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橋本国務大臣 物価問題はなかなかむずかしい問題でありまして、もちろん
政府としては、
お話のように、物価の値上がりを原則として極力押えていこうということで、諸般の対策を講じつりるわけでありますが、いろいろの条件から、たとえば最近においては異常乾燥というものから、生鮮野菜類及び魚介類が
中心になって、予定の物価指数をこえるような結果になっておることは御
承知のとおりであります。
私鉄関係あるいはバス、タクシー等の値上げ問題も、もちろん、これはこの点から
考えますれば好ましいことではないわけではあります。ただ、御
承知のように、公共企業体あるいは国営企業という場合には、これに対して、何とかしてやっていけるための財政
措置というものは、ある
程度構ずることができるわけであります。たとえば国鉄の場合でありますれば、特別な投融資を行なうなり、あるいは一般会計から助成金を出すなりということで、これが
措置を行なうことができます。しかしながら、私企業に対してなかなかそのような
措置が困難でありますから、したがって、私企業の場合
経営の基礎がくずれる、それがために、会社がそのような業務を遂行できない、こういう
状態に追い込むことはまことに危険千万でありますから、この点も一応やはりこの物価対策と合わせつつ
考えなければならぬ問題があるわけでございます。
御
承知のように、最近のいわゆる労働賃金の値上がり、それによってのタクシー料金の改定
——もちろん、それだけではありません。安全性の度を高めるとか、あるいは近代化を行なう、こういうような
意味及びタクシー会社のおそるべき赤字、こういう問題を処理するための問題もありましょうが、その主体となるものは、やはり労働賃金の値上がりをある
程度考えてやらなければならぬ、こういう点も
一つはあるわけでございます。それで、私鉄等の料金問題は、四十三年の十一月から四十四年の一月にかけて、十四社から料金改定の申請が出ておりまして、その間において
運輸省当局も十分に厳重公正に審査をいたしまして、そこでその必要性をある
程度認めて、
審議会のほうにこれが
答申を求めておるのが現在の
段階であります。その
一つは、もちろん私が最近皆さんにも申し上げましたが、何といっても、大都市
交通圏というものは、国鉄、地下鉄だけではどうにも解決がつかない。当然に私鉄の協力を得なければならぬ。あるいはまたタクシー等もその
一つであります。それがために、御
承知のように、四十二年でありましたか、四十二年から私鉄の大都市
交通圏の輸送量の
増加を要請しまして、そこで私鉄関係としては、四十二年度から五カ年
計画でこれの拡張及び安全性の確保、こういうことで仕事をしてまいっておるわけであります。これに対しての予算、これに必要な総
事業費は、
投資計画で四千八百八十七億円という相当の
金額になるわけであります。四十二年度以降から四十四年度までのこの三年間の
投資の進捗
状況を見ますと、大体これに対して
投資いたしました
金額は二千五百七十三億円、その進捗率は五三%であります。そのうち、運転、保安
投資については六〇%、この
状況を見ますと、一応順調に
投資計画が進められてまいっておるわけでありますが、残りの四十五年度、四十六年度、この二カ年間に残りの仕事をやってまいらなければならぬわけでありますけれども、その
投資に必要な借り入れ金なり何かの方法でやらなければならぬわけでありますけれども、それを遂行するためには、現在の料金収入だけでこれをやっていくということになれば、赤字の解消はもちろんのこと、その
投資額に対する
利子の支払いもできない、こういう
現状であります。したがって、もちろん、私はいま値上げをするという方針をきめておるわけではありませんけれども、しかしながら、大都市
交通圏の
整備は、一般市民が非常に心から待望し、かつまた要求のあるところでありますからして、国鉄が複々線もしくは三複線、こういうような
工事を進めておると同様に、私鉄においても大都市
交通圏の問題には協力してもらわなければ、通勤、通学の円滑化をはかることはできないわけでありまして、そういう
意味から
考えますと、いまの
状態で放置するならば、この五カ年
計画の遂行すら危ぶまれるのではなかろうか。こういう
考え方から、われわれは何らかの方法で
考えてやらなければならぬ。しかも、タクシー料金の値上げの場合を計算いたしましても、これが国民生活に影響するところのものは〇・〇幾ら、こういうような
数字であります。こまかい
数字は関係
局長から御答弁させますが、そのように生活に対する影響力が非常に少ない。しかし、生鮮野菜あるいは魚介等が最近六%をこえるといわれておるゆえんのものは、そのうちの相当数量、約二%に近いものは、最近の乾燥期における野菜出回りの不足、こういうものが大きく影響を与えております。こういう
意味から
考えましても、やはり
流通体系、輸送体系が
整備せられることは、
考えようによっては国民生活をある
程度経済的にすることが可能である。もしこれが非常な溢路になっておりますれば、かえって国民生活を脅かす原因となる。もちろん、われわれは物価抑制の方針に変わりはありませんけれども、このような
意味において、これらの点も何らかの形で
考えなければならぬ、かような
考えでおるわけであります。