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1969-07-17 第61回国会 参議院 逓信委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年七月十七日(木曜日)    午前十一時三十分開会     —————————————    委員の異動  七月十六日     辞任         補欠選任      平井 太郎君     近藤英一郎君  七月十七日     辞任         補欠選任      近藤英一郎君     前田佳都男君      山田 徹一君     北條  浩君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         永岡 光治君     理 事                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君     委 員                 長田 裕二君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 前田佳都男君                 久保  等君                 野上  元君                 森  勝治君                 北條  浩君                 村尾 重雄君                 青島 幸男君    国務大臣        郵政大臣     河本 敏夫君    政府委員        内閣法制局第四        部長       角田礼次郎君        郵政政務次官   木村 睦男君        郵政大臣官房長  溝呂木 繁君        電気通信監理官  柏木 輝彦君        電気通信監理官  浦川 親直君        郵政省電波監理        局長       石川 忠夫君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会専        務理事      佐野 弘吉君        日本放送協会経        営企画室経営主        幹        野村 忠夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○有線放送業務運用規正に関する法律の一部  を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員の移動について報告いたします。  昨十六日、平井太郎君が委員辞任され、その補欠として近藤英一郎君が選任されました。また本日、近藤英一郎君、山田徹一君が委員辞任され、その補欠として前田佳都男君、北條浩君が選任されました。     —————————————
  3. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第一〇六号)(衆議院送付)を議題といたします。  本法律案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 野上元

    野上元君 まず最初にお聞きしたいのですが、郵政省最初に出した法律内容と、衆議院修正された最終的な内容との相違点について、わかりやすく図式的にひとつ教えてもらえんですか。
  5. 永岡光治

    委員長永岡光治君) それは提案者でなくていいのですか。
  6. 野上元

    野上元君 郵政省でいいです。
  7. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 政府原案修正案との相違点でございますけれども政府原案におきましては、対象といたしますものは有線によるテレビの再送信業務、それから再送信施設を使ってのその他の用に供する業務現実的には再送信施設を使っての自主放送業務というものは許可対象になる、こういう規定でございましたが、修正案によりまして、この再送信施設を使ってのその他の用に供することを許可制にするという条項を削除いたしまして、再送信業務以外の、要するに自主放送につきまして全面的に許可制にする、こういうのが修正案の骨子である、こういうふうに考えます。
  8. 野上元

    野上元君 私が読んでも、なかなかしろうとなものですからよくわからないから、一つ一つ聞いてみますが、最初郵政省の案、政府案によると、いわゆる指定地域内で行なうもののうち、まず第一に再送信というものについては許可制である。よろしいですな。それから第二は、再送信を兼ねて自主放送をやるもの、これも許可制である。それから第三番目には、自主放送のみをやるものは届け出でやってよろしい、こういうことですね。それは指定地域内の行為ですね。それから指定地域以外の行為の場合には、再送信届け出でよろしい。それから再送信を兼ねて自主放送届け出でよろしい、それから自主放送のみをやるものも届け出でよろしい、こういうことですな。これでよろしいですか。
  9. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そのとおりでございます。
  10. 野上元

    野上元君 そうしますと、修正案を含む衆議院で可決されたものの最終的な内容は、自主放送は全部許可制としたということですね。これは、指定地域内及び指定地域外においても同様に許可制とする、こういうことですね。それから、指定地域内の再送信は、これは許可制である、それから指定地域外の再送信届け出である、こういうふうに修正されたと認識してよろしいですか。
  11. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そういう結論になるわけでございます。
  12. 野上元

    野上元君 郵政当局としては、こういうふうに修正されたことについて、どういう見解をお持ちですか。
  13. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私ども政府原案におきましては、ただいまお話しのとおり、指定地区内における再送信業務許可制というものを主体にいたしまして、その再送信施設を使っての自主放送許可制と、この二本を柱にした案でございまして、したがいまして、自主放送のみを行なうものあるいは指定地域内における自主放送というもの、こういったものについては届け出制のままと、こういうことでございますが、私ども考えたところは、現在までのところ、自主放送のみを行なうという施設は、日本においては、現実には一つも出ていないわけでございまして、したがいまして、このような状況から、これを直ちに許可制にしなければならないというほどの緊迫性と申しますか、直ちにやらなければならないというようには、いろいろ検討した結果、まあそういった判断に至ったわけでございますが、衆議院におかれまして、いろいろな最近におけるそういった面における動きから考えまして、自主放送のみの業務につきましても近い将来相当発展すると、こういう認識のもとに、これは許可制にすべきである、こういうことで修正されたわけでございまして、これはいつやるのが適当かという認識の問題はございますが、いずれにしましても、そういうものが出てきた場合には、やはり許可制にするのが望ましい、許可制にして規律していくべきである、かように考えたわけでございます。
  14. 野上元

    野上元君 そういう点については、郵政当局としても、草案をつくる段階考えられたんじゃないですか。
  15. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 草案段階で私ども考えたわけでございます。が、ただいま法制局ともいろいろ打ち合わせた段階におきまして、いろいろ議論が出まして、ただいまのようなことからして、いま直ちにこれを許可制にするまでには至っていない、こういうふうに結論的には判断したわけでございます。
  16. 野上元

    野上元君 そうしますと、あなたのほうで許可制に踏み切らなかったのは、現在緊迫性がなかったから踏み切らなかったと、こういうお考えですね。それは言論統制との関係はどうなりますか。言論統制上、許可制とすることには問題があるというふうにお考えになりましたか。
  17. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 言論統制の問題には直接には関係いたしませんで、むしろ営業の自由というような点で、こういった許可制あるいは免許制というものは関係があると、こういうふうには考えられたわけでございますが、要するに、許可制免許制というようなこういった制度は、公益上の必要から、一般には自由であるけれども許可制にしてある程度の規制を加えなきゃならぬと、こういうのが許可制の、何と申しますか、考え方でございますので、そういった面からは、私ども言論の自由ということとは直接に関係がない、こういうふうに考えておったわけでございます。
  18. 野上元

    野上元君 そうすると、あなたのほうでは、言論の自由とは、言論統制とは直接関係ない。緊迫性がなかった。ただ、問題にしたのは、営業の自由、憲法に保障されておる営業の自由、あるいは職業選択の自由といいますか、そういうものに触れるおそれがあるので、その問題については見合わせたとおっしゃるんですが、いま直ちに現在そういう事業がなくても、近い将来にこの事業が出てくるということは予見できるわけでありますから、それはその事業現実にあろうがなかろうが、こういうものをつくるということは、営業の自由に重大な影響を及ぼす。憲法違反の疑いがあるのではないかと思いますがね、私は。どうですか、その点は。
  19. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私は、その点につきましては、営業の自由を保障する憲法条項と抵触すると、こういうふうには考えておりません。
  20. 野上元

    野上元君 そうすると、許可制に踏み切らなかったときには、営業の自由の問題があったけれども、それは憲法に違反するとは考えなかったということですか。
  21. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この問題は、ありていに申し上げますと、そういった先ほど申し上げました緊迫性、直ちにやらなければならないというほど緊迫性がないという、結論的には、そういった判断に達したわけでございますが、そういうことで、それを自主放送を除いた面、自主放送のみをやる有線テレビ許可制を除いた——何と申しますか、規制内容とする法案をつくるという時間的な余裕と申しますか、そういった面から、できるだけ早くとにかく出さなければならないということで、当面必要とするもののみを法案に盛り込むという考え方でございましたので、実は、自主放送のみを許可制にするということについては政府案では触れていない、こういう状況でございます。
  22. 野上元

    野上元君 そうしますと、郵政当局としては、当初あなた方が考えておったいわゆる有線放送法の改正と、修正を含んだものとは内容が全く違ってしまったと。したがって、当初あなた方が考えておられたこととは全然違ったものになって出てきたと、こういうふうにわれわれ考えてよろしいですな。
  23. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 基本的な考えについては全然違いはございません。ただ、そういった将来予見されるものについて、直ちにやるべきであるか、まあ次に延ばしていいかどうかという認識については違いがございますが、基本的な考えについては違いはないと、かように考えております。
  24. 野上元

    野上元君 そうしますと、政府原案の中には、いわゆる指定地域内における自主放送届け出でよろしいと、こういうふうになっていましたね、あなたのほうでは。それが修正では、もうその指定地域の内外を問わず全部これは許可制になったわけですね。というのは、それを認めるということは、あなたのほうの思想の根本的な変質を認めざるを得ないと思うんだが、その点はどうですか。
  25. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 原案におきましては、自主放送については、何と申しますか、自主放送を行なう施設を使ってやるものについての許可制ということを考えたわけでございますが、修正案におきましては、そういうものを含んで……。
  26. 野上元

    野上元君 それは再送信だろう。
  27. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 再送信を使ってでございます。再送信をやる施設を使っての自主放送許可制ということのみが含まれていたわけでございますが、これが広がって、結局全部の自主放送について許可制にすべきであるということでございまして、そういった許可制にすべきであるという基本的な考え方には、私は変更はない。こういうふうに考えております。
  28. 野上元

    野上元君 そうすると、政府原案にある届け出というのは、いま現在緊迫性がないから、届け出にしておいたんだ、届け出制でも認めているのだと、こういうことですね。しかし、修正案緊迫性はないけれども、将来を見越して許可にしたということですね。しかし、その思想はあなたのほうも許可にしたいんだ、ほんとうは。こういうことですか。
  29. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 基本的な考え方においては同じだと、こういうふうに考えております。
  30. 森勝治

    森勝治君 関連。どうも詭弁じゃないですか、それは。基本的な考え方が同じなら、初めからそういう規制の姿で出せばいい。あなた方は当面は規制する必要ないから、そういう線で出してきたんでしょう。今度は向こうで修正されたからといって、あたかも修正を予見して、予想して、修正を期待して出したような、そういうすりかえたような答弁は困りますよ。提案と違うじゃないですか、修正中身は。それを修正中身も同じですなんという、そんなべらぼうな答弁はあるか。
  31. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもは、この原案を出すときに修正案が出るということを予想したことはもちろんございません。ただ、結果的に見ると、そういうことになったということを申し上げたのでございます。
  32. 野上元

    野上元君 だからその点は、私が先ほど聞いたように、あなたのほうでも草案をつくる段階において、届け出制にすべきか許可制にすべきかという論争があったと、確かにそれはあったのですね、あなたのほうに。あったけれども、しかし、それは現実緊迫性がなかったと。それから言論統制ということは考えなかったと、しかし、営業の自由に触れるんではないかという若干の論争があったと、したがって、これは届け出にしたほうがよろしいと先ほどは御説明があったように私は思うんですね。ところが、実際はそうではなくて許可制にしたがったのだと、この法案のとおりにやりたかったのだと、こういうふうに説明されるから、だんだんあなたの言うことが変わってくるのじゃないかと言うのです。それではおかしいじゃないかというのです。あなた方は、それでは最初から郵政当局許可制にしたがったのですか。しかし、その許可制にするためには、営業の自由の問題にひっかかるから、ここは伏せておいたんですか、その点はどうですか。
  33. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 営業の自由だけではなくて、いろいろな問題があろうかと思いますけれども、そういった問題を議論をして、そうして結論に到達するということになりますと、時間的な余裕から見て間に合わなくなるおそれがある。こういうことで当面とにかく最も第一義的に必要なものからまずやっていこうということで、御提出申し上げているような原案になっているわけでございます。
  34. 野上元

    野上元君 それなら何も時間がかからぬのですよ。届け出許可に変えればいいんで、そんなのは〇・何秒しかかからないでしょう。問題は届け出許可の間には重大な質的相違があるわけでしょう、届け出許可には。だから、その問題はペンディングにしておいて、そうして将来の問題として検討して、そうして当面は届け出にしておこう、こういうことで出てきたわけでしょう。それは許可にしたがったのじゃないでしょう。どうするかきめられないから、あなたのほうは間に合わないから、とにかくさしむき問題のない届け出にしておこう、こう言っているわけでしょう。それを私が聞けば、それは許可制にしたがった、そんならなぜ許可と書かなかったのですか、初めから許可にしなかったのですか。その点がはっきりしないじゃないですか。
  35. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私のことばが足らなかったというか、誤解を生ずるような答弁があったことを遺憾に思いますが、確かにいまおっしゃるように、結論に到達しなかったということでございます。ですから、そういった結論に到達しないものは時間的な関係もございまして、それは除いて早急にやるべきものを出した、こういうことでございます。
  36. 野上元

    野上元君 結論に到達しなかった原因は先ほど言ったように、届け出にするか、許可制にするかはいろいろと問題があるから、結論がすみやかに出せない。したがって、届け出なら問題がないから、時間を間に合わすためにすべての問題に触れないで、一応これでやっていく、そういうふうに考えてよろしいですか。
  37. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いろいろの質疑応答がございましたが、一番大きな理由は再放送をするものは、これはもうずいぶんたくさん計画があるけれども自主放送だけをやるという計画はまずいまのところ直ちに出現することはなかろう。そこで、自主放送だけを将来やりたいというものが、どういう形で出てくるかということをよく検討してから、この問題を取り上げてもおそくはなかろう。実は、こういう考え方自主放送だけを対象とする許可制云々という問題ははずしたわけでございます。しかし、衆議院段階におきましては、それは少しのんき過ぎるのではないか、自主放送だけを対象とする業者もあるいは案外早く出てくるかもしらぬ、だから、ひとつこの際取り上げたらよかろう、こういう御趣旨から修正案が出たものと、私たちはかように解釈をしております。
  38. 野上元

    野上元君 自主放送というのは、現在ないし、将来どういう形で出てくるかわからぬから届け出にしておいたのだというようなお答えは、ぼくは法律論者としてはまことにどうもお粗末のような気がするのです。こんなものが予見できないという頭脳をもって、電波行政をやるなんていうのは、それはやめたほうがいいですよ。将来有線テレビの時代になるのですよ、だれが何といっても。あなた方はUを突然アドバルーンを上げて、Uでやるのだと言っている。これはもう一つ有線テレビ一つ原因になるでしょう。おそらく有線テレビを誘導する大きな原因になるでしょう。いわゆる都市は東京と大阪はつながると言っている。もうこの間に、日本の人口の八〇%から九〇%が住むだろうと未来学者は言っている。そうして高層建築はここにくしの歯のように並ぶだろう、こう言っている。そんなものはわれわれしろうとでさえとっくの昔に知っている。それをどんなものになって出てくるかわからないから、届け出にした、そんな電波行政ならそれはやめなさい。やめたほうがいいです。そんな頭脳で、これからの電波行政やれませんよ。私らしろうとでもそう思いますよ。あなたどう思いますか。これは、将来は予見できなかったのですか、どんな方向で出てくるか。
  39. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いろいろな御意見が出ておりますが、アメリカあたりでも現在はもうすでに四百万戸以上のものが加盟をいたしておりまして、何千という業者が出ておりますが、自主放送だけをやるという業者はまだ出ておらぬわけなんです。仕事の性質上、日本の場合も遠い将来はそういうものも実は出てくるのではないか、こう思いますが、しかし、さしあたりは再送信の上、自主放送に乗っけていく、こういう業者がやはりまず出てくるのではないか、こういうことを考えたわけです。しかし、衆議院段階におきましては、アメリカ状態がどうであれ、またイギリスの状態がどうであれ、これからは案外早く自主放送だけを対象とする業者が出てくるであろう、こういうお考えのもとに修正になったわけでございまして、この点をひとつ御了承いただきたいと思います。
  40. 野上元

    野上元君 私も、あなた方をいじめるだけが能ではなくて、御了承願いますと言われても、私は将来の電波行政ということを考えて、もう少し何と言うのかな、節度のあるというか、信念のあるというか、そういう電波行政をやってもらわないと、この問題は非常に重要な問題を含んでおりまして、いま私あまり新聞なんか読んでおりませんけれども、耳から入ってくることを聞きますと、相当やっぱり議論が戦わされておるようですね。だからそういう点を私は心配して、国会もおおむね誤らないように誘導していかなければいかぬのですね。国会自身の責任も重大じゃないかというふうに考えておるわけです。したがって、このような修正が行なわれたことは、はたして郵政当局考えておったことに、行政上から見てあなた方の立場から見て合致するのかどうか。合致するというなら、それでもよろしいが、合致しないというなら、これはやっぱり重大な問題なんですね。だから先ほど言ったように合致するということであるならば、届け出なんということを言わなくて、許可に初めからすべきではなかったか、そんな信念があるならば。しかし、そこには問題があったからというので議論が発展してしまったわけですよ。その点はもう一ぺんよく検討してみてもらいたいと思うんですが、この法案を、私も新聞見たわけではありませんが、人から聞いた話なんですが、法案を出すときにはどういう手続をされるんですか。たとえば、まず内閣法制局と相談をして、不都合なきかどうかというような問題を検討することもあるでしょうし、その他いろいろと電波監理審議会と相談するということもあるでしょうし、あるいはNHK、あるいは民放等のようなNHKを含む放送業者等々も重大な影響があるんだから話し合いをするとか、いろいろな方法があると思いますが、その中で法制局とはどういう話し合いが行なわれたんですか。聞くところによると、何といいますか、第一次案、第二次案あたりはみんな法制局でけ飛ばされたという話が盛んに行なわれておるんですが、それは事実ですか。
  41. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 当初の草案法制局に持ち出したわけでございますが、結局その段階におきましては、有線放送の現在ある状況あるいはあり方等について、いわばフリートーキング的にいろいろ議論をいたしまして、そうしてその結果、私どもとしてもいろいろ考えまして、結局最後にそれじゃ、こういうことでということで原案を出しまして、法制局でいろいろそれについてまた修正を受けて、最後原案になって出てきた、こういう手順でございます。
  42. 野上元

    野上元君 法制局最初問題になったという点はどういう点ですか。
  43. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これは一番大きな問題は、やはり有線テレビの何と申しますか、社会的な機能と申しますか、それによる公益性と申しますか、そういったことが当初議論になったように記憶いたしております。
  44. 野上元

    野上元君 そうしますと、公益性に合致しないという草案を出して、そうして法制局修正されたと、こういうことになるんですか。
  45. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) ちょっと私、御質問の点が理解できないのでございますが、いま電波監理局長から御説明申し上げたように、一番最初はお互い自由な立場フリートーキングをやったわけです。それはなぜ、そういうことをやったかといいますと、有線テレビというものの将来は、どういう姿になるかということについては、非常に不確定な要素が多いので、われわれは、法案を正式に審査する前に、いろいろなそのイメージといいますか、そういうものをつかめないわけであります。これが非常に現実的な問題であれば、直ちにそれに対策がどうあるべきかということが互いに共通の認識が持てるわけでございますけれども、非常に不確定な要素が多い。そういうわけでお互いに時間をかけてフリートーキングをしたわけであります。そのときにはむしろ法律論というよりも、将来どういう姿で伸びていくのか、あるいは電波政策ないしは放送政策といいますか、そういうものとして行政当局としてどういう考え方をお持ちになるのかというようなことを中心にして、結論を出すというよりも自由な討議をしたわけであります。そのときに確かに、もし法律規制するならば、当然これは憲法基本的人権関係してくる問題でございます。いやしくも国民の権利をいささかでも制限するならば、それは憲法との関係においては、公益性といいますか、公共の福祉という点から説明されなければならないわけです。御承知のように現在、有線テレビを含めまして、有線放送については届け出制現行法でとられているわけであります。かりに、それを何らかの形で規制するならば、公益性ということが理由にならなければだめだ、こういう話が出たわけです。
  46. 野上元

    野上元君 もちろん、そのフリートーキングをされて、いろいろな形で討論されたことはこれはけっこうなことだと思いますね。しかし、最終的には法律案となるわけですね。具体的な草案が出てくるわけですね。その点で郵政省があなたのほうに持っていって相談した、最終案をね。しかし、あなたのほうとしては、こういう点が問題があるから直してきなさいと、こう言って返された、そうですね。その点はどういう点かと聞いているのです。
  47. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) ちょっと事実が違うのでございます。フリートーキングの結果、郵政省が自主的な政策判断によりまして、先ほど来大臣が御答弁になったようなことを私どももその段階で最終的に郵政事務当局から説明を受けましたけれども、自主的な政策判断の結果、いわゆる自主放送については、さしあたり規制をしないということで案を法制局に持ってこられたわけでございます。それがたしか三月の二十何日かだったと思います。それから正式の審査が始まったわけでございますが、その正式の審査では、技術的な点はいろいろ修正をやりましたけれども、もうそのとき以降におきましては、基本的な法制とそういうものはほとんど変わっておりません。
  48. 野上元

    野上元君 そうしますと、最初郵政省の案の中には、いわゆる自主放送の問題についての許可制なんということはなかったのですね。新聞によると、いろいろそういう点が問題になって返されたというようなことが書いてありますが、その新聞の報道は誤りですね。その点はっきりしてください。
  49. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) 私どもが、今度の法律の改正案について郵政省と接触を持ったのは三月の初めだったと思います。そのときに、書いたものをお持ちになったことは事実であります。それはたしか法律案ではなくて、要綱案というような形だったと思います。その中には自主放送規制するという、許可制にするという構想が入っていたことは事実でございます。私どもは、そういうものを従来法律案として審査はいたさないわけであります。で、先ほど来申し上げたような理由で、いろいろなフリートーキングをやった、こういうことであります。ただ、新聞にそのように伝えられたということは、これは私決して全然、何といいますか、煙が立ってなかった事実ではないと思います。と申しますのは、そのフリートーキングのときに、私自身が言ったことでございますけれども自主放送にせよ、再送信にせよ、そうでありますけれども、われわれの役目というものは、いやしくも国民の権利を制限するという内容を持つものであろうならば、これは憲法との関係を検討しなければいけない。特に自主放送については、表現の自由というようなものにも関連をするだろう。これは表現の自由を侵すとか、そういう意味で申し上げたわけじゃございませんが、表現の自由に関係してくる。そうすると、国会で場合によっては、表現の自由を侵害するというようなことでいろいろ批判も受けるだろうから、よほどがっちりした理由を組み立てて、理屈をきっちりしておかなければならないだろう、これはわれわれが、いろいろ国民の権利を制限することを内容とする法律案は毎国会、たくさんございますけれども、あまり論議にならない場合が多いわけでございますが、表現の自由に関連してくる問題であるから、非常にいやが上にも慎重に検討しなければならない、そういうことを確かに強いことばで言ったことは事実でございます。ただそれ以上に、それでは憲法に違反するおそれがあるとか、ないとかいうような中身に入っての議論まで全然したことはございません。で、間もなく自主的な判断に基づいて、郵政省自主放送についての規制をおやめになったわけでございますから、もうそれ以後は、自主放送についての議論ということはちっともやっておりません。むしろ時間が非常に長くかかったのは、再送信についても実は私どもは問題にしたわけであります。現在の届け出制許可制にするわけでありますから、これは憲法の公共の福祉から、職業選択の自由から説明できなければ違憲でございますから、それも実は郵政当局に何回も何回も聞いて、なぜ届け出制でいけないのか、届け出制の上で規制をかけてもいいわけであります。取り締まり規定を内容としても目的は達し得るならば、あらかじめ事前の許可制よりも届け出制のほうが国民の権利を侵害しないのじゃないか、つまり行政目的を最小限度達成するために必要な限度でなければいかぬじゃないか、そういうことで非常に行ったり来たりしておるのが、たまたま先ほどの話と結びついて、むしろいわゆる言論の自由を制限することを法制局でやられておるというふうに一般には伝えられたのじゃないか、そういうことだろうと私は信じております。
  50. 野上元

    野上元君 そうしますと、いずれにしても、郵政当局は第一次草案をつくったけれども法制局のサゼスチョンによって一応この自主放送届け出制にしたということですね。ということは、あなたが言われるように、一般論としてこの問題は言論の自由あるいは表現の自由、営業の自由、いろいろな問題と関係があるから、国会の中ではっきりと答弁ができる、あるいはまた国民に向かってはっきりと違憲にあらずという理論構成をつくった上で出すならば出されたほうがよろしいでしょう、こういうあなたのほうはサゼスチョンをされたわけです。それについて郵政当局としては、そのサゼスチョンを受けて考えたけれども、そういう理論構成は組み立てられなかった、したがって、許可制にしたがったけれども届け出制にしなければならなかったということになるわけですか。
  51. 角田礼次郎

    政府委員角田礼次郎君) ちょっと私、ことばが足りなかったと思いますが、そういうサゼスチョンというか、そういうことを議論した、私が申し上げたことは事実でありますが、それが全体の決心をするのに非常に大きな要素を持ったかどうかはむしろ私は疑問だと思います。それよりも、先ほど大臣が言われたように、自主的な政策判断がされまして、そして自主放送についての規制をおやめになったのだろうと思います。
  52. 野上元

    野上元君 まあこの程度でやめますか。  それからこの法案をつくるということは、先ほどもちょっと話をしましたが、電波監理審議会なり、せっかくああいうりっぱなものがあるのだからこれを活用するとか、あるいは当然もう今日はNHKにしても民放にしても、テレビジョンあるいはラジオ放送等については国民のものになっていますよね、完全に。したがって、この人たちに、業者たちに重大な影響を与えるのであるから、当然こういう法案を出す場合には、事前に十分にディスカッションをするべきだと思うが、そういう点はおやりになりましたか。
  53. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 電波監理審議会にも御報告申し上げて、正式の、何と申しますか、諮問するという形ではございませんが、こういうことでやりたいと思うということでお話申し上げております。また、NHK及び民放連に対しましては、要望意見があるかどうかということを聞いておりまして、これに対して文書で回答をいただいております。
  54. 野上元

    野上元君 そういう手続はわかりました。  私は、先ほど来問題になってるように、非常に重要な問題を含んでおるので、とにかく郵政省だけの頭でこの問題を考えるということじゃなくて、少なくとも情報社会時代というのは、あなたの頭脳も使うし、よその頭脳も使って、みんなの頭脳を使って、集めて結論を出していくというのが情報社会の一つの組み立てだろうと思うんですね。そういう意味で、電波監理審議会なんというものはやはり相当のベテランもおるんだろうし、そういうところに公式ではないが、まあ懇談的に話をしたという話ですが、もう少しやはり突っ込んで話をすべきじゃなかったんでしょうかね。そうすれば、いろんな点がサゼストされたんじゃないかというような気がします。それと同時に、NHKあるいは民放等について十分にこれまた懇談をして、国民的代表になっている彼らの立場を十分に考えなきゃならぬという気もするんですね。そういう点について、一片の意見書だけでやったということなんですが、それはもうやったんでしかたないですわな、いまさら言ってみてもね。これはしかたのない話ですが、そこでNHKの会長に聞きたいのですが、あなた方のほうで、これに対する意見書を出されておりますね。その意見書というのはどういう内容を持っているんですかね、簡単に言えば。賛成なのか、反対なのか。
  55. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) 私からかわってお答えをいたします。  昨年十一月に郵政御当局から照会ございまして、十二月二十日付で協会側として意見書を提出をいたしております。内容的には今回のこの法律案の改正を必要とするということで、法の改正には賛成を申し上げております。ただ、現在の放送界の秩序を維持するという意味で、たとえば問題になっております再送信業務以外の自主放送等には許可制を必要とする。また、御承知のように協会自身が四十四年度以降地方都市の難視聴を改善したいということとも関連しまして、この法案の成立の暁には、郵政省でお考えになっております指定する業務地域にできます運営主体等には協会が主体的に参加をして、難視聴改善の積極的な衝に当たりたい、概要以上のような御返事をと申しますか、基本的な考え方内容とするお答えをいたしております。
  56. 野上元

    野上元君 後ほどNHKには、放送法とNHK関係について詳細にお聞きしたいし、将来のテレビジョンのあり方等についてもお聞きしたいと思うので、その点はあとに譲るといたしまして、あなたのほうの意見書は、要するに要望も含めた意見書だと思いますね。あなたのほうの意見書から見て、この法案というのは、大体意見がいれられておるというふうに思われますか。
  57. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) 法の趣旨におきまして、私ども基本的に考え方がいれられておると思いますが、ただ、その後の法律の成立後におきます行政上の御指導の点につきましては、まだ十分郵政省当局と私どもの間で意見の交換ないし意思の疎通が十分でき上がっておると、当然そういう段階にはないということでございます。
  58. 野上元

    野上元君 そうしますと、法案の骨子としては賛成だが、いわゆる政令、省令にゆだねる分については、まだ未知数であるので何とも言えない、したがって、それを見て一括的に検討しなければ賛成も反対も言えない、こういうことですか。
  59. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) そう割り切ってしまいますと非常にむずかしいのですが、法律的には御賛同申し上げております。これは過般の衆議院逓信委員会におきましての公聴会でも、私ははっきりそのように申し上げております。ただ、法律の成立後に、この基本的考え方として、昨年末に提出をいたしております私どもの要望を含めた考え方を取り上げていただきたい、そういう希望は持っております。
  60. 野上元

    野上元君 その点について、郵政当局はどうですか。
  61. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この法律が通った暁の問題でございますが、その場合には、十分NHK、民放と打ち合わせをいたしまして、遺憾のないようにやっていきたい、かように考えております。
  62. 野上元

    野上元君 電波監理審議会に政令を出す段階においては、かけなければならぬという郵政省では義務はありますか、ないですか。
  63. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 省令は必要的諮問事項になっております。
  64. 野上元

    野上元君 そうしますと、電波監理審議会とも当然……。
  65. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ただいま必要的諮問事項と申し上げましたけれどもこれは誤りで、任意的諮問事項になっております。当然こういった重要事項につきましては、電波監理審議会にかけようと、こういうふうに考えております。
  66. 野上元

    野上元君 私も、法案の前に当然、利用——利用といったらおかしいですが、失礼になりますけれども、当然相談をしていく、お互いの意見を交換しておくべきだったと思います。したがって、先ほどNHKのほうでも言っているように、法案そのものはいい、しかし、政令はどうなるかわからぬ、この政令を見なければ、この法案の実体はわからないというほど、この法案というものは抽象的になっているということになるとするならば、政令というものは、非常に重要なものになりますね。法案は合憲であっても、政令のほうは違憲になるかもしれないというおそれもあるわけです。したがって、その点は万遺憾のないように十分ひとつあなたのほうで配慮することを約束してくれますか。
  67. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 電波監理審議会に諮問をいたしまして、万遺憾のないようにしたいと思っております。
  68. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会
  69. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き有線放送業務運用規正に関する法律の一部を改正する法律案(閣法第一〇六号)(衆議院送付)を議題といたします。  本法律案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
  70. 野上元

    野上元君 CATVというのは、電波監理局長、正確な英語で何と言うのですか。
  71. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) コミュニティ・アンテナ・テレビジョン、それの頭文字をとってCAテレビと言っております。
  72. 野上元

    野上元君 コミュニティ・アンテナ・テレビジョン、これがCATVの英語ですね。その上のCAをとったやつが、頭文字をとってCATVとしたのですね。それは日本文に訳した場合にはどういうふうになるのですか。今度出された法案有線テレビですね。それはCATVじゃないですね。この場合のテレビジョンはどういう意味ですか。有線テレビというのはケーブルテレビですか。
  73. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) アメリカでは、要するにそういった、何と申しますか、町といいますか、そういう都市あるいは町における共同のアンテナを立てたそうしたテレビジョンのことをCATVと、こういうふうに称しているわけでございますが、日本におきましては、これに該当するものは従来は共同聴取ということばで言っておりますが、法律的に申し上げますと、有線放送ということで、そのうちテレビジョン有線放送には御承知のとおりテレビジョンあるいはラジオがございますので、そのうちのテレビジョンをとって有線テレビと、こういうふうに称しているわけでございます。
  74. 野上元

    野上元君 この法案を審議するに際して、CATV、CATVと言っておりますね、みんな簡略に。ところがその内容を聞くと、それはコミュニティ・アンテナ・テレビジョンの略語であるということになると、それは共同聴取の訳語なんですね。したがって、有線テレビ有線放送と言った場合には、CATVじゃないですね。あなたの言うCATVじゃないですね。それは別のケーブル・テレビ、これもCATVじゃないですか。ちょっと略してみれば、そっちのほうじゃないですか。どうもその辺がこんがらがっているように思うのですが、その点はどうですか。
  75. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) CATVということばが使われる場合に、いまおっしゃるようにCA、ケーブルの二文字をとって、ケーブル・テレビジョン、こういうものをCATVというふうに解釈している方もあるようでございますが、これはいずれでなければならないということは私はないと思いますが、アメリカにおけるCATVというのは、要するに先ほど申し上げましたように、コミュニティ・アンテナ・テレビジョンというものでございまして、正確に表現するならば、やはり有線放送業務テレビジョン、こういうことになると思います。
  76. 野上元

    野上元君 郵政省最初に出された法案ですね、修正前の。これにはもう明らかに提案理由の説明の中にも共同聴取ということがはっきり出ていますね。したがって、その場合に、私はCATVというのはいいと思うのですね。しかし、今度の修正案を含んだやつになると、これはCATVでもケーブル・テレビのほうに変質したのじゃないか、有線テレビ放送と共同聴取というものとは違うのじゃないでしょうかね。共同聴取という場合には、明らかに現在あるものを、見えないから共同してやろう、アンテナを立ててテレビを見よう、こういうことですね。ところが自主放送なんというのが入ってきますと、それはもう共同ではなくして、いまのあるやつを共同で見るというのじじゃなくて、新しい分野がここに開かれた、こういうふうに見るのが妥当じゃないですか。その場合、CATVのいままでの定義というのは変わらなければならぬじゃないですか。特に自主放送なんというのは、これはCATVじゃないじゃないですか、あなた方の言っているCATVじゃないじゃないですか。
  77. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) おっしゃるとおり、従来の共同聴取施設といま御審議をお願いいたしております有線放送業務有線テレビというものにつきましては、お話もございましたように、地方における、何と申しますか、受信者の方々が共同でアンテナをつくって、そして見えにくいテレビを見えるようにしたいという共同聴取施設と、それから今度お願いしておりますのは、都市における指定地区内におきましてこういった受信者が寄り集まって、というよりも、ほかの企業体が受信者に対してそういったサービスを提供しょうという、こういった施設考えているというところに、ほかにもいろいろ違いございますけれども、共同聴取施設と現在考えております都市における再送信業務有線テレビジョンとは違いがございます。
  78. 野上元

    野上元君 コミュニティ・アンテナ・テレビジョンの場合は、先ほど言ったように、これは明らかですね。現在の無線で送られている絵を、見にくいところがみんなで寄り集まってあるいは組合をつくったりして一つの共同アンテナを立てて、ここから有線で個々に見えるように分配しよう。これがいわゆるコミュニティ・アンテナ・テレビジョンのほんとうの姿ですね。そうですね。ところが自主放送というのは、今度これは違うのですね。いわゆるいままであるテレビジョンを共同のアンテナを立ててみんなに配るのじゃなくて、別の無線でない、有線一つの方法を考え出していく、そして見えないところにこれを自主的番組をつくってやっていくということになると、いままでの放送業務とは違ったいわゆる有線放送業務有線放送業務ということば自体に矛盾があるような気がするのだけれども有線によるテレビジョン、有線映画ですか、そういうものをつくる一つの方法である。したがっていわゆるCATVとはもう全然その性格が違うのじゃないでしょうか。新しい分野が開かれたのじゃないですか。
  79. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) アメリカにおきまするCATVの中にも、現在日本の地方において行なわれております共同聴取施設的な要素の強いものから発達をいたしまして、現在は都市において見にくいところを企業として見せる企業が発展してまいりまして、それをCATVと言うておるわけでございますが、自主放送につきましてはけさほど大臣からもお答えありましたとおり、この再送信業務とあわせて自主放送を行なっているのはアメリカにおいてもございます。これはやはりCATVという名のもとにおける施設によって行なわれているわけでございますが、自主放送のみを行なうという、こういうのはアメリカにも現在までのところ出ておりません。したがいまして、これをCATVと呼ぶかどうかということについては、アメリカでも問題があるかもしれませんけれども、私どもいままで聞いておるあれから申しますと、やはりCATVの中に属せしめられるのではないかと、こういうふうに考えておりますが、まあそういった難視聴の解消という観点から見ますと、おっしゃるとおり再送信業務と、それから自主放送業務とは違っておると、こういうふうに考えます。
  80. 野上元

    野上元君 そうしますと、電波監理局長としてのこの問題に関する認識は、いわゆるCATV、コミュニティ・アンテナ・テレビジョンと自主的に送られる有線テレビというものは根本的に性格が違うと、こういうふうに認識されておると言われるのですか。
  81. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) CATVと基本的に違うかどうかということでございますけれども、CATVの中で自主放送を行なう場合もすでに出てきておりますし、また、今後そういった自主放送だけを行なうCATVというものがアメリカにおいても起こるのでは——まあそれをもCATVと称するのではなかろうかと、こういうふうに考えておるわけでございますが、現在までのところ出ておりませんので、それを何と称するかはちょっと申し上げられないということを申し上げたわけでございます。
  82. 野上元

    野上元君 わかりました。  問いを変えますが、アメリカでCATVを何と言っているか私も知りません。そのことはもういいです。アメリカアメリカ立場に立って何と言おうが、それはかまわない。ただ問題は、日本電波監理局長として、将来の電波行政から見て、自主的に番組を編成をしてそして有線をもってテレビジョンを送ってくるというものは、従来ある無線によるテレビジョンとは全然性格の違うものですねということを聞いているのですが、その点はどうですか。
  83. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 似た点と違う点がございますが、同じように多くの方々に対して、放送番組といいますか、番組をつくって、そうして送る、またその社会的な影響が非常に大きいと、こういうようなことはあるいは有線放送におきましても同じだと言えると思いますが、技術的に、片や無線電波によって送られる、片やケーブルによって送られるということによります違いが基本的にはございます。ケーブルによって送られるということはどういうことかと申しますと、ガスだとか電気だとか、そういったものと似通ったように、何と申しますか、ケーブルをずっと各家庭まで引っぱり込むということによります一種の、事実上でございますが、独占的な形態をとる可能性が非常に強いというふうに考えておるわけでございます。そのほかにもいろいろ違いはございますが、一番大きなところはそういうところにあろうかと考えます。
  84. 野上元

    野上元君 無線の場合はよく国民の電波だと、国民の波だと、こういうことがよく言われますね。しかし有線の場合、国民の有線だなんということばはありませんね。どうしてそうなるのですか。結局、無線という場合は、いわゆる有限のもの、これを国民の福祉と利益のために分ける。そのためにはどうしても郵政当局のコントロールが必要、中央官庁のコントロールが必要になるだろう、そこにチャンネルプランというものが出てくる、これは私はわかりますがね。しかし有線の場合は有限のものじゃないですね、そういう意味では。したがって、有線で送るのに、何で郵政省が有限のものでないものをコントロールしなきゃならぬか、許可しなきゃならぬのか。そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。
  85. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 確かにおっしゃるように、電波と有線で送るという違いはございますが、有線によって送る、有線テレビ許可制にしなければならないという理由は、再送信業務にありましては、まあ再送信業務並びにこれに伴う自主放送、私ども原案に書いてあります業務におきましては、現在の状況におきましては都市において再送信業務有線テレビを企業としてやろうという機運が相当濃厚になってまいっておりまして、これをそのまま放置いたしますと、技術的にもあるいは経済的にも弱体の業者が乱立する、あるいは自分の、何と申しますか財政的に有利と申しますか、もうかる地域だけをやって、少しケーブルを長く引っぱらなければならぬようなところはサービスをしないというようなへんぱなことがあっては困るし、また料金にいたしましても、できるだけ均一な、低廉な料金で、しかも良好なサービスをする業者にやらせるということが必要でございまして、そういったことから、やはり許可制をとらなければならないという、受信者の保護のためにどうしても許可制をとる必要があるということで、物理的には、ケーブルでございますので、何本でも引けるかもしれませんけれども、これも先ほど申し上げましたように、事実上独占になる可能性が非常に強いわけでございますので、やはりそういったことをあわせ考えまして許可制をとる必要がある、かように考えているわけでございます。
  86. 野上元

    野上元君 この独占になる可能性が強いというのは、政府として独占にしたいということですか。
  87. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもの改正案におきましては、まあ再送信の場合をとって申し上げますと、地元における全部の放送を再送信しなければいけない、全時間変更を加えずに再送信しなければいけない、こういうふうに考えておりますので、したがいまして、一施設がある地域にサービスをしているのに、さらにほかの施設ができてサービスするということはあり得ないと、こういうふうな考え方でございます。
  88. 野上元

    野上元君 それは、何といいますかね、あなたのほうでそうかつてに考えられておるだけであって、国民のほうは、それは選択できるのじゃないですか。幾つあったって、いい絵で安い絵を流してくれるやつを望むのじゃないでしょうか。何も、独占になるはずだと言っても、ならないかもしれませんね。そうじゃなくて、あなたのほうで独占事業にしたいというのですか。
  89. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これを許可する場合に、先ほど申し上げましたようないろいろな観点から、最も何と申しますか、低廉な価格で良質なサービスをする能力のある業者に対して許可を与えませんと受信者の保護という面から遺憾な点が出てくると、こういうことから考えまして、どうしてもこれは許可制にしなければならない。あわせて、一たん許可すると、そういった事実上の独占の可能性が非常に強いということを申し上げたわけでございます。
  90. 野上元

    野上元君 あなたのほうでね、盛んに安くていい映画を送らなければならぬ、それはわかりますがね、しかし、それはだれがきめるのですか。その安くていい映画というのは、国民がきめるのじゃないのですか。国民の選択にまかせたらいいのじゃないですか。何もあなたの言うように、独占にならなければならぬ、なるだろう、それのほうがいいのだというそういう理屈は成り立たぬのじゃないですか。あなたが見ていい絵だと、これならよろしいと許すというのですか。
  91. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 理屈としては国民が選択し、そして次々に変えるということは考えられますが、実際問題として、一たんこういったケーブルを引いて、そうして相当規模の施設をつくるということになりますと、これはいろいろな、それに類するような施設考えました場合も、さらに別の業者が出てきて、そうしてこれにかわるということはあり得ることですけれども、実際問題としてなかなか困難ではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございまして、これをしようというわけではございません。ですから、これを許可する際に、非常にいろいろな面から慎重に考えて、受信者の保護という点に遺憾のない業者を選ばなければならないと、こういうことを申し上げたわけでございます。
  92. 森勝治

    森勝治君 関連して。  昨日私が地域独占になるのではないかという質問をしたときに、そうですと言っておりながら、いま他の業者が出る可能性があるなどということになると、一昨日の答弁と若干それは食い違ってくるんじゃないですか。どうですか。一昨日はそういうのは認めない方針だとおっしゃっているわけでしょう。きょうの野上さんの質問で他の業者も出現するかもしらぬと、こう言っているのですよ。ちょっと違うんじゃないでしょうかな。私の記憶違いでしょうか。
  93. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほど申し上げましたのは、理屈としては、そういうことがあり得ると、こういうことでございますけれども、一昨日も申し上げましたように、事実上独占の形になる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  94. 野上元

    野上元君 それは事実上独占になるというけれども、あなたのほうで、そう独占にしようとしておるのでしょう。もっと具体的に聞きましょうか。たとえば、あなたの指定地域にCAテレビ許可申請がきた。それで一つ許可した。二つ目がきたら、二つ目許可しますか。しないでしょう、するのですか。
  95. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 事実上できないと思います。
  96. 野上元

    野上元君 それは許可しないんですね、もう。そうすると、あなたのほうで独占をここにしこうとしておるわけですね。
  97. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 具体的な問題になりますと、いろいろな場合が考えられますが、非常に価額がいままで考えていたものよりもぐんと安いとか、いろいろなことがあれば別でございますけれども、実際問題として、そういうことは私どもはできないということで、これは独占にならざるを得ないし、一たん許可すれば二番目のものは許可しないと、こういうことになると確信しております。
  98. 野上元

    野上元君 一般の放送の場合は、放送法というものがあって、あるいはまた電波法というものがあって、いわゆる放送コードというものがありますね。こういうものをやってはいかぬ、あるいはこういうものでなければならぬというふうに一つ規制がありますわね、波を流す場合に。今回の場合はそれは適用するわけですよね。いわゆる放送コードというものは適用する。その上にさらにあなたのほうで見て許可するわけですね。番組がいいとか悪いとか、いわゆる低俗でないとか、低俗というのはあなたのほうで検査して、それであなたのほうでそれを認めるとか、認めないとか、許可するとか、許可しないという一つ判断をするわけでしょう。そういうふうになりますか。
  99. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 具体的な番組の問題につきましては、現行法の第四条によりまして放送法の四十四条の三項の準用が行なわれておりますので、その条文によりまして政治的公平その他が準用されることになっております。現行法でそうなっておるわけでございまして、今回の改正につきましては、その点には触れてはおりません。
  100. 野上元

    野上元君 そうしますと、何といいますか、郵政省へCAの申請があった場合に許可する。許可するときの条件の中に、どういう番組を報道するのだとか、どういう計画持っているのだとか、どういう財政内容なんだとか、いろいろ申請の内容出させるわけですね。それを見てあなたのほうで判断して、これならばいわゆる放送法に合っておるし、よろしいということで判断するんですか。その点はどうなんです。
  101. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) こういった許可の申請が出てきた場合の審査の基準につきましては、今度の改正案におきまして、かくかくしかじかということで、業務区域が適当なものであるとか、あるいは対価が適当であるとか、あるいは技術基準がどうだとか、経理的基礎があるとか、その他業務を的確に遂行する能力があるかどうかというようなことを見ることになっているわけでございます。
  102. 鈴木強

    ○鈴木強君 関連。いまのこれから実際に各地域にどういうものを許可するかということの関連ですが、あなたは独占だと、こう定義づけているのですね。私はそれはおかしいと思うのです。独占だ、じゃだれが独占するのかわかりませんけれども、しかし、これは独禁法の関係も出てくるかもしれないし、少なくともだれがやろうとして申請しようとこれは自由なはずですよね。ただ実際に将来の施設を利用して便益を享受する各個人加入者の立場から見ると、たとえば一つのほうがいい場合と、二つのほうが競争があってなおいいサービスができるという、そういう点とあると思うんですよ。だからしてわれわれはUの免許のときにも、いまある局の上に、Vの上にUを認めることは、実際問題として二つ認めることがいい面と悪い面とあるだろう。もし二つ認めることによって経営的に成り立たなくなる。悪質な、低俗な番組を送ってくるということになった場合には、二つやることによって、むしろ国民から見ると放送によって便益を、利益を受けるということがダウンしてくるわけですね。だから二つやったほうがいい場合と一つやったほうがいい場合とあると思うんですよ。だから頭から、これからどこに運営させるか知らぬが、あなたの言うように独占という定義をしたことは私は誤りだと思うんです。今後、認可権は大臣にあるわけですから、これは私はまたあらためて質問しますが、その認可権をいただく場合の手続についてはあるけれども、そのときに、実際のその地域の実情等を勘案して二つやったほうがいい場合もあるだろうし、一つでやったほうがいい場合もあるだろうし、ケース・バイ・ケースで加入者の数とか経済発展の度合いとか、文化の程度の向上の度合いとか、いろんなものを勘案してやっぱり私は二つある場合だってあると思うんですよ。それをあなたの言うように独占してだれかが一人でやるんだということは、これはちょっとおかしいと思うんだな、法律的に。それならそれは法律的にどこかにちゃんと書いておかなければいけないと思うんですよ。これは重大な問題だと思いますね、私は。
  103. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) おっしゃるように、申請につきまして一社しか出してはいけないとかなんとかいうようなことはどこにも書いてありませんし、私どももそういうことを意図しているわけではございません。また、一地区において絶対に一つしか認めないかどうかということについては、法律的にどこにもそういうことは書いてございません。したがいまして二つでも三つでも受ける、こういうことになろうかと思いますが、現実の問題として、経営的基礎その他の点から考えまして、大体は一つ業者が一地区をやっている場合に、これも相当広範囲にわたる地区でないと成り立たないということ等から考えまして、経営的に見ても、一社がやっている上に、さらにほかの社がやるということは、これは高い金を出してもやるんだということになる場合は別だと思いますけれども、常識的には、一社がやればそこのところに入り込む余地というのは非常にむずかしく、率直に言うならば、できない状態になるんではないかということで、事実的に、独占的な形になるんじゃないかということを申し上げたわけであります。
  104. 鈴木強

    ○鈴木強君 それでちょっと私はもう少し聞きたいんですが、自主規制の問題が自民党の修正で出たわけですね。それはそれとして、将来の日本放送というものが、電波から都市は有線に移行していくだろうということも一つの情勢の中にはあるわけです。だから、当面新宿のケーブル・テレビジョンですか、ああいうものが発端になったわけなんだが、四十や五十のものがどういう有線放送をしているかどうかわかりませんけれども、そして初期の段階において、それでは自主規制をすることについていいか悪いかという論はありますよ、これは。もう少し発展の度合いを見てある段階法律の整備をしたらいいじゃないかという論と、それよりもやはり当初から法律を整備しておいたほうがいいじゃないか——われわれが考えるのは後者なんですよ。要するに、最初からこれに対する秩序というものを確立したほうがよろしいという、そういう判断です。ですから、将来私はもっとふえて二百も三百もなると思うんですよ、アメリカのように。その発展を考えた場合のことも想定しながら話をしているわけですからね。ですからあなたのように何かもう独占なんだということを先に打ち出されてしまうと問題があるというのですよ。私はだから独占ではないんだ、しかし、実際に認可する場合にその地域の実情によって二つがいい場合と一つがいい場合と考えられますね。二つがいい場合には、二つやったらいいですよ、一つがいい場合は一つやったらいいんですから。そういうことはその地域の実情に応じて大臣が電波監理委員会にでも諮問するという方法も考えてもらって、そこで判断すべきであって、いま何本になるかわからない初期の段階において話をあなたしているわけです、ぼくはもっと遠い将来のことを考えてやっているわけですから。これは二つになる場合もありますよ、それはいまからもうだれが独占するかわからぬけれども、一カ所にやらせるんだと、一つにやらせるということはおかしいじゃないか。そうすると、今度はNHKの共同聴視の方法と有線、ケーブルテレビとがごっちゃになっているわけですから。NHKは少なくともそれを共同アンテナを立てて見えるようにするだけの責任を持っている、全国どこにでも見せる責任があると思うんです。民放とそこがちょっと違うと思うんです。だからそういう意味合いにおいて、これが非常に目先のことだけを考えて私はならぬと思うんですよ、将来の展望に立っての制度ですからね、とぼくは思うわけですよ。だからあなたが頭から独占、独占だということはわからぬ。それなら法律でちゃんと規制でもしておかないと問題ですよ。独占じゃないんだと、ただ結果として、そういう形になるかもしらぬし、あるいは二つになるかもしらぬということは、今後大臣認可の段階で地域の実情に応じてやるんですということにならないとおかしいじゃないですか、憲法違反ですよ。
  105. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) お話のとおりだと思います。これは運用の面から申し上げますと、こういうことにもなると思うんです。さしあたりは全国数地区を指定地域にいたします。そうすると、たくさんの申請が出てくると思います。法律ではこれは公益法人であっても、あるいは営利法人であってもいいと、こういうことになっておるわけですから、公益法人で出してくる人もありましょう、あるいは株式会社で出してくる人もあると思います。ただしかし、われわれが希望し、またこの法律を審議していただいております理由というのは、視聴者の利益を保護していくと、そしてできるだけ負担をかけないで難視聴地域を救済していく場合に、視聴者の権利が十分保護されると、こういうことが法律の趣旨でございますから、われわれといたしましては、運用の面でNHK、民間放送業者あるいは電力会社、電電公社あるいはまた電機メーカーと、こういうふうな関係の事業者、さらに地方の公共団体、自治団体ですね、こういうふうなものが入ってくるということが望ましい、そういう形での公益法人が望ましいということを考えておるわけです。また、そういう公益法人であれば、利潤追求ということを考えないで、実際は実費でやっていけるのではないかと、こういうふうに考えております。さしあたり試算をいたしますと、大体二万前後の規模にいたしまして、加入費を一万八千円ぐらい、そうして維持費も大体三百円前後あるいはまたそれ以下と、こういう程度は可能ではないか、またそこに持っていくべきではないか、実はこういうふうに考えておるわけです。ですから、それに対抗してやれるところは、なかなか現実の問題としては出てこないと。その意味においては、現実の問題としては独占の結果になるであろうと、こういうことを局長は言ったのですが、現、実の問題といたしましては、さらにその技術が進歩いたしまして、たとえばある人が非常なすぐれた発明をして設備費ももっとうんと安くただに近いような価格で、あるいはまた維持費もその何分の一かでサービスできると、あるいは絵もそれ以上鮮明に送ることができると、だから自分はやりたいのだ、こういうことであれば、その場合は、これは当然また考えなければならぬ、こういうふうに考えます。そういう意味もございまして、理論的には一応いろいろな形が考えられるけれども、しかし、当面は現実の問題としては地域独占、一社で一応スタートする、こういう意味を局長が申し上げたのでございます。
  106. 森勝治

    森勝治君 大臣のただいまの答弁は、鈴木さんの反論に寄せる答弁というものは一昨日の私に対する答弁と非常に懸隔があります。それは、いま私は、先ほど関連の問題で質問いたしましたときにも、野上委員の質問にも答えて地域独占を形成するのだとも言っておるのであります。私は、一昨日こういう質問をしているわけです。電気、ガス事業と同様に事業免許制とするならば、これは地域独占の形を形成するのではないか、こういう質問に監理局長が答えられて、私の記憶によりますと、法的にはそういう規制はないが、形としてはおっしゃるとおりであります、こう言われた。一昨日はそれで済みました。ところが先ほどの野上委員の質問に答えて、地域独占ということを明らかに公言されました。これは一昨日の私の質問をきょう再び裏打ちした形になるわけであります。そこで、鈴木委員の質問要旨はお聞きのとおり独占という形はおかしいではないか、数社いわゆる競合という形をとるべきではないか、こういう主張をいたしたわけであります。そしたら大臣はさっそく答えて、おっしゃるとおりであります、ということばだとするならば、郵政当局考えは那辺にあるや、その場限りの答弁に終始する事なかれ主義がある、私はそういう印象をぬぐい切れない。たとへば法制局の第四部長からの先ほどの御答弁にもありましたように、私どもあまりサゼスチョンしたことはないと言うけれども、その辺が非常に、法制局の反対というか、まあ意見、郵政の意見、初めから出そうとしたのだが、それは出すというのは、無理だろうというので出さなかったと言っているわけですね、そうでしょう。それは出さなかった。ところが修正されてと言う、その前には、そういう発言を、その点についてもしなかったわけですね、それなら初めから出せばいいじゃないかと言ったら、出さなかったと言ったはずであります。そういうふうにその場のがれの答弁であっては、まことにわれわれは迷惑至極であります。迷惑至極ですから、いま大臣がおっしゃったように、鈴木委員の関連質問に見られるごとく、競合させる、大臣がいま後段でいみじくもおっしゃった、将来優秀な器具、機材あるいはそういう施設を発明したら、それはまた競合をすることもあるでしょう、それは将来の仮定であります。かりそめにも法案を出されたものにつきましては、そういう将来の仮定に向かってのものではない、現実のものでありましょう。これが法案が実施になり、即日公布になれば直ちに出願をする向きもあるでありましょう、株式会社あるいはそちらでお望みの公益法人、いろいろ形はあるでありましょう。あるでありましょうけれども、どうして、そういうようにその場限りの、前の答弁に責任を持たないのですか、前の答弁を打ち消すならばそれでもよろしい、前の答弁を打ち消さない限り、大臣のただいまの答弁、私はどうしても合点がいかない。
  107. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) それは、そう割り切って話をされると非常に困るのでございますが、結局きのう申し上げましたのは、さしあたりは、当然地域独占という形で現状においてはスタートせざるを得ないし、またスタートするだろうと、しかし、科学技術の進歩というものは日進月歩であって、想像もつかないような形で進歩しておると、ですから非常に大きな発明がされた、そして現在の経費の数十分の一の負担で、それが実施できるような発明がかりに出ますと、そうして、それでやりたい、こういうことになりますと、事情が根本的に変わるわけですから、ですからその場合には、やはり視聴者の利益というものを考えまして、当然また新しい角度からそういうものをやらせるということを検討せねばならぬと思います。あるいはまた、すでに営業をやっております公益法人との間に話し合いができて、それじゃわれわれのほうで引き取ってあなた方の権利を買いましょう、そして実際は数十分の一に下げましょう、こういうふうに話が成立して、あるいは地域独占という形が続くかもわからぬと思うのです。ですから、おととい申し上げましたのは、さしあたりは地域独占という形でスタートするであろう、こういうことを申し上げたわけでございまして、別に矛盾するとは考えておりませんが、もし矛盾する点がありますならば、本日の答弁に変更させていただきます。
  108. 鈴木強

    ○鈴木強君 同じ党からの発言ですから——森さんが、私が何か数社に許可すべきだという前提に立って話をしているように言われたのですが、そうじゃないのです。私は法律というものはやはり一度つくりますと、それが将来、事情の変化によって変わることはありますけれども、やはり将来展望の上に立って法律はつくられるべきものだと思うのですよ。あなた方のほうで聞いていると、独占だ、独占だと言うから、独占だということをもう基本にするならば、どこか法律にでも書いて規制しなければ、問題が起きますよ、これは憲法上からみても。したがって、実際にいま幾つか知らぬが、少ないCATVの場合、それに数社をやるということは実際問題として不可能かもしれないが、しかし、地域の実情によって、一つがいい場合と、二つがいい場合とあるだろうと思うのです、今後の発展の場合に。これは百年先を考えているのです。十年先、二十年先を私は考えて言っているのです。そういう場合に、頭から独占だということはおかしい。NHKは私は少なくとも放送法に基づいて、どこに住んでおっても、NHK放送が見えるように快適な電波を送る責任があるわけです。だからNHKが責任を持って、これをやるのだという前提があるわけでしょう。たまたまこれにCATVというものが入ってきたものだから、有線放送が入ってきたから、じゃそこで民放も入れたり、どこも入れたりという話になってくると思うのです。そういう私は立場に立っているわけです。いま直ちに二つ三つそこにできるかというと、そんなものはできない。これはよくわかっているわけです。だから、法律、制度上の問題としてやはり独禁法と憲法関係その他を考えてみると、あなた方が独占というものを規定しちゃって、それで話をしているから、ぼくはそれで問題を提起したのであって、実際問題としては、将来の展望の中では、大臣のおっしゃるようなことも、これは時代の趨勢の中であっていいと思うのです。だったら、ぼくら山梨県のあの小っちゃいところに二つも放送局つくられて、経済的に成り立つかどうかずいぶん疑問に思っています、いまでも。そのことがいいのか、一つがいいのか、これはやはりいろいろ問題がありますよ。ですから、決して一つじゃなければいかぬということを規定すべきではないとぼくは思うのです。そういう意味において、実際の問題としてケース・バイ・ケースで御認可になるのでしょうけれども、頭から、独占でもう各地域一つしかつくりませんということを言うことはおかしいですよ、こういうことを私は申し上げておるのです。だから森さんの言っているのと、私の言っていることは違ってないのです。だから結論的には、大臣のおっしゃることを了解したのです。こういう意味です。
  109. 森勝治

    森勝治君 大臣が再度にわたって鈴木委員の質問、私の質問に答えられて、釈明された趣の御答弁があったものですから、私は議事進行上、今日の段階においては、これはやむを得ないものとやや了解をいたします。しかし独占する、いわゆる地域独占かいなかということは、非常にこれは重要な要素を持っております。こういうものを、先日の委員会では独占だと明言し、今日ただいまも明言していながら、他の角度から追及されると、今度は独占じゃございませんといって取りかえるような、そんな不見識な提案ならば、私はそれはやめてもらいたい。全く迷惑千万この上なしであります。したがって、私は関連でありますから、これ以上言いませんが、どうかひとつ、質問者が変われば手のひらを返すごとく思想を変えた、豹変をした——あえて豹変ということばを用います。そういう御答弁はいただけない、無定見のそしりをまぬがれませんから、どうかひとつ当委員会の権威のある審議の成果をわれわれは求めてここに参加しているわけです。もし少し責任のある、き然とした的確な方針、特に、そういう地域独占かいなかなんていう問題は、なかなかデリケートであって、及ぶところ社会的にも影響が大でありますから、どうかあなたが郵政省とも十分幹部会議等も開いて、ひとつこれからは慎重な御答弁をいただきたい。そうでなければ信用できません。このことだけ一言私は申し添えて、これについてはお答えいただきません。私の意見を申し述べて、私の関連質問を終わります。
  110. 野上元

    野上元君 いまの論争を聞いておりますと、郵政当局としては、法律論行政指導をごっちゃまぜにしているようなものですね。法律的に独占なんていうことを規定できるわけの問題ではないでしょう。そうですね。ところが、あなたのほうは、行政指導で何とかそれをやろうとしているわけです。しかし、私たちが心配しているのは、その先を読んで、かりに、行政指導してもいいです、それでたまたま一地区一つ許可をした。しかし、第二のやつがやはり出てきた。この新たなのは不許可になった。これが裁判ざたになって、あなたは勝つ自信があるかどうか。負けるということになると、そうすると、ここに出てくるわけですね、株式会社が。営利を追求する者でも何でもいいです。とにかく出てくる。第二の会社が出てくる。第二の会社が出てくるということは、第三の者も第四の者も出てくるということですね。そういうことになるわけですな。そういう法律の根拠はあるというのです、これには。そうでしょう。それについて、あなたのほうは、自信があるかどうか。その点はどうです。一つで当面は押えられる自信があるのですか。
  111. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 法律上は、先ほどから申し上げておりますように独占ということはどこにも書いてございませんので、結局申請も、いろいろ申請がございますでしょうし、当面としては、比較考量をいたしまして、一社やるということに結果的にはなるのじゃないかと、私ども考えております。
  112. 野上元

    野上元君 仮定の問題ですけれども、しかし可能性を持った問題ですから、その点は相当慎重に考えていかないと、とんだことになってしまうというように心配するのです。  そこで私は、あなたの意図はわかります。大体再放信が主だったったんですね。要するに難視聴地域の方々に、すでに送られている電波が見えないのじゃ気の毒だ。したがって、今日の状態の中で、平等に福祉を享受してもらいたいというのが、いわゆるCATVのそもそものスタートなんですね。ところが、そうだとするならば、いまあるのはもうこれは私に言わせれば造反有理だ。これはNHKにも私は民放にも責任があると思う。こういう状態になることがわからなかったという業者は、私はおかしいと思う。いつまでも難視聴地域といったら、山の陰だなんていう考え方は、もうすでに地下街もできているのです、ビルはどんどん建っているのです。当然手を打つべきであったのです。それを打たないから、こういうことになった。電電公社の有線放送電話と同じだよ。やらなければ必ず国民は自衛手段を講ずるのです。それに対してあなた方は許可するとかせぬというのは、越権行為だと私は思うのです。造反有理だ。この造反には理屈があるんですよ。だからこそ、こういうものが出てきているんですね。だから、これはこれでしかたがないとして、むしろいまNHKもあり、民放も大きなものがあるのだから、再放信が主であるならば。これを使ってやるべきだと思うのです。それをなぜ使わないのですか。私ら話を聞いていると、NHKにそこまで負担させるのは酷だ——かってにそれを郵政省きめているのじゃないですか。NHKどうなんですか。あとで聞きたいと思うのだが、NHKやるというならやらせますか。いまの放送法じゃやれないのですか。やれなければ、放送法改正しなければならぬ。とにかくいずれにしろ、筋の通ったものをつくっておかないと、先ほど言ったように、この法律は非常に抜け穴がある。したがって、もう乱立ということは十分考えられます、これは、将来はね。そうなった場合には、もうばらばらになってしまうが、それでもいいのか。それともあなたのほうでは、そういう乱立は困るのだということであるならば、あるように、現在の大きな事業体を使って完全にそれをやらせればいい。たまたまNHKはその義務があるのですよ。どこまでも電波を届けてやらなければならぬ、そうして、国民にこれを享受させなければならぬのだという義務があるのですね。だからこそ、カバレージが九五%になった、九六%になったといつも報告されているわけですね。その義務があるNHKに免責しておいて、そんなものを押えるというのはおかしいと思うのです。それよりむしろ積極的にNHKに命じてやらせたらどうですか。責任あるのじゃないですか、NHKは。これについてNHKはどう考えますか。
  113. 佐野弘吉

    参考人(佐野弘吉君) 先般来当委員会でもしばしばお答えをいたしておりますが、ただいまのお説のような考え方で、当年度まず都市の難視も地方の難視と同様に、放送法第七条の精神に基づきまして受信できるような放送をいたすというたてまえから、積極的にこの難視の解決の衝に当たるという考え方を持ち、同時にこれを事業化いたしております。したがいまして、放送法上の解釈にもいろいろ御意見があるかとも思いますが、私ども現実問題の処理といたしましては、都市内のはっきりした原因がある場合には、旧来どおり原因者が負担をしてこのビル陰等を改善していくという考え方がもとより旧来どおり生きております。しかし同時に、最近の社会的な情勢の中でどうにも解決しがたいもの、電波の方向が遮断されて見えない、ビルが林立する、あるいは高速道路というようなことで、いかにも原因者責任主義を追及し切れないものは、これを解決することがNHKの公共的社会的使命を全うするものだというふうに考えて、いまお説のように当年度以降、積極的に都市の難視の解決も協会の使命の一つであると、このように考えております。
  114. 野上元

    野上元君 郵政省どうですか。
  115. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほどカバレージの問題が出ましたが、御承知のとおりカバレージは放送区域内の世帯数の全国世帯に対する比率でございまして、結局東京都市の世帯というのは、このカバレージに入っているのだと、こういうふうな考え方で現在まで処理しているわけでございまして、そういう意味からいえば、法律的にはNHKが、こういった都市における人為的な難視聴というものを解消しなければならないという義務を負っているというまでは私ども一は言い切れないのではないかと、こういうふうに考えておりまして、しかし、さればといって、NHKあるいは民放等がこういった難視聴をそのままにしておいていいかということになりますと、おいておくのは適当でないし、またNHKにおいても民放におきましても、こういった難視聴の解消に相当積極さを持っておりますし、かたがた再送信施設を使ってする自主放送というようなこともございますので、NHKNHK施設、民放は民放の施設、あるいはその他は、その他の施設というようなことになるのは適当でないのではないか。NHK、民放、あるいはその他関係者が一体となった公益法人によってやるのが最も望ましい、こういうふうに考えているわけでございます。
  116. 野上元

    野上元君 何といいますかね、難視聴地域というものが私はもう変質しつつあると思うのですよ。従来はいわゆる都市を離れた山の陰、あるいは電波の届かない遠いところ、これがいわゆる難視聴地域だったのですね。いまはそうじゃないのです。それもあるのですよ。それもあるけれども、そんなものはほんのわずかですね。むしろ将来はいわゆる都会のほうが難視聴地域なんですね。そうしますと、かりに先ほど話が出たように、あと十年も二十年もして東京、大阪間にメガロポリスができるとする。そうして人口の八〇%もここに住むとすれば、そうするとこの地域においてはNHKはいわゆるもう免責だ、いまの放送法上からいういわゆる無線でやるテレビについては、この地区は番組だけ流しておけばよろしい、絵だけ流しておればよい、各家庭にまで配達する必要はない、そういうなにももう免責しましょうということになると、NHKというのは一体それではどういうことになるのですか。あるいはいまある無線でやっている民放というのは一体番組編成局みたいなものであって、実際は全部有線がそれを受けて流していくということになる。そうしてNHKは、民放はいわゆる非都市の人口の過疎なところへ遠くへ絵を送ればよろしい、こういうことになる可能性がありますね。ということになると、NHKでも、民放でももう存在理由は、経営上から見る、財政上から見る存在理由というのは非常になくなるというふうに思うが、そういう点はどうなりますかね。
  117. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ずっと遠い将来を考えますと、あるいはそういった事態になろうか思いますけれども、私どもがいま頭に描いております都市難聴におきましては、電波による受信、電波の放送をしてそれを各聴視者が直接受信をするという、いわゆる放送の送受信というものは都市においてはなくなってしまうというところまではまだまだいかないというふうに考えておりまして、したがいまして、私どもは、NHKにいたしましても、民放にいたしましても、その使命が当面急に変わってしまって、いまおっしゃるようなふうになるというようなふうには考えておらないわけでございます。
  118. 野上元

    野上元君 あなたの理屈には断絶があるのですよ。そういうものは一挙にくるわけではないでしょう。徐々に浸透してくるわけです。発展してくるわけですね。それに全然手を打たないで、いよいよどうにもならいようになったときに手を打つという、そういう考え方ではあぶないと思うのですよ。とにかく、いまの電波法ですか、放送法ですか、これはいつできたのですかね。
  119. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 二十五年の五月でございます。
  120. 野上元

    野上元君 そうでしょう。それを昭和四十四年までほったらかしてあるのですから、そういう頭脳でやっていると、もう二十年たっていますが、そういうことをやっておれば、これはどうにもならなくなりますよ。そのことをやはりもう少し深く検討してみる必要があるのじゃないですか。そんなにいきなりメガロポリスができるとは私も思いません。しかし、できたときには、どうにもならぬような状態になる。できつつあるときに、もうすでに断続しないで連続的に手を打っていかなければ、幾ら断絶の時代だといっても、そういう設備というものはやっていかなければどうにもならぬのじゃないかというような気がするのですね。またNHKの存在を認めるとするならば、一挙にとてもできはしませんよ。徐々にやっていかなければ、これは財政的にもできないでしょう。これは民放でも同じだと思いますね。そういうことを考えてみると、何かこれの考え方に、非常にぼくは何といいますか、ずさんなものがあるような気がする。将来は私は海底に都市ができると思います。地上の資源がなくなれば海底に行くでしょう、無限の宝庫だと言われている。そこにも都市ができるでしょうね。そうなると、海底にはやっぱり引かなければいけない。これは無電は届きませんからね。将来は無線の領域はなくなるのですよ。全部有線の領域になってくるのですよ。それは前田会長は新しい波を必ず発見できると、こう言っているけれども、どういう波が発見できるか。海底の三千メートル、四千メートルの深くまで届くような電波が発見できるようには信じられませんけれども、そんなものよりも有線のほうが先に行ってしまう。そうなると無線のほうはどんどん……。特にNHKに免責したら、もう全然無線の領域なんかなくなって、NHKはそんなものは開発しなくても済むということになりますから、そうなれば存在の理由がなくなるというところまで私はいくと思うが、会長はどういうふうに思いますか。その点についてどういうふうに見ておりますか。
  121. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私はこのCATV——いわゆるアメリカ式のCATVについてはNHKは協力する考え方を持っているわけです。したがって、午前中、佐野専務からこの法律の最終的成立には賛成であると、しかし、問題があるということを申し上げたのは、そういう意味でございます。で、私ども立場考えますと、少なくとも、現行放送法並びに現行電波法との関連で、こういう新しい機能を持つ有線テレビというものが、きわめて限定された表現の形の中であっても、これが現行放送法における、まあ言い方が多少端的になりますけれども、現行放送法によって設立されたNHKの使命と責任というものを再検討されないで、この問題を一方的に論議を進めることは、私としては必ずしも賛成できないというたてまえをとっているわけでございます。単に、これは放送法の第二条であるとか、電波法の第二条の問題だけではありません。この項目は、要するに放送とは何ぞやという根本規定をしているわけでありますが、有線テレビとは何ぞやというものの規定との関連は全くないと、しかも、NHKの責任あるいは義務としての条文あるいはNHKの運営と関連する条文としては、放送法七条、九条、三十二条、四十四条等があるわけであります。これらとの関連で、この法律が、現実法律案が一応でも検討されたか、どうかという点に私はかなりの不安感を持っております。たとえば現在カバレージは九五・五%である。しかし、これは物理的カバレージであります。従来、物理的カバレージに重点が置かれて聴視者との関係というものが実際的に——ある意味では、形式的と実際的な問題を混同されて今日に至っている。実際事業者として、NHKの責任者として、率直に申し上げるならば私はそういう印象を持ちます。で、現在のところ、これからのいわゆるそういう意味での物理的カバレージの範囲外にあるものは四・五%でございますが、この四・五%の地域は、聴視者というものを中心にして考えますと、過疎地帯であるということが言えると思います。これに反しまして、物理的カバレージ九五・五%のうち、少なくともその三分の二は大都会を中心として存在する聴視者である。そういう点から考えますと、放送法の第七条は、実質的にはやはりこれに努力すべしという一種の方向を示しているものと解釈すべき事態ではないかと、このように私は考えるわけであります。したがいまして、すでに御承認をいただきました本年度の予算におきましても、いわゆる過疎地帯の対策と同時に、過密地帯の対策、都市構造の変化に応じた対策を行なっていくという事業計画及びこれに関連する予算の御承認をいただいているわけでございます。そういう意味では、私どもとしては、少なくとも現行放送法が現存する限り、私どもの任務は、ただ、これは何といいましたか、有線テレビ法律案だけに一切をまかせるわけにはまいらない、こういう考え方を持っているわけでございます。
  122. 野上元

    野上元君 いまNHK立場から放送とは何ぞやという定義をまずしてくれというと、まあ現行放送法ではさまっておりますね。しかし有線テレビというやつを、これを有線放送というふうに、これもまた範疇の中に入りつつある。こういうことになると、その放送というものに無線と有線というものができるというふうに一般の人は見るわけですね。しかしNHK立場から見ると、放送というのはあくまでも無線である。有線でやるのは、それはただ絵を送っているだけだ、いわゆる映画館だと、有線で送る映画館、各家庭に送る映画館、映画配給会社というか、そういうものになる、そういうふうにまあ私は聞いたのですがね、その点はどうです。そういうふうな解釈でよろしいですか、その有線と無線の関係は。
  123. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 絵の配給会社といっていいのかどうなのか、その点は私もちょっといますぐにお答えしにくいわけでございますが、全面的に都市における放送というものが、聴視者まで届かないということが前提になってしまいまして、全部NHK放送局から直接今度は線でずっとつながってしまうというようなことになりますと、これは確かに番組供給会社に近いようなかっこうになるかと思いますが、私は、今後二十年先、三十年先になりますと、これは先の話でございますので、どうなるかわからないことでございますが、今後は、おそらく放送につきましても、衛星による放送ということが行なわれてくるのではなかろうか。まあ最近におきましては、テレビは、できるだけ高いところに塔をつくってそこから電波を発射することによってできるだけ障害を解消していこう、こういう動きがあるわけでございますけれども、これも、二十年、三十年先になれば、今度は衛星から送られる時代になるであろう、そういうことを考えますと、NHKの現在の使命がなくなってしまうというふうには、私は都市においても考えられないのではなかろうか。これは私見でございますが、そういうふうに見ております。
  124. 野上元

    野上元君 私の言いたいのは、NHKに、都市における難視聴の免責をすべきでないと思うのです。あなた方はこの間の答弁で、そこまでNHKにやらせるのは酷だとか、技術的に見てもたいへんだとかということを言う必要はないと思うのですね。私は、放送法でNHKはあれだけの責任を持たされているのだから、ちゃんと、それをやらすべきだと思う。というのは、たとえばあなたのほうで指定地域をつくりますね、ここは難視聴地域である。しかしどこからも一つも、私のところでじゃ引き受けてやりましょうということが出なかった場合には、そこの人たちは明らかに難視聴地域のままでほったらかされるわけですね。これらの責任がないのですからね。そういうことになりますね。あるいはまた、たまたま申請があっても、何社か申請があっても、全部だめだと、これは低俗番組くさくてだめだ、許可できぬというような場合には、これもやっぱりだめなんですね。これは理屈かもしれません。理屈かもしれませんが、そういうことがあり得るわけですね、可能性はあるわけですね、全然ゼロとは言えないですね。さっきも言うように、二つも三つも乱立する可能性の多いところもあるし、全然ゼロの可能性もある。ということを考えてみると、私は、NHKに都市の難視聴地域の免責をやるべきでない。放送法というのは堅持していったほうがいいのじゃないかというふうに考える。というのは、後ほどもう少し議論を展開してまいりますが、将来の問題を考えてみると、そう考える。したがって、私は、NHKは、都市にどんなに難視聴地域でどんなにむずかしい原因不明のものがあろうとも、とにかく絵を送りなさい、それがNHKの使命なんだということを強くぼくは行政指導する立場にあるのではないか。またNHKは、それを受けて立たなければ企業は成り立たないと思うのですね、NHKとしての企業がね。都市を免責にしてもらってのほほんとしているわけにはいかないと思うのです。どうしてもやらざるを得ないでしょう。というのは、いままでの難視聴地域のような過疎地帯においては、これは経営上関係ありません。NHKはやりたくないかもしれませんね、経営上から見れば。しかし法律できめられておるから、やらざるを得ない。こっちはNHKはやらざるを得ないでしょう。やるならば、これを免責をするなんというのはとんでもない話だというように、私は考えるのだが、あなたはどう思いますか。
  125. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほど申し上げましたように、現行法の解釈として義務とは言い切れない、そういうふうに考えております。ただ、NHKの使命から考えまして、これを放置していいかどうかと、こういうことになりますと、これはやはりNHKは、そういった難視聴の解消に努力すべきである。ただ、この都市における難視聴の問題というのは、ただ単に、NHKだけの問題ではないわけでございますので、NHK、民放、その他関係業者の集まった一つの団体においてやらせる。公益法人によってやらせるのが適当ではないか。そういうことでNHKもその中に必ず入れてやっていくのがいいのではないか、こういうふうに考えております。
  126. 野上元

    野上元君 私は、そこが消極的だと思うのです。もっと積極的に考えたらいいのじゃないでしょうかね。現行法律がじゃましているわけでしょう、現行放送法が。これではNHK手が出ないということですか、いま。現行法で都市における有線を流すというわけにはいかないのですか、その点はどうなんですか。
  127. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 流すわけにはいかないというのではなくして、そういうことが義務ということは言い切れないと、こういうことでございます。
  128. 野上元

    野上元君 そうすると、先ほど言ったように、将来大都会がどんどんできてくると、ほとんどそれは義務がなくなるということになりますね。そうすると、あなたの言われるのは、やはり免責ですね、義務がないということは。
  129. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そういうことでございます。
  130. 野上元

    野上元君 そうしますと、放送法を改正しなければいけませんね。あまねくNHKは電波を流さなければならぬということはもう変えなければいけませんね。
  131. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この七条の規定は、そういう意味でございますが、九条の規定によりまして、いろいろな業務ができることになっておりますので、この中で、私はNHKが大臣の認可を受けてやることは一向差しつかえない、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、いままでも、地方における難視あるいは今後都市における難聴解消の一翼をになってやるということは、現在の第九条によってできると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  132. 野上元

    野上元君 そうしますと、都市における難視聴地域の解消にNHKが乗り出す場合には、それは大臣に新たに届け出をやればよろしい、こういうことですね。義務はないが、届けてやるならやってもけっこうだと、こういうことですか。
  133. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 第九条の大臣の認可を受けて、それから有線放送業務運用規正に関する法律による許可はもちろんこれは必要でございます。そういった許可を受ければよろしいということになるわけでございます。
  134. 野上元

    野上元君 そうしますと、いま大きなテレビ塔を立てるとかあるいはその他の方法をもってやることについても、都市の場合に難視聴地域の場合には、やはり一々届け出なければいかぬのですか。
  135. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これは施設の変更につきましては、届け出なければなりません。
  136. 野上元

    野上元君 その点について、NHKではどういうふうにお考えですか。
  137. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私は先ほども申し上げましたように、われわれの立場は現行放送法を基礎として考えますと、単に、七条、九条だけの問題でなくて、第三十二条の問題がございます。われわれは、聴視者から公平な負担をお願いして成立している事業体でございます。もし第七条がただいまのような御説明の限度でいいということになれば、私どもの企業体としては、事実上第三十二条の履行がきわめて困難になってくるということはまことに明らかだと思うのです。したがいまして、放送法上NHKの存在を認めた上での問題であるか、NHKの将来の変更を考えたからの立法であるか、この点について、私どもはむしろもっとはっきりした御意見を承りたいとさえ考えているということは申し上げられると思います。
  138. 野上元

    野上元君 これ、電波局長、どうですか。いまのあなたのような考え方だと、NHKの将来に重大な影響があるが、その重大な影響を考慮しながらあなたは発言されているのか。それとも単なる法律的解釈をされているのか。あるいは郵政省はそういう基本的な考え方の上に立ってあなたのような発言になったのか。電波監理行政として、そういう発言になっているのか。その点はこれは郵政大臣のほうがいいかな。郵政大臣から……。
  139. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) まず第七条の問題でありますが、「あまねく日本全国において受信できるように放送を行う」、こういうことが書いてありますが、これまでNHKはいなかのほうを除きまして、都会は全部受信できるように放送しておったと思うのです。ところが放送はしているのですけれども、その後ビルがどんどん林立する、自動車が激増して、そのための難視問題が起こってくる。それからいろいろな電気の施設が次から次へふえまして、その関係からも難視の問題が起こるというふうな社会の変化、経済の発展、こういうふうな次から次へ起こってくる目まぐるしい変化によって、受信できるように放送はしておるんだけれども、実際は次から次へ見えなくなってくる。こういうことが実情だと思いますが、その場合に、そういうふうな原因不明の難視問題が、次から次へ起こってくれば、その場合すべてそれがNHKの責任であるかどうかということを断定することはむずかしいのだと、こういう考え方で私たちはきたわけでございます。さればといって、NHKの責任かどうかということを議論ばかりしていないで、とにかく何らかの対策を考えなければならないということで、ことしは初めて都市における一万戸の難視対策を、約二億八千万円の予算を計上いたしまして、理屈抜きにして一応取りかかっているというのが現状だと思うのです。  ひるがえって私はNHKの現在の姿を見ますと、一番のこれまでのNHKの大きな義務であった日本国中にあまねく受信できるように放送するという問題でございますが、先ほど会長のお話にございましたように、まだ五、六%はカバレージできないところが残っているわけです。戸数にいたしまして百数十万戸残っているわけですね。これはもうどうにもならぬわけですね。NHKは、それに対しても、ことし若干の対策費を計上しておられます。しかし、その程度の対策費では、これは全部の解決をするには数十年——百年かかる。そういう程度のことしかいま進んでおらぬわけです。しかも九五・五%の中には、理屈の上からは見えるようになっているけれども現実テレビをそこへ据えつけてみると、実際はよく見えない。そういうところは幾らあるかわからぬ。相当数あるのではないかと、こういうふうにわれわれは実は考えておるわけです。とにかくNHKの義務は、そういうところをまず全力をあげて解消すべきである。同時にあわせて都市の問題も解決しなければならぬけれども現実の問題としては、昨年わずか一年で、東京だけで何とかテレビが見えるようにならぬかと言って相談を受けた人たちが約一万戸あるのです。相談を受けないところを入れますと、これは何万戸あるかわからない。しかも、毎年毎年全国的に激増しつつある。とてもNHKが一万や二万、都市における難視対策をやっておりましても、これは実際解決するには、いまのようなやり方では、相当な年月がかかるのではないかと、それではたいへんだと、世界の大勢を見ましても、アメリカにおきましても、ヨーロッパにおきましても、CAテレビというものを活用いたしまして、そうしてとにかくこの問題を急いで解決をしないと、国民全体が困るのだということで、アメリカはじめヨーロッパの国が、全部CAテレビによる解決方法と懸命に取り組みまして、先ほど申し上げましたように、アメリカではすでに四百万戸がCAテレビを加入し、英国におきましても、一昨年の統計でございますが、百四十三万という家庭がCAテレビを加入している。これはもう二百万戸をとっくに突破しておるのではないかと思いますが、そういうぐあいに、世界各国がCATVによって解決をしていこうと、こういう体制をとっておるわけでございます。したがいまして、日本におきましても、NHKの責任がどうだ、こうだということを議論することもさることながら、それよりも、何とか早く都市問題を解決しようと、こういうことからCATV問題が非常にやかましくなってまいりまして、このまま放置しておいたのでは、これはたいへんな混乱になるというので、一定の規律を設ける必要があるということで、御審議をお願いしておるわけでございまして、NHKの都市における免責問題というのは、責任がないと言い切るのは、これはいまの段階ではまだ疑問があるんです。責任があるか、ないか、これはまだ議論の余地の存する問題でございます。結論は出ておらぬ。そうして、いまのところは言い切れないんじゃないかということが大勢であろうというふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  140. 野上元

    野上元君 NHKに責任がある難視聴地域あるいはNHKに責任がない難視聴地域というふうに分けられておるんだが、それが私にはわからないんだな。たとえば、山の陰、あの山はNHKがつくったわけじゃないね、別にNHKにあれは責任があるわけじゃないでしょう。しかしNHKはこれをやらなきゃならぬ、放送法上。ビルが建ってもNHKが建てたのじゃない。しかしやらなきゃならぬのじゃないですか、放送法上は。NHKとしてはどうお考えになっていますか、その問題については。
  141. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 先ほどもきわめて原則的に申し上げましたが、私たちとしては、やはり責任を感じておるわけでございます。そうして私どもの解釈と申しますとおこがましいですが、第七条は昭和二十五年ないし六年の時期においては、あるいはこの法律はそれを予想しなかったかもしれませんけれども現実の時点で、第七条を解釈する場台にはやはりそういう問題が含まれるのではないかというのが私どもの見解でございまして、これは、私どもがそう考えているという限度かもしれませんが、したがいまして、私どもは別にこのCATVそのものに反対しているわけではございません。したがって、この有線放送業務の第一項については積極的に御協力申し上げるという考え方でございます。ただ、諸外国の実例を私も非常に正確に知っているわけではありませんが、イギリスの場台にはBBCの放送は必ずクオリティを下げないで、そのCATVは放送しなければならないということになっております。アメリカの場合にも公共放送はございませんが、現存の放送局を含むエリアにつくられるCATVは、その局の意向を体してこれを放送すべきだということになっております。フランス等においては、もっとはっきりしておりまして、CATVはフランス放送協会の許可を受けるということになっております。そういう意味で、私は申し上げているわけでありまして、この有線放送業務全体に反対という意味ではございません。これは午前中に佐野理事が結論的に申し上げたように、同調する、しかし幾つかの問題点が残っているということを申し上げたわけです。われわれも、これから数年間に非常に拡大、高度化する新しい都市の構造に対して、ただいま郵政大臣もおっしゃいましたように、一挙にこれを解消するという手は考えられません。しかし三十二条は明らかにNHKの存在の基礎となる財政を規定しているわけでありまして、この実際的面から考えても、NHKが聴視者と直結したサービスをする、そのサービスということの中には、もちろん主たる目標は受信条件の改善でございます。これについてNHKが全く責任ない、あるいはNHKはかわいそうだという御同情は受けたくないというのが私どもの精神でありまして、したがいまして、今年度計画では微微たるものではございますが、自主的にやるぞという意欲を盛りまして、御承認をいただいたわけです。ただこれだけが方法でない、したがって、純粋のCATV部分については、NHKは積極的に参加するという意思表示を従来からいたしているわけでございます。
  142. 野上元

    野上元君 大臣が代表して答弁されたので、それはそれでいいとしますが、日本の場合、大臣はあまり長くおやりにならない。結局、事務当局がすべての行政を指導していくということになっていますからね、その点、非常に私たち心配しておるんだが、たとえば電波局長が言っておられるような考え方で免責なんだというふうにはっきりそういう認識の上に立っておるということになるというと、将来NHKがいま前田会長が言ったような考え方で予算を組んできたときに、この都市におけるこういう設備は要らぬ、これは有線でよろしい、こういうことになる可能性はないですか。それのほうが理屈に合っていませんか。免責ならばという考え方を持つならば。
  143. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほど免責とはっきり申し上げたのは割り切り過ぎている表現でございまして、私どもは義務ということは言い切れない、こういうふうに考えておりまして、確かに先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、従来の解釈を申し上げると、先ほど私から申し上げた解釈でございますが、これについても、確かに実情に沿わない点が出てまいっておりますし、この解釈について今後検討して、そういった実情に沿わせるように考えていきたい、かように考えております。
  144. 野上元

    野上元君 私は先ほどひとつ将来の考えを述べたんですが、将来テレビジョン放送でも、あるいは電波でも、無線による放送というのは、だんだん狭まってきて、これは特殊なものになってきて、一般の大衆を相手にするものは有線の分野が非常に広くなってくるのではないかというふうに考えているんです。私は実はそう感じておるんです。先ほど、その理由は申し述べましたが、いわゆる都市におけるビルの林立あるいは地下街のはんらんあるいは海底都市ができるということ、というようないろいろなことを実は頭の中で考えてみたんですが、そうすると、無線よりも有線というふうに考えてくるということになると、有線テレビというものの持つ意義というのは将来は非常に大きなものになってくるのではないかというふうに考えるんだが、その点の私の認識について、あなたはどういうふうにお考えですか。
  145. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私も、お話のとおり非常に大きな比重を占めてくるだろうと思います。
  146. 野上元

    野上元君 そうしますと、いまの放送法、電波法では、この急激な革新が行なわれるエレクトロニクスの世界に対処することができなくなると思うんですが、改正しなければならぬと思いますが、その点はどうですか。
  147. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この解釈につきまして至急検討いたしまして、これを直ちに改正しなければならぬかどうかということにつきましても、関係の向きもございますし、まず省内で検討いたしてまいりたい、かように考えております。
  148. 野上元

    野上元君 これはテレビもなかった二十五年につくられた放送法なんですからね、改正しなければならぬかどうかを、いまさら郵政省で検討しなければ、それは出てこないですか。
  149. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほど申し上げましたように、解釈論として、そういうものを含むかどうか、含み得るかどうかということがひとつやはり検討すべき問題だと思います。
  150. 野上元

    野上元君 私は、解釈論でやはりやるのはあぶないと思うんですよ。やはりはっきり将来を見通したものを誤りのない定義をして、その上に、やはり法律というものはつくられていくのが正しいんじゃないかと思うんです。昔の法律を解釈して演繹して、これを適用していくというやり方は明らかに私は邪道だと思うのです。正当ではないと思うのです。したがって、もしも必要であるならば、大胆率直に、改正しなければならぬところは改正しなければならぬと思うのですが、問題はどう改正するかが問題なんであって、いままでの放送法で現在を律しされないということはもうだれにもわかっているわけです。それは犬小屋に馬を詰め込むようなものでとても入らない。足もしっぽも頭もみんなはみ出して、どこが入っているのかわからぬけれども、頭だけ入る——どこをどう改正するかということが問題なんであって、どこをどう検討すると言うのならわかるけれども、改正する必要があるかどうか検討するなんて、そんなことをいまごろ言っていると、私はさっきもあなたに大きな声を出したけれども、そんな電波行政じゃ困ると思うのです。その点についてはどうですか。
  151. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この点を直ちに改正しなければ、そういった解釈が生まれないかどうかということについて、省内でも検討しなければなりませんし、関係の向きとも打ち合わせしなければなりませんし、そういったことをした結果、改正するかどうかという結論を出して、次の機会に持っていきたい、こういうふうに考えている次第です。
  152. 野上元

    野上元君 とにかくすみやかに慎重に対処するような方向で検討してもらいたいと思います。私の希望を申し上げておきます。  それから、これは少し私の論理が発展していくかもしれませんが、いまのテレビのあり方について、私は私なりに実は考えておるわけですが、ある学者に言わせると、未来学者に言わせると、将来——将来といってももうあと十年ぐらい先に、たとえばフランスに一九八五年委員会というのがありまして、これが未来の青写真をいまつくりつつあるのです。その中間発表によりますと、フランス人は大体七十万時間生きるであろう、その中の働く時間は大体四万時間ぐらいだろう、こう言っておりますね。私は、フランス人が二十から六十まで働くとしてちょっと計算してみたのですが、私なりに、そうすると、一日どのくらい働くかとみたら、大体二・二、三時間ないし五時間ぐらい働けばよいということで、あとの二十何時間というのは寝てもよし、何でもよろしいという状態になるだろう、こういうのです。したがって、フランスにおいてさえ一九八五年にはそういう状態がくるということになれば、アメリカはもっと五年か七年先にそういう状態がくるだろう。したがって、レジャーというものの考え方というのは、観念というのは全然変わってくる。そのときには、たとえば一日二時間働いてあとはもうフリータイム、これはレジャーじゃないのです、フリータイム。したがって、むしろレジャーと労働が逆転するだろう。労働のほうがストレス解消になるのじゃないか、そのほうがレジャーみたいになるのじゃないか、そしてフリータイムのほうが、もう非常な退屈でどうにもならぬ状態になるのじゃないだろうかというふうに言われているわけです。その場合、いまのようなテレビで朝から晩まで同じような毎週同じようなことをやっておって、二十時間も見せられてそれこそストレスの原因になりはしないか。テレビがストレスの原因になりはしないか。だからテレビも早くそういう事態をキャッチしてこれに対処していかなければならぬ。でなければ、テレビのためにストレス患者が一ぱいふえてくるというような状態になるだろう、こういうわけです。それが一つと、もう一つはレジャー、いまのレジャー、いろいろあるというのですね。大別して二つある。感覚的レジャーというものがあるというのですね。たとえば音だとか、色だとか、そういうものによって自分の情緒を変えていく、感情を変えていくというような一つのレジャーがある。しかし、それはもう非常にレジャーという貴重な時間——レジャーも貴重な時間であるわけです。ところが、もうレジャーがレジャーでなくて、退屈でしょうがないような時代になると、そんな覚感的なレジャーというものはレジャーにならぬ。ストレス解消にはならぬ。むしろ知的レジャーというものがふえてくるだろう。要するに知りたいということですね。情報社会になるのですから、知りたいということが、非常に大きな欲望になってくるだろう。知らないということは非常な不安だ。したがって、知らないことは不安だからストレスになる。したがって、これを知らせなければならぬということは、それが教育になるかどうかは別ですよ。とにかく、知らしめる一つのレジャーというもの、知的レジャーというものがここに生まれてくるはずだと、こう言うのですね。それにもうすでにテレビは対処していかなければならぬ。このテレビが対処していくためには、どうしたらいいかというと、いまの商業通信ではそれがなかなかできない。どうしてもできない。視聴率というのですか、聴取率というのですか、ああいうほうにばかり気をとられてできないのですね。そこでアメリカでもやはり国家が金を投じて、金は出すが口は出さないというテレビ会社をつくろう、そうして、いつまでもコマーシャルばかりやっておるものは困るのだと、したがって、ここに何というのですか、知的レジャーを提供しようじゃないかというふうな動きがすでに出つつあるといっておるわけですね。それを日本に当てはめてみると、日本は幸いNHKがあるのですね。私は将来、日本NHK放送番組は知的放送番組に編成がえをしていかなければならぬというように考えるわけです。と同時に教育の面に力を入れてもらわなければならぬ。というのは大学が今日紛争しておりますね。これは優秀なプロフェッサーが非常に少ないということですね。そうして、学生はもう百五十万になった。あと十年もすると、三百万くらいになるというようなことになってくると、ますます優秀なプロフェッサーが少なくなってくる。これを補うものは何かというと、コンピューターであり、テレビジョンである。したがって、この教育をやっていかなければならぬというのは、重大な影響テレビジョンとしては持ってくるだろう、また、それを果たさなければならぬ。そうしていわゆる国全体のストレスを解消していかなければならぬ、こういう一つ言い方の人がいるわけですね。そういうことを考えてみますと、今後、教育テレビというものについて非常に重大な関心を払っていかないと、テレビ自体は自滅するのじゃないかというふうに実は考えておるわけです。いまでさえ一億総白痴だとか、何とかということをいわれておる。私自身も白痴になりつつある一人なんですが、だからそういうことを考えるというと、テレビというものは非常に重要であり、教育方面に力を入れなければならぬと思うのですが、電波監理局長はどういうふうに将来を理解しておりますか。
  153. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) テレビが現在のところ視聴率を非常に気にすると申しますか、そういったものを土台に置いた考え方でやっておって、教育番組については、何と申しますか、あまり力が入っておらない、こういうことでございますが、いままでのところ、確かにそういう面もございまして、今後は、まあ一九八五年はともかくとしまして、現在の時点におきましても、大学の状況等を考えますと、やはり教育番組、もう少し知性の高い番組に力を入れていくべきであると、私ども考えておりますし、今後、教育放送大学と申しますか、そういうものの構想についても、検討していかねばならないというふうに考えておるところでございます。
  154. 野上元

    野上元君 昔は技術革新は、御承知のように、一つの技術革新が行なわれても何十年という間があったわけですね。あるいは何百年も間があった。したがって、その間に十分われわれも研究できたわけですね。あるいはまた、大学で一つの原理を教われば、それは相当何十年も使えたんですね。ところが、いまは一日一日の革新ですからね。一年間に大体五%くらい得た知識がなくなっていくだろう、十年後には、全然ゼロになると言われておりますね。そういう状態ですから、教育も大学の教育だけではだめなんですね、学校の教育だけでは、私の考えでは。いわゆる再教育というか、継続教育というか、大学を出てもしょっちゅう勉強してなきゃいかぬ。そうしなければ、常におくれていくというような状態にいまなりつつあるわけですね。もうあのコンピューターを見てもわかるし、あるいはロケット見てもわかりますね。そういう状態にいまなりつつある。そういうことを考えると、私はやはり教育テレビというものは非常に重要ではないか。有線テレビのこんな小さな問題とは別に大きな問題になるんじゃないかと思うが、そういう点について、NHKはたまたまそういう有利な地位にあるんですが、それに対処するという一つの構想というものはありますか。それとも、私の考え方はそういう軌道には乗らないと考えられますか。その点はどうですか。
  155. 前田義徳

    参考人前田義徳君) NHKは過去においても、現在はもちろんのこと、将来に向かっても教育放送をすこぶる重視している。これまでもラジオ時代において——ラジオ時代でございますが、たとえば学校放送、社会教育放送、これはすでにおおよそ四十年の歴史を持っているわけでございます。テレビ時代になりましても、たとえば通信高等学校あるいは教育テレビジョンの開始というような意味で、単なる学校放送ばかりでなく、広く社会教育、これの発展のための番組を組んで今日に至っているわけでありまして、それからまた将来に向かっても、ただ単に、現在の大学問題というような小さな視野といってはしかられるかもしれませんが、当面の問題をも含むかもしれませんが、当面の問題の対処策としてばかりでなく、いま申し上げたような四十年の伝統に立って、将来発展する社会に向かって必要な高度の教育放送を実行すべきだという深い確信に満ちているわけでございます。
  156. 野上元

    野上元君 それからもう一つですが、これもまあ私の、ものを読んだつまらぬ知識かもしれませんけれども、大体技術革新をじっと見ておりますと、まずミシン、いわゆる部品の数でいいますと、ミシンは十の二乗だと言うのです。それから十の三乗に技術革新が上がっていった、それは何かというとテレビだと。それから十の四乗に入ってきた、それが自動車。それから十の五乗にいった、アメリカはすでに五乗にいった、これがコンピューター。それから十の六乗は何かといえば、これはいわゆる宇宙ロケット、十の六乗というと一千万ですか、だれか計算してみたらわかるが、一千万の部品がロケットにはついておる。そしてその一つ一つが九九・九九%の安全度を持っているとしても、一千万にすると三〇%くらいの安全度にしかならぬと言うのです。したがって、いまのロケットは九九・九九九くらいの安全度を持っている。そうすると、一つ一つの部品の安全度は一〇〇%に近いというふうにいまの技術革新が行なわれている、こういうわけです。そういうことを考えてみますと、このごろロケットをじっと見ていると、いかに組織された企業、産業であるかということがわかるわけです。八百人の技術陣が——きのうNHKでやっておりましたが、私も見てびっくりしましたが、八百人の技術陣が管制センターにおるわけです。これにかかっておる産業というものはすばらしいものだというわけです。ということを考えますと、いろんなものが寄せ集まっていって、そして発展していくものだ。したがって、同質のものをあまり寄せ集めてもそんなもの発展にならぬと言うのです。そんなものはいわゆるもう能力の和にしかならない、その結論は。しかし、相吸引する異質のものが重なると、これは五かける五になって二十五になる。同質のものなら五プラス五で十にしかならない、それほど違う。そうするとNHKも、私、教育テレビ考えた場合、NHKだけで教育だ教育だと言ってもだめだ、やはり学校とこれをタイアップするか、組んでいくか、あるいはその他のものと組んでいくか、教育施設と組んでいくか、そしてその教育産業というものを伸ばしていくというようなことが必要だと思うのだが、そういう点はどうですか、前田会長どうですか。
  157. 前田義徳

    参考人前田義徳君) なかなか含蓄のある御質問で、簡単にお答えすることは非常に困難だと思いますが、ただ私どももまことに共感を持って伺えた点は、技術革新は同時に中小企業の発展と向上に非常に役立つと、この一点は私ども放送業者として現在の株式市場を見るときに、少なくともカラーテレビ関係、もしくはステレオ関係の中小企業の株価が非常に高騰しているという事実は、これを立証することになるかと考えます。最近経済企画庁が、何と申しますか、豊かさに対する新しい観点からのチャレンジを発表されましたが、これは私は画期的な経済企画庁としては事業ではないかと思います。これはただいま先生が御指摘になったように、八五年までフランス流に考えて発表されたかどうかは別として、これは少なくとも各国の実情から考えて、当然あり得る方向を示したものだと私は考えております。そういう意味では、ちょっと話がそれますが、たとえばCATVについてはアメリカは一本の方向をとっておりません。最近は各州がいわゆる公共企業としてCATVを持つようになってきておる。これはCATVがアメリカでできた当時とは全く別な方向で、これは自治体が当然そのコミュニティーのためにやるべきことだという点まで伸展してきている。こういう点から考えましても、私は、ロケットまでは考えておりませんが、率直に申し上げて、要するにまあNHKの責任者として、NHK放送のあり方と、これと関連する機器の技術開発という問題が、ただ単にNHK放送自体ばかりではなく、これと関連する産業にかなりの好影響を与えている。こういうことから考えますと、私は先ほど、いまの大学問題だけを中心としないという考え方を申し上げましたが、これは当然率直に申して政治的な意味でこれを始めるのではない、始めたいと思っているのではないという意味でございますが、当然大学教育ということであれば、これはやはり大学制度、新しい大学の設置、もしくはそういった大学的委員会というものとの関連で、これを行なっていくべきであるという考え方を持っているわけでございます。
  158. 野上元

    野上元君 あまり昔の話を長々とやってもしかたがないので、この辺でまたもとの現実の問題に返りますが、時間がなくなりましたので、一番最初の問題に返ります。  無線テレビの場合はいわゆる有限である。したがって、これは、どうしてもだれかがコントロールしなければいかぬのですね、この公正な分配のために。しかし有線の場合は、そういうことが必要でないのに、どうして郵政省がこれにタッチしなければならぬのか、その辺はどういうふうにお考えになりますか。
  159. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) けさほども申し上げましたが、都市における難視聴の解消というのは、ほかにも方法はあるでしょうけれども、一番有力な解消手段というのはこの有線テレビでありまして、したがって、この有線テレビが従来の共同聴視という形と違いまして、企業的にやっていこうと、こういう動きが出ているわけでございまして、これを従来の届け出制のままに放任しておく場合には弱小企業が、何と申しますか、乱立いたしますおそれがあること。それから、経済的にも技術的にも力が弱いために、ある場合には非常に経済的に有利な場所のみにサービスを提供するというようなこともやりかねないし、またサービスの対価にいたしましても不当に高い値段をとるというように、いろいろと受信者に不利な状況をきたすことが非常に多くあり得るということで、これをやはり経済的にも技術的にも、いろいろな観点から考えまして、有能な有力な業者許可することによりまして受信者の保護に遺憾のないようにしたい。そのために許可制にしなければならない、こういう考え方でございます。
  160. 野上元

    野上元君 私はどうしてもわからぬのは、そういうことはすべて国民の選択にまかしたらどうだと思うんです。どうして、それが国民の選択にまかされないのか。たとえば、俗悪な番組を送る可能性がある、あるいは高い料金を取るものが出てくるかもしれないというようなことを言っていますが、そんなものには加盟しませんよ、いまの大衆は。そんなものじゃ商売成り立ちませんよ。それはもう一般のデパートに行って物を買うのと同じですよ。千円の物を買って五百円の値打ちしがなければ、二度とそこへ行かない。それとちっとも変わらないと思うんですね。なんでそんなにむきになって郵政省がこれに制限を加えなければならぬのか、その点がわからぬのですね。無線ならわかりますよ、これは有限のものだから、やむを得ない。どうしても分配しなければならぬが、有限のものじゃないんだから、そんなにどうしてやらなければならぬのか。どこに根拠があるんですか。
  161. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 実は、この法案をつくります過程におきましても、きわめて有力な意見といたしまして、いまお尋ねのような議論がたくさん出てまいりました。特に新聞との比較におきまして、新聞は無制限にどんどんやらしているじゃないか。それと同じように、有線テレビもどんどんやらしたらどうだ、同じことじゃないか、こういう議論が出たのでございますが、しかしテレビの実情並びに、いま直ちにこの法案が通りまして、そして有線テレビの形を考えますときに、大体再送信を中心に出てくると思うんです。いまテレビは、空気あるいは水、日光、こういうものと同じように、全く生活の一部になっておる。だからテレビが見えにくい場合に、それじゃもうおれは要らないんだ、見えなければ見なくてもいいんだと言う人はいないと思うんですね。全部が全部、わずかの金できわめて上質の鮮明なテレビがよく見えるということであれば、もう全部の人が一人残らず入るであろう。新聞の場合はそれと違って、入らない人も読まない人もたくさんあるでしょう。そうして、かりに新聞はつぶれても別に一向に差しつかえない。読む人は別に損害を受けるわけではない、すぐやめればいいわけですから。しかしテレビの場合はつぶれるとまず最初設備の加入金というものも若干払わなければならぬでしょうし、それからつぶれたあと次の有線テレビができるまでやはり相当な、数カ月あるいはそれ以上また別のCATVがあらわれるまで時間がかかるかもわからない。その場合に視聴者並びに国民の受ける被害というものは新聞の場合などと違って、はかり知るべからざる大きなものがある。しかもアメリカの例を見ましてもわかりますように、きわめて少額の資本で仕事が始められる。しかも直ちに利益を生む、こういう内容のようでございますから、雨後のタケノコのごとく業者が乱立することは火を見るより明らかです。そうなると、スーパーマーケットができて、次から次に倒れていくように、必ずたくさんの業者が倒れていく。そうすると、多くの国民は迷惑する。何らかそこで一定の基準を設けて規制をして国民が迷惑をしないように考えていかなければならぬというのが、立法の趣旨でございまして、新聞とは同一に論ぜられないというのが立法の過程における議論の要点でございました。
  162. 野上元

    野上元君 そのことはわかるのです。テレビの効果あるいはその影響、そういうことはよくわかります。わかりますが、どうして郵政省がタッチするのですか。タッチする法的根拠は何であるか、タッチできる法的根拠は。何か電気通信設備を利用するからという、そんな法律ですか。
  163. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 設置法におきまして、有線放送業務運用については郵政省で管理する、こういうことになっておりますので、それに基づいて郵政省で改正案を提案しておるわけでございます。
  164. 野上元

    野上元君 そうすると、具体的になりますが、たとえば大きなホテル——ぼくも見たことはありませんが、話に聞くと、大きなホテルなんかでは、明らかに自分のところ独立で、いま部屋がどこどこがあいているとか、あるいはあすの天気はどうだとか、あるいはあしたの飛行機の発着は何時だとか、新幹線の発着は何時だとかというのをどんどん放送している。こういう場合はどうなんですか。
  165. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いまのホテルあるいは旅館におきまする有線放送は、この現行法によりまして、大体、一の構内における有線放送だということで適用除外に法律上はなっております。ただ前にお話がございましたが、ホテル、旅館が非常に大きくなってまいりますと、一の構内だから適用除外でいいかどうかということにつきましては、今後早急に検討してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
  166. 野上元

    野上元君 その一の……何か建物の中とか、そういう理屈もあるでしょう。しかしホテル・オータニですか、あれぐらいになると、部屋が何百とあるから、おそらく多いときには千人以上の人があの中にいるでしょう。ところが片一方、難視聴地域の指定地域には四、五十人しかいなかった。どっちの効果が大きいかということになれば、これは言うまでもありませんね。そういうことを考えると、片一方はほったらかして、片一方は許可だ。ホテルのほうは何の影像を流したって、それは自由なんだというようなことが許されるというのは、どうも私にはわからないのですがね。そうすると、それを広げて同一地下街なんということになると、これも除外ですか。
  167. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 同一地下街の場合には同一構内とは認められません。
  168. 野上元

    野上元君 そうすると、ホテルがありまして、隣にもホテルがある。そうして連結してお互い情報を交換し合う、テレビで。おまえの部屋はどこがあいている。こちらも送るし、向こうからも送る、こういう場合にはどうなるんですか。
  169. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) その場合には、同一構内とは認められません。
  170. 野上元

    野上元君 その場合には、あなたのほうがこれを許可するかどうかをきめるわけですか。
  171. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 許可ないし届け出いずれかになるわけでございます。
  172. 野上元

    野上元君 それは不合理だとは考えませんか。同一構内というような簡単なことで除外するということについて不合理だとは考えませんか。もっとでっかいホテルができて、何千人も住むようなホテルでも同一構内であるというようなことになった場合、どうなるのですか。あるいは地下道でつなげて分館をつくって、同一構内ですといったらこれはどうなるのですか。
  173. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 実は、この問題は最近郵政省におきましても一つの大きな問題になりましてお説のようなことがかりに起こった場合に、数千の人を相手にこの放送をするということにつきまして、はたして、これまでのような解釈でよいかどうか、あるいはまた一つの大きなかりにデパート等があるとして、数十万の通行人に向けまして次から次へ放送を流していく。こういう場合には一体どうなるかというふうな問題等も含めまして、これはもう一回再検討しなければいかぬのじゃないか、こういうことをいま相談しておるところでございます。
  174. 野上元

    野上元君 そうしますと、いまのところは同一構内であった場合には、全然あなたのほうは関係ないんだからどんな写真、絵を流そうがそれはあなた方はどうにもならぬ、こういうわけですね。これは郵政省の管轄外であって、風俗紊乱とか何とかというやつはそれはもっぱら警察のほうですか。電波法だとか、放送法には全然関係ないですか。
  175. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いまお話の点が非常に問題でございまして、これにつきましては、従来はこの同一構内というのは非常に小規模なものをおそらく前提として考えていたのであろうと私ども推測いたしまして、そういった点で、もう一回これを見直して、小さいものについては除外するけれども、それ以外はこの適用をしようということで現在検討しておるところでございます。
  176. 野上元

    野上元君 それからもう一つ聞きたいのですが、先ほど新聞の例を郵政大臣お話になりましたが、これはまあ発行、経営の問題について触れられたわけですが、たとえばそういう問題じゃなくて、いわゆる統制というか、そういう問題について聞きたいのですが、新聞は今日、御承知のように検閲はありませんね。無検閲でやっていますね。それから映画はたしか映倫があるんですな。映倫によって認可されたものはどんどん流してよろしいということになっていますね。それから放送のほうは、現在の放送は番組審議会によってこれを認めたものを流している。ところがCATVの場合はそういうものはないわけですね。これはこの差別があるのはどういうことですか。
  177. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 有線放送の番組の編成につきましては、この現行法の第四条によりまして、四十四条の第三項が準用されておりまして、その準用によりまして、これに違反する、抵触するというような場合には調査をする。あるいは運用の停止、制限をすることができると、こういうことになっておるわけでございまして、ただ番組審議機関はないということは、確かにその規定は準用になっておりませんが、こういうことで番組の面においては放送法の準用によって確保されるのではなかろうかと、かように考えております。
  178. 野上元

    野上元君 そうすると、CATVの場合にはクッションがないわけですよね。たとえば流す。それをだれが見てこれはけしからぬ、こう言って停止をするというのは、それはだれが見てやるのですか、だれがそれを決定するのですか、判断するのですか。郵政省がやらなければならぬのですね、電波監理局が。それ以外の人で、これをやるわけにはいかないですね。
  179. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この点につきましては、いまのところ結論は得ておりませんが、番組審議機関に準ずるようなものをつくって、そこのところで何と申しますか、批判すると申しますか、見てもらって判断する、こういうことにしようかというふうに考えておりますが、まだ結論は得ておりません。
  180. 野上元

    野上元君 そうしますと、郵政省が直接はタッチしないのですか。
  181. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 直接に個々具体的な番組についていい悪いということについては、そういった機関によって判断してもらうのが適当ではないか、かように考えておりますが、いまのところどういう機関をつくって、どういうふうにするかということについては、まだ結論を得られておりません。そういう考え方でおります。
  182. 野上元

    野上元君 CATVは将来、重大な影響を持つといっておられるが、法律の中に、そういうクッションを設けないのはどういうことなんですか。どうして法律にそれをうたわないのですか、放送法の中にはうたってあるのに。
  183. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この点につきましては、従来の現行法でそういう規定が準用されておりませんが、今回、具体的な問題になりました今度の改定案が通った場合には、そういった放送法と同じようなと申しますか、それに準じた取り扱いを実行上は考えていきたい、かように考えております。
  184. 野上元

    野上元君 あなたの考え方はわかりましたが、どうして差別待遇をするのですかというのです。現行の放送法とCATVとどうして差別待遇をするのですか。片一方は法律で、番組審議会で審議しなければならぬ、と書いてある。片一方はあとで考えてみます、どうしてそんなに差別をつけるのですか。法律の中でうたえばいいじゃないですか、番組審議会を設けて番組を審査すると。
  185. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これは、こういう言い方はおかしいのでございますけれども、議員立法でありますので、なぜここに入っていないかという理由について具体的にはわかりませんが、私想像いたしますのに、やはり放送というのは非常に広範囲にわたって無線であるために拡散する。それに対しまして有線放送というものは非常に限定された地域の対象に対して行なわれるということが基本になりまして、こういった放送法と全く違って、ただいまお話のありましたような差異が生じているのではなかろうか、かように考えられます。
  186. 野上元

    野上元君 そうしますと、これはもう完全に業者の自主規制にまかして、あとはもう出たとこ勝負で、だれかが告発すれば取り上げるし、告発しなければどんな絵が流れておっても、それはいい、こういうことですね。
  187. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) どんな絵が流れてもいいということになりますと、非常に極端なお話ですので、それはやはり常識的な線がありますので、やはり第六条におきまして「郵政大臣は、この法律の施行を確保するため特に必要があるときは、」云々こういうことがございまして、特に、必要があるときには報告を求めたり、あるいはそういった機関を設ければ、その機関の方に判断を願うとか、ただ郵政省は座して何もしないということはない。
  188. 野上元

    野上元君 それを言っているんですよ。無線放送の場合には番組審議会をろ過して出ていくわけでしょう。したがって、無線放送の場合には、そうむちゃなものはないだろう、こういうふうにわれわれは考える。しかし、いまあなたの御説明のように、CAテレビの場合には、法律的にはそういう考えはないのだ、したがって、自主番組でやっていく。番組審議会的なものを郵政省がつくる、つくらぬは別として、それは法律的なものじゃないというふうに考ますと、このCAテレビの場合にはそうすると、われわれの考え方はむしろ逆だったが、ゆるいものでよろしいということになるわけですが、その差はあるわけですか。その差は全くないのですか。
  189. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ゆるいかきついかというお尋ねでございますが、抽象的に申し上げますと、これは四十四条の三項が適用になっているという意味では、同じである、こういうふうに考えております。
  190. 野上元

    野上元君 四十四条三項の適用はだれが判断するのですか。電波当局ですか。これは審議会があるならその法律に従って流していく、しかし審議会がないと、かれらかってに流すとすると、それは四十四条の三項ですか、何項に合っているかどうかはだれが判断するのですか。業者判断するのですか、あるいは電波監理局長判断するのですか。
  191. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 法律上はだれと書いてございませんが、有線放送業務を行なうものが判断する、こういうふうに解釈されますが、具体的な措置といたしましては、そういった放送法による番組審議機関に類するものをつくって、そこのところで判断するようにすべきであろう、こういうふうに考えているわけでございます。
  192. 野上元

    野上元君 そうしますと、事前にあなたのほうで番組の計画を出させて、あなたのほうで判断をして、これならよろしいというふうなことはやらない。番組が流れるほうが先行するということですな。
  193. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 要するに、そういった具体的な場合を考えました場合に、番組審議機関に準ずる番組審議機関に番組の何と申しますか、骨組みと申しますか、現在各放送業者が番組審議機関に相談しているような相談をしてやっていくのがいい、かように考えております。
  194. 野上元

    野上元君 わかりました。  そうしますと、番組審議機関に似たようなものができなければ、この法律は通っても、実際には動かないということになりますね。絵を流しちゃいけないことになりますね。
  195. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ただ問題は、いまお話の問題は、自主放送についてだと思いますけれども、再送信については、これは放送がそのまま流れていて、そのまま手を加えずに流していくという義務を負わしておりますので、これについては放送業者の番組審議機関ですでに見られている、こういうふうに考えますので、そういうことは必要ないかと存じます。
  196. 鈴木強

    ○鈴木強君 電波監理局長、あなたは何か衆議院修正自主放送規制した、それはいいですね。ところが、いま問題になっている有線放送番組の編集ということは、現行ある昭和二十六年の有線放送業務運用規正に関する法律、これはこの法律の第四条にあるのですよ。それを受けて十三条に罰則があるわけですから、五万円以下の罰金に処するという。ですから四十四条第三項番組編集の問題と、先ほどの番組審議会をつくってないということは衆議院修正とは関係ないですよ。四十四条三項に違反した場合、あなたが言うように放送に対して免許を持っておる郵政大臣が免許権に対してどうとか、こうとか言いましたけれども、そういうことは現行法の中で、すでにもし審議会をつくる必要があればつくっておくべきですよ。それを新たにつくって、そこで違反した場合に処分についてどうするかということを検討するんだというような趣旨の話をしたんだけれども、従来の法律とこれは関係ないでしょう。変わりないじゃないですか。
  197. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) お話のとおり、この第四条の番組編集というのは、放送業者から流れている放送を取捨選択して、そうして編集する場合も含むわけでございますので、お話のとおり再送信業務におきましても考えられるわけでございますが、今度再送信業者に課している義務としては、地元の放送はすべて手を加えずにずっと流せと、こういう義務を課しておりますので、したがって、そこには番組の編集ということは起こらない、こういうふうに考えられますので、その点を先ほどふえんして申し上げたわけでございます。
  198. 鈴木強

    ○鈴木強君 関連ですから、これで終わりますけれども、公安及び善良な風俗を害しているかどうか、政治的に公平であるかどうか、報道は事実を曲げているかどうか。意見の対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにしているかどうか、こういうことが野上委員質疑で問題になったわけだ。公安及び善良な風俗を害しているかいないかを断定するのは一体だれなんです。そうして十二条、十三条によってもし違反しているものについては五万円以下の罰金に処することになっている。一体その断定をだれがするかといったときに、あなたが番組審議会みたいなものをつくって、そこでやるがごときことを言うから、そんなことをもしやるなら、前からやっておかなければおかしいじゃないですか。衆議院修正があるから、これは議員さんがやったんだから、どうもこれからやるんだというような答弁をするから、それはおかしいじゃないですか。そういうことであれば、とうに審議会をつくっておくべきですよ。それをやらないで、いまとなって手を加えないでいくというようなことはおかしいじゃないか、こう言ったんです。
  199. 久保等

    ○久保等君 議事進行。いまの問題はこれは電波監理局長答弁少し実は混乱しているんじゃないかと思うんです。自主放送だけをやる場合については、なるほど今度の衆議院での改正で導入されたんだけれども、従来から自主放送と、それから再送信合わせてやっていますね。現実にラジオの場合はなおさらですが、テレビについてもやっていますよ、たとえば下田テレビなんかの場合。だから再送信の番組云々の問題は向こうから流れているから問題にならないと思いますけれども、少なくとも自主番組の部分については、一体どういうふうに郵政省としては扱っているかという問題になれば、これはやっぱり少なくとも従来あるこの法律によって、いま言われる四十四条第三項ですか、こういったような問題とか、その他の問題について放送法を準用する部分について規制されることになっていますね。したがって、私はだれが一体判断を最終的にするかということになれば郵政大臣がやる、この法律に違反しておるということになれば業務命令を出して停止することもできるようになっております。さらにそれでも言うことを聞かないということになれば、六カ月以内の懲役だとか、五万円以下の罰金に処するとか、ちゃんと罰則規定まで規定されている。ただ電波監理局長が、番組審議会があるがごときなきがごとき答弁するから混乱しているのであって、そういうものは現実にはないわけです。だからもし設けるとすれば、放送法の適用を受ける一般のラジオとかと同じように、こういったものを考えているかどうかの問題は、将来の問題として、電波監理局長どう考えているのか、これは今後の問題だけれども、しかし、現行の制度のもとにおいてもちゃんと規制される部分はあるわけだけれども放送法を全面的に適用されるほどの規制は受けやしないけれども、しかし、明らかにいま言った法律に定められた、特に法律四十四条の第二項だとか、それから放送法の第四条だとかいう問題は、明らかにこの適用を受けることになるわけです。だから、そこらはきちっと整理をして答弁してもらわぬと、何か、衆議院における修正によって、初めて自主放送の問題が出てきたかのような答弁になってるから、これは誤解を受けるし、そういう答弁では答弁になってないと思う。  だから委員長、議事進行というのは、休憩じゃなくて、まあここらの答弁だけ、きょうのところさしあたって答弁願っておくにしても、ぼくは実は関連質問しようと思ってる問題もあるんですが、これはいずれ、後日ぼくが質問する機会に質問したいと思ってるから、そんなことまで質問しませんけどね。若干答弁が混乱をしてるようだから、何だったら適当にひとつ打ち切ってもらいたいと思うんですがね。
  200. 鈴木強

    ○鈴木強君 いま私の質問の途中ですからね、質問に答えてからにしてくださいよ。  これはあなた重大な問題ですよ、衆議院の議員修正によって、こういう問題が出てきたようなことを言うから、自主放送もやれるし、現行の法律でもできるし、四十四条の二項の規定もあるから、現行法によってできることになっている。風俗を乱すとか、乱さぬとかこの判定をどこでやるかと言ったら、責任のないような、いまから何かつくってやるようなことも言うから、そんな無責任な態度はないでしょう。そんなことあるなら、現行法でやっておくべきですよ。職務怠慢ですよ。私は、そこを言っているのですよ。
  201. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記ちょっとやめてください。   〔速記中止〕
  202. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めてください。
  203. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほど勘違いをいたしておりましたので、訂正してお答えをしたいと存じます。  お話のとおり、この現行法の第四条によりまして、放送法の準用がございまして、その中に番組編集の基準の規定が準用されておりまして、この放送法の規定を準用いたしまして、第六条によって、こうした第四条を含めて全体の条項の施行を確保するために必要があるときには調査し、また報告を求めることができますし、そうして業務を行なう者が、この法律だとかあるいは法律に基づく命令あるいは処分等に違反した場合には、大臣は業務の停止あるいは運用の制限をすることができますし、また一部については、罰則の規定もあると、こういうことが現行法でございまして、先ほど申し上げましたのは、それ以後の行政指導として、こういうことも検討していきたいということをあわせて申し上げたのでございまして、その両者が混同したわけでございます。
  204. 野上元

    野上元君 私がさっき一番最初に、政府案と、それから修正をされた包括的な最終案と、どうなりますか、ひとつ図式的に説明してくれと言ったのは、実はそれを聞いておったわけですよ。その政府案の中に、すでに再送信自主放送というものも入っているわけです。それも許可制になっているのです。あなたのほうの最初原案では、そのときにもうすでにこの問題は放送法と同じように取り扱わなければならぬはずなんですね。にもかかわらず、あなたがこれを修正案が出てきたので、こうなってしまって、いま答えているように、あとで行政指導やりますと、こう言うから、そんないいかげんなことは困るというふうになってきたわけですね。先ほどのNHKの免責の問題にしてもそうだ。非常に権威がないですよ。というのは、私の質問のしかたが悪いかもしれません、しかし、この問題は許可ということになっているから、番組審議会というものがあって、自主放送をさせて番組審議会をやって、あの大きな影響力のあるものでさえそうやっているじゃないか。それをこんな小さいものをいきなり郵政省許可なんだというと、ここだけ見ると、これは言論統制だと、こういうふうになるわけですね、法律だけ見ると。だからそこのところが心配だから、実はなぜそういうものを同じようにしておかなかったかということを聞いて、それを明らかにすれば、またそれで納得できるわけなんですが、そういう点についてのいわゆる答弁が整理されておらないと思います。まあぼくもあっちに飛んだり、こっちに飛んだりした質問をしたから、あなたもこんがらかったかもしれぬが、しかし、まだ非常にたくさん残っているわけだ、重要な問題が。したがって、きょうは私はこれでやめますが、どうもぼくの質問があなたのほうと意思疎通しておらぬから、だれかひとつぼくの部屋によこしてください、次の質問をするときには。これとこれとこれと、こういうふうに質問する、だからあなたのほうも答弁を整理しておいてもらいたい、こういうふうにしてやりましょう。そうしないといたずらに時間がかかるばかりで。そういうふうにして、きょうは一応私の質問を打ち切ることにいたします。
  205. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十分散会