○中川(嘉)
委員 ただいま議題となりました
沖繩・
北方対策庁設置法案につきまして、私は、公明党を代表して、賛成の意を表するものであります。
かねてより、琉球
政府及び
沖繩の各層より本土復帰に備え、
沖繩の経済開発を強力に推進するため、
総理府の外局として、
沖繩開発庁を設置してもらいたいという強い要請が、本土
政府並びに衆参両院にありましたことは、すでに御
承知のとおりであります。
昨年十一月の佐藤・ニクソン共同声明によって、いよいよ一九七二年中に本土復帰が
決定した今日、本法案の制定によって
沖繩・北方対策庁が設置され、
沖繩から本土に要望しているもろもろの施策が実行に移されることを
現地では大いに期待しているところであります。
本法案により
沖繩・北方対策庁の目的、任務、さらには権限、内部部局、
沖繩事務局等々に関する内容や条文の解釈については、すでに
委員会審査の過程において明らかとなっておりますので、私は、この際、新設される
沖繩・北方対策庁に関連し、
政府に対し若干の要望をいたしておきたいと思います。
その第一点は、
沖繩・北方対策庁が、単に
総理府の内部部局である
特別地域連絡局から外局としての対策庁に昇格したことにとどまってはならないということであります。
申すまでもなく、
沖繩問題は、現在のわが国にとって政治、経済、外交上の重要懸案であります。
政府の説明によりますと、比較的組織も小規模で、予算も少なく、その上業務の内容は多様多岐にわたりますので、新任される庁長官にはいろいろと御苦心もあろうかと思いますが、戦後今日まで置かれました
沖繩の苦難に思いをはせ、一段と奮発して業務に当たられんことを要望いたします。
第二点は、対策庁が
沖繩施策を策定するに際しては、何よりも琉球
政府及び県民各層の
意見をよく聴取した上で、真に
沖繩県民のためになる施策を樹立されることであります。本土
政府が
沖繩県民の
願望を無視して、かってに
沖繩施策を
決定するような
態度は、厳に慎まなければならないと思います。平和
条約締結の際は、占領下でもあったという事情もあって、
沖繩県民の意思を尊重することもなく、平和
条約第三条に同意せざるを得なかったのでありますが、今度復帰するに際しては、何よりも
沖繩県民の
意見及び文化、伝統等精神的財産が十分尊重、
配慮されなければならないのは当然であります。この点、
政府に対し、特に要望いたしておきたいと思います。
第三点は、現在
沖繩には復帰不安があるのでありますが、それに追い打ちをかけるように、本土の各企業が新しい百万人の
沖繩市場を目ざして、すでにしのぎを削るような進出競争が始まっているとのことであります。廃墟の中から立ち上がり、やっと自立できるようになったら、そこへ復帰によって優勢な本土企業がどっと押し寄せ、
沖繩の経済に混乱を招来するようなことがあれば、これは
沖繩の
人たちにとってとうてい納得できないことであり、本土に対する不信を深めることにもなるのであって、まことにまずいと思いますので、この方面の行政指導も怠りなく行なっていただきたいと思います。
最後に、北方問題であります。
北方領土に対する外交
交渉は
外務省の所管であり、これの実現にはなお多くの
努力と長期の歳月を要するものと思われますが、当面の課題としては、むしろ
漁業の
安全操業の問題や、抑留漁船員及び引き揚げ者に対する援護の問題であろうと思います。
領土問題としては、私
たちは
沖繩と北方地域とを同列に扱うことに疑義を抱くものでありますが、
安全操業と援護の問題は水産庁、厚生省等
関係行政機関と密接な連絡をとり、
沖繩問題と同様に万全を期していただきたいと思います。
以上、数点を
政府に要望いたしまして、本法案に対する賛成討論を終わります。