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1969-03-31 第61回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月三十一日(月曜日)    午前十時十四分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         永岡 光治君     理 事                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君     委 員                 植竹 春彦君                 長田 裕二君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 平井 太郎君                 久保  等君                 松本 賢一君                 森  勝治君                 浅井  亨君                 北條  浩君                 村尾 重雄君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  河本 敏夫君    政府委員        文部省社会教育        局長       福原 匡彦君        郵政政務次官   木村 睦男君        郵政大臣官房長  溝呂木 繁君        電気通信監理官  柏木 輝彦君        郵政省電波監理        局長       石川 忠夫君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        郵政省電波監理        局放送部長    左藤  恵君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長専務理事   野村 達治君        日本放送協会専        務理事      竹中 重敏君        日本放送協会専        務理事      川上 行蔵君        日本放送協会専        務理事      志賀 正信君        日本放送協会専        務理事      長沢 泰治君        日本放送協会専        務理事      佐野 弘吉君        日本放送協会理        事        松浦 隼雄君        日本放送協会経        営企画室経営主        幹        野村 忠夫君        日本放送協会経        理局次長     斉藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  郵政事業及び電気通信事業の運営並びに電波に関する調査のため、国際電信電話株式会社の役員を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 北條浩

    北條浩君 最初カラーテレビ料金についてお伺いしたいわけでありますけれども、その点につきまして、今回の四十四年度予算につきましては、カラーテレビ契約台数につきまして百十万件とたしか組んでおられると思いますけれども、いままでの実績が前年度までで、この間の説明によりますと百四十万のところ二十万増で百六十万、二十万の増ということで、修正されて、当初九十万台のところを百十万に修正された、このような経過ではないかと推量するわけでありますが、この百十万件という四十四年度契約台数につきますこの基礎ですね、どうして算定をされたか。先般委員会でも会長から御返答がございまして、この長期プランにつきましても、六百五十万をたしか七百五十万ですか、修正されたように伺っておりますけれども、この基礎というものが非常に不明確じゃないかと思うわけです。いままで二十万増加になったから、九十万の予定をプラス二十万で百十万と、こういうふうに非常にあいまいな基礎じゃないかと思いますので、その点につきまして、どうして百十万という数字を算出されたか、この基礎について、最初に承りたいと思うわけです。
  7. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 御承知のように四十三年度百四十万と測定をいたしまして、先般来お答えいたしてまいりましたように、おおかた二十万増の百六十万の契約の達成かと思っております。これまた一昨年五カ年にわたります長期構想の中で、新規にカラー契約料金体系を設定いたします際に、四十四年度において九十万というふうに算定をいたしましたのが、今回四十四年度予算編成あたりまして、これを前年度、つまり四十三年度の実績等勘案いたしまして、百十万というふうにいたしたわけでございます。都合、四十三年度、四十四年度で二百七十万という数字に相なるわけでございます。  ただいま御質問の焦点になっておりますこの算定基礎について少し触れますれば、三十五年からカラーセットが出回りまして、おおかた四十三年度までに三百五十万ぐらい数字としては出回っております。また、四十四年度におきまして、国内出荷がおおかた二百五十万というふうに見まして、これまでに出回りました数字と、この四十四年一ぱい出ます数字を合わせまして、大体六百万というふうに測定をいたしておるわけでございます。この数字の上で、来年度末までに二百七十万を獲得するという、この推定の根拠を多少分析をいたしますと、三十五年から四十一年度までに出ました品物は、率直に言いまして、非常に受信画像等安定度が低くて、この一両年出回りました非常に鮮明度の高いいい品物と比べますと、格段の相違がございまして、いわば俗にいう陳腐化して破棄されているというものが大体四十万台強になってしまっております。これがまず差し引かれるわけでございます。来年度の六百万に対する二百七十万のこの数字の中で、おおかた、この時点において、卸在庫並びに小売り在庫を二・五カ月と見まして、六十八万というふうに見ます。都合、それでおおかた百万強が差し引かれるということに相なろうかと思います。そのほか技術上買いかえとか、それから家屋の消滅、破棄というようなこまかい数字等の差し引き、あるいは一契約の中に二台以上ある、これは全国で、普通のそば屋さんとか、飲食店とか、喫茶店とかいうふうな一つの世帯、店舗というものの中で、一契約でございまして二台以上持っておるというものを大体二十万くらい算定いたしまして、私どもは来年度、この私ども実際に契約し得る対象加入対象と申しますか、あるいは契約可能と申しますか、そういう対象を四百四十万ないし四百五十万というふうに見るわけであります。これに対しまして、実は六五%の契約率を掛けまして二百八十四万という数字数字的には出てまいります。四十三年度と四十四年度のこの契約の中で、四十三年度で四万、それからことし四十四年度の中で十二、三万というものが実際は契約をいたしましても、その年度中に契約解除になるという数字がございまして、二百八十四万から都合十四万を引いて、二カ年の最後の終点であります来年の三月末に二百七十万、これは先ほど来申しますように、加入対象に対して六五%という契約率開発率になっております。この六五%では低いのじゃないかという御意見や御批判があろうかと思います。この六五%という数字につきましては、私どもはさらにこれを高めるということは当然でございますし、また、御承知のように二カ月に一回集金して歩くというようなこととか、あるいは契約専門に取り次いでおります員数等が非常に少数でございますので、個々に実際に買い入れて聴視を始めた御家庭と、こちらで契約をしていただくというようなその時点とにつまりタイムラグ、時差もございます。それらをあわせまして、私どもは、実数的には六五%でございますが、いまいったような要因も多少加えさせていただければ、六五%から七〇%というふうに算定測定をいたしております。ただ、これは多少協会の立場といたしまして、算出の基礎になります数字で、非常に堅実に見ておるといえば、率直にいってそのとおりでございます。で、これまでの経験から申しますと、たとえばごく近い例ですと、昨年の十月、十一月、十二月の数字を申し上げますと、二十二万から二十八万になり、二十八万から三十四万になるというように、非常に昨年の秋、暮れにいま申し上げたような数字で急上昇をして国内に売れ渡っております。しかし、年が変わりましてこの一月になりますと、たちまちそれが十九万に落ち、また二月には十六万に落ちるというように、このカラーセットの売れ行きも非常に年が変わってから落ちております。こういうようなことも考えまして、私どもはこの四月から来年一ぱい国内に出回る数字を二百五十万と、もとの話に戻りますが、かたく踏んでおりますことと、それから白黒国内での出回りの数字と実際の契約数字を見ましても、これは森委員の御質問に対しましてお答えしたところでございますが、三十六、七年とか三十八、九年に、三、四百万台の白黒国内に出回りましても、大体協会がその数字に対して契約し得るのは七〇%から六五%の前後でございます。といいますのは、やはり流通在庫がかなり多いとか、あるいは買いかえがかなり多いとか、あるいはこわれて破棄されるものが多いとかいうことで、たとえば四百万の出回った国内出荷数字に対しまして、二百八、九十万、三百万以内が契約になってあらわれるというようないままでの経験等を通じまして、四十三、四十四年度数字を、六百万に対して、さしあたりいろいろな事情をもって引きまして、四百四、五十万の契約可能対象に対して六五%、二百七十万という契約で四十三、四十四年度は終わるというふうに見ておるわけであります。
  8. 北條浩

    北條浩君 大体のいきさつその他の計算の基礎につきましてはわかりましたが、去年のカラーテレビ保有率を調べましたデータ大臣官房広報室の発行の調査資料によりますと、カラーテレビ保有台数が約七%と出ておるわけですね。ところがいまの話を伺いまして、NHKでもって契約をしておるのは五・三%、これを基礎にしてその後追加されたいきさつはわかりますが、去年の七月において、すでに世論調査によりますると七%という数字が出ておる。ところがいまのお話を伺っておりますと、契約台数は確かにそれなりの基礎はありますが、その間の隔たりが、やはり大きいということは、これは契約の甘さといいますか、やはり契約漏れがあるのじゃないか、NHKのほうで捕捉している契約台数というものが、やはり実際よりは少ないのじゃないかというような疑点もあるわけですね。そういった点について、いかがでしょうか。
  9. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) ただいま私どもの手もとにあります一月末の普及率は六・一%というふうになっております。それで、お尋ねの要点でございます契約が少し甘いのではないかという御質問に対しましては、率直にお答えいたしますと、半分当たって、半分何といいますか、やむを得ない理由があろうかと思います。何ぶんにも白黒が二千万という多数の普及した状態の中で、昨年度国会審議で御了承いただきまして、新しい料金体系として四十三年からカラー契約をいたすことに相なったわけでございますが、それは先ほど申し上げましたように、三十五年からカラーセットそのものは徐々に行き渡ってまいったわけであります。で、この契約と申しますか、把握のしかたが非常に困難がございまして、端的に申しまして、メーカー筋なり、あるいは小売り業者等から販売をいたしました際に、それを協会側に通報していただくという制度をとりますれば、非常に案外早く契約し得る、捕捉し得るとも言い得るかと思います。しかし、協会受信者との間では、相互の理解の上で契約をし、聴視をしていただくというたてまえからすれば、いまいったような一種の通報制度というものは、これは必ずしも長期的に協会受信者との間の関係を考えた場合に、とらざるところだというふうに思いまして、私ども自身努力契約を獲得をいたすことにいたしてまいっております。何ぶんにも白黒からカラーに変えるという行為が、そう一々私どもの目の前で展開されるわけでもございませんし、またある意味で白黒の際に使いますアンテナよりも、カラーは七素子で、より性能の高いアンテナにかえていただくほうが聴視者にもおためになりますが、必ずしもアンテナをおかえにならないということになりますと、一から十全部直ちに捕捉し得るものでもございません。あとから追っかけていく努力をいたしておるわけであります。また、こういうふうに制度をかえたということで、契約取り次ぎ員も一人でも多くふやしておるわけでもございませんし、先ほど申しましたように主として全国料金を収納して歩く際に、おたくは白黒からカラーにおかわりになりましたでしょうかというようなお尋ねをしながら、聴視者の御理解のもとに白黒からカラー契約を変更していただいておるというような状態でございます。したがいまして、ややテンポがおそいというようなことにも相なろうかと思いますが、しかし、先ほど申しましたようないろいろの要素を申し上げますれば、六五%から七〇%という契約普及率が、必ずしも白黒時代に比べてはなはだしく落ちるものでもなければ、同時に私どもは新しい年度でいろいろの契約上の努力をいたすために、具体的にこの予算でもかなりの改善を加えております。したがって、四十三年度よりも四十四年度、あるいは四十五年度以降、先ほどからるる申し上げておりますように、実際に出回っておる品物に対して開発し得る率を一%でも高めるということが必要だということはよく承知いたしておりますし、その線で今後一そう努力をしてみたいと思いますが、何ぶんにも新しい料金体系を始めました二年度目といたしましての四十四年度は、この辺でやむを得ず、過不足ないものとして一応の努力目標を置いたものでございます。
  10. 北條浩

    北條浩君 私がいまお尋ねしました趣旨は、つまるところ契約台数がふえれば、それによって料金あとう限り下げてもらいたい、これが趣旨でありまして、去年度のやはり予算に対しましても附帯決議もついておりますように、契約台数予想以上に伸びれば、当然これは付加料金についても考えなければならないだろうし、聴視料についてはあとう限り下げてもらいたい。しばしばNHKは国民のものといわれておりますので、この点、会長に将来の契約台数がふえれば料金については下げると、この点について念のために確認をしておきたいわけです。
  11. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 今年度予算審議の際に御指摘のような附帯決議がついておることはよく存じておりますし、またその附帯決議を尊重しながら、今年度経営の指針の一つという方向でやってまいりました。ただいま佐野専務からも申し上げましたように、私どもとしては、この五カ年間にどのような財政状態になるかということを考えながら、当然NHKがなすべき事業をその中でどう消化していくか、同時に御期待に沿い得るためには、やはり経営を近代化し合理化し冗費を省くという点も同様の努力を払うべきであるという考え方でまいっております。私どもが本年度出発に際して、将来の五カ年間の構想を立てたその結果は、大体五カ年目で、もう従来の方式から割り出しますと、御承知のようにラジオ単設料金を無料とし、これまでの聴視料金三百三十円を三百十五円に下げ、それに対してカラー特設料金百五十円という形できておりますので、そういう点から申し上げますと、私ども最初考え方の中では、四十七年度におおよそいままでのロスを取り返し縛るならば、経営努力はある程度の目標を達するものという考え方を持って今日に至っております。幸いに、今年度もまあ一般生活の向上と協会職員の協力によって二十万件の契約の増を確実に把握できるというたえまえで、明年度予算を組ましていただいたわけであり、その見地に立ってただいま御質疑をいただいたような修正の方向に向かったわけでございますが、結論的に申し上げるならば、この状態予想を越えて非常に多額になるというような場合には、当然この前お約束申し上げましたようにその時期においては、料金引き下げ目標とする調整を考えるべきであるということはいまだに変わっておりません。ただ、その時期の見通しについては、まだ不可能であるということでございます。
  12. 北條浩

    北條浩君 もう去年の当委員会受像機価格につきまして私も触れましたし、また、鈴木委員のほうでもそれに続いて御質疑がありまして、たとえば物品税の問題、非常にカラー受像機等開発はされましたけれども一般の庶民に対しては非常に高額でございます。たとえば一例をとりますと、十九型、十八万円台のテレビ受像機輸出価格におきましては六万円前後であろうかと思うわけですが、非常な隔たりがあるわけであります。で、先般も大臣の御答弁によりますと、今後増産が進めば、カラーテレビ価格も下るだろうとばく然とお答えでありましたが、これに対しましてやはり物品税に関する大臣見解、それから価格引き下げに対する関係大臣ともよく相談をしてしかるべき方途を考えるという御発言もございましたので、この点に対する大臣の御見解をこの際お聞きしておきたいと思うわけです。
  13. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) カラーテレビ価格引き下げにつきましては、各方面から非常に強い要望がございます。委員会でもたびたび御指摘もございました。私も現在のようなたいへんな量産をしておる状態であれば、当然もう引き下がるのではないかと、かように考えますし、それからメーカーの年間数百億円に及ぶ純益、そういう決算内容から見ましても、当然私は引き下げてしかるべきじゃないかと、かように考えております。そこで、先般事務当局に対しまして、通産省及び経済企画庁の事務局と連絡をとって、事務的にある程度この問題をどう取り扱うか検討するように指示をいたしております。それがある程度具体化いたしましたところで、三大臣打ち合わせをいたしまして、何らかの措置をとりたいと、かように考えておる次第でございます。
  14. 北條浩

    北條浩君 じゃ、それはひとつ近い将来において必ず検討の結果をお聞きしたいと思います。  次に、NHKタワーの問題につきまして、若干お伺いしたいわけでありますけれども、先般来この問題につきましても、委員会でしばしば取り上げられてお答えも承っておりますが、私が、まずお聞きしたい点は、VからUに切りかえることによって、それは確かに送達距離が短くなりますからアンテナも高くしなければならないという点につきましてはわかるわけでありますが、現在の東京タワーテレビ塔が三百三十三メートルございます。この送信アンテナの高さではVからUに切りかえた場合になぜいけないのか。また、すでに起工式も終わって、いわゆる正力タワー、新宿に五百五十メートルのタワーを建てるということも伺っておるわけです。しかるに、今日のNHK構想は当初五百五十メーターと承ったわけですが、先般は六百メーターと、きわめてあいまいな数字が出ておるわけであります。この三百三十三メートルの高さではなぜいけないのか、どうしてその五百五十メートルという線が出たのか。また、今回NHKはなぜそれにプラス五十メートルとして六百メートルという数字を出したのか。この辺の技術的なデータを示していただかなければどうしても納得がいかぬわけです。ですから非常に重大な問題でありますので、この技術的なデータですね、それにつきまして、ぜひとも詳しく説明をしていただきたい。なぜ六百メートルという高さにしなければならないのか、この基礎について最初にお伺いしたいんです。
  15. 野村達治

    参考人野村達治君) ただいまの御質問に対してお答え申し上げます。  東京タワーの三百三十メーターにつきましては、ここにUHF送信設備を設けまして電力を相当上げましても、現在VHFテレビジョンサービスの八〇%をちょっと切る程度のサービスしかできないというようなことになるわけでございます。したがいまして、それを一〇〇%近くまでもってまいりますためには、かなりたくさんの中継局を設けなければならない。そういったことをある程度検討いたしますと、とてもチャンネル数がそういった方向では足りないということがきわめて明白になってまいるわけであります。その点が一点でございます。  それからもう一つは、東京タワー自身が現在あの上の部分が全部VHF送信アンテナを置いてありまして、しかもその内部には、アンテナ電力を供給いたします給電線路一ぱいに詰まっております。こういった状態を全部取りはずしまして、しかも、それをUHFのものに取りかえるといったことをいたしますためには、VHF送信をきわめて長期にわたりましてとめてしまうというようなことをいたしませんと、かなりそういうことはむずかしかろうということが一つございます。それから、六百メートルにいたしました理由は、現在の私どものほうの放送センターの場所、あれが大体海抜三十メートル近くございますが、ここにアンテナを建てる、六百メートル級というようなものを考えますと、現在の東京タワーからやっております電波VHFサービスのほぼ九〇%から九五%ぐらいまでのサービスが可能になるというようなことでございます。そういうところから、約六百メートル級のものが必要であろう。もちろんこちらに設けます六百メートル級のアンテナにつきましては、私どものほうのVHF電波UHFにかえるというばかりでなく、あるいはそれに民間放送VHFのものがUHFにかわります場合のことも考えますと、その高さ自身一つアンテナにつきまして、約十メートルから十五メートルが一チャンネルごとに必要になりますので、そういうものを足したり引いたりしますと、六百なりあるいは六百五十メートルになるということでございます。
  16. 北條浩

    北條浩君 VからUに切りかえた場合のいまの御説明でありますが、現在の東京タワーは、この事情も私はよく知りませんから、それに固執して聞いておるわけじゃないんですけれども、高さに限って、私は質問しているわけです。三百三十三メートルのときの高さで、これにUの電波を発射した場合、必要電界強度ですね、送達距離といいますか、その距離がVとUとでは一体どんなふうに違うのか、その辺をもう少し伺いたいんです。しかも、お答えによりますと、現在の三百三十メートルでは、相当中継局が必要だと、こうおっしゃいましたけれども、しかし、私の考えでは、かりにこれを六百メートルにしましても、やはり関東平野には山がございます。当然山陰に対しましては、これはやはり中継局を置かなければならないのじゃないか。しろうと考えですけれども、そう思うわけです。それからまた、房総半島から東京湾あたりは海でありますので、このあたりはあんまり関係ないとしますと、この高さ自体はあんまり違いがないんじゃないかという気がするわけです。したがいまして、いまの御答弁では、その辺がまだはっきりいたしませんので、もう少し高さの違いというものがどうして必要なのかということを、もう少しわかりやすく御説明をしていただきたいと思います。
  17. 野村達治

    参考人野村達治君) 私が先ほど申し上げました中継局と申しますのは、何種類かがあると思えるのでございますが、これがいずれも郵政省並びに関係の団体が御相談いたしまして、チャンネルプランが郵政省できめられるという段階できまることだと考えておりますが、先ほど申し上げました八〇%を切っております場合に、必要な中継局電力といいますものは、比較的大きな電力中継局がかなりたくさん周辺にできるでしょう。それからまた、先ほど指摘のありましたような山陰に対しまする中継局は、これは比較的電力の小っちゃな中継局ということでございます。ところが、テレビジョンのチャンネルは、UHFにいたしましても五十チャンネルしかございません。東京に置きますものは、もちろん広域をカバーいたしますので、比較的大きな電力のものが必要でございます。それから八〇%のうちのかなり残りの部分をカバーしますためのものも、これもかなり電力の大きなものが必要になってくる。それから山陰に対しますものは、これはきわめて電力の小っちゃなものであるというようなことでありますので、五十チャンネルを利用いたします場合に、きわめて小っちゃな電力のものは相互に干渉することは少ないわけでございますから、幾つも置けるわけでございますが、それに比べまして、ある程度大きな電力を持ちます地区では相互干渉いたしますために、別々のチャンネルを使わなければならないというようなことになりまして、広域圏をカバーいたしますためには、やはり極力広い地域を一つの局の電波でカバーして、あとは比較的小っちゃな電力中継局でもってカバーするということをいたしませんと、とても五十チャンネルの中には入らないというようなことになるわけでございます。
  18. 北條浩

    北條浩君 そういたしますと、いずれにしても、六百メートルにした場合でも、やはり幾つかの中継局は置かなければならないわけですね。その場合に、いまのお話でややわかったわけでありますけれども、やはり山陰対策といたしましては、この中継局を置かなければならない、その場合の中継局の数ですね。それからかりに三百メートルにした場合の置くべき中継局、この差はどうなりますか。その電力のこともあるでありましょうけれども、大体前者と後者と比べて中継局に対する数とか、それから必要な条件、それに持ち出す経費とか、そういう比較論はどうですか。
  19. 野村達治

    参考人野村達治君) これは正確なチャンネルプランがきまりませんと、はっきりした数を申し上げかねるわけでございますが、おそらく三百三十メートルでやりました際には、かなり大きな電力中継局が四十局ぐらい必要であろうかと思います。それに対しまして六百メートルにいたしますと、それがおそらく十局以下になるということでございます。
  20. 北條浩

    北條浩君 大体御説明は伺いましたが、前田会長さんに伺いますけれども、いずれにいたしましても、六百メートルのタワーをつくるということは非常に大きな計画です。こうした大きな計画が、はたしてNHKの当局としては、いつから構想の中にあったかですね。しかも、お聞きいたしますと、これに対する費用もばく大なものと伺っているわけです。先般の委員会で、たしか前田会長は、現在の放送センターが八層建てだけれども、二十四層にする用意がしてあると、こういうふうに伺いました。しかし、その構想も、一説によりますと、現在の建物はそのままにしておいて、別に二十四層を建てるとか、タワーを二十四層の上に建てるとか、またタワーは別だと、さまざまです。したがって、まだその構想はほとんど固まっていないんじゃないか。このきわめて大事な事柄につきまして、肝心のNHK当局としまして、あまり基礎の検討もされずにいるんじゃないかというふうに受け取られるわけですね。そこで確かめておきたいわけでありますが、NHK当局としては、こうしたことについて、いつからこの構想があったのか、現在またどういうふうにこれを検討されておりますのか、これを少しく伺いたいと思うわけです。
  21. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 御質問趣旨につきまして、問題を二つに分けてお答え申し上げたいと思うんです。  放送センター構想としては、昭和三十八年以来、私どもの原案としては、田村町を放送センターに集約するという考え方を持っておりました。したがいまして、その当時すでにあの地点に二十四階のものを建てるという考え方を明らかにいたしております。ただ、その点内外の一般情勢との関連で、構想としては第二期工事中に、これを完成するという考え方を持っておりましたが、社会情勢、経済情勢、その他一般的な客観的情勢のもとで、これを実施することが困難になりまして、したがいまして、その点に関する限りは、明年度予算——御審議をいただいております予算にも盛られておりません。ただ、私どもとしては、最終的な近代化と、それと表裏一体となる集約化、したがって合理化のためには、これは三十八年度当時に考えた方向を完成すべきであるという考え方を私どもは持っております。したがいまして私どもとしては、先ほどの御質問との関連もございますが、われわれの五カ年構想が財政面でどのようになるかという点も勘案しながら、できれば四十五年度予算の編成の際にこれを確定いたしたいという考え方を持っております。これが第一点でございます。  この関係において、私どもは第二点の、ただいま御質問タワーとの関連を考えているわけでございます。なぜタワーとの関連を考えたかというとこについては、私ども自体としては、おおよそ二つの問題がございます。  第一点は、御承知のように、おととしこの構想をつくったときには、予想されなかった問題が幾つか出ております。  その第一点は、VからUへの転換という重大問題でございます。この問題は、ただいま技師長から御説明申し上げましたように、これは理論的に同じ次元で瞬間的にVからUに切りかえ得るものではございません。かなり長期にわたってVとUの並行放送という形が、当然過渡的な形態として起こってくると思います。  この点と関連しまして、第二の問題は、われわれ自体の鉄塔を持たないで済ませるかどうかという、これはわれわれの心理状態を申し上げるわけでございますが、社会的な実情、それから実際上もいままで幾たびか故障が起こっております。これは私どもの直接の責任における故障でない故障が起こるという点も、やはり私どもとしては、放送法上の責任を明らかにするために考えるべきであるという考え方を持っております。しかし何と申しましても、その後新しい情勢が起こった。いわゆるVからUへの転換という問題を考えますと、既設の鉄塔では処理しがたい問題が非常にたくさん出てまいります。たとえばその変化がない場合でも、UHFでは、五カ年構想の中では、教育、総合あわせて約二千局の中継局をつくるという計画になっておりますが、ただいま申し上げましたように、そのほかに過渡的な形態として、今年度予算でも御審議をいただいておりますように、東京、大阪のUHF局が建設される。その場合に、私どもとしてはやはり新しい構想で、いわゆる近代化、合理化の線が四十五年から実施される環境になる場合には、当然鉄塔の問題も同時に取り上げるべきである。しかも、繰り返すようですが、これは構想策定の当時には、予見し得なかった重大な変化でございます。そういう意味で、私どもは鉄塔の問題を取り上げたわけでありまして、基本的には、鉄塔に関する限りは新しい事態に即応する方策であり、根本的なたてまえとしては、昭和三十八年度に持った最初構想をここで実現することによって、最終的合理化をはかりたい、このように考えているわけでございます。
  22. 北條浩

    北條浩君 そうしますと、いま会長が前段、後段に分けて御説明されましたけれども最初の一元化の構想については当時からあった、こういうふうにおっしゃいましたですね。そういたしますと、いままでの内幸町のビルでありますが、それに関しましては内部の改装とか、それから設備の増強に相当の投資をしておられるわけでありますね。一元化構想がありながらなぜそのような投資をされたのか。また今回タワーのことは事態の変化ということで、その当時はなかったが現在どうしても必要である、これはわかるけれども、その費用の捻出方法につきまして、内幸町のビル、あの建物、設備一切ですが、これを売却してこの費用に充てるというようなことを伺っておるわけです。少なくともこれだけの重大な問題につきまして、いささか私驚いたわけですが、一元化の構想があるとするなら、これはあれだけの投資をなぜしたのか。それからまたこれを簡単に売却とおっしゃるけれども、とにかく放送設備なんというものはこれは独特なものでありまして、いざ転用といった場合に、はたして転用がきくのか。これを考えた場合に、非常に驚くわけですね。将来の見通しにつきまして、少なくとも昭和三十八年から一元化の構想があった、こう言われるならば、なぜ放送センターにもっと重点を置かれなかったのか。なぜ内幸町のほうにそれだけ投資をされたのか。これがはなはだ大きな疑問であるわけです。簡単にいま会長はそうおっしゃるけれども、いままで内幸町に投資を一体どのくらいされたのか。これをまたすぐ売却なんとおっしゃるけれども、はたして売れる見通しがあるのか。どこへお売りになるのか。そう簡単におっしゃるが、国民の財産ということをまた一面おっしゃっているわけでありますが、そういった意味でもう少し明らかにしてもらわないと、納得できないわけです。ですから、くどいようですけれども、一元化の構想が三十八年当時にあったならば、なぜ内幸町にまで投資をしたのか。それから現在また放送センター、あれがはたしてフル回転しているかどうか、疑問になるわけですね。あれだけの建物をつくって、将来一元化の構想があるならば、あの建物をもっとフルに回転してもいいのじゃないかと思うのですね。この間、私たち委員で見学をさしていただいたけれども、あれでわれわれ見なかったところもあるのじゃないかと思うのですね。たとえばこまかい話で恐縮だが、スタジオ一〇一というのは、いまどうなっていますか。どのように活用されているか、その辺のところもあわせて会長から伺いたいと思うのです。
  23. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 田村町のその後の投資については、それぞれの担当部から詳細の数字を御説明申し上げさせたいと思いますが、大体第二新館改装その他では、実は二十億余りを新たに投資しているだけでございます。  いまの御質問の点にお答え申し上げますと、先ほど申し上げたように、昭和三十八年に構想を立てたけれども、その後一期工事はオリンピックの必要のために一種の突貫工事をいたしまして、それの終了後に三十八年度に考えた構想を完全実施するかどうかの問題については、率直に申し上げて経営委員会の議決を得ることができませんでした。で、私どもとしては、客観情勢もさることながら、放送法が明らかにしているように、また経営委員会についても幾多の御批判、御規約があるようでありますが、当時は経営委員会が議決できなかったために、現在の第二期工事の形においてのみ議決するということになりまして、これができなかったわけでございます。その間、先ほど申し上げたように、田村町の改装のために二十億投資しております。したがいまして私どもとしては、この数年間の問題をできればやはり最終合理化、最終近代化、しかも経営をコンパクトにするという意味では、当然私どもとしては、放送センターに集中すべきであるという考え方は変わっていないわけでございます。したがいまして、私はきわめて率直にできなかった理由の一部をはっきり申し上げたわけでございますが、まあこれはその後のいろいろな御理解その他をいただきながら、おおよそ四十五年度予算編成に当たっては、客観的情勢をも考慮に入れて、ある程度可能となるのではないかということを私は考えているわけでございます。  現在の放送センターがフルに利用されていないのではないかという問題につきましては、ことに御質問のスタジオ一〇一につきましては、実はその後使用方法が多少変更されるということで、これは目下改装中でございます。したがいまして、このスタジオに関する限りはフルにまだ活用されておりません。それはどういうことかと申しますと、実はこのスタジオは大体三百坪ぐらいの大きなものでございます。これの使用目標はいわゆる劇映画的なもの、いわゆるシネマ的なものをあそこで制作するという考え方を持っておりました。しかしながら、あの一〇一は簡単に申しまして、地形から申しましても、それのロケーション的な部分を同時に活用することができません。したがいまして、その後一部設計を変更いたしまして、シネマ的なものはその後、別にすでに完成いたしております。ごらんいただいたかと思いますが。そしてその周辺は、一種のロケ的装置を戸外にできるようにいたしまして、将来の劇映画的なものはそこでやる。そして現在それではその三百坪をどのように改造しているかと申しますと、番組の多様化等新しい番組の開発のために、この三百坪のスタジオをフルに活用できる方向で、ライトその他の変更を行なっているわけでございます。その番組はおそらくことしの十月以降に皆さんにごらんいただけることになると思いますが、これは日本では一番開発が未熟だった番組の開発でございます。これについては、したがいまして、十月以降にこのスタジオもフルに活用されることになるであろう、このように考えているわけでございます。  さらに続いて建物の処分その他ができるかどうかということでございまして、私どもももちろん現在の時点で、確信を持ってできるんだということは申し上げられません。ただ、昭和三十八年に放送センターを建設する際の一応のスケジュールとして私どもが考えましたことは、その当時たとえば飯野ビルの六階、七階あるいは幾つかの森ビル等を、それから日比谷スタジオその他を、それからその前には電通の銀座スタジオと、あらゆるスタジオを借りながら今日の番組をつくっております。これを解決する方法として、放送センターの建設は意味があったわけでございます。今日銀座スタジオ、日比谷スタジオ、飯野ビル、それから森ビル等はすべて返還いたしまして解消いたしました。そのあとでわれわれが考えていた問題は霞カ関の処分でございます。これについてはおそらく明後年度予算に計上し得る段階に立っております。これによって放送センターの建設費は二十億前後、逆に言えば差し引きされるという状態になると思います。現在の田村町は、一般的な専門鑑定によりまして、ほぼ土地だけで約三千数百坪ございますが、その鑑定はおおよそ総額百五十億近いであろうということがいわれております。いまのところ、建物は計算いたしておりません。まあ放送局ですから、スタジオ等の問題はおそらくどのような方が来られても、これを改装しなければ使用にたえないだろうと思います。そういう点では幾つかの具体的な問題が、その計画が決定された前後から生じてくるとは思いますが、一応の構想として考えますと、そういう意味で——それからまたこれは相当小さいものでございますが、現在本放送となったFM放送のアンテナが紀尾井町にございます。これが先ほど来御質疑をいただいている放送センターアンテナに移行できたあとでは、これも処分し得るものである。そういう見地に立ちますと、聴視者の皆さんに対してもそれほどの損害をかけることなく、われわれが聴視者から負わされている合理化の責任を、そういうものを一応のめどとして、聴視料に影響なく実現できるのではないかということを考えまして、現在特別委員会NHKの中につくって、その具体的な検討を開始した状態にございます。
  24. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 補足説明ありますか。
  25. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 一部ただいまの会長の御答弁に補足したいと思いますが、質問の主たる趣旨は、渋谷の放送センターに全体を集中する計画を持ちながら、田村町の土地に新館の新築、増築、これを何でやったか、こういう御趣旨であったと思います。かねがねラジオだけでなしに、テレビ放送を開始いたしまして以来、急速な業務量の増大に対処いたしまして、在来の施設ではきわめて不十分である、不足であるという事態は明白でございました。そういうことからこれに対応する幾多の措置を考えたわけでありますけれども、一カ所に集中する計画を立ち得る段階になりまして、所要の土地を入手できましたのは、昭和三十八年の四月でございます。それまでは、そういったまだ地所も入手の見通しが立たないという状況で、しかも急速なテレビの伸びに従います業務量の増大に対しましては、これを単に借り入れるといたしましても、その後一部補足的な借り入ればただいま会長の答弁のごとくいたしておりますけれども、とてもそういうことで間に合うものではございません。そういうことから、田村町のNHK所有の土地の上に何がしかの施設をつくらなければならない状態にありまして、そういうために第一期工事は昭和三十年に完成をいたしております。第二期工事は、昭和三十五年に大体を完成し、その後幾分かの増築をいたしておりますけれども、集中計画を立てる前にそのような業務量の急速なる増大に対処しなければならない事情もございまして、そういうことで現在の第一、第二新館を、集中計画を立て得る見通しの立つ前においてすでに整備をしなければならなかった必要があったわけでございます。この関係に使いました経費は、先ほど会長の答弁をいたしましたごとく総計二十億でございます。
  26. 北條浩

    北條浩君 ただいまのお話を御両氏から承りますと、それなりの理由があるようでございますけれども、なおかつ疑問の残りますことは、やはりこれだけの長期構想というものを明確にお持ちになっておりながら、ただいま進行中の第三次五カ年計画にも載っておりませず、またいろいろな理由があったにせよ、このいまの放送センターの設計、それからまた使用上三百五十坪もあるようなスタジオを長い間放置しておくとか、非常に計画のずさんさというものはやはり指摘できると思うのですね。それだけに、長期構想があるならば、なぜ早くプランに載せないか。また、そういったプランについても、もっとしかるべき第三者の意見等を聞くなり、またこうした当委員会においても、もっと明確にするなりなさって、そうして国民のものであるならば、それらしくみなの納得の上で運営されてしかるべきじゃないか、こう思うのですね。あとからいろいろ理由はつけられましょうけれども。しかし、こうした大事な問題がありながら、それが明確にされない、しかもその設計等につきましても、はなはだ疑問が多いわけです。重ねてその点会長から、今後のことにつきましては、こうした疑問がないようにやっていただきたい。この点を私は強く希望したいわけです。その点が、この五カ年計画になぜ載ってないのか。  それから今後の、二十四層なら二十四層にするというプラン、当初これおありになるならば、相当程度もうできておると思うのですね。いま、ここでタワーの問題があとで出た、したがって、特別委員会がおつくりになったこの計画は了といたしますが、きちっと立てられる構想につきましては、三十八年当時にあるなら、相当な基礎プランはおありじゃないかと思うのです。この点はやはり明確にすべきだと私は思うのです。会長にお願いします。
  27. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 全くお説のとおりでございまして、私どもとしても、その点を非常にはっきりさせていく義務と責任があると考えております。今回「五カ年構想」と、あえて計画という呼び名を使わなかった理由は、ただいま私がるる御説明を申し上げたような背景も考えながら、確定的な計画を立て得ないというたてまえにおいて、構想という名前を実は私自身が、率直に申し上げます、つけたわけでございます。第一次、第二次長期構想長期計画におきましても、多少の変更は、長期的な見通しに立った計画でございますから、事実上起こり得ることは避けられないと思いますが、今回の場合は、特にUHFの最終的な国策としての波の処理がどうなるか、またFM等に関しても最終的な国策がどう決定されるかは、実は五カ年構想は、私どもが策定する時期においては決定しておりませんでした。それといろいろな客観的情勢で割り切った計画を立て得ない問題も幾つか内在しておりました。したがいまして、私どもとしては、一応、五カ年構想というたてまえをとりながら、長期経営の指針を策定したわけでございます。この点につきましては、私としては、御審議いただいている昭和四十四年度予算の実施を中心として最終的見きわめをつけたいという熱意にかられております。したがいまして、その意味においては、昭和四十五年度予算編成と関連して、この長期構想という名のわれわれの長期経営方針は、あるいは五カ年長期計画という形に切り変え得るかとも実は考えております。先ほどもお話がありました三百坪をこえるスタジオの使用かたについて、それを今日まで放置したのではございません。あれも数年間あのスタジオは使用してまいりました。先ほど申し上げましたように、新しい番組の開発のために、二期工事の完成において、劇映画的な制作のスタジオをつくりました。それと、われわれとしては、この際、したがって三百坪のスタジオの使用を一時停止しまして、そうして先ほど申し上げたように新しい分野の番組の制作に応じ得る設備を増加することによってこれを一そう効果的に使いたい、このように考えているわけでございます。
  28. 北條浩

    北條浩君 構想と計画ということですね。これはもう御説明で一応は納得しますけれども、やはり一般的には構想であろうと計画であろうと、その差はたいしてないわけでありまして、今後願わくは将来に対する見通しというものはきわめて大事だと思うわけでありまして、これに対しては明らかにすべきだと思うのですね。それをぜひともお約束願いたいわけです。ですから、VからUに切りかえるということも大問題でありますし、これに対応した現在はタワーということで六百メートルというものをされましたわけですけれども、これも高さ、それに対する建設の費用、これはやはり相当に経費のかかることでもありますので、大事なことであります。さらにまたこれが十年、二十年たった場合、宇宙衛星というものも相当開発されて、現在では考えられない事態もこれはもう将来においては十分予想がつくわけです。相当巨額の投資をして高い塔を建てた、ところが宇宙衛星が開発されて要らなくなるという時代も考えられないわけじゃない。そうしたことをもう少し見通しを立てて、そうしてその上でやはり将来計画を策定する、またその将来計画を策定するについては、諸般の関係者の意見を聴取する、こういう態度が望ましいと私は思うわけです。そうすれば、もっとそうした不要投資もなくなるであろうし、やはり国民のものである以上はそういったことを明瞭にし、なおかつまた国民の参画の上でNHKの運営をやっていく、これは当然あるべき本来の姿ではないか、このように思いますので、将来はそのようにしていくということを会長としてひとつ約束を願いたいと思います。
  29. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 全くごもっともな当然の御意見だと考えます。われわれはこの構想についても、内外関係方面の一応の御了承はいただいております。御説明申し上げてあります。しかし、同時にただいまの御趣旨に沿うてできれば四十四年度中に先ほど申し上げましたようにより明らかなものを皆さんにも御説明申し上げ御協力もいただきたい、そのように考えておりますので、御理解いただきたいと思います。
  30. 北條浩

    北條浩君 そこで、今度は大臣に伺いたいのですけれども、いままで私がお聞きしておりました要するにタワーの問題について、少なくとも現在東京タワーなり、正力タワー構想が発表になり、なおかつそのNHKの六百メートルのタワー、こうした調整しなければならない問題が当然あるわけでありますが、これを郵政大臣は所管大臣でありますので、そうした問題を調整する立場であるにかかわらず、少なくとも私たちの聞き及んだ範囲においては、最初にこの構想を発表されているのは大臣ですね、NHKさんのほうで発表されたのじゃなくて、なぜ大臣がそういったことを発表されたのか、私は、その点につきましては、はなはだ大きな疑問を持つわけです。その点ひとつ大臣に承りたいわけです。
  31. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) NHKからは、先ほど前田会長並びに野村務理事からるる御説明がございましたような理由で、VからUへの転換を機会にタワーを建てたい、こういう強い要請がございました。しかし、その要請だけでは最終の判断もできませんので、早急にもっと具体的な案をつくるようにと、こういう私は指示をしたわけでございます。その趣旨に基づきまして、いま具体的に検討が進められておるわけでございますが、その具体案を見ました上で最終的に郵政省としての態度をきめたいと、かように考えております。なお、読売のタワーにつきましては、すでに起工済みである、こういうお話がございましたが、その問題に関しましては、郵政省は何ら関知をいたしておりません。したがって、起工しておられるのはタワーではなくて、何かはかのものの起工ではないか、かように考えております。なお、読売テレビからは非公式に二、三年前に、まだVからUへの転換がきまらなかった前のことでございますが、郵政省に対して大きなタワーを建てたい、こういうお話があったようでございますが、その当時はまだその必要はない、こういうふうに郵政省は判断をいたしまして、その旨、返事をしておるはずでございます。ただし、昨年、VからUへの転換がきまりましたので、その後事情は若干変わっておりますが、その後のことにつきましては、正式に何らの書類も出ておりません。
  32. 北條浩

    北條浩君 いまの大臣のお話によりますと、正力タワーについては、まだVからUへ切りかえる前の話であって、現在は正式にも聞いておりませんし、起工式はおそらくタワーじゃないんじゃないかというお話ですけれども、やはり巷間耳にしますことは、そうではなくて、やはりこのタワー構想、これをもってやっておられるのではないかと思うわけですね。ですから、大臣は、郵政省としては関知しないとおっしゃるけれども、これは私は当然大臣としては関知せにゃならない問題だと思うのですね。正式な届け出がないからといって、非常にこの問題につきましては、複雑な事態がやはり予想されるわけです。こうしたことについて、これは当然大臣としては、そういういざこざが起こらないようにしていくのが大臣の義務じゃないか。これをどういう理由か知らぬけれども、正式な届けがないとか、関知しておらぬというふうにして、形式的に突っぱねては、私はかえって事は紛糾するばかりじゃないかと思うわけです。さらにまた、この高さにいたしましても、三百メートルだとか、五百メートル、五百五十メートル、六百メートル、まるで高さの競争をやっているみたいで、これもはたして根拠が、先ほどから私がるるお聞きしておりますように、その根拠も明確ではないし、どうして五百五十と六百とその差をつけたのか。またそれに対して、少なくとも、現在東京タワーにつきましては、郵政当局として、行政指導として一本にしたわけですね。いろいろな事情があって、読売テレビだけはきておりませんけれども、こうしたことをやはり今度は聴視者、国民の側からすれば、非常に迷惑なんですね。同じ受像機テレビを見ようとするのについて、その送信所が違えば、アンテナ方向をそれぞれ変えなければならない。今後かりに東京タワーが高くなり、NTBのタワーが五百五十メートルに高くなり、NHKタワーが高くなる、こんなことが予想されれば、これは非常にやっかいな話であり、今度ははたしてどこから電波が出るのか、聴視者としてははなはだ迷惑であって、こうしたことを予想すれば、当然一本のところから出るのがあたりまえであって、こうしたことを調整するのが、私は大臣の義務だと思うわけです。こうしたことを、どういうわけか知らぬけれども、私は関知しない、こんな態度では私はいかぬと思うのです。もう少し具体的に、自主的に、事実行なわれている事態をもう少しよくごらんになって、これに対して大臣としてはしかるべく調整をしていく、こういう態度が当然じゃないかと私は思うわけです。もう一ぺんその点ひとつ大臣から伺いたいと思うのです。
  33. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 昨年の秋、お話のように新宿におきまして、正力タワーの起工式があったということを私も聞き及びましたので、事実を調べてみました。ところが、郵政省に対しては何らの連絡も、報告もございません。タワーであれば、当然何らかの報告があると思います。そうして、その後の事情を調べてみますと、最近世界一のテレビ塔がモスコーにできたそうでございます。五百三十メートル。その調査団を派遣せられまして、ごく最近に帰ってこられた、こういうことも聞き及んでおります。ですから、まだ実際は調査の段階ではないか、こう思うのです。私が先ほど関知しないと申し上げましたのは、そういうことで関知をしない、事実を知らないわけですから、まあそういうふうに申し上げたわけでございます。ただしかし、こういうものが二本も三本も、たくさんできるということは、これは好ましくありません。お話のとおり、当然一つでけっこうだと思います。ですから、NHKの具体的な計画も近くできると思います。ですから、NHKが中心になりまして、他の関係者とお話し合いをされ、そうして一本化されればけっこうですし、さらにまた読売テレビでも、そういう計画がほんとうに具体化いたしまして、郵政省に対して正式にお話があれば、そういういろいろな計画を郵政省で比較研究いたしまして、あっせんの労をとるのはやぶさかでございませんが、まだその段階ではない、こう考えております。
  34. 北條浩

    北條浩君 いまの大臣の答弁で私ははなはだ不満でありますが、少なくとも、大臣としても将来こうしたことが紛糾しないようにということは、これはもうお考えだと思うのです。ところが、肝心のNHK構想につきましても、やはりそれにかかわる関係者というものがいるわけですね。これを、ただいまのお話では、将来それぞれお話し合いがあればというふうなことを大臣はおっしゃっておりますけれども、むしろそうではなくて、積極的にこの際話をさせるなり、そういう機関を設けるなり、調整をしていくべく、もっと能動的に大臣としてはすべきだと思うのです。そういうことにつきましては、むしろ受動的に、そういうお話しがあればというふうにばく然とおっしゃっていながら、なおかつNHK構想については、NHKに先立って大臣が発言するということは、私ははなはだ矛盾だと思うのです。ですから、そういう態度では私はいけないと思うのです。ですから、もっと大臣としては率直に、将来もNHK一本にするとか、いまの正力タワーについてはもうやめさせるとか、また東京タワーとの関連はどうするとか、大臣の考えがあるなら、あるではっきり言っていただきたいし、そういった調整をする見通しもなく、軽々に構想を発表するということは、たいへん不見識じゃないか、このように私は思うわけでありまして、あえて大臣の所見をただしておきたいと思うわけです。
  35. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) NHKから具体的な計画、つまり資金計画をどうするか、あるいは建物の、あるいはまたタワーの内容はどうなるか、それに、他に及ぼす影響はどうか、こういうふうな具体的な計画が出ますれば、それによって最終の判断をするつもりでおります。四十四年度予算には、先ほどお話しのように全然このタワーに関する予算は計上されておりませんし、会長のお話の中に、かりにやるとしても四十五年度からやりたい、こういうお話でございますので、そういう具体案が出たときに、資金計画も含めまして、それが国民の負担になるのか、ならないのか、そういうことも含めまして最終の断を実は下したい、かように考えているわけでございます。いま検討させている段階でございます。  それから読売テレビにつきましては、先ほど申し上げましたように、これまた調査段階を出ない、実はこういうふうに判断をしているわけでございまして、具体的な話が正式にあれば、その段階において、これまた検討を進めまして、できるならば自主的な話し合いによって一本化していただきたい、かように考えておりますが、そのあとにおきまして、自主的に一本化できないということであれば、その段階におきまして、あっせんをするということもまた考えていきたい、かように考えている次第でございます。
  36. 北條浩

    北條浩君 じゃ、大臣に要望しておきますけれども、どうかこれの事態が紛糾して国民のほうに迷惑がかからないように、ひとつ積極的に調整の労をとっていただくように要望いたしておきます。大臣の発言としては非常に影響も大きいわけでありますので、いまのような少なくともNHKとしても構想にすぎないというなら、それらしい発言の時と場所があると思うわけです。そういったこともよく十分お考えの上で、よけいな紛糾を起さないように、大臣としては行動されたほうがよろしいんじゃないか、このように要望いたしておく次第であります。本問題につきましては、以上で打ち切っておきます。  次に、大臣にお聞きしたいわけですけれども、VからUへの移行につきましてでありますが、これはもうしばしば委員会等で取り上げられている問題でございますけれども、ひとつ私がお尋ねしたい点は、VからUに移行になりますと、当然既存の放送設備も改善しなければならない、これに関します建設諸費用等が非常に区々であります。一説によりますと、NHKでは、三十億もかかるとも言われてもおりますし、またもっと少額で済む場合もあるし、民放各局におきましても、百億とも百五十億とも言われているわけです。こうした費用もまた検討段階ではありましょうが、いずれにしても巨額な金額であります。これは少なくとも郵政当局の方向転換によって、結局放送施設もかえなきゃならない、これに関しましても、一般聴視者のほうも受信機に対するコンバーターでありますとか、またはオールチャンネルの受像機にかえなきゃならぬという国民に対する負担もあります。  まず第一点としてお聞きしたいことは、放送設備に対する新しい負担ですね。これに対して当局としては、この補償を考えておられるかどうか。少なくとも一つの方針の転換によって受ける損害といえば損害であります。これに対するやはり当局としての補償をどうお考えになっておるか、この点をまず第一点として、大臣にお聞きしたいわけです。
  37. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) VからUへの転換に関しまして、放送業者に補償するということは考えておりません。
  38. 北條浩

    北條浩君 それでは一般の国民——聴視者ですね、これに対しましてやはり一つの負担をかけるわけであって、これに対しましては、大臣のいままでの答弁を聞きますと、やはり受像機の大量増産による値下げだとか、そういったことに期待をしておられるようでありますけれども、やはり当局としても一つの方針の変更に伴っての措置でありますので、これに対してやはりもっと積極的に取り組んで、この大きな変換でありますので、もう少し国民に納得のいくような、当局としても指導をするから十年間かかって、このような体制に入ってもらいたい、こういう説明をしてしかるべきであると私は思うわけです。ですから、これも先ほど私の質問に対して大臣は答えられましたので、答弁は要りませんけれども、ひとつこうした大問題につきましては、問題の構想を発表する前に、やはり関係者の意見をつぶさに聞くという態度が望ましい、少なくともこの構想につきましては、小林前郵政大臣のときの構想でありますので、現職河本大臣には、当時関係はなかったわけですけれども、引き継がれた大臣として、やはりこれだけの構想を、今後十年間かかって推し進める以上は、やはりそれなりの対策というものをあわせて行なっていかなければならないと思うわけですね。したがって、私のお聞きしたい一点は、これに伴うメーカーでありますとか、それからまた需要者に対する関係各省の調整をとっていくとか、または第三者の有力な意見を聞くとか、そうした機関をおつくりになって、そして進んでいくのがしかるべきじゃないか、こう思うわけです。ですから、いまの大臣の答弁によりますと、補償はしないと簡単におっしゃいますけれども、それでははたして関係者は納得するのかどうか、この辺もあまりにも一方的な態度ではなかなか納得できないわけであります。この点につきまして大臣考え方、今後の方向について話していただきたいと思います。
  39. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) このVからUへの転換につきまして、なぜそれをやらなければならないかということについてのPRが十分でない、これは御指摘のとおりでございます。その点は責任を痛感しております。もっとよくわかるように各方面にPRをしなければならぬ、こういう方向で指示をしているところでございます。  それから受像機の問題でございますが、十年という一応の期限をつけておりますので、大体いまのところ受像機は五年に一回くらい買いかえておられるようでございます。したがいまして、そういう点を考慮いたしますと、十年間に移行するということであれば、これは一般国民に対して御迷惑をかけることはない、かように考えております。
  40. 北條浩

    北條浩君 それでは続いていまの問題で大臣に伺いたいのですけれども、PRが不足だと大臣が認められたわけでありますので、お聞きしたいわけですが、VからUへの移行ですね、たとえばVの帯について今後非常に重要な需要がある、したがってテレビ電波はVからUへ移行するということでありますが、この需要度でありますけれども、これに関しまして、そうした強力な需要というものにつきまして、なぜVを使わなければならないのか、どうして今日戦後少なくとも二十年かかってVによるテレビ開発というものは営々として努力を続けてきたはずです。ようやく安定をした今日において、なぜVからUへ変えなければならないのか。またそのVからUへ変えた際に、はたして優劣の差はないと言われておりますけれども、はたしてそうなのか、その点につきましても、非常に疑問もあるわけであります。ですからこの際大臣から、再びになりますけれども、いい機会でありますので、どうしてVからUへあえて変えなければならないのか、また緊急な需要というものがはたしてどういうものか、それがVでなければならない理由等も御説明願いたいと思います。
  41. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) VからUへの移行についての実は郵政省の説明、RPが不十分であるということを申し上げましたが、なお同時にその説明の内容もきわめてわかりにくいということでございまして、先般来もっとわかりやすく説明をするようにということを事務当局にも命じまして、いまそういうようないろんな作業をさせているわけでございます。そこで政府委員のほうから、答弁をさせたいと思います。
  42. 左藤恵

    説明員左藤恵君) いま大臣の御答弁になりましたように、昨年VからUの移行につきまして、大臣談話という形で、無線通信の今後の見通しを考えた場合に、たとえば沿岸無線電話とかあるいは災害のパトロール、消防、電気、ガス、水道のような公共業務の重要な無線通信、特に移動用の無線通信につきまして、需要が急激に増加するということが予想されて、そのためにこれらの業務には安定した通信を確保するために伝搬特性のすぐれたVHE帯の周波数を使わなければならない、ところがVHFの周波数は非常に現在混雑をいたしておりまして、たとえば昭和二十五年当時には全体の無線局が四千局ありましたのが、現在五十万局になんなんといたしておりまして、その無線の需要がわれわれの想像いたしましたものを絶します増加のテンポでありまして、特にまたVHF帯につきましては、そういう問題が最近特に需要が伸びてきたわけでございます。それと、それからテレビ一チャンネルにつきまして、周波数帯で六メガという非常に広帯域をテレビが使うわけでございまして、これを一般の無線通信に割り当てた場合には、三百局にも及ぶような使い方ができるというふうなVHF帯の利用を公共通信の面で大幅に広げることができるということで、ひいては、社会公共の福祉の増進に役立つんじゃないかというふうに考えたわけでございます。ただ、いま大臣から御説明がございましたように、これにつきまして、もっと一般国民の方々の御理解が得やすいように、御説明をいまできるような準備を進めておる段階でございまして、今後ともこのPRにつきまして努力いたしたいと考えております。
  43. 北條浩

    北條浩君 あと質問者の委員の方の御都合もございますので、問題をはしょります。  大臣にFMに関しましてお伺いしておきたいんですが、FMの予備免許につきまして、民間の東京、大阪、名古屋、福岡ですね、今月中でありますから、きょうでございます、決定されると。東京におきましても、すでに昭和三十年前後から六十数社と思いますけれども、多くの競願がございまして、それを一つ選んでおきめになると思うわけでありますが、本日の電波監理審議会等でどういうふうなことになりますか。東京におきまして、少なくとも東京都民を代表するようなふさわしい形で選ばれると思いますけれども、その見通しですね、どこにきめられるのか。これをひとつ大臣から伺っておきたいと思うんです。
  44. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) FMにつきましては、とりあえず東京、大阪、福岡、名古屋と、この四地区に予備免許をするべく作業をいたしておりましたが、東京を除く三地区につきましては、府県知事が中心になられまして、商工会議所その他のいろんな団体と御連絡をしていただきまして、あっせん調整を進めていただきました。幸いに一本化ができまして、本日の電波監理審議会にかける予定でございます。東京につきましても、着々進んでおりますが、東京は東京都から申請が出ておりましたので、都知事に調整を依頼するというわけにもいきませんので、これは商工会議所の会頭であり、同時に郵政審議会の会長である足立さんに調整をお願いいたしました。足立さんは非常に重大な問題でございますので、経団連の植村会長に御相談になりまして、いろいろ調整を進めていただいておるわけでございますが、何ぶんにもこちらは六十数社と数が非常に多うございます。若干事務的に手間どっておりますが、本日は間に合いませんが、これまたごく近く一本化はできるであろう、かように考えておる次第であります。
  45. 北條浩

    北條浩君 それでは、ごく近くというと、大臣は大体御存じでないかと思うんですけれども、どういう形でできますのか。またはその代表になる方はどなたなのかですね。どういうメンバーがどういう形で参画するのか見通しを伺いたいと思います。
  46. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いまその調整の作業を進めていただいておるわけでございまして、まだ発表する段階ではございません。
  47. 北條浩

    北條浩君 それなら一つきわめて重要な問題でありますし、非常に競願者も多いということでございますので、当然のことでありますけれども、どうかひとつ公正妥当な推薦過程を経まして、やはり国民のだれしもが、特に東京都民が納得のいくような形におきまして発足できるように大臣に強くこの点は要望いたしておきます。  時間の関係あと一点だけ質問をさしていただきたいと思います。電波障害の問題だけ。電波障害の件につきましては、いわゆる在日米軍の基地に関しまして、たしか補償をNHKのほうでは負担をされておると思いますけれども、いままでこの在日米軍基地に関する電波障害の補償、これに対する金額並びにどういう基準でそれをしておられるか。それからこれに対しまして民間の飛行場につきましても、やはり電波障害が同じようにあるわけです。米軍基地におきましてそういう補償をするなら、民間空港におきましても同様の補償をすべきではないか、このように考えますので、時間の関係で一括してその問題について大臣から御答弁を求めます。
  48. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 電波障害に対する対策は、いろいろ進めておるわけでございますが、問題が具体的になりますので、関係者のほうから答弁させたいと思います。
  49. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 御承知かと思いますが、三十九年から国内の米軍並びに航空自衛隊関係のジェット基地十六カ所について受信料の半額免除を適用いたしております。四十三年度におきまして、この十六地区での該当件数は十三万五千件かと記憶いたしておりまして、その半額免除の金額は二億六千五百万円になっております。三十九年から本年まで大かたその半額免除をいたしてきた累計額は十億四千万円ほどの額になっている。これはただいま御指摘のように他の航空基地でもございますが、ジェット航空基地に限って実施をいたしておりまして、その他普通のプロペラ機等につきましては、たとえば一例を申しますと、立川等におきましては、これの適用を除外いたしております。これが第一点でございます。  第二点は、民間空港等におきましても同様の電波障害があるのではないかということで、その障害の発生ということにおいては、ジェット航空基地に準じたある程度の電波障害もあり得るわけでございます。昨年の十月以降財団法人といたしまして、航空公害防止協会が運輸省のごあっせんのもとにでき上がりまして、今日国際空港であります羽田と伊丹についてこれを取り上げておりまして、この防止協会におきまして、その周辺、この二つの空港で滑赤路から縦横二キロ、一キロの範囲の中で、件数で申し上げますと、伊丹におきまして二万件、羽田において一万四千件、合計三万四千件ほどの該当件数がございますが、この地区におきましては、受信料は半額ではございません。ただ社会的にこれらの一種の航空公害として騒音が発生し、かつ受信状況等に障害を及ぼしておるということで、これを防止するいろいろのことをうたった中の一つとして、助成金という名目でテレビ受信料三百十五円のほぼ半額を私ども受信料の中から差し引いて事実上交付をいたす、そういう手順で三万四千件に対して差し上げるように相なりました。これはこの空港を商業行為として利用いたしております内外の航空会社が、いわゆる騒音を含めた障害の発生責任者という形で拠出をいたされ、NHKにおきましても、実はNHK自身が、これらの航空会社等の行為による被害者の側に立っておりますけれども、社会的な一つの事態としては、理屈を乗り越えましてこの受信障害という事実をわれわれも新しい社会的な一つの対応策として御協力申し上げるということで、昨年度後半一千七百万円、本年御審議をいただいております予算案におきましては、三千百万円の助成金をこの防止協会に拠出をいたして、この防止協会から、先ほど申し上げた件数の御世帯に対して助成をいたすという一助にいたしておるわけでございます。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと議事進行。  きょう電波監理局長出席をしていないわけですね。おそらく二十八日の日にMF東京を含む四地区の答申を、諮問をするような話を聞いておりましたので、そこでは結論が出ないので、きょうまた開いておると思うのですけれども、それはそれとして、大臣の権限でおやりになるのですから、私はいいと思いますけれども、きょう、われわれは定例日以外に特別な事情によってこの委員会を開いておるわけですよ。あなたが政府委員に答弁させますという場合、電波監理局長出席をしていないということはもってのほかですよ。しかも事前に何らの話も、与野党、委員長に対しての話がない。そんなばかげたことはないですよ。あなたのほう、内部の連絡も悪いように伺いますけれども、もう少しちゃんと理由があって、こういうわけだからという連絡ぐらいちゃんとしておくべきですよ。そんな放送部長あたりに、どういう理由があるか知らぬけれども局長がいるわけですから——理由がわかれば、われわれは何も文句を言うわけじゃないのです。何も知らないで、局長がいないということはちょっとあなた、委員会をなめていますよ。今後十分注意してもらいたいですね。
  51. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 郵政大臣
  52. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御注意の点、ごもっともでございますので、今後注意いたします。局長はただいま電波監理審議会に出席をいたしておりますので、説明が済み次第、こちらに来るように連絡をいたします。
  53. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 きょうは御存じの四十三年度会期末です。このあわただしい中で、私は日本放送協会から出されました説明資料の中の事業計画、その中における、運営面における非常に平凡な問題で簡潔にお尋ねをしたいと思いますが、この四十四年度国内放送番組編集の基本事項の中に、国内放送番組編集の基本計画として一、二、三、四、五、六、七項目あげられ、並びに八、九、十、十一として、四十三年度よりの重点施策事項を継続するという中にありますが、まず本年度の重点施策の七項目の中に、「日本万国博覧会の開催年度あたり、その意義を周知するとともに、各種の紹介番組を積極的に編成する。」という方針を出されているのでありますが、御承知のように、来年度は万国博が開催されます。その万国博に対して札幌の冬季オリンピックとともに、二大特別番組を編成されるやに伺っております。私はこの日本万国博の開催に対してのNHKとしての放送、またこれに対する意義をどのように配慮されておりますか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  54. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 明年の三月から開かれます万国博につきましては、万国博というものが、大体開かれますたびに新しい技術なり、あるいは世界の新しい文化に一転機を画するようないろいろな行事が行なわれますので、それを広く紹介する義務があると思います。と同時に、今度の万国博は人類の進歩と調和というスローガンを掲げまして、この国際化時代におきましては、各国とも文化交流ということを目ざしておりますので、そういう面から考えまして、やはりNHKの信念として、その理想に沿うような範囲においてわれわれは積極的に考えたい、このように考えております。  それで、いま考えております放送計画といたしましては、まず万国博が始まります前におきまして、万国博の意味を国民にわかっていただくという立場におきまして、この四月から明年の二月ごろまで毎月一回くらいずつ、近づく万国博という意味において刻々準備が整っていきます万国博そのものを紹介すると同時に、その持つ意義を十分に理解していただくという番組を組んでいこう、このように考えております。  それから万国博がいよいよ開かれますが、それに際しては開会式なり、あるいは閉会式なり、あるいはナショナルディーと申しまして、参加する国々がそれぞれ自分の国の特色とするいろいろな文化的なもの、あるいは芸能的なもの、そういうものを持ってまいりますので、これはやはり実感として、あるいは情緒的に国民に、世界の各国の動向というもの、あるいは人間性といいますか、そういうものの理解をしてもらう絶好の機会だと思いますので、それらのものを番組の上に大きく取り上げていこうというように考えております。  それからもう一つNHKは、やはり海外の各放送機関に対する取材協力をしたい、このように考えております。世界の各国は、やはり自分の国の出品物をそれぞれ自分の国にもう一度紹介する必要もありましょうし、あるいはよその国がどういうものを出品しているか、そういうようなことも知りたいということもございますので、これらにつきましては、十分にNHKが全責任を負って海外の取材に協力する、そういう体制を準備いたしております。そのほかにいろいろなテーマ館がございます。たとえば中心になりますテーマ館は、現在いろいろな準備を進めておりますが、そこの中の写真をNHKが提供して取材協力に当たるとか、あるいは日本館の中でいろいろなこれは通産省が中心になってやっているわけでございますが、そういう中に世界各国の都市の様子を知りたい、そういうものの取材に協力して提供するということ、あるいは電気通信館というようなところで、マイクロウエーブを使いまして、日本各地で行なわれます行事を全世界に紹介していくというようなことにつきましては、NHKの各ローカル局が協力をして、そういう番組を編成する。あるいは国際連合館で、そういう催しがございますが、それに対しての協力をする。そのほかに催しもの参加協力といたしまして、NHKで現在考えておりますのは、各地の民謡とか、あるいは日本の古典芸能を参加させるということ、あるいはN響を参加させる。あるいはニューヨークのメトロポリタンオペラを紹介する。そういう意味において国際参加をはかりたい。このように考えております。
  55. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、いまの御答弁で非常にけっこうですが、四年前に行なわれた東京オリンピックより以上に万国博の行事というものは、いろいろな面からいって重要なことだと思います。政府は、どのように協力していくかということ、これは申し上げるまでもないことでございますが、私はこの点について、とかく日本の文化、国際的に考えても、実情の紹介のということが歪曲されている今日、つい数日前にも南米アルゼンチンですか、河崎大使の、しばらく日本を離れた大使たる立場に立つ人においても、ああした日本人を紹介する文書においても間違った考え方で著書にするというようなこともあるし、なお、われわれが海外に出ましても、日本の文化なり、日本の特に産業なりに対する理解度の薄いことについて常々感ずるのでありまして、この機会に四年前の東京オリンピック以上にひとつ万国博の成果というものを持っていただきたい。なお、このことを早くしていただきますとともに、実は最近何でも東京オンリーなんですね。東京中心主義の最近の傾向に対して、まあ立地条件が雪がなければならない冬季オリンピックが北海道にいったということは別として、関西において、万国博が開催されるということは非常に意義があると思う。NHK会長として、これに対して大きな一つ構想をもってこれと取り組み、この機会に日本の産業のあり方を国内に周知すること、また、文化のあり方を国際的に周知することに一段のひとつ努力を払っていただきたい。会長のひとつ構想を伺いたいと思います。
  56. 前田義徳

    参考人前田義徳君) まことに御同感でありまして、まあ東洋の地域、特に日本において初めての万国博覧会でございまして、その日本人としての責任もさることながら、NHKが、私どもに与えられた責任と義務を最大限に発揮する時期であるというふうに考えております。ただいま川上専務理事から詳細の具体的な方針をお話申し上げましたが、私ども最初からこの問題については、全力を注ぐという方針を決定いたしておりまして、たとえば中心的な計画等につきましても、当初から博覧会事務当局並びに担当者の御相談にも応じており、私どもとしては、オリンピックとは異なった見地に立って、より大きな国民的見地を、海外との関係において発揮すべきであるという考え方をはっきり持っておりますので、御質問並びに御期待に沿うよう努力に万全を期したいと、このように考えております。
  57. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 そこで、単にNHKだけの協力でなくして、民放その他マスコミの協力を得なければならないことでありますので、この点、大臣にも強力にひとつ御協力のほどを要請しておきます。答弁は要りません。  そこで、私は非常に平凡なことですが、続いて二、三点お尋ねいたします。NHK受信料を経営の財源としておられるのでございますからして、当然のことですが、受信者事業内容を周知したり、また経営面に受信者の意向を反映させる等の措置を講じておられるものと思うのですが、実際具体的にどういう方法を講ぜられているか、伺いたいのです。
  58. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) お説のとおり、ただいまの点はNHKで非常に重要な面でございます。第一義的には、随時ひんぱんに受信者の方々と接します集金人をNHKは持っております。まずこれらを動員をいたしまして、十分な訓練をいたしまして、受信者に対しましてNHKへの御質問に応じ、あるいは進んでいろんな面を御説明いたしますことは、最もただいまの御質問趣旨に沿うゆえんではないかと思っておりまして、前回の受信料改定に際しましても、特別ないろんな訓練をいたしまして、随時直接、全受信者との間におきまして、そのような面について十分なお答えもでき、また進んでNHKのそういったあり方についての御説明をいたすようにいたしております。さらに幸いに番組を通じまして、ラジオ、テレビを通じまして、NHKの運営の現状なり、あり方等につきましての時々いろいろな特別番組を組みまして、できるだけNHKの運営の実態を御承知願えるような配意をいたしておるわけでございます。その他年間四百回をこえる、なまで受信者と私ども幹部のものが直接にひざ突き合わせまして懇談をいたす機会を持っておりまして、もうすでに今日まで三千回をこえるような、そのような聴視者懇談会を催しております。さらにいろいろな有識者との関係におきまして、運営上いろいろな示唆も賜わり、また現状もよく理解していただきますために、各方面の指導的立場におられます方々を委員といたしましてNHK懇話会というものを中央、地方に設けておるわけでございます。その他パンフレットの作成配付でございますとか、あるいは新聞広告といったようなものもいたしておりますし、その間には当然に法律上の制度といたしまして、放送番組審議会なるものは、これは法律上つくらなければならないたてまえになっておりますが、中央、地方にそのような審議会をつくりまして、これによりましても、国民の皆さま方の御意向が十分に反映できるような番組政策上の重要な意見を聴取する機会を持っておるような次第でございます。
  59. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 六十八年度NHKの年鑑を見さしていただきまして、年鑑を見ると、いま御答弁なすったこと、大体同じようなことが記載されております。私はどうも具体的に、実際受信者考え方が、NHKの運営に反映されているか、また事業内容等について、正しくこれが伝えられているか、ただ形ばかりのことでなくて、これは真剣にひとつ考えていただきたいと、こう思うのです。その点でいささか多くの実例の疑問を持っております。これはまあきょうは省きます。なお、同じような意味で、受信者の要望を把握するために、毎年放送に関する世論調査が行なわれております。これは承知しております。しかし私は、四十三年度にどのような調査結果を得られたのか、また新しく今度の四十四年度にどのような、同じような調査をやはり続けられるのか、具体的にひとつ伺いたいと思います。
  60. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) NHK聴視調査あるいは世論調査はこれは大きく分けまして二つについて実施しております。一つは番組のいわゆる聴視調査で、番組がどう聞かれているかということでございまして、それは二つに分けまして一般の方々と、それからあるいは学校放送のような、特殊な放送番組、この二つに分けて実施いたしております。もう一つは放送に関する世論調査的なもので、一つは放送番組の直接的な世論調査、それはNHKの放送、カラー番組には何を期待されるかというようなこと、それからもう一つのほうは、国民世論調査というような意味におきまして、たとえば物価の問題についてどういう関心を持っておられるか、あるいは自動車、モータリゼーションというようなことについてどう考えておられますかというようなこと、そういうようなことでございます。そのあとのほうは、月に一回日曜日に放送いたしております「にっぽん診断」という番組の中で、次々紹介しておりますので、御了承いただきたい。  そこで先ほどお尋ねの、それをどういうぐあいに番組の上に反映しているかという御質問でございますが、私どもはやはりNHKが単に聴視率の高きを求めるのじゃなくて、どういう聞かれ方をしているかということ、その意味を強く理解するようにその表面に出た数字の高さではなくして、その番組の目的として、聴視者がほんとうに聞いてもらっているかどうかという、たとえばこの聴視調査によりますと男性と女性がどう聞いているかとか、あるいは朝の時間帯にはどういう人がおもに聞いているか、そういうような形で研究いたすわけでございます。そういう意味におきまして、それじゃ具体的に明年度の番組にはどういうような反映のしかたをしているか。と申しますことは、一番大きな点は夜間の生活実態が変わってきているということでございます。これは都市と農村とがだいぶ似たような形態をとってきている。朝おそく起きて夜おそくまで起きているということが、都市と農村を通じて見られている非常に大きな現象だと思われます。そういう意味におきまして、明年度の番組を午後七時の次に九時にニュースがございますから、その九時のニュースを九時半に下げることによって、いままで七時のニュースと九時のニュースは同じような内容でございましたけれども、その九時三十分に下げることによって、新しい情勢、外国の電報、そういったものが入ることによりまして、そういうことによって質的な充実をはかる。それから子供の生活実態を考えまして、やはり子供が家に帰ってテレビの前に座る、あるいは御飯も家族とともに食べるという時間帯が全国通じまして大体六時から七時の時間帯であるということがはっきりわかりましたので、そういうことで、子供の時間を六時から七時に下げる。こういうように六時から七時までの間に組むという、そういうような編成をいたしました。そういうようなことがいまお話がございました聴視率等の調査を具体的に番組の上に生かすという一つの例であります。
  61. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 ただいまの説明の中で、番組編成等の考え方等について触れられたんですが、御存じのようにいま受信者世帯は二万一千戸とも言われております。したがって、ラジオ、テレビジョンは、国民の日常生活の上に大きな役割りを果たしております。その半面、またその影響が多いということはいろいろ事例もございますが、昨年七月七日の参議院選挙のときに、民放放送についてのこれの関係者の当選というよりか、その得られた票の率を見てもこれは影響がいかに、いい意味とか悪い意味とかは抜きにして、大きいかということを私は痛感したのであります。まあこういうようなことを考えます場合において、これらの番組の編成という、また民放を含めてのNHKの使命、とりわけNHKの私は番組のあり方というものは非常に重要であると思いますので、今後の番組、その他放送運営について十分に配慮をいただかなければならぬと思うんであります。  そこで私はいまお話になりました四月に入りましてから、番組が総入れかえるほどにこの編成が変わります。よくPRされておりますが、四月に入れば、こういう番組を放送するとか、またこういう新しい放送をするとかいろいろPRされておりますが、そのようにいまお話のあった二十一時のニュースの時間を繰り下げて娯楽番組を実施しようとしておられる考え方なんですが、民放の関係者などからは、いろいろと批判がございます。NHKは教育、教養番組に力を注ぐべきであるのに、ニュースの時間を繰り下げてまで娯楽番組を、すなわちゴールデンアワーといいますか、というような時間に娯楽番組をなお強化するようなあり方なり一体その真意はどこにあるのかというようなことを盛んに言われているんですが、私はその趣旨をひとつ伺いたい。
  62. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 先ほど申し上げましたように国民の生活は非常に変わってきているということになりますと、いままで九時のニュースをごらんになってお休みになるという方たちが、やはりもう少しおそくなるということになれば、その方々がお休みになる前に、その日の大きな動きをやはり外の社会情勢の変化に応じてお伝えしておく必要があるんじゃないかということで、たまたまちょうど外電そのほかがその九時前後には多く入ってまいりますので、そういうニュースを充実するという形から申しますと、九時半に下げるという意味が非常にいま申し上げた趣旨を生かすのじゃないかというふうに考えまして、九時のニュースを九時半に下げるということを先決に考えたわけでございます。そういう意味において、NHKの使命が果たし得るということ、大きな世界の情勢あるいは日本の大きな動きをお伝えするということを果たし得るのじゃないかと考えます。そうすると、いままでの九時から九時半までの間を何で埋めるかということになろうと思いますが、NHKの場合ににおきましては、今日のように近代化され機械化されていく時代におきましては、国民的なお互いの情緒というものの潤いといいますか、あるいはいい意味での情感を持っていただくには、さしあたってはやはりわれわれはドラマが一番つくりやすいのじゃないか、またそういうものが、一番国民にうけるのじゃないかという角度から、これを考えたわけであります。そういう意味におきまして、九時から九時半までというところにドラマをつくりましたので、そのドラマというのも、先ほどの話がありましたように必ずしも民放の方々と聴視率争いをするという意味ではございませんで、NHKの使命として、そういういい意味での情操教育ということになりますと、少しかたくなり過ぎるかもしれませんけれども、楽しみながら明るい生活を営んでいける、それこそ次の日のエネルギーを養えるほんとうのリクレエーション的な意味を持っていただけるということから、時間の編成を考えたというわけであります。
  63. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 御承知のようにFM放送が先日から本放送となっております。またテレビカラー放送の時間が十時から一時間三十分延ばされたのですが、相当カラーの時間がふえております。こうなりますと、一部では小学校理科番組などのカラー化で教育効果をあげるということが講ぜられてはおりますが、どうしてもこれは、先日も御指摘があったと思いますが、いい悪いは抜きにして、番組は音楽やドラマがカラー化の影響で相当ふえるのじゃないか。こういうような点から、NHKのになわれた使命から見ましても、今後の番組の編成、またカラー時間のふえること等について、最高首脳部においては、十分にその音楽やドラマだけが多くなったのだということだけでなくて、NHKの本来の使命の遂行のために、会長その他首脳部において、十分留意していただきたいと思います。なお、御答弁いただく前に、この前確か新谷委員からも披瀝があったのですが、放送の持つ教育的機能を充実するには、世界的な趨勢という立場から、いろいろ御議論がございました。また会長のそれに対する御答弁も伺ったのでありますが、四十四年度の教育、教養番組の充実策として、私はどのような計画を持っておられ、またすでにどのような構想をいたしているのかということを、かなり重要でございますので、NHKの使命として再度お考え方を伺いたいと思います。
  64. 前田義徳

    参考人前田義徳君) まず前段の御質問に御答弁申し上げたいと思いますが、御指摘のとおりFM放送は、この三月一日から本放送となり、一日、十八時間の放送の中で半分以上が音楽に充てられ、しかも、それはFMの特質を生かし、さらにそのことが将来の社会生活を豊かにするという意味でステレオ放送というものが、新たに私どもの責任としてふやされるわけでございます。御承知のように、ラジオ放送は現在のところ中波が二波、それにFM放送の本放送という点から三波になるわけでありますが、それぞれこの放送の三波の任務と目標を明らかにしながら、そういう措置をとってまいりたいと考えているわけでございます。  カラー放送につきましては、長期構想の中で、昭和四十七年度末には、一日、十五時間を予想しているわけでございますが、御審議いただいておる四十四年度予算では、一日十一時間半というものを想定いたしているわけでございます。今日の、国内ばかりでなく、内外一般の技術の発展と関連して、国民生活の多彩化、多様化というものに即応しましても、やっぱり国際的な見地に立っても、カラーの改善、伸長、発展というものにNHKは力を注ぐべきである。これと関連して、御質問趣旨の中には、カラー化が、学校番組等も一部充実されるが、主として娯楽の方向にいくのではないかという御懸念もあるやに拝察いたしたわけでございますが、われわれとしては、いま御指摘の問題は、総合テレビジョンに関する問題であると考えるわけでございまして、この点について、たとえば新しい番組編成、その中でニュースの九時が九時半になる。その間隙に一種の娯楽番組が入るという、その点だけを印象的に取り上げますと、いかにも娯楽がふえているようにお考えになるかと思いますが、カラーの問題をも含めて、明年度編成方針の中で娯楽といわれる番組は、総合テレビジョンにおいても二八内外にすぎない。これはほかの一般放送者の番組を云々する気持ちは全くございませんが、このパーセンテージは少なくとも日本においては最低のものであり、国際的に見ても、最低のものだと私どもは考えております。そういう意味では、われわれは御指摘の点を十分心得ながら、しかも放送の進歩、発達に寄与し、同時に一般の方々の精神的安定と、精神的復興にも寄与してまいりたいという考え方を持っているわけでございます。教育番組等につきましても、私どもは最終目標としては、かなり大きな具体的な考え方を持っているわけでございますが、教育テレビジョンにつきましては、大体われわれの計画の方針に従って、学校放送等においては、ただいまのところは、まあ簡単に申し上げますと、幼稚園から高等学校までを主眼として、これはそれぞれの教科課程、文部省のおつくりになっている教科課程その他、その課程の中でのそれぞれの独得の性格に応じた規定、慣習等がございますので、これを部外の専門家にもおはかりをして、これを順次充実、拡大してまいるという方針をとってきておりますが、この総合放送と教育放送との両面を通じて、明年度番組計画の中で、私どもが特に重点的に考えております問題は、社会生活と関連して、私どもとしてはわれわれの日常生活の中で、人間の何といいますか、簡単にいえば、機械化その他との関連で、人間の個人的感情がグループから隔絶していくという問題。これは単に職場の問題でなく、家庭内においても、そういう傾向が強くなってきているわけでございまして、これはひとり日本の現象ばかりでなく、国際的にも一般的な現象でございますが、ここでやはり個人の普通あり得る精神の復興をどう取り扱っていくかという問題。それからまた内外の経済情勢の激しい変化に即応し、ことに具体的に申し上げるならば、経済自由化の波の中でわれわれはどうあるべきであろうか、またどういう具体策を決定したほうがよりよいかどうかというような問題。したがいまして、この点についても、四月以降新しい番組が出てまいります。  それからまたこれらの問題と関連して、たとえば世界的に事務的部門における機械化あるいは情報産業の将来というものを考えますときに、私どもとしては、やはりこの部門におても新しい番組が必要である。そういう意味で、組織的で継続的なこの面についての番組も四月から始めてまいりたい、このように考えているわけでございます。一般国際社会の中におけるわれわれの社会という点につきましても、新しい番組をつくることによって、ごらんいただくことによって、われわれの国際的地位と申しますか、われわれから率直に申し上げるならば、混乱の非常に激越な国際社会の中で、われわれの憲法の精神を守りながらいかにして平和を確保し、そうしてその確保する平和の方向努力することによって世界平和にも寄与してまいりたい、という新しい番組もできることになっております。  御質問の御趣旨は全く私は共感を持って伺ったわけでありますが、全力をあげて御期待に沿える努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  65. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 話を変えまして、難視聴の解消問題について、都市における難視聴の障害を防止することについてお尋ねをしたいのですが、国会に出されたNHK事業計画等の中での会長の補足説明にも、電波障害防止対策を強く推進すると述べられております。いま放送関係者、また郵政省におかれましても、全国的な山陰だとか、あるいは山間僻地でテレビの恩沢に浴さない地方がないように非常な努力を払われておることはよくわかっております。しかし私は、最近特にひどくなってまいりました都市の難視聴障害のために、まずNHKに高層ビルの実現、都市の騒音などによっての受信障害が非常に最近多くなっていることに対して、その障害を防止するために具体的にどのような処置をされるかということをひとつお聞きしたいのです。
  66. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) お尋ねの中の、特に都市におきます難視対策についてお答えをいたしたいと思います。  従来、都市の構造の変化によりまして大きなビルができてまいりまして、そのためにいわゆる私どもはビル陰と称している受信の障害が発生いたしてまいっておりますのに対して、四十三年の、ことしの数字で申しますと、大体全国の都市で三千五百件ほどこれを扱いまして、ビル陰で障害の起きた世帯を見やすくするという改善を、九千世帯ほどいたしております。昨年の四月から今日までの大体の数字でございます。例年大体こんなものでございますが、取り扱い件数は年々、かなり年を追うてふえています。  もう一つ、実は日本の産業経済構造の大きな変化によりまして、東京から関西九州への一帯の都市圏化が非常に急激に進みまして、かつその都市圏の中で大きなビルが、まあいわば林立をいたすということで、その障害の発生がどのビルであるかということがなかなかつかみがたい。原因が複合化してきて従来のような考え方、単純なビル陰として扱われては処理しにくいような社会的な構造変化が発生してまいっております。以上の総数を含めまして、大体今日都会地で二十五万ほどの所帯がこの障害を受けておると思いますが、ただいまの御説明申し上げました後者のほうにつきまして、これは何とかしなければならないというふうに積極的に考えまして、四十四年度予算で初めて一種の都市の公害的な形で発生いたします障害をNHK自身が積極的に救済改善をいたすということにいたしたいと思っております。ことしの四十四年度予算では、まだ予算といたしましては僅少でございまして、大体これを手がけます施設を四十カ所とみまして、一日に大体これまでの調査によりますと二百五十ほどの所帯が平均あると思われます。したがって本年では、さしあたり一万世帯というものの改善になろうかと思っております。これに要する予算といたしましては、大体一世帯の受信の障害を改善いたしますにまあ三万三千円ぐらいかかるとみまして、そのうちの二万八千円をNHKがみたいと、持ちたいと思っております。以上の数字を合しまして大体二億八千万円が、この四十四年度予算に都市難視の対策として計上をいたしておる数字でございます。ただこれらのことを行ないますにつきましても、いろいろ調査を必要といたしますので、二千万円強の間接的な調査費等も計上をしておるわけでございます。実は、これをどうして進めるかという問題になります。さしあたりただいままでの調査では、一万世帯の改善の中で、東京で七千、大阪で二千、名古屋で一千ぐらいを手がけたいと、このように思っておるわけでございます。このやり方といたしましては、実は御承知かと思いますが、昨年十月に都内の新宿で営利を目的といたしますいわゆるCATVの事業が起こされまして、ただいま四十四世帯ほどがこれに加入をいたしております。ただ地方の難視といわず、都市の難視も一応有線放送業務の運用の規正に関する法律によりまして放送業者がその再送信をいたすのに同意を必要とするということになっておりますが、NHKはじめ一般放送事業者も同意を与えておりません。その関係で同法律の十条の一カ月を限り臨時的なものとして昨年十月後半のオリンピックを見る際の画像の改善に役立ってまいっております。それはそのまま今日NHK一般放送事業者とこれを創設いたしました日本ケーブル・ビジョンの三者でこれは協議会を暫定的につくってまいりまして、一度改善をされた四十四の所帯を再び旧に復して見にくくするというわけにはまいりませんので、まあそのままの状態でまいっております。これらのことも関連をいたしまして、郵政省ではただいま申し上げましたような法律を改正するようにも聞き及んでおりますが、この法律の改正によりまして、どういうふうな運用になるか、簡単に申しますと、私どもあまり営利を目的とする再送信のCATVを乱立することは、郵政当局では防ぎたいとお考えになっていると思いますが、その関係からすれば、この法律を改正いたしまして、この都市の難視を解消いたしますものの、事業者をどのようなものとして許可していくのかということがからんでまいっておりまして、実はこの辺の関係が少しいま停滞をいたしておるわけでございます。ただNHKといたしましては、事柄の性質上、一般放送事業者等とも協力をして、NHKと提携して都市の難視を防止するというならば、積極的に提携をしてこれに当たりたいと思っておりますが、一般放送事業者の意向もまたさだかではございません。したがいまして、これらのことのいかんによりますが、当協会といたしましては、四十四年度予算に計上いたしました趣旨も、公共放送のNHKの使命からも、単独でも都市の監視を積極的にやってまいりたい。また、地方の都市等において放送事業者が必ずしもこれに積極的に関心を示さない場合には、それが新潟であれ何であれ、将来これらの地域でも複合化して原因がわからないというような地帯は、協会がこれを改善していくことにしたい、こういうような考え方をとっておりまして、この手始めとして四十四年度に、冒頭御説明したような予算の計上をいたした次第でございます。
  67. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 どうも質問をしっぱなしで答弁を聞きっぱなしにするようなきらいがありますが、都市の高層ビルの建設は、いまいい形容詞を使いましたが、実に激しい。したがって、この高層ビルの建設のために、その陰となる周辺のアパート生活者並びに普通住居の住民の方々がテレビ放送を正しく、きれいな映像をエンジョイできない。これは非常に都会では多くなっているのです。この点では、NHK放送法上どの程度の責任だとか、また、NHKにどの程度のこれが解消のための努力をされているかということについては、私はいろいろ突っ込んで応答をきょうはするだけの資料も持っておりませんし、またいたしませんが、私がタッチしただけ、知るだけでも、たとえばビルが建ちますと、どうしても映像がうまくいかないからといって、いろいろ御相談があったり、NHKからやはり関係者がこられまして、そこでいろいろ話し合いの結果、結局はビルがなかなか承知するとも承知しないとも、承知したとしても、やはり共同アンテナを設置し、幹線を引き、それから引き込み線を引き、また増幅器というのですか、いろいろなものをやっての費用というものは、一体どこがどの程度負担するかということについては、なかなか複雑なんです。そこで町会なり、またある制約された周囲の住民の人たちが共同してNHKの協力によって施設をなさいます。ところが、施設に月五十円ないし月百円なり永久に受信料以外の負担をせなくちゃならぬということになっていますが、もとよりアンテナなんですが、これは受信者の責任において映像がきれいに見えるように自分の費用によってこれは施設するのは通例なんでしょうけれども、しかし、ビルの陰になって映像が正しく受けられないときに、共同施設等によって引き込み線等のまあ何%になるかしりませんが、毎月やはりそれを負担をして共同施設内部において徴収するということになりますと、これは受信料の値上げに私は通じると思うんです。私は五十円なり百円だから、ある期間これを払えば済むことだと思ったら、いや修理の問題があるとか、いや増幅器だとか、いろんなものの施設等の問題もあるので、これは五十円じゃ安いんで、これは永久にひとつ共同施設の負担としてやはり納めてもらいたいということが今日いわれております、また実施されているんです。こういう点がひとつ間違いますと、やはり受信料の、これはNHKだけの問題ではないかもしれませんが、値上げにこれが通じるということがはっきりしてまいりますと、さなきだに受信料の問題がいろいろと論議の対象となっているときに、私はこれは相当考えるべきことだと、こう思うんです。こういうような点から、都会における高層ビルの障害によって生ずる問題について、今後とも十分なこれが善処を、もちろんNHKだけの責任においてではないと思いますが、それを政府関係との間に十分進んだ施策を講じていただきたいと思います。なぜ、私はこういうことを申しますかというと、都会における難視聴が最近の技術と、これが対策を講じた場合においては、解消の道をたどっているんじゃないかと思っておりますから、ぜひとも都市部における難視聴解消のための努力をなお払っていただかなければならぬと思います。その見通しはどうでしょう。
  68. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) だんだんと御意見を賜わりまして、先ほどの第一点のほうの、実際に障害が発生いたしました際に、建築主なり、ビルの持ち主なりが、元来障害の発生者として責任を持つということでなければならないと判断をいたしまして、NHKにおきましても、積極的にその仲介の労に立ち、かつ技術的にすべて解明をするような援助を具体的にいたしております。ただ全国的に見ますと、そういう私ども理屈を立てますが、ままやはり建造主側においてその出費を渋るので、待ちかねて実際に被害を受けております受信者の側で、工費の何割かを持ってしまうというような例示も幾つかあることは事実でございまして、その辺の御指摘があったと存じます。  それからもう一つ、維持費の点でございます。この点は積極的に考えろという御意見を賜わりました。先ほど説明いたしましたように、旧来にない積極的な考え方を持ってNHKも踏み出したわけでございますし、ただ、全体の予算上のこともあり、かつ初年度でございますので、四十四年度におきましては、四十施設、該当世帯数一万というような目算を立てまして四十七年度まで大かた七、八万の受信改善世帯を見たいと思っておりますが、あるいは御意見によりますれば、これも少なきに失すると、また今後の都市のいろんな構造上の変化を考えた場合に、実際にはもう少し積極的な予算の計上も必要になるかというふうにも若干は予測をいたしておりますが、何ぶんこれは初年度のことで、ただいまの程度のところで、いままず一歩を踏み出すということにいたしたわけでございます。で、維持費の点につきましては、実は二千百万の一般の単独受信者は、それぞれ御自身アンテナを立て、それからそれぞれ毎月の電力料を維持し、かつ若干の故障等によります部品の手当て等も各受信者ごとにお持ち願っております。考えようによりましては、この共同受信方式というもので改善をいたしましても、月々の電力料は他の一般単独受信者との関係もあって、五十円なり百円なりという御負担をしていただくほうが均衡を保ち得るものかもしれないと、またそのほうが他の一般との関係、あるいは地方におきます、すでに協会が助成をいたしてまいっております地方の共同聴視施設でも一応百円なり二百円なり改修費を含めて取っておるという過去の実績等も考えた場合に、まあ五十円、百円程度なら維持費として御負担を願うこともあるいは妥当ではないかというふうに考えておることは事実でございまして、ただ、受信料とは根本的に性格が違うものだというふうに考えておりますが、ただ、その五十円なり百円なりを取ることの当否につきましては、以上お答えいたしたような判断は持っておりますけれども、これまた一般の方々の世論等を敬虔に承りまして、最終的な判断を加えてみたい、こう思っておるところでございます。
  69. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 この問題については、建築主が、共同アンテナを設置するために、自分の建築する建物が障害の原因になっているということを理解願っておる場合においては、かなり話がスムーズにととのう場合もあるのです。ところが、御承知ように都会では一つのビルが建ちます、ところがそのビルの障害ではなはだしくなるというのじゃなしに、従来建っておったビルの合い間に建ったためにこれが障害の対象となるということでかなり交渉が、ビル請負業者も、なかなか最近の請負業者は、そうこうした問題に好意的ではありません。また、相当ビルの建築主が理解と寛容を持っているならば話はととのうですが、ととのわない、かなりその負担がビル陰の障害を受ける人たちに非常に大きな負担となっていることを十分留意を願ってこれが解消に努力をしていただきたいと思います。  私はこの機会にもう一つ先ほど同僚議員からも、また前にも御質問があったのですが、ジェット機の被害ですが、米軍等の軍事基地周辺、またジェット機等において、国際空港も最近では含めて、離着陸によってテレビが見えないとか聞えないとかというこの視聴障害と私は高層ビル、都会における電波障害あるいは自動車によるとか冷蔵庫によるとかいろいろと例証をあげればたくさんありますが、これがだんだん技術的に解消の域に入っているのですから、空のジェット機による聴視障害というものも、技術的には打開の道はないのかどうかということを、これは話の順序の進め方ですから、NHKにひとつお聞きしたいと思います。
  70. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) さしあたり私から御答弁をいたしますが、なかなか困難でございます。この航空騒音、要するに騒音が一番大きな受信者に障害感を持たせるものでございまして、実は飛行機の離着陸等によります画像のくずれ、フラッタ現象と申しますものは実はそれほどひどくないのであります。数多くの受信者が生活上あるいはテレビを含めての家庭生活の中で被害を持たれる最も大きな要因は騒音であります。先ほど触れましたフラッタ現象につきましては、フラッタ防止の専用のアンテナを一昨年考案いたしまして、普通のアンテナより若干高い程度で、五百円程度高いくらいかと思いますが、これを空港周辺でお取りかえ願うように普及宣伝をいたしております。これはかなり効果がございます。騒音のほうではイヤホーンというようなものの考案等をいたしておりますが、あまりただいまのところ顕著な効用を見るほどには至っておりません。したがいまして、以上含めましてこれは軍事基地であれあるいは国際空港のほうであれ、とにもかくにもこの空港の周辺において騒音を主とした障害が一番大きなものであるという状況にあり、かつ非常に顕著な改善を加えるというところにはなかなか技術的にまいってないということでございます。
  71. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私の地元に伊丹国際空港がありますが、私の家はあそこから約六キロ離れてます。直線距離からいくともう少し短いかわかりませんが、まあ相当離れたところに存在するんですが、たまたま伊丹へ東京から向かう航路の間になっているもんですから、一時間に二回ぐらい映像が乱れるんです。すると、しばらくすると爆音が聞こえてくる。したがって、普通の個所においてもかなり、生駒山上の放送塔からもキャッチしよい位置に平屋ですけれども住んでおるんですけれども、一時間に多いときには、最近三回ばかり映像が乱れます。それはなぜかといえば飛行機の通るコースによる影響だそうです。もちろん飛行機の通る爆音でしょうが、影響します。私はその点で、最近、豊中で非常に問題になるもんですから、周囲の住居の方方を尋ねてみるのに、それははなはだしいんです。まあ防音装置というものが国の費用によって大かた、また地方自治体によって、非常な熱意を込めて対策を講ぜられて、たとえばコンクリート建てなどにおいては、その障害がだいぶ減ってはおりますが、一般住居のジェット機における影響というものは非常に多いんです。先ほど伺ってますと、縦二キロですか、横一キロと受信料についていろんな方法を講ぜられて半額免除となっておられるということですが、どうしてもこの難視聴を除去することが、ここ当分無理だということになれば、この免除の二キロないし一キロの範囲を、これNHKだけの力でなし得るのかどうかという疑問がございますが、やはり中心は、NHK中心となって、ひとつこれをなお拡大して住民の人たちの免除にひとつ踏み切られる方策というものは立てられないものでしょうか、いまの範囲を広げるということ。
  72. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) ただいま特別の御事情にあることも私否定はできない気持ちでお伺いいたしました。ただ、この航空基地の免除措置はNHKなり防衛施設庁なりそれぞれ地元の府県等を加えましていろいろ精密な調査検討をいたしました結果、三十九年から半額免除をいたすと、その基準といたしましては、先ほども触れましたように、二キロ、一キロということで一応の基準を立てたものでございます。実はあまりむずかしい言い方もいかがと思いますが、何ぶんにもこの電波送信をいたし、それぞれの受信をいたしていただくこの関係の中で、電波の質なり量なりということで、どうも受信料の多寡に区別をつけるということは実際問題としていたしがたいということと、これまた理屈の上から申しますれば、これらの原因というものは、国策上必要として発生いたしましたことで、実はNHKのほうも、これで非常な被害を受けているというような立場にありまして、本来国家的な立場で、これを救済をしていただきたいというのがむしろNHK側の元来の考え方であり、主張でございますが、まあそうもいかないということで、暫定的にこの半免の措置をこの数年来とってまいっておりますが、これは実際問題といたしまして、これをかりに三キロ・二キロにいたしましても、四キロ・二キロにいたしましても、際限なく広がっていくという性質のものでございまして、また、そういう立場をとればとるほど、都市内の一般騒音と関連をしてまいるという困難な事情もございます。したがいまして、協会といたしましては、この基準を当分変更をするという意思は持っておりませんし、また、それをしにくいという事情、立場にあることも御了察を願いたいと思います。たまたまこれは国際空港等には及ばないわけでございますが、四十四年度予算におきましてこの辺のことをとくと勘案されましてか、防衛施設庁では、本年厚木なり三沢にとりあえず手をつけるように伺っておりますが、大かた一億円の予算を計上して、この騒音なり電波障害の除去、改善に初めて国から予算が計上されまして、ただいまNHKの協力のもとに、これらの地区での騒音除去の技術的な調査をいたしておるということでございまして、一部国のほうでも、この辺の事情を積極的にお考えになって、施策として取り上げてきつつあるという段階にまいっておるように伺っております。
  73. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 関連しまして、郵政大臣にひとつ要望申し上げて、私の質問を打ち切りたいと思います。  国際空港としての羽田はすでに離着率は飽和点になっていると聞いています。ところが、伊丹国際空港は最近非常に拡大されまして、また新空港ビルなどの建設が行なわれて、地元民主団体は強力に反対しておりますけれども、やはり産業の発展のために、またなお航空、また関西の離着陸の問題等から、国際空路の離着率も日に日にどんどんふえておるのです。こういうふうな関係から、いまお話し申し上げておりますこの飛行機のジェット機の離着陸のために被害を受ける、公害ともいうべき障害は漸次ふえるし、なおまた拡大されていく傾向があるのであります。これが技術的に解消することが、不可能だということになれば、何らかの意味において、やはりこれが受信料免除の形をとるよりほか当分道がないと思いますので、これがやはり関係について、十分な処置をひとつはかっていただくことを要望いたします。非常に簡単でありますが、以上郵政大臣に、これの対策の要望をひとつ願いまして、私の質問を打ち切りたいと思います。
  74. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 現在郵政省の考えております電波行政の最高方針の一つは、全国漏れなくテレビが見える、ラジオが聞こえる、こういうことにすることにございます。これが山奥であれ、あるいはまた都会のビル陰であれ、あるいはまたいまお話しの飛行場周辺であれ、とにかく全国漏れなくいい画像が見える、音がはっきり聞えると、こういうふうにするということが最低の方針でございまして、その方向に向かっていろいろ指導しておるわけでございます。見えないものから、金を取るというのはこれは理屈に合わぬわけでございますので、いまNHKのほうからは、範囲はにわかに拡大しがたいということがございましたが、しかし、これは調査いたしまして、やはり相当見えないということであれば、私は当然その範囲をある程度拡大していいのではないかと思いますし、さらに、またどうしても一定限度以上やりにくいということであるならば、見えるための積極的ないろいろな技術の開発施設、それにもっとうんと金を使うべきである。こういうふうに考えます。いずれにいたしましても、各方面からいろいろな対策を考えましてお話しのような障害に対しましては、十分な対策ができますように配慮していきたいとかように考えます。
  75. 青島幸男

    ○青島幸男君 まずこの四十四年度日本放送協会予算のうち、建設費、営業費その他の面でUHFへの移行のための費用と考えられる金額がかなり計上されておるようですけれども会長には、先ほど来お話がありますように、長期構想というものがおありになる。その長期構想の中には当然、UHFへの移行ということもお考えの中に含んでいると思うのですけれども、そのための何年計画の初年度分というように、この四十四年度予算の中における費用を考えてよろしいわけでしょうか、その点をお伺いしたい。
  76. 前田義徳

    参考人前田義徳君) いま御指摘の点につきましては、明年度予算においては、東京及び大阪のUHF局の建設についての建設費を計上いたしておりますが、これがVからUに移る全般的な長期構想の中での初年度というわけには当面まいらないと思います。と申しますのは、そのUHFの割り当てについて、まだ基本的な決定が行なわれていない。したがいまして、私たちとしては、明年度予算に関する限りは、転換の長期構想の中の初年度という意味ではなくて、免許を得たUHF局の建設という意味での建設費を計上しているわけでございます。ただし、もちろん、昨年の十一月以降郵政省におかれては、VをUに変えるという方針を明らかにしておりますので、したがって、これと関連して、近く全国的な構想が検討されて、その結論を得られることであろうと拝察しますし、同時に、これと関連して、NHKの置局についての具体的な方針が確立されると、このように考えます。したがいまして、その経過的措置としては、長期構想の一環としての予算の計上のしかたではないということがいえると同時に、その継続性からいって、国策の具体的な結論との関連においては、これがスタートであるということも申し上げられるかと思います。
  77. 青島幸男

    ○青島幸男君 当然、億という数字のつく金額でございますし、たとえば実験局をつくって基礎的な資料を収集するためのものであっても、これはUHFへの移行の第一歩であると考えてしかるべきだと思うのですけれども、そうなりますと、前田さん、個人のご意見でもけっこうなんですけれども、現行のVHFから十年後にUHFに変えるという政府の考え方、これは十分の理論的意味で十分な納得を持っていらっしゃるかどうか、その点をお聞きいたします。
  78. 前田義徳

    参考人前田義徳君) なかなか重要な御質問をいただいたわけですが、私としては、現在の放送事業の中でのNHKの地位あるいは責任という点から考えまして、特に、今日まで十数年にわたってVHFによって放送が行なわれていたという点から考えまして、その実現のしかたにおいては、われわれとしては、まず聴視者の利益をどう確保していくか、聴視者の負担の増勢をどう食いとめるかということが考え方の中心になると思います。そういう点では、何と申しますか、ただアイデアとして、もしくはただ一つのアイデアから生まれる方向として、何年間という考え方にどのように即応していけるかということが、私どもにとっては一番大事な問題になると思います。ただ一つ申し上げられることは、波の性格からいって、電波距離は短いけれども、波の質からいってUがVよりもよりよいということについては、私はこの基本方針の、そういう意味での波の性格と質という点からの考え方には必ずしも反対するものではございません。ただ問題は、いま、繰り返すようですが、これは最終的に何年間でこのような方向にいくかという点については、さらに関係方面とも話し合いながら、それに即応する財政計画、その目標は、聴視者に不利益を与えないという方向でやってまいりたい、このように考えているわけです。
  79. 青島幸男

    ○青島幸男君 先日、前田さんにこの委員会で、総額大体どのくらいのお金があればUへの全面移行が完成するかという質問があった際に、前田さんは三千億ぐらいかかるのじゃないかというお答えがありまして、それに追っかけるように、大臣はそんなにはかからないと思うというように御意見が分かれておったようでございます。ただいま拝察いたしましても、前田さんは十年じゃ無理ではないかというようなことばのニュアンスをお持ちですけれども、この辺に大臣前田さんの御意見多少食い違いがあるように感じられるのですけれども、その辺お二方とも、ともにお答えいただきたいと思います。
  80. 前田義徳

    参考人前田義徳君) まず私から答えさしていただきますが、要するに、この計算のしかたというのは、送信機を中心にする計算のしかたとやはり事業運営をも含めて考える計算のしかたというものがあると思います。送信機だけで申しますと、まああまりそれほどの食い違いはないのじゃないか。私どもも当委員会お答え申し上げたときの考え方は、まだ正確に計算したことはないわけなんです。と申しますのは、先ほどお答え申し上げましたように、全国に何局置かなければならないかということもまだ未定でございますから。ただ従来のVの局よりも中継局においても数は多くならざるを得ないということは、これは波の足が短いですから、当然考えられることです。それから技術の開発の現状から申しましても、Vはすでに送信機等においては、まあ完ぺきな開発が行なわれている、その意味で、しかもまあある意味での標準型の大量生産と申しますか、生産コースが安定しているという意味で個々の送信機についての価格は一応予想できるわけです。しかし、このUHFの場合は少電力と大電力ではかなり大きな価格の差があるということも考えられます。簡単にいって私どもの従来の計算では、十キロを中心として考えましても、正確な数字でございませんけれども、大体経験を申し上げますとVHFよりは二倍強高くなるであろうということは予想されるわけです。それがたとえば五十キロの場合はどうなるか。これは徳島の教育テレビジョン局を開設した際に計算した経験はあるわけでございますけれども全国的な地形その他からいって、それでは五十キロの局が何局要るか、そういうことの計算もまだいまのところ不可能ですから、したがいましてはっきりした数字を申し上げるわけにはいかないわけです。ただ、一応の常識として私どもが考えておりますのは、VがUに変わるといっても、相当長期にわたって両方の放送が出るということが考えられるわけです。それから放送しているのは、日本においてはNHKだけでなく、NHKの五十倍ないし六十倍の民間事業者がおる、したがって、完全に切りかえる時点一般放送事業者と同時点でなければ、聴視者に及ぼす影響は非常に大きくなる、そういう意味での期間の計算ということもまだ不明でございます。したがいまして、そういうことを考えたときに、いろいろな計算の方式が出てくると思いますけれども大臣と私の考え方が非常に食い違ったかの印象を与えましたのは、私は、そういう経営面からも考えた数字を頭に入れているわけで、ただ建設を中心とする、送信設備を中心とする問題だけと考えておらなかった、その意味で、ある意味では大臣の御発言との関連でかなり大きな変化があるやの印象をお与えしたのじゃないか、このように考えております。
  81. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先日の当委員会におけるお話の問題についての前田会長並びに私の説明に不十分な点もございましたので、あるいはそういうふうな感じをお受けになったかとも思います。しかし、いま会長がお話しのように、信送施設に私は限定して申し上げたわけでございますが、その面に限定して大体数字をいえば、そんなに大きな違いはないと思います。それから、あとの運用の面につきましても、なるほど実験局などをつくって放送すれば、若干その面で経費はかさむかもわかりません。しかし、また一面におきまして、そのためにカラーテレビが普及し、その面からの収入の増加ということも大いに期待されるわけです。そういうふうなプラスマイナス、経費の面においてもプラス・マイナスがありますので、なかなか複雑な要素がたくさんございます。そこで、ただいまのところNHKと郵政省と両方から専門家を何人か選びまして専門家の連協絡議会をつくりまして、すべての面についてのいろいろな数字の算出、あるいは経営面におけるプラス・マイナス、あるいは金額、いま検討中でございます。
  82. 青島幸男

    ○青島幸男君 前田会長は、電波としての特性はUのほうがカラーその他の部面から考えても優秀だと、少なくとも長所があるというお考えのようでございますけれども、現段階では十キロワットの発電機をつくるだけでも、冷却用に使用する水がふろ水のようにわくほどとか、あるいはビル陰の障害が二十五万世帯もある、この難視聴解消のためにもてんてこ舞いをしておるという状態ですし、これがVでもこのありさまですから、Uになりましたら、どの程度障害が起こるかわからないし、どの程度中継局を置かなければならないかわからない。わからないずくめのことばかりでございまして、このわからないずくめで底なしの井戸に砂を放り込むような金のかけ方をしておっても、Uに移行するということにほんとうに意義を感じていらしゃるのか。それからまた経営委員会の方々がU移行というものをどういうふうに考えていらっしゃるか、その点をひとつお伺いしたい。
  83. 前田義徳

    参考人前田義徳君) いまの御質問と関連して、先ほど来ビル陰その他の問題について、従来の方式により難視の解消という点にしぼられて実は質疑が行なわれていると私は考えております。私個人の——同時に私はNHK会長ですから複雑な意味を持つかと思いますが、アメリカにおいても、有線によるニューヨーク等の難視の解消というのはすでに限界に達しまして、したがってアメリカは新しい方式を目下検討中でございます。で、私のまことに粗雑な知識においても、まだ波の開拓によって、より具体的なビル陰等の金のかからない難視解消の措置はあり得ると私は考えております。そういう意味で、実は特別の専門委員会をつくることを私は要請しまして、技術研究所が中心になって、その新しい技術の開発を目下開始するという段階にあるわけでございます。そういうような未知の世界との関連において、私はやはりNHK経営の責任者として合理的でかつ聴視者に迷惑をかけない方法を技術的にも検討させるということを考えているわけでありまして、いわんやVからUに転換するという場合には、それからまたさらにそれ以上宇宙衛星が、たとえば日本限りでリージョナル衛星というものが打ち上げられるかどうかという問題と関連しましても、ただいま申し上げた特殊の波の技術の開発が絶対に必要であるという私は直感を持っております。そういう点も私は技術者ではございませんが、経営者として私はその必要を痛感し、そういう意味で今後十年間にVからUに転換する際に、いかなる波の組み方があり得るかということを、実は私はまことにしろうとですけれども、その準備委員会をすでに設置しておるということで、それ以上のことは具体的に先ほど申し上げたように具体的な計算の基礎となるものはまだ考えが固まっておらない。また大臣がお話あったようにわれわれと郵政省の間、また必要があれば郵政省の御意向ですか—当然必要があるのですが、民放の方々にも参加願えれば特別委員会の成果は具体的なものはあげ得るであろうこういう期待も持っているわけであります。
  84. 青島幸男

    ○青島幸男君 経営の面からの御意見まことに納得できるのですけれども、その中で新しいタイプの電波というものが考案され、あるいは開発されるであろう、こういう含みもあると思いますけれども、いま政府の言うところのUへの全面移行がにしきの御旗として掲げておりますのは、Vをあけましてこれを移動用無線に充てたいというのが大きな理由なんですけれども、そうなりますと、もっと新しいタイプの電波ができれば、いまあるVをあけなくてもいいのじゃないかという感じもするのですけれども、それともう一つは合わせて放送を行なう期間が長く必要である、そういうことになると、Vは現実の問題としてカラーにあけて移動無線の用に供するという日は十年やそこらでは来ないのではないかという感じもするわけです。  なお、国民に負担をかけないというおことばを再三お吐きになっていらっしゃるのですけれども、コンバーターを取りつけたりアンテナを新しく購入したりすることばかりでは、もしこのままVで放送を続けるならば、Uに必要な建設費というものは、当然聴視料の値下げみたいなことで国民に還元されてもしかるべきでありますし、その新しく購入する機材、それから、もしかしたら値下げが可能かもしれないということを考慮に入れますと、どうしてもばく大な負担を国民にかけることはいなめない事実だと私は思います。なおかつそういう背景を持っているのにNHKは全面Uへの移行というものを考えていらっしゃるとすれば、それは先ほどもおことばにありましたように、国策だからそうしなければならぬというのですか、あるいは将来のためにUでいったほうがいいのだというふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  85. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 結論をお答えする前に、たとえば建設費等につきましてもすでに御承知のごとくこれからVをさらに継続するといたしましても今後五カ年間にNHKとしては教育、総合両方合わせて少なくとも二千百六十局の中継局をつくらなければならないと考えております。これをつくることによってカバレージは九八%に達するというのが五カ年構想の、五カ年間の最終目標でございます。したがって、金額の差はあってもまあそういう本質的な問題については数の差はあっても、ほぼ今後もUでいかない場合でもそういうことがまず必要であります。それからわれわれの施設は御承知のように減価償却をしてまいっております。したがいまして、いままでの建設費の総額がそのままUに変わる支出になるという度合いもかなり低くなってまいります。そういう意味では形式的な数字の総額がそのまま支出になるという意味でもございません。ただ、聴視者の立場に立って考えますと、白黒テレビに関する限りいわゆるオールチャンネル方式というものがとられておりません。メーカーの側から言いましても。したがって従来いわゆる中継局、親局ではない中継局としてのUHFの設置と関連しましていろいろな付属品、これが必要になってきたわけでございます。このメーカーは従来は大体中小企業でございますから、技術開発がどのように進もうともその単価がわりあいに高くなるということは避けられなかったと思います。ただ、ここ一、二年、大メーカーもその方向に向かっているという意味では、コンバーター等も当初と比べて安くなってきているということは申し上げられると思います。ただカラーテレビが、輸出との関係において、最近できるカラーテレビのうちのおもなメーカーは、すべてオールチャンネルをつくっております。そういう意味を勘案しますと、いまの受像機はすべてコンバーターやオールチャンネルと、新しい問題を提起するということではなくて、経過的には、オールチャンネルの方向に向かっている。したがいまして、東京、大阪に建設される実験局、UHFの建設完了後の番組の方向としては、主としてカラー放送を中心にしてまいりたい。このことは同時に受像者の側を計算に入れますと、メーカーは現在一部つくっているオールチャンネル方式を全生産に取り入れるだろうということも予想されるわけであります。そういう意味で、私は具体的にこの転換の方向を考えているわけでありますが、それが何年でできるかという問題については、劈頭に申し上げましたように、具体的な計算をいまのところまだしておりませんし、それからまたその方式をどうするか、チャンネル計画をどうするか等についても、まだ当局においても最終決定はしておられないので、それらを勘案しながら、今後の方向は将来において決定してまいりたい、このように考えているわけです。
  86. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  87. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 速記を始めてください。  午後二時まで休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      —————・—————    午後二時十六分開会
  88. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 青島幸男

    ○青島幸男君 前ほどに引き続きまして御質問申し上げますけれども先ほど全面U移行について、どういうふうに考えていらっしゃるかということをNHKお尋ねしたんですけれども、それとあわせまして、経営委員会ではどのように考えておられるか、それもお尋ねしたんですけれども、そのお答えをまだいただいておりませんから、それからひとつお願いいたします。
  90. 前田義徳

    参考人前田義徳君) この点に関する経営委員会方向は、私が申し上げた方向でございます。経営委員会方向に従ってお答えを申し上げておるわけです。
  91. 青島幸男

    ○青島幸男君 経営委員会では、この問題をいつ議論して、いつこういうことにきめたんでしょうか。
  92. 前田義徳

    参考人前田義徳君) この問題は去年の十月、前郵政大臣がこの問題についての御意見を発表されて以来、経営委員会でもこの問題を検討しておりまして、そして私が発言したような方向に大体決定しておられるわけであります。
  93. 青島幸男

    ○青島幸男君 受像機とU用のアンテナ並びにコンバーター、こういうものは幾ら量産しましても、普通のVの受像機よりも高いわけであります。それに中継局の数だけ考えましても、Uのほうがたくさん設けなきゃなりませんし、そのために費用もかかる、それから送信機も先ほど前田会長の御発言でVの二倍はとにかくかかるであろうと、同時にUとVと併用して放送しなければならない時期なんかを考えますと、この経費がかなりばく大なものになると思います。これがすぐに聴視料の値上げみたいなものに結びつくとは考えませんけれども、しかし、これだげの犠牲を払ってやらなきゃならないのは、Uがいいからやろうというのか、あるいは国策できめられたことだからやるのか、その辺を明確にひとつお答え願いたい。
  94. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 国策が決定すれば、当然NHKとしてはその方針に従うべきだと考えております。
  95. 青島幸男

    ○青島幸男君 国策というのはどういうものだとお考えになっていらっしゃいますか。
  96. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 国策のきめ方については、私の関知するところではございませんが、少なくとも政府の方針としてそれが決定し、何かの形でその問題がたとえば国会の場であるとか、あるいは関係方面の場で、まあおそらく私の関与するところではございませんが、そういうプロセスをとって、政府が決定されるわけでありますから、その決定に従うのは当然だと考えております。
  97. 青島幸男

    ○青島幸男君 これはたいへん重大なことだと思います。たとえば、このVからUへの移行は大臣談話というようなかっこうでまず発表されました。それで各方面からいろいろ問題も出てきたらしくて、閣議了承というかっこうになりまして現在に至っているわけですけれども大臣が思いつきで、何かを言い出して、それが閣議了承というようなかっこうになると、これが当然国策ということになって、しかも、NHKはその国策に従って何でもやらなくちゃならないというふうに、NHKの主体性というものは全くないとすれば、経営委員会の存立の意義すらも危ぶまれますし、それからこれは言論の大きな機関を実際握っているわけですから、これの国家に及ぼす影響というのはたいへん大きいと思います。戦前の軍閥のばっこを助けたのも結局はそういう主体性のなさみたいなものが生んだものだと思いますし、戦前の軍国主義に突き進んでいったあの傾向の一つの大きな影響力をつくったのは、実はNHKじゃなかったのかとさえ思われるわけでございますけれども、その辺のところをどのようにお考えになっていらっしゃいますか。これは会長並びに大臣にもお伺いしたいと思います。
  98. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ただいまの御発言のとおりNHKというものがすべての国家機関を通じて、より高度の能力を発揮し得ると理解できるような御発言をいただいたことは、NHKの能力を過大にお考えになっている結果ではないかと考えます。私どもは、やはり放送法によって設立された事業体でございまして、その放送法との関連においては政府及び議会との関連があり、そうして政府部内でのこの放送法と関連するNHK経営との関連では、電波というものを中心として、郵政大臣が主管長官になっているわけでありまして、したがって、現在の国家組織から申しまして、NHK放送法以外の何ものでもないというように私は考えております。
  99. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 政府はこの放送の内容、そういうものについて一切容喙する考えは毛頭持っておりません。ただしかし、電波をどうするか、電波の波をどういうふうに有効に使っていくか、こういうことはこれは政府がやるべきだと考えておりまして、この二つの問題はおのずから別個の問題であると心得ております。
  100. 青島幸男

    ○青島幸男君 先ほど来国策の話になりましたけれども、大体元来、私はこのVからUへの移行というような重大な問題は大臣談話というようなかっこうで発表されて閣議了承というような形できまるべきものじゃなくて、何らか国会の御審議を経ましてあるいは立法措置を講ずるなりして行なわれてしかるべきものだというふうに考えておりますので、そういう発言になるわけですけれども、私はむしろ大げさな言い方をすれば、国民投票によってきめてもしかるべき問題ではないかと思うくらい重大に思っておりますけれども、その点いかがでしょう。
  101. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私も慎重にしなければならぬと思います。そうして同時に、VからUへの転換というようなことにつきましては、関係者並びに国民が十分納得していただける説明もし、またPRもしていかなければならぬ、かように考えておりますが、国民投票とかあるいは法律の改正をしなくても、これは行政措置としてできるものであると、かように心得ております。
  102. 青島幸男

    ○青島幸男君 先ほどの話に戻りますけれども前田会長は、この移行の期限が十年というのは必ずしも適切でないかもしれない、こうおっしゃっておりますけれども、あなたのお考えではどの程度の年数があれば、全面移行ということは可能だとお考えですか。
  103. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私は、休憩前の御質問に対しまして、十年は必ずしも妥当でないという表現は使わなかったつもりでおります。ただこの十年という期限を切る場合には、どういう形で国の方針といいますか、国の計画が決定されるのか、それを待たなければはっきりしたことは申し上げられないということを申し上げたつもりでおります。
  104. 青島幸男

    ○青島幸男君 今度は、大臣にお伺いしますけれども、まず、VからUへの移行の根本的な一つ理由は、Vの電波帯をあけて、移動用無線などに使用するなどということがございますけれども、実際にいまのやり方で、十年後にVの電波帯があいて政府のお考えのように移動用無線等に適当に配分して使うことが可能であるとお考えになっていらっしゃいますか。
  105. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) なぜVからUに転換するかという問題につきましては、ただいまお話のように、移動用無線の需要が激増しておりますので、ぜひこのVの電波をそれに使っていきたいと、こういうことで進めておるわけでございますが、十年という一応の目安を置いておりますが、まあ私たちは、できることならばこれをもう少し短縮できないかと、こういうことでいま検討を進めておりまして、ぜひとも所期の目的が達成いたしますように、各方面の御理解、御協力を得まして実現するように努力をしてまいりたいと存じております。
  106. 青島幸男

    ○青島幸男君 先日来のFMの新局開局の件のおりに、大体東京で使えるのは七十六メガから八十六メガ、そのうち二百KCのバンドの幅で何本できるかというような質問政府委員にいたしましたところが、実際には何本できるかよくわからないというようなあいまいなお答えしかいただけなかったのですけれども、実際に間もなく放送が行なわれるというようなFMについてさえも、こういうふうに明確な区分とかあるいは使用上の規約みたいなものが明らかでないのですから、Vが十年後にあいた際に、これをどのように使うかというようなことはとても納得いたしかねるのですけれども、その点をひとつお答えいただきたい。
  107. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これは、まあ詳しくは政府委員のほうから答弁いたしますが、たとえば自動車や船舶特に、漁船ですね、これに対する需要が非常に激増している、電波の需要が非常に激増しているわけでございますが、こういう移動用の無線は少しの波があれば非常にたくさんの数に使えると、こういうことだそうでございます。わずかの波をあければ、数千隻あるいは数万隻の漁船がこれを活用することができる、人命の救助——毎年たくさんの漁船が遭難をいたしまして、そして何百人という人間が死んでいるわけでございますが、そういうものも相当数はこれによって防げると、こういうことも考えられますし、それから自動車等に対する需要もいま激増しているわけでございますが、これも少しの波があれば、その需要を満たし得ると、こういうことになりますので、ぜひこれを実現したいと、こういうふうに考えております。  それからいまFMの波が何波とれるかさっぱりわからぬじゃないかというふうなお話がございましたが、これは計算は専門家からはっきりしたことをさせますけれども、私はそこらあたりの計算ははっきりしていると思うのです。ただ完全に他との混信なしにやるためにはどうするか、他との混信があってもかまわぬ場合はどうなのか。そういうことの算定はおのずから違ってくると思いますが、この計算は全然できてないと、そういうことではなしに、ちゃんとできておると、かように考えます。詳細は政府委員から答弁いたします。
  108. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) あいたVの波をどういうふうに使うかということにつきましては、ただいま大臣から詳細な御説明があったとおりでございまして、一番大きなのはやはり移動用、しかもどういう目的に使う移動用かと申し上げますと、沿岸を航行する船舶につきましては、いままでのところ日本の近海の、近海というよりも沿岸を航行しておる船にはほとんど電話はついてございません。こういった船につきましても、やはり人命の安全ということから通信の手段が必要であるということで、実はこういった波も必要でありますし、また陸上におきましては、消防車だとかあるいはガスだとか水道だとか、こういった公共用あるいは報道その他いろいろな公共事業に要する無線局、自動車その他に載せる無線局の需要、こういうものは激増をいたしておりまして、私どもはこれは推測でございますので、正確にどうだということは言えませんが、大体どういうような需要予測になるかということで、計算してみたところが、大体移動用その他で百メガサイクル以上を要する、こういう結果になっておるわけでございまして、御承知のとおり、今度テレビジョンに割り当てられておりますVの波をあけますと、七十メガサイクルあくわけでございまして、この七十メガサイクルをこういった用途に充てたい、こういう考え方でございます。  それから次にFM放送の波についてでございますが、お話のありましたとおり、東京では七十六から九十メガサイクル、全部使えませんで、七十六から八十六メガサイクルまで、十メガサイクルが使えるわけでございますが、これはこの前もちょっと出ましたとおり、使用バンド幅としては二〇〇KC、それから隣接チャンネルとの関係は八〇〇KCということで技術基準がきめられておりまして、この波を関東地方の各県にそれぞれ県域のサービスエリアを持った割り当て方をすると、どういうふうに割り当てられるかといいますと、三波ずつ割り当てられるというのが計算の結果でございます。
  109. 青島幸男

    ○青島幸男君 中に移動用無線通信用にUを使ったほうがむしろいいんじゃないかというような部分もあってしかるべきだと思いますが、どうでしょうか。
  110. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) これはVとUとのそれぞれの特徴がございますが、VがUと違っている一番大きな特徴はやはり障害物があっても回り込むという特徴でございます。したがいまして、こういった移動体の場合には、そんな大きな電力でお互いに通信をするわけにいきませんので、小さな電力で、小さな無線機で、お互いに航行している船舶ないしは走っている自動車、その他のこういった移動体から基地に通信する場合に、やはりUよりもVのほうが数等まさっている、かように言えると思います。
  111. 青島幸男

    ○青島幸男君 わかりました。それでは、やがて十年の歳月がたちまして、まだVで見ている人もあるし、Vを使ってオンエアーをしている局があったとします。その際にはどういうふうになさるおつもりですか。
  112. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 十年もありますと、皆さん方にお願いをいたしまして、たとえば受像機のごときものも、先ほどもちょっとお話しいたしましたように、五年も使えば買いかえる、そういう例が非常に多いわけでございますし、しますから、まあ大体コンバーターまたはオールチャンネルの受像機がいきわたるのではないか、かように考えております。それから放送事業者の方々に対しても、機会あるたびにさらに一段と協力をしていただくようにお願いをいたしますならば、おそくとも十年ありましたならば、大体送信施設も、あるいはまた国民の受け入れ体制も完全にでき上がるであろう、こういうふうに期待をいたしております。
  113. 青島幸男

    ○青島幸男君 NHKさんのほうで、どの程度力を入れて中継局による網を、カバレージをこまかくつくりまして、やってくださるかわかりませんけれども、とにかく東京都内においても、VよりもUのほうがよく見えるという地域は必ず存在するでしょうし、そうなると、いつまでたっても、このVとUは混用されておる時代が続いて、一向にらちがあかないような事態になるに違いないという予測も成り立つわけですけれども、その点はどういうようにお考えですか。
  114. 野村達治

    参考人野村達治君) ただいまのお話は、おそらく高い建物によります谷間のような、電波の谷間に相当するところを御指摘かと存じますが、その部分に対しましては、地域ごとの共同受信といったような形式のものを利用いたしますし、それからさらにけさ、初めにもございましたような六百メートル級のアンテナを建てますということは、かなり中心地に近いところにそういった高いビルが建ちました際の陰を非常に少なくするということにも役立つというように考えまして、進めていきたいと考えておるわけでございます。
  115. 青島幸男

    ○青島幸男君 中継局が幾つあるか全くわからないし、五十キロワット以上のUの発信機がどのように開発されるかわからない。そういう先ほど申しましたような、わからないづくめの問題をたくさん背負っておるというNHKとしまして、今後十年間に長期構想をなしくずしに、予算を立てまして十年に向かうつもりなんでしょうけれども、その際には、たとえば聴視料からくる収益でNHKは全部まかなっているわけですけれども聴視料に対する影響というのは、絶対にないようにしていきたいのだというお考えですけれども、その線に沿って九六%というカバレージを確保できるとお考えになっておりますか、前田さんにお伺いいたします。
  116. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 従来Uの使い方は、VU混在というたてまえに立って、中継局が主としてVの波のない場合Uを割り当てるという方式ですから、その意味ではNHK自体でもVU混在という聴視者との関係は事実出てくるわけでございます。今回の場合はVをUに置きかえるというたてまえですから、置きかえが完成すれば、Vによって視聴される方はなくなるというのが一応の見通しになります。ただ私が先ほど申し上げました点で、併用の時期がかなりあるであろうと考えますのは、今回の場合はNHKだけでこれができるわけではなくて、一般放送事業者も同じような方向をとっていただかないと、一般放送事業者のほうで、Vが残る場合に、NHKとして聴視料というたてまえからもかなり重大な問題が起こりますので、私は先ほどのような表現をしたわけでございます。ところで、その計画が、どれほどの金を必要とするかという点につきましては、先ほど申し上げたように、まだ正確な数字の検討は終わっていないわけでありますが、概括的に申し上げるならば、やはり五年なら五年、六年なら六年という建設計画を立てて、その中で財政をどう処理するかという問題になると思います。NHKは御承知のように放送債券を発行する権限が与えられており、同時に経営としては、当然そのほかに短期あるいは長期の融資をしてもらうことは当然のことでありますから、そういった建設計画に従って、どの部分を放送債券、もしくは、その他の借り入れ金によってまかなうか、その財政計画として、その借り入れ部分を、放送債券の場合は法律できまっておりますが、大体現行では二年据え置きその後七年間で支払うということになっております。長期借り入れ金、あるいは短期の資金借り入れ等についても、NHK経営の実態を勘案し、その返済能力を計画的に処置することによって、たてまえとして財政的負担を建設に関する限り聴視者に負わせないという方向にいくことは、当然私どもの義務だと考えております。結論的に申し上げれば計画そのものが目下検討を開始するという状態であり、したがって、どういう財政計画になるかということは、ただいまのところは、はっきりした数字を持たないのでありますが、ただいま申し上げましたとおりに、建設計画と財政の関係は、主として外部資金に依存するという方向でいくべきだと考えております。
  117. 青島幸男

    ○青島幸男君 いまVでもまだ九六・四というカバレージしかない状態なのに、これをUに移行する、そのためにばく大な費用がかかる。あるいはVをあけるのが必至だとするならば、まだ電波関係には未開発の分野が多いのですから、今後十年ほどの間には、Vにかわる何らかの電波開発されるということも十分考えられるし、私は何もUがいけないと言っているのではありません。Vがここまで発達してくると、Uもそれに合わして、地域、地形に合った場合、あるいは仕事に応じてVのほうがいい、Uのほうがいいという混在ということで、利点を利用しながら行なっていくべきである。また市街地などは当然有線になるであろうし、ですから市街地の有線、それから平野部の大きなカバレージはVでまかなう。あと山間部のような難視聴地域はUで解決するという方法が一番いいのじゃなかろうかというふうに考えておるのですが、先般来しつこくこの問題について、いろいろ質問を続けておるわけでありますけれども、ですから十年後にどうしても全面的にVからUにいかなければいけないのだという考え方には、根底から賛成しかねるわけですけれども、それで、この国策なら国策でけっこうなんですけれども、それは大臣談話で発表して閣議了承をとるというかっこうで、次々にそういう行政処置として行なわれてしまうのだったら、私もこの席にいて、この委員会に席をつらねていろいろ御質問したりする筋合いはないというふうに考えまして、こういうやり方を今後政府が続けていかれて、なおかつNHKもこれに従ってそのようにやっていく。そして少なくとも国民の大多数を犠牲にするというような部分があるにもかかわらず、その部分を目かくしして、素通りしてしまうというようなやり方、ここにたいへんな憤りを感ずるわけでございますけれども、ですから、私は当初このNHK予算にUへの全面移行のための十年計画の初年度として予算がこの中に組まれているとすれば、私はこの予算にはまっこうから反対するように考えていたのですけれども先ほど前田会長の御意見ですと、これはそれのU移行への初年度の分として計上してはないという答えなので、その辺は了承したわけなのだけれども、どうしても納得いかない部分があって、Vをあけるということではなくて、もうちょっと国民的な規模でもって視聴者に思いやりのある、あるいは国民の権利を十分考えた上での行政処置が望ましいと、こういうふうに思うわけで、どうしてもこれは一回撤回して、改めてUへの移行を国民の前に問うというようなかっこうでいかないとだれも納得しないのじゃないかと思いますけれども、その点、大臣はいかがですか。
  118. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) これはですね、もうすでにどんどんVからUへの移行の切りかえは進んでおるわけです。それで昨年のごときももうすでに地方の民放局三十数局に対しましては新しいUの免許が与えられて、一部はすでにこの四月から放送を開始するというところも相当数出ておりますし、その他まだ予備免許中のものも近く全面的に本放送を開始する予定でございまして、そういうふうにどんどん進んでおります。またNHK中継局のごときも一部Uへどんどん建設が進められておる、そういう状態でございますし、それから受像機のごときも先般も申し上げましたと思いますが、コンバーターが昨年の四月わずか数万台であったものが、すでに年末には月産四十数万台に達すると、しかも爆発的な勢いで伸びつつある。価格も非常に低廉になっておる。それからこのオールチャンネルの受像機のごときも十月にはわずか三、四万台であったものが、これも十二月には十数万台になった。しかもこれもまた爆発的な勢いで伸びつつあると、そういうふうにいまや、政策は実行面に移されて各方面の御協力によりまして、全面的に進行中であります。したがいまして、この上はさらに一段とPRをいたしまして、積極的に御協力をいただきまして、先ほども申し上げましたように、十年かかるという当初の構想をできるならば縮めていきたい、かようにさえ考えていっておるわけであります。一つの仕事をやる場合に、若干マイナスの面もあろうと思いますし、いろいろ金が要ったり苦労もあろうかと思います。しかしプラス、マイナスを考えまして、全面的にこのほうがいいんだというそういう結論が出た場合、私はこれは実行していくべきだと、こういうふうに考えておりますので、われわれのほうでPRの十分できなかった点は一そう充実させまして、皆さん方の御協力を得たいと考えておる次第でございます。
  119. 青島幸男

    ○青島幸男君 後半の大臣お答えで私もおおかた満足をするわけですが、前半は、お前はそう言うけれども、もうすでに行なわれておるんだ、ここまできていて、何を言うかというようなおことばに取りましたけれども、それがもう一番人々の理解を呼ばないもともとの考え方で、もうこうなってしまったんだから、いいじゃないかという考え方でおっしゃっておられましたけれども、PRに重点を置くなりあるいは各方面の了解を求めるというスタイルでいかないとどうしてもうまくいかないじゃないかということをあらためて確信した次第でございまして、その点をひとつ要望としてお願いしておきまして、私の発言を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  120. 鈴木強

    鈴木強君 最初電波・放送両案の改正についてもう一回私は大臣考え方を確かめておきたいのですが、前回、この委員会のお話で作業は進行中である、できるだげ早く提案をしたいというお話でした。私はそのときにもうわれわれの認識はこの国会ではむりだと、こういうふうに判断すると、こう申し上げたのですが、あえて大臣からそういう御発言がありました。そこできょうは三月三十一日であります。提案ができないだろうと、私はいまも思うのですがね。その点はどうなのか。もしできるという見通しがあるならば、久保委員の発言のように中間的な報告でいいですけれども、まだ旬日を経ておりませんけれども、大事な問題でありますし、長年の懸案でありますので、もう一度大臣から見解を承っておきたいと思います。
  121. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 作業を進めさせておりますが、まだその確たる日程についての見通しが立っておりません。この国会に提案をしたいと、こういう希望を捨て切ったわけではございませんが、ただいまのところあるいは無理ではないかと、こういう段階でございます。
  122. 鈴木強

    鈴木強君 それでは次に、郵政大臣は郵政省設置法に基づいて、法令の定むるところに従って日本放送協会を監督することができる、こうなっております。大臣御就任以来非常に熱心に御勉強なされておるようであります。いまNHKは日本の放送界におきましてはトップをいく公共放送でありまして、これの放送の内容あるいは動きというものは日本全体に大きな影響を与えるだろうと、こう思います。まあ青島委員からも先ほど戦前の放送の動きというものについて言及されておりましたが、より以上に戦後私はNHKの放送の影響というものは強くなっていると思います。大臣御就任以来いろいろNHKの現状について、御研究になったと思うわけでありますが、その中で、率直に大臣の感じている点等がありましたら、この機会に承りたいと、こう思うのでありますが、いかがでしょうか。
  123. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) NHKについて何を感じておるかということでございますが、私のいま一番痛感をいたしておりますことは、NHKは、経営の基本方針として、もちろんNHKの内容もよくし、放送も、あるいは職員の待遇改善、あるいは見えないところを見えるようにすると、そういうふうな業務内容の充実、番組の向上、これにはもちろん力を入れてもらわなければなりませんことは当然でございますが、それとあわせて、私は日本の放送全体をよくするために努力をしていただきたい、こういうことを痛感をいたしております。
  124. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、いま大臣のおっしゃったことを一番強く感じている、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。  それで、NHK経営全体に対する現状についての問題について、これは多少郵政大臣の監督という立場に立って、行き過ぎたことでは困るわけでありますけれども、そういうものについて、こういうところはこうしたほうがいいのではないだろうかというような特別の御意見はいまお持ちになっておらないというように理解していいわけですか。
  125. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) お尋ねの点は、あるいはNHK経営その他について郵政省としての監督権限を強化するという考えはあるのかないのか、こういうふうな御趣旨のようにも受け取れるのでございますが、もしそうであるといたしますと、先年の放送法改正のときに、そういう点も議題となったようでございますが、私は、就任当初にも申し上げましたように、当時における答申、委員会における審議、そういうものは参考にさせていただきますが、放送法の改正全体についてはまだ白紙の状態であるということを申し上げました。過去のことにとらわれないで、一番よい方法はどうすればよいかという立場から検討を続けていきたいと考えております。
  126. 鈴木強

    鈴木強君 私はもう少し前段で伺いたいのでありますが、大臣もちょっと触れられましたように、特に前小林郵政大臣の当時、これは昨年三月五日の記者会見で明らかにされた、小林郵政大臣のこれは私はおそらく個人的な見解か、あるいは郵政省が相談をされてやったのか、その点は伺いたいのでありますが、NHK受信料の政府認可制への切りかえ、NHK経営委員会の改組と特にこの委員手当の政府支給制、NHK会長の政府任命制、それから放送世論調査委員会の設置と放送各社番組審議会の全国連合組織の設置、民放に対する事業免許制の採用、こういう点について発表になりまして、この委員会でも問題になりました。その後小林さんは、NHK会長の政府任命制については取り下げると、こういうことをこの委員会でもはっきり言っておりますが、そのほかについては、明確な態度を表明しておらない。私は、NHK放送法に基づいて、ほんとうに不偏不党、厳正中立の立場に立って正しい放送をやっていただく、公正な立場に立って間違いのない報道をやってもらう、こういうことだと思いますから、小林さんの考え方というのは、どうもこのNHKに対して監督権を強化する、政府権力というものを強めようとする意図があったのではないかと、こう思うのですね、率直に言って。ですから、そういう一連の動きが、ここ数年来の中で具体的にも出ております。たとえば、放送番組に対する不当の介入と思われるようなことを閣議で発言したというようなこともわれわれは承りまして、この委員会で取り上げて意見を聞いたこともあります。そういうふうに、一連の、報道言論機関を政府権力が握ろうというそういう私は一つのあらわれではないかとすら感じたのであります。現在政府は民間放送を最高度に利用されております。総理府の広報センターを中心にして数十億の金がマスコミのために使われておる。こういうことを見ますと、当然NHKのこの巨大なマスメディアというものを何とか有利に使いたいということは当然出てくると思う。これは推察でありますが、そう考えるのは、無理もないことだと思います。そういう一連の中でこういうような考え方が出てくるとすれば、これは重大であります。したがって、私はこの点を伺ったのでありますが、大臣から、率直に、就任御当時のような意見と変わりがないと、あくまでもよりよくNHKを運営していくという立場に立っての考え方でおるということですから、その懸念はなくなりましたが、もう一度私は、このような問題がありましただげに、少なくとも国民は、放送法に照らし、法令に照らして、NHKに介入し、あるいは監督権を強化するであろうというようなそういう考え方は持ってもらわないと同時に、今後制度改正等についても、その考え方は生かしてもらいたい。そうでないと、ほんとうにこの言論報道の中立性、不偏不党ということは確保できないと思いますから。少しくどいようになりましたけれども、もう一度大臣の所見を承りたいと思います。
  127. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 政府のNHKに対する強い希望というものにつきましては、一番当初のお尋ねの際に二つの点を申し上げました。さらにもう少しそれを具体的に申し上げますならば、NHKは公正で中立性のある放送をすると、これはもう大きな任務でございまして、この趣旨で私は当然やってもらいたい、こういうことを考えております。それ以上にNHK経営に対して介入するとか容喙する、あるいはまた監督権を強化するということは、現在の段階では一切考えておりません。
  128. 鈴木強

    鈴木強君 なお、これに関連して、最近の政府、あるいはこれは大臣の与党である自由民主党との関係も出てくるのでありますが、最近の閣議あるいは政府与党との連絡会議、いろいろあると思いますが、そういう場所で、NHKに対する、労働問題あるいは経営委員会の改組の、小林発言ではないのでありますが、それの趣旨とは違うと思いますが、経営委員の任命等について、何か話が行なわれたやに聞いておるのでありますが、これらは大臣は御了承でございましょうか。
  129. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 閣議あるいは政府与党連絡会議、こういうところで、先ほど指摘のような話があったかどうかということでございますが、そういうことについては、話はございません。
  130. 鈴木強

    鈴木強君 まあ大臣から正式に、ないということですから、私は大臣の御発言を信頼いたしますが、しかし、きれいごとだげではなかなかいかないと思います。われわれはわれわれとしてのいろいろのアンテナを持っておりますから、いろいろな角度から政府の動向については知り得る範囲のことは努力をしておるわけですけれども、必ずしも私は、大臣の言ったようなきれいごとではないと思います。いろいろの問題が論ぜられるでありましょう。しかし論ぜられることを私は否定するわけではありませんが、問題はさっき私が申し上げましたような、協会に対する不当介入あるはい監督権の強化というような形における話し合いというものは、これはやはり十分に考えてほしい、こういう意味で申し上げたのであります。しかしまあ大臣の発言了承しました。  それでは一月の二十五日の地方新聞、それから東京などでも一部出ておりますが、各種の記事の中に、一月二十四日に大臣が記者団と会見をされまして、その会見がどういう会見であったか、私はその点は新聞ではよくわかりませんが、記事で、通常われわれが判断する限りにおいては、正式の会見のように思うわけでありますが、NHKの現在あります最高経営協議会、これは労組法に基づいて当然労使間に設置できる経営委員会であります。これはもう、かっては公務員でありました私も、前身の逓信省におきましても、郵政省との間に経営協議会をつくって経営に対してできるだけ労使間が話し合いをしてまいりました。しかし経営に労働者が介入するという、そういう立場ではなくして、経営の主体は経営者ですから、労働組合は経営に対してこうしてほしいとか、ああしてもらいたいとかいう強い要望を出し、それを最終的に経営者がどう受け入れていくかということは、それは経営者の判断にまかされていると思うのでありますけれども、そういう意味において、記事にありますように、NHKの法律に基づく経営委員会の上に、この最高経営協議会というものがあって、むしろそのお株をとってしまうというものではないのであります。これはすでにもうNHKに、私は最高経営協議会というものが厳存しておると思うのです大臣の御発言の記事を見ますとそういうものを「新しく設ける案が出ているようだが、」こうなっておるのであります。これはNHKのほうに伺いたいのでありますが、「ようだが、これは不穏当ではないか。現行法に基づく会長、理事の権限が侵されるとすれば問題だ。」と、記事は述べておるのであります。これは多少大臣の誤解もあったのではないかと、私思うのでございますけれども、この発言意図について、ひとつ率直にお考えを披瀝していただきたいと思います。
  131. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 日も忘れましたし、かつまた正式の記者会見であったかあるいはまたあとの懇談の席であったか、それもはっきり覚えておりませんが、それに類した発言をしたことは事実であります。発言の内容は、NHKには経営委員会というものがある。この経営委員会放送法に基づくNHKの最高の機関である。しかるにその経営委員会と別個に最高経営協議会という機関が別にあって、これは労使双方が十数名ずつの委員を出し合って経営について相談をするのかあるいは何をするのか知りませんけれども、とにかく名前は最高経営協議会というものがつけられておる。そうすると、一般の国民は、そういう詳しいことは知りませんから、経営委員会というものがあって、そのほかにNHKに最高経営協議会というものがありとするならば、最高のほうは最高であって、経営委員会というものはかすんでしまうのじゃないか。ですからこの名前は、放送法のたてまえからいっていかがなものであろうか、こういうことを言ったことは事実でございます。その後いろいろお聞きしてみますと、最高経営協議会ができましたのは、昭和二十三年にできまして、労働協約できまっておるそうでございます。現在の放送法ができましたのは昭和二十五年でございますので、その後に、最高経営協議会というものができてから、現在の経営委員会というものができたんだと思います。ですから、そのあと適当な機会に、経営委員会の上に最高経営協議会があるのだというふうな誤解を招くような、まあいかがわしいといえば語弊がありますが、何かそういうふうな誤解を招くような名前は不穏当ではなかろうかと、こういう意味のことを申し上げたわけでございまして、真相は以上のとおりでございます。
  132. 鈴木強

    鈴木強君 まあ御就任間もなかったころで、具体的に最高経営協議会というものがいかなるものであるかという御認識の点に多少欠けている点があったのではないかと思うのでありまして、まあしかし大臣の御発言となりますと、いま非常にデリケートな段階でありますから、必要以上に各方面を刺激するような気がするわけであります。ですから、まあそうお考えでしたら、もう少しその実情を十分に御勉強なさった上でやっていただけばよかったのではないかと、いま私はそう思うのです。何か経営協議会そのものに対する大臣経営委員会との関係において論ぜられたとするならば、これはたいへんだと私は思ったのでありますが、いまのように当然労働協約によって結ばれておるのでありますから、ただ名前の点で、そういうような何も知らない人たちに誤解を招くようなことがあってはということでありましょうが、これもまあ労使間でいろいろ考えてきめられたことだから、われわれはそれに対してどうしなければならぬということをここで申し上げる筋合いはございませんから、私は申し上げませんが、要は名前だけでなくて、最高経営協議会というものに対する大臣考え方を私は聞きたかったんであります。ですから、その点はわかりました。これはもう自主的に法律に基づいてやられるものでありますから、今後ひとつその内容について誤解をするというようなことがあったらば、むしろ大臣からひとつ説明をして、そういう誤解のないようにひとつ御配慮をお願いしておきたいと思います。
  133. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 実は、私はこの問題に固執するわけではございませんが、経営委員会というものがありまして、そうしてそのほかに最高経営協議会というものがあれば、普通の人はやはり経営委員会の上に何かそういうものがあるのではないかということをややもするとやっぱり誤解するのではないかという考え方は、実は私は変わっていないのです。もちろん労働協約に基づく正式の機関であって、この機関自体をとやかく言うつもりは毛頭ございません。ただ名前としましては、内容を聞いてみますと、中央労使連絡会議というふうなものでございますから、中央労使連絡会議というふうなものであるならば、それにふさわしい名前にして、一般に誤解をやはり与えぬような名前のほうが望ましいのではないかという考えには現在も変わりございませんが、しいてこれにこだわってこうしろとかああしろとか、こういうことを言うつもりはございません。ただNHK経営当局並びに労働組合の良識ある行動並びに結論に待つのみでございます。
  134. 長田裕二

    ○長田裕二君 関連質問で一言。  いまの鈴木委員の御質問の中で、NHKに最高経営協議会でございますか、そういうのがあるということを実は私もうかつでいままで知らなかった、初めて伺ったわけでございます。昭和二十三年といいますと、非常に経営権とか人事権とかそういうことについて労使の間に非常に争いというよりも、現在とは違った考え方どもあった時代のような感じもいたしますが、その後に放送法電波法なんかができまして、そういう新しい法律のかまえとほとんど無関係に存在し得るようなものであるか、あるいは終戦後のああいう特殊な情勢のもとに生まれたもので、新しい法体系との関係に若干問題があるのか、ただいまの大臣お答えの内容では、労使、何といいますか労使間の、労使関係についての会議のように承りましたけれども、もしお差しつかえなければ、その最高経営協議会の内容について御説明願えますか、あるいは資料でもございましたら、後ほどいただければと思うわけでございます。
  135. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お説のとおりでして、これは、職員とわれわれとの関係を労働関係諸法規に基づいてつくられているものでして、したがってその意味では、法体系からいえば、経営委員会関係とは全く関係がないということが言えると思います。同時に、この詳細なものは、後ほどそのものを差し上げたいと思いますが、この際お許しをいただいて申し上げておきたいと思いますのは、これはNHKは、御承知のように放送法によって昭和二十五年に法的に性格を与えられましたが、これは三公社五現業とは全く別でございまして、これは労使関係においては、私企業と全く同じ立場に立たされております。したがいまして、私どもとしては、放送法ができても、その関係から見れば、労使関係基礎とする法律は、一般労働関係法規であるというたてまえで、これを修正する必要がないと考えたものと私は考えておりますが、したがって、このNHK予算編成に際しては、いわゆるベースアップとの関連では、最終的なたとえば、ほかの関連事業体によりますと、当事者能力というものがほとんどございません。ところが、NHKはほかの三公社五現業とは異なりますから、すべて当時者能力にまかされているわけでありまして、したがって、決定的な予算案を組むためには、やはり最終的にただいま申し上げた労働協約に従っての最終妥結を必要とするわけでございます、事実上。そういう意味で、これがときどき印象的な文字の使い方によって誤解を生む原因となっておるかと思いますけれども、この詳細については、この協約をごらんに入れることにいたしたいと思います。
  136. 鈴木強

    鈴木強君 大臣も実業界の御出身で、労働問題については、私はベテランだと思うんです。ですから誤解であることがわかれば、私はそれ以上申し上げませんが、ただその名称に少しこだわられているようですけれども、これはいろいろ労使間で考えた末つくられたものだと思うんですよ。だからこれは、NHK側だけの意見でもまとまるものでもないし、組合側の意見だけでまとまるものでもないでしょう。いわゆる一つの妥協の産物だと私は思うんですね。ですからそのことは、私はここでは別に何も触れる意思はないんです。したがって、設ける案が出ているようだがという御意見も誤解であったことがわかりますので、私は、これ以上この質問をするつもりはないからこれでやめます。  きょうは、文部省のほうからもお忙しいところおいでいただいているんでして、たいへん恐縮ですけれども、ちょっと関連することですから、もう少し問題を進めさしていただいて、その次に、ひとつ文部省のほうに見解を承りますから、もう少し待ってもらいたいと思います。  今度のこのNHK予算の中に、通信衛星を使っての電送料というのは幾ら組んでありますか。けさ、私いアイゼンハワー前大統領の葬儀の前段の儀式を宇宙中継で拝見しましたけれども、非常に鮮明に放映されておりました。これは大体幾ら、今年度は組んでありますか。
  137. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 今年度は一億二千万円組んでおりまして、明年度、四十四年度は一億八千万円を予定いたしております。
  138. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、これは政府のほうに伺いますが、インテルサットの各国間会議というのがせんだって開かれまして、この報告もまた後ほど承りたいのでありますが、特にテレビジョンの電送料金はすでに値下げをすることがきまっておるわけであります。これは日米間でたしか了解が得ていると思います。アメリカではすでにもうアメリカ側のものは下げておりますね。東京——サンフランシスコ、従来五十四万九千円のものが三十三万四千八百円になるようです。東京——ニューヨーク間においても六十五万七千円が五十万四千円、これは基本料の場合です、最初の十分間。こういうように、いま国際電電のほうから郵政省に料金値下げのアメリカ側に合わせて申請が出ていると思うのですけれども、出ておりますかどうか。それに対していつごろ認可を与えるか、それに関連して、NHKでは料金はとりあえず現行のままで組んであるのか、もし値下げになれば、その分はどこへ費目を移していくのか、あるいはそれは残高として処理するのか、その点を承りたいのです。
  139. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま御指摘ございましたように、昨年十二月に大西洋にインテルサット三号系が新しく設定されました。また本年二月に太平洋のほうにも三号系が打ち上げられてもう利用に入っているわけでございます。このために回線の数が非常にふえまして、またさらに画質もよくなっておるはずでございますが、一方また地上局もふえまして、陸線の伝送区間についての変更もいたしておりました関係で、この機会にヨーロッパ、またアメリカにおきましても、それぞれの大西洋区間について値下げをしておるわけでございます。それで国際電電におきましても同じような考え方に基づきまして、この値下げは目下検討中でございます。まだ正式の認可申請は出ておりませんが、今後のNHK、民放等の利用者の利用需要動向等も十分勘案しまして、日本側からもこの引き下げを行ないたいという意向のもとに種々検討を進めておるように聞いております。
  140. 鈴木強

    鈴木強君 これは政府としても、KDDから申請があるなしにかかわらず、いま柏木監理官のおっしゃるように、ともに考えるという思想ですか、大体いつごろから実施しようとしているのか、ほんとうはこれは新年度、四月一日、明日からそういう新料金に移行できるような体制をしくのが、私は郵政省の大事な仕事ではなかったかと思うのです。すでに米側は三月二十二日から引き下げるということをきめておるわけですから、少なくとも、日本もそういうようにするのが筋ではなかったですか、どうしてそんなに仕事がおくれるのですか、忙し過ぎるのですか。
  141. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) ただいま御指摘のように、なるべく早く実施を急いでするのが正しいと思いまして、内々の話といたしましても、政府間KDDの間でもそれについての検討は内々進めております。この際一番問題になりますのは、需要の見通しがどの程度あるかということによりまして、それによりましての料金の今後の見通しを立てるという問題が残っておるのでございます。この点につきましては、目下KDDにおきまして、各需要者側といろいろと資料の交換、意見の交換等もしておりまして、近く正式の認可申請に運ぶように聞いております。
  142. 鈴木強

    鈴木強君 KDDの場合は、放送以外に一般の商業通信、電話ですね、それから電信、こういうものを衛星を使ってやっておるわけですか。そういうものとの見合いで電要の見通しがどうこうというふうに考えているならば、おそらく民放でも、NHKでも四十四年度はこの程度の時間はほしいと、全体としてのキャパシティが足りなくて困っているわけですから、そう一カ所がたくさんとるわけにもいきませんし、またこれをNHKと民放でどう使うかということも、当然相談されていると思いますからね、放送だけだったら、私はもうわかっていると思うんですね。電信、電話についても、ある時間使うんですか、これは。
  143. 柏木輝彦

    政府委員(柏木輝彦君) このたびの三号衛星は、従来よりも五倍程度の回線が多い容量能力を持っておりますもので、従来のように、テレビの中継を電信電話の回線をつぶしてそのときどきにやるということは必要なくなりまして、原則といたしまして、テレビテレビの専用の回線を保有できるという状態になっております。もちろんその三号衛星を使いまして新しい電信電話の需要にもこたえ得るような回線設定をいたすわけでございますから、テレビにつきましては、従来よりもその点は改善されまして、およそテレビ専用だけの利用者に見合う需要として考えていいというふうな状態になっていると聞いております。
  144. 鈴木強

    鈴木強君 そうであるならば、私はもっとすみやかに結論を出せると思うんです。まああなたもたいへんワシントンまで行かれて御苦労様でした。そういったいろいろなことでおくれていると思いますが、ひとつピッチを上げて、できるだけ早い機会にこれはひとつ決定をしてほしいと思うんです。この点は大臣にひとつ。
  145. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 御趣旨の線に沿いまして努力いたします。
  146. 鈴木強

    鈴木強君 それから、放送連合というのが、これは日本放送連合会というのが、これは大臣が認可をした特殊法人になっているんですか。
  147. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) そのとおりでございます。
  148. 鈴木強

    鈴木強君 この日本放送連合が、三月二十四日の臨時総会で解散をすることをきめたようであります。これは御承知でございますか。
  149. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) そういうふうに聞き及んでおります。
  150. 鈴木強

    鈴木強君 そこで問題になりますのは、この収支決算の中に赤字が出ておる。四十三年四月一日から四十四年三月二十四日の収支決算、仮計算書を見ると、そういう赤字が出ておるわけですね。当然、解散になりますと、職員の方々への退職金の支給ということも出てくるでありましょう。それから、それぞれいままで負債になっておりましたものの清算もしなければならぬと思います。われわれが知っております範囲では、NHKの志賀専務理事が清算人に委嘱されておるように伺っております。で、ここに四百八万円が純然たる収支仮計算上の赤字である。それに退職金というものを払い、それから清算事務の分を入れますと、合計千三百八万円、これを補てんしなければならないのであります。おそらく近いうちに、大臣のところに解散の届け出が出てくると思いますが、この赤字は一体どういうふうにして補てんしていくのか。NHKの志賀さんがこれは清算人を委嘱されているそうですから、伺いたいと思う。NHKは一体またここに赤字を埋めるために、幾ら出すというようなことをこの予算で考えておりますか。
  151. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 放送連合会の解散に際しまして清算人を委嘱されましたので、私からただいまの御質問につきましてお答えをいたしたいと思います。  放送連合は、関係団体の会費をもとにいたしまして、その収入で経営をまかなってまいりましたが、昨年度来、会費に不足を生じまして、本年度も年間の経費をまかないますのに、四百八万円だけ不足をするという状況に相なっておったわけでございます。たまたま一方では、この放送連合会が、一応その使命を果たしましたので、本来の法人を解散をするという手続を、ただいまお話のように、三月二十四日に総会をもって議決をされております。同時にこの総会におきまして、四百八万円の本年度の会費の不足分については、追加をして各関係団体が支出をするということを同時におきめになっておられます。それからもう一つ、ただいまのお話の中で、清算に関しまして約九百万円の退職金その他の経費を必要といたしますが、これはただいま郵政省のほうへ解散の認可申請をいたしておりますので、その御決定と御認可を待ちまして、清算業務に入るわけでございますが、その際の解散に伴う清算の経費につきましても、約九百万円につきましては、関係の各団体が拠出することは、三月二十四日すでにきめておりますので、いずれそういう段取りになるかと思います。
  152. 鈴木強

    鈴木強君 放送連合が、その目的を達したので解散するということなんですが、私はそうは思わないのです。青島委員からも御指摘のように、これから中波の大電力化あるいはVのU化、FM放送への本格的な切りかえ、まさに日本の電波界の一大革命の時期に入っている。転換期にきている。そういうときにこそ、放送連合というものが相協力して、国策としての郵政省ですか、電波行政を支援をし、バックアップしていくということが筋じゃなかったのでしょうか。どうも特殊法人、大臣認可の法人が幾つか出てまいりますが、いつの間にか、これ行き詰まって解散をするという、有名無実になる。何のために、こんなものをつくるのか私にはよくわからぬのですね。もう少しこれは考えてもらわなくちゃ困るのですよ、こういうものをつくる場合ですよ。はたしていままでNHKが幾らこれに会費を出しましたかね、知りたいのですがね。そういうものが一体どうなのか。特に私は番組向上委員会などは、いろいろ資料等も拝見いたしておりますが、特に日本の放送番組というのは、民放等では最近、裸体のコマーシャルなんかがどんどんと出てきますね。内容についても、低俗的な番組と言われるようなものがありますよ。こういうものはなかなか政府が、さっきからお話しのように一つの規制をするということは、これはできないことでありまして、それぞれの番組審議会において慎重に番組基準あるいは国民のためになる番組をつくるための一つの方針というものをきめられますけれども、やはり営利に流れますと、なかなかそれがそういかないので、だからどうもいつか、だれかが言ったように一億総白痴化を招くおそれがあるということまで言われる。そういう段階ですから、私は目的を達して解散するということは、一つの表面上の詭弁だと思うのですね。そんなものではないのです。結局つくってみたけれどもなかなかうまくいかない。あるいはVをUに切りかえる場合も、私はもう少しあとでお伺いしますけれども、実に独断的なところがあるし、もう少し慎重を期さなければならぬ点があったと思うのですね。だからNHKと郵政省だけ専門会議か連絡会議かつくって、民放はそっぽを向いておる。オブザーバーか何か知りませんが、そういうことで参画するということを聞いておりますけれども、むしろそういうことこそ日本放送連合の中でやるべき使命があったので、その目的を果しておらぬのですよ。いままでなんぼ使ったか知りませんが、その金が生きておりますか。そんなむだな金の使い方をしてほしくない、そう思うんですがね、どうでしょう。
  153. 前田義徳

    参考人前田義徳君) この放送連合は、御承知のとおり昭和三十二年に任意団体として設立されまして、昭和四十年に特殊法人として郵政大臣の認可を得たわけでございます。したがいまして、郵政大臣の認可を得た法人としてはわずかに四年でございます。しかし、任意団体の時代から数えますと十二年かかっているわけでござまして、この昭和三十二年は、御承知のように民放、NHKをも含めてテレビ時代が始まる年でございます。その意味において一応その任務を果たしている。ただ、御指摘のように、番組向上の問題であるとか、それからまた、昨年十月以来問題になったVからUへの移行、もしくはそれと関連なしにも、従来からVU混在という見地でUHF局もできているわけですから、これの対策として、この放送連合の場に、やはりこの問題についても特別委員会をつくったことは事実でございます。しかし、この問題については、一般放送事業者側の見解としては、これは私は代弁するわけではございませんが、私どもに通知された考え方は、技術的な問題は今後NHKとの間で直接協議していってもいいじゃないかという点でございます。したがいまして、一般放送事業者側も、番組向上については今後継続してやっていくという意思表示はございました。NHKといたしましては、そのような場合においても九つばかりの目標がございますが、そのうちの一つないし二つが残った場合でも、在来のとおり、放送連合という形においてその委員会を継続することが妥当ではないかという見解を述べたことも事実でございます。しかしながら、一般放送事業者の見解として、すでにこれを解体すべきであり、しからざる場合には脱退もやむを得ないというような情勢でありましたので、NHKとしても、NHKを中心とする単純なる連合というその場合には存立の意義を失いますので、私どもとしても最終的にはその解散に同意したわけでございます。ただし、同意しましても、一般放送事業者の見解としても、番組向上等については、新しい法的団体にするかどうか、その検討を進めながら、番組向上の事業そのものは継続していくという意思表示はいたしております。
  154. 鈴木強

    鈴木強君 幾ら使ったのか、いままで。
  155. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) NHKは四千八百万、約四年間に四千八百万の会費を支出しております。なお、その前に任意団体の期間が約七年でございましたので、その間は三千五百万の金を拠出いたしております。
  156. 鈴木強

    鈴木強君 これは時間の関係で、きょうはここで聞くことができませんから、恐縮ですけれども、三十二年に発足以来、任意団体——これはとれるかどうかちょっとわかりませんけれども、もしできましたら、NHKで四十年までの分は、総体として放送連合が使った金、これはそのトータルだけでいいですからわかりましたら教えてもらいたいと思います。それから四十年、特殊法人として大臣が認可して以降のやつは、これは正式にとれるはずですから、後ほど調査の結果、資料として出していただきたいと思います。  それから、四百八万円の赤字の分は何が赤字になったのか。それから、職員の退職金についてはどういうふうな基準で支給するのか。それから、千三百八万円の総体としての赤字補てんについては、関係団体がそれぞれ支出することがきまっているようでありますから、どこの団体が幾らこの分を出すのか、これもひとつ資料として出してもらいたいと思います。NHKは何ぼ出すか知りませんが、それはどこから出すのですか。この四十四年度予算のどこから出すのですか。
  157. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) たいへん御返事おくれましたが、NHKはこの中で約七百万円の分担になっております。明年度の放送費の中で支出をいたしたいと思います。
  158. 鈴木強

    鈴木強君 約半分をNHKが負担しなければならぬということに対してもちょっと私は問題があると思いますが、しかし、NHKは民間の放送のためにも大いに協力をするということになっておりますから、そういう意味で了承はいたしますが、どうもお聞きしますと、会長のお話でもやはり運営の面に問題があるように思うのですね。あえて脱退をするなんということは、一体、つくったときから考えてみたら何事かというのです。これはどういう趣旨で私は、もし解散をしなければ脱退するなどということを言い出すのか、その辺に基本的な問題があるように思うのです。だから、この連合を解散するということだけで済まない問題があると思います。幸い、番組向上委員会についてはそれぞれ意見が一致するようでありますから、それはそれとして、ひとつ金がかかってもやっていただくことにして、いま一番問題になっております運営の中から出てきております険悪な空気のように私は感じますけれども、そういうものについて、むしろこれから十分に政府としても法人を認可した立場に立って御配意をいただかないと、これからの電波界の大転機に対して、はたしてそれぞれの方々が相協力する体制が危ぶまれるわけですから、この点は十分にひとつ大臣としても御配意願いたいと思います。どうですか。
  159. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) お話の点、了解いたしました。
  160. 鈴木強

    鈴木強君 放送番組センター、これはやはり大臣の認可の特殊団体ですか。
  161. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) そのとおりでございます。
  162. 鈴木強

    鈴木強君 これは新谷委員からもお話がありましたように、また、私どもも後ほど申し上げたいと思いますが、やはりこの番組をどうしてつくり、どうしたらりっぱなものができ上がるかという、そういうくふうをこらさなければなりませんので、そのセンターの活用いかんによって私はその評価がきまると思うのですけれども、これもたしか二、三年認可をしてたっておると思いますが、NHKなり、あるいは民放なりが相協力してやっていると思います。いま現在、郵政省のほうでごらんになって、この放送番組センターというのはその目的に沿って着実に進んでおられるのかどうなのか、これをひとつ伺いたいと思います。
  163. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) できたのは昨年のように承知しておりますが、昨年は予算もきわめてわずかでございまして、ほとんど活動の余地もなかったのではないかと思いますし、さらにまた、将来の見通しも予算がはっきりいたしませんので、運営の規模をどうしたらよいかということ等につきまして暗中模索の状態であったと思います。しかし、幸いNHKのほうでもこれに対して今後大いに協力していこう、こういう基本的な態度がきまりましたので、ようやく将来のおよその見当をつけることができた。そこでいま、これからの運営をどうしていったらよいかということについていろいろと検討を続けておる、こういう段階であろうと思います。
  164. 鈴木強

    鈴木強君 NHKは、この予算の中に大体三億円の助成金を、補助金といいますか協力費といいますか、出すことに予定をいたしておりますが、四十四年度の収支予算上はどうなっているか、私もよくまだ不勉強でわかりませんけれども、総体としての予算の収入というのは幾らになっておるんですか。そのうちNHKが何億出して、だれがそのほかを出すのか、その内訳もほしいんです。
  165. 前田義徳

    参考人前田義徳君) ただいま郵政大臣が御説明申し上げましたように、前年度におきましてはNHKが五千万円、一般放送事業者が七千五百万円、合計一億二千五百万円でございます。その事業成果はただいま御説明のとおりであります。これに対して、これを強化し、さらに協力を積極化するために、NHKとしては、当面、今年度予算から五千万円を拠出し、さらに御審議いただいている明年度予算において三億円を番組費から支出する態勢をきめております。私どもといたしましては、とにかくこのような形で一般放送事業者も当然同じ方向に向ってくださるものと確信し、なお、これの主体は御指摘の放送番組センターでございますので、番組センターの会議を開いてもらいまして、その事業計画等を現在検討中でございます。
  166. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、四十四年度の収支計画、事業計画というものが立てられておって、そうしてそれに対してNHKが幾らの助成をするということではなくて、言うならば、NHKがイニシアチブをとって民放に呼びかけ、また、各団体に呼びかけて、どういうものをこれからやろうとして、それに対する所要経費が幾らかかるということをはじいて最終的にきめようと、そういう段階でございますか。
  167. 前田義徳

    参考人前田義徳君) そうではございません。番組センターというものがすでにございますので、それにお金を出すという段階において、NHKとしては、事業計画の提示と決定を求めているという段階でございます。
  168. 鈴木強

    鈴木強君 それは会計年度NHKと同じでしょう。
  169. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 同じでございます。
  170. 鈴木強

    鈴木強君 そうであれば、少し私は手ぬるいように思うわけですね。だから、これがほんとうに日本の放送界に役立つものであり、やらなければならぬということで認可を得たものだと思いますよ。そうであるならば、もっと積極果敢にやるべきじゃないでしょうか。これは認可した大臣にも、郵政省にも責任があると思いますが、少なくともあしたは新しい年度に入っていくというのに、これから事業計画を提示してもらうということじゃ、これは困ると思うんですよ。おそらく、発足後まだ日が浅いわけですから非常に御苦心があったと思いますが、私どもが聞くところによると、関係者もかなり熱心に番組センターの目的に沿うための努力を続けているように伺っております。ですから、これに協力することについてはやぶさかではないわけでして、NHKも大いにやってほしいと思うんですが、問題は、事業のあり方というものがはっきりしなければなりませんし、NHKはやろうとしても民放がそっぽを向くとかというようなことでは、所期の目的も達成しないと思いますね。むしろ番組センターでつくる放送番組というものはNHKはほとんど使わないのでしょう、民放が主じゃないですか。そういう意味において民放側のやはり協力態勢というのが出てこなければ私は当初の目的は達成できぬと思うのです。そこいらの判断を大臣どう思っておられますか。もう少しこれは積極的におやりになったらどうですか。
  171. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 番組センターの四十四年度の詳細な具体的計画がまだ検討中であるということを申し上げましたが、ただいま御審議中のNHK予算が成立をいたしましたならば、これで予算も本ぎまりということになりまして、少なくとも三億は入るわけでございます。さらにそこへ当然民放も積極的に協力をしていただき、さらにまた、他の方面からも積極的に協力をしていただきまして、御承知のように石坂泰三さんが自分の畢生の事業としてやりたい、こういうことも言っておられますし、私はこの内容充実、仕事の強化のためにできるだけの協力をしていきたい、かように考えておりますし、さらにまたNHKは、一番当初の御質問で申し上げましたように、その課せられております使命というものは、NHKの仕事もさることながら日本の放送全体をよくしていく、こういう非常に大きな任務を持っておるわけでございますから、その角度から一そう協力をしていただきたい、かように存じまして、各方面の御協力を得まして十分な成果があがるように、積極的に相談をしていきたいと、かように存じております。
  172. 鈴木強

    鈴木強君 いまの大臣の御発言を了として、積極的な推進をやっていただくことをお願いして、次に移ります。  また同じようなことで伺いますが、昭和四十一年の六月ごろだったと思いますが、日米文化教育テレビ番組交流協会というものが——きょうは文部省からもおいでいただいておりますが、外務、文部、郵政の各省の三省共管で特殊法人として認可をされております。通称日米教育テレビセンター、こういうものがございます。私は文部省からも多少資料をいただきました。国庫からも補助金として、四十年から、文部省がこの団体に補助金として出したのは、四十年に百四万九千円、四十一年に百四十四万一千円、四十二年に八十四万円、四十三年に三十七万円でことしはまだどうなるかわからぬ。こういうことで、いまやこれも有名無実、しり切れトンボになろうとしておるわけであります。一体、こういう法人が次から次へと出てきて、一体何をやったのか、しり切れトンボでまた解散をするというようなことではないかと思うのでございますが、認可した郵政省として、この日米教育テレビセンターの経営内容について、ひとつ説明をしてもらいたいと思うのです。
  173. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) 日米教育テレビセンターにつきましては、この団体の名称どおりに教育番組の日米間における交流を促進する、こういうことが目的で設立されておりまして、毎年本数は違っておりますが、数十本の番組がこちらからもアメリカにいき、またアメリカの番組がこの機関を通って入ってきておるわけでございますが、最近におきましては、このアメリカ側におけるセンターが閉鎖されるというようなこともございまして、実際にこちらで受け入れる本数も少なくなっておるのが実情でございまして、ただいま御指摘ございましたように、その中で一番重要な番組交流費でございますが、この番組交流費も、まあだんだんしりつぼみのような状況になっているのが実情でございます。
  174. 鈴木強

    鈴木強君 そんなしりつぼみのような状況になぜなったんですか。そんなところになぜ認可したんですか。一体何のためにつくっておる、目的を果たしておらぬじゃないか。目的を果たさないうちにしりつぼみになった。それじゃ出した金が泣いちゃうじゃないですか。そんな無責任な認可をなぜやったんですか。
  175. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) いままで毎年このセンターを通じまして日米間に番組の交流が行なわれているわけでございまして、そういう意味におきましては、まあそれ相応に目的を達成しているわけでございます。ただ、最近アメリカの事情その他がございまして、こういったセンターを通じての番組交流というものが少なくなってきたと、こういうことでございます。
  176. 鈴木強

    鈴木強君 それは納得できない。そんな適当な説明では納得できません。  そこで、文部省のほうに一応伺いますが、あなたのほうでは三十九年の四月から四十年三月の年度にかけても合同会議奨励費ということで二十万円出しておる。それから、四十年以来、さっき申し上げたように支出をしておる。NHKも同様に、三十九年三百万、四十年に二百万、四十一年に四百万、四十二年に四百四十万、四十三年には三百七十五万、これだけの支出をしておるようであります。これは番組交流費ということだと思います。そこで、NHKからも伺いたいんですが、これは明らかに教育番組の交流をねらったものだと思います。したがって、教育番組というものが、日本でつくられた、作成された番組がアメリカに行き、アメリカのいい番組が日本に入ってくる。これを使う人が一体だれなのか、私はこの資料を拝見しますと、ほとんどNHKです。民放においては数えるほどしか使ってない。というのは、やはり教育放送というもののむずかしさも、ここにも一つあらわれておる。すなわち、民放におきましては、幾らりっぱな教育番組がありましても、それにスポンサーがつかぬのであります。そういうことではないかと、私はそう思う。だから、先細りになってしまったのは、一体、文部省はとういうふうに——いま郵政省の説明では私は納得できないが、文部省は共同共管でやっておるわけですから、ひとつ社会教育局長から伺いたい。それからNHKからも、これは相当な金を出しておりますから伺いたいんです。
  177. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) ただいま郵政省のほうからもお答え申し上げましたように、実は来年度から開店休業のような状態になってしまうわけでございますけれども、その理由のおもなものはアメリカ側の事情でございます。日本側の事情といたしまして、ただいま鈴木先生御指摘のように、アメリカから送ってまいりましたものをNHKから、ほとんどNHKで放映している、民放が放映していないということにつきましては、実はたいへん残念だったんでございますけれども、この両国間で提供される番組がテレビ局で放映される場合、原則としてスポンサーをつけない、つけることができないということが条件にしてありまして、それによりまして、また通関税を免税にする措置をとりました際にも、スポンサーをつけないということが厳重な条件となってしまいまして、これで民放局として実際問題として非常に放映しにくいというような状態がございました。しかし、これはまあわが国で三十九年度に実は日米教育文化会議がございまして、その勧告に基づきまして発足した趣旨としては、日米の教育文化番組の相互交流でございますので、私どもとしてもその将来に期待をいたしまして、実は四年間補助もしてまいりましたし、今後も期待したいところでございます。何しろ相手方がこれを実際に運営できないような状態にしてしまっておりますので、ここのところ、こちらでいかに気ばってみても、この日米教育テレビセンターとしてはどうにもならない、こういう状態に立ち至ったと、こういうふうに私は承知いたしております。
  178. 前田義徳

    参考人前田義徳君) これは日米行政協定に基づく文化委員会としての日米文化委員会がワシントンで開かれまして、当時私もメンバーの一人としてこの会議に出席したわけでございます。設立の当初は、御承知のように、アメリカは商業放送が中心でございますので、当時アメリカの空気は、この問題については大体反対でございました。ただ、アメリカ政府と、それから大学その他のいわゆる今日の公共放送グループが強くこれを支持いたしまして、そしてアメリカ商業放送の代表が代表になっておりましたが、これも積極的にこの案を最終的には賛成いたしまして、ニューヨークと東京にクリアリング・ハウスをつくるという勧告を両国政府にしたわけでございます。その際、資金の問題について、日本側は、ガリオア及びエロアの金を両国の文化の相互交流と両国民の福祉の向上のために使うよう凍結からはずしてもらいたいという要請をアメリカ政府にいたしました。アメリカ政府も、原則としてはこれに賛成でしたが、この資金の運用につきましてはアメリカ議会の議決を経なければならないわけであります。しかし、自来、国務省は非常な努力をいたしましたが、アメリカ議会はこれに賛成いたしておりません。したがいまして、クリアング・ハウスの運営については、アメリカ側は放送事業者の協力基金により、また、日本側も主として放送事業者の協力基金ということで、ただ、当時の会議の形態は政府が中心となる特別委員会でございますので、文部省と外務省がまずこの会議の共管政府当局、そして放送という点で郵政省がこれに加わるという状態でございましたが、これらの文部省、外務省等におきましてもワシントン決議の線に沿うて非常に御努力なさったわけでありますが、事業自体は、ただいま御指摘のように、結局年を追うに従っていろいろな予想された条件の成就が不可能となり、とりわけ最近は、アメリカ側はこれを解体せざるを得ないというような通知を日本側にも送ってきているわけでありまして、その意味において、遺憾ながらこの機関はまさに最後の段階にあるというように私は理解するわけであります。これについては、アメリカ側も考え直すべきであると私は考えておりますし、今後どのような措置を政府間でおとりになるか、これについては鋭意私としてはアメリカ側の反省をも求むべきではないかというように感じている次第でございます。
  179. 鈴木強

    鈴木強君 郵政省と文部省——外務省の意見はきょうは聞けませんけれども、きわめて消極的に受け取りました。しかし、NHK会長としては、アメリカ側に反省を求めてもう一回やるべきだという御趣旨のように承りました。私はこの歴史をちょっと調べてみたんですが、いま会長のおっしゃった点もございます。特に日本側センターの維持費については、最初、年間千三百万ぐらいのいわゆる予定で、NHKが三百万、民放が五百万、それから、アメリカ政府の要請でできたもので電通の国際テレビフィルムという基金があるんです。これは三十七年十月にできた、代表が松方さんですが、これはフォード財団の財政援助のもとに運営されていたものですね、これが五百万出して合計千三百万。それから、文部省がたしか二百万程度補助金を出したと思うんです、この育成のために。それで今日までやってきておるわけですから、その原因が、一体なぜアメリカがそっぽを向いたのか、そういう点をやはり十分に考えてみる必要が私はあると思うんですね。アメリカのほうでいろいろ苦心されてつくられた番組というものが日本に入ってくる。これは通関税の免除措置のときに、なるほど、スポンサーつけないことということはわかっておったのですから、こんなものは一九六六年の五月三十一日で関税定率法が変わったわけですね。ですから、いまこんなことがいわれてきたことでないんですから、この確認は、当時、前からやられておったので、いまそれを持ち出して云々するのもこれはおかしいわけです。ですから、そういう、日本に、受け入れ側の体制がないとすれば、これはもうもっと早くこれは措置すべきですよ。NHKはもちろんスポンサーは要らないわけですから、自身が放映できるわけですから、それでよろしい。しかし、まあいままでのやつを、八十三本のシリーズものについて、あれを見ると十二チャンネルとか、RKB、KBC、RKBは毎日ですけれども、この程度ですね。あとについてはどうもみんなNHKですね、民放は全くそっぽを向いているわけですね。こういう現状は、まだ日本における教育番組というものがなかなか民放の中に実際問題として入っていくことができないような状態にあるのだということですね。これはもう十二チャンネルが一番典型的にこれを示していると思うんですが、そういう判断があるならば、これはもう一回考えてみる必要があるんじゃないですか。せっかく三省が少なくも共管で判こを押してつくらしたものですから、どうも投げやりになるような考え方はいけないと思うんですね。私も、だから、できるだけ最後の努力を尽くしてみて、その上で、われわれが聞いてなるほどという理屈があって解散するのならばこれはやむを得ませんけれども、何か有名無実のような中で、しり切れトンボでいつのまにか消えて、幽霊のように、これじゃ困る。その辺をはっきりしてもらいたいですね。これはたまたまきょう大臣が来ておりますので、大臣からも承って、もし文部省のほうで意見がありましたら、この際ぜひ聞かしてほしいと思います。
  180. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) アメリカ側がこれからおりた原因につきましては私も十分把握しているわけではございませんけれども一つはロイアルティーと申しますか、著作権上の問題、それからもう一つは日本語から向こうに吹きかえる料金の問題等の関係で、まあこの日米教育テレビセンターに相当するアメリカ側の機関はNBCでございますけれども、そことして運営できなくなったというふうに事情承知しております。しかし、私、まあほとんどこれは、現在こういう形になったところで引き継いだので、そのとおりお答えしたわけでございますけれども、私としても、今後何とか復活できるものならばその方向に向かってまいりたいと思っております。
  181. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いろいろ話を承っておりますと、過去におきまして非常に有意義な役割りを果たしてまいったようでございますし、現在でも私はやり方いかんでは非常に有意義なものであると思います。そこで、先ほど来も前田会長並びに文部省当局から御答弁ございましたように、なぜ相手がもうやめようというのか、そういう事情などをよく調べてみまして、できることならば続けていく、そして一そう効果をあげてまいりたい、かように考えております。
  182. 鈴木強

    鈴木強君 それで、ちょうど教育関係にも関連してきましたので、忙しいところをおいでいただきました社会教育局長に、二十九日審議会の、テレビ、また音声極超短波ですね、FMによる教育放送をいかにするべきかという例の劔木さんの諮問されたその諮問に対して答申が出ておりますね、時間がありませんから、その経営の主体ですね、それから一般向けの、全体的に向けるような一般教育放送あるいは小中高、それから大学あるいは社会教育、こういったものに対するひとつ結論的なものをぜひ聞かせてほしいと思います。たいへん御親切に、さっそく私のお願いに答申も全部いただきました。たいへん文部省は親切です。私、あとから全部読ませてもらいますけれども、けさほどここでいただいたものですから、全部まだ読んでおりませんが、非常に重大な段階にこの答申が出ております。したがって、簡潔でけっこうですから、いま申し上げました点につきましての答申の結果をひとつ聞かせてほしいのですが。
  183. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) いま鈴木先生お話しのように、一昨二十九日の日に社会教育審議会におきまして教育専門放送のあり方につきまして一年半審議しておりました結果を答申してまいったわけでございます。その答申の内容につきましては、実は六十ページ余りにわたる大部のものでございますので、要点を申し上げましても何か落すおそれがございますが、全体の基調といたしましては、現在、教育の内容が質量ともに拡大してまいっておりますおりから、この教育の中に放送というメディアをもっと活発に活用すべきではないかということにつきまして、教育関係者がとかく新しいメディアの利用についてなかなか消極的でございますので、そうした面、教育関係者に猛省を促していろいろな形で放送を利用することを勧告しているわけでございます。そのためには教育関係者がそうした教育の中における放送利用の意識を高める、これを一番強くうたっているわけでございます。具体的な問題といたしまして、ただいま鈴木先生のお話の、教育機関が非営利の教育専門放送局を設置すべきだということをうたっておりまして、これは一つには大学でございますが、大学が現在非常に多数の学生を擁しまして教育をしております、その際に、アメリカ等におきましては、大学自身が放送局を持ちまして大学の教育に資していく、あるいは大学学内だけでなくて、広く一般国民に対しましても大学開放あるいは通信教育という形で放送を利用しております。これをモデルにいたしまして、もう少し大学というものが活発に放送を利用できないものだろうか。それから、初等中等教育の関係では、これは現在NHKあるいは民放におきまして学校放送という形で教育放送が流されているわけでございまして、これは相当な効果をあげておりますけれども、それが量的にも絶対量としてまだ十分なものとは言えない。さらにこれを強化することによりまして、学校における小中学あるいは高等学校における教育に資することができるのではないか、その点もう少しくふうをしたらどうか。たとえば長岡市で、これは固定局でございますが、すでに十数年にわたりまして市内の小中学校と結びまして放送による教育を行なっております。その効果等も相当にあがってくるだろう。そうした小さい放送局になりますと、そこの先生方が直接に放送の制作に参画するというようなことで、それがまたその学校に、受け手としても関心を持たせるという形にもなっております。そういう意味におきましても、そういった全国的な放送以外にローカルな放送というものをさらに強化してみてはどうかというような見方をしているわけでございます。それからさっき大学開放と申し上げましたけれども、広く社会人に対する教育にもこれはもちろん利用できるというような、いろいろな教育の面において、そうしたことが活用されるのではないか。そしてそのためにはこれは放送法にいう一般放送波、現在郵政省で御苦心いただいておりますFM、あるいはUHFの波につきましても、もちろんその割り当てをちょうだいしたいわけでございますけれども、それ以外に一般の通信波、そういったようなものの活用についても、教育機関がもっといろいろくふうをしたらどうだろうかというような点にも触れております。そういった点が中心になっておりまして、教育関係者全般が放送について十分な熱意を持っておりませんおりから、そうしたことについて、やや新聞によりましては、教育放送のビジョンというような見出しが出たところもございますけれども、ある意味でビジョン的な役割りを演ずる答申であったかと思うわけでございます。私どもといたしましては、これを受けまして、その具体化につきまして、これから十分に検討してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  184. 鈴木強

    鈴木強君 それでは少し具体的に二、三お尋ねしますが、長い間御苦労いただいての答申でございますから、私もまだきのうの新聞に載りまして、新聞の範囲の勉強しかさしていただきませんが、この資料を見ますと、これは膨大なものでございまして、かなり実態調査もされているようですから、なお私は、ここで決定的な意見を吐くこともできませんしするので、ただ答申をめぐっての——局長もこれに参画されたと思いますから、そういう意味で二、三伺いたいんですが、まず第一に伺いたいのは、現在日本ではNHKと民放でそれぞれ教育放送をやっておるわけです。これについてこの答申の内容を見ますと、まだまだ審議会が考えているような段階までいっておらぬ。特に大学向けの学校放送などは、電気通信大学ほか数校ぐらいがこれを利用している範囲であって、ほとんど見ておらぬ、利用しておらぬ、こういうふうに書いております。それから幼稚園なり小、中学校、高校、ここいらになりますと、かなり全国的に普及をし、NHKNHKとしての放送番組を流しておる、民放は民放として流しておられるんだが、問題はこの地域性といいますか、皆さんのほうで考えている、審議会が考えているいわゆる教育のローカル性といいますか、そういうものについてまだ十分じゃない、こういうふうにちょっと述べているように思うんですけれどもね。現在文部省が見た場合でもたとえばNHK、民放に対して教育番組、教育放送については、特に学校向けの問題については率直にどういう点が、こうしてほしいとか、そういうような希望条件を持っているのか、この審議会のあれを直接論議されたかどうか、その点もひとつあわせていまの回答をしてもらいたいんです。
  185. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) 先ほども申し上げましたように、現在学校教育放送としてNHK並びに民放から放送されておりますものにつきましては、文部省として非常に高く評価しているわけでございますが、ただ、ただいま御指摘全国的な放送というものに加えて、ローカル性というものを加味することができれば、一そう教育的な配慮として行き届く、こういうことを考えているわけでございます。具体的に申しますと、たとえば小学校の中学年の社会科といったような教科では、地域性に密着した番組というものが主教材にあったらいいのではないか、全国的な番組が副教材になるべきではないかというような意見もございます。あるはい中学校の進路指導といったようなことについても同様なことが申せますし、それから学校教育放送番組、広く言いますと、現職教育という問題がございます。現職教育につきまして非常に放送が効力を発揮いたしますのは、現場におります教員は、学校をなかなか離れにくいということがございますので、放送という機能がこれに非常に有力な教育機関になるわけでございますけれども、こうした現職教育というような問題を考えてみますと、これも地域的な放送番組があれば、一そう有効ではないか。現在でもNHK等におきまして、相当活発にこれが放送されているわけでございますけれども、教育の立場から申しますと、まあもっとという欲が出るわけでございます。そうした点が今度の審議会の中でも論議されたと伺っております。
  186. 鈴木強

    鈴木強君 それでこういう点はどうだったんでしょうか。私ども十二チャンネルの民間における教育放送、十チャンネルは多少違いますけれどもね、なかなか教育放送番組の作成について、またその応援について国全体としてこれに対する支援体制というものがまだ不十分である。ですから浄財を出して、ほんとうにわが国の次代をになう青少年ですね、それからまたいまやっている壮年あるいは大学生、こういうものに対してより高度な、あるいはより普遍的な、より専門的な、そういった教育に資するような番組を流すことに対して、どうもまだ協力体制がないように思うんですよ。たまたま私たちは、いまよりどころにして考えておりますのは、三十九年九月八日に、これは郵政大臣が諮問したんですが、臨時放送関係法制調査会というのが答申書を出しているわけです。この内容を見ますと、「教育放送の強化充実」というところに述べているところをちょっと読んでみますと、「教育放送の強化充実は、広い国民的な理解と協力がなければ、容易に実現し難い。この意味において、今日のNHKの教育放送を育成してきた実績を有する国民が、その延長としてこれを発展させることがまず実際的な方法として考えられる。NHKが特別な事業計画により行なっている教育放送は、前述のようにNHKの本来的業務の一つとして行なうこととすべきである。」こういうのが一つあるわけですね。それからもう一つ、その中に「教育放送を主目的とするテレビジョンの放送事業(教育専門局)が営利を目的とすることと調和しないことは、すでに内外において実証ずみであり、関係者の見解もほぼ一致しているといえよう。営利法人たる教育専門局は、適当な時期にこれを廃止すべきである。」こういうふうにはっきりうたっているわけですね。NHKや十二チャンネルは郵政省がどういう番組に対する基準を出しましても、知らぬ存ぜぬで、女子プロレスまでこのごろは放送しておりますがね、とんでもない方向にいっておるわけです。聞いてみますと、科学技術財団が十二チャンネルを始めましてから協力体制がないわけですよ。みんなでやろうじゃないかといって集まった人たちが途中でそっぽを向いてしまった。それはなぜか。結局、自己の利益のためになる放送ができないからですね。要するにスポンサーとしてついても、直接にその会社の名前が出るわけじゃないということからして、だんだん、だんだんと経営が苦しくなって、負債が五十一億ぐらいとも数える段階までいったんです。それで相当な職員を整理して、なおかつできない。そこでだんだん。だんだんとスポンサーをつけて、本来の放送局の免許基準から比べてほど遠い方向にいってしまって、またこれは行政訴訟を起こして、その間に郵政省が敗けてしまうとか、いろいろなあれがあったわけですが、こういうことを見ましても、なかなか日本の場合には、営利を目的とする放送局において教育放送というものは非常にむずかしいということを裏づけていると思うんですよ。ですから、私は社会教育審議会がそのことと関連してかどうか知りませんが、いろいろ研究された上で、まず、たとえば経営主体を何にするか、あるいは教育委員会にするかどうか知りませんけれども、いずれにしても、これに対して一体財源をどうするか、予算をどうするか。これが国家の支出になれば、ひもがつきます。われわれは教育問題については非常に憂えるわけですね。ですからそこがむずかしい。国の支出になりますと、特定教科書番組に従う放送局が教育専門局には出てくる、こういう心配がするわけです。ですから、何としても浄財を集めてやる、残念ながら日本にはフォード財団とか財界のお金持ちが率先して社会のために金を出してくれると、そういう気持ちがないわけです。結局、どこかに頭を下げて回ってもらえば、そこからひもがついてしまうということで、一体、経営主体の問題についても、そこいらから国民の協力支援ということが非常に足りない。したがって、まずこれを前段として掘り起こしていくことが大事ではなかろうかということが、そういう趣旨のことがその社会教育審議会の中でも論ぜられたと思うのです。その辺は、大体、情勢としては間違いないですか。もし違った見解があったら伺いたいのです。
  187. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) そのとおりでございますので、御返事申し上げる必要はないのかもしれませんが、先生の御指摘のとおり、放送事業というものが教育の中に非常に大きな機能を果たすということがわかっておりましても、商業放送局でございますと、どうしても視聴率というものにわざわいされるということで、アメリカ等におきましても、そういうことから教育専門放送局というものが、別に、商業放送局としてとかく娯楽番組、報道番組のほうに片寄るということの弊害から免れるために、教育専門放送局というものがたくさんできてきた、こういうふうに伺っているわけでございます。日本におきましても、そういった方向に検討してみないかと、こういうことでございます。じゃ、それに対する、それを設立運営する財源はどうするのかという御指摘でございますが、これがなかなか、一番問題のところになろうかと思いますけれども、答申の中におきましては、国あるいは地方公共団体においてもそれに対して適切な援助をするようにというふうになっております。また、その具体化につきましては、先生のような御懸念はあろうかと思いますが、今後検討してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  188. 鈴木強

    鈴木強君 この教育専門放送局の設置について、「教育機関がみずから運営する非営利の教育専門放送局を設置する」と、こううたっておりまして、「この教育専門放送局は、大学、教育委員会等が単独もしくは協同でその運営にあたるものとする。」で、財政的措置については、いま局長おっしゃったように、「教育機関が設置する非営利の教育専門放送局の設立およびその運営に必要な経費について、国および地方公共団体は適正な財政的措置を行なうこと。」どうも、これでは私たちの懸念は一つも去らないわけですね。ですから、結局、国と地方公共団体が金を出し合って放送局の設立等及び運営に必要な経費を出しなさいということでしょう、そういうことでしょうか。いまの大学が、まあ、非常に憂うべき状態にあることは、これは国民ひとしく認めていると思いますね。そういう段階で、一体、「大学、教育委員会等が単独もしくは協同で」という、そういう場合に責任が持てるのですか。ちょっとこの辺は、文面から見ても非常にかけ離れたような答申のように私は感ずるのですけれども
  189. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) 具体的な問題となりますと、いろいろ私ども研究しなければならないことがあろうかと思います。まだ、答申も受け取って間もない段階でございますので、さらに具体的に研究をしてまいりたいと、こう考えております。
  190. 鈴木強

    鈴木強君 それからNHKがいまやっております学校向け放送について、非常に評価されておりますが、もう一つこの際、文部省に伺いたいのは、放送番組の編成とか作成について、これは法律に基づく基準があるわけです。ですから、それによって一般的は中央教育審議会というのがありますから、地方にもありますが、そういうところを通じていろいろやっておられるのですが、しかし具体的には局長もちょっと触れられましたように、直接児童に接している先生方、教員の方々がこれを直接的に自分の指導の補助として持つ場合とストレートで子供にいく場合とあると思うのですが、いずれにしても番組の編成について何か意見はないですか。つくるときですね、文部省側のこれは参考意見か何か知りませんけれども、そういうものについて述べるような機会というのは持っておるのですか。そういう点が実際に果たされておるのでしょうか。これはもちろん共同でやるのかどうか、その点よくわかりませんけれども、そういうNHKに対する文部省側の意見というのは、何かの形で番組の中に生かされるような運営の方法をとっておられるのですか。
  191. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) これは御承知のように放送法の第四十四条の第五項に、「番組が学校向けのものであるときは、その内容が学校教育に関する法令の定める教育課程の基準に準拠するようにしなければならない。」、こういう規定がございまして、すべての学校放送番組は学校指導要領に準拠して企画、制作されるということが原則でございますが、具体的な形といたしましては、NHKに設けられております学校放送中央諮問委員会というものがございますが、これには文部省の初等中等教育局長その他関係課長が出席いたしておりまして、番組編成基本方針につきまして指導、助言をいたしております。さらに各教科の番組編成の実際にあたりましては、各教科の教科調査官というものが文部省におりますが、その教科調査官等が番組企画委員会出席いたしまして、学習指導要領に基づいて指導、助言を行ない、資料提供を行なう、こういうことで放送法規定に従いまして、文部省としてはNHKに協力しているわけでございます。
  192. 鈴木強

    鈴木強君 まあ時間もたいへん制約をされておりますので、残念ながらきょうはもう少し掘り下げた局長のお考え方を承りたかったのですが、それができません。いずれまた機会をあらためて御意見を承りたいと思いますが、そこでこのような教育放送については、かねてこの委員会においても、NHK側も強い熱意を持っているようです。しかし、割り当てられます電波というものは限られておりますから、その中で一体これからどうしていくかということが、きわめて政治的に重要なことになると思います。課題になると思います。そこで一体、答申を大臣に出されましたね。文部省としてはなかなかむずかしい点があると思いますけれども、大体目途はいつごろに置いてこれを具体化し、実行に移すようなことでおやりになろうとしておるのか、大体のスケジュールというものはどういうふうになっておるのでございましょうか。その間、政府全体として特に放送に関しては郵政省のほうとも御連絡をとられるのでありましょうし、あるいはNHK、民放ともいろいろ御相談をなさると思うのですけれども、大体の作業日程といいますか、そういうものはおわかりでございますか。
  193. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) この答申の中にも「方法」というところでこの放送の方式、経営の方式その他をやや具体的に述べているところございますけれども、そこでもいろいろな方式があって、それを段階的にやるべきところはやっていくようにというような面もございます。一度にこれが一つの、この答申の内容というものが一つのことを言っているわけでもなく、中でいろいろな指摘をしているものでございますから、その中で取り上げやすいものにつきましては、直ちに具体的な面に入っていけるかと思いますけれども先ほど申しましたようにややビジョン的な面もございます。あるいはある意味で、教育関係者の啓蒙から始まるような面もございますので、そういったものにつきましては、相当年月をかけて進めていかなければならないものがあろうかと思います。その辺を仕分けいたしまして、私どもといたしましては、実現可能のものから順次取り上げてできるだけ早く実現に持っていきたい。こういうふうに考えておる次第であります。
  194. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん私失礼なことを言うようですけれども、言うならばアメリカでやっておられますような教育放送の歴史というものをひもといてみますと、営利を目的とするものは成り立たなくて、非営利を目的とするものに切りかえつつあるわけですね。そういう段階で、おそらく社会教育委員会の方もアメリカに行っておられるようですから、いろいろ勉強された結果、アメリカのものを見習ったようなかっこうのものが結論的に出ているように思うわけです。これはまた直接委員の皆さんにももしできますならばここに来ていただいて、この内容についてお伺いしたいと思っておりますが、これは歴史的にもアメリカあるいはヨーロッパ、全世界的な教育放送のあり方というものに関連をしてやられると思いますが、これはたいへんむずかしいことをおっしゃっているようですね。だから拙速でまとまるとは思いません。したがって、これは大臣でなければおそらくお答えできないようなむずかしい政治的な問題だと思いますけれども、しかし、担当はあなたのところですから、ひとつ各方面の意見を十分聴取できるような何かの連絡機関、そういうものをおつくりになるとか、日本の英知を集めてやりませんと非常に問題があるように思います。これはNHK会長にこの際一言承わっておきたいんですが、何回も私聞いておりますから詳しい御説明はいいですけれども、こういう答申が出た段階で、NHKとして従来会長が掲げておった、NHKとしても第三の教育放送をやりたいという、そういう考え方については、いささかも変っておらぬのでございましょうか。
  195. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 私どもといたしましては、変わっておりません。
  196. 鈴木強

    鈴木強君 それでは時間もありませんからこの辺で失礼しますが、著作権の問題は文部省の何局になりますか。
  197. 福原匡彦

    政府委員(福原匡彦君) 文化庁です。
  198. 鈴木強

    鈴木強君 では文部省はもういいです。  これは電波管理局長に伺いますが、衆議院の審査を見ますと、東京と大阪に設置されるテレビ局の建設に着手されるわけですが、NHKがこの二つの放送局から出す番組ですね。これについて現在Vでやっておる番組の同時放送ないし再放送を考えておってほかの放送はやらないんだ、ということを電波監理局長は答えられておりますが、これは何を基準にしてこういうことをおっしゃいましたか。
  199. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) 趣旨とするところは、NHKの番組は全国的にできるだけ同一の量がいかなければならない、こういう考え方に基づきまして東京からの実験局から出る番組が新たな番組になりますと、それだけその地域の番組がふえるということになりますので、そういうことにならないようにということで、同時放送または再放送をしていただく、こういうことを述べたわけでございます。
  200. 鈴木強

    鈴木強君 これは大阪と東京にUの局を免許する場合、免許基準の中の事業計画でしたかね、放送法でいう番組基準としてそういうことをつけられたわけですか。
  201. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) これは実験局でございますが、従来からのNHKの放送番組に対する考え方としてとってきた考え方を踏襲しておるわけでございます。
  202. 鈴木強

    鈴木強君 これは非常に重要な問題ですから、私はきょうはっきりしておきたいんですけれども局長の言う、NHKの放送は全国的に同じ放送をしなければならぬというのがたてまえだから、したがって東京、大阪だけに特別な放送をやればこの精神に反すると、こういう趣旨ですか、それは法律との関係ではっきりひとつ教えてください。
  203. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) この法律的な根拠のもとは、NHKの設けられた目的、第七条に「あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」ということで、この七条の目的を果たすために、さらに九条にこれこれしかじかの放送をいたします、こういうことになっているわけでございますが、これは全国において、何と申しますか、大宗においては同じ番組の量が放送せられる、こういうことを期待しておる、こういうふうに考えておるわけでございます。
  204. 鈴木強

    鈴木強君 この七条の解釈というのは、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」というのは、NHKがどこでも同じ放送を流すということであるか、あるいは全国どこでも受信できるようにしてやるというのが主なのか、この法律解釈はどういうふうにとっているんですか。
  205. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) 私どもの解釈といたしましては、NHKが流す番組、すなわち現在におきましては、放送においては第一放送と第二放送とそれからFM放送、それからテレビにおきましては、総合テレビとそれから教育テレビジョン、この二つの系列の番組が全国にあまねく放送される、こういうふうに解釈をいたしておるわけでございます。
  206. 鈴木強

    鈴木強君 それならば放送法第九条の四項ですね、ここに「協会は、標準放送と超短波放送とのいずれか」、全部じゃない、いずれか「及びテレビジョン放送がそれぞれあまねく全国において受信できるように措置をしなければならない。」、あなたが言っているように第七条というものは、何でも全国NHKが同じ番組を流さなければならぬということじゃないんですよ。これは法律の四十四条にもありますように、「全国向けの放送番組のほか、地方向けの放送番組を有するようにすること。」とか、こうあるわけですから、私はあなたが言うように、テレビの、いまで言うなら第一、第三ですね、それからラジオの第一、第二、FMは、全部どこでも同じ番組を流さなければならぬということはないと思うんです。その解釈は間違いじゃないですか。
  207. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) この第九条第四項に書いてありますことは、ただいま鈴木委員のおっしゃったとおりでございますが、これが規定せられたのは、FM放送——超短波放送が現実に実施せられておらなかった当時の、何と申しますか、規定でございまして、やはり標準放送に対するFM放送というのは補充的な役割りを果たしておった、こういうことではなかろうかと私考えます。したがいまして、やはり根本原則としては先ほど申し上げましたように、ラジオにつきましては、第一放送と第二放送とFM放送、それからテレビにつきましては総合番組と教育番組、これが全国あまねく行き渡るように放送をすべし、こういうのが第七条の解釈と心得ております。
  208. 鈴木強

    鈴木強君 その解釈はおかしいですよ、やはり。あなた自体がこの第九条の四項の場合もそうですが、いま、四月一日から——FMはNHKで本放送になっていません。じゃあ、法律から見ればどうなるのか。実態と合っていないのです、この法律がそれなら、そのほうだけでもなぜ本国会に出さないか、この放送法の改正法案を。それは怠慢じゃありませんか。——そうじゃないのだよ、これは。だから、あなたの言うような解釈で、何でも全国で同じ番組であれば、いいものなら、東京と大阪にU局をつくって、そしてUの普及開発をやろうという場合に、VをやってもUをやっても同じものが流れてきたんじゃだれがUに関心を持ちますか。そこにはやはり特殊な番組を流して、そしてUを見るというような積極的な気持ちを起こすような放送をやっても何が悪いかと言うのだ。それだったら東京と大阪だけにつくるのもおかしいのだ。一体これはどういうのですか。
  209. 石川忠夫

    政府委員(石川忠夫君) まあ聴視者の何と申しますか立場に立てば、あるいはいろいろな別の番組をやったほうが、ということもあろうかと存じますけれども先ほど言ったような法律解釈に従いまして私どもは同時放送、再放送、しかもその中でできるだけ聴視者の、再放送にいたしましても、人気のある番組、しかもカラー番組を主体にしてやってもらい、聴視者の側でもこのUHFの放送を見るようになるのじゃなかろうか、かように期待しているわけでございます。
  210. 鈴木強

    鈴木強君 だから、その考え方は現状にそぐわない古い考え方ですよ。そんなものは変えればいいんですよ。それは解釈だから、私たちはこの第七条をあなたが言うように、この解釈は全国NHKがどこでも同じものを流さなければならぬというふうに読んでいない。第一段ではNHK全国どこでも見れるように放送の設備を完備しなさい、これが第一の定義なんです。それから内容については、これはあなた番組基準については中央番組審議会というのがあるのだから、そこでどういうふうにやろうと、それは自由なんです。あなた方が特に全国向けについては何%やりなさいと放送免許のときに基準つけるようならこれは別ですよ。教育放送みたいに八〇%は教育放送しなければいかぬというような免許時においてつけるなら別だけれども、そうでないとするならば、そこまで立ち入ることはおかしいのだ。この七条はことにあなたが言うようにどこでも同じものを流さなければならぬというふうには規定していない。だからこそUHFの場合でも、それから七条の場合でも例外があるはずです。それが一つです。  それからFMが本放送になってないのになぜこの法律を変えないのですか。なぜこれは国会に提案しないのですか。これは職務怠慢じゃありませんか。
  211. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 郵政省の第七条に対する法律解釈というものは、ずっとただいま電波監理局長説明したとおり理解してまいっております。しかし、現実の問題として考えましたときに、今度NHKが東京と大阪にUの実験局をつくるわけでございますが、これをお話しのように同時放送、または古い放送だけではなしに新しい放送をさせるということが、Uの受像機を積極的に普及させる道であるということもまた間違いのない事実であろうと思います。VからUに転換するということは国としてもぜひやりたいと、かように考えておりますことでありますし、その基本方針が促進されるということでありますならば、これは大いに検討してみなければならぬ問題だと思います。したがいまして、従前の解釈は、ただいま局長が申し上げたとおりで進んでまいっておりましたが、せっかくのお話でございますので、新しい角度から前向きの形で検討さしていただきたいと思います。
  212. 鈴木強

    鈴木強君 それはぜひそうしてほしいですよ、私は。衆議院のほうでもそういう論議があって、木村政務次官が大臣と同じような回答をしておりました。だから、必ずしもいまここに一つの実験的な性格を持って東京と大阪にU局をつくるわけでしょう。ですからかりに従来の郵政省の方針がそうであっても、国会の大多数の意見がそうであり、特に与党のほうから、衆議院のあれを見ましても、それはおかしいという発言はない。ないということは、やはりその意見というものを、おおよそそうだ、そうだと言っておるわけだ。国会の意思がそうであるならば、それを尊重してやるべきだ。そう法律法律と言うなら、一体大臣、いまは実験放送の段階だから、標準放送でAMとFMのどっちか聞けばいいのだということなんだね、この法律解釈は。ところが一日から本放送になれば死文化していくでしょう。なぜこういうものだけでも出さないのですか。そんなあなた理屈を言えば、そう言いたくなる。それは怠慢じゃありませんか。それだけでも出しなさい。あしたからすぐそういうことになるのです。だからそんなしゃくし定木な解釈でなくて、やはり放送というものが動いていくときですから、それに順応するような番組というものを提供して、ほんとうにUを飛びついて見たいという啓蒙の意味も含めておると思いますから、そういう番組を流したらいいじゃないか。私もこれは全部違ったものを流してくれと言いません。それはいい番組があったら流していいけれども、原則として同時放送とか再放送とかそんなことじゃとてもUの開発はできませんよ。だからひとつ事務官僚はそういうことを言っても、大臣がちゃんとやるのが一つの職責ですよ。この零囲気を聞いてもう一回ひとつ答弁してください。
  213. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 従前はそういう解釈で進んでおりましたが、せっかくのお話でございますし、当然のことでもあると思います。そこで先ほど申し上げましたような線で、前向きの形で積極的に検討さしていただきます。
  214. 鈴木強

    鈴木強君 あとになったけれどもNHKとしてはいまの大臣の御発言で差しつかえないでしょうね、念のために伺います。
  215. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 全面的に賛成であります。
  216. 鈴木強

    鈴木強君 よくわかりました。ひとつぜひ大臣もその点を了承してやってもらいたいと思います。  それからいまの法律改正はどうしますか、大臣。これは実情に合ってない。
  217. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) あわせてその点も検討いたします。
  218. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それじゃ声もありますから、省略しましてあと一、二にします。大体五時に終わります。  NHKは、報道番組の自由の保障について、中立的な立場をとってほしい。これは放送法の第一条の、その目的に「放送の不偏不党、真実及び事実を保障することによって、放送による表現の自由を確保する」こう書いてありますね。また四十四条には、NHK国内放送番組の編集については、「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」こうなっております。で、私どもは公共放送としてのNHKの番組については、非常に関心を強くして拝見、拝聴をしております。そこでたとえば、スタジオ一〇二、それからニュース解説、それからニュースの焦点、こういったいろいろ解説的なあるいは直接アナウンサーが記者に対して質問するような場面が幾つもあると思いますね。そういうときに、この放送法第一条ないしは第四十四条から見て、どうも少しおかしいではないかというような意見が出るようなことがあっては、これは協会のメンツにかけてもいけないことだと思うんですよ。ですから私は、今後、個々の番組についてわれわれがとやかく言うわけではありませんけれども、この放送法に基づいた厳正中立の立場に立っての正しい放送というものをぜひやってほしいと、こう常々思っているわけですよ。これは私も最近気がついたこともあるものですから、この際、総括としてひとつ会長から承っておきたい。
  219. 前田義徳

    参考人前田義徳君) お説のとおりでありまして、NHKの番組、特に報道関係については、放送法第一条と四十四条に従って、さらにその上に立った番組基準というものをつくりまして、全力をあげてこの放送法の指示するところを実行するというたてまえをとっております。その間、多少の異なった印象を与えるような問題があったことについては、私どももさらに反省いたしまして、御期待に沿うよう一そう全員努力いたしたい、このように考えます。
  220. 鈴木強

    鈴木強君 それから個々のことでちょっとお尋ねしたいのですけれども、たとえば「こんにちは奥さん」という番組がありますね、八時四十五分から。あれは非常に奥さま方がどこからか知らぬがよく出ておられます。で、いろいろな意見が発表されているのですけれども、国民の世論を聞くという意味においては、私は非常に関心のある番組だと思いますが、四月以降だいぶ番組の入れかえをするようですけれども、この「こんにちは奥さん」は従来どおりやってもらえるのですか、姿を消すのですか。
  221. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) あそこに出ておられます司会者の五代さんがしろうとで、御婦人でありますので、もう肉体的な限界がこられたので御辞退になりましたので、かわりの方におやり願うとして、番組そのものは変わりなくいきたい、このように御承知願いたいと思います。
  222. 鈴木強

    鈴木強君 それからこれはせんだって新聞の投書に載っておったのをちょっと見たのですけれども、「天と地と」のことですね。あるいはこの投書をごらんいただいたかもわかりませんが、こういうふうになっているのですね。NHKでは、放送は標準語でやらなければならぬということがどこかにあったと思いますが、それは別として、「NHKの『天と地と』は、越後出身の私には特に楽しめる番組だが、地名などについて一言。先般『あしたこそ』の福島弁のことが本欄に載っていたが『天と地と』のセリフが、だいたい標準語なのは、大衆向けドラマとしての性格上、特に越後弁に変えなくともよいだろう。ただ、地名だけは、現地の発音と違うのが、違和感を禁じえない。宇佐見氏の城のある批把島をBIWAJIMAというが、実際はBIWAJIMAと『ワ』にアクセントを置くのが正しい。」のだそうですね。それから「笠島はカサジマでなくカサシマ」と濁らないのがほんとうである。それが一つ。「また三月十六日の放送で『仰山(ぎょうさん)』というセリフがあったが、柏崎出身の私は、この言葉を越後で聞いた記憶がない。」仰山というのはたくさんということでしょうね。びっくりしたということでしょうね。「もっとも関西弁が形を変えてはいっている越後で、特に西部で『仰山……』が使われている所があったら、どなたか教えていただきたい。せっかく、滝沢修や宇野重吉などの名優が出演することだし(『滝沢為景』はもう戦死したが)もし民芸などの新劇だったなら、もっとこういう点を練りあげてほしい。」、こういうのがありますけれども、これは当たっていますか。反省しましたか。
  223. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 地名その他につきましては当たっておらぬところもございますので、さっそく注意をいたしまして、次回から訂正ができているわけでございます。ただ、ことばづかいなどにつきましては、昔は交通路が日本海側は船でずっと京都からのぼりましていきなり新潟とか秋田とか、そういうところに行っておりましたので、われわれが予想しました以上に関西弁が日本海側は北のほうにずっとのぼって普及しているというようなことも専門家の意見を聞いておりましたから、これはすぐ現在の方がお考えになるようなほどのこともないのじゃないか。しかし、やはりことばはドラマをつくります中心でございますので、十分注意させていきたいと、このように考えます。
  224. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、私は未収金の償却の問題等についていろいろ意見がありますし、それから特に通信教育の地図をNHKが無断で使用しておるという著作権の侵害の問題もありまして、いま著作権法改正の問題とからめてこういう問題もあります。それから労働問題につきましても、必ずしも私はこの現在の、先ほど会長も言いましたが、公共企業体的なNHK経営の中でもっとNHKにまかしてもいい点もあると思うのです。で、給与総則の中における給与総額制度なんというものは、これは原則としてなくしていいと思うのです。あれがあるために何か予算編成期の前に、物価がこの一年で幾ら上がるかわからないうちに団体交渉をして、そうして賃金を確定して予算をつくらなければならぬということも、本来ストライキ権を持っているNHK、日放労としては私は問題がある。そういう意味で、私はそれらの問題を中心にことしの賃金紛争の結果どういう結果を得ているのか、役員の皆さんの給与の問題、あるいは交際費等の経営委員会の議決の問題、たくさんの問題を私は持っているわけですし、また建設計画の面を見ましても、たくさんの局舎とか局をつくりますけれども、工事設計と契約との問題、請負業者の指定の問題、それから局舎とか宿舎の建設の場合の一覧表の問題とか、いろいろあるわけですよ。それからこの契約というものは中央、地方を通じてどの辺まで地方にまかしておるのか、契約の額において。で、指定業者があるとすれば、だれがそれを選定するのか、それから工事の完了した場合の工事の完了認定はだれがするのか。それから中央放送センター等の国内の使用の問題等のたくさんの私は問題がありますが、おおよそ五時でやめろという意見もありますから、また決算の審議もありますので、その際にこういう問題はお伺いすることにして、一応これで終わります。ありがとうございました。
  225. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言がなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。
  227. 西村尚治

    ○西村尚治君 私はただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件に関し、自由民主党を代表して賛成の意を表するものであります。  日本放送協会の昭和四十四年度収支予算事業計画及び資金計画を見ますと、四十三年度から発足した新料金体系のもとで、収入の伸びがまだ十分でない中にあって、UHFへの移行や中波放送局の大電力化、さらにはFM放送の本格的実施等に伴う新しい建設計画を進めるとともに、難視聴地域解消のための努力も十分認められるのでありまして、事業運営面での配意と相まっておおむね適当なものであると考えます。  ただ、特に希望を申し上げたいのは、協会の公共放送としての使命にかんがみまして、教育及び教養番組の刷新充実に今後さらに重点を置いてもらいたいことであります。このことは審議の過程において多くの委員からも意見が述べられたところでありますが、先ほどの同僚議員の質疑でも明らかになりましたように、先日社会教育審議会が放送教育のビジョンを文部省に答申しましたことも、教育の面における放送の機能と効果がいかに大きいものであるかを認識した結果にほかならぬわけでありまして、特にカラーテレビの普及に伴ってその効果や影響力が一そう大きくなってきておる際でもありますから、単に協会自身についてのみでなく、広くわが国の放送界が全般として質的向上をはかり得まするように、番組センターへの資金的援助その他あらゆる方途を講じて積極的に協力されんことを希望するものであります。  以上申し上げまして、私の賛成討論といたします。
  228. 鈴木強

    鈴木強君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となりました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、次の附帯決議を付して承認を与えることに賛成の意を表するものであります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件の内容は、NHK事業経営長期構想に基づく諸施策を積極的に推進して国民の要望にこたえようとするものであります。特に長年の懸案でありましたFM放送の本実施、広域圏内におけるFM県域放送局の建設、難視聴地域解消のための積極策をはじめUHF及びFM放送受信機の普及促進に関する新施策等が盛り込まれており、放送法に基づくNHKの使命にかんがみ、この収支予算事業計画、資金計画は、ほぼ妥当なものと認めます。したがってわが党は、NHKがこの予算財源が受信者のとうとい受信料によってまかなわれていることに思いをいたし、本予算が厳正かつ適切に執行をされることを期待して賛成するものであります。  今日わが国放送界は、放送法制の整備が臨調答申以来五カ年を経過しておるにもかかわらず、いまだ国会提出はおろか、政府原案の作成すらできない遺憾な状態に置かれております。この間にあって音声放送の再編成、テレビのU移行等電波放送の大変革が逐次行なわれているのでありますが、一歩その方向を誤りますると、わが国放送界に重大な禍根と百年の悔いを残すこととなりますので、私はこの際、政府とNHKに対し若干の希望を申し上げ善処をお願いいたしたいと思います。  その第一は、言論報道の自由の保障とNHKの中立性の堅持についてであります。  放送法第一条はその目的として「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」を規定しており、また第四十四条には、NHK国内放送番組の編集については「政治的に公平であること。」「報道は事実をまげないですること。」「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」を定めておるのであります。今日テレビ、ラジオ等のマスコミが国民に与える影響ははかり知れないものがあります。したがって、マスコミの動向については、各方面から深い関心の持たれることは当然のことと言えましょう。しかしながら、何人といえども放送法に立脚した放送番組に対し不当に介入することは絶対に許されないのであります。ここ数年来の動きを見ても、政府が放送番組に対し不当な介入をしたのではないかという意見が、本委員会においても幾たびか取り上げられたことは御承知のとおりであります。特に、小林前郵政大臣は、NHK会長の任命制、受信料の政府認可制への切りかえ、NHK経営委員手当の政府支給制等を取り上げ、NHKに対する政府の影響力を強めようとしたのでありますが、これは明らかに政府のNHK支配への一里塚であると各方面から猛烈な反撃を受けたのであります。このような一連の動きからして、七〇年安保改定を控えて国家権力のマスコミに対する不当介入をおそれる世論のあることは、当然と言わねばなりません。  私は、この機会にあらためてNHKと政府に申し上げたいのであります。NHKは、今後とも放送法の精神にのっとり、厳正中立の立場を堅持して公正な放送を行なうよう一そうの努力をお願いいたしたいのであります。また、政府におかれても、いやしくも放送に対する不当介入云々というような世論の疑惑や批判を受けることが絶対に起こらぬよう、慎重な配慮をお願いいたしたいのであります。  第二は、教育・教養番組の刷新と充実についてであります。NHKが今日まで教育放送の面においてかなりの努力を尽くされてきたことは率直に認めますが、今日科学技術は急速に進歩し、社会経済は著しく発展しておるのでありまして、国民各層はこれまで以上に自己の研さんにつとめ、教養を高めようとしています。したがって、これらの課題にこたえるためには、まずNHKがみずからの手によって教育・教養番組の放送を刷新、充実するよう努力されたいのであります。また、わが国においては、民間放送による教育放送が十分に期待できない実情をも考慮して、NHKがわが国放送事業全般の教育・教養番組の質的向上のため積極的に協力していただきたいのであります。また、政府におかれても、今後の教育放送の拡充強化策について万全を期せられたいのであります。  第三は、放送のU移行についてであります。政府は、わが国のテレビ放送を十年計画でVからUに移行させるという大方針をきめられて、その計画に基づいて着々実行に移しつつあるのでありますが、切りかえの時期、切りかえのための所要経費、受像機の普及対策等について各方面より意見が出されておるのであります。また、NHKのみに東京、大阪両キー局の開設を許可したことについても種々論議があるようでありますから、U移行後のVの使用計画をできる限り早期に天下に明らかにされ、また、放送事業者と受信者の負担の軽減等を十分配慮して、妙味のある具体的な施策を樹立され、各界が一体となって政府の大方針に協力できるような体制をつくられるよう最大の努力を要望いたします。  最後に、難視聴地域の解消についてであります。NHKの不断の努力にもかかわらず、いまなお難視聴地域が存在し、百万をこす世帯が放送文化の恩恵からシャットアウトされていることはまことに残念でなりません。特に大都市においてはビルの高層化に伴い、いわゆるビル陰障害が年を追って多くなっております現状にかんがみ、政府とNHKは相協力して都市と地方の難視地区解消のためあらゆる努力を尽くされたいのであります。  なお、附帯決議案の内容につきましては、先般来の本委員会における審査の経過を参酌して起草したものでありますので、あらためての説明は省略させていただきますが、附帯決議につきましては、何とぞ各位がこぞって御賛同くださいますようお願いして、私の賛成討論を終わります。
  229. 北條浩

    北條浩君 ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件について、私は公明党を代表して希望意見を付し賛成の討論をいたします。  昨年、テレビ料金の改定にあたっての審議の際に強く要望しておきましたように、カラーテレビ受信契約長期構想の計画を上回った場合には、聴視料金引き下げについて検討を加えるべき旨の附帯決議をつけましたが、本年もまた、カラーテレビ受信契約は諸般の情勢を考慮してみるに、予想をはるかに上回ることは確実であると思われます。したがって、四十五年度においては、二年続いて計画を上回ることになり、当然料金の減額等を検討すべきものと思います。あわせて経営の合理化に一そう努力して、聴視者に利益還元の措置を講ぜられるよう要望するものであります。  さらに、難視聴地域の解消はNHKに課せられた最大の使命であることを再認識して、放送網の積極的な建設に努力していただきたいと存じます。  次に、テレビ電波VHFからUHF帯への切りかえという電波行政の大転換期を迎えておりますが、政府は合理的かつ慎重な計画のもとに、この移行を実施されたいのであります。  以上の諸点を要望するとともに、放送法の精神にのっとり、厳正中立、不偏不党の態度をどこまでも堅持されることを強調して、本案に対する私の賛成討論といたします。
  230. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件につき、これに承認を与えるに二つの強い要望を付して賛成の意思を表示するものであります。  一つは、難視聴地域の解消はNHKに課せられた最大の使命であることを認識していただきまして、この際さらに強力な難視聴の解消のために努力をしていただきたいのであります。  本院と違いますが、三月二十八日の衆議院での附帯決議の中に「一般放送事業者の放送を含め難視聴の救済、とくに都市におけるテレビ難視聴問題の解決をはかること。」と取り上げられておることを御留意いただきまして、ますます複雑化する過密地帯、すなわちビルの高層化、国鉄新幹線、高速自動車道の周辺における電波騒乱、自動車による雑音、家庭用電化製品等々、それぞれこれらの解消のために相当の努力をされていることは承知いたすものでありまするが、一そう複雑化する都市生活者の電波障害につきまして、今後努力を払っていただきたいのであります。なお、きょうも当委員会でお話の中にありましたジェット機による爆音、離着陸による電波障害に対しまして、受信料の減免という消極的な処置がとられておるのでありますが、私は積極的にこれらの電波障害除去のため、特にジェット機の爆音等の障害除去のために研究を進め、これが完全な除去のために一段の御努力を払っていただきたいと要求するものであります。  第二に、昨年受信料金の改定にあたって、カラーテレビ長期構想を上回って財政に余裕のできた場合、受信料金の減免について検討せよという意見があったことを聞いております。今回の衆参両院の審議に際しても、ことしのカラー受信者の伸びによる増収の場合、受信料を引き下げるよう各委員諸氏から強く要望されております。  また、衆議院の附帯決議のことを申し上げるようでありますが、衆議院において、「協会は、受信者の増加等により計画を上回る増収があった場合においては、放送内容の充実など受信者への利益還元の措置を講ずるとともに、将来の受信料の減額についても検討すること。」とあります。私は今日の物価対策上から考えても、受信料の引き下げを求める問題ではございますが、私はこの後段の受信料減額も留意は置いていただきたいのでありますが、むしろこの際、積極的に前半の放送内容の充実など受信者への利益還元の措置、すなわち各機関で承認された予算の今後の運用において、NHKの立場として、民放を含めた放送界全体の進歩発展のために、研究のためにより御貢献されることをば、切に、また強く私は望んで賛成の意見とする者であります。
  231. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  232. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件(閣承認第一号)(衆議送付)を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  233. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました鈴木強君提出の附帯決議案を議題といたします。  鈴木君提出の開議決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  234. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 全会一致と認めます。よって、鈴木君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、郵政大臣及び日本放送協会会長から発言を求められておりますので、これを許します。河本郵政大臣
  235. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 本件に関しましては、慎重な御審議の上、ただいま御承認いただきましたことを厚くお礼を申し上げます。  なお、五項目にわたります附帯決議につきましては、政府といたしましても、今後の放送行政にあたりまして、その御趣旨を十分尊重してまいりたいと思います。
  236. 永岡光治

  237. 前田義徳

    参考人前田義徳君) 日本放送協会の昭和四十四年度予算に関しまして、連日非常に御熱心に、かつ御示唆の深い御審査をいただきまして、全会一致これを御承認いただきましたことについては、心からお礼申し上げます。  なお、この附帯決議はもとよりのことでありますが、御審議中の示唆深きいろいろな御指示、御指導に対しても、今後の経営の指針として、私どもは誠心誠意御期待に沿える運営をいたしてまいりたいと考えます。まことにありがとうございました。
  238. 永岡光治

    委員長永岡光治君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  239. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  別に御発言がなければ、本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————・—————