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1969-03-29 第61回国会 参議院 予算委員会第一分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十九日(土曜日)    午後二時十二分開会     ―――――――――――――  昭和四十四年三月二十八日委員長において、左  のとおり本分科担当委員を指名した。                 小林  章君                 郡  祐一君                 塩見 俊二君                 杉原 荒太君                 増原 恵吉君                 山崎 竜男君                 中村 波男君                 野上  元君                 村田 秀三君                 三木 忠雄君                 片山 武夫君     ―――――――――――――    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      増原 恵吉君     塚田十一郎君      塚田十一郎君     内田 芳郎君      中村 波男君     鈴木  強君      三木 忠雄君     多田 省吾君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     主 査         小林  章君     副主査         片山 武夫君     委 員                 内田 芳郎君                 郡  祐一君                 塩見 俊二君                 杉原 荒太君                 山崎 竜男君                 中村 波男君                 野上  元君                 村田 秀三君                 多田 省吾君    担当委員外委員                 羽生 三七君                 山本伊三郎君    国務大臣        外 務 大 臣  愛知 揆一君        国 務 大 臣  荒木萬壽夫君        国 務 大 臣  床次 徳二君    政府委員        内閣総理大臣官        房会計課長    朝日 邦夫君        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        総理府人事局長  栗山 廉平君        総理府恩給局長        事務代理     平川 幸蔵君        青少年対策本部        次長       今村 武俊君        近畿圏整備本部        次長       井上 義光君        中部圏開発整備        本部次長     小林 忠雄君        警察庁長官官房        会計課長     渡部 正郎君        土地調整委員会        事務局長     大山  隆君        首都圏整備委員        会事務局長    鶴海良一郎君        宮内庁次長    瓜生 順良君        皇室経済主管   並木 四郎君        行政管理庁長官        官房会計課長   三浦 誠一君        行政管理庁行政        管理局長     河合 三良君        行政管理庁行政        監察局長     諸永  直君        北海道開発庁総        務監理官     馬場 豊彦君        外務大臣官房長  齋藤 鎭男君        外務大臣官房会        計課長      山崎 敏夫君        外務大臣官房領        事移住部長    山下 重明君        外務省アジア局        長        須之部量三君        外務省アメリカ        局長       東郷 文彦君        外務省経済協力        局長       上田 常光君        外務省条約局長  佐藤 正二君    事務局側        事 務 総 長  宮坂 完孝君        委 員 部 長  若江 幾造君        警務部長人事        課長事務取扱   植木 正張君        管 理 部 長  前川  清君    衆議院事務局側        庶 務 部 長  三樹 秀夫君    国立国会図書館側        館     長  河野 義克君    説明員        会計検査院事務        総局事務総長   宇ノ沢智雄君        経済企画庁総合        開発局参事官   塙阪 力郎君        大蔵省主計局給        与課長      相原 三郎君        大蔵省主計局主        計官       金光 邦夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○主査及び副主査選任の件 ○昭和四十四年度一般会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十四年度特別会計予算内閣提出衆議  院送付) ○昭和四十四年度政府関係機関予算内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――   〔年長者杉原荒太主査席に着く〕
  2. 杉原荒太

    杉原荒太君 ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。  本院規則第七十五条により、年長のゆえをもちまして、私が正副主査選任につき、その議事を主宰いたします。  これより正副主査選任を行ないますが、選任は投票によらずして、主宰者にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 杉原荒太

    杉原荒太君 御異議ないと認めます。  それでは、主査小林章君、副主査片山武夫君を指名いたします。     ―――――――――――――   〔小林章主査席に着く〕
  4. 小林章

    主査小林章君) それではちょっとごあいさついたします。  ただいま皆さま方の御推挙によりまして主査をつとめることに相なりました。ふなれな者でございますが、どうか御協力のほどよろしくお願い申し上げます。  速記をとめて。   〔速記中止
  5. 小林章

    主査小林章君) それでは速記を起こして。  審査に入ります前に、議事の進め方についておはかりいたします。  本分科会は、昭和四十四年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、皇室費国会会計検査院内閣及び総理府のうち、経済企画庁及び科学技術庁を除く部分外務省及び他分科会所管外事項を審査することになっております。  なお、明後三十一日の委員会において主査の報告を行なうことになっておりますので、議事を進める都合上、本日、皇室費国会会計検査院内閣総理府及び外務省並びに他分科会所管外事項明後三十一日午前、防衛庁という順序で進めていきたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  7. 小林章

    主査小林章君) 分科会委員異動について御報告いたします。  本日、塚田十一郎君及び三木忠雄君が委員を辞任せられ、その補欠として内田芳郎君及び多田省吾君が選任されました。     ―――――――――――――
  8. 小林章

    主査小林章君) 昭和四十四年度総予算中、国会所管を議題といたします。  まず、慣例では、事務局側からの説明を求める順序でありますが、説明はこれを省略して、直ちに質疑に入りたいと存じます。また、その説明の資料は、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。  ただいま、分科担当委員外委員山本伊三郎君から発言したい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう発言を許します。山本君。
  11. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それじゃ時間が非常に制約されましたので、答弁のほうも質疑時間に入りますから、要領よく、また、しかも意をうがった答弁を願いたいと思います。いろいろございましたけれども、ずばりと問題点に入ります。  これで私も三回、四回と国会職員の問題で実は衆参の事務総長にも質問をしてまいりましたが、第一の問題は、行(二)問題、国会特殊性から行(一)に移行するというこの方針については、これはもう院側も了解しておりますが、本年のあれを見ておりますと、四十四年度中にすべて移行を完了するという約束であったんだが、非常に延びております。しかも、今度は実は移行人員数が三割減になっているんだが、この事情をまず聞いておきたい。
  12. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 行(二)の行(一)への移行の件につきましては、山本委員に毎回特段の御配慮、御心配をおかけいたしまして、たいへんありがとうございます。  四十一年度におきましてこの問題が実施を見たわけでありまして、当時、非常なこの分科会でも御議論がありましたが、参議院当局といたしましては、その当時二百名存在いたしておりましたが、全員移行をお願いしてまいったわけであります。最初に三十名を認められ、自来、四十二年度、三年度おのおの三十、二十九、今年に至りまして二十一名と相なったわけでありますが、当時の方針にのっとりまして、予算要求といたしましては、ただいま残っておりました百十一名の全員移行予算要求をいたしたわけでございます。それに伴いまして二十一という数字が出たのでありますが、御専門の山本先生に申し上げるのもいかがかと思いますが、この行(二)の移行につきましては、大蔵当局の御意向も、行(一)寄りの色彩が濃厚な部分から、こういう御方針でございまして、われわれは全員を要求いたしておりましたが、大蔵当局の予定はそういうかたい御方針があるのでございまして、われわれは議院運営委員会及び同庶務小委員会、それから大蔵政務次官、いろいろな御配慮をいただき、ことしはその点につきまして、折衝の合い間に、いろいろな御意見もございましたが、前回の七割という線で御決定に相なったわけでございます。われわれといたしましては、当初の方針どおり全員移行をお願いしておりましたが、いろいろな御事情で、それがいいという、こういうお示しでございますので、われわれはそれに承服いたしたわけでございまするが、御承知のとおり、ただいま二十一名を認められたあとにおきましても、九十名残っておりますのでございますが、これらの点についてはこまかく申し上げませんが、労務をつかさどる五十六人、それから保手十六人等に至りましては全員等級以下でございますので、これらの点がこの制度の改革の根幹に触れてくるんじゃないかというように私は考えますが、それらの点もありますけれども、この国会特殊事情に御注意くださいまして、関係当局特段の御配慮をお願いする所存でございます。
  13. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 結局、大体いつごろ、何年度に、行(二)が全部撤廃されて行(一)に移行するというめどはいつになりますか、簡単に。
  14. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) めどと申しましても、私たち全員移行をすみやかに行ないたいと存じますが、そういう基本の線に触れてくるので、私からそのめどをどうというような線になりませんが、なるべく早く国会特殊性をもって全員移行の日を迎えたいと思います。
  15. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それじゃ、大蔵省の主計局来ておられると思いますが、どうなんですか、国会職員給与について、この前の国会では、たしか財政法十七条、十八条によって、一応の何といいますか、相談はするけれども、そんなにワクをはめないというような意向であったんですが、大蔵省は行(二)の行(一)への移行について相当異議があるのかどうか、大蔵当局は。
  16. 相原三郎

    説明員相原三郎君) 行(二)から行(一)への移行の問題でございますが、大蔵省としては従来と同じ考え方で進んでいるわけでございます。したがって、四十四年度につきましても、院のほうと十分御相談いたしまして、この数字になったわけでございますが、ただ、現在までに相当数職員の方が行(一)に移行していらっしゃいます。数字で申し上げますと、三十八年度末で、参議院事務局を例にとって申し上げますと、二百五名おられたのですが、そのうち一等級、二等級百一名、約半分おられたわけです。四十四年度末で見ますと、この百一名が七名になったのであります。九十四名減少、三等級、四等級、五等級の方が三十八年度末において百四名おられましたが、四十四年度末ですと八十三名、これは二十一名減になっております。したがって、現状から見ますと、行(二)の中でも一等級、二等級という上のほうがほとんど解消しまして、残るところは三、四、五という下のほうに集中しているというのが実情でございます。この辺は事務局のほうからお話があると思いますが、行(二)の初任給が高いということから、むしろそちらで採用したほうがいいんだというような御事情もあるようでございまして、その辺も勘案しましてこの数字になったわけでございますが、将来とも院のほうと十分御相談いたしまして、特殊性を尊重しながら進んでまいりたいと思います。
  17. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) まあいまおっしゃったように、行(二)の場合には、いわゆる下級と申しますか、給与の低いほうでは行(二)の格づけのほうがいいですから、その点は調整しなきゃいかぬと思いますが、できるだけ行(一)のほうにひとつ移行するようにわれわれとしては希望したいと思うのです。  なお、労務職技能職と分かれていますが、たとえば電話交換手の場合は、これは行(二)になっておるんですね。これらは一般職の場合でも今日そういう行(二)で処遇をしては、それは交換手も、なかなか労働力が、学卒者ですから非常に入手が困難なときですから、当然これは行(一)に私は初めからきめるべきだと思う。それから労務職の場合でも、いままで用務員用員といえば中高年齢者がきてやるんですが、今日、高等学校出た人も中にはあるということですからね、用務員という労務職であっても、それから一般事務職員であっても、そういう人を差別待遇ということはいかない。今後の労務対策として、いままではホワイトカラーが優遇であったが、今日はブルーカラーが非常に必要なときですから、いかに単純労務者といえども、そういうものは尊重して、労働力の尊重ということで考えなきゃいかぬ、もう時代は変わっておるのだから。こういう点を含めて、ひとつ今後の方針はそういう方向でやるべきじゃないかと思うんですが、これには当局側どう思っているか。
  18. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 電話交換手につきましては、なるべくすみやかに行(一)のほうに移行していきたいと思っておりますが、前年タイピストが移行して入った当時のことを思いますと、まあこれが一番入りやすいんじゃないかと、こう考えております。用務の件につきましても、ただいまのお説を十分拝聴して、これを実施に移したいと考えております。
  19. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 時間がないから要点だけ言っておくのでありますけれども、いわゆるこれは一般職の場合言えるんですけれども労務労働対策と申しますか、労働行政といいますか、これはもう新しい時代に即応した考え方を持ってこなければいけない。特に民間企業では官庁より一歩進んでおると思うのですね。官庁の場合は昔の思想で、いわゆる階級的な考え方がまだ残っておると思う。そういうことでは私は優秀な職員もあるいは技術者も、あるいはまた単純労務者は来ないと思うんですね。これはひとつ参議院当局、また衆議院当局も十分その点を考えて人事行政をやってもらいたいと思うんですが、この点どうですか。
  20. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) お説のとおり実施いたします。
  21. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それから、これは具体的な問題に入りますが、労務職の場合については、実は非常におくれておるわけなんですが、初任給基準改善といっても、労務職にはその恩恵が私ないんじゃないかと、まあ調べて見ておるんですがね。この点どうなんですか、労務職について。
  22. 植木正張

    参事植木正張君) 労務職につきましては、仰せのとおり、ほかの技能職の甲あるいは乙が四等級で採用できますが、そこらの辺は五等級で採用するということになっておりますから、若干不利な扱いになっておる。ただし、この用員につきましては、学校の新卒というようなことよりも、むしろ中年ぐらいの人を採ると、こういうことでございますから、初任給につきましては採る幅を非常に広くして、実際に不利にならないような措置が現在とられております。
  23. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) その問題については先ほど大蔵省給与課長も言ったことですが、それはわかるんです。やはり年齢給という考え方初任給をよくしとることはわかるんですが、それだけでなくて、国会のそういう用務員の方々の職務というものは、もちろん仕事の内容はこれは各省庁と同じような形態かもしりませんが、実際、相手は議員というような形もありますし、来る人はやはり気の張る人が多いということで、そういうことで、私はほかの各省からずば抜けて優遇せよと言わないが、やはりそういう院の特殊性というものを配慮しなければ、非常に気を使う仕事だと思うんですね。その点については、初任給基準については若干そういう中高年齢者には有利か知らないが、その後もやはり、行(一)に移行すると同時に、そういう考え方もひとつ今後改善の要素に入れてもらいたいと思うんですが、その点どうですか。
  24. 植木正張

    参事植木正張君) 現在私ども初任給基準でやっておりますのは、一般職公務員の例に準じておりますから、一般職公務員と同じ基準をとっておるわけでございます。たとえて申し上げますと、用員につきましては、五等級で採用いたしました者が四等級に上がるという場合の基準は、この基準表――人事院の細則の基準表上出ておりません。これは別にきめるということになっております。別にきめるのは大体どのくらいかと申しますと、中学卒の場合での経験が大体二十年ぐらいという非常に長い経験を要する、そのくらいありますと四等級に上がれると、こういう形になっております。一方、技能職のいわゆる保手なんかにつきましては、五等級に三年おれば上がれる、この基準自体が非常に差があるわけでございます。で、基準どおり運用しようといたしますと、いまおっしゃいましたような点で、五等級の若い用員についてはなかなか待遇改善ができないと、こういうことでございます。一方、本院の状態を申し上げますと、先ほど先生がおっしゃっいましたように、本院における職務特殊性もございます。また、私ども用務課実態を申し上げますと、大体、女子が平均年齢五十歳、男子で四十五歳、高齢の用員がたくさんおるわけでございます。そこで、高校出の若い用員諸君が入りまして、これは非常な戦力になっておりますから、私ども何とか方法を考えまして、こういう若くてよく働く用員につきましては待遇のほうで特段の考えをとっていきたい、そう思っておるわけでございます。ただ、現実の方法といたしましては、ただいまのところは、あるいは特昇とか、そういう方面の運用の面で考えるより道がちょっとないというのが実態でございます。
  25. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 具体的にどうですか、この用務員労務職から技能の乙を準用というようなことは検討してもいいんじゃないですか。
  26. 植木正張

    参事植木正張君) 現在の資格基準表を見ますと、たとえば、乙として規定されておりますのは電工とか、機械工、あるいは運転手、そういうものがございます。その他こういうものに準ずるものという規定がございます。ただ、この準ずるものというものを私どもも一応いろいろ検討いたしました。これは組合筋からもそういう御要望もございました。しかし、実態は、人事院あたりの見解によりますと、これはたとえばバイクの免許を持って乗っている者、そういうものであるということでございます。現在のうちの用員実態からいいますと、ちょっとここに入れるのはむずかしいのではないか。これは現在の制度を解釈いたしましてそういうことでございます。
  27. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それじゃ、これはまたひとつ検討して――それはいまの給与体系といいますか、給与法の関係からは、若干これは国家公務員の場合でも問題があるところです。将来これはひとつ検討すべきだと思う。私、さっき言ったように、時代が変わっておるということ、この認識をして将来検討してもらいたい。  先へ急ぎます。先ほどちょっとあなたが触れられましたけれども、この行(一)に移行しても、移行した人のいわゆる昇格基準なんかはっきりないので、移行したって結局あまり有利にいかない、こういう点があるので、昇格基準というものをやっぱりきめるべきだと思うのですね。こういう参議院衆議院のように限られた職場でのことであるから、非常に各省庁から見るとむずかしい運用の点があるが、そういう昇格基準というものを考えなければ、私は五等級から四等級、六等級から五等級と、こういう移行する場合に非常に問題があると思うのですがね。それともう一つ――もう続けて言っておきますが、級別定数というものを別に広めて考える必要があると思うのですが、その点どうです。
  28. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) この点につきましては、毎度御高配をいただいておるのでありますが、われわれはいま三年度にわたりまして移行のことで精一ぱいでございますが、いまおっしゃるような移行したあと昇格、昇給の基準をきめなければいかぬと、こういう点につきましては、私たちもそう考えておるのでございますが、特に最上級のほうにまいりますと、行(一)等に比較してなかなか困難な点もあるんじゃないかと思いますが、御趣旨にのっとりまして、衆議院とも御相談して、なるべく早い機会にきめていくのが本筋であると思います。
  29. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 衆議院はどうです。
  30. 三樹秀夫

    衆議院参事三樹秀夫君) お答えいたします。  行(二)から行(一)に移行した者の、すなわち技術職員昇格基準の問題だと思いますが、行(一)へ移行した諸君昇格につきましては、行(二)当時の在級年数も勘案いたしまして昇格させております。すなわち、六等級移行した者につきまして、さらに行(一)の五等級に行く、そういうのは去年あたりからぼつぼつ在級年数関係でその条件が満たされた者についてやっております。一番問題なのは、五等級から四等級の点ではないかと思います。実はその点につきましては、私のほうでもいろいろ詰まっておりますので検討いたしておりますが、先生承知のとおり、四等級と申しますと、まあ課長補佐、上位の係長のところでございます。もともと行(一)の諸君も、だれしもすぐ四等級に行けるというものではございませんし、そういう関連がありますので非常にむずかしい問題がございます。けれども、せっかく移行した諸君をいつまでも頭打ちみたいな形にするのも、士気の点から考えていかがかと思いますので、ただいま参議院事務総長が仰せられましたように、参議院ともよく御相談しながら、何とか方法を講じていきたいと考えております。
  31. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 冒頭に言ったように、非常に職場が狭いから、課長補佐といっても、だれもかれも課長補佐になれぬ、係長になれない。だから、役職につかなければ四等級に上がれないという、この一般職規定というものは非常に私は窮屈になっていると思う。したがって、そういう役職を離れて、何らかの方法を考えてやらなければ、実際、行(一)に移行したって何らの価値がない。行(一)になったからといって、名誉とか、そういうものではなくして、やっぱり給与というものが一番重点だから、この点はひとつ早急に昇格基準ですね、いわゆる一般職昇格基準そのままいかないというならば、そういう特殊な範疇にあるのだから、至急にひとつこれを検討してもらいたい。これはどうですか。
  32. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 御期待に沿うようにひとつ努力いたします。
  33. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 行(一)移行実態、まあ行(一)の問題で、これ最後ですがね。行(一)に移行した実態は、行(一)の中に技術職員という区別を設けて、ただ行(二)におればこうなるというものさしだけが昇格基準であると、こういうことであるが、一体これはどういう意味か、ちょっとぼくのほう、それわからないのですが、説明していただきたい。
  34. 植木正張

    参事植木正張君) 行(一)移行を始めましたときに、一つの原則といたしまして、対応する号俸に移すということと、もう一つ、行(一)に移るとき、少なくとも行(二)におるより不利にならないような運用をすると、こういう原則がございまして、移行中は、いずれにしても、先ほど先生から御質問がございましたように、基準とかその他ございませんものですから、移行がある程度済むまでは、少なくとも行(二)におるより不利にならないようにということでございます。したがいまして、現在、技術職員として行(一)に移っております者も、常に、この人間が昇格するところへきてるんじゃないかとか、あるいは給料がどうなってるかという問題は、行(二)に本人がいたときを尺度にしてやっておる、こういうことでございます。
  35. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それが一つ問題があると思うのですね。だから、これは前の質問に関連するのですが、この点はひとつ至急に検討して、はっきりその基準をつくってもらいたい。でないと、行(一)に移行したって何ら価値がないということでは、行(一)に移行した意味がなくなりますから、この点は十分考えてもらいたいと思うのですが、ただこれは、私、まあいろいろ職員の人からも聞くんですが、なるほど国会で私が言うと、総長が非常にまあ、検討するとか何とか、非常に答弁はいいんですが、これは衆参あわしてね、済んでしまうと、なかなか冷淡で、熱心に考えてくれないという不服があるのですね。だから私は、無理なことは無理だと、それは思うのです。それはなかなか給料の格づけはむずかしいことと、私もよく知ってますが、整理しまして、何か納得のいくような解決への努力を今後とも続けてもらいたいと思うのです。行(一)問題についての最後の質問として、それを聞いて、次に移りたいと思います。
  36. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいまの御注意の点は十分認識をいたしまして、せっかく努力をいたします。
  37. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それから次に、アンバラ是正の問題で、これはだいぶ誠意を示してやっておるようです。その点だけは、私もあまりほめる人間じゃないんですけれども、努力のあとのことについてはこれは私も了といたしますが、しかし是正というのは、非常にアンバラ是正はむずかしい問題であります。国家公務員の場合は、大体この点についてはやられておるようですが、地方公務員の場合はまだ残っておる問題です。これはアンバラ是正といっても、なかなかどこで線を引くかに相当問題があると思いますが、しかし以前から入っている人が、たとえば昭和二十五年から前におる人、また三十年から前におる人、それときよう入った人との非常に不利な点があるから是正しようと、こういうのですね。なかなかこのアンバラを是正するということはむずかしいんだが、やはり現在の時点で線を引いてアンバラ是正をやると、どこにひとつ問題があるか、四十三年の四月一日現在で、いまの初任給基準昇格基準、そういうものを基礎として、前の人をずっとそれにならったアンバラ是正をするとどんなに大きな問題が出てくるか、それをちょっと簡単に説明してください。
  38. 植木正張

    参事植木正張君) 本院の特殊性としましては、二十二、三年当時に特別職のころに入っておりましたので、非常に初任給その他高く採っている者、それと、一般職にならってきめられて採っている者、この格差がございます。これが一つでございます。それからもう一つの問題としましては、初任給基準が年々改善されております。その恩恵が、常に逆転防止の範囲しかいたしておりませんから、それ以前の古い人と現在入っている人とはそこに差が出てくる、大きな点を申せばそういう点が一番問題だと思います。
  39. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これは若干アンバラ是正はされたようでありますけれども、働く立場からみると、非常に不平の起こるのはここにひとつ大きい原因がある。特に参議院は、衆議院の場合はあとで聞きますけれども、昔は国会開会中だけ臨時職員として雇って、国会済んじゃったらお払い箱になっちゃう。また次の国会始まるとやる。この場合は、国会開会中の期間だけをいわゆる臨時期間として計算をする、それじゃ若干私は無理があるのじゃないかと思うのですね。それは国会の都合で働らく人を規制しているのですから、その通算と申しますか、その前歴といいますか、その臨時期間は、国会開会中だけではなくして、全期間ということには無理があるけれども、これは相当私は有利にこの期間を通算すべまだと思うのですが、この考え方はどうなんですか。
  40. 植木正張

    参事植木正張君) 現在、臨時期間につきましては、一般の前歴と同じように十八カ月で一号という計算をいたしております。ただ、衛視につきましては、その臨時衛視期間が長かった者が相当数おったのは事実でございます。これにつきましては、二年につきましては一年を一号というような方法を考えまして、ただし、実施するのは、それは特別昇給ということで過去に実施いたしました。しかし、二年前から、全職員につきましてアンバラの調査をいたしておりまして、調査の結果につきましては、前歴につきましては、議警の臨時職員であろうと行一の臨時職員であろうと、その条件は同じでございましたので、これは一応現在の制度の十八カ月一号ということでもう一度計算をし直しております、先生のおっしゃいますように、その臨時で休んだ期間を臨時と同じように見るとか、あるいはその臨時歴は、当院の正規の職員と同じように、一年は一号とみるというような方法制度的にできれば非常にいいと思いますが、残念ながらいまはそういう制度がございませんので、やむを得ず十八カ月一号ということで処理いたしております。
  41. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 若干通算と申しますか、臨時期間を考慮に入れていま一号上げているようですが、もう少し考える必要が私はあるのじゃないかと思うのですね。現在だったらそんなことで来る人はないと思うんですよ、いまのような時代であれば。昔だから私はそれで来たと思うんです。そういうことを考えると、全部の期間を臨時期間として考慮しようといえば、ずっとおった人との不均衡の問題もある、それはよくわかる。もう少し期間を短縮して一号というふうな形が出ないかどうか、これはひとつ検討してもらいたいが、どうですか。
  42. 植木正張

    参事植木正張君) その点は私どもも、現在こういうことがあるのでございます。たとえば、同じ臨時で入りまして、ある人は若干早く正規の職員になり、ある人はその臨時歴が若干長くて、あとから正規の職員になる。したがって、臨時のときは同期であるけれども職員で期が違う、したがって、給与が違ってくるという問題がございます。仰せの面は私どもも痛感いたしておりますので、何とか検討さしていただきたいと思います。
  43. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) アンバラの問題については、これはなかなか技術的な問題ですから、ここでなかなかしさいな質問、質疑はできませんから、ひとつ皆さん方が考えられておるものを一ぺん資料として、組合側が要求しているものがあるように聞いておりますが、そういうものを、この国会が終わってからでもいいですから、当局側考え方をひとつ資料として説明していただきたいということで、そういう点でひとつ今後ともアンバラの是正に努力をしてもらいたい、こう思います。  次に速記職ですが、速記職は、これは私いつも言うのですが、これはほかの職場にはない職務でありますから、だいぶ改善をしてもらったあとは十分認めます。しかし、もう改善するとしても速記職給料表だけではいかないようになってしまっていると思うのです。この前の質問のときに言いましたけれども速記職については、抜本的なひとつ考え方のもとに変えなくちゃいかぬことですが、こういう考え方について、衆参の責任者はどう考えているか、ひとつ聞いておきたい。
  44. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 速記職も、それからまた議院の警察職も、ともに一般職と異った処遇を受けてまいっておりまして、両方とも特段の処置を毎回講じておるわけでございます。議警のほうにつきましては、これは公安職が基準になっております。速記職につきましては、ほぼ行(一)を基礎としていままでつくられてきておりますのが根本でございまして、ベースアップの改定ごとに各方面にお願い申し上げておりますが、ベースアップだけでなしに、かぼそいながら高位号俸に幾らか改善を加えていままで努力してきたわけでございますので、ただいまおっしゃったような抜本的という御意見でございますが、われわれといたしましては、従来は速記職は特段のものでございますので、その養成等にも非常に苦心を重ねてつくられている職務でございますから、なるべく高賃金の給与を与えたいと思って努力しております。改革の気持は十分持っているつもりでございます。
  45. 三樹秀夫

    衆議院参事三樹秀夫君) 衆議院におきましても、速記職の給料表の改善につきましてはここ数年間いろいろ努力してまいりまして、いま先生のおっしゃるとおりでございますが、ただ、現在、給料表の改善ということだけではどうにもできないところまできているのではないかという仰せもまことにごもっともだと思います。といって、もちろん何にもしないわけにまいりませんので、何とか打開の道を見出したいと私のほうでも努力中でございます。
  46. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それは抽象的にはそうですが、これはなかなか専門的にいってもむずかしい問題だから、知っているだけに質問もしにくいのですが、速記職を一体どういう位置づけをするかという問題が基本になるのですが、一般職の場合は、いわゆる研究職というものが新しくできるときに問題になったのですが、一般職における研究職と同じような問題が含まれておると思う。速記職の方々は役職の入る分野が少ないと思うのです。速記監督、それから速記副監督、課長もおられるようでありますけれども、それを課長といって、課員が一人もいない課長をたくさんつくるわけにいかない。だから補職をしにくい速記職については何か別の考えが必要だと思うのです。そういう要素を踏まえた給料を考えていけば、おのずから一つの成案が出ると思うのです。これは資料がありますが、衆議院のほうでも答えておられるようですが、抜本的な改善を検討すると言明しているのですが、抜本的に検討するといっても、一体どういう考え方でおるのかということがなかなかわれわれ理解できない。いま私の言ったような点について、具体的にこうすべきであるというような考え方があれば、ひとつこの機会に披露してもらいたい。
  47. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 別に抜本的な大改革案というものはないのでございますが、私、考えておりますが、職階制ということと非常に関係があるんじゃないか、こう思います。それで、調査室の諸君もそうでございますが、やはり課長なり部長なりという、こういう職階に対する何といいますか、考え方ですね。そういうものがほんとうに清算されておらないわけですね。そういう点について、それらが清算されれば、幾らか改革になるのじゃないか。課長とか部長とか、そういうものは自分たちは要らないのであるというふうな考え方ですね。そういうものがあれば、かなりできるのでございまするが、やはり課長というような名前もつかなければいかぬというようなことで、私らは弱っておりますが、そういうことから根本的に改正できたらいいのじゃないかと、いまちょっとそういうことを考えております。
  48. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これは大蔵省給与課長も見えておりますし、人事局長、そういう方も見えておるのですがね。今日もう民間では、そういう職階的な考え方というのは、これは前世紀の遺物だという考え方人事行政をやっておりますね。それが機動性を失ってしまうのですね。しかし役所はまだ職階制というものを、職階給というものを堅持して格づけをしてやっておるのですが、私は役所の能率の上がらない基盤のもとだと思うのです。したがって、いまちょっと呼び水をかけて、総長にこういうことを言うのは、しろうとだからあまりあなたを責めるわけにはいかないけれども課長とか課長補佐とか局長とか、必要であるけれども、そういうものを飛び越えた人事行政考え方というものは、たとえ役所でももう考える時期にきておる。したがって、これはいままでのような職階給で、課長であれば何等級、それから局長であればどう、こういうことだけでは――級の問題ですよ。何といいますか、マネージメントをする役職というものは、これは必要であろうと思います。会社では、重役とかあるいは課長とか部長、これは必要だが、給与面においてまでも職階給というものを固守しておると、今後取り残されていくと思うのです。こういう考え方について、基本的な問題だから、院の当局はいいですよ、大蔵省給与課長人事局長から、その点についてちょっと聞かしていただきたい。
  49. 相原三郎

    説明員相原三郎君) 十分勉強してまいりたいと思っております。
  50. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) たいへんむずかしい問題をお出しくださいまして、いまわれわれ現行法を守りまして、給与につきましては、職務と責任に基づいて、という厳然たる法律があるもんでございますから、それに従ってやっておるわけでございますけれども、いまのようなことがございますと、十分われわれとしても研究さしていただきたいと思います。
  51. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これは、人事局、大蔵省よりも人事院の問題で、きょうは呼んでおりませんが、いつも論争するわけなんですが、いまの法律自体がそうなっておりますから、国家公務員法にしても、地方公務員法にしても。それに準じた国会給与だからまあしかたがないのだが、これはひとつ今後考えなければ、事務の能率とか何とかいってもこの点が一つの基礎になっておる。それで、民間会社ではもうそういうことを考えておるようなことでは人事行政はできないというようなところまでいっておりますので、十分この点は考えてもらいたい。これは私はここで注文しておきます。そういう意味から、速記職については、そういう観点から国会における速記職の位置づけというものを基礎に、ひとつ給料表を抜本的に考えてもらいたい。これはぜひお願いしておきたいと思うのですが、その暫定措置として、現在そういう意味において速記職が行(一)に移行するのは速記監督だけですか。その点どうなっておりますか。
  52. 植木正張

    参事植木正張君) 速記監督の高いところが、ある数、行(一)の暫定二等級になっております。
  53. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 暫定的な方法として、これにも相当検討する必要がありますが、結局詰まってくるから問題になるのですからね。速記監督の要求と言わずに、幅広くこれを行(一)に移行するという、こういう考え方で、暫定的に、抜本改正ができるまで、そういうことを検討する余地があるかないか、聞いておきたい。
  54. 植木正張

    参事植木正張君) 率直に申しまして、たとえば現在の給料表で申し上げますと、速記一等級、いわゆる監督でございますが、これの最高号俸は十一万三千五百円になるわけです。一方、行(一)の二等級、いわゆる課長の号給でございますが、この最高が十一万四千九百円。現実を申し上げますと、監督の高いところは、行政職の(一)の二等に移しましても、すぐマル特、いわゆる特号俸になってしまうわけです。実は速記一等級自体が行(一)の二等級に近い給料、問題は速記監督をそこまで一等級に置いておかないで、もっと早く行(一)の二等級に移すべきだ、こういう御趣旨だろうと思いますが、問題点につきましては、今後これは等級別定数の問題になりますが、定数の拡大ということで努力いたしたいと思います。
  55. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それじゃそういう方法で、これは抜本改正までの暫定措置として、そういう級別定数のワクを考えるということでひとつ速記職については考えていただくということ、それから、抜本的な改善は早急にひとつ検討を始めてやってもらいたいということを主張いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  次に、議警職です。先ほどちょっと総長から触れましたが、議警職については、公安職を準用して、いわゆる院内警察ということから公安職の準用をやっているのですが、これまた国会特殊性で、構成する衛視さんの実情も違うので、前歴加算は相当やってもらったのですが、いま問題として残っているところはどういう点ですか。これはだいぶやってもらったのですからね。残っておる問題はどこにあるかということをちょっと。
  56. 植木正張

    参事植木正張君) 議警の問題として一番問題は、議警のいわゆる昇格基準に照らしまして、昇格のおくれが行(一)あるいは速記職に比べて目立っておるという点が一番問題であると思います。
  57. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) すみません。もう一ぺん。
  58. 植木正張

    参事植木正張君) 行(一)あるいは速記職に比べまして、昇格が非常に窮屈になっているというのが一番の問題だと思います。
  59. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 特一等級のほうは設定されましたね。それによって行(一)に移行が不利になるというような結果が出ておるやに聞いておるのですが、この点どうなんですか。
  60. 植木正張

    参事植木正張君) 私どもは、これは特に不利になる問題とは考えておりません。これは一等級の高いところにいたのを分けて、特一をつくりまして、若干、給料表をよくしたわけでございますから、特一がなければ一等級の高いところにとどまるべき人間が特一といういいところへいった、そう解釈いたしております。また事実もそうでございます。
  61. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 今度議警職については、これはだいぶん増員を、二十八名も認められましたね。ほかのほうから比較すると相当大幅に認められたのですが、これはどういうことですか、議警職だけ非常に。新庁舎ができるということですか。
  62. 植木正張

    参事植木正張君) この議警職の二十八名の増員分と申しますのは、委員会庁舎の要員でございます。これは委員会庁舎に、各階あるいは傍聴人の検査所、そういう警備を要するところが今度新しくできるわけでございます。そこに勤務する職員でございます。この二十八人をいただきまして、私どもとしては委員会庁舎がぎりぎりに警備が可能だ、そういう数でございます。
  63. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 関連して聞きますが、今度の新庁舎委員会ですね、委員会室といわれておりますが、この委員会室は幾らできるのですか。
  64. 前川清

    参事(前川清君) ただいまの委員会庁舎の委員会の部屋でございますが、委員会の部屋は、あそこは地上四階建てでございまして、二階以上が会議室になります。ここの予算委員室程度の規模の委員室が一つと、そのほか二号室もしくは三号室程度のものが十室、合計十一室できる予定でございます。
  65. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) その会議室は何に使うのですか。
  66. 前川清

    参事(前川清君) 会議室は委員会を開会するための部屋でございます。
  67. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) いやいや、十一室は、一室は予算委員会室程度の規模のいわゆる委員会室、十室はこういう普通の委員会室になるのですね、それ以外に会議室といわれたのじゃないですか。
  68. 前川清

    参事(前川清君) いや、その十一室が会議室でございます。
  69. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) そういう意味ですか。そうすると、これは議運の役目で、皆さん方、そこまで考えてないかしれませんが、向こうに委員室ができると、たいがいの委員会は向こうでやるという計画になっておるのですか、これは。
  70. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 議運の庶務小のほうでもいろいろ御配慮をいただいたのでございますが、委員会運営ということは非常に流動的なものでございますから、いまから予定を立てて、コンクリートなものはきめておりませんけれども、向こうに十一室、こちらに十室を残こす予定で、それで十七を中心に二十一ぐらいの委員会をフルに運転してひとつ始めてみよう、予算はたぶんこちらに残るのではないかと想像しておりますが、ひとつやってみて、その上でコンクリートなものをつくっていこう、こういう考えでございます。
  71. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これは議運でいろいろやられることかもしれません。現在そこの会議室の足らないことは事実ですね、あとから早く終えてくれとせかれることがあるのですけれども、そういうことは解消すると思うのだが、設備は完全にこれはされると思いますが、いまの予算委員室でもきわめて換気が悪いのですね。だからこれはぜいたくなことは言わない、議員だからといって何もぜいたく言わないが、換気だけはひとつ十分してもらわぬと、予算委員会に朝から晩までおると頭痛くなります。そういう点はひとつやってもらいたい。ちょっとわきに走りましたけれども、これと新採用者の宿舎の設備は、これはできておるのですか、衛視についてですね。
  72. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 最近の住宅事情が非常に込み入ってきましたので、一般職員も非常に宿舎で困っておりますけれども、特に新しく採用する職員でございますね、こういう職員につきましては、宿舎がなければいい職員を採用できないわけでございますから、ことし二十八名ふえました警務部の職員を採用する点につきましては、これに対しては、十分とは申し上げられませんが、便法を講じまして、独身の宿舎を用意いたしております。
  73. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それから最後に、議警職で、いま先ほど特一のことをいいましたが、どうですか、二等級から一等級、これは職階制だから頭を打っておるのじゃないかと思うのですがね。議警職、衛視の場合は、一等級に格付けするのはこれはどういう人であるか。
  74. 植木正張

    参事植木正張君) 議警職の一等級と申しますのは、予算の定数上から申し上げれば衛視長でございます。そのほかに、副長で課長補佐をいたしておるのが一部入っております。
  75. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これも実は一般の公安職、いわゆる警察ですね、警察と違って非常に職場が狭いものだから、衛視長といっても幾人もつくるわけにいかない。そういう考え方から、二等級から一等級への昇格の道というものをもう少し広くあけてもらえぬかということが起こってきていると思うのですね。これはどうですか。そういう考えでやれるかどうか。いまの職階給によっては非常に無理であるかどうか。この点ちょっと聞いておきたい。
  76. 植木正張

    参事植木正張君) 定数上の問題といたしましては、衛視長というのは相当な職でございますから、この定数をどんどんふやすというわけにはなかなかまいらぬと思います。したがいまして、いまおっしゃいました二等級で相当高号にたまっておる、しかも年齢の高い者がおります。大体、衛視副長あるいは衛視班長クラスでございます。したがいまして、私どももこの処遇につきまして第一に考えましたのは、二等級の給料表上の改善問題、これは過去二、三年で、号俸で申し上げますと、十六号以上のところに公安職よりもいい俸給額をつけております。それからもう一つの方法といたしましては、暫定的に一等級の定数をもらうという問題がございます。この二つの面から考えております。
  77. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 号俸の足を伸ばすということも一つの救済の方法と思うのですね、いま言われたように。しかし、その足を伸ばすにも限界があると思う。だから、何とか方法を考えて、準一等とか、そういうこともなかなかむずかしいが、そういう職階給だけにとらわれずに一等級昇格するという――これはもちろん経歴その他のものを吟味して、一定経歴年数ができてくれば考えるということも必要だと思うのですが、この点どうですか。
  78. 植木正張

    参事植木正張君) 間に一つ等級をつくって入れますということは、確かに当面の問題としては改善の問題になるかと思います。それから、先ほどおっしゃいました二等級の給料表上の問題でございますが、これは延伸はいたしませんで、むしろ本俸を高くしていくと、そういう改善をとっております。
  79. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) まだまだ他にもあるんですが、時間の制約もありますから、次に女子の昇格について、これは国会の場合だけじゃないんですが、一般職の場合も、地方公務員の場合も、女子はもう実際五等級から四等級へ、言いかえれば、一般の職員から役付の職員課長補佐係長、そういうところに昇格の道というのはきわめて少ないのですね。これは男女同権とかなんとかいうけれどももう少し女子の五等級昇格、またできれば四等級というようなその昇格の道というものを女子の場合に考えられぬのかどうか。きょうも参議院の一般質問の中で山高氏が、女子の向上とか婦人の向上とか言っていましたね。役所自体がそういう女子に対しては差別的な考え方におること自体が私は問題だと思うのですが、この点どうなんですか。
  80. 植木正張

    参事植木正張君) 女子の五等級の問題は、二、三年前から問題になってまいったことでございます。と申しますのも、戦後、二十二、三年に入りました女子がずっとおりまして、現在六等級の上のほうにたまっておるという現象から一つ問題が出ております。それ以前にも、もちろん女子で適格な者は係長に昇進ということはぼつぼつやっておったんでございますが、確かに男子に比べましては非常に差がついておったということで、一昨年、昨年あたりからだんだんふやしてまいりまして、昨年あたりは五名の女子の係長をつくっております。その実態を、ことしも予算要求の際に大蔵省のほうにもいろいろ説明を申し上げまして、特にことしは女子のための係長の定数も何人かもらってまいりました。したがいまして、ことしは去年より少し上回った点で女子の係長も実現できるのじゃないかと思っております。
  81. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これは私冒頭に言ったように、職階給という法則がもとになるから、係長のポストがなければ五等級に上がれないのですね。課長補佐の補職がなければいわゆる四等級に行けない。こういう制約がある限り、女子は、能力があるなしは別にして――能力はあると思うのですが――現実の問題としてやはり女子には女子の特異性がありますから、したがって、この場合は職階給というものを離れて、女子の特異性というものを考える必要があるのじゃないかと思うのです。民間の場合は、私は民間の人事も非常に関心を持っていますが、大企業の、しかも、何といいますか、頭脳センターの本社あたりは非常に女を登用しますね。いまコンピューターが非常に仕事をしてくれますから、したがって、こういう頭脳センターの本社あたりは、そういう男子の者は第一線に出して、そういう人に責任を持たすという傾向、労働力の不足ということから、そういう私は考え方を持っているのですが、しかし、国会ではまだコンピューターを入れて速記するとか仕事をするまで行っておりませんから別として、やはりそういう基本的な女子に対する考え方を持つべきである。そういうことで六等級にほとんど押し込められておるでしょう、年数からいっても女子は。これをひとつ早急に打開してもらいたい。  それとあわせて、時間がないから、先ほど冒頭に言いました電話交換手待遇についても、これは女子がほとんどですから、そういう点もあわせて、ひとつそういう点について検討し、この女子の待遇昇格についてやってもらいたいと思うが、その考え方を聞いておきたい。
  82. 植木正張

    参事植木正張君) 御指摘のような点は、私どももいつも考え、頭を悩ましておるところでございます。御趣旨に沿って十分検討させていただきたいと思います。
  83. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 特に電話交換手は高校卒で、しかもある習得年数を経て入るのですから、格づけは高校と同じでしょう。まだ低いのがあるとか聞いているのですね。そういうことは私は全く労働力というものの実態を把握せずに、ただ、いままでの職階的な、ホワイトカラーだとこうだと、こういうような考え方があると思うのですね。これはすみやかに是正してもらいたいと思うのですが、この点について。
  84. 植木正張

    参事植木正張君) 電話交換手については初任給が四の一になっております。一般の保手の場合は四の四でございます。問題はここにあろうかと存じます。また、これを行(一)の女子の高校卒あたりに比べますと、行(一)のほうは八等級の二、そこで交換手のほうが一号低いわけですが、ここの制度のきめ方自体の問題がそもそも根底にあろうかと思います。しかし、私どももこの問題は前からいろいろと、少なくとも行(一)の女子におくれないような方法ということで、若干の措置はいたしております。また、ただいまその両者につきまして精査をいたし、方法を考えておる最中でございます。
  85. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それでは女子の問題についてはそれくらいにいたしまして、大学卒の雇い入れの問題ですが、これは国家公務員一般職の場合は、大学出を甲、乙の二種類に分けて人事院が試験をして雇うのですが、国会の場合は人事院で試験をした人の残り――残りと言っては非常に失礼ですが、お世話を願った者と、国会自身が雇う、これは何といいますか、個人の推薦で雇っておるようですが、これを撤廃して、やはり院自体で試験をして、試験をするのは人事院の方々のごやっかいになってもいいが、院自体で大学出なりそういう者の試験をして国会職員として採用するのが妥当だと思うのですが、そういう点についてどうでしょうか。
  86. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 優秀な職員の採用につきましては、もう参議院創設以来非常に苦労いたしておりまして、そのやり方も、いまおっしゃるようなやり方をやってみたり、また元に戻ったり、二転三転いたして今日に来ております。非常に世の中の景気のいいころには国会を目ざして来る職員が非常に払底でございまして、そういうときにはまた別の方法を用いるとか、いろいろなことで非常に過去苦慮を重ねたわけでございますが、先生のおっしゃった上級甲の試験を通った者を人事院から配給を受けるという点についてでありますが、この点につきましては、いま少なくとも法律・経済の分野におきまして、およそ公務員になろうという諸君は、みなこの人事院の甲の試験に集まっているわけでございまして、それ以外にわれわれが小額な経費で新聞広告なんか出しまして東京周辺の者を集めてみても、一人、二人まぐれでいい者が当たることはございましょうが、概してあまりいい成績ではいままで過去なかったわけでございます。どうしても近ごろは優秀な人材を調査室及び議事運営の方面に吸収しなければならない必要に迫られており、議員さんからもそういう御要望が強いのでございまして、いまこの日本の国家の行なっている制度を拝借いたしまして、その方針のもとにやっているのでございますが、でき得べくんば、先生のおっしゃるような、この国会人事全部を統括して大きな試験制度ができれば、これはいいのでありますが、いままだそういう理想的なところまで行っておらぬわけでございます。御了承を願いたいと思います。
  87. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 衆議院はどういう考え方を持っておるか。
  88. 三樹秀夫

    衆議院参事三樹秀夫君) 衆議院におきましては、毎年国家公務員の上級試験甲を通った者の中から若干名採用いたしておりますが、来る人がいなくて採用できなかったこともございますが、四十四年度と申しますか、来年度は二名採用するつもりでおります。  それから、そのほかでございますが、大学卒の男女につきまして、大体二、三月ころに、一般に新聞広告はいたしませんけれども、希望者の中から公務員試験の乙に相当する程度の試験をいたしておりまして、それで採用者を採っております。
  89. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) この専門員ですね、調査室長と言っておりますが、専門員、これについては昭和四十二年ですか、まず四年という任期を切って、それから再審査ですか、して、また四年――八年やって、あとはまた、何か議運の議事録を読むと、あとはどうするかというと、あいまいになっておりますが、まあ総長の権限でないのだが、あれはきめるのは議運ですね、だけれども、やはり専門員についてはやっぱり主任調査員から一般調査員といういろいろな関係があるので、この関係は八年で一応退職するという、六十五歳というもちろん条件はあるけれども、そういうことになっておるのですか、これ、簡単にお伺いしたい。
  90. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) この件を決定いたしましたのは、「常任委員会調査室の人事の刷新に関する要綱」というので議運でおきめ願っておりまして、これが三十七年にできたのでございます、そのときは、専門員につきましては十二年を経過したときにこれを審査して、これを存続さすか、それともここで退職さすかということをきめるということでございます。先年改正に相なりまして、それが四年ということに相なりまして、その四年を御決定願うときのいろいろなお話はありましたけれども、表向きは四年ごとにその適否を決定する、こういうことでございますので、規定の趣旨から申しまして、八年で退職をするということには相なっておりません。
  91. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) これはまた総長に尋ねるのもどうかと思うので、またいずれのときかに。これは例の議運のほうでいろいろ御決定になるのですね、専門員は。
  92. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) これは私が、当該の委員長の申し出により議院運営委員会の承認と議長の御同意を得てやっておるのでありますので、なかなか手数のかかる人事の方式でございます。
  93. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それでは管理の問題について尋ねますがね。この間、参議院会館で、若干、自動車の問題でごたごたあったのですがね。あれは参議院の構内ですね、事件のあったところは。これはまあ構内で事故を起こしたのですから、やはり責任としては参議院の管理に関する、会館の管理に関するのですか。これはどうなるのですか。
  94. 植木正張

    参事植木正張君) 会館はいわゆる議院警察権の範囲外になっております。しからば実態はどうかと申しますと、問題の起きたところは確かに会館の構内でございます。ただし、会館において、建物の内部は私どもの警務から出しました衛視が警備いたしておりますが、その外部は警察官に依頼して警備をお願いしておる、こういう形でございます。
  95. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 依頼しておるが、その警察権はやはり一般警察権の範囲内ですか。
  96. 植木正張

    参事植木正張君) 警察権の及ぶ範囲といたしましては、この議事堂のいわゆる構内とは違うわけでございます。一般の警察権の及ぶところでございます。
  97. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それにしても、あそこは何かタクシーは入ってはいかぬという標札書いていますね、非常にまぎらわしいのですがね。あの問題の件についての真相は、これはいま私からどうこう言いませんが、向こうに入っておってああいう事故を起こした場合、ああいうことがあると、まあ議員もうっかりどこも歩けない。だから、いや歩道があるのだからそこを歩かなかったから悪いと言うが、ぼくらの観念は、あれは参議院の内部だから、会館内だから――何もいばるわけじゃありませんが、私らのうちだから、うちの中だからというので、わりあいに自由に歩いておるわけですね。気を楽にしていてあとからタクシーが来てばんとやられても、何だおれのうちの中じゃないかと、そういう感じを持つですね。議員が偉いとかなんと言うのじゃありませんよ。私の屋敷の中でそういうことがあれば、自分の屋敷に入ってがんがんやれば、何だと、そういうことですから、やはりはっきりとしておいてほしいですね。タクシーもわれわれ乗ってくる場合もあるから、そういう場合には、構内なら構内らしくやはり静粛に運行すべきである。あそこでかりに乱暴者が来て酒に酔っぱらってがあがあ言っていれば、衛視が来て出すのでしょう、まあ警察が来るかもしらぬが。だから、そういう要素というものを今度の事件にぼくは一つも考えられてないと思う。どちらがどうしたか、これは一応別にして、だからぼくはその内部は、あの心底は深いものがあると思っています。だから、単なるいわゆる運転手と議員か秘書か知りませんが、その間の問題だけじゃないと思う。もっと政治的の深いものがあると思いますが、それはそれとしても、やはり構内における議員の行動というものについてはある程度保障されなければ、あれは院内の警察の範囲でないと言うけれども、構内は構内に違いないのですね。その点は明らかにしてもらわないと困る。
  98. 植木正張

    参事植木正張君) 先ほどちょっと私のことばが足りませんでしたが、警察官があそこに入っておりますのは、われわれのほうから要請いたしましたもので、もちろんその主任務は、議員が国会で活動される、あるいは会館で活動される、そのために来ているのでございまして、一般の道路に立っておる警察官とは任務はもちろん違います。それは国会のために来ておるわけでございます。  それから後半の、例のタクシーの問題でございますが、これは当初は、会館内は議員がタクシーに乗っておればタクシーはフリー、その他はいけないという自治委員会の決定がございました。それが四十二年でございましたか、いろいろタクシーが入ったほうが便利だというふうな趣旨から、一応タクシーはフリーに入れるというふうに直っておるわけでございます。それからもう一つの問題は、あそこの歩道と車道というのの区別がなかなかにはっきりいたしませんでした。それからもう一つは、歩道は非常に迂回して通るような歩道になっております。勢い車道を皆さんがお歩きになって会館にお入りになるというような点が根本的にどうかと思われる点でございまして、それらの点は昨日、自治委員会でもいろいろ現状を御説明いたしまして御意見を拝聴いたしました。さっそく、歩道はもっと考えてほんとうに歩けるような歩道に直すこと。タクシーその他につきましては、交通量の実態調査をいたしまして、その結果をまた自治委員会に御報告申し上げて御相談願うと、そういうことになっております。
  99. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) それじゃ、厚生施設でちょっと要望があるのですが、職員――議員はそんなひまはないのですが――職員にグラウンドがあったらいい、どこかへつくったらどうかというのです。それから、衆議院の管理者に聞きますと、裏側のプールは衆議院の持ち分であって、衆議院は非常に裏にあきがあってあんなものをつくっている。衆参両院はこれはほんとうに独立したものだから干渉はできぬが、職員のレクリエーションあたりは共同でつくるべきだと思うのだが、そこまでなわ張りは厳重にすべきですか。その点、ひとつ。
  100. 三樹秀夫

    衆議院参事三樹秀夫君) 衆議院の第二議員会館の下にありますプールは衆議院のものでございますが、ただこれは、このプールの管理は私の所管ではございませんので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども参議院先生方、秘書の方、職員の方の使用は、実際問題としてわりあいに使用していただいていると思うのでございますが、もしいま衆参の職員に、何と申しますか、壁をつくっているようなきらいがございましたら、改めるようにいたします。
  101. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) ぼくの言うておる趣旨は、まあ衆参だとか、そうではなくて、そういうレクリエーション施設なんかは、国会ということで、グラウンドも参議院参議院というのではなくして、国会職員ということで、両方でいわゆる維持費を持ち、国会図書館のような形でやるべきじゃないかというふうなのが私の言うておることです。
  102. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) その点につきましては、ただいま先生御心配になっているごとく、以前は非常に広々したあき地がございましたので、衆参、国会図書館、別々にいろいろなテニスコートその他の施設を持っておりましたけれども、何ぶんこのとおりのビルができましてあき地が少なくなりましたので、近ごろは衆参、国会図書館を含めまして、共通のあき地を利用してやっていく方向に向かっております。衆議院でも特段の御考慮に相なっております。
  103. 山本伊三郎

    担当委員外委員山本伊三郎君) 今後そういう方向でやっていくほうが私は効率的ではないかと思うのです。まあ、憲法に定める衆議院参議院という制度は、これは完全に独立した制度です。これは一歩も譲ることはできないと思うのです。したがって、参議院議員でも衆議院の議場に入ることはできない。衆議院議員は参議院の本会議場には入れない。これは厳格にやらしておる。日本の場合はあまり厳格過ぎると思うのだが、アメリカあたりはわりあいに民主的だが、日本の場合は、何ぴとも、だれも議員でない限りは一歩も入れないようなことになっております。新聞記者も全部上に上がれということです。アメリカの上院あたりでは。下院は私は見ませんが、上院あたりの新聞記者も議員の論議するところまで入って行っていますがね。これは日本の一つの、何といいますか、厳格なところということになるかもしれませんが、これは参考までに、村田君が来ないものだから続けて聞くのですが、あれは何か、参議院規則、衆議院規則の中にあるのですか。それだけ答えてください。そのお答えをいただいて私の質問は終わります。
  104. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) お尋ねの点につきましては、国会法、規則上明文の規定はございません。
  105. 村田秀三

    村田秀三君 たいへんお待たせして済みませんでした。  それでは、まず最初に、図書館長来ておりますか。――時間がございませんから、端的にお伺いをいたしますので、要点のみずばりずばりお答えをいただきたいと思います。まず最初に、図書館長にお伺いいたしますが、昨年の六月ごろ――だいぶ古い話で恐縮ですが、国会図書館には児童図書が死蔵されておる、金網に囲まれて死蔵されておる、こういうような新聞記事を見たことがあるのですが、現在どうなっておりますか。
  106. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 児童図書のことについてお尋ねをいただいたわけでありますが、ただいま御指摘のとおり、昨年、私も五、六月の候と思いますが、滑川道夫という方が毎日新聞に、国会図書館に児童図書が死蔵されておるとありましたか、要するに、あまり利用されていない、整理もされていない、こういうふうな投稿がございましたことは事実でございます。私は滑川氏ともよく懇意でございまして、滑川氏によって代表されておる児童図書に関心の深い方にも来ていただきましてお会いいたしまして、直接、書庫も見ていただきまして、自分らの予期と反して児童図書が書庫の中に整然と整理されておるということについて認識を新たにされたというお話をいただいております。また、利用につきましても、一般に公開されていないというような誤解があるようでございまするが、これは終始公開されておりまして、一般の要求に応じましていつでも閲覧をお願いするようになっております。公開のことについて誤解がございますのは、普通の図書ですと、閲覧目録というのが全部出納台に出ておりまして、本を利用、閲覧しようとする方は自分で目録を検索いたしまして、こういう本が読みたいということが言える形になっておりますが、児童図書につきましては、現在はその閲覧目録が出ておらないという事情がありまして、来館される方が直接自分で見つけ出されることが困難である。そこで貼り紙をして、「児童図書に御用のある方は係員に御相談を願いたい、すぐお貸しいたしますから」と、こういう趣旨の掲示を出しておりますが、さらに来館者自体が検索し得るように、児童図書の冊子形態の目録を来年度――いま御審議願っている予算にもその若干が出ておりますが、冊子目録形態のものをつくりまして、御不便のないようにいたしたいと、かように存じておるわけでございます。
  107. 村田秀三

    村田秀三君 そうしますと、まあ公開はされていると言いながら、いつでも直ちにすぐに目的の書物が引き出せる状態ではないわけですね。これは図書館の専門員は、何々がほしいと言えばすぐに出る状態ですか。
  108. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 児童図書に関しても、私ども職員の中には造詣の深いものがいろいろございまして、来館者からこういう児童図書がほしいということであれば、すぐお出しできるかっこうになっておるわけであります。
  109. 村田秀三

    村田秀三君 そういうきわめて造詣の深い方が、聞くところによると二万九千冊ですか、三万近いものを全部頭に入れておいてぱっぱとこうやれるわけですか。
  110. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 児童図書は、本館には二万七千冊ほどあると存じます。それで、そのうちの一万五千冊は、国立国会図書館が設立せられましてから、法律によって納本せられて入ってきているものでございます。また、八千冊は漫画あるいは絵本という類でございます。また、四千冊は国立国会図書館ができる前に上野の図書館にあったものでございまして、上野の図書館においても、その本の実態あるいは利用の状況等から、いわゆる乙整理といいますか、やや簡易な整理、あるいは整理がされない状態のままであったものでございます。当初に申し上げました一万五千の当館開設されてから納本されたものにつきましては、私ども、書架目録、あるいは三十八年以降は著者目録もつくっておりまして、書架上のどういうところにあるかということがはっきりいたしておりますので、すぐ出せるようになっております。それから、漫画あるいは絵本等については、簡易整理と申しますか、非常に大ざっぱな整理で、本格的な整理はできてないというのが実情でございます。それから戦前、上野の図書館にあって整理されてなかった四千冊のものは、これは私ども、ほかのそういう児童図書以外のものとの一種の関連でございまするが、未整理の本全体についていま整理を行なうということを五カ年計画でやっておりますが、そういうものに類するものでございまして、現在いまだ整理ができておりません。しかし、全部を含めまして二万七千冊を対象としまして冊子目録をつくりまして、その冊子目録によって閲覧者が自分自身で本に近づき得る、本を請求し得るようにいたしたいということで、準備をしております。計画といたしましては、四十五年度には児童図書全般の冊子目録をつくる。四十六年度には漫画及び絵本の冊子目録をつくる計画になっております。
  111. 村田秀三

    村田秀三君 いまの館長のお話ですけれども、一般の閲覧者が一向差しつかえないように聞こえるわけですね。しかし、決してそうではないではないかと思うんです。そうすると、四十四年度は、これは衆議院議事録を見ましたし、予算書もいま見せていただきましたが、三十二万、これで四十四年度でできるのかどうかということなんですがね、まずそれ一点お伺いいたします。それから、常識的に考えて、一般図書と同じような扱いをするためにはどの程度の期間を要するのか、人員を要するのか。一般図書と同じように将来扱う気持ちがあるのか、ないのか、この点をひとつ。
  112. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 冊子目録をつくりますためには、まず書架上にあるべき図書が現在確かにあるか、そういうものを帳簿その他と照合いたしましたり、あるいは冊子目録をつくる原稿ともなるべきいろいろの事柄を記述したカードその他の原稿を作成しなければなりませんので、主としてそういう雑役務費的な考え方で本年度三十二万円の予算が計上されているわけでございます。冊子目録の本体の印刷その他につきましては、当然、明年度以後、大蔵省等とも折衝して要求をいたしたいと存じております。それから、本来的に児童図書を一般の学術図書等々と同じように扱うかどうかというお話ですが、これについてはいささか申し上げなければならないと思いますが、結論的にはそういう必要があるというふうに私は考えております。もちろん、高度の調査図書館である国立の図書館でございますから、公共図書館のように地域の一般の児童その他に直接読んでもらうという図書館の性格とは違いますから、そういう必要はないということは関係者一同みんな認識が一致しております。しかしながら、現在の児童図書がどういうものであるか、子供の読書環境がどういうものがあてがわれているかということを調査研究しなければならないという考え方は当然であろうと思います。現実には、過去においてはそういう需要あるいはそういう動きがやや少なかったためもありまして、また時間があれば経緯をずっと申し上げてもよろしゅうございますが、そういうことには至っておりませんですが、ことにこの一両年そういう関心が非常に深くなりまして、児童図書といえどもそれを調査研究する立場からは非常に大切な文化財である、その児童図書を完全に整理し、完全に保管し、容易に利用し得る状態にしてもらわなければ困るという御要望は、まことにそのとおりだと思います。それがために、私どもは、冊子目録でこの需要に応じたいと思っております。  それで、ちょっとふえんいたしますと、カード形態の目録と冊子形態の目録がございまして、カード形態の目録でないと使いにくいと考えられる向きがございますが、カード形態の目録と冊子形態の目録とは一長一短がございます。従来、ヨーロッパの図書館においてはほとんど冊子形態の目録でございまして、アメリカはカード形態の目録が多かったのでございますが、最近、電子計算機の発達、それの利用に便だというような意味で、アメリカにおいても冊子形態の目録がずっと行なわれるような趨勢になっております。それで、閲覧者から言えば、冊子目録を引く、また冊子目録はカードと違ってどこへでも置き得る、また一覧性がある、場所をとらないといういろいろな利点もございまして、カード目録の利点は、アップ・ツー・デートにいつでも維持されているという点がそうでございますが、サプリメントを出すとか、いろいろそのつど修正していくというようなことで補いますれば、冊子目録におきましてもその欠点を補って長所を遺憾なく発揮することができるように思いますので、私といたしましては冊子目録をつくることによって利用者の御要望に応ずることができると思っておりますが、これはいろいろむずかしい問題もありましょうし、また専門家その他関心の深い人もありますし、そういう人々の意見も十分聞いて、できるだけ利便の多いように考えたいと存じております。
  113. 村田秀三

    村田秀三君 十分詳しく御説明いただいたわけでありますが、時間がなくなりますから前に進みますが、いずれにいたしましても、内容的にはなるほどいろいろな問題があろうかと思いますが、少なくとも一般の要望にこたえられるように、しかもすみやかにそういう措置をひとつとっていただきたいという希望を述べて、この問題は終わります。  次に、やはり図書館長にお伺いいたしますが、時間がないのでどうも恐縮なんです。欠員の不補充問題が衆議院議事録を見ますとございます。そこで、ちょっと私議事録見ながらふしぎに思いましたのは、館長のお気持ちとしては、これを埋める気持ちはあり、しかも、なおかつ努力をしておる、こういうことであります。ところが、四十三年の三月から欠員が一名、もう一年になりますね。八月から一名欠員になっておる。こういう事情の中で、私どもが聞いている限りにおいては、何か履歴書が出ておるというようなことを聞いておるわけですが、その事情を。
  114. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) ただいま御指摘の点は、当館の製本関係職員に二名欠員があって、その補充がなかなかすみやかにいってないではないかというお話であろうと存じます。そういうことがございました。それで、私どもといたしましては、製本業務自体を非常に重視しておりますし、製本がそういうことのために、それに要する期間がおくれるようなことがあっては相ならぬということで、鋭意補充につとめてまいりました。時間もありませんので経緯は省きますが、四月一日――もう一両日で一人は発令する運びになっております。もう一人は、すでに内定をしておりますが、その人が現在のつとめ先をやめる猶予期間というようなものが若干あるようでございまして、その期間が済めばすぐ採用する。いずれにいたしても、近々のうちに二名とも充当するようになっております。
  115. 村田秀三

    村田秀三君 はいわかりました。それであればよろしゅうございます。  次の問題ですが、国会手当の問題に入りますが、図書館の職員と衆・参の職員との間に格差が設けられておりますね。非常に私もこれはふしぎに思うんですが、どうしてこのようになっておるのか、一応事情説明していただきたい。
  116. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 御承知のように、また御指摘のように、国会手当につきましては、両院の職員と国立国会図書館の職員の間には若干の差異がございます。それで、御不審を抱かれるのは、きわめて私どもからいいましても当然であろうと思います。実はこの差は、沿革的に申しますと、かつてはよほど多かったのでございまして、昭和四十年度で言いますと、両院はもちろん全職員がこの手当を受けるに対しまして、国立国会図書館は四分の一強の人が受けるにとどまり、かつその四分の一の人といえども両院の半分であったわけであります。その後、この四分の一輪が四十一年には二分の一強になり、四十二年度からは、おかげをもちましてようやく全職員にあまねく支給されることになったのでございまするが、その全職員と申しましても、四十二年で申しますれば、四百十五人が両院の半分、残りの三百九十三人が半分のまた半分、つまり両院の四分の一ということになっております。それで、四十三年、それから御審議を願っている四十四年と、逐次その割合は改善を見て近づいてはおるのでございまするが、全体的に言ってまだまだしかるべからざる数字になっておると私ども考えます。それで、何がゆえにこういうことになっておるかという御不審がさぞおありだろうと思います。国会職員給与等に関する規程を見ますと、「国会開会中において勤労の強度が著しい事務に従事した国会職員には、予算の範囲内で、国会特別手当を支給することができる。」となっております。この「国会開会中において勤労の強度が著しい」云々ということは、とりもなおさず、国会活動と密着して、国会活動と膚接して起きている職務というふうに沿革的に考えられておったと思います。図書館におきましても、両院の議員の方々のレファレンスに回答を申し上げる調査局とか、両院の議員の閲覧に直接奉仕をする議員閲覧関係の人々、あるいはこの議事堂にわれわれの分館がございますが、そこで両院の議員の閲覧に直接奉仕をする分館の人々、こういった人々は当然国会活動に直接密接した奉仕をしておるのでございますが、私が考えまするに、調査局の人々がレファレンスを書き、閲覧関係の人が本を提供する、こういうことも、初めから当館に本が納入されてくる、その登録事務をする、整理分類の事務をする、あらゆる資料を収集する、そういうことによって、レファレンスの回答もし、閲覧も願っておるわけでございまするから、国立国会図書館の機関という全体が国会に奉仕しているんだということをお考えいただいて、国立国会図書館の職員全体について、両院に劣らざる国会特別手当を支給していただきたいというのが私の就任以来のかたい考え方でございます。しかしながら、従来の沿革もあり、こういう根拠規程の表現もございますので、なかなか思うにまかせませんけれども、今後とも、皆さま方の格段の御支援をいただきまして、私はこの努力を続けたいと思っておるわけであります。
  117. 村田秀三

    村田秀三君 館長のお気持ち、努力もわかります。そうしますと、これは大蔵省ですか。これはどう考えておるのか、大蔵省の方おりませんか。
  118. 金光邦夫

    説明員(金光邦夫君) 館長からただいま従来の経緯についてお話がありましたとおり、従来からの考え方の経緯、バランスの問題等尊重いたしまして、かような計算にいたしたという状況でございます。衆・参のバランスの問題、あるいは衆参と図書館とのバランスの問題、ここが非常に私ども作業をいたします場合に気をつかうところでございます。そこで、いま申し上げましたように、経緯は尊重するけれども、間差についてはできるだけ是正していくという考え方でございます。
  119. 村田秀三

    村田秀三君 大蔵省の方に申し上げますが、いま館長が述べたとおりだと思うのです。私らも率直にそう思っておる。そして、よしんば、図書館に国会の会期中、時間的におそい時間に本を借りに行かなくとも、一定の時間拘束されているということを私は聞いていたんですね。そうすると、なるほどいま館長がおっしゃられる理論というものは成り立つということなんですね。したがって、やはりこの考え方が認められるとするならば、これは差を設けるべきじゃないという考え方を私は持っておるわけでありますから、ひとつ要求が出された際にその辺のところを十分に考慮をして、そしてまあ、言ってみれば国会図書館の職員も衆参の職員も同じようにこの国会周辺の業務をやっているわけでありますから、最大限の考慮をひとつ払っていただきたいということをこの際申し上げて、この問題はあとへ残します。  次に、これは参議院の総長にお聞きいたしますが、相当深夜に及ぶ国会があるわけです。職員の方はいつまでもお残りをいただいておるわけですね。場合によると交通がなくなる、よしんばあっても、相当いま通勤距離が延びていますから、どうしても帰れないという事情も出てくるかと思いますね。その場合は、職員の方はどうなさっておられますか。
  120. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 深夜の勤務につきましては、毎国会やむを得ずあるわけであります。われわれといたしましては、その必要の最低限度は勤務者を残すわけでございまして、ことに女子職員等におきましては、議事の進行ぐあいを見まして、なるべく交通機関のあるうちに早く帰す、こういうような手段を講じておりますが、いろいろな御事情で深夜にわたる委員会、本会議がありますと、これは職員としては当然これについては万全の策を講じなければいけませんので、われわれといたしましては、その対策として、交通等につきましては臨時バスその他を配慮して帰れるときは帰す、それから、ぜひ徹夜して居残らなければならないときは、ただいまいろいろな方法を用いましてやっておりますが、前年、いまの委員会庁舎が建っておりますところに古い木造の建物がありましたときは、非常に大きな部屋がございまして、休憩室その他十分にとれましたので、わりあいによく処理ができましたが、あの辺は取り払われましたので、現在は、私から申し上げるのはいかがかと思いますが、私としても足りないと思っております。これはまあ、いろいろな部屋を利用いたしまして、ふとん、毛布等十分供給して、やむを得ず一夜を明かしてもらう、こういうような実情でございます。しかし、ただそういうことで安穏としておるわけにはまいりませんのですが、御承知かもしれませんが、向こうの自動車課のあき地がございます。あそこに事務局庁舎を建てる計画がございます。まあ、この国会の周辺の建物がこれだけりっぱになりましたが、あれが最後の建物じゃないかと私は思っておりますが、大蔵省にもお願い申し上げまして、非常に余裕のある規模のものをつくっていただいて、いわゆるレクリエーションその他の声もございますので、りっぱな建物をお願いしておるわけでございます。そのときに、これらのことに関連いたしまして、りっぱな休憩室も設備いたしたい、こう考えておる次第でございます。いまのところは、はなはだ残念でございますが、非常に不備な問題も相当あるというわけでございます。
  121. 村田秀三

    村田秀三君 時間が超過して申しわけないんですが、考え方、展望をお聞きいたしましたが、その新しい庁舎はいつできるわけですか。
  122. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 四十五年度以降にお願いしてございます。
  123. 村田秀三

    村田秀三君 四十五年度以降ですか、これは早くやっていただかなければなりませんね。
  124. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) なるべくそういたしたいと思います。
  125. 村田秀三

    村田秀三君 その前に、ほんとうにこういう事情をいろいろ聞かされましてね、まあ私らでしたら、車が待機していただいて宿舎へ届けていただく、それでいいわけですが、どうしていなさるのか、実は心配しているわけです。聞くところによれば、従来床に寝たとかという話もありますしね。これじゃ非常に困るわけでございますから、そういうことのないように、新庁舎建設までの間は、十二分に配慮をすると同時に、四十五年度以降と言いますが、四十八年になりましたというようなことでは困るわけでありますから、最大限の努力をして、すみやかにこういう問題を解消していただきたいということを強く希望を申し上げておきます。  もう一問だけごかんべん願います。これも衆議院会議録を見まして、職員の方々はレクリエーション施設を強く希望しておるようですが、これはどこへ行って話を聞きましても、そういうのがないわけですね。この前の衆議院会議録を見てみますと、旧参議院会館のあとを整地して、将来の計画としては図書館の分館を建設をしたい、それまでの間何らか方法を講じて簡易な施設をつくりたいと聞きました。何かこう考えだけ述べておられて、やるのかやらないのかということははっきりしていないように会議録では見受けられますので、この辺のところをしかとお聞きをしておきたいと同時に、どうしてもそれは確保してやる必要かあると私は思います。こういう立場でお答えいただきたいと思います。
  126. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) お話のとおりでございまして、この国会の周辺に休憩時間を利用して職員がレクリエーションをやるという必要に迫られておりますものですから、ただいま問題になっておるとおり、参議院なり衆議院なり、図書館の別個の問題でなしに、三者共同で協議していかなければならないような実情でございます。まことに狭いので恐縮ですが、その点ではいつも三者共同の会議を開いて行なっておるわけでございますが、先ほど山本先生の御質問にも衆議院の庶務部長が答えられましたが、十分努力いたしまして、一刻も早くそういう設備をしたいと思います。
  127. 三樹秀夫

    衆議院参事三樹秀夫君) お答えいたします。  旧参議院会館のあと地につきましては、四十四年度の衆議院予算でございますが、環境整備費といたしまして、具体的に申しますと、あそこを整地します費用、あるいはさくを設ける費用を認められまして計上されております。あの土地は、御承知のように、図書館の工事のためにずっと使われておりまして、先ごろ私のほうへ返還になりました。ただ、議事堂周辺の工事のための埋め戻しの土を一部いま置いているようなわけでございます。できましたら、さっそく測量、設計に取りかかりまして、大体の構想といたしますと、さくの内側に木立を設け、その中にテニスコートを三面ぐらいつくりたいと思っております。このことにつきましては、あの土地が国有財産法上、衆議院になっておりますので、工事の施行はあるいは私のほうで行なわなければならないかと思いますが、具体的な設計その他につきましては、院、図書館とも十分に申し合わせしたいと思っております。  なお、この際つけ加えさしていただきますが、参議院電話交換所のあとにやはり衆議院の所有の土地がございまして、これも参議院当局と協議いたしまして、あそこに、とりあえず、バレーコートを一面つくることにいたしまして、これは来月早々でも着工いたしまして、五月末には完成すると思います。多少手狭でございますが、利用してもらえるんじゃないかと思います。それで、実際の使用につきましては、参議院の当局とも十分に御相談いたしたいと思っています。
  128. 村田秀三

    村田秀三君 わかりました。そういうことで十二分に御配慮をいただきたいと思います。
  129. 多田省吾

    多田省吾君 私は最初に、調査室のことについてお伺いしたいんですが、常任委員会の調査室は、どういう根拠規定によって設けられているか、お答え願いたいと思います。
  130. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) お答え申し上げます。  昭和三十年七月十五日、参議院議長決定によりまする参議院常任委員会調査室規程という規定に根拠を置いております。
  131. 多田省吾

    多田省吾君 これは、参議院常任委員会調査室規程というものは、それではいかなる根拠規定によっているのですか。
  132. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) これは一つの規程でございまするが、これは事務局法に根拠を置いているわけです。
  133. 多田省吾

    多田省吾君 国会法によっていませんか。
  134. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) はい、国会法。
  135. 多田省吾

    多田省吾君 根本は国会法だと思いますが、国会法の四十三条に、「常任委員会には、専門の知識を有する職員(これを専門員という)及び調査員を置くことができる。」と、このようにございます。この趣旨というものは、いわゆる専門員、すなわち調査室長ですか、いまそうなっておりますが、結局専門の知識を有する職員及び調査員を置くということであって、いまのように室を置くということではないと思うんですが、結局専門員、調査員、個人個人を置くという意味ではないかと思いますが、どうでしょう。
  136. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) これも参議院が発足いたしました当時は、多田先生のおっしゃるような考え方でおりました。それで、専門員並びに調査員を置いておったのでございまするが、俗にこれを専門員室と、こう何の規定もないのに呼んでおったわけでございます。それで従来経過いたしたのでありまするが、どうしてもそういう考え方でございますと、責任制といいますか、そういう点について欠けるところがあって、どうもいろいろ同じ専門員の間でも意見が分かれ、上下の関係も非常に紊乱をして、思わざる経過を生じたこと等にかんがみまして、三十年に至りまして、責任体制のある機構をつくらなければならぬという必要に迫られましたものでございますから、議院運営委員会におかけいたしまして、本規程をつくったわけでございます。
  137. 多田省吾

    多田省吾君 結局、いまお答えがありましたけれども、この調査室というものを賢くということが、国会法の精神によれば、専門員または調査員ということでございますから、国会法の趣旨に反しているんじゃないか、あくまで個人個人に責任を持たせ得るのではないかと、したがって、事務局法あるいは常任委員会調査室規程というものも、変えてよろしいんじゃないかと、こう思いますが、どうですか。
  138. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) その点につきましては、出発の当初はそういう考えが強うございましたが、われわれといたしましては、この補佐機関としては、個別に、思うがままに、各自単独に行なっては非常に変な効果が生じますので、どうしても一体として動いてもらわなければならないという必要に迫られましたもので、この規程をつくったわけでございます。
  139. 多田省吾

    多田省吾君 私は、そのお考えはちょっとまあいい点もあると思いますけれども、非常にまずい点もあるのじゃないかと、こう思います。たとえば個別に、まあ前は専門員、調査員ができていたために、責任分野がはっきりしなかったと申されますけれども、いわゆる伸び伸びと活動できたという面はあったわけでございます。最近は調査室ということに縛られておりまして、なかなか担当分野で伸び伸びと活動できないというような窮屈な面が多分にあるのじゃないかと、こういった面は、この四十三条の国会法から見れば、昭和三十年につくったこの規程というものは、ちょっとおかしいのじゃないか、こう思いますけれども、どうですか。
  140. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) 調査室が一体となって活動して非常にいい効果をあげてまいっておりますが、統轄されて、また各自の自由な手腕の発揮という点につきましては拘束されると、こういうきらいもあるいは二、三あった実例もあるかもわかりませんが、この点につきましては、これが運用の面におきまして、室長の責任におきまして十分効果のあがる創意くふうを各自に求めていけば、その御心配の点は解消するのじゃないかと、こう私も思うわけです。
  141. 多田省吾

    多田省吾君 しかしながら、事務総長はそうおっしゃいますけれども、調査室員の中には、まだ伸び伸びと活動できないという非常に不満があるわけですね、私は全員に当たったわけじゃありませんけれども
  142. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) そういう御注意の点につきましては十分考慮いたしまして、室長諸君とも協議をいたして、御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  143. 多田省吾

    多田省吾君 これは総長との意見の食い違いでありますから、まああとでまた考えたいと思いますが、このいわゆる調査室の予算でございますけれども昭和四十三年の予算の中で、図書購入費であるとか、あるいは資料購入費、旅費、こういった予算があると思いますが、その分配の比率は、事務局、法制局、それから委員会調査室と分けていえば、どのようになりますか、お答え願います。
  144. 前川清

    参事(前川清君) 調査室関係予算につきましてですが、ただいま、法制局を含めて分配はどのようになっておるかという御質問でありますが、調査室及び法制局、事務局と、特別に予算面において分配というはっきりしたものは出てまいりません。ただ、予算面にはっきり出ておりますのは、調査室関係におきましては調査室旅費に百五十四万円、これは四十三年度でございますが、そのほか図書購入費、資料購入費等が百五十六万円ほどで、合計して三百十一万円ほど予算が計上されております。ところが、実際の支出は、この予算額にとらわれませんで、その調査室の使命の遂行に必要な経費であれば、これをオーバーいたしましても、その支出を必要と認める限り支出を認めております。  ちなみに、四十三年度の実績を申し上げますと、この額三百十一万円の約三倍の九百三十七万円ほどがもうすでに支出されている状況でございます。また、来年度におきましては、この予算額が今年度より約百五十万円ほど増額が認められまして、四百六十万円となっておりますが、しかし、これは実績から徴しまして、満足すべきものではありませんので、毎年増額の要求は別途しております。  以上申し上げましたのが調査室関係予算のあり方であります。
  145. 多田省吾

    多田省吾君 こういったように、一応旅費とか、その他図書、資料購入費の予算の実績は、三倍も使われているということは、予算そのものが結局立て方自体がおかしいのじゃないかと思います。それほど、また予算がありながら、三倍も使わなくちゃいけないということは、図書購入費にしろ資料購入費あるいは旅費等が、参議院のいわゆる機能発揮のためには必要なんだと、それを、調査室の方々は、大いに必要なんだけれども予算があるからということで、やはりまあおずおずとその調査費等をお願いしなければならないのではないかという点も十分考えられるわけです。ですから、私たちは、こういった図書であるとか資料であるとかということが、やはり国会議員の調査にとっても非常に大事なことでございます。むしろ、そういった宿舎とか庁舎とかよりも大事な面がございます。こういった面については、初めからもっと強く大蔵省にも請求すべきであるし、初めから、予算の三倍も実績は使っておるというような姿にならないように、もっともっと重要な面は遠慮なく請求したらいいと、このように思いますが、どうですか。
  146. 前川清

    参事(前川清君) ただいまの点、まことに私たちもごもっともに感ずる次第でありまして、毎年、予算要求はかなりの額を要求しております。
  147. 多田省吾

    多田省吾君 たとえば、常任委調査室の図書購入費というのは二十四万円だというのですね。そのうち共同購入費が十万円、年間二十四万円だと、これを各調査室が使用しますと、一調査室当たり年間一万円だと、そうしますと、単行本でもいまちょっとした図書は三千円か四千円します。そうしますと二冊か三冊しか買えないのじゃないか、どうしても専門的な知識を持つために調査室の方々が活動しようとすれば、勢い自分のポケットマネーを使うようになる。こういったことも十分考えられます。ですから、まじめな方ほど、そういった自分の個人的な負担が多くなるということも十分考えられます。ですから、十分、図書購入費等は予算をとっていただきたい、このように思うわけであります。  で、さらに、いま調査室の方々が資料要求しますと、政府関係の資料はすぐいただけますけれども、それ以外の資料が、非常に最近は、いわゆる情報革命時代でございますから、たくさんございます。そういったものはほとんどとりにいかなくちゃいけないし、また費用もかかります。それも最近物価の値上がり等で、いままで無料配付されていたものが有料になっておるものも非常に多いと思います。たとえばAPNプレス・ニュースなんというのは月額五百円と、そういう非常に値段が高いわけですね。こういったパンフレット類等は継続してとるような購入費というものも、これから考えていかなくちゃいけない、こう思いますが、どうですか。
  148. 前川清

    参事(前川清君) 図書購入費は、いま先生おっしゃいましたように二十四万円ほどでございますが、そのほかに資料購入用の経費として二百数十万円、調査室のほうにさいておりますので、それによって、いま仰せられましたような経費に充てておるわけでございます。
  149. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、私は調べて言ったつもりなんです。図書購入費というのは、年間一調査室で三冊しか買えないのでしょう。そのほかに二百四十万円といったって、これはもう、膨大ないまの資料から見ればわずかなものだと思いますよ。こういった面に費用をさくということは、これはどうしても必要じゃないかと、こう思うわけです。  そのほか、海外視察の面におきましても、たとえば外務調査室というのは、視察に行きますけれども、われわれも非常に悪いのですが、議員に随行していくわけです。議員というのは、非常にわがままなものですから、大体調査の方々がいろいろ議員の世話に当たると、こういう余分のこともしなくちゃいけない。そうしますと、調査活動としてはほとんどやられなくて、議員の世話ばかりして終わってしまう、こういったことでは非常にまずいと、やはり調査活動の充実の面からいえば、調査室独自の海外調査活動もある面においては必要じゃないか、こういうことも考えられます。こういったことはお考えになっておりますか。
  150. 前川清

    参事(前川清君) 調査旅費といたしましては、先ほど申し上げましたように、四十三年度では百五十四万円ついております。そのほか海外旅費につきましては、別途、参議院全体の海外旅費というのがございますが、調査員が議員さん方に随行しないで単独で行くというどうしても必要な事態が生じましたならば、その内部において操作してやっていくよりしかたがないと思いますが、そういう面でカバーできるものと考えております。
  151. 多田省吾

    多田省吾君 それも昭和四十三年度で百五十四万円ということじゃ、なかなかいけないと思いますがね。  それから車の問題もあります。いまたしか車は四台配車されていると思いますけれども、いわゆる事務局車として、各党の車がなかったような場合に、ちょっと使われているようでございますけれども、やはり調査活動の大事なことを思えば、またそれを敏速化するということも考えまして、この四台の車は、規定どおり調査室専属、こういうわけにはいかないものかどうか。
  152. 植木正張

    参事植木正張君) 車に関しましては、事務局車というものが非常に数が少のうございまして、たしか十二台くらいしかないのでございます。そのうち四台を回しておるのでございますが、昼間は各所へいろいろ連絡にいくとか、その他で、事務局もフルに使いますと、峻別しておりますと、非常に使い方が非能率かつ困難になりますので、やむを得ずプールして使っておる。しかし、一応、調査室では四台くらいは常時お使いできるように用意してあるというのが実態でございます。
  153. 多田省吾

    多田省吾君 それから、先ほど総長から、常任委員会の調査室のいわゆる規程のお話がありましたけれども、非常に見てみるとこまかいわけですね。それにとらわれると、やっぱり活発な、伸び伸びした活動ができなくなってしまう、この点は十分気をつけるという御答弁がありましたけれども予算の面でも、いまのように非常に図書購入費あるいは資料購入費も少ない、旅費も少ない。で、いまはそういった資料等においても、非常に民間の資料も多くなっているので、金がかかる、こういった面から考えまして、調査室の活動を活発にするためには、やはり民間の資料等もたくさん集められるような規程にして、そして国会議員の調査というものをもっともっと充実すべきではないか、このように思いますけれども、総長はいかが考えられますか。
  154. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) ただいまの御注意の点は、十分私ども了承いたしまして、調査室の室長の会議がございますので、そこへお尋ね申し上げます。また、これが財政的な裏づけ等につきましも、管理部を督励いたしまして、将来とも十分み資料のできるように努力いたしたいと思います。
  155. 多田省吾

    多田省吾君 それから特別委員会はいま現在七つですか、できたわけでありますが、いま特別委員会についての規定がないために、特別委員長から常任委員長にお願いして、いわゆる調査員を派遣していただく、このようになっておりますけれども、これは、こういうように特別委員会が長期にわたって七つも活動しているようになりますと、規定がないということも、これはちょっと考えものじゃないかと思いますが、その何らかの規定を設けるお考えはございませんか。
  156. 宮坂完孝

    事務総長宮坂完孝君) この点につきましては、衆議院と異なりまして、参議院の特別委員会の調査事務のやり方は、議院運営委員会で御決定をいただいたわけでありますが、特別委員会と密接な関連のある常任委員会の調査室が主となりまして、これに関連を持った数個の委員会の調査室がこれを応援する、こういう体制でいままできておりまして、まあ将来、私たちも、人員が非常に増員された場合は別でございますが、しばらくの間はこの体制でいくことが一番いい体制じゃないかと、こう思っております。それで、ここ数年、常置の特別委員会が設置されておりますが、二年前でございますか、非常に人員不足などございまして、われわれ事務局から四名応援の人員を出しました。また、ことしも大蔵省の御高配を得て、二名、上級の調査員ができましたのでございますので、これらを勘案いたしまして、常任委員会の調査室に配置をいたして、その調査を進めていく、こういう計画でございます。
  157. 多田省吾

    多田省吾君 次に、衛視さん、議警職の方、それから自動車課の職員の方々の被服の点でございますが、職員の方々の被服といたしましては、もっと上等な被服が貸与していただけないものかという声が非常に強いのですが、衆議院の被服というのは、五千円くらいもするらしいのですが、参議院はどのぐらいしているのか、それから大蔵省からどのような補助が出ているのか、あるいは購入方法はどうなっておるのか、耐用年数はどのくらいなのか、そういったことをちょっとお願いします。
  158. 前川清

    参事(前川清君) いま衛視等の被服の品質が少し悪いのじゃないかという御意見もありましたが、その点、先に申し上げますと、現在、衛視の被服は、耐用年数大体二年半を基準にしておりますので、それに耐えるような生地を使っておりまして、生地としては一応最高級品を指定しております。したがいまして、これを注文する際には、契約業者に対しまして、生地のメーカーからの出荷証明の提出を義務づけるなどの裏づけを行なっております。それから金額について申し上げますと、衛視の服のうち、冬服は上下で最近六千四百五十円のものを支給しております。それから、夏服は上下で五千八百八十円、盛夏服上下二千四百十円、外套は五千五百円。それから運転手、冬服上下が五千七百五十円、夏服上下が五千二百円。それから用員につきましては、冬服上下五千三百円、作業服の上下が二千三百円、以上のような額のものを注文しております。  それから耐用年数ですが、一応、衛視の冬服、夏服について申し上げますと、冬服は二十カ月間ということになっております。それから夏服は十カ月ということになっております。これは着用期間を基準にしております。
  159. 多田省吾

    多田省吾君 それから、こまい問題になりますけれども、たとえば衛視の方の宿料が月五十円ですか、これは昭和二十九年から変更されていないというようなことを聞いておりますけれども、それは増額をお考えになっておるのか。  それから六品料、いろいろワイシャツとか手袋とか、そういった費用が年で三千八百四十円、月額三百二十円。これも昭和三十二年以来値上げされていない、こういうことですが、これは大蔵省から出ているのか、庁費でやっているのか、簡単にお願いします。
  160. 前川清

    参事(前川清君) まず衛視の宿料について申し上げますが、これは国会職員給与規程に一応規定がございますが、これのできました沿革はかなり古い時代からございまして、いつごろからか、ちょっとさだかでございませんが、帝国議会当時からあります。その当時、衛視につきましては、議院の建物から一時間以内のところに住まなければならぬというような規定もございました。それを受けまして、宿料というものが支給されていたのでございます。これは宿料と申しましても、宿舎手当と申しますか、そういった性質のものでございまして、宿直料というものとは性質を異にしております。しかしながら、その後、戦後になりまして、住宅事情が一変いたしましたので、近くに住むという要請がなかなかむずかしくなっております。また、これをカバーするために、衛視だけに住宅手当を支給するということも困難となってまいりました。したがいまして、現在では、宿泊のためには公務員住宅等を貸与する、そういった面で解決をせざるを得なくなっておりますので、したがいまして、いま申し上げました宿料の意義が、戦前において考えられましたような意義を失ってきておりますので、ただ、規程に残っておりますし、予算上はいわば一つの既得権というような形でそのままの姿で現在存置してある、そういうことでございます。  それから、いわゆる六品料という問題でございますが、これは衛視にはいろいろな被服が貸与あるいは給与されておりますが、そのうち、ワイシャツとかカラーとか、ネクタイとか、そういうものにつきましては、これは現物を支給しないで、代料、すなわち金でもって支給することができることになっておりまして、それを受けまして、年間三千八百四十円の金額が予算に計上されております。これは毎月支出されておりますので、月額でいいますと三百何円かになりますので、それだけ取り上げますとまことに少ないようでございますが、一年分まとめますと三千八百四十円でございますから、これはかなりな額になるわけでございまして、ワイシャツとか、ネクタイ等の耐用年数から考えてまいりますと、さほど非常識な線ではないのではないかと存じております。しかしながら、これだけで十分とは申せませんので、毎年のようにこの増額要求を繰り返し行なっております。また今後も行なうつもりでおります。
  161. 多田省吾

    多田省吾君 非常識じゃないとおっしゃいますけれども、この規程では、たとえばワイシャツ二枚、手袋二双、ネクタイ一本、カラー二枚、くつ一足、くつ下二足となっておりますけれども、全部そろえて三千八百四十円というわけにはまいりませんし、三十二年以来値上げされていないということも問題だと思いますので、これはお考えを願います。  それから、先ほども村田委員等からも質問もございましたけれども、たとえば速記職の方の特に女子職員の方々、あるいは衛視の方々の徹夜国会等におきます待機場所、あるいは休憩場というものが、いま非常にたいへんだと思うのです。また自動車課の方々の夜の宿泊なんかも、非常に冬は寒いし、夏は暑いし、なかなかたいへんだと聞いておりますが、端的に、そういった改善はどのようにお考えになっておられるか。
  162. 前川清

    参事(前川清君) まず自動車課の職員の宿泊所につきましては、自動車課の会館の地下、自動車のガレージの近くにございます関係等で、環境はいいとは申せませんので、これの改善については種々検討いたしておりまして、最近にもこれを改善する計画は立てております。  それから、そのほか深夜国会における待機もしくは休憩等の場所につきましては、先ほど総長から申し上げましたように、現状をもってしては、この院内のスペースからいいまして、直ちにはかなりの大きなものを設けるということは困難でありますので、将来のこととして検討していきたいと思っております。
  163. 多田省吾

    多田省吾君 職員の方の昇格については、いま同期同列型というようなことをおっしゃっているようでありますけれども、そのまま運用されているのか。また、最近非常にくずれているようでありますが、それはどうなのか。退職金なんかも非常に差があるわけであります。それから行政職と議警職の差は、給与、退職金についてどの程度になっておりますか、まとめて御答弁願います。
  164. 植木正張

    参事植木正張君) 前段の同期同列という問題でございますが、下位等級職員につきましては、大体その能力とか、その他はあまり考えないと申しますか、その必要性もありませんから、大体同期同列的な運用で上がってくるわけでございます。ただ問題は、係長とか、課長補佐とか、そういう役付きという段階になってまいりますと、おのずからその役にふさわしい能力なり、そういうものが必要になってくるわけでございます。その辺でだんだんに差がついてくるということは事実でございます。また議警の場合を申し上げますと、議警というのは、特に副長あるいは衛視長というのは、統率能力というものが必要な職種でございます。一般衛視というのは、昇進が非常に他に比しておくれているところがございます。ここらでは相当年配の古くからつとめている衛視というようなものは、なるべくそういう能力主義のみでなく救ってまいるという考え方でございます。  それから行(一)、議警の退職金の問題でございますが、これは給料表が基礎になり、あるいは勤続年数その他が基礎になって計算いたしますので、一般的にどちらが有利不利ということは、ちょっとただいま申し上げかねるのでございます。ただ、たとえば大体、衛視長クラスであれば、行(一)の課長補佐クラスと変わらない給料をもらい、場合によってはもっと高い。それから基本的にいえば、衛視のほうが年金がつく年限が短いということがございます。
  165. 多田省吾

    多田省吾君 最後に図書館長に二、三お伺いしたいと思います。  最近は情報革命の時代でありますし、技術革新も非常に前進的でございます。そういった面で、機械化という点をどのように進めておられるか。それから第二番目には、蔵書数も非常に多くなっているようでありますけれども、アメリカやソ連等と比べると、まだ非常に弱体のように思います。そういう点をどう考えておられるか。  第三点は、特に調査局の問題でありますけれども、国内はよろしいかもしれませんが、海外の資料の収集ということにおいては非常にたいへんだと思います。したがって、主要国には駐在員なんかを置いて、資料収集に当たらなければならない面もあるんじゃないかと思いますけれども、その必要な経費やあるいは昭和四十四年度における予算がそれに対して十分なものであるかどうか。  この三点をお伺いして終わります。
  166. 河野義克

    ○国立国会図書館長(河野義克君) 便宜、機械化の問題を最後に申し述べさしていただきたいと思います。  国立国会図書館の第二期の工事も昨年完成をいたしまして、その建築の規模あるいは図書館サービスの態様からいいまして、私どもといたしましても、世界で指折りの図書館であると存じておりまするけれども、御指摘のとおり、蔵書の量になりますると、まだまだこれから努力すべき余地がきわめて多いのでございます。四十四年一月末現在で申しますと、図書としては二百四十三万二千数百点、それから地図、レコード、マイクロフィルム、博士論文、点字書、その他いろいろ特殊の資料がございますが、そういうのは合計いたしまして二十五万四千三百三点になります。簡単に申しまして、図書が二百四十三万ということは、アメリカの議会図書館に比べましても、ソ連のレーニン図書館に比べましても、いまおっしゃいましたように、はるかに及ばないのでございます。ほかの規模ではすでにそれを凌駕したかにも見えるイギリスのブリティッシュ・ミュージアムの図書館、あるいはフランスの国立図書館、こういうものに対比いたしましても、蔵書の数ではだいぶ劣っているのが現状でございます。私どもは鋭意この蔵書を拡充をいたしたい。今度の御審議を願っている予算におきましても、図書購入費が三六%増しておりますが、これは図書館開設以来のことでございまして、私どもはさらに努力をいたしまして、この蔵書の充実をはかってまいりたいと存じております。  それから、海外に駐在員その他を置いて、海外の資料をもっと集めるようにしたらどうかと、この点もまことにごもっともでございます。すでに米国の議会図書館は、世界の十数の国に海外事務所を置きまして――東京にもございますが、それぞれ当該国の中央図書館等と協定をいたしまして、その国の出版物、学術的価値のある出版物は全部購入し、これを米本土に送りましてカタログにすることをやっております。ソ連におきましても、あるいはドイツ等に――デュッセルドルフに駐在員を出したこともあるように存じます。私どもは、そういう駐在員を出して云々ということをもとより希望いたしますが、それよりも第一の着手としては、海外に出張をいたしまして、各国の出版事情、あるいは図書を輸入するにはどういうふうにしたらいいか、その手順、そういうことをつまびらかにいたしたい。また、普通のルートではなかなか入ってこない、国よりも下がった州とか、ランドとか、いろいろなところの資料を集めたい、そういう希望を持っておりまして、そういう欧米であり、東南アジアであり、アフリカであり、そういうところに資料の収集のために職員を出張せしめたいという希望を強く持っておりますが、現在、海外出張につきましては、国際会議に出席をするという以外におきましては、なかなか認められないのが実情でございまして、私どもといたしましても、国際ドキュメンテーション連盟の会議、あるいは国際図書館協会の会議以外には、なかなか認めてもらえない現状であります。こういうことにつきましては、今後格段の御支援も得て、私どもも努力をしてやっていきたい。さらには、いまおっしゃいました海外に駐在員を置いて云々というところまでいきたいものと存じております。  それからコンピューターの問題でございますが、これは世界の大きな図書館、別して米国の図書館においては、相当普遍的にもはや開発をされております。一九六六年にアメリカの図書館専門協会で調査をしたところによりますと、すでに六百三十八館の図書館がコンピューターを導入し、九百四十二の図書館が導入を計画しております。米国の国立図書館である議会図書館、医学図書館、農業図書館はもとより、各大学図書館等においてずいぶん行なわれております。ヨーロッパにおきましても、英国のロンドンにあるナショナル・セントラル・ライブラリ、あるいは大学図書館、あるいはオランダのデルフトであるとか、ドイツのボークムとか、こういうところではコンピューターの利用が大々的に開発をされております。そういう趨勢からいきましても、わが国内外の図書館からの需要に応ずるためからいいましても、特にわが図書館の規模からいって、その業務を充実し、発展さしていくためには、どうしてもコンピューターの導入を含めた機械化ということを促進しなければならない時期にきていると思います。昭和四十年から私どもは館内に業務機械化調査会というものをつくりまして、鋭意このことを研究し、また実験的にもいろいろなことをやってまいり、書誌の編さん等も行なってきております。これを昨年末でありましたか、本年一月でありましたか、業務機械化推進本部と改組をいたしまして、いよいよコンピューターの導入が日程にのぼったという考え方のもとにやっております。実は本年度のいま御審議を願っている予算におきましても、このことを要求いたしたのでございますが、種々折衝の結果、明年度においては、それに協力をしましょう、今年度においては、さらに六百数十万、いろいろ予算をつけるから、開発的なことをやってほしい。それで大事な国費がむだになってはいけませんから、慎重に準備をしてりっぱにやってほしい、そうしましょうというようなことでやっておるのが現状でございます。
  167. 小林章

    主査小林章君) 以上をもちまして、国会所管に関する質疑は終了したものと認めます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  168. 小林章

    主査小林章君) 速記を起こして。     ―――――――――――――
  169. 小林章

    主査小林章君) 次に、昭和四十四年度総予算中、外務省所管を議題といたします。  政府側説明は、これを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それではこれより質疑に入ります。  分科担当委員外委員羽生三七君から発言したい旨の申し出がございます。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、発言を許します。羽生君。
  172. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 御承知のように、予算委員会が異例の状態で再開されましたので、分科会の時間が非常に短縮されたので、思っていることの何分の一も言えないわけでありますが、きわめて簡潔にお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、アメリカのアイゼンハワー元大統領の死去に伴って元首相岸さんが特派大使というのですか、渡米されるわけでありますが、その際に外交問題等に触れることがあるのかどうか、この点を伺います。
  173. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) アイゼンハワー元大統領がなくなられまして、哀悼の意を表しておるわけでございますが、政府といたしましては、今朝、訃報を受けましてから、私も総理大臣と相談をいたしまして、故人と最も親しかった元総理の岸さんを葬儀に参列させることが適当であろうと考えましたので、きょうの持ち回り閣議で、アイゼンハワー元大統領の葬儀に参列のための特派大使として持ち回り閣議でもちて発令をいたしました。明日から四月の四日までの予定をもちまして派遣することにいたしました。これは閣議できまりました目的もいま申しましたようなことでございますから、葬儀に参列するための特派大使と、こういうふうに御理解をいただきたいと存じております。
  174. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) なぜ私がそういう質問をしたかといいますと、そういう意味での渡米とは別に、前々から岸さんが何らかの形で外交問題に関して特別の任務を持って渡米されるのではないかという報道があったので、こういう葬儀という特別の機会に――そんなことはまずないだろうと思うけれども、この機会を利用して、そういう外交問題に触れることがあるのかないのか、それを承りたかったわけです。そういうことはないと了解してよろしいですか。
  175. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 御案内のように、日米間の懸案等につきましては政府としても方針を検討中で、まだ最終の腹がまえもできていませんし、今回の岸特派大使の渡米の目的は、先ほど申し上げましたとおりでございますから、さようなことはございません。
  176. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 次に、先ほどの参議院予算委員会の総括質疑の際に、どなたかの質疑に答えて、外相が、日本が安保常任理事国に加入するよう全力をあげて努力をしたい、ぜひ国連の中枢部へ加わりたいと、そういう意向を表明されたのでありますが、この場合、そのために日本が新たなる義務を負わされるというようなことはございませんか。
  177. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そこまでは実はまだ考えておりませんのですが、と申しますのは、これは国連憲章の改正問題という非常に重大な手続もございますし、現在のところ日本といたしましては、たとえば国連の分担金にしても、もう世界有数の額を拠出もいたしておりますし、また、あらゆる面におきまして平和的な国連の目的には協力をいたしておるわけでございますし、それから、いわゆる核について言えば、持たざる国、こういうユニークな立場を持っております。そういう点からいって、安保理事国、常任理事国としての発言力を持ちたいという願望を持っているわけでございまして、できるならばこの国連憲章の改正等につきましては、その他にも日本の立場からいえば改正してもらいたいところもございますので、そういう点も総括的にいろいろと用意をいたしまして、しかるべくこれから行動にだんだん移ってまいりたいと、まあそう思っておりますので、新たに義務を云々というようなことは実は考えておりません。
  178. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) これはお話しのように、五大常任理事国がもし数がふえるとすれば、規約改正も要るでしょうし、それからもし五大国の一つの、たとえば中国ですね、中国がもし何らかの、国府が問題の対象になるとすれば、一体、中国北京政権との関係をどうするか、そういう問題にもふれるし、非常に重要なことになるので、私、日本政府の念願はわかるけれども、そう簡単なものではない。したがって、そういう意思を持たれる限りにおいては、それらの点について、ある程度の何らかの考え方をお持ちになった上でのこの御発言と考えているわけです。というのは、この間、中枢部へ非常な意欲をもって参加されたいという強い熱意を表明されましたので、特に重ねてお尋ねをするわけであります。
  179. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) もう一つの問題は、実はこの国連機構の中に日本人も参加しておりますが、数は比較的少ない。たとえば一種の割り当ての人員の数がございますが、それに比べても、そこまでははるかにいっておりませんし、それから従来から言いますと、たとえば経済関係その他のところへは入っておりますけれども、いわば事務総長の直系の、つまり政治関係というようなところへは職員としても入っている者は皆無と申してもいいのではないか。いま申しましたような国際的な運動を展開するにいたしましても、やはりそういう点も必要だと思いますので、これらの点については具体的に、二月でありますが、たまたまナラシマン事務事長が来日したときも、特に私も直接会いまして、こちらの要請を強く申し入れておるような次第でございまして、そういう点につきましても、あわせてひとつやってまいりたいと、こう考えて、このほうは相当具体的にもう手は打ちつつあるわけです。
  180. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 次に、実は本会議、それから予算の総括、一般質問等、自分の質問もあるし、他の方々の質問に対する佐藤総理の答弁をずっと聞いておって、こういう問題に私ひとつぶつかったのです。というのは、総理は、たとえば沖繩返還問題については、国民世論の動向をよく考えてとか、あるいは国にとって不利益な選択はしない、いやな選択はしない等々の表現を一貫して用いられているわけです。その限りにおいては私ももちろん異議はないし、当然そうあるべきだと思う。ところがよく考えてみると、その国益、ナショナルインタレストに対する考え方が、総理と私たちと若干違うのじゃないか、その内容が。そういうことをだんだん答弁を承っておって考えさせられる点が出てきたわけです。というのは、何が真の国益かということになると、安全保障上の政策の選択に相当大きな違いがあるのではないか。そうすると、相互に国益を考えながらも、その間に大きな選択の相違が出てくるということがだんだんわかってきたような気がするのですね。そこで、たとえば安保で言う、特に六条で言う極東の平和と安全という問題についての沖繩の果たす役割り、あるいはその戦略的地位、そういった問題を中心に考えた場合と、私たちの言うような、できれば即時無条件返還と、こういう場合とでは、そこに大きな選択上の違いが出てくるわけです、少し意見を述べますけれども。そこで、そういう場合に、よく佐藤総理は、対米追随で弱腰ではないかという批判があるわけですね。ところが、私はどうもそんなに腰が弱いわけじゃない、どうも案外腰は強いんじゃないかという気がするわけですね。というのは、これは対米追随という、そういう面もあるかもしれませんが、アメリカと同じ立場でものを考えている面も相当あるのではないか。追随ではなしに、意見が全く同意見だ、特に沖繩の極東の平和と安全について果たす役割りとか、戦略的地位とかというような問題で、同じことを考えられておるのではないかと推測される節が相当あるわけですね。そこで、それを聞きましょう。そういう場合、私はそういうようなこともあるのではないかと判断をしておるのですが、これは総理に対する私の推測ですが、総理と最も近い立場におられる愛知外相がその問題をどういうふうに御判断なさっておるか、ひとつ承らせていただきたいと思います。
  181. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いまもちょっとお話しがございましたが、即時無条件ということになりますと、無条件ということはどういうことであろうかと考えますと、たとえば、これは安保条約に対する考え方ということになりますと、そこでひとつ意見の開きが私はあるんじゃないかと思います。その次には、安保条約を前提にして沖繩施政権の返還ということをわれわれは考えておるわけでございますが、その際における考え方としては、やっぱりこれは、これもよく総理も私どもも言っていることばですが、第一義的に日本と沖繩の安全を確保するということが私は日本の国益ではなかろうかと存じますが、そういう角度で考えてまいりますれば、あるいはアメリカとの考え方は、違う程度はどのくらいかわかりませんけれども、私はかなり違う点もあるのではないかと思います。したがって、いま羽生委員のおっしゃるように、全くアメリカと同じ考え方に立つとは私は考えられないわけでありまして、まずそういう点についての考え方をお答え申し上げておきます。
  182. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) いや、私の質問は、全く同じだということを言っておるのではないので、そういう側面もあるのではないかということをお尋ねしているわけです。  そこで、それじゃもしアメリカが無条件で返してくれると言えば、日本の政府は歓迎するわけですか。即時、受け入れますか。
  183. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ですから、その無条件ということが、安保を廃棄してということを含むのならば、これを沖繩返還問題とは別な問題として、政府としては安保体制の継続ということを基本政策にいたしておりますから、まあこれは、それこそ仮定の問題ですけれども、安保条約を廃棄するなら沖繩を返還するというその問題の設定であるとすれば、私どもは安保条約の廃棄には反対であるということであります。
  184. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) いや、私のほうは必ずしも安保とからめておるわけではないのです。安保には私どもはもちろん反対なんですが、かりに安保をそのままにしておいて、沖繩について、たとえば基地の自由使用とか、あるいはかなり論議されている核問題とか、すべてそういう問題について、国民世論の動向のとらえ方にもよりますけれども、大体、もしそういうことには国民の大多数が反対だという場合には――安保のことは別ですよ――その場合に、米軍がみな沖繩から撤退したり、基地を撤去したり、あるいは言われるような核というものは全部なくなるというようなことが、かりに、もし安保とは別に、そういうことが実現できるとすれば、これはなかなかそんな簡単なわけにはいきませんが、そういう場合に、日本がそれを歓迎するのかどうか。日本もある側面ではアメリカと同じ考え方に立つというと、案外それは、あるものは残してくれなければ困るというような考え方もあると、これは私たちが考えておった国益と総理あるいはいまの政府の考えておる国益との間には、かなりの違いがあるのではないかという気がするのでお尋ねするわけです。安保と必ずしもからみ合っての質問ではないのです。
  185. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点は先ほど申しましたところに関連するのですが、やはり沖繩を含む日本の安全を確保する道ということは、はっきりこれは確保していかなければならないと存ずるわけでありまして、いろいろの御意見もありましょうけれども、日本の本土におきましても基地も現在まだ相当ございますし、また、ある程度の米軍の駐留もあって、これが日本の安全を守る道にわれわれの認識ではつながっておるわけですから、沖繩から全部米軍が撤退する、そうして沖繩返還だと、それなら歓迎するかと言われますと、それは第一義的に日本の安全ということを考える場合に、国益を守る立場からいって、そう簡単にはいかない、私はまあこう考えております。
  186. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) だいぶわかりました。  そうなりますと、総理がいろいろ今日まで本会議、総括質問、それから一般質問等の過程でお答えになってきた問題、つまり国益を尊重してとか、あるいは国民世論にこたえてとか、あるいは国民が欲しないような選択はしないとか言われておるけれども、それは安保のことを別にしても、沖繩島民多数の考え方や、あるいは国民の私たちから考えれば、かなり多数の人たち考え方と相当距離があるということが察知されるわけです。しかし、きょうはそういうことがわかれば、ある程度は違いがあるということがわかったわけですから、これ以上論じません。  そこで、具体的になるわけですが、そういう場合、沖繩が返還されれば、その防衛責任は第一次的には日本自身が負うという従来の考えは、これは当然でございますね。間違いございませんね。
  187. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それこそ本土と同様に安全を守らなければなりませんから、これはやはり日本の自衛力でこれを担当するというのは、施政権が返れば当然だと私どもは考えております。
  188. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) その場合、沖繩には現に相当数のアメリカの陸海空が、それぞれの部隊が存在しておるわけです。その総数は四万五千とか、五万近いとかいわれておりますですね。その場合、もし第一次的に日本が防衛責任を負うということになると、これはアメリカ部隊の大部分が撤退をして、日本が日本の自衛隊――いい悪いは別ですよ――日本の自衛隊がこれにかわるということでないと、どうも筋が通らぬような気がするのですが、その辺はどうでしょうか。
  189. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはまだそこまでの考えがまとまっておりませんから、確たるお答えはできにくいのでありますけれども、要するに、日本が主体的な立場から考えて、沖繩を含む日本の安全を確保するために、自衛隊としてどういう配置、装備を沖繩に必要とするかということから割り出して考えるべきものであると思いますから、私は必ずしもいま米軍が五万かりにおるといたしまして、数において五万とか、あるいは米軍は装備がいいから、日本の場合は十万のほうがいいだろうとか、まあそこのところは必ずしもまだ範囲はぴったりは考えなくてもいいのじゃなかろうかと思っておりますが、いま申しましたように、まだそこまでの検討は十分進んでおりません。ですから、お答えいたしかねる面がたくさんあるように思います。
  190. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) これは私必ずしも数にこだわっておるわけではないのです。質的な問題もあるわけですね。それがはっきりまだそこまで考え方が固まっていないとおっしゃられれば、それまでですが、もしそれが実質的にアメリカの陸海空それぞれの部隊がなお主要な任務を帯びるとするならば、日本が第一義的に防衛責任を負うということは精神的な問題で、実質的には従来とほとんど変わりはないということになるわけですから、第一義的責任を日本が負うという限りにおいては、相当程度――こまかいこと等々、陸軍はどう、海軍はどう、空軍はどう、それからメースBはどうとか、B52はどうとか、そういうこまかいことは言いません。しかし、相当程度は大きな変革があるということが前提でなければ、日本が第一義的にということは出てこないと思うのです。だから、こまかいことは別として、大筋からいって相当規模のアメリカ軍の沖繩からの撤退が考えられるのではないだろうかと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  191. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) やはり日本が主体的に考えて、必要にして十分な備えはどのくらいであるかということをまず考えて、そこから割り出さなければいけないのじゃなかろうかと思います。これは関係の向きにおきましてもいろいろと検討はいたしておるはずですが、まだその辺の具体的な構想については確たるところを申し上げるまでに至っておりませんけれども、これは考え方として、沖繩が返還され、日本の完全な領土になるということになれば、必要にして十分と思われる防衛体制というものは十分考えていかなければならないのじゃなかろうかと考えるわけでございます。
  192. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) いまお話にもあったように、返還後の沖繩の基地の態様、それから具体的には米軍の配備とか、兵器の性能とかいろいろ問題があると思うのですが、そういう場合にかなり事前協議の対象となる性質の問題が出てくると思うのです、沖繩については。その場合に一々この事前協議を適用するのか、何か全体的に、包括的にこの問題を運用処理するようなことを考えられておることがあるのかないのか、その辺はいかがでしょう。
  193. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それも実態についてまだ確たる構想をまとめておりませんので、はっきりしたことを申し上げかねるわけですけれども、たとえば昭和三十五年の安保の改定のとき、あのときに御承知のように第六条ができ、そして事前協議ができましたですね。あのときの経過を、私、直接当事者ではございませんでしたけれども、それまであるものをふやすわけですね。それが主として事前協議の対象として考えられたのじゃないだろうかと思うのですが、今度沖繩の場合についてどういうふうにそういったような条約、法制あるいは運用というものをかりに仮定した場合にどうするのかということ、これは確かに大きな問題であると考えております。現に、たとえばメースBというようなものがございますですね。これをどういうふうにするかというふうなところは仮定の問題でございますけれども、やはり法制的な扱いなどについてどう考えるか、これは確かに一つの課題であると思います。
  194. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) そこで、先ほどの問題にまたちょっと戻ることになるのですが、たとえばメースB――それに限定したことはありません。そういう種類の、少なくともちょっと時代おくれの感はあるけれども――必ずしも私は核に限定しません、そういう何らかの威力をある程度沖繩に残すことを政府自身としては欲しておるのかどうか。先ほどは抽象的な問題でしたが、今度は具体的にお尋ねしたいと思います。   〔主査退席、副主査着席〕
  195. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはやはり先ほど申しましたように、こちらが主体的に考えて、沖繩を含む日本の安全のためにどの程度が必要にして十分であるかということから割り出さなければならない。これは実態論だと思うのでございますね。ですからそういう点を十分検討し、そして現に、まあいまのところはアメリカが責任者としてやっておることについての考え方も、あるいは将来の見通しなどにつきましても、十分われわれとしてもただすべきところをただしていかなければ、ほんとうの合意、あるいは安心ができないのじゃないか、筋としてはそんなふうに考えております。   〔副主査退席、主査着席〕
  196. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) この場合、この前の外務委員会で事前協議の問題に関連して、たとえばベトナム戦争の場合、いまはアメリカの施政権下にある沖繩ですが、かりに返還された場合の沖繩で、たとえばいま行なわれておるようなベトナム戦争に日本がアメリカから協議を求められた場合にどうするかという質問をしたわけですね。そのときに、まだそういうことはある意味で仮定の問題ということで明確なお答えがなかった。ところが、朝鮮問題ではどうだろうかと私が質問すれば、これは仮定の問題ですが、ベトナムはまた現に戦争が行なわれ、和平会談がパリで進行している、仮定ではない、現にあるわけです。この種の問題で事前協議を求められた場合には、日本の政府はどういう態度、イエスかノーか、仮定ではないですから、ぜひお聞かせいただきたい。実はこういうことがあるので核は持ち込まないとか、あるいはB52は常時駐留させないとか等等、いろいろな問題があっても、国民の中、あるいはわれわれとの間に不安があるというのはこの点だと思うのですね。これはどうか仮定の問題としないように、日本の政府の今後の基本的な態度にも触れることだと思いますので、この際、ぜひお聞かせ願いたい。
  197. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはこういうふうにお答えをするのが正しいのじゃないかと思いますが、本土といいますか、本土の場合におきましては、たとえば出撃をするということは事前協議の対象になりますね、それで、これは従来からもそういうことのないことを望んでおったわけです。幸いに事前協議にかかったことはないわけですね。今度は沖繩の問題になりますと、一つは情勢の見通しの問題もございます……。
  198. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 返還後のことですよ。
  199. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ですから、羽生委員のおっしゃるのは即時という御主張でありますから、現時点においては仮定のことではないとおっしゃいますけれども、私は即時と申しましても、ことしの暮れまでには何とかめどをつけたいと思いますが、そうだからといって、ことしの暮れのあしたに施政権の返還が行なわれるとは残念ながら思いません。現在におきましても。その間ベトナム情勢の転換ということもございましょうし、それをまた私たちも期待しておるわけですが、それが国際情勢の変化ということが世論の動向、科学技術の進歩というものとあわせて、そこにも一つの期待を持ちますから、やはり私は仮定の問題となら、ざるを得ない、かように思います。
  200. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 私は仮定と思わないのです。かりに、もしいま返されたらどうするのであるか、これは仮定ですね、しかし、そのときの考え方はあってしかるべきだと思います。日本の政府なり外相として、いまかりに、もし施政権が返された場合に、ベトナム戦争が続いておった。そこで何らかの協議を求められた場合の日本の政府の態度については、一つの方針が、仮定の問題としてでなしに、明確に、日本はこういう態度を貫きたいということは考えてしかるべきだ。これは総理にお伺いすべきことかもしれません、あるいは自民党、佐藤内閣全体にお伺いすることかもしれませんが、外相一人の責任をただすというような形ではいかがかと思いますが、非常に重要だと思いますので、もう一回重ねて、仮定ではないという前提で私はお尋ねいたします。
  201. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) おことばを返すようですけれども、やっぱり仮定になるんじゃございませんか。現在は施政権が返還されていないんですから。これは事実でございますね。施政権の返還されるというのはいまから若干の年月がかかってからのことですから。その間にやはり国際情勢というものが変化することも期待して私はいいんじゃないかと思いますが、そう考えますと、やはり仮定のことになります。それから仮定でないということであれば、本土については現実の問題でございますから、これはもう事前協議にかかりますし、また事前協議におそらくかけてはこないでしょう、そういう状況である、これは現実の姿だと思います。やはり沖繩の返還というのは、その返還自体の時期がまだ将来の問題でございますから、どうしても、何と申しますか、はっきり分けてお答えすることは非常に困難だと思います。
  202. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) それは私なかなか答弁しにくい問題であることはよく理解します。しますが、いま返されたらどうするか、現時点における国際情勢を踏まえて――その間に国際情勢が変わるんじゃないんです。いまの国際情勢下において、かりにもし返されたなら、日本政府はどういう態度をとるかということについては一定の見解があって私はしかるべきだと思うんです。
  203. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) しかし、現時点ではあした返るということはないんですから、どうしてもやっぱり仮定のことになると言わざるを得ないと思います。
  204. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) これは時間さえあれば私とことんまでやりたいんですが、時間がありませんので、この程度にいたします。  それから、次に、これも総理の発言ですが、先日どこかで総理が、沖繩の返還は二、三年かかろう、三年ぐらい先になろう、その際に、情勢の変化で時期がおくれることもあるかもしれないという意味の発言をされておるわけですね。これは実は私がどなたかの総括質問の際に関連質問で指摘した問題です。そこで私のお尋ねしたいのは、秋の総理渡米までの情勢変化をいうのか、一たんアメリカのニクソン大統領との間に取りきめができて何年先に返るという約束ができた、できたが、その間に国際情勢の変化が起こった場合におくれることがあるかもしれないというのか、外相はどう判断されますか。これも、私、総理に直接聞きたいと思っておりますが。
  205. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これも、ですから前提にあれいたしますが、まあこれは総理にまだ御質問の機会もございますから、ちぐはぐになるといけませんから何ですが、私の理解では、渡米前ということではなくて、これは前にも申し上げておりますように、一番最初、この国会が始まったときに、いわゆる早期返還なら云々とか、本土並みなら云々とかいうふうな意見があるということを申したわけですね。そうしたら、これは二者択一なのかということが一時言われましたが、二者択一ではなくて、いろいろの態様が考えられましょうというふうに補足説明をその後いたしておりますですね。そうして、できるだけ国民世論を踏まえて、その後もいろいろの国会を通じて御論議がありましたので、まあ総理も自分は自分なりに、またいろいろ考えるところも出てまいりましたと申しておりますが。ですから、これは早期返還についても政府としてはまだいつということは申しておるわけではございません。このかね合いということでございますね、そういうことがちょっと頭にあってあれではないかと思います。それはもう早期返還で、そうして国民の世論に一〇〇%こたえ得るような、これだったらもう申し分はないでありましょうけれども、それを頭に置いての説明ぶりではなかったかと、私は私なりにそう理解いたしております。二者択一ではございませんですから、そういうふうなことも申したのじゃないかと思います。
  206. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) そこでこの前、私が、これは本会議でしたか、たとえばベトナム戦争の終結がかりにあったとするならば、これを国際情勢の変化と考えるかどうか。まあそう考えた場合に、その次には今度は何か朝鮮に問題が起これば朝鮮問題、その次に中国との間に問題が起これば中国問題というように、極東の平和と安全の問題に関連をするそういう条件を数え上げるならば、際限がないんではないかという問題を提起したわけですね。したがって、ベトナム戦争が一応終結するならば、基地の態様等はどうあろうとも、私たちは即時無条件ということを言うんですが、そのことは現実の問題でどうなるかは別として、そこで何らかの一定の期限というものが出てこなければ際限のないことになるんじゃないですか、国際情勢で。それも総理がこの間どこかの演説で、国際情勢の変化で影響があるということを言われているので、特に重ねてもう一回その点をお尋ねするわけです。
  207. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そこまで頭に置いての説明ではなかったと私は思いますが、これはさっきもお断わりいたしましたように、まだ総理自身にもお尋ねいただく機会がございますから、そのときにまたお願いをいたしたいと思います。そこまで言っているはずは私ないと思います。
  208. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) それからもう一つは、これは私ここへメモしておいたのですが、二、三日前のどこかの新聞に出ていましたが、総理渡米の際に、沖繩返還問題、その共同声明の中に安保問題にも触れて自動延長をうたうかもしれぬというようなことがありましたが、形式はとにかく、安保問題も触れて共同声明をなさるわけですか。
  209. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 実はそこまで、まだその方式などを考えるところまでいっておらないんでございます。いま申し上げ得ることは、安保体制を継続したい、これを基本方針にしておりますが、よく話題になりますように、自由民主党の大勢はいわゆる自動継続がいいのではないかというのが大体のコンセンサスだと思いますけれども、政府といたしましてはそれをどういうふうに受け取るかということの態度というものはまだきめておりませんわけですから、沖繩の返還問題が片づく場合に、あわせて安保条約について、どういうふうなこれは表現をすべきであるかと、そこまではまだ煮詰めて考えておりませんです。
  210. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 実はこれも私どなたかの質問に関連して総理にお尋ねした問題ですが、その場合の共同声明の内容というものは非常に問題だと思うんですね。というのは、何年先に、かりに三年先なら三年先に返すと共同声明でうたっても、その間に国際情勢が変化した場合に、まあベトナムにかわってどういう問題が条件として起こってくるかということは仮定の問題ですから国の名前はあげませんが、何らかの問題が起こった場合に、共同声明では何年先とうたってはあるが、その時期に返すことができないということを言い出さぬとも限りませんね、アメリカが。ですから、その場合には私は非常にその共同声明の内容というものは問題である。はたして声明でその問題を完全にカバーできるのかどうかという問題が一つあるわけですね。もう一つは、特にさきに触れました安保に触れた場合、自動延長とか何とかいう形式の問題は別として、安保に触れて、特に極東の平和と安全等々に触れて安保を重ねて継続するような意思を強くもし表明するような場合には、なおさら私は極東情勢の変化によっては、一たん約束したことでも、どういう情勢の変化によって、返還の時期についてのどういう変化が起こるかわからないという杞憂を持っているわけです。したがって、これは条約や協定とは違う。単なる声明だけであるとするならば、条約や協定は完全な返還時点にこれは起こる問題ですから、かりに、秋、渡米される場合に共同声明をやられるとしても、その内容は私は非常にこれは重要だ。それは小笠原の問題なんかと比較すべき問題ではないと思いますので、この際、見解を承っておきたいと思います。
  211. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 沖繩の問題につきましては、仮定の問題ですが、想定されますことは、年内、十一月の末ごろ予定しておりますが、そのとき、やはり何らかの共同の声明というような形できめられて、そしていま仰せのとおり、現実のその時点のときに協定というようなことになるのが普通の成り行きだろうと思います。  それから、これはしかし杞憂を持てば切りがございませんけれども、両国の最高首脳者が合意をして中外に発表をいたしますれば、返還の時期というものがそこで合意されますれば、これはもう私はそのままいく、またいかせなければならないということで、御心配は私はないと確信しておるわけでございます。
  212. 野上元

    野上元君 ちょっと関連して。いまの問題は仮定の問題じゃなくて、現実にもベトナムとの関係で非常に私は関係が深いと思うのですが、御承知のように、最近ベトナムにひんぱんにアメリカの高官が行っていますね、国防長官であるとか、あるいは国務長官であるとか。そうして彼らの帰っての見解は、報復措置をとらざるを得ないだろう、こういうようなこともいわれておるわけですね。和平の問題について、見通しとしては悲観的である。ということになると、北爆をまた再開をするんじゃないかというような空気もにおわしているわけですが、もしも北爆をかりに再開するということになると、これは事前に日本には何らかの通告があるんですか。それとも沖繩との関連において、北爆が再開されたということになると、沖繩の返還ということには重大な影響がもたらされるものであるかどうか。そういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
  213. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは私といたしましては、それはいろいろの情報等がありますようですけれども、当事者でありませんから、客観的に申すにとどまるわけですが、とにかく世界の平和のために、両当事者がテーブルについてパリ拡大会議をやっておる。そしてその後もいろいろの私は一方の動きがあるのではなかろうかと思いますが、われわれとしては、とにかくこの和平会談というものが実りがあって、そして北爆の再開などということが起こらざることをこれ祈るということだと思います。  それから、そういうときに日本にどうこうというお話がありましたが、これも必ずしもはっきりいたしませんが、というのは、停止をしたようなときでも、昨年のことですけれども、いきなり大統領がテレビで言うたような、それと前後して日本側に通報があったようですけれども、そういうような実例から申しまして、どういう措置をとるであろうか。そういうことがないように祈るというだけだと思います。  それから先ほどもちょっと答弁の途中でございましたが、安保についてどうするかということにつきましては、まだきめておりませんけれども、純粋の条約論から申しますれば、かりに自動継続というようなことになるならば、何らの措置をいたしませんでも、条約それ自体が生きておりますから、何もしないでいても継続されることだけは条約論としては事実でございます。
  214. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) そこで条約局長、常識的に言えば両国首脳がそれぞれ共同声明で所信を明らかにすれば、それですべて、かりに返還の時期がきめられれば、そこで問題は結着するわけですが、しかし、程度にもよりますけれども、国際情勢に重大な変化が起こったときに、実際アメリカがそれはちょっと困ると言い出したときに、それでカバーできますか、完全に。
  215. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 法律論から申しますれば、それは法律的にバーゲニングでないということは確かですね。そういう意味で、政治的な一種の何といいますか、大統領がそういうものを話しておられる、こちらも、佐藤さんもそういう声明をされているということで、政治的な責任というのは当然ございますですね。事実問題としてという意味でございますれば、そこにやはりそういうように動いていくと考えるほうが、これは法律論でないので私が答弁するのはおかしいのですけれども、そういうように考えるのが普通じゃないかと思います。法律的に申しますれば、それはやはり固定するということになれば、やはり十条も改正しなければならないと思います。
  216. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 返還の時期を三年と予測しても、国際情勢の変化によって、アメリカの要求があればずれることがありはしないか、それを共同声明だけで完全にカバーできるかどうか。
  217. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) その点でございますれば、やはりそういった一種の国際約束ができていない限りは、法律的に拘束力はないというように考えざるを得ないと思います。法律的にですよ。事実問題のことは先ほど申し上げたとおりです。
  218. 野上元

    野上元君 もう一つ聞かしてください。何といいますか、十年切れて、日米安保条約の有効期限が切れて、それでそれぞれ両者がお互いに意思の通告をしなければそのまま延びていくわけですね。というのは、一年一年でなくして無期限ということになるわけですね。たとえばアメリカと中華民国との条約を見てみますと、何も期限をつけておりませんですね。そうして締約国の一方が他の締約国に対して廃棄通告を行なった一年後に終了する。こういうようになっているわけですね。これはどこですか、安全保障調査会で出した資料なんですが、これを見ると有効期間が無期限、こういうようになっているわけですね。そうすると、ちょうど日本とアメリカとの日米安保条約においても、十年が切れた後は、両方の締約国のうちの一つが廃棄通告を出さなければずっと永久に有効になる。国連が適当な措置を講ずるまではこの条約は有効なんだということになると、あとは無期限ということと同じ状態になるんじゃないですか。
  219. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) それは通常、無期限というふうにお考えになってもいいわけでございますけれども、常にそれは一年前の廃棄通告をやれば、一年後には常に廃棄できる形でずっと続いていくわけでございますから、したがって、お引きになりましたように、米華、米韓、米比なんという条約は、すべて最初から無期限といいまして、常に一年の廃棄通告で廃棄ができるようになっておるわけでございます。したがって、そのほうがむしろ条約の形としては普通の形だということも言えるのかもしれないと思うのですが、しかし、だからといって無期限に、いつまでたっても廃棄できないのだということにはつながらないわけでございます。したがって、その形が、このまま安保条約そのものにさわらないで、来年の六月になれば、米華の条約と同じような形になるということでございます。
  220. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 次に、沖繩問題に関連をして、韓国や台湾が重大な関心を持っているようであります。特に先日、韓国の外務部長官ですか、二十五日に、沖繩が日本に返還された後も、同基地の軍事的価値が今後とも存続するよう処理されることを望むという意味の発言をされておりますが、これは国府も同様だろうと思いますけれども、この種の外国の沖繩基地に対する見解に、日本政府は何ら影響されることはないと解釈してよろしゅうございますか。
  221. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) この点は、政府の考え方といたしましては、沖繩の施政権返還問題は日米間の問題であると、したがって、日米間の交渉、話し合いでこれを解決したいと、こういうふうに筋目を立てていきたいと考えております。なお、いまもおあげになりましたようなことは、新聞の会見その他で私も承知してはおりますけれども、どこの国からも、公式のチャンネルで私どもにそういう意思表示があったことはございません。
  222. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 次に、ちょっと問題が変わりますが、さきに総理が私の質問に答えられて、中国問題で、中国の抑留者の釈放について政府間の接触をはかったが、これは意のごとくにならなかったというお答えがあった。それは、抑留者の釈放だけをこれ議題として接触を求めても、私はなかなか無理だろうと思うのです。ですから、ほんとうに、もし形式のいかんを問わず接触を求められるならば、抑留者釈放以外に何らか他の、中国も討議に応ずるような、そういう議題をあわせて提起して、そして接触を求めるべきではないかと、もし本気に政府が接触をお考えになるならば、そうすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  223. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは、こういうことでございます。政府としては、もうほんとうにこれは人道問題ですから、本気でやっておるわけでございます。それから、ずっと前のことになりますけれども、遺骨の交換につきまして、問題は遺骨の交換という問題にしぼられておったわけですけれども、総領事会談というものが行なわれたこともあるわけでございますから、こういう種類の人道的な、人間の安否にかかわる問題でございますから、こういうことならば、向こうも接触をしてくれるのではなかろうかというので、非常な努力を、まあ現在でもまだ続けているわけなんでございますが、いまのところ反応がない。たいへん困っているわけでございますが、一面、自由民主党の古井君その他の旅行に際しましても、われわれとしても、この件についても配慮を頼んでいるわけでございます。
  224. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) それは私もよく承知しておるのですが、ほんとうにそれは人道問題で重大には違いないけれども、それは日本自身はそう考えても、向こうには他にもっとウエートを置く問題があるかもしれない。ですから、これとあわせて、向こうも討議なり接触に応じようという、そういうものを付加しなければ、私は真の接触はなかなか近い機会に実現できないのではないかと、そう考えて申し上げたわけです。
  225. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) とにかくこれで一つ窓を開いてくれれば、また何かと考えるべきことがあろうかもしれませんけれども、いまのところは、だいぶもう日にちもかかっておりますが、その間一生懸命なこちらも努力をいたしておりますので、御高見は私も拝承いたしましたが、ひとつこの方式でよい結果が出てくるように望んでおるわけでございます。いましばらく様子を静観していただきたいと考えます。
  226. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 今度は、いわゆる国際情勢というよりも、ちょっとこまかい問題になるわけですが、しばしばこれも委員会質疑がありましたけれども、低開発国というか、発展途上国に対する経済援助ですね。この問題、これを推進しようという政府の意思が表明されておるわけですが、この場合、純然たる平和目的に使用される場合にのみというふうに私たちは理解したいのですが、軍事援助に利用されても、それは相手国の内政上の問題で、援助をする金がどうあってもそれはかまわぬというのか。あるいは、日本が発展途上国に援助するその金の使途は、平和目的に限定することを期待して――期待というか、そういう条件で援助をするのか。その辺はどうでありますか。
  227. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は、ちょうど一九七 ○年代、一九七〇年から八〇年に至ります十年間が、いわゆる開発途上国にとりまして非常に大事な時期ではないかと思います。同時に、先般大蔵省などでも試算を発表しておりますけれども、この十年間に、いまのような調子が続けば、日本の国民総生産もずいぶん飛躍的に伸びるわけでございますね。そういうことから考えて、日本は、防衛についての経費は将来ともにあまり大きく出さないのが適当だと、国内的にですね。そうすれば、相当額を対外援助に向けるのは、日本の責務ではないかと私は考えますが、同時に、相手国に対するわれわれの気持ちとしては、民生の向上について、まあこれは言いようによってはかどが立つかもしれませんが、開発途上国においてもみずから助ける、要するに自助の努力・それから、それをもとにしての地域協力でひとつ民生が向上するような、これはもう全く平和的なプロジェクトといいますか、青写真をつくって、まあそれに対するわがほうからの経済協力というものが、合理的で、そうして平和目的に効果的であるようなひとつ環境をつくることが必要なのではないかと思っておりますので、そういったような気持ちで、今後、たとえば東南アジア開発閣僚会議、ASPACや、あるいはエカフェや、いろいろの国際会議がございますが、そういうふうな気持ちで臨んでいきたい。絶対に防衛努力についての貢献ではない、こういうプリンシプルを確立し、かつこれを理解してもらうようにしなければならないと、私はこういうふうに考えております。
  228. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) そこで、そういう問題に関連もするのですが、きょうの新聞だか、どこかにありましたが、新聞に、アメリカが、インドネシア援助について日本が四十四年度で一億二千万ドルの援助を実現しない限り、アメリカは手を引くと、こういっておると伝えておるわけです。それからまた続いて――続いてというか、これは別ですが、アジア開銀についても、日本の出資はきまっておるのに、アメリカは一体何をしておるのか、そういう問題があるわけですね。今後の運営はどうするのか。そんな、インドネシアに幾ら援助しなければアメリカが手を引くとか引かぬとか、ずいぶん私はおかしな話だと思うのですね。ですから、一体その辺はどうお考えになっておるのか。それから、アジア開銀なり、あるいは農業開発基金の問題がありますね。それらの問題も含めて、一体どういうことか、アメリカ側の最初の意図と違って、金はなかなか出さない、日本にみな負わせるというようにだんだん変わってきておるようですが、その辺の現状はどうなっておるのか、お聞かせください。
  229. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まず第一のインドネシアをめぐる問題でございますが、実は私もびっくりしたんです、新聞を見まして。それでさっそく省内外を厳重に調べましたところ、さような事実は日本政府としては全然関知しておりません。ただいままで厳重に調査いたしましたが、アメリカ側からそういう意向を日本政府に伝えてきたということは全然ございません。またそういうことは、ないのがあたりまえではないかと、私も思いますししております。それから、それに関連して申し上げたいのは、私はアメリカが手を引くから肩がわりがどうだというような発想はとりたくないと思います。日本の――私のことばで言えば、平和への戦いなのであって、日本のやっぱりアジア全体に対するよき友人として、アジア的に問題を考えていきたいというふうに考えております。  それからアジア開銀につきましては、これは前にも報道に出ておりましたが、たとえばソ連などでも、場合によれば出資をしてもいいというような空気さえもあるくらいで、これは持てる国からひとつグローバルに参加を求めていくことが、アジア開銀としての性格に合うことではなかろうかと思っておりますが、しかしこれはまだ情報だけでございまして、的確に、そういう何といいますか、具体的な動きはその後ございませんけれども、そういうふうな話が出るというようなことば、私は歓迎していいことではないかと思います、あえてアメリカだけにたよらないで。
  230. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) もう一点だけ。一つは、いまも外務大臣のお話の中に出ましたが、私は将来ソ連も――ソ連に限らず共産圏、中立国等を加えて、純粋に平和目的のために限定して規模をうんと拡大すべきだ。これは外務省でもある程度お考えになっておるようにも見受けられますが、その点はいかがでしょうか。それが一つと、もう一点で終わりますが、もう一点は、この国際小麦協定失効後に、昨年新しく国際穀物協定できましたね。その際に、食糧援助規約に基づいて、低開発国向けの、四十三年度はこれは二十五億七千四百万円が計上されておるわけです。ところが、報道によると、インドネシア、インド向けの食糧援助分が、条件が織り合わないために、二十二億三千万円ですか、つまり四十三年度計上額の大部分がそのままになっておるといわれ、また四十四年度分千四百三十万ドル、これは五十一、二億ですね、これも宙に浮くんじゃないかという説があるわけですね。ですから、これはどうなるのか。どうされるつもりか、予算にそうなっておるんですから、どういう処置をされるのか。もしそういうことが続くんなら、条件緩和をしなければ、これは全く意味のないことになるんじゃないか、その辺はどうでしょうか。それを承って質問を終わります。
  231. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 第一の問題は、まあ私の私見でございますけれども、やはり日本の予算制度は単年度ではありますけれども、やはりおおよその経済見通しがあるわけですから、それに照応するようなわがほうとして協力し得る限度というものを、大づかみでもひとつ日本として固めまして、それが合理的に運営できるようにしたいと、ひとつ関係各省にも呼びかけて、そういうふうなものの考え方をだんだんに固めていきたいと考えておるわけでございまして、それが固まれば、被援助国側からいえば、いわば援助需要額というものも、いろいろの算定ができておるわけですから、それらの中から、日本の分担すべき、あるいはどういう方式で政府がやるか、どういう方式で民間の協力を求めるか、いろいろのこう具体策が出てくるんじゃないかと思うんです。率直に申しますと、前にも外務委員会で申し上げたと思いますが、従来の海外援助というのは、日本の場合は戦争後の賠償ですね、これが主体になっておったわけですが、これがもうほとんど終わりますと、新しい構想がどうしても必要でございます、そういう場合には、なるべく広くやりたい、しかしまたそういう場合に、国交のある国のほうがどうしても優先するとか何とか、そういういろいろなことは出てまいりましょうけれども考え方としましては、お話のようなふうに広げてまいりたいと考えております。  それから穀物協定援助、ドルにいたしまして六百六十万ドル、それだけこれは十分消化されておりません。これはまあ世界的な食糧の需給状況、その他も関連しておると思いますけれども、せっかくこういうものができ、かつ日本としても協力を惜しまないつもりでございますから、今後いろいろの点で実はわれわれとしても何とかしなければならないと考えておるわけでございます。
  232. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) 不用分は繰り越しになるわけですか、四十四年度に。
  233. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは繰り越しになります。
  234. 羽生三七

    担当委員外委員(羽生三七君) それじゃこれで終わります。     ―――――――――――――
  235. 小林章

    主査小林章君) この際、分科担当委員異動について御報告いたします。  ただいま中村波男君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     ―――――――――――――
  236. 野上元

    野上元君 時間がありません。したがって二、三問だけ質問させていただきたいと思います。  四月三日からですか、外相は東南アジアの経済開発閣僚会議ですか、何かに出かけられるということが新聞に報ぜられております。そのときに外相は、沖繩問題の返還を有利に展開するために、従来の低開発国に対する援助とは、質量ともに飛躍した援助計画をさげてこの会議に出席するであろう、こういうふうな新聞記事をごらんになったと思うのですが、それけっこうなことだと思うんですが、この予算の中のこれどこにそれが入っているんですか。いままでと質量ともに違った経済援助の内容ということは、どういうことなんですか。
  237. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 実は私が心の中で思っているようなことを非常に大きく書かれまして、恐縮しておるのですが、ただいまも羽生委員の御質問にお答えしたところにちょっと関係があるのですけれども、私は、沖繩返還を有利にとか何とかいうことと別に、やはり確かに一九七〇年代というものは、国連でも低開発国の民生向上をはかるべき年代であるというようなこともいわれつつあるようなときでございますから、それから日本の海外援助というものも新しい転機を迎えているときですから、一九七〇年代に、おおよそどのくらいの援助というものができるだろうか、こういうひとつ試算をしてみまして、それを腹に置いて、DACその他で、現在でも一%いかないというので、だいぶ苦情をいわれておりますが、私の個人的な考え方で、まだ政府全体を代表するわけにまいりませんが、少なくとも目標としては、なるべくすみやかに一%というものに、国民総生産の一%ということになると、試みに申しますと、一九八〇年だけを一年とってみても、国民総生産は五千億ドルになりますから、その一%というものだけでも相当たいしたものでございますね。いわんや一九七〇年から始めて、初めは数%にすぎませんですけれども、だんだん年ごとにふやしていって、累積を計算しますと非常に膨大なものになる。このくらいは日本の実力がついてきたのでありますから、それくらいのことを腹に持つと同時に、被援助側の需要というものも、いまお話がございましたように、純粋な平和目的で、どういうふうにやったら、それらの国の人たちがどのくらいの国民所得になるか、国民所得はおそらく二百ドルくらいになれば、これはずいぶん世の中が変わるのではないか。一方にそういうふうな考え方を持ちながら、いろいろの会議その他に臨むことができれば、いままでひとりよがりひとりよがりと言われていたような日本に対する批判も脱却できますし、日本の主体的な立場で大いに協力もできて、効果が上がるのじゃなかろうか、そんなふうに考えております。しかし、これは一九七〇年から、まだ私の半分夢みたいなものでありますので、いまの予算で申しますと、それは的確にそういうところが出ておりませんことは、非常に残念に思います。今年度の予算につきましては、ちょっといま資料を持っておりませんので、政府委員から御説明をいたさせます。
  238. 野上元

    野上元君 最近どうも沖繩の問題について、外務省の動きが、あるいは防衛庁の動きというようなものが、非常に新聞で報道されているわけですね。たとえば防衛計画の場合、五年単位の一つの第何次防衛計画というようなものでは、この激変する国際情勢、それから科学の進歩にはとてもついていかれない。したがって大蔵省流に言えば、ローリング・システムを使って、毎年毎年見通しをつけてやっていくことのほうが今後は正しいだろう、またアメリカも日本の誠意を認めるだろう。こういう言い方が新聞に書かれているわけで、それとちょうど合わせて、あなたの腹の中を新聞が出したわけで、いつか私が質問したように、やれ本土並み、あるいは核抜きを交渉するために、どうしても自主防衛の強化が必要である。あるいはまた、東南アジアの低開発国に対する経済援助というものも、これはやらなければいかぬのだろう、増大しなければいかぬのだろうということを考えられていくということが、一つ一つ出ているわけです。したがって、私もいま聞いたわけですが、予算を見たところ、質量ともにあまり変わりはないので、どういうことなのかと思って聞いてみたわけですが、一応わかりました。  そこで、きょうは予算の技術的な問題で聞きたいのですが、在外公館の人数は大体千二百五十名ですね。本省関係が千四百八十三名ですが、予算は本省関係が二百二十億、それから在外関係が、公館関係で、百七十三億、こういうことになっております。ほとんど本省と在外公館との予算は変わらないのですね。特に、本省関係予算を見ますと、補助金、委託費、分担金、拠出金、交付金、援助費、特別援助費、出資金、こういうものが軒並みにあるわけです。したがって、こういうものを全部差し引いてしまうと、いわゆる外務省プロパーで、あなた方が国益を有利に導くための外交政策に使える金というのは、どのくらいあるのですか。
  239. 齋藤鎭男

    政府委員(齋藤鎭男君) いま数字を全部計算しておりませんので、ただいま計算いたしますが、いま御指摘のような、いわゆる事業費に相当するものは、項目で申し上げますと、ただいま御指摘の経済協力費と、それからいわゆる経済関係のうちで貿易に相当するもので、これは輸入制限を防止する、あるいは相手国政府の政策を変更させるための工作をいろいろやっておりますが、そういう費用とか、そういう貿易関係の費用と、それから国際関係を国内に知らせる費用、ないしは日本の事情を外国に知らせる費用、そういった経済協力と貿易関係等、PRの関係の費用というものが大部分でございまして、その中で経済協力につきましては、外務省の持っておりますものは、大部分がいわゆる技術協力でございまして、ただいま大臣がお答えしたような大きな意味の経済援助ないしは経済協力というものは、むしろ経済協力基金とか、あるいは輸銀といっているものでございまして、外務省所管と違っているわけでございます。
  240. 野上元

    野上元君 たとえば補助金というのが相当出ていますね。日本と相手の国との間の文化協会に対する補助金とかいうのが相当出ていますね。大体外務省で幾つくらい出ているのですか。この四十四年度の予算に出ているのは、新しく計画されたものの補助金ですか。古いものを含めると、一体幾つくらい協会を持っているのですか。
  241. 齋藤鎭男

    政府委員(齋藤鎭男君) 全部いままでのものでございまして、四十四年度に増額したものというのはごくわずかでございます。たとえば北方領土の関係の補助金、そのくらいでございまして、あとはほとんど前年度と同じでございます。
  242. 野上元

    野上元君 たとえば社団法人ラテン・アメリカ協会補助金であるとか、日秘文化会館設備増設補助金であるとか、いま言った北方の問題であるとか、あるいはその他国際文化振興会補助金であるとか、国際学友会補助金であるとか、とにかく補助金というのがずいぶん出ているのですが、この補助金というのはどうなんですか、費用をこれだけ費やした効果というものはあるのですか。
  243. 齋藤鎭男

    政府委員(齋藤鎭男君) 御指摘の中で文化振興会が一番いい例だと思いますけれども、従来外務省でやっておりましたいろいろの事務の中で、民間ないしは公団のようなものにはき出すのがいいと思われますものは、約五、六年前からどんどん出しておりまして、文化関係におきましては、文化振興会がほとんど文化事業の実際の運営を行なっております。したがいまして、文化関係では、先生御指摘のような目的を十分達しているというように考えております。  そのほかに、たとえば中南米関係のラ米協会とか、あるいはアフリカ協会とか、あるいはアジア協会あるいは欧ア協会のようなものは、いわゆる親善関係の団体でございまして、先方から人が来たときにこれを接待するとか、あるいは講演会を開くというようなもので、実際の外交関係の運営というものとは直接の関係がないわけでございます。したがいまして、われわれといたしましても、むしろほかのほうに重点を置きまして、こういうものは前年度並みというところで大体満足しているわけでございます。
  244. 野上元

    野上元君 この北方領土復帰期成同盟に対する補助金というのが六百六十五万円出ていますね。計上されていますが、総理府のやつをいま見てみたんですよ、たまたま。そうすると、総理府のほうにも、北方領土問題対策協会に補助金を出しているのですね。こういうものは政府で統一できないのですか。北方問題に関するものは総理府でもやっておるし、外務省でもやっておるというような、補助金を出しているわけなんですが、これは同一のものじゃないのですか。
  245. 齋藤鎭男

    政府委員(齋藤鎭男君) 私の知っている限りにおきましては、総理府関係はむしろ援護関係に重点を置いた協会でございまして、外務省のほうはむしろ啓発でございます。したがいまして、講演会を行なうとか、あるいは関係者を外に派遣をして日本の窮状を訴えるというようなことを主としておりまして、性質が違うというように理解しております。
  246. 野上元

    野上元君 それから在外公館の事務運営等に必要な経費の中の第三として、輸入制限対策等に必要な経費というのが三億七千万何がし計上されておるのですが、これはどういうことなんですか。これは本省に計上さるべきものじゃなくて、在外公館になぜこれを計上したのですか。これはどこですか、主としてアメリカですか。
  247. 齋藤鎭男

    政府委員(齋藤鎭男君) これはアメリカだけでございませんで、輸入制限のおそれのあるところは多数ございまして、むしろ日本で使うのではございませんで、そこに事務所をつくりまして、そこの人件費と啓発の費用でございます。一番大きく活動しておりますのは、アメリカとイギリスと豪州でございます。こういうところにおきましては、そこでパンフレットをつくるなり、あるいは講演会を開くなりして、啓発活動をやっておりますが、ただ、いわゆる工作と申しましても、いわゆるわれわれの普通いう工作ではありませんで、たとえば英国について申し上げますと、日英経済協会というようなものとか、一般の経済関係の啓発、それが結局は輸入制限を防止することにつながるというような考え方でやっております。
  248. 野上元

    野上元君 時間がありませんからもうやめますが、外交運営の充実に必要な経費というのは、これは私は、日本の国益のために非常に重要な問題だと思うんですが、七億二千万円というのでぼくはびっくりしているわけです。二百万ドルですね、米ドルに直せば。これは一労働組合でも気のきいた組合はこれくらいの対外工作費を持っている。日本の外務省がわずか七億二千三百万円で、日本の国益を有利に導くために、全世界に向かって積極外交をやれるのかどうか、その点はどういうふうにお感じになっていますか、外務大臣。
  249. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 外交運営の充実に必要な経費七億円余りは、本省においての必要な工作費でございまして、在外公館の活動についてはさらにこれよりかなりのものが計上されておりますが、ただいまも仰せられましたとおり、まことにこれはありがたい御意見でございまして、私としても、少なくとも今後においてはこれを相当充実していただきたいと、かように考えておるわけで、先ほど来御指摘がございましたようなものを全部合わせても、年間四百億円に足りない外務省予算でございます。これは各国に比べましても、まことに私はお寒いことではないかと――たいへんありがたい御意見をいただきまして、大いに今後努力をいたしたいと思います。
  250. 野上元

    野上元君 最後に、もうやめますが、七億円といいますと、ファントムEの半機分ですよ。半機分で日本の外交をささえるというようなことは、常識的に考えられないので、防衛のほうから少し金をもらって、防衛が要らぬ外交をやってもらうことを最後に希望して、私の質問を終わります。
  251. 塩見俊二

    塩見俊二君 突然の発言でまことに恐縮でございますが、ただいまの野上委員の質問にも関連をすると思いますので、一言外務大臣に御所見を伺いたいと思います。  御承知のとおり終戦後百二十カ国とかいうような、非常な新しい独立国の増加というようなことで、外務省事務局におきましても、たいへんな事務の急激な増大で、いろいろとお骨折りの点が多いのじゃないかと私は思うわけです。したがって、外交官の訓練等もずいぶん長い時間等がかかりましょうが、私も役所におりましたのでよく承知をいたしておりますが、公平に見て、相当フルに、まあ言いにくいことばではございまするが、普通の役所では退官してあちこちというような方方も、相当優遇して全世界に派遣をして、そうして外交能力というものを発揮をしていかなくてはならぬというふうないまの状況ではないかと思うわけであります。それと同時に、いまの外交というのは、昔のようにヨーロッパに行くのに四十日かかったり、アメリカに行くのに二十日かかったりと、いわゆる特命全権大使的な外交というものから、直接東京から直ちにニューヨークなり、あるいはモスクワなりに行くことができるといったように、普通の外交の姿というものが、基盤というものが、たいへんに私は変わってきておると思うのであります。  したがって、そういうような状況に対応するとともに、もう一点は、私は、外交というものは一体何ぞやということを考えてみますると、至るところでナショナル・インタレストということばが使われる。外交はすなわち国内政治の一部である。国の政治と外交というものは一体であるというような状況になってまいってきておるではないかと思うのであります。そういうふうな角度から、先ほど野上委員も、もっとりっぱな活動をするためにいろいろの点に配慮をしたらどうかというお話がございましたが、私は一つのここで提案を御参考に申し上げまして、御意見は承れればけっこうでございまするが、承らなくてもまたけっこうでございます。  それは、ただいま申し上げましたように、このように非常に国が増大をし、そうして外交事務というものが非常に多くなり、しかも国益に重大な影響をますます深くしておる、こういう状況でございますので、単なるフランス語がじょうずだとか、英語がじょうずだとか、インドネシア語ができるというようなことで外交が私はうまくいくとは考えておりません。したがって、こういうふうな状況でございますので、確かに外務省は私は人員が不足しておると思う。非常にその点において局長さん以下皆さん御苦労なさっておると思うんです。そこで思い切って、いま直ちにやれということではございませんが、広く、あるいは各官庁なりあるいは民間なり、単に昔のように特派大使を特別に派遣するとか、特別の人を顧問にするという意味合いでなくて、この非常に増大をした外交事務に備えるために、民間、各省を通じて、あるいは課長補佐に、あるいは主査に、あるいは課長にといったような、各段階に応じて機動的に外務省の機構というものを充実する、そういうお考えがあるかどうか。実は私はそういう考えがあってしかるべきだと考えるわけでございますが、そのことだけ一点お尋ねをいたしたいと思います。
  252. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ただいまの御意見につきましては、私も大体御同感でございますが、いま一例を具体的に申し上げますと、現在在外公館に勤務しております上級試験の合格者でございますね、それは四〇%以上が他省の出身の人です。具体的に申しますと、たとえば通産省が四十九名、大蔵省が三十四名、農林が二十、運輸が十一、科学技術が八名というようなわけでございまして、相当各省庁の御協力をいただいておりますが、なおそれらの点については、十分ひとつ今後とも配慮してまいりたいと思います。
  253. 塩見俊二

    塩見俊二君 一問でやめるつもりでございましたが、ただいま外務大臣のお話がございましたので、もう一問追加をさせていただきたいと思います。  ただいまもおっしゃるとおり、私も、あるいは通産省の出先機関あるいは農林省の出先機関、あるいは大蔵省の出先機関と、いろいろな活動の状況を各地で拝見をいたしております。しかしながら、これは、こう言ったら少し語弊があるかもしれませんが、どうも何となく各省の出先機関であるというような感じが非常に強いわけでございまして、したがって、そこに在外公館としての一体性というものについて十分な満足し得る状況でないと、私自身は判断をしてまいったわけでありまして、単に各省から相当多く行っているからそれでいいという御答弁だけでは、実は私はもう一問質問せざるを得なかったわけでございまして、その点をひとつ。
  254. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 全くごもっともです。それから、たとえばそういう点から言うと、実は大使というか、館長級に、民間も含めて人材を登用したいということも、方針としては考えておりますけれども、実際問題としては、なかなか入ってくださる、一生の仕事としてあとまでやろうという方が、実はまたなかなか人材発掘は困難でございますが、いまお話しのような点は、もっと外交機関一元化といいますか、機動力を一体として発揮できるように、この上とも注意いたしたいと思います。
  255. 塩見俊二

    塩見俊二君 どうぞお願いいたします。
  256. 多田省吾

    多田省吾君 初めにアイゼンハワー元大統領の葬儀に、岸元首相があす午前十時ごろ渡米されるということを聞きました。また、先ほどの質問の中にも、その際、公式的に会合には出ないし、沖繩問題などで政府の考えを述べる予定はないということもお聞きしました。しかしながら、この前の故ケネディ大統領の葬儀のあとで、池田首相、ジョンソン大統領の会議が設けられているというような例から、ニクソン大統領と会談されるんではないかということも言われております。確かに岸氏も総理と会談したあとに、ワシントンではできればニクソン大統領と会って話をしたいと、その際は当然沖繩問題にも触れることになるだろう、滞在期間は長くて一週間とか、また足りなければもっと滞在が延びるだろうとか、そういう発言もされているようでございます。  で、新聞の報道によりますと、ニューヨークタイムズの二十七日号には、日本の政界に強大な影響力を持ち、タカ派の指導者である岸元首相が、最近核抜き、自由使用説を唱えていると、大きく報じており、注目されているというような報道もされているわけでございます。ですから私は、公式の会談を持たなくても、また公式な政府の意見を伝えるようなことがなくとも、特派大使として行く限りは、何らかの沖繩問題や今後の外交問題に関して、相当大きな影響があるんじゃないか、このようにも考えるわけでございます。その点、外務大臣はいかがお考えになられましょうか。
  257. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) アイゼンハワー元大統領の葬儀について、岸元総理を特派大使に御参列を願うことを閣議で決定いたしましたことは、先ほども申し上げたとおりでございます。岸元総理としては、この任務について、閣議から正式にお願いをいたしたわけでございます。私がお目にかかりまして、政府を代表してお願いいたしまして、お引き受けをいただいた。これが公式の、何といいますか、職分でございます。  同時に、しかし、もう申し上げるまでもございませんが、岸元総理は、なくなったアイゼンハワー元大統領とは非常にじっこんの間柄でもあります。また、当時から副大統領であったニクソン氏とも非常に親交がありますから、行った機会に会われるということも、私はきわめて自然な姿ではないかと思います。おそらくニクソン大統領も会われると思います。また、ドゴール大統領も特に葬儀に参列し、あるいはキージンガー、ドイツの総理大臣も行かれる。相当な国々の相当な方々も行かれると思いますが、それらの方々と私的に会談され、この機会に交歓されるということも、私はきわめて自然な姿であると思います。しかし、政府として、沖繩返還問題について訓令的なものをお願いしたことはございませんし、そういうお話が出た場合には、もちろんこれは私的の会談、こういうふうに理解してよろしいのではないかと思います。
  258. 多田省吾

    多田省吾君 この前フォーカスレチナ作戦が行なわれました。その際、ノースカロライナ基地から、一方はアラスカ、一方は沖繩を通って兵員と、それから戦車等の降下訓練もやったようであります。その際、この前も申し上げましたけれども、米軍の司令官は、沖繩は非常に有用であるというようなことも言っております。沖繩から直接、いわゆる韓国上空において落下傘部隊がおりているわけですね。いまアメリカの施政権下にありますから、これは当然であろうかと思いますけれども、沖繩がもし返還された暁に、これは仮定の問題になりますけれども、これは当然それが演習でなくて戦争であったならば、直接戦闘に対する発進基地というように沖繩はなってしまうわけでございます。  それから、昭和四十年の十二月ごろ、いわゆる日韓条約の国会が行なわれました当時、丁一権総理も議会におきまして、日本の自衛隊も、韓国が一たん緩急あれば応援にはせ参ずるであろうというようなことをおっしゃって、物議をかもしたわけでございます。そういった点から考えますと、沖繩が返還された場合に、もし日米安保条約の適用下にあっても、その自由発進を認めるのではないか、そういったことは、当然いまの段階から自然に考えられるわけでございます。  私がそういった前提を踏まえてお尋ねしたいのは、もし今回の作戦のような姿で沖繩から韓国に落下傘部隊で直接おりた場合は、これは当然直接戦闘作戦の発進基地ということになって、結局事前協議の対象になる。このように考えられますけれども、これはいかがでございましょうか。
  259. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 沖繩が日本に返りまして、それで沖繩に安保条約及び事前協議の交換公文が適用になったという事態を御想定されての御質問と思いますが、その形でございますれば、当然沖繩基地からの戦闘作戦行動は、事前協議の対象になります。
  260. 多田省吾

    多田省吾君 昭和三十五年の新日米安保条約のいわゆる批准国会におきまして、アメリカにおいても上院において聴聞会等が行なわれたわけでありますけれども、その際も現在のフルブライト上院外交委員長ははっきりと、日本の国から直接、韓国等に紛争があった場合は、朝鮮半島に戦闘作戦行動をとる場合は、これは事前協議の対象になるけれども、もし日本の基地から在日米軍がどんどん大邱等におりて、ワンクッション置いて戦闘に参加すれば、これは当然事前協議の対象にならないから、非常に日本の基地というものは有用なんだという、こういう発言もはっきり上院でやっているわけですね。いうこうワンクッションを置いて韓国に行くときは、事前協議の対象にはなりませんね。
  261. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) これは交換公文自体の解釈の問題になりますわけでございまして、戦闘作戦行動ということばが、どういうふうなものを意味するかということになると思います。したがって、いままで安保国会以来政府が答弁しておりますのは、日本から出てまいりますときの状態と申しますか、形が戦闘作戦を意図して出ていくときと、そういうふうにずっと御答弁しております。
  262. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、日本の在日米軍基地から大邱等の韓国の基地に移動して、移動という形でワンクッション置いて、そこからどんどん直接戦闘作戦行動をとったとしても、これは結局事前協議の対象にはならない、こういうことですね、端的に言って。
  263. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 結局、交換公文自体の戦闘作戦行動を事前協議の対象にいたしました意図は、日本の基地が戦闘作戦行動のいわゆる基地というふうになる場合にはという考え方でございますから、そういうふうな移動基地ということにはならないと思います。
  264. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、いまの日本国内に適用されている事前協議も非常にイエスという場合もあり得るということでございますから、歯どめとしないという意図があれば、幾らでも日本の米軍基地が直接戦闘基地の発進基地になったり、またいわゆる装備とかあるいは配置の重要な移動等もイエスと言えばまあどんどん行なわれるわけです。これは仮定の問題でありますけれども、もし沖繩が日米安保条約の適用下に返還されたとしましても、そのイエスという項目でどんどん戦争に巻き込まれるというおそれがあるわけです。この前愛知外務大臣は、まあ国連軍との地位協定があっても、あるいは吉田・アチソン交換公文があっても、あるいは一九六六年以来朝鮮問題に関する決議が、日本が共同提案国になって国連に決議されたとしても、結局は全部事前協議の対象として、国連軍の協力というものはもちろんあるけれども、主体性は日本が持って、事前協議の場合にノーと言う場合もあるし、全部事前協議にかかるんだと、そういうお答えがありましたけれども、結局国連軍に協力する、あるいは朝鮮問題決議に共同提案国になっていると、そういう道義的な面、政治的な面からいけば、なかなかノーと言えずに戦争に巻き込まれるようなおそれになってしまうんじゃないかということも十分考えられるわけです。その点の心配はないのかどうかということですね。
  265. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点は、前回もお答えをいたしましたとおりでございまして、まあ沖繩については、毎度繰り返して恐縮でございますが、これはまだ基地の態様等については政府の考え方はきめ切っておりませんから、これは一応観念的に横に置いていただきますれば、本土については、前にも申しましたように、国連の協力ということももちろん大事でございましょうけれども、事前協議というものが、日本がイエスともちろん言えますけれども、ノーという歯どめの役というものが従来は非常に大きく働いておった。したがって、事前協議にかかってくるような作戦、出動、行動というものはなかったと、これは私はやはり、共同声明その他のさらに趣旨が生きておるから、日本の欲せざるようなことについてはアメリカも協力を求めてこなかった、事前協議にもかからなかった、こういう事実が証明されておりますように、こちらは前提として、そういう場合にはノーと日本は言うであろうということの、いわば歯どめというものがきいていたんだと、こういうふうに、国連に対する協力ということもさように私は理解してしかるべきであると思います。  そこで、次の問題は、かりに、よく申しますように、別段の定めがないという場合だったら、沖繩についてもこれは同じように安保条約が適用され、事前協議も適用される、こういう姿になるでございましょう、特別の定めがなく、また、特別の取りきめといいますか、これがなければ、そういうことになりましょう、こういうふうにいま申し上げているわけで、この見解は従来申し上げておるとおりでございます。
  266. 多田省吾

    多田省吾君 もう一つ心配されますことは、もし朝鮮半島に紛争等がございますればということは、もうすでに私たちは仮定の問題だけとしては済まされないものがあるのじゃないか。プエブロ事件等もありまして、すでに沖繩から戦闘機等が発進したけれども、ついにとらわれたために帰ってきたというような証言を下院で司令官がやっているようでございます。ポスト・ベトナム以後は結局朝鮮半島に対する危険が強まるのじゃないかというような観測も行なわれております。すでに三十八度線においては、あのフォーカス・レティナ作戦のときにも、さまざまな紛争が巻き起こっております。もしその朝鮮半島の紛争があったような場合、どういう形でなるかわかりませんけれども、その場合に、第六条のいわゆる事前協議事項で処理されるのか、ある場合には、日米共同作戦ということで第五条を適用して、第五条の規定を柔軟に運用すると申しますか、これを当てはめて、結局日本も戦争に巻き込まれるのじゃないかというようなおそれもありますけれども、そういうことは全然ないのかどうか、考えられないのか、その点をお伺いしたいと思います。
  267. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 第五条は、あの条文に示されておりますように、現実に具体的に日本自体が何らかのぐあいによって攻略される、その危険というのが現実に具体的に差しかかった場合であって、これはもうそれこそ一国の存亡の危機のときであると、かように私は理解していいんではないかと思いまするので、第六条の場合とは分けてお考えいただいて適当じゃないかと思いますが。
  268. 多田省吾

    多田省吾君 それでは、仮定でほんとうに申しわけないですが、大事な問題でありますのでお尋ねいたしますけれども、もし朝鮮半島に紛争が起こり、それで総理もはっきりと、その場合は在日米軍基地から米軍が発進する場合があるということをおっしゃっておりますから、そうすればたいへんだということもおっしゃっております。そうした場合に、たとえば相手国から日本本土内にあるところの米軍基地が、いわゆる国連軍基地とも言えるでしょうけれども、ちょっとでも爆撃を受けたという場合には、これは存亡の危機と考えて、すなわち第五条の規定運用するという、こういうことも考えられるわけでございますね。
  269. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まあ前提として、そういうことの起こらざることをこれ期待するわけでございますけれども、先ほど申しましたように、何らかの状態において日本自身の存亡の危機が襲いかかった現実、具体的な状態におきましては、それこそ自衛権の発動で対処しなければならない。これは、いまおあげになりました例は、やっぱり第五条でいくのじゃないかなと私は思いますけれども、なお条約的にあれでしたら、条約局長からお答えいたします。
  270. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) 大臣のおっしゃったとおりでございます。
  271. 多田省吾

    多田省吾君 もう一点は、その場合に、日本の国連軍基地がちょっと爆撃されたというような場合、仮定でありますけれども、その場合に、日本から自衛権を発動して、日本の自衛隊が、たとえば座して死を持つよりもというような自衛の考え方から、直接相手の朝鮮半島の基地をたたくという場合もあり得ると思います。そういう場合も、これは海外派兵とは言えないのですか。
  272. 佐藤正二

    政府委員佐藤正二君) その海外派兵ということばが、その概念規定があんまりはっきりしないものでございますから、私は非常にお答えしにくいんでございますけれども、これは実は憲法の中にも出てまいりませんし、それから安保条約の中にも出てまいりませんものでございますから、海外派兵という概念規定から先にやらなきゃいけないと思いますのでございますけれども、高辻法制局長官がこの間お答えになっていたものを引けば、いわゆる自衛権の発動である限りにおいては、何と申しますか、憲法上は許されるのだというようなお答えをしておられますから、その海外派兵になるかならないかという問題とは別にいたしまして、憲法上は自衛権の発動である限りにおいて許されるんだというふうに法制局長官は考えておられると思っております。
  273. 多田省吾

    多田省吾君 時間もありませんので……。  この前もお尋ねしたんですけれども、もし特別の定めなき限り、沖繩が日本に返還された場合に当然安保条約の適用下に置かれます。その場合に問題になるのは、やはり沖繩基地にあるところの核の問題だと思います。この核の問題も、もしアメリカがそれを撤去していけば問題ないんですけれども、もし撤去しないとすれば、当然事前協議の対象になると思いますし、またその前に特別の定めが置かれなければならないとも思います。その場合に、査察権がなければ、持ち帰ったのか、また置いてあるのかもわれわれはわかりませんけれども、まあ原理的に言えばそうなるでしょう。またそのほか、自由発進ということにつきましては、やはり特別の取りきめ――事前協議のイエスという項目がなければ、直接戦闘作戦行動に対しては自由発進はこれはできないと思います。それからもう一つは、この前お尋ねしました、いわゆるアメリカの海兵隊が一師団以上いるとか、あるいは空軍が一師団以上いるとか、そういった場合に、当然新しくそれが配置されれば事前協議の対象になるものでも、そのまま日本に返還された場合は、それはそれ以上あっても、結局は配置の移動じゃないんだという考え方から、もう事前協議の対象にしないという考え方もあるでしょう。それからもう一つは、これは新たに配置されたものだから、それ以上あれば事前協議の対象になるという考え方もありましょうし、この前外務大臣おっしゃったように、その前に、事前協議を適用する場合にまた何らかの取りきめも行なわれ得るんだという可能性も非常に強い、このように理解してよろしゅうございますか。
  274. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 実はその辺が非常にむずかしい問題だと思います。で、私は、本質的にこの内容がどういうふうにしたらいいかということについてきめ切っておりませんし、またこれは、それこそ相手のあることでもございますから、その中身についてこういうふうにしたいとか、こうやりたいとかいうことはいま申し上げるわけにまいりませんけれども、お考えになる設例は私はよく理解できます。たとえば、特別の定めがない場合に、まあいわば安保法体系というものが沖繩にかかります場合は、事前協議のやり方も本土と同じようにやるというのが自然の考え方だろうと思いますけれども、今度はそういう中で――いまおあげになりましたようないろいろの場合がありますが、その中で、現に沖繩に事前協議の了解事項の中にある程度以上のものがあるかもしれませんですね。で、それは一体事前協議との関係はどうなるかということになりますと、先ほど申し上げましたように、昭和三十五年に事前協議の制度ができたときには、それまであったものには触れないで、これから新たに移動とか変更がこの程度にあった場合は――欲する場合は事前協議の対象になると。だから、もしそれと同じものにすればですね――これも仮定の問題ですが――現状はこのままにして、これから以降において事前協議の対象にするということも、仮定の問題としてはあり得るわけでございますね。しかし、それは望ましいか望ましくないかということを本質的に検討し、かつ折衝しなければならないことでございます。私も、その問題の所在は、多田委員おあげになっているような点にあるということは理解できる。さような意味で、お話の仮定の問題ですが、このお話の考えなければならない問題は、そのとおり――ございますという意味ではそのとおりと申し上げていいと思います。
  275. 多田省吾

    多田省吾君 私は、いまのお話で、もう仮定ですが、特別の定めなき限り、沖繩が日本に返還された場合は、もし事前協議の対象になり得るような、海兵隊一師団以上とか、空軍一師団以上とか、それから核兵器とか、そういうものがすでにあった場合には、当然事前協議の対象にしなくちゃいけない、それが条約上の確定した事柄であると理解しておりますが、そうじゃないのですか。やはりそれは事前協議の対象にしなくてもいいような考え方もあるのでございますか。
  276. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いま申し上げましたのは、その仮定の仮定の問題でございますけれども、そういう点も問題としてはあり得ると、この仮定の想定するいろいろの条件の中に、こういうことを申し上げただけで、こうすることが望ましいとか望ましくないとかということの意見はまだ申し上げる段階でないと思います。
  277. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、私は、仮定ではありますけれども、事実関係について条約上はこうなるのじゃないかという点で申し上げたわけですがね、その点はどうなんですか。
  278. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) その点は、非常にそこだけをとられると誤解を招きますから、あえて申し上げないわけですけれども、ただ過去の例は、現実にあるものを、まあ常識的に言えば、ふやすか変更するというものが事前協議として約束されたのは、三十五年の当時の事実を申し上げただけであります。
  279. 多田省吾

    多田省吾君 しかし、三十五年のときは、その事前協議の対象となるべき兵力はあったのですか。事前協議そのものもなかったのじゃないですか。
  280. 東郷文彦

    政府委員(東郷文彦君) 三十五年当時の日本にありました米軍の量というものは今日より多いわけでございまして、いわゆる事前協議の対象になるという基準からすれば当然かかるものでございますが、しかし、事前協議の約束しておりますことは、配置における重要なる変更ということでございます。何から変更するかというのは、三十五年なら三十五年にあった状態、沖繩の場合でいえば沖繩が返ってきたときの状態、それからの変更というのが事前協議の対象となるわけでありますので、むろん三十五年もそうでございますし、沖繩が将来変更の場合にも、おそらくある程度の兵力の配置があった上で返還が実現するということになると思いますから、それの変更というのが、そこで初めて事前協議ということが出てくることであると考えます。
  281. 片山武夫

    片山武夫君 外務大臣にちょっとお尋ねします。時間が少ないので簡単に質問いたします。  先ほど来、また総理がしばしば、安保体制を堅持する、こう言っておられる。先ほどちょっと外務大臣のお話聞くと、安保条約を堅持する、こういうふうにおっしゃっておられます。これは、安保体制を堅持するということと、安保条約をそのまま堅持することは、イコールのことなのか、違うことなのか、この辺の見解をひとつお聞きしたいのです。
  282. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは、私の考えとしましては、安保体制を維持するということは、とりもなおさず具体的に言えば安保条約を引き続いて適用していくということであると考えております。しかし、その安保体制といいますことは――安保条約は、何といいますか、法三章的なところもございます。たとえば、経済協力ということが、大筋がうたわれております。それを、この日米間の経済協力ということは非常に広範囲にわたりますから、そういう意味から申しますれば、安保体制と申しますほうが幅が広いということも言えようかと思います。
  283. 片山武夫

    片山武夫君 そうすると、安保条約をそのまま維持していきたいということは、これはもういわゆる安保体制を堅持するということに通ずるわけですね。同じことを意味していると、内容の一つとして。これは間違いないですか。
  284. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) もう少し申しますれば、外交の基本方針としても、日米間の相互信頼関係を中核にしたものの考え方、そういう意味で、外交体制の機軸であると、かような考え方を政府はとっているわけでございます。そういう意味をも含めておると思います。
  285. 片山武夫

    片山武夫君 そうしますと、安保条約はそのまま継続していくということになるわけなんですか。これは変更もなければ、一部改定もない、こういう意味に通ずるわけですね。
  286. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) それは、現在の時点で申しますると、安保条約をこのままの内容で維持することが、政策の選択としてわれわれはよろしい選択であると、かように考えておりますので、安保条約の内容を変更するということは考えておりません。
  287. 片山武夫

    片山武夫君 それに類する交換公文についても同じと、事前協議ですか、これもやはり同じだと、こういうことですか。
  288. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これも同じ考え方。ただそのときに、たとえば沖繩問題ということになりますと、まだ腹案もきめ切らぬもんでありますから、特別の定めなき限りということばをよく使っておりますが、これは安保条約の中において特別の何かきめをすることもあり得る場合もあろうかということを意味しているわけでございます。
  289. 片山武夫

    片山武夫君 しばしばお尋ねしているわけなんですが、結局、現在、沖繩を別にするならば、安保条約はそのまま延長するか、固定延長するか、あるいはどういう方法をとるか、そのまま継続したい、こういうことを常々言っておられるんだ。そこで、変わってくるのは、沖繩の返還ということが入ってくると、どういう点が変わるのか、どういう点が白紙なのか。これはなぜお尋ねするかというと、安全保障条約の問題についてまだ白紙であるということをしばしば言っておられたわけなんですが、いまの御答弁ですと、これは安全保障条約あるいは交換公文そのものはそのまま継続したいんだ、継続するんだ、こういうことになるわけなんです。したがって、沖繩が加わることによってどういうことが変わってくるか、こういうことになろうかと思いますが、したがって、安全保障条約についてはもう白紙の部分はない、こういうことですね。
  290. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 安全保障条約そのものは、私はこのまま維持したいというのが政府の見解である。これはもうそのとおりでございます。しかし、くどいようでございますけれども、まあ特別の定めということも、それをやるとも言っておりませんし、やらぬとも言っておりませんで、そこのところはまだ未確定なわけです。
  291. 片山武夫

    片山武夫君 そうしますと、安全保障条約をそのまま継続する方法として、これはまあ自動延長という方法もあろうし、固定延長という方法もあろうし、あるいはまた声明、いわゆる共同声明でその延長をする場合もあるだろうし、あるいはまた交換公文、こういったような方式をとる方法もあるだろうし、いろいろあるんだと、こういうことのように考えられますが、そのとおりですか。
  292. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 安全保障条約をどういうふうに維持していくかということについては、先ほども申しましたように、条約論としては、何もしないでも条約はそのまま生きている、こういう方式もございましょうし、あるいは、先ほどもお話が出ましたように、何か共同声明というようなものでやることも考えられましょうし、いろいろの方式が考えられるかと思います。
  293. 片山武夫

    片山武夫君 そこで、この問題になってるのが、沖繩返還に関連して、この条約上どういったような問題点があるか、またどういう変更が必要かということが、これが白紙だと、こういう意味合いだと思うのですが、そうですか。
  294. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まずそう御理解願ってよろしいかと思います。
  295. 片山武夫

    片山武夫君 しかし、いわゆる交換公文の事前協議ということがあれば、これは別に変える必要はない。また、変える問題としてどういうものがあるかということになってくると、もうないのではないですか。白紙だという部分は、一体何が白紙かということなんですが。
  296. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これは、ただいまも多田委員との応答にもございましたような問題を含めまして、要するに、日本の安全ということを考えました場合に、現在は米軍が沖繩で基地を持ち、活動もしているわけでございますが、今度は日本が自分の施政権を持ったという場合に、それと比べてどういう態様であれば必要にして十分であるかということを考えなければならない。その場合に、これはまだ内容的にきまっておりませんから、どういう法律的と申しますか、どういう技術的な取りきめが必要であるか必要でないか、そういう点を含めて、まだ意見をきめ切っておりませんと申しておりますことが、白紙と言われておる内容である、こういうふうに御理解していただきたいと思います。
  297. 片山武夫

    片山武夫君 そうしますと、条約上はもう白紙の部分はない、それはそのままだ、こういうことになりますと、ただ、沖繩基地が返還された場合には、事前協議の内容といいますか、こういうことがいろいろ問題になってくるのだと、こういうことに尽きると思いますが、それでよろしいのですか。
  298. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) たとえば、これも観念的な……。
  299. 片山武夫

    片山武夫君 たとえばでなくて、具体的に。
  300. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) いや、観念的な問題でございますけれども、たとえばグアンタナモ方式というようなものも、広い範囲でいろいろの意見があるということから申しますれば、そういう点もあるわけでございますね。そういうものの考え方から言えば、あるいは条約そのものについての特別の定めということもあり得るかもしれません。それをやると言っているわけではもちろんございません。やるともやらぬとも言っているわけではございません。ですから、やはりこれは仮定の事実になってくると思います。
  301. 片山武夫

    片山武夫君 私のお伺いしているのは、安全保障条約、あるいは交換公文、この条文の内容を変更することについて、まだ白紙の部分があるのだと、こうおっしゃるのか。先ほど来聞いておりますと、この条文については変更しない、こういうふうに聞えるのですけれども、この辺がどうもはっきりしないわけなんです。その辺はっきりしていただければいいと思うのですけれども
  302. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私は、やはりきめ切っておりませんだけに、どうももたもたしたことを申すようでございますけれども、そういう点について明確に、クリアーカットにこうだこうだと申し上げるまだ段階にないと、こういうわけでございますので、いわば常識的に言えば、用心深く、あらゆる可能性を考えて、御答弁を申し上げておるわけでございます。
  303. 片山武夫

    片山武夫君 私はそれは詭弁だと思うんですよ。いいですか、安全保障条約、交換公文、そのまま条文には何ら変更を加えないで継続したい、これは基本になっているわけです。具体的に、沖繩基地が返還されれば、核の問題が出てくるでしょう。あるいは、戦略兵器、戦術兵器、この区別によってこれをどうするかという問題が出てくるでしょう。しかし、そのことは事前協議の中で協議すべき問題として考えられる。従来も考えられ、今後も考えて行くべき問題だと、本土並みという立場に立てばですね。そういうことでありますので、事前協議のいわゆる具体的な細部の内容については、これはいろいろ協議の必要があろうかと思いますが、案文そのものについての必要はない、私はかように考えるのです。
  304. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そこは、ですから特別の定めなき限りということばを沖繩については使っている、こういうわけです。
  305. 片山武夫

    片山武夫君 その特別の定めというのは、どういうことですか。
  306. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ですから、それにはいろいろのことが観念的には考えられる。特別の定めをしようとかしないとか言っておるわけではございませんが、いろいろの、何と申しましょうか、バリエーションをもってこれを考えます場合には、いろいろの観念的あるいは仮定的な場合も想定しておかなければならない、まだそういう段階ではない、こう思いますから、特別の定めなき限りということをずっと印しておるわけでございます。
  307. 片山武夫

    片山武夫君 どうも御答弁の内容が私にはわからない。特別の取りきめという内容がわからないのですが、条約上は、もう一言一句変更せず、そのまま堅持したい、こうおっしゃっておられる。したがって、その上に付帯するいろいろ、核の問題であるとか、戦略兵器、戦術兵器、この問題等についての具体的な取りきめですね、それ以外の取りきめとしてそういう問題が残されているのだというふうに私は理解するんですよ、そうではないですか。いわゆる条約なり交換公文なりにそういう内容を盛り込むということになれば、これは一部改定になるわけですね。そういうこととちょっと矛盾するのではないですか。
  308. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) ですから、非常に観念的なお答えになりますけれども、たとえば、さっきも例をあげましたが、グアンタナモ方式といわれるようなことだって、考え方としてはあり得るわけですね。それはやるとかやらないとか言っているわけではございません。そういう場合だったら、たとえば適用の地域が変わるわけですね。そういうことだって特別の定めということの範疇に入るかもしれません。ですから、こういう点を考えてみますと、特別の定めなき限りというものの、やはりいまの政府の立場としては申し上げておかなければならない。中身を実質的にこうやろうとか、そうでなければいかぬということをまだきめておりませんから、どうしてもそういうことになる、これがいわゆる白紙ということになるわけです。
  309. 片山武夫

    片山武夫君 これは再度確認する意味でお伺いするのですが、条約なり、いわゆる事前協議条項ですか、これは何ら変更したくない、堅持したいということ、それから、特に定める取りきめの問題、これは別の問題として取りきめが行なわれていいのではないか、かように考えるのですが、それでよろしゅうございますか。
  310. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そういう場合もあり得ると申し上げれば正確だと思います。
  311. 片山武夫

    片山武夫君 その辺が白紙である、こういうことですね。
  312. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) まあ常識的に言えば、そういうことでございましょう。
  313. 片山武夫

    片山武夫君 それが白紙だと、きめるかきめないかが白紙なんだと、まだきまっておらない。
  314. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはたいへん重要な御質問ですから、私も念を入れて御答弁をしているつもりで、それだけに割り切れないかもしれませんが、そうであるかそうでないかといま突っ込んでのお尋ねですが、そういうことを含めて、そういまおっしゃられると、白紙だと申し上げざるを得ないような気もしますし。
  315. 片山武夫

    片山武夫君 それでは、どうも質問のしかたが悪いようですから、あらためて質問いたしますが、安保条約、それから交換公文、事前協議条項、これはそのまま堅持したい、ただそういったいろいろな沖繩の基地の問題にからんで特別な取りきめが必要になってくる場合もある、だから取りきめ内容とか、あるいは取りきめをするかしないか、こういう点が白紙である、こういうことだと理解しますが、それでよろしゅうございますか。
  316. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) そのとおりでございます。
  317. 片山武夫

    片山武夫君 そうなってくると、これはもう、戦術上、戦略上の問題、あるいはまたいわゆる事前協議の対象として取り扱われる問題ですね、それと核の問題、これにおよそ限られてくるのではないか、こういうふうに理解されるわけですけれども、それについては、これは事前協議という歯どめによって、いろいろどうするかという問題が、具体的な事態に従ってそういう問題が起きてくる。かように考えていくと、その特別の取りきめの内容というものが非常に私は限られてくる、かように考えておるのですが、そのとおりでよろしゅうございますか。
  318. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 特別に定めなき限りと申し上げますのは、その点にも触れて申し上げておるつもりでございます。
  319. 小林章

    主査小林章君) 以上をもちまして外務省所管に関する質疑は終了したものと認めます。     ―――――――――――――
  320. 小林章

    主査小林章君) 次に、昭和四十四年度総予算中、内閣及び総理府所管並びに他分科会所管外事項を便宜一括して議題といたします。  政府側の説明はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  321. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは直ちに質疑に入ります。   〔主査退席、副主査着席〕
  322. 多田省吾

    多田省吾君 初めに人事院総裁にお尋ねしたいと思います。  この前の衆議院の決算委員会等で天下り人事が非常に問題になりまして、特に人事院から、昨年一年間に民間会社にどのくらい高級公務員が就職なさったか、いわゆる営利企業への就職の承認に関する年次報告、通称天下り白書というものが発表になったわけでありますけれども昭和三十八年以来六度目の天下り白書でありますが、例年指摘されます特定官庁と特定民間業者の結びつきというものは相変わらず非常に多いようで、この点が問題になっております。特に、昨年中は申請があった百三十六人がほとんど全員が承認されまして、この中には、大蔵省から銀行、また建設省から建設会社、国税庁から酒造会社へと、こういう密接な関係先への天下りがきまっております。こういう人事院の承認に対して、人事院規則の審査基準が甘いからだという、こういう声が非常に高まっているわけでございます。また、その内容におきましても、たとえば退職後二年間たてば自由に就職できるということで、顧問とか嘱託という名目で待機しておる人もおりますし、また結局、密接な関係といっても、どのくらいの基準で審査なさったのか、その辺も非常にあいまいでございます。人事院総裁として、このたびの発表では、その基準というものに対してどのように考えておられるのか、まずお尋ねしたい。
  323. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 公務員法の百三条に基づく審査をやります、その基準でございますけれども、これは、その条文が制定されますときに、審議の過程で明らかにされました基準があるわけです。すなわち、その当人が経てきたポスト、そのポストに関係が深いかどうか、これを判定の基準とするということで、ずっとその後踏襲してまいっておるわけでございます。したがいまして、たとえば大蔵省と銀行、あるいは税務署と酒の会社というような関係では、抽象的には一応密接な関係はございますけれども、たとえば今度の報告で取り上げられました問題として、税務署の役人が酒の会社に行ったというようなことを例にとりますというと、これは管轄がはっきり違っておりまして、その人がいかにその酒の会社をねらって不当にコネをつけようと職権を乱用しようとしても管轄上できないというようなポストにおった人であれば、そこに不純な関係が生ずるはずはないということで、これはよろしいというたてまえで参っております。根本的には、そういう基準でやっております。
  324. 多田省吾

    多田省吾君 もう一点は、二年たてば自由に就職できるということで、その間、顧問とか嘱託、こういう名目で待機すれば、人事院の承認は要らない。現行法上でも抜け穴は幾らでも考えられますけれども、こういう点の改正というのは人事院としてお考えになったことはないのか。あるいは、現在こういった国民世論の天下り人事に対する激しい批判というような局面を迎えて、現在の時点においてどのように考えていらっしゃるか。
  325. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもは、この条文自身の性格としては、これは言うまでもありません。元公務員であった者の職業選択の自由をきつく制限する条文でございますからして、これはみだりに徹底させるということについても、また一方において大きな壁があるというふうに考えておるわけであります。したがいまして、いままでわれわれのとっておりました根本の考え方は、これは先ほど触れましたように、この条文が国会で審議されましたときから明らかにされておる方針でございますから、この方針はやはり今後も踏襲してまいることが適切だろう。ただし、いろいろな御批判が最近ございまして、甘い甘いという批判が尽きないわけです。したがいまして、われわれとしては、やはりそういった世論なりあるいは国会の御意向というものには謙虚に耳を傾けて、これを漸次ぎびしくしていこう。もうすでに、ここ数年来に比べると、相当きびしくなっております。この条文ができました当初は、むしろこんな条文は行き過ぎではないかという批判が多うございまして、特に当時の国会速記録などを拝見いたしますと、こんなことやっておったら、事務次官をした人はどこにも行けない、食い上げになるのではないかというような御指摘さえあったようでありますけれども、しかし、当時といまとはやはり一般の目が変わっております、考え方が変わっておりますからして、出発当初は相当甘いところで出発しておりますけれども、漸次これを引き締めてまいっておる。なお、今後もその方向で努力したいという気持ちでおります。
  326. 多田省吾

    多田省吾君 それでは、人事院総裁としては、昨年のいわゆる審査というものは、きびしくだんだんしていったのであって、決して甘くはない、もう法規上これ以上きびしくできない、これ以上きびしくするためにはもう法改正以外にはあり得ないと、こういうような御見解でいらっしゃいますか。
  327. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 法律を直してたとえばいままであります人事院の承認の制度を撤廃して、全部絶対禁止してしまうというようなところについては、大きな疑問を持っております。しかし、人事院の承認に当たる運用の面では、やはり世論にかんがみてきびしさを加えてまいりたい、運用の面でのきびしさは加えてまいりたい、そういう気持ちでおるわけであります。
  328. 多田省吾

    多田省吾君 このたびの発表につきましても、行政管理委員会がさっそく、公務員の綱紀粛正、あるいは天下り人事禁止という方針を打ち出しまして、その中で当該業種を指導監督する官庁職員である者はその職種の企業に対して一切天下りできないようにすることというようなことを強張しておりますけれども人事院としてはこの点はいかが考えられますか。
  329. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど申しましたような基準から申しまして、当該業種に対して監督権を持っている、あるいは許可認可権を持っているというようなポストにおった人は、これはその会社には行けない、これはわがほうでも堅持しておる方針でありまして、御承知のように、ことしも三十件近いものがわれわれとしてはまあ拒否してアウトになっておるわけです。そういう点から申しましても、関係のきわめて濃厚な歴然としたものについては、従来といえどもわれわれは敢然としてこれを拒否しておる。ただ、週刊誌あたりで、このただでさえ甘い人事院の審査でなおかつけられるような人はよっぽど悪いことをした人だろうということを言わんばかりのことが週刊誌に出ておりましたけれども、われわれの審査は形式的審査でございますからして、そのポストにあった以上は、いかにその人が清廉潔白であり、公正に仕事をやっておっても、気の毒だけれどもだめだ、大体最近のわれわれのほうでけったケースはみんなそういうケースの人であります。
  330. 多田省吾

    多田省吾君 次に、総理府に対してお尋ねしたいんですが、昨年からいわゆる人事院勧告の完全実施につきましては何回も質問もいたしておりますけれども、昨年のある時期においては、来年度から人事院勧告の完全実施に完全に努力するようにやっぱりやっていくようなお答えがありましたけれども、その後一歩後退して、たとえばそのニュアンスが、七月実施から六月実施に一歩だけ前進するけれでも、五月実施にはまだ踏み切れないようなニュアンスの答弁が最近は続いているわけでございますが、あらためて政府の御意向を、人事院勧告の完全実施についてどのようにお考えになっているのかお聞きしたいと思います。
  331. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 政府といたしましては、人事院勧告に対しましては、基本方針といたしまして、これを完全実施するという、これに対して努力をするという態度をとっておりまして、従来からこの方針には変わりございません。昨年の給与改定の際におきましても、委員会の御質問に対しまして、完全実施に対して努力するということを申し上げておったわけでありまして、したがって、四十四年度の予算におきましても、給与予算改善を加えまして、従来と異なりましたところの、給与におけるところの一定額の増ワク並びに予備費に対するワクというものを考えまして、そうして給与に対する人事院勧告に対処せんとするものでありまして、本年度におきましては、いずれ人事院勧告がありました際におきまして、その時点において最大の努力をいたしたいと考えておる次第であります。
  332. 多田省吾

    多田省吾君 床次長官は、たしか衆議院予算委員会で、四十五年度までには少なくとも実現しなければならないのではないか、そういう強い決意で勧告に臨んでいると答弁していらっしゃいますけれども、その真意は具体的にどういう点におありなんですか。
  333. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) ただいまお答え申し上げましたように、四十四年度の人事院勧告はいずれ出ると思います。その出た際におきまして、私どもは完全実施に最善の努力をいたしたいと思っておる次第であります。しかし、毎年の例でもって、完全実施に努力すると言ってもなかなかできないじゃないかというお尋ねがありますが、とにかくその時点においては私ども最善の努力をいたしたいと思っておりますが、しかしできないこともあり得るかもしれないと、しかし、何といたしましても、完全実施ということは私どもの最大の目標でありまして、だからおそくも四十五年までにはこれはどうしても実現すべきものではないか、かように考えておる次第でございます。
  334. 多田省吾

    多田省吾君 そうしますと、先ほど申し上げましたように、四十四年度は七月かあるいは一歩進めて六月実施、四十五年度は完全実施の五月実施と、少なくともそこまでは行くということでございますか。
  335. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 四十四年度は、実は勧告を受けてみませんと、どの程度のことかわからないわけであります。先ほど申し上げましたように、給与費におきまして五%の余裕を見て、なお予備費の余裕を見ております。その時点におきまして努力をするというのが今日の目標でありますが、しかし、本来の状態から見まして、何といたしましてもやはり完全実施はできるだけ早くしなければならない、その意味におきましておそくも四十五年までにはこれは実現すべきものだ、これまた最大の努力を講ずべきだと考えております。
  336. 多田省吾

    多田省吾君 昨年の御答弁でも、結局大蔵省当局からの、予算的には人事院勧告の完全実施、すなわち五月実施は可能であるというような答弁もはっきりあったわけです。四十四年度においても、予算的に人事院勧告の完全実施が可能と見通しておられるのかどうか。
  337. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 四十四年度におきましては、ただいまお答え申し上げましたように、相当予算の計上において改善された方法を講じておるわけです。しかし、これが将来期待されまする勧告というものに一〇〇%間に合うかどうかということにつきましては、その勧告のありましたときに考慮しなければ、何とも今日においては申し上げにくい、今日におきましてはやはりその時点において最大の努力をするということを申し上げる次第であります。
  338. 多田省吾

    多田省吾君 この前、三月二十四日、東京地裁の判決で、人事院勧告が完全実施されていないことに対しての公務員の争議行為は正当であるという趣旨が判示されて、東京都公安条例違反に問われた事案が無罪となっているわけでございます。これは、政府の態度というものは、これで主文においてはっきり、最終的でないにいたしましても、弾劾されたことになると思うのでございます。この件に関しまして、床次長官の御所見を伺いたいと思います。
  339. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 先日、新聞に出ましたところの、大蔵省前のすわり込み事件に対する東京地裁の判決についての御意見だと思うのでありまするが、この判決に対しましては、まだその判決文と申しますものを入手しておりません。その内容を十分に検討いたしましてからでなければ、ただいまの御意見のような形であるかどうかということが明確でございませんので、この点は十分にひとつ判決文につきまして検討した上でもってお答えを申し上げたいと思います。
  340. 多田省吾

    多田省吾君 公務員制度審議会では、その後の審議状況はいかがでございますか。それから、いま現在、労働基本権について審議されているということでございますが、どうなっておりますか。
  341. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 公務員制度審議会におきましては、第二次の公務員制度審議会が昨年の十月二十五日から再開されまして、これまで八回の審議が行なわれましたが、五回までは従来の在籍専従制度についての審議をされたものであります。第六回からは、本来の公務員等の労働関係の基本に関する事項の審議に入ったわけでありまして、なお、なかなか問題が重大なんでひんぱんに開きたいというので、今後、月二回程度を開催することを原則としております。まず、団結権に関する事項から審議が開かれておる次第でありまして、次回は三月三十一日に九回目の審議が開かれる予定であります。
  342. 多田省吾

    多田省吾君 次に、行政改革についてお伺いします。昨年は、行政改革について、いわゆる佐藤内閣としての重要な施策だということで、大いに前長官もハッスルされたようでありますけれども、最近は、長官もいわゆる大学問題等の治安問題もかかえておられるらしくて、ちょっと私たちにはかすんでいるように思われるわけでございます。まあ、最初の発足のときから、大臣の記者会見における言動にも、私たちとしては納得できない点が見えたのでございます。で、具体的に、昨年十月、第一次行政改革計画が閣議決定されているわけでございますが、第二次計画は、十二月に決定ということでございましたけれども、まだ閣議決定にはなっていないようでございます。決定の見込みもないようでございますけれども、その後のいわゆる推進三カ年計画の進みぐあいというものは一体どうなっておりますか、まずそれをお尋ねしたいと思います。
  343. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 行政管理庁長官拝命当時、御指摘のような新聞記事が出ましたことも万々私も承知しておりますが、新聞がいろいろ報道されるのは御自由なんでありまして、しかし、まあ新聞に出たようなことばを私としちゃ雑談的にお話ししたわけですけれども、記事にはなかなか真剣なような報道がありまして、本院におきましても他の機会にお尋ねにあずかったようなことですが、国家公安委員長行政管理庁長官の立場に軽重があるはずがないという考え方で、当時も申しましたけれども、月水金と火木土にそれぞれ分け、新聞記事が出ます前に、両方の次官、次長相互に話し合ってもらって、そういう振り分けにいたしておりますことを、この際、お答えさせていただきたいと思います。  第二次の行政改革をやるというので、前長官のときに新聞にも出ましたようなことで、計画をいたしておりますが、できれば今国会にぜひ法案等御審議願いたいと思って、今日まで努力を続けておりますけれども、ありていに申し上げまして、なかなかそれぞれが困難な問題でございますので、耳をそろえて御審議願うという段階にはいかないんじゃなかろうかということをおそれておるわけであります。しかし、絶望視しているわけじゃございませんので、今後も一そうの努力を続けたいと存じて、おります。   〔副主査退席、主査着席〕
  344. 多田省吾

    多田省吾君 第一次計画できまった許認可事項ですね、これは現在どのように実現されているか。許認可事項の整理に関して簡単に要点だけおっしゃっていただきたい。
  345. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 許認可事項の整理の実施状況を簡単にお答えをさせていただきます。昭和四十三年度におきまする許認可及び報告の整理予定件数は、一千七件でございますが、本年二月末現在、三百八十九件についてはすでに整理が済んでおります。その他のものにつきましては、法律の改正を要する事項について、現在国会に提出中の、許認可等の整理に関する法律案あるいは単独法案によりまして整理をはかるよう御審議をわずらわしておりますものが七十件ございます。政令、省令等の改正で足りるものにつきましては、関係省庁において本年度中に整理をはかるべく努力中のものが五百三十一件、その他四十四年度以降に繰り越されるものが十七件と相なっております。以上のようでございますが、四十三年度計画分につきましては約九八%が処理される見込みでございます。
  346. 多田省吾

    多田省吾君 次に、第二次計画に予定されておりますいわゆる地方事務官制度につきまして、その後検討はどのように進んでいるか。たとえば労働省関係の地方事務官については、昨年十一月の行管長官、労働大臣、自治大臣の三者間で覚え書きがかわされておりますが、それとも関連しまして、どう取り扱われているか。あるいは社会保険関係の地方事務官につきましても、一時公社制度創設のお話もあったようでございますけれども、それがその後どうなっているか。まとめてお願いしたいと思います。
  347. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 地方事務官制度につきましては、行政改革三カ年計画の一環としまして検討を進めておりますことはいま御指摘のとおりでありますが、お話しのように、昨年十月に閣議決定をした第一次行政改革計画におきまして、地方事務官制度を廃止する方向で検討することから発足いたしておりますが、関係省との間に前長官時代に覚え書き等もできておりますことも御案内であると思います。だいぶそれが煮詰まってきてはおりますが、まだ人事院関係とかあるいは労働省対自治省の関係とかで、部分的にもっと事務的に煮詰める必要がございますために手間どっているわけでございますが、相当進捗を見ていると御報告申し上げてよろしいかと思います。それから、社会保険業務について公社制度をつくって一本化したらどうだという話もむろん御指摘のとおりでございますが、これは現に厚生省を中心に検討されております医療関係の基本問題との関連がありますので、その結論を待って慎重に検討せざを得ない。特に公社制度につきましては、はたしてそういう制度でうまくいくかどうかの関連におきましても、いま申し上げたように、特に医療基本問題との関連がございますので、さらに慎重を期して検討課題といたしたいというふうに存じている次第であります。
  348. 多田省吾

    多田省吾君 次に、この行政改革の推進につきましてはどうしても各省間のセクショナリズムということもいままでずいぶんございましたようでございますし、総理大臣の指導性というものが非常に大事になってまいりますし、また、長官の確固たる決意というものも非常に要求されるのではないかと思います。そういう点で、たとえば昨年自治省の行政局が地方公共団体に対して行なったいわゆる「行政改革についてのアンケート」につきまして、農林省や建設省をはじめ各省が反対したと、こういうこともございました。また、第二次計画で取り上げられる予定だったところの官庁営繕行政の一元化に対しましても、防衛施設庁が自庁の各出先に反対の意見を述べるようにというような指示を出しておるようでございます。こういった、政府部内の意見が統一されていないということがいままでもしばしば露呈してきたわけでございます。その点に関して、いわゆる総理の最重要施策として打ち出されていることでもございますし、長官としていかなる決意で今後臨まれるか、確固たる御決心というものをお伺いしたいと思うわけでございます。
  349. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 行政改革が非常にむずかしいというのは、諸制度の根本は違うにいたしましても、戦前も戦後も変わりないむずかしい課題だと私も存じます。まあ、それがいわゆる役所のセクショナリズムが非常に強いのでと指摘されることが多くの場合に問題になるわけですけれども、まさにそれはあると思います。しかし、このことは、まあ商売熱心だという一面もございますし、さりとて、いろんな社会環境、国民的な立場からするところの諸条件が変化していくにつれて、行政サービスもだんだんと向上し、適応せねばならないにかかわらず、セクショナリズムのゆえに思うようにいかぬ、そういう関係にあるかと思うわけでございます。御指摘のとおり、かつまた、臨調の答申にも、行政改革は総理大臣の指導に、リーダーシップに基づかなければできないからしっかりしろというふうなことも指摘されているとおりでありまして、御指摘のとおりと私も思います。また、その補佐役の行管庁をはじめ事務当局全部が、ほんとうに国民のためのよき行政サービスを提供するために、各関係省庁と虚心たんかいに話し合って文殊の知恵を出して前進していく。その努力を積み重ねるほかには、これはとてもじゃないが簡単にまいらないということを痛感しておりますが、そういう考え方に立って、及ばずながらみんなと一緒に努力いたしつつあります。今後といえどもそういう考え方でいくべきだとむろん存じておるわけであります。  自治省からの地方自治体に対するアンケートのことは、私もまだ行管長官を拝命します前に、自由民主党の政務調査会関係で関連のことを担当しております時分から承知しておったんですけれども、新聞にはまあいろいろお話しのようなことが出ましたけれども、その真偽のほどは直接確かめちゃいませんけれども、まあ、立場上いろんな各省のセクショナリズムのいい意味におけるある種の抵抗はあり得たんじゃなかろうかとは思います。ですけれども、そんなことじゃなしに、前長官のときに私も話し合ったんですが、せっかくアンケートがまあ無記名で率直なる意見として出されておる。中には取捨すべき問題もありましょうけれども、ともあれ、客観的な立場で行革の対策本部に持ち込んだほうが適切じゃなかろうかという話し合いをしたことがありますが、現に行革の対策本部で検討中でありますと同時に、先月の終わりごろだと記憶しますが、行政監理委員会でもこれを正式に取り上げて、両面から第三者的な立場に立っていい意見は取り上げていくという方向で検討中でございます。まあ、いずれにしましても、冒頭に御指摘のように、総理大臣のリーダーシップのもとに私ども関係する者一生懸命努力したいと申し上げるほかに、特別に決意と申し上げましても、以上気持ちを申し上げることによって、お答えとしたいと思います。
  350. 多田省吾

    多田省吾君 私は、決意というような観念的なことよりも、結局は第二次行政改革計画がこのように閣議決定された、あるいは推進三カ年計画はこのように順調に進んでいるという実際の進捗が一番大事じゃないかと、このように思います。それがおくれている以上は、やはり大臣として御熱心ではないのではないかとやはり疑わざるを得ないと、こういう意味で申し上げたわけです。先ほどもセクショナリズムのいい面が生きてきたんだろうというような好意的な答弁がありましたけれども、私たちは、そういうことじゃなくて、積極的に、それは話はわかりますけれども、厳格に行なっていただきたいということを強く要望したいわけです。  次に、行政相談委員制度というのがありますけれども、一つはその行政相談委員の方は手当として、実費弁償という意味でございますが、年に四千百円手当として支給されておるようでございますが、やはり熱心な行政相談をなさればこういった面では非常にたいへんでございますので、それをあわせて増額をなさるようなおつもりはないのか。あるいはこの行政相談委員制度自体が特定の政党に利用されるようなおそれがないのか。この二点をお尋ねしたいと思います。
  351. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣(荒木萬壽夫君) 行政相談委員に対する実費弁償の手当でございますが、御指摘のとおり、いま御審議願っておる予算との関連において、いままでは年間三千八百円であったものをやっとこさ四千百円まで引き上げる内容で御審議を願っておるわけであります。お尋ねにはなかったようでございますけれども、一年間四千百円でございますから、月にすれば三百何十円、はななだ貧弱であるわけですけれども、もともとこの制度は、末端において民間のしかるべき有識者、公正な立場にあるとおぼしき方にお願いをして末端の国民の率直な声を吸い上げて行政改革に役立てたい、中央・地方の行政サービスの質的向上に資したいということでできました制度であることも御承知のとおりであって、必ずしも手当がつくから引き受けるという方じゃなくて、真剣に国民の声を反映さしていきたいという意欲に燃えている方々のおかげで実費弁償だけで御容赦願いつつ積極的な御協力を願っておること、御承知のところでありますが、そこで、何か特定の政党にこの行政相談委員という人々が利用されはしないかの御懸念のお尋ねでございますけれども、これはこの行政相談委員法そのものが要求しておりますように、あくまでも不偏不党の立場で公正な立場で冷静場な判断を加えながら行政相談の役職を果たしていただくということを要請いたしております。したがって、さっきも触れましたように、人選もそういう考え方に立って厳選いたしておりまして、御懸念のようなことはあろうはずがないと信頼をいたしておる次第であります。
  352. 多田省吾

    多田省吾君 行管庁を終わりまして、次に東京湾の開発について、これは御答弁首都圏整備委員会ということになるんじゃないかと思いますが、お尋ねしたいと思います。  東京湾は、何といっても政治、経済、産業の中心的な役割りを果たしておりますから、東京湾はますます重要になっているようでございますし、東京都の面積の約半分に当たる十万ヘクタールという広大な面積を持っておるのが東京湾でございます。この開発につきましては、前からいろいろ神奈川から千葉への架橋の問題であるとか、埋め立ての問題であるとか、もう大構想がいろいろ打ち出されておりますけれども、政府はこの東京湾の計画的な総合的な開発についてどのような基本方針を持っているのか、それを関係各省のほうから一応御説明願いたいと思います。
  353. 鶴海良一郎

    政府委員鶴海良一郎君) 東京湾開発のそれぞれの事業につきましては、関係各省でやっておるわけでございます。首都圏整備委員会として東京湾につきましてどういうふうに考えておるかということを概略御説明申し上げます。  東京湾は、御承知のように、いま首都圏あるいは東日本に対しますわが国最大の流通の場となっております。今後も、背後地の発展とともにますますその重要性を高めることになると考えております。東京湾地域の開発整備を進めるにあたりましては、横浜、川崎、東京、千葉等の東京湾の諸港を一体的にそれぞれ機能を分担し合うように整備をいたしますとともに、背後地につきましても、それぞれの発展段階に対応いたしまして施設の整備を総合的にはかってまいりたいと考えております。特に、背後地の整備に関連いたしまして、たとえば東京外郭環状道路、あるいは東京湾臨海道路、鉄道では京葉線というふうなものの整備を考えております。また、東京湾を横断いたします交通施設の整備につきましてもこれを進めることを現在やっておるわけでございます。
  354. 多田省吾

    多田省吾君 具体的に――運輸省来ていらっしゃいますか。――建設省は来ていらっしゃいますか。――経済企画庁の方はいらっしゃいますか。
  355. 塙阪力郎

    説明員塙阪力郎君) 経済企画庁におきましては全国総合開発計画を策定中でございまして、来月上期を目途といたしまして仕上げたいと思っておりますが、首都圏の整備に関する条項におきまして、ただいま東京湾の広域開発につきましては、首都圏整備委員会の御説明の趣旨と同じことを大体書いてございます。
  356. 多田省吾

    多田省吾君 まあ、いろいろこまかい問題を質問したいと思ったのですが、あまり関係官庁も来ていないようでございますから、時間もございませんので、次の機会に回したいと思います。私の質問は以上で終わります。
  357. 片山武夫

    片山武夫君 労働省の関係についてちょっと御質問申し上げたいのですが、特に公務員関係。そこで、総理府総務長官の関係か、行管長官か、人事院総裁か、まあ、全部に関係する問題なので、どなたかお答え願いたいと思います。  前提条件として申し上げたいことは、とにかく労働省としても労使の関係についてはこれが健全化のために非常に努力をして、特に民間産業についてはいろいろと指導的な役割りを果たしていると思うのですが、たまたま公務員に対するいわゆる各省庁の態度といいますか、これが非常に何かあいまいになっているように私聞いておるわけであります。そこで、非常に初歩的な御質問をするわけなんですけれども公務員一般職の労働組合、これに対応する各省庁の機関、こういうものがあるはずだと思いますが、これは特に法律によって保障されているわけで、これは当然にその窓口で交渉を受けなければならないことになっておるわけなんです。その交渉を受ける窓口のいわゆる責任者は、これは交渉のできる当局として、管理、決定のできる当局とするんだ、こういうことが取りきめられておりますが、そういうことは実際問題として各省庁で行なわれているかどうか、この点についてひとつお尋ねをしたいわけであります。これは公務員法の八十六条、八十七条、百八条、これに関係する問題です。
  358. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いま御指摘の条文にございます。要するに、「職員団体が交渉することのできる当局は、交渉事項について適法に管理し、又は決定することのできる当局とする。」ということでございまして、結局、その問題、問題によりまして、おそらく会計課長の出る場合もありましょうし、あるいは人事課長が出る場合もございましょうが、要するに、問題によって相手方がおのずからきまるだろう。普通の場合、官房系統の方が対象になるのが多いのじゃないかと思っております。
  359. 片山武夫

    片山武夫君 続いて御質問申し上げますが、この交渉の案件というのは、給与であるとか勤務時間、あるいは勤務条件、あるいは社交的、厚生的活動ですか、こういうことが内容になっておるわけでありまして、それに対する各省庁の当局者といいますか、これはどなたになっておりますか。これはその問題によって変わるといっても、大体において勤務条件が主だと思うのですが、きめられていないということになるとこの法律が浮いてしまうのですが、いかがでしょうか。
  360. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは理詰めでいけば結局大臣。まあ、大臣はオールマイティーでありますから大臣ということになりますけれども、大臣を引っぱり出さなくとも、私ども人事院の組合の例を申しますと、大体問題によって会計課長が相手になり、あるいは人事課長が相手になる場合もあります。大体各省を通じて見て、官房系統のそういった人たちが相手方になるという場合が多いのではないかと思っております。
  361. 片山武夫

    片山武夫君 私はその点が、特に民間の労使関係改善ということを労働省で言っていながら、おひざ元の各官庁におけるいわゆる交渉の窓口が、そういうように、権威のないと言っては失礼かもしれませんけれども、そういう人が窓口になっているということは、これはいわゆる公務員の労使の関係、あるいは綱紀粛正、そういったようなものに対して悪い影響を与える。だから、したがって、その窓口になって責任のある答弁のできる人、こういう人がだれかあってしかるべきだと思うのでありますが、もしそういう体制がないとすれば、これは各省庁にそういう人を置いてもらう。実は公務員法の二十五条ですか、これに人事管理官というのがあるのですね、これは人事院関係がある。直接関係を持っておる人、この人が最適じゃないかと思うのですが、人事管理官という人は何をやっているのですか、各省庁で。
  362. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 人事管理官は普通人事課長がやっておりますが、これは平素から部下の職員に対しまして人事の管理をいたしておりまして、いま仰せのごとく部下の職員等からいろいろ注文等がありまする場合においては、この人事管理官が取り扱っております。なお、こういう問題につきましては各省共通の問題が少なくありませんので、各省庁人事官、人事管理官会議というものを月に二回くらいは開催しておりまして、そうしてその人事管理に対してはいろいろ研究もし、指導もし、連絡をはかっておる次第であります。
  363. 片山武夫

    片山武夫君 交渉のいわゆる具体的な案件が大体限定されております。そこで、したがって、勤務条件が主になると思うのですけれども、そういうことであれば人事管理官が窓口の責任者と、こういうことが言えるわけですか。
  364. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 人事に関するものはおおむね人事管理官で、たとえば転職をしたいとか、勤務の実態につきましての問題につきましては人事管理官が扱う。
  365. 片山武夫

    片山武夫君 その他の問題については。
  366. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) これは、たとえば予算の問題等につきましては会計課長が出る場合もありますし、官房長あるいは、それぞれの問題によりまして相手する人が違う。根本的には大臣、次官、先ほど話がありました責任者たる大臣、次官が出る場合があります。問題によって応待すべき者が違ってくると思います。
  367. 片山武夫

    片山武夫君 私はそういう受け入れ体制そのものがいわゆる労使の関係を悪化しているのだと思うのですよ。したがって、これは責任ある立場の人が一人加わって、必要な各課長をやはり出席さしてそこで交渉するというのがこれが正しい姿だと思います。特に労働省あたりではそういうことを民間企業に対しては慫慂していることなんですし、その指導的立場にある政府の各省庁がそういうようなばらばらの形で受け入れ体制をつくっておくということについては、私は、労使の関係改善されるどころか、改悪されていくと思う。そういう点について私は十分にこれは考えてもらわなければならないと思うのですけれども、今度特に総定員法が出されております。この総定員法がもしきまったとするならば、これはある程度、何%かの人員削減ということもあるし、したがって、これは人員の配置転換、こういったような点もあろうかと思います。特に毎年毎年定期異動というようなものがあって、いろいろ配置転換等について不満もあると思うのですけれども、それを労働組合の代表が行って基準なりあるいは大まかな程度なりの交渉をする。そこで合意に達する。こういうことがないと、これはどうしても公務員の労使の関係というものは改善されていかないと思うのですが、これはひとつ何とかこれは各省庁とも考えていただきたいと思います。  なお、人事院にお伺いしたいのですが、この人事管理官、ここからいろいろ要求が出てまいりますね、人事に対して。ただ、労働組合としては中央機関があるのです。この中央機関の対応機関というものがないわけです。これは中央機関の代表が各省庁へ出張っていってこれは交渉するということもあり得ると思います。この中央機関に対する何か対応機関というものも考えていただく。そういうことによって、個人的な具体的な問題はともかくとして、基準についてぐらいの――これは交渉といいますか、それは交渉決定とまではいかなくても、一応組合側の意見を聞くといったような体制が私は必要だと思う。そういうことによって公務員の労使の関係というものはもっと改善されていくと思うのですけれども、いまの話を聞いておりますと、全くこれはおざなりにやっておるとしか考えられない。これは組合の側にも責任があろうかと思いますが、むしろ受け入れの側に責任があるのだと私は思うのですが、いかがでしょう。
  368. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 各省共通の問題につきましては、総理府人事局において窓口になってお相手をしております。
  369. 片山武夫

    片山武夫君 その担当官はどなたですか。
  370. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) 総理府人事局で所管しておりまして、私のほうが事務的な窓口になっておりまして、その内容によりまして総務長官、それから総務副長官、あるいはまた私のところでということでお会いをさせてもらっております。
  371. 片山武夫

    片山武夫君 最後に一つ。このたとえば総定員法が通った、あるいは配置転換等の問題が起きてくる。こういったような基準について、やはりある程度労働組合と交渉して合意に達する。こういうことになれば、そういう習慣がつけられれば、ある程度公務員の不平不満というものはそこで解消されるのだと私は思う。これは民間の労使の関係から推察して私はそういうことを申し上げておるのですが、そういうような面について、いわゆるこれは協議じゃなくて交渉の対象になり得る問題だと思うのですけれども、この点いかがですか。
  372. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) 配置転換等にあたりまして、組合と交渉するということはありませんが、しかし、個々の職員の配置転換等に対しましては、いわゆる人事管理官において、それぞれの職員の身上に対しましては、毎年一回ないし二回、いわゆる職員の身上調書とか、あるいは申告書とか、あるいは職員のいろいろ希望カードとか、いろいろ平素の実情あるいは転職の希望等に対しまして意見を聴取しておりますので、そういうものを材料として処理してまいります。したがって、各職員の要望というものに対しましては、期待し、あるいは対応し得るだけの体制はとっておりまして、この運用を十分することが、やはり人事管理官として非常に大事なことだと考えております。
  373. 片山武夫

    片山武夫君 個々の問題について私は実は申し上げておるのではなくて、個々の問題は当然それだけの配慮がなくちゃならないと思うのでありますが、労働組合を認めている以上、労働組合としての個々の問題ではなくて、基準的な問題についていろいろ意見があろうと思います。そういうものも協議し交渉すると、こういうこともいわゆる人心一新の意味では必要ではないかと、そういう意味で、そういうものが交渉の対象になり得るとしたならば、これはどこを窓口としてやってもらえるかと、こういうことで具体的に各省庁持つでありましょうし、これは全体的な問題については総理府でやっていただくと、こういうことになろうかと思いますが、これはひとつ軌道に乗せて正常化していって労使の関係改善の材料に私はしていただきたい。これは特に希望するわけです。
  374. 床次徳二

    ○国務大臣(床次徳二君) ただいまの問題は、職員組合その他からの意向に対しましては、人事担当官におきましても話し合いはいたしております。しかし、それが一つの交渉、団体交渉というような形ではないのでありまして、その要望につきましては、十分にこれを聞いて要望に沿うように努力をいたしておるわけでございます。
  375. 片山武夫

    片山武夫君 この問題、重要な問題なんですよ。法律の第百八条の五には、勤務時間、勤務条件、これについて交渉することができると書いてあるのですよ。ただ単にこれは協議ではない。協議ということは、これはととのはない場合があると思いますけれども、交渉という場合には、何らか取りきめをしなければ交渉とは言えないわけでありまして、その法律解釈は一体どうなっておるのですか、人事院総裁ひとつその点おわかりになりますか。
  376. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 御承知の上のお尋ねじゃないかと思うのです。いま御指摘の百八条の五の三項に、管理及び運営に関する事項は交渉の対象にならないとございますので、その趣旨のことを総務長官が言われたのじゃないかと思うのです。
  377. 片山武夫

    片山武夫君 第百八条の五の問題です。
  378. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) その百八条の五の、第一項、第二項、第三項とございまして、第三項もございますし、そことのかね合いで先ほど総務長官がお答えになったのだろう、要するに、管理、運営に関する事項は交渉の対象にならないと書いてございます。そこだろうと思います。
  379. 片山武夫

    片山武夫君 そうすると百八条の第五項が消えてなくなっちゃうのですよ。そういうことになりますと。よくお調べになっていただきたいと思うのです。勤務時間いわゆる勤務条件、これはまあいわゆる管理条件に入ると思いますよ。それを特に浮き出して書いてあるところに私はこの法律の意味があると、かように考えておるのです。いかがでしょうか。
  380. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そういうものの中で、対象とならないものをここに三項としてあげておるものでございますので、「交渉の対象とすることができない」と書いてある面をとらえていま総務長官がお答えになったのだろうと、こういうふうに思うのです。
  381. 片山武夫

    片山武夫君 私は、これは民間の労使の関係においても、こういったような配置転換とか、あるいは人事管理に属する問題、これは確かに拒否しますよ。が、しかしね、したがって、それは協議ということばを使っているわけなんです。協議ということばを使っている。それはよくわかります。これは協議は決定できない場合もあるわけなんですけれども、交渉という場合は、私はそういうふうにはとっていない。交渉という場合には交渉権に属する問題だ、かように理解しておるのですが、この点は解釈はいかがでしょう。
  382. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) ただいま人事院総裁のほうからお答えがございましたように、管理、運営に関する事項は、お話し合いは、もちろんわれわれ承ることはいたしますけれども、いわゆる交渉妥結というような点には乗ってこないということでございまして、事実上のお話をよく承るという点と、いま先生よく御存じのような、いわゆる固い意味での交渉、それの妥結、それを実行するというようなそういう面ではいわゆる交渉ではない、こういう意味でございます。
  383. 片山武夫

    片山武夫君 じゃ、再確認いたしますが、交渉妥結というところまでは行かないけれども協議は十分すると、こういうことですか。
  384. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) 御希望の存する点を十分に承る、こういう点でございます。
  385. 片山武夫

    片山武夫君 しかし、それは俗語で言われても困るのですがね。協議すると、こういうことでしょう、承るということは。
  386. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) 御意見を十分にお聞き申し上げるということでございます。
  387. 片山武夫

    片山武夫君 それは協議にならぬのですか。
  388. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) ことばの内容のとり方かと存じますけれども、この法律にございますようないわゆる協議は、何といいますか、いろいろお話を聞いてディスカッションをお互いにするという意味では協議かもしれません。ことばの内容によりまして、とり方かもしれませんけれども、いわゆる交渉というような意味での協議ではないということでございます。
  389. 片山武夫

    片山武夫君 私もはっきり交渉と協議は区別しております。したがって、話し合いをするということは、すなわち協議するのだな、こういうことなのです。それさえ確認すればよろしいのですが、協議という場合、私が説明するまでもなく、協議決定する場合もあれば、協議しっぱなしの場合もあれば、これはいろいろあろうかと思いますが、しかし、協議を尽くすという意味の協議です。私の申し上げておるのは。
  390. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) 御希望の点をいろいろ聞きまして、こちらの意見も申し上げて、その結果、いろいろの結果が出てまいるということでございます。
  391. 片山武夫

    片山武夫君 これは協議という表現は、これは法律用語として一応確立された用語だと思うのですよ。それをあえてなぜそういうことをやらなければならぬのか、その点を私はさらにお伺いしたいのです。
  392. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) ちょっと私のあるいはことばの足りなかった点があるかも存じませんのですが、交渉というような意味ではございませんという点を強く申し上げたつもりでございます。
  393. 片山武夫

    片山武夫君 あとが足りないのです。協議はよろしいですね。
  394. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) 先ほどから何回も申し上げましたのでございますが、希望の点を十分にお聞きいたしまして、こちらの申し述べる意見があれば申し述べる、そういう意味の協議というふうに私は先ほどから申し上げた次第でございまして、交渉ではないという点は、そういう意味において申し上げたつもりでございます。
  395. 片山武夫

    片山武夫君 重要なことだと私は思うのですよ。したがって私は、交渉ということを、いま一歩引き下がって協議ということばに表現を変えております。その協議ということばに、さらにつけ加えて、お聞きをする、意見を言う、これはあたりまえのことなんであって、それが協議だと思うのですが、協議というのをそういうふうに理解してよろしいかということをお尋ねをしておる。そして、さらにつけ加えますけれども、それでよろしいとしたならば、これは各省庁に対して総理府から厳重にひとつ御通知、御連絡をお願いしたい、かように希望するわけでございますが、いかがでしょう。
  396. 栗山廉平

    政府委員(栗山廉平君) たいへん恐縮でございます。先生のおっしゃいました協議という内容の私の理解のしかたでございますけれども、何回も繰り返して恐縮でございますけれども、私のほうの申し上げました理解しておりまする点は、職員側の方々から、いろいろのそういう点に関しまして、希望なり、要請なりお出しになる、それの説明をよく聞きまして、われわれのほうの意見を申し述べる、こういう点に私は先ほどから理解してさように申し上げてきたつもりでございますが、そういう点でありますならば、われわれのほうで人事管理官等の会議におきまして、十分に皆さんの間で常にお話をしておりまして、聞くべきものは聞いていってもいいじゃないかという話も出ているわけでございます。
  397. 片山武夫

    片山武夫君 先ほど人事院総裁からお答えがありました中で、第五の給与、勤務時間、勤務条件、社交的または厚生的活動、これについては交渉することができるのだけれども、このうち何ができなくなるのですか。第三項によって管理に関する問題というのはどういうことですか。
  398. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 「国の事務の管理及び運営に関する事項は、交渉の対象とすることができない。」、これは公共企業体関係にもございます。
  399. 片山武夫

    片山武夫君 具体的にはどういう内容ですか。
  400. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 人事とかなんとか、いま具体的に例にあがっているようなことですね、そういうことが管理、運営に関する事項だということで一般に理解されておるわけです。
  401. 片山武夫

    片山武夫君 そうすると、給与、勤務時間、勤務条件、社交的または厚生的活動は、これは交渉の対象になるのですか、ならないのですか。
  402. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この第三項がなければ、それはいま御指摘の第一項の中に広く入ってしまうだろうということが論理的には言えるわけですけれども、第三項ではっきり特記しておりますから、その点に問題がある。非常に法律的にぎすぎすしたことなんで、趣旨はいま人事局長が答えたところが、むしろどちらかと言えば、おとなのお答えだと思います。要するに、職員側の考えあるいは希望をよく聞いて、無理のないように、そうして円滑に進むようにということをはかることは当然の管理者側の責務でありますから、その趣旨で円滑にいくようにはかるべきである。人事院としてはそういうふうにお願いしたいということに尽きるわけです。
  403. 片山武夫

    片山武夫君 これは話の時間が超過して、ないのですが、第五にはっきり交渉するいわゆる案件というものはここに列記されておるのですね。第三項でどうしてこれが打ち消されちゃうのですか。それじゃ、何もないほうがいいじゃないですか。そんな理屈はないのだが、どうですか。
  404. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) むしろ法律の条文としては、この三項を削るというような改正でもおやりになれば別でございますけれども、いまあるのですから、これは何ともしようがないではございませんか。
  405. 片山武夫

    片山武夫君 そうすると、どうなるのですか、具体的に。
  406. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ですから、管理、運営事項以外のことが、要するに、第一項の問題として適法な交渉の、明文の対象になる。ここだけで言えば、そういうことになります。
  407. 片山武夫

    片山武夫君 再度お伺いしますが、給与、勤務時間、勤務条件、社交的または厚生的活動の中の管理的問題というのは何ですか。ここから抜けばいいのでしょう、それだけを。どういうものですか。
  408. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 差し引き計算すれば、それは抜けばいいわけです。この中の「その他の勤務条件」というのは、非常に幅の広いものとわれわれは考えなくちゃいけないものだと思います。「その他の勤務条件」というものの中に管理、運営事項がまぎれ込んでおるかもしれないぞということで、第三項としてこれを明白に除外する。論理的には、ただそれだけのことだと思います。
  409. 片山武夫

    片山武夫君 勤務条件の中で管理事項というのはどういうことですか、具体的に。どういうことを抜けばいいのですか。
  410. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) さっき申し上げたとおり、「その他の勤務条件」といったら相当これは幅の広い、また幅の広いものと考えたほうが職員側として有利なことですから、これを狭く解したらこれは職員側としては非常に不利なことになるわけであります。われわれとしては「その他の勤務条件」というのは広いものとして考えて、その中に、ものによっては管理・運営的なものも入ってくるから、それを第三項で除外して、初めから一項を狭く読むことは、ある意味では望ましくない読み方だろう、そういう考え方も成り立つわけです。
  411. 片山武夫

    片山武夫君 その解釈は、ひとつこれはやっぱり各省庁に徹底してもらう必要はありますね。その解釈は労組に対しても私は徹底してもらうことが必要だと思うのです。そうすることによって、公務員の労使の関係改善に役立つわけです。そういう意味で、厳重にこの解釈は徹底させていただきたい。特に希望します。
  412. 小林章

    主査小林章君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  413. 小林章

    主査小林章君) 速記を起こして。  以上をもちまして、内閣及び総理府所管並びに他分科会所管外事項に関する質疑は終了したものと認めます。     ―――――――――――――
  414. 小林章

    主査小林章君) 次に、昭和四十四年度総予算中、皇室費及び会計検査院所管を一括して議題といたします。  政府側の説明はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  415. 小林章

    主査小林章君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは直ちに質疑に入ります。
  416. 多田省吾

    多田省吾君 始めに、新宮殿の管理運営に関してお尋ねしたいと思いますが、新宮殿は百三十一億円の巨大な費用を投じてでき上がったわけでありますが、新宮殿を含むところの宮城内の管理運営につきましては、もっと国民との壁を取り払ってよろしいのじゃないかと、このような気がいたします。新宮殿が完成いたしましたときに一般公開されましたが、ほんのわずかの期間でございました。しかも限られた範囲でありました。幸い壁画等においても、東山魁夷氏の壁画も非常に好評で、話題を呼んでいるようでございます。このようなせっかくでき上がった機会でありますから、警備等非常にむずかしい問題も多々あると存じますけれども、広く一般にも参観の機会をさらに与えるように御検討いただけないかと、このように思います。いかがでございましょうか。
  417. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この新しい宮殿の一般の参観でございますが、毎日午前千五百、午後千五百の方が、前もって許可を受けていただきますけれども、御案内をして、これは新宮殿の中へは入りませんけれども、ずっと中をある程度見ながら、前から外から見ていただく、説明もいたしながら見ていただくというようにはいたしておるわけでありまして、なおこれは許可を受けてでありまするが、一月の二日と、それからまあ天皇誕生日の日には、一般参賀ということで、正門から一般の方が自由にお入りいただいて、そうして宮殿の前まで来られまして、そこで両陛下などのお出ましを受けて、祝意を表されるということもありますが、その際宮殿を外から見ていただくというようにいたしております。ただいまお話の、中へ入っての参観という点は、これは、中はやはり清潔に整とんしてきれいにしておかなければいけないものでございまするので、これは一般にお見せするということはちょっと御無理かと思うのでありまして、しかし行事に来られる方、これは当然中へ入られるわけでありますが、行事に入られる方は相当たくさんございます。この国民などがお見えになりましての行事ですと、ごく限られた人が参列しますが、天皇誕生日の祝宴、これもまあある程度限られまするが、勲章を受けられた方とか褒章を受けられた方、そういうような方が、あとから陛下にお礼という意味でおいでになります、賜謁と申しまして、この宮殿の中で陛下がお会いになりますそういう機会にお入りをいただいて、中をある程度でございますがごらんいただけるということになっておりまするが、まあ広く一般の方に入っていただくわけにいきませんので、中の模様がわかるような写真帳を早く出したらどうかということも考えております。これはいま準備をいたしておりまするが、五月ごろになると思います。これを写真帳として、一般に、ある新聞社の発行の形でありますけれども、材料を宮内庁から出しまして、一般の方にも買えば見ていただける、なお、写真帳でない、絵はがきなども考えたらどうかということで、準備をいたしておるわけであります。
  418. 多田省吾

    多田省吾君 たしか新宮殿が完成したときの一般公開は中にも入れたんじゃないでしょうか。
  419. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この新宮殿ができましたときに、三日間、正門から入っていただいて、自由に宮殿の前から見ていただきましたんで、あのときは中へは入っていただかなかったんです。ただし、中に入ってごらんいただいた方もございます。これは特別の方で、いろんな各界の代表的な方というような方をある程度御案内をしまして、この方は中を見ていただきましたが、一般は、前から外から見ていただきました。
  420. 多田省吾

    多田省吾君 一般公開されたときと同じ状況で、現在毎日千五百名がいわゆる見学しているような状態ですか。
  421. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 同じ状況で、午前千五百名、午後千五百名、一日三千人御案内しております。
  422. 多田省吾

    多田省吾君 現在その申し込みは、結局何名ぐらい毎日申し込まれて、何名ぐらい参観を許されているか、その辺を。
  423. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 最近の参観の申し込みは、普通一カ月ぐらい前でも一ぱいになるようなふうでございまするが、実は三月までは、午前千名、午後千名というふうに考えておったんです。そのほうが案内人としてはやりやすいんですけれども、非常に希望が多いものですから、さらに五割増しにしたわけでございまして、場合によっては千五百をちょっと越えても、案内が可能ならばやっておることもございまするが、ちょうどいま観光シーズン――というのもおかしいですけれども、だんだん気候がよくなりまして、四月中は申し込みで一ぱいになっております。
  424. 多田省吾

    多田省吾君 一般公開のときは、大体三日間とお聞きしましたけれども、何人ぐらい参観を許したんですか。
  425. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 一般公開の三日間は、二十四万人の方が見えております。
  426. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、一億の日本国民がいるんですから、中にはやはり新宮殿を拝観したいという気持ちを持っている人も大ぜいいると思うんです。ですから、申し込みが殺到して四月まできまっているというような状況だと思います。この際ですね、やはり新憲法以来、せっかくいわゆる皇室というのが国民と非常に密接な関係ができたところで、また最近雲の上に上がってきたのじゃないかというようなことも言われております。そういった壁を取り払うためにも、やはり国民の希望を入れて広く公開する。午前、午後千五百人というのも、三日間で二十四万人にしたら、一日に八万人、過去においては計画した姿もあったのでございますから、もっと幅を広げてもいいんじゃないか、このように思うわけです。  それからついでにお聞きしますけれども、皇居の東御苑の一般の利用状況ですね、それもあわせてお答え願います。
  427. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 東御苑の一般公開は昨年の十月の一日からいたしておりまするが、このほうは午前の九時から午後の三時までに入っていただいて、四時までには出ていただくということで、一番いままで多く来られましたのが一日に一万六千人くらいですね。少ないときは数十名のときもございます。雪の降ったような日がございますが、そういう日も数十人は見えておりますけれども、このほうは、最初の十月ですと、一日の平均が七千人余り、十一月が多くて八千をこしております。しかし十二月は、寒くなりましたからずっと人が減りまして、三千数百、一月が二千何百、二月がやはり二千何百、三月、幾らかあたたかくなってまいりますと、またふえてまいりまして、三、四千、多い日は一万七、八千になっておりますが、この方たちはいろいろの方面から見えております。地方の人もありますし、東京の人もありますし、お年寄りもあれば若い方もありまして、その方の東御苑内でのいろんな観賞なさる際の態度は、整然としておられて、ごく例外的に何か落書きがあったりした事故はございますが、これはごくまれでございまして、概して申しますと、整然として行なわれておりまして、その点は非常にけっこうだとわれわれも考えております。
  428. 多田省吾

    多田省吾君 四月の二十九日には、国会議員なんかも多数祝宴に招待されておるようですけれども、根本は何といっても、国民こそ主権者でございますし、やはり新宮殿の参観も、私は一日に一万人とか、二万人とか、常識的に考えて可能な範囲で、やはりもっとふやしてもいいんじゃないか。特にこの四月なんかは、気候もいいし、非常に国民全般も期待している面もあるんじゃないか、こう思いますので、御検討いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  429. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは、宮殿の中でもう四月からいろいろ行事が行なわれます。いろいろお客が見えたりしますものですから、したがって御案内する時間は、朝方十時からですと、比較的その時間は行事がまだない場合が多い。午後一時半というと、午後一時半くらいもあまり行事がないときだ、そういう時間を見て御案内している。ですから、宮殿ができました際に、三日間正門から自由に入っていただいた場合と状況が違うものですから、そうたくさんの人が自由に入られても、またせっかくできました宮殿を有効に使えませんものですから、そういう制限もございます。いま先生のおっしゃるような御趣旨の点は、なおわれわれも頭に入れまして、今後改善できる点がないかどうかはさらに検討さしていただきます。
  430. 多田省吾

    多田省吾君 次に、高根沢の新御料牧場についてお尋ねしたいと思います。  これは前からいろいろの質疑が行なわれておりますけれども、新御料牧場は八月完成と言われておりますが、その見込み、その建設状況はいかがでございましょうか。
  431. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この新しい牧場は、八月完成、というとちょっと幾らか言い過ぎになるのですけれども、主要部分は八月にはでき上がる。あと残りますのは、たとえば貴賓館、いろいろな外国の貴賓なんかを接伴する場合もあります、そういうときとか、皇族が行かれた場合の貴賓館とか、その付近の庭園とか、そういうものがそれまでにできません。しかしながら、その牧場を運営していく上において必要な部分は、八月一ぱいにできるという大体見込みでございまして、したがって下総御料牧場、三里塚の牧場にいます職員も八月下旬には引っ越していけるという見通しで現在おります。
  432. 多田省吾

    多田省吾君 この新牧場に使用される経費というものは全部で約二十二億円だと聞いておりますけれども、現在の千葉県の三里塚牧場の売却代金はどれほどでございましょうか。
  433. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この三里塚の御料牧場は四百三十九ヘクタール相当の面積がありますが、これはそのうちの一部分が空港公団のほうと高根沢の新しい牧場をつくってもらったそれとの交換という形に、残った部分は国が、何か大蔵省関係ですけれども、空港公団のほうへ出資するというような形でいくので、売って金が入ってくるというような売却の方式にはなっていないわけです。
  434. 多田省吾

    多田省吾君 そうしますと、その代金というものは、いわゆる昭和四十四年度の特定国有財産整備特別会計ですか、この歳入のほうには計上されないということでございますか。
  435. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) それは大蔵省のほうの御専門で、私のほうちょっと自信はありませんが、しかしまあ建築交換ではございますけれども、しかし高根沢にできる牧場を二十二億で買うという一応形式にはなるようです。したがって、それに見合うものが、国から公団のほうへ売ったという名儀で、きっと収入の中へ入るんじゃないかと思います。
  436. 多田省吾

    多田省吾君 現在の三里塚牧場と今度の高根沢の新御料牧場では、その業務内容と申しますか、生産規模と申しますか、そういったものはどの程度の違いがあるんでしょうか。
  437. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) おおむね同じでございまするが、しかしながらこの新しい牧場のほうは面積も狭いわけであります。先ほど申しましたように、三里塚のほうの御料牧場は四百三十九ヘクタールですが、高根沢の新牧場は二百五十二ヘクタールということで、約六割になります。で、それはいろいろ合理化をするためもありますが、なお三里塚の場合には、穀類飼料、つまりあそこに飼っています動物に対するトウモロコシとか燕麦、そういうものを三里塚の牧場の農地で生産をしておりましたが、これは高根沢に行きますと、やめます。で、これを民間から買うという形になる。ただし、牧草はもちろんこれはつくりますから、そういうところはあります。そういう穀類飼料をつくらなくなります。そういう点があります。それが違いの一点であります。  それからもう一点は、三里塚の牧場では、馬のうち軽種馬、つまり競馬なんかに使います軽種馬の生産も従来やっておりましたけれども、これは廃止をする。そして普通の乗馬と競馬だけを高根沢でやる。と申しますのは、皇室でお使いになるのは乗馬と輓馬で、軽種馬、いわゆる競馬馬のほうは実際お使いになることがないものですから、で、これを廃止をする、これは普通売るだけになっておりますから。しかしこれは誤解があるといけませんからつけ加えますと、明治時代からあったのが無意味かといいますと、そうではありませんで、軽種馬とやはり普通の馬との配合によって馬匹を改善するというようなこともあって、むだなものではなかったらしいのですけれども、現状ではそれをつくらなくてもいいというので、廃止をします。そういう関係がまず違います。そのほかは、あそこで飼っておりまする動物の数のうち、羊の飼養の頭数を現在の倍くらいにしよう、これは園遊会も春秋行なわれる。以前は年一回でしたけれども、最近では年二回行なわれております。そうなりますと、三里塚の生産の羊が足りないものですから、これは倍にふやす、そういうようなことをいたします。そういうような点が変わってまいりますが、しかしおおむねにおいては同じような仕事をすることになると思います。
  438. 多田省吾

    多田省吾君 時間もありませんので、大蔵省関係の問題はこの次に譲りまして、次に、三里塚牧場の職員の方が全部今度の新御料牧場に移ることになりますと、職員宿舎とか、あるいは子供さんの教育であるとか、あるいは福利厚生面の問題などいろいろありますが、その点の配慮というものは十分なされておるかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  439. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 三里塚に現在つとめています職員、これは大部分は高根沢の新しい牧場に移りまするが、この移られる方の宿舎、これは、新しい牧場の建設計画に基づいて十分につくるように二十二億の中に入るわけであります。なお、そういう方が高根沢に移る場合の時期の問題もあるわけです。したがって移る時期は、ちょうど二学期の始まる前、夏休みの終わりごろということで、八月中には移れるようにということで、公団のほうへもそういう希望を強く述べて、公団のほうもそれに間に合わせるということで、そういうように努力をしておられる。大体の家庭に学校へ行っている子供さんがあるので、そういった点も考えてやっております。なお、三里塚から高根沢に移りたくない、いろいろの事情で移りたくないので、千葉のあのあたりに住みたいという人もあります。そういう方には、あの付近で働けるようなお仕事のあっせんをしております。空港公団で引き受けてもらう人が相当あります。それから成田の市役所で引き受けてもらう人もあります。なお、あの付近の民間の牧場なんかがございますが、そういうところで引き受けてもらう方もあって、現在のところ、移りたくない方もそれぞれ先の職の目当てはついている次第であります。
  440. 多田省吾

    多田省吾君 次に、皇族の方々の殿邸の改築、新築の問題で若干お尋ねしたいのですが、昨年の暮れに皇室経済に関する懇談会というものが開かれまして、皇族の方々の邸宅は国費でという趣旨の方針が決定されたと聞いておりますけれども、これにはちょっと問題があるのじゃないか、こう思います。この懇談会のようなものがいままで開かれた例があるのでございましょうか。
  441. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) そういう皇室経済会議のメンバーに近い人の懇談会というものを開いたのは、昨年の暮れが初めてであります。皇室経済会議というのは、これはもうときどき開かれております。これは、この皇室経済会議にかける事項というものが皇室経済法で特定をされております。したがって、たとえばいまお尋ねの皇族殿邸を国費でつくるというような問題、これは皇室経済会議にかける事項にはなっていないわけであります。しかし、そういうような重要な事項については宮内庁だけで方針をきめるということもおもしろくないのじゃないか。当時の田中総務長官が、ありのままに申しますと、やはり皇室経済会議の性質のものではないが、そういうメンバーの人に、総務長官もとより関係が深いのですが、皇室経済会議のメンバーになっていませんが、皇室経済会議のメンバーに総務長官が加わったような懇談会でそういう重要な問題を相談して、そうしてきめていくほうが間違いがなくていい、こういうような意見を述べておられる。これはもっともだということで、昨年の暮れにそういうようなことを初めてやったわけであります。
  442. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、この皇室経済法に基づきますと、皇族の殿邸に関するようなことを懇談するのはちょっと違法じゃないかと思われるのですが、この点はいかがでしょうか。
  443. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) 皇室経済法には、皇室経済――その皇族殿邸などをどうするかというようなことは、皇室経済会議の議題の中には入っておりません。したがって、皇室経済会議にかけるのは違法だと思いますが、しかし懇談会というのは皇室経済会議とは全く別途のもので、しかし皇室経済会議のメンバーが大部分を占めている懇談会ということですから、別途のものであり、法律的なものでございませんので違法ではないと思われますし、そういうことをするほうが、宮内庁が独断、ということばが悪いですが、だけで考えてやるよりも間違いがなくてよかろうという広い見地から、いたしたわけでございます。
  444. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、皇室経済法には皇族の殿邸に関する規定はありませんので、皇室経済にかかる懇談会というような名目で問題を処理したということはちょっと違法性があるのじゃないか、こういうような意味の質問なんですが。
  445. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) これは皇室経済会議じゃございませんので、いろいろなこれは皇室経済に関する懇談会ということで、全然普通の御講話拝聴のような会合ということでございますので、そう法律的には違法とかいうそういう問題は出ないとわれわれは考えておる次第であります。
  446. 多田省吾

    多田省吾君 皇室経済法によりますと、予算で皇室に差し出します経費というものは、内廷費、それから宮廷費、皇族費と、このように三つの限定されたものがございますけれども、皇族殿邸の改築、新築の予算を計上するということは、皇室経済法の三条によりますと、この規定に触れるのではないかと思われますが、いかがでございましょう。
  447. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) まあ何度も申し上げていますが、要するに御講話拝聴の懇談会でございまして、法律的なものではないのであります。なお、ついでに申しますと、内廷費、それから皇族費、これは年額できまっておりますが、そういうのを改める場合には、皇室経済会議という正式な会議にかける必要がございますが、これは、ことしは、この四十四年度の予算関係では増額いたしませんので、皇室経済会議にかけるような議案はなかったわけであります。しかしながら、この懇談会の際に、今後内廷費とか皇族費の改定をする基準というものを相談をいたしました。これも国会のほうで、これは衆議院内閣委員会で、特に昨年そういう御意見がありましたものですから、基準をきめておいたらどうかと。それで、 これは、ことしは内廷費、皇族費はきめないんだけれども、今後は内廷費なり皇族費を、物価の上昇とか人件費の値上がりで一割以上やはり上げることが必要であるというときには改定するというようなことを、やはり懇談会ではかって御同意を得たのですけれども、それも、要するにそういうことは何も皇室経済法でそんな基準をきめるのは経済会議にかけるということはありませんですけれども、しかし重要な事項なので、御講話拝聴して間違いなきを期そうというので、懇談会におはかりしたということでございます。これはあくまでも法律的なものでない懇談会でございますので、その点を御了承いただきたいと思います。
  448. 多田省吾

    多田省吾君 ですから、もしそういった殿邸の改築、新築等をやられる場合は、いわゆる皇室経済法の施行法を改正して、正式にできるような姿でやられたほうがいいのじゃないか、これはいかがでしょう。
  449. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この皇室経済に関する、たとえば新御用邸を設けるというような問題も、その懇談会で一応御意見を聞いたわけですが、皇室の経済に関する主要な事項は、これは全部皇室経済会議にかけるというふうにするかどうか。いまおっしゃいましたような御意見もあるかと思いますけれども、それはそういう問題については国会で十分御審議いただくわけですから、それで、そこがほんとうの御審議の場面としまして、いま皇室会議では、いまのところは、現在そこにきめられているような事項だけでいいとは思っておりますが、しかしまあ将来の問題としては、これは研究をする余地はあると思います。
  450. 多田省吾

    多田省吾君 最後に一点、下田の新御用邸につきまして、どの程度まで進んでおられるか、用地の取得等は終わられたのかどうか、さらに計画全体の概要を、簡単でけっこうですから。
  451. 瓜生順良

    政府委員(瓜生順良君) この下田の御用邸の用地の買収、これは一応全部四十三年度中に終わりました。その面積としては、約三十八万平方メートル、坪にしますと十一万五千坪くらいでございます。で、その買収が終わりましたので、四十四年度、四十五年度、四十六年度と、この三年度にわたりまして、御用邸の建設の計画を進めたいと思っております。そのうち四十四年度は土地の造成、それから道路をつくるとか、あるいは御用邸の建物のくい打ちの程度まで進めようかということで考えておりまして、その予算がこのいま御審議いただいておりまする予算の中に二億円ばかり入っております。で、全体の建設費は七億円あまり、七億何千万円になるかと思いますが、七億円あまりでございますが、それは、あとの分は四十五年と四十六年というふうにお願いいたしますが、それで、完成は四十六年の秋くらいには完成するようにいたしたいということで、いま鋭意その準備を進めておる次第でございます。
  452. 多田省吾

    多田省吾君 次に、会計検査院について若干お尋ねしたいと思います。会計検査院内閣に対する独立性を確立しなければならないということは、われわれが常に主張してきたところであります。これは当然会計検査院法第一条にも、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と規定されております。ところが、このとおりの趣旨というものが現在きちんと確立しておるかどうかということははなはだ疑問に思われます。たとえば、会計検査院の指摘が国会の決算審議を通じてその予算編成まで改善していけるような方向に十分生かされているかどうかということを考えれば、それもはなはだ疑問でございます。こういった点に関して、会計検査院はどのようにお考えになっているか。
  453. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 本院といたしましても、検査機能を強化するという必要は深く痛感いたしておるところでございます。人員の増加、それから検査の機能の向上、並びに検査の人員増加というようなことにつきましては、まあ努力を重ねてまいっております。ただおっしゃいますように、確かに私どもといたしましても十分であるというふうには考えておりません。  そこで、四十四年度の予算におきましても、技術専門官を一名、検査の専門職であります調査官を十四名増員をお願いするような措置によって、検査機能の強化をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。  なお、御参考までに申し上げまするが、検査の専門職でございます調査官は、三十一年当時は四百二十二名でございましたが、四十四年度においてはだいぶふえ、五百九十五名ということで百七十名ほどの増加をいたしております、というのが現状でございます。
  454. 多田省吾

    多田省吾君 ですから私がお尋ねしているのは、内閣に対して会計検査院は独立の地位を有する、という趣旨というものは、現在の会計検査院に生かされておると思われるかどうかということをお尋ねしているのです。
  455. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) お尋ねの点は、検査につきましても、内閣から特に制肘を受けるということもなく、職員の任免その他につきましても、これは予算関係などを決定するということによって十分その独立性は確保されておる、かように考えております。
  456. 多田省吾

    多田省吾君 たとえばいま政財界に汚職なんかずいぶん起こっております。これは国家財政の経理と無関係なものではありません。しかし、会計検査院の検査指摘事項にそういった政界、財界にかかわる事項はわずかでございまして、わずかに昭和二十三年度のいわゆる二重煙突事件という一例が指摘事項になっております。こういったことから見て、結局、その独立の地位を有するという精神が生かされていないのじゃないかというふうにも思えるわけです。それに関連して、もちろん、先ほどお話なさったいわゆる検査院の人員の不足というような問題、あるいはいろいろ予算の都合というようなものも、これは十分充実しなければならぬのじゃないかということはよく私たちも思います。それはそれとして、それを十分に改善しつつ、しかも、「内閣に対し独立の地位を有する。」という趣旨は生かしていく、どこまでも厳格にやっていくという態度が必要なんじゃないか、このように思います。
  457. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 御意見のとおり、検査院といたしましては、公正な検査をやるということが、もうこれは最も検査の眼目としていかなければならないことでございまして、ただ、いまお話しの汚職の件でございますが、御承知のように会計検査院は、国の収入支出の決算の検査でございまして、国の収入支出が予算に違反しないか、あるいは法令に違反しないか、あるいは不当な使い方はないかということを検査しておるのでございまして、そこからすぐに汚職と関連したような、といいますか、汚職を摘発するの 私たち職務じゃございませんので、会計検査院は、あくまでも国の経理が適正に行なわれているかどうかということに検査の重点がございますので、その点ひとつ十分御了承願いたいと思います。
  458. 多田省吾

    多田省吾君 それは当然でございます。しかしながら、そういったいわゆる国家財政の経理というものが汚職と全然関係ないかといえば、相当関係が深いから申し上げておるのです。そういった点もやはり厳密にしなくちゃいけないんじゃないか。  それからもう一つは、いま情報革命時代といわれまして、コンピューター等も非常に官庁等においても活用されるようになりました。で、そういった面は会計検査院では考えていらっしゃるのですか。
  459. 宇ノ沢智雄

    説明員(宇ノ沢智雄君) 電子計算機のことにつきましては、すでに御承知のように、政府の各諸官庁並びに公社、公団等で相当多数の電子計算機が現にいろんな仕事に使われておるわけでございまして、その運用、管理等につきましてはわれわれとして十分今後検査上注意を払っていかなければならない、かように考えております。現に専門の職員を養成いたしますために、工業大学のほうへ毎年数名ずつその仕事を覚えるために派遣して教育をしてもらっております。なお、近く職員二名をアメリカへ派遣いたしまして、向こうで電子計算機がどのように使われておるかというようなことについても十分検討をさせる予定になっております。
  460. 多田省吾

    多田省吾君 それでは、これで終わりますけれども、やはり会計検査院に対する国民の期待ということも考えられて、国家権力に左右されることなく、検査の効果というものが十分発揮されるようにがんばられることを期待しまして、これで質問を終わりたいと思います。
  461. 小林章

    主査小林章君) 以上をもちまして、皇室及び会計検査院所管に対する質疑は終了したものと認めます。  次回の分科会明後三十一日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後八時四十九分散会      ―――――・―――――