運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-09-10 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 徳安 實藏君    理事 箕輪  登君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       菅波  茂君    井野 正揮君       井上 普方君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    米田 東吾君       鈴切 康雄君    田中 昭二君       渡辺 武三君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  委員外出席者         内閣官房内閣審         議官      植松 守雄君         警察庁交通局交         通指導課長   寺尾  繁君         農林省農政局参         事官      岡安  誠君         水産庁次長   藤村 弘毅君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      斉藤  顕君         運輸大臣官房審         議官      見坊 力男君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         海上保安庁長官 手塚 良成君         気象庁長官   吉武 素二君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ――――――――――――― 委員の異動 九月十日  辞任         補欠選任   楯 兼次郎君     井上 普方君   宮井 泰良君     鈴切 康雄君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     楯 兼次郎君   鈴切 康雄君     宮井 泰良君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  気象に関する件      ――――◇―――――
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾海上保安及び気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宇田國榮君。
  3. 宇田國榮

    宇田委員 御承知のとおり、いまやマスコミにおいて一つの世論となって、欠陥車の問題が大きく取り上げられておるのであります。そこで、われわれは、こういう問題はむしろ超党派的に処理しなければならぬ。一部においてユーザーユニオンというのがこの問題を取り上げて、そうして委員長にも要望書を出しておるのでありますが、この問題はきわめて重大であって、単にホンダだけということにとどまらず、他社に関してもそういう欠陥車があることは、もうすでに国民大衆が一目りょう然、分明しているところであります。  でありますので、われわれ運輸委員会としては、この重大なる問題を等閑視するわけには絶対にまいりません。したがいまして、委員長まつ先になって、この対策をいかにするか、たとえば技術者を呼ぶとか、あるいはまた運輸当局に対するところの対策、そういうことを検討されて、近く参考人も呼ばれて、この問題にわれわれは真剣に対処せなければならぬと思うのであります。と申しますのは、毎日のように犠牲者があらわれて、このために死者、重傷者がおびただしいものでありまして、国民大衆はまことに不安に巻き込まれている状態でありますから、委員長はこの問題をすみやかに運輸委員会にはかられて、そうして対策を立てられるように私は要望いたしまして、終わります。
  4. 福井勇

    福井委員長 交通災害の件は、現下重大なる社会問題でありますので、宇田委員要望の件は、後刻理事懇談会を開き、善処いたしたいと存じます。
  5. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 宇田委員発言に関連いたしまして、私の考え方を申し述べたいと存じます。  最近、皆さんから御指摘がありましたように、自動車欠陥問題は、国民の間で重大なる関心を呼び起こしておることはそのとおりでありまして、運輸当局としても、この問題に十分なる関心を寄せて対策を考えつつあるところであります。  特に、ちょっとお話の出ました軽自動車のいわゆるスピード使用の問題、いま私が自動車当局に指示しておりますものは、大体この軽自動車最高速度が百二十キロ、こういうような一これは自主規制でありますけれども、それにいたしましても、三六〇cc程度馬力も五十馬力以下、こういう軽自動車が百二十キロという高速を出し得るというところに一つの問題がある。これは経験者の方もおりましょうが、当然、スピードを出す場合においては、その重量は物理学の法則に従って軽くなるわけであります。したがって高速道路は、実際上の使用の場合においては、中型以上の自動車原則であります。重さが一つの問題と同時に、小型であれば、それだけエンジンの内容についてはやはり集約をされておる。将来大きな開発ができれば別でありますけれども、現在の状態においては、軽自動車は、やはりスピードを出せばいわゆる浮力が伴うのでありますから、操縦の上において危険が入ることは当然であります。そういう点において、運輸省側は、特に自動車行政の上から見れば、これに対する一つ考え方が当然明らかでなければならぬと思います。しかし、従来いろいろな事情からして、そこまで十分なる指示を行なうことができなかったということは――もちろん、これはメーカー監督庁であるところの通産省とも十分な打ち合わせをしなければならぬ。しかし、最近の事故にかんがみまして、軽自動車が、自主規制とはいいながら最高百二十キロまで出すことが可能であるという、これはなるほど試験の上においては可能であるけれども、それを使用する場合において、そういうときにいろいろな危険が起きることは、いま申したようなことがありますので、私がいま運輸省当局に指示しておるのは、小型自動車軽自動車においては、いわゆる最高速度を思い切って下げるべきである。どれだけ下げればいいかはこれからの検討にまちますけれども、しろうとが考えるならば、大体八十キロ程度最高速力として考えるべきではないだろうか。最高ということは、五十キロ、六十キロ出して、そこまで出ることがあるということから、最高が実際の速度より幾らか高いのはやむを得ない。しかし、現在のように百二十キロというところに自主規制を置くということは無理である。この辺の検討を命じております。  それからもう一つは、高速道路というものが、近年において、極端にいえばこの一両年において開通をした。そういう高速道路が開通したのに対して、自動車の走行に関する十分なる対策が講じておられなかったということも事実であります。これは高速道路がまだできてから二年足らずであるということが一つ原因。もちろん都内における高速道路はもっと早くできておりますけれども、しかし、これは名称は高速道路でありますけれども、まあ中速道路にすぎない。御承知のように、最高八十キロで押えておりますからして、普通はせいぜい六十キロ前後で走っておりますから、いまでいうところの高速道路ではない。しかし、東名、名神あるいはいまの中央高速道路等ができましてからは、文字どおり高速道路ができた。ただ、日本高速道路一つの不十分なる点は、当然スピードによって走るべき区域がもっと明確でなければならぬ。ヨーロッパの場合、アメリカの場合は、文字どおり高速道路というものは最小限度車線であります。六車線原則であります。あるいはそれ以上のところが部分的にはある。ところが、日本においては四車線高速道路原則であります。六車線は部分的に収容関係からできておる。現状はそれでもある程度間に合いますけれども、将来から考えれば、ほんとうに高速道路を使う場合においては、内側は百キロ以上とか、あるいは中通りが幾らとか、外側は一種の低速道路というのが原則なのであります。しかし、軽自動車といえども高速道路を通ってはいかぬというわけにはまいりませんので、これらを通ることは当然ではありますが、それにしても、いわゆる軽自動車に対しては最高速度を思い切って制限をする。同時にまた、一方において、これは軽自動車に限りませんけれども、型式認定をする場合においては、高速道路においてのいわゆる試験をみずからやることは、実際上の問題としてなかなか困難でありますからして、したがって、メーカー自身型式認定申請をする場合においては、それに対していわゆる高速道路の一項目をかなり具体的に加えて、この試験の結果をつけて型式認定申請をする、こういう制度をもう少し明確にする必要があろうと思います。  以上の点を私は考えておりますので、それらをまた皆さんのほうではつけ加えて御検討願って、なおいろいろつけ加えるべき点があるなれば、一日も早くこれらの制度の出発を進めていきたい、あるいは対策の改善を進めていきたい。  ただ、私自身が考えております点について原則的に申し上げておるわけでありますが、これについての一つは、通産省とも打ち合わせしなければなりませんので、私がいま申し上げたことが最終決定ではございませんけれども、私自身のいわゆる考え方としては、さような意味において、いわゆる軽自動車使用目的を制限するわけではありませんけれども、スピードの上からある程度これを制限する必要があろう、こういう点を考えております。ただ、影響するところ甚大でありますので、私のいまの発言最終決定であるとは御了解を願わないように、ただその方針で進む、こういうことだけは御了解を願いたいと思います。
  6. 宇田國榮

    宇田委員 八月三十一日の読売新聞を見ると、「“欠陥事故”22件に 動かぬ運輸省メーカー」、こういうのが載っておる。私は答弁を求めなかったけれども、いまの運輸大臣のうんちくのある説明によって、いかにこの問題を真剣に取り扱っておられるかがわかった。だから、大臣の意を体して、ここに自動車局長も来ておられるようだが、ひとつしっかりこの問題に取り組んでもらいたい、これは私の要望である。大体、一昨日も総理と話したが、来たるべき国会は、いわゆる交通と公害の問題が大きな問題であるという、これに焦点がしぼられるというような考え方をわれわれは持っておる。そうすると、これからの運輸行政は多事多難であります。失礼ながらほかの運輸大臣ではつとまらぬ。橋本大もの運輸大臣であればこそ、これだけ取り組んでやっておる。これはよけいなことかもしれないが、いまのお話を聞いて非常に意を強くいたしておるけれども、すみやかに福井委員長においては、理事懇談会においてこれを検討されて、技術者並びに当局その他の人々を参考人として招致して、そして善後策を講ぜられんことをお願いして、私の要望を終わる次第であります。委員長、この要望書を渡しておきます。
  7. 福井勇

  8. 井野正揮

    井野委員 最初に、橋本運輸大臣にお尋ねしたいと思います。  六十三国会で、国の予算成立の中に、特に国鉄予算編成の根拠に重要な影響を持っております国鉄財政再建計画、これは長年政府が検討せられ、国民の論議を呼び、国会の承認を得て決定したものと思うわけでありますが、国会が終わりますと、大臣はもうそんなことは忘れてしまったかのごとく、あの再建計画は再検討しなければいかぬ、根本的に練り直さなければいかぬというような話をされた。四十六年度予算編成にあたっては、国鉄再建計画の修正については何らの報告もないままに、実は抜本的な改革案というようなものが、大臣運輸省考え方として紙上報道されておるわけであります。私は、運輸委員会においてあの再建計画の矛盾を指摘いたしまして、こんなもの再建計画にならないということを言ったわけでありますから、大臣が就任されて、いち早く烱眼をもってこのことを見破られて、そういう方向をとられることについて、私は異論があるわけではございません。それは当然そうされなければこの再建計画というものは全くゆがんでいる、こういうふうに申し上げているわけであります。  そこで、そういうすばらしい政治的能力といいますか、重みを持っておられる大臣にしては、今度は受け取れないことが一つあるわけであります。それはどういうことかといいますと、私鉄運賃値上げについては、大臣から諮問されたと思うのですが、運輸審議会において一月以降検討せられて、結論を得て、保利官房長官閣議のあとで意向打診したところが、総理値上げはまかりならぬと言われた。こういうことになりますと、この一月以降半年以上もかかって審議をした審議会結論は、もうちり紙ほどの価値もなくけ飛ばされてしまった。運輸審議会というものは、一体何が何だかわけがわからなくなる。こうなってくると、橋本運輸大臣というのは、力があるんだかないんだか、どっちを向いて何をしようとしておるのか、さっぱりわからない。たよりがあるんだかないんだかわからなくなってくる。そこで、この二つの相矛盾する形を、大臣責任においてどういうふうに考えておられるか。審議会というのは単なる隠れみので、そこを通せばいいのだ、総理から一喝食らえばだめなのか、こういう性格のものなのか。また広範な国民の意見を聞いて、公聴会までやって、審議会検討したような国鉄再建計画というものは、大臣がかわればこれまた一片のほごになるのか。片方では運輸大臣能力はすばらしいと思うが、片方にいってみれば、総理の一喝を食えば全くちり紙のようになってしまう。一体、橋本運輸大臣というのは神さまなのか、化けものなのか、見当つかなくなってくる。この辺、大臣責任と権限とその識見、能力というものをどう判断したらいいのか、ひとつ明確にお答え願いたい、こう思います。
  9. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 井野委員の御質問、なかなかむずかしい御質問でありまして、私自身が、私が神さまであるかどうか判断せよと言われますが、これは第三者が判断する問題でありますから、これは井野さんのほうにおまかせしますが、国鉄再建要綱というものは、御承知のように閣議決定を見ておるわけでありますから、これをわれわれは無視しておるわけではありません。ただ、前国会皆さんとの間にこれを中心に論議したときにも、私もどうも歯切れの悪い答弁をせざるを得なかったというのは、この国鉄再建要綱なるものは、私の就任以前にすでに内容的には決定をいたしておったものであります。私はその決定されたものを受け取って、これを閣議に出さざるを得なかったというのは、御承知のように、予算の問題がこれにからんでおったわけでありますから、したがって、その際私がどうのこうのと言う余裕が実際的には与えられておらなかった。しかし、これでできるとは皆さんも十分に思っておられぬし、私自身も思っておらないから、なかなか国会答弁歯切れのいい答弁ができなかったわけであります。  ということは、二千六百キロの赤字線を廃止する。その赤字金額は百五十億である。ところが、国鉄赤字というものは、その何十倍という金額であります。であるから、百五十億円の赤字を解消したからそこで国鉄再建ができる――まあ、それだけではありませんけれども、それに幾つかの骨がありますが、そこに一つの問題がある。と同時に、いわゆる国鉄の――私は就任して以来いろいろ勉強してみましたが、問題の根本を探ることをわれわれは忘れておるのではないだろうか。要するに、現代における輸送体系は、かつての国鉄一本やり時代ではない。独占時代ではない。いわゆる数字で皆さんが御承知のとおりに、貨物輸送量を見ましても、国鉄シェアというものは三〇%前後である。そうしてトラックの負うシェアというものは、国鉄よりも現在のところ高い。その他が内航海運である。大ざっぱに言うならば、国鉄貨物輸送に対するシェアというものは、将来は別問題として、現在では三分の一程度をしょっておるにすぎない。であるから、数十年前の国鉄オンリー、いわゆる国鉄独占時代、すなわち、競争原理の働かなかった過去の時代と現在とは、全く社会機構が一変して、流通体系が一変しておる。それにこれから航空輸送というものが、旅客だけではなくして貨物においても考えられなければならない。また、最近のようにカーフェリー、これが発達してまいりますと、内航海運におけるシェアというものも、これは相当に評価をせざるを得ない。であるからして、交通流通体系というものは、まだ国鉄はある程度はもちろん重きを置かなくちゃなりませんけれども、国鉄及びトラック並びに内航海運、それに飛行機――貨物の点から考えましても、用具の点から考えましても、この四つのものがいかに組み合わせられて、いかなるシェアで進められるかということをまず根本に考えなければならぬ。  そこで、こういう将来の展望に立つ前において、国鉄がこれらのシェアの上から見、かつまた国の総合開発の点から考えて、国鉄の持つべき線、国鉄に持たせるべき線というものは、現在の二万キロに対してどれくらいを持つべきであるか、これが根本の問題であります。ことにここ十年この方、道路の改良が進んで、最近は御承知のような高速道路もできてまいった。今後二十年の将来を考えれば、いわゆる全国高速道路網も完成するでありましょう。あるいはそれ以外の重要なローカル線完全舗装ができてまいることも、これは火を見るよりも明らかであります。そうなりますと、そういうような陸上交通における点だけを考えましても、道路開発、あるいは内航海運の連絡的な役割り、こういうものと国鉄というものはどういう地位にあるのか。現在の二万キロを必要とするのか、それともあるいは一万キロがいいのか、一万五千キロがいいのか。もちろん、これは赤字とか黒字とかいうことは別問題にしてであります。私は、赤字とか黒字とかいうことを議論することは根本の間違いだ、そうじゃなくして、日本の二十年なり三十年なりの将来を考えた場合に、日本輸送体系における国鉄地位というものは、どこまでこれを考えるべきであるか、この点に立たなくちゃいかぬと思う。もしそういうような分析の上に従って、一万三千キロなり一万五千キロは国鉄責任において行なうべきものである、こういう観点に立つならば、二万キロでもけっこうですが、それをいかにすべきかという問題に入ってこなければならぬ。  ところが、どうも自分で出して皆さんの御了解を得たものをいろいろけなすのは好ましくありませんが、君子豹変すでありますから、お許しを願いたいのでありますが、この前の国鉄再建計画というものは、いわゆる基本的な線に立っておらない。単に赤字をとらえて、その赤字をどこへどうするかという点においても不十分である。であるから、その点の赤字黒字の問題は第二の問題にして、いま申し上げましたような前提に立って、国鉄が全国的には、新幹線を別にいたしまして、在来線はどのキロ数まで押えるべきであるか、こういう観点に立たなければ間違いであります。そういう点が不十分であった。したがって、皆さんからおしかりを受けるかもしらぬけれども、あやまちを正すにははばかるなかれ、自分自身でさようなことを申し上げるのはどうかと思いますけれども、お互いに国会議員として、われわれは国家行政を承る一員として、皆さん政治の上からこれを承っておる。そういう点については、過去のそうしたいきさつ等のことは一応たな上げにしてもらいまして、いかにしてこれから日本流通体系を整えていくか、ことに、いま焦点になっておる国鉄をして、どうすれば日本総合国土開発の中における主たる役割りをなさしめるべきか、それはどういうようなところにどうピリオドを打つべきか、こういう点を御検討を願い、われわれも一生懸命にやっております。いずれある程度の案ができますれば、皆さんにも運輸省並び国鉄考え方としてこれを提示させまして、御検討を願った上で、将来右顧左べんすることなく、動かされぬようなりっぱな根本案というものをつくりたい、かように念願をいたしておる次第でありまして、その点はまず御了承を願いたいと思います。  第二は、私鉄運賃に関する内閣総理大臣発言並びに私の行動でありますが、御承知のように、私鉄運賃につきましては、昭和四十三年の暮れから昭和四十四年の春にわたりまして、大手十四社から申請があったわけであります。法律的にいうならば、この申請があった場合、これを許可する許可しない、この問題は別といたしまして、当然運輸審議会にかけなければならぬ。したがって、前運輸大臣の原田君はこれを審議会にかけたのであります。その結果、現在慎重審議を進めておる。  問題は、二つ考え方があります。一つは、いわゆる企業としての私鉄運賃あるいはあり方、しかしながら、同時に公共事業性格を持っておる。公共事業性格を持っておるが、やはりこれは企業であるという点であります。国鉄や食管とは違って、いわゆる日の丸ではありませんだけに、そこにいろいろの問題、考えなければならぬ点があります。そのような場合において、私鉄が言うことがもっとも千万であると仮定いたしましても、しかし、国全体として物価政策を考える場合に、これをどういう形で解決をしていくか。いわゆる輸送力増強あるいは通勤通学の確保、こういうことを前提として、なおかつ物価政策の上から国はどういう処置をとるべきか。ただ頭から押えておっぽり出しておくわけにはいきません。そうなれば、やはり通勤通学輸送力増強もできなくなる。そのためには国が何をなすべきか。二つ方法があります。  一つは、私鉄といえども公共事業であるから、思い切った財政措置を講ずるか、あるいはもう一つは、あらゆる点を、合理化その他の点を考慮しながら、私企業であるから国の積極的な助成ということは好ましくないという前提に立つのであるなれば、それらの内部的な点検を十分に行なった上において、そこで最小限度料金値上げを考えるか、あるいは消極的ではあるけれども、開銀の資金をある程度増して、これをある程度押えた金額をプラスさせるような方法をとるか、こういう幾つかの問題があるわけであります。  私は、いろいろな点を考慮しつつ、せんだって総理最終案を示したわけではありません。ただ私の考え方を申し述べたのであります。それに対して総理からなお二、三の注意がありましたので、それらを加えて、いわゆる私鉄問題の最終的な処理に現在はかかっており、総理は頭からこれを押えておるわけではありません。私が考えて処理しようとしたものに対して、なお一、二のプラス点を考えてやってはどうであろうというような意味において、今日までそれらを進めておりますが、いま申しましたような基本的、根本的な、最初に申しましたような国の助成の問題は、いま急には間に合わない。のみならず、はたしていいかどうかの問題もありますから、これはさておき、第二の観点から現在関係者と折衝を続けさしておる。したがって、この問題はなるべく早い機会に解決していきたい、私はかように考えておる次第であります。
  10. 井野正揮

    井野委員 たいへん歯切れのいい答弁で、意を得たという気がするわけでありますが、まさに国鉄は、国家目的の上からいって、ある意味では過去の開発の先達をつとめ、今日撤収のやむなきに至っておるものもあるし、片方にそういうものがあるかといいますと、赤字覚悟でさらに開発の先駆としての建設を必要とする面があるわけであります。今日非常にやっかい者扱いされておるローカル線というものは、主としてそういう命題の積極的面消極的面の両面からくるマイナスをしょっておるのでありますから、これを国鉄経営怠慢の赤字原因にすることはまことに妥当ではないし、こういう点に対して国鉄当局が明確に国民に明らかにしなかった姿勢は間違いなんです。そして今日、国民の総反撃を受けて、与党の議員さんも先頭に立って赤字路線の廃止と戦っております。私は、この点について、大臣が明確にされた点はきわめて意義が深いので、まさにあの再建計画というものは根本的に誤っておる。しかも、人員整理をすれば国鉄はあたかも黒字になるような印象を与えるように一生懸命国民に宣伝している。これは大きな間違いであることを指摘しまして、ぜひとも、あの再建計画にこだわらない、国民生活の要望にこたえた国鉄の果たすべき使命について明確にして、国鉄財政の運営を考えるべきだろうと思います。この点は、大臣、まことに同感でございますので、今日国民の強い要望には前向きでこたえていただきたい、こう思います。  それにかんがみまして、この分厚い監査報告書、つぶさに読ましてもらいました。この中にこれは明確に示されておるわけです。特にこの一二ページの国庫負担等への肩がわりの項目に至っては、まさに今日の国鉄の歴史の中で、企業としてもし独立採算制を考えるのであれば、当然国鉄が負うべきでないものがたくさんあげられております。抽象的にあげられておりますから、これからまじき出される金額がどのくらいになるのかは明瞭ではありませんが、この点は、総裁のほうで数字をお出しになればすぐ出る問題だと思います。あわせて、国鉄労働組合がいっておる公安要員の問題なんかも、この中にまた加えらるべき要素の問題だと思います。  あわせて私は、昨年の七月の決算委員会で浅井委員が御指摘になっておられる、そしてこの監査報告にも出ております高架下の使用料の問題について、長浜理事ですか、これまたきわめて歯切れの悪い答弁をしておられる。ここに決算委員会の記録がございますので、これをごらんくだされば、もう当局がお答えになったことですから明確でありますが、この中で、国鉄は人手もないので十分やれないと述べておられる。人手がないと言っておきながら、首切りを一生懸命になっておられる。やはりこれは語るに落ちたことであって、国鉄要員の適正な運用ができてないという証拠なんで、監査報告には、かなり一生懸命やっておられるとは書いてございますけれども、実際は、膨大な鉄道用地、不用地の処理の問題あるいは高架下の利用問題等、非常に国民の指弾を受けておる問題です。私はきょうは四十分の限られた時間ですからやっておるひまがございませんので、ぜひこういう決算委員会のような歯切れの悪い答弁ではなしに、明確な内容を調査書として本委員会に出してもらいたい。そうしてお話しのように、契約においても、貸借契約のできるもの、無名契約をしなければならない余儀ない事情のあるもの等、区分をして、こういう国鉄財産から得られる収益性について、特に天下り人事によって別会社をつくり、国鉄一家と非難されるような運営のしかたのないように、国の所得に帰属すべきものについては、明確に国鉄の利益として収納できるように明らかにすべきだと思います。しかしながら、反面、今日の都市構造、道路交通上の進歩の中で、高架の上にさらに高架をやったり、地下鉄を掘ったりするような必要のあるところは、これまた皆さんの技術の上で予測されるわけでありますから、そういう点については、したがって料金も安いし、要求に応じていつでも撤収してもらわなければならないというようなことを明らかにして、区分別にきめて、また貸しのまた貸しのまた貸しになって、実際は、国鉄が収納している料金よりも利用者が使っている料金は十数倍に上がっているという例が、片っ端から名前をあげ七決算委員会で指摘されておる。もう当然、これだけの指摘があったならば、国鉄当局はこの明細をすみやかに掌握されて――理事が言っておられるように、たいへん複雑で、むずかしい問題で、東京から北海道までありますのでわかりませんなどということは、この財政再建計画の上からも言えないと思うのです。収入として見ている金額についても非常に少ないように思います。実態にも合ってないと思います。こういう点は、いま言ったように、国鉄の敷地を国鉄の目的に使うためにいつでも返してもらわなければならぬものの契約と、長期にわたってそういう必要のないものとの契約は、おのずから別だろうと思います。また貸しまた貸しなんということは、あってしかるべきものでもありませんし、特に再建計画の中で、ホテルやその他の関連事業まで経営することを意図されておる皆さん方としたら、最も単純な収益を得られるこの問題の処理能力がなくて、どうしてそういう関連事業をやることができますか。私は一番先にやらなければならぬ問題だろうと思います。試みに私も、この決算委員会の浅井委員の御質問当局の御答弁を詳細に読ましてもらいました。再建計画に示された気魄と全く別だ。どれを読んでみても納得できないものなんです。こういうことではなしに、この所管する委員会に明確な方針、現状、これを資料として出していただきたい、これは資料要求としていたしておきたいと思います。  大臣、そういうことでございますので、この再建計画を否定された立場における今後のいわゆる二万キロのうち、評論家が書いたこれがございます。この中によく書いてございます。委員会も時間があればこういうことを全部やればいいと思うのですが、なかなかできませんで、角本良平さんですか、この方がお書きになった中で、特に総裁に申し上げておきたいと思いますが、この三ページで一人当たりの生産性の問題が出されております。そしておたくの広報課長ですか、組合の中へ出しておるのも、それと同じことが書いてあります。新日鉄なら一千万円もあげるのに、国鉄は百九十万円しかあげない、こういうのですが、よく調べてごらんなさい。新日鉄は貨物輸送で特別の割引をやって利益を追求して、国鉄は採算が合わないようにしているじゃないですか。そして、保護を受けてもうけるだけもうけている産業と生産性だけを比べて、おまえらは時間の割りに生産性をあげていないんだというものの言い方は、情に欠けておりますよ。国鉄の職員は一生懸命にやっておるのですよ。むしろ、そういうように徹底的な国の保護を受けているのと、逆にその負担を背負わされている国鉄と並べて、生産性を比較するのはおかしいと思うのです。こういうところにも、国鉄労使の間に必要以上のみぞをつくっている原因があると私は思うのです。国鉄職員が言うことを聞かぬからうまくいかぬのだというような言いわけは、それは国鉄内部では言えても、国会に対して、国民に対しては言えないことだと思うのです。そういう点もっともっと姿勢を変えるべきだと思います。私は、資料の取り方が間違っている、こういうことを指摘したいと思うのです。そして、相互に信頼が生まれて、初めて国鉄の使命というものが大臣が言われるように明確にされて、国鉄は単なる独立採算の企業ということでは評価はできないのだ、国鉄はこういうふうにして苦労して、こういうように奉仕しているのだという点が明らかにならなければいかぬ。そして当然国が負うべき国庫負担については、堂々と胸を張って要求されるべきなのです。それをしないで、僻地の人たちから鉄道を取り上げる、無人駅にする、貨物は扱わない、こういうやり方自体が根本的に間違っていることを私は言いたい。  この角本さんの論文にしろ、この監査報告にしろ、橋本大臣のただいままでの、前のあやまちにこだわらないという姿勢といい、一致していると思いますが、国鉄当局としては、一体大臣を補佐する迫力があるかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  11. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 いろいろ各般にわたって御質問を賜わりましたが、一カ所いまの先生のお話の中で、その生産性の問題を取り上げましたのは、国鉄全体が斜陽だというふうな世論が非常にあるわけですが、そうじゃないので、たとえば新幹線ならば一人当たり千八百万円収益をあげている。というのは、日本のトップレベルの企業なのです。しかし、国鉄としては一人当たり二百万円しかあげてない。これは最低のレベルだ。したがって、鉄道の中でも、これから伸びるものと、もう世の中から見捨てられた面と二つがあるのだ、鉄道全体がだめじゃないのだという意味の生産性を書いたのでありまして、その点は、これをごらんくださいますと、きちっと新幹線の生産性を書き、したがって、今後国鉄が生きる道というのはそういう長距離輸送にあるのだということでそれを出したので、そういう点、誤解がないようにお願いしたいと思います。  それから、先ほど大臣のおっしゃいましたことにつきましては、私はもちろん大臣のおっしゃいますとおりでございます。ただ、私どもその再建計画をつくりまして、私ももちろん最高責任者の一人でございます。今日まで非常に大きく計画と実施が変わったということにつきましては、私は非常に責任を感じております。ただ、その中で私の申し上げたいことは、いま国鉄経営している二万キロ全体をどんぶり勘定にして、全体として斜陽だとか、あるいはよくないのだ、こういう議論はもうすでに成り立たない。すなわち、国鉄シェアがすでに全体の二割なり三割に落ちてしまった。そのときに、やはりもう鉄道としての使命は終わったのです。そのときは当然これは新しい交通機関に変わるべきだと思います。再来年がちょうど百年であります。百年たてばやはり歴史は変わるということを考えなければいけないと思います。そういう意味で、私どもといたしましては、大臣が先ほどおっしゃったとおり、将来国鉄が鉄道事業として発展していく面と、それからもう鉄道事業でなくていい面と、この二つについて、はっきり考え方を改めるべきであるということが根本問題だというふうに考えます。
  12. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 総裁の言うことにつけ加える必要はありませんけれども、誤解があるといけませんから……。  この前のいわゆる再建計画、これを否定し去って、そして新しいものをつくるというものの考え方でなく、結論をつけますけれども、いま一応考えつつあるのは修正案である。まあ国鉄総裁も非常に苦労してつくられたものであって、その努力を私は非常に高く買っておりますから、それらを十分に勘案しつつ修正案をも検討中である、かように御理解を願いたいと思います。
  13. 井野正揮

    井野委員 まあ時間がなくなりますから、この問題はこの程度でおきますけれども、必ずしも総裁のおっしゃったことをそのとおり――あの職員に対する教育宣伝文書はそうなっておりませんから、そうは受け取るわけにいきませんが、意図はわかりました。大臣根本的修正は、修正と言わぬで、これは改革になるわけですから、それを議論しようとは思いませんが、果たしてきた役割とこれから果たさなければならぬ役割が、同じ地域で矛盾を重ねながら進んできておる現状から見て、国鉄として、国鉄がもう仕事を捨てるわけじゃなくて、国鉄がマイナスを承知で背負っていかなければならぬ仕事、これらについては国庫負担をすべき合理性があるのだと私は言っておるので、そういう点お間違えのないように根本的修正をひとつやっていただきたいと思います。  それから、国鉄のほうはこれでけっこうでございますが、次に、私鉄のほうについて、ひとつこれはたいへんむずかしい問題だと思いますのでお聞きします。  昭和四十五年八月十七日に、岡山市の中鉄バス株式会社の取締役社長藤田正藏さんから広島陸運局長の菅川さんに対して、自分の会社の路線が争議のために解決をしなくて一部の運行しかできないので、できれば他の会社にかわって運行してもらいたいという要請書が出ております。これは私は、この事業の認可制にかんがみても、あるいは公共性から見ても、また今日までこの会社に起こっておる争議の実態、労働委員会の仲裁勧告等の経過から見ても、みずから自分責任を放棄するものであり、むしろ認可を受けて独占的になっている路線を、百日をこえて不便を与えておきながら、一つには自分の従業員との感情的なもの、一つには意地、こういうようなことから、全く公共的責任を放棄した姿勢だと言いたいわけなんです。しかしながら、こういうようなことに対して、一体、運輸省はどういう姿勢で指導し、認可を受けたたてまえを忘れて使命放棄をするというようなこの会社運営のあり方について――これはもちろん社会労働委員会のほうでは、理事会に社長を呼んで所見を聞くそうでございますが、中心的にこの業務を所管するのは運輸省でありますから、単なる労働問題としてではなしに、公営企業のあり方としてどういう指導理念をお持ちになって指導されておるのか、この機会にひとつ承りたいと思います。
  14. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 中鉄バスの争議が長期にわたっておることは、まことに遺憾に存じます。運輸省といたしましても、何とか一日も早く、公共機関でありますから、これが解決を願って、局長その他県当局とも十分な連絡をはかってやっておる次第でありますが、具体的なこまかい事情については、自動車局長から答弁いたします。
  15. 野村一彦

    ○野村説明員 中鉄バスの争議につきましては、ただいま井野先生の御指摘のように、非常に長期間にわたっておりまして、私どもも住民の足の確保という見地から非常に苦慮いたしておるのでございますが、まあ労働問題でございますし、私ども運輸当局がこれに介入することも好ましくありませんので、労働問題としては、県の労働委員会のごあっせんに、いろいろまだ結論は出ておりませんけれども、期待しております。  ただ、住民の足の確保という点につきましては、私どもいろいろ現地の局と連絡をいたしまして、情勢の把握につとめておりますが、そのことに関連しまして、いま先生の御発言のように、他社による運行ということを広島の陸運局長に中鉄バス会社から申請があったことは、私ども報告を受けております。私どもとしましては、現在争議中のことでございますので、あくまでもその会社が争議を解決して、そして住民の足を一日も早く解決するということが主眼であって、他の会社がそこに入ってくるということは、運輸政策の面から見ても好ましいとは考えておりませんので、あくまでも会社が争議を早く解決をして、自分の会社の手で足の確保をはかる、こういうふうにやるように現地の局を通じて指導いたしております。
  16. 井野正揮

    井野委員 もちろん、労働争議の問題については、主管する委員会でもありませんから、私ども言及して論議をしようとは思いませんけれども、先ほども大臣が、私鉄運賃値上げについて、私鉄経営の内容、実態を理解しながらも、広範な国民生活に及ぼす物価問題等を考えて、場合によっては国の財政てこ入れあるいは一時援助、こういうことを考えてみても、一つには企業経営を助けながら、一つにはまた従業員の生活、健康状態を確保しながら、この公共目的を達成させるために、政府自体も、運輸省として特にこの点に心を及ぼして検討し、苦慮しておるところだという、まことにいい御答弁があったのですが、国民、政府もあげてこれだけ私鉄の運用の円滑について配慮している。しかも、すでに中国地方における他社の賃上げは全部出ておるわけです。必ずしも中鉄が高いわけじゃない。むしろ低いわけです。経営内容等についても、必ずしも赤字だという性格のものでもないようであります。そうなってまいりますと、二つの組合が出て、他の組合が最もみじめな状態で妥結をした。これを越えて社会的、一般的条件を与えることがこれに悪い影響があるかどうかということが一つの理由と、もう一つは、感情的な面が露骨に出て、公平な労働委員会等の勧告もはねつける、あるいは県は職権あっせんをも積極的に行なわない、こういう姿勢の中で、はたしてこれは免許者として適任なのかどうなのか、非常な問題が出てくるわけであります。こういう点等、いま一そう積極的な強い姿勢で、バスの公共性というもの、社会性というものについて――私は、この他社の乗り入れを要請するという申請すら、みずからの免許を申請したときの姿勢とは全く異なると思うのです。反社会性があると思うのです。こういう点について、国家的な広い視野からの非難があることも十分伝えてもらって、この手段としては、岡山県の労働委員会の職権あっせん、これが実現できるように、県知事等とも十分な話し合いをしていただきたいと思うのです。これは労働問題で、ひとの所管だからといって運輸省が手をこまねいておることは、これまた責任上私は許されないと思うのです。この点強く要望しておきたいと思います。
  17. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生のお話の点につきまして、私も社長と会いまして、よく実情を聞きました。その際に、まだ最終的な会社の委員会に対する返答も出ておりませんでしたけれども、あくまでも免許を受けたバス事業者として自分の会社の路線をできるだけ維持していくように、そしてまた、労働問題については十分誠意をもって県のあっせんに応じて解決をするようにという強い要請をしておきました。したがいまして、いま先生のお話のような、他社の免許に期待をするというようなことは、私どもも考えておりませんし、社長もよく私どもの話はわかったものと、その時点において考えております。いま先生のお話のように、私どもも地元の陸運局、また県の知事、そういう方々と連絡をとりながら、すみやかに解決をして正常な運行が回復されるように、さらに力を入れていきたいと思います。
  18. 井野正揮

    井野委員 お聞きのとおりでありますので、委員会はまた十月まで開かれぬわけでありますから、この点は委員長においても十分周知をしていただきまして、もしこの争議がなお十月にも及び、地方の人がバス利用の上で大きな支障があるようなときには、本委員会としても重大な関心を払うべきだろうと考えますので、そういうような場合には、理事会等で十分御相談を願いまして、この中鉄バスの社長の本委員会への出席を要請するような方法等についても、私鉄バスがその社会的使命を十分達成されるような御配慮を期待いたしまして、この問題を打ち切りたいと思います。  次に、航空局長にお尋ねをいたします。  前回の委員会で羽田の運航状態についての資料を要請いたしましたところ、きわめてわかりやすい、しろうとわかりのする資料をお出し願ったことは、その労を多としたいと思います。  それにつけても、この表を見ますと、私が乗ったのが八月七日で、実に四百八十七便という、平常な運航よりは二十七便もよけい運航している日に乗ったわけでありますから、実際は十時三十分をこえて十二時近くになり、しかもまた、一機当たりの間の時間もきわめて危険なものであり、しろうと目にもこれではたいへんだということを感じて質問した次第です。ところが、旬日を出ずして、航空当局は三会社に対して適切な指示をされました。約二十数便を減らして四百六十便に制限をされたことは、まことに適切な措置であり、委員会等の論議が直ちに行政に反映するという点については、これもまた高く評価をいたしたいと思います。   〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕  しかし、ほめてばかりおれないので、言わなければ、安全度を越えて一触即発、たいへん危険なところまでいっておったという点については、まことにいつもこういうことでは困るという気がするわけであります。  もう一つ。そこで、私が心配をしたように、すでに航空会社の間では、便を減らすのであれば、需要が大きいのだから大型化せにゃならぬ。大型化するということになると、今度また飛行場の装備その他と矛盾が出てくる。あるいは東南アジアその他の近距離の外国航路の問題も予定をされて、すでに中には、現在の航空会社の収益でもって大型の飛行機の契約をして、前金を出しておるというようなことも出てきておる。こういうような実態について知らぬというような話でございましたけれども、そういうことは事実進んでおるようであります。あるいは局長さんの下のほうでは知っておるのかもしれませんが、前の手塚局長が、この問題が出ましたときに、ここでたしか加藤委員の御質問にお答えになったのだったかと思いますが、手まねをしてこういうふうに手を広げられたのです。大きい飛行機は高く上がらなければなりませんので、上がってすぐおりるようなことでは採算がとれないので、考えてはいないという御答弁であったので、そうかなと思っておった。ところが、国会ではそういう御答弁をなさって、実は会社のほうではもう大型契約をして機種を選んでおる。これではどうも国会の論議というのはあやしいものになるわけでありますから、したがって、将来便数をさらに減らして、たとえば東京-千歳、東京-福岡というような国内長距離で大型化の問題があるとするならば、これは早急に委員会にもお示しになるべきだろうし、その前の飛行場の整備計画等はどうなるのか。特に問題なのは、最近ローカルの飛行場が整備されて、どんどん便がふえてきておるのでありますけれども、今度は安全確保の要員のほうです。これが実態を調べてみますと、至るところで法律、規則に違反する無資格の者が扱っておるという実例がございます。今度は私はこの点について触れて、客飛行場の配置すべき要員と、その資格不足人員に対する養成及び補充等に対する当局考え方、計画をひとつお示し願いたいと思います。いまここで、こういうことをやっておるのはけしからぬということを言おうとは思いません。言えば、まいりました、困っておるのですということになりますから、これは事実そういうことですから、そういう事態を解消するためにどういう方法をとっておられるか。現在はどういう状況にあるか。これはさしたる多くの飛行場でもございませんので、全体の要員と計画を明らかにしてほしいと思います。  またもう一つ。これで終わります。過般航空会社に対して示された当局の要請に対して、各社がどういう姿勢でこたえたか、新聞では読んでおりますが、その後修正があったのじゃないかと思いますが、この点も文書でひとつ御提出を願いたいと思います。そのほうがあとあと検討するのに都合がよろしゅうございますから、そういうふうにお願いしておきます。以上です。
  19. 内村信行

    ○内村説明員 お尋ねの点が四点ばかりあるかと存じます。  まず第一は、機材の大型化の問題でございますけれども、これにつきましては、私、先般、私なりに思いましたのは、国際線の準備をしているのじゃないかというふうなことで受け取りまして、そういうことは必ずしも現段階ではないがというふうにお答えしたかと思います。  ただ、国内線における大型化の問題は当然あるわけでございまして、先般来大臣からもしばしば申し上げておるかと在れますけれども、国内需要というものは非常にふえてまいりました。にもかかわらず、一方、羽田あるいは関西の大阪空港のキャパシティーというものはそうそう急速にふえるものじゃない。したがいまして、どうしても機材を大型化してそれによって人を運んでまいりませんと需要が消化できないというふうなことから、当然将来は国内線におきまして大型化すべき趨勢にあるわけでございまして、それに対しまして国内の航空会社も、それぞれの見地からそういう機材の選定を考えているところに進んでいるというのが現状でございます。  もう一つ、それに関連いたしまして地方空港の問題でございますけれども、機材が大型化しても地方空港が整備されなければだめじゃないか、お説のとおりでございます。したがいまして、私ども、これはまだ最終決定を見ておりませんけれども、第二次の空港整備五カ年計画をつくりまして、それによりまして地方空港の拡張整備あるいは東京、大阪における空港の整備というふうなことを考えてまいりたいというふうに考えております。  その際に、需要の多いところは――現在の幹線空港は三千メートルぐらいの滑走路がございます。これについては、当然エアバス、ジャンボぐらいは着けます。そのほかに、地方空港におきましても需要の多いところにつきましては、二千五百メートルぐらいの滑走路が必要になります。そういたしますと、それによってエアバスが着けますので、相当需要が消化できる。その他のところについても、原則として二千メートルくらいの距離に延ばしまして、それによって消化をはかってまいりたいというふうな感じでございます。ただ、需要がそこまで伸びておらない、あるいは物理的に不可能だ、そういうところは、千五百メートルぐらいの距離に延ばす、こういった計画で空港整備計画を進めてまいりまして、大量輸送、高速輸送を可能ならしめたいというような大ざっぱな考え方でございます。  次に、要員の問題でございますけれども、特に航空局といたしまして常に悩んでおりますのは要員の問題でございます。御承知のとおり、国の行政というものにおきましては、やはり定員削減であるとかいうふうな至上命令がございまして、その中で定員をふやしていくことはなかなか容易なことではございません。しかし、私どもといたしましては、航空行政の中の一番重要な問題として、要員の確保ということを考えているわけでございます。したがいまして、来年度につきましては、要員についても七百名ぐらい、それはちょっとオーバーしますかと思いますが、はっきり数字は申し上げられませんが、そのくらいの定員を要求いたしまして、各地方現場それぞれの業務の充実をはかってまいりたいというふうに考えております。特に、管制でございますとか、無線でございますとか、通信でございますとか、そういった現業部門を持っておりますので、それに対してやはりある程度の研修をしてまいりませんと、実際に使える要員が充足できないという状況がございますので、来年度におきましては、研修所、これを保安大学というものに名称を改称すると同時に、その内容についてさらに定員の拡充等を要求しておるというふうなことが大体の概況でございます。  最後に、先般減便の協力を要請をいたしました際、航空会社がどういう態度をとったかということでございますが、私の知る限りにおきましては、これは非常に協力してくれたと思っております。新聞紙上その他でいろいろな記事も見受けましたけれども、直接私が会って、お話し申し上げた段階におきましては、協力していただいたというふうに考えております。と申しますのは、もちろん、本来、長期的なビジョンがなかったではないか、したがいまして、どろなわ的なことでは困る、こういう事態が予想されたら、なぜ早くしてもらえないか、もちろんそういう意見を承りました。それはそのとおりでございます。  しかし、それはそれといたしまして、緊急にいまの段階でやり得ることはこれしかないということで、十分御了解いただき、それによって御納得いただいた上で協力していただいた。  その点と、文書で出すということはどういうことにいたしますか――こういうふうな状況でございます。
  20. 井野正揮

    井野委員 文書で出せといいましても、要求された内容と、実際にいまお話しのように、新聞にはああいうことが出たけれども、実は言ったとおり全部やってくれた、こういうことであれば、これこれ要求して、これこれ実施したでけっこうです。
  21. 内村信行

    ○内村説明員 それでは、こちらからはこういう要求をし、結果としてこうだったということを資料としてお出しいたします。
  22. 井野正揮

    井野委員 それから要員の点ですが、要員の配置しなければならない基準と、現員と、資格と――資格のない者が行っていることも間違いのないところですから、したがって、これらを急速に充足しないと、当局としても責任を負ったようで負えないのだというようなことになろうと思いますから、これもやはり国民世論によって、一般的定員の削減にかかわらず、この面はさらに必要な命を保全する面ですから、そういう意味で十分納得させるものにしたい、こういう意味です。
  23. 内村信行

    ○内村説明員 要員充足の基準と申しますか、そういうことを中心にしてお出しいたします。
  24. 宇田國榮

    宇田委員長代理 田中昭二君。
  25. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 佐藤内閣は、国政の基本の中で人命尊重ということもうたわれておりますが、最近の状態をながめてみますと、たいへん人命尊重といいますか、人間尊重といいますか、そういうものが裏目裏目に出ているような感じもするわけであります。そこで、きょうは、時間もたいへん少ないようでございますが、大臣もお見えになっておりますが、大臣への質問は一番最後に回しまして、まとめて佐藤内閣の閣僚の一員として責任ある答弁をいただくことをまずお願いしておきたいと思います。  といいますことは、自動車の排出ガスによる大気の汚染の問題でございますが、交通量の増大に伴いまして、年々その被害は大きくなっておる。いまや交通事故問題と並んで最大の課題となって、対策に取り組んでおる状況と思います。この自動車排出ガス公害問題については、閣議でのいろいろな話し合い、決定等もありますので、その問題をもとにしましてただいまからお尋ねするわけでございます。関係の方から明瞭にお答え願いたいと思います。  まず、この排出ガスにつきましては、その発生量の調査を全国的に行なって、すみやかにそのデータを出し、現状を認識した上で対策を立てていくべきであると思いますが、そこで、一酸化炭素による大気汚染の状況の把握をお答え願いたいと思います。
  26. 野村一彦

    ○野村説明員 大気汚染の状況について一般的に申し上げますと、数年前から大気汚染の状況が非常に激しくなってきておることは御指摘のとおりでございます。そこで、私どもとしましては、各省と相談をして、それぞれの省の分担に応じましてやっておりまして、いわゆる現実の環境の汚染の状況ということにつきましては、中央では厚生省が中心になり、各都道府県がその測定の任に当たっておられます。  したがいまして、私どもが現在認識しております状況を申し上げますと、これは昭和四十三年の数値でございますが、まず一酸化炭素におきましては、東京都の状況を申し上げますと五・一PPM、窒素酸化物におきましては〇・〇三PPM、硫黄酸化物は〇・〇六二PPM、浮遊粉じんは〇・二八九PPMということで、この中で一酸化炭素による汚染は一番ひどいという状態を把握しております。
  27. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大気汚染における自動車の排出ガスの占める割合はどのようになっておりますか。
  28. 野村一彦

    ○野村説明員 東京都の例について申し上げますと、一酸化炭素について申し上げますと、自動車がほとんど九九・七%という最高のパーセンテージを示しております。
  29. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 お聞きのとおり、一酸化炭素、これが重大な問題でありますが、そのほか、炭化水素というものも自動車による排出にほとんど占められておる。この割合からいけば、一酸化炭素並びに炭化水素、CHの汚染防止についても、運輸省が率先して責任ある対策を講じていかなければならないと思います。また係のほうでお聞きしますと、自動車の出します一酸化炭素については、運輸省責任を持って率先して対策を講ずるというふうに聞いております。そのように理解してよろしいかどうか、お尋ねしたいと思います。
  30. 野村一彦

    ○野村説明員 一酸化炭素の規制につきましては、もちろん運輸省だけの力ではできませんが、直接自動車の検査及び型式指定という業務を担当しております運輸省といたしましては、その観点からいろいろと取り組んでおりまして、ただいま先生の御指摘のように、一酸化炭素につきましては、いままでパーセンテージをもって新車の規制をいたしておりましたが、今度はいわゆる使用過程車につきましても、アイドリング時の規制値をきめるというようなことをすでに省令できめて実施しておりますし、そういう手を、私どもの責任で規制値をきめてやろうということを実施いたしております。
  31. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、いまお聞きのとおり、一酸化炭素は全部自動車が出すのだ、そのことについて運輸省責任を持ってやらなければならないという姿勢にあることは、私は認めます。  そこで、一酸化炭素の規制でございますが、軽自動車及びLPG自動車につきましては、規制がいままでなかった。しかし、今後規制していきたいというような計画があると聞いておりますが、これらの車も有害ガスを出すことに間違いない。であるから、直ちにこれも規制すべきであると思いますが、その実施等についていままでよりも早める考え方はないのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  32. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生の御質問のように、私ども省令をもって規制値をきめておりますが、特に最近の状況にかんがみまして、大臣からこれはできるだけ早く措置するようにという御指示がございましたので、省令そのものは改正いたしておりませんが、行政指導でもって早急に、たとえば来年の一月にやります分については十二月の上旬、十日前後までにはやるようにということを指導いたしております。
  33. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、専門的に、閣議のときにお話のあった項目について申し上げますから、もう少しお聞きください。  現在の排出規制の方法は、最大値によっての規制だけでございますが、これは平均値による規制でなければいけない、そういうことをひとつやるべきであるということがいわれておりますが、これについてどうお考えになっておりますか。
  34. 野村一彦

    ○野村説明員 おっしゃるように、平均値の規制ということはアメリカ等でやっておりますし、私どももその方向で進めるのが最も合理的であると考えております。ただ、それと並行いたしまして、将来は重量規制に移行するという考え方もございますので、平均値の規制ということができれば、私どもはそれをとるのがいいと思いますが、その点につきましては、まだ現段階におきまして技術的に結論は残念ながら得ておりません。
  35. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ずっとありますから、私の言うたことだけ答えてください。  現在は濃度規制のみで、これだけでいきますと、ますます汚染がひどくなる。そこで、重量規制を行なわなければならない。ところが、この測定器の開発についてはまだ十分でない。しかし、汚染される事実は待たない。すみやかに重量規制にすべきであると思います。この重量規制にする移行の時期でございますが、どのようになっておりますか。また、重量規制に伴う研究開発に対する考え方があると聞きましたが、その移行するための予算措置等はどのようになっておりますか、簡単に御説明願いたいと思います。
  36. 野村一彦

    ○野村説明員 重量規制に移行する時期につきましては、私どもとしては現在検討中でございますが、おおむね四十六年度内にはそれが実施できるように取り運びたいと考えております。そしてこれを専門的に研究いたします機関といたしましては、ことしの七月一日から交通安全公害研究所という研究機関が幸いに独立を認められましたので、ここでやっておりますが、この予算というものは非常に少のうございますので、四十六年度からはこれの陣容の充実と予算の増額ということの要求をしたいと考えております。
  37. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 ただいままでの規制はおもに新車であります。問題は、中古車が現実にたくさんのガスを出しておる。その中古車といいますか、使用過程車といいますか、その使用過程車につきましては、アイドリング時の一酸化炭素の濃度の検査を実施して、そして三カ月で全車両の点検整備を行なうというようなことがきまっておるのです。ところが、この点検整備の受け入れ体制は一体十分にあるのでしょうかどうでしょうか。準備体制がないのに全部やってしまうというようなことは、私は冒険であると思いますが、この点についてのお答えをお願いしたいと思います。
  38. 野村一彦

    ○野村説明員 受け入れ体制ということでございますが、いわゆる使用過程車につきましては、国の車検場において検査をすることと、それから民間の指定整備事業で検査をするということでございまして、一応の器具及び人員というものは、官民合わせれば、十分満足すべき点にはいきませんけれども、一応まとまっておると思います。ただ、指定整備事業以外の工場もございますし、これを常時チェックするという体制についてはさらに強化しなければならないと考えます。
  39. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この点については大臣、大事な問題でございます。現在ガスを出しておるのを検査をして一定以下にしよう、こういう準備体制の内容については何もお話がなかった。聞くところによりますと、五万八千ぐらいの指定工場があるそうでございますが、その五万八千の中に、そういう測定検査等ができる工場はごくわずかなんです。そのごくわずかなもので一千万台にものぼる検査対象の車をするということについては、こまかい検討をなされていない。このように行政というものが、ただやります、やろうと思っておりますというようなことでは、汚染はなくならないのであります。こういう点についてはもう少し、私のほうでも調べた資料もございますけれども、時間がございませんから、その内容は後ほど文書でお答え願いたいと思います。  次に、一酸化炭素の規制のしかたでございますが、規制値の出し方において、国と東京都ではその数値が違っておる、こういうことが新聞紙上でも騒がれておりますが、この違ったことにつきましての弁明をお願いしたいと思います。
  40. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま御指摘のように、一酸化炭素の規制値が国と東京都で違うということでございますが、これはこういうふうに御理解いただきたいと思います。私どもが国といたしまして、たとえば使用過程車の規制値を五・五というふうにきめておりますのは、これは道路運送車両法に基づく省令でもって、国が法令で強制をする許容限度ぎりぎりのパーセンテージでございます。つまり、これ以上の排出ガスを出すものについてはその使用をとどめるという強制力を持った数値でございまして、これが決定をされたわけでございます。それから、その間もちろん東京都とはいろいろ事務的にも連絡をしてやってきたわけでございますが、東京都では御承知のようにこれを五・〇ということできめておられます。これは東京都の条例できめられたことでございますけれども、私どもから考えますと、法的にはこれは一つのいわば勧告基準でございまして、国として法令をもってこの違反を処分するという強制力のある基準ではない。そういう意味で、国として法令の強制力をもってやりますぎりぎりの線は五・五%である。もちろん、それが五・〇%になることのほうが好ましいことは当然でございますが、それは現在の技術的な検討の結果は、国が法制の強制力をもって拘束するものではない、こういう勧告基準として私どもは考えております。
  41. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣お聞きのとおり、国の法律は強制力がある。そういう強制力をどんなにつくってみても、実際の汚染、いわゆる人体の健康を害するというガスはなくならないのです。そういう条例で勧告すべきであるというようなことを言っている段階では、まだまだ国の姿勢は率先してやっているといえないじゃないか、こういう点を指摘しておきます。  また、昨日ですか、一昨日ですか、東京都が公害防止条例の改正を発表しました。その中で、自動車の販売店と整備工場の測定義務ということで、自動車販売店と整備工場に公害測定器を設置し、検査を義務づける、そして販売店には立ち入り調査権を規定して、検査の結果の報告義務を課する、そのような内容になっておる。ところが、いまの御答弁のとおり、国にはそういう姿勢がうかがわれない。これを見ると、国の規定のほうがシビアでなければならない。全国で一番公害が進んでいる東京都であるからこのような姿勢になったのであろうと思いますが、国としては、問題が一番深刻なところを基準に、東京都がどんどん進めているように、より積極的に法の改正を行なっていくべき状態がきていると思いますが、これについてどのように考えておりますか。これは簡単ですから、大臣から一言お答え願いたいと思います。
  42. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 公害問題、特に大気汚染の主犯人は自動車でありますから、これに対していわゆるきびしい基準を設けるということが一つの姿勢として当然であります。先ほど局長からお答えいたしましたことは、当時の状況として、罰則を加える点はやはりこの辺が平均値であろうというところから、さようなことがきめられたのではありますけれども、将来この公害問題に対してはやはり思い切った姿勢をとらぬと、これはなかなか解決がつかない。あるいはそれがある程度企業に影響を与えましょうが、あるいは使用者に不便を与えることがあっても、全体の環境をよくするというたてまえでは、やはり相当きびしい基準のもとにやっていく。こういう意味において、一応都のほうが環境基準として五・〇に押えたということも一つ方法であろうと思います。ただ、平均値を押えるだけではもちろんこれはなかなかむずかしいのでありますからして、重量規制といいますか、そういうような意味で、やはりもっと大手からめ手からこの問題は今後ともやっていくという強い姿勢で臨んでまいりたい。結果的にはもちろんこれは無公害車を開発していくということも大きな重点を置かなくてはならぬと思いますが、それはそういったところで急に間に合いませんから、これは現在の大気汚染の犯人をいかにして捕縛するかというところに主力を置いて、今後ともやってまいりたい、かように考えております。
  43. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 時間がないから詳しくは入れないのですが、いま大臣がお答えになりましたけれども、これと関連しまして、前回の委員会の確認、並びに大臣のおっしゃった意味がどのように具体化しているかということをお聞きしたいのですが、前回の委員会で、大臣は、この排気ガスの問題等につきましてこのように答えておられます。ずっと前文を省略しますが、いわゆる光化学スモッグの関係のところで、最後に大臣は、気象庁を中心に大気汚染の監視センター、あらゆる機械の装置を行ない、光化学スモッグの発見に対してより的確な数値で予報を行ないたいと考える、今日大気汚染の中で国民生活が疎外されている、これをひとつできるだけ早期に最小限度に食いとめる、現状把握も必要であろう、そしてここが大事ですが、「この予報の手段によって公害対策は必ず実現できる、」こう大臣は前回の委員会でおっしゃっておる。実現できると信じている、このような答弁をされたが、それでは気象庁を中心としてその予報関係について公害対策が実現できるということについての、その後実施されたことについて、気象庁長官のほうからお答え願って、大臣のお答えを願いたいと思います。予報ができるのかできないのか、簡単に言ってください。
  44. 吉武素二

    ○吉武説明員 気象庁といたしましては、この大気汚染対策という問題については、いままでも都道府県知事と緊密な連絡を保ちながら、より有効な気象情報が提供できるようつとめてまいりました。やはりあくまでも私たちは気象という立場で都道府県知事に協力していきたい。しかし、いろいろな問題がそこにはございます。特に低層における気象の観測をいかにすべきか、あるいはその低層の気象状態というものを予報する場合にはどうすべきかということについては、まだまだ未解決な面が多分にあります。しかし、私たちはこの問題について前向きに取り組んでいきたい。特に来年度からは東京、大阪、名古屋、福岡に大気汚染のための気象センターを設けまして、関東またはその付近の担当官署の職員も充実して、大いに前向きで取り組んでいきたいと考えております。
  45. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま気象庁長官が来年度予算のことに関連して申し上げましたが、一昨日の閣議におきまして、いわゆる緊急措置として大気汚染に対して各関係省が積極的にやろうということで、気象庁におきましても十分な予算がありませんから、本格的なことは来年になりましょうけれども、監視センター式のシステムをとりあえず持ちまして、中高層及び上層を検索して、御承知のように、オキシダントというものは、下の一酸化炭素及び天候といいますか、お天気のぐあいによって光化学が発生するわけですから、そういう点に対する上層気流の調査といいますか、大気の状況を一刻も早く都道府県のほうに連絡をとって、そして都道府県が大気危機の状態を予報するということに対する最善の措置に協力しよう、こういう方針を一昨日の閣議決定したわけであります。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕 それに従って気象庁といたしましても、いまの人数の中で、とりあえずやむを得ませんから、それによっていわゆる措置をするということによって、われわれはそうしたオキシダントの発生に対する予想というものは予測ができる、かように考えております。ただ問題は、そういう予報以上に自動車が中に入ってきて、そして地上における大気汚染がこれ以上になればオキシダントが発生するぞ、こういう予報を出した場合におきましても、地上における一般の自動車使用の協力がないとこれはできないわけです。予報しましたけれども、いや、そんなこと言ったってしようがない、おれは通るといって、車がいままでどおりに入ってくればしようがない。そういう意味においては、やはり大気汚染は国なり都道府県が十分に協力しなければならぬ問題ではありますが、同時に、国民一般がこれに協力してもらわなければならない。こういう場合においてはしばらくの間車を使うことは注意する。もちろん、これは都なり公安委員会なりからそれに対する注意が出されるわけではありますけれども、これを守ってもらわないとできないわけではありますが、運輸省として、気象庁といたしましては、このような意味でのいわゆる予報を行なうことに万全の措置を講じたい、かように考えております。
  46. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いま気象庁長官のほうも何も具体的なお話がない。前向きに少し人員をふやしてやりますというような、大臣もあなたまかせみたいな、国民に協力願うというようなことが最後にお話がありました。そういうことを一々取り上げるわけではありませんけれども、そういうことをおっしゃるのであれば、そういう協力体制とかそういうものも、はなはだおかしなことを運輸省はやっておるということをいまからひとつ問題にしていきたいと思います。  先ほど申し上げましたいわゆるガスの排出につきましては検査をする。八月一日から全国一斉に自動車の排出ガスのCO基準の規制が実施されております。それに伴い中古車の全部をチェックするという方針をきめて、いわゆる一酸化炭素のCOステッカー作戦をとっておるということを聞いております。このCOステッカー作戦とはどういう意味のことですか、お聞かせ願いたいと思います。
  47. 野村一彦

    ○野村説明員 自動車の検査場及び民間の指定整備工場におきまして検査をいたしまして、たとえば五・五というパーセンテージ以内であれば合格。合格したものについてはステッカーを張りまして、そして街頭で一斉検査といいますか、街頭を通行するときに検査をする場合には、そのステッカーを張ってある車は、すでに正規の検査がされて合格されたものとして検査を省略する、それの張っていないものについて街頭の検査をするというシステムでございます。
  48. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、ちょっと聞いておってもらいたい、質問は続行中ですから。あなたは、運輸省でああいうことをやって、そしてこういう規制をすることについては、いろいろ民間の協力もいただいてやる、こういう御発言があったのですが、途中の質問を省いて、大臣の時間もあるということで私はやっているわけです。  いま自動車局長から説明がありました。排出ガスを規制値以下にして、これはたいへんガスが少ない、検査合格しましたという車にはステッカーを張る、そしてステッカーを張ってない車については街頭等の規制も行ない、また整備工場に入れて検査をする、こういうシステムだという。そうしますと、このステッカーを張ってあるかないか、ステッカーというものが大事なものになってくる。  このステッカーが実際どのようにそれじゃ使用されておるかということについて、私申し上げてみたいと思います。このステッカーは、もう一回大臣にわかっていただくために申し上げますが、整備工場でCO、いわゆる一酸化炭素の数値が規制以下に合格したら、点検済みのステッカーを車の前面に張る。これは日本自動車整備振興会が中心になって、運輸省、警察庁が協力して行なっている。そこで、この点検済みのステッカーのない車については警察が街頭検査によって取り締まる。そしてその残りについては、整備工場での点検検査によってCOの規制が行なわれる。そうしますと、いま申し上げましたように、このステッカーは検査が済んだかどうかを証明する大事な証拠書類なんです。ところが、ここで問題なのは、このステッカーが検査の有無にかかわらず簡単にこのように手に入る。まだ私の部屋には何百枚とあります。簡単に手に入る。これが現物です。事もあろうに、このステッカーが整備工場やガソリンスタンド、そのほか至るところで、一枚二十円から二百円という価格で取引されておる。どういうことになりますか。そういう値段で売買をされているという事実を大体自動車局長大臣も知っておられますか。そういうことで、国民に害を及ぼすガスを排出する車が、ガスが少ない車とガスの多い車との区別なんかもこんなもので簡単にして、そしてこれが金で売買されている。そういうことになれば、だれでも買って張れるということなんです。現在このくらい公害についてやかましいときに、すべての人々が真剣になって考えておりますときに、いろいろのことをやっておる運輸省としては、このような形式的なでたらめなことを放置しておるとは、まことにけしからぬことだ。当局としてはどのような批判を受けてもしかたがないと思いますが、今後の指導体制と責任ある答弁をお願いしたいと思います。
  49. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 まことにけしからぬ話であります。あなた自身はどこからお持ちになったか知らぬけれども、あなた自身が持ってこられるということ自身も好ましくない。そうでしょう。(田中(昭)委員「そうです」と呼ぶ)もちろん私はそういうことを承知しておりません。また、さようなことが行なわれるということであるならば、いかなる法令をつくっても、いかなる指導をしても、これはできません。もっと人間が善意にならなければ、せっかく国が、あるいは皆さんが心配されて、そうしてかようなことをしましても、それがそのとおり行なわれないというような社会であるなれば、これはどうにもしかたがありません。しかし、しかたがないといって放置するわけにいきませんから、どういう経路であなた自身が持ってこられたか、あるいはその他においてそういうことが行なわれておるなれば、直ちにこれは警察庁に警告をいたします。そういうばかなことが行なわれておるということは、いま国をあげて、国民をあげて大気汚染を何とかして防止しよう、そして及ばずながらも運輸省にしても各関係省にしても、全精力をあげてやっておるにもかかわらず、それがそのとおり行なわれないのみならず、不正な手段によってそれが横行しておる、こういう事実は断じて許すわけにはいきませんから、私は直ちに私の責任において警察庁のほうにこの事情を調べさせます。これは運輸省とかそういう問題ではなく、われわれはそんなことをやってよろしいと言っているわけじゃないのですから、それをいわゆるわれわれの責任として追及せられるのもけっこうでありますけれども、そういう事態はお互い国民の協力で阻止しなければ、大気汚染あるいは公害問題の解決はできないのでありますから、もちろんわれわれは積極的にこの問題については直ちに適当な措置をとります。
  50. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 何かこのステッカーを持ってきた者が悪いような言い方はやあてもらいます。それじゃ大臣がこそっと町の整備工場に行ってこういうステッカーを――大臣は顔を知られておりますからどうかと思いますが、私はこのステッカーをことさら何かの裏の関係で手に入れたのじゃない。こういうことをやるならば、もう少しこういう間違いが起こらないようなことを考えてやるのがあたりまえじゃないか、その必要を言っておる。しかし、いまのことで大臣が、そういう間違いがあるならばちゃんと厳格な態度で臨む、こうおっしゃいましたから、私は、そう臨んでもらわなければ、せっかくのこの排気ガスの公害の問題がめちゃめちゃになってしまう、これを強く訴えたいわけです。いろいろなことがあると思います。整備業者にしろ、実際たとえばいま言いましたように、検査するにしても測定器が間に合わない。それを無理やりに総理大臣のお声がかりによって六大都市の官公庁の車をやったと言いますが、そのことにつきましても、官公庁の車は進んでそういう排気ガスの浄化ということにつきましてはやらなければいけない。そういうことがわかっておるならば、六大都市ときめずに、全部の官公庁においてもやっていいんじゃないか、そういうことをいろいろ係とお話をいたしましたけれども、それについては、どうも役所というのはそういうふうにいかないということもありますから、これはつけ加えておきますが、ここで公害規制に対して運輸省が努力をしておるということを一般大衆にわからせなければいけない。しかし、野放し同然になっておりますこのステッカーの対策については、いまの運輸大臣のおことばを信用しまして、直ちに的確なる指示をしていただきたい、こう思います。  そこで、これに関連しまして、警察庁のほうはこれを取り締まる関係がありますから、そのほうにもお聞きしておきたいと思いますが、いわゆる街頭で取り締まる場合に、警察庁としては、このステッカーが張ってない車は検査不十分、不良車としてみなすわけですが、それがいま言うたように、野放しで横行して、有害なガスをまき散らすという事態に対しては、今後どのように対処するのか。またステッカーがついておっても、抜き打ち的に検査する必要があると思います。このことについてどのようにお考えになるか、お尋ねしておきたいと思います。
  51. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま田中さんからの御注意は非常にありがとうございました。それはわれわれの手抜かりというよりは、そういうものが横行しておるというのはけしからぬことですから、直ちに措置を講ずると同時に、いまおっしゃったように、事実第三者にそういう紙が渡っておるのですから、したがって、検査をしないでそれを張ってあるやつもあるかもしれない。やむを得ず、またよけいな手数がかかることでありますけれども、抜き打ち検査をたとえ張ってあるものについてもやらざるを得ません。ただ、これはいろいろ人手の関係もありますけれども、そういうふうに安易に手に入るようでは、何%か知りませんけれども、あるいは出ておるかもしれぬと思いますから、これは自動車局が関係方面に提示して、直ちに抜き打ち検査もやる考えでおります。  なお、どういうことで手にお入りになったか、ひとつ田中さんも御協力願って、それをあなたに対して売ったやつをお知らせ願って、そういう者に対しては厳重な措置をわれわれは講じたい、かように考えております。
  52. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 お答えいたします。  私もいまそのお話を聞きまして、非常にびっくりしておる次第でございます。本日より十日間COを含めました全国一斉の、取り締まりに入ったばかりでございまして、いますぐに全国的にステッカーを張ったものを全部やれというわけではありませんけれども、少なくとも警視庁その他で抜き打ちの検査をしまして、実態を調べて、非常に広範にそういうものがあるようであれば、その結果を見て再考いたしたいと思います。
  53. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことで、ほんとうにだれが責任を持つかということなんですよ。そういう話し合いという体制について、もう少し実のある検討をなさらなければ、結局罪なき者を罪におとしいれるというようなことになることも十分考えて、今後はそういうことについてはだれであろうと責任をとってもらいたい、このくらいのことを私は申し上げておきたいと思います。  そこで、先ほどちょっと触れましたが、ガスを浄化するために、ことしの二月でございましたか、事務次官会議の申し合わせで、官公庁の自動車については浄化のための検査を行なう、この確認検査がもう終わっておるわけでございますが、この場合大事なことは、自動車をたくさん持っておる警察、自衛隊――自衛隊なんか大きな車でございますし、それからその結果がただ数値以下で――一酸化炭素に対する規制がいままでのようなことを考えますと、この問題自体も疑わなければならぬ。何万台終わりましたというようなことを聞いておりますけれども、検査が終わった車はどのように排気ガスを出すようになったのか、そういうところまで確認して、そして官庁みずから、政府みずからそのような浄化については方々やっておるということをほんとうは公表すべきであると思いますが、いますぐ公表できないにしても、私は、この資料については後日書類でもって私にお答え願いたいと思いますが、これはよろしゅうございますか。
  54. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいまの先生の御要求は、後日資料として提出いたします。
  55. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、このCOの規制だけでは光化学スモッグ等の関係を見てみましてもいけない。すなわち、炭化水素、窒素酸化物、HC、NOx等の規制も早急に行なわなければいけないと思いますが、これについてはどうでしょう。
  56. 野村一彦

    ○野村説明員 御指摘のように、一酸化炭素以外の有毒ガスについても早急に規制をしなければならないと思いますが、九月一日から、とりあえず炭化水素に関係のございますブローバイガスの還元装置については、これを義務づけるということをいたしましたが、その他のガスにつきましても、技術的な検討を終わり次第規制の対象に入れていくという方向でいま検討を急いでおります。
  57. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 次に、無公害自動車開発についてでございますが、これも今後技術開発と同時に大事な問題だと思いますが、運輸省自動車業界が一体的に行なっておりますことについてお聞きしておきたいと思います。
  58. 野村一彦

    ○野村説明員 私ども、無公害自動車開発につきましては、役所といたしましても運輸省だけでできることではございませんので、通産省とも連絡をとってやっておりますが、目標といたしましては、現在の規制をだんだんと強めていって、エンジンの改良、及び改良をしてもなお出てくる排気ガスにつきましては、浄化装置という開発をやりますが、その次の段階として無公害自動車開発ということを進めたいと思いまして、通産省とも連絡をとり、また民間の試験研究機関とも連絡をとって開発を進める、おそくとも昭和五十年以後にはこれらを実用化する方向でやりたいという技術陣の努力目標を立てております。
  59. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 大臣、いまの無公害車についてはそのようなお答えでございますが、五十年まで大気汚染は終わってないのですよ。五十年を待たずして、全国の都市が人間の住むには不適当な大気になってしまったときにはもう手おくれなんです。私は、こういうことについてはいろいろ研究はなさっておると思いますけれども、その目標を逐次更新して、そしていろいろな手を打つというようなことについて、ひとつ大臣からもう一回お答え願いたいと思います。
  60. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 無公害車を開発するにはある程度の時間を必要とすると思いますが、もちろん、これは急いでそういう車をつくらなければ結局売れなくなるのですから、メーカー自身も考えざるを得ないと思います。と同時に、一酸化炭素に対してやっておるような、いわゆる一酸化炭素の除去の方針もあるようでありますから、これはせんだっていろいろ自動車局長――これは通産省の問題でもありますけれども、通産省と話し合って、国内車にもそれをつけることを自主的にやるように進めるということで、規制をできるだけ強めていきたい。無公害車の開発につきましても、最大限の努力をして、五十年といっておりますが、いまの技術開発はなかなかスピードが早いのでありますからして、また国もなるべく早く思い切った助成金を出してやるということでこれを開発していきたい、かように考えております。
  61. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 最後に、運輸省といたしまして、本年になりましてから発足しました交通安全公害研究所、この研究所がいわゆるいろいろな問題のために発足したと思いますが、その研究内容といいますか、予算処置等が十分であるかどうかということについては、私たちもたいへん心配しております。どのようになっておりますか。また、今後この研究所については相当力を入れていかなければならないと思いますが、そのことにつきましてお答え願いたいと思います。
  62. 野村一彦

    ○野村説明員 御指摘の交通安全公害研究所の研究は非常に重要であると思います。したがいまして、現在は中古車の整備または改善、有毒ガスの防除という項目及び自動車の運転状態と排気ガスとの関連、それから自動車の排気ガスの清浄装置、そういう項目を主要な研究項目として研究いたしておりますが、これに従事する定員は九名、予算は三千三百六十万円、非常に少額でございますので、四十六年度におきましては、大幅に人員を増強するとともに、予算を増強したいということでございまして、私どもとしては、現在大蔵省に対して約一億二千五百万ほどの予算要求をすると同時に、運輸省の重要施策の中にこれを取り入れて、ぜひこれを実現したいということで、いませっかく要求中でございます。
  63. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 以上で終わります。
  64. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  65. 和田春生

    ○和田(春)委員 私の質問は三つございますが、第一は、最近の団地その他の新しい住宅開発地域の交通機関の確保の問題、第二は、ヘドロ公害で問題になっております田子の浦港の抜本対策に関する問題でございます。第三は、輸入材木あるいは穀類等に対する消毒に関しまして、港湾における災害防止の問題ですが、最初二つの点につきましては、国の政策の基本的な姿勢にもかかわりますので、主要な点については、橋本運輸大臣からお答えをお願い申し上げておきたいと思います。時間が非常に制約されておりますので、能率的に進めるために、第一点について私の考え方を述べながら、全般的に質問をいたしてみたいと思います。  この前の運輸委員会で、三多摩地方における鶴川団地の深夜バス騒動の問題が質問されました。大臣からも御答弁があったように記憶いたしておりますが、その後もこの種類似の問題が多発する傾向があるわけでありまして、私の調べたところでも、各団地の自治会等は連絡をとりながら、あの問題がどうなるかということにたいへん注目をいたしておるようであります。この点を考えてみますと、最近新しくできる団地とかあるいは開発される土地造成の地域というものは、昔の観念でいきますと、あまり便利のよくないところに、無人の山地であるとか、そういうところにどんどん開発をされているわけであります。同時に、それらの団地や住宅地から通勤する人のつとめているところの都会地の機能というものが、二十四時間働くような形になってきているわけでありまして、夜おそく帰る者は、何も飲んだくれて放蕩しておる者だけではありません。仕事の関係、あるいは仕事が終わってからいろいろな職業教育やその他で勉強する者、連絡等でずいぶん夜おそくまで生活に関連して動いている者がおるわけでございますけれども、そういう急激な変化に交通政策が追いついていない。こういうところに問題がありますし、また住んでいる人は、自己の自由な選択に基づいて住居を定めるということがはなはだしく困難になっているわけであります。そういうところに従来の形のままでバスの運行も行なわれておりまして、夜間おそくなると利用客が少ない。当然企業のバス運行会社としては採算に乗らない。したがって、早いところでは九時台あるいは十時台の早々には最終バスを打ち切ってしまう。そうしますと、鉄道等のターミナルから自分の住居に対する交通機関というものが事実上なくなる。タクシーを利用しようとしても、タクシーの利用が非常に不便である。そういうところで無理やり確保しようといたしますと、もっぱら企業の側は採算から考えまして、おそくバスを運行してやるけれども、そのかわり料金は高く出せ。結果として、せっかく通勤定期を買っておっても、行きだけ利用できて、帰りは利用できなくなる。そういうところから、サービスの問題も関連いたしまして、利用者の大きな不満が出てくるわけであります。私は、そういうことについて、一般的に感情論でもって、早くバスを打ち切っている企業だけを責めてこの問題は解決するとは思っておりません。  そこでお伺いいたしたい点は、この問題を解決するのには、第一に、バスの運行体系というものを都会地周辺においては考え直しまして、利用者が多い少ないにかかわらずかなりおそくまで、十一時過ぎないし十二時ぐらいまで運行する、そういう体系というものを前提にして、バスの運行ないしはそれに対する認可あるいは料金の設定、こういうものを抜本的に考え直していかないと、いまのようなその場その場の応急施策では、あちらこちらで紛議が起こるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、そういう点について、すみやかに政府が団地その他の新しい住居地の足の確保ということについて、公衆交通手段の体系をもっと時代にマッチするように整備してもらいたいと考える点につきまして、政府の見解をお伺いしたい。これが第一点であります。  関連しますから申し上げますが、と申しましても、それがいますぐにできるというわけではございませんし、そういう方法をつくりましてもなかなかうまくいかないところが出てくると思うわけであります。そうすると、その解決策としては、団地の自治会であるとか、地域の似通ったような職種あるいは職業に従事している同一方向に行く人たちが一つの会をつくりまして、会員組織で特定の住居地点とそれから鉄道のターミナルとを運行する、そういうようなみずからの自治組織によるところの足の確保ということにつきましても、従来は非常に制約があるわけですけれども、むしろもう少し一般的に広げていって、バス会社が採算上どうしても運行しにくいとかまずいとかいうときには、積極的に認める方向に進めるべきではないかというふうに考えます。  それから第三点といたしましては、いまのタクシーは一人しか乗らなくても一台のタクシーに一人の運転者がついておりまして、たいへんぜいたくな交通機関になっておるわけです。私も外地にしばしば行ってまいりましたけれども、タクシーの相乗りというような問題が外地ではかなりフリーに行なわれておるところがあるわけであります。もちろん、これを全般的に認めますと、運輸行政全体に混乱を引き起こすという可能性もありますけれども、特定のそういう夜間の交通機関が非常に不自由である、同じ方向にそろって帰っていく、行列をして待っているというような点につきましては、タクシーの相乗りというような問題につきましても、従来よりもワクを広げてこれを認める必要があるのではないか。  以上三点、要点的に申し上げましたけれども、総合的に足の確保という政策を進めるべきであるというふうに考えるわけでございますけれども、この点に対する御所見を伺いたいと考えます。
  66. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。  まず第一点でございますが、和田先生の御指摘のように、最近大都市周辺の団地の立地条件からいたしまして、いわゆる団地から都心に通学通勤される方々にとっての足の確保というのは非常に大きな問題になっております。私ども基本的には、団地を造成される段階からこの足の確保という問題について計画的なプランが進められるということが一番好ましいと思いますが、すでにもうそういう団地の造成が先行されておるという土地につきましては、私どもまず第一に考えておりますのは、乗り合いバスの増便というようなことを考えたいと思います。ただ実際問題といたしまして、現在過密輸送の中心をなしておりますバスも、いろいろ交通混雑とかそういう問題がございまして、なかなか絶対数をふやすというようなこともこれは限度がございますし、またバス会社の採算の面におきましてもいろいろ問題があるかと思いますが、私どもは、この際過密対策の一環として、現在大都市周辺を含めたバス路線網の総合的な再検討をして、その合理的なあり方という点を考えて、たとえば輸送需要度の非常に高いところに輸送需要度の比較的低いところから回していくというようなことで、バス路線網の再編成と申しますか、そういうようなことを検討したいと思います。すでに一部におきましては、たとえば複数の会社が大体似通ったような路線を走っておるというようなところにつきましては、輸送需要をよく調査いたしまして、そういうように再編成といいますか、バス路線の運行系統の組みかえと申しますか、そういう業務を実施しておりますので、特に東京近郊の、私どもが調査をいたしましたそういう足の確保に問題の多い団地をめぐる問題につきましては、そういう路線網の再編成、合理化という線で基本的には対処していきたいと考えております。それが第一点でございます。  それから第二点の、先生おっしゃいました団地の組織等のバスの免許というようなことを考えるかどうかという御質問でございます。これは私どもはこういうふうに考えております。その団地の周辺、特にもよりの駅から、たとえば団地なりその一定の居住地に対して他に適当な輸送機関がない、そういうような場合に、たとえば乗り合いバスの申請があったという場合に、私どもとしては、道路運送法第六条の当然一般の免許基準から見てそれが適当なものであれば、これを認めるということにはやぶさかではございません。ただしかし、その場合には免許を受けて事業を実施するわけでございますから、いわゆるバス事業者が行なっているのと同じような要件が必要でございます。その第一は、その運営する責任の主体が明確であるということ。つまり、だれが最高責任者としてどういう組織を持ってそのバス事業を営もうとしているかという責任の主体が明確であるということが第一でございます。それから第二は、技術的な事項と関連いたしますが、法律で定められております運行管理者あるいは整備管理者という一定の資格を持った者がその組織の中におって、その人が技術的な問題について最高責任者の指示のもとにそういう運行管理、整備管理に当たるという体制が十分とられているかどうかということ。第三は、もし万一不幸にして事故等が起きました場合に、その組織というものがそれに対して所要の補償をするというような能力が十分あるかどうか、そういう点を考えなければならないということでございます。そのほかにつきましては、一般の免許基準によるわけでございますが、特にここで私どもが考えますのは、免許を受けて事業をやります以上は、そこに免許事業としての義務がございます。したがいまして、たとえば天候の都合によりあるいは事務の都合によりきょうはやめた、あすはやるというようなことではいけませんので、免許されました事業計画に定めたとおりの運行のスケジュールを確保するという義務があるわけでございます。そういうことが確実に守られるという見通しが必要でございます。そういうような点を十分検討いたしまして、それが妥当なものであれば、これをその路線の性質に応じて免許をするということも、これは可能でございますので、もしそういうことであれば、そういう方向で検討したいというふうに考えております。  第三点の相乗りタクシーでございますが、これは先生御指摘のように、諸外国等にもそういう例がございますし、私どもも団地輸送の不便の解消のためにこれをいろいろ検討いたしております。ただ、私どもが現在問題点として考えておりますのは、一つは、大体団地付近の東京近郊の駅から帰るお客さんの輸送需要の内容を分析いたしますと、バスがあればバスに乗りたいという方が大体多いような傾向でございます。したがいまして、輸送力のキャパシティーから見ましても、タクシーは四、五人である。バスは三十人、四十人あるいは五十人の方が大体乗れるという利点がございますし、それからもう一つは、タクシーの相乗りになりますと、たとえば大まかに駅なら駅から方向が大体一致しておきませんと、非常に方向がジグザグいたしますし、これを利用する客にとっては非常に相乗りをする場合の整理がむずかしい。そうすると、その方向からはずれた方は相乗りタクシーは利用できないということになりまして、これは不便さの問題とか、あるいは相乗りできる場合とできない場合の運賃の相違とか、そういう技術的なむずかしさがございます。したがいまして、私どもはそういう点を検討しておりますが、まず輸送需要の実態から見て、バスをできるだけ優先に考える。そしてバスがどうしてもできない場合には、相乗りタクシーということも検討しておるわけでございますが、いま申し上げましたような問題点がございますので、それらの点についてトラブルがなく実施できるという見通しが立つかどうか、こういう点であろうと思います。
  67. 福井勇

    福井委員長 政府側の答弁は、時間の関係上なるべく簡潔に願います。
  68. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 現行法律からいうと、いま自動車局長答弁したようなことになって、全く進展の余地がないわけですね。現行法律から見ればそういうことになるわけでございます。ただいま御承知のように世の中は多元化してきている。団地集団、ああいうような団地などというものは、十数年前まではあまり考えられなかった。したがって、特殊な現象があらわれてきているわけですね。夜おそく帰る人もあるし、仕事の都合上もある。そういうことにはいまの答えは答えにならぬとどうせ和田委員から文句が出るだろうと思うから、私のほうから言っておくわけですが、したがって、もっといまの法律を離れて、どうしても法律を改正しなければならぬ点もありましょうけれども、法律を離れてできないかということだろうと思うのです。たとえば、何も一般のバス会社とは違うからして、団地という特定の場所、しかも特定の時間だけを運行するのであるから、運行管理者とかそういう問題まで厳重に言わなくてもいいのじゃないか。それはわりあい経費が安く済むわけです。これは極端な例かもしれませんけれども、個人タクシーは運行管理者もいないじゃないか、一人でやっているじゃないか、それでちゃんと自賠法等も行なわれているわけです。もう少し検討させてみますけれども、もっと簡便にいわゆる団地等の深夜交通機関をどういう形ならばもっと簡便にできるかということを検討してみたいと思います。そして一刻も早くこの問題の解決をしたい。ただ、現在問題になっておりますところは、とりあえず会社側と団地側との折衝をしておるようでありますから、その折衝によってとりあえずは片づけてもらいたい。これからの一つの政策としては、もっと簡便な方法――しかも法律はある。法律に違反しては困りますから、その考え方によってこれを処理するなり、あるいはどうしても法律改正が必要ならば特例を考えてもよろしいというふうにも私は考えておるわけでございます。
  69. 和田春生

    ○和田(春)委員 いまの大臣の御答弁で、たいへん前向きな政府の姿勢というものの意思表示をされたわけでございますけれども、ぜひそういう方向に沿ってすみやかに解決するようにやっていただきたいということをお願いをしておきたいと思います。  次に移りますが、次の問題は、ヘドロ公害で問題になっておる田子の浦港の件であります。この件につきまして、最初に技術的なことを少しお伺いいたして、最後に大臣の総合的なはっきりした御所見をお伺いすることにいたしたいと思います。  まず最初に、水産庁の長官にお伺いいたしますが、長官お見えになっていなければ次長でよろしゅうございますが、田子の浦の港を助けるということから、ヘドロの外洋投棄が非常に問題になっております。あそこにヘドロが集積いたしまして、だんだん港外に流出をする。そこで、最初底魚がやられる。さらに潤った水がどんどん流れていくために、海の表面に近いところで魚がやられていくというような形で、沿澤漁民、漁業者は非常な打撃をこうむっておるわけですが、さらに今後相当長きにわたって、政府の計画によりますと、ヘドロの外洋投棄を続けるということになっておるわけでありますけれども、いま伝えられているような計画によってそういう外洋投棄をやった場合に、海洋汚染、魚族資源の保護、また漁民の生活というようなことに関連いたしまして、水産庁は良心に訴えて、ヘドロ外洋投棄は差しつかえないとお考えになっておりますか、それはいけないというふうにお考えになっているか、はっきりお伺いしたいと思います。
  70. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 水産庁といたしましては、原則としては汚物、汚水の海洋投棄には反対でございますけれども、今回の緊急措置としてやむを得ないものだろうというふうに考えております。しかしながら、水産資源に影響のきわめて少ない、わが国の漁業者に影響の少ない地点にそれを投棄するようなことを検討いたしております。
  71. 和田春生

    ○和田(春)委員 原則として反対であるが、緊急措置としてやむを得ないということでございますけれども、海洋汚染はわが国一個の問題ではないと思います。国連等におきましても、そういう汚物によって海洋を汚染することはいけない、国際的な世論というものが非常に高まってきておるわけであります。ほんとうに緊急やむを得ず被害の少ないところを選んで、ほんの少しを短い期間やるということであるならば、目をつぶってこの際がまんをしてもらいたいということも通るかもわかりませんけれども、あの田子の浦の状況を考えてみますと、幾ら操業短縮であるとか改善をやりましても、依然としてヘドロというものはある程度流れ続けていく。そうすると、それを継続して投棄を続けていかなければならぬ、かなりの期間にわたり。国際世論等でわが国の漁業環境はかなりきびしいわけでありますが、水産庁としては、その点に関してどういうふうに受け取っておられますか。
  72. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現在考えておりますのは、黒潮の軸流の外側、水深約四千メートル以上のところを考えておりますので、これにある期間ヘドロを流しても水産資源に影響はほとんどないのではないかというふうに考えております。
  73. 和田春生

    ○和田(春)委員 ほとんどないのではないかと考えておられるということですけれども、これは実際に十分な調査が行なわれているようには私ども考えないのですが、的確な調査に基づきまして、国際的にそういう面に対する非難あるいは追及が行なわれても、答えられるだけの御用意はあるのでしょうか。
  74. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 ただいまその地点も確定しておるわけではございませんが、そういうことが説明できるような地点を現在調査をいたしております。
  75. 和田春生

    ○和田(春)委員 それでは、次に港湾局長にお伺いいたしたいと思いますけれども、現在田子の浦のヘドロの堆積量はどれくらいあり、これをしゅんせつをして外洋投棄をするという場合に、現在予定されている船の隻数、能力、一航海の日数、それから月間の稼働日数、特にこれから冬分に向かうわけでありますが、そういう点から計算いたしますと、いまの堆積ヘドロをほぼ全部搬出をして投棄をするためにはどのくらいの期間かかるというふうにお考えですか。
  76. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 現在田子の浦に堆積しておりますいわゆるヘドロと申しますのは、約八十万程度というふうに考えております。  次の御質問でございますが、とりあえず二千六百立米積みの土運船二隻、これに積み込むポンプ船でありますが、普通のポンプ船でなくて、いわゆるバキューム方式と申しますか、カッターのないポンプ船で積み込むということで、三百五十馬力のポンプ船を用意して考えております。ただいま水産庁から御説明がありましたように、的確な位置がまだはっきりいたしませんけれども、おそらく二日に一航海という程度のものではなかろうかというふうに大体考えてございます。  それからなお、効率の点の御質問がございましたけれども、おそらくこれから冬季に向かいますとかなり落ちるだろうというふうに考えまして、現在の時点では一応二十日程度の月間の稼働はあるのじゃないかというふうに考えてございます。ただ、月に幾らという御質問でございますけれども、先ほど申し上げました二千六百立米積みに、普通の固体と違いまして半ば液体も含んでございますので、どの程度のエフィシェンシーがあるかという点も、一、二カ月実際にやってみないと的確に押えられないと私ども考えてございます。したがいまして、距離と、あるいは先ほど申し上げましたような一応考えております運航回数、それにどの程度積めるかという要素を入れませんと、はっきりした月間の運搬能力ということを出しかねる次第でございますけれども、最大見まして月二隻で約五万立米というふうに予想をつけてございますが、先ほど申し上げましたように、もう少しやってみないと的確につかめないということでございます。
  77. 和田春生

    ○和田(春)委員 そうしますと、いま私たちが承知しているところによると、現在田子の浦の港内に放出されておるヘドロが大体一日三千トンといわれているわけです。これは月間にいたしますと約九万トン近くなるわけです。努力をして三分の一ほど減らす、こう言っているのですけれども、三分の一減らしても六万トン、まあフルに稼働いたしまして新しく流れてくるヘドロをさばくのに精一ぱいで、いま港にたまっているものはさばき切れない、こういうことになると思うのです。かりにヘドロの量が三分の一になったとしても、その差というものはせいぜい一、二万トンしかないというと、非常に長期にわたってこのヘドロを外洋投棄をしていかなければ本来の港としての機能を十分に回復することができないということになるわけですけれども、そういう港の状況について、港湾行政責任者としてこのままでいいとお考えでしょうか、もっと抜本策を考えるべきだと思っておられましょうか。
  78. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 いろいろと通産省方面で、製造元と申しますか、紙パルプ工場のほうでどれくらい処理できるかという研究も進められておると思いますし、それから別な排水路を使って港に入れないということも進められておるように私ども存じてございます。で、いま先生おっしゃいましたように、このままでおきますと現状維持ということになろうと思いますけれども、それは早急にいろんな施策を講じていただきまして、私どもとしましては、出てくる量は早く消してもらいたい、偽らざる気持ちでございます。なおそれ以外に、外洋投棄の話もございますが、いろいろな方法もいま研究されておりますけれども、かりに外洋投棄の方法をとりましてこれでいきまして、とりあえず二はい用意してございます。今後関係方面とのいろいろな相談ございますけれども、不足すればさらに増強しなければならぬということもあり得るのじゃないかと考えてございますが、具体策は申し上げてございませんけれども、なお、先生の御指摘のように現状維持、特に現在二十一バースのうち五バース死んでおりまして、十六は生きてございます。ただ、予定の水深よりも浅くなっているというのは事実でございますが、現実に利用されておりますので、この利用だけはとめたくないということを考えております。
  79. 和田春生

    ○和田(春)委員 いろいろ御説明ございましたけれども、きめ手になるような的確な御答弁はないわけでございますし、港の現状そのものが、船が入っているけれども、非常に無理なんであります。私自身も現地に行きまして、非常に詳しく見てまいりました。入港している状況も見ましたけれども、船が岸壁に着く前に後進に機関をかける、エンジンを後進にかけるというようなときには、たいへんなことで、その臭気たるやおるにたえないようなことであります。また、船の冷却水等は海水を吸入しているわけでありますから、バルブ、ポンプその他の循環系統にいろいろな問題が起こってくる。また、ああいうときにあやまって船員が海の中に落っこちますと、まず一〇〇%おだぶつで、助かる可能性はないのではないかというような点もございまして、乗り組み員のほうは田子の浦港への入港を拒否したい、そういうたてまえに立って、現在海員組合と船主団体との間に交渉が行なわれております。また一部の船会社は、すでに船員団体からの要求を待つまでもなく、自発的に田子の浦港への自社船の入港をお断わりをする、こういう形が出てきておるわけであります。こういう状況が続きますと、港の機能というものは、幾ら一生懸命になっても船が入ってこなければどうにもならぬわけであります。  そこで、これはひとつ運輸大臣にお伺いをいたしたいのですけれども、私の判断するところによりますと、どうも政府の田子の浦港に対する公害対策がポイントを間違えているのではないかという気がするわけです。一般の製紙会社がヘドロを出す、そこで製紙会社が加害者であって、港は被害者である、だからその被害者である港を救うために、ヘドロの外洋投棄をどうとか、あるいは製紙会社の操短がどうとか、こういうところに焦点が合っているようですけれども、現状においては、原因が製紙会社から出るヘドロであるにせよ何にせよ、港そのものがすでに公害の加害者の地位になっているというふうに現状は判断すべきだと思うのです。あのままでやっておきますと、どんどんヘドロは流出をしますから、沿岸漁業はもう甚大な影響を受け続けることになるわけでありますし、あそこで処理をされずにヘドロがたまっておりますと、ガスがどんどん発生していって、中に入った船の乗り組み員に思わざる災害、船舶にも起こしますし、また機関士とか警官とか港湾従業員においてもヘドロから発生するガスによっていろいろな公害を受けておるということになると、なるほどそのヘドロの原因は製紙会社かもわからないけれども、あの田子の浦という港がそういうヘドロを全部受け入れる一つの汚水のためますのような設計でつくられてしまっている。そして、そのためますを、いわゆるどぶだまりをかりに港として利用さしてもらっているというかっこうに現在なっていると思うのです。そのことが、港自体がむしろ公害の加害者的立場に立っている。この問題を抜本的に解決をするためには、私は田子の浦港を一時閉鎖するという強硬手段をとる以外にないのではないかと思います。そして田子の浦港を閉鎖いたしまして、あの中を適当に仕切るなり何なり考えて、あのヘドロというものは実情どうにもならぬことで、いまの港湾局長のお答えによりましても、幾らかい出してみてももとの状態に復帰するということは至難のわざであるという形になれば、むしろ田子の浦港のある部分を終末処理場として考える。そして、そこで堆積しているヘドロをいろいろな薬を使うとか技術を早急に開発して凝固させる。ある程度固まったものを船に積んで運ぶという形になりますと、非常にたくさんのものが運べますし、また遠い外洋で投棄をいたしましても、これは海流に乗って表面を流れるわけではなくて、深い海底に沈んでしまうわけでありますから、むしろ、田子の浦港の全部とは言いませんけれども、相当な部分というものをそういうヘドロの終末処理場として考えるべきではないか。そういう技術開発ないしは費用については、もちろんヘドロを放出した企業責任でありますから、企業に対しても応分の費用を負担させるということが必要である。そういうことを考えまして、港内の残りの部分のヘドロは終末処理場と想定される仕切った中にどんどんほうり込んでしまって処理をしていく、一部分を港として生かす。さらに大型船等が入港する必要があるという場合には、将来にわたってそういう港湾計画を立てて開発をするという形にする以外に解決方法がないように思うわけです。現在のような形で外洋投棄とか応急処理に金を投入いたしておりますと、それはすべてうしろ向きの金でございまして、将来には生きていかない。むしろここでせっかく巨額の投資をするならば、将来に向けて生きまして、そしてもうヘドロの公害というようなことは心配がないというような、先を見詰めた対策に立つべきではないかというふうに考えるわけでございますが、その点についてひとつ運輸大臣のはっきりした御所見をお伺いしたい、こう考えるわけであります。
  80. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 なかなかおもしろい御意見であって、私、権威ではありませんので、それがどういうような結果になるかは、私自身ちょっと判断はつきかねますけれども、とにかくこれは検討に値する一つの御意見、御提案だろうと思います。なるほどそういうような考え方もあるのかと、私、いま聞いておって、和田さんたいへんいろいろ考えておられることと感心したのですが、その問題は研究してみませんと、利害得失もありますし、私がイエスともノーとも言いかねる問題でありますから、研究課題としてひとつ受けとめておきたいと思います。  なお、ただ田子の浦は、現在は御指摘のように年間五百五十万トンのカーゴーを扱っておりますが、そのうち四〇%は石油等が占めておるわけであります。したがって、これは木材等だけの港でもありませんので、あの港の東部地区における国民生活全体にかなり大きな影響がある。したがって、和田さんのお話も、もうあそこには港は要らぬという意味ではないのであって、同じ金を使うならば、あれはため池にしてしまって、別個に港をもっと適切なところにつくったらどうだ、こういう御意見だろうと思います。いろいろな点を十分に考えていきたいと思いますが、しかし、いま当座の問題には間に合わない。いまから港をつくって、それこそ何年間もあそこの町が死の町になってもいいというわけにまいりませんので、将来の問題はいろいろ考えるといたしましても、とりあえずの緊急措置としては、やはり従来の方式をやらざるを得ないのじゃなかろうか。その上に立って、将来あの港をあのまま生かすことがはたしていいかどうかという問題は検討に値すると思いますけれども、ただ、ただいま申しましたように、現在のあの付近の国民生活の上から考えても、これをもうストップしてしまう、これは新しい港が半年か一年でできるなら別ですけれども、なかなかそうもいかない。そういう点から見れば、現在政府がとっております対策も進めていかざるを得ないだろうと思います。それにはできるだけ効率的に、たとえば発生源である工場が緊急に一応のスクリーンを行なうとか、そういうことによって、田子の浦に入ってくるものを現在の三分の一もしくは五分の一の量に減らすことができるかどうか、そういうような緊急措置、あわせて一方、ヘドロをバキューム方式によって外洋に投棄する、こういう措置も緊急措置としてはやらざるを得ないのじゃなかろうか。そうして将来の具体的な問題として検討も重ねてみる、かように考えていきたいと思います。
  81. 和田春生

    ○和田(春)委員 今後研究課題として取り組んでいって、いま直ちに的確な答えはむずかしいというお話でございますけれども、私は永久に田子の浦港全部を閉鎖してしまえということではないわけでありまして、たとえば漁港区と鈴川埠頭の地域から港口のほうへ生かしまして、奥のほうを仕切ってしまう。そこをやはりヘドロの終末処理場として考えて、いろいろな手だてを講ずるということを頭に置いていきませんと、いま応急対策だけを繰り返しておりますと、ばく大な金を投じながら、やがてにっちもさっちもいかなくなってしまうということは明らかではないかという形をおそれているわけであります。とりあえず応急措置、応急措置といっているうちに、どうにもならなくなって、費用と労力を浪費したあげくに対策が手おくれになりますと、またもっと公害問題が悪くなるわけですから、そういう点については、ひとつ早急に抜本的な対策を政府の方針としてお立てくださるように大臣にお願いをいたしまして、この件に関する質問を終わりたいと思います。  それでは残された時間で、短いわけでございますが、最後の問題をお伺いいたしたいと思ます。  端的にお伺いをいたしますが、現在輸入の材木あるいは穀物等に対しまして、メチルブロマイドによる薫蒸消毒が行なわれておるわけでありますが、これによりまして船員が死亡する、港湾労務者が死亡する、付近の住民が災害をこうむるというような事例が数多く報告されておることは、関係者は御存じのことだと思います。この点について船員の団体等では、これが危険だからということで、船主に申し入れをいたしまして、非常に条件が悪いから船内の消毒はやらせない、どうしてもやらせる場合には、薫蒸期間の前後に十分な間合いをおいて、船員を全部上陸させて絶対安全という立場に立ってやらせようという形で指導してきておったわけでございますけれども、最近材木やその他の輸入の量が急増してまいりまして、そしてなかなか間に合わない。野積みをしてシートをかぶせて岸壁の上で薫蒸するといっても、その場所がない。そこで、船内においてやってくれということを、相当強引に防疫関係の者と業者が一緒になりまして船に圧力をかけてやらしているという事実がある。そういう情報が私のところに三、四報告されているわけであります。私がじかに確認をしたわけではございませんから、いまその港とか船名をここで申し上げることはけばかりますけれども、そのことがたいへんな不等を呼んでおるわけでございます。結局、忙しい忙しいという形でそうなって、また災害が起こったらどうなるかということになっているわけです。そこで、これはどなたからでもよろしいのですが、農林省、厚生省あるいは運輸省、いずれからでもけっこうでございますけれども、港のそういう消毒その他毒物を使用するという場合に、災害が起きる危険性がある。その災害防止ということについて、最終責任日本の政府機関でどこがお持ちになっておるのですか。この点をお伺いしたいと思います。
  82. 岡安誠

    ○岡安説明員 いま先生のお話のとおりに、従来木材、穀類等の消毒につきましては、メチルブロマイドを使ってまいりまして、不幸にして人身事故があったわけでございます。いま御質問の、そういうような事故についての最終責任はどこにあるのかというお話でございますが、その点につきましては、私必ずしもここで正確にお答えできるかどうか疑問でございますけれども、少なくとも私ども輸入検疫を行なうにあたりまして、輸入の業者等に命じまして検疫業務を行なわせるわけでございますが、その際、十分人身その他の被害が発生しないようにという趣旨から、安全な検疫の実施につきまして、従来指示もいたしておるわけであります。たとえば薫蒸等の実施につきましても、いろいろ条件を付しまして、そういう条件の中における薫蒸というような指示をいたしておりますし、また、その薫蒸の実施に当たります方々につきましても、各種の講習会等を行ないまして、そういうものの知識を十分持った者に限り防疫に当たらせるという指導は従来いたしておるわけでございます。
  83. 和田春生

    ○和田(春)委員 そうしますと、重ねてお伺いしますが、輸入検疫というのは、害虫等が輸入品に付属してくることを防ぐということが目的なんですが、そのために消毒をする、毒物を使うわけですね。それに対する災害防止、そのことによって、こういう劇毒物でいろいろ問題が起きておるものが依然使われているということによって死傷者が出るという場合には、災害防止についても、検疫を所管する農林省の責任でございますか。
  84. 岡安誠

    ○岡安説明員 このメチルブロマイドにつきましては、私、毒物及び劇物取り締まりの法律等によってこれは劇物に指定されておるというふうに理解しておりますけれども、そういう薬の扱いにつきましては、その法律の命ずるところの扱いその他の規制があるというふうに考えておりますが、私どもそれとは別に――それと並行してというほうが正しいかもしれませんけれども、そういう劇物等を扱う場合におきましての安全性の確保ということにつきまして、十分指示をいたす、それが私どもの責任であろうというふうに考えまして、そういう指導をいたしておるということを申し上げたわけでございます。
  85. 和田春生

    ○和田(春)委員 これでやられるのは農林省の役人じゃなくて、乗り組み員やはしけの従業員がひどい目にあうわけです。あなたが言っていることは、輸入のいろいろなそういう材木とか穀物について検疫する、消毒する、もちろん、劇物か毒物かというそういうめんどうなことは法律にまかせておいていいのです。厚生省がかりに認めておっても、それを使用するのにはおのずから条件もあるし、いろいろな制約もあるわけです。お医者さんでなければ使えないものもたくさんあるわけなんですね。そういうときに、あなた方が殺そうとしているのは虫なんです。虫を殺す薬が人間を殺すというような形になると、これは本末転倒なんですが、その点についても農林省が責任を持っているのですか。あぶないと思えば、たとえば港湾当局が、港湾並びに船舶においてはいままでしばしば危険な事例が発生をしているメチブロ等は一切使わせない、こういう形になれば、その決定に従って農林省としては差しつかえないものを使うということになるのですか。その辺の関係はどうなっているのですか。政府の関係をお伺いしたいと思います。
  86. 岡安誠

    ○岡安説明員 消毒のための薬の選定につきましては、農林省が責任を持っておるというふうにお答え申し上げたと思っております。やはり私どもといたしましては、なるべくそういう危害を及ぼすことのないような薬であって、殺菌といいますか、殺虫の効果があるというものを選択いたしたいと思っておりますけれども、現在の段階におきましては、やはり木材等につきましてはメチルブロマイド以外には十分な効力のある薬が発見されておらないというのが現状でございます。  そこで、私どもといたしましては、先ほど申し上げましたとおり、二、三事故がございましたので、特に四十二年におきましては本船薫蒸中の事故というのがございました。それ以後も二、三事故は出ておりますけれども、これはたまたま関係者以外の方々が酒に酔ったとか、そういうようなことで不測の事故が発生した例もございますが、私どもはそういう事故もなお防止しなければならないというふうに考えまして、実施につきましては十分気をつける指示の通達等を数次出しまして、その後の危害防止にはつとめておるわけでございます。
  87. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういたしますと、輸入の材木とか穀類とかあるいは輸入品の検疫、防疫という立場について、この薬を使うということは農林省が決定をして、それに他のものは全部従わざるを得ない、農林省が指定をする、それ以外のものはぐあいが悪いというふうに判断してよろしいわけですか。イエスかノーかでお答えください。
  88. 岡安誠

    ○岡安説明員 お説のとおり、使用する薬につきましては農林省が定めております。
  89. 和田春生

    ○和田(春)委員 それではこれからの質問は農林省だけに集中をいたします。  メチブロ以外に適切な薬がないということをおっしゃっておりますけれども、私もこのことについてはずいぶんたくさん資料を調べてまいりました。事は人間の命にかかっている問題です。あなたは軽く二、三と、こうおっしゃいますけれども、二、三じゃありませんよ。かりに二、三であっても、死んだ人間にとっては命は返ってこない。そんなにコクゾウムシや害虫と人間の命を一緒にしてもらったら迷惑千万なんです。二、三といえどもシビアな態度で臨まなければなりません。諸外国ではむしろ今日では、そういう危険な、しかも危険を防除しようとするとたいへんコストもかかるし、手間もかかる、しかも熟練を要するあぶないものを使わずに、ほかにいろいろな薬品も開発されて、それが主流になっている。日本が先進産業国の中でただ一つメチブロにいまだに固執している、まことにおかしなことであるということを外国の乗り組み員なんかからもいろいろ聞いているわけなんですけれども、その害虫というのは、日本の港に入るととたんにどうもうな性質になって、メチブロでないと死なないという突然変異が起こるのかどうか、お聞きしたいと思います。
  90. 岡安誠

    ○岡安説明員 やはり植物検疫と申しますのは、外国からの害虫その他の有害動植物の侵入を完全に防止をするということでございますので、一般的に消毒その他につきましてはメチルブロマイド以外の薬が使われる例も、それはおっしゃるとおりございます。諸外国でもまた日本でも、いろいろ使われているのは例がございますけれども、なかなか検疫というようなシビアな防止ということになりますと、ほかの薬では必ずしも十分効果を発揮できないということもございまして、これは私ども承知いたしておりますのは、日本のみならず諸外国でも、少なくとも木材の検疫等につきましては、やはりメチルブロマイドが使用されているというふうに考えております。私どもは、もちろんこれがきわめて危険な薬であり、不幸にしてそういう人身の事故があったということも残念に思っておりますので、私ども、やはり絶対に事故の起こらないような形でもってこれを使用するというような方法を確立しなければならないというふうに現在も考えまして、その方向で努力いたしたいと思っております。
  91. 和田春生

    ○和田(春)委員 時間が過ぎましたので、端的に御質問をいたしますけれども、いまのお答えというのは、私の知っている事実とは違うわけですから、後ほど、諸外国でもメチブロを主流にしてやっておって、ほかの薬品の使用を認めないという事実があるならば、全般的な資料をお出し願いたいと思います。私の知っている範囲ではそうではない、むしろアメリカにおいてもヨーロッパにおきましても、主要な先進産業国というのは、メチブロ以外のものを使わしている。それがどういう薬であるかということは、私たちにとって問題ではない。メチブロというのがきわめて危険な、一歩間違うと人命にかかわるのですから、そういうものは積極的に禁止すべきではないか、こう考えているわけです。その点に関して、日本のみが非常にちゅうちょしてメチブロに固執をしている。その背景として、これはうわさでありますけれども、海運業者、荷役業者、荷主あるいは農業団体等に相当広く伝わっているうわさは、日本におけるメチブロの製造会社に農林省の役人さんが天下りをしている、そこで農林省と結託をして、会社の利害にからんでメチブロにしがみついているという、相当広範なうわさが広がっております。そういうことについて、その製造会社に農林省の役人の方が天下りしている事実があるかないかをお伺いしたい。うわさの真偽ではございません。
  92. 岡安誠

    ○岡安説明員 私どもは、先生のおっしゃるような話は必ずしもよく承知いたしておらないのでございますけれども、現在におきましては、少なくともメチブロの製造会社にかって農林省におった人間がいるということは、私ども聞いておらないのでございます。
  93. 和田春生

    ○和田(春)委員 それでは最後の質問にしますが、いま国会の席上でそういう答弁をされたんですから、そのままに受け取っておきますけれども、もしそういうようなことがありまして、うわさの種になるというようなことについては、こういう劇毒物の使用についての姿勢に非常に疑惑を持たれているわけですから、やはり李下に冠を正さず、瓜田にくつを踏み入れずということわざもあります。やはり農林省としてはそういう疑惑を招かないように、はっきりした姿勢で取り組んでもらいたい。なお、そういう劇毒物については、多少のことがあっても私たちは人の命にかえられない、特に公害問題がこういうふうに重要な問題でありますから、すみやかにそういう点についてもっと安全な方法に切りかえて、関係者に納得をしてもらう措置をとるべきであるというふうに考えますので、その点についてしかとお答えをいただいておきたいと思います。
  94. 岡安誠

    ○岡安説明員 私どもも、やはりより安全な、なお薬効等につきましても劣らないという薬の開発につきましては、努力いたしたいと思っております。そういうようなことができましたならば、このメチルブロマイド等につきましては、他の薬にかえるということについてやぶさかではございません。このことはお答え申し上げておきます。
  95. 福井勇

    福井委員長 次に井上普方君。
  96. 井上普方

    井上委員 私は、国鉄の小駅廃止あるいはまた貨物駅の廃止等々の問題につきまして、質問いたしたいと思うのであります。  この問題につきましては、三月の十日あるいは二十日、二十七日、五月の八日というように、この委員会におきましても非常に論議が重ねられておるのであります。したがって、この会議録を見てみますと、一応小駅を廃止する、あるいは統合する、貨物駅を廃止するというような際には、一貫して国鉄並びに運輸省としましては、地元の御了解を得た上でという方針を出しておられるのですが、そのとおり現在でも進んでおるのでございますか、どうですか。
  97. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいまの小駅の合理化といいますか、合理的なやり方といいますか、そういう問題について、国鉄の計画は地元と十分話し合ってやっておるか、こういう御質問のように受け取ったわけでございますけれども、基本的な計画につきましては、地元とかなり長い期間をかけて話し合っております。そして具体的な実施段階につきましては、いろいろ具体的な御要望を聞き入れながら、そしてこちらの計画と調整しながらやっておる、こういうふうに承知いたしております。
  98. 井上普方

    井上委員 それで、あなたのほうでは、地元との了解あるいはまた調整をやりながらということを基本にしてやられておるのでございますか、どうでございます。その点はっきりしていただきたいのです。
  99. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 地元と十分話をしながらやっておる、このように理解しております。
  100. 井上普方

    井上委員 それが実態と違った場合はどうしますか。
  101. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 話していることと実態と違うということ、この具体的なことについてはいろいろケースがあろうかと思いますが、私、先ほど申しましたように、基本的な計画につきまして、地元の大体といいますか、基本的な、原則的な理解をまず得て、そして個々の駅をどのようなふうにするか、それからどのような設備をつくるかというようなことについて、なおまた個々の利用者について意見を聴取して進める、こういうことでございます。
  102. 井上普方

    井上委員 地元との了解のもとに、あるいは地元が了承した上でというお話が、この会議録を見ますと、町田政府委員のほうからも盛んに出ておるのであります。  ところで、このたびあなた方が十月の一日に実施されようとする小駅廃止、これは何線ございますか。
  103. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 十月一日から実施する予定になっておる線区は、四十二線区を計画いたしております。
  104. 井上普方

    井上委員 その一線に土讃線があるのでございますが、この高知県あるいは徳島県、香川県にまたがる、四国でいいましたならば重要幹線でありますが、それに無人駅を導入しよう、あるいは貨物駅を廃止しようということに対し、町村長は、少なくとも徳島県あるいはまた高知県における町村長は、これに反対しておるはずであります。町議会においても反対いたしております。決議を出しておりますのは、これまた徳島県においては二町村議会、あるいはまた香川県の議会においては善通寺市市会、あるいは高知県においては十一市町村議会が反対決議をされておるようであります。これらに対してどのような地元との調整をはかられつつあるのか、この点をお伺いしたいのであります。  ただ、そこにあなたが持っておられる資料というもの、私も持っています。持っていますが、それは全部様子が違うのであります。たとえて申しますならば、池田の町長との交渉において、あるいは山城町の町長との交渉において、あるいは農協組合長との交渉というものと、あなたの手元に入っておるものと、実態が違うのです。了承してないのです。そうであるにもかかわらず、十月一日の中村線の開通を契機にいたしまして、小駅廃止をやろうという計画だけ先行しておるように思われますが、どうでございますか。地元との了解はまだついていませんよ。この点どうなんでございますか。
  105. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 地元の一人一人、全部の人に完全に理解されておるというふうには私も考えておりませんですけれども、地元に対して基本的な国鉄の計画を説明して、基本的な国鉄考え方については了解されておる、このように私理解しております。と申しますのは、この線区につきましては、いわゆる運転を集中化するCTCという工事をすでに三年余り前に竣工いたしまして、その時点からこの計画は一つの計画として取り入れなければならない、こういう情勢にあったわけでございます。しかしまあ、さしあたりそこから捻出する人の要員の振り向け方、それが急に非常にシリアスに要求されないという事情もございまして、二、三年後のいまになって、そういうものを前提としましていろいろな計画を実施しておる。しかもこの計画につきましては、ことしの二月から地元に話しておられる。こういうぐあいに承知いたしておりますので、いろいろな点にいろいろな御意見があろうと思いますけれども、基本的な国鉄の計画につきましては、一つ考え方として受け入れられている、このように理解しているわけでございます。
  106. 井上普方

    井上委員 私は、住民個人個人にというお話はそれはわかります。しかしながら、この際、少なくとも自治体がある程度の了承を与えなければならないはずでございます。八月十九日に、私も池田の町長と一緒に国鉄の四国支社ですか、あそこに参りまして、実はお話ししたのでありますが、町長さんのお話は絶対反対であります。お話し合いがついていないのです。議会もこれまた反対決議をされておるのです。あなた方、個人個人がだめだというのであれば、少なくとも自治体の首長あるいはまた議会に対する了解工作がなければならぬ。それもできていないのですよ。少なくとも私がこっちへ出てまいります九月一日には、町村長さんのところにもまだその後だれもおいでになりません。これが実態なのであります。町長さんは二人とも反対なのです。議会も反対決議をしておるのです。それにもかかわらず一あるいは高知県においても同様の仕儀であろうと思うのです。少なくとも私の選挙区内における二つの町村長さんは、私は意見を申しておりません、どこで一体、あなたの持っておる資料では、どうしてこんなことに地元の了解がついたとかなんとかいうことを国鉄がおっしゃるのか、私にはわからないということをおっしゃるのです。これでもまだあなた方は地元の了解の上にやっておるというお考えをお持ちですか、どうでございますか。
  107. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 地元の御理解と御協力を得ながら進めていく、こういう基本的な姿勢でございます。
  108. 井上普方

    井上委員 私がいま言った実情から、理解と御協力が得られておるとお考えになりますか、どうですか。
  109. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 私どもが現地から聞いた情報による判断といたしましては、完全に得られておるとか得られていないとかいうことをここで申し上げるほど正確な状態承知いたしておりませんけれども、基本的に理解と協力を得てこの計画を進める、こういうふうに承知いたしております。
  110. 井上普方

    井上委員 八月十九日に町村長が、その池田の町長ですが、反対に参っておるのです。私と一緒に陳情に参ったのです。九月一日にも私電話で聞きました。それにも、その後の進展は全然ございませんというお話です。それで地元の理解と協力が得られておるおつもりなのですか、どうなんですか。山城町にしてもしかりです。あるいは高知県においてもすでに十一の市町村議会が反対決議をし、かつまた十七万人に及ぶ地元の署名運動も成立しておるわけです。こういうことを考えますと、地元の理解と協力をほとんど得られていないのではないか、私はこのように考えるのですが、どうでございますか。また、この実態を見ましても、あなたは地元の理解と協力を得ておるとお考えになっておるのですか、どうでございますか。
  111. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 何月何日に反対の意思を表明したというようなお話、具体的に知らない点が私は多々あろうと思います。しかし、実行をするにあたっては、理解と協力を得てやっていくのだ、こういう基本姿勢を現地においても十分持ってお話をしておる、このように承知をしております。  その内容といたしまして、私は、ただ人を減らす、駅を不便にする、そういう考え方で計画したものでございませんので、輸送の状況が変わったのに応じまして、いわゆる機動的に広範囲に人を運用して能率的な体制をつくっていこう、こういう計画でございます。管理駅をつくって数駅を管理するとか、あるいはセンターをつくってそこでやるとか等々、積極的な考え方でいろいろ御相談をしておる、こう思うわけでございまして、そういう両面あわせて御理解、御協力を得られるものと私は思っております。
  112. 井上普方

    井上委員 そうすると、あなたのほうは理解と協力を得たものという一般的な判断に基づいて、今後この小駅廃止あるいは統合等を進めるお考えなのですか、どうなんです。
  113. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 当該地区について一〇〇%理解と協力を得られておるというふうに私が判断しているわけではございません。ただ、実行にあたっては理解と協力を得てやっていく、こういう姿勢には変わりはない、現地においても全然変わりはない、このように理解しております。
  114. 井上普方

    井上委員 しからば、やはり議会ないし町長との了解をある程度得た上でなければ地元の理解と協力ということはあり得ないと私は思うのです。そういう努力は今後進めるおつもりでございますか、どうでございますか。そういたしますと、これをやられるということになりますと、十月一日という日にちを延ばさざるを得ないと思うのですが、どうですか。
  115. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 なお一そう納得いただくように努力して、十月一日の計画実行に現地でも努力いたしておりますが、われわれもそのように期待いたしておるわけであります。
  116. 井上普方

    井上委員 期待されることと実行とは別ですよ。大東亜戦争の大本営発表じゃあるまいし、希望的観測ばかり述べて既成事実を積み重ねていったのでは大きな間違いです。あくまでも地元の理解と協力が客観的に見て得られたという判定の上に立った上での計画ならよろしゅうございましょう。しかし、理解と協力が現状においてはほとんど得られてない。個人個人についてはもちろんのこと、自治体あるいはまた自治体の首長あるいは議会、あるいはまた農協、そういうところの方々、あるいは学校、こういうところとも理解と協力を得られないままに十月一日の計画が実行に移されておるように私は見受けられてならないのであります。また、そう断定してもさしっかえなかろうという実態であります。でございますので、十月一日にやりたいけれども、これは延ばすというくらいの弾力性を持たなければ、いわゆるよらしむべしの政治になってしまうのじゃないか、このように考えるのですが、その点どうでございますか。お考えになる余地はあるのでございますか。
  117. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 十月一日をこの時点で私がいま得ておる知識だけでもって延ばす延ばさない、このように判断することはできないと私は存じております。十月一日のためにはかなりの前広な計画がございます。現地においてもそれを踏んまえて十分計画いたしておると思います。それを前提といたしまして、それにどのような弾力的な対応ができるかという問題も含めまして、なお現地において御納得いただくように努力をさせるほかない、このように思います。
  118. 井上普方

    井上委員 あなたとお話ししましたところで平行線をたどるようでございます。地元のほうは、これは議会もあるいは町長も村長も農協の組合長も反対しておる実態、これについて、あなたがそれでも断行するおつもりがあるのかないのか、この点をお伺いしたい。
  119. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 ただいま先生、反対しておるという事情をいろいろお話しでございますけれども、私どもが現地の出先から得ておる情報によりますと、こういういろいろな具体的な反対の意思表明ということをつまびらかに聞いていない点もあろうかと思います。基本的にはとにかく納得をいただくように十分努力をしてやっていく、またいただけるものだ、こういうぐあいに私は理解しておるわけでございます。
  120. 井上普方

    井上委員 あなたがそこに持っておるその資料がつくられたのは八月の十七日ですよ。ところが、八月の十九日に、池田町長と一緒に私は反対の陳情に四国支社へ参ったんです。町長さんは反対しますと言う。そういう話があったかと言いまして、あなたの持っているそのプリントを見せました。ところが、私はこういうことは関知いたしておりませんと、こう申されておる。あなたのほうへ入ってくるのは国鉄当局考え方が入ってくるのかもしれませんが、第一線のが入ってくるかもしれませんが、八月の十七日にその資料はできておったはずです。十九日に町長さんと一緒に国鉄支社へ参ってそのことをお話し申し上げた。私は了解をしておりません、こんなことを私は言った覚えはございません、反対でございますということを町長さんは申されておりました。それをもってしても、あなた方のその資料というものがいかに一方的なものであるかがわかろうかと私には推測できるのであります。この事実をあなたがどういうように受けとめて、それでこの小駅廃止の問題について取り組もうとするのか。いままでおっしゃってこられた地元の理解と協力という上に立ってやる必要があるのではなかろうかと思いますので、それをやるには、十月一日というのはあまりにも目前に控え過ぎておる。でございますから、それを動かす用意ありやいなやということを私はお伺いしておるのです。この議事録を見てみますと、あくまでも地元の理解と協力の上に立ってやるのだということを、あなた方はこの公の委員会において再三再四にわたって言明されておるこの事実、これからしてそういう実態と違う。地元の理解と協力が得られないままにやはり十月の一日でやるとするならば、国会に対してのあなたの説明というものがうそを言っておるのかということにも相なろうかと思うのです。少なくとも国会においてのあなた方の御答弁は忠実に守られるべきものであると私どもは理解いたします。そういたしますと、現地におけるやり方というのが間違っておるのか、あなたのほうに入ってくる情報というのが間違っておるのか、そこらあたりに問題は帰一すると思うのです。もちろん、小駅廃止の中で、この駅なら廃止してもやむを得ぬなという駅もあります。しかし、これは残さなければならないという駅もあります。しかし、それも一律におたくのほうが一方的な見解のもとに、しかも十月一日という時限を限ってやられるところに無理がある。無理をされておる。高知県においても徳島県においても無理をされておる。この実態をあなた方はどう解決しようとするのか、ひとつお伺いしたいのであります。出先があることだから言えないというようなことではなくて、私がただいま申し上げた客観的な事例を、私自身が体験したことを申し上げて、あなたに御再考を求めておるのですが、どうでございますか。
  121. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 先生からただいまお話ございましたいろいろな内容、これを現地にもよく伝えまして、なお一そう御納得いただくように努力させたいと思います。それからいま先生からお話ございましたように、あるものについてはこういう考えではどうか、こういうものについてはやってもいいとか、いろいろなお考えも個々にあろうかと思います。そういうものも含めまして、現地でなお一そう説明をして納得をいただいてやっていくように進めさせていただきたい、こう思います。
  122. 井上普方

    井上委員 しからば、やはり再検討するということを考えられて、今後再検討されるということを前提においてもかまいませんか。どうでございますか、実態との無理がある場合には。
  123. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 全面的な再検討、こういう意味ではなくて、基本的な考え方の上に立って、個々のやり方につきましては、いろいろやり方に応じて相談しながらくふうをしてやらせていきたい、こう思います。
  124. 井上普方

    井上委員 最後に、あくまでもあなた方は国会委員会においての御答弁を忠実に守っていただきたい。実情にあったような、国鉄当局が一方的にこれで地元の理解と協力を得たのだと認定するのじゃなくて、あくまでも客観的に理解と協力が得られたという上に立って、やっていただかなきやならないと思うのでございます。この点をお約束できますか、どうですか。
  125. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 当然主観的な理解と協力ということではなくて、よく実情にあった理解と協力、こういうふうに考えております。
  126. 井上普方

    井上委員 私はもうこれで終わりますが、どうかひとつ先ほどおっしゃった地元の真意を十分実現されるよう期待いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  127. 福井勇

    福井委員長 次に鈴切康雄君。
  128. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、油による海水汚濁について質問いたします。  近年、石油化学工業の発展につれ、輸入、移入が増加し、これらの船舶の油の海洋投棄による被害は目をおおうものがあります。なかんづく伊豆七島国立公園は、一千二百万人の東京人のレジャーを楽しむ唯一の場所であり、日本三大漁場で年間二百億から三百億円の水揚げをしているのみならず、風光明媚な国立公園として、青い海、青い空、きれいな空気で、東洋のハワイとまでいわれております。その島々がいまや海洋公害によって汚染をされておる現状であります。私は、八日、九日と八丈島に公害調査に参りまして、海浜に打ち上げられておるボール状の無数の廃油だまりの中から、比較的持ちやすいものを実は持ってきたわけであります。中にはバスケットボールほどの大きなものが無数に打ち上げられている状態であります。なお、私も船に乗りまして、八丈島の末吉地区灯台下で帯状の油が流れている中から海水を取水してまいりましたので、ひとつ見ていただきたいと思います。  そこで、八丈島の被害を例にとってみますと、この廃油のボールによって、海岸でレジャーを楽しむ人はまことに不愉快な思いをしております。歩いては足にべたつき、また泳いではからだじゅうがよごれ、ついに廃油によって子供の皮膚はただれ、タクシーのシートにくっつき、旅館やホテルにも迷惑を及ぼしている現状であります。そればかりか、水産資源にも重大な被害を及ぼしております。年間約七千五百万円の収穫があがる岩ノリ、テングサ、テングサの寄せ草、そしてモ類等は、油くさくて売りものにならないという状態でありますし、また網は油がついて、とった魚は放棄しなければならないという状態であります。また刺し網にはたいへんな被害を及ぼしております。このまま放置しておけば、島民に重大な被害があるばかりでなしに、死活の問題ではないかと思うのであります。  この重大な公害問題について、水産庁、海上保安庁、運輸省では、当然その原因調査されておられると思うが、黒潮に乗ってくる公害源についてまずお聞きいたします。
  129. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 海洋に投棄されました廃液なりビルジの油等が波にもまれまして、ただいま先生のお見せになりましただんご状になったものが沿岸に流れつくのでございまして、どういう船がどういう状態で流すかということは、私どものほうでは判断しかねます。
  130. 手塚良成

    ○手塚説明員 伊豆七島方面におきまして、ただいま先生がお示しのようなボール状のものが漂着する、これは四十二年ごろから伊豆七島一面にこういったもののかたまりが多数出て、ただいまお話しの海水浴客あるいは岩ノリ、テングサ等に被害があるということでございます。本年におきましてはおそらく潮流の関係からと思いますが、漂着量が主として南部の八丈島方面に非常に多い、こういうことでございます。私どものほうでは、この前の四十二年ごろから、こういったものについては一応の事態の調査をやっており、ことにことしに入りましてこういう状態でありますし、地元からの強い御陳情もございますので、去る八月二十八日以降九月八日まで、ビーチクラフトあるいは巡視船、こういったものを現地に出しまして、伊豆七島一帯あるいは御蔵島、八丈島、新島、神津島、三宅島、こういったところを調査をいたしております。飛行機から見ました油膜の状態、あるいは現地の島に上がりまして事情聴取、現物採取ということなどをやりまして、実はいまお示しのものにつきましても、一部私どもの研究所のほうに回しまして、内容の分析をいまやらしております。かたわらまた、潮流の関係等については、水路部等々につきまして、こういったものがどこからどういうふうになってくるのであろうかということの検討をも現在させておる最中でございます。
  131. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、何も油が波にもまれて表面張力からボール状になるということを聞いておるのではないのです。すなわち、そういうふうな公害源になっておる場所がどういうところにあるのかという、その点の調査がはたしてできているかどうかということ、これを私は問題にしているわけです。実はこの問題、先ほど海上保安庁長官が言われましたように、たしかもう三、四年前からその徴候が見えて、年々ひどくなっている事実は間違いないことでございまして、ことしはそれが特にひどくなってきているわけでございます。私は、このまま放置しておけば、それこそ重大な問題に発展していくのではないかと憂えるものであります。そこで、きょうは総理府のほうから来ておられると思いますが、やはり何といっても各省庁でただ単にばらばらにそういうものを調査するというのでなくて、公害対策本部がリードをとって合同調査をしていかなければ、こういう大きな問題は解決できないのではないか、そのように思うのでありますが、そのやられる御構想があられるかどうか、この点についてお聞きします。
  132. 植松守雄

    ○植松説明員 ただいまの御質問でございますが、確かに、これまでの公害行政を担当しておる各省の分担が必ずしもはっきりしないところがございます。現在四十六年度の予算要求という形で、各省からいろいろな要求が出ておるわけでございます。その場合に、その考え方をわれわれのほうでいま整理しておるわけでございまして、いま現在の八丈島の問題にお答えする前に、一般的なことをちょっと答えさせていただきたいと思います。  まず一つは、水質についての常時監視の体制でございます。これにつきましては、水質は経済企画庁が所管することになっておりまして、これは河川のほうがおもになるわけでございますけれども、今度測定器等を備えて常時監視をしていく。それからさらに、これが被害を及ぼす側面からとらえますと、人の健康に関する被害ということで厚生省、それから農林水産物に対する被害という観点からは農林省ということになっておるわけでございます。さらにこれが犯罪捜査という観点でとらえた場合には、海は海上保安庁になりますし、陸上のほうは警察になるというのがおおむねの現在の監視体制のあり方であろうと考えております。  そこで、具体的に今度はこの八丈島の問題になるわけでございますが、御承知のように、今週の火曜日に閣議了解によりまして、各省の予算の既定経費の充当等によりまして相当大規模の調査をいたすことになっております。海面の調査をいたすことになっておりまして、この場合には、それぞれ分担をきめ、あるいは合同調査をしという形で考えておるのでございますが、いま御指摘の点につきましては、まだ具体的な計画というところまでまいっておりません。それは早急に各省と連絡をして、優先順位に従って取り上げていかなければならないというように考えております。
  133. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 船舶の油による海水の汚濁の防止に関する法律は、油の含有量百PPM以下ならば五十マイル先の外洋投棄を認めております。また五条二項においては、施設未整備港に航行中の一般船舶はもとより、内航タンカーも、油性バラスト水の投棄については海岸からできる限り離れて行なわなければならないと規定しておりますが、実際には守られておりませんし、チェックのしょうはないのであります。ゆえに実際はたれ流しという現状であります。港則法二十四条においては、船舶交通の安全及び港内の整とんの目的で、港内または港の境界外一万メートル以内の水面においては、バラスト廃油の投棄を行なうことを禁止している。それも肉眼で見える範囲の適用であります。水産資源保護法は第四条において、水産動植物に有害な水質の汚濁に関する制限または禁止を行なう省令または規則を定めることができる権限を農林大臣または都道府県知事に付与しております。しかし、これもみだりに油を廃棄する場合や被害との関係がはっきりしている場合のみになされることになっております。いずれも全く規制が甘い状態であります。これでは抜本的な解決の方法にはならないわけであります。  そこで、私は、船舶の油によるところの海水汚濁の防止のための規制を強化する考えはないか、この点についてお伺いします。
  134. 見坊力男

    ○見坊説明員 お答えいたします。  現在の海水汚濁防止法は、もちろん条約に基づいて制定されておるわけでありますが、昨年の十月第六回のIMCO総会におきまして条約の改正が行なわれました。  そのおもな改正点は、まず現行では五十海里より離れたところに捨てるというのを、原則として全面海域投棄禁止ということになっておる点が非常に大きい点でありますが、われわれといたしましては、このIMCOの改正条約を受諾いたしまして、それに伴う国内法の改正を行ないたいということでありますが、そういうことで現在問題点を詰めておりまして、できるだけ早い機会と申しますか、できれば次期国会ぐらいに改正案を出したいということで現在検討中でございます。
  135. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま言われましたように、確かに、IMCOの第六回総会において国際条約による一切の廃油禁止が採択されたわけであります。かつて一九五四年に、ロンドンに四十二カ国が参加して国際会議が開かれ、油による海水の汚濁防止のための国際条約が調印をされましたが、日本政府は船主協会などの反対にあって延び延びになって、御存じのとおり、昭和四十二年の八月の法律の制定となったわけであります。これがために、非常に日本国は海洋国としての国際信義を落とすという結果になりました。しかし、私は、今日このような公害の非常に重大化したときに至って、こういうふうなことではとうてい許される問題ではない。少なくとも次の国会にこの問題を含めて国内法の改正並びに批准の問題を出されるという御決意をもう一度お伺いしたい。
  136. 見坊力男

    ○見坊説明員 わが国のような海運国が率先してこういう条約を受諾するという姿勢は当然であろうと思います。条約の受諾につきましては、外務省その他関係省ともまた十分連絡をとらなければならないわけでありますが、現在受諾いたしておりますのはアイスランド一国というような状況でありますが、ただ一国だから日本はおくれていいということはございませんので、積極的な姿勢でこれに取り組みたいと思っております。ただ、非常にいろいろな問題がございます。現行法で施設未整備港に入港するために航行中の場合あるいは施設未整備港の中で航行する場合においては、油送船以外の船舶、あるいは平水区域、沿岸区域を航行区域とするタンカーについては適用しないという規定がございますが、これは廃油処理施設の整備の状況とにらみ合わせまして、そういうような配慮が行なわれておるわけでありますが、それらの点につきましても十分詰めて検討してまいりたいというように考えております。
  137. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 先ほどお話しありましたが、確かに廃油処理施設という問題は重要な問題ではないかと思いますが、少なくともこういう国内法の改正という問題を前提とすれば、当然その廃油処理施設についての計画があろうかと思いますが、その計画ははたしてどういうふうになっておるかどうか。現在石油基地は増加の一途にありますが、石油配分港は第一次、第二次を含めてはたしてどういう状態か、それに対する廃油処理施設というもののバランスはどうなっておるか、その点についてお伺いいたします。
  138. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 廃油の処理施設につきましては、四十二年度から全国で一日の廃油、これはバラスト水が主でございますが、百トン以上出すというものを重点的にやろうということで取り出しまして、三十三港を選びまして、現在整備中でございますが、現在の段階で申し上げますと、これは民間企業でやるものもございますし、それから石油精製工場で処理しておるものもございます。それから、そうでないところは港湾管理者に整備してもらうということで進めてございます。  現在のところ、施設を一応整備した港は十四ございますけれども、施設整備港という指定をしなければならないわけでございますが、その廃油の処理量と、それから廃油、捨てる量、これをにらみ合わせまして十分な施設があるというような場合に、初めて指定するわけでございますが、現在は横浜及び川崎の二港が指定されておるということで、はなはだ申しわけない状態でございますが、本年度中にはさらに八港を指定いたしまして、年度中には十港は指定できるという見通しがついてございます。  なお、当初立てました計画は、四十七年度までに整備するということで進めてございますけれども、これは早急に検討いたしまして、なるべく繰り上げるという措置も講じたいと存じますし、先ほど官房からお話ございましたけれども、もちろん官房等とも打ち合わせまして、必要があればさらに再検討もいたしたいというふうに考えます。
  139. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たれるときは便所でたれるというのが、要するにこの法律の趣旨の今後の大きな問題点であろうかと思います。ところが、便所がないのにたれる。どこでたれていいかわからないんじゃ、これは話にならない。いまお話によると、片方では全く法案を改正しなくちゃならない。片方の廃油処理施設は全く進んでないという状態、これはやはり改善していかなければどうにもならないじゃないか。たとえば廃油処理施設があっても、船なんかは滞船料を取られるために、夜陰に乗じて廃油を流すという悪質なものもいる。ましてや、これは便所をつくらなければどうにもならない現状にあるわけですから、そんななまぬるい考え方でなしに、もう少し前向きにそういう点は考えていってもらいたい。よろしゅうございますか。
  140. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 御趣旨のとおり、さらに積極的に進めたいというふうに考えてございます。
  141. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それからもう一つは、やはり海洋汚染の問題に、石油コンビナートの産業廃棄物及び廃油の海洋投棄が行なわれているのではないか、その掌握について通産省はどのようにされておりますか。
  142. 斉藤顕

    斉藤説明員 現在石油精製業から排出されます廃棄物で、昭和四十四年において約二十万トンございます。それらのうち、約十万トンが海洋投棄されておるわけでございますが、残りの十万トンは埋め立てその他に使用されております。これら十万トンのうち、主として石油精製の段階から出てまいりますものは、先ほどのバラストあるいはビルジ水のほか、大きなものは潤滑油製造業者から出てまいりますいわゆる硫酸ピッチでございますが、これらが海洋に投棄されておるものの主たるものでございます。特に硫酸ピッチでございますけれども、私ども現在これらの硫酸ピッチのような廃棄物を生じさせないようなプロセス、これを採用するということが第一であるというふうな観点から、大手の石油精製業者に対しましては、水素化精製設備の設置によって硫酸スラッジあるいは廃ソーダというふうなものが副生しないようにさせるという方向で指導しております。しかし、この設備は相当に高価なものですので、中小企業等におきましてはなかなかそのプロセスを採用するということはむずかしい面もございます。  したがいまして、これらの中小潤滑油の製造業者等につきましては、協同して硫酸スラッジであるとかあるいは廃ソーダの処理をするような処理センターを持てということで、各地域別に現在そういうふうな処理施設を持たせるような具体的な方策を持つような指導をしております。現に大阪地区におきまして協同組合を結成いたしまして、大阪石油処理センターというふうな名前になっておりますけれども、これらのものを、大阪府あるいは大阪市と土地の問題その他の便宜の供与を受けながら、これら中小企業でも持てるような設備をつくる方向で現在処理しております。
  143. 福井勇

    福井委員長 時間の関係上、政府側の答弁は簡潔に願います。
  144. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 廃油並びに産業廃棄物、特に硫化ピッチというのは非常に問題になっております。ところが、廃油は五十海里の外洋に出した場合は合法的であります。また船によって廃油、廃棄物を商売としている自由営業者のチェックははたして可能であるかどうか。おそらく可能じゃない、ゆえにそういうふうにして海洋に投棄されているのは案外多いのじゃないか。それが要するに海洋を汚染している大きな要因になっている、私はそのように思うのですが、そういう問題も含めて、やはりこの問題についても法の改正あるいは行政指導というものを強烈にする必要がある、そう思うのですが、その点の御決意。
  145. 斉藤顕

    斉藤説明員 先ほども申し述べましたように、こういうものを出さないプロセスの採用ということが第一でございます。  それから第二の海洋投棄ということにつきましては、運輸省等と協力いたしまして、監視体制その他の問題につきまして私どもも協力していきたいというふうに考えております。
  146. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 海上保安庁にお聞きしますが、下田保安部は現在海洋公害を調査するのにどれだけの機動力をお持ちになっておるかということなんです。もちろん、この海洋公害だけの問題でございません。巡視船とかあるいは飛行機はほかの用にもつかれるわけでありますが、その監視体制がはたして十分になっておるかどうか、全く能力がないのではないか。百PPM以下であれば法律的にはかまわないということになっておるわけでありますが、それをやはり科学的に分析し、あるいは追跡する、そういう能力がないのではないか。現に私は、昭和四十三年は百四十八件、そして四十二年には九十五件しか実際にその違反をつかまえていないという事実を知っております。おそらく四十四年でも同じでしょう。そうなった場合に全く能力がない。なぜ能力がないかといえば、それはもちろん予算も今後取っていただかなければならないと思います。しかし、私はやはり海上保安庁の機構に大きな問題があろうかと思うのでありますが、今後海上保安庁として、公害センターをつくるなり、あるいは管区においては公害の専門課をつくる、そういう御構想ありやいなや、その点についてお伺いいたします。
  147. 手塚良成

    ○手塚説明員 御指摘のように、海上保安庁におきましては、船艇、施設その他について、こういった公害面に力を注ぐにはまだ必ずしも十分だとは考えておりません。したがいまして、今後の方向といたしましては、仰せのごとく、私ども自体の構想といたしまして、仮称公害監視センターと申しましょうか、そういったものを置き、それに対応する専門家の要員を充実する、あるいはいまのようなかたまりが出れば、とりあえずの分析、鑑定等はできるようなそういう施設、人間等を置く。しかもまた、本庁におきましても、ひとつそういった取りまとめができるような組織を整備いたしたい。かようなことで、来年度予算にもそういった面をお願い申し上げておるわけでございます。
  148. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、田子の浦の問題と、それから八丈島の問題についての関連についてお伺いいたします。  先ほどもいろいろ質問がありました田子の浦の硫化水素を含んだ廃棄物の海洋投棄は、まことに問題であります。政府は初め百五十キロのところから三百二十キロにしたらよいという考え方であったようでありますけれども、実際にはそれではどの場所で投棄をするかということについてお伺いいたします。
  149. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現在のところ、場所は決定いたしておりませんが、伊豆七島の東側であって、なおかつ黒潮の軸流の外側ということで検討いたしております。
  150. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まことにあいまいなことで、要を得ないわけであります。私がある情報から聞きますと、野島崎から八丈を結ぶ線、すなわち、東経百四十度というところを一つの中心として考えていきたいというようなお話を聞いたわけでありますけれども、その点についてお伺いいたします。
  151. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 現在百四十度という線は考えておりません。百四十度よりもっと東のほうを検討中でございます。
  152. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 百四十度という線を考えていないで、それより東だということになると、具体的にどういうところになるか。すなわち、私もいろいろ現場に行きまして、日本近海の海流の図を手に入れてきたわけでありますが、ここに黒潮が流れておって、そして親潮とぶつかる合流点がちょうど伊豆七島になるわけであります。なお、その下には逆回りの海流が回っているわけであります。そうした場合に、いまあなたが言うように、百四十度から少なくとも東というふうに言われても、はたしてそれで黒潮に完全に乗っかっていくかどうかということは疑問であります。季節によって変わるでありましょうし、海流というのはそんな一定の状態で動いているわけではありません。そういった場合に、あなたのおっしゃっているような安易な気持ちで、すでに九月の二十日ごろから海洋投棄をしようなんということを知事は言っているじゃありませんか。そうした場合に、水産庁は水資源保護法によって、あなたはこの三大漁場を守る主管庁じゃないですか。それがいいかげんなことで、ただ百四十度よりちょっと東のほうで、水深四千メートルだからたいした被害はないなんという安易な気持ちでいるとすれば、大きな間違いである。少なくともこの問題が水資源に及ぼす影響というものを考えたときに、私は重大な問題だと思うのですが、その点についてただ検討をしているというあいまいもこのことでなくして、あらゆる点において科学的な調査をするまでは絶対に外洋投棄はさせない。そしてむしろ、一県の公害の問題で海洋の公益的な面が侵されるという場合には、私は少なくとも国が行政指導をする必要があるというように思っているのですが、その点についてお伺いします。
  153. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 私ども、進んでヘドロを海洋投棄することに賛成したものではございません。海洋投棄しか現在の駿河湾の現状を打開することができないという点で、水産資源に一番影響の少ないところを現在調査しているわけでございまして、決して安易な気持ちで黒潮に流せばヘドロが拡散してなくなってしまうというように考えているわけではございません。黒潮も親潮も海底も、あるいは黒潮の軸流につきましても、年により月によりまして非常な変化がございますので、その点を十分検討して、一番影響の少ないところに出したいというのが現在のところでございます。
  154. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 要するに、水産庁としては反対である、だけれども、緊急やむを得ないから賛成せざるを得ないなんて、そんな弱い水産庁では何もできない。少なくとも野島崎と八丈を結ぶ線の中に伊豆七島が点在しております。海水の汚濁の防止に関する法律からいえば、当然その島をはさんで五十海里は油を捨ててはならないという、そういう状態にもなっているわけであります。そうであるならば、そういうように被害があるからそういうのが適用されるわけであって、いまあなたの言うようなあいまいもこの考え方でなくして、やはり水産庁はこの問題について断固反対して、海洋投棄というものは水資源に大きな影響があるから、絶対にさせない、それくらいの決意で臨まなければこの問題は解決しない。もし万が一この海洋資源が大きな被害をこうむり、漁民が泣くような事態になったときには、水産庁のほうは責任をとりますか。
  155. 藤村弘毅

    ○藤村説明員 そういう事態のこないように現在努力しているのでございまして、そういう点で責任をとれと言われましても、私から何ともお答えいたしかねます。
  156. 福井勇

    福井委員長 午後三時から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時六分休憩      ――――◇―――――    午後三時四分開議
  157. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斉藤正男君。
  158. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 田子の浦港の問題につきましては、先ほど同僚議員からお尋ねがございましたが、なお若干の問題をお尋ねいたしたいと思います。  私のお尋ねはきわめて基本的な問題でございまして、見解の相違だとかあるいは考え方の違いだとかということで論争するような問題ではございませんので、イエスかノーか、あるのかないのか、いいのか悪いのかということを率直にお答えをいただきたいと思うわけでございます。  先ほどのお尋ねにもありましたけれども、緊急措置として、二十日ごろから二千六百立方を積むことのできる運搬船二隻を就航させて、しかも黒潮の軸流の外まで運ぶ、こういうお話がございました。一体、この船は時速何ノットの船でありましょうか。性能を伺います。
  159. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 ただいま準備しております船は九ノットでございます。
  160. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私どもが入手している情報では、大体田子の浦港から三百二十キロ程度の沖合いでなければ黒潮の軸流の外というわけにはいかぬというように聞いておりますけれども、この三百二十キロの沖合いということは、大体そのように考えてよろしいか。
  161. 植松守雄

    ○植松説明員 先ほども応答がございましたように、伊豆七島の東側で黒潮の軸流の外側ということで、水産庁のほうでいま地点を最終的に詰めておるところでございます。したがいまして、われわれ本部としましても、水産庁から具体的にどの地点ということはまだ伺っていない状況でございますけれども、ほぼいま先生がおっしゃったような距離になることに考えております。
  162. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そういたしますと、大体三百二十キロ程度沖合い、これに時速九ノットの船で行きますと、往復に何時間かかり、そしてまたしゅんせつ船から運搬船に積み込むのに何時間かかり、投棄に何時間かかるのでありましょうか。たいへん幼稚な質問ですけれども、伺いたい。
  163. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 時速九ノットで走るといたしますと、先ほど御質問がございましたように、かりに三百二十キロというふうに勘定いたしますと、片道約十八時間という計算に相なります。それからなお投棄するしかたがいろいろあろうかと思いますが、これは土運船といいまして、どろを運ぶ船でございますので、底開式なので、一ぺんに開くか、徐々に開くか、これはまた水産庁のほうの御指導があろうかと思いますが、一挙に開いてしまえば、瞬時とは申せませんけれども、きわめて短時間にはけますし、はき方がゆっくりはけというようなことでございますと、それに合わせるということに相なろうかと思います。なお積み込みの時間ですが、大体三時間か四時間程度で積めるのではないかというふうに考えております。
  164. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 片道十八時間かかって往復三十六時間、積み込みに三時間ないし四時間かかる。なお投棄についても、これは胴体をあけて一ぺんにというわけにきっといかないと思いますが、それらをいろいろ勘案いたしまして、先ほど御答弁がありました二日で一往復できるというノルマは過酷ではないかというように思うのですけれども、二日で一往復できるということが確約できますか。
  165. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 先ほどもちょっと申し上げましたように、天候の状態、その他いろいろな外的条件がございまして、必ずというふうなことでは申し上げかねると思いますが、二日間、四十八時間程度ございますと、先ほどの簡単な計算でございますけれども、余裕を見てございますので、大体二日見ればよかろうというふうに一応考えております。
  166. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大体二日で一往復できるということのようでありますが、その伊豆七島東側という黒潮の軸流をはずすという地点、いまだに水産庁からはっきりした答弁がないということでございましたけれども、大体田子の浦港を中心にして三百二十キロの半径を描けば、伊豆七島の東側でということになれば、針で突いたような地点ではないわけですから、おおむねわかると思うのですが、そういうように解釈して間違いないかどうか、お答えをいただきたい。
  167. 植松守雄

    ○植松説明員 先ほど申し上げたような次第でございまして、私のところもまだ具体的にどの範囲でという正確なところは伺っておらないわけでございます。もちろん、いまのところ、運搬船ができ上がるのが十五日、実際にそれが稼働し得る状態になるのが大体二十日、こういうふうに踏んでおりますから、それまでの間には、水産庁は非常に慎重に検討いたしておるわけでございまして、その辺の細部の詰めをしてきめていただきたいと思っておりまして、それ以上のところはちょっといまのところ私申し上げるべきでないと思っております。
  168. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 港則法二十四条一項に、「何人も、港内又は港の境界外一万メートル以内の水面においては、みだりに、バラスト、廃油、石炭から、ごみその他これに類する廃物を捨ててはならない。」という条文がございます。このうちで、バラスト、廃油、石炭から、ごみについてはわかりますが、一体この港則法二十四条というのは、港の中または港の境界外一万メートル以内の水面に船からこういうものを捨ててはならない、船からという厳密な規定があるのか。飛行機からはいいのか、あるいはそのほかの地上からならばいいのか、この辺の解釈はいかにしたらよろしいでしょうか。
  169. 植松守雄

    ○植松説明員 その問題、私も専門ではございませんけれども、海上保安庁等の意見を徴したところでございますが、別に船からでなければならないというようなことではないと思います。したがいまして、本件の場合について申しますと、直接工場が田子の浦港に排出しておるわけではございませんけれども、一万メートルという場合に、河川も含むということになりますと、その海域、その範域の中に入ってくる、該当するケースが出てくるのではないかというふうに考えます。そこで、これは御承知のように検察庁にいま告発が出ておりまして、いま検察庁で検事総長が現地まで参りまして検討しておる最中でございます。
  170. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そうすると、この法律は、船からだけの投棄でなくて、そのほかの部面からの投棄であっても、やはり法の精神はもちろんだけれども、条文からも適用する面もある、こういうように解釈してよろしいか。
  171. 植松守雄

    ○植松説明員 私、専門ではございませんで、いま保安庁長官が参りましたので、保安庁長官から答えていただいたほうがいいのではないかと思います。
  172. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もう一ぺんお尋ねします、長官初めてですから。  港則法二十四条一項に、捨ててはならないものの規定がございます。これは港則法という法律のたてまえからいって、船からこういうものを捨ててはならないということだけに限定をされておるものか、飛行機からとか地上からならば捨ててもよろしいかというお尋ねをしたのですが、審議官は、いや必ずしも船からだけではないというお答えをいただいたわけですが、そういうふうに確認してよろしいか。
  173. 手塚良成

    ○手塚説明員 条文でごらんいただきますと、何人も捨ててはならない、こういうふうに書いてございまして、これはいま先生おっしゃられましたとおり、船からだけではなしに、たとえば陸上の工場等からこういった種類のものを捨てるという場合も、当然これに該当いたします。
  174. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 法制当局でもございませんし、答弁者もこの道の全くの専門家だというように私は考えて伺っているわけではございませんけれども、「その他これに類する廃物を捨ててはならない。」「バラスト、廃油、石炭から、ごみ」と書いてあって、「その他これに類する廃物」というものは、たとえば何か指摘できるものがございますか。
  175. 手塚良成

    ○手塚説明員 まずこの法律の目的から、この問題のお話を申し上げたほうがよろしいと思いますが、この目的の第一条にございますように、港内における船舶交通の安全及び港内の整とんをはかることを目的としておる、こういうのがこの法律自体の目的であるわけです。で、ここに具体的にあがっておりますバラスト、廃油、石炭から、ごみ、こういったものは具体的にそういう目的から見て船舶の交通に支障を与えるというので、これをみだりに捨ててはならないということになっているわけです。したがって、ここにありますその他これに類するものという意味は、やはり水路の安全に支障を及ぼすかどうか、あるいは本条に列挙されておりますような規制物の有害度、こういったものの比較考量から具体的に目的論的に判断する必要があろうかと思います。  そこで、さらに具体的に申し上げますと、海底に堆積をして水深を浅くするというようなもの、いま問題になっておりますようなパルプ廃液によりますヘドロのようなものはこれに該当する。それから液燃性物質で海面火災を招きやすいというようなもの、したがって船で使います以外のアルコール類等もこれに入ると考えられます。それから水面あるいは水中に浮遊をいたしまして、船の推進機にからみつく、あるいは機関の冷却水取り入れ口を閉塞したりする、たとえばロープであるとか、わらであるとか、ビニール類であるとか、こういったようなものがその他これに類するものに入ると解釈されております。
  176. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 的確にお答えをいただいて、よくわかりました。  そこで、この港則法二十四条に関連をして、国際条約で公海に関する条約というのがございますけれども、この公海に関する条約二十四条は、海水の汚濁の防止ということで、「すべての国は、海水の汚濁の防止に関する現行の条約の規定を考慮に入れて、船舶若しくはパイプラインからの油の排出又は海底及びその下の開発及び探査により生ずる海水の汚濁の防止のための規則を作成するものとする。」ということが書いてございまして、これもまた狭義には「船舶若しくはパイプラインからの油の排出」とか、あるいは「海底及びその下の開発及び探査により生ずる海水の汚濁の防止」というようなことで、かなり明らかに規定をいたしておりますが、この公海に関する条約二十四条と、たとえば海洋の汚染防止といったような、今回ヘドロを黒潮の外に投棄をするというようなこととの関連において、条文にぴたり該当するとは私も思いませんけれども、この公海に関する条約が生まれた精神あるいはその運用あるいはその後の推移といったようなものからいって、この二十四条とヘドロ外洋投棄とはどのような関係にありましょうか、お答えをいただきたい。
  177. 見坊力男

    ○見坊説明員 公海条約の二十四条にはいまお話の規定があるわけでありますが、油につきましては、国内法で海水の油濁の防止法が制定されております。この二十四条の規定とヘドロとの関係でありますが、法律的には規定は明確ではございませんで、ヘドロの投棄については緊急措置としてやむを得ないものという事実上の措置であろうというふうに解釈します。
  178. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 この国際条約におきましては、油類の投棄並びに放射性物質の投棄について条約があるようでございまして、その他の汚物については、国際条約にはいまのところないようでございますが、そのように確認してよろしいか。
  179. 見坊力男

    ○見坊説明員 現在のところ、外洋投棄が国際法上規制されておりますのは、原油、重油、潤滑油、それから放射性廃棄物、それについての条約があるというふうに承知いたしております。
  180. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 国際条約としてはそういうことのようでありますけれども、立法なり――条約ですから立法とはいいませんけれども、その条約が提起をされ、批准をされるというような精神的な面から考えますれば、やはりどんなものであっても汚物を海洋へ投棄するということは間違いだというように解釈ができるし、またすべきだと思うのですけれども、いま申しましたような油類とかあるいは放射性物質以外のものなら、国際条約にないから何を捨ててもいいんだということではなくて、今回は緊急やむを得ずやるのであって、国際信義に必ずしも合致をしたものではないというように解釈をしてよろしいか。
  181. 植松守雄

    ○植松説明員 今回の場合は、先生おっしゃいますとおり、現に八十万トンのヘドロが堆積いたしておりまして、本来の趣旨から申しますと、陸上処理が望ましいことは申すまでもございません。山中大臣も陸上処理ということを非常に強く言われたのでございますけれども、まだそれに必要な自信を持ってやれるというだけの技術開発が十分できてないような現状でございます。しかし、それを決してあきらめておりませんで、用地を探すとか、あるいはそれに伴う各種の海水分離施設、あるいは消却施設等についても、開発を国と県と共同で急いでおるような現状でございます。現在においてはやむを得ないという感じがいたすわけでございます。
  182. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 田子の浦港は昭和三十二年に着工いたしまして、約十年もかかって百三十億の余を投入してつくられました掘り込み式の人工港であることは御承知のとおりでありますけれども、この田子の浦港には沼川とか和田川とか潤井川とか江川とかいう川が流入しておりまして、日量二百万トン程度のいろいろな水が入っている。これは御承知のとおりで、この中に多量のヘドロが含まれているわけでありますけれども、   〔委員長退席、箕輪委員長代理着席〕 この田子の浦港は重要港湾に指定をされておるわけであります。こういう各河川が膨大な沈でん物といいますか、混濁物といいますか、そういうようなものを運んでくるということは、重要港湾指定の段階でもおわかりであったと思うのです。もちろん量につきましては今日ほど多くはなかったかと思うのですけれども、そういうことをすべて承知で指定をされたのか、その指定の段階で何か条件のようなものがあったのかどうなのか、この点を伺いたいと思います。
  183. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 重要港湾の指定と申しますか、われわれ選定基準と呼んでおりますが、選定基準につきましては、ただいま先生御指摘ございましたような状況は基準に入ってございませんで、港の規模であるとか、あるいはどの程度貨物を扱う、あるいはその重要性、そういう角度から港湾の機能というものを中心に選定するわけでございます。  いま田子の浦について川のお話がございましたけれども、ちょっと例は違うかもしれませんけれども、たとえば信濃川の川口に新潟の港があるというふうに、大きな川の口に港のある例もございます。ただ、先生もおっしゃいましたように、三十九年の重要港湾に指定した当時、現在と同じような流下物があったらどうか、この点はちょっと私どもわかりかねますが、いまよりも非常に少なかったろうと思いますけれども、河口港といいますか、川口にある港は大なり小なり大体どろがたまる。それはどの港でもある現象でございますので、そういう意味からいいまして普通の港――普通といったら語弊ございますけれども、河口港通例の港であるというふうに当時は考えたと思います。
  184. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そういたしますと、通常一般の河口港にも、いわゆる普通の川を流れてくる土石その他はあるわけでございまして、一般的な概念からそういうように考えられた。当時の指定の選定の基準には、そういうヘドロのようなたぐいのものが流れてくるということは承知をしておったのか、知らなかったのか、その点まだ明らかでありませんけれども、要するに、一般的な河口港として選定の基準に合っていたから指定をしたということでございましょうか。
  185. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 河口港としての選定基準じゃございませんで、具体的に申しますと、長くなりますけれども、たとえばその港湾の外国貿易の取り扱いの貨物量が幾らであるとか、何千トン級の船が着く岸壁を持っておるか、そういうふうな数字が基準になりまして、ただ、港の機能が、そういうふうな条件を満たした場合に、常にそれが保持されるかどうか、必ず河口港ですと維持、しゅんせつの必要が起こりますけれども、そういったことが起こっても保持できるということが背景にあろうと思いますけれども、そういう機能で押えておるということだと思います。
  186. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そういたしますと、港の機能が選定基準に合致しておったから指定をされたということであって、その指定の段階においてヘドロ等が当時も入っておったでありましょうし、今後もふえても減ることはないということもおわかりで、それは基準の外だということで選定をされたというように解釈してよろしいか。
  187. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 直接には、先生のおっしゃいますように、選定の外と申しますか、選定基準には入ってございません。ただ、現在の田子の浦の状況に直接合わせるわけではございませんけれども、一般的にその港の機能が選定基準に合致して、それが維持できるということは、基準には書いてございませんけれども、当然のことだろうというふうに考えます。
  188. 植松守雄

    ○植松説明員 ちょっといまの点本部として補足をさせていただきたいと思いますが、御承知のように、岳南排水路というのは、本来の目的といたしましては、当地方に存在する各製紙工場、パルプ工場、これらの廃液を集めまして、そこで本来の建設目的では終末処理を備えまして、その終末処理をした上で放流するという計画でございます。ところが、この工事が思うように進捗いたしませんで、実は終末処理が備わっていない段階で現在のような破局的な状況になったということであります。したがいまして、もしこれが終末処理が備わることになりますと、通常の土砂が流れるという一般の港湾の場合と同じになるということになろうかと思います。  それからもう一つ申し上げておきますと、実はこれは港ではございませんで、駿河湾の海底百メートルくらいのところで直接放流するというのが当初の計画であったわけであります。ところが、これは漁業に対する被害が大きいということで、昨年その計画が中止になりまして、いま現在のような状態になっているということでございまして、これは運輸省のほうの重要港湾の選定の問題のみならず、全体の岳南排水路の建設計画そのものについてのそごと申しますか、これは国、県の行政方針の誤りということで非常に鋭く指摘されておる問題でございますが、そういう問題がからんでおるということを申し添えておきたいと思います。
  189. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 全貌が明らかになってきて、私のお尋ねに対しましてはたいへん明快であります。  そこで、続いて港湾法三十七条の関係を伺いたいわけでありますけれども、同施行令十四条等々との関係におきましても、港湾管理者の許可を受けなければならない行為として、一つには「水域又は公共空地の占用」ということがあります。それから、もしくは「支障を与えるおそれのある政令で定める行為」こういうことがあるのであります。水域または公共空地の占用をする場合には港湾管理者の許可を得なければならぬ、こういうことでありますけれども、意識するとしないとにかかわらず、何バースかの岸壁が使用不可能になっていて、結果的にはヘドロが水域を占用しているというようにも解釈できるのですが、これはあまりにもひん曲げた解釈ですか、いかがでございましょうか。
  190. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 結果的に、御指摘のように、現在約五バース使えないという事実はございます。ただ、港湾法三十七条を受けました施行令の十四条の占用というものは、むしろ第三者の意思でかってに、管理者の許可なしに無届けで使うということを中心に考えてございますので、他動的にそういうものまでは含んでいないと考えております。
  191. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 この点は明らかになりました。そういたしますと、港湾法三十七条、同施行令十四条を受けて、港湾管理者の許可を受ければ流してもいいというようなたぐいのものでもないし、またそんなことを港湾管理者が申請を受けて許可するわけでもないのですけれども、結果的にはそうなっておりますが、第三者が意識的に水域なりあるいは公共空地の占用をしようと思ったものでないので、この点については、私が言ったようなことは該当しないというように断定できるということですね。
  192. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 お説のとおりだと思います。
  193. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そこで、もう少し突っ込んだお伺いをしたいわけですが、田子の浦港の区域というのは、これは海上保安庁ですけれども、港則法上ではどの範囲になっているのか。
  194. 手塚良成

    ○手塚説明員 これは港則法並びにその政令できまっておりますが、田子の浦港の区域といたしまして、文字どおり読み上げますと、「沼川東海道本線鉄道橋南西端を中心とする半径一、六〇〇メートルの円内の海面並びに沼川沼川新橋、和田川新和田川橋、潤井川田子の浦橋及び江川江川水門各下流の河川水面」、そういうことになっております。
  195. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そのとおりに書いてございます  そういたしますと、大昭和製紙鈴川工場、同じく吉永工場、同じく富士工場、興亜工業、大興製紙、本州製紙、これらの諸工場が汚水をそれぞれの河川に放流をいたしておるわけでございますけれども、その工場の所在地もしくは汚水の放流地点は、港則法でいう田子の浦港の港域とみなしていいのか、港域外というべきか、いかがでございましょうか。
  196. 手塚良成

    ○手塚説明員 これは港域の外でございます。
  197. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 港則法でいう港域内ではなくて、港域外だと断定してよろしいか。
  198. 手塚良成

    ○手塚説明員 そのとおりでございます。
  199. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 これは非常に重要な問題でございますので、あとで間違っていましたということのないように、断定をしたというように私は受けとめます。  そこで今度は、港湾法上の田子の浦港の区域について、港湾法三十七条二項の規定による静岡県告示第百七十六号の規制は、田子の浦港の区域を今度は港湾法上どういうように規定されておりますでしょうか。
  200. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 私ちょっと条文を持ってまいっておりませんので、口頭で申し上げたいと思いますが、港湾法によります港湾区域は、潤井川で申しますと田子の浦橋まで、下流でございます。それから沼川で申しますと最末流の橋から下、それから和田川は、鉄橋をこしました上流でございますが、貯木場のある水面の一番近い橋がございまして、その橋から下流というふうになってございます。なお、鉄橋から上につきましては、たしか四十四年に拡張したというように記憶してございます。
  201. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大体間違いない把握をされております。そこで、後ほど最終的に運輸大臣にも伺いたいと思うわけでありますが、田子の浦港の問題はいろいろに言われておりますけれども、いまどうにもならないような段階に参りまして、緊急措置と、それから恒久措置と、二つに分けて対策を立てるということでございまして、その緊急措置は、国際信義にもとるかもしれないし、また漁民のたいへんな憤激を買ってもいるし、また、どんな行動に出られるか予測もできないというような最悪の事態も予想されるけれども、二隻の運搬船で黒潮軸流外へ投棄をする以外にない。恒久対策としては、いろいろ言われておるけれども、大企業企業内にろ過装置を持つ、資力のない中小零細企業は共同施設をつくってろ過装置を持つ、そしていまのようなヘドロは一切各河川に流さない、このことが田子の浦港を維持する唯一の道で、最上であろうということになっておるわけであります。  そこで、二十日前後に運搬船ができてきて、いよいよしゅんせつを始め、外洋投棄をするというときに、漁民の皆さんが実力をもってこれを阻止する。おそらく海上交通でございますから、漁船その他を持ってきて港口その他を閉鎖するなり、そういう行動であろうと思います。県当局責任者は業務妨害罪でこれを逮捕する、実力には実力を持って排除をするというようなことも申しておるわけでありますけれども、海上で運搬船に対する実力行使をやった場合、これを取り締まるのは海上保安庁でございますか。陸上警察官が海の上へ乗っていって――乗る船がたくさんあるかどうか、そこらも私知りませんけれども、主として海上のそういう問題については海上保安庁でございましょうか。長官、いかがですか。
  202. 手塚良成

    ○手塚説明員 私どもの任務と考えております。
  203. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 そういたしますと、これは自主的な判断で海上保安庁がそれぞれの出先に指示をし、行動に出るということなのか、あるいは港湾管理者の要請に基づいて出るというのか、いかがでございましょう。
  204. 手塚良成

    ○手塚説明員 ある程度問題が犯罪化し、あるいは多数の公衆に迷惑が及ぶという事態をやはり予防しなければなりませんので、そういった犯罪予防の見地からは自主的に出ることも考えております。しかしながら、問題の性質がこういった公害の問題から出ておりまして、関係者港湾管理者あり、地元関係公共団体の皆さんもありますので、これらの事態に対処するしかたについては、そういった関係各方面の皆さんと十分話し合いをした上で、できるだけ事が荒立ったことにならないような措置をお願いしながら、私どもの態度をきめていきたい、かように考えております。   〔箕輪委員長代理退席、委員長着席〕
  205. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 たびたびの漁民大会その他の空気は長官も十分御承知だと思います。特に漁民の皆さんの気性といいますか、私どもで想像できないような一徹さも持っておるわけでございます。しかし、きのうの参考人として出席された静岡県知事の決意の披瀝等を伺いますと、断固としてすべての妨害を排除してやるという気概がありありと見えておりました。私は、流血の惨等が起こらないという保障はない、非常に切迫したものがあるというように思っているわけであります。したがって、海上保安庁として説得その他十分なことをやっていただきたいと思うのですが、公衆その他に迷惑をかけるというようなことがあればということですが、海の上を二隻の運搬船が出ていくのですから、そこに公衆などというものはいないわけでございまして、まさに運搬船に乗っている乗り組み員と船でやってくる漁民の皆さん以外には人はいないと思うのですよ。こういう形の中で不測の事態というようなものが予想されるということになりますれば、たいへんなことではなかろうかとも思うわけですので、もう一度長官、その辺いかがでしょうか。
  206. 手塚良成

    ○手塚説明員 ただいま申し上げましたようなことで、私どものほうではいま情報の収集に一段と力を入れております。そして、現地を所管いたします清水の保安部におきましても、現在人員その他施設の整備をして、関係方面との連絡を密にさしております。そういった情報の収集の結果におきまして、極力不測の事態、特に人命に云々あるような問題を起こさないような措置をとるように、関係方面と極力折衝を持ちながら事態に対処いたしたい、かように考えております。
  207. 植松守雄

    ○植松説明員 本部からちょっと補足させていただきたいと思います。  いまおっしゃいましたように、先月二十九日の漁民の五千名集会、その他漁民の方と紙業協会との間には、この問題で何回か話し合いが持たれております。非常に不幸なことに、紙業協会の会長である大昭和製紙の社長が先月の集会のときに不在でございまして、そこで実際に実のある話に入れなかった。実は県もそのあっせんに乗り出すべく非常に熱意を入れておったのでございますけれども、どうもそこで話が合わないという状態であったわけでございますが、七日に大昭和製紙の社長、当地方の紙業協会の会長が帰ってまいりまして、さっそくその日会談をいたしております。そこで、これは大メーカー十五社、二十工場についてでございますが、二〇%の操短ということが業界側から発表されておるわけでございます。しかし、これは単に大企業だけの問題ではございません。大企業は実は二十八工場ございますし、さらに中堅企業が十八工場あります。その他、中小の工場が全部で百五十というような形でございまして、それぞれ自粛措置をとらなければならないというような話が急速にまとまってまいっております。通産省はその行政指導に全力をあげておるところでございまして、われわれも県当局もぜひ第一回目の七日の会談に続いて関係者の間の会談を持ちたいということで、これは県当局が最も熱意を入れて、いま努力中でございまして、そういう最悪の事態にならないように、その前に漁民の方の納得を得るように、そのためには、まず製紙業界及びパルプ業界が誠意を示さなければならない。その辺の話し合いを鋭意進行させるべく努力しておるところでございます。
  208. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 大臣、お忙しいところをたいへん恐縮でありますが、先ほど同僚議員のお尋ねに答えて、ヘドロ排除の方法につき、そういう考え方もあるということで関心を示されておりましがが、先ほど私が申し上げましたように、県も国も全く同じ考えになっているのは、先ほど私が申し上げました当面の対策と抜本対策、もちろん、その間には資金のめんどうを見るとか、いろいろな指導助成が必要でありますけれども、恒久対策が確立したといってもいいと思う。ここでああいう方法もある、こういう方法もあるということも、それは考え方としてはよろしいのでありますけれども、ほかには目もくれずに、特に抜本対策に施策を集中しなければどうにもならないところまで来ている。特に田子の浦港のヘドロ問題がただいまでは何か公害のサンプルみたいになっておりまして、国の行政の中でも、この問題をどう解決するかということが、今後起こるであろう各種の公害対策一つの前例となると思う。うまくいけばなるほどということになりますけれども、一歩誤ればこれはまたたいへんなことになるし、他に例を及ぼすことになるということを考えますれば、あまり無責任なことは言ってもらっては困る。やはり各省庁が統一をし、特に本部がまとめていままともに取っ組んでいるこの問題を理解をして、ぜひ港湾管理者である運輸省としても、あるいは海上保安の任に当たっている海上保安庁としても、全力をその点に集中して対処を願いたい、こういうように思うわけでありますけれども、大臣、見解はいかがでございますか。
  209. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるとおり、田子の浦のヘドロ処理問題は、公害問題の目玉的なものを持っておるようでありますが、これは政府としても総理以下非常に真剣にこの問題に取り組んでおります。そこでお話しのように、対策本部が中心となって、農林省関係、運輸省関係及び通産省関係等、お話しのような緊急措置の問題、恒久措置を一刻も早く確立して手をつける、こういうことで、せっかく財投等も用意をしまして、これを処理する考えでまっしぐらに進んでおります。御注意等十分に承って、その方針を十分尊重してこれが解決をいたしたい。ましてや、流血の惨事等は起きないように、十二分に対策を講じてまいりたいと考えております。
  210. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 最後に、ぜひそのようにお願いをいたしたいと思うわけでありますが、その黒潮軸流外への投棄ということにつきましても、これから今度は黒潮に乗って下がってまいりましたというか、上ってまいりましたカツオは、親潮に乗りかえて上りカツオになるわけであります。これに引き続いてその付近はサンマが南下してくる、同時にイカが大量にやってくる海流に近いわけなんです。そのものずばりではありませんけれども、ほど遠くないところにそういう漁獲のあるところですから、この点をぜひ本部のほうも水産庁とも十分な連絡をとっていただいて、お願いをいたしたいというように思いますが、もう一度大臣、そういう総合的な見解に立って決意のほどを伺いたいと思います。
  211. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 海洋投棄の問題は、法律上の問題、国際条約の問題は別といたしましても、広く言うなれば、最近の国際通念といいますか、環境整備といいますか、そういう面から見れば、もちろんこれは十分に考えなければなりませんし、したがって、政府がとろうとしておりますのは暫定措置で、永久に海洋投棄をやっていこうという考えではもちろんありません。ただ、技術開発にいたしましても、これを固定化するという方法、あるいは固定化した場合の方法等も技術開発を考えていこうというような積極的な姿勢で臨んでまいりたいし、いま申しました漁業関係の問題につきましても、関係省の意見等も十分にありましょうから、また地元の意見も聞きながら、万全を期していきたい、かように考えております。
  212. 福井勇

    福井委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十六分散会