運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-03-25 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十五日(水曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 加藤 六月君 理事 徳安 實藏君    理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       菅波  茂君    西村 英一君       古屋  亨君    井野 正揮君       久保 三郎君    楯 兼次郎君       田中 昭二君    宮井 泰良君       渡辺 武三君    田代 文久君       關谷 勝利君  出席政府委員         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸大臣官房長 鈴木 珊吉君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君  委員外出席者         運輸省港湾局参         事官      上原  啓君         運輸委員会調査         室長      小西 眞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六二号)  船員法の一部を改正する法律案内閣提出第七  一号)  陸運に関する件      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。久保三郎君。
  3. 久保三郎

    久保委員 きょうは大臣お見えになりませんから、政務次官で御答弁いただけることはもちろん答弁をお願いします。しかし、大臣には後ほど機会を得ましてお尋ねすることにして、まず第一に、港湾原単位推移はどのようであるか。数字はおありでしょうね。これをひとつ……。
  4. 栗栖義明

    栗栖政府委員 港湾原単位でございますね。原単位につきましては、いろいろと試算の方法がございまして、最近はあまり原単位ということばを使いませんで、貨物に対しましては別な指数を使っておりますが、原単位で申し上げますと、トン当たり幾らというふうな金額で試算してございます。港湾である時点で持っております貨物の資産をその年の扱った貨物量で割ったものが原単位でございまして、一円ないし一円五十銭、これは古い価格でございますが、そういう単位だと考えております。
  5. 久保三郎

    久保委員 いまそういう計算はあまりしていない、だから港湾整備計画計算単位にはあまり使っていない、こういうお話ですか。
  6. 栗栖義明

    栗栖政府委員 原単位と大体似てございますけれども港湾トン数が非常に大きくなったものでありますから、現在使っておりますものは、メートル当たりトン扱えるかということで岸壁の延長を出しまして、岸壁メートル当たり標準価格をきめておいて、それにかけるということでございまして、御指摘原単位とは本質的には相違ございませんけれども扱い方がそのほうが簡明なものでございますから、現在それを使っております。
  7. 久保三郎

    久保委員 いま言う岸壁の面積と扱いトン数、そういうもので原単位を変えてきたということでありますが、これは現実に即してそうしたぼうがいいというのでやったのでしょうが、その推移はここ数年どうなっておりますか。あわせてこれからのいわゆる五カ年計画、これは四十七年で終わるのですね。四十七年で終わるそれまでの八千億あるいはその他入れまして一兆三百億ですか、そういうものの終末においてどの程度にそういうものがなるのか、ちょっと簡単に数字を読んでください。
  8. 栗栖義明

    栗栖政府委員 五カ年計画は、ただいま御指摘のとおり、四十三年から四十七年までの計画でございまして、四十年をベースにいたしますと、計画当初は、四十年のメートル当たり扱い量が、これは換算してございますが、千二百二十トンございまして、四十七年の五カ年計画の終わる時期につきましては千二百トンということで、わずか一%程度でございますけれども、少しよくなるという予測でやったわけでございますけれども現実には貨物予測よりも非常にふえてもざいます。現在の時点で、四十七年の、実績をもとにした推定値がまだちょっと確実に出してございませんので、その場合のトン・パー・メートルの計算はいま手元にございませんので、ちょっと申しかねる次第でございます。
  9. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、いま始まっている五カ年計画というのは、四十七年では十五億トン以上のものを扱うということになりますが、いまのお話では、それ以上になってくるだろう、こういうことですね。
  10. 栗栖義明

    栗栖政府委員 はい。
  11. 久保三郎

    久保委員 それで、資料として要求しますが、どういう見込みでおられるのか、見込み数字で出してください、時間がございませんから。  それで、新全総では大体六十年で二十億トン、こういっているようですね。経済社会発展計画ではこれはどの程度に見込まれてぐるのですか。
  12. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御承知のとおり、港湾取り扱い貨物と申しますのは、GNP、国民所得に非常に相関度が高いものでございまして、国民所得推定によりましていろいろの指数が出るわけでございますが、新全総計画昭和六十年を目標にいたしました国民所得といいますか、経済指数ベースにいたしまして推算いたしますと、約四十億トンという数字が出るわけでございます。  それからなお、現在の新しい経済計画はまだはっきりいたしませんけれども経済成長率は一〇ないし一〇・六%というふうに新聞に出てございますが、その程度計算しますと、昭和五十年の貨物は約三十億トン程度じゃなかろうかというふうに、現在作業中でございますが、推定してございます。
  13. 久保三郎

    久保委員 いまのあなたのお話では、新全総では四十億トン。二十億トンじゃなかったですか、六十年で。
  14. 栗栖義明

    栗栖政府委員 四十億でございます。
  15. 久保三郎

    久保委員 そうすると、経済社会発展計画では、大体五十年三十億ぐらいの見通しでやっていくということですね。そうしますと、港湾整備計画というのはことし改定するわけですね。
  16. 栗栖義明

    栗栖政府委員 先ほども申し上げましたように、経済指標が変わりますと、港湾貨物量は変わってまいります。これは過去においてもそうでございますので、経済計画が変わりますと、それに対応して計画を再検討いたしたいというふうに考えております。
  17. 久保三郎

    久保委員 そうした場合の港湾投資は、予測としてどのくらいになりそうですか。
  18. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは単に港湾投資ということだけではなくて、経済計画全般の中でいろいろと試算されると思うわけでございます。なお社会資本全体の投資額のうちの割合ということもあろうかと思いますけれども、現在私どもが三十億トンベースにいたしまして、どれくらい要るかという作業をやっている段階では、約二兆程度は要るのじゃなかろうかというふうに考えております。
  19. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、政府部内で、港湾で二兆、道路で御承知のように十兆以上ですね。それから新幹線網になってきますと、これは十二、三兆要ります。そのほかにも空港の問題もございますが、そういうものの財源その他については、事務的な段階ではどんなふうに予想されているのですか。いまのようなあり方で今後もやっていこう、こういうことですか。  それともう一つ、続いて聞きますのは、いま提案されているこの法律改正案に盛られているように、いわゆる民間資金導入というのは、どの程度までやろうとされているか。そういう方針が大体あるのかないのか。ただ何となく銭がないから、あるいは地元要望もあるから、法律改正して今度は港湾会社をつくろう、こういうことでおやりになっているのか。どんなことですか。
  20. 栗栖義明

    栗栖政府委員 第一点の前段の社会資本全体の投資につきましては、これは経済企画庁が事務当局でございまして、いろいろと作業をなさっていらっしゃると思います。その場合には、財源を当然考えて作業されていると私どもは想像してございますけれども、直接私どもの担当でございませんので、むしろ港湾がどうなるという資料を提供しているという段階でございます。  なお、あとのほうの御質問でございますが、新しい現在の五カ年計画のやっておりますワクの中では、ただいま御審議いただいております民間資金導入した方式というものにつきましては、さほど大きなワクではございませんけれども、これを再検討いたす時期においてどれくらいになるかということで、全然考えないでやっておるのではなかろうかという御指摘でございますが、これは具体的に全体の必要な施設を出しまして個々に積み上げてまいりますので、具体的になりますのはかなり時間がかかるのではないかと思いますけれども、現時点伊勢湾地区あるいはその他多少起こりますけれども、それほど大きなシェアにはならぬだろうというふうに考えております。
  21. 久保三郎

    久保委員 それじゃあらためてお尋ねしますが、この提案の趣旨は、いままでこれに類似したものは、本来的なものは、港湾管理者自分で必要な施設はつくっていくというのが原則でありますね。その特例というようなことでいわゆる外貿埠頭公団ができてきたが、今度は会社ができてくる。会社をつくるということは、いかなる観点からそういうことになってきたのか。いままで、たとえば外貿埠頭公団というものが一つあるのだが、そういうケースで処理されるのが、まあ大体常識的には考えられる方法だと思う。ところが、今度は、どこと特定していませんが、一般的にそういう会社をつくる方法を考えてきたということなんですが、それはどういう理由に基づくものなのか、お答えを願いたい。
  22. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいまの点につきましては、仰せのとおり、京浜及び阪神コンテナを主にいたしまして外貿埠頭公団が発足してございますが、民間資金をそういう特殊な輸送形態に対応してなるべく入れたいということと、民間経営手腕を期待する、そういう意味で、なるべくそういうものを考えたいということで始まったわけでございますが、たまたま伊勢湾地区につきましても、公団でやるには事業規模が小さい。逆に言いますと、小規模なものでございますと、民間資金を入れまして民間企業経営手腕を入れてやってもそうむずかしくなかろうということで、こういう方式導入したわけでございます。
  23. 久保三郎

    久保委員 これは一説によれば、外貿埠頭公団の非能率割り高のために、名古屋では、公団方式はいやだといっている。そこで、やむを得ずこの方式になったという。これは去年、おととしあたりからですよ。そういうことなんでしょう、率直に言ったら。
  24. 栗栖義明

    栗栖政府委員 非能率だからいやだというふうな議論ではございませんで、確かにお説のとおり、公団発足当初はいろいろなふなれがございまして、非能率というよりも、利用者との間の連絡が十分でなかったという点はあったと存じますが、現在軌道に乗りまして、そういうトラブルはなくなったわけでございますが、中京地区につきましても、コンテナ船が入ってまいりますし、コンテナ埠頭がほしいという地元の御要望は非常に強いものがありまして、いろいろとそのやり方を検討したわけでございますが、中京地区につきましては、ただいま申し上げましたように、こういう方式のほうがなじみやすいんじゃないかと考えた次第でございます。
  25. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、局長、この法律中京地区だけに限定されますか。
  26. 栗栖義明

    栗栖政府委員 中京地区だけに限定されるわけではございません。ほかの地域にも適用されます。
  27. 久保三郎

    久保委員 具体的にはどことどこをこれは予想しているのですか。
  28. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいまの時点では、はっきりとどことどこというふうには予想してございません。ただ、考えられますことは、法案にも書いてございますように、こういう無利子融資を行なうような会社でやります施設につきましては、政令事項でございますけれども考え方といたしましては、コンテナ船でやるような特殊な輸送形態といいますか、そういう船に適合したような埠頭を持たなければならない。そういう特殊な施設を必要とするようなものを考えてございますので、今後考えられます輸送形態と申しますと、たとえばフェリーだとかいうふうな輸送形態も考えられるのではないかというふうに存じております。
  29. 久保三郎

    久保委員 局長、あなたの答弁だと、この法律では、特定したものはいま予想していない、こういう御答弁ですが、そうだとすれば、これはたいへんだと思うのですよ。いま予算案は参議院で審議中でございますけれども地方財政計画を含めて、これは関係がありますよ。どうしてそういう答弁をなさるのですか。先ほど名古屋という話が出たでしょう。ところが、あらためて聞いたら、あなたは、特定したものはないと言うんだが、特定したものがないんじゃ、話が違うんじゃないですか。いかがですか。
  30. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ちょっと私の御説明が不十分でございまして、現在予算で御審議願っておりますのは伊勢湾地区でございまして、名古屋、四日市を対象にしたコンテナ埠頭は特定したわけでございます。それ以外の地域で具体的にという御質問でございましたので、それ以外の地域につきましては、まだはっきりしてございませんということでございます。
  31. 久保三郎

    久保委員 この種のものは、言うならば外貿埠頭公団と同じように、具体的に特殊会社的なもので規定すべきじゃないかと私は思っているのです。一般的にやることについては、これはいろいろ弊害が出るんじゃないか、その地域において。たとえばあなたが言ったフェリーの問題についても、これはなかなか問題が出てくると思うのですよ。だから、これはどうしてそういうことをしないのか、これからどんどん発展していくのか、私はこう言うのです。名古屋は、私の聞き方が悪かったようだけれども名古屋だけなのか、そうじゃなくて、もっとあるのかというと、まだそこまでは予想していませんと言う。そうすると、私が先ほどお尋ねしたように、今後民間資金導入というのは、いわゆる外貿埠頭公団みたいなものはやめて、言うならば、聞きたいところは、これ一本でいくのかということになるのですよ。もっとも、この先外貿埠頭公団というのがそんなにたくさんはできる予想がないかもしれませんが、もうそういう問題は外貿埠頭公団は一応試験済みだ、だから、こういう方式民間資金導入をはかっていくのだ、こういうことにとっていいのかどうか。
  32. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ちょっとニュアンスの差があろうかと思いますけれども先ほど申し上げましたように、外貿埠頭公団は、京浜あるいは阪神というふうな港湾の非常に大きなウエートを占める地域に考えたわけでございまして、ただいま御審議願っておりますこういう方式につきましては、先ほど申し上げましたように、コンテナであるとか、あるいは部分的にはフェリーと申し上げましたけれども、全部じゃございませんで、非常にたくさんの遠距離フェリーが集中するというふうな特殊な輸送形態といいますか、埠頭形態が要るというところに限定されようかと考えてございます。したがいまして、港湾というのは、御承知のとおり、各地域地域の港で特殊性を持ってございまして、その地域港湾管理者は大体その地域公共団体が主でございますので、そういうところを中心にして、そういうものをつくっていくというふうに考えてございます。
  33. 久保三郎

    久保委員 そこで、具体的には伊勢湾、特に名古屋あるいは四日市もあるのでしょうが、この出資割合その他は、先般来御答弁があったことは一応コンクリートしていますね。そうですね。大体一割が出資である、あとの三割が転貸債で、残りの六が三対三で民間港湾管理者が出していく、こういう方式でしたね。
  34. 栗栖義明

    栗栖政府委員 お説のとおりでございまして、一割が港湾管理者を通じて貸します無利子融資、国から出します無利子融資でございまして、あとの三割が特別転貸債で、これは管理者が起債をいたしまして貸し付ける。それから残りの六割につきましては、そのうちの出資に当たる部分が、管理者民間資金がいまのところ一対一で持つであろうというふうに考えておりまして、残ったものにつきましては、市中銀行からの調達になりますか、社債を発行いたしますか、民間資金が入ってくるということでございまして、残った六割の半分ずつを管理者民間が持つということはございません。
  35. 久保三郎

    久保委員 わかりました。  そこで、これはまた初歩的なことを聞きますが、この会社が建設する専用埠頭は、会社関係者が独占して使うということであって、一般の者には供用はさせない、こういうたてまえであるのかどうか。
  36. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これはたびたび私ども申し上げておりますように、港湾管理者が行ないます仕事肩がわりであるというふうに考えてございますし、ただいま御指摘がございました出資した会社が独占して使うということであってはなりませんので、出資して会社はつくりますけれども会社経営その他につきましては、一般港湾法の精神に従いましてだれでも使えるというような原則——というよりも、使えなければいけないというように考えてございます。ただ、コンテナ埠頭でございますので、ある一つ埠頭バースごとにとってまいりますと、そのバースは特定の船に適応するような形にならざるを得ないだろうということは予想されますけれども、だれ用に使わしてだれに使わせないということはあってはならないというふうに考えております。
  37. 久保三郎

    久保委員 実際は、その会社自身関係が独占に近い形で使う、たてまえとして一般供用も妨げるものではない、こういう意味なんでしょうね。その程度で、実際は使える余地はないんじゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
  38. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは使い方によりまして、ある一つ会社コンテナ船航行率が高くて、しょっちゅうその会社がその埠頭に寄るといった場合には、むしろばらばらにしないで、そこに集中したほうが能率があがるということは言えようと思いますけれども、たとえば数社がグループを組みまして、現在は共同してコンテナ船を配船するということもあるわけでありまして、その場合に、ある会社が入っていたらそのグループはだめだということは、一切してはならぬと考えております。
  39. 久保三郎

    久保委員 それはどういう法律、規則というか、そういうものでおやりになりますか。それは一般的にでありますか。
  40. 栗栖義明

    栗栖政府委員 今後の改正をお願いしてございますように、これはまず会社をつくりまして、会社が無利子貸し付けをしてもらいたいというときは、会社の内容について運輸大臣事前審査することになってございまして、そこで会社事業計画なり埠頭経営方式というものをチェックする。事前にまずやりますが、その場合には、当然港湾管理者を経てまいりますので、港湾管理者段階でもそういう検討をしまして、それが運輸大臣に上がってくる。これは事前段階でございます。  それから次に、貸し付けいたします場合には、これは国は管理者に貸しまして、管理者がそれを会社に貸すという手続をとりますけれども、貸し付けする条件で、ただいま先生の御指摘いただいたような点につきましては、そういうことのないように条件をつけておきますし、あとも監督してまいりたいというように考えております。
  41. 久保三郎

    久保委員 そういう一つ方法もあるかとは思うのでありますが、むしろこれは大事な点でありますので、それは法律に明記して統制をとるというか、そういうふうにすることが一番大事じゃないかと私は考えている。助成をするその条件として、その計画の中でチェックしていくのだということは、何かどうもぴたっとこないし、対外的には何ら第三者がこれに対抗するものは出てこぬのではなかろうかというふうにも思うのです。  それからもう一つは、新しい形態になりつつあります。埠頭公団から埠頭会社といいますか、結局、いまの一貫輸送体制の中で大きな変革の一つでありましょうから、これはこの輸送システムの中に組み入れるとするならば、一つ形態としてやはりきちっとしたもので組み込んでいったほうがいいのではないか、こうこうふうにわれわれは考えるわけなんです。どうも何か港湾法というか、そういうものは、地方自治権とかなり密接な関係がありますので、そういう抵抗を避けようとして、今回の改正が提案されたようなものに落ちついているのだろうとは思うのでありますが、むしろこの港湾管理者というか、管理権というか、そういうもののあり方をもう一ぺんこの時点で見直す必要がありはしないか。そうしてすっきりした形で、助成の中でこの統制をとっていくというようなやり方ではなくして、もっと明確に、その機能がどうであるとか、そしてそれが全体の中でどんな立場に置かれるべきなのか、これはやはりきめていく必要があると思うのですね。いずれにしても、これはさしあたりのことだろうと思うのでありますが、民間資金活用そのものにも、港湾管理権との関連で問題が出てこようかと思うのであります。これはもう少し掘り下げて議論する必要があろうと私は思うのです。これは妥協の産物だろうと思う。もともと埠頭公団はいやだといって、民間会社ということで助成だけしてくれればいいのだということで始まった仕事でありましょうから、こういう結果になったと思うのでありますが、これは単なる便宜主義と言っては語弊がありますが、便宜的に扱って当面糊塗していくことだけではいけないのではないか、こういうふうに思うわけです。  そこで、もう一つお伺いしたいのは、港湾運送事業の問題であります。これはいわゆる一貫体制というか、そういうものでの集約を今日までやってきた。その結果が必ずしも十分でないというふうに聞いている。そこで、特に最近のコンテナ輸送によるところの港湾運送事業との関連では、やはり大きな問題になってきつつあるわけなんでありまして、これは今後どうするのか、これは労働の問題を含めてかなり大きな問題がこれに関係してきているわけですね。だから、どういうふうな御方針でおられるのか、ちょっとお聞きしたい。
  42. 栗栖義明

    栗栖政府委員 集約の状況その他の詳細につきましては、後ほど具体的に御質問があれば申し上げたいと思いますけれども、御指摘のように、先般の集約をやってまいりましてかなりの実績をあげたと思いますけれども、当初考えておりました時点での集約目標を掲げて進んだわけでございますが、その間、ただいま御指摘のように、コンテナの就航とか、あるいは専用埠頭といいますか、工業港会社自分で原材料を入れるというふうな形態がどんどん出てまいっておりますので、やはり輸送革新と申しますか、輸送形態が変わってございますので、それに対応するような考え方をしなければならぬというふうに基本的に考えてございます。  なお、最初に御指摘ございましたように、港湾貨物そのものは非常にどんどんふえてまいっておるのでございまして、その中で、ふえた貨物の流れがどう変わるかということをもう一度見きわめて考え直さなければいかぬ時期にきているというふうに考えてございます。
  43. 久保三郎

    久保委員 結局、この港湾運送事業形態を要求されつつあるところの輸送形態に近づけていくという再々編成ですね、これはお話しのように考えていかなければならぬことだと思うのでありますが、これはいつの時点から始まるのですか。  それから資料として要求しますが、いままでの集約の実態を一ぺん数字その他を含めて出していただきたい、こう思いますが、これからの作業についてもう一つお聞きしたい。これからどういう作業をなさるか、どういう時点でそういうものを解決していかなければならぬと思うのか、その点いかがです。
  44. 上原啓

    上原説明員 お答え申し上げます。  現在まで行なってまいりました集約実績につきましては、資料をさっそく調製いたしまして御提出申し上げます。  先生、ただいま再々編成ということばをお使いになりました。確かに港湾局のほうも再編成ということばをしょっちゅう用いておりますけれども、これは実は決して過去にやってまいりました集約方式を再び同様な手法で推し進めていくということを考えておるわけではございませんので、単に企業の数が少なくなればよろしい、企業資本金が大きくなったり労務者の数がふえたりすればいいという程度に安易には考えておりません。非常に急速に進歩しつつある輸送革新の現状、海陸の輸送と直結した港湾運送のあり方に対していかに対処すべきか、生産流通の過程に、国民経済的な見地から、利用者要望する姿にいかに対応させていくか、それに対して国がどのような指導なり助成なりの措置をとっていくかというようなこと、考えるべき問題が多々あるというぐあいに考えております。現在ばく然とした基本的な考え方は、大体先生仰せられましたとおりでございまして、現在まで集約をやってきたけれども、必ずしも現在要求されておる流通の姿にマッチした姿になっていないということは、率直に認めざるを得ないわけでありまして、早急に作業を進めたいというぐあいに考えております。  関係業界にはすでに声を大にして訴えておりまして、まず業界自身の自覚、客観情勢の認識ということが第一である、業界自身、まず自分たちはいかにあるべきかということを考えてほしい、役所のほうは役所のほうで、いかにあるべきか、いかにこれをバックアップするか、推進していくかという対案を早急に立案に取りかかるという基本的な考えを持っております。予算措置を要するものにつきましては、四十六年度予算におきまして何とか実現いたしたい、このように考えておる次第でございます。
  45. 久保三郎

    久保委員 いまの参事官説明だと、かなり荒っぽい——荒っぽいというと語弊がありますが、いままでの企業を再編成するというようなものじゃなくて、根底からひとつつくり直す、こういうふうにも聞けるのですが、そのように考えているのですか。たとえば、いままでやってきた再編成のしかたは集約ですね、一定基準に達するようにとか。今度は集約じゃなくて、あるものは一貫直営体制として体系を整えられる。整えられないものは切っていくというようなこともあり得るというか、新しい観点からやっていこうということでありますか。  それからもう一つ、二番目には、いまのお話だと、政府としては政府の考え方を早急にきめて、それで、いま業界にも理解と納得を得られるように話はしているということでありますが、そうしますと、再編成というか、集約体制をきめる前には、いわゆる三・三答申といって、三十九年でありましたか、審議会にかけて一応のめどをつけてやってきたという経緯があるわけなんですが、今回はそういう審議会などにはかけないで、政府案そのものずばりを出して、その方針に基づいてそういう体系をつくり直していくというふうに理解していいのか。  それからもう一つは、早急に、必要のあるものは来年度の予算からということですが、これはいままでのようなやり方を見ても、三年も四年もかかってもなかなかできないものが、一年や半年でおそらく軌道に乗るわけはないと私は思っているのです。そうなりますと、どのくらいの期間をかけたらできるのか、それともそんな期間はいまの時代の進運におくれてしまうし、ネックになるから、これは半年なら半年、一年なら一年でぴたっとやるという気がまえでいまやっているのか、そういう点を取りまぜてお話しいただきたい。
  46. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ちょっと参事官説明の点で誤解を招く点があったかと思いますけれども、最初に現在の業界を全部解体して云々というふうな御指摘がございましたけれども、そうじゃございませんで、私ども考えておりますのは、過去におきましてやりましたような機械的な集約統合ということじゃなくて、現在動いている形はなるべく生かして、普通の現在行なっております公共埠頭扱い方なんというのは、従来と作業そのものもそう変わってございませんので、それに合うように持っていきたい。ただ、コンテナでございますとか、あるいは工場の専用岸壁でございますとか、そういう大量の貨物を扱うようなものにつきましては、従来のような方式では間に合わない、そういうものに対しては、企業形態というよりも、作業形態そのものが変わってまいりますので、それに合うようなものを考えて、企業のほうからむしろ内部でそれに合うようなことを考えてもらいたいという趣旨でございます。  それから二番目の審議会の話でございますが、これは実はことばは足りませんでしたのでありますが、業界のほうでも研究してもらいますし、私どものほうでもやっておりますが、具体的には業界の意見なり私ども考え方を——現在は港湾審議会の運送部会がございますけれども、設置法の改正をいまお願いしてございますが、運輸政策審議会がございますので、それはできればそのほうに移行いたしまして、運輸政策の一環といたしまして、やはり港湾業のあり方を検討していただくというつもりでございまして、衆知を集めました審議会の場でオフィシャルに検討していただきたいというふうに考えております。その審議会で討論されるためのたたき台と申しますか、そういうものをいま検討しているということでございますので、御了解いただきたいと思います。  それから最後に、タイミングの問題でございますが、これも先生指摘のとおり、現在のああいう非常に複雑膨大な業界でございますので、これを一挙にやるということは、これはとても不可能だと思っております。特定の場合、たとえばアメリカでも例がございますけれども、マトソンが出ましてコンテナリゼーションが進んできたという段階で、コンテナについてはどうだというようないろいろな個別的な措置を講じております。私ども先ほど申し上げました趣旨は、そういう局部的にどうしても早く手当てしなければいかぬというものがあれば手当てしたいという趣旨でございますので、御了承いただきたいと思います。
  47. 久保三郎

    久保委員 そこで、最後になりますが、いまの政策審議会でいろいろ議論をして、そこでつくっていくというのですが、これはかなり時間がかかると思うのですね。全体の輸送システムを一応議論しなければいかぬし、その前提として総合交通体系ももちろん議論しなければいかぬだろうと思うのです。それに伴って、さっきお話が出ました交通資本の投資あり方財源のとり方、そういうことをやっていくのでありますから、それはもちろんたくさんな人間を使って審議されることだと思いますから、一応やりようによってはうまくいくとは思いますけれども、かなり時間がかかると思うのです。時間がかかると同時に、業界自体は、これにうまく応じてくれればいいけれども、なかなかそういう応じるような体質というふうにはわれわれ考えていない。その辺は、参事官は業界にも盛んにPRというか、しているそうでありますが、最近業界としては独自な考えをしているのですか、どうなんです。
  48. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御指摘のとおり、非常にむずかしい問題でございます。全般的な体系を立て直すというのは、先ほど申し上げましたように、かなり時間を要すると思います。それから交通体系全般の問題とも関連いたしますが、ケース・バイ・ケースに、急ぐものは早く処理できるものもあろうというふうに考えますが、業界のほうの反応も、やはり時代認識はわれわれと同じでございまして、早急に何とかしなければいかぬということで、業界内部でも研究なすっていらっしゃるというふうに私聞いてございます。
  49. 久保三郎

    久保委員 それでは、一応質問を終わりますが、運輸大臣への質問あと回しにして、いまの港湾運送の改編というものについては、適当な機会を得てまたお話を聞くことにします。先ほど申し上げた資料は早急に出していただきたいと思います。  終わります。
  50. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  51. 田代文久

    ○田代委員 いまの久保委員質問関連するわけなんですが、大臣おられないですね。それで、ひとつ次官に確かめておきたいのですが、港湾法は、港湾の管理、それから運営権というのが地方自治体にあって、そして都道府県と該当する市などが管理者組織をつくって主体的に運営しておる。国は、こうした港湾の開発などに関しては、地方自治体の財政を不当に圧迫しないようにするために、必要な経費の分担と補助を行なうものとするという、この港湾法の精神は、いささかも曲げられずにおるのかどうか、その点をまず次官から御答弁を願いたいと思うのです。
  52. 山村新治郎

    ○山村政府委員 先生おっしゃいましたのは、港湾法管理者である地方自治体の精神というものが骨抜きになってしまうのじゃないかということではないかと思いますが、大体、港湾の管理、そして利用、これらにつきましては、管理者の立案によるものでございまして、そしてその港湾計画に従ってこのたびの無利子の融資による民間企業方式というものを行なうものでございます。そして条件といたしまして、管理者が実施計画埠頭管理の規制を行なうことになってまいりますので、いままでの港湾法の規定によっても、管理者民間企業者を規制できることになっておりますので、決して骨抜きになるとかいうようなことはない、そういうぐあいに思っております。
  53. 田代文久

    ○田代委員 港湾法に規定している原則は、いささかも水増しになっておるわけでもなければ、あるいはこれが変わっておることは全然ないということでございますね。  それを確認した上で港湾局長にお尋ねしたいのですが、京浜阪神の両外貿埠頭公団の各バースの完成したものの専用利用者、これはどういう船会社が専用しておるか、御答弁願いたいと思います。
  54. 栗栖義明

    栗栖政府委員 現在完成して供用開始してございますものを申し上げますと、京浜外貿埠頭公団におきましては、横浜のバースが本牧第一、第二バースの二つでございます。本牧の第一バースは川崎汽船とジャパンラインに供用してございます。それから本牧の第二バースにつきましては、日本郵船、それから大阪商船三井船舶、山下新日本汽船、昭和海運、この四社に供用いたしております。  次に阪神でございますが、これは大阪の南港の第一バースと第二バース供用してございまして、南港の第一バースは川崎汽船、それから第二バースにつきましては日本郵船、大阪商船三井船舶、山下新日本汽船に供用してございます。
  55. 田代文久

    ○田代委員 今後いろいろ完成していくわけですね。そうすると、それぞれの専用利用者の予定というものは大体考えておられますか。いま二つの外貿関係についてはこういう船会社が使っているんだということですね。その点どうです。
  56. 栗栖義明

    栗栖政府委員 今後考えられますものを概略申し上げますと、先ほど申しました京浜につきましては、横浜の本牧の第三バースでございますが、これはシーランド、それから東京港におきまして大井の第四バース、これは日本郵船、商船三井、川崎汽船、ジャパンライン、山下新日本汽船、それから大井の第五バースにつきましては日本郵船と商船三井、それから阪神にまいりまして、神戸港のポートアイランドの第一バース、これはシーランドとUSライン、それから第二バースにつきましては日本郵船、商船三井、川崎汽船、ジャパンライン、山下新日本、それから第三バースにつきましては日本郵船、大阪商船三井というふうに予定してございます。
  57. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、いま御答弁のありましたそういう会社は、伊勢湾の今度の対象になっているところにもそのままずっと入るということになるのですか、その点どうです。
  58. 栗栖義明

    栗栖政府委員 伊勢湾につきましては、ライン別に同じように入るかどうかということはちょっと明確でございませんが、現実に欧州航路あるいは加州航路が就航してございますので、そういう航路は入るだろうと考えております。
  59. 田代文久

    ○田代委員 今度の改正案は、さっきの御答弁では、港湾法原則はいささかもゆがめられるものではないという大前提に立っておるわけなんですが、伊勢湾の開発に関して今度民間資金導入できるようになる。そういう点については、きのうの御答弁でも、政府は積極的にやるんだ、そしてそれがいいんだというような説明がありました。これは、さっきの港湾法に対する管理権そのものが侵される、あるいは水増しになるということになるのではないですか。  同時に、これは、外国資本も将来性がある産業として着目しておるというようなことが新聞なんかに伝えられておる。そうすると、外国の資本も入ってくることも考えられるが、そういうことが予想されておるのかどうか。また、そういうことになってくると、この港湾法の基本原則がそのとおりには生かされないのではないかという心配があるわけなんです。その点をひとつ簡明に御答弁願いたいと思います。
  60. 栗栖義明

    栗栖政府委員 こういう新方式導入いたしますのは、精神的には、港湾管理者仕事の代行者であるという大前提に立ってわれわれながめておりますので、今度改正願います点で、この会社事前審査する場合に、会社の内容なりその他を運輸大臣がチェックするようになってございます。先ほど先生の御指摘いただきましたような御心配は、われわれはないものと確信してございますし、ないように努力いたしたいというふうに考えてございまして、管理者港湾法によります基本的な管理権というものは、従来どおりというふうに理解してございます。
  61. 田代文久

    ○田代委員 外国の資本はどうですか。そういうことを考えておられるのですか。
  62. 栗栖義明

    栗栖政府委員 いまの時点では、外国の資本参加ということは考えておりませんし、予想もしてございません。現在はおもに日本船主、あるいは中京地区でございますと地元財界の参加を予定しているところでございます。
  63. 田代文久

    ○田代委員 いまの政府当局の御説明には、港湾法に対する侵害というようなものはあり得ないというのですが、ではこの船会社や何かがこの問題についてどういうふうに考えているかということは、港湾協会が発行している「港湾」という雑誌で、川崎汽船の常務取締役の岡田良一という人がこういうことを言っているのです。「現在のところバースの数も少なく、又航路運営そのものが共同で行なわれているために完全に一船会社の専用ターミナルで、一船会社の専用の荷役業者が作業しているという例はないが、今後公団バースも増えるに従って航路運営の分離も行なわれ、一ターミナル一船会社作業会社という形態になる日も遠くないと思われ、その時には船会社自身港湾施設の所有者という立場になり、船会社港湾の結び付きはいよいよ離れ難いものになるであろう。」こういうふうにこの船会社は言っているのですね。船会社自身港湾施設の所有者という立場になるのだということを確言しておるのですね。この問題については、港湾法原則を逸脱しておるのか、逸脱してないのか。こういう発言は正しいのか、正しくないのか。私の判断では、こういうことを会社がはっきり発言しているということは、明らかにこれは港湾法に対する侵害である。こういうことでは安心できない、こういう不安を感ずるわけですね。この点に対する見解を御説明願いたいと思います。
  64. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいまのお話は、話のやりとりの間で出たものでございまして、ニュアンス的にちょっとわかりかねますけれども、所者者云々ということばにつきましては、これは明らかに間違いでございまして、船会社がその岸壁を所有するということはあり得ないというふうに私ども考えております。
  65. 田代文久

    ○田代委員 そうしますと、これは政府の答弁と——話のやりとりとおっしゃいますけれども、やりとりとかなんとかいうような、そういう無責任なあれじゃないですよ。明確に言っているのです。「港湾施設の所有者という立場になり」ということを確信的に言っているわけですね。そうすると、いまのお話では、こういう会社考え方は、これはどうも逸脱しておるようだ、正しくないんだ、こういうふうな判断ですね。それは間違いないですね。それなら、現在、この船会社が、政府なり地方自治体がばく大な金を投じてやった施設を結局自分たちの会社で独占して使うのだ——先ほど独占させないというような答弁であります。ところが、実際においては、独占でやるということを明確に確信的に言っておるのですね。そうすると、結局、さっき言った港湾法の基本原則が侵害されている、また侵害される方針会社自体はすでに考えてきつつある、こういうことなんです。そうしますと、これが明らかに逸脱であるならば、こういうことは何で発言するのだ、こういう発言は取り消せという処置は、政府は当然、資金面からあるいは監督面から、そういう権限を持っているわけですから、これはやるべきだと思うのですが、どうですか。
  66. 栗栖義明

    栗栖政府委員 船会社が完全に所有者ということは全くあり得ないことでございまして、これは従来の港湾管理者が持っております埠頭につきましても、あるいは公団が持っております埠頭につきましても、あるいは今度やります新しい方式会社でやります埠頭につきましても、どこまでも所有権はおのおのつくった者が持っておるわけでございまして、この点は間違いございません。そういうふうな誤解を招くような発言に対しましては、私のほうからも御注意申し上げたいと思います。
  67. 田代文久

    ○田代委員 これはひとつ次官に、こういうことをかってに発言してはならぬ、事実こういうふうに理解しておるならとんでもないのだぞという監督を明確に、ぜひともやっていただきたいと思います。
  68. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま先生がおっしゃいました民間会社の発言そのほか、これにつきましては、そういうような考えが間違いであるということを徹底させて、向こうのほうに申し入れるつもりでございます。
  69. 田代文久

    ○田代委員 最後に伺いますが、わが国の港湾を使っている米軍施設、これは大体幾つあるのか。そしてどことどこの港か。また、基地として使っておるのはどこかという点ですね。これは時間がなければ資料でもいいです。  それから、自衛隊がどこの港を利用しておるのか。また、これは優先的に使っておるということになりはしませんか。もしそういうことであれば、その法的根拠はどうかという点ですね。こういう点を御説明願いたいと思います。
  70. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいまの御指摘資料につきましては、いま手元にございませんので、後ほどまとめてお届けしたいと存じます。  御指摘のございました自衛隊の使用につきましては、管理者が持っておりますいわゆる公共埠頭でございますが、こういうものを優先的に使うとかいうようなことは、私の存じている範囲では、ないと思います。自衛隊は自分施設を使っておるというふうに考えてございますが、これも詳細調べまして、資料として差し上げたいと思います。
  71. 田代文久

    ○田代委員 質問を終わります。      ————◇—————
  72. 福井勇

    福井委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において審査中の港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案について、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  73. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の出頭日時及び人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  74. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  75. 福井勇

    福井委員長 次に、船員法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。内藤良平君。
  76. 内藤良平

    ○内藤委員 今回の船員法改正、これはわれわれも歓迎すべきことと思っておりまするが、船員法——一般的には労働基準法、まあ労働関係三法いろいろございますけれども船員法というものがあるわけだが、これは古い法律です。戦前からあるものだということですね。この古い法律船員法が、戦後二十年以降新しい時代に即応していろいろ変わってきておると思いますけれども、この船員法の変遷、移り変わりといいますか、これの特徴的な点を、戦前と戦後の関係、戦後の労働諸法規と合わせてみて、大ざっぱでいいですから、それぞれをひとつお話し願いたい、こういうぐあいに思います。
  77. 高林康一

    ○高林政府委員 お答え申し上げます。  船員法が最初に制定されましたのは明治三十二年でございます。明治三十二年のころの考え方は、明治二十三年の商法を大体経由いたしまして、主として商取引の観点の人的組織という考え方から船員というものをとらえ、それに対する規制というようなものをいろいろ考えておった。したがって、たとえば船長等につきましても、船主の代理者としての立場が非常に強いというようなかっこうになっておるかと思います。さらに明治三十二年法から、昭和十二年にまた船員法が制定されましたけれども、そのときには、かなり労働保護的な面も取り入れて考えていったというふうに考えられるわけであります。さらに戦後の昭和二十二年にできました船員法におきましては、従前の船員法がどちらかと申しますと、運命共同体としての船舶の安全航行というふうな観点に着目いたしまして、主として船内の秩序とかそういうようなことに重点を置いておったに反しまして、昭和二十二年法におきましては、当時の労働基準法というものと大体歩調を一にいたしまして、労働基準、労働保護という観点をそこに全面的に取り入れたということでございます。したがって、比率的には、むしろ現行船員法は、そういう船内の秩序ということよりも、条文の数その他から見ましても、労働保護という観点のほうが非常に大きく浮き出ておるというように変わってきておるかと思います。
  78. 内藤良平

    ○内藤委員 海の関係ですね、海運の場合でも船員の場合でも、陸から見ますと、特殊な状態に考えられる。また、いろいろ国際的なIMCOのようなものもあるわけですね。そういう国際的な協定のようなものと日本の船員法というものは、完全に一致しているかどうか、あるいは非常に足らない点があるのかどうか、こういう点は、簡単でいいですが、あなたの立場からどうですか。
  79. 高林康一

    ○高林政府委員 海上に対します国際労働条約といたしましては、大体いまのところ三十二程度あったかと記憶いたします。これのうち、大体八つばかりをすでに批准しておりまして、また船員法の中に取り入れられております。しかしながら、やはりどうしても国柄が違うといいますか、そういうような点で合わないところはあろうかと思いますけれども、国際的な基準といたしましては、現行船員法というものは、国際労働条約の線に相当沿っておるというふうに考えております。
  80. 内藤良平

    ○内藤委員 今度の船員法改正は五トンまでということになるわけです。しかも、いままで手が伸びておりませんでした漁船のほう、これまで手を伸ばしたということは、私たちの考え方では、この種の関係には非常に海難も多かった。今度このことについては、法改正によりまして、船員法の手が伸びていくということで、海難の面を防止するという効果の点につきましては、当局としてはどういうぐあいに考えておるか。効果があるものか、ないものか、そこら辺をちょっと……。
  81. 高林康一

    ○高林政府委員 御指摘のとおり、海難というものが相当多発しております。漁船につきましても、最近数カ年におきましては大体全体の海難の五〇%程度、千百隻程度が海難事故を数カ年の統計では示しておるわけでございます。今回二十トン未満の漁船につきまして、五トン以上は原則的に船員法を適用いたします場合、先ほど船員法の変遷の際についても御説明いたしましたように、船員法は、いわば危険共同体としての船舶というものの安全を担保するという考え方が強うございまして、たとえば発航前には船長は必ず船舶の堪航性について検査する、そういうような、陸上の労働基準法にないような規定が、いわば船内秩序あるいはその他としてあるわけであります。そういうような点については、やはり相当程度海難防止ということについては期待できるというふうには考えます。ただ、残念ながら、このこと自身によって海難が相当大幅に減るということは、またやはり海難の問題というものはいろいろの要素がありますので、これだけでは十分ということはできないと思いますけれども、海難防止のための一助にはなるかというふうに考えている次第でございます。
  82. 内藤良平

    ○内藤委員 結局、海難にあった場合、船員の救済保護、そういう面では、いままでよりは改善されるというぐあいに理解していいわけでありますか。どうですか。
  83. 高林康一

    ○高林政府委員 船員法の適用対象の船員となります場合には、当然船員保険法上の被適用者になるわけでございます。そういたしました場合におきましては、海難に伴いますところの、たとえば行方不明手当金の支給とか、あるいはまたそういう場合の傷病手当金の支給とか、そういうような点については、陸上の保険関係よりは船員保険のほうがやや厚くなっておりますので、そういう点の効果はかなりあるかと存じます。
  84. 内藤良平

    ○内藤委員 船舶の安全の面になりますと、これまた船員法関係ないというぐあいになってしまいますが、やはりいろいろ救命の装具、あるいは海難の際のブイの問題であるとか、あるいは無電の問題であるとか、ああいう面は船員法のほうでは直接の関係じゃないわけですね。安全法の関係ですか。
  85. 高林康一

    ○高林政府委員 もちろん、救命ブイとかその他の設備の面は、船舶安全法におきましていろいろ設備規定を考えておるわけであります。むしろ船員につきましては、労働保護的な見地から、船内設備基準というようなものは考えております。それがある程度ラップするようなことがあるかと思いますけれども、直接的には、そういう安全の面と設備の面というようなものは安全法が考えておる分野でございます。
  86. 内藤良平

    ○内藤委員 そうしますと、今度の適用拡大でいろいろプラスになる面もありますね。いまの安全問題から見ますと、このほかに、船舶自体の安全の問題もある。そういう面は、省内でやはりこの適用拡大とあわせて論議をされておるものかどうか。これはもし局長の場合は範囲外としますと、次官のほうで御答弁をお願いいたします。
  87. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま検討はしておりますが、結論は出ていないというような状況でございます。
  88. 内藤良平

    ○内藤委員 結局、海難という問題もテーマになりまして、今度の拡大もあったわけですね。船員法の改善によりまして、漁船の皆さんも船員としていろいろプラスになる面もあるわけです。ただ、漁船自体、船自体として安全の面で、これも相伴って初めてまた船員の皆さんのプラスがあるわけです。事故が起きて、海難が起きて、救済される面でプラスじゃなくして、事故の起きる前といいますか、小さい船、十トンあるいは七トン、こういう船が今度は五トンまでいったわけです。そういう面について、安全の面で船舶安全法との関係を、省内で、このたびの改善に合わして並行して審議をして一つの結論を見出そうというぐあいに建設的にやっておるかどうかということなんです。
  89. 高林康一

    ○高林政府委員 現在、二十トン以上の船舶について船舶安全法の適用がございます。二十トン未満の船舶につきましては、漁船につきましてはこれが適用がない、ないしは各都道府県において条例等においてそれを規制するというのが現在のたてまえでございます。ただ、この問題につきまして、二十トン未満の漁船船員について船員法を適用いたします場合に、安全面におきまして、船員法自身は、先ほど申しましたように、発航前の検査その他堪航性の調査、こういうような点で、船員法自身が義務づけております点で、相当海難防止には役立つ一部分になると思いますけれども、安全法の適用の問題についても検討する必要があるかと考えまして、現在省内において検討を進めておるわけでございます。ただ問題は、やはり相当広範な影響を及ぼす問題でもございますし、慎重に検討を要するということで作業がおくれてはおりますけれども、現在いろいろな論点について、各関係者が集まりまして、業界その他も含めて、いろいろ検討を進めておるというのが現状でございます。
  90. 内藤良平

    ○内藤委員 これはあなたの船員局だけのことではないと思いますけれども、二十トン未満の船の安全問題は、具体的に進めて、今度の船員法改正、改善とあわせて近く具体化する、そういう状態にあると私は思うのですけれども、もし障害があるとすると、どういうところに障害があるのか、その点ひとつ……。
  91. 高林康一

    ○高林政府委員 全般的に、やはりこういうふうに適用範囲を拡大いたします場合においては、当然いろいろ従来の体系というものを変えていく必要がございます。特に従来の操業区域、いわゆる従業制限と称しておりますが、それらの観点をどのように調整していくかという点が非常にむずかしい問題になるかと思います。  また、新たな設備基準を定めます場合においては、当然いろいろな負担の問題というようなものが考えられるわけです。それらの問題については対象が零細漁業でございます。そういうものの経営ということもあわせて考えていかなければならないと思います。  そういうような点で、いろいろな観点からいまそういうことを検討しておるというのが現状でございますけれども、問題点としては、いま申しましたような負担増あるいは従業制限あるいは経営の実態、こういうもののかみ合わせということになるのではないかと思っております。
  92. 内藤良平

    ○内藤委員 また、それに伴って今度の船員法改正につきましては、経営者側のほうではどういう意向なんですか。何か同じようなことでいろいろ反対といいますか、反対ということばが当たるかどうかわからぬけれども、何か動きがあるのかどうか、そういう点はどうですか。
  93. 高林康一

    ○高林政府委員 船員法を二十トン未満五トン以上の漁船船員に対して適用いたします場合に、問題がいろいろございます。そこで、それらの問題というものは大きく分けまして、保険の問題と事務処理の問題の二つに分かれるかと思います。一つは、現在二十トン未満の漁船船員につきましても、労働基準法の適用があり、また陸上の各種保険に入っておるということではございますが、しかしながら、陸上の保険に対しまして海上の保険でございます船員保険が、大体において給付が若干高うございます。といいますことは、それぞれ使用者及び労働者の負担が高くなっておるわけです。大体千分の四十程度高いかと思います。その点の負担の問題ということが使用者側において問題であったかと思います。その点については、実はこの二十トン未満の漁船船員の適用の可否を船員中央労働委員会に諮問いたしました場合に、当初から非常に問題でございました。そこで、それにつきましては、各使用者代表あるいはまた労働者代表者をも特別に加えまして、いろいろ審議し、また水産庁あるいは社会保険庁等の方も加わっていただいて検討いたしました結果、そういうような負担の増大という問題がございますので、やはりこれは一挙に適用するということは非常に問題がある、そういうような観点で、ほぼ段階的にこれを適用していくということで、第一段階といたしまして、昭和四十六年一月から特定の範囲を考え、そして、それを経た五年くらいの計画を置いて適用して、その間にできるだけ摩擦を少なくするようにやっていこうということで、関係方面としまして、使用者も含めまして意見が一致し、そして船員中央労働委員会から答申が出た次第でございます。そういうような点では、なお今後の実施過程においてもいろいろ問題があるかと思いますけれども、よく関係者の意見も聞いて、逐次無理なく実施できるように、政令段階において考えていきたいと考えておる次第であります。  第二の問題は、行政事務の問題で、この点については極力簡素化し、また事業者に不便のないようにやっていきたいと考えておる次第でございます。
  94. 内藤良平

    ○内藤委員 いま答申の話が出ましたけれども、答申を広げてみますと、地先の漁業は、五トンの問題は適用除外とするというぐあいになっていますね。この点はどういうわけでこうなっておるのか、これを簡単に御説明願います。
  95. 高林康一

    ○高林政府委員 地先漁業、大体漁業法にいいますところの共同漁業あるいは定置漁業というような種類のもの、そういうようないわゆる地先で行ないますところの漁業、つまり、陸岸に非常に接続いたしまして、そしてそこにおいて乗り組むところの船員も、大体日帰りといいますか、陸上の労働態様とあまり変わりない、そういう観点から、地先漁業というようなものは、これは海上労働としての規制よりも、陸上労働としての規制のほうが、したがって労働基準法の適用のほうが妥当であるという考え方でございます。
  96. 内藤良平

    ○内藤委員 海難の場合につきましては、どういうぐあいなんですか。地先の場合は遭難、海難は少ないのですか。
  97. 高林康一

    ○高林政府委員 その点、地先についてだけ特に調べたことはございませんけれども一般的に陸岸に非常に接続しておりますものですから、それはやはり少ないと一応推定しておる次第でございます。
  98. 内藤良平

    ○内藤委員 少ないようだけれども、まだこれも相当あるんじゃないですか。地先での岩礁その他による災害といいますか、遭難というものは。遭難の面からだけ考えた場合には、遠い海洋の場合もあったでしょうけれども、沿岸の岩礁その他によって起こる場合が非常に多いのではないか。こういう点はいかがですか。
  99. 高林康一

    ○高林政府委員 全体的に、距岸三海里未満の漁船海難というものは相当多いことは事実でございます。ただ、それが地先漁業であるのか、あるいはまた地先漁業と称しているものでなしに、一般的にもっといろいろ航法態様を持っておるところのものであるか、その辺になりますと、必ずしも統計的にはっきりいたしませんけれども、三海里未満の海難発生率ということになりますと、これはかなり多いというふうに考えております。
  100. 内藤良平

    ○内藤委員 それではまた角度を変えまして、中小漁船の場合、ほとんど歩合制度が多いということですが、この船員法の適用を、固定給制度への移行の指導強化、こういうことについて具体的に何か考えられておりますか。
  101. 高林康一

    ○高林政府委員 現在、船員法のたてまえといたしましては、歩合給というものを当然前提にしておりまして、ただ、歩合給の場合でも、一定部分というものは確保できるようにというのが法の考え方であります。この歩合給を一挙になくすというようなことは、これは漁業経営の状態から見て非常に困難があるかと思いますけれども、水産庁ともいろいろ協議いたしました。これは二十トン未満の漁業に限った問題ではございませんけれども一般的に固定給部分というものができるだけふえるようにということで、現実においては大体五、六割というようなものがそういうことになれるように、各海運局を通じて指導しておるという状況でございます。
  102. 内藤良平

    ○内藤委員 これはやはり、船員労務官といいましたか、この方々でこういう問題等も監督をされておるのでしょうね。どういうものですか、その点。
  103. 高林康一

    ○高林政府委員 監督しておりますと同時に、それぞれ雇い入れ契約の公認という制度が船員法上ございます。雇い入れ契約におきましては、労働条件というようなものをそれぞれ確認するということでございますので、そういうような面からもあわせて指導をしておるという状況でございます。
  104. 内藤良平

    ○内藤委員 それから、話がいったりきたりするようで恐縮ですけれども、今度の適用になりますいわゆる漁船の実態ですね。いわゆる所有者の経営の実態とか雇用の実態、こういうものは結局、船員局ではいままでは適用外であった。一般的な労働基準法なり労働省の関係であったわけでしょう。ですけれども、これは実態としては、大ざっぱでいいですけれども、つかんでおりましたら——零細な規模のあれが多いわけでしょうが、その実態をどういうぐあいに把握しておるか、これもひとつお聞きしたいと思うのです。
  105. 高林康一

    ○高林政府委員 現在、第四次の漁業センサスを行なっておりまして、その最終的な集計はこの秋になるかと思いますけれども、それ以前の第三次等の漁業センサスを利用してこれを見ますと、漁業センサスのとり方がちょっと違いますのであれでございますが、五トン−十トン階層の経営組織といたしましては、九〇%が個人でございます。それから、十トン−三十トンという階層におきましては、八六%が個人営業でございます。したがいまして、大体九〇%くらいが個人営業であり、それらの経営というものは個人営業でございますので、なかなかつかみにくいのでございますけれども、やはり相当問題が多い経営であろうかというふうに推定しております。
  106. 内藤良平

    ○内藤委員 今度その状態の中で船員法を拡大していくわけですね。そこで、この船員労務官がそういう零細な企業の中にいろいろ入っていって、指導なり船員法考え方を徹底していくわけでしょう。それと、いまの政府の定員削減ということがありますね。そういう面で、法律的にこれを改定いたしましてプラスにいたしましても、実際の面として運輸省としてこの法改正の効果を徹底して船員の皆さんに福音を与える、こういう点につきましては、この法律を提案されるまでどういうぐあいに御審議なり御研究なりされておったかどうか、これを聞きたいと思います。
  107. 山村新治郎

    ○山村政府委員 先生のおっしゃった船員労務官のいわゆる増員という問題でございます。これは事務職員につきましては、増員というのは昭和四十五年度では認められませんでした。そしてあとは市町村長を指定して事務処理を委任するとか、あるいはそれこそ船員法事務をできるだけ簡素化してその処理に当たり能率化をはかるというようなことをやってまいったわけでございますが、このいわゆる船員労務官、これは法令の指導、監督に当たるという労務官につきましては、一応本年度五名、これは振りかえ増員でございますが、認められました。船舶や事業場におきまして法令の周知と指導を積極的に行なうということで、一応五名の増員を認められましたので、有効にこの労務官に働いていただきたい、そういうぐあいに考えております。
  108. 内藤良平

    ○内藤委員 書いたものがあるのですが、局長さん、この法律改正されますと、適用になる船なり船員の数はどのくらいになるわけですか、いままでより増加するのは。
  109. 高林康一

    ○高林政府委員 五トン以上全部を適用いたしました場合におきましては、事業者として約七千六百、それから船舶といたしまして一万一千三百隻、それから雇用者といたしまして約五万名でございます。そういうような数字になっております。
  110. 内藤良平

    ○内藤委員 船員労務官は、次官のお話では五名振りかえて、関係人員は五万名ですか、これは何だかあまりぴんとこないのですね。ここら辺はやはりそれで段階的にやっていこうというわけですか。あまりちょうちょうと私が言わなくても、要点はわかるでしょうけれども、その点はどうですか。
  111. 高林康一

    ○高林政府委員 五万名は最終段階において適用されました場合でございます。確かにいま職員の増加ということは困難でございますが、私どもといたしましても、適用段階第一段階におきましては、来年度におきまして、四十六年一月一日からの適用対象は約一万四千名でございますけれども、それらについて振りかえ増員という形を来年度についてもやったわけでございます。今後もさらにそういう増員ということについてやっていきたいと思います。ただ、事実問題といたしまして、増員はいまの状況では非常に困難でございます。私どもとしましては、船員法事務、たとえば原簿とかいろいろな事務がございます。そういうようなものをもう一ぺん洗い直しまして、そちらの事務を極力落として簡素化いたしまして、そしてそれによっての定員というものを活用していきたい。逐次そういうようなかっこうで各種のほかの事務の整理をやっておるという状況でございます。
  112. 内藤良平

    ○内藤委員 振りかえというお話が出ましたけれども、どこかそれではほかの役所をやめて回すわけですか。
  113. 高林康一

    ○高林政府委員 省全体の中でやりくりをつけておりますので、ほかのどこからということは必ずしもはっきりしない場合が多いと思います。
  114. 内藤良平

    ○内藤委員 船員法関係ですか、出張所のようなものがあるのですね。そういうぐあいに聞いています。そういうところをやめて、そっちのほうへ回すという、そういう傾向があるんじゃないかということを聞いていますけれども、それはどうなんですか。その場合、そのやめた個所はどうなるか。
  115. 高林康一

    ○高林政府委員 御指摘のとおり、出張所が大体いま百幾らあったかと思います。それらを逐次できるだけ整理して行政の簡素化をやっていきたいと考えております。また、こういうような振りかえ増員というものは、そういうような出張所の廃止等に伴いまして振りかえになった部分が相当ございます。そういった場合に、行政事務として不利、不便を各事業者にかけてはぐあいが悪うございます。私どもとしましては、現在百何十カ所に指定市町村という制度を設けております。この指定市町村において雇い入れ公認というような事務について、あるいは船員手帳の交付というような事務について、指定市町村に委任しておるという状況でございますが、今後さらにそういう指定市町村というものを活用して、不利、不便のないようにしていきたいと考えております。
  116. 内藤良平

    ○内藤委員 ところが、局長さん、指定市町村では、最近は迷惑だという声が強いというのじゃないですか。指定されても、出張所をやめて仕事を役場に移管されても困るといって、返上の傾向が強いというぐあいに聞いていますが、どうなんですか。
  117. 高林康一

    ○高林政府委員 部分的にあるいはそういう市町村があり得るとは存じますけれども一般的な傾向といたしましては、いままで百数十カ所指定いたしました場合においても、必ずしもそういうふうな傾向は出ておらないように思います。ただ、今後さらに相当ふやしていきます場合に、また具体的に当該市町村といろいろお話し合いを進めていきたいと思っております。
  118. 内藤良平

    ○内藤委員 ところが、私の持っている情報では、こういうのがあるのです。指定市町村も、業務量の増加のために、船員法の事務を国の機関にもう返上したいという声があった。これはことしの二月二十六日に、関東海運局の千葉支局で、管内の指定市町村の船員法事務担当者会議があった際に、そういう声が断然強かった。こういう情報がある。これは一つの例かもしらぬけれども、今日の地方自治体、市町村の実情から見ますと、やはりこういう声が出るのが常識じゃないかという感じがしているわけです。この点は、船員法で非常によい面はやられるわけでありますけれども、それを今度労務官というものは振りかえだというお話でした。しかも数も少ないようであります。将来この出張所をやめて市町村に振りかえて、振りかえた人間を労務官にして、この船員法のよい面を徹底していこうというわけでしょうけれども、ところが、市町村のほうでは困るという声が出ている。ここら辺は、やはり運輸省としても、せっかく法律改正をやる場合に、市町村に押しつけて、市町村から返上されると、他の面でまた問題が出てくる。こういう面は省内でも少し検討されていますか。それとも耳をふさいでいるのですか。押しつけてやっているのですか。そういう点はどうでありますか。
  119. 高林康一

    ○高林政府委員 あるいは部分的にそういうようなことがあるのかもしれませんけれども、私が聞いておりますのでは、特にそういう声が強いということは一般的には聞いておらないわけでございます。個々の指定についても、もちろんかってにやるものではございませんので、自治省及び当該市町村に具体的に話をして、そして指定するわけでございます。ただ、それは非常に煩瑣で困るというようなことがあるいは部分的にはあるかとも思いますけれども、そういう点については、具体的にまたそのケース、ケースについて話し合っていきたいと考えております。
  120. 内藤良平

    ○内藤委員 これは市町村に手数料が入るかっこうになっているのですね。その手数料はどのくらいですか。
  121. 高林康一

    ○高林政府委員 船員手帳の交付が百五十円でございます。それから公認の手数料が二十円でございます。
  122. 内藤良平

    ○内藤委員 それはどうなんですか、いまの世の中の物価といいますか、そういうものから見ますと。これはいつごろきまった値段ですか。そういうものに対しての不平不満はないのですか。
  123. 高林康一

    ○高林政府委員 この額は四十一年にきまったものでございます。なお、この種の手数料ないしは取り扱い料の金額については、やはりいろいろ問題があるかと思いますので、自治省あるいは大蔵省をまじえて検討をしておるという状況でございます。
  124. 内藤良平

    ○内藤委員 それは今度出張所のようなものをやめて、市町村に委託する。その場合に手数料のようなものが市町村の財源になる。だけれども、もっと金がかかる。そういう場合に、運輸省のほうで何か別の形で金を出そうということを検討しておる、こういうことですか。
  125. 高林康一

    ○高林政府委員 手数料の額そのものを改定すべきかどうかについて、いま検討しておるのでございます。
  126. 内藤良平

    ○内藤委員 それでは、財政的な面でそういう市町村に応援しようというのは、いまのところ省内では議論になっていないわけですね。しかし、こういう船員法なんかを今度改善しまして、いろいろよくなっているわけでしょう。その際に、結局労務官ですか、そういう方々は、次官の話を聞きますと、今日五人程度。といいますと、一年、二年、三年、四年、これがまた五万という数に合っただけなかなかふえないでしょう。そういう場合にはどうするか。人員をふやしていくのか。人員がふえなかった場合には市町村にやる、市町村のほうでも返上する。そういうかっこうになっていきますと、船員法のせっかくの改善の面も絵にかいたもちのようなかっこうになってしまうのではないかと思う。私たちはこの法改正は賛成なんですよ。内容的に徹底されていく。船員の皆さんがそれによって大いに恵まれる状態になる。そこまで突っ込んでやはり省内であるいは局内で具体策を持っておるのか、そういう点はいかがでしょうか。
  127. 高林康一

    ○高林政府委員 市町村につきましては、いまの手数料でもってそれに必要な財源を与えるというたてまえになっておりまして、その額についての検討をいまやっておるということでございます。  なお、財源的に確かに御指摘のように非常にむずかしい点がありますけれども、われわれとしては、既存の事務整理というものを極力行ないまして、それによって労務官事務というものに振り向けられるようにいろいろ事務整理をやっていきたい。また、定員増について、困難ではございますが、今後ともさらに努力していきたいと考えております。
  128. 内藤良平

    ○内藤委員 きょうは意見がましいことは言いません。あとからまた同僚委員の方々から、この法案に対して質問の中で深めていくようにしたいと思います。  きょうは、私の質問は終わりたいと思います。      ————◇—————
  129. 福井勇

    福井委員長 次に、陸運に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。内藤良平君。
  130. 内藤良平

    ○内藤委員 次官もおいでですけれども、官房長、けさ私はラジオで聞いたのですが、ちょっと運輸委員としては聞き捨てならぬ状態なものですから聞きますけれども、仙台の市電の運賃問題のことにからんで、運輸審議会が何か開聞以来のミスをおかしたというようなことでした。それで、運輸審議委員に対して若干の批判的な報道がありました。これはどういうことか、真相なんて大げさなことじゃありませんけれども、実情を聞きたい。
  131. 山村新治郎

    ○山村政府委員 私は、ラジオ、それから新聞のほうもちょっときょう見てまいりませんでした。ただ、先ほど来報告を受けましたところによりますと、運賃の施行期日をはっきりさせなかった、そういうようなことを伺っておりますが、あと官房長のほうから詳しく御説明申し上げさせます。
  132. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 けさの新聞にも出ておりましたのですけれども、実は運審で、仙台市の軌道旅客運賃、それにつきましての諮問に対しまして答申をしたわけでございます。内容といたしましては、仙台市の市電の運賃を上げること、これは四月一日から始める。それからいま一つは、定期旅客運賃を上げること、これは八月一日から始めるということでございますので、そういった意味の答申を、諮問どおりに、原案どおりでよろしいという答申をしたわけでございます。それを通例によりましてそのあと新聞で発表するわけです。そのときの説明で、定期旅客運賃は八月にやるんだということを説明者が間違えまして、これはいつだったかなということで、四月じゃないだろうかということで混同しちゃったわけなんです。それが真相でございます。それで、これにつきましては、施行期日につきましては、普通黙っておれば、審議の手続を経て、それで運輸大臣に答申を出しまして、運輸大臣が認可の手続をする。そのあと多少の公示期間を置きましてやるのが普通でございます。特に施行が四月より四カ月先ということにつきましては、これは運輸当局の行政方針としてまかせられておるというふうにわれわれ考えておりまして、八月一日に上げるのが正しいかどうかということは、そういった審議はしてないわけです。それはそこに諮問してないものですから、それで、上げるのは、普通運賃は四月、定期運賃はあと四カ月先だということで、特に利用者に迷惑を及ぼすわけではないということで、運輸当局にまかせられておるというふうに考えておるわけでございます。ただ問題は、説明者が、運審が知らなかったというようなことを言ったものですから、おかしいじゃないか、審査をもう一ぺんし直せということを言われたのが真相でございます。問題は、諮問の要するに対象ではありませんけれども、四月一日だと思っていたということじゃ困るので、これは八月ですよということをもう一ぺん確認してもらおうと思いまして、これはこの次の運審の会議のときに審議していただくというつもりでおります。それが真相でございます。
  133. 内藤良平

    ○内藤委員 もう少しぼくらも調べてみたいと思いますけれども、その中でちょっとぼくもラジオで聞いただけですから当たらないことだと思いますけれども、何か運輸審議委員がいわばお役人の古手だとか特殊な方々で、あまりいわゆる審議委員としての機能を十二分に発揮してないような意味ことばだったように記憶しますけれども、何かそういうことをちょっと言ってましたが、これは審議委員の構成がラジオで言われたような内容なのか、私もよく内容見ていませんけれども、何しろ運賃、料金、そういう問題があって、公共料金非常にきびしいいまの世の中ですから、やはりそういう世論というものを的確にとらえて、そうして十二分に審議をする——大臣の言われるとおりに、なるだけじゃなくして、庶民大衆の気持ちを審議の中に盛り込むような委員になっているのかどうか、これは主観的なもの、客観的なもの、なかなか判断しがたいですが、その点はいかがですか。あなた、なかなかそれはりっぱな方だと言うより言えないと思うけれども……。
  134. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 運審の委員は、運輸省設置法に規定してございますように、年齢三十五年以上で、広い経験と高い見識を有する者の中から内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命するということになっておりまして、そういうりっぱな方を任命しているわけでございます。それからやはり規定がございまして、特定の事業につきまして特別の利害関係を有する委員は、運審の決議のあったときには、当該事案にかかわる議決に参画してはならないという規定もございます。いろいろそういった制約をしております。それから兼業をしてはいけない、それから委員の秘密保持の義務等がございまして、こういう条文が法律できまっておりまして、また実体的に申しましてもりっぱな方々ばかりでございますので、そういう点は少しも心配ないと思っております。ただ問題は、そういった民主的な方法はどうかということにつきましては、たとえば事案が競争者があるというような場合は、これはいわゆる公聴会を開きまして、反対者の意見を聞くということもございますし、それから一般利用者の意見も聞くことになっております。そういう点で、民主的な意向を反映している運審でございますので、独断専行というものはないのじゃないかというふうに私どもは思います。
  135. 内藤良平

    ○内藤委員 きょうは意見がましいことは言いません。答弁を聞いて終わります。  これで終わります。
  136. 福井勇

    福井委員長 関連して加藤六月君。
  137. 加藤六月

    ○加藤(六)委員 官房長、いまの内藤委員に対する答弁で、この席ではっきりしておかなければならないのは、われわれも実はけさびっくりした。審議会の権威というものが非常に失われる。しかし、これは諮問のしかたが悪かったのか、あるいは審議会の勉強のしかたが悪かったのか。いま官房長の説明では、その審議会の結果を発表する人の発表のしかたが悪かった、こういう意味のことにとれるのですが、今回の、審議会に再度かけるということは、運輸省の諮問のしかたが悪かったのか、発表のしかたが悪かったのか、審議会の勉強のしかたが足りなかったのかということ。この問題については、審議会の問題とはまた別途審議するとしても、形式上の問題としてはどうなのかという点が、いまのあなたのお話では、説明のしかたが悪かったようにもとれるし、さらに説明を聞いておると、再度審議会にかけると、こう言っておる。そこの点をもうちょっとこの席ではっきりしておいてもらいたい。
  138. 鈴木珊吉

    ○鈴木(珊)政府委員 私の表現が悪かったのでありますけれども、もう一ぺんかけ直すということじゃございません。審議をし直すということじゃございません。ただ、施行期日が八月ですよということをお知らせするという意味でございまして、したがって、審議が間違ったのでし直すということじゃありません。ただ、その間そういった連絡が悪かったことは事実でございます。原局が、これは八月だという意思が徹底してなかったのじゃないかという懸念はございます。それにつきましては、あさっての審議会にもう一ぺん確認していただくということであります。したがいまして、審議会が本件の審議をし直すとか、諮問がおかしいとかいう意味ではないということでございます。
  139. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時九分散会