○森八三一君 いまの園田委員の質問は、ほんとうにひとつ取り組んでいただきたいと思う。私は
南九州地域のこの
災害地の方々が、六十数名人命を失ったというような悲惨な
状況が
発生しておる。それに関連して非常に広範な地域の
農民諸君がその日その日の生活にも困窮をしておるという事実は、これは黙視してはならぬと思う。何といいましても早急にその
対策を立てなければならぬと思います。そこで先刻
沢田委員からもお尋ねがありまして、
農民感情としては当然なことであり、またその生活を守るために、水が引いたらすぐ
田植えでもして、収穫量は少なくても何とか食うだけのものをとらねばならぬというせっぱ詰まったところに追い込まれておると思う。まさにそうだと思う。しかし考えてみますと、
農民諸君の生活を守ることができれば、何も早々のうちに労力や苗をかき集めて
田植えをしなくてもよろしいということになると思います。
そこでいま園田委員のお尋ねになりましたことを、真剣に考えていただきたいと思いますことは、せっかく
田植えをした、それが流れてしまった、埋っちまったということで収穫がなくなったんですから、当然私は
農業災害補償法に基づきまして収穫皆無の補償があるものと思います。出すべきだと思います。その上もう一ぺん
田植えをして、また
災害が起きるとなると、二重に苦しめられてしまう。そんなおろかなことをやる必要はない。そこで転換
対策を当てはめる。特別の本年限り、
災害特に限ってそれを当てはめるといたしますると、いまの制度で二万円もらえるということになります。そうすると
災害補償金と、二万円の転作奨励金とをもらいますると幾らになりますか。かりに反当三万五千円くらいになるとしますと、これから五、六俵とってみたところで四万円、それには肥料も入れなければならぬ、非常に高い労銀も払わなければならぬ、苗しろも出さなければならぬということになって、差し引き
農民のふところ勘定は一緒になってしまう。国の貴重な税金はどうなるか、こう申しますると、一トンつくるとして三反歩くらい要りますので、六万円の国の負担が要る。ところが一トン餌さにしてしまうと十四万円損するのですから、国民の税金を節約する上からいっても、目の子計算で八万円もうかってしまう。国民の血税をむだに使わぬという意味から言っても、
農民の所得を減らさないという点から言っても、そういう
災害地の
復旧について、
田植えをしてしまえばほんとうの本格的な
復旧の作業は中断すると思います。それよりはこの夏場のあったかいときに、そういう地域の
災害復旧に関する
農地の整理について徹底的に土地改良をやるとなりますると、また労賃が入ってくる。こうなると、来年の
田植えには
災害を心配せずにやれるように、完全に
復旧をやってしまう。その間の
農民所得が減っちゃ困るので、減らぬような
対策を考えると、国がトンで八万円もうかってしまう。そうすると、それは双方とも都合のいい
対策になると思います。
これは食糧
管理制度の根幹を維持すると言ったって、幾らそういうことになりましても、年々歳々何百万トンかの米が余ってしまうという事態を放置することは、どうしても国民感情が許さない。どうしても米を減らさなければならぬ。不必要な生産はやらぬ。それのためにも当面の
対策として、多少
数字的には小さくても役立つことと思いますので、研究するということでございますので、ただ委員会でそういう答弁をしたということだけで終わってしまってはいけないので、真剣に御研究を願いまして
——要綱を変えなければならない。これは法律ではございませんので、要綱を変えればいいので、もう一回国会の審議を求める必要はございませんので、
農林当局が判断をなさって、大蔵
当局と
お話し合いになれば、それであすにでも実行ができることです。ぜひともひとつ実行してください。
農民の所得を減らしてやっちゃだめですよ。
農民の所得は、もう一ぺん
田植えをしたと同じような処置をしながら、来年の
田植えには完全に整理するという土地改良をやる。そうして国も利益をあげる、こういう三方一両損じゃなくて、三方みんなもうかってしまうという
対策なんですから、ぜひひとつ真剣に考えていただきたい。重ねて
希望を申し上げておきます。
それから立ったついでにもう
一つお尋ねいたします。これは
南九州の水害の問題ではありませんけれ
ども、前々からこの委員会でも議論があり、
災害対策委員会でもしばしば論議がされておる。ことしの五月に
東北地方を
中心に関東地区も含まれておりますが、相当広範な桑害がございました。かつて養蚕は日本の輸出の大宗ということで非常に重きをなしておりましたが、今日では残念なことに海外から生糸を輸入しなければならぬというようなみじめな
状態に相なっておりますわけでありまして、何といたしましても養蚕の振興をはからなければならぬと思います。そこでこの恒久
対策としては樹勢回復用のために肥料を施す、あるいは
発生するであろう病虫害の防除を徹底するために農薬を散布するということが一番好ましい当然の
緊急対策である。がしかし、桑の葉っぱがとれなくなってしまって繭の収穫をあげるということができないという
状態に追い込められている諸君といたしましては、損をした上また追っかけてそういうことをやるということはなかなか経済的に許さぬ。そこで、そういうような
対策に対する助成をすべきではないかという意見が、これはおそらく全員の御意見として出ておるはずであります。ところが
昭和三十七年にそういうような施策をいたしました結果、その金が必ずしも目的どおりに使われなくて、会計検査院からいろいろ指摘を受けた等の結果もございまして、自来、個人的な救済についてはそういう補助制度というものは実行しないということになっておりますわけであります。
いま私はここでそのことをむし返してもう一ぺん要求
しようとは思いません。やるべきであるということは考えまするけれ
ども、いまここで重ねてそういうことを論議
しようとは思いませんが、何といたしましても、輸出の大宗であった絹糸がいま輸入国に転落しておるというこのみじめな
状態は、一刻も早く復活をしなければならぬと思います。そのためには、こういう
災害に際しますると、何といたしましも、この次におとずれてくる夏秋蚕等の生産をうんと上げていくというような前向きの施策を考えなければならぬ。そのためには、申し上げまするような基本となる桑の葉の育成についての
対策も考えなければなりませんけれ
ども、同時にまた技術的な
指導について周密徹底をするということが大切な私は要諦であろうと思うのです。ところが養蚕
関係の技術
指導の諸君は、養蚕家の負担においてその費用がまかなわれておるというような姿になっております。もちろん一部は国の補助なり県の補助もございまするが、基本的には養蚕家の負担においてそういう技術
指導の施設というものが充実しておる。ところが
農家の諸君は負担をする余地がなくなってしまったというわけでございまするので、今後年内に行なわれる生産についての
指導が徹底的に行なわれるような費用というものが出にくい、こういうことになる。
そこで私は、この養蚕地帯における
災害の額が、ここに資料を持っておりませんが、聞きましたところでは四十億にものぼっておるということでございまして、わずかな地域で四十億も
災害をこうむったとなりますると、なかなか今後の
対策というものを自分
たちの負担においてやるということは困難であろうと思いますので、できますればそういう技術員等の活動費というものをこの際助成をする、それによって今後の養蚕がさらに進展をする、そのことによってこの春蚕の
災害における減収を埋め合わせていくということになりますれば、これは非常に養蚕
農家にとっても好ましいことであり、また日本の養蚕というものを、輸入国からせめて自給国にまで当面発展をせしめていくということのためにも、国として当然なすべき施策であろう。
災害に関連して、特別に考えてしかるべきことであろうと思うわけであります。そういう個人的な補助金のことはあと回しにいたしまして、共同の
指導体制を充実するための技術員の活動費の助成というような問題は早急に考えてしかるべきではないかと思いますが、これはいかがでございましょうか。