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安永英雄君 民主的にいってないのです。だから聞いているのですが、私はやはり
文部省が、先ほどいろいろ改善したいと、こうおっしゃっておられたんですが、改善の手をつけるところは、やはり先ほどから聞いたように、
国民体育大会の
開催基準要項、これにはっきり
国体の目的も入っているし、幅もあるのはありますけれども、ここで私はやはりきちんとしないと、各県におまかせする、そして岩手県は非常によかった、これでは私は
文部省の仕事というのは足らないと思うのです。いまから私はその点について多少申し上げてみたいと思います。
選手強化という問題が学校
教育に大きな影響を与えていることは間違いないです。それを申し上げてみたいと思うのですが、まず埼玉が、私が調べたところでは埼玉の
国体が学校
教育に一番大きな悪影響を与えたというふうに
感じます。いま記録も残っておりますし、調査もしたんですけれども、大体埼玉の
体育協会の
会長さんが、福永さんがやっておられる、その当時「埼玉の
スポーツ界は非常時体制でありますので、限られた時間であっても
選手の指導強化に全力を尽くされることを確信します。」あるいは知事も「本県
選手団が日頃の実力を遺憾なく発揮し、全
種目に優勝、もしくは入賞を果たして、天皇、皇后両杯をわれわれの手にいただき、
県民ともども」これを喜び合いたい、これが、先ほど言った基準に基づいて第一回の実行
委員会があったときのあいさつであります。そういう発想からやはり埼玉の準備は出発したわけです。
そうして、
選手強化というのはどのようにして行なわれたかと申しますというと、結局三年前ぐらいに一応
選手をえりまして、その
選手も
出場数の三倍ないし四倍一応とっているのです。そうして三年間のうちに競い合わせて、一年ごとに次々に落としていって、そうして
開催当年のときには、当初のときには二倍に
選手を一応確保しておいて、そうして
開催まで徹底的に、どちらが
出場するのか言わないで徹底的に競わせる。とにかく三倍ないし四倍の
選手を確保しておいて、そうしてそれを競わせながらやっている。もちろん一般の
選手もそうですけれども、高等学校の
選手、これあたりは徹底的にその方法でやっている。そこで結局、
選手に選ばれようと、こういうことでこの三倍ないし四倍にあたる
選手団は懸命に競い合う。
極端な例は、あそこでちょっと作文を見てみたのですが、ある
選手が足をけがした。そうするとほかの
選手は非常に喜んでおる、こういうのですが、私は、一人だれかが足をけがして
出場できなくなったと、こういうような競わせ方、これを徹底的にやるものですから、高等学校の場合も、
選手になったのは、あらゆる授業その他を免除されて、そうしてとにかく朝から晩までその
スポーツに専心できる体制をとらしておる。こういうことで、結局やはり学校
体育あるいは学校
教育の向かう健全な心身の育成、こういったものに大きな障害を与えている。いまでもそのときのことを述懐して高等学校卒業生が言っておりますけれども、実にあの三年間というものはもうわれわれとしては人間らしい
生活というものはとれなかった、私どもの青春というものは
国体三年間にかけられておった、こういうふうなことを現地で言っておるのを私は聞きました。
そのほか、
選手強化の問題についてはたくさんなデータがありますけれども、たとえば、中学生のときから
——三年前ですから、中学生のときから選ぶわけなんです。そうしてそれがみごとに高等学校に合格しなければならぬわけです。そこで、方針を立てて、中学生の有望
選手を発掘強化する、それから有望中学生の県内進学を推進する。この二つのために、当該校長、家庭、高校に協力を求める、こういう大方針が立っておるのであります。そうして中学生の試合をウの目タカの目で見ながら、いまの三つの方針に従って三年間準備をしたわけですが、たとえば私の調べたところでは、バスケットボールで中学校の
体育会で優勝した浦和市内のある中学校がございます。このチームの
選手、これが三カ月合宿を受けまして、そうして、高等学校進学については成績のいいのと悪いのと一応分けまして、そうしていいほうは県立の、
名前は申しませんが、浦和の高等学校、成績の悪い者、これは市内の工業高等学校、こんなふうにきちんと完全に進学できるように、こういう配慮までしておるのであります。それから、県内だけの中学生じゃなくて、たとえば水泳で男子の水泳
選手の十二名を、十名が川口市のある高等学校で、そのうち五名は九州その他他県から入学ができるように勧誘をして入れておる。こういう実例もあります。それから、水泳でも、女子の十二名の高校
選手、そのうちの四名が関西の中学から入ってきておる。これはすべて、試合、
国体が終わりまして、全部それぞれの県に帰っておる。こういうひどい
選手の強化をやっておる。
それから、私は、これは相当
文部省としても今後調査の必要があるのではないかと思いますが、教員の
選手の確保について、大学の一流
選手を採用させるために、埼玉県のこの強化
委員会が関係大学を訪問して依頼をする、優秀
選手に個別に折衝する、こういう方針を先ほどの
委員会できめまして、そうして受け入れ体制についてもわざわざ明確な方針を出しまして、まず教員の定員増というので、四十年から四十三年の定員増を、
選手の場合はワク外にこれはとっている。ワク外にとっている。処遇についてということで、適当な配置校がない場合は県庁の職員として採用する。採用試験については、たとえ採用試験を受けなくても臨時の教員として採用する。この方針を先ほどの
委員会できめて、
教育委員会もこれを承知をして、そのとおりの実施をやっておるのであります。そこで
体育教官が百四十三名採用されています。したがいまして、同じ
種目の
体育の先生が一校に三人ないし四人、こういう配置のしかたもされています。ある高等学校には
体育教官が九人一挙にそこに来ている。また、県庁職員という名の教員がそこで生まれるわけで、生徒を教えない教員、これが三十名も出ている。いわゆる先ほど申しました処遇の問題ですが、行くところがないと、県庁職員ということで採用しておいて、
教育現場におってこれが
選手としての練習をやる、こういう形もとられておるのであります。
いろいろ実例をあげましたが、たくさんありますけれども、私がお聞きしたいのは、これははたして
体育局がやられる仕事かどうかは別として、この
教育に与える
国体の
弊害というのは確かにあるわけです。これについての調査をなさったことがあるかどうか。週刊誌や新聞等にはときどき出ますけれども、これは大きな問題なんですよ。調査をなさったことがあるかどうか。