○内藤
委員 自動車局長、冒頭にひとつ苦言を呈したいと思うのですが、あなたは最近就任されて、いろいろ新しい構想を持っていると思いますけれ
ども、これは新聞記事ですけれ
ども、八月一日の毎日新聞に、
陸運局の
課長の奥さんが
タクシーの
経営をしておった、これは御存じでしょう。もう部内では自粛自戒、いろいろ
措置をしておるようでありますが、しかし、われわれ
国民の側から見ますと、許認可のあれを持っておる
自動車行政で、
課長さんの夫人が
タクシーの
経営をしておる。しかもほかから問題が出るまで、本人、だんなさんは一言もこのことに対してはもちろん言わないでしょうし、あるいは何かの意思表示もなかったし、部内においてこれに対して、われわれから
考えるところの善良な公務員のようなことがなかったわけですね。だから、これは法律的には合法なんでしょうけれ
ども、どうも許認可のいろいろ厳重な関門のある
局長の管轄の仕事が、東京
陸運局の
課長の夫人がやっておる、こういうことになりますと、何となくやはり部内で適当にやっておる、誇張して言いますと、利権を追求しておるんじゃないかと、こういうぐあいに印象を与えておるんじゃないかと思いますが、こういう意味で、どうも
陸運行政というものは、
住民といいますか、一般の
国民の
皆さんから見ると、少しく時代錯誤のような、極端なことばで恐縮だけれ
ども、ずれておるような感じが所々方々に散見されるわけです。これはやはり新しい
局長のもとに、もう時代が変わっているんですから、一種の利権のようなかっこうで許認可の指導に当たるんじゃなくして、
住民の足を守るんだ、過密、過疎の、しかも近代的に膨大になりました都市なりあるいは農村の現状をどうしてサービスするか、
国民、
住民の足を守る、近代的にますますそれを向上せしめるサービス
事業といいますか、そういう仕事の本来の使命的なものを徹底して持たなければ、利権を握っておって、何か利権をみんなに開放してやるんだ
——特権階級のような
状態であっては、私は、ますます時代からおくれてしまうんじゃないか、こういう感じを持っております。あなたは、もうすでにこれは新聞でおわかりと思います。部内でも
措置はしておるようですけれ
ども、合法的だけれ
ども、しかし
一つ苦言として、こういうことのないようにやっていただきたい、こう思います。これは
答弁は要りません。
それからまた、
住民の
皆さんと非常にギャップがある。いま
住民の
皆さんの足が非常に問題だ、これは過疎、過密を通じまして大きな問題になっております。これは単なる私
企業、会社にまかしておくだけではできない。どうしてもやはり
運輸行政の中で、
運輸省という場の中で強力な
行政指導をしなくちゃならぬじゃないだろうか、
国民の要望にこたえなくちゃならぬじゃないだろうか、こういうぐあいに思います。われわれ運輸
委員としましても、今度の
国会の冒頭でも、大臣に、いろいろ混乱をしておる今日のこの交通
状態を総合的に、
運輸省自体で、大臣が先頭になってこれを
改善しなくちゃならぬじゃないか、分野を明らかにするなり、あるいは交通体系を総合的に調整するなりしなくちゃならぬじゃないか
——大臣も、新任大臣として大いにやりたい、省内にそういう機関を設けて、全般的な交通問題を真剣に取り組んでいきたい、これはおくれておるから、今度は逆に何十年先を見てやりたい、ここまで言っておるわけであります。そういう中でここまで参りまして、七〇年も半年過ぎましたが、どうもいろいろ
住民の
皆さんとの間にギャップが所々方々に出ておる、それを
行政的に適切に処置してない、こういう感じが強いわけであります。特に大都会、東京の場合におきましては、都心部と居住地が非常に遠隔になってまいりました。その間に交通機関の持っている使命というものは重大であります。ところが、それが各社各社に分かれておる。そこで、その関連というものがなかなかうまくいかない。だれがやるか。これは結局、
運輸省なり
陸運局なりが、
運輸行政という面で大きな見地からやらなければならぬでありましょう。そういう面になりますと、どうも現状にそぐわない。特に最近居住問題、住宅問題が大きな問題で、われわれが見ると不満はありますけれ
ども、政府
当局もあちこちに
団地をつくっておる。ある
地点に巨大な
団地ができる。数千、数万の方が住むようになる。ところが、そういう
状態をわかっておりながら、どうもその
住民の足の問題はなかなかうまくいかない、そういうところがあちこちあるようであります。ですから、全国の
団地の
皆さんが一種の組織をつくりまして
——交通問題だけじゃありません。いろいろ付帯した問題があるでしょう。それに対して全国的な組織をもって要望をどんどん出して、それを解決しようとがんばっております。事ほどさようにやはり問題があると思うわけであります。
私がきょう申し上げたいのは、やはりいま申し上げましたように、どうも
運輸行政は、許認可という特権的なそういう仕事の上にあぐらをかいた旧態依然たる
状態があるのじゃないか。だから、率先して都民、
住民の足を解決する積極的なそういう体制がないのじゃないか。その具体的なことは、
一つの例として申し上げたいのは、都内の町田市の鶴川という
団地があるわけです。その
団地の
住民の
皆さんの夜おそくお帰りになる方々の関連する交通機関の問題で、長い問いろいろとトラブルになっておる。これは新聞記事等でおわかのでしょうから、私も時間もありませんから省略します。
ところが、大体都心部で働いている
皆さんは、今日のこの
状態から見ますと、いろいろ忙しい。お仕事もある、終わってからのいろいろな文化的な活動もある、あるいは娯楽もある。それで十時ごろ都心部を離れてお帰りになる。郊外の電車の駅までは十一時ごろまでに帰れる。ところが、その先がなかなかうまくいかない。特に新しくでまた
団地の場合はほとんど断絶だ。それで、いろいろ自衛的に
タクシーを
乗り合いのようにしたり、あるいは
自家用車を活用したり、いろいろやっておるわけであります。ところが、交通機関がないかといいますと、これは許認可されました公益
事業の
バス会社がある。電車の駅は十一時、十二時までも電車が発着する。
バス会社もあるんだけれ
ども、それに連絡して運行時間がないわけだ。これを会社にまかしておくのじゃなくして、やはり
運輸行政という面で
住民の
皆さんの足を守っていく。近代的な今日の都会といいますか、こういう中で
住民の
皆さんがますます文化的に生活ができるように
——しかも現実問題として、職場と居住地が遠距離になっておる。こういう現象を
考えますと、私は、やはり一会社の採算だけにあるいは会社の都合にまかせないで、
住民の
皆さんの声というものをいち早くとらえて、すかさずその手を打っていく、そういうスムーズな流れを何とかして
運輸行政の中でやっていただきたいわけなんです。ところが、現実の問題はどうもそれがうまくいっていないわけです。例を申し上げて恐縮だが、東京の
陸運局の場合は
局長が権限を握っておる。会社に対してもいろいろ発言権はあるでしょうけれ
ども、会社の立場もあるということで、どうも
住民の
皆さんの声が軽んぜられる。なかったら
タクシーか何かで帰ったらいいじゃないか、間に合わなかったらしようがない、こういうぐあいになっているのじゃないかと思うわけであります。それじゃどうも今日の時代に合わない。やはり東京
陸運局長であり、あるいはその配下の
皆さんのお
考えではないか。そういうものをぶち破って、やはり
住民の
皆さんの利便のために許認可の仕事があるのだ、単なる利権のための許認可じゃないのだ、真の目的は
住民の
皆さんの利便のために、足のためにあるのだから、その目的に対してやはり会社にも極力努力させる、こういう強力な
行政指導的なものがなければ、大臣も張り切っているけれ
ども、総合的な交通体系もなかなか進まない中にこういう問題が起きてくる。あなたたちの
行政的なお
考えで私はやれると思うわけなんです。
そこで、鶴川
団地の問題は、これは率直に言いますと、私たちこの
内容を見ると、同一の
路線で、今度時間帯で、十時までは普通の認可を受けました運賃だけれ
ども、十一時以降になると特別の運賃でやろう、二十円のところが六十円だ、定期券はだめだ、こういうことは、同一の
路線が時間帯で運賃が変わるということは、どうも私は納得がいかないわけであります。こういうことになりますと、今度は同じ
路線で、朝の八時から九時までは幾らだ、十二時から三時までは幾らだ、こんなようなやり方では、私は、今日の
運輸行政、いわゆる許認可事項の運賃料金の許認可をする場合のいままでのわが国の方針というものを分断するといいますか、混乱するようなことがあるのじゃないかと私は思う。運賃の値上げを必要とするならば、やはり正規に全
路線にわたってあるいは同
地域にわたりまして運賃改定の申請をすべき法的の
措置があります。これを堂々とやってしかるべきでしょう。ところが、同一
路線をこま切れに時間帯に区切ってやるということは、どうも私は納得がいかない。
住民の
皆さんもこれはふんまんでございましょう。だから鶴川
団地の問題では、
住民の
皆さんは自衛的に、十一時から
自家用車の
皆さんに御協力願って、そして足を確保しようとしている。こうなるともう政治がないですね。こういう
状態は私は全く残念に思います。
運輸行政というものが大臣をトップにしましてあるわけであります。こういう
状態を何カ月も投げておかないで、すかさず
住民の
皆さんの御意思を取り上げて、会社を督励して、しかも労働者、労働組合の御意見もあると思うけれ
ども、これも私はお話し合いするとできると思います、彼らも
住民なんですもの。だから、会社の
皆さんが労働組合がオーケー言わない云々と言うけれ
ども、私の感じでは、
住民と労働組合の
皆さんが話し合いましたならば、これはわかります、お互いに
住民として苦しんでいるのですから。残る問題は、会社と労働組合、労働者の間の待遇
改善でありましょう。これは労使の問題として積極的にやっていただく。その場合に、労働組合が正しい場合は、
住民の
皆さんが逆に応援するでありましょう。そこに私は社会正義というものが確立されると思うわけであります。だから会社のほうで、
住民の
皆さんが云々ということで深夜の
——十一時といってもいまの時代じゃ深夜というぐあいにも
考えられません。ぼくらの場合ももうたいがい十二時ころまで起きております。そういう時代になってまいりましたので、そこら辺も
考えますと、鶴川問題はどうも私は感情的なものがあるのじゃないかと思う。
局長さん、感情的なものがある。
これは新聞にその会社のあれがあるのです。ちょっと例で申し上げます。感情的にこういうことをやられちゃ困っちゃう。これは八月八日の読売新聞であります。神奈川県の中央交通の運輸部長さんが言っておりますのは、「いまは感情的になっているので静観している。」こういう公益
事業の
経営者というものはけしからぬと思うわけです。感情的に
住民の足を、
バスの
事業を左右するなんということは、これは
経営者としても失格じゃないでしょうかね。こういう
経営者を投げておかないで、当然これは
局長さんの
行政的な指導をやるべきじゃないか。これは八日ですからもう三日前でありますが、私
企業でございますからいろいろな
経営者もおりますけれ
ども、余談になりますが、いま過密、過疎の中で、
バスの
関係ではいろいろ問題があなたも御存じのとおり出ています。その中で、往々にして
経営者側の感情的な問題が発展をしまして、
住民の
皆さんが思わざる苦しみをしている事例がたくさんございます。あなたも御存じのとおり、岡山県でも長崎県でも。こういう感情的な
経営に左右されて、
住民が迷惑をしているというのは本末転倒です。そういうものを押えるのがこれからの
運輸行政でしょう。そろばんが合わないとか
従業員が言うことを聞かないとかというだけで、
陸運局なりあなたのほうで静観されるということでは、これからの大切な、しかも重要な交通問題がますますおくれてしまう。迷惑するのは
国民だけであります。
きょうは、質疑応答じゃなくて、言いたいことだけ言いまして、あんまり時間もないと思いますから進めまするが、結論的に、どうですか、
局長さん、これは
乗り出してひとつ解決してもらわなくちゃならぬと思います。同じようなケースで、十一時以降、
団地とジョイントになっております電車の駅からの
バス運行をやっているところが都内でもたくさんあるわけなんです、いままでの運賃で。それを三倍にしたとか定期はだめということはないですよ。そういうぐあいになりますと、いままでのあなたのほうの
行政でも、運賃
関係の問題も混乱を生ずるだけじゃないか。何とかこれは
——いまのところあなたもとうするという断言はできないでしょうけれ
ども、現状の鶴川の
状態をひとつ善処するといいますか、急速に解決するようなことをぜひやってもらいたいわけであります。さっき大臣にその
団地の自治会の
皆さんがお会いして、大臣も善処を約されたようであります。こういう現象をぜひなくするように積極的な
行政といいますか、そういうことをどしどしやっていただきたい、こういうことを申し上げたいのであります。あなたから積極的なしかも建設的な御
答弁、簡単でいいですから。