○
安永英雄君 そういう
趣旨であるとするならば、私はあまりに
生徒、
児童の数が四十人以上、それから割合が三〇%以上というのではそういった任務ができない、この率、この数ではできないというふうに思います。ちょっと考えてみても最低三割という
生徒が要保護あるいは準要保護という家庭の子供であった場合に、実際にこういった
加算ではとてもできないですよ。この実例を私は申し上げてみたいと思うのですけれ
ども、これはあまりにきびしい
数字だと思います。たとえば一
学級を受け持って、その中に三分の一の
生徒が要保護、準要保護というものの家庭の子弟である場合に、その三分の一の子供について私は
加算がついてもとてもたいへんなことだと思います。
そこで先ほど私は申し上げたのですけれ
ども、なかなかうまいこの率の取り方をしてあると思います。たとえば私の狭い調査
範囲ですけれ
ども、
福岡県に例をとりますというと、これを二五%という
数字に下げますというと、現在六十四校ありますが、これが三〇%であれば四十八校しかこれが埋まらない、
中学校で五十九校、これが三〇%では四十校、こういったところで、
あとわずかで
一つの線が三〇%であれば、もう一息、これを二五%あるいは二〇%に下げられると相当いま皆さん方がおっしゃったような
学級担任の手をわずらわさないでもある程度の校外指導とかなんとかができると思うのですが、私はこの三〇%というのはあまりに
実態を知られないものじゃないかと思う。これは大臣もかつてここに来られましたし、私もずいぶん書類をつくってお目にもかけましたし、
委員長も来られて十分この点見ておられるわけですけれ
ども、この点はあまりにきびし過ぎるし、もう一息、たとえば二五%、こういったところにいきますと相当な
学校に行き渡っていくというふうに考えられるわけです。
そこで多少実情を報告申し上げてみたいと思うのですけれ
ども、現在の新しい産炭地に対する振興策、こういったものは出されましたけれ
ども、現在それでも廃山、閉鉱がさらに続いている。たとえば今度の石炭政策そのものは、もう山を捨てろ、やめろ、閉山、閉鉱をすすめるようなものなんだ、現に
法律が通ったとたんに、特にひどいのは佐賀あるいは
福岡、こういったところではもう合わせるようにして次々に閉山が行なわれております。言いかえますと、ここの要保護あるいは準要保護の家庭がますますふえていくわけです。これと、大体今日まで山が閉じておりますから、人口の移動も確かにあります。ありますが、残った
学校の
生徒のその中に占めるこういった不幸な家庭というのはむしろふえている。率から言えばふえていっております。非常にひどい
内容になっておりますし、これは恥ずかしい話ですけれ
ども、
生徒の、あるいは
児童の非行、こういったものがむしろ大臣
あたりが来て見ていただいたあのころよりも質が悪くなっている、そうして数も多くなっている。こういう現状を現在呈しているわけであります。とても現在の
先生の手では負えないし、こちらのほうの対策をしておると授業が欠ける、こういった状態です。たとえばごく最近私の近くのところで調べたわけでありますけれ
ども、とにかく凶器携帯とか、あるいはけんか、あるいは物品の持ち出し、家出、不良団の参加と、こういった、特にいままで
学校をサボるとか、あるいはけんかをするとか、これが非常に多かったわけでありますけれ
ども、質的に非常に悪い状態に現在なっていっております。たとえば、昨年からことしにかけて一
年間の例をとりましても、結局、非行で警察
関係にとにかくお世話になったという
数字が、これは
一つの町村で三百一人、件数にして五百件ちょうどです。
一つの町村なんです。こういう状態になっていっております。
私もそういった
地域の警察署を全部回ってみたわけでありますけれ
ども、たとえば飯塚警察署の少年係、この人と会いました。この人は次のようなことを言っております。
学級担任では授業に追われて、家庭訪問などの時間が少なく、
児童の校外指導については十分やり得ない。補導専門の
先生がいなくては補導が行き届かない。また、駐在だけでは自分の担当
地域以外の
事情はよくわからないが、補導
教員は校区内全域に目が届く。補導係の
先生をぜひふやしてもらいたい。この飯塚というのは大体産炭地の中心にあるところであります。
それから小竹というところの駐在所にも参りました。ここでは、産炭地では都会で想像もできない幾多の非行
内容がある。この非行の傾向は年とともに増加の一途をたどりつつある。
学校教育は校外補導に手を伸ばし、その専従員を設ける必要がぜひあります。こういうふうなことも言っておるわけであります。
それから大牟田にも行ってまいりました。大牟田ではこれは少年係の係長でありますが、現在の大牟田では補導係の
先生が少な過ぎる。大牟田では若鳩会という組織があって、
先生方と警察と協力して
生徒の非行を防ぐ
努力をしておる。しかし、
先生方が授業の片手間ではどうしても授業の制限があるのでうまくいかない。もっと補導係の
先生をふやしてもらいたい。こういうふうなことを言っておるのであります。
まあこれは一応補導という、あるいは非行という面から見た点でありますが、こういった実情は非常にどこにでも産炭地に行けば拾える状態でございます。実際、現在
文部省のほうで充て指導主事あるいはその他の職員を増加さしていただいておりますけれ
ども、実際、ある
学校には一人もそういう係の
先生はいない。こういう
実態のところでは、結局はやはり
学校の中でこういった補導
教員というのを二人ないし三人を予定して、それが専門に回りますけれ
ども、結局は片手間でやっておる。したがって、そこの補導をおもにやっておる
先生方とも集まっていただいて話をしたわけでありますけれ
ども、補導のほうに力を入れれば、自分の
学級担任の授業というものが結局おろそかになる。しかし、いまもおっしゃいましたように、二五%から三〇%、こういったところであれば、どうしてももう授業にならない。もう外に出ることが多い。朝早くから起きて、朝の登校——出てこない
生徒を回って、登校の督促をやる、あるいは、警察ざたに
なりますというともらい受けということで一日じゅうかかる。書類をつくるというのでも三日ぐらいかかる。そういう
仕事を盛んにやっておるわけでありますが、ぜひ
教員面についての、補導をやるという
先生の増加を、できれば私はもう年々これは
前進をさしてもらいたいと思うんですけれ
ども、実際に産炭地の問題は、私も一応提案をさせてもらっておりますけれ
ども、期限を切っております。いま手を入れないと、年々と言っても、もうこれはある程度の時期にくるとどうにもならないような状態になってくるわけです。石炭政策そのものについては、石炭産業そのものについては、これはもう三十五、六年ごろからずいぶん力を入れられて今日まで来ておりますけれ
ども、教育の問題については実は四十年ごろからしか手が入っていないのです。そして毎年、年々と言われますけれ
ども、このまま放置しておけばたいへんなことになってしまいます。たとえば例を申し上げますと、私も二、三日前に実際に
学校に行って聞いた話でありますけれ
ども、この炭鉱が閉山になって離職をすると、こういった場合には炭鉱のほうも、会社側も退職金その他を支払うときには、その住宅を立ちのいてもらわなければならぬ。
あとくされがないようにということで一切の手続を要しますが、その中に転居とそれから子供の転校というものの届けが付随していないと退職金を支払わないわけです、これがついていないと。ここまでつくと、子供がどこそこの
学校へ転校するのだということがわかれば社宅はあくのだということが確認できますから、必ずそれを父兄から取るわけです。ところが父兄としてはどこへ転居したところで職はないわけですから、そしていまの住宅に、まああばら家ですけれ
ども、入っておればただですし、光熱料も要りませんし、水道料も要らないということですからそこに居すわってしまうわけです。
学校のほうの届けばすべて転校になっておる。ところが実は家族はそのままあばら家の中に入っておりますから子供もそのままおるわけです。子供はその
学級でお別れをやっているわけです。どこそこにこの何々君は転校しますから皆さんとお別れしますということできちんとしたあいさつをして出ておりますから、
学校には来られない。家庭におる。家庭におりましても貧しいものですから結局この子供は非行に走らざるを得ない。この前聞いて驚いたのですけれ
ども、いま
先生は一生懸命にそういった
生徒を今度はさがして回らなければならない。そしてうちが貧しいし、共かせぎその他で出ていますから昼食の準備はほとんどしていない。そこで給食の時間には
学校にあらわれるわけです。そして給食だけは食べまして、またいずこともなく昼休みの給食が終わると出ていく。この子供が一番こわいので、非行になるわけです。もちろん
学校に籍がありませんから、厳格に言うとその
学校の
先生の責任ではないかもしれませんけれ
ども、こういう
生徒が多くてこれが放火をやったり強盗をやったりいろんなことをやるわけです。それについてのまず第一番の給食費ということですが、給食費も持ってきませんし、町が管理をしましても在籍数できまって来ますから、結局水でも入れて、あるいは一ぱいの食器の中に八分目入れて、来た
生徒に分けてやる、こういうこともやらなければならないし、また第一、非行の保護もしなければならない。これは一例ですけれ
ども、そういった現在現状になってしまっておる。
そこで、先ほど申し上げましたように、私も県の
教育委員会等とも一緒に回ったわけですけれ
ども、いまの三〇%という形で切られますというと、これは
あと相当な、カウンセラーといいますか
補導教師のいない
学校もできてくる。いまおっしゃいましたように、充て指導主事ではない、あくまでもその
学校におってその
学校のという問題でありますが、第一、その
学校で、最低限切ってある三〇%の
生徒、そういった貧しい保護家庭の子供であるといった場合には、
あとでも申し上げますが、事務的にもたいへんな
仕事なんです。こういったことで、この数はもう少し下げられないものか。これはもちろん先の話で、この
法案が通って
政令ができるということですけれ
ども、いまは率直に
政令の
内容も言っていただいたわけですけれ
ども、私はいまこそ飛躍的にといいますか、抜本的に、漸次
前進をさせていくというのではなくて、いま特効薬を与えないというと、これはもうだめな時期がきているのじゃないか。それにはあまりにも三〇%というふうなとり方でやりますと、三〇%、二五%、二〇%とかいう貧しい家庭の子供がおる、とういったことはざらですから、そういったところにはやっぱり置かないと、三〇%以上しか置けないのだという、これは私はいまの現実をあまり知られないのじゃないか、こんなような気がして、多少長く
なりましたけれ
ども、意見を加えて、との三〇%というのは、この
法案ができて、さらに
政令を検討されるときには、もう少し考える余地はないものかという問題についてお聞きをいたしたいと思います。