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1970-11-11 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十一月十一日(水曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 加藤 六月君 理事 徳安 實藏君    理事 内藤 良平君 理事 松本 忠助君    理事 和田 春生君       河野 洋平君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       關谷 勝利君    長谷川 峻君       井野 正揮君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    田中 昭二君       宮井 泰良君    渡辺 武三君       田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  委員外出席者         厚生省医務局総         務課長     柳瀬 孝吉君         運輸省船員局長 佐原  亨君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         海上保安庁長官 手塚 良成君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件(タクシー行政に関する問題  等)  航空に関する件(全日空機事故調査に関する問  題)  海運港湾及び海上保安に関する件(東京湾浦  賀水道の航行に関する問題等)  日本国有鉄道経営に関する件(財政再建に関  する問題等)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  先般、陸運海運航空日本国有鉄道経営及び港湾等に関する実情調査のため、第一班を北海道に、第二班を鹿児島県、宮崎県及び愛知県に派遣いたしました。  この際、派遣委員から報告を求めます。松本忠助君。
  3. 松本忠助

    松本(忠)委員 委員派遣第一班の北海道地方に関する調査について、その結果を御報告申し上げます。  派遣委員は、福井勇君、宇田國榮君、宮井泰良君及び私の四名でありますが、そのほか長谷川峻君、佐藤孝行君、井野正揮君の御参加をいただいたのであります。  派遣期間は、九月一日から四日までの四日間で、札幌市において北海道所在運輸省出先機関北海道開発庁及び国鉄北海道総局業務概況について説明を聴取したのであります。  視察個所は、苫小牧港、室蘭港、函館港の輸送現況及び港湾整備状況、千歳空港、函館空港輸送状況及び空港整備状況青函トンネル渡島吉岡工事現場建設工事状況札幌オリンピック真駒内地区施設及び札幌高速鉄道建設状況等実情を視察いたしました。  時間の都合もありますので、その調査結果の詳細については、委員長のお手元に報告書を提出しておきましたので、本日の会議録に掲載されるようお取り計らい願い、この際省略させていただきたいと思います。  以上、報告を終わります。
  4. 福井勇

  5. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 委員派遣第二班の鹿児島県、宮崎県及び愛知地方に関する調査について、その結果を御報告申し上げます。  派遣委員は、箕輪登君、井野正揮君和田春生君及び私の四名でありますが、そのほか福井勇君、宇田國榮君、米田東吾君の御参加をいただいたのであります。  派遣期間は、十月十三日から十六日までの四日間で、鹿児島県においては運輸省出先機関及び国鉄鹿児島鉄道管理局業務概況について説明を受け、宮崎県において知事から県勢及び観光開発等について説明され、愛知県においては運輸省出先機関及び国鉄名古屋鉄道管理局業務概況について説明を聴取したのであります。  視察個所は、鹿児島県では、喜入港の原油中継貯蔵基地施設及び鹿児島港の輸送現況港湾整備状況を、宮崎県では、宮崎航空大学校現況宮崎空港輸送状況空港整備状況及び日南海岸等観光施設を、愛知県では、名古屋空港整備状況及び名古屋港の港湾整備状況等実情を視察いたしました。  時間の都合上、その調査結果の詳細については、第一班の報告書と同様にお取り計らい願い、この際省略させていただきたいと思います。以上、報告を終わります。     —————————————
  6. 福井勇

    福井委員長 おはかりいたします。  ただいまの第一班及び第二班の調査報告書は、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書本号末尾に掲載〕      ————◇—————
  8. 福井勇

    福井委員長 次に、陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男君。
  9. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私は、数点にわたってお尋ねをいたしたいと思うわけでありますけれども、その第一点は自賠責に関係した、特にむち打ち症対策中心として、自動車局関係者に伺いたいと思うわけであります。  質問に入る前に、「運輸省自動車局長 疑惑九州宴会旅行」なる新聞記事を実は受け取っておるのであります。たまたまこの時期は、先ほども御報告申し上げましたように、私ども運輸委員一行が、宮崎鹿児島国政調査のため出張中であります。その残った北九州各県に新任自動車局長がおもむいて、来年行なわれます参議院選挙事前運動らしきものを行なったということで、事もあろうにわれわれが出かけている宮崎鹿児島を除いた九州各県をお回りになったなんということで、実は私も、居留守を襲われたというのじゃないのですけれども、われわれが南九州へ行っているのに、局長北九州へ行って云々というので、実は二重、三重に驚いたわけでありますけれども、その後の発表によりますと、局長みずからはさようなことはやっていないということであります。また、過日の公職選挙法改正特別委員会におきまして、大臣がお答えをなさったようでございますので、この際私はあえて深入りした追及はいたしませんけれども大臣、少なくも疑惑を持たれるような行動であったことは事実だと思う。この点に対してどのようにお考えになっているか、まず冒頭伺って、次の質問に入りたいと思います。
  10. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 当時新聞に出ました際に、直ちに野村自動車局長を呼びまして、その間の事情を詳細に聞き、かつまた、このような一部から疑惑を持って見られるような行為は厳に慎むように、こういう注意を与えております。  しかし、これはもう全く他意がないものでありまして、自動車局長として地方の、特に異なった地域状況、御承知のように道路運送事業運賃料金は、各地域によって非常に相違があります。そういう事情と、最近は自動車行政が何かとむずかしい難関にぶつかっておりますので、本人としては実情調査等意味で参ったことと存じます。その間、いわゆる選挙運動らしい行動については一切行なわれなかったし、今後もそのようなことは考えておらない、またすべきものでありませんので、十分注意はしておりますが、この前の公職選挙法特別委員会において答弁いたしましたように、李下に冠を正さず、これは公務員の態度でありますから、この点は厳重に今後とも慎んでまいりたい、かように考えております。
  11. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣答弁を了として、深追いはいたしませんけれども厳重注意をいただきたいと思うわけであります。  そこで、本論に入りますけれども、過日の当委員会同僚井野委員から、自賠責による診療につきまして、きわめて微に入り細にわたり、当局の反省と今後の督励を要請したわけであります。しかし、その後、私どもから言わせれば悪質な診療治療だと思われることが続発をいたしておるわけであります。  一つの例を具体的に申し上げますならば、これは都内のある医師でありますけれども診療の結果、第五頸椎にズレを認める、脳波には異常はない、十日前後でなおしてやれるからいらっしゃい、こういうことで通院が始まった。ところが、十一日間の治療費請求内容を見ると、同診療所特製注射代が三十六万五千円、一回最高一本で四万九千円、毎回の再診料が二千円、一回の注射につき院長特別料金が五千円ないし一万五千円、こういう結果が出ておるのであります。しかし、これはほんのささいなできごとであって、関係当局の話によれば、一週間で百万円をこす治療費請求がざらだというのであります。  こういう状態が今日なお放任されているということについては、ゆゆしき問題だというように思うわけでありますけれども、直接医師監督につきましては厚生当局の仕事でございますので、運輸省としてあれこれ言うわけにはまいらないかと思うのでありますけれども、少なくも自賠責主管官庁としての運輸省は、こういうケースを一体どう対処していこうとされているのか、まず自動車局長から伺いたい。
  12. 野村一彦

    野村説明員 ただいま斉藤先生の御指摘のように、自動車事故に対しまする治療適正化につきましては、私どもも機会あるごとに厚生当局お願いをしておりますし、また、それだけでは不十分でございますので、医師会のほうにも直接お願いをして、ただいま先生が一、二の例として御指摘のようなことを、私どももほかにも聞いておりますので、そういうことの是正お願いしております。医師会といたしましても、いろいろと実情を調べて、善処方に努力するというお話は私ども承っておりますけれども、まだ、先生いま御指摘のような事例があることはまことに残念でございますが、私ども今後とも厚生省と連絡して、そういうことの改善をするように、重ねてお願いしたいと思います。  なお、治療費問題につきましては、先般の委員会井野先生から御指摘がございました、またほかの先生からも御指摘がございましたように、私ども、非常にささいなことでございますが、先般の省令改正によりまして、明細書を添付するという義務を書きました。これはもちろんこれだけでは不十分でございますが、そういう措置を積み上げていくということを重ねたいと思いますし、さらに今後厚生省に対しては、医師会のほうを通じまして、あるいは直接に、そういう治療に当たる医師の方の是正お願いするように、重ねて努力したいと思っております。
  13. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 相変わらず、明細書等のことはやっておられても、抜本的な対策は立っていないというように思うわけであります。  こういう例もあるのですよ。自動車事故にあった、医者へ行った、治療費の保障として自賠責請求全面委任を求める、したがって白紙委任をするわけであります。ところが、この自賠責の中にはいろいろな内容のものがあるわけでありまして、ある三人の被害者は、その中に休業補償費の十五万八千円が含まれておった保険金が約五十八万円病院に支払われたという通知があった。病院へ問い合わしてみたところが、まだ入ってない、まだ入金しておりませんというようなことで、事実は入っているのですけれども、入ったということをなかなか言わない。追及した結果、二カ月もたってその休業補償費十五万八千円を患者のほうへ支払った。しかしその際、自賠責一括請求をした手数料として、その医者が三万五千円を要求している。  こういうことで、自賠責のほうが金が取りやすい、ほかの保険その他では金が取りにくいということから、医者自賠責による治療をやりたいという気持ちはわかるわけでありますけれども一括委任を受けたということで、手数料を三万五千円取るというようなことが一体合法か非合法か、どうなんですか。
  14. 野村一彦

    野村説明員 私、医療のことはよくわかりませんけれども、これは道徳的に考えてまいりますれば、先生指摘のようなことは非常に不当なことであると考えております。
  15. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 厚生省課長もいらっしゃいますので、関連して伺いたいと思うわけでありますけれども先ほど私が申し上げましたように、一体、一本四万九千円という注射はどのような注射でございますか。そのような注射があるんでございますか。  それから、いまの問題でありますけれども自賠責請求白紙委任を受けたからといって、手数料三万五千円を医者が取るというようなことは、医師法上合法なのか非合法なのか伺いたい。
  16. 福井勇

    福井委員長 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  17. 福井勇

    福井委員長 速記を始めて。
  18. 柳瀬孝吉

    柳瀬説明員 自賠責法に基づく診療につきまして、その診療対価として相当な金額請求しておるという場合に、これを自由診療として行なうような場合には、いわゆる自由料金といいますか、慣行料金といいますか、そういうものでやられるわけでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、どういう金額が不当な料金であるのかというようなことは、なかなか判断がむずかしい問題でございまして、医師診療内容行政権が介入するということはできないわけでございます。また、その診療内容につきまして、それに対応する対価が、どの程度のものが正当であるかあるいは不当であるかということは、なかなか判断のむずかしい問題だと思います。
  19. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 井野君の質問の際かなり明快になっているし、そういうものは今後指導し、善処をしたいということになっておりますから、私は、一本四万九千円というような注射は、どういう注射なんだということを聞いているのですよ。それが不当だとか正当だとかいうことを聞いているのじゃない。そんな注射があるのですか。あるならある、ないならないということを言ってくれればいいのです。  それから、さっきの手数料答弁が全然ありません。自賠責手数料請求されて、何万円かの手数料を取った。これはどうなんですか。
  20. 柳瀬孝吉

    柳瀬説明員 四万円も五万円もする高額な注射があるかという問額でございますが、保険診療で行なわれているような診療におきましては、あまり例を見かけないわけでございます。  もう一つ手数料問題は、医師診療に対する報酬の問題とはまたちょっと別の問題でございますので、別問題だと思います。
  21. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 苦しい答弁をされておりますけれども医師法並びに医療法に基づきますと、こういうものは医者は取ることができないのですね。しかし、手続をやってやったのだからよこせということで、事実支払われた保険金額の中から取っているわけなんですよ。これはその例だけじゃない。幾らもある。そこで、なおこんなものは微々たる問題であって、一週間の治療費が百万円以上というのが幾らもある。これは、私は責任ある大蔵省から聞いているのだから間違いない。これはどういうことなのか、この辺が私にはわからないし、迷惑を受けているのはやはり国民であり、被害者だと私は思うわけなんです。  この辺を抜本的に対策を立てなければならぬというふうに思っているのですけれども自賠責一括委任をされて請求し、手数料三万五千円を取ったというのは合法であるのか非合法であるのか、自動車局長、どうですか。あなたに聞くのもどうかと思うけれども……。
  22. 野村一彦

    野村説明員 私は、先ほど申し上げましたように、常識的な判断しかできませんけれども先生のいま御指摘のような例は、常識から考えてもおかしいと考えております。
  23. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 どうものれんに腕押しでございますけれども、続いてこの問題関連して伺います。  むち打ち症なるものがあるわけでありますけれども、このむち打ち症関連をした、特に後遺症ですね。この後遺症が、交通事故によるものであるかどうかというようなことを認定するのは非常に困難だということで、運輸省としても政令その他で検討をされておるようでありますけれども、いわゆる指定制度、これを設けようとしていることは一歩前進であろうと思います。しかし、厳密な意味でいう指定医というのはなかなかむずかしい。私の聞いた範囲では、厳密に言うならば、四国四県には適格者が一人もいない。現に四国四県には指定病院はまだないようでありますけれども、いまこの指定医制度はどの程度進んでおり、いつまでにどのようにされようとしているのか伺いたい。
  24. 野村一彦

    野村説明員 私どものいま調べましたところでは、十月三十一日現在でございますが、指定を完了しておりますのが二十九病院でございまして、そのほか交渉中が十一ございます。二十九病院は、労災病院八、日赤病院八、県立病院五、市立病院四、国立病院二、済生会一、社会保険一ということになっておりまして、今後当面の問題といたしましては、交渉中の十一を早く話がまとまるように、私どものほうからも関係方面お願いをしたい、このように考えております。
  25. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 いまの二十九は、たとえば北海道に三つとか東京に四つとかいうようなことで、まだない県が過半数であります。これは行政上きわめて遺憾なことだと思うわけでありますけれども、至急これらを指定して対策を立てると同時に、大臣に最終的に伺いたいと思うわけでありますけれども、この自賠責関連をして、何か医療費適正化基準をつくらなければ際限ないことになっていくのではないか。しかし、武見会長に聞いても、いや、九九・九%の医師はそのようなことはやっていない、〇・〇一%の医師があることによって、あたかも日本の全部の医者がそういう悪徳医だというふうに見られては迷惑千万だ、こういうことを言っておるわけであります。私は、武見会長の言をまつまでもなくそうだと思うのです。しかし、〇・〇一%だからいいというわけではない。すみやかに医療費適正化方向を具体的一確立をすべきだというのが第一点。第二点は、自賠責は御承知のように車を持っておる所有者がかける保険であります。かって自賠責の一部改正の際、いわゆるペーパードライバーが加入し負担をすべきではないか。しかし、その際の配慮はいろいろあるけれども、原則的にはそういう方向でいかなければ困難ではないのか。もう一つは、無免許あるいは酔っぱらいの運転であっても、被害者保護の立場から、この際はやはり自賠責の対象になっているわけなんですね。これは被害者を保護するという意味からいけば当然のことでありますけれども、しかし、これも任意は全く適用されていないということから、別の角度から検討されていくべきではないか。  この三点を、今日段階における自賠責問題として私は思うわけでありますけれども、最終的に大臣の御見解を承りたいと思います。
  26. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 斉藤委員の御意見全くもっともでありまして、むち打ち症に限らず交通事故によるところの障害に対しては、これが十分なる措置をすると同時に、ただいまの武見会長の話ではありませんが、おそらくはんの一部の人でありましょうが、その一部にしても、非良心的なことが行なわれておるとすれば見のがすことはできません。ただ、全体としてこれらの適正料金といいますか、このような制度をやはり基準を明らかにするという必要はあると思いまして、目下審議会でこれらについての検討を進めておる次第でありますからして、いずれこれらの措置が行なわれると思います。  ただ、同時にお互い国民として考えなければならぬことは、将来十年後には、おそらく三千万人あるいは三千五百万人のドライバーというものが、免許を持つ者が生まれると思います。こういうことは、結局ほとんどおとなはいわゆるペーパードライバーである。むち打ち症にかかる、かからぬということは、ドライバー自身もかかることがある。自分が運転して乗っかっている場合ですね。したがって、これは全国民問題でありますので、一つには、広くいえばやはり教育の問題でもある。同時に、具体的にいま申したような種種なる制度を完備していくということにおいて全力を尽くして、このような、医は仁術なりといわれておるにもかかわらず、医が仁術でないことがあとを断たない事実は遺憾なことでありまして、政府としては最善の措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  27. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 きわめて根が深く重要な問題でございますので、もっと具体的にお尋ねしたいわけでありますけれども、また次回に譲ることといたしまして、鋭意ひとつ御勉強をいただいて、指導指導監督監督という形でひとつ善処をしていただきたいと思うわけであります。  次に、船舶局並びに船員局中心として伺いたいわけでありますけれども、御承知のように、小型船舶操縦士免許問題があります。  そこで、最初に伺いたいのは、いわゆる小型船舶といわれる五トン未満の船は全国でどれだけあるのか、遊漁船ボートヨットに分けて、おわかりでしたら教えていただきたい。
  28. 佐原亨

    佐原説明員 五トン未満船舶につきましては、船舶法のほか運輸関係法令いずれも適用がございませんので、正確にこれを把握しているとは申しかねるのでございますが、先生承知遊漁船につきましては、今回全漁連の手を経て全国的に調査をいたしました結果、これまでに小型船舶操縦士免許を取得している者が四万人、未取得の者が四万五千人、こういう数字になっております。ただし、これは隻数とは違いますので、隻数はそれよりも下回って、約七万隻ぐらいではないかと考えております。  それからレジャーボートにつきましては、これは四十四年末の調査でございますが、営業用五千隻、それから自家用として三万隻、こういう数字を把握しております。その後年々製造がふえておりますので、これは若干上回っておるかと思います。  ヨットについては、把握しておりません。
  29. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 いまの答弁にございましたように、いわゆる五トン未満の船については掌握が非常に困難なわけでありますけれども、しかし、やはり海上交通が今日やかましく言われ、レジャーが大型化され、そしてスピード化され、近代化されているというときに、何らかの形でこの五トン未満小型船舶の実態について明らかに掌握をしておく必要がある。これが約七万隻ぐらいですというような答弁では、私は小型船舶行政としては片手落ちだというように思うわけであります。  しからば伺いますけれども、いわゆるこのボートヨットといわれるものが、一体昭和四十四年度においてどのくらいつくられているか、御承知でありましょうか。——資料があるいはないかもしれませんから、私のほうで申し上げますけれども、これも大体の隻数でございますから明らかではありませんけれども、四十四年度において一万四千八百隻、本年度は二万一千四百隻建造されようとしているのであります。こういう状態を考えますと、この伸びは異常なカーブを示すのではなかろうかというように思うわけであります。そうしたときに、小型船舶操縦士免許問題が喫緊の問題としてクローズアップされてきている。  そこで、私は伺いたいわけでありますけれども、五トン未満船舶について、その運転者は無免許でもよい場合があるわけなんです。それはどういう場合なのか、具体的にこの場合、この場合、この場合は無免許でもよろしいというその場合をお答えください。
  30. 佐原亨

    佐原説明員 お答えいたします。  船舶職員法に関しまして、その適用範囲でございますが、先ほどもちょっと触れましたけれども、原則として五トン未満船舶適用がない。ただし、旅客運送の用に供する場合はこの限りではない、こういうことになっておりますので、いわゆる旅、客を運送する場合には適用があるが、旅客を運ばない場合は適用がない、こういうことであります。やはりこの場合の旅客と申しますのは、いわゆる旅客運送事業にいう旅客、いわゆる対価を取って運ぶ旅客よりもやや広い概念でございます。いわゆる船内で業務に従事する者以外の者を旅客、こういうふうに扱っております。自家用の足船で工員を乗せて運ぶという場合は、一応旅客を運んでおるのだ、こういうふうに扱っておるわけであります。  その他いろいろケースがございますが、手元にちょっと資料を持っておりませんので、一々御説明をすることは省略させていただきます。
  31. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 きわめてばく然としておりますけれども、そうすると、たとえば三人なり五人が、もちろん対価は支払っていない、遊びにいって、モーターボートに乗ったという場合、操縦者は一人ですね。あとは同乗しておる。途中でおれにもやらせろ、今度はぼくの番だというようなときに、乗っている三人なり五人が全部無免許であってもよろしいか。
  32. 佐原亨

    佐原説明員 その辺、はなはだ申しわけなく、はっきりしておりませんけれども、交代して運転するというような場合には、いずれも無免許でもよろしい、こういう扱いにしております。ただし、婦人などで運転はとても考えられないというような人が乗っておるような場合、これは一応旅客を乗せるという扱いをしております。
  33. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 常識的に、これではとても運転できないというような者が乗っている。その人が運転した場合はいけない。違法だ。たとえば、子供だとかあるいは不具者だとかというような者はいけない。そうでないいっぱしの人間なら、交代して運転するのだという場合はよろしいということですね。
  34. 佐原亨

    佐原説明員 さようでございます。
  35. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 先ほどもお話がございましたけれども、漁連傘下のいわる遊漁船については、免許取得者も、これから免許を希望する者についても数が出ているのですね。ところが、レジャーにつきましては何らつかめていない。しかも、聞くところによると、九月一日現在で免許を取る意思があり、しかも、一年以上の乗船経歴を持っている人というのはすでに登録してある。ところが、一般国民にはこれが知悉徹底されていない。  そこで、漁連傘下の小型船舶操縦士並びに操縦士になろうとする人は、登録され、講習を受け、免許をとるというような道がすっと開けているわけです。ところが、一般国民はモーターボートに乗りたい、持っている、しかし無免許だという者については、これらの政令公布あるいは本法改正の具体的な問題が十分徹底していないわけです。この辺はどのようにお考えですか。
  36. 佐原亨

    佐原説明員 御指摘のように、遊漁船のほうは全漁連という組織がありますので、これを利用いたしまして周知徹底をはかっておるわけでございますが、ボートのほうは、残念ながら漁船ほど周知徹底していないと思います。ただ、メーカーなりマリーナあたりの窓口を通じまして、口頭でPRをさせるように指導はしておるつもりでございます。
  37. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 メーカーなりマリーナを通じて掲示をしたり口頭でというようなことは、周知徹底という意味からいえばきわめて不完全である。私はこれが官報に掲載をされ、あまねく告示されたというなら別だと思うのですが、しかし、漁連傘下の者には漁協組織を通じて知悉徹底しているけれども、その他については便宜的な告知のしかたしかしていないというところに問題があると思う。したがって、取り締まりは一斉に一月一日なりあるいは七月一日から行なわれるということになりますれば、これはゆゆしき問題だと思うわけでありますが、まあいいです。  そこで、講習が行なわれますね。しかも今度は講習を行なえば、国家試験でなくて、直ちに国家試験にかわる、その講習の講師によって合否が決定されるという制度が開かれてけっこうだと思うのです。思うのだけれども、この日本船舶職員養成協会のスタッフは、全国で百十一名と聞いている。名古屋には十名内外いるそうです。しかし私が調査したところ、名古屋支部におきましては、この仕事にタッチできる有資格者というのは三名しかいないというのです。しかも、遊漁船だけで名古屋海運局管内で約一万ぐらいある。これが一体来月一カ月でどれだけの消化ができるとお考えなのか、伺いたい。
  38. 佐原亨

    佐原説明員 東海支部は、先生三名とおっしゃいましたけれども、われわれの調査では四名ということになりますが、一名はたいしたことじゃございませんけれども、現在養成協会が、全漁連の調査に基づく、いわゆる四万五千の県別の人数によりまして、全国的に計画を立てつつあるところでございます。  たとえば、北海道のごときは講師がかなりおりますけれども、あまり受講希望者がいない、こういうことで、北海道の講師を臨時に名古屋へ派遣いたしまして応援させる、さらに足りない場合には臨時講師を一時的に雇いましてこれを補強する、こういうようなことで、非常に具体的な計画を目下つくりつつあるわけでございます。いまのところ、養成協会の話によりますと、東海地区約九千名、全国で四万五千名でございますけれども、一カ月ではとても無理でございますが、来年の七月までには何とか消化できるのではあるまいか、こういう見通しを持っておるわけでございます。
  39. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 アンバラがあると思いますから、ぜひそういう面を配慮していただいて、省としても船舶職員養成協会だけに一任していないで、いやしくも一方では取り締まりという内容がきまっている、時期もきまっているのですから、これに対応する免許の方法を具体的に講じていただきたいと思うわけなんです。したがって、いまお話もありましたけれども、あるいは中央から、あるいは北海道から講師を持ってきても、そういう受講者の多いところには便宜をはかるような努力をいただきたい。  同時に、これは一種、二種に御承知のように分かれていますね。乗船経歴一年以上、乗船経歴なしあるいは一年未満、この区分につきましても、乗船経歴一年未満もしくはなしというのは、これは明らかにレジャーなんですよ。レジャーの諸君なんですよ。これもひとつぜひ周知徹底をして、受講者には便宜を取り計らっていただきたいというように思うと同時に、この養成協会も実はたいへん少ないスタッフで、殺人的な日程で講習、試験をやっているわけなんです。この辺はひとつ了として、ぜひ物心両面における養成協会への御援助もお願いをいたしたいと思うわけであります。  もう一つは、この座学を四十時間なら四十時間終わる、あと三十時間なら三十時間の実技がございますね。この実技は、一体どういうところにやらせようとされているのですか、ひとつ伺いたい。
  40. 佐原亨

    佐原説明員 養成協会は、御存じのように学科のほうは専門家でございますが、実技のほうは、施設そのものもないような状況でございまして、結局、各地方にございますモーターボート競走場の水域、施設ボート、こういったものを使わせまして実技のほうはやらせたい、このように考えております。
  41. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 その肝心なモーターボート競走会が、実はこういう仕事は、私ども本来の仕事ではありませんと言ってきらっているのですよ。伺いますれば、全国モーターボート競走会ですか、その他にもお願いしてぜひやりたいというようなお話でありますけれども、これらの指定もまだ全然といっていいほどなされていない。指定の条件もかなりきびしいものがありますけれども、たとえば、日本舟艇工業会というような団体もございます。これらはメーカーでございますから、それがこういうことに直接タッチすることについては異議がある。しかも、おたくの指導によれば、営利であってはならぬ、法人でなければならぬというようないろいろな規定がありますけれども、今日メーカーは大体有資格者、船、それから水面、こういうものを持っているし、またそういう積極的な態度が、たとえば競艇場等を借りて、施設は借りて、実際は人間も機械も器具も提供してやるというようなことは、決して営利ではないと私は思う。ぜひこういうしっかりした団体も、その条件さえ整うならば指定にすべきだというように思うわけでありますけれども、いかがでございましょう。
  42. 佐原亨

    佐原説明員 御指摘のように、そういった施設を有効に活用して広く利便をはかるということはごもっともだと思いますが、とりあえず目下のところ、船舶職員養成協会が全国的な計画を練っておりますので、その結果を見ました上で、需要とのにらみ合わせで慎重に考慮をいたしたい、このように考えております。
  43. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 講習はそれでいいのですよ。実技ですよ。実技は容易に的確なものがないと思うのです。だから、ぜひ御検討をいただきたいというように思うわけです。  さらに、本格的に取り締まりがされるということになりますと、私の知っている範囲では、いわゆる警察庁の職員、警察官ですね、水上警察の職員、海上保安庁の職員、この三つが取り締まりをする権利を持っているというように聞いていますが、間違いないかどうか。  さらに大臣、時間がありませんから最終的に伺いますけれども、モーターボートとかヨットとかといういわゆるレジャーは、御承知のように飛躍的に伸び、拡大されておる。しかもスピード化され、近代化され、大型化され、しかも需要は非常に広いという今日、いわゆる舟艇工業に対するメーク、製造だけでなく、その利用、レジャーへの役割り、あるいはそれらに必要なマリーナその他の基地等々につきましては、運輸行政として今日抜本的な対策を先取りしていかなければ、陸上交通の二の舞いを海上交通でも見るし、舟艇によるレジャーというのは前途が非常に憂慮されるものがあるわけです。大臣、ぜひこの際、いま私がお聞きしているように、取り締まりはもう一月一日なり七月一日からびしびしやるというのに、資格を与える制度については遅々として進んでいない、こういう状態を御認識いただく中から、舟艇のレジャーに対する今後の展望あるいは大臣のお考えを聞いて質問を終わります。
  44. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話を承っておりますというと、ごもっともでありまして、おそらくお話の中心は、レジャーにおけるところのマイカー族の激増に対してはいろんな問題があり、それに対する対策は、十分ではないかもしれぬが、ある程度進められておるにかかわらず、これからの新しい成長レジャーといわれるところのモーターボート、こういうことついては、運輸省自身の取り扱い方も不十分じゃないか、資格の問題、技術あるいはその他の問題から見て不十分だろう、この点、将来非常に激増していくのであるから、積極的にこれが対策を講ずべきであるというお話でありまして、まことにごもっともであります。一〇〇%といいますか、全然同感でありまして、従来運輸省自身が、これに対しての対策が十分であったとは私も考えられません。  ただ問題は、これからどういうぐあいに進んでいきますか、いわゆるエンジンをつけたボート、これが湖上あるいは川の上、あるいは湾上等でやはり大きな交通上の問題を引き起こすことも明らかでありますから、こういう点について、あるいは資格審査、あるいはその機械の審査等、自動車並みにこれを進めていくということには、多少の時間がかかろうと思いますが、しかし、やらなければならぬ問題であると思います。そういう意味におきまして運輸省におけるいろんな審議会がありますから、適当な審議会において、これが対策について十分に論議してもらって、そうしていまおっしゃるような将来への対策を明らかにしていきたい、かように考えております。
  45. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 取り締まりは警察、水上警察、海上保安庁、それがみんなやるのかどうか。
  46. 佐原亨

    佐原説明員 お答えいたします。  取り締まりにつきましては、先生指摘のとおりでございます。
  47. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 質問を終わります。
  48. 福井勇

  49. 松本忠助

    松本(忠)委員 先ほど社会党の斉藤議員より発言がございましたが、自動車局長九州視察旅行につきましては、前局長参議院選挙事前運動とみなされるような疑惑の濃い行動であるというような新聞報道がございました。先般公選の特別委員会におきましても、わが党の二見議員よりこの点を追及いたしました。運輸大臣からも、李下に冠を正さずという故事を引かれまして答弁がありましたので、私はこれ以上追及はいたしませんが、今後十分気をつけて、疑惑を招くような行動のないように、特に大臣から御注意をいただくようにお願いをいたしておきます。  それから、次に本論に入りますが、去る十一月九日の交通安全対策特別委員会におきまして、羽田沖のボーイング727の墜落事故につき、木村、楢林の両参考人に意見を聞いて質疑を行ないました。当日大臣に出席をお願いしておきましたけれども、出席がございませんでしたので、二、三の点につきまして、きょう大臣の見解をお尋ねいたしたいと思います。  それは、両参考人の意見が全く対立しておることが、当日の質疑を通じてわかりました。また、九月二十九日に発表されました最終報告書をめぐりまして、航空関係者、特にパイロットの諸君、さらに百三十三名の遭難者の御遺族をはじめとして世間一般が、非常に大きな疑問を抱いたことは隠れもない事実でございます。私自身この最終報告にはたくさんの疑問点があり、野党の諸君も全く同意見ではなかったかと思うのであります。  そこで、当日も、再調査をすべきであると信じておりますわれわれは、航空局長にその旨をただしましたけれども局長は、その意思はない旨の答弁がありましたが、この点、大臣はどのように考えられておるか。  また、この最終報告書を、遭難された方々の遺族に対してお送りしごあいさつにかえるべきではなかろうか、こう思うわけであります。これがなされておりません。もちろんそんな前例もないし予算もない、こう言われるではございましょうけれども、これほど社会的に大きな問題であり、四年八カ月も報告がなかった、こういう点から考えましても、この結論は、人間として当然その御遺族に報告をなさるべきじゃないか、その報告書をお送りすべきではないか、このように思うわけであります。御遺族は、虎の門の航空関係のある団体で五百円という金を出して買っているのが事実でありますが、大臣はどのように思われるか、この二点についてお尋ねをいたします。
  50. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 全日空のボーイング727の羽田沖の事故につきましては、まことに遭難者の各位に対して心からおくやみを申し上げる次第でございます。  当時から、御承知のように四年八カ月の長年月にわたって、日本のその方面の最高の権威者にお集まり願って、慎重に調査を進めてまいった結果が、御承知のような報告書であります。この点についていろいろな問題はあろうと思いますけれども、とにかく世界的な権威、日本におきましても最高の権威の方々に集まっていただき、しかも四年八カ月という長年月を費して、そうして報告書を出されたのでありますし、私たちはその報告書を受け取ったのでありますので、したがって、その報告書をもう一度調べ直すという考えは、もちろん持っておりません。  いろいろ、問題の究明点についてはありましたろうし、それらの問題については、報告を受け取った際に木村団長からも、約二時間にわたっていろいろ報告を受け、私からも約二時間にわたって質問をいたしました。もちろん私しろうとでありますから、的を得ておるかどうかは別問題にしまして、私たちしろうとがいろいろ疑問と感ずることをお聞きいたしましたが、木村団長は、これ以上の調査はわれわれとしては不可能である、万全を尽くして、だれがやってもこれ以上の結論は出ないという確信を持っております、こういうようなお話でありましたので、その報告書をちょうだいいたしましたが、再びこの問題について調査をする考えは、持っていないことを明らかにいたしておきます。  なお、この報告書を遺族の各人に丁重にこれを送付し、あるいはお届けすべきであったと思います。いろいろ事務上の忙しいこともありましたので、一々遭難者の遺族には差し上げませんが、代表者としております者があるものですからして、その代表者の人に後刻これを贈呈いたしまして、このような結果になったことを報告はいたしております。  今後のこの種の問題でございますが、当時木村団長ともいろいろお話したのですが、船には海難審判庁という制度がある、飛行機もこれからはだんだんと進んでまいって、かなり日本旅客あるいは貨物を輸送する大きな機関になるであろう、そういう意味からいうと、臨時にこのようないわゆる調査会をつくって間に合うかどうかということについては、自分も一つの考えを持っておる、アメリカではやはり五人委員会等が常置されておりまして、この方々が大小の事故について調査を進めてまいっておる、こういう制度を将来日本としても取り入れる必要がありはしないかということを申されておりました。私ももっともと存じました。それには、もちろん法律上の改正等が要りますので、いま直ちにこれを実施することは困難ではありますが、そのような制度についても今後検討をしてまいりたい。そして運輸省の事故関係の人は、そのスタッフとして下働きをする、かような制度がやはり必要ではなかろうか、こう考えておりまして、このような制度についての検討方を、私から関係者に命じております。  以上の方針に従って、今後——その間におきましても、このような事故のないことをこいねがうし、またないように全力を尽くしてまいりたい、かように考えるわけであります。
  51. 松本忠助

    松本(忠)委員 いま大臣から答弁がありました事故調査の体制についても、またあるいは航空審判庁、こういう問題についても、今後前向きに検討していく、こういうお話でございます。私も先般その点について航空局長にもお話をしました。大臣からそのようなお話がありましたので、私もこれを了といたします。どうかその問題については、しかるべく早い時点において実現されるようにお願いいたしておきたいと思います。  何と申しましても、事故の起きるたびにいわゆる学識経験者と称する者を中心として臨時的に調査団を編成する、ここに大きな問題があろうと思います。このやり方はやはりどうしても改めなければならないと思います。大体学識経験者と称せられる方々は、大学の教授であるとか、あるいはまた会社の役員であるとか、本業を持っている方で、その方々にそういう事故の解明についての問題お願いする、こういうことは、どうしても本業をなげうってでもやっていただかなければならぬたいへんな御苦労をかけるわけであります。しかし、今回の事故調査にあたりましていろいろと私たちが調べた中には、実際問題といたしまして、事故調査にほんとうに熱心にやっていただいた方もあれば、また四年八カ月にわたる間に三十三回にわたるところの総会等がありましても、その間に一ぺんも出席されたことのない委員もあったというような話も聞いております。こういう点を考えましたときに、ぜひともこの問題は至急に、常置した、要するに事故対策のための委員会をつくっておいて、そして政治的の圧力のかからない権威のあるものをつくる、そしてまたそこに勤務される人は常に前向きに研究を重ねて、その事故の解明に当たられるようにお願いをいたしておきたいと思います。どうか十分、大臣からもこの点については前向きに研究していただくように、重ねてお願いをいたしておきます。  なお、もう一点だけお尋ねをいたしておきます。それは十月九日の当委員会におきまして、社会党の横路議員からも質問がございましたが、「パイロット」という雑誌がございます。その「パイロット」という雑誌に全日空の石崎機長が投稿した件につきまして、運輸省が石崎機長の属する全日空の幹部を呼んで注意を与えた。それは、最終報告の発表以前に他に秘密を漏らすのは、会議のルールに反するからやめなさい、会議のルールを守るようにということで注意をしたということであります。ところが、過日参考人として呼びました木村団長は、本年四月に発行された  「航空情報」の四月号の「私は答える」という座談会に出席をしております。これは明らかに最終報告書が公表されました九月から五カ月も前のことであります。一方は執筆した、一方は座談会で話をしたという違いはありますけれども、これはどのように解釈をするのか。団長の場合はよろしい、オブザーバーで出席していた者の場合はいけない、こういうふうに言われるのか、まことにおかしな話だと思うのでございます。ですから私は、これをすべて公開をしてやったほうがいいんじゃなかろうか。全くこの点については、私どもも大きな疑問を持っております。  聞くところによりますと、運輸省にはその会議の模様を全部録音したテープがある。全部そろっている。これを私はぜひとも公開をしてもらいたい、聞かせてもらいたい、こう思うわけでありますが、この点について大臣の考えを聞いておきます。
  52. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいまの松本委員の公開してはどうかという御意見でありますが、これは調査の途中における会議録でありますからして、当然原則として——これはどのような会議においても、原則は秘密主義であります。したがって、公開して内容を明らかにするということは、将来お互いの教育が進んでまいって、そういうことにわずらわされないような非常に進んだ時代が生まれれば別でありますが、現在の状態においては、そのようなことを言うために、今度はだれも発言を遠慮するというようなことがあっても、十分なる審議が行なわれ得ないような心配もある。こういうことからして、会議は原則として非公開であり、また議事録はこれを公開しないという前提で会議が行なわれております。  こういう意味において、いわゆる一般の論議を公開する考えは持っておりませんが、記録等あるいは資料等については、もちろんこれは差しつかえがないものでありますから、必要があれば公開してもよろしいのでありますが、証言または議論の内容それ自体を公開することは、はたして会議が今後適正に運べるかということになりますと、必ずしも私は、従来のいろいろの会議実情から見ても、会議内容があからさまに出ていくということは、外部の影響を受けないとは言えない。こういう意味においては、現状では、私はこの会議内容を公開する考えもありませんし、したがって、この調査団の会議内容の記録を公開する考えは持っておりません。
  53. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまの石崎機長と木村団長の問題については、どのようにお考えになりますか。その点について大臣からお答えいただきたい。
  54. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私は内容承知しておりませんから……。
  55. 金井洋

    ○金井説明員 お答えいたします。  木村先生が「航空情報」に書いたものにつきましても、会議の席上知り得た秘密その他のことを漏らすようなことが、今後起こる可能性があるから、木村先生のことについても、団員の間で、ああいうことは今後やめようというふうに批判されております。したがいまして、たとえ団長であっても、それから初めの全日空の石崎機長の問題についても、同じような批判を受けたわけであります。ですから、別な扱いをしたということはございません。
  56. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは以上で終わりますけれども大臣に重ねてお願いしますが、航空審判庁の問題、それから常置のいわゆる事故調査問題、この機関の設定については、ぜひとも近い将来に実現できるように重ねてお願いをいたしておきます。  終わります。
  57. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  58. 和田春生

    和田(春)委員 最近、公害問題が非常に重大な課題になっておりますけれども、海に関しましては、工場からの排水等による海洋汚染ももちろん重大な問題でありますが、もっとおそろしい、へたをいたしますと、沿岸に住んでいる人々を含めまして、非常に深刻な打撃を与えるような問題の起こる可能性があるわけであります。このことにつきまして、まず最初に海上保安庁長官にお伺いをしながら、最終的には橋本運輸大臣の御所見をただしたいと思います。  御承知のように、過般東京湾の湾口におきまして、外国船ではありますがタンカーが衝突事故を起こしました。この場合には油の流出量がたいへん少なかったために、大事に至らず食いとめたわけでございますけれども、前々から海運関係者、特に船舶運航に従事する船員の側からは、非常に船舶の航行いふくそうをいたしまして、しかもあの東京湾の入口付近というものは危険性が多い、何とか海上の航行を規制してもらいたい、こういう強い要望がなされておりました。  こういう要望に基づいて、海上交通法案というものも用意されたわけでありますけれども、それはその後流産になっております。そのおそれておったことの事態が、小型ではありまするけれども起きたわけでございます。もしこのまま放置いたしておきまして、二十万トン、三十万トンというような大型タンカー、あるいはそこまでいかなくとも、かなり大きなタンカーが事故を起こしまして油が流出をするという形になりますと、たいへんな問題になるのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。  そこで、まず最初にお尋ねいたしたいのは、過般起こりました衝突事故の後におきまして、これらの安全確保のために海上保安庁としてはどういう措置をとられたか、要点的にお答えを願いたいと思います。
  59. 手塚良成

    ○手塚説明員 浦賀水道におきましての交通安全については、御指摘のとおり船舶が非常にふくそうしておりますので、前々からこれについて、私どもは他の一般の場所とは異なりました特殊な航法措置その他の安全の指導をやっております。その中で先ほど問題が起こりましたので、これに対しまして、起こりました以後の問題といたしましては、先般庁内におきまして、いろいろな私どもの施策以外の施策も取りまぜまして、浦賀水道における海上交通に関する緊急安全対策というものを一応きめました。これを先般関係の業界その他に指示をし、また私どもでもそれに相応した必要なことをとろうということにいたしております。  その内容といたしましては、一つは、船舶自体についてあの浦賀水道の通峡時の見張りを強化していく。それから通峡時の速力の制限、これを一応十万トン以上の船について現在十二ノットときめておりますが、そういった制限を行なってもらう。それから必要に応じまして引き船等の警戒船、タグボートの配備をしてもらうということの指導をしていきたい。それから他船の追い越しの制限というものについての指導を、さらに一そう強化したい。それからタンカー、特に十万トン以上の大型タンカーについて、油処理のためのオイルフェンスの船上積載の強化をひとつ組織的に皆さんにお願いしよう。それから視界不良時、交通混雑時及び夜間の通航の制限をしたい。こういう内容につきましては、従来二十万重量トン以上をこえるタンカーに対しまして、これは行政指導という形で行なっておりましたが、この対象船舶を今度は十万重量トン以上のタンカー並びに三万重量トン以上の液化ガスタンカー、こういうものにまでひとつ対象船を広げまして、行政指導を強力に行なっていきたい、こういうことが一つであります。  それから、もう一つは航路標識の改善でございます。浦賀水道にはいわゆる推薦航路というものを従来とも設定いたしましてやっておりますが、その推薦航路等を示します中央の水道、第一号から第五号の灯浮標、第一号と第五号が非常に重要なポイントの灯浮標になりますが、これが非常に暗い、よく視認しにくいという批判がありますので、これの灯質、灯形の改善を至急やりたい。それから第三海堡の灯浮標が、これまた視認が非常に困難であるという点がございますので、この灯質の改善をはかって視認をしやすいようにしたい、こういう問題でございます。  それから第三といたしましては、海上交通情報システムということで申しておりますが、要するに東京湾内全体の船舶の配置状況あるいは海象、気象、こういうものの情報をレーダーその他でキャッチをいたしまして、これを船舶に通報する。将来はそれを通じましていわゆる航行管制をやる。こういったシステムにつきまして実は四十五年度、ことしからまず手始めに川崎、横浜地区を予算をとりまして一部実施をしようとしておりますが、これを五カ年計画で東京湾全体を完成したいという構想を持っております。この構想につきまして、その全体のシステムの完成時期の短縮をはかることについて、目下検討をしております。  以上、概略でございますが、あの事故以来につきまして、私どもがとりあえず検討して、緊急対策として実施をしたいと思っております。
  60. 和田春生

    和田(春)委員 いまのお答えの内容については、あとであらためてまた御質問申し上げたいことがありますけれども、やはり一番問題になりますのはオイルタンカーの事故だと思いますし、かつてトリー・キャニヨン号の事件におきまして、英仏海峡で非常に大損害を引き起こしているという事実があるわけであります。  そこでお伺いしたいんですが、いまの御答弁の中にもオイルフェンス等準備をさせるということがございました。現在、東京湾浦賀水道付近で、総動員をいたしましてオイルフェンスで防ぎ得る油の流出量の最高限、何トンくらいまでなら何とか食いとめることができる、それ以上は無理だということについて、大体の見当でもよろしゅうございますから、わかっておりましたらお知らせを願いたいと思います。
  61. 手塚良成

    ○手塚説明員 いまのオイルフェンスにつきまして、東京湾におきまして一応想定いたしております前提が一万トンの油の流出量で、これを前提にして、まず二時間以内でこれを除去する、こういう想定のもとの官民の協力体制を考えております。そういう意味で第三管区だけで申しますと、オイルフェンスは千五百メートル、民間関係で約二十キロメートル、消防機関関係で約千八百メートル、こういう状態であります。
  62. 和田春生

    和田(春)委員 いまお伺いいたしますと、大体一万トンの油の流出を二時間以内に処理できるという想定をしているというのは、現在それだけの設備があるということでございますか。
  63. 手塚良成

    ○手塚説明員 海上保安庁自体が少しおくれておりまして、これは四十六年で完備をする、こういうことにしております。
  64. 和田春生

    和田(春)委員 そういたしますと、わが国で現在動いている一番大きなタンカー、約二十万トンの船によりますと、大体ウイングタンクの容量が一区画当たり二万八千トン程度でありまして、IMCOで問題になっているのは一応一区画三万トンで押えよう、こういう形になっているわけですけれども、大体超大型タンカーにおきましては二万七、八千トンから三万トンくらい、中にはそれをこえる船も計画をされているということでございますが、もし底に穴があきまして全部流出をするという形になりますと、三万トン近い油が流れ出るわけであります。それから、二区画の間のバルクヘッドに衝突をして両方穴があきますと、五万数千トンから六万トンの油が流れる可能性があるわけでありまして、全部が全部流出をいたさなくても、一万トン程度ではとうていとどまらない、こういう状況も予想されるわけであります。  そういう不幸な事態は絶対起こってはならぬと思いますけれども、もしかりに東京の湾口でそういう事態が起きまして、ちょうど南から風が吹いておる、満ち潮のときである、そういう状態で三万トンからの油が流出をしたという場合に、その油膜は大体どれくらいの広さに広がるというふうにお考えになっておられますか。
  65. 手塚良成

    ○手塚説明員 ただいまの衝突の場合の油の流出量というものの想定で、こういう災害防止の準備がなされるわけでございますが、実は一万トンというのは、従来やってまいりました一つの想定、前提でございます。先般の英国南岸のタンカー衝突におきましても、たまたまではあるかもしれませんが、流出量一万トン、こういうことになっておりますが、先ほど申し上げました民間のオイルフェンスの準備体制から見ますと、実はこれが二十キロ、一万九千メートルございます。先ほどの一万トンを二時間で処理するという場合に、東京湾では約八キロメートル要ると私どもは想定いたしておりますので、こういった民間の関係について、これが一〇〇%稼働ができるという前提に立ちますと、実は一万トンよりはまだ多量にできることになります。ただ、実際にその場所とかあるいは具体的な運航の時間とか、そういうものを非常にこまかく計算していまのような申し上げ方をしたわけでございます。現実問題からいたしますと、約倍くらいは計算上はいけるようなかっこうになると思います。  ただ、おっしゃいましたように、タンカーはだんだん大型化してまいりますので、従来いま言ったような前提を想定しておりますけれども、それをさらに大型化に即応したように漸次改正をしていく必要はあるかと思いますので、さらにそういう点については、今後検討を続けていきたいと思います。それに対応した整備をしていきたいと思います。
  66. 和田春生

    和田(春)委員 いまお尋ねしたのですけれども、かりに三万トン程度の油が不幸にして流れ出した、そしてかなりの強い南風が吹いておる、さらに満ち潮であるというような場合に、大体どれくらいに広がるとお考えでしょうか。
  67. 手塚良成

    ○手塚説明員 面積的にちょっとよく想定できませんので、数字で申し上げることができませんが、いまの一万トンで東京湾で広がっていくという場合に、八キロメートルのオイルフェンスで囲えば二時間以内で処理が可能だということでございますので、それで面積計算をいたせば出るのかと思います。したがって、前提の三万トンになりますと、これが三倍になりますか、もう少し相乗積になるので広がるということになるかと思います。
  68. 和田春生

    和田(春)委員 そういう点、いろいろな場合を私は想定して準備をされてしかるべきだと思うのですけれども、いまの答弁の限りでは、たいへんそういう面の条件の想定ないしはそれの対策というものが、非常に立ちおくれておるというふうに感ぜざるを得ないわけであります。理論上計算すれば、かりに一万トンの油が流れまして、油膜の厚さが〇・一ミリだ、これは仮定ですけれども、とすれば、それだけで百平方キロメートルの広さを油膜がおおうというかっこうになるわけでありまして、私は、もし万が一そういうことが起きまして、大型タンカーから相当多量の油が流出をする、条件が非常に悪い、天候状況、海象が悪い、オイルフェンスでこれを処理するという場合も、なかなか間に合わないという形になりますと、東京湾が全滅と言えば大げさかもわかりませんが、沿岸漁業を含めまして非常に災害を受けることになると思います。英仏海峡の例を見ましても、あれだけオープンシーで潮流が流れておるところでさえもああいう状態でございますから、これが東京湾の中にたまるという形になれば、回復困難というよりも、不可能な打撃を受けることになると思う。これは海の問題ではなくて、東京湾沿岸に住んでいる住民にかかわる重大な問題だと思うのです。  こういう点について、再々関係者から要望されているにかかわら、ず、まことに対策がおくれている。陸上の公害対策も非常に立ちおくれておりますけれども、これは一ぺん万が一ばかっと起こったら、もうその瞬間取り返しがつかない。そういうことを考えますと、いまから全力を尽くしてあらゆる手段を講じて航行の規制をやる、あるいは東京湾の中に大型船の入港というものは認めない、あるいはまたそういう万が一のときに備える防災対策というものに対して費用を惜しまない、そういうことをやっておかないと、これは起きたら最後なんですね。徐々に起きる問題ではない。  そういう点で、ひとつ運輸大臣にお伺いいたしたいのでございますけれども、政府といたしまして、公害問題中心に近く臨時国会も開かれますけれども、これが起きた場合には、亜硫酸ガス等比較にならないような重大な問題を引き起こすわけでございますが、政府としては積極的な対策を提案なさるおつもりがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  69. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま海上保安庁長官から、浦賀水道中心に東京湾の規制については、具体的の新しい方針をお話し申し上げて、すでにこれが着手に至っております。  問題は根本的な問題と存じますが、せんだって私も浦賀水道状況及び東京湾内の状況を視察に参ったのですが、確かに、ことに浦賀水道の狭いところは、非常に危険な状態であるとしろうとが見ても感じます。それについて港湾局に命じまして、就任以来これが計画を進めてまいったのですが、当初五カ年計画で狭水道の航路調整、整備を行なうという方針でありましたが、私はその実情を見まして、五カ年間というゆうちょうなことではしかたがないので、これを三カ年計画で実現するようにということでこれを指示いたしております。  ただ、五カ年計画でやった場合、二十万トン及びその他の中小タンカー、船舶のいわゆる航路を整備するわけでありますが、三カ年でこれをやりますためには、どうしても一ぺんに五カ年を三カ年に縮めるわけにもいかないわけであります。一つは、金の問題よりも工事量の問題から考えて、五カ年計画でやった場合に五千万立米の土を運ばなければならぬ、こういうことになりますと、これが工事設計ができましてやりましても、三カ年では不可能であります。  そこで二段がまえといたしまして、一応の整備を行ないますが、それを水深二十三メートルまで掘り下げるということは、そこまでやるというととても三年ではできないので、大体五万トン級の船が通れるように広げていく。そうすると、五万トンの船の通るところと十万トン以上の船の通るところを区別することができる。こういう暫定的な方式をまずその第一期工事として行ないまして、第二期工事として、そこで予定どおりのいわゆる大型船舶の通る航路と小型船舶の通る航路を分けていく。多少費用の上ではむだがありますけれどもやむを得ない。むだがあってもやむを得ないが、そのような措置を講ずるようにということで、今般このような三カ年計画で一応の整備を行なう、続いて最終的な整備を行なう、こういう方針を決定して、この予算措置をいま進めておるわけであります。  第二の海上交通法案の問題でありますが、これももうおっしゃるとおり一日も早くやらなければなりませんし、どちらかといえば運輸省側は被害者の立場になるわけであります。したがって関係省庁、農林省あるいは関係府県、これといろいろと折衝を進めさせておりますが、この相手が、主たる対象になりますものは漁業組合でありまして、この漁業組合との交渉は、なかなか県庁側でも非常に困難をきわめておるようであります。最近に至って、もちろん自分のほうでも進めるけれども運輸省としても漁業組合と交渉を進めてもらいたいというお話がありましたので、運輸省が直接漁業組合にも実情を話して、ぜひひとついわゆるこの海上交通法を行なうための措置、これについて御協力を願うという交渉を始めております。  しかし、諸般の事情から考えまして、この海上交通法を一挙に行なうということは非常に困難な情勢にあります。しかし、困難な情勢だといってほっておける問題ではありませんので一あえて東京湾の問題だけではありません。特に瀬戸内海の問題は重要であります。ことに瀬戸内海においては、本四連絡架橋ができますと一そうこの問題は重大性を帯びてまいります。こういう意味において、金額の多少にかかわらず、これくらいのことはけちっておってもしかたがないのでありますから、したがって、これは関係の方面とも協力をし、国も思い切った措置をとるということで、懸案である海上交通法の制定については、次の国会に出すとまで下準備はできておりませんけれども、できるだけ早い機会に海上交通法が出せるような調査及び交渉等を進めてまいって、なるべく早くこの問題の解決をはかって、万々一の問題が起きぬように全力を注いでまいりたいと考えております。
  70. 和田春生

    和田(春)委員 大臣の積極的なお気持ちはわかったわけでございますけれども海上交通法の関係につきまして、陸上の関係の考え方が海上交通法にも及ぼされているような傾向をよく見るわけでありますが、陸の場合には弱いものを保護する、歩行者が絶対優先である、大きいもの、強い車というものはできるだけ遠慮するといいますか、規制を受けるという形が、人間の尊重という上で大前提でなければならぬと思います。しかし海の場合には、御承知のように船が大きくなればなるほど小回りがきかないわけであります。急に船をとめようと思っても、何百メートルなんという距離ではとうていとまらない。回転をするのにも非常に大きく迂回をやらなくてはいけない。回頭に時間もかかる。こういうようなことでありますから、海の安全のためには、また小さな船の安全を守るためには、大きな船に優先的な航行権を与えるということが大体原則的な考え方でないと、小型の船の安全も守れないわけなのです。同時にまた、いま言ったように、沿岸漁業の人たちの生存権、生活権というものはたいへん大事でありまして、これに対しては十分なる保護と保障というものは必要でございますけれども、かりに東京湾の湾口におきまして、また瀬戸内海におきましてタンカー一隻事故をして、何万トンといわなくても何千トンの油が流れた、それを不幸にして処理しきれなかったということになりますと、それによって受ける打撃というものは壊滅的なものになるわけであります。  そういたしますと、大きな船も小さな船も、あるいは日本国民の生活も産業も共存していくためには、全般的に調和のとれた規制というものを一刻も早くしなければならない。そういう点が非常に立ちおくれておりまして、いまだに海上交通安全法の法案そのものの内容について、いろいろ是非の議論はありましても、たびたび流産同様の結果になり、見通しがついていないことはまことに遺憾でございます。ひとつ運輸省においても、さらに積極的に促進するようにこの機会に強く期待を申し上げておきたい、かように考えるわけであります。  ついでに重ねてお伺いいたしますが、こういう問題を避けるためには、まず東京湾に大型タンカーや危険なものはできるだけ入れないようにしていく。東京湾外にCTSを設けまして、シーバースからパイプラインで引っぱってくる、こういうようなことが必要だと考えるわけでありまして、この点もたびたび海員団体からは、むしろとんでもない事故を起こす可能性のある大型タンカー等の入港は規制しろ、こういう要求がされているにもかかわら、ず、私たちの聞くところによりますと、千葉県では京葉シーバース株式会社に第二京葉シーバース増設計画、これは二十万トン用ミバースを東京湾内に許可するという動きがあるということを聞いているのですが、政府のほうとしては何とかしたい、運輸大臣はかつてそういうことを言明されたことがあるわけでありますけれども、県のほうがそういうことを産業優先でどんどん進めていく形になると、何ともちぐはぐな形になるわけでありますが、この点についてどうお考えか、伺いたいと思います。
  71. 手塚良成

    ○手塚説明員 第二京葉シーバースにつきましては、まだわれわれの手元にまでは具体的な計画内容というものが上がってきておりません。しかし、現在のシーバースだけでは近く収容しきれなくなるので増設が必要である、そのために第二京葉シーバースをつくるのだというお話は、間接的に聞いております。  しかし、この内容につきましては、先ほど来からの東京湾の船舶の安全確保という見地には多大の影響があるわけでございますので、海上保安庁自体の立場においても十分検討をして、今後どうするかをきめるべきではなかろうかというふうに考えますし、また港湾局のほうにおかれても、いろいろ御検討の余地があるようにも聞いております。その辺、総合的な検討を今後十分重ねたいと考えております。
  72. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいまのお話ですが、私も具体的には聞いておりませんが、その問題は別にいたしまして、根本的な問題として、とにかく東京湾にはタンカー船は一万トンの船といえども入れないという原則を明らかにしなければいかぬと思います。私は私の命令として、港湾局には一刻も早く、いわゆるこのパイプライン計画を決定しろ、これをひとつ三カ年以内に完成しろ。そこで、なかなか国の費用でやるということも困難であるからして、国もこれに対して協力するが、一般の協力を得て、そして富津沖でこれを押えて、湾内には全部パイプラインで送るシステムを一刻も早く決定しろということで、年内にも私はこの方針を決定いたします。そうして三年間でこれが完成をさせる。あるいは少しおくれましても、いずれにしろ三カ年を目途としてこれを実現させる。こういう方針が決定しますれば、いまの問題が正式に申請がありました場合に、この問題とのからみ合いでこれは考えていきたい、慎重に考えていきたい、こう考えます。何といっても油船が東京湾内で万が一のことが起きますれば、先ほどのお話のようなことがありますので、これはそのようなことのないようになるべく早くやっていきたい、このような考えでおります。
  73. 和田春生

    和田(春)委員 運輸省当局としては、的確にそういう点まだ聞いておられないという話でございますけれども、これから二十万トンバースを東京湾内につくるということは、今後二十万トンの船を入れ続けるということになるわけでありまして、もし入れないということになれば、それは全くむだな投資になる。目先のことだけを考えてそういうことが進められないように、ひとつ運輸大臣のほうでも、十分関係都道府県とも連絡をとりまして、そういうことがないように御留意をしていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。  きょうは質問者もたくさんあって、時間がたいへん制限されておりますので、最後に一点だけ、やはり海の交通安全についてお伺いいたしたいと思うのです。  関門海峡におきまして、あそこは早鞆の瀬といわれておりますように潮の速いところでございますが、関門大橋をかける、その橋脚の基礎工事が始まりまして以来、水路が狭められる、突出物ができる、また埋め立てがあるというような形で、最近潮流が非常に速くなっておりまして、調べによりますと、民間の調べでありますが、一時間強いときには八・五ノットくらいになるというふうにいわれているわけであります。  ところが、ここは海上ということではなくて、一応港則によりまして規制される港内という形になっているわけでございますので、ここを航行する船は、潮の速さをこえて三ノット以上の速度で走らなければいかぬ、こういう形になっているわけであります。そうすると、少なくとも十一・五ノット以上平常速力を出せる船でなければ走れないことになるわけでありますが、事実上小型船なりその他においては、それに満たない船がたくさんある。そのためにまともに走れない。官庁の船でさえもこの港則を守れない、こういう状況になっているわけでありまして、現地の人はこれを呼んで潮流公害である、こういうことを言っているわけでございます。橋をかけるのは確かに便利になりますが、その結果、重要な海峡がそういう事態になるということは大問題であります。この潮流の調査、そういうふうに潮流が変化をしてきたことによる海上の安全の確保というようなことについて、政府当局のお考えになっていることをお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 手塚良成

    ○手塚説明員 ことしの七月ないし九月に、関門港の関係団体から、いま先生のお話のような潮流の調査の御依頼が、現地の管区本部あてに出されております。私どもも、年度予定がきまった後でございましたが、問題船舶の安全とも非常に密接な関係がございます場所ですので、こういった御要望にもこたえる意味で、この十一月十六日から二十日まで、七管の水路部でこの問題の場所についての調査をしたい、その後約一カ月してこの内容を発表する、こういう計画で地元の御要請にこたえるように、またわれわれとして今後の施策を立てる基礎資料にしたい、かように考えております。  現状におきましては、先生も御承知のとおり、いまお話の港則法の施行規則によるところの運航駒方法をとっておりますし、また、常時十五メートル型の船を一隻配置して、一応交通整理というかっこうのことをやらしております。  ただ、これでは、特に通船あるいは給油船等の小型の船が、いまの問題をいろいろ多く受けておるわけでして、これらのものに対する対策については不十分だということで、どういうことが適切な措置であるかいろいろ検討いたしておりますが、当面そういったパトロール関係の強化をさらにやって、これが潮流で押し流されてぶつかる、あるいは転覆するというような危険に対応するような措置はとっていこう、その水路の調査の結果によりまして、また再度恒久的な施策を検討したい、かように考えております。
  75. 和田春生

    和田(春)委員 ぜひそういう点でやっていただきたいと思うのですが、一言運輸大臣に最後にお願いいたしたいと思いますけれども、片面だけ見ておって、いま言ったように陸上に便利になる反面、海で非常に危険な要素をふやしている。新たな災害を引き起こすというようなことがないように、運輸省としては十分全般を見た、大局的な見地に立った安全対策をお進めになるように特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  76. 福井勇

  77. 井野正揮

    井野委員 大臣、三十分でやっぱり行かなければいかぬのですか。——そうすると七分食い込んでおるわけですから、理事会の申し合わせとはかなり違うわけなんです。したがって、かなり食い込んでおりますので、私もよけいなことを言いませんから、ずばり大臣もお答えをいただきたいと思うのです。  私は、大臣が任期延長されたということを非常に歓迎しておるわけです。しかしながら、実はもう予算編成期になりながら、国鉄再建計画については、その後九月、十月の委員会の御答弁をいただいた記録を読んでも、大臣と磯崎総裁の意見は必ずしも一致しておりません。これは客観的に見て一致しておりません。そこで、きょうはきわめてわかりやすく簡単に詰めてみたいと思うのです。  まず第一番にお尋ねしたいのは、大臣は国鉄の使命を問い直すときが来ているのだ、こうおつしゃっておられるわけです。きわめて広い、深い意味を持っておると思うのです。第一にお尋ねをしたいのは、国鉄は今日までの歴史の中で、資源開発、地域開発等に新線を建設する場合は、当然当分の間、かなり長い年数は採算がとれないわけですね。不採算であっても新線計画をやって進めておられる。いまなお、今日国鉄の問題が論議されておるときでも、新しい線の建設は審議会を通り着手、着工されている。しかし、これが国鉄に移管されれば、たちまち赤字線だということは間違いない。この方針はあやまちでないし、国鉄法第一条の「目的」に照らして私は正しい重要な使命の一つだ、こう思うのですが、その点大臣はどうお考えになりますか。簡単でいいですから、そうだとか違うとかお答えいただきたいと思います。
  78. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 どうも簡単に、法三章的にはとてもお答えできませんから、やっぱりこれは多少、二、三分時間をちょうだいして、基本的な考え方を述べます。  国鉄の使命というものは、将来ともに非常に重要な使命を持っておる。決して斜陽産業ではない。少し先になりますけれども、十年も先になると成長産業に変わっていく性質のものである。ただ、問題は中身ですが、国鉄のやるべき国土総合開発の骨格というものと、地方自治体といいましょうか、地方的な開発、こういうものとの役割りが今後変わってくるのではないか。その意味において、従来国鉄というものは黒字、赤字という点から考えておったが、その点は別に置いて、いわゆる国鉄が今後国の骨幹的な開発をやる線は何と何の線で、それ以外は、もちろん国鉄がやろうと地方鉄道がやろうとそれは別でありますが、その他の仕事の内容というものは、地方的な開発が主たる目的である。こういう点で、国鉄が当然国としてやるべきものは何千キロになるのか、あるいは地方的な計画を持ったものは何千キロになるのか、こういう一つの考え方を立ててみてはどうだろうか、こう考えております。
  79. 井野正揮

    井野委員 これはいままでの答弁より一歩前進して、一つの珍しいことばが出てきたのです。地方鉄道ということばなんでありますけれども、わが国には地方鉄道は存在しておらぬのです。したがって、国鉄法の骨幹に触れて、大臣地方鉄道というものを設けるというお考えがあるようにも聞こえるのですが、そうなんですか。
  80. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いわゆる地方鉄道的開発の意味であります。
  81. 井野正揮

    井野委員 たとえ地方鉄道的と言っても、国全体の政治の中で——いままでの例から見て、私が聞いているのは、国の政治の骨幹として何らかの形で国が、地方的あるいは国全体のといいますか、そういうことでやろうとしても、それはやはり国の政治の中心の運輸の課題になるわけです。そういう意味で新線というものは、資源の開発なり地域開発のために、これは最初はもうからないことは明らかなんですから、そういう点では度外視をしてやったという例があり、今後もそういう方向は続けなければならないだろうという議論といまの議論とは、ちょっとかみ合わないだろうと思います。これはひとつ預けておきます。  その次に、この間北海道の胆振線の脇方の支線が閉鎖されました。これは地元も賛成して協力しました。こういうようにある一つの目的を持った、資源開発のために敷設された鉄道が、その資源開発の目的が終わったときに厳収をすることは当然であり、やむを得ないことで、これは国民の合意を得られるところだと思う。しかしながら、そこで考えなければならないのは、こういう鉄道を撤収したときに、レール規模のものは不採算だから得でない、しかしながら、そこに住みついた人たちが完全撤収を終わらないうちに交通手段というものを奪ってしまうことは、これは重要なことになるのですから、こういう場合、国鉄自動車等によって運行されるということが残されるし、それは当然国の義務だと思うのです。国鉄法第一条の国民福祉を増進するという使命からいけば、もう鉄道は要らなくなったんだから捨てていいんだという考え方、これは正しくないと思います。この点、大臣いかがですか。
  82. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 当然、線が廃止される場合は、その前提として、道路が完全に整備せられて、それにかわるべき代行機関があるという前提でなければならぬと思います。
  83. 井野正揮

    井野委員 総裁のお考えの中でたいへんなことを述べておられる。国鉄のシェアが二〇ないし三〇%に低下したときに、鉄道事業の任務はここで終わったと言われておる、短く、簡単に、直蔵に言えば。しかしながら、これは舌足らずだと私は理解する。鉄道ということばですから、国鉄の行なう事業という意味ではないと理解をする。したがって、レールをもってばく大な施設をしておいてこれを維持管理するよりも、はるかに運ぶ貨物も少ないし、人員も少ない、こういう場合に、なお軌道を存置しなければならぬという考えは間違いだけれども、しかしながら、国鉄法の任務に照らして、今後輸送を放棄していいことにはならない、こういうふうに理解しますが、総裁、そうなんですか。そうでないんですか。
  84. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私は、その鉄道というものは、物理的性格からそう申したのであります。
  85. 井野正揮

    井野委員 しかし、それは非常に誤解を生ずると思うのです。物理的な関係で答えられるべきものではないと思う。国鉄の任務というものは、もう私が説かなくてもわかりますように、国鉄法に明確に事業の範囲が示されているわけです。国鉄が行なうべき事業は、あくまでも鉄道レールというだけじゃないのです。したがって、国鉄の任務というのはそこで終わっているわけではない。依然として国民の福祉のために、国民の足を確保するという任務が残っておる。その点について、そこまで含めておっしゃられたのか、そうじゃなくて、いつまでもレールを必要としないというふうに言われたのか、この点ひとつお答え願いたい。
  86. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先生がいまごらんになっているのは、地方新聞ですか。
  87. 井野正揮

    井野委員 いや、あなたの答弁ですよ。あまりそらとぼけたことを言わないでください。
  88. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いま脇方のお話がございましたので……。
  89. 井野正揮

    井野委員 脇方の例は例証として、国民もこういう場合には協力するが、脇方とは関係なしに普遍的に……。
  90. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄といたしましては、鉄道としての使命も終わっており、現にやめたところで、国鉄バスで代替しておるのは相当ございます。国鉄としての輸送の任務をやらなければならないかどうかということは、おのずから別の観点の問題だと思います。
  91. 井野正揮

    井野委員 問題はそこなんですよ。国鉄といえばすぐ一般には軌道、鉄道を考えるわけです。しかし、バスといえば国鉄バスがあるわけなんですから、国鉄の任務が終わったということにはならないと思う。今日、地方バスの中で赤字、不採算のために、バス運行事業をやめようとしておるものもあるのです。やめては困るということで、実は地方公共団体がスクールバス等をもってかえておるもの、あるいは運行上の違法を起こしておるもの、こういうものがある。そこで、国鉄としてレールをひっぱがした上に、その地域における旅客、貨物等の運送をやめてバスもやらないという姿勢に、いまのお話なら受け取れるわけなんです。それは私は間違いだと思うのですが、大臣どうですか。国鉄はそういう場合、国鉄がやってさえ赤字を国が負担しなければならぬというものを、どうして地方、民間にやらして採算がとれるという理屈になるのですか。
  92. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは過疎対策問題にもからんできますので、過疎対策振興法という法律では、そういう場合に国がある程度助成を行なおうと、ことしから始めたものですからたいした金額じゃありませんが、将来だんだん大きくクローズアップされる問題だろうと思います。  ただ、国鉄も公企業でありますが、企業であるということが前提になります。これは外国のように、一切の建設の費用を国が負担するというたてまえと、日本の国鉄の場合は違っております。そういうことからして、御承知のように鉄建公団というものが数年前にできまして、あれは新線計画を進めていくというだけではなく、あの使命は、安い建設費をもって国鉄にこれを貸与する、あるいは使わせる、こういう一つの目的があったわけです。残念ながら過去の実績を見ますと、必ずしも鉄建公団は安い鉄道をつくるような措置が十分ではなかった。こういうことから、行政監理委員会でもこの問題問題になっておるようであります。でありますからして、まず前提として国鉄も企業である。国民の一人一人も運ばなければならぬかもしれぬけれども、それにはそれ相応の企業としての成り立ちができるような措置を国は考えてやらなければならぬ。  こういうことからして、まだ私の私的意見で政府内の意見は統一されておりませんが、当然必要なる線を運営するために起きる赤字については、国及び地方団体もこれに協力してもらいたい、こういうことを積極的に申し上げ、各大臣とも目下交渉中であります。この原則が貫かれなければ、国鉄が何でもかんでもやれ、こういうのは、国鉄はいわゆる公企業であっても企業なんですから、企業の性格を無視する議論になる、こういうように考えております。
  93. 井野正揮

    井野委員 この前手違いで、私がこまかく詰めたときに、大臣も総裁もいらっしゃらなかったので非常に残念に思いますけれども、企業の原則を貫かれるのだったら、何で国が負わなければならぬ社会政策まで国鉄が負っておるのですか。法律で定めて通勤通学で五割の運賃割引を採用させ、その上に物価その他にかんがみて、社会情勢から、公共負担を入れて二千億をこえる費用を負担しておるじゃないか。しかも首都周辺の国鉄あたりに至っては、その過剰人員は定員の二倍、三倍という数を運びながら七十数%の割引をしておるために、運べば運ぶだけ赤字になる線がテレビに出ておるじゃありませんか。大臣、私は何でもかんでもやれということを言っておるわけじゃない。こういうように、一番もうかっておる新日鉄の貨物や通勤者まで七二%も運賃をまけてやって、そうして国鉄は赤字だ、人が多いと責めておる。片方では過疎になった地域においては国民の足を奪って、企業の性格からこれを別なところで考えるべきだという議論は、一貫してないのです。私は、橋本大臣のときならこれがやれるということに期待して、任期が延長されたことを歓迎しておると言ったのはここなんです。実際そうなんです。私は、こういう意味から言えば、いま何も国鉄は辞を低くして言わなければならぬものじゃなくて、言うべきものは言い、負うべきものは負い、改めるべきものは改めなければいかぬ、こういうことでございますが、あまり時間がございませんから、この点、きょう私が言ったことをもう一回速記録でよく調べていただいて、大臣、確たる姿勢で事に臨んでもらいたいということを言いたい。  そこで、その次に私がお尋ねしたいのは、総裁もいろいろ心配しておられて、営利事業ではないにしても、国鉄の採算に関連して、利益を得るような仕事をやりたいとおっしゃっておられたと思うが、大体私は五つほどあると思う。一つ旅客複合ターミナルの建設、運営に関する事業、それから貨物複合ターミナルの建設、運営事業、それから委託業務としては、この間問題にしました高架下管理事業の問題と駅関係の業務の委託の問題も、これは当然国鉄が出資をしてやるべきだ、こう思っております。それからパイプラインの話はさっきも出ておりましたが、これも重要な仕事だろうし、あるいはまた港湾施設の運営、管理及び海上運送事業、こういうようなものでありますが、少しでももうかりそうになるとすぐ横やりが入って、たいへん苦労されている例も私は承知しております。こういうときに、大もの大臣でなければだめなんだ。そして、かりに総裁と大臣が意思がつながっていないようなことではだめで、なかなか強力な圧力があることを承知しております。  いままで、私も旅行中に自民党の同僚の皆さんともお話をしましたら、国鉄法を改正しないとやれないというようなお話がありましたので、私も日が新しいので国鉄法をよく読んでみました。そんなことございません。施行令さえ改めて、大臣がその気になればできるようになっておる。法律改正なんて、国会ですったもんだしてなかなか通りゃせぬです。私は、ほんとうに国会に対しても大臣が責任を負われるのだったら、施行令を改正してこれらの事業に着手することができると思います。本気になってやるかやらぬかの問題だと思います。  そこで私ひとつ、まことにサル芝居のようなことで、まことしやかにここで皆さん方が答弁された事例をお話をして御反省を願いたいと思いますが、国鉄の財産の運用について、いろいろ決算委員会や本委員会あるいは本会議等で問題になりまして、三十九年の四月ですか、行政管理庁長官から当時の運輸大臣に対して勧告書を出された。その中の第三項に、実は「高架下管理方式の改善について」という勧告書が出ている。これによりますと、いろいろ問題があるから、すっきりした間接管理の方式をとってやりなさい、こうなっている。そして運輸大臣のほうから、御趣旨に沿ってやりますと答えられている。  そこで、この高架下敷地の利用について私は過般の委員会でお尋ねをしました。間接管理といって実は間接管理じゃない。賃貸しして貸し切りなんです。出資をしていない。出資をしてやるとなりますと、これは当然国会の調査権が及んでいきます。賃貸しにしておくと、資料はもらえても大事な資料はもらえないわけです。私ここで非常にあきれ返ったのは、こういう文書を最近見ましたら、役員構成の中に、行管にいてこういう事務を扱った人がそこの重役になっていっている。行管の立場をもって運輸省をおどかしつけて会社をつくらして、間接管理なんてうまいことをいって賃貸しにしてしまって、古手役人がそこに入りこんで、国鉄に入ったのは一年間に二千九百万で、四年の間に八億の資産蓄積をやっている。こういう国会を愚弄し国民を愚弄するようなことでは、私は国鉄の赤字問題の本質的な解決はできないと思います。これは時間がありませんから読み上げませんけれども、こういうこと等を考えてみますときに、私はこの前の委員会でも言いましたが、あの再建計画を読むと、赤字路線を廃止して不採算のところにおける職員の首を切って、それによって人件費を節約することによって国鉄再建はできるんだという印象を与える計画になっております。これはまさに国鉄の使命を忘れた計画案なんであって、大臣が言われるように、本質的に出発点を誤っている。  そこで、いま私がお尋ねした点は、実はこういうような問題について根本的な立場から、運輸大臣としてというよりもむしろ閣僚の一員として、佐藤内閣が解決をしなければならない重要課題として新聞社も取り上げておるようであります。そうだと思います。そういう立場から、行きがかりにとらわれないで、国鉄の今日まで果たしてきた歴史的使命とこれからの任務について問い直すという姿勢でやらなければいかぬ、こう思うのですが、大臣、予算折衝までにはきちっとした縦横の関係ができないかもしれませんけれども、基本構想においては、大臣がいままで言われてきたのはそういうことではないのかと思いますが、ひとつお答えを願いたいと思います。
  94. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御激励を受けてまことに感謝にたえません。その方針で今後とも強く折衝してまいります。  ただ、四十六年度にその軌道が敷けるかどうか。私もなかなか一歩も譲らぬほうでありますから非常にむずかしいと思いますが、しかし、何とかしてほんとうの意味での根本的な再建、そして国鉄が信頼される日本旅客輸送の大宗であるこの大原則だけは貫きたい。そのためには、へたな妥協はしないという方針で強く折衝してまいりますので、皆さん方においても御協力願いたい、かように存じます。
  95. 井野正揮

    井野委員 たいへん意を得まして、期待をいたしますのでがんばっていただきたいと思います。  次に、これは国鉄の関係ではありませんが、先ほどわが党の斉藤委員からもお尋ねになりました自賠責問題について、きょうは関係者はおいで願わなくてもよろしいので願っておりませんが、大臣に、私の処女質問のときにこの質問をしたわけでありますが、大臣は、所管は異なるといえども、閣僚として厚生大臣の協力も十分得られるという御答弁をいただいて、そうあるべきものだろう、こう考えておったわけです。ところが、末端の事務関係をおたずねしてみますと、十月の委員会では、厚生省医務局の総務課長は、明細書だけじゃなしに、制度的に審査の機関をつくることについてはどうかという私の質問に対しては、当然それは運輸省が考えることで、私どもは協力いたします、こういうことだった。ところが、その後いろいろ調査をしてみますと、厚生省の協力は得られておりません。医師会と直接の交渉のようになっております。  ところが、十一月七日の朝日新聞がこの医療問題に触れまして、「予算編成にみる」というので、「医師会恐れる議員 乱診乱療改善できず」こういう記事があります。特に私が非常に遺憾に思いますことは、武見会長が言ったのか言わないのか知りませんけれども、天下の朝日新聞が堂々と書くのです。国会で幾らやかましいことを言っても、学問のない者が学問的な追及はできるわけがない、こう書いてあるのであります。私は医療制度問題や良心の問題は、一般的な国民の知識では理解のできないようなむずかしい問題では決してないと思います。そういう傲慢なことを言うから、まじめにやった手術室の和田先生のような研究が憶測をされる結果になるのであります。  それはそのこととして、われわれは今日この国会で非常に問題になっておりますこの問題について見のがすわけにはまいりません。したがって、私がひとつ大臣にお尋ねしたいことは、ほんとうに内田厚生大臣と橋本運輸大臣との間で十分話し合いをして、協力が得られるのか得られないのか。私どもはこの医療制度問題に触れてまで運輸委員会で論議をしようとは思いませんけれども、少なくとも自賠責診療適正化について、制度的にこれを審査するような機構が厚生省の協力を得て法文化されるかどうか、あるいは政令をもってすることができるかどうか。もしこれを日本医師会が拒否するならば、明らかにこれは医師法医療法の違反であります。そのときにはあらためて別の場所においてわれわれは追及しなければならぬと思いますが、この点大臣の、厚生大臣との協力関係について佐藤内閣の姿勢をお尋ねしたい、こういうことなんです。
  96. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 厚生大臣も、この問題については非常に熱心であり真剣でありますので、もちろん協力は得られる、かように考えてまた私も交渉いたしております。  ただ、問題はモラル問題もありますし、同時にまた一方制度問題もあると思います。たとえば指定病院も、先ほど質問のようにまだ数が少ない、あるいはこういうような緊急病院というものを、国がもう少し思い切った助成策によって、不正を働く一部の医者が動けない状態をつくることも一つの方法でありましょう。ただ、法律だけでこれを罰するあるいは処置するというだけでは十分の効果をあげ得ないので、いろいろな点からこれらを検討して、少なくとも世間の非難になるようなことのないような措置を積極的に厚生大臣とも話し合って進めてまいりたい、かように考えております。
  97. 井野正揮

    井野委員 初めの答弁ならそれでも了解しますけれども先ほどの総務課長答弁をどう受け取られましたか。一本の注射が四万ないし五万円で、それは自由診療の営利の範囲のことであるから、にわかにこれをどうこうということはできないという答弁をしましたけれども、前任者の総務課長は、少なくも健康保険診療より二〇ないし五〇%ぐらいでなければ営利とは言えないのではないかという答弁をしているのであります。医療問題になりますと、注射、薬については国の法律で定めた薬価表があるのです。薬価表の中に、どんなに目を通してみても、一回の薬の投与、一回の注射で一万円というものはおそらくありません。おそらく千円をこえるものはないと思います。したがって、その十倍、百倍というような料金を取ることが、常識的にあり得るかあり得ないか。私は運輸大臣だからといって、厚生省の官吏、公務員のああいう答弁を黙過されるとするならば、佐藤内閣はまさに官僚に振り回されて、官僚の思うとおりになっている政治だと言われてもしかたがないと思うのです。ああいう答弁大臣、どうお考えになりますか。これで佐藤内閣の行政に携わる公務員は、まじめに国会の審議に答えているとお考えになりますか。
  98. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 総務課長も、実態を十分に把握しておらなかったためにああいう答弁になったのではなかろうかと思います。私も、質問者の意思及び総務課長答弁等を勘案して考えておりまして、いわゆる質問者のような意味でのことであれば、もちろんこれは不穏当であるという意味であろうと思うのです。自分としては、総務課長としてはどういう形でそれが注射されたのか、それらにいろいろの点が加わっておるのか加わっておらないのか、その点が自分自身として把握できないので、お役人というものは案外正直でありますから、したがって、明確な答弁ができなかったということで、必ずしも誠意がなかったとも考えられません。  しかし、今後これらの問題については、これは国民一人一人の利害得失に関係する問題ですから、われわれが積極的に指導してまいりたい、かように考えております。
  99. 井野正揮

    井野委員 与えられました時間が参りましたので、三十六分までいいと書いてありますけれども大臣も三十分で行かなければならぬというのを承知しておりますので、私はこれで質問を打ち切ります。しかしながら、先ほど厚生省医務局総務課長は、大臣が言われるような職務ではありません。日本医療制度を総括する局の総務課長でありますから、この問題の追及は今後に残すといたしまして、私はきょうはこれで質問を打ち切ります。  しかし、いずれにしても国鉄再建の問題はまさに宙に浮いて、どうなるのかわからなくて、地方政治にも、国民の間にも、あるいは事業を行なう人々にも非常な不安を与えております。与党の皆さん方もこの間、九州の枕崎線の廃止には、ぜひこれはやめてくれという陳情の先頭に立っておられます。したがって、官僚独善の政治だというそしりを受けないように、政党政治でございますから、大臣に重ねて格段の決意を促して、私の質問を終わります。
  100. 福井勇

    福井委員長 次に田中昭二君。
  101. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 まず、海上保安庁のほうにお尋ねしたいと思います。  先月三十日、東京湾の入口に当たる浦賀水道でタンカーの衝突事故がございましたが、内航タンカーが沈没して七人の死亡者を見たわけであります。幸いにも火災の発生という大事故には至らなかったわけでございますが、この水域は、前々から狭水路としてたいへん危険性が高いといわれたところであります。浦賀水道船舶航路の現況はどのようになっておるのでしょうか、お尋ねいたします。
  102. 手塚良成

    ○手塚説明員 浦賀水道の通航船舶は年々非常にふえておりますが、現状におきましては、一日約七百九十隻という通航量がございます。船舶が非常にふくそうしておりまして、私ども常日ごろ航行の安全についていろいろ対策をとっておりますが、不幸にいたしまして先般の事故が起こりました。  さらにそれを強化しなければならないということで、先ほど和田先生にお答えいたしましたように、対策を進めようと考えておるところでございます。
  103. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そのような狭い水路に毎日七百隻以上、八百隻近い船が出入りするということについては、たいへん危険性がありますし、それに応じた事故予防のためにも保安庁の指導がなされておる、このようなことも聞いておりますが、この水道に、いわゆる航行船舶を安全にするために灯浮標、ブイでございますか、そういうものを設置して、いわゆるセンターラインに沿って右側通航をする、当局から聞きますと推薦航路というものによって指導しておる、このように聞いております。この推薦航路に沿って船が航行する場合に、偶然かもしれませんが、その推薦航路で事故が発生しておる。特にこの推薦航路をはさんで、第二、第三海堡及び第一海星の周辺に事故が多発しております。  このようなことを見ておりますと、保安庁のいまおっしゃっております指導が適切であるのかどうかということを、私は疑わざるを得ないわけであります。こういういわゆる推薦航路に従って、安全に航法を守って航行しなさいという保安庁の指導される線に従って右側通航している船が事故を起こしておる。また、その一番狭いところの第二、第三海堡をはさんだ水路は二千メートルくらいあると聞いておりますが、その周辺にまた事故が多発しておる。これについては今後どのようなお考えがあるのか、お聞きしたいと思います。
  104. 手塚良成

    ○手塚説明員 浦賀水道におきます海難事故は、先生もいまお話しのように、従来の実績によりますと、第二海星周辺、それから第三海堡周辺、それから久里浜の沖に海獺、笠島という島がございますが、海獺、笠島の周辺、そのほかに航路の中央といいますか、あちらこちらに点在的に事故がございます。いま申し上げました海堡あるいは島の周辺におきまして起こっております事故の内容は、主として乗り上げ事故でございます。それ以外のところにおきまして衝突事故が起こっておる。四十四年の統計で申し上げますと、十七件この近辺に起こっておりまして、そのうち衝突が三件、乗り上げが十件、こういうようなデータでございます。  推薦航路は、この第三海堡、第二海堡の間を通過いたしますのが非常に幅の狭いところを通るということで、このS字状の航路について安全を確保する。それから多数の船が航行いたしますので、それらの船にそれぞれ一定の秩序を持たせるというような意味で、灯標を置いてやっておるわけです。そういう灯標につきまして、さらにいまの事故の現状にもかんがみまして、先般緊急対策というかっこうできめました問題は、第三海星の視認が非常に困難で、この周辺に起こります乗り上げ事故というものが、第二海堡と間違えて乗り上げるというようなものが相当あるようであります。その視認がやはり困難であろうと思われますので、そういう意味では、第三海堡の灯台について、その灯質を変更してもっと明るいものにしようというふうな考え方。それからいまの推薦航路の灯標自体につきまして、入口といいますか、湾口の入口にあたるほうの第一灯標、それから千葉あるいは東京港のほうから来まして初めてぶつかる第五の灯標、これらがやはり非常に灯質が少ないということで、これをもっと明るいものにしよう、こういうようなことが一つの方法。さらに夜間の安全の問題がございます。現在巡視艇を派遣してパトロールしておりますのが昼間だけやっておりますので、やはり夜間についてそれに準ずる強化策が必要ではなかろうかということで、第二海堡の周辺にやはり巡視艇を一ぱい張りつけてみよう。これは夜間でございますのでいろいろ問題がありますが、そういった面でひとつ試験的にでもこれを実施して強化をしてみる。こういうようなことを私どもでできる問題としてやる。そのほかに、事故の対象が小型船舶が非常に多いものですから、小型船舶に対して推薦航路通航に対する指導を強化する、こういったような内容を現在の海難事故に徴しまして強化して実施したいと考えております。
  105. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの説明によりますと、起こった事故件数が、衝突事故なんか少ないというふうな意味でのお話があったようですけれども、とにかく事故は、衝突事故にしろ乗り上げ事故にしろ、半々ぐらいに起こっておるわけです。そのような推薦航路をはさんで両わきで事故が起こる。推薦航路に従って事故を起こす。ほかの海域ではそう起こってないのです。そういうところを指摘しておきたいと思います。  長くなりますから、時間がありませんから先に進みますが、問題は、かりにその推薦航路に沿って航行しておるのが最善なのかという点を考えてもらわなければいけないのじゃないか、私はこういうふうに申し上げたいわけであります。その推薦航路を何とか、狭いところに多量の船が入ってくるということをもう少し分割するなり航路を変える、また航路を通る場合に、先ほど和田議員の話がありました十二ノットで走るというようなこと、それからまたタンカーなんかの大きなやつが入った場合、大きなやっと小さな船の問題を考えますと、いろんな問題があると思いますが、私も専門家でございませんが、とにかくその船の間隔をとるように時間の制限、そういうものはできないのか、こういうことを考えておるのですが、いかがでしょう。
  106. 手塚良成

    ○手塚説明員 推薦航路は、これを各船が必ず厳守していただけば、赤常に安全な航路だと私どもは考えております。それから、ここを通ります場合についての速力の制限、これは行政指導でやることになりますが、十二ノットという制限を十万トン以上の大きな船については必らず守らせるというふうにしたい。さらに、必要な場合には警戒のためのタグボートをつけさせる。それから、こういった推薦航路の一定範囲については追い越しの制限をする。かってに追い越しをすると非常にあぶのうございますので、追い越しの制限をする。   〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 そういったことと、それに各船は自分自体の見張りを強化して、注意を払ってもらう必要がございますので、そういった見張りの強化についてひとつ強力に指導いたしたい、かように思います。
  107. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 長官は、推薦航路を大体船舶が守れば事故はないと言っておられますが、いままでも推薦航路を守って走ってきたのに事故が起こっている。船はそういう指導をして絶対事故が起こらないと言えますか。それは、いままでの事故の発生から見て私は言えないのじゃないか、こういうことを申し上げておきたいと思います。その問題は、もうそれでけっこうです。  次に移りますが、いわゆる大型タンカーがあの危険な水域を通って東京湾に入ってくる、こういうことについてどのようにお考えになっておりますか。
  108. 手塚良成

    ○手塚説明員 大型タンカーが衝突事故を起こしますと、それによる被害が非常に大きい。タンカーそのもの、衝突された船、した船相互の被害以外に、場合によってはその流出によって沿岸まで被害を受けるというような事態でございますので、こういった船についての交通安全の確保ということについては、あらゆる対策を実施してその万全を期さなければならぬ、かように考えます。
  109. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 しかし、もしも入って起こったということを想定された場合、たいへんなことになるということは先ほどからもいろいろ聞いておりますが、私は基本的には、ああいう東京湾なんかには大型タンカーなんか入れない、こういう線ではっきりいってもらいたい、こういうことを申し上げておきたいと思います。  そこで、現在東京湾に京葉シーバースがあるわけでございますが、現在の東京湾の状態で、一体東京湾内にシーバースをつくる可能性はあると考えておるのか。もう現在ではそれをつくることはできないと、はっきり行政官庁としてもそういう指導をなすべきである、私はこのように考えるわけです。聞くところによりますと、先ほども話がありましたが、第二京葉シーバースの建設計画があることを間接的に聞いておるというような話でございますけれども運輸省課長さんもその問題についてははっきりと、いろいろ話し合いを進めておることが新聞にも報じられております。そういう当たらずさわらずみたいな、どうでもいいような考え方では、私は今後の東京湾の安全ということの確保についてはたいへん心配になるわけでありますが、そういう点、まず東京湾内にシーバースをつくることの可能性がどうなのか、こういうことについて明確なるお考えを聞きたいと思います。
  110. 手塚良成

    ○手塚説明員 現在、東京湾の中には四カ所のシーバースがございますが、いまの第一京葉シーバースが、それを使用しております石油会社にとって近々容量が不足するということで、第二シーバースという問題がいま議論をされておるやに間接的に聞いております。これができますと、今後のタンカーとしては大体二十万トンというのが、やはり今後建造する船としては、コストその他の面から常識的なようでございまして、東京湾の現状から見まして、そういった大型の船がさらに増加をしていくということにつきましては、私ども海上保安庁の交通安全確保という立場からいたしますときには、必ずしも望ましくはない。先ほど大臣から御回答がございましたように、将来においてはそういった大型の船は入れない。そのために、湾口にCTSあるいはシーバースの別途な専用のものをつくって、それ以上湾内に入れないという長期の構想を考えて実現に邁進するということでございます。そういう方向をぜひ関係部局においてやってもらいたいというふうに私どもも考えております。  そういった問題が目の前にございますので、第二シーバスの問題というのがさらに一そう具体化してまいりました段階においては、私どもとしてはあくまでも安全確保という見地で、十分なる検討、審議をしたいというふうに考えております。
  111. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 港湾局はいかがですか。
  112. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 安全確保という点では、いま海上保安庁の長官がおっしゃいましたが、私どもも同意見でございます。   〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 東京湾内にタンカーを入れないという基本的な方向で、運輸省といたしましてはいろいろと研究もやっておりますし、進めておりますけれども、いま直ちに具体的に、構想は持ってございますけれども、どのサイトがどうだという点はまだ検討しなければいかぬ点が多々ございます。ただ、方向といたしましては、やはり東京湾内には入ってきてもらいたくないという方向検討いたしております。
  113. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 東京湾の安全ということを考えますと、先ほどの政府の総合安全計画ですか、そういうものによっても、その一部としていわゆる石油関係のCTSですか、これが早くできることが一番いいことである、このようになるわけでございますから、そのことにつきましては強力なる立法措置でも講じて、早急なる促進をしていただきたい。ぜひお願いするわけであります。  次に、国鉄関係の質問に移りたいと思います。国鉄の再建にあたって大事な問題は多々あるわけでございますが、きょうは私は小さな問題になるかと思いますが、国鉄の内部のいわゆる労使関係についてお尋ねしたいと思うのです。  国鉄が赤字をかかえて、いわゆる公共企業体としてたいへん企業努力もなされておる。また企業努力がなされなければならないということも、私はだれ人も異存はないと思うのです。そうなるならば、国鉄の全職員が一体となって再建意欲に燃えて、収入の増収、経費の節減の実をあげているかといえば、はなはだそれは疑問であるといわざるを得ない。この実態について、総裁はどのような認識と現状把握並びに生産意欲の向上施策を実行しておられるか、お聞きしたいと思います。
  114. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄再建のためには、何と申しましてもいまのお話のとおり、四十万職員の士気、意欲がもとであることは明らかであります。私も就任以来、昨年はずっと現場を回りまして、いろいろそういう問題につきまして、現場の責任者と話をしてまいりました。私は部内の諸君には、まず諸君は国鉄を愛することだ、次に国鉄を利用してくれる国民の各位に常に誠意を持つことだ、愛情と誠意、これがやはり国鉄職員としての基礎である、それの持てない人は私はたもとを分かつ以外にはないということを、実ははっきり申しております。国民に迷惑をかけることによって自分たちの意思を通す、そういう全然次元の違うことを考えておる人とは、残念ながら席をともにするわけにはいかないということを、私ははっきり部内に申しております。そういうたてまえで、私どもといたしましては、四十万職員が労働組合員ではありますが、その前にまず国鉄職員であるということをはっきり、深く自分に自覚させるということが一番肝心だと思っております。  実は、最近幸いなことではございますが、各地にほんとうに、天下りでなしに盛り上がった空気でもって、何か国鉄再建をしようじゃないかというグループが方々にできてまいりまして、非常にまじめに仕事をしている連中ができております。また組合の違法なストライキに対しましては、相当批判をいたしております。そういう意味で、私は何も組合をどうこうということではございませんが、やはり国鉄職員としての姿、あるべき形というものをきちっと各人が認識するということが、何と申しましてもいま先生がおっしゃったことの一番大事なお答えになるというふうに思います。
  115. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大体、基本的なもののまた基本的なものはわかったようでございますが、私は実際現場を、現地を回りまして、いろいろな聞くこと、また苦情を受けることがございますものですから、実際具体的な問題として、その愛情と誠意の総裁のお気持ちに沿って、こん然一体となっておるかということにまだ少し疑問が残るわけです。私が聞くところによりますと、その愛情、誠意というものが逆に作用しておるということを聞くわけです。  、ままで耳にした中で、たとえば身近な問題で、博多でございますが、香椎機関区というのがございます。そこでは機関車の乗務員の合理化によって、いわゆる一人乗務になって助士がおろされた。その人がどうしているか。配置転換の将来の計画も何もなくて、ほんとうに希望もなくて、いわゆる公務員がいつもおちいる働かず何もしないというような、そういう風潮がある。また実際何もしてない。十月一日からですからもう二カ月になろうとしておる。さらに、いわゆる内部の職員の登用制度という中に昇職試験というのがある。その昇職試験では、労働組合の弱体化にそれが応用されておる。そういうことでたいへん不安で仕事をする気にもならない。さらに、その昇職試験については金銭の贈収賄が行なわれるという不正がある。そういう不正があれば、さらにその不正に対して仕事をやる気をなくしていく。そして現場の働く人たちは各労組員に分かれまして、職場でたいへん対立的に、もう食事も一緒にしない。お互いが妨害し合う。そういうような対立、その上不平不満が日常茶飯事のように職場で語られておる。こういう現実を見ますと、ここで総裁のおっしゃるような、国鉄の再建で職員が一生懸命になっておるというようなことは、どうも逆な方向にばかりいっておるということを私は心配するわけです。  いま、いろいろな不正とか仕事をしないとかいうようなことをお話ししましたが、その反面、職員がたいへんな増収に努力をして、そして着々成果をあげておる。現場の駅長さんも一生懸命になっておるが、全国的にそういう増収体制というものが取り上げられない。そういたしますとまた人間は、働いても何もならぬじゃないか、簡単に言えばそういう結論になるわけですが、大体そういうことを本社の幹部の方は御存じですか。また御存じならば、それに対する手を打たなければならない、こう思うのですが、いかがでしょう。
  116. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 ただいま先生のお話のまず第一の部分であります。確かに合理化を進めてまいりますと、ある程度人が浮いてまいります。その浮いた人間をどう使うかということにつきましては、すぐ配置転換ができるものもあれば、ある程度教育訓練する必要のあるものもある、またすぐ必要としない部面があるというようなことでもって、いまその浮いてきた職員をできるだけ再教育する、学園に入れまして再教育をする、あるいはプールにいたしまして外へ出てセールスをやるというふうな集団的にこれを使うというように、教育なりセールスに使うという方向で、各管理局長にいろいろ具体的な案をつくらして、すでに実施をしている部局もございます。徐々にこれから合理化が進みますと、そういうふうに一時的に配転のロスがあるのは、これはやむを得ないことだと私は思っておるわけであります。ただそのロスを、お説のように徒衣徒食するのは申しわけないことでございますので、再教育なり営業増収に益するというふうに、積極的に各管理局長にくふうするように言っております。  それから、次の二番目のほうの問題で、逆に非常によく働く職員につきましては、いままでは確かにお説のとおり、それを民間の会社のように、働いたから金をやるというような簡単な制度がすぐできませんが、私どもといたしましては、そういうほんとうに一生懸命やっている人でわりあい報いられない者がおりますので、それに対しまして、ことしの春ですか、鉄道功労章という制度をつくりましで、ほんとうに現場の下積みの人、いろいろな角度でもって努力した人たちというものに対しまして、管理局長から功労章を与える。これは全国でことし三千人くらいおります。そしてその中の人間の特にまた優秀な者につきましては、三百人を選びまして、去る十月十四日に私が特別功労章というものを授与いたしまして、そしてほんとうに下積みで仕事をしながら、しかもからだを挺して仕事をしている連中に報いる方法として考えているわけであります。長年つとめたからというふうな一般的な制度のほかに、ことしからそういう制度をつくりまして運用を始めたばかりでございます。今後この制度を活用いたしまして、いまおっしゃったようなほんとうに現場の末端で身を挺して働いている連中に何か報いてやりたい、それがみんなにいい刺激になるようにしたいというふうに考えて、実行に移している次第でございます。
  117. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 それは私、一つの小さな問題から取り上げてみたわけですけれども、私は全部を通じてみましても、いま総裁がおっしゃったようなことが現場で実際に行なわれているか。たとえば配置転換の人が遊んでおる。その人は何の計画も示されない。教育するんだったら、ほんとうは喜ばなければいけないでしょうね。だけれどもそうじゃない。それから、先ほどの労働組合の弱体化のためにこの昇職試験が応用されているというような問題、それからそれにつながる不正、またいまの増収をあげたという実績をどうも全国的にしないというような問題、全部通じて見ますと、そこにいわゆる現場の職員の不平不満、いわゆる仕事の意欲をなくしていくという、そういうものがうかがわれる。全体的にこれが問題ではないか、私はこういうことを指摘しておきたいと思います。  次に、これまた小さな問題でございますが、いわゆる赤字線、それから経営の近代化、合理化、これも重大な問題でございますし、その実施に努力しておるわけでございますが、私たちもそういうことを聞きまして、何とかこの再建問題を考えなければいけないということで、現場を回るたびに見当たるもの、また聞くべきものは聞くというようなことを行なっておるわけです。近代化、合理化の一端として、いわゆる無人駅また駅務の委託が行なわれておりますが、実際行なわれました駅は、ほんとうにもう見る影もなくさびしい、鉄道の斜陽化といいますか、それをあらわすような状態です。また地域住民の人たちも、そのために住民サービスがたいへんそこなわれ、環境も悪くなっておる。また国鉄のいわゆる公共性というようなことも、先ほど井野議員からいろいろ根本的な話もありましたけれども、そういうことから見ても深刻なる問題があるようでございます。  この問題につきまして、いわゆる駅の無人化、業務委託ということについて、基本的にどのようなお考えで、どのように進めてやるものか、お聞きしたいと思います。
  118. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 先ほど先生がおっしゃいました国鉄職員全般の士気の問題でございますが、それは私も全責任をもちまして士気の高揚あるいは綱紀の緊張については、いろいろなくふうをしながらやっていくつもりでおります。よろしくいろいろお教えいただきたいと思っております。  それから業務の近代化、ことに駅側の業務の近代化の問題につきましては、ずいぶん各地で問題が起きております。過般、十月から大体第一の段階が過ぎましたけれども、お説のとおり非常に駅舎が荒廃に帰しておるものもあります。それらのあと始末等につきましては、できるだけ現地の実情に即して管理局長にやらしておりますけれども、たとえば非常にいい例で、鳥取県では農協が駅舎を使ってくれているというふうな例もございます。そういうような問題でいろいろ知恵を出し合って、単にサービスの低下ということだけでなしに、設備を利用し、また地域住民にも極力迷惑のかからないような方法で進めてまいりたいと思っております。
  119. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 何か総裁は時間の都合があるそうですから、けっこうだと思います。  もう少し、私がいま申し上げました駅の無人化の計画、それがどのように進められておるか、そういうことを常務のほうにでもお聞きしたいと思います。お答えだけ願いたいと思います。それをお答えを願うと同時に、この業務を委託をしてある、下請に出しておるのは日本交通観光社ですか、これも大体国鉄退職職員によってつくられた会社であるそうでございますが、この日本交通観光社、これにどういうふうに下請させておるか、その駅の数とかそういうものをお教え願いたいと思います。特に九州関係を詳しく……。
  120. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 駅の近代化といいますか、これにつきましては、四十五年度から本格的に計画的に取り上げて実行してまいったわけであります。そして四十五年十月三十一日の状況で申し上げますと、すでにやめた駅が四、それから無人化といいますか、停留所化した駅が百六十七、それから委託した駅が二十九、それから貨物の取り扱いをあるところに集約したという駅が百十ということでございます。なお、四十五年度中にまだかなりの数を実行すべく協議中というのもございます。なお、四十六年度以降につきましては、再建計画の基本的な方向を目ざしながら各管理局で具体的に、どの駅をどういうふうに近代化していくかという計画を検討中でございます。  しかして、業務委託の一つの受けてもらう対象である日本交通観光社、これは、全国で鉄道の駅として委託を受けて実行している駅が三百九十九駅ございます。そして九州には百十八駅、こういうことでございます。それで、日本交通観光は鉄道の駅の委託業務のほかに、発足のそもそもが国鉄のバスの駅の委託業務、こういうものが出発の会社でありましたので、鉄道の駅の委託のほかにバスの駅の委託もしておる。それが大きな仕事の内容でありまして、付帯関連いたしましていろいろ、たとえば保険の仕事だとかあるいは旅行あっせんとか等々若干やっております。  委託の方法でございますけれども、委託料金につきましては、定額による基本的な料金、それからまた扱い高によるインセンティブな扱い料金、こういうふうな二本立てでもって、ある程度固定的な対価を払い、ある程度出来高といいますか、できるだけよくやってもらうための対価を払う、こういうシステムをとっております。
  121. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いわゆる下請させるというのは、駅務を全部やめるわけにいかないから、あくまでも無人化によって、いわゆる経費節減ですか、いままでこの駅で幾らの経費がかかっておった、こういう経費が節約できるような状況で委託するわけですね。そうしますと、当然委託する前にその駅で幾ら経費がかかっておった、それが委託することによってどのくらい経費節約ができる、こういうことが数字的にわかっておりますか。割合でもけっこうです。
  122. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 委託する場合には、御指摘のようにまず経済性の問題、それから委託された場合にサービスがあまり落ちないでやれる、こういう状態を確認の上委託するわけでございます。  経済性の問題でございますが、これは全体的に国鉄がじかにやった場合には幾らかかる、そして委託した場合には幾らかかる、このようなことについて、正確な数字は現在持ち合わせておらないのでございますが、大体の感じ一と申し上げましては恐縮でございますけれども、見当といたしまして、じかにやるよりも二、三割程度の経費が節約される、こういう見当を持っておる次第であります。
  123. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 私も現場に行って調べてみました。その実例から申し上げますと、ある駅ではその一年間に百五十万円で下請させておる。その下請されておる駅に退職職員で来ている方は、人件費が二人で年間八十万くらい、三万円と三万二千円くらいもらう。ですから八十万しか要らない。そうしますと、百五十万から八十万の差の七十万くらいがその観光会社が一応もうかっておるというようなことになるわけですが、そういうことになりますと、そういう業務委託をすること自体が国鉄の増収に必ずしも沿ってないのではないか。かえって逆行しているのじゃないか。なぜかといいますと、そういういわゆる下請制度によって国鉄にとってはむだな、不経済なやり方になっておるし、また下請された駅員さんがいろいろな増収意欲、増収の手段を持っておりまして、具体的にはいろいろなことをやっておりました。そういうことを考えると、私はこの業務委託というのは、国鉄収入の増収に対しては反対の方向にいっておる、こういうことを感じたのですが、その辺どうですか。
  124. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 具体的な場所において、増収にマイナスになっておるあるいは経費節約に必ずしも寄与しておらぬ、こういう具体的な点は、全然ないということは私、申し上げられないと思いますけれども、全体的な一つの施策といたしまして、増収に非常に寄与するということは申し上げにくいと思いますけれども、経費の節約にはかなり寄与しておる、このように思います。  なお、日本交通観光の場合におきましても増収に努力をしてもらう、こういうための一つの給与のシステムと申しますか、そういうインセンティブな方式もとっておりますので、国鉄のそういう基本的な料金と歩合というものもありますので、両方兼ね合わせましてできるだけ増収がはかられるように、そういう意欲が出るようなシステムをとらしておる、またとっておる。なお足りない面につきましては、今後もこういう方法でやらなければいけないと考えます。
  125. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 あなたがすなおに、かえって増収の反対の方向に行っておるところもあるかもわからぬというようなことをおっしゃったから、そういうことは、私たちから言われなくても進めていくのが国鉄の再建につながる、こう思うのですね。しかし、そのために、いわゆる国民の福祉を阻害するような、住民のサービスをないがしろにするような、先ほど私が言ったような、結局無人化された駅がほんとうに見る影もないようになって、そして住民のサービスが忘れ去られておるということを考えながら増収をはかってもらわなければならない、こう思うわけです。  私が申すまでもなく、無人化が行なわれた駅に行ってみますと、ホームは草ぼうぼう、駅舎もほとんどもうあき巣が入るような状態、またその広大な駅前広場等においても無放任状態ですね。そこには、やはり通勤者の車とかそういうものが百台近く置いてある、もちろん自転車がおもでございましたけれども。そういうことを考えますと、私たちがいつも言っております、いわゆる駅のいろいろな資産を有効に活用するという面が忘れ去られておるのではなかろうか。それと同時に、無人化のためにいろいろな犯罪等も惹起するような状態もあり得る。こういうことを忘れては、国鉄再建がいたずらに違った方向に行くのではなかろうか、こういうことを心配するわけであります。そういう点につきましては、十分ひとつ、再度下請、無人化した駅については総点検でもするなりして、適正な方向に持っていっていただきたい、こう思います。  そういう状態を十分考えながら今後は進めていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。
  126. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  127. 内藤良平

    ○内藤委員 私の質問は、タクシー業務の適正化臨時措置法、あれが十一月から施行されていますが、法律を審議して、成立させるまでの間にいろいろ議論しました。成立後現状までの移り変わりを、まずひとつ御報告を願いたいと思います。特に登録と業務の適正化、この二本にしぼって簡単にお答えください。
  128. 野村一彦

    野村説明員 前国会におきまして、適正化事業をお認めいただきました結果に基づきまして、その後やりました措置を申し上げます。  財団法人といたしまして東京タクシー近代化センター、大阪タクシー近代化センター、二つの財団法人が設立をされました。これは関係の事業者団体及び学識経験者、それからタクシー事業に従事する労働組合を代表する人、そういう人々が共同して財団法人をつくり上げたものでございます。役所といたしましては、適正化法に基づきます省令及び政令につきまして、細部の規定を定めたわけでございます。  いま先生の御指摘のことでございますが、第一の登録につきましては、これは東京、大阪それぞれにおきまして、若干の部分的なトラブルがございましたが、十月三十一日現在におきまして、十一月一日から全面的にこの法律が登録に関して適用されることになりますので、東京におきましては、五万七千人の運転者が登録を済ませております。これは、私どもの推定の法人の運転者の数とほとんど一致をいたしております。それから大阪におきましては、二万八千人の運転者が登録を済ませております。これも、いわゆる正確なタクシーの職業運転者に見合う数というものはわかりませんが、大体従来推定いたしました約三万人よりもやや下回っておりますが、その程度の運転者が登録を済ませておる。こういうことでございまして、登録業務のほうは十一月一日から全面施行になりましたので、私どもとしては、この法律に基づきましてこの適正化がスムーズに実施されるように考えて努力をいたしております。なおトラブルは若干ございますが、これも地方陸運局あるいは陸運事務所等を指導し、また警察とも連絡を緊密にして、トラブルが起こらないようにやっておるところでございます。  次は、適正化業務につきまして現状を率直に申し上げますと、東京及び大阪におきまして、ともに残念ながら適正化業務の骨格になります事業計画及びこれの裏づけになります負担金というものが、両方ともまだ正式に決定いたしておりません。このことは、私ども指導官庁の立場としてたいへん申しわけなく思っております。  と申しますのは、東京及び大阪いずれにおきましても、タクシーの運賃の改定をことしの春実施いたしましてから、経営状況が非常に悪いということが一つの理由でございまして、業界団体におきましては、当初予定されておりました法人につきましての三万円の負担というものにたえられないから、これを減額してくれという要求が非常に強かったわけでございます。これに対して私どもとしては、苦しい事情はある程度わかるけれども、ともかく適正化業務を発足させるというのは国民に対する一つの公約だから、ぜひこれを実施するようにということで指導してまいったわけでございます。  もちろん、この事業計画の決定とそれからその裏づけとなる負担金の決定は、二つのセンターがそれぞれ自主的にきめることでございます。私ども金額そのものを命令をもって、強制力をもって実施させるということはなかなかできなかったわけでございますが、現在の状況を申し上げますと、大阪におきましては、大体金額としては当初の目標を相当下回っておりますが、一万四、五千円程度のものを年額といたしまして負担するということで大体の話がついて、近日中に理事会及び諮問委員会にはかって、これを正式にきめようという段取りになっていると聞いております。東京におきましては、何べんか法人一万二千円という案で論議されたわけでございますが、これがまだセンターの理事会及び諮問委員会の認めるところとならないで難航をして、いまいろいろと近代化センターにおきまして、また東京陸運局長もこの間のあっせんにつとめまして、話がまとまるようにいま鋭意努力中でございまして、これはぜひ近い将来に事業計画と負担金を含めまして、すみやかに適正化業務が発足できるようにいたしたい、このように考えております。
  129. 内藤良平

    ○内藤委員 そこで、このタクシー業務適正化の法律は、乗車拒否という問題から出たわけですね。悪い運転手をいろいろな面で善導するあるいは規制するということで、この登録業務が採用になったわけですね。これは一応登録が実施されて、このあとに出てくることによりまして運転手が、運転免許を取り上げられるのですか、あるいはひどいことばで言いますと追放されるかっこうになるわけですね。そういうことでしょう。ところが、一方の例の業務の適正化、これは業界の皆さんの負担金の金額がまだきまらないということで進んでおらない、こういう御報告だと思います。私たちも新聞紙上でそのような報道を見ております。  大阪のほうは大体きまったような報告でしたが、東京のほうで一万二千円でしたか、これは何か業者の皆さんの団体での申し合わせのようなものですか、この一万二千円というものの根拠なり、あるいはなぜこれにこだわるのか。新聞報道を見ますと、原則は三万円と六千円だ。個人は六千円。しかしことしは、四十五年度は年度の中途から発足したのですから、半分くらいにしようという声が、これはいわゆる業者以外の方々からそういう発言が出て、大体了承になっておるらしいのだが、業界だけ非常に反対だ、こういうぐあいに報道されておりますが、その関係ですね。いまさっき申し上げた一万二千円がなぜ出てきたのか、なぜまたこれにこだわって肝心の一方の柱が進まないような状態にしておるのか、この点、もう少し御報告願いたい。
  130. 野村一彦

    野村説明員 業界団体が、一万二千円という提案をした根拠は何かという御質問でございますが、実は私どもこれに理論的な根拠は別段ないと考えております。まあ当初予想しておりました三万円というのが目標額でございましたが、その後業界の経営が非常に苦しいということから、当初私どもに来ましたのは、法人を年間一万円ということでやりたいという話が来ましたので、金額幾らでいいということは、役所の立場から言うべきものではない、しかし、常識的に考えて一万円というものはあまりにも低い、こういうものはわれわれとしては、意見を求められれば当然認められないと言わざるを得ないということで、一万円は低いという主張を私どもはしたわけです。それで業界団体としましては、その後業界団体の理事会等を開きまして何べんか議論をいたしました結果、それでは一万円にもう少し上積みをしようということで、一万二千円というものを、特別の合理的根拠というものはないと思いますが、出したわけです。業界団体としては、法人については一応一万二千円という数字をまとめたようでございます。  ところが、これを決定いたしますには、当然近代化センターの理事会あるいは諮問委員会できめなければならないわけです。そのときにその諮問委員会におきまして、第三者代表と申しますか、学識経験者委員の方々からいろいろな御要望が出まして、その中で、少なくとも一万五千円程度は出すべきであろうという御意見が出ました。この意見をめぐって業界団体は、とてもそれには収益的に応じられないということがありまして、難航をしておるということでございます。  一万五千円といいますのは、まあいろいろな根拠があるかと思いますが、確かに先生のおっしゃったように、三万円を当初目標にしておった、しかし、今年度すでに半年経過したので、事業としては実質あと半年しかない、だから、負担金としてはこれは年度当初にさかのぼって取るわけでございますから、それで一万五千円を一年間取っで、そして半年の事業をすれば、当初の三万円ということに事業の内容としてはできるのではないか、こういうお考えだと思います。そういうことで、目下諮問委員会の各委員の間におきまして、特に業界団体の代表の意見と、それから第三者委員の出されました一万五千円案とをめぐってまだ論議が行なわれている、こういう状況でございます。
  131. 内藤良平

    ○内藤委員 時間もありませんから、私の意見のようなぐあいになりますが、これは野村さん、やはり審議の段階では三万円ということ、あるいは六千円ということがしばしば論議をされまして、国でも五千万円ですか、これも予算が計上になっておるわけですよ。その予算も通り、法案も通っておるわけです。そして登録を実施して、またそれに付帯して運転手の皆さんの素質を向上させる、あるいは労働環境を整備しよう、福利厚生施設をよくしよう、こういうことで表裏一体なんですね。だから、あなたが遠慮しているようなかっこうで、なかなか当局は強制的には言えないのだということを言っておりますけれども、法案の審議なり予算の決定なり、またこの問題が起きましたときの国民皆さんの世論、乗車拒否をなくさなければならぬという大きな世論から、運転手の皆さんはいろいろ反対があったけれども、しかし、それをいろいろな面で世論にこたえるために、多少はがまんしてこの法案というものに賛成したと私は思います。  そういう経緯があるのですから、それがここへ来てスタートしたら、業界の皆さんだけ何か横になって進めないというのは、私は非常にけしからぬと思っております。しかも金額、三万円あるいは一万五千円、一万二千円、これはなかなか判断がつかないということでしょうが、この法案が出るまでは、あなたも御存じのとおり、相当の期間いろいろなことを論議され、しかも業界の意見も十二分にくみ取って、そこで三万円というのが出て、それに見合って国でも五千万円出すということですから、私は三万円というのは業界の意見が十分に入ったものだというぐあいに理解して正しいと思います。情勢が変わったということもあるでしょう。しかし、運賃の値上げもしたわけだし、しかも将来、運賃がいつまでもこの状態で続くとは考えられないでしょう。いっかはまた運賃問題が出てくる。先般秋田市で行なわれた業界の皆さんの大会では、運賃問題が非常に論議されて、値上げをしなければならぬということが主たる論議であったと聞いております。だから、いまごねているのは、どうも運賃値上げにひっかけたような印象を受けておる国民もおるわけです。この新聞等に、やはりそういうことも声として書いていますね。利用者、国民の皆さんからは、また値上げをすると言うし、業界の態度は約束違反ばかりじゃないか、こういう記事内容です。あなたたちもおわかりと思います。  だから、ここで毎々野村さんのほうの担当の自動車関係のことで私たちいろいろ意見を申し上げていますが、やはり率直に言いますと、遠慮しないでもう少し言っていいのじゃないかと思うのですよ、世論は業界の皆さんについてないのですから。しかも、運転手の皆さんは多少がまんして、これはもう執行しているでしょう。だから、こういうことは私たち国会でも言っているわけだし、多少強腰で業界の皆さんにこの際行政指導をなされるべきじゃないか、私はこう思うのです。そうでなければ、今後ハイヤー・タクシー関係に関しましていろいろ問題があるわけでしょうし、これからいろいろな国の政策なりがあるわけでしょうし、国民の皆さんの足という面では需要もますます高まるわけでありますから、そういう中で、どうも業界の皆さんがちょっとたちが悪いといいますか、こうであっては将来業界の皆さん自体の自滅になるようなことになるのじゃないか、私はこういうことを言いたいわけであります。  あとあまり言う必要もないのですけれども、十四日ごろまた東京の場合は委員会があるそうです。私はぜひひとつ——これはあなたの前任者の担当された法律ですから、あなたはさまってから局長になられたようなかっこうですけれども、そういう面で御遠慮なさらないで大いにやっていただきたい。そうでなければ、私はこの法律というものを早晩に御破算にするか、あるいは運転手が登録をされたことによって、今度何かありますと、運転手はいろいろ制約を受けるわけですから、そういう面はやはり一時ストップしてそうしてバランスをとらなければ、運転手だけが責められてしまって、業界の皆さんは横になって好きなことを言っておる、こういうきわめてまずい状態になるのではないか、こう思います。  どうかひとつ東京関係——大阪関係は幾らか進んでおるようですから、東京関係につきましては、いま私が申し上げたような意見を、きょうは国会全体の意見というぐあいにならぬかもしれませんが、そういう強い意見があったということで、行政指導を特に要請しまして質問を終わります。
  132. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  133. 田代文久

    ○田代委員 まず、国鉄当局にお尋ねします。  今月の七日、八日と続いて新幹線の保守工事の事故が続いた。大体この新幹線は、非常に事故が少ないということを看板にしてやっているんだから、こういうのが続きますと非常に不安である。ですから、これは国鉄当局としても十分その原因なり、今後これをどのようにして防止するかという方策ができていると思うのですが、その点について御説明願いたいと思います。
  134. 長浜正雄

    ○長浜説明員 お話のこの七日、八日、東海道新幹線の夜間の作業中に事故を起こしました。いろいろ世間の方々に御心配やら御迷惑をおかけしましたことを申しわけなく思っております。  この事故につきましては、あとでその概況その他原因を申し上げますけれども、結論から申しますと、新幹線の運営上の事故でございませんで、新幹線の運営はすべて機械的処理をしておるのでございますけれども、夜間の作業につきましては、マニュアルで仕事をしておるというような関係でございまして、マニュアルによって仕事をしております部分で事故が起こったわけでございます。新幹線の運営につきましては、いままでもこういう運転の事故になるようなことを一度も起こしておりませんし、今後とも起こさないつもりでわれわれがんばっておるつもりでございますので、御安心いただきたいと思いますが、ただ、こういうふうに作業中の事故が起こりましたことは非常に申しわけなく、われわれとしても原因を十分探求いたしまして、今後こういう事故の起こらないような措置をとっていきたい、こう思っております。  この事故の概要でございますけれども、七日の日に起こりました事故は、岐阜羽島と米原間、東京起点でいいますと三百九十キロ八百四十メートルの距離の下り線でございます。夜間三時の時点でございまして、終列車が終わりましてから作業をしておりましたその車が、これは砂利を積みまして砂利の補充をしておりました、いわゆるホッパー車でございますが、ホッパー車が砂利の散布を終わりまして帰ります途中、別の作業をやっておりましたところに差しかかりまして、停止すべき位置を通り越してその作業をしておる部分に入ったわけでございます。作業をしておりますところが、ちょうどレールを再調整といいますか、レールの設定がえ、正式のことばで言いますと設定がえといいますけれども、ロングレールになっておりますので伸び縮みいたしますのを、ふだんは伸び縮みさせないようにまくら木で押えつけておるわけでございます。これを何カ月かに一回全部その締結装置をほどきまして、力を全部放出してやる。内部にたまっておる力を全部吐き出してしまうというような作業をやっております関係上、まくら木にとめておりました締結装置を全部はずしてあった。したがって、その部分にホッパー車が入り込んだがために、これは当然レールが両側に開いてそこへ落ち込んだ、こういう種類の事故でございます。  したがいまして、これは停止すべき位置を示しておりました回転警告灯、ぐるぐる回りながらあかりのつくものでございます。この位置でとまらなければならなかったわけでございますが、それを通り越した。これはマニュアルでとまることになっております。新幹線の場合には御承知のように機械的に、自動的に運転されておりますので、機械的にそこでとまることになっておりますので、毛頭心配はないわけでございます。こういう作業の場合には、至るところでとまったり動いたりしなければなりませんので、人力、人間の力でそういう処置をしておりますためにそういう錯誤が起こった、こういうことでございます。  したがいまして、この事故の原因ははっきりしておるわけでございますが、それを起こさないための措置といたしまして、われわれとしましてはそういう錯誤が起こらないように、基本的に保守用のそういうダイヤをつくっておるわけでございます。車がどういうように入ってきて、何時に入って何時に出ていくというようなダイヤをつくっておるわけでございますが、今回はその作業が早く終わったがために、早く動き出したということのために起こった事故でございますので、そういうことのないようにしたい、あるいはほかのところではいまどういう作業をやっておるのだというようなことの内容を、もっと熟知させなければならぬ、あるいはそういうとまるべきあかりを置きます位置その他につきましても、今後錯誤の起こらないように措置をしたい、こういうように考えております。  引き続きまして、実はその翌日また名古屋付近でやはり作業中の事故を起こしたわけでございますが……。
  135. 福井勇

    福井委員長 簡単に願います。
  136. 長浜正雄

    ○長浜説明員 はい。これは、原因は、実は本人がまだ入院しておりまして、口がきけない状態でございますので、はっきりした原因はわかりませんけれども、概要から言いますと、運転しておりましたレールを積んだモーターカーが、トロリーを三両引っぱりまして別の作業をしておりましたトロリーに衝突をした、こういう事故でございます。これもやはり同じく、とまるべき位置でとまらなかったというのが原因でございまして、ほかの作業もすべてマニュアルでやっておったために起こった事故でございます。  これにつきましては、どういうことで錯誤が起こったかということは、本人が口がきけませんので、まだほんとうの真相がわかりませんので、それがはっきりいたしました上でまた対策を講じたい、こう思っておりますけれども、いずれにしてもそういう錯誤が起こらないような措置を、今後とも十分作業のルールを熟知させるということを指導いたしたい、こういうふうに考えております。
  137. 田代文久

    ○田代委員 いまの御説明では、運営上の事故ではないということで簡単に言い切られましたけれども、私どもやはりそうは考えないのです。これはもう少し大きな観点から考えますならば、現在のダイヤが非常に過密で、実際にもう最大限度まで来ているのではないかと思うのです。そういう過密ダイヤの中で酷使されている。それからまた午前零時とか午前一時とかいうような深夜に、そういうことがなされるというような深夜作業の問題、それからまた下請などにそういう仕事が出される。こういう関係をやはり見なけれ、ば、ただ夜、回転の注意電灯をどこに置いておって、それを注意するというようなことだけでは、私はやはり今後の事故を十分防ぐ、そういう保証にならないのではないかと思うのです。そういうことのためには、新幹線については一種のそういう機械にたより過ぎる技術的な過信といいますか、そういうのがあるのではないか。絶対に起こらないのだというようなことを言い切られますけれども、実際問題としては、たとえば在来線のように、そういう事故が起こった場合に、クレーン車や何かが配置されないために非常に復旧がおくれ、それだけ迷惑をかけているというようなことがあるわけですね。  ですから私は、過密ダイヤの問題とか、あるいは深夜でそういう作業をしなければならない運営になっているとか、あるいは下請に仕事をさせるとか、そういう点、これはやはり十分配慮してもらわないと、私は今後こういう問題で大災害が起きるという不安を感ずるわけですよ。そういう点では、私はいま言われたようなそういう方策だけではいかぬということを一応言っておいて、これは水かけ論みたいにいろいろ答弁されましょうから、先のほうに進みたいと思います。決していま考えられているようなそういう観点では、この災害なり事故の防止というものは防げるものではないということですね。運営上におきましてもこれは十分考える余地があるんだということを言って、次に進みたいと思うのです。  新幹線の騒音防止の問題、これについてお聞きしたいのですが、これは国鉄にもいろいろ陳情が行っているんじゃないかと思うのです。私どもにもたくさんこの騒音について陳情が来ていて、大体どうしてくれるんだ、国会などでもこれは問題にならないのかというようなことを言われるので、特にこの質問をしたいのです。  これは最近なんですけれども、十月の下旬に神奈川県の平塚市の公害課が沿線住民の苦情を聞いて、そうしてその騒音についての調査をやっておりますね。それによりますと、新幹線の路線敷地のわきでは九十五ホン、それから線路から二十メートル離れたところでは八十八ホンから九十三ホン、さらに五十メートル離れたところで七十七ホンから八十ホン、それから百メートル離れたところでも七十三ホンから七十九ホンまであるというのですね。こういうところでは、妊婦の方なんかは非常に流産のようなことになるとか、産後の御婦人なんかは非常に頭が痛くてノイローゼになるとか、それから夜睡眠ができないとか、通るときなんか、まるで天井の上を新幹線ががあがあいって通っているような激しい音で、とても環境からいって安心して住めるような状態じゃないんだ、だからこういう点について、大体国鉄当局は住民のことをどう考えているんだ、こういうことなんですね。  ですから、こういう騒音に対して国鉄当局がどういう処置をとり、またそういう迷惑を受けておる住民に対して責任をおとりになっておるのか、またとろうとされるのか、この点について御答弁を願いたいと思います。
  138. 長浜正雄

    ○長浜説明員 新幹線が発生いたします音につきましては、われわれとしましても、できるだけ音の出ないようなくふうをしなければならぬということで、毎々申し上げておるのでございますけれども、ロングレールだとか、タイパッドだとか、あるいはスカートを長くするとか、あるいは側壁を延長するとか、いろいろなくふうをしておるのでございますが、基本的に新幹線の音をなくするといいますか、非常に小さくするというわけにはなかなかまいりませんので、われわれとしては非常に苦慮しておるところでございまして、国鉄でも技術研究所を持っておりますので、そこらあたりでも、毎年何千万かの金をかけまして勉強しておるのでございますが、基本的になかなかわれわれの思うような結果が出てまいりませんで、非常に困っておるわけでございます。  しかし、できるだけのことはしなければならぬということで、いままでやってきたわけでございます。なお、今後ともできるだけそういうことで音の発生をしないようなくふうを、車の面あるいは設備の面でとるように努力をしていきたい、こう思っておる次第でございます。
  139. 田代文久

    ○田代委員 全くこれは何をおっしゃっているのかわからぬですよ。まだ技術研究をやっておられると言うんだけれども、大体、現在非常に被害者が、子供を流産する、夜眠れないというような現象が起こっておるわけですよ。それにはいま研究しておりますと言われるが、その研究はいつ終わるのですか。来月終わるのですか、あるいは一年先に終わるのですか、十年先に終わるのですか、そういうめどがはっきりならないと、これは住民はたまったものじゃないですよ。ですから、そういう点では答弁にならない。はっきりした具体性のある、責任ある答弁をしていただきたい、このように思います。
  140. 長浜正雄

    ○長浜説明員 具体的な対策といたしましては、いま申しましたような処置をしておりますが、なおそれ以上に、実は非常に音の大きいのは、全線というよりも鉄げたで橋梁ができておるところ、この部分は特に音が大きいのではないかと思いますので、これは山陽新幹線の場合には、なるべくそういうものを使わないようにいまやっておりますけれども、現在あります東海道につきましては、鉄げたのささえておる部分、あるいはその間隔材、そういうところにパッドを挿入する。ゴムパッド、こういうものを挿入する。どういう性質のものをそこに入れれば、音が少なくなるかというような研究をしております。実際そういう処置をした橋梁もございます。そしていま試験をしております。あるいはまた、それにカバーをするという方法もあるのではないかというようなことで勉強しておるのでございますが、なかなか思うような数字の低下までまいりません。  今後ともなお一そう努力をすると言うよりほかに申しようがございませんので、われわれ真剣に実は勉強しておるのですが、それでは二カ月後、三カ月後にどんなことが出るかと言われましても、ちょっといま自信はないのでございますが、なお一そう努力をするつもりでございます。
  141. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、現実に起きている騒音によってそういう生活環境が破壊されている、そういう方々に対しては大体何を考えておられるのですか。全然そういう答弁がないし、ただとにかく騒音が起きておるから、これはまた非常に研究も困難であるのだが、とにかくそういうことを努力しております、こういうことでは、これは住民なり国民は、実際のところ納得しませんよ。だからその点をひとつ、現在そういう被害を受けておられる住民の方々に対してはどういう責任をおとりになるのか。そういう答弁をして、今後騒音が起こらないような処置を研究中でありますということでは、これはだれだって満足しませんよ。その点の御答弁をひとつ願いたいと思うのです。
  142. 長浜正雄

    ○長浜説明員 私、申し上げましたのは、実は今後やるべきことを申し上げたわけでございまして、いままでわれわれのとり得る方法、技術的な方法につきましては、いろいろ処置をしてまいりました。トータルで言いますと、昨年度までに約八億ばかりの金をかけまして、側壁をつくるとか、あるいは私がさいぜん申しましたようないろいろな処置をしてまいったわけでございます。特に学校に対しまして、あるいは病院というようなものに対しまして、そういう音の大きいところに対しては優先的に側壁をつくる、あるいは学校に対する防音の窓をつくってもらうための補助を出すというようなことも、具体例としてはやっておりますけれども、それはいままでやりましたので、先生承知だと思いまして、実は私、答弁申し上げませんでしたけれども、それ以上になお音があるということは、これは私たちも承知しておりますので、それらをなお一そう努力をすることを実は御答弁申し上げたわけでございます。  そういうことで、いままでにも、側壁をつくるとか、変電所の音が大きいのはカバーするとか、いろいろな処置をしておりますけれども、今後ともいろいろ勉強していきたい、こういうことでございます。
  143. 田代文久

    ○田代委員 それは知っておりますけれども、それで私は足らないということを言っておるのですよ。現にその被害を受けてノイローゼにもなっている、お産で流産になったということ、また自分の頭の上でがあがあいって本も読めないというような方々に対して、少なくともこれは、私が言うまでもなく国鉄当局としては、新幹線ができて以来——これは新幹線以外の鉄道でもそうなんですけれども、せめて過去並びに現在、そういう騒音が完全に防止されるというまで、受けた被害に対しては、そういうことで済むわけではありませんけれども、せめて迷惑料とかなんとか、そういう点でひとつ被害者の方々に了解でも得て、何とかその間のがまんをしていただけませんかとかなんとかいう、そういう具体的なことは、大体考えられたことはありませんか。
  144. 長浜正雄

    ○長浜説明員 実は新幹線の騒音、さいぜん先生がいろいろな数字を申されましたけれども、われわれとしてもいろいろ騒音のあれを測定しておりますけれども、大体在来線とあまり変わらない程度にまでわれわれとしては目標を下、げていきたい。在来線につきましては、過去百年鉄道が敷かれておりますので、新幹線の場合も現在線と少なくとも同じ程度にまで下げていく努力をしよう、こういうことでやっております。あまり近いところでは必ずしもそうなっておりませんけれども、現在線がやはり八十ホン程度のもの、あるいはそれ以上のものが出ておるのでございますけれども、できるだけそれに近いような数字にまで下げていく努力をしたい、こう考えております。  なお、先生から御質問のございました騒音に対する地元住民へのお見舞いということは、ただいまの国鉄が発生いたします音に対します考え方からいいますと、そうなりますと、全国すべて鉄道沿線におられます方々に全部お見舞い金というようなかっこうになります。これは非常にいろいろ問題がございまして、そういうことは私たちとしてはいま考えておりませんので、申しわけございませんが、そういう答弁をさせていただきたいと思います。
  145. 田代文久

    ○田代委員 実際のところ、全く国鉄はけしからぬと思うのです。全国とにかくみながまんしているのですよ。しかし、特に新幹線の沿線についてはそういう現象が起きているから、もしいささかの、毛一本でも誠意があるならば——全国と言っているのじゃないのです、みながまんしているわけだから。その点については、騒音規制法やあるいは環境の基準によってあれがありましょう。その程度において、こういう高い被害者に対しては、これぐらいのことは考えておりますというぐらいのことにいかなければどうします。政治じゃありませんよ。  では、私は運輸省に直接今度お尋ねしますけれども、いまの国鉄のああいう不誠意な、全く住民のことを考えずに、ただ輸送さえすればいい、物を送りさえすればいい、それで黒字をはじけばいいというようなことでどうしますか。日本が世界第二、第一の高度成長とかなんとか言ったって、こういうことをやっていたら高度成長も何もないじゃないですか。住民あっての輸送じゃないですか。根本的に考えを改めてやってもらわなければならぬと思うのです。  この点について、運輸省は当然知っておられると思うし、またこれは監督の責任もありますからお尋ねするのですが、こういうやりっぱなしの国鉄当局の騒音に対する考え方に対して、それではとにかく国民が納得しない。だから、たとえば法的に規制するとか、それからまた国鉄に対していま言いました、これは実際もうばからしいような話ですけれども、いささかでもとにかく迷惑料でもやって、懇切にそういう地域住民の方に訴えて、こうこうこういうわけでこういうふうにしつつありますし、またその間このくらいとにかく御迷惑料みたいなものでかんにんしていただきたいというような誠意を示さなければいかぬ。そういうことをいまやらないということは——国鉄側ははっきりいって考えてもおらないと言うのですよ。そうしますと、運輸省はこれに対してはっきりしたきびしい監督をしてもらわなければ、運輸省はこういう運輸行政に対して実際無責任だと思うわけなんです。  法的な対策、たとえば騒音規制法ができましたときに運輸省自体が、交通騒音はその規制の中のあれには入れない。しかしそれはいかぬとうので、交通騒音については規制しなければならないという考え方から、衆参の委員会で附帯決議をやっておるのですね。しかし、その附帯決議なんというものは全然有名無実のものとなっている。こういう弱いことでは、結局被害者は泣き寝入りということになりますから、私はもう少しきびしくやらなければならないと思うのですが、そういう点で運輸省は、私がいままで申しましたような直接被害を受けておる人々に対する被害補償みたいなもの、迷惑料みたいなものを出すというような具体的なことが一つ。それから法的には、騒音規制法の中にそういう交通騒音というようなものも規制するように、規制の対象にはっきり入れるというようなことを、考慮されておるかどうかという点を御答弁願いたいと思うのです。
  146. 山口真弘

    ○山口説明員 鉄道騒音の問題につきましては、鉄道自体の物理的な性質上、鉄の軌条の上に鉄の車輪の車両が運行するということで、全然音がないというようなことはできない物理的な性質を持つわけでございます。そういう点で、騒音規制法という法律の問題につきましては、これは当時の事情から、事業場におけるところの事業活動並びに建設工事というようなものを中心とした法律でございますから、したがいまして、鉄道のような性格のものの騒音というようなものは別個のものだということで、この法律には入れておらないというわけでございます。ただ、それだからといって、それじゃ交通騒音につきましてはこれを全然看過してもいいかということになりますと、それはそうではないわけでございまして、やはり国といたしましては騒音につきまして十分の配慮を払い、そしてこれの規制をしなければならぬということであろうかと思います。  ただ、新幹線鉄道につきましては、これは非常に新しい技術でもございますし、当時新幹線鉄道をつくるときにもいろいろ検討いたしまして、現在の技術の段階でできる限りにおきまして、たとえば先ほど国鉄側から説明いたしましたようなロングレールの採用だとか、あるいはゴム製の吸収パッドの使用だとか、その他特殊の防護壁の採用だとか、いろんな方法によってやってまいったわけでございますが、在来線よりも若干騒音が大きいということは否定できない。しかしながら、新規の工事でございますので、たとえば山陽新幹線におきましても、そういう東海道新幹線の経験というものを十分に参酌をいたしまして、そしてそういったような騒音をできるだけ少なくするような工事のしかたというようなものもやってまいっておるわけでございます。  それで、ただいま先生お話の今後どうするのかという点でございますが、これは騒音につきましても、やはり国家的な大きな関心事でなければならぬわけでございますから、これにつきましては十分に検討を進めてまいりたい。ただ現在では、国鉄自体は騒音に対する一つ基準を持っておりまして、そういった基準でやっておるわけでございますが、省といいますか、国といたしましては、たとえば航空機騒音の問題の規制というようなこともございますし、あるいは自動車の騒音の規制というようなもの等もございます。そういったようなものの規制をも十分に参考にいたしまして、今後そういう規制というものを前向きに考えていかなければならぬのじゃないか、このように考えております。
  147. 田代文久

    ○田代委員 質問を終わりますが、これは国鉄当局としましても、政府当局運輸省当局としましても、実に不誠意きわまる交通政策になっていると思うのですよ。住民本位の立場をはっきりして、もう少し積極的にこの法的な規制をするなり、それから実際の被害者に対して、過去から現在、将来に対してやはり責任があるのだから、誠意をもって地域の住民ともよく話し合って、そして意見を聞いてやるというようなことをしていただかないと、とにかく鉄道を何万キロ延ばすとかなんとかといっても、土地の買収にしましても、そういう点で住民が協力しようにも実際のところしょうがないですよ。  そういう点を考慮して十分善処していただきたいということを強く申しまして、時間がありませんので終わります。
  148. 福井勇

    福井委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十九分散会      ————◇—————