な話になりますから、それじゃ専門的係官に来ていただいて説明していただくことにしますから、あと回しにしましょう。  それではその次に、きょうは海外技術協力事業団の理事長もおいでいただいておるようでありますから、技術事業団の関係問題についてお尋ねいたしたいと思います。  わが国の海外に対する経済協力技術協力が、最近非常に重要になってきたことは私が申し上げるまでもありません。そこで政府においても、私ども自民党においても、これには特別の考慮を払ってしておるつもりでございます。特に、技術協力はひものつかない援助として、発展していく各国からたいへんに喜ばれておることは、いま私から申し上げなくても御承知のことだと思っております。  ところが、きわめて残念に思うことが私は一つありますが、それは昨年の十月、外務省所管のただ一つの機関である、政府関係の特殊法人である海外技術協力事業団が、突然というのか、突如、無期限ストという前代未聞の行動に出たことであります。事業団の入り口にはピケが張られまして、組合員は頭にはち巻きをして、腕には赤い腕章、これは年じゅうのことでありますが、べたべたとビラを張って、外から来たお客さんはシャットアウトで、入ってもらっちゃ困るというような状態なんです。この事業団のすぐ裏には外国から留学している若い人々が、日本にあこがれ、日本で勉強しようと思ってたくさん寄宿しておるセンターがあること、御承知だと思いますが、これらの人々も、ストになると、めしも食えなければ、ふろに入ることもでき得ない。しかも、発展途上の国々の人々のこのような監視のもとでストが行なわれるというようなことは残念でなりません。  しかし、それはそれとしまして、日本は経済的に世界の大国につながるその反面、エコノミックアニマルといわれておるという声も出ておるし、きわめて残念に思っておるときに、こうした技術協力の母体において無期限的なストが発生される。聞くところによると、このストの動機になったのは、一課長補佐の天下りが原因であったといわれておるが、一体海外技術協力事業団の人員構成はどうなっておるのか、まずそれをお聞かせいただきたいと私は思います。さらに、理事長以下部課長課長補佐、またその出身省などをお聞かせいただきたい。また、本事件の原因というのは、先ほど申しましたけれども、そのことが事実であるのか、あるいはストの経過、あと始末はどのようにつけられるか、これも聞きたいと思っております。  新聞によれば、当局側、というのはこの事業団側は、組合との団体交渉の結果、たいへんな譲歩をした、そして幾つかの前例のない条件を示した確認書を取りかわしたといっておるが、そんなことがほんとうであるのかどうか、この点をひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
  39. 田付景一

    ○田付参考人 お答えいたします。  ただいま御質問がございましたとおりに、私の事業団におきまして、昨年十月ストライキが起きましたことに対しましては、事業団一同まことに残念に存じております。  お話しのとおり、われわれの仕事がようやく軌道に乗りまして、最近海外におきましても、このOTCAの活動というものがアプリシェートされるというような事態になってきましたときにこういう問題が起きましたことについて、われわれ一同深く残念に考えておる次第でございます。  先ほどお話がございましたように、われわれの事業団は、仕事のほうが先に大きくなりまして、人間がつかないというようなことがございましたので、そのためにいろいろ事業の問題がごたごたした点がございますが、いま大体四十四年度におきましては三百五十二名の職員がおります。その中で、いわゆる交付金と申しますか、ほんとうの職員として働いておるものが二百八十九人、その他の者はいわゆる委託金と申しまして、事業の内容として一緒に出てきておる人間でございます。この二百八十九人の中で、先ほどお話がございましたいわゆる出向と申しますか、天下りと申しますか、そういったものが三十一人おるのでございます。これは、大体におきまして、やはりこの仕事自身が各省関係しておりますし、政府自身がやる仕事をいまの事業団というものがかわってやるというようなこともございまして、政府の中の各省からいろいろ技術屋さんに手伝っていただくというやむを得ざる事態があるわけでございます。そういう意味でわれわれとしては、事業団が発展するに従って事業団で働いておる人々を徐々に上げていきたい、こう考えておりますが、しかし、事業団ができましてからまだ七年でございます。ことしになりましてから八年になりますが、そういった面から、まだまだ内部の人間を登用するという面についてはなかなかむずかしいところがあるとわれわれは考えております。しかし、今後だんだん仕事が大きくなり、内部の人間が勉強するようになりましたらば、どんどんそういう人たちを採用していきたい、こう考えておるわけでございます。  われわれが十月のストによりまして労組との間にいろいろな確認書をつくりましたが、これについては、お話しのとおり非常に遺憾な点がたくさんございました。たとえばいまの人事問題などについてストが起きるということは、これはストとしてははなはだ不都合なストだ、こう考えます。その意味からも、われわれのほうとしては、だんだんそういうことを実行の上において変えていきたい、こう考えておるわけでございます。     〔委員長退席、小山(省)委員長代理着席〕 その意味からも、人事問題につきましても、われわれのほうとしては、これは、労組そのものがわれわれのいろいろな方針に反対するということについては、あくまでも事業団として独立な立場としてやっていきたいということを堅持しておるわけでございます。ただ、事業団全体がスムーズにいくためにはお互いがよく話し合うということは必要だと思いますので、そういう意味では、われわれとしても組合あたりとも話し合いながら進めていきたいと思っておるわけでございます。ただいま組合のほうもだんだんわれわれの考え方もわかってきておるようでございます。最近理事諸公もかわりまして、新しい理事が近く――一部はもう就任しましたが、新しい理事もやってこられますし、人事のほうについても徐々に変えていきまして立て直しをしたい、こう考えております。  技術協力そのものは、国際的にも非常に有益な事業だと考えております。われわれとしても、この際、日本がいわゆるエコノミックアニマルといわれないためにも、またアジアその他開発途上国の発展のためにも、ぜひわれわれの力を一緒にしてそういう開発途上国の発展に尽くしたい、こう考えておるわけでございまして、われわれとしましても、今後事業そのものについても方針を変えていきたい、こう考えておるわけでございます。はなはだ簡単でございますが……。
  40. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ただいま説明をいただきましたが、四十四年の十月七日の読売新聞に、「天下り反対無期限スト 部下ゼロの室長 兼務ですんでいたのに」というようなことが書かれたり、「腰かけ無責任に反発 役員だけす早く賃上げ」、こういうようなことが、ずっと切り抜きをとってみるとたくさんあります。そこで、与えられた時間は私は四十分ですから、なるたけ時間を守るために簡単にもう一度お尋ねいたしたい。  この団交の結果、四名の理事がやめていらっしゃる。これは私の間違いかどうかということをお聞かせいただきたい。事実だったら、どういうわけか。そして、四名からの理事がやめておるにもかかわらず、はなはだ言いにくいことであるが、理事長はそのままなのかどうか。また、先ほど言ったこの文書は、いろいろの交渉時に判を押したのは、総務部長が書いて判を押したと言っておるということであるが、もしそうであったとするならば、部長はどうなったのか。また、そういうことを扇動したところの相手方の組合の責任者はどう処分したか。この点をひとつお聞かせいただきたい。  それから、時間がありませんので、その次の問題を続いて聞いておきますからお答えいただきたいと思いますが、この事業団には毎年百億円前後の国費を使っておるのです。当決算委員会においては、この団体の体質、その事業の内容などについては、この事業団というものは、ほかの事業団と違って、将来性、業務等についての執行状態というものについて非常に注目をしていかなければならぬと思っております。特にこの委員会でストの問題等を、どうなっておるかというようなことを調査したりなんかするのは本委員会の使命ではありませんからそれは申しませんけれども、もう一点、最後に申し上げたいことは、このままで継続してきたいろいろの争議が、本年の一月にも給料の値上げを要求してストをやったということも耳にしておる。これをどういうふうに解決したか、この点をもう一度説明願いたい。そして、あなたのおっしゃるように、まだでき上がってから七年だとおっしゃるけれども、十年一昔といって、もう七年の日にちを経過するならば、しっかりとやっていただいておるならばこのような事態は起こらずしてうまくいけると考えても、あえてそれは考え過ぎではないと私は思っておる。そういうところに何かこのような原因がつくられてくるということを謙虚な気持ちでひとつお考えいただいて、そしてあすへの体制をしっかり整えてもらわなければならぬと私は思っておる。  先ほども申しますように、各国から来ておる人たちがめしも食えない。そしてその状態を見たときに、先進国としてあこがれを持って日本を訪れた人々の気持ちはどんなものかということをお察しできるだろうと思う。そういう意味からも、もう一度あなたの心がまえというものをお聞かせいただければしあわせだと思いますから、解決をどういうふうにしたか。理事が四名やめて、理事長はどういうふうな考え方を持っておっていまだにやめていないのか。理事もやめたならやめたでけっこうですけれども、私の調べた範囲内では、やめられておらぬように思っておる。現在の理事長がそのままでいらっしゃるように思っておりますから、その点、どうでしょう。
  41. 田付景一

    ○田付参考人 お答えいたします。  ただいま、理事四名やめました。これは、われわれ理事長以下理事四名とともに、例のストの問題につきましての責任もありますので、各上司に対しまして、自分たちとしては一応辞表を提出しておったわけでございます。これに対しまして、外務省なり会長の御判断の上で今度の決定をされたのでございまして、それにつきまして、私はその事実を一応申し上げるのでございます。  それから、いまもお話がございましたように、われわれの仕事は国外との関係が非常に密接なものでございまして、これがこういうような事態を起こしましたことに対しましては、われわれといたしましても非常に遺憾に存じております。  ただ、先ほどお話がございましたように、この一月にまたストがあったというお話でございますが、これは全然ございません。労組との賃上げ問題についての団交はございましたけれども、別にストライキというものはございませんで、いまはむしろわれわれとも一緒になって事業を進めておるということを申し上げたいと思います。  一応私のほうのお答えといたします。
  42. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 もう一度田付理事長に申し上げるが、ストはやらないけれども賃金の値上げはしたということですか。賃金の値上げを要求してきたことには間違いないですか。そして、それに対してどういう解決をせられたですか。
  43. 田付景一

    ○田付参考人 これは昨年の春闘に基づきまして、いわゆる労組としての一般的な賃金値上げをやってまいりました。そして、その当時、政府事業団その他に対してきめられた賃金値上げの範囲内において賃金値上げをきめたということでございます。
  44. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 本年の一月ですよ。一月ですから春闘の問題とは関係ないでしょう。
  45. 田付景一

    ○田付参考人 春闘が――いわゆる四十四年度の値上げというものがずっと続いてまいりました。そして、それが去年の十一月ですか、政府の決定がございまして、それに基づいて団交いたしまして、一月に、四十四年の六月までにさかのぼっての賃金値上げというのをしたわけでございます。
  46. 丹羽久章

    丹羽(久)委員 ちょっと私の思い違いかしらぬが、これをもっと深く掘って、あなたと私とは争点をいろいろと話し合おうとは思っておりません。そして、御苦労さんにも非常に重要な事業団ですから、ほかと違って技術協力ですから、つとめて御熱心にやっていただいておりますけれども、こういうようなことが新聞に報道せられてくると、非常に先進国としてあこがれを持っておってくれる日本が不信を買うことになりますので、つとめて労使の協調を円満にうまく運営していただいて、そしてこういうようなことのないようにひとつお考えいただいて今後進んでもらいたいと思います。以上をもちまして私の質問を終わりましょう。  それから、先ほど外務省お尋ねしたけれども、おいでいただいておるかしれませんが、もう私の時間が五分も経過しておりますから、これはあらためてまた聞きます。きょうはせっかくおいでいただきましたけれども、あらためてまた次の機会か何かにお願いすることにしましょう。御苦労さんでした。どうもありがとうございました。     〔小山(省)委員長代理退席、委員長着席〕
  47. 濱野清吾

  48. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 各先生方の質問要請も数多くありますので、私はきわめて簡潔に、要点だけしぼりまして質問いたします。したがいまして、答弁につきましては、どうぞひとつこれまた要領よくお願いしたいのでございます。  ただいま丹羽委員質問もあったのでありますが、その中の答弁でもはっきり述べておりますことは、わが国の経済援助はアメリカ、ドイツに次ぎまする地位を占めてまいっておるのでございます。経済の高度成長と国際収支の好調ということが世界的にも大きな注目の的でありますことは御存じのとおりであります。特に発展途上国に対しまする経済援助の拡大というのは、非常に強く求められるのでもありますし、期待もされておるのでありますが、一方、国内に目を向けてみますると、世界的に経済規模自由圏第二位であるといわれているのでありますけれども、国民一人当たりの国民所得は三十四万五千六百円、と申しましてもアメリカの二九%にとどまるのでありますし、蓄積面におきましても大きくおくれをとっていることは御承知のとおりであります。農業及び中小企業などは、いまだその近代化のために力を注がなければならない点が多いのであります。もちろん社会保障、社会資本、こういうものの充実等に多くの立ちおくれたものがありますことは当然でありますが、こうした面につきましても、おのずから援助供与の限界があると思われるのであります。  そこで、第一に、海外経済援助の限界は何を基準として、どの程度のものを考えておられるかということを最初にお尋ねいたします。
  49. 沢木正男

    ○沢木政府委員 海外援助の限界という問題は、非常にむずかしい問題であると思います。各国とも、はっきりした援助の限界がどれであるというふうなことは申しておりませんし、かつまた、そういうふうな限界についての国際的な理論も、現在私の承知する限り存在してないように思います。ただ、国際的な場におきましては、日本は、UNCTADその他におきまして、国民総生産の一%を目標として援助を行なっていきたいという意図をすでに表明しております。したがいまして、現実の姿といたしましては、資本協力、技術協力を含めまして、できるだけ早い機会にこの一%の目標を達成したいということで、予算要求その他についてもそういうラインでお願いしておるわけでありますが、現実問題としましては、国内における円の需要と海外のそういう協力に向ける円の需要との競合という問題から現状のような線に落ちついておるものというふうに心得ております。
  50. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 日本の経済援助というのは、とかく計画におきましてもきわめて場当たり的であるというようなことがいわれておりますし、同時に受動的だといわれておるのでありまするが、このことは、予算の単年度主義、民間ベースの経済協力の比重の高いということもございましょうが、これらの批判に処しまするためにも、被援助国の実情をよく調査いたしまして、最も効率的な長期計画を立てるべきであると考えるのでありますが、このことであります。  もう一つ続いて、これらの経済援助が被援助国において効率的に発展に寄与しておるかどうかも見のがしてはならない点でございます。このことにつきまして、現在どのような方策をとっておられるかということの二点についてでございます。
  51. 沢木正男

    ○沢木政府委員 援助の効率化ということにつきましては、国民一般の批判もございますし、われわれとしても、できるだけ効率の高い援助を供与すべきであるというたてまえにおきまして、一昨年度から、幸いにしまして経済協力効果を調査する費用も予算の上で認めていただきましたので、すでに韓国、インド、パキスタン、インドネシアというような国の経済協力の効果を調査いたしております。インドネシアにつきましては、すでにその調査報告書が発表されておりますが、その他の調査につきましてはいまだ発表いたしておりませんが、それらの調査の結果を総合して申しますと、全体としてみれば、日本の経済協力は約八〇%程度の満足すべき効果をあげておるんではないかというのが、大体の一致した見方でございます。  しかしながら、しからば全然失敗例がなかったかと申しますと、これはやはりございます。それらの問題の大部分というものは、売らんかなの精神に基づきまして売った結果、部品の供給がその後十分に行なわれておらない、あるいは経営がうまくいっておらない、あるいは技術協力がそれに随伴していっておらないというようなことから、日本の売りました工場が十分に稼働していないというような問題、それから、開発途上国の常といたしまして、政権が交代いたしますと、政策の重点が、全く供与した当時と現在とで変わってしまっておるというようなことから、そういう工場は当然得るべきいろいろな保護を受けていないからうまくいかないというような問題、そういうような問題が報告せられておりまして、それらのおのおのにつきましては、われわれといたしましても直ちに対策を講じまして、部品の供給をあっせんするなり、あるいは技術者を派遣して指導に力を入れるなりいたしております。  それと同時に、新しく取り上げていきますプロジェクトにつきましては、経済協力基金あるいは輸出入銀行、OTCA、技術協力事業団というようなものを総合いたしまして、プロジェクトに取りかかる前にフィージビリティーを十分調査して、かつ、相手国も負担する内貨分その他が予算で確保しておるかどうか、そういう点も十分精査した上で、そつのないようにやっていきたいということで実施いたしております。
  52. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 毎日新聞に出たのでありますが、「援助条件の緩和を」という見出しで、特に経済協力で首相が指示したという二十一日のことでありますが、そのことにつきましてお尋ねしたいのであります。  御案内のとおり、わが国の海外援助の条件といたしましては、昭和四十二年に比しまして、かなりの改善を見ましたが、しかし平均金利が三・七%、返済期間は十八・一年、据え置き期間は五・三年となっておるのであります。OECD開発援助委員会の平均金利三・三%、返済期間は二十四・八年、据え置き期間は五・八年に比較いたしますならば、かなりの隔たりがございます。これらの改善のために、一つ無償援助の増加、二番目に海外経済協力基金への政府出資の増加、三番目に海外経済協力基金、輸銀の低利融資を可能にするための利子補給制度の導入などを考えているといわれているのでありまするが、これらのことにつきまして現在どの程度に進められておるかであります。
  53. 沢木正男

    ○沢木政府委員 日本の援助条件が、いま先生がおっしゃいましたように、まだ欧米諸国に比べて非常に劣っておるということは事実でございますので、これの緩和策につきましては、いま先生のおっしゃった三点につきまして、常時、一昨年から外務省としましても案を立てて、関係各省にも申し入れ、努力をいたしておりますが、いまだ一〇〇%実現に至っておらないのははなはだ残念に思っておる次第でございます。  この利子補給制度は、当初の段階におきましては財政負担が軽いのでありますが、それを打ち切りました段階において集中的に財政負担を生ずるという点が、現在理論上の困難な点でございます。それから、経済協力基金の出資金をふやせば、それだけ長期低利の融資ができるということにつきましては、われわれとしましても、予算要求の段階において常時そのような議論を掲げまして予算要求をいたしております。
  54. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 海外経済協力基金の昭和四十二年度投融資承諾額でありますが、二百八十八億三千万円、実行額は百六十三億七千万円、昭和四十三年度におきましては、承諾額三百七十七億七千万円、実行額三百五十億九千万円と、年々増加の一途をたどってまいっておるのでありまするが、今後におきまする投融資の傾向は、一般案件につきまして、また直接借款につきまして、どのように変わっていくでございましょうかということでございます。また、業種別ではどうであろうかというお考えを承りたいということ、続いては、基金の貸し付け利率は、業務方法書によりますと年三分五厘以上となっておるのであります。これでも、先ほど質問の中に申し上げましたごとく、OECD開発援助委員会平均に比べましても高いのであります。ところが、基金におきまする貸し付け実績では、直接借款が三%から四・五%、一般案件四%から五・五%と、かなり高くなっておりますし、また幅があるのでありますが、これら金利の決定は、採算性、緊要度、使途など、総合的な観点によりなされておるといわれておるのでありますけれども、その決定基準というものがあるかどうかという質問でございます。
  55. 新田庚一

    ○新田政府委員 海外経済協力基金は昭和三十六年から発足しまして、四十四年十二月末現在で承諾額の累計が千五百二十六億、実行額が千八十五億、残高としまして九百八十一億という金額になっております。  御指摘のとおり、協力基金の業務、最近の経済協力の条件の緩和の問題に関連しまして、特に直接借款の政府ベースの援助、供与条件に関連しまして、今後ますます重要度を加えてくるものと思います。さらに、直接借款以外の一般案件につきましても、これから特に経済協力と関連しまして、日本の源資開発の問題にも相当大きな重要な問題となってくるのでありまして、この一般案件につきましては、今後相当長期の資本供与という問題が出てまいるかと思います。  御指摘の金利の問題につきましては、業務方法書では、原則として三・五%以上、二十年以内ということになっておりますが、実際の取り扱いとしましては、三・〇%から四・五%、平均にしましては、直接借款では三・二八%という金利になっておりますが、この金利の問題につきましては、相手国の外貨事情とか、あるいはプロジェクトの性格、特に社会資本、インフラストラクチュア的なものについては特に条件をゆるやかにする、プラント的なものはそれより若干金利が高いというふうな取り扱いになっております。業種別の問題としましては、先ほど申し上げました残高九百八十一億、現在鉱業関係が五十七億、それから工業関係が約二百億、農林水産関係が若干というふうな状態になっておりますが、今後特に工業関係とかあるいは農林水産関係というもののプロジェクト、これは一般案件でございますが、そういったものが増加してまいるのではないかと思います。
  56. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 償還期限ということについてでありますが、これは方法書六条四号におきまして二十年以内と規定されておりますが、しかし従来の実績では、直接借款二十年、一般案件が五年から十五年くらいまでとなっておるのであります。この期間はどのようにしてきめられるのでありますかというお尋ねであります。  もう一つついでに申しますが、昭和三十六年度以降四十四年六月までに貸し付け実行したものは八百九十八億円、そのうち回収されたものが九十八億円、残高は八百億円でありまして、約九〇%を占めております。残高の増加するおもなる原因は、毎年度の投融資額の増加支払い期間、据え置き期間等の長期化によるだけではなく、支払い不可能のため返済期限を延長するものなどが原因であるとも考え得られるのであります。海外経済協力基金の貸し付けは、基金法第二十一条一項及び第二項に規定するごとく、日本輸出入銀行及び一般の金融機関から通常の条件によりまして資金の貸し付けなどを受けることが困難である場合であり、また事業計画の内容が適切であり、その達成の見込みがある場合のみに限られておることからいたしますれば、返済期限の延長などは生じないはずであります。それは貸し付け承認においても、その見通しに誤りがあったのではないかという疑問であります。  また方法書第六条五号には、原則といたしまして物的担保をとるとなっておるのでありますが、どの程度の評価をし、それは十分なものであるかどうか、あわせてお答えいただきとうございます。
  57. 村井七郎

    村井参考人 お答えいたします。  貸し出し承諾をいたしますときに、私たちは各観点から十分調査をいたすわけでございますが、いろいろ経済協力には問題がございまして、たとえば一例をあげますと、相手国の事情によりまして、インドネシアの場合などは、政権の交代等でいろいろやり方が違ってくるということがございます。私たちから見まして、ほんとうに経済性を発揮するといいますか、条件どおりの回収を無理なく行なうための企業運営というものをいたしますときに、私たち日本企業が経営権を持てば、あるいは、少なくともある程度の経営権を持てばやれるということが、現在のインドネシアの場合などは可能でございますが、前政権の場合はそれが不可能であったというようなことなどがございます。そういったときに経済協力を実行しようといたしますと、どうしてもそこに若干のギャップと申しますか、経済協力というものに相当ウエートを置きますと、多少償還の確実性を犠牲にしてでも経済援助を行なうということに相なってまいりますと、必ずしも予定どおりの償還が確保されないということなどがございますし、また、企業でございますので、現地の経済事情あるいは労務事情等が予定以上の不都合、不一致を生じてくるという非常にむずかしい点がございます。これは完全なコマーシャルベースで行ないます経済活動と、ややその点が経済協力ということになりますと、ギャップがあろうかと思います。基金の実例におきましても若干例がございまして、私たちはそこで直ちに担保を実行して金だけを引き揚げるということも可能ではございますが、その場合も、経済協力の本質というものを考えてみますと、基金がかりに貸し付けた先の事業、日本の企業が失敗いたしましたときに、企業が差し入れております担保だけをお返しすればいいという観点だけにとどまりませず、もう少し広い意味での経済協力、つまり相手国との関係ということを考えますと、もう少し待って、もう少し事業の回復をはかったほうがいい、担保を実行する前に若干のそういう余裕を持ったほうがいいという場合などもあろうかと思います。いろいろな実例があろうかと思いますが、要は、若干のそういう予定と食い違った実例があるのは、御指摘のとおりでございます。
  58. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 さきの日本経済新聞にかなり大きい見出しで「日本へ肩代わり要請 東カリマンタンの森林開発四〇%の現地出資分」と出ておるのであります。これに関連することでありますが、南カリマンタン森林開発事業に対します融資は、三井物産株式会社が受けまして、これが三井物産林業開発株式会社に渡り、インドネシア林業公社の行なう南カリマンタン森林開発事業の資本財、役務の提供等の資金に使用されておるのでありますが、この三井物産と三井物産南方林業開発株式会社及びインドネシア林業公社間のそれぞれの融資条件はどの程度になっておるのでありますか、これをまずお尋ねいたします。
  59. 村井七郎

    村井参考人 御指摘のとおり、基金から融資をいたしております。
  60. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 理事長、もう少し丁寧に、いま少し核心に触れておっしゃってください。1もう一ぺん申し上げましょうか。私、少し早口でございまして、御迷惑をおかけする面もあろうかと思います。  南カリマンタン森林開発事業に対する融資は、三井物産株式会社が受け、これが三井物産林業開発株式会社に渡ります。それからインドネシア林業公社の行なう南カリマンタン森林開発事業の資本財、役務の提供等の資金に使用されておるのでありますが、この三井物産と三井物産南方林業開発株式会社及びインドネシア林業公社間のそれぞれの融資条件はどのようになっておりますかということであります。
  61. 村井七郎

    村井参考人 にわか勉強でどうも申しわけございません。  三井物産には基金が五%で貸しておりますが、三井物産はさらにそれを子会社でありますところの南方林業に同じ五%で転貸いたしております。南方林業はプルフタニ、つまりインドネシアの森林公団に対しましては五・五%で貸し付けをいたしております。
  62. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 最後であります。  王子製紙など日本側八社とインドネシア林業公社は、これは合弁会社をつくっておるのであります。そして東カリマンタンでの森林開発計画を進めておるのでありますが、インドネシア側が合弁会社の現地出資分である四〇%を日本側に無利子で肩がわりを要請してきておると聞いておるのであります。また、これを認めることになりますならば、今後ほかのほうにも波及いたしますし、日本企業の投資、経済協力に大きな影響を与えるだろうと伝えられておるのでありますが、これにつきまして、現在どの程度の話が進められておりますかということであります。  また、この開発事業に対しまする基金からの融資のうち、一億四千三百万円は返済の期限延長が認められておるということも聞いておるのでありますが、その理由はどういうことでございましょうということであります。
  63. 村井七郎

    村井参考人 カリマンタン森林開発は非常に複雑になっておるわけでございますが、大ざっぱに申しますと、いまございます東カリマンタン森林開発株式会社、これが予定よりも事業の遂行がおくれておりまして、そのために、先ほど申し上げましたような経済協力という観点からも、若干の回収延期ということを認めざるを得ないというふうに考えております。その点は高橋委員が御指摘になったとおりでございます。  それから、前段階の王子云々の八社での新会社設立でございますが、これは実はまだ会社が発足いたしておりません。その両者の関係は、東カリマンタン会社が予定どおりうまくいっておりますれば、これは東カリマンタン会社が単独であるいはやり得たことでございますが、そうではなかったところに、やはり新しい一つの事業体というものを設けて、つまり東カリマンタン森林会社というものをある程度業務を分割してやらないとぐあいが悪い、やったほうが能率がいいということが漸次明らかになってまいりましたので、王子等を主体といたします八社が、それでは従来の大部分の地区に新しい会社を設立して、それで森林開発を行なおうという話が現実の問題として起っておるわけでございます。  ところで、ここで問題でございますのは、従来のカリマンタン会社といいますのは、経営権が全くプルフタニという森林公団にあったわけで、こちらはただ金を貸す、そして回収を木材ではかるという方式でございましたが、今度の政権では、こちらにある程度の経営権を認めるということもございますので、今度は全く日本企業の経営権のもとに、事務の遂行が非常に能率的に行なわれるような感じがいたしております。  ところで問題は、インドネシア側に資金の不足がございまして、たとえば、その何割かを日本側でめんどう見てくれないか、しかも無利子で見てくれないかという申し出があったことも事実でございますが、いま委員が御指摘になりましたように、無利子の融資ということは、これは経済協力とは言い条、いろいろ波及の問題等もございますので、会社をはじめ、私たち関係者は非常に慎重に対処いたしておる最中でございます。したがいまして、その無利子ということをどういう形で解決するか。かりに日本の会社が自分の手金でやるという場合と、何らかの金が政府機関であるところの基金から出るという場合と、いろいろ違いましょうし、あるいは、融資を有利子で行なって、それに見合うものを何らかの形で向こうに渡すという方法もございましょうし、いろいろ知恵の出し方があろうかと思います。これで、目下王子等を主体といたします会社は、向こうの公団と事務折衝、相談を続行中でございますので、まだはっきりした結論は出ておりません。近々出るとは思っておりますが、私たちの基本的な考え方は、これはあくまでも経済協力プラス事業の遂行、海外資源の開発という事業の性格を帯びておるので、やはりそろばんというものをかなり主体にするということと、それから、あまり無理な経済協力というものは商売の限度を越えることにもなりますので、そこの調和点を合理的に見つけてまいりたい、こういう気持ちで目下おるわけでございます。
  64. 高橋清一郎

    ○高橋(清)委員 とにかく、御熱心に職務遂行に邁進しておられるという姿はよくわかるのでございますが、せっかくのこうした経済援助という高い次元の意義ある項目のものでもございますので、どうか、いわゆる高能率的に内容のある、そしてまた、年ごとの運営等につきましてもその全きを期していただきたいということを心からお願いするわけでございます。  終わります。
  65. 濱野清吾

    濱野委員長 関連質問があるそうです。華山君。
  66. 華山親義

    華山委員 簡単にお尋ねいたしますが、先ほどの御答弁の中で〇・五%ほどの金利の差があって、〇・五%だけ高い利子で現地のあれには融資しているということでございます。それはどういうことでそういうふうになるのか。中間の会社が〇・五%だけをただもうけとして、という意味でやっているのか。どういうことでそういう違いが出てくるのか。
  67. 村井七郎

    村井参考人 基金から所要資金の全額ではございませんで、この場合は八割出しております。したがいまして、残余の分は市中調達をいたしておりますので、加重平均をいたしますと大体その見当になるということに相なると思います。
  68. 華山親義

    華山委員 それでは、政府出したもののほかに、自分で調達したものも入っているということですか。
  69. 村井七郎

    村井参考人 さようでございます。
  70. 濱野清吾

    濱野委員長 あとでちょっとまた少し聞きたいですね。委員長はどうもこんなことはのみ込めない。頭が悪いせいか、銀行局にいた連中は頭がいいからわかるかもしれないが……。
  71. 華山親義

    華山委員 〇・五%のものは妥当なものだという資料を出してくださいよ。
  72. 村井七郎

    村井参考人 資料でよろしゅうございますか。
  73. 濱野清吾

    濱野委員長 そうですね、資料で承りましょう。文書で出してもらいましょう。  水野君。
  74. 水野清

    ○水野委員 私は外務省に伺いたいのですけれども、要点を申し上げますと、いま日本人が世界の各国へ行って、いろいろな形で経済活動をしたりその他いろいろな仕事をしているわけですが、外国の戦争に関係の深い地域、たとえばサイゴンであるとか、あるいは中東戦争の関係の深いカイロであるとか、あるいはカイロの近くのベイルート、あるいはイスラエルの首府のテルアビブですか、そういうところにそれぞれ日本人が在留している。そういう在留、在外邦人の引き揚げという問題が、それそれの地区の戦争状態によって――いまどうということはないかもしれませんが、それぞれの状態が変化すれば起こってくることだろうと思うのです。いまたまたまイスラエルがカイロの郊外を爆撃したりしていろいろな問題が起こっています。それについて私は外務省の基本的な問題を伺いたい。決してカイロの問題を主として伺いたいわけではないのです。実は、私がたまたま今月の上旬にカイロにおったのです。そこで聞いたのですが、私の言うことは一般論として聞いていただきたいのですが、在留邦人が日本人会というものをつくって、日本人会長の命令で班をつくって、いざというときには、避難なら避難の伝達方法――これはカイロの日本大使館に一応集結するということの計画まではできているわけです。ところが、この前の中東戦争でもあったのだそうですが、そこへ来て、今度は大使館として、アラブ連合駐在の大使として、この日本人の人たちに、本国へ帰るなり、あるいは付近の安全な国へ避難をするという命令が、外務省の人にも聞いてみると、出せないというのです。どうして出せないんだ――これは戦争が熾烈になった場合ですが、いまそこまでカイロがいっているわけではない。どうしてだという話を聞いたら、外務省に金がございません。日航機をチャーターしてカイロまで持ってきて、この日航機に乗せて、たとえばローマへ避難をするとか、あるいはインドまで避難をするとかいうような体制はとれません。とれないから、責任のあることを、大使や大使館として退去命令なりを日本人、在留邦人に出すとかえって責任を生ずるわけだからカイロにとどまっているのだ、こういうことなんです。最近、調べてみると、たとえば去年でしたか、サイゴンでテト攻勢のあったときにやはり同じような問題があった。  結局、私の申し上げたいのは、これから日本人が世界各国へ行って仕事をして、これからますます経済活動が旺盛になれば、それだけ外国に滞在する人が多いわけです。世界じゅうがいつも平和だというわけじゃない。そういう際に、外務省としてどういう政策をとっていかれるか。たとえば一定の引き揚げ命令が出せるように日航機をチャーターするなり、食料を確保するなり、経常的に予算化をしてやっていくのか、あるいは予備費の中からこれを適宜に出していくおつもりなのか、あるいは外務省の中に、それ以外に官房の中に特別な金を持っておられるのか、予算の裏づけを持ったそういう話を聞かしていただきたいと思います。
  75. 佐々木孝男

    ○佐々木説明員 御説明申し上げます。  一般的なことでございますが、戦乱等による緊急事態が発生するおそれのある地域に対しましては特に訓令を一般的に出しまして、私のほうでは、第一番目には、常日ごろから在留邦人はどういうような地域にどれくらいかたまっておるかというようなことをできるだけ把握していくということをやっております。そして、その結果、名簿を整備して、これを定期的に更新するようにということはしておるのでございます。  それからもう一つは、先ほど先生から御指摘がありましたように、連絡網の整備といいますか、一たん何か起こった場合に、大使館のほうから事態の情報等を迅速に伝えるというため、あるいは集結する必要があれば、どこそこへ集結せよというようないろいろな連絡をする必要がありますので、連絡網を整備するようにというようなことをやっております。  それからもう一つは、最悪の事態が発生いたしまして、交通その他がとだえて、あるいは、あるところに集結しなければならぬというような事態に対処しまして、食料、医薬品その他の物資も最小限度のものを備蓄しておくようにということを指示しております。それで、各家庭におけるものはもちろん各家庭の負担でお願いするようにしておりますが、大使館のほうでしかるべき量のものにつきましては、これは外務省のほうから、大使館のほうで医薬品あるいは食料等を備蓄するようにということをやっております。  それから、一たん緊急事態が発生し、引き揚げる必要があるという判断をする場合には、いままでの例におきましては勧告ということをやっております。これは、先ほどお話がありましたように、命令を出し得る根拠といいますか、そういうものが非常にないのでございまして、むずかしいんじゃなかろうかということで、勧告をするということで、そのあとは各人、あるいは商社等におかれましては本社とのいろいろな連絡その他におかれまして、その勧告に従って引き揚げるかどうとかいうことをひとつお願いしておるということでございます。それで勧告をいたしまして、緊急事態が発生する相当前の状態でございますれば、一般の航空機なりあるいは船舶等で国外退避あるいは引き揚げ等が行なわれるのですが、そういう余裕がないという事態になりますと、先般のカイロの事例のように、何か政府のほうで飛行機をチャーターするなりなんなりいたしまして、これに皆さまを乗っけて、あるところまで運ばなければならぬという事態がございます。そういうことにつきましては、たとえば一番簡単なというか、手近な協力を得られるのは日航でございます。私どもは日航と事務的に話をいたしまして、カイロに、もし万一のことが起これば一体どうするかというようなことは事務的に一応詰めてございまして、あそこは一週二回くらい南回りの便がございますが、もしそういうような事態が起これば、日航が一つの便を、乗客のリザーブをキャンセルいたしまして、それをローマなりから回す、そして一番いい方法は、たとえばカイロからローマへ引き揚げてもらうということにしたらどうでしょうか、そういう線で私のほうである程度事務的に話をつけてございます。  それで、そういう際に飛行機を利用される際の費用でございますが、これは原則的には各利用者の方々費用負担ということでお願いする、過去もそうでございますが、いまでもそういうふうなことで進んでおります。ただ、どうしてもまかない切れなくて、あるいは政府のほうで出さなければならないというようなことがございますれば、それは必要に応じてそのつど所要の措置を講ずることにいたしていきたいということでいまやっております。  以上でございます。
  76. 水野清

    ○水野委員 ちょっといまのお話、私の申し上げていることにもうちょっとはっきり答えていただきたい。日航機を回す、要するに、私の伺いたいのは金の面なんです。日本航空の飛行機をローマから回す。たとえばカイロとすると、その費用は各人分担する。まず、医薬品とか食料はどうなんですか。それは大使館、日本の国家として持ってやるのか、航空賃なんかは、各人で買った人が、日航機のチャーター費を、たとえば百人分ならば百分の一払うというような分担をするのか。結局、その辺がいまちょっとお話があいまいだったのですが、在外公館の1大使館の人ですよ、あそこには川島さんという公使がおられたが、公使の話を聞いてもあいまいなんです。あいまいだというのは、どうも金の裏づけが、いま言ったように、常に必ず日航機なら日航機がぴしゃっと来るのか、まだ時期的に早いんじゃないかとか一ほかの国では、時期的に早くてもその国の飛行機が来て、女、子供だけでも先に第一次で連れて帰ってしまうという手を打っているところが多いわけです。ところが、日本のほうはその辺がはっきりしないというのは、飛行機をチャーターする金を政府が持つのか民間が持つのか、民間が持つにしても、立てかえはどうするのかとかいうような問題がどうもはっきりしていないらしい。場合によっては、航空賃がない人もあるわけですよ。中近東あたりはむしろそうじゃないでしょうけれども、ヨーロッパあたりに行くと、そんな金もなくてうろうろしているような学生なんかもたくさんいるわけです。こういう者を一体どうするのか。命令は出せない、ほっぽっておくという政策なのか。そこに不備があるならば、来年度の予算は編成が大体終わってしまったけれども、その次からでも、あるいは予備費からでも出しておいて、前例をつくって、四十六年度の予算からでもひとつ積極的に予算化していくということを、私はカイロの在留邦人会に頼まれてきたのです。非常に指導方針があいまいだ。大使館に聞いてみても何かはっきりしない。これでは、海外で商売をやっているのもいますし、各新聞社の特派員もいるわけですが、安心して仕事ができません。こういう話をしておるわけです。国内では公害問題なんかでももっと一生懸命騒いでいますけれども、海外で活躍している日本人のことも考えてやる必要があると思ってきたものですから御質問をしているわけです。ちょっとはっきり言ってください。
  77. 佐々木孝男

    ○佐々木説明員 それでは、もう少し具体的にお答えしたいと思います。  先ほどの一番初めの医薬品、食料等でございますが、これは基本的には、各人に一週間なりあるいは十日分のものを何とかしておいてくださいということは出してございます。ただ、緊急事態が発生いたしまして、備蓄品を、各人でやってあるのを使えないという事態が発生するかと思います。あるいは、旅行者等によっては、そういうようなものは全然考えずに旅行しているという人がございます。そういう人のために、在外公館で、あるいは公使、大使の公邸なり在外公館の事務所なりに、医薬品、それから食料等を備蓄することは外務省の予算でやるということでやっております。  それから、先ほど御指摘のございました飛行機の話でございますが、現実に実態が発生いたしまして、一体、飛行機を利用すればいいか、あるいは車を利用すればいいか等々、交通手段の問題がございますから、私のほうでは、あらかじめそこの地域については何にせいというようなことは、もちろん大体の考え方はありますが、具体的には指示してございません。ただ、現地の日本人会等の意見を聞きまして、どういう交通手段によってどこへ出ればいいかということをよく研究せいということになっております。  それで、その際の費用の負担でございますが、この前のカイロの例なんかを言いますと、原則的に、カイロ-ローマ間の分は各人で負担いたしてもらっています。それで、その際に経費を持ち合わせないという方もございました。これは一時立てかえをいたしまして、あとから支払っていただくということにいたしました。それから、飛行機を回送するための費用でございます。これは通常の航空運賃でまかなえないためでございますが、それの費用と、それから保険料のようなもの、これは外務省の通常の庁費ということでまかなって処理したということでございます。将来いろいろなことが起こるであろうと思いますが、大体こういうような方針でやっていけば、おおよそ支障ないのではないかというふうに判断しております。  以上でございます。
  78. 水野清

    ○水野委員 政務次官にひとつ大所高所から伺いたい。  いまの領事課長のお話、事務的によくわかります。ですけれども、私は一歩進んで、飛行機の回送料とか保険料を持つだけでなくて、やはり飛行運賃が一番大きいわけです。陸路をどこかへ行くという方法もあるでしょうが、そういうものぐらい外務省で――それほど世界じゅうで戦争やっているわけじゃないんですから、毎年幾らかの予算を大体見込んでおかれるということのほうが、私は当然だと思うのです。ほかの国ではどこでも――私はどこでもかどうかは知りませんが、いわゆるヨーロッパの大きな国であるとか、アメリカであるとか、ソビエトのような国――ソビエトは社会体制が違うから違うかもしれませんが、そういう国では、私がさっき申し上げたように、国で全部支弁をする。ですから、それだけ、その地における大使のその国の国民に対する退去命令であっても勧告であっても何でも、裏づけがあるから強いわけです。どうだ、帰ったらどうだというような言い方ではこれは弱いから、各人みんながそれぞれに逃げ道を考えるというようなことになってしまうと、おもしろくないのじゃないか、不幸な結果も出てくるのじゃないかと私は思うわけです。  政務次官から、来年の予算からでも、そういうものが通るように努力するように御発言願いたい。
  79. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 御指摘の点につきましては、はたしてこれを予算の款項目の中で立て得るかどうかは若干法令上の疑念があるかと思いますが、実際にそういう事態が発生した場合に御迷惑をかけないように、外務省におきまして予備費なり一般経費でまかなう、決して御迷惑をかけるつもりはない、この点申し上げておきます。
  80. 水野清

    ○水野委員 もう一つ質問いたします。簡単にやります。  私のもう一つ伺いたいのは、この決算の御説明にもございましたが、在外公館の借用料とか、あるいは新しくする建設設費であるとかいうものについて御報告がありましたけれども、いま日本の在外公館のリストを拝見しますと、それらの相手国で大使館の建物及び大使館の土地を――法制が違う、社会体制が違うといいますか、社会主義国家は原則として別としまして、土地、建物が買えるにもかかわらず、予算がないからだと思うのですけれども、借りているというのがほとんどのようですね。やっぱり外務省として長期計画を持って、だんだんと主として重要な外交交渉をやる国からでも――たとえばアメリカであるとかイギリスであるとか、その他のような、非常に関係の深い国からでもいいでしょうが、やはり計画的に大使館の建物、土地というものから国有財産として買っていく必要があるのではないかと私は思うのです。現に、日本の東京の在外公館は、私もこれは完全な調べをしたわけじゃないのですが、アメリカ大使館にしてもイギリスの大使館にしてもソビエトの大使館にしても、相手国の国有財産になっている。明治以来何十年と、ここを根拠として対日政策というものを相手国はいろいろやってきているわけです。日本のほうは借り家で借り地で、アパートに住んでいるようなかっこうで腰が落ちつかない。借り家だって落ちつかないとばかりは言い切れないでしょうが、そういうような基本的な態度でこられた。これまでは、日本の経済規模とかそういったこともあって、なかなかむずかしかったと思うが、これからは、ひとつこういう方針をある程度改めて、急に全部買うというわけにいかないでしょうが、何年計画かというものをお立てになってやっていただきたいと思うのですが、それについてどう考えるか。
  81. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 お答え申し上げます。  在外公館に関しましては、御指摘のように、いまだ公邸、事務所ともに借りておるものが大部分でございます。しかしながら、戦前からもうすでに十一カ所については国有財産がございまして、その後二十八年以来逐次購入または新築の計画を進めております。新築しております。長期計画も実は立てておるわけでございますが、何ぶんにもこれは事情が毎年いろいろ変わりまして、追い立てを食うようなこともございますと、ある公館を優先してやるということもございまして、実行上はいろいろと変わってまいりますが、毎年大蔵省に予算をお願いして、逐次購入し、国有化を進めております。ただ、何ぶんにも官庁営繕という大きなワクにやはり在外公館も入っておりますために、大幅な増加は困難なのが実情でございます。  それから最後に、ちょっと御参考までに申し上げますが、在京の大使館の場合も、もちろん国有化はかなりございますけれども、たとえばアメリカにしてもイギリスにしても、土地はまだ日本政府からの借地でございます。
  82. 水野清

    ○水野委員 ちょっとこまかいことですが、ソビエト大使館は、あれはソビエトに売ったものなのかどうか。そこで、もしそうならちょっと疑問があるのですが。
  83. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 在京のソ連大使館は、これは国有でございます。向こう側の所有でございまして、これは昭和二年にソ連側が買いましたものです。ただし、これは政府が売ったのではなくて、民間の人があの狸穴の土地を売ったわけでございます。
  84. 水野清

    ○水野委員 そこで、ちょっとそのままで伺いたいんですけれども、相手は社会主義国家なんで、ソ連に話をしたってこれは買えませんというような基本的なお話ですけれども、外交というものは双務的なものですから、相手の国のほうは日本の土地を向こうの国の財産として持っていて、こっちはモスクワに土地が買えないのか、あるいは、買えなければ永代借地ぐらいの借地権限が外交交渉上得られないのか、ちょっと私は疑問があるのです。もしお答えができれば、ちょっとお話を聞かしてもらいたい。一体交渉したことがあるのかどうか。
  85. 山崎敏夫

    ○山崎政府委員 戦前にすでにソ連が土地をこちらで所有しておりまして、当時、わがほうの大使館は残念ながら借家であったわけでございます。戦後わがほうが参りまして、現在の大使館の公邸及び事務所は一つのところにございますが、ソ連側から借りております。この点は、御指摘のように、でき得るならばわがほうも買いたいわけでございまして、これは再三ソ連側にも申し入れております。しかしながら、いま先生からも御指摘がございましたように、先方は、社会主義国のたてまえとして土地は売れないということで、また、それはどこの国についても同じであるということで、その方針を堅持しておりますために、うまくまいっておりません。それで、それにかえまして、いまの事務所、公邸は非常に手狭でございますので、別の土地を貸してもらいたいということを申し入れまして、いまその交渉が進んでおります。大体の予定地もございますが、相手がなかなかいろいろと複雑な機構がございまして、まだ話はまとまっておりません。しかしながら、これはあくまでもソ連の国有地を借りることでございまして、一たん借りることができますれば、ほとんど恒久的に借りることができるとわれわれは了承しております。
  86. 水野清

    ○水野委員 以上で終わります。
  87. 濱野清吾

  88. 華山親義

    華山委員 おいでになっているぐあいによって法務省から始めましょうか。
  89. 濱野清吾

    濱野委員長 法務省は全部おいでになっているようです。
  90. 華山親義

    華山委員 それでは、また近いうちに四十三年度決算審議もあるとのことでございますから、きょうは簡単に、従来の私の申しましたことがどうなっているかということについてお聞きしたいと思いますが、この前の決算委員会におきまして法務省の矯正局にお尋ねをいたしたのであります。その際に、法務省の外郭の団体といたしまして、あるいは名前は違っておるかもしれませんが、矯正協会というものがある。その矯正協会は、事業として刑務所の中で物品を販売する。物品を販売するのはそこの職員と、それから限られたものではございますけれども、受刑者に販売をしている。そこから意図されるわけでもないのですけれども、おのずから利得が出る。私から言わしめれば、その利得の使い方として、何か行政費の足りない面に充てている。そうして一面から申しますと、これはうわさにすぎないならばよろしゅうございますけれども、そう信じますけれども、何かいろいろな交際費的な足りない部分に使われているなどといううわささえもあったわけであります。  それで、私といたしましては、少なくとも受刑者に売って得た利益というものは、受刑者の共同の利益になるようなものに回すべきだ、その利得というものは厳重に区分して使いなさいということを申し上げたのでございますけれども、その後そのとおりになりましたかどうか、伺っておきたい。
  91. 武田武久

    ○武田説明員 四十三年十二月十八日に華山先生からきわめて核必に触れた御質問があり、その当時、矯正局長から現状についてお話ししたとおりでございます。その後におきまして、一月二十二日、御質問の趣旨を詳細に現地に通達をいたしまして、その趣旨に沿って処理するように強く指導をいたしております。  その結果、四十三年度決算の状態におきまして一応事業の概略だけ申し上げますと、職員部分が売り上げの六〇%でございまして、収容者部分が四〇%でございます。そうして、売り上げ総額は五億四千七百六十二万余円の売り上げでございまして、その比率は職員六〇%、収容者四〇%でございました。そうして、このうち収容者を対象といたしました額はおおむね二億に相なりますが、この売り上げから商品の仕入れ額等を含む経費を差し引きました利益金は五百十九万余円と相なっております。  そこで、御指摘をいただきましたこの益金の処理をどのようにいたしたかということでございますけれども、そのうち、課税に対する引き当て金の充当分を差し引きました残りの二百七万円につきまして、これを収容者及び職員に還元いたしております。その比率でございますが、収容者を対象といたしまして還元いたしました分は百七万余円と相なっており、残りが一応職員還元ということになっておりまして、五〇%強の還元をいたすことと相なっております。  以上でございます。
  92. 華山親義

    華山委員 収容者につきましては、どういうことにお使いになりましたか。
  93. 武田武久

    ○武田説明員 包括的に申し上げますと、一般収容者の教化に必要といたします経費の補助でございます。具体的に御説明をいたしますと、たとえば映画、演劇等の行事をいたします。それから年に数回集団で行ないますレクリエーションの経費に補充的に充てて、集団にくまなく配分をいたすように配慮いたしております。
  94. 華山親義

    華山委員 いまおっしゃったような経費は、予算としては組んでないのですか。
  95. 武田武久

    ○武田説明員 予算といたしましては計上されております。
  96. 華山親義

    華山委員 その予算に出したということでございますか。
  97. 武田武久

    ○武田説明員 さようでございます。
  98. 華山親義

    華山委員 わかりました。  その次に、私これも前にお聞きいたしたのでございますけれども、私は、いろいろな具体的な陳情等を受けたことについてあまり具体的なことを国会の中には持ち込まないつもりでおりまして、きわめて抽象的にそのときに申し上げたのでございますが、結論的に申しますと、私は検察庁のやり方というものは、大きな問題に一生懸命になって、小市民にかかる問題についてはあまり取り上げないのじゃないか。少なくともその処置が非常に長くかかって怠慢なのではないか、こういうことをその当時も申し上げたわけであります。私、あまりそういう具体的なことは申し上げませんでしたが、いまこうなっては具体的なことを申し上げざるを得ない。  それは、山形県の村岡修一ほか九名が出かせぎに来ておりまして、そして未払いを生じたわけであります。再三賃金の支払いを雇い主と交渉したけれども、誠意を認められないということで私に相談にまいりましたので、労働基準監督署のお世話になれということを言ったわけであります。それで労働基準監督署でいろいろあっせんをし、本人にも雇い主にも説得をしたのでございますけれども、誠意を示しません。監督署の呼び出しにも応じないという実態であったために、監督署といたしましては家宅捜索等もいたしまして、監督署のすすめがあったので被害者は告訴状を提出したのであります。それが四十一年六月、ところが、その後八王子の検察庁の支部といいますか、私、ちょっと固有名詞を間違うと困りますが、そこではこれをほったらかしにしておるわけですね。それで私その際に、こう具体的なことを申しませんけれども、そういうふうな問題についても特に早く取り組んでもらいたい、労働問題等についてはあまり熱を持たないのじゃないか、こういうことも申し上げたわけであります。それで、これは四十一年の十一月二日に東京の地検の八王子支部に送検されたのでありますが、その後何のこともなしに過ぎたので、途中で申し上げたのでありますが、その後二年間を経過して初めて本人を呼び出したらしい。そして、その結果は、私が電話をいたして聞きましたところが、これを正式に起訴してみても軽い罰金程度で済むのじゃないか、未払いを受けた者にはあまり利益にもならないので、本人に対して月賦でこれを払うように言って、そして起訴をしない処分をしたということでございました。私はこうしろ、ああしろなどということを言えるものでもございませんし、ああそうですがと聞いておったのでございますが、昭和四十三年一月の初めころに、もう二年前でございますけれども、未払いの男から本人に対しまして二万円の送金があったということでございます。額としては小さなものでございますが、大体九万円程度のものでございますけれども、四十三年の一月に二万円の送金があっただけで、あとはまだ何もない。こういうふうなことで、もう検察庁のほうでは不起訴処分にしてしまったことでもあるし、本人は支払わない、横着者ほど得をするという結果になるわけであります。  私は、あえてここで早く処分をして、本人たちに残ったものを払ってくれなどという陳情はいたしません。どういうわけでこういう庶民的な被害者に対して時日を遷延するようなことになるのか。私はこの間、私の秘書等をして、しばしば電話等で言ったのでございますけれども、もうたびたび担当の検事さんはかわっていられるわけです。  そういうふうなことで、私は庶民のために、庶民の受けた被害に対して検察庁は冷淡なんじゃないか、こういうふうにいわざるを得ないわけです。それはどういうわけなのか、ひとつ伺いたい。
  99. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 お答えいたします。  先生御指摘の、いわゆる労働者保護関係の事件につきまして、検察庁で取り扱っておるわけでございますが、その中には、御指摘のようにたいへん処理がおくれておるというような事件が一部ございますことは、われわれも遺憾に思っており、常々会同等の機会において早期処理を勧告いたしておるというような状況でございます。  御指摘のありました山形から出かせぎに参りました労務者の賃金未払い事件、これにつきましては、御指摘のとおり、昭和四十一年の十一月に東京地方検察庁の八王子支部が事件を受けまして、これも御指摘のとおり、労働基準監督署から送致がありまして、受理をいたしました。その後捜査の結果、四十三年の四月に至りまして不起訴の処分に付しておるわけでございます。その間、二年余の年月がかかっておりまして、この種の事件にいたしますと、やややはり事件の処理が長いというふうに私も感ずるわけでございまして、この点につきましては、今後ともこの種の事件の処理については促進をはかるように配慮していきたいというふうに考えております。  この八王子のキヨシ工務店という工務店の事件でございますが、この事件につきましては、実は捜査の過程で、御指摘のありましたような被害者に対する賃金の支払い、これを強力に進めたいという意図が検察官にもあったようでございます。御承知のように、検察官そのものは、いわゆる被害の弁償あるいは債務の履行といったようなことについての強制執行力は持たないわけでございますけれども、しかし、事件の処理の過程におきまして、それらは一つの事情でございますので、処理をする場合の事情となり得るわけでございますので、その点については配慮しつつ捜査を進めたのであるというふうに報告を受けております。  事件を不起訴にいたしました段階、これはいわゆる起訴猶予の処分になっておるわけでございますけれども、その段階では、一応このキヨシ工務務店の取締役であります矢部喜代治という男に支払いの一応の誓約もさしておるわけでございます。その結果、御指摘のように支払いは全額なされておらない、九万円ほどの――事件といたしましては十一万五千十円の賃金未払いのケースでございますが、そのうち処分の際に、四十二年の十二月二十六日でございますが、二万円、被害者でありますところの村岡修一という人に送金をいたしておりまして、その後四十三年の二月二十一日にさらに一万五千円の送金をしておる。その後、それではどうかということになりますと、支払い状況は記録上不明だということになっておるわけであります。したがいまして、被害額としましてはまだ未払い分があるという状況でございます。  ここで一般的なことを申し上げるのはいかがかと思いますが、このような誓約をさせておいて、そしてそれの履行がないということにつきましては、もう申すまでもなく、これは好ましいことではないというふうに検察庁も考えておるわけでございます。刑法犯の詐欺とか横領とかいった犯罪におきましても、検察官の面前で被害の弁償を約束しながら、結局支払わないというようなケースが間々あるわけでございます。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、検察官に民事的な損害あるいは債務の支払いについての強制執行力がないということから、結局誓約をさせるという以上のことができないという実情にあるわけでございます。したがいまして、起訴猶予にする場合には、被害の弁償であるとか債務の弁済であるとか、そういったことの約束を一つの事情にして、起訴猶予にする場合におきましても、それはあまり大きな要素として、大きな理由として評価することは適当でないんだというふうにわれわれは考えておるようなわけでございます。結局、あとで支払わないというようなことになりますと当を得なかったということにも相なりますので、そういう点はあまり大きな含みにはできないというふうに考えるわけであります。  しかしながら、この種の事件は、先生からお小言があったわけでございますが、結局、罰金刑の事件になっておりますので、罰金を取ることが被害の弁償にはね返る側面がございますので、その辺は現場の検事が先生にお話し申したように、やはり一つの含みとして考えざるを得ない点であろうというふうにわれわれは考えております。したがいまして、約束で事件が起訴猶予になるという場合も、これはやむを得ない場合があるんじゃないかというふうに考えておるわけであります。御指摘のありました事件につきましては、実は年月の経過がございますので、起訴になりまして後に、刑事上の事件としてはすでに時効ということになっておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように支払いの約束があったわけでございますから、それがどのようになっておるか、一度担当の検察庁を通じまして確かめさせたいというふうに考えております。
  100. 華山親義

    華山委員 私は、本人のことをあれこれ、返してもらいたいとかなんとか陳情するわけではありませんけれども、これじゃもう悪いやつがはびこって弱い者が泣き寝入りという状態になるので、一般の問題としてよくないことじゃないかというふうに考えるわけであります。  ちょっと伺いますが、この途中で見ますと、ずっと前に本人は一ぺん現金と小切手で支払っているわけです。ところが、君がこれを現金化するのはいろいろたいへんだろう、だから、その小切手を現金化してあげますから私のほうによこしなさい、こう言って、自分で出した小切手を取っているわけですよ。その後取り上げたままで何のこともないわけですね。こういうことは、法律的に言うならば、労働基準法以外に横領罪なり何なりに当たらないものですか。これはもう全く民事上の問題なのか、私は横領罪にも当たるのであって、この人の刑事上の責任は重いと思うのですが、そういう場合はどうなりますか。これは労働基準法違反じゃないのじゃないですか。
  101. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 いまの小切手の支払い関係につきまして、実は具体的な報告を受けておりませんので、状況の詳細は承知しないのでございますが、先生御指摘のような場合におきまして、かりに小切手の所有権がすでに移っておるにもかかわらず、それを何かだまして取り上げるというような状況があったとすれば、それは詐欺のようなものが、あるいは考えられる場合があるであろうし、あるいは横領のようなものを考える場合もあり得るだろうというふうには思います。一般論としてはそうでございますが、具体的ケースでどういう関係でやりとりがあったのかという点につきましては、ちょっと私、判断するだけの材料を持ち合わせませんので、御答弁しがたいのでございますけれども……。
  102. 華山親義

    華山委員 その事実は、労働基準監督署のすすめによって本人たちが告訴状を出しておる、その告訴状の中に書いてある事実なんです。そしてこれは、とにかく私はなかなか手に負えない人だと思うのですよ。それは検察庁はほんとうに本人を見抜いて、そしてやったのか、なかなか私は問題だと思うのですが、本人たちの気持ちをもってすれば、もう長い間のことでもあるし、九万円、十人くらいなことですから、そう金がほしいともいまさら思ってもおらぬだろうし、ただ、不正なものがそのままに世の中に放置されておるということにふんまんを感じておるわけです。検察庁というものはそんなに当てにならないものだろうかということを考えておるわけですよ。ひとつそのことを申し上げて、この事件につきまして、もう少しよく調べていただいて、やっていただきたい。  それから、このことにつきまして私ちょっと申し上げますが、この前私はこんなに詳しい具体的なことを言いませんでした。非常に抽象的なことを申し上げたところが、そのときの刑事局の参事官の方、どなたか忘れましたけれども、私のところにおいでになって、具体的にどういうことだということをお聞きになったわけです。それで私は申し上げた。八王子のそのほうにすぐ言って、早く取り運ばせますからということをおっしゃったのだけれども、さっぱりだという事実があったわけです。一言それもつけ加えておきますが、とにかく検察庁の任務といたしまして、悪い人が何のこともなしにのうのうとして、善人がただ泣き寝入りになるというふうなことのないように、ひとつ抽象的でございますけれども気をつけていただきたい、こういうことを申し上げておきます。くれぐれも申しますが、この事件につきまして私は陳情しておるのじゃありませんから、その点だけは申し添えておきます。ひとつお調べになっていただきたい。
  103. 濱野清吾

    濱野委員長 政務次官、弁護士だから、ひとつ答えてください。時効になってしまうまでほっておくことはまずい。
  104. 豊島英次郎

    ○豊島説明員 事件といたしましては時効前に処理がされておるわけでございますが、支払いの問題が、まだ解決がついてないということでございます。
  105. 大竹太郎

    大竹政府委員 いまのお話、もちろん具体的の事件についてお述べになりましたけれども、この種の事件についての国会議員としてのお尋ねだろうと思いますので、十分注意いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  106. 華山親義

    華山委員 それでは法務省はそれでよろしゅうございますが、経済企画庁のことにつきましてちょっとお聞きいたしたいことがありますので、北海道東北開発公庫の方おいでになっておりますね。
  107. 濱野清吾

    濱野委員長 来ています。
  108. 華山親義

    華山委員 それで特利というのがありますが、この問題につきましては、私は二年ばかり前に宮澤さんが経済企画庁の長官でおいでになったときに、東北開発のためにいろいろな点で金融の面に気をつけ、便利をはかっていただきたいということで、特利の制度をひとつできるだけ早くやりましょう、考えておりますということを申されたわけであります。それで、その後特利というものができたということで私も喜んでおったのでありますが、特利は一体どういうふうな条件のもとに、どういうふうな特別な利息でやっておるのか、ちょっと伺いたい。
  109. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 北海道東北開発公庫におきまする特利の問題につきましては、ただいまお話しのとおり、四十一年ごろから、東北七県知事並びに経済連合会のほうから東北開発の新しい方向についての具体的提言というものがございまして、数々のことが言われたわけでございますが、その中におきまして地域開発金融を重視する、これを強化するということについて具体的な提言がございました。この問題につきまして、経済企画庁といたしましてはいろいろの検討をいたしたわけでございますが、ただいまお話しのように、当時の宮澤経済企画庁長官の御決断によりまして、四十三年度予算からこれをやるということになったわけでございます。そこで、具体的にどういうことになっておりますかということを申し上げますと、御承知のとおり、北海道、東北の開発において、工業開発といたしましては、新産業都市あるいは低開発工業地域というようなことで、特定の地域を指定してそこに重点的に投資をし、あるいは企業を立地させるという施策がとられておるわけでございます。これは三十七年の前の全国総合開発計画の基本的な思想でございまして、いわゆる拠点開発構想といわれるものでございますが、それに基づいて新産業都市等が指定されました。  そこで、こういった地域を工業開発の面で振興していくためには、やはりそういう拠点を重視したほうがいいだろうということでございまして、何ぶんにも新しく低利の制度を設けるわけでございますので、まんべんなく広げるということは実際問題として通りにくいということで、新産業都市の地域に立地するものに限ろうということにしたわけでございます。  なお、その具体的な内容といたしましては、四つの条件が付されております。第一は、新規に立地するものでなければいけない、第二は、いま申しました新産業都市に指定された区域内に立地するもの、第三は、業種の点でございますが、化学工業、非鉄金属、紙パルプ、機械という四業種について適用するということでございます。第四は、基幹的なものという意味で、ある程度の生産規模以上のものでなければならないということで、以上のような条件を付しまして、四十三年度における北海道東北開発公庫の融資ワク四百十億円のうち、四十億円をこれに充てるということにいたしたわけでございます。  現在までの適用状況を見ますと、四十三年度におきましては、北海道において一社、東北において三社の適用になっております。四十四年度は、このほか若干まだ増加するという予定でございます。  大体以上のような形で発足したわけでございますが、御承知のように、地域開発金融としては、このほか日本開発銀行による地域開発資金というものがございます。そのほうの地域につきましても、四十四年度から若干この適用をはかっていこうということで、逐次改善をしていくという方針で運営いたしております。
  110. 華山親義

    華山委員 日本開発銀行についても、やはりその新産都市に限る御方針ですか。
  111. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 日本開発銀行につきましても同様の方針でございまして、四十四年度から二地区追加するということに決定をいたしております。
  112. 華山親義

    華山委員 特利ということになりますと、それだけ公庫に対する収入が減るわけでありますけれども、これをカバーするのはどういうふうなことになるわけですか。やはり国庫の負担が多くなりますか。
  113. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御承知のとおり、北海道東北開発公庫の原資は、政府の出資と、それから公庫の債券並びに資金運用部等の資金を借りる、それが原資になるわけでございまして、一般的に金利は八分二厘ということになっております。したがいまして、原資のコストと若干の経費を見ましても、ある程度そこに毎年度若干の積み立て金ができる形になっております。今度の特利制度によりまして、若干そういう意味では公庫の金利収入は減るわけでございますけれども、この程度のワクでやる限りにおいては、特に手当ては必要でないということで、そのための特別の措置はとっておりません。四十三年度状況を見ましても、このために公庫の収支が赤字になるというようなことではございませんで、まだ相当の余裕があるということでございます。
  114. 華山親義

    華山委員 特利は、利率は幾らになっておりますか。
  115. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 失礼を申し上げました。特利につきましては、一般の標準金利八分二厘に対しまして、五厘下げまして七分七厘ということになっております。
  116. 華山親義

    華山委員 それで、私希望するのでございますけれども、またお願いしたいのでありますけれども、新産都市にだけそういう特利ということはやめていただきたい。東北全体の地域について、条件に合う企業についての希望があるならば、適用していただきたいと私は思います。  それは、今日農業問題につきまして、根本的なことをここで言いませんけれども、農業がああいう状態になってきますと、どうしたって農家の所得というものは工業へたよらざるを得ない。たとえば、岩手県には新産都市はありませんけれども、岩手のほうが立地条件がいいのだというところがあれば、それはだめだ、八戸にしなさいとか仙台にしなさいとかいう必要はないじゃありませんか。その企業がいろいろなことを研究して、そしてこのことについては盛岡なら盛岡でいい、山形なら山形でいいということであるならば、私は企業にまかすべきだと思う。拠点開発という構想もくずれかかっているのじゃないのか。私はその意味で、地域によって新産都市にだけ特利を実施するというふうなことはひとつやめていただきたいと思う。いかがですか。
  117. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 先ほども御説明をいたしましたとおり、私どもといたしましては、三十七年の全国総合開発計画、拠点開発構想ということでこれを実施していこうということを国の方針としてきめたわけでございまして、それに基づいて新産都市とか工業整備特別地域というものをきめて現在実施しておる、こういうことでございます。この考え方そのものは、何といいましても、当時の事情から見ますと、非常にいろいろの条件が劣るところに、ある程度近代的な産業の集積をつくろうということでございますから、やはり条件のすぐれたところに重点的にやっていくという考え方がよかったのであろうと思っております。現在になりますと、新産業都市のほうもだいぶ進んでまいりまして、ほとんどの新産都市について、具体的な企業の張りつけがもうほとんどきまってきておるという状況でございます。  そういうこともありますが、一方、昨年五月に決定いたしました新しい全国総合開発計画の立場におきましては、こういった拠点開発構想というものを一歩進めまして、遠隔地立地ということを強力に進めよう、こういう考え方に変わってきております。したがいまして、新産都市につきましては、あと五年程度の施策でございますから、これをやめてしまうということはいかがかと思いますけれども、今後の地域開発の方向としては、やはりこういった拠点開発の線から一歩進んで制度を考えなければならない、こういうふうに考えております。  東北開発につきましては、現在関係県のほうからも具体的な御提案もございまするし、私どものほうでもいまいろいろと検討いたしておりますが、東北開発促進法そのものをどういうふうに考えていくかというようなことを通じまして新しい開発計画をつくる、あるいは制度的にも考えていくというような場合において、ただいま御指摘のような点もひとつ十分検討してみたいと思っております。  なお、若干蛇足でございますが、工場の分散ということに関しまして、非常に重要性が増しております。本年度から日本開発銀行のほうの制度として、工場の分散に対して低利の融資をするという方法を若干取り入れるつもりでございます。
  118. 華山親義

    華山委員 まだ与えられた時間が少しあるようですから、ちょっと私の意見を述べさせていただきたいと思うのですが、私は六年ばかり前から、農業の問題については、兼業農家というものを重視して、そして兼業というものによって、それが次第に本業になっていくという過程を踏んで、農家戸数というものが少なくならなければいけないんじゃないか、こういうことを言っておるわけであります。そのためには、どうしても、ある程度の工場が東北なら東北、ああいう農業地帯にいかなければいけないわけです。そういうものができないから、先ほど言ったような出かせぎ等の悲惨な状況も起きてくる。その意味で、とにかく仙台がいかによくなろうとも、秋田がいかによくなろうとも、盛岡、山形の連中がそこに行くというわけにはいきません。やはり各地にそういう拠点的な工場があって、それに関連する工場ができてくる、そういうことでなければ、私は、兼業農家ができて、それが次第に本業に変わってくるという過程をとれないと思う。それですから、一地点にのみ工場を集中するということでは目的は達しられないと思うのです。  それで、いま工場分散ということを言われた。その立場から私は工場は分散すべきだと言ってきたのですけれども、工場分散のためには特別な措置がなければいけないのであって、私は先ほど局長がおっしゃったように考えていただきたいと思う。そして、その条件等も相当――特利といいますか、特利の幅も、地域的のみならず、その工場の規模とか立地とか、そういうものについても考慮していただかないと、特に東北地方等には工場はいかないと思う。  いまここで開発局長にちょっと申し上げておきますが、元宮澤長官は私にこうおっしゃった。全国の開発の一番むずかしいところは東北だ。九州は、北九州なり大分が開発されれば、宮崎、鹿児島等の人も容易にそこに集中できるだろう。山陰地方は、山陰地方が開発されればそこに人が来るだろう。また、そこにはそれだけの発展する余地がある。また関東地方等は別でございますが、とにかく一番むずかしいのが東北だ。仙台がいかに発展しようとしたって、それは限度がある。八戸だって、立地条件からいって私は限度があると思うし、東北は広くて、あそこに通えといったって限られた者なんだ。そういうことを考えますと、やはり広域的に東北を見なければいけないのです。  そういう意味で、ぜひ、特利の問題はいま問題になっておりますけれども、その他の問題につきましても、東北というものを他の地方と違った角度で、広域的な視野でひとつ見ていただきたい、こう思うわけであります。局長、御所見があったらちょっと伺っておきたい。
  119. 宮崎仁

    ○宮崎(仁)政府委員 御指摘の点は、私どもも大体そういったお考え方、よく理解できますし、今後の問題としてはそういうふうな方向であろうかとも思います。具体的には低開発工業地帯という施策がございますが、これがまさにそういったことをねらって施策がとられているわけでございます。特に東北につきましては、全国九十七地区のうち二十六地区が指定されております。このほうは税制上の特例がございますが、ただいまの特利というようなものよりはずっと手厚くなっております。こういうものにつきましても、すでに指定後八年たちました。税制の特例がもう来年で切れるというような状況にもなってきております。  いずれにいたしましても、企業の立地の動向も大きく変わってまいりましたし、最近では、東北地区が企業の進出の伸び率が全国で最も高いというような状況になってまいりました。こういう新しい事態を踏まえまして、今後の施策は考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
  120. 華山親義

    華山委員 これで終わりますが、機会が少ないと思いますから、ちょっと御参考のために申し上げます。  それは、山形県等におきましても工場の進出は目ざましいものがありますけれども、非常な欠陥は、女子労働者を対象とする工場なんです。これは、こちらのほうは住宅の問題もある、女子労働者も少ない、したがって、電機産業等の工場が女子を求めてできる。だから女子の就職は多いけれども、肝心な、農業を兼業農家から次第にほんとうの工業人口に変えるというための工場は来ないのです。二年や三年の、お嫁に行くまでつとめるという女子労働力を求めて来ているわけですね。その点もひとつ含んでおいていただきたいと思います。  それでは、意見もたいへんまじえましたけれども、これで終わります。どうもありがとうございました。
  121. 濱野清吾

    濱野委員長 吉田賢一君。
  122. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まず、経済企画庁お尋ねしたいのであります。きょうは大臣も見えておりませんが、経済企画庁は、佐藤新大臣の経済演説中にも、物価問題の緊急重要性を力説しておりましたので、きわめて大きな課題として取り組んでおいでになる、こういう認識のもとに若干伺ってみたいのであります。ただし、きょうは申し合わせで時間も相当少ないようでありますから、ひとつ直蔵簡明に、急所、要点をぱっとお述べいただいて、またあらためまして総括的に庁全体の御意向を大臣から伺う機会を持ちたいと、こう思いますから、そのつもりでひとつ御答弁をお願いいたします。  第一に聞きたいことは、物価問題はすでに三十五年ごろから政治日程に大きくのぼりました。そして、例の物価問題懇談会から二次にわたって提案があり、その後、物価安定推進会議の報告・提案もございましたし、多数の項目にわたってかなり具体的な問題をつかまえておるようであります。たとえば、物価問題のよって起こるところ、なぜ物価上昇はこのような激しい実情が続くのであろうか、原因の探究、どうすればいいのかという具体的な対案、安定対策、こういうものが相当出ておるわけであります。  ところで、物懇が提案いたしましたものだけ読んでみましても、十一項目あります。公営交通事業。米価問題。生鮮魚介の価格安定。都市交通。医薬品、化粧品、石けん、洗剤等の家庭用品。貨物運賃。加工食品の食パン等。物価政策における財政政策及び金融政策、大企業における競争阻害要因。牛乳、乳製品。地価問題。十一項目にわたっております。あるいはまたその後の物価安定推進会議によりましても、報告並びに提案といたしまして、若干内容は違いますけれども、同様に十一の項目にわたって、これは新しいのは昨年の五月十二日までに提案、報告をいたしております。  かくいたしまして、各省からそれぞれ参事官クラスを物価担当官に入れて、いろいろと推進の体制を用意して進んでこられたのであります。ところが、一向解決しないというのが、国民の今日の問題に対する考え方でございます。  そこで、いま私が若干述べましたことにつきまして、事務的に、どういう構成で、何が提案されて、どんなふうにこれを推進しつつあるのか、どんな機関がこれを推進しつつあるのか、その要点をひとつ述べていただきたい、こう思うのです。きょうは国民生活局長が見えておるようでありますから、どうぞしかるべく、あるいは庁の全体の方針といたしまして、せっかく参事官も見えておるのでありますから、しかるべくひとつお述べいただきまして、また総締めくくりは、大臣にあらためて伺うことにいたしますけれども、そこは適当にお述べいただいてけっこうです。
  123. 山口シヅエ

    山口政府委員 それでは、国民生活局長があとから参りまして詳しく御説明申し上げると存じますけれども、ここで私の所見をかいつまんで申し上げて、先生に一応御納得をいただきたいと考えております。  消費者物価の騰勢は依然と強くて、四十四年度の対前年度上昇率は、野菜など季節商品の値上がりもございまして、五・七%に達するものと見込まれております。政府の見通しの五%を上回るに至っておりますけれども、これにまた加えて卸売り物価も、国際的インフレを反映いたしました輸出入価格の上昇が一つの要因とはなっておりますけれども、やはり急騰を続けておる状態でござさいます。  このような消費者、卸売り両物価の上昇の事態を放置しておきますならば、わが国経済全体がインフレの道を歩むことになりかねませんので、したがいまして、政府といたしましては、いまや物価安定を経済政策の最大重点課題といたしまして、これに努力を払わなければならないと考えておる次第でございます。  私といたしましても、まだ就任をいたしまして日も浅いことでございますので、物価安定の問題につきましては真剣に取り組みまして、最善の努力をいたしたいと考えておりますけれども、国民一人一人の生活に密着した行政ができるようにしなければならないとも考えておりますので、先生方の御意見も十分にちょうだいいたしまして検討いたすと同時に、努力を続けていきたいと考えておる次第でございます。  ただいま国民生活局長が参りまして、さらに詳しくは御説明申し上げることと存じますので、少少お待ちいただきたいと存じます。
  124. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 まだでしたら、ほかの省へ移りましょう。若干時間がずれますが、あしからず。  法務省見えておりますね。それでは法務省さんお願いいたします。  第一点伺いたいのですが、刑事局長見えておりますが、青少年問題のことであります。最近の世相は、たとえば少年の凶悪犯が横行する、非行少年がはんらんしておるのではないか。全体としての数は少ないかもしれませんけれども、しかし、世間の恐怖の的になるような荒くれた事件が続発しておるのが現状でございます。  こういう際でございますが、おりから法務大臣の就任のごあいさつであったか、ニュースの伝わったところによりますと、少年法の改正をするということが伝わっておるのであります、これは真偽はいずれか存じませんけれども。  そこで、少年法改正の意思があるのかないのかという点が一点と、こういうような世相におきまして、青少年の問題、特に青少年の非行、もしくはその背後をなすところの青少年問題と抜本的に取り組んでいくというぐらいな姿勢をもってしなければいかぬのじゃないか、こういうように私は問題意識を持っておる次第でございまするが、まず少年法改正の意図があるのかどうか。年齢を、二十を十八歳に引き下げるというようなことが新聞等で伝わっておるのでございますが、この点、内容はいかがか。そういうような意図ありやいなや。四十一年に少年法の改正をするとかいって説明もあったようでございますけれども、その後事実上は事務当局においても検討しないのかどうか、法制審議会などでやっているのかどうか、そこらをちょっと、少年法をめぐりまして答弁願っておきたいと思います。
  125. 大竹太郎

    大竹政府委員 御承知のように、現行の少年法制は戦後の特殊な事情のもとで成立したわけでありまして、その成立の当初から種々の問題点が存したわけでございますが、その後、運用の実情や世論の指摘するところなどにかんがみまして、数年間にわたる慎重な検討を遂げた結果、何らかの改正を施すべき必要があるという結論に到達いたしまして、昭和四十一年五月二十三日に関係機関の責任と権限を明確にし、年齢層に応じた処理の個別化、刑の執行面の充実を実現することを共通の目的とした少年法改正に関する二つの構想を発表いたしたのでありますが、その後、各関係機関をはじめ、広く国民各階層の建設的な意見を求めましたところ、今日まで各方面から多くの意見が寄せられてきているわけでございます。  そこで、法務省といたしましては、目下これらの各種の意見を参酌し、かつ、これに慎重な検討を加えつつ、一日も早く刑事政策的に、合理的でしかも有効な改正案を具体的に取りまとめるため、鋭意作業を続けている現況でございます。  詳細については、刑事局長のほうから御説明させます。
  126. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 少年法が何らかの形、何らかの内容の改正が意図されるやに大体推定されるのでございます。  少年の問題は、申し上げるまでもなく、単に少年法、ないしは少年を非行、犯罪の対象に考えるというようなのでは、あまりに問題が大き過ぎます。言うならば、法務省だけの問題ではないわけであります。今日、十幾つで人殺しをやるような少年が起こるゆえんのものは、どこに原因があるのだろうか。家庭教育が悪いのだろうか、社会環境が悪いのだろうか、社会の風潮がこれを許しておるのだろうか、道徳水準が全く地を払っておるのだろうか、一体何が原因か。あるいは少年の体位が異常膨張して頭とバランスがとれぬ、社会の進運があまり激しいのでこれについていけないと、いろんな原因があるかわかりませんけれども、もっと抜本的に、日本の未来をになうべき少年問題を考えるという角度からいたしましたならば、いまおっしゃるようななまぬるい考え方じゃなしに、また法務省だけが担当する仕事じゃなしに、もうあらゆる機関を総動員いたしまして、それこそ国民の多くの意向をまとめて少年問題と取り組んでいかなければならぬ、こう思うのです。  したがいまして、異常現象を呈するいまの少年の犯罪傾向、こういうようなものに対しまして、一体根本は何であろうか、こういうことについて、ひとつ刑事局長意見も伺っておきたいのであります。刑事局長はその事務の専門家でもありますが、これは非常に大事な問題でございまするから、法務省もあろう、文部省もあろう、あるいはその他もありましょう、等々の行政の対象として考えましても、これはいろんな角度から見ていかねばならぬ問題である、こういうふうに考えるのでございますが、少年法をめぐって少年の問題の扱い方、少年問題のとらまえ方、どういうふうに考えたらいいのか、そこらをひとつ率直に御意見を伺っておきたい。
  127. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 お答えいたします。  戦後のわが国の少年犯罪の傾向でございますが、これを概観いたしますと、大体二つの波があったように思うのでございます。  まず第一は、終戦後から昭和三十年に至るまでの期間でございまして、これは昭和二十六年をピークといたしておりますが、これが第一の時期でございます。それから第二の時期といたしまして、昭和三十一年から現在に至っておる時期でございますが、この時期は、昭和三十九年を一つのピークにしておる時期ではないかと思うのでございます。  この第一の時期は、いわゆる終戦直後の貧困からきた犯罪でございまして、いわば窃盗等を中心にした少年犯罪でございまして、たとえていえば、後進国型の少年犯罪であったと思うのでございます。  ところが、昭和三十一年から現在に至ります時期の少年犯罪は、経済的な発展というものを背景といたしまして、いわば少年犯罪も先進国型のものになってきつつあるように思うわけでございまして、もちろん窃盗等の犯罪も絶えませんけれども、少年犯罪の一つの特徴が、粗暴犯であるとか、性犯罪であるとか、かような点に著しい特徴が見られるようになったと思うわけでございます。  そこで、現在直面いたしております第二期の少年犯罪の時期につきまして、どういう原因からこういう犯罪が出てきておるかということを一応考えてみるわけでございますが、もとよりこの犯罪の原因はきわめて多方面に、かつ根深いものがございまして、簡単にこれを論断することはできないわけでございますけれども、一応この昭和三十一年から現在に至ります時期におきまして考えられるものといたしましては、まず第一に、わが国の経済的な発展によりまして、いろいろな少年の物質的な要求をいれやすい対象がふえてきたということがあげられると思うのでございます。第二といたしましては、戦後の価値観の混乱のために、少年が是非善悪を判断いたします場合に、戦前と相当違った判断が出てきておるのじゃなかろうかと思うのでございます。第三点といたしましては、戦後の自由であるとか保護であるとか、こういうものの観念が戦前の観念と違ってまいりまして、私どもは必ずしも、正当な自由の観念というものについて、少年が的確な判断をしておるとは思わないのでございまして、自由に対する誤った観念、保護に対する誤った観念、こういうものから少年犯罪が誘因されておるのじゃなかろうかと思うわけでございます。最後に考えられますのは、やはり戦後の放任主義的な、学校におきましても、家庭におきましても、一般社会におきましても、放任主義的な少年の教育というものが、現在の少年犯罪の一つの原因としてあげられるのじゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。  以上が、戦後のわが国の一応の少年犯罪の傾向と、それの原因について私どもが考えておるところでございます。
  128. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 もっと個々の家庭におきまして、親子の関係とか、あるいは家庭における子供に対する一つの倫理観の確立とか、しつけとか、そういった面に国民が個々に反省すべき根深いものがあるのではないだろうか。少年法におきましても、劈頭第一条は、「この法律は、少年の健全な育成を期し、」となっておる。少年の健全な育成を期するということが終局の目的でございます。犯罪が幾つあって、それを数字を並べるというような、一々鑑別所にやって少年院に入れてああするこうするというような、そういう機械的なものよりも、もっと深く考えねばならぬ段階にきておるのではないだろうか、こういうふうに思うのでございます。  しからば、そうなれば家庭の問題になり、教育の問題につながり、おとなの問題になり、社会全体の責任ということになるので、法律で年齢を下げたり、あるいはまた刑事処分に即刻やってしまうというような、応報時代におけるような考え方はあまりに単純にすぎますので、矯正というよりも、もっと抜本的な予防対策、予防的な面にわれわれ成人の重大責任があるのじゃなかろうか、こうも考えるのです。そこらに法務省としての一つの立場があるべきではないかと思うのです。  そういう意味におきまして、私は家庭において児童、幼児等から、倫理的な、経済的な、科学的な、あらゆる角度から大きな責任を感じていくというふうにしなければ、ほんとうの責任を理解し、義務を理解し、みずからを律していこうというような、そういうものが生まれてこない。価値観が混乱するというのは当然であります。何ら指導もしておらなければ指導能力もない、そういうのが親子の断層の原因ではないであろうか、こういうことも考えるのであります。そこまで深く掘り下げていくのでないと、少年法で処罰をきつくするとか、ピークになっておるからこの辺で考えたらどうか、そういうようなことは、私は逆の効果になるのじゃないだろうかというふうにも実は考えるのであります。その辺まで掘り下げていく必要があると思うのだが、その辺はどう考えておられますか。
  129. 辻辰三郎

    ○辻政府委員 ただいま御指摘のとおり、少年犯罪につきましては、その奥に家庭的のしつけであるとか、親子の間の問題であるとか、いろいろな精神的な面の問題ももちろんあると思うのでございます。私どもは、少年犯罪というものの原因を突きとめてまいりますと、先ほど申し上げましたようないろいろな理由のほかに、やはり根本的には、当該少年の精神的な一つの訓育と申しますか、成長の問題が一つ前提にあるわけでございます。そういう意味で申し上げますと、結局、少年犯罪と申しますのは、自分の欲求を満足いたしたいと思います場合に、その欲求が直ちに満足できない、満足をあせるあまりにいろいろな犯罪に出ていくということで、欲求を阻止することがうまくできないというところに、やはり一つの根本的な理由があると思うのでございます。この少年の欲求を家庭の愛情であるとか、しっけであるとかということで、正しい方向に、社会的に順応させるような方向に発散さすというところにも、精神的に非常に大きな問題点があろうかと思います。その意味におきまして、ただいま吉田委員のお説のとおりの問題があろうと思うのでございます。  かようなわけで、少年法の改正の問題につきましても、ただいま吉田委員が御指摘になりますような、単に犯罪に対して刑事処分をもって臨んでいくというような観点からは、この改正を意図していないわけでございまして、いろいろ少年法の改正の問題点がございますけれども、単に刑罰を強化していくというような点からのみこれを検討しているわけではございません。
  130. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 私は、家庭問題というのはたまたま取り上げただけ、指摘しただけのことでございまして、また精神的な面と言ったが、精神がこれを全部解決する問題でないことは、もう万事承知であります。  きょうは多く質疑をかわす時間も持っておらぬので、ほんの指摘しただけでありますが、たとえば、最近におきます不良文化財のはんらんの状況は一体どうなんです。たとえば週刊誌におきましても、でかでかと性をにおわすような記事というものを書かなければ売れぬとか、そうしたものを少年が平気で読んでおるとか、からから笑いながら読んでおるとか、一体この風景はだれがやっておるのだろうかということも考えたいのであります。そういうことも思うし、映画を見るならば、あのどぎつい殺伐な、もしくはまっ裸でピストルの撃ち合いをやっておるような、あんなものを見ましたら、少年はどうなるであろう。欲求不満だとか満足とかいいましても、それは無理でございますので、そういうような価値観を混乱させるようなことは一体だれの責任だろうか。ここに政治があると私は思うのです。  そこで私は、法務省は、もっと広い、高い次元に立ちまして少年問題を取り扱ってもらいたい、こう申し上げるのであります。悪いことをしたからそれで首をちょん切るとか、それを処罰するとか、こういう監獄的な刑務所の考え方では、もういまの時代の間尺に合わないわけであります。ましてや、重要な未来をになう少年の問題でございますので、一そう深く掘り下げたところから進んでもらいたいというのが、私の根本的な考え方なんであります。これは新任大臣も相当意気込んでおられるらしく拝見いたしますので、別の機会に十分検討させていただきましょう。論議いたしましょう。だから、そういうような角度から少しまた資料も集めていただいて、非行少年の数は減っても、質はまた大きく多角化してきた、多角化する原因はどこにあるんだろうか、経済の成長の結果、都市の少年はぐんとからだが伸びた、山の中の少年は伸びておらぬ、こういうことが、あるいは本能の満足に走らせていくような原因になるのじゃないだろうか、そういうようなことをいろいろな角度から考えてもらいたいのであります。六法全書をいじくるような法務省の時代は去りました。そんな時代じゃございません。どうぞそのつもりでひとつ御検討あらんことを御希望申し上げて、また別の機会にとっくりとこの少年問題は取り組んでみたいと思いますから、ひとつしかるべく政務次官、よろしくお願いいたします。  経済企画庁見えましたか。――こういうふうなことを伺いたいのでございます。  すでに佐藤長官も国会壁頭の経済演説におきまして、物価問題の重要なことは力説されました。いま山口政務次官も、真剣に取り組んでこの問題の解決に努力したい、こうおっしゃっておる。きわめて大きな課題であるということで、これは全国民が目を見張って、政府、国会のこの問題の取り組み方を見ておるわけであります。そういう際でございます。  そこで、物価問題に対しましては、要するに消費者物価安定の問題につきましては、物価問題懇談会におきましても、第二次として十一の提案を四十一年にしておる。さらに、その後物価安定推進会議の報告並びに提案もなされております。これは昨年の四月に、「物価安定対策の実施状況と今後の基本的方向について」こういうことまで報告かつ提案をしておる次第でございます。言うならば、あらゆる角度から専門家、それから言論人あるいは消費者の代表、政府の代表等々、国民のあらゆる方面の知能、体験をしぼりまして、この切実な問題に対して取り組んできたわけであります。そして、かつ提案をしたわけですね。この提案は、かなり詳細のものもあります、でないものもございますけれども。  そこで、物価庁といわれるべき経済企画庁の国民生活局は、やはり事務といたしましては一番重要なお立場だと私は思うのですが、どう推進されようとしておるのだろうか。この物価問題に対しましては、各省から担当官も出ておりますね。参事官クラスを担当官にして、また閣僚会議におきましても、それぞれこの物価問題に対しましては特別に閣僚会議を持つようになっておるというふうに、いずれにしましても、形はきわめて前向きの姿勢で取り組んでおるわけです。長年経過しておりますが、一向解決しない。何ぼでも上がります。次から次へ上がっていきます。選挙中は上げないのかと思ったら、選挙が済んだらばたばたと、タクシーも上がった、あれも上がった、これも上がったということになってきます。こういうようなことですから、国民は不安にたえません。どう進行しておるのだろうか、具体的にどう推進するのだろうか。  そこで非常に大事な点として、五、六点を閣僚会議で最近指摘しております。たとえば生鮮食料品の価格安定対策、公共料金の抑制対策、労働力の流動化対策、あるいは流通機構の合理化対策、競争条件の整備、輸入を含んで、というようなことを閣僚会議におきまして昨年指摘しております。こういうようにしぼってきました。こういうふうになっておりますが、一体どう推進しょうとしておるのか、推進しつつあるのか、もしくは、きわめて概括的だけ、ほんの筋を言うてもらって、どの筋を推していこうとしておるのか、この辺を国民がわかるようにしてもらいたい。これは、みんな説明してもらおうと思うたら、各省出てこぬと説明できませんわ。みんなもっと詳しく言うということは、これはまた短時間でできませんわ。そうではなしに、物価庁としてお考えになっておるこの荒筋、骨子、柱、これは何か、それをどう推していこうとするのか、ここらをちゃんとひとつ示してもらいたいのです。
  131. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 物価対策につきましては、いまおっしゃられましたように、各方面からいろいろ提言が出ております。特に、物価問題懇談会以来、物価安定推進会議、あるいは現在の物価安定政策会議、いろいろ提言をいただいております。  この物価対策のまず大筋を示せということでございますので、大きく分けますと一もちろん相互に非常に関連いたしておりまして、特に物価の動きは、ある意味では経済全体の動きの、いわばツケが回ってくるようなものでありまして、どれ一つだけ特にやればというふうには簡単にはまいりませんので、いろいろ手を打っていかなければなりませんが、それを大きく分けてみますと、次の四点ぐらいにしぼれるかと思います。  まず第一は、何といいましても、経済全体の、特に需要の動きを適正な水準に保っていくことであるかと思います。つまり、経済全体が非常に早く拡大していく、そのために物資の需給あるいは労働の需給が非常に逼迫してまいりますと、どうしても全般的に物価が上がりやすくなり、また、コストが上がる場合に、それを物価に比較的安易に転嫁していこうという機運が出てまいりますので、何といたしましても、そうした全体の需要を適正な水準に保っていくということがまず第一に必要であります。  それから第三には、いわゆる公共料金対策であります。公共料金は消費者物価の中で、米麦価を含めまして二割程度のウエートを持っておりますが、また、これが単に二割というだけでなくて、やはり政府が直接関与し得るものであるだけに、こうしたものがあまり上がりますと、政府主導型の物価上昇だという批判も受けます。一般的にも、非常に心理的に悪い影響を与えますので、この公共料金を極力抑制していく、これが第二の重要な対策であります。  それから第三は、いわゆる構造対策であります。物価が上がってまいります場合に、上がる要因があって上がるのを、ただやみくもに押えるというだけでは基本的な解決になりませんので、なるべくならば物価が上がらないような仕組みをつくっていくということが必要であります。特に近年、物価が上がります中で上がりが大きいのは、農産物あるいは中小企業製品、サービス料金、いわゆる生産性の上昇の程度が低い部門でありますので、こうした部門の近代化を進めていくということが第三に重要な対策であります。  それから第四は、いわゆる競争制限の整備であります。コストが上がったからといって、すぐそれを安易に価格に転嫁していく、そうしたことを防ぎますためには、なるべく自由な競争の仕組みをつくっていく必要があります。この点につきましては、主として公正取引委員会が独禁法の運用を強化するとか、こうした手が重要であります。と同時に、輸入政策をなるべく弾力的に運営していく、そうしたことによって、第三点で申しましたような構造政策の推進が十分にいきますような環境をつくっていくということが第四に重要な課題であるかと、かように思っております。  現在、それらの対策につきまして進めてまいっております。従来もやってまいりましたが、お説のように、まだ必ずしも十分とは申せませんので、そうした対策を並行的に推進していくつもりでおります。
  132. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、いま並べられた構造対策にしても、公共料金の問題にしても、自由競争を確保するような問題にしても、財政金融の政策等にしても、これは一応わかるのですがね。わかるのですけれども、うまくいっていない。中小企業並びに低生産性の農業あるいは漁業等について一例をあげたら、魚にしてもそうなんです。漁業にいたしましても、実際は、ものによりましては、生産者所得に比べて消費者の口に入るときには三倍に上がるようなものさえあるわけであります。ものによりましては、産地と消費地との運送の関係あるいは倉庫等の関係から見まして、同じもので非常に値段が違うこともある。キャベツは、時によれば、いなかではでき過ぎてほかします。あれが東京に来ると、三つに切って七十円で売る。大根は一本百何十円、あまり高値のゆえ、そっと原価で売りますよ、と八百屋が告白しておるというようなことも市場で伝えられておる。そういうようなことについてもっときめのこまかい、そしてもっと確実に解決するような対案をもって臨まねば、私は問題は解決しないと思うのです。どこかでぐるぐる回りするか、どこかでむだがあるか、どこかで当てにならぬような対策を立てて進めておるのではないだろうか。  目標はいいのですよ。構造改善だ、生産性を上げるんだ、賃金その他のコストが高くなってくるから、生産性を上げて、それを売り値にかけないように解決する、それはわかるのです。理屈はわかるのですが、実際はできておらぬ。漁業にしてもそうなんです。瀬戸内海なら瀬戸内海にしても、瀬戸内全体を、養殖といわぬまでも、たとえば裁培漁業の大きなプランでも立てて、そこに一つの裁培漁業でやる計画をしてはどうですかと言うのですけれども、とてもそんなところまで手が伸びない。それで、物価担当官がなわ張り根性を捨てて、自分の母体の省の考え方も、全責任を持って調整に努力するということで、各省庁の力を総合するということにしなければだめだと思うのです。  これはもう並べてあるのはわかりますわ。これはあなたのほうからもらった書物によりましても相当詳しく出ております。資料等を見ても相当詳しく出ております。ある程度はうまくいっておる、あるいはなかなかうまくいっておらぬというようなところもありまして、あれこれとニュアンスもあります。ありますけれども、これは率直に申しまして、ほんとうはうまくいっておらぬ。国民だれひとりとして、物価問題解決の緒についた、将来安定していける、だから大いに貯蓄しておきましょうというのじゃなしに、いや、レジャーブームだ、百貨店はともかくおもしろうて笑いがとまらぬほどよう売れる。それで使ってしまわにゃいかぬ。賃金はふえたわ、貯蓄もふえたわ、だからそれを使っちゃおう。あとから物価が追っかけてくる、それでまた上げろ、また上げろになってくる。悪循環というようなこともあるし、どうしたものだろうか。それを推進することについて、もっと力強くいけないのか。企画庁というのが昼あんどんなら別ですよ。ほんとうに物価庁として権威のある行政をやっていこうとするときに、やはり足らぬものがあるのではないか。一体どういうふうにしたらいいのだろうか。ちょっとあなたの事務のほうで、実はそれは残念だというようなことを言うておいてもらいたい。ここでていさいのいいことばかり答弁してもらってもだめなんですわ。だから、この辺がうまくいかぬのだというくらいなことをちょっと言っておいてもらいたい。歯をぎりぎりさせて残念がっている面もあるに違いない、そう私は思うからあなたに聞きおるのでありますから、どうでございましょうか。そこらについて具体的に、進行をうまくしない阻害要因がどこにあるのか、どうすればいいか。国会さえこうやるならおれたちも十分安定の成果をあげてやるのだというのかどうか、とても見込みはないというのか、年がら年じゅう念仏を唱えているというのか、そこらの結論が得たいのだがね。
  133. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 ただいまお話のありました構造対策について申し上げますと、農業あるいは中小企業、流通サービス部門、これらの部門はいわば人手が余っており、また人手が安かったときにできたときの一つの仕組みでもありますので、それが労働需給がだんだん変わってくる、人件費も高くなってくる、こういうことになりますと、当然新しい条件の変化に応ずる仕組みをつくっていかなければならないわけであります。しかし、これは何ぶんにも長年にでき上がった仕組みで、これを急に変えようとしましても、摩擦も多く、かえって混乱も生じますので、この点はしんぼう強く、しかしあと戻りせずに、漸次近代化を進めていく必要があると思っております。この点はもうすでに数年前から――以前からもやっておったと思いますが、特に数年前から、特にこの物価問題がやかましくなって以来、まあ各省も非常に力を入れて進めてまいっており、また、それぞれの業界においても、情勢が変わってきましたので、それに適応する努力は着着と進んでいると思っております。物価の実際の上昇率にそれがあらわれてまいりませんと何にもならないのでありますが、ただ、過去十年ばかりの動きを見ましても、全然これが効果をあらわしていないわけではありません。特に消費者物価の上昇テンポが早くなってまいりましたのは昭和三十五、六年以降でありますが、その後の経過を見ますと、要するに、三十年代の後半におきましては年平均六%余り上がっております。しかし、四十年代に入りましてから、年々は生鮮食品等の変動によりまして違いはありますが、四、五年を平均してみますと五%くらいになってきております。つまり、年平均の上昇率がその程度になってきております。つまり、三十年代の後半に比べますと、四十年代に入りましてからは、年平均の上がり方が一%余り落ちてきております。どこで落ちてきているのかと申しますと、主として農産物、サービス料金、あるいは中小企業製品、つまり、全体としてはそれらの部門の上がり方はまだ高いのでありますが、三十年代の後半に比べれば若干伸びが鈍ってきております。  たとえば生鮮食品につきましても、三十年代の後半は年平均一割余り上がっておりましたが、四十年代に入りましてからは、年々の変動は別にいたしまして、数年をならしてみますと、七、八%の上昇に、幾分低下してきております。これにはやはり、たとえば指定産地制度を拡充するとか、こうしたいろいろ構造対策の推進が、一年くらいではすぐ効果を発揮するわけではありませんが、こうして三、四年の経過を見ますと、やはりこれが効果をあらわしてきておるというように思われます。また、上がり方の大きいサービス料金につきましても同様でありまして、四十年代に入りましてからは若干ピッチが落ちてきております。たとえば、その中でも、一例をあげますと、クリーニングのようなものはやはり構造改善と申しますか、いろいろ近代的な施設を取り入れていくことなどによりまして、やはり上がり方が漸次落ちついております。しかし、まだ現在、四十年代に入りましてからも、年の上昇率は五%程度になっておりますし、また四十四年度だけとりますと、生鮮食品が前年度非常に落ちついていた反動ということもありまして、かなり上がったという理由などが加わりまして、遺憾ながら、政府が当初目標にしておりました五%にはどうもおさまりそうもなくて、五・七%ぐらい上がるという見込みになっておりまして、まだこれで満足できる状態ではもちろんありません。しかし、やはり三、四年の経過を見ますと、ある程度は上がり方が少しずつおさまっておりますので、私どもはまだその点、希望を持っております。さらに、来年度はもう少しそれを落ちつかせて、四・八%に押えるつもりで、せっかく努力しておるわけであります。そうして漸次――これは一年で急にというわけにはまいりませんが、漸次上昇率を低下させていく――いままでもそうした努力はすでに芽ばえておりますので、これからもしんぼう強くこうした問題と取り組み、各省ともこれは協力して、漸次これをおさめていこうという所存でおります。  まあ、どこにネックがあるかと申しますと、結局、この物価といいますのは、いろいろな問題がからんでまいりまして、その上昇率を押えるためにはやはりそれなりの抵抗も各方面にあります。そこはしんぼう強く、漸次おさめていくということ以外に手はないかというふうに思っております。
  134. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 やはり物価問題につきましては、おっしゃるとおり、ずいぶん多岐にわたってそれぞれの問題を持っておりますので、単に事務的に案を立てて、そうして推進するということだけでは、これは困難、不可能だと私も見ておるわけであります。フランスにおきましては、首相が労働組合等と直接話し合って、そうして物価安定に協力してもらうというような、そういう協力をしておるようなときもあったくらいでございますから、よほど国民の理解を求めて、協力を求めるということについても低姿勢で、手を広げてこれを進めていかなければなるまいと、こう思うのですね。いろいろな問題がこれにからんでくるわけでありますが、たとえば労働者の流動化促進ということは、これは実施庁は労働省ということになるわけですね。それから、たとえば農業政策、構造改善等につきましては、大体魚、蔬菜等、ともに農林省ですね。運賃は運輸省である。それからまた、自動車ということになりますと、これは通産省ということになる。だから、事実上、物価対策につきましてそれぞれ案が出ると、安定対策を、この点とこの点とこの点をこうすればいいという案を立てると、それをそれぞれ実施するのは実施官庁になるが、また実施官庁は立場が若干違った点があるのじゃないか。取捨選択、緩急大小の選択この辺が違ってくるのじゃないか。そこに物価問題の重大性があるのと、一つの根本的なネックがあるのじゃないか。  それならば、やはり突き詰めていくならば総合性が必要だ、総合施策、総合政策、総合的な大きな力を持って推進する以外に解決の道なしというのがほんとうではないだろうか。流通機構にいたしましてもそうです。トラックが盛んになってくる、しかし、道路が悪い、トラック以外の車もどんどんとはんらんしてくる、交通戦争はいつまでも絶えぬということになると、輸送力は思ったように増強ができない。コンテナ船が七、八百箱も積めるような大きな船ができても、間尺に合うような貨物輸送はできない。国鉄は能率があがらぬ。空も同様です。海とか空とか、そういったものがそれぞれ総合的に連携するというようなことが完全にいかないような現状において、この輸送問題は解決しなければいかぬ。だから、物価問題はおそらく国政全体にわたるほどの広い視野からこれを進めていくものですから、よほど総合施策が適切でないと成果はあがらぬのではないか。あなたのほうで施策はそれぞれ並べてあるが、一体効果はあるのかどうか。あることをやって、どの程度の効率が上がったかどうか、予算を組んで使ったけれども、うまくいっておるかどうかということの効果を測定するという、そんな作業をやっておりますか。それをまたやる省じゃないのですか。どうです。
  135. 矢野智雄

    ○矢野政府委員 物価は、先ほども申しましたように非常に総合的なものであります。各省それぞれ相互に関連してまいります。各省は、本来第一義的にはそれぞれいろいろ目的を持ち、それぞれの施策を進めておるわけでありますが、現在、物価問題は非常に重要でありますので、これを物価政策という面から総合的に調整していく、そのために物価対策閣僚協議会、あるいはお話しのように各省に物価担当官を設け、その会議を随時開いて、そうした面からの総合的な調整を進めてきております。  いろいろな施策の効果測定ということでありますが、私どももすでに物価対策閣僚協議会あるいは物価担当官会議できめましたものにつきましては、各省と協力して、いわばアフターケアを絶えずやっております。また、予算ができましたものにつきましては、その実行段階につきましても緊密な連携をとっております。しかし、何といいましても、最後の効果というのは、物価指数の上に、あるいは個々の価格の上にあらわれてくるということ、いわばそれがあらわれるかどうかということが最大の効果測定になりますので、この点は、何をやったからすぐ幾ら減る、こういう直結はなかなかむずかしいのでありますが、あくまでも物価全体がおさまるように、また、おさまらない限りはおさめるように、逐次しんぼう強く努力していくということが最大の対策だというふうに思っております。
  136. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 物価問題につきましては、また別の機会に、いろいろと少し掘り下げてみたいと思います。非常に広い範囲にわたりまして問題点を持っておりますので、私も若干資料を用意いたしておりますのですが、きょうはひとつこの程度にいたしまして、別の機会にまたやらせていただくことを御希望申し上げておきます。  それから、企画庁についでにちょっと伺っておきたいのでありますけれども、前から問題になっておりまして、一昨年来いろいろ調査研究しておられますPPBSにつきまして、現段階における調査状況、あるいはこれが具体的に導入日程にのぼるような見通し、その辺につきまして、事務的でよろしゅうございますから、できる範囲で報告をしておいていただきたい、こう思うのであります。すでに第三年目を迎えたのでございまするから、しかるべき具体的実践の前夜にあるかと思うのでございますけれども、日本の予算制度の改革について、臨調の答申以来大きな懸案になっておる一つの課題でございますので、これに対する一つの答案でもあるし、日本の将来の行政改革、財政改革につながる課題でもありまするから、調査室の方、見えておりましたら、これは簡単でよろしゅうございますから、いまの時点において何をどう調査したかだけひとつ説明しておいてください。ちょっと時間が食い違ってきましたので、ほかに入っていかなければなりませんので、要点だけでよろしゅうございます。
  137. 小金芳弘

    ○小金説明員 御案内のとおり、PPBSは、政府の行ないます公共サービスの、先ほども物価で話が出ましたように、その効果と、それのために国民が負担しなければならないコストといいますか、この比率をどういうふうにすれば一番コストを少なくして、より多くの効果を上げるであろうか、その分析を主体といたします一つのテクニックでございまして、これはアメリカでも一番初め軍事用、それから企業経営、そういった目的とコストが非常に幅が狭くて、量的に測定可能であるものについてまず発達したわけでございます。これを現在一般的な行政目的のために使うという場合、われわれの当面しております問題というのは、技術的に申しまして、そういう分析を行なうための基礎データ、これが体系的に整備されでなければいけない、それから、それを分析いたしまして、ほんとうに経済なり、あるいは公害にいたしましても物価の問題にいたしましてもそうでございますが、そういうものが実際にお互いにからみ合って動く、そのメカニズムというものを正確に表現するようなモデルと申しますか、機械が必要なわけであります。私どもがやっております仕事は一そういう機械を行政全般について初めにつくるということは非常に困難でございまして、アメリカでも現在それのほんの緒についたところであるわけなんであります。  それから行政自体の問題といたしましては、これは大蔵省が担当されまして、各省それぞれ事業をなされておるところがその手法を研究されております。私どものほうは経済研究所といたしまして、その機械の設計の技術、それから、ある技術を用いましてそういうシステムを設計いたしまして、それに突っ込むべきデータを整備する、そしてそういうものを試運転いたしまして、コストと効果というものがはたしてほんとうに客観的に評価可能のように計量できるか、実際の役に立つであろうか、そういう技術的な開発をやっておるわけで、私どもといたしましては、発足当初は、まずアメリカにつきまして、彼らは実際にどういうことをやっているかを調査いたしまして、その関係の理論を研究したわけでございます。そして現在は、その第二段階になりまして、まず試験的に水質汚濁の問題につきまして、ある特定の地域について個々の手法をアプライしてみる、そういう研究を開始しております。  それからもう一つは、地方自治体の行政機構におきまして、そこの行政機構の目的を追求するのにどういうシステム、制度、どういう行政機構でやるのが、そのコストと効果が一番最適になるだろうか。これのテストケースとして、そういうモデルをつくって分析をやってみる、これを現在われわれのほうはやっておりまして、われわれのほうの現在のねらいといたしましては、大体今年半ばくらいまでにそれについての一応の報告を出したい。実際にこの方法をお使いになる大蔵省にいたしましても各省にいたしましても、その方々の御参考になることをだんだんに開発いたしたいと思っております。  現在のところはそういう段階でございまして、実用という見地から申しますと、まだほんの緒についたばかりでございますけれども、これはほかの宇宙技術その他の問題にいたしましても、何しろいままでもとのなかったものでございますし、それから、問題が単純な物理的な技術の問題ではありませんので、社会の仕組みであるとか、いろいろそういうものとからんでおりますために、ほんとうに使えるようになるのにはなかなか時間がかかりますけれども、われわれといたしましては、将来の行政の方向はできるだけそういう技術を生かしたものでやっていけるように、そういうものに役に立つような開発をいたしたいと思っておるわけでございます。
  138. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 われわれは政治を一つのシステムと見るくらいに考えていきたいほど、いまの政治に科学性を取り入れていきたい、こう考えておるおりからなんでありますので、ともかくいずれにいたしましても、七〇年代に発足する政治の体制の重要な一つの方向づけとして、PPBSをどこまで研究を遂げ、そして現実に導入されていくか、これを刮目して待っておるわけであります。各省からエキスパートがそれぞれ集まっていま研究をやっておるわけでありますから、できましたらば、いま少しく具体的な取り組み方、システム分析のあり方、現状等につきましても、もう少し精密なものを、文書でよろしゅうございますから出して、当委員会へこれをもって報告する。つまり調査研究の現状に対する報告、こういうようにしていただきたいと思うのであります。ともに積極的に取り組んでいく課題でありますので、ひとつよろしくお願いいたします。委員長あてで出してください。委員長、しかるべくお計らいいただきまして、参りましたら適当にひとつ御処理いただいて、ものによりましたら、委員会の会議録に添付されることをお願いいたします。しかるべくお計らいいただきたい。  経済企画庁はこれで終わりますから、けっこうでございます。  外務省、お願いします。それから参考人の方、たいへんお待たせいたしまして、ごく簡単にいたしますから、ひとつしばらくおつき合い願います。  すでに丹羽君からだんだん御質問があったやに聞いておりますので、ひょっとして重複したらこれは恐縮でございますけれども、ちょっと一、二点伺っておきたいのです。  第一は、対外経済援助の問題でございます。私らは、七〇年代を迎える日本の世界への平和の姿勢というものを実践的に表明する一つのものといたしまして、特に開発途上諸国に対しまして、日本が経済的に援助するという姿勢を一そう有効、適切に進めていくということはたいへんなプラスになるんじゃないか、こう前から考えておるわけであります。  そこで、DACの加盟国といたしまして、日本がこれらの諸国に対しまして、それぞれの角度で経済援助をしてまいっております。これは政府ベースのもの等、それぞれ方式はあると思いますけれども、世界的に見たならば、大体米、英、独、仏、伊などと比較いたしまして、どのくらいの割合になっておるんだろうか。あるいは国民総生産のその辺の率はどうなのであろうか。ことしあたり、ここ数年来の経過はどうなんだろうかということにつきまして、かいつまんだところをひとつはっきりしておいてもらいたい、こう思うのでございます。
  139. 沢木正男

    ○沢木政府委員 ただいまの御質問海外経済協力を伸ばしていかなければならないという点につきましては、全く先生の仰せのとおりでございまして、現在ございます統計の一番新しいもの、すなわち一九六八年の統計で申しますと、日本は総援助額におきまして、アメリカ、ドイツ、フランスに次ぎまして第四位であります。日本の援助総額十億四千万ドルは、国民総生産の〇・七四%、国民所得に対しまして〇・九四%になります。しかしながら、諸外国のうち、すでに一%の目標を達成した国も数九国ございまして、金額から申しますと、ただいま申し上げたような順位になる次第でございます。
  140. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そこで、経済援助が、あるいは贈与、借款、投資など、諸般の方式があろうと思いますが、現地において何が必要であるか、ほんとうの需要は何であろうか、日本と平和的国交を進めていく上において、アジアの平和を前進する上においてどうすればいいだろうか、こういうような点について、現地におけるあらゆる角度からの調査、そういうものは相当詳細なものが絶えず行なわれておるであろうか、どうだろうか、こういう辺をひとつはっきりしておきたいと思います。行なわれておるとするならば、どういう方式で、どういうようなデータを集めようとしてきたのであろうか。私は、ある機会にちょっとインドネシアにおけるいろいろな事情を調べてみようと思ったときに、どうもインドネシアのほんとうのこまかい正確な地図が日本にないなんということを聞いてびっくりしたことがあるのですが、真偽は知りませんよ、そんなことも聞いたことがあったのですが、私はやはりそういうような辺から見て、現地事情というものにほんとうに精通して、現地の民情、政情、あるいはその他の諸外国との関係、自由諸国との関係、共産圏との関係等々について、公館もあることですから、それを通じて知っておられると思いますけれども、特に経済援助の角度から、やはり相当検討して、有機的つながりがあってしかるべきではないか。しょせん効果のないものをしても困るし、あるいはまた、向こうがそれだけのことに耐えられない力しかない、これも困るだろうし、いたずらに競争相手になっても困るだろうし、特恵関税実施の前夜におきまして、なおそんなような感さえするのであります。現地状況調査、データ、そういうものを詳しく調べた上でしておると思いますが、どんな方法でどういうふうな実態にあるのだろうか、そこを明らかにしておいてもらいたい。
  141. 沢木正男

    ○沢木政府委員 外務省が持っております現地調査の基本的な情報は、常時その国に駐在しておりますわが在外公館から取っておりますけれども、それ以外にも、四十三年度から経済協力の効果を調査するための費用外務省に認められました。四十三年度におきまして、すでに韓国、インドネシア、それからパキスタンを調査いたしております。それから四十四年度の予算では、インド、パキスタン、さらにもうすぐ台湾のほうに調査団を派遣する予定でございます。これらの調査団の報告につきましては、韓国、インドネシア、インドの予備調査につきましては報告書をすでに公開いたしております。  これらの調査団の調査の結果はいろいろ出ておりますが、全般としてみますれば、大体日本がいままでに行ないました経済協力の効果は八〇%程度達成されておる、かようにかいつまんで申し上げられるのではないかと思います。  しかしながら、やはりいろいろぐあいの悪い点も調査の報告の中にございまして、その一、二を申し上げますと、事前調査の不足から現在工場が十分に稼働してないもの、あるいは資金協力と技術協力の結びつけが不足であるがために工場が十分動いていないもの、それから現地資金調達が困難になりまして稼働しておらないもの、あるいはスペアパーツ、補助部品でございますが、補助部品の充足が不十分であるがために十分稼働してないもの、そういうふうな例がいろいろあげられておりまして、それらの調査報告結果につきましては、一々その具体的な工場について技術者を派遣して、さらに指導を行なうなり、スペアパーツの調達につきましてあっせんをするなりして、できるだけそういう工場の少なくなるように努力いたしております。  それから、新規に供与いたします借款その他につきましては、事前のフィージビリティー調査を、これは輸出入銀行、経済協力基金あるいは海外技術協力事業団というようなものを通じてまして専門家を派遣し、十分現地の、われわれ専門語でエコノミックフィージビリティーと呼んでおりますが、それを確かめましてからプロジェクトを実施するということをいたしております。
  142. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 アジアの日本でありまするから、日本が最も現地に精通しておるかとも思うのですけれども、現状といたしましては、ヨーロッパ、アメリカの諸国と比較いたしまして、日本が現地事情をつかんでおる点につきまして優劣ありやいなや、日本においてはまだ足らぬところが多いのかどうか、まだまだ遠いというのかどうか、日本が最も詳しく知っておるのか、そこら辺、比較したらどうなんでしょうか。
  143. 沢木正男

    ○沢木政府委員 私は、あくまで現地の事情を把握すべく最大限の努力をやっておりますが、決して日本が一番であるという慢心した気持ちを持って、一番であるということは申し上げられないと思います。
  144. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 ことに最近の、たとえばアフリカ等における政情不安定といいますか、国内混乱のああいう様相、いろいろな不幸な事件を生んでおること等を考えますると、私は特に最近の世界の政治の情勢につきまして、思想を背景とする、あるいは自由諸国と共産圏との関係南北、東西の諸関係等につきましても、これは最も平易率直に、事実は事実としてつかんでいくというふうなことを、精密に正確に絶えずしていくということをしないと、これはときには敵に武器を与えるというような妙な皮肉なことばが出るような結果もないとはいえないということもありますので、真に援助すれば効果があがる、ほんとうに感謝して一そう親密にお互いに平和建設に向かって努力していく、そういう国になるというような着実な成果を一つ一つあげていくようにしてほしいと思いますね。こういうことにつきましては、これはもうそれこそ遠慮なしにどんどんと調査いたしまして、全く隣に行くような気持ちになりまして、隣の事情はおれが最も詳しいんだと言わぬばかりになってしかるべきではないか、こう私は思うのです。韓国あたりの状況を聞いてみましても、日本がわかったようなわからぬような面も多分にあるように聞きますし、台湾もしかり。去年も台湾に私ちょっと行ってきましたけれども、台湾につきましても、台湾の資本の動きというようなものにつきましても、なかなかさっと聞いてさっと日本人にはわからぬというほどに、あんなところでさえそんな問題もあるらしいのですから、いわんや、開発途上諸国全体にわたりまして、日本が相当正確な資料を用意していくということは容易なことじゃないだろうと実は考えるのであります。しかし、外務省といたしましては、これはもう重要な課題で、一種の平和建設のために大きな仕事だと私は思いますので、ぜひこれは積極的にやってもらいたいと御希望申し上げておきます。何かありましたら述べておいてください。なければよろしゅうございます。
  145. 沢木正男

    ○沢木政府委員 仰せのとおりでございます。外務省としては、あらゆる情報を集め、かつ、これを分析し、それが外務省の一番大きな仕事でございますので、われわれ全力をあげてやっておるつもりでございます。
  146. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 それから技術援助の問題でございます。技術援助の問題も、たとえば医療協力の問題など、これは相当重要な課題であって、言うなれば、一つの世界の人道の大きな大道に通じるものであろかと考えます。やはり文明の度合いの低いほどに迷信もございますし、においだけをかいで病気がなおるというような、そういう錯覚も持ち得るほどに民度の低い面もございますし、わからぬ病気もありますし、医療機械設備も、人も、技術者も医者も十分でないということは、これはもう当然のことでございますので、私はやはり医療協力の問題は非常に重要なことと考えておるのであります。日本が医療協力について、ほんとうに開発途上諸国に対しまして、相当大きく彼らの国国の国民に尽くしてやることができましたならば、これはもう金銭やら物質にかえることのできない、ほんとうにとうといものを植えていくんではないだろうか。これほどに一つの世界の平和の人道的なものを建設するという使命感を持って進んでいく柱だとさえ私は考えております。こういうふうに思いますので、技術援助協力機関も、事業団もあることでございますから、事業団といたしましては、その他の技術においても、医療におきましても、これは一そう積極的にそういう見地から扱ってもらって一もちろん前提となるべきものは現地事情の正確な把握を前提にする。適切にこれに向かって手を打っていくこと、そこに何らのすきもない、こういうふうにしていかなければならぬことは当然であります。むだをやった、あるいは別に実が結ばなかった、成果がなかった、要らぬことをしょった、何べんか繰り返してまた縮小しなければならぬというようなことがないように、逆効果にならぬように、敵に武器を与えるようなことがないように、もらったけれども、それを持って日本を討つのだということになってはこれはまたたいへんでありますから、そんなことも考えながら、私は技術協力、医療協力のお仕事も経済協力と並行いたしまして大きな平和進軍だと考えるものでございますが、これらにつきまして、何か最近の状況をひとつお聞かせ願っておきたい。  技術協力事業団の理事長さんが見えておりますね。せっかく見えておるのですから、どうぞ。
  147. 田付景一

    ○田付参考人 お答えいたします。  ただいま技術援助に対しましてたいへん力強いおことばをちょうだいいたしまして、事業団の人間といたしましてまことに感謝にたえない次第でございます。  ただいまもお話しにありましたように、ことに技術協力というものに対しましては、開発途上国におきましても後進国におきましても、常に非常に要求されておる問題でございまして、われわれといたしましても、この面においてはできるだけの努力をしたい、こう思っております。ことに技術協力におきましては、いま先生おっしゃいましたように、向こうの病気だとか、けがだとか、そういったようなものに対する直接の援助のほかに、そこにおります人たち、人間、いわゆるお医者さんとか看護婦さんといったものを教育することによって、そこの技術を発展させていくという方法がまた非常に大切だ、こう思うのでありまして、われわれ事業団といたしましては、そういう意味から病院に日本の先生方を送って――たとえばチョーライ病院のような場合に脳外科の先生を送って、そこで直接脳の外科手術をするとか、あるいは、やはりサイゴンでございますが、これも緊急の場合に必要の病院に人を送って、けがをした人の手術をするといったようなことをやっておりますと同時に、たとえば韓国におきまして寄生虫の研究をする、それによって韓国におきます寄生虫の先生方の研究を助けていく、これが最後にはそういう先生方がりっぱになって、今度はその先生方が自分の国の人々を助けていくというようなことができる。こういうようなわけで、われわれとしてはそういう意味でぜひこういう仕事を進めていきたい、こう考えております。
  148. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 海外技術協力事業団のお仕事は、これは非常に大事なことだと私は思うのでございます。それならば、やはりこれに当たる人、海外へ進出する人――事務当局はもちろんでありますが、技術を身に持って進出していくという人に対しましては、特別な使命感を持つという必要はございませんか。これは比喩は適切でないかもわかりませんが、宗教の世界宣布というようなことになりましたならば、これはエコノミックアニマルなんといわれる悪名の高いような世界とは次元が違います。そこに立脚するのでないといくまいと私は思うのです。幾らかのものをもらって向こうへ行って、そしてつとめるだけつとめて、済んだらぱっぱっとまたアメリカあたりへ行ったならば、そのほうが経済的にも恵まれる、将来もそのほうが開けていく、そんなようなことではとてもとても成果はあがらぬ。しかし、それはこんな時世ですから、なかなか求めてむずかしいですよ。むずかしいけれども、もう一つ高い次元から取り組んでいくという姿勢がほしいという意味なんです、私が言うているのは。そうでなければいかぬ。そうであったならば、それはある国に行きまして、その国におきまして技術を援助、指導する、あるいは医療、治療に当たる。これはとうとい人間の姿を向こうへ焼きつけていきます。そこに日本の日本的な世界平和への姿勢があると思うのです。それなくして、エコノミックな頭だけで支配されていくということになりましたら、これはもっと力の大きなものが助けてくれたら、またそのほうに行きます。あの段階は日本でよかったが、もう少し大きなものが来てくれたら、また向こうへ行こうか、そういうことになりましたら、それはまた何を結果するかわかりません。だから私は、義務にしろ、それから進んで行ってくれる人にしろ、やはり相当重大な使命を持っておるとして、尊重もするわ、あるいは大切にもするわ、みずからのかまえもりっぱになるわというふうな、その人間をつくるようなことをひとつやってもらいたいのですが、そんなもの、言うて不可能なことかもしれませんけれども、事業団の理事長さんもそのくらいのかまえを持ってやれませんか。その辺はどうしたものでしょうね。
  149. 田付景一

    ○田付参考人 先生がおっしゃったとおりに、全くその使命感がないと、向こうに参っても成功しない。どうも向こうへ行って成功している人は、大体そういう使命感を持った人であります。  そこで、これはふしぎなことなんですが、いま先生おっしゃったように、なかなかそういう方をきがすということはいまむずかしいわけなんですが、しかし、一たんおいでになって、そこに定着されて仕事をなさいますと、またそういう使命感を非常に持たれるということはございますので、われわれとしては、そういう方に帰っていただいて、そういう方のいろいろな経験というもの、あるいはまたわれわれの考えておる使命というものを、行かれる方、あるいはこっちに帰ってこられる方にお話ししまして、そして、できるだけそういった使命感を持った日本人というものをつくっていきたい、こう考えております。
  150. 吉田賢一

    ○吉田(賢)委員 そうなれば、やはりもっと全国民に協力を求める必要がある。全国民に協力を求めるためには、もっとPRしなければいかぬ。ほんとうに重大な仕事であるということを国民にPRしまして、一億国民の何百分の一でも真に理解するならば、われこそはといって、それは日本人は出ますよ。私の懇意な人で、戦後、ほんとうに世界の平和部隊の建設ということをもくろんだ人があります。いまなお内地の名も知らぬところに行って一生懸命やっておる人があります。ともかく世界平和のために尽くしたい、そんな人もあるのです。ですから、後進国、開発途上の諸国として、日本のあとについてこようというようなそういう国民に対しまして、私は非常に大事な仕事だと思いますので、これは国民に対してほんとうに徹底的に知らしめる。しかし、自分がそのかまえにならなければいかぬ。理事長さんに、自分が先頭になってそのかまえになってもらって、そして何人そういう人がいるか知りませんけれども、みなそういうかまえになってもらい、行ってもらう人もひとつそんな気になってもらうというふうになることがほんとうに望ましいと思います。  どうぞ、そういう意味におきまして、技術の協力、あるいはまた特に医療機関は大きな成果をあげますから、この方面につきましても特段と力をお入れになって、そうして、そういう諸君がほんとうに自分の兄貴の国、先輩の国というくらいな親しさをだんだん持ってくるように、それなら戦争のそんな危機も超越いたしまして、また親近感を持つかもしれませんね。私はそういうことがアジアにおいてはあると思うのです。西洋とは世界観が違いますよ。そういうこともありますから、その辺についてひとつまた今後とも御努力あらんことを御希望申し上げておきます。  きょうはちょっと時間もなくなりましたので、経済協力基金の村井理事さんにはせっかく来ていただきましてどうも相すみません。あなたに対しましても、経済の協力基金の問題について少し伺ってみたいと思ったのでございますが、あまり時間がたち過ぎましたのできょうはやめます。すみませんが、また別の機会に、いろいろとお教えもいただきたいし、私も注文したいし、問題もございますので、その機会にまたお願いいたします。外務省関係もまたひとつ今後よろしくお願いいたします。  委員長、きょうはこれで終わることにいたします。
  151. 濱野清吾

    濱野委員長 田付、村井参考人におかれましては、長時間にわたり審査に御協力をいただき、ありがとうございました。  次回は公報をもってお知らせいたすことといたし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時六分散会