○安永英雄君 関連、先ほどからの論議の中で、
大臣のほうで認められた点を整理して申し上げたいと思いますが、小さい点はあとまた後日に譲りたいとして、少なくとも、第一点は公務員、
教育公務員といえども勤労者である、労働者であるというこの
最高裁の
判決について、これは認められたというふうに私は
考える。これは私企業であろうと、何であろうと、少なくとも労働基本権を保障されておる労働者であるという
立場は、この
判決文の中郵
事件のあのところの点を認められたわけですから、この点は私は
文部大臣もはっきり
教職員というものは勤労者である、労働基本権を保障されておる組合であるということをまず確認をされたというふうに私は
考えます。
その次には、二点目には、「すべての地方公務員の一切の
争議行為を禁止し、これらの
争議行為の遂行を共謀し、そそのかし、あおる等の
行為をすべて処罰する趣旨と解すべきものとすれば、それは、前叙の公務員の労働基本権を保障した憲法の趣旨に反し、必要やむをえない限度をこえて
争議行為を禁止し、かつ、必要最小限度にとどめなければならないとの
要請を無視し、その限度をこえて刑罰の対象としているものとして、これらの
規定は、いずれも、違憲の疑」がある。こういうことですから、
争議行為ということであっても、これは
一つの限度があるということなんで、すべてのそういった
争議行為というものを直すに
処分する、処罰をするということについては、これはすべきでないということを先ほど認められた。これが二点目です。
三点目は、先ほどから、二十四時間であろうと、一分であろうと、時間の問題にとらわれない、これはあくまで
教育的な見地というか、まとめて言えばそういったことを判断すべきであるという
文部省の見解が出た。私も三十三年にはこの問題に関連した一人です。今日までの、三十三年以降の
文部省の
指導方針としては、
教育公務員というものは労働者でない、
争議行為をすればこれは違法だ、必ず
行動の前には通達が出る、違法と言い切っている、
処分をする、こういう必ずきびしい通達がきている。これは私は、今度の
最高裁ではっきりそれを否定しているということですから、今後の
文部省の
指導方針としては大きく変わらなければならぬ点だと思うし、またあなた方は
教育的な見地から
処分するとかしないとか大ざっぱなことをすぐに追っかけてくるけれども、いよいよのときには一分とか違法とか必ず法律に照らしてぎゅうぎゅう言わしてきて、味方が悪くなってくると、すべて
教育的な見地からこれを
考えなければならない、こういうことで、ごまかしているという私はあれがあると思うのです。今後はそれはできないと思うのです。その点が
一つ。
最後に、四点目に私が言っておきたいのは、十一年間、教唆、扇動、企画、共謀という三十七条の違反容疑に問われて、
東京都教組で七人、一人は死亡している。その長い間、教壇に立ちたいといっても立てない。あなた方はすぐに分限の適用をやり休職
処分にしろと、こういって
指導する。教壇には立てない。そうしていま無罪という
立場が出ている。私はこの点については大きく
文部省のこれに対する
指導というものは変わらなければならぬ。大きく変わらなければならぬ。少なくともですよ、あなた方が
指導するように、たとえば十・八とか、こういった
行動がある前には、
教育委員会は企画、共謀、教唆、扇動の証拠を必死になってさがそうとする動きがあるのです。どこで会合して、だれがどこそこの
学校に来てどういうことをしゃべった。警察以上のことを各県の
教育委員会はあなたたちの
指導によってやっておる。少なくともこの
指導というのは誤っておるということに大きくこの
判決によって変わらなければならぬと思うのです。これはあなた方には第一審、第二審のあれはないから私はわからないと思うけれども、組合運動をやる場合には幹部が下部の
組合員に対して闘争の趣旨なり、そういうものを
指導して、これは決して教唆、扇動に当たらない。これがなかったら組合運動というのは成り立たないというきびしい
判決が一審、二審で出ているのです。それに基づいて今度は無罪ということが
最高裁できまった。少なくともあなた方のほうの
指導としては組合の幹部が教唆、扇動、企画、共謀をやっているという、そういうものを追い回して
調査をし、あるいはそれを責めていくという、あるいはそれによって
行政処分をやる、こういうことが一切やれないという、私は今度の
判決だと思うのです。これははっきりしている。この四点についてきょうは
文部大臣として認められた。したがってその四点については、この
判決を受けて
文部省の
指導方針は大きく変わる。これが
指導を各県に、都道府県の
教育委員会なり地教委にさっそく大きく変わって
指導をしなければならぬ時期ではないか。何となくあなたたちの印象では違憲ではなかった、あるいは
東京都教組がやったことは違法であった、こういうところだけをとらえて、そうしていままでにない去る三十三年以降の高い
姿勢、これでもってさらに
指導を強めていこう、こういうふうなことは私はもってのほかだと思います。
考えてもみてください。七名には無罪が出たけれども、たくさんの
人間が長い間、十何年間も教壇に上がれず、もんもんとして暮らしてきて、最後に十一年の間にこの無罪が出たことは、
文部大臣としては、この十一年間ほんとうに苦しんだなあ——これはあなたたちが告発したのではなかったけれども、少なくとも検察庁の誤りで十一年の空白ができていることは、検察庁に対して
文部大臣としてあなたの指揮下にある
教職員のために一言あってしかるべきと思うのです。むしろ何か裁判で私らのほうの主張が通ったというふうにのぼせ上がらないでください。七人です、七人の方が十何年教壇に立ちたくても立てずに、そして十一年目にようやくお前がやったことは誤りではなかったと、こういう
判決が出たときには、私はむしろあなたの口から検察
当局に対して一言あってしかるべきで、それでこそ六十万の教師があなたを信頼すると思うのです。そうじゃなくて逆にいまからどんどんきびしくやるのだという
ことばはあなたの口から聞きたくなかった。また言うべきではない。短い時間ですから小さい問題については次回から徹底的に聞いていきたいと思いますけれども、この問題について明らかにしていただきたいと思います。