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1970-03-06 第63回国会 衆議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月六日(金曜日)    午後一時十四分開議  出席委員    委員長 福井  勇君    理事 宇田 國榮君 理事 加藤 六月君    理事 徳安 實藏君 理事 箕輪  登君    理事 村山 達雄君 理事 内藤 良平君    理事 松本 忠助君 理事 和田 春生君       河野 洋平君    佐藤 孝行君       菅波  茂君    砂田 重民君       中村庸一郎君    長谷川 峻君       古屋  亨君    増田甲子七君       井野 正揮君    金丸 徳重君       木原  実君    斉藤 正男君       楯 兼次郎君    田中 昭二君       宮井 泰良君    渡辺 武三君       田代 文久君    關谷 勝利君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君  出席政府委員         運輸省鉄道監督         局長      町田  直君         運輸省航空局長 手塚 良成君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   井口 孝文君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 榮文君         運輸委員会調査         室長      小西 眞一君     ————————————— 委員の異動 三月五日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     木原  実君 同月六日  辞任         補欠選任   木原  実君     米田 東吾君     ————————————— 二月二十五日  自動車排出ガス有害成分除去装置取付け義務  化に関する請願久保三郎紹介)(第二五六号)  同(福井勇紹介)(第三三七号)  同(松本忠助紹介)(第三八三号) 同月二十七日  気象業務整備拡充等に関する請願田代文久  君紹介)(第四八九号)  同(宮井泰良紹介)(第五七二号)  同(井野正揮君紹介)(第五八二号)  同(金丸徳重紹介)(第五八三号)  同(斉藤正男紹介)(第五八四号)  同(内藤良平紹介)(第五八五号)  同(米田東吾紹介)(第五八六号)  自動車排出ガス有害成分除去装置取付け義務  化に関する請願受田新吉紹介)(第四九〇号) 三月五日  気象業務整備拡充等に関する請願久保三郎  君紹介)(第七二八号)  同(和田春生紹介)(第八六九号)  同(田中昭二紹介)(第九四九号)  同(松本忠助紹介)(第九五〇号)  海難の絶滅に関する請願和田春生紹介)(第  八六八号) は本委員会に付託された。 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案  (内閣提出第七号)      ————◇—————
  2. 福井勇

    福井委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案について、本日新東京国際空港公団総裁今井榮文君を参考人として御出席をお願いし、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福井勇

    福井委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 福井勇

    福井委員長 新東京国際空港公団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。内藤良平君。
  5. 内藤良平

    内藤委員 この法案につきましては、前国会、前々国会からかかっていますから、内容的にはさしたる論議も必要ないと思いますけれども、大臣にお伺いしたいのは──いまも関西の新国際空港のことで、大阪府の岬町の町長、議会代表が、うわさ段階から反対の陳情があったわけであります。大臣も快くお会いされたわけであります。その点は、大衆政治家橋本大臣の御好意には敬意を表する次第です。  そこで、この空港の問題は、今日の世界あるいは日本航空関係からいいますると、必要なことは必要なんです。ところが、どうも空港の問題は、この成田、いわゆる三里塚だけじゃなくして、いまお話ししたように、住民皆さんと利害が相反する。ということは、いろいろ弊害が出るということだと思います。今度の法案の中でも、あの土地に、しかも相当の人口もあり、いわば日本のような細長い国から見たら内陸的な土地柄、そういうところでありますけれども、この場所に、三十八年の航空審議会答申によりまして、当時の運輸大臣綾部健太郎君でございましたけれども、ここでこれを決定いたしました。しかし、その際に、答申は三カ所というものを一応あげているわけであります。今日の成田あるいは三里塚というものは出ておりませんでした。それがこの答申が出る中で、当時もやはり今日の和歌山県の岬町同様に、まずまずここならといわれました千葉県の富里の村の付近は、猛然たる反対が出たわけであります。これはもう大臣もお隣の県でございますから、よくおわかりだと思います。そうこうするうちに、突然今日の成田に、佐藤総理千葉県知事を呼びまして、これをきめた、こういう経緯だと私は覚えております。そういう経緯の中で、来年の四月あるいは来年の秋でなくちゃやれないという声もありますけれども、もう七、八年の長い歳月を要しておる。  そうこうしておるうちに、いわゆるSSTといいますか、超音速機が開発されまして、コンコルドというものは一応試験飛行もやっておる。ボーイングの系統のSSTも、これは少しおくれているようですけれども、これももう四、五年だといわれておる。しかも日本は、地球上から見ても、この超音速機のいわばアジアにおける空港拠点として、どうしてもこれは日本が必要じゃないかといわれております。ところが、このSST関係から見ても、いまの無理にきめました成田場所が、今日のジャンボ段階におきましては、四キロ一本の滑走路だけではどうにもならぬというぐあいになっておるわけであります。  私が言いたいのは、先般の予算委員会におきましても、総合的な交通政策というものを考えなくちゃならぬ、こういう討議がございました。大臣も、今度運輸省としてもかかられる、こういうぐあいに聞いております。そういう中における今日の成田状態、また地元の根強い反対状態世界航空界発展、超音速飛行機、こういうものを考えてまいりますと、総合的な交通政策の中で、成田空港は、やはりいままでどおりにこれを進めてよろしいものかどうか、こういうことを私は疑問に感ずるわけなのです。総合的な交通政策をこれから学識経験者を集めてやるということになるようでありまするから、まだそこまで結論はいかないという御答弁になりますとそれまででございますけれども、しかし、刻々と変化しております世界情勢、それから反対のことですね。何か反対を、反対せんがための反対というお考えの方もおるようでありますけれども、しかし、いま申しましたように、大阪の岬町ではまあうわさ段階住民立場から反対が出ておる。富里においてもしかりです。そして急遽成田に決定されました。そしてがりがりここまで進めてこられました。こういうぐあいに考えますと、反対のための反対だけでもないというような内容を持っておると私は思います。まあその反対のための反対は、わが社会党はそのために少なからざる被害をこうむっておるわけでありますが、それはさておいて、大臣、私の言わんとするところは、今日の成田状態、根強い反対の中で、しかも国際的な航空界と申しますか、この状態、あるいはもう超音速機の開発されようとする状態の中で、ようやく四千メートルだけいまやろうとしておるような状態、あの空港をいままでどおり進めるのかどうか、これをひとつまずお聞きしたい。
  6. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 内藤さんの御質問の前提となっておるのは、日本航空政策といいますか、飛行場政策をどう考えておるかということでありますが、もちろんまだ現在のところ、委員会をつくって総合的に研究し、まず答申を得たいと思っておりますから、いま私が申し上げますことは私の私見にすぎないということで御承知おきを願いたいと思います。  ただ、お話がありましたように、世界は、いわゆる交通量考えましても、交通政策といいますか、あるいは交流政策といいますか、これなくしてはその国の発展は不可能である。文化の面においても経済の面においても、社会環境ですか、すべてを含めて、いわゆる孤立状態ではこの国は成長しない、これはどなたも異論がないところだと思います。そういうものを進めてきたのは何かといえば、これはやはり飛行機発達であり、あるいは交通機関発達である。まあ世界的な交通機関としては、スピードの上では飛行機である。いまジャンボが開発されて、来週にはパンアメリカン機が十一日に着きます。そして、再来週には毎日二便、週十四機が入ってくる。おそらく近い将来においては日本ジャンボ機が毎日数機入ってくることになるだろうと思いますね。こういうことは、要するに世界人的交流、もちろんこれは貨物も含みますけれども、人的交流あるいは貨物世界的な交流時代に入った、こう見ていいと思います。そういう意味からいって、もし日本が将来ともに経済拡大をし、均衡のある経済発展世界的な経済発展をするためには、いわゆる国際航空というものは重要な地位を占める、これはもうわかり切ったことであります。そういう意味で、成田空港というものは、その発想のもとに立って運輸省考え、そしていま言った関西にも、やはり国際空港がどうしてもここ十年、二十年の問にはもう一つ必要であるという一つ結論があるわけです。これは成田でなければならぬということはもちろんありませんが、しかしながら、東京中心にした地区でなければならぬという一つの制約があるわけですね。そこで当時、内藤さんら皆さんが御承知のとおりに、富里地区中心にして七百二十万坪という相当規模——これは国際的にいっても飛行場規模としては大きいほうです。そういうところを計画したのでありましたが、地元の説得もなかなか困難である、そういうことからして、できるだけ地元の人にも迷惑を最小限度に少なくし、そうして当分の間、ある程度可能な飛行場ということになればどれくらいだろうかということになると、大体三百万坪から四百万坪の飛行場で、最小限度三本の滑走路を持つもの——富里の場合は五本の滑走路を持つわけでございます。そういうことからして、いろいろ検討した結果で、突然ではないのでありまして、そのような一つ前提のもとに、三里塚御料牧場をできるだけこれを取り入れて、そうして民間に対してできるだけ土地をちょうだいすることを少なくするというたてまえで、いまの新成田空港といいましょうか、新国際空港三百二十万坪でこれが計画を始めたわけであります。したがって、成田国際空港は、第一期工事として四千メートルの滑走路工事に入っておるわけでありますが、これだけでは飛行場機能を達成するわけにはまいりませんからして、したがって、第一期工事が済みますと、引き続き第二期工事を行なって、最小限度飛行場としての機能を達成せしめる、こういう方針には変わりはないわけであります。  しかしながら、内藤さんもおっしゃるように、飛行機というものは騒音を伴うし、あるいはその他のいわゆる付近住民の方に対しての影響のあることもわれわれは十分に承知をしております。したがって、成田空港を設定する場合におきましても、その対策に対しては十分なる措置を行なう。たとえば土地を失って移植する者に対しては移植対策を行なう、あるいは農地を希望する者に対しては農地を交換せしめる、あるいはまたその飛行場内において仕事をしたい者には特に優先的にその仕事を行なわしめる等、できるだけ最大限の措置対策として講じよう。もちろんそれで十分だとは私は考えません。われわれ人知の考え範囲は狭いのでありますから、なおそれ以上、時間と場所とによってはなお一そうの対策が必要であろうと思いますが、少なくとも飛行場はぜひともこの際完成をさしていきたい、そうして適正なる補償並びにそうしたもろもろの対策等には最善措置を講じて、いま反対なさっておる方々に対しましても差別なく最善措置をとる、かような方針でやってまいりたいと考えております。
  7. 内藤良平

    内藤委員 突然の変更ではなく成田をやった、成田相当面積があるということなんでしょうが、しかし、私たちのいろいろな聞いた話によりますれば、新空港成田は全部できても一千六十ヘクタール、三百二十万坪、この段階でも、すでに諸外国の先進国といいますか、これは具体的に言うのは省略しますけれども、パリであるとか、ローマであるとか、ニューヨークであるとか、シカゴであるとか、あるいはロンドン、まあロンドン等飛行場は三百三十万坪ある。大体成田ができ上がったぐらいの面積が現在あるわけですが、これでも狭いということで、すでに新しい空港計画にかかっておる。こういう国際的な状態計画を立てた、そして地元反対もいろいろな形でだんだんなくしていく、そしてこれはどうしてもやらなくちゃならぬ、こういうお考えだと思います。ところが、さっき申し上、げたように、ジャンボの場合でもあるいは将来のSSTの場合でも——ジャンボの場合においても一回に五百人も乗降客がある。その場合に、一本の滑走路、それに伴うところのお客さんの流れ、こういう面等考えますと、都心から六十キロという距離は、ある意味では一つ前提条件でしょうけれども、成田空港というものは、国際的なレベルから見ると、面積の面でどうも早晩に地方空港になってしまうような、そういう問題がもうすでにわかっているんじゃないか。だから、SSTの基地が日本になくちゃならぬという前提がもしあるとするならば、成田空港というものにいまばく大な金をかけて進めて、住民皆さん反対を押しつぶしてもやろうとしておるという、この計画のまっしぐらな進み方も、政府として気持ちはわかりますけれども、もっと自由な気持ちで、しかも国民の皆さん文化というものを考え、また日本アジアにおける先進国という立場考え、もっと自由な立場でもう一ぺん考え直すような時期になっているんじゃないかと思うわけでありますけれども、そういう点は、大臣は考慮の余地がないというぐあいにお考えになるのか。
  8. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 その前提として考えなければならぬことは、これはGNP予測でありますから、完全計数の結果とは申し上げられませんが、現在四十四年度の実績基準にして、昭和六十年度のGNP国民総生産額はどのくらいになるかといいますと、四十年の実績をもとにしてつくったGNP、この場合においては国民総生産額は百三十兆円から百五十兆円と試算をしております。これは政府も了承しておるわけです。しかし、最近の民間の権威ある学者、権威ある研究所等でやりました四十一年、四十二年、四十三年、この三年間の経済発展伸び率を計算してみますと、昭和六十年におけるGNPのいわゆる実績は、多く見る人で三百兆円、わりあいに少なく見る人でも二百五十兆円、こういう非常な経済的な発展を見るわけであります。飛行場の場合とか新幹線の場合になると、もちろん現在の時点で予測をすることは危険ではありますけれども、しかしながら、現在の経済発展からいうならば、それが途中で修正する必要があるにしても、やはり三十年というか、長期構想に立たなくちゃいかぬ。そうしますと、二十世紀末、二十一世紀初頭、こういうような時代になると、日本のいまの経済拡大をある程度低目に見ながら試算をしても、なおかつ五百兆円前後のものが三十年後には出てくるのではないだろうか。これは貨物の問題でいうのでありますが、当然これは人間輸送量の上においても大体比例すると見てよろしいのであります。特に国際関係においては、人間交流はほとんど旅客船によるのではなくて、ジャンボもしくはSSTのような飛行機による。ほとんど八〇%がそうなることは、だれがどう考えても間違いない。そうなれば、これからの二十年なり三十年なりという長期展望に立ちますと、成田飛行場だけではもちろん問題にならない。なおかつ最低限度もう一つ二十世紀以内に完成しなければいかぬ。着手をする点からいえば、東京付近には少なくとも四つの飛行場が必要ではなかろうか。私見ですが、GNPから見ればそういうことになります。関西においても同様であります。そういう観点に立ちますと、いまの三百二十万坪というものは、もちろん大きな飛行場じゃありませんけれども、皆さんのほうが詳しいわけでありまするが、当時から私見として言っておったんですが、上の航空路の空域、管制、そういう点から見て、一カ所の飛行場にフルに飛行場を入れることは危険なんです。そういう意味では、飛行場はある程度分散する必要がある。これは軍用飛行場がそのやり方をとっているわけですね。でありますからして、三百万坪は決して千分だとは私は考えませんけれども、三百万坪ないし四百万坪あれば、国際飛行場として十分なる機能を果たし得る。そういう飛行場東京付近でもこれから三十年程度の期間を見てもなお二つは必要とする、そういう時代になってくる。貨物もほとんど飛行機によって運ばれる時代が来ることはもう火を見るよりも明らかなんであります。そういう意味において成田飛行場は十分に——われわれはゴリ押しするとは申しません。できるだけ反対派方々にも理解してもらって、このような国際情勢であり、このような経済的な国際交流時代に向かっているのであるからして、それらの不便に対してはわれわれは最善措置を講ずる、できるだけ理解を求めてこの事業の達成に努力したい、かように考えておる点をひとつ御理解願いたいのであります。
  9. 内藤良平

    内藤委員 予算委員会からだいぶ大臣出席要望があるそうですけれども、ただ中途はんぱになっては困りますので、大臣にここで行っていただいて、局長さんに少し聞きます。
  10. 福井勇

    福井委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  11. 福井勇

    福井委員長 速記を始めてください。
  12. 内藤良平

    内藤委員 当面来年から来るジャンボは、さしあたりは羽田におりるわけですね。それからSSTとなるわけですが、いまの成田飛行場、これはSSTを一応受け入れ国際空港ということで成田にくわをおろしたわけなんでしょう。その点いかがですか。
  13. 手塚良成

    手塚政府委員 成田の新空港を必要といたしました理由は二つございまして、一つは、四十五年ごろ、ことしになりますけれども、羽田空港満ぱい状態になるので、それをオーバーフローするのを成田で引き受けなければならぬということが一つ。もう一つは、当時といたしましては、四十八年ごろと推定をしておりましたが、いま少しおくれてまいりまして五十二、三年ごろになると思いますが、アメリカSST、これを離発着させるのに、いまの羽田では不可能であるということから、それの離着陸可能な空港、この二つ要望を満たすということで、成田というのを考えたわけでございます。
  14. 内藤良平

    内藤委員 ところが、現状で三十八年から今日までかかりまして、そうしていまああいう状態です。いまさらそれを繰り返して言いません。その中で来年の春ジャンボが来る。それのあとを追ってSSTが来る。あの三十八年からくわを入れた時期、調査したあるいは計画を立てた時期からずっと変わってきていますね。この中で、あなたは専門家として、なおそれを進めて、少なくともSST受け入れはあの飛行場で十分に間に合うかどうか。あれでいいのかどうか。現時点でどう考えておりますか。計画当初でなく、現在のあなたとして。
  15. 手塚良成

    手塚政府委員 SST受け入れ空港として特に考えなければならない絶対必需要件といいますのは、滑走路の長さの問題になると思います。いまアメリカで開発されておりますUS・SSTは、滑走路離陸距離は、現在の仕様によりますと約三千七百メートルないし四千メートルの必要がある、こういうことになっております。それ以外に、SSTで必要な空港要件というものは、現状においていろいろ考えられておりますものとあまり大差はない。たとえば保安施設のごときも、現在羽田につけておりますような保安施設というようなことと大差ないというようにいわれておりますので、成田SST受け入れることは十分であると考えております。
  16. 内藤良平

    内藤委員 そこで、私はしろうとだから間違っているかもしれませんが、これからの空港反対の大きい問題は騒音の問題ですね。SST騒音というのは、私の知った範囲内では相当なものになるようなぐあいになっておるのですね。前国会でも、騒音防止には土手をつくるとか、あるいは林を植えるとか、そういうことを聞いておりますけれども、ソニックブームというのがありますね。  私はしろうとで、書いたものを読むんだから、あなたのほうで理解していただきたいが、アメリカのようなところでも内陸につくるわけでしょう。だから、これがSSTの場合になるとたいへんな衝撃波になるんじゃないか。これがいまからだいぶ反対中心となっておるわけですね。日本の場合は、成田はすぐ海だといえば海ですけれども、やはり内陸状態になるわけだな。これはあなたのほうから、いやその心配はない、たとえばおりる際には速度が少なくなるから、あるいは云々ということばも出るかもしれませんが、何か速度を落とした場合には油をうんと食っちゃう、そこで経済性にも問題がある、こういうことも書いておりますね。これはソニックブーム関係がある。  それから騒音関係ですね。これはたいした支障がない、四千メートルの滑走路だけがあればいいというお話ですけれども、人体におけるところの耳に感ずる騒音は、ゼロから一二〇ホンまである。こういうことですけれども、日本で最も信頼しておるアメリカ航空局では、この航空機によるところの騒音をホンに直すと七〇ホン程度に押えようということをやっておることはおわかりでしょう。七〇ホン程度というのは、大体加藤六月さんが騒いでおるこの部屋くらいの騒音らしいのですよ。いまよりも少し高いくらいの騒音です。大体騒がしい事務室程度だ。だから、これは騒音といっても、加藤先生が騒ぐ事務室程度騒音というのだから、われわれとしてもがまんができるわけです。ところが、SSTの場合は——これは第単位が違うようですけれども、PNdbというのですか、知覚騒音デシベルと書いてあります。これから見ると、アメリカ基準でいきますと、離陸騒音基準一〇五のところをいわゆるボーイングSSTは一一五、進入の騒音規制値では一〇八が一一一、側面騒音規制値では一〇八が一一九、側面騒音が案外高いのですね。こういう騒音の高さを考えますと、いわゆる騒がしい事務室の七〇ホン程度という規制でいこうというアメリカ航空局考え方、こういうものから見ますと、やはりたいへんな騒音の公害というものが出てくるというぐあいに私は考えたい。この点あなたはどうお考えですか。
  17. 手塚良成

    手塚政府委員 ただいまのお話の中には問題が二つあると思います。一つソニックブームの話であり、もう一つ騒音の話であると思います。  ソニックブームというのは、すでに御承知と思いますけれども、飛行機音速を突破して飛行いたしますと発生する衝撃波でございます。これを非常に低空でもっていたしますと、ぽんという爆発音的な、かつて軍用飛行場周辺によく起きたような、ああいった現象が起こるのであります。しかし、民間で使いますSSTは、こういった被害をなくするような飛行方法をとる。特に日本の場合におきましては、地理的条件がこういったものを飛行いたさせますのに非常に都合がよくなっております。新空港で飛び上がりました場合に、この音速を突破する状態に入りますのは、高度にいたしまして約一万五千から一万八千メートル以上、空港からの距離にいたしますと、約百五十キロから二百キロメートル以上離れたところ、こういうふうに想定されますので、そういう状態でありますと、これは完全に海洋上になりますので、日本におけるソニックブームの心配はまずないというふうに私どもは考えております。  それからもう一点の騒音の問題でございます。SST騒音でございますと、これはただいまアメリカ連邦政府SSTに対するボーイング社への製造上の仕様書を出しておりますが、その仕様書の中に騒音に関する注文も同時に出しております。その注文は簡単に申し上げますと、現状の国際線級のジェット飛行機騒音より大きくならないことという仕様書を出しております。こういった騒音飛行機の製造上の要件にしていくという傾向は、このSSTをはじめといたしまして、今後ずっと続いてくることになり、騒音の問題というものに対して、メーカー、各国が非常に注目し始めたという一つの現象だと思いますが、そういうことをいっておりますので、現状においてまだでき上がって実験をする段階にはなっておりませんけれども、私どもといたしましては、そういった仕様書どおりにできるということを確信いたしておる次第でございます。
  18. 内藤良平

    内藤委員 そうすると、騒音の問題は、成田空港SST受け入れる場合にはさしたる問題でない、こういうぐあいになるのですか。
  19. 手塚良成

    手塚政府委員 問題でないという言い方は、必ずしも適当ではないと思うのですが、要するに、現状の国際線級のジェットの飛行機騒音大差ないという程度騒音の問題であるということでございます。したがって、現在羽田の周辺あるいは伊丹の周辺等におきまして、いろいろ騒音対策等をやっておりますが、ああいうような必要性は当然起こってくると考えております。
  20. 内藤良平

    内藤委員 イギリスとフランスで開発したコンコード、これは一応実験飛行をやりまして、ある数値が出ておりますね。いま申し上げたように、PNdbですが、コンコードでは離陸騒音が一一一、進入騒音が一一一ないし一二八、横っ腹のほう、側方の騒音が一一八から一二〇、こういう計数が出ておるわけです。これは御存じでしょう。
  21. 手塚良成

    手塚政府委員 大体先生のおっしゃるとおりでございまして、いまの一一一PNデシベルといいますのは、離陸の際に滑走開始地点から六キロ三百という地点におきますコンコルドの騒音が一一〇ホンでございます。その同一地点からの現行の国際線の飛行機騒音は二七PNデシベル、ボーイングの707という飛行機でございますが、これは飛んだ同一の地点におきまして一一七PNデシベル、こういうことになっておりますので、現行のものよりは低いという実験値が出ております。ただし、御指摘の側方、横のほうの騒音は、これは滑走路中心線から四百五十メートルの地点の騒音値をおっしゃいましたわけでございます。これはボーイングの707、現行の飛行機におきましては一〇八PNデシベル、これに対しまして、だんだん改良されることになっておりますが、いま現在のところでは九九ないし一一七PNデシベル、これは、よくわれわれホンで申しますが、一〇五ホンということになる。若干現行よりは側方は高い。しかし、離陸あるいは着陸、そういった方向におきましては、現行の飛行機よりはむしろ低い、こういう数値を得ております。
  22. 内藤良平

    内藤委員 そこで、さっきもちょっと言いましたが、アメリカ航空局では八〇PNデシベルを最高騒音にしておる。大体七〇ホン、これもあなたは御存じですか。
  23. 手塚良成

    手塚政府委員 ただいまの七〇というホン数で押えるということは、私は実はそういうふうに承知はいたしておりません。いま世界の各国で、ICAOというところで騒音会議をつい最近も持って、先生のおっしゃいますような騒音規制をひとつ国際的に基準づけよう、こういう会議が持たれております。昨年の十一月から十二月にかけましてわが国も参加をいたしまして、モントリオールでそういう会合が開かれております。その中で、やはり航空機の騒音の証明制度というのをつくろう、つまり航空機は、どういう地点で何ホン以上出すような飛行機はもう認めない、そういうような証明制度、それから騒音を軽減させるための運航方式を一体どういうふうにすればよろしいのか、こういったようなものを国際的な取りきめ方でやろうというふうなことが議題になっております。ただいまのところでは、まだ最終的な結論は得ておらない。これからひんぱんにこういう会合を開いて国際的な取りきめをしていこう、こういう段階になっております。
  24. 内藤良平

    内藤委員 そこで、将来の話になるのだけれども、私の調べでは、アメリカでは一九六八年から動き出して、一九七〇年には、アメリカ航空局はいま申し上げたような大体七〇ホンに最高騒音を押えよう、規制しようということで動き出しているわけです。これはお認めになりますか。おわかりになりませんか。それともぼくの言うことが間違っていますか。
  25. 手塚良成

    手塚政府委員 騒音の大きさは、先ほども申し上げましたように、飛行機が飛び出しました位置により、場所によりまして、非常な相違があるわけでございまして、七〇ホンというような位置は、成田中心にいたしまして現行の国際線級のジェット機を飛ばしました場合にも、そういう七〇ホンの範囲というのは当然あるわけです。それからやはりどうしても離陸直後のところの音、これは一〇〇ホンというようなところの音ももちろんあるわけで、全体を通じて七〇ホンで全部押える、そういうことは事実上不可能であると思います。
  26. 内藤良平

    内藤委員 それは不可能でも、騒音というものをアメリカでも重点的に取り上げて、いろいろ器材に対しても制限を加えていこうとしておるわけだ。だから、それほど騒音公害というものはアメリカの国民生活にも重大問題になっておる。これは大統領が発言しておるわけだ。だから成田空港の場合におきましても、騒音を防止するために、いままでの前国会での論議では、あそこに土手をつくる、あるいは防音林をつくる、こういうことで何とかこれを食いとめよう、押えよう。公団総裁もおられて、御答弁はたびたび聞いていますけれども、実際問題としてアメリカ自体でいまこういうぐあいに真剣になっておる問題が、成田ジャンボが来たり、SSTが来たりして、騒音の公害というものを防げるかどうか。住民立場で、いや何でもない、気持ちのいい音だなんという調子になれるかどうか。七〇ホン程度だ、やかましい事務室程度でがまんができる。こういう程度だ。これからの大きい問題なんだから、このホンの問題になるとどういうものができてくるか。SSTもわからぬ。ジャンボの場合も、これはあまり大したことはないと言っておるけれども、あれはターボファンエンジンというエンジンを使っておるでしょう。そこでターボジェットよりも騒音がひどいというのだ。これはなぜかといいますと、空気がエンジンにあたって生ずる騒音が、飛行機のかなり前方で非常に高く聞こえる、こういっておる。だから現在のターボジェットよりもジャンボのエンジンの騒音がひどいということになっておるのですよ。だから、そういう騒音公害というものが国際的に大きな問題になっておる中で、しかも工事がなかなか思うように進まない。進まないというのは、これは反対をするから進まないということは、私は当たらないと思う。住民皆さんが何百年の祖先伝来の土地を離したくないというのは本能的なものなんだから、それは最初に、空港を設置する計画の際に、そういう要素は十二分に考えなくちゃならぬわけですよ、無人の広野にやるわけじゃないのだから。だから、そういう中でいまようやく四千メートル一本、これから来年の春までにやろう、秋までかかるかもわからぬ。しかも、いろいろな付帯的な設備は進んでおらぬ。特に都心部から六十六キロという距離考えたけれども、その関係の高速の輸送機関というものはほとんど進んでおらぬですよ。既存の道路とか既存の鉄道でやる、こういうふうになってきた。しかも、例の騒音の問題も非常に未確定の問題がある。そういう中で、大臣は政治家だけれども、あなたは技術的にも航空局長として良心的に考えた場合に、このままでいって、住民皆さんのいろいろ公害問題その他もあり、あるいはまたせっかくのお客さんがおりても、東京に来るのにたいへんな時間がかかる、こういうような問題もあり、ここでもっと広い意味考えた際に、日本のような土地では、SSTのようなものをアジアの拠点として入れる場合に、あそこをどうしても推さなくちゃならぬというぐあいになっておるものかどうか。客観的に、良心的に、立身出世をある程度忘れて、あなたのほんとうの——科学者だと思うのだけれども、そうじゃないかな。そこら辺は私ははっきりしないけれども、そういう立場の答えを聞いて、時間もだいぶ過ぎておるというから終わりますけれども、また私のあとは木原さんが大臣にいろいろお聞きするそうですから、いま局長にそれだけ聞きます。
  27. 手塚良成

    手塚政府委員 いろいろ問題の多数含まれました御質問でございますが、まず七四七のジャンボジェットのエンジンからの音のお話がございましたが、このファンエンジンといいますエンジンは、先生の御説明とは逆でございまして、こういったエンジンのほうが非常に騒音が少ない。むしろ少なくするためにこういうふうにしてある。これはファンエンジンでありますと、詳細な説明は省略させていただきますが、バイパス比というものがございまして、燃焼室を通る空気と通らない空気があって、この通らない空気が多いほうが音が小さいわけでございます。そのバイパス比が非常に高うございまして、この七四七は五・〇、いまの七〇七というのが一・四、こういうことになっておりまして、騒音はこれだけ低いということに相なっております。  なお、飛行場自体で、都心からの距離が六十六キロもあるというようなところについての空港、これが国際空港として適当かどうかという点につきまして、私どもは先ほど大臣お話にもございましたように、いろんな観点からいろんな場所、候補地について検討をいたしたわけでございますが、それらの検討の結果、特に管制上の問題あるいは気象条件あるいは航法上の問題、諸種のことを考えまして、あの地点しかないということの結論を得て、着工し、現状に至っているわけでございます。おっしゃいますように、都心との距離が、世界現状国際空港の中にはないような六十六キロという長い距離になりましたことは、これは非常に残念なこととは思いますけれども、これに対してはこれなりの一つ対策をいろいろ考慮して、この距離の問題は克服していくべきではなかろうか。都心に近いということは望ましいのですが、そうなりますと、いま前段でいろいろお話のございました騒音公害などという問題が、またまたそれとして問題が出てくる。公害を離れさせようと思いますと、いまいった都心との距離が長くなる。きわめて二律背反的な問題がございまして、私どもいつもそういった点について候補地を選ぶのに苦慮いたすところでございます。そういう意味で、先ほど大臣の言われましたように、ここ一カ所ということでは当然済むところではございません。今後いろいろ考えますについても、そういった考慮を払い、住民皆さん方のこういった騒音公害に対する問題、その前段におきます土地の買収、補償、そういったものについて全力をあげて適地を空港に充てていく。現在の成田空港は、そういった意味におきまして適当な空港であると考えております。
  28. 内藤良平

    内藤委員 これで終わります。
  29. 福井勇

    福井委員長 次に田中昭二君。
  30. 田中昭二

    田中(昭)委員 私は、まず当委員会で初めて質問させていただきますし、いろいろしろうとの目で足らない点もあると思いますから、ひとつしろうとにもわかるように明確に、簡明に御答弁いただければありがたいと思っております。  さて、新東京国際空港は、諸般の事情によりまして早急なる建設が問題にされております。そこで、新空港建設に伴う資材の搬入問題についてお伺いしたいと思います。  砂利や砂、砕石、鋼材、合計二千三百万トンに達すると思われますが、第一期工事分としては約千六百万といわれております。この資材の陸上運送機関はトラック、鉄道の両機関によってなされると案内があっておりますが、この両機関を使って行ないますその割合といいますか、程度というものをまず公団総裁のほうからお答えをいただきたいと思います。
  31. 今井榮文

    今井参考人 資材輸送でございますが、主として砕石、砂等が中心でございますが、四十四年度は従来の計画といたしましては全体で百十二万五千トン、昭和四十五年度が全輸送量で五百四十一万トン、それから四十六年度以降でございますけれども、これは相当長期にわたるものでございまして、全体で千四百七十二万トン、こういうふうなものを私どもは考えておるわけでございまして、そのトータルで道路と鉄道の分担でございますが、全体では道路によるものが千三百十六万トン、鉄道によるものが八百十万トン、かように考えております。
  32. 田中昭二

    田中(昭)委員 この資材搬入のルートは、大体国道の五十一号線並びに百二十五号線を中心として、県道を通って建設地まで持ち込まれる。この県道ですが、この県道並びに国道の整備状況はどのようになっておりますか。
  33. 今井榮文

    今井参考人 お説のように、砕石は主として茨城県の産地から千葉県国道五十一号線を越えて空港用地に入るわけでございますが、県道につきましては、千葉県道につきましては約三十六・六キロ、茨城県道につきましては全長二十五キロというものにつきまして、すでに完全なる拡幅改良工事を終わっておる状況でございます。それから砕石以外の砂等につきましては、主として空港の周辺、特に大栄町を中心にして飛行場の区域に搬入する、こういう計画になっております。
  34. 田中昭二

    田中(昭)委員 公団側の予想によりますと、その資材搬入の搬入計画と思いますが、約一日四万三千台のトラックが通行するということであります。いままでこのような車両が通行する工事は前代未聞でありましょう。それだけに道路の整備には万全を期する必要がある。しかし、千葉県側にもこれほど大量の資材輸送に道路そのものが耐えられるかと疑問視するものもいるというのであります。県道並びに国道の補修はどのように考えていらっしゃるでしょうか。
  35. 今井榮文

    今井参考人 ただいま先生の御質問にございましたトラックの台数でございます。これは最盛期において一日四万三千台ではなくて、四千三百台であるというふうに御訂正をお願いいたしたいと思います。  それから、先ほども申し上げましたように、資材の輸送につきまして、県道、国道につきましては、すでに茨城県道並びに千葉県道を含めまして空港に搬入するための改良工事は全部終わっておりますが、特に鉄道輸送につきましては、現在成田市の土屋地先に約十万平米の資材のストックヤードをつくりまして、成田駅から専用鉄道を敷きまして、そこで貨物を全部おろす。おろしました貨物は、現在すでに着工を始めております資材置き場から空港までの専用道路というものによって、これを場内に搬入するという計画でおるわけでございまして、私どもは、この空港資材の輸送につきまして、地元方々にでき得る限り御迷惑をかけないような措置を県とも相談してとっておるわけでございます。
  36. 田中昭二

    田中(昭)委員 次は大臣でございますけれども、いらっしゃらないから、もう少しいまの公団総裁の御回答を確認しておきたいと思います。  まずトラックと鉄道の割合は、これからいきますと大体七対三ですか、そういう割合だと思います。  そこで、いわゆる国道の五十一号線、百二十号線、それから県道も完全に補修してあるということをおっしゃいました。これはまたあとで問題になりますから、今井総裁も十年前は航空局長としてお若くしてやっておりますし、そういう点ひとつぜひ間違いのないようにお願いいたしたい。先ほど一日四万三千台、これは四千三百台の間違いだということですね。これはけっこうだと思います。  大臣にお尋ねします。いま公団総裁のほうに、この空港建設につきます資材の搬入ということにつきまして一応のことをお聞きしました。これに関連しまして、空港建設の監督責任者としての大臣でありますし、聞くところによりますと、現在もう県道の破損が生じておる。そういうことで最近問題になりましたことでは、昨年の九月でございましたか、武蔵野線の操車場の建設に伴いまして柏市周辺の県道がたいへんいたんだ。そのときの補修費を工事責任者である——そのときは国鉄ですが、国鉄が一部負担しております。そこで、今度の空港の建設につきまして県道等が破損した場合、その補修はどこがやるのか。公団が負担するのではないかと思いますが、その辺につきまして、大臣はどのようにしたらいいと思っておられますか、お尋ねしたいと思います。前例があるのですから、それをちゃん考えながら答弁してください。
  37. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 実は私も住んでおるところが——住んでいるといいますか、常時ではありませんけれども、私の生まれたところであり、また常時に近く住んでいるといっていいのは潮来なんです。  成田空港の砂を鹿島港から取っている。また砕石は六号国道を通っていくわけですね。そういう意味相当車両が往復していますから、従来とは違った様相を示してきておりまして、いろいろ付近住民にも迷惑をかけておるということではまことに相済まぬと思っておりますが、これは国家的事業といいますか、将来の日本長期展望から見て、皆さんにがまんを願わなければならぬ。それがために起きました舗装の破壊等については、国道の場合は国がやらなくちゃいかぬし、県道の場合は県がこれをやるのが原則であります。私も建設大臣をやっておりまして、そういうこともやってまいったわけでございます。しかし、その場合において、やはり交付金等の問題でいろいろ考えてやるべき国全体の施策の上から考えますと、そういう面からやはり親切な措置はしなくちゃいかぬと思っております。公団がその責任をとるかどうかという問題になれば、これは議論があると思いますけれども、県道の場合にはもちろん県に補修の責任がある。また国道の場合は国に補修の責任がある。しかし、そういうものの財源については、なかなか特定しようがないとは思いますけれども、それについても国全体として考えるべき点があれば考えていくべきものだろうと思っております。その点はそうかたくならずに、国全体の事業ですから、いわゆる地元には迷惑をかけないような措置を講じていきたい。当然、建設省でそういうほうの予算があれば、建設省にその点については私のほうから積極的に働きかけて、そういうような付近住民に迷惑をかけないような措置を講じてほしいということは十分に申し入れをして善処したいと思っております。
  38. 田中昭二

    田中(昭)委員 国家的事業でありながら、国としては、県道であれば県がやるべきであるとか、そういうふうに簡単にいえば受け取れたわけですけれども、公団としてみても、どうですか、公団総裁、そういう問題について何か責任ある御発言できますか。
  39. 今井榮文

    今井参考人 ただいま大臣からお話があったとおりでございますが、県道につきまして茨城県道、千葉県道、砕石の産地はすでに決定をいたしておるわけでございまして、私ども公団のための砕石輸送の車の通るルートというものがきまっておるわけでございます。そういうルートにつきまして、先ほど申し上げましたようなキロ数で拡幅あるいはまた改良舗装工事を終わった、こういうふうに申し上げたわけでございます。したがいまして、公団の原因によって道路が破損するというふうな場合には、私も制度上のたてまえは存じ上げませんが、県道の場合は一応県が形式上の施行者になる。しかし、場合によっては公団が全額負担をすることもあり得るし、私どもとしては積極的にそういう負担に応ずる、こういうふうな考えを持っております。
  40. 田中昭二

    田中(昭)委員 たいへん窮屈な地方自治の実態等を考えて、ただここで大臣が理論としていろいろ言うことよりも、私が先ほどから言いますように、いろんな数字まであげまして、現実に県道、国道がいたみかかっておる。また、先ほどの大臣お話によれば、自分の地元であるし、砂利等は佐原のほうから持ってくるとか、砂は鹿島から持ってくるということになりますと、いま私がここでそのルートをいろいろ言わなくてもおわかりのとおり、たとえば砂が鹿島から搬入されまして、千葉の辺で陸揚げされて千葉市内を通ってくるわけでしょう。そうしますと、いま千葉の国道の渋滞等を考えましても、それじゃそういうものに対するこまかい、実際建設がただいま進んでおるわけですから、どういうことになっておるか、どういう交通量になっておるかというようなことを考えた上での答弁をしていただきたい。  あわせて、それじゃ砂利は茨城県のほうから一日どのくらいの輸送量を見てあるのか、また千葉方面からどういう砂を運ぶつもりなのか、そういう点をひとつお聞かせください。
  41. 今井榮文

    今井参考人 こまかい点なので、私がかわってお答えいたしたいと思います。  茨城県の鹿島港からの砂利でございますが、これは主としてしゅんせついたしました砂でございますが、これは私どもとしては本年度はまだ輸送計画は持っておりません。昭和四十五年度から大体輸送量全体としては二十二万五千トン、こういう程度のものを予定いたしております。先生御指摘のとおり、国道五十一号線というものは混雑、特に千葉市内において混雑いたしております。私どもは、鹿島港から千葉の市原に船で陸揚げいたしまして、これを自動車輸送から鉄道輸送に切りかえるということを現在考えておるわけであります。鉄道輸送のルートといたしましては、京葉臨海鉄道の蘇我駅に市原から持ってまいりまして、それから国鉄の房総東線によって稲毛に持ってまいります。稲毛からさらに総武線で佐倉に、佐倉から成田線に入りまして空港の資材置き場まで搬入する、こういうことでございまして、茨城県の砂を千葉に揚げて、千葉から自動車で輸送するということは、現在考えておりません。
  42. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま私が申し上げた要点を答えていただきたいのです。大臣がこまかいことはわからぬとおっしゃって、あなたが答えられたのだから、千葉方面から何千台来るか、佐原のほうから何千台運ぶ計画があるのか。
  43. 今井榮文

    今井参考人 ただいま先生の車の台数でございますが、大体私どもは八トン積みのトラックというものをベースにして考えておりまして、四十四年度におきましては、千葉から国道五十一号線を通って空港に入ります車の台数は、一日に片道四十二台というふうな程度考えております。それから、これは非常にたくさんになりますので、各線は省略させていただきまして、特に先生御心配しておられる国道五十一号線のみについてお答えいたしたいと思いますが、主として大栄町の砂でございますが、この砂は四十四年度の計画といたしましては、一日片道五百八十三台、大体五百八十台というふうな程度考えておるわけでございます。それから四十五年度に入りますと、千葉からのトラックは大体におきまして片道百十三台、それから大栄町からの、逆に国道五十一号を西に下がります台数は大体千二百台、こういうふうに考えておりますが、実は私どもといたしましては、今後の国道五十一号線の非常な混雑というものを考えまして、特に砂の輸送につきましては、本来の計画は、先生も御存じと思いますが、四十四年度は七十五万トン、それから四十五年度は三百二十七万トンということになっておるわけでございますけれども、私どもとしては極力この砂のトラック輸送というものを軽減いたしまして、私どもの計算では、四十四年度、四十五年度を通じまして六十四万トン程度、約七十万トン近くのものは敷地の中の良質の土砂を使用するということで、実は自動車の輸送計画からはずしておるわけでございます。したがって、四十四年度に砂といたしましては七十五万トン、それから四十五年度に三百二十七万トンということになっておりますけれども、砂全体の輸送は三百二十七万トンから四十五年度は二百五十万トンに減らすというふうなことで、これは八トン積みのトラックにいたしますと、一日約六百四十台というものは輸送量が削減するのではないか。御趣旨に沿って、できるだけ交通の観点から自動車の台数を減らしたいというくふうをいたしておるわけであります。
  44. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、いまいろいろお聞きになりまして、先ほども問題になっております千葉から行きます五十一号線ですけれども、現在でも相当な渋滞があるということはわかっておるわけです。それはそれとしまして、いまこまかいことを聞きましたけれども、こういうことを予想しますと、相当渋滞とか交通量の増加による事故等も増加するのではなかろうか。また、騒音、排気ガス、砂じん等によって、周辺の住民にたいへん悪影響を及ぼすような問題が発生しております。こういうことにつきまして、ひとつ大臣のお考えをお聞かせをいたたきたいと思います。
  45. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 お話しのように、これだけの仕事をしますというと、相当の車両も通りますし、現状相当混雑をしておりますから、付近住民皆さんには御迷惑をかけることと存じます。しかし、何としても御迷惑を少なくしなければなりませんので、十分に建設省当局とも相談をし、また督励をして、そうして最小限度に食いとめるように措置をとりたい、かように考えております。
  46. 田中昭二

    田中(昭)委員 次は、警察庁の方来ておられますか。——それではいまの交通量の問題ですが、こういう交通量の増加によりまして、事故というようなことを考えますと、たいへんな問題があるわけですが、いま総裁のほうから県道が拡幅されているというふうなお話でございましたが、これは聞くところによりますと、五・八メートル程度の道路を舗装はした。それで、実際の歩行者の安全性のための施策はほとんどないといっていい。まあ一応歩行区域を明示するための白線は引いてあるようですけれども、ガードレールの設置や歩道の分離というようなことが行なわれておりません。大型トラックやダンプがしょっちゅう行ったり来たりする、こういう状態で歩行者の通行区分が示されていないということは、たいへん危険な状態だと思うのです。こういう問題についてどういうお考えをお持ちでしょうか。
  47. 井口孝文

    ○井口説明員 ただいま先生からいろいろとお話がございましたように成田空港工事が始まりまして、直接工事関係のある車両だけでなしに、いろいろ関連のことで交通量がふえてくるような状況でございます。したがいましてそういった点から申しますと、直接の輸送車両による事故は、昨年の八月から今年の二月までで四件程度でございますけれども、周辺の各区域の交通事故を加えますと、昭和四十三年に対しまして、四十四年は約二〇%交通事故がふえておるというような状況でございます。ただ、直接の関連道路につきましては、歩行者等にはたいへんいろいろと関係方々が心配をしていただきまして、施設はいろいろと整備しておられるわけでございますが、ただいまお話がございましたように、ガードレールが必要なところにまだできないというようなこともかなりあるようでございます。しかしながら、いろいろと御心配をいただきまして、警察側からもお願いして、警察の費用だけでなしに、国の費用でつけていただいたということもあるわけでございます。警察といたしましても、追い越し禁止、駐車禁止等はいろいろやっておるわけでございます。また、ガードレール等もつけていただいているわけでございますが、まだまだ未設置のところがあるわけでございます。そういった点につきましていろいろ打ち合わせをいたしまして、さらに交通、道路管理者の方々が設置を促進してくださるようにお願いをいたしておる、こういう状況であります。
  48. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣にもう一つ。先ほど大臣住民にあまり迷惑をかけないようにというような御発言でございますけれども、実際にダンプカーが通りまして、国道とか県道を通らぬで、近道をしてきて危険な状態になったとか、そういうこともあるわけですよ。だれでも初めから危険を及ぼそうと思ってやるとか、そんなことはやるわけはございませんが、現況を考えてみた場合に、そのほかに、ダンプが通りますと、砂じんが舞ったり落ちたりして、その上をかわいたところをまたトラックが通る、ダンプが通るというようなことで、空港建設によって、いまお話を聞きますと、四十五年度になりますと、急激なそういう事情が出てくるわけです。そういうことで、この砂じんによる被害は特に農作物等に多い。そのほかもたいへんな被害があるという状況は、前の万博のときにもそういうものがございました。こういうことを考えますと、その被害補償については、ひとつ態度をはっきりしてもらっておかなければ、いま大臣がおっしゃるような住民に迷惑をかけないということが、ただことばの上だけになるのではなかろうか、こう私は心配するのですが、いかがでしょうか。
  49. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ダンプカーといいますか、大型トラック等も含めてのお話でありましょうが、実はせんだって、この空港問題に直接関係はありませんでしたが、トラックの規制等で新聞記者と対談をしたときに、大型トラックの一部が大もの顔をして通るということを言ったところが、トラックの運転者から電話がかかってきまして、ちょうど私はいなかったのですが、家内がその電話を受けて、運転者にしかられた。大もの顔と言うが、われわれは生存のためにやっているのだから、ちょっと理解が足らぬじゃないかというおしかりを受けたことがありまして、家内が、私もからだが大きいものだから、静かにしておるつもりでも、何か大きな顔をしておるように感じられるが、それと同じ意味で、きっと主人はそのようなことを言ったんでしょう、と言って弁解をしたんですが、実際道路事情が十分じゃありませんので、大型トラックあるいはダンプカーというものが付近住民皆さんに迷惑をかけておるということは、お互いによく承知をいたしております。ただ、直接の損害を与えた場合と、また道路等における損害というものは、これは別個に理解されなければならないと思いますけれども、道路がそれがためにいためつけられる、ことに成田空港の必要のために行なわれた場合は、今井総裁が公団としてできるだけ善処をしておるという話でありますので、その点については十分に今後とも気をつけていきたいと思います。  また、ほこりが立つ、その他の迷惑、これはほんとうにしごく迷惑なんですけれども、そういうものに対してどういうような処置をとるかということになりますと、いろいろこまかい問題がありますから、ケース・バイ・ケースといいましょうか、その事情等によって措置を講ずる、対策を講ずる必要があると存じますが、いずれにせよ、これは国の大きな仕事でもありますので、いろいろな意味での事情の許す限り最善措置を講じてやっていきたい、かように考えております。
  50. 田中昭二

    田中(昭)委員 私聞いておりますのは、そういう補償というようなことも考えてやらなければ、また問題が強く起こるのではないでしょうか。だから、はっきり言いまして、そういうことをやるのは公団なのか、実際の工事の事業者なのか、それとも道路の管理者がやるべきでしょうか。これは大臣も十年前から建設大臣をやられた経験で、自民党の中でも大物大臣であり、総務会長までやった地元大臣として、私はそういうことでは地元の者が承知しないのではなかろうかと思うのですが、もう一回その点はっきり、どこが見るのかということについてお答えを願いたいと思います。
  51. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど申しましたように、その場合場合によってでしょうが、いわゆる一般的なそういう公害ですね。もしいま田中さんがおっしゃることが一般的な公害であれば、これはなかなかめんどうな点が多いわけであります。いかに私が建設大臣の経験がありましても、一般的な公害に対してだれが持つべきだということを申し上げるのはいろいろ問題がありますので、ただ全体の対策として、そういうことは、道路建設の上からも、あるいは緊急の必要の場合は、いま言ったようないわゆるデフェンスをつくるとかというような問題は当然していかなければなりませんが、それは別として、そこからほこりを受け、地響きを受けたというような一般的公害は、どこがこれの責任を負うべきか、賠償の責任ですね、ということになれば、なかなかめんどうな問題がありますので、ここでいずれとも私も残念ながら明確な答弁がしにくいと申し上げるほかないのでありますが、ただ、こういうことはあると思います。空港をつくるために必要以上に、たとえば、従来なればせいぜい一時間に百台程度の車であったのが、二倍も三倍も出てきた、そのために道路のキャパシティーに無理が出てきた。そういう場合には、できるだけこれは別個な方法で、いわゆる一種のバイパスをつくるとかいうような場合には、お互いに協力してそういう措置を講ずる。従来から聞いておると、そういう要望場所によってはあるようです。ただ、いまのところ、公団がそれに対して金をかけるかどうかということではなくて、やはり道路を拡張したりつくることは建設省の責任であり、県道であれば県の責任でありますから、原則としてはそのほうが担当すべきものである、こういうふうに考えておりますが、いま言った一般的な公害をどこが持つかということになりますと、なかなかむずかしい問題があるので、御了承願いたいと思います。
  52. 田中昭二

    田中(昭)委員 それで大臣、そういうむずかしいことを大臣がやらなきゃだれもやりませんよ、役人にまかせっぱなしじゃ。そういうことをほんとうに地元住民が期待しておるのじゃなかろうかと私は思うのです。そのための大臣じゃないか。しかし、そういうことを言っても、ここでたいした——私は質問のしかたかへたなのかとうか知りませんが、へたでもそのことをわかってもらいたいと思って言っておることをひとつ考えて、今後のことにつけ加えていただきたいと思います。  そこで、鉄監局長にお尋ねしておきますが、これは何べんも言われたことで、どうせたいした答えは出ないと思いますが、いわゆる成田と都心を結ぶ新幹線、本来ならば、この空港と都心を結ぶ新幹線は、四十五年度に着工の予定であったと思います。しかし、いろいろな条件で着工がおくれておる。新幹線の建設の着工はいつを予定してあるのか、完成の予定はいつなのか、お聞かせ願いたい、簡単に。
  53. 町田直

    ○町田政府委員 前回のこの委員会でも御説明申し上げましたが、まだ現段階におきまして、具体的にいつ着工していつ完成するというところまで、運輸省としては最終的にきまっておりませんので、この点はっきり申し上げられないのでございますけれども、大体この前申し上げましたように二つ考え方がございまして、全国新幹線網の一環としてつくるということと、あるいはそうでなくて、成田空港だけを対象にした新幹線をつくる、それぞれ利害得失がございまして、また財政的な面もございますので、いずれにするかということにつきましても、できるだけ早く検討して結論を出したいということで検討中でございます。
  54. 田中昭二

    田中(昭)委員 何をやるにも金の問題が一番問題でしょうから、御心配であまり明確なお答えはないようですけれども、大臣ここでお金の問題に関係しまして、いわゆる新幹線をい、ずれにせよつくろうという計画はあるように伺いますし、その場合、公団、国鉄の共同出資にしたいというような話も聞いております、また、民間デベロッパーを使いまして建設するというようなことも聞いておりますが、どのような検討がなされておりますか、また運輸省はどのようにお考えになっておりますか、これが一点でございます。  並びに、大臣として、国鉄、公団、地元の三者による別の会社の新設を考えておられるということも聞いております。このことにつきます大臣の御見解をお伺いしたい。
  55. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いまのお話の新幹線といいましても、これは問題になっておりまする新幹線網の問題をおっしゃっておるのではないだろと思います。いわゆる成田空港東京都心を結ぶ急行電車といいますか超特急、将来こういうものの計画があるかどうか。もちろんこれは考えなくちゃなりませんが、その場合は、私はいわゆる新幹線網の一環としてやりたい。これは将来の問題は、どこまで延ばしていくかということがありますけれども、とりあえずの問題としては、御承知のように、千葉まで国鉄が複々線を完成いたしますから、そこで成田から先の成田空港までのいわゆる急行電車でしょうか、一種の準新幹線といいましょうか、そういうものを一つ考えなければならぬであろう。現在のところは、京成電車が空港に乗り入れるということで、これができるだけ早くということでやっておりますが、あるいはおくれるかどうか知りませんけれども、予定は来年の四月に間に合わせるということで努力しておるようであります。こちらのほうは成田から空港まで、そういうものを考える場合に、鉄建公団にやらせるのがいいのか、あるいは地元千葉県及び鉄建公団、国鉄なりというものがまず新会社をつくって、それを国鉄が運営するのがいいのか、目下関係方面と検討を続けておるようであります。これは完成が少しはおくれるのではないか。しかし、これができないとほんとうの輸送ができない、かように考えておりますので、何らかの形で実現させたい、かように考えております。
  56. 田中昭二

    田中(昭)委員 それで、その計画はあるわけですから、どこがやるかというんですよ。
  57. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど申し上げましたように、この三者であるいは話し合いの上でそれをつくり上げる、運行は国鉄が行なうということで、目下話し合いを進めておる状態であります。
  58. 田中昭二

    田中(昭)委員 この成田空港が早くできなければならないということは、諸般の事情でたいへん急がれておるのですよ。そういうことで、すべてただ考えておる、考えておるでは——ですから、すべていままでの用地買収一切、それに関連するこの空港圏について、たいへん後手後手にいっているような感じがするのですが、それはまたあとでお尋ねしようと思っておったのですが、時間があまりありませんから、次に移らしていただきます。  今度は航空局長のほうからお願いしたいと思いますが、ジャンボの就航が三月に予定されておりますが、このジャンボジェットの起こす騒音、乱気流等について、いまもお話しございましたが、私は、こういうものについて、いわゆる製造メーカー等からどういう程度の資料が入っておるのか、詳しいものが入っておるなら入っておるだけでもけっこうですから、お答え願いたいと思います。
  59. 手塚良成

    手塚政府委員 ジャンボ自体についての騒音あるいはそのほか所要の資料につきましては、メーカーあるいはFAA、アメリカの連邦航空局を通じて、現在必要な程度の資料は入っております。
  60. 田中昭二

    田中(昭)委員 同じくその資料によりまして、安全対策、それから税関ですか、出入国のいろいろな問題等、これは早急にしていかなければ間に合わないんじゃないかと思いますから、つけ加えておきます。  次に、大臣、いま航空局長からお話がいろいろ前の内藤委員の質問にもありましたのですが、この大型機、いわゆるSSTなどの超音速機が飛びました場合に、先ほどから聞いておりますと、心配はないという御答弁だったと思いますが、私は、そういうものがただ航空局のほうに現在必要なものが入手されておるというだけでは、少し心配になるわけですが、それはそれとしまして、現実に入ってきますと、やはり騒音の問題もあります。新空港並びに羽田大阪の伊丹、こういうところにおきましては、いわゆるテレビの受信障害騒音、そういうことで超大型機の騒音に対して相応する対策を立てなければならないのじゃないか、このように思いますし、公共のいわゆる空港周辺騒音防止法ですか、NHKが現在行なっております受信料の割り引き、そういう関係法律を改正してそれに備えなければならないのではないか、こう思いますが、それはいかがでしょう。
  61. 手塚良成

    手塚政府委員 騒音防止につきましては、基本的な法律といたしまして、いまおっしゃいました公共用飛行場周辺における航空騒音による障害の防止等に関する法律というのがございまして、これの政令によりまして、適用空港は三つの空港を定めており、そのほか措置すべき範囲程度というのをきめて、現在実施中でございますが、おっしゃいますように、今後の器材あるいは運航の方式その他によりまして、騒音の内容が変化していく場合には、それに適応するような措置は順次検討し、実施をしていかなければならぬと考えております。
  62. 田中昭二

    田中(昭)委員 大臣、これは防衛庁なんかの規定もいろいろあると聞いておりますが、そういう意味で、それをいまの一キロ、二キロというような狭い範囲ではなくて、何かそういうような適用を拡大するようなことはございませんでしょうか。これは問題ですから、大臣のほうからお答え願います。
  63. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いま航空局長からお答え申し上げましたが、おっしゃるように、飛行機の型も変わってくるし、場合によってはいろいろな事情で変化してまいりますからして、基本的に騒音対策は思い切って救済策は拡大しなければならぬ。これは一部の人が非常な迷惑をこうむって、国全体の利益を得るのですから、その付近の人が一手に犠牲をこうむることはいかぬというのが私の姿勢なんです。あの基地対策なり、これは民間飛行場にも準用しておりますが、私が当時その委員長になりまして、そしてあの拡大した規定を設けたのですが、ことしも騒音対策の予算は前年よりは相当幅ふやしてあります。しかし、政令もそれに伴った思い切った措置をとらなければならぬ。迷惑を人にかけて、あとの人がのほほんとしていることはいけないのです。やはり国民が一致団結して国の経済発展させる、あるいは自衛力を強化するといいましょうか、自衛力を保っていくというためにも、そういうような姿勢は政治としてなくちゃいかぬ。その意味で、今後ともその適用範囲の拡大等については、私は最善の努力をいたしたいと考えております。
  64. 田中昭二

    田中(昭)委員 いま大臣の答弁をいただきまして大体おわかりいただいたと思いますが、航空局長、実際地方空港——私のところでは板付が米軍共用であるわけですが、先ほどの基準ですね、横幅が一キロの延長方向が二キロですか、こういうのが現実に合わないのですよ。板付等でも——千歳でも同じだと思いますけれども、国際空港としてみな夢を持っております。しかし、板付等は、これは特に米軍の予備基地として問題がございまして、これは別の機会にいろいろお尋ねしたいと思いますが、一応そういうことを考えていきますと、どうもこれはいまの大臣の趣旨をはやくやらなければいけない問題じゃないか、こう思いますが、どうでしょう。
  65. 手塚良成

    手塚政府委員 騒音防止に対する基本的な考え方は、ただいま大臣の申されたとおりでございます。私どもはそれを実行していきたいと考えておるわけですが、板付につきましてのお話は、実はこの騒音防止の法律をつくりますときの役所の分担といたしまして、飛行場の設置管理者がそれぞれの週辺をやる、こういうことになっておりまして、板付の場合、現状まだ提供飛行場でございますので、週辺の騒音関係対策は防衛施設庁がやる、こういうたてまえになっております。しかし、実際に使っておりますのは、現状では民間空港が全部でございますので、私どももそれには非常に関心を持っておりまして、いろいろ私どもの立場においてお願い申すべきものはお願いをして、防衛施設庁で実施をしていただく、こういう段取りでやっておるつもりでございます。  なおまた、必要に応じて拡大するというたてまえにつきましては、実はすでに実行しつつありますのは、新東京国際空港について、騒音対策は伊丹あるいは東京という場合よりは拡大したものを考えて、これを実行に移すように政令等も改正をいたしております。ただ、これはテレビの問題とはちょっと離れておりますけれども、そういうような実行の面も考えておりますし、進め方といたしましては、機種その他の変更に応じ、実情に応じて、大体拡大の方向をたどっていくように進めるべきではないか、かように考えております。
  66. 田中昭二

    田中委員 これはいま私が板付を出しましたから、役所が違うというようなお話がございましたが、その辺につい尾は、ひとつおたくのほうから防衛庁とも話していただいて、何か拡大するというような意思があるようでございますから、その内容を私どものほうにお知らせ願いたい、こう思います。ようございますか。  では大臣のほうにお願いしますが、今後の国際空港でございますが、大阪の伊丹空港が大体ピークにきておると聞いております。また成田空港も、今後の航空需要を考えますと、十年を待たずして、新聞等にもいろいろ出ておりますが、もう四十九年、五十年前後にはピークにくるのじゃないか、このようにいわれておりますが、現在の成田空港計画案ができましてから現在まで、第一期工事の完成まで八年もかかるというようなことを考えますと、いわゆるわが国の国際空港としての中心になります大阪並びに東京の新空港、こういうものを早く考えていかなければならないのじゃないか、こう思うわけです。  そこで大阪の第二空港、いわゆる東京の第三空港というような計画はあるのかどうか、候補地でもお考えになっておればお伺いしたいと思います。
  67. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 後承知のように、あとでまた当委員会で御審議願わなければなりませんが、空港特別会計制度が四十五年度から実施されるわけでありまして、予算の上でも四十五年度は前年に比して大幅に伸びてきておるわけでありますが、その中で、全国の飛行場の調査費、そうしてまた急速に関西付近の第三国際空港大阪での国際飛行場を調査するために、一億円予算をその中からさいて、関西にできれば本年中に場所をきめたいということで予算を組んで、皆さんの御承認を得るために目下予算委員会にかかっておるわけであります。したがって、関西はできれば四十五年度中に候補地をきめたい。将来もちろんこれは東京付近でもその必要がありますけれども、四十五年度の予算の上ではそれは考えておりませんが、長期展望からいえば、ここ数年のうちに東京でもやはりもう一カ所ぐらいきめないと、いまおっしゃったように間に合わない。さような状況にありますので、調査費として相当の額を四十五年度でも計上をいたしておるわけでありますから、これによって将来の国際飛行場の整理の整備をはかっていく、かように考えておる次第であります。
  68. 田中昭二

    田中(昭)委員 もう時間がありませんから、最後に結論に入りまして、簡単でございますからお答え願いたいと思います。  いままでずっと聞いてまいりまして、まず第一期工事ができて実際使用されるという時期も一応きまっておるのでございます。それに対して、先ほどから公団側からも、いろいろな資材搬入等についても四十五年度から始めるとか——始めるというか、突貫工事になると思いますが、それといろいろな道路の問題並びにそこに起こってくる住民との問題、さらには新幹線もできないということになりますと、せっかく短時間で飛んできた外国のお客が空港に着いてからまたもたもたして、たいへんなわが国の国威失墜といいますか、そこまではいかなくても、そういうものを予想すると、これは将来のことでございますから、現段階予測もむずかしいと思いますけれども、第一期工事はいつまでに完成するのかということが第一点。  それから、そういうことで工事が始まりますが、どうも責任者である運輸省と各関係者との調整がとれていないように私思うのです。先ほどから言いますように、おくればなしになっていくものだから、問題も起こってくる。こういう問題。公団は公団で空港さえつくればいい。もう一つございます。いわゆる建設省の東関東自動車高速道路ですか、こういう問題もたいへんなおくれを来たしております。こういうことを考えますと、また、地元千葉県の工事に対する状況といいますか、そういうものは当然運輸省が調整をはかってやるべきではないか。ところが、いままでの段階ではそういうものがなされないということにたいへん心配するわけであります。これはここだけで心配して、りっぱな空港が完成しません。どうかひとつ責任の大臣としてこれに対する納得のいく御答弁をお願いして終わりたいと思います。
  69. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 田中さんも御承知のように、この成田空港を予定どおり発足させようということで、内閣には成田空港閣僚協議会というものを持っておりますし、かつまた、役所関係では対策本部をつくって、各省との連絡は緊密にやっておるわけであります。従来そういうような御心配をかけましたのは、なかなか土地の問題等においていろいろな困難があったことは御承知のとおりであります。したがって、この問題を進めるためには、やはり地元皆さんの御協力を得なければならぬ。御理解を得ないと順調に進めるわけにもまいりませんので、つとめて地元皆さんにこれからも十分に納得してもらう。同時に、皆さんにおいてもその点に御理解を願って、お手伝いを願いたい。ただ、いま申しましたように、実はこの成田空港だけじゃないのです。この道路の問題御承知のように、京浜工業地帯のいわゆる貨物の輸送の問題、それから鹿島港の完成に伴うところの増大、こういうような成田空港にプラスアルファが幾つもついてきておるのが現状なんです。そういう意味でいくと、東関東自動車道路もやらなければなりませんが、将来考えますと、東京湾岸道路、これをやはり早急にきめなくちゃならぬ。しかしながら、成田空港東京都心との連絡は、飛行場の完成を四月を目途としてわれわれは必ず実現させたい。同時にまた、この関連道路及び輸送機関、これも突貫工事でありましょうが、ひとつ最善を尽くして、来年の四月までには何としてもこれは実現しなければ、いまおっしゃったように、せっかく来たけれども、東京まで三時間もかかったじゃないか、こういう不名誉なことのないように最善の努力をわれわれもいたしたい、かように考えておりますので、ひとつ御鞭撻のほどを心からお願い申し上げます。
  70. 田中昭二

    田中(昭)委員 終わります。
  71. 福井勇

    福井委員長 次に木原実君。
  72. 木原実

    木原委員 時間もあまりないようでございますけれども、端的に幾つかの点を大臣にお伺いをいたしたいと思います。  実は、私は千葉県の選出でございまして、綾部さんが運輸大臣の時期でございましたが、千葉県の浦安沖を埋め立てて国際空港をつくるのだ、こういう話が流れまして以来、もうかれこれ足かけ八年になります。その間、大臣がかわられることおそらく七人、歴代の局長もおそらくそれに次いでおかわりになっていらっしゃる。責任者は相次いでかわられたわけでありますが、現在の成田のところに落ちつくまでの間、地元関係者としましては、もう悩み抜かれました。そういう経験から見ますと、何よりも伺っておきたいことは、一体運輸省は、きちんとした長期展望をもって国際空港づくりを始めたのかどうなのか。これから先の問題についてもはなはだ懸念があるわけです。私は、現在公団の手によって第一期工事が強行されようといたしておりますけれども、この成田国際空港の問題を含めて国際空港の問題については、はなはだ疑問を持っておるわけです。この疑問について逐次お伺いをいたしたいわけでありますけれども、いまも同僚の委員から成田以後の国際空港づくりの問題について一、二御質問がございました。大臣の御答弁ですと、これから先東京周辺には第三国際空港関西にも一つ局長の答弁ですと、それにはことし一億円余りの予算も使えるのだ、こういうお話がございましたけれども、一体それでは成田ができましたあと、これは需要問題についてでございます。先ほど来お話がございました、運輸省が発表いたしております五十年、五十五年、六十年の長期の需要の見通しにつきましても、私ども拝見いたしておりますけれども、一部には、運輸省のこの見通しはいまでも甘いのではないかという見解のあるのも承知いたしております。おそらく予想を越えて需要が増大するということが容易に察知できるわけです。そういうわけですから、成田以後の問題についても、いまからきちんとした展望を持たないと、おそらく第二、第三の成田問題を引き続き起こしていく、こういう懸念があるわけです。と申しますのは、長期計画をきちっとしないで、いかにも場当たりです。成田の場合でも今日なおこじれておりますのは、最初のボタンをかけ違えた。予定地にいたしましても、浦安の埋め立ての問題から始まりまして、あるいは木更津沖の埋め立て案あるいは富里案、あるいはまた大臣の選挙区でございますけれども、霞ケ浦はどうだ、こういうようなことがあって、突如として三里塚が出てきた。しかも、示されました案というのは、当初の富里案に比べて半減をいたしておる。局長答弁がございましたけれども、現在三里塚の地域を選んだのは、羽田が満ぱいだ、あるいはまた四十七、八年ころにはSSTが来るという予測に基づいて、あそこを選んだのだ、こう言いますけれども、当初のかけ声はそうではなかった。国家的な大事業としてSST受け入れる、いわばアジアのターミナルとしての空港をつくるのだ、こういう呼びかけだったわけです。そうしますと、いまでも、一体富里案というのはあれはまぼろしだったのか、こう反問もいたしたいわけであります。  そういうようないきさつがございまして、これからの問題を最初にお伺いをいたしておきたいわけでありますけれども、これから先、一体関西にも、東京周辺にも第三空港、そういう形で複数の国際空港をおつくりになるのかどうか、この点をひとつもう一ぺん御答弁をいただいておきたいと思います。
  73. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私も、運輸行政のほうはまだ日が浅いものですから、研究の結果を申し上げるわけではありませんけれども、ただいま木原さんがおっしゃったように、いわゆる日本経済といいますか、その中の飛行機関係のものを申しましても、予想以上に相当伸びるのではないか、私もそう思っております。そういう点から考えて、いま成田空港ができたからもう将来半永久的に飛行場は要らぬかというと、そうはまいらぬのじゃないか。先ほど申しましたように、ここ三十年の将来を考えましても、大体十数倍の増加を来たすであろう。こういう点から見ると、やっぱり第三の国際飛行場東京付近でも少なくとも二十世紀のうちには必要である。関西にももちろんもう一カ所最小限度必要である。あるいはいまおっしゃったように、それでは甘いから、なおもう一つくらいの計画が要るんじゃないかということもお話があったようでございますが、それらの総合的な検討はどうしても早期にやらなければいけません。私は、航空局長に、今年中に総合的な国際飛行場及びローカル飛行場を含めたそういう総合的な飛行場計画考えておけ、これは関係者、学識経験者を集めた委員会としてそうしたものをつくらなければいかぬ、そういう形でひとつ本年中に、そうした将来への予測、それに基づく計画というものをこの四十五年度中に私は確立したいと思います。  ただ、私はしろうとでありますけれども、空の管制上から考えましても、一カ所の飛行場を一もちろんこれは広ければ広いに越したことはありません。しかしながら、日本のような国土の狭いところで、一千万坪というような、アメリカ大陸やソ連の大陸でつくるような飛行場は、どう考えたって不可能なんだ。そうすると、やっぱり飛行場群といいますか、ある程度周辺飛行場群という考え方、三つ四つ、あるいは将来五十年、六十年にはこれは五つになるのかもしれない、そういう飛行場群のような考え方をする必要があるのじゃないか。そのためには、国際飛行場とローカル飛行場を分けなくちゃならぬ場合もあろう。それにしても、高速道路で都心につながなければ、せっかく北海道から東京まで一時間足らずで来たけれども、東京に入るのに二時間もかかったというのでは、これでは飛行機の役は果たせない。したがって、これは高速道路との関係もにらみ合わせて、そこで総合計画を立てる、こういうことを航空局長に指示をしてあるわけであります。しかし、いまさしあたっての計画としては、成田空港をまず完成させる。そのためには、ほんとうに住みなれた土地を離れるということは、私個人の経験から見てもまことにお気の毒にたえません。だが、先ほども実は大阪府の岬町及びその付近の人たちが町長さんたちと参りましたから申し上げたのですが、長年その土地に住みなれた方々がそこを離れる、その心情というものは、私は十分に理解し、またお気の毒にたえないし、御同情申し上げる。まだこれは決定したわけじゃないのですが、向こうではやられるだろうというので、いまから反対の運動に来ましたけれども、ただしかし、人間の文明社会といいますか、そうした将来の展望から考えれば、やはりその間において、われわれは公共のために泣きながらも、ある意味においては犠牲を忍ばなければならぬ場合もあり得る。ただその場合に、先ほど申しましたように、その犠牲を払う人だけに犠牲を払わしてはいけない。国全体が見なければいけない。国民全体が見なければいけない。それは国全体の発展のためなんですから、もし日本から国際飛行場がなくなれば、残念ながら日本は第二、第三の国になること、これは世界の趨勢から見ても間違いない。でありますから、国全体の利益になる以上は、これは、国全体、国民全体がその犠牲になった人たちに対して心から感謝の意を表する、こういう姿でないと、ほんとうの調和のとれた発展はでき得ないのでありますから、そういう意味で、私は、成田空港のみならず、これからの第三の国際空港ができるというような場合におきましても、そのような気持ちでこれに対処していきたい、かように考えておるわけであります。
  74. 木原実

    木原委員 後段の問題については、私ももう少し見解を申し上げたいと思いますけれども、大臣のおっしゃった前段の問題につきましてもう少しお伺いをいたしたいと思うのです。大臣は、将来の需要に備えて飛行場群、こういう形で飛行場をつくっていきたい、こういうお話のように承ったわけです。これはいろいろな問題があると思うのです。私自身もしろうとですけれども、ただ考えられますことは、SST受け入れるというような国際空港は、世界で見ましても、大体十本の指の前後だと思うのです。国際航路に就航しておる他の機種もありますけれども、超音速機受け入れ飛行場なんというものは、アジア考えてみましても、ほんとうに何カ所かだと思うのです。このSST受け入れるような飛行場群をつくるということは、これはある意味ではたいへんなことだと思うのです。その際に考えられますことは、飛行場群という形にするのか、日本の国土の立地条件から見て群というかっこうにするのか、それともまた中心のターミナルをしかるべきところにきちんとかなり大規模のものをつくる、そしてあとはそこからの国際的な支線でもいいじゃないか、こういう考え方も当然成り立つと思うのです。私はどちらかといいますと、そういうSST受け入れ飛行場というのは、やはり富里案で示されたような大規模飛行場を一カ所つくって、そこから国内のローカル線と結びつくべきだ、こういうふうにかねて考えているわけですけれども、その辺についてはいかがですか。
  75. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 これは鉄道の場合もそうなんですが、これは私の私見でもありますけれども、たとえばいま大阪の例で申しますと、大阪では市営の地下鉄なんです。それがために、市の地域から出ることを非常におっくうがるといいますか、意識的にその市域でもってとめようとする。そのために、今度国鉄なり他の私鉄等とそこでターミナルが必要になるのですね、乗りかえる場所が。こういう考え方はいけない、もう古い。これはたとえば大都市交通圏となりますと現在でもそうですが、今後十年、二十年の将来を考えますと、管理都市というか、東京とか大阪とか管理都市というものは、どうしても人口は増大してくる。情報化社会においては、工場の人間は減ってまいりますけれども、それを動かす情報の、いわゆるコンピューターを中心にした情報化社会というものは、ターミナルセンター、管理センターというものは、人間も輸送も非常に高度に増大をしてくる。そういうことのために、やはり東京においてもそうでありますが、私は、将来二十年先の東京の人口というものは、大体六〇%くらいの増になるであろう。もっと広く考えるなれば、東京都に必要とする人口というものは二千五百万人くらいになるのじゃないか。ということは、結局都心に来るためには、交通量というものは相当先に延びていかなければならない。それを途中で国鉄に乗りかえるということをもしやったならば、ターミナルは非常に混雑する。そういう意味で、飛行機の場合もそうでありますが、できるだけ直接に都心に乗り込むことが一番便利なんです。しかしながら、そうはいきません、飛行機の数が多くなりますから。したがって、たとえば、できれば三十キロ以内、まあ現状ではそうもいきませんから、五十キロくらいにさがさなければならぬでありましょうが、そこに三つなり四つなりの国際飛行場があれば、それを中央に高速道路あるいは高速電車でつなぐ。それを何百キロも離れたところから結ぶということになると、せっかく国際線が四時間くらいで参るようになっても、そこから今度は二時間もかかるような状態では、これは国際線の用をなさない。いまSSTが飛ぶようになったら膨大な飛行場を必要とするであろうというお話ですが、もちろんこれは大は小を兼ねるですから、大きいにこしたことはございませんけれども、私は、大体において、そういうものがあっても、四百万坪前後あれば、その離着陸及び使用する上においては困難はない。十分だとは言わぬけれども、困難はない。ことに将来技術開発というものが考えられますと、いまロケット——話が飛んでしまいますけれども、ロケットの技術開発の力というものを将来飛行機にも利用される時期が来るのじゃなかろうか。そうなりますと、必ずしも膨大な飛行場が要るとは考えられない。そういう意味において、成田飛行場は三百二十万坪でありますけれども、将来ともに国際飛行場として十分なる役割りを果たす、こう私は信じております。
  76. 木原実

    木原委員 私は、橋本さんのように与党の中でも有力な政治家が、運輸大臣時代に将来にわたってのきちんとした計画を立ててもらいたいということで、実はそういうことをお伺いをいたしておるわけであります。と申しますのは、これは成田の問題を含めてあれだけの問題を起こしたわけですから、この教訓だけはお互いにやはり将来の政策の中に生かしていきませんと、これから先どういう決着を見るにいたしましても、やはりあそこでたくさんの犠牲になった人に対して政治家として申しわけない、こういう気持ちでございますので、お願いをいたしたいと思うのですが、もう一つ、そのことに関連して伺いますけれども、大臣のおっしゃる飛行場群をつくる、かりにそういう見解に立った場合に、原則的な問題ですけれども、私はジャンボなりSSTを想定して言っているわけですけれども、内陸飛行場をつくるのか、それとも海岸を施工して埋め立てということにいくのか、この辺もある程度はっきりしておく必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけです。と申しますのは、騒音の問題が先ほどから問題になりましたけれども、私は、航空局長の同僚委員に対する答弁、必ずしも満足しません。騒音の問題というのは、これからの飛行場には避けがたい二律背反の問題として起こる公害の中の一番大きな問題だと思うのです。これを、どういうデータか知りませんが、そう問題ではないのだというふうに片づけられるのでは、将来に禍根を残すわけです。騒音の問題は、飛行場をつくる側が積極的に取り組むという姿勢がありませんと、これはどうにもなりません。ですから、そのことを含めてお伺いするわけですけれども、たとえば、すでにジャンボジェット、コンコードその他についてはわが内陸では飛ばせないのだ、そういう法的規制をやろうという国々さえ出ておる状態です。これはいずれもわが国のように狭くて、たいへん似通ったような国でそういう問題が起こっている。そこまでいっておるわけです。おそらくこの公害問題というのは、七〇年代のお互いが取り組まなければならない非常に大きな課題だ。その中に入るわけです。そうなりますと、内陸でいいのか、あるいはまた音を半分消すために、私の見解では、これは海岸を施工するということ以外にないのではないかと思うのですけれども、その辺についての見解はいかがでしょう。
  77. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 原則的には木原さんのおっしゃるような考え方が必要であろうと思います。ことに内陸地帯に四百万坪の土地、五百万坪の土地をとることは、いまの状態ではとんでもないところまで行かなければならないのですから、そうなりますと、幸い日本は太平洋沿岸というものを持っておりますから、そういうものをもちろん総合調査をする場合には考えていきたい。ただ、それだけでやるかということになると、そうもいきませんから、内陸地帯も一つの調査対象にはしますけれども、海岸に沿うたところももちろん有力なる候補として考えていく。ただ問題は、一つには予算上の問題、財政上の問題もあります。しかし、私は個人的意見でありますが、金がかかるからということは第二の問題でよろしいと思うのです。いまおっしゃったように、将来の公害問題、あるいは日本国土は狭いのですから、できればそういうぐあいに海岸の埋め立てを十分考えるということも、検討の対象としては有力なる対象とはなると思います。そういう点も含めて——私は何も内陸地帯に四つ、五つの飛行場をつくるというのではありません。そういうものを含めて、また皆さんの野党諸君の意見も十分に取り入れて、やる場合には円満な形でできるように考えていきたい、かように考えております。
  78. 木原実

    木原委員 もう一つお伺いをいたしておきたいわけですが、将来の航空に対する需要の伸びの中で、貨物の量が非常に多くなると思うのですね。単に人員輸送だけではなくて、貨物輸送については、どうも私どもが見当をつけたよりも、それこそ大臣のおっしゃる経済の伸びと関連をいたしまして、貨物輸送が非常にふえるのではないかという見通しが一部にあるわけです。そうしますと、貨物空港に着いてからさばく、こういう場合に、私はそういう観点からも申し上げたいわけですけれども、やはり太平洋のベルト地帯の中に、いわば関西東京中心部に相当規模飛行場をつくって、東西の貨物のさばきをやる、こういうような構想を持つ段階に来ておるのではないのか。必要があれば私どものほうからいずれそういうデータを提起してみたいと思うのですが、そういう考え方はどうでしょうか。
  79. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 貴重なる御意見でありまして、将来もちろん貨物輸送というものが相当増大すると思います。ただ、大量貨物となりますと、やはりコンテナ輸送等に譲らざるを得ないと思いますが、わりあいに価格の高いもの、そしてわりあいに運ぶに便利なもの、こういうものを飛行機で運ぶことか将来は相当——二十一世紀になるとこの面はかなり出てくると思います。アメリカの学者で、将来二十一世紀の展望を言っている学者がありますが、この学者の意見では、空による貨物の輸送は約四〇%を占めるのではないかというような予想をしておりますが、あるいはそうなるかもしれません。そういう場合も想定すれば、貨物輸送の専用飛行場というものがあるいは必要になるかもしれませんが、木原さんの貴重なる御意見も十分にわれわれは構想の中に考えていきたいと考えております。
  80. 木原実

    木原委員 この問題について、最後にあれをいたしておきたいと思いますけれども、そうしますと、ことし東京のいわば第三国際空港、それから関西、この二カ所くらいの将来に向けての調査をおやりになる、こういうことでございますか。
  81. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 いまのところ、国際飛行場としては関西大阪近辺、この飛行場の選定を本年じゅうにやりたい。その他はローカル飛行場を含めての全体の飛行場整備計画——今度特別会計になって、予算もある程度ふえていくわけですから、全体の国内輸送の飛行場の整備等も考えての計画をやりたい。その間において、もちろん東京付近のことも将来の展望としては考えなければならぬと思いますが、とりあえずは、この予算では関西付近に第二国際空港考える、こういうことに国際飛行場はしぼっております。
  82. 木原実

    木原委員 その際に、米軍の基地の問題ですが、横田あるいは厚木、東京周辺にあれだけの基地を持っておりますけれども、この返還については交渉するお考えはございませんか。
  83. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 きょうの新聞でも、アメリカ政府当局は国外における基地の縮小を考えておるようでありますから、日本の場合は大きなものはないというような新聞報道でわかりませんけれども、われわれ運輸省としては、最近の国内のローカル飛行場が、飛行機の飛ぶ余地が足りない、狭くなってきております。御承知のように、羽田空港から小型飛行機をほかに移して不便をかけておるという状況でありますからして、したがって、米軍が使っておるものでも、将来なるべく早い機会に返してもらえるものは返してもらうように非公式ながら申し入れをしておる。まだ外交交渉の段階には入っておりませんけれども、向こうさんの関係もありますけれども、しかしながら、運輸省としては全力を注いで——これは国際飛行場というよりは、ローカル飛行場に使うことになるのではないだろうかと思いますが、そのような方針ではやっておりますが、まだその効果は具体的に申し上げる段階には至っておりません。
  84. 木原実

    木原委員 万博輸送でたいへん羽田がラッシュになる。その措置としていかがですか。たとえば厚木を使わしてもらうとか横田を使わせてもらうとか。
  85. 手塚良成

    手塚政府委員 仰せのごとく、羽田空港現状におきましても非常に満ぱいに近い状況になっておりますことは、前のこの委員会においても申し上げたとおりでございます。万博になりますことによって、なお一そう飛来する航空機数がふえるであろうと思いますので、その辺のところを一時的にでも緩和するということの必要性がございますので、いまお話の出ました厚木につきましては、これは非公式ではございますけれども、米軍当局に強く申し入れをして、その使用方を要請しておるという段階でございます。
  86. 木原実

    木原委員 つかぬことを伺いますが、厚木はどのくらいの規模ですか。滑走路はたしか二千五百ということでしたけれども、坪数にしてどのくらいでしょうか。おおむねでけっこうです。
  87. 手塚良成

    手塚政府委員 面積はちょっと確実ではございませんが、滑走路はおっしゃいました二千四百四十四メートルが一本南北に走っております。
  88. 木原実

    木原委員 いずれにしましても、おそらく基地の整備の問題も進捗をするでしょう。ただ、私は、やはりどうも内陸は将来にわたって、かりに民間で使ったにいたしましても、騒音の問題が残るだろうと思うのです。そういうことで、先ほど申し上げましたように、ひとつ有力な橋本さんの時代に、将来にわたって間違いのない線を示してもらえば、これは国民も協力することは協力できると思うのです。ただ成田のようなことをやられますと、これは御承知のとおり、大臣も最初から御関係なさったわけで事情よく御存じだと思いますけれども、これはどうにもなりません。  そこで、もう一つお伺いいたしておきますけれども、先ほど来騒音の問題が出ました。これはいろいろ技術的にも消音の方法が探究をされておる。おそらくそうだろうと思うのです。しかしながら、この大きなやつが飛びますと、単にはかる機械にあらわれるホンよりも、たいへん心理的に威圧感を受ける。ソニックブームの調査の方法にもよるでしょうけれども、やはり部分的に衝撃波が起こるということもあり得ると思うのです。台地の中から海に消えていくという場合は別ですけれども、平地を飛ぶ場合は、どうも私どもが他の学者の方々に伺ったところでは、やはりたいへんな問題が起こると思う。ですから、来週にはジャンボも来ますから、飛ばしてみれば、ある程度データが出るだろうと思います。しかし、それよりももっとSSTになりますと、単に音だけでなくて、それに伴うさまざまな問題が起こる可能性がある。そういうわけで、そういう観点から見ても、私は、やはり三里塚地区空港というのは、将来に禍根を残すだろう、こういう感じも実は持っておるわけです。そこで、先ほども具体的な話が出ましたけれども、大臣も、空港周辺の騒音対策については、いままでの法のワクをもっと広げたい、こういうお話がございました。それからまた、機種に応じて特別な特例法と申しますか、そういう措置もとりたいというお話のように伺ったわけですけれども、たとえば将来三里塚SSTなりジャンボなりがひんぱんに往来をする、こういう場合には、特例を設けて、その状態に応じた、たとえば補償の体制なり何なりをおつくりになる考え方があるかどうか、この辺をひとつ明らかにしていただきたい。
  89. 手塚良成

    手塚政府委員 いまの御質問にお答えする前に、先ほど厚木の面積を申し上げませんでしたが、総面積が五百三十四万一千七百三十六平米でございます。中に国有地、民有地がまざってございますが、よろしゅうございますか。  騒音の問題につきましては、おっしゃいますとおりに、機種なりあるいは飛行の方法なりによって、いろいろ騒音対策範囲その他が変わってくるわけでございます。成田考えておりますようなSST等の場合には、そういった実態を十分把握した上で、それに対応する騒音対策をとるべきであると考えております。現在、SSTにつきましては、米国内におきましてもオクラホマの飛行場等を中心にして、いろいろなテストが軍用機を使って行なわれております。また国際的な会議等におきましても、ICAO等でそういう問題がいろいろ先ほど来申し上げておりますとおり検討されております。そういうようなものをわれわれは逐次資料としてもらっておりますし、検討いたしておる。そういうものの成果によりまして、今後必要な対策を逐次講じていきたいと思っております。  なお、成田につきましては、すでに他と違ってとられておりますことがございますが、これはいわゆる騒音区域といいますのが、ほかの空港におきましては滑走路末端から一キロ三百になっておりますが、成田におきましてはこれが二キロ、しかも中心線から双方に六百、普通の場合には進入表面と水平表面の交差点から投影面ということで扇形になりますのが、矩形になる状態のようなことも考えておるのでございますが、これはいま先生の御趣旨に沿うような意味のことをすでにとりつつあるという一つであるかと考えます。
  90. 木原実

    木原委員 この成田の問題はともかくとしまして、SST段階で、これは国際的なところでいろいろやっておるというわけですが、局長もちょっとおしゃいましたね、一定の音の基準を設けて、それ以上のものに限って、SSTということで入ってくる、こういう場合には、たとえば就航を延期して、その消音技術が一定の基準に近づくまで就航させないとか、そういう措置はお考えでしょうか。
  91. 手塚良成

    手塚政府委員 おそらく先ほど一部申し上げましたように、国際的に騒音証明制度というものが目下検討されておりますので、飛行機自体が一定以上の騒音を出すものは、これは使用を禁止するということになるような方向になっております。それから、音につきまして現実に伊丹の空港で私どもが先般とりましたが、ある一定のポイントのところで、それ以上の音を出して飛んではならないというような規制措置を実施をいたしました。滑走路の二キロ四百のところの川西市の一点、久代小学校のところで、百七ホン以上を絶対に出してはならない、こういう規制をとりました。その結果、飛行機はそれに見合うところの燃料、航続距離のところしか飛べないという実情になりましたが、そういったこともあえてしながら、周辺住民皆さんの公害対策というものを考えていこうとしておりますので、先ほど来のソニックブームの問題、あるいはSSTに対する特別なそういった騒音対策等は、こういった規制措置を考慮しながら、住民被害が及ばない対策を進めたい、かように考えております。
  92. 木原実

    木原委員 あわせて、これは将来のことですから伺っておきますけれども、この種の飛行機にやたらに国内の空を飛ばれたのでは、至るところにソニックブームが起こるし、音の被害が伴うわけですが、やはり航路は指定する、こういうことになりますね。
  93. 手塚良成

    手塚政府委員 簡潔にお答えすればそういうことでございます。  なお、経済的に見ましても、これがやはり超音速で飛べるということが非常に経済的になるわけでございまして、それはやはり一定高度以上に上がりませんと超音速にはならないわけであります。したがって、国内の空をちょんちょん飛びをやりますと、上へ上がるだけでもう一ぱいになって、上がるとすぐ下りるというようなことになりまして、決して経済的にもなりません。したがって、国内の空港間を超音速機で飛ぶということは、物理的、経済的にあり得ないことだと考えております。
  94. 木原実

    木原委員 時間がないそうですから、大臣にお伺いをいたしたいわけですけれども、大臣、私どもの三里塚空港の問題です。一期工事が終わりまして、もうすぐ二期工事におかかりになる、こういうお話でございますけれども、これはどうあっても一期工事、続いて二期工事と、こういうお考えでございますか。
  95. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 御承知のように、今度の新国際空港は、当初の規模よりも最小限度——皆さんの迷惑をも考えて、そこで、私官房長官時代でありましたが、きめたわけでありまして、したがって、これは最小限度に必要な飛行場でございますから、できるだけ二期工事も引き続いてやりたい、こういう考え皆さんの御理解も求めたい、かように考えております。
  96. 木原実

    木原委員 一部に、四千メートル一本では、かりに今度できましても、横風の三千五百ですか、三千二百ですか——三期工事のような形でもう一本四千メートルをつくるのではないかという話が、おそらく無責任な話だろうと思いますけれども、一部にあるわけですが、三期工事というのは絶対にお考えになりませんね。
  97. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 実は、成田空港を決定する際に、私は、当時の運輸大臣航空局長にも立ち会わせまして——当時、運輸省側からいえばいろいろ不満があったわけです。しかし、私は、これで決定した以上は、これ以上の拡張は絶対に認めない、そこでこの範囲内で最善措置を講じろ、こういう総理の当時の意向を受けまして、決定しておりますので、三期工事を、広げてもう一本四千メートルをつくるという考えは持っておりません。
  98. 木原実

    木原委員 大臣はよく地元のことも御存じだと思いますので、私もそのことを信頼したいと思うのです。ただまあ、先ほども申し上げましたように、いままでの経過を見ますと、なかなか歴代大臣おかわりになりますし、担当局長さんもおかわりになると、どうしてもというかっこうで、あるいはまあ来年、再来年、二期工事が完成するまではともかくだけれども、将来はあるいはここへつくられるのではないかという不安も依然としてあるわけです。そういうことですから、これはひとつ大臣のお約束として、将来にわたって、かりに二期工事が完成をしても、あそこは四千とそれから二期工事の分でとどめるのだ、この歯どめだけはきちんとするということで確認をしてよろしゅうございましょうか。
  99. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 その方針でおりますので、さよう御承知を願います。
  100. 木原実

    木原委員 そこで、これは非常に困難なことなのです。私も、地元の人たちの、いわばここを去りたくないのだ、こういう声を聞いていままで仕事をしてまいりました。早くに条件をいれてお移りになった農家の方々もたくさんあるわけですが、これらの人たちは、いわば国の方針に協力をしたという立場ですから、当然国のほうでも待遇なり措置なりがあったと思うのです。ただ、自分の権利に基づいて、親代々の土地である、あるいはまた現在のところが農業をやっていく上においては最適のところだ、こう言って自分の権利を主張している方々に対しては、これはわれわれがその権利を擁護してあげる以外にはどうにもしようがないということで、われわれもやってきたつもりなのです。そういう観点からいきますと、四千メートルについては、いま公団の総裁、一生懸命やっておられますけれども、おそらく法の手続を踏んで、さまざまなことがありましても、力をもってすれば、来年春になるか秋になるかわかりませんけれども、おそらく完成することができるだろうと思います。ところが、この二期工事については、やはりどうもなかなか困難な問題が多いと思うのです。われわれも一坪地主になっておるわけでありますけれども、私どもの一坪地主はこれはまあいろいろあろうと思います。しかしながら、やはり御案内のように、二期工事の中に、ともかくここを去りたくないのだ、これは極端に言いますと、ともかく法的な手続を経て最後の段階まで来て、御自分の住んでいる家がトラックか何かで持っていかれるまで、いま残っている人たちはがんばるだろうと思うのであります。これは国の立場あるいは工事を施行する立場、それぞれ立場があるわけですから、当然、そうしましても、これはいやだという人に対してはどうにもなりません。その人たちがまた国の政策に対してこれはいやだと言う権利があるのは御案内のとおり、現在の制度ですから。そういうことになりますと、それらの方々がやはり依然として多いわけですね。多数という意味ではありません。多数という意味ではありませんけれども、私どものざっと調べてみたところでも、戸数にして百戸余り、敷地にしましてもまだかなりの分が点在をしておるわけであります。これらの人たちに対して、おそらく公団総裁もいろいろ御努力なさったと思いますけれども、一体どうするおつもりなのですか。ということは、四千メートルについては、反対をしておる民有地の人たちが比較的少なかった、こういう大きな前提があるわけですけれども、二期工事以降の問題については、断絶時代ではありませんけれども、施行する公団の側とこれらの人たちとの間には、もう対話ができない状態がずっと続いているわけであります。話し合いも何もできないまま、もうおそらく法の手続を踏まれる、やむを得ず強制収用、しかし、強制収用の対象にするにはあまりにも実際に土地を持っている人たちが多過ぎる、こういうような問題がある。その辺のことについていかがでしょうか。
  101. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほどから申し上げましたように、成田空港最小限度国際空港として発足をさしたわけでありますから、これはどうしても二期工事が完成しませんと、それこそ国家的の損害でもあります。ただ、いまおっしゃったように、がんばっておられるといいましょうか、土地を放したくないという地元方々気持ちはわかりますけれども、いま申し上げましたように、何としても、日本が将来やはり世界の一流国家といいましょうか、お互いにりっぱな生活、豊かな生活をしていくためには、このようなことがどうしても必要なのでありますからして、その土地に対する愛着心、これはもう十分にわれわれもわかります。けれども、いわゆるもっと広い観点に立って、そうしてひとつがんばっておられる方々もぜひ理解をしてもらいたい。それについては、地元国会議員の皆さんが十分に納得のいくようにお話しを願って——われわれは決して反対をしておった方々に対して差別待遇をしようとは思いません。補償におきましてもその他いろいろ便宜におきましても、十分な措置は同様にやっていきたいということでありますからして、やはり国の将来、民族の将来、国民の将来等も考えて、ひとつ地元議員の皆さんからも十分に御理解がいくようにお話しを願いたい。また、公団にしてもわれわれにしても、もう糸が切れたのだという断絶の時代ではありませんから、われわれはこれからも十分に何とかの形を得て理解を探めるように努力をいたしたいと考えておりますから、その点御了承願いたいと思います。
  102. 木原実

    木原委員 もう時間がないそうですから、これで最後にいたしますけれども、ある段階——これはもう大臣は利根川をこえてすぐお近くでございますし、御親戚もたくさんおありだろうと思いますし、地元の諸君も大臣のことはよく存じ上げている人も多いと思いますので、ある段階でひとつ、大臣地元の強固に反対をしておられる諸君と、これは何らかの形で話し合いをする場をここに持てるというようなことになれば、そういう機会に乗り出していただける御用意があるかどうか、いかがでしょうか。
  103. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 皆さんがさようなことを希望なさり、また条件が許しますれば、私は皆さんに会うことをちっともいといません。会ってわれわれの気持ちを十分に聞いてもらい、また皆さん気持ちも知る。それがために特別の条件が付せられるということはもちろんありませんけれども、とにかく決して会うことにやぶさかではありません。ただ、そういうような条件はひとつ皆さんの間でつくってもらうということがまず第一に必要だろうと思いますが、私は佐原の出ですから、もうすぐそばなんです。私の町の上も影響を受けるわけですから、決して人ごとではありませんから、皆さん気持ちだけは十分に知っているつもりですが、そういうことが必要であれば、会うことには決してやぶさかではないと申し上げておきたいと思います。
  104. 木原実

    木原委員 これで終わりますけれども、私ども、ともかく地元の諸君のためにも、それからまた将来の航空政策の面についても最大の努力をしたいと思うのです。ただ、歴代の大臣の中でいろいろ激しいやりとりがございましたが、実際には現地で反対をしておる諸君と大臣とが直接対話をしたということは、残念ながらないわけなんです。公団の総裁や局長はたびたびどなられたほうなんですけれども、それはともかくとしまして、最高の責任者がこの辺で一ぺん誠意を示す——幸いにして、いまおっしゃいましたように、大臣の場合は千葉県人だ、こういう同郷のよしみもありますので、大臣の政治力、それからまた地元関係もありますけれども、努力の中で、そういうポイントをひとつ持っていただくように重ねて要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 福井勇

    福井委員長 次に田代文久君。
  106. 田代文久

    田代委員 総裁にまずお尋ねしたいのですが、戦後最大の土地収用といわれたそういうことが、多くの地元農民の方々の意思に反して強行されようとしているのですね。そこで、この立ち入り調査をされたことは知っておりますが、これは完了しましたか、どうですか。
  107. 今井榮文

    今井参考人 先般御通知申し上げました十一カ所につきましては、土地収用法に基づく立ち入り調査は法的に終了いたしました。
  108. 田代文久

    田代委員 残っているところはないですか。全部完全にそれは調査していますか。内容はどうです。
  109. 今井榮文

    今井参考人 法的に必要な書類は、十一カ所については全部調製できる予定でございます。
  110. 田代文久

    田代委員 十一カ所についてはということですか。
  111. 今井榮文

    今井参考人 先般立ち入り調査を行ないました十一カ所についてでございます。
  112. 田代文久

    田代委員 その立ち入り調査は正当なものであるというふうに判断されていますか。
  113. 今井榮文

    今井参考人 正当なものであると判断いたしております。
  114. 田代文久

    田代委員 そうしますと、土地収用法の第三十七条にはちゃんといろいろのことが書いてありますね。平面図がはっきりするとか、所有者の名前をはっきりしろとか、そういうことについて調査されたことは十分合致しておりますか。
  115. 今井榮文

    今井参考人 おっしゃるように、法律で定められました要件につきましては、全部調査をいたしております。
  116. 田代文久

    田代委員 そうしますと、いま例の一坪所有者の話なんかもありましたが、いわゆる平和塔といわれる地域がありますが、あの地域などは十分調査は完了しておりますか。
  117. 今井榮文

    今井参考人 先生もあるいは御承知かと思いますが、当日平和の塔はたくさんの方々によって守られておるというふうな形でございまして、私どもの測量班が参りましても、実際問題としてなかなかくいが打てないという状況でございました。それで、私どもといたしましては、あの付近については、平素私どもの職員が常時入って仕事をやっておるわけでございまして、あの付近につきましては、常時十分調査をいたしておりますし、それからまた公図等もあるわけでございます。当日は、そばまで近寄れないというふうな関係で、遠くから測距儀でもって調査をいたして、公図によって面積を出すというふうな方法はやりました。しかしながら、当日やったそういうような簡易な調査のみが資料ではないというふうに私どもとしては考えております。したがいまして、当然、それ以前にあの地域でやりました調査資料、あるいはまた御承知のように、当日並行して行ないました航空測量、こういうふうなものによって、十分法律上耐え得る資料を整え得るというふうに確信いたしております。
  118. 田代文久

    田代委員 そうしますと、当然正確な広さなりその内容というものは明確になっておるはずですね。
  119. 今井榮文

    今井参考人 広さその他につきましては、われわれとしては、法律上要求される資料は十分つくり得ると思います。
  120. 田代文久

    田代委員 しかし、これはもちろん当日の立ち入り調査というものが基本でなければならないわけですね。ところが、当日実際に立ち入り調査をするにあたって、調査人が身分証明書とかあるいは証票を全部持っていって、それをやっているということはやっていないのではないですか、どうですか。
  121. 今井榮文

    今井参考人 実はその問題は、当時調査終了後に新聞等でもいろいろ報道されたのでござますが、御承知のような状況でございまして、十一カ所のうち、六カ所につきましては、ほとんど皆さんとの間にトラブルもなく調査を終了したのでありますが、団結小屋並びに社会党の一坪運動共有地、それと平和の塔、この五カ所につきましては、やはり相当方々が立ち入り調査を拒むという姿勢でおったわけでございます。しかしながら、私どもの職員といたしまして、当時身分証明書の提示を求められました場合に、たとえば社会党の方々の一坪運動の地域でございますが、提示を求めた方は、私のほうの調査によりますと、千葉会議員の小川国彦さんだったように思いますが、この方に対しましては、本来なら提示を求めるという、いわゆる地券者であったかどうかは必ずしも不明でございますけれども、私どものほうの調査の責任者を含めて三名が身分証明書を提示いたしております。それから駒井野の団結小屋でございますが、これは御承知のように、全共闘並びに反対同盟の方々が回りにさくを結って内部に立てこもっておったわけでございまして、このときは喧騒のために、提示を求める方の声が聞き取れないというふうな状況であったという報告を受けております。事実そうであったろうと思います。それであとで、その提示を求めた方が小長井弁護士さんであったというふうなことを、実は新聞によって知ったというような状況でございます。私どもへの報告では、提示をしようにも、喧騒のために発言が聞き取れなかったという報告を受けております。それから平和の塔でございますが、ここでは、これはあるいは間違いではないかと思いますけれども、私どものほうの職員の話によりますと、自由法曹団の方ではないかというふうな感じを持ったようでございますけれども、この方に対して、やはり責任者の一名が身分証明書の提示を行なっております。それからさらに同じところで、全学連の方が平和の塔におられたかどうかわかりませんが、学生風のような方からの提示の要求に対して、責任者が一名証明書を見せておるわけでございます。私どもとしては、調査班は公団職員だけで百数十名の者を九班に分けて編成して行ったのでございますが、行く前に、全職員が証票を持っておることを確認いたしております。したがいまして、その権利のある方から提示の要求があれば、当然十分提示し得た。事実、このように私の手元に参りました報告においても、わかり得た範囲において提示をいたしておる、こういう状況でございます。
  122. 田代文久

    田代委員 私は現地へ行ってあとから聞いたんですけれども、これは平和塔付近のあれですけれども、こちらが提示しなさい。それでなきゃ違法じゃないかということを言って要求したことに対して、提示したのは一人だというのですね。あなたのおっしゃるところでは、百数十人行ったというんでしょう。それがかりに数十人としましても、それだけ行って、たった一人の提示でこれを調査するというのは違法じゃないですか。
  123. 今井榮文

    今井参考人 私が百数十名と申し上げましたのは、全地域にわたって行った数でございます。全部を九班に分けたわけでございますので、一カ所の職員は十名内外しか行っておらないわけでございます。その中に班長あるいは班長に次ぐ者というような指揮系統がございまして、その指揮者の人が提示をした、こういうふうに報告してまいっておりますので、したがって、すべての者が提示するということでなくて、一人が提示をしてもやり得るというふうに考えます。当時の状況からしますと、立ち入りをしてから提示をしたということではなくて、すでにもう敷地へ入らせていただけないという状況において、提示を求められたということでございまして、このような事情も御勘案願いたい、かように考えます。
  124. 田代文久

    田代委員 ですから、現地の農民なりそういう上方々が、自分の欲しない、土地を強制的に収用さ、れるということに対して、反対されるのは当然だと思いますね。そういう正当な理由によってなされた場合、責任者であろうとなかろうと、一人が見せて、これによって実際に中に入って立ち入りもせずして、すぐに三十七条のいわゆる特別の措置によって、飛行機から写すとかなんとかということによって、そういう正当な法的な処置が完了したということにされるとしますと、これは地元の農民なり土地所有者の方々の意見も十分聞かずに処置されたということで、許されない、違法じゃないかと考えますが、この点はどうです
  125. 今井榮文

    今井参考人 実は私どもとしては、できればお話し合いをして調査をいたしたかったわけでございますが、御存じのように、なかなか中へ入れていただけない。しかもしいて入ろうとすれば騒ぎになる。場合によっては万一けが人でも出たらたいへんなことになるということで、差し控えたわけでございます。そのために、土地収用法でも御存じのように三十七条の二項というのがございまして、どうしても立ち入りが拒まれる、あるいは妨げられるというようなことによりまして、「測量又は調査をすることが著しく困難であるときは、他の方法により知ることができる程度でこれらの調査を作成すれば足りるものとする。」こういう規定があるわけでございまして、私どもとしては、むしろ現地にトラブルを起こして、皆さんに万が一でもけがでもするようなことがあっては困るというような配慮から、実はこの法律の規定によって措置することにいたしたのでございます。
  126. 田代文久

    田代委員 トラブルは考えられますね。トラブルにも、非常に暴力をふるうとかいういろいろなトラブルもあれば、とにかくそれは自分の土地を守るためにやっさもっさ大きな声を出すということは、これは当然あることです。それは地主にしろ、実際に土地を持っていかれる方は、自分の生活を根本的に脅かされるということに判断される場合、これは自分の所有権に対して自分の抵抗権を発揮することは当然なんです。とにかくこれは収用するのだ、閣議で決定しているのだという形でずばずばやられたのでは、これは憲法の基本的な考え方に非常に違反していると思うのです。新しい土地造成事業というものは将来大発展するでしょう。新しい全国総合開発計画ということもまた想定されておる。そうしますと、日本の各県に少なくとも一カ所はこういう飛行場のあれをつくるという構想にもなりましょう。そういった場合に、もしこの式で、とにかく強制収用、強制収用という形で——これはいろいろ話し合われたと言っておりますけれども、私も必ずしも大臣来なければだめだというふうに思いませんけれどもやはり大臣が行って、ほんとうに説得して、説得を基礎にするということをやり抜かなければ、これは実際のところ無理だと私は思うのです。閣議で決定した、あるいは公団が決定した、それで強制収用の特例でやる、こういうことでほんとうに——私、聞きましたけれども、あの付近は、とにかく戦後食糧難であったときに、開拓せよということで追い込まれた農民の方々が、とにかく苦労されて開墾されておるという、非常に血の出るような大事な土地なんです。そういう土地に対して強制収用、強制収用、なにやってしまえばいいのだ、こういうふうにやられたのではたまらないと思う。全国的にも今後こういった飛行場をとにかくどんどん設置するという問題の場合に、この式でやられたら、憲法も何もなくなってしまうと私は考える。この点に対して私たちは、これはもう違法である、もしされるなら、もう少し説得を尽くして、それに対して農民の方々がいい、たとえば補償なら補償する額にしましても、あるいは公害その他の問題にしましても、納得するという手をもう少し尽くさなければいかぬじゃないかと思うのです。ですから、そういう点で、これは非常に遺憾であるし、もし収用委員会として、これは完全な調査を完了した、だから何月にはとにかく収用を強制的にすぐやるのだという手を打たれることに対しては、考えてもらわなければならない、このように私は考える。  なお、えらいせき立てられて時間がありませんから、次の質問にいくのですけれども、新しい空港は米軍あるいは自衛隊などに絶対に使わせない、また使わないという保障があるのですか、またその点についての見通しはどうですか。
  127. 手塚良成

    手塚政府委員 この成田空港の米軍用機の離発着問題につきましては、前国会でずいぶん議論をされた問題でございます。これを単純に法的に考えますと、御承知の地位協定第五条というのがございまして、米軍機は、公の目的のためには離着陸料を取られないで、日本のいかなる空港にも離発着できるという規定になっております。したがって形式的に考えますと、これは成田空港にもおりられるということをいわざるを得ないと思うのです。しかし、この成田空港をつくりました趣旨は、こういった協定のできました後に、本来の国際空港——先ほど来これをつくります目的は二つあったということを申し上げましたが、そういう趣旨でつくられた空港でございますので、その本来の趣旨に徹するような扱いをしなければならぬ。といいますのは、いままで羽田空港等にやはり米軍機あるいはマック・チャーター機というのが離発着いたしておりましたが、民間航空に支障を来たすような状態あるいは本来的な使用のしかたでないことが偶発的に起こったというような場合には、私どもは行政的な措置といたしまして、外交ルートを通じ、あるいは私どもの直接の交渉によりまして、そういうものを弁償させ、入ることを拒否するというような立場をとってまいって、そのとった結果が、われわれの考えておるような成果をあげてきております。したがいまして、この成田空港についても、当然そういうような措置を講じていく、こういうふうに考えて進めていきたいと思っております。  なお、蛇足になるかもわかりませんが、そういった趣旨でございますので、かりに米軍のほうからここを正式の米軍施設あるいは区域としての提供を求める、いわゆる共同使用というような申し込みがあるといたしました場合には、これは合同委員会を通じて扱うことになりますが、この合同委員会においては当然そういった要求は拒否する、こういうようなたてまえで私どもは考えておりますので、この成田空港が戦闘用の目的のためあるいは軍事基地としての使用ということになることは拒絶するし、そういうことにはしないというふうに考えております。
  128. 田代文久

    田代委員 そういう合同委員会によって、政府が軍用なりあるいはそういうことのために飛ばすことについては拓否するということを言われたので、それは当然私は堅持してもらいたいと思うのです。しかし、やはり日米行政協定、これが基本的にとにかくあって、厳然としてあるわけですから、これがとにかく生きている限りは、ただ合同委員会で話し会って拓否するという態度だけではこういう問題は片づかないと思うのですよ。ですから、そういう問題に触れなければならぬわけですけれども、時間がありませんからあれですが、公団から見せてもらった「新東京国際空港の概要」の第九ページに、四十六年度から六十一年度までのたとえば乗降旅客数とかあるいは発着回数とか、貨物、郵便物の取り扱い量なんかもずっと書いてありますね、数量の見込みが。この中には、・たとえば発着回数とかそういうものの中には、いま言いました米軍の飛行機あるいは自衛隊の飛行機が大体どのくらい発着するのだという見込み数が入っておりますか、入っておりませんか。
  129. 今井榮文

    今井参考人 公団の関係でございますので、私からお答えいたしますが、この発着回数あるいは旅客、貨物の数というのは、すべて民間航空を対象にいたしたものでございまして、先ほど局長からお答がありましたように、私どもは米軍がこれを使用するということを頭に置いておりませんので、これは全部純民間関係乗降客あるいはまた発着回数、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  130. 田代文久

    田代委員 しかし、それはあぶないですよ。それは非常に好ましいことですけれども、実際においてとにかくアメリカ側が合同委員会で、それはだめじゃないか、こういうふうになっておるじゃないかと言って飛ぶ。私非常に考えるのはいざ鎌倉というときなんですよ。いまならまだいいですよ。朝鮮のどこかできなくさくなってくるとかなんとかいう場合にどんどんやられてくることが、これは国民にとりましても考慮しなければらない非常に重大問題なんです。それからまた結局これに伴っての行政協定では、アメリカ飛行機が飛んでも、これは料金払わぬでいいようになっているわけですね。そうすると、もしかりに飛んでいくようになった場合、これは結局料金を取らない、しかも、どんどん着くものは着く、こういう問題が起こるわけですね。ですから、私はこれは甘く考えておられるのじゃないかという気がするのです。  それからもう一つ、どうしてもお尋ねしなければならないのは、現在厚木からずっとアメリカの飛行基地が北にいっています。そしてその次に羽田から行くやつはこう行っておる。新空港から来るあれがある。ずっと東のほう、自衛隊の九十九里浜なんかのあれがあるというわけです。空でとにかく非常に航空量がふえる場合、こういうアメリカの軍用機がどんどん飛ぶという問題それから羽田から行く問題、それから新空港から飛ぶという場合に、空は非常に混線して、管理体制ですね、そういう点で安全性が確保されるかどうかという問題についてどう考えておられるか。
  131. 手塚良成

    手塚政府委員 新空港ができますと、関東平野の上空におきまして飛行機交通量というのがふえることは確かでございますし、羽田空港自体におきましても年万一定率でふえておるということでございます。空の完全管制という問題につきましては、私どもは安全管制の観点で最も力を入れて、いろいろ施策を講じておるつもりでございます。具体的にいまの御質問の内容を申し上げますと、今度の新空港が来年供用開始をいたします際には、それまでの準備として、西のほうの四軍用飛行場関係をいわゆるブルー14という航空路を境にいたしまして一つの空域というふうに考える。その四飛行場はその空域からの出入りをさせる。それから羽田中心にいたしたものを一つの空域にする。それから新空港成田をまた一つの空域に考える。その北にあります茨域県の百里軍用飛行場につきましては、それなりの一つの空域を考える。この空域を考えるといいますのは、具体的にどうするかといいますと、地上からそれぞれの境界に当たるところに無線標識所、ビーコンを設置いたしまして、上空に電波を出します。その電波によって空域のバウンダリー、境界線をつくることにいたしております。その境界線の中で、管制塔並びにその全般の航空路を管制します管制本部、そういうところがこの管制を具体的に運用いたしまして、そういう境界線の中でそれぞれ飛行場からの離発着機を統制する、こういうことによりまして、それぞれが縦横無尽に空をかってに飛び回るというような危険性を排除して、秩序ある運航をとらせる、かように考えております。来年の予算におきましても、そういう意味の境界をつくる無線標識所の内容を予算的に盛って御審議を願うことになっております。
  132. 田代文久

    田代委員 まだ質問したいことがたくさんありますけれども、時間がないといって責められておりますから……。
  133. 福井勇

    福井委員長 ほかに御質疑はございませんか。——なければ本案に関する質疑はこれにて終了いたしました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時八分散会