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1970-08-11 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年八月十一日(火曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 村山 達雄君    理事 内藤 良平君 理事 松本 忠助君    理事 和田 春生君       砂田 重民君    關谷 勝利君       谷垣 專一君    井野 正揮君       金丸 徳重君    斉藤 正男君       米田 東吾君    宮井 泰良君       渡辺 武三君    田代 文久君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通指導課長   寺尾  繁君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         厚生省環境衛生         局公害部公害課         長       山本 宣正君         通商産業省化学         工業局化学第二         課長      丸田 幸栄君         運輸大臣官房長 高林 康一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         消防庁予防課長 永瀬  章君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         日本国有鉄道常         務理事     山口 茂夫君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正巳君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  陸運航空日本国有鉄道経営及び港湾に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 ごく簡単に、一つの問題にしぼってちょっと御質問申し上げたいと思います。  われわれは、いま国鉄問題も非常に苦しんでおるわけでございますが、過疎地帯における中小バス会社、これがいま非常な大きな問題を各方面に投げかけておるわけでございます。たとえば三十人乗りバスあるいは四十人乗りバスが通っておって、バスによって内容は違いますが、一台につき平均十五名乗ってもらわないととんとんベースにならないというところで、三名ないし五名しかお客が乗らないということで、走れば走るほど赤字になる。これに対してわれわれ国会並びにわが党は、車体購入費補助並びに路線補助ということを過年来行なってきたわけでございます。しかし、こういう車体購入費補助路線補助ということをやりましても、しょせんどろ沼の中に国民の税金をなげうつようなものではないかという印象さえあるわけであります。さりとて、これがまた地域住民の足を確保しなくてはならないその地域における経済的、社会的な大きな任務があるということで、そのジレンマにわれわれ国会議員も苦しみ、またバス会社経営者並び勤労者も悩み苦しんでおるのではないかと思うのであります。これに対していままでのような車体購入費補助あるいは路線補助ということで事が足りると思っておられるかどうか、まず、その点につきまして自動車局長にお伺いしておきたいと思います。
  4. 野村一彦

    野村説明員 ただいま加藤先生から御質問がございましたが、御質問のように、私どもいままでは、御指摘のような路線維持費のいわゆる運航補助金と、それからバス車両購入補助金、それから民間事業者企業をやめました場合に市町村がこれにかわってやるという場合の、これも車両購入補助金の一部を国が補助するということでもってやってまいりました。その金額は、いままで非常に各方面から御援助いただきましたにもかかわらず、四十五年度予算で全部で一億六百万程度であります。これでは、いま御指摘のように、ますます広がっております過疎地域バス対策としては、きわめて貧弱なものであると思います。したがいまして、私ども四十六年度予算におきまして、これはまだ運輸省省議をもって最終的にきまっておりませんので、まだいま確定的には申し上げかねますが、私ども自動車局としましては、ただいま事務的にただいまの三つの補助をさらに飛躍的に増大をさせるということでもって案を立てております。ただいま先生の御指摘のように、五人ないし十人しか乗らないというものあるいは延長が五キロなければ対象にしないというような点ももう少し縮小して、少なくとも二キロ、過疎地域におきましては二キロ以上の距離があればそれを対象に取り上げてほしいというようなことも、四十六年度で織り込みたいと思っております。  そのほかに、抜本的に私ども考えますのは、何といいましても、こういう過疎地域バス事業者といいますのは中小零細が多うございますし、総じて赤字が多うございまして、企業基盤が弱いものでございますから、できればそういうものが路線措置の、何といいますか、合理的な再検討をやるということを考えていただくと同時に、私どもとしては何とかして財政資金長期低利融資の道を開きたいということで、目下この長期低利融資を四十六年度の私どもの要求の一つの大きな柱として、これを声を大にして運輸省内で主張しておるところでございますが、まだ省議におきまして具体的にきまっておりませんので、ここで確定的に申し上げかねますが、そういう長期低利財政資金の道を大幅に開きたいと考えております。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 自動車局長、まあいままでにある補助形態は大幅にアップしたい。その内容が五キロを三キロにするとか、いろいろな問題、これも大切ですが、あとに述べられました特別地域の問題、いわゆる地域的縛りの問題、そしてその次は中小零細バス業者に対する長期低利融資の問題、これはやや前向きではないかと思いますが、具体的にたとえば地域的縛りというもの——縛りといったら語弊がありますけれども、これを大幅に県段階においてあるいは県を超える段階において解放するということですね。これはある面では非常に大切なことでございまして、これをぜひ積極的にお進め願いたい。  それから、私たち考えまして、公共事業であるという名のもとにいろいろな束縛を受けておりますが、それに対する財政上、金融上の措置というものは十分行なわれていない。そのうちの一つとして、金融上の措置として長期低利資金融資ということ、これはぜひ大切でございますが、一般的に言えることは、バス会社につとめておる皆さん方バス事業というものは斜陽である、将来に対する希望がない、これは一番困るわけでございます。将来に対する希望を持たす大きな問題を出していかなければならない。それはいま局長がおっしゃいましたような地域的な縛りを少しゆるめるとか、あるいは長期低利の金を融資するだけでは、全体的な希望を持ってこぬわけでございます。そこで私は、ごく簡単でございますが、一つ提言いたしてみたい。自動車局においてこれと十分に取っ組んでいただきたいと思います。  その第一点は、中小バス会社大同合併ということは考えられないか。一つ地方で、一つの県で五社も六社もあるようなところ、これらはもう一社か二社ぐらいにしてしまう。局長はかつては海運関係でこの大同をなし遂げられた方でございますが、ひとつこういう問題でブロック別の大きな合併促進の策というものを打ち立ててもらったらどうだろうか。地域的縛りを解放する大きな前提としても、これは私考える必要があるのではないかというのが一点でございます。  それから第二点は、いまも申されました五キロを二キロにする路線補助。それから、局長は五名ないし十名とおっしゃいましたが、三名ないし四名しか乗ってない路線もたくさんあるわけでございます。そこで、これも一つの二番目の提言でありますが、三名ないし十名ぐらい乗っておる路線、せいぜいいま二キロにされるとおっしゃいましたが、これは十キロ以内のところはこういう路線は思い切って廃止してもらって、そのかわりに、地域住民の足を確保するためにタクシー免許を与えてはどうか。しかもそれは普通のタクシー免許ではいけない。相乗りを認めたタクシー免許だ。これは局長お調べ願えばわかるわけです。それは三人あるいは五人よりか乗ってない地域末端毛細路線の一番先へ行きますと、人家が大体四十軒ある、五十軒ある、多いところで七十軒ある。そこに自家用車が幾らあるか調べてみますと、大体人口数の悪いところで三分の一自家用車を持っているわけです。この自家用車を死蔵されておるわけです。そこで、この自家用車を活用する方法考えなければなりませんが、現段階においては、その自家用車路線バスの代替にするというのは非常にいろいろな問題で行政上混乱を来たす。そうすると、それにかわるものとして考えられるのはタクシーです。そのタクシー免許個人免許にするか、あるいは会社免許にするか、地域関係者免許にするかは別でございますが、これは乗り合いを認めないタクシーをやったのでは地域住民生活費が高くなる。中央沿線一定区間一定時間を過ぎた場合には乗り合いを認められるという方策を打ち出された。それと同じことをこの過疎地帯におけるそういう地域にも思い切って免許を出し、そして乗り合いを認めるということをやっていきますと、局長がおっしゃいました五キロを二キロにする、あるいはまた三種類の補助金をさらに重くするということよりか、解決策も前向きであるし、あるいは地域住民の賛同も比較的得られるのではないか。  私こう思いますので、ひとついま申し上げました大同合併の線というのと、毛細線の先におけるタクシー免許によってこれをカバーするという方法、これについて、もちろんいまおっしゃいました四十六年度の予算におけるいろいろな予算問題等われわれ一生懸命今後とも努力していきたいと思いますが、ひとつ将来に見通しの明るい、従業員希望を持てる線として、そういう線も今後の抜本策として御検討願いたい。私はこれはもう答弁要りません。ぜひ検討していただきまして、過疎地帯のこういうもろもろの苦しみの解消の一端としていただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わらしていただく次第でございます。
  6. 關谷勝利

    關谷委員 関連して簡単に。  これも御答弁はすぐはできないかもしれませんが、過疎地帯のいまのバス路線でありますが、これは引き合わないからというて間引きをする、廃止をするという現象が起きておりますが、これは国のほうの旅客船については、御承知のような離島航路整備法でありますとか、それから鉄道については地方鉄道軌道整備法があります。両方とも私がつくったのでありますので、私が一番よく知っているのですが、バスだけではありません。これはどうしてもやはりいまのような状態になりますと、鉄道あるいは海運と同じように地方バス事業整備法とでもいうものをつくらなければなりません。これは野村自動車局長ならやれるはずでありますので、ひとつぜひこれをやっていただきたいということと、もう一つは、団地関係でいまいろいろ輸送が問題になっておりますが、近ごろ新聞にあちらこちら出ておりまするのは、あれは完全な道路運送法違反ということになります。運送法の第百条の共同使用運輸大臣の認可も得ておりませんし、また、規則第六十条の運送事業に類似した行為をやってはならぬという、この二つの条文あるいは規定に違反をしております。  そこで、これらの点につきましては、いまいろいろ話もありますが、実情に適したようにやはり道路運送法改正をやらなければなりません。この際、思い切ってひとつ——あの道路運送法というのも、私はあの立案のときにも参画をいたしましたが、昭和二十五年でしたか二十六年でしたかにつくったものですが、あの当時の自動車の少ないときのものを、それから後にところどころこう薬ばりでやっているだけでありまして、これは抜本的な改正をやらなければならない時期が来ておりますので、ひとつ思い切った改正をやっていただきたいと思います。できることなら次の通常国会にいまの地方バス事業整備法を、これは海運あるいは鉄道に似通ったもの、共通のものでありますが、そういうふうなものを一つの法律として出してもらいたいということと、道路運送法の抜本的な改正をやって、いま団地等で行なわれておりますところの違反の、事業といえるかどうか知りませんけれども違反行為を取り締まるようにしなければなりませんが、住民のいまの状態に適合したようなことに法のほうを変えてやれるようなことにするのが、道路運送法のたてまえであろうと思います。業者を保護するのがたてまえじゃなくて、大衆の利便をはかるのが運輸行政の根本でありますので、ぜひ道路運送法改正を次の国会にお願いしたい。この二つをお願いしておきます。御答弁は要りません。
  7. 福井勇

  8. 宇田國榮

    宇田委員 私は、違った角度から自動車局長車両課長にお尋ねを申し上げたい。  いま国民焦点は、またマスコミの焦点も、公害問題が中心となっている。そこで、その公害問題の一番大きな焦点は、何といっても乗用自動車ということに集中されているのでありますが、私が実際に見聞しているところを見ますと、トラックとそれから乗り合いバス、これから吐き出すところの排気ガスのほうの被害が非常に大きい。それで、たとえばこれらの乗り合いバスやいわゆるトラック排気ガスが、黒煙もうもうということは大げさかもしれないけれども、全くこれに悩まされている状態であって、困っている状態でありますが、これに対して、エンジン構造改善とか、あるいは燃料改善ということについてお尋ねしたいのですが、局長からでなくとも、車両課長からでけっこうでございますが、ちょっとお尋ね申し上げたい。
  9. 野村一彦

    野村説明員 ただいま宇田先生の御質問の件でございますが、私ども四十一年から、いわゆる自動車排出ガス対策というものを講じてまいったわけでございますが、去る七月二十日に、運輸大臣諮問機関でございます運輸技術審議会にかねて研究をお願いしておりましたその答申が出まして、その答申に基づいてやっておるわけでございます。  その中で、先生も御案内のように、いままで私どもがやってまいりました排出ガス対策は、ほとんど一酸化炭素に限られておったわけでございます。これを少し範囲を広げて、どうも公害状態一酸化炭素だけではとうてい間に合わないということでございますし、おいおいその実態もわかってまいりましたので、炭化水素、あるいは窒素酸化物、あるいはそれらから第二次的に組成されますところのいわゆるオキシダント等対策考えてまいっておるわけでございますが、ただいま先生の御指摘にありましたディーゼル黒煙、あるいは鉛化合物その他の微量重金属に対する対策は、目下のところ残念ながら具体的に規制の直接対象としては取り上げるようには至っておりません。  ただ、私どもがあの答申に示していただきましたように、昭和三十六年と昭和三十八年は、その状態は、車道以外の歩道あるいは裏路地等におきましては、まだ人体に影響のあるような排出ガスも出ておりませんので、昭和四十八年度を第一段階とし、昭和五十年度を第二次段階として、それぞれ昭和三十八年あるいは昭和三十六年の状態に大気の汚染等を戻そうという規制をやっております。それと並行して、ただいま先生のおっしゃいましたようなエンジン改良、あるいは清浄装置開発ということを当然やらなければなりません。幸い先生方の非常な御後援によりまして、本年度から交通安全公害研究所というものを独立させていただきましたので、ここを中心といたしまして、また通産省、厚生省とも連絡をとりながら、排出ガス問題に取り組んでおりますが、ともかくエンジン改良ということと規制の実施ということを並行して進めたい、さらに清浄器開発ということもあわせてやって、昭和五十年度以降は無公害自動車というものの開発に進めるように努力をしたいと思います。
  10. 宇田國榮

    宇田委員 大体いいけれども、ちょっとふえんして申し上げたいが、乗用車焦点が向けられて、乗り合いバストラック焦点が向けられない点があるのです。それで、たとえば一キロ乗用車トラック並びに乗り合いバスあとからずっと連続運転した場合において、まっ黒になってしまう。それで、乗っておる乗客は、もちろん窒息まではいかないけれども、全くえらい状態です。だから、先ほど言うとおり、燃料改善、それからエンジン構造改善、これをトラック乗り合いハスに重点を置いてもらいたい。  これを申し上げまして、私の質問を終わります。
  11. 福井勇

  12. 米田東吾

    米田委員 航空局長に先にお伺いいたします。  私、質問申し上げますのは日ソ航空関係であります。昨年の二月十三日にソビエトロギノフ民間航空大臣が来られまして、懸案日ソ航空関係につきまして、前進的な共同声明、それに基づいて日ソ間に、シベリア上空の開放あるいは自主運航による首都間の相互乗り入れ、こういうような関係が実現する方向が出ましたけれども、あわせて、局地航空路検討という一歩前進の方向共同声明に盛られておる。私、その後のこれらの関係につきまして、これがどういうふうに進展をしてきておるのか、具体的に申し上げまして、自主運航相互乗り入れがいつからできて、現在どんな実績をあげているかということが一つ。要するに共同声明の第一項です。  それからその次は、万博関係を考慮しまして、日本の一地点貨物便をも含めた局地航空路、これがどんな実績をあげて、どういうふうにこれが実際に貢献をしておるか。万博も九月十三日まででございますけれども、その後の見通し等を含めまして、この関係一つ。これは共同声明の第二項かと思います。  それからもう一項は、これらを踏まえまして新しく貨物線でございますか、日本の一地点と局地的な航空路開設をしたい、こういうことが第三項にございます。  したがって、この一項、二項、三項、この共同声明内容でございますが、これが具体的にどういうふうに実績をあげておるか、今後どうされようとされるかを含めて、ひとつ局長から御答弁をいただきたい。
  13. 内村信行

    内村説明員 まず第一点でございます。日ソ航空協定ができまして自主運航が開始されたわけでございますけれども、その開始期日は三月二十八日から開始しております。その後の成績をいいますと、相当な成績でございまして、大体日航には、これは平均でございますけれども、一便当たり約百名乗っております。それからエアフランスも約百名。それからソビエトのアエロフロートは、約五十名くらいというのが大体の実績でございます。  それから、次に万博の問題でございますけれども万博開催中に限りハバロフスク——大阪間にチャーターを認めるというふうなことを約束いたしたわけでございますけれども、その後、万博開催相当チャーター便がございまして、現在まで約四十便が飛んできております。ただ、その乗客は大部分がヨーロッパの人々でございます。これが万博開催中のチャーターの問題であります。  その次に、三月七日付の日ソ交換公文関係でございますが、ハバロフスク日本国内の一地点、これとを結ぶ航空路開設検討しよう、その点につきましては、最初はまず貨物、続いて旅客、これを検討しようではないかということになっておりまして、この点に関しましてその後も検討を続けておるわけであります。そこで、本年の五月にソビエトから来訪いたしまして、東京におきまして交渉を行なったわけでございましたが、残念ながらこれは交渉成立に至らず、未成立に終わったというふうなことでございます。そこで、なおその次に、去る十日からモスクワにおきまして、こちらから代表が参りまして、現在その件について交渉を進めておるわけでございます。  こういうふうなことがいままでの状況でございます。
  14. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、第二項の万博チャーター便関係でございますが、これは大体万博が終わりますれば打ち切り、消える、こういうことが当局のお考えでございますか。
  15. 内村信行

    内村説明員 そのとおりでございます。
  16. 米田東吾

    米田委員 そうすると、あと局地線として残る可能性があるのは、いま局長が第三項で御答弁いただきました、現在交渉中のハバロフスク日本の一地点という関係が残る、こういうことでございますね。
  17. 内村信行

    内村説明員 そのとおりでございます。
  18. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  それで、この関係につきましては、現在、八月十日、きのうでございますか、きのうからモスクワ交渉が行なわれておる。   〔委員長退席宇田委員長代理着席〕 これは要するに、ハバロフスク日本の一地点ということについての航空交渉でありますから、目的ははっきりしているかと思うのであります。したがって、日本の一地点という関係等につきましては、これはもっぱら交渉内容に入るかもしれませんけれども当局としては何か原案を持って参加されておられますか。それとも、どうでございますか。
  19. 内村信行

    内村説明員 もちろん、私どもといたしましても原案を持って参加いたしております。ただ、残念ながら目下交渉中でございますので、詳細につきましては申し上げられないことは残念でございます。
  20. 米田東吾

    米田委員 これは局長、私あるいは間違った認識をしておるかもしれませんが、貨物便でございますか。
  21. 内村信行

    内村説明員 最初貨物便、それからその後に、旅客について検討するということになっております。
  22. 米田東吾

    米田委員 それでは、これはそう質問申し上げましても当局も困ると思いますし、私もさっぱりわからない質問を繰り返しても時間がむだでございますから、質問をやめますが、ひとつできるだけ日本側主張が通りますように、しかもこれは局地線でございますので、やはり相手の都市との対応等もあろうかと思います。ひとつ日本側当局皆さん主張が通って、円満に、しかも早期に懸案局地線日ソ両国間において開始されるように、ぜひ御努力いただきたいと思います。
  23. 内村信行

    内村説明員 ただいま先生のおっしゃいました御趣旨に沿いまして、努力いたしたいと思っております。
  24. 米田東吾

    米田委員 航空局長さんはそれで終わります。あと飛行場は、時間がありませんからもうやめました。  国鉄さんにお聞きしますが、国鉄当局におかれましては、現在機構改革、要するに地方管理部門を含めました機構改革検討され、実施されようとしておるようであります。具体的に申し上げますと、支社が管理局になり、私、詳細はわかりませんけれども、そうして地方常任理事が配置をされまして、それがそれぞれの管轄の管理局を指揮をする、何かそういう趣旨での出先管理部門を含めた、そこに焦点のある機構改革であるというふうに見ておるわけであります。そういう計画があるそうでございますが、これにつきまして総裁のお考え——国鉄のことでありますからとやかく言う筋合いはございませんけれども地方住民にとりましては、これはきわめて関係のある問題でもございます。今日、国鉄地方の産業や地域開発と無関係ではございません。国鉄さんがかってに改革すればいいというわけにはなかなかいかないと思う。したがって、どういうわけで、どういうメリットで、いつからどういうふうに改革をされようとするか、ひとつ具体的にお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 磯崎叡

    磯崎説明員 私のほうの、いま計画いたしております機構改革の概略を申し上げます。  昨年御審議いただきました国鉄再建計画の中にも、いわゆる機構簡素化ということを強く主張されておりますが、それの具体的なあらわれでございまして、今回行ないますのは、いわゆる中間管理機構廃止ということでございます。はっきり申し上げますと廃止でございます。御承知のとおり、現在は本社、支社、管理局、現場と四段階になっております。これはすでに昭和三十年にやりました組織でございます。十五年たっておりますし、その後、通信機関の発達も非常に目ざましいものもあり、またコンピューターの使い方も非常に堂に入ってまいりましたので、ここで思い切って地方組織を簡素化しようということで、支社を全廃いたしたいと思っております。もっとも支社と申しましても、いま新潟と広島と四国、これは管理局のない支社でございます。支社がじかに現場をコントロールしております。その三つのうち、新潟と広島につきましては、支社を管理局という名称にいたしまして、支社を廃止いたしまして、本社が管理局をじかにコントロールするということにいたしたいと思っております。ただ、九州と北海道と四国につきましては、これは御承知のとおり全然離れておりまして、本州とのチャンネルは一カ所だけでございますので、これをむしろ独立に近い形にいたしまして、権限を大幅に委譲いたしまして、北海道総局、九州総局、四国総局にいたしまして、もう全責任を総局長にまかせるというふうにいたしたいと思っております。それから本州につきましては、管理局を本社でじかにコントロールするという形にいたしたい。  ただ、そういたしますと、いわゆる先生のおっしゃった地方住民の広域的な行政あるいは地域開発という点での連携がとりにくくなるおそれがありますので、本州では仙台、名古屋、大阪、それから東京、この四カ所に総裁のスタッフとしての理事を駐在いたさせまして、ごく小規模のスタッフを持たせまして、地方の広域行政との連携に当たらせたい。これはあくまでも組織上の段階ではございませんで、総裁のスタッフを地方に置くという形でございます。したがいまして、支社全体で現在約千人くらいおりますが、七百人くらいの人を減らすつもりでおります。これはもちろん首を切るわけでございませんで、非常に有能な人間がたくさんおりますので、これを管理局なり現場に配置してまいりたいというふうに思っておるわけでございまして、いま着々準備いたしておりますが、大体八月二十日にこれを行ないたいというふうに思っております。  すなわち、全国的に申しますと、いわゆる昔の画一的な官僚的な組織を改めまして、各地域に即した事業形態、運営形態にいたしたいというのが目的でございます。
  26. 米田東吾

    米田委員 わかりました。   〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕  確かに、国鉄の管理機構を本社から現場まで整備をする、しかもこれを簡素化して指揮命令が迅速に徹底する、非常にけっこうなことだと思いまして、いま御説明がありました趣旨でありますると、私ども非常に賛成でございます。いま、大体八月二十日ごろから実施をされるという方向だということでございます。この関係で、地方等で、この簡素化の問題につきまして、特に何か総裁なり国鉄本社に対しまして希望や意見は出ておりませんか、この改革の問題につきまして。
  27. 磯崎叡

    磯崎説明員 全般的に、支社を廃止することにつきましてはほとんど御異論がないようでございます。ただ、さっき申しました地方に駐在いたします総裁のスタッフの受け持ち区域につきまして、具体的に申しますと新潟でございますが、仙台の在勤理事の受け持ちでは困る、東京のほうにつけてくれ、こういう話が一つあとは、管理局の分界が非常に県の分界とちぐはぐになっておりまして、いろいろ行政上も困るというふうなこと、これは昔からのお話でございますが、それもこの際に直してほしいという御意見がございます。これは、一カ所いじりますと全国に影響するものですから、もう少し検討いたしたいと思っております。その程度の御意見を承っております。
  28. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  それで、いま御説明いただきました点で私もちょっと気になります点は、たとえば総裁のスタッフとしての小規模な権限を持った常任理事地方に常駐をする。具体的に申し上げますと、たとえば——たとえばではありますが、仙台にその理事を置く。それはいまの御説によりますれば、仙台でありますと、主として東北あるいはそういう地域のローカル的な行政に参加してもらうといいますか、そういう範囲でひとつパイプの役目を果たしてもらう、あるいは現場でその面についての判断をしてもらう、こういう御説明だと思うのであります。しかし、基本的には管理局は本社に直結をする、機構的にはあるいは指揮の関係等につきましては、管理局は本社に直結をする、たとえば新潟は今度本社に直結をする、こういうことで理解をしてよろしいのでございますね。
  29. 磯崎叡

    磯崎説明員 そのとおりでございまして、私のほうからじかに各管理局に指揮命令をする、また各管理局から直接話が本社に上がってくるという形になります。ただ、いま申し上げましたように、地方に駐在いたします理事は、主として地六の広域の経済開発と申しますか、あるいは私の府うから申しますと営業分野の開発と申しますか、そういうことに当たらせると同時に、これは内部の問題でございますが、部内には、鉄道管理局のほかに、工場とか工事局とか電気工事局とか、いろいろ部内の機関がございます。その相互の調整は、駐在の理事にこまかいことはやらせてみたいというふうに考えております。
  30. 米田東吾

    米田委員 総裁、どうですか。いまおっしゃるような趣旨地方にスタッフを配置されることは、一面ではわかるようでありますけれども、しかし、機構の中にはやはりそれは組み込まれることになると思いますが、実際問題としては混乱が出てきませんか。あなたのほうの内部では、そういう点はきちっとされるのだろうと思いますけれども、これはあまり具体的に聞いてもどうかと思いますが、たとえばその程度でありますれば、新潟管理局という関係で見れば、仙台に常駐される理事関係ではほとんど何もない。経済的にも、その他いろいろな地域関係等からいきますと、たとえば新潟ということで考えますと、ほとんどこれはもう関東であります。したがって、いままでも新潟単独で支社としてずっとまいってきておるようでありますから、地域関係ということになりますと、新潟が特に仙台との関係、東北との関係で、スタッフの方である常任理事の指揮を受けるなり、指示をいただくなり、あるいはそれに関係するというようなことはほとんどない。したがって、これはもう文字どおり本社と直結ということになったほうがすっきりしていいのじゃないかと思いますが、どうしてもやはりそれは仙台のほうに組み入れなければならぬのでありますか。
  31. 磯崎叡

    磯崎説明員 実は新潟というところは、そういう行政上の分割がなかなかむずかしいところでございまして、私どもが初め仙台につけようと思った一つの大きな根拠は、いま私のほうでやっております工事の中で一番大きいのは羽越線、奥羽線の電化でございます。青森県、秋田県、山形県、新潟県、これをなるべく一本で見たいために仙台へつけるつもりで考えておったのでありますが、今度逆に経済圏から見ますと、これは明らかに東京の経済圏であります。きのう、実は支社長を呼んで最終的に相談をいたしまして、もう一ぺん考え直そう、そうして、仙台の工事の面は工事の面として本社でダイレクトにコントロールして、経済圏その他の関係はやはり東京につけたほうがいいのじゃないかというふうな結論を出しまして、昨晩でございますが帰しましたので、たぶんそういうふうにいたすと思います。そういう点、きまってないものが外に出まして、いろいろ御議論がありまして申しわけなかったのでありますが、考え方としては、いま先生のおっしゃったような考え方でまいりたい。  ただ、東京駐在の理事は、首都圏の問題が非常に大きな問題でございますので、その首都圏問題と新潟と両方見れるかどうかという問題はございますが、まあそれほど在勤理事にやらせることもございませんので、新潟は大体東京で見るということにいたしたいと思います。
  32. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  全般的に、私ども当局のお考えの、中間管理機構簡素化して、本社と現場直結体制を強めるということにつきましては賛成でございますので、そういう方向で御努力いただきたいし、できれば、この際注文があるとすれば、地方に、幾つかのところで限定はされておりますが、本社の常任理事が常駐するということについても、私はしろうとでありますけれども、ちょっとむだなような感じがいたしまして、今日の時代でありますから、むしろ本社に集中をして、そして地方にも指揮命令ができる、しかし、それなりに権限は当然持たしておかなければならない、そういうようにすきっとやったほうが、むしろこの簡素化に合致するのじゃないかという気がいたします。そういうことを、これは答弁要りませんが、申し上げまして、なお新潟の関係につきましては、いま御答弁いただきましたが、ひとつそういう方向で、より簡素化が、地方の実情と合わせてこの成果があがるように御配慮いただきたい、こう思っております。  次に、私、いまお話が出ましたけれども、羽越線の電化の問題につきまして、この機会に聞いておきたいのであります。  私が聞くところによりますと、羽越線の電化の計画、特に私、問題にしたいのは、秋田から新潟の間でございます。国鉄当局財政事情等もございまして、当初計画の四十七年七月実施ということがどうも延びそうだ。これは地方関係沿線の住民にとりましてはたいへんな問題なのでございますが、それが実際はどうかわかりませんから、きょう答弁いただきたいと思いますが、当初は四十七年七月でございましたね。これまでの計画どおり実施するということで御答弁いただければ、もう質問はいいのでありますが、これはどうなっておりますか、お聞かせをいただきたいし、あわせて、羽越線は複線化の問題も出ておるはずでございます。これはあるいは別々かしれませんけれども、複線化の問題も含めまして羽越線の電化につきまして、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  33. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 羽越線の電化工事につきましては、四十四年の九月四日に運輸大臣の認可を受けまして、四十五年の三月二十日に着工を開始いたしました。そして目下、四十七年の夏の完成を目標に工事中でございます。四十五年度国家予算といたしまして四十億円投入いたしまして、申し上げましたように、四十七年完成を目標に工事を進めておる、こういう状況でございます。その問において、それと関連をいたしまして、一部複線というような工事も同時にあわせて行なうという段取りになっております。
  34. 米田東吾

    米田委員 この一部複線工事というのは、どういう意味でございますか。具体的には計画はあるだろうと思いますが、これをお聞かせいただきたい。
  35. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 一部複線の具体的な工事の区間は、ただいま持ち合わせておらないのでございますけれども、一般的な計画として、当然電化に伴ってやっていく、こういうことでございます。
  36. 米田東吾

    米田委員 くどいようでありますが、そうしますと、この一部複線工事も含めまして、これで電化と複線は完了する、こういうことでございますか。
  37. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 その予定でございます。
  38. 米田東吾

    米田委員 それは要するに、新発田から白新線で新潟までを意味しておると思いますが、そういう理解でよろしゅうございますか。
  39. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 白新線も含んでの話でございます。
  40. 米田東吾

    米田委員 わかりました。  そこで、ひとつお聞かせいただきたいのでありますが、白新線まで含まれますと、あそこに新しく操車場駅が石山地域にできております。この操車場駅には仮駅があります。新潟市の請願によりまして、たしか三十五、六年ごろからできておりますが、仮駅がございます。仮駅でありますけれども、新潟市が膨張しておりますので、その仮駅を中心にしてそこに住宅団地がどんどんできまして、現在団地で約千三百世帯、その他もともとそこの地域におる方々を含めますと約二千世帯、人口にして約一万という大きな町ができておるわけであります。それが地元のほうで受けておる感じでは、この電化、複線化が完了すれば、操車場の関係がございまして、この仮駅はなくする、そういう話が実は出ておるわけであります。そこで、新潟市等ではこれはたいへんだということで、新潟支社でございますか、いろいろ請願したり何かしておるようでありますけれども、あなたのほうではこの点どういう計画でございましょうか。仮駅は支社の権限で、本社は関係しないのでございますか、それとも関係されておられまして、この廃止はしかたがないということで進めておられますのか、それとも別途お考えをいただいて、利用者の便をはかるということで御配慮いただいておるのか、その点ひとつお聞かせいただけませんか。
  41. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 仮駅の問題でございますが、ここの仮駅は、昭和三十三年から新潟操の職員並びに若干のお客さんの便宜のために、とりあえず仮駅としてつくられたわけであります。仮駅をつくることにつきましては、地方機関の長、すなわち支社長の権限で、本社は直接関与しないというかっこうでつくられた次第でございます。今後、いま先生のお話にございました廃止問題等々いろいろございますが、現在仮駅として設けられておる場所そのものを将来お客さんの乗りおりする場所として存続することには、問題はあるわけでございます。と申しますのは、貨物輸送力の整備、すなわち、具体的には新潟操車場の将来の整備計画に支障を来たすというので、その場所そのものは使えない、こういう予定になっております。そこで、白新線の大形駅、この駅といま使っておる場所、これを統合した形で将来の乗りおりの場所は考えなければいけない、このように考えておる次第であります。
  42. 米田東吾

    米田委員 時間もあれですから、私もこまかい問題になりますのでやめたいと思いますが、この電化、複線化につきましては、既定方針どおり四十七年夏どうか完成しますように、これは沿線関係市町村住民含めましての要望にぜひこたえていただきますように、ひとつはっきり御答弁をもう一回お願いいたします。  それから駅の関係につきましては、率直に言って、これは地元ではたいへんな問題になっております。したがって、地元で解決するようには私ども努力したいと思いますが、場合によれば本社に来てみなさんにまた陳情や御協力を賜わらなければならぬことになるかと思います。ひとつおっしゃるように、大形駅と操車場の仮駅の中間にどこかつくるということになっておるそうでありますけれども、その中間が実は問題なのであります。位置がずれたりなんかいたしますとたいへんな問題になる。約一万の住民と、それから毎日約四、五千の利用者がおるわけでありますから、そういう事情がありますので、新駅の決定等につきましても、十分地元と話をして、トラブルのないようにひとつしっかりやれということを新潟支社のほうにもぜひ御指示をしていただきまして、地元住民の要望にこたえていただきますように御配慮いただきたい。そのことについても、ひとつよい返事をあわせていただきたいと思います。
  43. 原岡幸吉

    ○原岡説明員 第一の問題は、計画どおり進めるようにいたしたいと思います。  第二の問題も、十分地元の便宜をはからって、うまい場所を選定して統合できるように進めたいと思います。
  44. 米田東吾

    米田委員 終わります。
  45. 福井勇

    福井委員長 次に渡辺武三君。
  46. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 大臣並びに次官がお見えになりませんので、まず、自動車局長にお尋ねを申し上げたいと思います。  三月十八日の運輸委員会で審議をされまして、自動車損害賠償保障法の一部改正が行なわれたわけでございますが、その審議の過程におきまして、実は治療費の適正化ということがきわめて重大な問題として論議されました。御承知のように、答申の中には、この治療費の適正化をめぐっていろいろな答申がなされておりますが、暫定措置として明細書の添付という問題がございます。これもまあたいへん問題になったことでございますが、当時、現状として、当局として努力はしておるが、最終的な結論を得るに至らなかったので、今国会ではそのような提案をしておるのだ、したがって、この問題については早急に解決をしたいという自動車局長答弁がございました。さらに、早急とは一体どのくらいであろうかという質問に対しては、一カ月ないし二カ月のうちでございます、実はこういう答弁がなされておるわけでございます。御承知のように、本日は八月十一日でございますので、すでに相当の月数が経過をいたしておるわけでございます。したがいまして、さきの自動車局長答弁をなさいました一、二カ月という期限は、とっくの昔に過ぎておるわけでございますが、私は残念ながら、いまだこの暫定措置が実施に移されたということを聞いてないわけでございます。したがいまして、その間における運輸省としての経過あるいは現在の結果について、ひとつ御説明を願いたいと思います。
  47. 野村一彦

    野村説明員 ただいま渡辺先生から御質問ございました、前国会におきます先生の御質問及びそれに関連する当時の自動車局長答弁につきましては、私も十分引き継ぎを受けましてよく存じております。ただいま先生指摘のように、一、二カ月のうちに実現をしますという御答弁を申し上げたわけでございますが、残念ながらそれが実現できませんでしたことは、たいへん私ども遺憾に存じております。  ただ、その後、私どもとしても鋭意研究と、それから関係機関との折衝は続けてまいったわけでございまして、現在の段階におきましては、医療費支払いの適正化のための暫定措置として、御指摘のような医療費の明細書を添付するということを、自賠責に基づく省令でもって義務づけるという方向改正をいたしておりまして、大体関係の筋との話し合いも終わりましたので、今月中にはこの省令を改正して実施できる運びになっております。たいへんおそくなりましたけれども、現状はそういうことでございますので、御了承願います。
  48. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 今月中に実施するということは、来月の一日からこれが実施に移されるということですか。
  49. 野村一彦

    野村説明員 これは公布の関係もございますので、はっきり一日ということは申し上げられませんが、おそらく一日よりおそくなることはないと考えております。
  50. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 それでは、再び一、二カ月が数カ月に延びたようなかっこうで延びないことを要望いたしておきまして、次に移りたいと思います。  その次の問題は、御承知のように、これもやはり先国会の中で問題になりましたタクシー業務適正化臨時措置法でございます。この法律の中で、いわゆる近代化センターなるものが設立をされ、そして全体としてタクシー業のサービス向上並びにそこに働く人たちの労働条件の向上ということを目的に、このようなものの設立が企図され、そして業者に対しては、その運営資金としてタクシー一台当たり三万円、個人タクシーは六千円という負担金を考えておるのだ、こういう実は御答弁がございました。これもいろいろ問題になったわけですが、すでに財団法人のほうからは関係業界に話をしておるし、さらに運賃の改定を認可するにあたって、この三万円という額でもって所定の金額を運輸省としてははじき出しておるのだ、したがって、こういうものを新しく設けられたとしても、業界そのものに別な支出が増加するということはあり得ないという御答弁がございました。これもやはり相当な月日がたっておるわけでございますが、その後、この近代化センターの運営開始ということが、これは運転者の登録事務だけは行なわれたようでございますけれども、現実にやはり福祉施設のほうは一向に開店休業のありさまである。しかも、この負担金の拠出をめぐって非常に問題になっておる。最近聞くところによりますと、この三万円という当初の算出金額を大幅に運輸省はダウンさせて提示しておるというようなことも聞き及んでおるわけでございます。それでもなおかつ業界に反対の声が強くて、現実にはやはり実施に移せないような状態で、宙に迷っておるということを聞いておるわけでございますが、きょうは、その辺の経過並びに実態についてお尋ねをしたいと思います。
  51. 野村一彦

    野村説明員 先般の国会でお認めいただきましたタクシー業務適正化臨時措置法に基づきますタクシー近代化センターにつきましては、東京及び大阪におきまして財団法人ができまして、そしてその財団法人を、あの法律に基づきますところの登録機関及び適正化業務の実施機関として指定をするという腹づもりを固めております。しかし、まだ事務的にその適正化の手続は完了しておりませんが、実質的にはどちらも一つずつのセンターができましたので、それを指定するという予定で事務を進めております。  それから、その適正化業務の運営に要します経費に関しまして、負担金が当然タクシー事業者にかかる、それからその負担金の額につきましては、法人タクシーについては三万円を予定しておるということも、前国会で当時の局長が申し上げたとおりでございます。そしてまた、そのことは、その後東京及び大阪においてお認めいただきましたタクシーの運賃料金の値上げのコストの中に、三万円ということを計算の要素に入れておりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、先生も御案内のように、その後いろいろ運転者の不足あるいはそれに伴いますところの輸送需要の変化、交通の渋滞等もありまして、東京及び大阪のタクシーが、当初運賃料金改定のときに予定をしておりましたような収益をあげていないということも、私ども調査しまして、例外はありますけれども、ほぼそういう実情であるということもわかっております。そこで、そういう事情でございますために、タクシー事業者のほうといたしましては、あのとき三万円ということであったけれども、とても自分たちは三万円は負担に耐えないというようなことを言う人がかなりおることは御指摘のとおりでございます。しかし、私どもといたしましては、あの当時のタクシー近代化センターの事業計画及び収支の見通し、それからタクシー自体の収支の見通しというものから、あの当時三万円というものを法人タクシーにつきましては計算をいたし、それを前提に業務を進めてまいったわけでございますが、現段階におきまして私ども考えますのは、この国会におきまして附帯決議をいただきました御事情もございますし、それからもう一つは、この三万円という金は、あくまでも事業計画というものが固まりまして、そしてその事業計画を運営するために必要な経資、それをタクシー事業者に割り振った場合に年間三万円になるという計算でございます。したがいまして、私どもは抽象的にと申しますか、一律に三万円を何が何でも払え、払わなければならないということではございませんで、業界に対する指導としましては、今年度やらねばならない事業計画をまずはっきりと立てなさい、その中でぜひともやらなければなりませんのは、登録はもちろんでございますが、適正化業務につきましては、運転者の安全研修と、それから街頭指導、それから苦情処理、この三つはぜひやらなければならない。そのほかの厚生施設等につきましては、これはいろいろと適地及び建物の物色その他運営の問題等もございまして、まだなかなか固まっておりませんので、まず事業計画を固めなさい、そして事業計画を運営するために要する経費というものを計算をして、それがたとえば三万円に満たないというようなことがあれば、役所としてはぜひとも三万円を取れというような指導はしない、したがって、まず事業計画というものをはっきりと立てて、その事業計画の運営に要する経費というものを計算しなさい、ただ三万円が高いとか安いとか、あのときに約束をしたではないかとかしなかったとか、そういうことではなくて、あくまでも事業計画中心にそれに要する経費を計算して負担金を割り出そう、そういうことで指導をしております。ただいまいろいろの意見の方も業界におりまして、それがいろいろの立場から意見を述べておられますが、運輸省として金額を出してこれでどうだとか、これで話をまとめなさいというようなことは言っておりませんので、いま申し上げましたように、事業計画をまず立てて、その事業計画に基づく経費というものでこの問題を検討したいと考えております。
  52. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いまのお話の中で、私は基本的な考え方に重大な誤りがあるのではないかと思います。と申し上げますのは、つまり、このタクシー近代化を行なうということの中には、いわゆるタクシーそのもののサービスが非常に低下しておるんだ、その一つの要因として、労働条件がきわめて劣悪なんだということがあったと思います。したがって、こういう近代化センターを設けて、福利厚生面の充実をはかっていくんだという話も当然あったわけです。にもかかわらず、いまのお話を聞いておりますと、事業計画を主体にしておって、福利厚生面は一時あとに残して、したがって、三万円という金額だったけれども、もう少し少なくてもいいんだというような考え方は、基本にさかのぼって考えたときでも全然おかしいのじゃないか。福利厚生施設を犠牲にしておいてほんとうに——大体この法律の目的が、いわゆるタクシーサービスを向上させるんだ、その一つの要因として労働条件の劣悪があるんだということをお認めになりながら、いざ運用し出すと、そういうことはまあまああとにして、事業計画を主体に、こういうことでは、それは全然ペテンにかけたのもはなはだしいのじゃないですか。
  53. 野村一彦

    野村説明員 私の説明が足りなかったために、ちょっと先生に対して私ども考えております真意を十分にお伝えできなかったと思うのでございますが、事業計画は、ただいま先生も御指摘になりました福利厚生施設等も当然含み、全般的には、あの法律に書いてございますような、共同休憩所だとか、食堂といいますか、そういう福利厚生施設を含んだ事業計画でございますから、事業計画を立てるにあたりましては、もちろん本来的にそういうものを全部含んだ教育施設、それから街頭指導のための体制、苦情処理の相談所と申しますか、そういう業務を含んだ全般的な事業計画でございます。したがいまして、センターが指定されれば、それがそういうあらゆる業務を含んでやる体制になることは御指摘のとおりでございます。  ただ、現段階におきまして、いま実行可能なと申しますか、その事業計画の中には、残念ながらそういう福利厚生施設というのはまだ入っておりません。したがいまして、発足早々の適正化機関といたしましては、まず実現可能なものからやるということで、その趣旨は、先生指摘のとおり需要者に対するサービスの改善であり、それから運転者に対しては、これは当然労働条件の改善を含んだ措置考えなければならないのは御指摘のとおりでございますが、そういう事情でございます。
  54. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 時間がないので次に移りますが、ひとつ目的を間違えないように万全な措置を講じていただきたいと思います。  次に大臣にお尋ねをいたしますが、近ごろの新聞報道によりますと、運輸省は総合交通整備特別会計という、これは仮称になっておりましたが、そういうものを設定する方針を固めた。そして当面、初年度の規模は大体一千億円台を予想されて、とりあえず自動車新税の運輸省の試案をまとめる仕事を急いでおる、こういうふうに新聞は報道いたしておるのでございます。あわせて新聞が報道しておるところによりますと、その目的とするところは、いわゆる国鉄赤字財政の再建だ、こういうことも実は新聞が報道いたしておるわけでございます。したがいまして、きょうは大臣から直接に、一体この特別会計はどのような目的を持って設定しようとしておられるのか、まずはお伺いをしたいと思います。
  55. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 まだお話し申し上げるような段階まで、この特会制度は具体的なところまではいっておりません。ただ前提として、御承知のように、さきの国会で御承認願いました新幹線網の財源については、国鉄の現在の中では背負い切れないので、その財源措置考えるべきであるということが、法律で方向を差し示されております。同時にまた、すでに実験段階を過ぎました関門トンネル、これの工事ももう差し迫って、工事命令を出すべき状態まで従来の調査は進められてきておるわけであります。しかし、これも国鉄としては、御承知のように、国鉄財政再建計画の中では考えておりませんし、また国鉄からの要望も、これも別個の財源で用意してもらいたい、こういうような要望もあります。  こういう点を考えますと、また国鉄の現状から見て、もちろんこれは国鉄再建計画を再検討して、また別個な方法が出れば別でありますけれども再建計画はあれはあれとして一応おきますれば、この新幹線網、これは法律が通ったのですから、いつまでもこれを引きずっておくわけにまいりませんで、少なくとも来年度からその一部を実行する段階にきておる。そうなってまいりますと、まず財源問題を検討してそこに明確なるものがないと、新幹線網の出発ができない、また青函トンネルの工事も進められない、こういろ問題がありますので、そこで、いわゆる別個の新税というものを考えなければいかぬのであろう。その場合には、当然国鉄との関係は財源的には別になりますので、そこで、交通特別会計というようなものを考える必要がありはしないか、こういうのがいまの段階であります。それは、大ざっぱにいって二千億とかなんとかいう話も出ておりますけれども、まだ関係方面と積極的な具体的な交渉を進ある段階ではありませんが、しかし、予算の編成期を前にしておりますから、これを精力的に進めていく。これがだめならばどの方法によるかということも考えていかなければならぬが、運輸省としては、やはり将来の大規模な国土総合開発の主柱である新幹線その他を考えますと、思い切った方法考えなければならぬのではないか、かような考えを持っております。
  56. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 いま大臣の御答弁の中で、関門トンネルというおことばがあったわけですが、これは青函トンネルの誤りであろうと思いますので、訂正をしておいていただきたいと思います。
  57. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 青函の誤りですので、訂正させていただきます。
  58. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 さらに、はっきり言明はされませんでしたが、いわゆる新税なるものを創設していきたいんだ。これは新聞報道によりますと自動車であるということに相なろうかと思うわけでございますが、まあはっきりおっしゃいませんので、なかなかむずかしいんですけれども、現在自動車に課せられておる税金というものが実は八種類にものぼっておる。しかも四十五年度の徴税額でいきますと、一兆二千億にも達しておる。こういうような多額な課税が実はなされておるわけでございます。いまや自動車そのものは国民の足としていわゆる中産階級、中所得層にまで非常に浸透しておる。したがって、必要に応じてマイカーを持っておる人たちは相当な負担になってきておるわけですね。この上にさらに課税が新たに設けられていくということは非常に苦痛になってこようかと思います。いわば大衆課税ではなかろうか、こういうことが考えられるわけでございます。さらには、その自動車から取り立てて鉄道にそれを使っていこうという他日的な徴税のしかたというものは、はたしていいのか悪いのか、この辺にも非常に大きな問題があろうかと思いますので、これは今後の問題として、運輸省としても十分に慎重なる御審議をお願い申し上げておきたいと思います。  次の問題に移りますが、同じく三月十日の運輸委員会において、大臣は、運輸行政の刷新について、実は私に対してお答えをいただいておるわけでございます。そのお答えの中に、運輸省内にいわゆる刷新本部というものを設けて、そうして事務の簡素化と同時に、利用者側の利便等については鋭意検討を加えていくんだ、そして必要があれば次の国会に法規の改正を提案していきたい、こういうふうにお答えになっておりますが、その後、この刷新本部なるものがどのような結論をお出しになったのか、あるいはまだ結論が出ていないというならば、どのような方向で討議がされ、どのような進捗状態であるのか、この辺についてお尋ねをしたいと思います。
  59. 高林康一

    ○高林説明員 お答え申し上げます。  省内に運輸省行政刷新本部を一昨年設けまして、引き続きまず機構の問題、それから許認可事務の問題等中心にいたしまして検討を進めております。  まず、許認可行政の事務につきましては、逐次これを整理するということで一部実施しておるものもございます。それから、これをさらに大きく広げるために現在なお検討を進めておりまして、できればその一部につきましては次の国会にもいろいろの面でお願いをしたいというふうに考えておるわけでございます。  それから組織の面につきましても、すでに一部、いわゆる今後の行政需要に対応いたしますために運輸省の企画部門というものを充実いたしますとともに、比較的行政需要の変化によりまして需要が減少いたしました部分については、これを極力縮小していくというようなやり方をとっております。この行き方も引き続きとっていきたいと考えておりまして、そういうような観点から、行政組織を若干企画部門の充実と、それから行政需要の変化に対応するところの部門の漸減、こういうような観点からいま検討をまとめつつありまして、大体その考え方を近い機会にまとめまして、概算要求の形において出してまいりたいというふうに考えておるのが現状でございます。
  60. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 そうしますと、次の国会では法改正等は伴わないでしょうか。その辺の準備もあわせておやりになっているでしょうか。
  61. 高林康一

    ○高林説明員 まず組織面については、運輸省設置法等の改正というものは必要になってくるように考えております。  さらに全般的に許認可の整理の問題につきましては、すでに省令段階のものについては大部分これは進んでおりますけれども、さらにこれを進める必要がございますので、まず省令段階のものをできるだけ早く進めていきたい。それで、法律改正そのものに及ぶものがどの程度になりますか、いまのところまだはっきりした数字、結論にはなっておりませんけれども、これも近い機会に大体予算要求との関連でまとめていきたいと考えておる次第でございます。
  62. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 それでは最後に、公害問題について大臣にお尋ねをしたいと思います。  これもさきの国会の中で、大臣みずから、一般公害あるいは狭義の意味の公害を最小限度に食いとめていくのは運輸省の責任だ、したがって運輸省の各機関を総動員してこれらに当たっていくのだ、こういうふうに実はおっしゃっておるわけでございますが、御承知のように、その後、きわめて重大な社会問題としてこの公害の問題がクローズアップされておるのでございます。したがいまして、もういまやそのような抽象論ではなくて、具体的な一つ一つ対策を急がなければならない重大な時期に来ておろうかと思います。ところが、この公害の問題はえてして非常にむずかしい問題、化学的な問題を伴いますので、ややもすると論議が複雑怪奇な状態になってこようかと思います。最近の国自身の対策を見ておりましても、何かばらばら行政の見本を見せつけられておるような気がしてならないわけでございまして、一例をあげますと、柳町で鉛公害が発生した。それっというわけで、直ちにガソリンの鉛規制ということだけを考えられる。その結果が、オクタン価を上げるために芳香族がまぜられて、また別の新しい公害を生み出してくるという問題が起こっておるのでございます。したがいまして、私は、その一つ一つの現象を急ぐあまりばらばらに追うのではなくて、やはり総合的な対策というものがそこに必要になってこようかと思います。さらにこれは運輸省のみならず、各省あげて、厚生省もちろん関係ございます。通産省も関係がございます。それらの各省関連の上に立って、せんだっても公害対策本部というものが政府部内に設けられたというお話は聞いておりますが、そのような組織だけではなくて、もはや具体的な活動に入らなければならない重大なときであろうかと思います。  そこで私は、とりあえずは現状で直ちに実施し得るもの、たとえば各企業が怠慢によって汚水をたれ流しにしておるとか、あるいは当然装置をつければきれいな煙が出るにもかかわらず、何もつけずに操業しておるとか、いろいろな問題がなおざりにされておるのではなかろうかと思います。こういう設備さえすれば実効のあがる公害の問題については、これは相当規制をきびしくして、そして強力な行政指導をしていかなければいけないのではないか。一方、現在の科学技術の水準ではいかように努力をしてもなかなか解決が現時点ではむずかしいという問題があろうかと思います。こういう問題については、私はやはり規制を強化することはけっこうでございますが、それと同時に、それらの公害撲滅のための装置の開発を国自身としても大いに努力をしなければいけないのではないか。規制をすると同時に、国そのものが人間の生命を尊重するという立場で努力をしていく。そして国、企業あるいは国民、これが一致協力をしてこの公害に挑戦をしなければならないときに来ておるのではなかろうかと思います。そういう意味で、いろいろな面でいろいろなことが出されるわけでございますが、そういうものの誤った報道なりあるいは誤った問題、これが非常に見ておると多いわけでございますが、こういうときには、お役所がもっと勇気を持って公正な立場に立って、正しい方向で、いわゆる国民の不安を除去するという方向で努力をする必要があるのではなかろうか。それがあたかも、見ておりますと、一方的なニュースが流され、非常に国民の皆さま方が不安を感ぜられておるにもかかわらず、お役所が沈黙を守っておるというような状況が間々見受けられるわけでございまして、そうではないと言われるかもしれませんが、現実はそのような姿になっておろうかと思います。したがいまして、私は、特に大気汚染なんといういろいろな物質がまざり合ってかもし出される問題は、これは一つ一つの現象を追っておったのではなかなかむずかしいと思います。とりあえずは大気汚染の現状というものをしっかり把握する必要があるのではないだろうか。たとえば光化学スモッグにいたしましても、一体何が原因であろうかということすら実は明確にわかっていないのが現状であろうかと思います。したがいまして、たとえば自動車なら自動車だけを押えてみても、その結果は一割にも満たなかったかもしれません。現在そういうようなこんとんとした状況の中にあろうかと思います。したがいまして、まずは観測体制といいますか、それの強化をはかって、そして正確な現状把握というものがなされないといけないのではないだろうか。そうした要因分析の上に立って具体的な対策がやられて——しかし、現状は、そう言ってもなかなかむずかしい問題でございますので、直ちにそれに着手しても、これは相当の時間を要すると思います。その間、一つ一つの問題についてはあとう限りの対策を急がなければなりませんが、そういう対策を急ぐと同時に、いまも申し上げました全体的な把握、その発生原因の究明ということをあわせて行なっていかないと、これはいつまでたってもやはり解決できない問題ではないだろうか、かように考えるわけでございます。したがいまして、もう御承知のように、アメリカではいわゆる鉛規制をしたために、光化学スモッグというものに発展をしてきた。最近では、あの鉛規制というものは誤りではなかったかという反省すら出ているということを聞いております。したがいまして、非常にむずかしい問題があろうかと思いますが、日本もその愚を繰り返さないように、一つ一つの問題について適切な手段を講ずると同時に、総体的な問題についても、これは恒久的な国の体制というものをつくりあげていかなければならないのではないだろうかと思います。そういう意味では、たいへん国民の重大な関心事であるだけに、一つ一つ対策そのものがアピールするわけでございますが、しかし、それだけでは問題は基本的に解決できないと思いますので、その辺は、運輸省としてもすべての機関を総動員してこれに当たっていくのだというふうに大臣もおっしゃっておりましたが、具体的にこれからの方針等につきまして、大臣の所見をお伺いをしておきたいというふうに思います。
  63. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 公害問題は、いまや世界的問題になりまして、ジャーナリズムにおきましても、現代の大きな汚点としてとらえておるわけであります。佐藤内閣、特に佐藤総理は、非常に真剣にこの問題に取り組んでおります。最近の閣議はどの閣議でも、公害問題が話に出ないときはないというくらいに真剣な態度で臨んでおるわけであります。原則的といいましょうか、大局論的に言うならば、公害対策を勇気をもって進めるならば、公害除去は可能である。可能でなければ経済発展はできない。公害が出ては経済成長をするわけにいきませんから、したがって、公害対策をみっちりやっていくことによって、経済の安定成長もまた可能である、かように考えておりますが、それには二つ方法が並行して行なわれなければなりません。一つは、お話がありましたように、まず現状に対してどういう措置をとっていくべきか。もう一つは、技術開発中心にして長期的展望でどうこれに総合的に対処すべきか。こういう二つの道が並行して行なわれる必要がある。  現状でいいますならば、御承知のように、大気汚染はすでに始まっておりますからして、これを何とかして最小限度に食いとめていくということをせざるを得ないわけであります。こういう原因が出てまいったのは、私しろうとなりに考えるのですが、ちょうど酒の好きな人がある一定の酒の限度を越えると、とたんに性格が一変します。ちょうど三合なら三合、四合なら四合というところにいったあとの二、三ばいで、すぱっと変わる。それと同じ状態が、いまの大気汚染にあらわれておる。たとえば東京の例で申しますならば、東京上空におけるいわゆる種々の大気汚染の状態が、ここ二、三年の間に、いわゆる神奈川県並びに京葉地帯、こういうところに工業の非常な発達を見た。したがって、東京上空といいますか、首都圏の上空の大気汚染の状態は、二、三年といいましょうか、幾年か前に比べると、そのかさの大きさが変わってきている。そこには気流の流れが一つの障害を来たしているということが、私は基本的な一つの現象であろうと思う。そういうことからして、そういうような状態を少なくする、いわゆる大気汚染度をできるだけ薄めていく、そのためには、やはり個々の工場の規制も積極的に行なわなければいけないということで、最近認可されます発電所その他の工場に対しても、その汚染度に対しては非常にきびしい態度をとっていることは御承知のとおりでありますが、ただ、いま申しましたように、工場の激増ということは、汚染度を低めましても、その数を加えますと、結果的には相当のものが出てくる、かような結果になって最近のような情勢が一つはあらわれてきたのだろうと思う。しかしながら、これを放置するわけにはいきませんので、そこで、御承知のように、私たち運輸省の所管である自動車につきましても、排気ガスの基準をきびしくしていくということで、せんだって審議会の答申が行なわれて、今後長期的展望に立って思い切った措置をメーカーとともにやっていきたい、こういう方針で決定を見たわけでありますが、これらにつきましては、お話のように、単にメーカーだけにまかせるのではなくして、国自身が公害除去の技術開発、やはり積極的なこういう開発をみずからの手でもやっていかなければならぬと思うのです。メーカーだけにまかしておったのではなかなか——これはいろいろ経済成長の面もありましょうが、それだけではなくして、やはり技術革新と申しましょうか、技術開発は国が指導的立場に立って——もちろん、これは運輸省の分野ではなくして、通産省の分野ではありますが、私のほうからも通産省に対して、積極的に国の力で技術開発を進めて、そしていわゆる大気汚染の原因の除去に努力してほしいという申し入れをいたしているわけであります。  こういうような総合的施策をやってまいりますと同時に、また現実の問題としては、いま光化学あるいはその他の汚物によって一般の国民大衆が迷惑をこうむっておるのでありますから、これに対しては、やはり消極的な方法ではありましょうけれども、まず監視体制を固めるということで、新聞で御了承と思いますが、海上保安庁においては海上汚濁監視センター、こういうものを設けまして、そしてその方面にできるだけこれらの費用をつぎ込んで、いわゆる不法者といいましょうか、油を廃棄したりあるいは捨ててはいけないと港則法にもちゃんと書いてありまして、廃油その他石炭がら等は捨ててはいけないという規定があるにかかわらず、監視の目をのがれてやる傾向がないとは言えませんので、これを積極的に網の口を張って、そしてこれらを取り締まっていこう。また一方において、あるいは大気汚染の監視センター、これは気象庁を中心にしまして、あらゆる機械の装置をできるだけ早く進める。そして、できるならばそうした光化学スモッグの発生に対して的確な予報を与えたいということで、目下これが準備を進めておりますが、できるだけ早い機会にこれを発足して、そして前日には、明日は危険性があるということをもう少し的確な数値で現在東京都でもやっておりますが、より的確な数値で予報を行ないたい、かように考えて、今日大気汚染の中に国民生活が疎外されている、これをひとつできるだけ早期に最小限度に食いとめる、いわゆる現状把握の状態も必要であろう、この予報の手段によって公害対策は必ず実現できる、かように信じておるのであります。
  64. 渡辺武三

    ○渡辺(武)委員 科学が生み出した社会悪、公害は必ずや科学の力で解決できるのだ、こういうふうに実はいわれているわけでございますが、いまも大臣がおっしゃいましたように、そうはいうものの、その企業だけにまかしておきますと、いろいろな支障があろうかと思いますので、やはり因みずからが積極的な強力な推進策をとっていただきますことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  65. 福井勇

    福井委員長 次に松本忠助君。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 去る七月十日の運輸委員会におきまして、関西第二国際空港のことにつきまして質問をいたしました。その際、大臣の御出席がなかったものですから、航空局長から答弁をいただいたわけでございますが、そのときの答弁に、関西第二国際空港設置の調査費として一億六千五百万円計上してある、新しい関西の空港を一体どういうふうにどういうところにつくるかということについては、関西方面一帯にわたって広範囲にわたる調査をしている、具体的にここにこうというぐあいに進めているわけではない、こういう趣旨答弁航空局長からございました。私はそれに対しまして、大阪府の泉南市における反対の状況を逐一申し上げておきました。泉南市では、この空港の設置は絶対反対である、そのためにはあらゆる手段でこれを阻止すると、かたい決意を陳情団は示しておりました。この種の問題につきましては、住民の意思を全然そんたくすることなく、住民不在のままに決定することが往々あります。また、財界の圧力等に屈して、一般市民のことを考えないで決定されてしまうようなこともあるとも思われます。そこで、この空港設置の問題について、地元住民の意思を十分に聞いてその対策考えてほしい、このように私は申し上げたわけでございます。それに対しまして航空局長は、「全くお説のとおりだと考えます。」このように答弁をされたのでございます。ここに当日の委員会の議事録もございます。この中にもそのように書いてございます。  そこで、大臣に伺うのでございますが、あなたの信頼される局長答弁について、大臣も同趣旨考えられるか、それとも否定されるか、それをまず伺いたいのであります。
  67. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 簡単明瞭に答弁しますれば、そのとおりであります。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣は、去る七月三十日に、関西の財界の方々とお話し合いをするために大阪へ行かれた。そうして国鉄の関西支社におきまして記者会見を行なわれた。これは新聞報道で私も承知をいたしております。三十一日の各紙はこれを大々的にトップの記事として取り上げております。その中で、関西新国際空港の問題に触れられて大臣は、建設地は大阪湾の埋め立て地を有力視している、こういうふうに述べられたと新聞にはございます。そうして、運輸省の態度が初めて公式に発表された、このように新聞には報道がございます。先ほども申し上げましたように、七月十日の航空局長答弁では、繰り返すようではありますが、一体、どういうところにどういうふうにつくったらいいか、関西方面一帯にわたって広範囲にわたる調査をしている、具体的にここにこういうふうにきめたというふうにやっているわけではない。それから約二十日を経過したわけでございますが、大臣は、関西第二国際空港の問題について具体的に大阪湾の埋め立て地を有力視している、こういう地名までもはっきりとあげられて、記者会見の席上で言われたように新聞には出ております。毎日新聞の記事がここにございますが、これを参照するまでもなく、泉南かあるいは大阪湾海上都市かということになってくるのではなかろうかと思われます。そこで、あらためて大臣のお考えをこの運輸委員会の席上において聞いておきたいわけでございます。  なお、大臣は、この空港の問題につきまして、年度内にきめたい、また地元に推進母体をつくってもらいたい、このようにも言われておるようでございます。これらの点に関連いたしまして、当日の記者会見の模様を私たちは直接聞いておるわけではございませんので、ここで大臣からあらためてお伺いをしたいわけでございます。
  69. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 たぶん内容については、皆さん大阪伊丹国際空港のキャパシティーについては十分御承知だろうと思いますけれども、あらためて申し上げますと、現在、定期便で毎日二百便、そして不定期が二十便あります。したがって、一日の離着陸数は四百四十回。大体マキシマム五百もしくは四百八十回となっておりますから、もうすでにマキシマムの限度にきておるわけでございます。運輸省としては五十年度に完成をしたいと考えておりますけれども、いまの状態でいきますと、五十年度ではもう間に合わない状態であります。しかし、実際問題として五十年度前に完成できるかというと、なかなかこれはむずかしい。したがって、相当不自由はかけましてもやはり五十年度完成を一つの目標にしておる、こう申し上げて現在のところは差しつかえないのではなかろうか、こういう一つの前提があります。その前提のもとに、四十五年度の予算におきましては、皆さんの御承認を経て、関西に第二空港をつくるべく一億六千万の調査費をきめてもらって、目下各候補地について検討を進めておるわけであります。  私自身の体験または最近におけるいろいろな問題から考えまして、陸上に相当の、四百万坪とか五百万坪とかいう大きな飛行場をとることは非常に困難であることは、これは御了承できると思います。同時にまた、大型機というものが将来発着をされますと、どうしても四千メートルあるいはそれ以上の滑走路が必要であるから、五百万坪あるいは七百万坪という飛行場を必要としますから、これを陸上で求めるとなるとなかなかむずかしいのみならず、非常に騒音の問題があります。いまアメリカで問題になっておりますSSTも、幸か不幸か知りませんけれども、アメリカはどうしても国際航空路がアメリカ大陸を横断しなければ飛べません。したがって、地上に対する騒音、そういう問題から、SSTに対する騒音の問題が非常にやかましくなっておる。陸上都市に与える影響、こういう問題があります。日本はある意味においては周囲が海に囲まれており、大都会が海に直面しておる。こういうことからして、もし求めるとなれば、陸上では、いま申したような騒音の問題、あるいは相当大規模の敷地を求めることが不可能に近いという点から見れば、どうしてもこれを洋上に求めざるを得ない。つくらないというなら別問題です。つくるという前提に立つなれば、どうしてもこれは洋上に求めざるを得ない、こういう意味において私は申し上げたのであります。したがって、現在調査中でありますが、そのうちのどれをとる、泉南をとるかどれをとるかいうことを申し上げておるのではなくして、基本的なものの考え方を申し上げたのです。  私どもとしては、いま申したような前提から、やはり洋上を埋め立てる以外に道がないのじゃないか、そうしてそれによっていわゆる騒音を回避する方向考えるべきである。たとえば海を埋め立てましても、その埋め立てられた方向が陸上に飛んでいくのでは、それは意味がありませんから、したがって、関西空港のみならず、将来の国際空港をつくる場合においては、原則としてやはり洋上の埋め立て、しかもその洋上を埋め立てた飛行場は陸上に飛ばない、洋上に飛ぶという前提で設定すべきであろう。こういう意味で騒音を回避すると同時に、また他の利用方法考えるべきではないか。いわゆる洋上なり湾上なりを埋め立てることによって、そこに何かもう一つ地域住民に対して利益を与える方法はないか。私は利益を与える方法が可能であると考えております。ということは、たとえば湾内もしくは洋上にやった場合に、もちろん大都市をつなぐ高速道路は必要でありますけれども、それ以外の地域にはいわゆるカーフェリーなりあるいは快速船、旅客船によって短距離に運ぶ方法考えられますね。そうすると、国際飛行場というものは、単に飛行機が発着するだけではなくて、あるいは快速旅客船の港をも考えることが可能ではないか、こういうような国土地域開発に対して、できるだけマイナスの面を減らすと同時に、一方においてプラスの面を考える、こういうようなものの考え方があるであろう、こういうことを私は指示をいたしております。目下これは検討中でありますが、そういうことによってもしある一定地域が条件的にも可能である、あるいは比較的適当である、こういうようなことが決定されますれば、いまおっしゃるように、地域住民に対しては十分に納得してもらう、こういうような状況であるからという意味の、地域住民の十分なる理解と納得のもとにやる。ただ政府が決定したからこれを何でもかんでも押し通すのだ、こういう措置ではなくして、いろいろな面から、総合的な立場からよく御説明を申し上げて納得してもらう、こういうような方向でやっていきたい、これはおっしゃるような方針でいきたいと考えております。
  70. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣のいまの答弁ですが、伊丹空港の現在のキャパシティーについては私もわかっております。第二空港の必要性もわかっておりますが、これにはいろいろと問題もあろうと思います。いま最後に結論として大臣が言われました、地域住民の意思を十分に尊重して、その意思を聞いて、それに対して損害を与えるのでなく、かつまた大きなプラスの面を必ず持っていくというお話、これはどこに空港がつくられるにしても当然のことだろうと思うのです。そのお考えは十分私も理解できますし、またそうでなければならないと思うわけでございます。しかし、現地といたしますと、泉南では非常な脅威を与えられている。大臣の発言が、泉南空港というふうに言って、泉南の沖というふうに言っているわけではないようでございますけれども、何か泉南の市民と関係のある方が記者会見の席におったようでございます。その受けた感じというのは、大臣はあたかも泉南沖に決定したかのような発言をした、こういう、ふうに受け取ってきているわけです。そこで、昨日も地元の泉南から大挙して陳情が押しかけてまいりました。私の同僚議員のところに参りました。地元の住民の非常な不安と焦燥にかられたその陳情を私も受けたわけでございます。先ほども申し上げましたように、地元の泉南としましては重大な決意をしなければならない段階だ、ここまで言っておるわけでございます。住民の総意は、空港設置は絶対反対である、からだを張っても阻止する、こういうふうな強い強い姿勢を示しております。また、泉南の市議会におきましても、すでに設置反対の決議をしておるわけでございます。  ただ、先般も申し上げましたように、航空局長に対する七月十日の当委員会における私の質問、並びに大臣の信頼される航空局長答弁におきましても、地元の意思、意向を絶対無視しない、こういうことがはっきりしていますので、地元の方にもよくお話はしたいと思いますが、いままでのいろいろの例からしますと、どうも財界の圧力等に屈して、いつの間にか住民の意思というものが——いま大臣からお話があったような方向で進めばいいのですけれども、そういうことがなくて、いつの間にか決定してしまう、こういう例をたびたび私ども聞いております。そういうことがあってはならない。絶対に、大臣がいま確約されたように地元の意思を十分尊重し、そして泉南ばかりでなく、どこにつくられようとも、その地元の意思を十分くみ上げ、そしてまたプラスになる面を大いに考えていく、こういうふうな形の答弁に私も同感でございます。いま言っているように、地元が重大な決意をしなければならない、そのために万が一にもたいへんな問題でも起きたというようなことになりますと、取り返しのつかないことになります。そういうことになったときには、やはり責任は大臣にあると思います。どうかそういう事態が起きませんように、私は重ねてここで大臣にお願いをしたいわけであります。飛行場設置の問題について地域住民の意思を十分に尊重する、特に泉南においてはこの問題については絶対反対であるという意思を表明しておりますので、その点を大臣に十分御考慮いただきたい。重ねてこの点について大臣のお答えを伺って、空港に関する問題を終わりたいと思います。
  71. 橋本登美三郎

    ○橋本国務大臣 目下場所を検討中でありますから、それらの検討がきまる場合は、地域住民とは十分話し合いをして、そして納得してもらうという前提できめていきたい、かように考えております。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 空港の問題はそれでけっこうです。  次に、消防庁の永瀬さんにお伺いするわけでございます。  最近の陸上交通の発達に伴いまして、火薬類とか高圧ガス、あるいは放射性物質などの危険物の運搬時における爆発、漏洩などの危険性が高まっております。先月十日、私は、交通安全対策特別委員会におきましてこの問題を取り上げました。皆さま方といろいろと御意見を戦わしたわけでございますが、それというのも、御承知のように、六月十六日に栃木県の小山におきまして塩素ボンベの口がとれて、そしてボンベから塩素ガスが吹き出したという事件がございました。また六月二十八日には川崎におきまして、高熱のアスファルトコンクリートの裸輸送中に、高校生二名がそのアスコンの下になって悲惨な死亡をされた。今後もこのような事故が起きるのではなかろうか。起きてはならないと思いますが、起きる可能性が十分にあるのではなかろうか、こう思うわけでございます。  そこで、消防庁にお尋ねするわけでございますが、東京、大阪等の大都市におきまして、危険物運搬車の実態をつかんでおられるかどうか。一日にどれくらいの自動車がどんな危険物をどれくらい運搬しているか、こういうデータについて消防庁ではお調べになったことがあるかどうか、伺いたいわけであります。
  73. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防庁といたしまして、いままでは必ずしも定期的に危険物を輸送いたします車の動きの実態につきましては把握いたしてはおりません。でございますが、先生指摘の小山市の塩素ガスボンベの漏出事故等の実態にかんがみまして、現在各市町村を督励いたしまして、危険物輸送の実態を把握するよう、警察庁の御協力を得、なお警察庁でも独自におやりになりますので、これと協力いたしまして把握につとめている次第でございます。まだ数字はあがってきておりません。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの答弁で、その数字を掌握してないというお話でございますので、やむを得ません。この数字はしかるべく早い時期において調査をして、資料を提出していただきたい。委員長、これはお願いしておきます。  それから、警察のほうにお伺いするわけでございますが、きょうは局長が見えていませんので、寺尾さんにひとつお伺いいたします。  先ほども申し上げましたように、道路上の危険物の運搬、これによる事故はいつ何どき発生をするかわかりません。全く予測できないわけでございます。この事前の取り締まりも重要なことであろうと思うのでございますが、最近、七月の二十三日と二十九日、二回にわたりまして、警視庁の手によりまして都内二カ所で危険物運搬車両の取り締まりを行なった、このようなことを新聞の報道で承知しておりますが、その結果はどのようであったか。聞くところによりますと、二十三日の調査によりますと、京浜第一国道での取り締まりでは、運搬計画書の不携帯、積み荷不良、こういうことで、約半数の車両が違反またはそれに該当するという驚くべき実態が明白になった、このようなことでございます。そこで、二十三日、二十九日の両日の取り締まりの実態、これを報告をしてもらいたいと思います。
  75. 寺尾繁

    ○寺尾説明員 お答えいたします。  警視庁で行ないましたのは、全国的な取り締まりの一環として警視庁でもやったということでございまして、ただいま先生指摘の七月二十三日、二十九日、それぞれ取り締まりを行ないました。対象車両百一台、うち一般車両三十九台、タンクローリー六十二台について行なったわけでございます。その結果、約四割に相当する四十一台のものがそれぞれ違反をしておったということで、そのうち二十四台につきましては指導をいたしました。その他のものにつきましては、なお今日調査を継続して、その車両の責任者に対する通告なりその他についてもあわせて行なうべく検討中でございますので、その後につきましては、いま申し上げたことのほかに立件をすることになろうかと思います。  なお、内容につきましては、先ほども先生おっしゃいましたような問題でございまして、多いのは、転落、転倒の防止のための措置が不良であったというのが十五件、あるいは積載標識なしに行ったというものが八件、そのほか数多くの基準違反がございました。なお、道路交通の関係での違反としては、一件整備不良車があったのみでございます。  以上でございます。
  76. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 消防庁にお伺いするわけでございますが、都心部やいわゆる住宅の密集地域、こういうところに事故が起きた場合には、これはたいへんなことになると思うわけでございます。そこで、その対策、その体制はどのようになっているか。また、石油コンビナート等の大量に石油が貯蔵されている場所、このようなものに対してはその防護の体制はどのようになっているか。先般、実は鹿島港を私も視察いたしましたが、鹿島が将来有数な石油の基地になるわけでございますが、その防災対策は私はついに見せていただくことができなかった。これからどんどんタンクも建っていくのだし、その対策も十分練られていくことと思うのでありますけれども、私は鹿島においては非常な危険を感じてまいりました。また石油ばかりでなく、化学薬品、高圧ガス、火薬、こういう多種多様のものが自動車で運搬される時代でございますけれども、この道路上における不測の事故、あるいはまた先年新宿の駅の構内で重油タンクのタンク車が火災事故を起こした。道路で起きようと国鉄の構内で起きようと、いずれにしましても、消防はこれに対して出動せねばならないことと思うわけでございます。たいへんな時代になってまいりました。こういう時代になってまいりますと、どうしてもそれに対する十分な体制がとられでなければならないと思うわけでございますが、その体制は一体どのようになっているか。新しい化学薬品等についても、この事故を鎮圧する方法、手段について全消防署員に熟知させているか、教育手段はどうなっているか、こういうのを伺いたいわけでございます。  それというのも、七月十七日の朝日新聞の記事によりますと、前日の午前零時十五分ごろに、大阪府の高石市の高砂一丁目の日本アルキルアルミという会社がございます。そこの大阪工場におきまして、可燃性の薬品が自然発火したという記事がございました。この報道によりますと、炎は間もなくおさまったけれども、有害な塩素ガスなどを含むところの大量の白煙が高石市や堺市の住宅街を広範囲に襲って住民を苦しめた、このような新聞記事がございます。さらにその白煙が去ったあとも、樹木や盆栽に白い粉が点々と残って、地元住民に大きな不安を与えた、こういう記事がございます。これは工場内の事故でございますけれども、これが、私が先ほどから心配しております道路上で、しかも住宅密集地等で発生したならばどのようになるか、これは非常にたいへんな問題になるのじゃなかろうかと思います。  このアルキルアルミにつきまして、私も若干調べてみましたところ、昭和三十二年ごろから石油化学工業で触媒として使用され始めました。最近その使用量が増大しておりまして、従来は輸入にたよっていたものが、いまでは国内において、先ほど申し上げました大阪府高石市の日本アルキルアルミ、もう一軒は山口県都濃郡南陽町にある東洋ストウファーケミカル株式会社、この二工場で製造されるようになったと聞いております。このアルキルアルミは、空気と接触すると自然に白煙を発しまして、自然発火をする。また水と接触すると爆発的に激しく反応して発火し、飛散するという、やっかいなものだというふうに書いてございます。これが人体に付着すると激しいやけどを起こし、また、燃焼時に発生する白煙は刺激性があり、多量に吸入すると気管や肺がおかされる、こういう危険性がございます。これに対しまして消火の方法がきわめて困難だ、ここに問題があると私は思うのです。この火災を鎮圧するのには、効果的な消火剤、薬剤が現在発見されていない。水または水系の消火薬剤の使用は、先ほども申し上げましたように、爆発音を伴って発火、飛散するので、これは使用することは全然厳禁。また、四鉛化炭素等の蒸発性液体の消火薬剤を誤って使用した、こうなっても、これまた有毒ガスを発生する。これも絶対に使用することが許されない。要するに、効果的な消火の方法がないので、その影響ができる限り周囲に及ばないように燃やし尽くしてしまう以外にない、こういうふうなことだそうでございます。  なお、製造工場は先ほど申し上げました二工場でございますが、これを使用すると予想される工場が全国に十七工場散らばっております。当然これらの工場に対して先ほどの二工場から運搬をしなければならない。この運搬途上におきまして、先般発生しました栃木県小山の塩素ガスボンベ事件のようなものが発生する可能性もなきにしもあらずと思うのでございます。このような非常に危険なものが最近運搬されている。その量も、後ほど通産省の答弁によって私は確認いたしたいと思いますが、相当の量であります。それが道路上を運搬されている。あるいはまた国鉄のコンテナ等を使って運搬したとしても、その両端はやはり自動車にたよらなければならない。また、安全な方法としての海上輸送にたよるとしても、その両端はやはり自動車輸送にたよらなければならない。そうなってくると、どうしても自動車によって道路上をこれらの危険なものが通行する、この危険をどのようにして防いだらいいかということが問題になってくると思うのでございます。  そこで、これらの危険な物資があることもいま申し上げたわけでございますが、この質問最初に消防庁に申し上げましたように、住宅密集地、都心部における事故対策、これは一体どのようになっているか。また、石油コンビナート等の、特に鹿島における体制はどのようになっているか。それから、化学薬品等の事故に対する処置及びこれらの新製品に対する処理方の教育はどのようになされているか。最後に、七月十六日の高石市における日本アルキルアルミ工場内の事故については、消防としてはどのような報告を受け、当日どのような処置をとったか、この点についてお答えをいただきたいと思うわけであります。
  77. 永瀬章

    ○永瀬説明員 お答え申し上げます。  先生指摘の、道路上におきますところの、いわゆる消防法に規定いたします危険物の輸送の際に火災を起こす可能性はかなりあると思われます。これに対しましては、規制といたしまして、先ほど警察庁のほうで取り締まりの結果の御報告がありましたが、一応容器の規制をいたしております。それから積み方に対しましても規制をいたしております。基準どおりやっていただけばたびたび危険が起こるとは考えませんけれども、しかし、事故というものは予想外の場合にも起こりますので、もちろん、これに対しての対処のしかたは私ども考えなければならないわけでございます。一般的には、輸送の経路につきまして規制ができておりませんので、起きました事故に対しまして消防隊で消火するという方法を現在とっております。  東京の都内におきましては、各署で主として化学車とポンプ車、これを主体にいたしまして措置をいたしております。化学車と申しますのは、あわを放出することもできる装置及び薬剤のタンクを持った車でございます。これを主体といたしまして、ポンプ車のほうも、実はノズルの先にあわを出すこともできる装置を持った特別なノズルがございます。これと、それから携行かんのようなかんに入りました薬剤、これと連動いたしましてあわの放射で油を消すという措置をとっておりまして、この薬剤も各署及び各方面ごとに備蓄をやっておりまして、これによって、この前の新宿駅構内のガソリンタンク車の火災の場合も、集結をいたしまして処置をいたしたわけでございます。このような体制で、必ずしも十分というわけにいきませんけれども、起きました事故に対しまして対処する体制にはなっております。  それから第二点のコンビナートの体制でございますが、これはコンビナートといいましても、まず大きなのは企業でございます。また発生の危険性も企業にございますので、企業に対しまして、一定の規模以上のものは自衛消防隊を持たなければならないと規定をしてあります。これに基づいて、各企業は化学消防車を主体といたしました消防隊の設置が義務づけられております。単にこの義務づけだけではその実態に合いませんので、指導といたしまして、必要な工場に対しては、さらに消防隊、化学消防車の大型化あるいは増強ということを指導いたしております。一方、自治体も当然責任を持っております。自治体のほうも化学車を設置させることに努力いたしまして、実はこれは新潟地震のあとから補助金を出すことに大蔵省とお話しいたしまして、決定を見まして、毎年約五十台ないし六十台の化学車が全国で補助されております。この中で、特にコンビナート地帯に力点を置きまして配分いたしている状態でございます。  ただ、鹿島につきましては、現在コンビナート地帯が建設中でございまして、すでに鹿島石油、あるいは東京電力であったかと思いますが、電力会社は稼働いたしておりますけれども、ほかの工場はこれから建設という段階でございます。したがって、鹿島地区では組合消防をつくらせまして、これをコンビナートの形成に応じまして次第に増強をはかっていっている次第でございまして、現在では、数字ははっきりしたことは覚えておりませんけれども、たしか四台程度の消防車があったかと思います。しかし、これは特別な地域でございますので、化学車を主体にいたしての編成でございます。なお、本年度には消防艇を補助いたしまして、本年度中には設置がなされる予定でございます。コンビナート地帯の増強はその程度で……。  それから、アルキルアルミの関係でございますが、アルキルアルミの危険性は先ほど先生おっしゃいましたとおりでございまして、これにつきまして、御指摘のような内容を各都道府県主管部長に通達いたしまして、市町村の指導をするように文書をもって指導いたしております。なお、この文書以外に、ことしの二月及び去年の三月には全国の担当者を集めまして、アルキルアルミの対処のしかたにつきましては、会議の席上で口頭で詳しく説明いたしております。これに従ってやってくれることを私ども願っている次第でございます。  それから高石市の事故につきましては、報告を受けております。この場合、アルキルアルミのタンクそのものから漏れたのではなくて、それにつながる配管の一部からアルキルアルミが漏れたようでございます。いろいろ計算いたしてみますと、数量がかなり合いませんで、わずかな量になってしまいます。本体ではなくて、配管に残ったものがこぼれたように聞いております。しかし、これは工場の活動によって、消防隊が到着するまでにはすでに消えていた——おそらく燃え切っていたのだろうと思います。このような状況を報告を受けております。
  78. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 通産省に伺いますが、ただいま消防庁のほうから高石の事故についてはお話がありました。そこで、アルキルアルミの製造、保管等の監督の立場にあるのは通産省だと思いますが、ただいまの事故の原因とか事故の経過その他について、通産省のほうにはどのような報告があったか。  それから、このアルキルアルミの需要量、並びに国内の二工場で生産される量あるいは輸入量について、また輸入の方法、特に運搬の方法、どこの港で陸揚げしていかなる方法によって需要家に送られているのか、この輸送の経路等について、通産省で掌握している範囲でお答えを願いたいと思うのです。
  79. 丸田幸栄

    ○丸田説明員 お答え申し上げます。  日本アルキルアルミの堺工場の事故につきましては、かなり具体的にレポートが参っているわけでございますが、七月十六日午後零時十分ころ、現場パトロール中の作業員が発見しまして、上司に連絡すると同時に、消火剤により直ちに消火した。それで、工場の係長以下十名の者が現場に到着しまして、火が消えてはおりましたけれども、さらに配管の一部からエチル・アルミニウム・ジクロライドというのが落ちて、消火体制をとっていたその時点で漏れが非常に激しくなりまして、再び発火をした。その際、従業員の一名が左大腿部に大やけどをした。それからさらに、そういった事故に直面しまして、自衛消防であります泉北消防センターに連絡しまして、消防隊が来まして、それで消火に当たって、間もなく鎮火したわけでありますが、なお、先ほど消防庁のほうからお話がありましたように、化学消防車その他も、高石市消防本部管下の化学消防車が二台参りました。  その事故の原因でございますけれども、私ども考えますところ、いわゆる地震予防等のためにフレキシブルパイプというのを使っておるわけでございます。これは、地震が起きた場合にこわれないために、たわみを持っているものでございます。このたわみがだんだん大きくなって、まだ工場ができて試運転をやって検査をやっているという段階なものですから、そういうふなれな点もございまして、湾曲部に圧力が集中したために亀裂が生じたのではないか。それからそのほか、このパイプのじゃ腹の外側から異物がじゃ腹のひずみの部分に入りまして、それがてこの作用でひずみをさらに大きくしていったのではないか。それからそのほか、この輸送管と並行しまして——これは温度二十二度で溶けるということで、それ以上になりますと液体の形になる。それより下になりますと固体になる。固体になりますといろいろ危険があるわけでありますので、保温をやっているわけであります。並行してパイプを走らせまして、温度を上げておるというような状況でございますが、そのパイプをとめているときにその温度だけを上げておったというようなことも一つの原因ではなかろうかというようなことで、今後十分、そういった自動装置を設けてすぐ停止するとか、あるいは作業員の訓練とか、そのほか、たわみの部分をささえる架台を設けるといったような、いろいろな処置をやっていくというふうに考えております。  それから輸入量でございますけれども、現在私ども手元にあります数字によりますと、四十四年度一千七トン、それから国内生産が三百トン、合計千三百七トン。それから四十五年度の見込みでございますけれども、国産が先生おっしゃられましたように開始されてきましたので、ことしは約二千三十トンくらい、それから輸入が百六十トンくらいに減るのではないか、合計二千百九十トン。それから一方、需要のほうでございますが、四十四年度は千二百七トン、四十五年度千九百九十トンというふうに、一応私ども主要なものについてそれくらい需要があるのではないかと考えております。そのほか、この触媒は、主として石油化学の中心になりますポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジェン——これは合成コムでございますが、そのほか、新しいEPRというものに主として使われております。そのほか、アルミメッキ原料とか有機合成用試薬に使われるというようなことで、先ほどの需要のほかには、そのこまかい需要につきましては手元に資料がございませんが、大体そういう状況でございます。  なお、輸入品が日本の港に着きまして、どういう経路でユーザー、石油化学メーカーに配られるかというようなこまかい経路につきましては、手元にございませんが、こういった非常に危険物で、水とかあるいは空気に触れますと火災あるいは爆発ということで、たいへんあぶないですから、それに触れないように窒素等の不活性ガスでシールしたタンクローリーで運んでいるのではないかと思います。
  80. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 輸入港はどこですか。
  81. 丸田幸栄

    ○丸田説明員 この点も手元にございませんが、主要な日本の港に入っているのではないかと思います。
  82. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは、またその点はお調べになった上でお答えになっていただけばけっこうであります。  そこで、厚生省に伺うわけでありますが、いまも消防のほうのお話の中に、一名の人がやけどを負った。新聞の記事にも、田中豊作さんという方が三週間のやけどを負ったということが出ております。このように人体に対して非常な悪影響を及ぼすわけでございますが、この関係の製造二工場のあるところの地元の保健所、これに対して厚生省としては、このアルキルアルミの火災時等における住民の健康保全のためにどのような処置をとるべきかというようなことについて、あらかじめ指示がしてあるかどうか、これらの点について伺っておきたい。
  83. 山本宣正

    ○山本説明員 お答えいたします。  この物質によりまして起こる問題と申しますのは、特に災害的なものでございまして、災害発生時についての対策としてはむしろ医療という面でございますので、特に保健所の一般行政としてそれに対する対処のしかたについての指導はいたしておりません。
  84. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 こういう事故が再び起きることを望むものではございませんけれども、やはり住民の保健衛生のためにも、事前にこれらの二工場のある地域に対しては十分処置をとっていただくのが当然ではなかろうかと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思う。
  85. 山本宣正

    ○山本説明員 十分考慮いたします。
  86. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは自動車局長に伺いますが、いまもお話がございましたように、この運搬が問題になってくるわけです。この二工場から全国にあるところの十七工場、こういうものに運搬をするわけでございますが、いまも通産省のお話によりますと、約二千トン近い需要量がある。これの運搬が、現在のところは、一回の運搬の量というものが消防法の規定によって四千リットル以下ときめられている。そしてまた、そのタンクは千三百三十リットル入りのものが三個。大体四トンということになりますと、二千トンですから、約五百台の車が年間に動くことになります。一日に約一台ないし二台近いものがどこかで動いているということになる。この運搬の方法に問題があると思うのです。現在の運搬方法は、その三個の小さなボンベを平ボデーにUボルトで緊縛をしておる。安全にされていることとは思いますけれども、いつ何どきこれが他からの衝撃によって事故を起こさないとは言えないので、その運搬そのものについては相当な教育も行なわれているし、安全も確認していると思いますけれども、この都心部の交通の激しい中において、他からの力によってこのボンベあるいはタンクローリーが穴があくというようなことがあってはたいへんなことになるわけです。特にその製造工場から使用する工場に——千葉県の市原、ここまで送られてくるということになると、関西方面から名古屋を経由し、そして東名を走ってくるかどうかわかりませんが、いずれにしても東京に入り、環状七号線を通って千葉のほうに抜けていくのが最短距離ではなかろうかと思う。  それで、こういう状態から考えまして、この輸送の経路というものがはっきりと指定してあるのかないのか。先ほどの通産省のお話によりましても、どこに水揚げされるのかわからない。水揚げされる港がわかっていない。そしてそれが工場までどのような経路で運ばれているかについてもわかっていない。いま運輸省のほうでは、そのようなものが現実に年間五百台のものが運ばれているけれども、その輸送経路というものをどのように掌握しているのかどうか。また、かりにその輸送経路が指定されたとおりに走ることになっていたとしても、途中で急に交通遮断等を受けて経路を変更せざるを得ないような事態が起きないとは言えないと思うのです。こういったときには一体どうなるのか。先ほどから繰り返し申し上げるようですが、七月十六日の事故は工場内の事故であったし、その量も微々たるものであったというふうにお話を伺いますけれども、そこでけが人が一人出ているわけであります。これが都会地の住宅の密集地等を通過中にこのような事故がかりに起きたとしたならばどのようになるのか。たいへんな問題が起きるのではなかろうかと思うわけでございます。運搬者に対しましては特定の教育をしているということは聞いてはおりますけれども、みずから起こすのではなくて、他からやられた場合にはまことに心配でございます。そこで運輸省としては、これらの運搬に対してどのような配慮をしているのか、簡単にひとつお答えを願いたい。
  87. 野村一彦

    野村説明員 ただいま先生の御指摘のように、このアルキルアルミは非常に危険なものでございますので、私どもとしても、その輸送については特別に慎重な配慮を加えなければならないと考えております。現在輸送方法といたしましては、メーカーが二社ございますが、一社は鉄道トラック、それから一社はもっぱらトラック輸送によって輸送をいたしております。トラック輸送につきましては、実は専用のタンクローリーを使用しておりませんで、消防庁から通達されました事項に基づきまして、タンクコンテナをボルトかまたはベルトで荷台に固定をして輸送をしておるという状況でございます。この点につきまして、私どもトラックそのものは、道路運送車両法に基づきます保安基準に基づいて、その条件にかなったものでございますが、輸送の方法といいますか、タンクローリーを使うことにつきましては、今後、先生指摘のように非常に問題の大きいあれでございますので、技術的にも検討を進めていきたいと思います。  それから輸送の経路でございますが、これは路線トラックでございませんので、私ども残念ながらその経路を——消防庁にお伺いすればわかりますが、運輸省として直接その経路の実は指導をいたしておりませんが、これは御指摘のような非常に問題をはらんだ輸送のあれでございますので、そのルートにつきましても十分私ども研究をして、今後その経路につきまして何らかの指導というようなことができるように検討をしていきたいと思います。
  88. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 あと一つお伺いしたいことは、タンクローリーの専用車というものも、これはひとつぜひつくるようにしてもらいたいと私は思います。七月の十日にも、このことについて交通安全特別委員会でも申し上げておきましたので、重ねて申し上げませんけれども、ひとつ御研究を賄いたいと思う。  そこで、いまの経路の問題がはっきりしておりませんので、消防のほうに聞くわけでございますが、消防庁では、このようなものの経路について御存じでありましょうか。
  89. 永瀬章

    ○永瀬説明員 全国的にどこからどこへということは詳細には把握いたしておりませんが、先ほどお話しございましたように、南陽町のほうからはほとんど遠くは貨車輸送、近くはトラックで輸送されております。ただ、東京につきましては、日本アルキルアルミから東京消防庁は連絡を受けまして、そのつどでございますが、これは大体月に二、三台のものでございます。この経路につきましては、東京へ日本アルキルアルミから連絡を受けております。他の部分につきましてははっきりいたしておりません。
  90. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 最後でございますが、いずれにいたしましても、これらの危険なものが経路があまり確定しないままに輸送されている。幸い東京におきましてはその経路があらかじめわかっているようでございますけれども、交通遮断等の場合によっては急に経路を変更しなければならない場合も起きてくると思います。これらの通過すると予想される地域については、消防の方々に対して十分の教育をしておいていただかなければならないと思うわけでございます。私も、念のためと思いまして、あらかじめ通過するであろうと思われる地点の二、三の消防署の署員の方に伺ってみました。もちろん私が直接行ったわけではございません。人をして調べさせてみましたところ、わりかたアルキルアルミに対する知識が薄いようでございます。署員の方々が、このようなたいへんなものが通過しているということについて実際あまり御存じがない。その消火の方法についてもあまりよく御存じない。こういうことでは、非常に私も不安に思います。したがいまして、これらの点につきましても、消防並びに警察の当局としても、この取り扱いについては十分熟知していなければならないと思うわけでございますので、重ねてお願いをしておく次第でございます。いずれにいたしましても、このような新しい化学製品が開発され、そしてそれが逐年使用量が多くなってくるという段階でございます。これらのものによりまして善良な市民が迷惑をこうむるようなことがあってはならないと思いますし、どうしてもこれに対一しては関係省庁が十分の連絡をとって、事故を未然に防止し、そしてまた万が一発生したような場合には、極力その被害を最小限に食いとめるような措置を十分講じておいていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。  以上で終わります。
  91. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  92. 内藤良平

    ○内藤委員 自動車局長、冒頭にひとつ苦言を呈したいと思うのですが、あなたは最近就任されて、いろいろ新しい構想を持っていると思いますけれども、これは新聞記事ですけれども、八月一日の毎日新聞に、陸運局の課長の奥さんがタクシー経営をしておった、これは御存じでしょう。もう部内では自粛自戒、いろいろ措置をしておるようでありますが、しかし、われわれ国民の側から見ますと、許認可のあれを持っておる自動車行政で、課長さんの夫人がタクシー経営をしておる。しかもほかから問題が出るまで、本人、だんなさんは一言もこのことに対してはもちろん言わないでしょうし、あるいは何かの意思表示もなかったし、部内においてこれに対して、われわれから考えるところの善良な公務員のようなことがなかったわけですね。だから、これは法律的には合法なんでしょうけれども、どうも許認可のいろいろ厳重な関門のある局長の管轄の仕事が、東京陸運局の課長の夫人がやっておる、こういうことになりますと、何となくやはり部内で適当にやっておる、誇張して言いますと、利権を追求しておるんじゃないかと、こういうぐあいに印象を与えておるんじゃないかと思いますが、こういう意味で、どうも陸運行政というものは、住民といいますか、一般の国民皆さんから見ると、少しく時代錯誤のような、極端なことばで恐縮だけれども、ずれておるような感じが所々方々に散見されるわけです。これはやはり新しい局長のもとに、もう時代が変わっているんですから、一種の利権のようなかっこうで許認可の指導に当たるんじゃなくして、住民の足を守るんだ、過密、過疎の、しかも近代的に膨大になりました都市なりあるいは農村の現状をどうしてサービスするか、国民住民の足を守る、近代的にますますそれを向上せしめるサービス事業といいますか、そういう仕事の本来の使命的なものを徹底して持たなければ、利権を握っておって、何か利権をみんなに開放してやるんだ——特権階級のような状態であっては、私は、ますます時代からおくれてしまうんじゃないか、こういう感じを持っております。あなたは、もうすでにこれは新聞でおわかりと思います。部内でも措置はしておるようですけれども、合法的だけれども、しかし一つ苦言として、こういうことのないようにやっていただきたい、こう思います。これは答弁は要りません。  それからまた、住民皆さんと非常にギャップがある。いま住民皆さんの足が非常に問題だ、これは過疎、過密を通じまして大きな問題になっております。これは単なる私企業、会社にまかしておくだけではできない。どうしてもやはり運輸行政の中で、運輸省という場の中で強力な行政指導をしなくちゃならぬじゃないだろうか、国民の要望にこたえなくちゃならぬじゃないだろうか、こういうぐあいに思います。われわれ運輸委員としましても、今度の国会の冒頭でも、大臣に、いろいろ混乱をしておる今日のこの交通状態を総合的に、運輸省自体で、大臣が先頭になってこれを改善しなくちゃならぬじゃないか、分野を明らかにするなり、あるいは交通体系を総合的に調整するなりしなくちゃならぬじゃないか——大臣も、新任大臣として大いにやりたい、省内にそういう機関を設けて、全般的な交通問題を真剣に取り組んでいきたい、これはおくれておるから、今度は逆に何十年先を見てやりたい、ここまで言っておるわけであります。そういう中でここまで参りまして、七〇年も半年過ぎましたが、どうもいろいろ住民皆さんとの間にギャップが所々方々に出ておる、それを行政的に適切に処置してない、こういう感じが強いわけであります。特に大都会、東京の場合におきましては、都心部と居住地が非常に遠隔になってまいりました。その間に交通機関の持っている使命というものは重大であります。ところが、それが各社各社に分かれておる。そこで、その関連というものがなかなかうまくいかない。だれがやるか。これは結局、運輸省なり陸運局なりが、運輸行政という面で大きな見地からやらなければならぬでありましょう。そういう面になりますと、どうも現状にそぐわない。特に最近居住問題、住宅問題が大きな問題で、われわれが見ると不満はありますけれども、政府当局もあちこちに団地をつくっておる。ある地点に巨大な団地ができる。数千、数万の方が住むようになる。ところが、そういう状態をわかっておりながら、どうもその住民の足の問題はなかなかうまくいかない、そういうところがあちこちあるようであります。ですから、全国の団地皆さんが一種の組織をつくりまして——交通問題だけじゃありません。いろいろ付帯した問題があるでしょう。それに対して全国的な組織をもって要望をどんどん出して、それを解決しようとがんばっております。事ほどさようにやはり問題があると思うわけであります。  私がきょう申し上げたいのは、やはりいま申し上げましたように、どうも運輸行政は、許認可という特権的なそういう仕事の上にあぐらをかいた旧態依然たる状態があるのじゃないか。だから、率先して都民、住民の足を解決する積極的なそういう体制がないのじゃないか。その具体的なことは、一つの例として申し上げたいのは、都内の町田市の鶴川という団地があるわけです。その団地住民皆さんの夜おそくお帰りになる方々の関連する交通機関の問題で、長い問いろいろとトラブルになっておる。これは新聞記事等でおわかのでしょうから、私も時間もありませんから省略します。  ところが、大体都心部で働いている皆さんは、今日のこの状態から見ますと、いろいろ忙しい。お仕事もある、終わってからのいろいろな文化的な活動もある、あるいは娯楽もある。それで十時ごろ都心部を離れてお帰りになる。郊外の電車の駅までは十一時ごろまでに帰れる。ところが、その先がなかなかうまくいかない。特に新しくでまた団地の場合はほとんど断絶だ。それで、いろいろ自衛的にタクシー乗り合いのようにしたり、あるいは自家用車を活用したり、いろいろやっておるわけであります。ところが、交通機関がないかといいますと、これは許認可されました公益事業バス会社がある。電車の駅は十一時、十二時までも電車が発着する。バス会社もあるんだけれども、それに連絡して運行時間がないわけだ。これを会社にまかしておくのじゃなくして、やはり運輸行政という面で住民皆さんの足を守っていく。近代的な今日の都会といいますか、こういう中で住民皆さんがますます文化的に生活ができるように——しかも現実問題として、職場と居住地が遠距離になっておる。こういう現象を考えますと、私は、やはり一会社の採算だけにあるいは会社の都合にまかせないで、住民皆さんの声というものをいち早くとらえて、すかさずその手を打っていく、そういうスムーズな流れを何とかして運輸行政の中でやっていただきたいわけなんです。ところが、現実の問題はどうもそれがうまくいっていないわけです。例を申し上げて恐縮だが、東京の陸運局の場合は局長が権限を握っておる。会社に対してもいろいろ発言権はあるでしょうけれども、会社の立場もあるということで、どうも住民皆さんの声が軽んぜられる。なかったらタクシーか何かで帰ったらいいじゃないか、間に合わなかったらしようがない、こういうぐあいになっているのじゃないかと思うわけであります。それじゃどうも今日の時代に合わない。やはり東京陸運局長であり、あるいはその配下の皆さんのお考えではないか。そういうものをぶち破って、やはり住民皆さんの利便のために許認可の仕事があるのだ、単なる利権のための許認可じゃないのだ、真の目的は住民皆さんの利便のために、足のためにあるのだから、その目的に対してやはり会社にも極力努力させる、こういう強力な行政指導的なものがなければ、大臣も張り切っているけれども、総合的な交通体系もなかなか進まない中にこういう問題が起きてくる。あなたたちの行政的なお考えで私はやれると思うわけなんです。  そこで、鶴川団地の問題は、これは率直に言いますと、私たちこの内容を見ると、同一の路線で、今度時間帯で、十時までは普通の認可を受けました運賃だけれども、十一時以降になると特別の運賃でやろう、二十円のところが六十円だ、定期券はだめだ、こういうことは、同一の路線が時間帯で運賃が変わるということは、どうも私は納得がいかないわけであります。こういうことになりますと、今度は同じ路線で、朝の八時から九時までは幾らだ、十二時から三時までは幾らだ、こんなようなやり方では、私は、今日の運輸行政、いわゆる許認可事項の運賃料金の許認可をする場合のいままでのわが国の方針というものを分断するといいますか、混乱するようなことがあるのじゃないかと私は思う。運賃の値上げを必要とするならば、やはり正規に全路線にわたってあるいは同地域にわたりまして運賃改定の申請をすべき法的の措置があります。これを堂々とやってしかるべきでしょう。ところが、同一路線をこま切れに時間帯に区切ってやるということは、どうも私は納得がいかない。住民皆さんもこれはふんまんでございましょう。だから鶴川団地の問題では、住民皆さんは自衛的に、十一時から自家用車皆さんに御協力願って、そして足を確保しようとしている。こうなるともう政治がないですね。こういう状態は私は全く残念に思います。  運輸行政というものが大臣をトップにしましてあるわけであります。こういう状態を何カ月も投げておかないで、すかさず住民皆さんの御意思を取り上げて、会社を督励して、しかも労働者、労働組合の御意見もあると思うけれども、これも私はお話し合いするとできると思います、彼らも住民なんですもの。だから、会社の皆さんが労働組合がオーケー言わない云々と言うけれども、私の感じでは、住民と労働組合の皆さんが話し合いましたならば、これはわかります、お互いに住民として苦しんでいるのですから。残る問題は、会社と労働組合、労働者の間の待遇改善でありましょう。これは労使の問題として積極的にやっていただく。その場合に、労働組合が正しい場合は、住民皆さんが逆に応援するでありましょう。そこに私は社会正義というものが確立されると思うわけであります。だから会社のほうで、住民皆さんが云々ということで深夜の——十一時といってもいまの時代じゃ深夜というぐあいにも考えられません。ぼくらの場合ももうたいがい十二時ころまで起きております。そういう時代になってまいりましたので、そこら辺も考えますと、鶴川問題はどうも私は感情的なものがあるのじゃないかと思う。局長さん、感情的なものがある。  これは新聞にその会社のあれがあるのです。ちょっと例で申し上げます。感情的にこういうことをやられちゃ困っちゃう。これは八月八日の読売新聞であります。神奈川県の中央交通の運輸部長さんが言っておりますのは、「いまは感情的になっているので静観している。」こういう公益事業経営者というものはけしからぬと思うわけです。感情的に住民の足を、バス事業を左右するなんということは、これは経営者としても失格じゃないでしょうかね。こういう経営者を投げておかないで、当然これは局長さんの行政的な指導をやるべきじゃないか。これは八日ですからもう三日前でありますが、私企業でございますからいろいろな経営者もおりますけれども、余談になりますが、いま過密、過疎の中で、バス関係ではいろいろ問題があなたも御存じのとおり出ています。その中で、往々にして経営者側の感情的な問題が発展をしまして、住民皆さんが思わざる苦しみをしている事例がたくさんございます。あなたも御存じのとおり、岡山県でも長崎県でも。こういう感情的な経営に左右されて、住民が迷惑をしているというのは本末転倒です。そういうものを押えるのがこれからの運輸行政でしょう。そろばんが合わないとか従業員が言うことを聞かないとかというだけで、陸運局なりあなたのほうで静観されるということでは、これからの大切な、しかも重要な交通問題がますますおくれてしまう。迷惑するのは国民だけであります。  きょうは、質疑応答じゃなくて、言いたいことだけ言いまして、あんまり時間もないと思いますから進めまするが、結論的に、どうですか、局長さん、これは乗り出してひとつ解決してもらわなくちゃならぬと思います。同じようなケースで、十一時以降、団地とジョイントになっております電車の駅からのバス運行をやっているところが都内でもたくさんあるわけなんです、いままでの運賃で。それを三倍にしたとか定期はだめということはないですよ。そういうぐあいになりますと、いままでのあなたのほうの行政でも、運賃関係の問題も混乱を生ずるだけじゃないか。何とかこれは——いまのところあなたもとうするという断言はできないでしょうけれども、現状の鶴川の状態をひとつ善処するといいますか、急速に解決するようなことをぜひやってもらいたいわけであります。さっき大臣にその団地の自治会の皆さんがお会いして、大臣も善処を約されたようであります。こういう現象をぜひなくするように積極的な行政といいますか、そういうことをどしどしやっていただきたい、こういうことを申し上げたいのであります。あなたから積極的なしかも建設的な御答弁、簡単でいいですから。
  93. 野村一彦

    野村説明員 ただいま内藤先生の御指摘のような、東京周辺における主として団地中心とする深夜の輸送問題というのは、時代の流れとともに非常に重要になってきまして、御指摘のようなタクシー乗り合い制を認めるか、あるいは深夜バスを認めるかということは、私どもずいぶん六カ所の都市を中心にして実態調査をして、いろいる検討を重ねたわけでございます。鶴川もその中の一カ所に入っておったわけでございますが、私、も結論的に申し上げますと、輸送需要の形態から見て、タクシー乗り合いよりも、やはりバスのほうが輸送需要の要求に合っているというふうに考えまして、東京陸運局にそういうふうな指導序しまして、鶴川の場合はテストケースといたしまして、三カ月の期限を付してやったわけでございます。ただ、先生指摘のように、もちろん普通の昼間の乗り合いバスを延長して、そしてそれを昼間と同運賃でやるということが最もいいことでございますし、理想的でございますが、実は鶴川の場合で申し上げますと、深夜、十一時以後におきましては、駅から団地まで途中乗降者がなくて行く、それは需要の形態がそういうふうになっておりますので、そういうことで貸し切りバス乗り合い許可というかっこうをとりまして、ああいう運賃を設定したわけでありますが、この運賃の設定にあたりまして、私ども何といいますか、定期券の利用問題とかあるいはバス従業員の方の深夜の待遇条件の問題とか、そういうようなことを考慮いたしまして、ああいう措置を東京陸運局のほうでとることを私ども認めたわけでございますが、この点につきまして、将来の長期的な計画といたしましては、いま先生のおっしゃいました、利用者の方と会社と——もちろん従業員組合を含めた会社の方と、それから東京陸運局と、隔意ない話し合いの場を持つようにいま指導しておりまして、話し合いによりまして将来の恒久的な対策考えていきたい、かように考えております。
  94. 内藤良平

    ○内藤委員 やってください。これまたやはりそういうぐあいに、たとえばあなたならあなたが現地に行ってやるくらいな迫力でなければ、この過密の都会の中でそういう問題はなかなか解決できないわけだ。会社にまかしておいても、そろばんに合わないといってどうにもならないでしょう。それなら認可をやめちゃう、君たち許可したんだから、ここでお客さんを運ぶということを約束したじゃないか、それならもう許認可を取り消しちゃう、そのくらいの迫力でやらなければだめですよ、これからは。もうもうけ本位でやるような時代じゃないでしょう。私はそう思います。ぜひひとつそういう決意で、新局長大いにやっていただくように強く要望して、終わります。
  95. 福井勇

    福井委員長 次に井野正揮君。
  96. 井野正揮

    ○井野委員 実は最初に、私も連絡が悪かったので、委員長を責める意味で言うわけじゃございませんけれども、ひとつ要望したいことがあるわけであります。当然理事会にでも出て申し上げればよろしかったんですが、実は国会が終わりまして間もなく、運輸大臣国鉄再建十カ年計画を修正しなければならないという記者発表をされて、ちょっと驚いたわけですが、最近になりまして、昭和四十六年度の予算編成の骨幹に重大な影響をもたらす国鉄あるいは運輸省当局の見解表明がなされて、各方面に非常な心配、危惧あるいは不信、こういうようなものを与えておりますので、本来でありますならば、民主的な国政の運営ということであれば、きょう開かれる委員会には、運輸省なり国鉄当局から、いま大蔵省や自治省、政府部内で投げかけられておる十カ年再建計画の修正に対するものの考え方を、進んで述べられるべき性格のものであろうと思うのであります。元来、こういうような長期展望を持った計画というのは、国の産業、経済、政治の上にきわめて重要なウエートを持っておりますから、これらを基礎として四十五年度予算を編成されたはずだし、あるいはわが国の長期展望に立つ経済計画の立案の根拠になっておるわけであります。したがって、これを修正することは、行政執行権の中だという性格のものではなしに、国会という場において承認をされ、それが根底になって国の政治が組まれておるものであるという前提に立つならば、当然これを修正変更する場合には政府みずからがその資料を本委員会に提出し、考え方を述べて行なうのが、私は政治的なルールであろうと思うのです。もちろん、そういう点については、委員からの発言があろうとあるまいと、この委員会としては、すでに世上報道されておるわけでありますから、委員長においても、ぜひそういう政府の考え方を政府が進んで委員会で述べるような措置をとっていただきたいと思いますが、きょうは私自身も連絡が悪くて、質問の形で行なおうとしたところが、大臣、次官も出られないということでございますので、九月の本委員会には委員長のほうからぜひ大臣の出席を求めていただいて、政府のほうから、この考え方についての今後の、あるいは再建計画実施が不可能になった原因、内容等についての資料提出を求めたいと思いますので、委員長の善処をまず要望いたします。
  97. 福井勇

    福井委員長 井野委員の御発言はしごくごもっともと存じますので、次の九月の委員会の理事会にはかり、御要望に沿うようにいたしたいと存じます。
  98. 井野正揮

    ○井野委員 したがいまして、私は、このことに関する質問あるいはそれに関連する質問は本日は留保いたしますが、山口常務もせっかくいらしていただいておりますので、この点、委員長のほうからも、理事会にはかってということでございますが、進んで国鉄あるいはまた運輸省のほうとも十分御連絡なさって、これらの再建計画の変更を余儀なくした事情、あるいはまた新しく立てようとする改革案、こういうものは、地方自治あるいは地方住民の生活の問題、産業の根幹に触れる問題として、きわめて多くの内容を持っておるように思いますので、委員会があげて関心を持ち、論議をし、また皆さん方が立案をされる場合に、全くの政府ベースだけじゃなしに、国民の生活に飛び込んだところの、ほんとうに実行できる計画をお立てになることが非常に必要だと思いますので、この点の御配意についての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  99. 山口茂夫

    ○山口説明員 ただいま井野先生からお話がございました点は、ごもっともだと思いますので、帰りまして総裁にも伝えまして、しかるべき処置をとりたいと思います。
  100. 井野正揮

    ○井野委員 では、この問題は九月に譲りたいと思いますので、きょうはこれでこの問題は終わらしていただきます。  その次に、航空局にお尋ねをしたいと思いますのは、実は私ども、今日日程を変更いたしますと、東京に置き去りになって北海道へ帰れないほど、羽田——千歳間はこんでおります。そうかといって、汽車に乗ろうと思いますと、これまた二週間ぐらい前に予約しておかないと汽車に乗れない実態にございますので、時間的にはわれわれは全く交通機関を失っているという現状でありまして、国民皆さんが涼しい北海道に、あるいは日本全国を飛び回って、いろんな欲求を満足さしておられることについては、きわめて好ましいことだと思いますが、こういうような状態に交通機関がついていっていないという現実をまざまざと見せつけられるわけであります。したがって、航空会社ではできるだけその利便に沿いたいということで、かなり無理な運航をしているという感じがしてならないわけであります。  たとえば、九日の日に、私は八時千歳発の全日空に乗る予定をしておりましたが、実に一時間五十分の遅延であります。それはいずれも気象とかそういうことではなしに、羽田の離発着の混雑から混乱を来たしてずれてしまって、翌日のオーロラにひっかかってしまう、こういう結果が出ております。企業でありますから利益を得たい、さらに国民の要望にこたえたいという心と、二つの側面から、非常に無理をした臨時便なんかの増発も認められておるように思います。これは具体的に私ども搭乗時間がおくれたということで体得するわけでありますが、これを羽田空港の運航計画に照らして、あるいは諸法令でもって規制して管制をしておるこの許し得る限度といいますか、この中における状態と、今日の状態はどうなっているのか、まだ余裕があるのかないのか、あるいはある程度の危険をおかして許可をしておるのではないか、こういう気がいたしますが、これはことばの上でなしに、資料としてぜひ九月の委員会までに御提出を願いたいと思いますが、しろうとわかりのするように、たとえばA滑走路では何分で発進させる、あるいは着陸のほうはどういうふうなっているか、現況はどうか、またこういう事故がもしかりに起こったとすると、こういう危険が出てくるというような、着陸できない場合の避難をも含めて、しろうとわかりのするような表でひとつお示しを願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  101. 内村信行

    内村説明員 ただいま先生指摘のように、最近航空機が非常に延着するということで、国民の皆さま方に御迷惑をかけております点は、はなはだ遺憾でございまして、まずおわび申し上げておきます。この点につきましては、結局羽田における収容能力が足りないということに基本的な原因があるわけでございます。  そこで、いまの航空の流れと申しますのは、一般的に航空というものが非常に伸びておることも確かでございますけれども、その伸び方が、やはり東京とか大阪とかを中心といたしまして、地方のほうと連絡をするという形によって伸びておるということが現状でございます。したがいまして、どうしてもその中心になる羽田というもののキャパシティーがある程度ないと、これがこなし切れないというわけでございます。そこで、私どもといたしましても、もちろん安全ということに最大の留意をしなければいかぬわけでございますけれども、安全の許す範囲内でできるだけ効率がよくなるようにというふうに、いろいろと努力をしておるのが現状でございます。  そこで、いまやっておる方法を申し上げますと、非常にホールディングその他が多くなりましたので、まず第一にダイヤの平均化をはかり、一つの時間に集中しないように分散させるということが一つ。それからもう一つは、フローコントロールと申しておりますけれども、いたずらに出発してしまって、着陸ができないということになりますと、空中でいつまでもホールディングしなければいかぬということでございますので、出発地のほうから統制を加えていく。ということは、羽田におけるホールディングが一時間以上になりましたときは、羽田向けの出発を出発地で押える、あるいは三十分以上になりましたときには規制を加えるというような方法をとっているのが一つでございます。  それからもう一つは、進入方式でございますけれども、従来は木更津へ参りまして、木更津から入ってくるというふうなことをやっていたわけでございますけれども、こういたしますと、木更津から入り、木更津のほうへ出てまいりますと、対面交通になりますので、交通のフローが阻害される。したがいまして、これは御宿のVORを使いまして、御宿から北側の滑走路へ向けてきて、北側から入ってくる。そういたしますと、木更津における対面交通がなくなりますので、円滑に流れるというような方法を講じております。それからなお、小型機は原則として離発着を禁止するというような方向でやっておるわけでございます。  ただ、ここで問題なのは、風による影響、それから天候による影響というものが非常にあるわけでございます。それで、これが北風の場合には、南のほうから入ってまいりまして北のほうへ抜けてまいります。そこで着陸も南から北へ入る、離陸も北のほうへ向けていくということで円滑に流れるわけでございますけれども、南風が吹きます場合には、先ほど申し上げましたように、木更津のビーコンでもって衝突してしまうということから、そこでホールディングというものが生ずるわけでございます。そこで、先ほど申しましたように、御宿VORというような経路をつくったわけでございますが、これも有視界、状態のいいときにはそれでまいりますけれども、無視界飛行、計器飛行の場合にはこれを使えませんで、どうしても羽田のILSを目ざして木更津から飛んでまいりまして、そこからずっと迂回をして北側から入ってくるということをとらざるを得ないわけでありまして、その場合には、御宿VORというような経路をせっかくつくりましても、それが使えないということになりまして、そのために混乱が起きるというふうなことが実情でございます。  そこで、先ほど申し忘れましたが、ダイヤの均一化をはかるためには、ダイヤ調整委員会というものをつくっておりまして、そこでもって一定の基準をつくって、それに合うように、その範囲内でダイヤを認めるというふうにいたしております。それは大体一時間には三十四回以内におさめて、それから相前後する三時間においては九十回以内におさめなければならない、こういう基準をつくりまして、そこでもって離着陸機数を制限しておるということでございます。ただ、この場合も、大体これが有視界飛行であり、北風というふうに状況のいい場合には、これでスムーズに進むわけでございますけれども、たまたま南風が吹いて、しかも天候が悪くて視界が悪いというふうなときには、先ほど申し上げました状況から、こなす能力が結局落ちてまいるというふうな点に問題がございまして、そういう場合に、先ほど先生指摘のような混乱が生ずるというようなことが実情になっております。  そこで、今後の問題といたしましては、これが九月に入りますと、南風がだいぶ少なくなってまいります。それから、運航ダイヤもある程度いままでと比べて少し少なくなってまいります。そういうことで、やや円滑に進むのではないかというふうに期待しているわけでございます。かといって、この八月中もまだ日にちがございますので、その間じんぜんと手をつかねていいというものではございませんので、さらに着陸回数等についてはもう少し検討を加えまして、要するに、不定期便というものはなるべくこの中で——各時間帯によって違うのですけれども、その時間帯でうまくおさまるものはいいけれども、おさまらないものは、できるだけ圧縮していくという方法をとっていきたいというふうに考えております。
  102. 井野正揮

    ○井野委員 基本的な方針を伺って少し安心をしたのですが、どうしても需要が多くなりますと、この程度なら、この程度ならということで、限界を越えて大事故に至るというようなことがあってはと心配をしたわけです。方針がわかりましたので、その点は安心をいたしましたが、ぜひそういうことで、現況はこう行なっておるというような資料の提出をお願いしたいと思います。  その次に、すべてマスコミにあることが真実だなどとは思っておりませんけれども、最近近距離の国際航路で、特に東南アジア関係について、全日空の外国資本との合弁による航路認可が取りざたをされておるわけです。すでにこういうようなことも意図しながら、例の週刊誌をにぎわした鈴木明良さんによる資金合戦等の問題もありましたが、それがおさまったころに、また別な話題が盛んに振りまかれているようであります。これは航空当局にしてみればずいぶん迷惑な話ではなかろうかと思いますけれども、何といっても航空会社の社長や副社長に航空局長さんをやられると行かれる関係もあり、どうも勘ぐられるということはまことにお気の毒なことだと思っておる次第ですが、私どもいまの羽田の事情やら成田空港の工事の進捗の度合い等考えてみて、いまの事情であれば、飛行場に割り込める余地はないのではなかろうかという気がしますが、許可になった、すぐできるというものでもないし、できなければ許可をしないということで、いたちごっこになるのかもしれませんけれども、かなり具体的な話が進んでおるようでありますが、調べてみたところ、まだ申請は出ていないように聞いております。申請は出ていないけれども、やるとしたらということで御相談はあるようでございますが、この東南アジア国際航路のいま予定されておる、あるいは企画をしておられる——これは航空当局でないですよ。御相談を受けておられる航路はどの辺で、全日空が考えておるのはどことどこになるのか、御相談を受げておられると思いますので、この際、ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  103. 福井勇

    福井委員長 航空局長にちょっと申し上げますが、昼めし抜きで皆さん勉強しておられますので、丁重にして、しかも簡単に答弁願います。
  104. 内村信行

    内村説明員 ただいまの全日空の話でございますが、全日空が近距離国際線をやりたがっておるという事実はあります。しかし、合弁によってやりたいということは私は聞いておりません。  それから、これをやらせるかやらせないかという問題でございますが、これは現在運輸省の中に運輸政策審議会という諮問機関がございまして、そこにおきまして航空政策の基本方針について諮問しておりますので、その答申を得まして、その答申によってしかるべく処理してまいりたい、そういうふうに考えております。
  105. 井野正揮

    ○井野委員 常識的に知りたいのは、もし御承知であればどこからどこ——こちらは羽田であることはわかっておりますが、たとえばバンコクとかサイゴンとかシンガポールとか、そういうような点については御承知ございませんか。
  106. 内村信行

    内村説明員 その点は私、存じません。
  107. 井野正揮

    ○井野委員 もう一つ、これは航路のことではございませんが、合弁という話も知らないというお話でございますけれども、現在の全日空の企業経営状態からいって、赤字もあり、いろいろ問題もある。事故も最多記録を持っておるわけでありますから、したがって、全日空はいろいろ問題があると思うわけであります。また、この政策審議会のメンバーの中には、国会の議席も持っておられたり、あるいは航空会社にも関係があるような方々もおられる。これは一々申し上げませんけれども、そういうことがとかくのうわさを流すということになるのだろうと思いますが、かりにある国の開発銀行だとか市中銀行などからの融資を全日空が得てやるような場合には、国際的な条約取りきめの中から日本政府が保証するとか、あるいはある程度の日本の資本を投資しなければならぬとかいうようなことは常識的に起こると思うのですが、そういう計画立案にあたっては、これは当然航空局長に相談をし、御指導をいただかないと容易に計画立案できるものでもありませんし、そう少額の金でもないのですから、ポケットマネーでやれるというものでもありませんので、こういうような点についても局長は全然御存じないのですか。全くのうわさですか。
  108. 内村信行

    内村説明員 私はそれは全然聞いておりません。全日空あたりが融資を仰ぎますときには、大体開銀等に融資を仰いでおります。
  109. 井野正揮

    ○井野委員 御存じないのじゃ聞いてもしようがありませんので、これで質問を終わりますが、これはどなたがやるにしても、あなたのところへ相談に行く以外にないと思うのです。まさか鉄道局長さんのところに行ったって話になりませんから、許可の見通しなりあるいは計画を立てるときには、許可条件の必要なものというものは一般的に示されるわけですね。寄港のほうは具体的にどこならどこということを書いてまいるわけでありますからね。ただいまのとおり何の御相談もないと、これはそのとおりに受け取っておきたいと思います。
  110. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  111. 田代文久

    ○田代委員 まず、防衛庁にお尋ねしたいのです。  戦時中の落とし子といわれておる機雷ですね。これが戦争が終わって四分の一世紀もたっておるのに、依然として機雷による災害が発生して、あとを絶たずにおるというような事情でありますが、大体第二次大戦中に米軍がわが国の海峡とかあるいは港湾、そういう付近に投下した機雷あるいは爆発性の危険物ですね、どれくらいあるのか。また、すでにそれの廃棄処分というものがされておるこの実態、なお、それが取り除かれておらずに海中にあるというような数量がどのくらいあるかということをまず御説明願いたいと思うのです。
  112. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 ただいまのお尋ねでございますが、第二次大戦中に米軍がわが国周辺に各種の機雷を投下いたしておりますが、戦後、米海軍のほうから日本政府がその情報を得まして、運輸省及び防衛庁というふうにその情報が引き継がれまして、ある程度の状況はわかっておりますが、戦時中の機雷敷設の数量は、全部合わせまして約一万一千八十個としるされております。そのうち、いままで処分しましたのが五千九百九十四個という状況になっております。米軍のほうから引き継ぎました情報では、わが国周辺の危険海域は、面積にしまして約三万四千平方キロございますが、そのうち、掃海しましたのは三万一千九百平方キロばかり、したがいまして、パーセンテージにいたしますと、約九三%は掃海を完了いたしております。残りました約七%が未掃海である。処分した機雷の数は、先ほど申しましたように五千九百九十四、約六千個ばかりという状況になっております。
  113. 田代文久

    ○田代委員 掃海の面積など九三%もやられているとかいうことで、相当の努力と成果があがっているような御報告でありますけれども、実際におきましては、先ほど申しましたように、たとえばことしの五月九日にも、関門地帯においてこれが爆発して、四人もの重傷者を出しているということになっております。こういう事態というのは、現在の港湾を整備しあるいは拡張する、それから新全総によって新しい計画を進めていくのに、非常に大きな障害になっておることは明らかなんです。ですから、この問題については、これは徹底的に、そういうものが完全になくなって、港湾の整備なりあるいは運航、漁業、そういうものについて安心ができるのだという事態を積極的に意識的にやり抜かなければ、港湾の整備やら建設やら漁業とか、あるいは地方自治体なども安心して仕事がやれないと思うのです。  いま一応九三%掃海はやっているとおっしゃるけれども、実際においては、いま申しますように、陳情書が来ておりますけれども、関門海峡周辺における残留機雷の探査、除去という問題についても、三十二年来四回もこれが続発している。そしていまなお不安が残っておるという事態。そうなってきますと、これは大体いつ、ほんとうに実際に安心な状態になるのかどうかという問題で、意欲的に積極的に国家の責任においてこれがなされておるかどうかということが、非常に問題になるわけです。そういう点で、これを直接担当しておられる防衛庁としては、そういう計画を具体的にどのように進めておられるかどうか、その責任を明らかにしていただきたいと思います。
  114. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 全般の状況は、先ほど申し上げましたように、危険海域の約九三%を掃海いたしておりまして、残っておるのは約七%でございますけれども、実は航海の安全、船の航行の安全というほうから見ますと、これはもう一〇〇%と申し上げてもいいのでございます。といいますのは、非常に深い海とかあるいは船も通らない非常に浅い海というものは除きまして、普通船が航行しますようなところをまず優先的にずっと掃海していきます。そして、これは安全であると見きわめまして告示もしまして、どうぞお通りくださいということをやってまいりまして、普通船が航行します場所につきましては、全部掃海を済んで安全にいたしております。残りました七%、これも逐次やっておりますが、これは非常に深くて、船が通ってももう機雷が作動しないというところに若干残っている。あるいは非常に浅いところで、海底からずっと深く埋まりまして、普通船が通ったのでは別に感応しない、航行については別に危険はないというのが残っております。それが約七%ということでございます。したがって、航行安全のほうは別に支障はないと思います。しかし、残っていることは確かでございます。  したがいまして、先生おっしゃるように、あるしゅんせつ工事をやりますと、浅い海でもつつきますと、機雷としての感応の能力はもうございませんけれども、爆発物としての能力は二十何年たちましてもまだ残っておりまして、しゅんせつのときにずっと深くえぐりまして、ドリルが当たるということになりますと、爆発することがあり得るわけであります。防衛庁といたしましては、先ほど申し上げましたように、まず航行の安全ということを第一に考えていく。残っております浅い海につきましては、もちろんそういう工事をおやりになる場合はまず知らせていただいて、そしてそれをできるだけ掃海いたします。防衛庁の海上自衛隊で持っております能力から見ますと、海底に頭を出しているというのを磁気なり音波なりでさがしまして、そこにあるということがわかりますと処分をいたします。しかし、海底深くもぐっておりますと、これは普通船が通った場合には感応いたしませんので、航行上不安はございませんので、そういうものを見つけるだけの装備は持っておりません。また、普通防衛上そういうものは必要でないものですから、そういうものは持っておりません。しかし、掃海はいたします。掃海をいたしまして、そこには機雷が頭を出していることはないということをまず見きわめて、どうぞ工事をおやりくださいという手続をとっております。しかし、何メートルか下をずっとしゅんせつしますと、場合によっては爆発物的なものが残っている場合がありますので、そういうのを見つけますと、海上自衛隊に御連絡があれば、水中処分隊その他の掃海部隊でその危険物を除去するという能力は持っておりますので、御要請に応じてできるだけ協力してそれを処分するということも当然やっております。つまり、浅いところでも、工事その他をおやりになる場合には、海上自衛隊に御連絡願って、まず掃海をするということ、それから機雷が見つかれば、そこで処分をするというお手伝いをする、こういうことを現在やっておるわけでございます。
  115. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、これは全体としては国家責任であることは明らかですね。しかし、直接の問題としては残っている七%の問題。航行上においては安全だ、これは私は非常にけっこうだと思います。しかし、実際においていま起こっているのは、そういう海底にあって、それがいろいろ建設拡張工事なんかをやっているときに爆発したという事故の連続ですね。こういう問題についての政府の窓口としての責任は、これは防衛庁ではなくて、七%の処置についてはどこになりますか。
  116. 宍戸基男

    ○宍戸説明員 防衛庁といたしましては、海上自衛隊という危険物処理のいわば実力部隊を持っております。その実力部隊の能力の及ぶ限りできるだけのお手伝いをするという立場でございます。一般的に海上全体の警察権といいますか、安全確保といいますか、海上自衛隊としてはそういう行政官庁ではございませんので、実力の及ぶ限りお手伝いをするという立場でございます。全般のことにつきましては、運輸省のほうからお答え願うのが適当かと思います。
  117. 田代文久

    ○田代委員 では次に、これは運輸省にお尋ねします。  防衛庁のお答えで、防衛庁が努力されている範囲なりというものは大体わかったわけですが、防衛庁にこういうものがなお海底にあるということを連絡した場合に、防衛庁がやられるわけですね。そうすると、連絡するところ、これは結局運輸省が直接やられることになると思うのですが、九州の関門に起こったようなこういう事故、そして現在開発事業が新しい国家建設の中でどんどん進められている中で、この危険性は多分にあるわけですね。七%と言われますけれども、実数としてはまだ四、五千発は残っているという事実なんですね。ですから、たとえば関門の海峡でことしの五月九日に起こったような事件を未然に防止するために、また実際にああいう事故が起こったわけですけれども、これは事前に——そういうことを起こしてはならないということは当然ですが、どういう処置を事前にとっておられるか、また、関門の事故発生前にはそういう処置をとられたにもかかわらず、ああいう事故が起こったのかという点を御答弁願いたいと思います。
  118. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 ただいま関門の御質問がございましたのですが、一般的に港湾工事を行なう場合に、そういう危険物のあるおそれのある場所につきましては、事前に、現在開発されておる技術で可能な限りの調査をまずしようということにいたしまして、実はこれは昭和四十一年に、私のほうから、直轄工事の現場及び各港湾管理者に対しまして、事前に磁気探査をやれ、磁気探査をやって疑わしいところがあれば、これは潜水探査と申しておりますが、そういう個所へもぐりましてしんちゅうの棒でつつくわけでございますが、そういうふうに極力手を尽くして確認してくれ、もしそこで見つかった場合には、自衛隊にお願いして処理していただくというふうに指示してございまして、それをいままでも過去ずっと現地でやってきたわけでございます。  ただ、先ほど御指摘ございましたように、非常に残念でございますが、五月にたまたまああいう事故が起こりまして、こういう調査は管理組合が実施したと思うのでございますが、しかし、調査をやってもなおかつ事故が起こったという点につきましては、私どもも非常に遺憾でございまして、事故が起こりましてずいぶん日時が経過しておりますが、ほうっておいたのではなくて、ほんとうに具体的に、いままでやってきた調査のどこに欠陥があったのかということも率直に反省して調べております。とにかく、できるだけの事前調査をやるということで進めております。
  119. 田代文久

    ○田代委員 いまおっしゃった磁気探査あるいは潜水探査、これをやられておる。しかし、これだけでは非常に不十分であるがためにこういうことが起きておるわけですね。ですから、この点については、一応そういうことをやっておるからということでは済まされない問題でありまして、その点でどういうふうにより積極的にやっておられるかどうか、また、やる計画を持っておられるかどうかということと、こういう工事をやるとかいう場合においては、海上保安庁は安全基準というものがあるはずですね。安全基準を出しておられると思うのですが、その内容は大体どういう内容になっておりますか。
  120. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 まず、最初の御質問でございますが、現在の段階では、先ほど申し上げました調査方法開発されまして進めておるわけでございますが、これで決して十分だとは思っておりませんで、さらに極力完全な調査方法を今後とも大いに研究したいというふうに考えております。  それからなお、後段のことにつきましては、私のほうではございませんで、海上保安庁の関係でございますので、関門港長がどういう安全基準を流しておるかということはつまびらかに存じませんが、私が存じている範囲内で申し上げますと、詳細な中身は別といたしまして、関門地区の私どもの出先の第四港湾建設局というのがございます。そこと下関及び北九州港の管理者、それから海上保安庁、港長、それから自衛隊関係者が相談いたしまして、正式には名前がついておるかどうか知りませんが、関係者寄って、いろいろな手続を協議し、いろいろな対策を講じながら進めておるというふうに聞き及んでおります。
  121. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、その安全基準は、あなたのほうで現地と連絡をとっていただけばわかりますね。
  122. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 はい。
  123. 田代文久

    ○田代委員 じゃ、いま具体的にわからなければこれはひとつはっきりとっていただいて、そしてその点で不十分な点があれば、より完全にしていただくという措置を指導していただきたいと思います。  最後にお尋ねしたいのですが、たとえばことしの五月九日あるいはその以前に起きたような災害についての被災者、港湾労働者、建設労働者に対する補償の問題です。これが非常に不十分で、陳情もたくさん来ておりますし、単にこれは労働者だけでなくて、現地の地方自治体なり管理組合などからもそういうあれが来ておるわけなんですが、危険手当なんか公務員としては大体四十円ぐらいというようなことですが、四十円の危険手当ではとても安心して仕事につくというようなことはできませんし、当然増額すべきであるというように思いますし、それからまた、そういう手当の支給さえないというようなところもあるようですね。ですから、こういう点を十分増額するように、去るいは予算を組む場合に、四十円とか無支給というようなことは許されませんから、努力していただくということ。それから傷害保険、いわゆる戦争保険の給付額というのが現在最高百万円、これは非常に安いので、これでは重傷を負ったとかあるいは不幸にして命を奪われたという場合に、とてもこんなことでは現在の実情にも合いませんので、私どもは自賠法できめております以上の、少なくともそこぐらいまではいかなければ合わないし、そういう点も十分やっていただきたい。  それから、特に私たちが非常に気の毒に思うのは下請労働者です。下請労働者の場合には、いま言ったようなそういう保険あるいは補償さえもない。ただ、労災保険かなんかで全部処置されるというような状態でありますし、こういう点についてどういうふうに考えておられるのか。  それからまた見舞い金、こういう場合においては、炭鉱などの災害におきましても、労災保険やそれだけでなくて、当然企業の責任において見舞い金などが出されて、数百万円出ているということがあるのですけれども、こういう下請で働いておる労働者の場合なんかは、そういうこともないという実情であるようですから、こういう点も、見舞い金制度なんかも私はつくるべきだと思うのですが、そういう点についての見解を伺いたいと思います。
  124. 栗栖義明

    ○栗栖説明員 いろいろと先生から御注文がございまして、御指摘がございましたが、一々ごもっともでございます。私のほうもできるだけ進めてございます。  具体的に申しますと、危険手当と申しますのは、私のほうの職員でございます国家公務員の場合に四十円、これは毎年人事院に増額の要求をしてございます。なかなか認めてもらえないというのが実態でございますが、ぜひ来年度以降は増額したいということで、いままで以上に力を入れて増額の努力をいたしたいと思いますし、それからまた海上船舶も、引き船が現在はずされてございますので、そういう範囲の拡大という点もあわせていま盛んに折衝している段階でございます。  それから、あとの保険の問題でございますが、これは国家公務員なり地方公務員ですと公務災害補償制度がございますが、企業の場合ですと労災保険とかあるいは傷害保険、いろいろな保険があると思いますが、そういう場合も、私どものほうで、いわゆる請負金額の積算の根拠でございますが、先生からただいま御指摘のございましたように、できるだけ増額して補助金を出すという方向検討していきたいと存じております。  それから、見舞い金制度のお話がございましたが、実態を調べましたら、企業のほうで、十分とは申せませんが、できるだけの努力をやっておるようでございます。それから、直接雇用者でない方の場合の御指摘がございましたが、これは企業が責任をもって負担してございますけれども、制度としては、ちょっと私どもいますぐルール云々としては疑問がございますけれども、実際に不幸にもそういう事態が起こった場合には、前向きに、ほんとうに被害を受けた方々に十分なお見舞いを差しあげるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  125. 田代文久

    ○田代委員 大体わかりましたが、こういう予算の問題なんか、被災者にとってはこれは全くひどいですから、十分その立場に立って、予算の増額なり善処していただきたいということをお願いして、質問を終わります。
  126. 福井勇

    福井委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会