○
井野委員 たいへん
歯切れのいい
答弁で、意を得たという気がするわけでありますが、まさに
国鉄は、
国家目的の上からいって、ある
意味では過去の
開発の先達をつとめ、今日撤収のやむなきに至っておるものもあるし、
片方にそういうものがあるかといいますと、
赤字覚悟でさらに
開発の先駆としての建設を必要とする面があるわけであります。今日非常にやっかい者扱いされておる
ローカル線というものは、主としてそういう命題の
積極的面と
消極的面の両面からくるマイナスをしょっておるのでありますから、これを
国鉄の
経営怠慢の
赤字の
原因にすることはまことに妥当ではないし、こういう点に対して
国鉄当局が明確に
国民に明らかにしなかった姿勢は間違いなんです。そして今日、
国民の総反撃を受けて、与党の議員さんも先頭に立って
赤字路線の廃止と戦っております。私は、この点について、
大臣が明確にされた点はきわめて意義が深いので、まさにあの
再建計画というものは
根本的に誤っておる。しかも、人員整理をすれば
国鉄はあたかも
黒字になるような印象を与えるように一生懸命
国民に宣伝している。これは大きな間違いであることを指摘しまして、ぜひとも、あの
再建計画にこだわらない、
国民生活の
要望にこたえた
国鉄の果たすべき使命について明確にして、
国鉄財政の運営を考えるべきだろうと思います。この点は、
大臣、まことに同感でございますので、今日
国民の強い
要望には前向きでこたえていただきたい、こう思います。
それにかんがみまして、この分厚い監査報告書、つぶさに読ましてもらいました。この中にこれは明確に示されておるわけです。特にこの一二ページの国庫負担等への肩がわりの項目に至っては、まさに今日の
国鉄の歴史の中で、
企業としてもし独立採算制を考えるのであれば、当然
国鉄が負うべきでないものがたくさんあげられております。抽象的にあげられておりますから、これからまじき出される
金額がどのくらいになるのかは明瞭ではありませんが、この点は、総裁のほうで数字をお出しになればすぐ出る問題だと思います。あわせて、
国鉄労働組合がいっておる公安要員の問題なんかも、この中にまた加えらるべき要素の問題だと思います。
あわせて私は、昨年の七月の決算
委員会で浅井
委員が御指摘になっておられる、そしてこの監査報告にも出ております高架下の
使用料の問題について、長浜
理事ですか、これまたきわめて
歯切れの悪い
答弁をしておられる。ここに決算
委員会の記録がございますので、これをごらんくだされば、もう
当局がお答えになったことですから明確でありますが、この中で、
国鉄は人手もないので十分やれないと述べておられる。人手がないと言っておきながら、首切りを一生懸命になっておられる。やはりこれは語るに落ちたことであって、
国鉄要員の適正な運用ができてないという証拠なんで、監査報告には、かなり一生懸命やっておられるとは書いてございますけれども、実際は、膨大な鉄道用地、不用地の処理の問題あるいは高架下の利用問題等、非常に
国民の指弾を受けておる問題です。私はきょうは四十分の限られた時間ですからやっておるひまがございませんので、ぜひこういう決算
委員会のような
歯切れの悪い
答弁ではなしに、明確な内容を
調査書として本
委員会に出してもらいたい。そうして
お話しのように、契約においても、貸借契約のできるもの、無名契約をしなければならない余儀ない事情のあるもの等、区分をして、こういう
国鉄財産から得られる収益性について、特に天下り人事によって別会社をつくり、
国鉄一家と非難されるような運営のしかたのないように、国の所得に帰属すべきものについては、明確に
国鉄の利益として収納できるように明らかにすべきだと思います。しかしながら、反面、今日の都市構造、
道路交通上の進歩の中で、高架の上にさらに高架をやったり、地下鉄を掘ったりするような必要のあるところは、これまた
皆さんの技術の上で予測されるわけでありますから、そういう点については、したがって料金も安いし、要求に応じていつでも撤収してもらわなければならないというようなことを明らかにして、区分別にきめて、また貸しのまた貸しのまた貸しになって、実際は、
国鉄が収納している料金よりも利用者が使っている料金は十数倍に上がっているという例が、片っ端から名前をあげ七決算
委員会で指摘されておる。もう当然、これだけの指摘があったならば、
国鉄当局はこの明細をすみやかに掌握されて――
理事が言っておられるように、たいへん複雑で、むずかしい問題で、東京から北海道までありますのでわかりませんなどということは、この財政
再建計画の上からも言えないと思うのです。収入として見ている
金額についても非常に少ないように思います。実態にも合ってないと思います。こういう点は、いま言ったように、
国鉄の敷地を
国鉄の目的に使うためにいつでも返してもらわなければならぬものの契約と、長期にわたってそういう必要のないものとの契約は、おのずから別だろうと思います。また貸しまた貸しなんということは、あってしかるべきものでもありませんし、特に
再建計画の中で、ホテルやその他の関連事業まで
経営することを意図されておる
皆さん方としたら、最も単純な収益を得られるこの問題の処理
能力がなくて、どうしてそういう関連事業をやることができますか。私は一番先にやらなければならぬ問題だろうと思います。試みに私も、この決算
委員会の浅井
委員の御
質問、
当局の御
答弁を詳細に読ましてもらいました。
再建計画に示された気魄と全く別だ。どれを読んでみても納得できないものなんです。こういうことではなしに、この所管する
委員会に明確な方針、現状、これを資料として出していただきたい、これは資料要求としていたしておきたいと思います。
大臣、そういうことでございますので、この
再建計画を否定された立場における今後のいわゆる二万キロのうち、評論家が書いたこれがございます。この中によく書いてございます。
委員会も時間があればこういうことを全部やればいいと思うのですが、なかなかできませんで、角本良平さんですか、この方がお書きになった中で、特に総裁に申し上げておきたいと思いますが、この三ページで一人当たりの生産性の問題が出されております。そしておたくの広報
課長ですか、組合の中へ出しておるのも、それと同じことが書いてあります。新日鉄なら一千万円もあげるのに、
国鉄は百九十万円しかあげない、こういうのですが、よく調べてごらんなさい。新日鉄は
貨物輸送で特別の割引をやって利益を追求して、
国鉄は採算が合わないようにしているじゃないですか。そして、保護を受けてもうけるだけもうけている産業と生産性だけを比べて、おまえらは時間の割りに生産性をあげていないんだというものの言い方は、情に欠けておりますよ。
国鉄の職員は一生懸命にやっておるのですよ。むしろ、そういうように徹底的な国の保護を受けているのと、逆にその負担を背負わされている
国鉄と並べて、生産性を比較するのはおかしいと思うのです。こういうところにも、
国鉄労使の間に必要以上のみぞをつくっている
原因があると私は思うのです。
国鉄職員が言うことを聞かぬからうまくいかぬのだというような言いわけは、それは
国鉄内部では言えても、
国会に対して、
国民に対しては言えないことだと思うのです。そういう点もっともっと姿勢を変えるべきだと思います。私は、資料の取り方が間違っている、こういうことを指摘したいと思うのです。そして、相互に信頼が生まれて、初めて
国鉄の使命というものが
大臣が言われるように明確にされて、
国鉄は単なる独立採算の
企業ということでは評価はできないのだ、
国鉄はこういうふうにして苦労して、こういうように奉仕しているのだという点が明らかにならなければいかぬ。そして当然国が負うべき国庫負担については、堂々と胸を張って要求されるべきなのです。それをしないで、僻地の人たちから鉄道を取り上げる、無人駅にする、
貨物は扱わない、こういうやり方自体が
根本的に間違っていることを私は言いたい。
この角本さんの論文にしろ、この監査報告にしろ、
橋本大臣のただいままでの、前のあやまちにこだわらないという姿勢といい、一致していると思いますが、
国鉄当局としては、一体
大臣を補佐する迫力があるかどうか、ひとつお聞かせ願いたいと思います。