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国務大臣(
坂田道太君) 実は私、就任いたしまして一番最初に申しましたことは、
大学問題と、それから先ほど萩原先生の御指摘になりました文部行政の中で一番おくれている部面、谷間になっている部面、それに光を点ずるということを申しておるわけでございます。したがいまして、本年度の予算の中におきましても、特殊
教育総合研究センターというものを
現実に予算もとりまして、そして久里浜で心理学的に、あるいは医学的に、あるいは
教育学的、社会学的、あらゆる学問の総合的な研究と同時に、実際的に
教育の方法をつかむということ、そしてまた、御指摘になりましたような生きる権利があるわけでございますから、それに対してどういうような職業を与えたならばこのハンディキャップを持った子供たちというものが生きていけるかということについての検討もいたしたいと、そしてまた、実際そういうような子供を選びまして、そこでその
教育もやってみたい、また職業
教育等についてもやってみたいと、こういうことで発足をいたしたわけであります。また、中央
教育審議会のメンバーの中に全然特殊
教育というものについて専門的な方がおられませんでしたから、専門的な方を中央
教育審議会に入れておるわけでございます。率直に申しまして、やはり特殊
教育についてはいまからだと思っております。私のおります間に全部が全部できるとは思いませんけれ
ども、そのレールだけは敷きたいという意欲を持っておることを申し上げたいと思います。
それからもう
一つは、やはりこの三十何%しか就学をしていないというのは御指摘のとおりだと思いますし、これから先、就学の道を開きたいと思いますけれ
ども、やはりその
教育方法を、いままでのような
教育方法でやることがはたして
教育の機会均等かどうかということも検討しなきゃならないので、知恵おくれの人には知恵おくれに応じた
教育のやり方がなけりゃならないので、普通の人はまあ十八歳で
高等学校を出るという場合でも、ある場合においては二十歳をこえましてもそれだけのものをやっていくということも必要かと私は思うんです。そういうようなことはこれからのやはり科学的、学問的検討であると思います。
それからもう
一つは、日本の何といいますか、風習といいますか伝統と申しますか、親としてその知恵おくれ児やあるいはいろいろの心身に障害のある子供を隠すという面もあるわけでございます。でございますから、昨年度この
調査をいたしたわけでございますが、なかなかその
調査にあたりましても正確に
実態が把握ができないという面のあることもひとつ御了承いただきたい。
それからもう
一つは、
教育の可能性があるかないかというような問題。単に目は見えない、耳は聞こえない、しかしながら頭は非常によろしいという、こういう人は
教育に値するということも、あるいはヘレン・ケラーもそうでございましょう。それからおととし参りましたミスター・スミスダスという、これは三重苦でございますけれ
ども、これはヘレン・ケラーの出ましたパーキンスという
学校で学び、かつ
大学で学び、そしてニューヨーク
大学の
修士課程まで出ております。そしてけっこう自分も職業につきまして、そしてハンディキャップの仕事をやっておるわけです。あるいは本なんかも出しまして、詩人としてもその役割りを果たしておるわけです。そういう能力を持った人が
教育を受けないままでおるということ、それが一人であっても二人であってもいけないことであって、これに対して私はやはり
教育し、あらゆる現在の
水準のものを与えることによってその能力を開発し、同時に世間に堂々と生きていくということが当然だというふうに私は考えるわけでございます。そのまた選定をする人というものが実は日本にいません。この点についての専門家を
養成するということも必要かと考えます。特殊
教育につきましては、私のおります間に少なくともこのレールだけは敷きたいという意欲を持っていることを申し上げまして
答弁にかえたいと思います。