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1969-06-05 第61回国会 参議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十四年六月五日(木曜日)    午前十一時二十分開会     —————————————    委員の異動  五月十六日     辞任         補欠選任      小枝 一雄君     小林 国司君  五月十九日     辞任         補欠選任      宮崎 正義君     阿部 憲一君  五月二十日     辞任         補欠選任      小林 国司君     園田 清充君  六月二日     辞任         補欠選任      園田 清充君     小林 国司君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         内藤誉三郎君     理 事                 熊谷太三郎君                 吉武 恵市君                 山本伊三郎君                 原田  立君     委 員                 小林 国司君                 小林 武治君                 鈴木 省吾君                 鍋島 直紹君                 船田  譲君                 増田  盛君                 安田 隆明君                 山崎 竜男君                 若林 正武君                 竹田 四郎君                 千葉千代世君                 松澤 兼人君                 和田 静夫君                 阿部 憲一君                 山田  勇君    国務大臣        自 治 大 臣  野田 武夫君    政府委員        内閣法制局第三        部長       荒井  勇君        人事院事務総局        任用局長     岡田 勝二君        自治省行政局長  長野 士郎君        自治省財政局長  細郷 道一君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        法務大臣官房訟        務部第一課長   鰍澤 健三君        文部省初等中等        教育局財務課長  岩田 俊一君        文部省初等中等        教育局初等教育        課長       徳山 正人君        厚生省環境衛生        局環境整備課長  石丸 隆治君        厚生省児童家庭        局母子福祉課長  岩佐キクイ君        建設省都市局公        園緑地課長    川名 俊次君        建設省都市局下        水道課長     久保  赳君        建設省道路局道        路総務課長    北川 博正君        建設省道路局地        方道課長     中野 孝行君        建設省住宅局住        宅建設課長    上野  洋君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○地方行政の改革に関する調査  (昭和四十四年度地方財政計画に関する件) ○都道府県合併特例法案内閣提出)     —————————————
  2. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  初めに申し上げますが、国会正常化に関しして、自民、社会、公明各派国会対策委員長会談申し合わせ事項につきましては、これを尊重してまいりたいと存じます。     —————————————
  3. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度地方財政計画に関する件を一括して議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  4. 原田立

    原田立君 地方団体地域住民の要望にこたえて政治を行なうということは当然のことでありまして、その面にあたって、市町村道整備とか、あるいは公共下水道あるいは清掃施設等々は、特に地方団体に課せられた責務としてその内容を充実するようにみな努力しておるわけでありますが、近来の状況を見てみると、非常にその財政力が弱く、問題であります。それで、まず市町村道実態はどういうふうになっておるのか、その面から入ってまいりたいと思います。一番最初に、建設省の方おいでですか——まず、市町村道の現況を御説明願いたい。
  5. 中野孝行

    説明員中野孝行君) 市町村道は全延長で八十四万三千三百三十キロでございます。これは四十二年度末の統計でございますが、四十三年三月三十一日現在で、改良済みが一三・二%、舗装率が六・四%でございます。  以上でございます。
  6. 原田立

    原田立君 それで、いまも説明があったように、市町村道改良率が一三・二%、舗装率がわずか六・四%、こんな状態建設省はいいとは思っていないだろうけれども、これを一応計画にのせてここまで持っていきたいというようなそういう計画もおありではないかと思うんですが、その点どうですか。
  7. 中野孝行

    説明員中野孝行君) 御承知のように道路につきましては、国道府県道市町村道とあるわけでございまして、国道は政令で指定されておりまして、もちろん基準がございます。それから県道につきましても路線の認定基準道路法で示されておりまして、一定の基準に合うものが認定されておるわけでございます。国県道合わせて約十五万キロでございますが、八十四万キロからの市町村道については別に認定基準というものはないわけでございます。市町村の議会の同意を得て市町村長認定すれば市町村道になるわけでございまして、八十四万キロの道路の中には、いろいろ目的も違いますし、それから重要さもまちまちでございまして、これの整備を進めるにあたって、建設省としても急ぐものから整備していかなければならぬ、こういうことで、現在の長期のビジョンとしましては、国県道合わせまして四十万キロ、大体国県道十五万キロでございますから、残りの二十五万キロ程度を早期に整備する必要がある、こういうことで長期構想をいま検討中でございまして、さしあたって現在の四十二年度からの五カ年計画におきましては、八百七十四億の補助事業計画しておるわけでございまして、国の補助市町村道単独事業とをあわせて整備を進めていこう、こういう段階になっております。で、国の補助事業としましては、五カ年計画では改良延長を千三百二十五キロ、舗装延長を千四百三十七キロを五カ年間に実施する予定になっております。以上でございます。
  8. 原田立

    原田立君 国道のほうの改良率舗装率は現在どのくらいになっておりますか。
  9. 中野孝行

    説明員中野孝行君) 同じく四十三年の三月三十一日でございますが、一般国道改良済みが七四%、舗装済みが七三・八%でございます。それから都道府県道は三七・五%の改良率でございます。それから舗装率が二六・六%でございます。これは四十二年度末でございます。
  10. 原田立

    原田立君 自治省のほうにお伺いするんですけれども、この市町村道路財源確保については、従前からもっと内容を強化しなければならないということは当委員会でも再三指摘している点でありますが、いまも建設省のほうから説明があったように、一般国道改良率七四%、都道府県道が三七・五%、これに比べて市町村道改良率はわずかに一三・二%である。まだ改良率が非常に少ない現状にあるんですが、その点は十分認識なさっているんだろうと思うが、それに対して昭和四十四年度、本年度の財政計画における市町村道路整備費としては、どういう基本的な構想を持って当たられたか。
  11. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 市町村道整備が悪いことは御指摘のとおりでございまして、私どももそのための財源確保につとめなければならないと考えております。四十四年度におきましては、特に単独事業についてその財源措置をしてまいりたい、こう考えまして、道路関係、街路等含めまして、四十三年度は市町村道について千二百九十億円の単独事業措置をいたしておりましたのを、今回は市町村道につきまして二千百六十九億という措置を財政的にいたしたわけでございます。これによりまして、従来の整備率、これのおおむね五割増しぐらいのものが期待できるのではないだろうか、かように考えております。
  12. 原田立

    原田立君 全体の改良率が、市町村道が一三・二%、舗装率がわずかに六・四%、まあ建設省のほうから話があったんだが、いまの局長の御説明によると、四十三年から見れば約倍ほどの処置をしたということなんですが、これで一体どれだけ進捗の歩を進めることができるのか、その点はどうですか。
  13. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあパーセンテージで申し上げるのは必ずしも的確かどうかはわかりませんが、従来の実績等から勘案をしてまいりますと、これだけの財源措置によって、改良では一・五%、それから舗装では一%上がることを期待をいたしておるわけでございます。
  14. 原田立

    原田立君 改良率で一・五%、舗装率で一%と、たいへん少ないんじゃないかと、こういうふうに思うわけですけれども地方財政の力をもっと強化しなきゃいけないということは、地方団体の総大将の方たちの立場に立って自治省はしっかり努力なさるだろうと思うが、それにしても一・五%とか一%というのは非常に少ないんじゃないか。こんな状態でいったならば、市町村道がまあまあできてほんとうによかったというような状況になるのには、もう数百年ぐらい先じゃなければ整備ができなくなってしまうのじゃないか。そういうことでは計画があるのやらないのやらさっぱり見当がつかないのだけれども、これをもっと財源強化をはかっていくような、そういうようなことを自治省としては特に考えているかどうか、その点はどうですか。
  15. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おっしゃるとおりだろうと思います。まあ一%といい、一・五%では、まことに先の長い話ではないか、こういう御指摘だろうと思います。   〔委員長退席理事熊谷太三郎着席〕 いままでの経験で申しますと、一年間に改良ではせいぜい一%、舗装では〇・七%ぐらいしか実は上がってまいっておりません。したがいましてそういうことに比べますれば、四十四年度は少なくとも五割増し財政措置をしたということは言えるだろうと考えております。ただこういうことで、市町村道の将来の姿がどれくらいまでしたらいいのかということにつきましては、先ほど建設省のほうからも御説明がございましたように、一口に市町村道といってもいろいろな道路が入っておりまして、各市町村によってある程度まちまちの点がございます。そういった実態的なことも考慮に入れ、かつ長期的にどの程度に持っていくかということについては建設当局でもいろいろ心配、検討しておられるわけでございます。私どももその点は十分建設省の御意向も受け入れながら調整をとって、将来の姿を描き出すように努力をいたしたいと思っておりますが、さしあたりましては現在ございます五カ年計画を着実に達成をしたい。単独事業につきましては、現在の五カ年計画自身が過去の実績を基本にいたしておりますために、五カ年計画自身も十分にその達成率を引き上げるようなものに実はなっておりません。そこで私どもは四十四年度におきまして、従来よりは、先ほど申し上げましたような大幅な財政措置増強をはかることによって、まず実績を上げてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  16. 原田立

    原田立君 局長はいまの説明の中で、四十三年から見れば倍増しになった、だからいいだろうというふうな意味じゃないのだろうと思うのだけれども土台が少な過ぎるのですよ、土台が。だから四十三年度から見れば倍になったからそれでいいじゃないかという理屈は成り立たないと思う。それで、先ほどもこんな状態ではもう数百年かかるじゃないかと言ったら、仰せのとおりだと言う。局長段階で、事務当局段階で、仰せのとおりでは困るのです。だから何かここで市町村道整備拡充のために、自治省としてはもっと他の省と連携をとりながらも充実をはかるための努力をしなければならないのではないか。その点はどうですか。
  17. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私どもも現在の措置で決して満足をしているわけではございません。いろいろと市町村道整備をされますような措置考えていかなければならないということは、もう常に申し上げていることでもございますし、毎年わずかながらではございますが、そのための努力をいたしており、またそれだけの成果をあげていると思っております。今年度は昨年に比して幸いにして多少の自然増収に恵まれましたので、それをできるだけ市町村道に投入をしたいというような考えのもとに、先ほど申し上げたようなことをいたしておるわけでございます。なお、先のことにつきましては、建設当局とも十分相談をして、財源増強につとめてまいりたい、こう思っております。
  18. 原田立

    原田立君 建設省にまたちょっとお伺いしますけれども国道のほうの整備ですね。一般国道並びに都道府県道、それから市町村道予算配分ですね。それはパーセントでけっこうですから、一〇〇%のうち大体これだけのものが一般国道、それから都道府県道は大体どのくらいか、何かパーセントで簡単に説明できますか。
  19. 北川博正

    説明員北川博正君) 実は全体ではございませんので、たとえば四十四年度の予算でお示しいたしたいと思います。額で申しますと、一般道路事業費が六千五百五十三億でございますが、そのうち一般国道が二千五百六十八億、地方道、要するに都道府県道市町村道を含めました地方道事業費が千六百八十億でございます。その内訳といたしましては、市町村道は百四十一億でございます。したがいまして、六千五百億のうち百四十一億でございますので、約二%になっております。
  20. 原田立

    原田立君 ちょっと金額がよくわからなかったのですが、一般国道は二千五百六十八億、それから都道府県道が千六百八十億……
  21. 北川博正

    説明員北川博正君) 都道府県道市町村道を含めました地方道が千六百八十億、その内訳といたしまして、都道府県道が千五百三十八億、市町村道は百四十一億ということでございます。
  22. 原田立

    原田立君 そうするとあれですね、都道府県道及び市町村道を含んでいるのが千六百八十億で、内訳をいえば市町村道百四十一億ということの説明のようですけれども、非常に少ないですね、予算配分のしかたが。市町村道に対する整備のために少な過ぎるのだね、これは。都道府県道だって三十何%ですからたいしたことはないんだけれども国道は七十何%までいっている。それから比べてみると市町村道ははるかに悪い。いままた昭和四十四年度の予算配分等を聞いてみても、全体で六千五百五十三億ですか、道路関係の費用がね。そのうちわずかに百四十一億である。もういまの説明のように二%だ。これじゃ、もう十階のビルから目薬をさしているみたいなもので、いつまでたっても効果があらわれるとは考えられない。こんなことでいいとまさか建設省は思っているわけじゃないだろうと思うけれども、この点、どうお考えですか。
  23. 北川博正

    説明員北川博正君) たとえばここの市町村道の百四十一億というのは、国の補助対象となる事業費でございます。したがいまして、先ほど自治省からお話がございましたように、それに単独支出二千億円を加えまして、事業費総額から見ると国道並みに近い額で事業が行なわれている、そう理解されていいのじゃないかと思います。
  24. 原田立

    原田立君 そうすると、補助対象の額が百四十一億で、全部合わせたら二千億になるんだからこれでいいんではないかという考えなんですね。私は市町村道に対する予算配分等が少な過ぎるんじゃないか、またその仕事の改良舗装等、でき上がっている現状等からいって、いまこそもっと市町村道整備のために力を入れる段階ではないのか、基本的にそういう見解を持っているのです。だから、先ほどお伺いしたように、このような現状でまさかいいと思っておられないんだろう。だからそれではどうするのかということを聞いているんですよ。
  25. 北川博正

    説明員北川博正君) おっしゃるとおり、市町村道というものは、従来国道あるいは都道府県道に比べますと、進捗率等を見ましても相当おくれておる。そういう意味で、今後市町村道については実は自治省建設省といろいろとお話し合いもいたしておりますが、この整備努力する方針をまた打ち立てようということも検討いたしている次第でございます。そういう意味で、先ほど自治省からもお話がありましたように、おくれているがゆえに、単独費におきましても市町村道の額を相当おふやしになった。そういったことから、市町村道をさらに強力に進めなければならぬという姿勢は持っている次第でございます。
  26. 原田立

    原田立君 内容をずっと充実しなければならないということの御返答ですが、具体的にはどういうことですか。
  27. 中野孝行

    説明員中野孝行君) いまお話のございましたように、市町村道が非常におくれているということでございますが、いままで幹線中心整備を進めてまいっておりまして、この第五次五カ年計画から市町村道整備に本格的に取りかかったような段階でございます。四十四年度につきましても、予算伸びからいきますれば、一般道路事業の一四%の伸びに対しまして市町村道は一八%という、特に市町村道には重点を置いて伸ばしておるわけでございますが、何ぶんスタートがおそうございまして、元金が小さいので、非常に力を入れてないというふうなことでございますが、今後この市町村道の八十四万キロに対しましては、高いところから目薬を落とすような整備のやり方ではなくて、特殊立法中心とした、また国の施策に準ずるようなものから重点的に幹線をまとめて整備を進めていく。また一番町村でお困りになっている橋梁、木橋の整備、そういったことを重点的に整備を進めていく。それからまた、自治省のほうで御心配いただいております。地方の再建が整ってくるのにあたり、これを効率的に指導して、単独事業を効果あるように進めていこう、こういう姿勢でいま作業を進めているわけでございます。大体建設省のいま考えておる方針はそういうことでございます。
  28. 原田立

    原田立君 自治省局長にお伺いしますけれども先ほども申し上げたのですけれども昭和四十三年度の倍になったからといっても、元がとにかく少ないのだから、だからそれでは計画遂行上、すなわち地方道路整備遂行上からいっても微々たるものではないか、そういう指摘先ほどしたら、もっともだという御返事だったのですが、では、今後市町村道整備改良自治省はどれくらいの年次で計画を遂行させる考えなのか、その点はどうですか。
  29. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) その点は、先ほど申し上げましたように、市町村道にいろいろな実態がございますので、そういった点について建設当局ともよく相談をいたしまして、そうして何年後にはどの程度に持っていこうというような目標を立ててまいりたいと実は思っておるのでございます。  ただ現状におきましては、現在の五カ年計画自身をまず達成することが必要であろう。しかし、五カ年計画のうち単独事業につきましては、従来の過去の実績というものを基礎に五カ年計画ができておりますので、それに甘んじておったのではよくないということで、今回、先ほど申し上げましたように、少なくとも去年の五割り増しくらいということによって、このからを破っていきたい、こういう気持ちで四十四年度の計画をつくったわけでございます。   〔理事熊谷太三郎退席委員長着席
  30. 原田立

    原田立君 建設省相談なさって、これから計画をつくるのですか、市町村道整備を充実するために。
  31. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど建設省からもお話がございましたように、昭和六十年度には、現在市町村道の四分の一程度のものは整備をしたいという大きな構想と申しますか、大まかな構想を持っておるわけでございます。そういった構想のもとにいまの五カ年計画ができておるわけです。しかし、その五カ年計画なるものは、いま申し上げましたように、単独については過去の実績というものに引っぱられてつくられておりますので、私ども昭和六十年に四分の一程度整備をしたいということがいいのかどうかという点も、なお私は研究の余地があると思っております。現状におきましては、一応そういう大ざっぱな考えのもとに五カ年計画をつくっております。建設当局市町村道整備について、どういったような内容のものについて整備を急ぐのかというようなこともいろいろ検討されておりますので、それともよく相談をしてまいりたい、かように申し上げておるわけでございます。
  32. 原田立

    原田立君 今回のそれじゃ五カ年計画で、市町村道整備はどのくらいまでいくのですか。いまの説明の中ですと、六十年度末までに市町村道の四分の一はやりたいと建設省考えているということですが、今度の五カ年計画でどの辺までいくんですか。
  33. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 今回の五カ年計画では、いままでの大体実績程度のものを五カ年間積み上げていくということでございます。先ほども申し上げましたように、改良については年々一%程度舗装については〇・七%程度、そういったものが五カ年間の基礎に現在なっております。そこでいまの五カ年計画は、先ほども申し上げますように、過去の実績基礎になっておりますので、単独事業につきまして基礎になっておりますので、やはりそれに甘んじてはいかぬのじゃないかということから、実はことし五割増し財政措置をいたしたわけでございます。いずれこの五カ年計画というものも、次の五カ年計画に引き継がれる問題もあろうと思いますので、そういった際に、進んで積極的に将来を描きながら対策を練っていきたい。その点につきましてよく建設当局とも御相談をしたい、こう考えておるわけでございます。
  34. 原田立

    原田立君 そうすると、いままでの実績を大体踏襲して改良をされていくというようなことで、改良率は年々一%ぐらいずつの伸びである、舗装率は〇・七%ぐらいの伸びであるということですね。これじゃいまも局長自身お話のあったように、たいへん少ないわけですよね。幸い昭和四十四年度、多少の予算の規模が伸びたからそういうふうなことが言えるんであって、市町村道対策としてははなはだ貧弱な考え方で取り組んでいるんじゃないか、こう指摘したいんです。だからそういうことでなくて、もっと内容を充実して、もっと改良率も、舗装率現状よりももっと促進するような、たとえば改良率も、いままでの実績で一%であったものを五%にするとか、六%の伸びにさせるとか、そういうふうな積極策考えていないんですか。
  35. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) だんだんにそういうふうな目標を具体的に立てていくべきだろうと私も思っております。現在は、昭和六十年の非常に大ざっぱな構想というものだけでございますので、それをさらに精査をして具体的な目標をつくっていきたい、こういう気持ちでおります。
  36. 原田立

    原田立君 よくわからないんだけれども、要するにもっと、いままでの実績の一%や〇・七%の伸びだなんていうんじゃなくて、もっと伸ばす考え、たとえば五%、六%、そういうふうに積極的にやっていく、そういう意思があるのかないのか、それを聞いているわけです。
  37. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほど申し上げますように、私どももできるだけ伸ばしていきたいという考えでおります。ただ政府としては、やはり五カ年計画というのを現在持っておるわけでございます。五カ年計画自身達成ということも、根底に持っていかなければならないわけでございます。そういったことから、今年度は、先ほど来しばしば申し上げますように、いまの五カ年計画基礎を打ち破って積極的にいこうじゃないか、こういう気持ちで四十四年度のものをつくっておるわけでございます。さらに、市町村道の将来のあり方をどうしたらいいのかということについては、よく建設当局とも相談し、実態等もよく見た上で定めてまいりたいと思います。御承知のように、市町村道市町村認定に一切まかされておりますので、いろいろな道があるわけでございまして、俗にウサギ道、犬道と言われるようなものも入っておる部分もございます。したがいまして、全体八十四万キロというものをすぐそのままにとらえて、それの何%がいいのかというのは、なかなか実は実態的にむずかしい議論であるわけでございますので、そういった点の実態の認識をもう少し持つことによって将来計画を立てたい、こういう気持ちでおります。
  38. 原田立

    原田立君 このくらいでこの問題は終わりにしたいと思いんだけれどもね。局長考えはね、どうもはっきりよくわからないのですよ。前段のお話の積極的な姿勢で取り組んでいきたい、こういう話はわかる。ところが後段のイノシシ道があるとか、変な道があって、何%ときめられないから、これから建設省相談するんだといってごまかしているんです。そこは前段の話はけっこうだけれども、その前段のお話を受け継いで、先ほどからぼくは何度も言っておるように、いままでの一%、あるいは〇・七%程度伸びだなんというのでは少ない。だからこれを五%、六%、七%、そういうふうな伸びのほうへ持っていくのかいかないのか、自治省姿勢を聞いているわけなんだ。姿勢が、この基本的なものが出れば具体的な方策となってくるわけです。そこら辺を聞いているわけですから、もう少しはっきり御答弁願いたい。
  39. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私ども姿勢は、市町村道は一番おくれた行政施設だ、こう考えておりますので、これについては積極的に財政措置を将来も考えてまいりたい、こう思っております。
  40. 原田立

    原田立君 自治省のほうでそういうふうに肝心なところへくるとぼやかしてしまってわからない話になったのでは、市町村道整備だなんということを口では言っておりながら、実際には今後も微々たる伸びしか示さないじゃないかという非常な不安を持つのですよ。ですから積極的な姿勢で取り組んでいきたい、それは私けっこうだ。それじゃそれを具体的に現状よりもいま一歩、二歩前進させるためのものを示せということをさっきから何度も言っておるわけでなんです。肝心なところにくると、建設省相談してということで、話はおじゃんになっておる、その点は非常に私答弁に不満です。これはもっとはっきりしてもらいたいと思う。  あまり時間がないから次に移りたいと思いますが、この市町村道整備と同じように、やはり市町村で非常に大事な問題になっておるのが下水道整備の問題なんですが、建設省、この下水道関係の現状、現在の実態は一体どうなっておるんですか。
  41. 久保赳

    説明員(久保赳君) 下水道の現況でございますが、わが国の現在の状況は非常におくれておりますが、その普及の度合い、市街地の面積に対しましてどれだけの地域に下水道ができておるかということを、市街地の面積に対する割合で表現をいたしますと、約二〇%が下水道ができておる状況でございます。
  42. 原田立

    原田立君 この下水道が整備されないために、用水路だなんて名前はきれいなものになっていても、実態はどぶ川になっているというのが数多くあるし、特に都市などは、川なんだかどぶなんだかさっぱりわからない、そのために、そういう公害発生みたいな状況にもなっておるわけです。それでいまのお話ですと、約二〇%ぐらいしか整備されていないそうだが、たいへんおくれておることは御答弁があったとおりなんだが、ではこれをどういうふうに整備していくのか、この点はどうなんですか。
  43. 久保赳

    説明員(久保赳君) 下水道の整備計画につきましては、現在のところ下水道整備緊急措置法に基づきまして、昭和四十二年から四十六年度までに総額といたしまして九千三百億円、うち三百億円は予備費でございますが、それを投資することによりまして、五カ年計画の最終年度である四十六年度には、先ほど申し上げました普及率を約三分の一、三二・五%でございますが、そこまで引き上げるようにしてまいりたい、かように考えております。  なおその整備の進め方といたしましては、全国の市街地全域に一挙に進めるということができませんので、重点を定めております。その重点の中に、ただいま原田先生御指摘になりました公共用水の汚濁が非常に著しい地域であるとか、あるいはまたちょっとした雨が降りましても直ちに浸水をする、こういうような地域に重点を置きまして、それらの地域に重点的に投資することによって、先ほど申しました三二・五%まで普及の程度を上げてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  44. 原田立

    原田立君 昭和四十三年度では千三百十四億の予算であったのが、四十四年度は千七百億円を計上しているというふうに調べてあるわけなんだけれども、では千七百億円でどのくらいの事業ができるのか、どのくらいの進捗率を示されるのか、その点はどうなんですか。
  45. 久保赳

    説明員(久保赳君) 五カ年計画に対する進捗率でございますが、総事業費に対しまして四十三年度までは約二九・六%の進捗率でございましたが、ただいま先生申し述べられました事業費を四十四年度に投資することによりまして、五カ年計画総体に対して四七・一%程度達成される計画になっております。
  46. 原田立

    原田立君 対市街地面積ではどのくらいの伸びになるのですか。
  47. 久保赳

    説明員(久保赳君) 対市街地面積では、五カ年計画の一番初年度では、先ほど私が申し述べました約二〇%、一九・九%でございますが、四十四年度末には、まあ予想ではございますけれども、二五%程度まで引き上げられる予定になっております。
  48. 原田立

    原田立君 たいへん少ないですね。やはり住みよい地域社会をつくっていくには、あなた方がおやりになっているこの仕事が一番大事な仕事だと思う。かなり努力なさっていることば私たちも承知しておりますけれども、非常に伸びが悪いんですね。こんな現状でまさかいいと思っておいでではないと思う。で、ちなみに外国のほうの実態は一体どんなふうになっているのか。それと比べてみて、わが国のこの下水道事業のおくれをもっと自覚して、それこそ前向きの姿勢にならなければいけないと思うのだが、そこら辺を御説明願いたい。
  49. 久保赳

    説明員(久保赳君) 先生御指摘のとおりでございまして、下水道のわが国の現況は、ほかの都市に比べましても——ほかの都市、ほかの国と申しましても、主として西欧、欧米諸国でございますが、それらに比べますと非常に低い状況にあるのでございます。二、三数字を申し述べますと、先ほどの普及率で申しましたのとちょっと違う尺度でございますが、国際的には総人口に対して下水道を利用している人口、下水道を使っている人口、これが相対的な比較の尺度になりますので、その数字をもって普及率として申し述べますと、イギリスが大体九〇%でございます。それからアメリカが六八%でございます。そのほかオランダが八〇%という状況でございますが、日本ではこの普及率が一四%——総人口で表現しますと一四%、こういう低い状況にございますので、私どもも現在の五カ年計画をもって満足をしているわけではございませんので、少なくとも全市街地には下水道を完備をする、こういうことを長期目標といたしまして、五カ年計画を現在実施しておるわけでございますが、当面はまず、現在定められておる五カ年計画を完全に達成していくということを当面の私ども努力目標とせざるを得ない状況でございます。しかし、現在の五カ年計画で満足しているわけではございませんので、その次にはさらに拡大をした整備計画を進めることによって長期目標達成するように努力をしなければならない、かように考えております。
  50. 原田立

    原田立君 イギリスが九〇%、オランダが八 〇%、アメリカが六八%である。それに比べて現在の日本の状況は二五%である……。
  51. 久保赳

    説明員(久保赳君) いいえ、一四%です。人口であらわした場合は一四%。
  52. 原田立

    原田立君 これではまるっきり悪いということですね。私はそういうような公共下水道関係に対して取り組む姿勢ですね、現在の状況では、担当するあなたにとっても不満足なんだろうと思う。これをもっと内容を充実するための抜本策といいますか、そういうことは現在考慮されているのですか。
  53. 久保赳

    説明員(久保赳君) その抜本策の一つに、現在やっている努力がなろうかと思いますけれども昭和四十二年に初めて下水道整備緊急措置法というのを国会で御審議いただきまして、制定公布をしたわけでございまして、それに基づいて五カ年計画を確実に実施をするというようなことが私ども当面考えておることでございます。しかしこの五カ年計画も、先ほど申し述べましたように、四十二年、三年、四年と三年が一応予算措置がなされて、三年たちましてその達成率が四七・一%、こういうことでございますから、残り二年で残る五三%を実施をしなければならない、こういう状況でございますので、長期計画長期計画といたしまして、当面、定められている五カ年計画を完全に達成する。それによって、一応、非常に水質汚濁がはなはだしいところであるとか、極度に状況の悪いところの解決をまず第一にはかってまいりたい。下水道は都市の、市街地の中のし尿問題とも関係をいたしまして、水洗便所にすることによってそれの完全なる解決ということもできる施設でございますので、そういうことに非常に困っている地域を重点的にまずやることが抜本策の第一歩であろうかと、かように考えております。長期の問題は、現在実施している五カ年計画達成状況等々を勘案しながら、先ほど申し述べました長期計画に向かって努力をしてまいりたい、かように考えております。
  54. 原田立

    原田立君 下水道の整備、いま建設省のほうからずっと聞いておったんですけれども、欧米並みなものから比べてみれば日本はわずか一四%である。たいへん悪い状態であることはいま聞いたとおりですけれども、この下水道整備等も、市町村道路改良と同じように、やっぱり市町村に課せられた大きな一つの仕事なんです。そのために財政計画も考慮されているんだろうと思うが、より早く内容を充実するために、この下水道関係には自治省としてどういう取り組み方をしているんですか。
  55. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま建設省からお話のありましたように、いま政府として下水道の五カ年計画をやっておるわけでございますが、これはいままでのところはこの五カ年計画進捗状況が非常におくれておりますので、いままでのままでまいりますと五カ年計画達成も非常に危ぶまれるというような状況にございまして、そこで私どもとしましても、建設当局相談をいたしまして、四十四年度は従来よりも財政措置を増額することによって五カ年計画達成が可能になるように、こういうことでいろいろお話し合いをいたしました。その結果、今回は公共事業並びに単独事業その他含めまして千七百億の下水道の事業量が達成できるよう、それに見合う地方負担額並びに単独事業につきまして財源措置をいたしたものでございます。
  56. 原田立

    原田立君 それはわかっているんですよ、千七百億ってさっき私が発言して説明したんだから。だからこういうことでたいへんおくれているんだし、このおくれを取り戻すために自治省としては基本的にどう対策を講ずるのかという話を聞いているんです。
  57. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま申し上げましたように、私どものほうとしてまずやりますことは、やはり財源措置でございます。で、財源措置につきましては、地方債等の特定財源を除いたもの以外は交付税によって措置をしょう、こういう考え方で財源措置をいたしております。それからもう一つは、単独事業の比重を高めるということでございます。補助事業も、下水のことでございますから幹線事業については当然必要なことであります。枝線等についての単独事業、これを増強をしたい、こういうような考え方で財源措置をいたしておるわけでございます。で、御承知のようにそういった結果、四十三年度におきましては千百九十三億の事業費についての財源措置をいたしましたのを今回は千七百億、普通の公共事業事業量の伸びを上回る財源措置をしたと、こういうことでございます。
  58. 原田立

    原田立君 まあ四十三年度よりは四十四年度のほうがはるかにふえたからいいじゃないかというような意味にとれるんです。これも先ほどから何度も言っているように、市町村道の場合と同じように、四十三年度が少な過ぎるのですよね。たいへんおくれているわけですよ。だから、それからちょびっと伸びたからといって、公共下水道整備充実のために自治省はかく努力したというようにいばって言うわけにいかないと思うのです、これは、その点指摘したいと思うのです。そんなことは先刻まあ知っておいでのことだろうと思うのだけれども。  それで、いまの説明の中のことでちょっとたいへんなのは、いままで過去三カ年、五カ年計画の中の三カ年で四七・一%は済みだと、あと二カ年間で五三%やらなきゃならないのだと、これは、これだって非常に微々としたものなんだが、これを、わずかな五カ年計画さえも何だか達成が危ぶまれているような、というような意味説明がいま局長からあったのだけれども、これはちゃんとできるのでしょうね。まあ今後の見通し等も含めてのことなんですけれども、やっぱり計画を立てたことはちゃんと実行をすると、これ以上に上回るようにしていくと、この考えは当然お持ちなんだろうと思うのだけれども、これはだいじょうぶでしょうな、
  59. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私のほうからお答えするのが適当かどうかわかりませんが、少なくとも私ども地方財政措置につきましては、これが達成できるようにやってまいりたいと思っております。
  60. 原田立

    原田立君 建設省どうですか。
  61. 久保赳

    説明員(久保赳君) これはもちろん五カ年計画を、そういう財源内容を含めて達成できるものとして閣議決定したわけでございまするし、私どもはこれを完全に達成をしようと、こういうつもりでございます。
  62. 原田立

    原田立君 まあ先の話だからね、いまからできませんなんという答えはないだろうと思う。達成するように努力するということぐらいしか返答はできないのだろうと思うが、まあひとつしっかりやってもらいたいと思う。  それから局長、千七百億円の、公共事業費と合わせて千七百億円の下水道整備予算がついておりますが、この地方単独の場合ですね、ちょっと私金額を持ってないけれども地方単独事業としてはどれだけになっているのか、その点説明してもらいたいと思うのです。
  63. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 千七百億のうち、単独事業分が八百六十七億であります。
  64. 原田立

    原田立君 八百六十七億というと、約半数以上が国のほうで処置することになるのですが、従来こういう、もちろん市町村に課せられた仕事の一つではあるけれども、こういう下水道等の基幹になるようなこういう仕事については、もっと国のほうで手厚く処置すべきではないか。地方財政が非常に苦しい、それと、また今回は多少の伸びがあったとしても、八百六十七億の予算単独事業費としてついている。もっと手厚くすべきではないかというふうな考えを持つのですけれども、その点はいかがですか。
  65. 久保赳

    説明員(久保赳君) ただいま先生の御指摘のように、下水道のうち基幹施設と申しますか、骨組みになるような施設につきましては、現在国の助成補助事業としてやっておるわけでございますが、その割合を漸次高めることを五カ年計画の中できめておりますので、数字的には必ずしも十分とは言えないかもしれませんですけれども、先生御指摘のような方向で計画が組まれております。
  66. 原田立

    原田立君 まあいままでのいろいろな説明で、下水道の整備がたいへんおくれていると、要するに地域住民がこのために非常に不快な生活を強いられているという現状がはっきりしてきたわけなんですけれども、これはもっと内容を充実するようにせっかく努力してもらいたいと思うのです。  あまり時間がないので、次に進めていきたいと思うのですが、同じように市町村に課せられた大きな仕事の一つとして清掃施設整備充実という問題があります。で、清掃関係でいけば、し尿あるいはごみ処理等が大きな仕事でありますが、まず最初に、し尿関係の実態は一体どんなふうになっているのか、それを先にまずお伺いしておきたいと思います。そのあとに、ごみ関係の実態はどうかということをお聞きしていきたいと思います。し尿関係からまず現況を説明願いたい。
  67. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) し尿処理の現状について申し上げます。  現在市町村が責任をもって処理をやっております地域を特別清掃地域と申しておりますが、現状におきまして、この特別清掃地域が全国民の七〇%をカバーしている状況でございます。この七〇%の国民から出されるし尿につきまして、現在この公共下水道によって処理いたしておりますものが九・七%、し尿浄化槽によって処理いたしておりますものが一二・三%、下水道のマンホールになまし尿を投入しておりますものが五・六%、それからし尿処理施設によりまして処理いたしておりますものが四〇・一%、そのほか農村還元三%、海洋投棄一三・九%、山林投棄五・六%、こういう実情でございます。
  68. 原田立

    原田立君 下水道放流の終末処理というのがたいへん理想的であるというふうに聞いております。これがわずか五・六%、五%内外というふうに聞きましたけれども、これはたいへんおくれておりますね、現状は。それでそういう面での整備充実をはかっていかなければならない。ところが現状は、農村還元であるとか、あるいはまたきたない海上投棄であるとか、はなはだ原始的な方法にたよるしか日本の清掃施設関係はなっていない。たいへんおくれているわけです。これはもっとテンポを早く充実していかなければならない。そのためにもたいへんお金がかかるわけなんですが、そういう今後の計画、あるいは予算関係等含めてどんなふうになっているのか。
  69. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) ただいまちょっと説明不十分で誤解があったようでございますが、現在、公共下水道の終末処理場で処理いたしておりますものが九・七%でございまして、下水道のマンホールに投入いたしておりますのが五・六%でございまして、総計約一五%が下水道で処理されておるわけでございます。いずれにいたしましても、非常にそういう現状が好ましい姿ではないことは事実でございまして、理想的な姿といたしましては、すべてのし尿が下水道で処理されることが最も望ましいわけでございます。ただ、先ほどから御議論のございましたように、下水道のほうの進捗に合わせまして、その間のつなぎといたしまして、われわれのほうではこのし尿処理施設によりましてし尿を衛生的に処理してまいりたいと考えておるわけでございます。で、現在われわれは、やはり先ほど申しましたこの五カ年計画に基づきまして作業を行なっておるわけでございますが、五カ年計画の完了いたします昭和四十六年度におきまして特掃人口——特別清掃地域の人口が全人口の九〇%になるようにこの特別清掃地域を拡大いたしてまいりたいと思っております。なお、この九〇%の人口から出ますし尿につきましては、公共下水道と合わせまして一〇〇%が衛生的に処理できるよう、現在、し尿処理施設の整備を行なっている状況でございます。
  70. 原田立

    原田立君 何か話がごちゃごちゃしてよくわからないけれども公共下水道及びマンホール等下水道放流の終末処理だね、合わせて一五%とさっき言いましたね。あとはみんな農村還元並びに海上投棄でしょう。だからそういうことがたいへんおくれているということを指摘しておるわけなんです。だからそれに対して、公共下水道のほうの五カ年計画と合わしてやるというようなお話だが、じゃ公共下水道五カ年計画、それが全部遂行されたときに、一体このマンホール及び下水道放流の終末処理場、そういうことの処理ですね。これは一体どのくらいになるのですか。
  71. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) 五カ年計画の終了いたします昭和四十六年度末におきまして、公共下水道によりまして処理し得る人口が千七百七十万人、それから地域し尿処理施設、これは主といたしまして団地につくるものでございますが、団地向けの共同し尿浄化槽というふうにお考え願ってよろしいかと思うわけでございますが、これによりまして処理し得る人口が二百八十一万人、それから各戸につくりますし尿浄化槽によりまして処理いたします人口が千二百四十八万人、これはいわゆる水洗の人口でございますが、このほかにし尿をくみ取って処理する場合があるわけでございます。で、このくみ取りし尿を衛生的に処理いたしますためにし尿処理施設というものをつくっておるわけでございますが、このし尿処理施設によりまして処理いたします人口が五千二百九万人、それから公共下水道の終末処理場にくみ取ったし尿を投入いたします人口が八百八十五万人、こういう内訳になる予定でございます。
  72. 原田立

    原田立君 それで、先ほど一五%という説明があったけれども、そのパーセンテージはどのくらいになるのですか。どのくらい伸びるのですか。もしわからなければ……、わからないですか。
  73. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) ちょっとパーセンテージが……。
  74. 原田立

    原田立君 じゃ、けっこうです。要するにおくれておるということをまず指摘したいのですよ。だからそれに対してもっと充実するような方向を国としても打ち出すべきだと、こう申し上げたい。  あまり時間がないから次に進むのですが、ごみ処理のほうはどうですか。
  75. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) ごみ処理につきましても同じでございまして、現在総人口の約七〇%を市町村が責任を持って処理いたしておるわけでございます。で、排せつされますごみのうち、四七・三%をごみ処理施設で焼却をしております。約五〇%を焼却、それから埋め立てが三七・七%、そのほか堆肥にいたしますものが一・六%、それから動物の飼料にいたしておりますものが〇・四%、あと二二%の部分につきまして自家処理とやはり山林等への投棄が行なわれておるわけでございます。
  76. 原田立

    原田立君 たいへん非衛生的な処理がまだまだ各都市で横行しておるということですな。それで、こういう清掃施設状態、し尿関係及びごみ処理等、いま説明があったようにたいへんおくれているわけです。このおくれを取り戻すためにもそれぞれ計画を立ててやるわけでありますが、自治省としては、財政的に、この地方団体固有のやらなければならぬ仕事に対してどのくらい予算の上でも手厚くしていくのか、そこら辺の基本的な考え方はいかがですか。
  77. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 清掃施設整備につきましては、私どもも人口の多い都市におきましてはそういうのが完全にできるということが必要である、こういうふうな考え方に立って財源措置考えておるわけでございまして、昭和四十四年度におきましては、し尿、ごみ合わせまして施設整備財源として二百七十五億円を地方債その他によって、交付税も入れまして措置をいたしております。
  78. 原田立

    原田立君 これはある都市から聞いた話なんですが、現行の単年度補助補助基本額の四分の一を投げ渡しの形で出しているようでありますが、清掃工場設立は水資源と同様先行投資的様相を呈しているので、現下の都市形態において国の総体的ワクの拡大と増額を強く要望したいということを言っております。これに対してはどういうふうな基本的態度ですか。
  79. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) ごみにつきましては、近時非常にその施設が変わってまいりまして、従来われわれといたしましては、ごみ処理は焼却を主とした方式をとっておったわけでございますが、近時、従来有価物として処理されていたものが、いわゆるごみとして出されてまいるわけでございまして、たとえばテレビあるいは家庭の電気冷蔵庫、そういった耐久消費財がごみとして出されてまいるようになりまして、従来のような焼却のみによりましてはこれが処置ができなくなったような現状でございます。そういたしますと、やはりこういった新しいごみに対する処分方法を考えなければならないわけでございますが、いずれにいたしましても膨大な土地を要するわけでございまして、現状におきましては、各市町村ともこの土地の先行投資に非常に苦慮しておるような実情でございまして、われわれのほうといたしましても、こういう新しい実情に対応いたしまして、先日来、全国都市センターにお願いをいたしまして、新しい方策を検討していただいたわけでございまして、この報告書に基づきまして、今後われわれのほうといたしましても対処してまいりたいと思っております。
  80. 原田立

    原田立君 局長、清掃関係で、補助基本額とか補助対象年の問題等を含めて、超過負担になっておるのはどのくらいになりますか。
  81. 石丸隆治

    説明員(石丸隆治君) 現在予算的には四分の一の補助でございますので、二五%の補助に相当するわけでございますが、現実におきましては、実質補助率は七%程度になっております。その部分だけ市町村の超過負担になっております。
  82. 原田立

    原田立君 金額は——局長のほうでそれはわかりますか。超過負担になっておるのはどのくらいなのか、それと、超過負担に対しては、各省に自治省から言うて、解消方を努力しておるということは前から聞いておるのだけれども、この清掃施設等をつくるために、昭和四十四年度では超過負担額はどのくらい解消されたのか、その点は。
  83. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 清掃施設整備についての超過負担の数字は私どものほうにいま持っておりません。実はこの清掃施設整備についての補助制度というものは、いわゆる奨励補助のような形になっておりまして、普通の負担区分等に基づく補助制度と違っております。また運用にあたりましても、厚生省のほうでは、どちらかといえばサンプル的なものについての補助というような制度の運営をされておるわけでございます。したがいまして、私のほうとしましては、この財源につきましては、地方債並びに交付税というものをかなり投入しておるのでございまして、たとえば先ほど申し上げましたが、四十四年度二百七十五億の財源措置の中で国庫支出金はわずか三十三億でございまして、残りの分は全部地方債等の特定財源または交付税等の一般財源によって措置をする、こういう行き方をとっております。
  84. 原田立

    原田立君 そういう行き方をとっているじゃなくて、こういう清掃施設関係がたいへんおくれておるということを指摘しているのですよ。さっきから何もかもみんなおくれている現状指摘して、それに対して、自治省としては地域住民の住みよい地域社会をつくるための努力がどれだけなされておるのか——はなはだ少ないじゃないか、はなはだ不熱意じゃないかということをさっきから何度も言っておるわけだ、現状を申し上げて。だから、こういうようなことで処理しておりますではなしに、そのおくれをどういうふうに取り戻すかということを聞いておきたいのですよ、はっきり御答弁願いたい。
  85. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 清掃施設につきましては、先ほど厚生省からもお答えがございましたように、五カ年計画によって、その計画末においては、特別清掃地区の人口に対してこれを完全に処理ができるようにという目標のもとに施設の整備をいたしておるわけでございまして、私どももその考え方に賛成をして、それに対する財源措置を年々いたしておるわけでございます。都市のいろいろな行政施設が、おっしゃるように社会経済の情勢に必ずしもマッチして進展をいたしておりません。したがいまして、それらのおくれをどういう形で取り戻すかということにつきましては、単に地方財政のみならず国の財政も含めて、全体として社会資本の充実、公共投資の充実ということに力をいたさなければならない、かように考えておりますが、地方財政の面におきましても、特にいま先生の御指摘になりました市町村道、下水道、あるいは清掃、こういったようなものにつきましては、それらが非常に住民の日常生活に直結しておる施設であるという観点から、四十四年度において、いろいろおしかりを受けておりますけれども、私どもとしてはできるだけの拡充の努力をいたしたつもりでございます。今後もこの努力をさらに拡大して続けてまいりたい、かように思っております。
  86. 原田立

    原田立君 時間がどんどんたちますんでね、じゃあ清掃関係、このくらいで終わりにします。  都市公園の現況も、各外国等の例から見ると、わが日本の場合にはたいへん少ない。現況は非常によくない。都市公園がだんだん今日問題にされているときですから、このときにもつとこういう緑地帯あるいは都市公園等は整備していかなきゃならない、こういうふうに思うんです。ちなみに私調べたところによると、ニューヨークでは十九平方メートルであるのに対し、わが日本では全国平均では二・四平方メートルである。たいへん少ないわけですね。この現況、そこら辺のことは私もとらえているわけなんですが、今後健康増進あるいはもっと健全化していくために、この都市公園の整備等をどういうふうになさっていくのか、担当省庁のほうでまず御説明願いたい。
  87. 川名俊次

    説明員(川名俊次君) ただいまおっしゃられましたように、諸外国と比べますと、わが国の都市公園は非常に少ないわけでございます。厳密に外国におきますところの都市公園と、わが国におきます法制上の都市公園とは一致したものではございませんので、必ずしも厳密な意味で比較はできないわけでございますが、おおよものところは、ただいま先生から御指摘がございましたように、ニューヨークでは十九・〇、東京におきますと〇・八九、平均いたしましてはわが国の都市が二・四平方メートル程度しか持っていないわけでございます。そこでわれわれといたしましても、この整備にあたりましては、長期構想に基づきます五カ年計画をできるだけ早い機会に策定をいたしまして、その計画に基づきまして実施を進めてまいりたいと思っております。しかし、当面する問題がございますので、差しあたっての問題といたしましては、特に最近の交通事故等の子供の事故が多うございます。児童公園につきましては最重点的に整備の促進をはかっております。また、御指摘がございましたような青少年のための運動の場と申しますか、そういう運動公園の整備に重点を置きまして、ただいま懸命な努力を続けておるわけでございます。
  88. 原田立

    原田立君 しっかり努力してもらいたいと思う。特に東京あるいは大阪等の大都市になんかなってみると、まるで話にならないほど少ないわけですよね。こういう面でもたいへんおくれているんだが、いまの説明のようにせっかく今後努力をしたいということなんだが、具体的に何か計画等打ち出されてやっているのかどうか。あるいは、地方に対してどんなふうな指導等がなされているのか。
  89. 川名俊次

    説明員(川名俊次君) 最近都市公園につきましても、非常に絶対値は少ないわけでございますけれども、四十三年度予算に比べまして四十四年度予算は二割三分の、二三%の増を見せて、特に子供公園につきましては、その伸び率は六四%伸びております。また先ほど申し上げました運動公園につきましては二・七二倍でございます。一七二%の増を示している。このように努力をいたしておりますけれども、五カ年計画とまとまった計画がまだ立案されておりませんので、そういう計画を早期につくってまいりたいと思っております。計画の策定にあたりましては、具体的には問題となりますのが用地の問題が第一でございます。それから財源の問題をどうするかというような二点におおむねしぼられてまいるわけでございまして、このためには、先ほど指摘ございましたような東京、大阪等の大都市におきまして特にその傾向が顕著でございます。それらの都市からのヒヤリングをもとにいたしまして、今年度都市センターの中に公園整備のための財政研究会を設けまして、促進につきまして、あるいは推進につきまして具体的の計画を立案し、そのオーソライズドによりまして計画の執行を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  90. 原田立

    原田立君 じゃけっこうです。  公営住宅の住宅関係来ておりますか。公営住宅のほうの現況ですね、これをひとつ簡単でけっこうですから、数字をあげて御説明願いたい。
  91. 上野洋

    説明員(上野洋君) 住宅対策昭和四十一年から五カ年計画で進めておりますが、その中で公営住宅は四十四万戸予定いたしております。四十四年度末でその建設の進捗状況が約七八%に達している状況でございます。
  92. 原田立

    原田立君 四十二年度でぼくのちょっと調べた数字では百万八千七百四十七戸ができたというふうになっているのですが、その数字と一緒ですかな。
  93. 上野洋

    説明員(上野洋君) 公営住宅でございますと、五年間で四十四万戸の予定でございまして、四十四年度までの計画の計は三十四万三千戸の計画でございます。
  94. 原田立

    原田立君 住宅が少なくてたいへん困っておるのは、都市はもうすでに御承知のとおりなんだけれども、四十二年度中に公募した住宅が八万二千百五十八戸、応募した人が実に七十万三千八百十件、競争率は約九倍である。特に六大都市なんかになると、五千五百四十三戸に対して八万三千二百五十二件の申し込み、すなわち十五倍である。こういうことなんだが、人口急増都市の個別の都市等を見ると、三十倍、四十倍というところが出てくるわけです。それで、この住宅対策についてしっかり力を入れなければいけないのは当然の話です。ところがこれをしっかり内容整備していこうと思うと、いろんな隘路があるわけです。その隘路を取り除いていかなければならないのでありますが、まず最初に公営住宅の用地を取得するための国の補助金関係、この関係はどうなっておりますか。
  95. 上野洋

    説明員(上野洋君) 用地取得につきましては、公共団体におきまして超過負担がたいへん多いという御意見が、実態、これもあったわけでございます。そこで四十四年度からは超過負担の解消をはかるために補助の制度を融資に切りかえまして、総額で約七〇%アップの地方債を計上いたしまして、超過負担の解消をはかるという方式をとっておりますが、なお地方債によります家賃のアップを低くいたしますために、四億五千万近くの家賃収入補助金を計上いたしております。
  96. 原田立

    原田立君 この融資制度に切りかえたというところに大きな問題があるんですよ。それはやっぱり融資といったって借金ですからね。だから簡単に融資制度に切りかえるなんということは実は大きな問題なんです。それで局長の、この公営住宅の用地取得するための国の補助金が全然つかないで、補助金制度から融資制度に切りかわったことについて、自治省としては、これはもうすでにこうなっているんだから、基本的には了解したんだろうと思うんだけれども、これはぼくははなはだ融資制度に切りかえたのは、かえって地方自治体を困窮の状態に陥れる、そういう無理があるのじゃないか、こう指摘したいのです。その点、どうですか。
  97. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公営住宅につきましては、御承知のように、家賃収入というものによって将来これを償却をしていくと申しますか、財源を埋めていく、こういうことが基本にあるわけでございます。したがいまして、この土地の部分につきまして補助制度が適当であるかどうかということについては、従来からも実は議論があったところでございます。地代として家賃に含ませていくという考え方も一つの考え方であったわけでございます。それがいままではいろいろ議論がされておりましたけれども補助制度が建物も同様に残っておったわけでございます。今回、建設省におきまして、予算の折衝の過程で、補助制度をやめる。しかしそれではその分の土地の取得の金が要るということで、地方債を今回大幅に増額をいたしました。で、さらにその結果、地代にはね返る部分がふえてくるというところから、先ほど説明のありましたような、家賃の値上がりを押えるという意味での補助制度というものができたわけでございます。私はこの問題につきましては、必ずしもすぐ地方財政を圧迫するということにはならないのではないか。起債によって手当てをし、かつ将来家賃またはそれの一部をなす補助金というようなことによって処理をされていくものとすれば、それもそれなりに一つの考え方ではなかろうか、こういうふうに思っております。
  98. 原田立

    原田立君 四十三年度予算では、第一種では補助率二分の一、二種では三分の二の補助率というようにきまっておったように聞いております。これが今回廃止になって、融資制度になったということなんだが、いまも基本的なことで指摘したいと思うのは、融資というのは、名目はどうあっても借金なんです。補助金が出るということは、それだけ地方団体に与えるわけです。これが入ってこないのですから、融資制度に切りかえたということは、それが入ってこないんだから、これは地方財政に圧迫を与えないというふうにいま局長説明のようだが、やっぱり大なり小なり負担をかけることはこれはもう間違いないと思うのです。それで地方団体のほうも、特に地方財政充実のためからも、こういう融資制度ではなしに、補助率をもっと上げてもらいたいという要望の声が、そっちのほうが強い。融資制度に切りかえたことについてもはなはだ不満の意を持っているものが多い。この現状をどういうふうにとらえているか。
  99. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公営住宅を建設するための建築費並びに用地費というものは、最終的にはそこの入居者が負担すべきものと、こういう考え方に立っておるわけでございますので、その間の資金繰りの問題として、確かに地方債というものが大幅に要ることは確かでございます。それにつきましては、今回、従来の充当率を落とさないように地方債の大幅な増加を実はいたしたわけでございます。問題は、その地方債の償還財源はどこから得てくるかということになりますと、私は入居者の家賃という形で将来回収されるもの、こういうように考えておるのでございます。
  100. 原田立

    原田立君 どうも話の焦点が少し合わないのじゃないですか。私は四十三年度には第一種、第二種ともそれぞれ補助金が出たと、それが四十四年度では融資制度に切りかえて補助金制度は廃止したと、ここに問題点があるということを指摘しているのです。公営住宅は家賃収入でまかなうのだと、そんなことを聞いているのではない。その前の話を聞いているのです。
  101. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) やはり地方財政を圧迫するかどうかということは、その負担者がだれになるのかということがあるだろうと思うのでございます。補助が土地についてとられておった。土地購入について補助がとられておったということは、その分だけ国の援助によって家賃収入を抑制するという考え方をとっておったものと私は理解をいたしておりますが、建設省はどういう御理解であったか別にいたしまして、私はそういうように考えております。その補助制度がやめになった。そうすると、土地を買うために補助金分だけのお金がさしあたってない。それは起債を大幅にふやすことによって処置いたしましよう。問題は起債がふえたが、その分の起債の償還財源はだれが出すのかということになるというと、一般の住民負担の税金で出すのだということになると、私はやはり地方財政を間接的に圧迫してくることになると思いますが、この場合には家賃収入でこれをカバーをする。しかし別途建設省から御説明のありましたように、家賃収入については、すぐ家賃を引き上げることは政策的にいかがかということから、その引き上げに相当する部分については補助金を出すということでございますので、私ども少し厳格的なものの申し上げ方をしているかもしれませんが、私どもとしては、地方財政を直ちに圧迫するものではないというように考えておるのでございます。しかし財政計画その他におきましては、これだけの分の地方負担がふえるという意味では、あるいは先生のおっしゃるとおりであろうかと思うのでございます。最終的には、私どもは、そういう負担者はだれがなるかという点からいきますと、先ほどお答えしたようなことになると思っております。
  102. 原田立

    原田立君 ぼくは結論的に指摘したいのは、補助金増額と起債ワクの拡大をはかるべきだということを言いたいわけです。補助金はまるっきりつぶして融資制度にして、あと補助起債額の少しふえた分についてはどうのこうのと、そうではない。その手前の話をしているわけです、さっきから何度も。それで建設省は、この補助金制度はやめて融資制度に切りかえたと、あなた簡単に説明したけれども、そこら辺が、地方が非常に大きな不満とする点なんですよ。それで局長、とにかく自治省地方団体の意思を代弁をして各省にも折衝する、そういう役目があるのだろうと思うのです。そういう意味において、こういう補助金制度をやめて融資制度にしたというのは、地方がはなはだ困っておる、これは何とかならぬかというようなことは考えているのかどうか。あるいはまた建設省のほうにそういう交渉等はやったのかどうか、あるいはやらなかったのか、そこはどうなんですか。
  103. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 土地取得の補助金制度をどうするかは、これはまあ建設省のほうからお答えがあるべきだろうと思いますし、またそれが筋だと思っております。私どもは融資になった場合に、それじゃ、先ほど申し上げた、さしあたって補助金が減った分だけの財源を何とかしなければいかぬというものについては、大蔵省と激しい論争をして地方債の増額を認めさしたわけでございます。初めはなかなか大蔵当局も地方債の増額に反対をいたしておりましたが、私はそれでは筋道が通らないということで、充当率も従来どおり以上にした。そのためにかなり大幅な三百何十億にのぼる用地費分、この起債の獲得をいたしたわけでございます。
  104. 原田立

    原田立君 要するに私がここで指摘をしたいと思うのは、公営住宅関係もたいへんおくれた現状であるということを指摘したいし、それに対する財政的な処置もはなはだ不満足である、こういうことを指摘したいのです。ほかにこまごました問題をあっちこっちだいぶ用意しておりましたので、こちらのほうに進めていきたいと思うのですが、公営企業のほうで、公営企業の経営基盤の強化のために千百四十八億円が今回計画予算計上されたわけでありますが、これはもう従来から地方公営企業は一般会計からもっと大幅な資金を入れるべきであるという主張を私はかねがねしております。今回の千百四十八億円の計上したものを対前年度比から見れば、六七%増であることは、これは十分承知しているのですが、これはごくあたりまえのものがあたりまえのものとして入っただけのことであって、何ら地方公営企業の内容を充実したというふうには私は思えない。それで従来から言ってるように、地方公営企業はもっと公営のところに意を用うべきであって、企業のところだけにのみ力を入れるというのは基本的にどうもまずいのじゃないか、こういう考えを終始一貫持っております。今回千百四十八億の予算計上をしたわけですが、これ以外に公営企業に対してもっと繰り出していくような計画、お考え等はあるのかないのか、その点はどうですか。
  105. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) まあ公営企業会計への繰り出し金は、御承知のように昨年は六百八十六億でございましたが、それを今回千百四十八億に、これももう倍近くの増額をいたしました。その考え方は、公営企業として独立採算がたえまえである、しかしながら、公共性と申しますか、その独立採算を貫く上におきまして、貫き得ない要件のものがある。たとえば御承知のように、水道における消火せんのようなもの、こういったようなものは、当然一般税金によって負担をすべきものなのである。そういったようなことから、負担区分の考え方を持ち込んでいるわけでございます。それについて、事業ごとにいろいろ検討いたしまして、昨年に比して倍近くの実は拡大をいたしたわけであります。私どもは、やはり社会経済の情勢がいろいろ動いておりますので、なおそういうものについて勉強を深めまして、そういった公営企業の独立採算制を維持する上での前提となるべき負担区分というものについては、なお今後も検討して、むしろ拡大の方向にいくのではなかろうか、こういうふうに思っております。
  106. 原田立

    原田立君 厚生省関係来ていますか。保育所の関係をちょっと聞きたい。  保育所の増設、新設等を、地方の住民が非常に強く要望していることは担当の厚生省としても十分承知のことだと思うのですが、過日も当委員会で、鈴木企画課長からいろいろと答弁がありましたが、私はここで指摘したいのは、入所措置基準による要保育児児童数がたいへん増加しているのに対して、市町村立の保育所がまだ非常に少ない。民間の社会福祉法人等のものもだんだんふえてきているが、もっと市町村立の保育所は充実すべきだ、こういう考え方を持っております。それで現況はどうなっているのか、今後の計画はどうしていくのか、そこら辺をあわせてお答え願いたい。
  107. 岩佐キクイ

    説明員岩佐キクイ君) 保育所の現状について申し上げます。保育所のまず数の問題でございますけれども昭和四十三年の十二月現在の調査によりますと、保育所の数は全国で約一万二千七百カ所でございまして、その定員は百四万五千人ということになっております。そこでこの内訳でございますが、市町村立と民間立との割合を申し上げますと、おおむね市町村立が六割、民間が四割というのが現状でございます。それから今後の保育所の計画についてでございますけれども、現在保育所につきましては、年次計画を持ちまして増設をはかってまいっておるところでございますが、その計画によりますと、昭和三十九年におきまして、その時点におきまする保育所の入所者と比較いたしますと、約三十万人が保育所が足りないために入所をすることができないという実情でございましたので、年々その後増設をはかってまいっておるわけでございますが、計画におきましては約四千カ所、三十万人を解消していきたいというのが計画でございます。なお、その後昭和四十二年に実態調査をいたしましたところ、保育所に入所を要する児童が百四十八万人ということでございますので、現在は保育所が相当不足をしているものと考えまして、今後一そうその増設につきましては努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  108. 原田立

    原田立君 いま一万二千七百カ所というふうに説明があったのですけれども、私ちょっとほかの資料で調べたところ、市町村立が九千二百六十五カ所、民間社会福祉法人関係で五千百九十五カ所、一万四千四百六十カ所というふうに数字があるのだけれども、これは違うのですか。
  109. 岩佐キクイ

    説明員岩佐キクイ君) 時点がちょっと違うわけでございまして、私がいま申し上げましたのは、昭和四十三年十二月現在のものでございます。
  110. 原田立

    原田立君 四十三年十二月で一万二千七百カ所ですね。減っちゃったんですか、これは。四十二年度末ということで一万四千四百六十カ所というふうに私記憶しております。
  111. 岩佐キクイ

    説明員岩佐キクイ君) その数字はちょっと私どものほうでは出しておらないわけでございまして、現在、いま申し上げました数字でございます。
  112. 原田立

    原田立君 保育所の整備費国庫負担金の増額を強く要望する、そういう声が非常に地方には多い。これに対してどのような前向きの姿勢、もちろん当然お持ちだろうけれども、どういうように基本的に考えておられるのか。
  113. 岩佐キクイ

    説明員岩佐キクイ君) ただいまの保育所を増設いたします場合の補助金につきまして、地方からその増額についての要望が高いことはおっしゃるとおりでございまして、私どもも年々その増額をはかっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、実情を申し上げますと、昭和四十年度におきましては、定員が九十人以下と九十人以上につきまして、七十万と百万の二つの補助額で補助をいたしておったわけでございます。昭和四十三年度におきましては、オール百万ということにいたしましたわけでございます。それから四十四年度におきましては、まだ大蔵省のほうと折衝中でございまして、承認をいただいておりませんけれども、定員規模等を勘案いたしまして、若干の増額をはかってまいりたいというふうに考えております。なお、今後も増額につきましては努力してまいりたいと思います。
  114. 原田立

    原田立君 大臣が来たので、そっちのほうの質問を先にやれということですので、ちょっと話がごちゃごちゃになっちゃってやりにくいですけれども、大臣がこちらへ来られない前、市町村道から下水道あるいはし尿処理、ごみ処理等々の地方団体が責任持ってやらなければならない仕事、地域住民が快適な地域生活をやるために、どうしてもやってもらいたいという、そういう地域住民の強い要望等々から見ると、今回昭和四十四年度、多少地方財政が潤ったとしても、今回政府が例の六百九十億の貸し借り制度等をやったことは、どうしても納得いかないんです。いままでもいろいろと議論してきたのは、私は地方行政が非常にたちおくれている。だから地方財政が好転したんだなんということはとんでもないという考えを持っておりますし、大臣もそれはもう十分そういう考えだろうと思うんですよ。私はその前の段階の議論は差し置いて、そういう地方行政がたいへんおくれている、こういうことを十分認識していながら、なおかつ去年の四百五十億、ことしの六百九十億の貸し借り等なんかをやったということはまことにとんでもないことだと、こういうふうに強く実は指摘したい点なんです。所信をお伺いしたい。
  115. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 原田さんのいま御指摘の問題でございますが、私も地方財政というものは地方の財政需要から考えて、今後ますます充実、確保しなければならぬという考え方は強く持っております。今度の四十四年度の予算編成におきましても、十分これをわれわれの考え方の基本として処理してまいったのでございますが、六百九十億の特別処理の問題は、しばしばお答えいたしておりますとおり、これは四十三年度の自然増収の結果として六百数十億の、つまり地方財政の中に自然増収としてあげられた、この六百数十億の自然増収地方財政に入ってまいっておりますが、これは四十四年度に使えない。これは原田さんも御存じだと思います。四十五年度で使うことになる。そういう意味において、この六百九十億の処理をしても四十四年度の地方財政計画には影響がない、こういう考え方で処理したのでございます。したがって、地方財政が豊かであるから、また地方財政は心配がないからというふうな考え方で処理したものじゃございませんので、私はあくまで今後も、いま御指摘のとおり、地方地域住民のしあわせを得るにはあらゆることがまだ残されておりまして、十分今後努力しなければならぬことは私も痛感いたしているのでございますけれども、今後ともやはり地方財政の充実拡充、確立ということについては一そう努力いたしたいと存じます。
  116. 原田立

    原田立君 いま自治大臣は、地方財政を充実するという面では、その限りにおいてはぼくらと同意見だろうと思うのですよ。そのために前回たしか地方制度調査会で答申されております地方交付税を特別会計に繰り入れをすべきであるという答申が大臣のところに行っているはずなんだけれども、これはその後一体どんなふうになったのですか。
  117. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 地方交付税を特別会計として取り扱うという基本の考え方は、地方交付税をいわゆる地方財政の固有の財源だということを確立するということからきている一つの財政の措置の方法だと思うのでありまして、私も地方制度調査会の答申に基づまして、これを予算編成におきましても地方交付税は特別会計として取り扱えという主張をいたしました。  そこで、これはざっくばらんにひとつ申し上げますが、この数年来財政当局は地方交付税の税率引き下げということを強く要望してきておりまして、私はまずこの誤った考え方を是正しなければならない。これが特別会計にするとかせぬとか、私もできればけっこうですが、基本的な財政当局の考え方を是正するということが第一の私の任務と思います。そこでまず交付税の税率の引き下げ等には絶対に応じられない。さらに、応じられないばかりでなく、今後一切財政当局がかれこれ地方財政にそういう観点からしての要望は受け入れられない、こういうことが第一と。これはこの際明確にいたしたい。第二は、いわゆる地方交付税というものが地方財政の固有の財源であるということを、これも明瞭にしたい。この二点を私は強く主張いたしました。その結果、大蔵大臣との覚え書きにおきましても、今後地方交付税の税率については一切触れないという覚え書きをかわしたのでございます。その後最も基本的な大事なことは、いま申しましたとおり地方交付税は地方財政の固有の財源であるということをこれも明確にすべきだ。その方法としての特別会計というものは一番これは妥当性があると私も思っております。  そこで、いままでの行きがかりといいますか、財政当局の態度等からいたしまして、いまも前段申しました地方交付税の税率さえも動かそうということからきておりますから、地方交付税を固有の財源として認めるか認めないかということはたいへん財政当局として問題になったようでございます。しかし、私は予算編成の前提としてこれだけは確立したいということを強く折衝いたしました。その結果、この地方交付税が地方財政の固有の財源であるということを、衆議院の地方行政委員会におきましても大蔵大臣が明言するという最後の結論を得たわけでございます。そこで、ここまで大体固めてまいりましたから、いま原田さんが言われるこれを特別会計にするということは、私は四十四年度の予算編成でも主張いたしましたが、まだこれは実現いたしておりませんが、大体基本の問題が解決しましたから、今度はこれをやはり具体的に特別会計として扱うように今後これを折衝し、また努力したいと、こう考えております。
  118. 原田立

    原田立君 いまの大臣の説明は、もう四月に竹田委員が質問したときに答えられたとおりです。それは承知して、それでなおかつ聞いているのです。あのときは四月でしたから、いま六月ですからね。もう二カ月たっているのです。それで、四月ごろまではそういうふうな説明でよかっただろうと思うのですけれども、すでに二カ月たっておりますし、それで実際それから特別会計に入れる方向に自治省としては考えているのかどうか、その点はどうですか。
  119. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 実は四月にお答えしたその後の変化は、やはり一つ段階がありまして、地方交付税が地方財政の固有の財源ということを明確に、いわゆる私どもの主張を入れたのは五月になってからでございます。そこで、いまなおいま原田さんの御指摘のとおり、私どもはどうしてもこれは特別会計に入れるという方針で今後も進めたいし、強くこれはひとつ折衝したいと、こう考えております。
  120. 原田立

    原田立君 そうすると、野田大臣としては地方交付税は特別会計に繰り入れると、そういう方向で今後自治省は進んでいくのだというように私も承知します。  ところで、財政当局はどうなんですか。この前何か竹田委員の質問のときには、大臣の答弁と局長の答弁はちょっと違っておったと私記憶しているのです。いまの大臣のような答弁で今後財政当局としても進むのか。もちろん大臣がそう言っているのだから、財政当局もそうやっているのだろうと思いますが、念のためにお聞きしておきます。
  121. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) もちろん大臣の方針と同じでございます。
  122. 原田立

    原田立君 そうすると、それじゃ特別会計に入れるのだ、そういう方向で進んでいくのだということは確認されたわけだ。そうすると、じゃこれが昭和四十四年度はそういうことはできなかったんだが、四十五年度、四十六年度と、こういうふうなことになってくるわけなんですが、そこら辺の見通しはどうなんですか。
  123. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) いよいよ四十五年度の予算編成期も迫ってまいりました。今後その方向で強くひとつ私は折衝し、努力したいと思っております。
  124. 原田立

    原田立君 強くというのはたいへん——現段階でお聞きするのはまあそれである程度了解するのですけれども、四十五年度に実現可能性は一〇〇%であるのかどうか。そこら辺の予測はどうですか。
  125. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 御承知のとおり国会がだいぶ延長になりまして、予算編成の事務的ななにも少しおくれております。これは具体的に事実を申し上げてけっこうだと思います。私は別に、先に申したりするのはいやですから、やるときはぶつかっていこうと思う。そこで予算編成期の事務的な準備をする段階から、ひとつ財政当局とこの問題について取り組もうと思っておりますから、実際申し上げますと、少しおくれております。したがって一〇〇%実現するかどうか、これは相手のあることでございますし、私がここでだいじょうぶですとは申し上げませんが、私はひとつ真剣に取り組んでいきたい、こう思っております。
  126. 原田立

    原田立君 今後のことですからそのくらいのことしか答弁は得られないのだろうと思うのだけれども、ただ、いままでも何度もあったのです。せっかく努力したけれども、とうとう実現に至らなかった、御了解願いたいというようなことが。私も当委員会四年間ずっと続けて何回となくそういうことを聞いているのも、ほかの問題でも多々あるのです。そうあっちゃならないので、くどく聞いているわけなんです。もちろん相手のあることであろうと思うが、成算は十分あるのかないのか、その点はどうですか。
  127. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) そこまで私がこの席上で、大体見込みはどうかという、まあ、たとえばこれはなかなか財政当局もいままでの経過聞きますと、いろいろ理屈を言ってなにしているようですが、いま原田さんがおっしゃるとおり、やりたいと思っても相手によってできない場合、努力してもできない場合があります。たとえば、聞くところによりますと、地方交付税が地方財政の固有の財源であるということばを使うにも何年かかっている。やっとこの五月の衆議院の地方行政委員会で大蔵大臣が言った。そういうふうで、なかなかねちねちとやっていますから、見込みがどこが何%になるかと言われますが、これは四十四年度の予算編成でも私は主張しております。またこれから取り組みたいと思っておりますが、いまは見込みはどの程度ということは実はお答えする私、何といいますか確信はありません。なぜかというと、いいかげんになりますから。私はいいかげんなことは先ほど申したようにいやですから。しかし私は真剣にやる。しかしもうここまで来た以上は、財政当局も相当考慮してきておると思います、もうしつつこく言っておりますから。いよいよ最後の取り組みに入る、こういう段階にございます。まあこの程度でひとつお許しを願いたいと思います。何かここで私があまり言い切って、財政当局のそういう悪口なんか言っても、これはかえって折衝にさわりますし、ひとつ私の心がまえだけを御理解願いたいと、こう思っております。
  128. 原田立

    原田立君 その気持ちはわからないことはないのだけれどもね。とにかくそのぶち当たる壁がまるで非常に強いということも私は承知している。だから重量級でどんどんぶつかっていかなければ穴があかないと思うのですよね。  そこで、さっきから指摘するように、せっかく努力したけれどもだめだったでは何にもならない。事実地方制度調査会のほうからもそういうふうにすべきだという答申が出ているのですよね。もちろん大臣自分で答申を受けたのですから、答申はもちろん尊重なさるのだろうと思う、大蔵省は大蔵省のほうで、審議会があって、そっちのほうの答申や何かで考えるのだろうけれども、やはり同じ内閣で、同じ国の諮問で出たところのものなんですから、当然、どこもそれを尊重してしかるべきじゃないか、かように思うのです。明言できないというふうに仰せなんだけれども、いまの大臣のそういうお答えでは、まあ個人的には特別会計に入れる意思が十分あるといっておきながら自信がないというふうなことでは、はぐらかされるというような感じがしているんです。それでもう少し強い態度をここで表明してもらいたいと思う。
  129. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 原田さんをはぐらかすなんて毛頭考えておりません。むしろ不本意です、それは。私はほんとうに真剣にやろうと思っている。それから私の主張は大蔵当局も十分知っております。知っておりますが、四十四年度の編成のとき一ぺんに解決できなかったのは遺憾に思っておりますが、しかし基本だけはつくりましたから、これを踏まえてやれば、大蔵当局ももう別にこれは私は、財政当局がことさらに逃げるのもおかしいと思うのです。ここまで基本の、固有の財源だということを踏み切った以上、その金を一般会計にしようが特別会計にしようが——それはもうそれだけのことで、私から考えるとそれを拒否する、私はあまり理由がない。しかし、いま申しますとおり、財政当局は財政当局の立場がございますから、私がまだその問題についてその後、この数カ月間、国会関係で正面から取り組んでおりますので、大体、予算編成の事務的な段階に入ってまいりましたから、これは正面から取り組む。それで私は決してあなたをはぐらかして、いいかげんなことを答弁しておりません。私はここでがんばってみたいと思います。相当私は、大蔵当局も理解してくれる、この程度は思っておりますが、結論はどうなる、これだけはちょっと私も相手のあることでございますから、一方的に私が言明してどうということは差し控えたいと思います。しかし、いま原田さんの御意見どおり、私もこれは特別会計において取り扱っていくべきだ、かたくそういうことを信じておりますし、その姿勢でもって今後強く折衝したい、そうして実現に向かって努力したい、こう考えております。
  130. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 暫時休憩いたします。    午後一時三十三分休憩      —————・—————    午後二時四十五分開会   〔理事熊谷太三郎委員長席に着く〕
  131. 熊谷太三郎

    ○理事(熊谷太三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  132. 原田立

    原田立君 過疎過密問題について今回もいろいろな処置が講じられておりますが、過疎地域の財政状況が非常に悪化しているのは、もう財政当局も十分承知しているところと思うんですが、この過疎地域に対して今後どういうふうな基本的な態度で、どういうふうに充実していくのか、この点をお伺いしたい。
  133. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 過疎地域につきまして、実はその一部について昨年実態の調査をいたしましたのですが、それによりますと、教育費の負担というものが非常に財政的に重い負担になっているというようなことがわかってまいりました。そこで、今回も教育費につきまして、すでに御承知のように、スクールバスの維持費であるとか、あるいは寄宿舎の運営費であるとか、そういったようなものを中心財源措置を実はいたしておるのでございます。しかし、過疎地域に対して抜本的にどうするかということになりますと、これはなかなかむずかしい問題を持っておりまして、私ども教育費のほか、道路費でありますとか、あるいは産業経済費等でいろいろの財政措置を今回いたしておりまするけれども、過疎地帯全体についてこれで私ども十分だとは実は考えていないのでございまして、それらにつきましては、やはり地域開発というような立場から、それぞれの市町村の区域内だけでなくて、住民の生活水準を維持できるように広域的な処理というようなことを考えていく必要があるんではなかろうか、こう思いまして、御承知のような広域市町村圏というような考え方も出てまいっておるのでございます。それらを今後よく実態を見ながら推進をしていく必要があろうと考えております。
  134. 原田立

    原田立君 過疎地域の住民の所得水準が低いために、一人当たりの徴税額がたいへん低い。全国平均よりもはるかに低い。そういうようなところで、たとえば小学校一つつくれば、もうそれでほとんどなくなってしまう、こういうような状況が随所に見られるわけでありますが、自治省としてこの過疎対策をどこの窓口で重点的に扱っていくのか、それはもうきまっているんですか。
  135. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 自治省の中の役所の機構としてのお尋ねかと思いますが、官房の企画室が直接の窓口になり、省内それぞれ協力するという形をとっております。
  136. 原田立

    原田立君 官房の企画室という、それは一つのところであろうと思いますが、何も一つの部を新設してやれというようなことでなくて、もっと政府の過疎対策に対する真剣な取り組みという意味から言っても何か官房の中だけで簡単に処理するということでなしに、もっとしっかりした体制をつくるべきでないかというような感じがするんですが、どうですか。
  137. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 官房は非常にしっかりしているところでございまして、次官、官房長以下省内の統一をはかるところでございまして、それぞれの局課で実際の仕事はやっぱりやっていかなきゃならぬと思いますけれども、それぞれの局課にわたりますものがそれぞれ窓口になったんでは、かえって地方団体に対して御迷惑をかけるし、また各省との折衝にも事を欠くというようなことで、官房で取りまとめ、かつ窓口と、こういうことでございまして、私どものほうとしては、省全体としてやはり官房の窓口を通じながら全力をあげてやってまいりたいという考えでおります。
  138. 原田立

    原田立君 あまり時間がないので次に移りたいんですが、今度は地方交付税法の中で、土地開発基金ですか、あの関係で六百億の使用を言われております。土地開発基金で六百億の措置をせよというような局長さんの指示がたしか二月ごろ出たと記憶しております。こういうようなことは地方交付税という、そういう筋立てからいって好ましいことだと局長は思っているのかどうか。私はこれは地方交付税というたてまえからいくと、この土地開発基金として六百億云々の話はちょっと筋立てがおかしいんではないか、こういうように思います。局長地方交付税ということを大前提に置いて土地開発基金六百億というようなそういう措置、あなたが実際に指示を出したんだから、その当事者だからいいと思ってやったんだろうと思うが、基本的にはまずいんじゃないかと、こうぼくは思う。いかがですか。
  139. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 二月に通達を出したわけでありますが、その通達では、地方自治法の二百四十一条に基金制度を設けることができるという規定があるわけでございますが、それに根拠を置いた土地開発基金あるいは先行取得基金、私どもは名称を別に固定的に考えておりませんけれども、そういうものを設けてはどうであろうかという一般的な指導通達をいたしたわけでございます。交付税において土地開発基金の需要を見込むことがいいかどうかという点につきましては、先般もいろいろ御質疑があってお答えしたとおりでありまして、私どもやはり将来の町づくりをするためには公共用地の先行取得ということが必要である。そのための財源措置を全部起債に求めるような行き方でなく、一般財源でそれに回すことができるときは一般財源によってもかまわないんじゃないか。そういったような考え方に立って、一般財源措置として交付税の需要額に算定をしよう、こういうことでございます。
  140. 原田立

    原田立君 自治省が、国は助言、監督、指導をするんだというような、そういう立場で、そういうふうに通達を出すのがあたりまえじゃないかというように思うんだろうが、本来地方自治の本旨という面からいけば、地方には地方固有の団体としての存在があるわけです。それに対して国が地方を隷属化さしたようなことで指示、通達ということはあってはならないのが法の筋立てではないかと思う。ところが地方交付税等についても地方固有の財源である、そのことはしばしば言明されております。ひもなし財源だということは、これはもうはっきりしておることなんです。ところが一方ではそういうことを言いながら、片一方では国の指導助言というようなことを表にして、六百億交付税の中からやったらどうだ、こういうのは明らかに、前者の言い分を立てておきながら、それをくつがえしている、これは自語相違もはなはだしいじゃないか、こう私は厳重に指摘したい。だから、だんだん時が移り、地方自治の本旨というものがそこなわれて、中央官僚集権的なものになっていったならば、これは地方自治なんというものは全然壊滅状態になる。そのはしりがこの地方交付税の六百億の指示というものに浮かび上がってきているんじゃないかとたいへん心配しているわけなんです。このことは自治省地方に対する取り組み方の基本的姿勢ですよね、これをはっきりしなければならない、こういうふうに思うんだが、その点はいかがですか。
  141. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私ども毎年得られます財源をどういう費目にこれを充当していくがよろしいかということについては、年々いろいろ頭を悩ましておるわけでございますが、本年度の場合、すでに財政計画の策定方針でも申し上げましたように、将来の町づくりの基礎を固めるべくスタートをしたい。それから著しく低い公共水準を引き上げるようにしたい、こういったようなことから、私どもがいろいろ各地方団体から伺っておりますたくさんの要求の中で非常に共通的な要求として出ております市町村道でございますとか、下水道であるとか、清掃といったようなもの、そのほか土地の先行取得の財源措置、こういうものに実は私ども着目をして財政措置をしようとしておるわけでございまして、私ども地方団体に対する指導というものをどの程度にするかということは、いろいろ地方自治との関連でむずかしい問題があると思いますが、一切何も指導をする必要がないということは私は多少これもまた行き過ぎではなかろうか。要はどの程度までいったらいいかということだろうと思うんでございますが、先ほど申し上げましたように、いまどこの市町村、どこの県に行っても土地の先行取得の財源措置がもうひんぱんに聞かれる共通的な要望でもございますので、この機会にそういう指導をいたしたわけでございます。そういった指導の結果かどうかは別といたしまして、現にかなりの府県におきまして、もう土地開発基金を設置いたしております。もちろん開発基金を設置するには、それぞれの議会の議決を必要といたしますから、私は十分そこにおいてその自治体としての考え方を戦わす余地があるのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。
  142. 原田立

    原田立君 地方交付税は、そういうふうに幾ら国が指導助言するといったとしても、地方交付税は、こういうふうにしなさいよというような、そういうことにとらわれない資金じゃないですか。
  143. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) おっしゃるとおり一般財源でございまして、ひもつきであってはならないわけでございます。ただ交付税の中に土地を取得する場合の財源措置、一般財源措置というものを全然見ていけないのかというと、私はそうでないと思います。やはり見るべきじゃなかろうかと、こう考えておるわけでございまして、そこの立場に立って、今回こういう御提案をしておるようなことをいたそうといたしておるわけであります。
  144. 原田立

    原田立君 ですから、地方交付税はひもつきでないということは、いま局長が答弁したとおりです。これははっきりしておるわけなんです。と言いながら、今度の地方交付税の中から六百億の土地開発基金等をつくれというのは、自語相違しておるのじゃないですか。
  145. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 土地開発基金といったようなものをつくりなさいということは、これは自治法に基づく一般的な指導でございます。それがタイミングが合っているかどうか、これは御議論のある問題だと思っております。交付税の中でこの需要を見るということは、私は別にひもつきと思っておりません。この需要額で見た額だけを必ず土地基金に積まなければならぬというような強制は一切いたす考えはございません。ただ、先ほど来申し上げておりますような、土地の先行取得のための財政措置というものをしようとするならば、こういう形でやるのが一つの方法であろう、こう考えて御提案申し上げているわけであります。
  146. 原田立

    原田立君 議論が二つにまっこうから割れておるような感じですが、何度も言うように、地方交付税はひもつき財源であってはならない、これははっきりしておるのです。ところが、国の一般的指導だと言いながら、交付税の中からこういう六百億をやれ、こう言うのは、そこでぴたっとくっついておるのじゃないですか。ひもつきじゃないですか。これはひもつきになっておるのですよ。だから、そこら辺の局長の、自治省としての、地方交付税はもう何らひもつき財源ではないのだということをもっと明確にしていかなければ、早い話が、今回土地開発基金だ、この次はじゃ何かの問題だ、この次は何かの問題だと、こうなっていったならば、表面上ではひもつき財源ではない、ひもつきであってはならないと言っていながら、国でそういうように使用をこうやって指示する、指定するということは、地方交付税本来の性格を無視していくのじゃないか、こう私は強く指摘したいのです。ここのところも、交付税に対するものの考え方、政府としての姿勢を改めるべきじゃないか、強く指摘したいのです。
  147. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 御承知のように、交付税の需要額を算定するにあたりましては、それぞれの行政の費目ごとにこれを算定をいたしております。で、その際に、公共用地の取得費といいますものはどういう算定のしかたをするかというと、従来は、公共用地の取得はほとんど起債で実はやっておりましたので、一般財源措置がほとんどなかったわけでございます。しいてこれを分けるとすれば、道路費の計算では道路の用地費を計算し、あるいはそのほかのいろいろな施設費を計算するにも、それぞれの土地の施設費を見る、こういうことになろうかと思います。そういう行き方であれば、いままでと同じ行き方でありますから、特にこれがひもつきとかどうとかという議論にあるいはならないのかもしれません。しかし、土地の先行取得ということになりますと、何に使うかということが将来の問題になりますし、それからまた、必要な土地の代替地を取得しておくというような考え方もあっていいと思うのであります。そういうようなことから、土地開発費というような別建てのものでまとめて、人口を基礎にして需要算定をする、こういうふうにいたしたわけでございまして、名前が多少特異な感じを持たれるかもしれませんけれども、交付税の精神にはもとっていないと、かように思っております。
  148. 原田立

    原田立君 それがもとっているというふうに指摘しているのですよ。じゃあ、もう同じことを何度言ってもしようがない、私は局長考え方に全面的に反対なんだ。それははっきり申し上げておきたい。いかんとなれば、地方交付税はひもつき財源であってはならない。ところで、国の一般的指導助言ということで、地方交付税法でこうやって組んであるからこういうふうにしろよというのは、そういう国の指導助言というような美名に隠れて、地方交付税はひもつき財源であってはならないというその精神を侵しているわけなんです。これはもう厳重に指摘しておきたいと思います。  それで、あまり時間がないから次に進めるのだけれども、それじゃ、いまの局長の答弁の中に強制はしないのだというようなことばがあった。それで、道府県においては五億円、市町村においては一億円ですか、人口十万以上の都市でしたね、やるというようになっているが、それじゃ、人口十万以下の市町村だって当然土地の先行取得ということがあるべき必要性のあるところなんです。ところが今回の場合、こういうふうにある一つのランクをきめてそうしてやっているというようなものも、何か特別な理由をつけたところの使い道である。すなわち、ひもつき財源ではないと言いながらひもつきになっている、これが現状なんです。それで、もし、これを強制しないのだということなんだが、じゃ、これをやらない場合には、局長通達があってもその通達どおりやらなかったとしても別段どうということはないわけですね。
  149. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 現行法上それを法律的に強制する道は全然ございません。先ほど申し上げたとおりでございます。
  150. 原田立

    原田立君 それで、そういうことによって今後仕事がやりづらくなるような、そういうような変な制限や制肘は加えられないでしょうな。
  151. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いま申し上げましたように、法律的にそういう強制ができないたてまえになっております。そういうことはいたさないつもりでおります。
  152. 原田立

    原田立君 先ほどの議論の中にも多少入っておりましたが、今回の土地開発基金を地方交付税の中からつくってやるというようなこういうことは、私、今回初めてというふうに思いますが、今後そういうふうな何かその使い道、使途を指定するようなことを今後もなさるお考えなのか。その点はどうですか。
  153. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) あくまでも交付税法の精神でやってまいりたい。したがいまして、いままでも使途をつけるというようなことは考えていませんでしたし、今後も同じ考えでまいりたいと思います。
  154. 原田立

    原田立君 どうもそこら辺になるともう頭にきちゃうな。先ほど大臣といろいろお話し合いし、地方交付税を譲与税等と同じような特別会計に入れたらどうなんだ——極力努力するということだったが、それと同じ、話は関連するようなことになりますが、昭和四十三年度のときに四百五十億、四十四年度のときに六百九十億、こういうふうな貸し借りが行なわれた。四十三年度のときにもう今後絶対にやらぬと言いながら、また四十四年度やっておるわけです。で、こういうことは今後あってはならないと思うのだが、局長はその点どんなふうに理解しておりますか。   〔理事熊谷太三郎退席委員長着席
  155. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) いまのお話にあったようなことであってはならないと考えております。
  156. 原田立

    原田立君 あと時間がわずかになりましたから、大臣がお見えになったからお聞きするんですが、いま大臣お留守のときに局長お話しをしておったのは、例の地方交付税の中から六百億、土地開発基金というものをつくってやれという通達を二月に出した、これは明らかに地方交付税はひもつき財源であってはならないんだという大きな法のたてまえがある、それに対してこういう指示通達を出すようなのは、明らかにこれはひもつき財源的なものにする考え方になる。だからそういう姿勢は改めるべきだというふうに局長と話しておったんだけれども、どうも局長の答弁じゃ、はっきりしない、どうも納得しない。大臣から直接お聞きしたい。
  157. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) これは原田さんの御指摘のように、これ一つ取り上げますとひもつきであるというような御批判が出てくるかと思いますが、これはしかし交付税全体のうちの一部であると同時に、実情からしまして、ひもつきというのは、御承知のとおりこれは何に使えということですから、同じそれからいえば開発基金をどうこうということはございますが、いま一番各地方自治団体で困っておりますのは、公共事業を進める上に土地の問題というのが一番苦しんでいる、これは非常な訴えがあります。それにはやはり土地を先行取得して、そして態勢を準備しておく、こういうのが一番地方公共団体に対しても親切であると、したがってその実情と地方団体の強い要望にもこたえて、何とかこの土地問題に手を染めねばならぬ、今度の開発基金でもって土地問題が解決するとは思っておりませんが、やはりこういうものを積み立てていって、そして少しずつでも一番困難である土地問題の解決に当たらしたい、こういうことでございまして、いろいろ御批判のあることは私もわかります。わかりますが、これは地方公共団体の要望にこたえてとった措置でございまして、今後こういう措置が、まあ土地問題なんかのそういう重要な問題でも、地方自治団体のかってにまかしてよろしい、特別の配慮を加えぬでもよろしいというお気持ちじゃないと私は思いますけれども、そういうふうになりますと、この交付税の使い方というものは、これは一々干渉するわけじゃございませんが、何といいますか緊急であり、しかも重要であるという課題はほかにもありますが、特に土地問題というものは非常な各地方公共団体が困難な立場に立っておるということでやったことでございますから、やり方がまずいということになりますれば、これは私は率直に今後注意していってもけっこうだ、何もこんなことにこだわることはない、こう思っております。しかし今度の処置は、いま繰り返して申し上げましたとおり、緊急事態というほど土地というものはしょっちゅう毎日、一日一日値上がりしているのです。一日ずつ土地問題の解決がおくれてきている。悲鳴をあげている状態でございますからとった処置でございますから、やり方について御批判があればまたわれわれはやり方をいろいろ考えるというようなことで御理解を願いたい、こう思っております。
  158. 原田立

    原田立君 時間がないのでこれで終わりにしたいと思いますが、いまいろいろ大臣が話しているのも、局長先ほど聞いたのもどうも納得しがたい。それで基本的なことをはっきりと確認しておきたいのは、地方交付税は何ら束縛されないひもなし財源である。そこに変なふうに手を加えてはならないのだ。これだけはひとつ守れるでしょうね。確認できるでしょうね。その点だけお願いして、あとはまた来年か再来年か、問題があったときに、この問題を基礎にしてやっていきたいと思います。
  159. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 交付税法の趣旨によって、ひもつきというようなことは、われわれそういう考えはございません。
  160. 千葉千代世

    千葉千代世君 私は幼稚園問題とそれから小・中学校、つまり義務制諸学校の建築問題等について質問したいと思います。
  161. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  162. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 速記つけて。
  163. 千葉千代世

    千葉千代世君 先に幼稚園問題について伺います。文部省は昭和三十九年から私立を含めて就園率六三・五%を目標とした幼稚園教育振興七カ年計画を進めておりますけれども、財政の裏打ちが不十分なために、計画どおりなかなか進んでいないように見受けられます。幼稚園数の伸び率について、私立が計画以上に伸びているようにいま思われますけれども、公立はそれ以下である、こういうふうに私どもの調べでは思いますが、この実態を明らかにしていただきたいと思っております。
  164. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 現況を申し上げます。幼稚園数は全体で一万二十一園、うち国立四十三園、公立三千五百八十二園、私立六千三百九十六園でございまして、公立の三五%に対しまして、私立六三%という現況でございます。
  165. 千葉千代世

    千葉千代世君 それはいつの調査でございましょうか。それからもう一つは、七カ年計画に沿った時点における、たとえば昨年なら昨年の調査の時点においての、計画と実際とのズレはどうなっておりますか。
  166. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) ただいま申し上げました数字は、四十三年五月現在の数字でございます。七カ年計画によりまして、振興計画によります学級増の計画は一万五千八百学級でございますが、四十三年度当初におきまして、八千三百五十三学級がふえております。
  167. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうしますと、七カ年計画のいま途上にあるわけなんですね。そうすると、四十三年の五月一日現在は、たとえば公立に焦点を合わせますというと、文部省の計画の中でその七カ年計画における予定と合っておりますか、合っておりませんか。
  168. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 予定に対しまして、四十三年度の目標に対しましては八二%の達成率でございますが、全体の最終目標に対しては五二・八%ということに四十三年度ではなっております。
  169. 千葉千代世

    千葉千代世君 そのおくれているということは、原因はどこにありますでしょうか。たとえば財政的とか、あるいは地方自治体の中の関心が薄いとか、あるいはいろいろな問題があると思うのです。そういう点はどういうふうに把握していらっしゃるかということと、それから現在日本の中で、四、五歳児の数と、それから幼稚園に入りたいと希望している数。四、五歳児の該当数と、それからその中で希望している数はどのくらいの開きがございますか。
  170. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 原因につきましていろいろな面から私ども検討しなければならないのでございますが、先ほど先生のおっしゃいましたようなことがそれぞれ当たると思いますですが、十分的確な資料をいまだ持ちかねております。それから希望数につきましても的確な調査ができかねております。
  171. 千葉千代世

    千葉千代世君 四十四年度の地方交付税のこの単位費用の積算基礎ですね、それをこうずっと洗っていってみたのです。先ほどから原田委員が質問したように、積算基礎であってひもつきではないから云々という話があったのですけれども、そういうところに原因があるということはお認めになりませんか。
  172. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) この交付税関係につきましては、幼稚園だけにとどまらず、教育関係、これは全国的に関係のある事項でありまするから、私ども毎年度自治省のほうへ御相談申し上げ、御要望申し上げておりまして、いろいろやっていただいているわけでございますが、従来の状況から見ますというと、交付税で積算された幼稚園分を計算をいたしますと、全体の総ワクといたしましては十分実態をカバーしている、さように考えております。
  173. 千葉千代世

    千葉千代世君 全国の四、五歳児の該当数、それから入園希望者数というものは、非常に大きな問題だと思うのです。いま義務教育の年限を一年下げるとか、あるいはそうではなくて五歳児を各地方団体が義務設置にして幼稚園に入れたらどうか、こういう二つの論が分かれておりますし、いろいろ問題がありますが、それはさておきまして、その概数がつかめていないとしますと、幼稚園の七カ年計画のワクというのは、就園率を六三・五%——これは目標でございますよ。ですから、それすらも達していかれないとなりますというと、これは幼児教育の振興という一番の基本目標に沿ってその効果が十分発揮できないのではないかと思いますけれども、どうなんでしょうか。
  174. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 私どもの現在の推定でございますと、大体対象地域で五三%ということになっておりまして、あと一息で目標に達するように思っておりますが、若干積み残しができるかもしれぬというので、最終年次までに何とかこぎつけたいと努力をいたしております。
  175. 千葉千代世

    千葉千代世君 国立、公立、私立、この幼稚園の就園率の概況がございましたらば、四十三年五月の統計でけっこうですけれども、示していただきたいのですが。
  176. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 就園率は、振興計画を立てました際三六・四%でございましたが、ここ五カ年間で二二%の伸びを示して、現在全国で四九・四%ということになっております。現在と申しますのが、昭和四十三年五月現在で四九・四%ということになっております。
  177. 千葉千代世

    千葉千代世君 それは国・公・私立をまぜてでございますか。私どもの調査ですというと五二・八%になっておりますけれども、これはじゃ国立、公立、私立と区別してちょっとおっしゃっていただけますか。
  178. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) ただいまおっしゃいました数字は、在園、すべてを含めての数字かと思います。私どもも就園率と申しますときには、小学校第一学年に入った子供の、その幼稚園修了者の割合を見ております。
  179. 千葉千代世

    千葉千代世君 わかりました。  それから、現在全国の市町村が大体三千三百八十八くらいあると思っておりますのですけれども、その中で幼稚園のないところは、大体どのくらいございますでしょうか、全然ないところ。
  180. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 全国三千三百二十五市町村のうち、幼稚園のある市町村が千七百四十三市町村でございまして、約四七、八%が幼稚園を持たない市町村となっております。
  181. 千葉千代世

    千葉千代世君 先ほど原田委員指摘しておりましたが、保育所のないところが約二四%、それから幼稚園も保育所も全くないというところは一三%、そうすると、全国的なバランスを見てみますというとたいへんに問題があるように思いますけれども、その点について、保育所のほうは厚生省管轄と思いますが、幼稚園の振興計画の中に、単に数がふえればいいということと同時に、それだけではなくて、これらのバランスについてどのように埋めていくつもりか。
  182. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) おっしゃいますように、幼稚園を持たない市町村が多うございますし、それから人口別に見ますと大きい市町村ほど持っているようでございます。そして現在の進行中の振興計画は、一万以上の市町村を対象といたしまして計画しておりますので、この中には一万以下の市町村の振興の計画は入っておりません。で、人口の少ないところになりますと、それだけに通園の事情が悪くなりますので、無理もない事情もあるかと存じますが、一応振興計画が完成いたしました暁には、この次にはそういう困難な地域にどういうふうにしたら網がかぶせられるかということを検討する段階になろうかと存じております。
  183. 千葉千代世

    千葉千代世君 それではたいへん手おくれではございませんかしら。七カ年計画が大体遂行され終わってからそれに手をつけようと。いまの段階では、教育問題その他を含めて、過疎地域対策というのが最重点になっているということは、再三自治大臣も当委員会で表明されているわけなんです。そこで、地方交付税問題その他についても、特別に過密過疎についても考慮が払われているように私も幾つか項目で拝見しているわけなんです。そうすると、計画を立てる当の文部省自体が自治省に向かって要求しているところは、七カ年計画のこの計画に沿った単位費用の積算基礎の数字だけを提供し合うというこれだけの任務しか負っていないのでしょうかしら。たいへん失礼な言い分かもしれませんが、気になります。
  184. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 幼稚園の設置状況につきましては、ただいま初等教育課長のほうから御説明申し上げたとおりでございまして、全国状況を見ますと、各県の状況によりまして幼稚園の普及率、設置率は区々でございます。そこで、地方交付税におきましては、人口十万の単位におきまして一律的な算定が一応なされることになっておりますが、ただいま申し上げました設置の状況でありますので、私どものほうといたしましてもぜひこれを均一に増加していきたいという希望から、自治省のほうと御相談申し上げましてお願い申してきたわけでありますが、その結果、昨年度から幼稚園の設置状況に基づくところの割り増し補正——いわゆる密度補正と申しておられるようでありますが、そういうことをやっていただくようにお願い申しましたところ、その方向で措置されているのでございます。したがいまして、これは昨年のことでございまするから、この措置は、幼稚園の財政措置として実態をカバーするという意味におきまして、今後幼稚園の設置を促進する結果をもたらすのではないか、さように考えております。
  185. 千葉千代世

    千葉千代世君 じゃ具体的には、まあ一万以下の町村ですというと、何にも手をつけていないということになるわけでしょう、そういうことになりますね。今度の四十四年度のこの単位費用積算基礎のこれで調べてみるというと、建築費用についてはかなり考慮されておりますけれども、いまおっしゃったように、当の文部省自体が過疎地域に対してその程度考えであっては、たとえばですね、それじゃ四十五年度はこういう一万以下の町村についてはこれこれの配慮をするとか、たとえ呼び水でもいいですから、どのくらいの設置数を予定しているとか、そういうことは、七カ年計画その一本だけで、全然考えていないと、こういうことですか。
  186. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) ただいま御指摘になりましたことは、地方交付税の仕組みに関することでございますので、私からお答えを申し上げるのが適当かどうかわかりませんが、一万以下の分について財政措置をしていないことはないと思います。これは一応標準団体の標準をとっておりますけれども、やはりこの人口に応じて措置されており、さらにその上に先ほどの水増しの補正が加わることになっておりますから、人口は一万以下であっても、交付税措置上の措置はなされておる、さように了解しております。
  187. 千葉千代世

    千葉千代世君 いやそうではなくて、あなたのほうでおっしゃったのですわ、そちらの方がさっきね。一万以下の町村については七カ年計画終わってからやると、こうおっしゃったわけなんですよ。あなたのほうでおっしゃったわけなんです。ですから、こういった交付税の関係とからみ合わしていったときに、具体的にいやそうではないという実証が出てこないわけでしょう、あなたのほうでは。
  188. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 七カ年計画は、おっしゃいますように、人口一万以上を対象としておりますが、現在文部省で施設費の補助、それから園具等の措置をいたしておりますが、これはそれ以下の市町村にも余裕のある限り回しております。一万以下を現在見ていないということはないわけでございます。
  189. 千葉千代世

    千葉千代世君 何か堂々めぐりしているのですがね。さっきおっしゃったように、全国三千三百二十五町村のうちに幼稚園の大体ないところはどのくらいかと伺ったわけですよ。そうしたら、四七、八%ということになっているわけですね。そうすると、保育所もないし幼稚園も全くないところが一三%もあるわけなんです。それでは非常にバランスがとれていないから、そういう過疎地域に対しても対策を立てなければいけないのじゃないですかと、こう申し上げたのです。そうしたら、一万人以下のものは七カ年計画が終わったそのあとで対策考えるとあなたはおっしゃったから、私はいま問題をそこへ突っ込んでいったわけなんですよ。で、いま伺っていると、堂々めぐりしてしまって、やるようなやらないような、交付税のほうとからみ合わせて言ったのですけれども、基本的に文部省のほうとしては、いまこのないところに対しては、七カ年計画終わらなくても、たとえば来年度はこうするのだ、再来年度はこうするのだと、具体的には何もないのですかということを私は聞いているのです。あればおっしゃっていただきたい。なければないということとあわせて、それじゃ問題はどこにあるかということをお互いに考え合わせて、文教委員会だけで幾ら堂々めぐりしていても同じことをやられているので、きょうは自治省の交付税問題だから、そこで財政的な面と話し合って皆さんの御理解を伺ったらいいのじゃないかということで私は聞いているのです。
  190. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 御質疑の点とお答えが若干角度が食い違っているように私いま理解いたしたのでございますが、一般的には、幼稚園につきましては、御案内のように、その他の教育費でもちまして、人口に応じたところの財政措置が行なわれておるわけでございます。しかしながら、現実の状況を見ますると、幼稚園の設置状況は、先ほど申し上げましたように、全国区々であり、かつまた十分ではない。そこで、文部省といたしましては、先ほど初等教育課長のほうから御説明申し上げましたように、七カ年計画をもちましてこれの充実振興をはかるという政策をとっておるわけでございます。でございますが、その振興計画に対応しましては、設備その他——これは交付税じゃございませんが、設備等の充実につきまして、それに対応して文部省自体の予算をもちまして措置しているわけでございます。そちらの面から先ほどはお答え申し上げたわけでございます。でございまするから、交付税の措置としては、現況に対応するように一般として行なわれておる。しかもなお未充足のところがあることを考慮いたしまして、昨年度から密度補正というような措置をもつてこの振興のために努力いたしておる、そういうことでございます。
  191. 千葉千代世

    千葉千代世君 その密度補正の振興をはかっているというならば、この全然ないところに対しては、たとえば来年度はどのくらいの予定でなさるということなんですか。たとえば四%ぐらい設置していくとかあるいはこれを七%に上げていくとかという詳しい数字はよろしいですけれども、そういうやっぱり前進的なめどがないからこれは逆転していくのじゃないですか。
  192. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) この交付税におきまして人口に応じて措置されておりますから、まあこれはひもつきでないというようなたてまえでございまして、個々に区分けして計算することは実は正確性を欠くわけでございます。交付税のたてまえ上はそうでございますが、まあ人口に対応したところの単位費用が定まっておりますから、もしそれを計算して出せとおっしゃるなら、一つの仮定の数字を出すよりほかないわけでございますが、いまにわかのお尋ねでございますので、措置はあるわけでございまするけれども、いま的確にこのない場合でも幾ら行っておるということについては、ちょっとただいまの段階では具体的な数字をお答えしかねるということでございます。
  193. 千葉千代世

    千葉千代世君 いま交付税の問題へからんできていますから、ちょっとごっちゃになるかもしれませんけれども、それじゃ一応これを聞いてこっちへ置いて、それでここだけやってみましょう。  そうした場合に、このないところを設置していくのに、七カ年計画達成しなくても、やっているわけでしょう、現に。そうしたら、ないところを来年はどのくらいふやしていくことになるでしょうかということなんです。
  194. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) あるところ、ないところの区別を立てて現在計画を立てておりませんが、今年度予定におきましては、新設二百円、それから学級増百円ということを予算目標に置いてやっております。したがいまして、これは人口の多いところでも希望がございましたらそれぞれに補助金を渡しますし、小さい市町村でもその機会はございまして、この区別はいたしておりません。
  195. 千葉千代世

    千葉千代世君 結局任意設置だから、市町村がほしいとなってくれば、それが主体になってあがってこなければだめだという、こういう判定ですね、文部省のおっしゃるのは。そこで、これはあとの問題にしたいと思いましたけれども、幼稚園に行きたいという子供はすごく多いわけなんです。そして、行けない子供がたくさんあるわけなんです、少ないために。そして私立がうんと多い、そうして費用もうんとかかると、こういう中にいるので、公立をうんとふやしてほしいと。中には、公立の幼稚園を、さっき申し上げましたように、五歳児を義務設置にしてほしいと、こうなってくるわけです。義務設置になれば、いやでも応でも市町村も義務設置していくわけなんですから、これはまた別に行政指導でいいわけなんですけれども、いまの段階では任意設置で、野放しではなくって、文部省の幼児教育行政としてどういう指導をしていったらいいのだろうか、されていっているのかということは、ただあがってくるのを待つだけであって、こちらから指導はしていないわけですか。全然野放しと、こういうことに解釈して話を進めてよろしいのですか。
  196. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 私どもそういうことではございませんで、七カ年計画におきましては、とりあえず一万以上を対象に置きましたのですが、それ以外のところでも、できる限り公・私立にわたりまして幼稚園が多くできて、そして子供に幼児教育の機会が与えられるように、そういう意味で各種の補助金、それから私立学校につきましては私学振興会の別ワクまでとって、幼稚園の普及を考えております。
  197. 千葉千代世

    千葉千代世君 まあこの問題で時間を食うとちょっと時間がもったいないので、先へ進めたいのですけれども、それならば文部省は幼児教育の理想というものをどこへ置いていらっしゃるのですか。具体的に、いま問題になっておる義務教育を一年繰り下げて、イギリスのようにもう五歳からやっていくとか、あるいはそうでなくていま義務設置ということが問題になっています。それで、文部省は一体その点についてはどのような考えを持っていらっしゃるのですか。これも野放し……。
  198. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 先生のおっしゃいますように、ただいまのところ、幼稚園及び保育所合わせまして、大体四分の三が就学前の集団訓練を受けております。残る四分の一につきましては、これは身体条件その他でいろいろと就園できない者もあろうかと存じますが、できるだけこの四分の一を今後いずれかで救ってやることがまず第一段階だと思っております。就学義務あるいは設置義務の問題につきましては、現在中教審におきまして学校制度全体的な立場から大臣の諮問を受けまして審議中でございますので、その結果にまちたいと思っております。
  199. 千葉千代世

    千葉千代世君 で、いま保育所と幼稚園の問題があって、いろいろな懇談会がありますときに、幼稚園と保育所別々にあって一緒のようなもので、指導体系も、幼稚園の指灘要領を保育所で使う、こういうふうにごっちゃになる。そこで、幼児教育の一元化ということが大事だということで、保育所の指導要領もできたようですけれども、そういうふうになっていきますというと、小さい子供は託児所というような形式になって、大きい、たとえば四、五歳児ですね。そういうふうな子供の幼児教育の一元化という問題については、厚生省と話し合って何か対策をお立てになったことがあるでしょうか。
  200. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 昭和三十九年に文部省、厚生省両局長の連盟通達を出しまして、幼稚園においては学校教育を行なう、保育所は保育に欠ける児童の保育を行なうという基本線を再確認いたしまして、先生のおっしゃいましたような、保育所においても幼稚園の教育要領の方針で教育をやり得るというふうなこと、それから幼稚園は今後主として四、五歳児を中心、保育所は保育に欠ける子供、それから四、五歳以下の年齢をも扱うというふうなことで話し合をいたしまして、その共同通達を出しております。この点については、一応考え方が徹底していると私ども考えております。
  201. 千葉千代世

    千葉千代世君 それはたいへん表面のことでして、実際的には、後ほど私触れていきたいと思うのですけれども、たとえばお子さんを預かる幼稚園の先生、これは幼稚園教諭ですね、学校教育法の教員免許状による幼稚園教諭でしょう。それから保母の先生方、これは厚生省のほうで出しているわけでしょう。そうすると、預かる方々、お世話する方々から、身分の違い、待遇の違いも出てくるわけですね。今度は同じような通達を出し合って、通達を一本出すと、子供は生きて動いていくわけですから、それで学校へ一緒に入ってくるわけですね。そういうふうな幼児教育の一元化、あなたのおっしゃるのは幼児教育の二元化を便利よく一元化に見せかけたにすぎない。ほんとうの幼児教育の一元化ということについて、これも中教審にかかっておりますか、どうですか。
  202. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 中教審の考え方は非常に広く考えられておるようでありまして、幼稚園、保育所関係についてもいろいろと意見が出ているように伺っております。
  203. 千葉千代世

    千葉千代世君 そんな人ごとみたいなことをおっしゃっているので、ぴんとこないので、私がたいへんのろいのかもしれませんが、中教審はおっしゃるようにたいへん広いですね。幅は広いし、問題も多いし、それからたいへん急ぐ問題もあります。その中でも、日本の幼児教育というものは非常に大きな比重を占めて、これこそ急がなければならないわけなんです。そういうときに、この幼児教育体系もそうでないし、今度設置状況もそうだし、保育所との関連もあり、そういう中で、一体この過疎地域が見送られがちになっているという、四重にも五重にもこの問題を含んでいるということになっていると思うのです。それはさておきまして、幼稚園の設置基準の問題でひとつ伺いますが、教員定数ですか、現在の教員定数、これどうなっておりますか。
  204. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 教職員につきましては、幼稚園設置基準におきまして、「幼稚園には、園長のほか、各学級ごとに少なくとも専任の教諭一人を置かなければならない。」ということになっております。
  205. 千葉千代世

    千葉千代世君 たとえば、一人の幼稚園の先生が五歳児なら五歳児を、まあ幼稚園の先生方がお子さんをやってみて、一人の先生が三十名を限度としてくれという陳情書が私どもに来るんですよ。そうすると、設置基準の教員の定員を見てみるというと、四十名以下となっているんですね。そうでしょう、それをお聞きしたい。そうすると、子供の十名というと、開きはうんとあるということがそこに出てきますね。そうすると、実際やっている方の希望とはるかに離れているということも出てくるわけですね。これは五歳児の場合ですが、四歳児でいくと二十五名にしてくれというんですね。三歳児の場合は二十名が限度だと言っているんです。ところが、文部省の設置基準というのはそうではないわけでしょう、それを聞いているんです。設置基準がたいへん数が多いというのに、その上にも一つと多くて四十五名ぐらいというのが現実なんですね。私立の幼稚園の現実なんです。いかがでしょう、その点ひとつ。
  206. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) おっしゃいますように、一学級の子供の数は四十人以下を原則とするといっておりまして、年齢別の学級の定員の数までは設けておりませんが、現在この普及ということを第一にしてまいりました関係から、この点まで十分きめこまかに及んでいないことは、おっしゃるとおりの点があると思います。
  207. 千葉千代世

    千葉千代世君 そうすると、まあクラスの担任以外も必要なわけですね。たとえば養護教諭であるとか、事務職員であるとか、用務員であるとか、今度四十四年度の自治省の幼稚園の単位費用の積算をずっと見てきますと、今度は用務員は四園につき二名を増してもらいます。この用務員の方その他について、それをあなたのほうで自治省と連絡して積算基礎の中に入れた数ですが、それより多くなっていますか、減っていますか、それだけしか要求しなかった、こういうわけですか。
  208. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 自治省と連絡いたしましてふやしていただいております。
  209. 千葉千代世

    千葉千代世君 まあ設置基準のことについて、まだ教員の配置だけではなくて、砂場の問題とか、遊び道具の問題とか、幼稚園舎の問題とか、一ぱいありますが、時間の都合でこの次に譲って。  次は幼稚園の給与について伺いたいと思うのですが、幼稚園の教諭、教育職員の免許状を持った幼稚園の教諭、これに対する給与表はいまおもに何が適用されていますか。  それからもう一つ、それで文部省はどの表、たとえば行政職表、教育職表の日表適用ということは非常に熱望しているわけなんです。そういう点について、現在施行されている状況はどうなっていますでしょうか。
  210. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 幼稚園の教員の給与の適用表でございまするが、これは四十四年に調査いたしました結果で申しますと、大体市町村の吏員給料表を基礎にしまして給与は算定をされているというところが、まあ非常に数が多いのでございます。その他独自の給料表を用いている。あるいはもちろん小・中学校教員の給料表をそのまま用いているというところもございます。そこで、いまお尋ねのありましたように、公立幼稚園につきましては、小・中学校の給料表が適用されるのが制度上のたてまえと心得ておりますので、その小・中学校給料表によるように、各市町村に対しまして、いままで府県を通じて指導をいたし、そのための通達等も出しておるわけでございますが、その後の会議の際におきましても、各府県を通じましてそのような趣旨を徹底するようにつとめているというのが現在の状況でございます。
  211. 千葉千代世

    千葉千代世君 そこで、指導したあとの各県で実施した実情はどうなっておりますか。  それからもう一つは、各県で、たとえば文部省のほうからも昭和四十一年十二月二十一日に給与主管課長に対して教育局財務課長の岩田さんという方から指導の通知が出て、そうしてそのあとの指導はどうなっていましょうかしら、その後の実施状況です。
  212. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) ただいま御質問のありました四十一年の通達を出しましたのは、いま名前を出されましたが、私でございまして、私の名前をもちまして、幼稚園の給与につきましては一般職の職員の給与に関する教育職の俸給表をもって適用することがたてまえであるので、それにいわれるようにされたいという行政指導をいたしております。その結果、相当程度改善が行なわれておるものと私は思っておるわけでございまするが、ただいまその関係をひとつあらためて調査いたしまして集計中でございます。本年度分につきまして集計を行なおうというふうに考えております。
  213. 千葉千代世

    千葉千代世君 概略もわかっておりませんか。  それからもう一つは——失礼しました、あなたが指導をお出しになった根拠は何に基づいてお出しになりましたか。単に教育職の(三)表と申しますと、小・中学校の教員の給料表でございますけれども、それがただよかろうというのか、何か根拠があってお出しになったのでしょうか。
  214. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 公立学校の職員の給与につきましては、これはまた御承知のように国立学校の教育公務員の給与の額を基準にするということになっておるものですから、国立の状況を見ますと、これは給料表の適用が幼稚園も小・中学校もこれを適用するということになっておりますので、それを根拠として出したわけであります。それと、財政措置の面におきましては、これは実態にかかわらず自治省のほうでは小・中学校の俸給表のほうをもちまして算定していただいておりますので、そういう両面の根拠をもちまして財政的にも措置が行なわれておるわけであるから、ぜひこれを小・中学校の給料表でやってもらいたいという考えで通知をいたしたわけでございます。
  215. 千葉千代世

    千葉千代世君 わかりました。人事院にこれは全国の幼稚園の先生の要望を取って質問書が出ております。教員組合も出しております。これに四十年七月十九日に回答書が来ているのです。その中に、おっしゃった趣旨の、「幼稚園に対する教員の俸給表について」という回答があって、いまおっしゃった趣旨が載っているわけです。そうすると、根拠法としてもそうでありますし、実態としてもそうであります。ただ残念なことは、その給料というものが小・中の場合ですと半額国庫負担制にのっとっておりますけれども、そうでありませんために、これが地方に行きますというと実施されていない。先ほどから再三この問題があったんですが、地方交付税がひもつきでないために、積算基礎の中にきちっとこう出してあっても、ひもつきでないから云々という話があって——ひもつきのいい悪いをいま論じているわけでなくって、現実の問題として地方に行きますと全然雲散霧消してしまっているわけなんです。いま資料おたくのほうにないというんですが、四十一年に通達をお出しになって、その後文書指導はしていらっしゃらないんですね。口頭でどのくらい御指導なさったんでしょうか。
  216. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) 私どものほうでは、毎年の予算がきまりますと、各県の主管課長等を集めまして、ことしの国の新しい予算はこういうぐあいになったぞと、こういう趣旨であるからひとつ適正な運用をしてもらいたいというような指導をいたすわけでございます。まあ幼稚園の給与そのものは、これは県立の幼稚園は別といたしまして、大体がまあ市町村でございますから、市町村予算で計上されるというたてまえになりますものですから、県の直接ではない関係上、若干そこに隔靴掻痒の感がありまするけれども、そういう際に、各県のそういう主管の課長を通じまして、ぜひ幼稚園の給与について改善をはかってもらいたいという要望はいたしておる次第であります。
  217. 千葉千代世

    千葉千代世君 私の手元に来ておりますのが、全国で十七県教育職日表適用ということがございますが、十七県の中でも全部ではございませんです。何か、たとえば福島県でありますと福島市と川俣町とか、あるいは千葉県ですと館山、銚子とか、それから新潟県ですと新井、愛知県ですと名古屋、豊田、それから旭村とか、こういうふうにばらばらになって教育職日表が適用されている。これが現実なわけなんです。そしてここに、それではこういう現実の中にあるので、日本全国の中でも幼稚園たいへん特に御熱心だという県を五つか六つ拾ってこまかに調査してもらったわけです。その中で岡山県というのが大体全国で幼稚園に対してもかなり標準いっているんじゃないか、標準を上回っているんじゃないかって調べていったところが、設備とか入園費とかそういうものは別にして、今度給料からいきますと全国で二十七番目になっているわけです、こまかくは申しませんけれども。その中で教育職日表を適用していっているのが、岡山県の全部の市町村あげていっておりますが、三つしかないわけなんです。それに準じているのが十ですね。それから行政職が二十。それからその他が八。それからつまみというのが——ずいぶん失礼しちゃいますね、つまみだというのですね。これは方言かもしれませんけれども、そのときどきによってやるからつまみということなんでしょう。つまみというのが六カ所あるわけなんです。これは岡山県の例でございます。たとえば和気、三石町ですか、その隣の御津町ですか、そこで短大卒が一万五千七百円が初任給だとしますと、その隣の町がつまみとなって全然給料が上がってこない、そのときの気分次第でどうにでもなるという、こういうまことに人権も何もあったものじゃないというんです。これ全部お調べくださいまして、そういうふうになって、定年が四十五歳と、こういうふうにずっとこう出てきています。そうすると、これは私、教育職、行政職云々ということで表のことをいまあれじゃなくって、教育の職にあって専門の職だということになってきますというと、この幼稚園の先生方が小・中のと同じ教員の表を使うというこの基本的な考え方からいった場合には、これはたいへん申しわけないんじゃないかという気がしてきたんです。そうすると、こういうふうにつまみなんという給料を一体御存じなんでしょうか、どうなんでしょうか。幼稚園の担当は初等課長さんですか、局長さんですか、あなた御存じですか。
  218. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) お答え申し上げます。  まあつまみというようなお話でございますが、私どもつまみ給料表というのをいまだかつて存じません。どういうようなときにどういうような表現でおっしゃるようなことが出てきたのか知りませんけれども、承知いたしておりますのは、先ほど御答弁申し上げましたように、行政職給料表、教育職給料表の日を適用しておる市町村もあれば、吏員の給料表を適用しているところもある、あるいはまた独自の給料表をつくって適用しているところもあるというようなことに承知いたしております。
  219. 千葉千代世

    千葉千代世君 それから、行政職ですというと、五等から四等に渡っていけますね、普通の方ですと。これは役付になると、どういうのでしょう、主任さんといいますか、係長さんですか、何かこう上がりますと渡りがきくのですね。幼稚園の教諭ですというと、幼稚園長になれば四等から五等ですか、五等から四等になるのですか、これは逆ですか、どういうふうになるのかしら——五から四になっていくわけですね。ところが、園長さんというのは幾人もないし、大体かけ持ちが多いですね。校長さんが幼稚園長をかねているところもある。それから、単独の幼稚園長の場合ですと、行政職をもらっているというと、五から四に行けるのはたった一人なんです。あとはもう永久に五等級で、行政職の五でいきますというと、これは幅が二十四です。二十四で頭どまりになっちゃう。そうすると、教育職(三)表ですというと、三十六くらいまでこう上がっていけるのだと思います。そうすると、これはまあその他いろいろな、超過勤務とかいろいろな一ぱい言いたいことがありますが、給料の本俸にしぼっていっても、そういうふうに差が出てくるわけです。そうすると、これは設備、それから基準もさることながら、まずこの幼稚園の先生方の給料という問題について抜本的な考えを変えていかなければならない。で、この十五日の日に鳥取で全国の幼稚園の先生方の代表か集まって相談し合うということが——ほんとうは日本の幼児教育の展望についてということ、それが基本です。しかし、その中における幼稚園の先生のいかにみじめな実態かということが明らかになると思うのです。みな泣いて訴えているわけなんです。そういう意味でね、その衝に当たっていらっしゃる文部省、きょう私特にこの幼稚園問題取り上げたというのは、地方自治体のほうで、任意設置でありますがために、橋かけるとかその他、当面終わりますというと、まあ隣でもやったからやっておこうというような意味の設置者の気分というものが、まあ全部がそうじゃありませんけれども、往々にしてあと回わしにされるということが多いわけなんです。せっかく自治省のほうで、この交付税の積算基礎の中に詳しく、ことしは投資的経費ですか、そういうふうに——きょうはその問題の論議もやめますけれども、経常経費とか、投資的経費とか、ここに一ぱいいろいろな経費をつけて、建築費もちょっと多い目に盛ってもらっておるのですけれども、そういうものがほんとうに生きていくためには、その衝に当たっていくものでなければならないと思うわけです。私は、そういう点で、これは悪い面ばかり言っちゃいけないから、いい面がどこかにないかというのでさがしてみました。そうしたら、三島の市の例ですけれども、そちらのほうに何かございますかしら。何かいい、たとえば全国でモデルケースのいい市とか、これはすごく悪いのだとかという、そういうふうなの何かございますか。ぴんと頭に、ここで聞いて、あああの市ならいいというようなところありますか、あればそれを出してください。
  220. 徳山正人

    説明員(徳山正人君) 三島市の例も私どもよく存じませんですが、設置状況のことでございますと、全国の公立の線から順に取ってはございますけれども、それ以外に地域としてどこがどうというふうなことを的確に申し上げるただいま材料を持っておりません。
  221. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは、おそれ入りますけれども、全国の市の中で、まず文部省がこれを目当てにやりたいなという、設置基準をはるかに上回るところとかね、設置基準はこれは基準までやらなきゃ許可にならないからあたりまえのことであってね、それより上回るいいところとか、それから入園率が一〇〇%であるとか、あるいはその他地域住民の要望というものをどういうふうに取り入れられたかというふうな、こういうようなところ、教員の給与ですね、そういうふうなもの、そういう点について調査を、少しいいところを三つくらい、悪いところ三つくらい出していただけますか。せっかく私調べましたから申し上げますが、三島の市では、これは小学校の数を上回る幼稚園数なわけなんです。これは公・私立ですけれども、教育職日表が適用されている。人口は七万六千。具体的には、小学校が十校で、幼稚園が公立が十、私立が三、七月にはもう一つ増園予定、保育所は公立五、私立が六、計十一と、こういうふうになっております。一年保育の収容児、五歳児が、これが約一〇〇%、それで園の費用は八百円、たいへん安いと思いました。だけれども、全国平均これは千五百円になっておりますが、文部省ではどういうふうに把握していらっしゃいますか。それで、この八百円を、市の目標は一年保育は無償にしたいということです。税金その他のむだづかいのところをえぐり出す、こういうふうになっており、教育職日表の適用ですが、これはもう四、五年前からずっとやっております。さっき申し落としたのですけれども、行政職と教育職を適用したところでずっと定期昇給をしていくところをかりに言ってみますと、行政職の適用と、教育職日表を適用して定期昇給をしていった場合と、十年に大体一万から一万五千差が出てくるのです。これは私も勘定してみましたら大体間違いないようでした、一万円のところと一万五千円のところと基礎額がちょっと違いますから。そういうふうにして設置基準も守られているし、先生が二人しかいなくても用務員がちゃんと配置されている、こういうふうに言っているわけです。園費が八百円では給料にもならないのじゃないでしょうかと言ったら、給料の半分にもならない、だけれども、値上げはしない、将来無償にしたい、一年保育を無償にして、二年保育を今度はその次に無償にしたいということを言っている。それらは一体黙っていてそんなになったのかと言ったら、やはり幼稚園の方々、あるいはおとうさん、おかあさん、それから町内会の方々、それぞれ職域の代表の方々が出ていって、そうして総合した審議会を発足させて検討している、こういうことでした。これは私が調べたそのまま、またこれは私の知った方に行ってもらって調べてもらったそのままです。ですから、私も近いうちに実地に行ってみたいと思っておりますが、こういう点もお調べになっていただいて、どんなにしても五歳児の問題は義務教育にするか、あるいは五歳児の一年間を設置主体の義務設置にして幼稚園をふやしていくか、当面追られている問題なんです。そうすると、七年計画終わってから考えましょうなんてのんびりしていたのでは、とてもこれは子供はそんなことじゃ待っていられないわけです。そういう意味で、たいへん失礼な言い方をしたのですけれども自治省計画をお立てになるときに、幼稚園をもっとふやしなさいということはおっしゃらないと思うのです。文部省のほうからこれこれこうだという資料をもらっていなさるので、自治省のほうでもっとふやしたらどうかということを文部省へおっしゃってくださったことあるのですか、どうなんです。
  222. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 幼稚園につきましては、施設をふやすという方向で文部省とも御相談をしながら財政措置をいたしておるわけでございます。金が要るから何でも減らすということばかりではないのであります。
  223. 千葉千代世

    千葉千代世君 時間もありませんからおしまいにしたいと思うのですけれども、そこで、幼稚園の先生方に集まってもらって、一体どうしたならば守れるのだろうかと、国会にも請願をしました。文部省へも陳情もしました。ずいぶんやったけれども、もう息切れがしたけれども、黙ってもいられない、どうしたらいいのだろうと、最後にたどり着いたのが、義務教育は国庫負担法があって国が半分、地方が半分なんだ。これは間違いなく使ったらば半分くるのだ、富裕県は、東京その他については三分の一だけれども。ところが幼稚園はそうじゃないものだから、こういうことがなかったわけでありますから、何か制度がほしいという。地方で条例をつくれば一番いい。教育職日表適用という条例をつくれば一番いい。ところが、条例をつくるには抵抗があるのだそうです。まあ時間もございませんけれども、たいへん抵抗があってなかなかできにくい。当面としては条例をつくることが第一であるけれども、やはり抜本的な改正をしていくためには、国と市町村が折半して持つような、義務教育国庫負担法にかわるようなものがほしいという、これが最終的な話し合った結論であったわけなんです。これについては多くの問題もありましょう。法律改正にもなるでしょう。しかし、実質的に条例は、すぐつくれば、やればできるわけなんですから、そういう行政指導は地方自治のほうの行政指導としておできになるのではないでしょうか。命令はえらいいけませんよ。地方分権でいけないでしょうけれども、行政指導はね。
  224. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 幼稚園行政というものは、私は自治行政に非常になじみやすい行政じゃないかというふうに思っております。したがいまして、なかなか文部省当局においても、これをかゆいところまでという具体的な指導がむずかしい問題も本質的に持っておるのじゃなかろうかという気持ちがいたしております。ただ私どもは、そういう立場に立っておりますだけに、財政措置としては、財源の許す限りやってまいりたい、こう考えまして、今回も幼稚園の設置の費用につきましては、文部省がいまお立てになっております四十六年度までに就園率を七〇%にしたい、そのためには年々幼稚園の数をふやすかあるいは充実をするかということが必要であろうという観点から、施設整備費につきましては相当の額をふやしておるわけでございます。まだ全部の計算ができておりませんので、補正その他がございますので、的確なことは申し上げられませんが、少なくとも昨年よりは倍近くの財政需要額を見込むことができるのではなかろうか、こういうふうに考えております。したがいまして、これは私のほうはひもつきでございませんので、財源をふやしたから必ずやれというふうには言えませんが、あとそれぞれの市町村におきましてお考えいただく、こういうことではなかろうかと思っております。  なお、いまお尋ねがございました義務教育国庫負担のような制度ということにつきましては、これはやはり、条例と申しますよりは、むしろ幼稚園行政をどう持っていくかという立場で検討すべき問題だろうと存じます。慎重な検討を要する問題ではなかろうかと考えております。
  225. 千葉千代世

    千葉千代世君 最後に自治大臣からひとつ、幼児教育について自治省の援助の方向はこういう抱負を持っているということばでけっこうですからお述べいただいて、それから文部省のほうとしても、これは法改正はむろん必要ですけれども、その前に、一片の通達や集まったときだけでなくて、徹底したやはり行政指導をして、教育職日表の適用ということを、根拠があるわけですから、していただくというような答弁をお願いしたい。  それからもう一つは、義務制の小・中学校の建築の問題について質問したいと思いましたが、時間もありませんので、この次のいつかの機会にひとつ委員長に計らっていただくようにお願いして、きょうはこれで私の質問を終わりたいと思います。
  226. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 幼児教育の問題でございますが、私ずっと拝聴してきておりまして、なるほど非常に大きな、教育のうちでも特にどうも幼児教育については、文部省も一生懸命やっておられましょうけれども、まだまだ欠陥が多いということを感じました。それで、これは費用ばかりではございませんで、やはりいま御指摘にありました設備、それから待遇の問題も出ておりますが、一つの制度としてもどう運営していくか、これはやはりお話しになりました条例でどうするということも一つのやり方でございましょうが、いま千葉さんの御意見で非常に参考になったのは、義務教育と同じようなやり方はどうかというようなお話がありまして、これは私、もちろん自治省ひとりでできませんし、文部省だけでもなかなかこれはむずかしい問題だと思いますが、自治省といたしましては、いま局長から申しましたとおり、文部省の御計画に対して全面的に協力するという体制をとっておりますから、これはひとり文部省だけにただたよって、文部省のやり方云々ということよりも、やはり自治体の住民の大きな教育問題の中核をなす基礎づくりでございますから、今後とも十分これらについて配慮したい、こう考えております。
  227. 岩田俊一

    説明員(岩田俊一君) ただいま大臣からもお話がございましたが、幼稚園の問題につきましては、その振興につきまして従来から格段の努力をいたしてきております。自治省ともども財政措置も行なわれ、あるいは制度的にも一応でき上がっているにもかかわらず、いま御指摘のように、末端におきまして不十分な点があるということは、きわめて遺憾だと考えております。この指導につきましては、これから繰り返しその趣旨の徹底につとめてまいりたい、かように存じております。
  228. 和田静夫

    ○和田静夫君 冒頭に、時間を非常に制約をされまして、これ一包み分おりたわけですが、これは次の機会にぜひ質問を、そういう意味では留保しておきます。  そこで、大臣に基本的に二、三だけ確認をしておきたいと思うんですが、十五日の委員会でのいろいろのやりとりの模様についてお聞き取り願っていると思うんですが、政務次官出ていらっしゃったんですが、そしてそのときに、大臣からきょう答弁もらいますということを、私二つ三つ質問をしてあるんですが、お聞き及びですか。
  229. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 一応報告聞きましたが、まだその問題によってお答えはっきりできないところは次の機会に申し上げますから、どうぞ。
  230. 和田静夫

    ○和田静夫君 そういう意味で整理をされておって端的にお答え願えれば幸いだと思うんですが、一つは地方交付税の算定の手法が非常に複雑だ、その全貌を国民一般にとってわかりにくいものにしているということは、私のみならず、常識人を自称なさる自治大臣もお認めになる、こう思うんです。しかるに、先日も言いましたが、「先進団体、後進団体あるいは標準団体それぞれの要望を取り入れ、世界一巧緻をこらした補正テクニックによる需要額の結果は、人口面積による単純比例按分と大差ない」——これは「自治日報」からのこの前の引用でありますけれども——となっているわけです。それならば、なぜこのように複雑な手法を用いるのかということを考えてみますと、基準財政需要額を客観的な数値との関連において算定するという、そういう意味での客観性の徹底を通じて、地方団体に客観的に必要な財政需要を保障していく、そういう地方交付税の理念を私は大切にするからだと思うんです。この際、地方交付税の総ワクがきめられてしまっているということは、調整率の問題であって、基準財政需要額算定過程における現実的、政治的配慮というものは、最大限私は排されなければならない、こう思います。しかるに、五月の十五日の本委員会における私や竹田委員の質問、それに対する応答を通じて、単位費用と補正係数の算出の基礎において、十分その客観性が誇り得るものではない、そういうことが明らかになったのであります。十五日の本委員会の模様について十分お聞き取りではないようなことが冒頭ありましたが、この単位費用の場合には、それでも法定化をされていますから、今後国会の審議を通じて客観性を強化していくことが制度的に保障されておりますけれども、法定されていない補正係数については、地方交付税算定上、この前の論議でも強くそう感ずるんですが、自治省の担当の官僚の方々のさじかげんというものが働いていると言われてもしかたがない、こういうふうに思われます。自治大臣は、今後補正係数を法定化をしていくというおつもりはありませんか。
  231. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 結論だけ申し上げます、時間がありませんから。  補正係数を法定化する考えないかという御質問だと思います。これは、補正係数を事務当局が、露骨に言えば、かってにやるんじゃないか、そういう御懸念だと思っています、俗に申しますと。これは経費その他を大体法定化していきますのが、これが補正係数になりますが、法定化ということがはたして実情に合っていけるかどうか。これはもちろん補正の要因がありますれば、何か基準を設けまして、そうして法定化するという一つの考えあると思いますが、それが基準財政の需要額と、それから大体において交付税の総額というものがワクが一つありまして、これであんばいしていくわけでございますが、補正係数を全部法定化する方式でいくのは、あるいは緊急、いろんな事態の変化に応ずるというような弾力性も考えなくちゃいかぬし、何しろ私どもは、三千幾つの自治体のうちでどういう事態が起こってくるか、これはもちろん基準がありますればそれでもいけるんじゃないかという御意見もあると思いますが、いまのところ踏み切ってそこまで補正係数も法定化していけるという考えは実は率直に申しますと持っておりません。また、いろいろいい御意見がありますれば、私は率直に参考にしたいと思いますが、いまのところそういう考えは持っておりません。
  232. 和田静夫

    ○和田静夫君 どうしてもやはり、立法府で審議をする場合、客観性を持つという条件というものはたいへん大切だと思うんです。この間も、地方財務の中に書かれているいろいろの数字をあげて、交付税課長からいろいろ説明を受けましたが、どうしてもやはり最後のところへいきますと、腹でもって、長年の感覚でもって算定されるということになる。答弁はそれ以上に出ません。そうすると、われわれは、算式が示されない以上は、自治省の官僚の方々はおわかりになるけれども、本来知る権利を持っているわれわれや一般国民というものはわからないままになされていく。そういう意味で、私はやっぱり、法定化への努力というものは欠かせない条件だと、そういうふうに思うんで、強く検討を要望しておきたいと思います。  次に、昭和四十四年度の地方財政計画上の問題で一つ二つ質問しておきたいと思うんですが、質問に入る前に事務当局に要望をいたしておきたいことがあるんです。私は、地方財政計画の全面的な検討に入ってみて、地方財政計画説明資料として国会に提出されているものがたいへん言ってみればお粗末だと、毎年国会終了後に発行されています「改正地方財政詳解」というやつがあります。   〔委員長退席理事熊谷太三郎着席〕 これは並行的に諸雑誌に発表されています自治省関係者の諸論文に使われている資料に比べてみてもきわめて粗雑であると、そういう意味で申し上げているんです。何もその諸雑誌を購入する費用をいとうという意味で申し上げるわけじゃありませんけれども、たとえば四十四年度の地方財政計画説明の、提出されている資料の一四ページ第四歳出の概要、この一五ページ給与関係経費があります。昭和四十三年度の「改正地方財政詳解」、これを見てみますと、実はたいへんな資料が載っているんですよ。六六ページ十表「一般職員等の給与費内訳」があります。これも国会提出資料の中にはありません。あるいは六八、六九ページの「一般職員等の給与費内訳」、「特別職及び議員、委員の給与費内訳」、これも同様にありません。あるいは十二表「地方財政計画職員数の内訳」、これもありません。十三表の「職員数の増減状況」、これだけはあるんです。ところが、十四表の「地方財政計画人員の規模是正の内訳」、これはまあ規模是正をやっていないんですから、なくてもしかたないと思うんです。第十五表「定数削減に伴う減人員および削減額」、これもありません。十六表「四十三年度給与費単価」、これもありません。十七表「四十三年度給料単価算定基礎」、これもありません。十八表もありません。二十表もない、二十一表もない、二十二表もない、二十三表、二十四表もない、二十五表もない、ずっとない、こういう状態なんです。そしてこれの発行年月日を見ますと、明確に昨年の七月十五日に出ております。これらの資料というものはもう手元にはすべてあるものであると理解できるのであります。そこで、私は実は、財政局長にじかに電話をして、担当の方とかわって資料要求をしたんです。これに基づいて全部資料要求をいたしました。できる範囲のものだと理解ができるものを全部やったんですが、実は私は新米の議員だから、たいへん苦労されたと思うんですが、わずか三枚のこういうものが出てきた。これだけでもって地方財政計画を私に検討しろと自治省は言うわけです。こういうとんでもないことは私あり得ないんじゃないかと思うんですよ。いままでの議員の方々はたいへんそういう意味じゃ難渋されていたんじゃないか。じゃなければ、私はよっぽど頭が悪くて理解度も悪いと、こういうことじゃないかと思うんです。したがって、資料が出てこない原因というものを、時間をかけて実はここで論争をしてみたいと思っておりました。しかし、冒頭に申しましたように、制限がありましてその部分についてはおりましたから、いつかの機会にはそういうことも率直にもっといろいろ教えてもらいたいことを大臣に実は申し上げておきたいと、こう思うんです。また、ギャンブルの関係の資料も実はいろいろ求めましたけれども、結局本審議には間に合いませんでした。事務局の方々が、国会開会中でありますから、たいへんなことであるということは、私だって理解をしないわけではありませんけれども、もう少しやっぱり国会審議というものを大切にしていただきたいと、こういうふうに思うのです。特に、昨今の行政が優位なのではないかと、司法に対しても、あるいは立法の機関に対しても、行政当局はたいへん優位論を持っていらっしゃるのじゃないだろうかということが、御承知のとおり、喧伝されています。そうして、私も、何回かの委員会を通じて、それぞれの方々の論文を指摘しながらそのことを指摘した経験もありますが、そういう意味からも、もっとやっぱり求めた資料というものは十分に配慮をして出していただけるような形というものをこの機会に要望しておきたいと思います。  それで、本題に入りますが、全般的に質問をしたがったのでありますが、これまた時間がありませんから、衆議院の地方行政委員会質疑応答とひとつ重複を避けることを考えまして、また四十二年度の地方行政白書との関連での議論は決算委員会等で私やる機会がありますから、そこでやるということにしてこれも留保して、問題を一つだけにしぼりたいと思う。それは、昭和四十四年度の地方財政計画の策定方針の第四項に、「国庫補助負担事業にかかる超過負担を前年度に引き続いて解消する。」とあります。この解消計画についても、国会に提出されている資料では実はかいもくわからないのであります。私の研究不足であるかもしれませんが、とにかくわかりません。むしろ自治省関係者が「地方財政」などという雑誌にお書きになっている論文のほうに詳しい資料がたくさん載っておるのであります。それも、たとえば「地方財政」の四月号の四五ページの七表なんかをこう見てみますと、この四十四年度にわたってのアップ率まで明確にお書きになっている。しかし、これらも国会のわれわれの手元には資料としては出てきていないのでありますが、私はしたがって、これらを見ながら、どの程度のことまでをいまお聞きしてもお答えをいただけるのかという見当を大体つけた。したがって、お答えをいただけると見当をつけた点でこまかく聞いてみたいと、こう思うんですが、昭和四十四年の一月二十日に釧路市長山口哲夫氏によって、昭和四十三年の十二月二十三日仙台市長島野武氏によって、昭和四十三年十二月二十五日酒田市長小山孫次郎氏によって、昭和四十四年一月二十日勝田市長川又敏雄氏によって、昭和四十四年一月十八日栃木市長金子益太郎氏によって、昭和四十三年九月二十日大宮市長秦明友氏によって、昭和四十四年一月三十日習志野市長吉野孝氏によって、昭和四十三年十二月二十五日国立市長石塚一男氏によって、昭和四十三年十二月二十五日田無市長指田吾一氏によって、昭和四十三年十二月二十五日調布市長本多嘉一郎氏によって、昭和四十三年十二月二十五日武蔵野市長後藤喜八郎氏によって、昭和四十三年十二月二十五日横浜市長飛鳥田一雄氏によって、昭和四十四年一月十四日三島市長長谷川泰三氏によって、昭和四十四年一月二十九日新居浜市長泉敬太郎氏によって、「地方財政法第二十条の二の規定による意見書」が内閣を経由して国会に提出されたはずであります。その後その取り扱いはどのようになりましたか、大臣にお伺いいたします。
  233. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) ちょっと日にちのところ覚えておりませんが、三月であったと思いますが、内閣に出されましたので、所定の手続で内閣の意見をつけて閣議を経て国会に送付してございます。
  234. 和田静夫

    ○和田静夫君 これは別々に扱われましたか、一括して扱われましたか。
  235. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 釧路市長等十四市長提出の「地方財政法第二十条の二の規定による意見書についての内閣の意見」というので、一括して扱ってございます。
  236. 和田静夫

    ○和田静夫君 じゃ、法制局にお伺いをしますが、いまのような取り扱いは法律上全く遺漏はありませんか。
  237. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) ただいま地方財政法第二十条の二の規定に基づく意見書の提出の取り扱いについてのお尋ねがございましたけれども、その二十条の二の二項におきましては、第十三条第三項の規定を準用するということになっております。その準用される第十三条第三項では、「内閣は、前項の意見書を受け取ったときは、その意見を添えて、遅滞なく、これを国会に提出しなければならない。」と、こう規定しておるわけでございますが、その中で要請されておりますのは「遅滞なく」ということでございますが、その場合、自治省に提出されて、自治省国会に出すということではなくて、内閣に対して意見書が経由機関として出され、内閣を経由して国会に出されるということで、内閣としては、関係各省の意見を取りまとめて、実情を必要に応じて調査をして、それに対する意見を添えなければならないということになっておりますので、法律のほうも直ちにというふうには書いておらないわけでございます。まあ、法律用語としての直ちにというのは、その一切の遅滞を許すことなくという一番きびしい用語でございますけれども、それに対しまして遅滞なくという用語は、合理的な理由がある場合には遅滞を認めるという意味で用いられておりまして、そのような場合に各省の意見を取りまとめ、その取りまとめをする場合に、各省としては実情調査をする必要性があるというような場合には、そういう実情調査をする場合に、同種の意見書がいろいろ出ているという場合に、取りまとめて一連のものとして実情を調べ、意見を内閣に出す。内閣はその意見を取りまとめて、これを各市長等から出ました意見書に添付するということが要請されているわけでございまして、その直ちにという法律用語、あるいは遅滞なくという法律用語というものから見ますと、実情調査なりあるいはその意見の取りまとめというために必要な期間というものについての遅滞というものは、その限度においては認める趣旨だというふうに法律用語としては解釈されます。
  238. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、いま言われたような形、地方財政法の十三条第三項で特に問題になるのは、答弁にありましたように、「遅滞なく」ですが、そうすると何カ月以内に国会に意見を提出したら具体的には遅滞なく提出したことになるとお考えになっているわけですか。
  239. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) それは個々のケースの問題でございますから、そこで提出された問題なり、意見書に盛られましたその問題の内容により、まあ非常に区々であるということで、一律的に何カ月以内だということは断定しにくいのじゃないかと思います。もし国会のほうが、このものについては一定期間内に必ずこれを国会に出せという御趣旨であるならば、この法律の規定を、その遅滞なくというのではなくて、一定期間以内にというふうな立法としてお定めくださるということが合理的ではないかというふうに思いまして、まあ「遅滞なく」という用語自体からは、一律的に何日以内であるとか何カ月以内であるとかということには必ずしもならないのじゃないかと思います。
  240. 和田静夫

    ○和田静夫君 もう一つだけお聞きしますが、「国会に提出」という意味ですね、それに添付をされた内閣の意見とともに、その意見書を調査案件にするということではありませんか。
  241. 荒井勇

    政府委員(荒井勇君) この二十条の二なりあるいは十三条の規定で、内閣が受け取った意見書を国会に提出しなければならない——書きっぱなしをしているわけでありますが、規定の趣旨はどういうところにあるのかというお尋ねだと思うのでありますけれども、その点は国会がその権限の範囲内において対処されることを期待しているのだというようにお答えせざるを得ないのじゃないかと思います。まあそれは、国会としては立法され、あるいは予算について議決をされるというような場合に、そういう意見書が出てくるようなことを念頭に置いて審議をされるとか、あるいは国勢調査というような権能もおありであるというような関係で、これが直ちに議決案件という意味で書かれているものではないというようにそこは解釈をいたしますけれども、出したからには、国会としては、その権限の範囲内でお考えになり、あるいは審議の際に参考にされるというようなことではないかというように存じます。
  242. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、大臣、いま法制局の見解がありました。若干私なんかが求めるよりももっとゆるい見解でありますけれども、ともあれ見解がありました。ともかく国会の権限の範囲内において処理していく性質のものであるということですね、「国会に提出」というのは。そうしますと、一つは、さっき「遅滞なく」という問題で質問しまして、解釈がああいう形でしたが、この問題に関する限り、埼玉県大宮市長が九月八日に出されたものが結果的に閣議決定されたのが三月十八日、こういうことになっておりますですね。これはその取り扱いが、たとえば法的にいまの解釈で問題が「遅滞なく」の部分についてなかったとしても、政治的にも問題がなかったと一体お考えになるのかということを自治大臣にお聞きをしたいと同時に、やはり自治大臣としては、本委員会においてこれが調査案件として、いわゆる権限の範囲内の問題でありますから、論議をされていく、審議をされていく、あるいは調査をされていく、そういうことを期待されるのが当然だと思いますが、いかがですか。
  243. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) いま法制局から説明がありましたが、いまの和田さんの「遅滞なく」という問題ですが、法律的にはそういう解釈も成り立つことは法制局の御意見のとおりだと思いますが、政治的にどうかというお尋ねですが、やはり「遅滞なく」ということ、あるいはこれも率直に言って、やはりなるべく早くやることだと私は思います。そこで、それがしかし違法であるか、これは別にいたしまして、政治的にはなるべく早くやったほうが、「遅滞なく」ということばからいたしますと、そういう解釈ができる。それから同時に、これを国会の権限内でやはり審議するということ、この超過負担問題は従来から審議の対象になっておりますし、まあ政府といたしましても、これに全然手を入れないではないので、三年計画で解消しようというようなことで実行いたしておる段階でございます。これはやはり、いま和田さんのおっしゃるとおり、ことさらにこの内容についてやはりいろいろな審議の場面において取り扱うことは、私は当然だと思っております。
  244. 和田静夫

    ○和田静夫君 昨年の十一月一日の参議院決算委員会におきまして、超過負担の範囲をどこに押えるかという私の質問に答えて、細郷財政局長は、「超過負担とは何であるかということは、実に議論の多い問題でございまして、実際に学校を建てます場合に用地費も全部入れて地方団体は支出をする、それに対して補助が建物分についてだけくる、その差が超過負担である、こういう見方も一つの見方であろうと思います。」、「いま港湾の例がございました。先ほど申し上げましたように、港湾事業補助をする場合に、どの範囲にするか、これは確かに議論に値する問題だと思っております。」と答えられているのであります。つまり、この問題は「議論に値する問題だと」、こう財政局長も言う。それからいま大臣もそういうような形での見解を述べられておりますが、   〔理事熊谷太三郎退席委員長着席〕 そうしますと、さきにあげた十四市長の意見書の中には、この議論の進化に資する幾つかの問題提起がこの場合あります。したがって、私は自治大臣のほうからみずから積極的にこれらの問題を本委員会の爼上にのせる、そういう努力があってしかるべきだというふうに考えるのであります。きょうはもちろん、時間がなくなってきましたから、あまり深くやれませんが、そういうおつもりはございますと理解しておいてよろしいですね。
  245. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) さきに、財政局長がこの問題を取り上げて、検討する必要があると言っております。私も同じ見解を持っております。したがって、いまいつどうということではありませんが、私は、和田さんがおっしゃるような大きな問題は、そのときにいろいろ検討して、また御意見も拝聴したいと、こう考える次第であります。
  246. 和田静夫

    ○和田静夫君 先ほど局長答弁にありました、三月十八日閣議決定をされた「地方財政法第二十条の二の規定による意見書についての内閣の意見について」、大臣ちょっとお尋ねしたいんでございますが、自治大臣は、この内閣の意見を、釧路とか十四市長の問題提起に十分こたえるものだとお考えになっていらっしゃるんでしょうか。内閣の意見というのは、要するに、読むまでもないと思いますが、こうなのであります。「昭和四十二年度においては、かねてから特に問題があるとされていた農業改良普及事業費補助金、保健所運営費補助金、国民健康保険事務費補助金、国民年金市町村事務取扱交付金、公立小中学校施設整備補助金及び公営住宅建設費補助金の六項目について、大蔵、自治及び関係各省共同の実態調査を行ない、その結果に基づき昭和四十三年度以降三年度間で所要の是正措置を講ずることとしており、昭和四十三年度においては、引き続き警察施設整備補助金、統計調査事務委託費、職業訓練費補助金(家事サービスを含む。)、農業委員会補助金及び保育所措置補助金の五項目について同様の実態調査を行ない、所要の措置を講ずることとしている。この場合、補助対象経費については、それぞれの目的に即応し、事業を遂行するために必要な部分を対象とし、その単価、規格等については、それぞれの目的に即した合理的な規格、規模において能率的に事業が行なわれる場合の費用を前提とするという基本的な立場に立って是正を要する範囲、程度等を判断している。」しかるに、十四市の市長は、国の解消策について、口々にこう言っているのであります。「国は本年三月主要六事業についての超過負担額を認め、昭和四十三年度より三カ年計画でこれを解消する計画を示されたことは、地方財政にとってもまことによろこばしいことであります。しかしながら、昭和四十三年度の国庫承認額と本市実行見込み額に関する限り、その成果は、きわめてうすいものと思われます。今日の地価騰貴や建築費値上りは予想以上のものであって、学校或いは住宅建設における単価差、数量差等は本年度の国の改訂措置等では到底解消できるものではありません。」、こうなっている。内閣の意見が、十四市の市長のいま読み上げました発言に真剣にこたえるものであると、私はどうも自信を持って言い切れないのではないかと、こう思うんですが、大臣どうでしょうか。
  247. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 十四市長の意見書、やはりこれは十分参考にすべきであります、たてまえとして。先ほどもちょっと申し上げましたとおり、政府としては三カ年計画で解消をしようとつとめております。その政府の意見書にも出ておりますが、「それぞれの目的に即応し、事業を遂行するために必要な部分を対象とし、その単価、規格等については、それぞれの目的に即した合理的な規格、規模において能率的に事業が行なわれる場合の費用を前提とするという基本的な立場」ということをあらわしております。それは一定の超過負担におきますところの基準と申しますか、これらもやはり、ここにあらわしておるような政府の意見というものもまた私は尊重すべきものだと思っております。しかし、地方公共団体におきまして、ことに十四市長の意見というのは相当実情に即した意見もそこに当然出てきている。これはやはり、いままで三カ年計画でやっているけれども、それで十分だと言い切るわけじゃないが、しかし、一応の政府姿勢というか、方針というか、一応の基準というものは必要であるが、さらにどうしても実情に合わないということになれば、これはやはり実情を調査いたしまして、やはりいままでのつまり超過負担解消の対策をあるいは修正するようになるかならぬか、これは実情調査にまたなければならぬことでありますから、一応いままでの姿勢というものは、私は基本的な姿勢はくずしていない。それがはたして実情に沿っているかどうか、さらにその対象の範囲を拡大する必要があるのじゃないかというようなことがあります。これはいま私がここで、十四の市長さんの何ですから、釧路のほうはこうだ、武蔵野のほうはどうだということは表明できませんが、私はやはりこれを参考にして今度は実情を調査して検討するという姿勢は当然とるべきだ、またとりたいと思っております。
  248. 和田静夫

    ○和田静夫君 たいへん大臣もこの問題に関する限り前向きの答弁で、あとに送ってもいいように思うのですが、ちょっと二、三具体的にお聞きする時間をいただきたいと思います。  いま抽象的な意見というのはわかるのですが、勝田市の例を少しあげてみたいと思います。いま大臣が言われた趣旨にのっとって、それでは小学校の建設費で「(1)単価差」ということで勝田市から出ておりますが、「小学校建設の場合、一平方メートル当りの実行額二万九千七百七十六円に対し国庫補助単価二万八千円であるため、一平方メートル当たり千七百七十六円の超過負担をして執行している。」、こうなっている。四十四年度の単価はどうなりますか。
  249. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 四十四年度は、小・中学校校舎の単価は前年度に比して七・五%アップということになっております。
  250. 和田静夫

    ○和田静夫君 数量差の問題ですね、「現在の算定方法では既設保有数量を重視するため、実態に即した算定がなされていない、単に教室のみを増設することでは学校としての用をなさず、その他廊下、昇降口等の必要不可欠な共用部分を増設することが余儀なくされている。」、そうして「実行面積626m2−補助対象面積480m2=146m2」——これについてはどういうようにお考えになり、四十四年度の地方財政計画はどのように措置されましたか。
  251. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公立文教施設の補助対象は、御承知のように、必ずしも現有施設というものにこだわらないで、小学校なりあるいは中学校の生徒数を基礎にいたしまして、現在の現有坪数を引いてそうして補助対象を出す、こういう行き方をとっているわけであります。したがいまして、保有の現状と比較すると必ずしも実態に合わないという議論も一部あろうと思います。私が先般決算委員会で議論があるということを申し上げましたのは、一つはそういう問題があるのです。したがって、いままで超過負担といわれる問題は、実際にかかった決算実額と補助対象額の差はこれすべて超過負担であるという議論、これが違いがあるからなされたわけでございますが、しかし、やはり国が補助制度を使います場合には、どこの団体にも同じ条件のもとで補助をすべきであるという議論があるわけでございまして、そういうところに、補助の対象の範囲はどういうところが問題になるのかというのを煮詰める必要があるわけでございます。そこで、実態調査を幾つか大きい事業についてはいたしまして、実際に調べたものの中から、この前も申し上げたかと思いますが、保健所の職員などについて現実にいる職員についての給与の実態を全部調べた。そうしてその人たちの経験年数を調べて大学卒業後何年たっているか、それを国家公務員の給与表に年々当てはめていったならば何等何号である。そこで、その何等何号までは国家公務員並みの給与ベースとして当然補助の対象にすべきである。それ以上高い給与をきめておりますところについては、それは地方のみずからの出し前でやってもらおう。反対の団体もおそらくはあると思います。そういったような考え方で超過負担の実態調査をして、それを単独部分と補助対象部分——要措置部分とわれわれ呼んでおりますが、それぞれに区分いたしまして、そういうやり方で四十二年度に実態の調査をいたしまして、その際学校の施設費等についても取り上げて調査をいたしまして、その結果によりましてその差が出たわけでございます。国の措置すべき部分というのが出ましたので、それを四十三、四十四、四十五で大体三等分してこれを解消しよう、こういう行き方でございますので、お尋ねの公立文教施設の建設につきましては、その二年目にことし当たっておりますから、その二年目に当たっております部分に見合う地方負担額というものを措置をいたしたい、財政計画ではそういうことになっております。
  252. 和田静夫

    ○和田静夫君 時間が経過をしますから、大臣の答弁さっきいただきましたから、とにかく審議の爼上にのせさしてもらいますから、具体的には次回にもっと突っ込んでもよろしゅうございますが、ただ一つ大臣に確認しておきたいんですが、そういう言い方失礼になるかもしれませんが、「地方財政」の五月号——最新号ですが、これは柴田事務次官の論文です。その九ページ「第二は、いわゆる超過負担問題の処理である。超過負担問題は、先年自治大蔵両省の協議の下に、その是正方針を定め、実態調査を行う」、いま局長がずっと答弁されたようなことをお書きになっているわけですが、そこでこの部分——「もとより、国庫補助負担金の合理化についての処理方針と具体案の確定という大作業を前提とするものであるが、何れも長年の懸案であることからも、この辺で根本的な処理案を定める必要が痛感せられる。いたずらな問題意識の強調だけでは、もはや事は済まされまい。」、こう書かれているんですが、大臣も同様にお考えになりますか。
  253. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 国庫補助の問題については、ただ柴田次官がどういう気持ちで書いたか、本人でないとわかりませんけれども、私はやはり一般論として、いわゆるいろんな意見とかいうものは当然参酌すべきでございますが、実態に即した措置をすべきだ。ただおれのほうはああだこうだと言っておられる。その御意見もわれわれは尊重しますけれども政府といたしましては、実態に即する。そうかといって、ただ一つのものがきまったから、そのワク以外はだめだ、こういうことは政府は避けるべきだと思います。私の言うのは、地方自治団体がこういうことを言ってこられるのは、どっかにやはり問題があるということだと思う。こういうことにこたえるためには、やはり実態を見て、ただこういうことをして今後はかさ上げしますからとかということだけではなくて、もっと突っ込んだ実態を把握して処理すべきものと、こう考えております。だから、柴田次官もおそらく、その解釈は和田さんどう解釈するか知りませんが、私と同じような感じではないかと、こう思っております。
  254. 和田静夫

    ○和田静夫君 ですから、いわゆる「いたずらな問題意識の強調だけでは、もはや事は済まされまい。」、そういうことですか。
  255. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) そうじゃないかと思うのですがね。
  256. 和田静夫

    ○和田静夫君 その上に立って私も論議に参加をさせていただきたい、こういうことで確認をいただいておきたいと思うわけです。よろしいですか。
  257. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) よくわかりました。どうぞ。
  258. 和田静夫

    ○和田静夫君 それじゃ次に進めますが、これも十五日の懸案の問題ですが、法務省から資料としてこの前「地方公共団体を当事者とする係属事件一覧表」をいただきましたが、その懲戒処分に属する事件一つ一つについてその概要を御説明願いたいわけです。またそれらを、法務大臣が国の利害を考慮して所部の職員をして訴訟を実施する場合の基準として、先日法務省があげられた四つの基準の中の第三番目に該当をする、こう述べられたんですけれども、それらの事件が第三番目ということになりますと、これはおたくで書いていただいたんですが、「地方公務員に係るものその他の当該地方公共団体のみならず他と共通する重要な問題に関する事件」、こういうことなのですが、他と共通する重要な問題とどうして一体判定がされたのか。いまいただいたこの資料の事件ですね。
  259. 鰍澤健三

    説明員鰍澤健三君) 前回前任者の河津がここに参りましてお答えいたしまして、私後任で、個々の懲戒事件のこまかい内容について説明しろというお話でございますが、実は個々の内容については承知しておらないのでございますが、この提出いたしました表の中の懲戒処分という欄に書いてあります北九州市の二十二件、これが非常に大きいのでございますが、そのほかにも、次のページに百六十三件、五十五件と非常に大きい数字がございますが、この非常に大きな数字のものは、実は超過勤務手当の請求の事件でございます。それで懲戒処分のほうの二十二件、北九州市のほうの事件と申しますのは、私が承知しております範囲では、北九州市の清掃局の職員が争議を行なったということで、これに対する懲戒処分を争う事件が大半でございます。これらの事件につきまして、国が、いわゆる法務省がこの訴訟を担当するようになりました理由は、御指摘のとおり、基準の三に掲げてございます「地方公務員に係るものその他当該地方公共団体のみならず他と共通する重要な問題に関する事件」、こういう基準を設けてございますが、この基準に該当すると考えたわけでございます。その基準に該当するとなぜ判断したのかと、こういう御質問でございますが、これにつきましては、地方公務員のいわゆる労働条件、待遇問題というものにつきましては、やはり全国的にできるだけでこぼこのないようにしなきゃいけない。そういう懲戒問題なども、一つの待遇問題といたしまして、やはりそこに一つの基準的なものがなければいけないというような見解から、依頼を受けてこれに関与した、こういうことになるわけでございます。
  260. 和田静夫

    ○和田静夫君 いまの説明で十分に残念ながらこの理解ができないのですが、どうしてそれがいわゆる法律の七条に該当することになるのですか。現業の労働者の労働条件をめぐる諸問題が、国の利害の問題とどういうかかわりがあると判断されるのですか。
  261. 鰍澤健三

    説明員鰍澤健三君) 各地方公共団体の職員の待遇の問題などにつきましては、それぞれ主管庁のほうの指導も受け、それと相談して処置をしておるというふうに私は聞いておりますので、そういう観点から、やはり法務省として関与する必要がある、こういうふうに考えておる次第でございます。
  262. 和田静夫

    ○和田静夫君 ちょっと理解できませんが、進んでみます。  自治大臣にお尋ねをしますが、これは懸案の問題で、自治大臣用意をされてきているようです。いまあげられた事件のそれぞれについて、実は国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限についての法律第七条第三項に基づいて、自治大臣は法務大臣にどのような意見をお述べになりましたか。
  263. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) これらについては特に意見はない、異議ないという考え方になっております。
  264. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、両方なんですが、さっきからどうもその説明じゃわからないのです。「地方公務員に係るものその他の当該地方公共団体のみならず他と共通する重要な問題に関する事件」と、こうあるわけです。そうすると、この第七条の手続的にも、実質的に考えてみても、まず一つは、一項によって、被告等がおのおのその旨を法務大臣に請求することでしょう。第二項によって、その旨を自治大臣に通知を必要とする。第三項で、法務大臣は国の利害を考慮してその必要ありと認められたその点に基づいて自治大臣の意見を求める必要があるわけですね。そうして実質的には、その訴訟が国の利害に関係があること、これは同様三項で明らかですね。国の利害は一体どこで必要があるのですか。
  265. 鰍澤健三

    説明員鰍澤健三君) 国の利害と申します場合の、その概念の範囲が非常に問題になろうかと思います。それで実は、その利害の範囲についてどういうふうにこれを解釈すべきかということで、自治省と協議の上で基準を四項目設けているわけでございます。そのうち特に三項目だけをお引きいただいていろいろ御質問になっておりますが、国の利害に関係のある場合は、財政上の負担を生ずる場合、あるいは行政上の措置あるいはその指導について関係のある場合、これを一括して入ってくるというふうに解釈しておるわけでございます。
  266. 和田静夫

    ○和田静夫君 というふうな解釈に基づいて自治大臣に見解を求められたそのことに対して、自治大臣は単に異議ありませんじゃ困る問題です。もっと疎明されなければならないと思うのですが、いかがですか。大臣に求めているのですよ。この間質問して、きょう答弁してもらうからと言ってあるのですよ。自治省内部では全然十五日の私の質問に対しては何の打ち合わせもされなかったということですか。きょう大臣から答弁もらいますよと言って質問を予告しているのに、きょう大臣、答弁できないということはないでしょう。
  267. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) これは、和田さんの御指摘のように、法務大臣から自治大臣に打ち合わせがあったことは事実でございますが、いままでの取り扱い上、一応自治団体と法務省の意見が一致したものにつきましては自治省としては特別異議を入れない、こういうことでまいっておりますので、今回の案件も、そういう従来の、何と申しますか、取り扱いと同じ取り扱いをいたした結果でございます。
  268. 和田静夫

    ○和田静夫君 自治団体と法務大臣との間で意見が一致したものについて、自治大臣としては別に干渉しない、それはそのままうのみにする、こういう御答弁ですか、いまの答弁。
  269. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 大体そういうことでございまして、法務省と自治団体との意見が一致したものにつきましては、特別なものは——まあしかし全部そういう場合もあり得ないのですが、一応両者が一致したものにつきましては、異議を差しはさまない、こういう態度をとっております。
  270. 和田静夫

    ○和田静夫君 善意に解釈すれば、地方自治団体の意向というものを自治大臣はそのまま何といいますか認めていこうという、そういう態度でもって、したがって特に意見は差しはさまない、そういうことのわけですか。
  271. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 大体和田さんの御見解のとおりでございます。
  272. 和田静夫

    ○和田静夫君 そうしますと、これは法制的な解釈の問題との関係になるかと思うのですが、たとえばこれらの場合の被告は、北九州市長であり、鶴岡市長であり、日南市長であり、あるいは北九州の教育委員会であり、あるいは一方は公平委員会ですね。これはもう御存じのとおり、それぞれ独立の人格を持った機関であります。そうしますと、特にたとえば公平委員会と市長、あるいは人事委員会と知事というような関係で考えてみれば、前者と後者との関係においては、原処分の当不当を判断をすべきそういう機関である。したがって、相互間においてはおのおの独立性こそが強調されなければならないし、尊重をされなければならぬ問題であると、こう思うのです。市長や教育長を被告とするところの行政処分の取り消しと、公平委員会なり人事委員会を被告とする裁決取り消し請求事件について、同一人が右のいま言ったような二つの訴訟を代理するということは、少なくとも第三者機関である公平委員会なり人事委員会の存在意義というものをなくする危険性が私はあると思うのですね。それについては、自治大臣、いかがお考えになりますか。
  273. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) いままでの法の解釈からまいりますと、今日までの取り扱い上、そういう疑義を持っておりません。大体合法的にやっているという立場から自治省は認めておる。結局、今日の問題、いまの問題の取り上げ方にも法務大臣の採択基準が四項目という、それによってまあ法務省が取り上げておる。そうなります場合におきましては、いま私お答えしましたとおり、地方と法務省との意見が一致した問題は公平委員とかこれは別の地方行政なんか入りますけれども、一応取り扱いといたしましては異議は特別差しはさまないという姿勢をいままでとっております。このいま御指摘の問題も、やはりそういう姿勢のもとに態度をきめた。公平委員その他につきましては、これは行政上どういうふうになりますか、また法の問題に触れてまいりますから、これは私からよりも事務当局からお答えいたしたいと思います。
  274. 和田静夫

    ○和田静夫君 大臣にもう一ぺんだけ伺いますが、特に私、野田自治大臣だから伺いたいと思うのですけれども、いままでこうしてきたからこうなんだという答弁は野田自治大臣らしくないと思うのですよ。私は、いま大臣の経歴からずっといって、野田自治大臣なるがゆえに改革をすべき点があると思うのです。いま私が申しましたように、たとえば人事委員会なり公平委員会なりというものは、地方公務員なら地方公務員の職務の第三者的な保護機関として、労働基本権を取り上げるとき登場した保護機関でしょう。一方では、その保護機関が、裁判所との争いにおいては被告です。その保護機関に、任命権者がやったことは誤りだと言って訴えているわけです。その任命権者も被告です。この異質の二つの被告を一緒にして同一の検事が代理人として引き受けるというようなことは、ちょっと考えたらおかしいでしょう。大臣、自治体と法務大臣との間でもって話し合いがついたからおれはうのみにしたんだ、いままでもそうだったからということで片づけられる問題ではない。政治的に大臣そうお思いになりませんか。
  275. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 人事委員会と公平委員会との関係は、それがまあ任命権者もどっちも両方が被告になるということはおかしいんじゃないか、矛盾があるんじゃないかという御意見ですが、私はいま御指摘になりましたケースは、いままで私が申しましたとおり、従来のケースに従って処理したことでございます。これはまあ関係がございますが、まあ、いままでの既成のことは別といたしまして、やはりそういう御指摘のものは十分やはり意見をお互いにかわして、私はやはりそこに何かの疑惑があれば直していくようにする、これは政治的に当然のことじゃないか、こう感じております。
  276. 和田静夫

    ○和田静夫君 いまの自治大臣の答弁を信用したいと思うのです。そういうことですから再検討される、この種の問題については。しかも、私の質問の趣旨に基づいて、そういう意味で前進的に解決を一つのあれとしながら努力をされる、こういうふうに承っておきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
  277. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) それは非常に重要な御意見のようでございます。私どもはやはりそれは重視いたしまして検討いたします。
  278. 和田静夫

    ○和田静夫君 この問題についてはこれで最後にしますけれども、実はこの前、大臣お見えにならなかったのですが、法務当局からは、自治団体の場合に事件の多くの問題に触れて和解をするのです。大臣も御存じのとおり、その和解をする方法を、本来、相手方が弁護士であった場合には支持することが非常に多いけれども、相手方が残念ながら検察官である場合、和解というものを忌避される場合が多くて、いたずらに紛争が長引く場合があるんです。そういうことというのはやっぱりいけないのだということを指摘いたしまして、それに対して法務当局からも、そういうことがもしあったなら、ないように努力をすることが正しいという御答弁をいただいたのですが、そういう意味で自治大臣も、これから見解を求められた場合に、単に自治体と法務当局との間に話し合いがついたからそれをうのみにするということを、もっと違った意味からいって、検察官が代理人になるというそのこと自体がたいへん支障になるという問題についても十分お考えになって、それについては大胆な意見を述べる、こういうことを考えておいていただきたいと思います。よろしいですか。
  279. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) よくわかりました。ことに、和解の問題なんかほんとうにそういう場合があると思います。
  280. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 関連して。実はこれは法解釈の問題で、この間の十五日のときに、財政局長がこういう答弁をしているのだ。和田君が質問するかと思ったら、ようしませんので。いわゆる失対関係者が事務補助員として地方自治体の事務をとった場合に、これは要するに公務員でないかという質問に対して財政局長郷道一君は、「それは地方公務員でないと思います。たとえばいろんな計数を集計するのにもアルバイトを雇ったりすることは」云々と言っておりますが、あなたは御存じだと思いますが、これは地方公務員でないのですか。
  281. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) あれは私の間違いでございます。一般職の地方公務員のことばかり頭にあったものですから、そういうことを言ったのです。
  282. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 地方公務員でしょう。
  283. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) そうです。
  284. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 自治省局長がそういうことを言うと有権解釈になるからね。きょうは実は人事院から来てもらったのですが、そういう必要はないと思いますね、訂正しましたから。証人呼んだんですが、本人が訂正したのですから、これはひとつこのままあなた帰ってもらってけっこうです。御苦労さまでした。  それからもう一つ問題がある。これも確かめておかなければならない。これは地方財政法の問題ですよ。これも和田委員の質問に対してあなたが答えられておるのですが、これも私は地方財政法の解釈としては、あなたは財政局長ですからきわめて重要な発言なのです。これをひとつ解明をしてもらいたい。  給食会の雇用、PTA雇用の者については、地方財政法第二十七条の四、同施行令第十六条の三の規定から見て違法ではないかという、こういう質問に対して、あなたのほうは、細郷道一君は、「政令では、御承知のように「市町村の職員の給与に要する経費」でございます。市町村の職員であればそれは当然市町村で払うべきである」、これはそれに該当しないからいいのだ、こういう答弁をされておりますが、文部省の昭和三十五年の通牒を見ますと、私はその当時これも参画した者ですが、文部省来ておられますね。——実はこういう通牒なんですよ。昭和三十五年です。四月二十五日に文部省体育局長が各都道府県教育委員長あてに——前文は省きます——「学校給食調理員の給与その他の人件費は、学校給食法第六条第一項および同法施行令第二条第一号の規定にもとづいて、学校給食を実施する学校の設置者の負担とされているが、これらの経費を設置者以外のものが負担している場合があるので、すみやかにその改善をはかること。なお、目下国会において審議中の地方財政法」——それが地方財政法第二十七条の四なんです。したがって、その趣旨で改正されたのでありますから、PTAの雇用であるといっても、その雇用者に対する給与の支払いというものは同法の違法になるということがこの通牒によって明らかなんです。そういう趣旨でこの法律を改正するんだから、今後そういうことはございませんという通牒を文部省出した。三十五年です。あなた財政局長になる前だったのです。そうすると、和田委員の言われていることについて、和田氏の言うことは正しいのであって、あなたの答弁は間違っておる。これはどうです。
  285. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) この地方財政法二十七条の四の規定は、市町村の職員である、現に市町村の身分を持っているものについて他の住民に負担を転嫁してはいけないと、こういう規定でございます。御承知のとおり、法律はそうだし、政令もそう書いてあります。別途、給食職員等を一般の市町村職員にせよということは、別途その職員の任命の、何といいますか、そういう指導の方針として出たわけでございます。したがって、事柄は私は別の問題だと思いますが、いま御質問の出ました、なるべく市町村職員にせよと文部省が言っているんだから、すぐ違法という形でこれをとらえていくというよりは、私どもは、それ以来給食のための経費を交付税の需要にも見込んでいくようにして、年々少しずつ増強を実はいたしております。そっちのほうの問題として私は処理すべきものであるという意味で先般申し上げたのです。
  286. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたのいま言ったやつは、昭和三十二年三月十四日の自治庁次長としてそういう趣旨のものが通達されておる。いま申しました昭和三十五年四月二十五日の文部省体育局長としての通牒は、いま申しました地方財政法第二十七条四を改正するのは、そういうものはなくなるのだからという、改正するからということを通達した。あなたこれを見られましたか、文部省の通牒を。見てないんでしょう。そういう点を十分考えなければ……。国会でせっかくこういうものはなくなるということで改正したんでしょう。これは昭和三十五年の通常国会だと思いますが、改正したんでしょう、地方財政法を。だから、したがって、そういう点においてやった和田委員の質問に対してあなたはこういう通牒を十分考えて解釈されぬと間違いが起こる。したがって、あなたはいま見てないのだから、猶予期間を与えますから、ひとつこの通牒なんかを見て公正な解釈をしてもらわぬと困る。その上でなおかつ法制局あたりでこれはそうでないのだというものがあれば、次のときに聞きますから、私そんな、きょうここで答弁詰めるようなことはしませんから、その点ひとつ考えてもらいたいと思いますが、どうですか。この二つだけ。まだ強弁しますか、強弁を。
  287. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私もそういう通牒が出たことは承知をしておりますけれども、いま御指摘がございましたので、なおよく見て検討をいたしたいと思います。
  288. 山田勇

    ○山田勇君 まず最初は、地方公務員の給与についてお伺いいたします。  政府は昨年末に、昭和四十四年度、人事院勧告どおり給与改定を完全に実施するよう努力すると申しましたが、その点は間違いないでしょうか。地方公務員の場合、その財源措置地方交付税でどのようにされておりますか、これをお伺いいたします。また、昨年度は七月実施となりましたが、新聞等によりますと本年度は六月実施になるだろうといわれ、完全実施はおそらく昭和四十五年度になるだろといわれておりますが、その点いかがでしょう。
  289. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 私はこれもしばしばお答えいたしておりますが、給与問題の人事院の勧告は尊重すべしとの前提に立って、いままでもそういう姿勢をとっております。しかも、それはできれば完全実施という点も、私も同じ考えであります。とにかく、今度出てまいります人事院勧告がどうなりますかこれは予測できませんが、その意味におきまして、国家公務員給与を改定いたしますが、もちろん、地方公務員はこれに準じてやりますが、できますれは——できるだけひとつそういうふうないま山田さんの御指摘の線に沿うた措置ができればけっこうだと、こう私、これは私一人でやることじゃございませんが、自治大臣としてはそういう希望を持っているということははっきり申し上げておきます。
  290. 山田勇

    ○山田勇君 では、その次に移ります。  公営企業に従事する職員が、同じ地方公務員でありながら、たいへん差別されておりますが、もっと理解のある措置が望まれると思いますが、その点いかがでしょうか。
  291. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) これも、今日の公営企業に従事している方々の給与問題は、何とかひとつ、いわゆる一般の職員と同じようなあれへ持っていきたいと思っております。御承知のとおり、八賃の場合にいろいろの申し合わせと申しますか、これはもうよく御存じでございますが、大体再建団体というものが前提でございますが、労使間で非常に努力しようという項目が残されております。私はいつも申しますが、一〇〇%実があがらなければいけない、労使間にできるだけの努力をしていただきたい、こういう希望は申し述べております。私もただこのままでいいと考えておりません。
  292. 山田勇

    ○山田勇君 まあ、町づくり、村づくりというのは今度の地方財政計画の柱となっております。そして広域生活圏ということを打ち出してておりますが、それはどういうことでしょうか。
  293. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 市町村の行政の区域と住民の生活の実際の区域とがだんだん合わなくなって、そういったところから住民の生活を保障するためのいろいろな施設、そういうものについて市町村の区域を越えた広域的な区域についてこれを処理できるよう考えていく必要があるのじゃないだろうか。そういった時代の要請にこたえる一つの方法として広域市町村というような考え方を打ち出しておるものでございます。
  294. 山田勇

    ○山田勇君 町づくり、村づくりに、交付税の中でどのように見込まれているのでしょうか。また、今回初めて投資的経費というのを設けて、長期計画地方単独事業費一千億とかをふやしておりますが、これは将来いわゆる広域都市圏とか広域生活圏とかを見越して計画的にやっていこうとしているのでしょうか。また、交付税の面ではどのようになっておるのでしょうか。項目と金額がわかればお示しください。
  295. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 広域市町村計画というものはまだことしこれからつくってもらおうという考え方でございますから、広域市町村計画内容に対処するためのの財政措置は、今回の交付税措置ではいたしておりません。ただ、地域的ないろいろな対策の一つとして、過疎対策という意味では地方交付税におきまして八百四億円というものを一応見込んでおります。反対に、過密としては千三百七十九億円というのを見込んでおります。  それから、交付税の算定で投資的経費と消費的経費とを分けましたのは、従来それを一本にして経費算定をいたしておりましたけれども、だんだん投資的経費のほうを増強していくべき時期に到達しておりますので、一緒にいたすことによってかえって算定がむずかしくなるという問題があるわけでございまして、そういう意味で、経常的な経費というのは、どちらかといえば静態的な経費、投資的な経費は動態的な経費だというような考え方でこれを区分いたしたものでございます。したがいまして、従来の各費目のほとんど全部について消費的経費と投資的経費を区分いたしましたが、特殊な経費につきましては、投資的経費をまとめて行政費によって処理をすると、こういうふうなことをいたしております。
  296. 山田勇

    ○山田勇君 続いて国民健康保険税についてお尋ねいたします。  国民健康保険税は市町村の大きないま負担となっております。また、市町村の保険会計への繰り出しも多額にのぼっております。保険税の市町村民税の負担はどのぐらいになっていますか、また市町村の繰り出し金はどのぐらいになっておりますか。これは国民の社会保障という観点から大きな問題ですが、交付税ではどのように見込んでこれを軽減補償しようとしているのか、どうもその点について何も対策がないように思いますが、その点いかがでしょうか。
  297. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 国民健康保険税の負担は町によっていろいろでございますが、大体荒っぼく言って一万円近くになっておると思います。診療見込みもだんだんふえてまいりますし、受診率も御承知のように高くなってまいりますから、年々少しずつ上がる傾向にございます。  それから国保会計に一般会計からの繰り入れにつきましては、ちょっといま数字見て——この間お配りした白書に載っておりますが、いま見てお答えいたします。それから、今回の措置で一般会計から国保会計に繰り入れているかということについては、繰り入れをいたしておりません。私どもはやはり国保会計は独自の計算でいくべきだと、それに国からの負担金もございますものですから、そういったやり方でいくべきであろうと、いま考えております。もちろん、社会保障制度全般についていろいろ抜本的な検討が現在行なわれておりますので、そういった結論を待って措置すべきものは措置してまいりたい、こう思います。一般会計から国保会計に繰り入れておりますのは、四十二年度の実績で百十億六千百万円でございます。
  298. 山田勇

    ○山田勇君 国民の医療保障については、先進諸外国に比べて非常に劣っているといわれております。無料というのが最も望ましいわけですが、人間尊重という立場からも、国民への身近なサービスとして交付税をこういった方面に有効に使うということについてはどう考えておられるでしょうか。  続いて、次に、過密、過疎についてですが、農山漁村の人口はどんどんと都市に流入して過疎現象が顕著になってきておりますが、これに対して交付税の面でどのように措置しておられるでしょうか。また、大都市及びその周辺の過密化はますます増大しておりますが、その交付税の対象についてもどういうふうに見ておられるでしょうか、あわせてお尋ねいたします。
  299. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公営住宅につきましては、やはり家賃収入によって財源を償却していくべきものである、こう考えております。国保にいたしましても、いま申し上げましたように、現状のもとにおいては保険税負担あるいは保険料負担、それに国庫負担を合わせて措置されるべきものと、こう考えておりますので、本来普通交付税あるいは特別交付税、いわゆる地方交付税の算定にはなじまない性質のものである。こういう意味から特別な措置をいたしておりません。  それから、過密、過疎の問題でございますが、過密都市についての交付税措置としては、人口急増補正あるいは態容補正の合理化といったようなことを中心にして措置をしてまいりたい、こう思っております。特に最近やかましい過密都市の周辺、大都市周辺の市町村人口の急増が、市町村の財政の状況にかんがみまして、特にそういう地帯に需要算定ができるように考えておりまして、そういったものを含めて今年度は千三百七十九億を見込んでおります。  それから過疎につきましては、教育費、あるいは道路費、あるいは農業行政費、通学対策費、そういったようなものにつきましてそれぞれ算入をいたしまして四十四年度は八百四億円というのを普通交付税の需要額で見込んでおります。
  300. 山田勇

    ○山田勇君 最後に、公害及び交通災害の問題についてお伺いいたします。  公害及び交通災害はすでに全国的な大きな社会問題となっております。数多くの犠牲者が出ているわけですが、県や市町村はその対策に非常に苦慮していることは御承知のとおりだと思います。そこで、やはりこういった公害対策及び交通災害対策について交付税等ではどのように見ておられるかお尋ねいたします。
  301. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 公害対策につきましては、基本をなしております事務費あるいは機械器具費、要するに公害の測定に使われる機械器具、そういったものについて今回ば従来より増強いたしまして、全体で十二億円ほどになるだろう、こう見込んでおります。それから事業費につきましては、公害対策事業費といいましても、個々の団体あるいは個々の個所によっていろいろ違っておりまして、下水道を整備することが公害対策になるというところもございましょうし、あるいは街路を拡張するとか緑地をつくるとかいろいろなやり方があるわけでございますので、私どもとしては、そのそれぞれを包括的にこれを見ることがちょっといまそこまで十分な検討も行なわれていないのでございますので、下水道でありますとか、あるいは都市計画事業であるとか、そういったものに交付税の需要としてはふえるように計算をいたしております。別途個々の団体の公害対策事業につきましては、起債等によって措置をしてまいりたいと思います。
  302. 山田勇

    ○山田勇君 いま下水道によって公害処理をしようというようなお話がございましたが、先日大阪市の下水道のほうへ行って調べてみますと、かなり脱硫装置をもって、大阪府条例に基づいてその基準どおり処置をしていても、Aという会社が脱硫装置をもってちゃんとその基準どおり流す。そうすると、Bという会社のほうも基準どおり条例に従って流す。しかし、本線——本管というのですか——に入った場合、そこに非常な化学現象を起こしまして、異常な臭気を放つというような問題も個々のケースにたくさん出ております。そういう点について、まあ自治省として公害、下水道というものに力を入れる、これについて、そういう点の研究もなお一そうなされて、公害対策ということを考えていただければ幸いだと思います。どうもありがとうございました。
  303. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 先ほどお答えを漏らしましたが、交通安全対策につきましては、二百四十五億というものを措置をいたしております。内容は、すでに御承知のように、信号機、あるいはガードレール、救急車、そういったようなものを考えております。
  304. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 簡単にお尋ねいたしますが、先日公労協のベースアップの問題について仲裁裁定が出まして、これを閣議で決定されるときに、野田大臣がまあいろいろと慎重に検討してほしいということを言われたと新聞に出ております。その真意はどういうところにありますかお尋ねいたします。
  305. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 公労協の仲裁裁定を閣議にはかりましたときに、それはあの中に国鉄のいわゆる再建団体という問題がありまして、これを裁定どおり承認するということに私は基本的に反対という意思表示をしたのであります。特に私の常に頭にあるのは、いわゆる地方公営企業、特にその中の再建団体の給与問題、これが非常に関連いたしておりますから、そういう問題について、やはり自治省の取扱い案件でございますが、政府全体もひとつそういうことに関心を持って今後都市交通の再建団体の給与問題を考える必要があるということを発言したのであります。私はいまなお都市交通の給与問題をどうして解決していくかということを非常に苦慮いたしております。
  306. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その発言は前向きなんですか。あるいは、国鉄は再建団体であるのにベースアップするのはけしからんというような趣旨なんですか。その辺のところが問題だと思うのですが。
  307. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) まあ政治的に言えば、率直に言うと、前向きの姿勢をとったつもりで自分ではおります。これは人によって解釈が違いますが。
  308. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どうもはっきりしませんけれども、再建団体の国鉄が、ここに切り抜きがありますけれども、ベースアップ八%プラス千円で五千二百五円、それから定昇を入れまして七千百二十九円、アップの率は二二・五六ということになっておりますが、これはもう仲裁裁定ですからこれを拒否することはできないですね。それにもかかわらず、まあ慎重に検討してくれということは、私などには、地方公営企業というものを持っていて、それを国鉄にならってベースアップを考えなければならないが、その財源等について政府として慎重に前向きに検討してくれということであればよくわかるし、たいへん野田大臣のその発言というものはプラスになると思うのですけれども、どうも話を聞いてみると、必ずしもそうでないんですが、どうなんですか。
  309. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 閣議の席上の発言でございますので、解釈は加えません。ただ、松澤委員の御推測に近い気持ちで私は発言したということだけは申し上げます。
  310. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先日、個人的に野田大臣のところへ参りまして、そのときには細郷局長もおいでになりました。新聞で見るところによりますと、都議会もまあ今年もベースアップを公営企業の職員に対してもやらなければならぬだろうということで伺ったのでありますが、実際そういう方向に進んでおりますか。
  311. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) いま東京都のお話が出ましたから、それに関連して申しますが、ちょうどお目にかかりました直後ですか、前ですか、東京都の美濃部知事も来られまして、いろいろお話し合いをしたのですが、私の気持ちは、やはりできるだけ前向きに解決したいと。しかし、前向きに解決するということは、無条件ということでございませんで、これはもうよく松澤さんの御承知のとおり、八賃の場合にいろいろ交渉といいますか、申し合わせといいますか、そういうものが取りかわされている。私は都知事にも言ったのですが、お互いこれは理屈を言い合っておったってしょうがないから、ひとつ一緒になって解決しようじゃないか。そこで、これにはやはり前に一応理事者とそれから自治省の間でいろいろ話し合っているから、その話し合いの努力だけのことは見せてもらいたい。その努力の結果が完全であるとか一〇〇%であるとか、そんなことを私は言うのじゃない。しかし、全然努力しないでは、やはりそこはお互いの申し合わせというものがあるのだから、何かその努力のあとを見せてもらいたい。それについては非常に都知事も理解しておりまして、やはりいろいろなことを言っておりましたが、そのあとはまだここで発表はどうかと思いますが、一応新聞なんかに書いてありましたが、無条件でどうだということ、これはなかなか財政上の都合がございますので、これはもう御承知のとおりでございます。しかし、そうかといって、ただこちらの自治省の示しただけのことをそのまま実現ができない場合どうするかというような趣旨には私はとっておりません、率直に申しますと、そこがお話し合いでございまして、私は話し合いが相当可能だと自分では感じておりますが、まあこれからのことでございますから。そこで、内容について一々あまりここに申しますことは、関係者も多いことでございますから私避けたいと思いますが、私はやはり前向きでひとつなるべく早く解決の道を講じたいと、こう考えております。
  312. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 前向きで解決に努力したいということでたいへんけっこうなんですが、都のほうでそういう方法をおとりになるということが、まだ昨年のベースアップできてないすべての地方公営企業に対して同様にしろということを必ずしも私申し上げるわけではありませんけれども、いまお話がありました各地方公営企業の管理者といいますか、あるいはその団体自体が誠意を示してくれと大臣は美濃部知事に言われたそうですけれども、そのことはやはり他の地方公営企業の管理者なりあるいはまたは首長なりについても同様なことだろうと思うのです。前向きに解決すると言ったところで、やはり財政当局としてはいままでずっと再建計画を検討し、また、場合によってはそれを変更してきたわけでありまして、前向きと言っても直ちに解決することの困難ということもよくわかりますが、ケース・バイ・ケースで地方の誠意が認められるならば、前向きにベースアップも認めようということでありますか。
  313. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 私は松澤さんのいまの御意見と同じ気持ちを持っております。私は、この問題は、ただお互いに言い合っておっても切りがないことですから、やはりお互いに努力する、こういう考えを持っておりますから、やはり一ぺんにはなかなか解決できませんが、ケース・バイ・ケースでひとつ何とか前向きでやりたい。大体いまの御意見と同様な感じを持っております。
  314. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 佐藤総理もその点は、委員会の答弁でありますから、どの程度まで本心であるかその辺のところよくわかりませんけれども、待遇も改善しないで責任だけ負わすということは、とてもそういうことではいけないと思います、だから、その辺、これから私ども善処したいと思いますということを言われておりますので、合理的であって、また、それが地方公営企業自体についても負担ができ、誠意が認められるということであれば、当然いま自治大臣が言われるように前向きに解決してもらうわけでありますが、ここで私、公営企業の本質的な論議をするわけではありませんけれども地方公営企業でも、のほほんとしているわけでなく、相当誠意を示していると思います。で、とりあえずは路面電車をはずすということで路面電車をはずした。しかし、バス自体が最近は赤字が出ております。バスを残しておいてもやはり赤字が出てくるわけですから、人員を減らすということも限度があって、それ以上は——バスだけが動くというわけではありませんから、やはりそこにも限度があって、おのずから制約があるのじゃないかと思いますけれども、誠意を示すとか、あるいはまたは合理化をやれということはどの程度であるか。それは各公営企業によって違うと思いますけれども、財政局長としてはどういうところまで誠意を示したらベースアップを認めるということになるのですか。
  315. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 全く個々の企業体で事情が違っておりますので、一律的なことを申し上げるのはむずかしいと思います。ただ、バスについて言えば、いまお話しのありましたように、バス自身についての乗客減というような問題もございますので、都市ごとにバス路線の編成がえをするというようなこともやはり爼上にのばしていただきたい、こういうふうに思っております。そのほか、経常的経費についての合理化、なお、私は都市によっては努力をしていただく余地があるんではなかろうかというふうにも思っておりますので、その辺は都市ごとに具体的に十分お話し合いをしてまいりたいと思っております。
  316. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほど申しましたように、根本的な問題はここで本日論議しませんけれども、一例をとって申しますと、私のうちのほうから神戸の中心部に行くバスがあるわけです。前は十五分で行っていたわけです。ワンマンになりましてから二十五分かかります。しかも、たび重なる賃上げで、家族を連れて行けば百何十円くらいかかる。タクシーに乗ったら、五人でもやっぱり百七十円かあるいは百九十円か。だから、それも赤字路線であるからといってはずしてしまうと、あとに何が残るかという問題、ほかに何かもうかる仕事があるか。そういう事情ですから、それはこれ以上公営企業としても精一ぱいというところがあるんじゃないかと思いますけれども、これは具体的なことでまことに恐縮ですけれども、あることは認めるでしょう。
  317. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 私どもも立場上かなりいろいろなことを言うわけでございますが、しかし反面、再建計画の始まる前後から、かなりの合理化をやっているということも私は率直に認めております。しかし、最近いろいろな外部諸条件がむずかしくなってまいりましたので、外部諸条件の解決がないと何もできないというような考え方も一方に強く出てまいっておりますが、私はやはりそれではなかなかいけないので、外部諸条件の整備もむずかしい問題ですが、いろいろやらなければいけない、同時に、それぞれの企業における努力というものもお願いをしたい、こういう態度でやっておるのでございますから、その辺は私も当局の方と十分お話をしてまいりたい、こう思います。
  318. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 昨日も、そういうことで、神戸市の交通局で運転手の新規採用、聞いてみますと、三十人採用したいところが応募する者は四十人。まあ、いろいろと試験をやってみると、二十六人くらいしかかろうじて第一次合格する人がいない。三十人採るところ四十人では素質も悪いでしょうし、あるいはまた、本来なら合格しないような人でも採らなければならぬということですよ。前にもそんなことをお話しいたしたのですけれども、ベースアップは行なわれないし、人員はいつまた減らされるかわからぬというところへ新規に来る人はそんなにないと思います。いま、前に申しましたそういうことですから、現在いる方とそれから新しく来る方との間には非常に大きな断層ができてきて、夢のある職場として、従来は市電の乗務員であるとかバスの従業員であるとかいうようなものはあこがれの対象、地方から出てきた人にはあこがれの仕事であるというふうに考えられておりましたけれども、いまでは何も魅力がない。そういうところに来る人もありませんから、四十人の中で三十人採るという無理な採用をしなければならぬ。そうするとまた事故が起こったりしたらたいへんなことになる。現状はそういうことなんですから、やはり自治省で指導するといっても限度がありまして、先ほども申しましたように、路面電車が赤字であるからはずせ。バスだけ残した。バスが今度赤字だ。赤字の路線は全部はずせということになったところで、結局、交通事情や社会的な条件の変化によりまして、そういうものが営業としてあるいは経済的に合わないということになれば、もう全部そういうことをやめてしまう。こういうことになるのか。あるいは、ここで私どもは経済性ということと同時に、まあ公共性といいますか、住民に対するサービスということ、これが重大な地方公営企業のねらいでなければならぬ。まあ、地方公営企業法が制定される以前には、市の固有の仕事としてそういうことをやっていたわけなんですね。独立採算制というようなことを言いだしてから、とたんに経営が非常にむずかしくなってきている。まあ、それは時期的にそういう時期になったから赤字が出たということで、法律の結果赤字が出たとは思いませんけれども、これを打開していく道は、あんまり締めつけていったら角をためて牛を殺してしまう。あとは何も残らないということになるのじゃないか。まあ、財政局長には財政局長としてお考えもあることだと思いますけれども、こういう事情は、野田大臣ほんとうに親心ということで検討していただかなきゃならないと思います。こういう実情をどうお考えでございますか。
  319. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 私が先般国鉄の仲裁裁定のときに発言した内容は私申しませんが、その意思は、やはり地方公営企業の今日の経済的な苦難といいますか、こういうものはやはり一般の閣僚が知ってもらいたいという意思が私は十分ありました。だから、いろいろな機会に、私はよくこの地方公営企業の内容を簡単であっても説明いたしております。こういう点からしまして、私はそれはどうしてそういう態度をとっているかというと、私は松澤さんがおっしゃるとおり、この給与改定の八賃、九賃は別として、そういう問題として、これはいままでのような企業体もそうでございますが、自治省としても、やはりこのあたりでひとつ洗い直して再検討する時期が来ているんじゃないか。ただ、私は先ほど繰り返して申しますとおり、理屈を言い合っておってもしようがないから、自治体に向かって、もう少しお互いに前向きの姿勢で検討し合う。何か生まれてこなければ、それはいまひとりこれは神戸の問題ばかりでありません。私は、全国のこういう都市交通は全体的にそういう同じような悩みが大小にかかわらずある。それだから、やはりこれは基本的な問題は検討する時期に来ているんじゃないか。いまお話しのありますとおり、独立採算制という立場は法規上出ておりますが、しかし、これも独立採算制が実行できて初めて独立採算制というものが強くわれわれは要望できるわけですから、都市交通の持っている経済性と同時に公共性というものから考えまして、何かひとつこういう打開の道をお互いに真剣に取り組んで考えなくちゃならんじゃないかというような気持ちを私はいま持っております。
  320. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 八月になりますとまた人勧が出ます。人勧に対する国の方針というものは給与関係の閣僚の方々によって検討され、また、決定されると思います。ここで自治大臣にひとつ所信のほどを承りたいと思います。  国に準じて給与改定を行なう、前向きで努力するという御発言が得られるかどうか。また、財政局長にお願いするわけでありますが、給与改定に必要な経費というものは地方財政計画の中で計上されておりますか。ただ、わからないところは、給与改定に充てる経費として一般職で五百九十七億、義務教育職員で百二十六億、合わせて七百二十三億ということになっております。そのほかに災害及び給与改善の追加需要に充てるというこの五百億というものがありますが、五百億のどの程度給与改定の追加需要に充てることができるか。これはもちろん災害の規模、大きさ等によって違うと思いますが、昨年のようにあまり大きな災害がないということであれば、五百億全部を給与改善の追加需要に充てることができるのか、その辺のことを承りたいと思います。
  321. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) 私は先ほども山田委員の御質問に答えたのでありますが、これは国家公務員に対する今度の人事院勧告が出ました場合は、やはり地方公務員に対しましても国と同じ、それに準じて行ないたいと当然考えております。その際は財政上も適切な措置をとりたいと、こう思っております。
  322. 細郷道一

    政府委員(細郷道一君) 本年度の給与改定に対処するための財政計画上の措置といたしましては五百九十七億、約六百億というものは給与関係費に計上し、あと一般行政経費にいわば予備費的に今後の追加財政需要に対処するものとして五百億を計上いたしております。  交付税の措置としましては昨年程度のことが行なわれた場合に必要である額について、財政需要額に当初において織り込んでまいりたいと、こう考えております。  実際に出ましたときは、まだ予想もつきませんが、ただいま大臣が申し上げましたように、国に準じた措置ができるようその間の適切な措置をとってまいりたいと、こう思います。
  323. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 いよいよまあ時間が、理事打合会できめた時間を守らなければ慣行をまたわれわれ自身破ることになりますから、これで私は質問をやめたいと思いますが、ただ、大臣とは予算委員会でやりましたが、地方行政にやっかいになりましてこれからまたしばらくおつき合いを願わなくちゃならぬ。いろいろ言いたいことはございますが、そういう事情で私質問は保留いたします。  なお、これは理事打合会の結果でありますから、あえて行政府に対して言う必要はございませんが、あとの審議の議題が出ました日数の中に、一日か、地方財政計画についてはほとんど十分討議をされておりません。また、地方交付税法も相当大きな改正をされております。そういうことで一日間を取りたい。これは国会のほうの権限になりますけれども、そういう事情がありますので、大臣も財政局長もそのときは出席をして、十分親切な答弁をしてもらいたい、こういうことを要望いたしまして、私の質問は保留します。以上です。
  324. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  325. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  326. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 私は日本社会党を代表して、内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案に反対の討論をいたすものであります。以下その理由について述べます。  まず、第一は、地方交付税総額についての特例についてであります。昭和四十三年度において、四百五十億円を国に貸し付けるという特例がありまして、その際においても今後かかることをしない旨、自治大蔵両大臣の間においても、本委員会の附帯決議においても決定されました。しかるにもかかわらず、本年度において再び六百九十億円を国に貸すことに相なってしまいました。この点、また本年度限りというただし書きつきでありますが、二回にわたって交付税総額がかかる形で国によって、特に財政当局の考え方によって曲げられていることは全く承認しがたいものであります。  第二点は、年度間調整については、両大臣覚え書きによって検討する旨述べられておりますが、地方財政は、本来フィスカルポリシーや景気調節の機能にはなじみにくいものであり、かつ、今日の地方行政水準の立ちおくれから見ますならば、表面的に地方財政が若干好転したとはいえ、国に貸し付けたり、景気調整の手段に供せられたりすることは言語道断と言うべきであり、容認できないものであります。交付税は地方行政水準を高めるために使用されるべきであります。年度間調整については、地方財政法の規定により、地方公共団体がそれぞれの自主的立場において行なうようにすべきであります。また、財政当局からの年度間調整についての介入を防ぐためにも、地方制度調査会の答申のごとく、国税収納整理資金特別会計から直接に地方交付税特別会計に繰り入れるべき措置をとるべきであります。  第三に、土地開発基金の特例であります。土地開発基金を設け、特定な団体を指定し、その目的を指定して一部の地方自治体に配分することにいたしました点は、地方交付税法に違反するものであります。この措置は使途制限を禁止する趣旨、公平の原則に反するものであって交付税制度の本質をこわすものであります。地方自治体が公共用地取得のための財源に苦労している点十分に理解するものでありますが、かかる財源需要を満たすためには他の手段方法によるべきであり、交付税によるべきではありません。  第四に、交付税が補助金的性格を今回の改正によってさらに強めており、補正等を通じて中央支配を強化している点に反対するものであります。経常経費と投資的経費の区分を明確化し、事業費補正を著しく強めています。動態的に地方自治体の実態を把握して財源を付与することが必要であるとしても、今日の国、地方を通ずる財政やもろもろの長期計画が産業基盤整備に重点を指向しており、生活基盤整備がたいへんおくれている状況にあるとき、住民と密着した地方自治は軽視され続けてきましたし、今後も地方自治を発展せしめるゆえんではありません。かかる措置地方財政をして大資本の利益に密着させるものであり、賛成するわけにはまいりません。  第五には、過疎過密対策について欠くるところのある点であります。今回地方交付税法改正によって過密対策にはかなりの重点が置かれたことは理解しますが、本来交付税法は、担税能力のある地域からの財源を担税能力の乏しい地域に重点的に配分するものであります。大都市、過密都市については交付税による財源付与でなく、都市的税源を与えるようにすべきであります。今日の過疎地域は重大な危機の段階にあり、医療、教育など人間の最も基本的な生活の側面における危機状況が多くあらわれております。過疎地域に対して財源の傾斜的配分を行なうべき時期にあります。  第六に、交付税配分基礎となる基準財政需要額算定のための基準となる施設の水準や単位費用が低く過ぎる点であります。生活基盤整備の面において特に低過ぎます。社会の発展に伴い大幅に引き上げるべく抜本的改正を行なうべきであります。  第七に、地方公営企業についてであります。経済の高度成長政策によって都市の態様は大きな変化を遂げたにもかかわらず、地方公営企業は公共性と独立採算制のワクにはめ込まれ、赤字を累積するのみであります。この赤字は単に公営企業管理者や企業従業員の責任にだけ帰するわけにはまいらない実情にあります。多くの都市、特に交通関係では昨年の賃金問題さえ解決しておりません。企業体の合理化対策にまつのみでなく公共料金を安定させる立場からも国は積極的に財政援助をし、地方公営企業の赤字を解決すべきであり、かかる措置はきわめて不十分であります。  以上主要な理由について述べましたが、本改正案は、地方自治を高めるという希望とは全くかけ離れたもので、地域住民の期待に沿うものではありませんので、強く反対するものであります。  終わります。
  327. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 私は自由民主党を代表して、本法律案に賛成の意を表するものであります。  本法律案は、地方団体の行政経費の増加に対処するため、単位費用を改定し、また投資的経費について動態的な財政需要の算定を強化する等、基準財政需要額の算定の合理化をはかりますとともに、地方交付税の総額の特例を設けること等をおもな内容とするものであります。  委員会における熱心な論議を通じ指摘されました地方交付税の総額の特例措置、年度間の調整問題に関する覚え書きあるいは事業費補正の強化等いろいろと御意見があった点については、将来政府において慎重に検討をされ、その御懸念のないよう十分配慮されなければならないと思うのでありますが、本法律案においてとられております措置は、地方財政の実情及び財政需要の動向等に照らし、実態に即したものといたしまして妥当なものと考えるのであります。  私は、以上のような理由によりまして本法律案に賛成の意を表するものであります。
  328. 阿部憲一

    阿部憲一君 私は公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっております地方交付税法の一部を改正する法律案について、反対の意見を表明するものであります。  まづ第一の理由は、地方交付税の総額の特例についてであります。この点については野党各委員が論議を尽くしたところでありますが、今日の地方財政の現況から見て、いささかも地方財政裕福論が成り立つ理由はないのであります。それにもかかわらず、今回再び六百九十億を国に貸したという事実は、これがどのような形式にせよ、国の言う地方財政好転論を事実上認めたことであります。また、地方固有の財源である地方交付税を国の都合で減額調整するということは、現行の地方交付税制度の根幹に触れる問題であり、一方的に地方団体の権利を侵害するものと言うことができます。加うるに、将来の課題として、自治大臣は大蔵大臣と取りかわした覚え書きの中で、別途、地方交付税の年度間調整の措置を検討することを約束しております。現行の地方交付税制度は、いまさら申すまでもなく、地方団体固有の財源であって、本来地方団体に直接帰属すべき性質のものであります。この意味からもわが党は、地方交付税は国の一般会計を通さず、交付税特別会計へ直接繰り入れるべきであると主張しているのであります。しかるに自治・大蔵両大臣の覚え書きは、地方交付税が地方固有の財源であるという基本的立場をくずすものであって、私は絶対に承服できないのであります。  第二は、過疎過密対策であります。申すまでもなく、過疎地域における人口の急減現象は最近一そう深刻の度を増し、これらの地域をかかえる地方団体は、バス路線の廃止、学校統合等に伴う寄宿舎あるいはスクールバスの問題、また、極度の医療機関の不足と国民健康保険の赤字、さらに若年労働者及び消防団員の急減等深刻な事態に直面し、非常に苦慮している現状であります。今回の改正案ではこれらの問題に対処するに多少の財源措置はされておりますが、これらはいずれも焼け石に水に等しく、事態の好転をはかるにはほど遠いと言わなくてはなりません。要するに、場当たりの継ぎはぎ策では解決できないのでありまして、抜本的に過疎振興の総合立法を行ない、過疎地域に対して交付税をはじめとして思い切った財政措置がなされなければならないのであります。また、大都市財政については、人口流入の激増とともに、膨大な財政需要に対応し切れず、もはや過密は限界に達して、本来財源の裕福であった指定都市が軒並み交付団体に転落していることを見のがすわけにはいきません。しかるに、四十四年度の政府の税制改正は、わずかに地方道路譲与税の配分基準の手直しのみに終わり、根本的な解決にはほど遠い現状であります。すみやかに過密対策、特に大都市の財源対策をはかるべきであります。  第三は、土地の取得に要する財政需要についてであります。土地開発基金等の設置については、都道府県、指定都市、人口十万以上の都市及び都市周辺の特定の市町村を対象として地方団体が所要の財源の一部を基準財政需要額に算入するため、四十四年度において臨時措置として設置するとありますが、確かに今日、地方公共団体の大部分は土地の先行取得の必要性があり、また、今回のような臨時措置ではなく、長期的に財源対策を講じ、総合的かつ効果的な運用を積極的にはかれという声もあることも事実であります。しかし、今回の交付税措置は周到な用意を欠いている上に、この制度は国の新都市計画法、都市開発に対応する財源的な裏付け措置であって、本来地方団体固有の財源であり一般財源であるべき交付税の使途に対し、土地開発基金の設置の通達を出して、中央から制限を加え、しかも、特定の団体に交付して政策的に交付税の配分を行なおうとする意図があることは明らかであります。巧妙な手段により一般財源である交付税を特定財源化することは地方交付税の本質に矛盾しないかどうか、大きな疑問とするところであり、この点について納得できないのであります。  第四は、市町村道整備であります。現在、地方公共団体の公共施設や事業水準の立ちおくれは著しく、特に市町村道整備はおくれて、その改良率は一二・一パーセント舗装率は実に四・五パーセントという現状であります。現在の改良率舗装率をかりに五〇%まで高めようとしましても、現在の事業量から見ますれば、七十年、八十年はかかるともいわれております。このような実情から見ても地方財政裕福論など全くナンセンスであります。  今回の改正は費目ごとの基準財政需要額について、経常経費と投資的経費との区分を明確化して、投資的経費については、計画事業費、算入方式を採用し、適正な財源の付与をはかるよう配慮されておりますが、これについては種々と問題はありましょうが、それなりの意義を認めることはできます。しかし、ともすると、この交付税の配分が、港湾施設、産業道路等、国の事業計画による直轄事業、その他補助を伴う事業に対する地方団体の負担分を事業費補正等を通じ、基準財政需要額の中に算入して、幹線道路等、いわゆる産業基盤の強化という国の施策に合わせて日の当たる場所のみに地方財政が運営されるよう仕組まれておると考えることができます。そして、ここでも一般財源であるべき交付税の支出に間接的に条件がつけられ、傾斜的に配分が行なわれ、いわゆる日の当たらぬ地方市町村道整備単独事業地方団体が独自で行なう余裕がほとんどなくなるような状態であります。したがって、これ等の市町村道単独事業について十分な財政措置を講ずべきでありまして、この点でも、本改正法案ははなはだ不十分であると言わなくてはなりません。  第五は、地方公営企業の再建についてであります。地方公営企業については抜本的な再建策がなされないまま、逐年膨大な赤字が累積し、地域住民と当該企業で働く労働者は、公共性と独算性の間にはさまれて前途に希望のないまま泣いている現状であります。政府は独立採算にのみ固執して抜本策を見送り毎年議論されながら今回もほとんど見るべき対策が何もなく終わっているのはまことに残念であります。  以上反対の理由を述べましたが、最近の激変する社会経済の発展の中で地方公共団体の実情を見るとき、地方財政の根本的な改革を行なうべき時期が到来しているにもかかわらず、毎年小手先だけの制度の改正に終始して、地方自治の本旨に立ち、進展する社会経済に即応する抜本的な改正を一向に断行しようとしない政府の態度ははなはだ怠慢であり無責任であることを強く指摘し、地方交付税法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
  329. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  330. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方交付税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  331. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  332. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 速記つけて。
  333. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、各派共同による附帯決議案を提出いたします。  趣旨説明を省略し案文を朗読いたします。   地方交付税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、地方交付税に関し、左の諸点につき適切な措置を講ずべきである。 一、地方交付税が地方の固有財源であることにかんがみ、国税収納金整理資金から直接交付税及び譲与税配付金特別会計に繰入れる措置の実現に努力するとともに、年度間の調整等の措置は、地方自治体の自主的立場において行なうよう指導すべきこと。 二、地方交付税の算定について、過疎対策、公害対策等につき、十分これを反映するよう配慮すること。 三、公共用地取毎に対する長期的な財源措置を検討するとともに交付税の使途を制限するような指導を行なわないこと。 四、地方公営企業の現状にかんがみ、国庫補助制度及び繰出金等の措置を拡充し、借換債を拡充するほか、公営企業金融公庫の出資金の大幅増額等の措置を講ずること。  右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛成をお願いいたします。
  334. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 熊谷君提出の附帯決議について採決を行ないます。  熊谷君提出の附帯決議について賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  335. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 総員挙手と認めます。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの附帯決議に対し野田自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。自治大臣。
  336. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして今後努力いたしたいと存じます。
  337. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  338. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  339. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 次に、都道府県合併特例法案を議題といたします。  提案理由の説明を聴取いたします。野田自治大臣。
  340. 野田武夫

    ○国務大臣(野田武夫君) ただいま議題となりました都道府県合併特例法案について、提案理由とその要旨を御説明申し上げます。  最近における社会、経済の発展に伴って、都道府県の区域を越える広域にわたる行政の合理的かつ効果的な処理と広域の地方公共団体としての都道府県の能力の充実強化の必要性はますます増大しつつあります。政府は、このような情勢に対処するため、さきに地方制度調査会に対し府県の合併に関し諮問し、その答申を得たのであります。この法案は、この答申の趣旨に従い、都道府県の自主的な合併が容易に行なわれ得るようにするため、所要の特例措置を定めようとするものであります。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、この法律は、都道府県の自主的な対等合併を期待することを基本の立場とし、都道府県の合併は、自然的、社会的及び経済的に一体性のある区域または将来一体性のある区域として発展する可能性の強い区域であって、広域にわたる行政を合理的かつ効果的に処理することのできる区域について行なわれ、かつ、合併関係都道府県間の格差の是正に寄与することができるように配慮されなければならないものとしております。  第二に、都道府県の合併の手続について、地方自治法第六条第一項による現行方式のほかに、関係都道府県の発意に基づく方式として、関係都道府県議会の議決による申請に基づき、内閣総理大臣が国会の議決を経て処分する方法を規定しております。  なお、この場合、関係都道府県の議会の議決が、半数を越え、三分の二に満たないときは、当該都道府県の住民の投票に付さなければならないことといたしております。  第三に、都道府県の合併の実施を円滑ならしめるため、国会議員の選挙区、合併都道府県の議会の議員の任期及び定数、職員の身分取り扱い、地方交付税及び地方道路譲与税の額を算定、義務教育費国庫負担法、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等に基づく国の財政措置について特例を設けることといたしております。  第四に、合併都道府県の建設を促進するため、補助金の交付及び地方債についての配慮、公共企業体等の協力について所要の規定を設けるとともに、合併に伴う関連措置として、国の地方行政機関の所管区域、公共的団体の統合整備等についても所要の規定を設けることといたしております。  なお、この法律は、特例法たる性格にかんがみ、十年間の限時法とすることといたしております。  以上が都道府県合併特例法案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  341. 内藤誉三郎

    委員長内藤誉三郎君) 本日はこの程度にとどめて、これにて散会いたします。    午後六時四十八分散会      —————・—————