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1970-07-10 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十三日(水曜日)  委員長の指名で、次の通り小委員及び小委員長  を選任した。  海運に関する小委員         加藤 六月君  河野 洋平君         菅波  茂君  砂田 重民君         古屋  亨君  村山 達雄君         斉藤 正男君  内藤 良平君         宮井 泰良君  和田 春生君  海運に関する小委員長 加藤 六月君 ————————————————————— 昭和四十五年七月十日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       河野 洋平君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       關谷 勝利君    谷垣 專一君       中村庸一郎君    西村 英一君       古屋  亨君    増田甲子七君       井野 正揮君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    楯 兼次郎君       田中 昭二君    宮井 泰良君       渡辺 武三君    田代 文久君  委員外出席者         法務省民事局参         事官      貞家 克巳君         大蔵省銀行局保         険部長     渡部  信君         厚生省医務局総         務課長     信沢  清君         運輸省鉄道監督         局長      山口 真弘君         運輸省自動車局         長       野村 一彦君         運輸省航空局長 内村 信行君         運輸省航空局技         術部乗員課長  小池 正一君         建設省都市局長 吉兼 三郎君         日本国有鉄道常         務理事     小林 正知君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   大橋 武夫君     谷垣 專一君 同月十五日  辞任         補欠選任   木村 武雄君     西村 英一君 六月十日  辞任         補欠選任   井野 正揮君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     井野 正揮君     ————————————— 五月十三日  一、陸運に関する件  二、海運に関する件  三、航空に関する件  四、日本国有鉄道経営に関する件  五、港湾に関する件  六、海上保安に関する件  七、観光に関する件  八、気象に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  陸運航空及び日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  3. 加藤六月

    加藤(六)委員 簡にして要を得た質問ではないかもわかりませんが、答弁だけはひとつ簡単に結論だけお願いいたしたいと思います。  先般、仲裁裁定におきまして、閣議もこれを完全実施するということを決定されたようでございます。働く人の立場に立って考えますと、まことにけっこうなことでございます。ただ、私たちは、その財源の捻出についてかねがね当委員会におきましてもずいぶん議論いたしておったわけでございますが、まず、これを完全実施するとして、要する金額は幾らであるかということを承ってみたい、こう思います。
  4. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  先般公労委の仲裁裁定が出まして、これにつきまして、政府といたしましてはいろいろと検討いたしました結果、これを受諾をすることにいたしました。ただ、これに要しまする所要財源は非常に膨大でございまして、おおむね七百一億円程度の原資を必要とするということでございます。
  5. 加藤六月

    加藤(六)委員 その七百一億円の金額はどういうようにして捻出する手続をおとりになりましたか。
  6. 山口真弘

    山口説明員 現在四十五年度予算実施中でございますから、それに対しまして具体的にどうするかということは、まだ今後の推移を見なければならぬわけでございますが、増収努力というものと、それから経営費節約、それから予備費がございますが、予備費からもかなり程度のものを回すというような方向でこれを処理してまいるということになろうかと思います。
  7. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長経営費節約ということをおっしゃいましたが、経営費節約という内容について、もう少し詳しく述べてもらいたいと思います。
  8. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  これは一つには、人件費自体につきましても大いに節約してまいらなければなりませんし、その他、物件費節約というような点もあるかと思います。さらに工事勘定におきますところの工事経費というものにつきましては、できるだけ工事経費には食い込まないように努力をしなければならぬと思いますが、しかしながら、今後の収支の状況によりましては、若干は工事費の中に食い込まなければならぬかとも思います。そういったような各方面の増収節約努力をしてまいりたいと思います。
  9. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、いま工事経費は若干というお話をされましたですが、私は前特別国会におきまして御質問申し上げ、またあとそれに関連して野党の先生方も御質問されたわけでございますが、昭和四十三年度においては百十七億でございますか、昭和四十四年度においては二百数十億工事経費に食い込んでおった。いま局長の御説明では、本年度仲裁裁定完全実施する場合には、工事費に若干ということばをお使いになりましたが、若干ということばは、われわれの常識からいいますと、まあ国鉄予算からいうと、五億や十億なら若干というてもいいかもわからぬと思うのです。完全実施をする場合に七百一億の金がかかる。そのうちの四百億や四百五十億の金を工事経費の中から使うということを、若干という表現をしていいか悪いか。一番最初答弁に、まだ流動的であってはっきりしてない、こういうことばがございました。はっきりしない、流動的であるとおっしゃるなら申し上げませんが、一体どの程度のおおよその金額工事費の中から捻出されるのでございましょうか。それを、流動的であるならひとつ流動的のようにでもおよその金額を、若干ということばには私ちょっと異議があるので、ちょっと承っておきたいと思います。
  10. 山口真弘

    山口説明員 これは先ほど申しましたように、今後の推移を見てみなければ確定できないわけでございますが、一応私ども経営費節約あるいは予備費等の使用というようなものによりまして二百六、七十億、そういたしますと、工事費の分におきましてやはり四百億ぐらいのものは今後節約の必要が出てくるかもしれない。これにつきましては、今後の推移でございますのでまだわかりませんが、ごく大ざっぱにその程度のことを考えております。
  11. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長さんは、前から部長として十分国鉄問題をおやりいただいておったし、今後も国鉄再建立場でいろいろおやりいただかなければならない方なんで、いま私がこの席であまりきついことを申し上げるのもどうかと思いますけれども、私はかねがねこの委員会におきまして、裁定実施する場合には、現在の国鉄の現状から見て、補正を組むべしという持論を述べておったわけでございますが、公労法十六条に基づくところの補正をやるべし、そうしないと、国鉄再建というのは、こういう状態でやっていく場合には百年河清を待つごとしであるということも申し上げておったはずでございます。いま流動的であるというおことばではっきりしたものが出ませんが、この席で承っておきたいと思いますのは、鉄監局長として、今後補正を組む努力というものをいかようにされるかどうかという決意があるなら、その決意をひとつ披露しておいていただきたい。もうこのままうやむやに流動的のかっこうで何とか内部でやってしまうのだというお考えがあるなら、これはまた時間をいただいて十分やらなくてはいかぬと思いますが、その点について、一言だけでけっこうでございますから決意を表明していただきたいと思います。
  12. 山口真弘

    山口説明員 先ほど申しましたように、政府といたしまして、この仲裁裁定を受諾することを閣議決定をいたしました。その考え方というものは、少なくとも現段階においては補正は組まないでこれを処理するという態度の決定をいたしたわけでございます。ただし、これは先ほどから先生いろいろ御指摘のございますように、相当工事費から大きく充てるおそれがあるということでございまして、したがいまして、その工事費の削減によりまして国鉄の今後の経営あるいは国民経済の振興というようなものに大きな悪影響を与えることになりますれば、これは容易ならぬことでございます。今後の実情、また国の一般的な財政状況あるいは一般会計予算推移というようなものを見まして、補正につきましては考えてまいりたい。また、そういう事態におきましてはできるだけ努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 国鉄常務理事おいでになっておられますが、いま山口鉄監局長がおっしゃいました四百億という数字が出たのです。私らが聞いておりますのは、もう少し多い金額のようにも思うわけでございますけれども、かりにいま鉄監局長がおっしゃいました四百億の金を工事経費から人件費に回した場合に——たちことしの初めから国鉄予算というものを審議いたしました。また予算を獲得するときにもいろいろやったわけでございますが、四百億以上にのぼる膨大な金が人件費に回ったとした場合に、国鉄のいわゆる合理化という問題、あるいは再建方途ということばを使ったほうがいいかもわかりませんが、それに対する支障は相当出てくると思います。どういう支障が出てくるかということをわかりやすく具体的に、そこに資料をお持ちならばひとつ数字を、個所の問題でもよろしいし数字の問題でもよろしいが、並べていただけますか。
  14. 小林正知

    小林説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど運輸省山口局長から御答弁がございましたように、本年度仲裁裁定所要財源処理方につきましては、政府の御方針に従って、国鉄といたしましては、現在のところ、もっぱら予備費の充当なりあるいは経費の節減、増収努力といったようなものでまかなうことで、鋭意努力をするつもりでやっておるわけでございますが、先ほど山口局長からも御答弁ございましたようなことで、四百億ないしそれを若干上回るような、工事経費そのものに対して影響がかりにあるといたしますれば、それは先般国会において御承認いただきました国鉄の四十五年度予算全体で三千九百五十億工事予算がございましたが、このうち、山陽新幹線幹線利子が百二億、それから総係費が三百億くらいございます。四百億は、これは全然節約繰り延べ等の要素のないものでございます。してみますと、工事費といたしまして、三千五百四十億程度が純粋の工事費ということに相なるわけでございます。この中で、すでに先生承知のとおり、山陽新幹線工事あるいは大都市通勤その他各地におきまして、かなり大きな長期にわたる大工事を現在やっております。  この三千五百四十億は内訳として申し上げますと、こまかいことは省略させていただきますと、従来から継続してまいりまして今後にも継続する長期工事、これが約三千億ございます。それから四十五年度新規予算といたしまして着工すべき工事と一応予定しておりましたものが約五百億ございます。大体三千対五百というかっこうになるわけでございます。工事内容は、通勤輸送新幹線、その他電化、いろいろの合理化工事車両工事等ございまして、非常に多くの件数にわたっておりますので、現在私どもといたしましては、幸いにして増収等によってこれを相当大幅にカバーできる場合は別といたしまして、最近の収入傾向等から申し上げますと、そういうこともそう大幅に期待はできないということで、工事の一件一件につきまして工程もいろいろ違っておりますので、その一件一件について実際に実害が出ないようにするにはどうしたらよいかということを現在鋭意検討しております。どういう工事がどういう形になるのかということについては目下検討中でございます。しかしながら、かりに四百億程度のものがまるまる工事経費にかぶるということになりますれば、ただいま申し上げましたような継続新規関係もございますので、新規工事等については相当大幅な影響があるということでございましょうし、また継続等につきましても、かなり工事スローダウンと申しますか、翌年度への繰り越しということにならざるを得ない、かように考えております。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま常務理事から御説明ございましたが、ことしの三千九百五十億の範囲内でやらんとしておった新幹線建設あるいは都市通勤高速鉄道関係、いろいろあると思いますが、これと同じように国民が待ち望んでおりますのは、あるいは在来線電化であり、あるいは在来線複線化であり、あるいはある地区における高架工事である、いろいろな問題があると思います。これが四百億以上の人件費への繰り入れということでおくれた、あるいは延期、繰り延べというようないろいろな方法をお立てになるとすると、何のために、三千九百五十億という工事費をとるために、運輸省の役人さんはもちろんのこと、大蔵省国鉄皆さん方が一生懸命になって三千九百五十億という金額を出してきたかという、非常に大きな疑問を持つわけでございます。  したがって、本日は時間がございませんから、これ以上この問題は追及いたしませんが、私、要求しておきたいことがあります。それは、この仲裁裁定実施するようになった際における、工事経費の中からこれを捻出することを決定した時点において、何々線の何々工事をこういうふうに繰り延べる、何々線の電化工事を延ばす、何々線の複線工事を延期する、こういったはっきりした資料というものを当委員会に提出願いたい。そうしないと、昨年つくりましたところの国鉄再建法に基づく多くの問題と、実際にそれを運営していくところの当局との間に、すれ違いが出てくるのではないか、私こう思いますので、決定しましたら、そのはっきりした工程表というものを当委員会資料として提出していただくように、これは要望しておきます。  それから、先ほど山口鉄監局長並びに小林常務理事から御説明ございましたが、この仲裁裁定完全実施するについて増収をはかるというお話がございました。これは非常にけっこうなことです。増収をはかる面としてはいろいろな方途があると思いますけれども、かねがねわれわれが主張しておりましたいわゆる関連事業でございます。国鉄には多くの関連事業をさせなくてはならないということは、これは財政再建審議会においてもその答申の中に強くうたってあった一つでございますが、この関連事業国鉄にさす、たとえば。パイプライン輸送とか、これは関連事業とはいえないかもわかりませんが、あるいは倉庫業であるとか、あるいはホテルであるとか——先般承りますと、運輸省のほうは日本航空に対してホテルを約四カ所ほど建てることをお認めになったとか、私聞いております。日本航空の場合は別途会社をつくってやる、しかし、これは政府が五〇%の株を持っておる会社でございます。ここに国内二カ所、国外に二カ所のホテル建設を認めるのだということも出ておるようでございますが、別途会社だから文句はない。ところが、同じあるいはそれ以上に関連事業をやらなくてはならないという強い答申がある国鉄関連事業の推進というのはどういうようになっておるか、作業はどの程度進めておるか。いま、仲裁裁定完全実施するについて、常務理事並びに鉄監局長より増収という問題が強く節々に出てきましたので、あわせてこの問題について御質問いたしておきます。
  16. 山口真弘

    山口説明員 関連事業の問題は、問題点二つ実はあると思うのでございます。一つは、国鉄自体の業務の範囲といたしまして、どの程度のものを国鉄が、関連事業としてやることが適当かどうか。それから第二は、国鉄が直接関係ないのだけれども国鉄出資等の形によりましてそういう関連事業に出ていくというようなことについてどのように考えるかということであろうかと思います。  それで、この二つの問題は若干ニュアンスの違いがあると思いますが、基本的にはそう大きな違いがないと思います。  そこで、国鉄のかりに事業範囲でございますが、現在、先生承知のとおり、日本国有鉄道事業範囲を限定いたしておりまして、鉄道事業電車事業あるいは連絡船事業等というようなものを主体として考えております。したがいまして、国鉄が将来兼業的なものあるいは関連事業への投資というようなものにつきましても、原則としては、こういった交通事業というものに直接結びついているもの、あるいは直接関係のあるもの、あるいはそれを一緒にやることが本業である交通業に非常に裨益するものというようなものの範囲関連事業を行なうというのが、やはり適当ではないかと思うのでございます。  それからいま一点は、そういうような範囲に限定すべきものだという一つ考え方は、やはり国有法人である、全額国が出資するところの法人でございますから、そういうやはり限定を置いた姿の関連事業を行なうということがいいんじゃないかと基本的には考えております。  そこで、具体的な問題について、それではどういう範囲にやるのがよいかということになりますと、これは現在私ども国鉄の意見も聞きながらいろいろ検討中でございますが、まず先ほど先生指摘のようなパイプライン事業というようなものは、国鉄とやはり一緒にやるというのが非常に適切ではないだろうか。それによって鉄道貨物輸送の緩和というものもできますし、それから石油等輸送による危険の防止という点からも非常に適当ではないかというように考えております。その他、鉄道の駅その他の施設というものの有効な利用というもののために、駅における施設、たとえば駅ビルその他の駅の施設というものの有効な利用というようなものは大いに適切ではないだろうかというように考えております。あとホテル事業とか倉庫事業、いろいろな事業があると思いますが、それらにつきましては、具体的問題その他を十分考えて適切な措置をしてまいりたい、このように考えております。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 国鉄当局としては、何か原案をこういう関連事業についてはお持ちでございますか、どうですか。
  18. 原岡幸吉

    原岡説明員 国鉄につきましては関連事業を積極的にやらなければいけない、こういう気持ちである程度具体的な計画を持って進めているものもございます。それから成案中のものもございます。  具体的に進めておる新しいものといたしまして、パイプライン事業計画をやっております。これは運輸省の御指導を得まして、通産省とも連絡をとり、業界と基本的な方向について方向を確認し合って、その具体化に目下鋭意努力中でございまして、実施目標といたしまして、四十七年の十月には京浜から北関東に行く、北関東全部まで行きませんけれども埼玉地区といいますか、そのあたりまでは四十七年の十月には実現したい、こういう目標でもってやっております。  それからなお、京浜地区から北海道国鉄のコンテナをバイパス輸送するということによって関連事業とし、国鉄貨物輸送円滑化というような両方の目的をねらいまして、これも関係業界と目下折衝いたしております。これもできるだけ早い機会に実現の運びにいたしたい。これも法律改正その他のこともあまりないようでございますが、運輸省の御指導のもとに具体的な話を進めております。  なお、法律改正の要があるもの、ないもの、いろいろあろうと思いますけれども、あるいは駅の近辺に複合的な機能を果たすビルをこしらえる、レンタカー、あるいは駐車場、あるいはホテル等等のことについても、いろいろ成案中でございます。その他、いままで考えていなかったような、かなり思い切った関連事業を目下いろいろと成案を練っておる最中でありまして、必要によっては法律改正をやっていただく。それから法律改正の必要ないものはどんどんやっていく、こういう気持ちでおります。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 いま原岡常務理事から関連事業国鉄側計画等ありましたが、これは鉄監局長おいででございますから、要望いたしておきますが、想定せられる関連事業、これとこれ、こういうものがいろいろある。法律改正を行なわなくともできる、法律改正しなくてはできない。ひとつ法律改正をせずにできるのだというようなみみっちい考えを持たずに、私は、ある面で言いますと、堂々と営業法改正をやって、今回のような仲裁裁定完全実施するということになりますと、いろいろこそくな手段を講じなくてはならないというのではなくして、国鉄財政ということから私本日質問したわけでございますが、堂々とやっていく。そして一日も早い再建、並びに国鉄職員が将来に対して希望が持てるのだという姿勢を持っていくということ、こういう観点から、関連事業を一日も早くはっきりしたものにしてもらいたい。そしてそれに必要な法律改正をやるのだという姿勢を示していただきたいということを要望いたしまして、時間が来ましたので、私の本日の質問をこれで終わらしていただきます。
  20. 福井勇

  21. 井野正揮

    井野委員 最初に、自動車局長にお尋ねをしたいと思います。  実は前回の六十三国会で自賠法の改正があった次第でありますが、特にその機会に明らかにされたのが、自賠償の請求というものが、ほとんど被害者あるいは被保険者関係なく運用されて、その結果がどうなったということを国民のほうが知らぬままにやられておる。特にそういう中で、医療費の問題については取り得のような現象が生じておる。これはその後ずいぶんマスコミに乗って世間の非難を受けたところでありますが、やや改善の方向に向いているとはいうものの、必ずしも日本医師会あるいはその地方の医療機関団体等の反省に基づいた協力があるとは考えられない面が非常に多いように思うのであります。しかしながら、あの審議を通じてひどく国民の中に関心を呼んだということは大きな成果だったと思いますが、実は運輸大臣に出された函館行政書士会ですか、ここからの質問状が出て、私のところへこういう質問をしたからその返事を求めたいといってきておるのでありますが、これはあくまでも行政の裁量に属するものもございますので、私の見解を述べることは一方的にもなろうかと思いますので、この機会見解をただしておきたいと思います。  質問の要旨は、「損害賠償額明細について」、北海道行政書士会函館支部長の名義をもって御質問があったわけです。内容は、「自動車損害賠償保障法に基づき、損害賠償額の支払に当って、自動車保険料率算定会査定事務所より、被保険者に対して、予定損害賠償額について照会がありますが、この場合、被保険者受任者を含む)より、この額の明細について、自動車保険料率算定会査定事務所に対して、医療費看護料通院費休業補償費慰謝料障害補償費死亡財産損葬祭費、その他等に区分して、明示することを要請した場合、これを明示する義務が、自動車保険料率算定会査定事務所にあるものと、解しますが、貴職の御見解をお伺い致します。」、これが第一段の運輸大臣に対する御質問であります。  「更に、この予定損害賠償額に不満のある場合、被保険者を救済する機関等があれば、御教示頂きたく併せて御願い申上げます。」、こういう質問になっておりますが、これは多くの国民がそういうような問題にぶつかって疑問を持つ点だろうと思います。したがって、この二つ質問に対する御見解を承りたいと思います。
  22. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生から御質問のありました件は、きわめて重要な問題でありまして、私どもも、従来はそういう明細につきまして被保険者の方から御要求があった場合には、あるいは査定の根拠がどうなっておるかというような御要求があった場合には、それに極力応じてお答えするという指導をやっておったつもりでございますが、必ずしもそれが十全にいっていなかったということについては、今後ともその改善をはかりたいと思っております。現実には、御指摘のように、料率算定会の査定事務所におきまして、そういう御要求が被保険者、代理人を含む方からありました場合には、今後とも事情の許す限りお答えするというように、さらに強力に指導をしていきたいと思っております。これが第一点であります。  それから第二点は、その査定額、内容につきまして納得できないということがありましたならば、これは実は算定会の内部の規則でございますが、「損害調査決定額等に関し異議を生じた場合の処理規定」という内部の規程がございます。この規定に基づきまして、その査定の内容に異議がある方は、いわゆる異議の申し立てということをその算定会に対してすることができるようになっております。算定会の中央の本部に対して異議の申し立てをすることができるようになっております。そこで、中央の本部におきましては、出先の算定会からの処分につきまして異議の申し立てが上がってきました場合には、もう一ぺんそれを洗い直しまして、そして新たに調査決定をするということになっておりまして、その際、非常に重要なものとか異例なものにつきましては、算定会の中央本部から私どものほうに照会をして意見を求めるという道も講じられておりますので、もし現場の査定について異議のある方は、そういうような異議の申し立ての処置をお申し出いただけば、私どもとしても極力これを善処するようにさらに算定会を指導したい、かように考えております。
  23. 井野正揮

    井野委員 私の聞き及んでおるところでは、特に問題になりました医療費明細についてでありますが、あの法律制定のときには、いろいろお話し合いの結果、関係各省の間の合意を得られて、医師の請求書に明細を付して提出をし、また必要に応じてこれを公開し、少なくも医療費の請求に対しては公正的確なものにするという旨の御答弁をいただいたように記憶をいたしておりますが、特に被保険者から求められる明細の中には医療費の治療内容等についての明細があろうかと思っておりますが、これが前国会で論議をせられたような姿で、きわめて的確に明朗に提出になっておる実情にあるかどうか、この点ひとつ実務に照らしてお答えをいただきたいと思います。
  24. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生の御指摘医療費明細についてでございますが、これは前国会審議の過程におきまして、先生いま御指摘のような御質問、御要望があったことは存じております。また私どもといたしましても、厚生省あるいは医師会等ともいろいろその問題の前向きの解決につきまして協議を重ねてきておりますが、現状におきましては、いま先生の御指摘のように、その内容明細につきまして必ずしも十分請求者の方の納得のいくような措置が講ぜられていないということははなはだ遺憾でございますが、この問題は非常に重要な問題でございますので、今後さらに前向きに関係方面と連絡をとりながら解決をするように努力をいたしたい、かように考えております。
  25. 井野正揮

    井野委員 厚生省医務局、御出席になっておりますか。——医務局のほうにお尋ねをしたいと思いますが、実は医師のモラルの問題は、このことだけでなしにたいへん問題になっておるようであります。私も休会になって帰りまして、知り合いのお医者さんから、ぜひ徹底をして悪貨を排除してもらわぬと、人道に立っておるわれわれはかなわぬ、医者のかばん見ればどろぼうのかばんだというように考えられるので、非常に心外だ、こういうふうに言っておられるわけでありますが、私はこの間だれが一番悪いのだろうと考えてみますと、やはり一番悪いのは厚生省だという結論になるのです。厚生省がほんとうに厚生省の設置法に定められた任務を勇敢に実行していない。そして、ただ一つの協力機関が医師会だというところに問題があると思います。  そこで、私のお尋ねしたいのは、運輸省もさることながら、医療費のいわゆる公正的確な公開制度というものは、これは医師法に定められて、カルテを書かなければ投与してはならぬことになっておりますが、来院した患者はすべて記録しなければならないように法律で義務づけられておるのでありますから、それに基づいて出した請求書を課税関係がどうのこうのというような議論は、これは全く正しい国民の意見ではないと思うのであります。そういう点で、この算定会の診療費請求に基づく明細は、当然健康保険と同じようにつけるべきものでありますし、求められれば公開しなければ医師の良心それ自体がそこから疑われる、こういう性格のものだと思うのであります。したがって、これはやはり制度化をすべき問題だと思うのであります。これは運輸省が強く望んでおるように思うのでありますが、厚生省はこの点はどうなんですか。私は、大蔵省運輸省が強く望むのは当然だと思うのでありますが、厚生省がそれよりももっと熱心であってしかるべきだと思うのですが、この点いかがですか。
  26. 信沢清

    ○信沢説明員 ただいま御指摘がありましたように、ほんの一部の医者が御指摘のようなことをやりますために、大多数の医師が迷惑をこうむっておる、こういう事情はおっしゃるとおりでございまして、十分反省しなければならぬ、このように考えております。  ただいまお尋ねの明細書の件でございますが、お話しのような御趣旨はよくわかりますが、明細書を出す出さぬということについては、明文上の規定というものは一般的には医療機関についてございません。したがって、いまお話のございましたように、社会保険の場合には、社会保険立法において医師が明細書を出すということを義務づけることは先生承知のとおりでございます。したがって、私どもお話の趣旨はよくわかりますし、従来から運輸省からも御相談をいただいておりますので、早くおっしゃるような体制に持っていきたい。それには、できますれば自賠の制度としてその問題を解決していただくのが、従来の経過から見て最も手近な道ではなかろうか。しかし、これには関係団体とも十分御相談をいたさなければなりませんし、私どもも御協力するにやぶさかではございませんけれども、一般的に医療機関にすべて明細書の提出を求めるという制度をつくることよりは、やはりそれぞれの制度の目的がございますから、その目的に必要な範囲内において必要な資料医療機関からおとりいただく、こういう体制を考えていただくのが一番いい方法ではないか、私どもそのように考えております。
  27. 井野正揮

    井野委員 どうも結論が出たようですが、そうすると、運輸省が自賠の制度にその問題を法制化しないところに弱さがあるのではないかという厚生省の指摘のように思いますが、ここまできたら、運輸省どうですか、見解をひとつ示してください。
  28. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいまの問題につきましては、自賠の制度の中に取り入れるということがどういうことなのか、私どもこれから検討しなければなりませんが、たとえば添付資料等の中にこういうものを添付するということを義務づけることかと思いますが、そういう点につきましては、今後関係方面と検討を重ねていきたいと思います。
  29. 井野正揮

    井野委員 たいへん前進した御答弁で安心をいたしましたが、この際、もう一言厚生省に要望しておきます。一つのことをよくするために論議したことが、また法網をくぐる知恵を医者に与えたきらいもないではございません。実は過般、札幌では、内科医が一年間に一経営体で見つかったものだけでも二百数十万円、これは全く架空の診療書です。これは北海道庁が摘発したんです。二百数十万円にわたって、診療の実態もないのに、患者を偽造して請求をした、こういうのがありまして、世上をにぎわしております。厚生省がこの医療行政に対して、医者を信用しっぱなしという形は非常に問題がある。このあたりは深く警鐘を鳴らすべき問題だと思いますので、この機会につけ加えて、必ずしも外科医だけではないということを言っておきたいのであります。  その次に、これは一地方に限局された問題でたいへん恐縮でありますが、国鉄にお尋ねしたいと思いますのは、実はこういう進め方をされると、ひとりその地方のみならず、各地方に起こる問題ではないかと思いますが、最近の都市形態の変貌というものは、港湾の築造あるいは都市改造等に基づいて、国鉄が非常に社会的に有用なものでありながら、ときには現行施設が障害になって、都市計画の遂行に伴って国鉄もまた協力をしてもらわぬならぬ場合が多いと思います。そこで、前国会でお尋ねをしました陣屋駅廃止の問題でございますが、これはあの後に室蘭市議会は満場一致で反対を議決いたしております。また現地の様子を見ますと、陣屋駅廃止の問題の端を発したのは、室蘭市港湾管理者の側から出た問題であり、引き込み線の要請に基づいて、構造上駅舎をあの位置に置くことが不可能であるという問題は、しろうと目にもよくわかります。ただ、ここで一つ配慮の欠けておったと思われる点は、港湾荷役その他の問題は、居住民にとっては、その港湾の発達、その市の発達が、非常に迷惑をこうむる結果ができてしまっておる。いわゆる犠牲だけをしいられて、利益はちっともないという結果が生じたところに、地元住民の強い反対が起こってきたし、市も十一月に国鉄当局の回答を得ていながら、四月まで議会に何らこれを知らさなかったというところに、一つには議会軽視という責任上の問題も生じておるようであります。しかし、それは経過の問題であって、いまこれからの問題このあやまちを直すことができないという性格のものではございませんが、私はこの際国鉄に強く要望したいと思いますのは、あの駅舎に入る手前のところのトンネルのところまでは複線化をし、スピードアップの態勢に鉄道はすでに線路改良を行なっておるわけであります。これから東室蘭駅との間は、在来の線ではスピードアップすることもできませんし、おそらく路線位置を変更して墜道その他によって新たな工事を施工されるべき計画中のものであろうと、こう考えるのであります。ところが、この工事計画その他は、市や地域住民には示されておらないところに一つのまた不安を持っております。また地勢の関係からいって、従来のように沢地を埋め立てをして背面と国道と港湾と切断をするような形は、高架橋をつくることになりますと、距離の関係上勾配がとれませんから、どうしても高架線にして下をくぐらせるという構造になるということは、しろうと目に見ても明らかであります。そうなってまいりますと、単に引き込み線の問題だけではなしに、線路変更の問題そして都市計画との結合の問題、地域住民の利益の問題、こういう点等を考えてみますと、当然これは室蘭市の都市計画委員会あるいは市議会の審議を経て、地元住民との懇談等を重ねて、三者一体の利益、さらに文化的な都市計画ができるという希望に立ってあの工事は進められるべきだと思うのであります。それを、きわめて安易に引き込み線だけを引いて駅廃止と、こうやったところに非常に官僚的上そういう配慮がなかったということをそうきめつけていいかどうかわかりませんが、少なくとも目先だけの、きわめてびほう的な解決策に堕したのではないか、こう考えられるわけであります。したがって、私は、もう一発ずばりでお答えを願いたいと思いますことは、札鉄は地元住民に対しては、七月二十日にこれを廃止するということを強硬に述べております。しかし、懇談会等の各担当者の発言を聞いてみますと、ある者はバス等の差額を国鉄が負担することによってできるとか、ある者は橋上駅をつくることによって市の協力を得られれば可能であるとか、ある者は線路変更予定になっておるからそれもいまは試算ができないというような、まちまちの答弁をしたために、また住民に非常な不信感、不安感を与えておるようであります。この点について、この際、地方局にまかした問題だとおっしゃらないで、私の考えるように、いずれ早晩あの路線は変えなければならない問題でありますし、埋め立て路線ではなしに高架路線に変えて都市計画との結合をはかる、引き込み線にしても、また工事をやり直さなければならないというようなやり方にすべきではないと思いますので、この点、若干引き込み線等の問題がおくれたとしても、長期に展望するならば、私は、国鉄の利益は、拙速を求めるよりは、十分に協議をして完結すべきだ、こういうふうに考えますが、この点、見解を承りたいと思います。
  30. 原岡幸吉

    原岡説明員 ただいま井野先生が、陣屋町の駅の問題につきまして、その経緯、それから問題点、きわめて詳細かつ明確に御指摘されました。そのとおりじゃないかと存じます。先般この委員会で御質問ございまして、その後、地元と国鉄側と十分に何回も意を通じて話し合っておる最中でございます。私、正確ないきさつを十分に知っていない面、多少あるかと思いますけれども、御指摘のとおり、あそこの都市の改造問題あるいは工場用地の造成問題、これ等々を勘案いたしまして、長期的なものの見方、これを基本に置きまして、いま起こっております具体的な陣屋町の旅客の乗りおりをどうするか、こういう問題に対処しなければならないと思います。ただ、そういう長期的な問題に対しましては、国鉄といたしましても、プランといたしまして、あの線を複線化する、改良するという計画はございますが、いまの時点で、いつの時点でこれができるというほど明確な段階になっておりません。つきましては、陣屋町のお客さんの乗りおりをしばらくやめていただくということにつきましては、いまの計画をとりあえず進めなければならないという事情にかんがみまして、とりあえずそういう扱いをさせていただきたい、そのようにまたぜひ御理解の上、御指導願いたい、このように思う次第でございます。
  31. 井野正揮

    井野委員 一つにはそういうような経過がありますので、市議会対市、国鉄対地元間にかなり深いみぞが生じたことは、はなはだ遺憾なことだと思います。地域住民の大会がひんぱんに行なわれておるようでありますので、したがって、いま原岡常務の言われるように、中間的な措置が必要であろうということは、私もそう思います。しかしそういうような、将来に対する計画が明示をされて、しかもその場合の理想図が描かれて、都市計画委員会等とも十分懇談が遂げられて、そういう路線が敷かれながら、片方においては港湾引き込み線の必要に迫られるということから時間的にも急がれるということもわかります。ただ、札鉄当局のきめた七月二十日をめどにして、一、二日というようなことでは、これはもう外堀を埋めるという感じも受けないものでもありませんので、私は若干の時間的遷延もやむを得ないと思います。何といっても今後の線路改修その他の問題を考えますと、土地買収その他の問題もありますし、児童通学路の問題やら、その口にできたコンクリートの輸送の問題等もあり、これまた港湾建設に非常に影響する問題にもなってきますので、相当——と申しましてもそう長い時間にはならないと思いますが、鋭意日程を設定しないで早急に、それらの路線変更の問題等も含めて、公式に市議会あるいは市、地域住民等との四者による懇談なり、あるいは国鉄内部におきます路線工事の進捗のめどをつけられて、それを提示しながらこの相談をされるということが、実は遠回りのようで一番早い道だと思うのです。こういう点について札鉄当局と十分御相談をいただけるかどうか。私もやはり運輸に関係をします限り、ものを聞かれる場合、国鉄考えというものについて説明をいたしませんと、いや国鉄の言うことは信用できないということになりますと、地元住民の反対はますます高まるということになる。委員会においてかくかくの答弁があったんだということを言いますと、心証が非常によくなって前向きになる、こう思いますので、ひとつ責任ある御答弁を承りたいと思います。
  32. 原岡幸吉

    原岡説明員 いろいろございますけれども、この時点で七月二十日という時点は、もっと長期的なものを見詰めてからでなければ日にちはあまり明確にすることはいかがか、こういうお話でございます。いまこの場所で、七月時点が絶対だとか、それから何日延ばせるとか、こういうことを申し上げるのには、あまりにも具体的な事情をつまびらかにしない点がございますので、お願いいたすというのも変な言い方でございますけれども長期的なものをできるだけ現地において見通しを立てる、そういうかたがたできるだけ七月の時点を目標にして話がまとまるようにお進め願いたい、このように思う次第でございます。
  33. 井野正揮

    井野委員 了解しました。
  34. 福井勇

    福井委員長 次に松本忠助君。
  35. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは航空局長から先に伺います。  運輸政策審議会の考え方で、航空機の利用者が国内線を見ましても非常にふえてきておる、四十三年の八百四十四万から、六十年にはおそらく全国で二億六千万人の人が旅客機を利用するであろう、こういう推定が出ていると思います。したがいまして、空港の整備が急がれるわけでございますが、その空港整備のほうは遅々として進んでおらぬように私は思うわけでございます。  そこで、主要空港にしましても、羽田の問題あるいは新国際空港の問題にしましても、なかなか予定どおり進まない。特に新国際空港については、四十六年四月の開設ということ、一番機を飛ばすということはもうとうていできないというふうに今井公団総裁も言っておるようでございます。それと同時に、主要空港はもとより、ローカル空港全般につきましても、整備の充実が何かしら後手後手に回っているような気がしてならぬわけでございますが、それに対してどのような対策を講じているのか、航空局長からお伺いいたしたいと思います。
  36. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま先生指摘のように、日本の航空需要というものは相当大幅に伸びてまいりましたし、今後また相当大きく伸びてまいることが予想されているわけでございます。それにつきましては、確かに先生指摘のとおり、現在の空港ではまだ少ないではないか、設備も悪いではないかということがいわれるわけでございます。これにつきましては、私どもも五カ年計画をつくりましてやっておるわけでございますが、さらに今後の大きな需要の伸びに対応いたしまして、新たに五カ年計画を改定いたしましてそれに備えてまいりたいと考えております。  さらにその財源でございますけれども、何と申しましても財源が問題でございますので、これにつきましては、先般より特別会計制度というものをつくりましてやっておりますが、さらにその内容の充実をはかってまいりたいというふうに考えております。
  37. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで伺いたいのは、御承知のように、二種の空港と三種の空港とあるわけでございますが、これがどのような条件で決定されているか、また三種から二種へ昇格をするに必要な条件はどういうことであるかを簡単にひとつお答え願いたい。
  38. 内村信行

    ○内村説明員 簡単に申し上げますと、二種の場合には「主要な国内航空路線に必要な飛行場であって、政令で定めるもの」、三種の場合は「地方的な航空運送を確保するため必要な飛行場であって、政令で定めるもの」というように法律では書いてあるわけでございます。しかし、現実の問題といたしまして、どれが地方的なものか、あるいはどれが主要な国内航空路線に資するものかということは、認定がはなはだ困難なことがないわけではございません。ただ、沿革的に申し上げますと、従来から国のものであったもの、たとえば旧軍の飛行場であるものというように従来から国が持っておったものにつきましては、これは二種とし、しからざるものについては三種としているといったような、歴史的にはそういう経過をたどっておるのが大体の実情でございます。
  39. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 三種から二種への昇格に必要な条件ということはどういうことになりますか。
  40. 内村信行

    ○内村説明員 いま申し上げました、地方的なものか、あるいは国内航空路線上重要なものであるかということしか認定基準がございません。
  41. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それで、空港によりましては、三種の空港であっても第二種の空港に匹敵するような利用度と経済性のあるもの、こういうものが航空需要の面から考えられると思うのですが、この格上げの措置をとるにつきまして、いろいろ整備の問題もあろうと思うわけですが、滑走路の延長工事その他施設につきまして整備を進める場合に、この援助措置については二種と三種ではどのような違いがあるのか。
  42. 内村信行

    ○内村説明員 二種の場合には、これは設置者が国でございまして、その場合七五%を国が持ちまして、二五%を地方が負担する。三種の場合には、設置管理者は地方公共団体でございまして、五〇%と五〇%というふうなことになっております。
  43. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで伺いたいのは、三種の空港で特に問題になっているのが交付税の算定基準の低さにある、こう思うわけでございますが、今後、ますます航空機の高速大型化というものが進んでくることは当然の成り行きだと思うわけですが、そこでなおネックになりますのが、交付税算定基準の低さによるところの建設財源の負担にあると思うわけです。これに対する改善策を当局ではお考えになっているかどうか。
  44. 内村信行

    ○内村説明員 おそらく御質問の御趣旨は、ただいま二種と三種と二通りあるけれども、実情から見て必ずしもそういうふうな明確な区別はされてないじゃないか、しかも負担関係がだいぶ違う、その辺是正策があるのではないかというふうな御意見だと思いますが、これにつきましては、従来とも、三種空港を二種空港に格上げをしてくれというような要望が全国的に非常に多うございます。そういうことにつきましては、ただいま先生お話もございましたように、きわめてもっともなる点もあるわけでございますが、一方におきまして五〇%から七五%になるということがございます。ということは、相当国の負担がふえるというような現実がまた否定できないわけでございます。したがいまして、これは特別会計制度というものの内容ともかね合わせまして、総合的にもう少し検討してみたいというふうに考えておりますが、まだ具体的にこれといった策は持っておりません。
  45. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 現在中国地方の中心都市として発展している岡山でありますが、この岡山の空港は御承知の第三種空港ということになっております。私も先般見てまいったわけでございますが、事情を聞いてみましても、年々乗客もふえているようでございますし、また若干であるけれども、貨物の量もふえているということを聞いてまいりました。全国二十九にわたるところの第三種空港の中でも上位にランクされているというふうな説明がございました。これらの利用度の上昇などによって岡山空港の第二種への昇格ということは可能であるかどうか、この点について航空局長はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  46. 内村信行

    ○内村説明員 それも先ほど申し上げましたように、特に岡山空港についてどうこうということはまだ残念ながら考えていない段階でございます。総合的な問題として全般的に検討いたしてみたい、こういうふうに考えております。
  47. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 特に私、岡山の例を一つ持ち出したわけでございますけれども、それは、岡山で事情も聞いてみましたが、岡山を起点としまして、松山あるいは宮崎、この方向へ新しいルートを考えておる。岡山市でも県でも非常にそれに乗り気でありますし、また、航空会社もそれを実施することには非常に乗り気であるように私は見てまいりました。岡山まで山陽新幹線が近い将来に開通することは御承知でございましょうが、そうなってまいりますと、新幹線利用して岡山まで来た人が岡山から四国、九州へと乗り継ぎをする、こういうことを考え合わせまして、このルート、松山・宮崎線もたいへん必要に思うわけです。新規の航路を開設することについて、航空局としてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いしておきたいと思います。  繰り返すようでありますけれども山陽新幹線の完成に伴いまして、岡山が大阪伊丹空港の補助的な役割りを果たすような立場に置かれるのではないか、このように思います。また、中国地方に二種空港がないところから考えましても、瀬戸内の広域経済圏を中心として二種空港への昇格を考慮すべき時期に来ているのではないか、こういうふうに考えるものですから、局長に重ねて、岡山についてはどうか、こうお伺いするわけなんです。
  48. 内村信行

    ○内村説明員 いまの御質問の御趣旨、私ちょっと了解しきれなかったのですが、一つ航空路線、岡山を含めて二種についてどう考えるかという御趣旨かと思いますので、それについてまず御答弁申し上げます。  新しい路線をやることにつきましては、そういった路線に航空機を定期的に就航させるということはどうかという問題と、どの航空会社が担当するかという問題、この二つがあると思います。したがいまして、そういったようなことを総合して考える必要があるわけでございます。先生も新聞その他で御承知かと思いますが、ただいま航空業界の再編成というようなことが問題になっております。そこで、これにつきましては、現在運輸政策審議会、これは運輸大臣の諮問機関でございますが、そこに諮問いたしまして、今後の航空の将来に向かっての基本方針をどうするかというふうなことを御検討いただいておりますので、その御答申を得まして、そういった再編成というものもおのずから行なわれるでございましょうし、そういったものと兼ね合わせまして解決をはかってまいりたいというふうに考えております。
  49. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それから、関西第二国際空港の設置の調査費として、一億六千五百万円というのが今年度予算に計上されておるように思いますが、運輸省航空局として考えておるところの関西第二空港の設置についての概況をひとつ説明してもらいたい。
  50. 内村信行

    ○内村説明員 先生指摘のとおり、関西新空港の予算として調査費一億六千五百万円というものが今年度ついております。それにつきましては、新しい関西の空港を一体どういうところにどういうふうにつくったらいいかということにつきまして、関西方面一帯にわたりまして、広範囲にわたっての調査というものをいま進めておるという段階でございます。
  51. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そうすると、広範囲ということであって、特別にどことどこというような空港設置の予定地というものについてはまだ考えていないわけですか。
  52. 内村信行

    ○内村説明員 まだ具体的にここというふうにきめて進めておるわけではございません。
  53. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、関西の財界を中心としまして空港設置の動きが非常にひんぱんにあるように見聞きしております。特に大阪府の泉南市を有力な候補地として選定して、新聞などにもかなり書き立てられてあるようでございます。一方住民の方は、泉南の市の方々でありますけれども、この空港設置については非常な強い反対の意思を表示しております。六月十九日に大挙して泉南から反対陳情に上京してきております。また、泉南市議会におきましても設置反対の決議がなされたようであります。地元の泉南からはかなり強い反対陳情が来ておりますが、泉南がこのように問題になっているということ。いま航空局長は別に特定のところを考えていない、こうおっしゃっておりますけれども、地元ではそうでなくて、泉南の線が財界のほうからは非常に強力に働きかけがあるようだし、また新聞にも発表されている。それに対応して、地元のほうでは非常な強硬な反対の運動が展開されている、こういう状態であります。反対陳情の中にも、かなり強烈にそのことが書いてあります。この問題が発表されてから、住民が日夜不安と焦燥にかられている、こういうふうなことばもありますし、そしてまた、大阪空港の現在の状態から考えて、心理的、物理的にも、航空機の公害に対して非常な脅威を感じているようです。それで、泉南市としましても、この空港の設置は徹底して反対する、そのためにはあらゆる手段をもって阻止する、こういうことばまでいっているわけです。また、先般お見えになった方々の意気込みを見ましても、それが十分にうなづけるわけでございます。往々にいたしまして、こういった問題に対しまして住民不在のままに決定される。財界の圧力に屈して一般市民のことを考えないで決定されてしまうというようなことがあってはならないと思いますので、この空港設置の問題につきましては、地元住民の意思を十分聞き、そしてその対策をお考え願いたい、こう思うわけでございます。その点について一言伺っておきたいと思います。
  54. 内村信行

    ○内村説明員 全くお説のとおりだと考えます。
  55. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは航空局長のほうの質問は終わります。  次に、離島の自賠責の保険料の問題につきまして、自動車局の方と、それから大蔵省の渡部保険部長さんにひとつお願いをいたしたいと思います。  離島の自賠責保険の料率問題、この点につきましては、前国会の閉会のまぎわの五月十二日に、黒住前局長に私も伺いました。昭和四十一年の六月三十日に大蔵省から九十三号の告示で離島料率というものが定められている。その定められたいきさつ、それらについてもお伺いしたわけでございますが、そのときも私申し上げたことは、壱岐、対馬のように遠く離れた島、しかもフェリーが一日一回しか通航しない、こういうところと、一日に何回も、しかも短時間で行き来ができるような近い島の料率については、区別すべきではないか、差をつけるべきではないか、あまりにも離島という定義にとらわれ過ぎているのではなかろうか、こういうふうに私申し上げました。黒住前局長も、この問題については、大蔵省と十分に協議をして早く結論を出すと言われたわけであります。そこで、その御返事をきょうは大蔵省の渡部保険部長から伺っておきたい。
  56. 渡部信

    ○渡部説明員 お答え申し上げます。  ただいまの点につきましては、先生の仰せのような問題点のあることは、私どもとしては重々承知いたしておったわけでございます。したがって、特に本年に入って、国会その他において問題になりました佐賀県の呼子と壱岐との間のフェリーボートが今月の一日から就航する。しかも御承知のように、いわゆる壱岐というところは、本土と比較した場合に、経済程度というものが非常に格差がある。それで、かりにフェリーボートが就航しても、壱岐に本拠を有するところの車で本土へ渡ってくる、交通または移動するというようなことは非常に少ないのではなかろうか。そういうことが、従来の基準御承知のように、離島と本土との間にいわゆる橋梁、墜道またはフェリーボートによって車の交通または移動が可能になった場合には、その時点から従来の離島料率が適用されておった車でも本土料率を適用するということになっておりますが、それが実情に合わないのじゃないか、何か先生のいまお話しのような基準を考慮しては、こういうようなお話があったわけでございます。その点について、私ども運輸省その他関係機関と重々その協議をいたしたわけでございますが、いろいろございました。その考え方としては、離島と本土との中間案の料率というようなものを考えてはどうか、あるいはまた本土と離島との問の距離とか、あるいは距離だけではなく、その問に要するところの時間とか就航回数というようなことできめてはとか、いろいろな考え方があったわけでございます。しかしながら、この辺の事情を検討いたしたわけでございますが、非常に技術的にむずかしく、また今後も詰めなければならぬというような問題がありまして、とりあえず今年は七月一日から、本土と離島との間のフェリーボートが就航するようになった場合においても、その一日の往復回数が十回以下のものについては、従来どおりその離島に本拠を有する車については離島料率を適用していこうではなかろうかということで、関係機関と相談した結果、関係機関の同意を得ましたので、そのように決定いたした次第でございます。
  57. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 一日十往復以下のものについては、従来の料率をそのまま適用する、こういうふうに七月一日からきまった、こういうことですね。要するに、壱岐、対馬ばかりでなく、またそれに類するもの、こういったもの一切、一日の就航回数が十回以下、ここに一つの基準を置く、こういうことになったわけですね。——わかりました。それでは了解いたします。  そこで、次にお伺いしたい点がありますが、それは御承知のように、韓国と日本との間にフェリーボートができてまいった。国際的なカーフェリーが誕生したわけでございます。これによりまして、今後いわゆる外国ナンバーの車の往来が増大することになると思います。そこで、外国との交通ルールの違いあるいはまた道路の不案内、交通ラッシュのふなれ、こういう問題から、各種の交通事故が今後起きるのではないかと予測されるわけであります。従来もさまざまな外国人が短期滞在しまして、交通事故を起こした。そしていろいろとしこりを残した。  こういう例もあります。五月十四日の朝日新聞の記事でございますけれども、昨年北海道から出かせぎに来ていた、ダンプカーの運転手、これが盗んだ車を酔っぱらい運転したノルウェーの船員に衝突された。そしてダンプの運転手の日本人が死亡したという事件があります。これなどもその一例ではないかと思うわけでございます。そこで、おとうさんがなくなってしまった。あとに残された奥さんと子供さん、その生活をささえるために、この遺族は損害賠償請求の民事訴訟を起こしたわけですが、当の外国人、ノルウェーの人は、その民事の訴訟のケリがつかないうちに、刑事のほうの判決によるところの刑期が満了したために、本国送還になるという内容の記事でありました。ここでその記事の内容は私深く追及するつもりはありませんけれども、五月の記事でしたし、それらから考えて、おそらくこの外人は本国送還になっているのじゃなかろうかと思うわけでございますけれども、日韓のフェリーが就航した現在、続々とこのような問題が起きるのではなかろうかと危惧するわけです。起きなければけっこうな話でありますけれども、起きることも考えなければならぬ。  そこで、外国人との問に起こるところの交通事故の紛争解決の対策、これを講ずる必要があるのではなかろうか、こう一応思うわけでございます。特に自動車事故などのように身柄を拘束できない民事訴訟につきましては、今後特例を早急に検討する必要があるのではなかろうか、こう思うわけでございますが、当局のお考えを伺っておきたい。
  58. 野村一彦

    ○野村説明員 ただいま先生お話しの問題、いろいろあると思いますが、第一点でございますが、韓国だけとは限りませんが、日韓間にフェリーが運航されるようになりまして、それに伴いましてこちらから自動車が向こうに行く、あるいは向こうの自動車が日本に来るというようなケースは当然想定されますので、私どももいろいろと検討をいたしてまいったわけでございますが、まず第一に、日本から韓国の場合に申し上げますと、道路交通に関する国際条約に日本は加盟いたしておりまして、その条約に加盟した国の自動車を韓国において運行できる、日本における道路運送車両法の基準にかなったものは向こうにおいて運行できるということになっておりますので、日本から向こうに行きますことは、現在は自家用車は法的に可能でございます。したがいまして、現に若干の自動車が向こうに行っております。  向こうからこちらに来る場合でございますが、これはいま外交チャンネルを通じていろいろと折衝をしておるわけでございますが、現段階におきましては、韓国の自動車がこちらにいわゆる運行する目的をもって来るということはまだ一般的には禁止されております。したがいまして、現在の措置としましては、道路運送車両法三十四条に基づきまして、その所轄の市長、具体的に申し上げますと、下関の市長がきわめて限定的にケース・バイ・ケースで臨時運行の許可をするということになると思いますが、現実にはまだ向こうからはいわゆる運行する目的でもっての車はこちらに参っておりません。  それから自賠責の問題でございますが、これは、向こうの車がこちらに来るようになりましても、当然日本の自賠責の適用を受けるわけでございますから、日本で運行する場合には、その期間の長短に応じまして、下関に上陸したときに日本の自賠責に加入をするという手続をとってもらうという方向でいま準備をいたしております。それから、こちらの車が向こうに行きました場合は、韓国の国内法に定めるところに従いまして、向こうの保険会社を通じて加入をするということでございまして、これは韓国の保険会社と保険契約を締結しておりまして、大体対人保険限度は最低一人五千米ドル、百八十万円でございますが、一事故当たり一万米ドル、三百六十万円が最低のもの、それを最低といたしまして最高があるわけでございますが、そういう保険に向こうで加入をいたしております。そういう状況でございます。  それから、もし外人が日本でそういう事故を起こした場合の補償の問題でございますが、これは非常に専門的なことでございまして、おそらく国際的な民事訴訟上の問題と思いますので、私どもではちょっと的確なお答えができかねるわけでございます。
  59. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 局長からいま伺いまして、向こうの車はしばらくの間はまだ来ないだろう、しかし、来た場合には日本の自賠責を適用する、これは当然のことだと思うのでございますけれども、こちらから向こうに行きますと、韓国自体にも自賠責に類したものがあるわけですね、韓国人で韓国の車が。それが非常にまた金額が安いように私伺っております。日本のほうの車が行くと、いま言われたように一万ドルですか、三百六十万円というふうな保険をかけるわけです。こういうふうな点でいろいろ考えてみますと、韓国で韓国人同士の死亡事故が起きたというような場合には非常に安い。四十万円とか聞いておりましたが、韓国で日本人が被害者になった場合は、その四十万円しかもらえないのかどうかという点、この点はどうなんです。日本の車が向こうへ行くということは、いまも行っておるわけですね。向こうへ行くと、向こうの適用を受けて、一万ドルですか、三百六十万円かけるということになるわけですね。そこで、韓国で日本人が被害者になった場合はどうなんだろうか。自動車には上陸して一万ドルかけてあります。そこで、向こうのいわゆる自賠責なるものを適用受けるとすると、四十万円しか補償はないものなのかどうなのか、ここはどうでしょう。
  60. 野村一彦

    ○野村説明員 私、具体的なその問題につきましては、ちょっとお答えできかねますが、一般論として申し上げますと、外国におきまして外国の法令の定めに従うのは、そこに合法的に入国した者は、そこの本国人であろうと外国人であろうと変わらないと思いますので、おそらく韓国人の場合と同じであろうと思いますが、これは私の現在の知識では、ちょっと正確にお答えできかねます。
  61. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまのお答え、これはもう少し詳しく、ひとつ専門的に調べていただきたい。こちらから向こうへ行くのは、現実に行っているわけでありますから、その辺で現実に調べていただきたいと思います。  今度は、日本人が向こうへ行って加害者、人が被害者、こういう場合には、三百六十万円の支払いを韓国人は受けることができるけれども、三百六十万以上の請求、または向こうの裁判で三百六十万以上の判決が出た場合、この場合には日本人の旅行者は先方で留置されてしまうのかどうか、判決が確定されるまでは向こうへとどめておかれるのかどうか、こういう点についてはどうですか。要するに、こちらの人が向こうへ行く、自分の自動車を持っている。当然向こうへ行って言われたように一万ドルかけるわけですね。三百六十万かけてある。ところが今度、たとえば韓国人をひき殺してしまったというような場合に、その三百六十万円の支払いを韓国人は受けられるわけだと思うのです。ところが、向こうの裁判で三百六十万以上の判決が出たような場合、これはすぐ出るか出ないかわかりませんけれども、出た場合には、一体どういうことになるのだろうかということ。要するに、その場合に、日本人で向こうへ行って自動車を運転した人は、向こうへとどめられるのかどうか、留置されたりするのかどうか、こういう点についてどうなんです。
  62. 貞家克巳

    貞家説明員 いまの点は、韓国の刑事法によると思いますが、民事の方面だけに限定して申し上げますと、もし韓国で日本人が敗訴の判決を受けた場合でございますね。そちらに財産がありますれば、韓国において韓国の裁判所なり執行官によりまして財産が差し押えられるということになるかと思います。しかしながら、その当該日本人が韓国に何ら財産を持っておりません場合、つまり日本に財産を持っております場合には、韓国の官憲は日本で差し押えをするというわけにはまいらないわけでございます。  そこで、その韓国の判決を日本の裁判所が承認するかどうかという、判決の承認及びその効力の問題になると思うのでございます。ところが、判決の承認につきましては、民事訴訟法に規定がございまして、いろいろ要件がございます。現実に呼び出しを受けて応訴をしたかどうか、あるいは相互の保証があるかどうか、つまり、韓国と日本の場合で申し上げますと、韓国も日本の判決を同じような条件で認めるかどうかというようなことが要件になるわけでございます。そういった点から申しますと、実は日本と韓国の間には、そういったたとえば裁判所の嘱託による送達でございますとか、証拠調べというようなものについての取りきめが、残念ながらできてないわけでございます。これは若干事件がございまして、日本の裁判所から外交ルートを通じまして韓国に依頼したケースもあるようでございますけれども、いずれも送達の点でございますけれども不成功に終わっているのでございます。したがいましてそうういった現状から申しますと。韓国の裁判を日本が認める、あるいは逆に日本の裁判を韓国が認めるということは、現状におきましては非常に困難ではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、日本人が韓国で敗訴の判決を受ける、あるいは逆に韓国人が日本におきまして敗訴の判決を受ける、こういった場合には、その判決した国に財産があります場合には執行できますけれども、そうでない場合には、残念ながら執行というところまでは現状では至らないのではないかというふうに考えております。
  63. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いずれにしましても、この問題は、これからいろいろ具体的な問題が出てくると思うわけです。これに対して十分運輸省なり法務省なり連携をとりながら、あるいは外交交渉ということになるならば外務省を加えて、十分な対応策を練っておいていただかないと、いろいろまごつくのではなかろうか、後手を踏むのではなかろうか、こう思うわけでありますから、一応皆さん方にここで十分検討をしておいていただきたい、こうお願いするわけであります。  そこで、自動車局長にお伺いしたい点は、先ほどのお話で、韓国の車が日本に来れば当然、日本の自賠責に加入しなければならないわけですけれども、加入の具体的な手続、これは非常にややこしいわけですね。そこで、一つの提案でありますけれども、国内航空などでも、飛行場に参りますと、三百円何がしをこう入れますと、すぐ向こうから出てくる。それに書いて投函しておく。一方は持っておる。これによって保険契約が成立したというような簡単な形式でやれる保険のやり方を考えてはどうか、こう思うのです。これを要するに、日本の下関なら下関の港の上がってくるところにそういうものを備えつけておいて、だれでもすぐそれをやれば加入ができる、その時点から効力が発生する、こういうふうにしてはどうか。提案でありますが、いかがでしょう。
  64. 野村一彦

    ○野村説明員 先生おっしゃるような手続の簡素化ということにつきまして、私どもそういう方向でやりたいと思って、いま関係方面とそういう方向で話を進めております。
  65. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それからその自賠責の現在の契約の期間というものは、最低一カ月というのがあると思いますけれども、それ以下の期間を設ける考えはありますかありませんか。
  66. 野村一彦

    ○野村説明員 これは本格的に向こうの車が入ってくる場合と、現在といいますか、臨時運行許可で来る場合と違うわけでございますけれども、おそらく先生の御質問は現在の段階でという御質問だろうと思いますが、現在の段階ですと、臨時運行の許可でございますので、これは大体五日程度というもので、きわめて短期間のものでございますが、この辺につきましては、いろいろ技術的に検討しなければならないと思っております。
  67. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 もう一問で終わりますが、その日本の自賠責でありますけれども、最近は判決などで五百万円では足らないというものができてくると思います。これはそういう外国の旅行者が日本に上陸した場合でも、強制保険以外のいわゆる任意保険への加入ということをぜひやらせなければならない。先ほどのノルウェーのような問題がございますと、これはどうにもならないわけです。結局ひかれ損、またノルウェーの人を向こうへ送還させてしまうということは、結局その加害者を助けたという結果になってくるわけですから、そういうことを考えますと、やはり任意保険に半強制的にも加入してもらいたい、こう思うわけです。そこで、積極的にこれをPRするためにいろいろ方途考えてはどうかと思うわけです。単に強制保険だけに加入すればそれでいいんだというような問題では、五百万ではとうてい済まないというのがいま嵐事情でありますから、任意保険への加入という点も、外国人に対してPRを十分考えなければならないんじゃなかろうかと思いますが、この点どうでしょうか。
  68. 野村一彦

    ○野村説明員 お説の点、まことにごもっともでございますが、これを開始いたします場合には、韓国とも外交ルートを通じて十分話し合いますほか、また相互の船を利用するわけでございますから、相互の船主協会等を通じて話をする、あるいは船内におきまして八時間程度の乗船の時間があるわけでございます。そういう時間を利用して十分PRをして、おっしゃるように、任意保険の点についても、できるだけそれによってカバーできるような措置を講ずるようにこれから指導していきたいと考えております。
  69. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それじゃ最後に、法務省の方に聞いて、これで終わりにします。  わが国におきましても、交通事故の補償の問題については、従来いろいろとトラブルが絶えないわけです。その一つとして、民事の判決と刑事の判決の問に時間的な大きな差があると思う。そこで、民事で有罪、刑事では無罪、こういった判決もある。これによりまして感情的なもつれが出てくる。これもその争いごとの一つの原因になっていると思う。そこで、海難審判所のような制度、すなわち、仮称でいいますと、交通審判所といいますか、こういうものを発足させて、早期に審判を下すことが考えられないか。そして民事も刑事も同時に結論を出すような制度が設けられれば、比較的短時間に結論が早く出るのではなかろうか、こう思うわけです。いろいろと外国から来られまして、ビザの関係等で、そのビザの期間中に問題が解決しない、延長して国内に滞留するか、あるいはもう期間が来たのだからおれは帰るんだと言われてしまうと、これはどうにもならなくなってくると思う。やはりこれから外国との交流も多くなってくると、いろいろとそういう問題も起きてくると思いますので、これらの点について、この対応策を至急考えるべきではなかろうか、こう思うわけです。特に諸外国との問のこの協定について考える用意があるのかないのか、この辺のことについて法務省に伺っておきたい。
  70. 貞家克巳

    貞家説明員 まず第一点の特別審判所というような点でございます。御承知かと思いますけれども、全国の裁判所におきまして交通関係事件が非常に多くなりまして、しかも、その被害の救済が欠くべからざるものだというような点から、専門部を相当設けられまして、たとえば東京地方裁判所におきましては、交通部で数人の裁判官が交通事故専門にやっておられまして、かなり専門的な観点から事案を判断され、判例も集積してまいりまして、かつての裁判が長くかかるというような批判は、ある程度解消しつつあるのではないかというふうに実は考えているわけでございます。全国津々浦々までそのとおりまいっておらないかもしれませんけれども、少なくとも大都市におきましては、裁判所当局が非常に努力をされているわけでございまして、しかも非常に専門的な観点から積極的に取り組んでおられるという現実をながめながら、私どもは対処しなければならないのではないか、そういうことを考えているわけでございます。  民事、刑事の問題につきまして、これは事実認定が全く異なるとかそういう問題はあり得ないはずでございますけれども、事柄の性質上、刑事責任を負わせる場合と、損害を何人に負担させるかというような民事の救済におきまして、若干の結論の分かれが出るということは、例外的にはある程度やむを得ないのではないかというふうに考えているわけでございます。民事と刑事とを一緒にやるということは、非常に大きな問題でございまして、私いま直ちにそれについての御意見を申し上げるわけにまいりません。ただ、かつて戦前におきましては、付帯私訴というような制度がございまして、ある程度民事と刑事というものを一緒に処理したというような歴史もございます。しかしながら、そういったものが終戦後廃止されまして、いまのような制度になっているわけでございます。この問題はかなり根本にも触れますので、結論を差し控えさせていただきたいと思うのでございます。  それから最後に、協定の点でございますが、実は民事訴訟プロパーにつきましては、先ほど申し上げましたように、たとえば外国との間に、呼び出し状あるいは訴状の送達であるとかいった裁判書類の送達、それから証拠調べ、そういったものをお互いに日本の裁判所から外国の裁判所に外交ルートを通じて送達する、外国からも嘱託を受けるというような制度につきましては、韓国との間では残念ながら取りきめができないのでありますけれどもかなり多くの国との間にそういった取りきめが行なわれておりますし、また最近におきましては、そういった二国間条約ではなくして、多国間条約といたしまして、民事訴訟条約あるいは送達条約も批准されているわけでございます。もちろん、多数国問条約といいましても、韓国がそれに加入すればそれは非常にスムーズにいくわけでございますけれども、これは各国の事情がございますので、世界各国がそういった条約に加入いたしまして、民事訴訟のお互いの司法共助と申しますか、そういった面が非常にスムーズにいくことは理想でございますが、何ぶんにも国際問題でございますから、なかなか私どもが思っておりますとおりにはまいらないと思います。しかしながら、外務省当局あるいは最高裁当局においても、そういった点非常に努力されているというふうに伺っているわけでございます。
  71. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 いまの答弁で一応了解しますけれども、交通事故に関する裁判が迅速果敢に行なわれているとは決して思いません。非常に時間がかかっているし、そのために被害者が非常に苦しんでいる例は私どもも聞いております。実例も知っております。どうかこれは裁判所のほうと十分話し合って、早くその裁判が完結するように、ひとつ法務省のほうにもお願いしたいと思います。  それから、いわゆる韓国とのフェリーの問題は、どうしても急速に解決しなければならない問題があるわけですから、各国間の協定を結ぶということも大事でございましょうけれども、少なくとも日韓の間に早いところ協定をつくるように、その解決が十分できるように、法務省、外務省あるいは運輸省で十分協議をして、これに対する準備をしていただくようにお願いをしておきます。  以上で終わります。
  72. 福井勇

    福井委員長 次に金丸徳重君。     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕
  73. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 緊急にお伺いいたしたいことができましたので、たいへん大事な時間でありましょうが、御割愛を願ったわけでございます。  問題といいますのは、実は私の郷里のほうに日本航空学園という、航空事業に大いに寄与しようというような目的のためにできておる学園があるのでありますが、これが先般来学園紛争を起こしまして、この紛争も、学校経営者と教授陣との間、また今度は教授陣ではなくて、学校当局と生徒との間に、三つどもえみたいな紛争を引き起こしているようであります。これをきのう聞きまして、地方の問題だからと思ったのですが、調べてみますと、生徒は全国から集まっておるようであります。本科は高等学校ではありましょうが、珍しくその生徒の大部分が他県の者であるというようなこともありますし、それから学園紛争とはいいながら、当節流行の思想問題その他が基本になっておるわけじゃなくて、もっぱら生徒の、いかにして自分たちの勉学を満足さしてもらえるかというようなことが主になって、非常に熾烈な争いをいたしておるようであります。で、これらをいろいろと勘案してみますと、これは将来におきまする航空行政といいますか、航空事業にも大きく関係してまいるようにも思われましたものですから、この機会に総括的な問題としてお取り上げを願いながら、この問題の紛争解決について、運輸当局としても何らかのお力添えをいただければありがたい、こういうことがきょうの質問の主たるしねらいであります。  そこで、私は、時間を節約する意味におきまして、問題の本質に入る前に、一応お尋ねいたしておきたいのでありますが、最近航空時代とでも申すべきときがまいっているようであります。先ほどの質疑応答の中にも出てまいりましたが、あるいは空港の整備であるとか、あるいは航路の開発であるとか、きわめて緊急に要求される事態と相なりました。これに伴いまして、むしろそれに先行いたすべき問題かもしれませんけれども、操縦関係の要員でありますとか、あるいは機体、機関の整備関係の要員でありますとか、きわめて高等なる技術者の養成なり、あるいは技術の向上なりをはかってまいらなければならないときがまいっておるのであります。そういう見地に立ちまして、はたして現代における日本全体の操縦関係の技術要員、整備関係の要員というものの充足状況はどうでありましょうか、また将来における見通しというようなものはどういうようにお考えでありましょうか、一応承っておきたい。
  74. 内村信行

    ○内村説明員 実は私、まだ就任したばかりでございまして、詳しい数字については存じませんけれども、私の知る範囲内におきましては、たとえば日本航空におきましても、あるいは全日空におきましても、日本人パイロットのみをもってしてはそれを全部カバーすることはできませんので、外国人パイロットなりあるいは整備士なりというものを採用して飛んでいるというふうな状況でございます。そういうふうな状況から申しましても、そういった航空従事者あるいはパイロットの養成というものを相当本格的に強力に進めていかなければならぬということは、まことにお説のとおりでございまして、従来は、いわゆる航空大学というのが運輸省の所管にございますが、航空大学でありますとか、あるいは防衛庁の委託でありますとか、そういうふうな方法で何とか要員の訓練をいたしておったわけでございますが、さらに今後要員を拡充いたしまして、年間三百六十名程度のパイロットを確保するという方向で、大幅に要員の訓練を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  75. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 その操縦士要員の訓練状況目標はわかったのでありますが、それはどういう施設で、どういう方面で、どんなやり方でやっておりましょうか。  もう一つ、特に整備関係についてお伺いをいたしたいのでありますが、いかがでありましょうか。
  76. 内村信行

    ○内村説明員 整備関係につきましての養成状況は、私はいまよく存じておりません。小池乗員課長が来ておりますので、御説明申し上げさせます。
  77. 小池正一

    ○小池説明員 現在、整備関係の養成につきましては、日本航空が整備の職員に対する養成所、全日本空輸がやはり同じように社内的に教育をしておる。それが一番大きなソースでございまして、これらの教育については、高校を卒業してから最低一年ほど教育いたしまして、そして事業者の整備の職場に配するというような形を行なっております。  それから、小さな航空会社の要員につきましては、現在、先生の御指摘ありました日本航空学園、正式には日本航空工業高等学校、また都立の航空工業短大、都立航空工業高専、それから国際航空大学校、それから日本フライングサービス、こういうような私立の航空学校におきまして整備の職員を養成しておりますが、現在これらの学生をトータルしますと、大体五百名ぐらいが年間教育されております。  これらの教育を指導するにあたりまして、私どもは、現在では三等航空整備士の資格を得るために学生が学科試験を受けるわけでございますが、その学科を受けるために最低一年以上の教育課程を受けることを基準といたしまして、これらの学校の正規の修了者に対しましては、三等航空整備士の資格が受験できるという認定を航空局から学校に出しまして、私どもが認定いたしました基準どおりに修了した者については、三等航空整備士の学科試験を受けさせる、さらに学科を受かった者に対して実地試験をして、合格者に三等整備士の資格を与えておりますが、現在のような監督の方法では十分でないので、今後は、去る国会におきまして、航空事業者の養成にあたりまして、運輸大臣が指定した養成施設の過程を修了した者については試験の一部または全部を免除するという法案を採択していただきましたので、この方法によりまして、ことしの九月以降はこれらの養成機関に対しまして、私どもが新たに基準とする養成施設の教科内容にマッチするように基準を引き上げさせまして、これに適合する機関に対しては積極的に監督指導し、優秀な整備の者を出していきたいというふうにしております。現在ではそのような監督が行なわれませんので、九月一日以降このような方式にすべての学校を指導していきたい。これらの基準に入らない学校におきましては、学生が当然応募してこないので脱落していきますので、優秀な学校のみが残って、われわれの意図する優秀な整備士を養成してくれるのではないかというふうに期待しております。
  78. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 先ほど航空局長から、操縦士については、日本航空のほうで優秀なる技術者を養成しつつある、こういうお答えがございました。これは日本航空で養成しておるもので全部の需要をまかなうのに足りるかどうか、その点一つ心配になります。  それからもう一つは、そういう意味におきまして、特に日本航空のほうでは高等なる、言うならば大型の航空機の操縦というようなことがねらいではないか、こう思います。ところが、実際の空の利用というものは、大型の飛行機、高速の飛行機というものも大切でありましょうが、なお簡単な飛行機、特にまたヘリコプターといったようなものの使用が盛んになってまいるものですから、それらについてはどういう施設なりをもってこの要望にこたえんとしておるか、こういうことをもお答え願っておきませんと、私の次のお尋ねに入っていくわけにまいらない。そういう点はいかがですか。
  79. 加藤六月

    加藤(六)委員長代理 政府委員に申し上げます。答弁は簡単明瞭にお願いいたします。
  80. 内村信行

    ○内村説明員 先ほどの御説明がまずかったせいかも存じませんが、日本航空でパイロットを養成しているわけではございません。運輸省の中に航空大学というものがございまして、そこで基幹要員を養成しておる。そのほかに、防衛庁に委託をいたしますとか、あるいは防衛庁から割愛されるというような方法で、基礎的な要員は訓練しております。そのほかにも、中に入った者が、あるいは日本航空あるいは全日空等、社内訓練によりまして補足をしておるような実情でございます。ヘリコプターにつきましては、防衛庁のほうに委託訓練をするという計画をいたしております。
  81. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 それから、お尋ねがしり切れでいけませんけれども、お答えがそういうことでございますから、政府関係におきましては、九月以降における方針はわかりました。現状においてはどういうふうな養成機関が全国的に——これは国家でもいいし、あるいは公共機関でもよろしいし、民間などにつきましても、どういうふうな施設があって、これが動いておるか。いろいろ方々からの要求があるでありましょうが、それらを充足しておりますか。その点、もう少しわかるようにお答えを願いたい。
  82. 内村信行

    ○内村説明員 小池乗員課長から御答弁申し上げます。
  83. 小池正一

    ○小池説明員 ただいまの養成機関につきましては、山梨の日本航空工業高等学校、それから東京におきましては都立航空短大、それから日本フライングサービス、さらに東京都立航空工業高等専門学校、現在これだけでございます。
  84. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、問題に触れてまいりますけれども、いまのお答えによりますと、日本航空がいま問題になっております。これは日本におきましても、四つか五つ程度のごくわずかな貴重な訓練施設のように思われるのでありますが、その点はどうですか。
  85. 内村信行

    ○内村説明員 現在三百五十名を養成しておりまして、お説のとおり重要な施設でございます。
  86. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで、その重要なる学園において紛争が起きておるようでございます。これにつきまして、私は、当事者の一部からは事情を承っておるのでありますが、間違いがあるといけませんものですから、先般、実は航空局のほうに実情を御調査願いたいというお願いをいたしておきました。調査の結果をこの席で承れればありがたい。いかがですか。
  87. 内村信行

    ○内村説明員 本件につきましては、七月の八日、すなわち一昨日でございますが、担当官がその高等工業学校へ参りまして、実情を調査いたしました。その結果概要を申し上げますと、これはまあいろいろな理由から、先ほど先生がおっしゃいました理由から、六月六日以降休校に入りました。それからその後の休校後にいろいろの経緯があったかと存じますけれども、六月二十二日に本科三年生は全員授業再開、大体十六日程度が授業をしなかったわけでございます。それから六月二十九日に本科の一年が授業再開いたしました。その中の三十一名は誓約書提出を拒否いたしまして、授業放棄を行なっておりましたが、六月九日から受講を申し出ております。マイナス日数が二十三日ばかり。七月六日に専攻科の授業を再開いたしまして、うち、自治会関係の十名はなお欠席中であるというのが実情でございます。その結果、三十日程度がマイナスというふうな状況でございます。それからさらに、四十五年度の職員につきましては、いろいろと変更があったようでございますが、現状の結論を申し上げますと、この認定基準というものに合致しておりまして、その点何ら問題はございませんが、ただ問題になりましたのは、そういうふうなカリキュラムが実行されておりませんで、不足の日数がございますので、これにつきましては、学校側といたしましては、夏季休暇を短縮いたしますとか、あるいは卒業の時期を延期いたしまして、不足日数を全部カバーしてまいりたいというふうに申しております。  そういうふうなことが実情でございます。したがいまして、そういった補講が行なわれ、それに出るならば、認定基準としては差しつかえないというふうに考えております。
  88. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 いまのようなことが充足されますと、この学生生徒諸君の期待するような教育内容で卒業することができる、     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 こういうことのようでありますけれども、実際にここで勉強しております者たちの見方というものは、どうも学校の特殊の事情なんでありましょうが、あるいは実習に出されてしまったり、先生が休んだり、ストをやっておるような先生ですから、そういうことでありましょう。また、先生がストをやらなければならぬような経営の本体に触れた問題でもあるようであります。それらを勘案いたしまして、はたしてああいうような実情の中で、自分たちが、将来を決定するような整備の技術なり、あるいは操縦の技術を得られるであろうかどうか、こういうことが心配であります。  もう一つ、その前に、このような形式さえも整わないような状況の中で、はたして運輸省が期待されるような資格検定といいますか、検定試験を受けるような資格さえも得られるであろうかどうか、こういうことをたいへんに心配しておるようであります。それで、私は、これはもう地域の問題ですから、その現地において生徒たちと学校との間で、あるいは片づければいいかもしれない、こう思ったのでありますが、よく調べてみますと、ほとんど学生は、高等学校の子供であるのにかかわらず、北は北海道から南は鹿児島まで全国の各県から集まっておるようであります。したがって、勉強中の生徒諸君の気持ちはもとよりでありますけれども、うしろにおるところの父兄の心配もさぞかしと私はお察しすることができるのであります。何とかして安心させていかなければならないであろう。その安心する方法としては、やはりたよるところは運輸省考えである。運輸省に目を光らせてもらって、十分教育内容などについても確信が持てるような指導なり監督なりをしてもらえないかどうか、こういうことのようであります。それらにつきまして、実は私は、実際に運輸省航空局のほうからでもたびたび人が派遣されておるかどうかというようなことを生徒諸君にも聞いてみたのであります。ほとんどそれはないということであります。これは普通の学校法人でしたら、運輸省が直接タッチすることも、あるいはこの事件の性格から、当局のなわ張り争いというものが盛んになる、こんなふうにも思いました。どういう考えでこれに対処なさっておられましょうか。問題は、いい技術者を要求しておる世間に対しまして、またいい操縦者たらんとしておる生徒諸君に対しましても、運輸省がたよられておることは大きいものですから、単に学校の勢力争いとかなわ張り争いということを超越して、親切なる御指導なり監督なりを願いたい、こういうことが父兄の要望であり、また生徒諸君の期待なり念願であろうと思うのですが、いかがでありましょうか。
  89. 内村信行

    ○内村説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、これは性格的に見ますと、学校法人でございまして、文部省あるいは山梨県におきまして、そういった学校紛争という問題については相当な御配意があるかというように存じます。ただ、私どもといたしましても、この学校がいわゆる整備士の資格を認定する場合の整備士の資格申請と申しますか、申請資格の一要件ということになっておるわけでございますが、その限りにおいては関心を持っておるわけでありますし、また航空の安全という面から関心を持たなければいけないというように考えておるわけでございます。したがいまして、そういうふうなことができました場合に、はたしてカリキュラムに繰り込まれました課程がちゃんと行なわれておるかどうか、それを行なっている教官その他はしっかりした人がやっているかどうかというふうなことをやはりチェックいたしまして、そういうことが行なわれていない場合には、その申請資格に欠くる点があるというふうに見ざるを得ないというふうに考えております。したがいまして、そういうような点からチェックいたしますと同時に、さらにそういう内容が充実されますように検討してまいりたいというように考えております。
  90. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 航空当局の御配慮ごもっとも、またありがたくも思う、そう思うと、私は生徒にかわって想像いたすのであります。しかし、現実にはなかなかそう信頼したいんだけれどもということで、その信頼したいんだけれどもの裏には、やはり普通学校法人であり、文部省の監督下、指導下にあるということであり、具体的には県の教育委員会があたたかい目を持ってその指導に当たらなければならないのでありましょうが、残念ながら、これは私、県の者として申しわけないのですけれども、県の教育委員会としては、県民の子弟は、五百人ばかりいる学生の中で、何かことしは三人ぐらいきりないんだそうです。したがって、非常に縁の遠いような感じがいたします。ついどうも、思いながらも、あたたかい気持ちを持って親切なる指導をするというまでにはいかないようであります。そこで、今度は全国の父兄が力を合わせて文部省に願い出ればいいのでありますが、これがまた東北、北海道、鹿児島、山口というような方面の人が多いものですから、そこまで気持ちが一致しない。とうとう今日のような状況になって、三者立ちすくみのようなことになっておるようであります。時節柄非常に大事な施設でありますだけに、また熱心に航空事業のために意欲を燃やしておる青年諸君のために、残念だと私は思います。  そこで、剛空当局といたしましては、それらの事情もうすうす御存じになっておると思いますので、事前に文部当局に対して何らかの措置をとってもらうような申し出なり要請なりをしておられたかどうか、それから今後どうなさるおつもりであるか、いかがでありましょう。
  91. 内村信行

    ○内村説明員 ただいまの、航空当局から文部省のほうに申し出をいままでしたかということでございますが、これは率直に申しまして、しておりません。そのかわりと申してはなにでございますが、県のほうにはしばしば申し入れをいたしまして、解決を早くはかってもらいたいというふうなことをやっております。
  92. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 県のほうも、そういうことで、ついということであるかもしれぬ。現実に問題が起きてしまったものですから、問題を早く解決して、子供たちも安心させなければなりませんし、父兄に対しましても安心させると同時に、運輸当局に対する信頼感を取り戻してもらわなければならないと思うのであります。  そこで、九月以降については根本的に制度を改められるという、いま乗員課長からの御説明もありました。これは具体的にはどのようにお進めになる予定でありましょうか。現に四つか五つの施設があって、簡易なるそういう関係なりあるいは整備の関係などの訓育をいたしておりますが、これだけではとうてい足りないと私は思います。いい施設がどんどん出てくることを期待いたしますものですから、この九月以降そういう事態をもねらっての航空当局としての考え方なりを具体的にこの際承っておきまして、今回の問題解決への一つの足がかりにでもなればと、こう思うのですが、いかがでありましょうか。
  93. 内村信行

    ○内村説明員 先ほど乗員課長から御説明申し上げましたのは、一般論として申し上げたわけでございまして、今次の航空法の改正によりまして、九月一日から、従来は認定資格を得るものとしてのいわゆる学校というものを認めておったわけでございますが、今後はさらにその教科内容その他をレベルアップすることによりまして、その学校の卒業者については実技試験を免除するというふうなところまでも進んでいきたいということが内容でございます。したがって、そのためには、いままでよりももう少し高度な内容というものの基準をつくっていかなければならぬ。それに合うようにしていただきたいというふうに学校を指導してまいる。合わなければこれはだめだということになるのではないかというふうなことでございます。
  94. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 そこで私は、基本に立ち返りまして、文部省の関係から、特にこれは特殊なる技術訓練の機関であるという意味におきまして、言うならば運輸省直轄、航空局が直接目をかけるような施設に変えようというねらいのように伺っておるのですが、そういう方向——もしそうでないならば、そういう方向を強く打ち出しておかなければいけないのではないか。と思いますのは、操縦技術なんかにつきましては特にそうでありましょうが、整備関係におきましても、自動車やその他の機械の整備と違いまして、一そう精密、正確に誠意を持って進めなければならない技術関係だと思います。そういう意味におきましては、最も技術の高い、熱心なる、また最も善良なる人格者が集まってこそ、飛行機の操縦もヘリコプターの操縦も、またそれを裏づけるところの機の整備ということも行なわれるのだと思うのであります。という意味におきまして、どうか今度お考えになる施設なりというものは、そういうものをねらって、いい技術者、いい操縦者を出すというねらいで、いい者を集めるという方向でいかなければならないと思います。したがって同時に、その訓練の責任を持つところの学校の理事、教授陣というものは、またそれにふさわしい者が集まってこなければいけないように思いますし、学校の施設その他につきましても、十分なる施設がなければいけない、充実されたる施設でなければいけないのであります。私はこの日本航空学園の施設を見たこともありませんけれども、子供たちの言うところによりますと、何かどこからか施設を借りてきて間に合わしておるのだとか、昔のぼろぼろの機械を使わしておるのだというようなこともあるようであります。実情はきっとあなたのほうが詳しくお調べになっておられると思いますが、もしそういうことであるとしまするならば、とうていいい技術者を期待するわけにはまいりますまい。また同時に、学校の理事者が暴力をふるうとか、あるいは私のところに持ってきました文書などによりますと、もうけさえすればいいのだ、君らがどういう勉強をしようとそれは二の次である、もうけさえすればいいのだというような放言をしておるやに聞いております。これを単なる放言として聞き流すといたしましても、もしそういうような気持ちが少しでもあるというような理事者によって、あるいは教授、先生たちによってやられるということになりますと、これはほかの技術者とは違っておるだけに、非常に将来に大きな問題を残すのではないかと思うのであります。そして基本的に訓練機関、養成機関の制度を考えるという場合におきましては、そういうことをも十分勘案して、信頼される施設なり要員なり教授陣なりを持った施設というものができるような対策を講じていかなければならない。そのためには、ある場合におきましては助成の方法も考えていかなければいけないとも思いますが、この点はどういうお心がまえを持って新しいねらいに向かって邁進されようとなさっておりますか、この機会に承っておきたいと思います。
  95. 内村信行

    ○内村説明員 こういった学校施設の今後の問題でございますけれども、これは先ほどもお話し申し上げましたように、所管は文部省ないし県というふうなことであります。したがいまして、性格を今後変えていこうというところまでは考えておりません。これは商船学校その他の問題もありますし、いろいろ問題もありますが、本件につきましては、すぐに変えたいというふうなことまで考えておりません。ただ、その技術的な内容について、これをレベルアップしていくということでございます。  それから、いろいろ人なり何なりの問題でございますが、こういった点で、これは当然主管は文部当局になると思いますけれども、いろいろな紛争などが出ました場合は、やはり技術的な諸問題があると思いますので、そういった技術的な知識というものでいろいろな解決ができる点は、文部省とタイアップしてやってまいりたいというふうに考えております。
  96. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 私のちょうだいした時間はもうやがて終わるのでありますが、制度の基本に触れることはいま考えておらぬ、こういうことであります。それはいままでの文部省との関係その他あるいは教育全体の問題についていろいろ考え、それをやろうとすれば、たいへん問題が大きくなると思います。ただ私は、商船学校の例もあるでありましょう、あるいは気象大学のこととか、いろいろあるでありましょうけれども、事航空関係につきましては、それがあまりに高度でなければならない、そしてあまりに問題がデリケートなことでありますだけに、きわめて専門的なる立場に立って訓練の施設またはそれが運営に当たるべきではなかろうかと思うのであります。したがって、それを専門なるがゆえに運輸省直轄云々ということを直接考えなくとも、腹の中では根本的にはそういう方向でいってもらわなければいいものができないのではないか。現に、もし文部省がほんとうにこの航空技術、整備技術、操縦技術というものについて特別なる注意を持って見てくれておるならば、この日本航空学園につきましても、もう少し県を通ずるなり何なりして、あたたかいといいますか、精密なる監督、指導ができておったのではないか。また、もし悪いことであるならば、これは学校そのものの存立についてさえも注意なり警告なりを発するだけの熱意というものがあったのだろうと思います。しかし、文部省というのは、そういうまでには立ち至らない、きわめて一般的なる学校ということをねらっておられるということになろうじゃないか。そこで、今度のような問題が起こったにつきましては、これはきわめて専門的なることであり、きわめて高度のものであり、またきわめて高い人間養成が先行しなければならないという意味において、運輸当局航空当局は重大な関心を持ってもらわなければならないと思います。そういう見地に立ちまして、現に起きておるこの学校の紛争処理につきましては、航空局は、表面、制度的にはおれの責任ではないということになるかもしれませんけれども、実質的にはおれの責任である、おれたちも重大なる関心を持つのだということにおいて解決をしてもらいたいと思うのであります。もう一度お答えを願いたい。
  97. 内村信行

    ○内村説明員 おれの責任かどうか、これはわかりませんけれども、少なくとも私どもといたしましても十分な関心を持っておりますし、航空の安全ということにつきましても、重要な問題でございますから、わがこととして考えてまいりたいというふうに考えます。
  98. 金丸徳重

    ○金丸(徳)委員 それじゃこれで終わります。
  99. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  100. 内藤良平

    内藤委員 私鉄の運賃値上げ、民鉄協会ですか、運賃値上げが新聞、テレビ等で見えているわけでありますが、その詳細を担当から聞きたいわけであります。まず具体的に申請の内容等につい  て。
  101. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  大手十四私鉄と申します東京、関東方面におきます七社、名古屋におきまする一社、関西の五社、それから九州の一社並びに帝都高速度交通営団、この十五の事業体が昭和四十三年の十二月から四十四年の一月にかけまして運賃改定の申請をいたしております。  申請の内容といたしましては、大手十四私鉄関係におきましては、普通運賃並びに定期運賃の改定をする。普通運賃につきましては若干のレベルアップということをいたしますし、定期運賃につきましてはさらに割引率の若干の引き下げを行なうという内容でございます。それから帝都高速度交通営団につきましては、四十四年の一月に申請がございまして、これも普通運賃の改定並びに定期運賃の割引率の引き下げというものを申請をいたしておる状況でございます。  なお、申請の理由といたしましては、大手十四私鉄並びに営団の収支が非常に悪くなっております。鉄道業の収支が非常に悪くなっておりますので、これに対処したいということ、それから、これは大都市の鉄道でございまして、したがって人口の集中等によりまして、輸送需要が非常に増大をいたしてまいっております。そういう輸送事情に対処し、かつこれを安全に行なう、運転保安の確保という見地から、輸送力増強並びに運転保安のための設備投資というものを非常に行なわなければならぬわけでございますが、また従来も非常に行なってきたわけでございますが、これに要しまする設備投資に要する資本費というものが非常に増大をしてまいっておるということで、現在のままでは設備投資をさらに進めていくということは非常に困難になってきておるので、運賃改定をいたしたいというのがおもな申請の内容でございます。
  102. 内藤良平

    内藤委員 時間をあまりとりたくありませんから、きょう大臣も次官もおりませんけれども、公共料金は極力これを押える、まあ絶対押えていきたいというのは、佐藤総理が記者会見等でも公に意思表示しておられるわけであります。そのこととの関連をこれから少し聞きたいわけだが、まあ申請の内容はわかりました。そこで、これは大ざっぱに見まして、やはりテレビ、新聞にありますように三二%くらいの値上げになるわけですか。その計数的な面を少し聞きたい。
  103. 山口真弘

    山口説明員 これはたとえば普通運賃にいたしましても、対キロ制と申しますキロによりまするものもございますし、区間制といいまして区間によって運賃を定めるようなところもございます。したがいまして、定期運賃にいたしましても、これは各キロ別に運賃をきめておりまして、それに対する改定をいたしますということでございますから、一律にはなかなか言いがたいわけでございますが、結局それが増収にどれだけはね返ってくるかということでございまして、増収といたしましては、大手私鉄運賃の平均では三二・二%、交通営団におきましては二三・二%の増収というものを申請いたしております。
  104. 内藤良平

    内藤委員 そこで、これは局長どうなんですか。運輸省側としては、これはいわゆる可なり、あるいは否なり、省としてはどういうぐあいに扱おうとしておられるわけですか。
  105. 山口真弘

    山口説明員 運賃改定の申請事案につきましては、運輸審議会という機関が運輸省にございまして、その運輸審議会に諮問をいたしております。運輸審議会はこの諮問内容を一般に公示をいたしまして、先般その公示に従いまして公聴会を開催いたしました。この七日、八日でございますが、公聴会を開催いたしました。今後その公聴会の模様等を参照としながら、運輸審議会といたしましては、これに対する結論を出すということに相なることと思います。運輸省といたしましては、この運輸審議会の結論というものを十分に参考といたします。また、これは政府部内の決定でございますが、関係の閣僚問の協議並びに同意ということになっておりますので、関係閣僚間の協議を経まして、そして決定をする、こういう運びになるわけでございます。
  106. 内藤良平

    内藤委員 いろんなことはさておいて、運輸省としては、これはだめだ、あるいはやむを得ない、どっちなんですか。その点をひとつ。
  107. 山口真弘

    山口説明員 これは運輸審議会の意見を尊重してということでございまして、現在私ども運輸審議会の御意見を待っておる段階でございます。ただ私ども、提出をいたされました申請事案につきまして、事情をいろいろ検討いたしております。これは先ほど申しましたように、一昨年の十二月ないし昨年の一月の、一年半以上、二年近い期間前に出されまして、その問私どもいろいろ検討をいたしております。その検討の結果から申し上げますと、鉄道事業につきましては、十四社並びに営団——営団はほとんど鉄道事業だけでございますが、いずれも非常な赤字でございます。ただ、大手十四社等におきましては兼業等で黒字を出しておりまして、そうしてその兼業によりまして、その黒字でもって配当等をいたしておるということでございます。そこで私ども鉄道事業の維持という点からいきましても、また鉄道事業輸送力増強、運転保安の確保ということからいきましても、鉄道事業として問題を把握をして、これに対する結論を出してまいるということが必要ではないか、このように考えております。
  108. 内藤良平

    内藤委員 そこで、運賃値上げ問題は、いろいろ複雑な内容あるいは大企業なり小企業でいろいろありますね。しかし、あれは一般的に住民の側からいいますと、やはり総理大臣佐藤さんの、公共料金を上げないんだということを正確に受けとめておるわけです、最高責任者の発言だから。そういう中で、運輸省としては、大手の運賃値上げにつきましては、いまあなたのおっしゃるように、審議会の結論なり、検討しておるというような、そういうあいまいな態度でいいんですか。そこら辺を聞きたいと思うのです。
  109. 山口真弘

    山口説明員 先ほど申しましたように、この運賃改定の事案は非常に重要でございますので、運輸審議会という特別の機関を設けまして、そこで一般の公聴会まで開きまして、非常に広範の方々の御意見も伺ってやるというような、手続的にも非常に慎重の上にも慎重を重ねた手続を現在重ねておるところでございます。また私どもも、この私鉄各社の事業内容あるいは収支の内容というものにつきまして十分に慎重な検討を重ねまして、これを処理するということであろうと思いますので、そういう面と、それから物価安定というような面をもいろいろ考え合わせて、今後結論を出してまいるということであろうかと思います。
  110. 内藤良平

    内藤委員 端的に聞きますが、佐藤総理が公約します公共料金の中にこれは入るわけですね。入るわけでしょう。上げないと言っておるのを、いわば指揮下にある運輸省の、しかもあなたは直接の担当の鉄監局長なんですが、その際に行政指導的にはどういうぐあいに指導していくことになるわけですか。少し意地が悪いようだけれども、ぼくらが聞きましても、答えは最初から出ておるようなんだけれども、それを何かはっきりしなければ、ある意味ではいろいろなことがくっついてくると思うんです。
  111. 山口真弘

    山口説明員 運賃改定の申請と申しますのは、先生承知のとおり、鉄道関係を規律いたしますところの地方鉄道法または軌道法というものによりまして、そうしてこれによって、運賃の改定をする場合には、運輸大臣の認可を受けなければならないということになっておるわけでございます。そういう意味で、いわば国が、運賃を自由にきめるということに対するチェックをいたしておるという法制的な仕組みになっておるわけでございます。しかしながら、これに対して申請がありました以上は、その申請に対しまして、正規の手続あるいは適正な手続を経ましてそれを十分に審査をし、その審査の結果に基づいてこれに対する結論を出す、これが当然法律執行の態度である、このように考えるわけでございまして、そういう立場に立ちまして、政府一体として、事業者の内容なり必要性なりあるいは物価の考慮というようなものも考え合わせて結論を出してまいるということが、むしろ行政の態度であろう、このように考えるところでございます。
  112. 内藤良平

    内藤委員 そういうことを言いますと、運賃、料金問題はたくさんあるわけです。ぼくの聞いている範囲内でも、十何年も据え置きされておる。やはり許認可のチェックを受ける。たとえば運送関係の路線関係の運賃、料金ですね。これはもう十何年ぐらい据え置きになっておる。それをなかなか上げないでおるところもあるわけです。あるいは赤字路線で困って首切りをしようということまでなって、労働組合とたいへんな紛争を起こして、しかも住民の皆さんが困っておるようなところもある。いろいろあるわけですね。だけど、お話を聞きまして、これはちょっとひがんだあれですけれども、大きいところのやつだけはしょうがないのじゃないか、佐藤総理は言っているけれども、何とかかんとかやらなくちゃならぬじゃないかというようなぐあいにして進めているような気がするわけです。一体、この運賃問題について、あるいは許認可の料金の問題について、運輸省はどういう基本的な考え方を持っているのですか、どういう基準でこれをやっているのですか。それをひとつ簡明にお答え願いたいのです。
  113. 山口真弘

    山口説明員 地方鉄道法なり軌道法なり、あるいは道路運送法なり、各般の運賃規制があるわけでございますが、一体、こういう運賃を規制いたしまして国がその運賃をチェックするゆえんのものは何かということを考えますと、この事業というものが非常に国民生活なり地域に大きな影響力を持っておるから、したがって、その利用の対価であるところの運賃というものに対しては国が関与をしなければいけないというところで、運賃規制というものが法律できめられておるわけでございます。  しかしながら、そういう運賃規制をする一方、その事業事業として維持をしていくということができなければ、また運賃自体の規制というものも意味がないわけでございます。そこで私どもは、この種の事業につきましては、その事業運賃によりまして一般の利用者の便益が阻害されることのないように、またこれが利用にたえるだけの比較的低い価格で押えられるようにというような各般の基準に従いまして、これを審査しておるということでございます。これが大きなところだから、あるいは弱小なところであるからというようなことではないと思います。特に、たとえば私鉄運賃につきましても、比較的中小の私鉄につきましては、わりあいに早くといいますか、スムーズに運賃改定が行なわれておるようでございますが、大手私鉄運賃等につきましては、これは非常に一般の国民生活に対する影響も大きいし、また物価に対する影響も大きいというようなところで、政治的な配慮というようなこともあって、現在いろいろと検討をいたしておるわけでございます。  運賃に対する基本的な態度は、先ほど申しましたように、一貫して当該事業の維持を行ないつつ、これによって公衆に便益を与える、公衆の利便な交通機関を与えるというところにある、このように考えております。
  114. 内藤良平

    内藤委員 そうすると、やはり佐藤総理の言っている公共料金を上げないということと、あなたのほうの直接の運輸省考え方と、たいへんな違いがあるわけなんです。それでこの行政を一貫してやっていけるわけですか。受ける住民の側においては非常に矛盾を感ずるわけでしょうね。だから一般的な常識では、佐藤総理最高責任者がそう言った場合には、いまのあなたのお話を取り上げてみて、会社内容検討されて、運賃値上げをしない方法でその事業の遂行というものを考えるべきだということが考えられるわけだ。それが佐藤総理の言明からいうならば筋じゃないでしょうか。運輸行政の場合に、そういうのはどういうぐあいにおやりになっておるのですか。
  115. 山口真弘

    山口説明員 総理大臣の言明を公共料金は一切ストップするというようには私ども実は承っておりませんけれども、ただ問題は、こういう事業がございましたときに、その事業が維持できないような事態に立ち至った場合に、一体どうしてその事業が提供するサービスを国民のために確保しなければならないかという点になりますと、結局は、たとえば国がこれに対して金を与える、補助金を与えるというようなやり方が一つあろうかと思います。しかし、国が金を与えるということは、いわば一般の税金でもって助成するということであるわけでございますが、そういったことがいいか悪いかという問題それから利用者が直接これを負担するというような利用者負担の考え方というものがあろうかと思います。運賃といえども、これは運送サービスの対価でございますから、したがって、そういう対価としては利用者が負担すべきだという考え方もあろうかと思います。私鉄につきましては、これは私企業でございますから、私企業については、原則として、やはりその事業が自分でこれを維持するということで、国がこれに対して税金でもって助成するということは、やはり本筋ではないのじゃないかというように考えまして、当該事業の提供するサービスの対価として、運賃という形で受益者負担をしていただくというのが基本的には正しい事態じゃないかと思います。
  116. 内藤良平

    内藤委員 ちょっと食い違いがあるんだね。最高責任者の佐藤さんがそうおっしゃったら、公共料金を上げないでその企業がよいサービスを提供できるようにすることが、運輸行政の今日の焦点であるのじゃないですか。そういうものを第一義にして運輸省でいろいろ許認可しておられ事業指導していかれる、そのために財政的な措置をする。税金だけじゃありません。金を貸す、そういう方法もあるでしょう。あるいは企業的にあまり乱立するならば、それらをどういうぐあいに統合するかというようなこともあるでしょう。そういうことを積極的にやられておるのかどうか。それは今回の私鉄だけでなく、全国にいろいろあるわけですね。そういう問題を十二分にやられたその上で運賃問題ということになるなら、総理の発言と運輸当局のいまの進め方とにあまり差はないような感じがする。いままでのお話ではだいぶ開きがあって、ある意味では佐藤総理の言うことを無視して運輸行政を進めるということは、これは何ですか、官吏の服務規律にも反するようなことになるんじゃないですか。そういう方は峻厳に措置をしなくてはならぬというふうにわれわれ議員として考えるのですが、そういうぐあいに真剣に考えておるのかどうか。あなたの発言を聞きますと、そういう感じが全然ないわけです。
  117. 山口真弘

    山口説明員 私鉄に対する助成でもって運賃の改定を見送ることができるかどうかという問題でございますが、現在私ども私鉄に対する助成として実施をしておりますことはいろいろございます。たとえば先ほどお話がございました資金の面におきまして、これは開発銀行等から融資を受けまして、そしてその融資につきましても、一般の金利よりも低利な融資ということを、特に輸送力増強、運転保安に対する特定の工事につきましてはこれを受けまして、そうして国民の便益あるいは交通安全の確保というものに使っておるというようなことをいたしておるわけでございます。  さらに税法上の措置といたしまして、その種の特定の工事に対しましては一種の法人税の軽減措置というものを考えております。特定の工事につきましては、特別償却の制度を通しまして法人税の軽減を行なう、それからまた、立体交差施設その他運転保安施設等に対しまして、あるいは新線建設等の工事につきまして、これに対する固定資産税の免除をし、あるいはこれに対する減税を行なっておるわけでございます。こういうやり方でもって、私鉄に対しましても、できるだけ私鉄が公共の便益を確保できるような措置を国としては講じておるわけでございますが、直接私鉄の赤字に対しまして国が税金をもってその穴埋めをするということは、現段階では考えてないわけでございます。その点は利用者負担ということでやっていくのが筋ではないだろうかと考えております。総理がおっしゃっている趣旨というのも、公共料金は絶対上げないということではないのではないかというように私ども考えております。
  118. 内藤良平

    内藤委員 総理とあなたたらのやっていることとの食い違い、あるいは上の方の言うことを拳々服膺しないでやるということ、これほどひどいことはないと思うのですが、これはこの場で何だかんだ言っても、大臣もいないし、しようがないのだけれどもだだ、ここで赤字の場合はいろいろめんどうを見ていますね。直接税金はくれないけれども、バスなんかの過疎地帯の事業をやっている場合には、助成金を出すようにしていますね。あるいはあなたのお話のようにいろいろ施策を続けて事業が成り立つようにしている。そうすると、やはり一つの基準に赤字というものがあるわけだ。今度の場合は、関連産業というぐあいに発言があったけれども、全体としては黒字の会社もあるわけでしょう。そういうところをどう扱うか。私はまた別の例を申し上げると、国鉄はいま赤字で、運賃を上げてもどうにもしようがなくて、関連産業をいろいろ暗中模索しておるわけだ。そこにある道をさがそうとしておる。民鉄はその点は自由で、関連産業で相当の収益をあげておる。だけれども、関連産業といっても、これはやはり鉄道事業なり交通事業に関連している事業です。そこで、黒字の場合ですね、その場合にも上げるのですか。赤字の場合には、いろいろ事業を育成して、なお足らぬ場合には運賃にしわ寄せがくる。しかし、黒字の場合に上げるということは、そうなるとおかしいということになるわけだ。そこいら辺はどういうふうに答弁になるのですか。
  119. 山口真弘

    山口説明員 この点は、先ほど申し上げました公聴会においても非常に意見が出たところでございます。そこで、私鉄十四社は鉄道事業では非常に大きな赤字を出しておりますが、兼業、特に不動産事業で黒字を計上いたしまして、この黒字で赤字を埋め、配当をしておるということがまず実態でございます。それに対しまして、鉄道事業として事業が成り立っていくということでなければ、その鉄道事業の設備投資なり運転保安工事というものはできないのじゃないか。企業として当然赤字のところにさらに設備投資をしろということを私企業に求めるのは無理ではないかというような考え方が非常に強く述べられました。また一方、それに対しまして、黒字のほうの不動産業の利益というもので赤字の鉄道部門を埋めていけばいいじゃないかという考え方も実は述べられたところでございます。そういったような点を考慮いたしまして、運輸審議会といたしましては、これに対する適切な結論をお出しになる、私どもそういう意味で運輸審議会の結論をお待ちしておるということであります。
  120. 内藤良平

    内藤委員 はっきり黒字の場合は上げないんだということは言えないのですか、佐藤総理の御発言からずっときてですね。
  121. 山口真弘

    山口説明員 鉄道事業の黒字の会社につきましては、運賃値上げをする理由は少しもございません。しかしながら、鉄道事業が非常に赤字であって、他の事業でこれをカバーしておる場合に、上げなくてもいいではないかということにつきましては、先ほど申しましたような議論がございます。非常に問題が実はあるところではないかと思うのでございまして、これによるところの設備投資のおくれあるいは運転保安の弱化というようなものと、運賃値上げというような問題とのバランスといいますか、そういうようなものの考え方をどう考えたらいいかということに帰着するのではないかというふうに考えております。
  122. 内藤良平

    内藤委員 どうもおかしいですね。たとえば運輸行政の中で、先般タクシーの料金改定の場合には、労働条件の問題で上げないところもあったのですよ。一律に上げないのです。個々の内容を調べて、特に労働問題でまずいところは押えたでしょう。今度の場合は、それよりももっともっと余裕があるといいますか、運賃を上げる、料金を上げるという問題に、佐藤総理の言明から追っていった場合には、もっと真剣に考えてもいいわけだ。その場合に、鉄道事業だけの赤字、黒字というものの判断よりも、もっときびしく、あるいは範囲を広げていくべきではないかと思う。あなたのお話を聞いておりますと、上げざるを得ないような、きわめて企業側といいますか、住民側ではなくて、総理大臣の発言ではなく、何か上げざるを得ないような印象の答弁を受けるわけだ。もうすでに運輸行政の中でも、個々のケース・バイ・ケースで、しかも労働条件の問題をとらえて、上げる上げないをやっているわけだ。だから、関連事業の黒字だ、直接事業の赤字なんだ、その範囲内では甘いんじゃないですか。総理の発言から見ても、もっともっとがっしりしなければならぬのじゃないですかね。
  123. 山口真弘

    山口説明員 労働条件等の問題につきましては、まずこれは私鉄の労働者のベースアップというようなものを当然考慮に入れてあるわけでございまして、そういう条件のもとに立って、鉄道事業が黒字であるか赤字であるかということをまず議論をいたしているわけでございます。  そこで、鉄道事業が赤字になったという場合に、それでは不動産事業等で黒字になった場合に、それは鉄道事業を埋められるから上げなくてもいいかどうかということが、議論のポイントであろうかと思います。  そこで、それに対しては、先ほど申しましたような御意見もあり、それからさらに、鉄道事業に対する投資不足というものがそれによって生ずるということがあるであろう。そうすれば、運賃の値上げをしないということは、短期的にはなるほど利用者にとっては非常にいいかもしれないが、長期的には輸送力の不足、運転保安の弱化ということによって、利用者にとって非常に悪い影響も生ずるのではないかという意見も、また一方に非常にあるわけでございまして、そういう点をやはり考えあわせて運輸審議会は結論を出される、このように私ども期待をしております。
  124. 内藤良平

    内藤委員 どうも運輸審議会にかぶせるけれども、やはり総理の発言もあるんだし……。まあ、多額の投資をする場合、運賃だけでそれをやらないで、たとえば財政投融資で低利の長期の金を出すとか、いろいろ政府としての施策があるでしょう。運輸省としてもそれを提言ができるわけでしょう。大将が上げないと言っておるのだもの、やはりそれに沿うような措置をしなければならぬわけでしょう。だから、そういう運輸省の方針というものがはっきり出ていて、そこで運輸審議会のほうもなるほどなと思って審議をされると思うのだ。どうも運輸審議会を待っている待っているというだけでは、今日の物価問題あるいはこの運賃その他の問題、これから考えると、どうも運輸省の腰がすわっていないような感じが強いのですね。大臣来ればまたなおいいのですけれども、しかし、あなたは直接のあれだからね。もっとがっしりして、総理の発言を受けて、住民の期待にこたえて、他の方策でその企業を健全ならしめる、安全を保持する、こういうことに積極果敢に取り組んで、そうして運賃問題というものが今日の焦点にならぬような状態にするのが、当面する運輸の皆さんの目標じゃないかと思うのです。何かちょっとずれているような感じがしてならぬわけですが、それはいかがですか。
  125. 山口真弘

    山口説明員 運賃改定というのは、やはり利用者に直接の負担を生ずるわけでございますから、これをできるだけ行なわないことが望ましいということは、もう当然でございまして、私どもそのように考えております。しかしながら、先ほど申しましたように、それをやらない場合に、一体どうなるのかということも考えなければいけないわけでございまして、それをやらない場合に、たとえば低利、長期の融資を確保するということも一つの手であろうと思いますが、これについては、私ども先ほど申しましたような手で現在着々といたしております。いたしておりまして、開発銀行等から特別の融資を受け、特別の低利の金でもって設備投資をいたしておるわけでございます。そういったようなことをいたしまして、さらに税法上の措置によりまして若干の軽減もしておる。しかしながら、それにもかかわらず、やはり運賃改定をしなければ鉄道輸送力増強、運転保安の確保ということがなかなかできないのではないかというのが問題のポイントでございまして、そのときに一体どうしたらよいのかということを私ども実は真剣に考えておるわけでございます。この点は、運輸審議会にもその両面の御意見が非常にいま出たところでございます。私どもそういった意見を踏まえて今後処理をしていかなければならぬのではないか、このように考えております。
  126. 内藤良平

    内藤委員 終わりますけれども、やはり関連産業を含めて配当もあり、黒字の会社の場合は、これを押えるとか、何か一つの基準がなければ、申請があればどんどん上げてしまう、佐藤総理の言っておることが御破算になってしまう、こういうことでは、政治として国民の信頼を得ていけないんじゃないでしょうか。また実際の担当省として、運輸省としてもやすきにつくといいますか、努力すべきことを努力しないで、運賃値上げだけに、簡単なほうに行政をしわ寄せさしておる、こういうぐあいになるんじゃないでしょうかね。だからその点、きょうは最高責任者がおらなくて残念だけれども、いまぼくの聞いたような関連産業の黒字のものは、これは上げさせないのだ、どうしても関連産業を含めて赤字の場合は、企業を健全ならしめるために、これは考慮せざるを得ないけれども、関連産業を含めて黒字の場合は、これを押えるのだ、こういうことについての発言はできませんか。
  127. 山口真弘

    山口説明員 これは先ほど来から申し上げましたように、鉄道事業の赤字というものを関連産業で埋めていくということは、実際の会社の経理のやり方といたしましては、そういうことをいたして現在配当をいたしておるわけでございます。しかしながら、そういうやり方でもって運賃改定というものを押えることがいいかどうかということにつきましては、これまたおのずから別問題であろうかと思うわけでございまして、その意味におきまして、鉄道投資というものが非常にできなくなる、あるいは鉄道保安工事というものができなくなるということによって、旅客の便益の確保ができない、あるいはサービスの低下が起こる、あるいは運転保安が弱化するというようなことは、また非常に大きな問題であろうかと私ども思うわけでございまして、そういったような面も考慮してこの問題は検討してまいらなければならぬのではないか、このように考えます。
  128. 内藤良平

    内藤委員 終わりますが、やはり佐藤総理の発言なり住民の期待にこたえるような運輸行政をがっちりやっていただきたいと希望を申し上げて、終わります。
  129. 福井勇

    福井委員長 次に田中昭二君。
  130. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 きょうは時間もあまりありませんから、ずっとしぼりましてお聞きしたいと思います。  まず、先ほどからいろいろ聞いておりまして、わが国の交通問題もたいへん問題の多い状況になっておりますが、その中でも、都市交通のいろいろな問題が中心になっておるかと思います。  そこで、各鉄道事業者、私鉄関係事業者も、いまの運賃値上げ等も関連しまして、先ほど局長お話にありましたように、輸送力の増強、それから運転保安を確保するために、運賃問題も関連しておるのでございますが、この輸送力増強と運転保安ということは大事なことであると思います。特にその中でも、運転保安工事が大事ではなかろうか。ところが、この運転保安工事がたいへんおろそかになって、いわゆる計画と実績が伴っていないというようなことを聞くのでございますが、現状としてどういうふうになっておりますか、簡単に説明願いたいと思います。
  131. 山口真弘

    山口説明員 大手私鉄十四社の関係について申し上げますと、実は大手私鉄十四社は、戦後三十年ころまでは、戦災の復旧等に非常に追われまして、積極的な輸送力増強というようなところまでには至らなかったわけでございますが、三十六年ころから、どうしてもこれは輸送力増強、運転保安というものを強化しなければならないということで、第一次輸送力増強計画というものを樹立いたしまして、その時点から画期的な輸送力増強、運転保安工事の強化をいたしてまいったのでございます。そのときの計画は三カ年間でございますが、三十六年から三十八年度までの三カ年間で、計画千二百六十六億円、実績千二百七十億円でございます。大体計画どおり達成をいたしたわけでございますが、その中におきまして、運転保安工事が百七十億円程度でございます。したがいまして、一五%程度でございます。  それに引き続きまして、三十九年度から四十一年度にかけての三カ年間に、再びさらにこれを上回る輸送力増強工事をしなければいけないということで、千六百億ばかりの計画で、実績としては千四百五十億程度の実績になりました、第二次の運転保安、輸送力増強工事実施いたしました。このときは、先ほどの運転保安工事といたしましては、二百二十六億円程度の達成をいたしたのでございます。  そうして四十二年からは、さらに従来の輸送力増強、運転保安工事を上回る工事をやりまして、私鉄の輸送力を抜本的に増強しなければ、今日の都市生活に対処することが困難であるということになりまして、第三次の輸送力増強計画を樹立いたしまして、それが現在実施中でございます。  その計画におきましては、総計四千八百八十七億円、したがいまして、年額約千億円台でございます。第一次の五カ年計画が年額約二百億円強でございますし、第二次の五カ年計画が三百億円強でございますが、今回の五カ年計画におきましては、千億円に近いものの計画をやっておるわけでございます。その中におきましても、踏切保安あるいは運転保安というものにつきましては、千三百億円程度の非常に重視した考え方輸送力増強計画を推進しておるということでございます。
  132. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 いまの局長の御説明は、新聞等によりまして大体私も知っておるわけでございますが、その中で、結局運転保安工事の具体的な計画どおりにやっておるかどうかということを具体的に見ていきますと、なかなかおかしな結果になっておる。実際の、たとえば私鉄のあります陸運局に行きまして、大体五カ年計画にのっとってこういう計画が出ておるのだが、それに対して保安工事がこのように計画があるのがどういうふうになっておるのか、こういうように聞きましても、全然そういうことに対して説明もできないというようなことがありますから、私はこういうことを言ったわけでございますが、運転保安工事の不備について、実際関係運輸省としまして具体的にどういうようなことをやったか、一例でございますが、その事例があれば、簡単に説明していただきたいと思います。
  133. 山口真弘

    山口説明員 運転保安工事は、大きく分けまして、まず第一番に鉄道自体の安全といいますか、それを確保するための工事というのが一つございまして、それはたとえば列車と列車とが衝突をしないために列車自動停止装置であるとか、あるいは閉塞その他の工事、信号の工事を行なうとか、そういう工事、あるいは軌道を強化するとか、あるいは橋梁等を強化する、そういうふうな工事、車両を鋼体化するというような工事、こういうような種類の工事一つございます。  それからいま一つは、列車と道路交通との関係を中心とした踏切保安というような観点の工事でございまして、これは踏切の設備を向上をする、たとえば第三種踏切にするとか、第一種踏切にするとか、踏切の設備を向上するというようなこと。それから立体交差、これは立体交差によって踏切事故自体をなくしてしまうというような工事を行なうことがその内容でございます。  各般につきまして非常に膨大な資料をとっておりまして指導しておりますが、具体的な御質問がございましたら御説明申し上げます。
  134. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 そういうことで、実際運輸省のほうから地方の陸運局等にいろいろな通達も出ると思いますが、本省の行なった業務監査並びに地方陸運局が行なった業務監査等について、私のほうから資料を求めても提出しない。私のほうから具体的に申し上げますが、私は福岡であります。福岡県にいわゆる独占的な色彩の強い西日本鉄道というのがございます。この西鉄の輸送力増強等の五カ年計画を私ども緻密に見てみました。それで、いまの立体化の問題でございますが、運転保安工事の中に、その立体化の問題が出ておる。運輸当局は、この踏切保安工事計画等について行政指導並びに監督が消極的である。何もやってないというようなことを聞きますが、こういうことはないと思いますが、そういうことにつきまして当局の責任あるお考えをお聞きしたい。
  135. 山口真弘

    山口説明員 まず第一点の、現地の陸運局等が実情を十分に把握していないために、先生の御質問等に対しまして十分にお答えができなかったというようなことがあったようでございまして、これはまことに申しわけないと思います。今後は十分に現地の陸運局を指導いたしまして、そのようなことのないようにつとめてまいりたいと思います。  それから第二の問題でございますが、西日本鉄道でございますが、これは先生御存じのとおり、大牟田線、宮地嶽線その他軌道線があるわけであります。特に大牟田線は非常に高速鉄道でございますので、スピードも早いし、輸送力も大きいということでございますので、これに対してはやはり重点的に保安工事というものをやっていかなければならぬというように考えております。立体交差工事といたしましては、久留米地区の立体交差工事、これは西鉄線と国道三号線、それから国道二百九号が通っておりまして、非常に有名な踏切でございまして、危険も多いし、また交通の災害というようなものも非常に多い有名な踏切でございましたが、こういったようなものの立体化というものも先般行なったわけでございます。なお、現在は大牟田線の平尾−大橋間を連続立体化、高架化するべく、いまいろいろと検討をいたしておる。なお、これは都市計画決定になっておりまして、都市計画事業として行なわれるという内容でございまして、現在それに対する設計あるいは調査等につきまして、協議をいたしておる段階でございます。
  136. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 局長に申し上げておきますけれども、現地の陸運局が説明しなかったということじゃないのです。基本的に運輸行政について本省のほうではっきりしたことを言わないから、陸運局のほうも言えないのです。そういうことを申し添えておきます。  それで、久留米の高架ができましたことは、たいへん便利になったわけでございますが、これは完成しておりますし、よかったことだと思いますが、いまのお話になりました大牟田線の高架でございますが、この高架については、具体的に内容に入りたいと思いますが、その前に、私は西鉄大牟田線というものを考えてみた場合に、運転保安工事としてそれを監督する官庁が、そういうところを先にさせて、ほんとうは保安工事の上から見れば一番初めにやらなければならない踏切をやらない。現地ではたいへん困った。その踏切があって、そこはもう日本一じゃなかろうかといわれるような路面電車と高速鉄道が道路の上を横切っているわけです。これはだれが見てみても、大牟田線の保安工事考えるならば、高架等を考えるならば、一番初めにやらなければならないというようなところなんですが、そういう認識を運輸省あたりもないんじゃないですか。運輸省あたり本省としてどうですか。
  137. 山口真弘

    山口説明員 この鉄道の立体交差でございますが、これは先生指摘のとおり、鉄道の保安の向上ということからも、また道路混雑の緩和という点からも、あるいは都市の有効価値、合理的な利用という点からも、非常に望ましいことでございまして、したがいまして、国といたしましては、昭和三十六年に踏切道改良促進法という法律をつくりまして、立体交差化の促進というものをいたしておるわけでございます。また経費が非常によけいかかりますために、その経費の負担というようなものにつきましても、これは合理的にすることによって促進しなければならぬということで、昨年でございましたか、運輸省と建設省といろいろ相談をいたしまして、そして合理的な経費の負担をする、立体交差化に関する経費の負担並びにその仕事のしかたというものをきめてまいって、立体交差を推進をしておるということでございます。具体的にどこの踏切を高架にするか、あるいはどこの区間を高架にするかということにつきましては、現地の鉄道事業者並びに都市計画関係事業者の方々というものが十分相談をして、これをやっていくということになるわけでございますが、私どもといたしましては、こういったものは最重点にやはりやるべきものだというふうに考えて、指導いたしておるつもりでございます。
  138. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 指導してくださいよ、現実に指導していないんだから。  もう少し申し上げておきます。平尾−大橋間というのは、県道とか市道とか大きな道路が横切っているところは一つもないのです。いまの薬院の踏切といいますが、福岡から次の駅なんですけれども、そういうところはだれが見ても一番あぶないところなんです。日本にはこんなところはないだろうと役人がみな言うようなところですが、そういうところをいま局長さんがおっしゃった、運輸当局として立体化を進める場合に、都市計画法等によっていろいろやってもらう、それはそれなりにやってもらうから、私のほうはただ技術的な問題をチェックするんだ、そういう立場では、私は、運輸省が運転保安を云々して運賃値上げ等についてもそういうことを言うことはおかしいと思うのです。  そういう点をつけ加えまして、時間がございませんから、次に建設省のほうにお尋ねしますが、この立体化につきまして、昨年ですか、都市における道路と鉄道との連続立体交差化に関する協定というようなものをつくってあるようでございますが、これの基本的な考え方を簡単に説明を願いたいと思います。
  139. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 昨年の秋でございますが、御指摘の新しい協定が締結されたわけでございますが、それの基本的な考え方を申し上げますと、鉄道と道路の交差問題につきましては、過去非常に各地域ごとにおきまして、鉄道側、道路側と申しますか、都市側と申しますかの間におきまして、いろいろトラブルがあったわけでございます。大きく申し上げますと、結局費用負担の問題に尽きるわけでございます。御案内のとおり、鉄道事業財政上の問題という点、それから都市側の道路交通のふくそうに伴いまして、そういう事業の緊急性が非常にふえてまいって、事業を積極的にやらなければならない。しかし、都市側におきましても、地方公共団体におきましていろいろ財政上の問題ことに市町村関係等におきましてそういう点がございまして、この費用負担方式をどうしたらいいかということが一番大きな問題になっておる。いろいろ両者相寄り、前向きで検討いたしました結果、やはりこの事業におきまして受ける利益というものをどこに求めるかという基本的な考え方に立ちまして、次に道路側におきましてこの費用を負担する場合におきます公共団体、県、市町村間の負担関係合理化というような点につきまして、新しい考え方を出しまして、協定を締結したようなわけでございます。これによりまして当該事業が今後大いに促進されていくというふうに私どもは期待をいたしておる次第でございます。
  140. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 この鉄道高架事業についての大部分の費用を国及び県、公共団体が負担するというその費用負担の割合というのは、どのような根拠になっておりますか。
  141. 吉兼三郎

    ○吉兼説明員 鉄道側につきましては、国鉄の場合と私鉄の場合に分けて申し上げなければならぬと思いますが、国鉄との関係におきましては、在来、こういうものにつきましては、線増改良関係は当然これは鉄道側が全額持つわけでございますが、在来線の立体交差の関係は、その費用につきましては道路と鉄道で切半負担というルールであったわけでございます。それを今回の協定におきましては、鉄道側の受益の範囲内という考え方に立ちまして、これも受益といいましても、いろいろその場所場所によりまして計算上の問題もあろうかと思いますので、一〇%という一つの定率的な考え方を採用いたしております。したがいまして、残りの九〇%は道路側が持つ。私鉄の場合におきましては、これは従来とも受益方式でまいっておりましたので、大きな変化はございませんが、若干国鉄側との調整もございまして、七%という鉄道側の負担、したがいまして、残りは道路側ということに相なったわけでございます。それから今度は、道路側の負担は、この事業につきましては県事業としてやるというふうな考え方をとったわけでございます。交差いたします道路の種別、国道、県道、市町村道、いろいろ分かれておりますが、それにかかわらず県事業としてこれを実施する。それに対して私どものほうから道路事業としての助成は考えてまいっておるわけでございます。  ごく大まかに申し上げまして、そういうふうな状況になっております。
  142. 田中昭二

    ○田中(昭)委員 結論的に、費用負担は、国鉄の場合には受益者負担ということで一割を見てもらう、私鉄の場合には七%を見てもらう、こういうことですね。その七%の試算が私は問題だと思うのです。たいした変更はないといまあなたはおっしゃるけれども、これは時間がありませんからひとつあとで調べて御報告願いたいと思いますが、七%の積算並びに国鉄に対しての一割という積算、これは変更がないということは、いままでの受益者負担の中でそういうものが出ておるということだと思いますから、その内容をひとつお出しいただきたい。  それから、そういうふうにこの申し合わせによりまして統一的に私鉄の場合には七%という受益者負担を出させるということは、かえって問題を起こしやすいのじゃないか。また、そういうきめ方をする国の姿勢といいますか、態度といいますか、これにもまた問題があるのじゃなかろうか、私はこういうふうに思うわけです。一つの例としまして、私のほうから申し上げますが、高架線ができた場合に、地域住民の人は、たいへんりっぱに設備ができた——その設備の九三%は国、県、公共団体等の出資によってなされておる。そうしますと、その資産を受け継ぐところの私鉄企業は、七%しか出していないのに、九三%もの公共の金によってその資産を取得する。こういうことは、言いかえれば、住民は自分が払った税金で私企業に膨大な資産を提供し、そうしてその提供されたものが完成すると、りっぱになったということで運賃値上げということにひっかかってくる。そうすると、住民は自分の税金で独占大企業に——たとえばその工事が百億といたしますと、百億の工事のうちの九十三億は自分たちの税金でつくってあげて、そうしてりっぱになったということで、あと七%出しておる私鉄の企業の運賃値上げをさらに受けなければならぬ。自分たちの税金でつくったものによって、そのできたものの反対給付として運賃を上げられていくということを考えてみますと、この申し合わせ事項をつくる場合に、先ほど言いました政府姿勢というものを考えてみますと、たとえば連続高架とした場合の、その高架下の利用の問題についても、全部が私企業の自由な意思によって貸し付けていく、高い料金をとって貸し付けていく、そういうことをいままでやっておったというようなことがこれに書いてある。ところが、百億もの金の中に九十三億も国が出しておるのだから、その一割くらいは公共的に使わしてください、こういう取りきめになっておる。こういうことを住民が納得するのだろうか。そういう取りきめによって、いわゆる運輸省は何か私鉄企業の味方みたいな考え方——先ほどから話を聞いておりますと、私そういう感じを受けるのです。それに、まして国はまたそういう公共的な意味が含まれておるということで、膨大な金を突っ込んで、そして私鉄企業にもうけさせるというような行き方は、この申し合わせの中の一つの高架下の利用の取りきめについてもはっきりする、こういうように思いますから、この問題については、私は今後さらに少しお話し合いをしていきたい。  福岡市の場合、こういうことを地域住民に知らしたならば、どういう反響が起こるだろうか。これで一体いいのか。先ほど言いましたように、自分が納めた税金で設備をつくってあげる、そのあげくは運賃を上げられる、こんなばかげたことがあるか、こういう返事が返ってくるのではなかろうか、こういうように思います。運輸省としましても、先ほど申し上げましたように、現地に行っていろいろ聞いてみると、いろんな話を聞きます。大体現地の陸運局というのは、西鉄なんかの場合は、西鉄の使用人なのか、小使なのか。また、工事について黒い霧のうわさもいろいろ聞きます。そういうようなことでは、私は行政というものがかえって住民を苦しめておるというような感じも抱くわけです。これがうわさであればそれでけっこうでありますが、西日本鉄道あたりの重役にいたしましても、陸運局というのは自分たちの小使みたいなものだ、そんなことがうわさされることを聞きますと、私たちは、ほんとうに国民のための行政が間違った方向で住民にはね返ってくるということを心配するわけであります。  以上申し上げて、私の質問を終わります。
  143. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  144. 田代文久

    ○田代委員 時間がないそうですから、簡潔に質問します。  先ほど運輸省当局は、私鉄運賃の値上げ問題について、鉄道部門が赤字である、ところが、その部門を、同じ私鉄会社がやっておる、関連した黒字を出しておるところからこれを補って、そしてその赤字を押えるというようなことは疑問だ、こういう答弁をされておる。したがって、結論から申しますと、現在私鉄大手を先頭に運賃の値上げを申請し、またこれをやろうとしておることに対して、裏からそれは賛成だといわぬばかりの答弁で、われわれとしましては、このように物価がどんどん上がっている中でそういう答弁をされることは、はなはだ疑問であるし、おかしいと考えざるを得ないわけなんです。というのは、この私鉄という企業がやっている企業が単に鉄道部門だけではなくて、非常に膨大な、タコの足のように手を広げているわけですね。ところが、そのように関連した産業なり企業が発展してきているというのは、そもそも鉄道部門における益金がそういう黒字を出す産業に回ってきているのであって、そういう関連事業との関係で、赤字問題がもしあるならばこれは当然解決しなければならぬ。私はこれは原則であろうと思うのですよ。したがって、そういう関連産業との関係で統一的にこの運賃の値上げというような問題は決定しなければならないということが原則でなくては、私はこの問題は考えられない。ところが、すでに政府答弁はそうではないというような方向を出しておられるということは、率直に言って、政府はすでに私鉄の立場に立っている。国民立場に立っておらないということを証明するものになるわけですよ。ですから、一方において、今度の春闘の中で労賃の問題が解決した当時、佐藤首相が、私鉄の運賃値上げの問題については簡単にやってはいかぬ、いわばこれは値上げすべきではないというような方向を出されたにもかかわらず、依然としてそういう報告をされていることは、先ほど同僚社会党議員の質問されているところによっても明らかでありますが、その基本的な姿勢を明らかにしていただきたい。なぜかというと、先ほど私鉄が出しておる値上げの理由の説明がありました。しかし、これは関連企業との関係においてはその理由としては全然出ておらない。公聴会を開いたということ、またこの審議会にかけて、そうして結論を出すとおっしゃっておりますけれども、公聴会自体が非常に片寄った公聴会になっておると言わざるを得ないし、事実私どもは値上げする必要もないし、また値上げすべきではないということは、政府がしばしば——公共お金なりそういう物価によって国民が新しい貧困の中で苦しめられておるという中で、政府が筋を通さなければならないにもかかわらず、現実的にはそれが進められておる。一例をいま申し上げますと、昨年の三月までの過去十カ年間に、大手私鉄十四社の鉄道部門の固定資産の総額というのは、約九百十二億円から二千九百八十二億円に増加しております。その増加率というのは約三・二六倍というふうにふくれておるわけですね。ところが、これに対する傍系あるいは他企業の投資額というのは、この十年間に約三百億から約一千九百五十四億、実に六・四九倍までに増加しておるのですね。このことによっても、どのようにホテル経営とかあるいはレジャーランドとかあるいは宅地の分譲とか、こういう傍系産業に対して膨大な投資が行なわれ、そこがねらわれておるかということですね。そこがどんどん黒字を上げておる。ところが、鉄道部門においては赤字だ。赤字だからとにかく上げてください。そうして、もうかればまたそっちにつぎ込む。結局、負担というのは全部国民にかかってくるし、利用者にかかってくるし、これは物価上昇の元凶になることは明らかであります。今度幾らか上げられるという見通しの中で、それは物価にはね返るのはわずか〇・一五くらいとかなんとかというような説明がされておるようですけれども、そういうことではこれは国民に対するごまかしであって、そういう点から数字の魔術によって国民を欺瞞すべきではないとわれわれは考えます。たとえば一例として、西武鉄道だけで見ましても、ことしの三月の決算では七億五千万円の利益を計上しておる。九月の決算では四割増収で十億五千万円の利益を見込まれておるわけですね。こういうふうに全体としては非常に上げながら、赤字だ、赤字だ、だから上げてもらたいい、こういうのが私鉄の意図でしょう。ですから、こういうことに対して、ほんとうに全体の国民立場に立つ政府当局としては、そういうことをはっきり見抜いて、また政府が公約しておるように、そういう値上げはすべきでないという点で押えるべきであるし、そこで、一つ結論的に質問しますが、そういう関連産業との関係においてこの値上げ問題を処置するのかどうか、単なる鉄道部門だけから見て、赤字だからこれはやむを得ないというふうな結論を出すのか、政府当局の腹をはっきり御答弁願いたい、このように思います。
  145. 山口真弘

    山口説明員 お答え申し上げます。  まず第一に、今回の大手十四社の私鉄経理の内容でございますが、これはただいま先生からも御指摘がございましたが、鉄道事業では非常な赤字でございまして関連事業、特に不動産事業でございますが、不動産事業を中心とする兼業で利益を上げ、これによって配当をしておるという実態につきましては、そのとおりでございます。  それから第二に、先生からございました公聴会の運営が不当ではないかという問題につきましては、運輸審議会のほうでおやりになったことでございますが、これは官報に公示をいたしまして、その官報の公示したところによりまして、一般からの公述人、賛成の方もございますし、反対の方もございますが、そういう一般からの公述人を募集いたしたわけでございまして、そうしてその公述人がたしか反対者九人あったと思いますが、その九人の中で七人をお選びしたわけです。そして賛成者の方もございましたから、賛成者の方も同数の七人の方の公述を承ったというように私ども聞いておるわけでございまして、公聴会の運営が不当であったというようには私ども考えてないわけでございます。  そこで、その次は、先ほど物価に対する値上がり率何%あるいは家計に対する値上がり率何%というのは数字のマジックではないかという御議論でございましたが、この点は、私ども今後運輸審議会の結論を聞いた上で十分に審査をいたすわけでございますが、ただこれは、従来からこの種の価格がどのような位置づけを持つかということに対しましては、たとえば物価の中におきまする交通費のウェートあるいは私鉄運賃のウェートというようなものを考えて、そうしてそれがどれだけ上がればどれだけのパーセントの値上がりになるかという計算を機械的に実はいたしておるわけでございまして、あるいは家計に対する関係も同様でございまして、家計に対するウェートづけをいたしまして、そのウェートづけにあるところの運賃というものの値上がりが何%になるかということを機械的に計算をするということでございまして、私どもそういうやり方が——これは主として企画庁がやっておるやり方でございますが、そういうやり方が数字のマジックであるとかなんとかいう問題ではないのじゃないか、このように思います。  それから、一番根本的な御質問でございまする兼業に対するものの考え方でございますが、これは先ほど、私、政府の意見ということじゃなくて、公聴会で出ました大きな意見として二つの流れがあるというふうに申し上げました。一つは、ただいま先生の御指摘のございましたような御意見に非常に近い御意見でございまして、鉄道事業の赤を兼業の黒でもって埋めればいいのだという御意見でございます。それからいま一つの御意見は、そうではないので、やはり鉄道事業としてある程度収支採算が成り立っていくということでなければ、その鉄道事業に対する投資を事業者がやるわけがないし、また銀行その他においても、そのような赤の部門に対する投資をやるということも現在の態勢のもとでは考えられないことであるから、したがって、鉄道の部門における輸送力を増強し、さらに先ほどお話もございましたような運転保安を確保するというためには、どうしても鉄道に対する投資を増強していかなければならない、そのためには鉄道自体を著しい赤のままで放置するということは不適当である、これは事業者のためではなくして、国民立場に立って放置することが不適当であるというような感覚の御意見があったわけでございまして、そういう意味から、むしろ運賃の改定をすることが国民にとって利益であるという御意見があったわけでございます。そういう点で、私ども、運輸審議会がこういった公聴会の御意見というものをどのように把握をされるかということで、運輸審議会の御意見を待っておるというのが現在の実情でございます。
  146. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんから、この問題についての質問は打ち切りますけれども、運賃の改定、値上げが国民に利益なのかというのは、いまそういう説明なりそういう意見を持っている人があると言いますけれども、これは全く国民なり利用者の立場を無視した立場で、これは政府当局、佐藤内閣当局としても、もしこういうことで運賃の値上げは国民の利益になるのだ、だからこれは認めたのだということになったら、これは事実たいへんなことですよ。またこれはたいへんなことにしなければならないと思うのです。いずれにしましても、この問題は単なる私鉄運賃の単純な問題ではなくて、全物価に関する基本的な問題ですから、結論を早々に出すというようなことはされずに、ほんとうに慎重にやって、私どもとしては、これは値上げすべきではないという意見なんですけれども、やってもらいたい。  それから、これは委員長にお願いしたいのですけれども、これは非常に問題になっていることでありますから、各私鉄会社の実情調査をやるとか、あるいは現地調査をやるとか、またできれば小委員会などを設けて、単に公聴会などだけにまかせるのではなくして、われわれの責任においてはっきりさせて、政府が間違った意見を持っていれば、それは訂正させるという立場でやっていけるような形にしていただきたいということを要望しておきます。  私鉄関係はこれで質問を終わりますが、次に、ハイヤー、タクシーの問題で質問を簡単にいたします。  一つは、タクシー運賃の値上げのときに、乗車拒否というような問題が現実に起きているとか、あるいは交通事故が多いというような問題を解決させるためにも、タクシーの運賃の値上げはやむを得ないのじゃないかというような形で閣議決定にもなった。そのときに、私どもは、そういう問題点を解決するためには、基本的には運転手諸君、そういう労働者の生活条件を保障するという立場が満たされなければ、乗車拒否はけしからぬと言ったって問題は解決しない。だから、少なくとも値上げ分の中の何%ぐらい待遇改善に回すのかということを問題にして、東京あたりではその値上げ分の半分は待遇改善に回すというふうになったと聞いております。ですから、そういう値上げ後における実情、それが全部集計できておらなくても、大体値上げ分の何%ぐらいが待遇改善に回されておるかという実例をまず御説明願いたいと思います。
  147. 福井勇

    福井委員長 ちょっと申し上げますが、質問者御自身がしばしば時間がないからと言って心配しておられますから、答弁も簡潔に願います。
  148. 野村一彦

    ○野村説明員 お答え申し上げます。  運賃の値上げを行ないます場合に、その中には人件費のアップがある程度含まれておることは事実でございます。しかし、運賃は各地区によりましてそれぞれ違いますので、各地区地区の原価計算に応じましてある程度のパーセンテージが入っておりまして、全国一律に幾らということではございませんが、少なくともアップ率の相当の部分が人件費であるということはいえると思います。
  149. 田代文久

    ○田代委員 数カ月たっていますが、具体的に大体どこが——全国とは言いません。東京は東京、北九州は北九州、アップについて、大体どのくらい待遇改善に回っているかという一、二の例は、あなたのほうでいまありませんか。
  150. 野村一彦

    ○野村説明員 お答えいたします。  北九州につきましては、目下運賃の申請が出ておりますけれども、まだ値上げをしておりません。
  151. 田代文久

    ○田代委員 福岡はどうですか。
  152. 野村一彦

    ○野村説明員 福岡市もやっておりません。したがいまして、まだ……。
  153. 田代文久

    ○田代委員 福岡市は運賃値上げをやっておりませんか。私はやっているということを聞いておりますが……。
  154. 野村一彦

    ○野村説明員 失礼いたしました。北九州市はやっておりませんが、福岡市はやっております。ただ、人件費ベースアップの率につきましては、労使間の話がついておるところと、まだついていないところとございますので、最終的には数字はわかっておりません。
  155. 田代文久

    ○田代委員 そこで、運賃を値上げするという問題で、いま福岡や北九州の例でお話がありましたが、そういう問題でかえって紛争が激化しているのです。これはつかんでおられませんか。おそらくつかんでおられると思いますけれども、申し上げますけれども、たとえば北九州のハイタク業者などは、運賃が値上げになっても、労働者のほうには一文も回さぬ、福岡のほうも大体そいうことを業者協定をやって、もし運転手諸君に回すようなことをやる業者があるならば、罰金を取るんだという協定を結んで、最高三百万円ぐらい罰金を取る、そういう業者間における非常に悪質な意思統一をして、たとえ値上げをやっても、それをもし労働者のほうに回すようなことをやれば、協定破りだからといって制裁を加える。こういう不当なことをやっておるわけです。しかも実際には、その運賃値上げを見越して、春闘で労働者が賃金引き上げを要求いたしましたが、まだ解決されていない。解決されていないというのは、かりに何%かは値上げを認めても、それはさっき言ったように業者は認めない。認めないだけでなくして、これとの関係において、いままで水揚げが九万円ぐらいまで——労働者の人は足切りといっておりますけれども、それから上に出れば歩合をふやすというのを、その足切りの最低限を十一万円にすることによって、実際においては賃金がダウンしている。これは計算している例からいいましても、たとえば水揚げが十一方円になる場合においては、マイナス八千五百八十六円ほど実際の賃金がダウンするというのです。こういうことになりますと、当然こういう賃金問題の解決はあり得ないのです。ですから、私がいま質問を結論的に申し上げますと……
  156. 福井勇

    福井委員長 田代君、恐縮ですが、二時から小委員会をやりますので、簡潔に願います。
  157. 田代文久

    ○田代委員 あと三分。この協定、いわゆる十一月の値上げ問題についての閣議決定ですね、業者がこういうことをやっているのは、明らかにこれに違反していると思います。その違反をはっきり政府は認めて、そして強力な指導をされるかどうか。あるいはまた業者がそういう協定を業者問で結んで、一部の業者がある程度賃金アップを認めた。ところが、その業者協定によって、おまえたちは認めるのはけしからぬということで圧力をかけて、ほんのささやかですけれども、せっかく幾らか運輸労働者の賃上げを認めておるのに、取り消すというような事態が起きておる。これは明らかに独禁法にも違反しているのではないかと思います。  そういう閣議決定の違反あるいは独禁法にも違反しているじゃないかという問題、それから、それとの関係で北九州がまだ値上げを認められておらないというのですが、もしこういう態度で業者が対処するならば、これは値上げを認めるべきじゃない。あらゆる場合に値上げ絶対反対と私どもは申しませんけれども、そういうように事実閣議決定や独禁法にも違反するような疑いのある処置を業者が結束して協定を結んで、そして労働者についてはむしろ賃下げになるような結果を来たすということになるならば、そういう業者の値上げは絶対に認めるべきでないし、紛争が解決するまでは少なくとも値上げは認めないという指導をやってもらいたいし、かりに認める場合は、そういう不当な業者は認めないという形での、指定方式による承認を与えるという処置をとるべきじゃないかと思います。現在北九州の業者は、たとえば暴力団を介入させるとか、あるいは基準法に違反するということを平気でどんどんやって、何を政府は言うか、おれたちのほうが力が強いんだ、こういうふうに言わんばかりの態度で臨んでおるように見えます。ですから、そういう点についてははっきり調査していただいて、いま私が申し上げましたように、処置をとっていただきたいということを質問し、また皆さん方当局のお考えを聞かしていただいて、私の質問を終わります。
  158. 野村一彦

    ○野村説明員 簡単にお答えいたします。  まず、事業者団体におきまして、そういうベースアップには応じられないという申し合わせをしたというような御指摘でございましたが、これは実は、私どもも福岡陸運局長に直接問い合わせまして、福岡陸運局長はタクシー協会の会長を呼んで、もしそういうことであるならば、これは社団法人たる性格に違反し、労働法規にも違反するからといって、厳重に警告を発しましたところ、そういうようなことはございません、もし末端でそういうことがあれば、それは誤解であるから、自分から厳重にそういうことのないように末端にさらに徹底をはかりますということを言っております。それは福岡市の例であります。  それから、北九州市におきましては、これは事業者との間の交渉は行なわれておりまして、事業者のほうは、現在申請をしている運賃の改定が認められるならば、もちろん応分のベースアップというものは考えておるということを現に申しております。そういうことで、交渉の道は開けておると考えておりますが、双方に誤解があってはいけませんので、さらに私のほうも現地の陸運局によく事情を説明して、そういう点について遺憾のないように処置をしたいと思っております。
  159. 福井勇

    福井委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後二時十二分散会