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1970-10-15 第63回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十五日(木曜日)     午後二時五分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 大村 襄治君 理事 田中 龍夫君    理事 床次 徳二君 理事 中川 嘉美君       宇野 宗佑君    中村 寅太君       本名  武君    豊  永光君       中谷 鉄也君    広瀬 秀吉君       近江巳記夫君    門司  亮君       東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部景         品表示課長   中村 雄一君         沖繩北方対策         庁長官     山野 幸吉君         沖繩北方対策         庁総務部長   加藤 泰守君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 十月十二日  辞任         補欠選任   松本 善明君     東中 光雄君 同月十五日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     近江巳記夫君   小平  忠君     門司  亮君 同日  辞任   近江巳記夫君     大久保直彦君   門司  亮君     小平  忠君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を開きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  先般、北方問題に関する実情調査のため、北海道委員を派遣いたしましたが、この際、派遣委員から報告を求めます。田中龍夫君。
  3. 田中龍夫

    田中(龍)委員 ただいまから、先般北方領土関係現地に参りましたので、御報告を申し上げます。  沖繩及び北方問題に関する特別委員会委員派遣は、池田清志君、宇野宗佑君、山本弥之助君、中川嘉美君、永末英一君と私の六名でありまして、去る九月八日から十一日までの四日間、北方領土問題等実情調査のために、札幌、根室、羅臼、標津におきまして、道、市町村当局をはじめ北方領土問題対策協会北方領土復帰期成同盟千島歯舞諸島居住者連盟北海道水産会北海道漁業協同組合連合会等関係団体と懇談いたしますとともに、北方水域の視察をしてまいった次第でございます。  なお、現地参加委員といたしまして美濃政市君並びに議員斎藤実君の参加を得ました。  その際の調査は、北方領土問題、北方領土問題に関する国内行政措置の問題及び北方水域における安全操業の問題についてでありますが、報告の詳細は、委員長におきまして、会議録に掲載するようお取り計らいをお願いする次第でありまして、ここに簡単に所見を申し述べます。  北方領土返還は、北海道という一地域の問題でなく、国をあげての重要な問題でありますことは申し上げるまでもありません。私たちは、関係団体が、各地におきまして、いろいろの事業や行事を行ない、また会合を重ね、その復帰運動を行なっている熱意に対しまして、深い感銘を受けたのでございます。  本問題の解決には、領土返還要求正当性を国民に徹底せしめ、全国民的な規模に立った運動を展開いたしますとともに、長期かつ不断の外交的努力を続ける体制がきわめて肝要であると考えるのであります。  同時に、これと並行して、必要な行政措置適確に実施され、北方水域におきます安全操業が確保されることに努力をいたしたいと考える次第でございます。  以上、御報告を申し上げます。     —————————————
  4. 池田清志

    池田委員長 ただいま田中委員から申し出のありました調査報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 池田清志

    池田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決せられました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  6. 池田清志

    池田委員長 質疑申し出があります。順次これを許します。豊永光君。
  7. 豊永光

    豊委員 この前、総理府沖繩北方対策庁から、昭和四十六年度の沖繩復帰対策費予算総理府案発表になりましたが、これに関連いたしまして、山中長官に二、三承りたいと思います。  この予算案では総額七百三億三千九百万円ばかり、昨年の沖繩援助費予算の約二倍余りでございます。各種事業につきまして、項目につきましてこのように意欲的な予算を組んでいただき、さらに大蔵折衝を積極的に進めていかれること、まことにけっこうだと存じますが、この予算案細部がよくわかりませんので、ごく大まかなところを長官のお考え方を承りたいと存じます。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 これはあくまでも大蔵省に対する予算要求案ですから、あまりこまかな細部の話というのは、とらぬタヌキの皮算用まで含めて資料にして配付するなんということは、本来すべきものでないわけです。しかしながら、御質問があれば逐次答えていきますけれども、このような総額七百三億の予算を組んだ柱が幾つかございます。あるいは復帰記念事業一つの柱でしょうし、さらに沖繩の特殊な財政事情というものに対処するための県政運営費、こういうものを相当大幅に計上していく、六十億ほど予定しております。あるいは町村自主財源というものも配慮していくし、さらにまたいろんな事態に対処するための予備費的なものも考えていく。要するに、そういう自主財源というようなものをなるべく広げていこうという考え方一つ貫かれております。それに復帰との接点が、あるいは九カ月予算にするか十二カ月予算にするかという議論をしたくらい、もうほとんど復帰時点における、ことしの予算最終予算ということになるわけですから、復帰した場合においては、当然国税も納めていただくかわりに、交付税というものもきちんと、ことに後進地域とかそのようなところは態容補正によって傾斜配分がされる恩典を受ける地域一つになるわけですから、そういうようなものが取れる直前の年であるということを考えるときに、われわれの考え方で、できるだけ、それらの復帰時点においてはどういうふうになるだろうか、しかしながら、復帰しない最後時点においてはどこまでめんどうを見ていくことが可能であろうか、これは理論的にも現実的にもいろいろと検討いたしました。したがって、国政上、本来ならば琉球沖繩県であったと仮定した場合には、当然国が行なっていいはずの、あるいは国が全額補助金なり委託費を出しておるようなものは、全部国のほうでこれを肩がわりする。もちろん人件費も含めてであります。そういうようなことから、さらに、もっぱら、県政仕事からさらに町村仕事、いろいろと区分けをして、国のほうでめんどうを見れる範囲のものはめんどうを見ていく。したがって、財源措置の問題と、さらに、仕事の振り分けによる、本来県であった場合に国が持つべき仕事と、さらに今度は、県であった場合に、県がやっても国がそれに義務的に補助金もしくは国のほうが県の行なう事業に対して融資等補助金を出すとかいうような問題について、すべてのものを洗いまして、それを沖繩の、今後、復帰までのわずかな期間ですけれども復帰時点において、せめて自分たちがなし得る、私たちがなし得る、一番なだらかな、急激でないつなぎ方というと、復帰時点においてなるべく近似した形の財源状態をつくり上げたいというようなことに重点を置いておるわけであります。  歳出の面においては、これはもう個々の問題が一ぱいあるわけですから、御質問に逐次答えていきますけれども歳出は七百三億。ただ、その計算上七百三億でありますが、それは米の現地積み立て金がその中に三十三億入っておりますから、正確に事業費と言えないかもしれませんが、しかしその米の資金も、琉球政府の中に積み立てられた場合には、低利長期資金として、これは農林漁業資金に限って融資をされる原資になることを考えれば、やはり七百三億という大台の数字計算しても、決してこれは単なるつじつま合わせ数字ではないと私は考えておる次第でございます。  あと逐次具体的な問題についてお答えいたします。
  9. 豊永光

    豊委員 ことしの三月の末に、復帰対策基本方針、閣議決定されました方針発表になり、さらにまたさかのぼっては四十三年の十一月五日に、日本本土沖繩との一体化に関する基本方針ということで閣議決定されたのがございますけれども、これらの基本方針に基づいて従来予算編成され、また本年度の予算ももちろんその方針のもとに設定されたことだと存じますけれども、それらの基本方針の中で、特に沖繩経済社会開発発展をはかるための施策として、総合的な施策を策定し、これを計画的、効率的に推進するというその中で、基本的な政策としましては、一つ産業基盤など社会資本の充実、二つは産業振興対策の樹立、推進、三つは生活環境施設福祉施設文教施設等整備をはかるというような方針が確定されたのでございますが、生活環境施設福祉施設文教施設等には十分の配慮をされ、各種事業を漏れなく進めておられると存じますが、産業基盤整備、あるいはまたその基盤の上に立った産業振興対策推進ということ等につきまして、長官重点をどのようなところに置いておいでになりますか、承りたいと存じます。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩の場合は、日本列島の巨大なる円弧と申しますか、弓状の弧を描いた最南端にある島ですから、この産業の今後の発展については、相当広い視野からの研究あるいは広い視野からの検討というものが必要でありますし、それだけの価値設計いかんによっては与えられあるいは持ち得るところだと考えるのです。しかし、反面、一番南であるという利点を持っておりますが、さらに一方においては、サンゴ礁隆起等の現象による島の形成の過程から考えて、当然のことながら水が非常に少ない。これは飲み水はもちろんのことでありますが、これから産業の問題をレイアウトする場合に、工業用水というものがどうしても考えられなければなりませんし、しかも工業用水をかりにつくり出すとしても、そのコストがあまり極端に高い値段であってはならない。こういうようなこと等を条件として考えますと、まず第一は水の問題が、沖繩未来図を描くのに非常に大きな障害となる可能性がある。  いま一つ電気の問題ですけれども電気は、火力発電ということであれば容易に得られますし、その意味ではコストの面も、中近東からの輸送は逆に近いという立地条件もありますし、そう問題とするに足らないのですけれども、現在琉球においては電力供給公社というものがあって、それを県で引き継ぎたいということを述べておられます。なるべくその御期待に沿うつもりですけれども、あの電力供給公社を県が引き取った場合に、はたして、新規需要に応ずるための電気を供給するための開発等に投資し、それを離島の非常に高い、二倍以上に高い電気料金等解消も含めながら、その会社が運営できるであろうか。私どもと通産省とが計算した場合においては、ただ沖繩県営というものにおまかせをした場合には、復帰と同時に採算を少なくともとんとんに持っていくためには電力小売り価格を二〇%上げなければならないという、計算上はどうしてもそういう結果が出ます。そこで、主席現地関係者にそのままその試算表を渡して、それでもなお返ってきたときの沖繩県電力開発をおやりになるかどうか、それについてはもっぱら沖繩の県の責任者考え方をまず承って、その判断に従っていきたいと思います。もし不可能だから、離島電力料金格差解消も、新規電力需要の発掘というものも、それらの投資を本土でやれと言われた場合には、やはり卸値を本土と同じ価格で、配電についてのみ現地会社設立が可能でありましょう。いま本島関係は五社が一社に統合できるようでありますが、配電事業だけなら赤字になりませんし、そこで本土電発等において卸売り段階において生ずるであろう赤字というものを国が沖繩のために肩がわりして、卸売り価格は事実上本土並みという形で手段をとりたいと思っておりますが、これはまず琉球方々沖繩県営電力とするかどうかについての判断を先に示していただきませんと、国のほうでこうすると言って押しつけるわけにはまいらないと考えておりますが、しかし今後の経済発展のための電力料金が割高であるということがどのようにマイナスかは、東北開発公庫とか開発会社を設けても、なお東北電力会社料金が高かったということからなかなか進展しなかった例を私たち本土においても体験しておるわけでありますから、電気問題は、水と同様に、これを軽はずみに見のがしてはならない、十分の注意を要するところだと考えます。  第三は、これらのことを踏まえて、設計をいよいよ具体的に描くにあたって、いまネコもしゃくしも中城湾南部一帯の東の入り海について、サンゴ礁の埋め立てが非常に簡単であって、一ぱい労働人口が近くにあってというようなことばかり言っているようですけれども、私としては、やはり、公害担当大臣になる前から言っているのですからこれは間違いないことですが、人口密集地域進出する企業というものはやはり限ってもらわぬと困る。たとえば、造船企業なんというものは、これは雇用貢献度というものは非常に高いし、若干の作業油その他の流出はあり得ますけれども、あまり公害を出さない。騒音、振動ぐらい、そういう程度のものですから、これは非常に歓迎してもいいと思うんですけれども、その他のアルミとかあるいは化学産業とかいうことになりますと、人口密集地域であればあるほど、あの平坦な島でありますから、まともにそういう排煙あるいは有毒物質というものが公害をもたらすおそれがある。しかも北部にしか存在しない工業用水の源に非常に遠いということを考えれば、ロスも確かにあるわけですから、やはり北のほうに、水源地にのぼっていっていただく、そういうことを初めから念頭に置いて現地調査その他を、本土進出企業等についてはしてもらうというようなつもりでおるわけであります。今後日本全体の経済問題、沖繩経済にも大きな影響のある尖閣列島海底油田等の問題については、いずれ御質疑があればお答えいたしますが、無限の夢を秘めた設計のかき得るところであるということを私たちは自信を持たなければならぬと考えます。
  11. 豊永光

    豊委員 水、電力その他工業立地につきましていろいろ承りましたが、お話によりますと、今後の沖繩での工業開発発展は非常に大きな期待が持てるということでございますが、これには膨大な資本の投下、もしくは予算が必要でございますが、現地の従来あります企業あるいはこれから新たに始めようとする企業等につきましては、さきの当委員会でもいろいろお話もございましたが、本土企業進出あるいはまた外国資本のすでに着工している石油、その他の企業の中で、沖繩人々企業をいかに育成していくかということがやはり大事なことだと存じますが、はたしてこれらの本土もしくは外国資本の中に伍して沖繩中小企業等を主体とした企業を大きく育成していけるのかどうか、そこいらの見通しにつきまして承りたいと思います。
  12. 山中貞則

    山中国務大臣 これは、問題の分け方にもよりますが、沖繩人々沖繩から過疎県になるような流出等を避け、そして現地に定着したまま所得も向上し、生活も豊かになって、美しい島で生活ができることを誇りにする沖繩をつくりたいという考え方からいきますと、企業というものは、外資であれ現地資本であれ、あるいは本土資本であれ、どんどん行って栄えるようにして、そして空気や水や川をよごさないというような条件の、美しいレイアウトをするというようなことも一つ必要だと思うのです。ただ、今度は小さく見ると、沖繩人々が、あのようなほんとうの灰じんの中から、一木一草ないという状態の中から今日の繁栄を築き上げてきて、それぞれの条件の上に立って、琉球政府という施政権下状態の中においてのみ存在することが許されるような範囲事業まで含めて、それぞれのりっぱな会社なり企業なりというものが数多くの従業員とともに存在をしておる。この事実を考えると、やはり本土資本にしても、アメリカの資本が来るにしても、それらの既往の資本というものを——資本は元来どん欲なものであり、冷酷なものでありましょうから、力関係できまってしまうというようなことで、沖繩に対してどっと押しかけるというようなことがあって、沖繩人たちの、自分たちの築き上げたものが、自分たちの願望した祖国復帰によって打ちこわされるということで報いを受けるというようなことは、私たちも最大限避けなければならぬところだと考えます。これを法律で、行ってはならぬとか、日本企業進出してはいかぬとかなんとかきめることは、たいへんむずかしい面もありますから、しかし、考え方はこのようなことを前提にして考えていかなければならぬと思います。しかし現地にない企業あるいは現地に著しく貢献する企業、そういうものについては、内地から行くことも積極的に奨励をしなければなりません。しかしこれについても、沖繩側人々から見れば、日本企業というものは、どうも、アルコアが話を持ち込んできたらとたんにアルミ工業会自分たちも出るんだと言い出した、本気で来る気があるのかないのか、アルコア沖繩にどっかと腰を据え、なぐり込みを復帰直前にすることを防ごうと思って、ただ歯どめのために申請したのではないか、はたしてやるかやらぬかと、誠意を疑っていた時代もあります。そのようなことの裏には、本土資本は、恩着せがましく、やれ、行くについては法人税を何年間どうとか、固定資産税をどうとか、事業税をどうとか、うるさく言っておる。融資を頼むとか低利長期のものをとか言っているじゃないか。ところがアルコア社は何も言ってない。自分土地造成をし、自分たち電力を起こし、そしてふだんは余剰電力である、整備のための余剰電力もちゃんと自分整備する、しかも地元に与える貢献度というむのは同じだということになれば、沖繩人々が、本土資本というものはどうもわがままだという考えを持っていることも、私たちは知っておかなければならないことだと思うのです。これはガルフやエッソや、そういう巨大外資というものが沖繩に入って、現に何も泣きごとを言わないでやっておるということを見るときに、国で援助をしてやらなければならぬということはありますけれども、それが当然であるのだ、でなければ、という姿勢は改めなければならないという気がいたします。たいへん原則論ばかり言っておるようでありますが、豊君の質問がたいへんどうもきょうは次元の高い質問なものですから、そういう答弁に終始せざるを得ないのですけれども、要は、私たち考え方を、いろいろありますけれども整理して、沖繩方々に、何をしたならばそれが結果プラスになるのであるか、また何をしてほしいと望んでおられるのか、何をせよと要求しておられるのか、ここらのところを間違いなくよくつかんで、そしてものごとに対処しないと、沖繩県民の意思と合わないものを幾ら押しつけても、百億投じようと一千億投じようと、それはむだ金であると私は思っておるわけであります。これは政府資金についても民間の資金についてもしかりであろうかと考えておる次第でございます。
  13. 豊永光

    豊委員 日本政府琉球政府あるいは沖繩経済界、あるいは住民方々の御意向をよく聞き、尊重して今後の開発を進めていきたいという御意向のようでございますが、逆に、いまのところ沖繩現地住民が自立して経済を確立していこうという意欲なり決意なりがどのようなものであるか、あるいはまた、官民一体となって今後の計画を進め、実施していくにあたっての体制を整えていかなければならないと思いますが、現状を長官はどのように御判断なさっておられましょうか。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩現地においては、政府企画局企画部を中心に、十数名のスタッフが一年近い努力をいたしまして、沖繩経済の十年後の展望というものを展開しております。これは非常な、県の段階においてはよくここまでやれたと思われるほどの労作であります。しかし、これを私どもが拝見いたしました場合に、その初年度が来年になっておるということは、復帰する前の年が初年度になっておるものですから、先ほど申しましたように、来年度予算は、私が幾ら努力しても、内地並みの方式による理論づけられた予算は組みにくいということを考えるときに、復帰の前の年が初年度である十カ年計画というものはなかなか問題がありますので、これらのところはよく、私はいただいておいて、そのときの企画局関係者とも話をしたのですけれども、やはり具体的な現実性のあるものとしては、本土側のほうの新全総の計画年次に合わせるような配慮をしていったらどんなものだろうか、そのほうが日本列島全体としても、沖繩が返ってきたことに対しての付加価値というものを再認識するだろうし、日本の新全総に沖繩が加わったことによる新しい展望が、沖繩側からも本土側からも生まれるのじゃなかろうか、そういうことでその十カ年計画作業の労力とその熱意とには敬意を表しながらも、昭和四十六年度予算を、琉球政府企画局の作成した琉球政府資料である経済の十カ年計画年次初年度とすることには私としてはできない、不可能であるといま考えておるところであります。  来年度予算編成等については、去年のような、いままでのようなことのないように、沖繩側が幾ら要求して、総理府がそれを幾らに削って、さらに大蔵に出してまた幾ら削られたという、これは、大蔵が削るというのは予算編成権ということでやるわけですけれども、少なくとも、対策庁というものと沖繩予算編成で大きな隔たりがあっては、やはり沖繩人たちのためにもよくはありませんので、今回は沖繩事務局琉球政府職員というものは一体となれ、したがって一体となって共同作業をやって、そうしてなおかつ感触として残るものはあるだろう。たとえば休暇買い上げなんというような制度は本土にはないわけですから、それを全部向こう側の言うとおりに、琉球政府の言われるとおりに全部買い上げるということはなかなかうまくいかないでしょうし、かといって、合意に達するものもある。たとえば琉球政府の最初の相談に持ってこられた予算内容では、税務署を全部鉄筋につくりかえようというような予算も入っていましたけれども、こんなものは大蔵省が、どうせ税務署の建物ですから、復帰すれば自分の金でちゃんとりっぱなものをつくるよ、そんなものまで復帰直前の貴重な年の予算にさかなくてもいいじゃないかというお話をすれば、それはそうだということで引いてもらえるし、十分相互に話を詰めまして、まあ、九十数億の違いはまだ残っておるということの主席記者会見等もありましたが、しかし、自分たちとしては、本土政府の要求した額の満額獲得ということに向かって今後努力するつもりだということを言っておられますので、最終的には、今回は予算編成要求案そのものをめぐって、金額にしても内容にしてもひどく対立をしていない。ここに一番苦労したわけでございますけれども、その点は一歩前進をしたというふうに考えております。
  15. 豊永光

    豊委員 ただいまのお話で、琉球政府の来年度の予算編成につきまして、琉球政府意向が十分にくみ入れられたと考えていいかと存じますが、来年度以降は、お話のありましたような総合的な、体系的な予算編成に御努力を願いたいと存じます。  最後に、大きな予算を投下して豊かな沖繩県をつくり、また住民のふところを豊かにする御努力を皆さんがやっていただくわけでございますが、ただいまのところでは、沖繩の若い人々本土に来られることはそう多くはない。中学校、高校卒業生が年一万人の中で、本土に来るのが四千名、沖繩で就職するのが六千名というふうに聞いておりますが、このような事態がずっと続いていくのか、沖繩地域の中では労働力の確保がそうむずかしくないようなのが続いていくのか、あるいは過疎的な現象が生じてくるのか、今後の大きな予算の確保、実施に伴ってこのような労働力との関係を十分に考慮しなければならぬと存じますが、長官どのようにお考えでいらっしゃいましょうか。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 昨年十一月の佐藤・ニクソン会談で七二年早期返還が決定されました直後三、四カ月、ちょうど新卒者の出る時期でございましたが、大体において沖繩県内の産業の求人が手控えられた傾向がありました。それはいわゆる復帰ショック、自分たちはどうなるかという問題について混乱していた時期であったわけであります。しかし、その後求人状況も、業種によっては違いますが、ほぼ戻りつつあるようでありますし、私たちがすみやかに沖繩復帰後の青写真の設計書を沖繩方々に、それぞれの業種の方々、業界の方々がそれぞれの態様に応じた復帰後の措置について一応納得するというような方針をお示しする。来年度予算もその一つのはしりでありますけれども、さらに中間的にでも、国会に提案する前に、特例を設けるものはどういうものだということを示すとか、あるいは暫定措置はどういうものがありますとかというようなことをいろいろとお示しする必要があるだろうと考えまして、それらのところはいま急速に作業を進めておるところでございます。要するに、沖繩本土側とそうたいして賃金は変わらない、そうひどい低賃金ではない。たとえば台湾の高雄のフリーゾーンというものは、予定した数字よりも、売り上げについても、最終的な利潤についても、数十倍というような予測しない成果をあげ得たのは、やはり一つには低賃金ということもあったわけであります。しかし沖繩の場合は、日本ほどあるいはないものもあるとしても、そうひどく低賃金ではない。問題は、施政権という米国の占領下の渡航が、ずいぶんわずらわしいという問題がなお続いておりましたから、なかなか本土のほうへ行くのにもそう簡単でない。ちょっと行ってきて、気に食わなかったらすぐ帰るというふうに心やすく本土との間の職場というものが考えられなかったというような点が、本土流出いちじるしい若年層といいながらも、なおかつ現地で雇用労働力があり余っているという現象になっておると仮定すれば、この本土との壁が取り除かれた瞬間に、本土に向かって奔流のごとく若い層が進出をするという心配もなしとせざるを得ないわけです。私たちはしかしその前に、やはり沖繩側で、現地において若い諸君が、新卒者もそれからちゅうちょしておった若い青年層の諸君も、本土と同じ勤労条件というものを享受しながら、自分たちの郷里を去らないで働ける場を提供してあげる、そういう経済復興の基礎を早く示すことだ、そういう事実をつくり上げることだというふうに考えておるわけであります。離島のほうは、農林漁業というものを基本的には振興して、農林漁業によって自分たちはなお自分の家の職業を継ぎ、それを継いだことによって自分たち生活もやっていける、所得も向上するという確信を農林漁業者の若い諸君あるいは若い者に受け継いでくれという親の諸君が理解してもらえるような農林漁業の展開をしなければならないというふうに考えておるわけでございます。  あるいは御質問の趣旨に直接答え得なかったかもしれませんが、先ほど申しましたとおり、たいへん次元の高い御質問なものですから、何をお答えしたならばお気に召すかということで、だいぶ私の答弁も抽象的といえば抽象的、次元が高いといえば次元が高いという基本論に終始しましたけれども、豊君の御指摘になりましたことはほぼ同感でありますから、そのようなことを肝に銘じて来年度の予算編成に進んでまいりたいと存じます。
  17. 池田清志

    池田委員長 中谷鉄也君。
  18. 中谷鉄也

    ○中谷委員 与党の豊委員沖繩経済開発の問題について質問をされましたので、私もその問題について最初触れておきたいと思います。  長官豊委員質問にお答えになりましたとおり、沖繩長期経済開発計画は三百ページ近くに及ぶ非常な力作であろうとは思います。ただしかし、次のような点、たとえば先ほどの同僚委員質問の引き継ぎと申しますか、関連においてお尋ねをするのでありますけれども長官の御答弁の中に、電力と水について、経済開発のエネルギー、そうして水資源の問題というのは非常に重要な課題であり、あるいはネックになり得るだろう、こういうふうなお話があった。経済計画によりますると、たとえば一九八〇年度の電力需要は一九六九年の六倍を越えると予想している。さらにまた工業用水については、一九八〇年度においては合計一日当たり五十五万五千トンが開発される、開発したいということであります。ただ問題は、たとえばその電力について六倍という需要の伸びというものの算定根拠は一体何か、そのときにおけるところの第一次、第二次、第三次産業の構成はどのようにあるのか、こういう点が問題になってくるであろうし、本土においてはこれらの問題について、本土の見通しと計算と計量的な手法によるところの回答を当然与えてあげなければならない、与える義務があると私は思う。当然のことだろうと思います。そうしますると、たとえば新経済社会発展計画の中においては、四十七年に経済計画の補正の時期に当たる、ちょうどそれが沖繩本土復帰である、したがって、その辺において沖繩を組み入れていくのだということであります。しかし、はたしてそれでいいのだろうか。  私がお尋ねいたしたいのは次の点であります。沖繩長期経済開発計画は、長官の御答弁になったように力作であるということを認めたといたしましても、——私も、ずいぶん努力されたと思う。しかしこの計画の発足が七一年ではなしに七二年だというなら、それまでにこれに対する本土の回答というものが与えられねばならない。閣議決定の復帰対策の基本的な施策のあり方においても、長期経済見通しというものを本土は立てるのだと言っておられる。新経済社会発展計画においても、沖繩の問題について沖繩を組み入れていくのだということを言っている。だとするならば、少なくともいつ着手し、いつまでにこの沖繩長期経済開発計画に対する、さらにこの計画を書き直すための回答というものをまず与えるのか、私は、沖繩県民はそのことを望んでいるだろうと思います。ところが、長期経済計画の見通しについて、長官のこの委員会を通じての構想については会議録を追って拝見をいたしております。すでにそのようなことについては御発言がある。しかし総合的な論理的な、あるいはまたここまでわれわれ考えているのだという計量的な手法をもったもの、これについては、私はいまなお政府においてそのようなものが出されたということは聞いてない。この点についてどのように政府においては問題に取り組み、いつ着手され、いつまでにこれに対する案をお出しになるか、回答をお出しになるか、私はまずこの点についてお答えをいただきたいと思う。
  19. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私は、いま沖繩側はかく計画し、本土政府側はそれをこう見たという、反駁したというような形のものは出さないほうがいいと思うのです。それに基地収入はほとんど皆無となると書いてあるでしょう。それは、沖繩はいわゆる政権が私たちと違う政権なわけでありますから、そういうことを事実上願望として目標の一つに掲げられておるでありましょう。しかし、私たちはいつまでも米軍基地を置こうとは言っておりません。言っておりませんが、はたしてそういう基地収入は皆無になるということを前提とした、いろいろな県民所得のはじき出し方なり、それの出てくる前提の計画というものがそのままでいいかどうかということは、われわれは党派の問題で沖繩を考えておりませんけれども、そういうこと等なかなか問題がございます。それに基準年次が、あなたの指摘されたように、復帰前の年が初年度になっておる、こういうこともありますから。でありますので、私はいろいろ拝見して感想もあるが、そのままいただきましょう、とにかく御苦労でした、よくここまでやった、それをいただいておきます。そして、もちろん来年度予算編成資料として参考にも資しますけれども、返ってきたときに、本土の全国総合開発計画の中に皆さん方の考え方を盛り込めるような、新しい、場合によっては新全総そのものの書きかえという方向に持ち込んでいきたい。もちろん、県製の年次計画については、これは沖繩に対する特別会計みたいなものに結局はなっていくでありましょうし、ですから沖繩復興特別措置法というものを皆さま方にお願いしなければならぬようになると思いますから、開発についても沖繩復興開発金融公庫、こういうものをつくらなければと思いますし、そういうものを特殊な例をつくっていけば、沖繩の別の意味の新しい計画というものが立てられるわけですが、いま言ったような国土全体的な、政府的な考え方で立ててある計画の前提条件がいろいろとありますので、私は何も言わないで、労作であるからいただいておく、御苦労でしたということで受け取っているということでございます。一部には閣議決定はそのまましてくれという意見もあったようですが、私の手元にはそういう意見は上がってきておりません。
  20. 中谷鉄也

    ○中谷委員 御答弁は非常に詳細でありますが、私自身がお尋ねしている点と若干食い違いがあるような気もいたしますので、もう少し念のためにお尋ねをいたします。  新全総について触れられましたので、私のほうから新経済社会発展計画のほうの、これはいつもわれわれが引用する部分でございますので申し上げておきます。  「昭和四十七年には沖繩本土復帰が実現するが、それまでの間においても、この計画の趣旨に即して所要の措置を講ずるとともに、沖繩経済長期発展の方向について早急に検討し、本計画の補正の際に必要な組入れを行なうものとする。」となっております。これは何べんも長官のほうから御答弁があったとおり。  そういたしますと、八〇年には沖繩の所得の中からは基地収入はゼロになるのだ。これは私は沖繩県民の切実な願いだと思う。その願いはさておいて、そういうことで切実な願いの中にこの開発計画が立てられている。そうすると、七二年には少なくとも新経済社会発展計画というものの補正の中において、沖繩というものが大きな比重を占めてくる。だとするならば、作業の問題としても私はお尋ねしたいと思うのです。いつからこの長期経済開発計画を受けてあるいは参考にして、あるいはこれを尊重してということばを長官はかつてお使いになった、そうして全総あるいは新経済社会発展計画の補正のための作業に着手されるのか。沖繩県民はそのことを望んでいると思うのです。しかしこれはかなり問題がある。私はやはりそういうふうな観点から言いますと、力作であるけれどももう一ぺん書き直してもらわなければならぬ。だとするならば、私はどんどん着手してもらって、回答を与える時期は早いほうがいいのじゃないか。七二年には計画に組み入れられるのだから、少なくとも七一年にはそういうふうな計画には着手されなければならぬでしょう。あるいは七〇年度から着手するということだって私はいいと思うのです。その点についていつからそのような補正の前提作業としてわれわれは努力すべきか、政府努力をされるのかという点についての質問であります。そのことを私は沖繩県民は望んでおると思う。私なんかも、何も経済のプロパーとは言いませんが、ただ電力需要六倍、それはたとえばこの計画によりますると、都道府県別経済統計を御引用になっている。はたしてそういうふうなことでいいんだろうかどうだろうか。第一次産業、第二次産業、第三次産業がどのように産業構成が変わるんだろうか、臨海のコンビナートがどういうかっこうになるんだろうかということと電力需要とは、非常なとにかく多角的な関係にあると思う。そんなことを私たち沖繩に対して回答を与え、アドバイスをするその作業にいつから着手されるかということであります。
  21. 山中貞則

    山中国務大臣 新全総の中で沖繩に対して触れておりますくだりは、経企庁の原案に入っていなかったのを私が入れさせたわけであります。でありますから、いきさつはよく知っておるわけでありますが、そのことは、沖繩が返ってまいりましたときに新全総の中に入ってくる一番南の弓状の列島の持つ巨大な価値というものが当然織り込まれなければならないということを考えて、いまでもそう信じておりますが、いたからでありまして、それを具体的にどうするかというと、いまの琉球政府がつくってきたというもの、それに一々回答を与えていくという形をとるべきなのか、それとも、それは私たちがいただいておいて、それを参考に十分拝見しながら来年の臨時国会もしくは秋あたりに予定しております各種沖繩に対する特別措置法等を含めた各種立法措置を国会にお願いするそのときに、おのずから、この立法措置の前提は何だ、すなわち、沖繩の十年後はこうなんだ、それは日本の新全総の中にこのように位置づけられるんだというふうにしていくのがいいのではなかろうか。でないと、沖繩県にだけいまの段階で短い時限の回答だけを与えておりますと、返ってきた時点においては、沖繩は明らかに四十七府県の一つですから——四十七番目じゃありませんよ、四十七番目にしてはならないんですが、そういう意味の一県としてとらえる場合において、むしろ全体の日本列島のレイアウトというものの中に沖繩が太平洋ベルト地帯とさらに並ぶ南の大きな拠点という価値を与えられるだけの背景を私は持っておると思っております。ですから、具体的にはいま検討していないとは言いません。いま逐次作業をしているわけですから、そのことを沖繩側に、十カ年計画に盛られておるその長期計画の中のこの点はこうですと返事をしてできないこともありませんが、それは両者一緒にやっていけばいいんですから、それを念頭に置きながら、一番正確に言えば、アウトラインも見通しも明らかになってくるのは臨時国会もしくは来年の秋ごろに予定しておる各種特別措置その他のあらゆる沖繩復帰に備えての条約、取りきめ、いろいろな必要な条件を一切出すための国会、そのときに明らかにしなければならないということになると思っております。
  22. 中谷鉄也

    ○中谷委員 大体そうすると、多くの経済計画、個人あるいは団体、いろいろな計画が出ております。その中で政府自身が沖繩長期経済社会発展計画、そういうものを出すのは、そういうものを実際に描かれるのは、来年の臨時国会前、そのころというふうに私はお伺いしてよろしいのかどうか。それと、しかし、私重要な点が一つあると思うのです。長官の御答弁の中で、別の機会における本委員会でありまするけれども沖繩の現在百万近い人口、この人口についての将来のあり方についての御答弁があって、求人ラッシュというものは、別にそのこと自体はとやかく言うべきことではないだろうけれども沖繩の県民がそこで、沖繩の中にいたかったら沖繩で過ごしていける、豊かな生活ができるということが望ましいというふうな御答弁があったと私思うのです。これは私かなり重要だと思う。そこで念のためにお聞きをしたいと思います。と申しますのは、長期経済開発計画は、沖繩の人口が漸増を八〇年までしていってそんなに変わらないだろうというところの前提に立って経済計画が立案されているように私は読みました。しかし沖繩過疎県にしない、沖繩の若年労働者が本土へ無制限に流出をしてはいけないということは、前提条件ではなしに、私は重要な政策課題だと思う。この点についてはひとつ長官のお考えを——実は私はきょう裁判権の問題について力点を置いてお聞きしたいと思うのですが、豊委員質問がありましたので、経済開発の問題について冒頭まず触れましたけれども、この点については、私は沖繩の人口が急激に減らないということ、減らさないということが、前提条件ではなしに政策課題だと思う。この点についての長官の御見解を承りたい。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 中谷君と同じことです。私もそう思います。政策課題であり、前提としてやったところで、それはもう政策的に裏づけされたものでなければ前提になり得ないものだと思います。そのときに私たちはどこにその問題のよりどころを求めるのか。それは、沖繩が戦前ほとんど人口は横ばいを続けながら五十数万の県であったのに、この二十五年の間に、しかも戦争末期の短い時間に十数万が生命を断たれた、そういう県民の特殊な事情の中にあって、なぜ九十八万というふくれ上がり方が可能であったのか、そのことを私は顧みることが、むしろこれからの問題に答えを出してくれると思うのです。そのためにこそ、私は、内地ではとてもそんなことは考えていけないし、考えられない、あるいは各省がとても首を縦に振ってくれない各種特別措置というものを次々にいままで出してまいりました。これはすなわち、過去二十五年になぜ沖繩が九十八万の人口をかかえる島になり得たのか、そのことを分析して、その原因の一つ一つはなるべく残したい、しかもそれよりかプラスするものを取り入れていきたいということを願うからにほかならないということでございます。
  24. 中谷鉄也

    ○中谷委員 資本というのは、論理というものは非常に合理的であり、また非常に冷酷であるというふうに私も思います。しかし、そういうふうな問題について長期計画の問題をお尋ねをし、今度はぐっと身近な問題といいますか、切実な問題、非常に小さな問題でありますけれども公正取引委員会にお尋ねをしておきたいと思います。これは長官もぜひ聞いておいていただきたい。本土資本企業に対して、一つの警告を発するという意味でも、私はぜひこの問題については適切な処置をおとりいただきたいと思う。  琉球がすりというのが琉球の地場産業として、これはもうとにかく零細な人たちが一生懸命にやっている。ところが、北陸のある県のある町が、あとで明確にその点については御報告をいたしまして処置をしていただきたいと思いますが、琉球がすりという織物の機業地ですね、それが琉球がすりという表示をつけて本土において販売をしている。とにかく沖繩においては、パスポートによって本土と遮断されている、手の打ちようがないということで非常に嘆いている。しかし手の打ちようがないはずはない。この問題についての公取のひとつ見解と、申告をいたしますから、それについての処置を簡潔にお答えをいただきたい。
  25. 中村雄一

    中村説明員 お答えいたします。ただいま先生の御指摘の問題につきましては、景品表示法第四条の不当表示に該当するおそれがあるのではないかというふうに考えております。
  26. 中谷鉄也

    ○中谷委員 不正競争防止法にも触れるんじゃないかと私は思います。これは公取の御所管でないのかもしれませんけれども、いずれにいたしましてもこれらの問題がある。復帰前にすでにそういうふうなことは、私は残酷なことだと思う。そういうようなことは、これは庁の長官のほうにもあとで私お知らせしますから、こういう問題については、ひとつ長官のほうにおいても適切な処置をおとりいただきたい。  そこで次に、裁判権の問題については、当委員会においては繰り返し繰り返し論議をされております。私自身、本日はあらためてこの問題について若干整理をして質問をいたしたいと思います。  四十五年の七月十八日に、大臣のお手元に参っておると思いまするけれども日本弁護士連合会のほうからの要望書と題する書面が届いております。要するに、米軍人軍属等による凶悪犯罪が沖繩においては頻発をしている、そういうふうなことが結局最も典型的しかも日常的な沖繩における人権侵害だったのだ、こういうことはもう日弁連の指摘を待つまでもなし、われわれもまさにそうだと思うのです。その問題について、一体どういうふうな措置を今日まで政府はおとりになったか。それについては一九七〇年の八月二十四日の共同発表、米軍と琉球警察は捜査共助の強化を発表したというところの共同発表に基づくところの内容、こういうものがあるわけであります。しかし私自身は次のように本日は問題を提言をいたしたいと思う。要するに、捜査権について、捜査共助の強化というものについての措置をおとりになった。長官の山野さんのほうから、そのことによって検挙率が上がったかどうかという点についてはまず実態をお答えいただきたいと思いますけれども長官に御答弁をいただきたいのは次の点です。  要するに、捜査というものがあって、そうして裁判というものがある。その中間項にあるのは一体何だろうか。これは、捜査をした結果、裁判にかけるべきだと思ったものについては公訴を提起する。要するに裁判にかけるという公訴権というものが私は中間にあると思うのです。だから、裁判結果については知らせますよということはかりにあったとしても、捜査というものは本来公訴を目的とする。公訴すべきかせざるかということを目的としてやるのが捜査権の行使なんです。そうすると、裁判権の問題については、すでに日弁連諸君も、裁判権の移譲ということが法律的に法理的に可能なんだということを言っている。政府も法理的にはそのことを認められた。しかし、いま現実的な課題として、沖繩県民への米軍人軍属の人権侵害に対して、そういうふうなものをはね返す道は一体何だろうか。これは捜査の範囲を拡大していくと同時に、公訴権に対して沖繩の警察が、沖繩の検察庁が、すなわち沖繩が、何らかの形においてかかわりを持っていくという点に私はなければならないと思う。じゃ、どんなかかわり合いを持つのか。私の提言は次のとおりであります。米軍のほうにおいて公訴を提起するにあたって、公訴を提起しないにあたって、この点について沖繩と協議をすべきである、あるいは沖繩に対してその点について意見を求めるべきである、不起訴にする裁定をした場合には、沖繩のほうにおいてそれについての異議の申し立てをできる権利を沖繩に与えるべきだ、こういうことでなければ沖繩の米軍人軍属によるところの、沖繩県民の人権というものは守れない。それは私は法律家としては精一ぱいの、最小限度の要求だと思われる。また沖繩県民のほんとうに最小限度の要求だと思う。これはぜひとも大臣の手においてひとつこの問題をそこまで沖繩県民の人権を守るために私は広げていただきたい。この点について、外交ルートにのせるなり、あるいは長官自身この問題について問題を提起されるなり、こういうふうなことについてはあなたはどういうようにお考えになるか、お答えをいただきたいと思います。
  27. 山中貞則

    山中国務大臣 この分野は、むしろ私が中谷君に学ぶ分野のほうが多いのかもしれません、私、法律の専門家でありませんが。さらにまた、これを米側と話します窓口は外務大臣、外務省ルートでございます。しかし私は、外務省に対し、また日米協議会の席上において、さらにまた現地に行った場合も、直接責任者の弁務官その他とも会った場合において、私のことですから、自分に発言権があろうとなかろうと、権利があろうとなかろうと、なお施政権下にある間も、沖繩県民の唯一の擁護者として責任を負わなければなりませんから、言いたいことは言い、あるいはやらなければならないことは、たとえば今回の米側の公安局とそしてさらに琉警との間に取りきめが結ばれました内容についても、私たちはもっときびしい内容のものを、中央の警察庁ともよく相談をいたしまして、でき得る限りこういう方向で進めてもらいたいということであったわけでありますが、これはやはり琉球政府の警察の感触とも少し事前調整が足らなかったせいもありまして、簡単に、現行犯はゲートから入って追跡したらいいじゃないかとか、あるいは琉球政府、裁判所の発行する令状によって米軍人を逮捕拘禁したらいいじゃないかというようなこと等も、現地の事情から見るとなかなか、ベトナム帰りの野戦のにおいのぶんぶんする兵隊がおるゲートの中に、幾ら現行犯とはいえ、どうしても、向こうのほうの立ち会い人がおってくれぬと、沖繩の警察官自身がなかなか追っかけていくことは無理があるということを提起されまして、なるほどやはり深刻な問題だということをあらためて考えさせられたわけですけれども、あらゆる模索もしておりますが、あなたの提起された公訴権という問題が、裁判権とそれから逮捕、捜査権との間にあるということでありますが、これはどのような法律の定義によってそのようなことがあるのか知りませんけれども、むしろ教えを請うほうですが、そういう公訴権というよりも、いわゆる米側が考えている施政権の保有としての裏返しが裁判管轄権であるという考え方です。いわゆるアメリカ側からすればこれに聖域というものがあるのです。その場合において私たちがどこまでそれに迫れるかという場合におけるその周辺の問題だと思うのです。逮捕、捜査という問題が裁判管轄権の隣接地まで入っていくことは当然のことでしょう。しかしまた一方において、その逮捕し、琉警のもよりの警察署の留置場に一晩とどめて、そして被害者あるいは周辺の聴取調書等を添えて向こう側に渡していく。そして裁判の公開を要求するというような、あるいは裁判中に外国に逃がしたりしない、帰国させたりしないというようないろいろな条件をつけていくことによって、米側から見れば逐次、自分たちの裁判管轄権に迫ってきつつあるという感触を率直に言って持っておるようです。したがって、ここに公訴権という新しい定義を持ち出したからといって、それが一体中身は何なのか、どういうことなのかということを明らかにして、そこまで譲るか譲らないかという具体的な問題になって私は結局は議論されるだろうと思うのです。ですから、公訴権ということを認めるか認めないかという議論は、これはもうやめることにしまして、そのような問題において、いわゆる裁判管轄権のどこまでを私たちが迫るか。裁判管轄権そのものを施政権返還以前に返せという要求はやってみてもおそらく不可能であろう。私はやってはみましたけれども、それは自分たちは施政権と同義語だと思っているという言い方をしておりますし、また本土も独立後、しばらくの間は裁判管轄権を取り戻すことができなかったというような事実もありますので、なかなかむずかしい問題であると考えておる次第でございます。
  28. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私自身この問題は、何べんも何べんもやっておる問題だし、人権の侵害については一番基本の問題でありますので、少し力んで質問し過ぎたのかもしれません。そこで、もう少し簡単に申します。要するに、裁判をして、無罪か有罪かをきめるというのは裁判です。捜査をする、有罪か無罪かをきめるために裁判にかける、検察官がやる仕事ですね。米軍の検察官が裁判にかけない率のほうが多かったら、これはもう裁判の結果が重いも軽いも問題にならない、裁判にかからなかったらどうにもならないわけですから。そういう裁判にかける権限というのはとにかく米軍が持っておるのでしょう。裁判権とは別に持っておるわけだ。しかしそのことについて、これは裁判にかけますという連絡がある。私は当然連絡をすべきだという提言なんです。かけない場合には、こういう理由でかけません。そのことについては、とにかく沖繩の検察庁あるいは警察となぜかけないのだということを協議できる、そういうとにかく制度といいますか、話し合い、合意をひとつぜひともつくるべきだ。そしてもしどうしても沖繩のほうは裁判にかけるべきであるという場合には、かけないのはおかしいじゃないか、これはかけるべきですよということが言える、そういうふうな機会というものを設けないと、なぜ不起訴になったかわからないと、これはどうにもならないですからね。事は重大でありますけれども、私が提言していることはきわめて簡単なことなんです。それは裁判権という範囲がむしろわかりにくい概念であるのかもしれないが、その聖域に踏み込んでいくことで決してないと私は思う。だから、あるいは捜査権を拡大したということ、私は拡大だと少しも思っていませんけれども、しかし努力をされて、いま一歩のところですから、そのいま一歩の努力を大臣ぜひやっていただきたい。これは沖繩県民期待にこたえて日弁連もがんばっておる、野党のわれわれも努力をする、政府がこの問題について努力されなければおかしいじゃないかということを申し上げておるのです。この問題については努力をするという御答弁をいただきたい。
  29. 山中貞則

    山中国務大臣 公訴権の問題というのがそういう意味合いの表現であることはわかりました。それならばアメリカ側だって、これ以上現地の県民の方々とぎすぎすすることを好んでいるとは思っておりません。ただ裁判管轄権という架空の、いわゆる権力というものの中に立ち入ることに通せんぼしているような感じがするだけですから、いまおっしゃったように、不起訴にするならなぜ不起訴にする、それがおかしいならおかしいと言い合える間柄をさらに一歩前進させるべきだということで、そういう意味ならよくわかりますので、そこのところは私のでき得る範囲努力をしてみるつもりでございます。
  30. 中谷鉄也

    ○中谷委員 山野さんの御答弁をいただかなければいけないのですけれども、あと十分だという紙が回ってまいりましたので、実態についてですから、あとでまとめて御答弁いただくことにして、別の問題に移りたいと思います。  実は、われわれが全会一致で、そうして沖繩県民のたいへんな要望の中で、期待された国政参加のための衆参の選挙がいよいよ行なわれるわけですが、私はそのことについて次のような点だけぜひとも御努力をいただきたい。また当然憲法問題といいますか、憲法が沖繩に現在適用されていないとかなんとかじゃなしに、まさに選挙の基本的なあり方にかかわってくると思いますので、私は思想、信条その他を離れて、まさにそのようなことで選挙の公正が害されてはいけないという立場から質問をいたしたいと思います。  私は、質問する前提としての動機について申し上げておきたいと思いますけれども、あらためてよくこういう判決を出したものだと思うが、鹿児島県知事の選挙干渉に基づく衆議院議員選挙の無効判決というのが昭和二十年三月一日に大審院で出ているという、われわれはそういう歴史を持っているわけでございます。これは言うまでもなしに、翼賛選挙が行なわれた中で、当時の官選知事の非常な選挙干渉があったということについて、非推薦であったところの人たちが訴えた。そうすると昭和二十年三月一日、ちょうど四月一日が米軍が沖繩に上陸してきた日ですから、まさに本土決戦のまっ最中、そういうようなときに選挙無効の判決が出ている。とにかく選挙についての監督をし、執行する知事が干渉したということは、選挙は全体として無効なんだ、選挙そのものがだめなんだという選挙法についての名判決、非常に勇気のある判決だとされているのだけれども、同時に選挙のあり方を私たちに示した判決だと思うのです。そういうような点で、渡航制限ということで、ある人については理由を示されずに、選挙の応援に行きたいと思ってもパスポートがおりないというふうな状態の中で選挙が行なわれるというようなことが、はたして公正な選挙が行なわれたということになるのだろうか。これはもうとにかく琉球政府か、あるいはまた本土政府が、そんなことについては好ましくないことだとか、あるいはまた非常にいけないことだとか、努力したのですけれども、そういう実態が起こった、それは天災だというわけにはいかないと私は思う。要するに、客観的にそういう不公正な状態がかりにあったとすれば、これは私は昭和十七年の翼賛選挙と同じような状態だということも、論理としては言えるだろうと思う。昨日三木武夫さんが、私は非推薦でとにかく立候補したといって、国民にじかに訴えられた。そのことも関連いたしまして、まさに沖繩の選挙の中においては、選挙とは何か、政党とは何か、政治のあり方とは何かということをお互いに問うような選挙というものが、沖繩県民の中において戦われるべきだと私は思うのです。’そういうような点で、選挙の応援に行きたいというふうな者に、それは、パスポートを出す権限がアメリカにあるのだ、チェックをするのはアメリカなんだというふうなことはあったとしても、パスポートが出ないという人間がおるということは、私は選挙の公正ということで、選挙全体を無効にするおそれだってあるじゃないか、こう思うのです。長官のこの点についての御努力をぜひともお聞きしたい。そういうことは今後絶対ありませんよ、そういうことなしに選挙に突入できるのですよということであれば安心もできますし、それならそれでいいと思う。それは全くあたりまえのことですけれども、そのことは非常にいいことだと思うのです。ひとつその点についての御答弁をいただきたい。
  31. 山中貞則

    山中国務大臣 昭和二十年の選挙干渉の無効裁判とはちょっと違うと思うのです。沖繩においては、選ばれるべき資格を持つ人が自由に立候補し、そして投票権を持つ者は自由な選挙をやっているわけであって、米軍が別段革新といいますか社大党とかその他の党を押えているわけではない。あるいは琉球政府主席や局長が特別職で選挙活動が自由だからといって、琉球政府が権力をもって、あるいは警察力を行使して自民党候補者を押えているわけではない。その意味では私は本質的に違うと思うのです。しかし、いま二十五年間の隔絶から本土を目ざして選ばれる衆議院五名、参議院二名の諸君が選挙を行なっておる、これにやはり本土の各党の応援団が行って、スタンドから旗を振りたいのだ、ところが特定の政党関係者が、そのスタンドに行って旗を振ることを許されないということが問題だと私は認識いたしております。しかし、このこともじゃどうなんだといえば、私は非常に好ましくない。私たち日本として、もうすぐ祖国のふところに抱きかかえる沖繩というものに対して、渡ることが何でいけないんだ、往復ともに自由であるべきである。でありますから、われわれは何らの制限もいたしておりませんし、むしろ沖繩行きの年間件数の多い県に渡航事務を委譲する考えでいるわけですし、それをやっているわけです。そこまで来ていて、何らのチェックもしていないのに、これは米側の公安局というサイドが主になるらしいのですけれども、われわれとしてはわからない根拠をもって、現実に日本の側では何のチェックもしていないのに、入域許可というものが出ないということによって、実質上パスポートがおりても渡航できないという事態があることは、私も数多く知っておりますし、各政党の方々から、山中何とかしろというきびしい御意見がしょっちゅうあるわけです。ことに今回の国政参加選挙は、沖繩県民にとって二十五年ぶり、たいへんなことなんだ。このときに応援合戦で応援して、票がかりに動かないとしても、景気づけが一方だけ許されて、一方が許されぬというのは不公平だということも私よくわかります。ですから、私たちは一生懸命向こうに向かって、渡航業務をもっと円滑にしたい、そしてよほどのことがなければ、暗殺のために行くとかなんとかいうことがない限り、自由に行けるようにしてほしいということで、強く迫っておりますし、最後は、どうしてそういうことをするのか根拠を示せというようなことまで言ってやったのですけれども、全然これには返事がありません。やはりこれは軍の考え方というものが強く影響しておるということであって、現在の施政権がそう長く続くものでもありません。長く続かなければ、終了した時点において自由に行き来ができる沖繩なんですから、その意味で米側にあまり硬直しないで、自由な状態をつくり出すことに日米両国が協力したっていいじゃないかというのですけれども、この点だけはどうも裁判管轄権と似たような非常に巨大な壁があって、私も何べんもぶち当たっておりますが、いまだに好結果を得ていないということについては、はなはだ残念であり、申しわけないと思っております。
  32. 中谷鉄也

    ○中谷委員 長官率直に御答弁になって、とにかく長官自身が壁にぶつかられた、これははね返せないのだ、なかなかこの壁が破れないのだとおっしゃる。そういうことであれば、あとは私自身の所感を述べるにとどまることになるわけですけれども、要するに官選の知事の干渉であっても選挙無効というふうな判決が出た。施政権というおもしがあって、そのおもしをわれわれは何らかの形においてはね返そうとして努力してきた。その中でそのおもしが入域を許可しないというかっこうで出てくるということは、翼賛選挙と同じようなことになるんじゃないかというのが私の論理なんです。そういうことは沖繩における国政参加としてはなはだ好ましくないし、あるいは単なる好ましい好ましくないという感じの評価の問題じゃなしに、選挙そのものが、そういうことで公正な選挙が行なわれたという法律的な根拠が与えられるんだろうかという問題にもなると私は思うのです。その点については、もう当然山野長官にしろ山中長官御自身十分に問題意識をお持ちになっていると思うのですが、選挙突入を直前に控えて米国とさらに、そういうことが国会で野党の議員の中から質問があったというかっこうにおいて、いま一度御折衝されることを私は強く要望いたします。一言だけ御答弁いただきたい。
  33. 山中貞則

    山中国務大臣 私は米側にもはっきり言っておるのですが、どうも米側の気持ちがわからないのですね。それほどいやなことなら、国政参加なんという、復帰以前に施政権下にわれわれの同僚として国会に出てきて、わが沖繩はこんなふうになっているということを堂々と訴えさせる、しかも速記録にも残る、そういう行為は賛成しておいて、それの応援団が行くくらいのことまでチェックするという、そこらのところの感触はどうもわからないので、国政参加まで認めているんなら、応援くらい何人行ったって、別段破壊活動に行くわけじゃあるまいし、いいんじゃないかというのです。アメリカだって国内で非合法政党はどこだと別段きめているような国じゃないでしょう。だから、そういうことを一方的にある分野で振り回しても困るんじゃないかと言っているのです。私はこういう男ですから、ざっくばらんに言っておるのですが、全く返事が返ってこないというのが事実であります。
  34. 中谷鉄也

    ○中谷委員 委員長、あと五分だけいただきまして、大急ぎで別の質問をいたします。  沖繩が二十五年間、とにかく四分の一世紀本土から隔絶されておったということはたいへんなことだと思うのです。そういうふうな中で、やはりいろいろな制度が定着をしたと思います。そういう中で復帰対策本土との一体化、制度上の一体化あるいは同一法律の適用、いろんなむずかしい、また当然やらなければならぬ問題がありますけれども、たとえば教育委員会の公選の問題について、これはもう当然任命制に変わるんだというふうに文部省はお考えになっておる。しかし、既成の行政にしろあるいは立法にしろ補助サービスをする立法にしろ、中小企業の立法を私調べてみましたけれども、現に沖繩には一つか二つしかございませんね。本土には二十も三十も通産六法の中にあるのに、沖繩にはその中で二つぐらいしかない、こういう状態です。しかも、現に沖繩には教育委員会の公選制度については法制化されて、制度として二十何年定着している。そういうようなものが制度の一体化ということで——沖繩県民が公選制をもし強く要望しているならば——私は要望しているという独断的な前提に立ちません、要望しているということは当然そういう前提があると思いますが、そういうことならば、こういう制度は簡単に任命制にするのがあたりまえだというようなことは、沖繩県民の心情に沿わないのではないかと思う。たとえば自衛隊の問題だって新聞は論評しました。安保条約の適用を受けるようになるんだ、同時に日本国憲法の適用を受けるのだ、それは非常にけっこうだ、だから自衛隊が行くのはあたりまえじゃないか、こういうふうに論理がはたして展開していいんだろうかどうか、これも私非常に問題があると思う。自衛隊の話は防衛庁の関係の人にお尋ねすべきことだと思いますけれども、制度というものをどのように見るかという、しかも二十年以上定着してきた制度をどのように見るかという問題の中で、簡単に教育委員会の公選制が任命制に切りかえられるのはあたりまえなんだということでいいのかどうか。むしろ憲法九十五条の特別の立法をつくってということを文教委員会で言った人がいるようでありますけれども、私の見るところでは、むしろそういうものについては憲法九十五条の住民投票を当然しなければならない問題、現にある沖繩の法律というものはその関係においては廃止されないんだという考え方を持つわけです。この点になりますと、あと五分だけと申し上げて、若干理屈っぽくなりまして話が長くなりますから、制度というものは、たとえば教育委員会の公選制を任命制に簡単に切りかえるということ、それが当然のごとくということではたしていいのだろうかどうだろうか、この点についての大臣の御見解を承りたいと思います。  なお、たいへん恐縮ですが、あと一点だけ質問いたしておきます。  実は、これも私はある意味では非常に問題があると思うのです。というのは、七三年に沖繩で国体をおやりになる。そしてそれは総理じきじきのお達しで、何か銘を打って特別国体というお話だそうであります。七一年には和歌山で黒潮国体、七二年には千葉で若潮国体、そして七三年には特別国体ということで沖繩へ行くのだというのです。しかし私は前提があると思うのです。国体というのは、長官はそんなことは十分御承知でありますけれども、県の持ち出しが普通の県で四十億や五十億ぐらいある。いよいよ長期経済計画を発足させようというときに、国体のためのそういう持ち出しということ、沖繩県がそういう金を持ち出しての国体ということは私は不適当だと思います。しかし、国体をやることにそれほど総理が執着し、また国体をやることが沖繩県民を勇気づけるというならば、全然沖繩県民に直接経費なども負担させない——直接経費等も一億や一億五千万は要るでしょう。そういうものを負担させないという前提なら、野党の私たちも国体は賛成だと思うけれども、とにかく医療制度、いろんな制度を見てみましても非常に格差がある。その沖繩において県が金を持ち出しての国体というようなことは不適当だし、そんなことは結局政治の方向が非常な枝道にそれていくことだと思います。そういうことが前提であります。一体特別国体というのは、内容はよくわかりませんが、あっちこっちで聞いてまいりまして、国体じゃない国体だというふうに承知いたしておりますが、そんな前提をお立てになって国体をおやりになるのかどうか。この二つを私はお尋ねしておきたいと思います。
  35. 山中貞則

    山中国務大臣 教育委員の任命制の本土復帰に伴う本土制度並みへの移行という問題ですが、これは、いま任命されておる人たちの残存任命期間中ぐらいの暫定措置等についてはあるいは配慮しなければならぬかと思いますが、残す残さぬの制度の問題はやはり仕分けがいろいろあると思います。教育というのは、日本じゅうのどこの地域でも、義務教育に関する限りは生徒たちが教育を受ける環境というものは同じでなければならない。ですから、沖繩の制度がすぐれているともいないとも私は言いませんし、すぐれているいないの論争は水かけ論争であろうと思いますが、どちらがすぐれているにしても、本土が、残りの四十六府県が全部同じ方法をとっているならば、沖繩も教育については、子供たちのために教育というものは同じ制度であるべきだ、そういうことから教科書も送り続けてきたということがあるわけですから、それは本土のほうでしゃにむにいい制度を悪い制度に切りかえるんだ、党派の違いもありましてこのことは議論する意思はありませんが、そういうふうに受け取らない議論で冷静に処理すべきではなかろうか、私はそう思います。しかしながら、同じ制度でも、魚やみそ、しょうゆに物品税がかかっていたりというようなことは、もうすぐある意味の本土並みにしなければならない、食べものに税はかけないという状態にしてあげなければならない。こういうものと同じように扱わないで、やはり教育の問題は別な問題だ。それだけに大切な問題ですから、場合によっては与野党あるいは政党ごとに意見が違うこともあるかと思いますが、問題は子供たちのために同じ制度であってほしいということを願っておるということを私は申し上げるにとどめたいと思います。  さらに、七三年春四月予定の沖繩復帰記念特別国体についてのお尋ねでありますが、現在では、沖繩は国体のメーンスタジアムをはじめとする各種競技場、さらにそれに対応します選手団が幾ら行くかわかりませんが、しかも春は観光シーズンとぶつかるということを考えますと、現在の民宿を考えましても、収容の面においてキャパシティそのものが、能力そのものがどうも不足であるし、さらに決定的なことは、輸送手段が航空機、船舶、いろいろ使ってみても、かりに選手を国体の半分、いまの岩手国体は最大の人間が行っているそうですけれども、せめてその半分くらいというようなことに押えるとしても、選手並びに監督その他の役員、さらにこのついでにといって行く人たちも父兄等あるでしょうし、相当な数の人が沖繩に短時日の間に一挙に渡って一挙に引き揚げるということを考えますと、輸送手段というものもなかなかだと思うのです。しかしながら、最低、復帰までに新しく建造される船等の収容能力、あるいはそれをどのように有効にピストン輸送するか等の計画の立て方によって可能な人数、あるいは競技場施設その他についても、奥武山の競技場ではなくて、コザの新しく設計できる地域をメーン地域としたところのレイアウトをしていく。新しい沖繩の体育施設、さしあたりの七三年の特別国体に間に合う施設というものを、高等学校の屋内体操場とかいろいろ含めまして、そういうものを精一ぱいやるということで、収容能力については、これは民宿その他も含めまして問題はなお残るわけでありますけれども、幸いわれわれとしては観光政策というものを沖繩の今後の大きな未来への一つの柱にしておりますので、民間の計画その他がうんとあるようでございますが、これらを質のいいものは開銀の観光地方融資ワク等に組み込むことによって、これはつくることがきまれば間に合うわけですから、それらのもので間に合わせることにして、七三年特別国体というものは一応開くことにいたしました。しかしながら、沖繩人々は七三年の春にあわただしくそんなことをやってもらって、かりに本国が全額経費をもってやってくれたとしても、われわれはその仕事にも追われるし、またこれでお茶を濁されて、沖繩があと七、八年後にほんとうに国体をやって、わっと沖繩でスポーツの交歓を復帰の何年か後にやってほしいのだ、それまでに毎年毎年きちんと国の投資も含めた沖繩の新しい体育施設が整っていくことを希望するというその希望に私たちは沿えるかどうかという問題が相当残ると思います。そこで、私も総理に——やはりおそくても、五十年が三重県のお伊勢さんのちょうど遷宮か何かに当たる年で、四十九年までしかまだきまっていないそうですが、五十年は三重県を希望しているようだから、はずすわけにもいかぬだろうとなると、五十一年くらいになりましょうかね。そこらあたりには沖繩で本格的な国体を、あたりまえの国体を開こうということで、七三年春に沖繩復帰記念特別国体をやってみる。それから引き続き毎年の公共投資その他の教育設備投資によって、五十一年を目ざしての沖繩県民へのあまり負担をかけない形での国体への整備が行なわれていく。やがてそれが沖繩県民人々の長い後世に、教育、体育、スポーツのメッカとして提供される施設になるであろうということを前提にしなければだめだということで、一応総理と私と意見が一致しましたし、あと文部大臣も原則的に了解しておりますが、体育協会その他の関係者方々の御了解もいただかなければなりませんので、まず順序は逆にお考えいただいて、なるべく早い機会に、昭和五十一年をめどに沖繩において国体を開く。しかし、さしあたり復帰の年のお祝いの行事として、七三年の春に復帰記念特別国体を開催するというふうにお受け取りいただきたいと思います。沖繩側も、それならばいまのところ異存があるようには承っておりません。
  36. 中谷鉄也

    ○中谷委員 私の質問は終わりたいと思います。長官の山野さんのほうの御答弁と、山野さんに二、三お尋ねしたい点がありましたけれども、主として財源のことについての質問になりますので、答弁も含めて次回に譲りたいと思います。  国体については、来年私のほうの和歌山が国体の開催地で、どれだけ市町村の事務が過重になっているかというような問題についてはうんちくを傾けて質問をする材料を持っておりますけれども、時間切れでございますので、この程度にしておきたいと思います。  終わります。
  37. 池田清志

  38. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 去る九月一日付の朝日新聞によりますと、「沖繩返還協定は簡略に」こういうことで、八月三十一日に開会されました第三回の沖繩返還協定に関する愛知外務大臣とマイヤー大使との会談で意見が一致したようであります。私たちは、完全な返還協定が一日も早く作成されて、一カ月でも早い沖繩祖国復帰期待しているのでありますけれども、一方、国内の各省における沖繩返還の準備作業がどのように進捗しているか。たしか各省には沖繩対策室という窓口ができているように聞いておりますが、各省の窓口のまとめ役であるところの総理府それから沖繩北方対策庁では、各省の作業の進みぐあいをどのように把握しておられるか、まず最初にこの点をお聞きしたいと思います。
  39. 山中貞則

    山中国務大臣 各省とも、私の対策庁を通じてほぼ順調に予定どおり推移いたしております。ただ問題は、総理が国連記念総会に出席をいたしますために、日本をもうすぐ留守にいたします。そうすると、私たちの党内事情ですけれども、帰ってまいりまして総裁選挙、並びにそのあと総裁即総理のわが党の立場から内閣改造等が行なわれます。そこで、来年の臨時国会あたりに提案すべき予定の中の法律の中身で、沖繩のおおむねの特別措置、暫定措置、経過措置等について早目に示しておかなければならない、示しておいたほうがよろしい問題、たとえば現在の琉球政府の中の金融機関の一つである農信連、漁信連への切りかえ問題の原資のトラブル等がございますが、この議論等についてもやはりすみやかにその方向をお示しするということで、一応十月一ぱいということを申し上げておったわけです。そのときに総裁公選の日取りがわからなかったのかと言われると一言もないのですけれども、国連へ出席するものやら、新しい総理ができるものやら、これは新しい総裁でございますが、になるものやらわからなかった時期においては、少なくとも十月ごろということをめどにいたして、現地方々にもそう申してまいりました。ところが結果はこのようなことで、十月の末に発表をするにはあまりにも政局動揺しておる中でございますので、私自身の判断というものが、各省大臣もひっくるめて、全部一糸乱れぬ足並みで関係閣僚会議を持ったときにそれがきれいに決定できるかに疑問がございます。ですから、あと新しく出発いたします内閣のなるべく冒頭に、全員が沖繩関係閣僚会議において承認できるようなものにして、若干月が変わるものですからおくれるように見えますけれども、日にちにしては、まあまあ十日ぐらいのズレの間にはまとめたい、そこらが少し状況の変化であります。あとは、おおむね順調に進んでおります。
  40. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 いま長官の御答弁を伺ったわけでありますが、私たちは、現在耳にしあるいはまた把握しております沖繩復帰に関する本土側の各省の作業について、二、三の懸念がある。  その第一は、各省に沖繩対策室ができたけれども、実質的な作業は各省ともまだあまり進捗してない、いまいろいろと御答弁がありましたけれども、そのような声を実は聞くわけであります。かつて外務大臣そてしてまた総務長官御自身も、約一千以上の法律上の手直しが必要であるとこの委員会においても言われたわけでありますが、現在の段階で本格的に準備作業に取りかからないと、七二年の返還には間に合わないのじゃないかと私たち非常に心配をしております。いまの御答弁でむしろ意を強くしたような感がありますけれども、ここで念のために、七二年返還を目ざしてほんとうに考えた場合に、はたして現在の進捗状況で間違いない、このように了承してよろしいでしょうか、この辺をちょっとお伺いいたしたいと思います。
  41. 山中貞則

    山中国務大臣 これは結論から申しますと、絶対心配ないようにいたしますし、だいじょうぶでございます。しかも、対策庁長官が生まれまして、長官限りで各省の調査団等の沖繩渡航等の許可ができるわけでありますけれども、一応調査等は全部、その結果も、あるいは何のために行くかも私が掌握し、各省の関係もありますから、全部を私がなるべく報告を聞くという必要がありますので、山野長官のほうより私のほうに、非公式決裁文書でありますけれども沖繩に祖国の役所、各官公庁から実態調査その他に行く、相談に行く、指導に行く人たちは、全部私の手元を通るような仕組みに、特例をもっていたしております。本来ならば外局の長ですから、一々そのような内決裁は要らないところでありますけれども、そこまで気を配っておりますので、行きました視察団なり調査団なりの報告は全部直接あるいは最悪の場合は文書等でとっておりますけれども、極端に私の予測いたしておりましたスケジュールと違うようなものが飛び出してきておるとは私は思っておりませんので、繰り返して申しますが、順調に復帰のときまでにはきちんと始末いたします。
  42. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 ただいまの御答弁の再び確認みたいになりますが、各省の沖繩担当官が何度も沖繩現地を訪れられて、調査に行った。沖繩の特殊事情もよくわかって、現地でいろいろと陳情も受け、そして今日に至っているわけですが、これをいざ法制上に生かそうと思って作業を進め、草案をつくって、局長あるいは上司にお伺いを立てると、なかなか採用されないというか、むしろ修正されてしまう、こういうような場合が多いように聞いております。本土の現行法令からすれば、もちろん事務レベルにおいてどうにもならないことも多いのではないか、このようにも想像されますけれども、どうか大臣から強く、多少本土の従来の法制のワクをはみ出しても沖繩の特殊事情を盛り込んだ案をつくれという指示といいますか、こういうものがなければ担当官としても非常に作業が進めにくいのではないか、このように思います。政府もすでに三月三十一日に閣議決定をもって沖繩復帰対策基本方針をきめておりますけれども基本方針の線に沿って、各省の大臣が所管事項に対してどんどん指示を下して、各項目あるいは事項別に一つ一つ具体的に問題を片づけていってもらいたい、このように私思うわけです。この点に関して、長官の決意のほどをひとつお聞きしておきたいと思います。
  43. 山中貞則

    山中国務大臣 事務当局の中では、いろんな過程における議論がありますことは当然でありまして、これが議論なしでやられて、無責任なものをつくられては困りますから、やはり議論はしてもらいたいと思いますけれども、最終的には関係閣僚協において、私のつくりました案について了承を求めるわけでありますから、国会に提案する責任も私が負うわけでありますし、その意味で、各省の役人の段階でいろいろと議論がありまして、私自身がいままで沖繩人々との相談上一番望ましい、できればそこまで行きたいと思っていることと著しく違うような方向に作業が行っているような感触がときにあります。   〔委員長退席、床次委員長代理着席〕 そのときには直ちにそれに対して警報を送りますので、またもとの軌道に修正されていきますので、いまのところは山中ラッパの鳴り響いた数々の条項はほぼ全部盛り込まれること可能であるという作業の進捗中でございます。
  44. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 それでは次に具体的な問題になります。これは非常に具体的と申しますか、こちらから今後の方針をお聞きするわけで、要点のみでけっこうでありますので、ひとつ各項目ごとにむしろ簡潔にお答えをいただきたい、このように思います。  まず道路に関する問題点でありますが、二つほどお聞きしたいと思います。  まず第一点は周遊道路についてですが、現在あるものは道路の幅が非常に狭い。非常に狭過ぎて不便であるということであります。こういったことを見るにつけて、いかに計画がずさんであったかということを痛感せざるを得ないのでありますが、地元住民の声を聞きますと、何とかこれを本土の国道並みに、すなわち国道に準ずるものにしてほしい、また一日も早く舗装をしてほしい、こういうことであります。  またその次は那覇から糸満に至る道路を見ますと、ところどころが舗装されておって、そうでない個所は道路とは言いがたいような状態のまま放置されているのが現状であります。特に革新首長が出たときは何か道路の予算が打ち切られた、このようなことも聞いておりますけれども、前に述べた周遊道路の問題に対する今後の対策とあわせて、ただいま申し上げた那覇から糸満に至るこういった道路の状態に対しての将来の計画をひとつこの際お答えいただきたい、このように思います。
  45. 山中貞則

    山中国務大臣 北部の循環道路については、他の主要離島四島と本島の一カ所を含めて五カ所、復帰記念事業として今年度予算から出発をいたしました。来年度もその第二年度として、復帰の年までに間に合うようにこれを急ぐわけでありますが、これはもう現状はあなたの言われたとおりでありまして、私自身も行くひまがないし、時間がさけなかったくらい、非常に峻嶮な、しかもジープをもってしても相当な戦闘服に近いかっこうをして行きませんとなかなか行けない。幸い私のところの湊副長官が東海岸をずっと回ってくれたのでありますが、いや、聞きしにまさるものでございました、こう言っておりまして、その意味では産業開発、パイン、キビ等の耕作の面からも、あるいは水資源等の唯一の残された地域である安波川、晋久川一帯の調査が今日までおくれたこと等からも考えて、これは日本政府の責任ではあるいはなかったにせよ、現状まことに申しわけないことだと思っております。しかしながら、これは復帰記念事業で急速に整備をされますので、もちろん拡幅、改良舗装ということで、りっぱな周遊道路と申しますか、循環道路ができ上がる、これによって北部の山岳地帯を含む一帯の開発は急速に進むであろうと考えます。  糸満−那覇間の道路については、山野長官から答弁させていただきます。
  46. 山野幸吉

    ○山野説明員 糸満−那覇間の道路につきましては、従前は民政府の援助費でやった経緯があって、その当時御指摘のような減額問題等もあったかと確かに記憶しておりますが、これは琉球政府のほうで計画的にやることになっておりますが、なお私ども明年度のいま長官からおっしゃいました周遊道路の問題とあわせて、琉球政府のなすべき道路整備、それから日本政府の分担すべき部分をよく分別しまして、計画的な整備をはかってまいりたい、かように考えております。
  47. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 関連すると思いますが、第二点といたしまして、東村とそれから久志村の間の道路でありますが、復帰が決定すると同時にここが道路そのものの工事とあわせて水道幹線の工事も米軍によって打ち切られてしまった、このように聞いております。ここで米軍の一方的な処置に対して文句を言っている時間はありませんけれども住民意向としては、当然これは一日も早く工事を進めてほしい、これが実情であります。政府としては、かかる事態が現に発生している以上、今後どのように扱っていかれるか、工事を続行すべき具体的処置を考えておられるか、ひとつこの点もあわせて御答弁いただきたいと思います。
  48. 山野幸吉

    ○山野説明員 明年度の道路費、もちろん導水管の問題もございますが、米政援助が打ち切られて、そしてそれに伴ってどういうぐあいに日本政府が引き継いでいくかという問題が各所にあることは御指摘のとおりでありまして、実は四十一号線につきましては新安謝地区からバイパスをいま日本政府の援助でやっておりますし、それから東部海岸の十三号線への連絡道路も日本政府のほうで引き継いで、一部明年度から着手することになっております。いま御指摘の個所については、私いまここで即答しかねるわけでございますが、全体としましてそういう米政援助打ち切りによる日本政府の引き継ぐ問題については、明年度の予算編成におきましても、よく相互に話し合いを進めておるわけでございます。
  49. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 道路関係は地元から非常に強い要望を直接聞いておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に琉球少年院についてちょっと伺いたいのですが、この琉球少年院の院長である池村恵寛氏という方がありまして、この少年院の状態について、非常に脱走が多い、そして一九六七年を例にとりますと、百六十七名が脱走して、これらによる殺人であるとか傷害問題が予想以上に多い、こういうことを聞いております。こういう脱走しやすい施設にもたいへん問題があると思いますけれども、同院長は非常に優秀な院長であって、最近では、ことしはまだ二十名しか脱走していない、こんなように数字が非常に減っておるようでございます。ここで院長の要望としては、本土では十四歳と十五歳を初等、十六歳を中等、そしてかなり悪質な者については特別、病気の者は医療と、四つに分けておるわけでありますけれども、目下沖繩には少年院が一つしかないということでいろいろな問題が起きているわけであります。いま申し上げたように、本土並みにこのように分けていくとともに、施設の改善をできないものかどうか、こういった直接の質問がありました。これが第一点でありまして、その次が場所的な問題で、非常に起伏の激しいところで、敷地も何か本土の半分以下である、これではどうにもならないと言って、頭をかかえているわけです。それとともに一日の食費が三十二セントで、これではあまりにもひどいのではないかという感じを私たちも聞いていたします。こういった施設に対して、政府は今後どのように考えておられるか、具体的な構想があればまず伺っておきたい、このように思います。
  50. 山中貞則

    山中国務大臣 少年院の脱走事件については、琉球政府の局長の一応やめたいというときの辞表の理由にもなっておったようでございまして、たいへん現地では深刻な問題だと思っております。ただいまおっしゃったように、内地と比べてまだまだ不足がちのところが多い一つの例だと思うのですが、しかしながら、それらの地形の中でも、やはり一番大きいのは、夜停電になって暗くなると脱走するんだそうですね。そこらのところは手が回りかねるわけでしょう。それで、ことし一応地形上土どめ工事等をいたしまして、来年は来年度予算等の中で、停電があっても少年院は停電しないようにというような配慮等はいたしておりますが、これは復帰して返りましてから、やはり青少年対策、社会保障関係施設というような意味で、相当重点を置いて考えていかなければならない場所でございますから、われわれとしても、それに対処する次善の策を予算等でも講じていくつもりでございます。
  51. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 御答弁をお聞きしまして、おそらく現地方々もたいへん意を強くしたことと思いますけれども、この院長からのお願いが一つありまして、本土との間で少年院の職員のいわゆる交換研修といいますか、こういったことをぜひやってほしいというふうな要望があるのですが、この点についてはどうでしょうか。
  52. 山野幸吉

    ○山野説明員 一般的に人事を交流して研修をやる機会は技術援助その他でございますので、そのような場合、琉球政府の要望に基づきまして技術援助計画を策定しますので、琉球政府のほうから出てまいりましたら、私ども十分検討してみたいと思っています。
  53. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 ぜひとも要望を最大限に実現していただくようにお願いしておきます。  次に、これは精神病院に関する問題でありますけれども、この病院には上与那原院長という方がおられまして、話によりますと、病床ベッドの回転率が現在〇・九二%、このようにおそるべき低い回転率であります。八名の医師が必要にもかかわらず、現在は三名しかいない、これまたおそるべき現状であります。また、ここで問題になりますのは、防音設備に関しては、結核病棟であるとかハンセン氏病、こういったところでは要求、陳情があって後に通ったにもかかわらず、精神病院の場合には黙っているからか、とにかくついていないという点で、防音設備の取りつけを強力に希望しておられたわけです。別に精神病院だからといって、そういうふうに、つけてもつけなくてもいいということではないと思いますので、ぜひともこの要望をいれて環境の改善をはかるべきと思いますが、こういったことに対してはどのように今後の方針を考えておられるか、ぜひひとついれていただきたいと思います。
  54. 山中貞則

    山中国務大臣 私たちとしては、琉球政府の持ってこられます順位をなるべく多く消化したいということを努力しております。ただいまの精神病院については、まだ琉球政府の要請がないと思っております。ただ精神病院は、中のほうが騒がしいので、そういうふうな施設はせぬでいいというふうには断定できないわけですから、やはり社会福祉施設として優先順位の中に入っていくべきものでありましょう。それらの点については、さらに事務的にもう少し、私もとっさのことで正確に答えておるかどうかすらわからない、特別な個所の問題でございますから、後ほど山野長官から調査して誤りがあれば報告をいたさせます。
  55. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 時間が非常に足りませんし、次にちょっと関連の質問もございますので、最後に私から一つだけ伺いたいことですが、米の値段とか、いろいろ物価についてでありますけれども、米は現在一キロが二十六セント、これが復帰になりますと、これから申し上げる二、三の品目が次のように変わるわけなんです。一キロ二十六セントの米が四十三セントになる、それから石けんでラックスというのがありますが、これが十セントしておるものが二十八セントになる、これは食品ですが、ソーセージでポークランチョンミートですが、これが小さいものが二十六セントしておるものが復帰後には一ドルになる、大きいもので復帰後二ドルになる、タクシー代を例にあげますと、円で言ったほうがはっきりしますので円で申し上げますと、五十四円、これが百三十円になる。このように復帰後はすべてが値上げされるわけであって、沖繩県民としては、これらの変動を一体どうしてくれるのだという不安で一ぱいであります。政府はこういったことに対して当然いろいろ配慮されておると思いますけれども、具体的にどういった措置を講じられるか。特別措置か暫定措置か、あるいは現時点において具体的な結論が出ていないものか、当然検討は行なっていると思いますけれども、ここでひとつぜひ御答弁をいただきたいと思います。
  56. 山中貞則

    山中国務大臣 それらの問題が、ここ十月中と言っていたことが少しずれますということの対象に入っておるわけです。ことに県民の生活必需物資、食糧、そういうものは米を据え置くということの言明ははっきりいたしておりますように、方向をほぼ打ち出してはおるわけですけれども、それらの点についてさらに個々の問題を抽出して、暫定、特例、あるいは相当長期的な現状をそのまま認める、いろいろな方法に仕分けをしなければならぬと思います。したがって、いま残っておる復帰不安というものは、自分は、自分の職業は、自分の家族は、自分会社はという非常に個々のケースになってきておりますので、なかなか一つの答弁だけでは一律に満足させることの不可能な事態にいま立ち至っていますけれども、これをいつまでもほうっておくといけませんので、それらのおおむねの骨子は来月の初めごろ明らかにして、沖繩方々に、せめて本格的に国会に法案が出たときにそれを拝見しよう、ではだいじょうぶらしいなという見通しは立つようにしたいと考えておるわけであります。
  57. 中川嘉美

    中川(嘉)委員 きょうはいろいろなテーマにわたって大急ぎで聞きましたけれども、何ぶん現地の要望を十分取り入れていただくようにお願いいたしまして、次に関連質問に移していただきたいと思います。
  58. 床次徳二

    ○床次委員長代理 近江巳記夫君。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 私も沖繩に参りまして、限られた日数でございましたが、できるだけのところを調査をしたい、こういうことで最近見てまいったわけでありますが、沖繩の中にも、本島とあるいは宮古島あるいは八重山、そういった群島との間にも格差がある、過疎・過密があるということを知ったわけであります。初めに私が感じた二、三の感想を申し上げたいと思うのですが、経済的にも非常に苦しい立場にある、たとえばこうした群島の宮古島等の農家の収入を見てみますと、大体サトウキビが主になっているわけですが、いろいろ経費を引きまして、大体一反当たり四十ドル、そうしますと、一町歩で四百ドル、それを一年間で割ったときに、一月当たりどうなるかということです。この間から学校給食が始まったわけですが、ある子供が食べないので、先生がきらいかと聞くと、ううんと首を振っている。どうしたことかと別室に呼んだわけです。そうすると、かあちゃんが、食べたら一ドル三十セントの給食費を払わなければいけないから、食べてはいけないよ、そういうことで子供が食べなかった。それはほんとうに一部だと思いますが、聞いてみましたら、生活保護を受けているところについては免除があるし、ボーダーラインについても、教育委員会なり政府が持って、その辺は援助がある。しかし、ワクがあって、そこからはみ出る人が相当ある。   〔床次委員長代理退席、委員長着席〕 こういうような状況で、給食費にも事欠くようなそうした農家の実態を見まして、そのほか道路の問題とか電気の問題とか、ほんとうにわれわれがなくてはならないそうしたものが非常に設備がされておらない。そういうような離島のことを見まして、きょうは時間もございませんので、特に離島のことについてお聞きしたいと思うわけですが、琉球政府のそうした今後の開発計画の中にも離島対策ということはあるわけですが、少なくとも宮古島群島あるいは八重山群島、そうした地域地域にやはり特色もあるし、困っておる問題もたくさんあるわけです。ですから、きめのこまかなそうした方面別の対策を立てる必要があるんじゃないか。あるいはまた、特に沖繩は二十五年ぶりに帰ってくるのでありますし、たとえば沖繩県離島開発特別措置法とか、そういうような法案もつくって、全般的にそうした対策を進めていくべきではないか。このように思うのですが、まず初めにこのことについてお聞きしたいと思います。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 沖繩復興開発特別措置法というものは、当然離島も含めたものとして私はつくるつもりでおります。その中で、沖繩本島とさらに先島拠点と二つ、さらにまた、それよりか離れた小さい離島の七十前後というものをまた別にという、ちょっとそこまでの計画はどうだろうか。しかしながら、本来、つくります計画が、本土における離島振興法、あるいはさきに帰ってまいりました奄美復興法、あるいは北海道開発特別措置法、それらのあらゆる地域開発条件よりももっと高い条件内容のもの、すなわち沖繩側にとってはもっと負担を軽くして効果は同じ、効率の非常に高い特別法というものをつくるつもりでおりますので、その中でさらに離島についての特別法をつくるかどうか。これはむげにノーと言っていい問題でもありませんし、離島配慮をする場合に、さらにもう一つ特別法が沖繩だけの離島について要るかどうか、これをちょっと考えさしていただきたいと思いますが、いままでの私の考えでは、沖繩復興開発特別措置法の中で離島に十分配慮をする項目だけ入れていけばだいじょうぶだと思っていたわけであります。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 特に向こうの経済基盤が農業と水産業、こういうことになっておるわけですが、特に農業におけるキビあるいは畜産等の問題があるわけですが、ただ本土復帰に備えまして、一体そのキビをどう扱ってくれるのだろうかという非常に不安があるわけです。それで、先ほど申し上げたように、反当たり四十ドルというようなところですし、あるいは製糖会社の土地を借りておるところは、大体一反当たり十ドルぐらいその地代を払わなければならない。そうすると、反当たり三十ドル、一町歩あったって三百ドルというような状態なんです。そういう点から、まずキビの買い上げ価格はあまりにも低過きる。ですから、こうした点についてどのように考えてもらうかということです。本土においては当然食管制度があるわけですが、沖繩のそうした農家をささえるキビについての考えをまずお聞きしたいと思います。
  62. 山中貞則

    山中国務大臣 反当四十ドルというのはどういう農家か知りませんが、キビを植えておりますと、五年、六年何も手を加えないで、ただ刈り取るだけで刈り出しをやっていてももっと収入は高いはずですよ。だから、そこら辺、何か少し計算が違うのかもしれませんが、しかしながら、現在は沖繩内地の甘味資源特別措置法、糖価安定法並びに沖繩産糖の買入れに関する特別措置法というもので保護されておるわけであります。もちろん製品の事業団買い入れということになっておるわけでありますが、しかし沖繩は、日本の一番南方にあって、南のほうに行くほど、地味の問題はあるとしても、有利な条件を備えているわけです。私たちは、日本の国内甘味資源というものが三分の一しか自給できない現状で、しかも年間消費二百二十万トン、さらにチクロショックを加えると二百五十万トンにも達する消費の供給について、国内産がほとんどない。北海道のビートと南西諸島のキビであるということを考えます場合に、私たちは、外貨の節約その他から考えても、やはり国策上も沖繩の基幹産業であるキビというものは、パインとともにどうしても守っていかなければならぬと考えます。復帰いたしましたら、現在の糖価安定法そのものの対象になるわけですから、本土並みになるわけで、いまのように商社が中に入ったりなどしないような形で、きちんとした取引が行なわれて価格保障が行なわれるということですけれども一つだけ問題がありますのは、やはり黒糖工場というのは保障の対象にしておりませんで、精製糖工場の製品を対象にしております。ということは、黒糖は年間二万五千トンくらいの需要しかありませんから、奄美大島、沖繩を含めてそれだけの範囲内で生産をしておりますと、なかなか値段もよろしいのですけれども、それ以上に生産すると暴落してしまうのですね。しかし、沖繩離島では、精製糖工場になるのにはあまりにも小さな島である。しかし、黒糖工場なら、近代工場として黒砂糖に関する限りいまやっておる。しかし、本土法ではこれを政府買い入れの対象にしていない。ここらに今後検討すべき問題がありますが、黒糖の政府買い入れというのは非常にむずかしゅうございます。いわゆる具体的に買い入れて保管をして、これは過剰糖について買い入れることになりますから、その使用量がきまっておりますので、そうすると、それがどのように保管できるか等の問題がありまして、非常に大きな問題でありますが、これらの問題は、復帰時点において奄美大島、種子島、屋久島も含めた一連の南西諸島のキビ作農家というものに対して、どのような国策上の配慮が新しく展開できるかという問題で、いま少しく時をかしていただきたいと考えます。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 私がいま反当たり四十ドルということを申し上げましたところが、長官はちょっとその点は違うんじゃないかというお話でしたが、ちょっと早口になりますが、たとえば一町歩というところは少ないわけです。五反から七反ぐらいのところが非常に多いわけですね。私は実際聞いてみたのですが、たとえば七反農家で、宮古島の場合が反当たり収穫が五トンで、七反で三十五トンになるわけです。トン当たり価格の平均が十七ドル。そうしますと、三十五トンで五百九十五ドルということです。刈り取り作業をしまして七トンで大体十人かかる。一人当たり二・五ドルで、したがって十人ですから二十五ドル。そうしますと、先ほどの収穫は三十五トンですから、七で割りましてそれに二十五ドルかけますと、百二十五ドル、これは必要経費です。肥料が反当たり二十二ドル、七反で百五十四ドル、その他ほんとうに必要ななわとかそういうもので大体二十ドル。そうしますと、二百九十九ドルかかるわけです。収入が五百九十五ドルで、二百九十九ドル引きますと二百九十六ドル。そうしますと、二百九十六ドルを七で割りますと、四十二・三ドルになるわけです。したがって、実際農家にいろいろ聞いてみますと四十二・三ドルも出ないというのですね。それほどきびしい中に生活しておるということをどうぞひとつよく理解していただきたいと思うのです。また長官も向こうに行かれる機会があると思いますが、よくその点も実情を調査していただきたいと思います。  それから農家のささえになっているのは、もう一つは畜産の問題ですが、実際に政府が奨励するものだから飼うけれども、実際上は子牛を飼って、そうして成牛になって出す。月当たりに直しますと、それも大体一頭当たり十ドルなんです。先ほどのキビだって、自分の手間賃は全然入っていないわけです。そういう収入なんです。ですからほんとうにたいへんな状態なんです。しかも健康保険制度もできておりませんし、農家は全部実費がかかる。いざというときのために牛を飼っておるというのです。一人でも病人が出て那覇の病院に送ったら一家離散だ。しかたがないから出かせぎに行って、それで埋め合わしておる。家庭だって、とうさんのないさびしい家庭になってしまう。ほんとうの離島の現状というものは、そういうふうにほんとうにきびしいわけです。この畜産の問題についても、家畜購入資金の援助とか、あるいは優秀な種牛が必要ではないかと思うのです。あるいは流通機構を改善していかなければならない。あるいはえさの研究とか、そうしたことをよく指導していく畜産研究所をつくっていくとか、そういうような畜産に対する抜本的な対策を立てなければならぬのではないか、こういう畜産に対する一つの問題です。あるいはほかにたばことか、そういうものをつくっておりますが、それも実際本土復帰になったときにどうなるかという心配があるわけです。そこで畜産とそういうたばこの問題、それが一点です。  それから漁業の問題、これは漁港の整備、あるいは漁船の建造に対する低利の貸し付けとか、いろいろあろうかと思うのですが、漁業に対してさらに力を入れなければならないと思うのです。  それから特に上水道の問題でございますが、たとえば宮古の池間島とか、八重山においても黒島とか、水道がないのですね。天水を利用している。特に宮古の池間島等については、宮古木島とはほんとうに間近なところにあるわけですが、いまだにそういうような天水を利用しておる。衛生上からも悪い。これは政府沖繩政府との間でも話が若干できているのではないかと思いますが、具体的にいつごろこれをしていただけるかという問題です。  それからさらに電気の問題ですが、電気につきましても、いまだに島で三十キロとか、そういうように容量が小さい。だからもう停電、停電で、毎晩ほとんどランプの生活というような状態です。したがって、それなんか、ほんとうに発電機さえちょっと大きなものを置けばいけるわけです。そういう最低の条件を、復帰になってからではなくて、要するに復帰になったらやるやると言ってもらっても、ほんとうにわれわれは不安だ。復帰になる前に手を差し伸べてもらえれば、どれほど安心できるかわからない。少なくとも二十五年間われわれとこうやって兄弟が別れ別れになってきたわけです。帰ってくることについて、ほんとうにそういうあたたかい対策で迎えてあげようという、そういうほんとうにいまから手を差し伸べる具体的な動きがなければいけないんじゃないかと、このように私は思うわけです。  さらに、宮古の池間島に、前に総務長官もちょっとおっしゃったそうですが、地下水があるから、かんがいしていけば干ばつによる被害も助かるのではないか、こうした期待も島民の方は寄せておられたわけですが、これもあわせてひとつお聞きしたいと思うのです。  非常にたくさんのことを一ぺんに申し上げたわけですが、一応その点について簡潔によろしくお願いしたいと思います。
  64. 山中貞則

    山中国務大臣 キビの反当四トンということが前提だと言われたのですが、宮古島で反当あるべき正常な姿は九トンないし八トンなければいけないのですね。よほどの悪い状態でも七トンはあるはずです。なければそれはおそらくよほど特殊な事情があるのではないかと思います。普通の状態で六トンを切ることは私はないと思うのです。そこらの前提条件に違いがあるのではないかと思うわけでございます。特殊な例があるいはあるのかもしれません。  さらに畑かん等については、パイロット事業として全額国庫による事業をやることに計画いたしておりますので、これで成功することはほぼ間違いないと思いますが、農民の方々が、成功した姿を目の前で自分たちで確認をして、そして若干の反当の負担金がありますから、自分たちもその畑かん事業参加しようというお気持ちを持っていただくためのモデルパイロット事業というような感じでやっておるつもりで、来年度予算から始めたいと思っております。  さらにたばこについては、現地では三つの会社復帰までのストックをもうすでに持っておるし、本土もまた御承知のように専売公社は二年くらいの葉たばこはかかえておりますけれども、それでも現地でやはりたばこを耕作しておる農家が厳然としておられる、これは事実であります。復帰したときにはたばこ工場はもう残らないということになりますと、会社としてももう復帰までのたばこをつくる材料はあるのだから、ことしの葉たばこから買わない、こういうやむを得ない措置に出られましたので、本土の専売公社、大蔵省と相談しまして、ことしの葉たばこについては前年度と同様、同じような規格の品質検査でもって買い入れるということを、現地のほうに約束いたしました。専売公社としては苦い顔しておりましたけれども、しかしガンになるガンになるといわれても、どんどん販売しておる専売公社ですから、少しはこういう点で罪滅ぼししなければいかぬということで、たばこ耕作農家は一応安心していただけるということになったと思います。  それから雨水に依存しておる水脈のない離島、この問題は私もたいへん頭を痛めております。しかしながら、足がかりのよいところでは、その近くの拠点島からの送水が可能でありますので、いま名前をあげられました池間島等については、来年度予算で単年度で完全にいまのような悲惨な干ばつ期の状態がなくなるような予算措置をすることにいたしております。  離島電気につきまして、なるほど離島における状態は、発電機がありましても終夜送電できなかったり、あるいは時間送電で昼間も区切られたり、たいへん気の毒な状態であります。そこで、いずれの島も電気料金の問題もなおあるのですけれども、それでもまず必要なエネルギーを供給する、まず夜を明るくしてあげる時間を長くするということで、次の予算でも久米島をはじめとする各離島の発電機購入予算を要求しておる次第であります。  取り残しもあったかもしれませんが、以上メモした分だけ申し上げます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 あと簡単にお聞きしますが、下地島に航空機乗務員の訓練飛行場ができるわけですが、これはあくまで島民の方々の意思を尊重していただきたいと思うわけです。それにつきまして判断資料といいましょうか、どういう機種が使われ、どういう飛行訓練であるか。たとえば朝何時に飛び、夜何時に帰り、何回くらい発着する、それに対する公害の予想、騒音の予想、何ホンぐらいになるか、これはあとで資料をいただければよろしいと思います。  それからもう一つだけお願いしたいのは、あっちのほうは台風が非常に多いですが、台風災害共済制度等を考えていただいているかどうかということです。それから社会福祉制度。老人対策、児童対策、母子あるいは病気の精神病、結核、ハンセン氏病、いろいろあるわけですが、そうした社会福祉制度にさらに力を入れていただきたいということ、お聞きしますと時間がかかりますので、強く要望しておきます。ただ台風災害共済制度等についてどのようにお考えか、この点をお聞きしたいと思います。
  66. 山中貞則

    山中国務大臣 なかなかどうも欲ばった質問ですが、先ほど取り残したのは畜産の問題でした。これは沖繩には実はまだ畜産が定着いたしておりません。内地のほうから改良されたような牛の子を買って持っていっておられるので、肉用牛として牡犢の飼育さえよければいいのですけれども、あとの肥培管理の飼育技術が、なかなか肉用牛とはいかなる飼育のしかたをすればよいかということがわからぬらしいのです。そこで国立試験場から参りました模範農場の小山君というのに一生懸命いま指導させておりますが、とても人が足りなくて悲鳴をあげております。キビのバガスあるいはパイナップルのかす、こういうもの等は濃厚飼料的なものであり、粗飼料的なものであり、畜産にとって非常にいい飼料になりますから、砂糖キビ農家、パイン農家は必ず牛を飼い、牛を飼う農家は必ず砂糖キビかパインをつくれということを言ってすすめておるわけです。全購連のほうも近く安謝新港のほうに大きなサイロを設けまして、直接外国から飼料船を向こうに運ぶということで、鶏等を含めた畜産には、現地飼料工場は大きく貢献するでありましょうが、何といっても沖繩には肉用牛というものを底辺にしたキビ並びに畜産、そして半農半漁というものを近代漁業に脱却させる意味の漁業政策に相まって、キビとパインと畜産というものが三つの柱にならぬかということを一生懸命考えておりますが、何しろ現地に産地処理工場をつくって、コールドチェーンによる冷凍輸送を京阪神の巨大消費地に行なおうにも、底辺がまだいま二万八千頭しかいないわけですね。これは内地の肉用牛の主産地に比べたら、一郡単位くらいの頭数しかいないということになりますから、まずいろいろな制度を利用しまして、沖繩人たちがみんな、キビ作農家もパイン農家も自宅には牛をつなぐような時代が来るように、いまの水牛なんか影をひそめなければ困るんで、そういうようなことで指導前提条件を満たしていけば、やがては有望な地域としてわれわれは沖繩期待するところが大である。やがては流通対策等が確立をして、それが整備されれば、沖繩は有望な地域になる。一年じゅう草が枯れないわけですから、そういうようなことを念頭に置いて進めたいと思います。  それから下地島の飛行場ですが、(近江委員「それは資料でけっこうです。」と呼ぶ)現在日本航空がアメリカの飛行場を使って、何かきのう不祥事があってだれか死んだようですけれども、あれは外貨を使って離着陸手数料を払ったり、飛行場使用料を払ったりして、むだな金を使っているわけですね。これは国内でやらせていただくことになれば、国としてはできるだけの援助をしていきたいと考えておりますし、逆にそれをつくったというようなことによって公害等が起こるようなことは最大避ける配慮をしなければならぬということを考えております。資料と申しましても、対策庁がそれはこういうようなことかなといま地元と相談しておりますような程度になりますが、それを差し上げるようにいたしたいと思います。  台風災害共済制度というのは、現地ではそういうふうに耳新しく聞かれたのかもしれませんが、台風というのは沖繩だけ吹くものでもありませんので、問題は、現在の農作物共済の中にキビとかパインとかが取り入れられない、パインを果樹共済にといっても、直ちにそれが果樹共済に入ってこれないでしょうし、沖繩の基幹作物だからといって、米と同様にキビが直ちに農作物共済の対象に入るということもなかなかむずかしゅうございますので、ここらの亜熱帯地方において独特の条件を形成する基幹作物についてどのように共済制度が適用できるのか、ここらは今後の検討課題としていま研究中でございますが、現在のところ、台風常襲地帯だから全部のものに共済をというよりも、作物の事柄と思いますから、その基幹作物をどのように共済制度の中に抱きとっていけるかという問題として受けとめていきたいと思います。
  67. 近江巳記夫

    ○近江委員 一つ抜けたのですが、宮古島のかんがいでございますね。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 それはさっき言いましたよ。
  69. 近江巳記夫

    ○近江委員 そうですか。どうもすみませんでした。  以上をもって私の質問を終わります。
  70. 池田清志

    池田委員長 門司亮君。
  71. 門司亮

    門司委員 私は、時間もございませんので、ごく簡単に基本的の問題を一つ二つ聞いておきたいと思います。  一つは、土地の問題をどう処理するかということであります。いま米軍が使用しておりまするあらゆる土地の問題を、米軍の使用している姿のままで引き取るのか、あるいは個々にあらためて地主との間に契約を結ぶのか、その辺の基本的のものがはっきりしておるなら、ひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  72. 山中貞則

    山中国務大臣 これは復帰までの間は私のほうでいろいろ調査、たとえば読谷の米側が返しました飛行場のあと等、地主が自分たちのかつて持っていた面積等が算用が誤っちゃって、なかなか権利設定に困難しているところ等は、私たちが地籍調査みたいなものでなるべく早く国の予算もつけますから、それで正確に権利義務関係を明定して、民間で有効にお使われになったらどうですかというような配慮等はいたしておりますし、あるいは県市町村道のつぶれ地調査、これも私たち調査しておくことによって、復帰したあとの補償等が、軍のものは軍なりに、戦前の軍のものも、これは防衛庁になるかもしれませんが、それに引き継ぐ準備は私たちでしておかなければならないと考えますが、しかし正確に言うと、それらのものは、私たち沖繩対策庁というところでいま直ちにこれを完全に片づけるには、外交ルートがあり、あるいは主務官庁として私たちが適当であるかどうか、今後復帰沖繩対策庁がどのような形で残るかにも関連はありましょうが、現在のところは、いま門司さんのおっしゃるようにはっきりとしたものを持って進んでおるわけではございません。
  73. 門司亮

    門司委員 非常に大きな心配事だと思います。御承知のように、いまの米軍が使っておりまする土地の取り上げあるいは借り上げの問題には非常に無理があって、私はちょうど昭和三十一、二年に行なわれたいわゆるプライス勧告の土地取り上げの最中に沖繩におったのでありますが、あの現状を見て、取り上げた方法というのが実にむちゃな方法なんですね。たとえば、ここを収用するからその収用地内にある住宅を一カ月以内に撤去せよという命令が出て、一カ月以内に立ちのかなければ、家財道具も人間も外にほうり出して、容赦なく火をつけて焼いてしまう、ブルドーザーで押しこわしてならしてしまう。これは事実です。私はその写真も、何月何日どこそこのうちを焼いたあとだ、ブルドーザーでこわしたあとだというのをたくさん持っております。こういう形で取り上げられた土地がそれらの地主にすなおに返されるかどうかということ。しかし、いまの現状は、基地以外のところで、いわゆるさく内以外のところで米軍が使用しているようなものには、あるいはいまのような処置ができるかもしれない。しかし、さくの中では、日本政府はそういう問題に対して手が出せないのではないかと考えられる。しかし、この問題は手が出せないからといって復帰まで傍観しておるわけにはまいりません。それがこの間、中曽根長官がおいでになって、基地のあとには自衛隊が入るというようなことを言われたということが、やはり住民感情には非常に悪感情を抱かせる問題になっていはしないか。このまま土地が自分たちの手に返らないで、あとはまたかりに米軍が縮小しても自衛隊で使用されるのじゃないか、こういうかなり大きな不安感が私はあると思う。したがって、この問題はできるだけすみやかにアメリカとの間に話し合いを続けていって処置をするという方針を立てていただかないと、非常に大きな問題になると私は思う。地代の問題にいたしましても、いまの安い地代でよろしいかどうかということも問題になりましょうし、日本政府がこれを借り上げるということについては問題になると私は思う。私たちが心配いたしますのは、政府はあるいはいまのアメリカが使っておる状況をそのまま国の大きな力で網をかけるというと語弊がありましょうが、ばさっととってしまうような気持ちがありはしないかということです。やはり沖繩の旧地主の諸君、ことに農民の諸君に言わせれば、少なくとも旧所有権を持つ者に一応相談をしてもらいたいということが当然出てくると私は思う。いわゆる使用者がかわるのでありますから、私はこういう処置を日本政府としてとる意思があるかどうかということを一応ここで聞いておきたいと思います。
  74. 山中貞則

    山中国務大臣 その昭和三十一年の軍用地強制徴収、一括払いか延べ払いかという問題のときには、私も日本の衆議院において緊急質問に立った経験がございます。したがって、私も非常に鮮明に記憶いたしておりますが、あの狭い猫額大の土地の中の父祖伝来の土地を無理やり追い立てられていった人たち、中には元気な人たちは軍労務者となって、いまは解雇の悲運に泣く人たちもおるでありましょう。そういういろいろな背景を見ながら基地が拡張されていった事実は私も知っておるわけであります。しかしながら、そのようなあと日本復帰いたしました場合に、米側が使用する基地についても、やはり一義的には日本政府が提供するという形に今度は変わってくるわけでありますから、これはやはり防衛施設庁というものがまず地主といまおっしゃったような諸問題を話し合う、そして日本政府が提供するという形に変わっていくことになると思います。それまでに、私たち沖繩北方対策庁自体の手で、米軍にだれの土地が幾ら、どこの場所が何年にというようなことをやってみて、それをどうしようにも、アメリカ側の鉄条網の中にあればいかんともしがたい。ただ、返したところについては、私たちのほうで琉球政府に地籍調査みたいなものを、補助金を流してあげるようにしてあげているという程度にすぎない。これは確かに非難はありましても現実だと思うのです。ただ、復帰は間近いわけでありますから、復帰したときに自衛隊のほうにそれらをどのように受け継ぐかということについては、すでに防衛施設庁を含めて現地に自衛隊もそれぞれ行っております、大臣は別にして行っております。さらに防衛施設庁としては、来年度、間接雇用形態等のことも念頭に置いて、二百名をこえるような相当膨大な、防衛施設庁自体が現地に出先を持つような案を、一応予算要求しておるやに聞いておりますけれども、これは施政権が向こうにある間は、それについて施設庁自体が出かけていくことは無理だろうというふうに思います。しかし、軍と軍の話ですから、あるいはひょっとそういうことで間接雇用に貢献をしてくれる復帰前の事態が生まれるかもしれませんが、それらの諸君は同時にこれらの土地問題の円満な引き継ぎ等のために軍や地主等とよく話し合いをすべき仕事がある。私たちもそれに対しては十分現地事務局を通じて御加勢を申し上げたいと考えておる次第でございます。
  75. 門司亮

    門司委員 その辺がはっきりしないのですが、これは非常に大きな問題であって、金網の中は、私はなかなか困難だと思います。しかし、そのほかに軍に直接関係のあるものとして、たとえば軍にいま貸し付けておる家がたくさんありますね。これは沖繩の諸君の所有なんですね。こういうものについても一体将来どうなるのか。これはかりに米軍がおったとして、そのまま米軍と家主との間にいまのような契約でよろしいか、あるいは日本政府がこれを買い上げてそして貸すようにするのか、いろいろな問題があると思う。同時に、引き揚げてしまうとあき家になって、いまの米軍のいる家など、沖繩の諸君が使うというようなことはほとんど不可能だと私は思う。そういう問題がたくさん出てくると思う。  それからもう一つは、土地の問題にしても、道路の拡張その他において金網の外にあるのがかなりたくさんあるはずなんですね。これらの問題の所有権は一体どうなっておるのか。私ども現地の実態を見てみると、日本の軍隊がかつて、戦争のまっ最中でありますから、あまり地主の承諾を得るとか得ないとかいうようなことでなくて広げてしまった。また米軍が来てかってに広げてしまった。一体だれの土地がどうなっているのか、いわゆる地籍に対する問題というのがはっきりしない。たとえばいまの那覇の市でありますが、御承知のようにいまの那覇の市の中心の国際通りなんといっているところは、あれは前はたんぼだったのですよ。首里と那覇との間だった。首里が焼かれ、那覇が焼かれてどうしようもなくて、あそこに米軍が来てからああいう市街地ができたのであって、その当時の地籍というものはどうなっておるのか、地主がどうなっているのかというような地籍に対する明確な調査というものが進められていかないと、返還時に非常に大きな混乱を起こす危険があるので、これをそっちのほうは建設省の問題だとかあるいは農林省の問題だとかということを言わないで、いまのように防衛庁の問題だからというようなことで逃げないで、政府意向として率直に、沖繩対策に対しまする政府の一番えらい人が総理大臣ですから、長官はそれの副長官ということになっているのですから、総理がここへおいでになれば、総理にはっきり聞けばそれでよろしいと思うのですけれども、そういう意味でもう少し具体的に、一体どう進めていくのかというようなこと。それから同時に、地籍の問題等についての予算的な措置もあろうと思うし、いまのお話では、どうにかやられておるように受け取れますけれども、現実は必ずしもそういっていないのじゃないか。この問題だけは非常にむずかしい問題、あとまでずっと尾を引く問題であって、これの処置のよろしきを得なければ、そうした意味でかなり不必要な混乱を起こす危険性がある。取り上げられるときは取り上げられるときでありますから、ただ状況がありますので、一応そういう配慮を十分にして、そして地籍についての明確な処置をするというようなことまでここでひとつはっきりしておいていただきたいと思います。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 私は決して逃げているわけじゃないので、ことわりをお話し申し上げておるわけです。だから復帰前に調査できるもの、たとえばつぶれ地問題等については、現在の政府道、将来の県道でしょうが、そういうものは調査が一応済んでほとんど完成している。しかし市町村道のつぶれ地でまだ明確でないというようなものは、来年度予算で最終的に復帰までには明らかにしておこう。あるいはまた旧日本の軍用飛行場やその他で徴収されたもの、そういうもの等についてもやはり地籍関係で権利所有者等の面積その他を確定しておきたいというようなこと等は、いまやっておるわけです。そのことはやっておりますから、そういう調査に関する限りは復帰までに私たちの手でできるだけやっておく、金網の外については。それは努力いたしております。しかし、それからあと引き継ぐ場合に引き継ぐ対策庁がどのような機構になるかわからぬと申しましたが、私たちがずっと責任をもって沖繩の問題だけは当分の間何かやるような機構になったら、これはまた引き続き私たちがやらなければなりますまいが、しかしそのときであってもこれは建設とか農林とか言わせませんけれども、しかし防衛庁だけはやはり別になるだろうと思わざるを得ませんので、そこらのことを申し上げたわけでございます。  それから米軍住宅は、これはちょっと土地の強制徴発と違いまして、強制的に家をつくらせて入り込んだわけじゃないので、みんなも知恵を働かせて、アメちゃん好みのちょっとしたしょうしゃなペンキ塗りの二階建てを建てて、バラか何かはわせて、緑の芝を張って、そこにアメリカの人たちを入れて家賃をとって、自分たち生活の知恵、生存の知恵として収入を得ようという、いわゆる米軍貸家住宅ということだろうと私は思うのです。それ以外に、米軍が入り込んで不法占拠してというのであれば、これは那覇市の近くの泊上水道のアメリカの会社か何かが旧国有地に入り込んでいる例を一、二指摘されたことがありますが、そういうケース以外は、米軍貸家住宅の人たちのことだろうと思います。それらの人たちについては、いま来年度予算琉球大学の教授であるとか、あるいは新那覇病院の派遣の先生であるとか、いろんなケース、向こうに復帰までに行ってさしあたりやってもらわなければならぬ、裁判所その他の関係人たちもおりますが、それらの人を全部ほっておきますと、官舎官舎ということになりそうなんです。官舎を全部新しくつくってそこに入るというようなことになりそうですので、いま現地におります人々で国家公務員たるべく予想される人々の宿舎等も含めて、それらの米軍貸家住宅組合等に話をして、もし政府が十年なら十年それを長期契約して貸していただきますというような契約等ができれば、アメリカが復帰した後どうなろうと、それらの住宅を建てられた方たちは安心されるのじゃないかということで、私のほうからそのアイデアを出して当たってみたのでありますが、現在のところは満配なんだ、しかし復帰したあとどうなるかがちょっと心配なんだというようなお話で、どうも逆に今度は私たちがお願いして、せめて琉球大学の教授官舎とかあるいは裁判所の判事の人たちの官舎というようなものを確保したいと思っても、そういうものもあまり希望が持てないというようなことも知らされておるわけでございます。しかし、あらゆる場面における心配事というものは細大漏らさず私どもは聞き落とさずに、できるものは相談に乗っていきたいと考えているところでございます。
  77. 門司亮

    門司委員 いまの御答弁も何だか調子のいい答弁ですが、私は実際問題としてはなかなかむずかしい問題だと思っております。  それから時間もございませんから、これも防衛庁の問題だといえばそれで逃げられるかと思いますが、米軍の縮小が行なわれることは当然でありまして、そうするとそこから出てくる失業者があるということは当然であります。したがって、沖繩の軍労務者の離職者対策というのが当然出てくるわけでありますが、これも防衛庁に聞いてくれ、施設庁に聞いてくれということになればそれまでだと私は思いますが、そういう施策は考えられておりますか。ことに、日本本土の駐留軍労働者と沖繩の軍に働いておる労働者との間に賃金格差が非常にあるのですね。そしてこれから先は本土と同じような間接雇用に、帰ってくればいやがおうでもならざるを得ないと私は思うのです。その前になるかもしれない。そうすると、日本政府がやはり代行して賃金を払って、それをまたアメリカに要求してもらう、こういう形、いまと同じような形が当然出てくる。その場合の賃金格差の問題をどういう形で一体レベルを合わしていくかというようなこと。  それからもう一つは、私はなぜそういうことを言うかといいますと、沖繩の労務者の賃金というのは非常に安いのでありまして、たとえばいま長官お話しされましたが、私が三十二年に行ったときなどは、布令で、アメリカの労働者の十分の一、フィリピンの労働者の四分の一、本土の労務者の二分の一以上の給料を払ってはならないという規定があったのであります。そこから出発しておる沖繩の労務者の給与でありますから、現在でも大体七〇%ぐらいの水準にしかなっていないはずであります。半分というよりは多少よくなったと思いますが、そうすると本土との間にかなり大きな格差が出てまいります。それからその他の問題、離職対策をどうするかというようなこまかい問題がございますが、きょうは時間もございませんし、もう一つあとで聞きたいのがありますので、こういう軍労務者に対する、本土と全く同じような雇用形態と待遇計画を一応考えられておるかどうかということであります。
  78. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私の就任以来の念願としておるところでありまして、たとえばことしの来年度予算要求の作業にあたりましても、防衛庁は特別給付金を来年は少し上げようかというような予算要求をしておりましたし、私のほうの沖繩北方対策庁では、まあそうなれば見習わなければならぬけれども予算要求から落としておこうかというようなところもありましたが、やはりこれは要求の姿勢そのものも一致させておかなければいかぬということで、防衛本庁が要求しておりますような離職者に対する特別給付金を、われわれ沖繩北方対策庁自体も組んでおくというような予算の積算の基礎に心配りをするなど、やはり配慮はしておるつもりであります。しかし基本的なこの支給の金額のはじき出し方、それは本土側計算方式に若干の違いがあります。この点もなるべく埋めようとはしておりますけれども、これをそのまままともに埋めるということはなかなか困難な要素もございまして、これらはおっしゃるとおり復帰すればそのまますぐに適用になるわけですけれども、私たちとしては、この途中で、しかもやめさせられる人々に対しての措置、これについては一時給付金から、あるいは本土との格差全額を埋める費用から予備費を支出したりなどしておりますけれども、それらの人々の再就職の要請というものが、雇用促進なりあるいは職業訓練なり就職相談なりのそういう件数が非常に少のうございます。どういうわけかよくわからないのでありますが、それらであっても、しかし私たちはそういう準備をしておいて、いつでもそれらの要請にこたえなければならぬということで、これはことしからの予算ばかりでなくて前からもやっております。そこらの詳細がもし必要ならば、ここに書類がございますので、長官から説明をいたさせることにいたします。  ただし、答弁が調子いいというのは、門司さんいかがか。あなたは午前中ぼくを地方行政委員会へ引っぱり出してやっておいて、あなたもだいぶ調子いいじゃないですか。私は誠心誠意答えておりますが、しかし少しべらべらしゃべり過ぎるきらいがあるのかもしれません。その点はお許しください。
  79. 門司亮

    門司委員 妙なところでくぎをさされたわけですが、駐留軍に働いております沖繩の諸君の労働問題については、私のところに多少まだ資料がありますけれども、きょうは時間もございませんし、それから特別給与であるとかあるいは離職者対策であるとかいうようなものについて、もしいまのように資料があるなら、あとでひとつ示しておいていただきたいと思います。  それから、最後一つだけ聞いておきたいのは水の問題であります。いま御承知のように水道公社一社でやっておって、各自治体が水道を持っていないのは御承知のとおりであります。私も二、三回前に行ったときに糸満の旧水道の貯水池に行ってみました。ここに何にも水がなくて、どこへ持っていったのだと言ったら、みんな軍が持っていってしまって、あと少しばかりの残りを木管で、給水を受けておったところには出しておるということで、これを拡張するかどうかということがいま町議会で問題になっていますというようなことをちょうど言っておりましたが、自治体に昔と同じように水道を戻すことができるかどうかということですね。自治体を一つ持っていこうとする行政の中では、やはり水は自治体が持っておるということが私は自然だと思う。現実にいま沖繩状態はそうなっておらない。水道公社というようなもので一手に握られてしまっておる。もとに戻すという配慮がどこかでなされていますか。これはもとに戻すということになりますと、これから新しく貯水池をこしらえるとか水源地開発するということでかなりたくさんお金が要ろうと思いますけれども、しかし自治体の形としては水道を持つということは私は当然だと考える。こういう問題についてどの辺まで配慮がされ、どの辺までこれが解決する見込みがあるかというようなことがもしおわかりになるなら、ひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  80. 山中貞則

    山中国務大臣 現在の水道供給公社につきましては、これは県営の広域供給の水道公社にしたいと考えています。これは飲料水が主であり、将来開発が可能であれば工業用水の供給の役目も持つかと思いますが、琉球政府がおやりになっても大体やっていけるだろうと思っております。もっとも現在やっておりますダム、あるいはさらに北部方面の晋久川、安波川等まで含めてやる場合に、それらは琉球政府だけではなかなか手に負えない点もありましょうから、これは調査その他も国が援助するにいたしましても、水道全体は、本島に関する限りは大体広域水道供給の立場で、沖繩政府が、復帰後の沖繩県がおやりになるのにわりにふさわしい事業じゃないかというふうに思っておるわけです。現在すでに水道公社はそんな形になっておりますので、それをそのまま琉球政府がお引き継ぎになったらよかろうという気持ちでおりますが、離島並びにただいまお述べになったような本島でも特別地域、いわゆる広域供給の中からは少しはみ出すというようなところは、やはり原則どおり市町村の運営する上水道事業として当然それが進展していくべきであろうと考えておる次第でございます。
  81. 門司亮

    門司委員 時間をこれ以上とることもどうかと思いますので、これ以上のお尋ねはいたしませんが、御承知のように水の問題は非常に大事な問題でありまして、もう一つ水の問題で考えていただきたいのは、いまの沖繩の水の状態では、どんなに沖繩工業を云々いたしましても、工業用水なんというのは思いもよらぬことであって、人が飲むだけの水が精一ぱいだと私は思う。そうすると、これから沖繩産業発展させようといってどんなにスケジュールをこしらえてみましても、大事な水を持たぬ沖繩一体どうするかという基本的な水の問題についての考え方がどうなっているかということ、これは非常に大きな問題であります。それから電気の問題は発電所をこしらえればいいのでありますから、いま供給公社でやっておりますか、それを県に移管するなりすればあるいはいいかもしれない。しかし事水の問題は、電気とは異なって、そう簡単にできるものじゃありませんで、それらの問題についてひとつ具体的に——沖繩の将来の工業がとうだこうだ、いろいろ言われておりますけれども、いままで沖繩工業発展しなかったというのは、水と電気を持たないで、それで工場をこしらえろだの工業をどうしろと言ってみたって、できる相談じゃなかったのである。それがやっと何とか軍の手を離れてできそうになった次元において、沖繩工業化のための第一要素としての水の問題に対するスケジュール等があるならば、私は御答弁は要求はいたしませんが、書いたものでけっこうですから、どういう形で将来の工業用水の確保をするのだ、そうして沖繩工業というものをどういう形で進展さしていくのだという点について、いろいろな形であそこに工場をこしらえたらどうかというスケジュールはあるようでありますけれども、その基本的の水の問題がどう解決されておるかということをいままで私ども聞いておりませんので、この水の問題についてひとつ、飲む水のほうはいまの量で大体間に合っているというなら、私は間に合っていると思いますけれども工業用水までは持っていない。しかしそれは、軍が帰ってしまえば、軍の使っておる水があるから、そっちを回せばいいのだということは量的にある程度は言えるかと思います。しかし軍がいつ帰るのだか見当はつきませんし、したがって、そういう沖繩の将来への布石といいますか、というよりはむしろ差し迫った復帰後の沖繩の繁栄ということばを使えばどうかと思いますが、自活のできる沖繩を築いていこうとするには、私はいま一番大事な水の問題をどうするかということのはっきりしたスケジュールがなければならないかと思うのでありますから、もし書類等がありますなら、ひとつそれを示していただきたいと思います。資料を出していただけばいいですよ。何か御答弁があれば聞いておきますが……。
  82. 山中貞則

    山中国務大臣 その問題は、二時から豊君にずいぶん答弁したのですよ。
  83. 門司亮

    門司委員 それでは書類を出してください。
  84. 山中貞則

    山中国務大臣 工業用水の塩屋湾とか、そういうものをどういうふうにするか、一応検討している段階のものですから……。
  85. 門司亮

    門司委員 検討している段階ではないと思うのですが……。
  86. 山中貞則

    山中国務大臣 来年度予算関係したものはありますけれども、それをひとつ……。
  87. 門司亮

    門司委員 それでもいいから出しておいてください。石垣にはかなり大きな川がありますので、あそこには水がかなりあると思いますけれども離島には水はあまりないのですね。本島は非常に水が少ない。それをどうするかということが沖繩の将来の発展の基礎になるものであって、それがあれば示しておいてもらいたいと思うのです。
  88. 池田清志

  89. 東中光雄

    東中委員 私は、沖繩問題についての政府の基本的な姿勢について最初にお聞きしたいと思うのですが、先日、中曽根防衛庁長官沖繩を訪問された。ちょうど私もその前後十日間ほど沖繩に滞在しておったわけですが、中曽根長官は屋良主席に会われたのが十分間、地主連合会に会われたのも十分間で、県民の前にはひとつも姿をあらわしていない。そうしておって、帰られての新聞報道では、閣議でも、一般の沖繩県民は必ずしも一部に言われておるような状態ではない、そういう報告をされておるように聞いていますし、自衛隊の沖繩派遣については、沖繩県民は反対でないんだ、こういう発言も記者会見でやっておられます。自民党のある都会議員の講演会で、沖繩県民は色盲にかかった人種だというような発言をされたということで問題になっている。  こういった問題を見まして、ちょうど私沖繩におったときですが、沖繩県民の非常に強い怒りが出てきています。現地の新聞の社説でこういうふうに言っています。「同長官の来沖の目的、意図について危惧感と疑惑の念を抱かされてきたが、そのとおりのものになってあらわれたということ、これが事実だろう。」こういうふうに書いています。こういう姿勢、要するに沖繩県民に対して、今度の沖繩復帰に対しての政府の基本的な取り組みの姿勢というものをこの際、こうした中曽根長官の行動があっただけに、沖繩担当大臣としてのお考え方というものは、このままほっておいていいのかどうか、そういった点もひとつ明らかにしていただきたい。
  90. 山中貞則

    山中国務大臣 中曽根なる人物の言動については、一切評論を差し控えたいと存じます。しかし先ほど門司さんからも、沖繩人たちが、あの狭い隆起サンゴ礁の中で、銃剣、戦車といったもので取り立てられていった土地というものについてお話がありましたが、沖繩の歴史が、徳川時代を通じて三百年にわたる薩藩の支配、あるいは清朝のそれに対する干渉、あるいは明治の初めの廃藩置県、それに第二次大戦の一億本土決戦の中で沖繩県のみがそれをしいられた。そうして沖繩県民の意思を問われることもなく、サンフランシスコで自分たちはその後さらに十数年の、計二十五年の長い異民族支配を余儀なくされた。これらの沖繩人たちの歴史、それが当然歴史的な心を生むわけです。その心というものを知らないで行動をすることは、言う事柄、する事柄の善悪、いいか悪いかは別にして、正しいか正しくないかも別にして、やはりそれらの沖繩人たちの心情、あるいは歴史的な心の流れというものを知らないで、どちらの角度からものを言っても私は間違いだと思います。そしてどれだけ巨大な投資を国家の名においてあるいは民間の名において沖繩にしても、沖繩人たちの心がそれを受け入れない投資であるならば、それは海に捨てるにひとしいものと考えております。  ばく然とした答弁ですが、私自身はそういうふうに受けとめて行動しておるつもりでございます。
  91. 東中光雄

    東中委員 沖繩県民の意思、感情、要求というものにほんとうに耳を傾けて、歴史的な条件からいって特にそうでありますが、とりわけこの二十五年間異民族の支配下にあった、こういう条件から十分に要求を聞く、それにこたえるという姿勢がどうしても必要だ、こう思うわけですが、いま沖繩県民が抱いている非常に大きな関心の中心になっておるのは、やはり復帰交渉、日米交渉はどうなっているかということだと思うのです。ところが、この内容が全く明らかにされていない、秘密状態のままだ。ところがこの間の、中曽根長官のことばばかり申し上げてあれですが、中曽根さんをここでどうこう言おうと思って言っておるのではないのですが、たとえば自衛隊の沖繩配備の問題について、これは土地の問題が当然問題になってくるわけですね。自衛隊配備についての土地の問題。ところがそれについては沖繩の県民に一言も、何もいままで交渉もなかった。そういう状態で、今度三千三百人近くの人間を出すということを一応発表した。その発表のあとは、自衛隊の配備はかたい決心であって、どんなことがあっても後退はしない、結論だけ押しつけて後退はしない、こういう姿勢になっている。これが日米交渉間で起こっておる問題について、いまずっと交渉経過が秘密にされておる状態で、同じことがすべての問題について貫かれていくのではないか。たとえば重要な問題では、地位協定の適用の問題、それから保有基地の返還の問題、それから請求権問題、資産買い取り問題、さらに裁判権の問題にしましても、あるいは外資企業の既得権の問題にしましても、通貨の切りかえの問題にしましても、税制問題にしましても、しかもいま対米交渉をやっておられる問題について、日本政府はどういう主張をしておられるのか、アメリカ側はどういう主張をしておるのか、そういう沖繩県民の直接の権利義務に関係してくる、あるいは利害に関係してくる問題が全然明らかにされていない。秘密のままで進められておる。これがそのまま結論になって押しつけられるということになったのでは、これは全く沖繩県民を無視したといいますか、最初に申し上げた、政府沖繩問題に対する姿勢という点からいっても、非常に重要な問題だと思いますし、こういう内容日本政府の主張なり、あるいはいま交渉の段階はそれぞれあるでしょうけれども、アメリカ側の主張なり、そういう点を明らかにされることはないのかどうか。これは直接的には外務省でしょうけれども沖繩県民の利害、権利という問題から見て、長官のこれについての所見をお聞きしたい。
  92. 山中貞則

    山中国務大臣 特別に隠しておる行動はないと思いますが、防衛庁はその特殊な性格上、外務、アメリカというものとの間の定例協議みたいなものを開きましても、私のほうには別段連絡も通知もありません。しかし外務省が窓口の復帰返還それぞれの手続の進め方等については、両省、絶えず相談をいたしておりますし、すでにそのスケジュール等については、これはもうすでに明らかにしておるところでございますから、あと財務省、大蔵省の間に行なわれる資産の引き継ぎという問題、これなどもやはりおりおりに触れて私の手元で直接連絡を受け、報告を受けております。ですから特別に県民の目をおおって、故意に何か県民不在で沖繩県民は一夜明けたらとんでもない状態に置かれているというような問題はないし、そういうふうに隠匿する必要も別段ないような気がいたしますが、何か私どもが隠しているというふうにお考えであれば、私たちとしては隠しているつもりはありません。
  93. 東中光雄

    東中委員 いわゆる請求権問題も、この前も私この委員会で聞いたことがあるのですが、要するに検討中ということですね。請求する方向で内容を検討しているのかと言ったときも、それは要するに検討中ということであった。あるいは請求権というのは人身損害あるいは土地権の請求権の問題ですね。これは資産買い取りの問題にしましても、アメリカ側はどういうものを買い取れと要求してきているのか、日本政府はそれに対してどういう主張なのかということなんというのは全然わからぬわけです。まだ進捗しているのだったら、進捗している現時点でどうなんだというふうなことを当然明らかにさるべきじゃないか。全然明らかにされていないと思うのです。たとえばそういう問題です。そういう点について進捗状態に応じて明らかにしていくというつもりでおられるのか、それはやはりあかぬということなのか、そこのところを聞きたいわけです。
  94. 山中貞則

    山中国務大臣 意味を取り違えておるかもしれませんが、たとえば講和前の人身事故等に対する補償問題というような問題等については、外務省としては一応そういうものは放棄しているのだということを言っております。私は外務省と特別に見解を異にして主張をしておるわけではありません。しかし、そのままでいいのかなという気持ちはあります。したがって、最終的に米側に対してそれの確認を求め、そして米側もそういうふうに支払う意思はないのだということであるならば、今度は祖国政府の責任においてこれは処置しなければならぬだろうということは、当委員会において明確に答弁申し上げておるつもりでございます。さらに資産買い取りにつきましても、米側が日本側との間に資産買い取りとして検討の議題とすべき対象について問題になりました琉球政府の行政庁建物から始まって、軍用施設から道路から、いろいろな問題が新聞に出て議論を呼んで、当委員会でも、それを買い取るという交渉をしておるのかということで、そうじゃないのだ、何が議題に供せられ、何が議論になるかを議論しているのであって、それは引き継ぎのための話し合いをしたと考えてほしいという答弁がなされたように私は記憶しておりますけれども特別にそう隠匿してやっておるということは、私の関知するところではあまりないと考えております。
  95. 東中光雄

    東中委員 この問題は、要するに私の申し上げたいのは、たとえば資産買い取りの問題でも引き継ぎ問題では、何を議題にするかが問題になっている。それは結局、議題の範囲、買い取りの範囲が問題になっているわけですね。それはアメリカ側はどう言っている、日本政府はどう言っているという、こういう形で当然発表されなければ、県民から見てもわれわれ国民から見ても何もわからない。そういう点をいま具体的に明らかにされていないから非常に秘密主義に進められておる、ぼこっと結論が出るような感じになるということを申し上げているわけで、その点はひとつ国民の前に経過をできるだけ明らかにしていくという方向をとっていただきたいということを強く要請しておきたいわけです。  もう一点私お聞きしたいのは、先ほど中谷委員も聞きましたけれども、渡航制限の問題であります。これはもともと沖繩県民にしましてもわれわれにしましても、沖繩日本の領土ですから、日本人が行くのはあたりまえだ。これが大前提で、そして施政権でアメリカが入域をチェックしておる、そういう状態で、しかも国政参加選挙がもう目前に迫っておるという状態で、いまなお理由を示されないままでの入域拒否という事態が次々に起こってきているわけであります。これは何回も私のほうは長官にもお聞きしているわけですけれども、アメリカが理由を示さないだけじゃなしに基準を示さない。これは少なくとも民主主義を標榜しているアメリカからいえばずいぶん矛盾した話だと思うのですよ。とにかく許可はしない。これじゃ国政参加へ向かって進んでいるいまの状況、国政参加選挙というのは日本の国会議員を選ぶ選挙なんですから、日本国民から見れば、当然重大な直接の政治的な関係があるわけですから、それを規制しているということについて、政府としてこれをなくする、こういう規制をなくさすためのどういう交渉をしていただいておるか、どういうふうに進んでいるか、この点を再度明らかにしていただきたい。
  96. 山中貞則

    山中国務大臣 東中君は先ほども中谷君との間の質疑応答を聞いておられるわけだから、それ以上のものが出ようと思って質問しておられるわけじゃないと思いますが、しかしあなたの御意見に対して、政府の基本的な姿勢いかんということについてあらためて申し上げるならば、私たちは、もう将来どうなるかわからぬ領土ならば別です、日本の国に返ってくるのは七二年のしかも早い時期ということの確定された地域に対して、祖国から向こうに渡ることについてチェックがされることは好ましくないし、遺憾であるということについては明瞭に申し上げているわけです。もちろんアメリカのためにもそういうことをしないほうがいいんじゃないかという友人として、友好国としての助言もしておりますけれども、しかしアメリカでも民政府とかいろいろとまた感触の違いもありますけれども、当事者においてはそれが反応としてなかなかこちらに返ってこないという遺憾な状況があります。これはそれぞれの国において部分的にはかたくななところを、それぞれ共産圏等でも持っておりますし、中共あたりでも新聞社を置くのに許可が要るとか、一方的につかまえてほうり込んでみたり、あるいは商社員を逮捕して理由も教えないし、どこにいるかもわからぬというようなことなんかもあっちこっちで行なわれているわけであって、私たちとしてはたいへん残念に思いますけれども、やはり大国の矜持というものは——北方領土での拿捕漁船のありさまにしても、やはり大国がわがままをしてはならない。しかも過去二十五年もやったなら、せめてあと二年くらいは沖繩においては愛され、親しまれ、惜別をされる、惜しんで別れられるアメリカというようなふうになってほしいと私は思います。しかし自分たちはそうなくてけっこうだというんですから、ちょっとどうにも手がつかないということだと御理解を賜わりたいと思うのです。
  97. 東中光雄

    東中委員 民政府のたとえば公安局でチェックしている。大体軍人さんがやっているからなかなかうまくいかぬのだという趣旨のお話に私は先ほどの答弁の中でもうかがえたわけですけれども、その軍人さんが、入域なんという問題は政治的な問題ですね、それを横車——横車といったらとうか知りませんけれども、とにかく軍人さんだからそうなってしまっている。それが政治的に処置できないというのは、これまた異常な状態だと思うのですね。ですから、私は、国政参加選挙という点からいえば、先ほど中谷君も言っていましたけれども、選挙に対する事実上の干渉になる。長官はそれは応援団だとおっしゃいますけれども、単なる応援団じゃなくて、それは日本の政治そのものにかかわってくる。政府もどんどん大臣を送っておられるわけですから、それが一方ではいけぬという状態が起こってきているという点は、これは選挙の不公正という問題がありますし、特に新聞、「赤旗」の記者が報道のために入るというのを理由を示さずにチェックしている。こうなりますと、まさに民主主義的な感覚からいえば、全くじゅうりんしてきている。それが公安局だから、軍人だからしょうがないんだということじゃなくて、それについてむしろ選挙の妨害なりあるいは干渉なり、あるいは言論の自由に対する干渉あるいは妨害になっているということで、ひとつ日本政府として政治的にはっきりと向こうと交渉してもらう必要があるんじゃないか。国政参加選挙が第一そういうものじゃないかと思うのです。初めは違っていたわけですから、いまのような形ではなかった。施政権があるからそれが壁になるというのではなくて、施政権の行使の内容についてどうするかということを政治的に解決するということであるならば、それぞれの部局だけじゃなくて、ぜひアメリカとの交渉をやっていただいて、こういう障害を除去するということに努力をしてもらわないと困る。こういうように思うのですが、そういう点であの部局がやっておるからどうもならぬのだ、あそこはかたいのだ、こういうことでないように、しかも選挙が迫っていますから、ぜひ早急にやっていただきたい。このことを要請したいのですが、どうでしょう。
  98. 山中貞則

    山中国務大臣 あえて何党の機関紙とかなんとかいうことは言いませんが、要するに、みんな行きたいと思う者は私どもはチェックしていないんだからいいじゃないかということは、そのあとも私は申し入れもしておりますし、またいままで国会議員の秘書は一名でなければならないということで、一応全国会議員、政党政派を問わないという条件で先般ゆるめられた渡航の自由、七二年までの累次往復というものについても、最近あなたの党の土橋一吉君ですかに秘書二名ということで、いつの間にかゆるめてきております。これも私どものほうには事前に秘書は二名まで認めますからというととの連絡はないのですね。結果論でもって、認められたから、ああそうか、では二名までいいんだなということが先般も知らされたというようなことであって、私たちもこれがいいと思っているわけじゃないし、自分がこれ以上何をしようにも公安局だからしかたがないと言っているわけじゃないのです。かといって、公安局でやっていることを、では私たちがどうすればいいのか、なぐり込みをかけてみたところでこれはどうにもなることじゃないし、手段としてはやはりソフトムードの外務省というものも使い、あるいは私みたいにものをずけずけ言う者も、機会をつかまえて、いいかげんによそうじゃないかということも言っているということの繰り返ししかしようがないと思うんですね。幾らがんばってみても復帰までのチェック権ですから、それならばそろそろ関係なさそうに私は思うのです。しかし、向こうはそうは思わないらしいというだけのことであって、一生懸命やっているのですが、それは名案というものはなかなかありませんですよ。
  99. 東中光雄

    東中委員 もう質問の時間がありませんので終わりますが、これは私は非常に大きな問題だと思います。先ほどの選挙の効力まで言うつもりはありませんけれども、非常に大きな問題ですので、選挙が目前にきているだけに、ひとつ強力に一そうの努力をされるように要請しておきます。  質問を終わります。
  100. 池田清志

    池田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後五時十三分散会      ————◇—————