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政府委員(松島五郎君) お手元にお配りしてございます
地方税法等の一部を改正する
法律案関係資料の新旧対照表によって御説明を申し上げます。
まず、総則の改正について説明をいたします。
三ページ、第十五条の九第二項の改正は、徴収猶予または換価猶予の
期間を経過した後におきましても、本税を納付または納入しなかったことについてやむを得ない理由があると認められる場合には、そのやむを得ない理由がやんだ日までの
期間延滞金を免除することができるものとしたものでございます。同じく三ページの第十五条の九第三項の改正は、滞納にかかる地方団体の徴収金につきまして差し押えがされている場合、または担保の提供がなされております場合には、その
期間にかかる延滞金について日歩四銭の割合を日歩二銭にすることができるものとしたものでございます。
次は、四ページ、第十七条の四第一項の改正は、申告納付または申告納入にかかる地方税につきまして、今回一般的に更正請求の制度を設けることにいたしましたが、その更正請求の
期間は一年間としたことに関連いたしまして、還付加算金の計算の始期につきまして所要の
整備を行なうこととしたものでございます。すなわち、還付加算金の計算の始期は、第十七条の四第一号の場合、更正、決定、賦課決定等によりまして確定した地方団体の徴収金にかかる過納金につきましては、納付または納入のあった日から還付加算金がつくということでございます。第二号の場合は、更正の請求に基づく更正によりまして確定した地方税にかかる過納金につきましては、更正の請求の日の翌日から起算して三月を経過する日と更正の翌日から起算をいたしまして一月を経過する日とのいずれか早い日といたしまして、これを還付加算金の計算の始期といたしております。第三号は、申告または修正申告により確定をいたしました所得税額の更正に基づきまして行なわれた賦課決定によって納付すべき税額が減少した住民税所得割りまたは個人事業税にかかる過納金につきましては、所得税の更正の通知の日の翌日から起算いたしまして一カ月を経過する日といたしております。第四号は、前三号の過納金以外の地方団体の徴収金にかかる過納金または誤納金につきましては、過誤納となった日として
政令で定める日の翌日から起算して一カ月を経過する日を計算の始期といたしております。
次は、七ページ、第十七条の五第三項の改正でございますが、住民税法人税割り及び法人事業税につきまして分割
基準の修正がございました場合、それに基づいて更正、決定等を行ないますときは、増額の場合につきましても、減額の場合と同様、五年間これを行なうことができるものと改めております。
次は、八ページ、第十九条の三の改正は、地方税にかかる不服申し立て
期間は現行三十日となっておりますのを、
行政不服審査法の一般原則に基づきまして六十日に延長することといたしましたので、現行の特例
規定を削除することといたしております。
九ページ、二十条の九の三の改正は、現在法人事業税についてのみ設けられております更正の請求の制度を、申告納付または申告納入にかかる地方税全般について設けることとし、更正の請求ができる
期間を一年間とすることといたしたものでございます。
一〇ページは、第二項の
規定でございますが、更正申告、更正または決定にかかる税額等の計算の基礎となった事実に関する訴えについての判決により、税額が減少いたしました場合等、やむを得ない後発的な理由による更正の請求につきましては、第一項で御説明申し上げました一年間の更正
期間を、更正請求の
期間が経過した後においても一定
期間更正請求ができることとしておるものであります。
次が一二ページ、第二十条の九の四の改正は、本税の一部が納付されまたは納入された場合における納付または納入があった日以後の
期間にかかる延滞金の計算の基礎となる税額は、当該納付または納入のあった税額を控除した残額であることを明確にすることにいたしたのでございます。
次に、道府県民税の改正について御説明申し上げます。一三ページ第二十四条の五第一項第三号の改正は、障害者、未成年者、老年者及び寡婦の賦課金の非課税限度額を現行二十八万円から三十万円に引き上げることとするものでございます。
次は、一四ページ第三十二条第三項の改正は、青色専従者給与につきましてのいわゆる完全給与制を採用することに伴う改正でございます。
一五ページの第三十二条第四項の改正は、白色申告者の専従者控除額につきまして、現行十一万円を十五万円に引き上げることとする改正でございます。
次に一八ページ、第三十四条第一項第五号の改正は、生命保険料控除の範囲に二つのものを加えようとするものであります。その
一つは、心身障害者に関しまして地方公共団体が実施する共済制度にかかる契約の掛け金であります。その二は、その退職年金契約に基づく
従業員の掛け金につきまして、所得税と同様の取り扱いをすることとしたものであります。
一八ページから一九ページにかけまして、第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ一万円ずつ引き上げ、七万円とするものでございます。なお、これに伴いまして特別障害者控除額を九万円といたしております。
一九ページの第三十四条第一項第十号の改正は、配偶者控除を現行九万円から十万円に、同じく第十一号の改正は、扶養控除を現行五万円から六万円に、同じく第三十四条第二項の改正は、基礎控除額を現在の十一万円から十二万円に、それぞれ引き上げることとしているのであります。
次は二〇ページ、第四十二条第三項の改正は、住民税の特別徴収税額を年十二回徴収することといたしましたことに関連し、五月中に納付納入があったものについては、道府県への払い込み期限について特例を設けることといたしたものでございます。
二三ページの五十三条の二の改正は、従来、法人の事業税については、法人税の更正があった場合、事業税について更正の請求をすることができることとされておりましたが、この制度を法人の道府県民税についても設けることとし、その請求
期間を法人税の更正の通知があった日から二カ月以内としたものでございます。
次に、事業税について説明をいたします。二五ページから二六ページにかけまして、第七十二条の十七第二項の改正は、青色事業専従者につきまして、住民税同様完全給与制を導入することといたしましたことに伴う改正でございます。
二六ページの七十二条の十七第三項は、白色事業専従者につきまして、その控除限度額を十一万円から十五万円に引き上げる等、所得税の取り扱いと同一とすることにいたしたことに伴う改正でございます。
次に三一ページ、第七十二条の三十三の二の改正は、従来、法人事業税についてのみ課税標準または税額に計算誤り等があった場合には、申告期限から二カ月以内に限り更正の請求ができることとされておりましたが、今回、一般的な更正請求制度を設けることといたしましたので、従来の第一項の
規定を削除することとしたものでございます。三三ページ、第七十二条の四十及び第七十二条の五十の改正は、道府県知事が法人税について更正または決定の請求をした場合において、税務官署が三カ月以内に更正または決定をしないときは、上級の税務官署に再び更正または決定の請求をするとともに、その旨を自治大臣に
報告することとされておりましたが、
行政事務の簡素化の見地から、自治大臣に対する
報告の義務を廃止することとしたことに伴う改正でございます。
次に、不動産取得税について説明をいたします。三五ページ、第十三条の二、第二項の改正は、従来、年金福祉事業団等から、公的資金の貸し付けを受けて住宅を新築し、これを六月以内に
従業員に譲渡する場合の、事業主の不動産の取得に対しては不動産取得税を課さないこととしておりましたが、今回この
対象を拡大いたしまして、事業主が
従業員に譲渡する住宅を新築し、これを六月以内に譲渡したときは、事業主に対してはすべて不動産取得税を課さないこととすることといたしたものでございます。
三六ページ、第七十三条の十四第十二項は、都市計画において定められた路外駐車場の公共性等を考慮いたしまして、都市計画において定められました地下駐車場を取得した場合における不動産取得税の課税標準を価格の二分の一とすることといたしております。
次に、料理飲食等消費税について説明いたします。三六ページ、第百十四条の四、第一項は、飲食店等における飲食の免税点を六百円から八百円に引き上げることにし、第二項では、あらかじめ提供品目ごとに料金を支払う飲食の免税点を三百円から四百円に引き上げることといたしております。
三七ページ、第百十四条の五は、
旅館における宿泊及びこれに伴う飲食の免税点を千二百円から千六百円に引き上げることとし、第百十五条の改正は、税率を百分の十に統一することとしたものであります。
三八ページ、第百十六条第一項第二号の改正は、料理飲食等消費税の適正な賦課徴収を確保するために法人等が宿泊飲食等にかかる経費を支出している場合には、当該法人等に対して
質問審査権を行使する旨を明確にすることとしたものでございます。
次に、市町村民税であります。市町村民税の改正は、障害者等に対する非課税範囲、各種控除額の引き上げ、専従者控除制度の改正等は、道府県民税の改正で説明いたしましたことと同様でありますので、その他の改正点についてのみ説明をいたします。
四六ページ、第三百二十一条の二、第三項の改正は、延滞金の計算
期間についての控除
期間を設けることとしたものでございます。
四九ページ、第三百二十一条の五の改正は、給与所得者についての特別徴収は、六月から翌年五月までの十二回に分割して行なうことに改め、均等割のみの特別徴収については、一括徴収ができることといたしております。
次に五〇ページ、第三百二十一条の五の二の改正は、特別徴収の回数の改正に伴いまして、小規模事業所の納期の特例を、従来の五カ月ごとを六カ月ごとに改めることといたしたものであります。
次に、固定資産税について説明をいたします。五三ページの第三百四十八条第二項第十九号の二の改正は、新たに労働災害防止協会の鉱山保安センターを非課税とすることとし、また、同条同項第二十七号は、建設公団が鉄道
施設の建設の用に供するため取得した土地で、日本国有鉄道に対し無償で貸し付けることとなるものについて非課税とすることとしております。
五五ページ、第三百四十九条の三第二十二項は、都市計画において定められた地下駐車場について、五年間その課税標準となるべき価格の二分の一の額とし、また、五六ページでございますが、第二十三項は、砂利採取に伴う汚濁水処理
施設、ばい煙処理
施設及び騒音防止
施設についての課税標準を価格の二分の一とすることとしております。
次は、電気ガス税であります。五七ページ、第四百八十九条第一項、第二十二号の五は、従来、三年間の期限つき非課税品目とされておりました酢酸を、期限の定めのない非課税品目とするものであります。同じく五七ページ、四百九十条の二、第一項の改正は、電気ガス税の免税点を、電気については五百円、ガスについては千円に引き上げるものであります。
次は、自動車取得税であります。五八ページ、第六百九十九条の九の改正は、自動車取得税の免税点を十万円から十五万円に引き上げるものであります。
次は、軽油引取税であります。五八ページ、七百条の二十一の改正は、従来、特別徴収義務者が徴収猶予の申し出をするときには、必ず担保を提供しなければならないものとされておりましたが、今回これを、一定の要件に該当し、担保を徴収する必要がないと認めるときは、担保を徴しないで軽油引取税の徴収猶予を行なうことができることといたしたものであります。
次は六〇ページ、第七百条の三、宅地開発税であります。第一に、本税は、宅地開発に伴い必要となる道路、水路その他の公共
施設で、
政令で定めるものの
整備に要する費用に充てるための目的税でありますが、本税を課税するかどうかは、市町村が
条例によって定めることといたしておりまして、道路、水路その他の公共
施設で、
政令で定めるものとしましては、都市計画事業の
対象とされていないような道路、排水溝、公共空地として児童遊園地のような宅地開発に直接関連する必要最小限の公共
施設を予定しております。第二に、本税は、都市計画法に
規定する市街化区域のうち、公共
施設の
整備が必要とされる地域として
条例で定める区域内で宅地開発を行なう者に対し、宅地の
面積を課税標準として課するものとしております。すなわち本税は市街化区域全体について課するものではなく、宅地開発が著しく進行している地域またはそれが予想される地域で、宅地化に伴いまして最小限度の公共
施設が必要となる区域に限って課税し得るものといたしております。納税義務者は当該地域内において権原に基く宅地開発を行なう者であります。
第三に、宅地開発税の税率は、宅地開発に伴い必要となる公共
施設の
整備に要する費用、当該公共
施設による受益の現状等を参酌して
条例で定めるものとしておりますが、法附則第三十三条の
規定によって、当分の間、宅地開発税の税率を定めるにあたっては、あらかじめ当該税率その他自治省令で定める事項を自治大臣に届け出なければならないものといたしております。税率について、定率または定額で定めなかったのは、宅地開発に伴う公共
施設の費用は、立地条件によってかなりの差がありますため、一律の税率とすることは、かえって
実情に即さないものがあると考えたからであります。したがって、当分の問、税率の決定、変更については自治大臣への届け出を求めることとし、税率の届け出にあたっては、自治省令で定める事項として、当該課税区域にかかる公共
施設の
整備についての計画等をも
提出を求めまして、
実情に即する助言指導をいたしてまいりたいと考えております。
第四には、宅地開発税の納税義務者が宅地開発に伴い必要となる公共
施設またはその用に供する土地で、
政令で定むるものを無償で譲渡する場合その他
政令で定める場合には宅地開発税を免除し、すでに宅地開発税を納付されているときは還付し、またはみずから公共
施設を
整備する旨の申し出があったときは徴収を猶予することができるものといたしております。すなわち、宅地開発を行なう者が市町村の定める公共
施設の
整備に関する計画に適合するような公共
施設をみずから
整備し、これを市町村に提供する場合には本税を免除することとしているものでございます。
次に、本法附則について説明をいたします。六四ページ以降でございます。
従来、本法附則はすべて項で
規定されておりましたが、今回これを条に改めることとし、この機会に、一定
期間設けられていた特例的な
規定等で、その
期間がすでに経過したもの等につきましては必要な整理を行なうことといたしております。
次に、実質的な改正
部分について御説明を申し上げます。七一ページ、第六十四項は、外航船舶に対する固定資産税の非課税措置の適用期限を
昭和四十六年度まで延長しようとするものであります。
七二ページ、附則第六十五項は、新築住宅に対する固定資産税の軽減措置の期限を延長し、
昭和五十年一月一日までの問に新築されたものに、また、七三ページ、六十六項の
規定は、新築中高層耐火建築住宅に対する固定資産税の軽減措置の期限を延長し、
昭和五十年一月一日までの間に新築されたものについて、それぞれ適用することとしようとするものであります。
次に、七四ページ、附則第六十七項の改正は、綿紡績糸等に対する電気ガス税の軽減税率の適用期限を
昭和四十七年五月三十一日まで延長しようとするものであります。
七五ページ、附則第九十三項は、入会林野
整備等による土地の取得に対する不動産取得税の課税標準の適用期限を
昭和四十六年三月三十一日まで延長しようとするものであります。
七五ページ、附則第九十七項は、紙の製造に
使用する電気に対して課する電気ガス税の税率を、
昭和四十四年六月一日から
昭和四十七年五月三十一日までの問、百分の四とするものであります。
七六ページから七九ページまでの附則第三十二条は、日本万国博覧会の開催に伴う地方税の特例措置を定めたものであります。その内容は、
昭和四十五年一月一日から同年十二月三十一日までの間における外客の宿泊及びこれに伴う飲食等に対しては料理飲食等消費税を課さないものとするほか、博覧会の用に供する
施設に対する不動産取得税及び固定資産税を非課税とする等の措置を講ずることといたしております。
七九ページ以下、附則第三十四条及び第三十五条は、土地等の譲渡所得にかかる住民税の課税についての特例を
規定したものであります。
第三十四条は、長期譲渡所得に対する課税の特例を定めたものであります。すなわち、
昭和四十五年から
昭和五十年までの間における保有
期間が五年をこえる個人の長期保有土地、建物等の譲渡所得につきましては、他の所得と区分し、
昭和四十五年、四十六年中の譲渡分につきましては道府県民税一・三%、市町村民税二・七%、
昭和四十七年、四十八年中の譲渡分につきましては道府県民税一・六%、市町村民税三・四%、
昭和四十九年、五十年中の譲渡分につきましては道府県民税二%、市町村民税四%の比例税率を適用して課税することといたしております。
八三ページの第三十五条の改正は、短期譲渡所得に対する課税の特例を定めたものであります。すなわち、保有
期間が五年以下の個人の短期保有土地、建物等、または個人が
昭和四十四年一月一日以後に取得したこれらの資産の譲渡に対する譲渡所得につきましては、他の所得と区分し、道府県民税は譲渡所得の四%相当額、市町村民税は譲渡所得の八%相当額と、その譲渡所得を他の所得に合算をいたしまして通常の課税を行なうこととした場合における税額の一一〇%相当額とのいずれか高い税額によって課税をいたすことといたしております。
以上の改正に関連いたしまして、住民税賦課制限額は、一般の所得についての課税標準の八〇%の額と短期譲渡所得の金額の八八%との合計額によってそれぞれ判定することといたしております。
なお、改正法の附則第十五条におきまして、以上の長期譲渡所得及び短期譲渡所得の課税の特例は、
昭和四十四年中の譲渡について租税
特別措置法による所得税の特例を選択いたしました場合には、
昭和四十五年度の住民税についても適用することといたしておりますほか、保有
期間が三年をこえる譲渡所得を長期譲渡所得とみなすという特例経過措置は所得税に準ずることといたしております。
次は八六ページ、地方道路譲与税法の改正であります。第二条は、地方道路譲与税の譲与
基準として用いる道路の延長及び
面積につきまして、道路の種類、幅員による道路の種別等を考慮して補正を加えることができることといたしますとともに、これに関連し、地方交付税の収入超過団体に譲与すべき譲与額については、前年度に譲与された譲与額に一定の率を乗じて得た額を限度とすることといたしております。
次は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する
法律の改正であります。八八ページから九二ページまででありますが、その内容は、日本国有鉄道の
昭和四十年四月一日から
昭和四十七年三月三十一日までの間に取得した線路
設備、車両等の固定資産にかかわる納付金について、現行の価格の二分の一の額を算定標準額とする制度に加えまして、地方鉄道に対する固定資産税の特例措置と同様の軽減措置を講ずることといたしたものでございます。
以上が政府提案につきましての補足説明でございます。
なお、衆議院におかれまして修正された
部分について説明をさせていただきます。
政府案におきましては、今回の改正法案の施行期日は、
昭和四十四年四月一日から、宅地開発税に関する
部分は六月一日から、料理飲食等消費税にかかわる
部分は、十月一日からといたしておりますが、衆議院におきましては、宅地開発税及び料理飲食等消費税を除く
部分の施行を公布の日からと改められまして、そのうち電気ガス税の免税点を引き上げる
部分にかかわる改正は、
昭和四十四年四月一日から適用するという趣旨の修正が行なわれております。
以上でございます。