○東中
委員 あとで
対策庁のほうへお伺いしますが、その講和条約の効力の問題について、
沖繩県民は
日本国民でないなどとはとうてい考えられなかったというふうなことをいま
局長言っているのですけれ
ども、その
沖繩県民の
施政権を売り渡してしまったわけですから
——売り渡すというか、とにかく
日本の
施政権が及ばぬようにしてしまったその条約なんですから、
沖繩県民は
日本国民と同じように扱っておったのではないという条約なんですから、普通ならば、いままでの第一次大戦あるいは第二次大戦後の占領下で生じた損害については、
アメリカを当事者とするそういう補償問題について戦敗国が請求権を放棄した場合に、戦敗国がその国民に対して補償するというふうな条項を入れているのが慣例になっていますね。今度の場合はそれが入っていない。この講和条約では入っていない。それは、その後引き続いて
沖繩を
アメリカの
施政権下に置いてしまう、
日本の
施政権が及ばないという
状態にある、そういう特殊な
状況にあるからそういうものを入れなかったというよりは、むしろそういう
沖繩県民の請求権を放棄するということを
日本政府はその条約の中へ入れてなかった。もし入れたのだったら、当然
アメリカの
施政権下に入ってどうするかということについて、単に道義的なものではなくて、倫理的な補償を六五年法でやっているというような問題でなくて、法的な問題としてどうするかということが当然きめられておらなければいかぬと思うのですが、そういう点から見ても何かの処置を、講和条約十九条(a)をもってくるのだったら、ここでは普通に処理されている
方法で処理されていない、慣例的に問題が処理されていない、法的な請求権を持っている
沖繩県民のその権利をどうするかということについて、条約外なら話はわかりますが、条約の中に含まれるのだったら、それをどうするかということについては、
日本政府としてどうする考えだったかということがはっきりしない。奄美
返還協定のときには、だからわざわざ講和条約で放棄したものでないことを前提にして、
返還協定で放棄したと書いているわけですから、
返還協定で請求権を放棄するまでは、講和条約では放棄されていないというたてまえに立っているわけですから、そういう点で言うならば、
沖繩の場合も当然同じ考えになっていなければいけないのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。