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1970-09-12 第63回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    八月二十八日  次の委員会開会要求書が提出された。       委員会開会要求書  衆議院規則第六十七条第二項の規定により委員  会の開会を要求する。   昭和四十五年八月二十五日    沖繩及び北方問題に関する特別委員                 川崎 寛治                 中川 嘉美                 永末 英一                 広瀬 秀吉                 美濃 政市                 山本弥之助                 大久保直彦                 小平  忠                 東中 光雄  沖繩及び北方問題に  関する特別委員長  池田 清志殿 ————————————————————— 昭和四十五年九月十二日(土曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 池田 清志君    理事 田中 龍夫君 理事 床次 徳二君    理事 箕輪  登君 理事 川崎 寛治君    理事 中川 嘉美君 理事 永末 英一君       宇田 國榮君    宇野 宗佑君       本名  武君    山田 久就君       中谷 鉄也君    山本弥之助君       大久保直彦君    松本 善明君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君  委員外出席者         沖繩北方対策         庁長官     山野 幸吉君         沖繩北方対策         庁総務部長   加藤 泰守君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務省アメリカ         局長      東郷 文彦君         外務省条約局長 井川 克一君         沖繩及び北方問         題に関する特別         委員会調査室長 綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 九月十一日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     松本 善明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖繩及び北方問題に関する件      ————◇—————
  2. 池田清志

    池田委員長 これより会議を附きます。  沖繩及び北方問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出があります。順次これを許します。山田久就君
  3. 山田久就

    山田(久)委員 本日は、去る八月二十四日、いわゆるサイミントン委員会秘密聴聞会で行なわれた米政府側証言、これに関しましていろいろな憶測、推測等も出ているようでございます、事柄の重要性にもかんがみまして、問題をその点にしぼってひとつ政府所見を承りたい、こう考えておる次第でございます。  昨年十一月の日米共同声明沖繩返還に関する共同声明以来、政府といたしましては、沖繩は、日米安保条約及びそれに関連する諸取りきめが沖繩返還の場合は本土と全く同一の条件で適用されるのだ、そういう形で一九七二年に返還が実現する、そういうわがほうの基本的な立場が十分貫かれたのである、こういうふうに明言してこられたことは御承知のとおりであります。しかるに、先ほどのサイミントン委員会における証言等に関連いたしまして、彼我の間に解釈の差があるのじゃないかというような、そういう疑念が生まれておるのは非常に残念なことだと思うのでございまするけれども、これは沖繩県民といたしましては非常に大きな関心を持っておるので、ここにいささかの疑念や不信というものが生まれては相ならない。そういう意味でこれを一掃するという趣旨からも、四、五の点について大臣のこの点についての見解を承りたい、こう考えておる次第でございます。  この問題に入るのに先立ちまして、最初にちょっとお尋ねしておきたいことは、沖繩毒ガス撤去の問題でございます。この問題は私の承知しておるところでは、サイミントン委員会においてもこの点の討議が行なわれた模様でございまして、フルブライト委員は、もうすでに毒ガス撤去されてしまったんだ、こういうふうに思っておったが、というようなことも言っておるようでございまするけれども、現在に至るまで毒ガス撤去計画というようなものもまだ発表されていないというような状況じゃないかと思われるので、政府は、この際毒ガス撤去の時期と安全対策等について、ひとつはっきりと疑念を晴らしていただくことが必要じゃないか、こう思っておりまするけれども、この点についてどうなっておるか。まず御説明をいただきたいと思います。
  4. 愛知揆一

    愛知国務大臣 沖繩毒ガス撤去問題につきましては、政府としても重大な関心を持っておりますことは御承知のとおりでございますし、問題になりました当初から、アメリカ政府側に対しましても鋭意申し入れ折衝をいたしておるわけでございますが、前にも御報告申し上げましたように、ロジャーズ国務長官から、会談の際、私に対しましても、米国内の若干の反対運動あるいはいわゆるグラベル修正案などの動きがあるにもかかわらず、沖繩からすみやかに撤去するということがアメリカ政府方針であるということを確言いたしまして、以来、大体次のような推移をたどっておるわけでございます。  移転先としましては、国防総省としても六月下旬にジョンストン島へ調査団を派遣して検討した結果、技術的に問題ないということで同島に決定している模様でございます。米国政府として、ジョンストン島への移転計画を最終的に決定、実行するためには、保健、教育、厚生省による安全問題についての、審査を必要としているよしでありますが、この審査結論が出されるものと承知しております。この結論が出て、議会了解も得た上で最終的に撤去計画決定され、実行に移されるものと確信いたしております。  政府といたしましては、いまも申し上げましたような基本的姿勢でございますから、米側連絡を一そう緊密にいたしまして、迅速でかつ安全な毒ガス兵器撤去を実現させたいと考えております。
  5. 山田久就

    山田(久)委員 ぜひいまお話しのような筋でこの上とも御尽力をお願いいたしたい、こういうことを要望しておきます。  さて、本論に入りまして、このたびの委員会証言ジョンソン次官は、その背景説明で、共同声明第八項に関連いたしまして、この項の趣旨は、米国はその返還時すなわち一九七二年には沖繩に核を貯蔵する権利を行使しないということを述べたものである、こう述べる一方、しかし本項によって例外的な状況においてわれわれが必要と認めれば日本側と協議する、米国権利を非常に細心に保持しておること、及びこのことが特に核兵器について適用されるものであることが注目されるという趣旨を述べております。で、右のジョンソン次官説明は必ずしも沖繩核抜き返還保証したものでなくて、返還時の有事持ち込みの余地を認めたということを裏書きするものじゃないかというような、そういう懸念、疑念が提起されていることは御承知のとおりでありまするが、事の重要性にもかんがみまして、あらためてこの点についての政府所見をひとつ明らかにしていただきたいと思う次第であります。
  6. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この共同声明の第八項につきましては、大切な問題でございますから、少し詳しくなるかもしれませんが、あらためて御説明させていただきたいと思います。  これは共同声明の大きな柱の一つでございます。そしてこの第八項に掲げられてありますことについて、政府として、従来この第八項についてはこういうふうに考えるべきであるという政府説明態度というものも十分詳しくいたしておるつもりでございますけれども、まず日本の総理としてわが国の核に対する基本政策を詳しく述べまして、これに対して米大統領は深い理解を示し、この日本政府政策に反しないように沖繩返還を実施することを確約したわけでございます。すなわち沖繩核抜き返還が明らかにされたわけでございます。米国政府最高責任者である大統領の確約であるからには、返還時における核兵器撤去についてこれ以上の明確な保証はないと考えております。したがって、沖繩返還後においてもひそかに核兵器を存置しておくというような、いわゆる核隠しなどということは問題になり得ないということは新しく申し上げるまでもないところでございます。  それから、事前協議という制度のもとにおきましては、核兵器日本本土及び返還後の沖繩への導入が法律的に禁止されているというのではございませんで、日本政府は現在その政策である核に対する政策の原則によってこれを断わるという方針をとっているわけでございます。したがって事前協議対象となるべき性質の問題であることは変わらないわけでありまして、アメリカ政府立場としてこれを確認したのが「事前協議制度に関する米国政府立場を害することなく、」という表現が使われてあるわけでありまして、これによってわがほうが有事持ち込みを認めるという保証を与えたというようなことは全然ございませんことは従来から説明しておるとおりであります。この点は、このサイミントン委員会におきまする証言あるいは質疑応答の中におきましても、いま申し上げました日本政府説明態度というものとの違いというものはございませんのみならず、御承知のように、返還がきまりましてこの共同声明が出ましたその直後におきまして、十二月十五日にはメースB撤去についての米政府発表があり、これが実現せられましたこともまた御承知のとおりであるということをつけ加えておきたいと存じます。
  7. 山田久就

    山田(久)委員 安保条約改定のとき、私自身もこれにタッチしたわけでございまするが、事前協議についての核の了解はそのとおりで、その点については変更がないというお話でございまするが、当時の了解もそうであったと考えております。  次に、一九七二年返還時期の問題についてでございまするが、これに関連いたしまして、米側が満足できる合意に達しない場合には返還が七二年より先に延びることもあり得るというような趣旨のことを述べておる。その問題に関連してまたいろいろな論議が生まれているわけでございます。むろん大統領としては行政府立場といたしましてその基本方針声明したわけであり、国会の同意を得るということを必要としておりまするから、理論的にはこの合意が得られないというような場合にはということもあり得る、そういう趣旨を述べたのじゃないか、こう考えるわけでありまするけれども、問題は、この最高政策決定がそのとおり実現されるかどうかという点は、これは一にかかってその後における返還協定交渉、それが現在どのようなふうに進捗しておるか、円満に進んでおるかどうかということがつまりこのことを見分ける実はあかしということになると私は考えます。そういう意味から、現在どのような段階にあるか。また特にこれらの交渉の中においてボトルネックというようなものが生まれているのかどうか。また現在におけるその返還交渉のペースというようなものから見まして、この返還協定の締結が大体予想された時期までに実現される見通しであるかどうか。この点についての政府所見をお伺いいたしたいと思います。
  8. 愛知揆一

    愛知国務大臣 御質疑にありますとおり、この共同声明の第六項におきましては、立法府の必要な支持を得て両国政府が具体的の取りきめにかかるわけでありますが、それが締結されることを条件に一九七二年中に沖繩復帰を達成するようにということで合意がまとまっておりますことは御承知のとおりでございまして、これはいまお話のございますように、七二年復帰が完全に実行できるかどうかということについては、その後の具体的な折衝進捗状況というものがこれを裏づけするものであるという趣旨の御意見は全くそのとおりでございます。  まず、申すまでもないところでございますが、このサイミントン委員会はことしの一月に行なわれたわけで、この一月の当時には、かく申しまする私自身も、一九七二年中のしかも早い時期の返還ということについてはねじりはち巻きで努力をしていかなければ、広範にして深いあるいはまた大小さまざまな問題を処理していくことは非常に困難に思われるので、いわば七二年の復帰ということは即時復帰とそういう意味においては同じような考え方であるから、大馬力をかけて政府としても努力をいたさなければなりません、こういうことを当時国会を通じても私はしばしば申し上げておったわけでございまして、私は、同じような立場に立つジョンソン国務次官がこのサイミントン委員会質疑応答に際していろいろの応答をしておられるこの気持ちは、私にはよくわかります。幸いにして、一月以後におきまして、これは国会の御協力といいますか、国会の御審議の結果、国政参加というようなことが早くもまさに実現しようといたしておりますし、また政府間のベースの話し合いにつきましては、現在内閣内にも沖繩返還準備についての閣僚の協議会もできましたし、関係各省間の連絡、内政的問題については沖繩北方対策庁が座元になりまして、各省の非常な協力のもとに着々準備が進んでおります。また事外交的な範囲内で処理しなければならぬものにつきましては、外交チャネルで鋭意折衝を続けております。それらを総括いたしまして、返還協定作業については、特にこの六月からは駐日米大使と私との間でいわば定期協議を持ちまして、作業進捗状況を見ながら、督促すべきものは督促し、調整すべきものは調整して、一九七二年の早い機会に実現がはかれるように、また日本側においては当然国会の御承認を必要といたしますから、国会の御審議を十分いただける余裕を十分見ながら、この協定話し合いがまとまりますように私どもとしてはできるだけの努力を進めておりますが、アメリカ側も非常に意欲的でありまするので、私が一月当時予想したより、あるいはジョンソン国務次官も予想したよりも相当早いスピードで円滑に準備作業が進んでいるということを申し上げても言い過ぎではないと思います。  一般的に申しますと、交渉事項といたしましては、裁判の効力等に関連する諸問題の取り扱い米国資産の処理、沖繩住民請求権取り扱い、在沖繩米国外資系企業取り扱い沖繩への地位協定適用準備作業等々がございますが、これらの細部にわたりまして、ただいま申し上げましたように、それぞれ専門的な立場において検討すべきものは、それぞれ両方が専門的なチームを編成し、そうしてこれを総合しながら、いま申し上げましたような役割りの配分をもちましてやっておりまするので、政府といたしましては、七二年中の早い時期に返還というものが具体的にでき上がるということについてはますます確信を持っておるような次第でございます。
  9. 山田久就

    山田(久)委員 次に、沖繩返還の上は、沖繩の防衛、これも日本の新たな責任ということに相なるわけでございまするが、この点の問題をも含めて、ジョンソン次官が、日本軍事の分野で何かしようとしていることは確かだというような趣旨のことを証言しておるのでありますが、この点に関連いたしまして、米国沖繩返還するということの代償として日本軍事力を強化して米極東戦略の一翼をになうことを期待しているんじゃないか、そういう証拠だというような議論が生まれておるのでございますけれども、むろん憲法の趣旨、これまでの声明からして、そういう点はないと思いますけれども、この点についてひとつ政府所見をあらためて承知しておきたいと思う次第であります。
  10. 愛知揆一

    愛知国務大臣 日米間の昨年秋の話し合いというものは、共同声明が両首脳の間ででき上がって発表されましたが、これ以外には何もございませんで、この共同声明両国最高方針というものが合意され確認されておるわけでございます。これがまず第一でございますが、これによって明らかになっておりますことは、沖繩返還について申しますれば、現行の安保条約、これに関連する諸取りきめが変更なしに適用される。つまり安保条約がそのままの形で、考え方やその他を含めまして、これが変更なしに沖繩に適用されるということが眼目になり、これが沖繩問題についていえば本土並み返還ということを象徴しておるものでございます。また安保条約につきましては、一九六〇年に改定されました安保条約がそのままの性格並びに使命を持って引き続いて堅持されていくということがその基礎になっておるわけでございますから、日本政府といたしましては、安保条約のこの条文にあらわれておるとおりの考え方、また一九六〇年当時から政府国会を通じて表明いたしておりまする考え方にいささかの変わりもないわけでございます。これはまたいろいろ御質疑がございますれば、いかような点からも私としては十分お答えをし説明をいたしたいと思います。そういう基本的な観念に立っておるわけでございますから、あるいは一部に、安保条約が変質したのではないか、政府態度が変わったのではないか、その変わり方あるいは質の変わり方というものが沖繩返還代償としてとられたのではないかというふうにとられる向きもあるやに見受けられますけれども、いま申しましたように、一つには、この共同声明以外には何もないという形の上からもこの点については解明できると思います。また、この共同声明の発出のいわばフィロソフィーというものが、いま申しましたような安保条約を十年前からの姿、その性格で続けていくということを基本にし、かつ何らの変更なしにやっていくのだということが基本眼目でございますから、これらの点については政府の一貫した態度というものがあり、したがって変質とか代償とかいうことは考えられない、そういう批判は当たらない、かように存じております。
  11. 山田久就

    山田(久)委員 問題は重要でございまするから、いろいろ疑念のある点、解明すべき点はひとつ十分解明の努力を今後においても続けられることが必要だと思います。また同時に、これまでもよくあった例でございますけれども、部分的な疑念を全体化して、全般としてのそのものの評価、たとえば沖繩問題なんかについて言えば、少なくとも戦争が終わってから領土変更というものが行なわれたというような例はない。その間においてむろん、いろいろ両方議論や何かもある。しかしながら、大局としてどういうコースを選ぶのが正しいかというその全般的な評価を誤るような、またしいて曲解させるような態度も見受けられる点は非常に残念でございまして、こういうようなことに誤れることがないように、国民が正しく基本的な評価を誤らないことについての政府努力、これは十分ひとつ頭に入れておいて、そうして今後もそういう点について国民に正しい問題点を理解させるように御尽力願いたい。この点を特に希望しておきます。  最後に一言だけ。問題は別でございまするけれども、例の尖閣島の問題でございます。新聞報道によりますると、いろいろ中国がこれについて採鉱権あるいは採掘権外国会社に与えたとか、あるいは国府外交部長がこの点についての領土権を主張したとか、いろいろなことがいわれております。アメリカも十日この点についての発表スポークスマンがやったようでございますけれども、国民関心にもかんがみまして、政府のとられている措置見解、今後の方針等について最後に承りたいと思います。
  12. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず第一に尖閣諸島とそれから大陸だなの問題は、政府としては質の異なる問題である、かように考えておるわけでございます。そして尖閣諸島に対する主権の問題については、アメリカスポークスマン新聞報道等でも言っておりますように、これを簡潔に申しますと、何らの意味でも日本以外の国が主権者であり得るはずはないという趣旨のことを言っておる、そのとおりでございまして、現在アメリカ施政権を行使しております琉球列島あるいは南西諸島の範囲内においてきわめて明白に尖閣諸島が入っておるわけでございますから、これは一九七二年には当然に日本返還される対象である。こういうわけでございますから、尖閣列島主権の存在については、政府としては一点の疑いも入れない問題であり、したがって、またいかなる国との間にもこの件について折衝をするとか話し合いをするとかいう筋合いの問題ではない、こういうふうに考えておるわけであります。  大陸だなの問題につきましては、先ほど申しましたように、領土権の問題とはやや質の違った問題でありますが、しかしこれにしても、海底の資源の開発等について、ある国が一方的に権利を主張し、かつ開発権を云々するというようなことが妥当でないことはこれまた当然でございますから、この点については、政府といたしましても国民政府に対して申し入れをし、また適当に話し合いに入って円満な話し合いの結末をつけるということについて、必要があれば十分に用意をしてかかりたいと考えております。  なお、時間をとって恐縮でございますが、前段の尖閣列島の問題につきまして、九月二日に台湾の新聞記者がこの諸島の中の魚釣島に中華民国の国旗を立てたということが報道されました。政府としては、この点については、先ほど申しましたような見解であり、立場でございますから、まずその事実の有無についてさっそく国府側に対しまして申し入れをとりました。そして事実かいなか、もし事実であればきわめて非友好的な措置である旨を指摘いたしまして、善処することを強く要求したわけでございます。ただいまのところ、国民政府としても、新聞を見て初めて知った事件であり、さっそく事実関係調査すると答えておるようなわけでございますが、これは、事実の有無、それに対する国民政府見解有無によりまして、しかるべき措置をとりたいと思っております。これはいわゆる話し合いではございません。
  13. 池田清志

  14. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 たいへん時間が制限をされておりますから、ひとつ同じような答弁は繰り返さないように、私も端的にお尋ねをしていきたいと思うのです。  その前に、まず大臣に要望しておきますが、先ほど理事会でもいろいろ議論があったのですが、政府側の都合で委員会の時間を制限をするということはたいへん遺憾なことでありますから、今後、委員長に強く申し入れてありますので、閉会中は特に重要な問題については十分な時間をかけて審議するという態度で臨んでもらうことを要望しておきたいと思います。  そこで、まず核の旧問題についてお尋ねしますが、先ほど外務大臣山田委員の御質問に対して、十二月十五日、メースB撤去した、こう言われましたが、それでは現在沖繩には核兵器はない、こういうふうにお考えになっておられるのですか。
  15. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは現在施政権がまだ日本として及んでおりませんから、確たることを申し上げることは政府としてはできませんが、その辺のところは御了承を願いたいと思います。
  16. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ジョンソン証言によりますと、「沖繩核兵器を置く権利を持つ意義は、戦略核兵器より戦術核兵器に関連したものである。」こういうふうに冒頭証言証言をしておるわけであります。だからメースB戦略核兵器の中に入れられるわけでありますから、現在F105にいたしましても、あるいはサブロック問題等にいたしましても、ナイキハーキュリーズ、オネストジョン、いろいろ戦術核兵器は配置されておる、これは常識になっておるわけであります。  そこでサイミントン議員が「いまアメリカ沖繩から核兵器を出動出来るか。」という質問に対して、ジョンソンは、「いまは沖繩からやりたいことは何でもできる。」こういうふうに答弁をしております。このことは一月二十六日の証言でありますから、そういたしますと、十二月十五日にメースB撤去をされたあと、この議論アメリカ議会で問題になっておるというのでありますならば、当然戦術核兵器というのが現在沖繩にある、そしてそれはいつでも出動できる体制にある、こういうふうにアメリカ議会側論議が行なわれておる、こういうふうに見なければならないと思います。その点いかがですか。
  17. 愛知揆一

    愛知国務大臣 サイミントン委員会の議事の応酬あるいは証言というものについては、私も念のためつまびらかに読んでおりますけれども、いまの点も、私はこういうふうに理解いたしております。  現在、施政権アメリカにあるから、自由にやろうと思えば何でもできるという点を強調したのでありまして、しかしながら、先ほど来私が申しておりますような、米側日本に対する合意に基づきましての態度というものは、その後におきましてもよく理解できるわけでございますから、私は、現在沖繩にどうこういうものが配置されておるかということについては、あえて申し上げることは適当でないと思いますし、また私はその資格がないかと思いますが、その辺のところは御想像にまかせるよりほかにないと思います。
  18. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 先般現地で行なわれた世論調査、読売新聞なりあるいは現地の沖繩タイムスなりがやっておるわけですが、しかし核抜きということについて現地は信用していないですよ。いま御想像にまかせます、こう言われたわけです。御想像にまかせるって、どのように想像すればいいのですか。それでは、返還の際には権利は行使しないと言っておる、といたしますならば、戦術核兵器も一切撤去されるということを日本側地位協定適用にあたって具体的に確認できる、ただそれを信用するということじゃなくて、具体的に確認できるというならば、その確認できる方法を明らかにしていただきたいと思います。
  19. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これはいつも繰り返される論議でありますが、大切なことは、返還されてから以降のときで、返還のときに核が抜かれてあるということ、返還後において核の持ち込みということに対して日本政府としてはこれを認めないという立場をとっておるわけでございまして、そのことがきわめて大事なことである、私はかように存じております。そして、これはまあ戦略核とか戦術核とか、いろいろな角度からの御質疑もございましたけれども、とにかくこの共同声明ができて、その直後にメースBというようなものが撤去されたというようなことも、これは私は共同声明に即した米側措置であって、日本としては歓迎すべきことである。返還されるときにはもちろん核はあらゆる意味においてない、こういうふうになって返還がされるということがきわめて大切なことであり、この点は日米首脳間において合意が明確にできておるところである、かように私は存じております。
  20. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 アメリカ事前協議で核を持ち込み得る権利というものが注意深く留保されておるわけでありますけれども、そういたしますと、その権利というのは非核三原則と反するということについては認められるわけですね。そうしますと、なぜ非核三原則に反する権利をなおかつ留保させたのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
  21. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど山田委員にお答えいたしましたように、安保条約が十年前にできて、そのままのものが沖繩に適用されるわけでございますから、本土と同じように、核の持ち込みということは事前協議対象になる事項であるということが確約されているわけです。そしてそういうことが条約の上で約束の対象になっておりますことは御承知のとおりであって、条約自体において核の持ち込みを禁止するという条約になっているわけではございません。これを法的に裏面から注意深く説明すればこうこうこういうことになるというのが、サイミントン委員会質疑応答の中に出ている趣旨である、かように私は存ずるわけでございまして、日米両首脳のはっきりした合意によりまして、先ほども申し上げましたように、日本政府日本国民の願望の上に立った核に対する政策というものに対して深い理解を示して、その線に沿うた態度をとるということが米大統領の言明である、この点が大切なところであると思います。  さらに、サイミントン委員会における国務次官の証言あるいは説明の冒頭に、一九六〇年の岸・アイク共同宣言というのが特に引かれて、これを前提にしておることも御注目を願いたいと思うのでありまして、これは平たく言えば、日本側の欲せざるようなこと、同意しないようなことはいたしませんというのが、この一九六〇年の岸・アイク共同声明でございますが、この基本線に従ってこの安保条約というものが運営されるのであるということが、基本的な制約としてかかっておるということにも御注目をお願いしたいと思います。
  22. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 非核三原則が日本政府政策として原則として明らかになってきたのは、佐藤内閣になってきてからですね。六〇年の安保条約改定のときには、そのことは政府の原則としてあるいは政策として明確でなかったわけです。そういたしますならば、当然当時の事前協議の核持ち込みの問題等についても、今回の共同声明安保条約はそのまま適用するとするにいたしましても、佐藤内閣が明確にしたその非核三原則というものを、当然十年前と違った状況の中で、つまり条約の解釈として相手側に権利を与えておくのだ、しかし日本側は非核三原則があるからノーと言うのだということであるならば、なぜそのことを共同声明に明確に書かないか。だから例外的な文章だ、共同声明の文章は例外的なケースなんだ、こういうふうにジョンソンアメリカ議会証言をしておるわけなんです。国民に疑問を持たせないという点について、あるいは現地の沖繩においても核抜きというものについては全く信頼されていないわけです。といたしますならば、その疑問というものを取り除くためには、ばく然としたそういう表現ではなくて、明確にその点はここに非核三原則というものを明記すべきだ、こう思うのです。なぜそれができなかったか。これは先般の通常国会でもいろいろ議論したわけでありますけれども、あらためてこの点は明らかにしたいと思うのです。いかがです。
  23. 愛知揆一

    愛知国務大臣 日本国民の願望の上に立った日本の核に対する政策ということは、もちろん非核三原則を意味しておるわけでございます。  それから、先ほどもお答えをいたしたところでありますが、事前協議制度のもとでは、核兵器日本及び返還後の沖繩への導入ということが法的に条約上禁止ということにならないで、さような希望が米側にあった場合には事前協議にかけなければならないという義務が条約上の拘束を受けているわけです。これに対して、日本政府としては、いま申しましたような非核三原則でもって、日本国民が悲願を持ち、日本政府がかような政策をとっているのであるということが、十分に米側大統領としては理解をしておりますということで、ここでかんぬきが入っている。この点は本土並みであって、全く本土と同様に、現在本土の核の持ち込みは事前協議にかかったこともございませんし、またかかったと万一すれば、これはノーと言うことがわかっているわけです。先ほど申しましたように、さかのぼって一九六〇年からのこれは日米間の安保条約の運営に対する基本的姿勢の表明でありますので、そういう点については、これは幾ら御説明をいたしてもよろしゅうございますが、御懸念のようなことはございません。
  24. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 これは何ぼ追及しても平行線になると思うのです。しかし、依然として国民なり県民の疑惑というものは、これは取り除かれません。サイミントン議員沖繩核兵器を置くかどうかの最終決定権が日本の側に変わったわけかということについては、両国政府決定の問題になった、こう言う。そのときには必ず日本が欲しないことはやらないのだ、こう言っておるからやらぬのだ、こういう答弁に返るのでありましょうけれども、しかしその場合に戦術核兵器を使う、つまり戦略核兵器は除きますよ、戦略核兵器は除きますが、戦術核兵器を使うアメリカ側の極東戦略との関係からすれば、ここにいう例外的なケースであるというジョンソン次官が指摘をしておる点というのは、これは依然として残るのです。この点はひとつ、まあ議論しておりますと、わずかな時間で、もうあといろいろな問題が追及できませんから、これは残しますけれども、そうした点を指摘をしておきたい、こう思います。  それから、事前協議の問題でありますが、参議院の外務委員会で八月の二十七日、外務大臣が羽生参議院議員の質問に対して答弁をしておられる点を明らかにしたい、こういうふうに思います。EC121型機の問題もありますけれども、これはちょっと時間がありませんので、きょうはのいておきたいと思いますが、外務大臣が参議院の外務委員会答弁をしておりますのは、一機一機の出動ということに、一機ずつ事前協議ということは事の性質上適当でない、こういうふうに言われておりますね。といって、総理大臣が言っておるとおり、包括的な事前協議に対してイエスと言うことは、これまた厳重にさようなことはあってはならないことであると思います。結局ケース・バイ・ケースということにならざるを得ないというのですね。ケース・バイ・ケースというのはどういうことですか。
  25. 愛知揆一

    愛知国務大臣 サイミントン小委員会でも、その点についてもだいぶいろいろの角度から質疑応答があるようでございますし、またそうそう詰めて設定された場合を想定してもお答えがなかなかできにくいというような非常に率直な答弁もあるようでございまして、私もこういう点については、同じような立場に立つ者として、なるほどなと思うところも実はあるわけでございますが、いまのお問いに対しましては、一艦一機の発進を単位として扱うということは、概して申せば、非常な緊急な事態でございましょうから、これは適当でない場合が多かろうと私は思います。さりとて、それならば、もう一つの極端な例で、大部隊が長期にわたって出撃することに包括的にイエスと言うなどということは、これはまたとんでもないことでございますから、言えますことは、ケース・バイ・ケースで、そうして日米共同宣言の趣旨、そして日米安保条約の目的に照らしまして、ケース・バイ・ケースによって、日本としては国益を守るという立場で処理すべきものである、こう申し上げざるを得ないと存じます。
  26. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そうケースが一機一機ではない、しかし大部隊の包括的なものでもない、こう言う。しかし、特にこれはジョンソン国務次官も、事前協議の問題については冒頭証言で言っておりますように、爆撃をするために飛び立つ場合という点は指摘をしておるわけですね。そうしますと、そのケースというのは、たとえば返還されたときにB52の問題はノーと言うんだということになっておる。しかし、これは依然として残るわけですね。そうしてB52でないにしても、飛行機が爆撃に出ていく、そういう一つの行動に対してイエスを言うということになりますと、その行動はどこで切れるのか。どこで切れるのかわからぬわけですね。そうしますと、ケース・バイ・ケースと言うが、そのケースには規模も時間もないわけですよ。規模や時間の制限があるのですか。いかがですか。
  27. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これも前々からお答えしているとおりで、沖繩返還という問題とこれは関連がない問題だと私が思いますのは、安保条約は何らの変更なしに適用されるわけですから、むしろ安保条約それ自体に対する御質問と思いますけれども、要するに、安保条約第六条によるところの交換公文における戦闘作戦行動というものにつきましては、日本が提供した基地から戦闘作戦行動ということで命令をもらって発進するという場合は事前協議対象にしたければならない義務をアメリカが負っているということが明確になっている。これが安保条約のそもそもの性格であり規定である、かようなわけでございます。
  28. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それではECの問題にちょっと触れたいと思いますが、EC121型機の護衛救助行動の一部なら事前協議対象にならない、こうジョンソン次官は言っておるわけですね。それから総理大臣は前の国会で、警察行動の域を出ない場合は事前協議対象にならない、こう言う。  そこで具体的にお尋ねします。サイミントン議員が、EC121型機が落とされたら、報復のため相手国の飛行機を撃墜することは認められているか、これは日本との協議事項になるか、こう言っている。それに対してジョンソン次官のほうは、少し問題をはぐらかしておるわけですね。護衛救助行動ならば事前協議対象にならぬ、こう言っておる。しかも警察行動というのと、この場合のサイミントン議員質問しておるような報復のための撃墜ということと、これは紙一重になっていく。出ていくときに警察行動だから、これは事前協議対象にならぬのだ、こういうことでしょうが、それならばもうそこのところは紙一重の問題なんですね。  サイミントン議員が聞いておるように、端的にお尋ねします。じゃ報復のための撃墜ということ、それで飛び立つ、これも警察行動に入りますか、救助行動に入りますか。
  29. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほどもちょっと申しましたように、このサイミントン委員会質疑応答も、質疑応答が食い違っていたり、あるいは正確な用語が使われていない、率直に申しますと、そういう感じがいたします。たとえば報復ということばが使われておるようでございますが、これは議員側の質疑の中のことばでございますけれども、そういう点につきましては多少いかがかと思われる点も実はないではないと思われます。先ほど申しましたように、日本の在日米軍基地から、たとえば飛行機でございまするならば、戦闘をする、作戦をするための行動として出撃いたします場合には、これは明らかに事前協議対象になるわけでございます。また一方におきまして、偵察行動というようなものにつきましては、サイミントン委員会の議事録の中にも出ておりますし、また昨年の四月二十四日の当院本会議における佐藤総理の答弁が引用されておりますように、この種のものは事前協議対象に入らない。これは明瞭な二つの例でございますが、その中間のところでいろいろ質疑応答があったようでございますが、観念的な問題として、偵察をしておりましても、それが何らかによって襲撃を受けたという場合に、いわば自然法的といいましょうか、あるいは緊急防衛ということばが適当かどうかわかりませんが、襲いかかったものに対して抵抗をするというようなことがどうだろうか、これはやはり緊急避難というようなことで律しなければならぬのではないかと思います。  さてそういう事態が起こりました場合、三十分後はどうなるだろうかというようなことがサイミントンの委員会でも話題になっておるわけでございますが、それに対して、恐縮ながら何ともわかりませんというような答弁もその中に出ておるようでございますけれども、これはやはり私の申しますケース・バイ・ケースで、安保条約の目的が適正に日本の国益のために運営されるという立場に立って、日本が自主的な立場態度をきめるべきものである、これをしっかりしておくことが何よりも大切なことではないだろうか、かように考えております。そうして、あらためて日本の基地から、いかなる場合でありましても、戦闘それ自体、あるいはいかなる状況におきましても、迎撃であろうが攻撃であろうが、飛行機が日本の基地から発進する、とにかく戦闘するという命令をもらって出る場合には、これは事前協議対象である、かように私は解すべきであると存じます。
  30. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 まあ事前協議の問題も、もっとこれはいろいろの場合を詰めねばいけないと思います。しかし、結局警察行動それから救助行動、その限界がきわめて不明確であるということは、いま外務大臣自体も認めたわけですね。認めておって、それは事前協議にはかけないのだということになるならば、そのことと、出てくる事件と、安保条約の第五条との関係という問題とはきわめて緊密に結びついてくる問題でありますから、この点はこれからもなお詰めなければいけないというふうに思います。残しておきたい、こういうふうに思います。  そこで、国際平和維持軍の問題について触れたいと思いますが、きのう午後もらいましたこのテキストの一四一八ページをひとつ開いてもらいたいと思います。ここのところで、国際平和維持軍について日本政府がある役割りを果たすことを考慮する用意があることを表明しておるということで、一四一八ページの三行目のところに「ザ・ジャパニーズ・ガバメント・ハズ・エクスプレスド」ということになっているわけですね。表明しているわけです。だから、これは具体的に何を言っているのか明らかにしてもらいたいと思います。きのう、おとといの外務委員会では、この点は何を意味しているかわからないという御答弁を東郷局長はされたらしいですけれども、明確にここに載っているわけですから、この点は何を意味しているのか明らかにしてもらいたいと思います。
  31. 愛知揆一

    愛知国務大臣 一番冒頭に申し上げましたように、日米合意しているものは共同声明以外にないわけでございまして、こういうくだりは共同声明にも何もございませんし、政府としては共同声明以外に何も合意したものはないことはしばしば明らかにしているところでございますから、東郷局長がこれは何を意味しているかわからないと言ったのはそのとおりでございまして、米側がどういうことを言ったのか、これはわかりません。
  32. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そこで、外務委員会でもだいぶん力んで、自分の説明が有権解釈だ、こういうふうに言われましたね。では、国際慣習法の上における有権解釈というのはだれが下すのですか。条約の解釈について、たとえば平和条約の場合ですと、もめる、紛争する、その場合には国際司法裁判所に出すということを明確にきめておりますね。安保条約の場合にはそれがない。としますならば、あなたのは有権解釈であって、ジョンソンのは有権解釈ではない、これをあなたは言明されるわけですか。
  33. 愛知揆一

    愛知国務大臣 二つ問題があると思いますけれども、私は共同声明発出の直後に日本政府のこの解釈といいますか説明というものを明らかにいたしました。ワシントンにおいて内外に明らかにいたしております。それから共同声明は日英両文が正文でございます。その点もあわせて申し上げておきたいと思います。  それから、国際監視軍とかいうようなことは、この共同宣言には全然出ておらぬことでございますから、共同宣言の有権解釈云々の問題とは対象がはずれているわけでございます。  なお、この国際監視軍その他につきましては、いまさら申し上げるまでもございませんが、たとえばインドシナ等についてのICC等については、関係国の間で、協定に参加した国々の間で協定が結ばれ、また監視軍の協定というものもございますわけですから、これはおのずから、そういう協定の参加国の間において有権的の解釈というものが行なわれる、かように存ずるわけでございます。で、日本としてはいまだにそういうものに参加もしておりませんし、また有権的解釈というものをそういうものについて何ら云々すべき立場にはないと思います。  それからもう一つ最後につけ加えておきますことは、これも申し上げるまでもないことでございますが、日本は徴兵はもちろん海外派兵というようなことは全然考えるべきものではないという立場をとっておりますから、そういう点もあわせてお考えをいただきたいと思います。
  34. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 ここの点については国民にたいへん疑惑を与える。だから、この点についてはアメリカ側に明確にこの点を訂正をさせるということをいたしますか、どうですか。
  35. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまも申しましたように、これは日米共同声明には盛られていない、また話し合いにもなっていないことでもあり、これは仮定の問題ですけれども、かりにアメリカに限らず他の国が、日本はこういうことをやってほしいのだなとか、あるいはやってもらいたいなということを考えておるといたしましても、日本日本立場があり、日本日本としてのみずからつくっている制約があるわけでございますから、それに該当しないようなこと、そこからは律し得られないようなことには、日本は参加する義務もなければあるいは参加すべきでもないわけでございますから、そういう点から考えまして、一々国会における論議等について、その一つ一つ質疑応答その他について、意に沿わぬところがあるとか、あるいはこれは言われたってできないことだよとかいうことを念押しをするというようなことは、国内の問題と違いますから、私といたしましては、そういうことについて一々とやかく外交チャンネルの上で問題にすべき筋合いのものではない、かように存じております。
  36. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それでは、国際平和維持軍への参加はやらないということをここで言明をされるわけですね。
  37. 愛知揆一

    愛知国務大臣 国際平和維持軍というものが何を意味するかわからないのでございますから、そういうことが将来何らかのことで話題になることがあり、あるいは相談に乗ってくれというような新しい問題がありましたときには、日本の自主的の立場の上においてこれを処理すべきものである、ともかく海外派兵ということはやらないという厳たるたてまえからこれは処理すべきものである、かように考えております。
  38. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 では次に、返還時の協議の問題、羽生委員質問しておりますことをもう少し詰めてみたい、こういうふうに思います。  ここでまず言っておきたいことは、外務大臣が長々と答弁をする返還協定というものと別のものだということについては、私も認識をしておりますから、つまりジョンソンもここで協議というのは、返還に先立って行なわれる協議のことであって、安保条約にいうところの協議ではないという点に留意をしておきたいと思う、ということを共同声明発表後のバックグラウンドの説明で彼も言っておるわけですし、その点は議会議論の中でも明確だろう、こう思います。  そこで問題は、アメリカ沖繩から望むことを実行する能力を禁じないよう双方の間で協定または取りきめを作成するという意味だ、ここのところは一一六九ページを見ると、「ウイ・ウイル・ワーク・アウト・サム・アグリーメント・オア・アレンジメンツ」というふうに明記しているわけですね。そこで返還協定が七一年中に、つまり先ほど山田委員質問に対しても、返還協定交渉の経過という説明があったわけでありますが、七一年中返還協定の締結、こういうことになって、七二年返還、その際に沖繩返還が実施を予定される時点でアメリカ沖繩から行ないたいと望むことがあるならば、アリメカが沖繩から望むことを実行する能力を禁じないよう双方の間で協定または取りきめを作成する、これは明らかに返還協定と別のもの、こういうことになりますわね。その際に、アグリーメントあるいはアレンジメンツ、こういうものをワークアウトするんだ、こういうふうにこの一一六九ページのところではジョンソンが言っておるわけですね。これは返還協定が結ばれた、国会の承認を求めてくる、しかし、実際に返ってくるであろうその時点でなおかつベトナム戦争がどうなっているかわからぬ、続いておるとする、そのときには沖繩の米軍の行動というものについて、力が弱らないようにするアグリーメントやアレンジメンツをやるんだ、それをとにかく仕上げるんだということがワークアウトという意味だと思うのですね。あんまり英語には強くないけれども、一生懸命字引きを引いてみたらそうだと思うのです。だから、ここのところは、外務大臣が参議院の外務委員会、あるいは衆議院の外務委員会等で再三答弁をしておることとは明らかに違うのです。だから、返還協定と、つまり安保条約地位協定の適用、そういうものと別個に、沖繩の機能を減じないような、そういうアグリーメントあるいはアレンジメンツを実際返還されるであろうときにはやらなければいかぬのだ、やることがあり得るんだということがここで書かれているわけですよ。そうすると、そのことはつまり安保条約並びに関連取りきめの適用なんだ、本土並みなんだといっておるが、沖繩の米軍に関しては、ある期間を限るかどうか知りませんが、特別協定なり取りきめなりというものがなされるということをジョンソンアメリカ議会証言しているわけですね。だから、この点はどうしてもやはり外務大臣のこれまでの答弁とは違う。その点を明確にしてもらいたいと思います。
  39. 愛知揆一

    愛知国務大臣 共同声明の第七項に御承知のとおりに、安保条約あるいは関連する諸取りきめが変更なしに、向こうのことばでいえばウイズアウト・モディフィケイションで沖繩返還が実行される、それから核抜きの項、一九七二年中の返還、これは返還についてのゆるがすことのできない三原則で、完全に日米両国合意しているわけであります。  いまお尋ねの点は第四項の末段のところでございますが、これは私の当時の説明にも明らかでありますように、事前協議の問題ではない。これは米国政府見解と同じでございます。したがってまた、事前協議の諾否の予約であるはずはございません。これも私の説明のとおりでございます。同時に、その時点にいかなる選択の必要があり得るかということを万一の場合を考えて協議をするということを合意をいたしておるわけでございますから、その時点にならなければ、その協議の内容というものをいまからつまびらかにするということはございません。大切なことは、第六項、第七項、第八項で、沖繩返還が実現されるということがはっきり約束されるわけでございますから、そこの協議というものは、その基本原則のワク内で行なわれる話し合いのことである、かように考えるのは当然のことであると思います。こういうわけで、その点についての基本的な食い違いというものも全然私は認められません。
  40. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 だから安保条約関連取りきめ、しかしそれと異なる米軍の行動を保障するアグリーメントなりアレンジメンツなりがなされることがあり得る、それは外務大臣が参議院のほうでも、事態の変遷によってわかりません、こういうふうに言っておりますけれども、しかしそのことはなされることはあるということですね。つまり米軍の力を、実行する力を、能力を禁じないように、そういうことが交渉しなければならない場合があり得るのだということは約束しているわけですね。
  41. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは当時の私の説明を繰り返して恐縮でございますけれども、具体的にいかなる選択があり得るかは、その段階で両国政府が諸般の情勢を十分考慮に入れつつ協議して判断すればいい。現在の時点では判定するわけにはいかないので、これを将来の万一の場合の協議にゆだねたのでありまして、ここにいう協議とは、安保条約に基づく事前協議ではありません、こう申していることと狂いやひずみはありません。
  42. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 だから私は安保条約の協議じゃないということは一番最初に言っているんですよ。しかし米軍の行動、実行する能力を禁じないように協定または取りきめを作成するということがあるということは認めなくちゃいかぬわけでしょう。そのことを尋ねておるんですよ。
  43. 愛知揆一

    愛知国務大臣 ただいまお答えしたとおりの政府としては見解でございます。
  44. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 こんなことをしておったら時間がないですから、次にいきますけれども、基地撤去の問題でありますが、沖繩の最近行なわれました世論調査を見ても、昨年以上に基地撤去の要望が出てきておるのです。今度軍の労働者がストライキをやりました。このストライキをやって、結局相次いでくる解雇という問題に対して、生活を保障しないならば土地を返せというぎりぎりのところに追い込まれてきたわけなんです。それを追い込んでおるのは本土政府の怠慢だ、こういうふうに思います。間接雇用の問題については、これは本委員会でも、予算委員会でも繰り返し論議をされてきた。きょうは総務長官が出席しておりませんので、その後の経過というのを聞けないわけでありますが、これはいずれにいたしましても、沖繩現地の問題ではなくて、東京における日米間の交渉の問題でありますから、あなたにお尋ねをしたいと思うのでありますけれども、これまで、国会で、委員会答弁をしてまいりましたことは、間接雇用制度にあたかももうすぐ移行が何とかできそうな、本土とほんとうに同じものでないにしても、何らかのものをし得る状態にあることを、絶えずぬか喜びというか、そういうものを期待させながら今日まできたわけです。新しい会計年度に入るやいなや、またじりじりじりじりと解雇を出してくる、こういう状態が続いてきて、現在ではこの問題に象徴されるように、沖繩全体には七二年返還というものにつけて、明るい展望ではなくて、むしろ不安があるわけです。そのことは八月の末行なわれた立法院の決議、これはあなた方の系統であります自民党も含めまして、不安が訴えられておるわけです。間接雇用制度についての日米間の交渉の現段階について御説明願いたいと思います。
  45. 愛知揆一

    愛知国務大臣 間接雇用につきましては、しばしば政府側見解も申し述べておりますとおり、特に総理府総務長官としては非常に意欲的な態度で外務省側と協力をし、われわれもできるだけの協力をして、間接雇用に移行することをその後も引き続き努力を続けております。同時に琉球政府側にも非常に積極的な協力をいただいておることをこの際ありがたく思っておることも申し添えておきたいと思います。  同時に、これはいままで御答弁申し上げたところでもおわかりいただけますように、返還の時期がなるべく近いように、そしてその切りかえのときには完全に本土並みのいわゆる間接雇用になるわけでございますから、それを目前にして、そしてこの切りかえがスムーズにいくという意味におきましても、いままでの間接雇用問題の考え方というものはますます促進されなければならない、こういう角度から鋭意努力を続けておるわけでございます。  なおまた解雇問題については、まことにお気の毒な同情すべき問題でございますが、同時に基地の縮小ということもまた大所高所からいって日本としてはきわめて大切なことでございますから、解雇者の手当の問題あるいは予告期間の問題等につきましても、できるだけ手厚い措置をしてくれるように、そのある部分は米側協力によりまして目的も一部達成できましたが、なお足らざるところにつきましては、今後ともその面におきましても十分の措置といいますか折衝等を続けてまいりたいと思っております。
  46. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 そういう抽象的な答弁でなくて、それは総務長官の答弁は、四月にもできそうだ、六月にもできそうだ、その次にはもう年内にもできそうだ、そういうふうなニュアンスの答弁が続いてきているのですよ。七二年はあたりまえなことじゃないですか。だからいまどうなっているのか。これはもう七二年まではできないのかどうなのか、その点を明確にしてほしいのですよ。やれるのですかやれないのですか、七二年までは。
  47. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いま申しましたように、間接雇用ということを目ざして促進を、一生懸命の努力をしておるというのが現状でございます。
  48. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 それはそんな答弁じゃ納得しません。しかしもう時間がきましたので、私一つだけ、これは総務長官いませんから対策庁長官にお尋ねします。  先般の世論調査をごらんになったと思います。世論調査の中で、七二年までに本土政府がやろうと思えばできるであろうという要望が強く出されて、社会福祉であるとか、教育の施設であるとか、あるいは地方財政の問題であるとかという内政、つまり日米間の交渉というかそういう外交交渉あるいは地位協定等を経ない問題等については、強い要望が世論調査からも出ておる。その社会福祉なり教育なり地方財政なり、そういうものについては、返還までの間に全部本土並みのものにするということはできますかできませんか。
  49. 山野幸吉

    ○山野説明員 お答えいたします。御指摘のように最近の世論調査におきまして、沖繩の住民は復帰に備えて、とにかく復帰のときまでに教育、社会福祉、財政援助等の面について非常に強く本土並みを要望しておられるのであります。この教育、社会福祉につきましては、御承知のように従来も重点的に本土並みを目ざして財政援助をしてきたわけでございます。しかし、まだ依然としてこれらの分野は本土との格差が相当あることも事実であります。したがいまして、私どもはいま明年度の援助費の予算編成中でございますが、教育と社会福祉に重点を置きまして、できるだけ本土に帰るまでに格差を解消しよう——全く本土と一緒にできるかできないかというお尋ねでございますけれども、これは社会福祉の分野も非常に広いわけでございますから、必ずしも復帰の時点に全く本土と同じようになるということはなかなか困難が多いと思います。しかし、できるだけ本土に近い状態に持っていきたい、そういうつもりで明年度の援助費も編成したいと考えております。
  50. 池田清志

    池田委員長 川崎君、簡潔に願います。
  51. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 たいへん時間が過ぎて恐縮ですが、これは本委員会の権威にかかわる問題ですから、もう一つ長官にお尋ねします。  八月二十八日の立法院の決議を見ますと、「県民の意思が正しく反映されて、その利益が守られるかどうかについて大きな不安を抱いている」こういうのですよ。つまりこのことは県民が参加してないということの不満です。そこで北方対策庁設置の際に、あの法案を本委員会で可決をする際に、これは各党全会一致で決議をつけたのです。つまりこの沖繩返還の復興開発、その方針決定するについては県民に参加をさせよ、審議会をつくるべきであるという決議をあのときにはつけておるわけです。これがつまりここでいう県民の意思が反映されるかどうかということの一つの手段でもあるわけですね。そこで、本委員会が全会一致で決議をしたそのことが実行されてないということは、本委員会の決議を無視をしておる、こういわざるを得ないと思うのです。しかも七二年までというタイムリミットのある問題でありますから、直ちに沖繩の現地側から産業界なり農業あるいは農民、労働者その他いろいろ各方面の者が参加をして、この復帰に向けての方針決定するのに参加すべきだ、こう思うのです。それは本委員会の意思なんです。なぜそれを無視しておるのか。あるいは本委員会の決議というものを尊重されて、いつやるのか。そのことを明らかにしてもらいたいと思います。
  52. 山野幸吉

    ○山野説明員 お答えします。確かに御指摘のように本委員会の決議の内容は私ども十分承知しておりまして、復帰準備を進めるにあたりましても、そういう特別な審議会等はつくりませんけれども、しかし琉球政府の主席あるいは各局長、それから立法院、そういう方々と常時もう機会あるごとにできるだけ接触いたしますし、また予算編成等にあたりましては、直接市町村長、各団体の要望も十分聞いておるわけでございます。したがいまして、形としてはそういう審議会等はつくっておりませんけれども、閣議決定を見ました復帰基本方針にも、琉球政府沖繩住民の意思を十分反映し尊重すべきだということにもなっていますし、当委員会の決議の趣旨もございますから、その趣旨を十分に生かすように今後ともひとつできるだけ琉球政府沖繩住民の意見を反映するように努力してまいりたいと考えております。
  53. 川崎寛治

    川崎(寛)委員 終わります。
  54. 池田清志

  55. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 初めに尖閣列島のことについてお伺いしたいと思います。  去る十日の外務委員会におきましても、外務大臣尖閣列島の領有権を宣言をされましたし、またアメリカの国務省においても明らかに米政権下にあることは言明されておるわけでございますが、もしそれが、先ほどの御答弁にもありましたように、国府の国旗が尖閣諸島の一番大きい、百二十七万坪といわれている魚釣島に立てられたということが事実であれば、これはゆゆしき事態で遡る。また大臣がおっしゃったようにまことに非友好的なやり方である。このように思うわけでありますが、先ほどその事実関係をすみやかに調査をするという御答弁がございましたが、これは重ねまして、きわめてすみやかにこの事実関係調査することを要望いたしておきます。  初めにちょっと伺いたいのですけれども、この尖閣列島の問題につきまして、昭和四十二年の七月十二日の外務委員会で公明党の渡部委員がこのことについて質問をいたしておりますが、この御記憶はございますでしょうか。
  56. 愛知揆一

    愛知国務大臣 私、ちょっとそのときの事情は、ただいまお答えするだけの用意をいたしておりません。
  57. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 佐藤総理が出席をされた外務委員会で、この尖閣列島の問題が大きく話題に取り上げられております。そのときの渡部委員質問をちょっと読んでみたいと思うのですが、「沖繩の台湾寄りの島、尖閣列島に漁船が非常にやってきております。これは従来からの既存権のようにもなっておるようなのでありますけれども、最近に至ってその尖閣列島に台湾のほうの人々がやってきて基地を設けておるようであります。これではちょっとまずいのではないか。」、こういう質問をいたしておるわけです。これに対して総理の答弁は、「なお、沖繩の問題、これはいわゆる施政権がこちらにございませんので、その行き方としては、」「インドネシアに対する態度とはやや違いますけれども、実情をよく話し合いました上で、私どもも台湾に対して場合によったら直接話をしてもいいと思いますが、これはやはり施政権者から話さすのが本筋だ、かように思います。」このような総理の答弁がいまからまる三年前、昭和四十二年の七月十二日の外務委員会で行なわれておるわけでありますが、その後政府としては、この総理の答弁に基づいてどのような折衝がなされ、台湾に対する話し合いが行なわれてきたのか、経過を明らかにしていただきたい。
  58. 愛知揆一

    愛知国務大臣 政府といたしましては、その総理の答弁の線に従いまして、やはり従来は施政権者であるところの米側に、これは直接当事者でありますし、それから米側としては、潜在主権が平和条約第三条に基づいて日本側にある、そしてこれは地理学的な根拠に基づいて沖繩の布令にもはっきり明示されている島でございますから、従来のところはもっぱらアメリカ側にこれらの関心のあるところをそのつど表明しておったわけでございます。同時に、この尖閣列島については、そういう次第でございますし、実はごく最近も私自身米側責任者と話し合ったわけでございますけれども、米側としても、これはもう非常に根拠がはっきりしておることであるからという態度であり、したがって日本側といたしましても、この領有権というものについて国民政府側との話し合い対象にするというのは、いま総理の御答弁を引用になりましたが、その後の研究によりまして、これはあまりにも明らかなことでございますから、いかなる国とも話し合い対象にすべき問題ではない、かような態度をとることが適当であろう、かように考えておるわけでございます。  しかしながら、ただいまも御指摘がありましたように、九月二日に台湾の新聞記者の人たちと伝えられておりますけれども、中華民国の旗を持ってこの島に上陸をした、これが客観的に写真などにも報道されておりますから、これは占有権を侵している事実なのですから、この事実に対しては、もしこれが本当に事実であるならば、厳重な抗議とこれに対する国府側の善処を求めるのが、これは当然でございますし、そういう意味合いにおきまして申し入れを九月八日にもいたしておることは、先ほど明らかにしたとおりでございます。これは率直に申しますが、ともすると周辺の大陸だな、あるいは海底利用の問題と多少混淆されるきらいがございます。これは明確にする必要があると思います。占有権については絶対的に当方の主権がある、それから大陸だな、海底の利用開発というようなことにつきましては、場合によりましては、これは話し合いで解決をするのが適当な問題である、こういうふうなのが現在の政府としての立場であり、その立場に立って適切な措置を今後とも講じてまいりたい、かように考えております。
  59. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 話の筋論としては、いまの大臣答弁、全く私は同感ですけれども、私がお聞きいたしておるのは、いま大臣答弁の中にも申された日本の占有権のある領土の中に台湾の記者が来ておるということは重大な問題である。これは今日の問題ではなく、すでに三年前にその問題が起きておる。そのことについて総理はその問題を取り上げて、先ほど引用しましたような答弁をなさっておるわけです。私は、場合によっては直接話し合いをしてもいいと思うし、また施政権者から話さすのが筋であるという総理の答弁について、具体的に政府としてはどのような行動をなされたのか、その点をお伺いしておるわけです。
  60. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、アメリカ施政権ということと、それから琉球政府におきましても、この問題については重大な関心を持って適切な措置を従来もとっておりまして、それに対して、従来の経過から申しますと、国民政府側としては、新たに何らの措置というものをとっていなかった。したがって、この問題は自然に解消しつつある、先方としての態度も変わったものであると了解しておりましたところへ、今月二日にいま問題になっておるような事件が起こりましたものですから、この問題については、ただいま申しましたような強い態度で今後とも十分善処してまいりたいと思っておるわけでございます。
  61. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 私が申し上げておるのは、こういった問題がいま起きて、国際緊張というものをかもし出しておる、まことに遺憾な事態だと思うのですが、これは今日の問題ではなくて、すでに三年前からこういう問題があった。そのことを公明党は外務委員会で主張をして、何とか善処すべきだと申し入れをしたにもかかわらず、このまる三年間何ら手が打たれないで、今日また同じような問題が起きておる。きょうの新聞によりますと、国府の外務大臣が「日本政府は、この問題で十月初めに、われわれと話合う準備をしており、われわれは日本側との意見交換に応ずる考えである。」云々ということを述べておりますが、大陸だなの問題と領有権の問題とがあまりはっきりしておりませんが、いずれにしても、国府のほうとしてもこの問題を取り上げて、日本との話し合いをしようという申し入れをしてきておる。私は、いままでの大臣答弁並びにアメリカ施政権下にあるというふうな証言、これは全くそのとおりであると思うのですが、申し上げたいのは、三年前にこういう問題が起きて、総理みずからがそういった答弁をなさっておるにもかかわらず、今日までこういう問題を放置されて、またここで国会論議になってきておる。このことについては、まことに私は国会軽視というか、政府責任を問われてしかるべきことではないか、このように思うのですが、その点についてはいかがですか。
  62. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことにごもっともなお尋ねであります。同時に、先ほど申し上げましたように、ここ二、三年の間は、もうこの問題は自然に処理ができて、まあこういう率直なことばを使うことが適当かどうかわかりませんが、自然的に処理済みである、日本の領有権といいますか、沖繩の一部として、きわめて平穏無事に今日まで来ておりました。この二、三年あらためてとりたててこちらから何らかの措置をする必要もない状態にあった。ところが、今回九月二日に起こりましたことが全く予想しなかった新しい事実でございますから、直ちに政府として適当と思う措置をとったわけでございます。要するに平穏無事に推移していたと政府は見ておりましたわけで、この見方や態度について御批判がございまする点につきましては恐縮に存じますけれども、政府といたしましては、こういう事態が新しく起こったことに対してあとう限りの善処措置を講じたいと思います。
  63. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 外務大臣は、十日の委員会におきましても、これは話題にすべきことではないという答弁をなさっておられますが、アメリカの国務省の昨日の報道によりますと、米政府は、一切の主張の対立は当事者間で解決すべきだと考えておると、こういうことを述べておりますが、この当事者間というのは、日本政府というふうに受け取ってよろしいわけですね。
  64. 愛知揆一

    愛知国務大臣 このマクロスキー情報官のコメントといいますか、これに対しましては、率直に申しまして、訂正というか、あるいはつけ足しと申しますか、それが日本側にございました。これは一つは、一般的に何か一国と一国の争いがあるようなときには、その当事者国間で処理すべきものであるというプリンシプル、そのことを述べたことと、それからいま一つは、率直に言って、尖閣列島主権の問題と大陸だな、海底の問題とが、この新聞記者会見での質疑応答の中で、あまり明確でなかったので、そういうふうにコートされたようである、その点、言い方にもあるいはミスがあったかもしれぬので、その点は訂正したい、こういうふうな内々の申し入れがありましたような次第でございまして、これは先ほど私が申しましたが、実は沖繩についての駐日大使と私との間の定期会談がたまたまこの問題が起こりましたそのさなかに行なわれた。そのときに、駐日米大使と私との間でも話をいたしまして、米側といたしましては、これは現在まで、あるいは今後におきましても、アメリカ施政権対象下にあるところが、この尖閣列島は含まれているのだということは明白なる事実である、そのアメリカ側態度日本側がコートされて一向差しつかえない。この点においては、日米間の意見というものは完全に合致しているわけでございます。これは尖閣列島主権の問題でございまして、非常に率直な言い方ですけれども、ちょうどこの周辺の海域の問題でございますから、大陸だなや海底利用の問題とどうも区別がきちっとされずに論議されているきらいがありますので、この点をまず分けて、国府側に対するやり方も、尖閣列島の場合と大陸だなの問題とは、こちらの態度も明確に区別して、あるいは抗議である、あるいは話し合いである、こういうふうな態度でまいっておるわけでございます。  なお、先ほど魏道明外務部長の新聞会見のことも言及になりましたが、これは実は外電で私も見ただけでございますが、ただいま御質疑のありましたように、どうもその点が明確でございません。大部分の新聞の報道は、大陸だな、海底利用については、日本側話し合いをしたいというように受け取れるようでございますが、しかし、これもはっきりしたところをもっと突きとめてみなければ、確たるコメントはできないと思っております。
  65. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 時間がありませんので、これで終わりますけれども、いま数々愛知外務大臣から御答弁いただいた問題が、また七二年に再びこういったことが国会で論争の対象にならないように、責任をもった処理をしていただきたい、このことを要望いたしておきます。  ジョンソン証言に移りたいと思いますが、昨年末の日米共同声明発表時におきまして、私たちが、明らかに安保の変質である、また、事前協議の形骸化である等々の問題、われわれが危惧した事柄が今回のジョンソン証言によって裏づけられたといっても過言ではないと思うわけでございますけれども、従来の大臣答弁を伺っておりますと、ジョンソン日本政府外務大臣との間において、基本的、総括的には何ら意見の食い違いはない、そういう答弁を重ねて伺っているわけですけれども、私、具体的に、いま安保条約六条を対象にしてお伺いしてみたいと思うのですが、安保条約第六条では「日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。」英文ではイズ・グランテッドというふうになっておりますけれども、明らかに安保条約においては、日本の安全と極東の安全ということは分離されて考えられてきた。これが過日の共同声明の第五項並びに第七項におきまして、日本の安全と極東の安全がイコールの関係になってきている。たとえば、第五項によりますと「両者は、また、両国政府日本を含む極東の平和と安全に影響を及ぼす事項及び安保条約の実施に関し緊密な相互の接触を維持すべきこと」云々、また、第七項は「前記のような態様による沖繩施政権返還は、日本を含む極東の諸国の防衛のために米国が負っている国際義務の効果的遂行の妨げとなるようなものではないとの見解を表明した。」とございますのですが、この点について、このたびのジョンソン証言の中で、日本政府は、これまでアメリカとの安全保障取りきめを日本自身の安全保障に限って認めてきたが、いま日本は初めて、日本の安全保障が韓国、台湾及びこれらの地域でアメリカが負っている義務と切り離せないことを認め、在日基地を日本自身よりも地域全体の安全保障との関係で見ることを認めている。——さらに——日本及びアメリカの米軍施設についての米政府立場は、日本側は、防衛に直接関連するということよりも、その他の地域でのアメリカの公約を支持することにより関連しているということと、沖繩返還される場合、それが他の地域でのアメリカの公約遂行能力を減らさないという日本了解を得ることか重要であった。——そうして——日本からアメリカが、韓国や台湾を支援すべきであるとは思わないと回答されるような事態に直面する可能性がないということが重要であった。こういった証言がなされているわけなんですけれども、この共同声明並びにジョンソン証言をもってしても、なおかつ、安保は変質してない、このように言い切るということは、私は非常に筋が通らない。われわれは、先年来危惧してまいりました、安保が沖繩返還に伴ってまさしく変質しているのではないか、このように思うわけなんですが、いかがですか。
  66. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は、私、二つに分けてお答えいたしたいと思うのでありますけれども、日本政府見解といいますか立場は、一九六〇年の安保条約改定のとき以来、その当時から政府側説明しておりましたことと共同声明に盛られている考え方とは何ら変更がない。これは時間の関係もございますから一々立証いたしませんけれども、これは国会の議事録等をごらんいただければ私は明確であると存じます。要するに、安保条約の前文にもその思想がはっきり出ておりますし、また、条約第六条がそのことをきわめて明確に規定いたしておるわけでございまして、安保条約自身がそういうきめ方、そういう考え方であるということに対する御批判は、私はあり得ると思いますし、これは別問題でございますが、政府としてのとってきました態度あるいは国会において表明いたしておりました態度というものから見れば、安保の変質あるいは性格、目的の変更ということは全然ございません。  そこで、私は、ですから、この共同声明に盛られている考え方日米完全に合意したというこの基本線においては、私は衆議院外務委員会でも申し上げましたように、狂いはございません。これを確言いたしておりますのはそのとおりでございます。これをまた立場を違えて海を隔ててみれば、あるいはそこに評論的な、たとえば日本としてもアメリカの条約についての考え方が違ってきたのではないかというような批判とか批評とかあるいはコンメントということはあり得ると思いますけれども、そこで見方が多少違っている見方もあるかもしれませんが、日本政府としての立場というものは、主体的に言って、安保条約の変質とか、あるいは沖繩返還代償にあらためて解釈を異にしたとかいうようなことは全然ございませんことは、いま申しましたように、時間の関係もございますから一々あげませんけれども、これは国会の議事録等によりまして政府立場を十分立証できる、私はかように考えております。
  67. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 時間がないので端的に伺いますけれども、ジョンソン質疑応答の中で、理論的には沖繩に関する限りアメリカの行動は沖繩返還で縮小されるかもしれないが、同じく理論的には在日基地についてはわれわれの行動は拡大する、こういう証言がございますが、外務大臣はこの証言をどのように解釈をしていらっしゃるのか。私たちは何を言っているのかということをここであらためてお伺いしたいと思うのです。
  68. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この言い回しその他について、一々私も他国の人の言っていることにコンメントするのもいかがかと思いますから差し控えますが、その中で随所に出てくるいろいろの質疑応答の中をしさいに御点検いただきますれば、日本基本的な考え方あるいはわれわれの御説明申し上げておりますことと変わりはないわけでございまして、ただいまおあげになったくだりも、まさにこれは沖繩本土並みでございまして、理論的にとか、あるいはこれは別にしてとか、人の話法がいろいろございますから、あとで別にしてとか理論上とかいうのはどういうことだとかいうような応答も繰り返されておりますけれども、これは共同声明に規定されてあるとおり、沖繩における米軍の行動というものが、返還と同時に安保条約、関連取りきめが何らの変更なしに適用されることになるから、アメリカ軍の行動が制限されるのだということがその中の前提として私は明確になっておる、かように理解をいたしておる次第でございます。
  69. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 日本語というのはむずかしいものだと思うのですけれども、私は、このくだりは、沖繩本土化じゃなくて本土沖繩化である、こういうふうに読んでおるわけですが、時間がありませんので、これはこれ以上詰めません。  最後に一点だけ。過日の外務委員会事前協議の問題につきまして、大臣は、法理論的に言えば事前協議日本に提案権はない、しかしその随時協議のチャンネルでそれをカバーしておるのだ、しかし政治的、実質論的に言えば日本側に提案権がある、こういうふうに言及されておりましたけれども、この答弁を伺って、それでは事前協議の提案権は日本にはあるのだな、こういうふうに解釈してよろしいわけでございますね。
  70. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは衆議院の外務委員会でも多少詳しく申し述べたのでありますけれども、純粋の法理論、条約論から申しますれば、日本が基地を提供した、それを使用するのが米軍である、米軍はこれを使用するのに対して条件づきにされたわけですから、事前協議をしなければならないという義務を米軍が負うているわけであります。したがって、純粋の法理論から言えば、義務を負うたものが提案しなければならない、かような構成に考えるのが私は妥当であると思います。しかし、随時協議を通しまして実質的にこちらが提案権があるといってもしかるべきでございましょう、政治的実質論からいって提案権あり、こう言ってしかるべきでありましょうということは、二、三日前の外務委員会でも申しましたし、また先般の通常国会あるいはその前の国会等におきましても、私がいつもそれは言っていることでございますが、たまたまこの点は結論的ではございますけれども、アメリカのほうは、きわめて法律論的ではないけれども、日本に提案権があるというふうに言っておる点において一致しておる、かように私は存じております。
  71. 大久保直彦

    ○大久保(直)委員 終わります。
  72. 池田清志

  73. 永末英一

    永末委員 最初に尖閣列島問題を伺います。  先ほど、九月二日に国府の新聞記者団が魚釣島へ入ってきて、蒋総統万歳というようなことを岸壁に書いたという事件を取り上げられました。これは調査は完了したのですか。
  74. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまのところでは私どもの想像でございますけれども、その事実は暫時あったことはどうも事実のように思われますが、行為をいたしましたのが台湾側でございますから、そのやった事実があるのか、どういう意図でどういうことをやったのかということを台湾政府国民政府に対して、いまその調査を公式に求めているわけでございます。
  75. 永末英一

    永末委員 岸壁に蒋総統万歳という字の書いてあることは確認されておりますか。
  76. 愛知揆一

    愛知国務大臣 その点は日本政府として確認はいたしておりません。
  77. 永末英一

    永末委員 日本国民新聞に載っている写真をみな見ているわけです。ところが政府はまだ確認してない。国府に尋ねて確認されるおつもりですか、それともその他の手段で確認をされるおつもりか伺いたい。
  78. 愛知揆一

    愛知国務大臣 現在の段階におきましては、すでに直ちに国府側にさような申し入れをいたしておりますから、その結果を待って、しかるべき必要な措置がありましたらさらに措置を考えたいと思います。
  79. 永末英一

    永末委員 尖閣列島は現在アメリカ施政権を持っておる区域である。アメリカに一体どうなっているか伺ったことがありますか。
  80. 愛知揆一

    愛知国務大臣 アメリカとの間では、先ほども率直に申しましたように、すでに直ちに私も米国大使との間に本件についての会談も持ちましたし、それから琉球政府といたしましても、事実の調査についていろいろとくふうをしておることは承知いたしておりますが、ただ先ほど申しましたように、日本政府として確認の措置をまだとっておりません。
  81. 永末英一

    永末委員 第一は、国府がもし知らぬと言ったらどうするのですか、それを聞いている。
  82. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申しましたように、私は日本政府としての確証は持っておらないにしましても、これだけ公に報道もされていることでございますから、その事実を否認することはできないのではないかと思います。
  83. 永末英一

    永末委員 それは未来の話ですね、どう出るかわからない。現在できることは、アメリカ政府施政権を持っているのだから、施政権を持っているものの責任としてその事実を確認する義務があろうと私は思う。わが方は潜在主権だけしか持っていない。その潜在主権者が、この種の問題については、いま施政権を持っておるものについて現状を確認せよと要求することは至当ではないか。あなたはアメリカ大使と何を話されたか伺いたい。
  84. 愛知揆一

    愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、米国施政権を持っていることは当然ですし、米側としても非常な関心を持っている。そこで米側としては、琉球政府と接触といいますかいたしまして、琉球政府が現在その事実の調査ということにいろいろと措置を講じつつある、かように私は存じております。
  85. 永末英一

    永末委員 先ほど、この島々に台湾側の漁民が昔からやってきておる、これらの問題については自然的に処理済みだと考えておる、こう言われた。しかし漁民は何も三年前に一度来たのではなくて、毎年来ておるのである。これは毎年のごとく報道されておる。わがほうが何も言わなかったから問題化しなかっただけの話じゃありませんか。たまたま今回は、その周辺海域における石油採掘権あるいは探鉱権の問題があるので、非常に問題化されました。私が伺いたいのは、わがほうは潜在主権だけしかないが、そうやってしょっちゅう新聞にも報道され、みなの知っておるその事実に対して、アメリカは一体どういう態度でおるのかということを一度だって日本政府アメリカに対して、それを黙認しておるというのなら、抗議を申し入れたことがあるかどうか伺いたい。
  86. 愛知揆一

    愛知国務大臣 アメリカとしては、いまも申しましたように、この問題については重大な関心を常に払っておる。そうして今日におきましても、琉球政府が事実調査をすることについてしかるべく協力をしておる。それからつけ加えて申し上げますと、領有権の主張という形で台湾側が行動を起こし、あるいはそれと見られるような行動、これをやったことはないように思いますけれども、しかし周辺の漁民あるいは漁業の状況等については、従来においても米側が相当の注意の目をこれに払っておった。その状況日本側としてももちろん承知しておる。こういう次第でございますが、どういうふうにパトロールをしていたかとか、どういうふうな具体的な措置をやっておったかということは、私ここでつまびらかに申し上げることはできませんけれども、常に注意を払っておった。ただ一つ、領有権の主張を思わせるような行動はここ数年の間はなかった、こういう意味で領有権の主張ということについての国民政府態度については、私は自然的に解消したのではないか、こういうふうに見ておったのが偽らざる実情でございます。
  87. 永末英一

    永末委員 他国の漁民が、琉球政府にもまた日本政府にも何らの通告なくしてこの地を使用するということは不法入国ですね。もし九月二日の、いまの字を書いたことが事実であるとしますと、不法入国にプラスして、やはり何らかの意味で領有権われにありというような、一種の意思表示とみなされてもしかたがない事件じゃなかろうかと考えられます。この二点についてどうお考えになりますか。
  88. 愛知揆一

    愛知国務大臣 たとえばこの島の上にいかなる文字を残したかというようなことについては、最近の二日以降の事実については、先ほど申しましたように、直ちに申し入れをし、事実の調査をやっておるわけでございますが、その前にどういうことがあったかということについては、国民政府自体として領有権の主張をした事実は最近ではなかった、あるいはそれを思わせるような行動は政府としてはなかったという趣旨を先ほど申し上げたわけでございます。
  89. 永末英一

    永末委員 私の申したい一番の中心は、国府のことを言うているのじゃないのです。施政権を持っているというアメリカ政府の怠慢をわがほうは責めるべきではないか、それを申し上げている。アメリカも注意をしておったらしいとか、琉球政府をしてこれから調査するについて援助するであろうとかは別問題でしょう。少なくとももともとわがほうの領土であるところを変な言いがかりで、彼らが施政権を持っておるなら施政権者として、その領土の保全をやるのはあたりまえのことである。そこに不法入国があるのでしょう。その不法入国を静観をして不問に付しているアメリカ政府態度日本政府はどう思うか、この点を聞いている。お答え願いたい。
  90. 愛知揆一

    愛知国務大臣 そればただいまも申し上げましたように、一々詳細に、私も米軍を代表しているわけではございませんから、申し上げるだけの資料はございませんが、従来ともに関心を持って、そしてこの島の周辺に対してはしかるべき行動をしておったということは事実である、かように考えます。  なお詳しい御説明は、別に御必要であればいたさせますが、また米軍がやっておりました行動に十分でなかった点があるかどうかということ等につきましても、なお調査もいたしてみたいと思います。
  91. 永末英一

    永末委員 わがほうは敗戦でぼやっとしておるのでありますけれども、尖閣列島といい、私どものこの委員会は北方領土をきのうまで視察をしてまいりましたが、あるいは竹島問題といい、わがほうの周辺にある領土問題については、もっと外務省はきちっと腹をかまえて、姿勢を正して取り組む、この姿勢が必要だと思う。したがって、この点は竹島や北方領土とは違ったアメリカ関係でありますけれども、いま調査されると最後に言われたから、もっと責任を持ってきっちりと早急に調査をし、そうして方針をきめて交渉をすべき問題だ。アメリカに文句を言うなら言う、処置すべきものはする、そういうやはり腹がまえを持っていただきたい。これは要求しておきます。  いわゆるサイミントン委員会の件について伺いたいのですが、アメリカのほうで、この委員会でも出たのでありますけれども、一体沖繩返還ということは、アメリカの極東戦略にどういう影響を及ぼすのだろうか。日本側の言うところによると、沖繩返還までの安保体制がそのまま沖繩に適用される、そしてアメリカは、アメリカ施政権を持っておったときの沖繩軍事使用とは異なった形になる、すなわち安保条約によってくくられる。ならば一体なぜ沖繩を返すのかということが彼らはわからないようですね、これをずっと読んでみましても。  そこで愛知さんに伺いたいのは、沖繩返還の約束をして、アメリカが得たプラスをひとつ説明してください。
  92. 愛知揆一

    愛知国務大臣 これは、サイミントン委員会の問題はまず別にして私の意見や見解を申し上げますと、こういうことになると思います。  率直に言って、アメリカ国民の中にも、あるいはずばりと言えば軍部その他におきましては、沖繩返還については非常に消極的あるいは反対であるという意向もずいぶん強かったように私自身見受けるわけでございます。そういったような気持ちといいますか、これはサイミントン委員会の議事録をずっと通読いたしましても、私はよくわかるような気がいたします。それを大所高所からそういう意見を押えて、共同声明ということで返還をする、しかも日本側の要望する三原則でこれを返還するということについては、私は単なる戦略的な立場ということよりも、もっと高い次元で、日米の友好関係と申しましょうか、将来長く太平洋をはさんでの両国の相協力、そして史上に類例のないような、話し合いで戦争で失ったところを返して、しかも条件を返してもらうほうの希望どおりにするというような、やはり一つの大きな政治的な大決断であった。もとより与野党を通じて、全日本国民の願望というものが、沖繩県百万の方々の復帰ということをこれほど熱心に願望した、この努力の上に立っての評価であることは申すまでもないところでありますけれども、そこが私は大事なところではないかと思うのです。したがって、そういう気持ちで、またこのサイミントン議事録、あるいはそれにある程度あらわれているようなアメリカの中のいろいろ各界各層の人たちの気持ちというものも、よくくみ取ることも私はできるような感じがいたすわけでございます。
  93. 永末英一

    永末委員 いま愛知さんの言われたのは総論ですね。それだけでは、この委員会共同声明の一項一項が問題になり、ジョンソン国務次官がそれに答えておる、それに対する説明にはならぬと思う。総論はそうかもしれぬけれども、やはりアメリカは長文の共同声明にいろいろなことを盛り上げております。それはやはり何ほどかそれがアメリカの取りまえになっておる、ギブ・アンド・テークというならば、テークになっておるという意識がなければ、私は沖繩返還合意に達し得なかったと思う。したがって、日本外務大臣としては、アメリカは一体何をテークしたか、それをどう思っているかを伺いたい。
  94. 愛知揆一

    愛知国務大臣 一口で言えば、一九六〇年に改定された日米安保条約というものを軸にして、日米関係の安定化をはかるということではないだろうかと思います。これについて思想をますます統一していくということではないでしょうか。私はかように考えております。
  95. 永末英一

    永末委員 それもまだ総論でしてね。それならば一つ一つ伺いたいのだけれども、たとえば四項目で、なぜ朝鮮半島とか台湾という具体的な地域を明示されたか。それをひとつ答えていただきたい。いままでもわがほうの解釈上第六条で極東の範囲が問題になる。ほかにもございますけれども、具体的には極東の範囲日本政府の解釈がちゃん出ておるし、そこには朝鮮半島も台湾も入っておったわけだ。アメリカは知っておるわけでしょう。しかしなぜこの共同声明でこの二つの地域について明示しなければならなかったか。だからこそ彼らはこの地域を明示した意味合いを彼らなりにこのサイミントン委員会説明しているわけですね。それは変わらないのだと言えないでしょう。お答え願いたい。
  96. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まず変わらないということは先ほど来申し上げているとおりで、これはもう政府の確信でございます。同時に、日本立場から申しましても、これはよく話題に供せられますけれども、佐藤総理大臣としての見識はプレスクラブでの演説にもあらわれており、そしてそれと同趣旨が衆議院本会議の施政演説にも克明にあらわれているところである。かように考えるわけで、それなら具体的には何かといえば、そもそも日本の安全というものは極東の安全とかかわりなくして安定を期し得ない。具体的に言えば、これが安保条約第六条の考え方であると思います。安保条約については、先ほど申し上げましたように、それ自体に対してこれを廃棄すべきである、あるいは少なくとも極東条項第六条は要らないのではないか、こういう意見が日本の国内にもあることも事実でございますから、その議論になれば、またあらためて論議をかわさなければならないと思いますけれども、私どもとしては、この安保条約というものについては国民の大多数の支持を受けておる考え方であると思います。その立場に立てば、たとえば第五条の、私のことばで言えば、いわば狭い意味日本列島のセキュリティということと、それからこれと密接不可離であるところの第六条のいわゆる極東条項によって寄与しなければならない極東の安全ということ、これはもう少し範囲の広い意味だと思いますが、やはりこの第六条がなければ日本の安全は期し得ない。たまたまそれらの日本に近接しております朝鮮半島の緊張とか、あるいは台湾をめぐるところの緊張状態というものが起こっては困る。抑止という意味合いからいって、これも私はよく申しますことですけれども、事前協議などということが起こらないようにするということ、これが過去長きにわたって実情であったわけでございますが、沖繩返還後においても、ますますもって事前協議などが起こらないようにするための備えに、抑止力の理論の上に立ってこの条約を堅持していくということは必要である。これは私は日本の国益でもあると思います。そしてそれがたまたまアメリカも、朝鮮半島の緊張ということに対して非常な関心を持ち、あるいはコミットメントもしております。それとの関連ということを、この共同声明におきましても、克明に日本の国益の守るべきところと、そして国益から関連してくるところの朝鮮や台湾における緊張状態の、万々一あり得るところの緊張に備えての考え方との合意点を明確にしているということであって、これは一九六〇年以来の日本政府態度はいささかも変化がない。私はこういうように確信いたしております。
  97. 池田清志

    池田委員長 永末君に申し上げますが、外務大臣が公務のためにわれわれと約束された時間が迫ってまいりましたから、この一問にしてください。
  98. 永末英一

    永末委員 愛知さん、まさにその点なんですね。五二年の第一次安保、六〇年の第二次安保、いろいろ表現は変わっておりますけれども、基本は、当時はまだわが国自体が自分で自国を守る能力はないという前提に立っておった。アメリカアメリカの戦略を実行していくために、日本領土内に基地が必要であると考えてきた。したがって現行安保条約ができたときには、アメリカ日本の国を守る義務を持つ。しかしながらアメリカ日本における基地保有並びに駐兵というものは、アメリカの考える戦略、すなわち極東に起こる諸紛争に対してこの基地は使いますよ、これを日本政府にのませたわけですね。ところが、当時日本政府は、無制限にやられては困るというので、まさに事前協議をつけて、その当時の議会答弁では、これをきわめて制限的に説明してきた。いまあなたが言われたことはちょうど全くその反対に言われておるわけだ。いまや日本の安全は極東の安全と一体不可分である。したがって沖繩返還がされても、アメリカはいままでとってきた沖繩の基地使用、それから本土の基地使用も含めて、アメリカの兵力を使用する場合には、日本自体の安全が、アメリカのそのような兵力運営による極東の安全を守る行為と一体不可分だから、いままで事前協議事項を制限的に解釈し、日本国民説明してきたが、これからは、佐藤総理のことばをかりれば、前向きに考えますぞ、こういうことなんです。ジョンソン次官のことばをかりますと、沖繩島の基地使用に対しては、コンテクスト、文脈上からいえば日本政府はイエスと言うだろう、こういうことになるのですね。ところが、あなた方の説明は一切そうじゃございません。いや、もともと事前協議にはイエスもノーもあり得ます、こういう答弁をしておる。われわれから見れば、なるほど抽象的にはそうでしょう。イエスもノーもありますよ。しかし、いまのような一つの歴史の流れから見た場合、朝鮮半島や台湾を書き上げてまで、そしてその前に極東の安全と日本の安全は一体だということを言い、しかもまたアメリカ沖繩本土における軍事基地保有、これは極東の安全のために必要だということを認定されている以上は、やはりいまや事前協議事項に対して解釈を一変された、こう見ざるを得ない。最後ですから、お答え願いたい。
  99. 愛知揆一

    愛知国務大臣 この点は先ほども申し上げたのですけれども、国権の最高の、最も権威あるこの国会における安保問題についての長年にわたる政府見解をしさいにフォローしていただけば、非常によくわかることと思います。私も何といいますかいろいろの立証的資料を持っておりますが、それは一々申し上げる必要もなかろうと思います。要するに、日本政府としての考え方は、そもそも安保条約の前文や、あるいは先ほど申しました第五条、第六条その他の条文によって、やはり性格と目的あるいはそのものの考え方というものが、非常に簡潔ではあるけれども、非常に明確になっている。この点においては歴代の内閣の見解は何ら異なっていない。これを繰り返して申し上げざるを得ないわけでございます。これを評論家的にどういうふうに見るかということはまた別でございますが、主体的な政府立場は継続的に何ら変わっておりませんということを繰り返して申し上げて御答弁といたします。
  100. 池田清志

    池田委員長 松本善明君。  松本君に申し上げます。午後一時ぴたりに終了するように御配慮願います。
  101. 松本善明

    松本(善)委員 外務大臣に伺いますが、大臣は十五日に福田大蔵大臣とともにアメリカにおいでになるようでありますが、訪米される目的について最初に伺っておきたいと思います。
  102. 愛知揆一

    愛知国務大臣 十五日に出発いたしますが、最初にアメリカに参ります。これは主として第二十五回国連一般総会に出席いたしまして演説をするためでございます。その機会に米側あるいは一般総会に参集してくるであろう関係各国の外務大臣等とできるだけ懇談をいたしたいと思っておりますが、その後、中南米大使会議あるいはヨーロッパ大使会議等にも出席をいたしまして、日仏定期協議が今年はフランス側で行なわれることになっております。これに最後に出席いたしまして、帰ってまいることにいたしております。
  103. 松本善明

    松本(善)委員 いわゆるサイミントン委員会でのジョンソン国務次官証言発表されまして、幾つかの問題が非常に疑惑を持たれたわけですが、その一つは、いわゆる七二年返還ということが非常に不確定のものではないかということでございます。これについての外務大臣答弁趣旨は、七二年中のできるだけ早い時期に実行ができるようにやっている、その作業は順調に進んでいるということでございました。ところが、こうなってきますと、重要なのは、この沖繩返還についての交渉基本的な立場です。沖繩の県民の立場日本国民立場を主張しないで、アメリカのほうに寄っていって、いわば屈従的な立場交渉していくということになります。そういう方向になっていくのかどうかという問題が非常に重要だと思います。私たちは、米軍の沖繩占領が不法であり、沖繩返還は当然のものであると考えておりますけれども、外務大臣答弁を総点検いたしますと、どうも県民の要求をもとになされていないというような疑惑を感ずるわけであります。特にこれは十一月の国政参加選挙を目の前にいたしまして、沖繩県民に対して対米交渉基本的な態度というものをすべて明らかにしなければならない、これが主権者として沖繩県民を扱い、そして国政参加選挙を民主的に行なう最低の条件だというふうに考えるわけであります。この点についての基本的な考えを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  104. 愛知揆一

    愛知国務大臣 時間の関係もございますから簡潔に申し上げますと、七二年はもちろんでございますが、本土並み核抜きということがなるほど具体的に沖繩県民の方々に納得していただいて、心から喜んでいただけるような形で返還が実現できる、これをあくまで基本線として返還協定等の作業にいま邁進しているつもりでございます。
  105. 松本善明

    松本(善)委員 私は、先ほどの同僚委員への外務大臣答弁でたいへん驚いたのであります。アメリカとの返還交渉交渉事項として列挙をされましたその中に、基地問題は入っていない。世論調査を見ましても、沖繩の県民の最も要望しておるのは基地の撤去である。ところが、現在沖繩では、むしろ基地は増強をされておる。基地撤去問題については、これは交渉しない、いまのような基地増強を認めていく、こういう立場でございますか。これを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  106. 愛知揆一

    愛知国務大臣 返還のときに残ります基地については、地位協定が完全に適用されて、それで沖繩の県民の方々もこれでよかったなと思うようにいたしたいと思っております。  それから、端的に言って基地の数を減らしたいということは基本方針でございますが、この数が幾らになるというようなことは返還協定の文章の上にはあるいは出ないことかと思いましたものですから、私例示的にあげる場合にそこに触れなかったわけですが、これはいわばそれよりももっと大きな前提になるような大きな問題であることはお述べになりましたとおりでございます。
  107. 松本善明

    松本(善)委員 私、必ずしも納得できないものがありますけれども、時間の関係で具体的な点を幾つかお聞きしておきたいと思います。  この基地が存在することによって沖繩県民はさまざまな被害を受けてきた。米軍によって殺され、傷つけられ、あるいはおかされ、こわされ、土地や漁場を奪われる等さまざまな筆舌に尽くしがたい被害が全県に及び、沖繩県民はみな言うならば何らかの被害者になっております。この損害については当然にアメリカに賠償させなければならないと思います。政府がサンフランシスコ条約十九条を適用するということで、サンフランシスコ条約発効以前の問題についてはこれは放棄するという立場を明らかにした、これが不当であることはすでにほかの委員会でわが党の議員が言っておりますので、この点は触れませんが、この点について重要な点を三つお聞きしたいと思います。  一つは、これをほんとうに県民の立場に立ってやるとすれば、請求権がどれだけあるかということについて県民全体から届け出をさせて、その総額に基づいてアメリカ交渉するということをしなければならない。それをやっているかどうか。これが第一点。  それからまた、一部支払い済みのものについて公正な再審を行ない、正当な賠償をアメリカに支払わせるかどうか。これが第二であります。  第三は、サ条約発効前に奪われた土地や漁場の損害賠償をどうするのか。この三つの点について損害賠償をどう考えているか、お答えいただきたいと思います。
  108. 愛知揆一

    愛知国務大臣 いまお述べになりました問題は、一括して先ほど申しましたように各種の請求権の問題でございます。請求権は、各種の事例をただいまお上げになりましたけれども、これは実態がきわめて多岐にわたっておりますので、この実態の調査、それから沖繩県民の方々の希望といいますか申請と申しますか、そういう実態調査の上に踏まえて適切な措置を講じたい、こういうふうに考えております。  それから講和発効前の問題等につきましては、やはりこれも簡単に一がいに申すことはできませんで、たとえば当時見舞金等の支払いが行なわれたものもあり、ないものもあり、あるいはその態様等もいろいろの場合があるようでございまして、これらの点についてはたいへんこれは多岐にわたる問題でございますが、沖繩北方対策庁が中心になられ、また現地でも精を出して、各省協力のもとに鋭意作業を進行中でございます。
  109. 松本善明

    松本(善)委員 いまの御答弁を聞きましても、それから実際に沖繩で損害賠償請求権がどれだけあるかということについての調査の実情を見ましても、私はいまの政府沖繩県民の損害をほんとうに補償させようという立場でやっているとはとうてい考えられない。ほんとうならば時間をかけてこの点は明らかにしたいのでありますけれども、私が指摘をいたしました三点というのは、ほんとうに沖繩県民立場に立ってやる場合に不可欠のことであると私は考える。その点についての十分な答弁がいただけなかったということは、政府のこの問題についての態度を私は証明しておるというふうに考えます。  もう一つ最後にお伺いしたいと思いますのは、資産買い取りの問題であります。これは御存じのように八月二十八日に琉球立法院が全会一致で米国の出資金及び米国管理資産を、三公社を含めて無償譲渡させることをきめました。また屋良主席も同種のことを要請をいたしております。この琉球立法院や屋良主席が言っておる無償譲渡の原則を支持するのかどうか、これは簡単に明確にお答えいただきたい。イエスかノーかでお答えいただきたい。
  110. 愛知揆一

    愛知国務大臣 琉球立法院の決議されたこと、屋良主席からの行政府としての要請、私も直接その要請を受け、また御説明も伺っておりますから、十分これを尊重して措置してまいりたいと思います。
  111. 松本善明

    松本(善)委員 この点について尊重するという答弁は、政府が一貫してやられておりますが、これは無償譲渡の原則を支持をするのかどうかという点ではきわめて不明確なんです。買い取り部分もあるのかどうか、これをいま琉球県民はこぞって知りたいと思っているわけです。無償譲渡の原則を支持するのかどうか、これをイエスかノーでお答えいただきたいと思います。
  112. 愛知揆一

    愛知国務大臣 基本的に申し上げたいのは、沖繩県民の方々の御要請に何としてもこたえたいということでございます。方法論等につきましては、実態その他において政府としてもいろいろ専門的に検討しなければならぬ問題もあると思いますから、一がいに原則についてイエスとかノーとか言うことはできませんが、沖繩県民の方々のこの琉球立法院の議決に盛られたこの趣旨をできるだけ生かすようにしていきたい、これが政府基本的な気持ちでございます。
  113. 松本善明

    松本(善)委員 私はいまの御答弁、原則についてイエスかノーかで答えられないということは、やはり買い取り部分について相当含みがあるというふうにしか伺えないのです。そうでなければ、国政参加選挙を目の前にして、主権者であります沖繩県民にいま政府は明らかにする義務があると思う。私はそのいまの答弁を聞きまして非常に遺憾に思うわけでありますが、私ども日本共産党の中央委員会は、八月二十一日付で、現在沖繩県民に明らかにしなければならぬ点について政府に公開質問状を出しました。外務大臣もあるいはごらんになっているかと思いますが、この点について私どもは正式な回答を寄せられるべきである、これが沖繩国政参加選挙を民主的にやる最低条件一つであるというふうに考えております。この点について外務大臣は正式な答弁をされるかどうか。この点について最後に伺って私の質問を終わりたいというふうに思います。
  114. 愛知揆一

    愛知国務大臣 まことに恐縮でございますが、ただいま政府全体として正式の回答をこの席で申し上げますのにちょっと間に合いませんので、ただいまごらんのように各省庁間で十分検討いたしまして、なるべくすみやかに回答申し上げることにさせていただきたいと思います。
  115. 池田清志

    池田委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三分散会