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1970-05-12 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月十二日(火曜日)    午前十時五十分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       菅波  茂君    長谷川 峻君       井野 正揮君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    田中 昭二君       宮井 泰良君    渡辺 武三君       田代 文久君    關谷 勝利君  出席政府委員         運輸大臣官房審         議官      内村 信行君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         高等海難審判庁         長官      藤原 重三君  委員外出席者         運輸省航空局監         理部監督課長  山元伊佐久君         運輸省航空局技         術部長     金井  洋君         労働省労働基準         局監督課長   大坪健一郎君         日本国有鉄道常         務理事     原岡 幸吉君         運輸委員会調査         室長      鎌瀬 正己君     ————————————— 本日の会議に付した案件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件  港湾に関する件  海上保安に関する件  請 願   一 地下鉄事業国庫補助率引上げに関する     請願地崎宇三郎君外三名紹介)(第一六     三号)   二 東京湾のしゆんせつ促進に関する請願     (石井桂紹介)(第二二六号)   三 自動車排出ガス有害成分除去装置取付     け義務化に関する請願久保三郎紹介)     (第二五六号)   四 同(福井勇紹介)(第三三七号)   五 同(松本忠助紹介)(第三八三号)   六 気象業務整備拡充等に関する請願(田     代文久紹介)(第四八九号)   七 同(宮井泰良紹介)(第五七二号)   八 同(井野正揮君紹介)(第五八二号)   九 同(金丸徳重紹介)(第五八三号)  一〇 同(斉藤正男紹介)(第五八四号)  一一 同(内藤良平紹介)(第五八五号)  一二 同(米田東吾紹介)(第五八六号)  一三 自動車排出ガス有害成分除去装置取付     け義務化に関する請願受田新吉紹介)     (第四九〇号)  一四 気象業務整備拡充等に関する請願(久     保三郎君紹介)(第七二八号)  一五 同(和田春生紹介)(第八六九号)  一六 同(田中昭二紹介)(第九四九号)  一七 同(松本忠助紹介)(第九五〇号)  一八 海難の絶滅に関する請願和田春生君紹     介)(第八六八号)  一九 気象業務整備拡充等に関する請願(渡     辺武三紹介)(第一〇六六号)  二〇 東海道新幹線に倉見駅設置に関する請願     (小金義照紹介)(第一二五九号)  二一 海上交通法制定等に関する請願外一件     (西村榮一紹介)(第一八一二号)  二二 同外一件(和田春生紹介)(第一八六〇     号)  二三 気象業務整備拡充等に関する請願(鬼     木勝利紹介)(第一九四七号)  二四 同外五十四件(渡部一郎紹介)(第一九     四八号)  二五 同(川俣健二郎紹介)(第二〇一六号)  二六 同(川村継義紹介)(第二〇一七号)  二七 同(田代文久紹介)(第二〇一八号)  二八 同(東中光雄紹介)(第二〇一九号)  二九 同(安井吉典紹介)(第二〇二〇号)  三〇 同(相沢武彦紹介)(第二〇四六号)  三一 同(新井彬之君紹介)(第二〇四七号)  三二 同(有島重武君紹介)(第二〇四八号)  三三 同(伊藤惣助丸君紹介)(第二〇四九号)  三四 同(小川新一郎紹介)(第二〇五〇号)  三五 同(大久保直彦紹介)(第二〇五一号)  三六 同(近江巳記夫紹介)(第二〇五二号)  三七 同(沖本泰幸紹介)(第二〇五三号)  三八 同(北側義一紹介)(第二〇五四号)  三九 同(小濱新次紹介)(第二〇五五号)  四〇 同(古寺宏紹介)(第二〇五六号)  四一 同(斎藤実紹介)(第二〇五七号)  四二 同(坂井弘一紹介)(第二〇五八号)  四三 同(鈴切康雄紹介)(第二〇五九号)  四四 同(多田時子紹介)(第二〇六〇号)  四五 同(鶴岡洋紹介)(第二〇六一号)  四六 同(鳥居一雄紹介)(第二〇六二号)  四七 同(中川嘉美紹介)(第二〇六三号)  四八 同(西中清紹介)(第二〇六四号)  四九 同(林孝矩紹介)(第二〇六五号)  五〇 同(樋上新一紹介)(第二〇六六号)  五一 同(伏木和雄紹介)(第二〇六七号)  五二 同(二見伸明紹介)(第二〇六八号)  五三 同(正木良明紹介)(第二〇六九号)  五四 同(松尾正吉紹介)(第二〇七〇号)  五五 同(松本忠助紹介)(第二〇七一号)  五六 同(丸山勇紹介)(第二〇七二号)  五七 同(和田一郎紹介)(第二〇七三号)  五八 同(渡部通子紹介)(第二〇七四号)  五九 同(合沢栄紹介)(第二一八六号)  六〇 同(高田富之紹介)(第二一八七号)  六一 同(田代文久紹介)(第二二八三号)  六二 同(内海清紹介)(第二三五〇号)  六三 同(石橋政嗣君紹介)(第二三五一号)  六四 同(林百郎君紹介)(第二四七四号)  六五 地下鉄八号線建設促進に関する請願(伊     藤惣助丸君紹介)(第二四七五号)  六六 同(松本忠助紹介)(第二四七六号)  六七 海上交通法制定等に関する請願外十二件     (和田春生紹介)(第三〇九五号)  六八 同外七件(和田春生紹介)(第三二四三     号)  六九 同外二百十二件(和田春生紹介)(第三     八七五号)  七〇 タクシー業務適正化臨時措置法案反対等     に関する請願田代文久紹介)(第四二     八六号)  七一 鹿児島県の国鉄赤字ローカル線存続に関     する請願宇田國榮紹介)(第四四一二     号)  七二 新鹿児島空港日本航空東南アジア定     期航空路線等導入に関する請願宇田國     榮君紹介)(第四四一三号)  七三 信越本線新潟長岡間小駅の無人化等の     計画に関する請願小沢辰男紹介)(第     四五五一号)  七四 東急地下鉄新玉川線駒沢設置に関する     請願池田正之輔君紹介)(第四七四九     号)  七五 同(關谷勝利紹介)(第四九三〇号)  七六 同(天野光晴紹介)(第五一六一号)  七七 同(早稻田柳右エ門紹介)(第五一六二     号)  七八 同(小沢一郎紹介)(第五一六三号)  七九 同(大坪保雄紹介)(第五一六四号)  八〇 同(金子一平紹介)(第五一六五号)  八一 同(草野一郎平紹介)(第五一六六号)  八二 同(佐々木義武紹介)(第五一六七号)  八三 同(始関伊平紹介)(第五一六八号)  八四 同外一件(竹下登紹介)(第五一六九     号)  八五 同(羽田孜紹介)(第五一七〇号)  八六 同(福田一紹介)(第五一七一号)  八七 同(古井喜實紹介)(第五一七二号)  八八 同(吉田重延紹介)(第五一七三号)  八九 東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する     請願外一件(赤城宗徳紹介)(第四九三     一号)  九〇 同(稻村利幸紹介)(第四九三二号)  九一 同外一件(登坂重次郎紹介)(第四九三     三号)  九二 同外一件(中山利生紹介)(第四九三四     号)  九三 同外一件(野中英二紹介)(第四九三五     号)  九四 同外二件(葉梨信行紹介)(第四九三六     号)  九五 同(三ツ林弥太郎紹介)(第四九三七     号)  九六 同外一件(森下國雄紹介)(第四九三八     号)  九七 同外五件(北澤直吉紹介)(第五一七六     号)  九八 同外三件(丹羽喬四郎紹介)(第五一七     七号)  九九 同外一件(福永健司紹介)(第五一七八     号) 一〇〇 東急地下鉄新玉川線駒沢設置に関する     請願菅波茂紹介)(第五四二〇号) 一〇一 同外一件(塩谷一夫紹介)(第五四二一     号) 一〇二 同(足立篤郎紹介)(第五八〇四号) 一〇三 同(櫻内義雄紹介)(第五八〇五号) 一〇四 同(永田亮一紹介)(第五八〇六号) 一〇五 東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する     請願渡辺美智雄紹介)(第五四二二     号) 一〇六 同外一件(二見伸明紹介)(第五五八五     号) 一〇七 同外三件(山口敏夫紹介)(第五五八六     号) 一〇八 国鉄田沢湖線神代駅の貨物取扱い存続に     関する請願川俣健二郎紹介)(第五五     八四号) 一〇九 日本国有鉄道経営合理化対策の実施に     関する請願井出一太郎紹介)(第五九     二三号) 一一〇 同(小川平二紹介)(第五九二四号) 一一一 同(唐沢俊二郎紹介)(第五九二五号) 一一二 同(倉石忠雄紹介)(第五九二六号) 一一三 同(小坂善太郎紹介)(第五九二七号) 一一四 同(下平正一紹介)(第五九二八号) 一一五 同(中澤茂一紹介)(第五九二九号) 一一六 同(羽田孜紹介)(第五九三〇号) 一一七 同(林百郎君紹介)(第五九三一号) 一一八 同(原茂紹介)(第五九三二号) 一一九 同(増田甲子七君紹介)(第五九三三号) 一二〇 同(松平忠久紹介)(第五九三四号) 一二一 同(向山一人紹介)(第五九三五号) 一二二 北回り新幹線建設促進に関する請願     (井出一太郎紹介)(第五九三六号) 一二三 同(小川平二紹介)(第五九三七号) 一二四 同(唐沢俊二郎紹介)(第五九三八号) 一二五 同(倉石忠雄紹介)(第五九三九号) 一二六 同(小坂善太郎紹介)(第五九四〇号) 一二七 同(下平正一紹介)(第五九四一号) 一二八 同(中澤茂一紹介)(第五九四二号) 一二九 同(羽田孜紹介)(第五九四三号) 一三〇 同(原茂紹介)(第五九四四号) 一三一 同(増田甲子七君紹介)(第五九四五号) 一三二 同(松平忠久紹介)(第五九四六号) 一三三 同(向山一人紹介)(第五九四七号) 一三四 過疎地域におけるバス運行確保等に関     する請願井出一太郎紹介)(第五九四     八号) 一三五 同(小川平二紹介)(第五九四九号) 一三六 同(唐沢俊二郎紹介)(第五九五〇号) 一三七 同(倉石忠雄紹介)(第五九五一号) 一三八 同(小坂善太郎紹介)(第五九五二号) 一三九 同(下平正一紹介)(第五九五三号) 一四〇 同(中澤茂一紹介)(第五九五四号) 一四一 同(羽田孜紹介)(第五九五五号) 一四二 同(原茂紹介)(第五九五六号) 一四三 同(増田甲子七君紹介)(第五九五七号) 一四四 同(松平忠久紹介)(第五九五八号) 一四五 同(向山一人紹介)(第五九五九号) 一四六 東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する     請願久保三郎紹介)(第六一六九号) 一四七 東急地下鉄新玉川線駒沢設置に関する     請願白浜仁吉君外一名紹介)(第六四五     二号) 一四八 同(高見三郎紹介)(第六四五三号) 一四九 同(大野市郎紹介)(第六七〇六号) 一五〇 同(宇都宮徳馬紹介)(第六八四〇号) 一五一 同(遠藤三郎紹介)(第六八四一号) 一五二 同(岡崎英城紹介)(第七〇一一号) 一五三 同(菅野和太郎紹介)(第七〇一二号) 一五四 同(金丸信紹介)(第七〇一三号) 一五五 同(鯨岡兵輔紹介)(第七〇一四号) 一五六 同(佐々木秀世紹介)(第七〇一五号) 一五七 同(佐藤守良紹介)(第七〇一六号) 一五八 同(澁谷直藏紹介)(第七〇一七号) 一五九 同(田中龍夫紹介)(第七〇一八号) 一六〇 同(田中六助紹介)(第七〇一九号) 一六一 同(中垣國男紹介)(第七〇二〇号) 一六二 同(中山正暉紹介)(第七〇二一号) 一六三 同(南條徳男紹介)(第七〇二二号) 一六四 同(早川崇紹介)(第七〇二三号) 一六五 同(松野頼三君紹介)(第七〇二四号) 一六六 同(武藤嘉文紹介)(第七〇二五号) 一六七 同(村山達雄紹介)(第七〇二六号) 一六八 同(毛利松平紹介)(第七〇二七号) 一六九 同(山手滿男紹介)(第七〇二八号) 一七〇 東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する     請願葉梨信行紹介)(第六七〇七号) 一七一 東急地下鉄新玉川線駒沢設置に関する     請願伊能繁次郎紹介)(第七四四二     号) 一七二 同(石井一紹介)(第七四四三号) 一七三 同(小川半次紹介)(第七四四四号) 一七四 同(大平正芳紹介)(第七四四五号) 一七五 同(岡崎英城紹介)(第七四四六号) 一七六 同(亀岡高夫君紹介)(第七四四七号) 一七七 同(菊池義郎紹介)(第七四四八号) 一七八 同(久野忠治紹介)(第七四四九号) 一七九 同(小宮山重四郎紹介)(第七四五〇     号) 一八〇 同(斉藤滋与史君紹介)(第七四五一号) 一八一 同(塩崎潤紹介)(第七四五二号) 一八二 同(進藤一馬紹介)(第七四五三号) 一八三 同(砂原格紹介)(第七四五四号) 一八四 同(瀬戸山三男紹介)(第七四五五号) 一八五 同(田中伊三次紹介)(第七四五六号) 一八六 同(田中榮一紹介)(第七四五七号) 一八七 同(高橋清一郎紹介)(第七四五八号) 一八八 同(千葉三郎紹介)(第七四五九号) 一八九 同(坪川信三紹介)(第七四六〇号)一九〇 同(床次徳二紹介)(第七四六一号) 一九一 同(中村寅太紹介)(第七四六二号) 一九二 同(永山忠則紹介)(第七四六三号) 一九三 同(丹羽久章紹介)(第七四六四号) 一九四 同(野呂恭一紹介)(第七四六五号) 一九五 同(長谷川峻紹介)(第七四六六号) 一九六 同(原健三郎紹介)(第七四六七号) 一九七 同(福井勇紹介)(第七四六八号) 一九八 同(福永健司紹介)(第七四六九号) 一九九 同(古川丈吉紹介)(第七四七〇号) 二〇〇 同(古屋亨紹介)(第七四七一号) 二〇一 同(増田甲子七君紹介)(第七四七二号) 二〇二 同(松山千惠子紹介)(第七四七三号) 二〇三 同(三池信紹介)(第七四七四号) 二〇四 同(三木武夫紹介)(第七四七五号) 二〇五 同(箕輪登紹介)(第七四七六号) 二〇六 同(森喜朗紹介)(第七四七七号) 二〇七 同(山田久就君紹介)(第七四七八号) 二〇八 同(渡辺肇紹介)(第七四七九号) 二〇九 同(地崎宇三郎紹介)(第七六六四号) 二一〇 同(八田貞義紹介)(第七六六五号) 二一一 同(前田正男紹介)(第七六六六号) 二一二 東京外郭環状線等鉄道建設促進に関する     請願小宮山重四郎紹介)(第七四八〇     号) 二一三 身体障害者国鉄運賃割引に関する請願     (森山欽司紹介)(第七四八一号) 二一四 総野線国鉄予定線編入に関する請願     (丹羽喬四郎紹介)(第七四八二号) 二一五 信南交通株式会社路線バス事業の一部休     止等許可に関する請願伊能繁次郎君紹     介)(第七四八三号) 二一六 東北新幹線鉄道の始発駅に関する請願     (松本忠助紹介)(第七四八四号) 二一七 気象業務整備拡充等に関する請願(大     出俊君紹介)(第七六六三号)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  これより請願審査に入ります。  本委員会に付託されました請願は全部で二百十七件でございます。  本日の請願日程第一から第二一七の請願を一括して議題といたします。  まず、請願審査の方法についておはかりいたします。  請願の内容については、文書表で御承知のことでもありますし、また先ほどの理事会におきましても御検討願いましたので、この際、各請願について、紹介議員からの説明聴取等は省略し、直ちに採決したいと存じますが、御異議ありませんか。
  3. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  これより採決いたします。  本日の理事会において協議いたしましたとおり、本日の請願日程中、第一ないし第一七、第一九ないし第六九、第七一ないし第七三、第八九ないし第九九、第一〇五ないし第一四六、第一七〇、第二一二、第二一四ないし第二一七の各請願は、いずれも採択の上内閣に送付すべきものと決し、請願日程中第七〇の請願は議決を要しないものと決するに御異議ありませんか。
  4. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  残余の各請願はも採否の決定を保留いたしますので、御了承願います。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各請願に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  5. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————報告書は附録に掲載〕     —————————————
  6. 福井勇

    福井委員長 なお、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり、国鉄日光線の文挾、下野大沢両駅の無人馴化反対に関する陳情書外二十二件であります、この際、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  7. 福井勇

    福井委員長 次に、陸運海運航空日本国有鉄道経営港湾及び海上保安に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。金丸徳重君。
  8. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、国鉄経営関係にしぼって二、三のお尋ねをいたしておきたいと思います。  国鉄当局は、先般、経営合理化をねらいまして、各種の地方的整備案あるいは合理化案もしくは縮小案を発表されて、各地で交渉中のように承っております。この案を受けまして、地方ではたいへん物議をかもしておる点もありまして、将来に向かってたいへん心配をいたしておる面もありますものですから、これに関連いたしまして、当局の将来の見通しなどにも関連いたしまして、方針を承っておきたいと思います。実は国鉄総裁においでいただいて政治的立場からのお考えも承っておきたいのでございますが、いま総裁はお差しつかえがあってお留守のようでありますから、総裁が出席する前に、事務当局のほうでお答え願える分だけを進めておきたいと思いますので、ひとつさよう御了承の上で、お答えを願いたいと思います。  実は、全国的に起きた今回の措置につきましては、全国的視野において問題をしぼりながら、洗いながら進めたいのであります。残念ながら、私は全国的にその知識を持っておりません。ただ中央東線に関する限りは、私が山梨県出身であるという立場からいたしまして、毎日のように利用いたしております。特に最近の中央東線状況などにつきましては、関心を深くいたして状況を見守っておるのでありますから、それに焦点をしぼりまして問題をきわめてまいりたいと思うのであります。といいますのは、全国的の問題の焦点といいますか、縮図として中央東線がはたしていいかどうか、私にもよくわからない。ただ、中央東線首都圏の間を主として走っておるということが一つ、もう一つには、山に向かって走っておるということであります。いま日本交通運輸状況からいたしまして、海運なり航空なりにも大きな焦点が当てられなければならないときになっておりますし、そういう方面で国策も進められておるのでありますが、それと同時に、過疎対策山間地対策も進められなければ、ほんとう国土の平均的、並行的開発ができないことも明らかである。したがって、ちょうど過疎対策地帯に向かって中央東線が走っておるものですから、そういう意味におきまして、たまたま首都圏培養線のようでもあるところの中央東線、同時にまた、国土平均的開発という大きな使命をも持つべき中央東線動きというものは、日本運輸交通状況縮図の少なくとも一面と見ていいのではないか、こう思うのです。そこで、この中央東線旅客あるいは物資輸送状況の最近の趨向を見きわめることは、またたまたま今後における国鉄運営上見通しをつける一材料、むしろ重要材料にもなろう、こう思うのであります。きのうもそれにつきまして資料の御用意をお願いいたしておったのでありますが、最近十年間くらいにおける中央東線における旅客状況動き貨物、貨車の増減状況利用状況などを、大体の数でいいですからお示し願いたいのであります。
  9. 原岡幸吉

    原岡説明員 先生の最後のお話の、最近の十年間の旅客貨物輸送移動状況流動状況、これをいまここですぐ説明しろ、こういうことでございますが、実はその点承っていなかったものですから、ごく二、三年の非常に特徴的なものだけを用意してまいったわけでございます。それでよろしゅうございますでしょうか。
  10. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 それでいいのですが、それはぜひ数字的にこまかく承りたい。しかし、十年この方くらいの大体の趨向というものは見ておられると思いますから、数字でなくても傾向として承りたい。
  11. 原岡幸吉

    原岡説明員 正確な数字はここに持ち合わせないのでございますけれども、旅客につきましても貨物につきましても、中央東線につきましては、大体一般的な感じといたしまして、国鉄輸送力が非常に足りない、少ない、こういう状況でございますので、旅客貨物需要そのもの国鉄輸送実績として十分反映しておるというかっこうにはなっていないということでございます。たとえば四十三年、四十四年、四十五年というものを旅客なり貨物なりについて見ますと、まず貨物につきましては、はっきりと輸送力が足りないために、輸送力の供給できた範囲においてしか輸送実績があがっていない、こういう状況。それから旅客につきましても、潤沢な輸送力がない、ある程度伸びておりますけれども、一般的な伸びに大体肩を並べるといいますか、あるいは一般的な伸びより少し少ないという程度の状況。そして結論的には、輸送力をつけた結果しか輸送実績伸びていない、こういう趨勢になっているように私は承知いたしております。
  12. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 輸送力が足りないので、お客があってもこれを受け入れることができないから、ほんとうの経済、産業に合うような数字国鉄利用状況の中にあらわれてこない、こういうことのようであります。それは輸送力を増してもらわなければならぬと思うのですが、東線のほうはここ両三年来非常に複線化が進んでまいりまして、ほとんど完成いたしております。その輸送力の足りない原因はどこにあるのですか。
  13. 原岡幸吉

    原岡説明員 輸送力の足りない原因は、基本的には線路容量の問題あるいは車の問題でございますけれども、これを逐次整備しているわけでございまして、いまの施設をよりよく使うためにいろいろなくふうをしていかなければならない、こういうふうに考えているわけでございます。
  14. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 その見通しはどういうことになりますか。もうあれは電化も早く進み、それから複線化も進み、トンネルの中の状況もよその線とほとんど変わらないくらいにりっぱになっております。ただ、これから問題として取り上げなければなりませんのは、その支線ともいうべき富士身延線でありますとか、あるいは中央西線にも関連があるのですけれども、飯田線、そういうところはまだ十分の整備ができておりません。単線の部分が多いものですから、したがって、線路の整備がおくれているということはよくわかるのですけれども、少なくとも中央東線、本線については、線路の整備がいまだしのゆえに輸送力が足りないということはあり得ないと思うのです。もう一ぺんお答えを願いたいことと、いつごろ利用者にこたえるだけの十分の整備が、たとえば貨車が足りないということであれば貨車を入れてもらえるのか、客車が足りないということであれば客車を入れてもらえるのか、その見通しを承りたい。
  15. 原岡幸吉

    原岡説明員 御指摘のように、甲府までは完全に複線、電化ができまして、基本的な輸送力は十分整備されております。この基本的な輸送力整備の上で、なお能率的に輸送力をつけるような方策を同時に考えながらやっていかなければいけない、かように考えております。したがって、貨車が足りないから輸送力がないんだとか、機関車がないから輸送力がないんだとか、この場所に限って特にそういう問題があるということではございません。
  16. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 全体として整備していかなければならないことはよくわかる。しからば、その整備ができたころになりますと、どういう収支の状況なり何なりが変化としてあらわれてくるか、どういうお見通しでありますか。
  17. 原岡幸吉

    原岡説明員 はっきりした計数を私ここで申し上げるわけにいかないので、やはり全体的な想定になろうかと思いますけれども、現在中央線につきましては、全国的な伸びと同じような伸びをしておる。それで、輸送需要のほうはもっと強いのじゃなかろうかということを先ほど来申し上げたわけでございますので、その輸送需要に十分こたえるようにすることによって、収支の状態もだんだんよくなっていく、このように考えております。
  18. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 問題は、国鉄は合理化計画によりまして駅を縮小したり、もしくは廃止したりするということも具体的にお示しになっておるのです。それの原因は、経営状況が悪い、あるいは端的に言いますと、赤字が出ておるので、赤字対策ということでもあるように思うのです。十分に働けるだけの条件があるのにかかわらず、お客が少ないから経営が悪いのだということであると、合理化ということも考えられる。その合理化という名において、利用者側に不便を来たす場合も考えられるかもしれませんけれども、お客はある、貨物はあるのにかかわらず、国鉄の整備状況がおくれておるがゆえに、その需要に応じかねておって、赤字が出ておるから、経営がうまくいかないから駅を廃止する、あるいは単純化するということは、ちょっと受け取れないのですが、いかがですか。
  19. 原岡幸吉

    原岡説明員 先生御指摘のとおり、お客がないから、赤字だから駅を廃止する、こういうお話でございましたけれども、必ずしもそういうことだけを目的としたものではございません。なるほど合理化のためのいろいろな施策はございます。しかし、基本的な考え方といたしましては、現代的な輸送サービスを確保向上させていく、こういう基本的な考え方になっておるわけでございます。したがいまして、現時点においてあるいは将来の見通しとして、比較的お客さんの少ないところ、あるいは荷物の少ないところ、こういうものをできるだけ省力統合いたしまして、重点的に輸送の質を整備向上して、全体的な利用を高めていく、すなわち、質的にも量的にも現代的な輸送サービスを整備していくための現在の合理化といいますか、体制の再検討といいますか、そういう意味合いでございまして、単純にお客が減ってきた、あるいは少ない、だからやめたらいい、このような考えは全く持っておりません。むしろ積極的に、現代的な運輸のサービスを整備、充実、向上していく、こういう観点に立った考え方でございます。
  20. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そういう考え方に立っておらなければならないと思いましたから、そこで、冒頭、それについては相当なる数字的根拠、統計的基礎をもって判断されておるのじゃないかと思ったからお尋ねしたのです。それについては、具体的にいままでお答えがないのです。おそらくそれだけの数字をお持ちにならなかったと思うのですが、これは私としては残念千万。最近十年間ということをお尋ねいたしたのは、この十年間高度成長政策に伴いまして、わが国の経済、産業は大きく流動いたしております。あるところは過疎対象になり、あるところは過密対象として問題になっておるのです。ちょうどその接点にあるような中央東線、あれについては、いままでの傾向を見ながら将来の見通しを立てて、この数字に立って、この統計の上でいくならば、これからこういうことになるであろう、そこでこの駅は縮小しようとか、この駅は廃止しようとかいうことであるならばまだしも、それに対しての見通しなり数字的根拠をお示しにならないで、いま提示されているものは、ある種の見通しをもってやったと言われても、ただことばの上だけでしか受け取れない。どうなんですか、ここで数字をお示しになる必要があろうと思うのですが……。
  21. 山口真弘

    山口(真)政府委員 中央東線の問題に対しまして、先ほど国鉄側からいろいろお答え申し上げましたが、この線の性格等いろいろ考えてみますと、先ほど先生のおっしゃいましたように、これが首都圏の中にある鉄道であり、その意味では、首都圏鉄道の性格として、人口の集中等もありますし、貨物の移動も活発だというような問題もつございます。それからさらに、先生御指摘の山に向かっての線であり、その意味では、過疎対策なり山間地対策というような面からの取り上げ方というものもあるわけでございます。さらに先生から直接御指摘はなかったかと思うのでございますが、中央東線の性格は、東京都と山梨あるいは南信地方を結ぶ幹線的な性格というものを持っておりまして、そうしてこの幹線的な性格というものは、最近の奥地の開発といいますか、沿線の開発が非常に進むにつれまして、さらにこれが大きな意味を持ってきておるということが言えるのじゃないかと思います。  それで、中央東線輸送力の逼迫の状態というものは、この第一並びに第三の性格、すなわち、首都圏的な性格と、それから幹線的な性格というものが非常に強くなってまいっております。そういう意味で、中央東線輸送力の逼迫というものが激しくなる。そこで、これに対する線路増設その他の措置というものを相当にとりまして、この輸送力の逼迫に対処してまいったということじゃないかと思います。  そこで問題は、まん中に入っておりまするところの過疎的な性格といいますか、地方の小さい駅等における輸送状況ということでございますが、これが実は、こういう地域の輸送状況というものは必ずしも伸びていない。数字をただいま国鉄の手もとに持ってないそうでございますが、全般的に申しまして、必ずしも伸びていない。しかも、その地域におきますところの道路の発達というものも相当あるということでございますと、従来は鉄道だけが唯一の交通機関でございましたから、そういうすべての地方的交通というものを鉄道だけがまかなわなければならぬということでございましたが、道路になりますと、そういったものは道路でもまかなえる性格のものが相当出てきたということも否定できないだろうと思います。  そこで、いま申しましたような性格から考えまして、全体としての輸送状況というものにマッチをするというためには、やはり全体的の輸送力の推移とも見合わせながら、たとえば拠点的な集中というものによりまして、そうしてそれが鉄道の大量輸送というものにマッチした姿の輸送というものをやっていく。そのために、営業の近代性ということを国鉄としてはやっていかなければならぬ、こういう実情であろうかと思います。具体的な数字につきましては、ちょっとここのところの数字が手もとにございませんで、申しわけございませんが、基本的にはいまのようなことであろうかと思います。
  22. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これは数字をもっていろいろ検討していきませんと、どうも押し問答みたいになってしまうので、それで実は数字がほしかったのです。しかし、いまお示しにならぬものですから、それをやっていますと、時間がかかりますから……。ただ、私が全国的な問題としての今回の国鉄合理化案に対して中央東線を取り上げて、一応これに焦点を当ててみようと思いましたのは、先ほども申しましたような特殊的な地帯を走るからということもあるが、もう一つ加えまして、いま御指摘の中にもありましたように、道路の整備というようなものも、かなり国鉄に対する需要の変動を来たしておるのじゃないか、私はそう思います。  そこで、ちょうどあそこの地帯には並行して、一部ではありますけれども、例の中央高速道、有料道路が一昨年の秋ですか開通して、もう一年余り、やがて二年になるほどの経験を持っている。そして、それに伴う地方道の整備も着々と進みつつある。ただ、そうした道路の整備状況があるにもかかわらず、なお中央東線の鉄道輸送に対して期待するところがますます多くなっているのは、あの地帯が、道路交通状況の整備に伴って急激に産業経済の発達が著しくなっている、こういうことなんです。東京都の中心地帯から工場、事業場がどんどんあちらのほうに疎開といいますか、分散しております。それからベッドタウンといったような意味における人口の移動も、ここ一両年来急激に進みつつある。中央東線沿線に対して住宅地としての開発が進んできているものですから、そういう意味において、ここ両三年の数字というものをきわめて重要視しなければならない。と同時に、国鉄当局といたしましては、道路の輸送状況もあわせながら、今後における国鉄に対する需要の傾向を見きわめておきませんと、経営上の合理化計画というものは出てこないはずだと私には思える。それをただ、いままでの数字なり十年来この方がこうであるからというだけでやられたのでは困るのではないかと思うものですから、そういうものに対して、どういう資料をどうお使いになって今度の判断と相なったのか、そういうことを承りたかったのです。数字がないからどうもということであれば困るのです。抽象的でもよろしいからお答えが願いたい。どうでしょうか、二人のうちどちらでもよろしい。
  23. 原岡幸吉

    原岡説明員 十年来の数字を持ち合わせなかったのは、まことに申しわけなく思っております。これはまた別途の機会に御説明させていただきたいと思いますが、中央道の開設に伴ってここ二、三年どんな動き数字的になっているかという点につきましては、実は把握してまいっているわけでありますけれども、これも全体的な把握ではなしに、あるスポットを当てた把握でありますが、河口湖の中央道の開通が四十四年三月十六日、こういう点をあれいたしまして、これは逐年、四十三年の三月上旬から四十四年の三月上旬、四十五年の三月上旬、こういう時点で対前年どういうふうに動いているか、この数字を見ますと、四十三年の三月上旬を一〇〇といたしまして、四十四年の三月の上旬は一三五、数字で申し上げますと九百三十八人、それから四十五年の三月の上旬は、対前年でいいますと、四十四年の三月に対して一〇五で、九百八十八人、こういう数字になっております。これを今度下旬について見ますと、似たような感じでございますけれども、四十三年の三月の下旬を一〇〇として、四十四年の三月の下旬が一三八、四十五年の三月の下旬が一〇四、このようになっております。それから一番人出の多いゴールデンウィーク、この時期をとってみますと、大月駅の富士急の乗りかえ人員でございますが、これが一つのスポットになろうと思いますが、一日平均で見ますと、四十三年の四月二十六日から五月五日、このゴールデンウィークでございますが、これが二千三百九十人、四十四年の同じ時期が二千四百五十人、一〇三%になっております。四十五年が三千百六十九人、四十四年に対して一二九%、このようになっております。  それから、全体の交通機関によって運ばれておる人間、これに対して国鉄がどのように動いておるか、この数字を申し上げますと、大月駅から富士五湖へ入った交通機関全体の輸送人員でございますが、一日平均で申し上げますと、国鉄がある時期をつかまえまして、四十三年の三月から五月の間で千二百八十三人、それが四十四年の同じ時期で千三百三十七人、一〇四%になっております。     〔委員長退席、宇田委員長代理着席〕 それから、はっきりした数字を申し上げませんで、伸び率だけ申し上げます。貸し切りバスが一六九%、マイカーが一三〇%、全体の率が一三〇%、このような趨勢になっております。
  24. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 いまお話しにあったような数字で、道路整備に伴いまして、道路にかなりの旅客関係が移動していることがわかります。  ただ、それと同時に、貨物関係などにつきましては、あそこの産業がどんどん開発されるに伴いまして、ずいぶん需要が増してくると私は想像できる。目下工場その他の建設中のところが各中間駅においてもずいぶんあるわけです。したがって、今後一両年たちますと、急激に貨物輸送国鉄に対する需要というものは多くなると思います。  なぜかならば、高速自動車道につきましては、インターチェンジがきわめてまばら。したがって、あそこから東京方面への連絡は、高速道路を利用するとすると、そこまで持っていかなければなりませんし、あるいはそうでないとすると、いまのようにのろのろ運転の交通状況の中で苦労しなければならない。したがって、せっかく複線化したところの国鉄中央東線にたよることのほうがもっと軽便であり、確実であり、安全である。これは一般的に考えておることだろうと思いますが、そういうことも勘案いたしまして、いま大月駅の例をおあげになったのですが、あそこは言うならば扇のかなめみたいなところです。問題はそのかなめではなくて、それから出ていくところの小駅利用者に対する利便というものを考えてもらわなければ困る、こう思って詳しい数字をお示し願いたかったのです。  ただ、私は、全体の傾向といたしましては、いろいろの事情を勘案いたしまして、陸路の整備状況及びこれを利用する趨勢が高まるとともに、国鉄に対する信頼度なりあるいは利用度というものは、同じように増してくるのじゃないかと思うのです。その際に、そういうふうな傾向があるのにもかかわらず、今回国鉄のほうでは二、三の局に対して、貨物の取り扱いを廃止しよう、あるいは旅客扱いについて無人化しよう、また甲府市内の一つの駅でありますが、これを廃止しようというような案を出して、その案の根拠になりましたのは、過去における数字のようであります。将来に対する見通しというものが根拠になっておらないように思うものですから、ここでお尋ねをいたすのでありますが、あの案の基礎になったところのものさし、標準というものは、もう動かないものなのかどうか。あの方向で強行なさる、まさかそういうことではなかろうと思いますけれども、ずいぶん柔軟性があっての案と思うのですが、これは全国的にどういうふうな扱いになっておりましょうか。中央東線における問題としてばかりでなく、全国的な問題として、あの案のこれからの扱いについての方針を承らしていただきたい。
  25. 原岡幸吉

    原岡説明員 案につきましては、現地におきまして、過去の趨勢、現状並びに将来の展望、それから道路の整備状況あるいは他の交通機関の整備状況その他総合的に十分判断いたしまして、個々の現地において、これがいい、これは無理だというような判断を全部自主的にやっていただく、こういう方向でやっておるわけでございます。したがって、非常に一般的な、形式的なスタンダードでもって右左にするというような考え方では従来もやっておりませんし、今後もやる考えはございません。  それで、いまお話しの二、三の点につきまして具体的な数字を持ち合わせないで云々することは、非常に適当でないと私思うわけでございますので、具体的な事情につきましては、個々に現地において十分数字を持ち、将来の展望を持ち、社会、交通環境を十分わきまえた上、企画しておる、このように承知しております。
  26. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 ぜひそういたしてほしいと思います。将来の見通しを十分立てておいて進めてもらいたいと思うのであります。  ただ、そこで念を押しておきたいと思いますのは、現地のほうの当局にまかしておる、大体の標準を示してまかしておるということでありますが、実は山梨県というところは妙なところでして、国鉄が三つ入っておるのです。東京西局というのですか、西鉄道局、それから静岡鉄道局というのですか、それから長野鉄道局、こう入ってきております。言うならば、責任者が三人おるわけです。この三人の見方がばらばらであると困る。だから、それは中央でやはり相当目を光らしてといいますか、丁寧に目を向けておいていただいて、統一ある見通しの中でやってもらいませんと、これは県の全体の政治をあずかっておる知事なり、あるいはその他市町村長としても困るわけなんですから、これは国鉄のほうへも行っておると思いますが、現に私のところへ、問題になった各駅に関連する地方の人たちから陳情書や意見書が出されております。これを丁寧にここで読み上げてお尋ねしておけばよろしいのですが、すでに十分御承知のことと思いますから、読み上げる時間を省略さしてもらいます。このように丁寧に数字をあげ、将来の見通しもつけて、意見書なり要望書なり陳情書が出ておりますから、これはひとつ国鉄本社のほうで十分に勘案なさり、参考になさり、資料とされて、現地の責任者を御指導願いたいと思います。これについて御意見を承りたい。私のほうも時間がなくなりますから、結論のほうに進みたいと思います。
  27. 原岡幸吉

    原岡説明員 山梨県につきましては、管理局が東京の西、静岡あるいは長野と、この三つになっておる関係上、そうあってはいけないのでありますけれども、いろいろことごとに御不便がかかるような面があろうかと思います。そういう点は御不便がかからないように、また今後十分気をつけていきたい、こう思っております。  それで、本件の具体的な進め方につきましては、いわゆるアンバランスといいますか、非常にまちまちにならぬように、現地の事情を勘案して対処していくような指導は十分いたしたい、このように思います。
  28. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 時間が迫っておりますから結論に入りますが、実はいまのように、特にこの問題の扱いについては、国鉄の御方針によって県知事なりその他たいへん苦労をしておる。さればこそ、国鉄管理局というものを一つにしてほしいという要望が強く出されて、今回この問題に当面いたしまして、一そうその感を深くしたのでありますが、今後ひとつそれをも勘案して、現地の方たちに要らざる苦労をさせないような方針をもとってもらいたい、これは要望として申し上げておきます。  それから、この問題について、私は、私の意見になるのでありますが、特に痛感いたしましたのは、この問題の提示以来、あらためて国鉄というものに対する国民の、地方民の信頼感の強さ、期待感の大きいことであります。いまいろいろと輸送手段が講ぜられておりますが、山国ですから、海運にたよるわけにいきません。そうした事態だから、飛行機にたよるわけにいかない。したがって、道路と国鉄、鉄道にたよる以外にはないのであります。その道路が非常な金をかけて整備されておるのにかかわらず、なおかつ国鉄に対する信頼感、これは旅客ばかりではありません。貨物などに対しても信頼感、期待感が強い。それは一つは、実際面における利用の便利さなり軽便さなりあるいは運賃の低廉さというものもあるのでありましょうが、またもう一つには、これは伝統的だといってしまえばそれまでですけれども、やはり長い間のおつき合いと申しますか、長い間の国鉄に対する信頼度というものが積み重なってきておると思います。そしてそのゆえに、特に中央東線などにおきましては、いま問題になっておる幾つかの駅というものは、現地の人々の請願によって、現地の人々の土地なりあるいは建設資金なりの提供などをも加えて、非常な協力の上でできておるのですね。それがいま急にこれを廃止しようとか、あるいはこれは無人化しよう、あるいはこれは貨物の扱いはやめようとかいうことになりますと、せっかく今日まで積み上げ積み上げてきたところの国鉄に対する期待感、信頼感が失われてくることになって、これは私は政治問題としてもたいへん残念なことのように思えてならない。ただそろばんをはじけば、あるいは廃止の線に入るかもしれないものであるが、しかしながら、いままでの沿革なりいままでのいきさつなりを考えると、そうあってはならないように思うのです。国鉄というものに対する国民の信頼感をただそろばんだけで裏切るようなことのないような方針をとっていかれる必要があるのではないか。実は、これは私は国鉄総裁に対して特に強く要望しておきたかった。まだしかしお見えになりませんから、またお見えになるときにあらためて申し上げることといたします。事務当局としてもそういうことについて考えを入れておられるのかどうか。ただ通り一ぺんのそろばんだけで、これはあのものさしに合わないから切ってしまえということなのか。そうであってはならないと私は思うのですが、どうですか。
  29. 原岡幸吉

    原岡説明員 国鉄に対する地元の信頼感、期待感、まことにありがたいことでございまして、そのとおりであろうと思います。またこれは一朝一夕にでき上がったものではないのでありまして、長い積み重ねによってできた。私はこれを十分踏んまえてやっていかなければいけない。御指摘のように、単純なるそろばんでもってスタンダードをつくって右、左に判断していく、このような考えはみじんもありません。ただ、信頼感、期待感にこたえていくということは、即従来どおりのやり方をすればそれでいいんだということではないと思います。いつも現代的な運輸サービスを新しくつくり出して提供していく、更新していく、こういう観点からまた新しい信頼にもこたえていかなければならない、このように思っているわけでございます。したがって、単にそろばんだけでもって判断するというのではなくて、過去に積み重ねられたそういう背景を十分に踏んまえた上で、新しい前進をする。したがって、具体的な場合には、いろいろな事情をよく説明し、納得していただき、理解していただき、協力していただく、こういう中において、いま申し上げたような基本的な考え方も十分話し合えて御理解願えていくのでなかろうか、かように思っておるわけです。
  30. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 もう一点だけ。  そこで、私は、もう一々の駅の名前をあげるのはいかがかと思いますが、せっかくそういうお答えをいただいたものですからお願いするのでありますが、例のブドーで有名な勝沼駅、これも簡素化されるという案が提示されております。また山梨市駅というのがある。これは市制施行されておる町でありますが、その駅で貨物扱いを廃止しよう、手小荷物の取り扱い時間を縮小しよう、これは私はどう考えても乱暴な案のように思えてならないのです、あの辺の交通状況からいいまして。にもかかわらず、そういう案が提示されておる。あるいはそのすぐ隣の東山梨駅は無人化しよう、また甲府における金手駅、これは特別な沿革があるにもかかわらず、廃止しようなどという案が出ております。それから、その先の長野鉄道管理局の管内でありますが、塩崎という駅につきましては、これも無人化しようという案が進められておる。いずれもたまたま、知事は県のグリーンプランといっておるのですが、そういう計画の対象になって、特に県政の重点地区といわれておるところである。あるいは住宅地帯、あるいは工場誘致地域といたしまして、たとえば山梨市駅などは、交通上の要衝地帯として取り上げられておるところであるにもかかわらず、どういうわけか、そういう駅が問題にされておるものですから、私は重大である、こう思います。たまたま、中央東線というのは、これはわが国における交通運輸上の問題を解決するための、あるいは将来の見通しを打ち立てる上のいい参考地帯でありますだけに、それらも考えながらお考えを改めていただければということで、いまの発言と相なったのであります。これらにつきましては、総裁がお見えになりますれば、総裁政治的立場をも加味してお答えをちょうだいいたしたいのであります。まだお見えになっておりませんから、あなたからでもよろしい、総裁にかわって今後善処なさるお考えをお示し願えればありがたいと思いますが、これを承って、私の質問を終わるつもりでありますが、いかがですか。
  31. 原岡幸吉

    原岡説明員 いま具体的にあげられました個所につきまして、具体的な事情を一〇〇%ここで明確にお答えすることは十分でない面もあろうと思います。ただ、基本的に申し上げ得られますことは、いろいろ具体的な事情があろうと思いますので、そのあたりを十分国鉄のほうも理解し、それから国鉄の事情を地元によく理解していただき、そしてよく話し合って、御不便のないように、また御不便のないどころか、逆にある面においてはよくなるというような線を打ち出すように努力したい、また努力させたい、かように考えております。
  32. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 委員長、ありがとうございました。
  33. 宇田國榮

    宇田委員長代理 斉藤正男君。
  34. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 私は、主として船舶局長に、大型専用船の海難事故に関しましてお尋ねをいたしたいと思います。  すなわち、四十四年一月に鉱石運搬船ぼりばあ丸が海難事故にあった。さらに四十五年一月にはリベリアのタンカー、ソフィア・P号が沈んだ。同じ二月に同じくリベリアのアントニオス・デマデス号が沈んだ。続いて本年二月には鉱石運搬船かりふおるにあ丸が沈没した。いずれも野島崎東方の海域であり、北緯三十二度から三十五度の間、東経百八十三度から百五十八度の間ということで、われわれは非常に残念であり、奇異な感じを持つものであります。今日、これらの沈没の原因が、気象あるいは海流等不可避な自然条件のもとであったのかどうか、あるいは操船上の誤り等が原因したものであるのかどうなのか、あるいは造船工学上、設計上ミスがあったのかどうなのか、あるいは設計その他は十分であったけれども、施工の上に手抜きその他があったのではないかどうか、あるいは積み荷のしかた、積み荷の状態に配慮が欠けておったのではないのかどうなのかというようなことで、いろいろ問題があると思いますけれども、今日の段階で、この続発した大型船の海難事故に対し、いま私が申し上げました四、五点の問題に対しまして、それらが総合して発生したというようなばく然たるものであるのかどうなのか、あるいは調査中であって明快に答えられないということであるのかどうなのか、まず概括的に、特定の地域に、しかも集中的に発生した大型船の海難事故の原因をどのようにお考えになっているか、承りたいと思うわけであります。
  35. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 昨年の一月のぼりばあ丸以来、四隻の大型船が引き続き海難を起こしました。われわれ船をつくる側の監督者といたしましては、非常に残念に思っております。  海難原因の探求は、実は運輸省に常置されております海難審判庁が、あらゆる角度から精密にこれを探求検討いたしまして、結論を出すことになっております。しかし、海難の類似の船がたくさんございますので、何らかの対策を早く立てる必要があるということから、大臣の私的な諮問機関としまして、今回、かりふおるにあ丸の事件以後、直ちに運輸省に大型専用船の対策委員会をつくりまして、さらに先生がいまおっしゃいましたように、まず東方海上の異常気象と申しますか、そういうもの、それが船体にどういうふうに影響するか、そういうことも含めまして、気象の部会、船体の部会、それからやはり運航の探求もございますので運航部会、三つつくって、それぞれ鋭意いま検討中でございます。まだ結論は出ておりませんが、六月くらいをめどに、まずそれの中間的な取りまとめのめどをつけようということで、いま努力している最中でございます。
  36. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 いま御答弁にもありましたけれども、大臣の私的な諮問機関として大型専用船海難特別調査委員会なるものがつくられ、六月末までには中間報告の形でもいいから何らかのものを出したいという御答弁があったわけでありますけれども、民間の有識者を含めてこれが二月に発足をし、鋭意検討をされているというように聞いておるわけでありますが、私は、構成メンバーからいきましても、かなり突っ込んだ検討はされるにしても、ほんとうに抜本的な原因の究明ということになりますと、これはなかなか容易なことではない。しかし、改善すべき設計上の問題あるいは造船上の問題あるいは操船上の問題等々、幾らも指摘をされる点は出てくるであろうというように思うわけでございます。したがって、これらの問題に対しましては、この間も、私はハイジャックの問題で申し上げたわけでありますけれども、何か事故があれば、そのときは、集中的に全力をあげて取り組むかのように形の上では見えるけれども、やがてまぼろしのように消えていってしまって、結論はうやむやで終わってしまうということがえてしてありがちであります。このことは、世界第一を誇るわが国造船界の問題としても、あるいは海運日本の問題としても、そう簡単にうやむやに済ませる問題ではないというように考えておるわけでありますけれども、主管局として、一体日程的なめど、あるいはいま私が申し上げましたような形での中間報告なり最終結論なりを出す日程的な目標等について、どのようにお考えになっているのか、再度伺いたい。
  37. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 先ほど申し上げましたように、特別対策委員会は三部会からなっておりまして、私のほうの所掌しているのが船体部会でございます。官房で取りまとめて、それの一応の目標を立てておりますが、先ほど申し上げましたように、六月をめどに、各部会からそれぞれ責任ある結論と申しますか、中間報告を出していただくということで進んでいるわけでございます。なお、船体につきましては、まだ取りまとめておりませんが、あるいはこの委員会で、あるいはほかの委員会でも御指摘ありましたように、いろいろクラックの問題とか衰耗の問題とか出ております。そういう問題もかねまして、整理のしかたと申しますか、それから今後の対策の問題の技術的検討というものは、現在鋭意やっておるわけでございます。したがいまして、決してばく然と済んでしまうというふうには私どもは考えておりません。
  38. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 御決意のほどを伺ったわけでありますけれども、特に船体部門を担当する船舶局として、若干伺っておきたい点があるわけであります。その第一は、この海難事故の原因一つに、造船所における設計、建造工作における安全率設定の甘さといいますか、そういうものがあるのではないかというように考えられるわけであります。現在問題になっております鋼板の腐食や衰耗は当然考えられていることでありますし、このことは非常に重要な一つのポイントであろうというように思うわけであります。何よりも優先して考えなければならないことは、この鋼板の腐食や衰耗は、安全率をどの程度に見るかということが一番必要だというように思うわけであります。ただ、かりふおるにあ丸にしても、あるいはぼりばあ丸にしても、二十次計画造船当時の船であって、この大型タンカーあるいは鉱石専用船はどの程度の腐食や衰耗を想定し、設計上安全係数はどのように算出をしてきたのかということが問題であろうと思うわけであります。二十次造船がすでに過去のものであってというようなことばも聞きますけれども、この当時の船が非常に問題を持っているということになりますと、やはり鋼板の腐食、衰耗といったことが一つの重要なポイントであろうというように考えますので、この点をまず伺いたいと思うわけであります。
  39. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 船の衰耗個所の激しいところ、あるいは激しくないところ、ほとんと衰耗しないところ、いろいろございます。またペイントの塗り方、種類によりましても、結果的にいろいろ実は出ているわけでございます。それで、いま問題になっておりますのは、結局、バラストタンクといいまして、足荷を積むタンクのように、海水と空気が入れかわって航海を行なうときというところが一番問題でございまして、ここが腐食が起きやすいということで実は問題になったわけでございます。それで、最初の設計の時点では、腐食部門は厚みにして二ミリ半から三ミリというのが、いわゆるコロジョンマージンと申しますか、腐食のマージンとして見ております。したがいまして、腐食が限度以上にきましたときには、これを取りかえるとか、あるいはこれと同等な補強をするということで、船舶の安全を保つようにしているわけでございます。
  40. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 バラストタンクの構造につきまして、あるときは海水を満タンにしていく、あるときはその満タン海水がゼロになる。しかし、積み荷用の空間については、あるときはからであっても、あるときはそこが満載をされてくるというようなことで、非常に気象条件等も影響を受けやすい区域であろうというように思うわけでありますけれども、そのバラストタンク内の衰耗あるいは腐食といったようなものは、いま答弁にありましたような二ミリとか三ミリという点について、なるほど塗装の問題等もあろうと思いますけれども、それでいいと今日なお結論をつけておいでになるのかどうなのか、いかがでございましょうか。
  41. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 実は、大体ああいう大型船は国際的に航行いたしますので、ほとんど国際基準と同じような基準で基準をつくっておるわけでございます。基準をつくるに際しましては、もちろん従来の経験も取り入れ、あるいは学界における議論も取り入れ、一応の集積としてできておるわけでございますので、ここですぐに衰耗が激しいから鉄板を厚くするということではなしに、むしろ先ほど申し上げましたように、あるいはペイントを塗る問題とか、そういういろいろな構造上の面から見て方法はあるかと思います。とにかく衰耗が多いということは望ましいことではございませんので、それを防ぐ方法ということで対処すべきじゃないかと考えます。
  42. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 鋼板の腐食、衰耗につきましては、なお検討を要するというように私も考えるわけでございますので、再度御検討をいただきたいと思うわけであります。  次に伺いたい点は、今日造船用の鋼材につきましては、製鉄所で検査をし、造船所独自の検査はない。製鉄所自体の検査に合格しておれば、造船所では無条件にこれを機材として使うという制度になっておるようでございます。私は、この海難事故等によって、究極は製鉄所の製鉄技術なりあるいは製鉄工作上の問題もあるということまでいくならばいざ知らず、ただ製鉄所で規格に合格した鋼板を使ったのだから、あげてその責任は造船所にあるというようなことになってくると、これは少しおかしいのではないか、もう少し根本にさかのぼって究明すべき問題があるのではないかというように思うと同時に、もう一つは、造船所においても独自の検査を、念には念を入れで、もう一度やってから使用すべきではなかろうかというようにも考えるわけでありますけれども、製鉄所の検査に合格したものであるから造船所においては一切そうした検査はしなくてもいいという今日の制度に問題があるのではないかとも思うわけでありますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  43. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 そういう先生の御疑問もあろうかと思いますが、問題はその鋼材がいいか悪いかということに帰着するんじゃないかと思います。それで、こういう事態でございますし、これも検査の一つのしきたりでございますが、製鋼所にある間に、その製鋼方法からそれの材料につきまして国または海事協会で事前に検査をしてしまうということにして、これに証明書を与えておるわけでございます。     〔宇田委員長代理退席、委員長着席〕  それで、その検査の内容というものを申し上げますと、大体製鋼の方法を承認するということ、それから鋼材自身に対する引っぱり試験とか曲げ試験とか、いろいろ試験方法がございますが、そういう試験をやります。そのほかにまた化学分析をやるということで、製鋼所から来る機材がその証明書を持っておりますので、重ねて造船所でやる必要はない、かように考えております。
  44. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 製鉄所を全面的に信用されておるようでございますけれども、国あるいはNKの製鉄所における検査といえども、なるほど製造上の工法の原理につきましてこれを化学的に物理的に分析をして、よろしいという認可なり許可を与えるけれども、さらに製品について、鋼板一枚、はり一本について全部の検査なり調査をするわけではないと思うわけであります。その検査はあるいは抽出でありましょうし、あるいはその製造法につきましても、そういう方法ならばよろしいということであって、それを一々現場で立ち会い、すべてをくまなく立ち入り調査をし、検査をしているわけではないと思うわけでありまして、私は今日の製鉄技術の進歩に伴い、製鉄所に一任して間違いないという監督官庁の立場としては、もう少し念を入れるべきではないかというように思うわけでありますけれども、国またはNKの検査ですべて十分だという答弁のように聞こえますが、そういうことですか。
  45. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 結局どこで検査をやるかということでございますが、製鉄所において十分な物理的あるいは化学的検査をやれば、造船所に参りましても同じであるという意味から、造船所でやる必要はない。なお、市場から買ってきたものでそういうふうな証明のないもの、そういうものについてはやはり造船所で買ってきたものを一枚一枚材料試験を行ないまして、証明を造船所でやるというふうにしているわけでございます。
  46. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 藤原高等海難審判庁長官がお見えでありますので、この際、触れておきたいと思うわけでありますが、海難事故に対する製鉄所の責任につきまして、検査に合格したものを出したんだから製鉄所には責任はないというようなことに間々なりがちだと思うのでありますけれども、海難審判庁といたしまして、海難事故に対し、原料である鋼材なり鋼板の内容にまで触れて、海難審判庁の対象にされたことがございましょうか。あるいは今後時と場合によってはそこまで触れなければならないというようなお考えがございましょうか。伺いたいと思います。
  47. 藤原重三

    ○藤原政府委員 お答えします。  事件の内容によりまして、造船所の担当者を証人として呼びまして意見を求める、こういうことはございます。
  48. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 もちろん船の事故ですから、造船所を呼ぶことは当然だと思うのですが、私は、鋼板なり鋼材のメーカーである製鉄所の関係者を呼ぶというようなことになるかどうかというお尋ねでございますので、いかがでございましょう。
  49. 藤原重三

    ○藤原政府委員 事件の内容によりまして、そういう場合もございます。
  50. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 先般、三菱重工長崎造船所で建造中の沖ノ嶋丸、二十四万三千トン、ずいぶん大きな船でありますが、この高張力鋼と普通鋼との溶接部分に三十カ所余りのヘアクラックが生じたことが発見されたということが報道されております。これは検査体制の不備、手抜きなどもさることながら、それ以前の問題として、工作過程の管理の不十分さあるいは工程計画上の無理がたたってきているのではないかというように思われるわけであります。NKではこの沖ノ嶋丸の事件に際し、急遽高張力鋼の溶接に関する工作並びに検査上の注意事項を各造船会社に通達をしたということを聞いております。この通達によりますと、低水素系溶接棒の乾燥とその管理ということでございまして、二十五・五ミリ以上の高張力鋼溶接時における摂氏七十五度以上の予熱の確保、さらにこうした基準がほんとうに現場で守られているかどうか。工作過程があまりにも過密であって、しかも要員が不足をしてはいないか。下請工の大幅な利用、本工専門家によるその管理、チェック等が十分されているかどうかというようなことが、非常に大きな問題であろうというように思うわけであります。特に低水素系溶接棒の乾燥は、軟・中硬板の場合、三百度ないし三百五十度で一時間あたためなければならない。高張力鋼につきましては、三百五十度ないし四百度でやはり一時間以上が最低必要だということを聞いているわけでありますけれども、はたしてこのようなことが行なわれているというようにお考えになっておられるのかどうなのか、私はきわめて疑問に思わざるを得ないわけであります。特に高張力鋼の溶接につきましては、沖ノ嶋丸のヘアクラックの問題に関連をして、かなり厳密に行なわれなければならぬということは明らかな事実であろうというように思うわけでありますけれども、この予熱の確保といったようなことがはたして十分行なわれているようにお考えでございましょうか。いかがですか。
  51. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 工場における工程管理、品質管理というのは、船舶の製造に関してきわめて大事なものでございまして、この点は、私のほうは十分に行なわれておるというふうに考えております。高張力鋼に関しましては、海事協会の規則で大体五十度以上百度くらいまで予熱をしなさいということになっておるわけでございますが、実は溶接する場合に、五十度くらいから百度くらいに予熱をして行なうということになっておったわけですが、報告を受けましたところが、五十度でやったということでございまして、実はもう少し高い温度でやればこういうことがなかったということを造船所の人は言っておりました。したがいまして、海事協会としましては、五十度ではこういう問題を起こしたということから、この際七十五度以上の予熱をするという対策を打ち出しまして、指示しているわけでございます。
  52. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 五十度ないし七十五度といえば、低いほうが工程は楽ですから、五十度にするにきまっているんでして、私は、その辺の最低の限度の示し方というところにも問題があったと思うのです。あまり幅があればあるほど、非常に拡張解釈もしやすいし、また最低温度が指定されていれば、いやそこでいいんだということは、これは当然実際船をつくる場合にはものさしとして使うにきまっていると思うわけです。したがって、いままでの指示が五十度ないし七十五度という、その五十度自体に問題があった。したがって、それを七十五度以上百度とか、あるいは八十度以上百三十度とかということにしなければならないというように思うわけでございまして、最低限の規定がやはり問題を持っていたというように考えざるを得ないわけです。あえて訂正をされ、指示をされたということで了解をするものでありますが、この点についてさらに私が伺っておかなければならぬことは、造船業界における下請の問題であります。このことは、造船主要二十七工場の生産部門の従業員数は、昭和三十年の本工五万九千八百六十三名に対し、昭和四十三年のそれは六万七千八百四十九名であって、一三%増にすぎません。ところが、下請工は、昭和三十年の一万一千六百五十五名に対し、昭和四十三年は何と四万一千四百十三名ということで三五五%、こういう状態であるところにやはり問題が出てきはしないかというように私は考えるわけでありますけれども、この点についてはいかがお考えでございましょうか。
  53. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 下請企業につきましては、実は本工との関係におきましていままでの経緯から申しますと、簡単に本工化するということはむずかしいようでございます。しかし、非常に安全なものをつくるという観点から、それの指導監督は十分に行なうという立場で私のほうもやっておりますし、造船所もそういう観点からやっておるというふうに見ております、ただ、下請企業の関係でなく、臨時工でございますね、これにつきましては、ただいま労働確保の問題が非常に困難になってきつつありますので、臨時工を順次教育いたしまして本工のほうに入れるというふうに、非常に努力をしている状態でございます。したがいまして、ただいま申し上げましたように、下請工につきましては、これは仕事の内容にもよりますが、非常に事業としては困難なものがあるというふうに考えております。
  54. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 ある造船工場の資料によると、職種によっては本工が大部分担当をしているという職種もありますけれども、職種によってはあらかたこれが下請あるいは臨時工によって行なわれているというわけであります。特に電気溶接等につきましては、六一・一%が下請工によって占められているというような部門がございます。これは先ほどから問題になっておりますけれども、塗装においてもしかりです。非常に下請が多いわけであります。先ほどの塗装の問題、あるいは溶接の問題等々から考えましても、下請につきまして、あるいは臨時工につきまして、いわゆる無資格者が働いてはいないか、塗装に資格というようなものはあまり必要でないかもしれませんけれども、溶接ということになりますと、これは当然資格を持たなければならぬ職種でございましょう。こういう職種に下請工が非常に多いということについては、これはあながち運輸省の指導だけではないと思いますけれども、鋭意検討すべき問題だというように思いますが、いかがお考えでございましょうか。
  55. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 先生がおっしゃるとおり、今後十分に私のほうも指導監督するように考えております。
  56. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 この技能資格につきましては、鋼船構造規程、省令でありますけれども、二十五章四百八十三条に、造船事業所の溶接工は試験を受けなければならないということで、この四百八十八条に試験の内容が規定をされておるわけであります。省令でございますから、法律ほど規制力はないと考える向きもあるかもしれませんけれども、私は、これは当然法律に準ずるものだというふうに考えておるわけであります。ところが、罰則規定がないものだから、勢い無資格者であっても実際には仕事に従事していることが多かろうと思うわけでありますけれども、その辺の把握はされておりましょうかどうか、伺いたいと思います。
  57. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 実は、船舶安全法の法律というものは非常に簡単にできておりまして、技術規定はすべて省令にゆだねられているわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃったように、付属だからどうのこうのということはないということで、私のほうは指導しておるわけでございます。それで、この溶接工につきましては、ただいまお話しございましたように、非常に厳密にやっているつもりでございますけれども、あるいは御指摘の点のようなこともあるかとも思われますので、今後十分に検討してまいりたいと思います。
  58. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 藤原長官に伺いたいと思うわけでありますけれども、これは確実な情報ではございませんので、誤りがあれば御訂正をいただきたいと思うわけであります。現在の船の乗り組み員の定数とその配乗の状態では、船体の異常を未然に察知するなど、船舶内の詳細な点検が不可能ではないかという意味のことが、ある事業新聞に海難審判庁筋の見解として出ていたわけであります。私は、海難審判庁がこのようなことを言うわけはないと思っておるわけでありますけれども、それにしても船舶の機械化、合理化ということから、定員はどんどん削減をされ、二十万トン以上のタンカー等でも数十名の乗り組み員で操船をされているというのが現状であります。海難審判庁として、そういう情報を出した出さないは別として、大型船舶に対する乗員の定数等について何かお考えがございましょうか。この点を伺いたいと思います。
  59. 藤原重三

    ○藤原政府委員 いま先生がおっしゃったことにつきましては、心当たりはございません。  それから、その次のことでございますけれども、海難審判は、人の故意、過失、船体の構造、それから救難施設、労働条件等、そういうふうな点について探究することになっておりますので、関係はいたしております。
  60. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 時間がありませんので、最後に、今日やはり世界的な注目を浴びている日本造船界でございます。私は、役所あるいは関係業界がそれぞれの立場で、この海難防止に対し鋭意対策を確立されることが一日も早いことを望むわけでありますけれども、それと同時に、たとえば船に乗っておる海員組合の諸君、あるいは船をつくっている全造船労働組合の諸君等々の現場の声なき声、現場で汗水たらし、ほんとうに苦難と戦っている労働者の意見に、この際運輸省としては率直に耳を傾けるべきだと考えております。なるほど、それぞれの立場の人が識者を含めて検討することも必要でありましょうけれども、実際船をつくり、船に乗り、苦労をしている皆さんの意見というものは、私は生きた意見であろうと思うわけであります。ともすれば、そうした第一線の労働者なりあるいは乗員の意見には耳をあまり傾けないというような風潮があるかのごとく聞いておりますけれども、これは間違いであろうと思いますので、ぜひひとつそうしたもろもろの声をすなおに聞いて対策に反映させていただきたいと思いますけれども、最後に局長の御答弁を伺って、終わります。
  61. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 かりふおるにあ丸を中心といたします対策の検討でございますが、これは省といたしまして、どういう人員を選んで、どういうふうに検討していこうかという計画を検討しました際に、やはり直接利害関係のない方々、いわゆる学識経験者の方々に集まってもらって真剣にやっていただこう、こういうふうに実はきまりました。したがいまして、この中には、乗り組み員の方も造船の労働者の方もあるいは造船所、船主、すべて入っておりません。しかし一方、皆さんの声をこの委員会に反映するということはきわめて大事であると考えております。したがいまして、いろんな少数グループの集まりなんかがありますと、皆さんの意見を聞いて、それを反映するというふうにしているわけでございます。したがいまして、形はあるいは先生のおっしゃったようなことでちょっと欠けているところがあるかもしれませんけれども、それはあくまでこの海難対策のほんとうのところを追及しようということから出ておりますので、実際問題としては皆さんの意見を十分に尊重して反映するというふうに進んでおりますが、その点については、今後足りない点があったり、そういう希望があれば、またいろいろ意見を聞いて、それを会に反映させていくというふうに持っていきたいと考えております。
  62. 斉藤正男

    斉藤(正)委員 終わります。
  63. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  64. 和田春生

    和田(春)委員 ただいまの斉藤委員からの質問、いろいろな点でだいぶ明らかになった点もございますけれども、最後の質問に関連して、船舶局長にお尋ねをしたいと思うのですが、いま船舶局長は乗り組み員の声というものをいろいろな形で聞かなくてはいけないとおっしゃったわけです。事実いろいろな形で聞くようにつとめている、こういうお話ですけれども、どういう方法で乗り組み員あるいは運航に従事している者の意見を聞いておられるのか、その点を確かめたいと思います。
  65. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 実はあの委員会はいままで二回公式の会が開かれております。それから私の担当のほうの船体も正式に二回開催されております。それからその下に部会と申しますか、そういうグループの集まりがあって、しょっちゅう集まっているわけでございます。いまの段階では、皆さんの声を聞いてという、会議に集まるというふうな形ではまだやっておりません。ただし、かりふおるにあ丸の沈没状況と波との関係というものを解明するためには、乗り組み員の方の意見を聞かなくちゃいかぬということで、どんな形で聞くか、いろいろ検討しておったわけですが、来ていただいて皆さんから意見を聞くということもなかなかむずかしいようであるし、そうすれば当然何かの形でこれを聞いてもらおうじゃないかということで、いま運航部会のほうと相談しておるよらなかっこうでありまして、会としてはいま具体的に皆さんの意見を聞くような会にはなっておりません。
  66. 和田春生

    和田(春)委員 先ほどの斉藤委員の質問に対するお答えと違ってきて、だいぶ怪しくなってきて、まだ具体的に聞いておらぬということです。いろいろな方法で聞くといいますけれども、乗り組み員の経験というのは千差万別であります。全般について、乗り組み員一人一人がすべてよく熟知しているというわけではない。そういう点で、聞く聞くといいますけれども、一体どういう形で人選をして、どういう形で聞こうとしているのですか。聞き方が非常に間違いますと、とんでもない結論になるおそれがある。また、ざっくばらんに言いまして、乗り組み員から直接聞くという形になりますと、これはそれぞれの船舶所有者に雇用されているわけです。やはりそれぞれの船舶の所有者、船主というものについては、いろいろな面で利害関係や問題もある。そういうようなものがいろいろ作用して、ゆがんだ意見を聞くという形になると、とんでもないことになると思うのです。現にこの前のぼりばあ丸のときに、関係船舶の船長のアンケートを求めております。このアンケートの内容を私も詳しく読ませてもらいました。あの答えの限りでいくと、ぼりばあ丸事件というのは、起こるのはふしぎでしかたがない、大体そういう形になっている。そして船長の意見を聴取した結果、大型船の構造については問題がないという結論に達したという判断を下している。そのあとにかりふおるにあ丸の事件が悲惨な形で起きたということになっている。この点に関して、全日本海員組合から推薦する者をなぜこの大型船の調査特別委員会のメンバーに入れないのか。利害関係人を除くということを大臣や船舶局長はおっしゃっているけれども、れっきとした利害関係者が現に入っている。にもかかわらず、船舶の運航に従事している者だけを除いているということはいかなる理由によるのか、その点ひとつはっきりお答え願いたいと思います。
  67. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 実は官房審議官からお答えすればいいわけでございますが、私も幹部の一人としてその幹部会できめた内容を知っておりますので、申し上げますと、皆さんの意見は十分聞こう、しかし、この対策委員会は、人数の関係もございましたが、こういう学識経験者でつくろうということに結論的になったわけでございます。しかし、決して皆さんの御意見を聞かないというわけじゃなくて、関係の船主の方からの御意見も聞けば、造船上の方の御意見も聞くし、またこれで委員会が結論が出ましても、あるいは行政に直接反映しない結論が出るかもしれませんが、私のほうとしましては、先ほど斉藤先生がおっしゃっておりましたけれども、非常に船が大きくなってきて、昔と違って乗り組み員の方もそう船の内容の点検も十分できない、そういう時代になってきておりますので、そういう状況になれば、当然行政的にこれをどうすべきかというようなことで考えて、今度別に御相談申し上げるというようなこともあろうかと思います。そういうことで、対策委員会におきましては一応学識経験者、ただし、先生がおっしゃった船主、日本郵船の会長であられる児玉さんが入っておられるということでございましたけれども、実はそれよりも海難防止協会の会長という名前で、これはどうしても海難防止協会を抜くわけにはいくまいということで、会長が入った、そういう意味でひとつ御了解願いたいと思います。
  68. 和田春生

    和田(春)委員 海難防止協会の会長だなんというのは言いのがれで、予算委員会でも私はそういうことについて質問をしていますし、そんな弁解を認めるわけにいきませんよ。どちらが本職かということを考えればはっきりしているわけですから、あんまりそういういいかげんなことで言いのがれをしないほうがこういう問題はいいと思うのです。それよりも、私がいま問題にしていることは、これがいいか悪いかは別として、せっかく大型専用船海難特別調査委員会というものを設置している。それが事実上生命の危険にさらされながら船舶の安全に対して一番関心を持っている乗り組み員の組織の代表者をボイコットしているというところに、現在重大な不信が巻き起こっている。そして、そういう組織を飛び越して直接どういう聞き方をされるのかしりませんけれども、ぼつぼつと都合のいい意見だけを集めて結論を出す、そういう危険がありはしないかという行き方に対して疑惑と不信の念があるわけです。そういう状況の中で、せっかくこれが意見をまとめあるいは結論を出したころで、現に船を運航して事故が起これば命の危険にさらされる者が、これに対して信用しない、そういうものに対して疑惑の目をもって見ているということならば、せっかく人を集めて委員会をつくったって無益だと思う。そこのところで今度また三度、あってはならないけれども、事故が起きれば、それ見たことか、まるっきりインチキではないかという不信の念をさらに一そう高めるだけになっていく。そういうことが重なっていきますと、幾ら経済的に効率の高い船をつくっても、船に乗り手がなくなってしまえばおしまいですよ。そういう点において、いまは人間が非常に大事なわけなんだ。しかも、そういう直接の生命の危険にさらされているという乗り組み員の組織というものをボイコットする。意識的に避ける。そして、利害関係者は除くと言いながら、れっきとした船主の中心的な経営のリーダーシップをとっている者を、海難防止協会の会長であるといういわゆる名誉職の肩書きだって入れるという行政の姿勢のあり方に問題があるわけなんです。この点は官房審議官のほうから聞きたいと思うのですけれども、要求をしておるのにここへ出ておらぬわけですから、すぐ運輸省で手配をして、官房審議官の担当者にこちらに来てもらうようにしていただきたいと思う。私は答弁を求めるために出席を要求してあるわけですから、これは船舶局長に申し上げてもあれだが、審議官にあとでその点はお伺いいたしたい、こう考えております。  そこで、今度はいまの委員会海難審判庁の関係についてお伺いをいたしたいと思うのですが、この点も、いままで委員会はやはり審議の約束がありまして時間がないものですから、お伺いをいたしてもはっきりした答えがわからないままに今日に至っているので、聞きたいと思うのですけれども、前回の質問で、海難原因調査について、立法上は海難審判庁にその責任があるということを私は申し上げましたし、これは法律にちゃんと書いてあるわけですね。「海難審判庁の審判によつて海難原因を明らかにし、以てその発生の防止に寄与することを目的とする。」海難審判法にはそう書いてあるわけであります。にもかかわらず、運輸省に調査の特別委員会をつくらなければならない。そしてぼりばあ丸に続いてかりふおるにあ丸の事件が起きているにもかかわらず、先の事件のぼりばあ丸から一年以上たっているけれども、海難審判庁は一体どう動いているのかということがさっぱり明らかではない。そこで、船舶局長の言われるそういう現在の機構のあり方を即刻改める必要があると思うのですけれども、必要があるとお考えか、ないと考えるかということを船舶局長にお伺いをしたい。  それから、海難審判庁の長官に対しましては、ぼりばあ丸の海難審判はどの程度に進んでおり、しかもばりぼあ丸のときにも、運輸省の委員会におきまして、特にこの種の船の構造上には問題がないという結論に達した、こういう報告が出ている。それに関して海難審判庁が現在まで審判を進めできた、あるいは理事官が調査を進めたいという段階において、あの運輸省で出したぼりばあ丸事件に対する調査報告と違った意見というものが出てきているか、見方が出ているか、その点をお伺いしたいと思います。
  69. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 役所の常設の機関としまして、これが二頭の竜みたいになって、しかもそれが役人のメンバーも非党に変わってくるということになりますと、非常にぐあいが悪いと思います。したがいまして、ただいまの審判法に基づきまして、この審判法が十分な運営ができるということが望ましいと思うのです。したがいまして、われわれ船のほうとしましては、いつでも十分な形でこれに御協力申し上げるというかっこうでいけば、審判法の趣旨が完遂できるのではないか、かように考えております。
  70. 藤原重三

    ○藤原政府委員 お答えします。  ぼりばあ丸の審判につきましては、鋭意早期究明に努力しておりまして、最近、昭和四十五年四月十五日に第七回の審判を開議しております。
  71. 和田春生

    和田(春)委員 そういうことをお伺いしているわけじゃないのです。やっている経過は知っているのです。前回のぼりばあ丸のときに運輸省のほうで出した調査結果報告は、問題がないという結論に達したと出ているわけなんです。ところが、その後にかりふおるにあ丸の事件が起きているのだけれども、ぼりばあ丸の海難審判の中において、それと違った意見なり調査結果なりものの見方というものが出ているかということをお伺いしているのです。海難審判庁は独立して作業を進めているわけです。
  72. 藤原重三

    ○藤原政府委員 現在、横浜におきまして審判官が独立職権をもって審理しておりますので、詳細な経緯については報告を受けておりません。
  73. 和田春生

    和田(春)委員 この場合、今度は船舶局長のほうにお伺いいたしたいのですが、なかなか海難審判庁長官、言えといっても言いにくい面があるかもしれませんけれども、もし海難審判におけるはりばあ丸の海難事故原因の追及の結果、船舶の構造に問題があったという点が明らかになったときに、この前の委員会で出した結論に対しての責任は、だれがどういう形でおとりになるのですか。
  74. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 この前のぼりばあ丸に対する対策の委員会は、実はあのスタートのときに、原因は審判庁で行なうので、ただ類似船について予防策と申しますか、そういうものを早急にとる必要があるということでスタートいたしました。しかも、それは造船技術審議会としまして、大体船の関係のものだけが集まってやるというふうなスタートをしたわけでございます。したがいまして、その見方も、船の構造、設備、もちろん性能も含めまして、そういう面から十分に検討いたしまして、類似船には問題がない、かように結論を出しておりまして、ぼりばあ丸の海難とはこれは直接関係ない、かように実は御了承をいただきたいと思います。
  75. 和田春生

    和田(春)委員 ぼりばあ丸とかりふおるにあ丸と関連をしていると考えるので質問しているわけなんですが、さっきも言いましたように、類似船について問題がないと結論を出したけれども、かりふおるにあ丸の事故が起きたわけです。そこで、そのぼりばあ丸の海難審判を進めていって問題があったという結論が出ている。かりに今度はまたかりふおるにあ丸も海難審判にかかって問題があったという形になると、そもそもこの前の、構造上の問題はほとんどない、構造上の問題じゃないという報告を公にしているということについての責任は、だれがどのような形でとるのですか、重ねてお伺いをしたいと思います。
  76. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 ぼりばあ丸は一般の貨物船と同じような構造でございまして、それに引きかえ、かりふおるにあ丸は幾らかタンカーのような、早くいえば油も積めるようなかっこうの構造になっております。したがいまして、ぼりばあがもし構造上の問題が悪かったということが出ましても、実は構造基準が違うわけでございまして、すぐにかりふおるにあ丸についてどうという問題にはならないのじゃないか、かように考えております。
  77. 和田春生

    和田(春)委員 ぼりばあ丸とかりふおるにあ丸の構造が違っていることはよく知っておりますよ。ただ問題は、いろいろといままで追及されてきていますけれども、船のつくり方ということよりも、そういう巨大船が沈むということに一番大きな問題があるわけなんです。何度も私は同じようなことを言っているのですが、ちゃちな木造船で海に乗り出したとか、あるいはそれが初めから航海に耐えないことがわかっている船を運航して事故を起こしたという場合には、動かした者の責任かもわかりません。しかし、何万トンもある鉄の船が、岩や物にぶつかってこわれたというのじゃないのですよ、波にぶつかって曲がったとか折れたとか沈んだなどということは、およそとんでもない話なんです。そういう点について、ああいう巨大船に問題があるのではないか。特にそこへまた出雲丸がタンカーとしてできた。その場合に、構造の、船のつくり方ということにも問題があるかもわからないけれども、使っている材料に異常な力を受けているという形勢が歴然としてきているというようなところに大きな問題がある。あるいはこの前にも質問いたしましたけれども、防食対策、そういうものについても、従来とは異常なスピードで鋼板がさびていく、厚みがだんだん薄くなっていっているという点もあるというような点に何らかの問題があるのではないか。そういうことが非常に注目をされているわけです。ぼりばあ丸とかりふおるにあ丸は船体のつくり方が違う。片方はトランスバースのバルクヘッドで構成されている。片方ではロンジの方向にバルクヘッドが入っている。だから問題があるのではなくて、バルクヘッドが横に入っているか、縦に入っているかということも問題の一つになるかもわからないが、それだけ大きな船の材質を含めて、あるいは力のかかり方というものに問題があるのではないかということが指摘されているときに、船のつくりが違うから、ぼりばあとかりふおるにあとは別だという考え方自体が、安全対策に対する根本認識が間違っているのじゃないか。とにかく何万トンもの鉄の船が波にぶつかって曲がって折れたというばかげた話があっていいわけがないのです。もしそういう可能性があるというなら、この前も私は追及しましたけれども、この船はあぶないから波の高さが十二、三メートル以上になったら逃げて帰ってこいくらいの指示をいっておいてもらわぬことには、船乗りは安心して船を動かせない。そういう点においても、ぼりばあとかりふおるにあ、あるいは今度の出雲丸——これは海難を起こしたわけではございませんが、問題が起きているということについても、急激に大型化してきているそういう船の問題点の共通性というものを追及していかなければ、この種の事故は私はなかなか防げないと思う。今度はかりにタンカーが事故を起こしたとする。これは、かりふおるにあ丸は鉱石専用船でときどき油を積むのだけれども、こちらは油専門のタンカーとして使われている、また船の構造が違いますから別ですという形では、問題は解決しないのです。そういう点についてどうお考えか、ひとつはっきり答えていただきたいと思います。
  78. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 私の申し上げたのは、ぼりばあ丸の原因がわかったからすぐかりふおるにあ丸につながるということには、構造上ならないであろうというふうに申し上げたのでございますが、先生おっしゃったように、急速な大型化に関連しまして問題があるのじゃないかということにつきましては、これはまた別の問題でございます。それで、これにつきましては、いまほりば歩丸もかりふおるにあ丸も海難審判庁で十分にその原因探究を行なっておりますし、また特別対策委員会では、それの早急なる対策がとれるように、気象の部会におきましても船体の部会におきましても、それからまた運航の部会におきましても検討を進めておりますので、その検討の結果を待ちたい、かように考えております。
  79. 和田春生

    和田(春)委員 いずれ大型専用船海難特別調査委員会の中間報告なり何なり出ると思いますが、その際には、資料等を要求してもっと具体的に問題点を追及したい、そしてこういう事故が再び発生をするというような不幸なことを避けるために、私はみんなが力を合わしていかなければいけないと思う。しかし、そのためには、こういう大型船がああいう事故を重ねて起こすということに対する問題意識をやはり運輸省当局は強烈に感じてもらわなければいけないと思う。言いわけや言いのがれではなくて、これはたいへんな問題なんだということをもっと深刻に考えてやっていただきたいと思うわけなんです。そこで、いま船舶局長も何度も、これは海難審判のほうがそれについてはやがて明らかにするということをおっしゃっているわけですが、かりふおるにあ丸事件に関しまして、海難審判庁では、理事官あるいは事務官、現在何人の人が調査に当たっていらっしゃいますか、お伺いしたいと思います。
  80. 藤原重三

    ○藤原政府委員 かりふおるにあ丸の調査につきましては、中央の理事官並びに調査事務官が応援にまいって、四月の十四日に申し立てをした次第でございます。したがいまして、理事官は約六名ぐらい、事務官は約五名ぐらい中央のほうからも応援にまいっておりますので、それでもって原因調査にかかっている次第でございます。
  81. 和田春生

    和田(春)委員 これは地方海難審判庁で扱っているのですが、理事官が中央からの応援を得て六名くらい、事務官が五名くらい、その中に船体構造とかそういうものに関する専門家は何人入っておりますか。
  82. 藤原重三

    ○藤原政府委員 理事官の中には造船のほうの専門家の人はございません。
  83. 和田春生

    和田(春)委員 いや、いまのかりふおるにあ丸の海難事故に関して、その調査に当たっている人の中に何人入っていますかと聞いている。
  84. 藤原重三

    ○藤原政府委員 全部海技出身者であります。
  85. 和田春生

    和田(春)委員 そんなこと聞いているんじゃないですよ、長官。はっきり答えてください。いまこれは大きな事故なんですね。海難審判の開始の申し立てがあったわけです。ところが、私があなたに申し上げるまでもなく、それは理事官がそういうものを調査をして、海難審判庁で審判官が裁決をすることになるわけでしょう。そういう一番重要な事故原因調査をし、追及をしていくという理事官並びに事務官が、何人いまかりふおるにあ丸について当たっているのか。そうすると、六人と五人くらいである。はなはだあいまいな答えですが、せいぜい十人か十一人、その中に、船体の構造とか造船とか、そういうものに対しての専門的知識を持っている、それを専門としている人は何人入っているかとお聞きしているのです。
  86. 藤原重三

    ○藤原政府委員 現在はおりません。
  87. 和田春生

    和田(春)委員 それで一体、かりふおるにあ丸の海難事故原因調査ということができるとお考えになっているのかどうか。海難審判法によりますと、第三条の第三号に、「船体若しくは機関の構造、材質若しくは工作又は船舶のぎ装若しくは性能に係る事由に因つて発生したものであるかどうか。」ということを、海難審判庁の審判について原因が探求されなければならないという項目として法律にちゃんときめられておる。しかも、かりふおるにあ丸は衝突とか座礁とかそういうことではいでしょう。御承知のように、航行中の船体の船首部分に損傷を生じて、浸水をして沈没したということが明らかなんです。それが海難審判庁で取り上げてやっておるといって、そういう方面の専門家一人も入ってないという形で、長官は海難原因を探求することができるとお考えですか。
  88. 藤原重三

    ○藤原政府委員 かりふおるにあ丸の遭難事件は、申し立てになりまして、今後近いうちに審判が開始されるようでございますが、その場合には、造船のほうの参審員の方、それから審判官には造船のほうの専門の方が構成に入りまして審判が行なわれますので、私としましては、十分よろしい、そういうように考えております。
  89. 和田春生

    和田(春)委員 いま長官は、私としては十分それでよろしいとおっしゃいましたね。そうすると、運輸省における大型専用船海難特別調査委員会など要らない、海難審判庁で法律の定めどおり原因を探求して明らかにすることができる、そういう確信をお持ちですか。
  90. 藤原重三

    ○藤原政府委員 審判法にのっとってやります。
  91. 和田春生

    和田(春)委員 ちょっとお答えはお話にならぬようなんですが、私はあなたをここでとっちめようと思っているのではなくて、この前も言ったように、できないものなら、率直に、いまの機構では困難なら困難だということをおっしゃったほうがいいと思う。それでやれるようにするにはどうしたらいいかということを考えるのが、海難審判庁の長官としての職責じゃないですか。ただ口の先だけで、海難審判法にのっとってやります、十分だと思います——十分でなかったらとうなんです。実は十分でないから、運輸省にこういう調査特別委員会をつくるわけです。海難審判庁で全部できるのなら、よけいなことをする必要はないのですよ。そこに問題があるんです。そういう点で、海難審判法を改正して、最近のいろいろな海難事故の趨勢にかんがみ、これは単に船舶運航技術者の運航の失敗や誤りから起こる海難ばかりではない、構造上の問題、いろいろな問題が出てきているので、それに適合するような方法に改めなくてはいけないという意見が出てきている。私は、長官として、一番よく実情を知っていらっしゃるわけですから、そういう世間の声に率直に耳を傾けられるという態度が必要だと思う。そうでなければ、関係者が幾らやっきになったってどうにもなぬのですよ。重ねて長官にその辺の所見をお聞きいたします。
  92. 藤原重三

    ○藤原政府委員 技術革新の進展に伴いまして、新しい型の海難ともいうべきものが発生いたします。その原因は非常に複雑であり、かつ多岐にわたっておるのでございます。そういうことでございまして、今後は審判官には海技出身者以外のほかの分野からも審判官に来ていただきまして、一方に偏しないように総合的に原因を探求しよう、こういうふうに考えておる次第でございます。それから調査委員会の話もございましたが、これは審判法制定当時いろいろ論議されました結果、現在の参審員制度ということに落ちついたようでございますけれども、この点については慎重に検討すべきものと存じます。
  93. 和田春生

    和田(春)委員 どうもそういう点、もっと長官としてははっきりしていただきたいと思うのですが、今度のかりふおるにあ丸の問題は、地方海難審判庁にかかっているわけです。現に中央海難審判庁から応援に行っていると先ほどおっしゃいましたね。
  94. 藤原重三

    ○藤原政府委員 理事官は、一体の原則のもとに理事官が応援に行っておりまして、審判官は行っておりません。
  95. 和田春生

    和田(春)委員 そこで、そういう問題について、地方海難審判庁というのは、海難の地域性というものと関連をして、その海域を管轄する地方海難審判庁で、現場に近いところというか、あるいはそれぞれの海難関係人とか、そういう者の便利から考えて、それぞれ所管をきめるのでしょうけれども、ああいう太平洋のどまん中で、しかも従来なかったような新型の海難が起きたという場合に、高等海難審判庁よりも機構が貧弱であることは明らかなんですね。その地方海難審判庁で扱わせることが適当であると考えるかどうか。いまの法律では、一応第一審の地方海難審判庁になっているのですけれども、少なくともあの種の事故については、法律のたてまえから一応離れれば、高等海難審判庁が直接取り上げて、総力をやはり集中して事故原因の探求に当たるほうが妥当ではなかろうか、こういう考え方もあるわけですけれども、その点はどう考えますか。
  96. 藤原重三

    ○藤原政府委員 その点につきましては、慎重に検討してみたいと存じております。
  97. 和田春生

    和田(春)委員 明確なお答えがなかなかないのですけれども、私たちは、現在の海難審判の体制に根本的に問題があると考えておるわけです。やはり、これは海難状況に適応して、海難審判法の改正がたいへん必要である、こう考えます。そういう点について、現在の法律のもとにおいて、それでよいということではなしに、やはりどうやったらいいかということを、おやりになっている経験から、海難審判庁自体としても、私は積極的に検討される必要があるように思いますので、その点を要望いたしておきたいと思います。  次いで、今度は船舶局長にお伺いいたしたいのですけれども、この前、交通安全特別委員会でも質問をいたしまして、時間の関係でしり切れトンボになったところがあるのですが、あの質問の中で、NKの代表がこういうふうに言われたわけです。出雲丸の場合には、去年行なった定検の場合にはNKの検査員は見のがすはずはない——見のがしたとは絶対言えないと思うのですね。そして、その定期検査の後にああいう損傷が生じるという可能性もあり得るのだということを説明された。私も、それはあり得ないとは言えないし、あり得るかもわからない。しかし、定期検査で済ましておいて、これは万事異常ない、四年間はだいじょうぶであるという検査証書、そこのところではっきり認めておいて、それからわずか半年足らずの間にああいう異常な損傷を生ずるということがあり得るとすれば、現在の検査制度、四年に一回の定期検査、その中間において二年ごとに一回の第一種の中間検査、一年ごとに第二種の中間検査、これは一応のたてまえですけれども、そういう検査制度そのものに問題があるとお考えになりませんか。
  98. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 検査制度につきましては、船舶の安全が非常に大事でございまして、これは国際的にも大体確立しております。すなわち、船舶所有者による保船の問題、それから造船所における自主検査の問題、それから船主協会あるいは国におけるそれの確認、この三つの方法が一体になって一応安全の確保を行なっておるわけであります。先般の出雲丸のことにつきましては、先生もおっしゃったように、まことに残念だと思いますが、四年ごとの定期検査を変える必要があるかないかという具体的な御質問については、実は国際的にもうきめていますので、いまここでどうするかということはちょっとお答えしにくいのですが、その検査の内容——定期検査の間に中間検査もございますが、この内容についていろいろ考えるべき点があるんじゃないか、かように考えております。
  99. 和田春生

    和田(春)委員 いまの四年に一回の定期検査というのは、まだまだ船の耐用年数が長くて、今日のような状況の変化があらわれていない古くからのしきたりなんです。ところが、船齢そのものも短くなってきている、船内の腐食度や損傷の進行ぐあいというものも、昔の船に比べれば二倍から数倍進んでおるというときに、こういうテンポののろい時代のものでは私は無理があるように思う。船舶稼働率も非常に高まっておりますから、船も激しく使われておる。そういうことを考えた場合に、定期検査、中間検査というようなやり方ではなしに、検査制度を一本にして、事前にできるだけ早く問題個所を発見して直させていく、そうして必要があれば随時臨時検査を行なう、そういう形に変えるべきだ。それは国際的な関係もありますから、なかなか日本だけ変えにくいという事情はあります。しかし、満載喫水線条約の改正について、イニシアチブをとって各国を説得して、日本の意見を通したほどの実力を持っている日本の運輸省ですから、大いに各国に呼びかけて、今日の状況に合わせるように検査制度そのものを変えるイニシアチブをとるくらいのお考えがあっていいと思うのですけれども、そういう点、検討されたいと思うのですが、いかがですか。
  100. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 問題は安全の確保でございます。しかし、そのやり方につきましては、いま申し上げましたように、一つのしきたりがございまして、そう簡単に直るとも思えないわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、内容においてこれを改めるものは改める、それから指導できるものは十分に指導していく、かように持っていけば、安全の確保については十分に政府の考えている線でいけるんじゃないかと思っております。
  101. 和田春生

    和田(春)委員 その点は問題点として残しておきまして、現行のもとでもやりようによってはある程度できる、それは確かにそうだと思います。しかし、いま一般に行なわれている電気防蝕は思ったほど効果がないということは、造船に従事している人自体が認めている。やらぬよりはましかもしれぬけれども、まごまごすると被膜のできた下にさびがどんどん進攻していくわけですから、亀裂ができたりしても発見しにくい。それをあの大きな船台の中で完全に足場が組んであれば、テストハンマーを持っていってさびを落としながら見ることもできるかもしれませんけれども、水を張っておいてどんどん水をはいていく間にざっと見るという形では、ああいうさびがついておる下の亀裂とか損傷を人力ではなかなか完全に発見しにくいというのが事実だと思う。そこで、そういう検査に臨む準備体制として、必要個所について、かなりの点でさび落としをやらせておくとか、見やすい状態にしておくとかいうようなことについて、いまの体制では希望はできても強制はできないと思うのですけれども、そういう検査をやりやすいような、わかりやすいような方法について、さらに積極的な手を打つという、これは一例ですけれども、お考えがあるかどうか、伺いたいのです。
  102. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 確かに先生おっしゃったように、今回の総点検の結果においてかなりの腐食が見つけられたということでございますので、これに対する対策という意味から何らかの措置が必要であろうかと思います。まず船舶の状態がいいか悪いかというのは、船主の保守体制がどうかという問題からスタートすると思います。したがいまして、先ほど申し上げましたように、船舶の保守体制を含めまして、特に深水槽でございますけれども、検査の面では腐食の著しいところには塗装をしておけば、塗装によってほとんどさびてないという実例もございますので、それを強制するというような方法でやっていきたい、かように考えております。
  103. 和田春生

    和田(春)委員 最後の質問にしたいと思いますが、私は、その検査のやり方についても、この際、現行法体系のもとでも考えなくてはいけないという面があると思う。  それからもう一つは、鋼板の腐食の進行度が非常に早いというようなことを考えた場合に、マージンをいたずらに多く取って戦闘艦のようにじょうぶな船をつくるということは、事実上経済性との関連でできないでしょう。そうではなくて、マージンをそれほど取らなくても、そういうふうに腐食が進行しないようにするためには、腐食防止のための塗装ないしは方法についても、今後検査制度そのものの中に相当明確な規定を設けていって、これを履行していくということが必要ではないか、こういうふうに考えるのです。むろん小さい船なら乗り組み員がしょっちゅう手当てができました。こんなように巨大船になってきますと、乗り組み員の数を少しぐらいふやしたからといって、しょっちゅうメンテナンスについてきめのこまかいめんどうは見切れない。しかも運航稼働率が高くなっていますから、そうなってきますと、安全のためには、単にじょうぶな船をつくるというだけではなくして、そういう腐食とかあるいは亀裂とかいう事故につながるものを未然に防ぐための方法というものを入れなくてはいけないと思いますけれども、そういうことについて積極的に進めるというようなお考えがおありかどうか、簡単でよろしいから伺いたいと思います。
  104. 佐藤美津雄

    ○佐藤(美)政府委員 先生のおっしゃるのはもっともでございまして、私どもは積極的にその点でつとめてまいりたい、かように考えます。
  105. 和田春生

    和田(春)委員 問題はいろいろございますけれども、次の質問者がありますから、これは残しておきまして、閉会中もさらに問題点を明らかにしたいと思います。  内村さん、時間がございませんので、きょうはやめますから、答弁はこの次にしていただきます。
  106. 福井勇

    福井委員長 次に松本忠助君。
  107. 松本忠助

    松本(忠)委員 港湾局長にお伺いするわけでございますが、先日機会を得まして、浦賀水道を再び見ることができたわけでございます。特に、前回は海上保安庁の巡視船でございましたが、今回は商船のさくら丸から見たわけでございます。潮の関係等もございましょうが、浦賀水道の第三海堡が海上に露出しておる部分はたいへん変化があったように私、見てまいったわけでございます。船上でいろいろと説明も聞いたわけでございますが、第三海堡が年々沈下している、こういうことも聞いたわけでございます。そこで、船上におきまして、この撤去をめぐりましていろいろと話題がございましたが、結局結論は、第三海堡は撤去すべしという意見が大勢を占めたわけでございます。そこで、その撤去につきまして、局長としてはどのようにお考えか、またこの撤去に対して反対する団体とか、あるいは関係者もあるならば、その方面のお考えなど、局長が御存じの範囲でお聞かせ願いたいと思います。
  108. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 ただいま先生御指摘のように、第三海堡は東京湾の入り口の非常なじゃまになっておるということは事実でございます。撤去につきましては、私も先生と全く同意見でございまして、何かの方法で早急に撤去しなければいかぬ。ただ、御承知かと思いますが、第三海堡というのは非常に占い施設でございまして、これは記録によりますと、たしか大正の十年ごろにでき上がったというふうに聞いておりますけれども、その後たびたび水害をこうむったり、あるいは地震でいたんだというふうなことがございまして、撤去するためには、どういう形をしておるかということを知らなければいけないということで、実はかなり前から具体的にどういう形をしているかという調査を進めてまいっております。ただ、その間、海上保安庁等ともいろいろ相談をいたしまして、撤去する方法なり何なりという技術的な問題、あるいは航行安全の保全をどういうふうにやっていくか、たくさん船舶が入りますから、そういう航行のじゃまになってはいかぬということで、相談しておったわけでございますが、その後、いろいろ検討している間に、先生もごらんになったと思いますけれども、第一海堡と第二海堡の間に浅瀬がございます。むしろそのほうを早く抜いてバイパスをつくっておいてから撤去にかかったほうが、現行の交通の支障は少ないのじゃないか、そういうふうな意見も出てまいりまして、もしそうすれば、逆に今度はバイパスを抜いたときの技術的な問題がいろいろございますので、それをいままでずっと調査してまいりました。いまの私どもの持っております港湾五カ年計画の中に、バイパスを抜く計画を一部盛り込んでおります。ただ、技術的に結論がなかなか出しにくかったものですから、まだ手をつけておりませんけれども、大体ことしあたりでバイパスを抜いてもたいした支障はなさそうだというふうな目鼻がつきかけておりますので、できる限り早急に手をつけて、この港湾の改良については着手いたしたいというふうに考えております。  ただ、先ほどございました反対云々というふうなお話でございますけれども、積極的に反対意見というものは私聞いてございませんけれども、ただ、これから交渉に入る段階で、漁業権者がたくさんおりますし、御承知のように、あそこは東京から参ります釣り船もたくさんおる事情がございますので、そういうふうな水産行政との調整という問題が今後出てまいろうかというふうに考えております。
  109. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、第一、第二海堡の間のしゅんせつ、これはたいへんけっこうなことだと思うのです。ぜひそうしたことをやっていただいた上で、第三海堡を撤去する。そうなれば、しろうと考えでございますけれども、当然第二海堡を中心として一方交通ができる。そうなれば、東京湾の浦賀水道の交通が非常に楽になってくる。これはぜひともやっていただきたいと思うわけです。いまのお話のように、水産関係で釣り船等、これはレジャーもあるだろうし、あるいはまたそれを業としておる者もあると思います。しかし、やはり東京湾の入り口にあのような障害物があるということについて、何としても一刻も早く撤去して、安全な航行、特に大型船舶、二十万トン級の大型タンカーの事故があそこで起きた場合、たいへんなことになってしまう。一刻も早くしゅんせつをし、さらに撤去をしてほしい、こう思うわけです。撤去するについては大体どれくらい費用がかかるか、こういう点、船上ではいろいろ話が出まして、たとえ百億かかってもやるべきじゃないか、ずいぶん乱暴な意見かもしれませんけれども、そういう意見まで出ております。こういう撤去について試算をしてみたことがあるかどうか、その辺のことを伺っておきたいわけです。
  110. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、第三海堡はどういう構造でできておるか、あるいはその後それがどういうふうに変わってきておるかという調査は、数年かかってかなり詳細に調べてございます。技術的にも非常に大型の船が要りますけれども、そういうものを使ってやれるということで、いまの経費の問題でございますが、これは補償費がちょっと不確定な要素がございます。直接の工事費だけでございますけれども、たとえば十七メートルまで掘った場合、あるいは二十三メートル、二十五メートルまで掘った場合、そういった場合でずいぶん違うと思います。ただ、先生御指摘のように、最近石油船だけでなくて、鉄鉱石の船もだんだん大きくなってまいりますので、二十万トンクラスと仮定いたしますと、二十二、三メートルの水深が必要である。そういたしますと、まだ非常に目の子でございますが、八十億ないし百億程度のものはかかるのではなかろうかというふうに考えております。
  111. 松本忠助

    松本(忠)委員 いまのお話で、たとえ百億かかったとしても、これはやはり大きな事故が起きる前に撤去すべきだ。その船上でもまた話がありましたが、もし水産関係の方々の反対があるとするならば、いっそのこと、運輸関係の議員と一緒の船に乗っていって、船上で討論会をしよう、そうすれば水産関係の人たちも実態をよく認識できて反対をしなくなるのではなかろうか。こういう点について、港湾局長あたりがぜひとも音頭をとって一刻も早くしてほしいと思うわけです。費用が概算で八十億とか百億とかいっているのではなくて、早いところ計算をして、そしてこういう費用は惜しまずにやったほうが大きなプラスになる。撤去する間に相当の時間もかかるでしょう。その間交通も不便だと思います。しかし、将来の東京湾の交通のことを考えるならば、一刻も早くこれはすべきじゃないか、こう思いますので、提案するわけでございますが、船上討論会をやる考えはありませんか。
  112. 栗栖義明

    ○栗栖政府委員 運輸委員会なり農林水産委員会でおやりいただけるというのは、国会の問題でございますので、これは事務当局としてちょっとそこまでは申し上げかねるかと思いますけれども、まず私いま考えておりますのは、来年の予算の問題もありますけれども、一応目鼻がつきましたら、直接は千葉県と神奈川県の漁業者でございますが、漁業者の御意見を事務的に十分確かめて、それからひとつ国会の先生方の御意見に反映していただいて、御審議いただけたら、そういうふうに考えておるわけでございます。  なお、船上討論会をするというふうな委員会のほうの御決定がございましたら、私どもできるだけお手伝いいたしまして、あるいは船の手当てなり何なり、いつでもお手伝いしたいというふうに存じております。
  113. 松本忠助

    松本(忠)委員 港湾局長に対する質問は以上で終わりです。  次に、自動車局長に伺います。自動車局長にお伺いしたい点は、簡単なことでございますけれども、現地におきましては大問題になっているわけであります。決して簡単な問題とは言えないと思うのであります。というのは、離島において運行している自動車の自賠責保険料の料率の問題であります。この点につきましては、昭和四十一年の六月三十日の大蔵省の九十三号の告示ですが、これで特別保険料といういわゆる離島料率というものが定められているのですが、これを定めたときの理由はどういうことでございましょうか。
  114. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 第一次的には大蔵省でございますが、それは離島におきましては、本土とは違って交通量が比較的少ない、したがって、事故率が本土よりは少ないという前提のもとに、本上よりも安い料率を設定したものと思います。
  115. 松本忠助

    松本(忠)委員 確かに離島におきましては交通も少ないでしょう。当然事故も少ない。そういうことになるから、そこで離島におけるところの自賠責の料率を下げた。そこで、本土を一〇〇とした場合に、離島の料率は当時幾らだったでしょうか。——本土を一〇〇とした場合に、離島のほうは何割だったかということです。
  116. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 若干車種によって違いますけれども、たとえば自家用乗用車でございますと約半分ということでございまして、おおむね約半額。これは車種によって実はいろいろ違うわけでございます。
  117. 松本忠助

    松本(忠)委員 自家用乗用車で言ってみてください。
  118. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 自家用乗用車で言いますと、現在の分が、離島が八千六百円で、本土の場合が一万八千六百五十円でございまして、それの割り振りは前のときと同じでございますので、いまの先生のお尋ねの率から申し上げますと、前もおおむね同様でございます。     〔委員長退席、村山委員長代理着席〕
  119. 松本忠助

    松本(忠)委員 率は同じということですね。昨年の十月末に料率改定になりましたね。その昨年十月末の料率大幅改定になったそのときの料率と、それからいま申し上げた四十一年六月三十日にきめられた料率と、一〇〇対幾らという割合は変わっていない、こういうことですね。
  120. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 ちょっと不正確なことを申し上げて申しわけありませんが、現在の料率では、離島八千六百円に対しまして本土が一万八千六百五十円でございますから、本土のほうが約二倍強になっておりますが、先般の料率改定のときにおきましては、本上を約九九%、それから離島を三五%アップしておりましたので、前のときの率は現在の率とは違っております。不正確なことを申し上げましたが、さようになっております。
  121. 松本忠助

    松本(忠)委員 いずれにしましても、離島のほうが本土よりは安いということですね。こまかい数字の点はまたあとからよくお知らせ願うとしても、いずれにしても離島が安い、こういうことなんですね。そこで、離島をそう下げた理由はわかりますが、離島という定義、この点はどうなんでしょう。
  122. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 「離島とは、本土(北海道、本州、四国および九州)以外の島であって、橋、隧道又はフェリーボートによる本土との間の交通又は移動が不可能なものをいう。」というのが定義でございます。
  123. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうすると、フェリーボートが今度新しく就航する、いままで就航していなかった、今度は新しく就航するとすると、いまの定義から解して、内地並みになるということですね。
  124. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 その定義から申し上げますと、さようなかっこうになるわけであります。
  125. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、フェリーボートが行ったり来たりするという状態ですが、瀬戸内の状態のフェリーボート、たとえば十分間隔、二十分間隔で、何そうもの船があって常に行ったり来たりしているというところの島、そういうものと、たとえば一日に一回、それから本土との間の距離が百キロないし百二十キロもある、こういうところでも同ように扱われるわけですか。
  126. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いままでの考え方ではさようでございまして、フェリーならフェリーということでございまして、回数とかなんとかに関係なく、フェリーが通る場合におきましては本土並みというのがいままでの扱い方でございます。
  127. 松本忠助

    松本(忠)委員 そこで、私まずひとつ申し上げてみたいのは、朝鮮海峡の壱岐、対馬の島民から陳情がありました。壱岐、対馬におきましても、今回フェリーボートが通るようになる。そうすると、これは本土並みになってしまうといういまの局長のお答えのとおり。その壱岐、対馬にはどれくらいの自動車があるかといいますと、壱岐のほうだけで一つの具体例をもって申し上げてみますと、七千四百五十七台の自動車がある。自家用も営業車もみんな含んででございます。それをいままでの自賠責の離島料率によりまして計算しますと、保険料が三千七百七十一万八百五十円、それが今回フェリーが就航することによって本土と同じになりますと、保険料が七千四百三万一千九百円、こういうふうになります。差し引き一年間に三千六百三十二万一千五十円値上がりすることになります。そこで、いろんな自動車がありますが、全車を総平均してみますと、全車は五千五十七円だったものが、フェリーが開通して本土並みになると九千九百二十七円になる。一台当たりの総平均の値上がりが四千八百七十円、こういうふうになるわけであります。それではどれくらい壱岐の人たちがその車をフェリーに積んで本土へ渡ってくるかということになりますと、実際問題で自動車の所有者のわずか二%しか本土には渡らない。これはいろいろアンケートをとって調べてみたわけです。そうなりますと、壱岐、対馬あるいは五島、奄美、こういう諸島については、地理的の条件、フェリーボートの特殊性、離島の現況、このようなものから、やはり離島料率、特別保険料、前の保険料を存続させるべきではないかと私は思うのです。瀬戸内のような十分、二十分間隔で一日に何十回も往復するようなフェリーと、一日に一回、そして島においては依然として交通事故は少ない、こういうところの料率が同じであるということはうなずけない。いままでそのような離島の料率というものをきめておった。それを単にフェリーが開通するという一事をもって——その実態もいま申し上げたような大きな差があるわけです。瀬戸内のフェリーの状態。遠く離れた壱岐、対馬、五島、奄美、そういうところにかりにフェリーが開通した。どういうことになる。どうしてもこれはいままでのような離島料率を存続すべきではないかと私は思うわけでありますが、局長の御答弁をいただいておきます。
  128. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 近来フェリーボートが非常に発達してまいっておりまして、瀬戸内等各地にこれができておるわけでございます。従来の扱い方ですと、フェリーでもって連絡ができるようになれば、離島ではなくて、本土としての料率を適用するということでございますけれど、いま御指摘のような問題もあります。ただ、いろいろ島がございまして、フェリーの回数の問題、それから島と本土との距離の問題等によりまして、必ずしも一律ではないと思うわけでございます。料率等は、どこかで線を切ります場合におきましては、これははっきりと切り得るものでなくてはいけない。どっちに属するかということをはっきりしないような切り方では困るわけでございまして、それらから見ますと、壱岐、対馬の場合と、またほかの島の場合との関係等も調べねばなりませんし、それで、いま御指摘のような点もありますので、大蔵省のほうといま相談をいたしております。第一義的には大蔵省のほうで、もとの保険料の料率でございますから、案をつくるわけでございますが、われわれのほうといたしましても、大蔵省とこの問題と取り組みまして、なるべく早くひとつ結論を出したいというふうに考えております。
  129. 松本忠助

    松本(忠)委員 局長に望んでおきたいことは、直ちに前向きに検討してもらいたいと思うわけです。きょうも実は大蔵省を呼んで両方の御意見を聞きたかったわけでございますけれども、時間の関係もございますので、私単に自動車局長からお伺いするわけでございますが、どうかいまの発言のように、大蔵と相談して前向きの考え方でひとつ対処していただきたいと思う。従来のそのような例がなかったわけでない。従来の離島料率というものがあるのだから、従来どおり適用していただけるようにこの点を希望しておきます。以上で終わります。  次は航空関係。本年の二月三日付の各紙に一斉に載った記事でございますが、当委員会におきましてはまだこの問題をあまり取り上げておりません。と申しますのは、御承知の四十一年二月四日に、羽田沖で墜落いたしました全日空ボーイング727の事故の報告の問題であります。  この事故原因調査団員の一人であるところの山名正夫東大教授、この方が事故の最終報告書の取りまとめ方を非難して、運輸大臣に対して辞表を提出したという記事が二月三日の新聞に一斉に載ったわけであります。そこで、私は、二月二十六日、雨の降っている日でございましたけれども、東大に山名教授をたずねまして、二時間あまりにわたりまして種々と話し合ってまいりました。山名教授のお話もいろいろと伺ってまいりました。  そこでお尋ねしたいのは、山名教授の辞表提出について、航空局長——きょうは局長が参議院のほうに行っておられまして御出席ございませんので、直接聞くわけにいきませんが、局長は慰留に行かれたのかどうか。そのとき、山名教授はどのような返事をなされたのか。一応確認の意味で伺っておきたい。
  130. 山元伊佐久

    ○山元説明員 ただいまの問題につきまして、技術部長が後ほど参りますので、部長から御答弁さしていただきたいと思います。
  131. 松本忠助

    松本(忠)委員 それではその問題は——技術部長、いまあなたが来られる前にちょっとお話ししたことを再度繰り返して申し上げます。  ことしの二月三日に各紙が一斉に取り上げました問題、いわゆるボーイング727の四十一年二月四日の事故に対する事故原因技術調査団の一人であるところの山名東大教授、この東大教授が最終報告の取りまとめ方を非難して、運輸大臣に対して辞表を提出した。そこで、私は、二月二十六日、雨の降っておりましたその日に行って、山名教授と会っていろいろとお話を伺ってみました。その山名教授の辞表提出について航空局長は慰留に行ったのかどうか。山名教授はどのように返事をされたのか。そのところをまず一点伺ってみたいと思います。
  132. 金井洋

    ○金井説明員 お答えします。  山名教授の慰留につきましては、局長も努力されまして、直接会って慰留されておるはずでございます。私もそのように聞いております。
  133. 松本忠助

    松本(忠)委員 ここへ局長が残念ながらきょうは出席がないので、確認ができませんが、まあそれでいいでしょう。  それで、その辞表の取り扱いについてはどのようになっているか、御存じありますか。やはり局長が来てからでないとわかりませんか。
  134. 金井洋

    ○金井説明員 辞表は事務局で受理しておりまして、団長はじめ団員の有志の方並びに事務局でまだ慰留を継続中でございます。
  135. 松本忠助

    松本(忠)委員 すると、辞表は団長の手元にあるということですね。運輸大臣にあてた辞表を団長が握りっぱなしで、運輸大臣のところにはいっていない、こういう意味ですか。
  136. 金井洋

    ○金井説明員 辞表は事務局あて、航空局あてに送られまして、団長と御相談しまして、事務局で預かっております。といいますのは、先ほどお答えしましたように、まだ慰留を続けておりますので、まだ事務局が預かっておるということでございます。
  137. 松本忠助

    松本(忠)委員 山名教授は、一月二十四日の報告に対して非常に不満があるといいますか、そういうところから辞表を出しているわけですね。その本人が辞表を出したのだということは、要するに、一月二十四日の報告書の中に書かれていることについては自分は承知できない。学者の良心として認めるわけにいかない。だからその報告書に自分の名前を連ねることはできないから、それ以前にやめるんだということで、辞表の提出があったわけですね。ところが、依然としてその辞表が宙ぶらりんの形で、一方はもう出したのだ、受けつけてもらったものと確認しているようです。その辺のところにどうも割り切れないものがあるわけなんですが、いまもってその辞表を預かっていて、大臣にもそのことは報告はしていないわけですか、してありますか。
  138. 金井洋

    ○金井説明員 これは航空局長から口頭で大臣にはその旨が伝えられております。事務局が預かってまだ慰留につとめておりますという趣旨の説明がなされております。
  139. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは次に移ります。  この調査団の団長は、御承知のように、日大の教授の木村秀政さんですね。事故発生後四年もたちまして、昭和四十五年一月二十四日に調査団の最終報告をするための総会を開いた。まあ結論は出した。その結論は、御承知のように原因不明、まことに何ともあと味の悪い結論が出ているわけであります。このことは私も新聞で承知をいたしました。この事実、原因が不明であるという報告書、これが出されていることは間違いないわけでございますね。
  140. 金井洋

    ○金井説明員 まだ技術調査団から最終報告書としての答申が運輸大臣あてになされておりませんので、まだ事故調査は最終的には終わっておりません。一月二十四日に発表されたものは、一種の中間報告でありますけれども——最終的に終わっておりませんから、中間報告という意味でございますけれども、そこで原因不明となる公算が大であるということが、確かに先生御指摘のとおり発表されております。それはその一月二十四日の時点までに、これだと断定できる証拠が発見されていなかったわけで、このままもし推移すれば、おそらく原因不明ということになるのではないだろうかということで発表されたものでございます。
  141. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうすると、一月二十四日の調査団の報告は中間報告である。まだその調査団は解散していない。結局調査は継続している、こう理解していいわけですか。
  142. 金井洋

    ○金井説明員 さようでございます。
  143. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは次に移ります。  このボーイング727は、機体製造は御承知のようにアメリカでございますが、これはまぎれもなく全日空の所有機ですね。要するに、民間会社の全日空の所有機であるということは、軍の飛行機でもないですし、秘密はないわけだと思うのです。それで、日本の飛行機に発生したところの事故については、日本人が一番よく知りたいし、また今後の事故発生を防止するためにも、ほんとう原因を知りたい。知る権利があると私は思うわけです。  事故のあった直後、すなわち、昭和四十一年の二月五日に、ボーイング社から三名の技師が日本へ来た。727の機体の設計には欠陥はない、こう言明して帰っていった。そのときに何らかの手が打たれたのではないかということを消息筋では言っているわけです。それを裏づけするものがある、こういうことを言う者もあります。  そこで一体、機体欠陥説、いわゆる新聞がいっております機体欠陥説、まあ正確にいえば山名報告とでもいうのですか、この山名教授の言っているいわゆる山名報告、新聞などでいうところの機体欠陥説、それと操縦のミスによるもの、このいずれが真実なのかということについては、原因不明ということで中間報告が出て、それ以降のことについて国民はひとしく知りたい。一体、操縦のミスなのか、機体の欠陥なのか、どっちなんだろうか、ここを知りたい、これはもうだれもがそう思っていると思うのです。特にこの犠牲になられた百三十三人の方々の霊に対しても、原因不明では申しわけない次第だと私は思うのです。その御遺族にいたしましても割り切れないお気持ちでおられることだろうと思うのです。これは中間報告であってまだ調査団も解団しているわけではなし、今後も調査を進めていくんだ、こういうふうに先ほどのお話から理解できるわけでありますけれども、これは永久に原因不明ということで終わってしまうような気がするわけですけれども、その辺のこと、あくまでも原因不明ということでいってしまうのかどうか、あるいはどちらかの原因がはっきりする時期がくるのかどうか、非常に無理な質問かもしれませんけれども、一般の方々、百三十三人の御遺族の方々はやはりそのことを望んでおるので、私はあえてここでお伺いするわけであります。原因不明という言い方についてはまことに理解できない。少なくとも国費で調査をさせ、そして技術的にむずかしいことはわかるけれども、そのままの原因不明という形でおくことは、どうも国民の一人として私は理解できないのですが、この点について事務当局としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか。
  144. 金井洋

    ○金井説明員 先生おっしゃるとおり、原因不明ということですと、遺族の方はもちろんのこと、すべての人にとって割り切れず、納得できないことでありますけれども、これだと断定できる証拠がない場合には、外国の過去の例におきましても、断定できる証拠が発見できなかった場合には、原因不明というような結論が出ておる事例もございます。もちろん断定できる証拠をさがせばよろしいわけでございますけれども、これはたとえば727の場合には、東京湾に沈んでおる残骸その他でまだ五%くらいは行くえ不明というか、これは不可能でございますけれども、回収し切れなかった残骸もございますし、そういうすべての証拠を整えることができない。したがって、現在までのところ、これだと断定できる証拠が残念ながら発見できていない状態でございます。それでは、断定できる証拠が発見できないのなら永久にその証拠を見つけるまで事故調査を続けるのかということでございますけれども、時間と労力、経費その他の点でできない。できないということは、結局事故調査の目的は、先生も御指摘になりましたように、同じあやまちを二度と繰り返さないということでございます。もし断定できる資料が発見できなくて原因不明という結論になったとしても、その間何らかの手を打ち、同じあやまちを二度繰り返すことを防ぐことがどうにかできたということであれば、もって瞑すべきではないか。その時点で事故調査を打ち切っても、あるいは皆さんから納得してもらえるのではないだろうかというふうに考えております。
  145. 松本忠助

    松本(忠)委員 時間もありませんから、簡単に答えてくださってけっこうです。  そこで伺ってみたいことは、確認してみたいことは、調査団が発令されたのは一体いつなのか、お伺いしたいわけです。
  146. 金井洋

    ○金井説明員 昭和四十一年二月七日でございます。
  147. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでその機体の引き揚げを開始した。当然これは遺体の収容が先でございますから、実際問題としての機体の引き揚げはその後になったと思いますが、掃海のやり方、引き揚げ後の機体あるいはエンジン等の配列のしかた、こういうものに対してはどのようにだれが指示をしたのか、要するに、初期の指示については、調査団の発令される前にはだれが指示していたのか、この点を確認したいわけです。
  148. 金井洋

    ○金井説明員 調査団は二月七日、事故は二月四日でございまして、もちろん二月四日の夜から遺体の収容を重点的にやった関係上、二月四日では残骸その他の機材をどのように揚げるかということはまだ相談しておりませんでした。そして二月七日に調査団が発足しまして、その揚げ方あるいは回収のしかたについて検討を加え、同時に、海上保安庁その他関係機関とも協力して、回収のしかたを最終的にきめた次第でございます。
  149. 松本忠助

    松本(忠)委員 少ししろうと考えでございますけれども、聞いておきたいことがございます。この727が四日に千葉の上空で計器飛行をしてきて、十八時五十九分に有視界飛行に切りかえた。それから管制塔にそのことを通告して、それからショートカットして東京湾上をゆるやかにまっすぐに羽田を目ざして飛んできておる。十九時零分三十秒ころに最終進入体制に入るということを通告をしている。それが最後で、十九時一分に管制塔から着陸灯を示せという要求をしたけれども、それに応答がなかった。要するにこの三十秒間のできごとなんです。この三十秒間に東京湾上に墜落しているわけでございますが、この事故後の掃海、この点について、要するに東から西に向かって網を引いたのか、北から南あるいは南から北に向かって掃海したのか、この指図はだれがしたのか、この点を簡単でけっこうですから……。
  150. 金井洋

    ○金井説明員 これは事故調査団にもはかり、海上保安庁と相談しまして、事務当局が直接指示いたしました。そしてその引き方については、その日によりましてあるいは東から西だとか、西から東と、要するに推定される飛行経路にほぼ直角に引くようにしたのでございますけれども、もちろん角度を測定する何ものもございませんので、実際に海底を引く作業に従事した漁船の方たちは直角どおり引いたかどうか、あるいは斜めに引いたのかどうかというようなことについて、全然証拠はございません。したがって、その角度が何度で引いたかという証拠は確かではございません。
  151. 松本忠助

    松本(忠)委員 そうなりますと、どの辺に機体が落ちていたかということは全く不明だということになるわけですね。
  152. 金井洋

    ○金井説明員 ある部品がここに落ちていたと断定することはできません。
  153. 松本忠助

    松本(忠)委員 この網の引き方にはいろいろ問題点があったと思うのです。要するに、進入した千葉の方向から羽田の方向に向かって引いたならば、これは全然問題にならない。やはり南北に引くといいますか、そういう方向で引くべきでしょうが、その角度についての規定もないし、また目標とするものもなかった当時の状況で、相当たくさんの船が入ったことですから困難であったとは思うのですけれども、これらの点について、今後事故発生の際には、やはり海上におけるそういう墜落したものの捜索については慎重を期さないと、今後大きなあやまちを起こすのじゃないかと思って、あえてお聞きしたわけでございます。  そこで、調査団の中の山名教授以外のグループは、一体どのような調査をしたのかわかりませんけれども、山名教授の話によりますと、三年半の歳月を費やして独自の調査をしている。たとえば模型を使って墜落やあるいは接水の実験のデータをとった。あるいは千枚に及ぶところの残骸のスライド、あるいは映画のフィルムも三巻とった。いろいろのことを言われておりました。それを基礎にいたしまして、昨年の十月に延々七時間にわたって行なったのがいわゆる山名報告だ、こういうふうに聞いております。そこで、新聞によりますと、機体欠陥説といっておりますが、その内容については、技術的な面からいま私は詳しく申し上げることはできませんけれども、山名報告によってなぞの三十秒間の解明ができたと、この調査に協力した方々は言っておるそうでありますが、一月二十四日に開催された調査団の総会におきましては、この山名報告をめぐって十分討議をされた模様がない。山名さんは前年十月に報告をしている。しかし、一月二十四日開催の調査団の総会におきましては、この山名報告をめぐって十分な討議がされた模様がない、こう聞くわけでございますが、この点は事実でしょうか、どうでしょうか。
  154. 金井洋

    ○金井説明員 お答えします。  山名報告がまず第一回目に、昨年の十月十七日だったと思いますけれども、なされまして、それから一月二十四日に三十二回目の総会があったわけでございますけれども、その間に一度会議を開きまして、山名意見に対するディスカッションをしておりますので、全然討議がなされていないということはございません。
  155. 松本忠助

    松本(忠)委員 討議したというわけですね。——はい、わかりました。  それでは、この最終報告書の草案全体についての賛否を求めるというときに、団長がこれを求めまして、大多数の意見は草案に賛成しているといってケリをつけている。その総会で配付された草案と、それ以前に調査団全員に郵送されておった草案とは同じか、違うか。
  156. 金井洋

    ○金井説明員 同じでございます。あらかじめ郵送されておったものと、一月二十四日当日ディスカッションされた草案とは同じものであります。
  157. 松本忠助

    松本(忠)委員 全く同じですね。ではそれを確認します。そうしますと、郵送された草案のみを見て賛否を決した人も、それから当日その場に出て賛否を決した人も、これは当然草案が変わっていないとすればそれでいいのですけれども、もし草案の一部でも変化していたとしたらどういうことになるか。そういう事実は全くなかったかどうか。
  158. 金井洋

    ○金井説明員 ありません。
  159. 松本忠助

    松本(忠)委員 それでは、あなたがないと言われるのですから、私はそのことばを信じます。私の耳に入りました、当日配付された草案と、当日以前に郵送されていた草案には違いがあるということは、全くないと打ち消されるわけですね。——それでけっこうでございます。  それでは、新聞社でいわゆる山名報告と名づけておる機体欠陥説、これが正しいのか、あるいは調査団の発表の原因不明という表現による大多数の委員の意見が正しいのか、これは私にもわかりません。私はどちらに肩を持つというわけでもございません。ただ、原因不明と言いながら、暗にパイロットの操縦ミスというような言い方は、意地悪く私が言えば、死人に口なし、これに便乗しているのじゃなかろうか、こうも思えるわけです。遺体の引き揚げに当たった人の言明によりますと、かなりの乗客が安全ベルトをはずして立ち上がっていたという姿勢は何を物語るのか。何か機中で乗客が耳で聞くなり目で見た何かが発生したのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。また、着水前に空中で火をふいているのを見たという漁師もいるということでございますが、報告書の中には、この推定の接水点の方向に瞬間的に火を認めたという以外は何にも書かれておりません。空中における火のことは否定しております。いずれにいたしましても、パイロットミスか機体の欠陥か、しろうとの私にはわかりませんが、原因不明という結論は世間一般の方々は納得しない。  そしてまた、報告書を多数決できめたということに私は不満を持つものなんです。多数決ということは、政治問題を解決する場合の民主的な方法であろうとは思います。しかし、科学の問題、技術の問題について多数決できめるという方法をとったということは、調査団の運営が政治的ではなかったかというふうに思われるのでございますが、この採決の方法についてはどのようにお考えですか。
  160. 金井洋

    ○金井説明員 お答えします。  採決の方法は、ただ単に多数決で採決したということではございませんで、事故調査団としましては山名説を十分聞いたわけです。しかしながら、その説は可能性の少ないものを結びつけたのではないか、そういうものについては賛成できないということで十分討議して、大多数の者が山名説には反対されたということでございます。採決ということは、要するに第四次草案をつくったわけでございますけれども、今後この第四次草案に盛られておるような趣旨で最終的に報告書をまとめていいかということについて採決をしたのでございまして、その内容がいいか悪いかということで採決したのではございません。その点誤って伝えられておるのではないかと思われます。
  161. 松本忠助

    松本(忠)委員 次にもう一点、事故機、いわゆるJA8302という飛行機は欠陥機ではなかったかという疑いを持っておる人がだいぶあるようですが、その根拠とするものは、昭和四十年十一月十二日に羽田の格納庫で酸素の補充中に引火の事故があった。これは原因がつかめないまま修理に二週間かかったということです。それから四十年十一月三十日、外林という男が運転するタラップカーがあやまって翼端にぶつかって事故が起きておる。補助翼を交換して修理するまでに相当の日がかかっておる。一説によりますと、この間は就航をしていない。そして二月三日、あの事故の起きます前日、札幌に向かって飛び立ったのが事故の修理後初めてである、こういうことをいっているわけです。ここで疑いを晴らす意味においても、この二月三日以前、それからただいま私が申しました十一月十二日以降、その間の飛行機の状態、これはどのように就航したか、これをはっきりすることによって、欠陥機でなかったという一つの証拠になるのではなかろうかと思うわけです。そういう意味から、就航の事実を、四十年十一月の一日から四十一年二月の二日まで、この間にどういうふうな就航をしたかということ、これは文書でけっこうでありますから、あとでお答えをいただければけっこうでございます。  いずれにいたしましても、原因不明という歯切れの悪い状態でいるということはまずいと思います。一刻も早く、私は、何らかの形で国民の疑念を晴らすようにはっきりしたことを言っていただいたほうがよろしいと思います。この点を申し上げます。  それでは727の事故の問題はそれでけっこうでございます。  もう時間もございませんから、もう一つだけお伺いします。  航空局長が来ておりませんので、かわってお答え願えればけっこうでございますが、現在羽田が相当に混雑しておることは十分承知しております。そこで、全日空の東京—八丈線、八丈島と東京間を通っております飛行機の離着陸を厚木に移すということがいわれておりますけれども、この点、本土の利用者も八丈の島民もこぞって反対の意向をあらわしております。私のところにも八丈から厳重な抗議文を陳情につけてきておりますが、住民には何の連絡もなく、一方的に厚木にするということが公表されたので、これが実施されると、次の理由により、航空路の利用率の低下は明らかであり、ひいては伊豆七島住民の死活問題だ、このような大きな表現でございますが、事実だと思います。なお、厚木までの交通が至難である、そして伊豆諸島のみの航空路が犠牲になる、こういう点から考えまして、この厚木を使うということについては、地元も大きな反対の意向を表明しております。航空路の開設によりまして、伊豆諸島は観光立島として活路を見出した、そして離島の持つところの宿命的後進性を徐々に脱皮して何とか立ち上がりたい、このように思っているやさきに、このような厚木を利用するということになりますと、伊豆七島の住民といたしましては死活の問題である、このようにいわれておりますので、ぜひこの点は厚木を使用するということを取りやめにしてもらいたい、こう私は思うわけでございますが、この点について局長の御答弁をいただいて、終わりにいたします。
  162. 山元伊佐久

    ○山元説明員 ただいま先生から御指摘のございました全日空の八丈線の一部を厚木飛行場に移すという件に関しまして、先般、八丈の町長のほか十数名の方々が運輸省に陳情にお見えになりました。その御趣旨は、もし八丈線の一部にしろ厚木飛行場に移行することになると、観光客が減る、したがって、八丈の島民にとっては死活の問題である、ひとつぜひ再考してほしい、こういう御趣旨であったわけでございます。他方、航空局からも現在羽田は非常に込んでいるという実情をお話しいたしまして、これに対して何らかの対策が必要だということをよく御説明申し上げたわけでございます。その結果、島民の方々も、現在飛んでおります八便、すなわちYS二便、フレンドシップ六便、合計三百六十席でございますが、この分については、引き続いて羽田から離発着するようにしてほしい、しかし、これを機会に増席分あるいは増便分については、厚木から離発着することになってもやむを得ないというように御理解いただきたいわけでございます。そこで、私どもも、いま羽田の離発着につきましてダイヤ調整を進めておるわけでございますが、もう一度調整をやり直しまして、島民の方々の御要望に沿え得るような方向でさらにくふうをいたしたい、かように存じておる次第でございます。
  163. 松本忠助

    松本(忠)委員 質問を終わります。
  164. 村山達雄

    村山委員長代理 米田東吾君。
  165. 米田東吾

    米田委員 私は、自動車の関係で二つばかり御質問を申し上げますが、一つは、ハイヤー、タクシー業の運転手の日雇い契約、これはたしか禁止規定があるんじゃないかと思いますけれども、どうでございますか。
  166. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 道路運送法に基づきます自動車運送事業等運輸規則という省令でもって日雇いを禁止いたしております。
  167. 米田東吾

    米田委員 現在、皆さんが知っておられるハイタク業の業者の中で、禁止規定があるにもかかわらず、日雇い運転手を個々に契約してやっているようなものがありますか、ありませんか。
  168. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 運輸規則の第二十五条の七に、いわゆる日雇いの範疇に入るものが一項の一号から四号まで規定をされておりますが、これは監査の場合等におきましてそのようなことがあるかどうかということを調べております。ただいまのところ、東京都におきましても調べましたが、直接この規定に反するということは、書類上等から見て発見しておりません。しかし、捜査権がございませんし、また個々の運転手に対する調査のしかたについても、従来法律的にもいろいろ十分でない点等がございまして、われわれといたしましては、具体的には発見をしておりませんけれども、これが皆無であるかどうかということにつきましては、今後たとえば登録制度等が実現いたしますと、把握しやすいんじゃないかというふうに考えております。
  169. 米田東吾

    米田委員 東京をはじめ大都市は、大体収益性からいきまして高いと思いますから、この種のものはそう私はないと思いますけれども、地方にはあるんじゃないか、こういうふうに思うのであります。しかも、規則の二十五条の七というこの禁止条項を逆に利用して、たとえば日雇い形態をとらないで、一カ月という期間の契約をして、その間の日曜、休日だけを雇い入れるとか、あるいはその人がつとめが終わってうちへ帰ってから夜のパートに雇い入れる、そういうような方法をとっているところがあると私は思うのでありますけれども、皆さんわかりませんか。
  170. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま御指摘のような形が地方において行なわれておりますかどうか、具体的にはあまりつまびらかにしておりません。
  171. 米田東吾

    米田委員 この種の関係というのは、運転手の労働組合、たとえば全自交とかあるいは全交運とかいう組合で、相当この問題に関心を持って調査もされておるし、また、実態についても対策を講じておられると私は思うのであります。そのことは、自動車局の皆さんも御存じだと思いますけれども、そういう団体から具体的に指摘をされて、善処を求めるというようなことが過去あったんじゃないかと思いますけれども、たとえば本省段階あるいは出先の段階であったと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
  172. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 従来は、地方におきましては、賃金形態の改善の点、それ以外の点等につきましても、労働組合のほうからいろいろの御要望がありました。その点は承知いたしておりますが、パートタイマーに関する話は、従来はあまり承っていないように記憶いたしております。最近におきまして、いま先生が御指摘の点を担当のほうにお話があったように承っておりますけれども、従来パートタイマー的なもので具体的にこういうものがあるからどうかということにつきましては、あまり記憶いたしておりません。
  173. 米田東吾

    米田委員 問題は二つなんですが、一つは、私がいま申し上げましたような、そういう脱法を意図したかどうかは別といたしまして、日雇い契約ではないけれども、長期か短期かという定義もなかなかむずかしいと思いますが、たとえば一カ月ないし二カ月ぐらいの期間、つとめる日は、その月の三回か四回の日曜日とか休日とか、あるいは自分の勤務の都合によって週休に当たるようなときに、少なくとも一カ月に四回か五回になると思いますが、そういう日に限ってハンドルを握るという契約は、日雇い運転手の禁止規定に違反するのではないかと思いますが、運輸省の見解はどうですか。
  174. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 二カ月以上の場合におきまして、いわゆる雇用契約は長期的なものであれば、直接違法とは言いかねると思います。しかしながら、この件につきましては、事業計画を完全に遂行するというような面の問題、それからまた運輸規則二十一条その他の点がありますから、この件につきましては、内容的には相当慎重に検討する必要があるのではないかと思います。
  175. 米田東吾

    米田委員 これについてはぜひ慎重にということだけではなしに、こういう疑わしいものは違法だというふうに行政指導の面できちっとされて対処していただかないと、この種のものはあとを断たないのではないかというふうに思うのであります。特に二・九通達が出ましてから、こういうものが実際問題としてふえておるのではありませんか。法の精神からいっても、いま申し上げたような雇い方は脱法であり、違法だということで差しつかえないのではないかと思います。いまの御答弁のように、具体的なことを隠して、ただ契約が長期だとか、契約の手段方法が法にかなっておるとかいうことだけではどうにもならぬということは、最近の交通安全あるいは運転手の労働条件の改善という面で非常に力を入れておられる当局の態度としては矛盾するのではないか。ことに今度の国会でハイヤー、タクシー関係の運転手の登録制という問題が非常に大きく取り上げられまして、全国的にひとつこういう方向で近代化していくという前向きの姿勢が出ているわけですね。こういうときに、私は、この点になると、どうも歯切れが悪い、暗にそういうものを認めておられるんじゃないかと思われるような答弁では、どうも納得できないのでありますけれども、いかがでございますか。
  176. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 運行管理、労務管理等、いわゆる会社のほうもそれらを十分把握する、そして労働条件等を改善するということは、非常に重大なことでございまして、運輸省といたしましても、その点は改善に真剣に取り組んでおるところでございます。  先ほども申しましたように、パートタイマー的なものは、従来地方におきましては具体的な例をあまり聞いてなかったわけでございますけれども、最近におきましてそういうような例があるとすれば、事業計画を常に確保していくという面からして、パートタイマー的なものを雇うというのはいかがかと思う点があります。それから労務管理、運行管理という面につきまして、ふだん十分な指導訓練等を行なっていないで、たまたま日をきめて勤務するというふうなことになりますと、それらがあるいは十分でない点があらわれる可能性もあるわけでございます。したがいまして、法律上合法的であるか違法であるかという問題は別といたしましても、事業の安全、事業経営の合理化、それから運行の安全というふうな面から見て、これらの点をどう考えるかということであると思う次第でございます。実は、従来あまり御指摘も賜わっておりませんので、近く各局を集めました会合等もございますので、各局における実情等をひとつ至急把握いたしますと同時に、いま申し上げましたような原則のもとに検討をさせていただくということにいたしたいと思います。
  177. 米田東吾

    米田委員 わかりました。私から、今後検討していただくためにも、ちょっと具体的に申し上げておきます。  長野県にそういう例があるようです。それから、私は新潟でございますけれども、新潟にもそういう例がございます。ただ、会社の名前まで私わかっておりますけれども、これは差し控えたいと思います。実情はこういうことであります。たとえば国鉄職員、自動車の教習所の指導員あるいは店員、それからお百姓さん、お寺の坊さん、こういうふうに具体的にあげられまして、現実にこういう方々が日雇い運転手として就業しておるのをつかんでおられます。これは長野県の県交運の事務局がこういう調査をされておりまして、新潟陸運局、長野陸運事務所長に具体的に説明をして善処を求められておるわけであります。しかし、この段階ではその実態がなかなかつかめないとか、日雇いでなくて一定の長期の契約になっておればどうしようもないとか、何か暗に認めるようなうしろ向きの答えだけで、一向に改善の方向に芽が出ておらない。こういうことでございますので、私は、やはりこれは自動車行政の面からいきまして問題だと思いますから、どうかひとついまの御答弁にありますように前向きに検討していただきまして、こういう脱法的な行為がなくなるようにぜひ善処をお願いしたいと思いますが、再度お考えを聞かせていただきたいと思います。
  178. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま具体的に御指摘がありましたように、われわれもその実態を直ちに調べまして、先ほど申し上げましたような考え方で検討をさしていただきたいと思います。
  179. 米田東吾

    米田委員 なお、この問題につきまして、昭和四十四年十一月二十一日の交通関係閣僚協議会で、あなたのほうの所管で「大都市タクシー事業の体質改善及び運賃の改定について」という通達が出ておりますね。これは表題のとおり、大都市タクシー事業の体質改善及び運賃の改定ということでありますから、限られた大都市ということが対象になろうと思いますけれども、少なくとも政府の交通関係閣僚協議会というようなところから出ている行政指導でありますから、大都市に限らず、私がいま申し上げましたような収益率の低いところが非常に問題だと思いますので、そういう地方地域についても、行政指導を通してこれらが具体的に実施され、成果をあげるようにひとつ御指導、御配慮いただきたい。この中には、たとえば累進歩合制の完全廃止だとか、日雇い運転者の雇用禁止だとか、きわめて明快に指導のポイントが出されておるわけであります。これは単にタクシー運転手の登録制度を実施するというだけには私は限らないと思いますので、そういう精神でひとつ指導していただきますように、この点についても御要請申し上げておきます。これは答弁要りません。  次に、ハイヤー、タクシー業における車両の管理あるいは運転手の管理というものは、明らかにその事業免許を持っている会社側にあると思うのでありますけれども、この点はどうでございましょうか。
  180. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これは免許を受けておる会社が当然車両管理、労務管理等をやる義務があるわけでございます。
  181. 米田東吾

    米田委員 その原則はいまお答えいただいたわけでありますが、ハイヤー、タクシー業におきまして最近特に出てきております原価計算方式なるものの給与のあり方、簡単に言えば、ハンドル貸しかあるいは請負かわからないような方式で、運転手に車をまかせ切りで、そして会社が水揚げの中から一定の会社の経営費その他賃金、定められたものを取る、あとは運転手のところに還元する、これが最近私は全国的にも非常に多いと思いますし、この点については、私は六十一国会でも御指摘をしまして、行政指導を通して、この種の、私に言わすならば、悪質な賃金のあり方というものを改善するように御要請を申し上げておるところなんであります。この原価計算方式という賃金の考え方から考えますと、朝車を運転して出たら翌日まで、会社の管理あるいは運行計画等については一向関係しないで、その運転者に全面委任をしてしまう、こういう形態は、いまお答えいただいた管理責任、運行責任が会社にあるという点から考えますと、違法でないかと私は思うのでありますけれども、この点はどうでございましょうか。
  182. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 管理責任、運行責任は当然会社にあるわけでございまして、会社にそれが帰属してないというふうな場合におきましては、これは名義貸しでございまして、法律に禁じられておるところでございます。ただ、東京都において見られますように、一定の時間に車庫を出ますと、一定の労働時間内に働きまして帰ってくるというふうなことで、事業区域内におきます運営、流しをやっております場合には、いわばその運転手に責任を持たして運営をさしているというふうな実態でございまして、ハイヤーの場合におきましては、営業所のほうが直接契約をいたしまして配車をしていくという形でございますけれども、流しの場合におきましては、当該運転手がいわば営業も兼ねているような形でございますので、大都市におきましてもそのようになっておるわけでございます。地方におきましては、流し営業地域以外ではハイヤー契約ということになっておりますけれども、地方にも比較的大きな都会におきましては流しの地域がございます。この場合におきましては、東京と同じような形で運営が行なわれておるわけでございまして、ただ、その面からだけ見て、これが名義貸しであるということを断定することは困難かと思う次第でございます。名義貸しであるかどうかという点につきましては、車についていわば貸し渡しのような契約になっているかどうか、それから運行管理、労務管理、車両管理等がどのようになっているか、それから、収入が会社のほうに入らなくて、運転手のほうに入ってしまうということになりますと、これは名義貸しでございますが、そういう帰属関係がどうなっておるかということ、それから事故を起こしました場合に、その賠償責任——保険には入っておりますけれども、上積みの賠償あるいは物的損害に対します賠償のときにおきまして、会社と運転手との責任の帰属の関係がどのようになっているかというふうな点等を見て、総合的に名義貸しかどうかということで判定する必要があると思います。名義貸しの場合には責任があいまいであり、このような公共的事業を行ないます場合にはとかく問題がありますので、法律は禁止をいたしておるところでございます。ただ、給与関係という場合におきましては、その給与の内容につきましては、労働省とともに法律違反がないように監督をしなければならないと考える次第でございます。給与であるか、あるいはそうではないかというふうな点につきましては、ただいま申し上げましたような点等、労働省のほうでもそれらの点はいろいろ御判断願うわけでございますので、よく相談いたしまして、判定をいたしておる次第でございます。
  183. 米田東吾

    米田委員 いまの御答弁にもありましたが、ハイヤーはともかくとして、特にタクシー運転手はハンドルを握って出てしまうと、多分に経営者的な要素もあるのだというお話で、したがってなかなかむずかしい、こういう御答弁だと思うのでありますけれども、私は、形態としてはわかりますけれども、しかし、その人は経営者でなくて、あくまでも労働者として契約され、雇用されているわけですね。したがって、給与体系あるいはそういう就業規則によるところの労働態様を守っていっておるところだって現にあるわけでありますから、原価計算方式なるものを採用しているところだけに、多分にそういう実情があるのだからといって目をつぶるということはよくないのじゃないか、こういうふうに私は思うのであります。特に、朝出てからあとはもう管理や運行その他一切運転手まかせということは、どうしたって私は認めるわけにいかぬと思うのでありますけれども、いかがでありましょうか。もしこれはこれでしようがないのだということにたりますと、みんなこういうふうになってきますよ。ハイヤー、タクシーの運転手の労働条件あるいは賃金、あなたのほうはこれを徐々に近代化して、交通安全の対策の推進とあわせてまずここから解決していこう、したがって、営業通達とかその他いろいろな通達を出されて取り組んでおられるこの方向に逆行するようになりませんか。この点、どうでございましょう。
  184. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 道路運送法第二十五条の二に運行管理者の規定がございます。運行管理者を設けまして、その運行管理者が当該事業の車の運行に関してこれを確保する必要があるということになっておるわけでございます。それで、運行管理の方法といたしましては、点呼をするとか、またタコメーター等を利用いたしまして常時把握していくとか、また車両管理につきましては、整備、点検というふうなことは当然会社が管理をすべきものであると思います。それからもっと基本的に言いますと、労働時間等を会社が把握しないで運転手にまかしておくということになりますと、労務管理が行なわれていないということになるわけでございます。ただ、それらの所定のことを行なっておりますと、タクシーのような流しの場合におきましては、どういう契約をしてどこに行くかということは、実際問題としては路上におきまして運転手と利用者が契約するわけでございまして、そのことだけでは名義貸しという判定は当然できないと思うわけでございます。先ほどから申し上げましたように、収入の帰属の関係であるとか、車両等が貸し渡し契約になっているかどうかという点、あるいは事故の場合の賠償の点等を総合的に見まして、これは名義貸しであるかどうかということを判定しなければならないのではないかと考えます。
  185. 米田東吾

    米田委員 そうしますと、たとえば原価計算方式という方法をとっているところは、要するに、運転手と会社は共同経営をやるんだということで、そういう精神で賃金あるいは歩合等をきめておるわけですけれども、そこにたとえばこういうことをいっているわけですね。「ハイヤータクシー業に於ては一般企業と異なり仕業点検を終えて就業した車両、運転者について、会社が、その個々を完全に末端迄管理することは不可能であり、終業迄一切を担当運転者の管理に委任し、」そして運行させるという、ここらあたりは、この間会社が当然持つべき管理責任あるいは運行責任というものを全く制度的に放棄することを意味するのではないかと私は思うのであります。こういうことは、どうも拡大解釈されると法の精神に反する、すなわち、脱法行為になるというふうに私は受け取らざるを得ないのでありますけれども、これもやむを得ないということでしょうか。
  186. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 法律的には、運行管理者の処理すべき事項と申し上げますのが、先ほどの自動車運送事業等運輸規則の第三十二条の二に詳しく列挙しておりますけれども、その精神は、会社が運転手の運行につきまして十分管理をし、安全なる輸送をやらすということが精神でございます。したがいまして、表面の形、表面の規定に直ちに触れないというだけの意味でもって脱法的なことをやるということは、この精神からいって、感心しないわけでございますから、直接この法文に触れるか触れないかということ以上に、当該会社全体として、タクシー、ハイヤーのような重要なる仕事をやるにふさわしい気持ちと実際に実施しているかどうかということにつきましては、やはり行政官庁といたしましても、監視と指導をする必要があると思う次第でございまして、監査等の場合におきましては、直接の法規に触れているかどうかということを調べると同時に、さらにその法律を守り、その精神を守るという形におきますところの改善指導ということも、われわれといたしましては考えていかなければならぬものと思っております。
  187. 米田東吾

    米田委員 この問題も、言うならば法の不備という面があるんじゃないか。ここで合法かあるいは非合法かという議論をしても始まりませんが、一つはやはり法の不備が出てきたのではないか。     〔村山委員長代理退席、委員長着席〕 したがって、こういうものを規制できる法律改正、いま局長おっしゃったように、ハイヤー、タクシー運転手の労働条件や賃金の近代化を促進するという精神からはずれるような、こういうあいまいなものについては法律改正をして、そして促進をするというふうに取り組んでいっていいのではないか、ひとつ検討の余地があるんじゃないかと私は思うのでありますが、これはひとつ単に行政指導だけで糊塗するんじゃなしに、積極的なお考えを聞かしていただきたいと思います。  それから、時間がありませんが、もう一つ。  ここに一つの契約書があるのです。いま申し上げた原価計算方式に基づく一車二人制の契約をして、そうしてかせいでいるその運転手と会社との契約書なんですけれども、これはみんなどこでもこういう方式をとっておるのでありますが、問題なのは、運転手の乙及び丙の勤務は一車二人制、この場合、「相手方乗務員が欠勤・休職・退職・免停・その他で乗務不能となった場合、管理費は乙と丙の共同責任で支払うものとする。」こういうことは一体どうなんでしょうか。これは賃金の面からいきましても、契約の面からいきましても、ぜひ労働省からもこういうあり方については御見解を伺いたいと思うのでありますけれども、私は、やはりこれは間違いじゃないか、違法じゃないかと思っておるのでありますが、いかがでありますか。
  188. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 第一点の名義貸しあるいは給与問題でございますけれども、いまの原価計算方式といわれているものが、名義貸しという問題に触れるのかどうかという点と、それから給与の一つの方法であるとすれば、給与関係として適正な給与制度であるかどうか、こういう二つの問題があるかと思うわけでございまして、前段の名義貸しかどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、全体的にいろいろな点を総合して判定をしなければならないと思う次第であります。給与問題であるといたしました場合に、その給与の制度その他がどのようなものがふさわしいかという点につきましては、われわれのほうにおきましても、過労になるようなものであってはならないというような点もございますが、また労働法関係の法体系でもございますから、労働省のほうでもそれらの改善につきましてはいろいろ御指導されておりますので、両省のほうでよく検討いたしまして、改善の方向に持ってまいりたい。その労働条件の改善ということは、これは労働省も当然でございますし、われわれのほうもタクシー事業の発達のためには当然重点的に考えるべきものであると思っております。  それから第二段の関係につきましても、これがどうかという点は、さらに検討をさしていただきたいと思います。
  189. 米田東吾

    米田委員 労働省、どうですか。
  190. 大坪健一郎

    ○大坪説明員 給与の問題でございますけれども、ただいま先生のお話のございました利潤分配のような制度でございますね。たとえば十万円なら十万円を払ってしまい、あとは自由にしろ、こういう形のものは、給与制度といたしまして、形式的にだけ申し上げますと、実はたとえば六万円までは低いが、あとはこういう制度である、いまのは十万円までは払う、しかし、あとは上がれば上がるほど自分で取るという形で、累進の形にはなっておりません。したがいまして、私どもが形式的にだけ申し上げますと、累進歩合制度にはなっておらないのでございますけれども、先生がおっしゃいましたように、実際上それによって労働者の方々にどれだけの給与が保障されるか、給与の実態がどうであるかということになりますと、相当問題があろうかと思います。したがいまして、いまお説のようなことがございますれば、所轄の基準監督署が調査をいたしまして、形式がそういう形でありましても、もし実態が望ましくないものであれば是正するように指導いたしてまいりたいと思います。
  191. 米田東吾

    米田委員 終わります。  それで要望ですが、もうまわりの方が早くやめろやめろと言われるものですから……。  局長、それから労働省、実は全交運なり全自交が具体的な問題で行きますから、ひとつ十分聞いて、これは単に労使関係の問題だけじゃございませんので、やはり運輸行政、それから労働行政の面から、皆さんも傾聴してもらわなければならぬと思いますので、ぜひひとつお願いいたしたいと思います。  なお、御答弁いただきましたが、私が質問しているのと中身はちょっと違うのです。だけれども、これはやめますから……。
  192. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  193. 内藤良平

    内藤委員 本会議まで五分よりないのです。五分では、何ぼ何でも私も話だけして終わってしまうから、本会議散会後十分くらい再開してもらえませんか。
  194. 福井勇

    福井委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  195. 福井勇

    福井委員長 速記を始めて。  この際、本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後二時二十八分休憩      ————◇—————    午後三時六分開議
  196. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。内藤良平君。
  197. 内藤良平

    内藤委員 私の聞きたいのは、在日米軍の立川、横田、府中にありますBXガレージ、これが今月一ぱいでいままでの直営を今度は下請に契約するというぐあいになったわけなんですね。この関係で少し聞きたいと思います。経過もいろいろありますけれども、時間もあまりありませんし、これは省略します。  そこで、こういうことを第一点に聞きたいのです。駐留軍の施設内で、日本国の法律適用を受けている日本の民間企業が、軍人、軍属の私有車両の分解整備業務を請け負った場合、現行の道路運送車両法は全面的に適用されるのか、あるいはまたその一部分が適用されるのか、これをひとつ明らかにしていただきたい。
  198. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 自動車分解整備事業を経営しようとする場合におきましては、通常の場合におきましては、認証を受けなければならないということが、道路運送車両法の七十八条に規定されておりますけれども、本件の場合におきましては、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、これは三十五年六月二十三日でございますが、これの第十五条1(a)に基づくBX等の機関である場合は、この地位協定によりまして、自動車分解整備事業の認証規定は適用されないことになっております。
  199. 内藤良平

    内藤委員 適用されないのですか。全然適用されない、こういうことですか。軍用車両じゃありませんよ。軍人並びに軍属の私有車、この場合です。それを伺います。
  200. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 最初お尋ねの点は、整備工場を行なう場合において認証が要るかどうかという点でございまして、その点につきましては、ただいま申し上げました協定に基づきまして、その認証はしないことになっております。  あとの御質問は車自体でございますが、軍人、軍属のいわゆる私有車両につきましては、道路運送車両法の適用を受けることになっておりまして、軍の直接の車につきましては、これまた条約に基づく特例法がございまして、これは適用を受けない。しかし、私有車両につきましては、車両検査あるいは登録、整備等の点につきましては、道路運送車両法の適用を一般日本人の車と同じように、その車につきましては受けるということでございます。
  201. 内藤良平

    内藤委員 いや、私がさっき聞いたのは、これはぼくの読み違えじゃなく発音が悪いのかどうか……。私有車両の分解整備業務を請け負った場合、現行の道路運送車両法は全面的に適用されるか、あるいはまたその一部が適用されるかどうか、こう聞いたわけです。あなたは適用されないということでしたね。軍用車両じゃなく、いわゆる私の自家用車ですよ。くどいようだけれども、適用されるのですね。
  202. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 私有自動車の整備を請け負った場合に、その整備についてはどうかということについては、その整備事業については適用されません。しかし、車についてはそれは適用されます。こういうように申し上げているわけであります。
  203. 内藤良平

    内藤委員 そういう使い分けがあるわけですね。整備については適用を受けない。しかし、整備された車は結局車検は受けなくちゃいかぬということですね。こういうぐあいになっているのですか。これははっきりしていますか、法律的にあるいは協定で。ぼくは、整備の関係、それから車検の関係、これは全部現行の国内法、道路運送車両法の適用を全面的に受けるんじゃないか、こう思っているのですけれども、それは違いますか。
  204. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 施設内におきましてのものは、先ほど申し上げましたような協定によりまして、販売所であるとか、BXであるとか、食堂、社交クラブ、劇場、新聞その他の歳出外資金による諸機関、その場合に、軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族の利用に供するために、合衆国軍隊が使用している施設及び区域内に設置することができる。いま申し上げましたようなものは、軍の公認によりまして設置することができる。それらの諸機関につきましては、日本の規制、免許、手数料、租税または類似の管理に服さないということでございます。そこに施設内に整備工場をつくる。その工場については規制はされません。しかし、私有の自動車をそれらの人が使って路上を走るわけでございますから、その場合におきましては、車両検査を受けた車でないと走ってはいけない、登録を受けた車でないと走ってはいけないという規定が車両法にあるわけであります。この規定につきましては、一般の日本人の車と同じように規制を受ける、こういうことでございます。
  205. 内藤良平

    内藤委員 それでは次に進めます。  法律で規定された自動車分解整備事業者の行政機関に対する義務行為は、米軍施設内での営業である場合に限って特別に申請、報告、業者としての適合条件等につき緩和の措置がとられるものかどうか、これが第二番目の質問です。
  206. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 これは先ほどのこととの関連でございまして、そういう適用を受けないわけでございますので、緩和とかどうとかいう問題は必然的に起きてこないわけでございます。
  207. 内藤良平

    内藤委員 それではまた次に、米軍人、軍属またはその家族の自動車の検査証の交付、書きかえ等について陸運事務所が現に行なっている検査、点検等の行為は、一般の日本国民またはその代理行為を担当しておる整備業者と全く同一であるか、もし相違があるとすればどのように違っているか、こういうことです。
  208. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 私有自動車の所有者に関しましては、一般日本人と同じように、車検登録、それからふだんの整備点検、これは車両法四十七条の仕業点検と四十八条の定期点検整備ということを使用者として義務づけられているわけでございます。それらの点に関する規定は全く日本人の車と同様でございます。したがいまして、車検等におきましても同じような扱いをいたしております。
  209. 内藤良平

    内藤委員 そうしますと、車の車検の場合のやり方は、国内の日本人の車と米軍の家族の自家用車も同じにやる、こういうことですね。  次は、米軍人、軍属またはその家族の私有車の保安基準適合の確認行為に関し、在日米軍または諸機関と日本政府との間において道路運送車両法に抵触するがごとき特別合意はないか、こういうことです。
  210. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 お尋ねの件に関します特別の合意はございません。
  211. 内藤良平

    内藤委員 それじゃこの米軍の車も特別扱いはしないということですね。  そこで聞きたい問題は、ちょっとお話ししましたように、立川なり横田なり府中にありまするBXのガレージが、五月一ぱいでこれをやめて、そして今度は民間の業者にかわってやらせる、こういうことで、いま従業員の問題が出て、これはトラブルになっております。雇用主は日本政府のようであります。それはさておいて、この三カ所のガレージでやっておりましたのが、いわゆる私有車が一万台くらいあるそうです。この三カ所で約八十名の方々が働いておった。そしてその設備といいますのは、一級の整備工場のような程度のあれで整備をやっておったわけですね。ところが、それをやめて今度どういうぐあいにするかといいますと、ある方、これは外人であるそうであるけれども、外人は整備事業ができないということで、おめかけさんか奥さんかわからぬが、日本人の女性の名前で整備工場というものをつくって、その方が米軍と契約をされた、こういうことなんであります。ところが、その一万台あるいは八十人という人数で整備しておりましたいままでのあれから見ますと、今度契約された整備工場というものは、陸運事務所、陸運当局の認証を経たわけでありましょうが、従業員は四人くらいの、しかも中古自動車の仲買いというかそういう方で、いままで整備工場の経験がない方だ。ところが、その方が陸運局なり陸運事務所の認証を得て、整備工場ということで、一万台、八十人のいままでの整備の仕事にかわって請け負ってやるというわけです。     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 だから、はたから見ると、いままでのガレージの施設から見ると、全然できないような整備工場の内容が今度契約をされて、そして米軍の家族の自家用車を整備して安全を保っていこう、こういうことになるわけでありますが、どうもいままでの風評も、これは風評というぐあいに私言っておきますが、米国人の私有者の車検は、日本人の車検よりも非常に簡単にやってしまう、こういう話があるわけです。たとえば、これはものの例ですから当たらぬかもしれぬけれども、一般の車検の場合は一万八千円くらいかかるそうですね。ところが、このBX関係の米軍のいわゆる私有車の登録の場合は五十セントくらいだ。だから百八十円くらいですね。非常に費用がかからない。百分の一程度のそういう経費である。片方国内の日本人は一万八千円、米人の私有車は百八十円くらいだ。百分の一程度の経費であるせいか、この種の車両の車検はきわめてどんどんやってしまう、厳格な検査をしないという話があるわけです。だから、そういう話がある中で、いまのような切りかえによって、そして一万台からある車を八十人からの方で、しかも一級の資格を持っている方とか、あるいはそれ相当の機械を持ってやっておった、そういう検査の機構から、今度自動車の中古車の売買業者で、従業員は四人程度よりおらない、しかも施設的なものは何もない、ただ整備法で認証される程度の設備の内容、そういうところに契約して、そうして整備してそれを車検を受けさす、こういうかっこうになります。そこで、やはり問題になるのは、それではたして車の安全というものが、いわゆる車体の整備からくる安全というものが保たれるかどうか、客観的に見て。だから私は、きのう課長さんにも聞いたけれども、課長さんは、整備の工場というものは、免許とか認可とかいう厳格なものではなくて、ある一定の施設があると認証されるんだ、だからきわめて簡単なものだということを言っておるわけであります。だから、契約をした業者の方が、その整備関係の認証を受けるような条件は持っておったかもしれません。四人しかおらなくても、あるいは幾らかの機械を持って、あるスペースを持っておれば、これは認証に該当したかもしれません。そこでそれは合法でございましょう。ところが、実際その方が契約をされておる。米軍の車両関係といいますと、私有車が約一万台ある。いままで約八十人の方々がその整備をやってきておる。それを代行するものとして、いまのように全然経験のない、わずか四人程度の従業員を持っておる方が、どういうチェックのしかたで認証されたかわからぬけれども、この大きな仕事をうまく完全に整備して、そうして厳格な車検を通って安全な車として、いわゆる一般の交通に用いることができるかどうか、こういうことが私は一つの問題点になるんじゃないかと思っているわけです。これはいままでどおりの八十人くらいのBXのガレージの設備を持つということになりますと、一級の整備工場ということで、一級の整備工場は三人の主任の検査員がおって、最低二十名の国家検定の有資格者がおって、そのほかに五十名くらいの一般の修理工がおって、それで初めていままでの仕事をやっていけるような状態になるんじゃないか、こういわれているわけです。だから、これはちょっと法律的にはなかなか——この工場整備の関係は一応認証になる、該当すべきものと思います。ただ、いままでそういう状態でやっておったものを今度その方に契約を切りかえする。ところが、切りかえされた相手が、一応整備関係の認証は受けているけれども、しかし、実際の需要と供給の関係から見ると、なかなかマッチできないような状態になっているのではないか。そういう中で契約をするということはどういうことか。これは牽強付会ということばがあるけれども、そういう程度の整備工場と契約して一万台の車を整備して、二年に一ぺんの厳格な車検を受けていくというぐあいになることはちょっとなかなか考えられないわけだ。だから私の言いたいのは、そういうことから、くどいようだが、米軍関係の私有車の車検は、さっきの話じゃないけれども、日本人は一万八千円取られるけれども、米人は百八十円程度でおさまっている、そういう関係から、どうも車検をやるという名目のもとに実際はあまりやらぬのではないか、こういううわさのような話も当たるのではないかなというぐあいに私は心配するわけです。     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 いまのような経過で、その場合に整備が不完全で、もうほとんど車検らしい車検をしないで、その車が街頭に出た場合に、この米人の運転する車が、国内の交通安全という面から見ますと、どういう結果を来たすか、これはやはり大きな問題点にもなるのではないかと思うわけであります。  一つこういう声があります。立川市の交通相談所の意見でありますが、「米軍当局が従業員が四人しかいない整備工場と、府中、立川、横田の三つの一級整備工場の委託経営の契約をしたなどということは全く信じられないようなことです。もし事実ならそれはたいへんな暴挙で、きっと陸運局は認可しないでしょう。米兵の交通事故の補償問題はたいへんめんどうなことで、通勤途上での事故、公務中ということで交渉が軍当局となり、また平常飲酒の癖がある者は酒酔い運転と認めず等々と全くめんどうなものです。もしこういうことが事実となってあらわれてくるとするならば、全く驚くべきことで困った問題と思います」こういう一つの意見があるわけです。だから私の言いたいのは、整備工場は、あるいはこれはきわめて簡単な条件をチェックされて認証されれば、これは合法でございましょう。ただ、いま出ておる問題の中で、どうもうわさのように、車検がきわめて簡単にやられて、そして四人くらいの非常に弱い内容の整備工場で整備した車がどんどん市内に出て歩いた場合に、交通事故という面から見ると、たいへんな問題になるのではないか。そういう問題については、一種の行政指導といいますか、そういう事実があるわけでありますから、ほっておかないで、行政指導的な面で、国会でこういう発言があった、これは真相を調査させるとか、あるいはそういう市民の声があるとするならば、これらを未然に防止するために行政指導的なものがあってしかるべきじゃないか、私はそう思うわけでありますが、局長、私の言うことわかるでしょう。だから、答えは簡単でいいですから、ひとつお願いします。
  212. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 事保安につきましては、非常に重要なことでありますから、米軍の私有車両につきましても、全く同様でありまして、検査につきましても厳重に実施したいと思います。それからふだんの点検整備につきましても、その使用者が十分規定どおりやっていただくというふうなことによりまして、保安に遺憾なきを期したいと存じます。
  213. 内藤良平

    内藤委員 終わりましょう。
  214. 福井勇

    福井委員長 暫時休憩いたします。    午後三時四十三分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕