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政府委員(黒住忠行君) 乗車拒否の原因はいろいろたくさんあるかと思います。したがいまして、この対策といたしましても、総合的なものがなくてはいけないわけでございます。そのことにつきましては、
関係の官庁からいいますと、運輸省のみならず、労働省、警察庁等とも密接な連絡のもとに根本的な対策を樹立する必要があると思います。で、われわれといたしましても、それらの
関係省とも連絡をとりつつ、現在タクシーサービス改善の対策につきまして
検討を進めております。特に乗車拒否の多いのは東京及び大阪の二つでございますが、それを重点的に考えまして、まず項目ごとに申し上げますというと、
タクシー運転手の
登録のセンターを設けたらどうか。これは、良質運転手を育成し、悪質運転手を排除するというふうな
意味から、
登録の制度。それから、しかしながら、ここでは、運転手の養成、教育あるいは福利厚生施設を整備するというふうなことをこういう中立的なところでやらしたらどうかという考えでございます。
それから、運転手の労働
条件の改善でございますが、これは、労働省のほうから、いわゆる二・九通達というものが出されておりますが、これの励行をはからなければならぬわけでございますが、われわれといたしましても、許
認可の場合に、それを励行しているかどうかということを
条件にして措置をいたしたい。
それから、事業者の経営の改善でございますが、先ほど御
指摘がございました行政処分の強化、いわゆる罰則を適用するということとともに、事業者が公共企業としての仕事を十分やるという認識も必要でございますので、これらの点についての
指導者の育成、養成といいますか、それから、現在のタクシーは、非常に中小企業といいますか、たくさんの業者でございますので、これがかりに協業化する、
合併するというふうな場合においての優遇措置を考える必要があるのではないか。
それからタクシーで、ちょうどハイヤーとタクシーの中間的な無線タクシーというものが現在ございます。東京では約五千台あるわけでございますが、これをさらにふやすと同時に、この無線タクシーを使いやすいようにする必要があるのではないか。
それから、運賃の制度自体につきましても、現在は、御
承知のように、タクシーの運賃は、東京におきましても大阪におきましても一律でございますが、アメリカないしヨーロッパの主要都市に行なわれておりますような時間と距離を併用するというようなメーター制度にしたらば、混雑地点における近距離のものを拒否するとかという現象がなくなる
一つの原因になるのではないかというふうなこと。
それから、夜の乗車拒否の面ですが、十一時あるいは十二時ごろになりますというと、国電、地下鉄は動いておりますが、バス等は動いていない。それから、その
あとにおきましては、タクシーが非常に
中心的に動いているわけでございますので、それらのバスあたりの運営というものをもう少し夜間においても実情に即応し得るような
方法を
検討する必要があるのではないかというふうにも考えるわけでございます。
昨年暮れに東京におきましては約三千台の増車をいたしましたが、運転手の確保ということに相当問題点がございます。運転手が働きやすい職場であるというためには、給与等も改善するということにいたしまして、運転手を確保しなければ、せっかくの自動車というものも
効果があがりませんので、それらの点も十分勘案しつつ、需要というものは依然旺盛でございますから、それに即応するくらいの輸送力の増強という点につきましても実質的な面を改善しつつ対処していく必要があるのではないか。
いま申し上げましたようなものをテーマといたしまして、われわれがさらに具体的に現在
検討をいたしておりますと同時に、
関係の官庁にもいろいろ
関係するところが多いわけでございますから、それらの
意見等も十分取り入れまして総合対策を樹立するようにつとめていきたい、かように考えております。