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1969-07-08 第61回国会 参議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月八日(火曜日)    午前十時四十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         八田 一朗君     理 事                 石原幹市郎君                 柴田  栄君                 北村  暢君                 山崎  昇君     委 員                 内田 芳郎君                 源田  実君                 佐藤  隆君                 玉置 猛夫君                 長屋  茂君                 山崎 竜男君                 山本茂一郎君                 林  虎雄君                 前川  旦君                 村田 秀三君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 片山 武夫君                 岩間 正男君    国務大臣        農 林 大 臣  長谷川四郎君        国 務 大 臣  有田 喜一君    政府委員        人事院事務総局        職員局長     島 四男雄君        防衛政務次官   坂村 吉正君        防衛庁長官官房        長        島田  豊君        防衛庁参事官   江藤 淳雄君        防衛施設庁総務        部長       鐘江 士郎君        農林大臣官房長  大和田啓気君        農林省農林経済        局長       亀長 友義君        農林省畜産局長  太田 康二君        農林水産技術会        議事務局長    横尾 正之君        食糧庁長官    檜垣徳太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        相原 桂次君    説明員        農林省農林経済        局統計調査部長  岩本 道夫君        農林省農政局普        及部長      田所  萠君        林野庁林政部長  大山 一生君        林野庁職員部長  田中 慶二君        林野庁指導部長  松本 守雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。有田防衛庁長官
  3. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) ただいま提出いたしております防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案提案理由内容概要について御説明いたします。  わが国の防衛力整備は、日米安全保障体制を基調としつつ、国力、国情に応じて漸進的に行なうこととしております。この基本的な考え方のもとに、逐次防衛力整備をはかってまいりました。特に、陸上自衛隊につきましては、第一次防衛力整備計画以来、十八万体制をとることになっていたのでありますが、諸般の事情により、やむなくその整備を第三次防衛力整備計画まで持ち越した次第であります。このたびの改正案定員増のうち、おもなものは、陸上自衛隊に関するものでありまして、日米安全保障体制を前提といたしまして考えるとき、陸上における自衛力としては、最小限度必要な人員であります。  防衛庁設置法の一部改正内容は、自衛官の定数を七千七百二人増加するものであります。  増員の内訳は、陸上自衛隊については、六千人でありまして、普通科部隊等整備に充てることになっておりますが、これにより、三個連隊等の増設が可能となり、現在の十三師団のうち、九千人の師団が、四個師団から七個師団に増加することになります。  海上自衛隊については、千二百二十二人で、艦船の増加に伴い必要となる人員並びに航空関係部隊及び後方支援部隊等充実のため必要な人員であります。  航空自衛隊については、四百八十人で、ナイキ部隊編成及び警戒管制救難等部隊充実のため必要な人員であります。  次に、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  第一は、海上自衛隊航空集団編成を改めることであります。  現在、航空集団は、司令部及び五つの航空群からなっておりますが、今回の改正は、これらの航空群と並列する直轄部隊を設けることができるようにするためのものであります。さしあたっては、これらの航空群のうちの一つ航空群に属している部隊のなかに、各航空群に共通する航空機の運用等の研究、試験及び訓練指導等を行なっている部隊がありまして、これを直轄部隊として加えることを予定しております。これは、海上自衛隊に属する航空部隊任務遂行の円滑をはかるためであります。  第三には、自衛隊予備勢力確保のため、予備自衛官を三千人増員して、合計三万三千人とするものであります。  以上、法律案提案理由及び内容概要を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようにお願いいたします。
  4. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に関し、御発言のおる方は順次御発言を願います。
  5. 北村暢

    北村暢君 私は、法案審議に先立ちまして、きょうは資料要求だけをいたしたいと思います。  一つ昭和二十九年以降、自衛官充足状況。これは年度末現在。四十三年度はもうできていると思いますが、できておらなければわかる時期でいいと思います。  二番目が、定員改正前後の自衛官階級別内訳。  三番目、陸上自衛隊師団編成並びに階級別定員配置。これは中隊以下の細部の編成までひとつ出していただきたい。  四番目が、陸上自衛隊師団別主要装備。先ほどの三番目のを補足して申し上げますが、これは九千人師団、七千人師団、それから特科師団別に出していただきたい。四番目の師団別主要装備も、同様に九千人、七千人、特科師団別に出していただきたい。  それから五番目が、陸上自衛隊師団別治安装備治安装備を最近やっているようでありますから、治安関係装備。  それから六番目が、在日米軍基地整理細目。これは、昭和四十三年十二月二十三日、日米安保協議会合意事項であって、それに関するその後の整理経過。  それから七番目が自前防衛構想。これはすでに衆議院に出ておりましたし、新聞発表等もありますけれども、正規のものをひとつ資料として出していただきたい。  八番目が、年間一億キロリッター石油輸入に対する護衛艦必要隻数護衛艦どれくらいあれはいいか、並びにその年間維持費、同量——同量というのは、一億キロリッター石油貯蔵設備予想経費。一億キロリッターを貯蔵する設備予想経費。これは地価は除外する。国有地等に貯蔵するということを想定して、地価は除外したものをひとつ予想経費として出してください。  九番目、予備自衛官のうち、公務員——国家公務員地方公務員、それから公職についている者、この地方自治体府県市町村等の議員になっている者です。予備自衛官公職についている者の数。  それからこの除隊者の中の予備自衛官志願者数と、その除隊者に対する率。  十一番目、各国近代兵器現状核兵器を含めて、米・ソ・英・中等の各国近代兵器現状がわかるような資料。  それから十二番目、各国比較した自衛隊兵力関係兵器を含め各国との比較をしたものを出してもらいたい。  それから十三番目が、新核兵器MIRVと米・ソ・中との比較。新核兵器MIRVの開発が行なわれておりますが、その比較です。  十四番目が自衛隊教育機関教育内容。  十五番目が、防衛大学校卒業者現状。これは過去三カ年間であります。これは防衛大学校を卒業して自衛隊の職務につく者、あるいは民間に卒業したまま転出していく者、こういうものがあるようですから、そういうものがわかるような卒業者現状。  以上の十五でございます。なお、審議過程において追加して資料要求することがありますが、それを申し添えまして、以上の資料要求をいたします。
  6. 峯山昭範

    峯山昭範君 防衛二法の審議にあたりまして、私も資料要求したいと思います。多少ダブっている点があるかもしれませんが、お願いいたします。  第一番目に、四十三年度末並びに四十四年度末における各都道府県別自衛官募集状況一覧にしてお願いしたいと思います。  二番目に、国内の各基地別における医官の数と、それから充足率。  それから三番目に、日本兵器工業会のメンバーの一覧、並びにどのような兵器を製造し、そしてどういうふうに輸出をしているか、その状況がどういうふうになっているのか知りたいと思います。  四番目に、C46輸送機の現在までに至る出動回数事故件数、及び現在軍用機として稼働している機数及び保存されているところの機数。  五番目、F4ファントム戦闘機の海外における各国別使用状況並びに事故件数とその資料提出願いたいと思います。  次に六番目、すでにもうできておると思いますけれども、「指揮官心得」と、それから自衛隊出動に際しての警察との申し合わせ事項があると思いますが、提出を願いたいと思います。  次に七番目に、基地の問題で、現在問題になっております水戸射爆場の新島への移転の問題、それから王子病院移転の問題並びに板付基地米軍機飛来等について、この三基地の問題についての米側との折衝の会議録、もしなければ、交渉内容。  八番目、在日米軍基地の各基地別基地交付金一覧日本負担米軍施設、区域の買収補償費出費一覧を、四十一年ごろからでけっこうでありますから現在までの分を提出願いたいと思います。  次に九番目、自衛隊兵器製造試作品一覧及びその負担費昭和四十一年から現在までの分を御提出願いたいと思います。  十番目、防衛庁並び防衛施設庁を含めまして、年間一億円以上の取引先一覧とその金額、また、さらにその将来の内容昭和四十一年から四十三年ごろまででけっこうでございます。  以上十点の資料をお願いしたいと思います。また、審議にあたりまして、途中で追加することがあるかもわかりませんけれども、その節はよろしくお願いしたいと思います。以上です。
  7. 岩間正男

    岩間正男君 他党との重複を避けて、次の十七点について資料要求をお願いしたいと思います。  第一に、自衛隊基地面積の推移、昭和二十九年以降年度別に出してもらいたい。どういうふうに変わっているか。  第二は、自衛隊基地一覧表、この内容は、名称、部隊名、所在地、面積。  第三は、陸、海、空自衛隊部隊別定員と実数。  第四は、陸、海、空自衛官の各教育課程、それから教科書名。  第五番は、昭和四十一年度以降の年度別自衛官募集要綱、四十一年から最近まで。  六番は、募集業務に関する地方自治体に対して通知を出しているはずですが、それの全文。  第七番目は、防石たて催涙剤ガス銃木銃、ヘルメットの現在高数量及び金額、同じく四十四年度購入予定数量及び金額。  八番目は、戦時中の陸、海、空軍と現在の陸、海、空自衛隊戦力比較資料。  第九番目、これは施設庁になりますが、在日米軍基地返還交渉状況、これは各基地別、すでに返還が決定したもの、こういうものもあるわけでありますから、こういうものを含めて出してもらいたい。及び返還後における利用計画、どういうふうな利用計画になって、またすでに実施されているか。  第十番目が、基本労務契約、この基本労務契約の付表ですね。これはいままでもらっておりましたが、最近のものを出してもらいたい。  十一番目、アメリカから貸与され、現在使用されている装備品等の品名、その見積もり金額及びその契約書。  十二番目、昭和二十七年以降、行政協定二十七条2項、地位協定二十六条3項に基づいて協定実施のために支出された年度別予算項目及び金額、これも施設庁なんですね。  十三番目、日本の防空についての岡崎外相マーフィー大使との間の交換公文、一九五三年一月十三日付。  十四番目、松前・バーンズ協定全文昭和三十四年九月二日付です。  十五番目、情報収集に関する教範情報収集自衛隊がやっておりますが、その教範があるはずです。  第十六番目に、領空侵犯に関する達、一九五九年。  それから十七番目、北海道陸戦想定対馬海峡防備計画A号対策処置及びE号対策処置並びに第一次防衛計画策定過程における保安庁制度調査委員会原案昭和二十八年三月三十日、第一次原案以降、十数次にわたる各種原案が出されているはずですが、これの全文。  以上十七項についてお願いしたいと思います。なお足らないところは、審議過程で追加いたします。
  8. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまの三委員からの資料要求につきましては、提出できるものはすみやかに提出されるようお願いいたします。
  9. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) ただいま三委員からの要求のありました資料につきましては、出せるものについてはすみやかに提出いたすことにいたしたいと思います。
  10. 北村暢

    北村暢君 いまの出せるものはというのはあれですか、いま聞いたうちで大部分は出せると思うのですがね、大部分のものは、出せるものは出すが、出せないものは出さない、こうおっしゃるのか、ここいらははっきりしてください。要求してるんですから、どれとどれは出せないということを、いま言えるか言えないかわかりませんけれどもね。これはまあ今度の委員会、あさって審議始まるわけですが、その前までに、出せる、出せないものをはっきりして、投げやりに、出せないものは出せません、こういうことでは審議できませんから、その点はっきりひとつ、大臣、そういいかげんな答弁では困まりますからね。ひとつこの点は十分考慮して処置していただきたい。
  11. 岩間正男

    岩間正男君 ここは国会の専門委員会ですね。そして、いやしくも防衛問題を論議するのです。ところがいままで資料とか何とか出されない。国民が知らない。そうしてほおかぶりにされている問題がたくさんあるわけです。これでは防衛の姿を明かにすることはできないわけですよ。したがって、いまのような防衛庁長官のマンネリズム化した答弁じゃだめです。だから、参議院の専門委員会なんですから、これはわれわれが検討して、どうしてもこれは出せる可能性はあるし、出さなけりゃならぬ、こう思って要求してるんですから、そんななまやさしいことで要求したんじゃありません。その点について十全の努力をして出してもらいたい。
  12. 有田喜一

    国務大臣有田喜一君) 私が、出せるものについては云々と申したのは、、決してでたらめ言ってるわけじゃなくて、誠意をもってやるつもりです。ただ、事柄の性質上、やはり機密に属するものもありますから、そういうものは御遠慮申し上げたい、こういうことでございますので、、ひとつ御了承願います。
  13. 北村暢

    北村暢君 まあ岩間君どう考えるか知りませんけれども、確かにあると思います。が、この問題は、次の審議の機会までに、出せるものと出せないものとはっきりさして、出せない理由等については明らかにしていただきたい。そういう中で、また出す、出さない問題については折衝するということにして、きょうは要求だけにとどめておく、こういうことにしていただきたい。
  14. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に関し、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  15. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 次に農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  16. 山崎昇

    山崎昇君 前の委員会に引き続いて二、三お聞きをしたいと思います。実は各委員のところにもそうだと思いますが、私の手元にも、各地方統計調査事務所長から、法案促進電報がずいぶんくるわけです。そこでこの内容を見ますと、今度の設置法案というものは総合農政のためだと、こう書いてあるんですね。ですから、統計調査事務所地方農林局という構想の中に入ることと、総合農政というのと、どういう関連があるのか、どうも私にはわかりませんので、まずこの関係からお聞きをしていきたいと思います。これはあなたのほうが打てと言ったのか、自主的に打ったのか、それはわかりませんよ。わかりませんが、来る電報来る電報、全部文案が同じであり、なおかつ書かれている中身総合農政のためと、こう書いてある。だから総合農政統計調査事務所の一部が統計調査部に入ることと、どういう関連があって、それがどういうふうに総合農政になっているのか。どうも私ども研究不十分ですからわからないのかもしれませんが、ひとつしろうとにわかるように説明を願いたいと思います。
  17. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合農政につきましては、先日の委員会大臣からも、私からも詳細申し上げましたので、繰り返しはいたしませんが、実は私ども昭和四十三年度農業白書で、昭和四十二年における農家経済がきわめて順調であるということを叙述いたしましたときに、四十二年までの農家経済動向ということは、昭和三十六年に農業基本法をつくりまして以来、一貫して基本法行政として追求してきたことの成果が相当程度あがりまして、農業と都市との格差もだいぶ是正され、農家生活水準も、地方在住勤労者生活水準に比べて高くなったという、そういうきわめて農業にとって望ましい状態になったわけでございますけれども、今後の農業の動きからいえば、すでに農産物の過剰の問題が一部において顕著にあらわれ、それが米に端的にあらわれておるわけでございますが、米の生産調整ということが必要になった。需要の面からいえば、畜産物、果実、野菜等々は、短期的に需給はある程度まで過剰ということがあるけれども、長期的に見れば、やはり需要生産をオーバーして、生産増強しなければいかぬ。また、そういう情勢において、いままで年率七、八%も農産物価格が上がってきたわけでございますが、四十三年度以降はどうもそうではあるまいということで、私ども去年の十一月に農政審議会に、今後の農政基本的事項について諮問をいたしまして以来、農林省全体をあげて、現在新しい農政といいますか、農政推進について取り組んでいるわけでございまして、結局農政を進めますことの基本一つは、やはりこれだけ北海道あるいは九州、東海等々、地方によって農業の姿あるいは農家動向が相当こまかく分化をいたしまして、そうした農業分化に応じて農政をきめこまかく推進することがやはり必要ではないか。これは地域農政の確立ということで、私ども地方農政局をつくりましたときに、期待をいたしましたことの方向でございますけれども、そういう地域の実態に即して、農政をきめこまかに行なっていくというためには、やはり統計調査部地方農政局、まあ新しくは地方農林局でございますが、その機構の中に取り上げて、一体となって地方農政を育てていくということが必要であろうという、そういう判断でございます。 したがいまして、私ども統計調査事務所長先生方にどういう電報を打ったか存じませんけれども統計調査事務所長の頭の中には、とにかく農林政策といいますか、農業政策は、いま基本法制定当時に比しても劣らないような一つ転換期に向かっている。そうしてその転換期をしのいでいくためには、やはり地域のそれぞれの農業の実情に応じて農政推進する必要がある。そのためには統計調査の仕事が一役買うべきであるし、また買いたい。そういう私は志のあらわれであろうというふうに考えておるわけでございます。
  18. 山崎昇

    山崎昇君 どうもいまの説明はわからないんですよ。あなた方がほんとうに地域農政ということをやるなら、それならば統計調査事務というものは、これは全国知事会でも言っているように、あるいは地方制度調査会でも言うように、都道府県に移管をして、都道府県でやるほうが、むしろ地域農政というものはもっと確立できるのじゃないですか。ところが、おたくの事務当局を呼んで、統計事務というものはどういうものなんですかということを聞くと、統計はいままでは農民のところへいくことすらとめておりました。それくらい統計というものは厳格に扱いました。普通の行政機関と別個に扱わなければ、統計数字というものは厳格さを失うのだと、こういう私ども説明も受けているわけなんです。  そういう点からいくと、この電報内容というものは、どうも私ども解しかねる。そして、この問も申し上げたが、最近とみに総合農政総合農政と言うんだが、その内容がどうも明らかでない。何が総合農政なのかわからない。この間、農林大臣に聞いたら、従来やっている基本農政と何にも変わりありませんと、こういう基本農政と変わりがないというならば、統計調査事務所七つだけが統計調査部として地方農林局に入って、あとの統計調査事務所は依然としてそのままである、出張所もそのままである、そういう機構論であって、なぜこれが総合農政なのか。どうも私は行政機構論からいってこれは納得できない。いまの官房長説明でもその点はきわめてあいまいである。どうして七つ統計事務所だけが統計調査部になったら総合農政推進になるか。ほかの統計調査事務所が変わるというなら別ですよ。何にも変化がないですね、この案を見るというと。ただ、中央の直轄だった分が一部地方農林局直轄になるだけの話だ。かえって機構面でいえば、統計というのは一般の行政に隷属するような形になってきておる。そういうことで、どうしてこの電報にいう総合農政になるのか、私にはわからないわけです。もう一ぺん、しつっこいようですがお聞かせを願いたいと思う。
  19. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 総合農政中身につきましては、現在農林省全体をあげて検討をいたしておりまして、その大体の姿、検討方向は、すでに五月に農政審議会に報告をいたしておるわけでございます。あるいはお手元に差し上げてけっこうでございます。  それで、総合農政方向といたしましては、ごく簡単に申し上げますと、農業生産というのは、やはり需要に見合って生産を進めるということが第一ではないか。ところが、米はでき過ぎておりますけれども、足らないものがあるので、米だけに重点を置いていたいままでの政策を再検討して、そういう需要に即して生産を進めるような体制をつくるべきではないか。そのためには、昨年の十一月にも長期見通しを出したわけでございますけれども、それをできるだけ下におろして、農業団体その他の自主的な生産及び出荷の調整と相まって、国全体として過剰の問題が起こらないようにすべきではないかというのが第一点でございます。  第二点は、先ほども申し上げましたが、基本法以来、生産性格差是正あるいは生活水準格差是正ということは、農業生産の向上ということにもよりますけれども、やはり大部分は、何といっても米価の引き上げ等農産物価格引き上げによって起きたことは事実として明らかでございます。いい悪いということとは別に、事実として明らかでございますけれども、そういう価格引き上げというもので価格政策を運用することは、もうむずかしいのではないか。したがって、価格政策というものは、私ども農産物についてはきわめて大事な政策であって、今後も価格政策役割りが減るとは毛頭思いませんけれども農産物価格の安定ということを主軸にして価格政策を進め、価格政策に依存するだけでなくて、やはり生産政策構造政策とをとにかくバランスのとれた形において進めるべきではないかということが、総合農政の第二でございます。  第三は、別に私ども農家の立場といいますか、農業生産の場だけで農政を考えておったわけでございませんけれども、昨今のように消費者物価の問題あるいは国民生活の充実という問題が、きわめてシリアスな問題になってきますと、単に生産の場だけで農政を進めるのではなくて、やはり消費、流通、そういう問題にまで農政の幅を拡げて、国民生活の充実あるいは消費者家計の安定ということにさらに施策を講ずべきではないかという、これが第三でございます。  いずれにしろ農政は、全国一律に行なうべき事柄ではございませんで、農林省としてはその大局、大本をきめて、あとは地方農政局でそれぞれの事情に合わせて農政を進めることが本義でございますから、地方農政局長が地域の実態に即して農政を進める一助として、農林統計を活用する。これは全国統計として利用することはもちろんでございますけれども、そういう地域農政を進めるために、農林統計を十分活用したいということが、私が先ほど申し上げた趣旨でございます。
  20. 山崎昇

    山崎昇君 この論議ばかりやっていると、ほんとうに時間がありませんで、私のほうもそれじゃものごとが進まないですから、ほんとうは基本論争ですからもう少しやりたい気もするのですが、先に進めたいと思うのです。  私は従来、この統計事務であるとか、それから試験研究機関とかというものは、これは相当独立性の強い形で今日まできているのですね。しかし、行政機関がしょせんは行なうことでありますから、全く一般の行政から離れて、それだけ存在するというものでないのも、私はまた承知しているつもりであります。しかし、そう言ったとしても、やはり行政にあまり従属をすれば、統計としての価値がなくなる、あるいは試験研究機関としての価値がなくなってくる。そういうこともあって、在来この統計や試験研究機関というものは、きわめて独立性の強い存在として、今日まで大体きていると思うのですね。そのうちのやはり統計事務も私はそういう形で今日まできたと思う。そこで、地方農政局のできた経過からいっても、昭和三十八年の五月にこれが発足しているわけですが、その間国会でも約三回の国会を経て、最終的には参議院の修正案が通って、この水産あるいは統計、あるいはいま出されております民有林関係は、やはり除くべきであるという形で農政局が設置をされてきているわけです。  ところが、今度の案を見ますと、そういう国会の意思というものがどこかにいってしまって、そうして過去に議論された中の統計と民有林だけ入れて、これはあとでも触れますが、高知の種畜場をやめて、新たに熱帯農業研究センターを入れる、こういうかっこうで地方農林局というものを出してきているという、こういう過去の経過と、それから統計あるいは研究機関というものの独立性というものを考えますと、どうも地方農林局の中に統計事務というものを入れて、その管轄下にして、全体的には何も変わりないのですね。そういうやり方がなぜとられなければならぬのかという、この統計事務の、ある意味で言えば独立性について、あなたの見解をひとつ聞いておきたいということと、それから、それならば、国際的な統計との協力関係も今後ますます出てくると思うのですね。そういう際に、農林統計だけを、何か地方の出先機関の中に入れちゃって、そうして統一的な中央からの統計の統一性といいますか、そういうものが多少私は阻害されてくるきらいもあるのではないか。そういう問題等々の関連を考えて、今後の統計事務というものを一体どういうふうにお考えなのか、あわせて聞いておきたいと思います。
  21. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) たしか昭和三十七年に提案されました農林省設置法の一部を改正する法律案におきましては、先生のおっしゃるような案になっておったと思いますが、今回水産関係を除きまして、ただいまのような形で提案されております。以外の関係は私ども所管ではございませんので、統計関係だけについて、なぜこういう形の案をまた出したかという点を御説明申し上げたいと思います。  特に第四十国会、第四十一国会及び第四十二国会で行なわれました審査を通じまして、この委員会における論議を拝見いたしますと、統計調査関係を農林局に含めるについて御反対がありました第一の理由は、農林局所在の府県におきます統計調査事務所だけを農林局に所属させて、ほかの県の統計調査事務所は依然として本省直轄だという形に当時の案がなっておりました関係上、いかにも中途はんぱじゃないか、なぜそういう形にするのがよくわからないということが反対の重大な理由であったと拝察をされるわけでございまして、私どもその点を十分検討いたしまして、この委員会におきまする御審議の結果、その御意図をそんたくいたしまして、今回は、地方農林局所在の府県の統計調査事務所だけでなしに、北海道を除く一切の統計調査事務所を農林局の管轄下に置くということで、その中途はんぱな性格を払拭いたしまして、新しい決意をもってこの案を提案した次第でございます。  御質問の第二点の調査の独立性の問題でございますが、御承知のとおり食糧事情の非常にきびしい時期に供出制度と関連してできた制度でございまして、行政の干渉を排除して客観的に正しいデータをつくりますことが、私どもに課せられました最大の使命でございましたので、行政からの独立、中立性の確保ということを活動スローガンとして今日までやってまいりまして、非常に大きな成果をあげ、統計数値の中立性の維持に大きな貢献をしたことは御指摘のとおり認めざるを得ないと思います。ただ、今日の段階におきましては、それが多少の反省を要する時期にきておりまして、統計数値の独立性はそれでいいのでございますけれども、また変化のなだらかな社会におきますならばそれでよかったかもしれませんが、今日のような国民経済の高度成長に伴いまして農業及び農村の状態が急激に変化してまいり、しかもその変化の態様が、官房長の御答弁のように、地域的に非常に格差があるというような時代においては、農村の変化が激しいだけに、そこで調査に入る職員としましては、それに対応して行政がどういう方向に動いておるだろうかという知見なしには調査の事務を遂行するのにも不便と申しますか支障が出てまいっておる現状でございまして、したがいまして私どもとしましては、できるだけこの統計の客観性の保持、数値を中立、公正なものにする努力をしつつ、調査担当の職員を行政のあり方に触れさせるということが必要であると考えまして、今回地方農林局の統轄下に置くことによってその改革を果たそうということを考えたわけでございまして、決してこれをやりましたからといって、統計数値の中立性を侵すことのないように万全の配慮をして運用してまいりたい、かように考えております。
  22. 山崎昇

    山崎昇君 あと答弁二つくらい残っているのですが、一つは、国際統計との関係をどういうふうに考えられるか。
  23. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 御答弁を落としまして申しわけございませんで、国際関係につきましては、いろいろ国際上の条約なり協定がございまして、それに応じまして日本政府として資料を提供しております。たとえば経済調査に関する条約に基づきましてFAOの提唱のもとに世界農業センサスが行なわれておりまして、さしあたって来年二月一日現在で農業センサスをやることにしておりますが、その結果はこのFAOに提供することにいたしております。  その他、経済協力開発機構とかアジア極東経済委員会等、国際機構に関する条約の中に、統計資料を提供せよという項目が入っておりまして、それに基づいていろいろ資料を提供しております。その点につきましては、国内でとりました公正なデータを提供するように努力をしておる状況でございます。
  24. 山崎昇

    山崎昇君 いま運用の万全を期していきたいという答弁ですね。しかし統計の独立性なり、あるいは試験研究機関等の一般行政機関からの独立性等については、それはそのとおりだが、ただ農業転換期に差しかかって、地域的にいろいろな格差が出てきたから、その変化に対応するためには、一般農政も知っておらねばならぬから地方農林局に入れたのだというだけであって、私は行政機構論からいけば、それだけでは不十分だと思う。  しかし、何回も言うようですが、そればかり議論するわけにいきませんから、あわせてお聞きをしておきたいのですが、全国知事会等では二回にわたって総会を開いて、この反対決議をしておる。その内容は、多くのことをいっておりますが、一つは、あえて世論に抗する、こういう言い方を一つしておる。二つ目には、地方制度調査会あるいは自治省と関係六団体がやったアンケートにも違反をする、そうしていたずらに二重行政、二重監督の弊を生ぜしめる、こういう言い方をしているわけです。こういう点についてはどういうふうに農林省検討されたのか、これが一点であります。  それから皆さんのお手元にもいっていると思うのですが、自治省の行政下にあります調査本部で実施をした約百項目にのぼるアンケートの内容を見ると、もうきわめて数字的にも反対の意向が出てきておる。あるいは農林行政についても相当な点が指摘をされておる。そういう点はほとんど顧みられないで、単に地方農林局ができれば、何かしら総合農政なんというものが進展するようなやはり錯覚になっているのじゃないか、こういう気がします。したがって、そういうアンケートとの関係についても、農林省はどういう検討をされたのか、お聞きをしておきたい。
  25. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) アンケートの問題でございますが、私ども正式な態度は行政改革本部に申し上げてございますけれども、あのアンケートの内容あるいは問い方自体について、私ども疑問を持っておるわけでございます。まあ一定の結論を導くのに便利なような設問のしかたをしておるのではないかという点について、私ども疑問を持っておるわけでございます。ただしかし、何といいましても、結果としてそういう数字が出ておることでございますから、私どもあのアンケートの事実、あるいは地方関係——知事会の御意向等々について目をつぶって、自分たちだけで、俗に言えばかってなことをいたすつもりはございません。これはそういう御批判があるということを十分頭に置いて仕事をいたしておるわけでございます。  そこで、その点について二つ申し上げますと、一つは、統計調査都道府県に移管してはどうかという御意見があるわけでございますが、農林関係の調査は、まあ地域的にきわめて分化しているということ以外に、農家の実情が現在決して等質ではございませんで、五百四十一万戸の農家自体がきわめて複雑な内容を持っておって、調査上なかなかむずかしくて、専門的な素養が必要だということもございますし、また、たとえば私ども近代化資金といいますか、むしろ災害融資等におきまして農作物の災害を、統計調査部の数字に従って処置いたしておるわけでございますが、県の調査ではなかなか客観的な数字が上がってこないという問題が現実にあるわけでございます。また、農産物価格をきめる場合に、決して生産費だけによっておるわけではございませんけれども生産費の場合も、県がそれぞればらばらに、あるいは農林省がとにかく統一的な指針を示しましても、係官の質のきわめて雑多なレベルにおきまして統計を作成して、それを生産費として農林省価格政策に使うということには、なかなかまいらないという問題があるわけでございます。私ども県なりあるいは市町村なりが、農林省統計調査につきましていろいろ御不満があるということも存じておりますので、今後地域農政のために統計資料を活用するということを先ほど申し上げましたが、県なりあるいは市町村なりにつきましても、やはり統計の面から十分協力といいますか、使いやすいような統計をつくり、またそういう面で県なり市町村なりについてお世話をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それからもう一つは、地方農政局についてのお話でございますが、これも二重行政だからやめてはどうか、あるいは整理して農地事業だけをやるものにしたらどうかとかいう御意見がいろいろあるわけでございますが、三十八年に地方農政局をつくりまして以来、地方農政局がもう大体六年の仕事でございますから、二重行政という、あるいは二重監督という御批判に対して、私どもそういうことは絶対ないと言い切る勇気もございませんけれども、たとえば農業構造改善事業という相当有力な仕事を農林省がやっておるわけでございますが、農業構造改善事業は完全に地方農政局限りで処置をいたしております。本省に上がってくることはほとんどございません。よほど特別な問題でもない限り、私ども行政のらち外で、いわば地方農政局限りでやっておるわけでございます。あるいは災害等々でいろいろの仕事があるわけでございますが、災害の取りまとめ調査等につきましても地方農政局がやっておるわけで、私ども形の上では相当地方農政局に権限をおろしておりますけれども、なかなかまだ日が十分でない、経験が未熟であるということによって、形の上では権限をおろしているけれども、中央でやはりコントロールしているという面がないことはございません、率直に申し上げて。それはしかしできるだけおろして、たいていのことは地方農政局限りで処置できるように現在努力中でございますので、その成果はしばらく御猶予をいただきたいというふうに考えております。
  26. 山崎昇

    山崎昇君 私は、いまあなたからいろいろ述べられたのだが、どうしてもこの行政機構を論ずるときに、私が疑問として理解のできない点が根本的に一つあるわけですね。それは何かというと、政府がいろいろ機関をつくっていろいろ検討をされる、かりにあげてみれば臨時行政調査会の答申もそうである。地方制度調査会の答申もそうである。あるいは全国知事会でも指摘をされる。あるいはまた去年の二月二日の閣議の、今後における行政改革の推進等々を見ますと、それにもどうも合致をしてこない。こういうような案が法律案として国会に出てくるところに、私はほんとうは一番根本問題として持っておるわけです。どうして政府は自分でいろいろな機関をつくって、そうして多額の金を費やして、相当な専門屋を集めて検討して、当面はこういうことをやりなさいということが一つもやられない。出てくる法案は、全部それに違反するような内容法案が出てくる。そうして、いまあなたからもっともらしい答弁があるが、しかし、そういうもっともらしい答弁あるけれども、全国知事からいえば、二回も総会を開いて具体的に指摘をされている。何と言おうとも二重行政であることはもう間違いない。こういうことが国会で議論されることは、私はほんとうは根本的疑問を持っているのです。しかし、そういうことを幾らあなたといま議論してみても、私は始まりませんから、勢い内容についてお尋ねをしているわけなんだが、こういうことについて、一体あなたはどういうふうにお考えになりますか。 それから、いまのアンケートの、私もここに抜粋したものはずいぶん持っております。これについても、大かた七割から八割は、このアンケートの出した項目について、いまの政府のやり方については反対である、改善すべきだというアンケートなんです。これを民間団体がやったのではない、野党がやったのでもない。自治省にこういう本部をつくって大がかりでこれを調査をしておる。こういうことが、ほとんど無視をされて、こういう法案が出されてくる。こういうことは、私は何べんも申し上げますが、ほんとうは基本的に疑問を持っているのですが、それはここであなたとやっても、これは行政管理庁としなきゃならぬことでもありましょうから、多くは申し上げませんが、まず第一に、そういうことについて、あなた方は一体どうお考えになるのか。それから、いまお話に出ましたような、たとえば農地の転用でありますとか、あるいは土地改良であるとか、農業団体に関する事務でありますとか、こういうものは、すでに三十八年に第九次地方制度調査会で、地方公共団体にやはりおろすべきだ、こういうことがなされておるのだが、その後今日まで何も進んでいない。ですから、私は、こういう公的な機関の見解というものを、中央の官庁というのはどういうふうに検討されて、尊重されておるのか。もう一ぺんこの点を基本的な態度として聞いておきたいと思う。
  27. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 行政改革計画第二次の問題が、最近行政改革本部で決定をされまして、おそらく近く閣議にかかると思いますけれども、その中で地方支分局等の簡素合理化という問題がございますが、その中の農林省関係といたしまして、「地方農政局統計調査事務所を統合するとともに、民有林行政事務の一部を委譲して同局を地方農林局とし、あわせて統計調査事務所の所掌事務の一部を整理し、農産物の流通改善等の事務の充実を図る。」というふうに整理されておりまして、私ども、ただ農林省だけでこの地方農政局あるいは統計調査事務所の問題を論議いたしておるのではございませんで、行政改革本部と、いわば行政改革あるいは地方支分局等の簡素合理化に関する公の場所において私どもの考えていることを申し上げ、その了承を得ているわけでございます。  また、たとえばこれは三十八年に、地方庁が権限の再配分等についていろいろ御意見を言われておるわけでございますが、その一部に、今回農地法の改正を私ども国会にお願いいたしているわけでございますが、その中である面で実現をいたすつもりでおるわけでございます。
  28. 山崎昇

    山崎昇君 そこでもう少し具体的にお聞きをしますが、今度の地方農林局構想の中に民有林行政が一部入ってくるわけですね。これについて二、三見解を聞きたいのですが、いま国家行政組織法上で庁と名前のつく外局というのがたくさんあるわけなんで、この外局の設置基準は明確なものはありませんが、主として独立性の強いものとか事務量が多いものとか、こういうものになってくるのですね。そこでたくさんの外局があるわけですが、そのうち農林省には林野庁と食糧庁と水産庁があるわけなんです。私は、この外局をずっと見ておって、農林省の外局というものは、ほかの外局とかなり性格を異にしている内容を含んでおるのじゃないか、こう理解している一人なんです。  その第一は、この農林省の外局だけは、それに対応する内局がないんですね。だから農林省にある外局は、企画もやれば実施もやる、まあ簡単に言えば、そういう私は三つの外局というのは性格を帯びている。さらに林野庁の場合には、営林局という出先はあります。食糧庁は食糧事務所がある。しかし水産庁は全然出先機関がない。これはすべて都道府県を通じて行政が行なわれておる。ただ水産研究所のような研究施設は確かにあります。しかし大筋はほとんど都道府県を通じてやっておられる。こう考えてきますと、私は今度のこの行政機構改革で、林野庁が一貫して森林行政については経営も含めてやっておるわけなんですが、そのうち一部である民有林の一般関係だけが、どうして農林局に移されなければならぬのか、それが移れば、なぜこれが総合農政にまたなってくるのか。どうも私はこの辺のことになってくると、農林省のほうは二重行政ではないとか、行政の簡素化だというけれども、詳細に検討してみるというと、やはりこれは複雑になってきている。必ずしも簡素化になってこない、こう思うのです。 そこで官房長から、なぜこういうふうにするのか、見解をお聞きしたいのですが、林野庁の長官から、民有林の一部が農林局に移って、技術的指導だけは林野庁でやると、こうなっておるのだが、なぜこういうふうにしなければならないのか。私は今日までの林野庁という性格から言って、これは地方団体が指摘しているように、やっぱり二重監督あるいは二重行政、こうなってくると思う。こういう点についてひとつお聞きをしたい。  もう一つは、森林行政というのは、大きく分けると国有林と民有林と公有林の三つになる。これは一貫して林野庁が統一的に扱っておったわけで、技術的な面も含めて。どうして民有林の一部だけが地方農林局という行政機間に入らなければならぬのか、どうしてここだけが地方農林局になって、林野庁と二つの監督というか、指導を受けなければならぬのか。これは自治体側から見れば、あるいは民有林を経営する個人から見れば、なかなかこれは複雑になってきているのではないかと、私はこう思うわけです。ですから農林省にある外局の性格からいって、私はこの農林局に一部民有林を入れるということは、どうも納得ができない、こう思うのですが、これは官房長と林野庁から回答願いたい。
  29. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 民有林の行政の中には、たとえば林業構造改善事業とか山村振興事業、入り会い事業の整備促進対策あるいは林業労働力の対策等々、相当地域の実態に即して、きめのこまかい行政を行なうべき問題があるわけでございます。またさらに、先ほども地方農政局農業構造改善事業のことを申し上げましたけれども農業構造改善事業をやりながら林業構造改善事業でありますとか、あるいは入り会い林野の整備でございますとか、いわば農山村あるいは山村においては、農政と林政とを一体として進めることが適当となった事態が相当あるわけでございます。したがまして、ただ農業政策の面で地方農政局のように、いわば実態に即してきめのこまかい行政を行なうということを、林政についてやる以外に、実は農政と林政が一体となって、地域農民の農業構造の改善あるいは林業構造の改善のために施策を進めるべきものが相当顕著になってきたと、林業構造改善は林野本庁に行かなければ話がつかない。農業構造改善は地方農政局で片づくということでは、どうも地域住民にとって不便ではないかというふうに思うわけでございます。これが、民有林の行政全体を地方農政局におろすということではございませんで、地方農林局におろすべきものは、その地域の実態に即してきめのこまかい行政を行なう必要あるものと、農政と一体となって進めることが適当なものと、その二つというふうに私ども考えておるわけでございます。
  30. 大山一生

    説明員(大山一生君) ただいま官房長から説明いたしましたような次第でございますが、たとえば現在の林業と農業を通じます労働力の配分状況、こういうのをかりに、たとえば四十二年の林家経済調査あたりで見てまいりますと、農業のほうは五−六月ころ、それから九−十というところに労働力が集中している。ところが林業のほうは三−四、それから七−八というようなところに比較的労働力が集中している。しかしながら実態問題といたしますと、林業を取り巻いております山村地帯においては人口の流出もはなはだしい、こういった点から、かりに労働力一つをとってまいりましても、農業と林業との間においてもある程度調整をする。それからたとえば山村におきます林業の保有状況を見ましても、そのうちの五割程度は農家が持っている、こういう実態にあるわけです。  したがいまして、たとえば労働力の問題にいたしましても、農業関係農業関係として労働力の円滑な需給のためのいろんな仕事をする、あるいは林業は林業だけとしてやるということではものは済まなくなってきている。つまり林業を含んだようなかっこうにおいて労働力の配分というようなことも必要になってくる。また、たとえば農家収入を見ましても、その中において兼業収入というかっこうではありますけれども、林業収入というものがあり、その林業収入というのが現在微々たる状態を示しておる、こういうことで、たとえば林業経営者の中の大半を占めます一ないし五ヘクタールといったような連中を、林業経営の主たるにない手として今後育成していくというような観点からいきまして、農業との関係を無視してはできなくなってきている、こういうような事態にあるわけでございます。  それから、先ほど言われました国有林、民有林、公有林、この三つの基本的な規格的な面につきましては、先般改正いただきました森林法に基づきまして全国森林計画、その全国森林計画に基づきまして、民有林については地域森林計画、それから国有林については経営基本計画、それに従って実施する。したがいまして、そういう意味で規格的な、全国的に統一を要するようなことは林野庁でやってまいりますけれども、そういう末端のことになりますれば先ほど申し上げたような林業経営という実態の農業との接点というような意味も含めまして、むしろ地方で総合的にきめこまかくやるべきではないか、こういうことで林務部あるいは林務課というかっこうで農政局で総合してやっていただく、こういうのが今回の改正の趣旨であります。
  31. 山崎昇

    山崎昇君 私はいま主として行政機構の面からお尋ねしておるわけですが、たとえば私も自治体出身でありますから、自治体の林業行政一つ見ましても、私の出身である北海道の例でいえば、北海道庁の林務部が所管をする。そして林務署があって、公有林の経営をやるわけであります。そのほかに支庁に林務課があって、一般の林業行政というものが行なわれておる。しかしこの林業については確かに、林道の問題もありますし、農山振興の問題もありますが、主力はやはり林務署を通じて行なわれるし、監督は林野庁の監督に服するわけですね。なぜならば、森林に関しまして農林省の内局というのがないわけでしょう、一応は。俗にいわれる専門の局というのはないわけですね。そういう意味でいうと、どうも行政機構からいえば、今度の場合には林野庁が主力になって森林行政をやるわけですけれども、民有林の一部については、農林局を通じて都道府県なり、あるいはその他を指導監督の面に当たっている、一部はあなたのほうの林野庁直轄でやっている、こうなると思うのです。  ですから私は、もちろん行政ですから多少の入り乱れはあるでしょうし、関係はあるでしょう。しかしそれにしても大筋はやはり林野庁できちっと持っておって、どうしても農業との関係をやるならば、それは地方農政局と相談するのもけっこうでしょうし、協議するのもけっこうでしょうが、行政機構の筋道としては、何か知らぬけれども、二つ指導される、監督されるといいますが、そういうことのないようにしなければ、末端のほうは私はたまらんのではないか、こういう気がするのです。  それからそういう意味でいうと、従来の機構を、何か五つだけは営林局が部をつくって、あとの二つは——地方農林局ですか、あとの二つは課なんです。そういうことで行政機構というのが分かれていくこと自体について私はやはり疑問を持っているわけです。そういう意味で私は、民有林関係の一部をこの地方農林局に移管するということに、どうしてもいまの段階ではやはり賛意を表せられない。したがって私どもは別な形のものを考えておるわけなんですが、そういう点についてもう一ぺんひとつ農林省側の見解を聞いておきたい。
  32. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私先ほど申し上げましたように、行政機構の面では確かに二つに分かれるという問題がございますけれども、農山村あるいは山村の農家、あるいは林家の立場からいうと、それは決して二つに分かれたことによる不便ということではございませんで、むしろ地方農林局に行けば、林業構造改善なり農業構造改善なんか片づくということでございますから、私どもは、直接林業をやっている、あるいは農業をやっている人たちにとっては、きわめて望ましい改正ではないかというふうに考えておるわけでございます。ただ、いろいろ御意見もあることでございますから、そういう御意見は十分尊重して、私どももいろいろ慎重にやってまいりたいというように考えております。
  33. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると重ねてお聞きをしますが、地域の実情にマッチをした、あなた方の使う総合農政をやるというならば、どうしてそれじゃ食糧事務所はらち外に置かれてやられるのか。だから、ほんとうにあなた方が地域農政を総合的にやられるというなら、そういうことも考えなければおかしいのではないか、私はこう思うのです。その点が一つ。  そうすると今後の林野庁というのは、何か公社化案も考えられているようでありますが、一体、国有林について、あるいは民有林の一部、それに公有林の指導監督も入るわけですが、林野庁の今後の存在はどういうふうになっているのか。この機会に、公社化案というのがちらほら出ている段階でもありますから聞いておきたいと思います。
  34. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 食糧事務所を地方農政局あるいは農林局の系統の中に入れるかどうかということは、私どもまだ検討いたしておりませんけれども、これは食糧事務所というのは、たとえば稲の作付の指導をすることではございませんで、米を買い、米を売り、あるいは米の保管、輸送の指導ということでございますから、また全部が食糧管理特別会計でもって措置されているわけでございますから、これは別ものであろうというふうに考えておるわけでございます。  なお、林野庁関係のことにつきましては、林政部長からお答えをいたします。
  35. 大山一生

    説明員(大山一生君) ただいま公社化というおことばがございましたけれども、過去に中森答申によりましてもこういう指摘があったわけでございますが、われわれ国有林野事業のあり方の問題については、その内容が組織、機構から始まりまして会計、生産、販売、各面にわたる問題でございますので、現在なお慎重に検討中というのが現状でございます。  それでこの間の、先ほど官房長が申しました第二次改革案の中におきましても、公社化を含め、経営の合理化の方向において検討するということでございまして、なお検討中ということになるわけでございます。民有林のほうにつきましては、この設置法におきましては、きめこまかく林政をやっていくという観点から、企画的な面、それから全国的な調整を要する面は林野庁でやりまして、それの方針のもとにおいて農政局においてきめこまかく農林行政を、民有林行政をやっていく。それから国有林のほうにつきましては、先ほど申し上げましたような点を検討しておりますが、現在においては営林局というものを林野庁が監督して、そうして分権管理の方向でやっていく、こういうことでございます。ただ末端におきます民有林行政と営林局のやっております業務との関係において地元との調整その他の問題がございますれば、それは地方にできております地域連絡会議等を通じまして、その連絡等に十分な連携を保ってまいる、こういうような方針でございます。
  36. 山崎昇

    山崎昇君 次にお聞きしたいのは、地方農林局は、いまの地方農政局がそのままなるとすれば、七つですね。そこで北海道だけは特殊形態になっているわけですね。そうすると北海道におけるあなた方の言う地方農林局所管の仕事のようなものはどういう系統を通じてやるのか、これはもちろん開発局との関係があるでしょうから、それと関連して御説明を願いたい。  それから北海道には、この法案を見ますというと、北海道統計調査事務所を置くことになっている。ところがこれは総合的な何か名称か知りませんが、実際は省令で四つばかり置くことになっていますね。そうすると、この北海道統計調査事務所と省令で置かれるこの四つの統計調査事務所関係はどうなっているか。北海道統計調査事務所というのは、これはどういう存在になるのか、ちょっと私には機構面からいうとわかりませんので、あわせてひとつ御説明願いたい。
  37. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 北海道地方農政局を置くべきかどうかということの議論は、農林省の中でも多少やったことはございますけれども都道府県として北海道一つでございますし、公共事業につきましては開発局もあることでございますから、これは農林省が直接北海道庁の指導をするということで、地方農政局は置かないように方針は決定をいたしておるわけでございます。 そこで御指摘のように、そこにある統計調査事務所は、一般の県にある統計調査事務所と組織上は異なることになるわけでございます。それで御指摘のように札幌、帯広、北見等々四つの統計調査事務所を置くわけでございます。これを総称したものが北海道統計事務所でございまして、形からいえば地方農林局と同じ地方支分局になるわけでございまして、仕事の面につきましては、統計調査資料の収集、作成等々のことにつきましては、別途都府県の統計調査事務所とそう違うものではないというふうに考えておるわけでございます。
  38. 山崎昇

    山崎昇君 だから、大臣にお聞きしたのは、公共事業は開発局でやるのは知っているのです。そうすると、たとえば仙台に東北地方農林局というのがかりにできるとしますね。そうすると、その地方農林局でおやりになる仕事というのは、北海道の場合はどういう系統を通じてそれじゃ現在もやられ、これからもやられようとするのか、その点が一つ。  それからそれに関連して、北海道には営林局が五つあるのですね。ほかの府県とはやはり形態が違うわけです。ですから営林局との関係についても、地方農林局に移管された場合の仕事のやり方というのはどうなっているのか。それから、あわせて、いま統計調査事務所四つできるわけですが、それじゃ北海道統計調査事務所という名称は、何か総合するところであって、それの何か支分みたいなものが札幌、北見、釧路云々というのが、実際は法律上には北海道統計調査事務所というのがあるが、この実体はない。別なものができ上がってくる。そうすると国民から見ると、法律上に存在する北海道統計調査事務所というのは何なのですか、これは。あなたの言うように、ただそれは名称ですといったって、そうはなってこない。そうすると札幌、北見、釧路というのは、これは一体ほかの府県の統計調査事務所に当てはめてみたら、これはどういう機構上の存在になってくるのか、どうもこれは何回も私は読んでみたのですが、わからないものですから、通常の考え方ではわからないのです。いきなり北海道には札幌統計事務所、北見統計事務所あるいは釧路統計調査事務所を置くというなら、法律上それはわかります。そうでないやり方をしているのでわからない。それから北海道開発局との関係についてどうもぴんとこない。この二つについてもう一ぺんひとつ説明してください。
  39. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 北海道統計調査事務所というのは、札幌その他四カ所に置かれる統計調査事務所の総称であるというふうに私ども理解をいたしております。  それから、北海道農林省との関係でございますが、地方農林局に対しましては、農林省に相当部分の許認可の権限を局長におろしておりますし、また補助金の交付事務も大部分地方農林局におろしておるわけでございます。したがいまして、地方農林局所在の都府県につきましては、農林省が直接都府県知事に補助金の交付をするのではなくて、地方農政局長が大部分都府県知事に対して補助金の交付をやっておるわけでございますが、北海道につきましては、農林大臣の名前で北海道に対する補助金交付をやる、そういうたてまえになっておるわけでございます。
  40. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、北海道に関する限りは農林省直轄という意味ですか。開発局との関係は、ですからどうなりますか。もちろんこれは公共事業の実施機関であることは私は承知してお聞きしているのですが、しかし非公共の仕事についても開発局の中で、かなり農業の問題も扱うわけですね。そういう意味も含めて、開発局との関係についてどうも私はまだぴんときませんので、もう一回ひとつ。
  41. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) たとえば土地改良でございますとか、あるいは北海道は干拓はございませんが、もろもろの国営の工事につきましては、これは北海道の開発局の関係農林省もやっておるわけでございます。それ以外の団体営その他の土地改良につきましては、これは農林省北海道知事に対して補助金の交付をやっておるわけでございます。
  42. 山崎昇

    山崎昇君 そうすると、北海道に関する限りはある限定されたものについては農林大臣直轄でおやりになっている。しかし他の農政の大部分北海道という自治体を通じてやられておる、こうなるのですね、あなたのいまの説明でいけば。そうすれば、私はこの地方農政局の存在についても、なぜ農林省から自治体を通じてやることができないのか。どうして七つだけは地方農林局というものをつくって、そして都府県を通じてやるというのか。だからそういう点が私は、全国知事会でも地方制度調査会でも、これは二重監督であり二重行政であるという意味は、そういう意味だと思う。北海道にできて他の府県にできないということには私はなってこないと思うのだ。どうもそういう点が私はわからないのです。
  43. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 北海道に対する行政農林大臣の地位を占めておりますものは、都府県について農林大臣プラス地方農政局長でございます。それで、北海道に対して確かに農林大臣が直接行政をいたしておるわけでございますから、各府県ともそれでよいではないかという御議論は、実は地方農政局を置く前の姿がそうであったわけでございまして、そうでありましたけれども、戦後の農業の進み方を見ると、地域的な分化が非常に激しくて、四十六県を見渡して統一的な農林行政というのはなかなかむずかしい。むしろ地方地域地域の実態に即して農林行政を進めるべきだという、いわば反省が地方農政局をつくったわけでございますから、非常に地方農政局について、いま知事会の御意見その他をあげて御不満を述べられておるわけでございますが、相当な部分において地方農政局は、私どもはプラスの仕事をやっておる。  先ほど申し上げましたように、農業構造改善事業しかり、災害対策しかり、とにかく農林省がそこまでおりていって仕事をしておるわけでございますから、プラスの面は相当出ておる。なお、二重行政あるいは二重監督という御批判に対しては、私どもも率直に反省して、今後そういう批判が起こらないように、農林省が霞ケ関にいるのではなくて、たとえば仙台なりあるいは熊本に出ていって仕事をするのと同じような実態をつくりたいというのが、私どもの気持ちであるわけでございます。
  44. 山崎昇

    山崎昇君 あなたの説明を私は全然わからぬわけじゃありませんよ。一番遠い北海道農林省直轄でやられておる。北海道農政は、それじゃ仙台にある東北地方農政局によって農林省へくるわけじゃない。だから北海道に関する限りは自治体をあなた方は信用してやられておると思う。ほかの府県になりますとそうはなってこない。何か地方探題みたいに七つ地方農林局を置いてやっておる。それならば北海道にできて東北にできないことはないのではないか、やるならばやれるのではないか、こう私は思う。しかし、さっきも統計調査事務所統計事務についての答弁がありましたが、これを聞いておっても、何か地方公務員にやらせればうまくいかないのだという、何か私は地方自治体に対するあなた方の、べっ視と言ったらこれは言い過ぎになるかもしれないが、何か信用が置けないのだといいますか、そういうような意味にもとれるようなことがしばしば述べられておる。何か中央で直轄にやって、中央の出先機関を置いてやらなければ仕事がうまくいかないのだという考え方があるのではないか、こう私は思うのです。だから、いま北海道の例をあなたにしつこく聞いておるのはそういう意味ですよ。  もしあなた方がそれを考え直してやるとするならば、北海道の開発局を全国につくれとは言いませんが、しかし、最近の国土総合開発計画だとか地域開発計画だとかいうものがどんどん進んでくる段階になってくれば、当然北海道の開発局というような機構についても、これは中央で検討されなければならぬと思うのですね。そういう段階に、あなたのほうでは、本州、都府県だけは、何か知らないけれども、こういう機構でなければできないのだというものの考え方があるのではないか、こういう気がするのです。だから、北海道でできるならば他の府県でもできるはずじゃないでしょうか。特に北海道、あれだけ広大な地域に、営林局だけでもって五つもあるのでしょう。ですから、そういう関係からいくと、どうして地方農林局をこれだけ拡充をしなければ、あなた方の言う総合農政ができないのか。どうも私はその点がはっきりしない。東京に近いとか、農林省がもっと近いところでやっておるとかするならいざ知らず、一番遠い北の果てにある北海道がそういう形態になっていない。もう一ぺんひとつその点についてお聞きしたい。
  45. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども一つ都道府県を対象としては、地方農政局を置き、あるいは地方農政局のいわばその下の事務所を置くということは考えておらないわけでございます。統計調査事務所だけはこれは特別でございますから、都道府県の単位の統計調査事務所は置きますけれども統計調査事務所以外にまとまった形の全体としての地方農政局を、たとえば青森県支所であるとか青森県事務所というものは置かないというわけでございます。したがいまして、北海道につきまして地方農政局を置かないということは、青森県なり宮城県なりに地方農政局の支所を置かないということと同じ意味があるというふうにお考えいただいてもよろしかろうと思います。
  46. 山崎昇

    山崎昇君 私もあれですよ、いま置かれておる七つが各府県にないことを承知の上で聞いているのですよ。しかし、北海道が青森県あるいは岩手県と同様に、一つの県とあなた方はみなしながらやっているという一応の考え方について私はわかっているつもりです。ただ、私の言いたいのは、一つであっても二つであっても、北海道で自治体を通じてやれることが、なぜほかの県ならばできないのか。かりに東北農林局が七つ八つの県を統合するにしても、それは農林省で自治体を通じてやればやれないことはないのじゃないか、こういう意味で聞いている。その点はどうなんですか。
  47. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 北海道地方農政局を置かないで、農林省が直接行政をやっておるから、北海道を除く各府県でも同様だと言われることは、私は論理の飛躍があるのではないかというふうに思います。北海道につきましても、たとえば北海道地方農政局というものを置いて置けないことはございませんけれども、しかし、一つの自治体を単位として地方農政局を置くことはやはりどうだろうか。しかも、北海道開発局が現にあるわけでございますから、そこのところは農林省として多少不便をしのぶといいますか、そういうことも考慮して、北海道単位の地方農政局は置かないわけでございますから、北海道に置かないからといってその他の地方農政局の意味がないではないかということは、私どもとしては承服いたしかねる議論でございます。
  48. 山崎昇

    山崎昇君 これはもちろん平行線をたどると思うのですよ。しかし私はやっぱりあなた方は、本質的には地方自治体というものに対して何か前提の考え方があって、どうも自治体にまかせるのはぐあいが悪いという考え方があるのではないかという、邪推かもしれませんが、どうも私はそう感ずる。ですからそういう意味であなたにいま聞いているわけでして、私は論理の飛躍だとは思ってない。いずれにしても地方農林局というのは、これはどの機関であれ、扱っているものはやはり二重行政であり、二重監督だ、世論に抗しているのだということを指摘しているわけですから、これは私からもその点を指摘しておきたいと思う。  それから次にお聞きをしたいのは、農業者大学校というものについてお聞きをしておきたいと思う。これは大学校でありますから学校なんでしょうけれども、どういう性格で、研修施設とどういう違いがあるのか聞いておきたいと思います。
  49. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあ農業者大学校でございますから、いわゆる大学とは違うものでございます。しかし、農林省といたしましては、農業者大学校以外、水産大学校というものを持っておるわけで、生徒といいますか、学生の資格、教育の内容等々につきまして、大校にほとんど匹敵するような実態を備えておるものに限りまして、私ども大学校という名前をつけておるわけでございます。それ以外に、たとえば食糧管理講習所でありますとか、あるいは農林研修所というものをつくっておりますが、これらはいずれも職員あるいは職員に類するような都道府県の職員、農林省の職員あるいは都道府県の職員を対象とした短期、中期の講習をするところで、私どもは研修所と大学校というのは明確に区別をして使っておるわけでございます。
  50. 山崎昇

    山崎昇君 いま説明ありました大学校ですがね、研修施設と違う。研修施設はこれは何か職員を対象にしてやられる、大学校は職員ではないのだ、こういうのです。そうすると私どもから言えばですね、通常学校教育法にいう大学とこの大学校というものとはどういう違いがあるのか、一つ。それから出てから一体こういう大学校卒業者というのは、社会的にはどういう、何といいますか、評価といいますか、地位といいますか、そういうものを受けることになるのか。どうもその辺がいろんな、十三くらい政府にあるようでありますが、わからないので、この農業者大学校というものについてもその範疇だと思うのですが、聞いておきたい。
  51. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) まあ私ども農業者大学校の入学の資格は、高等学校卒業あるいはそれに匹敵する学力で、おおねむ二年程度農業経営の実務に従事した者ということで、都道府県知事が厳密に選考の上、またこの農業者大学校でさらに選考するという手続をとっておるわけでございます。で、講義の内容は、一般の大学と違いますことは、大学、試験場、研究所等々の一流の講師の授業がありますほか、先進地の農家に相当滞在をした、そこで実務を習う。あるいは在宅で勉強をするということを兼ねまして、終了期間三カ年、したがいまして、いわゆる大学とは違いますし、また学校教育法に基づく大学のような資格はないわけでございますが、いずれも自分のところで農業をやる人たちばかりでございます。自分のところで農業をやると同時に、その地域地域振興の中心になるような優秀な生徒たちを集めてやっているわけで、資格というものは、いわゆる大学の卒業生とは違うということは承知の上で御当人たちも入っておるわけでございます。
  52. 山崎昇

    山崎昇君 私もいま十三くらいあるこの大学校というものをずっと見てみますと、どうも研修施設と思われる大学校もある。それからあなたの説明するような研修施設でないという大学校もある。たとえば防衛大学校は研修施設ではありませんね。しかし自治大学校は自治体の職員の研修をやっているのですね。だからその設置をする省によって必ずしも性格が明確ではない、不明確なんですね。そこで何か次官会議でもこれはかなり問題になって、いろいろ議論されておるというふうに私も聞いているのだが、この次官会議で討議された内容をちょっと説明願いたいと同時に、これは前に法制局長官をやられた林さんの解説書をぼくらは買って読んでいるわけですが、こういうふうな言い方をしておりますね。この大学校というのは「官僚の小細工、猿知慧のようでいささか妙なものであるが、こういう微妙なことばの使い分けによって、堂々たる大学の方にもきずがつかず、他方、職員の再訓練や研修の機関が大学校という名称を用いて、いかにも高等なもののような錯覚を起させ、再訓練や研修を受ける職員の名誉心や向学心を振いたたせようという仕組みである。」、こう法制局長官は指摘をしておりますね。一体これについてあなたはどういうふうにお考えになりますか。
  53. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農林省には二つ大学校があるわけで、農業者大学校と水産大学校がございますが、この二つとも職員の研修施設ではございませんで、三年間で教えることの教科のレベルは、大体大学並みだというふうに承知をいたしておるわけでございます。  それで農業者大学校をつくりますときに、次官会議で、確かにあまり大学校という名前を今後つくるのはどうだろうかという意見が出たということは、私ども承知をいたしております。農業者大学校は、これはまあいいだろうけれども、今後は大いに慎重に取り扱おうという、そういう話し合いであったということは承知をいたしております。それから御指摘のように十三ある大学校の中で、千差万別でありますことも承知いたしておりますけれども農林省に関します限りは、大学校と研修所はせつ然と区別をいたして使っておるわけでございます。
  54. 山崎昇

    山崎昇君 どうも私はたった一字違いで、それで中身が各省ともばらばらな、私の持っておる本に誤りがあるのかどうか知りませんが、警察大学校の場合は、これは明らかに研修機関ですね。それから先ほども申し上げた自治大学校についても、地方公務員でその任命権者の推薦にかかわる者に対して高度の研修を行なうことを目的としておる。ですからこれは研修機関ですね。どうして大学校というふうにしなければできないのかどうか。いま仄聞するところによると、これは去年できて、しかし法案が通らぬかったからいま研修施設でやられているんでしょう。どう違うんですかね。どうも私ども納得できない。そしてさらに聞くところによれば、農業者大学校を最後にしてもうこういうことはやめようではないか、これが次官会議の結論だとも私ども聞いておるんですね。ですから政府でいろいろつくってみたけれども、性格が違い目的が違い、やっていることがばらばらだから、実は扱いに困っておるというのが実情じゃないかと思うのですね。それが林さんの言うこういう指摘になって私あらわれてくるのではないかと思う。あくまでも農林省はこの大学校という名称のものをつくらなければ農業は進みませんか、重ねてひとつ聞いておきたい。  それからさらに、一体この農業者大学校と銘を打っているんですが、私は大学の農学部もあれば農業高等学校もあります。そのほかの研修施設もある。あるいは都道府県でやっているいろいろな研修施設もある。これはおのおの性格が違います。ところが、いま提案されているこの農業者大学校というのは、わずか一年間に五十名、三カ年かかって五十名だけでき上がるわけです。都道府県に割ったら一府県に一人ですね。これで農林省のお考えになるように、農業の後継者ができて、高度の技術がどれほど進むのですか。私は現実論として、どうも何か新しい機構をつくって、他の省におくれまいとして、流行におくれまいとしてこういうことをやっているのにすぎないのではないかという気がします。どうですか。
  55. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども青年経営者の教育ということにつきましては、実は前からいろいろ苦心をいたしております。各県ごとに経営伝習農場というようなことで、一年ないし二年くらいの教育研修機関を持っておるわけでございます。しかし、この農業者大学校は、知事推薦のえり抜きの青年を五十名程度集めて、一流の講師のもとで、とにかく実務と教育と両方で勉強させるということで、各県でやっておりますことから相当レベルの高いものをつくり出そうと思うわけで、水産大学校というものが農林省にございます関係で、私ども農業者大学校というのはきわめてふさわしい名前だというふうに考えております。
  56. 山崎昇

    山崎昇君 幾らいまあなたから言われても、入ってくる五十名の人は高校卒程度の資格で、そして、自営業で二年くらいの経験があって、それから三年くらいでしょう。だから自営農業をやれるくらいの人をあなた方は対象にされておるわけだ。これはこの前の委員会で、しつこく私が申し上げた総合農政と一々関連をしてくると思うのです。極端なことを言うならば、大きな農業をやるような力のある子弟を集めて、そしてあなた方は、さらに技術を国の費用でやる、こういう機関であって、必ずしも農業全体をどうするなんという農業者大学校の機構にはなっておらない。ですから員数がたった五十名、三年間で府県に一名くらいの割り当てにしかならぬような制度をつくって、どうしてあなた方の言うような、農業の大転換期にあって総合農政推進されるようなことになりますか。  私はどうもいまの農林省のやり方というのは、やはり農地法の改正といい、その他の一連のやり方というのは、大農主義になっていくのではないか。大農の子弟だけ集めてこういうことをやっていくのではないか。中小農なり、貧農なりと言ったら、少しことばは悪いのですが、小農と言いますか、そういう方々について農林省の配慮なんて一つもないじゃないですか。そういう者は出かせぎや転業農家で、再び農業に戻れない、そういう者については何にも農林省農業政策上の保護がない、実際には。これがこの農業者大学校の性格に私はぴったりしているじゃないか。そうしていま読み上げましたように、小細工だという、あたかも高度の技術を与えるような錯覚だけ与えておるという法制局長官の指摘になってきている。こういう機構農林省で幾らつくってみたって日本農業は進展しませんよ。重ねてあなたに、この農業者大学校なんというものは何の意味もないと私は思う。これは大臣でなければほんとうはならぬと思うのですがね。
  57. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども農業後継者の教育は、各府県で経営伝習農場というようなことで、相当大きくやっているわけでございます。しかし、各府県のとても手に余るような高い水準の後継者教育を、この農業者大学校でやろうということでございまして、個別経営の経営主として育てるばかりでなしに、当然農村地域社会におけるリーダーになるような人たちでございますから、五十名を教育をすることの意味は、私は決して小さいものとは考えておりません。
  58. 山崎昇

    山崎昇君 午前中この程度という再三、再四のお話でありますから、午前中はこの程度にとめておきたいのですが、しかし、いずれにしても、いまあなたの答弁で私は納得することはできない。なぜならば、先ほど来言っているように、自営業を営む後継者というのですから、専業農家の子弟ですね。そうでなければこれは意味がありませんよ。ですから指導者でもなければ何でも——自分で農業を経営する能力のある者でなければ、これはこの学校に来れないのですね。こういうものをあなた国費で養成するということについて、私は少し片手落ちではないか、こういうふうに考えるから、午後あらためてまた引き続き聞きたいと思うので、午前中はこれで終えておきたいと思います。
  59. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      —————・—————    午後二時二十六分開会
  60. 八田一朗

    委員長八田一朗君) ただいまから内閣委員会を再会いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  61. 山崎昇

    山崎昇君 それでは午前中に引き続いて二、三聞いておきたいと思います。  どうも農業者大学校について私どもしっくりしないので、参考までにこれを聞いておきたいと思うが、全国に大学が一ぱいあって、そのうち農学部があるわけですが、これの一年間のおおむね平均でいいと思うのですが、卒業数ですね、それが卒業したあと一体どういうふうになっておるのか、それから農業高校、これもずいぶんありますが、それも一体どうなっておるのか、参考までに聞いておきたい。
  62. 田所萠

    説明員(田所萠君) 文部省のほうの資料実は持ってきておりませんのですが、大学の農学部は、たしか短大合わせまして年間七百名程度だったと記憶しておるわけでございますが、後ほど至急調べまして、人数と、どこへどういうふうに就職しているかということを調べてお知らせします。
  63. 山崎昇

    山崎昇君 いまのはあれですか、農学部も農高も全部ひっくるめて七百名ですか。
  64. 田所萠

    説明員(田所萠君) いや、大学だけです。
  65. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃ農高はどうですか。
  66. 田所萠

    説明員(田所萠君) 農高のほうもちょっと調べてあれします。
  67. 山崎昇

    山崎昇君 それから農林省でやっているのと、地方でやっているのと、合わせて年間農業関係の研修で終わっている者どのくらいですか。
  68. 田所萠

    説明員(田所萠君) 大体農林省の施設の教育で年間卒業している者が約六千名ございます。
  69. 山崎昇

    山崎昇君 そうするとこれは農業高校はわかりませんが、大学出た専門家が七百名、それから農高はおそらくそれにかなりな倍数だと思うのですね。それからいま研修所関係で六千名、これだけ農業関係の学校やら研修所を終えたものがおるのですが、そこでお聞きしたいのは、この農業者大学校で五十名、これをプラスされてくるのですね。そして、先ほど来言っておりますように、一府県に一名くらいしか配置にならない。かりに十年かかったとしても十名である、これは拡充されれば別でありますが。こういうもので農業者大学校なんという銘を打って、一体農林省が、これで地域の何というのですか、中心というのですかね、農業の専門家というのですか、そういうことになると考える頭の程度を私はどうも疑う、正直にいって。これは入ってくる資格を見れば、先ほど御指摘しているように自営農業ですから、したがって私どもからいえば、かなりな農業経営規模を持っているところのこれは子供だと思うのです。特に男の子でありますからむすこですね。そうすると、その他の農業の指導者なんというのはここからは出てこない。かえってこの人は、自分の農業の経営についてそれは知識が上がったかもしれないけれども、その地域についてどういう役割りを果たすのか、そんな役割りを果たすほどのものではないと思う。だから、極端なことを言うならば、この農業者大学校なんというものは、まああなた方は満足しているかもしれぬけれども農業の問題からいえばたいしたプラスにはならない。これほど金をかけて、あなた方が宣伝するほどのものではないのではないか、こういう気がするのです。そして、さっき読み上げましたように、どうも内容があいまいである。こういうものは私ども何としても納得がいかない。本来ならばこれは撤回してもらいたいのですが、聞くところによれば、去年すでに施設ができて、そしてもう入れておる、事実上は。で、法案ができたら大学校に名前を変えて、三年間で卒業生を出すのだろうと思うのです。国会の審議もしないうちにもう生徒を募集して入れているのですね。こういうやり方をあなた方はやっているわけです。だからこの農業者大学校というのは私はどうしても了解できないけれども、これだけにかかわっていると、ほんとうにもう私はあとのことを聞く時間がなくなりますから、この程度でやめたいと思いますが、少なくとも農林省はこういうことでは、あなた方の総合農政推進だとか農業の転換だとか、そんなことにはとうてい及びもつかない問題だと思うのです。だから以後こういうことのないように注意をしておきたいと思うのですが、もう一ぺん官房長から、ほんとうにあなた方はしんから必要だと思ってこういうものを出したのかどうか、その点だけ伺ってこの問題を終えておきたいと思います。
  70. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農業者大学校に入る生徒、性格で、自営農業をやっておるので、何かこう特別な農家というふうにお考えのようですけれども農林省が進めております政策として自立経営の育成というのは、決して資本家的な農業ではございませんで、家族経営で農業所得によって十分な生活が営める農家と、そういうものでございますから、そういうものが現在農家経済調査によりますと、調査農家の一三%程度になっておるわけですが、それを伸ばし、もう少し数をふやすということは、日本農業の将来にとって非常に私はプラスになるであろうと思います。  それから五十名、五十名というふうにおっしゃいますけれども、高等学校あるいは中学校を出て農業に残る子弟は、最近数年間大体六万弱でございます。六万の中で半分とちょっと、三万五千ないし四万程度が男でございます。その男の中で、大体男が大部分で、県の研修施設で、農林省が何かの形で援助をいたしておりますものを出る者が六千名程度ということを先ほど申し上げましたので、五十名という数それ自体は、五十名毎年いわゆる農家に巣立っていっても、それで一体日本農業をどうするかというふうにおっしゃることは、私は確かにそういう面はあるかと思いますけれども、相当な教育を県の段階でやっております中で、特にすぐれた人たちをすぐれた環境において教育するということでございますから、その五十人は、また、いわゆるサラリーマンになる人たちではございませんで、農村に残って農業をやり、いい経営をやって、周囲にいい影響を及ぼすと、そういうことでございますから、私は、五十名だからといって意味が小さいというふうには思わないわけでございます。これは農林省としては本気になってこの仕事を進める覚悟でございます。
  71. 山崎昇

    山崎昇君 この問題はこの程度でやめたいと思いますが、これは調査室から私どももらった資料なんですがね、これを見ているというと、専門の教育機関として農業大学校を設けると、こうなっておるのです、説明では。だから、専門の教育機関ということになれば、これは大学の農学部もあれば農業高校もあれば、そうして研修機関ならば相当数がある。それから実際の農家の経営その他技術面の指導ならば、改良普及員もある。それに加えてあなた方がとりわけ農業者大学校と銘打って、こういうものが必要だ、その資格は何かというと、いま言うように、自営農業ですね。そうすると私は、きわめて地域推進なんというものは限られてくると思うのですよ。だから私ども社会党の立場から言えば、これは大企業にサービスする農林省の機関ではないのだろうか、こう私どもは局限してものを考えるわけですが、いずれにしても、この農業者大学校というのは、ほんとうに特定の者に対してだけやるものだ、こういうふうに私どもは考えて、どうしてもこれには賛意を表しかねるわけです。しかし、いずれにしても、これにばっかりかかわることはできませんから次に移ります。  次にあなたに聞いておきたいのは、今度の機構改革の中で、高知の種畜牧場が廃止になる、そうして熱帯農業研究センターがつくられるのですね。これまた、この解説の資料を見ると、どうも片っ方をつぶすから片っ方を置くのだ、実際は熱帯農業研究センター新設との見合いで、付属機関たる種畜牧場の一つが廃止されたものと理解をされると、こういうのですね。そうすると、ことばは悪いのですが、スクラップ・アンド・ビルド、片っ方はスクラップにして片っ方をそのかわり一つふやす、そうでないとどうも農林省としてはぐあいが悪い、こういうかっこうで私はこういう問題が処理されるとするならばたいへんだと思うのですね。表向きの理由はたいした——この熱帯農業研究センターなんということで、必要はあるのでしょうけれども、実際はそうではないという理由が、こういうもので説明されるというのは、私ども行政機構論からこれまた賛成できなくなるのです。こういう説明をされている。これは違うのか、そういうことも含まっておるのか、この点からひとつ聞いておきたい。それから、種畜牧場がなくなった場合に、そこにいままでおられた人はどういうことになるか、これもあわせて聞いておきたいと思います。
  72. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 熱帯農業研究センター及び種畜牧場、それぞれ担当の局長が参っておりますから、詳細はそちらからお話しいたしますとして、私から簡単に申し上げます。  熱帯農業センターは、これは実は昭和四十一年ぐらいから農林省としていろいろな形で外に対する試験研究の援助その他をやっておりまして、どうしてもそういうものが必要だということでつくったわけでございます。それで最近における行政機構整備といいますか、そう機構をばらばらにたくさんつくらないという内閣の方針がございますから、いまおっしゃいましたようなそういう問題も出てくるわけでございますが、熱帯農業研究センターをつくる必要が片っ方にあり、それから高知の種畜牧場は実はそれと直接関係はございませんで、かねて種畜牧場の整理ということを畜産局のほうで進めてまいったわけでございます。たまたま熱帯農研をつくり、高知の種畜牧場を廃止してしかるべき時期だということで、一緒になりましたので、これは内閣としてあまり行政機構を膨大しないという大方針にも合致いたしますものですから、私どもそれをとりましたんで、直接に、先生がいま言われましたような、そういう内部的な関係はないというふうに私ども考えております。
  73. 山崎昇

    山崎昇君 熱帯農業研究センターについて担当局長がおるようでありますから、もう少し説明してください。
  74. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 先ほど官房長から概略の御説明を申し上げましたが、私からふえんをいたしまして申し上げたいと思います。  御承知のとおり、熱帯または亜熱帯に所在いたします東南アジア等に、いわゆる開発途上国におきまして食糧問題、農業問題が非常に重要な問題であることは申し上げるまでもないかと存じますが、特にそういう観点からいたしまして、稲作でございますとか、畑作のトウモロコシ、マイロ、豆類といったいわゆる自給食糧の増強をはかってまいるということがきわめて緊要な事態にあると考えるわけでございます。そこで、これらを推進してまいりますためには、どういたしましても技術の改善が必要でございますが、そのための試験研究が、従来の歴史的経過からいたしまして、相当程度おくれておる状況にございます。そこで、この側面につきまして、相当な研究蓄積を持っておりますわが国の研究面からの手助けというものが、内外から強く要請をされておるわけです。そこで、先ほど官房長からお話がありましたが、その要請に即応いたしますために、私どもとしては、昭和四十一年から在外研究員を派遣する等々の方法によりまして、これを進めてまいったわけでございますけれども、率直に申しまして、従来やってまいりましたやり方では、やや片手間に堕するということがございます。  そこでどういう方法をとったらよろしいかということでございますけれども、そういった側面での積極的な推進をはかってまいりますということになりますと、国立の試験研究機関の研究蓄積、研究者、これを活用いたすことになりますので、それらを組織的に活用してまいるための中核組織を、国立機関と対応いたしまして、農林省の付属機関としてつくりまして、そこが中核となりまして、研究者を海外に派遣いたしますほか、国内においてできる試験研究は、在外研究員とタイアップして国内でやります。あるいはまた、資料を収拾いたしまして提供いたす等々の仕事を、先ほども申し上げましたとおり、可及的、組織的にやってまいりたいということで、今回、熱帯農業研究センターを付属機関として設置いたしたいということで御提案をいたしておるわけでございます。
  75. 山崎昇

    山崎昇君 そこで重ねて聞きたいんですが、ここからアジアでありますとか、その他派遣をいたしますね。この人は、熱帯農業研究センターの職員として採用されて派遣をされるのか。あるいはそうでなくて、何かの委嘱でやるのか。それは政令によって、私はそういう方々の給与の問題についても多少聞きたいと思うものですから——沖縄支所の場合には、これは、通常外国におる人と同じ給与で扱うことになっておりますね。しかし、外国に直接派遣をしている者については身分がどうなるのか。したがって、それに対する給与、その他事故が起きた等の場合の保障関係、あるいはまた日本に帰られたらどういう関係になってくるのか。その辺のことも少し御説明願いたいと思います。
  76. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 御質問のございましたまず第一点の身分でございますが、これは、熱帯農業研究センターの職員といたしまして、そして海外に駐在いたします。形式は出張という形をとります。したがいまして、国家公務員の旅費に関する法律が適用されまして、それに基づきまして海外に出てまいる、こういう形になります。そこで待遇の問題でございますが、比較し得べきものもいろいろございますけれども、たとえばOTCA、海外技術協力事業団から派遣されている駐在員との関係でございますが、本人につきましての滞在費につきましては、いまのところ特に遜色はございません。ただそのほかにさらに改善を要する点、検討を要する点もございますので、これらの点につきましては、だんだん改善を重ねてまいりたいというふうに考えております。  それから現地におきます身分保障等につきましては、在外公館を通じまして、外務省の協力も得まして十全の措置をとってまいっておりますし、今後もそういう方向でさらに注意をいたしたい、こういうふうに考えております。  なお先ほどの御質問の中に、沖縄の支所の問題がございましたが、先ほど私申し落としましたけれども、支所は、この際簡単に申し上げさしていただきますと、特に熱帯から亜熱帯に植物、作物を導入いたしまして、定着させ、馴化させるというような仕事は、研究の一環として重要でございまして、それは気象条件等を備えた一定の地に施設、圃場を設けましてやる必要があるということで、支所を沖縄に置こうと考えておるのでございますが、そこに置きます職員につきましては、本俸、期末手当、勤勉手当、扶養手当のほかに、政令をもって一定の在勤手当を支給する。その在勤手当につきましては、御承知のごとく、総理府の沖縄連絡事務所等の例がございますので、それに準じて別途政令で規定いたしたいと考えておる次第でございます。
  77. 山崎昇

    山崎昇君 内容が少しわかりましたので、研究センターについてはその程度にしたいと思うのですが、ただ、いずれにしても、形からいえば、片方をやめて片方をふやしたと、こういう関係になって、どうもこういう面から私はすっきりしないわけです。  そこで次にお聞きをしたいのは、北海道の林業試験場が何か移転をするというふうに私ども聞いておる。林業試験場でしたかね、聞いておるんですが、それ大体いまどんな計画になっておって、もし移転したら、その移転したあとどういうふうなことになるのか、わかっておればお聞きをしたいと思います。
  78. 大山一生

    説明員(大山一生君) 北海道の林試の支所でございますが、昭和十五年に建てられました帝室林野庁の試験場を母体にたいしまして、その他明治時代からある道庁の試験場を移築するというようなかっこうで現在に至っておるわけでございますが、何ぶんにも老朽化して、しかも非常に狭くなっておる。それから駅から三キロというところにあるものですから、そばに民家がずんずん追い込んできておる。そういうふうなことから、生物の環境にも適さない、また小動物を飼ったりした場合に、伝染病でありますとか、こういったことが住民に与える影響がある。あるいは毒劇物も使いにくい、こういうようなことから、技術会議等と連絡をとりまして、大規模な実験林等の設置も可能であり、またほかの試験研究機関とも提携できるようなところに移りたい、こういうふうな構想は持っております。そこでその構想のもとにおきまして、現在技術会議等と検討しておるという段階でございます。
  79. 山崎昇

    山崎昇君 私ども聞いておるのは、もう農林省では何か方針がきまって、そうして移転をすると、そこで札幌市のほうから私どもに、移転したあとの土地の利用等の問題をめぐりましていろいろ話がくるわけです。そうするといまの説明では、まだ構想があるというだけで、農林省としては何もきまった計画があるわけではない、こういうことになりますか。
  80. 大山一生

    説明員(大山一生君) 私が構想があると申し上げましたのは、当面の問題としては予算の問題として出てまいります。それから予算と関連して諸般の、人の問題とか、こういったことになりますので、構想と申し上げたわけでございますが、現在農林省内の予算編成過程の問題といたしましては、技術会議等と相談しておるという現状でございます。
  81. 山崎昇

    山崎昇君 次にお聞きをしたいのは、今度のこの機構改革等が終われば、一連の私は職員の配置転換ということが起きてくるんじゃないだろうか、こう思うのです。そこで配置転換が行なわれるのかどうか。配置転換が行なわれるとすれば、総定員法の審議のときに佐藤総理から、本人の承諾がなければ配置転換はいたしません、本人に拒否権はございます、こういう話だったのです。さらに組合の役員等をやっている者はその組合と相談をいたします。これが佐藤総理からの答弁なんです。そこで、今度の機構改革等々が行なわれた場合に、どれくらい配置転換があるのか私は知りませんが、その計画があれば計画と、いま佐藤総理からの答弁内容を申し上げましたが、それについて全農林あるいは全林野等々、組合とどういう話し合いをされておるのか、説明をいただきたいと思います。
  82. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) この設置法が通りますと、統計調査部を中心といたしまして、かなりの配置転換があるわけでございます。その配置転換につきましては、農林大臣からすでに労働組合関係に対しまして、今回の総定員法の問題もございますし、また農林省設置法の問題もございますが、なま首を切ることは絶対やらない、それから強制配転はやらないということをはっきり申しておりまして、私どももちろんその方針で配置転換をやるわけでございますが、それ以外に、たとえば官舎といいますか、住宅の問題等につきましても、十分配慮をいたすように取り進めておるわけでございます。
  83. 山崎昇

    山崎昇君 私が三番目に聞いた、組合の役員等の異動の場合、その組合と相談をしますと、佐藤総理が言ったのですが、それについてはどうなりますか。
  84. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども関係では、その問題の議論は実はいたしておらないのでございますけれども、当面の問題として、おそらくそういう事態になることばまずないのではないか。おそらくそういう事態になることが予想されないので、議題にも上がってこないのではないか、そういうように理解されます。
  85. 山崎昇

    山崎昇君 労働組合と協議の段階ではそういうことが起きないであろう、こうあなたはいま言われるのだが、起きることも半面可能だと思いますね。だから私がこの委員会で聞いておるのは、大幅な配置転換をやろうというわけですから、なま首を切らないのは、そのとおりでいいと思う。それから本人の承諾を得ない強制配置転換はしない、こういうのです。それから住宅についても十分配慮しますと。ですから、もう一つ、私が佐藤総理と約束した組合の幹部等が配転の中に入る場合はその組合と相談しますと答弁しているのだから、いま問題は組合との間に起きてないかもしれないが、起きた場合に、佐藤総理の答弁のとおりにやってもらいたいので、あなたに確認してもらいたいがどうですか。
  86. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 私ども関係では、事実そういう問題としてまだ登場いたしておりませんけれども、私は三つの原則をすでに申し上げましたし、佐藤総理がそういうふうに御答弁になっておられるとすれば、当然私どももその原則に基づいて処理をいたすつもりでございます。
  87. 山崎昇

    山崎昇君 私は確認をしておきたいと思うのです。  そこで、次にお聞きをしたいのは——きょうは林野庁来ておりますか。
  88. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 林政部長と指導部長が来ております。
  89. 山崎昇

    山崎昇君 それじゃお聞きをしたいのだが、林野庁の定員外職員がおるのですね。私ども聞いておる限りでは約一万二千人くらいおる。この定員外職員を林野庁はどうされようとするのか、まずその方針から聞きたい。それからこういう方々はほとんど日給ですから、あとでも触れられると思いますが、白ろう病になるとこれは生活がきわめて困難になってくる。こういう給与面の対策等どうお考えになっておるのか、聞きたいと思います。
  90. 大山一生

    説明員(大山一生君) いわゆる林野庁の定員外の職員につきましては、先般来、例の抜本的改正ということで検討を進めているわけでございます。それから白ろう病等の問題につきましては、これは先般白ろう病の原因の追及等は今後とも続ける。それが当面の対策ということについて、根本方針といいますか、組合との間においても、これが運用の問題についていま団交しておる、こういう情勢でございます。
  91. 山崎昇

    山崎昇君 私がさっき言った一万二千くらいおるという数字はそのとおりですか。さらにその中の労働組合等の要望は、私の記憶に間違いなければ約三千くらいだと思いましたが、せめて定員内に入れてもらいたい、こういうたしか要望だったと私は記憶している、間違いなければ。で、常勤労務と称される方々をあなた方はどうされようというのか、聞いておきたい。
  92. 大山一生

    説明員(大山一生君) 先生の言われますのは、例の機械要員の繰り入れではないかと思うわけでございますが、この問題につきましては、先般、本年も七百名ですか、欠員とからみ合わせながら定員内繰り入れを行なったわけでございます。残余のたしかあと千五百人ほどだったと思いますが、それにつきましても極力単年度の間にこれが繰り入れを行なうという方針で現在進んでいるわけでございます。
  93. 山崎昇

    山崎昇君 林野庁の場合、全体で定員外職員がいなければ、とにかく事業の遂行ができないわけでしょう。私ども聞いているのは、定員外職員というのは一万二千くらいだと、こう聞いている。一体何名いるのですか、はっきりした数字おわかりでしたら述べてください。
  94. 大山一生

    説明員(大山一生君) 後ほど調べて、至急御返事いたします。
  95. 山崎昇

    山崎昇君 数字はそれじゃあとで聞きますが、いま聞きますと、欠員その他をやって七百名くらい処置をしたというのですね。まだ千五百名くらい残っている。おそらく常勤と称される方々だと思う。ところが一万二千くらいいる定員外職員は日給で放置をされている。あなた方は団体交渉があるたびにいろいろな答弁をされているようですが、さっぱり対策が進んでいない。だからこういう人をあなた方はどうするのですかね。いなければ事業が遂行できない、しかし、仕事は定員内職員と同じにやらせておいて、そうして給与の面になってくるというと日給になっている。日給ですから、ほとんどあと保障らしきものはない。さらに白ろう病はやっと人事院によって職業病と認定はされたけれども、対策はあまり進んでいない。こういう方々がこの病気になれば、おのずからもう生活困窮になってくる。こういうものをあなた方は放置をして、一体どうされようというのか。私は、人を扱うのですからもう少し真剣に考えてもらいたいし、単年と言ったって、それでこの千五百名の方を何年でやるのですか。もう少しきちっとした答弁をしてもらいたいと思う。
  96. 大山一生

    説明員(大山一生君) いわゆる日給制職員等につきまして、それの雇用の形態と即応し現在雇用の抜本的改正という問題を詰めているというのが現状でございます。雇用の抜本的改正の問題につきましては、いわゆる合理化といいますか、そういう問題とも実は関連いたすものでございますので、いまだ結論を出すに至っておりません。しかし可及的すみやかに結論を出したいというふうに存じて、現在、林野庁内部において検討を進めているという段階でございます。
  97. 山崎昇

    山崎昇君 林野庁をはじめとして現業官庁は、これは法律で定員がきまっているわけじゃないですね。やろうと思えば政令でやれるでしょう、これは政令職員なんですから、定員そのものが。だからあなた方のように、一々国会にかけなければできないというものと違う。だから定員というものを法律でやろうが政令でやろうが、あなた方はこういうものを対策を立てようとしないから、今日まで依然として一万二千人も定員外で残されているが、日給である。そうして給与の面は、いま申し上げたように何の保障もない。三年くらいあの機械を使ってやれば、みんな白ろう病になってしまう。職業病として認定された。こういうことを放置をしておいて、そうしてあなた方事業面だけ一生懸命やれ一生懸命やれ、いまのあなたの答弁は、あなたはあまり実情を知らないのじゃないですか。これはどうもあとで農林大臣が来たら、もう一ぺん私はこのやり方を聞きたいと思っているのです。これは実際私はいまの政府のやり方というのは全く人間扱いでない。仕事だけは一人前にやらして管理の面では一人前扱いをしない、こういう人事管理というものは私は許されてならぬと思っているんです。どうもあなたの答弁聞いたってしどろもどろではっきりせぬから、これは私はあとで大臣が来たらもう一ぺん聞きたいと思う。これは性根を据えて答弁してもらわなければ私どものほうも困る。毎日、木を切っているんだから、山の中で。ですからあなたに対する質問はこの程度でこれは一応保留をしておきます。  それから林野庁の長官もきょう来てないから困っているんだが、実はきのう新聞を見るというと、北海道の長沼の保安林の解除告示をしたようです。これはあとで大臣が来たら、これも大臣に私は聞きたいと思うんだが、この保安林の指定を解除した理由、根拠、それからあの聴聞会をどういうふうに判断されたのか、これは事務当局の判断だけいま聞いておきたいと思う。
  98. 大山一生

    説明員(大山一生君) 長沼の保安林の解除につきましては、昨日七月七日、農林省告示をもって解除いたしたわけでございます。本件の保安林解除という点につきましては、この施設の設置というものが、いわゆる北海道の中枢地区の防衛上必要な施設ということでございますので、森林法にいう「公益上の理由」に該当するというふうにまず判断したわけでございます。それから、その施設設置の目的からいたしまして、この場所以外には適地がないということでございます。それから解除する面積も必要最小限度であるということ、それから最後に、解除をすることによって低下すると予想されます保安林の機能の部分ですが、これに十分代替する施設計画というものが立てられており、またその実行が確実であると判断されたわけでございます。まあ、この四つの点がいままで森林法の規定によりまして、従来から運用してきた解除の基準でございます。その基準に照らしまして適当である、こういうふうに認められましたので解除を行なった次第でございます。  それから本件の解除に当たりまして、利害関係人の利益を保護するために、いわゆる聴聞の制度がございますが、その聴聞の制度につきましては、昨年の九月、それから本年の五月と二回にわたって聴聞会を行なって聴聞を受ける機会を十分に与えたわけでございます。しかしながら、本件の解除につきましては、基地設置反対の観点から反対している方々は統一的行動によって聴聞会粉砕というようなことで、開催なり、あるいは議事の進行を阻んで意見の陳述を行なおうとしなかったわけでございます。しかし、質疑過程におきまして、いわゆる委任権と見られるものも相当出ておりました。その内容で、いわゆる保安林との関連において出されましたものは、たとえば農業用水でありますとか、あるいは飲料用水でありますとか、こういうものの確保との関連の問題、あるいは洪水が起こった場合の対策の問題、こういった点であったわけでございまして、これらの意見についても十分に検討した結果、現在の代替施設をもってしてこれに十分かえられるというふうに判断したわけでございまして、したがって、法律の要求しております聴聞会は終了したというふうに考えた次第でございます。  こういうことから解除に踏み切ったわけでございます。
  99. 山崎昇

    山崎昇君 聴聞会は私ども現地からも聞いておるし、それから新聞報道でも見ておりますし、写真も見ておる。あれがあなた聴聞会として成立したとどう判断できますか。  それで、なお聞きたいんですが、衆議院委員会では、去年の九月に行なわれた聴聞会では、どうも聴聞会が終わったというふうに認定できない。そこで、それを補完する意味でことしまた聴聞会をやったと、こう答弁されているんですね。そして、さらに二つの聴聞会の法的な性格が違うのか、同じなのかと聞いたら、岡田春夫さんの質問に対して、前の聴聞会とはことしの聴聞会の性格が違います、法的に。こういう答弁もされておる。だからあなた方は、この告示をされるについて、どの聴聞会が成立したと思って解除告示をしたのか、その点から聞いておきたい。
  100. 大山一生

    説明員(大山一生君) 先般、内閣委員会でも答弁いたしたわけでございますが、昨年の九月の聴聞会の結果につきましてはわれわれは終了しておる、完了しておるというふうに思っております。ただ、あの聴聞会の最後の日でございますが、まあ一つの統一した行動というかっこうで代理人の方々がいろいろと行動をとられたわけでございますが、最後に至って、いまの行動ではわれわれの意見が述べられないという内部不満も出てきておるという事態が、これは議事録には載っておりませんけれども、ありました。その後においても、もっともう一ぺん聞いてほしいと、こういう意見がありましたので、われわれは、前回の聴聞会で終わってはおりますが、念のためにもう一ぺん聴聞会を開いた、こういうわけでございます。また法律のほうでは、法律に基づく、聴聞会は一ぺんでなければいかぬと書いてございませんので、われわれはそれぞれが別の聴聞会であり、しかしながら、前の聴聞会が終わらなかったから今度やったというふうには考えておりません。そこで、今度私のほうで事務的に解除に踏み切った際の聴聞会は前回の聴聞会の結果及び今度の聴聞会の結果両方でございます。
  101. 山崎昇

    山崎昇君 あなたはさっき、質問の中から意見を汲み取ったと、こう言われるわけですね。しかし聴聞会は、ここの場もそうですけれども、質問と意見は明らかに違いますよ、これは。質問はわからぬことについて聞くんであって、意見は正式にその人の意思として発表することなんだ。だから、この聴聞会で行なわれていることは、一、二の質問はあったかもしれないけれども、その人の意見として意思表示はされておらない。そういうものが聴聞会として成立いたしますか、あなた。何も異議の申立人から全然意思として表明されていないじゃないですか。それから、あの混乱の中でだれも意見を言ってないんです。これは、特に第二回目のあの聴聞会のかっこうを見ておわかりのように、全然だれも入れないじゃないですか。それでどうして聴聞会が終わったという認定ができますか。それからいまあなたは、法律的に別々だと言う。なるほど法律には一ぺんでやめろとは書いてない。二回やっても三回やってもいい。しかし、あなた方の答弁というは、最初は第一回目の聴聞会ではどうも工合が悪いから、それを補充するために第二回目の聴聞会もやりました、こうあなた方は最初は答弁をしておった。だんだん法律的に詰められたら、前の聴聞会とあとの聴聞会は法律的に全然別個でございますと、そしてあなたは両方でいいと思いましたと、こう言う。しかし、いずれの聴聞会を一つ一つとってみても全然意見というものは述べられていない。異議申立人の意思というものは表明されていないんです。ただ農林省側からは、あの人はこう思ったんではないかという推定だけでやっているんですよ。これで聴聞会が成立するというのは、だれが考えたって理解できますか。ですから私は、去年の九月とことしの五月の聴聞会というのは一人も意思表示をしていない。そういうものをもって役所が相手の意思を推定をして告示をするというのは権利の乱用だと思う、こういうやり方は。きわめてこれは官僚的ですよ。どうですか、もう一ぺん聴聞会を開いて、正式に異議の申立人からその人の意思というものを正確に聞く。そして私は官庁というものは判断をすべきだと思う。そういうことをやらないで、一方的に告示をするということは、私は告示権の乱用だと思うんだが、どうですか。
  102. 大山一生

    説明員(大山一生君) 確かに聴聞会におきまして質問というかっこうではございましたけれども、意見とおぼしきものは相当出ているわけでございます。そこで、われわれはそれを意見というふうに判断したわけでございます。それから二日目の際に一人も意見を述べていないではないか、こういうお話でございますが、二日目におきましても、まあ初日におきましては質疑のかっこうの中において意見と思われるものも若干出ております。それから、現にある人が、私は意見を言いたいという意思表示をしたわけでございますが、それも結局内部の、内部といいますか、いろいろな関係で結局意見を述べる機会を逸してしまった。それで、いわばその方は負傷したというような事態もあるわけでございます。われわれといたしましては意見とおぼしきものが相当出ておるということと、それからもはや第二回目の聴聞会のああいった情勢の中においては、代表の方からも、われわれはこういう中では意見を言う勇気はないということを言われたこともあるわけでございまして、陳述の権利をみずから放棄したとみなさざるを得ない向きもあるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。  そこで、われわれといたしましては、聴聞会の結果に基づいて、そこに出ました意見並びに異議の申立書に書かれた意見、こういうことも十分判断いたしまして、その結果あの代替施設をもって十分である、こういうふうに判断し、それから適地の問題、最小限度ほかに適地がない、こういったことから従前の基準に即応するものとして解除に踏み切った、こういうわけでございます。
  103. 山崎昇

    山崎昇君 あなたがどう言おうとも、聴聞会のていをなしていないじゃないですか。内部の人がどういうふうにやろうとも、現実的に意見が述べられていない。それから、いまあなたは答弁の中で、意見とおぼしきものというんですね、意見ではない。これはあなたはいま現実に答弁している。意見が述べられない聴聞会を意見が述べられたとあなた方はかってに解釈をして、そしてこの聴聞会が成立したような言い方をするのは私はやっぱり官僚的です、やり方は。何も聴聞会として成立した形式がない。私は官庁のやることは、一つ内容も大事であるけれども、最も形式を重んずるんだと思うんです。特に行政事務の扱いでも要式行為の場合には、その書式に伴った行動をとらなきゃ、あなた方はたとえば許可認可にしてもやらないはずだ。なぜ、こういう聴聞会についてもきちっと議長席に着いて、堂々と反対なら反対の意見が述べられて、それをあなた方が集約して聴聞会が終わったというなら、私はまだいい。しかし、どういう事情があったにしろ、意見が一つも述べられていない。だからあなただって、いま、意見だと言わない、意見とおぼしきものというんです。そういうもので聴聞会が終わったような判断をすることは越権行為ですよ、これは。さらに、先ほど私が言ったように、意見と質問は違う。どんなに私どもが言おうとも、あなたに私はかりに質問したとしても、私が正式に自分の意思として意見を言わない限り、質問は質問です。それをかってにあなた方は推定をして、そしてあの事情を見れば百二十何名の申し立て人がおるのに一名か二名が一つか二つ質問したことをもって、それが意見だというふうに考えるところに誤りがある。ですから、私はこの告示はぜひ撤回してもらいたい。撤回すべきだと思うんです。あらためてきちんとした聴聞会を開いてやるべきだと思うんですが、どうですか。これは大臣が最高責任者ですから、あとで大臣が来たらもう一ぺん聞きますが、私はそういう意味で事務的な点で聞いているんですが、どう事務的に判断しても告示をするだけの形は整っておらない、内容も整っておらない。だから、私は極端に言うならば、告示権の乱用だと思う、これは。一方的です、これは。どうですか、事務的に考えて。
  104. 大山一生

    説明員(大山一生君) 私が異議意見と見られるものということを申し上げましたけれども、異議意見と見られるものといたしましては、大体八つか九つあったかと思っております。つまり一つは、代替施設ができてから伐採をすべきではないか、また、するということが確実であるかどうか。それから計画に基づいて確実に代替施設工事が行なわれるかどうかについて不安があるという意見、それから洪水対策に不安がある、それから農業用水確保にこれでは十分ではない、あるいは飲料水対策に不安がある、こういったような意見、それから高射教育訓練施設の設置ということが公益上の理由とはならぬ、これは自衛隊が憲法違反だという意見と結びついた意見だと思いますが、そういう意見、それからあそこに基地ができれば交通量がふえたりして騒音がふえる、そういったようなことがあるというふうなこと、それから予定告示の解除理由の表示と実体とが違っておるではないか、だからその告示は取り消すべきであるという、こういったような意見が主として出ておったと思います。そこで一つ二つの意見ということではなくて、こういった意見、大体これらの意見というのは、われわれといたしましては、当初、異議意見書として出された内容のすべてを網羅しているようなふうに考えられるわけでございます。そこで、こういった異議意見と見られるものも出されたので、いわゆる手続上の不備はないものというふうに考えております。
  105. 山崎昇

    山崎昇君 手続上の不備がないと言っても、これ以上の不備がどこにありますか。いまあなたが述べられたのは質問の中で言われたというんでしょう。本人から正式にそういう意見として述べられたんじゃないではないですか。これ以上の不備がどこにありますか、あなた。あなた方は第一回の聴聞会をうまくないと思うから、補充にしろ何にしろ第二回目をやった。その第二回目ではほとんど何もできなかった。そして去年の九月以来あなた方いろいろなことをやったけれども、結局は推定する以外に方法がないじゃないですか。私は形式的にも内容的にもこの聴聞会は何も成立していない、終わっていない。そういうものをもって、あなた方は権力を持っておるからといって告示を一方的にやるということは越権だと思うんです、私は。だからほんとうにあなた方がいま述べられたような意見を聞きたいというなら、もう一ぺんどういう反対行動があっても、努力するならして、聴聞会という形式をきちっと整えて、内容もそれにふさわしい聴聞会をやって、その後にあなた方が権限に基づいて告示するなら私はいいと思う。そうではないですよ、これ。私も現地へ行っていろいろ聞きました。新聞報道を見ました。現地におけるあなたの言動も見ておった。しかし、どっから考えたってこの聴聞会は終わっていない。これはこういうものでやるということは不届きだと私は思う。これはあなたに取り消せと言ったって権限ありませんから、大臣が来たときにもう一ぺんやりますがね。これは成立をしておらない、このことだけをあなたに言っておきたいと思う。そして新聞報道でしかわかりませんが、単に自衛隊が困るから、急いで工事期間とも関連をしてあなた方はやったようでありますけれども、もう少し私は官庁というのは慎重にやってもらいたいと思う。とりわけその地域の農民の生活に関係のあることでありますからね、何もこれは急いで告示しなければどうなるというものでもない。ここ一ヵ月や二ヵ月急いであのナイキの施設ができなければ日本防衛がどうなるというものでもない。それよりももっと大事なのは国民の生活の問題です。そういうことを私は農林省はもっと考えて、もう一ぺんこの聴聞会というのをやり直してもらいたいと思うんですが、それは事務当局のあなたに言ってもしようがないことでありますが、事務的には私はあなたにこの聴聞会というのは成立していないことだけを指摘をしておきたいと思う。それでこの問題は終えておきたいと思います。ほんとうはまだまだこまかな点でお聞きしたいことがたくさんありますけれども、あと大臣が来られたら、一、二聞くことにして、最終的にもう一つ聞いておきたいと思うんです。  それは、今度この地方農林局を設置されると、内部組織がいろいろ検討されておると思うんです。私どももこの説明あるいは調査で多少のことは知っておりますが、正式に大体どんな内部組織になるのか聞いておきたいと思う。
  106. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 地方農政局の内部組織につきましては、従来は総務部、農政部、構造改善部、計画部、建設部でございましたが、新たに民有林行政を所掌させるために五つの局について林務部、二つの局につきまして構造改善部に林務課を置くこととしております。そうして統計調査事務を所掌するため統計調査部を設置するわけでございます。
  107. 山崎昇

    山崎昇君 何か一部には企画室のようなものができそうなような説明もあるんですが、それはどうなっておりますか。
  108. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) これはなお申し落しましたが、農政部を農政経済部に名称を改めますことと、計画部を開発計画部に名称を改めますことをやりますほか、局長のいわば直属のブレーンとして企画調整室を置くつもりでおります。
  109. 山崎昇

    山崎昇君 これは少し先走った質問になると思いますが、どうもこういう企画調整室ですか、こういうようなものができると、何年かたつうちにこれが部なりその他の機構にだんだん変わっていく。なぜ私こういうことを言うかというと、建設省の地方建設局が大体そういう形態をとっておる、開発が進んできたとか、あるいは総合開発をどうしてもやらなければいかぬ、こういうかっこうで、この間も建設省設置法でかなり議論があったんです。そこで、これは少し先走った意見みたいになりますが、この企画調整室はそんなに必要かどうか、私さっぱりわからない。それから将来一体こういうものをどういうふうにされようとお考えになっておるのか、ただ、いまはいまだというお考えなのか、聞いておきたい。
  110. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 農政といいますか、農林行政はきわめて複雑になりまして、本省では官房に企画室という相当大きな組織を持ち、全体の調整に当たっておるわけでございますが、地方農政局におきましても、今回の改組によりまして相当膨大な機構になりますので、やはり固有の行政事務を持たないで局長のブレーンとして全体を見渡す組織が必要でございます。将来これを何か部にかえるというような構想は現在のところ全く持っておりません。これは局長直属のブレーンというふうに私ども考えておるわけでございます。
  111. 山崎昇

    山崎昇君 これはどれくらいの構成になりますか。
  112. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 企画調整室長ほか、スタッフとしては企画官として各局三、四人程度というふうに考えております。
  113. 山崎昇

    山崎昇君 ほんとうはまだまだこまかな点では聞きたいこともあるわけですが、かなりな時間になりましたからそろそろやめたいと思うわけですが、ただ最後に、私はどうしても一つだけこだわるのは、北海道統計調査事務所ですね、これは従来省令に譲っているんですが、その省令をまた告示に譲って、そうして四つ置かれておる。だから私は法律の立て方として、法律で北海道統計調査事務所を置いて、省令で今度は別の名前の統計調査事務所を設置するというやり方は、少し私は技術的に言ってもまずいのではないか、こう思うんですが、この点だけ再度ひとつ聞いて私の質問を終わっておきたいと思います。
  114. 大和田啓気

    政府委員大和田啓気君) 統計調査事務所が、御指摘のように地方農林局統計調査部と、それから地方農林局所属の統計調査事務所と、北海道の四つ統計調査事務所と三種類になるわけで、確かに形からいえば御指摘のようにあまり例がないことであります。私どももその点についてはずいぶん慎重に検討いたしまして、内閣法制局とも十分連絡協議をいたしました結果、まあこれでいいだろうということになっておりますので、まずこれでいって差しつかえあるまいというふうに考えております。
  115. 北村暢

    北村暢君 最初に、職員の服務に関することで、しばしば関係職員の中で問題になっている点、ちょっとこれは設置法にそぐわないんですけれども、若干、解釈上の問題で疑義がある点がありまするので、この際お伺いしておきたいと思うのですが、まず国家公務員の時間外労働のうちの宿日直を命ずる法的根拠について、人事院の職員局長見えておるようですから、どういう法的根拠に基づいて現在宿日直を命じているかという問題について、系統的に若干御説明願いたい。
  116. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 宿日直勤務に対する命令の根拠でございますが、公労法適用職員を除きまして、一般職の国家公務員につきましては、人事院規則一五−九、これは宿日直勤務を規定した規則でございますが、この第三条に基づきまして宿日直勤務を命ずることができる、このようになっておるわけでございます。
  117. 北村暢

    北村暢君 それは、人事院規則一五−九は、昭和三十九年十二月十七日施行ですね。そうしますと、三十九年十二月十七日以前はどうだったんですか。この一五−九で現在実施されていることはわかっているわけです。これは三十九年ですからね。公務員法制定になってから十何年たっているわけですから、その間は一体どういう根拠に基づいてこの命令をしたか。また人事院規則一五−九は、これは人事院規則ですから、それの根拠、これはまたどうなっているのか、これをひとつ御説明願いたい。したがって、私の言ったのは、現状これで適用されているというのではなくして、宿日直を命ずる根拠がどういうふうに変わってきておるか。戦前と戦後を通じてどういうふうに変わってきておるか。こういうことを経過的に御説明願いたいと、こう申し上げているわけです。
  118. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) その点を少し詳しくなりますが、系統的に御説明したいと思います。 まず、この宿日直勤務というものは、その根拠については当然これは法律事項かと思います。これは憲法の二十七条に、「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。」と、したがいまして、この種の規定は当然これは法律をもって定めなければならないというふうに考えられるわけでございます。ところで、この日本国憲法が施行されました際に、現に効力を有する命令の規定で、法律をもって規定すべき事項を規定するものは、昭和二十二年十二月末日まで、法律と同一の効力を有すると、こういう規定がございます。  で、その憲法施行前はどうなっておったのかというふうに見てまいりますと、これはたいへん古いのでございますが、大正十一年の「官庁執務時間並休暇ニ関スル件」という閣令第六号の三項に、「事務の状況に依り必要あるときは執務時間外と雖執務すべきものとす。」、このような規定がございます。これによって、日本国憲法の施行前はこの規定によりまして当然執務時間外といえども執務できる根拠が与えられておったわけでございますが、いま申しましたような関係で、憲法施行の際には、この閣令第六号の第三項の規定は、昭和二十二年十二月末日までは法律と同一の効力を有しておったわけでございます。ところで、この二十二年十二月末日以降はどうなっているのかという点を見てまいりますと、これはいわゆる官吏任免法と称せられている法律でございますが、国家公務員法の規定が適用せられるまでの官吏の任免等に関する法律、これが昭和二十二年十月二十一日に制定されまして、二十三年一月一日から施行になったわけでございます。この規定の中で、「官吏その他政府職員の任免、叙級、休職、復職、懲戒その他身分上の事項、俸給、手当その他給与に関する事項及び服務に関する事項については、その官職について国家公務員法の規定が適用せられるまでの間、従前の例による。」、とありまして、したがって、いま申しました関係でまいりますると、その宿日直勤務に対する命令の根拠は、その時点までは閣六の規定が法律の効力を有しておったわけでございますが、この法律ができました二十三年以降は、公務員法の規定が適用せられました暁には根拠は公務員法の規定に乗り移る、こういうふうになっておったわけでございます。  ところで、この公務員法の規定は、服務に関する条項は昭和二十三年七月一日に全面的に適用になったわけでございますが、その宿日直に関する規定につきましては、人事院規則が必ずしも整備されておりませんで、昭和三十八年十一月四日にこの点についての法制上の整備がなされまして、これは人事院規則一五−一、職員の勤務時間等の基準を定めた人事院規則でございますが、この第十条によりまして、「各庁の長は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間においても、職員に勤務することを命ずることができる。」、これによって初めて宿日直の勤務命令に対しては法律的な根拠が明文化された。ところで、先ほど申しました人事院の規則一五−九は、このうち宿日直勤務については特に職員保護という見地から、これをさらに昭和三十九年十二月十七日に明確化したということでございまして、この人事院規則に乗り移った時点はいつかといいますれば、これは昭和三十八年十一月四日と、そのように法制上の整備が加えられたわけでございます。
  119. 北村暢

    北村暢君 その昭和三十八年の十一月四日の人事院規則一五−一の十条というのは、この規定に基づいて宿日直勤務を命ずるということは若干無理があるんじゃないかと思うのですがね。と言うのは、この十条の規定は、「各庁の長は、公務のため臨時又は緊急の必要がある場合には、正規の勤務時間以外の時間においても、職員に勤務することを命ずることができる。」、これは、この条項の精神は、臨時または緊急のときに正規の勤務時間以外の時間において職員に勤務を命ずることができるので、それはあくまでもその職員の本務について命ずることができると解すべきであって、宿日直というものは本務ではないですわね。その人に与えられた任務ではないわけですね。したがって、この点について、いまあなたの言われる官吏の任免等の法律以降、閣六で適用がされてきてこの規則ができるまでというのですから、それは三十八年の十一月というのは正規に言えばこれはその時期ではないのではないか、人事院規則一五−九では宿日直というものをはっきり命ずることを規定いたしておりますね。したがって、この間の処置はやはり疑義があったのじゃないですか。
  120. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 確かにその点については若干疑義がございました。で、私どもではこの一五−一で一応まあその点は包括的に規定しておるものというふうに理解しておったのですが、その点が明文上必ずしも明確でないということで、三十九年にその点を明確化する意味で宿日直勤務の人事院規則を特に設けたわけでございます。なお、これについての法的——公務員法の根拠はどこかという仰せがございましたが、これは公務員法の九十六条の第二項及び百六条の規定を直接の根拠規定に置いておるわけでございます。
  121. 北村暢

    北村暢君 もう一つお伺いしておきたいのは、公務員の勤務時間というものを人事院規則の一五−一でもって四十四時間とすると規定しておりますね。したがって、この勤務時間というものをここで規定したということは、昭和三十九年十二月十七日の人事院規則一五−九が出る以前の宿日直を命ずる根拠というものは、労働基準法等の規定も出て閣六の三号の規定が適用されるということ、それまで閣六の規定が適用されておったということに解釈するのには無理があるのじゃないかと思うのですがね。そういう解釈をしている向きもあるようです。しかし、いまあなたの系統的に説明された事項からいくというと、官吏の任免等に関する法律は公務員法ができるまで従前の例によるというから、何か閣六が生きてずっときているように感ぜられるのですけれども、そういう点からいって宿日直を命ずる根拠というのは、人事院規則一五−九が規定せられる以前は閣六に根拠がある、こういうふうに見ることは、そうした説を唱える人はおるのだが、それは無理があるのじゃないか、このように思うのですけれども、どのような見解をお持ちでございますか。
  122. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 確かにその点はいろいろの御意見があるやに聞いておりますが、ただ、この点につきましては人事院といたしましても公文をもって見解を明らかにしたことはございません。先ほど私が申しましたのは、あくまでも事務的な段階で従来そのような見解をとってまいったということで御説明したわけでございます。
  123. 北村暢

    北村暢君 ですから、人事院規則の一五−九以前は閣六に基づいて宿日直の勤務を命ずることができるのだ、こういう解釈は妥当かどうかということ、あなたの判断は、人事院はどういうふうに見ているかということをお伺いしているのですよ。
  124. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) 先ほども申しましたように、公式に外部にその種の見解を発表したことはございませんが、内部的な検討を重ねてきました。いままでの見解としては、人事院としては先ほど申したように、閣六の三号が宿日直命令の根拠であるというふうな解釈をとってまいっておるわけでございます。
  125. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、厳密に言えば、人事院規則の一五−九以前は宿日直の命令の根拠は閣六に求めている、それで差しつかえないのだ、こういうふうなことですか。それは公務員の場合はそういうことを言い得るかもしれませんが、労働基準法との関係は考慮に入っていないのですか。
  126. 島四男雄

    政府委員(島四男雄君) これは先ほども申しましたのですが、この規則ができる前は閣六の三号の規定が従前の例として法律の効力を持っているというふうに私どもは理解しておるわけでございますが、これはあくまでも官吏任免法を経由してそのような解釈をとっているわけでございます。なお、基準法との関係でございますが、これは一般職の国家公務員でございますので、少なくとも基準法の系列からは当然除外されておるわけでございまして、公労法適用職員については、その点はその他の一般職の国家公務員とは法体系が当然異なるわけでございます。
  127. 北村暢

    北村暢君 この点は非常に重大なんで、公労法適用の職員には適用除外、こうおっしゃいますけれども、公労法適用の職員といえども、いわゆる団体交渉で勤務時間等就業規則その他がきまるまでは、これまた従前の例によって公務員法と同じ取り扱いを受けているわけですよ。ですから、そういう点からいくというと、これまた非常にいまのあなたの解釈というものは除外されておるけれども、公労法適用の職員のそういう宿日直何とかいうものの規定が決定するまでは従前の例によって処理される、こういう問題が出てくると思うものですから、簡単に公労法適用の職員、あるいは一般公務員等の以外の者は基準法適用除外だからと、こう簡単に片づけられない問題があるのです。そういう点で私くどく聞いているわけですけれども、大体この論争はいろいろ法学者によって違うのですけれども、私のほうは閣六の三号というのは、いわゆる勤務時間というもの以外に公務員というものが無定量の労働に服しておった、こういう思想がずっと流れておりますね、したがって、無定量の労働に服しているから閣六によって宿直というものを認めていい。こういう理解に立つかもしれませんけれども、新しい憲法なり、憲法が制定せられた点について、明らかに、あなたが先ほど読まれたように、これは勤務時間というものは法律で制定せいとなっている、それまでは閣六適用になっていたという話のようだけれども、憲法の精神からいえば、これは無定量の労働に服するということについては、閣六の規定というものは私どもは死んでいる、ただ閣六で生きていると思われるものは有給休暇の二十日というものを認める場合に、戦前よりも戦後がかえって閣六のほうが有利であるという面においてこれは利用しているだけで、他の規定というものは当然効力を失っている、こう解するのが私は妥当だと、こう思っているのですがね。したがって、あなたの見解とだいぶ違うわけです。これはいまちょっと論議していてもあれですから、いまのあなたの御答弁では私は承服しかねますね。ただ、これは私はいまかってに言っているのじゃないですよ。あなたのところの法律専門家を呼んで、私は事前にこれは聞いているのですよ。聞いていて、あなたのいま答弁したことと違うのですよね。そういうことを私は慎重に取り扱っているつもりなんだけれども、あなたはどこからどういう知恵を拝借してきたかしれないけれども、そういう答弁をされている。これは私了承いたしません。あなたのところの法律専門家に私は事前に聞いている。したがって、この点は私はあなたの答弁をそのままそうですかと受けるわけにいきません。しかし、この問題あまり深入りしてあれですから、実はこれは労働基準法に関連して、労働省を呼んで二、三時間かけてやるつもりだったのですけれども、きょうは労働省呼んでおりませんから、基準法との関連も出てくる問題なんで、きょうのところはこれで質疑は打ち切っておきます。人事院、けっこうです。  次に、お伺いしますが、先ほど来、山崎君からいろいろ細部にわたっての質問がございましたが、農林省設置法の今度の改正に直接には関係ないのですけれども、どうも組織上疑問のある点がございまするのでお伺いいたしますが、その一つは林木の育種場の問題でございます。林木育種場は、設置法では林野庁の付属機関、こういうことになっておりまして、組織規定の中でその業務内容等規定しているわけなんですけれども、林野庁の付属機関でありまするので、まず一つの問題点としては、林木育種場と林業試験場との業務分担について、どういうふうに業務分担が分けられておるか、この点なんですが、組織規定に基づくと、林業試験場の業務の中に育種に関することは造林部で担当することになっていますね。造林部の業務として、「育種に関する試験研究を行なう」、こういうことになっているのですが、その林業試験場の樹木育種に対する試験研究と、それから林木育種場の業務との関係、どういう関係を持っておるのか。この点をまずお伺いいたしたいと思います。
  128. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) お答えいたします。  林業試験場は、林業全般の研究専門機関としましてその任に当たり、育種部門では、育種に関する基礎研究、基礎理論の研究を分担しております。育種場のほうは、フィールドと育種材料を利用しまして、育種の実用化、技術の確立、選抜、検定、交配等によって新品種の創出と、これら原苗の増殖及び配布を担当しております。
  129. 北村暢

    北村暢君 まあそういうことは事実上あったのですが、したがって、育種の基礎研究をやっているのは林業試験場である。その基礎研究と育種場の業務とどういう関係を持っておるのか。それは基礎研究が直ちに育種場の業務という形で応用できてやっていけるのかどうかという問題どうも育種場自体が応用研究のような形で研究部門を持たないというと、育種場の任務達成という上において非常に問題があるのじゃないか。育種場自身が今日技術的に非常に行き詰まっているということが言われているわけでなんですが、そういう面で育種場自身が林業試験場の基礎研究を待ってやっていたのでは、育種場の生きた業務が遂行できない、こういう事態があるやに聞いておるわけです。しかも、この育種研究というのは非常に林野関係ではおくれているだろうと思うのですけれどもね。それで精英樹という問題がやかましくなってきて、数年前に育種場というものができた。したがって、基礎的研究というものが確立しないうちに育種場というものが発足してしまった、こういうこともある意味においては言えるのではないかというふうに思われるので、まず、その経験的なことから始まって、あとから理論づけというものがなされるような形になってしまっているのではないか、そういう意味において育種場自身においても研究部門というのがないというと実際にやっていけないのじゃないか、こういうことがあるのではないかと思うのですね。そういう点で、私のさきに聞いているのは、林業試験場の基礎研究と育種場の業務とのつながりはどうなんですかと、こういうのですけれども、あなたは、試験場では基礎研究をやっております、育種場ではこういう業務をやっておりますということで、そのつながりがどうなのかさっぱりわからぬ。だから、そういうところはどういうふうにあなた方は考えられ、運用されているのか、こういうことを聞いているわけです。
  130. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 先ほど試験場と育種場の一応の分担をお答えいたしましたが、実際面になりますと、試験場ではそれほど実験のフィールドを持っておらない。一方、育種場のほうはそれぞれそういうフィールドを持っておるということで基礎研究、それから一方、育種場のほうの業務執行ということ、そういいましても実際には育種場でも応用的な実用的な研究面にまで手を出していかなければならぬ、試験場はそういう面においてこれを指導する。育種場の組織を見ましても経営課と原種課と両方になっておりまして、原種課のほうはそういった実用、応用、研究面にまで手を出す、こういう仕組みになっております。
  131. 北村暢

    北村暢君 大体あまり林業試験場の基礎研究というものが進んでいなくて、ただちにその基礎研究が育種場に生かされるというような形になっておらぬということの説明のようでございますが、そうしますと、実際に育種場というものは自分の業務遂行上みずから必要に迫られて、研究も応用研究はある程度やっていなければならない、このことはお認めになるわけですか。
  132. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 育種の仕事の性格としまして、ある優良な個体からクローンを養成する、あるいは優秀な個体と個体とをかけ合わせて交配をするという、そういった業務をやっておる、またそれからできたものを検定をしていく、業務の性格から勢い実験的な実用試験的な面も入ってくるわけでございます。
  133. 北村暢

    北村暢君 技術会議の事務局長おられますね。これは試験研究機関と事業担当の関係、いわば畜産試験場とそれから種畜牧場、農事試験場と馬鈴薯原原種農場、こういうふうなものとの関連性、相対的にあるのですよね。そこで、技術会議では試験研究機関の総合調整をやっているわけですけれども、例をとれば、種畜牧場なんか、これまた若干試験研究的な性格も持っておるわけなんですね。そういう点で、これは常々疑問に思っておったのですけれども、どういう性格づけをしていくのか。種畜牧場はあなたのところの、何というのか、試験研究機関の調整の中に入っておらないと思うのですけれども、そういう点ではいままでどういうふうに取り扱ってきておるのか、見方をしてきておるのか。これは技術会議の事務局長と、官房長も見えておりますから、種畜牧場の性格等の問題等とも関連する問題ですから、どういうような形で取り扱ってきたのか、また今後どういう方針で行くのか、あわせてお伺いしておきたい。
  134. 横尾正之

    政府委員(横尾正之君) 御質問がございましたが、その御質問の中で御指摘のございましたように、種畜牧場そのものは畜産局の所掌でございます。それから林業試験場につきましては、技術会議との関係を申し上げますと、試験研究の基本的な方向づけということに関しましては技術会議が所掌するということになっておりますが、組織、機構及び具体的な試験研究課題の実施、設計ということになりますと、これは試験場及び林野庁で取り進められる、こういう分担になっております。そこで、そういう前提で一般論としてお答え申し上げたいと、こういうふうに存じますが、御質問のございました育種と育種のあとでの事業の関係でございますが、育種につきましては、先ほど来、林野庁の指導部長答弁の中にもございましたが、育種の方法論あるいは原則の発展というようなことに関します基礎的部面と、それを応用しての具体的な育種という形、つまりある品種の特性を固定しまして、それを系統適応性を確かめまして、一つの品種として固定させ、確かめていく過程での試験研究というものが一連の試験研究でございます。たとえて申し上げますならば、イネにつきましては、農業技術研究所が基礎的なことをやりまして、地域農試を中心にいたしまして、一部地域的な観点から県の試験場も協力をいたしまして、これは指定試験と申しておりますが、そういう形を通じて新品種を固定いたします。それを増殖をしていく。その新しく固定をされました新しい品種を増殖をしていくということになりますと、これは一種の事業でございますので、これは試験研究からは離れまして、それを所管するおのおのの局あるいは出先機関でこれを取り扱う、こういうふうに一般論としては整理をされて、それで実施をいたしております。
  135. 北村暢

    北村暢君 まあ一般論としてはそのとおりだろうと思うのですよね。そのとおりであるから種畜牧場も畜産局所管で事業をやっておると、こういうことになっておるわけですね。育種場も事業をやるということになっているはずなんです。ところが実際にはなかなかそうはいかないので、基礎研究、応用研究まで林業試験場でやって、そこで出た結論に基づいて精英樹における種苗の生産をやって、これを処理するというのが育種場の任務だと思うのですけれども、実際にはそういう技術というものは、私は最初申したように、あんまり確立しておらぬ、育種の方法についての技術的な体系というのは一体確立しているんですか、どうなんですか。林業試験場の基礎研究なり応用研究なりで、どういう方法がいいということについて確立されて、その指導、その指示に基づいて育種事業をやっている。その技術に基づいてやっているということなんですか、どうなんですか、そこら辺のところは。
  136. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 林木の育種技術といういわば一般論につきましては一応確立をしておる、このように考えております。ただ、実際には何回かの、またある期間をかけてそういうものをつくり出していく、また検定をしていく、選び出していくということで時間がかかるわけです。一応技術論としては確立を見ておると、このように考えております。
  137. 北村暢

    北村暢君 そうすると、その確立した技術というのは、どういう技術なんですか。
  138. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 一応精英樹、これは優良な形質と遺伝質を備えた樹木、このように考えておりますが、この精英樹の育種技術については、その方法は確立しておるということであります。
  139. 北村暢

    北村暢君 指導部長、ちょっと勉強が不足のようですな、これは。何か育種の方法で、私もしろうとですから、あまりわかりませんが、選抜育種、導入育種、交雑育種、創成育種、育種の方法にこういうような幾つかの方法があって、いま実際に採用しているのは選抜育種と交雑育種というものを採用してきている。ところが最近の経験、それから用法から言って、そういう精英樹をもとにした量的な増大を重点にしたものは行き詰まりつつある。そういうような関係から抵抗性の非常に強い品種をつくっていくというような質的な面における育種というものが取り入れられなければならない。そういうようなことが今日問題になってきて、そういうことが、それじゃ林業試験場で体系づけられて、そしてこういうものが育種の方法としてはいいんだというようなものが、ある程度のものが出て、そしてそれに基づて、そういうことの研究をする必要なくて安心して育種場で育種業務にあたられるかというと、実際はそうなっていない。育種場みずからがそういう研究、そういう技術開発をやっていかないとできない状況にあるでしょう、だから、私は最初に聞いていることは、林業試験場の基礎研究と育種場とどういう関係にあるか、組織規定の中ではきまっておりますよ、一般論としては。技術会議の事務局長が申されたように、一般論としてはそのような組織規定になっているんですよ。なっているんだけれども、そんなことじゃ育種場の任務が達成できないという事態にきている。あまりこの点をやっていても何ですから、問題点が出ているということを御理解いただきたいと思うのですよ。と同時に、そういう点からして育種場内部においても、育種場には研究職というのはいまないわけでしょう。だから研究職のような人を置いて、実際にやはり原種課あたりでは落ちついて研究をやれるような体制をつくってもらわないというと技術的に行き詰まっている。こういう問題が出てきているということを、きょうは私は結論を聞こうとはしませんが、指摘しておきたいと思うのです。  それからもう一つは、この育種場の性格なんですが、育種事業というものは私は国有林、民有林を通じての育種事業を行なっているわけですが、こんな畜産局の種畜牧場と違って、国有林特別会計の中で行なわれているわけですね、これは。したがって、育種事業として行なう場合に民有林、国有林を通じて行なっている育種事業が国有林特別会計の中で行なうということについて、その性格づけというものを一体どのように考えているのか、この点については私は若干組織、機構上の問題と関連してまいりますのでお伺いしておきたいと思うのです。
  140. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 性格についてお答えをいたします。性格と申しますか、実態と申しますか、それぞれ含めて申し上げてみたいと思います。  この育種場が発足いたしましたのは、昭和三十二年でございます。そのときの形は特別会計で北海道と関東の両育種場を分担しよう、それから一般会計では九州の育種場を分担しよう。それから次の年の三十三年度におきましては、特別会計では東北育種場をもう一つつくろう、それから一般会計では関西育種場を追加しようということで発足いたしておりますが、農林省の設置法改正が三十四年度にございました。それ以降、国有林の特別会計の状況も勘案をいたしまして、当時、同時に国有林が民有林業に協力をする、民有林業の振興のために尽くすのだという線が出てまいっております。そういうこともございまして、三十四年度からはこれら一般会計でつくった育種場分も、あげて国有林会計に移しておる。以降、幾つかの分場、支場ですか、育種場の支場をつくられまして現在に至っております。設置法では、「林木育種場は、林木の育種事業及びその事業により生産された種苗の配布を行う機関とする。」、また農林省の組織規程では、そのほかに優良品種の創出という一つの指向を伴う内容をつけ加えております。現在の育種場で行なっております仕事の大部分は、そこで選抜をされ、つくられたクローンを営林局長の管理しております苗畑へ移しまして養成をさしております。一部各県で行なっております県立の育種場がございますが、この県立の育種場で不足分のクローンを国の育種場から移してやっておるということで、いまの育種場の大部分の仕事は、全部国有林宛てにやっておるわけでございます。
  141. 北村暢

    北村暢君 そうしますと、国立の林木育種場で生産された種苗は、国有林野だけに使っておるということでないように聞いておるんですけれども、いまのお話だというと、国立の育種場と県立の育種場との関係、県立の育種場というのはどのくらいあるのか。それから精英樹のとり方なんかも国と地方で一体どんな状況になっておるのか。こういう育種事業全体についての行政的な取り扱いというのは、一体どういうような形になって育種事業というのが国または県を通じての民有林というものについて行なわれておるか。こういう点について若干御説明願いたいと思います。
  142. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 県のやっております育種関係の事業体について申し上げますと、林木育種場という看板を立てておりますのは十四都道府県です。それから県の林業試験場で育種事業をやっておりますのは二十一、それから府県直轄でやっておりますのが十四、それから府県の出先機関でやっておりますのが二、全部合わして五十一ございます。これは、それらがダブっておる県がある関係でございます。全部の県に一応何らかの形でそういうものが設けられておる。この県でやっております育種場は、まあ最初はそれほど力がなくて、国の林木育種場の指導を受けながらやってまいったのでありますが、最近ではそれぞれもう独立をしてやっておる。これに対して国が補助をしておるわけでありますが、そこで、いま国立の育種場と県の育種場の関係について申し上げますと、指導面で国がリーダーシップをとっておる。また県の育種場で足りないもの、足りないクローン、これを補給してやっておるということが主体であろうかと思います。それから精英樹が何本あるかというお話もございましたが、現況で申し上げますと、民有林で四千四百四十二本、国有林で三千四十七本でございます。
  143. 北村暢

    北村暢君 いまの聞いてもわかるように、組織上の国、府県を通じての育種事業の任務というものは、どうもはっきりしないと思うのですがね。というのは、国の、たとえて言えば、バレイショで言えば、原々種農場は国がやっている。原種農場は地方でやる。こういうような形で系統的にやっているのですがね。したがって、この国の林木育種場も、府県の育種場も、業務内容においてはたいして変わらない。しかも国の育種場は生産される苗木が県の足りない分を補給する程度である。私はそういう程度ではなくて、もっと相当民間へいっているのではないかと想像しておったのですけれども、家際には足りないものを補給する程度で、主体はもう県独自でもってどんどんやっていける、育種関係はやっていける、こういうことになれば、この国の育種場というのは国有林に対する補給さえできればいい、こういうことになる。そうすれば、育種場として、これは国有林野事業の育種の面からの事業とすれば、これは国有林が苗畑を持って苗の生産しているわけでしょう。その一つと見て、国有林野事業の中で、しかも営林局長の指揮系統においてやったほうが、これはうんとよくいくのではないですか。国有林の中だけならば、民有林のほうも大幅にこれやるということになると、これは林野庁直轄で、付属機関として林木育種場というものが成り立つけれども、そうでないというと、国有林だけの精英樹なり、特殊な苗畑の一つと見ればいいわけですから、これは何も付属機関としないで、営林局の地方機関に入れてしまったほうが管理もうまくいく、こういうことになりはしませんか、これ、どうですか。
  144. 松本守雄

    説明員(松本守雄君) 先ほど先生からお話がございました点で、育種場に研究職を置いたほうがいいじゃないかというお話もございました。また、抵抗性の品種選抜もしなければならぬというお話もございましたが、この育種場はやはりある事業場であるとはいうものの、その性格の一部と申しますか、相当部分にはやはり研究的な面も含んでおるということからして、育種場に勤務する人はある一定年限長くそこにつとめて専門家になってもらう必要があるということでは、確かに研究職的な、専門職的なものが考えられなければいけない、このように考えるわけでありますが、これを人事面で見ましても、この育種場長が必ずしも一定期間長くおらないのが現状でございます。これではいけないということで、これから林野庁としましても、この育種場で安心をして何年でもそこでやっていけるというような人事管理のあり方を考えたいということなど、また、いま種苗法の改正検討中でございます。この内容はまだここで申し上げる段階に至っておりませんが、その内容の中に育種的手法によって造成された採種採圃園をこの制度に位置づけるということも考えております。そういうことになりますと、やはりいまの育種場がもう少し民間のほうにも目を向けていかなければならぬ、このように考えます。これは国有林の育種場と別なものをつくるか、いまの育種場をその方向へ変えていくか、今後の検討課題、このように考えます。
  145. 北村暢

    北村暢君 大臣が見えたんですが、実は行政管理庁を呼んでおったつもりなんですが、来ておらないようですが、行政改革本部で第二次の行政改革計画が定められまして、これから閣議決定に持ち込む、こういう段階にあるようでございますが、その第二次行政改革案の中に、農林省関係では国有林野事業について公企業形態への移行を含めてその経営の効率化を検討する、こういう行政機構の簡素合理化の案の中に一つ出ているわけです。これについては、まあ行管がおりませんから、私ども行管へ確かめている範囲内について、行管は一体、行政改革本部はどういう根拠に基づいてこういうことを農林省に対して検討するようにこの結論が出たのかということで聞いたところが、大体行管の考え方は、中央森林審議会の答申、これは四十一年かに、そのころだと思いましたが、国有林野事業を公共企業体にしたらいいだろうと、こういうような答申があったということで、そういう答申もあるので、四、五年たっても農林省は一向に結論を出そうとしないので、公共企業体にしろと言っているのではないが、その答申を受けて検討した結果どうなったかということを、実は行政機構の簡素合理化について農林省検討の結果、したがって、二次案というのはこれは三カ年計画でありますから、あと二年間あるわけです。したがって、この二年間農林省にもひとつ結論を出してもらいたい、そういう意味において出したのだと。これは経営の効率化ということは、必ずしも公社化にすることだけが経営の効率化、行政機構の簡素化、合理化ではない。したがって、他に方法があるかもしれないので、しかし、中央森林審議会の答申が一応出ているので、農林省の態度をこの二年間ぐらいでひとつ決定してもらいたいのだと、そういう趣旨でこれは出していると、こういうふうに私は伺っているわけなんです。そこで、農林省は一体国有林野事業の公企業形態への移行というものについてどういうふうな検討の段階にあるのか、この点をまず御説明願いたい。
  146. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) ただいま御指摘の点はなかなか簡単な問題でもございません。大きな問題でございますので、自分といたしましても検討すべき問題だと思っておるのでございます。したがって、これらはいま事務当局検討はさせておりますけれども、なかなかむずかしい問題でございますので、早々に結論を出す段階にはなっておりません。
  147. 北村暢

    北村暢君 そうはいいますけれども行政改革本部は、これは第二次案というのは、二カ年間でやらなければならないことになっているんでしょう。いずれにせよ、あなた方は公社化にするもしないも結論を出さなければならないところに追い込まれておる。検討しましたけれどもできませんでしたと、できなければ、これはいまのとおり行くより方法ないのですからそうなんですけれども、できないならできないというやっぱり理由を出さなければいけないと思うのですね。なかなかむずかしい問題であるから簡単に結論が出ないので、いま検討中でございますというのは、どういうことになるんだか、これはさっぱりやみくもでどっちへ曲がって行くのだか、どっちへ行くのだかさっぱりわからぬということなんですか、これはどうなんです。
  148. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) むずかしいからむずかしいのでございまして、ちっともむずかしいことはない。これはむずかしい問題だから、双手を上げて賛成できるならば、すぐ検討をし、御返事申し上げるのでございますけれども、むずかしい問題でございますので、そう簡単に結論を出すわけにはまいりませんから、いま十分に、北村さんがおっしゃるように二者択一、どっちをとるのだと一応おっしゃられても、いまのところどちらをとりますという段階にまで検討が加えられておらないと、こういうことでございます。
  149. 北村暢

    北村暢君 ただこの問題は郵政もいま公社化の問題出ているんですよ。ところが郵政の場合は、これはこの間も郵政関係の総定員法のときに機構改革の問題で郵政大臣にお伺いしているんですけれども、郵政の場合はまだ郵政審議会に諮問をしているんだけれども答申が出ていないと、こう言うわけですね。それは答申のしかたは、郵政を公社化にするということで諮問しているんじゃないんですよ、郵政を公社にしたほうがいいのかどうなのか、ひとつそういうことも含めて検討をして郵政審議会で結論を出してもらいたいという諮問のしかたなんです。したがって、公社になるとも、ならないともわからない。審議会があらゆる角度から検討して、公社がいいと言えば公社がいいという答申が出る。それがだめだと言えば公社でない答申が出てくるわけです、検討したのが。ところが農林省の場合には、中央森林審議会ですでに答申が出ちゃっているんですよ、公社にしたほうがいいだろうという答申が出ているんですよ。政府はこれを受けて結論を出さなければならないのに、これは普通であれば一年か二年検討して結論出すというのがあたりまえでしょう。五年たっても六年たっても結論が出ない。それぐらいむずかしい問題であるということを大臣はおっしゃっておられるんだろうと思うんですが。ただ、私はこの中央森林審議会が出した答申というものは、これは私も林野庁はいま真剣にこの問題と取り組んで検討しているということは知っております。あらゆる角度から国有林野事業を公社化した場合にどんなふうになるかということについて研究された論文も、こういう厚いものが出ておりますよ、それは私も読んでおります。しかし、ここで大臣に、せっかくむずかしい問題で検討されておると言われますから、私もその公社化の問題について検討しておりますから、若干意見述べておきたいと思うんですが、国有林野事業というものについて、国有林野制度というものは世界にも幾らでも国有林というもの、国有林制度とっているところがたくさんあります。ありますが、イギリスでもスウェーデンでも西ドイツでも、どこでも非常に公社制度というものについて研究がされております。あらゆる例が出てきておりますけれども、まだ国有林野事業というものを公社制度で実施しているところは世界にない、ないです、これは。そういう点から言って、私はこの点はひとつ国有林制度というものについて、やはり経団連なりの意向は公社制度で徹底的に経済的に合理化せいと、こういう意向が出ているから、中央森林審議会はその意思を受けてそういう答申をしているんだと思うんです。したがって、中央森林審議会の答申そのものについて私は非常に大きな疑義を持っているんです。したがって、そういう点において、この公社制度の問題については、せっかく検討中ということでございますから、まあ世界の類例のないことを勇気を持って農林省断行するのかどうかわかりませんが、そこら辺のところは公社そのものの研究はなされているけれども、国有林制度というものと結びついての公社がいいのか、他の機構でやっていったらいいのかという問題については非常に私は慎重を要する、それこそ大臣じゃないけれども、むずかしい問題であるから慎重を要するということでありますけれども、そういう点ではぜひひとつ慎重の上に慎重に検討され、結論を出していただきたい。このことだけ要望申し上げておきます。
  150. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) まあほんと、冗談は別にいたしましても、国有林制度というものはそう簡単に片づけられる問題ではないと思っております。特に終戦後、あの乱伐、過伐の中からやっと、今日いろいろ御批判はありますけれども、これだけの職員をかかえ、その職員が国有林野の開発にいませっかく努力している最中でございまして、ようやっと幾らか目鼻がついて、そして外国の輸入木材もある年齢がくればこれを防止することができる、こういうような段階にまで職員の努力によっていまこれが行なわれようとしているときでございます。そういうような中に立っておりますので、これらを簡単に私は片づけるわけにもいきませんし、むずかしいというどころの話じゃなくて、もっともっと深刻な面がございますので、これらの問題は十分に検討検討を加えた上でなければノー、イエスというわけにはまいりませんので、もう五年かかっておるとおっしゃいますけれども、五年かかろうとも十年かかろうとも簡単なわけにはまいらないと考えますが、北村さんの御意見等も十分承っておきまして、それらの参考に資していきたいと、このように考えます。
  151. 山崎昇

    山崎昇君 時間がありませんから、大臣、二つだけ私聞いておきたいと思います。  一つは、林野庁の定員外職員の問題についてですね、大臣としてどうされるのか、とりわけ、かなり前だと思いますが、長年、定員外職員で置かれている者が表彰されたが、表彰状は返上いたします、そんなことより身分や待遇をしっかりしてくださいという新聞記事が一ぺん載ったことがあります。これは労働組合でもあなたのほうにいろいろ交渉を通じて話がいっていることだと思うのですが、その定員外職員が私の記憶では一万二千くらいおる、そしてその中から常勤職員と称される定員外職員がかなりあります。こういうものをどうされるのか聞いておきたいと思うのです。特に身分をどうされようとするのか。それからいま申し上げたような、場合によっては生活保護以下の人もおるとも聞いております。そういう給与問題をどうしようというのか。  さらに時間がありませんから続けて言いますが、先般、白ろう病の問題で、たしか朝のモーニングショーに出ておる落語家の志ん馬という方が宮崎県のほうへ行って、現実に木を切る機械を使って自分でやってみた、わずか二、三分持っただけで腕がしびれそうになる。そこで、この白ろう病については人事院でも職業病として認定をされておるのだが、その後の対策がないのです。そして、労働大臣はこのテレビへ出てずいぶん調子のいい答弁をしているのです。もうすぐにでもなおしてあげますというような、テレビでは答弁をしておる。しかし今日までほとんどそれらしい対策というのはない。単にかかっている者が病院へ行っている程度の話である。そこで、この職業病といわれる白ろう病について大臣としてどういう対策を講じられるのか、かかっている者の生活がほんとうに困らぬようにされる決意があるのかどうかですね、あるとするならば具体的にどういう処置をとるのか、あるいはとっておるのか。まずこの点聞いておきたいと思います。
  152. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 白ろう病の問題につきましては、これらに対して過日来いろいろなお話がございまして、私のほうから白ろう病については特に十分な手当てができるということで長官に命じておきまして、これらに対しては十分なる措置をとる考え方でございます。  定員外職員については……。
  153. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) ただいま御質問の林野庁の定員外職員の問題でございますが、昨年の七月の調べでございますが、定員外に五つの種類の作業員がございます。これはやはり雇用の状態によって分けてございますが、常勤作業員が百七十二名、常用作業員が一万五百六十一名、定期作業員が二万七千三百五十九名、日雇い作業員が三千九百三十九名、日雇い作業員が六万六千二百二十一名となっております。このうち常用作業員は、年間を通じまして雇用をいたしておるものでございます。定期作業員と申しますのは、毎年六カ月以上きまった時期に雇用をされているものでございます。日雇い作業員は、月を単位といたしまして、定期作業員のそういう資格に満たないかっこうで雇用されているものでございますが、この制度は、最近——ことしの春の組合との協約によりまして、日雇い作業員は雇用を延長して定期作業員にするというふうな扱いにいたしまして、この制度はなくなりました。日雇い作業員は、臨時に日々雇用されるものでございます。国有林野事業には、御承知のとおり、いろいろ自然的、季節的な制約がございます。こういう臨時的な臨時雇用の作業員も必要でございますが、この国有林野事業の基幹的な要員につきましては、雇用安定の観点から、生産事業の通年化あるいは各種事業の組み合わせ等によってできるだけ通年雇用を進めてまいりたい、そういうことで考えております。それから作業員の雇用制度等の問題につきましては、現在いろいろと検討いたし、さらにまた関係方面とも協議中でございますが、そういう面とあわせて処遇改善をはかってまいりたいというふうに考えております。
  154. 山崎昇

    山崎昇君 これはここで私はあなたと多くは論争しませんが、いまあなたの説明だけでも、常勤と常用と入れますと、これは一万一千人くらいになりますね。仕事は全く定員内職員と同じことをやらして、そして常用だの常勤という名前をつけながら、賃金は事業費で払うために、これは日給制度になっておる。だから、定員にいますぐどうしても組み入れられないとするならば、やはり同一労働、同一賃金の原則からいっても、当然この人の生活保障、いわば賃金というものは月給なら月給にして保障すべきだ。その他のいろんな保障規定があるならば、それも当然完全適用さすべきだ。そうして安じて仕事をさせるのがたてまえだと思うのですね。ところが、仕事だけは手一ぱいやらして、待遇のほうになれば、おまえは事業費だから日給でよろしゅうございます、こういうやり方は私はすべきでないと思うのです。だから、基本的に私はこれは定員化すべきだと主張しますが、すぐできない場合には、給与上の扱いは定員内職員と同様にすべきだと思うのですが、この点どうですか。
  155. 田中慶二

    説明員(田中慶二君) この国有林野の作業員の雇用につきましては、これはいろいろな経緯がございまして、いわゆる地場雇用というようなことで、また賃金につきましても、そういう点で、いわゆる地場賃金と申しますのは、元来国有林におきましては、いわゆる地元農村等における兼業労務にたよってこういう作業を行なってきたというふうな経緯がございます。そういうことからいたしまして、現在のこの雇用制度が、いわゆる定員との関連におきましてはいろいろと問題がございますけれども、私どもといたしましては、最近こういうふうな作業員、ことに基幹的な作業員につきましては、かなり専業化をしているというふうなこともございます。それで、先ほど申し上げましたように、雇用安定というふうな観点から、できるだけこういう作業員の雇用改善にはつとめてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただ、そういういろいろの経緯の上に立って現在の仕組みができておりますので、急速に一挙にこれを解消するというのもなかなか困難な事情がございますので、私どもといたしましては、その改善については、今後絶えざる努力によって解決をしていきたいというふうに考えております。
  156. 山崎昇

    山崎昇君 大臣、これで私やめますが、いまお聞きのとおり、服務だとか職員を縛るほうは全く一般職員と同様に扱っているんですよ。賃金だけは、給与費でない事業費なために、これは日給その他で取り扱われている。そして仕事は定員内職員と全く同じことをやらしておる。こういうことがあっていいということにはならない。徐々にだとか、検討しますだとか、それからすぐにはできないだとか、それはあなた方の適当な答弁です。そういうことを私どもは許すことはできない。これは大臣どうですか、あなたの決心として、給与だけでも、仕事は同一にやっておるんだから、定員内職員と同様に扱いますとこれは約束できませんか。
  157. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) せっかく山崎さんの御質問でございますけれども、逐次改善をしてまいりましょう、これよりちょっといま私は御答弁を申し上げかねるのでございますが、しかし、これに対しましては、なるべく逐次早めに改善できるように、できるものから改善して御期待に沿うようにいたします。
  158. 山崎昇

    山崎昇君 逐次早めにだとか、そんな官庁用語使っているが、大臣、あなたが最高の責任者ですよ。きょうはほんとうに時間がないそうでありますから、私はこれ以上言いませんが、服務だとか、もう一ぺん言いますと、縛るほうは一人前以上に縛っておいて、待遇だけは差別をするというやり方はやめてもらいたい。これは官庁用語を使って、すみやかにだとか、あるいは徐々にだとか、そんなことは私は許されないと思う。これはまたいずれあなたに聞かなければなりませんが、そういう点だけはきょう指摘しておきます。  それから第二にあなたにお聞きをしたいのは、長沼の保安林の解除をやりましたね。これは先ほど林政部長からいろいろ私ども聞きました。しかし、どう考えてみても、形式的にも聴聞会は終わっておらない。内容的にも、意見らしいものはあったけれども、意見がない、質問だけあった。そこで私は、この長沼町の保安林の解除というやり方は、職権乱用だと思う。いま私は森林法いろいろ調べてみた。だから大臣来るまで待っておったんですが、あなたこれ撤回して、もう一回聴聞会なら聴聞会を開いて、どんなに困難であっても、正式に異議の申し立て者の意見を聞いて、形式的にも内容的にも文字どおり聴聞会というものを終えて、あなたの権限で解除するなら解除する、こういうことにしてもらいたいと思うんですが、これは撤回できませんか。
  159. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 撤回する意思はございません。
  160. 山崎昇

    山崎昇君 これは防衛二法のときにも、またあなたにおいでいただいて、私は詳細にこれはやりますよ。きょう時間がないというから、あなたにいま聞いておるだけだが、これはもうどう考えても、聴聞会は終わっておらない、こういうことだけきょうは指摘をしておきます。いずれあなたと詳細にこれはやりたいと思いますから、私は重ねてきょうはあなたに撤回を要求しておきます。
  161. 村田秀三

    ○村田秀三君 いまの話は速記に載らないのですが、雑談のとおりでございまして、私の質問時間も半分になりました。きょうはそういうことでありますから、あとの機会に時間をちょうだいしますので、御了承いただきます。  時間の関係で非常に困るのですが、まず米の問題でお伺いをいたします。大臣でも食糧庁長官でもけっこうでございますが、まず最初に、これは抽象論ではありますが、最近の新聞を見ますと、四十二年産米がもはや古米になっているわけですね。四十三年が新米で、四十二年産は古米であるというような、呼び名としてはわかるような気もしないではない。しかし、私は問題を提起したいと思うのですが、これから聞きますけれども、もしも世界的な食糧事情、あるいは国内の事情もそうでございますが、備蓄米、備荒食糧というものを考えて、そしてそれを常態として政策的になしていく、こういうことにかりになってくるならば、古米という呼び名は非常に抵抗を感ずる表現だと思うのですね。農家の人はもう耐えられないと思うのです。率直に言って、気持ちの中で。そういうことでありますから、最近の農林省発表、あるいは政府筋というような言い方で新聞では報道されておるわけでありますが、農林省も実際そういう気になってこの問題を扱っておるのかどうか、これをひとつお伺いしたいと思うのです。
  162. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 御案内のように、現在の米の需給状況は非常な供給過剰の状態になっておりまして、本年の十月末、つまり昭和四十四年米穀年度の終わりには、四十二年産米、四十三年産米を合わせまして、玄米で五百六十万トンの持ち越しになる。これは一般配給米の食糧の配給量としては十カ月分に相当する大量のものでございます。こういうような需給状況のもとでは、いわゆる米の作況の変動に対応する備蓄ということであるならば、これは特別に考える必要も私はないというふうに思うのでございます。現在の食糧管理制度が続く限り、少々の不作等に対しましては、国民に対する米の供給の不安は全くないというふうに考えてよろしいかと思うのであります。  そこで、古米と俗称されておりますが、この段階では昭和四十二年産米のことでございますが、昭和四十二年産米は今回のつゆで二度目のつゆを越すわけでございまして、食糧として全く不適当ということではございませんが、今日のような需給事情のもとでは、なかなか、消費者の嗜好といいますか、選好に合わないという事態がございます。さらに明年度の春の温暖期に入りますれば、時期的に申し上げまして配給米としては不適格になるというふうに見ざるを得ないと思うのでございます。でございますので、その段階においておそらく百万トン程度のものが持ち越されると思いますが、これをどう処理するかということは政府内部でも慎重にかつ真剣に検討いたしておるのでございますけれども、これを国の負担を最も少ない形で処理をするということになれば、新聞紙上等にも報道されておるようでございますが、大量の濃厚飼料を輸入しておるわが国としては、配合飼料原料として活用するということで、量の点からも、あるいは有効利用の点からも、ほとんど唯一の道ではないだろうかというふうに考えておるのでございます。
  163. 村田秀三

    ○村田秀三君 まだそこまで聞いていないのです。私に精神面を言っているわけです。この際、精神面必要ないということかもしれませんけれども、食糧のないときには、これは四十二年産米であろうと、その前であろうと、あるいは十年前の米までもさがして食べたかもしれない。非常にこれは人間の生命を維持するために必要であるということで尊重されておった食糧、それがここ二、三年余ったからということで、そういうようなにわかに米に対する観念を変えるような姿勢といいますか、考え方というものは、どうもやはり米をつくるものの立場に立つならばこれは耐えられないと思うのですよ。そういう思想的なものをまずひとつ改めてほしいものだという、これは希望であります。率直に言いまして。  そこで、確かに食糧庁の計算によりますると、ことしの十月には幾らの米が余る、こういうような計算になるわけでありますが、私は実は、ことしの気象状況、長期予報等から見て、また今日の状態を見て、必ずしも平年作とならないのではないかという懸念を持っておるのであります。その点は今日どう農林省として把握しておりますか。
  164. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 御承知のように、昨今の天候からも判断されますように、ことしは天候のフレが非常に大きいわけでございます。よくなったかと思うと悪くなる、悪くなったかと思うとよくなるという状況であるのでございまして、本日現在、ことしの作柄がこうだとお答えしますには、いささか時期尚早ではなかろうかと判断する次第でございます。  経過を振り返ってみますと、四月下旬から高温多照の天候に恵まれまして、苗の成育は非常によろしかったのでございます。ただ一部、北海道及び北東北におきまして、苗が軟弱ぎみに育ったわけでございます。その後、田植え最盛期の五月下旬から六月の上旬にわたりまして、異常の低温と強風に見舞われ、特に北海道及び東北地方の一部におきましては、植え田に活着不良があらわれ、苗腐れまたは枯死もございまして、植え直しや二番苗の育成を行なったところもございます。たとえば北海道では、植え直し約一万ヘクタール、二番苗の育成、本田換算約四千ヘクタールと推定されております。田植え後の成育は、全般に活着が悪く、活着したものでも、草たけが短く、分けつが少ない状況でございまして、成育は、田植えのおくれもございまして、北海道、東北地方におきまして、北海道は一週間から十日、東北では四日から十日程度平年よりおくれておった状況でございます。しかしながら、その後、六月中旬以降また天候が回復をしてまいりまして、成育も一時持ち直し、回復したわけでございます。しかし、七月に入って非常に再び気温が低下いたしましたために、今後の天候の推移と成育の動向に相当注意をしてまいらなければならぬ現状であろうかと思います。  なお、関東以西の早期栽培地帯につきましては、成育はおおむね平年並みでございます。また、普通栽培につきましては、苗の成育も良好でございます。  こういう北の状況と南の状況とをかね合わせて判断いたしますと、なお平年作が確保できるか、あるいはそれ以上になるか、以下になるかということは、いまのところちょっと判断がむずかしかろうというふうに考えております。
  165. 村田秀三

    ○村田秀三君 よほど判断はむずかしいわけでございますが、今日の状態で、関西のほうが比較的よろしい、こういう報告ですね。いま雨が降っていますが、向こうはどうですか、たんぼの被害状況。そこまで承知しておるかどうかわかりませんが、相当に被害があると私は聞いておる。
  166. 岩本道夫

    説明員(岩本道夫君) 最近におきます梅雨前線の豪雨によります災害の状況については、まだ的確に把握しておりません。
  167. 村田秀三

    ○村田秀三君 それは早急に把握して、ひとつ措置すべきものであろうと思いますが、しかし、そのように相当な被害が予想できる。これは、今日日本が米が余った状態になったというのは、農林省の報告にも明らかなように、生産技術の向上と、土地生産性の向上もあるかもしれないが、天候に左右された面があると明らかに書いてある。だとするならば、これは常識的にまさに明らかなように、農産物生産というのは、これは耕地面積もあろうし、あるいは農業労働力の動向、あるいは土地の動向、いろいろな要素があって初めてそこに豊凶があるわけです。したがって常識的ですよ。とはいうけれども、これは先人はきわめてそれには真剣に取り組んできたと思うのでありますけれども、とにかく豊凶のぶれ、そのことに対する予定するところの施策というものがあってしかるべきである。とにかくアメリカが余っているんだから、なければ持ってくればいいじゃないかという考え方ではなくて、少なくとも凶作に備えてある程度の備蓄をすべきであると私は考えるわけでありますが、そういうお考えが今日のところあるのかないのか。先ほど食糧庁長官は、余剰の傾向が先行き見込まれる、食糧不足の状態というものはあり得ないんだというような言い方もありますが、しかしこれは他動的な条件によってどう変化するかわからないわけでありますから、そう確言できる性質のものでは私はないと思う。その場合に、つまり凶作、生産減少を予想して、そして備えるべきものは備えるという思想が一つあっても  いいのではないか、こう思うわけでありますが、その備蓄米という常態的なものに対する考え方をお伺いします。
  168. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 本年度現在を見ますと、先ほど長官が言われたように、本年、来年も、別に備蓄だといってあらためてしなくても、反面、飼料——えさに回さなければならない部分という面もあらわれてきている、こういうことは考えられますけれども、まずここの急激に非常に緩和した状態をある程度くくりをつけまして、そして何といってもやはり米の備蓄を幾らというような面は考えなければならないと私は考えます。しかし、本年すぐこれをやる必要はないけれども、申し上げたような一、二年の余裕はございますけれども、当然、村田さんがおっしゃったようなことは、国で責任を持って行なうべき問題であろうと考えます。その量のどの程度が妥当であるかという点については、私はまだそこまでは考えておりませんけれども、そのような考え方は私も同感をしております。
  169. 村田秀三

    ○村田秀三君 大臣は備蓄制度の必要性を考える必要があることは認められた。そこで、その考え方、私も賛成でありまして、これは農林省全体の姿勢にひとつ置きかえてくれるように御努力いただきたいと思います。  そこで、その必要性があるとするならば、少なくとも備蓄というからには、当年度産米、あるいは前年度産、前年度以前のものがなければ、これは備蓄ということばは出てこない。だとするならば、古米という呼び名で、俗称であろうとも宣伝をされて、食用に供するわけにはいかぬと、こういうような言い方で宣伝をされてごらんなさい。これは古い米は、だれもあんた、食欲出ませんよ。これはあとでまたいろいろ問題になるわけでありますけれども、そういう食糧に対する人間のものの考え方を、従来から大切にしなさいと言われてきたその思想体系というものを変えるような政策というものは、これは私は間違いだと思うんです。これは明らかに改めると同時に、備蓄制度が必要であるとするならば、その数量は別としても、その体制を確立する必要がある、私はこう思います。  そこで、保存の方法ですが、いままでも農林省としては、ガス処理の研究、あるいは琵琶湖で水中保存の研究、これがなされておったということを、新聞でも見ましたし、直接聞きもしましたが、その経過と結果、特にガス処理についてはここ一、二年の話ではないと思いますね、したがってそのことについてひとつお伺いいたしたいと思います。
  170. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 貯蔵につきましては、いろいろ、私が行きまして以来、特に貯蔵を考えなければならぬといいましょうか、備蓄を考えなければならぬというようなことで、貯蔵に関しましては、いま村田さんからお話があったようなほかにも、コーティングがどうだとかいうようなこともございますし、いろいろなことをやっておりますし、農家に貯蔵させてはどうなんだ、そのときの管理はどうだというような点にまで触れまして、いろいろこの研究は十分に現在行なわしめておるのでございますけれども、これならばというはっきりとしたものを今日まだつかんでおりませんのでございます。これはほんとうにうちの中のことを明らかに申し上げるのですけれども。そういうような事態でございますが、いずれにしても、貯蔵方法というものに何らか新しい方法といいましょうか、こういうものを見出して、それに重点を置いて今後の保管の面を考えていきたい、こういうふうな考え方でございます。
  171. 村田秀三

    ○村田秀三君 食糧庁当局ではどうですか。
  172. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 食糧庁としましては、米の貯蔵方法についていろいろな試験研究を重ねてきておるのでございますが、現段階で最も経済的かつ有効な長期保存の方法は、夏季における高温を防止する、いわゆる低温倉庫による貯蔵が最も有効であるという結論でございます。でございますので、これはすでに政策としても取り上げ、長期低利の金融を行ないまして、計画的な整備を進めておるのでございます。そのほかに、琵琶湖における水中保存の実験は、ことしのたしか四月から始めておりますが、容器の種類によりましてはすでに失敗をしたものもございます。かなり深いところでございますので、水圧に耐えつつ水の浸透を防ぎかつ容器の破壊を防止し得るような策というのは今後の問題でございまして、約半年間水中試験をやりました上でとれましたデータでさらに分析をしていきたいというふうに思っておるのでございます。ガス貯蔵の問題は、これは理論的には可能であるわけでございますが、大量の米を集積をいたしまして保存をする方法としては、なお実際問題としていろいろ難点があるように聞いております。白米のコーティングにつきましては、大臣からも御指示がございまして、いまこれについての研究を始めたところでございます。  なお、今後とも、いろいろな面から示唆もございますので、長期保存の問題については真剣に取り組んでいきたいというふうに思います。
  173. 村田秀三

    ○村田秀三君 これはまあ提案というほどのものでもありませんが、先ほど大臣の口からも、もみで農家に保存さしてはどうか、こういうようなことばもありました。現に、昨年ですか、出荷調整金制度なるものをとられたこともあったのであります。そういうことで、実際に保存の方法としては、いろいろ科学的な保存の方法もあるでしょうが、もみ保存が一番いいという資料はあるようであります、また倉庫の問題であるとか何かいろいろ言われておりますから。そうしますと、経済的に考えてみましても、農家に保存をさせるということも一考ではないかと実は考えるわけでありますが、これに対しましてはどのような考え方をお持ちであるか。
  174. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 先ほどもちょっと触れたんですが、そんなような必要性がある。ただ、先ほど村田さんのおことばにございましたように、古米だ古々米だという、かつては、われわれが育つ時分というか、最近までは、備蓄米を食べられるほうがはるかに得であり、どうもかえってうまいと言ったわけなんですが、世の中の変わり方が激しくなったというのか、このごろは言い方が悪いのか、そういう点にも欠陥がある。まさに村田さんがおっしゃるように、古米とか古々米とかいう、その言い分、言い方に、やはり食欲を失わせるようなことにもなるだろうというお話を承って、全くそのとおりだというように私も承りました。今後は、こういうような点にも、ことばの点にも十分に考えなければならないだろうと思います。いずれにいたしましても、申し上げましたような点等々あわせまして、どうやったらばその目的を達する保存法ができるかという点については、いま長官も申し上げたとおり、幾通りもやっておりますので、そう遠くはない時期に結論が出れるだろうと思いますので、またあらためてその節は御報告申し上げます。ただいまのところは、これでよろしゅうございますという結論が出ておらないというのが現実でございます。
  175. 村田秀三

    ○村田秀三君 それでは、この問題はこの程度にしておきまして、次に、四十二年産米の処理ですね。先ほど一部長官も触れられたわけでありますが、新聞で見るとおりであるのかどうか。そしてまた、数量的に言ったらどの程度のことが言えるのかどうかということ。特に私が聞きたいことは、五月三十日には十月からという言い方をしておりて、それから今度は、六月の何日ですか、新聞見ますと二十九日、わずか一ヵ月ですが、その際には七月一日からという言い方もしているわけですが、七月一日からは——飼料の話はありませんが、米穀業者の自由買い取り、そういう言い方がされておるわけであります。その辺のところの態度ですね、きちっとお答えをいただきたいのですが。
  176. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 政府が集荷いたしました米は、国民食糧としてできるだけ活用すべきものというふうに私どもは心得ておるわけでございます。この七月で二度目のつゆを経験する四十二年産米につきましては、そういうような見地から、従来のように四十三年産米との一定比率での強制売り渡しということはやめるということにいたしましたが、これだけ期間がたちますと歩どまり等も低下をいたしますので、七月一日からは四十二年産米については政府払い下げ価格を一%ダウンさせる。すでに本年一月に一%ダウンをしておりますから、二%値引き販売をする。そして配給業者、卸売り業者は希望によって四十二年産米を引き取る。希望がなければ、政府として、食糧庁として、一定比率で押しつけるということは避けるという形で、消費者の選好に抵抗するというようなことを避けつつ、国民食糧として活用していくという方法を続けてまいりたい。で、特殊処分、つまりこれを食糧以外のものに転用、充用するという問題につきましては、明年の問題として今後検討してまいりたい。四十五年予算を編成する時期までにはその点を明らかにいたしたいと思いますが、先ほども触れましたように、私どもの見通しでは、来会計年度に四十二年産米の繰り越しされる量が約百万トン程度に見込まれますので、これを処理し得る道は配合飼料原料として活用する以外にはなかろうというふうに思っております。
  177. 村田秀三

    ○村田秀三君 ここでお伺いしますが、自主流通米の小袋販売ですね、店頭販売、これは大臣は、衆参の農水、予算各委員会を通じて、自主流通米と政府管理米の見分けを判然とさせるために、集中処理段階において、搗精段階において、小袋に入れて、産地、銘柄をしるし、明らかに混米のないようにすると、こういう答弁を終始繰り返されておりますね。ところが、最近どうもそういう傾向にはない。農林大臣は重ねて小袋詰めを食糧庁長官に指示したという新聞報道もなされておりますが、どうなんですか。
  178. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 自主流通米は、消費者の信用を第一として流通するものであるというふうな観点から申し上げまして、また政府配給米との混同を避けるべきであるという観点から、小袋詰めにして、そうしてそれに何年産、産地、銘柄の表示をさせて、消費者の信用を得て販売をするということが必要であるということで、農林大臣からの御指示がございましたので、私どもも先般自主流通米についての細部の通達をいたしました際に、私の名前をもって、関係業界、それから都道府県知事に対する指導の方法として、できる限り小袋詰めでただいま申し上げたような流通をするようにしてもらいたいという通達を出したのでございます。ただ残念なことに、集中精米のいわゆる大型精米工場の整備というのがまだ途中の段階にあるのでございまして、月間の集中大型精米の掲精の能力は白米換算で十七万トン程度でございまして、したがいまして年間約二百万トン程度の能力しか現在はないわけでございます。で、これは全国に均一に配置をされておれば、自主流通米百万トンの小袋詰めは可能なんでございますが、地域的に非常に偏在をいたしておるのでございまして、そこで私どもとしては、本年の予算でも、大型精米工場十五カ所、一カ所の搗精能力は約四十万人の受配者に対する能力を持つわけでございまして、合計で約六百万人分の集中精米所の補助金を用意をいたしておりまして、本年じゅうにもこの大型精米工場の整備を進めるつもりでございます。また、来年も引き続きさらに予算規模をふやして対処していきたい。近い将来に全量小袋詰めができるという体制に持っていくつもりでございまして、基本的な姿勢としては、大臣の御指示の方向で私どもも進めてまいりたいというふうに思っているのでございます。
  179. 村田秀三

    ○村田秀三君 私は実は不満があるわけなんです。というのは、二月の段階で、自主流通米を計画する段階、むしろその段階において小袋詰めということも考えられておったに違いないのですね。それとも政府答弁で、われわれに追及されて苦しまぎれに小袋詰めにすると言ったのかどうか、それもわかりませんが、いずれにしても、その段階におきましては、四十四年度からそれが実施できるかできないかという検討はしていたわけでしょう。これはもうそうしますと言って、そうして三カ月、四カ月たってから、そうはできません、これではどうもいままで何を論議しておるのかわからないじゃないかというのが、非常に残る問題だと思うのですね。  もう一つ、それではことしひとつ集中搗精処理機能を補助金を出してつくって、四十四年度だけがまんせよというのか、四十五年からは完全にそうなりますよというのか、その辺も明確にならぬわけですね。どうなんですか、その点は。同時に、これは新聞でも言われておるとおり、これはもう混米されるのではないかという——米穀業者を信用しないような言い方をして恐縮ではありますけれども、そういう事実があらわれてくるのではないかということが強く言われておると同時に、先ほどのいわゆる自主買い取り米ですが、四十二年産米、これだって一般の人にはわかりませんよ、これは新米だと言われれば新米になるのですからね。新米も、全く秋口の新米と、それから梅雨越しの米は、食べなれた人はそれはわかりますが、しかし半年もたったらそれはわかりませんよ、実際言って。それはもう、自主買い取り制度で買ってきた米、自主流通米で流れてきた米、かみ合わせれば幾らでもこれは新しい米ができるわけです。こういうことを野放しにしてよろしいのかということは前々から何回となくいわれてきている問題でありますけれども、やはり問題です。これはどうお考えになりますか。
  180. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 四十四年の大型精米工場の整備を終わりますれば、主要な消費地につきましては、自主流通米百万トンに相当する掲精能力は私は整備されると思うのでございますが、端的に申し上げまして、東京の大型精米工場の整備が最もおくれておるのでございまして、私は東京につきましては遺憾ながら四十五年からは全部小袋詰めにできるということを断言する勇気がないのであります。ようやく東京も大型精米工場の整備をしようという機運が出てまいりました。本年も十五カ所のうち四カ所百六十万人分の大型精米工場の整備が済むということでございますので、明年度また予算をお願いをいたしまして、そういうおくれておる地域を重点的に整備を進めるということで、一日も早く大臣の御意図の全量小袋詰めということに進めてまいりたい。私どもは決して小袋詰めの問題を軽視をいたしておるわけでもなく、また国会での御論議でしぶしぶやっておるということでもございませんで、もともと自主流通米、配給米を問わず、小袋詰め配給ということが最も近代的な米の配給の形態であるというふうに心得ておりますので、この点は私ども懸命の努力をいたしまして、そういう方向に持っていきたいというふうに思っております。
  181. 村田秀三

    ○村田秀三君 いや、東京が一番私は問題じゃないかと思うのですよね、大都市ほど。ところが大都市東京で集中精米ができないというんでしょう。これはもう春の段階からわかっていたわけですね。それじゃ、なぜ二月段階、三月段階の各委員会の中で、これはもうそうするのだと、こう明確になぜなさらないのですか。だとすれば、ずいぶんこれは、何といいますか、少し無責任といいますかね、これはできないのがわかっていて、やるということを言っているわけですよ。これはよくないと思いますね。そしてまた集中処理機能がないからといいますが、これはもうやる気になればできるわけでしょう。手間がかかっても、やる気になればできるので、できると言ったのではないですか。その辺が問題だと思うのですよ。やる気になればできるはずだ、だからやりなさいと、こう言わなければならないのですよ。可能な限りとか、集中処理能力がないとかという、いまになってからの話は、これは聞くわけにはまいらぬと思うのですよ。
  182. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 大臣のお考えとしては、小袋詰めで自主流通米については配給をさせたいということで、確かにそういう明言をなさったのでございます。で、私は事務的な御説明の際には、大臣の御方針に従って事務当局も処理をいたしたいと思いますが、現在の大型精米工場における自動パッキング施設というものは、遺憾ながら全部を直ちにカバーし得ないような状態でございますが、それはでき得る限り早く全国にわたって全量小袋詰めができるように整備をしていくつもりであるということは、機会あるごとに私は申し上げてまいったつもりでございます。  で、基本的な大臣のお考えは、私は全くそのとおりだと思いますが、集中精米工場の整備というのは、やはり業界の受け入れ体制がないところに政府が強圧、あるいは強権をもって整備させるというわけにはまいりません問題でございますので、その点は御理解いただきたいと思うのでございます。  なお、集中精米工場でないと小袋詰めが不可能ということではございません。したがいまして、私どもが言っております大型工場というのは、五十馬力以上の工場をさしているのでございますが、それ以下につきましても、小袋詰めで自主流通米の配給をし、的確な表示をさせるということについては、私どもとしては指導に遺憾ないように努力したいというように思っております。
  183. 村田秀三

    ○村田秀三君 どうもそれではやはりあいまいさが残るわけですね。あいまいさが残りますが、少なくともやると言ったのだから、これは小さな能力しかないところであっても、やろうとすればできるはずなんですよ。やってもらうということですよ。そういう姿勢がなければ困るじゃないですか。やってもらうという姿勢をつくっても、姿勢であってもですよ、案外こぼれるものができるかもしれません。これはあるいはやむを得ないということになるかもしれませんが、最初からこれは要点をはずして、そういう指導をなさる。しかもこれは国会での約束とは違う。国民に対して約束したこととは大きく違う。しかもこれは昨年はどうですか、四十一年産米はどうですか。二つゆ越したときどうしましたか、まさか、七月一日から値引きしましたか。その問題で御答弁をいただきますけれども、それはことし四月一日から値引きをまたする、こういう措置をする。とにかく消費者の立場に立ったところの考え方に立っているのかいないのかということを考えると、どうもやはり立っておらぬと考えるものですから、少ししつこく申し上げるわけでありますが、ぜひともこれは、やればできるのですから、やる気になればできるのですから、相当強い姿勢でこれは小袋詰めを実施してください。どうですか。
  184. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) いずれも消費者というものがあって生産が行なわれる。その生産が行なわれ、消費者の目的のために流通が行なわれてまいるものでございますから、したがって、村田さんから御注意があったような昨年と本年七月、これはやはり消費者というものを優先に考えるという上に立っての処置でございます。したがって、小袋詰めにいたしましてもそのとおりでございまして、管理米とそれから自主流通米というものの二つが並んでおって、業者が一目見ればわかる。それを、これがうまそうだからこっちを自主流通に回したというようなこともあり得ることだとわれわれは考える。でありますから、消費者に御迷惑のかからないように、したがって生産地名とか年産とかいうものを入れることも、そういうことによって現在日本国じゅう、各県がうまい米づくりに非常に競争をしているということは村田さんお認めいただけることだと思うのですが、せっかく全国あげて農民がうまい米づくり競争をして、そうしてつくり上げてきたものが、それがどこの産かわからなくて葬られるようなことがあっては、せっかくの盛り上がった気持ちというものが何にもならなくなってしまいます。私は何が何でも小袋詰めをいたしまして、そうして費用がかかる面は、全部当然財政負担を投じます。そうして生産者の期待に沿うと同時に、消費者にも選択権を十分活用してもらって、生産意欲を高めていこう。うまい米づくりの競争をさらに強化してもらおう、こういうような考え方の上に立って、今後の農政を進めていく考え方でございます。
  185. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) 四十一年産米はどうしたのかということでございますが、四十一年産米は、四十二年の十月末持ち越し量が約六十万トンであったのでありますが、四十三年の四月までに配給で全部消化いたしましたので、二度のつゆ越しの米は出なかったのでございます。
  186. 村田秀三

    ○村田秀三君 これ以上、なんでございますから、いま大臣の御答弁の趣旨のごとく、これはひとつ厳格に扱っていっていただきたいと思うのです。  次に、在庫米の輸出でありますが、韓国にはこれは貸与いたしました。それから沖縄とインドネシアがあるわけでありますが、七月四日の新聞によりますると、インドネシアもこれは援助というかっこうで決定をされた、こういう報道がなされております。したがってその内容ですね、お伺いをしたいと思います。
  187. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 沖縄につきましては、もうすでに内定をして法案検討中のことでございますので省略をいたしますが、インドネシアにつきましては、ただいま御質問の趣旨と少し内容は変わっておりまして、先般外務大臣とそれからインドネシア大使との間で、七月四日でございますが、交換されたインドネシアの経済援助の取りきめによりますと、この協定の中でいろいろな援助の項目がございますが、プロジェクト援助というのがございまして、これに日本が総額百六十二億円、四千五百万ドル相当の範囲内で借款供与が将来実現するようインドネシアに協力をするという一つの項目がございます。全体の金額は、このほかに商品援助あるいは経済協力基金から出るプロジェクト援助借款等がございますが、そのうちで、いま申し上げました四千五百万ドル相当のプロジェクト援助でございまして、これはわれわれは協力の意図表明をしたというふうにこちらは理解をいたしております。したがいまして、すぐ本年実現するとかいうことでは必ずしもなくして、将来にわたって実現するよう日本の協力意図を表明したわけでございます。その中で実際にこれをどういう品目にいたすかということは、あらためて両政府間で取りきめるということになっておりますが、一応将来取りきめらるべき内容方向は打ち出されておりまして、その中で輸出振興プロジェクト援助という項目がございます。これが二千万ドルでございまして、四千五百万ドルの内数でございますが、この二千万ドルを供与する際には——二千万ドルすなわち円貨で七十二億円でございますが、この七十二億円の範囲内で日本産米の購入のための借款をインドネシアに供与する可能性をも検討する、もちろん米以外のいろいろな事業計画もございますけれども、米をインドネシアが購入する可能性をも検討するということがつけ加えられているわけでございまして、この二千万ドルそのものがしたがいまして当然米というわけでもなく、また必ずしも米がきまったというわけでもなくて、米の購入を含めて今後双方で検討するということが決定いたしたわけでございます。インドネシアにつきましてはいま申し上げたような事情でございまして、まだ実際に米がインドネシアに行くのか、出すことができるのかどうかということはこれからの話し合い次第である、かような状態でございます。
  188. 村田秀三

    ○村田秀三君 いまの話わかりました。わかりましたが、新聞を見ますと、「〃お米供与〃が本決まり」と、こう出ているわけですね。したがって、まあことしの話ではないにせよ、農産物ということにもなっておるわけでありますから、食糧及び農産物と、こういうことになっておりますからね、これは当然入るのではないか。しかも本ぎまりになったものでないにもかかわらず、これまた、六月三十日から国連食糧農業機構会議が持たれておって、その中で、日本が米を輸出するということに対して抗議が出ている。こういう報道がなされておる。この一日にはアジア太平洋地域大使会議において、これまた抗議を内容とする意見が出されておる、こういうことが出ておりますので、きわめてこれは重要な問題だと考えてお伺いをするわけでありますが、まだきまったものではないとは言っておりますけれども、これに対して農林省としてはどう考えておるわけでありますか。もちろんこれは大蔵、外務とも打ち合わせをする必要があるのでありましょうけれども、どう考えて対処をなさろうとしておるかですね、お伺いいたします。
  189. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) このインドネシアとの関係、私が先ほど申し上げたとおりであります。インドネシアとの交渉過程において、米を入れるか入れないか、米を将来検討し得る余地を残すべきか、あるいは米などはやめるべきかどうかという議論がかなりありました。そういう背景のもとに米が将来検討の対象になるということがきまったものでありますから、米が「本決まり」という新聞記事になったものだと私は推察をいたしております。米を含めて検討し得るということが決定しただけで、現実に米を実際に買うということまではまだきまっておらないというのが実情でございます。  それから、FAOの会議で意見が出ましたのは、日本が韓国へ米を三十万トン出したということに関連をして、あらかじめFAOには、昭和三十年ごろから、余剰農産物を外国へ出す場合にはお互いに話し合うということになっているのに、何も連絡がなかったというようなことで、これは韓国への米の輸出に関して出たことでございます。それから、この間のインド太平洋の会議で出たとかあるいはフィリピンにおける米穀委員会で出ましたのは、主としてタイ、フィリピン等から、日本があまり米を出されては自分たちの得意がなくなるというふうな感じで、日本の輸出というものに非常な関心を抱いておるというような表明があったということでございまして、インドネシアの取りきめそのものとは直接に関係がないようでございます。インドネシアへの輸出についてどう考えるのかということでございますが、これは食糧庁長官から……。
  190. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) インドネシアとの援助に関する話し合いの要点はいま経済局長から御説明したとおりでございますが、そういうようなインドネシアへの米の供与ということの機会が私どもに与えられる可能性があるということでございますので、食糧庁といたしましては、いまの米の供給過剰の状態のもとでは、食糧として生産されたものを、国の内外を問わず食糧として活用するということに真剣に取り組むべきであるという考え方でございますので、ぜひとも実現をさせていきたいというふうに考えておるのでございます。
  191. 村田秀三

    ○村田秀三君 そうしますと、いま食糧庁長官答弁もございましたが、日本の米穀の生産状態というのは、ことしの天候はどうなるかは別にいたしまして、とにかく作目転換を行政指導なさってもなかなかはかばかしい状態ではない今日の実情ですね。ということになると、やはり平年作を維持するということであるならば、事米穀に関しては余剰国であるということになるわけですね。その場合に、この輸出というものに対する考え方は食糧庁長官がいま言われたとおりでありますが、これは単に余ったから輸出をするということなのか。余ったから、活用のために相手国をさがすということなのか。余剰国であるという状態の中で米穀を輸出するという経済貿易をしこうと考えておるのか。この問題についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  192. 檜垣徳太郎

    政府委員檜垣徳太郎君) これは貿易政策全体との関連ということになりますと、私から申し上げるのはいささか出過ぎたことになると思うのでございますが、私は、現在の日本の米の供給過剰状態という事態のもとでは、やはり米は食糧として活用していくということが生産した農民に対しても最も納得のいく方向であろうというふうに思いますので、国の内外を問わず食糧として活用したい。で、そのために、話し合いがつく限り輸出ということにつとめてまいりたいというふうに思っておるのでございますが、わが国が全体の食糧として自給度が必ずしも一〇〇%ということではないのに、米について恒常的な過剰状態を続けつつ、輸出に活路を求めるというのは、私はどうも常態ではないというふうに思われるのでございまして、また、日本の国内の米は国際市場における輸出ということを目標に生産をされるという性質のものではどうもないというふうに思いますので、本質的には、わが国は国内の需要に十分対応できるだけの国内生産を保持をしていくという需給均衡の状態を現出することが、私は農政としては正しいのではないかというふうに思っております。
  193. 村田秀三

    ○村田秀三君 二十九日から日米貿易経済合同委員会が開催される。農林大臣も出席されると思うんですがね。この議願は何ですか、予定される議題は。
  194. 亀長友義

    政府委員亀長友義君) 日米の経済閣僚会議は定例の会議でございまして、毎年やるたてまえでございますが、今回は日本でやるたてまえになっております。定例の会議でございますので、もちろん日米間の経済問題一般について議論をする、あるいは世界全体の経済、東南アジアの経済各般の問題がございますが、われわれ農林省関係のございますもので最大のものは、残存の輸入制限の問題であろうかと考えております。
  195. 村田秀三

    ○村田秀三君 そこで、これまた新聞報道でありますが、この委員会で、つまり韓国輸出、沖縄輸出、インドネシアのどうのということも含めて、相当に抵抗があるんじゃないかという一つの報道がある。だから、これは農林大臣として出席する限りは、きちっとした考え方を持って出なければならないわけですから、それをひとつお伺いしたいということ、それからまた、農産物の貿易の自由化、これに対する圧力が相当あるであろう、こう言われておるわけですね。したがって、これに対する考え方を大臣はもちろんきちっと持っておられると思いますけれども、その考え方をひとつお示しをいただきたいと思います。
  196. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 先ほどからのお話もあったように、お米についての日本が輸出国になるという点についてはなかなかむずかしい面があると思う。援助物資だから受けるけれども、さて同様価格で買い受けるということになると、私は日本の米はアジア全体に向かないといったほうがはっきりするであろう、こういうふうに考えます。  それから残存輸入の件につきましては、私どものほうは現在まだ残存輸入のやつは、一応は閣議によって両三年中にというような話は出ておりますけれども、なかなか現在の日本のこの実態の上に立ってこれらを解決つけるというわけにはいかないだろう、こういうふうに考えます。でありまするから、つい最近閣議がありましたときにお断わり申し上げたとおりに、これより先に出ることは非常に困難だ、こういうふうに考えております。
  197. 村田秀三

    ○村田秀三君 その考え方でこの際はいかなければなるまいと思う一人でありますが、特にいろいろ最近の報道を見てみますと、特に果実の攻勢が強いのではないか、グレープフルーツであるとか、あるいはネーブルであるとか、そういうことになりますると、これはそうでなくても今日かんきつ生産者が非常に困っている。特に夏ミカンなんかも困っているという話は聞いておるわけでありますから、それを安易に許すとするならば、あるいはワクを拡大するとかいうことになりますると、これは果樹農業振興特別措置法、これとの関係において非常にやはり問題が出てくるわけです。したがって、これはいま大臣そう答弁しましたが、それはそうでございまして、あとは幾らかワクを拡大しましょうなどというような便法によって処理しようとすれば、これはまた大きな問題を招くと思いますが、それに対する態度を再度確認いたしたいと思います。
  198. 長谷川四郎

    国務大臣長谷川四郎君) 何といいましても、なかなか総合農政をいま手がけておりますので、そう簡単に輸入をするわけにもまいりません。しかしながらこれらの問題も両三年中には解決をつけなければならぬという問題も残されておりまして、閣議の決定にもなっておるものでございますから、輸入が五であるから、必ず五でなければならぬということにはならないと思いますけれども、五の分は五・何ぼというくらいはあるかもしれませんが、そんな程度を私のほうは出るわけにはいかない、こういうふうにいま私は考えておりまして、現在まで数回にわたってこれらの交渉を行ないましたけれども、それをいままでの交渉を撤回して、これを前進させるわけにもいまのところ日本ではまだまいりません。そういう点については十分心得て今後の折衝に当たるつもりでございます。
  199. 村田秀三

    ○村田秀三君 まだ残っておりますが、その問題の関係する論議もあるわけでありますが、これは後日にいたしまして、きょうはこのくらいにしておきたいと思います。
  200. 八田一朗

    委員長八田一朗君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十七分散会      —————・—————