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担当委員外委員(
竹田四郎君) たいへん
肉類にしましても、いまおっしゃられましたように、
鯨肉とかあるいは
人造肉とか、こういうものだというのですが、ある
少年院の
院長さんはこういうふうに言っているわけです。とにかく、何はなくてもある
入院生が入院している間に一回だけくらいはひとつ牛肉を食べさしてやりたい。これを食べさせることによって
少年たちはどれだけ希望を持つことができるか、こういうことで
矯正教育、いろいろあるけれ
ども、とにかく、
少年院の一番食べ盛り、しかも、一番精神的に動揺している時期にこうした
食事、しかも、
野菜においては
ニンジン、
バレイショというような形でいわゆる新鮮な青
野菜というようなものを食べさせていない、こういうことであっては
ほんとうに
矯正教育の
意味が一体あるのかどうか、こういうことを言っておられるわけですが、
野菜にいたしましても、実際これは
栄養士なんかの
意見を聞きますと、いわゆる
ビタミン等は
薬物を添加してそれによって補っている、こういうふうに言っておりますが、実際そういうことであるならば、われわれはいま高い
野菜というものは全然食う必要はない。
食事の中には、まだ明らかにされておりませんけれ
ども、
薬物だけではとれない何かが
人間に必要なんだというようなことで、いわゆるなるべく
栄養というものは薬品より食品からとれということが
栄養学の通念といいますか、常識になっているようでありますが、それをこういうふうな
肉類は
鯨肉というと何か一番
最下等の肉、中には非常においしい肉もあるのだそうですが、これだけの費用で買うとなれば結局
最下等の
鯨肉を買わざるを得ない。あるいは
食事というものは色も、いろいろ食欲を増進し、
食事を楽しくするためには色の配合、こういうものも私は当然
考えなければいけないと思いますが、そういうこともできないということでありますと、これはたいへん残念だと思うのですが、ちょっと時間を拝借しまして、一体、
現場の
院長さんなんか、どんなことを
考えておられるか、ちょっと引例をしてみたいと思いますが、小田原の
少年院の
院長さんの方はこう言っております。私
どもでは、高遇な
少年処遇に対する理論は、残念ながら、いまだ少しも役に立たないのです。そういうものより、まずめしのおかずをください。市販の服を着せてください。畳の上に寝かしてやってください、ですよ。
人間の基本的な
生活である
食衣住のすべてが
不足している
状態です。これさえ通常の
状態にレベルアップしてくれたら、それだけで
矯正教育の
効果は、私
どもが何を教えなくても、
心理面で半分以上の
効果がありますよ。と、まあ、こういうふうに述べておりますし、また、ある
神奈川の
少年院の
院長さんは、まあ
正月、
成人の日ぐらいには、
並みにひとつ、ちょうどまあこのころは
正月でも
もちを食べたいころだということで、そういって、それじゃ
成人の日に食べさせる
もち代というのは組まれておりませんので、しかたなく付近の
神社へ行きまして、そこで
神社に供えてあるお供えを
一つくれないか、まあこういうことで
神主さんと話し合いまして、
神主さんも七日を過ぎたお
もちならば上げましょうということで、
現場の
少年院の
院長さんは、そういう形で、そのこちこちになった、まあ普通の
家庭では食べないような
もちをあちらこちらから集めてきて、そしてそれを水につけて、まあ
成人の日には食べさすと、この行動がその
少年たちの目を非常に輝かして、
子供たちは愉快に楽しむことができた。こういうように、
現場の
少年院の
院長さんは、
食事代が足りないということで、ほんとに、非常に
苦労をされているし、また、たとえば
少年院の
見学者なんかも、できたら
婦人会の
人たちを望んでいる。
婦人会の
人たちが見られると、あまりその
食事がひどく悪いということで、その次には必ずお菓子の
差し入れがあるというように、そういう他人の
差し入れを当てにして、やっぱり
食事をとらして、あるいはおやつをやってる。こういうような
状態では、私は、なかなかこの
少年というのが、まあむしろ
少年院を逃げたい、
少年院で
ほんとうに
社会復帰をしていく熱意というようなものは失われるんではないか。先ほど引例した中でも、畳の上で寝かしてやってください、こういうことを言ってるわけで、私は、これは
保護処分としての
少年の
処遇としたら、私は当然だろうと思うのです。まあ写真を見ますと、まるで
刑務所か
留置場の中のような
感じを与えるござの上へ寝かしておくというようなことは、私は
少年を
ほんとうに育成し、
少年の更生を願うという立場で
考えてみますと、私は、これはあまり正常な形ではないだろうと思うのですが、まあ、そういう点で、少なくとも私は
少年院の
食事代というようなものを
児童保護施設に、それまで進むというわけにいきませんけれ
ども、ちょうど先ほど申しましたように、ことし二十周年
記念の
一つの画期的な時期でもありますので、何とかひとつその
食事代を
児童福祉施設の線に近づける
計画的な
努力を
お願いしなければ、せっかく
少年院の制度というものをつくっても、これは実際には何にもならない、こういうことになると思うのですが、その辺の今後の是正のためのどういうふうな御意思をお持ちになってるか伺わしていただきたいと思います。