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1970-03-20 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月二十日(金曜日)    午前十時十四分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       河野 洋平君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       中馬 辰猪君    中村庸一郎君       西村 英一君    長谷川 峻君       古屋  亨君    増田甲子七君       井野 正揮君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    楯 兼次郎君       田中 昭二君    宮井 泰良君       渡辺 武三君    田代 文久君       關谷 勝利君  出席政府委員         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省船舶局長 佐藤美津雄君         運輸省船員局長 高林 康一君         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         海上保安庁長官 河君 一郎君         気象庁長官   吉武 素二君         気象庁次長   坂本 勁介君  委員外出席者         運輸省港湾局参         事官      上原  啓君         日本国有鉄道総         裁       磯崎  叡君         運輸委員会調査         室長      小西 眞一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六二号)  陸運、海運、日本国有鉄道の経営、海上保安及  び気象に関する件      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。砂田重民君。
  3. 砂田重民

    砂田委員 まず、政務次官にお伺いいたします。  わが国港湾を通過する貨物が、経済発展に伴ってその質、量ともに相当大きな変貌を遂げてきております。これからもいろいろ変わっていくだろうと考えられます。さらにその輸送技術革新進歩も著しいものがありますけれども、このような環境のもとにおいて、わが国港湾整備は今後どういうふうに変貌していくであろうか、政務次官の基本的な御所信を承りたいと思います。
  4. 山村新治郎

    山村政府委員 お答えいたします。  わが国港湾貨物量は、わが国経済高度成長を反映して、最近では年々約二〇%の大幅な伸びを示しております。このような量的な増加に加え、輸送技術進歩も著しく、オイルタンカー鉄鉱石専用船の超大型化をはじめとして、他の物資についても輸送専用船化大型化が進んでおります。雑貨輸送については、大型高速コンテナ船による一貫輸送が急速に進展いたしております。今後の港湾整備は、取り扱い貨物量的拡大に対処するとともに、これらの輸送技術質的変化を考慮して進める必要がございまして、特にコンテナ埠頭フェリー埠頭物資別専門埠頭など、流通革新に対応した施設整備が必要と考えております。また工業港におきましては、船型の大型化に対応いたしまして、航路、泊地の増深を進めていくことが従来以上に必要であると思っております。
  5. 砂田重民

    砂田委員 このたびは港湾法及び港湾整備緊急措置法を一部改正をされて、民間事業者に対して無利子貸し付けを行なって、外賓コンテナ埠頭などの整備を促進されようとしておられるわけですけれども、基本的な必要性というものはどういうところにあるのか、そのポイントをひとつ政務次官から御説明をお願いしたいと思います。
  6. 山村新治郎

    山村政府委員 国際海上航路におけるコンテナ貨物等、新しい海上輸送方式によりまして輸送される貨物増加が特に目ざましく、この傾向は今後も続くものと予想されますので、重要港湾における外貿コンテナ埠頭等整備を今後一段と促進する必要があります。これらの埠頭は在来の公共埠頭と異なり、岸壁荷さばき施設等を一体として特定の者に専用使用させることによって、その効率的運営がはかられるものであります。これらの埠頭につきましては、ある程度の助成があれば、港湾管理者にかわりまして民間事業者による整備が可能なケースが想定されますので、その整備を助成するための措置をとることとしたものでございます。
  7. 砂田重民

    砂田委員 港湾整備については、前に外賓埠頭公団方式という新しい方式を打ち出されて、京浜、阪神、両外貿埠頭公団事業が行なわれております。今回はまたそれと違う新しい方式を打ち出されたわけですけれども、この新方式概略を御説明願いたいのと、あわせて四十五年度予算でどういうふうな措置をとられたか、御説明をお願いいたします。
  8. 山村新治郎

    山村政府委員 このたびのこの方式は、港湾管理者民間事業者に対して、外賓コンテナ埠頭等政令で定める特定用途港湾施設建設または改良に充てる資金を無利子貸し付ける場合、その貸し付けが一定の条件に当てはまるときには、国が当該港湾管理者に対しまして、その貸し付け金の範囲内で政令で定める金額を無利子貸し付けるものでございます。  四十五年度予算案におきましては、名古屋港及び四日市港における外貿コンテナ埠頭建設のための無利子貸し付け金として二億四千万円を計上いたしております。そして同時に、七億二千万円を資金運用部資金引き受けのいわゆる地方債として予定いたしております。なお、この無利子貸し付け金の原資は一般会計から繰り入れられたものでございます。
  9. 砂田重民

    砂田委員 いま政務次官説明になった起債ですが、これは地方公共団体におそらく地方債でいくのですね。そうすると、地方公共団体というか、港湾管理者というか、その起債を受けて、その起債分は今度の会社への出資になるわけですか。
  10. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいまの起債分は、新しい今度の会社に対します貸し付け金になる予定でございます。
  11. 砂田重民

    砂田委員 それでは、これは局長から御答弁いただいてもけっこうですが、この機会に、港湾整備五ヵ年計画のことをちょっと伺っておきたいと思います。  現行の五ヵ年計画は、四十五年度が第三年次になるわけですね、四十三年から始まって四十七年に終わるから。全投資額が一兆三百億円で、この規模でて進行していくこの五ヵ年計画に対しまして、四十五年度予算分事業を全部やり終えた段階で、何%の事業が完了することになりますか。
  12. 栗栖義明

    栗栖政府委員 一兆三百億のうち、公共事業費該当分が八千億でございますが、それ以外の地方債あるいは単独入れまして一兆三百億円でございますが、公共事業の進み方は約四八%でございます。
  13. 砂田重民

    砂田委員 現行五ヵ年計画規模の一兆三百億円というのは、全国港湾取り扱い貨物量年度年度推定量に基づいて計画されたものだと思うのですが、この推定量が今日になってみればもう低過ぎるということは、当然おわかりになると思います。そこで、この年度年度推定量年度年度実績量といいますか、この数字がわかっておりましたら、これを比較をしてひとつ御説明を願いたいと思います。どういうことになっておりますか。
  14. 栗栖義明

    栗栖政府委員 五ヵ年計画はただいま御指摘のとおり、昭和四十三年から四十七年の計画でございますが、基礎になります貨物数字は、昭和四十年の八億八百万トンという数字基礎にいたしまして、平均伸び率九・六%ということで、四十七年の貨物量を十五億三千万トンということで想定してございます。実績は、先ほど政務次官からも御説明申し上げましたように、かなり上回わっておりまして、計画が始まりました四十三年を例にとりますと、平均伸び率九・六%という数字で想定いたしますと、計画の当初におきましては十億七千万トンという予定でございましたが、実績は十三億六千万トンという数字になっております。それから四十四年につきましては、まだ確定数字は出ておりませんが、当初の予定いたしましたグラフからとりますと、十一億七千万トンという予定でございましたが、現在の推定見込みでございますが、約十六億トンに相なろうかというふうに存じております。
  15. 砂田重民

    砂田委員 そういうことになると、現行五ヵ年計画の全投資量をおきめになった時期に推定された貨物というものとずいぶん違ってきておる。局長からことばで説明を伺っても、どうもなかなかわかりにくいものですから、ひとつ資料を出していただけませんか。きょうでなくてもいいですけれども推定貨物量、それから実績貨物量年度別の何かわかりやすい一表にまとめたグラフにでもつくってお示しいただきたいと思います。
  16. 栗栖義明

    栗栖政府委員 そういう資料を早急にまとめて提出するようにいたします。
  17. 砂田重民

    砂田委員 いまの数字を大体伺ってみますと、このまま現行五ヵ年計画のいまの規模で四十七年まで推移するといたしますと、四十七年という年には、現行五ヵ年計画が始まった四十三年当時よりも、むしろ港湾整備水準というものは逆に落ち込んでしまうということが言えるわけですね。経済の実勢に対して港湾整備の立ちおくれはますます大きくなってしまう。これはたいへんなことだと思うのです。先ほど政務次官がお話しになっておりましたような、いろいろな新しい問題が起こってきておりますし、そのほかにも、国内貨物について考えてみても、従来の陸上輸送海上輸送というもののバランスが、海上輸送により大きくウエートが高まってくることは明らかである。流通港湾では、埠頭用地の中に実に広大な用地を確保して流通業務団地をつくっていかなければならないというふうな事態にもなってきている。新しい流通体系に即応した総合的な流通の場をつくる必要が出てきている。そういう新しい要求が出てきておりますね。一方、臨海部での民間企業の大規模設備というものは、非常なスピードで行なわれてきておる。非常に短期間で整備が済んでしまっておりますね。港湾整備企業設備との間のバランスが、全国各地で狂いが出てきているのが非常に目立ってきております。港湾整備の立ちおくれが民間企業活動のボトルネックになりかねないような状態にして、いまのスピード港湾整備年計画をいまの投資規模のままで四十七年まで続けていくと、日本経済は動きがつかないことになってしまう。非常に重要な仕事を運輸省は担当しているわけです。  そこで、計画年次途中ではあるけれども、四十七年までこのままやったんではたいへんなことになるのだということは、いまの実績量を伺ってもわかることなんですから、年次途中ではあるけれども、四十六年を初年とする、規模を相当考え直した新五ヵ年計画というものを発足させるべきではないか、そういうふうに考えるのですが、どういうふうにお考えになっておられますか。
  18. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいま先生おっしゃいましたお説、ごもっともでございまして、予想よりも貨物が非常にふえておりますし、輸送の形態も変わっておりますので、たまたまいま経済計画改定作業が進んでおりますので、それを踏んまえまして、できれば来年からでも計画改定するように作業に入りたいというふうに存じております。
  19. 砂田重民

    砂田委員 現行経済社会発展計画を新たにしようとする作業政府で進められております。これは四十五年から五十年で検討しておられると思うのですけれども、この新計画の中で、公共投資の総投資額の中での港湾への配分は、現行よりも当然ふえてくると思う。新港湾整備計画は当然四十六年を初年としてスタートすべきであると考えますので、万全の準備を進めていただきたいし、われわれもまたそのバックアップをする心づもりでおりますことを申し上げておきたいと思います。  それから、もう一つつけ加えて伺っておきたいと思うのですが、従来の港湾整備は、滞船、滞貨現象というものを緩和しよう、こういうことばかり考えて、したがって、係留施設建設に重点を置いてまいりましたね。そういうことではもうとてもやっていけないという状態はよくおわかりになっておると思うのですけれども、これは先ほども私がちょっと申し上げた、埠頭岸壁があればそれで済む、そういう時代ではなくなってきたわけです。そういうことのほかに、もう一つは、港湾整備にあたって、従前以上に安全性の問題を重視して、係留施設建設に先行して、その外郭施設水域施設整備をやらなければならない、こういうまた新たな必要性——いままでも安全性を無視したとは申しませんけれども、より以上安全性を確保していかなければいけない、こういうふうに私は考えるのですけれども局長はどういうふうに御理解になっておられるか。
  20. 栗栖義明

    栗栖政府委員 お説のとおりでございまして、極端なことを申しますと、港が広がりますと、従来防波堤で囲われた中では一ぱいになりまして、新しく港を広げなければならない、そういう要請も出てまいってございますし、御指摘のとおり、やはり港の中の船の安全あるいは施設の安全という意味で、防波堤を先行的にやるべきだというふうに考えております。
  21. 砂田重民

    砂田委員 その防波堤工事というものは、非常に急がれるし、かつ重要であるという御認識をしておられるわけです。そういうことであるならば、ひとつ伺っておきたいと思うのですが、港湾法第四十二条の二項に、特定重要港湾については、「水域施設又は外かく施設については、その工事に要する費用の十分の十まで」「国において負担することができる。」と、わざわざこういうふうに書いてあるのです。特定重要港湾に指定されている港湾の歴史的な沿革日本経済全体の中で背負っていかなければならない役割り、そういうことからして、十分の十というものが当然の措置としていままで行なわれてきていた。特に安全性を重視して——いままでも安全性を重視していないとは言わないと私が申し上げたのは、その点なんですね。さらに、ただいま局長も私と同じ認識を持っておられる。安全性を高めていかなければならない、防波堤を急速に整備をしていかなければならない、そういうお考えであるのにかかわらず、四十五年度予算においては、十分の十の補助率を十分の九に逆に下げてしまった。一体これはどういうことであるのか、なぜ十分の九にこれを逆に下げてしまったのか、ひとつお答えいただきたい。
  22. 栗栖義明

    栗栖政府委員 本年度から、御指摘のとおり、十分の十が十分の九になったわけでございますが、国の財政の都合ということもございますし、それから特に横浜神戸は、御承知のとおり、わが国輸出貿易の過半数を占めております非常に重要な港でございまして、私どもそういう認識に立って整備を進めてまいったわけでございますが、ほかの港に比べまして非常に高いというふうな点もございまして、やむを得ず十分の九ということになっておるわけでございます。ただ、十分の九でも、よそに比べましたならば、横浜神戸の地位の重要性という点は十分認識しておるつもりでございます。
  23. 砂田重民

    砂田委員 ほかの港の補助率を高めるべきなんですよ。ほかの港の補助率神戸横浜よりも低いから神戸横浜を下げるという理屈は成り立たない。港湾整備重要性、急がなければならないいろいろの理由、これはもう政務次官局長がそれぞれお答えになったとおりなんです。神戸横浜が高過ぎるのではなくて、ほかの港の補助率が低過ぎる。そっちをお上げになるべきであって、いままでやってきている神戸横浜は、非常に歴史的な沿革のある、十分の十の補助をするだけの理屈があって、十分の十の補助をしてきている。しかもそれは法律に明確に書いてある。その十分の十の補助率がほかの港よりも高いからといって下げるのは、いままで港湾整備を急がなければならない点を政務次官とお二人で力説をされてきましたけれども、ここで理屈が合わなくなってきている。これを十分の九に下げた。下げた率はわずかかもしれませんけれども、やはり横浜神戸という港は、それだけ大きな金をかけて安全性を高めるための防波堤等工事をやっているわけですから、港湾管理者としての横浜市なり神戸市なりに影響する金額でいうと、いま計画をしている防波堤を完成するまでにどのくらいのものになりますか。
  24. 栗栖義明

    栗栖政府委員 正確な数字はちょっといま手元にございませんけれども概略約二百億くらいだというふうに思います。
  25. 砂田重民

    砂田委員 下げた分ですか。
  26. 栗栖義明

    栗栖政府委員 いま計画してございますあと残り事業費でございます。
  27. 砂田重民

    砂田委員 事業費が二百億であるということであれば、相当大きな負担横浜港、神戸港はしなくてはならぬ。それで、その神戸横浜港の下げた分については、何か財政的な国の措置はいたしませんか。
  28. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは直轄工事のいわゆる裏負担と申しますか、そういうものは、地方債の中で直轄債というワクがございますので、これは自治省の所管でございますけれども、私どものほうから自治省にお願いいたしまして、極力財政負担を軽くしていただくというふうにお願いしてあります。
  29. 砂田重民

    砂田委員 その地方債政府資金による地方債になりましょうね。
  30. 栗栖義明

    栗栖政府委員 いままでの例を見ますと、従来は政府資金による地方債だというふうに存じております。
  31. 砂田重民

    砂田委員 新しい港湾長期計画を四十六年度からスタートさせる、その準備をしておられるやに承ったのですが、その発足にあたって、地方財政あり方等も御検討の上、また港湾各種使用料というものを御検討になって、これを改定するべきものがいろいろあると思うのです。そういうものを改定なさるべきです。日本経済全体がそれを使っていく港湾施設というものを一地方公共団体に背負わせるというようなことのないように、総合的な御検討をいただいて、各港湾の地元の負担率というものを十分御検討の上で、四十六年からスタートする新しい港湾長期計画というものは御検討いただきたい、こう思います。いかがでしょう。
  32. 栗栖義明

    栗栖政府委員 お説のとおり、現在特に大きな港湾財政が非常に苦しいという実情は存じてございます。四十五年度から一部御指摘係船料その他を上げるやに聞いてございますが、これでも十分とは申せませんので、御指摘のとおり、やはり国の財政措置と同時に、港湾管理者財政につきましても、いろいろな点、新しい港湾計画をつくる場合には十分検討してまいりたいと思います。
  33. 砂田重民

    砂田委員 港湾起債のことをちょっと伺っておきたいと思いますけれども港湾起債条件というものが、港湾使用に耐える年数耐用年数等からいって、私はちょっと間違っていると思う。四十四年度では上屋に対する起債償還期間をちょっと延ばされたと思いますけれども、四十五年度では何かこれを改善をなさいましたか。
  34. 栗栖義明

    栗栖政府委員 四十五年度では新しい改定はいたしてございません。
  35. 砂田重民

    砂田委員 これは財政当局という相手もあることでありましょうけれども港湾起債償還期間というものはどうも短過ぎる、そういう感じを私前から持っておりまして、どうも私たちのほうも、予算時期にはわあわあやるものの、予算がきまったその直後で起債の問題が起こってくるものですから、起債問題がわりに忘れられがちでございます。港湾の各施設についての起債条件改善することを、四十六年の新計画をお立てになるときにあわせてひとつこれも御検討いただいて、十分財政当局理解をさせてこれの改善をお願いしたいと思うのですが、真剣に取り組まれますか。
  36. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御承知のとおり、港湾債は四十五年度二百億ございまして、従来、財政当局港湾起債につきましては非常に関心を持っていただきまして、ほとんど一〇〇%政府資金で担保されてございます。いま御指摘のように、償還条件につきましていろいろと努力してきたわけでございまして、今日に至っておりますけれども、今後さらに緩和するように進めたいというふうに考えております。
  37. 砂田重民

    砂田委員 今回の改正案のことに話を戻します。当面この新方式を導入されますのは名古屋港及び四日市港だと思うのですが、この名古屋港と四日市港におきます新方式によるコンテナ埠頭建設計画の大略をひとつ御説明いただきたい。
  38. 栗栖義明

    栗栖政府委員 伊勢湾地区におきますコンテナ需要伸びてまいりましたので、現在考えてございます計画では、昭和五十年にコンテナバースが六バース程度は要るんじゃなかろうかと推定してございます。現行の五ヵ年計画は四十七年度でございますので、四十八年度供用開始になりますが、四十七年までに四バース程度つくりたいというふうに考えております。
  39. 砂田重民

    砂田委員 外貿コンテナ埠頭のような重要な港湾施設民間事業者建設かつ運営させる、港湾全体の管理の問題、港湾全体の管理上不都合な事態が生ずるようなおそれはないか。どういうふうに運輸省考えておられるか。港湾管理者管理権との間に摩擦が生ずるおそれはないのか、どういうふうに考えておられるか。
  40. 栗栖義明

    栗栖政府委員 新しく民間会社方式をとるものでございますので、御指摘のとおり、港湾管理権と申しますものは、従来港湾管理者が総括的に持っておりました。その中でこういう制度を取り入れたいということで、港湾法の一部改正ということでお願いしておるわけでございます。具体的には、この会社が設立する前に、事前に、管理者はもちろんでございますが、運輸大臣も、その組織とか経理的基礎あるいは工事実施計画港湾計画との整合性というような点につきまして審査いたします。  それから、いま御指摘伊勢湾地区につきましては、おそらく管理者も出資するだろうと思いますが、港湾管理者が出資するということで、管理者の意思を十分反映できるという点も考えておりますし、また無利子貸し付けをいたしますが、その貸し付けをする場合に条件を付しまして、公共的な見地からの担保を十分いたすつもりでございます。  なお、現行港湾法にもございますが、民間事業者に対しまして港湾管理者の長が、建設につきましてもいろいろな監督をするという規定もございまして、そういう面で、御指摘の御心配はないというふうにいたしたいと存じております。
  41. 砂田重民

    砂田委員 きまったことのようではありますけれども、この新方式によって設立される株式会社港湾施設運用は、港湾法の規制は全部かぶるわけですね。
  42. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御指摘のとおりでございます。
  43. 砂田重民

    砂田委員 コンテナ埠頭というものは専用貸しでなければ、ほんとうに効率的ということはいえないと思う。しかし、このことは、専用貸しをしていかなければならないというそのことが、一部の特殊の企業だけを利益するんだ、そういう議論がよく行なわれるのですけれども、これはどういうふうに考えていけばいいのですか。
  44. 栗栖義明

    栗栖政府委員 雑貨荷貿易と申しますか、輸出なり輸入なりというものに対して、コンテナ方式というものがほんとう革新的な方法でございますが、これは輸送経済上から見まして当然起こりますし、今後も伸びていくだろうというふうに存じておる次第でございます。  ただ、御指摘がございましたように、こういう埠頭特定貨物だけをやる、扱うということでは困りますので、むしろ荷主はどなたでもよろしい、従来の定期船埠頭と同じような扱いをしてもりいたいということが一点。そういう意味では、特定企業のものを運搬するということには当たらないというふうに存じますし、船のほうもコンテナ船でございますから、そのコンテナ船に合うような埠頭にならなければいけないということで、専用貸しという問題が起こるわけでございますけれども、借りる相手に差をつけるとか、あるいは拒否するということはあってはならないわけてございまして、そういう意味では、公共性を担保するということで考えてございます。
  45. 砂田重民

    砂田委員 港湾法第十三条の二項に「何人に対しても施設の利用その他港湾管理運営に関し、不平等な取扱をしてはならない。」こういうことがちゃんと書いてあるのですけれども、これはコンテナ埠頭にしても、専用貸しはするけれども、荷主はどなたでもお使いになってけっこうなんだ、したがって、これは不平等な取り扱いではないんだ、そういう法律の解釈としていかれるわけですか。
  46. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  ごく理屈っぽく申し上げますと、第十三条第二項は、正確には、この場合は港務局に限定しておりますので、港湾管理者自体の公共施設には準用されておりますから、こういったことはきちんと当てはまりますけれども、今回の民間事業方式にはぴしっとこれが適用になる、ないしは準用になるという性質のものでは厳密な意味ではないかと思います。しかし、先ほど政務次官港湾局長から御説明いたしましたように、港湾管理者の代行者たる性格を持つものとして、今回の方針を取り入れた次第でございますので、この精神はあくまで生かして、こういう考え方のもとに運営さしていきたい、このように考えておる次第でございます。
  47. 砂田重民

    砂田委員 そういう考え方でなければならないと思うのです。民間資金を導入する新しい方式といえども港湾施設と設備というものの性格からして、いま上原参事官が言われたように、どんぴしゃりは当たらないのかもしれないけれども、やはり同じ思想で取り扱わせるべきだ、港湾管理者は新しい方式による新会社に対しても、やはりそういう考えでこれを監督すべきだ、私はそう思うのですが、もう一ぺん念を押しますが、それでいいですね。そういう考え方でよろしゅうございますね。
  48. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいま仰せのとおりでございます。
  49. 砂田重民

    砂田委員 それでは、時間が来ましたので、最後にもう一点だけ伺っておきますけれども、いまのような思想に基づいていくのならば、港湾運送業者に対してこの新方式によって建設されたコンテナ埠頭を平等に利用させるということは、港湾運送業者にどういうふうに取り扱わせるのか、何かそれのお考えを持っておられますか。
  50. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  先ほどと同様の考えでございまして、これは代行者でございますので、港湾運送事業者に対しましても公平な立場でなければならない、このように考えております。特に当面問題になっております名古屋港、四日市港におきましては、既存の港湾運送事業者もしっかりいたしておりますし、十分処理し得る能力があると考えておりますので、既存の港湾運送事業者の能力を十分に活用させて、その力を発揮させるように運営させていきたい、このように考えております。
  51. 砂田重民

    砂田委員 その港湾運送業者は、労使ともども、こういう新しいコンテナ埠頭なんかができる場合に、在来貨物をそっちにとられるのではないかという非常な心配をするわけです。新しいコンテナ埠頭ができるたびに、コンテナ埠頭ができた港ではこの問題が起こっている。名古屋四日市港にこの新しい方式によるコンテナ埠頭ができた場合は、在来貨物がこっちに非常に移ってしまうというふうな見通しを立てておられるか、それとも在来貨物は依然として減らないんだ、新しいコンテナによる貨物伸びていく、ふえていく、したがって、その点では港湾運送事業者が心配することはさらさらないんだ、そういうふうに見通しを立てておられますか、どちらでしょうか。
  52. 栗栖義明

    栗栖政府委員 名古屋四日市港につきましては、私どもの現在の推定でいきますと、将来コンテナ化が進みましても、港の貨物全体が伸びるわけでございまして、現在扱っておる程度の在来貨物はそのまま伸びていくだろうというふうに考えております。もちろん途中におきましていろんなことがあろうかと思いますが、大筋から見ますと、在来の貨物は減らないというふうに考えております。
  53. 砂田重民

    砂田委員 終わります。
  54. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  55. 内藤良平

    ○内藤委員 まず最初に、私の考えでは、港湾官理者の財政は、全国的に見て悪いと思うのですけれども、その原因は何かというと、ちょっと聞き方も妙ですけれども、あなたとしてはどうお考えですか。
  56. 栗栖義明

    栗栖政府委員 港湾管理者財政と申しますけれども、いわゆる独立採算ということばを使っていわれておりますけれども、外国の港で独立採算をやっているのはたくさんあるわけでございますが、それに比べまして、一般的に申し上げますと、わが国では、台風国でございますし、島国でございまして、河港がないということで、まず防波堤は相当大きな建設費が要るという点、それから船が大きくなればしゅんせつしなければいけない、そういう目に見えない金が非常にかかるという点が特徴だと思います。
  57. 内藤良平

    ○内藤委員 たとえば、いま水の深さが十メートルまでは国でいろいろめんどう見るのですか。十メートル以上になりますと管理者のほうの負担になるんじゃないですか。
  58. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは港によっても違いますし、航路の性格によっても違いますけれども、十メートルあるいは港によりましては十二メートルまでは普通の公共事業でやってまいりまして、それ以上、たとえば工業港に例が多いわけでありますが、石油であるとか鉄鉱石であるとか、そういう大型船が入ってくる場合は、それから上は五割あるいは六割、これは受益者負担の割合はいろいろございますけれども企業から受益者負担金を取って整備するというふうになっております。
  59. 内藤良平

    ○内藤委員 だんだん船が大型になっていますから、どこの港でも水面から深い。この海面下一メートル、二メートル、三メートル、十メートル以上掘る場合に、相当な金が必要であるが、港湾管理者か地方自治体の負担になる、大体そういう状態と思うのです。ただ、局長のおっしゃるには、ケース・バイ・ケースでやっておる、こういうことなんですか。何か一つ基準があっての話なんですか。
  60. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ケース・バイ・ケースと申しますのは、受益者負担のとり方がケース・バイ・ケースでございますが、一般には、御指摘のように、船が大きくなっておりまして、普通の港でも——いなかの小さな港は別でございますけれども重要港湾程度以上になりますと、やはり一万五千トンか二万トンの船が普通である。将来を考えれば、これが三万五千トンになるかもしれない。そういう一般の船が入るものにつきましては、国が従来どおり、重要港湾ですと五割というふうな基準がございますので、そういう負担なり補助なりいたしまして、それからその基準といい出すか、普通に入る船以上にうんと大きいものが入った場合のことを申し上げたのであります。
  61. 内藤良平

    ○内藤委員 それではやっぱりいまは一応十メートルという線はあるのですね。
  62. 栗栖義明

    栗栖政府委員 はっきりした線ということでございませんが、一応の基準は十メートルというふうにしてございますが、今後を考えますと、もう少し上げたいということで、いま検討してございます。
  63. 内藤良平

    ○内藤委員 上げたいというのは、深くするということですか。
  64. 栗栖義明

    栗栖政府委員 はい、基準を深くする。
  65. 内藤良平

    ○内藤委員 それはどのくらい考えていますか。これからずいぶん大型がありますから、これはまだ省内でも固まってないかもしれませんが、局長としての私見でもいいですけれども……。
  66. 栗栖義明

    栗栖政府委員 どうもおしかりいただくかもしれませんが、こういうことをやりますとどうしてもあと追い型になるわけでありまして、いま十メートルと申し上げたわけでございますが、少なくとも十二メートルまではいくであろう。十二メートルと申しますと、約五万トンの船が入るわけでございます。それ以上になりますと、いまのところ、一般という概念が入るかどうかという点がございますが、やはり船が大きくなりまして、世の中が進展すれば、それに沿って考えたいということで考えております。
  67. 内藤良平

    ○内藤委員 この点は、十二メートルということをお考えになっている、そういう点でこのテーマは一応終わります。  それから今度のこの新しいやり方ですね。これはやはり港湾管理者財政を救済しょうというたてまえも入っているわけですか。
  68. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御指摘のとおりでございまして、管理者が全部かぷりますとかなりな負担になるわけでございまして、なるべく管理者負担を減らしたいという趣旨も入ってございます。
  69. 内藤良平

    ○内藤委員 これは全国的にもやはりだんだんこういうぐあいになっていくのですか。
  70. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは普通のいわゆるいままであります公共埠頭について考えた上でございませんで、当面考えてございますのは、コンテナというふうな特殊な輸送形態を持ったものに限るということで考えてございます。
  71. 内藤良平

    ○内藤委員 ただ局長さん、これから新全総を考えても、六十年までですけれども、いわゆる特殊な産業地帯といいますか、そういうものが全国的に——いま京阪であるとか阪神であるとか、このたびの名古屋とかいうことになっていますけれども、将来ずっと北海道、東北、九州——将来といいましても、これは十年、十五年ぐらいの短期間じゃないでしょうか。そういうぐあいに考えますると、やはり特殊な生産地帯のようなかっこうですね。たとえば石油なんかも、いま一億キロリットルくらいですか、その六倍くらい今度必要になるといわれておりますけれども、そういう基地なり生産地がどういうぐあいにできるか、だんだんいま局長のおっしゃるような状態全国的に普遍化して一般的になってくるんじゃないですか、日本のこれからの新全総なんかを見ますと。だから、いまの場合は名古屋の方面のあれだけれども、だんだんこういう形でいかざるを得ない状態になるんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  72. 栗栖義明

    栗栖政府委員 ただいま御指摘ございました新全総計画とかいろんな計画を見ますと、現在開発されていない地域が今後開発されるという点は、私ども同様に考えてございますが、特に大きく開発されると申しますのは、いわゆる臨海工業地帯というふうな、いま石油の話が出ましたけれども、石油であるとか鉄鉱石であるとかあるいはコンビナートであるとか、そういうものが大きく広がっていくというふうに考えますので、そういう企業が立地する港につきましては、企業がみずから岸壁をつくる。国といいますか、港湾管理者は、防波堤なり水路の保持をするという形でございますので、こういうものはそれには当てはまらないというふうに考えております。
  73. 内藤良平

    ○内藤委員 では今度話題を変えまして、四十二年に外貿埠頭公団法ができました。京浜、阪神の両公団ができました。そこで、両公団に関係する港湾管理者財政はその後どういう変化がありましたか。これは大ざっぱでいいです。こまかい計数的なものでなくともけっこうです。
  74. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御指摘の四港についての資料、いま手持ちございませんけれども、実は東京、川崎、横浜名古屋、大阪、神戸関門、そういった大きな港の財政状況を調べた資料がございますが、四十二年以降につきましてはちょっとわかりかねますが、概略申し上げますと、支出の伸びに対しまして収入の伸びはかなりふえておるわけでございますが、全般には収支的には赤字と申しますか、財政は苦しいという状態でございますが、ただ、公団をつくってから財政がよくなるんじゃなくて、相当大きな投資が一度にできる、そういうものに対する港湾管理者の出資をカバーしていくというふうに御理解いただきたいと思います。
  75. 内藤良平

    ○内藤委員 それから、今度の法案であなたのほうで考えておられる民間会社のやり方ですね、この民間会社の構想、この前、課長さんにちょっと聞いたけれども、どういう会社ができるんだ、どういう資金構成かということ、おわかりになっていませんですか。あなたはおわかりでしょう。
  76. 栗栖義明

    栗栖政府委員 実は本法案が成立いたしましてから正確には会社ができるわけでございまして、いま的確にどういう会社というふうなデータはまだございませんけれども概略考えておりますのは、現時点では、ここにございますように、国の無利子貸し付けが一割、これは国が管理者に貸して、管理者が貸すという形でございますが、国から出る金が一割、それから先ほど政務次官から申し上げましたように、地方債、これは管理者起債いたしまして会社に出す金でございますが、これが三割、それから残りの六割があるわけでございますが、そのうち、管理者と民間資金が大体二割程度の出資があるんじゃなかろうか。そうしますと、残りの四割が会社の自己調達資金というふうに大ざっぱに考えておる次第でございます。
  77. 内藤良平

    ○内藤委員 これでいきますと、いまちょっと資金的に私どもぴんとこないのですけれども考え方としては、管理者のほうの負担は軽くなるということですか、簡単に言いますと。
  78. 栗栖義明

    栗栖政府委員 これは何との比較かということでございますけれども、普通の公共事業方式でまいりますと、重要港湾でございますから、国が五割、管理者が五割ということでございますが、これでまいりますと、管理者負担そのものは、出資の金額と、それから地方債貸し付けるものは返ってまいりますので、直接の負担にはならないというふうに考えております。
  79. 内藤良平

    ○内藤委員 ただ、会社のほうにも出資するわけでしょう。管理者が株主になるわけですか。重役にもなる。そういうかっこうになりますか。
  80. 栗栖義明

    栗栖政府委員 管理者会社に出資すれば、これは常勤か非常勤か別にいたしまして、やはり何かの形で経営に参加をするということは考えられます。
  81. 内藤良平

    ○内藤委員 すると、管理者という面の負担が低くなりますけれども会社の重役さんになるわけですね。そっちのほうでの負担も、会社の運営によりましてはふえてくるということはございませんか。
  82. 栗栖義明

    栗栖政府委員 御質問の趣旨がちょっとよくわかりませんが……。
  83. 内藤良平

    ○内藤委員 会社をつくるでしょう。管理者会社の出資を持つわけでしょう。それで会社で何かまたいろいろな事業をやるわけですけれども、その際に、出した株の持ち分だけの負担が将来出てくる場合があり得るわけでしょう。そういうこと考えられませんか。
  84. 栗栖義明

    栗栖政府委員 そうすると、将来かりに何か赤字が出たとか、そういう場合でございますか。
  85. 内藤良平

    ○内藤委員 ええ、いろいろな場合があるわけでございますが……。
  86. 栗栖義明

    栗栖政府委員 赤字が出た場合には、出資分において何か管理者負担がかぶるということは考えられますけれども、現在の形は投資額に見合ったような使用料を考えてございます。そういう赤字経営ということはあまり予測してございません。
  87. 内藤良平

    ○内藤委員 それでは、今回の方式と、この前、四十二年につくりましたいわゆる公団の方式との違いは、われわれしろうとくさいものですけれども、はっきりいいますと、どこが違うのでしょうか。今回の方式と前の公団との違い、わかりやすくいいますと、どういうことなんでしょう。
  88. 栗栖義明

    栗栖政府委員 民間資金の入れ方という点ではある程度似てございますけれども、従来の公団方式でございますと、国と港湾管理者が一割ずつ出資しまして、全体の二割が事業主の出資金でございます。それからそれ以外に、財政資金を国が四割公団に貸してございます。六割の資金が、というよりも、五割を国がめんどうを見て、一割を管理者が持つ。残った四割を公団が公債を発行して調達するという形であります。今度の方式でまいりますと、国は直接出資いたしませんで、管理者とそれから民間資金をおのおの出資し合うという点がちょっと違っております。そのかわり、国が出資しないで、港湾管理者を通じまして一割の無利子融資をする、出資じゃなくて融資、金を貸すという点が違ってございます。
  89. 内藤良平

    ○内藤委員 そこで、この前の外貿公団の場合ですね。あの場合にも議論されましたが、港湾法管理権、これとのいわゆる侵害の関係ですね。いろいろくずれるような関係があるのじゃないか、こういうことがこの前も附帯決議になっておるのですね。今度の場合は、公団よりもまた違った形になるわけです。これはたとえば港湾法の三十七条に書いてありますけれども、こういう関係なんかはまたどうなりますか。
  90. 栗栖義明

    栗栖政府委員 港湾法の三十七条は現在の法律どおりにかぶります。港湾管理者の長の監督は、この会社に対して三十七条のほうでそのまますっぽりかぶります。
  91. 内藤良平

    ○内藤委員 それじゃ管理者管理権は別段影響といいますか、十二分に行使できる、こういうことですか。
  92. 栗栖義明

    栗栖政府委員 管理者管理権港湾法どおりに行使できるというふうに考えてございます。
  93. 内藤良平

    ○内藤委員 ただそこで、公団の場合は公団ですからあれですが、今度民間の会社でしょう。会社であって、また管理者が株主になるわけだ。おそらく経営者に入るわけだ。そうすると、管理者であって管理権を持っておる。ところが、管理者がまた形を変えて会社の経営陣に入っている。こういう中でこの管理権というものはうまく執行できますか。どういうものでしょう、こういう点は。
  94. 栗栖義明

    栗栖政府委員 今度のこの方式会社というものは、御指摘のとおり、管理者が何かの形で経営に参加すると思います。会社という立場でごらんになればそういう御質問が出ると思いますけれども、基本的には、管理者が自分で現在埠頭をつくってやっておるわけでございますが、自分でやる身がわりだというふうに考えてございますので、自分の意思をそのまま会社の中でやっていける。そういう意味では、矛盾よりも、むしろ管理者の意思が十二分に入った会社ができるというふうに理解してございます。
  95. 内藤良平

    ○内藤委員 それじゃ逆に言えば、チェックするにいい、内部に入っておる、こういうぐあいにお考えですね。ただ、管理権がある、会社の経営陣にも管理者が入っておる、これは形は違いましても、内容はツーツーになるわけです。そういう中で、実際問題としては、やはり管理権というものが知らず知らずに侵されるような状態になるのじゃないかという心配もあるようですけれども、この点はやってみなくちゃわからぬということになるのでしょうけれども、初めての方式ですから……。
  96. 栗栖義明

    栗栖政府委員 そういうふうに管理者性悪論をとれば御心配あろうと思いますけれども管理者、逆に言いますと、むしろ会社の経営が、そういう意味ではみずからえりを正さざるを得ないというふうなことで、そういう妙なことはしないだろうという感じを持っておりますし、そう心配してございませんが、なおそれ以外に、国が無利子融資いたします場合の貸し付け条件等ございまして、国もそれをチェックするという二重のチェック制度をとってございますので、御懸念はないものというふうに存じてございます。
  97. 内藤良平

    ○内藤委員 今度新しく港湾法の第四十八条に三項を設けて、公示するようになっているが、公示の目的及びその内容について聞きたい、こういうことです。
  98. 栗栖義明

    栗栖政府委員 従来でございますと、重要港湾以上の港湾計画は、運輸大臣管理者計画を提出を命じまして、現在は港湾審議会というものがございますが、そこで検討して、まずければ修正をさせるというふうな制度になっておるのでございます。それに一項目を加えて、大臣が公示するというふうにいたしましたのは、従来ですと、単に管理者計画がいいか悪いかというだけのことでございましたが、これを公示いたしますと、一般の関係者にもお知らせすることができるということが一点ございます。それからもう一つは、そういう計画でございますから、国もチェックしたという意味で、管理者の持っている計画が、ある意味でこれは恣意的かもしれ、ませんけれども、オーソライズされたというふうなメリットが出ようと思います。
  99. 内藤良平

    ○内藤委員 次に、無利子資金貸し付けますね。それから特別の転貸債、これもやるわけですな。これはいつまで続けて行なうものかということですね。こういうことをひとつ。
  100. 栗栖義明

    栗栖政府委員 おそらく償還のお話だと思いますが、現在まだ的確には固まってございませんが、一応われわれが考えてございますのは二十年償還、そのうち三年間を据え置き、それから償還の方法は半年賦の均等償還というふうに一応考えて、関係方面と折衝中でございます。
  101. 内藤良平

    ○内藤委員 次に、こういうことは考えられませんか。この会社が途中で工事を放棄するとか、こういう状態、あるいは会社がつぶれてしまうとか、こういうことになった場合はどういうぐあいになりますか。会社なんですから、これはいろいろなことがあるわけですよ。
  102. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  民間企業でこの方式埠頭整備をいたします際には、運輸大臣が事前に厳重な審査をすることになっております。それから、それにつきましては、当然港湾管理者港湾計画に照らしまして厳重な審査をいたすわけでございまして、十分港湾計画を的確に遂行し得る、その後適正に業務を遂行し得るという、それだけの資力、信用、経営組織というものを備えたものでなければ、これは許すわけにはまいらぬと考えておりますので、そのようなことはまず生じることはないと思います。その後も、なお貸し付け条件などを通じまして十分監督いたしますので、そのような事態が起こるということは、現在は全くわれわれは考えてわりません。
  103. 内藤良平

    ○内藤委員 さっきのお話とちょっと違うね。まだ会社状態がはっきりしないというふうなお話もございましたね、地元の会社の形態その他。だけれども、いまの参事官のお話では、まあそういう心配がないと、もう太鼓判を押すような状態だというようなことを言っているわけでしょう。それと、今度の場合は一般的なことじゃなく、四日市名古屋という固定されたことでしょう。だから、何か話を聞いていますと、だんだん食い違ってくるような気がしますけれども、だいじょうぶだからやっているんでしょう。地元から声があるから進めているんでしょう、こういう特殊なケースを。
  104. 栗栖義明

    栗栖政府委員 仰せのとおり、地元の希望を受けて考えたわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ法案も通っていませんから、活動していないということで、不明確な点は多々ございます。ただ、いま参事官が申し上げましたのは、かりにどういう形態にしろ会社ができ上がって、申請してくる段階において、いろんなチェックをするということを申し上げたのでございまして、内容がこうであるからこうだというのじゃなくて、どういう形になろうとも、そういうような心配のない形になるようにチェックをするということを申し上げておるわけです。
  105. 内藤良平

    ○内藤委員 それじゃ、この会社がもし最悪の場合工事もできない、あるいは破産しちゃった、投げちゃった、そうなった場合には、また国で引き受けますか。あるいは管理者にこれをまかせてしまって、どうにもしようがないというぐあいにしてしまう、そこら辺までは、今度の法案の場合では検討されてないのでございますか。そういう場合はあり得るわけですね。
  106. 上原啓

    ○上原説明員 お答え申し上げます。  この方式で無利子融資を受けて工事に着工しながら、それを完成しないで放棄するというような事態になりますと、それは無利子融資の条件違反にもなりますし、また港湾法の違反ということにもなります。したがいまして、それなりの制裁は当然加わっていくものでございます。また極端な場合には、原状回復まで命令することができるとわれわれは考えております。その後どのように代替施設整備するか、それはその際考えればいいことであると考えます。
  107. 内藤良平

    ○内藤委員 私は八方破れみたいに話しているんですから、あなた方もあれじゃなく……。  だけれども会社だから、いろいろな関係で途中でやめる場合があるわけですよ。例はいろいろあると思いますけれども。今度こういう問題ができたのは、日本の海運の状態、国際的な海運の競争、コンテナの問題、コンテナ埠頭をどうしても国策でやらなくてはならぬということでこういうことになったわけでしょう。だけれども、民間会社にやらせる、これはいいわけだけれども、民間会社だから、場合によってはお手あげの場合もあるわけだ。だけれども、国としてのやらなくちゃならぬことがあるわけでしょう。その会社を責めたってしようがないわけだ。その場合に、国としてどういうぐあいになるか。ああ、あそこは会社がつぶれた、どうにもならぬということで——現在の国際的な海運の状態、外国との関係もありますから、コンテナのいわば一種の戦いです。こういう関係になりますと、どういうぐあいになりますか。
  108. 栗栖義明

    栗栖政府委員 繰り返して申し上げますように、そういうことのないように最初から予防措置を講じてまいるつもりでございますけれども、御指摘のような事態になれば、いろんなケースがあろうと思いますので、いま的確に全部想定してどうこうというふうなお答えになるかどうかは存じませんけれども、そういうことが起こりました場合には、やはり一次的には港湾管理者と国が相談いたしまして、あるいは港湾管理者が引き取るなり、そのときの国の援助をどうするかというような問題が起こるかと思いますが、いずれにいたしましても、そういう事態が起これば管理者が表に出ますが、国も相談いたしまして善処するということに相なろうかと思います。
  109. 内藤良平

    ○内藤委員 きょう一日で終わるわけじゃないから、またあれですけれども、大ざっぱに考えても何かちょっと心配なところもあるようですけれども……。  次は、貸し付けに伴う使用料ですね。これはいままでの公団との関係はどういうぐあいになりますか。全然これは関係なく考えますか、会社にまかしちゃって。
  110. 栗栖義明

    栗栖政府委員 理論的には別個なものでございますから、まあ関係ないということに相なろうと思いますが、実際問題といたしましては、やはりつり合いというものもあろうかと存じます、ただ、公団と違いまして、会社の場合ですから、そう大きなものじゃございませんけれども、ある程度の利潤は多少出るかもしれない。そういう点はございますけれども、やはりバランスをとりながら考えなければならない。ただ、公団でも原価主義と申しますか、そういうふうなことで進んでおりますので、この会社もやはり原価主義を中心にいたしまして、それに多少の利潤というふうなことを考えております。
  111. 内藤良平

    ○内藤委員 それから、外貿埠頭公団を四十二年にやって、今度こういうぐあいに民間にやった。もっともこれはコンテナの関係で専用、だから、この関係会社で金を出して国で援助をしてやっていけばいいじゃないかということでしょう。ところで、地元のほうは、いままでのお話を聞きますと、この法律ができてからいろいろ会社ができていくというぐあいに、そういう順序だと思いますけれども、実際問題としては、あの外貿埠頭公団法を審議する際に、伊勢湾地域というものも話題になっておりましたね、四十二年のころ。ですから、今日ここまで参りまして、地元の関係ですね、これはどういうぐあいになっておるものか、地元の四日市なり名古屋なりの御意見ですね。これをどういうぐあいに把握しておるか、それをひとつ……。
  112. 栗栖義明

    栗栖政府委員 正式に文書でどうこうじゃございませんけれども、法案の御審議をお願いする事前の段階では、地元の関係者の御意見も内々聞きまして、地元の方の同意を取りつけて、御審議をお願いしているというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。
  113. 内藤良平

    ○内藤委員 またこのあとも少し研究して聞きたい面もありますので、きょうはこれで終わりたいと思います。      ————◇—————
  114. 福井勇

    福井委員長 次に、陸運、海運、日本国有鉄道の経営、海上保安及び気象に関する件について調査を進めます、  質疑の通告がありますので、順次これを許します。斉藤正男君。
  115. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私は、質問に入る前に、委員長にちょっとお尋ねをすることがございます。きょうの新聞を拝見したわけでございますけれども、朝日新聞の記者席、いわゆるコラムでありますが、「十九日朝開いた自民党佐藤派の木曜研究会で、田中幹事長が「九〇〇〇キロ新幹線の計画は議員立法にしたい。たまたま、わが派の福井勇君が衆院運輸委員長なので委員長提案でいくのが望ましい」と佐藤派国会議員にはヨダレの出そうな話。さっそく司会の竹下登氏が福井氏に「時速六〇〇キロで大至急、法案をまとめてもらいたい」と注文すると、塚原国会対策委員長が、これも出席していた橋本運輸相に向って「途中で脱線しないよう頼みます」獲物を山分けするような、ウキウキした空気だった。」竹下さんも塚原さんも、先ほどちょっとお見えになりましたけれども、いつの間にか蒸発しておりますが、これは事実だったと思うのですけれども、たまたま委員長がこの会に出席をされておったことも事実だと思うのでございます。  私がなぜ冒頭このようなお尋ねをするかといいますと、こうした九千キロ新幹線網といったような、はなばなしい鉄道新建設の裏に、合理化だとか赤字対策だとかいうことで、あるいは赤字線の廃止の問題があるし、あるいは赤字線なるがゆえにきわめて強い合理化が推進されようとしている事実もある。これらは過疎、過密の関係からいっても、あるいは国鉄の合理化の関係からいっても、あるいは国鉄をほんとうに国民の鉄道にするという観点からいたしましても、明と暗を浮きぼりにしたような感じもいたすわけでございますが、このような事実がきのう木曜会であったと思うわけでございますけれども委員長、事実はいかがでございますか。
  116. 福井勇

    福井委員長 お答えします。  そういう話はその席で聞きましたが、質疑応答はございませんでした。
  117. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほどもちょっと触れましたように、いずれ、この問題は当委員会でも本格的な審議をしなければならない問題であろうと思っております。  少し触れましたように、実は赤字線の廃止あるいは赤字線の合理化ということで、国鉄本来の使命にかんがみ、国民との関係においてどうかと思われるような合理化が着々と進められておるわけであります。そこで、私は、国鉄当局にまず伺いたいわけですけれども、赤字線の廃止もさることながら、赤字線なるがゆえに合理化が進められようとしておる。合理化というのはだれのための合理化なのか。国有鉄道である限り、国民のための合理化でなければならぬ。これがすべてに優先する第一の条件であろうと思うわけであります。したがって、全国で赤字線なるがゆえに廃止をしなければならぬ、あるいは赤字線なるがゆえに大幅な合理化を進めなければならぬということがあると思うわけであります。このことは、私は一がいに悪いとは言いません。しかし、鉄道の建設、特に国鉄の建設なり運営は、そのとき、その場所に応じて、必要なるがゆえに十分な見通しをもって建設をされたものであり、運営されたものであると確信をいたしておるわけであります。したがって、まず国鉄当局に伺いたい点は、赤字線なるがゆえにどうしても廃止をしなければならないという路線が全国で何本あるのか、さらに赤字線なるがゆえに大幅な合理化をしなければならない路線が全国でどのくらいあるのかということも、この際伺いたいと思うのですが、総裁がお見えでございますので、まず冒頭、合理化、合理化というけれども、それが国鉄本社のための合理化であったり、あるいは国鉄労働者のための合理化であったり、あるいは国鉄を所管する所管庁のための合理化であったりということであってはならぬ、あくまでも国民のための合理化でなければならぬと考えておるわけであります。したがって、この際、いわゆる国鉄の合理化というものの発想の基点をどこに置かれておるのか、総裁からまず伺いたいと思います。
  118. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄合理化の基点は、過般の政府の基本方針並びに国鉄で出しました再建計画でも明らかなとおり、一体、百年たった国鉄を今後二十一世紀あるいは今後百年間どうやって国民の足として確保できるかどうか、維持できるかどうかということが国鉄合理化の主眼点でございます。
  119. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 きわめてばく然としておりますけれども、誤りのない答弁であろうというように思うわけでございますが、そういう考え方から今日並びに将来に向かっての国有鉄道のあり方を合理的、科学的に検討されるということは、これまた当然であろうと思います。しかしながら、先ほど総裁がお見えになる前に、少し新聞記事を引用して委員長にもお尋ねをしたわけでありますけれども、九千キロになんなんとする新幹線網で全国主要都市を結ぶ、特に県庁の所在地等は漏れなくこの新幹線網でつながれるということは、非常に二十一世紀的な、七〇年代の当初における明るい構想であろうことは間違いないと思うわけなんであります。しかしながら、国鉄が建設をし、あるいは私鉄であったものを買収し、今日全国には多くの国鉄の線路があるわけでありますけれども、このはなばなしい新幹線網構想の裏に、多くの赤字線あるいは必要度云々というようなことから整理の対象になったり、合理化の対象になったりしている路線が多い。私は、過疎過密の問題も含めて、この問題は、その建設なりあるいは買収なりの経緯からいっても、軽々に論ずべきではないと考えておるわけであります。もちろん、これらにつきましては、周到な調査と納得のもとに実施されるであろうと思うわけでありますけれども、これは非常にむずかしい問題であろうと思いますけれども、これらの整理——合理化ということばで表現されておりますが、整理というほうがいいと思うのですけれども、これに対する総裁の決意のほどはいかがなものですか。
  120. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 国鉄は、何と申しましても現在約三兆の資産を持っております。これがじょうずに運営されるかいなかは、全国民に非常に大きな影響があると思います。もし国鉄の経営がうまくいかなければ、最後には国民の税金にかかってくるということになりますので、私どもといたしましては、どうしたら国鉄法第一条にあるように最も能率的、合理的に、そして国民の福祉に合うように運営できるかというのが、私どもの使命だと考えております。これは国鉄法第一条に明らかなとおりでございます。  御承知のとおり、現在国鉄が持っている陸上交通界における分野は、残念ながら戦前の独占時代と全く趣を異にいたしまして、運輸省の統計によっても明らかなとおり、旅客輸送では全体の約三〇%、貨物輸送では二〇%という、非常に位置の低いところに落ちてしまいました。しかしながら、国鉄にかかっている負担は、明治の初年にできましたと同じようないろいろな負担がかかっております。現在、国鉄の約二万キロの路線の中でいわゆる黒字を出しておるのは、そのうちの約一割でございます。東海道新幹線を含めまして約二千キロで、あとの一万八千キロの赤をしょっているわけでございます。したがって、どうしてもしょい切れない面が出てくるのは当然であります。戦前は、約二万キロ弱の営業路線のうち、黒字線が約半分、赤字線が約半分、半分の黒字で半分の赤字をしょっていた。これは楽にしょえたわけであります。しかしながら、現在はわずか一割の黒字線が九割の赤字線をしょう、これはほとんど不可能に近いことであります。それが昭和三十九年度以降の毎年の欠損になって出てきている。御承知のとおり、残念左がら現在二千八百億というのがその赤字の累積であります。  したがって、私どもといたしましては、今後極力全国民に御負担をかけないで、国鉄の運営を能率的にしていくという意味におきましては、黒字で負担できる限界、あるいは黒字をベースにしてあらゆる努力をして負担できる限界に近いものが国鉄の守備範囲である。幸い、あとは道路がよくなり、自動車がよくなり、あるいは飛行機ができてきたというふうなことで、ほかの交通機関に代替できる面はほかの交通機関に代替していきたいというのが私どもの気持ちでございまして、いつまでも線路と大きい重い車両というあの輸送方式が今後五十年、百年続くということは、ことに輸送の区間の短い線区では考えられないことでございまして、これはすでにヨーロッパにおきましてもアメリカにおきましても、三十年前に起きた現象でございまして、日本だけがその例外であるとは考えられないわけでございます。したがって、私どもといたしましては、極力国鉄の経営を第一条の目的に反しないように持っていく。それには、やはり最も合理的な、能率的な経営をしなければいかぬ。そして国鉄でなくて済むものについては、もっと手軽な、国民全部が利用できるものに置きかえたい、それが私どもの経営の願いでございます。
  121. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 いま総裁から御答弁をいただきましたけれども、今日の運輸あるいは輸送あるいは鉄道等々の現状は、何もきのうから始まったものではない、あるいはきょう突如として始まったものでもない。私は、この自動車の急速な増加あるいは発達というようなことは、もうここ数年ずっと傾向としてはわかっていたことだと思うわけであります。考えようによっては、磯崎さんはいわゆる国鉄マンであり、国鉄で今日まで生きてきた方であります。私は、今日突如として起こった交通革命というような見方はしたくないわけであります。当然今日の事態はある時点で予想ができたはずだと思うわけでございますが、これらに対処するしかたとして国鉄首悩部が取り組んできた姿勢といったようなものが、必ずしも十分だとはいえないと思うわけであります。したがって、いまここで整理だとか合理化だとかいうことが日程にのぼってきたわけでありますけれども、少し対策がおそ過ぎはしなかったのか。もう少し早くからこの問題と真剣に取り組むべきではなかったのか。私鉄の関係もいろいろ問題がありますけれども、それにしても、私鉄はいろいろな総合的な事業の中から今日の会社運営というようなものをやっております。国有鉄道なるがゆえに人と貨物しか運べないというところに、事業の狭さといいますか、守備範囲の限定があって、今日の状態を招いたというならばまたそれまででありますけれども、一体総裁として、いまの時点で、この急場を迎えて何が何でもやり抜かなければならないという決意だけはわかるにしても、今日の状態を迎える過程における国鉄の勉強なり努力なり、あるいは具体的な施策において、欠けたところがあったというような反省があるのかどうなのか、この点を伺いたいと思います。
  122. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 その点は、私どもといたしましては、実は合理化問題は、私の前々総裁十河総裁の時分から赤字線の廃止問題はやってまいりました。しかし、なかなか進まずに今日まで至っておるわけでございますが、あのころは石炭も非常に出ておりましたし、また道路もそれほどよくなかった。昭和三十八年度を境といたしまして、三十九年度から坂を落ちてくる車のように、急激に財政状態が悪くなったのでございます。したがいまして、私どもといたしましては、前総裁並びに私とも、非常に合理化問題をやってまいりましたけれども、なかなか思ったとおり進まない。その意味におけるわれわれの努力の足りなさは率直に認めております。いかに反対があろうと、いかに陳情があろうと、国民の納得を得てやめるべきものはやめるという信念が足りなかったといいますか、実行力が足りなかったという点はあったかと思います。しかし、私どもといたしましても、もうそんなことを言っておられない、そしてできるだけのことをやらなければならないという時点に実は追い詰められております。たとえばことしのベースアップの問題一つ考えましても、どうやって実行するかというのがたいへんな問題でございます。過去十年間に委員会で何べんも御審議を経ながら、約三回の運賃値上げをいたしました。この三回の運賃値上げで得ました金が一兆七千億、十年間のベースアップの所要額は一兆六千億です。運賃値上げはほとんどベースアップに使ってしまった。これが国鉄の偽わらざる数字上の現状でございます。こういう現状を踏まえまして、しかも私のほうは、御承知のとおり非常に職員の年齢が高い。平均年齢四十歳、そういうような状況で、もちろん首も切れない。首を切らないでどうやって企業を合理化するか、これが私どもの一番むずかしいところでございまして、しかも合理化、赤字線の問題あるいは近代化問題等、いずれも非常に地元の反対の強いものであります。これを納得をいただいた上でやっていくということは、私どもの努力もこれから大いに進めなければいけないところでございますけれども、いままで私自身も数線を廃止いたしました。私自身地元へ行っていろいろお話ししたことがありますが、非常にむずかしいところであります。しかし、その緊迫度は非常に強くなったということを率直に申し上げざるを得ないと同時に、いま先生のお話の中にございました、いわゆる国鉄が関連事業をもっと早くやるべきではなかったかというお説につきましては、私ども全く同感でございまして、実は数年前からも、たとえば倉庫事業とかあるいは駅における不動産事業等につきましても、ある程度させていただきたいということをずいぶんお願いいたしましたが、なかなかいろいろな障害でできなかった。しかし、どうしてもここまで追い込まれてきますと、もう鉄道の運営だけで収支をとるということは非常にむずかしくなっております。これはどこの国でもそうでございまして、したがいまして、今後は次の来年の国会では、私どもといたしましては、もう少し事業の範囲を広げさせていただきたい。もちろん、デパートや何かをやるということは決して申しませんが、鉄道輸送と密着した関連事業くらいはやらしていただかないと、鉄道だけで収支をとることはほとんど不可能に近い。そこまで言ったら責任者としては言い過ぎかもしれませんが、あとで取り消してもよろしゅうございますが、私はそう思います、率直な話。したがって、ある程度の副業をやらしていただかなければやっていけなく在るというふうに考えまして、これは一年間具体的に勉強いたしまして、次の国会にはぜひお願いいたしたいと考えております。その点、いままで努力の足りなかったことは、率直に私は反省いたしております。
  123. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 総裁が高熱をおかして当委員会に御出席され、決意のほどを拝聴したわけでありますが、鉄監局長、これに関連して、いま国鉄が当面している問題、さらに今後推進しようとする非常に困難な課題、これらに対して、一体運輸省として総括的にどのようにお受け取りになり、また考えておられるか。そしてまた、これに協力するのかどうなのかというような点について、局長のお考えを承りたい。
  124. 町田直

    ○町田政府委員 国鉄の再建問題につきましては、ただいま総裁から御答弁がございましたが、私どもといたしましては、昭和三十九年からの赤字、四十年、四十一年、だんだん多くなってまいりました。そこで、四十三年に、御承知の国鉄財政再建推進会議というものを運輸大臣の諮問機関として置きました。約一年間かかりまして、国鉄をどうして再建したらいいかということを識者の方々に御意見を求めたわけであります。その結論は四十三年の十一月の一日に出されまして、これを閣議で了承をいただきました上で、再建方策というものを立てたわけでございます。そういたしまして、昨年の国会にお願いいたしまして、国有鉄道財政再建促進特別措置法というものをつくっていただきまして、これによりまして、非常に俗なことばで申しますと、三位一体方式と申しますか、要するに、まず国鉄自身が近代化というものを進めることが前提であろう。しかし、国鉄は公共的な使命を帯びておりますので、いろいろな問題をかかえている。そこで、これに対しましては、国もできるだけの財政援助をしなければならない。そうしてもなお国鉄財政再建が不可能であるという場合には、国民の御協力を得まして、運賃値上げというものが必要であろう、こういうことでありまして、その趣旨を盛り込みました財政再建促進特別措置法をつくっていただきますと同時に、運賃値上げに踏み切っていただいて、昨年平均一〇%の運賃値上げをしていただいた、こういうことでございます。したがいまして、この法律に従いまして、昨年の九月に国鉄再建の基本方針の閣議決定をいたしました。それに基づきまして、ことしの二月に、やはりこの法律に従いまして国鉄のほうから再建方針というものを出してもらって、運輸大臣が承認をした、こういう経過をたどっているわけでございます。  それでやっと——やっとというとあれでございますが、一応国鉄財政再建の方途が固まったというのが現在の状態と私ども考えておりますけれども、しかし、それは必ずしも楽観できるものではないということも、またいろいろ考え方によってはあるわけでございまして、それじゃ今後どうしたらいいんだということでございますけれども、これはいま発足いたしました財政再建の十ヵ年計画というものを政府といたしましてはあらゆる面から推進、支持いたしてまいりまして、何とかして十年間に再建をする、そうして先ほどの総裁の御意見のように二十一世紀の鉄道として生まれかわる、こういうふうなことでもっていきたいと考えておる次第でございます。
  125. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 鉄監並びに国鉄当局のお考えは大体わかりました。  私は、たいへん恐縮でありますけれども、ここに地元の問題を一つ伺わなければならないわけであります。  鉄道の線路には、その建設に従ってそれぞれ理由があるし、意義があるわけなんです。磯崎さんには磯崎さんの誕生歴があるように、町田さんには町田さんの歴があるように、それぞれの路線には路線の意義と目的がある。私がいまお尋ねしようとする二俣線という国鉄線があります。東海道線掛川から東海道線新所原まで、あるいは豊橋までといったほうがいいかもしれませんが、これは昭和十五年六月に着工したわけであります。なぜこのような浜名湖を迂回する路線が建設されたかということになりますと、これは戦争がますます激しくなって、東海道本線が天龍川鉄橋なりあるいは三本もある浜名湖の鉄橋で運転不能になるおそれがある、どうしても迂回路線が必要だということで、地元の要望よりも、軍の要望によって、急遽建設がきまり、促進をされた路線である点は間違いないわけであります。したがって、これが建設にあたりましては、地元は半ば軍の命令だ、半ば国への奉仕だという形で、敷地の提供にいたしましても労務の提供にいたしましても、かなり献身的な、いわゆるお上に対する御奉公というような気持ちも非常に強かったことは事実なのであります。しかも開設当時二十の駅が、その後地元の要望等もこれあり、六つふえて二十六になった。つい最近まで駅の増設が行なわれておったわけであります。ところが、最近になって合理化という名のもとに大幅な整理が行なわれようとしているわけであります。私は先ほどから御両所の御答弁を聞いていて、整理をすべきは整理をする、近代化すべきは近代化するという気持ちはわかるわけでありますけれども、これらが一律一ぺんに行なわれるということにつきましては、非常な疑問を持つわけであります。この線の建設の経緯からいきましても、そう簡単に整理ができるものではないというように考えるわけですけれども、赤字の解消というにしきの御旗だけでこの既定方針が遂行できるとお考えになっているのかどうか、まず鉄監局長から伺いたいと思うわけであります。
  126. 町田直

    ○町田政府委員 二俣線の合理化のお話でございますけれども、一般論としてお答えさせていただきますが、財政再建に伴います業務の合理化というのは、先ほど申しましたように、近代化の一環として提示されたものでございますので、国鉄の合理化は、いわば国鉄財政再建の非常に大きな柱の一つであることは御承知のとおりでございます。この整理が再建の成否にもつながるという生死の問題であると申しても過言ではないかと思っております。  ただ、赤字線の廃止にいたしましても、あるいは小駅の合理化、あるいは統合等につきましても、いま申しましたように、できるだけその推進をはかってまいるということが、政府としてもそういう趣旨でございますけれども、地元住民の利便に与える影響というものも決して無視することはできませんので、そういう点につきましては、十分地元住民との意思の疎通をはかった上で進めるように国鉄として推進していくというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  127. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 先ほど私がるる申し上げましたように、この建設の経過からいきまして、そしてまた御承知のように、東名高速道路の開通に伴う奥浜名湖の異常な開発ブームといったようなものから考えましても、私は、ただ小駅を合理化すれはいいというようなことでは、またこれ近い将来あるいは間違いであって、いや整備拡充だというような時代が来ないともいえないと思うわけであります。  私は、ただ単なる赤字解消、合理化ということだけで地域の将来的な展望を忘れるときに、先ほども触れましたけれども、開通当時は二十駅が、いつの間にか二十六駅になった。しかし、それらはむしろもう廃止したほうがいいという状態を数年たたずして迎える。いまここで小駅の整理だけを行なうことによって、また数年を経ずしてもとへ戻すどころでなくて、整備しなければならぬというような時代が来はしないか。あまりにもただ単なる目先の現象だけにとらわれて、猟師山を見ず式な整理を行なうことは、国鉄のためにも国民のためにもどうかと思うというように考えておるわけでありますけれども、そうした営業の展望、地域社会の将来の発展形態といったようなものを一体とのように——具体的に私はこの問題を出しましたけれども、客観的な問題でけっこうでございますけれども、総裁、どういうようにお考えになっていますか。
  128. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 二俣線の建設の際の経過、私は詳しく存じませんが、相当軍事上の要請があったことは伺っております。その後駅がふえましたが、これは全部無人駅でございます。いわゆる停留所でございます。二俣線の性格といたしましては、やはりローカル輸送であるということで、バス式になるべく駅をふやして、そしてなるべくたくさんの人に利用してもらうという停留所システムで、六つくらい駅がふえております。今度、いわゆる駅の合理化につきまして、多少先生のほうに話が間違ってお耳に入っているかとも存じますが、私のほうは、旅客輸送につきましては駅を停留所にしたい、いわゆる駅員のいない駅にしたい。もちろん、この区間はタブレットの区間でございますから、タブレットを扱わなければならない駅は残しますけれども、そうでない駅は停留所にしたい。駅はやめない、しかし駅員は置かない、中でもって切符を買っていただく、こういう形にしたい。それから貨物のほうは、これはもうあれほどりっぱな道路ができております。したがって、大きなところは別ですが、貨物を集約して、そして二俣線内発着の貨物がなるべく早く東京なり大阪なりに届くようにしたい。いまのように二十六駅で貨物を扱いますと、各駅で貨車を切り離す、またつないでいく。これでは時速十キロくらいの速度で、いまおっしゃいました東名高速道路にかなうわけはございません。したがって、極力貨物駅は集約していきたい。集約していくには、機械設備なり何なりを使って流通コストを下げたい。それによって二俣線から出る貨物、それをなるべく早く東京なり大阪なりに届ける。それが鉄道貨物輸送の任務だと思います。したがって、貨物輸送のほうは、駅を極力減らして、旅客輸送のほうは駅を停留所化するということであります。たとえば、私も先般行ってまいりましたが、三ヶ日の駅について申し上げますと、国鉄のハイウエーバスのほうがずっとお客さんが多いわけであります。これは無人で、しかもワンマンでやっておるわけであります。しかも逆に、バスの何分の一しか客が乗っていない三ヶ日の鉄道の駅にあれだけの人がいる。これはおかしな話で、何か鉄道の駅には人がいなければいけないのだという気持ちがわれわれ自身にも残っていたために、おくれたのだと思います。同じ三ヶ日を走っておりますハイウエーバスを見ますと、ワンマンで、しかも停留所で非常にスムーズにいっている。こういう面から見ますと、やはり新しい営業体制というものをここで考え直す時期に来ているのではないかというふうに私は思います。したがって、旅客と貨物と、私どものほうの御説明がまずくて、両方ともやめてしまうように地元では聞いておられるように聞いておりますけれども、旅客のほうはもっぱら停留所にしたいというような考え方でございます。(「あまり選挙区の質問をするな」と呼ぶ者あり)
  129. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 やじで選挙区の問題だというような話がありますけれども、これは一つの例でございまして、全国的な問題だと思うわけなんです。それで伺っているわけでありますけれども、私は間違って把握もしてないし、よく静岡管理局からも伺っておりますので、内容は知悉をいたしておるつもりであります。ただ、先ほども言いましたように、いまハイウエーバスと国鉄駅とのお話、総裁じかに見てこられてよく御存じですが、事実そのとおりです。しかし、ハイウエーといえども、あれであのまま相当効率があがっていく、あるいはハイウエーは無限のものであって、あの調子がいつまでも続くというものとは私は考えておりません。御承知のように、あのハイウエーでも国鉄のバスの事故もございました。いろいろ問題があるわけでございまして、私は、またレールという時代が必ず来る、決して見捨てたものではない、やはりレールは交通では最高のものだという時代が来ると思うのです。そのレールに対する無情な仕打ちというようなものは、この際あまり行き過ぎたやり方はどうかと思う。私は、必ず交通政策上レールの占める役割りというものが非常に重要な時代が来ると思うわけであります。したがって、あまり現象面だけにとらわれてせっかちな施策をするということについては、疑問があるというように基本的に考えておりますがゆえに、お尋ねをしているわけであります。いずれにいたしましても、時間がありませんので、多くは申しませんけれども、地域社会の協力を得て建設をし、そして地域社会に重宝がられて運営してきたけれども、いまのところではしかじかかようなのにしたい、しかし、将来の展望については、国鉄全体の運営方針等々からも考えて、場当たりのこう薬ばりでなくて、長期の見通しに立っての施策をもう一度一歩下がって考えてもいいのではないかというように思っております。特に私は、地域社会の理解と協力のないところに、新線の建設もあるいは廃止もあるいは合理化も不可能だというように考えるから、こういうお尋ねをしておるわけなのであります。この点に対し、必ずまた交通の主力はレールに戻ってくるという私の考え方、展望といったようなものに対して——そのまますわっていてもいいというわけじゃないのですよ。御両所から見解を承りたいと思います。
  130. 町田直

    ○町田政府委員 国鉄と申しますか、鉄道が今後わが国の国内輸送の中心を占めていくだろう、こういう御趣旨として承りまして、私どもも実はそう考えておりますし、たいへん心強く存ずる次第でございます。ただ、いずれにいたしましても、輸送構造というものがやはり変わっていくのではないか。それは過去の例に見られますように、自動車道の発達、道路の整備等によりまして、自動車の占める交通上のシェアと申しますか、守備範囲と、それから鉄道の占める守備範囲あるいは航空機の占める守備範囲、こういうものは、今後の科学技術なり交通技術の発達によって変わっていくということは一応考える必要がある。そういう面に沿いまして、今後ともできるだけそういうことを見通した上で、施策をやってまいりたいと考えておる次第でございまして、もう一つ、地元の利便というものとの関連につきましては、行政上の措置といたしましても十分配慮いたしながら施策を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  131. 磯崎叡

    ○磯崎説明員 私どもも毎日暗い数字ばかり見ておりまして、非常に気持ちが沈んでおりますが、先生のおっしゃったことで、前途に光明があるような気がいたします。しかし、いま最後におっしゃったように、このままではいけないと私は思います。ですから、できるだけ近代化し、合理化し、そして簡素なものにする、しかも輸送力だけはきちっととっておく、こういう形でもって、ハイウエーから幸いにわがほうにお客さんなり荷物が戻ってきたときに困らないような体制だけはとっておかなければならない、これははっきり私どももそう思っております。  ただ、地元のお話なんか伺っておりますと、おれの村に駅がなければ困るというような感情論、これも私はわからないことはございません。しかし、そういう感情論だけはこの際どうしてもがまんしていただく。しかし、そういう不安感と申しますか、心配をラウンドサービスみたいなもので解消するということを考えましたり、あるいは二俣線は御承知のとおりカキとミカンの産地でございます。昔に比べますと、鉄道利用はがたっと落ちておりますが、まだまだ多少鉄道に乗っております。こういう季節的なものにつきましては、そのときに応じた季節的な職員を配置する、あるいは季節的な輸送サービスをするということで考えていきたいと思います。
  132. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 私も非常に複雑な気持ちでお尋ねをしているわけであります。鉄建公団が来ておりませんので、どうかと思うのですけれども、ローカル線でこういう施策を実施しようとしている目と鼻の先で、いわゆる佐久間線なるものが新設線として工事が進められているわけであります。これは、その二俣線の途中の天竜市二俣から佐久間へ通ずる国鉄線であります。これが完成しても赤字なことはもうりょう然であります。しかし、政治の端くれに籍を置いて、そんなものは建設すべきでないと開き直ってい得ないところに、私の暗い気持ちやつらい立場があるわけであります。こういうことを考えていきますと、いわゆる鉄道の路線に政治路線といったようなものがあるかどうか知りませんよ。知りませんけれども、一方で近代化、合理化のために血の出るような努力と犠牲が払われている。一方では明らかな赤字線にばく大な投資をして建設を進めなければならぬ、こういうところに、私も実は非常に複雑な、割り切れない気持ちがあるわけであります。鉄監局長、適当な答弁者ではないかと思いますけれども、この佐久間線は一体昭和何十年にでき上がる予定なのでありましょうか。一がいに確答はできないかと思いますけれども、ああいう状態で、アリのはうような速度で建設が進められますと、これはなかなか容易じゃないと思うのですけれども、複雑な私の気持ちをそんたくしていただいて御答弁をいただければ幸いです。
  133. 町田直

    ○町田政府委員 佐久間線は全長三十五キロでございます。四十二年に着工いたしまして、今年度で三年、来年で四年になるわけでございます。全体の予算が八十一億でございます。四十四年度までの予算が七億五千万円でございまして、約九%ということでございます。  御承知のように、運輸大臣が指示いたしました建設線は、大体一応の目標といたしまして、昭和五十年までにつくろう、こういう鉄道建設審議会の答申に基づく、運輸省限りのでございますが、計画がある。そういたしますと、この線につきましては、あとの九〇%を五年間でやらなければならない、こういうことになりますけれども、特にAB線につきましては、現在の予算のつきぐあいではなかなかそれは困難ではないかというふうに考えておる次第でございます。ただ、これは当然なことでございますけれども、国鉄の合理化と同じ考え方でございますけれども運輸大臣が指示いたしております基本計画予算のつけ方にいたしましても、できるだけ、重点的に配慮いたしまして、急ぐものをどんどんつくっていく、こういう方向で今後は考えていかなければならないんじゃないかというふうに一般的には考えておる次第でございます。
  134. 斉藤正男

    ○斉藤(正)委員 終わります。      ————◇—————
  135. 福井勇

    福井委員長 この際、参考人の出頭要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま本委員会において審査中の自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案について、来たる正月二十四日参考人の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
  136. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  なお、時間及び参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  137. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  この際、午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十四分休憩      ————◇—————    午後一時三十八分開議
  138. 福井勇

    福井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  陸運、海運、日本国有鉄道の経営、海上保安及び気象に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。宮井泰良君。
  139. 宮井泰良

    ○宮井委員 私は、昨年から問題になっております気象業務の縮小と人員削減の問題につきまして、若干の質疑を行なうものでございます。  具体的な問題に入ります前に、気象関係に従事されておるそういった仕事の関係は、じみではございますが、非常に国民の生活に密着いたしまして、漁業関係の従事者あるいはその他の一般の方方にしましても、気象の関係というのは、非常に密接な関係を持っておると思います。そういった点で非常に重要である。そういう観点で具体的な御質問をしていきたいと思います。  最初に、気象の激しい変化に伴いまして、毎年災害が起きておりますことは御承知のとおりでございます。災害を軽減するには、気象観測網を大幅に拡充して、的確な予報ができる体制をつくることが必要であります。ところが、気象庁では、測候所の縮小や通報所の廃止、観測回数や業務を削減して人員を減らす傾向になっております。現在、予報用の電子計算機あるいは気象資料自動編集装置、レーダーなどが導入されているそうですが、要員不足で、現場の方々に聞きますと、機械を十分に働かせることができないと聞いておりますが、いかがなものでございましょうか。また、レーダー観測などは、自衛隊では気象庁の三倍の人員で一日じゅう観測をしておるのに、気象庁は人員不足のために、夜間など観測できないといわれておりますが、そういう事実があるのかどうか、そういった点でお答えを願いたいと思います。
  140. 吉武素二

    ○吉武政府委員 お答えします。  気象観測体制、最近は気象レーダーとかいうような新しい武器も入ってまいりました。測候所とか地方気象台でも、その地点の気象観測をやっております。やはり新しい武器が入ってきた段階では、その全体を考えて、気象観測体制というものにある程度の修正を加えて、新しい時代に対処していくのが最善の策ではないか。そういう意味で、いま先生がおっしゃったような点で、多少の変化をいま加えつつあります。しかし、そのとき忘れてならないことは、気象観測体制にひびが入ってはいけないということでございます。私もその点では落ち度のないようにつとめております。しかし、いままでやっていたことははたして最善であったかという点については、やはり反省してみる点もあるんじゃないかということは御理解いただけるのではないかと思います。それから電子計算機アデス、これも一つの電子計算機でございますが、非常に最新式な武器で、このために私たちの業務もいま一新されつつあります。人員も決して私は十分だとは思っておりませんけれども、何とかやっていける体制にあると思います。  それから、自衛隊のレーダーのお話が出ましたが、気象観測と自衛隊の目的とされているレーダー観測というのには、おのずから違いがあるんじゃないか。いまのところ、気象レーダーというものは一日じゅう連続運転はしておりませんけれども、まずまずかなり広範な気象現象をキャッチするにはかなり有効に使われているし、これをますます有効に使うということをいま心がけております。たとえば東京の気象レーダーの情報というものを、東京付近の各官署にファクシミリで流してやるというようなことをこれつとめております。  要約申し上げますと、新しい時代にいま気象庁は何とかして移行しよう、そのためにもがいている。そこに定員削減というような問題もからまっている。しかし、私は、いまの時代にこそ新しい進歩を何とか遂げたいというような気持ちで、精一ぱい落ち度のないようにがんばっているつもりでございます。
  141. 宮井泰良

    ○宮井委員 次に、気象庁の人員削減計画によりますと、三年間に二百二十七名、一年間に七十九名となっております。すでに職員二、三名の気象通報所の廃止や、五、六名で構成する測候所の廃止、縮小が行なわれておるようでございます。また、昨年四月、大阪では、以前にも議論になったと思いますが、過去八十年間続けてきた一日二十四回の気象観測を三分の一に減らし——この点はいまも長官からお話のあったように、以前からやっておったからそれが最もいいんだというふうに私も申し上げませんが、そういった回数を減らし、またことし四月から東京、御前崎、あるいは来年は仙台、宮崎が同じように観測回数を減らす計画であると聞いておりますが、そのとおりであるかどうか、その点御答弁をお願いしたいと思います。
  142. 吉武素二

    ○吉武政府委員 お答え申し上げます。  通報所というのは、ロボット雨量観測点を設けましたときに、またいろいろなダムが建設される段階で、かなりへんぴなところにたくさんつくったわけでございます。しかし、いまはいろんな通信の技術も発達してまいりました。それであえてその地点に置かなくとも、もう少し便利なところで仕事がなされるというような面もございますので、それを廃止はいたしておりません、仕事のやり方を、もうちょっと便利なところでやるということをやっております。そこに幾らかの合理化が行なわれております。  それから、先生のおっしゃった、五、六名の定員の測候所を規模を縮小しているというお話ですが、そういうことは私現在やっておりませんから、それはあるいは何かのお間違いではないかと思います。  それから、東京、御前崎、宮崎、仙台については、二十四回観測を八回に本年四月からいたします。この前もお話ししたことがあるのでありますが、気象観測者というのは、いつもだれかが起きていて、絶えず現象を一応目なり、あるいはその部屋に引き込まれているいろんな機械がございますから、それを見ながら追っかけている。ただ、電報をつくって通報する回数を二十四回を八回にするという意味でございまして、決して観測をやめる、縮小するということではございません。それからまた、台風とかあるいは非常な災害をもたらすような気象異変があるときには、いまではレーダーというものもあるものですから、ある程度およそ今晩あたりはあぶないなということがわかります。そういうときには、もうわれわれは万全の体制をしきまして、通報もやはり毎時間おきにやるというようなことになっております。ですから、これは向こうはかってに動いてくれるわけなんですけれども、やはりそこには気象現象の消長というものがあります。そのリズムに合わせて観測をやっていく。ただむやみやたらにやっているということでなしに、それに合わせてやっていきたい。二十四回を八回にすることによって、まず私はサービスの低下を来たさないというように考え、この春からその四ヵ所については実行したいと思っております。
  143. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいまもお話しございましたが、今晩あぶない、非常に異常気象の状態になるという場合は、いろいろな方が応援いたしましてそういった観測に当たる、このようなお話でございましたが、そういった観測に当たられる技術者という方は、非常に経験年数も長く、高度の技術を要すると思いますので、どういった方を動員されるのか。私は詳しいことはわかりませんが、事務の方でありますとかいろいろな方がつとめられておる、そういった人が異常事態には緊急に集まりまして、万全の体制を備える。もちろん前々がら——そういう異常気象というのは突然起こるということはありませんので、そういった点はわかると思いますけれども、夜中に突然異常気象が起きたといった場合、これはちょっと理屈をこねるようでありますけれども、郊外に住まわれている方が交通ラッシュその他のこういった状況の中にありまして、万全な体制の中に組み込んでいけるかどうか。また、それが勤務超過になりまして職員の皆さん方の体力、そういったものに支障を来だすことはないか、その点重ねてお尋ねいたします。
  144. 吉武素二

    ○吉武政府委員 たとえば台風が日本本土に接近してまいります。そうすると、やはり二日、三日、場合によれば、四国の南のほうでどちらへ行こうかと台風が迷っているときには五日というふうに、これは非常にきついときがございます。それは年にしてみると、二回とかせいぜい三回とかいう程度でございますが、そういうときの一応の勤務体制というものを私たちのほうで平素組んでございます。職員にとってはかなりきついのですけれども、気象庁というのは、そういうときにこそがんばるべきだということを私は常々申しております。ただ、その勤務が健康とかそういうことに影響しないようにということは、私十分配慮しておるつもりでございます。
  145. 宮井泰良

    ○宮井委員 次に、津波予報体制のことでございますが、東京では気象庁地震課が常時一班二名の交代で配置についており、夜間または休日に地震が発生した場合は、応援が来るまでこの二名ですべての作業に当たっていると聞いております。他の管区気象台では、東京のように当番制を組めるだけの人員がないために、夜間や休日は構内の官舎に居住する担当者が呼び出しを受けて作業に当たっている。このように私は伺っておるわけですが、津波予報体制は完全といえるかどうか、この点をお尋ねいたします。
  146. 吉武素二

    ○吉武政府委員 津波というのは、海底の地震があって起こるわけですが、いつ起こるか、あしたにも起こるかわからないわけでして、しかも、それが毎年起こるというものでもございません。やはり何年かに非常に災害をもたらすようなものがやってくるわけです。いま各管区気象台には津波予報のための設備がかなり充実いたしております。東京で申しますと、東京の近郊にある地方気象台に備えつけられておる地震計から、自動的に気象庁に地震の様子が入ってくるようになっております。泊まっている人はそれを見て、この震源地は一体どこだ、規模は大体どの程度だ、それなら津波があるかないかという判断ができるようになっております。それから、今年度までのところでは、札幌以外はそういう施設ができましたが、今度四十五年度予算でも札幌に続いてその施設をお願いしているところでございます。決してこれで私はもうだいじょうぶとは思っておりません。しかし、やはり一応の体制は私できていると思います。
  147. 宮井泰良

    ○宮井委員 次に、関東大震災のような災害が再び起きるのではないかと東京都民の方々は非常に心配しているようでございます。これはお答えしていただかないでもけっこうですが、私の聞くところによりますと、ある人の説では、周期説というのがございまして、大体一九七九年から射程距離に入っておる。これは確固たるそういった学術的な裏づけはございませんけれども、そのときには、大体三百万人くらいが、石油コンロが返りまして非常な混乱が起き、死傷者が出るのではないかということを聞いております。あるいは、そういったこと以外にも、やはり地震が長い間起きないということになりますと、エネルギーがそれだけたまりまして、大きな地震が心配されるのではないか、こういったことも聞いております。それはいろんな異論があると思いますので別といたしまして、地震観測の面などは予測することは不可能なことか。これは非常にむずかしい問題と思いますが、地震を予測するといった点の研究は進んでおるのかどうか。また、地震観測の要員の削減は予定されていませんか。御前崎などでは観測要員を減らすために地震観測ができない、このように聞いておるわけでございますが、そういった点はいかがでございましょう。
  148. 吉武素二

    ○吉武政府委員 お答えします。  私もあまり地震予知のことについては詳しくはございません。しかし、いま日本では、何とかして地震というものが予知できないものだろうかということで、大学、国土地理院、水路部、気象庁、そういうようなところが話し合いながら、やはり大地震が起こる前には何かの徴候があるのじゃないか、そういうことをつかもうと一生懸命になっております。さらに研究が積まれますならば、将来において地震予知もあるいは可能になるのではないかというように考えております。  気象庁が担当しております部門というのは、地震の規模でいいますと三といいますか、まあ何とか人体に感ずる程度から上の地震それは気象庁で絶えず日本全国におけるその頻発度合い、その地震の性質、その震源地というようなものを追っかけております。やはりその大勢をにらんでいるということが、また一つの地震予知につながることではないかというように考えております。  御前崎のお話も出ましたけれども、そういう点では、決して地震観測ができないようになるとは私は考えておりません。
  149. 宮井泰良

    ○宮井委員 次に、政務次官にお聞きいたします。  気象庁の予算は他と比べて少ないのではないか、私はこのように思います。四十五年度予算原案では、防衛庁に五千六百九十五億円、伸び率一七・七%を計上いたしておりますが、気象庁には百三十二億円で、伸び率が七%でございます。それはどういうわけでこのようになっておるか。また、これは人員、業務の削減を前提としたものしか計上されていないと聞いておりますが、私は、もっと予算増加すべきである、このように思いますけれども、いかがなものでございましょうか。その点をお尋ねいたします。
  150. 山村新治郎

    山村政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃられるように、確かに前年度比七%の増ということで、他の予算から比べますと伸びが少ないじゃないか、そのとおりでございます。しかし、昨年の場合に、実はいわゆる大型船の建造を行ないまして、これに充てましたので、そのような関係から伸び率が少なかった、そのようなぐあいに考えます。  詳しいことは長官からちょっと……。
  151. 吉武素二

    ○吉武政府委員 いま政務次官がお答えになった面もございます。それから、気象庁として、いま四十五年度予算としてお願いしているうち、特に先ほども申し上げたことなんですが、レーダー情報網、レーダーの情報を流す組織、それから各気象観測所の——先生も御存じのように、いまは観測するということになると、雨の強いときも風の強いときも外へ出ていかなければならないというような状況でございますけれども、それを隔測化することによって、観測者にも便利であるし、また机の前で、雨がどのくらい降っているかということがすぐわかるような施設、そういうものをお願いしております。そういう意味で、内容的には、私、七%という数字にあまりこだわらないでいきたい。しかし、私まだまだいただきたいということを考えております。持に、いまから、御存じのように、気象衛星というような大きなことが問題になってまいります。そうしますと、やはり何十億というような金におそらくなってくるのではないか。その計画をいま私たちは練っております。こういうような時点で、ひとつ先生方にぜひ私はお願いしたいものだと思っております。やはり気象庁の予算は、これから先はそういう面でずいぶんふくらんでいかないと、私たちも新しい気象事業には取り組めない、そういうのが気象庁の現状でございます。
  152. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは次に、気象庁長官と、それから感想でもけっこうですから、政務次官に後ほどお答えをいただきたいと思います。  ぼりばあ丸に続きましてかりふおるにあ丸の沈没と、相次ぐ大型船の海難事故は御承知のとおりでございますが、構造上の欠陥か、あるいは気象の変化によるものか、そういったことはいまだ判明いたしておらないようでございます。しかし、波による急激なショックで船体が破壊するというふうな説もございます。私の資料によりますと、二十九年から三十六年の間では、東シナ海、九州近海の海難は一日平均二・三件、そのうち、気象に原因するものが五四%となっておる、このようになっております。そういう点を考え合わせますと、海上の観測を充実さす必要があるのではないか。この点をまず第一点としてお伺いしたいと思うのです。  そして、さらに定点観測、海上の観測における定点観測は紀伊半島沖五百キロ、これは南方定点観測というそうでございますが、地点に一ヵ所といわれておりますが、これで十分なものかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
  153. 吉武素二

    ○吉武政府委員 海上の気象資料というものは、非常に不足しておるのでございます。これは世界的な問題でして、何しろ陸よりは海のほうが広い。陸の上には、砂漠地帯とか人の住めないようなところにはあまり観測点はございませんけれども、まあまあという観測点があります。しかし、海の上には何しろ気象データというものが少ない。それで、これを何とか集めないことには、結局日本の島の上の気象の変化というものも海の上から伝わってくるわけでございますから、それをつかまないことにはすべてがうまくいかないということで、これは世界的な問題になっておりまして、いま国連の下部機関である世界気象機関というのがございます。そこが音頭をとりながら、何とかして海の上のデータを集めようじゃないか、それも新しい技術を使って、先生もちょっとおっしゃいましたブイというようなものも海の要所要所には据え付けるということをやって、しっかりしたデータを集めようということになっております。  で、南方定点は、一応台風の監視所という意味で、夏季、これは海上保安庁さんの援助を得て観測員を乗り込まし、そこで観測をやっております。しかし、何といっても広い海の一点でございます。一点はございますけれども、やはりデータのない場所だけに非常に貴重なデータを提供してくれております。しかし、何しろ海は広いわけでございます。定点観測船をあっちこっちばらまくということは、いろいろな面からできません。かつて気象庁は北方定点というものをやっておりました。現時点ではやっておりませんが、これも一ヵ所やるだけでたいへんなことでございます。いまからの気象観測というものは、ある限度の船はどうしても海の上で定点観測をやることが行なわれると思います。しかし、それをあまり数ばらまくということは、世界の人もだれも考えておりません。気象衛星とか、そういうもので気象観測はできるじゃないかというような、かなりな研究もなされ、もう現に日本の空を飛んでいるアメリカの気象衛星でも、そういう海の上のかなり有力なデータを提供してくれております。気象庁としては、いまのところ、南方定点はそのまままだ続けていきたいと思っておりますが、北方定点を新しく再開するということは考えておりません。
  154. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいま先生おっしゃいました観測、特に海上観測の充実という面で、いま気象庁長官から御説明申し上げましたように、今後定点観測なりそのほかを急激にふやすということは、それほど考えていないということでございますが、しかし、また海上観測ということじゃなく、気象庁全体といたしまして、気象衛星そのほかのものを備える場合には、おそらく予算というものが大幅に増大するわけでございますが、しかし、一気にどうこうということはなかなかむずかしい問題でございますので、今後だんだんに予算というものをつけて、そして、その時期に参りましてそれに乗りおくれないような十分な処置というものを行なっていきたいというぐあいに考えております。
  155. 宮井泰良

    ○宮井委員 ただいまも政務次官から前向きの御答弁がございましたので、これ以上あれでございますが、私がお願いしておきたいことは、もちろん気象ロケットというものはどんどん進んでおるわけですが、雲の状態であるとか上空の気流の関係はそれでできますが、やはり地上また海上というものは、どうしても別なそういった機械で測量しなくちゃならない、そういうふうにも聞いております。そしてまた、いまもお話ございましたが、世界気象機構、WMOの第四回総会では、北方定点観測を将来の計画に組んでおる、そういうような話があったそうでございますが、それがまた日本の守備範囲になっている。財政上の問題もいまもございましたが、財政上の問題もあると思いますが、日本は特に気象条件が激しいところでもございますので、そういった線に沿って進めていただくように、これは私からお願いをするものでございます。  それはそれといたしまして、次に移らせていただきますが、ただいま申し上げました南方定点観測、現在ございます南方定点観測におきましては、現在海上保安庁の船を使って、観測員が一班十六名ずつ二交代で三十二名観測に当たっていると聞いておりますが、それを一班十三名、計二十六名に削減するといわれております。これは予備員が一名加わるというようなことも聞いておりますが、それでは満足な観測ができないと私は思うのですが、どういう理由でそうなるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  156. 坂本勁介

    ○坂本政府委員 お答え申し上げます。  非常に話が具体的になりますが、従来、海上保安庁の船で、うちの観測員が海上保安庁のファックスを利用していろいろデータを入手しているといったようなことがございました。このファックスは海上保安庁のファックスでもございますので、海上保安庁の用にも使われますし、そのひまひまにうちの観測員も使うというようなことで、思うように当方だけのために使うというわけにはまいりませんでした。その点が今度当方限りのファックスをそれぞれの船に導入するといったようなことになりまして、より十全なファックスの活用化、要するに機械化がはかられるようになったこと。それから本庁等では、たとえばこの定点観測船につきましても、その他の海上航行一般船舶並みの通常の予報、気象通報といったようなものしか行なっておりませんでしたが、最近そのシステムを改めまして、船からの問い合わせがありました場合には、定点観測船には本庁から独自の情報をそれぞれ送るといったようなシステムも確立されましたので、その辺の関連で、定点観測船におきますいわば予報業務の簡易化が相当にはかれるということで、各船二名ずつ定員を減らしてもさしあたり業務に支障はない、こう判断したわけでございます。
  157. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは本会議も近づきまして、あまり時間がないようでございますので、もっとたくさん聞きたいことがあるのですが、ちょっと省きまして、あと二、三点聞いておきたい。  午前三時の海上の気象データというのがその日の朝の天気予報の基礎資料となる、そういうふうに私は承知いたしておりますが、そういった朝の予報というのは、漁船でありますとかあらゆる産業に、きょうの予報というのは大事なことでございます。その間に日本海域の気象観測は空白になっておる、非常に入手が困難であるということを聞いておりますが、そういうことはないか、万全の体制になっておるかどうか。また、午前三時の気象状況の連絡を入れてくれる篤志船、すなわち、進んでやってくれる漁船をさがしておられるようでございますが、それはその後どうなったか。また、そのような船に——これは私のことばが行き過ぎかどうかわかりませんが、そういう船にたよらなくてはならないとすれば、もっともっと観測網の充実をはからなくてはならないのではないか、このように考えるわけですが、その点明快に御答弁をお願いいたします。
  158. 吉武素二

    ○吉武政府委員 いろんな船のほうの御都合もあったようで、午前三時の船からの気象電報が入らなくなったのは事実でございます。これは日本だけの問題ではございませんで、世界じゅうの問題になっているわけでございます。しかし、それだからといって、ほっておくわけにはいきません。何とかして新しい技術を導入しながらその空白を埋めていかなければいけない。一例を申し上げますと、いま日本と米国でいろんな技術的な討論をしながらやっておりますが、それは船に自動気象観測装置を置きまして、機械が自動的に電報を組んで、それを電波で発信する、そういうものを船に積み込もうじゃないか、そうすれば、船の方に御迷惑をかけないで、きまった時間にはきまった電報が入ってくる、そういうような新しい技術をいま熱心に開発しつつあります。  それから先生のおっしゃったような篤志船、そういうようなことも、いま私が申し上げましたようなことが実現するにはやはりなかなか時間もかかりますから、船の御協力が何とかして得られないものだろうかという点では、船関係の人とも今後話し合いを進めていって、やはり海難事故がなるべく少なくなるよう、私も最善の努力をいたしたいと思っております。
  159. 宮井泰良

    ○宮井委員 これは政務次官にお尋ねしたいと思うのですが、北洋オホーツク海まで気象庁の観測船が出ておるわけでございます。海上保安庁の船も行かないところに、三百トンクラスの、それも老朽船と聞いております。霧の発生あるいは着氷の危険をおかして観測をしておる。このような状況だそうでございますが、食料、水にも限度があり、設備も十分でないならば、観測に非常に困難ではないか。また、もしもそういうことがあれば、人命尊重の上からも、十分なる観測の上からも、まことに憂えるべき現状であると思いますが、いかがでございましょうか。
  160. 山村新治郎

    山村政府委員 お答えいたします。  これは函館観測所の船だと思いますが、この船の航行いたします範囲というのは、食料、水を十分に積んでまいりますが、それが危険にさらされるような遠距離までは行っておりません。
  161. 宮井泰良

    ○宮井委員 さらに政務次官にお尋ねいたしますが、昨年四月八日、佐藤総理は内閣委員会におきまして、「気象観測などはこれから最も大事なことで、そういうところで人を減らしていいわけはないのです。」このように発言されております。また、一昨年の飛騨川事故の直後、衆議院災害対策特別委員会で、気象観測網の大幅な充実強化、気象業務に従事する職員の確保とその待遇等について特別の配慮を行なうと決議いたしております。政務次官も御承知のとおり、どんな小さな測候所でも、船に従事する人は唯一のたよりとして、ある場合にはアリューシャン列島の近くからでも問い合わせがあるそうであります。また御前崎を例にとりますと、その判断により一そうの船が出航いたしますと、約五百そうにのぼる漁船が一斉に出航するといわれておりますが、こういった点で気象業務は非常に重大な任務であると思います。ところが、増員どころか、逆に削減されていく方向にある。その他、災害を未然に防ぐことは、もちろんじみな仕事ではございますが、先ほども申しましたとおり、大衆の日常生活にとけ込んだ必要条件となっておると思います。その点、どのような御見解であるか、お聞きしたいと思います。
  162. 山村新治郎

    山村政府委員 お答えいたします。  この総理の発言は、いわゆる気象観測というものは、気象庁にとって非常に重要な業務でありまして、この今回の整備にあたって、これを弱体化することがあってはならないという意味で言われたことであろうと思います。しかしまた、今回のこの定員の削減というものは、政府全体として、定員管理等を強力に推進し行政機構の改革を行なおうとするものでありまして、これを気象庁のみを例外とするということは、やはり政府の政治姿勢の根本をくずすということになるために、どうしても例外とすることはできません。しかし、ここで気象庁といたしましては、自然災害の防止軽減という——特に日本の気象は、先ほど先生がおっしゃいましたように、変化が著しいものがございます。国民の生命、財産、これに直接かかわりのある現業の業務、これを行なっておりますので、その削減数の割り当てにあたりましては、現業職員、研究職員等について軽減率をかける算出がいたされております。また運輸省内におきましても、割り当てに際しまして若干の調整をするよう配慮いたして、現在実行いたしておるわけでございます。
  163. 宮井泰良

    ○宮井委員 それでは時間がございませんので、最後に一問だけ、私は、これは強力に推進していただきたいということで……。  日本海総合開発の一環として、気象庁は昨年から洋上自動海象気象観測装置、すなわち、ブイロボットの製作を進め、一号ブイはすでに実験を行なったと聞いております。その結果は良好である。これは日夜気象解析にそういった有力な資料を提供し、水産界には海況の解明に、船舶には浮かぶ灯台として航行の安全に大きな貢献をする、このように聞いておりますが、私もこれは画期的なものと考えます。強力に推進するべきであると思います。二号ブイの計画、さらに将来の計画はどのようになっており、また非常にお金がかかると思いますが、予算面ではどうか、どのくらいの予算が必要であり、見通しはどうか、この点をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。
  164. 吉武素二

    ○吉武政府委員 私も、ブイというと、さしあたって海の上のデータをとるのに非常に有力なものだと世界の多くの人々も考えております。日本で昨年日本海に、一つ試作したのを、これはある意味では試験的にある期間置いてデータをとったのでございますが、これは舞鶴でりっぱにそのデータを受信いたしました。特に日本海はこの資料のないところでございますから、こういうことは今後進めていきたいと思いますが、何しろ一個一億五千万以上もかかるようなものでございます。特にまた太平洋というところになりますと、何しろ海の深さだけで何千メートル、その底へおもりを入れて綱でつないでおかなければいけない、しかも流れは黒潮があるというような問題もありまして、なかなか技術的にむずかしい面もあります。四十五年度には一応どうもならないので、日本海に一つ据えて、それを使って新しいデータもやるし、また技術的な検討をも加えつつ、四十六年度あたりからその実際の実行にとりかかっていきたい。私たちがいま考えておりますのは、大体日本近海——といっても太平洋は広うございますが、十五個ぐらいを太平洋に置きたいというように考えております。今後そういう点では強力に進めていきたいと考えております。
  165. 福井勇

    福井委員長 井野正揮君。
  166. 井野正揮

    ○井野委員 割り当て時間が半分になってしまいましたので、私もかけ足でやりますから、要点だけ答えてください。  まず第一に、実は国鉄の再建案あるいは先ほどの総裁のいろいろなお話を聞いて、私非常に不満があるのです。世論にたたかれて、赤字だ、赤字だとすっかり縮み込んでしまって、本来国鉄が負うべき責任でないものまで背負い込んだ要因が、赤字の中で十分ある。しかも、私どももあの運賃値上げには反対をしましたけれども、それは国鉄運賃が高いから値上げに反対だというのではないのです。これは、公共料金その他のインフレ抑止政策として政府は責任をもってやれという裏には、国家の責任でもって見なければならない国鉄の経費、そういうものに対して、もっと前向きの姿勢でいかなければならぬじゃないか、こういう気持ちが私どもの中にあるわけです。ところが、今度の再建案の中で、国鉄というものは要員を減らすために労働組合にけんかを売っているような表現がある。本来であれば……(「担当が違う」と呼ぶ者あり)いや、総裁がいないから、かぜを引いて休むというから、かわりにわかるものが来たということになっておる。  そこで、非常に問題なのは、やはりああいう合理化をやるというときに、合理化即首切りだというような印象を与えることは、国民に対して不誠実なやり方だ、こういうことを言いたいと思うのです。  私、これは前の話で、きょうは資料提出を願いたいと思うのです。どういうことかといいますと、最近あまりにも私の友人の国鉄の人が死ぬのです、五十四か五十五、六ぐらいで。そしてまた恩給を一年か二年もらったら死ぬ。国鉄OB会というものがあって、招待されたので行ってみた。六十四、五だというのに、全くお年寄りだ。これは一体何を意味するかというと——私はどういうことを調べてほしいかというと、退職者の実態調査ができておるだろうと思います。これは膨大ないろいろな参考になる資料になると思いますので、ぜひ、一つには定年退職後の経緯ですね、転帰、これが一つ。何歳で何人死んで、何歳で何人死んで、いま一番年寄りで支給を受けたのは何歳であるか、これは年齢別に出ますね、共済年金がありますから。これが一つ。もう一つは、就職中における死亡、病気ですね、この統計をひとつお出しをいただきたいと思う。  私はこういうことを言いますのは、昨年私は五千戸ほどのこういう労働者のうちを歩いてみましたけれども、(「事前運動だ」と呼ぶ者あり)国鉄の職員の住宅ほどみじめなものはない。ほんとうですよ。これは事前運動だろうとかなんとかいうが、民情調査をするのはわれわれの仕事ですから、熱心に果敢にやった。ところが、全逓にしても、電通にしても、あるいは農林省にしても、最近住宅の改革で、すばらしいものができていますよ。ところが、国鉄のはすぐわかる。ああ、このきたないところにいるのは国鉄だな、こうなんです。このことについて、一体国鉄は合理化を急ぐあまりに、明治以来国鉄に奉仕してきた職員にどのようなあたたかい感じを持って迎えようとしておるか、この点を私はお聞きしたいのです。これは私、総理の施政方針を読み上げるのをやめます、時間がなくなりましたから。いま言った点、これは資料ですから、お返事は要りません。  その次、これは先ほど同僚の斉藤委員もお触れになりましたが、今度私は国会議員になってみて非常にびっくりしたことがあるのです。それは建設公団ですね、それから国鉄、運輸省、大蔵省。いま現に建設公団で建設中の鉄道で、一線が全部できなければ使わせないというような性格のものではないであろうと思う。これはどんな形になろうと、たとえば公団のものを国鉄のほうへ移せば、その金利はかからぬようになるとかなんとか、いろいろなことがあるようです。公団が渡さないうちは公団が金利を払っておらなければならぬという問題があるようです。それは公団、国鉄、運輸省、大蔵省の問題であって、最終的に完成のできるものを完成させないで国民の用に供さなければ、これは死に金であり、利息だけはかかっていっているわけですから、投資が有効に働かないわけなんです。ところが、公団では、もうすでにでき上がって、ある一定期間交通の事情等から見て供用を開始すべきものが、あとわずかの工事を残して、言いかえれば、路線もできたが、あとちょっとの小さな鉄橋とか、そういうものを残して完成をしない。ことしは予算の都合で金を向こうに回したからできません、こういうやり方をしている。これは国の金を使って国民に奉仕する政府の姿勢から、全体として重大な責任だと思うのですが、その一例として、私どものほうで、地元の陳情をするわけではございませんが、追分と千歳間、これが残っております。これはもうできそうになってから、私の落選しておる三年間、できそうでできない。これはまことにうまくないと思います。こういう点等について、例をあげればまだたくさんございます。これはあくまでも投下した資本の効果をはかるのが私は正しいと思います。こういう点は大臣にお聞きしたいところですが、次官、ひとつ、選挙関係だとかそういうものに関係なしに、予算の効率を高めるという意味でお返事をいただきたいと思います。
  167. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいま先生おっしゃいました線は、ひとつ調査いたして、何はともあれ、運輸省の方針といたしましては、できるだけ能率をあげる、そして効果があがるように、むだづかいのないように、そういう金の使い方をしたいと思いますので、今後も調査いたして善処してまいりたいと思います。
  168. 井野正揮

    ○井野委員 これはぜひ調査をしていただいて、投下資本を寝かさないように、さっそく国民の便利をはかるように、公団と国鉄の間の調整を急いでいただきたいことをお願いをしておきたいと思います。きょうはお返事をもらおうといっても無理だろうと思います。  その次に、自動車のほうの御意見を伺いたいと思うのですが、自動車を買うときに、車庫を持っておるか持っていないかということを確認しないと自動車のナンバーはくれないのですね。そこで、東京にいるのに、群馬県だとか埼玉県だとか、車の台数とあれとは必ずしも一致していないのですが、そのことはいま質問ではないのですが、東京に来て住んでみて、非常に大切なのは、都市計画をやるときに、従来子供の遊園地だとかいろいろなきめられたものがありますね、これの中に、今日の人口数と車の分布とを考えて、都市計画をやるときに、車の駐車場、これを設置することを将来は計画の中に義務づけるようにしてはどうかという考え方を持っておるのですが、この点は御検討になっておられるかどうか。  もう一点聞きます。もう一つ聞きますのは、主としてホテルのようなものを建てるときに、これは必ずいまはバスとか自家用車が集中しますが、これはほとんど駐車場がございません。また補助金もないわけですね。融資には若干加味しておるそうですが、この点は、たとえホテルの持つ駐車場であっても、公共的なものと考え補助を出すとか、あるいは融資をするとか、また財産取得した場合の税金を免除するとかいうような措置考えないと、この都市の交通対策の一助にすることはできないじゃないかという気がするのですが、この点はどうですか。
  169. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いまの御意見の中で、自動車の保管ということにつきましては、自動車の保管場所の確保等に関する法律がございまして、自動車を新しく登録いたします場合においては、一定地域、たとえば東京におきましては車庫を持っていることが要件になっているわけでございまして、これにつきましては、運送事業者については運輸省、それから自家用につきましては警察ということでやっておるわけでございまして、われわれ自動車の監督をいたしております面から申し上げますと、自動車を円滑に使用いたしますためには、車庫あるいは駐車場、さらにはバスとかタクシーのようなものについては公共的な駐車場施設がぜひ必要であると考えておる次第でございまして、それらを今後充実するように運輸省といたしましても努力をいたすつもりでございます。  しかしながら、いま御指摘の都市計画の点等につきましては、建設省のほうが主管をいたしておりますので、われわれといたしましては、十分連絡いたしまして、先ほど申し上げましたように、自動車使用を円滑にする方向に努力いたしたいと思います。
  170. 井野正揮

    ○井野委員 その次は、タクシーの認可の傾向についてお尋ねをしたいと思いますが、実は私はあまり関心がなかったのですが、過日地元へ帰りましたときに、懇談を持ちたいということで、初めて会うような人々の会合に出ました。このときに、タクシーの台数はどんどん地方都市でふえるけれども、認可は、北海道でいいますと、札幌に本店を持つ業者の支店としての台数はふえるけれども、人口二十万になる室蘭で出しても、ほとんど認可されない。これは一体どういうことなんだ。何か一定の系統的なものがあって、許可方針の中にそういうものがあるのか。室蘭でも二十万の人口があるのですから、実はタクシー会社の二十台や五十台のようなものを経営できないことはない、あるいは経営できる人がいないということはないのですが、私がお尋ねしたいことは、三十六年に一社だけが許可されたらしいのですが、この傾向は、一例を室蘭にとりましたが、そう言われてみると、近郊都市は全部そういう形になっております。中には、御反論として、許可したけれども、経営ができなくて、労働争議などが起こって、大きな会社に吸収されたというお返事がくるかもしれません。そういう例も知っております。しかし、一つの傾向としては、確かにそういう傾向が見受けられるのです。ここは何かお考えがあってのことか、それとも偶然にそうなったのか。偶然にならないように地域に与えていくとすれば、どういうところを考えればよろしいのか、ひとつしかとお教えを願いたいと思います。
  171. 山村新治郎

    山村政府委員 運輸省といたしましては、タクシーの免許につきましては、道路運送法の免許基準、これに従いまして厳正な審査の上において、適格者を免許するということをいたしておるわけでございまして、中央都市とか大資本優先とか、そういうようなことは決してやっていないつもりでございます。
  172. 井野正揮

    ○井野委員 そういうお返事が返ってくるだろうと思ってお聞きをしたのですが、しかし、戦後二十五年というか、その間一貫してそういう現象があらわれているとすれば、やはりいままで申請が出ていないわけじゃないのですから、きょうはそういう議論をしようと思っていないのですが、何かの原因があるのだろうと私も考える。  そうすると、もう一つ次官にお尋ねしたいのは、そういうものはなるべく地元資本と密着して、住民感情と融合のとれる人を、不足な条件があれば指導して整えさせて許可をするという行き方は好ましいと思いますか、好ましくないと思いますか。
  173. 山村新治郎

    山村政府委員 私といたしましては、ただいま先生おっしゃいましたように、いわゆる地元優先と申しますか、そういうことは好ましい、そう思っております。
  174. 井野正揮

    ○井野委員 都市が膨張していっております苫小牧とか室蘭ですから、必ず申請が出ると思います。ぜひ次官の御答弁のような精神で、もし申請者の条件が具備されていないとすれば的確に指摘をして、それが許可されるような方向に御指導賜わりたいと思います。そういう方向をとっていただけるということであれば、私は非常に大きな収穫だと思います。
  175. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいま先生おっしゃったような趣旨を出先のほうに一応伝えます。
  176. 井野正揮

    ○井野委員 一応ですか。
  177. 山村新治郎

    山村政府委員 よく伝えまして、先生の趣旨が徹底するようにいたしたいと思います。
  178. 井野正揮

    ○井野委員 次に、自動車の整備工場の育成の問題について、運輸省が非常に御努力なさっておるし、また非常な成果があがっておることは、私もこの機会に労を多として認めたいと思います。ただ、そういう御努力にもかかわらず、なおその業界の実態は、一人から五人くらいの整備士のところが七五%というような実情であり、協同組合あるいは整備振興協会等を通じてやっておられますけれども、この非常に高度成長していく経済に比べまして、かなり援助していかないと立ちおくれる、また、せっかく追いついたけれどもまた立ちおくれてしまうという心配があるように思います。もう一つは、これは誤解だというような運輸省説明ではございましたけれども、振興協会の手を通じて整備士の賃金というんですか、何とかレートと言っておりますね、一時間当たりの賃金の問題整備料金に関係するやつですね、これが北海道の場合は千円ときめられておるそうです。ところが、他の物価は全部五%か七%高い北海道物価がある。ちょっと考えてみましても、六ヵ月冬だというときに、整備工場は東京と違いまして、暖房が要る、車は雪がついてくる、それを落としてかわかすなどということでは非常に人件費も経費もかかるのに、この料金の取りきめのときだけは北海道のほうが安い、こうなっておりまして、加えてそういう事情の中に整備工を雇うことが非常に困難だ。したがって、これをぜひ北海道価格なみに上げてもらいたいということなんですが、お聞きしますと、運輸省はそんな指示をした覚えはない。末端へ行くと、いや運輸省の指示だということになって、陸運事務所のほうから指導を受けておる。水かけ論でございますから、ここでそうではないのだという御答弁をいただければこの問題は解決がつきますので、どこで間違って運輸省の方針だということになったのか、これはただしてみればよろしかろうと思いますので、そういう点でこの点ひとつお答え願いたいと思います。
  179. 山村新治郎

    山村政府委員 詳しく存じませんので、自動車局長のほうから……。
  180. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 整備の料金の公正ということで、料金につきましては、公正なものを店頭に掲示する等の指示をいたしております。それから、いま御指摘のは賃金でございますけれども、賃金は、作業時間と一時間当たりの単価、これをレーバーレートと言っております。作業時間につきましては、一つのものを修理するについては、おおむね作業時間というものは一定のものがございますから、これは疑義がないように中央団体から標準的なものを示すというふうにいたしております。いわゆる時間表については示しておるわけでございますが、その単価につきましては、これは各工場ごとの自主性によりまして算定さすということでございますので、賃金全体につきまして運輸省あるいは中央団体から統制指示はしていない次第でございます。
  181. 井野正揮

    ○井野委員 自動車振興協会が——やはり末端の工場主あたりは、運輸省の方針と理解しているようです。いまの局長の答弁でわかりました。やはり振興協会そのものがかなり官制化しているという証左だと思うのです。これは振興協会をつくった趣旨とは少しく逸脱しているのではないか、こう思いますので、この点は今後そういう誤解を起こさせないように、自主的なものであり、協会内部のものである、運輸省の意図するところではない、こういうことであるならば、その点ははっきりさせないと、官制統制的感覚を受けている。間違いのないところです。私もかなり長い間座談会をやって聞いてみたんです。この点は御答弁でわかりました。ぜひそういうことのないように指導していただきたいと思います。  あと二分ほどありますので、最後にもう一つ。  それで、この協同組合をつくって共同作業、共同経営を進められておりますが、特に指定工場等になるために大事なのは、車体の亀裂検査機ですか、検定機ですか、これなどはかなり高額で、従来はこの振興法に基づく融資と低利な長期資金などでめんどうを見ておられるようでありますが、一般機械貸与のような形で、ぜひいま一歩踏み込んだ濃密な援助を与えるべきだと思いますが、この点はいかがですか。
  182. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 従来、近代化促進法の指定になりまして、その助成法により国と都道府県が半額ずつの資金を貸し出すという設備近代化資金の借り入れの方法、それから近代化促進の特別融資制度によります方法、これらによりまして、実績といたしましては二十八億でございますが、いま御指摘の中小企業近代化設備貸与制度、これは機械類等を購入いたします場合に、貸与利率五%というのでございます。そういう制度はございますけれども整備工場につきます実績というものがあまりないということでございまして、せっかくの制度がございますから、これを周知して利用さすようにしたい。いま御指摘のとおり、中小企業でございますから、この融資、金融の面につきまして、できるだけ諸制度を活用して、それらの中小企業がこれから発達していくように努力をいたしたいと考えます。
  183. 井野正揮

    ○井野委員 これで終わりたいと思いますが、たいへん舌足らずの質問にもかかわらず、的確な御答弁をいただいて、感謝いたします。しかし、それが単なるおことばだけでなしに、あすから実行するわけでございますから、ぜひその際は、なるほど実のある審議をしたという結果になりますように期待をいたします。
  184. 福井勇

    福井委員長 次に和田春生君。
  185. 和田春生

    ○和田(春)委員 本日は本会議の関係で時間もたいへん限られておりますので、船舶の安全問題に焦点をしぼりまして、この前の予算委員会ではっきりしなかった点等について、政府考え方、所信をただしたいと思います。  なお、きわめて重要な問題でありますから、本来なら運輸大臣の御出席を願うところでございますが、政府・与党の国会運営に協力をいたしておりますので、その点は俊秀なる政務次官が、しかと大臣のかわりをおつとめをいただくようにお願いをしておきます。  予算委員会で、船舶安全法の運用と船舶の検査と政府の責任につきまして質問をいたしました。その続きという気持ちでお答えを願いたいのでございますが、本年悲惨な事故を起こしましたかりふおるにあ丸については、予算委員会で指摘いたしましたように、満載喫水線を改めたことによりまして、積載重量トンがかなりふえておるわけでございます。この点について、かりふおるにあ丸に増トンを認めたのは何年何月何日であるか、お伺いをいたしたいと思います。
  186. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 お答えいたします。  かりふおるにあ丸につきまして、改造をいたしまして、新しい満載喫水線条約の趣旨にのっとりまして再指定したのは四十三年の五月十四日でございます。
  187. 和田春生

    ○和田(春)委員 これと関連する国際満載喫水線条約、いわゆるLLC条約の発効した日付と、新しい国際満載喫水線条約に基づく規則の発効した日取りをお伺いいたしたいと思います。
  188. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 この条約が日本に発効しましたのは昭和四十三年八月十五日でございます。
  189. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういたしますと、規則が発効したのが四十三年八月でございまして、その発効以前に、すでにかりふおるにあ丸は三ヵ月前に増トンが行なわれているわけでございます。しかも、私どもの調べたところによりますと、その前年の四十二年十月からかりふおるにあ丸は増トン工事の第一回に着手をしているわけでございますが、規則並びにそれに基づく諸体制が十分整わないうちに、かくも早く、競技でいってみればフライングスタートに匹敵するような、工事が先行し、規則の発効前にすでに増トンを認めているということは、どういう必要によってそういう措置をおとりになったのか、お伺いしたいと思います。
  190. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 必要性ということはちょっとはっきりいたしませんが、実はかりふおるにあ丸は貨物船の一般の乾舷を従来とっております。ところが、この構造がタンカータイプの船でございますので、もし十分なタンカー構造にいたしますと、従来でも条約によりまして、タンカーに近い、あるいはタンカーと同じ喫水をとれるというようになっておったわけでございます。たまたまこの新しい条約ができまして、この条約によりまして、指定するためのいろいろな指定条件がございますが、これが満足されますと、前の条約によりましても満載喫水線をつけることができるということを利用しまして、今度の新しい満載喫水線を指定したわけでございます。なお、日本に先立ちまして、すでに九月一日にはイギリスが、それから九月十五日にはリベリアが、それぞれこれを実施するという通牒を出しております。日本は十月一日から通達を出しまして実施した次第でございます。
  191. 和田春生

    ○和田(春)委員 この点につきまして、予算委員会で、私どもが外国から得た情報によると、国際満載喫水線の改正については、日本がイニシアチブをとったというふうに聞いているがどうかということについて、必ずしも明確なお答えはございませんでした。その後、国内関係の文書を調べましたところ、昭和四十一年の九月二十四日、第十七回の造船技術審議会の船舶安全部会に、運輸省船舶局の名前によって、大型船舶の満載喫水線についてという印刷物が配付をされております。その印刷物によりますと、この条約ではわが国の提案が大幅に採択され、特に大型船舶については、新条約は日本提案を骨子とするものとなった、こういうふうにうたっておりました。さらに引き続いて、一九六六年の条約発効はおそらく二、三年後と見られるが、これに先立って現行条約で認められる範囲内で新条約の内容を早期に実施することは、わが国船主経済にとって有利であり、海運企業の国際競争力の強化にも有効と考えるので、下記の措置をとることとしたい、こういう文書が船舶局から出ているわけでございます。この文書は船舶局長御存じですね。
  192. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  193. 和田春生

    ○和田(春)委員 そういたしますと、前回の予算委員会の質問で私が重点を置いてお伺いいたしましたように、船主はやはりコストをできるだけ安くあげ、大量に荷物を輸送して収益をあげることが有利でありますから、ともすれば企業の性質として、いい悪いは別にして、そういうふうに流れがちである、これをチェックして安全を維持するために安全法があり、政府の権利、責任があるということを追及いたしました。経済優先で安全が第二に流れたのではないかということを追及いたしました。これに対しまして政府は、いろいろな点を勘案して十分処置をしているつもりであるというような意味の御答弁があったわけでございますが、いま船舶局長のお認めになった文書によりますと、安全という観念は全然どこにもない。それは船主経済にとって有利であるということで、このような実施を急いだことの一つの、むしろ唯一の理由として掲げられているわけでございますけれども、この事実は承認をされますか。
  194. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 安全に関する条約に関しましては、先生もすでに御存じでございますけれども、海上人命安全条約があります。それに国際満載喫水線条約がございますが、ともに安全を第一にした条約でございます。したがいまして、この条約を施行するということは、安全を確保するということを表明したことにほかならないわけであります。したがいまして、通達といたしましては、これは経済的にも非常に役立つものであるということを大体うたったと思いますが、決して安全を第二にしたというふうにわれわれは思っておりません。
  195. 和田春生

    ○和田(春)委員 それではかりふおるにあ丸の増トン工事に関連いたしまして、具体的にお伺いいたしたいと思いますが、この前も申し上げましたように、この喫水線の変更によりまして、従来五万六千四百七十四キロトンの積載重量トンであったものが、六万二千百四十七キロトンと、約五千六百七十トンもふえているわけでございまして、一割強積載重量はふえました。この変更のために、かりふおるにあ丸の満載最大喫水が十二メートル〇九四から十三メートル〇五三に、約九十六センチ、ほとんど一メートル近く喫水がふえておるわけでございます。これに伴いまして、若干の増トン工事をやっておりますけれども、その増トン工事の内容について政府承知をしておられるかどうか、お伺いしたいと思います。
  196. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 承知をしております。
  197. 和田春生

    ○和田(春)委員 この増トン工事によってかりふおるにあ丸の安全性は十分に確保され、多く積むことによってなお安全性が増したと考えておられますか。
  198. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 ルールで大体チェックしておりますが、そのルールに当てはめておりますので、その安全は確保している、こういうふうに考えているわけでございます。
  199. 和田春生

    ○和田(春)委員 この増トン工事にかかった費用は約六千三百五十万円でございます。かりふおるにあ丸の契約船価は約二十億円でございますから、たいへん僅少の費用で多く積めるようになったわけでございますから、確かに船主経済にとってはプラスになった。その事実は私どもも認めます。ところが、この増トン工事によって、本船が建造されるときの設計構造におきましては、船首の一、二番区画に浸水しても沈まない、つまりA級の形でつくられておったわけでございますけれども、増トンの結果、本船は一九六六年のLLC条約、満載喫水線条約のBクラスに適合させ、増トンを認めたことになっておりますが、Bクラスというと、御承知のように、一区画可浸でありますから、新造時においては二区画に浸水しても沈まないという前提で設計された船が、この増トン工事の結果、一区画に浸水しても沈まないという形で、二区画可浸の条件がはずされている。この事実は政府は事前に御存じでございますか。
  200. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 この新しい条約によりまして、一区画可浸ということが日本の提案で条約に入ったわけであります。こういう意味で、いままでは実際的には設計の段階でやりますが、形式的に規則としてこういうことをやるというふうにしたのは、先ほどのお話と関連しまして、日本側から区画浸水を強調して入った経緯がありまして、この二区画を一区画にしたということにはならないかと存じます。
  201. 和田春生

    ○和田(春)委員 私の質問とお答えと違っているわけでございます。日本の提案で区画浸水ということを入れたか入れないかということをお伺いしているのではない。造船所によりますと、かりふおるにあ丸がつくられたときには、新造時には、船首一、二番区画に浸水しても沈まない、こういう前提のもとに設計をされ、船がつくられたわけでございます。ところが、増トン後の検査におきましては、これがノーテーションB、つまり、一区画浸水だけでは沈まないというふうに条件が緩和されておるわけでありますから、これは専門的に見ても、常識的に見ても、本船の安全性はかなりにダウンをしたということになると思う。そのことについて政府は事前に承知しておったか、こういうことをお伺いしているわけでございます。
  202. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 実はBの線までやりましたが、二区画浸水にいたしますと、もう一つ下のタンカーの線までフリーボードを減らすことができるわけです。そこで、この場合には強力の問題もございますので、そのほうと勘案しましてBまでこれを許した、こういうことに相なっております。
  203. 和田春生

    ○和田(春)委員 はっきりお答えください。船舶の安全というものについては、船体の強度ということはもちろん大事であります。しかし、鉄のかたまりが水の上に浮かんでいるわけでありますから、事故なきを期しても、絶対無事故というわけにはいかない。何らかの形で損傷をする。そういう場合に、船舶には人間が乗っているわけですから、船舶の安全即人間の安全につながっているわけであります。そのために、簡単には船が沈まないようにするために、予備浮力というものは非常に大切なものであります。このかりふおるにあ丸は、建造時には明らかに二区画に浸水しても沈まない、それだけの予備浮力を持った船としてつくられた。ところが、日本政府の意見が大かた取り入れられて、一路その線に沿って改正をされた国際満載喫水線条約、それよりもさらに事前に、われわれから言わせればフライングスタートだと思いますが、政府はされてないと言うんですけれども工事を始めて、増トンが行なわれた。ところが、その結果、NKの検査によりましても、一区画浸水の条件で設計をされているわけなんです。そうすると、浮力という点において船舶の安全性は大幅に低下したと考えるのが、専門的に見ても、一般の常識で見ても、当然ではないか。強度の問題ではなくて、浮力の問題としてお伺いしているわけなんです。そういうことが行なわれるということを事前に政府承知しておって、これを認めたのかどうかということをお伺いしているわけなんです。
  204. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 事前にそれで予備浮力が減るかどうかということは、検査自体の問題でございまして、ちょっと私のほうでいますぐ御返事できかねるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、従来の古い条約によりますと、この区画浸水の問題がなかったのが、今度一応条約に入りまして、したがいまして、そういう点から、いままで言われなくてもいいことが言われるという点からいきますと、一般的には非常に条約としては安全になった。ただ、かりふおるにあ丸の場合には、その辺が私としてもいますぐわかりかねますので、後日また御返事したいと思います。
  205. 和田春生

    ○和田(春)委員 質問時間がたいへん短いのでございまして、質問にひとつ的確にお答え願いたいと思うのですが、船舶局長どうも的確にお答えありませんので、大体何を伺っているかということは政務次官おわかり願えたと思うのですけれども、ひとつ政務次官お答え願いたいと思います。——時間がございませんから、政務次官あれでしたらあとでお答えいただくとして、もう一ぺん簡単な質問を繰り返します。  かりふおるにあ丸ができたときには、造船所は、二区画に浸水をしても沈まない、そういう設計、そういう前提で船をつくった。これは満載喫水線の改定によってNKが検査したときには、Bというクラスは二区画浸水ではないのです。一区画浸水なら沈まないという形だから、二区画に浸水したら沈むかもわからない。そこまで保障せずに、一区画浸水という条件で増トン工事の検査を通過さしておる。それは浮力の面で、船舶の安全性というものは相当そこなわれていると考えなければならぬ。安全については十分配慮したと言うけれども政府はそういうことを事前に承知をして、このNKの検査を認めておったのかどうかということを聞いておるわけです。
  206. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 設計の面で、二区画浸水でだいじょうぶだということを言っていたとすれば、今度は一区画浸水ですから、先生がおっしゃるとおりに、安全の面では多少そこなわれた、こういうふうに考えられます。
  207. 和田春生

    ○和田(春)委員 御承知のように、かりふおるにあ丸で救助をされました乗り組み員の報告によりますと、まず一番の区画がやられ、二番の区画がやられまして、船は急速に沈んでいるわけであります。したがいまして、もし設計をされ、新造当時の条件を保っておったといたしますなら、かりふおるにあ丸はあの条件で沈まなかったかもわからない。そのことは、あの不幸な犠牲者を出さずに済んだかもわからない。そういうことに発展するわけでございます。こういう事実からやっていきますと、造船所のほうはNKの検査を通っているわけでありまして、この場合には、NKの検査をするために必要なデータは造船所から出されているわけでございますが、それに基づいてNKはこれを認めているわけです。しかし、今日こういう悲惨な事故が起きたという形になりますと、NKの行なっている検査につきましても、先般指摘いたしましたように、行政権力の行使として、その検査について最終責任は政府にある、こういうことを政府は言っていらっしゃるわけです。この事態について十分な責任をお感じになってしかるべきであると思いますけれども、その点について明確な所見を伺いたいと思います。
  208. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 日本海事協会の検査につきましては、これが故意かあるいは過失によって、船舶の検査基準に達していないというにかかわらず、基準に適合しているというようにもし考えて船級を与え、かつそのことが海難の原因となったとすれば、これは船級協会に責任がございますが、われわれのほうは船級協会を認可しておるという見地から、十分な行政的な責任を感じておるわけでございます。
  209. 和田春生

    ○和田(春)委員 確かに船舶安全法では、安全法による船舶の検査につきまして、船級協会のクラスを持っているクラスボートについては、政府の検査をやったことと同じ効力を認めているわけでございます。しかし、何度も言うようでありますけれども、伝統的な海運界で長年にわたって経験を経てきた、一万トンかあるいは二、三万トン程度までの船舶であるならば、過去の経験が生きておりますから、それでもたいした心配はなかったと思います。しかし、昭和四十年代を境にいたしまして、急激な巨船主義の時代になってまいりまして、従来の想像を絶するような大型船ができるようになったわけであります。しかも、そういう大型船を船会社と造船所が船をつくるとき契約をして、これでいこう、その設計時よりも一割以上も荷物をたくさん積めるようにする、そういう法規上の変更について政府がイニシアチブをとっている。そうなりますなら、NKの検査についても、もっと積極的に政府が介入をして、安全の面に不安なきを期するのが、行政府としての当然の責任ある態度であろうと思うわけであります。しかし、前回の質問、今回の質問を通じまして、ほとんど政府はそういう点に対してタッチをしていない、NKにまかせっぱなしのような形になっている、そういうふうに考えられておりますが、NKに対して政府はどういうような具体的な指導をされましたか、その点をお伺いしたいと思います。
  210. 佐藤美津雄

    佐藤(美)政府委員 海事協会では、技術基準の向上につとめておりまして、この規則は、管理委員会で一応認められております。その下に技術委員会がございます。なおその下にいろいろな部会を設けて、いろいろ検討しております。われわれのほうも実はその部会に入って検討しております。それで、結局最後は運輸省の認可になるわけでございます。そういうことでございますので、認可という面を通しまして行政的に十分に指導していきたい、かように考えております。
  211. 和田春生

    ○和田(春)委員 どうもその点、何度お伺いしてもはっきりしないわけでございますが、新聞紙上の伝えるところによりますと、海事協会のある検査のベテランが、船舶のバルクヘッドの数について相当重大な証言を、海難審判庁理事官の調べの段階におきまして言明をいたしておりますが、その後海難審判庁に呼び出されたところ、どこから圧力が加わったか知りませんけれども、前言とは違いまして、きわめてあいまいもことした証言しかしていない、こういう事実があるわけでございます。政府がご存知かどうかわかりませんが、府はあまりそういう検査について積極的ではない。実態的にはほとんどNK、日本海事協会に委任しっぱなしのような状態である。そして、その検査の過程でこういう事実が起きてきておる。どんどん大型鉱石船がつくられておるわけでありまして、このままうかつにしておりますと、あるいは第三、第四のたいへん不幸な事故が起こらないとも限らない。これは船舶の安全即人命の安全でございますが、そればかりではございません。かりふおるにあ丸クラスが一隻沈みますと、船価にして二十億円、積み荷を含めますと三十億円近い富が海底のもくずに消えるわけであります。これは保険でカバーされると言われるかもしれませんが、ああいうぼりばあ丸、かりふおるにあ丸の二つの事件が起きましたために、ロンドンにおけるいわゆる国際的な保険関係では、再保険につきまして、二〇%ないし五〇%の保険料の値上げという線を押してきております。その結果、日本の保険会社は、船主に対しまして、これらの大型船に対して、やはり二割ないし五割の保険料の値上げを要求しているわけであります。このことは、結局たいへん大きな経済的損失を伴い、しかも不安が一そう広がっているわけであります。こういう点を考えますと、この辺の検査の状況あるいは今後の巨船の建造並びに検査につきまして、抜本的な対策を立てて政府にしっかりしてもらわなければならぬ、こういう段階に来ているように思います。そういう点を考えますと、いずれこの審議が進みますならば、私は、船舶局長から明確な御答弁がない限り、NKの代表者も参考人として呼ぶようにしなければならぬかと考えております。  さらに、たいへん専門的な問題でございまして、この運輸委員会一般においてこれを詰めていくということについては、時間や審議の方法等もあろうかと思います。本日はこの点につきまして与えられた時間が残り少なでございますから、これ以上この質問を続けることは省略をいたしますが、この際、運輸省当局にはもっと明確に、はっきりまずい点はまずい、いい点はいい、改める点は改めるということを十分お答えできるように、しっかりと勉強するときに打ち合わせをしていただきたいと思う。まだこの質問はこれで終わりではございません。  そこで、委員長にお願いいたしますが、この種の問題を行ないますために、この運輸委員会の全体の審議を促進するということもかね合いまして、海運関係の小委員会を運輸委員会に設置していただきまして、特に大型船の安全問題を中心に調査、審議を進めますように、委員長のほうでしかるべくお取り計らいを願うようにお願いいたしたいと思います。
  212. 福井勇

    福井委員長 和田委員の委員長に対する御発言につきましては、理事会において協議いたしたいと存じます。
  213. 和田春生

    ○和田(春)委員 よろしくお願いいたします。  それでは、残された約五分の時間でございますから、質問の観点を変えまして、まず船員局長にお伺いをいたしたいと思います。  御承知のように、昭和四十三年の十月、運輸大臣の諮問によりまして、海技審議会において船舶職員法の改正が審議されまして、昨年の七月、その改正案が答申をされております。これは船員の希望のみならず、船主側の意見も入れて、関係する学者等の意見も入れまして、十分討議をされました結果、改善をするためにこの答申が行なわれたわけでありますが、今国会にいまだにこの船舶職員法の改正が提案をされておりません。しかも、これは与野党が激突をするというような内容であるならば別でございますけれども、この内容は、先ほど申し上げましたように、船主サイド、船員サイドあるいはその他の関係委員も十分な審議を尽くして、新しい時代に即応するように答申をしたものでございます。この船舶職員法がなぜ今回の国会に改正案が提案をされないのか、その点についてお伺いいたしたいと思います。
  214. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいま先生おっしゃられましたように、昨年の七月にいわゆる海技審議会より中間答申いただいております。そして現在なお引き続き審議中ということでございまして、今国会に改正案を提出したいと考えておりましたが、まだ最終答申はいただいておりません。そしてまた、時間的制約等によりまして、今国会への提出方を見合わせた次第でございます。しかし、中間答申中の海技従事者国家試験の免除、これに関しましては、一部、今国会に提出予定の許可認可等の整理に関する法律案、これに織り込んでおるという現実でございます。
  215. 和田春生

    ○和田(春)委員 その点につきましては私も承知をしておりますが、最終答申を得ておらないという政務次官のお話でございますけれども、これは全般について結論が出ていないので中間に報告をするという性質のものではなくて、まだあとから審議をして結論を出さなければならぬ問題も船舶職員法に関連してはたくさんあるわけでございますが、少なくともこの時点までに審議をしたことにつきましては結論を得ているわけでございます。そこで、早くやったほうがよいような問題もたくさんあるわけでございますけれども、まだ最終的に省内において法の改正案ができていないとすると、いつごろまでにそれをおつくりになるのか、その見通しについてお伺いをしたいと思います。
  216. 高林康一

    ○高林政府委員 御指摘のとおり、昨年の七月に答申をいただきました。その答申の内容につきましては、法律改正を要する事項、それから要しないで省令以下というようなこと、ないしは事実上の措置その他のいろいろな関係のものがございます。  そこで、法律改正を要します中で、特に大きい項目でございます学術試験の免除という点につきましては、先ほど政務次官から御答弁がございましたように、許認可等の臨時措置法で考えたい。これにつきましては、法律案がまとまり次第これをなるべく早くやりたい、そういうことで、現在は海技審議会の教育部会でその細目を検討しておる状況でございます。  なお、その他の事項につきましては、法律改正を要しないような事項が相当程度ございまして、それは逐次実施してまいるつもりで、現在それぞれの小委員会なり何なりで進めておりますそういうような問題については、問題によりまして近く結論が得られるものと、若干日時を要するものとがあると思いますけれども、そういうようなものも結論が出次第すぐに実施してまいりたいと考えております。  そこで、問題になります配乗別表の関係の改正、これはどうしても法律改正を要します。これについては、なお意見が必ずしも並列答申というような点で調整ができていない点もございますので、これは早急に調整して、今国会にはちょっと間に合わないかと思いますけれども、できるだけ早い機会にこれを提案したいと考えております。
  217. 和田春生

    ○和田(春)委員 この点につきましては、できるだけすみやかに改正作業を進めまして、国会に提案をされるように希望いたします。  最後に一問、保安庁長官にお伺いをいたしたいと思いますが、最近大型船がどんどん進出をしてまいりました。海上の交通安全ということが沿海並びに狭水道等において非常に重要になってまいっております。それを解決するために、海上交通法の制定が運輸大臣の諮問によりまして、昭和四十二年十月、海上安全審議会から答申がございました。それ以来すでに二年有余たつわけでございますが、今国会にも依然としてこの海上交通法案が提案をされておりません。この間の経緯について、簡潔に要点をお伺いいたしたいと思います。
  218. 河君一郎

    ○河君政府委員 ただいま先生お話しのございましたように、海上交通法案につきましては、現在まで国会に提出でき得る段階にはなっておりませんが、私どもといたしましては、いまお話しのございましたような狭水道における海上交通の諸状況から見まして、できるだけ早くこれを制定する必要がある、このように考えておることにつきましては、全く同様でございます。ただ、過去二年間のいろいろな折衝過程から見ますと、現在一番の問題は、このような航路を中心といたしました新しい流れによる航行規制を行ないます場合に、その同じ場所が漁労の場所であるということに関連いたしまして、主として沿岸漁業対策上、何らかの措置をこの際講じてほしいという非常に強い要望がありますので、この辺の問題を解決いたしたい、そのような関係で、現在のところ提出が非常に困難である、そういう状況でございます。
  219. 和田春生

    ○和田(春)委員 確かに沿岸漁業との触れ合いがあることは私どもも十分わかります。しかし、そのことにとらわれておって、この海上交通法の制定をおくらせまして、二十万トンとはいいません、十数万トンのタンカーでも万が一沿岸で事故を起こしますと、それこそ沿岸漁業は全滅に瀕するというような悲惨な事故になる危険があるわけであります。したがいまして、この点はもっと熱意を持って、この種の法案の国会提出に努力をされるように希望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  220. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後三時二十二分散会