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1969-03-25 第61回国会 参議院 逓信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年三月二十五日(火曜日)    午前十時二十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長  永岡 光治君     理 事                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 松平 勇雄君                 鈴木  強君     委 員                 植竹 春彦君                 長田 裕二君                 古池 信三君                 郡  祐一君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 久保  等君                 松本 賢一君                 浅井  亨君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  河本 敏夫君    政府委員        郵政政務次官   木村 睦男君        郵政大臣官房長  溝呂木 繁君        電気通信監理官  浦川 親直君        郵政省電波監理        局長       石川 忠夫君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        日本放送協会会        長        前田 義徳君        日本放送協会副        会長       小野 吉郎君        日本放送協会技        師長専務理事   野村 達治君        日本放送協会専        務理事      竹中 重敏君        日本放送協会専        務理事      川上 行蔵君        日本放送協会専        務理事      志賀 正信君        日本放送協会専        務理事      長沢 泰治君        日本放送協会専        務理事      佐野 弘吉君        日本放送協会理        事        松浦 隼雄君        日本放送協会経        営企画室経営主        幹        野村 忠夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件に対し質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 久保等

    久保等君 明年度NHK予算の審議に入るにあたって、私、若干、当面の問題についてお尋ねをしたいと思うんですが、例の、前々から問題になっておりますCATVの問題についてお尋ねをしたいと思うんですが、この前の委員会でも、この問題について若干触れた質問があったようでありますが、まあ昨年来この問題について一つの社会問題といいますか、非常に注目を浴びた問題になってまいっておるわけですが、わけても新宿における例のCATV問題につきまして、前郵政大臣の手元において暫定措置がとられましたことを契機にいたしまして、非常に今後の扱い方について問題が重大化しておると思うんですが、新宿地区CATVの問題については、一応暫定的にNHK並びに在京民間放送五社の間で運営協議会といったようなものをつくって、これが運営にあたっておるようですが、この現状についてNHKのほうから御説明を願いたいと思います。
  4. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) ただいまの御質問についてお答えいたしますと、実は、ただいま御質問のある状態が今日でもそのまま続いておるということでございます。昨年十一月十一日に、NHK在京民放五社並びに、一応新宿のこの地区で営利的な事業を目的といたしまして日本ケーブルビジョン会社が設立され、四十四世帯加入者として発足いたしましたその企業体代表淵野氏を加えた三者で運営協議会を持って、今日に至っております。で、その最初の経過は御承知かと思いますが、一応、メキシコオリンピック時に、この地区における若干の難視的状態を改善するということを含みまして先ほど申し上げた企業体が着工いたしたわけでありますが、有線放送業務運用に関する法規との関係もありまして、この法律の第十条で臨時的かつ一時的ということで一カ月に限って放送をいたし、そのあとを先ほど申し上げました三者で運営協議会を持って、今日までその状態で持続いたしておりますが、地元の聴視者には不便をきたさないという形で推移をいたして、ただし機構としては、それ以上に進んでおりません。
  5. 久保等

    久保等君 昨年の委員会あたりにおける御説明によりますと、今後の扱い方の問題については、昨年の年内ぐらいの間に何とかできれば新法人に引き渡すといいますか、引き継いで、NHKとしてはいわば一応これから切り離された形に持っていきたいというような、希望的なお話もあったのですが、まあNHKが特に代表幹事役的な立場でこの運営に当たっておられるようですが、当面の見通し等についてはどういうお考えでおられますか。
  6. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) おっしゃるとおりでございました。ただ、その後、有線放送業務運用に関する法律改正等郵政当局でお考えになっておるやに承っておりまして、この法律との関係もございます。また同時に、おっしゃるとおりの方向事態の改善をはかろうと考えましたが、率直に申しまして、NHKあるいはNHKを除く他の一般放送事業者との間にも、これが解決に関する考え方に必ずしも協調、結論を得ることもできない面もございまして、残念ながら今日まで至っているということでございます。
  7. 久保等

    久保等君 前郵政大臣の、まあこの前といいますか、昨年当委員会あたりにおける発言によりますと、CATVの問題については、早期に立法化し、何とか一地域においては一会社といったような、具体的な構想まで発表せられた経緯があったのですが、まあ河本郵政大臣、いわば前大臣からの引き継がれた問題について、どういう現在考え方でこの問題に対処しようとしておられるのか、郵政大臣のほうからお考えをお聞きしたいと思うのです。
  8. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) CATVの問題につきましては、かねて御承知のような現状でございますが、いまのままではまあ困りますので、何とか法律改正したい、こういうことでいま作業中でございます。まだ最終の段階ではございませんので、いま詳しく申し上げることはできないのでございますが、近日中には大体の成案が得られるのではないか、かように考えております。
  9. 久保等

    久保等君 今国会にはぜひこの法案を提出をしようという方針なんですか、どうですか。
  10. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ぜひ提出をしたいと思いまして、関係方面と折衝中でございます。
  11. 久保等

    久保等君 電波監理局長のほうからでもいいのですが、まあ立法化という問題は、結局現行有線放送業務に関する規正法ですね、これの改正という形での立法化考えておるのですか。
  12. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そのとおりでございまして、ただいまの届け出を主体といたします現行法律を、郵政大臣許可にかからしめたいということを軸に考えているところでございますが、ただいま大臣からお答えのとおり結論が得られておりませんので、具体的には申し上げかねます。
  13. 久保等

    久保等君 これは、新宿地区における問題は一つのケースだと思うんですけれども、いろいろ違った形のものも最近出始めておりますが、立法上といいますか、現行のいまいった規正法改正問題についての問題とすれば、やはり幾つか問題があるんじゃないかと思うんですがね。いま認可問題だけについて何かちょっと触れられたんですけれども、いろいろ問題があると思うんですが、率直に現状に対して一体どういう点について検討を加えておるのか、ここで電波監理局長のほうからでけっこうですから問題点について、あるいはまた現在起こりつつある具体的な問題について、どういった点を一体立法上の問題として検討しなければならぬということで検討しておるのか、そういったことについて、もう少し詳細にひとつ説明を願いたいと思うんです。
  14. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いろいろ問題がございますことは御説のとおりでございますが、私どもが、一番取り上げなければならない問題としては、いまの現行法によりましては、お説のようないろいろな形が出てまいりますと、受信者保護といった観点から見ましてどうしても不十分である。したがいまして、低廉かつ画一と申しますか、料金を例にとりますと、単一料金というようなこと、また地区内のすべての人に公平なサービスをすると、こういった面、あるいは施設に故障が起きた場合にもできるだけ早く修復できるというような、こういった能力も期待しなければならないと、こういったまあ一言で申し上げますと、りっぱな業者によって営まれなければ受信者保護は十分にいかないと、こういう考え方で、この有線放送業務というものを郵政大臣許可にかからしめることが必要であるという考えでございますが、この点が一番大きな問題でございます。  それからもう一つの点は、区域外送信と申しますか、他の放送におきましてはサービスエリアがございますが、他のサービスエリアを持つ放送を引っぱってきて送信をする再送信でございますけれども、その区域外送信をどういうふうにするかと、こういった問題が、私どもいままで考えております問題の中で、一番大きな問題だということで検討されておるわけでございます。
  15. 久保等

    久保等君 それから、たとえば最近何かニューオータニホテルの中にやはり有線放送テレビを始めておるような問題が出ておるようですが、電波監理局長、この問題についてある程度状況御存じですか、もし御存じなら若干ひとつ御説明願いたいと思うんですが。
  16. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 十分な調査はできておりませんが、ホテルニューオータニにおきましては、構内において有線テレビ放送が行なわれているということでございますが、昨年の十二月二十四から宿泊する外人客を大体対象にいたしまして、受像機台数が約千台で、一日約六時間半にわたりまして交通事情だとか、観光案内その他の番組をCMをつけて放送をしていると、こういうふうに聞き及んでおります。
  17. 久保等

    久保等君 この問題については今後どう扱うべきか、また現在の現行法では、一体その適用対象になると考えておられるんですか、どうですか。
  18. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもは、ホテルの中のテレビは十条の第二号に書いてあります「一の構内において行なわれる有線放送」と、こういうふうに解釈をいたしております。
  19. 久保等

    久保等君 そうすると届け出も何も必要でない、自由にやれるという解釈のしかたですか。
  20. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この法律規定適用しない業務であると、こういうふうに考えておるわけでございます。
  21. 久保等

    久保等君 この法律規正法の第二条の二号あたりに、これは的確にこれに該当すると言い切れないかもしれませんが、これにある程度準ずる性格のものではないですか。
  22. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもは先ほど申し上げましたように、十条の第二号によります施設と、こういうふうに考えましたので、この三条の届け出も要らない、いわばこの法律適用を受けない施設と、こういうふうに考えておるわけでございますが、これが非常に大きな施設になってまいりますとやはり問題があるようにも思いますので、今後検討したいとは思っておりますが、いままでのところは、この十条の二号によりまして、この法律適用しない施設であると、こういうふうに解釈をいたしております。
  23. 久保等

    久保等君 十条の二号は単純な一の構内の中で単純に有線放送をやる場合には、そのままそっくり当てはまると思います。ただ、私がいま事例としてあげたような、ニューオータニなんかのような場合には、いわば一般公衆に対して有線放送テレビを見せているわけですね。しかも、それに対して広告料の面、コマーシャルももちろん流すということになってきますとね、私は、第十条の二号というのは、これは単純に読めばそのとおりだが、これに該当するかどうか。一面いま言ったように、同一構内とはいうものの、営業として要するにやっておる。しかも、テレビそのものも、まあ地域こそ限定されているけれども内容的にはもう全く非常に高度な、独自のスタジオも持って、そうして番組をつくって独自に流す、また広告料も取るんだというような形でやっておるものが、かってにやれるのだということについて、もちろん私も第二条の第二号にそのままこれが当てはまるとは考えられないんですが、日本語もいろいろ解釈のしようによって幅がありますから、一区域といっても、また一区域とは何だということになってくると、ビルの場合でも、これが単にわれわれが従来想像しておったような何十とか何百の部屋数のものが何千あるいは数千というような部屋数になってくると、これは区域が立体的に空の上に乗っただけで、同じ建物だから同一構内だとは考えられない。建築建物そのものもよほど旧概念では考えられないような膨大なものになってきているような状況からすると、必ずしもこの第二条の第二号そのものが、これは全然何というか、疑義なく除外されるものだとも考えられない。これはもちろん今後、したがって、立法上私は法律的にもう少し明確にしなければならぬと思いますけれども、必ずしもその第十条の二号だけでいいんだというふうに割り切れる問題じゃないんじゃないですかね。電波局長、そのあたりどういう、まあ、何というか疑念ということはないけれども、少しそこらに割り切れないものがあると考えておられるのか、もう文句なしに第十条の二号で間に合っているんだという考え方なのか、そのあたりひとつお答え願いたい。
  24. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 同一構内のものも第二条の二の適用を受けることは、私は間違いないと思いますが、その中で第十条の二号、「一の構内において行なわれる有線放送業務」である、こういう解釈がなされて、これも間違いがないと私は思いますけれども、ただお話しのように、この一の構内というやつが、非常に大きくなりまして、しかも、あのようなホテルが大きくなるに従いまして、こういったホテルの各室、各部屋をどういうふうに考えるかということによりまして、これもいろいろな解釈が出てこようかと思います。そういう意味で、大きなまあホテルニューオータニの例が現在のところは一つでございますけれども、こういったものが出てくると、こういうことになりますと、この点も検討しなければならないのではなかろうかと、いま考えておりますが、いまどういうふうにしたらいいかという結論は得ておりません。
  25. 久保等

    久保等君 これは単にニューオータニだけの問題でなくて、ホテルだけの問題じゃなくて、現在建築中の帝国ホテルにしても、あるいはまた京都の観光ホテルにしても、その他にしても、ひとつなかなかおもしろいアイデアじゃないかと、しかもやってもうかるということになりますと、これは私は非常なスピードでもって将来発展していくというか、拡大していくというか、非常に広がっていく可能性があるんじゃないかと思う。しかもなかなか、非常におもしろく番組をつくってやれば、聴視者も非常に興味を持って見るでしょうし、それからまた非常に経営の費用という面からいくと安上がりで、あまり金がかからなくてやれる。したがって、何か十分間に四百円とか五百円とかいう程度で何かコマーシャルをとってやってるとかいう話も聞くんですけれども、そういうことになってきますと、非常に効果的に、しかも現在やっております内容だけでも、たとえば旅行者なんかが泊まった場合、あるいは旅行者でなくても、近所あたりでちょっと簡単にひとつ行ってみようかという気持ちにも、私はなるんではないかと思いますが、ニュースだとか天気予報はもちろんのこと、いろんな交通機関案内だとか、あるいはまた特に外人向けには日本伝統だとか、日本のいろいろな伝統美だとか美術だとか、あるいは商売の紹介だとか、またさらにはナイトクラブの案内までやる。さらには若干あれだったらピンク映画もどきのようなものもやろうかというふうなこともないではないようですが、とにかくいろいろ考えていけばいくほどいろんな意味で非常に重要な私は問題をはらんでおるんじゃないかと思うんです。放送内容そのものは別として、放送内容そのものをどうこうというんじゃなくて、問題は要するに営業的にやるという問題、しかもそれが同一構内だとか、同一地域だとかいう問題のみならず、私は相当将来これがどんどん大きくなっていく可能性もあると思う。たとえば単に一つ建物だけじゃなくて、途中ケーブルでつないで、自分経営関係ホテルに全部つないで、一カ所のスタジオでもってつくったやつを全部流していけば、これは全く個人の、ある特定個人のというか、ある特定所有物であるホテルにもそういうことを流すことができるであろうし、ついでにホテルだけに限らず、自分経営する関連した食堂だとか、あるいは喫茶店、旅館、また別の旅館、そういったものにも流していくというようなことは、これはもう当然考えられる問題だと思うんですね。そうなってまいりますと、この問題について、将来どんどん広がっていくということでもあれば、検討してみたいと思っていると言っておられるけれども、そういう実はのんびりしたことを言っておられないような問題じゃないかと思うし、先ほど私がちょっと指摘したように、次々といろんな大きな建築中のホテル、あるいはまた現にあるホテル等でも、そういったような企画でやってみたいというような申し出があるとかないとかいうこともいわれております。だからそういう点を考えると、これも私は特に営業としてやる問題ということになってきますと、一つの何らかの形でのやっぱり法律規定を必要とするんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
  26. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) こういった施設が非常に大きなものになってまいりますと、そういったお話しのような疑問点も出てこようかと思いますし、さらにただいまお話しのようにホテル自分構内だけじゃなくて、外と結ぶと、こういうことになりますと、これはいまの法律から、現行法律からいっても、当然同一構内とは考えられないところでございまして、当然この規定が、届け出その他の規定適用を受けることになろうかと思います。現行法のたてまえといたしましては、やはり一つ構内で何と申しますか、建物だとかあるいはその次の三号には、いろいろな船だとか飛行機だとかあるいは電車、汽車だとか、そういった一定の何と申しますか、施設の中だけで行なわれるものはこれは例外である、こういうふうな考え方で臨んでおりまして、これがはたして適当であろうかどうかということにつきましては、非常にホテルその他が大きくなってくるに従いまして、もう一回考えてみる必要があろうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  27. 久保等

    久保等君 私、ちょっとニューオータニの場合を例にあげて、十分間四百円といったですが、スポットは一分間四百円ということのようですが、しかし、いずれにしても、とにかく一分間というスポット、相当長時間だと思うんですが、四百円ということでやるとすれば、おそらく私は相当こういったものに何といいますか、広告を求める一般業者というものもそう少ない数ではないと思うんですが、現行法のたてまえからいけば、いま電波監理局長の言われる話も一応わかるんですが、今後の問題として立法化するとか、現行法改正するとかいうことで、目下極力そういったことについて検討を加えられるという今日の状態からいって、この問題をどう扱ってまいるかということについて、郵政大臣のほうからお答え願いたいんですがね。私は、少くともいま電波監理局長の言うように、単に構内であるとか、構外であるとかいうような、そういうきわめて固定的な、しかも、非常に観念的なというか、現状なり、それから先ほどちょっと申し上げたように建物一つそのものがもう全然、単に一構内だからそれはかまわないんだ、その一歩でも外へ出ればというけれども、昔のようなとにかく垣根を越えるか越えないかの問題じゃなくて、中身の実態がどうかという問題だと思うんです。よく言われるように町が上に伸びる——日本では高層建築物考えられなかったものだけれども、最近、建築法改正によって、昔の概念では考えられないほど空に伸びていく趨勢にあるわけです。現にNHKのほうでも、近いうちそういった方向で代々木のセンターを拡充しようという話も出ておりますが、いずれにしてもそういった時代に、同一構内という考え方でものごとを考えていこうということは、私は時代錯誤じゃないかと思うんです。したがって、郵政大臣のほうから、このことについての一体立法上の問題として、今後というよりも、当面とにかく十分に考えていなければならない問題だとお考えになっておるかどうか、郵政大臣のほうからお答え願いたいと思うんですが。
  28. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) お話しのように対象は数千になる場合も考えられますし、それがさらにまた先ほど来お話しのような形で拡大していくということも考えられますので、これはさっそくあらためて検討さしていただきたいと思います。
  29. 久保等

    久保等君 それでは、大臣検討されるということですから、なにしたいと思うんですが、問題は、だからさっき電波監理局長の言うような考え方で現実の事態をとらえていきますと、先ほどちょっとお話があったように、大きくなっていくようだったら、またひとつ考えていきたいというような一つの個々の一部としての問題だけを何かとらえて、それをあとから追っかけて、何とかしなければならないという考え方ではだめだと思うんです。やはり将来のいろんな発展状況をも考えながら、やっぱりそれに十分に即応できる方法というものは私はつくっておかなければならぬし、CATVなんかの問題についても、そうだと思うんですよ。いまから批判的なことを言ってみてもしようがないけれども、あの扱い方については、当時の郵政大臣非常に私は軽率だったと思うんです。初めから、とにかく現行法からいえば臨時に設けるものについてはいいんだ、こういうことなんですから。そういう立場で、たとえば去年のオリンピックならオリンピックテレビをよく見たいというので有線放送をやられるなら、現行法上やれたのですから。何も問題は、四十四世帯という新宿地区の問題だけじゃないんです。日本全国の難視聴地域、あるいはビル陰テレビがよく見られないということで、現行法制で間に合わないから法律改正して救っていくか、また、どう問題を解決していくかということから現行法検討していくべきだと思うのです。ところが、何でもかんでも継続して放送を見られるようにしてやれという、それはけっこうなことなんですよ。しかし、問題はそれだけじゃないんですよ。全国で何万、何十万、こういった世帯の方々が現にテレビを見られなくて困っているんですから、そういう問題も含めて、法律的に一体どう解決していくかという問題を考えないで、ただその場限りの応急措置——非常にいい応急措置ならいいけれどもあとに禍根を残すというか、あと扱い方が問題になってくるような応急措置はやるべきではないと思うんです。まあ、しかし、いまそんなことを言ってみても始まらないし、早急に立法上の問題として法改正をやってもらって、この問題を片づけてもらいたいと思うんですけれども、その中には、単に新宿問題だけを考えましてやられると、いま私が申し上げたような問題が、これはまた非常なスピードで伸びていくと思いますよ。しかも、一ホテルの中で千台なんというのは相当な台数になります。しかも、これはカラーでおそらくやっているんでしょうから。そうなってくると、一建物の中、構内とはいいながら、ばかにならない。しかも、それの及ぼす影響力も、単に一構内で家庭的にやっているとか、個人が見ているというのじゃなくて、これは公衆相手にやっていることですから、不特定多数だと思うんです。それこそ、きよう泊まっておって、あしたはアメリカのニューヨークへ行くかワシントンへ行くかわからぬのでありますが、そういう一般公衆に、しかもコマーシャルを流しながら見せているというのですから、いや、これは同一構内ですから御自由におやりください、といって済まされる問題じゃないと思うんです。ところが、この同一構内だけれども、ちょっとこっちのほうで二、三軒、外で二、三軒見ておって、同一構内じゃないんですから、法律適用を受けなければならぬのだとか、そういうしゃくし定木の考え方では、今日のようなめまぐるしい世相では、特に電波のような、Uのほうに急速に変わってくるような部面においては対応できないです。したがって、この問題についてはぜひひとつ、郵政大臣の御答弁もありましたが、これも含めて解決を願いたいと思うんです。同時に、私はやはりこの問題を扱う場合に一つの尺度は、営業的にやるかやらないかという問題は非常に大きな一つの尺度であってしかるべきだと私は思うのです。だからそのことを一つの基準といいますか、ものでやはり測定をしていかないと、大きいからどうだとか、小さいからどうだとかいうことだけでまた規律すべき問題でも私はないと思うのです。電波が流れておるものをキャッチして何とかよくひとつ見えるようにしてみたい。しかもそれは営業のためじゃないのだという場合にも、これに対しては国は積極的に助成する、あるいはこれをできるだけゆるやかにするという形のものが一面においてはあってしかるべきではないかと思うのです。そのことについてなお若干お尋ねしたいと思うのですが、下田テレビ協会というのが静岡県の下田にすでにだいぶ前からできてあるようですが、この下田テレビ協会のできた経過について、若干電波監理局長のほうから御説明願いたいと思うのです。
  30. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 下田における有線テレビは下田テレビ協会という任意団体によりまして三十六年の六月一日に、当初は二百二十七名で始めたのでございますが、その後加入者がふえまして現在二千百名足らずの会員になっております。で開始は四十一年八月。この下田の有線テレビ協会のやっております有線テレビは中継と同時に自主放送をやっております。テレビ番組は東京の一、三、四、六、八、十、十二の一部ということでございます。それから下田にございますNHKの総合の一部、下田の五十九チャンネルでございます。これらを中継いたしておると同時に自主放送をやっております。その内容は組合の告知だとか広報だとか、あるいは町内ニュースだとか、あるいはその他特別番組をやっておるようでございます。流し方としては十二チャンネルのあいておるところを使っておる。それから利用料金につきましては、共聴の当時、これは建設費だと思いますが、二万五千円各家庭から徴収をいたしておりますが、毎月の利用料といたしましては、正会員が五百円、それから準会員が七百円、こういう利用料金の徴収をいたして経営をまかなっておるのでございます。
  31. 久保等

    久保等君 これは申請——申請というか、届け出はいつ出されたことになっておりますか。
  32. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 三十六年の六月でございます。
  33. 久保等

    久保等君 六月の一日ですか。
  34. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) はい。
  35. 久保等

    久保等君 それから特別、その自後、自主放送とかいう形でその後四十一年八月十二日から始めたのですが、こういったようなことについても一応届け出等はなされておるのですか、どうですか。
  36. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) お話のとおりでございます。届け出ております。
  37. 久保等

    久保等君 これに関連の、特に民間放送ですね、特に東京の放送をだいぶ見ておるようですが、このことについてはどういうことになっていますか、民間放送との関係は。
  38. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 東京の各キーステーションの同意が得られております。
  39. 久保等

    久保等君 これはいつまでということになっておるのですか。どういうことになっておるのですか、もう無期限ということですか。
  40. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私ども承知いたしておりますのは、期限がついていないというふうに承知いたしております。
  41. 久保等

    久保等君 それはいつごろですか。それ、わかりますか。
  42. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ちょっと手元に資料がございませんので、わかりかねますが、後ほどお届けいたします。
  43. 久保等

    久保等君 その民間放送と下田テレビ協会との間に立って、郵政省自体としてあっせんとか、何とか、あるいはあっせん等までいかなくてもいいけれども、その中に立ったりなんかして多少口をきくといったような経緯はあったのですか、なかったのですか。
  44. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもの基本的な態度といたしましては、区域外送信につきましては望ましくない、こういうことでございますが、ただ、現実に見ておる受信者立場というものを無視するわけにいきませんので、まあ、これ以上こういったものはあまり大きくならないことが望ましいのではないかと考えております。
  45. 久保等

    久保等君 それから和歌山県の新紀テレビ有限会社という会社がやはりできておるようですが、この問題についても、ちょっとそこで御説明を願いたいと思うのですがね。
  46. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 新宮におきまして、新紀テレビ有限会社が三十七年の九月でございますが、七千名の加入者で始めまして——実際に始めたのは、共聴の開始が三十七年九月六日でございますが、その後自主放送を四十一年の一月から始めております。
  47. 久保等

    久保等君 これは会社ということで営利的にやっておるようですが、経営的にはどういうことになっておるかわかりますか。
  48. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 具体的なことはあまりわかっておりません。
  49. 久保等

    久保等君 わかっておらなければやむを得ないのですが、話がまたもとにちょっと戻りますけれども、下田テレビ協会の場合には、NHKのほうでこれに対して共聴しているということで助成をされた経緯もあるようですが、具体的にはどういう程度の助成をやられたのか、ちょっと御説明願いたいと思うのですが。
  50. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 三十九年かと記憶をいたしておりますが、NHKはこの地域にUHFの置局をいたしましたが、その際このUHFの開局をもってしても、一部救済し得ない地形難視が出まして、その地形難視の場所の受信者がこれに加入することによって救済されておる事実がございまして、その関係で一部助成をいたしました。金額は、私はちょっと正確に記憶をいたしておりませんが、百万円だったように記憶をいたしております。
  51. 久保等

    久保等君 その当時は加入者何名ぐらいだったでしょうかね。わからなければあとでもいいです。
  52. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 当時の加入者の数は正確に覚えておりませんが、先ほど電波監理局長から御答弁になりましたように、ただいま二千五百の加入者になっておりまして、当初の創設時の二百名くらいから年を追うてこれに加入しているというような形で、その辺の数字の推移はちょっと存じておりません。
  53. 久保等

    久保等君 それでは電波監理局長のほうにお尋ねをしたいのですが、先ほどちょっとこの下田テレビ協会の場合について質問をしたことに関連して答えられた中に、遠くのいわば業務区域外といいますか、他地域放送についてあまりこの下田テレビの場合のような形で見ることについては好ましくないといいますか、あまりどうも賛成しないような御答弁だったのですが、それは一体どういう考え方からきているのですか。
  54. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたとおり、放送につきましては、それぞれ東京から出しているテレビの波は関東地方一円、あるいは静岡から出している波を静岡県というふうに、サービスエリアは一応できておるのでございますが、こういった考え方で、現在のチャンネルプランというものが組まれておるわけでございますが、そういったものに対して区域外送信をするような有線テレビがどしどし行なわれる、こういうことになりますと、ただいま申し上げましたような放送の秩序と申しますか、放送行政の、あるいはチャンネルプランの基礎になっている考え方が、それによって混乱させられてしまう、こういうことでございます。
  55. 久保等

    久保等君 放送する側から見れば、確かに電波監理局長の言うようなやはり一つ放送秩序というものを確保する立場から、特定地域というものをやはりきめるということが必要だと思うし、できるだけ何といいますか、ワクというか、その地域内での放送ということを考えた設備もなければならぬだろうし、そういう何といいますか、番組その他も配慮していく必要があると思うのです。ただ問題は今度、聴視する側の立場から見ますと、流れてくる電波を見ちゃいけないのだということは、一面私は制限することは不可能だと思うし、またやるべきじゃないと思うのです。したがって、流れてきた電波をさらにひとつよく鮮明にして見えるように増幅をするなりして、はっきりした画面としてとらえたい。そのために何か共聴設備なんかをつくるということについては、あまり歓迎しないとかなんとかいうことじゃなくて、私は自由であってしかるべきだと思う。これは電波というものは、やはり国民の利用する立場からものごとを中心に考えるべきだと思う。放送する側と、したがってそこのところは、私はやっぱり同じ秩序といっても、受けるものと送る側とは違ってしかるべきだと思うのですよ。したがって、この下田の場合が一つの既成事実としてでき上がっているのだけれども、このことそのものが、少なくとも私は東京から流れてくる電波というものが見えるということは当然のことだろうし、さらに向こうへ行けば、土佐あたり——高知あたりでもよく見えるだろうと思うのですよ、ものによっては。だからそれは静岡のほうが何か見えるか知らぬが、とにかく地域的に、日本のように非常に出入りの多い海岸線なんかの場合には、単に電波行政を預かるあなた方の立場できめた業務区域外といったって、電波はよく見えるだろうと思う。また見たいというのは、私は人間の人情だと思うのですよ。それを見ちゃいけないというふうに制限すること自体がこれは不自然でもあるし、同時に私はやるべきじゃない。電波は、利用者の立場、国民の立場からいって、見たい、あるいは聞きたいというなら、それは私は自由であってしかるべきだと思う。電波監理局長、どう考えますか、その点は。
  56. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) お話のとおり、聴視者立場に立てば、これはやはり一つでも多く見たいと、これが人情であることは私どもよく承知いたしておりますので、先ほど申し上げました電波行政の立場と、それから受信者立場、この両者をいかにしたら調節できるか、こういうことで私ども悩んでおるところでございます。
  57. 久保等

    久保等君 私はあまり悩む必要ないと思うのですがね。その電波を放送する放送側の立場と受ける国民の立場を、あなた方五分五分にてんびんにかけるから、そういう判断に迷うのだけれども、電波というものは、国民の電波なんだから、国民のためのテレビあるいはラジオという考え方を持つべきだと思うのです。そういう立場からものごとを考えていくならば、たまたまある程度地の利を得ておって、遠くにあっても東京の電波が入ってくる。しかしもうちょっと進んでよくさらに見られるようにしてみたいという欲望を、あまり君たち見ちゃいかぬのだとか、あるいは民間放送の諸君も、それに対しては同意を与えないようにしてくれとか、与えるべきじゃないのだとか、そういう態度は、電波行政を担当する私はあなた方の立場であってはならぬと思うのです。あくまでも、国民のプラスになるかならぬかという立場で判断していけばいいと思うのですよ。その中において、ある程度放送秩序というものを守っていかなければならぬ。単にNHKだけが独占的にやっておるなら問題にならぬかもしれないけれども、最近のように民放が非常に数が多くなってくるというと、あるいは放送秩序というものは、同じ民間放送についても、電波行政を預かる立場から公平を期していかなければならない。そういう立場からいって、私は技術的な問題が若干あるかもしれないけれども、とにかくそういう問題を主にして考えていけば、放送区域というものを設けたりしているのですけれども、それを逆に国民の側にストレートに強制的に押しつけるということは、これは私は本末転倒だと思う。そこらのところは、ひとつある程度はっきりした考え方をしてもらいたい。そうしないと、悩まなければならぬようなことになるのですから。しかし、私に言わせれば、不必要な悩みじゃないかと思うのですがね。そこらあたりをもう少しきちっと割り切れると思うのですけれども。もちろん個々の問題、一つ一つデリケートな問題があることはわかりますがね。しかしあなた方の考え方でいけば、区域外はとにかく電波は原則として認めたくないということになると思う。そういうことでは私はいかぬと思う。そういう消極的というか、制約的な考え方で、国民のための電波というものを制約すべきじゃない。そう思うのですが、郵政大臣からひとつお答えを願います、電波監理局長はだいぶ悩んでいるから。
  58. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私もその点が問題だと思います。受信者の側に立って申しますと当然全部見えるようにしたい、こういう当然強い希望があろうかと思うんです。ですから、やはり問題は商売としてこういうものをつくって再放送するとか自主放送するとか、そういうものと、見えにくいものをお互いに協力して組合をつくって見えるようにしよう、そういうものとおのずから区別して考えべきではないか、かように思います。
  59. 久保等

    久保等君 大臣の御答弁きわめて明快で私も賛成です。一つ例をあげますけれども、長野県の三輪共聴テレビ組合というものが、郵政省のほうから出してもらった資料によりますと、ことしの一月十六日に共聴を開始したということになっているんですが、私が話を聞いているところによると、去年あたりからやっておったんじゃないかというふうにも考えられますが、いずれにしても現在そういう三輪共聴テレビ組合というものがあって、いわば聴視者の人たちが自主的に組合をつくって、わずかの数の四十名か四十五名程度のようですが、東京のやはり民間放送番組を見たいということで共聴施設をつくっているんですが、これに対してどうもあまり郵政省のほうでは、さっきも私お話したように、見てもらいたくないんだというようなことになって、何か今月一ぱいくらいで打ち切られて見られなくなるんだということで、地元では非常に心配しておられるような話を聞いたことがあるんですが、こういうものについては、先ほど私が申し上げたように、あるいは大臣のいまの答弁でも、その点はっきりしていると思うんですけれども、自主的に自分でとにかく共聴施設をつくって見たいという人には、私はむしろできるだけ便宜をはかってやるというたてまえでなければならない。ところが、民間放送のほうであまり同意しなさるなよというようなことを言ったとか、何とかという話を聞くんですけれども、私は言語道断だと思うんです。少なくともその点、現に先ほどちょっと指摘したように、南紀テレビにしろ——南紀テレビは別ですけれども——先ほど申し上げた下田テレビの場合なんかは、現実問題としてこういうことも既成事実として、しかも大規模に、この場合はしかも自主放送までやるという形でやっている問題もあるんですが、そういうことがあるかと思うと、一面においては長野県のいまいったきわめてささやかな共聴施設を持っております聴視者に対して、もう三月三十一日で打ち切ってしまう、それはやむを得ないんだというようなことを私は聞くんですが、まことにどうも電波行政、血も涙もないという印象を私は感ずるんですけれども大臣の先ほどの御答弁からいけば、こういう問題については、むしろできるだけ便宜をはかってやろうということだと思うんですが、大臣は、この具体的な問題についてはお聞きになっておらないかもしれないけれども、私は先ほどの大臣の答弁からいって、当然これに対してはできるだけの便宜をむしろ逆にはかるというたてまえであろうと思うんですが、大臣いかがですか。
  60. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) この長野の問題は私も若干は聞き及んでおりますが、現在の段階のように見えないものが集まって見えるようにしようということであれば、これはけっこうだと思います。ただそれが先ほどもちょっと触れましたように、さらに長野市内全域に広がって、商売として再放送し、自主放送するということになりますと、これはまたおのずから別個の問題になってまいりますので、そういう場合にはどうしたらいいか、いま検討しておるところでございます。
  61. 久保等

    久保等君 大臣に私のお尋ねしているのは、あくまでも営利だとか、それから自主番組を流すといったような規模のものでないことを前提にお尋ねしているんですから、そういう意味で御理解願いたいと思うんですが、結論として、先ほど来私がいろいろ申し上げましたが、このCATVの問題を契機にしていろいろな問題が今日考えられると思うのです。したがって、先ほど来の問題を含めて、やはり大臣がただいまお答えになったような考え方で、要するに営利を目的としてやるかやらないかの問題が一つ、それからさらに企業体が自主番組を流すか流さないか、それと単なる共聴施設、それが若干規模が大きくなってきたって、それこそ私は千になろうが二千になろうが、そんなものはかまわないと思う。そういったものとぜひ区別した考え方をもって扱っていってもらいたいと思うし、またそうあるべきじゃないかと思うんです。そうしないところに、何か非常に、一つの混乱が起きておると思うんです。わずか四十、五十の、ほんとうにお互いに共聴施設をつくって東京のテレビでも見ようというものを押えてかかる半面においては、営業をやっておったって何をやっておったってかまわない、自主番組そのものを流してもかまわないんだ、それをたとえば同一構内であればとかいうようなものの考え方では、まあ先ほど来申し上げるように、今日の電波行政というものを時代に即応した形で運営することは私はできないと思うんです。したがって、繰り返してはなはだくどいようですけれども、やはり営業を目的としてやっておるのかどうか、それからまた自主番組そのものをまた流すのか流さないのか、要するに途中で、流れてくる電波に操作を加えてストップさせたり、あるいはまた特別なものを挿入してみたりやるような自主番組あるいは営業を目的としてやるとか、そういう問題と、一般の国民ができるだけひとつ電波をはっきり見たいというものに対しての扱い方というものは、法制度の面で、もう少しはっきりすべきだと思う。そういうところに現行法だけで、何か若干無理をしてこじつけて解釈すると、問題もあろうしいろいろとにかく混乱を起こしてくると思う。ここらを尺度にして、ひとつ明快な立法する場合には法案を作成してもらいたいと思うんです。  私は、先ほどの大臣のきわめて明快な御答弁で、私の先ほど来の質問のすべてはああいう考え方で処理されればおよそこれは解決できるんじゃないかというふうに考えますが、私の質問は、この問題については終わりたいと思っております。  次に、NHKの予算の問題について、質問をしてまいりたいと思います。  NHKは本年度から料金の改定を行なって、一つの変革を行なったと思うんですが、四十三年度、初年度ですけれども、ほとんどことしももう終わろうとしているんですけれども料金改定をやったことしの一年の、最終的な結論はもちろん出ておらないと思いますけれども、おおよそ本年度のアウトラインは、結論が出かかっておるんじゃないかと思うんですけれども、どういう大体お見通しでおられるかお尋ねしたいと思うんですが、去年といいますが、ことしの予算の審議をする場合に、当時いろいろ説明がなされて、第三次五カ年計画といいますか——NHKの場合は五カ年計画というのはないので、五カ年構想、長期構想程度だというお話を本年度の予算の説明の際には伺った記憶があるのですが、当時、例の今日の普通料金になっております三百十五円、それまでは三百三十円だったのが十五円値下げをした、したがって、収支の面からいえば当初の予定よりも若干不足をするというような御説明も、ちょうど去年のいまごろでしたか御説明があったように記憶をいたしております。当時の予想だと、本年度約三十八億程度でしたか収入不足になるので、それに対していろいろと努力をして穴埋めをしていきたいというお話があったのですけれども、実際やってみたことしの実績というものは、どういうことになってきておりますか。先般の委員会で御説明があったところによりますと、四十三年度カラーテレビの増は百四十万くらいと初めは予想しておったけれども、百六十万くらいになったというお話もありますが、本年度の予算執行の状況について、こまかくはけっこうですけれども、概略ちょっと御説明願いたいと思うのですが、どなたでもけっこうです。
  62. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 四十三年度の予算を御審議いただきます際に、料金の立て方を改めまして、普通料金とカラー料金という方法をとりましたわけでございますが、カラー料金につきまして、百四十万初年度として新しい契約者を獲得するという予定で御承認をいただきましてその後発足いたしましたが、その後いろいろ努力をいたしました結果、現在のところではこの三月末までに百六十万の達成が可能だというふうに見込んでおります。これによりまして、おおよそ本年度には受信料の増収が約四億円というふうに現在推定をいたしておるところでございます。  予算の執行状況につきましては、ほぼ全体といたしましては御承認をいただきましたところで進行いたしましたが、この四億円につきましては、ただいまのところではこのうちから一部を職員の企業努力によりまして特別の給与に回しまして、なお直接の契約収納の手数料等の経費を差し引きました残額につきましては、約二億円を借り入れ金の返還に回したい、こういうような予想で決算を迎えようとしておる状況でございます。
  63. 久保等

    久保等君 若干話を蒸し返すようになってなんですけれども、昨年というか、本年度からラジオ料金の廃止を実行されたのですけれども、この問題について、当時から私も非常に一つの割り切れないものを感じておったのですけれども、現在NHKがやはり担当しておられるラジオとテレビ——テレビの中にはもちろんカラーテレビを含めての話なんですけれどもテレビとラジオと大きく二つに分けた場合に、ラジオの一体放送全体の中で占める経費の割合というものはおおよそどの程度になりますか。これは私は、いずれできるだけ詳細な資料をつくってお出し願いたいと思っているのですが、これは何も来年度の予算の審議に関連してお願いするんじゃなくて、今後の問題として、ひとつできるだけ詳細な資料を出していただきたいと思っているのですが、当然、局舎なら局舎一つとってみましても、これが一体ラジオとテレビとどういう割合になるかといっても簡単になかなか出てこないと思うのですが、しかし、そういったものもできればひとつ分析をしてもらって出してもらいたい。それから機械設備についてももちろんですし、機械設備ということになれば、減価償却なり、あるいはまた新しく年度年度で購入した機械設備というようなことにもなりましょうしするのですが、そういったようなことを含め、もちろん番組、人件費その他は別にして、あまり精細なことを要求すると、これまたたいへんかもしれませんが、ある程度の何千万円程度のところぐらいで打ち切ってもいいのですけれども、とにかくそういったものを将来の問題としてここでお願いしておきたいと思うのです。ところで当面もしお答えできるなら、その割合をお答え願いたいと思うのですが。
  64. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) ただいまお話のございました資料につきましては、なお検討いたしまして御提出いたしたいと思いますが、おおよそこのラジオあるいはテレビにどの程度の割り振りになっておるかというお尋ねでございますが、何分にも当初ラジオから発足いたしまして、途中からテレビを加えた事業でございますので、共通しておる問題が相当ございます。また建物等につきましては、両方合わせて両用に使用しておるということでございますので、それらにつきましては経費の面から見ました場合に、一応の推定をいたしまして、比率の推定をいたしてございます。おおよそそういう計算をいたしますと、テレビにつきましては八五%、ラジオにつきましては約一五%——一四・六%程度で百二十三億がラジオの経費に使用されておる、こういうふうに見ております。
  65. 久保等

    久保等君 そうすると、私の当初考えておった予想よりはむしろラジオの経費というものが比較的多いように感ずるのですが、去年のラジオ料金廃止の問題に関連しての質疑の経過を振り返ってみると、何かもうほんの数億円程度のラジオ料金を取るのにそれを上回る経費がかかるからやめちまえといったような議論から、ラジオ料金を廃止したようなことに簡単に言えばなっておったのですけれども、そのことは非常に乱暴な議論でもあるし、同時に現状を全く無視したような、私はやっぱり議論だと思うのです。一割五分、百二十三億かけて経営しておる企業体考えた場合に、ただにしようという議論はちょっと出てこないと思うのですがね。したがって、当時この問題だけに関するなら、きわめて私どもも非理論的で納得できない気持ちだったのですが、さらに明年度予算の中では、建設費なんかを見ると、これはFM問題に関連しての建設費などは非常に増高してきていますね。したがって、一体ラジオ料金の問題については、去年じゃなくて、本年度の予算の中で初めて廃止をするということで決定をしたのだけれども、確かにまたラジオの料金問題について、何か考えていかなければならぬじゃないかというようなことがあるように思うのですけれども、その点NHKのほうでは、どうお考えになっておりますか。
  66. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この問題については、本年度予算を御審議いただく際も、一応御質疑を受けた点であり、またFM実験放送が始まる際にも、当委員会において、幾つかの質問をいただいているわけでございます。私どもの基本的考え方は、FM放送が始まっても聴取料に影響を与えない方法をとる、もっと端的に申し上げれば、それによって聴視料を改定する意思はないということを当初申し上げてございます。その後ただいまの御質問と関連しまして、FM放送はこの三月一日から本放送になり、他面ラジオ単設世帯は無料にするということが起こったわけでございます。私ども考え方としては、聴取料を一本化するという基本的態度をある点ではとっているわけでございまして、したがいまして、当面いろいろな関係法規その他に従って、また従来の考え方に立脚して、たとえばテレビ料金等につきましても、普通料金、白黒料金とカラー料金というように考えておるわけでありますが、そういう意味では、数年来FM放送の実験が行なわれるという段階から今日に至るまで、本年度予算の編成との関連においても、私どもとしては、ラジオ料金というものを特設する考え方は持っておりませんし、また、同時にFM放送については、当委員会等においては、むしろ別に考えたらどうかという御意見も承ったことをはっきりと記憶しておりますけれども、私どもとしては、今後もできるだけ聴視者の負担を軽減するという意味で、これに特別の料金を加算するという考え方は持っておりません。  この際、先ほど志賀専務が説明した問題と関連して、社会的要請で、一般物価が非常に上がるという際に、聴視料の収入という面から見て、実はラジオ単設料金を無料にすべしという意見が非常に強く起こったわけでございます。そういう収入という面から考えますと、今年度予算審議の際に、ラジオ単設料金の総収入は、当時、カーラジオも含めて、大体七億前後と記憶しております。ただ、カーラジオが非常にふえるであろうという見地においては、これが十二億をこえる段階がくるということも一面はっきりいたしておりました。そういう意味では、理論的に割り切れない面があるということについては、私どもとしても、一応負担の公平性という点からいって、多少の問題点があるということを、私どももそういう考え方を持っていることを申し述べたこともございます。ただ、今日のNHK経営の中で、これらの問題は、すべて解消するというたてまえで実は長期構想を固めたわけでございまして、その点から言えば、将来のFMの発展、あるいはこれと関連して、たとえば中波とFM放送の性格を明らかにする、あるいは中波の第一、第二の性格を明らかにするという問題も、具体的になりつつあるわけでありますが、その点に関して申し上げるならば、たとえば、中波第二放送の大電力化——これは御審議いただいておる予算では、明年度秋田を大電力化する。これにも、数千万円の問題でなくて、二億から三億ぐらいの金が予定されるわけでございます。しかしながら、結論的に申し上げるならば、それらの一切の問題を乗り越えて料金制度の改定について御賛同をいただき、われわれとしては、これらのすべての問題を乗り越えて経営の安定をはかるためには、カラー料金の契約の強化ということが、当面経営の面から言えば、率直に申し上げて、絶対に必要なことでございます。したがいまして、年度計画としては、今年度百四十万件を考えたわけでございますが、諸般の事情を考え、ことに今年度予算の通過に際して、衆議院等においても経営の安定化をはかれという一項もございまして、私どもといたしましては、経営努力をいたしまして、百四十万件を百六十万件に引き上げていくという考え方で努力したわけでございます。こういう観点から、るる申し述べましたが、私どもとしては、将来にわたっても、少なくとも長期構想の期間においては、あらゆる困難を克服しながら、総合経営という点に立ってラジオ料金の問題は、FM料金も含めて、特別に設定するという考え方は持っておりません。
  67. 久保等

    久保等君 私の質問で誤解があっても困るのですが、だから、私は、何もラジオ料金をさらに取って、現在の総体的な料金にプラスしてもう少し値上げしたらどうかなどと議論しているわけでは全然ないんでして、別個に例のカラー百五十円を月額追加して取っておりますから、総体的にはいま会長の言われたようなことで、経営全体から見れば、とにかく当面の長期構想をさらに具体的に計画化して実行していこうということでやっておられるのですから、これで問題はないと思うのです。ただ問題は、料金そのものに確たる根拠なり合理性というものがやっぱり一面においてなきゃならぬと思うのです。ところが、残念ながら、昨年のいまごろ論議をしておったように、現行の三百十五円に切り下げた、それから片やラジオ料金を廃止し、そうしてまたカラーのほうは百五十円の追加をするというようなやり方そのもの——いま若干その点については、会長みずからも必ずしも理論的でなかったということを認められておるようですが、やっぱり料金というものを設定するときには、聴視者に理論的に納得してもらえる性質のものでなければならぬ。金額が総体的にプラス・マイナス・ゼロで合っていればいいんだということだけでなく、その根拠というものはできるだけ明確な根拠でなければならぬと思うのです。会長の言われる長期構想をこれから実行するに当たって、経費の面ではもちろん間に合うし、何とかやっていかなければならぬということは当然です。むしろ、その全体の経費の面から言うならば、国会でも前々から指摘されておるように、カラーテレビの増加することについての見通しが若干あまいじゃないかというような話も出ておるくらいなんですが、私は、全体の財政的な面で非常に苦しいのじゃないかという立場から質問しているのじゃありません。しかし、料金そのものは、その中身として、もう少し理論的に納得のできる筋合いのものでなければならないのじゃないだろうかという立場から質問をしたんです。しかしまあ、料金改定をやって本年度は初年度でいまそれを実行しているところですから、そのことについて、いま直ちにどういうといってみても始まらないですから、私はそのことはあまり多くを触れようと思いませんが、ただしかし、一つの反省として、今後の料金問題を扱う場合には、もう少し合理的な明確な根拠を持った料金というものを設定すべきだということだけは、初年度を迎え、ぼつぼつ終わろうとするときに当たって、私は一言申し上げておきたいと思うのです。そうしないと——去年の小林郵政大臣説明によれば、料金の設定はとにかく全体で間に合っていればいいじゃないかという、そういう単純な議論でした。しかし全体のトータルが間に合ったって、私はやはり中身が納得できないものであったなら、これはやっぱり困ると思うのです。したがって、現在の郵政大臣はそんなことをお考えになっておらないと思いますから、私は、もう質問することをやめますけれども、そういう点をひとつ現行料金設定に当たっての反省として——まあわれわれもこれを国会で通したという立場から言えば、責任を感じていますから、別にNHKの会長だけを責めようとは思いませんけれども、やはりそこらのところを、今後料金問題を考えるときに、もう少し合理的な科学的な根拠というものを持ったそういう料金でなければならぬということをひとつお考え願いたいと思うのです。  それから第三次長期構想ということで昨年来前田会長のほうから御説明があったんですが、いずれ徐々にこれが第三次計画という形で具体化をしていくことになろうと思いますし、またなりつつあるんだろうと思いますけれども、第三次五カ年計画というか、第三次長期計画といいますか、そういったようなものについては、前田会長はできればいつごろまでにひとつ固めてみたいという気持ちを持っておられるのかどうか。すでに本年度、初年度はまあほとんど終わったといってもいいような時期になっていますが、もちろん電波の割り当ての問題その他があって、電波行政というものが固まらぬから、NHKという立場からは、計画という形ではっきりしたものを設定することは困難だという御説明だったんですが、それはもう非常によくわかるんですが、しかし、やはりNHKNHK立場で直接仕事を担当しておられるんですから、希望があってしかるべきだし、また計画があってしかるべきだと思うんですが、長期構想から長期計画というものにいつ移行といっちゃ少しかた苦しいんですけれども、そこらあたりの構想というものはどういう形で固まりつつあるんですか、お伺いしたいと思います。
  68. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) これについては、御指摘のとおり私どものたてまえは、特に、具体的に申し上げればFMなりUHFなりの最終国策の決定がNHKにどういう影響を与えるか、またNHKとして、これらの波と関連して当然しなければならない仕事をどのように理解していただけるかという点がまず不明であります。  それから、第二は最も大きな問題は、ただいま御質問をいただいた料金と収入の関係でありまして、今年度も実際は前回どおりの料金制度であれば、百四十万のカラーが百六十万になったという点を除けば、やはり総体的には三十数億の赤字になるわけです。先ほど志賀専務からカラーの二十万の増は四億程度であるという御説明を申し上げましたが、それを差し引いても、大体三十一億ぐらいの赤字になるわけです。先ほど申し上げたラジオ料金がゼロになっておりますし、白黒が百五十円の値下げでございます。ですから、かなり経営上も無理があるわけでございます。そういう点を見通しますと、少なくとも長期構想の四年目ぐらいが料金改正以前と比べて、実際上同じような状態になり得るかどうかというところに目標をおいております。したがいまして、この二つの点がどのような進みぐあいで、われわれが初めて第三次長期計画という形に切りかえ得るかどうかという点の分かれ目になるわけでございます。こういう点から率直に申し上げますと、私どもとしては、明年度予算の実行、したがって明年度の国の政策との関連において最終的なものが出るかどうか。この点については、私は早くても明後年度までははっきりした計画という段階には至らぬだろう。ただ、経営と収入という点から言えば、その意味では明年度の特別の努力を必要とするし、また、NHKにとっては、最も重要な年度になるであろう、このように考えているわけでございます。
  69. 久保等

    久保等君 いろいろいまお話があったように、NHKは収入の面から言えば、聴視者からの受信料だけが唯一の財源ですから。したがって、その受信料の収納いかんというのはNHKの死活問題になるわけですけれども、四十二年度、それから三年度はまだ完全には終わっておりませんけれども、収納状況について御説明願えませんか。要するに、未収金が全体でどのくらいあるか、ちょっと御説明願いたいと思うのです。
  70. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 四十二年度におきまして、当時はただいま話に出ておりました契約、甲乙という形態でございましたが、双方合わせまして一応欠損償却額としては四十二年度四億八千万円と相なっております。
  71. 久保等

    久保等君 いまのは四十二年度のようですが、四十三年度はこれよりもどういうことになりますか、もちろん詳しくわからないと思いますが。
  72. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) まだ正確な数字をはじくまでには至っておりませんが、本年度七百七十三億の受信料収入の総額に対して欠損償却率を一応〇・六%とはじきまして、これの引き当て見込み額を四億六千四百万というふうにいたしておりますが、これはもちろんもっと正確に申しますれば、本年度未収金で残りますものを来年度さらに引き続いて回収をいたすということで、数字はかなり変化をいたすわけでございます。
  73. 久保等

    久保等君 毎年およそいま言われた四、五億程  度の欠損金があるようですが、これは件数からすると、どのくらいになりますか、特に四十三年度の場合。
  74. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 件数から申しますと、実は未収という形においては、現在二十四万件ほど未収の件数がございます。ただこれは未払いを払っていただけるのでございますが、現在においては、経済上の問題あるいは常時不在というような形でお支払いがおくれているというようなものが大体十四万件、その他率直に申しまして、不払いに類するものが十万件ほどでございます。合わせてただいま申し上げた件数でございますが、金額といたしましては大体双方合わせて七億あまりになっておりまして、この七億に対しまして、大体四〇%くらいを四十四年度で引き続き回収をいたしていくということで、したがってその四〇%を回収した結果、来年度引き続き努力した結果、四億ないし四億五千万円という欠損額の数字に相なっているわけでございます。
  75. 久保等

    久保等君 いろいろ住居が変わったりして、全部を集めるということはむずかしい問題だろうと思うのでありますが、なお一そうこの問題については十分にくふうをせられて、収納率のよくなるように極力御努力を願いたいと思います。  それで予算総則のところでちょっとお尋ねしたいと思いますが、予算総則第二条のところに料金額の記載があるのですが、十二カ月前納した場合、六カ月前納した場合と、それぞれ金額で表示をされているのですが、十二カ月前納というと、金額にしてどのくらいの金額になりますか、十二カ月前納の金額というのはどのくらいにこの予算案ではなりますか。
  76. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) ただいまの御質問は個々の料額でございましょうか。
  77. 久保等

    久保等君 総額。
  78. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 総額における前納の割り引き額の問題でございますか。
  79. 久保等

    久保等君 割り引きじゃなくて十二カ月前納で納めてもらっておる料金というものは全額で一体どのぐらいの料金になりますか。何かパーセンテージでは、全体の六・七%ですか、ぐらいになるようだというんですが、六・七%というと、まあ計算すりゃわかるでしょうが、五十億か、そんなものですか。
  80. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 十二カ月につきましては三百十五円を減額をするわけでございます。それから、六カ月につきましてはおおよそ半月分ということにこの第二条できめておるわけでございますが、四十四年度の予算を編成する際にあたりまして、この割引額として、通常の一カ月分ずつ収納する場合の計算から控除いたしましたこの割引の額は、普通契約につきましては十五億三千六百万、それからカラー契約におきましては四億八千七百万、合わせて二十億二千三百万の割引を計上したことになります。
  81. 久保等

    久保等君 十二カ月前納分が、全体から見ると、パーセンテージで言うと六・七%程度を占めるんですか。資料に載っておったですな。
  82. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) ただいま仰せのとおりに、十二カ月分前納につきましては、六・七%でございます。それからなお、六カ月前納につきましては、一五・四%の数字がございます。
  83. 久保等

    久保等君 そうすると、金額はこの程度で間違いありませんか、おおよそ目の子勘定で。——割り引いた金額ですか、先ほどの説明は。
  84. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 割引をいたしました金額でございます。減額をいたしました金額でございます。
  85. 久保等

    久保等君 私の聞いているのは、逆にあとの十一カ月分ですね。したがって、十二カ月前納という形で納めてくれた人たちの収納金額は全体で幾らになりますかという質問なんです。
  86. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) おおむね、ただいま申し上げました数字の約十一倍と申しますか——一カ月分を割り引くことになりますので、逆に申し上げますと約十一倍ということになるわけであります。それだけ収納いたしまして、先ほど申し上げた金額を割り引くという形になります。
  87. 久保等

    久保等君 十二カ月前納をされる方が相当おられるわけなんですが、私のお聞きしたいと思うのは、六カ月前納も十二カ月前納もたいして金額的には変わりないですね。恩典というか、割り引く金額というのは十円ぐらい違うだけですから、ほとんど同じ。
  88. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 大かたそのとおりでございます。
  89. 久保等

    久保等君 もう少し差があってもいいんじゃないかという感じがするんですが、経営される立場から言うと、十二カ月分を一回に納めてもらうのも、二回に分けて払ってもらうのも大して変わらぬということになりますか。
  90. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 私、いまちょっと正確な割引率を記憶いたしておりませんが、たしか一年のほうで言うと七分三厘ぐらいの割引に該当するかと思いますが、ただ収納上の実態から申しますと、たとえば口座におきましても、まだ毎期払いという方が相当ございまして、これを六カ月なり全納なりに変えていただくという勧奨をかなりいたさなければならぬというような実情でもございますし、また、収納する側から見まして、やはり一年より、経済上の理由でしょうか、半年という方のほうが多いわけでございます。  ただいま御報告いたしました割引率につきまして訂正をさせていただきますが、十二カ月で八・三三%でございます。訂正をいたします。
  91. 久保等

    久保等君 まあ、きわめてしろうとくさい概算で考えてみても、少なくとも数十億円の金が半年早く入るか、おそく入るかという問題を考えただけでも、私は六カ月で前納してもらうよりも十二カ月前納してもらったほうが、相当経費の面のみならず、利子その他を考えても非常に好ましいことじゃないかと思うのですがね。それを扱い方としては、六カ月であろうと十二カ月であろうと、ほとんどまあ同じといってもいいと思うのですが、そういう扱い方をしている点は、若干不合理じゃないですか。
  92. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 六カ月につきましては八・二〇%で、そこに若干の十二カ月分のほうの優遇をはかっております。
  93. 久保等

    久保等君 若干の優遇という考え方は、金額からいくと十円ですね、一年間に。十円程度しか違わないでしょう。要するに、六カ月も十二カ月も十円の差ということで、何というか、問題にならぬと思うのです。ほとんど同じじゃないですか。差がこれでつけてあるおつもりですか。
  94. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) 御指摘のとおりに近いようでございまして、少し研究をさせていただきます。
  95. 久保等

    久保等君 いや、だからこまかいことを言っているようですけれども、実はやはり相当金額は大きな金額ですよ。十二カ月分として十一カ月分しか納めないわけですけれども、それを六カ月しか前納されないものとほとんど同じように扱っているのは、金額的に見れば相当な金額になるのですから、私はもうちょっとくふうの余地があるのじゃないかという気がしますがね。
  96. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) お説のとおり割引制度の効果を十分に発揮いたしますためには、半年前納と十二カ月前納でいえば、十二カ月前納は非常に優遇さるべきものだと思います。また、それが常識ではないかと思います。ただ先ほど佐野専務からお答えいたしましたように、一年分の前納につきましては八・三三%というかなり高率な割引をいたしております。割引制度を利用いたします企業もいろいろな合理化、あるいは早期に収納いたしますことによってそれの運用の利回り等、いろいろな面を考えましても、これが最大のマキシマムではないかと思います。では、それに対して半年前納と十二月前納との比率におきまして下げますことは、これは前納制度のそれから言えば、半年と十二カ月の利点を言えば、一定の比率が出ようかと思いますけれども、そういったマキシマムな八・三三%というものを頭に押さえてまいりまして、半年分をそれの比率に合ったような、常識に合ったような比率にいたしますことにつきましては、一年分の前納割引よりもはるかに低くしなければなりません。そういうような面からいろいろ理論的には矛盾はありますけれども、半年分につきましても、ある程度の割引を見ようということが相対で見ますと、わずか十円の差にしかならない。きわめて常識的には御納得のいかないような線になることも、これはまあいたし方のないことでございまして、そのような観点から、現在の半年、十二カ月の前納割引の算定をいたしており、常識ではあるいは非常にけげんに思われる節もあろうかということは十分承知をいたしておりますけれども、そういったことで、現在実行しておるような次第でございます。
  97. 久保等

    久保等君 まあ副会長がそういう答弁をされれば、なるほどそれも一つ考え方かということになるのですが、まあ、やはりできれば十二カ月で前納してもらいたいという考え方なら、まあしかしこれが最高限度なんだといえばそれっきりの話だけれども、これから考えると、できるだけひとつ六カ月で前納してくれと、NHKとしては、そういう考え方だとすればわかるのですけれども、十二カ月で前納してもらうことが非常にやはりNHKとしては好ましいし、さらに将来とも大いに十二カ月——一カ年分前納してもらいたいという考え方なら、いまの副会長のような答弁では、政治的といっちゃおかしいけれども、政策的にあまりいい率にはなっていないと思うのです。要するに、六カ月はいまのお話だと非常に優遇されているということになるし、十二カ月はまあまあ六カ月分を二回納めたと同じようであったら、金額的には変わらない結果になっていますからね。だから、一体どちらのほうに重点を置いて集金をされようとしているのか、その考え方によっても、もうちょっと一考を要する点があるのじゃないかと思います。
  98. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) ごもっともなところもございますが、何分、前納制度を非常に積極的に勧奨いたしまして、四十三年度も九十万の増加を目標といたしましたに対しまして、今日現在すでに百二十万をこえるというような非常な成績をおさめております。また来年度百三十万の前納を増加せしめたいということで、四十四年度末には六百数十万の前納に相なろうかと思っております。したがいまして、何百万という受信者対象料金の前納をお願いをすると申しますれば、いろいろな経済的な階層もございまして、それぞれ半年を選ぶ、あるいは十二カ月を選ぶというふうな点では必ずしも十二カ月一本というふうにまいりがたいところも実情としてはございます。また別の面から申し上げますと、四十三年度におきましては大体五百万というような、この三月末の前納の総体で十五億からの割り引き額に達しておりますし、先ほど御報告いたしましたように、四十四年度では六百三、四十万の前納をはかるために実に二十億をこえる割り引き額という大きな数字になりますので、そういう点をも考慮いたしまして、あれこれ勘案してただいままで御報告したような割り引きの率でやっておるわけでございます。
  99. 久保等

    久保等君 次に、私経営委員会運営の問題について若干お尋ねしたいと思うのですが、申し上げるまでもなく、NHK経営委員会というものは非常に重要な最高議決機関になっておるわけなんですが、国民のそれこそための放送をしてもらうということについての最高方針等は経営委員会で決定をせられるわけなんです。この経営委員会運営について、若干資料等も御提出を願っているわけなんですが、ずっと開催日等の資料等もちょうだいしています。一カ月に二日正式の委員会は開かれておるようですが、これは時間にすると、どのくらいの時間に大体なっておりますか。
  100. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 経営委員会といたしましては、毎月一回、その一回は二日にわたって会議が行なわれておりますが、両日とも午前、午後会議をいたしますので、時間的に申しますと十五時間近くになろうかと思います。
  101. 久保等

    久保等君 地方からおいでになる方が大ぜいおられるわけですから、一泊されて二日間、要するに、定例経営委員会を毎月お開きになっておるようですが、先ほど申し上げたように、経営委員会の任務というものは、非常に重要でもあるし、したがって、経営委員会にかける案件も非常に多いのだろうと思うのですが、しかも月に、一ぺんというか月に二日というか上京せられて、二日間いろいろ論議をせられたり、報告をお聞きになったりされるとすると、なかなか内容としては充実をした経営委員会になっておるはずだと思われるのですけれども、ただ毎月こう二日間二日間ということで、ここ二年ばかりの経営委員会の開催日の資料を拝見をしてもなっておるのですけれども経営委員会がきわめて機動的に、あるいはまた経営委員会が問題によっては十分に議論をするとかなんとかということになると、どうもこの開催日だけを見ると、少し機械的なような運営がなされておるのじゃないかという推測をするのですけれどもね。たとえば予算の審議をする、あるいはまた決算の審議をするというようなことになってくると、必ずしも二日程度で間に合わぬで三日にわたる場合もあるだろうし、あるいはまた一日くらいおいてむしろ開かざるを得ないということもあり得るのじゃないかと思うのですが、あまりにも二日、二日とずっと何年間にわたって毎月一ぺんだけ二日間、二日間やっているような開催のしかたで、はたして経営委員会というものが弾力的に、しかも機動的に運営されておるかどうか、若干疑問なしとしないのですけれども、そのあたりのところはどういうことですか。
  102. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 一応は二日になっておりますけれども、必要があればその他臨時の会合もございます。さらに、東京に住居を持っておられます経営委員の方々につきましては、これは経営委員会ではございませんけれども経営委員会の準備的段階といたしまして、毎月四回ばかりの会合をもっていろいろ勉強しておられます。その間には私どもその他理事、局長、そういったところがらいろいろな説明もこまかく聴取されまして、それによって経営委員会としてとるべき判断を十分に練っておられるという状況になっておるわけでございます。特に、予算関係とかあるいは決算の関係等につきましては、ただ定例の一回の二日の会議で問題が決着するわけではございませんので、たとえてみますと、ただいま御審議をいただいております予算につきましては、十一月、十二月、一月とそれぞれ三回の定例の会議におきまして、非常な掘り下げた御審議をいただき、結局そういった回を重ねまして一月の段階でやっと最終的な結論を得るというような状況でございます。いわんやただいま御審議中の予算につきましては、予算事業計画、資金計画等につきましては、そのもとをなしますいろいろな事業計画の細部にわたりましては、毎月の定例会議でそれぞれいろいろな置局問題、カラーの問題その他いろいろな面につきまして、詳細な御審議をいただいておりますし、特に四十四年度予算は、提案理由でも補足でも会長から御説明を申し上げましたように、長期構想の路線に沿っての予算でありますので、長期構想の、予算の基本になります長期構想等につきましては、四十二年の秋ごろから何回も回を重ねまして、その構想の細部にわたってのいろいろな検討を加えてまいっておられ、そういうことを積み重ねましてでき上がりました四十四年度分の構想の計画化、予算化、この問題につきましても、先ほど申し上げたように十一月、十二月、一月の三回の定例会におきまして、慎重な御審議をいただいておるような次第でございます。
  103. 久保等

    久保等君 いまの御説明で臨時に開かれたようなお話もあったのですが、経営委員会臨時にお開きになったことあるのですか、この定例日以外に。
  104. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) この予算の問題につきましては、特にございませんけれども、定例会を何回も重ねておりますので、特に臨時に近くにはございませんが、過去の例を申し上げますと、今月の十二日には、定例の二十二日、二十三日の会議に先立ちまして、十二日に定例の会議を開かれまして、四十三年度収支予算編成の要綱についての御審議をいただいております。
  105. 久保等

    久保等君 今月臨時の経営委員会をお開きになったという話なんですが、手元の資料によりますと、ずっとおととしの四月からのずっと開催日を出してもらっておるんですが、その中に一回も臨時に開かれておらないんですが、じゃ、今月入って初めてここ数年来臨時の経営委員会開かれたということですか。
  106. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 四十三年の一月十二日でございます。
  107. 久保等

    久保等君 そうすると、四十三年一ぺんあったということですか。
  108. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 四十三年一月、並びに三月には、二十五日、二十六日の定例の会合に先立ちまして、二十日に臨時の会合を開いておられます。
  109. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お手元に差し上げてあります資料は、おそらく定例会議だけを指摘してるんじゃないかと思います。臨時の会合はきわめてたくさんございます。それからそのほかに、先ほど副会長から説明しました、一週一回、一カ月四回、これは主として在京経営委員が中心になっておりますが、その際、地方の経営委員でも東京におられる、あるいは出席を求められる場合には、当然この会合に参加しておられます。それから、正式経営委員会でない経営委員さんだけの会合、これはきわめてひんぱんにございまして、たとえば昨年の夏以来、私が記憶してるだけでも数回ございます。場所は、必ずしもNHK建物の中ということもございません。それからまた経営委員会自体がNHKの問題でわれわれの出席を求めないで会合される会合もかなりございます。そういう意味で、おそらくこの資料はきわめて不備なのではないかと、私も実は伺いながら、そういう印象を持ちました。さらに私と経営委員長及び代行の会合も特別に毎月一回開いておりまして、経営委員長及び経営委員長代行から種々の質問、積極的な質問をいただいております。そういう意味ではおそらくこの資料は、いわゆる経営委員会が決定して、われわれも参加した、その正式と申しますか、放送法の形式に合った経営委員会の回数を記載しているのではないかと、このように感じます。
  110. 久保等

    久保等君 さっき小野副会長のお話のあった、臨時に開かれた経営委員会というのは、それは正式の経営委員会ですか、出席者何人ぐらい出ておられますか。
  111. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) 正式でございます。全員でございます。
  112. 久保等

    久保等君 全員ですか。それは去年の四月ですか。
  113. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) そうです。
  114. 久保等

    久保等君 まあ、この資料には載っていないんですが、まあいずれそれじゃ経営委員会の開催状況について、これはもちろん臨時も定期も、そういうこと区別なく書いてもらうことになっている資料なんですけれども、そういった臨時のが抜けているとすれば、もう一ぺんひとつ経営委員会の開催状況についての資料、四十二年から三年、それから最近までにわたってひとつ再提出をお願いしたいと思うんです。  で、私の申し上げたいのは、もちろん経営委員の皆さんにも大いに勉強してもらわなきゃならぬと思うし、したがって、経営委員が随時お出かけになっていろいろ調べられたり、あるいはまた状況をごらんになったりするのは、これは当然のことだと思うんですよ。それはもう経営委員も、単に一カ月に一、二回出てきてその会議に列席する程度では、とても高邁な方針を経営委員として私は発表することは不可能だと思うんです。したがって、日常そういう行動をやられることは当然だと思いますが、少なくとも放送法規定せられている経営委員会の開催というものは、正式の経営委員会ですし、重要な案件等を審議もしたり報告も聞く会議だと思うのですが、そこで、したがってけんけんがくがくの議論が出ることも当然のことだと思うのですが、それがどの程度機能を果たすかどうかということは、非常に重要な問題だと思うのです。若干どうもこの資料なり、先ほどの御説明を聞いていても、これはむしろ経営委員に直接お話を聞いたほうが適当かもしらぬですけれども、もう少し何というか知能的に、さらにまた機能的に、経営委員会というものは開かれてしかるべきではないかと思うのです。これは会長はじめお話をするのは若干見当違いかもしれませんけれども、できるだけそういう方向運営ができるように協力といいますか、側面的に、そういう状況をつくっていくべきだと、私は思います。  経営委員会でなんですか、その定例会議を開いて採決をやられてものごとを決定したということはございますか。
  115. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) すべて採決によって決定をされるわけでございます。
  116. 久保等

    久保等君 そうすると、伯仲したというような場合もありますか。
  117. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) いろいろ意見は分かれる面はございますけれども、その面につきましては、十分な御説明と御審議の上で、いろんな条件つきでというようなことはございます。
  118. 久保等

    久保等君 だけれど、採決をして何対何できまったというような問題ありますか。
  119. 小野吉郎

    参考人(小野吉郎君) そういった事態はできるだけ避けるような努力をいたしておりますし、また経営委員のほうでも、いろんなそういう面につきましては、採決によって相対立するような問題につきましては、後日にその結論を延ばされるというようなこともありまして、たとえば放送センターの建設の計画等についても、かなり予定よりもおくれてまいっておりますけれども、ああいった面につきましても、そういったような審査の結果、当初の計画をかなり縮小いたし、あるいはただいま問題になっておりますこれからの第三期構想等につきましても、当初からそういう計画をわれわれとしては持っておったわけでございますけれども、そういった面については、一時これを将来に延期しなければならぬというようなことも起きてまいっておるわけでございますし、また認められた範囲内におきましても、当初の規模を縮小して、第二期工事を行なうとかというようなことも起きております。その他いろいろ受信料の改定問題につきましても、いろんな御意見もあったわけでございまして、そういった面につきまして、会長としても発言上、そういった事情も考慮しながら、当委員会でも昨年の料金改訂の際には貌変したのだと、こういうおことばも使わなければならぬ程度に、経営委員会の中でもきわめて重要な問題でありますので、慎重な審議が尽くされましたことは事実でございます。
  120. 久保等

    久保等君 私は、だからここの放送法の中にもはっきりと規定があるように、第二十三条に議決の方法として、過半数で決定するというような規定もありますしね、重要な問題について大いに議論を戦わせて、結局最後は採決できめるということも当然あってしかるべきだと思うのですよ。むしろ何でもかんでも全会一致になるというようなことは、必ずしも実態をあらわしておるという形にはなっていないと思うのです。まあ意見が違うということは当然だし、よくわかっていないから意見が分かれるということでは困るのですけれども、よくわかっていて、なおかつ意見が合わないというか、一致しないという場合も十分考えられることですし、そのことは決して好ましくないということは言えないと思うのです。多数によって決定するということは堂々とやられてけっこうだと思うのです。むしろ逆に、あまりまあまあ主義で、どうも納得できないけれども大ぜいがそうならいいやということであいまいにされて、満場一致できめられるという形のほうがむしろ私はいけないと思うのです。むしろ少数意見であっても十分聞くべき意見があると思いますし、むしろ経営委員会の中では、少数意見であるかもしれないが、外、国民に聞かせれば、国民は少数意見のほうに賛成だという場合も十分あり得ることですから、これも会長、副会長に言うべきことではないから、しかるべき機会に経営委員会の皆さんに御出席を願う機会をつくりながら、経営委員会の中で使命を十分に果たしてもらいたいと思っておりますし、まあ理事者の立場からいえば、あまり経営委員会というのはそう活発にやらぬほうがいいんだということにもなるかもしれないと思うんですが、私は先ほど来言っておるように、やっぱり電波、特に放送という問題を担当せられる理事者の方々に対しても大いにひとつ活発な意見が経営委員会の中から出てくるということは当然あってしかるべきだと思うし、理事者の御説明を聞いて、まあ大体それについて満場一致できまるというあまり形式的な形の運営は好ましくないと思いますし、そういう点で、経営委員会の活発な運営について理事者側のほうでも十分にひとつ御配意をお願しいたいと思います。まあ先ほどちょっと申し上げましたように、経営委員会の開催状況等については、ひとつ二年間のできるだけ詳しいといったって、中身の問題についてはあまり詳しく御報告を願う必要もないでしょうけれども、臨時に開かれておるのであれば、当然お書き願って、そういう中でどういうことが一応——おととしの分については若干中身について御報告いただいたんですが、前に出していただいております冊子の中には、中身は書いてございませんから、そういうことをひとつ含めてお出しを願いたいと思います。それじゃ、経営委員会の問題については以上でもって終わります。  郵政大臣のほうにお伺いしたいと思うんですが、予算総則の第十二条に、研究調査の問題が記載されておりますが、その中に、予算総則の十二条は「業務に関連ある調査研究に対し、交付金、補助金等の収入があるときは、その金額は、調査研究に関係ある経費の支出に充てることができる。」というふうになっているんですが、郵政省のほうからNHKに対して業務に関連ある調査研究を命じたことはいままでありますか、ありませんか。
  121. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いままでのところございません。
  122. 久保等

    久保等君 ございませんか。いままでかつて発動せられたこと——発動といっちゃちょっと大げさですが、この予算総則によって、したがって、交付金補助金が交付せられたことはないということになるんですけれども、毎年毎年この十二条予算総則でこういう形で出てきているんですけれども、あまり必要ありませんか。この調査研究をNHKに委嘱をしなければならぬ、やらせるというような問題は考えられませんか。
  123. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いまちょっと直ちにどういう項目ということが思いつきませんけれども、今後あるいは宇宙関係の問題だとか出てくるかもしれませんので、そういったあれに備えるという意味でこの十二条があるんだろうと考えます。
  124. 久保等

    久保等君 NHKのほうにお尋ねしますが、毎年毎年まあこういうものが書かれてあるんですけれども、もちろんある程度期待というか、予想というか、そういうことを考えながら、この条文をつくっておられると思うんですけれども、大いにひとつ積極的にこういった方面の調査なり研究なりをNHKとしてはやってみたい、あるいはまたそれに対する受け入れ体制といいますか、即応できるような体制はあるんですか。こういうこともひょっとしたらあるかわからぬから書いておけということで、毎年書いてあるものだから、あまりこれが実際に適用せられるというような事態がいままでなかったということでしょうか。若干考え方をお聞きしたいと思うんですが、どうでしょうか。
  125. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 私どもの研究機関はいかなる御要望にも応じ得る体制は整っております。この予算総則の問題は、同時にこれは放送法の中に郵政大臣が研究を命令するという条項がございますので、それを受けて、そういうこともあり得るということを前提としてこの総則の中にこの表現が含まれておるわけでございます。
  126. 久保等

    久保等君 郵政省としては、電波研究所等も直接持っておりますですから、技術的な問題の研究等についてはいわば自分のところで直接やれるということにはなっていますけれども、しかし、なかなか今日研究しようと思えばいろいろ問題があり過ぎるほどあるような時代ですからね、せっかくNHK自体もいまの会長のようなお話でもありますし、できれば有機的に郵政省の電波研究所はもちろんのことだけれども、こういう関連といいますか、NHKの研究機関なり調査機関等も有効に積極的に活用するということがあってしかるべきだと思うんですがね。いまの御説明にあったように、いままでかつてそういう前例がない、やったことがない、頼んだことがない、命じたことがないということも少し法律もそういう法律になっているし、せっかくこういう総則もありながらいつも死文化してしまっておるということでもどうかと思うんですが、その点どうですか、電波監理局長
  127. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 今後お話のとおり、放送法三十四条の規定を生かしてまいるようにくふう研究いたしたいと思っております。
  128. 久保等

    久保等君 じゃ、次に移って教育放送の問題については、この、間新谷委員のほうからもいろいろ御質問があったようですが、私はきわめて限られた点についてお聞きしたいと思うんですが、資料をやはりこれももらっております。教育放送の問題について、学校に協力を頼んで放送をやって効果をあげてきておられるようですが、学園、高校の協力校に対して協力費等の支出も行っているようですが、この金額は総体で三億一千万円余りの金額が計上せられております。これの内訳といいますか、どういう形でこれを使う予定ですか。中身を少しNHKのほうから御説明願いたいと思うんです。
  129. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) これは各学校に、NHKに在籍しながら、しかも遠いので東京のNHKの本校に出られない、そういう生徒さん方が、それぞれ各県におよそ合わせますと七十五校ほど協力委嘱校がございます。その協力委嘱校というのは実際それぞれ通信教育をしておられる学校でございますが、そこに本来のその学校の生徒にあわせまして、NHKに在籍しておられる生徒さんがそこで指導を受けるという形でいろいろな経費を出しておる、たとえば設備の管理費用とかあるいは運営費用とか、あるいはその指導に当たる先生のお礼とかあるいはいろんな学校としての遠足とか、行事とか、そういうこともございますので、それらをやはり同じように扱ってもらうというような立場で応分の金を出して、一校当たり平均五十五万円というような金額を差し上げておるわけであります。
  130. 久保等

    久保等君 この三億一千万円余りの金額というものは七十五校に対して案分をして支出をされることに、全額、そういう形で支出することになりますか。
  131. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) ちょっと、いま失礼いたしました、御質問の趣旨がよくつかめませんでしたので、もう一度。
  132. 久保等

    久保等君 いまあなたの答弁では一校当たり五十五万円ずつになるというお話だったですが、そのことは各学校に、この三億一千万円というのは総額ですね、各学校に全部配分してしまう金額だけですか。
  133. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) さようでございます。失礼しました。協力校費は四千二百万という形になっております。
  134. 久保等

    久保等君 そうすると、その残余のものはどういう形で使われますか。
  135. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 最初に助成金の内訳という御質問がございましたので、それの助成金のきめ方につきまして、ちょっと先に御説明いたしておきたいと思います。おおよそこの学園の年間の事業計画を勘案いたしまして、たとえば四十四年度で申し上げますと総額三億六千九百九十五万八千円の経費を予算として提出をいたしてきております。これに対しまして、学務収入と申しまして、生徒から徴収をする費用が、収入が四千百万円ばかりございます。それから雑収入といたしまして、教科書その他の頒布の手数料など雑収入がございまして、これが約八百万ばかりでございます。これらを控除いたしました実際に学園を運営いたしてまいりますに必要な残額、差額につきまして、NHK内容を十分審査検討いたしまして助成金として交付をするという方式をとっておりまして、それが三億一千百万円、先ほど申し述べました三億六千九百万の支出予算に対しまして、三億一千百万円をNHKが助成をいたしております。いまお話の出ておりましたそのうちの協力校の関係につきましては、三億六千九百万円の明年度の学園の総経費の中で四千二百万に当たりますが、これが協力校費として予算を提出してまいっておるものでございます。それにつきましては、一校当たり五十五万円の割合で予定を立てておる、こういうことでございます。
  136. 久保等

    久保等君 だからその四千二百万円のお話はわかったのですが、それを差し引いたあとの、少なくとも二億何千万円というものはどういう形になるのか、その内訳をお知らせいただきたいのですがね。
  137. 志賀正信

    参考人(志賀正信君) 四千二百万円につきましては、協力校の関係でございますが、それを含めまして三億六千九百万の学園の一年間の費用の内訳を申し上げますと、まず基本財産費といたしまして事務局用のいろいろな機械器具類の購入費が四百万、それから教員並びに事務員の給与として一億七千万を計上いたしてございます。それから学務費といたしまして、添削講師の謝礼あるいは合宿スクーリングの旅費、その他の経費並びに協力校への経費、大体これを含めて一億四千二百万円を学務費として計上いたしております。そのほかに法人費、清掃費等の管理費が五千三百万円ございまして、なお他に予備金を五十万ばかり見込んでおりますが、総額三億六千九百万というような支出予定になっております。
  138. 久保等

    久保等君 この協力校というのは、ずっと経過的には大体同じくらいになっておりますか。だんだんふえているか。そういった経過を数年間ほどを。ちょっとどういうことになっていますか。
  139. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 大体同じ数でございます。二、三、協力校がお断わりになったところもございます。新しく追加、お願いできたところもございます。
  140. 久保等

    久保等君 時間がだいぶ過ぎておるようですから、教育放送の問題について一言ちょっとお尋ねしたいと思うのですが、まあ教育放送の問題がだんだん重要視されて、単にNHKのみならず日本の社会教育の立場から教育放送をどう考えるかということで、かねがね文部省あたりでも社会教育局でもって何か審議会等を設けて検討を加えておられるようですが、NHKのほうから学校教育局長というのですか、NHKのほうからもメンバーにお入りになって、この審議会が運営されておるようですが、何か近々結論が出るのではないかと、答申の結論が出るのではないかというふうにも言われておるようですけれども、この問題について、NHKのほうで承知をしておられる範囲内で、その社会教育審議会の中につくられておる、何かこの問題に関する小委員会ですか、それらの今日までの運営なり審議の模様等についてわかる範囲内でちょっと御説明を願いたいと思うのですが。
  141. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) およそ一年ほど前に、いまおっしゃいました社会教育審議会の中の放送分科会というのができまして、そこで放送教育あるいは通信教育、そういう関係者、そのほか郵政省からもたしか放送部長が御参加になっております。それからNHKの教育局長の山崎、それから民放のほうから民放連の酒井専務理事、そういうような方々が参加されまして、日本放送教育特に大学の放送教育という問題をどう考えていくかという点を中心として論議が進められてまいっております。そこでの結論的なことを申しますと、大体抽象的な形はとっておられますけれども、アメリカ式な地方の教育委員会とか、あるいは各地の大学、そういうところで教育放送をやっていったらどうかという形で、むしろ大学という観点よりも——当初の目的は、大学にあったと思いますけれども、現在の段階においては、そういう教育委員会なりあるいは各地の大学が教育放送をやることによってローカル放送をふやしていこうという形の点が出てきておるような感じでございます。中間の形が出て、最後的には、いま申し上げた形で抽象的にまとめられていっておるというふうに考えております。
  142. 久保等

    久保等君 そこでは、郵政省からも放送部長が何か入って、この放送分科会というものが開かれておるようですが、答申の結論はいつごろ出る予定ですか。
  143. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 先般伺いましたところでは、三月二十九日ですか、何か最後の会合があって、そこで決定されて発表される、このように伺っております。
  144. 久保等

    久保等君 郵政大臣お尋ねしたいのですが、こういう画期的な教育放送の問題について、文部省は文部省としていまいったような形で検討が加えられておるわけですが、もちろん教育放送という問題になってくると、文部省はもちろんでしょうが、郵政省自体もこれは非常に重要な一つの役割を果たさなければならんことですけれども、もちろん今日、教育放送の問題については、各方面から強いいろいろな意見もあり、また関心もある問題だけに、これをどういう形で具体的に取り上げていくかということになってくると、いろいろ重要な問題があるかと思うのですが、まあ、社会教育審議会のほうで、そういう具体的な分科会をつくって検討されておること、それはそれとして、郵政省としてはどういう形で、単に放送部長が一人入ってメンバーにはなっておるけれども、どういう形で、この問題を将来扱っていくお考えでいますか。まだ確たる見通しはないかもしれませんけれども、一応現在の状況についてお伺いしたいと思います。
  145. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほどお話しの社会教育審議会放送分科会からの答申があればよく拝見をしたいと思います。教育放送の問題は非常に大事でございますので、教育放送用にテレビの波も一波取ってありますし、さらにまたNHKのほうからも、自分のほうでぜひやりたいと、こういう強い希望も出ております。その他からもいろんな希望が出ておりますので、それを総合的に検討いたしまして、どうすれば、一番よいかということにつきまして結論を出していきたいと、かように考えております。
  146. 久保等

    久保等君 教育問題は今日いろんな意味において、たいへんな問題になっておるわけですけれども、しかもそれに言論機関という問題がプラスされているだけに、非常に私は重要な問題だと思うんです。学校教育そのものが、大学問題を中心にして現在これはたいへんな一つの激動期にあるわけです。さらにこれが一体いつどう収拾されていくかということはちょっといまのところめどがつかない状態にあると思うんです。それにいま私申し上げましたように、プラス放送という言論機関がミックスれさた形で、教育放送という問題を考えた場合には、これはたいへんな問題だと思うんです。その問題がひとり文部省の社会教育局だけで何か審議会みたいなものを設けられて、いかにも民主的な形で議論をしておるようですけれども、構成メンバー見ると、これはやはり教育という問題が中心になって、したがって、教育だから学校の先生が適当だとは必ずしもわれわれ一般の国民の立場からいえば言えないと思うんです。比較的学校の先生方を中心にしたような形の分科会が設けられて議論して、それはそれなりの意義があるんだろうと思うけれども、そこで出てきた結論が、何か中心になって私のいま申し上げたような重要な問題が処理されていくことが適当かどうかということになると、私は疑問だと思う。むしろ文部省だとか、郵政省、NHKというだけのエリアじゃない立場で、もう少しこの問題を大局的に審議するようなものを考える必要があるんじゃないかという感じがするわけです。こういう形で既成事実が一つできていくと、何かその既成事実がだんだんと発展していく。ところが、途中でどうこういってみても、どうにもならないということになりかねないと思うんです。どういう結論が出るか、もちろんいまのところ予想をしがたいわけですけれども、もう少し大所高所から議論をし、検討をするようなことも考えていかないといけないんじゃないかという感じがあるんです。いま郵政大臣の御答弁だと文部省で出た結論に——文部省といっては語弊があるんですけれども、その分科会で出た結論に基づいてひとつ考えてみようという考え方では、若干タイミングとしてもまずいし、何かそれが中心になって考えていくということになると、それに反対すると、文部省案に対して郵政大臣が反対だという形になったりして、また何か役所のなわ張り争いみたいな形で議論されていくことは、これは将来の教育放送にとって不幸だと思うのです。だからこれは、単に一文部省だけ、あるいは一郵政省関係という問題じゃなくて、これだけ重大な問題になっておる今日の問題の処理のしかたとしては、できればもう少しそういうものを含めた全部、何といいますか、一、二の役所だとかというものを越えた、何か内閣そのものがほんとうに国民全体から広範な権威者を集めて教育放送の問題を一体どうするかというようなことを考えていくに私は十分値する大きな問題じゃないかと思うんです。いま郵政大臣がそういう受け身のというか、まあもちはもち屋だという形で、社会教育審議会で出る結論に基づいてどうするかの態度を決定しようということなんですけれども、そうじゃなくて、もうちょっと高い立場から、この問題を扱うようなことを郵政大臣としては提言するという態度をとられる必要が私はあるんじゃないかと思う。これは、若干時期を失したような気もするんですけれども、いまからでも、私はやらないよりやったほうがい。何か出たものに対して意見を言うと、それは郵政省はまたなわ張り争いで何だ、かんだいっているととられるし、単に郵政省だけで結論を出せる問題でももちろんない、同時に文部省だけで結論が出せる問題じゃないと思う。こういうふうに私はきわめて何か具体的な提案ができなくて恐縮なんですけれども、そういう見方はできないものでしょうか。
  147. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 私の説明のしかたが悪かったために若干誤解を招いたようでございますが、私は、文部省の審議会の出してくる結論を中心にしていろいろ検討するという意味のことを申し上げたのではないのです。文部省のそういうふうな答申が出れば、それも一つの参考として検討していきたい。同時にNHKのほうからも詳細な具体的ないろいろな計画が出ているわけです。これも目下いろいろ話を聞いておるところでございます。さらにそのほかからも、いろいろな計画が出ておりますから、そういうものを総合的に検討していきたい、こういう意味のことを申し上げたわけでございます。しかし、根本的に考えますと、いまお話のように教育の問題は、特に最近テレビが普及いたしまして以降における、放送における教育の問題というものは非常に大きな問題でございまして、教育問題は学校教育問題だけを解決しても解決する問題ではございません。やはりこの放送における教育の問題を同時にあわせて解決する、こういうことにしないと、ほんとうの解決にはならぬと思います。したがいまして、全部の関係者が寄りまして、非常に高い立場から、国全体の方向として検討を重ねていくということが必要なことであろうと思います。そういうふうに考えました場合に、ただ単にいま見込み割り当てのUの波を教育用にどう使うかということだけではなしに、十二チャンネルの問題をどうするか、あるいはその他、民放における教育放送という問題をどうするか、教養番組をどうするか、こういうすべての問題を含めまして、私は再検討しなければならぬ時期にきている、こういうことを痛感しておるのでございます。
  148. 久保等

    久保等君 だから私の申し上げたのも、そう大して大きな違いはないかと思うんですが、だから私は何か省対省の間の話のような形で議論されていくようなことにならないように、いま申し上げたように、いわば内閣全体が取り組むべき問題だと思うし、同時にまたできるだけ広範な、民主的なところで議論をし、それを煮詰めていったものに基づいてやっていく、政府そのものが中心になったような形でものを考えていくということになりますと、これはたいへんなまた収拾のつかないようなことになっていく可能性もあると思うのです。だからそれだけに、ひとついま私が申し上げたような方向で議論せられたり、だんだんと話が煮詰めていけるように、郵政大臣立場からはそのイニシアというか、そういうひとつ労をとってもらいたいと思うのです。どういう経営形態にするかということについても、これはもうなかなかむずかしい問題ですけれども、しかし、NHK自体は長い間の一つの教育放送——広い意味での教育放送を今日までやってきておる経験もありますから、したがって、それに対する批判ももちろんあるでしょうが、いろいろ貴重な体験も持っておるのですから、そういうようなものも現実には参考にできるわけですから、私は、あまり変な形で、なわ張り争い的な形にこの問題が発展していかないように、いまからひとつ十分に御配意を願いたいと思うのです。そういう点でひとつ大臣があまり時期を失したり、タイミングをはずしますと、単に郵政省だけでやれる問題でないだけに、証文の出しおくれみたいにならぬように、ひとつ適宜適切にこの問題と取り組んでもらうようにお願いを申し上げておきたいと思うのです。大臣いかがですか。
  149. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) お話の御趣旨には全く賛成でございます。各方面の意見を聞きまして、間違いのないようにやっていきたいと思います。
  150. 久保等

    久保等君 それじゃ最後に、これは前々からこの逓信委員会でも何回となく言われている問題は、例の放送法・電波法の改正問題についてなんですが、これも一向に、どうも郵政省何を考えてどうしようとしているのか、沓として実はわからないわけなんですが、郵政大臣もお聞きになればなるほど、なかなか容易でないわいというふうに、最近はお考えになっておるんじゃないかと思うのですけれども、それこそ長い長い経過がありまして、とどのつまり昭和四十一年に法案が国会に出されて審議をしたこともありますし、いろいろ与野党で話し合って結論が一応出たのですが、ときすでにもう国会の会期末で時間切れということになって、その後今日に及んでおるのです。しかし、前々から言われておりますし、だれからもよく言われることですが、免許問題等、しかしそういったような法律改正がないからといって、全然手をつけないというわけにもいかぬから、緊急の問題というときには、手をつけてやっているのだけれども、これもわれわれから見ると、どうも電波の免許問題、先般来問題になっておるFMの問題についても、これは何か非常に不明朗な問題を私ども散見するのですけれども、問題はだから根本問題、放送・電波の憲法とも言うべき電波法なり放送法そのものを根本的にやはりできるだけ早急に片づけなければならぬという問題があるわけでありますが、大臣がかわるたびに、また検討検討ということになって、一体どういうことになるだろう、われわれ非常に大きな心配をしているわけなんです。電波の割り出て問題をめぐり、ここ数年来のいろいろな不明朗な問題は、これはもちろん厳重に政府、特に郵政大臣である河本さんに、郵政大臣という立場でこれは大いに反省をしてもらわなければならぬ問題も一つあるし、それから同時に放送法・電波法の改正問題について、ほんとうに具体的な日程をつくって取り組む。なおかつ事務当局で検討せられておって、結論が出なくて悩んでおる問題ばかりだと思うのだけれども、そういう問題があれば、こういった面、こういった問題については、こういう考え方もあるし、こういう考え方もあって、一体いずれにすべきかというようなことをいろいろ討論の場に乗せるぐらいに私は積極的に出してもらいたいと思うのです。だからこういう点、こういう点についてなかなか結論が出ないので——ひとつわれわれそのものが十分議論できるような、あるいはまた国民一般からも私は世論の反映を期待することでいいと思う。ところが事務当局は何をやっているのかわからぬ。悩んでおることは顔見ただけでわかるのだけれども、しかし一向に、一年たって前向いておるのかうしろ向いておるのか、そこらがあなた方、沓としてわからない。放送法・電波法の改正問題ということになると、私も国会に出て十六年になりますけれども、国会に出て二、三年した——いまから思い起こしても、それこそいま、くしくもいま放送部長をやっておる左藤さんのお父さんが電気通信委員長をやっておられたときに、私も電気通信委員会の理事をやっておって、地方に出て電波法・放送法改正の問題について、実は実質的な意味の公聴会みたいなことを開いた、十年余り前になりますよ。ひとつ早急に時代に即応する電波法・放送法をつくろうと十年余り前に地方に出かけて、そんなことをやったことがあるんですよ。そういうことを考えてみますと、その電気通信委員長の息子さんが、いまや電波・放送の行政を担当する中心人物になるというような、時代は変わっているのに、一向にどうも前向きで問題が表面に出てこないなどというのは、これはわれわれも大いに反省しなければならないので、これは何といっても政府、郵政大臣がしっかりしてもらわなければならぬと私は思うわけですが、もし問題があって結論が出ないならば出ないなりに、大いにひとつ世論を巻き起こせばいいと思う、議論を出させればいいと思うのですよ、各方面から。落ちつくところに落ちつきますよ。それをできるだけ何とかそっとしておいて、さっと出してさっと手ぎわよく法律案を通してやろうという考え方を持ちますと、これはなかなか賛否両論、いろいろ意見が錯綜すると思うのですよ。そんなことは、私は前もって覚悟しているんですよ。ひとつ堂々として胸を張って煮詰めた結論を出して、もうむしろ逓信委員会に中間報告をするなり、これはこういう意見があるがどうでしょうぐらいにはかっていけばいいんで、別に悩むことは何もない。さっきから言っているように、だれのための放送法——国民のためのですからね。私は、こういう方針ですがどうでしょうぐらいでやればいいと思う。そういう具体的な提案をした。ところが中間報告なり提案を聞けないということは、非常に残念だと思う。幸い非常に、先日の逓信委員会でも、人事問題にあたっても非常に誠心誠意という御答弁をなさっている河本さんですから、この問題についてはもちろん、それこそ誠心誠意取り組んでおられると思うのですけれども、ぜひひとつ、これが単にときの頭の大臣の意向によって、浮かんできたりまた消えていったりするということのないように、この問題については、早急にひとつ片づけるということで、ほんとうにひとつ取り組んでもらいたいと思うのですけれどもね。  こんな話も、逓信委員会で数年来やっている議論なんですけれども、去年のいまごろの小林さんの答弁を速記録で見ても、いやもう具体的な日程をつくってやって、ぜひひとつ早急に結論を出したいということが速記録に載っていますよ。同じようなことばかり速記録に載せないように、積極的にひとつ取り組んでいただきたいと思う。  特に例のFMの割り当て問題等をめぐって、非常に不明朗な話を聞くのですけれども、こういったようなことについても、当面の早急に解決する問題についても、ぜひひとつ大所高所から公平無私な裁断を下し、片づけなければならぬものは片づけていただくが、しかし、長期計画にわたりまた根本的な問題にわたって、やはり放送法なり電波法をぜひ改正し、その上に立って扱うのだという態度というものをひとつ明確に堅持してもらいたいのです。そうしないと、大臣の任期中に、何とかひとつ比較的手のつけやすいもの、そうしていろいろあれこれ考えて損にならぬようにというような配慮をした電波の扱いなんというものは、邪道の邪道、私は許しがたいことだと思うのです。まあ、あまり具体的な中身については触れないのですけれども、ぜひひとつそういう立場でやってもらいたいと思うのですが、抽象的な話で恐縮ですけれども郵政大臣、いかがにお考えになりますか。
  151. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 放送法改正の問題につきましては、お話のように、現在の放送法ができましてから、もうすでに二十年近くになりますし、先般来の諮問、答申、それから国会における審議、それからこれが廃案になったいきさつ、そういう一連の動きがずっと続いておりまして、放送法改正の必要ということにつきましては、ぜひやらなければならぬということを私は痛感をいたしております。そこで私は作業を急がしているのでございますが、ただいまのところ、はっきりといつごろになるということを申し上げるまだ段階ではないのです。しかし作業の過程におきまして、問題点があったらこれを明らかにして、各方面の意見を聞きながら前進をさせるようにしたらどうかと、こういう御意見、これも全く賛成でございます。いろいろな方法を考えながら、早くこの案ができるように、一段と督励したいと思います。
  152. 久保等

    久保等君 だから私、具体的に提案しておきますが、せめてこの国会の適当な機会に、中間報告をひとつやってもらいたいのですがね。中間報告といったって、一体どの程度の中間報告か、これまたいろいろ悩まなければならぬ問題があるのかもしれぬですが、ひとつぜひ適当な機会に、現在の作業状態はこういう状態なんだというようなこと、これはもうコケがはえたり手あかがついたり、たいへんなもう年月たっているのですから。私の申し上げること、そう無理じゃないと思うのですが、まあ、何月何日ごろに改正案を提出ということが困難ならば、いまの作業状態はこういう状態になっていますということを、来月かしかるべく比較的早い機会に、一ぺん中間報告してもらいたいと思いますが、いかがですか。
  153. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いつ中間報告ができるか、これははっきりお約束できませんけれども、できるだけ早い機会に中間報告をさしていただきたいと思います。
  154. 鈴木強

    ○鈴木強君 ちょっと関連して。大臣ね、両法の改正については、もう私たちの認識は、この国会におそらくもう提案できないだろう、こういう判断を持っているけです。だから久保委員のように中間報告ということが出てきたと思いますけれども。それは別として、いま大臣のお答えになっているそのままを受け取りますと、まだこの国会に出せるように受け取れるのです。ですからわれわれちょっと迷うのです。したがって、おそらく予算関係法案以外のものでも、三月一ぱいに提案するという内閣の方針じゃないでしょうか。そうしてみますと、きょうは二十五日になっているわけですから、いろいろいままでもわれわれ大臣に伺ってきたわけですけれども、残念ながらこの国会には出し得ない、こういうようにぼくらは判断を率直にしているわけです。だからこそ免許の問題についても、行政そのものが一向にこの方向に、臨調等の答申の線に沿ってやれない中で、免許行政が進んでいくからいろいろな問題が出てくるし、大臣も苦労されておる、こういうようにぼくら思っているわけでしてね。本来でしたら、法律改正して放送行政委員会をつくっておやりになれば、国民はほんとうに電波が公正に割り当てられていくということを信ずるわけですけれども、いまの形では、どうも不明朗なものが次から次へと出てくるのじゃないかという気持ちを率直に持つわけですよ。だからいまの段階で、いいかげんに、出るのだか出ないのだかわからぬようなことではなくて、出せるなら出せるというように言ってくださいよ。これは四月になっても、五月になってもこの国会中に提案して、とにかく審議してもらいたいんだというなら、そのようにはっきりしてもらいたいと思うんですよ。そうしないと、ちょっとわれわれも迷ってしまうし、また計画が立たぬわけです。
  155. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今国会にまだ出せるか、出せないかというはっきりしたことをいま申し上げることはちょっとむずかしいと思うんですが、出せるようにいろいろ作業をやらしておるんです。しかし、なかなか思うように進みませんので、あるいは間に合いかねるかとも考えております。
  156. 久保等

    久保等君 じゃ、私ちょうど一時になったから最後に、いまの問題について、大臣にお願いしておきたいと思うんですが、やっぱり放送だとか電波関係の問題は、非常に利害関係がからむ問題ですから、賛否の意見を求めればもちろんその反対賛成、これは猛烈にせり合うことはこれは当然だと思うんです。だからその場合に、大臣がやはり大臣の姿勢にひとつ問題があると思うんです。それとたまたまいま鈴木委員が放送行政委員会というか電波の割り当てに関する委員会みたいなことについてちょっと触れられたんですが、これは全く私のここでの私見ですから、私見として聞いておいてもらいたいと思うんですが、一郵政大臣が電波問題について割り当てを独断的にやることに比べれば、やっぱり私は決議機関としての委員会みたいなものをつくってやる。しかし、そうすると、じゃ一体行政府の長たる郵政大臣の責任問題は一体どうなるのだという問題があるんですよ。それならこれは私のひとつの私案ですけれども郵政大臣を長とする委員会を設ける、で、各委員は、これはまた権威のある内閣が推選して、両院でもって決定をするような権威のある委員を任命する。で、五名がいいのか、七名がいいのか知らぬですけれども、そういうもので構成をしてそこでもってきめる、これこそ、さっきの経営委員会じゃないけれども、可否同数のときには委員長がきめればいいし、そうでないときには、多数意見によってきめるというような民主的な委員会、しかも大臣を長として、大臣の関連も考えながら大臣委員会委員長になるというようなことも、これもひとつの案じゃないか、これは社会党の案でも、何でもないですが、これは私のひとつの案ですけれども、そういう形で行政的な責任の所在、同時に運営については、明朗な民主的な運営をやっていくというような組織も考えれば考えられないこともないのだろう。それがどこで悩んでいるのか知らぬけれども、それが全然前進をしない、一向に日の目を見ない、まあ大臣はおそらく長く大臣をやられるのでしょうけれども、またこれで大臣が交代でもされるなんていうことになると、これはまことに私は、この点では歴代内閣だらしがないと思います。歴代内閣というか、郵政大臣そのものが、だからいの一番にやるべき問題は、この問題だろうと思うのです。事務当局は事務当局で、大臣が就任すれば、いの一番にこの問題についてはかようかくかくの計画でこうなっておりますから、ひとつこれに対して、判断迷う点については、この点はどうか大臣がひとつ決裁をしてもらいたいというくらいに煮詰めておかないと、大臣がかわって大臣の意向によって出したり引っ込めたりするような程度の準備状態ではだめですよ、だからいずれにしても、この問題については、私は何も拙速でやれといってやかましく言っているのではないのです。拙速でとにかく何が何でもこうせいということを言っているのじゃなくて、十年以来の経過をながめて、とにかく長い気持ちで気長に扱ってきているつもりでながめて、もう結論が出たって早いどころじゃなくておそ過ぎるのじゃないかと、こういうことを申し上げておるわけですから、ひとつそのあたりのところを大臣ぜひひとつ、単に河本郵政大臣じゃなくて、郵政大臣の全体的な流れの中でひとつ解決をするのだということでお取り組みを願いたいと思うのですが。
  157. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ただいまの御意見、参考とさしていただきまして作業を進めさしていただきます。
  158. 久保等

    久保等君 これで終わります。
  159. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 午後二時まで休憩いたします。    午後一時四分休憩      —————・—————    午後二時十九分開会
  160. 永岡光治

    委員長永岡光治君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  本件に対し、質問のある方は順次御発言願います。
  161. 松本賢一

    ○松本賢一君 少し質問をさしていただきますが、何しろ私はこの委員会で初めて質問をいたしますので、何にも知りませんので、皆さんの質問をなるべくよく聞いていたかったのですけれども、皆さんのを聞くというわけにもいきませんし、ほんとうは聞いていてもよくわからないところもずいぶんありましたし、重複したりあるいは少し聞かなくてもいいようなことを聞いたりすることもあるかもしれませんけれども、なるべくわかりやすくお答えいただきたいと思います。  まず、放送全国普及といいますか、そういう問題についてお伺いしてみたいと思うのですけれども、せんだって、前田会長の御答弁を聞いておりましたら、四十四年度というものは、長期構想といいますか、五カ年計画の第二年度だと、こういうことをおっしゃったわけなんですが、その五カ年計画というものを簡単にどういうふうなことになっているのか、お話し願えませんでしょうか。
  162. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) お答え申し上げます。  五カ年構想と申しますのは、大体二回の長期計画が完了すると同時に聴視料の料金が変わりましたので、それと関連して五カ年間の仕事の進め方をどうするかという一応の柱とめどを決定したものを、これまでと異なって、計画と言わずに、構想と申し上げたわけであります。その理由は、今後五カ年間にかなり大きな変化があり得る。まあ、財政的に見て、カラーテレビというものがどれほど五カ年間に伸びるかという問題を土台にして、NHK事業というものがどういう形になるか。たとえば、十年来から続けてきたFMの実験ないし実用化試験放送が本放送となる時期、それからまた、UHFの最後の波の割り当てがどうなるかというような問題、そういうものを勘案しながら、同時に最終的に経営の合理化、近代化を達成する。そういう意味で五カ年構想というものを一応立てたわけでございます。この五カ年構想の大体、財政的な面で申しますと、料金の改定によりまして、五カ年構想の四年目に改定以前の財政的実力と申しますか、ノミナルでない、価幣価値との関係もありますが、それを回復する時期というのを大体四年後に考えたわけでございます。そういう財政的計算を基礎にしまして、少なくともテレビジョンのカバレージを五カ年後には九八%にする、こういう目標を立てました。この目標を立てる際のテレビジョンのカバレージは九五・五%でございます。したがいまして、御審議をいただいております明年度事業計画の中では、この九五・五%をどの程度引き上げていくか。簡単に申しますと、五カ年構想では、要するに約二・五%を年次を追って引き上げていくという考え方でございます。  それから、中波の放送網につきましても、構想策定のときの、いわゆる第一放送については、すでに九九・七%になっておりますので、したがって、五年後も大変化はございません。第二放送につきましては、九八・六%が構想策定のときのカバレージでございまして、これを期間中に〇・二%ふやすという考え方、したがって、五カ年の最終年度末には九八・八%になるという構想を立てました。それから、また、放送時間から見た、いわゆるカバレージと申しますか、聞いていただくカバレージと申しますか、それを大体構想策定のときは、八七%でございましたが、これを期間中八%ふやして、最終的に九五%に持っていくという考え方でございます。また、この構想の土台としてのいわゆるカラー放送時間、これについては、四十二年度、すなわち、この構想を立てたときには、一日七時間三十分でございました。これを五年後は十五時間にというのが目標でございまして、したがいまして、時間中の増加時間は、七時間三十分でございます。  大体以上のことを、一応の目安として財政計画等を土台にして、五カ年間の方向を策定したわけでございます。
  163. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、これも先日伺ったんですが、ちょっとはっきり理解できなかったんですけれども、現在百十万世帯ですか、テレビの見えない世帯が。それが五年計画によってだんだん減っていって、いまおっしゃった九八%になるわけですか。そうやって減らしていって、最終的に何か私の理解では三十万世帯というものが、結局は見えないままで残るのじゃないかという気がしたのですが、もしそうだとすれば、その最終的に残る三十万世帯というものに対する対策は、どういうふうにお考えになっておるか。私の理解が間違いかもしれませんけれども
  164. 佐野弘吉

    参考人佐野弘吉君) ただいまの御理解のとおりでございます。ただ、この三十万をいかにして救うかという点につきましては、いまのところ、ただいまの長期構想の中では、この救済計画の中に入っていないという状態でございます。いまと申しますのは、さしあたり四十七年度までに、私どもが全体の百十万の救済をいたすということで、置局によりあるいは共同聴視施設によりそれぞれ三十五万ぐらいでございますが、それを救済していく、残余の三十万が、ただいまのところではまだ残る。こういうような数字的な割り振りになっておりまして、この残余の三十万をいかにして救うかということは、いま必ずしも具体的な措置をとるという段階に至っておりません。
  165. 松本賢一

    ○松本賢一君 そこで三十万というものは、全世帯からのパーセンテージにすれば、非常に小さいものであるかもしらんけれども、三十万という数は、相当大きな数だと思うので、これをまだどうするか計画も立っていないというようなことでは、少し残念のような気がするのです。  そこで、大臣にお伺いしてみたいと思うのですが、今日、テレビというものは、もう国民生活の必需品で、なくちゃならぬものだと思うのですが、三十万世帯というものが、五年後になってやっぱり残されるということに対して、何か対策をお考えになっておられるかどうか。これはNHKとしてはいろいろ財政の問題もありましょうし、いろいろあると思うんですけれども、私、しろうとでちょっと考えてみるのに、ちょうど今日のテレビなんというものは、道路みたいなもので、テレビがその家まで行かないということは、もう道路がないのと大差がないくらい、不便なものだと思うのです。そういう意味で、国が、ある程度、やっぱりそういう点は考えて、NHKでは国から補助をもらわないということで、非常にひとつのプライドになっているような感じがするのですけれども、そういったようなことを一応抜きにして、ちょうど道路をつけるときに国庫補助が出るように、国庫補助をしてでも、早急にそういうものを解決していくというようなお考えはいかがでしょうか。
  166. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 電波行政の根本は、全国漏れなく複数のテレビが鮮明に見えるようにするというのが、この根本の方針だと思います。NHKも、また、その使命から申しまして、全国漏れなくNHKテレビが見えるようにすべきだと思います。ただ、一挙にこれをすることができませんので、先ほどNHKのほうから申し上げたような答弁になったんだと思いますが、当然、引き続きまして残る三十万に対しても、私は見えるようにすべき何らかの手を打たなければならぬと、こういうふうに考えております。
  167. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、いま私が言いました、国が金を出してでもやらせるべきだというふうにお考えでしょうか。
  168. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 国が金を出してでもというところまでは考えておりませんが、NHK自身が、私は、まずそれをやるべく具体的な計画を立てるべきだと思います。
  169. 松本賢一

    ○松本賢一君 じゃ、NHKのほうからお答えいただきたいのですけれども、その点どうでしょうか。
  170. 野村達治

    参考人野村達治君) 先ほど佐野務理事からお答え申し上げました約三十万世帯と申しますのは、かなりばらばらになっておりまして、十世帯あるいは二十世帯程度のものがかなりばらばらになっておりまして、いまのところでは四十七年までにはちょっとうまいそのサービスのしようがないということで、一応そこまでのところでは置いてあるわけでございますけれども、今後、放送衛星等のようなものが出てまいりました際には、それと共同受信を組み合わせるといったような形で、ぜひその次の段階で考えていきたいと考えておる次第でございます。
  171. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、放送衛星といったようなものを利用すれば、それの解決がつくのですか、技術的に。
  172. 野村達治

    参考人野村達治君) 放送衛星と申しましても、いろいろな段階がございますが、現在、アメリカ等で言われておりますようなかなり強力な放送衛星といったような形のものが出てまいりますと、かなり直接受信に近づいてまいります。したがいまして、そこまで至らない段階におきましても、共同受信とそういったものと組み合わせることによりまして、かなりサービスができる可能性が出てくると考えております。
  173. 松本賢一

    ○松本賢一君 ひとつできるだけ早くそういったこれは、おそらくへんぴな山の中のようなところの人だと思うので、なおさら待ちに待っておられるだろうと思うので、ひとつできるだけ早くお願いしたいと思います。  それからUHFの問題が出ましたけれども、これは、どうも私、不勉強のせいか、UHFとかVHFとかということばの事実だけしか知らないのですが、これはどういうことですか。
  174. 野村達治

    参考人野村達治君) これは電波の波長で分けてございまして、VHFと申しますのは、波長が約一メートル半から三メートルくらい電波を。
  175. 松本賢一

    ○松本賢一君 ことばは……。
  176. 野村達治

    参考人野村達治君) VHFはベリー・ハイ・フリクエンシー、それからUHFはウルトラ・ハイ・フリクエンシーでございます。  で、放送に使っておりますVHFの電波波長は一メートル半からほぼ三メートルに及んでおります。それからUHFのほうは波長が約七十センチメートルから四十センチメートルぐらいに及んでおるわけでございます。したがいまして、その電波の性質が、波長が短くなりますと、非常に光に近づいてまいります。と申しますのは、電波の長いものですと、いろいろな妨害物がありました場合に、その角を曲がりまして裏側に回って到達する。ところがUHFのほうになりますと、そういった現象が非常に少なくなりまして、角がはっきりしたものが出てまいりまして、裏側では受信ができにくくなるというような点が特徴でございます。同じようなことは、地球の陰に回ってまいります場合にも、VHFのほうは地球の陰にかなりな程度回ってまいりますが、UHFのほうはそれが比較的少ないということでございます。
  177. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、これもこの間そこでお話しになっておったのを聞いておったのですが、このVHFのほうは何か移動放送に向いているとか、それはどういうわけになるのですか。
  178. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 従来から移動体にこのVHF帯が非常に早くから使われておりまして、したがいまして小さな無線機で相当遠方までよく届くという、こういった特徴がいままで生かされてまいりまして、移動体に対する無線機の需要というものが非常に多くなりまして、したがって、需要は多いのに供給のほうはそれ以上ふえないということで実はとまってしまったので、VHF帯をあけて、そういった移動体に使いたい、こういうのがVHF帯からテレビをUHF帯に移したい動機と申しますか、理由でございます。
  179. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、警察とか消防とか、あるいはまたタクシーなんかもよくこうやっておるようですが、ああいうものがVHFでやっておるわけですか。
  180. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 自動車に用いられている無線はほとんどVHF帯でございます。
  181. 松本賢一

    ○松本賢一君 まあ、しろうとがこんなこと聞いて時間をとるのもあれですけれども、それは波の数というものは、一体幾つぐらい取れるのですか。
  182. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いまはたしか移動体に使う無線の場合には二十KCで一波取れる。それからテレビの場合には六千KCで一チャンネルと、こういうことになっております。
  183. 松本賢一

    ○松本賢一君 よくわかりませんけれどもテレビの場合には六千、それで移動の場合には二十、それはどうしてこんな大きな開きがあるのですか。
  184. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この技術的な説明はちょっと私にあれでございますけれども、要するにテレビ一チャンネルで移動無線にしますと三百波分と、こういう計算になるわけでございます。
  185. 野村達治

    参考人野村達治君) ただいま申し上げました……。
  186. 松本賢一

    ○松本賢一君 あんまり時間とらないで簡単に一つ
  187. 野村達治

    参考人野村達治君) 移動無線と申しますのは、普通電話を扱っておる電話通信でございます。それから片っ方のテレビジョンのほうは映像を送ると、映像と申しますのは非常に情報量が多いものですから、そこで周波数の幅が非常にたくさん要る。したがいまして、普通の電話が二十キロサイクル必要ですと、六千キロサイクル、約三百倍の幅が必要になるということになるわけでございます。
  188. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、そのUHFのほうだと、まあ私ども解釈、理解しているところでは、それよりもっともっとたくさん取れるのじゃないかという気がするのですけれども、そうすると、そのUHFのほうがむしろそういうことに向いているのじゃないかという気がするのですけれども、そうじゃないですか。
  189. 野村達治

    参考人野村達治君) 先ほど電波監理局長から御説明ありましたように、従来移動用の電話通信に使っておりましたが、無線といたしましてはVHFの波を非常によく使っておりまして、それが便利だということが一つあります。それからもう一つは移動して、たとえば自動車なりあるいは汽車、あるいは飛行機なんかでもそうでありますが、いろいろな妨害物がありますとその谷間に行きましたときにUHFですと、電波が消えてしまうというようなことがありまして、そういう意味からは、移動体はかなり条件が悪いものですから、なるべくVHF帯を使ったほうが有利であろうということが言えると思います。もちろんある程度の途中途切れることも覚悟いたしますと、UHF帯でももちろん移動無線電話はできるわけであります。
  190. 松本賢一

    ○松本賢一君 そういうことでUHFのほうがテレビには都合がいいということになるだろうと思うのですが、VHFではもう限度がきているといったようなことで、そこでUHFに早くやれというふうに大臣も意見をつけておられるわけですが、これたいへんな金がかかるということですが、せんだっても会長は三千億くらいかかるというような大まかなお話でしたけれども、そういうことをおっしゃっておったようですが、いままでには、このUHFに対してどのくらい金をかけて、どのくらいの数やっていらっしゃるのか。それから将来にわたっての三千億、概算でしょうけれども、そういうものは一体どういうことになるのか、大体説明願いたい。
  191. 野村達治

    参考人野村達治君) 私どものほうのテレビジョンといたしまして、主要な局はVHFを使ってやっておりますが、小さい電力のいわゆるサテライト局と申しますか、中継局の中には、UHFを使っております局が約三百局ございます。それから先ほどちょっとお話が出ましたVHFを全面的にUHFに変更するという問題の総経費につきましては、現在郵政省との間に専門委員会を持ちまして、いろいろ検討いたしておる次第でございますが、具体的にはチャンネルプランがきまりまして、どういったようなところに、どういうふうなものを置くというようなことがきまらなければはっきりいたしませんですが、それにいたしましても、かなりな額が必要であろうかと存じております。従来VHFだけの、並びにUHFの中継局をひっくるめましたもので、約二百五十億くらいの投資をいたしておりますが、それに比べますと、やはり何倍かになろうかと思います。少なくとも送信設備を置きますだけで、もちろんそれ以外に、いろいろなあるいはUHFになりますために、都市の中での谷間の問題をどうするか、あるいはVHFとUHFの両者が同時に出ているときの問題、そういったときの問題をいろいろこれから精密に当たってみませんと、どれだけ必要かということはちょっと申し上げられないと思います。
  192. 松本賢一

    ○松本賢一君 全面的にUHFに切りかえられるのは、何年計画くらいですか。
  193. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 大体十年を目途にいたしております。
  194. 松本賢一

    ○松本賢一君 全部UHFに切りかわると、そのテレビのいまチャンネルが十二までありますね、普通それが幾つくらいまで可能になるんですか。
  195. 野村達治

    参考人野村達治君) 五十チャンネルになります。
  196. 松本賢一

    ○松本賢一君 そこで三千億とおっしゃったのが、実際にどうかまだはっきりしないようですけれども、いずれにしても、たいへんな金がかかるのですが、その十年計画でNHKとして自前でその切りかえをやっていけるということになっているんですか、よく私ども見当つかないけれども
  197. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) この間もお答え申し上げましたように、建設費そのものは、たとえばいま技師長がお答えした三百局にいままで七十億かかっております。まあ私ども考え方は、まだ非常に精密な計算をしているわけではありませんけれども、これを十年間で置きかえるという場合に、考えなければならないもう一つの問題は、単に建設費、UHFの局が何局要るか、その建設費は幾らになるかという問題と並行して、一年、最終的にもかなり二、三年間並行した経営をしなきゃいけないということが問題になってくると思います。その事業運営費も一応考えておかなきゃいかぬだろう、ただそれができないのかということになりますと、それはやはり財政計画を立てることによって十年間という命題が出れば、その十年間の中ではどう調整していくかという問題になると思います。結論的に申し上げれば、国の政策が十年間で置きかえるという場合には、NHKとしては当然それに即応する事業計画を立てるべきだし、それによって聴視者に迷惑をかけないというたてまえで、その年次計画を立てなければいけない、このように考えております。
  198. 松本賢一

    ○松本賢一君 それは計画をお立てになっておやりになるのですから、間違いないと思いますが、そうすると、来年度にでき上がる予定をしておられる百八十局とか、着手される百四十局とかといったような数字が上がっておるようですが、こういうものはVHFの局なんですか、UHFの局なんですか、それとも両方あったり、将来すぐ切りかえがきくといったようなものなんですか。
  199. 野村達治

    参考人野村達治君) 百八十局のうち本年度から着工しておるものもあるわけでありますが、すでに御承知のようにその中にはVHFの局が三十ございます。それ以外には全部UHFで考えております。それから来年度着工いたしますものにつきましてもUHFで考えております。
  200. 松本賢一

    ○松本賢一君 切りかえはわりに簡単にきくわけですか、将来VHFでつくったやつは。
  201. 野村達治

    参考人野村達治君) 中継局の施設といたしますと、山頂に置きますアンテナあるいは受信機あるいはそれを格納します小屋ないし箱といったものがございますし、それから下のほうにおろしてまいりまして送信機がございまして、それをここに置きますアンテナあるいは送信機あるいは小屋といったようなものがございますが、その中で送信機並びにアンテナはかえなければならぬかと思いますが、それ以外のものはかえる必要はない、全体といたしまして送信機並びに受信機の設備費というのは、全体の設備費にいたしますと約四〇%ぐらいでございますので、そのぐらいの費用をかければかえることができるというふうに考えております。
  202. 松本賢一

    ○松本賢一君 それじゃUHFの問題はその程度にします。  それから超短波の問題があるようですが、これは普通FMといっているものらしいと思うのですが、これもさっきのあれですが、FMというのはどういうあれですか。
  203. 野村達治

    参考人野村達治君) ちょっと御説明をするのはむずかしいかと思いますけれども、普通のラジオの放送はラジオの電波の強さを変えておるわけでございます。それによりまして音楽なり音声を送る、それからFMと申しますものは、ラジオの電波の周波数を変えまして、その中に音声なり音楽を乗っけておる、そういう違いがありまして、片っ方は強さ、片っ方は周波数、おのおの特徴がございまして、たとえばFMと申しますものは、雑音なんかには非常に強い。そういうような特徴がございますが、ただし、電波の波の幅は広く必要であるというようなことが特徴でございます。
  204. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、このFM放送でいけば、中波と違って、外国から中波でもって大きな電力で送ってくるのがじゃまになる、そんなようなものを防ぐのに非常に便利がいいというように聞いているんですが、そういうことにも今後FMを使っていかれるわけですか。
  205. 野村達治

    参考人野村達治君) FMの使いようといたしましては、いろいろな使いようがあろうかと存じますが、一つは非常に高品質、たとえば雑音に対しまして非常に強いという意味では、高品質の音声放送ができる。それからもう一つは、中波と違いまして、遠方から、海外からの電波等は参りませんので、そういった意味の混信はないということでございます。そういう意味では、ここしばらくの間、中波の大電力化といったようなことが進みますまでの間は、少なくともたとえば日本海岸沿岸の地方でありますとか、あるいは九州地方等、アジア大陸方面からの強力な中波の電波の参っておりますところにつきましては、夜間これにラジオ第一放送なり、あるいは第二放送の音声番組を乗っけまして、ラジオ放送のかわりをさせるということを考えております。
  206. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、ちょっと考えますと、FMというものが、そんなにきれいな音波で混信のないということになったら、中波というものはなくても、FMばっかりでいったらよさそうなもんだという気がするんですが、その点どうなんですか。
  207. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 電波は御承知のとおり国際的に割り当てがございまして、中波にいたしましても、ここからここまではこの局、個々の局というよりもその地帯でございますけれども、割り当てがございます。したがって、そういった意味においては、日本で使う、何と申しますか、権益と申しますか、そういうものでございまして、したがって中波もできる限り、これはいまのところ外国電波との混信で十分には使えない波もございますけれども、極力割り当てられた波を、権益を活用してまいりたいと、こういうことで、大電力にして使っていきたい、こういう考え方でございます。
  208. 松本賢一

    ○松本賢一君 そこのところよくわからのですけれどもね。中波というものになごりがあるような話も、ちょっとそんな感じもするのですけれどもそんなものこだわらなくたって、よく聞こえるほうがいいんじゃないかという気がするんですけれども、その点どうなんですか。たとえば外国へ送るというようなときには、FMじゃそこまで届かない、中波なら届くんだといったようなことがあるわけですか。
  209. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いま申し上げたほかに、やはり広い範囲に、何と申しますか、中継局もあまり置かずに届かせるには、FMより、ずっと中波のほうが容易にできると、こういうFMの先ほど御説明がございましたが、それと引っくり返しに、中波もいいところがあるわけでございますので、そういった意味で、できるだけ広範囲に、同じ番組を送ろうとする場合には、中波の、音質をあまり言わない普通の話ことばでやるような放送だったならば、中波で十分いける、こういうことで中波には中波の生かす道がある、かように考えておるわけでございます。
  210. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、FMというものは、補助的にお使いになるわけですね。外国には届かないのですか、FMというのは。
  211. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 外国に届かしているのは短波でございまして、中波も同じく国内向けでございますけれども、音質をあまり言わない放送で、しかも広範囲に届かせたいという場合には、中波を使うと、いままではその中波が主体になってまいったわけでございます。が、今後は先ほど説明がありましたとおり、FM放送の特質を非常に高品位の音を出す放送ができるFM放送を用いていく、それと同時に、外国からの中波の混信とは関係のないFMの波で、何と申しますか、県単位ぐらいの範囲の放送をやっていこう、こういうことでございまして、それと同時に中波放送はもっと電力を大きくいたしまして、広範囲に同じ番組を届かせるようにしたい、こういうふうな考え方でございます。二本立てでございます。
  212. 松本賢一

    ○松本賢一君 二本立てもけっこうだと思うのだけれども、まだよくぴんと来ませんけれども、しようがありません。  そこでFMというのは、非常にきれいな波だから、これはこの間も音楽放送の話が出ておりましたが、かようなものに主として使って、また一方では、中波の都合の悪いようなところへ補助的に使っていくのだと、そういうふうに一応理解して大きな間違いはありませんか。
  213. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 両々相待ってでございまして、どちらが補助的かということになりますと、ちょっとこれはFMが補助的とは言えないことになろうかと存じますが、両々相待ってやっていこうという考え方でございます。
  214. 松本賢一

    ○松本賢一君 ところで中波の大電力の問題をちょっといま局長おっしゃいましたが、予算書によると、秋田へ来年度おつくりになるというようなことですけれども、秋田というところは、何か特別にそういう事情があるわけですか。
  215. 野村達治

    参考人野村達治君) 従来第二放送の大電力局を置きましたのは、東京と大阪に置いてございます。こういった大きな電力の局の夜間の電波の特に有効な範囲と申しますのは、その局から約三百キロメートルから、八百ないし、千キロメートルの範囲が夜間の電波として、きわめて有効でございます。そういたしますと、日本海沿岸に対しますと、新潟の少し先から、山陰地方に至りますところを考えてみますと、東京にしましても、大阪にしましても必ずしも十分ではない、そういう意味で秋田という地点を選びまして、夜間の二次サービスをはかるということを考えておるわけでございます。
  216. 松本賢一

    ○松本賢一君 そのほかはどうですか、現在東京と大阪は何キロですか。
  217. 野村達治

    参考人野村達治君) 現在東京は三百キロ、大阪も三百キロでございますが、今度置きます秋田は五百キロにいたします。
  218. 松本賢一

    ○松本賢一君 そのほかの御計画は。
  219. 野村達治

    参考人野村達治君) あとの計画といたしましては、いままで郵政省といろいろ御相談を申し上げておりますが、北海道並びに九州にあと一つずつ置くというようなことで、夜間はその五つのものをもちまして、ほぼ完ぺきにいくだろうというように考えております。
  220. 松本賢一

    ○松本賢一君 大体わかりました。  それじゃ、次に国際放送のことについて少し伺って見たいのですが、これは放送法を見てみますと三十三条ですか、それがちょっと書いてあります。また、三十五条に、国の費用負担のことが書いてあるのですけれども、四十四年度の予算には、七億何がしの予算が組んであり、それから国のほうの負担金として一億四千万というものが組んであるのですが、   〔理事鈴木強君退席、委員長着席〕 これはどういう関係になるのですか。国が全額負担するということじゃない。この七億の中には、国が負担しなくてもいい部分が大部分あって、それで国の負担しなければならぬ部分が一億四千万あるのだと、そういうことなんですか。それは内容をちょっと簡単に御説明いただきたい。
  221. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 国際放送につきましては、三十四年の放送法改正NHKの本来業務ということになっております。これと関連して、ただいま御指摘の条項で、郵政大臣が国際放送に対して一部命令放送を行なえることになっているわけでございます。その限りにおいて、国がお金を出すと、こういうたてまえでございます。
  222. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、その命令放送というものの内容を一応何かざっとお話しいただけませんでしょうか。
  223. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ただいま前田会長からお答えがございましたとおり、放送法の第九条の二という条文をみずから行なうことができることになっておりまして、そのほかに、御指摘のように三十三条で、郵政大臣は国際放送の実施命令をすることができると、こういうことに法律の条文ではなっておるわけでございまして、この三十三条に基づきまして、郵政大臣といたしましては、その本来的な業務としての国際放送郵政大臣の命令による放送とを一体として行なうことにいたしておるわけでございます。
  224. 松本賢一

    ○松本賢一君 だから、その命令でやるというのはどういうことなんですか。どういう内容なんですか。
  225. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 中には、時事とか国策だとか国際問題に関する政府の見解、こういうようなことに関する報道だとか、解説を十八方向十八時間、予算の範囲内でやるというのが、政府の国際放送の実施命令の内容でございます。
  226. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、十八方向十八時間ということは、世界各国へ十八の方向へ向けて電波を出すということですか。
  227. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) はい、十八方向へ出すということでございます。
  228. 松本賢一

    ○松本賢一君 ひとつ具体的な一例をあげてみてください、いつこういう放送をしたという。
  229. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 国際放送につきまして、いま電監局長からお話がありましたように、放送時間とか、放送方向というのが一応政府命令という形で、いわばそれの予算をいただくわけでありますけれども内容につきましては、その国際放送を再開して以来、NHKの自主的な立場で組むということを方針的にうたっておりまして、いま十八方向と電監局長が申し上げましたのは、簡単に申し上げますと、欧州、それから欧州も北のほうのロシア方面、それから北米東部、北米西部とか、あるいは太平洋の西とか北西部とか、あるいは南米向けとか、そういう十八方向がございます。それで、その放送時間につきましては、それぞれの地域の生活時間に合いますように二時間とか三時間とかというようにいたしておりまして、政府命令には十八方向十八時間というお話でございましたが、先ほど会長が申し上げましたように、自主的なものを入れますと、現在国際放送は延べ一日に三十六時間三十分放送いたしております。その中で、いま申しましたようにそれぞれの特殊な地域——アジアとか豪州とかあるいは欧米とかというような形で組んでおりますのが二十三時間、それからゼネラル・サービスと申しまして、これは七、八年前から始められているのでございますけれども、世界の三つの方向に向けまして行なう内容で、毎正時に三十分ずつニュースと解説を含んだものを送っております。これは世界各国に英語を聞く人が多いので英語放送を主にいたしまして、それに合わせまして日本語のニュースをつけ加えました形で放送いたしております。これがいま松本委員から御質問がございました具体的な放送の形でございます。
  230. 松本賢一

    ○松本賢一君 具体的というのは、それも具体的ですけれども、私がちょっと聞いてみたいのは、こういう放送——ほんの一例でいいですから、たとえば何日の何時に、こういう放送をどこへ送ったということです。
  231. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 何月何日と……。
  232. 松本賢一

    ○松本賢一君 そこまで詳しく言わなくてもいいですけれども
  233. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) ちょうど国内放送放送いたしますと同じような形で、月曜日の午後一時にはゼネラル・サービスであればニュースと解説を放送するとか、あるいは火曜日の欧州向けであれば、向こうの時間のちょうど夕方の時間という形で、こちらの正午ごろそういう時間解説を送るというような、国内番組で新聞なんかにいつも発表されているああいいうふうな時間割りで、時間的な中身といたしましては、そのときそのときの時事問題、ニュースが中心でございまして、時事問題で、たとえばアメリカ大統領の選挙があれば、その結果を日本はどう見るとか、それからチェコ問題が起これば、それをどうみるかというようなことを放送する、そういう形をとっているのでございます。
  234. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは直接あれですか、一般の聴取者に送るのですか。それともどこかで中継してもらってやるのですか、外国で。
  235. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) これは短波放送使いまして、国際電電の放送所が日本に二カ所か三カ所ございますが、そこを通じまして、短波で直接外国の受信者に入るような形で放送いたしております。
  236. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、NHKというものを向こうの各個人が受信するわけですね。
  237. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) さようでございます。たとえば国によりましては、たとえばアフリカに基地を設けるとか、そういうところもございますけれども日本の場合、NHKの場合におきましては、全部日本の本土から直接に放送する、そういう形をとっております。
  238. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、短波ですから世界中に聞こえているわけですか。
  239. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 非常に特殊な気象条件、たとえば太陽の黒点が爆発したような場合において乱れるとか、あるいは日照、日没の境い目には乱れるとか、いろいろ条件はかなりデリケートなところがございますけれども、いま申しましたような幾つかの波を使いまして、できるだけ聞かれるような形を考えまして放送いたすということでございます。
  240. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、さっきも混信の話が出たのですが、外国からの大電力で中波で送ってきますね、北京やなんかのは放送聞こえますね、夜になると。そういうような中波で、大電力で送り出しているというようなことは、いま日本ではやっていないわけですか。
  241. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 直接中波で、それを目的として放送はいたしておりません。ただ先ほど申し上げましたように、三百キロとか、そういう放送が出ておりますので、結果的に聞こえるとか、あるいは韓国なんか非常に近いですから、福岡県あたりの中波放送が、日本のニュースが、そういう形では入るかと思いますけれども、中波では直接外国放送向けを意識した放送はありません。
  242. 松本賢一

    ○松本賢一君 そういうことで少しわかりました。  宇宙中継ということについて、ちょっと聞いてみたいのですけれども、宇宙中継というものはいまはどういうことをやっていらっしゃるのですか。
  243. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 宇宙中継は一番いい例は、去年の秋オリンピックでメキシコから宇宙中継で放送いたしました。そのほか、やはり宇宙中継の経費は国内で取材送出するよりもかなり高いものにつきます。その効率、その他を考えまして、やはり大きな問題でしかも外国で起こって国内的にも関心があるという問題を選びましてわが国に放送中継をするという形をとっております。
  244. 松本賢一

    ○松本賢一君 時間的にはどの程度やっていらっしゃるのですか、いま十八時間とか三十六時間というお話がありましたけれども、宇宙中継でおやりになる時間というものは。
  245. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 宇宙中継は直接の時間はちょっとまだ計算が実際上はできませんので、と申しますことは、たとえば、去年の暮れにアポロの宇宙中継がございました。ああいう皆さんが関心を持っているときですと、夜中の二時半まで放送する形もございますし、先ほど申し上げましたように、ニュースに即して放送するという形式をとっておりますので、予算的には一応年間三十回から五十回という算出の基礎は置いておりますけれども、やはり必要性があれば、それは十分放送するというたてまえでいかなければならない、そういうふうに考えております。
  246. 松本賢一

    ○松本賢一君 それから、いまアメリカかどこかの衛星を使っていらっしゃるのでしょうけれどもNHK放送衛星をつくるんだというようなお話も聞いているのですけれども、それに対してどの程度進んでおるのか、ひとつお聞かせを願いたいと思います。
  247. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) NHKでつくって独自に打ち上げるという意味合いではございません。ただ、NHK技術研究所で放送を中心とする放送に性能をしぼった何と申しますか衛星の製作研究をしているということでございます。御審議をいただきます明年度予算案の中では建設資が約九千万円、それからこの建設と関連する事業運営費が二億五千万円その程度のものを計上いたしております。それから同時に、これは郵政省が中心になりまして電電公社、NHK、それから郵政省の電波研究所、それと国際電電といったような従来は協議機関もございました。
  248. 松本賢一

    ○松本賢一君 どなたからのお話で聞いたか、どこかで読んだかですけれども、四十三年度までに約八億の研究費を使われたということなんですが、それは何か形に残っておるものがあるのですか。
  249. 野村達治

    参考人野村達治君) 宇宙開発のことにつきましては、先ほど会長からも申し上げましたように、郵政省を中心にいたしまして、郵政省の電波研究所、私どもの研究所あるいは国際電電の研究所、電電公社の研究所といったようなものがいろいろ分担をして仕事をいたしております。私どものほうで主としていたしておりましたことは、重点は放送用の衛星ということでございますが、その中に使いますいろいろな部品がございます。それからもう一つは、放送用のものといたしまして、特に特別なシステムが必要であるというようなことから、部品のテスティングをいたします設備あるいはある程度のモデルと申しますか、そういうものを試作する費用、そういったようなことをいたしまして、現在私どものほうで宇宙環境試験室もございますし、いろいろな宇宙に上げましたときの状態に相当するような試験をする設備等も、この費用の中から便宜やっております。全部が全部私のほうでやれることではございませんで、四者協力いたしまして、おのおの分担して研究を進めておるような状態でございます。
  250. 松本賢一

    ○松本賢一君 研究は進んで、製作というような段階にまでなって、一応できた。そうすると、どこかで、東大ですか打ち上げをやっているのは。そういうところで打ち上げて、そうしてそれはほんとうに地球を回るようになったら、実用になるというようなことをやはり近い将来に一応御計画にはなっておるわけですか。
  251. 野村達治

    参考人野村達治君) この問題につきましては宇宙開発委員会が国にできておりまして、これが全体計画をつくられておりまして、それからあるいは最近になりまして、宇宙開発事業団法案のようなものも提出されまして、これによりまして、開発の仕事を行なうというようなことも、おそらく早晩きまるというようなことになろうかと思っておりますが、その際には、おそらく新しくロケットもつくり、それから打ち上げます本体につきましても、宇宙開発事業団がその仕事を扱うというようなことで、私どもは、それに対しまして応分な協力をするというようなことになろうかと考えております。
  252. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 簡単に申し上げますと、今度、宇宙開発事業団を科学技術庁とそれから郵政省が中心になりましてつくることになったわけでございますが、さしあたりの計画は昭和四十六年に電離層衛星というものを打ち上げます。これは総経費が約五十億足らずでございまして、着々準備が進んでおるわけでございます。それから昭和四十八年度に静止衛星というものを打ち上げるわけでございまして、これは総経費が約七十億弱でございます。これまではその衛星部門を郵政省が中心になりまして、NHK、電電、国際電電、四者が共同で開発をしておったわけです。ロケットの部分を科学技術庁が開発をしておったわけです。今度一緒になりまして、計画を予定どおりやり上げたいということで事業団がスタートすることになったわけでございますが、東大のやっておりますロケットは、これと関係ありません。この事業団の中には入っていないのです。
  253. 松本賢一

    ○松本賢一君 案外時間がたってしまいましたので、少し急ぎたいと思いますが、それじゃ、国際放送、宇宙中継の問題はそのくらいにします。  選挙放送について、お尋ねしたいと思いますが、この前どなたか委員の方からこの問題が出まして、そのときにラジオで現在やっている政見放送を少なくともテレビでやってもらいたいのだがといったようなお話が出たときに、川上専務理事ですか、どうもそれに反対なさるような御答弁があったようなんですが、そうなんですか。
  254. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 反対ではございませんで、私たちも前向きで検討いたしたい、そのために昨年の六月の参議院選挙におきましても、法令にはきまってなくても、消極的に立ち会い演説会中継という形をとりました。ただ、あの際にもわれわれが検討いたしました問題点が二点あるということを申し上げたわけで、一つは、東京とか大阪のような大電力圏内、ここでは数多くの県を一つ放送局でカバーしてもらわなければならないという問題が一つ、それからもう一つは、テレビの影響力というものが非常に強い際に、たとえば放送を悪用して、悪用するというと失礼になるかもしれませんけれども、いわば泡沫候補的な形でこれをほんとうの意味での立候補の政見発表と違う目的にお使いになるということになりますと、非常に悪い影響が出てくるのじゃないか。その点をどういうぐあいに考えたらいいかということを申し上げたわけであります。
  255. 松本賢一

    ○松本賢一君 そこらの問題なんです。その悪い影響とおっしゃるけれども、これは公職選挙法というものがあって、そして公職選挙法で許された範囲内のことは政見放送の中では言えるわけです。それを録音——公選法によると、これを録音して、そうして、そのまま放送するということになっておるわけです。それを現在、ラジオではやっておるわけです。ラジオもテレビもお茶の間で聞くことについては変わりないわけです。それで、そういう際に、何となくあなたの御答弁はテレビへ持っていくということについては、反対であるか、消極的であるか、いかにもそういう感じがしたので、私としては、NHKの方がそういう消極的な意見あるいは反対意見をお持ちになっておると、なかなか自治省あたりもやっぱりしり込みするというようなことになりますので、ひとつこれは前向きにあくまでも考えていただいて、多少の悪い点はあるでしょう。しかし、現在の選挙の政見の周知徹底ということは非常に不十分なので、立ち会い演説会みたいなものは、人がろくに来やしない。来てみたところでたかだか数万人にすぎない。そういう意味から言うと、テレビ——ラジオもそうですが——特にテレビで周知徹底させるということは非常に大きな力があると思いますので、今後積極的に考えていただきたいと思うのですが。で、いまお話の参議院選挙で立ち会い演説の中継をなすったと、これは立ち会い演説を中継するということ、立ち会い演説をそのまま政見放送としてやるということは、いまの公職選挙法で許されていないから、取材ニュースのような形でおやりになっていたわけですが、それはいずれ公選法の改正ということも当然考えなければいけないと思いますけれども、去年おやりになった結果について、ちょっとお伺いしておきたいと思いますけれども、どのくらいの県でおやりになったのですか。
  256. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 一道三十一県。ですから、大電力圏を除きまして、実施いたしませんでしたところは香川県だけです。
  257. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、聴視率というのですか、それはどのくらいあったのですか。お調べになりましたか。
  258. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) ちょっと手元に資料がございませんので、各都県によりまして、放送時間も違いましたし、なにでございますけれども、大体五%から六%くらいの聴視率がありました。
  259. 松本賢一

    ○松本賢一君 五%、六%というのは相当の数だろうと思いますが、これについて、もう一歩進めるということに法の改正をすれば、一番いいだろうと思いますが、法の改正をしないまでも、NHKのほうで考えてみていただきたいのは、一回より二回、二回より三回のほうがいいと思うので、そういうことの可能性はありますか。
  260. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) これは、参議院の場合、全県一区でございまして、非常にやりやすかったと思いますけれども、衆議院の場合は、一県が三つ、たとえば新潟県ですと、四区ですか、こういうふうに分かれますので、これは全部二回やるということになりますと、なかなかむずかしい問題が出てくるかと思いますけれども、いま御趣旨のような点でできるだけ政見をみんなにわかっていただくようにしたい。このようなつもりで十分に検討して進めたいと、このように考えております。
  261. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは、選挙のほうの話になりますけれども、立ち会い演説の場合なんかでも、まあ、これは何十回かやって順ぐり順ぐりに順序が変わっていくからいいのですけれども、順序によって、特に立ち会い演説の場合は、第一順位というのは非常に損するわけです、候補者が。そうすると、それだけ中継されると、その候補者は、まことにどうもあと味が悪いわけなんで、私などは運よく三番目に当たりましたからよかったのだけれども、一番最初の人は全く気の毒だ、ざわざわして。そういうこともありますので、できれば順序の変わったところでもう一回と、あるいはできれば三回とかいうようなことにしたほうが公正を期せられるのじゃないかという気がするので、その点もひとつあわせて考えていただきたいと思います。
  262. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) おっしゃった点は、十分検討いたしたいと思います。
  263. 松本賢一

    ○松本賢一君 もうだいぶ時間もたちましたので進みますが、テレビ番組について、ひとつお尋ねしてみたいと思うのですけれどもテレビ番組が、報道とか、教育、教養、娯楽というようにいろいろ分けられているわけです。分類がされているわけですが、その分類すること、まあそれぞれの定義といいますか、これは非常にむずかしい問題らしいですがね、それで、私どもプログラムを見て、これがさて何だろうか、何に入るのだろうかと思いながら、ときどき見たりするときがある。参考までに、この間NHK番組に色分けをしていただいたわけなんです。それを見てみますと、まあ、私どもが当然だと思うのもあるし、おやおやと思うようなやつも確かにあるわけですね。それで、これはどういうのが教育で、どういうのが教養かということをいまここで定義を、NHKとしての定義を聞いてみたところで、抽象的になっておるのでしょうから、この間の局長さんがお読みになったようなものが出てくるので、これは、われわれ耳に入ってもしょうがないものなんで、わからんですけれども、大体これはNHKでおやりになっているのと、民間の各放送局でおやりになっているのとはだいぶ違うのですか、どうなんですか、局長さん。
  264. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) この色分けは各放送事業者の自主的な判断にまかされているということでございますので、NHKと民間放送事業者、また民間放送事業者の間でも違っておる。こういうことでございます。
  265. 松本賢一

    ○松本賢一君 それで、これは非常にいまいろいろと議論のあるところだろうと思うのです。たとえばさっき私が拝見した一例を言いましても、何というのですか、いけ花の指導という番組があるのです。それから、お料理のあれがあるのですね。いけ花のほうは教育番組になっている。お料理のほうは教養番組になっている。こういうところは、一体どういう理由から、そうなっているのか。
  266. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) ちょっと形式的な分類になるかと思いますけれども、教育番組のほうは、放送法の、この前、電監局長がお読みになったあれにも、読みましたように、教育的な目的で、連続的なシリーズを組んで、その内容が、あらかじめみんなに公衆に周知されているというところがなにでございます。それから、同時に、いけ花という一つの技術を身につけるというところで、教育番組ということにしておるわけでございます。お料理のほうは、まあお料理という技術を身につけるという点においては一緒かもしれませんけれども、これは毎日毎日別に内容が事前にわかるような形ではいたしておりませんし、それから、系統立って連続的なシリーズでないという意味で一応教養番組というところに、分類に入れておるという形でございます。
  267. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは、何もここで議論するわけじゃないですけれども、いけ花というものは、普通の国民生活からいったら趣味ですね。職業でやっている方は別として、一般からいえば趣味の問題です。料理というものは生活必需品ですね、どちらかというと。そうすると、これを教えるほうは教育だと思う。それから、いけ花のほうは、これは教養だと思うのですが、どうですか。
  268. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) ごもっともですが、私ども考え方は、料理の場合は、特別の対象を持たないで、大多数、しかし、大多数であっても、特別の階級というと語弊がありますが、たとえば郷土料理、その他もあるわけで、そういう意味特定対象を目標にしないというものを一応教養と、こう考えるわけです。ただいけ花の場合は流派もいろいろありまして、したがってある意味では、いけ花とか、茶の湯とかいうものは一応対象考えられる、しかもその演出のしかたは組織的かつ継続的にやる、ですから料理の場合ですと、きょうはお魚が出てくるかと思うと、その次には野菜が出る、あるいは非常に高級料理が出るかと思うと、地方の材料を使った料理が出る。しかしいけ花の場合はいろいろな流儀をも含めて、特定対象に対しまして、そうして組織的にやっていくという意味で、私どもとしては、一応前者を教養、後者を教育と、こういうように考えておるわけです。
  269. 松本賢一

    ○松本賢一君 まあ、それはいろいろとあるでしょうから、何かそういうふうなやっぱりきめ方をしないと、色分けができないでしょうから、しょうがない、いまここで議論してみたところで、しょうがないので、それはそれでそういうものかなと思って理解しますけれども、あれですね、この間、お話を聞いておりますと、民放のほうは許可をなさるときに一般は、三〇%教育、教養番組を入れると。それからNETとか十二チャンネルとかいう特殊なものは、五〇%以上やれといったような条件をつけて許可しておられるということですが、それに対する、その放送番組内容に対する点検とか、それに対する間違った場合には、警告するとかいったようなことをなさっておるのですか、どうなんですか。
  270. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほども申し上げましたように、この放送番組の中身についての判断というものは、それぞれの放送会社放送事業者が自主的にやる、もちろんそれぞれ放送番組審議機関を持っておりますので、そちらと相談してとのことと思いますが、それにいたしましても、自主的に判断する、こういうことでございますので、そうした判断に従って、私どものところへ結果として何%、何%ということで出てくるわけでございます。それを見ますと、いままでのところ各社とも三〇%以上やっていると、こういう結果になっているわけでございます。ただ、警告をしたかということにつきましては、十二チャンネルにつきまして、昨年の四月と、それから八月に、現在の十二チャンネルの番組等から考えると、この局を開設した趣旨にもとる疑いがあるということで勧告をしたわけでございます。
  271. 松本賢一

    ○松本賢一君 十二チャンネルに対してはなさったことがあるわけですか。
  272. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 警告を出したわけでございます。
  273. 松本賢一

    ○松本賢一君 それに関連して聞いてみたいのですけれども法律を読んで見て、私どもぴんと来ないんですけれども、何か特別な何とかいうことばが使ってありますね。特別な事業計画による放送を行なう放送局というのが、NETや十二チャンネルのようなのを言うわけですか。
  274. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そのとおりでございます。
  275. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、この特別な事業計画というものはもっぱら教育的効果を目的とする放送を行なうものであるとなっているんですが、たまたまNETや十二チャンネルは、教育的効果を目的とするという特別な事業計画を持っておるから、そうなるでしょうけれども、そのほかの場合もあり得るわけですね。たとえば音楽を中心にするとか、演劇を中心にするとか、ドラマを中心に放送する局をつくるとかいったようなこともあり得るわけですか。
  276. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 抽象的には、そういうことが考えられるわけでございますけれども、いままでのところ特別な事業計画を放送局として取り扱ってまいりましたのは、この教育専門局だけでございます。
  277. 松本賢一

    ○松本賢一君 ところが娯楽を専門にするというのがおそらく民間放送じゃ一番よくプログラムが売れていいんだろうと思うのですが、そういうような許可申請はあったことはないわけですか。
  278. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いままでの実態に照らして見ますと、娯楽が一番多くを占めるわけでございますけれども、これは総合局という考え方で、ここに四十四条の第四項にそういうことが書いております。
  279. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは、普通のNTVというような局が結局はそういうことになっておるわけでしょう。
  280. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 教育専門局以外の局はこれによって許可になると、こういうことでございます。
  281. 松本賢一

    ○松本賢一君 私が聞いておりますのは、教育を専門にするという許可申請でなく、娯楽を専門にするのだというようなことで許可申請になっても、それは許可なさらぬということになるわけですか。
  282. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ここに書いてあるとおりの放送をしようという考え方でございます。ですから、娯楽だけではございませんで、それぞれの番組を設けるということをたてまえにしてやるものということでございます。
  283. 松本賢一

    ○松本賢一君 ちょっと私の言うことがあれかもしれませんが、私が言っておりますのは、特別な事業計画による放送局というものは、一つの範疇があるわけですね。その中に教育的効果を目的とするというものが含まれておるわけでしょう。そうすると、娯楽的効果を目的とするというものがあってもいいわけだ、さっきあなたも抽象的にはあり得るとおっしゃった、そういうものは、現実には許可の申請があったり、それは許可しなかったりということはまだいままではなかったわけですか。
  284. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いままではございません。
  285. 松本賢一

    ○松本賢一君 いままではない、わかりました。  それから、いろいろ聞いてみたいこともありますけれども、だいぶ時間がたったのであれですが、ついでに、この席でどうかと思いますけれども、聴視率ということばがあり、それから視聴者ということばがあるわけですね。どうしてさかさまに使って、あれですか、ここにパンフレットみたいなものが一冊あるのですが、聴視率から見たテレビ、ラジオの現況、中に入ると視聴者と書いてあるのですね。どういうふうにこのことばの使い分けがされているわけなんですか。
  286. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) まことに不注意だったと思いますが、やはりいまおっしゃったように、これは統一したほうがいいんじゃないか、このように考えます。と申しますことは、NHKも昔は聴視ということばを主に使っておりましたけれども、最近は視聴ということにしたほうがテレビのほうがウエートが高いわけですから——そういうような観念でおりましたので、一部そういう点がまだ残っているかと存じますので、注意してまいりたいと思います。
  287. 松本賢一

    ○松本賢一君 これは不注意でこうなっているというのは、そんなことは何にも言いませんけれども、あれですね、視聴にしても聴視にしても、あんまり感じのいいことばでもない、やさしいことばでもない、テレビというものはみんな見るのですね。テレビを聞くなんという人はないんです。だからこれは見る人とか、見る率といってしまえばいいんじゃないですか。これは新しいことば、そういったスマートなことばはNHKでどんどん使っていってください、どうですか。
  288. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) おっしゃるとおりスマートなことばを考えてみなければいけないと思いますが、ただ現在はテレビだけじゃなくて、ラジオとかFMについても利用率がどうなっているか調査してまいっておりますので、やはり両方兼ねたという意味で視聴、聴視ということばが残っておる、このように御理解いただきたいと思います。
  289. 松本賢一

    ○松本賢一君 まあひとつできるだけわかりやすく、そういったようなNHKはことばをつくったりするのに非常にいい、影響力の強い立場におられるわけですから、細心の注意を払いつつも常に前向きにいいふうにやっていただきたいと思います。  それからひとつ、これは最後に、幾つか聞いてみたいと思うんですけれども、これはむしろ私どもテレビを見る人の一人として聞いてみたいと思うんですけれどもNHKは少し神経質過ぎるんじゃないか、用心深過ぎるんじゃないかという気がするのです。いつも見たり聞いたりしておりまして。というのは、法律にいろいろ公正でなければならぬとか、広告をやっちゃいかぬとかいろいろあるわけで、そういうことに対して少し神経質になっておられるのじゃないかという気がするのです。それで、まあ全体がプラス・マイナス・ゼロみたいな形でプラスもあんまりないが、マイナスも——プラスがないといっちゃ失礼だけれども、マイナスがないように、マイナスがないようにということで非常に神経質になり過ぎているのじゃないかという気がするのです。たとえば広告の問題なんか、まあ展覧会なら展覧会というものの紹介がある、そうすると、「日本橋のあるデパートで」こういうようなことをおっしゃるわけです。「三越」なら「三越」とおっしゃっていただいたほうがよっぽどいいと思うんです。それをおこる人はいないと思うんですよ。そういうことだの、そうかと思うと、また「自民党の幹部会が赤坂プリンスホテルでありました」、プリンスホテルであってもなくてもいいですよ、それを「赤坂プリンスホテル」とおっしゃるわけですね。そういう点で、まあそんなこと矛盾だとかなんかやかましく言うわけじゃないけれども、もう少し大らかにおやりになっもいいんじゃないかと思う。この間、ちょっとと見ておって非常にほっとした感じがしたのは、電子式卓上計算機というのができたそうですね、それを紹介なさる場合に、早川電気でできて将来大量生産ができるようになったら安くできるそうですといったようなお話があったわけです。これなどは、実際NHKとしては傑作だと思うんですよ。そういうふうに少しあんまり神経質にならないでおやりになってもいいんじゃないか。一ぺん三越という名前が出れば、その次に伊勢丹というのをまたある機会に出せばいいですから、そういうようなことで。ビールだってドラマの中で出てくるビールのレッテルは何が何やらわからない。やっぱりあれはアサヒビール、キリンビールが出てきたほうが見ている人はいいわけなんですね。そんなことをいっていると、町で銀座通りなんか映せないじゃないですか、看板がたくさん映るから。だから、そういうあんまり神経質にならなくてもいいんじゃないかという気がするのです。そういう点、ひとついつも私が感じている点を申し上げました。そういう点どうですか。
  290. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) 非常に御理解のある御発言でございますけれども、私たちも意を強くしてあれしたいと思います。特に、最初におっしゃいましたせっかく展覧会を紹介するのに場所を明示しないというのはおかしいと思いますので、そういう点は、今後指導して改めさせていきたいと思います。それからなおニュースにつきましては、最近経済関係のニュースにつきましては、どうしてもそれが必要であれば多少商品的なものにつながってくるものでも、たとえばさっきおっしゃいました早川のあれとか神戸製鋼が人工作業機を開発したとか、日本化薬がブレオマイシンを開発した、そういうようなどうしても一般的に関心を呼び、しかもそれがやはり画期的な開発の問題であるということになれば、遠慮しないでやるようにという指導はいたしております。
  291. 松本賢一

    ○松本賢一君 それからもう一つ、感想みたいなことを言わしていただきたいのですけれども、これは主として教養番組みたいなものに出てくるのですけれども、むだな説明が多過ぎるのですね。たとえば一芸の達人、名人といったような人間国宝といわれているような人たちに何か話をしていただく、そうすると、ほんのちょっとした一例をかりにあげてみますと、その人間国宝が何か物をつくられるときに、「うっかりしているとしくじりますから」と、こういうようなことをおっしゃるわけだ、非常に生き生きとしたことばでおっしゃるわけです。それを相手の若いアナウンサーかなんか知りませんけれども、そういう人が、「細心の注意を払うことが必要なんでございますね」といったようなことを言うわけなんですが、言ってもらわなくてもいいんですよ、そういうことは、そういうふうにものごとを一方の人が、非常に深い体験からほとばしり出てくることばを非常に平板な抽象的なことばに直して、見たり聞いたりしている人の印象をぶちこわしてしまうというようなことが得てしてありますから、そういう点ひとつ、これは私単なる感想ですが、そういうような点にも、ひとつできるだけ生き生きとした余韻を持った放送をしていただいて、そしていつまでもいいあと味の残るようにひとつお願いをしたい、これは特に教養番組については、そういう感が深いと私は感じるのです。これは御答弁いただかなくていいです。  それからこの間、ちょうど新谷先生おられますが、番組お話でFM放送から音楽番組お話があったのですが、ちょっと私、調べてみたのです。調べてみたといってもちょうだいした資料を調べてみましたら、一般放送の中には非常に少ないのですね、音楽の放送は。それでテレビでは一週十二時間、ラジオでは第一が二十五時間、第二が十七時間ということになってFMだけが九十二時間という非常に大きな数になっておるわけです。これは新谷さんのお説と少し私は反対になるかもしれませんけれども、むしろもう少し音楽はふえてもいいんじゃないかという気がするのです。一般の総合テレビやなんかの中で、音楽といっても私、年寄りですから、あまり若い方のポピュラーとか歌謡曲とかいうものよりも、むしろ古典——日本のでも西洋のでもいいですけれども、古典的なものをもう少しふやしていただきたいような、これも感想ですけれども、そういったようなことを感じるので、FM放送というものが、そういうことに主力を注がれるということについては、私はむしろ賛成だと思います。それで現在NHK考えておられる行き方でいいんじゃないか、むしろもっとこれは夜おそくなんかに古典——を西洋でも日本でもいいですから、古典のものをやっていただけばね。  それで一つ聞いてみたいのは、NHKだけが十二時にぴしゃっと放送を切っておしまいになるのですけれども、あれはどういうことなんですか。民間放送はみんなもっとおそくまでやっておりますけれども
  292. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) やはり国民働く人を中心で考えていくということを考えますと、どうしても生活にある限界があっていいんじゃないかというので、一応夜の十二時で打ち切るということにして、国民の大多数の方の生活をあまり乱さないようにというようなことでやっておるわけでございます。
  293. 松本賢一

    ○松本賢一君 これはまあ夜、人によっては、仕事の次第によっては、そういう時間に非常にやってもらいたい人も相当数いるんじゃないかという気もしますし、それからまたやっても、それは寝る人は聞かななければいいので、かまわぬと思うのですが、そういう際に、特に一体これは老人向きということになるかもしれませんけれども、そういった古典みたいなものをやっていただくというようなことは、私はむしろ少し考えていただいてもいいんじゃないかという気がする。十二時過ぎじゃなくてもいいのですけれども、少し一般の人がもう大体聞かない時間になって、そういうことをやっていただくということも、これは感想ですけれども、どうですか。
  294. 川上行蔵

    参考人(川上行蔵君) NHKは古典番組を保存するという意味においては、かなり力を入れているつもりでございまして、邦楽とかお能とか、狂言とか、そういうものもかなり一般の時間数としては入れているつもりでございますが、もっと研究をいたし充実していきたい、こういうように考えております。
  295. 松本賢一

    ○松本賢一君 と申しますのは、その時間だと、やはり普通の時間にやたらにそういうものを入れられますと、またこれは一般の人には向かないということもあって、チャンネルの奪い合いというようなことも起こってくるしといったようなことで、もう人がやめてしまう時間にひとつもの好きな年寄りだけに聞かしてやろうといったような、そういうことも考えていただいてもらいたいぐらいの程度で申し上げておるわけです。  それからいよいよ最後にひとつお聞きしたいのは、沖繩のテレビの事情はどういうふうになっておりますか、聞かしいただきたいと思います。
  296. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 沖繩のテレビは、昨年の十二月から公共放送が活動を開始しまして、それ以前に商業放送テレビ局としては二局ございます。NHKとこの三局の関係は商業放送の二局については、ここ数年来御要望に応ずる番組を差し上げております。  それから公共放送との関係については御承知だと思いますが、本年度予算の中で特別立法がございまして、NHKが三億五千万円の設備援助をすることになっておりまして、この設備援助は完了いたしまして、その結果として、公共放送が電波を発射したわけでございまして、沖繩の事情は全く日本と同じでありまして、公共放送は聴視料を取るというたてまえ、そのかわり広告放送に行なわない。商業放送についても日本と同じ条件でございます。現在公共放送放送センターの完成を急いでおりまして、今月末には、その放送センターの建設が完成する予定でございまして、来月十月一日にその完成の式典を行なうことになっております。
  297. 松本賢一

    ○松本賢一君 そうすると、NHKの総合テレビというようなものを日本全国でやっていらっしゃる。そういうものを沖繩でやはり同様におやりになるわけですか。
  298. 前田義徳

    参考人(前田義徳君) 時間数は現在のところ非常に少ないのですけれども、たてまえは同じようなことでありまして、したがいまして、われわれは全面的に番組提供に協力いたしております。
  299. 鈴木強

    ○鈴木強君 少し時間が、きょうははんぱですから、一つ二つお伺いしたいと思います。  最初にFM放送について、FMは三月から本放送に実施に踏み切っているわけですが、いま現在全国放送やっているFMは幾つあるのですか。
  300. 野村達治

    参考人野村達治君) 百七十局でございます。
  301. 鈴木強

    ○鈴木強君 四十三年度に計画をしておった四十局がありましたね。その四十局は三月末までには完成するようになっているのですか。
  302. 野村達治

    参考人野村達治君) いろいろな事情がございまして、免許をいただきますのがおくれましたために、四十三年度中にはでき上がりませんけれども、四十四年度には全部でき上がる予定になっております。
  303. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは予算的にわれわれが承認したというのは当然周波数の割り当てがある、そう考え承認しておったわけですが、どうして周波数の割り当てがおくれたのですか。  NHKの四十三年度の四十局の計画については、残念ながら周波数の割り当てが延びておくれて、ついに実施されなかったというのですよ、NHKは。われわれは当然四十局を承認するときには、周波数の割り当ては行なわれて、四十三年度中に放送が実施できる、こう考え承認したはずですけれども、どういうわけでおくれたかということです。
  304. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これはFM放送の本放送の予定が実はおくれまして、そういったことでおくれおくれになって、現実には翌年度へ延びた、こういうことでございます。
  305. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは国民に対して申しわけないと思わぬですか。
  306. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもは、できるだけNHKの実験局、実用化試験局、こういった形を本放送にしたい、こういうことで実は本放送にできるだけ早くしたい、こういうことに努力してまいったところでございまして、そういう現実の問題としては確かに四十局がおれたということは遺憾なことだと考えております。
  307. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ、われわれは承認をする立場に立てば、当然四十三年度中に放送が実現できる、こう期待しておったわけだから、そういう意味では多数の聴視者は期待を裏切られたわけであって、こういうことが予算編成のつどやられては困るわけですね。できないなら、できないでもうあらかじめそういう方針でやってもらいたいですよ。できるかできないかわからぬがやってみよう、そういうやり方は迷惑ですね。今後注意をしてもらいたいと思うのです。  それからことしこの計画によると、さらに四十局ですか、それと五十局に着手する、こういうのだけれども、四十局については、これは大丈夫ですね、周波数の割り当ては。両方からひとつ聞いておきたい。
  308. 野村達治

    参考人野村達治君) NHKといたしますと、すでに三十局につきましては、四十三年度分のいろいろな手配を進めておりますし、それからあと四十局、四十四年度に建設いたしますこと並びに五十局の着工につきましても、十分なる用意を整えてやっていきたいと考えております。
  309. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) だいじょうぶだと思います。
  310. 鈴木強

    ○鈴木強君 だいじょうぶだと思いますなんというたよりのないことじゃだめです。だいじょうぶであります、こういう答弁をしてくれなくちゃ困る。
  311. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 波の割り当てはだいじょうぶかと、こういうことです。
  312. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) と思います、と申し上げましたのは、いまさら釈迦に説法で、ここで申し上げるのもおかしなことでございますが、チャンネルプランをきめて、初めてだいじょうぶだということがはっきり確言できることでございますのでそう申し上げたんで、事実上はだいじょうぶでございます。
  313. 鈴木強

    ○鈴木強君 それから大臣に伺いますが、いよいよFMが本放送化されていくわけです。そこで、とりあえずNHKが三月一日から切りかえがなったわけですが、民放の、特に問題になっておった東京、大阪、名古屋、福岡、この四地区に対してのチャンネルプランは、小林郵政大臣の当時におつくりになったことがある。これについては、いろいろわれわれも意見を持っておるし、また東京におきましては、六十六社という多数に申請がのぼっておりますから、よほどこれは慎重を期してもらわないと、問題が起きるように思うのです。電波のいわゆる公平な分配ということですね。そういう趣旨からして、やっていただかなきゃならないのですが、たまたま当委員会がありました日でしたか、二十日の日、河本郵政大臣が閣議後の記者会見で、東京など四地区のFM音楽放送局について予備免許を与える予定であるという趣旨の御発言をなされておりまして、その発言の内容を新聞によって私ども拝見しますと、一つは、「東京など四地区に音楽を主体としたFM局のチャンネルプランを決めたが、これらの地区からは多数の免許申請が出されているので、大阪、名古屋、福岡については地元の県知事に、東京は日本商工会議所会頭、足立正氏に申請一本化への調整を依頼していた。最近になって各地での話合いが急速に進み、一本化への見通しがついたので、二十八日に予定されている電波監理審議会にはかったうえ予備免許を与えたい。」これが一つ。もう一つ、われわれが問題にしておりましたFM東海の問題については、「FM東海の実験局の免許が今月末で終わるので、新しい局ができるまで暫定的に九月一ぱい免許を延長したい。この免許が切れるまでには、新しい局から試験電波は発射できるようにしたい。」こういうふうに述べておる。実は、この東京のFMについては、われわれは前から、いろんなうわさを聞いております。そこで、私はきょうこの問題を、ぜひ大臣から明らかにしてもらいたいと思うのです。  順序としてまずお伺いしたいのは、東京、大阪、名古屋、福岡の各地区における申請者の数ですね。それから締め切りはいつ締め切ったか、四地区とも。それから全国の、この地域以外に申請がありますね。これについての申請の締め切りはどうなっているか、これをまず聞きたい。
  314. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 数と日付の問題については、政府委員に答弁させます。
  315. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 申請者の数は東京が六十六、それから大阪が三十三、名古屋が三十、それから福岡が三十九、以上でございます。それから申請の締め切りにつきましては、当初三カ月間で二月末まで、こういうことで締め切りまして、それから二月末でこの取りまとめができない、こういう状況になりましたので、一カ月延ばしまして、十二月一日から二月末までの間における申請も入れて目下審査の対象にするということにしているわけでございます。三月末日で締め切っております。
  316. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは四地区ともそうですか。
  317. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そのとおりでございます。
  318. 鈴木強

    ○鈴木強君 その他の地区は。
  319. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) その他の地区につきましては、締め切っておりません。
  320. 鈴木強

    ○鈴木強君 この二月末を、三月末に延ばしたという理由は一体どういう理由だったのですか。
  321. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 二月末の三カ月間で、免許作業ができるという判断のもとに、三カ月間で切ったわけでございますけれども、これができない、こういう見通しが二月末になりまして、つきましたので、これを一カ月延ばしたということでございます。ただ延ばすのはおかしい、こういうことで、十二月一日から二月末までの間における申請は、当初二月末までに審査をする場合の対象には入れてなかったわけでございますので、延ばすに当たって、それも審査の対象に入れた、こういうことでございます。
  322. 鈴木強

    ○鈴木強君 受理年月日というのが一番おそいのが四十三年十一月三十日、FM新東京放送というのが一番おそいのですね。これは申請書を受理した月日が十一月三十日で、結局三月末までに審査をして受けつけたというふうに理解をしていいわけですか。
  323. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) いま申し上げた二月から三月に一カ月延ばしたことによって入ってきたのは、久留米に一社あるだけでございます。
  324. 鈴木強

    ○鈴木強君 東京地区にはないわけですね。
  325. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 東京にはございません。
  326. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、東京の場合は、六十六社の申請があるわけですが、この間、郵政大臣はどういう基準をつくって申請者に対して認可をするよう指導しておられるのか、ちょっとわかりませんから、お尋ねをしたいのですが、たとえば東京の場合には、新聞関係とか、放送関係とか、こういうふうな方々の申請がかなりございますね。今回のあなたが足立さんに調整を依頼した場合、対象はこの六十六社を対象にして認可をするという方針でやっているのか、それとも新聞とか、放送関係は除外して認可をしようとしているのか、その基本的な態度はどうですか。
  327. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 一定の基準を設けまして、調整を依頼しておりますが、その具体的な内容につきましては、政府委員から答弁させます。
  328. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ただいまお話のございましたように、新聞社並びに既設の放送事業者と今度の新設のFMの新設社との結びつきを排除しようというのが、一言で申し上げますと今度の考え方でございまして、新聞社、通信社または放送事業者からの出資は行なわせない、それからまた新聞社、通信社、放送事業者の幹部職員は今度の新設会社の役員にはならないようにするというようなことを骨子にしているわけでございます。
  329. 鈴木強

    ○鈴木強君 その新聞社、通信社、放送事業関係を除外したということは、マスコミの独占排除という立場に立ってやったのか。あるいは今回これを除外したその他の人たちでやろうという考え方は、少なくとも申請の自由、認可するしないはともかくとして、申請の自由権というものを一方的にあなたのほうでじゅうりんしたのですから、これは押えつけてしまったというふうになるわけです。その辺は関連をひとつはっきりしてもらいたい。
  330. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) ただいま申し上げました点は、既設のマスメディアとの結びつきは排除しようと、こういう考え方でやっておる。従来の考え方のいわば踏襲のようなことでございます。
  331. 鈴木強

    ○鈴木強君 この前の委員会で、私がマスコミの独占排除については大臣に伺いました。それで少なくとも文字と音声の二つについてはこれは禁止する。それからラジオとテレビ、音声と映像の兼営も好ましくない。これは大臣からも言われておりました。それから、全国各地にFMの申請がありますが、同一系統の資本の中から少なくとも出資をするということが明らかになれば、東京と大阪と名古屋と申請しておっても、それは認めない。大阪なら大阪だけ、名古屋なら名古屋だけ、こういうふうに限定すると、私聞いておったのですよ。だから、いま局長の言われたのは、いわゆる一般的な新聞、通信等のマスメディアですね、そういうものとの兼営というものは独占禁止のたてまえから禁止が当然である、そういう考え方でやったわけですか。これは新聞は新聞として、それぞれ文字と音声ですね、これによってスピーディーなニュースを伝えようということが考えられているかもしれませんね。そういう点は、新聞社とか通信社とか、あるいは放送事業者の場合、いろいろありますけれども、こういう人たちを除外するについては、深い理解と納得というものを得ておるのかどうなのか。そういうことがなければ、独断的にこの人たちを排除して、あとでひとつ一本化してくれなんていうことを言ったって、おさまらないわけですよ。そこはどういうふうになっているかということです。
  332. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) FM放送につきましては、すでに御承知のとおり、今回のやつはFM放送の特質を生かす放送を四地区に行なおうというものでございます。このほかに将来考えられる点は、中波の代替放送というもの、それからNHKというもので、大体原則的には一県に三波置こうというのが現在考えられている考え方でございまして、新聞社あるいは既設放送業者につきましては、今回は保留いたしまして、次の機会に考えたいと、こういう考え方でございます。
  333. 鈴木強

    ○鈴木強君 ですから、そういうことについては、申請当事者と十分に話し合いをしてあるかということを聞いているのです。
  334. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これが現在何と申しますか、申請書の処理の一つの作業でございます。
  335. 鈴木強

    ○鈴木強君 申請書の処理の作業といったって、たとえばいま申し上げた将来を展望して、そこで何か考えようという、中波の代替の問題も含めて。今回は音楽専門放送局で、たとえば、あとから聞きますが、基準は何%を音楽によって占めなきゃいかぬとか、つけているのかもしれませんね。そうなると、ニュースその点の一般的な娯楽的なそういうものについては、教養的なものについては、その中に入らぬと、いわゆる音楽専門局としてどうも新聞社とか通信社のほうには向かぬと、そういうふうな考え方のもとに今回は除外したというのか、そこら理屈を立てて申請者にちゃんと丁寧に事情を説明してありますかということを聞いているのです。
  336. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 具体的に一社一社について説明ということはしてございませんが、ただいま鈴木委員のお話に出ましたように、今回のFM放送は、主としてとにかく音楽放送を実施するためのFM放送である。こういうことから、新聞社には一般に御遠慮をお願いしたいということで大方の何と申しますか、御理解をいただいておる、あるいはいただきつつある、こういうふうに私は理解しております。
  337. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうすると、新聞、通信社には、将来の中波の代替等の問題も含めて、何か考慮をしていると、郵政省としては。そういうふうな含みがあるわけですか。
  338. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) そういうことも、いま具体化しておるわけではございませんが、将来の問題として、そういうことも考慮している、こういうことでございます。
  339. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、これを許可するにあたって、いまの放送番組の中に占める基準ですね、そういうものは、あれですか、主として音楽専門放送局というのであって、何%以上は音楽をやりなさいと、こういうように示してあるのですか。
  340. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 私どもとしては、先ほどお話に出ましたように、音楽を主とする放送ということで、ステレオ七〇%以上というようなことを考えておるわけでございます。
  341. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、東京は足立さんに調整を依頼した。大阪、名古屋、福岡は知事に依頼しているわけですね。しかし、どうして東京は知事に調整を依頼できなかったのですか。美濃部さんが社会党革新の知事だから、東京はどうも知事に依頼してもまずいということでやったのですか。大阪、名古屋、福岡は知事でよろしい。どうして東京だけ足立正さんに調整を依頼したのですか。
  342. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 東京を除く三地区につきましては、お話のように知事に依頼をいたしましたが、大体知事が商工会議所のやはり会頭などと相談をしながらやっていただいておるようでございます。東京は、たまたま商工会議所の会頭足立さんが郵政審議会の会長でもございますので、まあ足立さんが一番適任であろう、こういうことでお願いをいたしたわけでございます。
  343. 鈴木強

    ○鈴木強君 しかし、やはり知事というものは、その自治体における最高の責任者であるし、住民が直接選挙によって選んだ方ですからね。要するに、全く住民と密着している、こう思うのです。足立先生はりっぱな方ですから、その方が不適任だということを私は言うておるのではないのです。ものの考え方として、三地区が知事で、東京だけが会頭に直接やったということについては、何か政治的な考え方があったのかどうなのかということを私、念のために聞きたいのですよ。
  344. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) これはただいま大臣がお答えしたとおりでございますが、あわせて申し上げますと、東京都からもFM放送の申請が出ておるわけでございますが、他の三県については出ておりません。
  345. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは理屈にならないですよ。去年の小林大臣は、山梨県のFM放送の発起人代表者に調停を依頼しているじゃないですか。山梨県の場合は、知事に依頼しないで、特にある特定の代議士に、しかもそれはある放送会社を申請しておる代表ですよ。代表の代議士に調停を依頼している。いま石川さんの言ったような理屈は首尾一貫していないじゃないですか。だから、東京は美濃部さんがどうも知事だから、ちょっとまずいからということでやったのじゃないですか。政治的にやったのじゃないですか。そのときそのときの適当なやり方でやられては、これは困る。
  346. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、地方の三府県につきましては、知事に依頼いたしましたが、知事は実際は商工会議所の会頭と御相談しながらやっていただいておるということを申し上げました。東京もいろいろ検討いたしましたのですが、足立さんが郵政審議会の会長でもありますので、足立さんが一番よかろう、こういう結論に達したわけでございます。
  347. 鈴木強

    ○鈴木強君 まあ足立先生はりっぱな方ですから、私は尊敬をしておるわけですから、この先生が調停役としていけないということではなくして、私の言っているのは、政治的にどうして東京だけは——これは知事が商工会議所の足立先生と相協力をしてやったって、これはやり得るわけでしょう。ほかはそうしているじゃないですか。知事が直接商工会議所の会頭しているわけじゃないのだから。大阪でも名古屋でも福岡でも、知事はその県の商工会議所の会頭さんとよくお話し合いしているわけだから、東京だって美濃部知事に頼んで、そして美濃部知事から足立さんとよく連絡してやってもらうという方法をなぜそろってやらないかというのです。政治的な意図があるのじゃないかとわれわれは考えざるを得ないでしょう。
  348. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 重ねて申し上げますと、先ほど局長がちょっと言いましたように、東京都は都としてFMの申請を出しておると、こういうこともございますので、まあ足立さんが一番よかろうと、こういう結論でございまして、政治的な意図はございません。
  349. 鈴木強

    ○鈴木強君 わかりました。政治的の意図がないということですから、私は了解します。  それからもう一つは、前よりも進歩ですよ。前回の山梨県のような、申請当事者が筆頭代表者になっている者に、郵政大臣が調整を依頼するなんということは、非常識もはなはだしいですよ。そういうことをやっているために、大きな問題を起こしたのです。そんなばかなやり方をするものだから。まあそういうことから見れば、一歩反省して、これは当事者であるからまずいと。だからはずしました。これは筋ですからね、よくわかりました。そういうふうに筋を立てて今後やっていただきたいと思うのです。  それから、いま現在、東京、名古屋、福岡、大阪、この四つの一本化の調整工作というのはどういうふうに進んでおりますか。大臣がおっしゃるように、二十八日の電波監理審議会に予備免許を付与できるような形でできるのですか。いま現在の状況はどうなんですか、ちょっと伺いたいのです。
  350. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 四地区ともおおむね順調に進んでおります。大体調整がほぼ終わったところもございますし、最終段階のところもございます。大体二十八日前後にはおおよその調整が終わるのではないか、かように考えております。
  351. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、この東京の場合には、いま郵政省が考えているのは、二つの波を考えているわけですね、FMについては。一つNHK、これはだれも異議ないと思いますね。もう一つは、現実にFM東海という実験局があるわけですね。したがって、大臣が九月まで免許を延長したということですから、そのことについては、十分配慮をいただいていると思います。ここのところは私は感謝いたしますが、しかし、一体このFM東海は九月一ぱいで免許が切れます。このままですと解体しますね。一体その措置をどうするか。FM東海当局との間に、六十何社のうちで新聞、通信、放送関係を抜いた三十五社くらいになりますか、その調整工作をやる中で、一体FM東海というものをどうとらえてやっておられるのか。これはただ足立さんによろしくお願いしますというだけでは済まぬと思うのですよ。ですから郵政省としての、裁判問題にまでなったことですから、これは一つ考え方というものを示して、その中で調整工作というものをやっていただいていると思うのですけれどもね、その間の経緯をひとつ伺いたいと思います。
  352. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) FM東海も入っていただいて調整工作が進められている、かように了解しております。それからFM東海は通信学生などもございまして、その方面で迷惑をかけてはいけませんので、これは本放送をやるまでの間、何とか便宜の措置を考えていきたいと、かように考えております。
  353. 鈴木強

    ○鈴木強君 その点はわかりました。足立さんとそれから植村さんがあれですか、調整のためのイニシアチブをとっていただいているわけですか、要するに発起人代表というのですか、調整者というのですか、そういうものは足立先生に全部おまかせして、その方がどういうメンバーを発起人代表にするとか、あるいは調整については、どうやるとかいうようなそういう措置は、全部足立正さんにまかしてあるということですか。
  354. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 郵政省が調整をお願いをいたしましたのは、商工会議所の会頭足立さんでございますが、東京はほとんど財界の方々ばかりが出願をしておられますので、そういうこともあり、足立さんは経団連の会長植村さんと相談をしながら進めておられるようでございます。
  355. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、これは老婆心からといいますか、私は今日まで命をかけて電波の公正な使用を訴えてきました。したがって、どちらの肩も持たないで中道を歩み、一筋にこの電波の公共性というものを守ろうと思って私はやってきております。そういう立場から、特に、最近の調整段階においてのいろいろなうわさもあります。うわさでなくて現に文字にあらわれている点もあります。参考のために申し上げますと、たとえば昭和四十四年二月十九日付の日刊政経速報というのがあります。はっきり言っておいたほうがいいと思いますから。  「NHKに続き新東京放送にも認可内定かFM放送認可選定ほぼ終了」という見出しです。『明年度から本格的に開始されるFM放送は認可ワク二社のうち一社はNHKに認可がおり、残る一社をめぐって六十数社が郵政省に認可申請を出しているが、同省筋によるとすでにその選定が終わり「新東京放送」の社名で明年三月放送をメドに目下その準備を進めているもようである。FM放送は(1)施設費がかからないため利益率が高い(2)印字機能があり、テレックスの代替になる(3)明年度以降十年間は独占放送になる——などの利点があるため、新聞関係者をはじめ各方面から認可申請を出しており、はたしてどこに認可がおりるか注目されていたもの。  今回認可が確実になった「新東京放送」は佐藤総理の推薦もあって自民党長老の林屋龜次郎氏を社長とする予定で、同氏の事務所がある東京・千代田区に同社の仮社屋を準備中だが、』そのあとにあまりよからぬこと書いてありますけれども、これは一応はばかりますが——よからぬというか、このあとに続いていることばはちょっと省略しますけれども、そういうような記事がございます。  それから三月二十四日付の放送ジャーナルの速報によりますると、  「東京地区足立、植村氏が調停斡旋役に、35社対象大口は林屋、梶井、松前諸氏、役員構成は林屋社長、専務を郵政斡旋」と見出しが出ております。その中をちょっと読んでみますと、「各地区の競願調整状況をみると、まず注目の東京地区は、足立正、植村甲午郎氏ら有力者が、連名で35社の競願申請者に対し、趣旨書を配布同時に出資額を明示しており、某申請筋には一千万の出資割当となっている。調整の骨子は、35競願社を対象に出資細分はまだ未確認であるが、大口出資としては林屋龜次郎、梶井剛、松前重義氏らが九%とされ、役員構成では林屋氏が社長に、そして専務には郵政省の斡旋者が就任の予定にあるとされるものの、なお若干の紆余曲折が今後に予想される。」とこう書いてある。これはですね、ただ一つの記事として私は読み捨てることができませんから、あえてきょう大臣に伺うのでありますが、実際に、「専務を郵政斡旋」などということが、出ておるわけですから、そういうことが実際にやられているのかどうなのか。佐藤総理が推薦したとか書いてありますからね、そうなりますと、事は非常にめんどうです。私は、そういういかなる圧力にも屈しないで公正な認可がされることを期待するわけですけれども、一応こういうふうな文書にまでなって流れておりますから、二十八日というとあと何日もないわけですね。きょうの機会ですから、ちょうどよかったと思います。大臣に伺いたいと思います。
  356. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、調整は最終段階に入っておりまして、まあいろいろ人事その他の面でも御苦労しておられるところだと思います。いまお読みになりました新聞あるいはニュース等につきましては、私は見ておりませんから、まあ巷間にはいろいろのお話があるようでございます。しかし、私が希望いたしますことは、あくまでガラス張りの中であくまで公正に仕上げをしていただきたいと、こういうことを熱望しております。
  357. 鈴木強

    ○鈴木強君 私は、まだ具体的ないろんな事実も見ています。私は知っております。しかし、きょうはここで、公開の場ではばかりますよ率直に、はばかりますがね、いかにも残念な事態もあるようです。これはもう小林大臣の、前の大臣時代以来のいきさつもあるわけですから、それを述べれば、これは一時間もかかるかもしれません。しかし、いま大臣が直接免許の衝に当たっておるわけです。新しい河本大臣がいま申されたようにあくまでもガラス張りの中で公正にやっていきたいというお話ですから、私は大臣のその御発言をあくまでも信頼いたします。ただここにありますような、ある役員をだれかが押しつけて、こういう会社の中の株をどうやって、これを役員にしたらどうかというようなことがもし行なわれたとするならば、これはあくまでも発起人代表なり株主総会において最終的には選ぶわけでしょう、民主的に、それが筋ですね。ところがその前段の行使として、そういうふうな特定なものが特定なものを押しつけてくるような、そういう動きがもしあるとするならば、これは断固排除しなければならぬと思います。そうでないと、千載に悔いを残すような気がいたしますから、私はなお念を入れて、そういうことについては大臣のいまの御所見にございますように断固として排除して、ガラス張りの中で公正にやってもらいたい。もう一回大臣の意見を聞きたいのです。
  358. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いろいろのうわさはあると思いますが、しかし、先ほども申し上げましたように、あくまでも公正に、ガラス張りの中で全部を仕上げていきたい、これが私どもの念願でございます。
  359. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで、もう一つ聞いておきたいのですけれども、東京の場合、FMが二つしか割り当てられないと、こういう方針をとっておられますけれどもね、これは石川さんに専門的に伺いたいのですけれども、いまのUHFの中でFMに使えるバンドは七十六メガから九十メガですね。これは間違いないですね。そのバンドは百KCとっておりますか、FMの場合は。そうすると、大体日本の使える周波数というのは幾つあるのですか。
  360. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) お説のとおり、割り当て得る波は七十六メガから九十メガでございますけれども、東京におきましては、九十メガサイクルからすでにテレビの一チャンネルがございますので、現実に割り当て得る波は七十六メガから八十六メガでございます。で、これは使用するバンド幅は二百KCでございますけれども、隣接チャンネルとの間隔がございますので、あわせて一メガ必要であるというふうに聞いております。
  361. 鈴木強

    ○鈴木強君 それはバンド幅は百KCで足りないですか。つまり二百KCの場合もあると思いますが。だから原則としては、百KC幅で、これはやれるんじゃないですか、その点はどうですか。
  362. 野村達治

    参考人野村達治君) これは電波法の規則できめておりまして、FM放送につきましては、二百KCにいたしております。実際やります幅は百KC以下でございますけれども、必要なバンド幅は二百KCでございます。
  363. 鈴木強

    ○鈴木強君 そうだと思います。ですから実際にやれば百KCでやれるんです。それは二百KCバンド持っておれば安全性がありますからそうなっておりますが、実際やろうとすれば、百KCでもやれると思うのです、地域によっては。で二百KCとして幾つのバンドが取れますか、五十ですか。
  364. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 割り算をしますと、五十取れることになります。
  365. 鈴木強

    ○鈴木強君 そこで私はこの次ですね、放送の問題で文部省からも来ていただくように手配しておきます、二十八日予定の。  そこでもう少し詳しく伺いますが、社会教育審議会のほうから答申が二十九日ころですか、出るように話も伺いました。それとの関係でUHF一波とFM一つ利用してもらいたい。こういう申し入れがあるわけですね。それとの関連で、はたして私は東京に現在NHKといま認可しようとするFM東海のようなものを入れまして、二波だけで、それ以上は割愛できないのか、どうなのかということをもう少し検討してほしいんですよ。われわれが納得できるように全国のチャンネルプランというものを示してほしい。そしてFMの放送に対する文部省側の見解というものもあるわけですから、それとの関連で一体東京ははたして二波しかできないのか、三波できるのか、こういう点をはっきり示してもらいたい。もしチャンネルプランが全体としてきまっておって、東京はこれだけだということであれば、その資料をひとつ出していただきたい。
  366. 石川忠夫

    政府委員石川忠夫君) 先ほど二百KCで割れば五十と申しましたけれども、隣接との間隔が八百KCございますので十波でございます。
  367. 鈴木強

    ○鈴木強君 それは隣接するやっとの関係のことを言っているわけで、そうあなただんだん少なくしないでもらいたいんだよ。二百KC以下、百KCでもできるところもあるのだから、そういう実情もちゃんと調べて、はたしてそのバンドが何KCがいいのか、これはやはり検討する必要があるのですよ。私はそう思うのですよ。だからここで私が納得できるような説明がしてもらえればいいんだけれども、全体的なプランはこれからでしょうから、全国のものを含めてこれからでしょう、だからその際に、はたして東京は二波しか割愛できないのかどうなのかということを検討してもらいたい。それはただ十でございますというのでは、それじゃちょっと納得できないのです。だからもっと現実に即した、日本の国情に合ったそういう研究をしてみて、一体幾つが適切かという、そういう中からチャンネルをきめて、そうして申請を受けつけるようにしないと、私はいけないと思うのです。だからまだ余裕があるようにも思うので、余裕がないなら、ないという具体的なこれは話をしてもらえば、そのほかの法律解釈することと違って、実際技術的にこれだけだということになれば、何者もこれを動かすことはできないと思うのです、納得できる数字であれば。そういう意味ではっきりしておかないと、どうも東京は二つしかくれないのはおかしいじゃないかという意見がある。それに対してわれわれが確信を持って答えることができないでしょう、全体的なプランを見ないと。だからそういうものを早く示してもらいたい。民放のほうも桜の花が咲くころと言った七年前のときから延びてきているんだから早くやったほうがいいですよ、そういう意味において、早くプランを示してもらいたい。これはいいでしょう。
  368. 野村達治

    参考人野村達治君) 先ほど電波監理局長が申されました八百KCの間隔が要ると申しましたのは、これは郵政大臣の諮問に応じて電波技術審議会が技術基準をきめました際に、そういったいろいろなことを検討いたしましてきめました結果、従来つくられておりますFMの受信機が大体それに相当しているようなものになっているために、どうしても一メガサイクルのものが必要であるというようなことから東京地区全体から考えて十局しか置けないということになっておるわけでございますが、もしこれを技術基準を改正しまして、さらにその間隔を狭くしてくれということにいたしますれば、これはまた別の道ができてくるかと存じます。
  369. 鈴木強

    ○鈴木強君 これは、日本の場合はあまりにも電波が多過ぎて、朝早くから夜おそくまでじゃんすかじゃんすかやっているのだけれども、松本先生の御意見もありましたけれども、ああいう人も、夜寝るときくらいは静かに寝たほうがいいです。私ども外国を回ってみても、日本ほど長時間放送をしている国はない。しかも、四つも五つも六つも七つも同じようなものをがらがらやって、番組内容についても、いろいろ批判が出ている。だから私は、こういうふうな電波の非常にふくそうしている中におけるたとえば東京とか大阪とか名古屋とか、そういうふうな地域においては、割り当てに非常に苦労されると思うのです。だからできるだけ安全弁をとって、バンド幅を百キロサイクルとかあるいは二百とかそういうものをきめていると思うのだが、それは一つの基準であるから、その基準を圧縮して可能かどうかということを技術的な研究をしてもらいたい。その上でもって、もう一回バンドを全部洗いざらい出してもらって、それから免許というふうにかかってもらいたいと思うのですが、何かどこかに余裕を残すようなやり方というのをこの際やめて、あるものを洗いざらい出したらいいのです。それを、大臣にひとつ検討してもらいたいと思うのですが。
  370. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 関係者を集めましてよく検討いたします。
  371. 永岡光治

    委員長永岡光治君) 他に御発言がなければ、本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会      —————・—————