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1970-03-10 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十日(火曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       河野 洋平君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       中村庸一郎君    西村 英一君       長谷川 峻君    古屋  亨君       増田甲子七君    金丸 徳重君       斉藤 正男君    楯 兼次郎君       田中 昭二君    宮井 泰良君       渡辺 武三君    田代 文久君       關谷 勝利君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         運輸省港湾局長 栗栖 義明君         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省自動車局         長       黒住 忠行君         気象庁長官   吉武 素二君  委員外出席者         日本国有鉄道常         務理事     長浜 正雄君         運輸委員会調査         室長      小西 眞一君     ————————————— 委員の異動 三月十日  辞任         補欠選任   渡辺 武三君     河村  勝君 同日  辞任         補欠選任   河村  勝君     渡辺 武三君     ————————————— 三月九日  港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六二号)  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七号)  港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第六二号)  自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (内閣提出第六七号)  陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関  する件等運輸行政基本施策)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議開きます。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑は去る六日に終了いたしております。  これより本案討論に付します。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。内藤良平君。
  3. 内藤良平

    内藤委員 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案について、反対討論をするものであります。  その理由は、千葉県成田三里塚を、羽田東京国際空港の現況から見て、長期にわたって航空輸送需要に対応することができ、将来における主要な国際航空路線の用に供することができるものであることの、大型国際空港建設地に決定したことであります。すなわち、昭和三十八年十二月十一日付の航空審議会答申には、敷地面積は二千三百ヘクタール程度を必要とすると明言しておるにもかかわらず、成田三里塚の新空港計画は、その半分以下の一千六十ヘクタールであって、しかも羽田空港限界に達しつつある現在、新空港は四十六年四月を目途に四千メートルの滑走路一本を中心とした、全計画のまた半分の施設が、第一期工事として完成する予定であることであります。これは答申面積の四分の一の狭さであります。  新空港計画以来すでに八年を経過し、航空界の日進月歩の現状は、すでに五百人の乗客を収容するジャンボジェット機がこの三月中に羽田に着陸せんとするときに、いまだに前述のごとき状況であることは、航空及び乗客安全対策からも再検討すべきであります。  また、空港建設工事進渉状況並びに第一期工事面積の狭隘なることを、土地所有者の根強い反対運動があるためというだけには当たらない原因があるといわざるを得ないのであります。この種の公共的施設建設には、土地所有者反対運動は必然のことであって、今日わが国の至るところにある問題であります。しからば、成田三里塚の場合は特別なものでありましょうか。土地所有者反対運動は第二、第三のことであって、特異なことは、答申書敷地面積に適合する大空港敷地であるべきものを、造成不可能な内陸地域耕作地帯に選定したことであります。したがって、答申面積を無視して、前述のとおり半分以下の面積計画発足せざるを得ない当初からの非合理的な発想が、今日わが国国際空港の将来を、眼前に迫っている超音速航空機SST時代を迎えるにあたって、きわめて憂慮すべき状況におとしいれていると思うのであります。すなわち、成田三里塚立地条件は、ジャンボジェットSST時代に耐え得る長期にわたっての国際空港としては、すでに面積の点において欠格であります。  その欠格の上に加えて、首都東京都との交通陸上にのみ求めたことも大きな失策でありましょう。四十六年四月にかりに空港は竣工しても、首都との交通が渋滞することは、現在でも明らかに指摘できるところであって、首都周辺交通渋帯と無関係に新空港東京都を短時間に輸送することは、まず困難な事業であろうと思います。  加えて、騒音をはじめとする大小の公害による周辺の住民の永久的な苦難と被害はおそるべきものであって、先進各国政府がその除去あるいは軽減を重視している最近の情勢も忘れてはなりません。  さらに、去る三月八日の日本経済新聞の記事によれば、誘導灯用地買収が緊急に必要なことが判明したと報じていますが、この面積は全計画で百十七ヘクタール、第一期工事分で三十九ヘクタールであって、代替地買収価格の時価の変動によって、これらの買収は非常に困難な見通し関係者の間にいわれているよしであります。当事者の計画のずさんを指摘するとともに、繰り返して申し上げますが、最初のスタートの無理がどこまでも新空港建設を困難にしていると申し上げたいのであります。  この際、政府及び公団は、成田三里塚は、第一期工事程度補助的国際空港にこれをとどめ、ジャンボSST時代にふさわしい海面の埋め立てあるいは原野開拓等による大空港を、しかも首都との交通連絡は、陸路のみではなく、空路等も採用し、陸上交通の渋滞を避ける等の革命的航空対策を早急に策定し、緊急に実施することを強調して、本案に対する反対討論を終わるものであります。
  4. 福井勇

  5. 宇田國榮

    宇田委員 私は、自由民主党、公明党、民社党の三党を代表して、本案に対し賛成の意を表するものであります。  すなわち、最近における世界の航空輸送需要は激増の一途をたどりつつあり、しかも近時の航空機の進歩は著しく、巨人機時代を迎え、さらに超音速機に備えねばならぬ時に来ている趨勢にあります。  しかるに、わが国航空事情を見ますと、現在の東京国際空港もすでにその能力の限界に達している実情でありますので、さきに新東京国際空港公団法が制定され、同公団発足以来、幾多の山積する難問題を解決しながら、鋭意これが受け入れ対策を講じつつあることは周知のとおりであります。  今回、公団法の一部を改正して、政府公団に対し土地または土地定着物現物出資ができることとし、その現物出資された場合の公団資本金に関する規定整備いたそうとすることは、一日も早く空港建設をはかる上に絶対に必要な措置と申さねばなりません。  これにより、わが国将来の民間航空飛躍的発展をはかるとともに、国際的地位向上に寄与しようとすることは、航空政策上まことに適切妥当な方途と存ずるものであります。  以上述べました理由により、本案に対し賛意を表し、私の討論を終わるものであります。
  6. 福井勇

    福井委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  7. 福井勇

    福井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     (「異議なし」と呼ぶ者あり)
  8. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  9. 福井勇

    福井委員長 次に、港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案及び自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案を順次議題とし、それぞれ提案理由説明を聴取いたします。橋本運輸大臣。     —————————————
  10. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま議題となりました港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  近年におけるわが国経済高度成長に伴い、港湾取り扱い貨物量は、年々約二〇%の増加を示しております。なかでも、国際海上航路におけるコンテナ貨物等新しい海上輸送方式により輸送される貨物増加が特に目ざましく、この傾向は今後も続くものと予想されます。  このような現状にかんがみ、重要港湾におけるコンテナ埠頭等整備を今後一段と促進する必要があります。また、これらの埠頭は、在来の公共埠頭と異なり、岸壁、荷さばき施設等を一体として特定の者に専用使用させることによってその効率的運営がはかられるものであり、また、その建設及び管理も国、港湾管理者がみずから行なうよりも、民間資金を導入して、民間事業者に行なわせるほうが、その整備を促進する上においてより効果があると考えられますので、このたび民間事業者による埠頭整備に関し助成措置を定めることといたしました。  次に、港湾法及び港湾整備緊急措置法の一部を改正する法律案の要点について御説明申し上げます。  第一に、運輸大臣は、重要港湾について、その港湾計画が国の計画に適合し、かつ当該港湾の利用上適当であると認めたときは、当該計画の概要を公示することとしております。  第二に、重要港湾港湾管理者がこの公示された計画に定められたコンテナ埠頭等民間事業者整備させる場合において、その建設または改良に要する費用に充てる資金当該港湾管理者当該民間事業者に無利子で貸し付ける場合は、国は、その貸し付け金額範囲内の金額を無利子当該港湾管理者に貸し付けることができることとしております。  第三に、この方式による埠頭建設または改良事業港湾整備五カ年計画に含めるため、港湾整備緊急措置法の一部改正を行なうこととしているほか、国の無利子貸し付け港湾整備特別会計で経理するため、港湾整備特別会計法の一部改正を行なうこととしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  最近におけるモータリゼーションの進展による自動車の普及は著しいものがあり、昭和四十四年末の車両数は千六百十七万両に達し、これとともに、自動車による交通事故の発生も年々増加一途をたどり、昭和四十四年には死傷者は実に九十八万三千人に及ぶという憂慮すべき事態に立ち至っております。  自動車事故による被害者につきましては、すでに自動車損害賠償保障法によってこれを救済する方途を講じているのでありますが、本制度発足以来十四年を経過しており、社会情勢の変化により再検討の必要が生じております。  自動車損害賠償責任保険審議会におきましても、昭和四十四年十月七日及び同三十一日の答申において、制度改善についての方向づけを行なっております。  これらの情勢にかんがみまして、政府としましては、関係方面意見の調整をはかりつつ、制度改善につき鋭意検討を進めてまいりました結果、本法律案におきまして、次の諸点について規定整備することにいたした次第であります。  第一は、被害者救済の充実、自動車保有者社会的責任拡充等の見地から、自家保障制度を廃止しますとともに国その他の適用除外範囲を縮小することであります。  第二は、責任保険最低保障の確保を目的とするものであること等にかんがみまして、休業による損害にかかる保険金等の支払いについて限度を設けることができるようにすることであります。  第三は、事故車無事故車との間の保険料負担の公平に資するため、自動車の運行によって他人を死亡させたときは、保険契約者追加保険料を支払う義務を負わせることであります。  第四は、農業協同組合等が行なう責任共済につきましても、本制度の円滑かつ適正な運営を期するとともに、本制度社会保険的性格にかんがみ、責任保険について国が再保険しているのと同様に国がその六割を保険することであります。  第五は、責任険険強制保険であるという性格にかんがみまして、一両の自動車について重複する二つ以上の責任保険契約が締結されている場合であっても、支払われる保険金は一契約分と同様とすることであります。  以上がこの法律案を提案する理由であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  11. 福井勇

    福井委員長 これにて提案理由説明は終わりました。     —————————————
  12. 福井勇

    福井委員長 次に、陸運海運航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。加藤六月君。
  13. 加藤六月

    加藤(六)委員 先般の当委員会において、運輸大臣所信表明をおやりになったわけでございます。激動する七〇年代冒頭におきまして、わが国における新しい陸海空の交通体系、そういうものについて非常に積極的に取り組んでおられる姿勢を見まして、われわれ非常に歓迎いたしておる一人でございますが、それにつきまして若干お聞かせ願いたいと思うわけでございます。  大臣は、先般二十五日の閣議あと記者会見で、昭和六十五年を目標とする総合交通新体系を秋までにつくりたい、そのもとになる国民総生産数字などを早急に推定してもらうよう佐藤経企庁長官にも頼んだということがございましたが、昭和六十五年という一つ目標をお置きになって、新交通体系というものをお考えになっておられる、その根拠はどういうところにあるのでございますでしょうか。
  14. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま加藤委員からの御質問の件でありますが、御質問がありましたように、記者会見の席上で、ただいまお話のあったような趣旨のお話をいたしたわけであります。私がその考え方を述べました根本は、現在の総合交通体系、すなわち、鉄道と軌道及び自動車道並びに内航海運及び飛行場関係、こういうものが近代社会においては総合的に施策せられ、総合的な運営が行なわれるということでないと、どこかで行き詰まりを来たす心配がある。もちろん政府としては、御承知のように、かねてから新全総の計画の中でも、いわゆる鉄道並びに自動車幹線道中心にした全国開発計画というものを考えての新全総でありますからして、骨格はやはり新幹線網というもの及び自動車交通網並びにいわゆる内航海運交通網というものを一応想定に置いての新全総の全国開発計画でありますことは御承知のとおりであります。ただ、こういうような一つ目標があるにかかわらず、現在のこれらの計画というものが、はたして新全総の一つ最終目標に向かって調和された形でできているかは、私は多少の疑問があります。これはやむを得ない過去におけるそれぞれの発展過程から考えまして、この是正というものはそう一朝一夕ではできないのでありますからして、現状段階からすれば、その間に、ある程度の不調和の状態があることもやむを得ませんけれども、新全総は、これに対して調和ある計画を進めるべきであるというような考え方を示しておると理解してよろしいのであります。こういう意味で、これらの調和ある発展、調和ある総合開発、こういうものを行なうためには、最も新しい時点におけるその年度の国民総生産額——せんだっての新全総の目標としたものは、昭和四十五年度の実績を基礎にして昭和六十年度、いわゆる二十年間の予測を立てたわけであります。その予測によりますと、昭和四十年度の状態国民総生産額、この実績から考えて、昭和六十年の国民総生産額は百三十兆円ないし百五十兆円、こういう想定をしております。しかし、その後三カ年の実績伸び昭和四十一年、四十二年、四十三年、できれば四十四年まで加えてけっこうでありますが、その三年ないし四カ年間の国民総生産額伸び率を見ますと、四十年度を基準にして考えましたものと著しく相違がありまして、非常な伸び率を示しております。この三カ年間の伸びを一応の新しい修正点として考えますと、もちろんこれは非公式でありますが、日本経済研究センターあるいは二、三の学者国民総生産額予測から見ましても、最低昭和六十年には実質二百兆円以上、人によっては二百五十兆円以上の生産を示すことになるのではないだろうか。いわゆる新全総で予測されました百三十兆円ないし百五十兆円という数字とは、こういう百兆円前後の差が出ております。こういうような国民総生産額を、直ちにいわゆる国土総合開発投資資本額とするわけにはまいりませんけれども、こういう事態が出てくるとすれば、従来考えられておりまするいわゆる総合開発計画というものは、相当に手直しをしなければ、これらの国民総生産額発展に対して対応できないのではないだろうか。こういう意味から、実は非公式でありまするが、佐藤経済企画庁長官に対しましても、昭和四十年度の実績をもとにしての港湾計画あるいは飛行場計画等は不十分である、であるからして、最近の経済伸び率を一応の基準考え直して、そうして新たな構想のもとにこれを考えなければならぬのではないだろうか、それに対しては、もちろんこれは公式のものではないにいたしましても、当然われわれがこれから五カ年計画の改定を行なう場合においても必要であるからして、したがって、新しい実績のもとにおける昭和六十年度の見通しと  いうものをひとつ検討してもらいたい、こういうことを申し上げたのであります。かつまた、昨日の予算委員会におきましても、ただいまの加藤さんのような御質問がありまして、大蔵大臣及び建設大臣経済企画庁長官に向かって、その質問者からの、運輸大臣の提言をどう考えるか、こういう質問に対して、大蔵大臣及び建設大臣あるいは経済企画庁長官も、もっともなる意見であるからして、交通総合体系は急速に考えるべきである、  こういう政府関係の答弁もありましたので、私といたしましては、できるだけ早くこれが策定に努力をして、そうして皆さんの御批判を請いたい。ただ、御承知のように、運輸省設置法の中で今回運輸政策審議会というものができることになっておりますので、もし公的な立場で申し上げるなれば、この運輸政策審議会の中でこの問題をまとめていきたい、かように考えておることをあわせて申し述べたいと存じます。
  15. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣、いま運輸政策審議会の中でまとめていくという御説明でございましたですが、閣議後の記者会見においては、長期計画特別委員会のような——仮称ですね——そういうものをつくって、これは四月中に学者専門家などを集めてできたらやっていきたいというように言われたわけですが、いまの大臣の新総合交通体系というものは、しからば運輸政策審議会の中で経企庁その他と新しい数字を出してもらってやっていきたい、こういうお考えなんでしょうか。どちらなんでしょうか。
  16. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただ私の私的な諮問機関といいますか、諮問というよりは相談相手、勉強的な対象として、あるいは数名の学者をお願いをして、私的な意味でのまず素案をつくるという意味では、さようなことも考えておりますが、公的にいえば、運輸政策審議会にその運輸省考えておる素案をかけて御審議願う、かように手続としてはやってまいりたいと考えております。
  17. 加藤六月

    加藤(六)委員 もちろん、これからのわが国発展計画というものは、ある面では新しい交通通信体系というものが再編成されなくちゃならない。また、その反面、労働力の不足とか物価の安定とか、いろいろな要因というものをこの新全総の中にはからましてあるように私は思うわけでございますが、少なくとも新しい国土発展計画の根幹になっていくものは、先ほど大臣がおっしゃいました新幹線網であるとか、あるいは港湾計画であるとか、あるいは地方空港、あるいは大都市における空港、あるいは高速通勤列車など、新全総計画において推進するといういろいろなもののほとんど過半のものを運輸省が持っておるわけでございます。  そこで、私たちは、昨年のたしか四月三十日だったと思いますが、閣議決定をした新全総計画というものを十分に議論し、検討してきたわけでございますが、いま大臣がおっしゃいました昭和六十年度におけるGNP百五十兆というのは、伸び率からいって二百五十兆になるのではないか。この百兆の差の開きというのは、先ほど大臣自身も御説明がありましたように、非常に大きな開きがあると思います。いまのわが国の国力の全体とは大きい開きが出てくるわけでございますが、私たちがそういう計画を見、計画が積み重ねられてきた段階において一番心配いたしますのは、そういう総生産伸びるにもかかわらず、鉄道とか港湾とか道路とか空港とか、こういったものに対する社会資本整備といいますか、投下資本が立ちおくれてくることではないか、こう思うわけでございます。いわゆる生産向上に伴うところの社会資本投資というものがこれについていってないのではないか、これが一番懸念しておるところでございます。したがって、大臣が公的には運輸政策審議会の中でこういう問題を議論されると私は思うわけでございますし、検討していただけるのは非常にありがたいと思うのですが、そういうものをつくり上げた場合、ややもするとペーパープランに終わって、ほんとうの意味のそれに伴うところの計画を推進する財源という問題、金という問題がいつも予算編成時期には問題になるわけでございます。どうぞ運輸政策審議会その他でおやりになる場合にも、こういった財源問題も十分踏んまえた、一つの新しい交通体系というものをお考え願いたい。われわれこれを切に要望するものでございます。  したがいまして、それに関連して、いま運輸省のほうで中心になって、また各政党の間で意見一致を見るべくおやりになっておられますところの新幹線網の問題にいたしましても、私は、計画をつくることは簡単である、しかし、この建設資金財源をどこからどのように捻出してくるかということが大きな問題になると思うのでございますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  18. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、これらの総合計画を実施する面において、その建設資金などこに置くか、あるいは財源をどこに求めるかという問題は、現実の問題として非常に重大問題ではあります。ただ、私が新しい実績のもとに、そして国民総生産額がどのくらいになる、こういうことをあらためて企画庁長官に要望しましたのは、その見通しが低いところにあれば、当然計画というものは押えざるを得ない。しかも実際的には、昭和六十年においては百兆前後のいわゆる総生産額伸びるという前提であれば、それらのものを円満に流通体系に乗せるというたてまえでありませんと、いわゆる実際上の格差が出てくるわけでございますから、したがって、計画前提として、いわゆる昭和六十年の見通しが必要である、こういうことを申しておるわけであります。  そこで、その財源問題は、これから各省、特に大蔵省及び運輸省自身においても考えなければなりませんが、その財政上の問題はまず第二の問題といたしまして、そのような計画が策定されますれば、それに必要な財源を、これは大蔵省を中心にしてわれわれも協力してさがし出す。もちろん目的税もありましょうし、あるいはまた公債にたよるという場合もありましょう。総合的な財源によってこれは考えていかなければならぬ、かように考えておりますが、全体の体系自身がこれからの問題でありますので、いずれこのような問題が明らかになりました場合において、これを皆さんにお示しして御検討願いたいと存じます。  新幹線網の問題は、せんだって鉄道建設審議会が開かれまして、その席上で審議会の会長である鈴木会長から提案がされた。それは、ぜひとも今後の将来の日本の国土の均衡ある発展及び国民総生産額の激増等から考えて、いわゆる新幹線網というものが必要であろう。これはもちろん財源等の問題はありますけれども、私が当初申しましたような総合体系、交通体系の中の重要なる機関、流通手段として、この新幹線網を決定しておく必要があろう、財源問題等についてはもちろん政府と相談をした上でなければ決定できぬけれども、  一応の一つの全体的な計画をつくった上で、その施行については、運輸大臣がそのつど政府とともに協議をして段階的にこれを実施していく、こういう基本的な方針を述べられまして、そこで、この新幹線網の内容については、小委員会を設置してその小委員会のところでまとめる、こういうような方向でせんだっての総会が行なわれました。この空気から考えますというと、これが各方面にまたがっておりますために、いわゆる政府提案で行なうことはなかなかめんどうな点もあるし、期間的にも余裕が十分でない。この際、いわゆる議員立法として各党との間に十分なる打ち合わせを行なった上で、議員立法の形式で出すことが妥当ではないだろうか、こういうようないわゆる非公式の意見も述べられましたが、まだ政府提案かもしくは議員立法かは正式に決定しているわけではありませんが、傾向としては、会議の内容は大体そのような方向へ進んでまいっておるということを御了承願いたい。その場合におきましても、この建設資金につきましては非常に抽象的なことを盛らざるを得ないだろう、直ちに財政当局を縛ることは困難であるという見解がありましたので、全体の計画網は策定されますが、その実施等につきましては、そのつど運輸大臣が財政当局と協議の上で決定するという方向でまとまるのではないだろうか、かように存じておるわけであります。
  19. 加藤六月

    加藤(六)委員 大臣、時間がないようでございますので、あと一点だけ大臣にお伺いしておきたいと思うのです。それは昨年の一月五日、ぼりばあ丸が沈没し、またことしの二月九日にかりふおるにあ丸が沈没した。そのほかにも、ソフィア・P号とかあるいはアントニオス・デマデス号、こういったものがなぞの沈没としてずいぶんいわれております。この沈没にからんで、大臣は二つの問題を部下に指示されておるように私承っております。それは同型船の総点検を指示せられた。三万トン以上のこういうものについては総点検してみろという、きびしい指示を出されたということが一点であります。  その次は これにからんで最近問題に出てきます船長の退船の問題でございます。この船長退船の問題について、非常に重要な船長養成機関、人材という問題等について、船員法をどのように取り扱うかということもあわせて指示し、検討するように言われたというように私承っておるわけでございます。ところが、この国会に船員法の一部改正案というものが提出され、審議されるようになっておりますが、その中には、いま申し上げました後段の船長関係の問題についての法改正というものは、私は見られないように思うわけです。それはともかくとして、この二つの問題について、大臣が具体的にはどういう方向で進んでいこうとされておるのか、簡単でよろしいから御答弁願いたい、こう思うわけでございます。
  20. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 最初の、大型船が最近一カ年間に大体同一の海域において四隻遭難をみましたことは、運輸行政の責任者としての私としては、まことに心から遺憾にたえない次第であり、命を失われました方々に対して心から冥福を祈る次第であります。  これは皆さんのほうが専門家でありますが、大体大きな船は沈まないというようにいわれて大型化してまいったのでありましょうけれども、もう一つは、もちろんこれは経済的に消費量が増大するに従って、やはり大型化を必要とした理由もありましょうけれども、いずれにせよ、最近は造船が大型化の傾向に進んできておる。将来はタンカーなどは一二十万トンをこえるものが注文されて出現しようとしておるわけであります。そういう意味で、大型船の遭難というものは——もちろん小型の船においても同様ではありますけれども、特に影響するところは大でございますからして、大型船の遭難に対しては、重大な関心を運輸当局としては抱くべきであり、また抱かざるを得ない。そういう意味で、同一海域において過去一カ年間に四隻の遭難をみたのでありますから、前回のぼりばあ丸につきましても、特別委員会を設置して点検等を行なってまいったのでありますが、今回の場合は、貨物船ではありますけれども、ぼりばあ丸とは構造上に相違があります。そういう意味におきまして、ぼりばあ丸当時調べましたものと、今度のかりふおるにあ丸の類似型の船とは性質上も違いますので、そこで、これを機会にかりふおるにあ丸型だけでなく、二百メートル以上の船、三万トン以上の船に対しては総点検を行なって、海難の予防措置を行ないたい、こういうような意味で、海難審判庁の原因究明とは別個に運輸省としては事前の予防措置として、徹底的にこの調査を私は命じたのであります。内容のこまかい点はいずれかの機会に申し上げますが、さような方針でこの問題を取り上げて、目下委員会においてこれが調査に着手しているという現状でありますので、その結果をここで申し上げる段取りにはまだなっておりませんが、そのような目的でこの委員会がつくられた。したがって、海難審判庁は別な目的を持っておるということを御了承願いたいのであります。  第二の船長の義務の問題であります。船員法第十二条の規定はい必ずしも船長は船と運命を共にしなければならないという規定ではないわけでありますけれども、この規定に関して、昭和三十年十月の当時の船員法改正委員会におきまして、この条項が審議されました際、委員の全会一致をもって、これは船内にあるもので去らせ得るものは去らせなければならない、そのあとで船長は船を去れと規定したものであるという解釈をいたしておるわけであります。しかし、いまから十五年前でありますから——もちろん海員精神といいますか、海員魂というものに対してはわれわれは尊敬し、またその崇高なる精神に対しては心から敬服しておりますが、ただ、このような表現のしかた、そういうような形での表現で船員法第十二条が行なわれるように理解されるということは、必ずしも法の精神と一致しているものでもないのでありまして、その意味において、少なくとも現代的な立場から見るならば、おそらくこの法の精神というものは、たとえば積み荷あるいは船員、船の安全度等を最後まで船長が責任をもって見守って、それが行なわれた後には、当然退船すべきものである、そういう意味であろうと思います。そのようにすなおにこの条文が理解されないのであるならば、それは当然そのようにすなおに理解されるように修正することが妥当ではなかろうか。同時に、百二十三条の罰則でありますが、その罰則も第十二条というものを受けておりますために、非常に強い感じを与えておる。そういう意味におきまして、この罰則をどう扱うべきかという問題が一つあります。もちろん、この罰則関係では、刑法にも百二十七条でありましたか、艦船覆没罪という、船を沈めた場合の罪という条項があります。しかしながら、はたしてこれをそのまま船長の故意、過失等に適用できるかどうかという問題は、多少の問題があろうと思います。しかし、いずれにせよ、現代的な精神から考え、かつまた船長のみずから自立的な崇高なる精神——いやしくも船長というものは、あえて法律があろうとあるまいと、みずからの責任において船を安全に航行し、船員及び積み荷の安全を期することが船長の責任である。こういうりっぱな精神を持っておられるのでありますから、したがって、あたかも法律で強制するがごとき疑いを持つようなことであるなれば、それは素直にこれを受け取って改正してもよろしいのではないか、かように考えておったわけであります。  最近その声も多いのでありますから、私はきょうの閣議におきまして私の考えを述べて、そこで、これを修正する考えを持っておる、かようなことを閣議で了解を求めましたが、もちろん反対意見はありません。ただ、いま加藤委員からおっしゃられました手続の問題ですが、御承知のように、船員法の一部改正はすでに国会に提案をされております。一事不再議、こういう点から考えまして、もう一度船員法の改正を出すことは、一応国会の従来の慣例からいって、また法規の上からいってできませんので、そこでわれわれの意図するところを当委員会において十分に御了承せられて、そうして委員会修正において行なわれるなれば、政府はこれに対して歓迎をする、こういう立場でこの問題のこの国会での解決をしたい、かように考えておることをひとつお含みおき願いたいと思います。
  21. 加藤六月

    加藤(六)委員 ただいま大臣のおっしゃいました趣旨はよくわかります。大臣、時間がないようでございますから、どうぞお引き取り願ってけっこうでございます。  鉄監局長おられますか。——先ほど大臣に新幹線鉄道について若干お尋ねしたわけでございますが、鉄監局長に、新幹線鉄道の問題と、先般おやりになりました国鉄再建十カ年計画、この問題について少し承りたい、こう思うわけでございます。  大臣から鉄道建設審議会の大ざっぱな審議の模様を承ったわけでございますが、先ほど大臣と私との間でちょっとやりとりがありましたが、総合交通体系の中で、新幹線というものはどういう位置づけをし、どういうふうに運輸省としてお考えになっておるかということをまず承りたい、こう思います。
  22. 町田直

    ○町田政府委員 新幹線鉄道建設は、わが国総合交通体系の中において、御指摘のように、当然適切な位置づけをすべきものであると考えます。国土の有効利用等の観点から、全国に新ネットワークを持つ高速交通体系をつくるということは、御承知のとおり新全総でも述べられているわけでございます。そういう意味から、新幹線は、大量高速の輸送能力を持ち、かつ中長距離の輸送機関として最も適する機能を有するものというふうに考えておる次第でございます。全国新幹線鉄道網が今後の総合交通体系の中におきまして占める位置づけは、一応そういうふうに考えておる。したがいまして、今後の陸上交通のいわば根幹をなすというふうに考えてよろしいのではないかと考えておる次第でございます。
  23. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで局長、世上いわれ、わが党内においても種々議論し、作業いたしてきたわけでございますが、必要な新幹線網というものが、一体九千キロなのか、七千キロなのか、五千キロなのか、三千キロなのか、これは自民党の中で作業した場合のキロ数と、新全総の中におけるキロ数と、鉄建公団が発表するキロ数と、国鉄が考えておるキロ数、こういったものの間において、それぞれ総延長に対するずれがあるはずです。これはいろいろな見方、考え方があるものと思いますが、かりに九千キロというのを基準考えた場合に、この九千キロという数字をどう考えておられるか、簡単でけっこうですから御説明願いたい、こう思います。
  24. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま先生御指摘がございましたように、新幹線網を何キロにするかということにつきましては、いろいろな考え方がございます。特に自民党の基本問題調査会におかれましてお考えになっております路線は、一応九千キロというふうに伺っておる次第でございます。これも実は自民党の案でございまして、私どもといたしましては、その内容につきましてあまり詳しく申し上げる立場にはないわけでございますけれども、自民党の案を拝見いたしますと、これには「新全国総合開発計画の趣旨にのっとり、」という表現がしてございまして、「国土の普遍的開発、国民経済の発展並びに国民生活の向上に資することを目的として、」というふうに書いてございます。その総延長はおおむね九千キロとするということでございます。  御承知のように、新全国総合開発計画におきましては、それぞれその第一部、第二部におきまして、昭和六十年を目標といたします、先ほど申しましたネットワークというものがございまして、この計画並びに構想というのがあるわけでございます。これは具体的に何キロということはございませんけれども、一応そのような計画、構想等を連ねますと、七、八千キロになるのではないかと考えております。そういう意味におきまして、自民党でお考えになっております九千キロというものが、非常に具体的なこまかい点までは私どもいろいろ申し上げる筋ではございませんけれども、大体政府考えております新全国総合開発計画というものと合っていると申しますか、そういうお考えに基づいているというふうに拝聴いたしておる次第でございます。
  25. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、ことし新幹線網調査費を計上しておると思うのでございますが、この調査費の概要といいますか、金額はどの程度で、どういう内容の調査をやるかということについて、ちょっと御説明願いたいと思います。
  26. 町田直

    ○町田政府委員 ただいま国会に提案いたしまして御審議をいただいております昭和四十五年度の予算案にございます調査費は、第一に、運輸省の一般会計予算に一千万円の調査費が計上されておるわけでございます。それから第二には、このほかに、国鉄の予算におきまして工事経費の中に含まれておりまして三億円、それから鉄建公団におきましては項目がございまして、新幹線調査費として二億円が予算上計上いたされております。  運輸省のほうの一般会計予算の分につきましては、この考え方は、全国新幹線鉄道網の整備を行ないます場合において、早急に整備を行なう必要があると思われる路線につきまして、その経済効果、それから輸送量の想定調査その他必要な基本的な調査を行なう、こういう趣旨で一千万円が組まれておるというふうに考えております。したがいまして、早急に調査を行なうための必要な基本的な調査というふうにお考えいただいてよろしいのではないかと思います。それから国鉄並びに鉄建公団調査費につきましては、この基本的な調査に基づきまして、国鉄並びに鉄建公団におきましてこれを実施するための必要な調査費、こういうふうにお考えいただいてよろしいのではないかと思います。
  27. 加藤六月

    加藤(六)委員 その前に、局長、国鉄が三億円、鉄建公団が二億円、これは、工事主体というものがあるいは国鉄あるいは鉄建公団、この線路は鉄建公団にやらす、この線路は国鉄にやらすという意味で計上してあるのか、それとも予算を獲得する便宜上そういう計上のしかたをしたのかということについて、いま少し詳しく御答弁願いたい、こう思います。
  28. 町田直

    ○町田政府委員 もちろん予算を獲得する便宜ではございませんで、一応いま私どもが考えております考え方は、この新幹線を実施する実施主体として、国鉄と鉄建公団と両方を予想しておる、こういうふうにお考えいただいてよろしいかと思います。ただ、これにつきましては、先ほど大臣が申されました、現在鉄道建設審議会において審議をいたしております新幹線に関する基本的な考え方というものの鉄建審議会の御答申等にもよりますけれども、それによりまして、一応最終的にどういう考え方で今後もっていくかということを政府としてはきめたいということでございますが、いまの考え方は、先ほど申しましたように、国鉄と鉄建公団と両者が新幹線の建設を行なう、こういう考え方でございます。  それでは具体的にどういうふうにやるのかということにつきましては、これからの問題でございまして、運輸省で計上されております予算が成立いたしますと、計上されます調査費によりまして具体的によく調査をいたしました上で、場合によりますと路線別、あるいは一つの路線でも地区別ということで、国鉄並びに鉄建公団の実施の内容を考えていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  29. 加藤六月

    加藤(六)委員 新幹線のことあるいはこれに関連する本四架橋のこと等については、いずれ十分承りたい、こう思いまして、国鉄再建十カ年計画の内容について少し承っておきたいと思いますが……。
  30. 徳安實藏

    徳安委員 ちょっと少し関連して。  いまの新幹線に対する何か別表みたいなものが世間に出ているようですが、あれは自民党か何かで発表したのですか、あるいはあなたのほうの運輸省は何も関係ないのですか。どちらから出たのでしょう。ちょっと教えてください。
  31. 町田直

    ○町田政府委員 先生御承知のように、先ほど申しました自民党の四十四年九月十七日の「全国新幹線鉄道整備に関する基本方針」、こういうものがございまして、これは別表というものはございませんけれども、一応党の御方針としての路線網というものを書いたものがございます。これは御承知のとおり、自民党としておそらく御発表になっているのではないか。それ以外には、政府はもちろんのこと、鉄建審議会におきましても発表いたしたようなものは一切ございません。
  32. 徳安實藏

    徳安委員 先ほどちょっと聞きますと、この別表で絵が書いてあるものは前からわかっているのですけれども、文字で書いて出ておるというのです。それによりますと、かりに私らの県のことですが、大阪−松江というようなぐあいに書いてあって、その通過する場所というものは、鳥取が抜けておるというのですよ。そうすると、非常に動揺するわけですね。それから岡山−松江と書いてあって、米子というものが抜けておるでしょう。これは米子は当然通るのだと思っているのに、どっちを通るかわからない。大阪と松江間には、絵には鳥取は書いてあるけれども、文字には出ていないというわけだ。非常に動揺しておるといま電話がかかってきたんですけれども、これはどうなんでしょう。それはあなたのほうは何も関係ないのですか。
  33. 町田直

    ○町田政府委員 先ほど申しましたように、現在のところは、まだ路線網というものは字で書いたものはどこもつくっておりませんので、そういうものをもし新聞等で目にいたしましたら、それは正式のものではないと思います。いずれ鉄道建設審議会におきまして法律の内容のような形のものをお考えいただくということになるのではないかと考えております。現在のところはそういうものは出ておりません。
  34. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、いま徳安先生から御注意があったと思うのです。といいますのは、一番最初、また話がもとへ返るようですが、新幹線網計画と構想が新全総の中にあったときに、計画と構想をごちゃまぜにして地図の上に線を引いたり、あるいはこちら側が経企庁に指摘しますと、その線を引くのは忘れておりました。おととしですね、ずいぶん問題があった構想ですから、ついうっかりしておりましたという内容等があった。それから、途中でいろいろな新幹線網を書いたような地図が世上に流布せられている。国会議員としてははなはだ迷惑に思っておったり、また不審に思ったりしたケースというものがある。どうぞ今後鉄監局は、これからの作業を進めていく場合において、かりそめにもいいかげんなものや、あるいはまた当局のミスによってそういう文書が世上に流れて——もちろん国民の批判を仰ぐための構想は堂々と出してやっていくべきだと思うのです。そうして、それが新全総あるいは大臣のおっしゃいました、昭和六十年を目標とするところの新総合交通体系というものを批判を仰ぐという立場で出ていくのならばいいですが、それが決定的なもののような印象を与えて、要らざる不安、混乱というものを起こさないように御注意願いたい。私はこれをひとつ要望いたしておきます。  それから、いまちょっと申させていただきました国鉄再建十カ年計画でございますが、これは国鉄から運輸大臣に出され、運輸大臣がこれを検討し、支持し、そして決定したわけでございますね。そうしますと、その作業の過程というものをひとつまず大ざっぱに承っておきたい、こう思います。
  35. 町田直

    ○町田政府委員 昨年の国会におきまして、国鉄財政再建促進特別措置法という法律の御成立をお願いいたしました。その法律に基づきまして、まず国が国鉄財政の基本的な方針というものを閣議決定するということになっておりまして、それに基づきまして、昨年の九月に国鉄財政の再建に関する基本的な方針の閣議決定をいたしました。この閣議決定に基づきまして、国鉄が閣議決定の内容を受けまして、十カ年間の再建の基本計画というものを審議いたしておりまして、ことしの二月になりまして再建計画運輸大臣に提出されました。それを運輸大臣大蔵大臣と協議をいたしまして承認した、こういうことが審議の経過でございます。
  36. 加藤六月

    加藤(六)委員 その場合に、基本方針として、長期計画というものをずいぶん再検討せられ、経営全体にわたる体質改善、それから将来の総合交通体系における国鉄の占める役割り、こういうものから話を進めていって、そして国鉄のおもな役割りとしては、都市間旅客輸送、中長距離大量貨物輸送、大都市通勤通学輸送、この三つの分野を国鉄の総合交通体系における大きな分野と決定したというようにわれわれ記憶いたしておるのですが、これについて間違いございませんか。
  37. 町田直

    ○町田政府委員 間違いございません。先ほど申しました、昨年の九月十二日に閣議決定されました国鉄財政再建の基本方針というものにつきまして、簡単にその内容を御説明申し上げますと、まず再建に関する目標といたしまして、その第一として、日本国有鉄道が総合的な交通体系の中で果たすべき役割りは、ただいま御指摘の都市間旅客輸送、それから中長距離の大量貨物輸送並びに大都市通勤通学輸送ということをまず第一にうたっているわけでございまして、なおそれに続きまして、上記の日本国有鉄道の役割りに応じまして、基幹的輸送力の増強、それから輸送方式経営の近代化、合理化並びに近代的経営体制の確立というものをはかっていく。そうして、再建期間は昭和五十三年、四十四年度を初年度として十年間の期間でございます。五十三年までの期間に財政基盤の強化をはかりまして、少なくとも最終年度昭和五十三年度におきましては、単年度で消却後の黒字を生ずることを目的とする、こういうことをうたっている次第でございます。  ただいま御指摘の三つを今後の国鉄の主たる役割りとするということは御指摘のとおりでございます。
  38. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、昨年の通常国会において、国鉄の再建計画というものはずいぶん問題になったわけでございます。そしてまた、各党の間でも非常に熱心な国鉄再建、案というものを議論していただいたわけでございます。しからば、一番最後に意見を言わしていただきますが、この中に出ておりますます第一の「輸送量の目標」という数字がございます。輸送量の目標は、四十八年度の旅客は二千二百七十億人キロ、貨物は七百四十億トンキロ、こうなっておる。そして五十三年度を見ますと、これが旅客において二千九百三十億人キロ、四十三年度に比べて五八%の増、貨物においては九百六十億トンキロ、同じく六三%の増、こうなっておりますが、これだけの輸送量の目標を立てるについては、いま局長がおっしゃいました輸送力の増強と近代化ということで解決できるのでしょうか。それとも鉄建公団あるいは新幹線、こういうものが建設を完了して、国鉄が供用を開始してサービスを始める、始めた点における鉄道のキロ数というものは含まれておるのでしょうか、おらぬのでしょうか。
  39. 町田直

    ○町田政府委員 まず第一に、ただいま先生がおっしゃいました輸送量の目標でございますが、これは御指摘のとおりでございます。今度の国鉄が考えております基本計画の四十八年度並びに五十三年度の量はそのとおりでございます。  それを達成するための方法並びに内容でございますが、まず新幹線につきましては、この考え方の中には山陽新幹線を含めておりますけれども、それ以外のものにつきましては入っておりません。したがいまして、新しく新幹線をつくるということになりますと、その分につきまして別途考えなければならぬ、こういうことに相なることと思います。  それから新線建設につきましては、一応試算としては入っておる次第でございます。ただ、これは御承知のように、全体の輸送量から申しますと、今後できてまいります新線建設の輸送量というものは、そうたいした大きさではないというふうに考えますけれども、考え方としてはこの分は入れてある、こういうふうに御理解いただいてよろしいのではないかと思います。  したがいまして、その目的を遠成するための輸送の要領といたしましては、一番大きなものが、先ほど申しました四十七年岡山、それから五十年までに博多まで開通を予定いたしております山陽新幹線というものを一応考えておる、こういうふうに御理解いただいていいのではないかと思います。
  40. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、その次に移るわけでございますが、業務の近代化と合理化、局長さん、ここは非常に問題になるのです。これは与野党を問わず問題になるところなんです。この業務の近代化と合理化は、私らはもちろん非常に賛成です。ぜひこれはやってもらわなくちゃなりません。国鉄再建の三本の柱ということは、昨年の通常国会でもずいぶん議論されたことですから、やってもらわなくてはなりませんが、そこで、この内容を見ますと、現在の駅というのは大体五千二百くらいあるのですか、この五千二百の駅のうち、約四割を無人化したり廃止したり、合理化する、いわゆる駅の無人化構想、この問題と、それからまた赤字線の「道路輸送への転換が適切と認められる線区」、ローカル赤字線と、こう書いてあるが、その転換を推進するという、この二点ですね。この二点は、業務の近代化と合理化という中で、非常に重要なる役割りを占めてくるのではないか。もちろん、その次に出てくるところの職員の削減、設備の投資というものも大きな問題になってくるわけでございますが、この無人化と道路輸送への転換、こういう問題についてはどの程度——無人化の場合は、これははっきりと四割を無人化するという数字を出しておる。ところが、ローカル赤字線の問題については適宜適切にやるんだ、話し合いがついたらやるんだということのようで、表現のしかたが私はぼやけておるんじゃないかと思うのですが、この二つについて少し御説明願いたいと思います。
  41. 町田直

    ○町田政府委員 まず御指摘のとおり、国鉄の経営の業務の合理化、近代化というものが、国鉄再建の非常に大きなかぎであるというふうに私どもも考えておる次第でございます。もちろん、国といたしましても、いろいろな財政的な援助というものを今後も考えていかなければならないと思います。それからまた、後ほどあるいは御指摘あるかと思いますけれども、今後の物価等の上昇あるいはその他経済情勢によりましては、この十年間におきましても、またある時期には運賃値上げというものも考えなければならないかと思いますけれども、何と申しましても、国鉄自体が自分の業務の合理化、近代化を行なうということが、国鉄の現在の危機を救うかぎになるというふうに考えておる次第でございます。  その内容はいろいろございまして、ただいま御指摘になりました駅の無人化あるいは集約というもの、それから路線の自動車等への転換ということもございますが、そのほかに、御承知の動力あるいは保守方式の近代化、それから新しい技術の導入によります列車の運行管理の集中化、あるいは情報処理の近代化というようなこと、あるいはまた職員の管理体制の強化、能率化というものをあわせ行ないまして、労働集約型でない新しい企業に国鉄が脱皮していくということが必要ではないか。  それにつきましては、当然のことながら、輸送の構造自体が変わってまいりまして、現在におきましては、先ほども申しましたように、近距離あるいは中距離は自動車の分野にだんだんなってきているということも考えまして、国鉄の本来の使命である中長距離の大量輸送というものに専念していくという体制をつくっていくことが必要ではないか、こういう考え方に立っているわけでございます。  駅の集約、無人化というようなことにつきましても、これは一応四割ということを目標にいたしておるのは御指摘のとおりでございますが、そういう意味におきまして、できるだけ近距離の貨物取り扱いの駅というようなものは集約していこう。そのかわり、集中的に拠点駅という大きな駅をつくりまして、そこでは非常に能率的な、かつ規模の大きい貨物取り扱い駅にする、こういう考え方を持っているわけでございます。  それから人につきましても、無人化と申しますけれども、これは業務の委託というような方法を主にいたしまして、国鉄の職員はなるほどいないかもしれないけれども、業務委託をやりまして、委託された者ができる限りの駅の扱いをする、こういう考え方でもっていくということを考えておるわけでございます。  それから「道路輸送への転換が適切と認められる線区」の転換、この問題につきましては、確かに目標的な数字はございません。これは御承知のように、地域の実情等がそれぞれ違いますので、一つ一つの線につきまして地域の実情を十分調査いたしました上で、道路輸送への転換が適切であるかどうかという判断をしなければならない。こういう意味におきまして、初めからある程度目標を出すということもいかがかということで、そういうことを目標は除いているということでございます。そういう意味におきましては、駅につきましても、もちろん地域の実情等を十分考慮して行なうということでございますけれども、道路輸送への転換につきましては、個々具体的な問題をそれぞれ検討しつつ、今後できるだけ道路輸送への転換が必要なものについてはそれを進めていく、こういう趣旨で、具体的な数字は除いているということでございます。
  42. 加藤六月

    加藤(六)委員 局長、いまちょっと御説明になった中に、無人化という問題は、いわゆる国鉄職員がやらずして委託駅にするんだ——全部委託駅にするのですか、それとも完全な無人化にするのですか。たとえばある細長い町であって、いままで三つ駅があった。その三つの駅が、周辺に産業がありまして、貨物その他の扱いは相当あった。ところが、全部無人化にして、もう貨物は扱わない、一般乗客のごく一部だけしか扱わないんだという問題等で、ある場合には地方が騒いでおるのです。委託した場合は、貨物を扱わすようにしてあるのですか、していなのですかということと、完全な無人化にするのか委託駅にするのか、そのパーセンテージはどうなっておるかということでございます。
  43. 町田直

    ○町田政府委員 私の御説明が十分でございませんだめに誤解をされたかもしれませんので、訂正いたしますが、委託というのは、旅客についてでございまして、貨物につきましては委託はいたさないという方針であったと思います。したがいまして、ただいまお話のございました、たとえば三つなら三つ駅がありまして、それぞれで貨物を扱っていたというものにつきましては、貨物については三つの中の一つに集約してしまう。したがって、あとの二つは貨物扱いはしない。ただし、国鉄の自動車でその前に貨物を扱っておりましたようなところの荷物は、集配と申しますか、取って歩く、こういうことを計画いたしておるということを聞いております。その辺のところは、それぞれ地域の実情等によりましていろいろと変わってくると思いますけれども、一応そういう考え方。したがいまして、委託というのはお客さん、旅客についてでございます。これにつきましては、やはり駅の保守というものがございますし、切符の販売というものもございますし——切符につきましては、もちろん非常に遠くまで切符を売るわけにはいかないと思いますので、ある一定の区間になるかと思いますけれども、そういうものにつきまして適切な受託者を見つけまして、そういうものに委託して行なう、こういうことを考えております。これが全部を旅客については委託にするか、あるいは旅客につきましても無人化をいたしまして、ちょうどバスの停留所のような形にしてしまうかということにつきましては、おそらく国鉄で現在いろいろと作業中だと思いますので、私、具体的に何%をそうし、何%をどうするかということは、ちょっといまこの段階では存じておりませんので、お答え申しかねますけれども、大体考え方はそういうようなことであるというように御了解いただきたいと思います。
  44. 加藤六月

    加藤(六)委員 まあこの問題にあまり突っ込むのもどうかと思いますが、局長、いまの局長のおことばの中に適切なる受託者がいうことばが出てきましたね。適切なる受託者というのは、もよりの町村とか、あるいは農協とか、あるいは特定の民間団体とかあるいはまた国鉄の外郭団体、いろいろありますね。適切なる受託者というのは、これも局長の管轄外と思いますが、鉄監局長としては、適切なる受託者とはどういうものを頭の中に描いて表現しておるのか、こういうことの議論が省内において、局内においておありでございましたらお聞かせ願いたい、こう思います。
  45. 町田直

    ○町田政府委員 これからの問題でございますので、実は私どもの段階ではあまり詰めたような議論をいたしておりませんけれども、大体いままでの傾向等を見まして、たとえばそういうある程度の地域を管轄、所管する一つ——幾つかの駅を受託するという団体とか、そういう形のものが今後できてまいりまして、そういうものが受けるというような形が一つの方法ではないかということを一応頭に描いております。ただ、その場合でも、たとえば地元等のいろいろな御要望があったり、あるいは地元の団体というものが適切であるというようなお話があった場合には、当然国鉄としてはそういうお話を十分伺った上で、判断していきたいというふうに考えるのではないかというふうに考えておる次第であります。
  46. 加藤六月

    加藤(六)委員 私がこの席で言うのはどうかと思うのですが、無人化ということばで、特定の地域が非常に反対運動を起こしておるのです。それはいまの局長お話になりました内容というのがはっきりしてないのです。無人化といったら、もう人をだれもいなくさして、切符も売ってくれないのだ、パスのある人はこれを利用できるのだということで、特定の組合がこれを扇動して、無人化反対、それを地域ぐるみの闘争に持ち込むということで、ビラを張り、会合を開き、そしてあらゆる地域団体をこの波の中に巻き込むという方法をいたしておるわけです。そこで、私がこの無人化という問題についてちょっとしつこくお尋ねしたわけでございまして、これは局長にお尋ねするのはどうかと思ったのですが、準備等なかったので、私いたしたわけでございます。どうぞ今後そういう問題についてのPR方法というものを一日も早くはっきりして、地域住民の皆さん方に理解してもらい、国鉄再建に対する無人化構想というものを詳しく説明していただくように推進されんことをお願いしまして、鉄監局長さんに対する質問は終わらせていただきます。
  47. 町田直

    ○町田政府委員 たいへん適切な御指示でございまして、私どもも、実は無人化、無人化ということで、全く人がいなくなってしまうのだという印象を受ける方が多いのではないか。そういうことでなくて、できるだけそういうことにはしないで、実際に地元の方々にあまり不便をかけないような方法で駅の整理というものをやっていこう、こういうことでございますので、今後十分気をつけまして、そういう地元の方々に対する御理解というようなことも十分手を尽くしていきたい。しかも同時に、こういう近代的な鉄道に脱皮するということに対する地元の方々並びに国民の皆様方の御理解をぜひいただけるように、ひとつ今後とも努力していきたいというふうに考えている次第でございます。
  48. 加藤六月

    加藤(六)委員 どうもありがとうございました。  自動車局長、おられますか。大臣がおいでになるのにまだ五、六分あるそうでございますので、ちょっと自動車局長にそれまでの間、概念的なものを一、二お聞きかせいただきたいと思います。  それは最近問題になり、また新聞紙上を非常に騒がしておりますのが、私鉄運賃、バス運賃、タクシー料金、こういう問題、そしてまた過疎バスの問題である。自動車局の問題としても非常にたくさんの問題がありますし、また引き続き自賠法の法案審議が当委員会において行なわれるときにおきまして、自動車行政全般に対していろいろな問題が出てくると思います。  そこで、私は、ごく概括的な、概念的なことをお聞かせ願いたいと思いますことは、よくタクシーまで公共料金だ、こういうことをいっております。ここで非常に問題というか、疑念を持つことがあるのです。それは公共料金だ、公共料金だ、公共性がある、こういうのですね。ところが、タクシーに対しては免許を出しておきながら、しからば他の公共企業と同じように、税制上、金融上、国家あるいは政府が一体どの程度の応援をしておるのだろうか。他の公共企業というものについては、税制上、金融上、いろいろ政府、国家が便宜をはかっておる点は、私たちは数々知っております。タクシーについては、他の公共企業と比べて、タクシー業界に対し、国家が、公共料金であるがゆえにどういう税制上、金融上の応援といいますか、措置をしているか、ひとつ大ざっぱでよろしいのですが、お聞かせ願いたい、こう思います。
  49. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 タクシー事業なるがゆえに特別の行政はいたしておりません。ただ、中小企業関係の場合等におきまして一般的な助成の関係を見てみますと、われわれといたしましては、タクシー事業の公共性にかんがみまして、この事業の育成ということに努力をしてまいったわけでございますが、今回東京、大阪の大都市におきまして非常にタクシー事業が問題になっておりますので、近く法案を出しまして御審議を願うことになっておりますところのタクシー近代化センターに対しましては、来年度の予算といたしまして五千万円を計上いたすというふうに相なっておる次第でございます。なお、この近代化センターにつきましては、資金のあっせん等につきましても極力努力をいたしたいと思っておる次第でございます。全般的に考えてみますと、現在タクシー事業に対する特別の助成はいたしておりません。税制の改正その他につきましては、今後十分検討してまいりたいと思っております。
  50. 加藤六月

    加藤(六)委員 そこで、タクシーだけというのは語弊がありますが、先ほど大臣が御説明になりました新総合交通体系の中に占める——これは私鉄は除きますが、バス、タクシーというものの位置づけを局長はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  51. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 道路交通全体というもののウエートが非常に大きくなってまいっております。道路交通の場合におきましても、御承知のように、モータリゼーションの場合にもこれまたウエートが大きくなっております。そして、公社交通機関としての自動車運送事業はバスとタクシーでございます。したがいまして、バス、タクシーという公共交通機関を維持、発展するということは、われわれとしても重要な課題であるというふうに考えております。
  52. 加藤六月

    加藤(六)委員 それではいずれまた自賠法のときにお伺いいたしますが、私はトラック等を落としましたが、またその点も聞かしていただきたいと思います。大臣おいでになりましたので、私の質問はこの程度で終わらせていただきます。
  53. 福井勇

    福井委員長 次に内藤良平君。
  54. 内藤良平

    内藤委員 大臣には新しく就任されまして、しかも当面するわが国の大きな交通問題に関しまして、本国会でもたいへん御多忙の中で御苦労さまでございますし、また御健闘もお願いしたいと思うわけであります。私もやはり運輸委員の一人としまして、過去三年間国政に参与してまいりましたが、やはり大臣からぜひともお話を承る必要があろうと思いまして、お忙しいと思いましたけれども、お願いしたわけであります。  そこで、私の申し上げるいろいろな資料は、四十四年度に運輸白書が出ていますが、それに基づいてお話を申し上げます。その中で、運輸省の任務はどうか。これを要約しますと、こういうぐあいに私は理解したわけであります。各輸送機関の特性を最大に発揮する、それから二番目に、新たな輸送需要の要請にこたえるための体制を確立する、あしたの日本にふさわしい総合的な交通体系の形成を目ざす、こういうことに理解しております。こういうところから、先般大臣からも所信の御発表があり、また総合的な交通体系を策定しょう、こういう御発言があったと思います。  ところで、ひるがえって、運輸白書の中におきますところの交通関係の長期計画を見ますと、国家経済計画、これは一応省略いたしまして、二番目の全国総合開発計画、新全総は四十四年から六十年までいよいよかかる。それから国鉄は四十六年までは第三次長期計画でございましたが、財政再建ということで、四十四年から五十三年までの十年間の長期計画を立てる。道路整備は第五次五カ年計画が四十六年まで、第六次が四十七年から発足をする。港湾は第三次五カ年計画が四十七年まで、海運は新海運政策が四十九年まで、空港整備五カ年計画が四十六年まで、大手の私鉄は第三次五カ年計画で四十六年まで、こういうぐあいに運輸白書の中に書かれておるのであります。大体四十五年から四十六年、四十七年、海運は四十九年でございますが、ここら辺で長期計画は一応策定しておりますけれども、新全総が六十年までということになりました。この中で、いま長期のものを発表しておりますのは国鉄の財政再建でございます。これは五十三年までです。この国鉄の財政再建は、財政再建というたてまえなんでしょうけれども、やはり十年間の長期計画、これが計画として一番前途を見てやっているわけであります。その他は、大体申し上げましたように、道路整備事業は五十一年になりましたが、港湾海運空港、大手私鉄等はまだ長期計画が策定されておりません。そうして今度、新幹線の促進法が九千キロ、十一兆円ということで、議員立法で出ようということになっておるわけであります。私は、これらを見て、そして運輸省のあしたの日本にふさわしい総合的な交通体系をつくらなければならぬという当面の任務というものと照らし合わせてみまして、何となく矛盾といいますか、あるいは総合的な体系を立てるにしてはちょっと不満を感ずる。特に申し上げたいのは、国鉄の再建計画が五十三年までの長期のものを立てまして大臣の承認を得ておりますが、国鉄だけ十年間の総合的なものを立てまして、財政再建の計画を立てておりますけれども、国鉄だけではたして当面する国民の要望にこたえることができるか。国鉄だけが五十三年までの計画を持って、他はまだできておりません。港湾の場合も海運の場合も空港の場合も私鉄の場合もできておりません。国鉄だけが先行して財政の再建という名目でやっているということが、どうもいま大臣のお考えになっている総合的な交通体系をやるといういまの時点から見ると、ちょっとふさわしくないのではないかというぐあいに私は考えるわけであります。逆に言いますと、いま加藤委員からもお話がございましたが、国鉄はもうすでにこの計画を御承認いただきまして、いろいろ具体的なことを進めております。無人駅、赤字路線の撤廃あるいは職員の合理化、こういうことであります。ところが、新幹線の促進法ができるというこのことにおいて、もうすでに先般大臣から承認をいただきました国鉄の財政再建計画は変更をせざるを得ないような状態に追い込まれつつあると私は思うわけであります。そういう状態にありながら、しかも他の交通関係の長期計画が総合的に出されない中に、国鉄が長期計画を立て、ある部分は実施を進め、そこへまた新幹線網が出てきて、これも最後は国鉄の受け持ちになるわけでありましょう。  こう考えてまいりますると、国鉄の財政再建計画というものは、もうすでに長期計画に値しないのじゃないか。もうここで手直しといいますか、抜本的な訂正をし直して、そして国鉄を含めた総合的な、国鉄、港湾、道路、海運空港、大手私鉄、バス、通運——この通運も、無人化の問題もございますけれども、通運との関係をどういうぐあいに総合的に交通の中に取り入れていくか、こまかく言いますと、貨物、小口貨物はどういうぐあいにやっていくか、手小荷物はどうするのか、住民、国民の立場から見ますと、そういう問題もあるわけであります。無人駅にしてしまう、赤字路線を撤廃してしまう、こういうことになりますと、荷物関係におきましても住民の皆さんからもすでに不満が出ている。だから、こういう点から見ると、どうも大臣のお考えの、総合的なものを立てられるというりっぱな、歓迎すべきことと私は思いますが、そのことと、国鉄の財政再建計画、さらに新幹線の十一兆円、九千キロ、こういうような問題が出てきておる状態、しかもいま国鉄だけ進んでおる、通運関係は一応考えないで進んでおる。こういう矛盾した問題等をどういうぐあいにお考えになっておりますか。どういうぐあいに大臣として調整されるか。調整しなくちゃならぬ現実にあると思うわけであります。これをひとつお伺いしたいと思います。
  55. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 内藤委員お話の中で、二つに分けて考えなければならぬと思っております。  一つは、最近のいわゆる消費及び生産の異常なる拡大といいますか、日本経済の発展、慶賀すべきことでありますが、異常なる消費及び生産の拡大、それに対応するためのいわゆる総合交通体系というものはどうあるべきか、これがまず第一の問題であろうと思います。それに対して国鉄再建十カ年計画はいかなる関連を持っておるのだ、こういうことだろうと思うのです。  私は、第一の点で、特に私が企画庁長官あるいは大蔵大臣あるいは建設大臣等に申し入れましたのは、従来の国土総合開発の一環として各省それぞれ計画を持っておりますけれども、それがはたして終点に合わしておるかどうか。終点といったところで、もちろんわれわれ人類はこれから何百万年、何千万年生きるでしょうから、その終点ではありませんが、少なくともわれわれがある程度予測し得る終点、すなわち、二十年もしくは三十年、そういう終点に合わせて現実の実施計画というものが進められておるだろうか。それとも過去の実績の積み重ねで、ただいたずらに各五カ年計画が、もちろん相関関係はないとは申しませんけれども、その点が非常に薄い割合でそういう計画が行なわれておるのではないだろうか。こういう意味から考えますと、これは何といってもわれわれが現代の知識をもって、あるいは科学的、技術的な知識をもって予測し得る限度、すなわち二十年後、その二十年後のあり方というものをまず一応とらえて、その二十年間に鉄道はどうなければならぬか、港湾はどうなければならぬか、あるいは航空行政はどうあるべきか、こういう問題が考えられる。特に注目すべきことは、一九六〇年末から一九七〇年代にかけて非常な技術革新、すなわち、われわれ運輸行政というものは一つ流通体系にありますから、その流通体系における基礎条件としてのスピードというものが非常に変わってきた。かつまた、そのスピードが変わってくると同時に、それらのコンビネーション、いわゆる飛行機、鉄道港湾あるいは道路、このコンビネーションが十分でなければ投下資本が十分円滑に作用してこない。こういう点から考えますと、一応二十年後という長期展望からいきますと、大ざっぱにいうなれば、とにかく港湾、いわゆる内航港湾関係、外航のほうはまた別におきまして、内航港湾自動車道あるいは新幹線道、こういうものがどういうコンビネーションを持っているか。非常に大ざっぱでわかりやすくいうなれば、かつて騎兵隊が着ておった服がありますけれども、ちょうどまん中に背骨がありまして、両脇に肋骨が出て、先のほうにまるいぽっちがついておりますが、大ざっぱにもし地図をかくとすれば、そういう状態がまず将来への一つ見通しではなかろうか。いま申しましたように、技術革新の中で、内航海運自身も、現在あるところは非常に少ないのでありますけれども、おそらく数年を出ずして、内航港湾におけるコンテナ化というものは非常な勢いで進むに違いない。すでに外航港湾においては、ものによっては四〇%以上、ある港においては六〇%以上というものがコンテナ化されておる。沿岸港湾においてもその傾向を持たないと、鉄道もしくは道路等の内航港湾とのコンビネーションがうまくいかない。当然そういう技術革新が行なわれるに違いない。こういうことを見きわめて、港湾計画なり航空計画なりあるいは鉄道計画というものを進める。もちろん実施計画としては五年ごとにかなり短期間の実施計画を立てなければなりませんけれども、終局の目的はどこに置くかという総合交通体系の重要なる目的がそこにあるのではなかろうか。  そこで、国鉄の再建計画は、内藤さんも御承知のように、過去において国鉄というものは独占事業であった。しかるに、近時においては全くこれは独占事業じゃない。トラックの開発、道路の開発等からいって、いわゆる独占の座をすべり落ちてしまっているということから、国鉄自身がかつての独占時代に考えられたいろいろの制度は、必ずしも現在ではこれが適正なものとしては考えられない。こういうことから、いわゆる近代化、合理化をはかるために、赤字対策の財政再建も一つは重要な目的とし、同時に、いま申した総合交通体系の中における国鉄の地位を決定する、こういう目的を持って、これを三年もしくは五年の短期間ではその目的が達成されないという意味で、十年計画を立てたのであって、私は、必ずしもこれは総合交通体系と相反するものではない、その中における一部分として理解し、摂取しなければならぬ、かように考えておるのであります。
  56. 内藤良平

    内藤委員 そこで大臣、めどは新全総の六十年というところに一応置いてお話したいと思うわけです。  新全総の中でも、六十年には都市人口が八千四百万人になってしまう、こういうことがいわれております。都市人口は、四十五年の四千八百万人が六十年には八千四百万人になるのではないか。また生産地帯に人口が集中してしまう。都市に人口が集中する。この中には、京浜工業地はもう限界だ、川崎工業地帯は時代としては何年かでこれは失う状態になるんじゃないか。秒読みの段階だということばを聞きますけれども、東京、千葉の京葉工業地帯は時間読みだ。過密、公害、集中化といいますか、こういう被害ですね。だから、都市の場合に六十年八千四百万人というぐあいに読んだ場合に、地方に生産の場を分散しなくちゃならぬということを新全総の関係の本の中で私は読んだわけです。いまずっと始まっていますけれども、これじゃだめだ。六十年という時期を考えた際には、あまりにも弊害が大き過ぎる。生産の場を地方へ分散させなくちゃならぬ。そして生産は分散するけれども、中核的な情報の管理機能は集中型で、そこで、札幌、仙台、東京、名古屋、広島、こういう中核都市、これを結ぶために新幹線というぐあいに出ておるわけでありましょう。ところが、生産の場所を地方に分散した場合、物資の輸送といまの新幹線との関係はどうなりますか。将来、新全総のあの思想では、今日の東北の北部に、北海道に、九州に、こういうぐあいな想定を持っておる。それに伴う港湾、付帯する鉄道空港、こういうぐあいになってくるわけでありますが、そういう六十年のめどを持ちながら、これからの総合的な交通体制というものをつくっていかなくちゃならない。そうでなければ、私たち先般も申し上げましたように、成田三里塚の場合におきましても、八年近い時間をかけましても、いまだに世界の超音速機SSTの時代に即応する、もう前広にいつでも来いという体制がない。しかも、実に苦しい状態成田状態もなっておる。だから、こういう点なども考えますと、いまの出てくる政策的なものが、国鉄の財政再建の場合におきましても、あるいはこの新幹線の促進法の場合におきましても、その部分的には一応私はわかるわけでありますが、六十年代の日本の産業形態の再編成あるいは人口の分散というようなことを考えた際には、これはやはり総合的な長期の体制、体系にはならぬじゃないか、こういう感じもするわけであります。ここら辺は大臣どういうぐあいに思っておりますか。
  57. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 内藤委員のお考え方、原則として私も賛成なんですが、私自身の私見でありますが、こういうことを一つ考えております。たとえば東京湾の貨物総量の現状は、大体東京湾内で扱えるものは四億トンと聞いております。あるいは正確な数字は間違いかもしれませんが、四億トンである。そこで、今後東京湾内の港をできるだけ近代化し、再開発するにいたしましても、大体において五割増しの程度しか再開発ができない。すなわち、四億トンのものは六億トン程度のものを取り扱うのがマキシマムである。地理的条件からいって、港湾の広さ、陸上交通の問題を考えて、いわゆる五割増し程度が限度、マキシマムである。しかるに、新全総的な予測からいうなれば、二十年後における東京湾を中心とするといいましょうか、首都圏内といってもいいのですが、この首都圏を中心とする一帯の必要なる貨物総量というものは九億トンをこえるであろう。そうしますと、数字の上でありますが、三億トンのいわゆるオーバーが出てくるわけであります。三億トンの貨物総量——二十年後には必要なる貨物総量は九億トンと想定されるのですが、その三億トンというものはどこで引き受けるかということ、東京湾内では引き受けられないのでありますから、東京湾外である。そういうところに鹿島港の建設があり、その他の港湾建設があるわけであります。こういうことを考えますと、これはもう少し遠いところから首都圏のほうに逆に貨物を持ってきてもいいわけでありますけれども、いずれにせよ、東京湾内のいわゆる港湾の収容能力というものは、再開発を行なっても終局的には五割増しの程度にすぎない。したがって、港湾計画をそういう点からもう一度洗い直す必要がありはしないか。二十年のビジョンに立って、そこで、現在立てられている四十七年度に終わるべき港湾計画——これは既定の上に積み重ねている点が多過ぎる。新構想というものはあまり入っておらない。そういう意味において、四十七年度をもってこの五カ年計画は終わるわけでありますけれども、最近のGNPの伸びから考えても、できれば四十六年度あたりに改定計画を出す必要がありはしないか、こう私は考えておるわけであります。こういう意味で、いまお話があったように、全国土の人口と市街地人口との割合はおそらく二対八になるというのが二十年後の一つ見通しであります。したがって、当初申しましたように、港湾建設につきましても、一カ所で多くの量を処理する場合においてのいわゆるマキシマムがあります。港湾地帯の設備の上においても、そのバックグラウンドであるところの工業地帯なり商業貿易地帯の地域においても、ある程度のマキシマムがあります。したがって、大きな超壮大なる港をつくったからそこで五つも六つもの港を十分補うということは、これはできないのであります。もちろん、外航経済の上から考えて、ある程度の巨大港というものが相当数必要であることは間違いありませんけれども、それにしても、三つか四つの巨大港でこれはまかなえるかといえば、もちろん二十年、三十年の将来を考えればまかなえない。そうなれば、今日から十分なる調査をして、全国的に巨大港はどこどこに配置すべきか、と同時に、今度は陸上交通とのコンビネーション、鉄道なり道路なりとのコンビネーションとしての沿岸港湾、内航港湾というものは、どういうところに配置すべきかという一つ想定が立たないと、本式のいわゆる五カ年計画港湾にしても航空にしても、その他の五カ年計画は立ってまいらない。こういう意味で、いま内藤さんがおっしゃったような意味でのいわゆる原則として、私はこのような方針でひとつ考えていきたい。  ただ、飛行場の問題につきまして、ちょっと飛行場に触れたようでありましたが、成田飛行場をこれ以上拡大しないでというお話もありました。ただ、私は、皆さんのほうが専門家でありますからあえて申し上げる必要もありませんけれども、この前七百二十万坪でしたかの計画を約半分以下に切り下、げたのですが、私は専門家じゃなかったのですが、当時専門家にいろいろ意見を聞いてみまして、長い滑走路が三本も四本もあればそれで能率が同様にあがるのかというと、必ずしもそうではない。空中の状態というようなことからして、同時に三本の長い滑走路からジェット機が三本一緒に飛ぶことはできないのですね。ただ、二本あれば、一本が飛び出す、その前に一つが用意しておって、飛び上がった二分後に飛ぶことができる。こういうことで、最小限度長距離の滑走路は必要である。だが三本も四本もあって、それらが同時に飛び立つことができるのなら問題ありませんが、航空管制上から考えてもそれはできない。こういう意味において、将来外国関係の人的交流も非常な勢いで増大することでありましょうし、国内の先ほどお話がありましたエアバスの問題も考えますと、ある意味において、東京なり大阪なりという大都会、超大都会の周辺には、一種の飛行場群という考え方のほうがより適切ではないだろうか、こういう考え方を私自身は持っておるわけであります。もちろん、これは専門家意見等を聴取して十分なる調整の上において考えるわけでありますが、しろうとの意見としてはかようにも考える。しかしながら、いまの成田空港は、一本だけの滑走路では非常に不経済でありますから、やはり第二期工事というものは引き続いて行なうという方針をわれわれは持っているわけであります。
  58. 内藤良平

    内藤委員 持ち時間もあまりありませんからあれですが、大臣一応六十年にめどを立てましてお話ししてみると、そういうことでだいぶ変わらなくちゃならぬじゃないか。物的生産基地の配置がえ、食糧基地の配置、レジャーあるいはエネルギー、石油だけでも六十年には六億キロリットルが必要だ。これをどこで生産するか。まあいろいろあるわけですね。あるいは火力発電の関係、こういうことでちょっと想像のつかないような時代というもの——六十年といいますけれども、しかし、わずかもう十五年です。このいろいろな交通関係の施設は大工事が多いわけであります。簡単にできません。したがいまして、私は、これからかりに新全総のこの六十年にめどを合わした場合には、これに時間を合わした港湾なり海運なり航空なり私鉄なり国鉄なりあるいは道路なり、まあ道路は第六次は五十一年まででありますけれども、長期のものを立てて、交通関係のあらゆるものをそれに合わして——そして今日、大臣おわかりのとおり、もう分野の問題が出ておるわけであります。国鉄はどこを守ったらいいか、自動車はどこまでだ、飛行機はどこまでだ、しかもまたいろいろ——これはもうおわかりですから省略しますけれども、そういう面も考えながら、国民、住民の皆さんの快適な旅行なりあるいは物資の高速の輸送なり、そういうものを前提にして、やる場合にはやらなくちゃならぬと思うわけであります。これは御同感だと思いますけれども、その際に、どうも私は、この国鉄の十カ年計画というものは、そういう観点、それからいまの新幹線の促進法が出ようとしているこういう状態から見ると、洗い直して——財政再建という面はどうしてもやらなくちゃならぬでしょう。しかし、財政再建という面と国鉄長期構想というものと、これは並行してやっているわけですね。十カ年の間にやろう。ところが、出てきておりますのは財政の再建の面だけです。しかし、長期の面から見ると、やはり国鉄というものがいま申しましたように、日本全体の動脈になる場合におきましては、いまここでこれを窮屈にしてもいいものかどうかという——再建の面からあっちこっち切り捨てていって、将来またこれを伸ばしていくなんという、こういう試行錯誤の状態を繰り返すことじゃなく、やはり六十年なら六十年にめどを合わして、その中で国鉄はいかにあるべきか、そこで赤字をどうするか、こういうぐあいにでもいかなければ、私はまたいたずらなる混乱が出るんじゃないかという気もするわけであります。もうすでに現象的には、さっき申し上げましたように、無人駅だ、赤字路線の廃止だ、こういうことで、住民からたいへんな不満、反対がある。これは国鉄にとっては赤字を解消するためにはどうしてもやらなければいかぬ、運輸大臣橋本先生から御承認の判こをもらったから、どうしてもやらなければならぬ、こういうことでしょう。ところが、長く見た場合には、六十年というところに合わした場合に、はたしてこれをいまこうやってあわててやることがどうなのか、あるいは通運のような問題とのコンビネーションはどうなっているか、こういうぐあいに考えますと、どうも私は、全体の長期計画を立てる中で先行し過ぎておるような——国鉄の関係あるいは新幹線の関係等も、もう一ぺんこれをそれこそ練り合わしたものをいまの時代につくらなくちゃならぬじゃないか。これはやはり橋本先生の御手腕でぜひひとつやっていただきたい。  そこで、例として申し上げたのは、どうも八年もかかってもあの空港はああいう状態です。ですから、やはり十五年後のことをいまから考えてもどうにもならぬということでなくして、いまこの橋本大臣の時期に総合的なものを打ち立てておくということを、私はぜひともこれは希望したいわけであります。いかがでございましょう。
  59. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 内藤さんの御意見、御提案は、原則として私もその方針でやっていきたいと思っております。実はこの問題につきましては、予算委員会におきましても委員の方から御質問がありまして、それで運輸大臣の構想は具体化しつつあるのかというようなお話でありました。これはもちろんいま具体化しておるわけではありませんけれども、私から正式に今度は大蔵大臣及び経済企画庁長官建設大臣等に申し入れまして、そしてなるべく近い機会に、まず事務当局でその総合交通体系一つ考え方をまとめる、こういう形をとる方針で、これに対してそれでは財源はどうかという質問がありましたが、その問題は、まず消費及び生産の拡大に伴っての流通総合交通体系というものを考えた後において、その実施すべき順序がありますし、財源等も考えるということで、大蔵大臣総合交通体系を樹立することに賛成である。こういうことでありますからして、御意見のような方針でこれから私はやってまいりたいと思います。  ただ、国鉄再建の問題は、もちろん部分的にはこれらとの関係がいろいろ出てまいるとは思いますけれども、原則としては、いわゆる赤字線の問題とかそういう問題、あるいは新線計画とかいうものが、どういう関係を持つだろうかという点は出てくると思います。ただ、赤字線の場合、私は、必ずしも赤字線であるから廃止しなければならないということには国鉄の使命としてならない。いま電電公社のことを申し上げるのは恐縮でありますけれども、電電公社のいわゆる収入の面を考えましても、東京中心とか大阪中心とかいう大都会の地域は相当の黒字を示しておりますが、その他の地方はすべて赤字であります。しかしながら、電信電話は独占事業でありますからして、かつまた国民の福利、生活の安定、こういう面からして、電電公社は、それが赤字であろうとも、国民全体の利益増進とまた生活の向上のために、赤字であることを初めから承知の上で、電信電話網というものを引いておる。国鉄もやはり公社すなわち国の機関でありますからして、赤字線であるから直ちにこれを廃止すべきであるということにはならない。ただ、いろいろの点から検討しまして、それ自体がバスなり道路に切りかえるほうがより便利である、こういう点があれば、これはもちろん考えたらよろしい。しかし、そうでない場合については、もちろん国鉄だけが責任を負うのじゃなく、他のあらゆる方法でこれが再建の方法もあるのではないだろうか。また国も、私は、そのような赤字を原則として出すべき線を持つ場合に、国自身も考えてやらなければいかぬのじゃないか。独占時代にはもちろんいわゆる特別会計で、そうして一般会計からの補助なしでやってまいったのは、これは独占時代の一つの発想法でありますが、最近における競争自体がかなりの力を持ってきている状態においては、国鉄にそれだけの責任を負わせることは、ある意味においては無理な点もある。したがって、本年度において一般会計から百十五億ですか初めて国鉄としては——四十三年度の予算で、私は総務会長のときでありましたが、三億円の利子補給をとりましたけれども、それ以来今度の四十五年度において、初めて百十億という一般会計の繰り入れが行なわれるわけでありますけれども、こういう点から、将来、国鉄が負っておる責任、また無理な責任を負わしておるというたてまえから、これはやはり運輸大臣の立場からいうなれば、いわゆる国が財政的にももっと助成をしてしかるべきものである。これらを合わせて、そうしていわゆる国鉄の再建をはかっていかなければならぬ、かように考えておるわけではありますけれども、御承知のように、わが国の財政事情は必ずしも豊かでありませんために、歴代の運輸大臣がこれを主張し、また努力しておったにかかわらず、従来は実現できなかった。初めて四十五年度において百億余りの金が一般会計から繰り入れられるということが実現したのでありますからして、これを機会に、将来ともにやはり国の持つべき責任も考えてもらいたい、こういうように私は考えておるわけであります。
  60. 内藤良平

    内藤委員 私は率直に言いまして、久しぶりの大型運輸大臣、大物運輸大臣がきたと思っております。私も三年の経験よりありませんけれども、しかし、当面する交通問題は大きな問題でございます。交通安全だけじゃありませんけれども、やはり基本は交通問題、たいへんな問題でございます。どうもいままでの例を見ますと、大臣の任期がわれわれから見ますと非常に短い、どんどんかわってしまうような傾向でございます。しかし、貴重な一九七〇年代に入りました年でございますから、     〔委員長退席、加藤(六)委員長代理着席〕 私の申し上げましたことを大臣もいろいろと御同感という御発言がございましたので、ぜひとつ具体化するように、われわれもまた協力を惜しまない、建設的な面は建設的にやってまいりたい、かように申し上げまして、終わります。
  61. 加藤六月

    加藤(六)委員長代理 松本忠助君。
  62. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 先般、運輸行政の基本方針を当委員会におきまして大臣より拝聴いたしました。また、大臣御就任にあたりまして、運輸政策におけるところの橋本構想も新聞紙上で拝見いたしました。その中の三美政策というものも十分傾聴に値するものであると思うものでございます。さらに、昨日は予算委員会におきまして、交通総合体系につきまして御意見を戦わせる機会を得まして、大臣が運輸交通問題につきまして非常な御熱意を示されて取り組んでおられること、たいへんうれしく、心強く感ずるものでございますが、一そうの御健闘をお願いいたしたいと思うものでございます。  先般の大臣の基本方針を拝聴いたしましたが、その中で、大臣は、「一九七〇年代は、経済規模の拡大を軸とする豊かな蓄積を土台とし、同時に、その過程において、経済、社会の各部面において発生するさまざまの問題を打開しつつ、新しいビジョンのもとに真に人間性豊かな国民生活を全国土に展開すべき年代」である。この「新しいビジョンのもとに真に入間性豊かな国民生活を全国土に展開すべき年代」であるということは、私も全く同感でございまして、この大臣の基本的な考え、これを十分今後の施策の上に練り上げていただきたいと思うものでございます。  たいへん失礼なことを申し上げるかもしれませんが、この基本方針の中に数々の美辞麗句がございます。しかし、国民が待ち望んでいるものは、このような美辞麗句ではない、切実な問題であろうと思うのでございます。物価の値上がりを抑制してもらいたい、交通事故を絶滅してもらいたい、そして税金を安くしてもらいたい、これが国民の偽らない気持ちであろうと思うのでございます。総理大臣も年頭に、七〇年は内政の年である、物価と税金の二つを中心にして積極的に取り組むと言われております。物価の上昇率は四%以内にとどめないと国民も納得しないでしょうと語られております。  で、橋本運輸大臣は、佐藤内閣の国務大臣として、運輸交通を担当される閣僚として、消費者物価に直接影響を与えるところの運輸関係の料金の値上げについてどのように対処なさろうとするのか。御承知のように、運輸交通部門におきますところの公共料金の値上げについて見ますと、本年一月早々に京都、横浜などの四大都市のタクシー料金が値上げされております。これを皮切りにいたしまして、一月十日には東京の三多摩地区、愛知、広島、長崎、このような七都県、三十一社のバスに、地域を同じゅうする国鉄のバスも平均二六%の値上げをしております。二月一日からは通運料金が都市部において一九・八%値上げされておる。二月二十日からは横浜のハイヤーが一七・七%、京都のハイヤーは一八・八%の値上げをしております。タクシーにつきましても、大阪については二月十五日から、東京におきましてはこの三月一日から値上げをしたことは御承知のとおりと思います。今後値上げを予想されるものは、四月一日から首都高速道路の通行料の値上げ、これは決定的でございます。さらに大手私鉄十四社等、東京の地下鉄の値上げももはや確定的であろうと思われるのでございます。このように交通料金につきまして申し上げただけでも、たいへんな値上げが引き続き行なわれております。また、そのほかに、公衆電話が十円で三分間、こういう制度に変わりました。これも値上げでございます。また、健保の医療費の本人負担分がこれまた値上がりをしております。  このような一連の値上げは、政府の物価抑制方針とは全く逆な現象であろうと思うのでございますが、そこで、経済企画庁のいうところの、物価対策を強力に推進することによって四十五年度の消費者物価の上昇率を四・八%以内にとどめよう、これに努力するという経済見通し、これは一体どのようになるのかを伺いたいわけでございます。四十四年度におきましても、五%以内に押えてみせるというふうにみえを切っておりました物価の抑制方針が、五・七%になってしまった例もあります。国民はもはや政府の物価対策に対し強い不満を持っているのでございます。四十五年度は一体どうなるのか、国務大臣とし、またわれわれの生活の足を担当する大臣として、具体的な所信を伺っておきたいのでございます。
  63. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 物価問題はなかなかむずかしい問題でありまして、もちろん政府としては、お話のように、物価の値上がりを原則として極力押えていこうということで、諸般の対策を講じつりるわけでありますが、いろいろの条件から、たとえば最近においては異常乾燥というものから、生鮮野菜類及び魚介類が中心になって、予定の物価指数をこえるような結果になっておることは御承知のとおりであります。  私鉄関係あるいはバス、タクシー等の値上げ問題も、もちろん、これはこの点から考えますれば好ましいことではないわけではあります。ただ、御承知のように、公共企業体あるいは国営企業という場合には、これに対して、何とかしてやっていけるための財政措置というものは、ある程度構ずることができるわけであります。たとえば国鉄の場合でありますれば、特別な投融資を行なうなり、あるいは一般会計から助成金を出すなりということで、これが措置を行なうことができます。しかしながら、私企業に対してなかなかそのような措置が困難でありますから、したがって、私企業の場合経営の基礎がくずれる、それがために、会社がそのような業務を遂行できない、こういう状態に追い込むことはまことに危険千万でありますから、この点も一応やはりこの物価対策と合わせつつ考えなければならぬ問題があるわけでございます。  御承知のように、最近のいわゆる労働賃金の値上がり、それによってのタクシー料金の改定——もちろん、それだけではありません。安全性の度を高めるとか、あるいは近代化を行なう、こういうような意味及びタクシー会社のおそるべき赤字、こういう問題を処理するための問題もありましょうが、その主体となるものは、やはり労働賃金の値上がりをある程度考えてやらなければならぬ、こういう点も一つはあるわけでございます。それで、私鉄等の料金問題は、四十三年の十一月から四十四年の一月にかけて、十四社から料金改定の申請が出ておりまして、その間において運輸省当局も十分に厳重公正に審査をいたしまして、そこでその必要性をある程度認めて、審議会のほうにこれが答申を求めておるのが現在の段階であります。その一つは、もちろん私が最近皆さんにも申し上げましたが、何といっても、大都市交通圏というものは、国鉄、地下鉄だけではどうにも解決がつかない。当然に私鉄の協力を得なければならぬ。あるいはまたタクシー等もその一つであります。それがために、御承知のように、四十二年でありましたか、四十二年から私鉄の大都市交通圏の輸送量の増加を要請しまして、そこで私鉄関係としては、四十二年度から五カ年計画でこれの拡張及び安全性の確保、こういうことで仕事をしてまいっておるわけであります。これに対しての予算、これに必要な総事業費は、投資計画で四千八百八十七億円という相当の金額になるわけであります。四十二年度以降から四十四年度までのこの三年間の投資の進捗状況を見ますと、大体これに対して投資いたしました金額は二千五百七十三億円、その進捗率は五三%であります。そのうち、運転、保安投資については六〇%、この状況を見ますと、一応順調に投資計画が進められてまいっておるわけでありますが、残りの四十五年度、四十六年度、この二カ年間に残りの仕事をやってまいらなければならぬわけでありますけれども、その投資に必要な借り入れ金なり何かの方法でやらなければならぬわけでありますけれども、それを遂行するためには、現在の料金収入だけでこれをやっていくということになれば、赤字の解消はもちろんのこと、その投資額に対する利子の支払いもできない、こういう現状であります。したがって、もちろん、私はいま値上げをするという方針をきめておるわけではありませんけれども、しかしながら、大都市交通圏の整備は、一般市民が非常に心から待望し、かつまた要求のあるところでありますからして、国鉄が複々線もしくは三複線、こういうような工事を進めておると同様に、私鉄においても大都市交通圏の問題には協力してもらわなければ、通勤、通学の円滑化をはかることはできないわけでありまして、そういう意味から考えますと、いまの状態で放置するならば、この五カ年計画の遂行すら危ぶまれるのではなかろうか。こういう考え方から、われわれは何らかの方法で考えてやらなければならぬ。しかも、タクシー料金の値上げの場合を計算いたしましても、これが国民生活に影響するところのものは〇・〇幾ら、こういうような数字であります。こまかい数字は関係局長から御答弁させますが、そのように生活に対する影響力が非常に少ない。しかし、生鮮野菜あるいは魚介等が最近六%をこえるといわれておるゆえんのものは、そのうちの相当数量、約二%に近いものは、最近の乾燥期における野菜出回りの不足、こういうものが大きく影響を与えております。こういう意味から考えましても、やはり流通体系、輸送体系が整備せられることは、考えようによっては国民生活をある程度経済的にすることが可能である。もしこれが非常な溢路になっておりますれば、かえって国民生活を脅かす原因となる。もちろん、われわれは物価抑制の方針に変わりはありませんけれども、このような意味において、これらの点も何らかの形で考えなければならぬ、かような考えでおるわけであります。
  64. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣は物価抑制の方針に変わりはないとおっしゃいますけれども、先ほど私が申し上げましたように、数々の事例がございます。現実に上がっておるわけです。方針に変わりはないと言われても、現実に上がっている姿に対してどのようにお考えでございますか。
  65. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ただいま申しましたように、国民生活に与える影響は〇・〇幾らというような、非常に割合は少ないのであります。したがって、過去においてタクシー、ハイヤー等の値上げによって国民生活を脅かしておるとは私は考えないのであります。
  66. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 大臣は〇・〇幾らというようないへんこまかい数字をあげて言っておられますが、現実に値上がりしている。国民生活は決して楽にはなっていないわけです。こういう現状を十分踏まえていただきませんと、雲の上の発言のようなことであっては国民は納得しないと思う。現に三月一日から値上げされております東京のタクシーの問題でございますけれども、何と申しますか、われわれが予想していたような大きな混乱が一起きないで済んでいる点はまことにけっこうだが、しかし、これはあまりにも前宣伝が過ぎまして、料金を二倍も取られたとか、あるいはメーターの換算が何だかわからないとか、さまざまなことが言われまして、タクシーを利用する方が二の足を踏んでいるのではなかろうか、こういうところがら現実に事故あるいは紛糾が起きていないのではなかろうか、こう思っておるわけでございます。  私も毎朝国会に参りますのに新橋駅からタクシーを利用しております。三月二日には、いわゆる旧料金、メーターの変わらない、今回の値上げが承認にならなかった会社のタクシーに乗ったわけであります。その運転手さんといろいろ会話をしてみますと、いろいろな不満や、それからまた今回の取り扱い方に関しまして疑問を持っておるわけでございます。現実に今回の値上げの対象にならなかった不良会社といわれるところの六十二社、六十八営業所でございますか、二日に乗ったのはその会社の運転手さんでございますが、接客態度も決して悪くない。そうしてまた、どうしてこんなに指導の行き届いている会社が不適格なんだろうかと思われるほどでございます。東京の全タクシー、全営業所の労務管理を査察したのならいざ知らず、今回は約四〇%に当たる会社しか見ていないと思うのです。残りの六〇%の会社が必ずしもいい会社とは断定はできないわけだと私は思うわけです。どうしてこんな片手落ちのやり方で、しかもまた、タクシーのメーターは御承知のように三本立て、このような状態で、三月一日から何か無理やりに値上げに踏み切ったというふうに思うわけです。その後も運転手さんにいろいろ聞いてみましても、われわれも一生懸命に改善をしておるんだ、会社としてもメーターをつけ直すことに努力しておるんだ、だから、メーターも全部新しいメーターに直って、いわゆる不適格といわれた会社も全部監査してもらう、そうしてこれが一斉に値上げができるような体制までなぜ役所は待たないだろうか、そしてまた、運転手さんは、今度値上げになったとしても、それが私たちの生活に少しもはね返りがない、こんなことでは結局お客さんもばかをみるし、私たちも労働条件はちっとも改善されない、こういうことで不満を持っておるのです。こういう状態にもかかわらず、なぜ当局は値上げに踏み切られたか、こういう疑問を運転手さんは持っておるわけでありますし、また世間でも持っております。それらの点について、ひとつ大臣からお答えをいただきたいと思うわけです。
  67. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私も、三月一日の値上げ実施の日に、午後一時から四時半まで、一人で秘書も連れないで、外套を着たまま五つのタクシーに乗ってみました。そのうち、三つが新料金で、二つが旧料金でありました。その旧料金の運転手から、いま松本さんのおっしゃったようなことも聞きました。会社がどうも悪いとは思わぬ、自分も間違いなくやってきたつもりだのに、自分のところは値上げにならなかった——まあこれは労働省に委託をして、それらの調査をしてもらったわけでありますから、こまかい点につきましては、自動車局長からお答えをしようとは思いますが、ただ私たちは、こういうことのきめ方についてもいろいろ議論があります。三通りの、三十円を値上げする、足取りタイム料金をまた取られる、十一時以後は二割増し、こういうような三本立てのこまかなきめ方はどうだろうかという意見も、よく外から聞きます。しかし、料金の合理的な性格というものからいうと、どうもいろいろ——当時そういうような方針がすでにきまっておったものですから、私がなりましてからこれを改定するというわけでもありませんけれども、しかしながら、なかなかめんどうなものだという気は私もいたしたのでありますけれども、これはやっぱり一つには合理的な料金のきめ方でないと筋目がつかないのが通例であるから、したがって、めんどうでありますが、三通りのいわゆる料金のとり方というものがきめられたと私は聞いております。私は、それだけに、この問題を実施する場合に非常に混乱が出てくることがあっては、お客さんに対しても、またタクシー会社自身にとっても好ましいことじゃない。できるだけけ徹底的に、会社自身のこれに対する理解及び運転手に対して新料金をよくのみ込ませること等を十分厳重に前もって指示いたしまして、まあ関係者、各方面、運転手さん等の協力もありまして、たいした混乱もなく実施を進めておられる現状に対しては、私も松本さんと同じように、まあ混乱がなかったということはよかったという気がいたします。ただ、いま申しましたように、やはり現在のこの料金では、タクシーなりハイヤーなり——ハイヤー等については一部でありますけれども、タクシーというものが現在の料金ではやっていけない。こういう点で、二月以降、この料金改定をするという前提のきまったときに、内容的の研究は十分なされているわけでして、したがって、タクシー業あるいはタクシーそれ自身がまあ何とかして最低の運行状況を、事業を進めていきたい、それを進めていくような状態のために必要な料金、これはやっぱり改定せざるを得なかった。ただし、その中において、少なくとも料金の相当部分は従業員、運転手の待遇改善に充てなければならぬ、こういうような方針を指示いたしておりまして、これはまあタクシー業者もその方針を堅持して、そうして運転手の待遇改善にも料金収入のうちから相当の手当てが行なわれておるものと、かように私たちは理解をいたしております。  こまかい点につきましては、自動車局長から御説明申し上げます。
  68. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 タクシーの値上げの問題については、いろいろ疑問点もございます。この解明は後日またゆっくりとやりたいと思います。しかし、いま大臣の御発言の中に、この運賃の値上げの部分の中の全部ではないでしょうけれども、タクシーの運転手、この人たちの労働条件の改善にこれが十分回るということを当局も確認の上で、値上げを許した、この点はお認めになりますね。
  69. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 その方針で指示をいたしてあります。
  70. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 それでは次に、時間もございませんから、私鉄の大手十四社の運賃値上げの問題、営団地下鉄の運賃値上げの問題でございますが、先ほどの答弁の中に、大臣は値上げをきめたわけではない、まあこうおっしゃっております。現在、運輸審議会におきまして審議の最中であることは承知しております。三月末には答申が出て、おそらく四月から値上げになるであろうということは、もうこれは常識的な話になっていると思うわけであります。総理も、私企業の値上げはいつまでも押えているわけにはいかない、このようにも言われております。また、新聞の報道によりますと、運輸大臣が、私鉄は二五%、地下鉄は一〇%程度と、大臣のおなかの中を見通して、値上げをするということを新聞が確定的に伝えている。大臣はおそらく値上げをしますとは言っていらっしゃらないでしょう。言うわけもない。当然のことです。運審でただいま審議中でございますから、値上げをしますということは大臣が言うわけがございません。しかし、新聞はもうあたかも二五%ないし一〇%値上げは確定的であると、これは大臣が言明したかのように受け取れる新聞がございます。こういう点から考えまして、どうも歯切れが悪い、値上げはしない、まだきめていない、こういうふうに言っておられますが、もういっそのこと、大臣がここで値上げをしますと言明されたほうがすっきりするのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  71. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 せっかくのおすすめではありますけれども、法的にも、また政府の対策としましても、御承知のように、運輸審議会という手続の機関があります。これは法的なものであります。同時にまた、政府の政治的な機関として物価対策閣僚協議会、これは党の首脳部も入りますけれども、そういう機関で最終的な決定をする手続がありますので、私がここでイエスともノーとも言ったところで、それが実現するわけでもありませんので、その点はひとつ御了承を願いたいと思います。ただ、私といたしましては、大きな原則に立って、厳正公正にこれを処理していきたい、かように考えております。
  72. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 そこで、その運審のあり方について伺っておきたいわけでありますけれども、運審がきわめて熱心に週二回、火曜と金曜でございますか、審議をなさっておることも聞き及んでおります。いわゆる運審の審議されておる原案というものは、おそらく運輸省の原案だろうと思います。しかしながら、この審議の模様というものは全くのマル秘であります。いかんともこの内容についてはわれわれにはわからないわけでございますが、いままでの運賃改定、いろいろの運賃改定がございましたが、その経過を見ておりますと、少なくともこれまでは運輸省原案を、まことにこれは失礼な言い分かもしれませんけれども、機械的に、形式的にそのまま答申されているのではなかろうかと思うのでございます。それというのも、値上げがほんとうに妥当なものであるかどうか、この尺度を運審自身が持っていないからではないかと思うのでございます。言うなれば、運輸省原案をそのままうのみにして吐き出す、この運審のあり方に大きな疑問を持つものでございます。運輸省原案は、運輸審議会という一つのトンネルを通って、そのままの形で世の中に出てくる、生まれてくる。一方、運輸省は運審を通ったという隠れみので守られていると思うのでございます。御承知のように、運審は他の審議会と異なった三つの性格を持っているといわれております。御承知のとおり、運審には諮問する案件が十二項目きめられております。このことが一つ。それから大臣は運審の決定を尊重するという尊重義務、そしてまた、運審は勧告権を持ち、大臣はその勧告を尊重して必要な措置をとることが明記されております。このような他の審議会と異なりまして、一段と格式が高いといいますか、このような運審なのでございますけれども、ただいま私が申し上げる  ように、どうもすっきりしないところがございます。完全に機能を発揮しているとはいえない、このように思うわけでございます。そこで、私鉄の運賃をはじめタクシー、ハイヤー、トラック、バス、このような運賃は、決定にあたりまして、今後国会の審議の対象にしてはどうか。国民の生活に大きく影響のある公共料金でございます。国民の足の単価をきめる問題でございますので、この公共料金をきめるにあたっては、国民の代表であるところの国会において審議すべし、このように思うわけでございますが、この運審のあり方並びにこの運賃を国会において全部審議するということについての大臣のお考えを伺っておきたい。
  73. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 運輸審議会のお話がありましたが、実は私も運輸審議会でどのような議論が行なわれているかは承知をいたしておりません。毎週二回熱心にやっておられるということだけは知っているけれども、審議会の内容は、どういうことが審議されておるのか、もちろん私も承知いたしておりません。かつまた、運輸省がある程度の原案を出して、それをトンネルのような形でもって通すんじゃなかろうかというお話でありますが、さような事実はありませんし、それであれば、これは週二回も開く必要もないので、一回か二回やったら終わってしまうのであります。ただ、おそらく運輸省の事務当局はこういう資料を出せ、こういうようなものを出せ、あるいは私鉄のほうに向かっても言うでありましょうが、そういう資料の提供を要求せられることがありましても、原案作成には全くタッチしておらない。ほんとうに文字どおり審議会の方針に従ってこれが進められておる。ただ、その結果は、法律にもありますように、尊重しなければならぬ、こうなっておりますが、尊重は必ずしもイエスだけではないのでありますからして、それは政治の上において判断すべきものは判断せざるを得ないという面もありますから、その答申が出てから、運輸大臣としてはこれをいかに扱うべきかということを考えればよろしいのではないか、かように考えております。  それから、こういうような道路等の料金はかなり国民生活に影響があるから、これを国会の審議の場で決定してはどうであろうか、こういう御意見であります。法律の問題からいうなれば、こういう私企業、しかも複数の競争原理の上に立っておる会社の運賃を法定的にきめる、ある意味において法定でありますが、そういうような必要がはたしてあるのであろうか。たとえばNHKのような独占企業、あるいは国鉄——現在はそうじゃありませんけれども、しかしながら、従来は一つの独占企業、官営企業であった。こういうものに対しては競争の公平な原理というものは適用されませんから、当然国会においていわゆる監視の意味を含めて、国民の代表の名において審議せられるという必要があると思いますけれども、いわゆる複数以上の、しかもこれがある程度筋道さえ立つならば自由に許可さるべき企業に対して、その料金を国会の場でやることがはたして適当であろうかどうかという点について、私自身も確信を持っておりません。しかし、考え方といいますか、精神は、国会の場で審議されると同様な気持ちで、運輸当局なり運輸審議会がこの問題を慎重に国民生活の立場から考えて行なう、この気持ちは十分にそうでなければならぬと考えるわけであります。
  74. 松本忠助

    ○松本(忠)委員 この問題につきましては、また機会を見まして十分御意見も伺い、私の意見も申し上げたいと思っております。  きょうは時間もございませんので、最後に一言。三月七日の新聞報道で、大臣がドライバー保険の新設について構想をお持ちのようなことが出ておりました。私も四十二年以来、運転者が保険をかけるということにつきましては、当委員会におきましても、また交通安全対策特別委員会におきましても、しばしば意見を申し上げました。そして、私が私なりに研究してきたことについて、委員の皆さまにも申し上げ、また当局の方々にも聞いていただいて、そうして煮詰めてまいりました。本日は時間がございませんので、この問題について大臣にいろいろと申し上げる余裕がございませんが、一度大臣にも私の案も聞いていただきたい。そうしてまた大臣の御意見も伺って、交通事故のいわゆる被害者の救済、そうしてまたそれがひいては運転者の事故を抑制するという思想につながるように持ってまいりたい、こう思っておりますので、一度十分の御意見を戦わせてみたいと思っております。きょうは大臣の御就任の最初にあたりまして、いろいろと御意見を聞かせていただきました。たいへん光栄に思っております。  以上で終わります。
  75. 加藤六月

    加藤(六)委員長代理 次に渡辺武三君。
  76. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 運輸行政の基本方針について、過日大臣所信表明をお伺いいたしたわけでございますが、私は、この中の第二、第三の柱につきまして、若干お尋ねを申し上げたいと思います。  本会議の時間が迫っておるようでございますので、ひとつなるべく御答弁を簡明にお願いをしておきたいと思います。  まず、都市化の進展に伴いまして解決を迫られておる都市交通の問題でございますが、特に通勤、通学の問題と路面交通の渋滞が、私は大きなポイントではないかと思います。通勤、通学の交通対策は、基本は鉄道に置き、補完的な手段としてバス、タクシーあるいは自家用車を考えて、効果的な輸送を行なうことが望ましいと思うのでございます。そのために、大臣の所信の中でもいろいろ述べておられますが、私は、郊外ターミナル駅というものにひとつ大きな駐車場を設けるべきではないか、かように考えておるわけでございますが、この所信の中で、通勤交通輸送対策についての有機的、合理的な組み合わせによって通勤交通システムの確立をはかりたいというふうに述べておられますが、その具体的なシステムについてお尋ねをしたいと思います。  さらに、道路交通混雑につきましては、路面の有効利用の観点から、駐車違反に対する取り締まりの強化、さらには公共輸送機関の最優先通行あるいはバス停車場の路面拡張というようなものが必要であると思いますが、大臣が述べておられますいわゆる効率的な道路交通とは、具体的にどのようなものであるか、この二点についてまずお尋ねをしたいと思います。
  77. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 大都市交通の通勤、通学のための交通整備、これは非常に緊急に要請されておるわけであります。したがって、先ほどちょっと述べましたが、私鉄は四十二年度から、国鉄も同じころから、大都市交通圏の整備に関して相当の金額、おそらく両方合わせますと一兆数千億円になる金額で、いわゆる複々線化、三複線化あるいは延長等を行なってまいって、いま三年経過をいたしておるわけです。もちろん、これだけで十分とはいえませんから、そこで最近路面電車をはずしまして、そうして地下鉄に移行する傾向が顕著になって、東京、大阪ともにそのようなことが実行されてまいっております。しかし、御承知のように、地下鉄の施設費というものは膨大な金がかかる。これをこのまま料金に換算しますと、たいへんな高い料金になるのみならず、もしこれをある程度で押えるならば、とうてい事業自身が公営企業といえどもこれを遂行することは困難だ。こういうことから、私は就任以来、大蔵省当局と数次にわたって強い交渉をした結果、今回の予算で御審議願っておるように、地下鉄の建設に対しましては、その必要部分の五〇%をいわゆる国及び公共団体でこれを負担する、こういうようないわゆる助成策を決定したわけであります。これによって、一応施設費の自己負担分をできるだけ少なくしてやる、それによって結果的には料金をある程度押えることが可能である、こういう対策をとっておるわけであります。お話がありましたように、大都市というものは非常に膨大な人口を持っておりますから、これが管理センターとしてどうしても中央に通勤せざるを得ない。こういう面において現在の交通体系がはたして十分だろうかどうかということは、その制度の上においても一つ問題点があります。たとえば、これは大阪の市長にも私の希望を言ってあるのでありますが、大阪の地下鉄の場合は これが市営でありますために、市の段階まではこれを意欲的にやりますけれども、それから先になりますと、どうも自分の負担になる。経営上も遠距離線は引き合いません。ラッシュのときだけが収入になるわけですから、平均して収入が足らない。そういう意味から、これを遠くへ持っていくことを希望いたしません。そこで、私は神戸でもそのような陳情を受けましたから、私の方針としては、地下鉄を今後新たにやる場合においては、広域的な性格を持たなければ私は許可する方針を持たない。ということは、結局、たとえそれが府下に住もうとも、あるいは近郊の府県に住もうとも、それが大都市の管理センターの位置において働く人は、生産の場所をやはりその都市に持っておるのであるからして、したがって、狭い意味での地下鉄網というのは、もちろんこれは市内交通意味で必要はあるけれども、同時に、大都市交通、通勤交通としての役割りも果たしてもらいたい。そうでなければ、狭い意味での申請に対して私は賛成をしかねる、こういう意向を申し上げております。ということは、これがもし途中のターミナルで、たとえば国鉄と接続したところで、そこで地下鉄に乗りかえる、私鉄や国鉄から地下鉄に乗りかえなければならぬということになると、その一定地域の混雑というものは目に余るものが出てくるわけです。人口がふえればふえるほどそういう状態というのが出てくる。これは大阪で皆さんが梅田駅をごらんになってもよくわかります。一挙に非常な人間がある時間にはたむろしてしまう。そうしていわゆる乗降の制限すら行なわざるを得ない。もしこれが大都市圏に通勤軌道が延びておりますれば、この点はある程度緩和できるわけであります。そういう意味において、原則としては、乗りかえを要しないものがやはり相当数必要である。すなわち、地下鉄にいたしましても、あるいは私鉄にいたしましても、これが管理センターに乗り込める、あるいは郊外に延びる、こういうことが並行して行なわれませんと、ある特定のターミナルは非常な混雑を来たす。こういう意味において、いわゆる大都市交通圏の整備に関しては、十分なる配慮がこれからは必要であろう。  また、自動車の問題でお話がありましたが、いまおっしゃったように、郊外の適当なところに一種の自動車ターミナルというものも考える必要があろうかと思います。のみならず、いまの道路を拡張するといっても限度があります。財政の面から考えても、面積の面から考えましても、いまの道路を数倍に広げるということはなかなかの困難があります。そうなりますと、いまおっしゃったようなことも将来は必要になってくるでありましょうし、ある意味においては特殊の車は制限を加える、これらのいろいろのことを考えなければならぬ時代が来るのではないか。こういうもろもろの現象に対して、これから十分に研究し、対策を練って、必要があればいつでもその態度に出ることができるという準備を進めていきたい、かように考えておるわけであります。
  78. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 次に、交通安全と公害の問題についてお尋ねをしたいわけでございます。  年々増加をいたします交通事故がいまや重大な社会問題であることは、私が申し上げるまでもありませんけれども、建設省分の予算で見る限り、この交通安全事業に対する予算が年々減少をいたしておるようであります。しかし、運輸省といたしましては、この交通安全の問題について具体的にどのような方針で臨まれるか、お尋ねをしたいと思います。
  79. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 おっしゃるように、これからそうした輸送機関が増大するにつれて、一般的な広い意味での公害も大きくなってまいりますし、あるいは排気ガス等の公害も顕著になってまいると考えておるわけであります。それに対する対策としては、御承知のように自動車の排気ガスの規制、これを行なうことによりまして、一日も早くこの規制が実施できるような状態をつくっていきたいということで、せんだってそのような決定を見たわけであります。そういう大気汚染あるいは地上汚染という問題だけではなく、騒音等いろいろな問題があります。ある意味において、自動車というものは、大体一時間四十キロ、五十キロで走るべきものが、八キロ、九キロで動かなければならぬというのも、これは一種の公害といってよろしい。あるいはまた自動車を置く場所がない。それがために、一般交通の障害を来たす。これも一つの公害であります。こういう意味において、いわゆるガレージといいますか、ニューヨークあたりで皆さんがごらんになってもわかりますように、ほとんど百メートルおきにビルディング・ガレージというものができておる。これが一つの商売として成り立っておる。あるいは東京あたりも将来そういうものが商売として成り立つ、こういうことが出てくるかもしれませんが、こういう点もやはりあわせて検討を加えなければならぬと思っておるわけであります。そこで、それだけじゃなくして、機械それ自体の安全性の問題、こういうことを十分にわれわれは心配をいたしまして、そこで御承知のように、今回の予算あるいは設置法の中で、自動車の公害を防止するための研究所を設置することになっております。その他、もちろん運輸省としてはそれぞれの機関がありますので、それらを総合的に駆使して、皆さんの御心配になる一般公害あるいは狭義の意味の公害、それらを最小限度に食いとめていく、これは運輸省の責任でもありますからして、その方針で努力いたしたい、かように考えておるわけであります。
  80. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いま御答弁の中に大気汚染の問題があったわけでございますが、特に大気汚染の公害につきましては、往々にして公害の現象とその発生源を見誤った解釈が行なわれておるようでございまして、そういうこと自身は正しい対策を妨げることにもなると思います。そこで、具体的な質問をしたいと思うわけですが、現在ときどき東京の空をおおっておりますスモッグ、このスモッグのおもなる物質は一体何であるか。ひとつ多い順とその発生源についてお聞かせを願いたい。所管が違いますので、あるいは厚生省でなければ十分なるお答えができないかもしれませんが、この第二の中に書かれておりますいわゆる自動車の排気ガスによるところの公害、これの対応策を立てるためには、やはりまずもって現在発生をいたしておりますこの大気汚染の原因、その他原則的なことを十分にわきまえておらないと、その対策を誤るのではなかろうか。かような意味から御質問を申し上げるわけでございます。したがって、現在の東京のスモッグのおもなる物質と、その発生源、さらには東京自動車の保有台数、これとスモッグの関係、この辺についておわかりになっておることだけでもよろしいから、お聞かせを願いたい。
  81. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま先生の仰せのとおりに、これは厚生省が全体の所管でございます。したがいまして、厚生省の試算でありますが、それによりますと、昭和四十二年度の東京都におきます有害の物質は、まず硫黄酸化物でございまして、四十二年度年間約四十六万トンでございます。次が一酸化炭素、年間約九十万トン、炭化水素が年間約十七万トン、そのほか、窒素酸化物が約十六万トンでございます。硫黄酸化物につきましては、その約九〇%以上が工場、発電所等の重油の燃焼によるものでございますが、一酸化炭素と炭化水素につきましては、そのほとんどが自動車の排出によるものというふうにされております。また窒素酸化物でございますが、これは自動車によるものが三〇%、あとは工場、発電所等によるものでございます。  東京車両数は、大体全国の六分の一でございまして、これは登録でございます。しかし、東京におきます車は近郷からも相当たくさん入ってくるわけでございまして、東京の登録台数以上の車が東京には集中をしておる。また道路によりまして、時間的に場所的に相当車が混雑しておりますので、東京でも数カ所非常に全体として環境が悪いというふうなところがあるわけでございまして、この自動車に対する対策にアプローチすると同時に、環境全体としての解決ということが並行して行なわれるべきものというふうに考えております。
  82. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いろいろな物質があるということでございますが、いわゆる広域スモッグと狭い範囲の間で起こるスモッグ、このあたりをどうも混同をしておられるのではなかろうか。東京全体の空をおおうスモッグというものと、いわゆる交差点等で起きます排気ガスによるところのスモッグというものとは、おのずから物質そのものも大きく異なっておろうかと思います。そういう意味では、これらのものを正しく理解しないと、現実の問題として自動車による排気ガスの公害処理に対処しようと思いましても、誤った対策になってしまうのではないかという意味で、あえてお聞きをしたわけでございますが、いまお聞きをしたところによりましても、十分その辺のところをおわかりではないように思いますので、ひとつ十分なる御勉強をお願いしたいと思うわけでございます。  さらにもう一つつけ加えてお伺いをしておきますが、いまアメリカのロスアンゼルスで問題となっております光化学スモッグ、いわゆる光り輝くスモッグ、こういうものがアメリカでは問題になっておるわけですが、これは東京スモッグとは本質的に違うと思うわけですけれども、その違いについてひとつお聞かせを願いたい。また東京におきましてもこのロスと同じようなスモッグが発生をしておるのかどうか、もしもおわかりであればお聞かせを願いたい。
  83. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 この件につきましては、私全くしろうとでございますので、的確なお答えはできないわけでございますけれども、聞くところによりますと、ロスアンゼルスでは、いま先生御指摘のように、強力な紫外線によりまして、炭化水素と窒素酸化物が光化学反応を起こしておるわけでございまして、これがいわゆる光化学スモッグといわれているところでございます。東京のスモッグは、従来硫黄酸化物を主原因としたスモッグとされていたのでございますが、最近、厚生省の調査の測定結果によりますと、わが国においても光化学スモッグを生じているということが推測されているようでございます。
  84. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 交通渋滞によりましてCO汚染状況が非常に悪くなるといわれておるわけでございます。つまり、停車時のからふかし、アイドリング、さらに発進時のアクセルの踏み込みというものから、非常に多くのCOが出るのだといわれております。したがいまして、これの対策といたしましては、路面の立体化だとか信号機の系統化だとかいうことが必要になってまいるわけでございます。しかし、東京ではあまり見受けられませんが、地方の中小都市に行きますと、町の中に鉄道が走っておって、鉄道は御承知のように、現在の法律で一たん停止しなければならぬ。そのためにやはり渋滞を起こしておるという現象を間々見るわけでございます。私は、この道路と鉄道との交差、これについては、鉄道に信号機を取りつけさせたらどうだろうか、それによって交通渋滞を防いでいくということも、これは双方にメリットのあることではなかろうかと思うわけでございますが、その辺もひとつ、あとであわせてお聞かせを願いたいと思います。  いずれにいたしましても、現在の自動車のエンジンというものの排気量は、車両法上あるいは税法上から一定の制限を受けております。したがいまして、この小さい排気量のエンジンでは、排気ガス浄化の上からは非常に不利なことが多いわけでございまして、排気ガス制限をより効果的に実行するためには、むしろこの制度の撤廃が望ましいというふうに考えるわけであります。そのためには、車両法あるいは自動車関係諸税法の改正検討が必要であろうかと思いますが、この辺についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  85. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 いま先生の御指摘の自動車の区別でございますが、現在一応気筒と容積等によりまして区別しておるわけでございます。車両法によりますところの区別は、われわれの保安行政、輸送行政、さらには警察方面の免許の関係、それから税金の関係というようなことに非常に大きな影響があるわけでございます。したがいまして、これらをどのように合理的に区分するかということはいろいろ議論があるところでございますけれども、ただいま申し上げますような広範なる問題を含んでおりますので、従来から現在の形でやっておる次第でございますけれども、自動車の機械が進歩発達する現状でございますから、将来に向かいましては、関係省とも相談いたしまして、検討させていただきたいと思っております。  それから、踏み切りにおきまする踏み切り整備ということは、当然保安施設整備が必要であるわけであります。踏み切りにおける一たん停止というようなことにつきましても、従来からいろいろと御議論がありましたけれども、安全から見て、現在のように一たん停止するというふうに規制したほうがよりベターであろうというふうなことで、御承知のようになっておるわけでございます。しかしながら、踏み切りの施設整備してもらうとともに、自動車の運転側からいいましても、十分安全確保について注意を払うべきである。特にわれわれの所管いたしておりますバスであるとか、タクシー事業というものは、貴重なお客の生命を預かっているわけでございますから、それらの点につきましては十分監督いたしたいと思います。
  86. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 いずれにいたしましても、このような公害問題は、つまり健康にかかわる被害、このようなものは何ものにも優先をして解決しなければならぬ、対策をしなければならぬ問題と、さらには生活の環境にかかわる被害のように、経済の発展との調和を考えた上で対策が必要なものとがあろうと思います。したがいまして、誤った対策をすることなく、正しい対策によって万全を期せられたい。最後に希望をいたしておく次第でございます。  次に、陸運行政についてお尋ねをしたいわけですが、現在の陸運行政の体質が、一口でいうならば、あまりにも規制が激しくて、規制型ということができるかと思うわけですが、私は、このような体質を変換しまして、もっと利用者保護あるいは業界の育成指導といったような監督サービス行政を行なうべきであろうかと思います。つまりはこの規制型をやめまして、もっと誘導型に移行する必要があろうかと思うわけですが、この辺についての御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  87. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 許認可行政といいますか、行政の複雑な点は、そのほかにもありますけれども、自動車関係が一番多いようであります。私自身も、いま渡辺さんがおっしゃったように、なるべく官僚整理といいますか、役人が仕事をやる部面をもっと減らさなければいかぬ。せんだっても、個人タクシーの認可等の問題につきましても、申請しましてから一年あるいは一年以上もかかる。こういう状態はどうもわれわれ第三者には理解ができないのであります。そこで、人の問題もあるようですが、たとえ人が十分でなくとも、イエス、ノーをはっきり言ってやる。できないものは無理に延ばしておってもしかたがない。できなければできないで不許可でよろしい。そして不許可の理由ははっきりして、少なくとも申請があったならば三カ月以内で片づけるようにこれからは迅速なる処理を行なえ、こういうことを強く指示して、その措置を行ないつつあるところでありますが、その他省内における運輸行政の刷新ということについては、刷新本部を置きまして、鋭意検討を加えておりますが、     〔加藤(六)委員長代理退席、委員長着席〕 国家事務というものは、なかなか他の第三者あるいは地方公共団体に——まあ地方公共団体としても迷惑ですからして、私は、原則としては、地方公共団体に移すよりは、もっと責任ある、私企業でもけっこうですが、もしそういう団体があるならば、そういう事務はできるだけその方面に振り向ける。そうして繁文褥礼のお手本のようなことはやめにしなければいかぬ、かような方針で思い切った抜本策を私はこれからやっていきたい。こういうことで刷新本部に説明して、いわゆるこの問題の解決をはかろうといたしております。あるいは必要があれば次の国会で法規の改正等がどうしても必要であれば、思い切って法規改正を出して、いわゆる事務の簡素化、同時に利用者側の利便、こういう前提に立ってものを解決していきたい、かように考えておる次第であります。
  88. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 次には、気象庁の定員削減についてお尋ねをしたいと思うわけですが、気象庁の方、お見えですか。——昭和四十三年の九月十九日に、衆議院の災害特別委員会において、飛騨川事故の直後決議をされました。「自然災害の防止に資するための気象業務の整備拡充に関する決議」というものがあるわけでございますが、これを御存じかどうか。
  89. 吉武素二

    ○吉武政府委員 よく存じております。
  90. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 最近の地方新聞、朝日新聞の静岡版あるいは静岡新聞等の報道するところによりますと、御前崎の測候所、この定員が二名減らされまして、観測回数が三分の一に減らされる。その結果、いままでのような予報などのサービスが一十分にはやれなくなる。これに対して地元民から相当大きな反対運動が起こっておる。新聞の報ずるところによれ、は「遠洲灘の水先案内に赤信号」「航海の安全図れぬ」あるいは漁業組合は安心して操業ができないというようなことをいっておるわけでございますが、こういう定員削減の事実があるのかどうか。あるいはさらに東京や仙台その他の地区にも同じように定員削減というようなことが行なわれようとしておるようでございますが、そのような計画があるのかないのか。さらには、大阪につきましては昨年すでに減員をしたということになっているようでございますけれども、これもやはり地元の強い反対要請によりまして、その後一年間を経過いたしました現在も、労働組合の手によって手弁当で観測が続けられておるということでございますが、そのような事実があるのかどうか、まずお尋ねをしたいと思います。
  91. 吉武素二

    ○吉武政府委員 気象の仕事というものが、次第に気象衛星とか電子計算機とか、そういうようなものが入ってきて、新しい時代にマッチしていかなければいけないというのが、いまの私たちの非常な努力を要するところであります。それで、いままでやっていたことをそのとおりしなければいけないかということを私たち一生懸命で反省しておるわけでございます。  いま御指摘のありました、御前崎の通報回数が二十四回が八回になったというのは、八回にする予定だということでございますが、私たちは四月一日からそのようにする予定でございます。  その意味をちょっと申し上げたいと思いますが、気象現象というのは絶えず変化しております。私たちは気象観測に従事している以上、観測当番に当たっている人は、絶えずその変化を追っかけているわけでございます。ただ、それを気象庁に気象電報を集めて天気図をかくという際には、それが送られてこなければいけません。その通報回数を八回にしたということでございます。ですから、御前崎の測候所では観測は連続で行なわれているということでございます。ですから、皆さんにそういう面で何かお尋ねがあれば、いつでもお答えできるという体制をとっておりますから、その辺はひとつ御心配なく。また大阪でも、これは昨年から二十四回通報を八回にいたしました。いろいろな労働組合との問題もありました。また現に完全に解消してはおりませんけれども、気象庁には一日八回だけの通報が送られてきております。それで私たちいまのところ別にこれといった支障は何もないと思っております。  その経験からして、私たちもまた、やはりいつまでも二十四回をあくまでも継続していかなければならぬというふうには必ずしも考えておりません。気象技術も日に日に進歩しております。どうしても毎時間気象電報を集めなければいけないというのは、いかにも気象技術として幼稚だという一語に尽きるんじゃないかと思っております。私たちはやはりはっきりした科学的な根拠に立ってものごとを考えていきたい。そういう意味で、三時間間隔で通報されれば十分だというように考えております。
  92. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 気象観測は続けておるんだ、いわゆる通報業務だけを減らしたのだというお説でございますが、そうしますと、この新聞報道による「気象観測を大幅縮小」というのは、これは間違っておるということですね。
  93. 吉武素二

    ○吉武政府委員 間違っているというか、通報をしている回数を八回にしたということが正しいのでございます。
  94. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 だから、気象観測は従前どおり続けておるんだ、それを気象庁に報告する回数を減らしただけだ、こうおっしゃったわけでしょう。
  95. 吉武素二

    ○吉武政府委員 はい、そうです。
  96. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 だから、新聞で見ると、気象観測を大幅に縮小したのだというふうに載っておるけれども、それは間違いかどうかということをお尋ねしておるわけです。
  97. 吉武素二

    ○吉武政府委員 ことば自身からいうならば、気象庁にもいままでそういう二十四回観測通報ということばがございました。それで、それを八回観測通報にしたということばが使われておりますから、ことば自体は私別に間違っていないと思いますけれども、その意味は私が先ほど申し上げたことでございます。
  98. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 どうも要領を得ない回答で、わけわからぬわけですが、時間がございませんので、次に移ります。  ことしの一月末発生しました低気圧、つまり台湾坊主によりまして、相当な被害が生じたということは、これは記憶に新しいところでございますが、このような急激な気象条件の変化には、的確にして迅速な予報というものが大きく災害防止に役立つことは論をまたないところでございます。当時の予報がはたして的確にして迅速であったかどうかということについては、実は多分に疑問があるところでございますが、このように気象庁の観測予報どの現業部門というものが、逐次定員が減員されていくということについては、この辺の疑念はないのかどうか。さらにいま行なわんといたしております定員五%削減は、実際にま無理ではないであろうかというふうに考えるわけでございまして、先ほどの運輸行政あたりの問題、ほんとうにお役所仕事でむだな仕事はたくさんあると思います。しかし、それが画一的にただ定員を削減するから、みそもくそも一緒にして定員を減らしていけばいいんだというような、ほんとうに必要な業務、それをも削減をしていこうというようなことがないかどうか。特にこの気象条件の調査等については、従来も相当いろいろな面で問題になったことがあるわけでございますが、いつもあとで気象庁の気象観測あるいは気象業務等の怠慢が新聞紙上等でなじられておるわけですけれども、しかし、済んでしまってからそのようなことが起こったんでは、非常に私は問題があろうかと思うわけでございまして、特に今回のような問題、この御前崎地区におきましては、いまもごらんいただきましたように、地元の市町村なりあるいは漁業組合というようなものが相当大きな反対運動を起こしておるという現状の中にあって、それでもやはり気象庁としてはこういう状況の中で強行されるのかどうか。やはり国民の十分な理解を得る中でこういう問題は処理されていかなければならないと思うわけでございますが、その辺についてどのような御見解でございましょうか、お尋ねしたいと思います。
  99. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、新定員法は全体の総定員法でありますから、各局部課によって何名ということではありませんので、一律に五%の削減という意味とは違います。したがって、これは運輸省内において十分に人のやりくりをすれば、必要な課には必要な人員を配置するということが可能であります。ただ、一つ前提として、私も郵政関係の仕事をしたこともあるのでありますが、電波の需要といいますか、電波関係の人員というものは、電波が非常な勢いで十年間のうちに数十倍というように需要度が大きくなって七る。にもかかわらず、そのような定員がややもすれば一律に他の定員と同じように——一律でも去りませんけれども、ある程度押えられがちである。この点はやはり情報化社会といいますか、こうした電波社会というものがだんだんと進むにつれて、そのような考え方を変えなければいけない。必要なところには必要な人員を置く、そうして削減すべきところは勇気をもって削減する、こういう態度でないと、人間の有効な、能率のある仕事はできないわけであります。そういう意味において、もちろん私は気象庁におけるところの人員が不足しておるとは考えておりません。先ほど長官が述べられましたように、最近はいわゆるコンピューターシステム、すなわち、これはサイバネティックスの制御等も含めて、人間のやるべき能力の一部をすることができるのでありますからして、したがって、現在の定員で国民の皆さんに不便を与えることはないと信じますけれども、前提論から言うなれば、電波需要の増大にかんがみては、人の配分については最も適切なることを必要とする、かように考えて、万遺憾なきを期して今後ともやっていきたい、かように考えております。
  100. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 年間の自然災害発生額というものは、実は何千億という額にのぼっておると思います。したがいまして、気象庁の予算削減というものが、そういう自然災害発生額の増加にもしつながったとしたならば、これはたいへんなことだと思います。したがいまして、国土と国民と、さらにはいろいろな国内の物体について自然の脅威から守るという、きわめて大切な業務であるというふうに私は理解をいたしておりますので、そういうような単なる予算削減のために大切な業務がおろそかにならないように、万遺憾なきを期せられるように、希望いたしまして質問を終わりたいと思います。
  101. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  102. 田代文久

    ○田代委員 まず大臣にお尋ねしますが、例の十カ年の再建計画は、これは非常に重大内容を含んでおりますし、いろいろ問題点が多いので、これは他日十分質問して真意を明らかにしていただきたいと思うのですが、この再建計画と、それから新線計画、この関係、先ほど御答弁が一部ありましたけれども、私たちが心配する点は例の新線計画ですね。これが再建計画が出たために後退するのじゃないか。しかもこの新線計画の中には、地域住民の非常に熱心な希望がたくさんあるわけですね。これが後退するということになると困るわけなんで、たとえば、事実この再建計画が優先するような現象があらわれているということを実際に私たちはつかんでおるわけです。ですから、政府としてはそういう点をどう考えられておるのかということですね。たとえば国鉄の施設改善、改築とかいうような、すぐ解決をしなければならない問題が後退するようなことは絶対ないという保証のもとにこれが進められておるかどうか、それをまずお尋ねしたいと思います。
  103. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御質問の趣旨は、新幹線網と、いわゆる現在実行されておる新線計画といいますか、一般鉄道の新線計画というものが、新幹線網の設定によって、従来の一般鉄道の新線計画が阻害されるのではないか、こういう御質問と思いますが、御承知のように、新幹線網というものは、国土総合開発の根幹になるわけであります。したがって、現在の一般鉄道の新線のものとは原則として全然違う。同時にまた、財源措置においてもこれは新たな財源措置として新幹線網考えられる、こういう意味でありますから、したがって、一般鉄道の新線計画と原則としてこれは競合しない。ある意味においては、新線計画というものは、地方地域の開発、文化の向上、こういうものが原則であります。一方の新幹線網というものは、全国の調和のとれた開発、こういうところにありますからして、その点の御心配はない。ただ、従来の赤字線というものに対していろいろ慎重に検討した上で、それが道路等にかわるほうがより便利であるならば、これはそれにとらわれる必要はない。しかしながら、ただ赤字であるがゆえにこれを廃止するということは、それは考えない。こういうものができるためには、どんな早い小さな鉄道であっても、二十年、三十年、長いのは六十年もかかってこれが実現を見ておるのでありますから、したがって、それはそれなりの意義を持っておる。こういう意味において、いま申しましたように、新幹線と一般鉄道の新線とは競合するものではない、こういう点を御理解願いたいと思います。
  104. 田代文久

    ○田代委員 いま御心配ないとおっしゃいましたけれども、実は御心配があるわけなんですよ。というのは、実際に私は上野駅に参りまして、そういう関係をちょっと調べてみたのですが、たとえば今度の新しい十カ年計画では、人員の六万人削減というのがありますね。実際においては、国鉄の労働者などは十六万五千人の削減だ、こういうことになっておりますが、こういうところの関係で、たとえば東北や新潟から首都の大玄関である新宿、東京、上野などに来た場合、こういう重大な駅で、上野は南口だけしか入り口がない。しかも建物も古いし、あそこの大混雑というものは実にひどいものですね。これは御承知のことと思うのですが、現在路線を二つふやして、いま七、八十億の金をかけてその混雑緩和のためにやっているという工事も私は見てきました。ところが、あの大きな駅で南だけしか口がなくて、それは明治以来そのままの姿である。ところが、浅草のほうの東のあそこは、一日に十万人くらいの乗降客があるそうですが、それに対して北側の駅口がないために非常に不便を来たしておる。したがって、わざわざ三百メートル、往復六百メートルからずっと南口の表に出てきて行かないと、自分の出口に帰れないというふうな不便もあるし、あるいはまた国鉄線を横切って上野公園に橋がかかっておるわけですね。それが現在二またに分かれて登ったりおりたりするようになっているのが、駅長などの説明によりますと、これは運輸当局の設計なんでしょうが、片方をとにかく全部ちょん切ってしまって、一つだけのあれにする。そうすると、災害なんか起こった場合、どうしてその多数の人々をさばくかというような問題もあるわけです。片方がまたになっているので、Y字型になっている。片方のまたを切って、そこに何か国鉄の駅の庁舎なんかをつくるということをいわれておりましたが、そんなことをするなら、なぜもう少し北口に駅の口をあけるということをやらないか。土地の問題なんかいろいろあるそうです。聞きましたら、東京都においては、運輸省がそういうように北口に口をつけるというようなことのプランを立てられるならば、土地の問題も解決できると思う。実際に私見ましたら、そう広くはないのですけれども、北口をあける土地がくふうが十分つくことは、非常にはっきりしているわけです。だから、こういう問題について、大玄関に北口をあけられるような、そういうプランがあるかどうか、また、それに対して実際にそういう計画を進められる意図があるかどうかということをまずお尋ねしたいと思います。
  105. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 前段の問題、いわゆる六万人を定員を減らすというのは、いわゆるそういうような線をやめたりあるいは改札口をやめたりすることによって生み出すのではないか、事実上の首切りじゃないのかという意味だと思います。しかし、国鉄再建の中では、そういう問題に触れて六万人ということをいっているわけではございません。御承知のように、業務の近代化、たとえば必要なところは自動式に販売を行なうとか、あるいは今後の料金改定に伴って、対キロ料金制度に変えていくための人員をある程度合理化しよう、こういう意味考えておるのでありまして、駅自体をそういうように無理に縮小して、そこで人間を浮かすという考え方ではないわけであります。  技術上の設計の問題は、私詳しくは知っておりませんので、ちょうど国鉄から長浜理事が来ておりますから、そのほうからお答えいただきます。御了承を願いたい。
  106. 長浜正雄

    ○長浜説明員 上野駅の改良につきましては、ただいま先生のおっしゃいましたように、上野は非常に乗降客が多うございまして、しかも新潟、東北あるいは常磐方面、この方面からの奥が広うごごいます。したがいまして、非常に客が多い。しかも御承知のように、常磐線にしても、東北線にしても、高崎線にしても、いわゆる電車区間もあれば、あるいは山手線、京浜東北線という電車もございます。上野駅自体は、そういう違った種類のお客さんによりまして、なお一そう混雑するわけであります。これがただ単に六十万、八十万といいましても、種類が同じでございましたら、必ずしもそれほど混雑しないのでございますけれども、種類が違っておりますので、非常に混雑が激しい。これは先生のおっしゃるとおりでございまして、したがって、国鉄としましては、せんだって来上野駅のそういうお客さんをいかにスムーズに案内できるか、乗りかえが楽になるか、あるいは乗降が楽になるかというようなことを考えまして、いまの上野駅の改良工事をやっておるわけでございます。基本的に申しますと、電車関係のお客と列車関係のお客とできるだけ分離しよう、こういうことを基本の方針にして今度の設計をし、その工事を進めておるわけであります。したがいまして、いま盛んに工事をやっておりますが、高架部分からおりてきますお客さん方は、いままでは長距離列車のうしろの改札口を通って、列車に乗るところと直角に交差をしてでなければ外へ出られない、こういう状況でございましたけれども、これを中二階から跨線橋をつくりまして、全部浅草口のほうに出てもらえるようにする。あるいは浅草口のほうから乗降できる。いままでよりも、先生の言われる台東区のほうにずっと便利な口をそこにつくりまして、そして電車客と列車客と分ける、こういうくふうをしておるわけであります。これは今度の計画をつぶさにごらんいただきますと、その辺はよくおわかりいただけると思うのですが、これができますと、非常に便利な駅になろうかと思うのです。ただ、駅本屋自体につきましては、これは今回の計画では入っておりません。これは今回はいじりません。しかし、プラットホームの関係あるいは跨線橋の関係、これらを便利にしたい。なおまた、東北、上信越あるいは常磐線も含めまして、列車が非常にふえております。またふやさなければならぬ、こう思っておりますので、それに対応いたしますプラットホームをできるだけつくろう、こういうことで、このプラットホームをふやす工事をやっております。そういうことがいまの上野駅の工事でございます。それをお客さんを扱いながらのことでございますので、一ぺんにわっとやってしまうわけにいきませんので、非常にひまはかかっておりますけれども、四十七年には何とか完成してしまいたい、こういうふうに考えておるわけであります。  それで、いまお話しの北口の問題でございますが、これは、そういう改良工事をいたしますにつきましては、プラットホームをふやしたり、あるいはいろいろな線路を動かすことによりまして、あの北側にあります両大師橋、これを約四メートルくらい上に上げなければならない、こういう結果になるわけであります。そういうことによりまして、いままでありました両そでの通路は片方にならざるを得ない。これは御承知のように、道路が線路に沿いまして一ぱい一ぱいきておりますので、取りつけの方法がないということで、東京都と相談をいたしましてそういう決定をして、それに従って工事をやっておるわけでございます。それはそれといたしまして、北口の問題につきましては、実は上野の駅は、御承知のようにわれわれのことばで申しますと頭端駅でございます。列車が着きますと、全部南のほうまで歩いていかないとプラットホームを乗りかえることもできない。全部北側から入ってくるというような駅になっておりまして、東京駅とか新宿なんかとは違いまして、全部南口まで一応来ないとどうにもならないということになりますので、かりに北に口をつくりましても、結局は全部南までプラットホームを歩くか、何がしかのかっこうで歩いてもらわないとこれはできないことになります。また、いまの上野駅の面積からいいまして、別に通路をつくるだけの余裕もないということで、それよりも、いま私が申しました中二階からの跨線橋を浅草口におろすということで、それによってその方面の住民の便利が相当ふえる、こういうように理解しておりまして、そういうことで、東京都と交渉というか、折衝いたしまして、そういう決定をして工事を進めておる、こういうことでございます。
  107. 田代文久

    ○田代委員 時間がありませんからあれですが、北口をつくれば、おりるときなんかすっとおりられると思うのですよ。改札をつくると、いろいろの問題がありましょうが、その点は、実際にあそこの東北における大玄関としてのあれを整備していただくということで、もう少し考慮し、研究して善処していただきたいということを要望しておきます。  それからもう一点、先ほど運輸大臣がタクシー料金の値上げについて——現在タクシーの運転手諸君があるいは乗車拒否をするとか、あるいは事故が起こるということについて、非常にかれこれ非難を受けるようになっていますけれども、これは実際の生活が非常に苦しいという条件が基礎にあるわけですね。非常に長時間労働とか、あるいは水揚げ料をふやさなければならぬということで無理する結果、乗車拒否を余儀なくされるような不徳みたいなことになることもあるわけです。だから、どうしても今度の料金値上げの中には、そういうタクシー運転手の待遇改善のために相当の部分が含まれるのが当然であるし、大臣もそのように答弁されたですね。そういう方針を運輸省がとっているということは間違いございませんね。ところが、その問題について、事実運輸省はそういう方針をとっておられるそうですけれども、福岡の陸運局は、運輸省の指導として、今度料金値上げしても、賃上げという部分はその中には入っていない、待遇改善というものは入っていないというふうに言っておるわけですね。そういう指導がなされておるとすれば、非常にこれは間違っておるし、私は、福岡の陸運局に対して、当然この値上げ料金の中にはそういう運転労働者の待遇改善部分も相当のパーセントが入っているのだということを指示して、また指導していただかなければならないのですが、そういう点での指導問題はどうですか。
  108. 黒住忠行

    ○黒住政府委員 運賃改定の場合におきましては、人件費の高騰ということが大きな原因になっておるわけでございます。したがいまして、過去三年間の賃金のアップ状況を見まして、将来の平年度を推定しておるわけでございまして、福岡におきましては、一七%のアップを今度は認めましたが、当然人件費の部分が入っておるわけでございます。平均的には大体約六〇%が人件費の部分でございますから、そのアップ分は入っておるわけでございます。しかし、運賃改定後どのようにしてこれを配分するかということは、労使のいわゆる団体交渉、話し合いの問題でございます。しかし、われわれといたしましては、よりよい職場を提供するというふうな意味におきまして、運賃の改定の場合におきまましては、賃金のアップにできるだけ充てるというふうな指導をしておるわけでございまして、この点は、東京につきましても福岡につきましても変わりございません。
  109. 田代文久

    ○田代委員 終わりますが、じゃ、福岡はそういうことを正確にやっていませんから、陸運局に対してそのとおりやれと、これに対しては待遇の問題も入っているんだということを明確に指示してもらいたいと思うのです。  以上で終わります。
  110. 福井勇

    福井委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時五十二分散会